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38回国会衆議院1961/05/12

建設委員会 第30号

発言数
61
登壇者
6
会派数
2
開催日
1961/05/12

会議録

加藤高藏自由民主党

○加藤委員長 これより会議を開きます。  公共用地の取得に関する特別措置法案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  中島嚴君。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 質問に入るに先立ちまして、今回の公共用地の取得に関する特別措置法案に対して私の見解を先に申し上げまして、それから本論の質問に入りたいと思うのであります。  この特別措置法は、親法である土地収用法の特例であることは、私が申し上げるまでもなくはっきりいたしておるところであります。そこで、現在までに土地収用法が法律通り的確に施行されておったかどうか、現在までの土地収用法の適用について非常に欠陥があったのじゃないか、こういうようなことを私は思うわけであります。  一つの例をもって見ますと、私の方の駒ケ根に中部電力の黒川発電所というのがあったのでありますが、この黒川発電所の施工にあたりまして、送電線の問題で非常にもめたのであります。発電所を設置するときに、送電線の要ることは、はっきりわかっておる。にもかかわらず、発電所の工事がほぼ完成するというまぎわになって、初めて用地の交渉をしておる。そして、これが非常に紛糾しておるわけであります。  従いまして、土地収用法を十分に活用せずにおきまして、用地の取得が困難だ、こういうような理由から安易な特別措置法にたよるということが、これは顕著じゃないかと思うのです。  それから、第二点といたしまして、この土地収用法の施行者はほとんど建設省で行なう。ところが、新しい特例法におけるところの審議会は建設省の所管になっておる。従って、内閣にこれらの審議会を直属せしめて、第三者の公平なるところの裁断を必要とするのを、施行者である建設大臣がこの任命を行なうことになっておる。これは明らかにいわゆる建設省の官僚の一群が、自分の手にそういうような一切の権益をおさめる、そして公権力の上にあぐらをかいて、いろいろな事業を自分で権力を握って行なっていく。こういうにおいがこの土地収用の今回の特例法において非常に強い。こういうことをはっきり指摘したいと思うのです。  しかし、われわれは、本年度公共事業が非常に膨大になっておる、そしてこれを消化するために何らかの方法を考えなければならぬということは、これは同感であって、そして公共事業の遂行を円滑に進めたい、これに対しましては極力全力をあげて尽力するという考えには変わりはない。けれども、ただいま申し上げましたような現行の土地収用法ですら満足に活用せずにおいて、そしてこの特例法を設けて、特例法の上にあぐらをかいて、官僚の権限を拡張するというようなにほいが、この法案の中に非常に強いことに対して私は遺憾である、こういうことを前提として質問いたしたいと思うわけであります。  そこで、質問の第一点といたしまして、現在の土地収用法において非常に不備があるとか欠陥があるということで、この特例法を提案いたしたのだと思いますけれども、それらの具体的の事例について、納得のいくような説明を求めるわけであります。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ただいまお尋ねのございました点は、公共用地の取得に関する特別措置法の提案の理由にも関係するわけでございますが、最近において土地収用法の適用件数も次第に増加して参っております。必ずしもこの土地収用法の運用の欠陥が起こらないように指導いたしておるわけでございますが、しかし、現行の収用手続の円滑化をはかるために、不備な点を、特にそれは緊要な事業に限りましてあげなければならないと思うのでございます。従って、土地収用法の諸手続が円滑に行なわれることができるように、また、それらのことと並行いたしまして、被収用者の損失の適正な補償の確保に関する措置を講ずることがこの措置法の要点でございます。現実問題といたしましては、現行の土地収用法におきまして、起業者が行政機関等の意見を求めるのにかなりの長期間を要しておる。その結果、事業認定の申請が遅延をしておるというふうなことでありますとか、あるいは町村長が事業認定申請書の縦覧の事務を怠るということがありまして、そのことで収用手続が遅延をする。あるいはまた土地調書、物件調書の作成をするのに立ち入り調査をしなければ作成ができない、こういうふうな場合に、調査の立ち入りをこばみ、または妨げられるというふうな場合におきましては、どうしてもそのような立ち入り調査ができなければ裁決申請書が作れない、こういうふうな場所柄につきましては申請書の提出が遅延をするということがあり、あるいはまた現行の百二十三条の規定につきましても緊急使用の制度があるわけでございます。これらが必ずしも十分なものではないのでありますので、そういうふうな諸点にかんがみまして現行の土地収用法の中で特に緊急性の高い、公益性の高いものについてのみ特別の制度を考えまして、調査会からこの線についての答申がありましたので、これを提案することになったような次第でございます。   〔委員長退席、木村(守)委員長代理着席〕

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 今、局長の答弁で、補償の適正、それから緊急の工事要請に対してもっとすみやかにしなければならぬ、それから町村長の申請書の提出がいろいろな地元の関係でおくれるから、それらを急速に行なうためなどの所要のことを新しい措置法において規定したのだと、こういうように言われましたけれども、この三点でいいのですか。それとも、まだほかに何かあるわけですか。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ただいまお尋ねの点は、現行収用法の手続から見て実際に不備な点があるかということからお尋ねがありましたので、お答え申し上げたのでございますが、今回の特別措置法による土地収用法との違いというふうな意味から申し上げますと、まだ数個の点があるわけでございます。それは大きく分けまして、土地収用法の特例に関する事項を入れたということ、これは現行の土地収用法には記述してない事項を追加したという意味で特例と理解していただきたいのでございますが、それが第一点。それからまた、第二点は、今申し上げました事業の円滑な遂行をはかるために必要な諾手続のなめらかな運行をはかるための手続、それから第三点が、損失の適正な補償の確保に関する措置。そして、このそれぞれの規定は、現行の土地収用法の特例にもなる部分があるわけでございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 そこで、もう一度局長の答弁を確認しておきたいのです。損失補償の適正の確保をはかるということが一点と、それから現在の土地収用法より以上に円滑に運べるようにするのが一点、この二つのことが具体的に今言われたわけでありますが、その他まだありますか。問題の焦点をしぼって順次質問いたしたいと思いますので。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 この公共用地の取得に関する特別措置法の第一条の条文をちょっとごらん願いたいと思います。この第一条には、「公共の利害に特に重大な関係があり、かつ、緊急に施行することを要する事業に必要な土地等の取得に関し、土地収用法の特例等について」というのがございます。この土地収用法の特例は、先ほど申しましたように現行収用法に掲げてある事項を特別な例外規定として設けた部分と、現在の土地収用法にない事項を追加いたしたということを特例といっておりますが、そのほかに、ここに「特例等」という字が加わっております。これは、この特定公共事業として認定を受けます事業につきましては、現物給付に関する第四十六条、及び生活再建に関する第四十七条の規定が加わっておるわけでございます。この四十六条、四十七条というものは、現行土地収用法にもない、むしろ特定公共事業の土地等の取得につきましては、契約によって取得される場合とあるいはまた土地収用法によって取得される場合、いろいろあるわけでございますが、いやしくもこの事業が契約等によって取得される場合から、この生活再建、現物給付という道を制度的にまず作った、これが現行の土地収用法にはない事項でございます。なお、この規定を形式論的に申しますと、特定公共事業のいわゆる認定をいたします場合におきましては、審議会を作りまして、第七条にありますように、公共用地審議会の議を経ることになっております。その審議会の関係の条項でありますとかあるいはこの特定公共事業の内容は、土地収用法の事業の認定を得られる事業の中から特に限定列挙的な事業を選びまして、重要な事業に限ってのみ特定公共事業というものの認定をいたすわけでございますが、他の都市計画法という都市計画事業についての規定もありますので、それらと事業認定の関係についての特例を定めたのが「特例等」の「等」に入るわけでございます。しかし、達観して申し上げますと、ただいま申し上げましたように、この特別措置法の内容というものは、それらの事項を除きまして、事業の円滑な遂行と、土地等の取得に伴う損失の適正な補償の確保、この二点が大きな眼目になっておる次第でございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 そこで、非常に抽象的に損失補償の適正な確保ということを言われるけれども、この一つの点について基本的な態度をお聞きしたいと思うのであります。われわれは、基本的な態度というものは建設省にできておらぬ、こういうように考えるわけです。その一番の理由といたしまして、要するにただいま局長からもお話のありました損失補償の適正な確保ということは、問題は補償の問題一点にしぼられるわけなんですが、その補償の基本的の問題といたしまして、財産権と生活権というものをどういうふうに建設省は考えておるか。私は財産権という問題は、今普通一般に、建設省の考えておるような、臨時の価格とかいうようなことで足りる、こう考えるのです。ところが、生活権という問題になってくると、これは容易でない問題が起きてくるわけです。たとえば六反歩でもって農業をいたして、それでもって生活を維持しておる者が、その六反歩の中から三反歩公共用地に取得されたとしますと、あとの三反歩ではそこでもって営農ができぬことになる。従いまして、この損失補償の場合において財産権と生活権、この点について、もう少し深い建設省としての認識があってしかるべきだ、こう考えるのです。  それから、先ほどあなたの言われたように、確かに四十七条において「生活再建」の措置とはうたってはありますけれども、これは非常に抽象的な論理だけであって、具体的にどうするかというようなことは出ておらないのです。  従って、私が今質問をする一点は、この損失補償の問題で第一点といたしまして、財産権と生活権とを同一に見ておるのか、区別せずに考えておるのかという一点。いま一点は、今説明のあった四十七条の生活再建の措置について、政令か何かで、もっと具体的に明文化するのかどうか、もしそういうことがないとすれば、建設省としては具体的にどういう考えを持っておるか。この二点をお伺いしたいと思います。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 御承知の通り、この特別措置法は、その基本のベースを土地収用法に根づいておるわけでございます。従って、その特例に関する部分というもの、さらに、この特定公共事業という限定された事業に伴いまして公益と私有財産との調整に関する限界を規律いたすのが、この法律の目的でございます。  ただいまお尋ねのございましたように、生活権という問題についての補償に関連したお話があったのでございます。現行の土地収用法におきましても、現在の収用委員会が裁決をいたしますところの損失の補償につきましては、土地収用法の第六十八条から第九十条までの間におきましてそれぞれ規定を設けておるわけでございます。この収用委員会が定めております規定は、つまり収用に関する損失の補償ということで、これが収用法上の損失に関する基本になっておるわけでございます。従って、ただいまお話のありましたような生活権の補償をどのように考えるかということにつきましては、収用法におきましては収用、使用による損失の財産権の補償という立場から規律されておるわけでございまして、今後どの程度生活権の補償まで含めるべきかということにつきましては、公共用地審議会がこの法律制定後にできまして、一年間それらの補償基準に関する問題等についても審議をしていただくことになっておりますので、その際に十分検討して参りたい、こういうふうに考えております。  しかし、何はさておきましても、重要な特定の公共事業が大規模に実施されますこともすでに御指摘の通りでございまして、これは現在の法律の体系におきましては、やはりまずそれより先に生活再建に関する対策というものを制度化いたしまして、この四十七条におきましては、「特定公共事業に必要な土地等を提供することによって生活の基礎を失うこととなる者」に対しましては、今回のこの法案におきましては知事にそれらの人々が実施のあっせんを求める事項を明記いたしまして、そして知事が関係の行政機関なりあるいはまた起業者等、あるいは市町村長なりと相談をいたしまして、これに対応する再建計画を指導いたしまして作成をする。そして契約によって土地等をとられる人たちは、その契約の内容が、再建計画によって起業者がこういう生活再建の道をお世話しなければならぬ、こういうことになった場合におきましては、起業者はそれをなすべき義務を負担するということになります。また、補償が金でもって解決された後といえども、その補償金の一部でもってこれに対応するような事柄を要求し、また実施に努めるような制度をまず考えたのでございます。もとよりこれは国または地方公共団体、これらが一緒になってやるべきことでありますので、この制度は今までなかったものでございますが、これによって必要な事項を具体的に処理するためには、知事がその現実の責任者となってやっていただくことが、この種の規模の大きな事業については適当だろう、こういう考え方で四十七条を作っておるわけでございます。大部分の規定は、四十七条の手続関係も盛られておりますが、必要事項につきましては政令事項になっておりますから、そのような部分につきましてはこの四十七条が具体的妥当性を持った形で動くように指導していきたい、こういうふうに考えております。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 これ以上この点を押し問答してもむだでありますからやめますけれども、確かに四十七条において生活再建の措置をうたってありますが、これは具体的に何らどうこうということではなくして、ただ抽象的な論理だけのものである。これは私、非常に不満でありますけれども、それ以前の問題として、補償を決定する場合において、ただいま申し上げましたような財産権と生活権、この二つを分離して、併置してこれは考慮に入れなければ私はいかぬと思う。今、局長の答弁を聞いていると、全く法律屋の答弁であって、憲法二十九条の「財産権は、これを侵してはならない。」、それから出発して土地収用法に発展して、そして正当な補償というこの一点に尽きておるだけであって、いわゆる財産権だけ奪われる者と、財産権と同時に生活権を奪われる者があるのだから、従って、この生活権の問題に対して、その四十七条以前の補償の段階において建設省として新しく考えて一つの方針をきめるべき問題である、こういうように私は考えるわけでありまして、これは注文をいたしておきたいと思います。  それから、緊急に公共興業を進めるためにこの制度をこしらえたんだ——その他適正な補償であるとか、あるいは円滑であるとか、審議会だとかいうようなことを言いますけれども、中身はその一点に尽きると思うのです。そこで、現在の土地収用法の百二十三条において、緊急使用の措置ができておるわけであります。   〔木村(守)委員長代理退席、委員長着席〕 土地収用法の百二十三条は、「収用委員会は、第四十一条の規定による裁決の申請に係る事業を緊急に施行する必要がある場合で、第四十八条第一項の規定による裁決が遅延することによって事業の施行が遅延し、その結果、災害を防止することが困難となり、その他公共の利益に著しく支障を及ぼす虞があるときは、起業者の申立により、土地の区域及び使用の方法を定め、起業者に担保を提供させた上で、直ちに、当該土地を使用することを許可することができる。」、こういうふうに項にうたって、その後二、三、四、五、六とわたっておるわけです。従って、この緊急裁決が現行土地収用法の百二十三条においてできるじゃありませんか。従って、私の考えでは、こんな特別措置法をこしらえる必要はなくて、これを行ない、もしくはこれに欠陥があったら、これの一部改正を行なえばできるはずだと思う。その点についてお考えを承りたい。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 第百二十三条の規定の問題から御質問があったのでありますが、現行土地収用法の当該事項の条文は、「緊急に施行する必要がある事業のための土地の使用」ということでございまして、これはあくまでも緊急使用という使用に限られておるわけでございます。しかもこの事業は、緊急使用の期間といたしましては六カ月でございまして、更新が認められないということになっておるわけでございます。これは現実問題といたしましては、実際上は農地とか山林、原野というふうに、ともかく家屋等が存するようなところでないようなところにおけるかりの暫定的な使用という制度にならざるを得ないのでございます。しかも、これらの緊急使用によって、土地等が使用されます人には、その場合におきましては起業者が見積もりましたところの損失の補償額というものを提供することになっておりまして、必ずしも今回審議をお願いしておりますような、大規模な、緊急な専業というものによって、究極的に公共用地として原状回復をすることなく取得しなければならない、こういうふうな土地についての活用の制度としてはきわめて不適切なものだと考えられるわけでございます。ことに現在の緊急使用は、特定公共事業というものだけじゃなくて、土地収用法の全体の事業認定を受けられる事業が一応対象となっておるわけでございますので、現行の百二十三条を土台といたしまして、これの形を変えていくということは、必ずしも事業の実施の立場のみではなくて、被収用者の財産権の適正な補償という点からも明確化を欠いておりますので、この特定の公共事業の認定をいたしました制度について新たに作る場合におきましては、御提案をいたしておる内容のものであった方が、両当事者、特に結局において財産権の原状回復ができない収用をせられる人たちにとっては適切であろう、こういう考え方で、調査会におきましても審議の結果答申をいただきましたので、そのような線で立案をいたした次第でございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 今、百二十三条に対する局長の説明を聞いておると、これは緊急に使用するだけであって、取得できないのであるから適正でないということでありますけれども、私としては、この百二十三条の一部改正によって目的を達せられる、こういうように考えておるわけであります。それとは別の問題として、実際問題として、今までこの百二十三条を適用して、そして土地の取得ができず、解決できずに、六カ月の使用期間後においてまたその前の土地の所有者に戻ったような事例があるのかどうか。あるいはこの百二十三条を適用した件数が現在まで何件ぐらいあるのか。あるいは昨年何件あり、その前の年に何年あり、そして六カ月後においてその土地の取得ができなかった事件があるのかどうか。今までの状態を数字をあげて御説明願いたいと思う。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ただいまお尋ねの点は、現行百二十三条の規定による緊急使用許可の実例についてのお尋ねでございますが、これは全体の件数といたしましては今日まで二十六件でございます。駐留軍関係の土地の使用、つまり駐留軍の宿舎に使われた例が多いのでございますが、その件数は十六件ございます。その他の件数は十件になるわけでございます。いずれもその緊急使用の対象になりました土地等は、あるいは山林なり雑種地なり、そういう土地でございまして、今回の特別措置の対象になりますような事業の実施個所は、このようなところにとどまらず、市街地におけるいわゆる交通関係なり、それらの施設の整備の事業が多いのでございます。また、大規模なダム等につきましても、必ずしもこの緊急使用の制度を直ちに改善をするだけでは、両方の立場にとってはその目的を達することは困難だ、こういう考え方に立ったわけでございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 今の答弁は、私の質問する要点をはずれておるわけなんです。今、局長の答弁だと、この百二十三条の適用によって緊急使用した件数が二十六件ある。そのうち十六件は駐留軍で、その他が十件である。こういう答弁であったわけです。この二十六件を適用したのはどのくらいな期間のうちか。一年のうちか、二年のうちか、三年のうちか、あるいは四年のうちか、五年のうちか、その点。  もう一つは、二十六件を百二十三条による緊急使用した後において、それが当事者の所有になったのか、あるいは前の持ち主に返したのであるか。この二つの点をお伺いしたいと思います。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 これは、二十六件のうち十六件の方は借りておるわけでございます。これは借りておったのでございますから、問題はないのでございます。  十件の方のケースにつきましては、六カ月間の間に本裁決がありまして、そして起業者に当該土地なり権利が収用せられることになって帰属をしておる。こういうのがその結果でございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 今、局長から答弁のありましたように、この百二十三条によるところの緊急使用について、その結果として二十六件とも、これは借りておる分もあるけれども、とにかく起業者の意のままにあと使っておられるじゃありませんか。従いまして、過去の実績において、百二十三条においてこの緊急使用を適用してやりさえすれば、全部スムーズに片づいていく。こういうことが過去の実績において、はっきりと明らかになっておる。従って、この特例法を設ける必要はないと思うのです。お考えはどうですか。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 これは先ほども申し上げましたように、緊急使用の現行制度を使ってやればいいじゃないか、これを一つ活用すれば今回の特別措置法の緊急裁決の制度は要らないのじゃないか、こういうお尋ねのように私は聞いたわけでございます。これはやはり、その土地柄から見ましても、先ほど申しましたように、百二十三条の適用によりましては、農地、山林、原野の緊急使用はともかくといたしまして、家屋等が存する土地につきましては緊急使用の目的を達することは困難でございます。この制度の一番欠点はそういうことでございます。また一面、被収用者の立場から見ましても、結局において使用ではなくて収用せられるものを、緊急使用という形で使用期間を設定いたしまして、そして収用の裁決というものは、損失の補償につきましては、収用の時期の価格による。こういうことになりますので、結局原状が回復せられないというような姿のものをどんどんやっていきます場合におきましては、これは収用の裁決がおりますときにおきましては、もうすでに従前の土地ではなくなっておる。こういう現況において収用の裁決の損失の補償の額をきめる、こういうことになる形になります。また、この緊急裁決の制度を設けることによって、この被収用者にその他の損失の適正化に関する措置を、仮住居の提供でありますとか、あるいは建物の提供でありますとか、あるいは担保の提供でありますとか、こういう制度を今回の特別措置の内容に織り込むことによって適正化をはかる。こういうふうにする方が現実にも合うし、また理論的に適正だ、こういう考え方から、百二十三条は逆にとらざることといたしたのであります。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 今、局長の言われた通り、百二十三条の適用によって、二十六件を強制使用して、それがほとんど起業者の思う通りに、六カ月になる前に事件は残っておらぬというような事例から見ましても、この土地収用法の百二十三条の適用によって、あるいはこの一部改正によって、新しい特例法を設けなくても十分遂行できるものだ、こういうように私は考えるわけでありますが、一つことを何度も繰り返しておっても仕方がありませんから、この程度でとめておきます。  そこで、新しい特例によるところの公共用地審議会の委員は、第四十九条の二項において建設大臣が任命することになっている。ところが、この公共用地を取得する者はだれかと申しますと、これは民間事業もあるけれども、おそらく八〇%くらいは建設省関係の道路事業であるとか、あるいは街路事業であるとか、またダムの建設であるとかいうものである。この審議会は第三者の公正な者がこれに当たるべきことは、これはもうあらゆる審議会であっても委員会であっても、原則として動かすことのできないものである。それを建設大臣の任命において行なうのは、実に矛盾していると思うのです。建設大臣といいましても、これは半年か一年でかわるだけで、この実権を握っているのは建設官僚だ。その建設官僚が、土地を収用したり買収したりする最高決定機関ともいうべき審議会を自分で握っているのは、おかしいじゃないですか。これは内閣か何かに直属して、第三者の公正なものを置いて、法規でもって迅速にやらすべきものであると思う。これについて御説明を承りたい。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 公共用地審議会の委員は、内閣で承認して建設大臣が任命するわけでございます。閣議で決定してもらいまして建設大臣が任命する、こういう第二項の規定になっております。  前段に、中島先生のこの特別措置法の審議をするに際してという意見がございましたが、その中に、この公共事業のうちの大部分は建設省が事業官庁としてやっている事業が多いのであって、そのまた同じ建設省が事業認定をしたり、この事業を特定公共事業として認定するというふうなことはどうもおかしいじゃないかという議論とつながっている一つの考え方のように理解するわけでございますが、御承知の通り、建設省は、道路、河川あるいは住宅その他の公共専業も実施いたしております。と同時に、国土の総合的な開発計画なり、あるいはまた土地の利用計画について、国土計画なり地方計画なり都市計画という面を担当いたしているわけであります。これがおかしいと言われればこれはまた別問題でございますが、現行土地収用法というものが、その立場において土地収用法の事業認定をいたします場合におきましては、それぞれの事業の適格条件というものが法律に規定されておりまして、特に当該土地の利用というものが適正であるかどうかということをやはり事業認定の一つの重要な要素といたしております。そういうことにつながる土地収用法の権限というものが建設大臣にあるわけでございまして、それは補佐機関も違っておりますし、それぞれの専門家が責任を持った所掌事務で実施いたしているわけでありますから、われわれは、土地収用法の体系全体から、建設省の所管事務全体から議論を進められるならともかくといたしまして、そのものだけについていうのは——現行の収用法に乗っかってこの制度を立案するのが適切だ、こう考えた次第でございますので、この機会にちょっと申し上げる次第でございます。  そのようなわけでございますので、この特別措置法の公共用地審議会は、土地収用法の実施と不可分の関係になっております。従って、建設大臣がこれの事業認定をいたす、その際に、審議会に、お尋ねのように、確かに国全体の事業を公平な立場で、当該事業がその認定に値するかどうかということを諮問するわけでございますから、内閣の議を経まして大臣が任命する、こういう立て方にいたしたのでございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 いろいろ陳弁これ努められたようでありますが、審議会は、事業施行者とそれから土地収用される者との間に立って、公平な判断をしたり、それからこの事業がはたしてこの特例に値するところの事業であるかどうかということを認定したりすることが大きな仕事のわけであります。その場合において、その事業を計画したり、事業を施行したり、土地を収用したりするところの建設大臣が、この審議会の委員を任命する。こういうことは、どうしても理屈に合わぬのですよ。今、局長は、内閣の承認を得てということを何回も繰り返しましたけれども、これは、形の上はそうなっておる。形の上はそうなっておるけれども、本質的にはそういうものじゃない。従って、施行者が審議会の委員を任命するというようなことは、これはもう実際ごまかしの審議会である、こういうように言われても、これは口があかぬわけであります。きょうあらためて法律改正をしろと言ってもできぬのですけれども、これは十分にわれわれもまた研究して、しかるべきときに申し上げたいと思うのです。  従って、ただいま三、四の点について局長の意見を聴取したのでありますけれども、結論的に申し上げて、この公共用地の取得を迅速に行なって事業をやらなければならぬ、これに対しては私は大賛成である。その基本的な態度に対しては大賛成である。しかし、土地収用法を十分今まで活用することなくして、そしてさらに一段と強いこういう特例を設けて、その上にあぐらをかいてやっていこうという意図、それから、一連の官僚がこれの裏を掌握していこうという、そういうにおいがこの法案全体を通じてあるわけなんです。従って、先ほど申しましたように、百二十三条を今まで適用してきて、これがほとんど起業者の取得になっているのだから、もう少し努力してこれをやればいいと思うのです。この法案が出ると、さらに民間業者が便乗していろいろなものがこれへ入っておるのであります。これらの問題についてはほかに専門家もいますから、それぞれから質問があると思います。  そこで、いわゆる公権力の行使にも値するようなこういうような行動に対して、いわゆる民間人のとるべき手段といたしては、つまり異議の申し立て、訴願あるいは行政訴訟などの一連の抗告措置があるわけであります。そこで、現行法を見ますと、異議の申し立てをし、訴願をし、それから行政訴訟を起こす、いわゆる訴願前置主義をとっておるわけであります。そこでこれは、大臣がお見えになったので、大臣にお尋ねした方がいいと思うが、法というものは万人に公平でひとしくなくてはならぬということが私は大原則だと思うのです。この点について大臣のお考えはどうですか。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 それはその通りでございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 しからば、この土地収用なんかに関しまして、いわゆる公平であってひとしかるべきものであります。けれども、建設省の管内の法令で幾多違ったものが非常に出ておるのですよ。たとえば河川法を見ていただきたいと思う。河川法の第六章に「訴願及訴訟」というところがあるでしょう。この第五十九条は、「此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ発スル命令ニ依リ主務大臣若ハ地方行政庁ノナシタル処分ニ対シテ不服アル私人若ハ公共団体ハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得」、こういうことになっておりますね。さらにその三項に行って、「此ノ法律ニ依リ行政訴訟ノ提起ヲ許シタル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス」、さらに第二項においては、「此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ発スル命令若ハ地方行政庁ノ委任ニ依リ下級行政庁ノナシタル処分ニ対シテ不服アル私人若ハ公共団体ハ地方長官ニ訴願シ地方長官ノ裁決ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得」、こういうようになっておりまして、直接行政訴訟を起こさねばならぬことにこの法文ではなっておるのであります。これは、局長は前に河川局の次長をしておって、この方の専門家だから御承知だろうと思う。その解釈を一つしていただきたい。これは大臣はわからぬから、でいいです。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 この解釈は、私は今直接の責任じゃございませんので、はっきりここでお答えするのはどうかと思っておりますが、あの当時の国会での議論は、いわゆる行政訴訟と訴願を提起する場合に、訴願法では、現行の建前におきまして、行政訴訟の特例につきましては訴願前置主義の立場をとっております。しかし、他の法令の規定によって特別の場合を除きましてはそういう規定になっておりますが、具体的の事案につきまして、訴願人が違法に権利を棄損せられた、こういう場合の問題に対しては、これは訴願人の願意によって判断をすべきものである、こういうお答えを申し上げたことを記憶いたしております。この河川法の解釈につきましては、これは河川局からまた一つお答え願う方が、今の段階では適切ではないかと思っております。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 それはいけませんよ。つまりこの河川法においては、主務大臣に直ちに行政訴訟を起こさねばならぬことに結論的になっておる。だから、そういうような釈明でなくしまして、この法律通りに解釈してそういうのでよろしいと思いますか、どう思いますか。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 これは答弁は預からしていただきたいと申し上げましたが、あえてお尋ねでございますので、今、河川局におった者同士で相談をしたのでございますが、違法な場合におきましては行政訴訟を提起しなさい、それからまた、そうでない、不当な場合につきましては訴願を提起しなさい、こういう行政指導をいたしておる、こういうふうに解釈いたします。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 それは解釈、違うじゃないですか。第五十九条の三項には、「此ノ法律ニ依リ行政訴訟ノ提起ヲ許シタル場合ニ於テハ主務大臣ニ訴願スルコトヲ得ス」とはっきりしてあります。訴願することができないことになっておる、行政訴訟の提起を許した場合に。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ですから、この五十九条の第三項の「行政訴訟ノ提起ヲ許シタル場合」、これは違法な行政処分に対する救済を求める、こういう場合に行政訴訟を提起することができる、こういうことになっておりますので、そのような場合には訴願は提起することができない。こういうふうな解釈で指導をいたしておるということを申し上げた次第で、ございます。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 そこで、この公共用地の取得に関する特別措置法の中に、いわゆるダムだとか河川だとかいう問題があるでしょう。そこにおいて、このいわゆる違法なる処分に対して、これは訴願前置主義でやっておる。この場合において、同一の所有権者が、この河川法の適用によるところの違法なる行政処分という場合もあるでありましょう。それから、ダムの建設や発電所の建設などによって、この特別措置法による場合もあるでしょう。この場合においては、片方は今の異議申し立てをし、訴願をする、片方は直接行政訴訟を起こさなければならぬ。建設省内部に二つの意味の法律があるからそういう結果になるわけなんですが、これに対する御見解はどうですか。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ちょっと私、理解ができないのでございます。土地収用法の訴願、訴訟の救済の規定は、土地収用法上の関係権利者に対する行政処分の結果、あるいはまた裁決の結果に伴う、つまり抗告の訴訟の規定を規定いたしておるわけでございまして、河川法そのものによって河川管理の大臣並びに行政機関の長が行なった問題は、これは河川法によって実施される。こういうことになるわけでございますから、直接土地収用法の権利の救済の関係の規定と河川法の規定とは、お尋ねのような点で心配の点はないのではないかと思っております。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 たとえばダムを設置する場合において、同じ所有権者が広範な土地を持っておる。その場合において、この公共用地の取得に関する特別措置法の適用せられる場合もあるでしょう。それ以外においてこの河川法の適用を受ける場合も起きてくると思う。その場合においては、片方は直接すぐ行政訴訟を起こさなければならぬ、片方はこの公共用地の取得に関する特別措置法によるところの異議の申し立て、訴願を起こしてやる。こういうことになるのではないですか。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 まだ少しわかりにくいのでございますが、何か具体の例で一つお話し願いますと、その入り組みの関係がわれわれにもわからしていただけるのではないかと考えます。土地収用法の場合におきましては、あくまでもその事業をいわゆる事業認定をいたしまして、そうして起業者が取得することに対する手続を進めていく規定でございまして、最終的には収用委員会の裁決で所有権の帰属がきまる、こういうわけでございますが、河川法上のいわゆる行政処分に関しましては、これは工作物の設置その他関係の行政処分の規定がございますけれども、河川管理者としての、つまり立場の規定でございまして、その土地を取得することに関連する問題の関係の抗告の訴訟とは事項が必ず一緒になるかどうか、ちょっと具体の実例をお聞きしませんと、われわれわかりにくいのでございます。もし、そういうふうにお教え願えましたら、そのようにお願いしたいと思います。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 これは今、そういうように局長は分けて言われるけれども、いずれもその財産権の侵害に関する問題です、基本的には。そこで、たとえば一つの例を申し上げますと、私の方に中部電力の黒二という発電所があるのです。この黒川発電所で、線の問題あるいは発電所の問題なんかがあるのです。これがつまり、水利使用の許可に対するところの地方長官の行政処分に対して異議の申し立てをしたわけです。異議の申し立てをして、訴願をしたわけです。そして、その後において、訴願ではいけないのだ、これは直ちにただいま申し上げました条項によって行政訴訟を提起しなければいけない。それで、行政訴訟を提起したわけであります。そうすると、この規定にも有効期限があるわけです。六カ月たっているから、行政訴訟は受け付けない。こういうことで、つまり法務省の訟務局から出てきた検事さんたちと非常な論争をしたことがあるのです。ところが、今回の特別措置法、土地収用法の特例と申しますか、これによってやった場合においては、今度は訴願を提起したる後に行政訴訟を起こしていかなければならぬ、こういうことになる。従って、こういう大法案をこしらえる建設省は、自分の内部の体制くらいは、はっきりと確立して出たらどうですか。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 少しわかって参りました。ただいまのお話は、ダムの設置に伴いまして、この河川の流水の占用をしなければならないというので、水利権の許可を電力会社がもらった、こういうふうなことについて、その流水の占用を許可することが適法かどうか、不当かどうかということの争いに関する抗告の訴訟の提起の意味のように解釈したので、ございますが、それでよろしゅうございましょうか。そういう場合において、かりにその当該土地がダムで水没するということで土地収用法が適用される場合にはどうか、というふうな意味に理解したことでございましょうか。ちょっと、その辺がわかりにくいのですが……。

中島巖日本社会党

○中島(巖)委員 わかりやすく一つ質問します。質問者もまだ非常に大ぜいあるようでございますので、またいずれ勉強して、機会をあらためて質問いたすことにいたします。  今までの質疑応答の結果から申し上げまして、この百二十三条の適用によって、あるいはこの一部改正によって、これらは過去の二十六件に及ぶ件数から見ても私はできる、こういうように考えるわけであります。  それから、最も重要な点は、何といっても補償の問題であるけれども、補償の問題は、先ほど申し上げましたように、財産権、それから生活保障の問題。これは憲法による財産権だけにこだわって、一連の法律が財産権財産権で縛られないように、それ以外に生活保障の問題を大きく取り上げなければいけない、こういうことを感じたわけであります。  第三点といたしましては、先ほどから申しましたけれども、この審議会が、これは内閣に直属せしめて、そして、内閣総理大臣の任命で国会の議決を経るような中央機関をこしらえて、それから、各都道府県ごとにこういうふうな審議会を設置すべきものである。施行者であり、起業者であるところの建設大臣が審議会の委員を任命するということは、審議会であるとか、委員会であるとかというものの性格から考えてみてこれは適当ではない。こういうようなことを強く感じたわけであります。  それから、最後におきまして、行政訴訟に入る。いわゆる公権力の発動に対するところの対抗手段としての訴願であるとか、あるいは異議の訴えであるとか、行政訴訟であるとか、こういうことに同じ省の建設省内において、河川法や、あるいは土地収用法、あるいは都市計画法などがまちまちになっておる。これを早く一本に改めるべきである、こういうように考えるわけであります。  しかし、基本的には、この公共事業を大幅に迅速に推進するために何らかの処置をうたわねばならないけれども、今までの土地収用法の活用を怠っていて、そして今度の特例法を出して、その上に官僚があぐらをかいて仕事をするというにおいの非常に強いことを、はなはだ私は遺憾に思う。  こういうことを申し上げて、私の質問を終わります。

加藤高藏自由民主党

○加藤委員長 山中日露史君。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 ただいま中島委員から、いろいろこの法案についての御質問がございましたので、できるだけ重複を避けまして、簡潔に御質問申し上げたいと思います。  この法案の内容に入ります前に、大臣にお尋ねしておきたいことは、単にこの法律に限らず、先般本委員会を通過いたしました市街地の改造の法律にいたしましても、どうも政府の出して参ります法律というものが、そのときの産業の発達状況とにらみ合わせて常に後手々々になってきておる傾向が非常に強いのであります。今度の法律も、従来の土地収用法ではまかない切れないいろいろな点がございまして、それであわててこういう法律の改正をして、そしてその目的を達しよう、こういう形が出てきておるわけです。  そこでお尋ねしたいのは、こういう法律を出す前に、この狭い日本の国土でありますから、一体この狭い日本の国土で公共用地に適する土地、またその面積は一体どのくらい確保しなければならないか、あるいは公共用地はどうするか、住宅用地はどうするかというような、国土の総合的な利用計画というものがやはり樹立されなければならないのではないか。この点については、むろん国土総合開発法に基づいてそれぞれ研究されておるとは思うのですけれども、私ども寡聞にしてまだその点知っておりませんけれども、そういった点について、大臣はどういうふうなお考えを持っておるかをまずお聞きしたい。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 国土総合開発についての基本的な問題についての御意見でございます。工業用地がどのくらい要るか、あるいは公共用地がどのくらい要るか、あるいは公共用地の中でも道路その他各般にわたる公共用地についてどのくらいの国土の利用を考えなければならないか、こういうような問題はできるだけ早く目標を明らかにすべきことであると私自身も考えます。この点につきましては、御承知の通り、国土総合開発法ができまして相当年限を経ておりますが、なかなか国土総合開発ということは総体的の問題として困難でございますので、まだ十分に進行をしていない段階でございますことは、御承知の通りでございます。  最近、池田内閣になりまして、経済企画庁が中心になって、国土総合開発についての調査、立案を活発に行なうことになりまして、目下経済企画庁が中心になってその作業を進めておる段階でございます。これがしぼれて参りませんと、公共用地の面積、あるいは工業開発に要する所要面積、あるいは地点、こういうようなものが出てこないわけでございます。従いまして、今の段階では、まだその所要範囲というものを申し上げることができないような段階にあるわけでございます。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 この点はきわめて重要な問題だと考えますので、建設省としても、すみやかに建設省自体の案をお立てになって、できるだけ早い機会にこういった計画をお立てになることを希望いたします。  それからもう一つは、今度の法案のねらいは、いわゆるごね得を抑制するというねらいがあるわけであります。むろん、大ぜいの者が賛成しているのに、一部の者が自分の利益のためにごねる、そうして、長引かせればそれだけ補償金がふえる、こういう不心得者は私どもも許すことはできないと思うのでありますが、なぜそういうごねる者が出てくるかというその根本を考えてみますと、結局やはりこの公共用地を取得する場合に、その土地の地価に対するはっきりした計画が政府にないから、結局その辺にダムができる、あるいは施設ができるということになりますと、どんどん地価がつり上がっていく。そういうところにごねる者が出てくる根本があるわけです。従って、こういう法律を出す場合には、やはり今の総合利用計画と同じように、この地価の高騰を抑制する何らかの方策が並行的に考えられなければ、この法律は円滑に運用できないのではないか、こういうことが考えられますので、その地価抑制に対する方策がどの程度今立てられておるか、これを一つ承りたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 地価抑制対策ということは非常に重要な問題でございますが、これは個人の財産権との関係もございますし、実はわれわれ何か名案があったならば、一つ立案をいたしたいと思って苦慮いたしておりますが、なかなか出てこないような段階でございます。大蔵省等におきましては、非常に地価の値上がりしたことによって生ずる利得に対する何か特別の課税措置のようなことを研究する必要があるという意見等もございまして、研究をされておるようでございます。現在では不軌産譲渡所得税の制度がございますが、これとても地価抑制の措置にはなっておりませんので、地価抑制対策としましては、一つ今後ともあらゆる知能を動員いたしまして検討を加えて参りたいと思っております。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 この点もきわめて重要な問題だと考えますので、すみやかにその計画の実行をお願いしておきたいと思います。  それから、法案の内容に入りますが、今度の法案で、今までの土地収用法にない特色は、いわゆる緊急裁決という制度を作って、そして仮補償金というようなものを払って、それで土地を収用してしまうというのが今度の法案の特色だと思うのです。この点について、これは一体憲法違反になりはせぬかというような議論もあったやに承っておるのです。今までの土地収用法でありますと、結局その補償金というものを前に被補償者に支払って、それから収用あるいは使用に取りかかる。いわゆる補償金というものは前に払わなければならぬということが原則になっておるし、また憲法の精神からいっても、そういう点がうかがわれるわけであります。今度の場合は、大体その見積もりをきめて、そしてかりに払って、最後の補償決定ができる前にどんどん収用してしまうということになるので、その前払いの従来の土地収用法の精神なり憲法の精神に反するのではないか、こういうような議論もあるわけであります。同時にまた、内閣委員会でしたかで、そういうことのないようにという附帯決議もあったやに聞いておるのです。そういう点について、建設省では、公共用地取得制度調査会等においてどういうような意見が発表されたか御存じだと思うのですが、それらの点の経過なり、また建設省のその点に対する見解、こういったものを一つ承っておきたいと思います。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ただいまのお尋ねの点は非常に重要な問題でございまして、この公共用地の取得に関する特別措置法案が緊急裁決の制度を設けまして、仮補償金の支払いをもって収用または使用の効果が発生をする、こういうことにいたしておるわけでございまして、この規定が憲法第二十九条の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」、この規定との関係において問題がないか、こういうことについては公共用地取得制度調査会におきましても、われわれもむしろ関係の学者の方方なり専門の委員の方々に十分お教えを請うたような次第でございます。その結論といたしまして、それは正当であるという結論で、今回の特別措置法案が制定せられることになったのでございますが、この憲法の規定は、私有財産を公共の用に供するためには正当な補償をしなければならないということは申すまでもないことでございます。その補償が財産の供与に先だって、またはこれと交換に同時に履行さるべきであるということまでは憲法は規定していないのであります。また、この点につきましては、特別措置の法律案のいわゆる緊急裁決に伴う仮補償金の支払いがありましても、収用委員会はすみみやかに補償裁決をいたしまして、そして、その清算金として交付すべきものがあった場合におきましては清算金を交付する、あるいはそれについてまた必ず利息をつけて支給しなければならない、こういう制度にいたしておりますので、この点につきましては憲法の解釈といたしましても、また判例におきましても、最高裁の判例等がありまして、財産の供与に先だって、またはこれと交換に同時に履行すべきことを憲法は定めておるものではない、という解釈で一致いたしておるわけでございます。そのような考え方になっておりますので、この法律におきましても、先ほど申しましたように、すみやかに補償裁決をすると同時に、清算金に対しましては、清算金があった場合においてはそれを支払わなければならぬと同時に、さらにこの利息を付する。あるいはまた、それに対して支払わなかった場合におきましては、懲罰的な過怠金を課する。こういうことで、それらの点の疑義のないことの上に十全を期しておる、こういう次第でございます。  なお、続いてお尋ねのございました衆議院の内閣委員会におきまして、第三十四回国会におきまして、建設省設置法の一部改正に伴いまして、公共用地取得制度調査会の付属機関の設置に伴いまする法律案が決定されますときに附帯決議があったわけでございます。この附帯決議は、補償額の決定前に使用権を認めるというような公権力の強化によって私有財産を侵害することのないように特に考慮しなさいという、重要な附帯決議があったのでございます。従って、このような制度が答申になる前におきまして、大かたの関係の意見の全体の一致した御意見になって参りましたので、われわれもこの国会の内閣委員会の附帯決議のあった経過、その趣旨等も十分申し上げたのでございます。しかし、結論におきまして、最終的には先ほど申しましたようなことになったのでございます。これを可とするということになったのでございますが、やはりこの法案におきましては、緊急裁決の規定を設けましたけれども、これによって私有財産権を侵害することのないように、仮補償金につきましては、前払いの規定を設けますと同時に、緊急にこの土地等を取得いたします場合も、この緊急裁決の必要性の場合には生じますので、仮住居の提供等の義務を課しますほかに、先ほど申しましたように、清算金が補償裁決について生じました場合におきましては、それに利息を付する。さらに、起業者の義務の履行を確保するために過怠金を課する、あるいはまた、それらに関する強制執行の規定を設けまして、私有財産権の保護に十全を期しまして、国会の内閣委員会における附帯決議の趣旨に反しないようにこの案が作られたわけでございます。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 憲法上の問題につきましては、私も憲法学者ではございませんから、判例あるいは憲法学者の意見が一致すればその点は了解せざるを得ないわけであります。この問題はその程度にいたします。  次に、今度の法律案で従来なかった点は、その事業を始める前に利害関係人にPRをしなければならぬ、こういうようなことが規定されたわけであります。従来この土地収用に関係いたしましていろいろ紛争が起きますのは、事前に十分にその事業の目的、内容等について利害関係人の納得を得なかったというところに紛争の原因があったわけで、この点を未然に防ごうという努力がこの法律案の中に現われておる点は、われわれも非常に了とするのであります。ただ、具体的にどういうふうにして一体関係人の意見を聞き、あるいはその説明をするのか。ただ単に法律にこのように規定があるんだということで、利害関係人を集めてただ説明をする、意見はないかということを形式的に聞いたようなことでは、納得を得るようなことはできないわけで、このPRを利害関係人の納得を得るように努力をするという、その具体的な手段方法というものは、一体どういうような方法でこれをやろうというふうに考えておられるのか。この手段方法が決定しませんと、結局また同じような問題が繰り返されるおそれがあるのでありまして、こういう点はきわめて重要な点だと考えますので、この法律を作られたときに、このPRの手段方法について具体的にどういうようなことを頭に入れて作られたのであるか、これを一つお聞きしたいと思います。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 特定公共事業の認定の申請をする前に、起業者に対しましては、その事業の実施をいたす場所におきまして関係のある地域の知事なり、あるいは町村の長なり、あるいは付近の住民、その土地の関係の権利者はもとより住民に説明をすることにいたしまして、それがこれらの事業の関係の方々から協力を得られることを期待する趣旨の規定でございます。この規定の意味と内容でございますが、これはあくまでも事前に事業内容の説明を十分に関係の権利者なり住民にいたしますことによって、地元住民からの意見を聴取いたしまして、妥当な意見につきましてはこれを採択して、計画を適当なものに直すなら直すということができるものがあればそのように考えていくことを期待をしておるものでございます。従って、この措置の方法といたしましては、関係の住民に対しましては必ず権利者に対しまして通知をいたしますと同時に、関係の地元住民と申しましても、事業の種類によりましていろいろた影響の範囲が違って参ります。たとえば道路のような場合で申しますと、直接道路用地となるその付近地の一定の幅の地帯におる人たちに対しましては、連絡をいたしまして、一定の日時に会場等に集まってもらいまして、説明をするわけでございますから、それらの公示方法につきましては、地元新聞にその周知の方法を記載をいたしまして徹底をする、こういうやり方をとらすように省令で規定をいたしたいと考えておるわけであります。従って、この特定公共事業として影響を受ける範囲は、道路のような線形のものでありましたり、あるいは、ダムのような場合でございますれば、ダムの設置せられる個所から下流における漁業補償等の関係がありますので、非常に広範な地域にわたる場合もあろうと思いますが、いずれにいたしましても、そのような関係の権利者には十分周知をいたして協力してもらう。そして、この事業を進めるについて適当な援助が得られるような措置を講ずることを期待しておるわけでございます。なお、それらの説明会等につきましては、地方公共団体の吏員にも立ち会ってもらうことを頼むように省令できめたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

加藤高藏自由民主党

○加藤委員長 山中委員に申し上げますが、大臣は参議院の本会議で採決がありますので、二十分までに退席するということですから、ありましたら……。

石川次夫日本社会党

○石川委員 大臣が退席されるそうですから、この際、この法案に面接の関係はございませんけれども、非常に密接な関係がある朝霞村の返還の問題について、大臣の所見を一つ伺っておきたい。と申しますのは、この公共用地の取得に関する特別措置法案というのは、もちろん公共用地を円滑に取得したいという目的をもって作られた法案であることは言うまでもございませんけれども、その大きな原因といたしましては、やはりオリンピックまでに何とか道路を整備しなければならぬというのが大きな要素として働いておることは否定できないと思います。われわれといたしましては、オリンピックに備えての首都高速道路公団というものができて、いろいろ進捗をされておることはよく承知しておりますけれども、御承知のように、新聞で見ますと、朝霞村のキャンプの返還というものは、一時使用は認める、しかし、その途中でも緊急の必要があれば返還をしてもらうのだという非常にきびしい回答が出まして、われわれとしては非常にショックを受けた。これは国民全体としてもそうだったと思います。このオリンピックの行事それ自体は東京都の主催でありまして、政府が直接やる行事でない。従って、責任の所在は東京都知事にある。東知事はその実現のために非常に努力をされた責任者でもあったので、特にその感を深くするわけでございますが、しかし、そうかといって、これはもちろん国際的な行事でもあり、日本の国をあげて国民が関心を持っておる大きな行事でもございますから、このオリンピックができるできないに関してのいろいろな見方、批判はあったにいたしましても、きまった以上は、国をあげて円滑にこれができることを心から望んでおらない国民は少ないと思います。でありますけれども、今度の新聞によりますと、突如として、まことに突如としてという感じを受けるのですが、朝霞村は返還しないというアメリカの方からの回答があったということを聞いたのでございます。これは国民全体ももちろんそうであったし、政府としてもおそらく意外であったのではないかと思います。この朝霞村が返還になることを前提としてオリンピックの行事というものは進められた。もしこれが返還にならない、あるいは今度のように、一時使用で、緊急に必要なときにはまたその最中でも使うのだというようなことでは、朝霞村を使うことは不可能になるといっても過言ではないように思います。そうだとすれば、オリンピックに関連する道路は朝霞村を中心として作るというふうな形になっておる。特に環状七号線とか放射四号線というものは、こういうことを前提として進められておったわけです。きょうの新聞によりますと、東京都の建設局では、このオリンピック道路に備えて特定街路建設事務所というものを四カ所ばかり設けておったけれども、このようなアメリカ軍の回答にもかかわらず、三十八年度までには完成させるんだという異例の通達を出すということが報ぜられております。しかし、東京都というよりは、むしろIOCのオリンピック組織委員会の問題だろうと思いますが、組織委員会で、このようなはっきりした確約を取りつけないで話を進めておったというころに大きな問題があったらしいのでございますが、当面そういうことを言っても仕方のないことです。そうかといっても、確約を取りつけたという前提で東京都は高速度道路の建設を進めている。もちろん政府としても、その前提においてそれに協力をしているということになりますから、もし、これができないということになりますと、ただ単に東京都だけの問題でなく、政府としても相当結果的な責任というものを持たなければならぬのではないかという点を、われわれとしては非常に懸念をしているわけであります。おとといあたりの朝日の夕刊ですが、「素粒子」という小さな囲み欄がございまして、「我が土は我が土ならず、か。」ということが出ております。極端な言い方をすれば、わが国土はわが国土ならずかという感すら、こういうような回答が出て、オリンピックという国をあげての国際的な行事が変更を余儀なくされるということになりますと、日本としてはまことにみじめな感じを抱かざるを得ないわけであります。基地の問題とか駐留軍の問題をとやかく言おうとは思っておりませんけれども、少なくとも国際的なこのような行事が、アメリカ軍の一方的な都合でもって返還できないというようなことで、黙って手をこまねいて引っ込んでしまうというわけには私はどうしてもいかない。日本国民としての誇りの問題にもつながってくると思うのであります。  そこで、東京都としては、政府としても積極的にその実現に協力をし、推進をすることになっておるというふうなことが東知事の談話として出ておりますけれども、これは一体どういう経過をたどっているか。また、今まで確約を取りつけたということでこの計画は出発されておったのかどうか、という点を一つ伺いたいと思います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 お尋ねの点につきまして、私の承知しておりまする範囲のことを申し上げて、お答えといたしたいと思います。  大体、オリンピックの選手村をどこにするかという最初の当時、結局朝霞のキャンプ・ドレークか、あるいは明治神宮に接したワシントン。ハイツか、この二カ所以外にはあるまいということでございましたが、ワシントン・ハイツの方は駐留軍の住宅が一ぱいにありますので、これを日本の手で移転をしてでなければ受けることは不可能である。そういたしますと、移転費が概算をしましても、八十億円くらいかかりそうである。そういう経費の捻出は非常に困難であります。そうだとすれば、朝霞のキャンプ・ドレーク以外にはないだろうということになりまして、これは現在の組織委員会の構成されまする前に、内閣総理大臣を会長とするオリンピック招致準備委員会というのができまして、私もその当時委員をしておったのでありますが、国際オリンピック委員会、IOCに対して日本の具体的な回答書を提出することになりました。このころ準備委員会の事務局が中心になりまして、相当の打診をいたしました。大体間違いなく返還を受けられる模様であるということで、朝霞のキャンプ・ドレークの地域を選手村にする、こういうことでIOCに対して回答書を送ったのでございます。その結果、招致の運動といいますか、要請をいたした結果、次期オリンピック大会は東京で開催するということにIOCで決定をされましたので、自来選手村は朝霞のキャンプ・ドレークにするということで進行をしてきておったようであります。  今回、はからずも、合同委員会の施設小委員会というごく部分的な席上であったようでございますが、今御指摘のように、また新聞紙上報道されたような、回答があったようでございます。  そこで問題は、朝霞を選手村にするということで諸般の輸送計画を立て、道路計画を進めておる。これが一体どうなるかということについて、大へんなショックを受けており、世間も心配をしておるのでございます。ただ、今度の回答の中にもございますように、桃手地区というのは返してよろしい、こういうことでありまして、この桃手地区の坪数は約十万坪でございます。ローマの選手村の地域は、選手村及び選手の共同施設といったような施設がやはり十万坪以内でございまして、今回米軍側が返却してよろしいというのは、ちょうどその内外の面積に当たるわけでございます。ただ、組織委員会としましては、オリンピック大会を盛大に、また最も有効に開催をするのには、選手村のほかに相当規模の選手の予備運動場を必要とするというようなことで、朝霞が大規模に返却を受けられるものという予定の上に立って、いろいろな予備運動場等の企画をしておったわけでございます。今度の回答といいますか、この間新聞紙上に発表されたことが、もし動かないものといたしますと、選手村の建設には支障ございませんが、予備運動場を作るということに支障があるということになろうかと思うのであります。そこで、これらの点につきましては、まだこの間の新聞に出ましたA地区、B地区という、B地区の方は射的場の跡でございまして、松林になっておる地域でございますから、かりに永久返還は受けられなくても、考えようによっては、ここで相当な予備運動場施設だけはできるのではないか。一時使用は認めてもよいということでございますから、予備運動場の設営はできるのではないか。実は私自身としては、個人的にはそう考えております。しかし、できるならば、可能な限り大規模なものにして、選手の訓練、予備運動等に遺憾のないようにしたいという希望から言いますと、さらにこれは折衝を続けまして、もっと広範囲の返還を受ける方がいい、受けなければなるまいというような組織委員会の意向に今なっておるようでございます。  従いまして、けさの新聞を私も見まして、東京都は計画はその通り進めるのだということを各建設事務所に通達をするというような記事が出ておりました。多分これは、主催団体であります東京都といたしましては、こういうようなことで何か選手村がだめになっちゃったのではないか、あるいはオリンピックはだめじゃないかというような印象を新聞報道によって世間に与えておる。従って、事業の遂行上非常な支障が起こる危険性がありますので、その危険性を排除するためには、そういった通達を明らかに出しまして、やはり選手村の朝霞ということは曲げないのだということを明らかにしたいということではないかと私は思うのであります。いずれにいたしましても、ローマの選手村以上の地域の返還は確かに明示されておるのでございますから、おそらく東京都としては、八十億も百億もかかるワシントン・ハイツの移転措置を講じて、移転跡地を使うということよりは、やはり金がかからないで、選手村の建設ができる朝霞を維持していきたい、この気持には、東京都としても組織委員会としても変わりはないだろう、こう推察しております。  従って、今後の折衝を続けた結果、どうなるかはわかりませんが、今のオリンピック開催を目標としての選手輸送計画あるいは道路整備計画というものには何ら変化を来たさないでいくべきものである、こう私自身も心得ておるような次第でございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 大臣、参議院の方でお急ぎになっておるのですけれども、念のために申し上げておきます。大体十万坪の桃手地区は返還になるということは新聞でも承知しております。これはわずかに三十町歩ちょっとのところでありますけれども、住宅としてはこれで間に合うというお話がありましたけれども、しかし、何といっても、予備運動場というものが近接してなければ、完全な快適な選手村というに値しないというように考えざるを得ない。また、そういうことを前提として、さらにまた、そういうものを全部含めた区域を返還してもらうということを前提として、道路計画は進められたというふうに承知しております。また、広大な地域が住宅地になるんだということに非常な希望を持って、われわれとしても期待しておったということは否定できないと思います。  それで、政府の方としてば今どういうふうな方針で進んでおるかというお話がなかったが、これはアメリカとしても、日本人の国民感情からいっても、国際的な行事というものはアメリカは、なれているかもしれませんが、日本としてはおそらく有史以来初めての、国をあげての国際的な行事ということになると期待を持っておった方が多いと思う。それがアメリカ軍の一方的、といっては語弊があるかもしれませんけれども、アメリカ軍の都合で返せないということになったのでは、これから先の日米感情からいったって決していい影響を与えない。また、われわれの感じからいたしましても、軍事基地というものに対しては非常に否定的な考え方を持っておりますが、それはこの委員会では申し上げませんけれども、とにかくそういう国民感情から、これを返さないということになれば、アメリカに対する非常な反感を持たざるを得ない。そういうことも含めまして、いかにPRをやりましても、日本が国をあげてやる行事にアメリカが協力しなかったという結果が生じてくることは否定できない。これは東京都の責任であるかもしれません。しかしながら、政府としても無関心でおるわけにいかない。結果責任だけは当然しょわなければならぬということで、政府として、もっと高度の段階でもって折衝するということをお考えになっておるかどうか、ということを念のために伺います。

中村梅吉自由民主党建設大臣・首都圏整備委員会委員長

○中村国務大臣 ただいま御指摘のような線に沿って措置を講じ、また研究をいたしますために、官房長官を中心に、関係閣僚で懇談をして相談する機構を作ろう、そういうふうにして政府としても努力しようということに、本日の閣議で相談がまとまりましたので、急速に関係閣僚集まりまして、善処いたしたいというつもりでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これはぜひ一つ、政府間の交渉が実現するようにしないと、とんだことになると思うから、よろしく。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 先ほどPRの問題についてお尋ねいたしまして、その御答弁があったのですが、私は今度の法律で一番大事な点は今の点だろうと思います。PRを徹底して、関係者が納得すればこの法律を適用する必要はないというくらいに考えまして、この法律運用にあたっては、この点については、一つ利害関係人の納得の行くような適切な方途を講ずるように強く要望いたしておきたいと思います。  次は、今度の法律の特色はやはり生活再建計画、こういうものを樹立しなければならぬということを規定した点だろうと思うのです。これも私は趣旨としては大へんけっこうだと思う。従来のように、ただ補償金を払えばいい、かえ地を与えればいい、現物給付をすればいいということではなしに、被補償者の生活を再建するための計画を樹立しなければならないということを規定したことは大へんけっこうだと思います。ただ問題は、生活再建計画を立ててから初めてその収用の効果を発生するようになるのか。この計画の樹立と、それから収用の効果の発生との前後関係、それは一体どうなるのか。それから、生活再建計画というのは、収用の一切の手続が終わってしまってからあとにそういう計画を立ててやるのか、それが前提あるいは条件というようなことになるのか、その辺を一つお尋ねしたいと思います。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 生活再建対策の問題でございますが、この生活再建計画の四十七条は、四十六条の規定と同様に、必ずしも特定公共事業の用に供せられる土地等の権利が収用委員会の裁決を経て取得せられることにかかっておる規定じゃございませんで、およそ特定公共事業というものが実施せられる場合におきましては、四十六条にありますように、起業者は、契約によってこの土地を起業者と関係人とが話し合いをつける場合におきましても、現物給付の仕方で金銭以外の方法の補償の仕方を申し込まれまして、それが適当であるという場合におきましては、そのような方法について起業者が努めなければならない。こういう四十六条の規定から端を発しておるわけでございます。従って、四十七条は、土地収用委員会の裁決による権利の得喪にかかわらず、特定公共事業という認定を受けた事業に関してこの協議によって話し合いで実施いたします場合も四十七条に入っておる、こういうふうに御理解を願いたいと思います。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 その点はわかりました。  そこで、それに関連いたしまして、この再建計画を遂行する場合においては、国または公共団体はこれに対して協力をしなければならぬというような規定があるわけです。これは当然のことでありましょうが、一体この協力をしなければならないというのは、ただ単に国、公共団体がいわゆる倫理的な協力義務を負担しただけで、当然その事業に必要なる経費とかそういうものを一定の率で負担しなければならないという負担義務というものが、この規定では明確になっておらないわけです。この努力しなければならぬとか協力しなければならぬという規定で、はたしていいかどうかという点は非常に疑問に思うわけですが、国または公共団体の再建計画に対する協力というのは、一体どういうことをいっておるのか。その点についてお伺いしたい。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 この生活再建対策の一環として、国なりあるいは地方公共団体のその実施に対する努力義務を規定いたしておるわけでございます。もとより、ここに掲げてあるような宅地なり、住宅なり、あるいは職業紹介なり等の、四十七条の第一項各号に列挙する事項を生活再建対策として、補償の一部として、契約で実施するものは起業者でありますから、それが第四項に掲げてある義務でございます。国なり公共団体は、まず知事といたしましてはそれらのあっせんの義務も残っておるわけでございますが、そのほかに生活再建対策の一環といたしまして、たとえば各省々々の長が実施いたします事業では、国有林野でありますとか、あるいは開墾、干拓等の払い下げ、あるいは営農、営業住宅等の再建資金というふうな制度が現行制度にあるわけでございます。従って、これらの考え方は、ある程度集団的にこういう人たちが出た場合でも、あるいは個々の場合におきましても、それらの法令の範囲内において、知事がその中心になってもらいまして極力その計画を立てますから、その立てたものについて十分な措置をする、こういうのがこの規定の精神でございます。各省とも相談をいたしまして、現在最も必要な住宅等につきましては、住宅金融公庫におきましても個人の貸付の特別ワク等が設定せられておりますので、この特定公共事業の直接に必要な土地等を提供するということになったことによって住宅が必要であるという場合におきましては、その融資の道も考えていきたい。あるいはまた、公営住宅等につきましては、都市計画事業の執行によって土地等を取られた人に対しましては、公募によらないで公営住宅の入居をする。あるいは住宅公団につきましても、建設省といたしましては、必要と認める場合におきましては公募によらないであっせんをする。こういうやり方をとっていきたいと思っております。なお、関係各省につきましても、この法律の制定をする過程におきまして呼びかけまして、このような事業が具体化したときには、この生活再建対策として知事が作成されましたものについての援助、協力の申し入れをいたしておりますので、今後法律の運用によって具体的に実施をいたしていきたい、こういうふうに考えております。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 そういたしますと、結局、従来の法令でそうきまっている補助とかあるいは負担とか、それをただ生かしてやるというだけのことで、この再建対策について、費用の負担とか、そういったものを新たに考えるという仕方ではないわけですね。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ただいまのところは現行の制度によってこれを活用するわけでございますが、必要によりましては、事業の規模とかあるいはその実施の緊急性によりまして、たとえばその地域内の全体をあげてやっていかなければならないというふうな、大都市の交通問題を処理するための、東京のような実例でございますれば、東京都が全体の問題としてこれを取り上げるわけでございます。なお、それに必要な国の対策も今後の計画によって検討して参りたい。しかし、こういう制度を法律で作りませんと、何分にもそういう踏み切りができないわけでございますから、今回の再建計画ということによってそのような端緒を作り、さらにこれを拡充して参りたいというふうに考えております。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 なお、二点ばかり簡単に伺います。  今度の収用によりまして被害をこうむるといいますか、被補償者は、金さえもらえば、それで解決がつけば問題はないわけでありますけれども、かえ地を与えるということになりますと、そのかえ地というものが一体どういうふうに確保されなければならぬかという問題が起こるのであります。国有地あるいは公共団体の土地ですと、割に簡単に代地を確保できるのでありますけれども、そうでない場合においては、その代地というものを、こういう法律を適用する場合にどういうふうに確保するか。また、将来こういった法律をどんどん適用しなければならぬというような場合に、代地の問題が必ず出てくると思うのであります。その代替地の確保に関する政府の考え方、計画というものが、一体今あるのかないのか。その点も承っておきたいと思います。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 この市街地におけるかえ地等が非常に問題が多いのでございまして、この点につきましては、かえ地の土地収用法の例によりますと、起業者が持っておる土地につきましては、かえ地のいわゆる請求を被収用者ができるわけでございまして、一般的に被収用者のためのかえ地をまた収用する、こういう循環理論はむずかしいのでございます。従って、このかえ地の場合におきましては、被収用者が、この事業主体は、大部分が国か公共団体が実施いたします仕事でございますので、そういう場合におきましては、地方公共団体が持っておるところのかえ地、また容易に取得できるところのかえ地を提供する。特に市街地等におきましては、前々回の委員会でも御説明いたしましたように、市街地改造法の手法によらなくても、東京都はいわゆる市街地改造住宅というものを一団地の住宅経営等で実施いたしまして、そして、沿道付近の住民をそれらの建築物の中に収容する。こういうふうないわゆる建物の建築も考えた事業を並行して実施をいたすというやり方もとっております。これはやはり今後画期的に進めていくという場合におきましては、国有財産の普通財産というものをどのようにするかということとの関係もありましょうが、現在のところにおきましては、そのような方法でかえ地の提供を実施するということで進み、また、そういう計画性を持ったものをこういう大規模な事業につきましては、市街地方面において行なわれるというふうなのが実情だと思っております。

山中日露史日本社会党

○山中(日)委員 最後に一点だけ承っておきます。公共の用のために自分の土地なりその他の財産を提供するわけでありますが、そういった場合に、その提供したことによって取得するものに対する課税、所得税とか、あるいは法人税、こういった税制の面において、何らかこういった犠牲者——といっては多少語弊があるかもしれませんが——そういった人々に対して、あたたかい手当としてそういった税法の面で何か考慮することがありはしないかというふうに考えられますが、その点については、どういうふうにお考えになっておりますか。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 この点は、いわゆる資産を譲渡したという形になるわけでございますけれども、それはいわゆる土地収用によって強制的に譲渡するのでございますから、現在の取り扱いにおきましては、一般の租税に対する特別の例外規定といたしまして、普通にかかるものの二分の一の資産譲渡所得税がかかることになっております。現行制度におきましてはそのようになっております。  そこで実は、この特別措置法が答申になります場合におきまして、特別措置にかかるいわゆる特定公共事業の用に供する土地につきましては、非常に緊急にその土地等を取得するのであるから、従って、免除した方がどうか、こういう答申も行なわれ、また一般の土地収用につきましても、今は普通の二分の一になっておりますけれども、さらに軽減をする、こういうことはどうであろうかということについて政府に答申し、また大蔵大臣に対しては建議されたのでございます。しかしながら、大蔵省といたしましも、この点十分折衝をわれわれがいたしたのでございますけれども、現在の租税の体系から見れば、現行制度で取っているというのが適正ではなかろうか、こういう判断で、租税の特別な軽減措置につきましては、現行制度のままで今終わっているというのが実情でございます。      ————◇—————

加藤高藏自由民主党

○加藤委員長 この際、お諮りいたします。  昨十一日、農林水産委員会より、公共用地の取得に関する特別措置法案につきまして連合審査会開会の申し入れがありましたが、これを受諾して、農林水産委員会と連合審査会を開会するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤高藏自由民主党

○加藤委員長 御異議ないものと認め、そのように決しました。  なお、連合審査会開会日時は、農林水産委員長と協議の結果、来たる十六日火曜日午前十時といたしましたから、御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会

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