決算委員会 第32号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/05/18
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和三十三年度決算外三件及び昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、農林省所管について審査を進めます。 まず、農林政務次官より、両年度所管決算の概要について説明を求めます。八田農林政務次官。
○八田政府委員 昭和三十三年度及び昭和三十四年度の農林省所管決算の概要につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知いただきたいと存じます。 何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒舩委員長 委員各位のお手元に配付いたしております昭和三十三年度及び昭和三十四年度農林省所管決算概要説明は、便宜委員会議事録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御承知願います。
○荒舩委員長 続いて、会計検査院当局より、検査の概要について説明を求めます。宇ノ沢第四局長。
○宇ノ沢会計検査院説明員 農林省所管の昭和三十三年度及び三十四年度決算検査の結果について、その概要を申し上げます。 まず、工事の関係について申し上げますと、農林省が直轄で施行いたしております工事、それから都道府県に委託して施行しております代行工事につきましては、三十三、三十四両年度を通じまして、いずれも当局の工事施行に対する監督の強化、的確な検収が行なわれたのでありまして、工事自体についてのでき形等に関しまして、不良として指摘すべき事態はございませんでしたが、両年度指摘事項といたしまして、工事費の負担区分の適当でないと認められるもの、工事費の積算にあたって経費を二重に積算していたために工事費が高価となっていると認められるもの、工事の施行計画が適切を欠いたために不経済を来たしたもの、工事に関連しまして、事業費負担金の徴収が不足しているものなどがございました。 なお、工事の施行にあたりまして、経費の配分が総花的になっており、従いまして、工事の完成が遅延して、多数の工事の中には、すでに施行した施設がその効果を発揮できずに遊休化していたり、または国営の事業と県営あるいは団体営の事業との間に跛行を来たし、総体的に予算の効率的でないという点につきましては、すでに三十二年度検査報告に掲記いたしまして、その後も注意を重ねて参りましたが、農林省におかれましても、このような事態に対する改善の措置を積極的に講じておられますので、本院としましても、今後はなお一そうこの促進方について検査上留意をしていきたいと思っております。 次は、保険の関係でございますが、農業共済再保険特別会計について調査をいたしました結果は、従来と同様に、共済金の全部または一部を組合員に支払わないもの、補償対象外の組合員を含めて支払っているものなどの事例が見受けられ、保険事業の運営が依然として適切でないものと認められます。 次は、補助金について申し上げます。 公共事業関係の補助金につきましては、関係当局の指導、監督の強化、徹底、事業主体の自覚の高揚などによりまして、指摘事項は年々減少の一途をたどって参っております。三十三年度分について見ますと、指摘件数、金額とも、前年の三分の一程度に減少し、事態は著しく改善されておるものと認められます。ただ、三十四年度における指摘につきましては、件数が三十三年度に比べて減少をしておりますのにかかわらず、指摘の金額が約七〇%近く増加を示しておりまするが、これは指摘いたしましたものの工事のうちに、比較的金額の大きな工事に施行のきわめて不良なものがあったことによるものでございまして、これは三十四年災が局地的に大災害であった関係と、年度末に至って予算の割当を受けたため、工事の施行が急がれたためと、あるいはまた請負人の選定などにも当を得なかったことなどにもよりまするが、事業主体の工事に対する中間検査、あるいは竣工検査の不徹底な点も多く認められますので、こうした点は、今後の指導、監督にあたって一そう注意をする必要があるものと認められます。 次は、公共事業を除きました一般補助についてでございますが、三十三、三十四両年度とも、従来通り、農山漁村総合建設施設補助金に重点を置いて検査を施行いたしましたが、両年度を通じまして、三十二年当時に比べて事態は著しく改善されているものと認められます。 次に、食糧管理特別会計につきましては、食糧の売り渡し、買い入れ、運送及び特別会計の経理自体につきまして検査いたしましたが、特に指摘すべき事項はございませんでした。ただ、食糧の保管に関しましては、すでに昨年当委員会において再三にわたって御審議をいただきましたような、多量の米麦の亡失を来たした点がございます。 次に、国有林野事業特別会計につきましては、検査の重点を立木及び素材の売り渡し価格及び売り渡し方法の妥当性、及び林道工事の施行について検査をいたしましたが、これらの点で特に不当として指摘するほどの過誤はございませんでした。 三十三年度検査報告に掲記してあります林野庁関係の不正行為は、いずれも関係職員によって前渡資金を横領されたものでございますが、これらの点は、いずれも特定の一職員に長期にわたって会計事務の全般をまかせ切りにしており、事務相互間の牽制が十分に行なわれなかったことに主たる原因があるようでございますので、今後とも一そうこうした点に留意が必要かと存じます。 以上、簡単でございまするが、説明を終わります。 —————————————
○荒舩委員長 続いて質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。久保三郎君。
○久保委員 公取がまだ出席してないようでありますが、さしあたり、それじゃ農林省の方へお尋ねしたいのでありますが、三十四年以来、ビール麦の取引関係については、紛争に紛争を重ねて今日まで来ているわけであります。この間の事情は、私から詳細にお話を申し上げる必要はないほど、農林省当局には御存じだと思うのでありますが、今日に至るもその問題が解決しておらないようにわれわれは伺っておるわけでありますが、農林省としてはいかなる対策を講じようとするのか、まず第一点にお伺いします。 言うまでもございませんが、今国会に、御承知のように、大麦、裸麦の転換に関する法案等が出て参りました。農林省は、いわゆる大麦、裸麦からその他の成長作物等に転換させるというのでありまして、これがいわゆる選択的拡大というものでありましょうが、その中には、当然ビール麦の生産を奨励する、こういうことになっておるわけでありますが、この生産農民といわゆる四つに限定されるビール会社の間の取引関係は、いまだ確立しておらない。むしろ七十年の歴史というか、七十年以前から今日までやって参りましたところの、いわゆるビール会社の一一方的措置に基づくところの契約栽培というようなことでありまして、この契約栽培も、法的に何ら規制はなく、たった四つの寡占というか、この国のビールの生産を占めておるところの会社に牛耳られて、選択的拡大は今日非常な危殆に瀕している、こういうふうにわれわれは考えている。大麦、裸麦の転換を表面切って今国会に出して参りますれば、当然ビール会社は、この生産農民に対し、その足元を見てこれをさらに弱体化し、自分の思うままに支配するという傾向は、当然うかがえるのです。これはあとからも申し上げますが、ビール会社そのものから、そういう文書が各農協等を通じて農民に出ている。いわゆる半ば脅迫的である。御案内の通り、いわゆる大麦等の生産は、これから減退する、だからわが方の言う通り作れというなにが出ている。こういうことであっていいのかどうか、これについて、一つ農林省当局の御見解をさしあたりお伺いしておきたい。
○坂村政府委員 ビール麦の取引の問題でございますが、おっしゃる通り、ビール麦の現在までの従来の取引は、単協とビール会社との契約によりまして、その中に、県では麦耕運と申しておりますが、麦耕運という組織がございまして、それが大体中間にあって一つのあっせんをやっておるというような姿で、現在まで行なわれて参ったわけでございます。 〔委員長退席、勝澤委員長代理着席〕 しかし、そういうようなことで従来の慣行上としてきておるのでありますが、今後ビール麦の需要がどんどん将来伸びていくであろうと思われますので、農業協同組合といたしましても、それらの取引上、あるいは販売上、あるいは生産という面に相当入り込んでいかなければならないような情勢でもございますので、これらの問題につきまして、一昨年以来、いろいろビール会社の方と農業協同組合との間でこれらの改善についての話し合いが行なわれたわけでございます。そこで昨年の四月七日でありますが、ビールの酒造組合と全国農業協同組合中央会との間に、ビール麦の取り扱いについての協定が持たれまして、その協定に基づきまして、三十五年産のビール麦について、従来通り麦耕運を通じて取り扱うものと、経済連、中央では全販連系統という、農業協同組合を通じて共同販売をしますもの、そういうものについての取り扱いの方法について協定がでできたわけでございます。それによりますと、大体三十五年産のビール麦は、その協定を主体にいたしまして取引をいたしたわけでございますが、全体のビール麦の販売が、大体二百三十万俵程度あるのでございますが、そのうち四十数万俵のものが、全販連系統を通じてビール会社に売られた、こういうことになっておるのでございます。それを基礎にいたしまして、三十六年産の麦につきましても、同じような方法で、一つの協同組合を通じての共同販売というものを充実させていこう、こういうようなことでやっておるのでございます。農林省といたしましても、このいわゆる協同組合系統が、自分の傘下の農民の作りましたビール麦を協同組合を通じて共同販売するといいますことは、今後の問題としても十分考えなければならない方向でございますので、これらの今後の運用につきましても、十分一つそういう方向で指導して参りたいというふうに考えておるわけでございます。
○久保委員 四月七日の協定と言うが、これは三月三十日かの協定の間違いではないだろうかと思うのでありますが、私は不敏にしてその協定の内容を知りませんから、四月七日の協定はどう結ばれたか、御発表願います。
○坂村政府委員 私の申し上げましたのは、三十五年の四月七日に協定の発表をいたしました。協定の結ばれましたのは、お説の通り三月三十一日でございます。
○久保委員 農林省としては、具体的に御指導のことまで全然御発表がないのでありますが、今のお話では、その後、その協定が成立したあと今日に至るまでの間に、正常にその通りになっているかどうか。たとえば三十五年産ビール麦について、どういうふうになっているのか。
○坂村政府委員 農業協同組合系統とビールの酒造組合、ビール会社との間に協定が結ばれまして、それによって個々の具体的な取引条件等の相談がなされたのでございます。その後の情勢を見ますと、はなはだ遺憾なことではございますが、いまだに解決しない問題がだいぶ残っておるという状況でございます。その具体的な問題を申し上げますと、農業協同組合で共販をいたしましたのは、十四県でございますけれども、ここでビール会社と協同組合との協定では、従来ビール会社が、いわゆる農民といいますか、協同組合に出しておりました全体の指導費、それから集荷費というようなものが、一俵当たり総額で四十五円、そのうち、十七円は県の段階の指導費、それから残りの二十八円が農協に対する集荷の手数料、こういうような形で支払われる、こういうことになっておりましたのでございますが、いまだにこれがはっきり実行されていない、こういう点があるのでございまして、これは私どもも十分注目をしておるのでございますけれども、農業協同組合系統とビール会社の間でいろいろ折衝いたしております状況でございます。
○久保委員 すでに三十六年度産ができようとしているおりから、三十五年産のいわゆる指導費、集荷手数料、あるいは保管料、こういうものがそのままになっている。これは折衝を続けているというが、実は折衝が中断しているような格好になっているのではないでしょうか。こういうことで、はたしていいのだろうか。しかも、三十六年産については、協定もできているわけです。これは実際はその通り行なっておらない。それからあなたに農林省としての御見解を伺いたいのでありますが、農林省としては、大麦の転換をはかれ、こういう時代になりまして、いわゆる生産者が団結して、この生産なり販売をいたそうという傾向に対して、これは歓迎すべきことであるか、それともそういうことは時代に逆行するのか、あるいは言い方をかえれば、従来の麦耕運を通してやることが妥当なのか、こういう見解に対して、どちらをおとりになりますか。
○坂村政府委員 今後の農民の所得を向上するというような点から考えまして、流通段階というのが非常に大きな問題でございまして、その中で非常にウエートを占めますものは、生産いたしたいものをやはり農業協同組合等の共同販売によって流通の段階に移していくという方向が、農産物の今後の流通問題については、一つの大きな方向であろうと思うのでございます。そういう意味からいたしまして、農業協同組合を通じまして共同販売していくという方向は、将来の方向といたしましては、私は正しい方向であろうというふうに考えておるのでございますが、ただ、実際問題といたしましては、麦耕運あるいはそういう段階が、ビール麦の技術の改善とか、そういう問題に尽くして参りました今までのいろいろの経緯もございまして、そういう実績等もございますので、そういう点で、一度にそういう方向に参りますかどうか、そういう点はいろいろ問題があろうかと存ずるのでございます。従いまして、そういうような経緯もございまして、団体の販売につきましては、農林省といたしまして、こうやらなければならぬということをきめてかかって、これを一方的に指導するということは、必ずしも適当でないのではないかというふうに私は考えておるのでございますが、方向といたしましては、おっしゃる通り、そういう方向で、それらの方向が具体的に着実に固まって参りますような、そういう気持で指導して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
○久保委員 農業基本法も、参議院段階に送り込まれておるようでありますが、これから流通機構の問題、あるいは価格の問題、これが一番問題になると思うのであります。基本法の中にも、そういう面は盛っておられる。この基本法に盛っておられるところが、三年越しかかっても、問題が一つも——いわゆる具体的な御指導がなければ、生産農民はどこに行ったらいいのだろうかということに相なろうかと思うのであります。これは確固たる方針を一つお立てになるべき時期ではないか。いわゆる流通機構に対しての一つの制度というものを確立すべきではないか。もっと手っとり早くいえば、こういう契約栽培、契約飼育の傾向は、これから漸次多くなってくる。実際多くなりつつある、こういう問題がありますので、これを野放しにしておりましたのでは、残念ながら、経済合理主義には徹するかもしれないが、しかしながら、生産農民の利益擁護というか、所得格差をなくすることにはならぬかと思うのであります。これについて、法的規制なり、あるいはそういう制度を設ける御意思は、今日ありますか。
○坂村政府委員 今後の問題といたしまして、農産物の流通機構の問題、こういう問題をよく考えてみますと、勢い契約栽培ということでもって農産物の市場を確保する、こういう問題が、一つの方向として考えられると思うのでございます。この点は、基本法等においても、そういう今後の方向を十分考えております。そこで問題は、一面におきましては、農業協同組合等、そういう農業団体の機構を通じまして、そういう問題を確保いたしますと同時に、いわゆる契約栽培なり特約栽培というようなものに対しまして、農民が、ほんとうにその生産物の流通、あるいは加工、販売、そういうようなものにつきまして、自分の市場を確保いたしますように、契約栽培の条項であるとか、あるいは契約条項といいますものは、どういう内容で、どういうことをきめていくべきか、そういう問題は、今後十分検討いたしまして、そうして今後の契約栽培がいろいろの部面に伸びていきます場合に、これらの指導といいますか、指針として、農民に対して不利が起きないように、そういうことで指導して参りたいと思います。 また、今後農林省関係におきましても、あるいは金融のお世話をするとか、その他いろいろな施策をやっていきます場合におきましても、必ずしも協同組合が全部ここまでやるということを考えることには問題もございますけれども、その前に、自分の作った物を特約によって確保させるといいますような場合に、そういうきちんとした特約条項で行なわれております場合には、これらについては、農林省におきましても、農業協同組合と同じような意味で少し援助していく、こういうようなことまでも考えていったらどうかということで、具体的にいろいろ検討をしておる段階でございます。
○久保委員 農民に不安を与えないようにと言っておりますが、すでに転換方策を打ち出しながら、三年もかかってこの制度が——制度というか、いわゆる取引条件が確立されないということは、どうもわれわれ納得いかないのであります。でありますから、ここでお尋ねしたいのは、加工の段階までとあなたもおっしゃいますが、それなら、農協にいわゆるビール会社でも作らせるお気持はございますか。
○坂村政府委員 具体的に農協がビール会社を作るというようなところまでは考えておりませんが、畜産物その他いろいろな問題につきましても、加工面までもやるというような場合、やはり特約条項のようなもので行なっているというような情勢もございますので、そういう点を申し上げたわけでございます。
○久保委員 いずれにしても、今まで内面指導はある程度やったかもしれませんが、具体的な取引条件について農林省が御指導になったという事例はないのが、大へん残念でございます。あなたの方に力がないのかどうか。政府としていわゆる力がないというのでは、農業基本法を出した手前、ちょっとおかしいのではないかと私は思う。所得格差をなくすると言っても、所得格差をなくするような方法を何らの手配をしないでおいて、基本法だけ出しても話にならぬと思うのです。だから、私は先ほど申し上げた通り、三年越しかかっているものだから、これを農業基本法と一緒にして、関連法規の重要なものとして、契約栽培のあり方、契約飼育のあり方を、当然農林省は出すべきだと思うのです。政務次官、いかがですか。
○八田政府委員 生産者の所得確保のために、加工部門の方にまで進出することは、基本法にもうたっておるのでございますが、その段階に至るまでの間、契約栽培とか、あるいは特約栽培とか、そういった方法によりまして進めていく。もちろん、農業基本法が現在参議院で審議中でございますので、これが通過した暁におきましては、その内容等につきましても、十分に検討して、いやしくも生産者の不利にならないように進めていく考えでございます。
○久保委員 政務次官は御存じないかもしれませんが、三十四年以来——それ以前にもあったのでありますが、実際に問題化してきたのは三十四年なのであります。でありますから、もうこれは三年越しやっている問題であります。それで、基本法が通過してからというお考えも一つでありましょうが、すでにあなたの方は、大麦の作付転換についての具体的な法案と予算を出して参っておるわけであります。ところが、具体的に大麦を転換しろということはやっておりますが、転換策については、何一つ今ないですね。これはあなたの御答弁とちょっと違うと思うのです。私は、農林委員会ではありませんから、くどいことを申し上げませんが、少なくとも三年越しやっているようなビール麦、しかも向こうはたった四社しかないのです。この四社のビール麦を作る生産農家が、どういう立場に今日あるかというと、大麦はもう要らないということになりますれば、これは今までもそうですが、今度は拍車をかけたように、ビール会社自身が、これは当然ですが、足もとを見てきて、会社の言う通りという格好にやらぬようではためになりませんぞという文書まで流している。これは一つの脅迫です。こういうのがいいかどうか、私は時間がありませんから、別にそれに対する御答弁を求めませんけれども、少なくとも農林当局は、いわゆる契約栽培、契約飼育のあり方について、早急にその制度をほかに向かってこうあるべきだということをやるべきだと思うのです。こういうものを大体三年も四年もほったらかしにしておいて、転換だけをやろうと言ったって、はっきり言って、うまくいきません。主義主張の問題ではなくて、生産農民を守ろうという農林省当局の主張なら、それが先行すべきだと思う。今日何らの手配がとられてない。無常に不満であります。しかも、具体的に何らの指導もしておらぬ。これは当面の問題でありますが、三十五年の問題は、さっき局長おっしゃる通り、片づいておりません。ましてや、三十六年産のビール麦の問題は、これまた膠着状況であります。これは、農林省において、誠意をもって短期間において解決する用意があるかどうか、その点一点だけお伺いいたします。
○八田政府委員 御意見の趣旨は十分に検討し、御意思に沿うように努めて参りたいと思います。 〔勝澤委員長代理退席、宇田委員長代理着席〕
○久保委員 とにかく麦はだんだん黄ばんで参ります。そうしますと、えらいことになります。だから、早急というのは、この国会が会期延長があるかどうかわかりませんが、国会開会中くらいに結論をつけていただきたいと思っております。もちろん、そのときには農林水産委員会に私もまかり出まして、お尋ねをしたいと思います。 次に、公取の方にお尋ねしますが、御案内の通りで、中身は私から申し上げません。ビール四社に対するいわゆる独禁法違反ということで、提訴が三十四年以来ありましたが、その間慎重な調査並びに審議というか、そういうことをお進めになったと思いますが、その結末はどういうふうにおつけになったでしょう。
○坂根政府委員 ただいま御質問のように、昭和三十四年の十一月三十日に提訴がございまして、十二月二十日に立件いたしまして、公正取引委員会の審査部の方で審査に着手いたしました。自来、参考人として、現地農協関係者、麦耕運関係者、農協系統機関である中央会、全販連関係者、ビール会社、ビール組合、こういう方々が四十名、また監督官庁として、大蔵省、国税庁、農林省及び食糧庁の各担当官から、それぞれ事情を聴取いたしまして、昨年の二月上旬には、茨城、栃木、群馬、福岡及び山口の各県において、現地調査を行ないまして、引き続きビール各社並びにビール組合等から資料を収拾いたしました。昨年の九月一日、審査の結果が公取委員会に報告されております。次いで、十月十四日、同二十五日、十一月十一日、同十八日、十二月一日の六回にわたり委員会を開催いたしまして、問題の対象は、ビール各社の地盤協定及び加算金の協定、それから全販連を共同にボイコットしておりますので、この三つの問題を法律的にいろいろ公取委員会で審査いたしました結果、地盤協定及び加算金の協定については、現行独禁法上の違反の事実は認められない。また、全販連に販売委託を行なった単協に対して、ビール四社が共同ボイコットをした事実は認められましたので、この事実につきましていろいろ調べましたところが、先ほどの話にも出ておったと思いますが、昨年の四月ごろ行なわれました山本、荷見会談に基づいて、会社側は全販連からも買うということになったようであります。その事情もくみまして、独禁法違反として審判に付することなく、会社側に対して、十二月二十六日、こういうような不公正な取引方法は以後用いてはならないという警告を行ないまして、今後を戒めた。これが私どもの方で調べました経過でございます。
○久保委員 どうもこれは公取の審査の結果でありますから、これを直せとかという権限は、われわれにはもちろんございません。ただし、この事実なしということの加算金協定あるいは地盤協定ということをお調べになる立場は、それは厳正におやりになったと思いますが、現地において実際を見ていれば、常識です。法律的にはどうかしれませんけれども、常識的には、この事実ありというふうにとっておるわけです。常識でありますから、法律とこれはだいぶ差があるかもしれませんが、これに対して私は今日とやかく申し上げる段階ではない。しかし、常識としては事実ありということにわれわれはとっているということであります。 それから共販体制ボイコットしたということですが、これはその通りお認めになったのですけれども、そうしますと、これは今後不公正な取引をしてはいけない、こういうことで、いう意味でございますか、勧告でございますか、いかなる形式でお出しになったのでしょうか。
○坂根政府委員 これは私どもの方は、委員会が事実上の警告をしようという決定をされましたから、事務当局において、ビール事業者に対しまして、こういう行為をしてはならぬという警告をしたわけでございます。
○久保委員 警告したのでありますが、自後もしもそういうことがございますれば、いかなる措置になりましょうか。
○坂根政府委員 お尋ねの趣旨は、私どもといたしましても、警告した以上は、その後の事態を考慮しておるつもりでございまして、もし私どもが警告したような事実がはっきり現われておるといたしますれば、これはやはり独禁法でいう公正取引の違反になる可能性が十分にあると思いますから、その点は十分監視していきたいというふうに思います。
○久保委員 公取の方でも、その後のことを監視しておられると思いますから、私から逐一こまかいことを申し上げる必要はもちろんないと思いますが、しかし、先ほど農林当局とのお話もございますが、実際は不公正な取引をますます高めていくという傾向にございますので、この措置についていかようにとられるかをお尋ねしたいのであります。 念のために申し上げますが、指導費、あるいは集荷手数料、あるいは保管料、こういうようなものは、三十五年についても実際にまだ払っておらない。農林当局は、折衝中でございます、こういうお話でございますが、これは言葉のあやでありまして、いずれともとれます。紛争の一つの問題は、指導費の問題にかかっているようであります。指導費は、いわゆる売買契約だから、契約栽培じゃないのだから、お前の方には指導費は払わぬ、指導費を除いての交渉なら乗ってやろう、会社側は、こういうようなお話のようであります。ところが、荷見・山本協定、あるいはこの国会の中でも、今まで指導費については、同様に会社の方針通りやったものについては払う、こういうようなことが出ておりますので、これは今会社側が指導費はやらぬということについては、私は大へん間違っておると思います。これは何かの詭弁を弄して遷延して、その間において生産農民に不安を与えよう——その不安を与えるという事実が、この中にも出ております。これは、いずれあなたの方へそれぞれの機関を通して提出いたしますが、たとえばいまだに手数料も、集荷手数料も払っちゃもらっていないのだ、こういうところで、いわゆる系統共販に乗せれば、あなたの方は不利でありましょうというようなことを、文書でそのビール会社等が流している、こういう事実がございます。これは大へんな金でありまして、これによって系統共販も約二千万円程度になりましょう。こういう金がいまだに解決していないというのが第一点。 それから三十六年度になりましていまだ解決していないのは、いわゆる系統共販とビール会社との間の取引関係であります。これは去年やったところだけは、四十万俵かしれませんが、やりましょう。ところが、その後生産農民の自覚に基づくところかどうか別にしましても、いずれにしても系統共販にしようということで、大体百二、三十万俵の数量がまとまりつつあるという実態であります。ところが、会社側は、昨年以外はやらないのだというようなことでありまして、はなはだしいのは、新しく農民が自主的にそのルートを選ぶのに対しても、そういうことをやりますとためになりません、そういうものは買わないかもしれぬというようなことを文書で流し、あるいは協定に違反したような文書まで流しておるという事実がありまして、これはあなたの方で、二つの問題は全く事実なし、一つ共販については事実があったというのでありますが、その最後の、あなたの方で事実ありと認めたところが、最近非常な勢いで表に出てきている。そこであなたの方にお尋ねしたいのは、先ほど申し上げたように、こういう事態が、この十二月の末に警告したあとでもずっと引き続き出ているという事実、これに対してやはり監視を怠っていたのではないだろうかと思う。まあ監視は怠っていなくても、事実そういうのを見ていながら何も動作をしないということであっては、公正取引委員会の警告は、単に口頭禅に終わるのではなかろうか、こういうように思うのですが、一つそれに対するお考えはどうですか。
○坂根政府委員 ただいま仰せの問題は、私どもの方も多少事実を知っておりまして、現に一つは四月十二日、ビール酒造組合の理事を事務局に呼びまして、いろいろ私どもの警告の趣旨に反したような行為があるように見受けられるから、そいつは非常に紛争を起こす可能性が強いので、厳重に注意してもらいたい。もしそういう行為を続けていくようであれば、独禁法違反の疑いが出てくるからということを、一回注意したことが最近ございます。そういうような心まえで私どもはこの問題を処していきたい、こう考えております。
○久保委員 四月十二日にお呼び出しいただいて、さらに警告を発したということは、適切な方法かと思うのですが、その場合、会社の態度はどうなんですか。警告に対して、反省して改めようという傾向があるのですか。警告を発した公正取引委員会に対しては、反省したようなところがあるのかどうか。その点はどうなんです。
○坂根政府委員 その点は、もうしばらく私どもは情勢を見ましたならば、お答えができるのではないか、こう考えております。
○久保委員 ただ、公正取引委員会も単なる審判機関ということではなくて、これはやはり国民生活の上に立った審判機関でございますので、これは私から言うまでもございませんが、先ほど来申し上げたように、三十五年度の焦げつきというか、未決済のものが約二千万円程度ございます。これは、いずれも農民負担であります。生産農民がじかに背負う問題でありまして、決して系統共販の全国段階の団体が背負っていけるものではなくて、回り回って生産農家が背負わねばならぬ。金利一つとりましても、大へんなものであります。そういうような事情であります。 それからもう一つは、今三十五年度の問題が片づかないばかりか、三十六年度の麦が収穫期に遠からず入ります。取り調べの経過の中において、御承知のように、いわゆる下見検査もある、それから本検査もある、こういうことで、そういう検査が全然不安のままに行なわれるということになりますれば、またまた大へんなことになりますので、そういう時期的な問題も十分考えられているのだろうと思うのでありますが、いかがでしょうか。時期的な問題も考えて、適切な御判断と御処置をやるべき時期ではないだろうかと考えるのです。今しばらくという言葉がありましたが、しばらくというのは、いろいろに使いますけれども、そういう時期を判断されておられるか、お尋ねしたいのです。
○坂根政府委員 私どもの方も、しばらくという言葉は、何も怠慢でやらないという意味ではございませんが、やはりタイミングを得まして、そうして私どもの趣旨が徹底するようにやっていきたいと考えております。
○久保委員 それ以上申し上げることは何もないかと思うのでありますが、とにかく去年に比較して、政府が大麦の転換を具体的に出して参りました。そこにいわゆる足もとを見て、目をつけて、今日巻き返しというか、分断方策をとっているという事実は、明らかにこれは独禁法違反だろうと思うのであります。これ一つとってみても、そういう文書もございます。しかし、これはやっているというか、形だけを整えて、たとえば国会へ会社か何か来たときには、一応それはやります、あるいは協定は、トップ・レベルだけにおいては体裁の整ったものをまた作るということになりますると、今までの経験からいって、公取委員会も、荷見・山本協定ができたので、そういうことだから警告でいいだろうということになりますると、どうも実際の機能を果たしていないように思う。この点は十分一つ注意していただきたい、こういうふうに思います。くどいようでありますが、最後に農林省に一つだけ要望しておきますが、先ほど政務次官御答弁のように、まあとにかく適切な手段方法をとって正常に復するというような御趣旨でありますが、これをじんぜん日を送って、言うこと自体は、今までの経験から見ても、どうも何かなまぬるいと私は思う。力がないというわけじゃないだろうと私は思うのでありますが、これは十分一つ早急に手配をとっていただくように要望して、この問題は終わります。
○宇田委員長代理 木村公平君
○木村(公)委員 私は、ちょっと新農村の建設、詳しく申せば新農山漁村建設総合対策の運営に関する件につきまして、若干の質疑を行ないたいと思うのでございますが、ただいま所管の局長でありまする振興局長が、ちょっと出ておられるそうでございますから、一つ小さいことから、これはだれの所管でしょうか、水産庁の所管かと思うのですが、たとえばこれも新農山漁村の建設事業の事例の一つでありますが、群馬県の行政監察局からの報告によりますと、群馬県下の川魚を飼う養魚池です。わずか十坪の養魚池が三面ある。これは組合員の遊休労力を利用して、ニジマス、コイを養殖して、そうしてその現金収入をはからせたいという目的で当局は指導されたようでありますが、その翌年になって、同地区に簡易水道が敷設されて、取り入れ水をこの水源から分水したために、養魚池への入水量が半減して、一面は使用不能となった。そのため、放流した稚魚は、流水不足となって、特にここで注目すべきことは、養殖技術の未熟も影響して、四〇%が死んでしまった。水揚げされたものがわずか四十五キロであって、その売り上げは一万八千円にすぎない。しかも、稚魚代だとか飼料代は、二万円以上になっておる。しかも、これまで販路開拓の努力を怠っていたために、適期に計画的出荷ができず、かえって過熟熟成して、商品価値を失った成魚を二千匹も漫然と養殖しておる。これがため、県水産試験場は、三十四年度の紅マスの稚魚を分譲することがついにできなかったということは、事ははなはだ小さいことでありますが、この類似のことが、実は各地に相当私はあると思うのでございます。行政監察局からの詳細な報告に目を通しておりませんけれども、新農村、新漁村、新山村の建設ということは、私どもがもろ手をあげて賛成するところでございまして、今なおこのことに対しましては協力をいたすことにやぶさかではないのでありますけれども、その一環である、たとえばこんな小さな紅マスやコイを飼わせて現金収入をはかるとかいうような指導にあたって、このようなばかげた——簡易水道ができるくらいのことは、一年も二年も先からわかっていることなんです。 〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕 われわれが簡易水道を頼まれる。そうすると、大体これが実現されるのに一年、あるいはときによっては二年を要するわけです。従って、この補助金をお出しになるような際には、当然簡易水道のことなども御研究なされれば、これは当然わかりそうなものです。簡易水道ができた。それがために水源が分流されて、そして水がなくなって魚が干上がってしまって、とうとうその年の稚魚を移出しようとすることができなくなった。県の水産試験場では、とうとうそれすらもできなくなった。十坪の小さな養魚池三面の問題であります。ここに具体的に現われて参りましたのは、わずか十坪の養魚場三面の問題にすぎませんけれども、このようなばかげたことが、国民の税金をもって補助金に充てるのでございますが、補助をしておる。しかも、その干上がった原因というものは、簡易水道にある。簡易水道も、国家の補助金でできるのでございますが、簡易水道ができた場合には、水源が分水されるというくらいのことは、おそらく町に住んでおる者なら、何人もわかりそうなものだ。分水されると一体どうなるかということだって、これは子供でもわかると私は思うのでありますが、そのことをわからないで、知らないで補助金を出しておるものやら、知っておりながら、たとい一年でもやらしておくというつもりでやっているものなのか。いやしくも表は、これは新農村の建設、新山村、新漁村の建設の一環として、このようなことが行なわれているわけです。しかるに、事実はこんなようなことが起きておるのでございますが、これに対して指導官であらせられるところの、どなたがこれを書かれた知りませんが、水産庁の方であるのか、振興局の方であるのか知りませんが、一応まずその点のお考えを承っておきたいと存じます。
○齋藤(誠)政府委員 ただいま先生の御質問につきましては、新農村建設事業を行ないます場合に、計画のいわば総合性といいますか、あるいは他の事業主体におきまする計画との調整が、十分検討されて行なっておったかどうか、あるいはそういうことについての指導をどのようにしておるのか、こういう御質問かと思います。本件自身につきましては、はなはだ申しわけないのでございますが、その事態につきましての詳細を、私承知いたしておりません。簡易水道の助成等につきましては、実は厚生省の方の所管でやっております。今の養魚池等の設置につきましては、新農村の建設等でやっておる。おらくそういうことにおきまして、御指摘になりましたような事態が生じたのではないかと思うのでありますけれども、われわれといたしましては、本計画の策定にあたりましては、特に他の関係分野との総合性ということを十分考慮すべきであるということが、基本の考え方であるわけでございます。従いまして、この計画の樹立につきましては、市町村長が中心になりまして、各種団体を含めました協議会を設けまして、計画の策定、あるいは実施に当たらせる。もちろん事業主体自身は、それぞれの事業に応じまして、農協がやり、あるいは土地改良区がやり、あるいは水産組合がやるというふうなことになっておりますけれども、計画自身としましては、全体の計画を立てまして、もちろん町村の財政負担も伴うわけでございますから、当然他の分野との調整を行なってやるように、そういう運営の面におきまする組織、それから市場におきまするところの目標、いずれも今申し上げましたような意味で、他の関係との調整をはかってやるということが、指導の基本になっておるわけでございます。現実問題として、今どのようなことになったのか、よく調べましてお答えいたしたいと思います。
○木村(公)委員 大体お話よくわかりましたが、まだ齋藤さんは官房長から振興局長におなりになったばかりであるそうでございますから、これから伺うこともあるいはちょっと無理かと思いますが、農山漁村の振興のために、顧問団というものがあるわけです、それに振興協議会というものがあるのですが、事実上ほとんど用をなさないというので、実は行管からこういう勧告を受けておるわけなんです。「都道府県農山漁村振興対策審議会、同顧問団並びに農山漁村振興協議会の活動が低調で、十分職能を果していないものについては、その運営を改善するような指導の要がある。」という勧告を三十四年に受けておる。それに対しまして、あなたの方から、振興局長の責任においてこういう回答がなされております。「都道府県農山漁村振興対策審議会については、なお改善を要する点も多いので、今後さらに指導を強化するとともに、委員の協力態勢を強化する。同顧問団については、逐次適任者を任命するほか、指定地域の増加に伴い、人員を増加するなど通常面に改善を加えているが、今後とも一層検討改善を加え、所期の成果をあげるよう措置したい。農山漁村振興協議会については、振興計画の樹立方法、実施態勢等とも関連する問題であるので、これらと併せ、今後検討を加え、永続的活動をはかるよう指導したい。また毎年二回指定地域の青年婦人代表を集め、青年婦人の意識の高揚に努めるほか、民主的な話し合いが行なわれるようにいたしたい。」という回答がなされているのが、昭和三十五年三月十六日のことでございますが、その後、顧問団あるいは振興対策審議会、協議会等のその後の活動はどのような状態であるかということを、局長からちょっと伺っておきたい。
○齋藤(誠)政府委員 ただいま御指摘になりました顧問団の活動につきまする行政管理庁からの御指摘につきましても、承知いたしておるわけでございます。ただお断わりいたしておきますのは、この御指摘につきましては、業務着手後の初期にあたって調査が行なわれたようでございますので、御指摘の通り、顧問団の充実あるいは活動につきましても、いまだ十分軌道に乗ってなかったという点が確かにあったと思われるのでございます。しかし、その後におきましては、各県平均五名でございますけれども、大学の教授だとか、あるいは試験場の関係の専門技術者であるとかというような、あるいは農協の農業団体の経験者だとかいうようなものが、それぞれ顧問に任命されまして、現在におきましては、われわれは、その顧問団の活動が十分伸びておる、かように確信いたしておるのでございます。この事業そのものは、本来農村が自主的に村作りをするということに対しまして、各方面から総合的な指導が行なわれるようにいたしたい。特にまたそういう村作り等につきましては、それぞれの県におきまして、相当の卓見を持っておるといいますか、識見を持っているといいますか、そういう人の活動に期待する部分が非常に大きくて、いわば役所の人間が上から指導するというような行政の内容と違う性質のものが、多々あるわけでございます。先生に申し上げるまでもないことでございますが、そういう意味におきまして、新しくこの事業をやりました場合に、どうしても今申し上げたような民間の有識者の活用をはかって、これが中心になっていろいろ世話をしてもらう、意見をいろいろそこで提供をしてもらう、こういうことで、この顧問団というものが、農林省の行政としては、初めて顧問団設置ということをやったわけでございます。そういう意味で、当初におきましては、確かに御指摘のような点もあったと思いますけれども、農林省の行政といたしましては、こういうものを今後とも大いに活用していきたい、こういう考え方を持っておるわけでございますす。
○木村(公)委員 この新農山漁村の総合対策というものが閣議決定になったのは三十一年だと思いますが、それからもうことしは五カ年計画の終期に当たるこの段階において、ただいまのアイデアとしての顧問団、振興協議会等は、けっこうなことなのです。反対しているわけではございませんが、顧問団の活動が、あなたの御答弁では、初期だったから行管からそのような勧告を受けたのだけれども、現段階においては充実しておるというようなお話でありますが、それはほんとうですか。そうしてこの顧問団、振興協議会の活動に対する監督の権限は、もちろん政府、農林省にあるかと思うのですが、監督の権限、どの程度までの監督権があるのか、それから待遇の問題、それからこの顧問団、振興協議会等の自身の権限、こういうものもちょっと伺っておきたいと思います。
○齋藤(誠)政府委員 顧問団自身のはっきりした権限とか、あるいは職務内容というようなものについて、実は明確なものはないわけでございます。先ほど申し上げましたように、顧問団自身は、役所の一律的な行政の補充というような——補充といいますと語弊がありますが、行政においては十分でき得ない部分が、当然この部面において考えられるということで、この顧問団の活動というものを期待いたしたわけでございます。ただ、今申し上げましたように、そういう意味ではっきりした職務、権限とかいうようなものにつきましては、実はきめておりません。大体一府県二十七万程度の予算で、一年間の活動助成をいたしておるというふうなことでございます。
○木村(公)委員 実はこの顧問団とか振興協議会の役員とかいうものは、何らの権限がないのだ、法規上の権限というものはないので、ただ行政官がやれないようなことを充足的にやるというお話でございますけれども、地方へ参りますと、こういう顧問団とか振興協議会の役員とかいうものが、権限がないにもかかわらず、越権的な行動が非常に多いのです。従って、こういうものがいっそなければ、そのような弊害はないのですが、ある以上は、ある程度監督をするとか、ある程度その待遇の点についても考慮をするとか——これは、こういうものをあなた方がお作りになった。作っておいて、あとはほとんど顧みない。権限も与えない。名前だけは、辞令みたいなものをよこす。そんなものを振り回して、無知な者がこれを悪用する。そうして善良なる農民諸君が、むしろ顧問団、振興協議会の役員等によっていろいろ迷惑をこうむるということがあり得るのです。従いまして、われわれもそういうことをときどき体験するのですが、ほとんど自分たちの気のつかないような役職と申しますか、一枚の紙をもらった者が、地方におりまして、それが目の届かないところにおいて、小さい単位ではありましょうけれども、はなはだしい迷惑を与えるようなことがあり得るのです。そこで私は、顧問団、振興協議会というものは、事は小さなことですし、これはおそらくあなた方からごらんになれば、無力でしょう。こんなものは、ほとんど歯牙にもかけておられないかもしれませんけれども、末端にいくと、こういうものがいろいろのことを考え、あたかもいろいろなことを実行できるかのごとく行動に出ておる。この顧問団、振興協議会の役員等については、お作りになった以上、やはりある程度まで厳重な監督と申しますか、これに目を光らせていただかないと、作っておいておっ放したら、権限は事実上ないというのだけれども、何となくあるかのような錯覚を起こさせるような行動を中にはやっておるわけです。従って、こういうものに対して、もう一ぺん十分御調査の必要があるのじゃないか。すでに発足してから五年目です。今後また新しく五カ年間の計画を樹立しようとしておるときに、顧問団とか振興協議会とかいうものの存在のために、この農林省あるいは国家の最も重要な要請にこたえた新農村建設計画というものに暗影を投ずるようなことがあれば、これは私どもも黙視することができませんので、この点について、一つ十分御研究をいただきたいと存じます。 それからもう一つ——あとに社会党の方々がいろいろ質疑を準備しておられるようでございますので、もう一問お伺いしておきたいのは、事業主体というのが法律にありますが、この新農村建設計画では、ことにいろんな事業をやるわけですけれども、これが名目上の事業主体と実質上の事業主体の二つに分かれておる場合が非常に多いのです。これがよくないことはわかっておるはずですが、やはり整理されない。従って、名目上の事業主体と実質上の事業主体がありますので、それが混淆されて、非常に能率が削減されておる。この点について、多少御研究、御調査でありますか。
○齋藤(誠)政府委員 御指摘の新農村建設事業におきまする事業主体が明確になっておらないということでございますが、この建設事業に伴う各種の事業は、あるいは共同施設を設ける、あるいは土地改良を行なう、あるいは農道、林道を設けるといったような事業が、いろいろメニュー方式で列挙され、その中からその村に適当と思われるものを選択するという建前になっております。従って、事業の種別によりまして、あるいは農業協同組合が担当する、あるいは部落組合が担当するといったように、分かれるわけでございます。そのことについて、土地改良事業のようなものにつきましては、大体はっきりいたしておるわけでございます。ところが、たとえば共同施設のようなものになりますと、名目は町村がやるが、実際は部落組合がやっておる場合、あるいは協同組合がやっておる形式になっておるけれども、実際は特定の実行組合がそれをやっておる場合、つまり共同施設自身の利用範囲というものが限定されておるような関係で、事業主体といいながら、実際には管理主体は違っておるというようなことがあり得るわけでございます。しかも、町村が予算を計上しておるというような関係で、町村が事業主体であるのか、あるいは実施はまた別の団体であるかというような点も、あるいはそういうような明確を欠いた点も、従来あったと思うのであります。大体今先生のお話しのように、この事業は、三十七年で一応完了いたします五カ年計画でございますから、三十五年でもう町村の指定は全部終わったわけでございます。われわれといたしましては、できたいろいろの施設の今後の維持管理の問題が重要だと考えておりますので、今御指摘になりましたようなことを十分念頭に置きまして、建設事業に伴う実績調査、特に施設についての維持管理につきまする調査をいたしまして、そうして、それらの主体と維持管理の関係はどうあるべきであるかという手引き書を作りたい、それによって、今後今申し上げたような不明確な点を明確化して参りたい、かように考えておるわけでございます。
○木村(公)委員 もう一つ。今度の国会は農業国会であるとまでいわれまして、農業の政策が最も議論をされておる重要な国会であります。おそらく歴史の上においても、この国会は、農業国会としては非常に重要な国会だと思うのでございます。従いまして、私ども立法の府においても、できるだけ建設的にあなた方行政官に協力をして、できるだけ日本のために仕合わせを多くしたいものだと考えておるのでございますが、 〔委員長退席、丹羽委員長代理着席〕 そのおりから、古傷にさわるようではなはだ恐縮でありますけれども、昭和三十三年度の決算の検査報告で、ここでも問題になりました例の食糧管理のことについて、長官の御所見を承っておきたいのですが、例の「食糧の管理当を得ないもの」というので、不当事項として指摘されたものがたくさんありますけれども、そのうちで、今なお私どもの釈然といたしませんのは、青森、埼玉、千葉等におきまする亡失と申しますか、莫大な米がどこにいったかわからないという、あの問題であります。「青森ほか二食糧事務所で、寄託保管中の米麦を保管業者等によりほしいままに処分されたものが左のとおりある。」ということが報告されておる。これは、この委員会でも何度も何度も、ここにおられる小川さんからも指摘された問題でありますが、その結果明らかになりましたのは、青森では七百九十四俵、埼玉県の千葉倉庫では一万七千二百五十二俵、千葉県の船橋運輸倉庫では六千四百九十九俵というものが、どこにいったかわからない。亡失した。しかして、その弁済の未済金額が、当時千葉倉庫では三千五百万もある、船橋運輸でも二千四百万ほどあるというような報告がなされっぱなしで、その後詳しい御報告に接していない。これは、この段階で私からお尋ねするのはどうかと思うのですが、これは当時からいかにも釈然としない問題です。あと味の悪い問題ですから、今は一体どうなっているのか。未済金はほんとうに完済されたのであるかどうか。完済されて、責任者は一体どういう処分を受けたのか。この真相はどうなのか。ただ亡失という言葉では、ばく然としておる。おそらく国民諸君が、こういう状態をお聞きになったら、憤慨される問題です。従って、これをもう少し御報告願っておきたいと存じます。
○家治説明員 青森、千葉、埼玉の三つの大きな保管事項につきましては、御指摘のような事故が発生いたしましたことを、まことに申しわけないと存じております。御質問でございますので、その後の状況を申し上げたいと思います。 最初に青森の事件でございますが、内容は、御指摘にもございましたように、青森食糧倉庫の黒石支庫というところに預けてありました米が、七百何俵なくなったのでございます。この事件は、中村某という者が、この倉庫の中にありまするものを無断で持ち出して、そうして売り飛ばしたという事件でございまして、これにつきましては、食糧庁といたしましては、まず保管をしております倉庫側との契約上の責任を追及すること、それから違法行為を行ないました中村某につきましても、これは不法行為者として責任を追及するということで、いろいろ努力をして参りました。刑事事件につきましては、実は不法行為者中村某が、刑の判決を受けまして、服役中に死亡しております。それから当人はほとんど無資産でございまして、相続人はおりますが、これは限定相続といたしました関係上、資産らしいものはございませんし、ありましても、もうそれ以上は政府として手が及ばないという状態でございます。保管責任者である会社側といたしましても、これは実は非常に盗難のない会社でございまして、持っておりますものも、倉庫は借庫でございますので、これといった資産もこざいませんで、今までに回収いたしましのは、約七十五万円でございます。損害額は三百九十八万円余になっておりますが、二割弱の回収状況でございます。実のところ、これ以上の回収の努力はいたしましても、効果はなかなか望むことがむずかしいような状況でございます。 それから埼玉の事件でございますが、これも御指摘ございましたように、一万七千俵以上に上る大量の亡失で、これはどうしてそういうことを来たしたのか、あるいはそれに対してどうして早く手を打たなかったかという点は、たびたび御指摘をいただきましたし、私どもとしても恐縮に存じておるのでありますが、現実にはいろいろ捜査当局の捜査もありまして、これはおそらく、われわれの推定では、倉庫の責任者であります会社の矢島という専務が無断で横流し、持ち出しをしたのであろうと思うのでありますが、非常に遺憾ながら、これを横領した、あるいはどこへどうしたという事実は、とうとう捜査当局の手によっても十分にはつかみ得ませんで、起訴されました事実は、食糧庁との寄託契約に基づく信頼に反し、背任であるということで起訴されておるのでございますが、これは刑事事件としては、まだ係争中でございます。その損害の回収につきましては、相手方であります会社の持っているもの、ないしはその専務自身の持っているもの等を押えるようにいろいろ努力して参ったのでありますが、これも先順位の抵当がつけてありましたりいたしまして、十分なものは実はまだよくつかみ得ないのであります。 〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕 結局相手方の弁済をできるだけ誠意をもって努力させるということで折衝いたしまして、現在までに回収いたしました額といたしましては、約四百六十万円くらいの回収をいたしております。損害額は、御指摘もございましたように三千五百万以上になっておるのでございますが、なお今後の問題といたしましては、一応和解の話し合いで、裁判所の側といたしましては、隔月に二十万円ずつ入れる、そしてだんだん上げまして、三十万円あるいは五十万円ということにいたしまして、三十九年までかかりまして全部納めるということにはなっておりますが、その実行の状況は、実はあまり芳しくございませんでして、昨年の十月以降は、その和解条項の実施がとだえております。しかし、これはぜひ実行させるようにということで、いろいろ努力をいたしておるのでございます。押えております物件は、宅地あるいは建物等の物件を押えておりますが、先ほど申し上げましたように、押える順位がおくれておりまして、先順位の抵当がございますので、このものを強制執行いたします場合には、すぐには金が入ってこない。おそらく配当がないだろうと思いますので、何といっても、その実行をさせる相手方に、いろいろ努力をして金を納めさせるということを主眼にしてやっております。 それから千葉の事件でございますが、船橋運輸倉庫に寄託しておりました米が、六千五百俵取られたのでございますが、この事件につきましては、これまでもたびたび御指摘がございましたように、どうしてこういうことになったのかという点につきましても、いろいろわれわれとしても調査をし、また捜査当局も捜査をされたのであります。現在までの事実といたしましては、これは倉庫責任者が、卸あるいは一部の小売の人と結託したと思うのございますが、そういう結託によって横流しをして、政府に対しまして約三千三百五十万円の損失を与えたのでございますが、これにつきましても、現在までのところ九百二十六万円ほど回収しております。残りにつきましては、政府が物的に押えるということは、先ほど申し上げましたように先順位者がおりましたりいたしまして、なかなかむずかしい。若干のものは仮処分、仮差し押えをいたしておりますけれども、それだけでは十分でございませんので、その残っております会社の経営者、それからそういった不当なことをいたしました前の社長、卸、小売、こういう人たちに対して賠償をさせるように、目下努力をしておるところでございます。残りにつきましては、若干の期日をかけますれば、まだある程度回収の見込みはあると考えている次第でございます。
○木村(公)委員 これはどうも少しお考えが違っているのじゃないかと思いますが、国会が国民の代表として一番ここで心配しますことは、「保管業者の不信行為にもよるが、各食糧事務所においても、寄託食糧の入出庫時に担当検査官が立ち会って現品の確認を行ない、また、支所長、出張所長または担当検査官が定期または不定期に各倉庫を見回って業者の保管管理についての指導および数量の確認等を実施することとなっているのにこれらを確実に行なわなかったばかりでなく、その励行についての監督が十分行なわれなかった」というが原因だということを会計検査院は指摘しておるわけなんですが、おそらく私は正鵠を得た指摘だと思うのです。従って、今顧みて他を言うように、業者がどうだとか、あるいはどろぼうをしたやつがいかぬということもそうでしょう。それはその通りでしょうけれども、やはり行政官の長たるあなたの立場としては、監督が不十分であったことは、これは政府も悪いのだというので、この監督官に対してどのような態度でもって臨まれたのか、そして今その監督官はどういうことになっておるのか。ここまでは監督権限がないとでもおっしゃるのか。私は、その点が明確にされていかないと、この場がなかなかおさまらないのです。それでこの機会に、業者だとかどろぼうのことはしばらく別にして、これは警察とかあるいは検察庁とかいうものがございますので、司法権にゆだねまして、そしてここで立法の府として、会計検査に対する報告に基づいて、決算委員会は国民の名において、この監督の行き届かない点、怠慢である点を追及いたしておるわけでございますから、その点について、もう一つお考えを伺っておかないと、ここがおさまりませんよ。
○家治説明員 御指摘のように、確かに政府の食糧を寄託しておるのでございますので、その寄託している先の倉庫の状況の見回り、あるいは指導、監督といったことは、食糧庁の責任でございます。従いまして、こうした不祥事故の発生にかんがみまして、今後こういったことのないような措置を講ずるばかりでなく、今仰せになりましたように、この三事件に関連いたしまして、関係者に対しましては、それぞれ厳重注意、訓告、あるいは懲戒の措置がとられたのでございます。ただ、これはまことに恐縮な申し分でございますけれども、現実に今まで指導、監督することになっておったものが、その通り行なわれなかったのはなぜか、こういう点もわれわれとしては十分反省しなければならぬと思いまして、いろいろ検討いたしまして、常時の見回り、常時の指導、監督ということは、なかなか言いましてもむずかしゅうございますので、少なくとも三カ月に一度は確実に現品在庫というものを確認する。それから年に数回は、食糧事務所支部ごとによって内部監査的に在庫の監査をする。それから本庁からも特別監査という仕組みによりまして、抜き取りの監査をいたしますというようなこと、それから年に一度の現品たなおろし検査につきましては、これは従来は時日が限られておりまして、大量のものを扱うものでございますので、ややもすれば形式に流れるおそれがございましたので、その点を、形式に流れることなく、現実に見る。それでそのときに必ずしも自信がないものは、再び行って見る。こういうように念を入れた現品たなおろし検査をするというように運営を改めまして、こういうことによって、今後こうした不祥事件がないように考えておる次第でございます。
○丹羽(喬)委員長代理 小川豊明君。
○小川(豊)委員 私は、蚕糸の問題土地改良の問題、食糧の問題、農業共済、こういう点についてお聞きしたいのですが、まず、農業共済から伺います。 農業共済を見ると、指摘された不正、不当の事項だけでも、三十四年度には、百四十七組合を調査して六十九組合が経理当を得ない。金額では三億七千四百万円。三十五年度では、七十一組合を調査して二十九組合が経理当を得ない。その金額が一億円と、調査件数の大体三分の一が不正、不当の事項として指摘されているわけでありますけれども、この欠陥は一体どこにあるのか、この点を一点お尋ねいたします。 さらに、この災害補償制度は、制度としては私は非常にいい制度だと思っておりますが、一方ではこういうような事項を出しているし、また加入者の意見を聞いても、強制加入はひどいとか、あるいはかけ捨てが多い。常襲災害地帯と安定地帯との差がない。被害率が三割以上に達しなければ保険金がもらえない。もしもらえるときがあっても、基準収量のきめ方が非常に低いから、その金額が少ないといったような批判が、農民側からは起こっているわけです。こういう中で、この六月かには、共済保険公団が発足するというような構想も伝わっているわけです。従って、この共済制度を完璧なものにし、こういう不正事項、不当事項が起こらないようにするには、一体どうしたらいいのか。あなたの方でこれに対する構想がおありなら、これを聞かしてもらいたい。保険公団も、もちろんその構想の一つだろうと思う。これをもあわせてあなたの方から御答弁を願いたいわけです。ただ、ここで私が言うのは、農村の実態からいって、三割というけれども、これは反収のきめ方に問題がある。この問題は、あまり議論すると、今度は農業課税等の問題もからんでくるだろうと思う。そういう点も心得て、一つあなたの方で答弁してもらいたい。
○坂村政府委員 御指摘の通り、農業共済の会計のことにつきましては、毎年々々非常な不当事項がございまして、まことに恐縮をいたしておる次第でございます。毎年、当委員会におきましても、いろいろ御指摘もございますし、あるいは御注意もございまして、そういう点も十分取り入れまして、指導に当ってきておるのでございますが、なかなかこの不当事項を絶滅するという状況には至っていないわけでございます。その根本は、先ほどおっしゃいましたように、今の制度は昭和二十二年から始まっている制度でございますけれども、今の制度が、最近の農作の災害、あるいは農作技術、それから農家経済というようなものの実情に合わなくなっている部面が、相当あるということを言わざるを得ないんじゃないかというふうに思うのでございます。それからそれと同時に、現在の組織あるいは事業の運営そのものが、私どもいろいろ考えてみまして、大体農民から遊離をしておるという感じがするのでございます。そういうような意味からいたしまして、制度としては非常にりっぱに仕組まれておる制度でございまするけれども、そういう実情に合わしたものにこれを直さなければいかぬということで、 いろいろ毎年々々会計検査院に指摘をされまする事項そのものを直すには、制度の根本を直さなければならぬというつもりで、数年前からいろいろ検討して参ったわけでございますが、昨年の四月に学界の方々にも入っていただきまして、農業災害補償制度の抜本改正のための協議会というものを設けまして、一年間これを検討して参ったわけでございますが、今度の国会に改正案を提出いたしまして、御審議をいただく、こういうことになっておるわけでございます。 そこで問題はどういうところかと申し上げますると、非常に大ざっぱに要点だけを申し上げたいと思うのでございますけれども、今の農民の不安は、ざっくばらんに申し上げますると、掛金をかけておるのだけれども、ちっとももらえないじゃないかということが、一つの不満だろうと思うのでございます。それは農業の災害というものが、あるいは農薬の発達、それから防除技術の進歩、それから土地改良が進んで参りますとか、その他農作技術が進んで参りまして、災害というものが、ほとんど天災というようなものに限られて参りまして、だんだん昔と形が変わって参ったということが一つであろうと思います。それと同時に、地域的に災害が非常に偏在して参りまして、そういう関係から、安定地帯では、いつでも金はかけっぱなしで金はもらえない、こういう不満があるわけでございます。それともう一つは、いざ災害が起こった場合にも、もらい方が少ないじゃないかということが、これは確かにあるのじゃないか。こういう不満があるということは、一つの不満であろうというふうに考えておるのであります。 そこで、そういうような状況でありまして、農民が自分で金をかけておるのでございまするが、その金がどこへ行ってしまうのだろうということを、非常に疑問に思っておる。どこかほかに使われてしまっているのじゃないかというようなことで、そういう不満がある。そういう制度に対して、おっしゃるように、全部強制加入でやっているということは、いかにも困るじゃないかという不満が、大体今の制度の中で私は一番重点であろうと思っておるのでございます。ですから、そういう点を逐一検討いたしまして、今の制度を農民に密着させる、農民の自主的な責任においてこれが運営されるようなことにすることが、一つの根本問題であろうというふうに考えまして、第一の要点は、現在の運営を末端に相当十分な責任を負わせるような形に持っていったらどうか、これが一つでございます。それは、今は通常災害と異常災害というのがございますけれども、通常災害については、県段階の連合会が全部責任を持っておるわけでございまして、そのうちの一割を末端の共済組合が持っておるわけでございます。ですから、そこで農民がいわゆる共済金を払う財源としての掛金をかけましても、そのうちの一割だけが末端の組合に保留されまして、残りの全部は連合会に行くわけです。そして連合会が通常災害の全部の責任を負う。通常災害を飛び越えた異常災害については、国が責任を持つ。そういう体制でございます。そこで農民としては、自分のかけた金が手元にございませんから、県の連合会に行っちゃって、そしてどこか災害のあるところへ行ってしまうという不満があるのでございますので、実際十年以上の経験でございまするから、通常災害のときには、全部末端の共済組合におろそう、こういう考え方が一つの柱でございます。そういたしますると、通常災害については末端の組合が全責任を負うというようなことでございますると、農民のかけた金は、末端の共済組合に積まれておるわけでございます。従いまして、かりに災害が二年なり三年なりなくても、農民感情としては、自分の目の前に金を積んでおるということでございまするし、無事戻しもやれる。あるいはある程度基準を越えまして積まれて参りますれば、いろいろの病虫害防除に使えるとか、いわゆる備荒貯蓄的な考え方を末端では中心にしたらどうか。当然災害も非常に少なくなっていますから、掛金も今度のやつは相当下がって参ります。ですから、わずかの金であっても、備荒貯蓄的な考え方でそれを積んでいく。それを飛び越えたものについては、現在もそうでございますが、これは国が責任を負う、国から支払いをいたしますという姿にする。そういたしますと、末端の共済組合は、いろいろ問題がありました基準反収をどうするかとか、損害評価をどうするかというようないろいろな問題も、末端の組合が責任を負う姿でありますれば、相当自主性を持たしてやっていけるだろうというふうに考えております。そういたしますれば、自分の組合の責任でありますから、むちゃな基準反収をきめたり、むちゃな損害評価をしたりということは、自主的になくなって参る、こういうことを期待しておるのでございます。その点が第一点で、一番大きな問題でございます。 それから第二番目は、先ほど申し上げましたように、そういう制度に強制加入で全部入れというのは非常に不合理じゃないかという非難にこたえましては、これを、現在はある一定の資格、たとえば米で申し上げますると、一反歩以上の耕作をやっている者につきましては、全部当然加入といいまするか、三分の二以上の者が集まって組合を作りました場合には、全部が当然共済関係が成立をするということになるのでありますが、その辺でも、現状では相当無理があると思うのであります。そこで、この画一的な強制加入の方式をある程度緩和をすべきであるということを考えまして、その点は、一つは、今まで法律上一反歩以下のものが任意加入で、一反歩以上のものが強制加入だというふうにきめてありましたものを、相当幅を広げまして、一応三反歩というところで押えてみまして、三反歩の範囲内で、都道府県の知事がきめたものについて任意加入と強制加入の境をきめさせようというふうに緩和いたしましたものが一つ。 それからもう一つは、事業の種類ごとにこれを総会の決議でやめさせていったらいいじゃないか。やりたいものはやる、やめたいものはやめていい。たとえばその例を申し上げますると、北陸のようなところで、水田裏作の麦をやっておる。これは農家経済からいって、ほとんど問題にならないことであります。たとえば青森等で蚕繭をやっておる。そうすると、これも実際問題としては事業として成り立たない、問題にならないということがあるのでございます。こういうものは、みんながやめたいと言っておっても、今の制度では全部の事業目的を一緒にやらなければならないという制度になっていますので、これを米をやめたい、麦をやめたいというようなものは、おのおの事業の種類ごとに、事業の目的ごとにやめてもいい、それからまた作りたい場合には作ってもいいというような制度にして、そこのところをある程度緩和したらいいということが、第二点でございます。 それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、いざ災害が起こった場合に、非常にもらうものが少ないじゃないかという点でございますが、その点は、現在石立てといいまして、共済の引き受けは、一筆々々ごとに共済にかけまして、単位は何石という基準収量でかけておるわけでございます。もちろん、今はメートル法になりましたから、キログラムということにはなっておりますけれども、一般的にわかりやすく石立てで申しますと、そういうようなことでかけておるのでありますが、現在の制度では、全損の場合にも、一石当たりに対しまして最低千五百円から最高四千九百円、こういう中で、何段階かを農民が選ぶことになっておりますが、これがきわめて少ないわけでございますので、これを相当上がる。最低は、少なくとも労賃部分くらいは補償できるような形に持っていったらどうか、最高の場合でも、少なくとも生産費くらいは補償できる形に持っていったらどうかということで、農家の所得補償という線を相当強く打ち出したいということで、最低三千円から最高七千円というところに押えて補償をやっていく。 〔丹羽(喬)委員長代理退席、委員長着席〕 それと同時に、今までの一筆単位というものは、農家の所得補償という面からいいますと、合理的じゃない面もございますので、今後の問題といたしましては、農家単位で補償していくというような考え方で、これを直していきたいというふうに考えておるわけでございます。 それからもう一点大きな問題は、病虫害の問題でございまするが、病虫害が今共済の事故になっておりますことが、非常に会計検査院でいろいろ指摘されておりますごまかしができるもとになっておるわけでございます。病虫害があってもなくても、これはなかなか損害評価もできませんものですから、何割ということで平等に農民に金を払うということが行なわれるものでございます。こういう点は、今後の問題といたしましては、病虫害の防除も非常に進歩して、ほとんど絶滅できるという体制になっておりますので、病虫害というものはとにかくはずしてもいいんじゃないかという考え方もございますけれども、急にそういうわけには参りませんから、将来はずすということも一つ頭に置きまして、とりあえずの問題としては、病虫害防除体制がきちんとできてくるところに対しては、病虫害を事故からはずさせまして、そうしてその場合には、共済掛金をその分だけ割引して安くいたしまして、それに相当する金額は、国から病虫害防除費として補助金を出そう、こういう仕組みでいけば、結局掛金も安くなりますし、そのかわり、農民は病虫害防除に金をかけるのだから、その分は補助金として一部を補助しますという制度に切りかえてみたらどうか、ということを考えておるようなわけでございます。 大体要点はそういう点が中心でございますが、そのために、現在は、中央の事業としては、農林省において特別会計がございまして、そこで運用しておるのでございますけれども、これが先ほど申し上げましたように、末端の共済組合に大体直接結びつくという姿になって参りますと、仕事も非常に能率的に運ばなければならないという点もございますので、中央の特別会計を分離いたしまして、農業保険事業団という組織にいたしまして能率化をしていく、こういうことを考えておるわけでございます。骨子は以上でございます。これによって、いろいろ行政管理庁からも監察の結果の勧告が出ておるのでございますけれども、そういう監察の結果等もほとんど大部分を取り入れて、今の制度の改正を考えているということに相なっておるのでございます。
○小川(豊)委員 災害はない方がいいのですが、今お聞きしていると、生産と流通と共済の制度、これが農業の三つの柱だと思っておる。従って、共済制度というのは非常に大切な仕事なんだ。ところが、こういうふうに非難が起こってくる。農民もこれに対してあまり期待を持っていないということから、あなた方御自身が少しノイローゼになっておるような傾向がある。これはやはりりっぱなものにしていかなければならぬ。その中で、どういうふうに改善するかということは、制度と実態が合わなくなってきているから問題が起こってきているのだから、そこで一つ言い得ることは、この共済の金が少ないということ、おそいということ、簡単に言えば、この二つが農民の不満だと思うのです。これを改善していくわけですが、そこで今あなたは、基準数量のきめ方の問題に触れたが、この基準数量をきめるについて、一体これは査定でいくのか、それとも協議のような形をとるのか、どういう形をとるのか、その点が一点。 それからもう一つは、共済の事業費は、総体で国庫から百億、加入者が九十億、そんなものじゃないですか。その中で、事業費というか、運営費というか、そういうものが七十億で、これは大体事務費だと思う。ですから、百九十億のうち、七十億というのは事務費にかかっていくから、この金が非常に少なくなってくる点も問題がある。そこで、この共済というものは、事務の複雑なことは私もわかるが、どうやったら事務費を軽減できるかということと、農民ともっと密着するということから、清井さんあたりが考え出したものに、二段階制というのがある。ところが、二段階制で行くのかなと思っていたら、それがいつの間にかまた引っ込められて、もと通りになってしまったらしいのだ。そうすると、これはあなたの方では、中央と県と町村の組合という三段階でなければいけないと考えたのか。二段階はいいけれども、何かほかの事情があるのか。共済組合に直接携っておられるあなたから、二段階制に対する考え方を承りたい。
○坂村政府委員 御質問の第一点の減収量の問題でございますが、減収量の問題は、現在は、中央で県別の平均反収というものを割当をいたしまして、それで町村ごとに反収というものをきめて、上から流しておるという状況になっておるのでございます。従いまして、ここに相当無理がございますので、今後町村の組合に責任を持たせていくという考え方でいきます場合には、町村のいわゆる平均収量というものを基礎にいたしまして、そうして積み上げ方式で、上の方ではある程度不合理なところをチェックするという姿で末端に責任を持たせていこうという考え方でございます。そこで現状でも、減収量の問題については、最近はそれほど不満が多くはなくなってきておる状況で、大体は落ちつくのではないかというふうに考えております。 それから事務費の問題は、連合会の事務費は、国庫が全額負担、末端の共済組合の事務費については、三分の二負担、こういう建前で従来予算を編成して参っておるのでございますが、やはり現実に団体を作っておりますと、いろいろの金がかかって参るのでございまして、必ずしもそれがきちっと全額と三分の二ということにはいっておりません。今までの経費の概算で見ますと、全体にかかる総経費が七十億くらいのところ、国から二十五億出ておる。全体といたしまして突っ込みまして、三分の一くらいの経費を国庫が出しておる状況でございます。ことしの予算では、連合会の全額負担はもちろんその通りでございますが、末端の共済組合につきましては、基幹事務費については全額負担という建前を一応通しまして、相当増額をいたしておるわけでございます。従いまして、ことしの予算の事務費の国庫負担の総額は、四十億くらいになっております。その他の経費につきましても、もちろんこれは相当合理化をはからなければならぬと思いますので、ある程度総ワク等をきめまして、そうして場合によっては、掛金に対して付加保険料みたいな形で取って、ある程度以上のものは取らないという形で合理化を考えざるを得ないと考えておりますけれども、今後できるだけ合理化をはかっていきたい。同時に、今度の改正案では、非常に事務費のかかるところは、掛金を取るとか、あるいは金を払うとかいうことに金がかかりますので、その点は、農業協同組合に事務の委託ができるというようなことを一つ中に織り込みまして、経費の負担を軽くしていくということを考えておるわけであります。 それから二段階制、三段階制の問題でございますが、これは今度の法律改正の根本問題になるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、末端に通常災害の全部の責任を負わすという建前を通しますと、連合会の仕事はなくなるわけでございます。しかし、現実問題といたしまして、今まで検討いたしましたのはまだ農作物についてだけでございまして、あるいは家畜とか、蚕繭とか、そういうものについては、現に今でもまだ連合会の仕事は残っておりますので、団体の問題でもございますし、急に連合会をつぶしてしまうということをさしあたって考える必要があるかどうかという問題がございますので、とりあえず連合会につきましては、農作物についてはその評価の仕事はございませんが、家畜や災害については一応ありますから、その方は残しておいて、損害評価なり引き受けなりの仕事を連合会に委託して、そうして連合会の今までの知識と経験を使っていこうじゃないかということを考えておるわけであります。今後の問題としては、そういう状況で、根本的に検討しなければならぬというように考えております。
○小川(豊)委員 もう一点、協同組合の組合共済と農業共済とがごたごたして競合している問題がある。同じ農業団体でありながら、末端の農家にいくと、共済の方でやれ、これは家屋の問題が多い。こっちへ入れ、そっちへ入れと、実にこれは見苦しいのです。これはまた、発展のためにも統一すべきだ。どっちかにしなければならぬ。勢力関係で、なかなかあなたの方はできないだろうと思う。しかし、そういうことで、理論からいってこれは一本にすべきです。これに対して、あなたはどういう考えですか。
○荒舩委員長 坂村君に御注意申し上げますが、簡単明瞭な答弁を願います。
○坂村政府委員 仰せの通り、非常に見苦しい問題が農業団体の間にあるのでございまして、何とかしてこの問題をすっきりさせなければ、農民のためにもならぬということで、今度の共済制度の農業災害補償制度の改正と同時に、この問題は片づけたい、こういうことでいろいろ検討して参っておるのでございますが、御承知の通り、団体問題でもあり、政治問題でもありますので、そう簡単に片づかないわけでございます。従いまして、私ども、この法律改正を機会に、どうも関係者といいましても、簡単にこれを片づけるほどの関係者もなかなかおりませんので、農林大臣が責任を持って、ことしの九月末くらいを目途にしまして、この調整案を作ろうということで、本気になって取りかかるための農林省の中に一つの協議会といいますか、何かそういう相談相手を作って取っ組んでいこう、こういうつもりで考えております。
○小川(豊)委員 この点実はもっと掘り下げたいのですが、農業基本法まで作ろうというのに、自分の内部でかち合っているものを統一もできない。そんなばかなことはない。こういうものは直すべきだ。しかし、時間がないので、あとで資料で要求します。 そこで今度は土地改良の方の仕事についてちょっとお伺いしますが、あなたの方からこういう表をもらったのだが、この表を見ていくと、これは七年計画か何年計画か、この表で見ると、灌漑排水事業を見ても、直轄の干拓事業についても、これは七カ年計画で完成をするというけれども、ちょっと七カ年では達成できそうもない。十五年も二十年もかかるのではないかと思うのですが、あなたの方では、七カ年計画でできるというけれども、一体これは七カ年でできる見込みがあるのか、どうですか。
○堀説明員 そこに差し上げました表は、総括表でございますので、一見して七カ年以上かかるような形があるいは出ているかと思いますが、特別会計を作りましたゆえんのものは、今まで、土地改良がやり出してから非常に長くかかっておるというので、特別会計に載せましたものにつきましては、七カ年を目途として仕事をやっていこうということになっておりまして、一地区、一地区特別会計に載せましたことについて、七カ年でやれるような地区別の計画を実は立てているわけでございます。ただ、代行の干拓事業の一部分につきましては、災害その他の関係で、工事のおくれ等もございますので、実際問題といたしまして、七カ年で終わらないというものが起こることもあるかと思いますけれども、今後やりますものについては、今申し上げましたように、七カ年で終わるということを目途に仕事を進めておるわけでございます。
○小川(豊)委員 目途々々というが、これはどう見てもできないのだ。七カ年であなたは達成いたしますと、非常に気ばっておるけれども、どう見たって七カ年でできるはずはないと思うのだ、今までの経過から見ていると。従って、ここで特別会計に入れると、七カ年でこれを完成するという建前をとっているのだが、これを見ていると、とてもできっこはない。この中で、しかも変更しなければならないものが多々あるのではないか。長浦干拓を見ても、どうもそういう傾向がある。これは私の郷里だが、印旛沼の干拓を見ても、一体これを工業用水を目的にしていくのか、農業用水にしていくのか、ここにも問題が出てくる。ずっとこの表を見ると、ほとんどそういう形になっている。あと山田さんからの質問があるというから、僕は具体的な問題で聞いておきたいと思うが、印旛沼で、農林省は開墾塩業という会社に相当——二百町歩か三百町歩くらいあるじゃないかと思うが、払い下げている。ところが、それは戦前であったが、今度戦後に農地改革で農林省は再び国家買収をして、そして農民に農地として解放したわけです。開墾塩業は別に何もやっていないから、解放したらば、それを、これはあなたの方の親切だとは思うのだが、未墾地買収でやっておけば何も問題がないのに、牧野買収でやったから——今の水がびたびたたたえているところを牧野買収でやったから、相手方の開墾塩業から、牧野にあらずというので訴訟を起こされて、これは負けてしまっている。そうすると、そこの何百町歩という土地は、農民は、適法に払い下げて、自分で金をかけて農地にしたのだ、適法なのだから、これは自分の土地だ。ところが、国がそういう牧野買収でやったので、一審で負けてしまっているから、これは取り上げられてしまう。開墾塩業へ返ってしまう。こういう問題が起こっているから、農民の方でも、これはほうっておけないというので、農民の方ではこれに対する控訴をしているさなかに、あなたの方では——農民の方では、仕方がない、政府の手落ちでもって、せっかくこれは金をかけた土地なのに、取り上げられてしまったのでは困る。三千円や五千円で済むことなら、金を一反歩当たり出して、そうして解決しようと言っているところを、あなたの方で今度一反歩三万円か四万円で買い上げてしまった。そうすると、訴訟の進行中にはその一反歩というものは、当然国が買い上げたのが基準になって解決せざるを得なくなってくるのではないか、こういう心配が出てくる。一体何でこういうことが起こったのか。そうしてこれに対する対策はあなたの方でどうなさるつもりか。一体この責任は、農林省の農地局の責任になるのか、県の農林部の責任になるのか。なぜ未墾地買収をせずに、牧野買収でやったのか。そのことがこういう問題になってきている。これに対する責任の所在はどこにあり、これはどう解決するのか。農民にとってはこれはゆゆしい問題だと思う。これに対するあなたの方のお考えを聞いておきたいと思う。
○堀説明員 印旛沼の土地買収の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、開墾塩業株式会社という大正九年にできました会社が持っておりました私有地のうち、牧野として適当であろうと認められますものを、昭和二十五年三月二日に、反当平均百四十四円から、農地は四百八十円というような値段で買収をいたしたわけでございます。これは当時、牧野も、小作牧野と申しますか、採草地を農家に分けまして、肥料とか飼料とかにさせようという目的でもってやったことでございまして、お話のように、農家のために、その方が値段も安いし、有利であろうという配慮のもとに、自作農創設特別措置法四十条の二を適用いたしまして、牧野として買収をいたしたわけでございます。ところが、たまたま会社のから、この買収を不服といたしまして行政訴訟が起こり、またその現状が、その後いろいろな経済状況の変更から、牧野としての利用がなされていなかったというような点で敗訴となりまして、第一審は破れたわけでございます。しかし、私たちは、その問題は、趣旨がそういうことで、農家のために採草地として利用させようというつもりでそういう買収を行なったのでございますから、もともとの趣旨にかんがみまして、第一審の敗訴で屈することはできないという建前のもとに、地元の方とも話し合いをいたしまして、地元の方から再審の要求をいたしまして、ただいま係争中でございます。この係争につきまして、裁判所側の方でも、和解調停をしたらどうかというお話がございまして、ただいま農林省出身のお方々が調停員となりまして、これの手続をやっておりますけれども、なかなか会社の言い値と農民の値段との間に折り合いがつきませんで、まだ最終決着に至っておりません。そのときに、たまたま印旛沼の用地買収の関係で、昨年の九月用地買収をいたしまして、それが近傍類地価格の値段をもとといたしました関係上、反当二万円以上で買収するということにいたしまして、この係争に関しましては大へん不利な材料を提供したようなことになって申しわけない次第でございます。しかし、あくまでもこの問題は、後に起こりました買収とは切り離しまして、農民の権利を確保するように解決をしていきたい。具体的な方法その他について、目下研究中でございます。そういうように取り運んでいきたいと考えております。
○小川(豊)委員 あなたの方で、事情をよくわかっているのかしら。もと農林省で、東京農地事務局の用地官に桑原信雄という人がいたのです。この方は、今やめて農用地問題相談所というのをこの周辺に作っている。この人が骨を折って努力して、そうして払い下げから買い上げ等をやっている。だから非常に不明朗なんだね。それでこの方は、僕は訴訟のことを聞いたら、非常に会社側に対して有利な証言をしておる。農林省の用地官が払い下げて、そうしてまたそれを高く買い上げてやるような人があったというのは、これはゆゆしい問題です。 それからもう一つは、訴訟に負けた。一審に負けているのですよ。これはあなたの言う通り、牧野でやった方が農民は確かに有利であったから、それをやったのでしょう。ところが、未墾地でやっておけば何のことはないのに、牧野でやったら、牧野にあらずということで訴訟を起こされて負けてしまった。負けてしまったから、県の方も一つも手を出さないじゃないですか。今、あなたの答弁では、農民の側に不利にならないように努力しておるとおっしゃるけれども、どういう努力を陰でなさっておるか知りませんが、一審で負けたからこれは仕方がないといって、県も訴訟を放棄しようとしたのでしょう。そういうことをやったら、大へんなことになるじゃないですか。僕も幾らか関係して、訴訟を起こさしているわけです。自分は直接関係しておるわけではないが、ここで今問題になっておるのは百町歩、けれども、その他にたくさんある。開墾塩業で払い下げたのは、それが何百町歩という土地をみな農民が取り上げられてしまうでしょう。こういうことをしておいて、それでこれを放置しておくということはないはずです。僕がここでお聞きしたいのは、農民が払い下げを受けたのは、あくまでもこれは適法でしょう。未墾地であろうが、牧野であろうが、あなたの方は牧野と認定して払い下げたのです。従って、払い下げを受けた農民は、適法にそれだけの金を払って払い下げを受けた。あとは自分で金をかけて農地に造成して、今日農業を営んでおるのです。その手続が誤ったがために、訴訟は破れて、そのためにその土地が開墾塩業に返ったということは、これは農民としては莫大な損害です。この損害を、あなたの方では損害なからしめるために、どういう措置をとっておるか。それから訴訟ですが、あなたの方では、行政の面で解決でき得る問題ではない。従って、今度負けた場合に、農民の負担をあなたの方でどういう責任を償うつもりですか。答弁できますか。ここでしない方がいいですか。しない方がいいならいいで、僕は聞かない。
○荒舩委員長 答弁する方がいいの、しない方がいいの。
○堀説明員 一部分の答弁をいたします。ただいま和解の途中でございまして、私の方といたしましては、極力和解の方法でもっていきたい。その後の経過によりまして、農林省も責任を持ちまして善後処置を講じていきたい。こういうように考えております。
○小川(豊)委員 これは会社側では、一反歩当たり十万円といっておるのです。三万円で買い上げておる。そうでなく解決するなら、十万円になってしまう。局長のその答弁でいいですか。次官に聞いておきたい。今私の質問に対する御答弁でしたが、これは当然農林省の責任だと思う。あなたの方が払い下げたことから、こういう問題が起こった。そこでそういうことを解決するための努力は、当然農林省は県を通じてやってやるべきだし、その後これはどうなるか。これは私どもにもわからぬけれども、和解するなり、あるいは訴訟で負けて取られてしまった場合に、これは農民が、お前らはいくじがないから負けたのだ、これでは済まぬと思う。どうですか。
○八田政府委員 ただいまの問題につきまして、説明員から説明申し上げました通り、和解調停の線も出ておりますので、あくまで農林省といたしましては、農民の権利を確保する、この線に沿って、しかも、国家に損失ないような方法を誠意を持ってやっていきたいと考えております。
○小川(豊)委員 あと山田君の質問があるから、僕はこの問題はこれでおいて、次に資料だけ要求しておきましょう。これは食糧庁です。政府の売却実績というのは、三十四年度は約四百三十六万トン、それから三十五年度が四百六十九万四千トンです。これはいずれも、政府が登録卸売機関に売却した数量だと思うのです。石換算は私の方でするからいいのですが、そこで資料としてもらいたいのは、こういう点です。たとえば三十五年度四百六十九万四千トンは、業務用にはどのくらい、労務加配用には幾ら、それから病院用に幾ら、その他にどうだ、こういう各別の石換算を出してもらいたい。それから消費世帯が、通帳によって登録小売店から受けているわけですが、これは辞退をしているのもある。従って、三十四、三十五年度において正味辞配をしたのは、府県別に幾らくらいずつあったか、こういう点を出してもらいたい。これは仕事として手おっくうな仕事かしらぬが、農林省としては、各食糧事務所から当該の都道府県の毎月消費世帯の正味辞配量のパーセンテージというものをそのつど公表されていますから、農林省でもこの統計はとれていると思うのです。ちょっと手おっくうな仕事だと思いますけれども、きょうではどうせ済まないから、次の審査までにはこの資料を出してもらいたい。 あと三、四の問題をお聞きしたいのですけれども、これはきょうでなく、次会に譲ります。あと山田君が何か一点質問があるそうですからきょうはこれでしまいたいと思います。
○山田(長)委員 関連して。農業基本法が衆議院を通過いたしましたし、さらにこれに関連して、関連法規が次々と農林委員会へ提出される、こういう状態で、日本の農業は全く曲がりかどにきておると思うのです。こういうときに、社会党の農業基本法によりますと、土地の造成を要請してきたのですが、政府は、土地の造成についてはがえんずるところはなし、こういう状態です。今小川君の質問にもありましたように、土地改良の事業というものが——今度の基本法によりますと、裸麦には、一応補助金を出して裸麦を作るのをやめてもらうというようなことがある細目の法規が出ようとしている。土地改良の問題につきまして、かなりの地方でもって今問題が残っていると思うのです。そこで百億から土地改良に経費を使われておるようですが、これに対して各府県別に分けられている経費。それから聞くところによると、土地改良の組合というものは、五分の手数料のピンはねをやっているといううわさがあるわけです。これについてどういう事情になっているのか、資料の提出をお願いしたいと思います。それからもう一つ、農業基本問題の調査会が完成するまでの間に、三十四年度に三百万、それから三十五年度に二百万が消費されているようであります。さらにこの基本問題調査会の調査の最近の実情で、二千万の経費が使われているというお話でありますが、使われているとすれば、二千万の内訳をお知らせ願いたいと思います。これは資料です。 私が質問しようと思っております問題は、これはちょっとちゅうちょしておるのですが、農林省に伺う前に、実はこの間、外務の決算のときにも、海外移住の問題についてこの委員会でいろいろ政策的な意見も出たわけでありますが、特に農林省の外郭団体を見ますると、日本海外協会連合会に一千三百万からの補助金が出ております。それから国際農友会なるものに、やはり一千万からの経費が出ております。それから全国拓殖農業協同組合連合会に七百四十九万、それから農業労務者派米協議会に八百万の経費が出ておる。さらに農村更生協会にも、派米費及び派遣事務費などという名目で九百二十七万七千円、そのほか、農林水産業生産性向上会議、日本農業機械化協会というようなものに補助金が出ておりますが、これは大きな日本の国策的な見地で考えてみて、いずれも海外に移住者を送って、あるいは送るために訓練をするのに、こんなに六つの団体がばらばらに分かれて、これが海外に向けてお互いに競争し合っておるような形というものは、どうもつまらぬ小ぜり合いが起こるのではないかという危惧を持つわけです。そこでいろいろ発生に事情はあったと思いますが、発生事情はさておいて、海外に向けて移住をするという国策的な大きな見地に立って見た場合に、当然これは一本化すべき筋合いではなかろうかと考えるのですが、農林当局としては、これらについてどういうお考えですか。
○石田説明員 お答え申し上げます。 ただいまお話にございました諸団体、いろいろございまして、おのおのその分野に応じて働いておるのであります。今お話もございましたうち、機械化協会は全然別でありまして、拓植とは関連ございませんことは、御承知であろうと思います。ほかの諸団体、海協連は、一般移住者の募集選考及び訓練といったような面で活躍をいたしておるわけであります。それからいわゆる全拓連、これは農民団体といたしまして、国外の農民団体とも提携いたしまして移住を進めて参る、こういう仕事をいたしております。他面移民の中でも、移民だけでございませんで、海外に農業的に関係を持ちまする手段といたしまして、あるいは農民が海外に参りまして、現地で技術の交流をいたし、あるいは農業労務者が海外に参りましていろいろ仕事をいたすというような、いろいろな接触のやり方がございます。その場合に、農民自身が参ります場合、農業労務者が参ります場合というようなときには、アメリカ等におきましては、農業者の団体とそれから農業労務者の団体なり組織なりというものが全然別な形になっておりますので、こちらの扱う団体も違っておらないと工合が悪いというような点がございまして、ただいまお話のございましたような諸団体が、いろいろおのおのの分野に応じまして活躍をいたす、これに対して補助をいたしておるわけであります。 なお、生産性向上会議につきましては、ブラジルの農業事情というものを種々この生産性向上会議で海外農業の研究をいたしておりますので、ブラジル等の移民が参ります現地の十分なる研究をいたしていただくというようなことをお願いいたす、こういうような形に相なっておるわけでございます。 お話のございましたように、これらの点につきまして、なお今後諸団体の間に仕事の調整等が考えられないだろうか、さらに集中をすべきではないかというようなことにつきまして、いろいろ御意見がございます。この点につきましては、私どもといたしましては、移住関係の仕事が、一面におきましていろいろなわが国の置かれました条件、あるいは移民の行きます国の条件を考えまして、一つの大きな方針のもとに行なわれなければならないことはもちろんでございます。また他面におきまして、ただいま申し上げました農業団体自身が外国の農業団体と連携をとっておる場合というような側面もございます。かれこれ考えあわせまして十分検討を加え、今後この移民の問題につきまして、漸次さらに改善を加えるべき点は改善を加えて参りたい、かように考えておる次第でございます。
○山田(長)委員 私はなぜこの団体の問題を伺ったかといいますと、実はこの団体の中には、小人数で、どうしてもらった補助金の帳じりを合わせるかということを苦労しているところがあるそうです。どの団体であるか、私はここで名前を指摘することは避けますが、一体そんな実態がありとするならば、これはゆゆしい問題だと思うのです。おそらくこれだけの、一千万からの補助金が一つの団体に出ておるのでありますから、当局としても、この予算の使途がどういうふうな形で使われておるかという検査はしているだろうと思うのでありますけれども、海外貿易及び海外移住という問題がかなりやかましく最近なってきておりますときに、国民の血税がそんな形で消費されているとするならば、これはゆゆしい問題だと思うのです。 これは、私は委員長にお願いしたいのですが、この各団体の使われている予算の内訳を、当決算委員会に提出願いたいと思います。
○荒舩委員長 ただいま山田君の発言でございますが、よろしゅうございますな。その資料をいつごろまでにできますか。——月曜日までにできますか。
○石田説明員 はい。
○荒舩委員長 それじゃ、来週の月曜日までに資料を出してもらうことにいたします。 本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は、後日あらためて行なうことといたします。 明日は、自治省関係決算について審査を行なうこととし、これにて散会いたします。 午後零時五十五分散会