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38回国会衆議院1961/04/21

議院運営委員会 第30号

発言数
83
登壇者
12
会派数
4
開催日
1961/04/21

会議録

小平久雄自由民主党

○小平委員長 これより会議を開きます。  まず、回付案の取り扱いに関する件についてでありますが、内閣提出にかかる原子力委員会設置法の一部を改正する法律案及び科学技術会議設置法の一部を改正する法律案が、参議院において修正され、本院に回付されて参っております。回付案の内容について、事務総長から説明を願います。

山崎高事務総長

○山崎事務総長 二法案は、いずれも四月一日から施行することになっておりますが、すでにその期日を経過いたしておりますので、公布の日から施行することに修正いたしたものでございます。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 それでは、両回付案は、本日の本会議において議題とするに御異議ありませんか。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

小平久雄自由民主党

○小平委員長 次に、本会議において趣旨の説明を聴取する議案についてでありますが、日本社会党島上善五郎君外七名提出にかかる公職選挙法の一部を改正する法律案、政治資金規正法の一部を改正する法律案について、本会議において趣旨の説明を聴取いたしたいとの申し出があります。右両案につきましては、本日の本会議において趣旨の説明を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、公職選挙法の一部を改正する法律案外一件の趣旨説明は、島上善五郎君が行ないます。     —————————————

小平久雄自由民主党

○小平委員長 次に、緊急上程予定議案についてでありますが、委員会の審査を終了した議案について、事務総長から説明を願います。

山崎高事務総長

○山崎事務総長 地方行政委員会から、地方税法の一部を改正する法律案が上がって参っております。この案につきましては、社会党の方から、本会議におきまして修正案を議題とするような運びになっております。次に、外務委員会で、犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本国に設置することに関する国際連合と日本国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、続きまして、運輸委員会で、日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案、建設委員会におきまして、測量法の一部を改正する法律案がそれぞれ上がって参っております。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 それでは、ただいま事務総長から説明がありました各案は、本日の本会議に緊急上程するに御異議ありませんか。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

小平久雄自由民主党

○小平委員長 次に、ただいま緊急上程するに決しました地方行政委員会の地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党の太田一夫君外九名から修正案が提出されております。本修正案の趣旨弁明は、日本社会党の太田一夫君が行なうことになっております。討論につきましては、自由民主党の小澤太郎君から、修正案に反対、原案に賛成の討論の通告があり、また、日本社会党の二宮武夫君から、修正案に賛成、原案に反対の討論の通告があります。  討論時間はおのおの十五分程度とするに御異議ありませんか。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、採決は、修正案、原案とも起立によって行なうことといたします。     —————————————

小平久雄自由民主党

○小平委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長から説明を願います。

山崎高事務総長

○山崎事務総長 まず第一に、先ほど御決定願いました回付案につきましてお諮りいたします。共産党が反対でございますので、御出席ならば起立採決でお願いいたします。次に、ただいま御決定になりました趣旨説明聴取の件でございますが、社会党の島上善五郎さんから、選挙法外一件の改正につきまして趣旨の説明がございます。次に、日程に入りまして、これは内閣委員長の久野さんが御報告になります。共産党が反対でございます。次に、緊急上程をお願いいたしまして、地方行政委員長の濱田幸雄さんが、地方税法の一部改正につきまして御報告になります。引き続きまして、修正案の趣旨弁明を太田一夫さんがなさいまして、討論に移りまして、小澤太郎さん、二宮武夫さんの順序で討論がございます。採決は、まず修正案の採決、次に原案の採決、いずれも起立でお願いいたします。本案は社会党と民社党と共産党が反対でございます。次に、外務委員長の堀内一雄さんが、先ほど御決定になりました二件につきまして御報告になりまして、これは全会一致でございます。次に、運輸委員会理事の高橋清一郎さんが、日本開発銀行に関する外航船舶建造融資利子補給臨時措置法案につきまして御報告になります。共産党が反対でございます。次いで、測量法の一部改正につきまして、建設委員会の加藤委員長が御報告になりまして、これも共産党が反対でございます。  以上でございます。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 それでは、本会議は、零時五十分予鈴、一時から開会することといたします。     —————————————

小平久雄自由民主党

○小平委員長 次に、次回の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、二十五日火曜日定刻より開会することといたします。従いまして、次回の委員会は、同日午前十一時から理事会を開き、理事会散会後に委員会を開会することといたします。  この際、暫時休憩いたしまして、午後三時より再開いたします。    午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後三時二十一分開議

小平久雄自由民主党

○小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先般来御協議を願って参りました特別委員会設置の件について、本日引き続き御協議を願いたいと存じますが、この際、清瀬議長から発言を求められております。清瀬議長。

清瀬一郎無所属議長

○清瀬議長 開会に先だって一言申し上げたいことがございます。それは、一昨日社会党の山本国会対策委員長が議長室にお見えになりまして、目下懸案となっておるILO条約及び五つの法律案について、これらの議案はすでに先月二十五日提案されたにかかわらず、いまだ委員会に付託されていないが、各常任委員会に付託するように至急取り計らわれたいという申し出でありました。議長としては、副議長とも御相談申し上げた上で、本件については目下議院運営委員会で御協議中であり、せっかく御努力をなすっていられるところでありまするので、その結果をお待ちいたしたいと存じますと答えておいたのであります。なお、この旨昨日運営委員長にお話しいたしておきました。かつまた、議運においてすみやかに御協議を進められるように要望もいたしておいたのでございます。  右御報告申し上げます。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 ただいま議長よりお話がありましたが、本件につきましては、条約及びいわゆる関係法案が先月二十五日に提出されましてから、すでに一カ月近くなろうといたしております。当委員会といたしましても、今日まで委員各位に種々御努力をわずらわして参りまして、御承知のように、委員会においても三回にわたって論議をかわし、また連日のように理事会においても協議を重ねて参りまして、去る十八日の理事会におきましては、各党それぞれ党に持ち帰って相談しようという段階になっておったのでありまして、本日あらためて御協議を願う次第でありますが、特に、社会党から、本件の取り扱いについて内閣の所見をただしたいということで、大平内閣官房長官が出席されておりますので、この際、まず長官に対する質疑の後、御協議を願いたいと存じます。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 官房長官に政府の御見解をお尋ねしますが、このILO条約八十七号批准の問題は、今日本の国会で審議するのでありますが、単に国内の問題にとどまらなくて、御承知のように、ジュネーブにおけるILOにおいて国際的な問題になっておるわけでありますが、政府は条約及びそれに関連する法律案をお出しになっております。われわれは、関連する法案と条約とは必ずしも密接不可分のものではないという見解をとっておるわけです。そこで、この委員会において、われわれ社会党は、当然、条約は外務委員会において審議する、関係法案はそれぞれの常任委員会で審議することをもって足りる、こういう見解です。また、国会の運営をつかさどる当委員会としての考え方からいっても、これが、たとえばよく与野党で意見が対立していろいろな問題を起こしたような、二者択一というような、厳格な、取るか取らないかというような問題ではなくして、今この運営委員会の問題になっておるのは、特別委員会を作らなければ、とのILO条約並びに政府がお出しになった関係法案の審議の土俵の場がないというならそれはまた話は別ですが、便利、不便利という問題とか、自民党さんの考えというものは、それぞれの立場としてはわからないわけではない、しかし、国会運営の場として、特別委員会を作らなければこの条約は審議できないのか、ほかに国民の負託にこたえるところの審議の場がないかといえば、そうではない、そういう意味で自民党さんにお尋ねしたのですが、そういうような立場から言えば、必ずしも特別委員会でなければできないというものではない、こういうようなことです。そこで、条約、法律をお出しになった政府の立場から、国会運営のことは別として、ILO条約の批准という一つの条約案と関連法案を提出した政府の立場としては、条約を国会で通す、関係法案も国会を通すということは当然期待されて出しておる。国会のことは国会みずからきめることです。そこで、絶対のものとしてどうしても条約と関係法案とを一緒の土俵の上で審議して、一緒に国会を通ることがどうしても絶対不可欠のように政府は考えておるのか。裏を返して言いますと、条約はある日に審議を終了して、関係法案の方は、法案によっては簡単なものは早い、あるいはもっと先へいくものもあるかもしれません。これは予算案と法律案との関係と同じです。今年度予算案が、三月何日なら何日に衆議院を通って、予算に関係ある法案がくつわを並べてその日の本会議に上がるわけではない。予算案は先行するが、関係法案というものはあとに残る場合もある。あるいは逆の場合もある。条約と法案とはそれと同じことだと思う。そういうような意味で、国会運営の面において条約と関係法案も、予算と法律案の関係と同じように関係の委員会へかける、衆議院で審議されて参議院へ送る、多少その間にはずれというものがあり得る。政府としてはそれは望ましい形ではないかもしれない。一緒にちゃんと同じようにとんとんと衆議院を通り、参議院を通る、そういう形でなければ絶対に困る、そういうようにお考えになるのかどうか、その点です。多少のずれはやむを得ないのか、予算案と関係法案の関係と同じことであると思うが、その点の政府の腹づもりを一つお聞かせ願って、どうしても一本のもので、その間切り離すことができない、こういうようにお考えですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 ILO条約並びに関連法案は、今お話がございましたように、一カ月ほど前に御提案申し上げてあるわけでございます。この問題の御審議は、もとより国会の御管轄でございまして、政府から申し上げる筋ではないと思います。ただ、あえて、今柳田理事から、気持を言えというお話でございますので、申し上げますが、私どもは、柳田さんの言われる通り、ILO八十七号の批准ということは、国際的に見ましても、早くこれの成立をはかるのが筋だと考えておるわけでございまして、至上の目的をそこに置きまして、それを具現するためには、労使関係の現状からいきまして、また、ILO八十七号条約の精神から申しまして、この批准を全うするためには、これだけの体制的な整備をお願いしなければならない、最小限度のことをお願いしなければならないということで、不離一体のものとして御提案申し上げたつもりでございます。私どもといたしましては、この条約批准案と関係法案を一括して御審議いただいて、いち早く成立を見ることを期待いたしておりますが、くれぐれも申し上げますけれども、先ほど申し上げましたように、問題は、ILO批准という大業をなし遂げる上におきまして、これだけの最小限度の関連的な国内体制の整備はやらしていただきたいということでございまして、この大業をなし遂げるためにも、政府が、最小限度、苦心をいたしまして整備した国内法案でございますので、これを一括してお取り上げいただきまして、早急に成立を見るように御配慮を賜われば、非常にしあわせと思っております。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 した方がよい、ベターだということは、政府の立場としてはわからないわけではない。そうしてもらった方が好ましいと言われる、それなら、官房長官にわざわざ来ていただかなくても、初めからわかっておる。ただ、国会審議の場において、予算案をお出しになり、予算と密接不可分的な関係にある予算を伴う法律案の審議の場として、一つは予算委員会で審議する、一つは関係常任委員会で審議する、それが通例になっておる。関係法案は関係常任委員会で審議することが通例なんでしょう。国会法の建前からいけばそれが通例で、特別委員会を設けるのは、特に必要ありとわれわれが判断した場合にすぎない。通例の場合、予算案と法律案のように、多少その間に時間的のずれができますね、それであってはならぬ、こういうふうに政府はお考えになるのですか。予算と法律案とは多少のずれができますね。審議をやらぬのではないのです。やることはやっていくのです。その間、一つの法案といえども、条約と離れて国会の審議が進んでいっては困る、一緒でなければならぬ、そういうように突き詰めたお考えですか、それを伺いたい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど申し上げましたように、これは国会の問題でございまして、私ども申し上げるのは大へん口幅ったい申し上げ方でございますが、政府といたしましては、御審議をわずらわす以上は、十全の備えで御質疑に応じなければならぬ責任がございます。従いまして、総理以下各閣僚の各委員会への配分、動員等につきましても、一括して御審議いただいて、早急に成立をはかっていただくことを強く希望いたしておきます。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 それでは、もっと具体的に尋ねますが、たとえば、仮定の話ですが、条約は国会で承認した、関係法案は五つお出しになりましたね、三つはこの国会で常任委員会で成立した、あと二つは継続になった、そういう場合もあり得る、可能性としては考えられるわけです。条約は外務委員会で成立した、関係法案はそれぞれの常任委員会で全部成立したという場合も考えられる。ノーの場合も考えられるかもしれませんが……。条約は今の国会で承認、関係法案のうちのあるものは、あるいは少し延びて次の国会であとから追っかけて成立するということも、可能性としてはあり得るわけです。提案された政府としての希望はわかりますよ。通すために国会へお出しになった、とにかくこれは一蓮托生でなければ政府としては困るのだ、もしそのうちの一つ、二つ、三つが欠けるなら、これじゃ初めから出すべきでなかった、こういうふうに政府はお考えになっているのかどうか、その辺のところをお聞かせ願いたい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 冒頭にも申し上げました通り、ILO条約の批准というのは、われわれに課せられた大業でございます。従いまして、今のILO条約八十七号をめぐる各党の御意向、政府部内の意向をつぶさに検討いたしてみますと、この批准を達成するためには、最小限度これだけの関連法案は同時に成立を見なければ、ILO批准の大業は達成することがむずかしいという判断でございます。従いまして、私ども政府部内の取り扱いにおきましても、個々の条約と法律案を別個の取り扱いとせずに、一括して取り上げて検討し、決定し、かつ、同時に提案するという措置をとったわけでございまして、這般の消息から御推察いただけますれば、政府の考えておるところは御了察願えるのではないかと思っております。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 そこのところが不敏にして推察できぬのです。そこで、一括審議するとかなんとかということは国会がやることですが、もっと突き進んで言いますと、条約は国会で承認を得た、関係法案の一つないし二つ、それらのものがかりに次の国会で審議するということで残ったということでは、政府としては絶対に困るのかどうか、条約が上がるものならば、関連法案も全部上げてもらわなければ困る、逆に言えば、前の場合には、それならば条約も上げてほしくない、こうおっしゃるのですか、どうなんですか。条約が国会を通る場合には、その前提条件というか、必須条件として、関連法案というものは条約とそろって国会を通らなければ、政府としては立場上困るのか、それとも、そのうちの一ないし二が次の国会で成立するとか、少し時間的ずれがあるというようなことならば、政府としては、それならば条約もそのときまで延ばしてもらいたいのか、条約が上がるときには関連法案も一緒に顔をそろえて出てくることが、政府として必須条件であるのかどうか、簡単な結論だけを聞かして下さい。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほどから申し上げたところで御了承いただきたいと思うのでございますが、条約批准というととが目標でございます。しかも、この条約につきましては相当広い幅の各界の御意見があるわけでございまして、そういったものを、政府の方で苦心いたしましてしぼりにしぼって、最小限度の関連法案を仕上げまして、この条約批准の成功を期待いたしておるわけでございます。従いまして、関連法案に御反対される向きがあることもよく承知しておりまするが、その方々にいたしましても、八十七号条約の批准ということはぜひやらなければならぬという大義があるわけでございますから、それに焦点を置いていただければ、私どもがただいまお願いし、期待いたしておりますことも御理解をいただきまして御審議を願えるものと私は考えます。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 官房長官は政府の代表者の立場で国会に対する期待は、それは承わりました。それはそれでもうけっこうです。立法府も行政府の期待にこたえるべきはこたえるように、われわれの方も常々これ以外にも努力しておる。期待はもうけっこうです。ただ、今言いましたように、提案者として、かりそめにも、関連法案の一ないし二、あるいは一部でも条約と同時に国会の審議の上の成立なら成立とか、そういう姿をとらなければ、肝心の条約も一番最後のものがゴールに入るまでずっと待つ。条約というものは、国会が承認を与えて、政府の行為として批准されるのでしょう。その批准はそこまで延ばすのか。とにかく、条約と関連法案とが今スタートを切った、ゴールに入るときは同着ですとんと入らなければ、あとが来るまでちょっと待っておるのだ、同着になってすとんと入るのでなければどうにもならぬのか、関連法案五つと条約とが一着から六着まで同着でなければならぬと、提案者として思われるのですか。多少その間にあとから着くものがあってもやむを得ぬ、こういうようにお考えになっておるのですか。その辺のところを承わっておかぬと、われわれは、国会運営の場として特別委員会を作る上において、そこがきめ手になる、やはり提案者の意思をつかんでおかなければ、あなたの方でボールを投げかけられたのですから、われわれは、それから問題が出発しておるのですから、提案者の意思を確かめておかなければ——どうしても同着で行かなければ工合が悪いのか、多少あとから来るものがあってもよろしいのか。もしあとから来るものがあるならば、ゴールの一歩手前に待っておって、同時に入る、どうしても一緒にテープを切らなければならぬものかどうか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 ILO条約の批准ということが大事だから、それが万一不成立に終わるようなことがあってはいけませんので、私どもがただいままで苦心配慮してきたところでございます。あえて申しますれば、関係法案として提案して参りましたものも、柳田委員のおっしゃる必須の条件と心得ておるわけなのでございます。

下平正一日本社会党

○下平委員 官房長官に二つ三つお伺いをしたいのですが、御承知のように、ILO条約の批准ということは、ただいまの池田内閣に始まったことではないわけです。ずっと以前、今から四、五年前から、ILO条約の批准というものは国際的にも国内的にも問題になったわけです。そこで、当時の岸内閣としては、このILO条約問題を処理するために諮問機関を設けたわけです。御承知の労働問題懇談会という諮問機関を設けて、一年有余にわたってこの懇談会が慎重審議をして、その結論を御報告になったわけです。それに基づいて、岸内閣としてはILO条約の批准を前々々国会に提案いたしました。今度池田内閣がILO条約をこの国会に提出するにあたって、岸内閣当時とってこられた労働問題懇談会なり、その他の関係法規の整備なり、そういうものを大体引き継がれて今度の国会に提案をされたというふうに聞いておりますが、その間の経緯はどうなんですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 おっしゃるように、引き継ぎましたことは事実でございます。引き継ぎましてから政府・与党内で相当の時間をかけて念査いたしまして、多少の変改を加えたところがございますことは、御案内の通りでございます。

下平正一日本社会党

○下平委員 そうすると、ILO問題始まって以来の経過というものはおよそ了承して、ただ若干部分的の修正があるということは私も承知しておりますが、大筋としては、労働問題懇談会の答申に基づいて、それぞれの関係法の整備とか、あるいは条約の批准を国会に承認を求めておるのだ、こういうふうに理解してよろしいと思うが、それでよろしいですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 さようでございます。

下平正一日本社会党

○下平委員 もう一つお伺いしたいのは、一九六一年の二月二十一日に日本政府としてILOに書簡を出しております。正確に言うならば、ILOの結社の自由委員会に対して日本政府として書簡を出されております。ILO条約を批准いたしますというその書簡の内容は、大体官房長官は御存じなのですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 拝見した記憶があります。

下平正一日本社会党

○下平委員 その書簡をちょっと読んでみますと、こういうふうになっているのです。これはILOの結社の自由委員会の第五十二次報告なんです。そこで政府の真意というものが書簡で届いておるのです。それを読んでみますと、日本に関するケースについては、委員会に一九六一年二月二十一日付の政府からの書簡が提出されており、その中で、政府は、日本国総理大臣が一九六一年一月末再開された通常国会初頭の施政方針演説において、一九四八年のILO八十七号は批准をする、こういうことを施政方針でやり、かつ同書簡は、「日本政府は前記の基本方針にもとづいて今期国会」ただいまの三十八国会であります。「今期国会に一九四八年の結社の自由ならびに団結権の擁護に関する条約八十七号は関係法規の改正とともにこれを提案をして承認をする」こういうことを再確認した文書を出しておるのです。この文書を御存じだと思います。そこで政府の所信を聞きたいと思いますことは、労働問題懇談会の答申というものは官房長官御存じでしょう。その労働問題懇談会の答申を尊重し、ILO条約はそれを基盤にしてこうやってきたんだという経過のようです。同時に、結社の自由委員会に対しては、ことしの二月、今度の国会で承認をしますという約束をなされたことも御承知の通りだと思います。  そこで、私は二つ三つ政府にお伺いしたいのでありますが、今、国会の状況というものは、御承知の通り、提案をされた法案が今日で二十八日を経過しておるわけです。そこでわれわれも一生懸命努力をしておりますが、今政府にお伺いしたいことは、労働問題懇談会の答申というものは、当委員会でも議論をされた通り、明らかにILO条約に関しては直接的に改正すべき個所というものを第二項に明示してある。それは公労法の四条三項と地公労法の五条三項である、こういうように明示してあるのです。そうして第三項にいって、その他いろいろ経済情勢その他で改善をすべき考慮しなければならない問題点もあるが、それはしかるべき機会にこれを改善しろと書いてあるのです。そこで、政府は労懇の結論というものを受けて条約を批准されたいという立場に立てば、問題がすなおにいけば別ですけれども、今議運でもめておるようなこういう現状にありますと、ひょっとするとILO条約の批准もあやぶまれてきておる現状でありますので、私は、官房長官に、この労懇の答申というものをどの程度まで尊重されておるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど柳田委員にお答え申し上げました通り、私どもは、LLO八十七号条約の批准ということは当面非常に大事なことである、国内的にも国際的にも大事なことであるという認識に立ちまして、労働問題懇談会の御趣旨を現実に政治の面で具現していく上において、どうすればいいかということで苦心して参ったわけでございます。各方面との折衝がございまして、これだけのかまえで参れば、労働問題懇談会の御答申の趣旨を現実に具現することができるのではないかという考えに立ちまして、今日までやって参ったわけでございますので、今御質問がございましたその懇談会の御答申の趣旨には鋭意沿うて努力いたしてきておるわけでございます。

下平正一日本社会党

○下平委員 あまり内容に入りませんけれども、私どもの言いたいところは、国会はこの問題でもめておるわけです。もめておるというのは、実は焦点は労働問題懇談会の問題にあるわけです。関係条項は、ILO条約批准に伴っての廃止条項、直接条項は四条三項、五条三項、これは廃止すべし、明確にこういう文章になっておるのです。その他、労働関係、労使双方の関係を円満に行なうとか、あるいは業務の正常な運営をするという問題があるが、それは別の機会でやれと書いてある。そこで、ほんとうにILOを承認するという立場をとるならば、答申に忠実であるならば、私は、ILO条約審議と関連する直接義務事項だけを、ほかのものと——審議しないとは言わない。それを一本にしても早く上げてやらなければならぬという立場に立つのが、答申に忠実なやり方ではないか、こう思うのですが、その点はどうですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 下平委員の御発言、よくわかります。そういう考え方も私は筋が通った考え方と思います。ただ、私どもは、ILO八十七号条約をこういう状況のもとで具体的に実現していくには、少なくとも最小限度これだけの改正をしていただかないといけないということをあわせてお願いしないと、本体の条約批准ということが成立しない状況になると困りますから、そういう意味で、現実的配慮に基づいてやってきたわけであります。

下平正一日本社会党

○下平委員 そうすると、官房長官は、答申に基づく場合に、直接的なILO条約の抵触事項、これは四条三項、五条三項ということはお認めですね。それ以外に、国政をあずかっておる政府の立場として、関連するような事項というものを別に考えておるのだ、こういうことだと思うのです。  そこで、もう一つお伺いしたいのは、ILOの委員会にわざわざ書簡をお出しになって、しかも、今国会が開催されておる最中に、この委員会に対して、条約は批准をいたします、こういう書簡を出しておるわけです。そこで、これは柳田委員の質問とやや似通ったことになって大へん恐縮でありますが、政府の所信を明らかにしてもらいたいのです。ILO条約は、やはり国際信義上も、この際この国会において承認をすべきだ、承認をしなければならぬ問題だと僕は考えておりますが、この点について政府はどう思っておられますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 その通りと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井(吉)委員 ちょっとお伺いいたしたいのですが、その前に、このILOの問題は、自民党も、もちろん政府側と同様に賛成の意向だし、社会党も賛成だし、民社党も共産党もみんな賛成なんです。いつでも国会は全会一致の姿で通せる態勢にあると思うのです。ただ、それがどうしても一緒に特別委員会を設けなければいけないということで、二十八日間もこうやって時間を空費しておるのだと思うのです。だから、ILOそのものはいつでも通せる立場にあるという理解の上に立って物事を考えていかなければならぬのではないかと思います。そこで、さっき柳田さんからいろいろお話がありましたが、ILO条約と、関連法案と称されておるものと、一体どちらが大事だと政府はお考えになっておられますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 どれが大事で、どれが大事でないということはありません。一体としてILO条約の成立を期するために、これだけはぜひお願い申し上げておるという趣旨でございます。

安井吉典日本社会党

○安井(吉)委員 そこで、どちらも大事、大事でないという区別はないとおっしゃるわけですが、しかし、日本国憲法は明らかに条約優位の原則を立てておるわけです。つまり、憲法論として一元論と二元論があって、二元論を言う学者もありますけれども、大体通説は一元論で、つまり、法律よりも条約が優位にある、それが通説です。条約は憲法よりも弱く法律よりも強しというのが、今の通説です。政府の見解もたしかそうなっておるはずであります。それから考えますと、ILO条約さえ通してしまえば、今ILO条約に関連する法律で改正しなければいかぬというものが、公労法四条三項、それから地公労法の五条三項も改正しなくてはいけませんけれども、たとえその改正がおくれても、ILO条約が通れば、そういうものは当然失効するわけです。あるいはまた、今政府が関連法案としてお出しになっておる五つのものの中にも、われわれは、むしろILO条約に違反する内容を持っておるものがずいぶんあると見ております。そういうものも、ILO条約が通れば失効するのです。だから、そういうことからすれば、先ほど来、官房長官が、目標は条約批准である、当面大切なことは条約批准だと言われましたが、そういうものに私はむしろウエートを置いて考えていかなければいけないと思うのです。ですから、そういうような条約と法律との性格について政府はどういうふうに御検討をされておりますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 私は法理論はよくわかりませんが、ILO条約の精神を生かし、労使関係をその精神に沿って育成していくためには、われわれが今関連法案として考えておることは、ILO条約に違反しないのみならず、その精神をより生かしていくものと心得ておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井(吉)委員 私は、官房長官の御意見はちょうど正反対に、あべこべに考えなくちゃいけないと思うのです。あくまで大事なのは条約であって、条約に関連のないようなものまでそれにくっつけてお出しにならなければならないというところに、政府は今非常な無理を冒されておる。ですから、労懇のあの問題の中にも、明らかに二つに分けておるわけです。われわれは、別な関連法案と称せられておるものは、これには反対であるわけですよ。反対ではあるけれども、政府が御提案されるのを、われわれは阻止する力はない。ですから、あくまで、条約というものがそういうふうな性格を持っておるというところから、私どもは問題のこの特別委員会設置の問題も解決のめどを見出していかなければならないと思うのですが、それは一つこちらの方の問題として、私どもの方の議運でやりたいと思います。

阪上安太郎日本社会党

○阪上委員 先ほどから官房長官は、ILO条約と、今出されておる関係法案は密接不可分だということをしきりに主張されておりますが、よく伺ってみると、全く法的根拠というものはない。そうして密接不可分の考え方がいい悪いは別として・条約を通すためにどうしても密接不可分だという言い方なんでしょう。言葉をかえて言えば、あるいは党内事情なんかもそれにからまるのじゃないかと私は考えるのですが……。一つだけ伺ってみたいと思うのです。私自身としては重要なポイントだと思っておるのですが、そういう考え方で、この関係法案というものは同時に上がっていかなければ、どうしても条約は通してほしくないのだという結果になろうと思うのですが、そういう密接不可分の考え方というものは、この関係五法案はこの条約に対する一つの条件つきの形で承認されるということになりはしないでしょうか。そういうことについて、この機会に官房長官の御所見をちょっと伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 先ほど申しましたように、ただいま私の申し上げたことに対して、また真正面の御見解もあるように、この問題につきましては、非常に幅の広い見方がございます。従いまして、ILOの批准を成功させるためには、そういうもろもろの意見を消化いたしまして、可能なぎりぎりの線を考えていかなければいけない。あくまでも私はこれでなければ——もうILO批准は、この関連法案を通していただかなければ、ILO批准が成立しなくてもいいのだというふうな、ぞんざいな考え方では決してないのでございます。むしろ逆に、この条約の批准を成功的に完了せしめるために、こういうことはぜひ、いろいろな御議論がございましょうけれども、私どもの見解として、ぎりぎりのこの線までは御承認いただきまして、この批准が成立することを強く希望しておるわけでございますので、その気持はおくみとりいただきたいと思います。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 それでは官房長官、今回われわれ自主的に国会の審議をきめます。それで、特別委員会の設置についても、この議運では申し合わせをしたのです。それは、必要やむを得ざる場合、全会一致の場合、こういう申し合わせを三月の二十五日にいたしまして、さらに四月四日に、従来からの申し合わせをほんとうに履行していこうということを確認いたしました。そこで、国会のことですから、官房長官に直接関係ありませんが、われわれ国会で御希望通りに審議して、ILO条約は、おそらく、急ぎますならば、ものの可能性として考えるならば、ここ数日中にも衆参を通せといえば通せる。衆参とも、全会一致で通そうと思えば通せる。それから今度は関係法案も、五月二十四日までの会期で通る場合もあります。それは困るとおっしゃいますか。あなたはまだ吉田さんほど偉くなっていないので、仮定の質問には答えられぬとは言わぬだろうと思うが、ILOは、衆参とも全会一致でもう数日中に通ってしまいます。それから関係法案も、追っかけ、あなたの御希望のように今国会中に衆参を通るということも、可能性の問題として考えられる。それは政府としては困る、こうおっしゃいますか、どうですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 非常に微妙な問題でございまして、それは国会の方の御良識の問題かと思います。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 そういう場合に、提案者としてはそれは困る、こうおっしゃるのですか。そういう姿は困るとおっしゃるのですか。提案者の御意思はどうですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 今国会中に、条約案も関係法案も円満に議決成立を期待いたしております。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 そのときに時間のずれができますね、それは困るとおっしゃるのですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 それは国会の方の問題でございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 いや、国会の問題じゃなしに……。それをこれ以上押し問答しても仕方ありませんが、このILO八十七号条約というのは、タイトルにもありますように、結社の自由と団結権の擁護の国際条約ですね。それはおわかりでございますね。そこで、今度お出しになった政府の法案の公労法等を見ますと、中には、争議行為を行なうことを内容とする組合の一切の決定、指令は、組合役員、組合員を拘束しない旨の条項が入ったり何かしておるわけだ。私は、専門家でないあなたに、労働大臣でないあなたに、そういうことを聞こうと思いませんが、要するに、政府のお出しになっている法案には、争議行為云々ということがあるわけなんです。すなわち、労働者の争議権に触れた問題があるわけです。ILOの条約というものは団結権の擁護、結社の自由、政府の関連して出された法案の中には、争議行為云々という内容があるわけです。労働者の争議権に触れておるわけです。あなたは、先ほどから、ILO八十七号というものは非常に広いものだからと言われるが、八十七号というものに対しては、そういう団結権の問題もあれば、そのうらはらになるところの争議権の問題も、やはりこれは政府としては当然考えていかなければならぬと、こういうようにお考えになっていますか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 御提案申し上げました法案の内容につきましては、政府でも、各専門家の知能を動員いたしまして、自信を持って御提案申し上げたつもりでございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 いやいや、今私が例示しましたように、団結権と争議権とうらはらになっておる。条約は団結権の擁護だが、出された法律の案文には争議行為の内容も掲げておるわけだ。従って、そういうものが出ておるということで、ILO八十七号の批准ということに関しては、政府は、そのうらはらになっておるところの争議行為のことだけでも一応規定をしておかなければ、ILOというものの批准に対しては万全でない、こういうふうにお考えになって政府は出されたと思いますが、それで間違いございませんか、こういうことです。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 現在の日本における労使関係の現状からいきまして、この程度の規制は最小限度のものだと考えております。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 ところが、官房長官、労働問題懇談会の政府に対する答申には、こういうことを書いていますね。団結権と争議権は密接な関連を持っておるが、ILO八十七号条約は直接争議権の問題に触れたものではない——可分であると書いてある。直接争議権の問題に触れたものでない、これが労懇からの答申なんです。だから、八十七号の結社の自由と団結権の擁護というものは、その団結権の擁護の裏には、争議権とは密接な関係はあるけれども、直接には触れたものではない。だから私たちは、それが密接不可分だとは思っていないのです。ところが、政府がお出しになったものは、こう出てきておるわけです。そうすると、これはやはり密接不可分と考えてお出しになったのですか。かりに政府の出されたのが密接不可分としてお出しになることは、政府の言われる、労懇からの答申は尊重しますというのが、ここにおいて尊重されておらぬ。専門家でないあなたにこういうことを言うのは、私も非常にあれですが、そこに問題があるわけです。これは本来は議運でやるべきではございません。しかし、こういうことの理解に立たないと、この国会運営として御参考までにお聞き取り願いますが、国会運営の場としての特別委員会の一本の姿、土俵でなければならぬということの議論を進めていく上においては、どうにも話が進まぬわけです。そういうふうに考えてくると、われわれは、これは深い関連のあるととはわかりますが、密接不可分のものではない、これが一つ。ものの解釈としてですね。それから議会運営の立場で——あなたも一個の衆議院議員として御理解願えると思いますが、この議会運営の立場としての特別委員会、このことは直接的には関係ありませんが、特別委員会を作らなければ、もうほかに土俵がないのだ、国民の負託にこたえる場がないのだというのなら別ですが、それは関係委員会があるわけです。必ずしも土俵がないわけではない。政府の立場からいうならば、好ましい姿としては、特別委員会という一つの土俵の上で審議して、一つの姿で、今言うように六者同着の姿を好ましい姿としては望まれても、それは希望にとどまる。だから、ものの考え方としては、その間に、あるいは十秒一でゴールに入るものもあるし、十一秒でゴールに入るものもある。五月二十四日までの会期で、五月二十四日に通るものもあれば、あるいは五月の上旬に通るものもあるということもあり得るわけだ。だから、元へ戻りますが、そういう姿のところへ、政府としては、提案者としては、あえてそういうことまでも立法府に御要請されることは、これは行き過ぎではないいか。出された以上は、国会が審議して成立することを望むというのでありますから、それに協力しますが、どこまでも一緒でなければ政府は困るのだという、先ほどのあなたの言明というものは、立法府に対しては行き過ぎじゃないかと思うのですが、これはどうですか。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 国会の問題でございますから、初めから申し上げるのは適当じゃないと思っておりましたが、あえて気持を言えということでございましたので、率直に私ども政府の考えておるところを申し上げたわけでございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 そこで、率直に言われましたが、じゅんじゅんと条理を尽くして言うならば、今の段階においては、今あなたは率直にもう一ぺん言われるならば——そういうふうに事を分けてじゅんじゅんと話を聞けば、なるほど、政府としても、条約と五法案とが同時に国会をすっと通るということ、そこまで言うのは政府としては言い過ぎでございますというくらいのことは、あなたも率直にお認め願えましょうね。

大平正芳自由民主党内閣官房長官

○大平政府委員 今国会におきまして、条約案と法律案が全部議了成立することを願っておるわけでございます。それ以上のことはもう……。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 官房長官に対する質疑はこの程度といたします。  それでは、引き続き特別委員会設置の件について御協議を願います。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木(秀)委員 ただいま社会党さんの方から、官房長官に対して、いろいろ関連性の問題、あるいは政府の考えておること、また、五法案を提出した政府の気持というものをお聞きになったことで御承知の通り、政府自体としても、ILO八十七号条約と同時に他の五法案も同時成立することを皆様方にお願いしたい、こういう御発言でございまして、われわれもまたそれをいまだに変えていないわけでございます。同時にまた、先般議運の理事会におきまして、もうすでに二十数日間もこれを討議しているのであるから、各党においてだんだんと結論を得るために、はたしてこのILO条約の特別委員会を作ることはどうしてもできないのか、あるいはまた、このILO特別委員会を作って、その特別委員会の中でどの程度の関連法案を同時審議するか、あるいはまた、社会党さんのおっしゃるように、各法案あるいは条約を各委員会に別々に御審議を願うか、それから、わが党が主張しているような特別委員会を設けていただいて、全部一括して御討議を願えないかというような問題について、それぞれ党に持ち帰って、次の会合までに一つ相談しようじゃないかということでございました。われわれといたしましても、でき得る限り特別委員会を作るということについては話し合いでいきたいというととはいまだに変えておりませんので、皆様方に重ねてお願い申し上げているのでありますが、ただ、議論をしておりますと、どうもそこに非常な見解の相違がありまして、たとえばILOを批准するということにつきまして、労働問題懇談会でいろいろきめられたことを今お話がございましたが、われわれといたしましても、このILO批准に伴いまして、労働問題懇談会の答申というものを十分検討してみたのであります。先ほどから柳田さん、下平さんからお話がございましたが、いろいろ取りよう見ようによっては、答申を自分の有利な方にばかりとる傾向がございます。たとえば、小委員会の報告は、ILOの批准について、批准をするかしないかでこの答申を求められたのじゃないということを小委員長の前田さんが報告しております。要するに、批准をするということは、すでに内閣が前にきめているのだ、批准をするについて国内法をどうするかということのいわゆる答申をしたのだということを申しておりますと同時に、また、われわれといたしましても、そうでなければならないと思いますし、また同時に、公労法の第四条第三項とか、あるいは地公労法の第五条第三項とか、こういうものは、ILOが批准されれば義務的にどうしてもやらなくちゃならない問題なのでございまして、これは当然この条項にはっきりとうたわれることは事実なんです。しかし、それにいたしましても、この答申のうちの公労法の問題についても、その四番目に答申されておりますが、公労法第四条第三項を削除することに伴い、要するに、公労法中のその他の規定について所要の技術的な調整を加えることということをはっきりうたっておるのですね。四条三項を削除すると同時に、それに伴う所要の技術的な調整を加えなくちゃならぬということで、読みようによっては、どうしても国内法の整備というものは、われわれは不可分のものだという解釈をせざるを得ないのであります。それからまた、先ほどの国内法の整備の問題でございますが、これは石井さんの報告でございますが、「ILO第八七号の批准は、国際的法規の尊重を明らかにする立場に立つものであるから、かかる措置がとられた場合に、関係労使が、今後とも国内法規を遵守して公共企業体等の業務の正常な運営を確保するものであることを前提として」と、こうあるのですね。そうすると、要するに四条三項、五条三項というものは義務的にこれは削除されるのだが、それに伴って必要な措置をとることが望ましい、これが答申だということをわれわれは考えるわけです。たとえば、国内法の整備を前提として、これはありますね。それから四条三項の場合も、四条三項を削除することに伴い、要すれば公労法中のその他の規定についても所要の技術的な調整を加える、こう書いてあります。そうすると、政府といたしましても、われわれ与党といたしましても、この四条三項なり五条三項を削除することに伴う必要な措置とは何かというと、今提出しておりますこのもろもろの法案が非常な関連性があるという見解に立っているわけであります。そういうことでわれわれも党とも相談し、あるいはまた、われわれこの議運の中においても十分皆さんの御納得のいくようなお話を申し上げて、特別委員会設置の御理解を願いたいということで参ったのでございますが、今の現状のままではどうしても不可分の関係が強いということの結論になっておりますので、われわれの主張は、決してただ単にILOを批准するために、ただ便宜主義とかなんとかばかりでなくて、非常な関係が深いという結論を持っておりますので、一つぜひ皆さん方もそういう考えのもとに立って、われわれの特別委員会設置の要望に対して御同調を願いたい、こう思うのでございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 また話がこの前の委員会のときに戻りましたが、今佐々木さんから言われたことが速記録に残されて、これを黙っておったら、暗黙の承認を与えることになりますから、これは一言なかるべからずで、一つ言うておきます。労懇からの答申は、「一、ILO第八七号条約は、批准すべきものである。」これは義務づけである。マスト・ビーだ。批准すべきものである。これははっきりしておる。それから「二、右条約を批准するためには、公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を廃止しなければならない。」これもマスト・ビーです。それから「この廃止にあたっては、関係諸法規等についての必要な措置が当然考慮されることになるであろうが」云々、「なるであろうが」というところに対しては、御承知のように、答申が出る前に、使用者側の方から、関係諸法規などについて必要な措置が当然考慮されるべきである、マスト・ビー、そういうふうにしろという意見がごうごうと出ましたが、それはそうではないということで、「当然考慮されることになるであろうが」というふうにやられたことも、先刻御承知の通り。その点をまず念頭に浮かべて、それから「三、ILO条約の趣旨とする労使団体の自主運営並びにその相互不介入の原則がわが国の労使関係においても十分とり入れられるよう、別にしかるべき方法で、現行労使関係法全般についても、再検討することが望ましい。」「再検討すべきである」ではない、「することが望ましい」ディザイアブルです。しかも「別に」というふうになっておる。読み方はいかようにも読めます。それは、国家安康という、方広寺かどこかの鐘を、時の御用学者が、徳川家康を調伏するものだというようにまで読んで、とうとう豊臣家をぶつつぶしたのですから、読み方はどうにでも読めますが、すなおに読めば、ここでは「別に」と書いてある。ひねくって読めば、どのようにでも読めます。それこそ、地球は三角にでも見ようと思えば見えるわけです。しかし、少なくとも、サギは白い、カラスは黒いという目と心さえあれば、これはあなたの言われるような密接不可分とはわれわれは考えておらぬので、われわれ社会党の方の考え方は、カラスは黒いものだ、サギは白いものだ。しかし、中には黒いサギがおり、白いカラスもおるではないかと言われれば、何をか言わんやでありますが、この前の話の蒸し返しになりますけれども、あなたも言われましたから、われわれの見解も一応言っておかなければならぬ。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木(秀)委員 これは議論になりますが、私がまるで黒いのを白いと言っておるような議論をされますと、私も一言なかるべからずです。それは、ILOを批准すべきであるということは前からきまっておることで、批准するのに伴って答申を求めたのでありますから、これは問題はありません。これは社会党も、わが党も、政府も、あるいは三者構成の労懇においても、批准するということはきまっておることなんです。それから第二の、要するに、地公労法第五条第三項あるいは公労法の第四条第三項というものは、ILOが批准されたら、当然、義務としてこれは削除されるのですから、これに対してはっきりうたえることは当然です。しからば、もろもろの措置とは何か、国内法の整備とは何かということになると、この懇談会は、要するに行政をあずかっているものでもありませんし、どことどこと改正しろというような具体的なものを出すわけにもいかないので、三者構成の懇談会の答申には、国内法を整備するとか、措置をとることが必要だとか、言葉は断定的にはしていないが、そういうことです。必要なことは当然認めておるわけです。内閣が、その精神に基づいて、その答申を尊重して出したのが今回のいわゆる五つの法案だ、こういうように私は解釈しておるのです。要するに、三者構成の懇談会においてこれとこれというように断定することは、その範囲も広うございますし、あるいはまた、行政をあずかっておる内閣として、いわゆる国民の立場から考えて、どの程度までにするか、先ほど官房長官は最小限度ということを取り上げたのですが、最小限度にするか最大限度にするかということも、やはり内閣としての見解であり、また与党としても、どの程度までにすることが適当であるかということを考えるために、そういう文字の現われ方によって関係が薄いんだというような断定は、私は下せないものと考えておるわけです。

下平正一日本社会党

○下平委員 議論が少し蒸し返しますが、佐々木さんはちょっと勘違いをされていると思う。懇談会の答申に基づいて、労使関係が正常化される、関係法規を直すということが懇談会の希望条項であろうとも何であろうとも、とにかく、政府の見解として出されることに毛頭反対はしていないのです。その点は間違ってもらっては困る。出すことがいかぬとかいうことは言っていない。僕たちは反対であるけれども、政府の見解として、関連五法案は関係があり、答申案にいうところの、別に審議しろというものに該当する、こういう理解については僕らは関係委員会でやるつもりでおるのです。その点は誤解してもらっては困ります。決して反対して言っておるわけではない。問題は、今審議しておるのは、審議の土俵の問題です。審議の土俵というものは、便宜上の問題だと思います。今佐々木さんの方から、再提案といいますか、再要望といいますか、されましたが、ぜひ一括して審議してくれということは、審議に都合がいいから、便宜上、審議の土俵を一本にしてくれ、こういうことだと思います。そう理解しております。そこで、審議の土俵の問題については、どっちにも便宜がある。もっと言うならば、いやな言葉だけれども、党利党略がある。たとえば、審議の土俵についての今までの審議の経過を見ても、それが出ていると思う。たとえば三月の下旬から今月の上旬にかけては、自由民主党、政府の側では、何でも早く審議を始めよう、新聞報道が真実でないとしても、十三日には強行採決するとか、十四日にやるとか、ILO批准について早くやるというかまえであった。ところが、ここ数日来、このかまえがまるきりなくなってしまって、連休明けに持ち越した方がいい、しいて言うならば、農業基本法と防衛二法を通さなければならぬから、ILOでごたごたしたのではたまらぬからほおかむりしよう、こういうふうになった。まるきり便宜主義です。そこで、便宜の問題は別といたしまして、土俵の問題で審議するなら、採決をやってみたってどうにもなりません。率直に言いまして、政策の問題でお互いに意見を重ねてきめかねるときには、採決は理論上あり得ます。政権をとった政府が、多数の国民の意思にこたえるという強い判断のもとにこの政策をやろうという場合には、採決はあり得る。私どもも、反対であろうとも、採決するという手続は認めます。しかし、審議の土俵については採決はあり得ない。審議の土俵について採決したって、実質上無意味です。あなた方、特別委員会設置について採決をやってごらんなさい。野党が反対だといって特別委員会に参加しなかったら、特別委員会は成立できないじゃありませんか。委員の任命さえできないでしょう。特別委員長の任命もできない。そういう問題です。そこで僕は、先ほど政府の意向をただしたあとで、どうしてもILOは国際信義の上で通さなければならぬ、政府もぜひ通したい、そういう問題であるならば、土俵の問題で進まぬということはおかしい。そこで、土俵は土俵として、お互いに歩み寄るという格好を見つけるより仕方がないでしょう。だから、先ごろの委員会で三つの案が出た、その三つの案というのは、社会党の従来主張してきた、直ちに関係委員会に付託せいという案、自民党の一本でいくという案、それについて妥協点といいますか、正常化をはかる案として、特別委員会は作るけれども、各党で一致したものだけそこに付託する、この三つの案が出た。今佐々木さんの御意見を聞いてみると、結局当初の主張です。私は非常に残念です。当初の主張というのは、せんじ詰めていけば、採決もやむを得ぬから、関連法案は一本だということで、一歩も前進していない。国会の運営に責任を持つ与党として、国際信義の直接上の責任者である政府として、少なくともILO条約を通したいという気持になるならば、土俵の問題で再三再四固執していることはおかしい。土俵の問題については、現実にその意思を持ったってできませんよ。野党が全部反対したら不可能です。そういう立場から言うならば、やはり僕は、この際、与党が多少なりとも土俵上の問題については野党の言い分も入れて——土俵の問題について野党の言い分を入れたということは、法案の提案権をあきらめたわけでもない、まして、法案が通過することを断念したわけでもないのであります。やろうと思えば、きょうにでも現実の土俵はある。どの委員会に持っていっても、政府・与党がこれを上げたいという気持があるならば、完全に上がる状態です。外務委員会しかり、各委員会とも委員長は全部与党であります。委員の三分の二はすべて与党が占めておるわけです。やろうという気なら、どんなに土俵を分散したってできるじゃありませんか。なぜ特別委員会でやらなければならぬと固執されますか。私はしいて言うならば、出先の皆さん方、あるいは政府・与党の中には、そういう考え方はないかもしれませんけれども、よく新聞に出ておるように、この際、たとえば国家公務員の政治活動の制限とか、いろいろ筋の通らぬ問題もあるけれども、ILOにかこつけて、便乗的に押し切っていこうという底意があると言われても、言いわけが立たぬじゃないかと思う。ほんとうに政府・与党として国会の正常化をやっていこうという考え方に立つならば、土俵の問題で若干の譲歩をしても、ちっとも与党の恥でもなければ、与党の主張が通らぬわけでもない。私はこの際佐々木理事の発言は一応聞いておきますけれども、そういう点については、やはり政府・与党というものは積極的に、能動的に考えていく態度でなければ、こんな議論を何べんやっても、委員会を何べんやってみたって、前進しません。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木(秀)委員 今、国会の運営の根本的な問題にちょっと触れられたようでありますが、土俵をきめるのに採決はあり得ないと言われるが、採決のないことは好ましいことであり、望ましいことなんです。しかし・下平さんの今の御発言をお聞きすると、特別委員会を作るのは、どんなことがあっても反対なんだという前提のもとに立って話をなさったのならば、もう委員会には人も送らぬ、委員長もできないだろうし、委員もできないだろうというふうに私は受け取ったのですが、その受け取り方がもし誤りであるとすれば、あとで訂正しますけれども、そういうことのないように私らの方ではずっと今まで話し合いをし、お願いをし、こういう不可分の関係があるのだということで努力してきたことだけはお認め願えると思う。同時に、少数党であられる野党の方々の意見も十分尊重していきたいということで、今日までお互いに努力してきておるわけです。そこで、野党が絶対反対したならば、特別委員会も、あるいは国会の土俵も作り得ないのだということには、私は異論があるのです。場合によっては、野党が相当がんばって反対してきたけれども、いわゆる議会運営、民主主義は多数決であって、多数決でやるのは好ましくないが、やむを得ず採決によってきめられた場合は、自分たちは主張はしてきた、しかし、これはやむを得ないといって、特別委員会なりあるいは他の処置なりが今日まで国会でとられてきたことは事実です。野党の諸君もずいぶん主張はしてきたが、多数によってきめられたことには不満ながら、あるいはいろいろ意に満たないことはあるが、それに従って特別委員会を作ってきた慣例もあるわけでして、その点は一つお考えおきを願いたい。今直ちにわれわれは採決をやるというのではない。ただ、そういうような前提に立って御議論なさると、どこまで議論しても、これはまとまりません。しかし、理解ができるならば一つ与党の言うことも聞いてやろうじゃないかという寛大なお気持で御相談願えれば、あなたのおっしゃったような不可能な場合には到達しないということを私は考える。どうしてもわれわれが反対したらできないんだということの考え方だけは一応おいていただいて、一つ聞いてやろう、しかし、最終の場合の結論は、今お伺いいたしませんが、そういう考え方をお持ち願いたいと私は思うのです。

下平正一日本社会党

○下平委員 ちょっと佐々木さんに誤解されたような気がするのですが、特別委員会が今日まで百四十五回設けられ、そのうち三十一回は採決だということも承知しております。しかし、その場合の条件というものは二つあったのです。その一つは、たとえば海外同胞の引き揚げという問題、不当財産の問題、隠匿物資の問題等、たくさんありましたが、その特別委員会の設けられた際にも、例外はありますが、大体は国会法四十五条第二項なんです。どの委員会にも所属が明らかでないという問題についての特別委員会の設置が大半です。記録を全部調べてみると、そうなっておる。そこで、今私が言った二つの要素があるというのは、そういう審議の土俵がない場合には、ここできめなければその法案なり案件の審議はできないから、これはある程度やむを得ないと思うのです。しかし、今度の場合には四十五条の前段の方です。従って、この場合には、この特別委員会ができなくても土俵があるのです。この問題が一つの問題点です。それから従来のこの経過を見てみると、少なくとも、野党は反対であるけれども、この問題について採決できめてもらうことはやむを得ませんという態度なんです。その態度が出てきた前提には、今言った、これを否決してしまえば国会でこの問題を処理する場所がないというおそれがある。そういう考慮もして、採決には参加をいたします、反対討論もやりますという態度に野党が出てきた場合です。それが全部の慣例になっておる。そういう意味なんです。だから私は、今度全部反対で審議放棄をするというようなことは言いません。しかし、筋道を立て、従来の経過等も考えてみれば、少なくとも、野党は反対ではあるけれども、採決をやられることはやむを得ないといって了承して作った特別委員会で、今言った審議の場所がない場合が多かった。今度の場合は、土俵が別に十分にある。ILO条約が重要であるかないかということの判断だけの問題です。条約の審議は外務委員会でできる問題です。だから、土俵が別にある場合に、どっちがよいかという問題で採決をすることはちょっと問題があるし、今日の場合、野党は採決には出ません、多数決でやることには反対だという態度を野党はとっているわけです。この場合には、私は、政府・与党として政策執行の責任にあり、議会運営の責任者であるところの与党としては、やはり別の方法に考え方を転換していくということが多数与党の責任ではないか、こう考えておるのです。もしかりに、ここで与党としてそういう点なら譲歩の考えありということなら、さてそれではどこまで譲歩できるかというところへ議論が発展しますけれども、さきおととい結論が出た三つの案を今日まで検討したが、自民党としては一括して特別委員会で審議するということになれば、これは形の上では明らかに多数与党の無理押しではないかと思うのです。内容的に見て、私は、どうしても便乗であり、無理押しではないかという気がしてならない。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木(秀)委員 土俵がなかったということがすべてではないのです。御承知のように、隠退蔵から不当財産になり、考査委員会になったときには、野党の諸君の中から——私は、だいぶ昔の話だから、はっきりした記憶はございませんが、こういうことは決算委員会でできることじゃないかという議論もあった。しかし、決算委員会でやるよりも、特別委員会を作った方が、十分に調査もあるいは審議もできるということで、全然土俵がなかったということではないということだけは一つ御理解願いたいと思うのです。  それからもう一つは、これをするのに採決ということは好ましくなかった。しかし、私たち過去に三十回ばかりやっております。それもありますけれども、私たちは、今言う通り、全然土俵がないというのじゃない、やはり関連性が深いものですから、新たに土俵を作ってもらいたいということをお願いしておることだけは御理解願いたい。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 あなたの議論は、理屈としてはよくわかるのです。しかし、今度の場合、ILO条約批准という一つの共通の場がある、全部に反対という意味じゃなくして、そういう意味での、便宜論になるかもしれぬけれども、従来、特別委員会で採決したという場合は、全然反対の立場にあった、今度の場合は、ILOの条約批准というものは、あなたの方も長いこと要求し、政府もせっかくここまで努力してきて、私の方としてもこの際上げたいという気があるのだから、その辺の共通の場所で、特別委員会という案を、初めから採決は絶対いかぬぞ、何もいかぬぞというようなことにはならぬのじゃないかと思うのです。

下平正一日本社会党

○下平委員 長谷川さんはそう言われますけれども、私はこの間の結論に基づいて言っておるわけです。この間、三つの結論が出たでしょう。三つの結論をお互いに検討してこようということになったでしょう。そこで自民党が出されたことは、当初言われた通りで一歩も引けぬという状態です。それでは審議は前進しないじゃないかということを私は言いたいのです。最初の提案は、関係五法案を一緒に特別委員会、それを一々議論して、可分、不可分論もやりました、正常化の議論もやりました、そうして最後の結論を三つ出した、それで検討してくれ、二日間休んだ結論が、依然として当初提案された形を一歩も出ないということは、多数与党としては多少考え方が足りないのじゃないか。しかも、政府の考え方は、ILOは通したいという。自民党も通すという。社会党も通すということをきめた。国際信義上の問題もある。そういうことになってくると、土俵の問題で一歩も譲らぬということがないならば別ですけれども、多少考えてもらわなければいけないのじゃないか。だから、世間では、便乗してこの際やってしまえというふうに与党が便乗法案を持ってきておる、便乗法案を通すための特別委員会である、便宜主義である、党利党略であるというところまで極言をした意見も出てきておるわけです。その点は私の方もあなたの方に考慮していただきたいと思うわけです。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 その場合でも、条約批准をしたいという一つの共通の問題があるのだから、その点で、絶対特別委員会を設置することはいかぬというなら、あなたの方の議論というものもあまり幅がないのじゃないかということを言いたい。党利党略というような問題は、われわれの方の立場として、従来の労懇の答申はいろいろありますが……。

佐々木良作民主社会党

○佐々木(良)委員 きょうも大体一時間か二時間というお話だったけれども、時間もすでに二時間になってこようといたしておりますが、今までのお話を伺っておりますと、自民党と社会党の従来の考え方とほとんど変わりがなくて、大体平行線をたどろうとしておるように考えられます。しかも、先ほど来お話が出ておりますように、この前、十八日火曜日の理事会において、三つの考え方があるが、議運としてあまり長いことほうっておくのは工合が悪いから、三つのうちのどれかで何とか道を見つけていかなければならないのではなかろうか、ついては、よく相談してとようではないかということになっておったのであります。そこで私は、十分御相談しておられるでありましょうけれども、きょうのこの委員会では従来と似たような意見が出ておりまして、一歩も前進をしない状態を非常に憂えるわけでありまして、このままでいきますと、ともかく問題は、条約案件だけではなしに、それの本来付属物みたいなものであるところの国内法整備という問題、それができぬがために、条約案件自身がつぶれてしまうという危険を私はそろそろ感じ始めたわけであります。しかも、国内法は国内法で整備すればいいわけでありますけれども、この条約を結ばなければならぬというのは、先ほど来の長谷川委員のお話でも下平委員のお話でも、ほとんど共通であるわけでありますから、そこのところだけを推進されるような状態にしていただきたいものだと思うわけであります。従って、従来わが党は、三つの案の中で、社会党と同様に、もう一カ月もかかってどうにも特別委員会の話し合いができないという状態であるならば、各常任委員会に別々に六議案を早く付託して審議すべしというのが、私どもの従来のといいますか、筋の通ったわが党の考え方であります。しかしながら、その考え方と、また先ほど佐々木秀世さんからもお話がありました、特別委員会で一括していこうという話とは、あくまでも平行線をたどらざるを得ないような状態で、それですと、今のような条約案自身がつぶれてしまう危険を私は感じますので、従って、私は、あの当時の第三の案を皆さん方に逆に提案してもいいという意向を明らかにいたしまして、御相談をしかるべくお願いをいたしたいと思います。中身は同じことだと思いますし、同時に、小会派であるところの私の方から新しい案を提案するというようなことはおこがましい気持がいたします。従って、話し合いができれば私自身提案しなくてもいいと思いますが、審議を促進するために、都合によっては次の第三の案を提案してもいいという意向を明らかにしたいと思います。それは、先ほど来お話が出ておりますので、この議運におきまして話し合いのついた案件だけを付託し審議することを条件として、ともかく特別委員会を設置する、そうしてその特別委員会を設置いたしまして、話し合いのついておるのは今の条約案件でありますから、まず条約案件の審議に入ってもらう、審議に入っておる間に、話し合いがついたならば、次々に付託していってもいいのではないか、こういうように考えるわけであります。この際、特に各党に私は御理解を願いたいのでありますが、先ほど来下平委員からお話がありますように、こういうやり方をすれば条約案だけを食い逃げされるのではないかという自民党に御不安がもしおありになるならば、その不安のないことを確認しておいていただきたい。あなた方は絶対多数でありますから、特別委員会を作られまして、従来の例にならいますと按分比例でいくわけでありますから、絶対多数をその委員会で持たれるわけであります。上げまいと思えば、いつまでも関係のある案件を並行的に審議する必要があると認められるならば、そういうふうに出てくればあるいは関係ある議案が審議されるまでそこで上げることを待っておる自由があるわけであります。大会派、多数会派としてその自由があるわけでありますから、従って、食い逃げされる心配はないわけであります。同時にまだ、社会党の方にいたしましても、どうしても突っぱって反対であるということであるならば、かりにこの特別委員会が作られても作られなくても、ほんとうに反対する方法が今残されておるとすれば、同じような方法は残されると思います。従いまして、自民、社会両党とも、ほんとうに一番大事であるところのILO条約自身を承認すべきである、あるいはこの条約の関連議案を審議促進すべきである、こういうことをお考えになるならば、その次の国内法整備の問題というのは、今言いましたように、おのおの党としてのお考えもありましょうけれども、そのあるやり方をまだ百パーセント残されておるわけでありますから、一月もほうっておかずに、条約自身の審議を、特別委員会を作ってまずそれだけを審議されたらどうか、私はこう思うわけであります。この条約案件は大事である。わが党もこの審議は促進したいと考えておりますから、特に第三の、特別委員会を作って、話し合いのついた案件だけをまず付託するという考え方をもって、ほんとうはこの提案をいたしたいという意向を明らかにいたしまして、皆さん方の適当な御批判なり、御判断なり、御相談なりをお願いいたしたいと思います。

小泉純也自由民主党

○小泉委員 ただいまの民社の佐々木理事の御提案は、議院運営委員会の話し合いで特別委員会を作って、お互いが共通の土俵を見つけるという、誠心誠意の現われであることに私も十分散意を表しますし、そうしてまた非常に傾聴いたしたわけでございまして、党に持ち帰って十分真剣に検討をしてみたいと存じます。

下平正一日本社会党

○下平委員 小泉理事のお話ですが、実は社会党の考え方を述べていないのです。社会党の態度は全然述べてない。なぜ私が述べないかというと、述べるあれがなかったわけです。自民党さんは当初の提案通りの結論で前進をしない、わざわざ二日間休んで検討した結論がそれでは、少数野党が案を出す余地がないのです。民社さんの方は気持が軽いから、率直に出ると思うのですが、実際問題として出す余地がないのです。今絶対多数を持ち、関係常任委員長を全部持っておられる与党がもし出すということならば、野党としては意見の出しようがない。出しようがないから、私ども意見を出しかねていたのです。結局、そうすると、もう一ぺん、三つの案、特に三番目の案について再検討をするということですが、ただ、私は今までの経過から見て、このこと自体がまた一つの党利党略に使われて時間を延ばされていくということでしたら、大へんなことになると思いますので、この案がきょう突然に出されたのなら別問題でありますが、前回の委員会に出されて、しかも、三つの結論については、三党とも一つ真剣に検討してみようということでありましたのに、今同じことを言われて、仰せごもっとも、傾聴に値しますということでは、私ども少しひが目かもしれませんけれども、まあそうすると当初の目的通り来週まで持ち越せる、連休前に結論を出さぬで済むというように、与党がきわめて安易に、悪く言えば、ちょうどいい機会だということで、これに乗って、きょうはこの程度で散会しようということじゃないか、それでは、私たちもまじめにやってきて、いささかふに落ちないような気がするのです。

小泉純也自由民主党

○小泉委員 社会党の方から、今の民社の佐々木君の提案に対して意思の表明ができない前に私の方から意見を申し上げて、前後してはなはだ失礼でありますが、ただ、前回の第三案とは内容において変化がある、むしろ一つの進展を見せておるというふうに私は考えたのです。だから、大いに傾聴したという表現をいたしたのでありますが、この前の第三案というものは、自民党のいわゆる特別委員会設置一本やり、それから野党の、常任委員会にそれぞれ付託せよというのが第二案、その中間をとって、いわゆる話し合いによって、特別委員会に付託する案件の話し合いをしようじゃないか、あるいは関係五法案全部でなければいけないのか、あるいは中には、その中の幾つかをまず特別委員会に付託して、幾つかを常任委員会に付託しようじゃないかという話し合いがあったはずなんです。そうでしょう。そこで、きょうの民社の佐々木君の提案は、少し内容を進展させたというか、具体化したというか、ILO条約の批准だけを特別委員会にまず付託しておいて、話し合いがついたら、順次関係法案のうちの一つか二つ、あるいは三つとかをまた特別委員会に付託していいではないかということで、内容が相当具体化し、進展を示しておるわけです。

佐々木良作民主社会党

○佐々木(良)委員 そのことは、私の説明が足りなかったならば、それはどういうふうに理解していただいてもけっこうであります。前回も私はそういうつもりで出したわけでありますが、言葉が足りなかったのであろうと思います。ただ特別委員会設置賛成、反対ということじゃなしに、何をこの特別委員会でやるかということがポイントにならなければならぬ、こう思ったわけですし、ポイントになっておるから、話し合いのついた案件だけを審議するということにした特別委員会を作ったらどうかという提案であったわけです。さっき申し上げたのとほんとうは同じことなんです。今申し上げたように御理解を願ってもけっこうです。

佐々木秀世自由民主党

○佐々木(秀)委員 それではこう理解していいのですか。この前の話は、五つ——全部で六つでありますが、そのうちの三つなら三つ、四つなら四つを特別委員会に付託しようという話し合いができたら特別委員会を作ろう、とりあえずILO条約の本条約が大事だから、これをまず審議するために特別委員会を作るべし、しかし、話し合いのできたものはその特別委員会にあとから付託してもよろしいというので、ちょっと内容が違うのですね。

佐々木良作民主社会党

○佐々木(良)委員 私の説明がいささか足りなかったので、それは違ったと見られてもけっこうですが、今提案しておる案は、今お聞きの通りなんです。それに基づいて御判断願ってけっこうです。

柳田秀一日本社会党

○柳田委員 私たちが従来から特別委員会設置に反対しておるのは四つ理由がある。ここにもう一ぺん要約しますが、一つは、条約と関連五法案とは密接不可分のものじゃないと思う。これは皆さんの方では密接不可分だとおっしゃるならば平行線です。やはりかける以上は、内容を総括的に評価しなければならぬ。第二点は、他に審議の場が全然ゼロじゃないじゃないか。現に国会の一つの運営をやっておる参議院では、別に特別委員会を作っておりません。参議院は参議院、衆議院は衆議院独自ですから、参議院のことをならえというのではありませんが、国会審議として、参議院はあえて特別委員会を作らなくても十分やってきておる。それと同じように、われわれは特に好まないものをしいて作る必要もない。他に審議の場が全然ないわけじゃない。それから第三点は、条約そのものは、すべて条約に関して法案の出る場合もありますし、条約の持つ範囲というものはすべて他の委員会に何らかの形でみな関連があることは、この前も申し上げた通りです。たとえばガットならガットをとってみても、あるいはどこかの国と日本との通商航海条約を結ぶにしても、ひとり条約は外務委員会で審議されても、あるいは大蔵委員会、通産委員会、農林委員会あるいは建設委員会、その他運輸委員会にしても、すべてほかの委員会に全然関連がないわけじゃない。条約そのものはそういう性格のものです。条約と法律には、おのずから審議の仕方も国会法によって多少その間に違いがあり、提案の仕方においても違いがある。修正の問題に対しても、従来やかましく言われたように非常に議論がある。法律と条約は国会の審議の上において必ずしも同じものではない。条約そのものそういうものを持っておるのが本質なんです。あえてILO条約に限ったことではない。第四点は、やはりここで全会一致でいこうという申し合わせをして、全会一致でいかぬなら、関係委員会にかけるのが常道なんです。全会一致でいきましよう、こういう申し合わせをした上で特別委員会を作りましょう、そうして何回も何回も議論を重ねて一致しないものは、従来の申し合わせに従って関係委員会にかけたらよい。それを、こちらの反対を押し切ってなおかつ特別委員会をやってくれとしつこく言われるのは、私はわからぬ。一致したものは特別委員会を認めるにやぶさかでない。参議院は参議院の場合、衆議院は衆議院の場合がありますけれども、そういう場合には例外として認めましょうと言っておる。しかし、もう一月もたって話し合いがつかぬのだから、その例外に入らない。最初のうちの一週間や二週間なら話し合いをしてもよろしいが、一月たっても話し合いがつかぬのだから、当然これは関係委員会にかけたらいい。あえて議長さん、副議長さんの御明鑑をわずらわすということは、議院運営委員会としては恥かしい限りなんです。社会党の立場は、そういうような四点でわれわれは反対しておるわけです。しかし、今民社党さんから御提案がありましたから、自民党さんも検討しようとおっしゃるのですし、われわれも検討するにやぶさかでありません。しかし、少なくとも、国会運営の責任はわれわれ自民党が持つのだ、そういう意味において、十六の常任委員会も特別委員会も全部委員長を自民党が独占するのだ、国会運営の責任はわれわれ多数党が持ちますとおっしゃった。多数党の責任を持たれる自民党さんから、そうしたこれに対する意見を——執行部の意見を体されて、出先の皆さんがはっきり表明していただきたい。その表明を今すぐここで求めるのは無理かと思いますから、これは次会でよろしいが、次会に必ず表明していただきたい。聞くところによると、どうも党内でいろいろ問題もあるようでありますから、少なくとも党内一本でもってはっきりした姿を見せていただきたい。その手の内を見せていただいてから、われわれの方もまたわれわれの意見を申し上げることにして、きょうのところはこれで終わりたいと思います。

小平久雄自由民主党

○小平委員長 それでは、本件は、本日のところはこの程度とし、次回の委員会においてさらに御協議をお願いいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小平久雄自由民主党

○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時一分散会

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