外務委員会 第20号
- 発言数
- 208 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/04/26
会議録
○堀内委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますのでこれを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 私は本日、国連軍というものについて質問をしたいと思いますが、それに先だちましてお伺いしたいことは、日韓の関係でございます。韓国との間の交渉を進められております間に、財産請求権の問題あるいは李ラインの問題等で行き詰まりになっているようでございますが、これは当然のことであって、日本はやはり朝鮮の将来統一というような観点に立ってその問題を解決しなければいけないというふうに考えるわけでございます。ところが最近の情報によりますと、アメリカの韓国に駐在する大使がかわった、こういうようなことも手伝ってかどうか知りませんけれども、そういうふうな懸案の問題を一応ある程度にしておいて、早く韓国との間に何らかの国交正常化の方法を考えなければならないというようなあせりもあるやに聞いているわけでございます。その一つとして、最近自民党の方から議員団を派遣するとかあるいは経済使節団を派遣するとか、大へん積極的な動きが出てきているようでございます。外務大臣はこれは政府の方でございますけれども、自民党の議員とされまして、そういうふうなことが近く実現されようとするのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 日韓間をよい関係にしようということについては、私も十分な熱意を持ってこれに当たりたいと考えております。ただしかし今お話の中にありましたような、それを非常にあせっておる、あせりを感じておるというようなことは毛頭ないのでございまして、十分話し合って、満足すべき結論に達したいということで現在予備会談を進行しておるのであります。 今自民党の方から議員の方々が韓国へおいでになるということについて意見を求められましたが、私はこれは非常にけっこうなことだと思っております。やはり今までのいろいろないきさつもあるわけでございますから、十分に双方がその気持を通わせるということは必要でございますし、何といっても韓国の中をいろいろ視察した人は非常に少ないわけなんであります。ですから、いろいろな点で実情を相当な方々が十分見てこられる、視察をしてこられるということは、けっこうなことだと思っておる次第でございます。
○戸叶委員 それではお伺いしますが、満足すべき結論に達するようにしたいということでございますが、漁業の問題とかあるいは財産の問題に対しての満足した結論にいかない場合には国交正常化というところはむずかしい、こういうふうに考えてもよろしゅうございますか。
○小坂国務大臣 韓国の民議院の決議というものが一月ごろでしたかありましたが、その中において先方はそれを希望しておるという表明もございました。しかしそれが直ちに韓国政府の公式な意思であるとも思えない点もあるわけでございます。しかし物事は十全を望んでいくのが当然のことでありますから、できるだけ完全な形にした上で国交を正常化するということが一番望ましい形だとは思っております。
○戸叶委員 そうしますとやはりお互いに歩み寄って、日本の要求も相当主張すべきことを主張してまとめていくということになると、そう急にはまとまらないとは思いますけれども、この辺のことはいかがでございますか。
○小坂国務大臣 完全な形になりますまでには相当に時間がかかるとも思います。しかしいずれにしても非常に近い国との間柄でありますので、できるだけ友好的な関係を保つという方法について研究していくことは、これまた当然なことだと思います。
○戸叶委員 完全な要求を満たすことはできないけれども、できるだけ友好な形をとりたいということは、ある程度いろいろな懸案を置いておいても何とか友好関係を結ぶというふうに考えていらっしゃるわけでございましょうか。くどいようですけれども、もう一度念のために伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 われわれとしてはわれわれの気持を十分に先方に納得してもらうということで考えております。
○戸叶委員 先方は今の場合、財産請求権の問題や李ラインの問題について私たちが望んでいるような点ではなかなか受け付けないのではないかと思うのでありますが、そういうふうな場合において、一体どういうふうな態度を政府がとるんだろうかということが、一番国民の心配しているところなんです。大へんに急いで友好的関係を結んでしまうのではなかろうかというようなことも心配しているわけでございますので、その点をもう少しはっきりとしていただきたい。 もう一つは自民党の方が向こうの方に視察に行くのは、今まで行ってないから大へんけっこうなことだというような御意見でございましたが、それではその方たちはやはり韓国だけではなくて北鮮の方も朝鮮として見にいらっしゃるのかどうか、一方だけであるかどうか、この辺も伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 政府がどういう態度をもって交渉に臨んでおるかということが国民として知りたいことであることは当然だと思います。相手の方に対しても交渉でございますから、何も一から十までさらけ出して交渉することが一体有利であるかという点もまたお考えを願いたいと思うわけであります。要するに、われわれとしてはでき得る限りわが国の主張というものを主張して、それを先方に了解してもらうという態度でなければならない、こういう点で交渉に臨んでおることを御了解願っておきたいと思います。 なお後段の自民党の方々が韓国へおいでになる問題は、韓国だけというふうに承知をいたしております。
○戸叶委員 韓国の事情をよく知らなければいけないから韓国へいくのだということであるならば、やはり日本の国民としては朝鮮の統一というものを望まない人はないと思うのです。そうだとするならば、やはり北鮮の方も両方事情を知っておいた方がいいのじゃないかと思うのですけれども、外務大臣としてのお考えはいかがでございますか。行ってもいいというお考えをお持ちになりませんか。
○小坂国務大臣 私は、いろいろ党も事情がおありになることでありますし、くちばしをいれることは差し控えたいと思いますが、今回韓国へ行きたいということでございますから、それはけっこうなことだと思っております。
○戸叶委員 それでは自民党の議員の方だけでございましょうか。聞くところによりますと、ほかに外務省の方からも相当な方がいらっしゃるように聞いておりますけれども、自民党の議員の方だけかどうか、この点も念のために伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 この点はそういう希望を持った者もおりますわけですから、なお研究いたしたいと思います。
○戸叶委員 議員の方だけが行く場合と、外務省のお役人の方が一緒に行く場合とは性格が違ってくるのじゃないかと思うのですけれども、外務大臣、この点はっきりさせておいていただきたい。
○小坂国務大臣 そうばかりも言えぬと思うのでありますが、要するに日本の国民としてできるだけ韓国の事情に触れてくるということはけっこうだと思っております。
○戸叶委員 国会の方が党から親善使節としていくという場合と、それから外務省の責任者がそこへついていくという場合では、私は性格が当然違ってこなければならないと思うのです。またもしもそういうふうに外務省としてもその事情をよく知っておかなければならないというならば、北鮮の方の事情もよく知っておかなければならない、それがほんとうの平和外交ということでなければならないと思うのですけれども、外務大臣は外務省の高官がついていっても、それは議員だけで行く場合とちっとも違わない、こういうふうなお考えでございますか。そうだとするならば、今度の使節団の中にやはり一応外務省からのどなたかを予定しているのかどうか、この点も伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 韓国と交渉しておるのでありますから、できるだけ韓国国民の考え方に広く触れてくる。それは先方の各界の人に広く触れると同様にこちらの行く方の面でも広く触れる、こういうことが望ましいと思っておるのであります。別にその他のことをまだきめておりませんから、何とも申し上げられません。
○戸叶委員 きめていないからということで逃げられたわけでございますけれども、それでは念のために、しつこいようですけれども、議員団だけで行く場合と、外務省の方がついていく場合とは性格が異ならないのだ、こういうふうにはっきりおっしゃるわけでしょうか。この点だけ承っておきたいと思います。
○小坂国務大臣 性格論をいろいろおっしゃいますが、私どもは日韓交渉をやっており、これがうまくいくためにはどうしたらいいかという目的論から考えてみたいと思っております。団に一緒に入るということは、たまたまその時期が同じになるかということで、やはり違うように思いますが、私どもはこの際できるだけ韓国の人たちがどう考えておるかということを相当な人が行って見てこられるということの方に、むしろ大きな意義を見たいと思っております。
○戸叶委員 単に多くの人が行って見てくるということに重点を置いてお考えになるとすれば、私は非常に矛盾していると思うのです。なぜならば、私は思い出しますけれども、かつて引揚委員会というのがございまして、そこで中国なりソ連なりに引き揚げ促進のための使節を出そう、そのときに責任者である役所の高官についていってもらったらいいじゃないかと言ったときに、いや、まだ国交が正常化していない国に行くのは間違いだということで、とうとう突っぱねられたことがありますので、この点非常に矛盾しているのではないかと思いますので、もう一度念のために伺って、次に入りたいと思います。
○小坂国務大臣 承認していない国に政府の役人が行くという場合にはいろいろ誤解が生ずると思いますが、韓国との関係はそういう関係でございませんから、これは事情が違うと思っております。
○戸叶委員 この問題を追及していると、次の問題に入れませんから、私はそのことを留保して、次の問題に入りたいと思います。 私がきょう伺いたいことは、国連軍ということでございますが、国連軍というものについては、この委員会でもいろいろと議論は出ましたけれども、それは国連軍の性格とか国連軍そのものではなくて、国連軍が出動された場合の議論をされただけでございました。ところが二月二十一日、松平国連大使が国連にいる代表者の立場から、国連協力のあり方から見て、国際警察軍が必要であるという発言をされたときからいろいろ問題になったのでございますが、あの当時は一応政府とのやりとりはありましたけれども、はっきりとしない点が非常にありましたので、私はこの点をいろいろな角度からはっきりさせてみたいと思うわけでございます。これに関連いたしまして、ラスク米国務長官がカリフォルニアのバークレーで三月二十日に記者会見をいたしましたときに、こういうことを言っています。国連の強化に各国が協力することを希望する。いろいろな情勢に直面して平和を維持するためすぐ役立つような軍隊を国連に供給することに留意する必要がある、こういうことを述べまして、ここに国連警察軍の必要性というものを説いております。そうしてそのあと新聞記者の質問が、きょうの長官の演説で、長官は常設の国連軍を米国自身支持すると言われたけれども、それについてどういう意見か、こう聞きましたところ、それは国連憲章署名のとき、あるいはその直後にもわれわれが努力したことで、それから長年月にわたっていろいろな形で持ち出された問題である。憲章の七章は安全保障理事会の要請によって軍隊を設けることを予想しており、その軍隊は安全保障理事会の主要メンバーや常任理事国を代表する軍事参謀委員会の助言と指導のもとに置かれるとなっていることを想起していただきたい。十年以上前のこうした交渉が何の結果も生まなかったので、国連軍をどういう形にすればいいかについて別個の提案がされてきた。何とかして平和維持その他種々の情勢に即時対応できる軍隊を国連に設置する工夫がないものか、われわれはもう一度この点に注意を向けるべきだと私は考える。こういうふうなことを言っているわけでございます。ここでラスク長官の言われていることは、国連憲章の四十三条に基づいて、安保理事会の要請によって国連加盟国が特別協定を結んで、国際の平和と安全の維持に必要な兵力の援助とか、あるいは便益を安全保障理事会に利用させること、それからまたこういう条項があるにもかかわらず、こういうふうなことを実現できないということ、これを不満として述べながら、だから常設的な国連軍を置きたいのだ、こういうふうなことを言っているわけでございますけれども、この四十三条の特別協定を結んで、国連軍というようなものが置けないその理由はどこにあるかということをまず伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 国連のおい立ちを考えてみますと、一九四五年のサンフランシスコの会議において国連が発足いたしましたときに、その前文にもございますように、第二次大戦の当時の連合国が一堂に会して国連というものを作るという成り立ちを持っておるわけでございます。その後における当時の連合国の間に生じましたる東西の冷戦ということが、その国連の当初の理想を達成する上に非常な困難を提起をしておるということが言えると思うのであります。しかしそういうことを越えて、国連というものは世界平和維持のための唯一の最高の機関である、これを強化していく、このためにはどういう機能を国連にさらに持たしていったらいいかということは、やはり国連加盟国の共通の問題であろうと思います。それについて実現はなかなかむずかしい点がありましても、絶えず問題を提起をし、絶えずこれに向かって関係国が建設的に議論をしていくということは、これは国連育成強化のために必要だというように私は思っております。
○戸叶委員 今のような事情であろうとは思いますけれども、たといこの四十三条によって割り当てられた各国の軍隊が国際連合に直属する部隊としてできたといたしましても、その性格といたしましては、それぞれの国家の軍隊となっているべきである、こういうふうに考えますけれども、どうでございましょうか。
○高島説明員 一たび国連軍が編成されました暁には、安全保障理事会の指揮下に置かれます。従ってその前におきましては、各国の軍隊でございますけれども、それが編成された暁には、もっぱら国連の安全保障理事会の指揮下になるわけであります。
○戸叶委員 しかしそれは常設的にはいないわけですね。
○高島説明員 常時各国にリザーヴされまして、それがいざという場合に、安全保障理事会の決議に基づきまして出動することになるわけでございます。従いまして、国連に常時どこかに基地を持って配置されているという性質のものではございません。
○戸叶委員 そうすると各国にそれぞれいるわけでございますね。そうなって参りますと、ラスク長官が言われたところの、何とかして平和維持その他の情勢に即時対応できる軍隊を国連に設置する工夫はないものかと考えたい、こういうようなことは新しい構想で言われたもので、やはり常設的な国連軍というものを置きたい、これは四十三条による国際連合加盟国との特別協定というものが、今外務大臣のお話しになったような形でできないんだから、仕方がないから常設的にいざというときに間に合うような国連軍を置くような工夫はないものかというようなことを述べられたんです。そうなって参りますと、今の憲章ではそういうものは置けないのではないか、こういうふうに考えますけれども、いかがでございましょうか。
○中川政府委員 四十三条からは、今御指摘のありました通り、まさしく各国の軍隊を供出いたしまして、国連がこれを使うという格好になるわけでございます。しかし今の憲章で、それでは全然国連自体が自分の独自の軍隊を持つことを拒否しているかどうか、そういうことを認めないかどうかというと、やはりそうではなくて、国連自体が軍隊を持つ、国連自体が行動をとるという場合もやはりあり得るのではないかと思われるのでございます。それは四十二条をごらんになりますと、四十二条では「安全保障理事会は、第四十一条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」ということが書いてあります。その次に「この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。」と書いてございまして、この場合に書いてある文、すなわち国連自体が必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができるという字句の解釈といたしまして、あるいは将来国連自体が自分の常備軍を持ちまして、それを安保理事会が使うという場合もやはり含んでおるのではないかという解釈があるわけでございます。しかし原則といたしまして国連憲章が予定しておりますのは、やはり四十三条に書いてありますような、ふだんから必要な取りきめを各国と結んでおきまして、その各国の軍隊を必要に応じて供出させるというのが常態でございますが、しかしより進んだ事態の場合におきましては、将来国連自体が常備軍を持つということも必ずしも国連憲章が否定しているわけではないというふうに解釈されるわけでございます。
○戸叶委員 四十三条は、先ほどおっしゃったように特別協定を結ぶことによって国連軍というものができるわけでございますけれども、四十二条で国連の常備軍を置くことができるというのは、一体どこから出てくるか、私はその根拠を伺いたいと思います。
○中川政府委員 今の点でございますが、この条文の書き方からそういうふうな解釈も出てくるという意味でございまして、(戸叶委員「どういうふうに解釈するわけでしょうか。」と呼ぶ)つまり安全保障理事会が必要と認める際には、この「空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。」安全保障理事会自体が行動をとるということが書いてあるわけでございます。それに引き続きまして、「この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。」要するにあとに書いてあることは、含むことが書いてあるわけでございます。従ってその含むこと以外に、含まない部分がその前段ではあり得るわけでありまして、含む部分が国連加盟国による封鎖、示威その他の行動、これには軍事行動も入り得るわけでございまして、国連加盟国による行動というのは、四十三条から供出される要するに各加盟国の軍隊による行動というものは、四十二条の方では、その含む方の、要するに各加盟国の行動ということに解釈されるわけでありまして、従ってそれに含まれない部分というものは、国連自体がとる行動、しかもそれは軍事行動をとるわけでありますが、そういうものがやはり観念的にはあり得る、従ってそういう場合には、これは国連自体が常備軍を持っておるということが当然予想されるわけでありまして、そういう場合も現在の国連憲章は全然排除しているわけではない。しかしながら、それをどういう場合にどういう方法で国連が常備軍を置くのかということが憲章には何も書いてないのでございまして、従って予想されておる普通の場合は四十三条による供出軍ということでございますが、いざ国際情勢が進んで参りましてあるいは国連の機構が強化されまして、国連自体が常備軍を持ち得るという事態が参りますれば、これは別個の国連の決議なりその他の方法によりまして常備軍の組織というものも、この憲章のもとでできないことではないだろうという解釈があるわけでございます。
○戸叶委員 私はそういうふうにはどうも読めないわけでございますが、かりに今の条約局長の言われたように解釈するといたしますと、四十二条によって国連常備軍というものが置けるのだ、しかしその場合の規模とかあるいは各国への割当とか、そういったものがないわけでございますけれども、そういうふうなものは一体どういうふうな形でもってやられるわけでございますか。新しく協定を結ぶなり新しく何かをしなければできないのじゃないかと思いますが……。
○中川政府委員 その点は、ただいま御説明申し上げました通り、具体的な規定が書いてないのでございます。今の憲章には書いてございません。従ってあらためて国連の決議をするなりあるいは何かそういう協定を結ぶなりすることが必要になるのじゃないかと思いますが、しかしその道が排除されているわけではないということでございます。この場合にはもちろん国連自体の常備軍ということでございますから、国連自体が兵隊を募りまして、そうして自分が持つ兵隊を作るわけでございます。従って各国と相談してやるという問題ではなくて、むしろ国連自体の軍隊を国連が作るということになるわけでございます。
○戸叶委員 決議だけでできるということになりますと、非常にそれは私たちにとりましては不安なものになっていく。何でも決議によってできるということになると、国連憲章の権威というものがなくなるのじゃないかと思われるのが一つと、もう一つは協定なり何なりを結ばなければならないということになりますと、当然これは憲章を改正してもっとはっきりしたものにしなければいけないし、そうなってくると、四十三条の特別協定というものがあってそこに国連軍というものを必要に応じて徴集できるということになるのですから、これもまた矛盾してくるのじゃないかというふうに考えまして、今のような条約局長の御答弁はどうも私にはまだ納得ができないわけでございますが、もう一度そこをはっきりさせていただきたいと思います。関連して岡田委員が質問があるそうですから、今のに答えながら岡田委員のも含めてお願いします。
○岡田(春)委員 関連して一、二伺いますが、今の条約局長の御答弁を伺っておりますと、四十三条の特別協定に基づく場合のいわゆる国連の常備軍というか警察軍、これが設けられる以外に四十二条に基づいて常備軍を置くことができる、こういうような解釈をされたと思いますが、その点間違いございませんか。
○中川政府委員 その通りのことを申し上げたわけでございます。
○岡田(春)委員 四十二条の規定は、これはいわゆる手続事項、軍事的な措置に関する事項であろうと思いますが、この点はどうですか。
○中川政府委員 これは第七章全体が、この「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」、その原則をきめたものであります。
○岡田(春)委員 四十二条の措置を発動するためには、四十一条に規定された措置を不適当であると認める、あるいはそういう不適当であるということが判明したと認めるときはという四十一条の規定の手続なしにはこの行動は行ない得ないと思いますが、どうですか。 〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕
○中川政府委員 ここに書いてある通りでありまして、「第四十一条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明した」際にこのような措置がとることができるということでございます。
○岡田(春)委員 四十二条の措置をとるためには、三十九条の規定に基づく安保理事会の措置というものが必ず前提条件としてなければならない。しかもそういう場合においての措置として二つの方法がとり得る。それは四十一条に基づく非軍事的な措置と四十二条に基づく軍事的な措置とをとることができる。そしてその前段において非軍事的な措置をとった上で、とることが可能であるかどうかということを判断した上で、そのあとでそれが不可能な場合において四十二条をとることができるということが書いてあるのであって、これはあくまでもあなたが先ほど答弁の中に言っているように、緊急的な措置を必要とする場合においてとるということが規定されておる限りにおいて、常備軍を置き得るという前提になるとあなたはお考えになりますかどうですか。
○中川政府委員 どういう場合に強制措置といいますか、強力措置といいますか、武力の行使を伴う措置を国際連合がとり得るかということの規定でございます。あくまでもそれは平和的な方法では問題が解決しないという場合に、強制措置をとり得るのであります。その強制措置をとる際にどういう方法を使うかということが、四十二条に書いてあるわけであります。国連自体が自分の武力を行使することもありますし、あるいは加盟国の武力を行使させることもあるということが書いてあるわけであります。
○岡田(春)委員 あなたの御解釈だと、緊急の措置をとるために常備軍を国連に常に置いておくのだ、こういう規定になるのだ、四十二条の解釈は。そういう規定の解釈であると解釈してもよろしいですね。
○中川政府委員 そういう措置をとることも可能である、排除するものではないというふうに四十二条を解釈するわけでございます。現在常備軍がないのでございますから、それは常備軍を作らなければその常備軍を使うということはできないのであります。それと同じように四十三条の措置も今できておりません。従ってこれも現在ではとり得ないのでございます。四十二条はあくまでも可能な措置を書いてあるだけでございまして、現実にそれを使えるかどうか、それはそれだけの地盤を作っておかなければ発動し得ないのでございまして、従って現在御承知の通り全部四十二条あるいは四十三条ということでなく、勧告によりまして各加盟国からの、要するに軍隊を出動してもらってそれによって行動をとっておることは御承知の通りでございます。
○岡田(春)委員 あなたは実体論でごまかしてはいけない。法律解釈論をあなたは先ほどから言っておられるのでしょう。現在の実情において常備軍があるかないかということは、われわれは知っていますよ。そんなもの今伺おうったって、ないからできないことはわかり切っていますよ。実情論でごまかされては困りますよ。それではこの常備軍というものは安保理事会の決議なしでできますか。三十九条、四十一条の規定なしに四十二条において常備軍というものを常置できますか。そういう規定までも四十二条に従って解釈できると——私は実体論を伺っていません、法律解釈を伺っておる。政府の解釈としての条約解釈をはっきり伺っておきたい。あとで訂正のないようにはっきりしておいていただきたい。こういう点はあとあと問題として追及をしていろいろ掘り下げていかなければならないと思うのだが、そういう点で安保理事会の決議なしに、三十九条、四十一条の規定なしに、四十二条において常備軍として、国連の常時の軍隊として常設軍を置き得るのかどうか、四十二条の解釈としてこういう解釈がはっきりできるのかどうか。条約解釈ですから、実体論として今あるかないか伺っておるのじゃないのです。はっきり条約解釈を伺いたい。
○中川政府委員 条約解釈で先ほど申し上げましたが、常備軍を置くためには新たな国連決議あるいは何かの国際取りきめが必要であろうということを先ほどから申し上げておるのであります。
○岡田(春)委員 その決議は何条によってやるのですか。
○中川政府委員 国連憲章に基づく安保理事会の決議でございます。そういう決議がなくては、この四十二条で常備軍を置き得ないことはこれは明らかでございます。
○岡田(春)委員 だから決議は何条によってやるのですか。
○中川政府委員 安保理事会がどういうふうな手続によって決議するかということは、第五章の安全保障理事会の規定に全部書いてあるのでございます。この安全保障理事会の普通の決議の手続によって行なわれるわけでございます。
○岡田(春)委員 普通の手続というのは何ですか。安保理事会の第五章にあるのは私知っておりますよ、書いてありますからね。第五章の何条によってやるのですか。常備軍を置くことができるというあなたの御解釈のようにするならば、何条によってするとあなたは御解釈になっておるのですか。それを伺っておるのです。
○中川政府委員 これは国連憲章の第二十七条に安保理事会の決議の手続がきめてあるのであります。この安保理事会の決議の手続によって決議を行なうことになっております。
○岡田(春)委員 それじゃ、安保理事会の決議の手続によっておやりになるとするならば、安保理事会の中においては拒否権が行使されることはおわかりですね。
○中川政府委員 事実問題については拒否権があるわけでございます。
○岡田(春)委員 法律問題だって拒否権があるのは明らかじゃありませんか。そういう点からいって拒否権があるのを認めながらも、常備軍というものはその中ではやり得るのだ、これは手続の問題としてですね。しかし四十一条の手続を行使するためには、三十九条の決議なしには行ない得ないでしょう、その点はどうですか。
○中川政府委員 これも先ほど申した通り、安保理事会では平和的な手段では解決し得ないということが判明した場合に強制手段をとるわけでございます。
○岡田(春)委員 それじゃあなたの解釈は、平和的な手段というすなわち三十九条の規定に基づいて四十一条の規定の非軍事的な措置が行ない得ないと、その場合において軍事的な措置がとれる。その軍事的な措置のためにあなたは四十二条の法律解釈から常備軍というものは置いておくことができるのだ、常備軍を四十二条のために使うことができるのだ、こういうことなんだという点を、法律解釈としてもう一度はっきりしておいていただいて、私はこの点きょうは質問はいたしません。あともう少し調べてからやりますが、この点だけは再度はっきりしておきたいと思います。それでよろしいのですね。
○中川政府委員 そういう道をふさいでいないというふうに先ほどから申しております。
○岡田(春)委員 道をふさいでいない……。もういいです。
○戸叶委員 今の岡田委員と条約局長のやりとりを聞いておりましても、私非常に心配になって、アメリカの方でも常備軍を置きたいというよう意見もあり、それからまた日本の国会におきましても、これからあとずっと私は質問を続けて参りますけれども、必ずしも憲法に抵触しない、憲法違反でなくして、国連に何らかの形で常備軍的なものに協力できるのだというような答弁をしているわけでございまして、そうなって参りますと、おそらくこの国連に常備軍的なものを置こうというようなことになってくるのじゃないかと思うのです。そのときに、今のような解釈のもとで、たとえば二十七条でやるといたしますと、その場合には拒否権があって、成功しない。しかし四十二条で置くことはできるというようなことになる。その場合に何らかの決議を出すことによって置くことができるのだというふうな解釈になりますと、何かそこに国連憲章の精神に反するような形で、どんどん軍隊を置くような方向に持っていかれるのじゃないかということを懸念するわけでございます。しかし、これはあとからまた法律論としてもっと詳しくやるにいたしましても、次に、それでは私非常に具体的な言葉のことですけれども、わからないことは、国連軍とか、国際警察軍とか国連平和軍とか、そういうふうな言葉をいろいろ使われているわけでございますけれども、それらは何か違うのか、それとも同じものなのか、この点を伺いたいと思います。
○高島説明員 国連軍という言葉は、憲章の中にはございません。決議の中では、今まで朝鮮の場合に国連軍という言葉は使いました。それから現在スエズにおります部隊につきまして、国連緊急軍という言葉を使っております。それから現在コンゴにおります部隊につきましては、やはり国連軍という言葉を決議の中で使っております。従ってこれは決議の中における言葉でございまして、別に憲章自体にある言葉ではございません。ただ常識的にそういう言葉を使っておるのであります。
○戸叶委員 国連軍という言葉はそれでわかるのですけれども、そしてまたその性質が違っているわけですね。朝鮮の場合に出された国連軍というもの、これは軍事制裁をやった、軍事的措置をとりたわけです。それからスエズの場合には緊急総会で緊急軍として派遣されているわけです。そういうふうに性質は異なっておりますけれども、一応国連軍として扱われているわけですね。そうすると、国際警察軍といわれているのは、一体どういうのをいうわけですか。
○高島説明員 国際警察軍という言葉は、今まで決議の中でも使われたことはございませんので、これは非常に学問的な言葉であろうかと思います。しかも、これにつきましては、いろいろ学者によりまして、定義の仕方が違いまして、非常にそういう武力制裁を行なうような行動をし得る意味を含めた意味での国際警察力を意味することもございますし、また純粋の治安維持とか警察的の任務ということにのみ使うこともございます。従いまして、これにつきまして今まで国連の決議に使った例がございませんので、はっきりどういうものであるかということを、内容を説明いたすことはできかねると思います。
○戸叶委員 そうしますと、今まで国連の決議で使われたことはない。しかし国連の警察軍というものは、あちらこちらの話題に上っているわけでございますから、一応想定されているわけでございますね。国連の中の国際警察軍というのは、国連憲章のどういうところから、それが生まれてこようとするのでしょうか、この点も伺いたいと思います。
○高島説明員 今申しましたように、国際警察軍という言葉の内容につきまして、説く人によっていろいろ内容が違いますので、これが具体的にどういう任務を持つものであるかということについてはわかりかねるのであります。ただ、しかし、警察軍という場合に、狭い意味に解釈いたしますと、たとえば現在コンゴにおります国連軍のように、純粋の治安の維持とか警察的な任務のみに限定した任務を持った部隊、これが非常に狭い意味での警察軍であろうかと思います。でありますので、たとえば完全な軍の撤廃後におきまして、治安維持のために必要な武力制裁をできるような、そういう意味の部隊、これを国際警察軍という言葉で表わしておる場合もございます。従ってこれは非常に広い意味での国際警察軍であろうかと思います。これは現在軍縮交渉で西欧側あるいはソ連側が使っております言葉の中に、そういう言葉がございます。これはまだ決議とかなんとかいうことには入っておりません。交渉の中ではそういう言葉が使われております。
○戸叶委員 そうしますと、国連軍というものと国際警察軍というものは、国連軍の中に国際警察軍というようなものが含まれるわけでございますか。国連軍というものは、広い意味に使われて、そうして国際警察軍というものは、狭い意味に使われているということになりますと、国連軍の中に国際警察軍というものが入るというふうに解釈するわけでございましょうか。
○高島説明員 再々申しますように、国際警察軍の内容につきまして、いろいろ場合々々で内容が違いますので、はっきりこういうものであるということは申し得ないのでございますが、特に国連との関係につきましては、これは全く仮定の問題でございますし、将来憲章にございます国連軍をそういうものに発展させるということならば、あるいはそうでなくて、国連と全く無関係に将来の遠い先のことでございますけれども、そういう国際警察軍を作っていくということはあるかもしれません。従いまして、現在のところ国連と国際警察軍との関連性は全然ないと申し上げていいと思います。
○戸叶委員 そうしますと、今の国連軍と国際警察軍とは関係がない。そうすると国際警察軍というものは、この憲章の中で、憲章を改正しないでもできるものでしょうか。どの条項でできるでしょうか。この点を条約局長に伺いたい。
○中川政府委員 今の国際警察軍とおっしゃることがよくわかりませんが、たとえばスエズの場合に、国連緊急軍というのを出しました際に、これを国際警察軍と通称されたことがございます。そういうようなものは、すでに現在出ておるのでありますが、将来の問題として国際警察軍を出すということは、今高島説明員から申し上げました通り、よくその性質によって考えないとわからないわけでございますが、現在までのところ国連が軍事行動をいたしますのは、全部これは総会または安全保障理事会の勧告の形でそういうことが行なわれておるわけでございます。従って安全保障理事会につきましては第三十九条、総会におきましては第十条または第十一条、こういう規定に基づく勧告の形で行なわれておるわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと、今条約局長の御答弁ではっきりしたわけでございますが、国連警察軍というのは今ない。国連軍である。そうして国連緊急軍というようなものが、国連警察軍というふうに、そういうふうな言葉が使われていたことがあるけれども、それは混同すべきでなくて、今までの朝鮮事変にしても、コンゴの場合にしても、スエズの場合にしても、これはいずれも国連軍、こういうふうに理解していいわけでございますか。
○中川政府委員 国連のそのたびごとの安全保障理事会の決議あるいは総会の決議によりまして、名称がそれぞれきまっておるわけでありまして、高島説明員の申しました通り、大体におきましてはユナイテッド・ネーションズ・フォーセスという言葉が使われております。従って日本語に訳せば国連軍、場合によりましてはユナイテッド・ネーションズ・エマージェンシイ・フォーセス、国連緊急軍と訳しますが、そういう言葉が使われたこともございます。従って国連警察軍というのは通称でございまして、国連決議に基づく名称ではないわけでございます。
○戸叶委員 そうしますと、日本の国会においてもその点が非常に間違って使われているわけでございます。二月二十二日の予算委員会で飛鳥田委員の質問に対しましても、林法制局長官がはっきり言っていられることは、飛鳥田委員が国際警察軍というものに協力することは海外派兵に入るか入らないのかということを聞いたのに対しまして、いろいろ答えられてそのあとで、「そこで問題になりますのは国連警察軍という問題でございます。これは、国連が国連警察軍を使って活動するという場合はいろいろございましょうが、内容を分析してみれば、これは実は自衛権の問題でもなければ、いわゆる侵略戦争の問題でもございません。つまりいわゆる国連が国連の内部において、国連憲章に違反した国に対して、一種の制裁と申しますかを加えるという場合、あるいは制裁ではございませんが、そこの治安が保てない場合に、そこに警察的な行為をする、あるいは地域の画定がしないために選挙をするための選挙の監視をする、全く警察的なこと、こういう行動がいろいろあるわけであります。」と言って、この国際警察軍というものがあたかも国連憲章によって作られたものであるかのような発言をしておられますけれども、こういう日本の政府の解釈というものは、それじゃ間違っているわけでございますか。たとえばこういうふうに国連軍とか国際警察軍とかというふうにいろいろと使われるものですから、混同されてわからなくなってしまうわけでございますが、今のことに対しての御答弁をお願いします。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
○鶴岡政府委員 言葉の使い方は、高島説明員から申し上げましたように、国際警察軍というのに対して、国連憲章に何の定義もないし、規定もないわけであります。今までの安保理事会あるいは総会の決議においてもこの言葉が使われておらないのでございますので、この言葉を使う場合におきましてはそのことが予定されておるかと思うのであります。従って警察という言葉を特につける場合、私は林法制局長官がいかなる意味で申されたかはっきりはわかりませんけれども、自分の考えと広い世間での使われ方といろいろ混同しまして、これが国際警察軍であるといったはっきりした定義をまずやって、その上で明確なこういう結論だ、ああいう結論だというのではなくて、いろいろな場合があって、ある目的のいかんにより、あるいは組織のいかんによって憲法に抵触しない場合もあるのじゃなかろうか、こういうようなことを言われたにすぎないようにあのとき聞いておった次第でございます。
○戸叶委員 そういうふうにおっしゃってしまえばそれまでですけれども、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、国連憲章でいわゆる国際警察軍というものはないのだ、国連軍というのが普通であるというふうにおっしゃっていたわけでございますけれども、ここで林法制局長官が、国連に協力をするということが憲法違反でないかどうかという質問をしたときに、こういうふうな行動に出る場合には国際警察軍であって、そういうものに出るときに必ずしも憲法違反じゃないのだ、こういうふうな答えをしていられるわけで、ここに日本の政府の中でも、国際警察軍というものをかりに作ってしまって、そして国連軍というものでは軍隊の出動するような感じにしてしまうから、警察軍というふうな名前にしておけば、警察的な行動をするのだからいいのじゃないかというふうな形で転嫁したようにも思えるのですけれども、今のおっしゃるような答弁であるとするならば、国連軍というものはあるけれども国連警察軍というものは今の国連憲章の中からは出てこないのだというようなことを、政府自身が統一して持っていただかないと非常に混乱するのじゃないかと思うのですが、外務大臣いかがでございますか。
○小坂国務大臣 要するに国連というものは世界平和の維持のために作られたものでございます。従って本来の目的が国際的な秩序を維持する警察的な機能を果たす、こういう建前でできておるものですから、四十三条による国連軍というものは本来そういう目的のものである、従って理想的な形に国連がなっていけば、やはり警察軍という言葉を使った方が理解しやすい、こういう意味で説明があったものと私は了解しております。
○戸叶委員 そうしますと、国連軍という言葉を使っても、納得しやすいようにするためには国際警察軍という言葉を使ってもいいわけですか。
○小坂国務大臣 憲章の中には国連警察軍という言葉は使ってないわけです。ただそういうことをさらに説明的にいたしますため、そういう言葉が使われておるのじゃないかと思います。
○鶴岡政府委員 国際警察軍というのは、現在の時点に立って国際警察軍と呼ぶ場合、それから将来のことを予想して国際警察軍という場合、まずこの二つの場合があるかと思っております。将来の場合の方は、これも国連憲章と今関係はございませんけれども、各国が軍備を撤廃して超国家の世界的な一つの組織ができて、そこにおいて行なわれる実力行使というものは、あたかも国内における警察の任務と同じようなものであるというようなことを頭に置きました場合に、これを国際警察軍という言葉の使い方をしていることがあると思います。現在の時点におきまして国際警察軍という言葉を使います場合、それは先ほど来お話し申し上げましたように、使う人々によって観念の一致がないわけでありますから、広い意味でとります場合には、戦闘部隊を含めたものをというか、戦闘的な任務を行なうものをも含めて国際警察軍というふうに使う人もございましょうし、狭い意味にとりまして、ある地方の治安回復のために治安的な任務を遂行するにすきない、そういうような組織を称して国際警察軍ということもあるわけでありまして、言葉の使い方は、時点の違いからも、任務の違いからもいろいろありますわけで、論議を混迷なく進めるためには、いかなる意味での国際警察軍であるかというようなことを話し合ってから論議を進めるのが適当であろうかというふうに考える次第でございます。
○戸叶委員 今のことで大体の概念はわかったのですけれども、将来警察的な行動をとるようなものを各国から出して常設的に置くということになると、この憲章ではできないわけですね。
○鶴岡政府委員 その点は、今までのスエズとかコンゴとかいうような例にかんがみましても、必ずしもできないということは言えないのではないかと思います。つまり治安回復を任務とする一つの組織を各国がリザーブして持っておって、安全保障理事会なり総会なりの決議によってある場合にそういうものを使うことが必要である、供出してもらいたいというならば、そういう意味での常設の、しかも国連の要請あるいは勧告によって使うという意味におきまして、国連のそういう組織は、この現在の憲章の中におきましても可能な措置であろうと考えます。
○戸叶委員 もう一点だけ外務大臣に伺いたいのですが、現在の段階においての国連軍といわれるもの、あるいは国際警察軍といわれているものに日本が自衛隊を出すということは、海外派兵になるからやらない、こういうふうに考えてもよろしいわけでございますね。この点だけを確かめておきたいと思います。
○小坂国務大臣 憲法解釈は先ほどからいろいろ申し上げたりあるいは法制局長官がお答えしている通りでございますが、政治問題として現政府の方針としては、そういうこととまぎらわしいことはしないということでございます。
○戸叶委員 もう一点だけ伺いたいのですが、先ほどのラスク長官が言われましたような、国連に常設的なものを置きたいというようなときにも、日本は今の段階では絶対に協力できない、こういうふうに了解してもよろしいわけでございますね。
○小坂国務大臣 ラスク長官の言われた意味をもう少しよく検討してみたいと思っておりますが、一般的にいえば今申し上げた通りでございまして、まぎらわしいことはなるだけしたくない、こういうことであります。
○堀内委員長 岡田春夫君。
○岡田(春)委員 ベトナムの問題を少し伺いたいと思っているのですが、その前に安井自治大臣がお見えになって大へんお急ぎのようですから、あなたに関する部分だけ先にお伺いをしておきたいと思うのです。 お伺いしたい点は、最近の新聞でも再三出ておりますように、沖繩の施政権返還の問題が大へん問題になっております。この点は今度池田さんがアメリカに行くについても、施政権の返還の要求をするという話が実は出ておるわけです。 まず第一点として、沖繩の今日の実態、すなわちアメリカが一切の施政権を握ってあそこにいる、沖繩の人は日本の国民であるにもかかわらず、日本の憲法上の保障が何ら行なわれておらない。こういう矛盾した状態になっている事実について、安井さんはどのようにお考えになりますか。
○安井国務大臣 これは現在のところ潜在主権という形であるわけで、具体的な事例につきましてはいろいろございましょうが、これは外交の問題もたくさんあると思いますけれども、私はでき得る限り早く返還されるように、同時に同じような待遇ができるだけ早く実現することが望ましいという気持でございます。
○岡田(春)委員 たしか今月の二十一日であったかと思いますが、沖繩の立法院において、これはあなたの政党に近い関係にあると思われる自由民主党まで含めて、立法院の全政党の満場一致の決議によって、国会への参加という要望の決議が決定されました。この事実を御存じだろうと思いますが、これについてはいかなる方法で善処されるお考えであるか、この点を伺いたいと思います。
○安井国務大臣 御存じの通り、国会参加ということは今日の状況では不可能なことであります。しかし、できるだけそういうことの希望が将来かなえられるという端緒が開ければ、これは一歩前進することだと思っております。
○岡田(春)委員 国会参加の問題に関連して、あなたがせんだっての閣議で、沖繩から国会議員を出すための選挙法の改正をやろう、こういう点について研究してみようじゃないかという提案があったように伝えられておりますが、この点はいかがでございますか。
○安井国務大臣 はっきり申し上げますと、実は選挙制度審議会の法案審議の際に、質問としてそういった質問が出たわけでございます。私どもといたしましては、こういう問題は一応取り上げて十分検討するべきものであろうという御返事をいたしましたので、その状況について閣議で報告もしておるという段階でございます。
○岡田(春)委員 その閣議で報告をされた点について、もし差しつかえなければもう少しお伺いをさせていただきたいと思うのです。内容を御報告願いたいと思います。
○安井国務大臣 特別の込みいったことはないのでございまして、当時の委員会で、国会の定数の中に沖繩の議員の議席を現在では空席でもいいから入れてはどうか、入れるという別表改正を考えてはどうか、それは沖繩と日本との関係上も非常にいいのじゃないか、という御提案を兼ねた御質問があったわけでございます。そういう問題につきましては、なるほど一つの御提案としてわれわれも十分一つ今後検討いたしたい、しかし、選挙制度を変えるという問題につきましては、現在御審議を願っております選挙制度審議会ができ上がりまして、これにすべてをかけて今後政府は検討していくという建前をとっておりますので、この問題だけを取り上げて独自に今政府が右から左にどうしようという結論を出す考えは持っておらぬわけであります。
○岡田(春)委員 そのあとであなたは、記者会見その他でお話しになったのだろうと思うのですが、ドイツにおけるアルサス・ローレンの例ですかザール地方の例ですか、何かそういう例をお使いになって、あなたの意見としては、空席でもいいから沖繩から出席するという点をはっきりしておくことが必要ではないか、日本の国に沖繩に対する潜在主権があるということであれば、それに見合った形で、実際の議員はいないにしても、潜在的に議席があるのだというような形をとることが、日本の政府としてとるべき態度であるというような具体的な案をもしお持ちになっているなら非常にけっこうだと思うのですが、こういう点についてはいかがでございましょう。
○安井国務大臣 事は多少外交の問題とも関連をすることでもあろうと思いますし、それから、選挙制度そのものにつきましても、私ども今申し上げましたように審議会ができましてからその答申を待ってすべてを決定いたしたいという建前でありますので、今ここでどういうふうにしたらいいと思うという結論は、私どもとしても現在出す段階にはない、わけでございます。ただ、注目すべきそういった御提案があった、これは十分検討してみるべきものであろうという趣旨で私どもは受け取っておるし、また、そういう趣旨で今後扱っていきたいということで閣議にも報告いたし、その範囲内で御了承を得たい、こういうことでございます。
○岡田(春)委員 もう少し率直にあなたの御意見をお話し願った方が私はいいと思うのです。何も今日はわれわれ野党であるからそれを追及するとか何とかいうのじゃなくて、特に沖繩においては、おたくの関係のある自民党、それからわれわれの方の関係の社会大衆党、挙党一致で国会に参加しようという熱望があるわけです。この熱望は私は非常に大切なことだと思う。というのは、沖繩の人は全部日本の国籍を持っている国民なんです。それはあなたも御存じのように外務委員会でも再三にわたって明らかになり、ハワイの裁判所において日本の国籍を持っておるという点が明らかになっておるわけてす。そういうことになって参りますと、沖繩の人のこの気持を具体的に表わすために自治大臣として積極的な提案をされることが、日本の国民に対してとる態度である。そういう点からいって、あなたの御見解を率直に一つ承りたい。そう言う点で、ここで御披瀝を願いたいというつもりで私は質問しているわけですが、どうですか。
○安井国務大臣 この点を、選挙制度審議会ができました場合、議題の一つにかけたいと思っております。
○岡田(春)委員 それでは自治大臣としてはその問題を積極的に審議会に提案をする、こういうふうに解釈をしてもよろしゅうございますか。
○安井国務大臣 かけたいこう考えております。
○岡田(春)委員 その点は了解いたしました。 それから現在の選挙法によらないで国会に参加する道もあり得ると思うのです。沖繩の場合には特殊な制度というものを設けて参加するという方法も、沖繩で現実に研究をしているわけです。二つの道が実はあるわけです。そういう点も御研究になるおつもりはございますか、いかがですか。
○安井国務大臣 あわせて政府自体としても検討もいたし、同時に必要によってこれも審議会へかけてみたい、こう思っております。
○岡田(春)委員 国会参加の決議というのは、これは何もアメリカに関係するというよりも、日本の政府との関係が主であります。この決議がすでに行なわれておりますし、この点については今藤枝総務長官が来るのを待っておるのですが、そういう決議がすでにこちらに来ているわけです。この国会参加の問題について具体的に現わすという意味で、選挙制度審議会に自治省の提案として沖繩の問題を提案する、こういうあなたの御意見として私は承っておきたいと思います。その他の問題についても、沖繩の自治権の問題、今自治といっても実際は沖繩においてはアメリカの軍政がしかれているわけです。今日アメリカは民主主義とか何とか盛んに言いながら、実際に沖繩においては軍政、独裁の政治というものが行なわれている。こういう点については、われわれはほんとうにこれは野党であるからとかそういうのではなくて、日本の国民として非常に遺憾に思いますが、この点についても御感想があれば伺っておきたいと思います。
○安井国務大臣 この問題につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、一日も早く返還されることを期待するという以上には、ちょっと御返事のしようがなかろうと思います。
○岡田(春)委員 もう一点だけで終わりますが、池田さんがアメリカに行くについて施政権返還の問題を取り上げる、こういうことを言っているようでありますが、この点について自治大臣としても強くプッシュされるお考えをお持ちですか、いかがですか。
○安井国務大臣 これは十分研究いたしているということで、今どの程度に具体的に御相談申し上げるか、まだはっきりきめておりません。
○岡田(春)委員 私が言っているのは、これは小坂さんの方でも今盛んにやっているわけです。ところが外務省の内部では、小坂さんは早く施政権の返還をやれというのがどうやら希望らしいのですが、その下にいる局長はそういうことを言うのは困るんだということを盛んに言っているらしいのです。内部でだいぶ意見の対立があるらしい。これは伊關さんを言っているんじゃないですよ。局長の多くは、アメリカに遠慮のあまり言っている人もあるらしい。そういうこともあるらしいので、こういう点は、今日の政治というのは役人が中心になる政治ではないのですから、この際は、安井さんは長い間参議院の自民党の幹事長もやっていたんだから、いわゆる政党政治の本領を発揮して、あなたが大いに主唱されることが私必要だと思うんだが、そういう意味でも意見をお伺いしておいたわけです。小坂さんに大いに協力をして、施政権返還についての要求を池田首相がアメリカに参りましたときに実現できるようにやっていただきたいと思います。これは御答弁があってもなくてもけっこうですが、希望を申し上げておきます。
○安井国務大臣 よく伺っておきます。
○岡田(春)委員 それではラオスの問題で小坂外務大臣に二、三伺って参りたいと思いますが、昨年イギリスとソビエトによってラオス停戦問題について具体的な提案が行なわれました。この提案について日本政府がどういうような見解をお持ちになっているか、まずその点から一つお話を伺って参りたいと思います。
○小坂国務大臣 ラオス問題につきましては、この委員会でたびたび申し上げましたが、われわれはまずあの状態を終息せしめるということがこの際緊急な必要事であろう、そしてその次に、ラオスの国民が平和の道に安んじて繁栄していくことができるような措置を考える、こう二段がまえでその問題に対処していく、簡単に言いますと、まず停戦、そして国際会議という方法を言っておったわけでございますが、大体そういうふうな方向になりまして、この点非常に喜んでおる次第でございます。
○岡田(春)委員 再三小坂外務大臣のラオス問題に対する態度について御答弁があったわけですが、そういう趣旨が今度の英ソの提案によって完全に生かされた、こういう点で非常に賛意を表するという御答弁でありました。それについて、これは伊關さんに関する分かもしれませんが、現在ブンウム政権に対して日本政府はこれを合法政府として認めて、ブンウム政権との関係を保っているということになると思うのですが、この点はそうでございますか。
○伊關政府委員 その通りでございます。
○岡田(春)委員 このブンウム政権というのは、現実にはラオス全土を支配している政府であるかどうか、私はそうじゃないと思うのだが、一体どの程度において現実に合法政府としての資格条件を持っているのか、こういう点についてもう少し伺いたいと思います。
○伊關政府委員 ラオスの憲法に基づく手続は完全に踏んでおります。現実に支配が及ぶ地域がラオス全土のどれくらいであるかということは、戦局が変わっておりますが、まあ常識的に申しまして半分ぐらいかと思っております。
○岡田(春)委員 半分ぐらいかというお話でありますが、これはいろいろあれがありますけれども、ラスオの大使館からそういうことを言ってきましたか。そうじゃないのじゃないかと思うのですが、おそらくどんなにひいき目に見ても五分の二、まあ四分の一くらいがブンウム政権が合法的に支配している地域だとわれわれは解釈しているのですが、ブンウム政権があなたのおっしゃるようにたとえば半分を支配しておったとしても、ブンウム政権が反対側の政府との間の何らの話し合いもなしに今度の十四カ国会議に出席するとするならば、ほんとうの意味でラオスの今度の問題を解決することにはならないと思う。やはり今度の問題を解決するためには、ラオス国内において対立をしているいわゆる政権との間において話し合いをつけて、全ラオスを代表するような権力が十四カ国の国際会議に出席すべきであると私は考えるのですが、この点はいかがでございますか。
○伊關政府委員 現実の問題といたしまして、停戦が行なわれる。それから停戦が行なわれますと、おそらく、スバナ・プーマというものは中立の勢力、それからブンウム政権は右の勢力、それに対しましてパテト・ラオは左の勢力でございます。この三つの勢力が相談をいたしまして、何かの内閣を新しく作りまして、これが出席するということになるのじゃないか、またそれが一番いい姿じゃないかと思います。
○岡田(春)委員 非常にはっきりして参りました。その三つの勢力が話し合って新たなる政権を作って、今度の十四カ国会議に出席をする、こういう形になってくると思いますが、これは実はプーマ首相が——まあ、あなたの方は首相と認めないのでしょうが、一応プーマという人が、きょうの新聞によると提案をしておる点であります。これと全く同じ考えであります。しかもこれはプーマ氏が外遊をする直前に、ノサバンとの間で話し合いのきまっている方針であります。そうなって参りますと、日本政府としても、すみやかに停戦をして解決するためには、とのプーマの提案に対して賛成をするのは当然だろうと思いますが、この点はいかがでございますか。
○伊關政府委員 そういう姿が問題を解決するには一番いい方法だろうと考えております。
○岡田(春)委員 きょうは伊關さん、非常にはっきりお話しになって、こういうような形で参りますと外務委員会も非常にスムーズに参るわけなんで、筋をはっきり通していただくことは私たちも賛成なんです。 それで、まあこれでまたいろいろ荒立てる形になるとあれでありますけれども二、三お話しをしておきたいのですが、前回の外務委員会でやはり私はラオス問題を取り上げております。あのラオス問題を取り上げているときに、はなはだ中川さんに申しわけないのでありますが、どうも中川さんの御答弁を聞いていると、私は率直に申し上げて納得できないのです。というのは、たとえばノサバンに対して、ノサバンが反乱軍の当時においてアメリカは軍事援助を行なっておったのは事実なんですね。これはもお認めになっておる。ところが軍事援助をやっておったことに対してあなたは、その当時の正統政府であるプーマ政権からこれをやめてもらいたいということをアメリカに申し入れたときに、アメリカは直ちにそれはやめたのだ、それからプーマ、ノサバン政権ができてから軍事援助を再開しているんだという御答弁をなさいましたね。これは間違いないのでございますか。私は歴史的に事実を調べておるので、そういうことがはたしてほんとうかどうかというのは、非常に不審に思うのですが、そういう意味で私は中川さんが言われたことをなかなか納得できないということを申し上げているのです。それが間違いであるならばこの際間違いであると言ってもけっこうなんですし、私は何もそれをとやこう追及しようとは思いません。その点をもう一度確認しておきたいと思います。
○中川政府委員 そのときも申し上げたと思いますが、アメリカの国務省の出しましたラオス白書に基づいて、アメリカの考え方はこうであるという意味で申し上げたわけでございます。
○岡田(春)委員 それじゃやはりプーマ政権が停止をしてもらいたいということを申し入れてから直ちに停止をしたわけですか。
○中川政府委員 そのアメリカのラオス白書ではそういうことにちゃんと書いてあります。
○岡田(春)委員 あなたの意見を聞いているんですよ。私はアメリカの意見をあなたに聞いているのじゃないんですよ。日本だってあそこに大使館があるのでしょう。小坂さん、あなたはそこで笑っているけれども、大使館があって大使から日本の政府に報告があるでしょうが。アメリカへ聞かなければわからないのですか。日本の大使館があるなら日本の大使から連絡があるはずですよ。日本の態度を聞いているんです。日本がそれに対して事実かどうか判断ができなかったら、アメリカのかいらい政権みたいなことになっちゃうじゃありませんか。ラオス白書に書いてあるからその通りだとおっしゃるんじゃ話にならないですよ。私は日本政府の態度を聞きたいのです。
○伊關政府委員 あの当時は非常に事態がこんとんとしておったわけでありまして、このサバナケットにおりますノサバンとプーマ首相との間に話し合いが行なわれてもおりました。話し合いが成立しそうに見える場合もあったり、あるいは戦闘をやったりということでありまして、アメリカにいたしましても事態はこんとんとしておるという理由で、援助を停止してみたりまた始めてみたりしておるわけでありまして、話し合いがつきそうに思って武器を渡した、渡るころにはもう戦争をしているというような事態があったと思います。すこぶるこんとんとしておる。ですから悪意で渡したか善意で渡したか、善意で渡したときに、実際問題は戦っているものに渡ったということもあり得る。
○岡田(春)委員 私はこの問題、大きな問題ですけれどもあまりこだわってやりません。ただしはっきり申し上げておきますが、ラオス白書の通りであると日本政府がおっしゃっているならば、ノサバンの反乱軍にアメリカの軍事援助を停止したのはわずか十日間です。それは十二月三日にプーマ政府が正式にアメリカの大使に対して軍事援助の停止を申し入れております。そしてこれはアメリカが認めている。そしてブンウム、ノサバン政権ができ上がったのは十二月十三日であります。十日間だけ停止したのです。それ以前の反乱軍ノサバンに対して援助をしたのは、約三カ月間援助をした。これは九月以降十二月三日に至るまで反乱軍に援助することによって、ラオスの合法政府であるプーマ政権の転覆をやるためにアメリカが援助をした、こういう事実がアメリカのラオス白書によって明らかになっていると私は思うのであります。しかしこの点は何か御意見があれば伺ってもけっこうですが、もう一つ話を進めておきますけれども、アメリカの国務省の発表によると、四月十九日にアメリカの軍事顧問団、制服の軍事顧問団をいよいよラオスに配置することに決定をした、しかもその団長の談話も出ております。ボイルという代将が団長として、もうすでに設置されたということを発表しております。この事実は、日本のラオスの大使館からどういうような情報が入っておりますか。アメリカの制服の軍事顧問団が四月の十九日にアメリカの国務省の発表と同時にラオスの国内に設置された、そういう事実はあなたの方に何か具体的な情報が入っておりますか。その事実は日本政府としてお認めになりますか。
○伊關政府委員 先ほどの問題に関連しまして、プーマ首相も十月の初めからアメリカの軍事援助が停止されておるというふうなことを発表したこともございますから、これは停止してみたりまたやってみたりというふうに、事実はこんとんとしております。 その点はそれにいたしまして、今のアメリカの軍事顧問団につきましては、まだ現地の大使館から報告が参っておりませんが、これは事実だろうと思っております。
○岡田(春)委員 前段の点も私は済ませるつもりだったのだけれども、またあなた御答弁になるからですが、それはこうなんですよ。パーソンズという、アメリカの、前に大使をやっていた男が十月の初めにプーマ首相に会見をしているのです。そのときには三つの条件をつけて、ラオス憲法違反の条件までつけて——たとえば例をあげて言いましょう。ラオスの憲法違反ということは、首都のビエンチャンを移転させろという要求までアメリカは突きつけたのですよ。そういう条件をつけたときに停止をしたのです。ところがその間停止されたのはわずかに一週間なんです。たしか十月十四、五日になってから再度再開をしているのです。そういう事実はあるのです。これはプーマ正統政府に対する援助の問題。ところがノサバンに対しては終始一貫ずっと援助しているのです。これはコン・レ革命が起こって、コン・レが革命政権を作って、ノサバンがビエンチャンから逃げ出してタイに逃げ込んで、ほかの南方の地域に逃げ込んで、反乱軍を組織した。そのときから一貫して反乱軍の援助を行なっているのです。この点が実は問題になってプーマ首相がこれをやめてもらいたいということを申し入れたのが、十二月三日なんです。ですからこの点とあなたの言われた点とはちょっと違うわけであります。前段の話はもうそれ以上申し上げません。事実関係が私明らかですから、むしろ訂正しておいた方がいいと思うので私申し上げたのです。 軍事顧問団が配置になったのは事実である、こういうことになると、そこでお伺いしたいのですが、この前中川条約局長は、SEATOの条約に基づいてこれが実施されたものと思う、その場合においてはブンウム政権がそれを要請した場合においてはこれは違法ではない、こういう御答弁があったように私記憶しておりますが、この点はいかがですか。
○中川政府委員 この前御質問になった委員会では、今度の軍事顧問団をいよいよ派遣することに決定したという発表のある、たしか前でございました。従ってまだそういう事態ができていなかったのでありまして、SEATOに基づいて派遣する云々ということは、私はっきりそういうことを申し上げた覚えはないと思いますが、要するに、もしそういうことが起こると、SEATOで派遣することがありとすれば、ということであったかと思います。そういうような場合には、またSEATO条約の方が要するに動いてくる、生きてくるということがあり得るという、一つの理論の問題として申し上げたわけでございます。まだ現実の問題が起きていなかったわけでございます。
○岡田(春)委員 それはわかっています。現実の問題がまだ起こる前に質問したのだから、現実には起こっていなかったのです。 それでは伺いますが、実際問題として今日アメリカの軍事顧問団が配置になったということは、SEATOの条約に基づいてこれは配置になったものですか、どうなんです。私はSEATO条約の発動をいまだに聞いておりませんが、そういうように御解釈になるのですか、どうですか。
○中川政府委員 われわれもSEATO条約が発動されたということは聞いておりません。
○岡田(春)委員 それではSEATO条約に基づくものではないというように解釈せざるを得ない。そうすると、アメリカの軍事顧問団がラオスに配置されているということは、この前も御質問してあまり要領を得なかったのでありますが、ジュネーブ協定のたしか第六条に反すると思いますが、これは伊關さんでもどなたでもけっこうですが、いかに御解釈になりますか。
○伊關政府委員 私がこの前の御質問に対しまして、ジュネーブ協定でなくて、もしそういうことが仮定の問題としてあるとすると、あるいはSEATOの条約によるのではないかというふうなことを申し上げたのでありますが、アメリカ側がただいま申しておりますのは、これもはっきりいたしませんけれども、アメリカ側の発表に基づいて何か新聞に出ておりましたか、要するにそういうふうなSEATOということは申しません。またジュネーブ協定につきましてはアメリカはこれを尊重しておる、しかし現実に共産側においてジュネーブ協定の違反が行なわれておるから、アメリカとしてもそれに対抗する措置をとるものとして今度のことをやるというふうに発表されているように聞いております。
○岡田(春)委員 それじゃSEATOの条約に基づかないで何らかの協定というか、もぐりで入ってきたわけですな。何かブンウム政権が要求をしてただ勝手に入ってきた。しかしアメリカがジュネーブ協定に調印をしていないのは事実なんだが、ジュネーブ協定によって拘束されるかどうかという点については一応論議をおくとしても、ブンウム政権はジュネーブ協定に拘束されますね。そうでしょう。
○伊關政府委員 もちろんブンウム政権はこれに拘束されます。そこで共産側が現実に違反をやっておるという理由に基づきまして、一種の自衛権の発動と申しますか、そういうことによって違法性を阻却するというふうな観点に立って考えておるのじゃないかというふうに考えられます。
○岡田(春)委員 しかし、それはあなた理由にならないですよ。だってジュネーブ協定というのは九カ国で締結しているのでしょう。まず第一にそれじゃ伺いましょう。九カ国で締結された条約の第六条にブンウム政権のとったこの措置は違反しておりませんか、どうですか。違反しておりましょう。
○伊關政府委員 私が申し上げておりますのは、日本政府がそれを違反と認めるか認めぬかということではございませんで、おそらくそういう解釈をとっておるのじゃないかというふうに新聞等によって見えるということでありまして、それに対しましてわが方はどういう見解を持っておるかということは別問題でございまして、これに何も巻き込まれてとやかく申し上げる意思はございません。
○岡田(春)委員 ジュネーブ協定を守るということは、この前小坂さんが再三言っているのですよ。守るべきだ、それこそがラオスの停戦をもたらす道であるということを再三言っている。それならばこのブンウム政権のとった措置というものは、一体ジュネーブ協定に反しているのかどうなのか。日本政府はこれに対してどういうようにお考えになるのかということを私は聞いているので、これは一つ小坂さん御答弁を願いたい。ジュネーブ協定の第六条には、「ラオス領域の外部からの補強のための軍隊及び軍人員のラオスヘの入国は、休戦の布告の後は禁止される。もっとも、フランス最高司令部は、ラオス領域内におけるラオス国軍の訓練のために必要な特定数のフランス軍人員を配置しておくことができる。その人員は、千五百人をこえない将校及び下士官とする。」と書いてある。これはアメリカと書いてない。フランスの最高司令部はと書いてある。アメリカが入った場合においては、どういう理由があれ——共産軍が入ったからとかなんとかということは、どういう口実を設けるかは知りません。知りませんが、アメリカがラオスの中に軍事顧問団を配置したということは明らかにジュネーブ協定の第六条に反するではないか。その事実はお認めにならざるを得ないでしょう。どうですか小坂さん。
○小坂国務大臣 その問題は先般申し上げたように、当時私服のシビリアンとして入っておる者があるようだということだったかと思います。それで今の問題はこれはまた別なんでありまして、あなたの御質問に対して伊關局長が申しておるように、共産側では非常に兵力あるいは武器、弾薬等をつぎ込んでおる、それだから自衛的にやるんだというふうな解釈ではないかと、いろいろな情報等を通して推測しておるということを申しておるわけでありまして、何もこの問題にえらく張り切って介入してくるということは、一体いいのかどうか、われわれはそういうことはなるたけ事態を十分に見て、それこそ慎重にこの問題について考えていくべきものだと思う。日本の国会で日本の外務大臣が、どっちがいいとか悪いとか言うことはよけいなことだからということを先般申し上げたのであります。
○岡田(春)委員 先般そんなことは言いませんよ。先般は制服の問題なんというのは、まだその事実の前の問題だもの。あなたは私服の話を言っている、制服の問題については何もあなたは答弁してないですよ。
○小坂国務大臣 その問題は前には出ていない。
○岡田(春)委員 制服の問題を私は聞いている。あなたは前の私服の話をするなんというのは、答弁をごまかしているといわざるを得ないじゃないですか。そういうことを言うなら、あなた、はっきり制服の問題についてはどうなんですか。制服の問題について配置をされているという四月十九日の問題については、あなたはジュネーブ協定を守ると言っているのに、アメリカはジュネーブ協定に反しているじゃないですか。これに対してそう解釈しないというような何だかあいまいなことを言っているのだが、今度の十四カ国会議で必ず問題になりますよ。問題になってアメリカは撤退せざるを得なくなりますよ。これは明らかです。だから私はさきに言っている。日本はアメリカのことなら何も言わないというこの態度、これが問題だということを言いたいのですよ。間違っているなら、なぜアメリカに対しても間違っているからということをはっきり言わないのですか。前の答弁でごまかして、それで私はごもっともですといって引き下がるわけにはいきませんよ。制服は明らかに入っている。これは先ほど伊關さんが答弁した通りだ。その制服の入っていることは第六条に反している、これも事実である。これに対してあなたはどういう答弁をされるのですか。前にはそういう答弁なんかしておりませんよ。
○小坂国務大臣 前の委員会の際には、その問題は出てなかったと思うんですね。だからその通り答えたと申しておる。制服でない者が入っているという場合について御質問があった、そのことについて御答弁申し上げたということをさっき申し上げたのであります。
○岡田(春)委員 だから今制服の点を聞いているんですよ。
○小坂国務大臣 それはあらためてそういう御質問があれば答弁しますが、さっきの御質問はそうでなかった。そこで問題はさっき申し上げておるように、今この問題について、会議で当然問題になるのだから今ここで言明しろというようなお話でありますが、そういうことを実際の事情もよくつかまないで、ここで情報に基づいてどうこうという議論をすることは、私はとらないと申し上げておるのです。アメリカのことなら何でも答えないとおっしゃいますけれども、私はアメリカのことばかりでない、共産側のことについても答えてないのです。あなたはなぜ共産側のことについておっしゃらないのかということを私はむしろ質問したいのです。
○岡田(春)委員 あなたは非常に不謹慎じゃありませんか。私は、さっきから二回も三回も制服の問題について質問しているじゃないですか。私は私服の問題についてなど質問しておりませんよ、あなたは何を聞いていたのですか。制服の問題について伊關さんが答弁しているじゃないか。あなたの管轄の局長がしているじゃないか。それについて答弁しないで二、三日前のことを答弁しているんじゃ、あなたこそどうかしておりますよ。しっかり頭を冷やしてやった方がいいですよ。今になってそういういいかげんな牽強付会なことを言っちゃ、委員会の答弁にならぬですよ。ともかくも私は、制服の軍隊の問題について聞いているのです。それがジュネーブ協定に反するかどうかということを聞いているのです。ジュネーブ協定に反するなら反すると、なぜ言えないのですか。
○小坂国務大臣 いろいろ御議論があるわけですが、これはどうもアメリカを一方的にきめつけてここで御質問があって、それに答えろと言われても、私どもとしては、政府の立場としては、やはり十分その理由もあろうことかと思うのでありますから、その理由も聞かないでどうのこうのということは、これはよろしくないというふうに考えております。
○岡田(春)委員 アメリカをきめつけて云々とおっしゃるから、アメリカの話を聞きましょう。アメリカはラオスの中立政府を支持しておりますね。そうですね。そうじゃありませんか。
○小坂国務大臣 ラオスにおいて真の中立的な政権ができるということを支持しております。
○岡田(春)委員 真の中立政権というのはどういうことですか。いわゆる共産陣営の方でも支持をしない、直接の軍事的ないろいろな干渉をしない、アメリカの方でも軍事干渉をしない、こういう意味でしょう。
○小坂国務大臣 真のというのはそういうことだろうと思います。
○岡田(春)委員 アメリカが軍事干渉をしないということは、問題になるじゃありませんか。ですから、第六条の問題が問題になるのじゃありませんか。そういう意味で、これに対しても反対だという態度をおとりにならないと、共産側で云々とかなんとかそれだけをあなたがお話しになって、アメリカに対しては意見を言えないというようなことをおっしゃるならば、アメリカの中立政策を支持するという態度についても、あなたの意見はおかしな意見になってしまうでしょう。 そこであなたに伺いますが、池田内閣は中立政策というものには反対なわけですね。ラオスに対しては中立政策を支持するわけですか。
○小坂国務大臣 ラオスにおいてそういう真の中立政権ができるということを支持しているわけです。あなたは今、何か言うことが中立支持になるのだから言えとおっしゃいますが、これからそういう政権を作るのですよ。これから政権を作ろうというので、みなで考えよう、国際会議はその目的に沿うて作ろう、こう言っているのでございますから、早まっちゃいけないと思います。
○岡田(春)委員 これから作るのじゃないですよ。中立政策というのはアメリカは前から言っているのですよ。これから作るのじゃないですよ。日本の政府はこれから作るのかもしれないけれども、これから作るのは事実上の問題です。私の言っているのは中立政策の問題です。それよりも、今度は池田内閣は日本においては、中立政策は反対だ、ラオスにおいては中立政策は賛成だ。矛盾を感じませんか。
○小坂国務大臣 日本が中立政策をとることは反対いたしております。ラオスではそのときの事情、その情勢等によって、今日においてはそれが適当である、こう考えます。
○岡田(春)委員 キューバにおいてアメリカは、中立政策をとるのは反対だとケネディがわざわざ声明しましたね。ラオスだけは中立政策をとらなくちゃならないというアメリカの態度。これと同じようにキューバに対してはどうなんですか。日本の政府は中立政策をとることに賛成なんですか、反対なんですか。
○小坂国務大臣 自由民主主義の国がどう考えるか、共産主義を信奉する国がどう考えるか、それを一々その場その場で批評してみても始まらぬと思います。やはりそのときによって最も適切なことを考えるのが政治だと思います。
○岡田(春)委員 あなたのおっしゃる政治というのは便宜主義なんです。中立政策をとったり中立政策をとらなかったり、適当なところでアメリカのおっしゃる通りにどうにでもするというのが日本政府の態度、こう言わざるを得ないのです。 そこで私は伺いますが、これは伊關さんがラオスに行っておられる間にそういう事実があったはずですが、十二月の中旬以降の戦闘で、ラオスの内戦にタイの軍隊、フィリピンの軍隊が参加し、アメリカの軍人が約二十名死傷しております。この前この問題について、飛行機の問題で小坂さんに私質問をしたときに、そんな事実は知らぬという答弁で、まあ何でも都合の悪いときは知らぬと言うのだろうと思うのですが、伊關さん、こういう事実がありましたかと言えば、それは知りませんというように答えるのだろうけれども、タイの軍隊、フィリピンの軍隊がいわゆる内戦に参加しているという事実は、これはもう動かせない事実だと思いますが、この点はいかがでございますか。
○伊關政府委員 飛行機の問題でございますが、あれはおそらくアメリカの武官が乗っている——軍事顧問団と別に大使館付の武官がおりますが、そのケースじゃないかと思います。 それから私がラオスに参っておりましたときに、今のようなはっきりした証拠のある話としては、そういうことは聞いておりません。
○岡田(春)委員 しかしアメリカの飛行機へ武官が乗っておって、交戦地域で相手側の軍隊に落とされたということになれば、これはいわゆる内戦の中にアメリカは介入しておったと解釈せざるを得ないではありませんか。どうなりますか。
○伊關政府委員 それは武官でありまして、軍事情勢を見るというのが武官の一つの任務であろうと思いますから、それを見に行った、ところが落とされたということになったんじゃないかと思っております。 〔「了解」と呼ぶ者あり〕
○岡田(春)委員 了解しませんよ。事情ははっきりしている。 それでは、これはきのうの内閣委員会でも問題になっておりますが、三月二十四日に富士にいた沖繩のアメリカ海兵隊が、突如富士から撤退をしているわけですね。これについて昨日の内閣委員会では、たしか防衛庁長官であったかだれであったか、ちょっと記憶ありませんが、この撤退について事前の通告があったような答弁をしておりますが、これについて何か事前の通告がございましたか。
○小坂国務大臣 この演習は定期的に通常行なわれているので、その規模は大体二千ないし三千人の人が来ているわけです。三月のケースにも、参っておった者が大体予定の訓練期間を終えて帰った、こういうことであります。その中の一部にはロケーションに来ていたというものもあるようであります。
○岡田(春)委員 いや、予定の行動を済まさないで帰ったわけです。 これと同時に日本にいるアメリカの軍隊、在日米軍といいますか、この在日米軍に対しても出動準備命令が出たという事実がありますが、この点について何か事前の通告がございましたか。
○小坂国務大臣 別に特に聞いておりません。なお在日米軍という言葉は今はないわけです。御承知の通り。
○岡田(春)委員 略称で言ったのです。あなた、そういう言葉じりまでつかまえるなら私も言いますよ。いいですか。いいならそれをやりますよ。手を振るなら、やめてくれというならやめてもいいけれども、やめてくれということですか。頭を下げたのはやめてくれということですね。速記に残しておきますよ。 ともかくそれではもう一つ伺っておきましょう。一月にタイの軍隊で百名、飛行機のアタッシェが立川から出発しておりますが、この事実は御存じありませんか。百名、タイの空軍アタッシェが立川から出発してタイ国へ戻って、そのままラオスに参加しております。こういうことについて何か通告その他はございませんか。国連局長でもだれでもけっこうです。重要な問題ですよ。
○中川政府委員 そういう事実は聞いておりません。
○岡田(春)委員 これはお調べ願ってあとで明らかにしていただきたいと思います。 それから同時に、その前後に台湾の兵隊が若干名、立川から沖繩を経由してラオスに行っております。こういう事実は御存じございませんか。
○伊關政府委員 ただいまの両方とも私は聞いておりません。もしそういうことがありますれば私も当然知っておるべきことだと思うのでございますが、ちょっとそういうことはあり得ないことだと思います。
○岡田(春)委員 もしこれ、あったらどうしますか。しかもそういうことが事前の通告がなかったとするならなおさら重大な問題ですが、アメリカ側にこれは抗議されますか。
○伊關政府委員 私は常識的にはあり得ないことだと思っておりますが、調べまして……。
○岡田(春)委員 これはわれわれの方もいいかげんなことを言っているのではない。事実を握っているから言っているのです。あなたの方で御答弁になりましたら私は質問を続けます。 それから沖繩を通じて日本にいるアメリカの軍隊がどんどんラオスに行っている。こういう事態、特に三月の下旬の状態は、やはり日本にいるアメリカの軍隊がラオスの戦闘に参加しているというような事態と考えるべきであると私は思うが、この点はいかがですか。
○中川政府委員 日本におりますアメリカ軍隊が日本から撤退する場合、それが沖繩に参ります場合も含めまして事前協議の対象にはならないわけでございます。事前協議の対象になるのは御承知の通り、日本から直接の戦闘作戦行動に従事する場合、かようなことになっております。
○岡田(春)委員 今、中川さんの言われたように直接の戦闘作戦に従事するという、ラオスに参加しているという場合です。その場合には当然事前協議の対象になるわけですね。三月の下旬の状態というのはそういう状態であるというように御解釈にはならなかったわけですか。
○中川政府委員 これは新安保条約の御審議の際から繰り返して御質疑に対する答弁があったわけでございますが、日本から出ます場合にどこかほかの場所に出る。つまり戦闘行為の行なわれていない場所に出る。その場所からまた戦闘行為の行なわれている場所にあらためて出直すというような場合は、これはいわゆる直接の戦闘作戦行動とは見ない、かような解釈をとっております。
○岡田(春)委員 それは条約解釈としては、沖繩に寄った場合にはそれは適用されない。たとえば日本にいるアメリカ軍が沖繩に行って沖繩からラオスに行った、これは事前協議の対象にならない、これは言うまでもないです。ところが事実上これはラオスの戦闘に参加しているということを認定せざるを得ないでしょう。その場合に事前協議の条項は抜け穴になるわけですね。その抜け穴の問題に対してどういう措置がとられるわけですか。この事前協議の条項というものは私は伺いたいのですが、事前協議というものを提議するのはアメリカの側からだけが事前協議の提案ができるのですか。日本からは事前協議の提案はできないのですか。
○中川政府委員 事前協議の問題でございますが、これはもちろん双方からできるわけでございます。 なお、この事前協議の対象にはなりませんけれども、日本の何と申しますか、平和と申しますか、これと密接な関係のあるような事態が起きました際には、第四条におきまして協議をすることは、これは当然できるわけでございます。それ以外には外交上の協議を国際問題につきましては常時行なうこと、これも当然できるわけでございます。従ってもし御指摘のような際にそれが相当日本として関心を持つべき事態であるということであれば、むしろ第四条なり一般外交上の協議という事態になると考えます。
○岡田(春)委員 三月下旬において第七艦隊がシャム湾に集結する、それから沖繩にいる海兵隊その他いわゆるゲリラ部隊もラオスに集結する。それから日本にいるアメリカの軍隊が沖繩に移動し、ラオスその他に直接行っている、こういうような緊張した事態のあったことは、これはもう私があらためて言うまでもなく中川さん御存じのはずです。この事態は新しい安保条約の第六条の「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は」云々というそれに該当することになりますか、なりませんか、どうでございますか。
○中川政府委員 第六条は在日施設、区域等をアメリカ軍が使う場合の規定でございます。今、ラオスの問題におきまして、たとえば沖繩の海兵が富士に行っており、演習したのがまた引き揚げるというような場合は、日本の施設におりましたものがむしろ撤退するという問題である、かように考えるわけでございます。なお、日本におきますアメリカ軍が沖繩を経由いたしましても、ラオスの戦闘に従事するためにラオスに向かったということは、われわれアメリカとアメリカ局を中心として常時連絡しておりますが、さような事実は聞いていないのでありまして、むしろ一般のラオスをめぐる国際情勢、アメリカの軍事配置、その他のことにつきましては外交上の協議といたしまして、その当時アメリカ側と緊密に連絡していたのであります。さようなただいま御指摘になりましたような事実については聞いておりません。
○岡田(春)委員 もう時間もありませんから終わりますが、私は先ほど御質問いたしておきました立川から出発をしたタイの空軍の百名並びに台湾の若干名の兵隊がやはり立川を出て沖繩その他を回っておる事実がある。こういう点についてもっと突っ込んだ事実に基づいて質問しようと思っておったのですが、あなたの方で御存じないようですし、きょうアメリカ局長は来ておりませんので、この次御答弁を願って、それについての事実を明らかにして参りたいと思います。 ただ最後に私一つだけ伺っておきますが、極東における平和の問題として、今度国際会議が開かれる。それは非常にけっこうなことだと私も賛成です。外務大臣も賛成されたので、私は非常に珍しく与野党がその点では一致したということについて喜びにたえませんが、この第二回のバンドン会議を開くということについて、政府はどういうお考えをお持ちですか。
○小坂国務大臣 バンドン会議につきましては、これは最近インドネシアの政府が第二回のA・A会議を開こうと考えまして特使を派遣するなどの方法で一部のアジア・アフリカ諸国の意向を打診いたしております。一九五五年第一回のA・A会議の最終コミニュケによりますれば、第二回会議については第一回の共同主催国でありたビルマ、セイロン、インド、インドネシア、パキスタンの五カ国が考慮することになっておりまして、わが国がイニシアチブをとることは予想されていないわけであります。第一回会議に関しまする五カ国の足並みというものは必ずしも一致していないのみならず、また他の国々も第一回会議後生じたいろいろな事態に対処する立場から、それぞれ趣を異にしておる点もございますので、第二回A・A会議のような重要政治問題に対する態度は、国際情勢をも反映いたしまして微妙であると考えられますので、政府といたしましてもこれらの国々の動向を十分検討の上に慎重に対処していきたい、こう考えております。
○岡田(春)委員 この第二回のバンドン会議の問題につきましては、インドネシアの政府から非公式にインドネシアの日本大使館その他適当な機関に対して日本に打診があったように聞いておりますが、この点はいかがですか。
○小坂国務大臣 特に聞いておりません。
○岡田(春)委員 そういうことがもし具体的になって参りました場合には、たがいま慎重にというお話ですが、原則的にそういう態度について、この前は日本の国は参加しておりますが、日本政府が原則的にはこの第二回のバンドン会議については賛成なんでございますか、どうなんでございましょうか。
○小坂国務大臣 今申し上げた通りでありまして、第一回の会議後生じましたいろいろな事態に対処しておる立場がいろいろ各国で趣を異にしている点もございますから、こういう会議を開催するということは日本として十分検討して慎重に対処していきたい、こう思います。
○岡田(春)委員 それでは私、まだ沖繩の問題も質問しようと思っておったのですが、きょうは留保いたします。 それから先ほどの立川の問題はぜひとも適当な機会に御答弁を願ってから私は質問を進めます。 きょうはこれで終わります。
○堀内委員長 稻村隆一君。
○稻村隆一君 ガリオア、エロアの問題につきまして外務大臣にほんの二、三点簡単に質問したいと思うのでございます。 新聞で見ますと、来週早々アメリカと非公式にも会談に入る、こういわれております。外務大臣はこの前急いでこの問題は解決したい、こう言っておられますから、おそらく具体的な方針はもうきまったと思うのです。しかし、私は政府の反対党ですけれども、対外問題はなるべく日本国民のために有利に解決してもらいたいわけです。そこで交渉の技術的な問題もあるでしょうから、具体的な幾ら払うつもりであるかなどということまで今ここでお聞きしようとは思っておりません。ただしかしわれわれに非常に不安なのは、新聞など見ますと、大蔵省は四億と言っておるが外務省は五億と言っているなどということが出ております。むろん新聞の報道ですから、あなたの方ではそういうことはないとおっしゃるでしょうけれども、しかし対外交渉は、特にこの問題は確固たる方針によってやらないと非常に困ったことになると思うのです。そこで、そういう原則的な点について一、二点お尋ねしたいと思うのです。 それはガリオア、エロアの問題ですが、三十一年から一括していろいろ計算して、そのうちから幾ら払うかという、そういう方針で今やっておられるのですか、それをお聞きしたいのです。
○小坂国務大臣 稻村さんがおっしゃっていただきましたように、この問題は私どもとしてはやはり日本の国として非常に重要な問題であると考えまして、従来非常に慎重な態度をとっておったわけであります。どうも時期もだんだん長くたったものですから、この辺が解決の一つの潮どきではないかと判断しておりますけれども、交渉にあたりましては十分に国民の納得されるような方針で交渉に当たりたいと思っております。ただ交渉の内容等について、いろいろ新聞記事にも出ますので、非常に私ども当惑しておるのでございます。大体幾らくらいというふうに日本政府は考えて交渉してきているんだということが初めからわかるような交渉では、実のところ交渉にならぬのでございます。その点、私どもある面では非常に心痛をいたしておるのでございますが、ただいまのところは、与野党の立場は別にして、政府としてはよくやった、こう考えていただけるような交渉をしてみたいと考えておる次第であります。
○稻村委員 私は二十一年からのものをずっと一括して、そこからこれだけ払う——そのまま払うのじゃないでしょうけれども、そういう態度でもって調査されておるのか、具体案を求めておられるのか、こういうことをお聞きしておるのです。
○小坂国務大臣 それも含めて、一つ結果を御判断いただけないかというのが、私の現在の気持でございます。
○稻村委員 ところが日本国民の立場からいえば、それが非常に重要なんです。これはいいかげんなと言えば語弊がありますけれども、二十四年前のことはよくわからないのです。資料がないはずです。そうでしょう。それだから私はそういうことをお聞きするのですが、二十一年度のことはそのまま、二十四年度前のことはあまり問題にしないのですか。このくらいのことはいいでしょう。
○小坂国務大臣 二十四年以前のものについて資料がないということはないのでございます。資料はございます。ただこれが完璧なものであるかどうかという点になると若干疑わしい、こういうことでございます。なお日本政府の統計、あるいは、日本政府もただどこの役所でも記帳しないで物を動かしていたわけではないのでございますから、これも資料と言えば資料と言えるものがあるわけであります。そういう点もございまして、いろいろこの交渉についてむずかしいことがある、こういうふうに思っておるわけでございます。
○稻村隆一君 私はこの前に、三十二年一だか三年だか忘れましたけれども、大蔵省の知っている人にあるところで偶然会いまして、資料あるのかと言ったら、実はあるようなないようなもので、多少あるがミカン箱の中に入れてほうってあるのだ、これから調べるのだと言っておりました。それから四谷小学校で火事が出て、そのとき焼いておりませんか。資料は実際上はないのでしょう。
○小坂国務大臣 さっき申し上げた点は若干そういうことにも関係があるのですが、残っている資料もございますし、それは相当な金額になっておるのです。それ以上のことは、私も、何もあとで日本の国民から、何だ、だらしのないことをやったと言われたくて交渉するわけではもちろんございませんから、その点は一つおまかせを願えないかと思っております。実は先般の委員会でちょっと申し上げたように、先方が、スキャップで幾ら幾らのどういう物を何トン出したということの指令もございますし、それに対して日本政府の受けたものもございます。今焼けた話もございましたけれども、そういうものを足してみても相当の額になる。しかしそれで全部だと言い切るだけの点が不足するというのが実は一つの悩みでございます。
○稻村隆一君 それではその点はまた来週お尋ねすることにいたしまして、もう一点お聞きしたいのですが、二十四年度以後の見返り資金の特別会計の金、これは利息も含めて現在幾らくらいになっておるのでしょう。
○小坂国務大臣 その前に、今申し上げた焼いたというもの、これは実は私あまりよくその点を確認しておりませんので、この点はあまりはっきり申し上げにくいと思うのでございます。 なお、有田説明員から補足させます。
○有田説明員 この見返り資金は、昭和二十四年四月に設置されましたわけで、その後、昭和二十八年にこれが産業投資特別会計に引き継がれております。この計数のこまかいことは大蔵省の方にお答えいただくのが一番適当かと存じますが、ただ、見返り資金積み立て以降の援助資金は、ドルにいたしまして約八億五千万ドル、二十八年四月のころから御承知のように一ドル三百六十円のレートになっておりますので、これが円貨にいたしまして約三千六十五億円。その後これが電通、国鉄などの公共用施設とかあるいは公共投資、債務償還、あるいは農林漁業金融公庫の貸付金その他の出資金として運用されてきておるわけでございます。従って、運用益というものは毎年相当額出ております。正確な数字は私ただいま手元に持っておりませんが、ただいま申し上げた、三千六十五億にその後の運用益を加えたものは相当額に上っておる。このこまかい計数はまた御必要であれば後ほど調査いたしまして、大蔵省の方に連絡いたしまして、御答弁いたしたいと思います。
○稻村隆一君 そのこまかい数字をあとで出して下さい。
○堀内委員長 帆足計君。
○帆足委員 時間も移っておりますので、ごく簡単に質問します。 まず最初に外務大臣並びに今日は入国管理局の局長に来ていただきましたが、朝鮮人帰国の問題が再び円滑に軌道に乗りましたことを多といたしておりますし、この問題に関係いたしております一員といたしまして、私は与党の小泉さんに協力して問題が円滑に進むように努力しておりますが、昨年約五万数千帰国が実現しましたが、本年もいろいろ心配されましたけれども、どうやら私どもの調査によりますと、六万近くの人たちが現に帰る意思を非公式に表示いたしておりますので、本年もせっかくの御努力による協定通りに円滑に参るものと考えております。ただ途中にインフルエンザの流行がありまして、多少の支障がありましたけれども、それぞれ御当局の御措置よろしきを得まして、特に厚生省当局は、三カ月近くもセンターへ閉じ込められるという事態が起こりましたことに対して、特別の予算までさいて、食事の改善や部屋の改善等にも骨を折って下さいまして、貧しいながらも朝鮮の諸君もその誠意に大へん感謝して第一船がまた出港いたしたというような次第で、御同慶の至りでございます。またちょいちょい問題がありますときに入国管理庁に参って御相談いたしておりますが、もちろん私どもは行政のことに国会議員として関与する気持はございませんけれども、道理のありますようなときには、当然民意を代表して御助言して適切な措置をお願いしたり、御忠言したりするのはわれわれの職務でございますから、そういう範囲でお手伝いしておりますが、事務当局は時としてはなかなかかたいのですけれども、長官及び次長は緩急よろしきを得て御裁断下さいまして、おおむね感謝いたしておる次第でございます。事務当局の中には——個人の名前をあげますと弱き者をいじめる結果になりますから、私ども武士道精神を持っております者はそういう弱い者いじめはいたしません。いじめるときはやはり小坂さんをいじめなければいじめがいがない。言うべきことは岡田君のように男性的にぱりぱり言うというのも、私は国会の一風景としてけっこうなことだと思います。日曜の夜でしたか、「金明玉の帰国」——私は題名をちょっと忘れたかもしれません。五十過ぎますと、どうも人の名前を忘れやすくて恐縮でございますが、この放送劇は、北朝鮮に帰る一人の朝鮮の女性の薄幸な一生を淡々たる音楽と独白の中に描いて、コンクールの一等をとったものでございまして、非常な感銘を聴取者に与えまして、再度東京放送のラジオに乗ったのでございます。せめて管理局の事務局職員諸君がこういう放送でも聞かれたならば、私はいかによい教育になるであろうかということを痛感するのでございます。現在入国管理局の置かれておる地位は、歴史進化の過程における国際間の矛盾の焦点に立っているわけでございまして、本来ならば——昔藩閥各藩の政治に分断されておりましたのが一つの日本民族になりまして、今やミサイルと原子力の時代に、人類はやがて一つの家に住むべき過渡期にあります。国際連合が苦しみを通じながら、時間はかかりますけれども、次第に人類、理性、論理という方向に移り変わりつつある。その過渡期において、いろいろな事情で特に二つの世界にはさまれた異国の民族が苦しんでおりまして、その人たちの道徳的責任ではなくして、その置かれた環境のゆえに苦しんでおるということを、私は入国管理局の方に理解していただきたい。同時にまた、あまり寛大にしますと、日本の法律、憲法が無視される。ギャング、あへん密輸入者、犯罪常習者等が日本国内に横行して、一面、目に余るものがあると思います。これらの者に対しては、私はもう少し独立国家として峻厳にしてもらいたい。 実はアジア局長にもとの点をお尋ねしたいのですが、日韓会談の中で——まだ正式に御報告は承っておりませんけれども、新聞で拝見しますと、長い間の日本の植民地政策の罪滅ぼしという意味もあって、日本に長く住んでいた韓国人に対しては日本人と外国人の中間の取り扱いをする。私は生活保護法の問題とか教育の一部の予算をさいて助けるというようなことは、過去の日本の植民地政策のあとのことを思いますと、そういう特別の取り計らいは賛成でありますけれども、しかし日本国内において国益を阻害する、または憲法を無視し、法律をじゅうりんするというような者に対しては、それが左のアナーキストであれ、右のギャングであれ、当然国外追放すべきものであると思いますが、国外退去という項目は省くというふうに新聞に出ておるかのように見えます。私は進歩主義者でありますけれども、同時に日本民族を限りなく愛するものでございますから、道理に合わないことは、隣邦に対しても、特にそういう心のねじけた者に対しては、それぞれのネーチブ・ランドが責任をとるべきである、そういう者までわれわれがお世話する理由はなかろうと思います。しかし隣邦の民に対してできるだけ寛容であるということは必要でございますけれども、度が過ぎれば隣の民族がみずから卑しめて他から卑しまれるという結果にもなりますから、その点はやはり互恵平等でありたいと思って、こういう会談の途中であまり機密に関することを漏らすことはできないと思いますけれども、また新聞記事を種にしてご質問を申し上げることも恐縮ですが、ちょっと私はふに落ちかねますので、一言御質問もし、警告もいたしておきたいと思った次第でございます。
○伊關政府委員 ただいまの永住権を与えます、それから永住権を与えた者につきましては、強制退去の執行にあたりまして多少緩和するということは考えておりますが、著しく日本国の利益を害するような者までこれを緩和するということは考えておりません。そういう者は強制退去させるつもりでおります。
○帆足委員 アジア局長が行政官としての範囲において、よく上長の命を守りながら、なおかつ気骨ある態度をとっておられることは、私は帰国問題を通じて存じておりますから、多分間違いはなかろうと思っておりましたが、ただいまのような御答弁ならば、私もよくこれを理解いたします。 第二に、帰国の問題は、昨年の八月の帰国協定の赤十字の談判は、私は多少やぼな点があったと思っております。都々逸はやぼでもけっこうでございますけれども、政治はやぼは禁物でございますから、どうか都々逸だけの御勉強をなさらずに、もう少し論理と哲学、それから人間としての、民族としての見識、こういうことを一そう御養成になるように——外務大臣はせっかく私が申し上げておるのでありますから、次官との私語を慎まれて、国会議員の言うことは、これは民の声として、しかも私は杉並第一位の代議士でございますから、よく一つ日本の大脳の言うこととして——東京の選挙民というのはなかなかやかましいのです。賢いのですよ。いずこの選挙民もそれぞれ賢いのですが、東京の杉並の選挙民というのはとりわけてやかましいのです。あそこはインテリのベッド・タウンと言われている町ですから、それを代表して申し上げておるのですから一つよく聞いていただきたい。(「信州と違うよ。」と呼ぶ者あり)他の地区もそれぞれまたすぐれております。信州も同じですよ。信州はかつて生糸の輸出地でありまして、あそこは農民でありましても非常に教養の高い農民であります。それは冗談でありますけれども、一つそういう見識を持ってよくやっていただきたい。そこで、そのときやぼだったので帰国問題にちょっと水をさしたような結果になりましたが、帰国の流れは、捕虜とか強制収容者が十万人おって一挙に二十四時間で身元調査をして意思を確かめてさっと計画輸送するというのでなくて、何十年日本に住みついた朝鮮人、貧しくても日本は風光明媚で住みやすい国なんです。これを忘れてはならない。敷島の大和の国は恵まれた国なんです。朝鮮から来た人たちは長い苦しみをなめたから悲しみやにくしみを持っておりますが、一面また日本に愛着と友情を持っているのです。従いまして日本を立ち去って、しかも南朝鮮生まれの人が寒い北朝鮮に行くということはなかなか判断に迷う。家族会議でも、おばあちゃんはこのままがいい、お父さんは景気がいいときは帰らぬと言うし、景気が悪くなると帰りたがる、むすこは勉強したいから帰心矢のごとし、娘は病気で日本の病院がいいからもう少し延ばそう、それから持っている家を片づけるのにいい買い手がない、借金をほったらかして帰るわけにいかぬじゃないか、就職している運転手はおやじがかわいがっていて、お前しばらく延ばしてくれ、かわりの運転手さんがきまるまで一年かかるじゃないか、いろいろな事情があるのです。それを意思確認などといって一片の伝票を教養低き日本のおまわりさん——日本のおまわりさんは教養が低いのが欠点です。これはもっと教養の高いおまわりさんをたくさんふやす必要がある、給料をふやして人数を減らして、そして機械化して、もっといいおまわりさんを——私は戦前長い間監獄に入りましたけれども、—————————————————。私はそれを自分で体験しまして、———————————、(「ちょっとひどいな」と呼び、その他発言する者あり)それは戦前のことです。ひどくありません。私が体験したのです。体験談を一時間話してもいいのですが、話せば長い……。
○堀内委員長 帆足委員に申し上げますが、時間がないことと、もう一つ、ただいまの発言の……。
○帆足委員 ——————————。私は自分の監獄の体験から言っているのです。アイヒマンの裁判と同じです。これは戦前のおまわりさんを言っているのです。現在まだその遺風が残っているのです。—————————————————。当時これでめしを食っている弁護士さんまで、私は不信を感じたくらいです。こういう世界が世の中にあったか、これを種にめしを食っている者がいたかと、私の一番信頼している海野先生にまで涙を流して訴えました。そういう日本だったのです。そういうもとに住んでいた朝鮮人がどれほど悲しい思いをしたか。おとといのあの放送を私は皆さんに聞かせたかった。しかもそれは文化賞をもらっているのです。そこで申し上げたいことは、話が前後をしましたけれどももう時間がありません。朝鮮では南北統一という問題も起こりましたし、生まれが南朝鮮ですから北に帰ることにちゅうちょを感じている。日本国内の景気がよくなれば帰りたがらない、景気が悪くなれば帰りたいと思う、そういうふうないろいろな問題があります。従いまして帰国問題に対しましては情理兼ね備わる態度を今後とも続けていただきたい。国際赤十字のお世話になりましたのは李承晩が無法なことをするので、成田山のお札みたいなことなんです。私は来月の中旬にキューバ共和国に前からの計画で参りますので、昨日藤山さんにお目にかかりましたら、藤山元外相が帰国問題はうまくいっているかね、僕のした仕事の中ではどうもあの仕事が一番よかった、こう言われておりました。もう六万人をこえますと言いましたら大へん喜んでおられました。これは超党派的に私は考えております。 そこで李承晩がいなくなった今日は、場合によっては私は国際赤十字はもう不必要になる段階が来るのではないかと思いますけれども、赤十字はやはりいた方がいいのではないかとも思ったりしています。結局、南朝鮮は立地条件も悪く貧しいのですが、国内の朝鮮人の生活も所を得ませんから、何といっても一進一退しながら帰国の流れは雪解けの谷川の流れのように相当数続くと思うのです。これを知っておいていただきたい。谷川の水の流れのように六十万の朝鮮人のうちまだ何十万かは帰国の流れが続くと思う。何月何日を限って帰れといっても、その後にまた帰りたくなって相当数続く。その多くの人たちは生活保護法を受けておって、一家五人おれば新潟までの汽車賃もない。また旅館の費用もない。その人たちに旅費を助けてやり、そしてセンターの宿泊所を貸してやるということは、過去の日本との関係から見ても非常識なことであるまい。また韓国に帰りたい人がいたならば将来舞鶴の港でも貸して、同じことをして差し上げてもいいのでないか。そういうことがありますから、どうかもう少し様子を見て、ことしの八月の会談にあたっては、私から都々逸の専門家であってやぼである、こう言われないように、外務委員会にそういう論議が起こらないように慎重に御審議を願いたい。私どももまた六月の状況をよく研究いたしまして、政府に建設的な好意ある進言をして小坂さんをお助けしたいという気持でございますから、入国管理局長さんにもアジア局長さんにも外務大臣にも一つこのことをよく申し上げておきたいと思います。 最後に、時間がありませんが、実は李順玉という婦人がおりまして、御主人はもう北朝鮮に帰ったのです。細君は家族の跡始末と家財道具の整理のために、残っております。そこに十六になるおいが尋ねて参りました。密入国です。そしてそれがきのうまでは神戸の管理局に収容されておりまして、私が係の方にお話し申し上げましたところが、——これは岡田君と石橋君から私に御依頼があったのですが、かわいそうだから、それじゃおばさんのところにやるけれども、早くやると気が変わったり、また時には居所をくらます事件も多い中にはあるから、比較的船がはっきりして、これは大丈夫ということになって、よし本人もおるというようなときには、若干の便宜をはかってやるけれども、しかしそう多くの便宜もはかれない、また日本へ密入国して北朝鮮に行く流れの一環に利用されるという印象を与えても困る、しかしおばさんならばそれはおばさんと一緒に帰りたいであろうから考慮はします、しかし時期についてはやはりそうわがままは許しませんというごもっともなお答えでした。ところがきのう突如として、きょうの汽車でもって新潟に一人帰されるというのです。十六になる少年が一人帰されたならば、向こうに行きましても——多少官僚主義というか機械的に動いていくために、親戚ばらばらになるおそれもあると思う。また見出すこともなかなか骨が折れる。だから私はやっぱりそれはおばさんのところへたとい一月でも一月半でもおらしてやって、そして一緒に帰すくらいのことはしてやってもいいのでないか。皆さんも自分の十六のめいごが尋ねてきたら、よく苦労して来たなと言われるのが、私は入間だろうと思う。私は自分の夫や自分の親のために行くのだったら、玄界灘を泳いで渡ってきても、法律違反であったけれども、かわいいというのが人情だと思うのです。従いまして、急場のことで、今なら間に合いますから、せめて法律の許す範囲における温情のある措置をこの際お願いしたい。事務局に私が参りまして陳情するのも民主的でけっこうでございますけれども、むしろこの席で直接局長に申し上げました方が、局長は教養の高い方ですから、われわれ外務委員の言うことをあだおろそかにはお聞き流しあるまいと思いましてお願い申しておる次第でございます。またこういう事件がありましたとき申し上げますが、中には無理なお願いもあると思うのです。それは緩急よろしきを得て、行政に国会議員が深くタッチすることは間違っておりますから、参考にしていただいて、緩急よろしきを得てやっていただきたい。以上が私の要求であり質問であります。 今の申し上げたことに対して、基本問題は外務大臣から、それから個別の問題は入国管理局長から御答弁いただきたいと思います。外務大臣一言でけっこうですから、慎重にしていただきたいというだけです。
○小坂国務大臣 私の方針としては、あくまでも筋は筋として、しかもヒューマニズムにあふれる措置をとるということでやっていきたいと思っております。
○高瀬政府委員 ただいまの御発言の問題につきましては、具体的の事例であります次第もございますので、御発言の御趣旨を体して、でき得る限りの措置をとりたい、かように考えております。
○堀内委員長 ただいまの帆足委員の発言中、もし不適当の言葉がありましたならば、あとで速記録を調査の上、委員長において適当の処置をいたします。 これにて散会いたします。 午後一時十三分散会