外務委員会 第19号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/04/21
会議録
○堀内委員長 これより会議を開きます。 通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求める件を議題といたし、質疑を行ないます。帆足計君。
○帆足委員 キューバとの友好通商条約の批准の審議の途中で、キューバの国外からの陰謀的反乱がありましたけれども、幸いにして四海波静まり、世界平和のために御同慶の至りでございます。この問題につきまして、日本は武力を持たざる国でありますけれども、原爆と人工衛星の時代には次第に人類という意識が世界の日程に上りまして、理性と平和と自由と人類、こういう概念が昔の忠君愛国のかわりに世界において権威を持ち始めました。これは一つの民族の力になり得る概念でございます。従いまして、私どもが外務大臣に昨日御質問申し上げましたことに対しては、外務大臣はもう少し明確に人間の理性と論理、国際正義というものに対する態度を私は明らかにしてほしかったと思います。積極的に不正なることを是認するような御発言はなくて、やはり国の独立については外部から干渉することはいけないことであるという立場を一応説明されたことは多とするのでありますけれども、たとえば軍事において弱いインドがアジアにおいては国際世論の上において大きな道徳的権威を持っておりますのは、ネール首相が常に論理を尊重しているその力によるものであると私は思いますにつけて、大いにその点は学ぶべき点があるのではないかと思います。現に、本日の新聞を読みますと、ネール首相は声明を発して、今回キューバで起きた侵略は、米大陸本土または米国の一地域あるいは中央アメリカの一地域から行なわれたものであることはほぼ明白である、キューバ亡命者はフロリダ及びその他の地域で訓練と兵器の供給を受け、またキューバ侵略を支援されていることはすでによく知られておる事実である、ケネディ米大統はキューバに対する米軍の介入は許さないと言っているが、この種の干渉と現在キューバで行なわれている干渉との間には何の違いもない、今回のような侵略のやり方は悪質であって悪い先例となる、これはラオスその他における平和の地に障害を及ぼし、事態を紛糾させる結果を招くことを余はおそれる、こういうふうにはっきり言うているのです。でございますから、みずから戒めて人これを戒むということがありますが、日本の外務省当局は論理を貫くという立場を常に一そう強く保たれることを、この条約の審議にあたって私は要望する次第でございます。外務大臣はおられませんけれども次官がおられますから、よくよく大臣にお伝えのほど願いたいと思います。 それから第二には、外務省当局の勉強の仕方は、それは時によって違いますけれども、このたびの通商条約をめぐる御勉強は、私どもの方が大いに学んだのでありますけれども、一般に勉強不足でありまして、見通しがよろしくない。これは各公使館に参りましてもそうでございますけれども、公使館に国民が参りましてお世話になりますようなときにも、その国の大体の産業構成、政治、人口、風土等については平素から分析をしておきまして、大よその常識的判断は誤らないようにしていただきたいと思います。本日の新聞を見ますと、ケネディ大統領にはいろいろ長所があるけれども、やはりちょっと年が若過ぎる、少なくとも軽率であり思慮綿密を欠いていたと、英国の新聞に批評されております。これはまことに私は遺憾なことであったと思うのでございますが、各大使館におきましては一定の方程式をきめて、こういう項目については年次報告、半年別の報告、毎月の報告というものが正確に出るようにしていただきませんと、在外公使館にその国の政治の実情や経済の実情を聞こうと思いまして参りましても、大てい数ページくらいのガリ版刷りのツーリスト相手の人力車夫さんが配る程度の案内書ぐらいしかお持ちになっていないようでございますから、こういう点はもっと正確な調査をお願いいたしたいと思います。 そこで、通商条約については私は二回質問いたしましたが、本日は与党側からも御質問があるそうで、大いに拝聴したいと存じております問題は具体的な問題に入りまして、通商条約は何と申しましてもそれが実施され、そして成果が上がらなければ、そういうことまで考えておかなければならないと思います。条約だけありましても実が伴わなければ、国益を阻害いたします。同時にまた通商の問題は、島国日本にとっては最も重要なことでありまして、私は当委員会におきましてたびたび繰り返しますが、日本国と言うから錯覚が起こるのであって、わが日本丸はと言った方がもっと適当なくらい、この国にとって貿易と海運とは重要な問題で、いわば平和日本にとってのほんとうの意味の生命線ともいうべき課題は、貿易と船の問題でございます。わが日本丸の中に一億の国民が生きていかねばならぬ、その原料の大部分は輸入せねばならぬのでございますから、結局インフレーションと申しましても、最後の関門にして最も注目を要すべき関門は常に国際収支でありまして、他の商品に多少の需給のアンバランスがありましても防ぐことができますけれども、もし外貨が不足し重要原料の輸入が困難になれば、直ちに輸入割当、輸出入品等臨時措置法ということにでもなれば、その一環からインフレーションは爆発するのでありますから、貿易と国際収支さえしっかりしておれば、保守であれ革新であれ、大体日本経済というものはうまくいくのでございます。従いまして、通商のことについては、わが政界におきましてもこれを最も注目し、常にこのことを考えておかねばならぬ問題であると私は思います。 そこでお尋ねいたしますけれども、まずキューバからの輸入と輸出と二つの面がございます。キューバからの輸入は、前回伺いますと、多い年は八千万ドルにも及び、三百億円というような膨大な輸入をしていた。しかるに輸出はわずか四百万ドル、二十億円程度でありまして、アンバランスは実に二百八十億をこえていた。これが、キューバ国がアメリカの保護領から離脱して、完全な独立した国となったことによって、キューバは砂糖を買ってくれる国に対しては、その外貨の五割ないし七割五分までは提供して、その国からの輸出を大いに尊重したい、こういうふうにゲバラ工業相は言っているそうであります。だとするならば、これはキューバにとって第二の貿易国であるところの日本は、そしておそらく砂糖の輸入は今後ともますますキューバに待たねばならぬでありましょうし、日本の一人当たりの砂糖消費量は、ヨーロッパ、アメリカに比べて何分の一といっているのですから、文化水準の向上とともに砂糖の輸入は増加する傾向にあることは必然でありまして、かりに一億ドルの貿易になるとするならば、輸出入合わせて二億ドル近くの貿易になるのですから、日本の貿易としては、これはキューバの通商条約の問題に関しては非常に大きな重点に考えてしかるべき問題であろうと思います。比較的このことが知られておりませんで、このキューバの民族独立と風光明媚である点に国民は関心を奪われがちでありますけれども、それに劣らず通商の問題が非常に大きな問題であるということを考えねばならぬと思うのでございます。 そこでまず輸入の面、それから第二に輸出の面、第三に輸出入の促進をどうすればよいかという実施対策、この三つのことにしぼることができようと思いますけれども、輸出入ともに日本側にどういう隘路があるか、ピッチャーたるわれわれの側にどういう隘路があるか、キャッチャーたるキューバの側にまたどういう過渡期の困難があるか、それらの困難な点はこの際明らかにして、われわれの側においても障害を取り除くとともに、キューバ側においても障害除去に対して協力してもらうことが必要であろうと思います。従いまして、まずお尋ねいたしますが、輸出入に共通の障害の点はおもにどういう点があるかということについて政府当局の御見解を伺い、またそれに対してどのような御努力をされるつもりであるかということをまず伺いたいと思います。
○牛場政府委員 キューバからの輸入は、御承知の通り九割以上が砂糖でございまして、砂糖の買付が昨年やや不振であったということは事実でございますが、これはキューバの政権がかわりまして以来、米国の財産の接収をいたしまして、それに対して接収された米国系の会社の方では、その接収を認めないというような態度をとっております。従いまして、その米国人が持っておった農地から出てくる砂糖につきましては、依然として自分の財産であるということで、途中でもってこれを差し押えるというような動きがあったわけであります。そういうような警告がわが方の輸入業者に対してもきておった状況でございます。これはもちろん法廷に出ましたときにどちらが勝つかということは別問題でありますけれども、そういうような事情があれば、これは買付側としましてはやはりちゅうちょするのはやむを得ないことでございます。そこで最近成立をいたしました十万トンの買付にいたしましても、中にイギリス人のブローカーが入りまして、そのイギリス人のブローカーがそういう際のトラブルは引き受けるということで商売ができたというような状況でございます。それからもう一つは、値段の点につきまして、キューバが国際価格に比べて割高の値段を堅持しており、それ以下で売らないということを申しておったために、非常に商売がしにくかったのでありますが、この点は最近だんだん軟化いたして参りまして、国際価格並みということになって参ったようであります。今の政治的な動乱の結果がどうなりますか、それによって事情が変わるということもあろうと思いますが、値段の点と取引の安全、この二つさえ解決できれば、これは先ほど帆足先生がおっしゃいましたように、わが国としては非常に大きくキューバからの砂糖の輸入につきましては依存しておるわけでありますから、いずれ順調な買付が進むことも期待できるのではないかと考えておる次第でございます。 それから輸出の方につきましては、この協定のできます前は、何と申しましても繊維品に対する差別関税というものが障害になっておったのでありますが、この協定ができまして、協定の適用と同時に先方がそれを撤廃いたしまして、そこでこの隘路がなくなったわけでありますが、現在の隘路は何と申しましても先方が外貨不足の状態でございまして、幾らありますか、はっきり私どもつかんでおらないのでございますけれども、各種の情報を総合いたしましても、ほとんど底をついておるのではないかということで、従いまして、必然的に非常に強い輸入制限をいたしておるわけであります。それからもう一つは、キューバの貿易というのがだんだん政府貿易の形をとって参りまして、先方の政府が大体において輸入を独占するというような格好になってきておりまして、これは考え方によりましては、そういうことならばかえって貿易がしやすくなるのではないかという考え方もあるかと存じます。そういうような方法を今後試みて、日本側といたしましてもいかなければならぬかとも存じますが、何と申しましても、今までのところは制度が変わりました関係でいろいろな混乱が起こっておりまして、それに基本的には外貨不足ということで輸出が伸びておらないという状況でございます。しかしながら、この協定によりまして、日本の買います砂糖が相当の量に達しますれば、先方もこの日本からの輸入に対して好意的に考慮を払うということは約束しておるわけでありますので、われわれといたしましては、現在この政治的な動議が一日も早く解決いたしまして、ノーマルな貿易ができるようになることを希望いたしておる次第でございます。 ————◇—————
○堀内委員長 次に犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本国に設置することに関する国際連合と日本国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたし、質疑を行ないます。戸叶里子君。
○戸叶委員 私きのうこの協定につきまして質問をいたしましたが、残しておいた一、二問だけきょうは伺いたいと思います。 この協定とそれから国際連合の特権及び免除に関する国際連合と日本国との間の協定という二つが、正文を英文だけにしたという理由はどこにあるか伺いたいと思います。特殊の事情による場合とかあるいは多数国条約を除いては、原則として正文の一方は自国語にするのが当然ではないかと思います。日本の国民はもちろん申し上げるまでもなく、日本国の自国語というと日本語でございますから、日本語で条約を解釈していくわけでありますけれども、この協定なりあるいは先ほど申しました国連と日本国との間の協定が正文を英文だけにした理由、これを伺いたいと思います。
○中川政府委員 戸叶先生御指摘の通り、普通両国間の条約を結ぶ場合にはその両国語を使いまして、またその解釈に疑問があるような場合には、さらに第三国語を使いまして、その条約を締結するというのが普通のやり方でございます。ところが相手が国際連合であります場合には、国際連合の国語というものはないわけでございまして、国際連合で使う公用語というものが五つあるわけでございます。これは英、仏、露、中、西というような五つの国の言葉を国際連合での公用語として使っておるのでございまして、それから言えば日本語を合わせて六カ国語で作るというのも一つの行き方かと思うのでございますが、あまりこれは複雑になりますので、結局一番わかりやすい英語を使うというやり方でこれはやるのが大体の先例になっておるのでございます。御指摘になりました国際連合の特権及び免除に関する国際連合と日本国との協定もそのような趣旨で英語だけにしておるのでございます。 それからなお両国間の条約、たとえば日本とインドとの条約というような場合にも、便宜上英語だけ、つまり第三国語だけ使うという例もあるのでございまして、従ってこの場合に英語だけを使ったということは、やはりやむを得ない措置であると御了承願いたいと思うのでございます。
○戸叶委員 原則としてはやはり自国語を正文としないと、何か問題があったときに、日本人が日本語で了解をする場合と、英語の場合と違う、あまり違うような場合がないにいたしましても、ニュアンスが違ったり、いろいろな点で問題が起きるようなことがあるんじゃないかと思うのでございますけれども、そうしますと、この日本語が正文でないとすると、日本語で私たちがこう理解してこういうふうに主張したということは、法的にはこれはもう根拠がないわけですね。英文の方がいつでも正しいということになるわけでございますね。
○中川政府委員 条約のテキストが英語でできてきておる、日本語が入っておりませんで外国語だけでできておる条約について、国会で承認を求める際には、やはり日本語の訳をつけまして、その日本語の訳に基づいて御審議を願うのでございます。もちろん日本語の訳が正文でございませんから、疑問のある場合には、正文である外国語の方をごらんいただくわけでございますが、便宜上日本語の訳に基づいて御審議願っておるのが従来の例でございます。従いまして、正式に相手国との間でいろいろ解釈の問題があります際には、当然これは正文である外国語の方で政府間ではいろいろ議論をするということになるわけでございます。
○戸叶委員 そうなりますと国会なんかでも、正文が英文ということになると、ここに出されてはありますけれども、日本文と英文の両方で審議しなければならない。そうでないと正確でないというようなことも起きてくるのじゃないかと思いますけれども、そういうような懸念は生じないわけでございましょうか。これはこの条約に限ったわけではなくて、ほかの場合にも、正文を英文とするような場合にそういう問題が起きやしないかということを懸念いたしますが、いかがでございますか。
○中川政府委員 政府が日本語の訳をつけまして条約案を国会に提出いたします際には、十分気をつけて最も正確な日本訳を作りまして御提示しておるわけでございます。従って間違いないと信じておるわけでございます。もちろん正確に言えば、その正文であるところの外国語が国際間ではものを言うのでございまして、御審議にあたりましても、できれば外国文の方をも御参酌になりまして御審議いただきたいと思うのでございます。従来、日本語の訳で御審議願った結果、それが現実の場合に相手国との間に問題を生ずる種になったという例は特に私記憶しておりませんが、そのようなことは大体なく、無事円滑に行っておるというふうに考えております。
○堀内委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がないようでありますから、本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○堀内委員長 引き続き討論に入るのでありますが、本件に対しては別に討論の通告もないようでありますから、直ちに採決いたします。 犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本国に設置することに関する国際連合と日本国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、本件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって本件は承認すべきものと決しました。 なお本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○堀内委員長 次に、通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を続けます。帆足計君。
○帆足委員 まずキューバとの関係におきましては、砂糖の輸入が基本になるわけでありまして、その輸入が円滑にいって初めてこの輸出が増大し得る、こういう関係にありますので、これに対しましては、適切なる措置が両国において行なわれなければ、日本とキューバとの友好通商条約は空文に終わるおそれがあると私は思うのでございます。幸いにして、その最大の障害となっておりましたキューバの政情不安も、雨降って地固まるというようなことにもなりましたし、また日本とキューバとの貿易についてアメリカ側からの何らの政治的圧迫または外交的干渉もない、そういうことはいささかの顧慮をする必要もないということは、外務大臣の明言によって明らかになりましたので、業界の不安がこの委員会における論議を通じて一掃されましたことは御同慶の至りであると思います。だとするならば、残りました問題は、砂糖の値段において、キューバとの距離また品質、規格等を考慮に入れまして、公正なる国際価格をもって日本国民が有利に購入できる条件を作ること。船腹の往来が片貿易ではどうにもなりませんので、船腹の往来が非常に合理化され、キューバ側においては品質の保証、船積み等に業界が不安を抱かないで済むような条件を作ること。さらにキューバとの貿易が長く途絶いたしますと、砂糖は非常に増産しやすい品物でございますから、ヨーロッパのビートにいたしましても、中南米諸国におきましても、過剰生産になるおそれもありますから、キューバと日本との貿易関係の回復を急ぐこと。あるいはまた、日本のキューバの大使館には商務官の方が今一人しかいないようでありますが、往復で年額二億にもなるような貿易というのが見通しであるとするならば、相互に商務官の事務所を強化する必要があること等が痛感されるのでありますけれども、結論といたしまして政府当局にお尋ねいたしたいことは、現在までのところは、政治の不安もあり相互に過渡期の障害がありましたからいたし方ありませんけれども、今後急激にキューバと日本との貿易が伸展して、せっかく通商条約が批准されまして実施されてその効果が上がるというためには、先ほど牛場局長が申されましたように、キューバは、とにかく好むと好まざるにかかわらず、国営貿易または国営貿易に似たような形態にならざるを得ないし、また後進国が急速に伸びるためには、経済も計画経済的な面がだんだん強くなってくるということもうかがわれるのでございます。それに対して上手に両国の関係を処理するならば、それはそれでまた長所もあるわけでありまして、日本の貿易にとって不利な点もありますが、非常に安定した市場を得るという有利な点も一面あるわけであります。二面あるわけでありますから、その有利な点を百パーセントに活用いたしまして、相互に安定した貿易ができるようにする必要がある。そのためにはまず相互の条件、環境を正しく理解し認識することが必要である。同時にまた、そういう色彩が強いとするならば、その貿易にはあっせん役が必要である。これは貿易業界がみずからなすべきことであって、同時にまた行政当局は適切なる行政援助または指導に当たるべきではあるまいか。従いまして、輸出入組合を作る必要は、これはかえって官僚化するおそれもあるし、必ずしもないと思いますけれども、現在あります両国との間の連絡機関をもっと強化、整備いたしまして、そして両国間の話し合いがもっと円滑に迅速にできるように、貿易協会のごとき機構を多少充実する必要があるのではないか。それから第二には、キューバ側のキャッチャー側にもこれらのことをよく理解してもらいまして、たとえばキューバの貿易公団の出張所が東京にできるとか、またはキューバ側の商務官の人員が強化されるとかいうようなことが必要ではないか。またそういう準備のもとに、動乱も静まりまして適当な機会には、総合的によく準備された経済使節を派遣することも必要ではあるまいか。まあ過渡期でありますから、こういうことに対して万事控え目であったことは了とされるのでありますけれども、もはや通商条約が批准されるという段階になりますると、こういうことに対しまして行政当局が善意の援助措置、または適切なる指導措置を与えることが必要ではあるまいかと私は存じておりますが、これに対しまして牛場局長並びに通産省当局の御意見を伺いたいと思います。
○牛場政府委員 組合を作るという話は、これは通産省の所管でございますのでそちから……。 協会につきましては御承知の通り、ただいまたとえば日本カナダ貿易協会でありますとか、日ソ東欧貿易会とかそういうものができておりまして、一般的な日米協会、日英協会というような親善団体のほかに、そういうものができておる例もあるわけであります。これはいずれも純粋に民間の発意でできておりまして、もちろんその活動に対しまして通商拡大の目的に沿う限り、われわれといたしましても精神的援助はいたしておるわけでありますけれども、これは完全に民間のものでありますので、そういうようなものができて参りますれば、われわれといたしましても通商拡大に役立つ限りにおきまして支援をいたして参りたいと思っております。 それから先方の体制につきましては、かつて外国貿易銀行の支店を日本に設けたいというような話が先方からあったこともあるのでありますが、最近の機構改革でその外国貿易銀行自体が廃止されたというようなこともありまして、まだしばらくの間ははっきりした体制が出てくるのが非常にむずかしいのじゃないかと想像いたしております。しかしながら先方も日本が砂糖を大いに買うということになれば、対日貿易というものを大いに重視して参るということは想像できることでありますので、通商拡大に役立つような方向に動いて参ればけっこうなことだと存じます。 それから使節団の派遣その他は、御承知の通り相当いろいろな政治的な事件のあったあとでありますから、キューバとの関係だけを考えていろいろ事を運ぶのは必ずしも適当でないと存じまして、慎重に考慮して参りたいと思っております。
○瓜生説明員 今牛場局長が述べられましたところとほとんど同じでございます。これは必ずしもキューバだけに限ったことではございませんが、いろいろ市場別に、それに関係のある業者の方々が相談をされて、いかにしたらその市場との貿易を最大限に伸ばすことができるかということを研究され、これを実行に移されるということは、われわれとしては非常に歓迎するところでございます。私どもとしましてはキューバとの関係では、砂糖という非常に強い貿易の柱になるものがございますので、この砂糖の輸入がある程度促進されればキューバとの貿易は促進されるというふうに考えております。従ってキューバ側の体制が整いまして、従前通り国際的に非常に競争力のある砂糖というものが輸出できるようになりますれば、日本としても相当の砂糖が買えるのではないかと思います。そうすればキューバと日本との貿易はおのずから発展するものと私どもは考えております。
○帆足委員 貿易のことは直ちに産業界にも国民生活にも響くことでありますし、また両国民の理解と平和に関連することでございますので、超党派と申しますか、国民共通の利害をその中に非常に多く含んでおるのでございますから、せっかくこうして通商条約が批准される以上は、これが実を結びますように、今の瓜生さんの御答弁のような方向で御努力を願いたいと存じます。 最後に、本年度は過渡期の混乱、不安を避けますために、英国商社を通じて十万トンの輸入契約ができたということですが、今後キューバ側がだんだん安定して参りまして、そして通商条約の批准を機として日本に有利な条件で砂糖の買付を希望し、あるいはまたその外貨のうちの相当部分は日本商品の輸入に別ワクとして割り当てるというようなことにでもなりますならば、政府側としてはまだ御研究の余地はあるのでございましょうか。もちろんこういう技術的問題については御即答しかねると思いますから、直ちに御即答困難でありましたら御研究でけっこうなのですけれども、せっかく通商協定を結びながら、現在過渡期としてほとんど貿易が進んでおりませんから、条約を審議する立場から見ましてもまことに残念なことと思いますので、貿易増大のために積極的な態度を要望するという意味で申し上げるわけでございますけれども、何か積極的御意見があったら伺いますし、御研究の余地のあることでありますれば、一つ研究していただきたいと思います。
○瓜生説明員 現在第三国を通して買っておりますけれども、これは主として輸入業者の人が危険の負担をその第三者にしてもらっているということでございまして、われわれとしましては、直接取引が行なわれても、別にこれに反対なわけでは絶対にございません。またある一定の数量の砂糖と、それに見返る輸出と、一種のバーターのような取引、これも民間ベースで行なわれます限りにおいてはむしろ歓迎すべきことであると思っておりまして、現にそういう話も民間ベースで行なわれておるというふうに聞いております。
○帆足委員 この通商条約によりまして、とにかく独立国キューバが他の干渉を受けることなく日本と貿易できるということになりますれば、少なくとも砂糖を買います外貨の全部を買ってくれということはそれは困難でしょう。キューバといたしましても、いろいろあちらこちらからほしいものを買わねばなりませんでしょうけれども、しかし五割とか六割とかいうような部分のものは、日本からの輸入ということで戻ってくるわけですから、外貨の節約上にも私は非常に大きな価値のあることである。為替の自由化ということが非常に経済の刺激になって、一面よい作用を持ちますけれども、他方また総合的に貿易のバランスを各国別にとりつつ輸出を振興するという一面も必要なことであって、何事も両極端は貿易の上には望ましくなく、中庸の道が、統制と自由との調整が今の日本の現状に最も適切でなかろうかと思うのでございます。そこでただいまのような御研究の余地があるということは私も同感でございます。 最後に申し上げたいことは、採決のときに討論の時間が四、五分あるそうでございますからそのとき御要望申し上げまして、これで質問を打ち切ります。
○堀内委員長 他に御質疑はありませんか。——質疑がないようでありますから、本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○堀内委員長 これより討論に入ります。帆足計君。
○帆足委員 第一には、この通商条約の批准が数カ月もおくれましたことはまことに残念でございますけれども、政府当局の説明を伺いますと、キューバとの間に何ら分け隔てのことがあったのでなくして、実際上行政措置としてこの条約はもう直ちに実施に移すという約束になっていたから実際上の障害はそのためにあまりなかったのであって、ただ政局の都合上延びたという事情を伺いまして、その点は了といたしました。 第二には、キューバとの貿易に対しては何らかのアメリカの圧力、干渉がありはしないかというような不安が国民並びに業界の間にあったのでございますけれども、これに対しましては外務大臣からきわめて明確にそういうことはないのであるというお話がありまして、これも明確になりましたことは私はこの委員会の収穫であったと思います。 それから第三に、この審議を通じまして相互の貿易の隘路が明確になりまして、今後の努力次第では互いに理解し合うならばこれらの隘路はほぼ私は解決し得るものであるということを了解いたしまして、これも今後の業界並びに行政当局の御努力に待つところが多いと存じます。 なお現状を見ますると、相互にこれほど大きな貿易国でありながら、まさに新中国との貿易に匹敵するほどの大きな貿易を課題としておる環境にありながら、これに対する機構的、人的、物的の努力が相互に不足しておるのではないかということを発見いたしまして、商務官制度の強化とか、互いに貿易商社の出張所の充実とか、あるいは先ほど行政当局の御賛成になったもっと合理的な、公正な貿易自治機構の強化、また時として経済使節の派遣であるとか、もちろんそれもそれぞれ最も適切なときを選びたいという御注意は多とするわけでありますけれども、それぞれの国情に応じて適切な貿易使節の交換であるとか、そしてまたキューバが計画経済の国である、それにはまた日本側として迂遠なこともあるけれども、また長所もあろうという牛場さんのお考えは私は正しいと思いますが、それも緩急よろしきを得て調整していく。かくあるならば日本とキューバとの貿易の前途は洋々たるものであって、この通商条約を準備された両国の関係者の諸兄に対して私は外務委員の一員として敬意を表する次第でございます。これらのことを速記にとどめ、また今後の行政実施におくみ取り下されることを要望いたしまして、最終の討論といたしたいと思います。
○堀内委員長 これにて討論は終結いたしました。 これより採決いたします。通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、本件を承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって本件は承認すべきものと決定いたしました。 なお、本件に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十五分散会 ————◇—————