科学技術振興対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 61 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/29
会議録
○山口委員長 これより会議を開きます。 核原料物賢、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び新技術開発事業団法案の両案を一括して議題どいたします。 質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 新技術開発事業団について一点お尋ねいたしたいと思います。実は、このたび御提出の新技術開発事業団の構想は、英国の技術開発公社の方法をモデルにしたのだという原田局長のお話がありましたが、私どもがいただいております一九六〇年八月の「科学技術調査」その他の資料から見ますと、少し行き方が違っているんじゃないかという感じがするので、この点はっきり納得のいくような御説明を願いたいと思います。
○原田(久)政府委員 イギリスのナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションと呼んでおる機関でありますが、これは一九四八年研究開発法という法律が制定されましてそれに伴いまして、その翌年発足した機関でございます。当初は、政府から融資を受ける限界が五十億円でございまして、金利がつきますので、必要な額をそのつど政府から受けるという形で仕事をしておりました。当初発足当時は、わが方で考えておりました新技術開発事業団に相当する機能そのままと考えていいような形で運営されておりました。その形と申しますのは、研究成果、ことに公共的な研究成果と向こうでは呼んでおりますが、公共と申しますのはパブリックという意味でありまして、国立研究機関あるいは大学、公益法人の研究機関等の研究成果で、わが方で言います開発に相当するような、事業をしてみないとそれが実用的になるかどうかわからないというような問題につきまして、やはり理事機関で検討いたしまして、そうして委託して開発するということを主体にして発足したものでございます。 その後、法律改正を一九五四年にいたしまして、政府の融資する限度額を百億円に増額いたしました。それと同時に、性格に若干の変貌を加えております。それは、大学及び国立研究機関等、公共的な研究機関の研究成果を活用するというのが主体でございますが、まず、第一点は、国立の研究機関が取得いたしました特許につきましてはナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションが自動的に一括管理するという形になりまして、その管理した特許のうちで、いいものは委託開発をすることは従来と同様でございますが、ともかく、特許を管理するようになったということが一点の相違でございます。 第二点は、開発に関連しました研究に対しまして、まだ研究が完成していないものにつきましても一部補助金を出す、補助金といいますか、そういうエイドをして、そして委託開発に持っていくというような若干の変貌を加えております。それから、委託いたしました場合に、わが万では現金をもって委託するわけでありますが、場合によりますと、その会社の株式等を取得するというような形態をとるとか、あるいは社債等を受けるというような形の、変貌した形における委託費を出すというような変貌が若干ございます。しかし、依然として委託開発が主力でございまして、附帯的な業務を若干付加したという変化はございますが、そういうわけで、みずから研究所を持って研究するとか、あるいは開発するというような機能は現在持っておりません。職員は約九十名ぐらいの職員からなっておりまして、直接開発するというようなことはナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションはやっておりません。わが方が理化学研究所の発足に際しまして採用しました形態は、ナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションの法律改正前の初期の形に相当するものを現段階においてやろうとしておるわけでございます。国情が若干違うと思いますのは、前にも御説明いたしましたように、わが方では、研究の助成というような点につきましては、補助金あるいは委託費というような制度を通じまして、それぞれ国の資金がそういう方面に流れて研究の促進をはかっておるというような制度が、わが国には古くから行なわれております。新技術開発事業が開発するようなテーマについて、まだ研究が不十分であるといべものについて補助金を出したらどうかという問題もございますが、わが国の国情からいいますと、そういう補助金等を事業団に出すというようなことは、いささか制度上混淆を来たしますので、それはしないとい、立場をとりまして、理化学研究所の開発部でやって参りましたよりな業務をそのまま踏襲するという考えかに立っておる次第でございます。
○岡委員 その点、最近のこの資料を見ると、英国の研究組合は、一九五七年現在で、金属関係が七、石炭関係が三、エンジニアリングが十、繊維が九、窒業が二、ゴム、革が三、食料品が四あります。その他九、三十九組合、七団体、こういうことになっておるわけですね。そこで、これらの研究組合は、もちろん民間企業の文字通りのコーパラティブであって、それではプロジェクトをだれがきめるかということになると、研究のテーマのきめ方は、最初は研究組合自身によって開拓されていない。そこで、僕が申し上げたいことは、日本の場合は、最終的には開発審議会がプロジェクトをきめる。その間、大学の基礎研究の分野などにおいても、これならば適当と思われるものはいろいろ調査されるが、きめられたプロジェクトについてはその資格、条件の整ったある一個のメーカーに委託する、英国の場合は、共同の研究組合に委託する、ここに一つの違いがあるのじゃないかということです。
○原田(久)政府委員 ただいま私が御説明いたしましたのは、ナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションについてでございます。今、岡委員の取り上げられましたのはリサーチ・アソシエーションの方をお取り上げになったようでございますが、岡委員のお持ちになりました資料は、ただいま手元に持っておりません。正確にはお答えできませんが、研究組合の方の機能というものと、それから研究開発公社、ナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションという方とは考え方が違うわけでございます。研究組合の方は、ただいま岡委員の御説明のようにいろいろテーマを出されておる。そして、その中でDSlRがオーソライズといいますか、そのテーマがいいだろうというような形で援助をする、その間、政府が補助金を出すというような仕組みになっておるようでございます。この関係は、鉱工業技術研究組合の形と似ておるとわが方では考えております。ただ、その場合、わが万の研究組合は自主性をとらしておりますので、テーマについては特に指示的なことはなくて、政府から必要があると思うものについては補助をするというような形をとっておるようでございます。開発事業団の対象としておりますのはナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションでございまして、それは研究組合とはやはり考え方が違います。わが方の考えによく似ておりますが、公共的な発明の中からナショナル・リサーチ・ディベロップメント・コーポレーションの理事機関におきまして必要だというものを選び出しまして、資金を添えて委託して開発してもらう形をとっております。私どもの見解としては、そういうふうなことであります。
○岡委員 これは外国語のたんのうな西村原子力委員がこられてからにしますが、これを見ると、DSIRというイニシアルのつづったものがこの研究組合と共同してやっているわけですね、このイニシアルはどうなんですか。
○原田(久)政府委員 DSIRというのはデパートメント・オブ・サイエンティフィック・インダストリアル・リサーチでございます。機能といたしましては科学技術庁とよく似た機能を持っておりますが、その傘下には各種の研究機関がかなり網羅的に入っているという機関ではないかと思います。私一昨年オーストラリア、ニュージーランドへ参りましたが、ニュージーランドにはDSIRというのがございまして、あらゆる国立の研究機関がその傘下に入っております。それからオーストラリアはCSIRO——コモンウェルス・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ・オーガニゼーションと言っておりますが、これは航空関係、すなわち、軍事関係の研究機関を除きまして、一切の国立の研究機関を網羅して、そして中央に行政機関があってやっておる。これは英連邦ではDSIRという名称を使っておりますが、大体同じような規模になっているものと想像いたします。
○岡委員 そこで、このデパートメント・オブ・サイエンティフィック・インダストリアル・リサーチというものは、おそらく行政機関——政府機関でしょうが、技術よりもリサーチに重点を置いて研究する性格を持っておる、その下にあなたの言われる四十のリサーチアソシエーションがあるのだと思う。そこでプロジェクトを協議して定める。このプロジェクトはこのアソシエーションにということで委託される。きのうも連合審査であったように、日本における民間企業の共同研究を推進するということが新技術開発の重要なきめ手であり、重要な方針でなければならぬと思うのです。だから、政府がきめ、そして、ある特定の会社との間に委託研究で一つの技術が開発される、これも一つの方法ではあるが、同時に、民間企業に必要とされる正しい適当なプロジェクトを与えて、何らかコーパラティブなリサーチを推進していくという三つの方針が日本の新技術開発のために必要なんじゃないかと思います。 〔委員長退席、齋藤委員長代理着席〕 そういうことになると、通産省から出ておるあの鉱工業技術研究組合法案と、今われわれが審議しておる新技術開発事業団というものは大体目的は同じです。貿易の自由化に備えて、とにかく、技術革新の今日においては技術競争だ、国産技術を持たなくては日本の経済の国際競争場裏における安定はないのだ、ここに着眼したことは正しい。だから、そのためにはどういう方法が今日本の現在において残されておるか、それは大学における研究、大学を中心とする基礎研究の中から、これは実用化すべきものであるというテーマを調査して応用化的な研究をやり、さらに、この成果に基づく新技術の開発をやるという方法も必要だ。もう一つは、民間における共同研究組合を作って、民間の研究所が自主的に自分たちのテーマを選び、必要な場合には、技術開発審議会が助言を与えながら、選ばれたテーマについては、税制なり、補助金なり、あるいは助成金というふうな面で政府が援助していく、この二つの方法で国産技術の開発ができるのじゃないか。ところが三つに切り離されて、一方は通産省の所管、一方は科学技術庁の所管というようなことは、近代科学というものの本質から見て、私は妥当ではないのじゃないかと思うのです。鉱工業技術というものにしたって、採掘、動力、機械、建設、通信、交通、制御、この七つの技術というものがバランスのとれた体系がなければ鉱工業のほんとうの国産技術の発展はないわけです。そういう現在の科学のあり方というものが、やはり科学技術行政の中にも反映しなければならない。古い割拠主義のような形で、それぞれが思い思いの手ごろなテーマでやるというので、この科学技術ブームに乗って、そして、各局が思い思いなアイデアを法律化するというような行き方は、正しい日本の国産技術の確立から見て問題があるのじゃないか、率直に私はそう思うのですが、これは、私は大臣の所見を聞きたいと思うのです。大臣は、これは当然研究組合も科学技術庁がやらなければならぬと言って、あとから取り消しておられたけれども、大臣の言ったことは正しいと思うのです。だから、これはやはりそういうふうな方向に行くべきじゃないか。これは事務的に原田君がいろいろやってこられたのだが、どう思いますか。
○原田(久)政府委員 ただいまのお話の中で、CSIROの下部機構にリサーチ・アソシエーションがあるがごとき御発言がございましたけれども、これは、私どもの理解するところでは、下部機構ではないと思います。民間の自由的な同業者の集まりというようなものに対して、DSIRが援助するという形で誘導していくという形は、行政機関であるDSIRがとると思います。イギリスもそういうリサーチ・アソシエーションを一方でやりながら、他方におきましては、国立の研究機関、大学等の公共的なと私ども申しておりますが、日本の公共的とちよっと違いまして、パブリック・リサーチといっております。パブリック・リサーチというものが、いわゆる企業との結びつきという点が非常に弱いという点に観点を置きまして、これは第三次大戦中でございますが、ペニシリンがイギリスで発明された、しかし、チャーチルが肺炎にかかったときに直した薬は、アメリカから導入したペニシリンで直った、こういうことではいかぬというので、国の研究機関の研究成果を何とか事業化する手段としては研究開発公社を作る必要があろうということで、主として公共的な研究成果を事業化する機関として研究開発公社を置いた。そういう意味でございますので、研究組合と研究開発公社とはその使命が違っておるように私ども理解しております。それで、新技術開発事業団の方は、理化学研究所でやって参りました七件の経験に徴しましても、おおむね国立大学あるいは国の研究機関、理研等の研究成果、公共的な研究成果で事業化されてないもの、しかも、その間、非常に困難だというようなもので、国一民経済上重要なものを審議会に諮って取り上げるという形で取り上げましたものを委託するという形を踏んでおります。 鉱工業技術研究組合の方は、主として通商産業行政に関係ある鉱工業関係が主体でございますが、そのほかにも、郵政関係もあれば、運輸関係もあり、厚生関係もあるというような、そういった関係はありますが、主として鉱工業関係の組合員の同業の方が集まって、資金、労力等を持ち寄って共同で研究する、そういうことがわが国の風潮として非常に弱い。そこで、税制上の保護も与える等、規制をしていきたいというのが鉱工業技術研究組合法じゃないか、そういう角度から見ますと、ちょうどイギリスで研究開発公社があり、また、研究組合があるというのに似たような形でわが国では今進んでおるのじゃないか、そういうふうに考えます。 所管問題等につきましては、私は、むしろ大臣からの御発言があってしかるべきで、私から申し上げる筋ではないと思います。
○岡委員 僕はリサーチ・アソシエーションがCSIROの下部機構だとちっとも言っておらないのです。リサーチ・アソシエーションというものは、ある特定な産業分野の自主的な組合でしょう。だから、おそらく鉱工業技術研究組合は、三人以上あればできるという形のものです。だから、問題は、今あなたが正しく指摘されたように、日本の科学技術の基礎的な研究の水準が、僕は決して国際的にそうおくれておるものじゃないと思う。だけれども、彼らは象牙の塔に入っておる頃向がある。だから、大学を中心とする基礎研究の中から、これは実用化すべきもの、これはその成果に基づいて技術を開発し得るし、しなければならぬものだというようなものを、新技術として開発するためのことも日本の現実の中においては必要である。もう一つは、日本の現在の民間研究所は、いろいろな事情から、いわば商業上の秘密だとかなんとかいうことで、とにかく孤立しておる、これではいかぬ。これはやはりもっと共同研究をやらなければならぬという、この二つのことです。基礎研究を実用化するという、媒介的な作業を政策として進めなければならぬ、もう一つは、孤立している民間研究機関の共同研究を進めなければならぬ、この二つによって新技術を開発しなければならぬとするならば、その目的に行く二つのコースなんですね。ですから、現に英国の研究組合といえば、すぐ直接製鉄法、これは英国の鉄鋼共同研究組合の大きな業績として、ヨーロッパの鉄鋼共同体でも採用されているのですが、ああいう大きな業績を英国の製鉄業者が共同研究をしてあげておるわけです。日本もそういう方向にとにかく持っていく、そういう形で、この二つの方法で、とにかく技術を開発するということであって、問題は方法なんです。通産省の出しているのも技術の開発、だから、提案理由の説明には、両方とも、国産技術を開発するということをうたっておるわけですが、道筋に、一つは、今のあなた方、科学技術庁のようなアイデアの行き方もある、それから、通産省のような行き万もあるとするならば、むしろ、私は、国産技術の開発という大きな目標のもとに、こういう方法を整理して、そして、行政機構的に一つの体系を作る必要があるのじゃないか、ということは、新しい科学技術の分野というものは、皆の役所の割拠主義は許されないのだ、そういうことをやるからおくれるのだ、だから、これは一本の体系にまとめるのが一番ベストなんだ。ただ、あなた方は、現在の役所の窓口からものを見られるからベストの道に行けないのかもしれないけれども、私たちはベストではないかと思うわけです。だから、さっきも申し上げたように、池田さんは、おれの方でやらなければならぬと言っているのじゃないか、それはどうなんですか。
○島村政府委員 お話の通りでございまして、私どももそのつもりでおるのでございます。ただ、役所の窓口から見たらそれが突き破れないというようなお話もございました。気宇の小さいせいかも存じませんけれども、目的なりやり方、これが両々相待って国産新技術の開発の道が開けてくることは、おっしゃる通りでございます。昨日の田中委員の御発言にもございましたように、一体、科学技術庁とほかの各省との関係はどういうことになるのかと申しますと、鉱工業技術研究組合の方は、通産相が主務大臣ということに限定はされておらぬわけでございます。そのそれぞれの事業を所管するところの大臣が主務大臣となるということになっております。これは研究組合法の条文上一番ケースが多いと思われますので、「通商産業大臣とする。」とございますが、ただし書きがございまして、たとえば、原子力関係のある種の事業等につきまして研究組合が設けられますれば、逆に、ここに科学技術庁長官が主務大臣となる、これはどういうことかと申しますと、研究組合がたくさんできるということが予想されるわけであります。それぞれの主務に応じて、その事務を所管するところの大臣が主務大臣となるということになっておりますが、これが事業団の方になりますと、事業団はたった一つなんでございます。従いまして、通産関係の事業をやるから通産大臣、あるいは厚生関係の仕事をするから厚生大臣というわけに参りません。そこの意味合いから、内閣総理大臣がこれを総合的に見るという建前で、主務大臣という形に統一されておるわけでございます。従いまして、所管争いをやりまして、事業団の方は科学技術庁が諮問をすることになり、研究組合の万は通産省が諮問をやることになったというふうなものではございませんので、岡委員のおっしゃる通りでございますが、問題は、ただいま申し上げましたように、研究組合の方はたくさんあるので、それぞれの大臣が主務大臣になり得る、事業団の方はいろいろ各省にまたがってたった一つ設けるものでありますから、内閣総理大臣がこれを主務としてやるという考え方でございます。 なお、大臣が、一見してこれは自分の方でやる仕事だというふうに昨日申しましたのは、確かに、そのような研究組合というようなアイデアは、これは科学技術庁あたりで考えるべきことじゃないか、こうこう問題を申しましたのが一つでございます。これは昨日大臣が初めて申しましたのではございませんで、われわれも注意を受けております。それから、もう一つの意味は、今後、岡委員がおっしゃいましたように、これを全体にまとめて、統一的なりっぱな一つの体系として考えていくということの必要性を長官としても考えておるということを申しましたわけでございます。そのために、できれば科学技術会議等にも諮問をして、そうして進んでいきたいということのように思っておるわけでございます。
○岡委員 いずれ明日、池田長官それから椎名通産大臣にも御出席を願いまして、総理も出られるそうでありますから、私どもよく希望なり意見なりを申し上げたいと思いますが、いずれにしましても、総理大臣にしたって、この場合、総理府の長官としての総理大臣であって、内閣の首班としての総理大臣でないのですから、事実上の事務は、科学技術庁長官が実際の運営はやることになるわけです。そういうことなんですから、一そう、科学技術庁長官がこういう体系的な国産技術の開発という方針のもとに、法制においても一本に体系化すべきだ、こういうことを申し上げておるわけであります。 委員長、せっかく原子力委員が見えておられますから、御抱負を承った万がいいのではないかと思います。規制法については、あとでまた若干お尋ねしますから……。
○齋藤委員長代理 それでは、この際、先般原子力委員に御就任になられました駒形作次君及び西村熊雄君より発言を求められておりますので、これを許します。駒形作次君。
○駒形説明員 駒形作次でございます。 先般、国会の同意を与えられ、なお、原子力委員に任命をせられまして常勤いたすことになりました。私といたしましては、全力を尽くして与えられた職務に努力をいたしたいと考えて、おるわけでございますが、どうか皆様からも何とぞ旧に倍しまして御鞭撻、御教示を賜りたいと思います。今日は、そういうことでごあいさつをいたす機会を得ましたことを、大へんありがたく思います。
○齋藤委員長代理 西村熊雄君。
○西村説明員 先般、両院の御同意を得まして、十八日に原子力委員会の委員を拝命いたしました西村でございます国会は、かって数年ばかり大へん御厄介になったところでござます。十年ぶりに今日当委員会にごあいさつ申し上げるために国会に足を踏み入れまして、懐旧の念にたえません。原子力の世界は、私にとりましてはほんとうに未知の新しい世界でございまして、目下委員会の同僚の委員の方、科学技術庁の担当の方々、その他各方面からのお話を伺って、急いで勉強をいたしておるところでございます。国会におきましては当委員会が一番御関係が深いところでございますので、今後委員各位のお世話になることが大へん多いと思います。誠心誠意、委員各位の御指導を得まして職責を果たしていきたいと思っております。どうかよろしくお願い申し上げます。
○齋藤委員長代理 両原子力委員の発言が終わりましたので、引き続き質疑を続行いたします。
○岡委員 西村委員にはちょっとお残りを願いたいのです。それから駒形さんには、これは直接少しお聞きしたいことがありますので、どうぞ……。 私どもは、原子力委員の定員を二名ふやすということに賛成いたしました。なぜ賛成したかという一つの理由は、御存じのように、現在は、アトミック・ディプロマティック、東の陣営の指導者がアラブ、インド、インドネシアに出向きます場合には、実験用の原子炉を持って行く風潮があるわけです。しかも、原子力の平和利用も一進一退しておりますので、ともすれば、離れ島の日本では原子力の開発についてもいろいろな考えが錯綜しておる。広い国際的視野から原子力の発展の大筋をつかんで、日本の原子力の平和利用の発展のために、ぜひそういう視野が必要ではないか、原子力委員にはそういう視野を持ち得る人をぜひお願いしたい、また、それをもって補うべきであるという考え方が、私どもが二名を新しくふやした大きな理由の一つである。ただ、この際、私は、非常にぶしつけでございますが、率直に申し上げたいことは、一作々年、一九五八年の八月だったと思いますが、私ども与野党の仲間が四、五名で実はジャーマン・タウンのアメリカのAECの本部に出かけました。そのときに、リビー委員長の代理をしておられるフローベルグ氏に会いました。そうして、私どもは、国会の希望としては、この際、日本がアメリカから導入した原子炉の使用済み燃料をそのままアメリカへ渡すことに条件をつけないならば、あなたのお国は、これからプルトニウムを抽出して原爆に用いられる危険がある、このことは、われわれとしては、日本の特殊事情から忍びがたい、われわれは、原子力の開発には、与野党は今日まで共同の足並みで協力してきたけれども、この点で大きく意見が分かれたというようなことを率直に申し上げた。ところが、そのときフローベルグ氏は、そういう意向があるということは初耳だ、さっそく有効な対策を私の方で来週講じますということをはっきり言われた。その後、私どもはワシントンへ参りまして、ワシントンで大使館筋の方へそのことを御報告申し上げた。そして、新しい議定書で使用済み燃料は平和目的に使うのだということをアメリカは日本に約束してくれた。そうしますと、その間あの協定が結ばれるまで、おそらく二年以上の間、国公ではそのことが論議の大きな焦点であった。野党としてはそれに反対しておって、非常に大きな焦点の問題であった。ところが、そういう国会の雰囲気が、現地では、何ら向こうの相手方に反映されておらぬというようなことがあったわけです。私は、そういう点から原子力外交というものは、従来のいわゆる外交というものとおよそ違った性格を持っておるものだ、一つ取り扱いを間違い、一つ外交上の交渉において間違いがありますと、これは国民感情にいろいろな影響を与える性質の問題であるので、その点は、単に国際的にものを知っておるということでなく、原子力平和開発のあり方はこうでなければならぬ、そのためには原子力基本法があるのでありまして、平和の目的に限るという、はっきりした基本法をわれわれは国会で議決しておるのでありますから、この基本法の精神をふんまえて、きぜんとして原子力外交に当たる、あなたは、そういう意味で、外務省と原子力委員会の間におけるあなたの役割というものについては十分新しい御決意で当たっていただきたい、このことを心から希望しておく次第であります。 次に、この間、原子力委員会の設置法の一部改正で、原子力委員長の指定するものについては原子炉安全専門審査会の議を経るようになっておる。これは原子力局長でけっこうだが、では一体どういうものが指定されないもので、どういうものが指定されるという、何か区別がすでにできておるのかどうか。
○杠政府委員 指定するということではございませんで、法案は、原子力委員長の指示するということになっておりまして、それは包括的な指示をする、すなわち、今回規制法の改正案を御審議願っておるのでございますが、その規制法の改正案によりますところの臨界実験につきましても、包括的に審査を行なうということで、ございます。ですから、どれとどれとは指定し、どれとどれとは指定しないということではなく、原子炉であれば、すべて審査を専門審査会にお願いするという建前でございます。
○岡委員 そうすると、包括的とか、そういうあいまいなことではなく、その結論を申し上げれば、要するに、今後設置することあるべきすべての原子炉は安全専門審査会の議を経るのだ、そういうことでいいのですか。
○杠政府委員 その通りでございます。
○岡委員 それでは、この委員会でも、同僚の岡本さんんを初めいろいろ御質疑のあったCP5、これは駒形さんも副理事長であられましたが、ちょうどおられますから伺います。これは、当時、原子力委員会に付置された安全審査部会で安全であるという結論が出たのですか。
○杠政府委員 CP5炉につきましては、御承知の通りに、原子力委員会設置以前に、大編はCP5を入れるということをきめまして、それからAMF礼と実際に契約を結びましたのは原子力委員会発足後でございましたが、当時におきましては、まだ原子炉の安全審査専門部会というものは原子力委員会に設けられておりませんでしたので、原子炉安全審査専門部会におきましての審査はございませんでしたしかしながら、岡委員も御承知の通りに、規制法によりますと、日本原子力研究所に置かれるものについては直接的に原子力局が監督をいたします関係もございまして、原子炉安全審査専門部会にかけて許可をするというような手続を経なくともいいということに相なっておるわけでございます。
○岡委員 そこが私は問題だと思うのですが、そうすれば、今後日本原子力研究川内に設置する原子炉は、この規制法によりますと、正規に安全専門審査会の議を経ないのですね。
○杠政府委員 法律の建前はそうでございますけれども、現実にCP5炉は除外されております。また、JRR1と申しておりますウォーター・ボイラー型は、それ以前にすでに設置されているものでありまして、これも除外されております。国産一号炉以降のものについては、実際的には原子炉安全審査専門部会の議を経ております。そういうような運用にしてきておる、こういうことであります。
○岡委員 そうすると、ここで、日本原子力研究所に設置するものについては何か除外規定というか、緩和規定というか、それははずせばいいわけですね。
○杠政府委員 核、原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の第二十三条によりますと、「設置の許可」という項におきまして、「日本原子力研究所以外の者で原子炉を設置しようとするものは、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。」こういうふうに相なっております。
○岡委員 わかりました。ちょっと早考えをいたしました。 そうすると、日本原子力研究所に原子炉を設置する場合でも、原子力委員会としては、やはり今新しく設けられた安全専門審査会の議を経て、その上で意見を総理大臣に具申する、そういうように運営されるわけですか。
○杠政府委員 実際の取り扱いは、岡委員の御説の通りにする考えでございます。
○岡委員 それでは、CP5は原子力委員会発足以前のものでもあったので、日本の独自の安全審査というものはしなかった、そこでいろいろ問題が起こってきておる。それで、これについていろいろ政治論的な意見の交換もあったようですが、最近、「科学朝日」に、原子核研究所の藤本博士が技術的な問題点に触れて書いておられます。この技術的な問題点について、これは将来の原研の運営にも関係があろうかと思いますので、私も技術者じゃございませんから、はっきりしたことはわかりませんが、お聞きをしたいと思うわけであります。 第一に、藤本博士の所論では、CP5は九〇%濃縮ウランを燃料として、用いておる、日本の場合は二〇%濃縮ウランを用いることになる、こういうことを指摘しておられるのでございますが、これは当時駒形さんもタッチしておられたと思うが、この通りでございますか。
○駒形説明員 岡委員の御質問にお答えいたします。 アメリカのアルゴンヌにありますCP5は九〇%のものを使っていると私は了承しております。ただし、アルゴンヌにおきましても、二〇%の濃縮度のものをいろいろ実験をいたしておりました。その最終的のデータは、当時はまだ最後のところまでのことは出ていなかったのでございます。しかしながら、アルゴンヌにおいても、当時すでに相当の経験を持っておりましたことは事実でございます。
○岡委員 そうしますと、アルゴンヌに現に運転しつつあったものは九〇%の濃縮ウラン燃料を使っておった、さらにその濃縮度を低下せしめたものについては実験中であった、しかし、そのデーターは確認をされるところまでいっていなかったというわけですね。少なくとも、確認されるというところまでいっていないがままにわが方では発症した、こういうことですか。
○駒形説明員 最後の最後のところまではいっていなかったというわけでありまして、相当程度のことはわかっておったわけであります。ただ、もう一つ申し添えますけれど、二〇%の濃縮度というのは、日米双務協定においてそこまで使えるという制限を加えられておったことでございます。だから、九〇%のものを使おうということは、全く別の双務協定を新たに結んでいかなければいけないわけであります。当時はそういう状態であったわけであります。
○岡委員 これも駒形さんの御存じの通り、アメリカでは、九〇%の濃縮ウランを双務協定を結んでおる国に提供していますね。それが必要であるということから交渉が始められて、九〇%のものを提供しておるわけです。そのこととは別で、三〇%の濃縮ウランを燃料として使ったCP5は運転しておらない。ただ実験的に、より低濃縮のウラン燃料が使えないかということで作業は進められておるが、その正確なデータは証明されておらない。にもかかわらず、日本は条約上の関係もあったので二〇%の濃縮ウランでいくという方針を決定した、ここまではそうですね、そういうことですね。
○駒形説明員 今の点、最後の最後までというのは、ともかく、最後の最後までのデータは出ていなかったということを私は申し上げるのでありまして、AMFといたしましては、それに対しまして保証をいたしておるわけであります。だから、そのことに対してはアメリカ自身におきまして相当自信を持っておる。AMF自身はUSAECからやはりいろいろ指導を受けているわけであります。USAECのアルゴンヌ・ナショナル・ラボラトリーの人と十分話をして、そうして、それに対して自信を持ってギァランティをこの事柄についてはいたしたわけでございます。私どもも、結局そのことを信じておったということになるわけでございます。
○岡委員 そこが私ども問題点だと思っておるのですが、アメリカとしては、他の国から双務協定に基づいて原子炉の発注があり、これを受けた場合に、その炉の設計、燃料、その他についての安全性はAECが責任を持つことになっておるのじゃないですか、そこの関係なんですね。一体AMFは、日本からCP5の注文を受けた、そこで、設計その他一切の仕様書をAECの係に出し、係ではライセンスを与えておる、そこで日本側との契約が結ばれた、そういうことになる。間接的に、アメリカのAECはこのCP5機能については、安全性をも含めて保証しておるのですかどうですか、その辺の問題なんですね。
○杠政府委員 日米の協定上におきましては、ただいま岡委員の御指摘になりましたような形において保証しておるというようなことはございません。いわゆる日本対米国側という関係におきましては、米国の国内事情においてそのようなことがあるという場合は考えられますけれども、その点がはっきりしておるということはございません。
○岡委員 日米の動力協定では、それ以前の協力協定でも、結局実際は問題としては、免責条項があるわけなんだから、この事態があっても、わが方としては条約を根拠としての抗議はできるわけでもないし、要求もできない。そこで、話は前に戻りますが、二〇%ではどうも濃縮度が低いというので、この藤本博士の御指摘を見ると、楽な言葉で言えば二〇%を詰め込んだわけだ。アルミ合金の、何かたんざく型のものだそうですが、その中へ二〇%を詰め込んだわけですね。そうして、その上へまたアルミの被覆をしてローラーにかけて成形する。そうすると、その中身のウラニウム量をぎりぎりまで多くして詰め込んだために、ところどころに合金にならぬものができておる。それが金属ウランあるいはウラニウムカーバイトというような形になる。これをローラーにかけたものだから、そこでアルミニウム被覆をつけて燃料板を作るときに、その被覆を破ってしまうというような、危険なきずができた。そこで、そういう経過を書いたわけです。これはAMFがやることだから、わが方としては想像するよりしょうがない。ところが、それを実証するには、原研でも沸騰水の中に入れて耐久試験を加えたところ、燃料板に侵食が起こるようなことが確かめられた、こういうふうに得かれておるわけなんですが、やはり原研で、そういうことは沸騰水の中へ入れて確かめられたわけですか。
○杠政府委員 ただいまの御指摘の点は、原研において沸騰水中に入れて確かめたということは正確ではないだろうと思うのでございます。と申しますのは、燃料板の検査の際にそのような措置をとった、それはAMFの方が検査の委託を原子力研究所から受けておりまして、そして、その検査委託契約の中には、そのような措置をとるということはきめられておらなかったのでございますが、両者の話し合いにおきましてMアンドC側におきまして、いわばサービスの措置をとったということでございます。
○岡委員 いずれでもいいですが、AMFの方で、委託試験という形で、日本側へ引き渡そうとする燃料板を沸騰水の中で試験をした、そうしたところが、さっき申し上げたように、いわばごりごりのかたいあの薄い何ミリかのものにローラーをかけたものだから、アルミニウム被覆の中に金属ウラニウムができた。それは九〇%で正常に運転し得るものを二〇%の濃縮ウランしかないものだから、できるだけ合金の場合におけるウラニウムの率を高くしたのだろうと思う。詰め込もうとしたわけです。そうしたら、そういう失敗が起こった。そこで、この間、原子力局長が岡本さんにお答えになったのだろうが、レントゲン写真で見ると、そういう被覆が破れる、そういうような事態が起こってきたということになる。そうすると、アルゴンヌでどうであろうと、九〇%ならばやれるものを、三〇%で無理をしたということが、何といっても設計上というか、燃料上の基本的な一つの問題点だと思う。私は、どうこう言おうというのじゃない、駒形さんが責任をとれなんということを喜べのじゃないけれども、こういうものは科学的な問題ですから、政治論としてでなくて、それならそれとして積み上げていく必要があると思うのです。そういう意味で、そこに無理が一つあったということはだれしも認めざるを得ないと思う。私は、そのことを指摘しておるのだが、これは認められるでしょうね。
○駒形説明員 CP5がこの間臨界に達しましたあとで、いろいろと原研であれの出力のことにつきまして研究をされました結果を私は伺っておるのでございますが、あれに所定の本数のものを入れますれば、出力は一万キロにはなる、これは十分なることであります。このデータは原研が持っておりますから、ごらん下さるようにお計らい申し上げたいと思います。しかしながら、あれは研究炉でありまして、いろいろなものを詰める余裕がなければいけない、その余裕も若干ある。しかしながら、これを九〇%の濃縮度のものにすれば非常に余裕が出てくる。実験に対してのエクセス・リアクティビティが二〇%なら三%くらいある、九〇%にすれば六%くらいになるそういうふうにすればいろいろなものがたくさん中に入りますから、実験をやるには非常に都合がいい、そういうふうな結果が出ておるわけであります。問題は、岡委員のおっしゃいましたような場合に、三〇%でありますから、メタリック・ウランのコンテントは、多いわけであります。だからそこに問題がどうしても出てくる。メタリック・ウランの方が硬度が高いのでありますから、今お話しのような場合に、不均一でありますと、今度はそれを延ばす場合に、それが原因になりまして事故を起こすおそれが出てくるということになるわけであります。実際、そのことにつきましては、いろいろと原研でも実験をされております。全部が全部不均一であるというふうなことはないのでありまして、中で、何%か、今はっきり存じておりませんが、そのパーセントのものは均一になっておると思います。しかしながら、そういう性状は製造方法の上において非常に熟練を要し、むずかしい点があるわけでありますから、お話しのような工合に、九〇%にすれば、そういう製造上のことも、簡単になりますし、設計上の余裕もつきますし、実験をやります上に非常に工合がいい、こういうふうになりますから、九〇%のものにかえるようにしたい。現状の段階としては、そういう方針はけっこうじゃないかと実は考えておる次第であります。従って前の二〇%のものはどうかという問題になりますけれども、当時といたしましては最善を尽くしましてできないわけではない。やはりその中の幾らかは非常に均一になっておりまして、それを使えば、もちろん一万キロのものまで上げ得るということははっきりしておるわけであります。ただ、中に悪い板があるものですから、全体としてのパワーを押えなければいけない。ただ、この前引き上げました二千キロも、ただ何のことはない、上がったというようなことも原研の方から伺っております。実際をいいますと、今後さらにパワーは上げ得ると私は考えておりますけれども、いろいろなこともありますし、原研の方で一つお考え願って、善処していくようにしたい。将来は、九〇%のものがあれば工合がいいだろうというように考えております。
○岡委員 そこで、この前、原子力委員会の安全専門審査会を設けるときにも私の万から希望を申し上げておっただが、この板ですね。たくさんある中に、AMFの万で沸騰水の中で試験をしてみた、ところが、傷ものがあるということでいろいろな段取りもおくれてきた。さて、日本で受け取ったものを、全部が全部でなくても、抽出検査とか、そういうようなことが独自にできるのか、できないのかということですね。安全専門審査会を作っても、そういう機能を審査会が持っていなければ、結局人頼みになる。人頼みになれば、神近さんではないが、家庭教師が入学試験の答案を調べる結果になるので、独自にそういう審査機能を安全専門審査会は持たなければいかぬ。たとえば、今の板の場合はAMEの方で検査をして、悪いものは去って、いいものを送ってくる、若干おくれたが、その炉の中に入れる、そういうわけですか、こちらで全然やっていないのですか。
○杠政府委員 こちらからも原研から人が参りまして、立ち会っております。
○岡委員 それから、さっき駒形さんの御説の点ですね。これも、私どもこの委員会で、CP5を当初置こうというときに、ずいぶん問題にしたのです。というのは、相当な直径の実験孔を二十四——当時はもっと多かったかもしれぬ。当時作るのに、そこに試料を入れて、そして中性子束を浴びさせて、いろいろな研究をやりたい、こういうような方向を、当時の原子力局では申しておられた。一体そういうことが炉の設計上可能なのかということが、この委員会ではずいぶん問題になった。必ず可能なんだ、してみせますというような、はっきりした答弁もあったわけですが、そこで、今問題は、駒形さんが言われましたように、この実験孔でなくても、制御棒とか、いろいろな重水が減速のメディアムになっておるとしても、制御棒とかいろいろな金属なんかが入っておる。そうすると、この藤本博士の説によると、そういう重水を減速等に使った場合に、よけい中性子を吸収しやすい。そこにもってきて、さらに金属材料の試料なんかを穴に入れれば、ますますそういう傾向が多くなってきはしないか。だから、今は重水なりグラファイトで穴をふさいであるから、ある程度の出力も期待できるであろうし、それから、当初期待した10の14乗/平方センチメートル/SECという中性子束が期待できた。しかし、重水を減速材とした場合に、いろいろなものが中性子を吸収する、試料を入れれば、それが吸収するということになると、あなたがさっきおっしゃった超過反応率といいますか、これが相当高いものでなければならぬ。ところが今でも計算をしてみると、大体一二、三%、これはそこに専門家の方がおられたら聞かしてもらいたいんだが、藤本さんの話では、二号炉が実用に耐えるためには、超過反応度は七・七%と原研の方では計算をしておる。しかし、実験孔に詰めた重水やグラファイトを去って、フルに実験材料を入れるということになると、中性子はいよいよる、実際に出させ得るかどうかというところに問題があると思う。それが、一万キロが一千キロになって、将来上がり得るかどうかということの一つのめどになってくるわけですね。これは技術的に非常に困難なような御意見が多いようだが、見通しとしてはどうなんです。
○田中説明員 お答えいたします。 ただいまのは確かに、二〇%ですと、先ほど駒形先生がおっしゃいましたように、三%くらいになる。それから九〇%にしますと、六%から七%、こういう格好になっております。しかし、これは重水などの今詰めてあるものをある程度、抜いて、そして、穴をそのままの格好にしたときのことであります。そこにあります数字は、おそらく重水を詰めた格好で考えておりますから、三%ですとフルの実験はそんなにで、きませんけれども、一応今考えております実験には十分間に合う、かように考えております。それから、九〇%でいたしますと六、七%になりますから、そうなれば十分なものができるということでございます。前々からいろいろ申し上げておりますように、干キロワットでしばらく運転するということで、計画の方もそのように当初から考えております。大体支障がない、かように考えております。
○岡委員 それでCP5を置くときにこの委員会でもずいぶん問題になったわけです。さっき申し上げたように、二〇%濃紺のウラン燃料で、一体実験孔二十四もあけて、そこに材料をやって所定の実験かやれるのかということがこの委員会でも問題になった。少し無理じゃないのか、その当時は、GEあたりの意見なんかもやはりわれわれは聞きまして、そして、安いからといってAMFにやったというような事情もあって、できるのかというようなことが問題になったわけですね。ところが、現状では、どうも困難ではないか、ある程度のものはやれましても、当初期待したところのものはやれなくなったという事実は、事実として率直に私は承認されていいのじゃないかと思うのです。そうなんでしょう。
○田中説明員 その点につきましては、今千キロワットでお話し申し上げたわけでございますが、もしこれが所定通りの一万でやり得るようになりますと、その点は何ら差しつかえなかったのじゃないかと考えます。AMFもそのように考えておったわけであります。ただ、現状においては千キロで運転しまして、ここ一年か一年半の間に一万に上げていくという、最初の予定通りのスケジュールでいっておりますので、現状では支障はないということを申し上げたわけであります。
○岡委員 将来一万キロに、一万キロにということを言われるのだが、これが私は問題じゃないかと思うのです。というのは、最近、原子力研究所が「原研」という機関誌を出しておる。その中で、菊池さん自身が、この計画はどうも少し背伸びをし過ぎたのだというような、述懐をせられたことがあるのですよ。ところが、最近は、菊池さんは、何とか一万キロにこぎつけるのだ、こぎつけるのだと言っておられる。将来はするのだ、するのだというようなことで、まだできるか、できないかわからないが、私の言いたいことは、実際の現在の燃料あるいは炉の設計等から無理をしない方がいいのじゃないかということなんです。何も無理をする必要はないじゃないか。原研の指導者は科学者なんだ。原子力局長なら、無理をしないと国会でしかられるかもしれないが、自然科学者としての原研の所長は、無理をしないという方針でいくべきがやはり私はほんとうだと思います。原子力局だって無理をさせてはいかぬと思うんだな。何かあなた方が政治的責任でも問われるような意味で無理をさせてはいかぬし、また、菊池さん自身も、科学者としてこれまで扱ってきた苦い経験から、無理をしないという方針でいくのが私はほんとうじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
○杠政府委員 お説の通りに考えております。非常に慎重に扱ってもらいたいというふうなことを、原子力研究所の理事長にも私から申し入れてございます。おそらくは、理論的には一万キロワットまで出るということも言っておられますが、実際問題ということになると、岡委員御承知の通りに、まだすべてが解明されているというようなことではない原子力の分野でございますから、やはり慎重にやるべきであるというふうに考えておりますので、科学技術者の力でここまでできるという際には、それよりも控え目に出力は上げてもらうというふうにしようと思っております。
○岡委員 そこで、私は、この場合、やはり重要な燃料の成型加工において先ほどのような問題があったわけですね。これが臨界実験をやろうという計画がずっとおくれたりした理由になっている。さて、今度は、やってみたところが九〇%くらいならやれたかもしれないけれども、二〇%では、超過反応その他においては、まだ現在のところでは困難だ。さらに、一万キロワットまで持っていければやれるが、しかし、まだそれにはいろいろ検討を要する問題がある。たとえば、私は、アイダホだとか、現に運転している原子炉を暴走させておいて、生きたデータとして、アメリカは原子力開発のための新しいデータをそこから得ながらやっておるというこの行き方は、自然科学の、特に新しい原子力の分野では非常にいいことだと思う。そこで、それを原研の中だけで何か解決しようとしないで、日本には真剣に、原研を非難しようというのじゃなく、これをほんとうに科学的に究明して、そうして新しい日本の原子力開発に役立てたいという意欲を持っている人がたくさんおると思う。原子力委員会がそういう諸君の意見を十分に聞く機会を彼らに与える、そうして、もっと範囲を広めて、原研の技術者はもちろん中心なんだが、洗いざらいなデータを彼らに示しながら、どうあるべきか、なぜそうなったかというようなことを、広く——それこそ公開の原則なんですから、原研の中に閉じこもって問題を処理しようという狭い考え方じゃなくてやる。これが科学探究というもののおおらかなあり方だと思うんですね。そういう方向へ——これはあなたからすぐ御答弁願うわけにいかぬと思うけれども、これを生きた教訓として、データとしてやる、こういうふうに、お役所も、あるいは原子力委員会もぜひ一つ努力してもらいたい。駒形さんも、機会があったら、原子力委員会へ行って ぜひ一つこれを役立ててもらいたいと思います。これで終わります。
○齋藤(憲)委員長代理 石川次夫君。
○石川委員 今出ております核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の中で、一、二の点だけを一応お伺いしたい。 それは、今度の、原子力関係の製錬の事業あるいは加工の事業、原子炉の設置、運転等に関する規制、その指定の基準あるいは許可の基準として、第四条、第十四条、第二十四条が用いられておりますけれども、ここでは「原子力委員会の意見をきき、これを尊重してしなければならない。」こうなっておるわけです。 ところで先般岡委員からもちょっと御質問がございましたように、原子炉安全専門審査会というものが正規の機関として設定をされ、常置機関のような形になったわけです。この意見は尊重するという附帯条件もついて、この設置法というものが、これは内閣委員会でございましたけれども、通ったわけです。そこで、法案の体裁としてはどうか知りませんが、原子力委員会の意見を聞くということは、とりもなわさず、安全専門審査会の意見を聞くというふうに理解をしてよいものかどうか、この点をまず向いたい。
○杠政府委員 安全専門審査会というものは、やはり原子力委員会の中に置かれますが、先ほどの岡委員の質問にお答え申し上げました通り、原子炉である限りにおいては、すべてこの専門審査会の議を経るという運用の仕方にするということをお答え申し上げました通りでございまして、従いまして、原子力委員会が意見を述べる際には、必ず専門審査会にかけるというふうに御了解いただきたいと思います。
○石川委員 その御意向はよくわかったのでございますけれども、御承知のように、原子力科学というものは、日本においてはまだ始まったばかりで、きわめて初歩の段階であるということは否定できないと思います。従って、安全の問題については、念には念を入れて、徹底的に安全性を確保するということも考えていかなければならないということで、せっかく先般安全専門審査会というものができたわけでございますけれども、法案の体裁としてはどうか知りませんが、原子力委員会の意見を聞くということは、とりもなおさず、そういうことだと理解をいたしますけれども、何らかの形で、やはりはっきり明文化したいという気持が、実は私たちにはあるわけなんです。その点について、一応私どもの意向をお伝えしておきます。 それで、あと一つ、念のためにお伺いいたしますけれども、五十三条には、核燃料物質の使用等に関する規制の許可の基準が載っております。これには原子力委員会の意見を聞き、これを尊重するということが出ておりません。前の、今申し上げました製錬、加工、原子炉の設置等の規則については、原子力委員会の意見を尊重するということになっておりますけれども、核燃料物質の使用については、そのことが書いてありません。そこで、核燃料物質の使用だから、大した問題もないだろうというようなお考えに基づいてそうなったのかもしれませんけれども、やはり現在の日本の原子力の段階においては、核燃料物質の使用についても原子力委員会の意見を聞き、これを尊重するという慎重な態度が必要ではないか、こう考えるわけなんですが、その点はどうお考えですか。
○杠政府委員 お説の通りに、核燃料物質というものは、非常に重要な問題ではございますが、原子炉のごとく臨界に達し、万々一の場合に暴走の危険もあるというようなほどの危険性を包蔵していないという意味におきまして、原子力委員会へかけてその意見を尊重するというような手続を踏んでいないわけでございますが、運用の面におきましては、十分に気をつけまして運用して参りたいと存じておるわけでございます。と申しますのは、たとえば、原子炉の安全審査におきましても相当の時日を要しております。従いまして、この燃料物資につきましても同じく安全専門審査会にかけるといたしましたのには、おそらく相当の日数を要することも考えられます。その答申を得るというような手続を踏むことは、もちろん、精神としてはそのようにしなければならぬと思うのでございますが、先ほど申しましたように、危険性の考慮からいたしまして、局において慎重な態度をもって取り扱っていけばいいのではなかろうかと考えております。
○石川委員 五十三条の説明一応わかりましたけれども、どうも日本の現在の段階では、やはり原子力委員会の意見を徴さなければならぬのではないかというような気がいたしております。しかし、これもわれわれの方としては意見がまだ最終的にきまっわけじゃありませんが、一応の意向だけをきょうは聞いておきたいと思います。 それから、新聞を読んだだけなんで、大へんしろうとの質問で恐縮でございますが、原子力発電会社のきのうの発表では、実は、炉心部に使う黒鉛は英国製のものを使うことになっておったのものが、フランスのペシネイ社のものに変更になった。これは炉のメーカーはGEC社でございますけれども、その前提条件としては、もちろん詳細な強度の試験をやる、あるいは炉内使用の際の核的性質についてのデータを出す、あるいはそれによって値上げをしないのだというふうな、いろんな条件をつけた上でGEC社とそういう契約の変更をした、こういうふうな記事が出ております。ところで、御承知のように、安全性、特に日本の場合には耐震性の問題は非常に神経質過ぎるくらい慎重に考えなければならぬということで、黒鉛を千五百トンも積むような炉の設計でございますから、この積み上げるという方式から、さらに、これをハチの巣型にするとかいうことで、三回も三回も設計の変更があったことは御承知の通り。従って、ここでまた変更になったということになりますと、あれだけ安全だというふうに強調されておったものが、まだ不安が残っておったという懸念が出て参ります。また、変更になっても、これもまだこれで安心ができるというところまでいっていないのじゃないかというような不安がまた新たに出てきたわけです。この点は、どうもわれわれ技術屋の専門家ではございませんので、あまりつまびらかにこれを説明していただいても、ちょっとはっきりしないかもしれませんけれども、わかる範囲で、一つ御説明をここでしていただいて、さらに、この点については、われわれにわかるような説明ということはなかなか困難かもしれませんけれども、専門家に一つこれについては責任ある答弁をしてもらわなければならぬ、こう考えます。一応原子力局長の御意見を伺いたいと思います。
○杠政府委員 実は、まだ正式に日本原子力発電株式会社からその点についての連絡を受けておりませんので、受けましたおりには十分に検討をいたしますし、また、石川委員の御要望の通りに、専門家をして十分御納得のいくような回答をいたさせるということにいたしたいと思います。
○石川委員 どういう契約になっているか、私もよくわかりませんけれども、原子力発電会社がGECと契約をして、ずっと交渉して参ったのでありますが、こういう重大な変更について全然原子力局が知らなかったということは、法的や契約の上ではどうか知りませんが、知らなかった、まだ報告を受けていないということでは、これから原子力局がほんとうに日本の国内の原子力関係のもろもろのことを監督し、その助長をはかっていかなければならぬという立場にある局としては、少しおかしいのじゃないか。非常に不安なような気がするわけです。その点は一体どうなんですか。
○杠政府委員 私の方では正式には承知いたしておりませんが、私の方の下僚に対しまして、向こうの技術担当者が説明に来たということは承知いたしております。私自身が正式にまだ向こうの責任あるところの理事者から連絡を受けておりませんので、ただいまこれについての的確なる私の見解を申し述べるまでに至っておりませんのははなはだ遺憾だと私も思っております。
○石川委員 これは御承知のように、コールダーホールの日本で初めての大きな発電炉を作るので、耐震性の問題、安全性の問題は一番大きな議論の対象になっておったことは、御承知の通りです。ところで、それが急に変更になって——おそらく変更のことは決定しているのだろうと思います。新聞に出ておる限りでは変更が決定しておるように聞いております。そういう重大なことを、責任ある発電会社の代表の人から、責任ある科学技術庁の長官、あるいは、少なくとも原子力局長あたりに何らの正式な話がなかったということは、これは、重大問題じゃないかと思うわけです。従って、この原子力発電会社の責任ある人に今度この席に出ていただいて、はっきりした秋川といいますか、説明を一つぜひするように委員長の方で取り計らってもらいたい、こういうことをお願いして、一応きょうの質問はこれで終わります。
○齋藤(憲)委員長代理 ただいまの石川委員のお申し出につきましては、委員長の万で適当に取り計らいます。 本日は、この程度で散会いたします。 午後三時二十五分散会