運輸委員会 第15号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1961/03/22
会議録
○三池委員長 これより会議を開きます。 この際連合審査会開会の件についてお諮りいたします。 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について農林委員会より連合審査会開会の申し出があり、かつまた商工委員会よりも連合審査会開会の申し出が予定されておりますので、商工委員会より申し出がありました場合は、一括して両委員会と連合審査会を開会いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、連合審査会は明二十三日午前十時より開会いたします。 ————◇—————
○三池委員長 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。 質疑の通告がありますので、これを許します。吉村吉雄君。
○吉村委員 一昨日でしたか、私の質問の途中で散会になって、そのままになっていますので、引き続いて質疑を続行したいと思うのですが、特にこの際申し上げたいと思いますのは、きょうの公聴会にも見られますように運賃法を改正するという問題は、全国民が非常に注目をしておる問題でございますし、同時にまたそれは今後の日本の経済発展にもきわめて密接な関係を持っておる、こういう問題でもございますから特に慎重に審議をしていかなければならぬ問題だと思います。 そこで私は、国有鉄道が運賃の引き上げをしなければならない、そういうことを現在提案いたしておるわけでございますけれども、では、はたして国鉄の現在の経営の実態というものが、そのことを必要とする、そういう状況になっておるのかどうか、こういうことについて検討を加えるために現在の国鉄の経営の実情、職場の実態、こういうものについて詳しく当局なりあるいは運輸大臣なりの考え方をお尋ね申し上げていきたいと思います。 そこで、一昨日の質問の終わりになりましたけれども、今、国鉄では非常に列車の増発、そういうことに伴って、私の考えでは表面はともかくとして、列車の安全運行状態を見ると非常に問題を内包しているのではないか、こういうふうに考えられる節々があるわけでございますが、この列車の運行、安全輸送にあたって最も重要な役割を果たしておると思われますところの線路の保守、こういう作業に従事しておる線路工手について、現在の要員の実態をお伺いいたしましたところが、定員数に対しまして約四千名に近いところの欠員になっておる、こういうことまでが明らかになりました。私は最終的に、この重要な作業に従事をしておるところの線路工手、こういう人たちが長期にわたってその補充が行なわれないという理由は一体どこにあるのかということをお聞きをいたしたわけでございますけれども、いまだその点については明確な回答がございませんので、重ねてそのことについて、一体どういうわけでそれが長い間欠員のままに放置されておるのかということと、そのような状態のままではたして安全運転ということを確保する——そういう責任を持っているところの国鉄が、確信を持って安全運転なりなんなりができるというふうに考えられておるのかどうか、こういう点についてお考えをお伺いしたいと思うわけであります。
○吾孫子説明員 ただいま御質問の中で、保線関係の線路工手が定員に対して四千名から不足しておるそうだがというお言葉がありましたけれども、これは前回の委員会の際に中村常務からお答え申しましたが、定員に対しては千百名くらいの欠員でございます。それで本来の線路工手が定員一ぱいにおらない、欠員が千百名くらいあるわけですが、その足らない分は臨時人夫で現在は作業に差しつかえないように補っておるわけでございます。従って当面さしあたりすぐ心配というようなことはないのでございますが、今後の問題といたしまして、これも別の機会に申し上げたことがあるかと思いますけれども、作業の機械化というようなことを大々的に今度の新五カ年計画では取り上げておりまするし、また線路の構造そのものにつきましても、たとえば従来は木のまくら木であったものをコンクリートのまくら木にかえるとか、いろいろな点で線路の強度も増すような措置をとっておりますので、将来の見通しといたしましては、今までのように多数の人手をかけなくとも線路の安全が保てるようにやっていく方針で、今線路の強化をやるということになっておるわけでございます。従いまして、さしあたっての定員の欠は、臨時人夫等で作業に支障のないように補っておりますし、将来はできるだけ少ない人数で今よりももっと安全な線路の確保できるよようにするという計画で着々実行に移しつつあるような次第でございます。
○吉村委員 定員数の不足に対しては、臨時の雇用員をもって作業に支障のないようにしておる、こういうことでございますが、第一次五カ年計画に始まりました三十二年当初から、すでに線路工手の人数というものは定員に対して現在員が相当少なかったというふうに私どもの調査においては相なっておるわけです。今後機械化なりあるいは線路の保守方式の改善なりで安全運転を確保するようにする、こういうお話ではございますけれども、しかし、今日までの数カ年にわたるところの実績を見てみましても、遺憾ながらそれに全幅の信頼をおくわけにはいかぬのじゃないか、こういうふうに考えられてならないわけです。 さらに、この臨時雇用員の問題につきましては、先日勝澤委員の方からもいろいろ御指摘があったわけでございますけれども、この非常に重要な作業と目されますところの線路の保守に臨時人夫というような人たちを充当しておかなければならぬということが実は非常に問題だと思うわけです。私はそういう点で臨時雇用員をもってこのような重要な仕事に充当させなければならぬというその原因が一体どこにあるのか、こういうことが非常に問題ではないかと考えますので、その点を一つ明らかにしていただきたい、このように考えるわけです。 さらに、この臨時雇用員の賃金等につきましては、先日も、非常に低賃金で、いわば人道問題的な要素すら含んでおるというような状況でありましたが、副総裁の先日の答弁によりますと、まあまあ妥当な線くらいのところである、こういうようなお話でございましたけれども、線路保守に当たっておりますところの臨時雇用員は大体どのくらいの賃金をもって雇用されておるのか。とのことをお伺いしたいと思うわけです。
○中村説明員 私からお答え申し上げたいと思います。 御承知のように線路工手というのは、実はいわゆる労務者でございます。荷扱手とか何とかいうふうに労務職、つまり仕事の中心が労務にあるというわけでございます。私たちといたしましては、たとえば現場の線路保守におきましては、第一線の責任者は、線路分区長あるいは副長というようなところはりっぱな本来の職員に働いてもらって、純粋の労務作業員につきましては万やむを得ず臨時人夫というようなものでやっているという方法でございますので、まずまず線路の保守につきましては、臨時人夫にやってもらっているから問題が相当あるのじゃないかということは、心配ないというふうに考えて、こういうやり方をやっているわけであります。 それから線路関係の臨時人夫の賃金のことにつきましては、あまり詳しい資料が手元にございませんが、私の記憶に間違いないとすれば、大体四百円から五百円くらい出しているのじゃないかと思います。なおこの前副総裁が申し上げたように、労働省で告示がございまして、府県別にそれから職種別に大体最高、最低の人夫賃というものはきまっております。その範囲内で国鉄としては人夫賃を出しております。
○吉村委員 それでは続いてお尋ねいたしますけれども、臨時の雇用員というものはあくまで臨時という性格なんだと思うのです。一体国鉄が雇用をしておるところの臨時雇用員の中で、同一人で最長期間はどのくらい雇用されているのか、この点をお聞きしたいと思います。
○中村説明員 御承知のように、国鉄の臨時雇用員の中には二種類ございまして、一種類は本職員の採用試験を通りまして、本職員になることを前提として、一応本職員の定員があくまでとりあえず臨時職員で働いてもらうというのと、それから一方半永久的なと申しますか、そういう採用前提でたくて働いていただいている臨時職員と両方ございます。職員になることを前提としての臨時職員の場合は、大体半年から長くて一年半か二年くらい1去年自動車関係で問題になりましたけれども、そういうものがあったようでございますが——それから職員に採用されることを前提としない場合は、相当長いものもあり得ると存じております。
○吉村委員 採用を前提とするものは比較的に期間が短い、それから前提としないものは相当長期にわたっておる、こういうお話でございますけれども、国鉄の職場は多種多様な職域にわたっておるわけですが、そういたしますと、線路工手という正規の職名を持った職員と臨時に雇用されておる人たちが行なう業務は、同じような業務内容のものに従事しているのかどうか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
○中村説明員 たとえば線路工手というような仕事につきましては、ある程度ほとんど同じような性質と申しますか、仕事だと思います。
○吉村委員 次にお伺いしたいのですけれども、戦前に比較をし、あるいは戦争直後に比較をいたしまして、今日は列車の回数が非常に多くなっておると思います。ある線によりましては、列車回数が多くなって、重要な線路の保守作業、こういうものに難事を来たしている、どういうふうにも考えられる節々があるわけです。ですから線路の保守作業というものは以前よりももっと慎重にかつ緊密にしなければならない状態であるだろうと思うのですけれども、以前に比較をして、そのような列車回数が増加されて以降、線路の保守にあたっては、どういう方法をとられておるのか、そのことをお伺いしたいと思います。
○中村説明員 ただいまお話がございましたように、確かに保守間合いと申しますか、それは短くなってきております。従いましてそれに対しましては、国鉄といたしましては、いわゆる軌道の近代化、すなわち道床厚を厚くしたり、あるいはロング・レールを敷きましたり、あるいは場所によりましては、タイ・プレートをたくさん増加したりする目的で、改良費をつぎ込みまして、軌道の状態をよくしております。そういたしますと、そうちょいちょい手間をかけないでも、速い列車、重い列車が通ってもそう心配ないということで、軌道構造そのものに非常に金をかけてよくするということと、それからもう一つは、たとえばマルティプル・タイタンパーと申しますような強力な突き固めの機械を採用いたしまして、これによりまして短時間の間に相当がっちりした突き固めができるというような、いわゆる作業の機械化という方法でもこの問題の解決に向かって努力しているわけであります。
○吉村委員 線路の保守作業にあたっても相当機械化が行なわれている、こういうお話でございますけれども、それは具体的にどれくらいの投資が行なわれているんですか。
○中村説明員 マルティプル・タイタンパーというのは一台三千万円くらいいたします。
○吉村委員 私どもの調査によりますと、施設関係に対する機械化というものは他の系統に対して非常に少額であるというふうに考えていたわけでございますけれども、国鉄当局といえども今日までの機械化によって十分だというふうには考えていないと思うのです。むしろ機械化が非常に進捗をしない、あるいは機械化そのものによって保守でき得るそういう作業形態でもない、人力にたよらざるを得ないという部面が他の部面に比較して多いのではないかというふうに私は考えているんですけれども、その点はどういうものですか。
○中村説明員 その点は確かにそういう点があると思います。たとえて申し上げますと、ただいま申し上げましたマルティプル・タイタンパ一というような強力な突き固めの機械もコンクリートまくら木が敷いてありませんと、なかなか十分な効果が発揮できない。従いまして、先ほど申し上げましたように、軌道の近代化、強化という点でコンクリートまくら木、長尺レールとか、道床厚を厚くするとか、そういう方法をとったところにマルティプル・タイタンパーというものが非常に有効に働くということでございまして、われわれといたしましては、そういう軌道の強化をはかりながら、片一方で作業の機械化と申しますか、そういうことを考えておる段階でございます。従いましてわれわれといたしましては、これから新しい五カ年計画におきましてもさらにさらにそういう方面に向かって力を注いでいきたいというふうに考えます。
○吉村委員 次にお伺いしたいのですけれども、線路工手という職名を持っておって、線路工手以外の作業に従事している人はいませんか。
○中村説明員 ただいまはっきり記憶しておりませんが、線区持らの踏み切りにつきましては、保線区の踏切警手という名前で仕事をしていると思います。
○吉村委員 実は機械化とか近代化とか、ややもするとそういう表面に見える分だけが先行して、実際にはその機械化なり近代化なりをやっていくために、職員が非常に過酷な労働をしいられているというふうな点がたくさんありますので、今も私はそのことを申し上げたわけですが、線路工手は定員に対して現在員が少ない。それについては臨時雇用員をもって補充する、このこと自体も国鉄当局にとっては列車の安全運行という点から考えれば非常に問題のある点だと思うのです。にもかかわらず、さらに重要な作業に従事をしておる線路工手が他の職務を代行してやっておる、こういうような状態になっているわけですから、これは職員に対するところの労働は激しい状態になっているように考えられてならないわけです。 そこでいま一つお伺いしたいと思うのですけれども、国鉄には先ほど申し上げたように、多種多様の職種がある。当局もあるいは労働省も一緒になって災害防止に当たっておるとは思うわけでございますが、遺憾ながら国鉄でも相当の障害の事故というものがまだあると思うのです。この障害の中で死傷だけでもいいと思いますけれども、大きな障害という意味で死亡に達するような障害というものは大体どのくらいあるのですか。この中で線路工手が死亡しておるような障害はどのくらいになっておるのか、このことをお聞きしたいと思います。
○中村説明員 年々の災害、特に死亡関係は最近だいぶ減ってきておりますが、大体百人から百十人前後、年間に発生しております。ただその中で線路工手がどのくらいの数を占めておるかということは、ただいま手元に資料がございませんので、お答えいたしかねます。
○吉村委員 線路工手がどのくらいの割合になっておるかということについては資料がないそうでありますが、私の調査したことで申し上げてみたいと思うのです。二十七年度は国鉄の殉職者総数が百九十八、そのうち線路工手が四十三、二十八年度は総数百七十五、そのうち線路工手が五十三、二十九年度は百四十に対して十九、三十年度は百三十六に対して二十七、三十一年度が百二十六に対して三十、三十二年度は百三十一に対して二十三、三十三年度は百八に対して二十三、三十四年度は百十に対して三十、こういう状態でありますが、国鉄の全職種は大体三百職種くらいあるはずだと思うのです。この三百職種の中でパーセンテージにいたしますと、大体二〇%から二七%も殉職者が線路工手にしわ寄せされておる、こういうような状態でありますが、これは私の調査の範囲でございますけれども、国鉄当局として調査をされたといたしましても、これと大体似た数字しか出ないものと思うのです。こういうように線路工手だけが死に至るような障害を受けるというのには、何かしらそこに大きな原因がなくてはならないと思うわけです。こういうことについてどのように考えられておるか、一つ明らかにしていただきたいと思うのです。
○滝山説明員 線路工手が非常に殉職者が高い理由といたしまして、列車回数が非常にふえて参っております。それから速度等も高くなっておりまして、これは従来線路間合いを利用して線路の保守をしておるわけでございますが、今度の第二次五カ年計画では将来の経営の健全化、近代化ということを大きく取り上げておりますので、一方には主要幹線を複線にいたしますことによって、大幅な列車間合いをとれるということもありますし、一方には軌道の近代化、従来は人手によって線路を保守しておったが、列車の通過トン数がどんどんふえて参りますと、線路もどんどんいたみますので、ますます手を加えなければならない。ところがなかなか人の補充も困難でございまして、線路の状態も保守に非常に困難があったわけでございますが、軌道構造を強くいたしまして、コンクリートのまくら木、それからまた砂利にいたしましても川砂利を砕石にいたしまして、あるいはレールを溶接いたしまして、一番弱点の継ぎ目をなくしていくというようなことも積極的に取り入れることによりまして、線路のいたみもなくしていく。従って列車間合いに保守をするということもやめまして、検査はしょっちゅうしますが、修繕をある程度まとめてやるというような態勢をとりたい。これには当然機械化というものを伴うわけでございますが、そういう意味合いにおきまして、軌道構造を強くし、作業を機械化することによって線路の保守のやり方を変えていきたい、こういうことを考えておる次第であります。
○吉村委員 運輸大臣にお尋ねしますけれども、一昨日からやや専門的と目されるようなことについて私はいろいろ質問をして参ったわけですが、特に今お聞きのように、非常に重要な作業であるところの車両の保守とか、あるいは線路の保守とか、こういうような作業に従事をしておる職種に対して、残念ながら今まで国鉄当局では人数が足りない、こういうことにもかかわらず、その補充すら困難であった。しかも、そのことが全部の原因だとは申し上げるわけにはいかないと思いますけれども、三百種にもわたるところの職種のうち、線路工手だけが非常に欠員のままで、列車回数がふえて、作業というものが困難な状態になっておる。こういう中で、死亡に至るような障害というものが全死亡率のうちの二〇%以上、約三〇%も占めておる。こういうような状態でありますが、これは非常に重要な問題を内包しておると思うのです。このような国鉄の経営の実態あるいは現場の実情、こういうことに対して、監督官庁であるところの運輸大臣としては、どのように考えられ、どのように対処するのがいいとお考えになるか、お伺いをしたいと思います。
○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。ただいま御指摘になりましたように、最も大切な線路の保守に当たる人が、ほかの職種に比べて非常に死傷が多いということはまことに遺憾なことでございまして、今までも国鉄としては十分この仕事に対して死傷の出ないように注意をいたしておるとは存じまするけれども、これからは一段と努力をいたしまして、今お示しのような、ほかの職種に比べて特別に線路工手というものの死傷が多いということはだんだんなくなりますように、一つ注意をさせていきたいというふうに思っておる次第でございます。
○吉村委員 それはもちろんこのような事態をなくしていくための努力をするというのは当然のことだと思うのです。私は先ほど二十七年以降の状態を全部私の調査の範囲で示したわけでございますが、こういうような状態が起こっているというのは、非常に重要な作業である線路の保守に従事をしておるところの線路工手というものが、定数がありながらその定数を満たすことができ得ない、さらに他の仕事まで応援をしなければならない、こういうような状態に国鉄は実態としてある。そういうところにも大きな原因があるのではないか、こういうふうに私は考えているわけなんです。この種の作業というものはほかの職種と違って、機械化とかそのことによってだけその全きを期すわけにいかないということは国鉄当局からも言明されておるわけですから、このような状態というものが起きておる主要な原因の中に、要員の問題、いわゆる定員の問題がある、こういうふうに考えるわけです。その点、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○木暮国務大臣 国鉄の方といたしましても、先ほど来いろいろ御説明申し上げましたような、近代化と申しますか、合理化と申しますか、改良を加えまして、御指摘のような人数で仕事をやっておって差しつかえないというようなことを申しておるわけでございますが、この点につきましては、国鉄の方から詳細に御説明申し上げますし、私どもの方としても、今後、今御指摘のように死傷の多いということが、要員の確保を十分にしておらないというところにあるかどうかということを研究してみたいと思いますが、一つ国鉄の説明をお聞き願いたいと思います。
○吉村委員 死傷害というものは、何が何でも非常に重要な問題だと思うのです。最三申し上げますけれども、国鉄の近代化というものは、表面の近代化はなるほど行なわれておる。だけれども、そのために非常にそのしわ寄せが現場の方にきておる。これではとうてい現場の職員は、近代化なり機械化なり、あるいは五カ年計画、こういうものに協力をするという気持は起こってこないのではないか、こういうことを私としては非常におそれるわけです。その一例が、今申し上げましたように、大体数字上から申し上げましても——国鉄が努力をしておるのに違いはないと思うのです。違いはないと思うのですけれども、その死傷の比率というものは、年ごとにだんだん線路工手の方が障害件数が多くなっておる。このことは、作業が非常に繁忙になっているにもかかわらず、要員の補充なり、あるいは機械化なりが十分に行なわれていかない、どうしてもこういうところに原因するのではないか、このように考えられるわけなんです。運輸大臣は、そのことについては国鉄当局から返事をしてもらう、こういうお話でございますけれども、しかし監督官庁であり、その大臣であるところの運輸大臣は、その職員が、ある職種に限ってそのような障害が起こるということなのですから、そういうことの起こる原因は、あまりにも近代化とか機械化とか、こういうことのために現場にしわ寄せが起こっていっていることについては十分注意をして、そのようなことのないようにしてもらいたい。特に私がここで強調申し上げたいのは、重要な作業をやっておる職種でございますから、長期にわたって欠員のままで置かれるということは、決して正常な状態ではない。臨時雇用員をもってやられるべき作業内容ではない、このように考えられるわけです。ですから、そういう点についても十分監督の目を光らしてもらわなければいけない、このように強く要望しておきたいと思うのです。 なお、国鉄当局に対しましては、いろいろ要員操作上の問題もあろうかとは思うのですけれども、再三申し上げますように、事人命に関している問題、しかも年ごとに線路工事の殉職者数が増大をしておる。しかも欠員のままで何年来というもの放置されている。こういうような状態は、一刻も早く正常な状態に返すのが本筋じゃないか。機械化なりあるいは設備更新なり、それだけによってやっていけない、そういう職務内容であることは、あなた方が明言をされているわけですから、そのことについては早急に人員の補充ということをすべきだというふうに考えますけれども、そういう考えがあるかどうかをお尋ねしておきたいと思うのです。
○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように、当面の人員の不足につきましては、臨時職員を使って仕事は間に合わせております。その際に、老練な線路工手長とか区長とかいうような職員がおりますから、そういう人たちに十分指導させるように、今までもやってきておりますけれども、今後もなおそれに力を入れて参ろうと思います。 それから、全体としてその業務定員の問題は、先ほど来御説明申し上げておりますように、軌道構造を強化するとか、機械化するとかいうようなことで、よけいな人が要らないようにだんだんやっていく、そういうことで必要な人員は確保していくように努力いたすつもりでございます。 なお、殉職者が線路工手だけふえていくというお言葉でございましたけれども、ふえてはおりません。全体としても殉職者の数は逐年減ってきておりますけれども、その中で線路工手の殉職者の数の減り方が少ない、そういうことじゃないかと思うのでございますが、これは一人でもないようにするのが当然でございますので、事故防止については、今後一そう力を入れて参りたいと思います。
○吉村委員 今の線路工手の問題につきましては、特に臨時雇用員をもって云々というふうな話でありますが、臨時雇用員がどういう職務内容に従事し、どういうふうにするかということは、おのずから明確なはずでありますから、私はこれ以上申し上げませんけれども、そのことが原因するかどうかは別として、障害の比率というものは、線路工手に非常に大きくなっていることだけは明らかでありますから、その原因等については十分究明をされて、そして必要な要員というものについては、即刻補充するなり何なりして、人命の尊重という点に努力をしてもらいたいと思うわけです。 次に、国鉄では毎年年度末には相当数の、いわゆる特別退職ということを行なっておるわけですけれども、昭和三十五年度末の特別退職者数で、現在明らかになっておったならば、一つ明らかにしていただきたいと思うわけです。
○中村説明員 今、的確な数字は集計してございませんけれども、大よその数字は、大体八千人前後というふうに考えております。
○吉村委員 約八千人前後の人たちが国鉄職員でなくなる。四十五万の定員の中からそれだけが減っていくわけですけれども、そうしますと、その補充については、一体どのように考えられておりますか。
○中村説明員 原則として、新規採用によって補充することになっておりますが、これが権限をみな支社長以下にまかせております。現地のそれぞれの事情によりまして、適当に新規採用をやってきております。
○吉村委員 先ほども線路工手の例を引きましたけれども、国鉄はたゆまない作業に従事している。その中から八千人からの有能な熟練工が去っていく。それは数字上でいうならば、一人について二人、三人の補充くらいしなければならないような、いわば国鉄という職場は特殊な職場であるというふうに思うわけです。機械的に申し上げますならば、八千人の方々が三月の年度末でやめるとするならば、そのやめた瞬間あるいはそれ以前から、その補充が行なわれなければ、それだけ輸送にあたっても能率が上がらない、こういう実態、現象が毎年起こっておると思うのです。そういうことに対しましては早急にこの補充をしていくというような考えを持っておるのか。今のお話ではそれぞれ現地の実情にまかせて云々、こういうお話でございますけれども、それでは現実の問題はなかなか解決されない。極端な例は、補充をすることを認めておっても、一年もの間補充されないままで作業が続けられる、そのために疲労度が加わって病気になる人が多くなる、こういうような例も場合によっては見られるわけです。ですからこの年度末の特別退職者については即座に補充をして輸送業務に遺憾なきを期するのがほんとうではないか、このように考えますけれども、再度見解を求めておきたいと思うわけです。
○中村説明員 先ほど申し上げましたように原則として新規採用をいたすつもりでございますけれども、たとえば近く電化が完成するというようなところでは、機関庫の燃料掛というような人は要らなくなるわけでございます。そういう人がたまたまこの三月にやめたという場合には、欠員のままにしておきまして、五月、六月の定員化のときにまたあらためて配置転換の問題が起こらないように、たとえばそういう場合は臨時職員でおくというようなことをやった方が実際問題としてかえって合理的じゃないかという見地から、そういう場合には必ずしもすぐ新規採用して補充するということはやらないというような場合もあると思います。 それから現場の関係でなくて、八千人の中にはもちろん管理部門、いわゆる事務系統と申しますか、デスク・ワークをやっている人たちもいるわけでありますから、そういう場合にはやはり事務の機械化とかなんとか、作業の合理化の問題もある程度進展しておりますので、そういう点ともにらみ合わせまして、そういうデスク・ワークをやっている人たちの場合には必ずしも補充するという形にもいかない場合があると思います。もちろんそのポスト、そのポストにつきましてはかわりの人が来ているわけでございますけれども、結局その一番最後のしりが新規採用者で埋めるか埋めないかという問題があると思います。
○吉村委員 方針はわかるのです。方針はわかりますけれども、その方針が現実に具体化されるまでの間、現場の方では今日までもいろいろ問題が起きておったと思うのです。だからその方針を具体化されるまでの間についても、もちろん他のいろいろな制約はあるだろうと思うのですけれども、皆さんのその方針というものを具体化するそのしわ寄せが現場の残った職員にばかりかかる、そういうことを放任しておいていいという理屈は成り立たぬと思うのです。だから輸送量は一定のあるいはどんどん増加する輸送量というものがあるわけですから、その作業は何としてもやっていかなければならない、この現実は否定でき得ないと思うのです。ですからそういう点については他のものにあまり関連をしてのみ考えないで、毎年々々行なわれることなんですから当然それに対する対応策というものを立てられて、輸送業務に遺憾なきを期しておくというのが正しい姿ではないか、このように考えるわけです。その点についてはどうお考えになりますか。
○中村説明員 原則的な考え方については先生と意見の相違はないようでございますが、具体的な問題としまして先ほど私が御説明申し上げましたような問題もありますので、実際問題としましては先ほど申し上げましたように、支社長以下あるいは管理局長というような、そういう現地に近いところの責任者に権限を本社としてはおろしているわけでございます。現地で現地の事情に即応したように新規採用をしていくという建前をとっておりますので、その点はわれわれといたしましては大体輸送業務に支障なく新陳代謝が行なわれているというふうに考えております。
○吉村委員 残念ながら最後の締めくくりの意見については私と意見が異なっておるので、そのことによってだいぶ不必要な紛争というものが毎年国鉄の中には起きておる、このように私は考えるわけです。ところがあなたはそういうことはないというお話でありますから、それはないと言い切る以上はないように具体的な措置をとっていくものと私はこの際考えて、今の問題については終わりたいと思うのです。 次にお尋ねを申し上げたいのは、午前中の公聴会でも話が出ましたけれども、国鉄の職員一人当たりの生産性とでもいうのですか、これはどういうものをもって表示をされておるのかということをお尋ねしたいと思う。
○中村説明員 これには見方がいろいろあると思います。たとえば人キロ、トンキロというような輸送量そのもので見る場合、それから換算車両キロと申しまして、車全部、機関車までひっくるめますが、どのくらい車を走らせておるかというような単位で見る場合、いろいろな見方があるのじゃないかと思いますが、普通われわれは換算車両キロというものを標準にして考えております。
○吉村委員 そういたしますと、換算車両キロで考えておるというのでございますけれども、国鉄当局としては職員一人当たりの生産性についての換算車両キロというのは標準どのくらいを目途としておられるのか、お伺いしたいと思う。
○中村説明員 これはなかなかむずかしい問題でございますが、われわれといたしましては、たとえば動力の近代化とか、そういうことで技術的な進歩というようなものがありますと、やはりその基準というものはだんだん変わっていくのが当然ではないかというふうに考えておりまして、今具体的に幾らがいいというところまではっきりした結論を実は持っておりません。
○吉村委員 それは少しおかしいのじゃないかと思います。近代化五カ年計画について機械の近代化とか、設備の近代化とか、あるいは動力車の近代化とか、そういうものはある程度計画性を持って進められておるわけですから。だとしたならばその計画に基づいて職員一人当たりの生産性はどのくらいが標準になるかということを過去の実績の中から当然出しておかなければ、国鉄の正常な経営、あるいはどのくらいの輸送というものをどのくらいの人数でやるのが妥当かという数字は出ないはずだと考えるわけですけれども、その点どうですか。
○吾孫子説明員 結局職員の数というものを作業量の単位からどれくらい要るかというものをはじき出す場合にはやはり職種によりまして、ある職種については列車キロでもって見る、ある職種については通過トン数で見る、ある職種については人トンキロで見るというように、いろいろ職種によって見方の違いがあるわけです。しかし全体としての生産性といいますか、そういうものを見る場合に、まあ換算車両キロというもので見れば一番包括的であるというので、多くの場合に生産性というものを見るものさしには換算車両キロ当たりの人員というものを見ておりますけれども、これもたとえば営業関係やなんかの従業員の生産性というものを見るのでしたら、むしろ人キロで見た方がいいということになるかもしれない。そういう意味で先ほど中村常務はいろいろ議論がありますがということで申し上げたわけであります。換算車両キロというので見るのが一番包括的で、それを全体の基準には使いやすいということで、それで見ておる場合が多いというだけのことでございます。
○吉村委員 私のお尋ねをいたしておるところの中心は、国鉄が今後の経済成長政策に基づいてどのくらいの輸送を充当していかなければならぬか、こういうことが任務として与えられており、あるいは計画されておるわけです。あるいはまた各職域にわたって、設備投資なりあるいは機械化なり、こういうものについても微細な計画というものが行なわれておるとするならば、それらの計画を実施をし、さらに与えられておるところの輸送という任務を遂行するためにはどのくらいの人数を必要とするかということは、当然はじき出されなければならない一つの計画面だと思うのです。そのことだけを無視しておいて、一方で近代化、機械化、あるいは輸送量はこのくらいということは、あまりにも無計画な話じゃないかと思います。そういう意味で、的確な数字かどうかはわかりませんけれども、職員一人当たりの生産性はこのくらいだというものはおそらくあるはずだと思うのです。その生産性一人当たりの換算車両キロというものが不明確のままで長期の近代化計画なり輸送計画というものが樹立されるはずがない、私はこういうふうに考えるのですけれども、どうですか。
○中村説明員 実は今お話がございましたように、昭和四十年度におきます、いわゆる新五カ年計画の最後の年でございますが、この輸送目標というものは一応はっきりいたしております。これに対しまして職員は、今の計画では、頭数としては一応不増不減でいきたいというふうに考えておるわけでありますが、その際に換算車両キロがどのくらいになるかという数字の的確なものをちょっとまだ持ち合わせてないものでございますので、従って一人当たりの換算車両キロがどのくらいがいいのかというお問いに対して、的確な御答弁ができなかったのでございますけれども、職員計画といたしましては不増不減というふうに考えております。
○吉村委員 それでは別な角度からお伺いしたいと思うのですけれども、国鉄では大体諸般の計画を立案するにあたって、戦前は大体昭和十一年を一つの基準にしておるかのように考えられる節が多いわけです。それから戦後の定員法が実施された翌年の昭和二十五年が、これまた一つの基準になっているんじゃないかというふうに考えられるわけです。それと対応いたしまして、昭和十一年当時の職員一人当たりの換算キロというのは、これは実績だから出ておると思うのですが、これは一体どのくらいになっておりますか。
○滝山説明員 昭和十一年の職員の数は、二十二万七千でございまして、これに対しまして換算車両キロが九千六百億キロでございます。それで職員数で割りますと、一人当たりにつきまして四億二千万キロになっています。それでそれがただいま三十四年度の資料によりますと、職員が四十五万でございまして、換算車両キロの方は先ほど申しました二兆六百億キロになっておりまして、職員一人当たりの換算車両キロは四・二から四・六に上がってきております。
○吉村委員 そうすると昭和十一年ごろは四・二万キロということになりますか。
○滝山説明員 四・二億キロでございます。
○吉村委員 三十四年はどういうことになりますか。
○滝山説明員 四億六千キロになります。
○吉村委員 そうしますと、国鉄が一つの基準にしておりますところの昭和十一年に比較をいたしまして、昭和三十四年度の状態というのは一人当たり職員の生産性というのは高まっておる、こういうふうに見ていいわけですね。
○滝山説明員 その通りでございます。−−ただいまちょっとけたを間違いまして、四万二千キロが四万六千キロに上がっているということでございます。一人当たりの生産としては仰せの通り上がっているわけでございます。
○吉村委員 私もけたの点はわざと言わなかったわけですけれども、三十四年度と十一年度を比較しますと、一人当たりの職員の生産性というものは非常に、非常にというよりも相当高くなっておる、これ以上国鉄職員一人当たりの生産性というものを高めるということが、もちろん機械化なり設備投資なりの問題は別でありますけれども、大体十一年を基準としておるとするならば、大体限界を越えたところまで生産性は高まっておるんじゃないかと思いますけれども、国鉄当局としてはどのように考えますか。
○吾孫子説明員 先ほど来お話が出ております職員一人当たりの換算車両キロを指数で見ますと、確かに昭和十一年に比べれば相対的によくなっております。よくなっておりますけれども、しかしこれで十分だというわけには参らない、やはり国鉄というものがほんとうに近代産業として将来も安定した経営をやっていけるようになるためには、もっともっと生産性を上げていかなければ所得倍増計画にも追っつけない、こういうことになると思います。
○吉村委員 それは生産性を高めることに越したことはないと思うのです。だから私は初めに聞いたわけですけれども、人間の労働力というものには限界がある。大体機械化なり設備の改善なりというものの計画はあるのですから、そうすると職員一人当たりの生産性というものは、標準としてはこのくらいだというものがなくてはならないはずじゃないですか、こういうふうにお聞きしましたが、それについては明確な答えはなかったわけです。それで昭和十一年は一つの基準として考えておる、その昭和十一年と三十四年を比較をしてみましても、すでに昭和三十四年度においては一人当たりの生産性というものは相当高くなっておる。もっともっと生産性を高めた方がいいんだ。そういう議論の意味ではわかりますけれども、それはどこまでいってもその議論は私は尽きない議論だと思うのです。人間の労働というものももちろん限界があるわけなんですから、従ってどの程度のものを基準として、どの程度でやっていくのが適正な労働であるかということは経営責任者としてやはり明確にしておく必要があるのじゃないか。そうでないと幾らでも生産性を上げた方がいいんだという議論だけでいきますと、これは先ほども理由をあげて申し上げましたけれども、職員の人数は少ないけれども、低い賃金の臨時雇用員などをたくさん雇用をしてやっていけば、職員一人当たりの換算車両キロというものは増大をしていく。こういう結果にもなるわけでしょう。だからそこは企業性を追求するということももちろん必要ではあると思うのですが、そのことに急なあまり非常に過酷な労働というものが職員の中にしいられる、こういうことだけはやめてもらわなければならないのじゃないか。これは先ほども申し上げましたように、国鉄の職員が国鉄の職場というものを守って、そしてほんとうに安全輸送し、そして国民から愛される国鉄にしていくためには、当局の最高首脳部だけが幾ら本気になってもだめな議論であって、やはり全体の四十五万なら四十五万の人たちが、国鉄の経営についてほんとうに納得した形でないと、実現をしないことだと思うのです。そういう意味合いから私は、うしろから幾らでもしりをたたけば働くというような、生産性をもっともっと向上させなければならないのだというそれだけでは、これからの問題の解決にはならないような気がするわけです。その点いま一度、私が申し上げましたようなことについて、国鉄当局の考えていることをお聞かせ願いたいと思うわけです。
○吾孫子説明員 今、職員一人当たりの換算車両キロというのは、指数で申し上げますと、昭和十一年が一〇〇であったのが、三十四年には一〇九になっているわけです。ところが実質賃金の方は昭和十一年一〇〇のものがどうなったかというと、三十四年には一二一になっております。こういうふうに賃金をよく上げることができるようになったというのは、やはり生産性が上がったから賃金も上げられているわけです。それで今後昭和四十年までにどれだけ輸送量が伸びるかということについては、新五カ年計画ではっきりした基準がきまっておるわけなんで、そのときにその輸送量を今の人数をふやさないでこなすというところまでは、やはり換算車両キロ当たりの能率も上げていかなければいけない。ただしその場合に生産性を上げるからといって、今八時間労働で働いている人を十時間働かすというようなことではなしに、八時間労働はやはり八時間労働で、その仕事のやり方なり方法を機械化するなりいたしまして、そうして生産性を上げていく。生産性が上がることによって初めて実質賃金の方もまた上げていくことができる。そういう意味で、一口に申せばいわゆる高能率、高賃金という考え方で、頭数をふやさずにこの新五カ年計画で想定されております輸送量を、十分こなしていくということでやっていくつもりでおりますし、またそういうことで従業員諸君の御協力も得たいというふうに思っておる次第でございます。
○吉村委員 高能率、高賃金ということですから、ここは少し意見の分かれることになりますので、その点についてはあまり触れないことにいたしますが、ただ、今、副総裁が用いた実質賃金の比較の問題については私は若干異論があります。それは名目賃金の問題で、実質賃金的に見るならば、むしろ戦前の国鉄職員の待遇と今日における待遇では、戦前よりも現在の方が実質的には低下しておるというふうに私は判断をしていますが、このことについても意見が分かれるようでありますからそれについては触れないようにしたいと思います。 それで、最後になりますけれども、先ほども線路工手の問題の際にも触れましたし、それから特別退職者についての際も国鉄当局の方から話がありましたけれども、ある職種については欠員であっても、ある職種については過員、そういうようなこともあるので、その操作をしていくということが現状ではなかなかむずかしい、こういうお話がありました。そういたしますと、国鉄の近代化五カ年計画というものは国鉄の全職域にわたって行なわれておるわけですから、要員の職域ごとの異動、労働力の再配置、こういう問題が当然起こってきておると思うわけです。それをやっていくためには、いろいろ当局の方でも苦労されておると思いますけれども、何といいましても国鉄の全職員の協力を得ずしてはでき得ない問題ではないか、このように考えておりますけれども、一般に合理化というふうにいわれておる、そういうことについて対組合との関係はどのような方法でやっておられるのか、伺っておきたいと思います。
○吾孫子説明員 ただいま国鉄の部内には労働組合の数はかなりたくさんございます。従いまして組合によりましていろいろ態度なり関係も少し違うわけでございます。非常に当局の計画に対して合理化、近代化には全面的に協力するという組合もございます。それからとにかく一応事前に話し合いをする。そうして近代化なり合理化の計画に対する理解を深める。労働条件については団体交渉で意見の一致をはかるというようなことをきめた組合もございます。それはこの間の動力車組合でございます。それから、そうでなしに近代化には頭から反対というような組合もございます。あるいは組合の了解なしには近代化なり合理化なりをさせないという態度の組合もございます。いろいろございますが、私どもとしましては、いずれにいたしましても従業員の協力、理解ということは絶対に必要であると思っておりますが、いろいろな組合もございますけれども、すべての組合に対して理解ある協力をしてもらいますように今後一そう努力をいたしたいと思っております。
○吉村委員 この辺で終わりたいと思っておったのですけれども、今、副総裁の話の中で、近代化にも合理化にも頭から反対だという組合もあるというお話でございましたが、私はそういう組合はないのではないかと思うのですが、実際そういうことを言うておる組合はありますか。
○吾孫子説明員 近代化、合理化について当局が一方的に実施することには反対だ、こういうことを言っておる組合はございます。
○吉村委員 そういうことであればわかります。ところが先ほどのはそうじやなかったので、そこは間違いのないように答弁していただきたいと思います。 そこで問題になると思いますのは、今も副総裁が言われましたけれども、何といいましても国鉄の従業員全体の協力なくしては、この近代化計画というものはスムーズには進まないということは答弁の通りだと思うのです。私の考えでは、いろいろな計画を推進していく、実施をしていくということは、管理運営の問題ではありますけれども、それを具体的に実施をする段階になりますと、必然的に労働条件に関係をせざるを得ない、こういうのがほとんど大部分だというふうに考えるわけです。ですから、経営上の問題とか管理上の問題だとかということを強調するのあまり、職員の言わんとすること、あるいはその考えていることを排除してしまって、意思統一をでき得ないような状態のままにしておくことは、この際かえって問題を大きくするのじゃないか、このように考えますので、結論的に申し上げますならば、やはり事前にお互いの意思を一致させてから具体的にこの実施をしていく、こういうことの方が事をスムーズに運ぶために最も必要なことでないかというふうに考えておりますけれども、どうでしょうか。
○吾孫子説明員 従業員の理解を得ることは非常に必要だと思っております。
○吉村委員 今の答弁は、私の先ほど申し上げたことを肯定をした答弁というふうに承って、今の問題については終わります。 いろいろ話をしてきましたけれども、最後に、運輸大臣に少し所見をお聞かせ願いたいと思いますが、国鉄は、今、運賃を値上げをしなければならない、こういう状態で、国会の方にも提案をし、運輸省もその気持になっておる。ところが、先ほど来から言われておりまするように、国鉄は国の政策上の必要から、赤字になることがわかっていながらも、それを経営しなければならないという、そういうような要請すら仕事の内容としてはあるわけです。ここが非常に問題になっており、先ほど来私が再三申し上げておりますのは、国鉄当局としては、何とかしてこの経費の生み出し当たらなければならないということで、必要な人員すら補充もしないでやっているという状態にあるわけです。このような状態にあるものを放置しておいたのでは、国鉄の経営というものは健全にならないのではないか。やはり公共性と企業性というものが非常にむずかしい状態にあって、国鉄の首脳部を初め、現場の末端に至るまで、非常に苦労をしながら今作業に従事している。これは国鉄の企業性というものと公共性というものが、日本の場合にはむしろ両立し得ないような条件というものが周囲に存在をしておるところに、問題があるというふうに考えられてならないわけです。そういう点について、ほんとうに国鉄を、公共性を重点とした、主体としたような方向で運営をするのが正しいのか、あるいは現在までのように企業重点でやっていくのが正しいのか、こういうことについては、いろいろ意見の分かれている点だと思うのですけれども、今日の国鉄の状態においては、企業性を追求することに急であればあるほど、多くの問題がむしろ潜在をしてしまう、このように私は考えるわけです。この際、公共性を重点として考えたところの運営、こういうふうにいくべきじゃないかというふうに私は思いますけれども、運輸大臣の見解はどうですか、最後にお伺いをしておきたいと思います。
○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。 国鉄の高度の公共性から考えてみまして、現在の程度の公共負担を国鉄があえてやっていくということ、これは私はやはり当然ではないかというふうに考えておるのでございまして、今お話しのように、公共性というものと企業性、企業性からいえば、採算に乗るよう能率的に独立採算制を主とするということも考えられるのでございまするが、日本国有鉄道のあり方また公共企業体としての見地から見ますると、独立採算制に合わないからといって公共負担というものを無視するということは、これはいかがなものであるかと私ども考えておるのでございます。ただ、この委員会でも常に申し上げましたように、従前の日本国有鉄道のごとく、日本におけるただ一つの独占的な事業であるという国鉄の姿が、だんだんと新しい輸送機関の発達によりまして失われつつある今日におきましては、今後は、従来のごとき国鉄が負担しておるいわゆる公共負担というものに対して、政府として検討を加えていく必要がくるような事態にだんだんなっているんじゃないか。その一つの現われとしては、金額は小なりといえども、今回三十六年度において、いわゆる赤字負担の大きなものとして従来取り上げられたところの新線建設に対する利子補給をいたしましたことや、あるいはまた、従来はとかく戦傷病者などの無賃輸送に対しても政府が補助する金額が少なかったものを、三十六年度におきましては相当額増額していったというようなことも、私が今申し上げたような方向にだんだんといっているのではないか。それとまた、これは公共負担の問題から離れますけれども、国鉄の経営の健全化という上から見まして、現在国鉄が、三十四年度におきましては百五十四億円という多額の金を国庫に預託して、しかもそのある部分は無利子である、ほかのものも二分九厘ということで国家に預託しているというようなととが、国鉄の経営を圧迫しておる一つの因子であると思うのでございますが、こういう問題につきましても、予算委員会などで話がございましたときに、大蔵大臣は、他の公社などとともに関連して考えて、何とかこれを改善することを一つ検討してみたいというようなことを言明されたのでございます。こういうことも、やはり国が、今の国鉄の公共性にいろいろ骨を折るために、独立採算制からややともすると遠ざかるということに対して、国として何とか国鉄の経理、経営の健全性を維持していこうということの一つの考え方の現われのように考えるわけでございまして、あなたのお話のように、いわゆる公共負担というものと独立採算制という企業の当然のものとは、まことに矛盾するものでございまして、こちらを立てればあちらが立たない、あちらを立てればこちらが立たないというようなものであることは、御存じの通りでございます。そこには国鉄の経営のむずかしいことがあるのでございまして、繰り返し言うように、国鉄が独占事業でなくなってきた今日においては、政府としてもだんだんそういう方面に検討を加えて、国鉄の健全性を高めていくように努力していくという考えを持ちたいものであると私は考えておる次第であります。
○吉村委員 今の運輸大臣の答弁は相当親切丁寧に答えられたわけでありますが、要約すれば、今までのように国鉄に対して独立採算制をしいているだけではやっていけないような状態になった、だから国の方でも十分に国鉄の経営に対して資金的な面でも考えていくようにしていかなければならないのではないか、こういう考えだというふうに承ったわけです。そのようなことにでもしなければ、いわゆる公共性なるがゆえにしいられておるところの国鉄の負担というものについては、それは当然に国全体として見ていく、このような考え方に立って、日本社会党としては、その経営を健全にするために公共負担法というものを提案をいたしておるわけですから、ただいまの運輸大臣の答弁の趣旨からいたしますると、わが党提案の趣旨に、全面的ではないにしても気持の上では賛成だというふうに考えられてならないわけです。これ以上答弁を求めませんけれども、今、大臣が答弁になりましたような趣旨をさらに一歩前進をさせて、そうして公共性をさらに発展をさせていくために、国家としての資金的なあるいはその他の面でのいろいろな施策を今後大臣の立場で大いにやっていただくことを強く要望をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○三池委員長 次会は明二十三日午後一時より理事会、午後一時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時三十二分散会