運輸委員会 第10号
- 発言数
- 15 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1961/03/14
会議録
○三池委員長 これより会議を開きます。 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、これを許します。高橋清一郎君。
○高橋(清)委員 私は、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の審査にあたりまして、大要二つの問題点を取り上げて、この際政府並びに国鉄当局に対しまして質疑をいたしたいと思うのであります。 今回の国鉄運賃値上げ問題につきましては、昨年来国民各位の間におきまして種々論議されまして、私どももその動向に重大なる関心を持ち、研究もいたし、検討もして参ったのでありますが、この際私はこれらの問題点のうちで、今回の法案審議にあたりましてどうしても国民各位に対して十分の納得をしていただきたい、そういう意味におきまして必要最小限度二つの問題点が、これにつきましてはあるように思われますので、ほかの同僚各位の御質問もあとにあることでもありますから、この二点にしぼりまして質問いたしたいと思うのであります。当局の誠意ある、詳細かつ御丁寧な御説明をいただきたいと思うのであります。 その第一点は、今回の総額九千七百五十億円に上る新五カ年計画実施のための工事費の調達方法については、今回の運賃値上げによる方法以外に考えられなかったのかどうか、新五カ年計画実施による鉄道輸送力増強の成果を受益する人々の間で公平に工事費を負担すべきであるが、だれとだれが受益者になるのであるかという問題であり、その第二点は、今回の新五カ年計画の完全実施について、国民は運賃値上げを負担しさえすれば、ほんとうに計画工事が五カ年間に完成されるのであろうかという懸念についての問題であります。まずこのたびの新五カ年計画の樹立についてでありまするが、この計画につきましては、わが国の最近における経済の著しい発展と、それに見合うべき鉄道輸送力の不足の実情を、国民はみずからの体験によって十分に了解しておるのであります。去る三十二年発足いたしました国鉄五カ年計画を、実施四カ年目におきまして断固打ち切りまして、新五カ年計画を国鉄が樹立したことについては、その国鉄当局の英断を心からなるかっさいをもって迎える、そうした実情にあると私は理解しておるのであります。すなわち新五カ年計画の必要性とその実現を、国民すべてが心から期待し、願望しておるのであります。しかしながら国民すべてがその計画の完全実施について、国鉄当局に対して心からなる信頼を寄せているかどうかというと、私はまことに残念ながらそうではなく、国民は多分に危惧の念を持っているといわざるを得ないのであります。これは現在実施している五カ年計画が、計画通りに、国民の期待するように実施されていない実情を、国民は知っておるからであります。これについて国民は強い不満を持っており、このたびの計画も、値上げするときだけのから手形に終わりはしないかと思っておるのであります。私はこの際、これからの新五カ年計画の完全実施を可能ならしめるためにも、ぜひ国鉄当局より三十五年度で打ち切られる現行五カ年計画についての総決算を、この席に詳細にお示し願いたいのであります。たとえば全体の進捗率についても、資金投入の進捗率が八〇%の計画のところが、六七%という数字が発表されておりまするが、工事そのものの全体の進捗率はどの程度であるのか。おそらく実体の進捗率というものは資金投入の進捗率よりもはるかに低率となっているのでございましょう。しからばその原因がどこにあるのか。物価の上昇がどのくらい影響したのか、あるいは計画樹立当時の工事単価算定の過程に無理があったのではなかろうか、これらについての検討と申しましょうか、反省と申しますか、考察することは、今後の新五カ年計画の完全実施のためにもぜひ必要であろうと思うのであります。従って具体的な工事事項別に、実体の進歩率を示していただきとうございます。さらに工事事項ごとに、たとえて申しますと通勤輸送という工事事項ならば、計画では四百九十九億円でこれこれの工事をやる予定であったが、四年間でこれだけの工事しかできなかった、理由はこうでございますというような具体的な実績表を示していただきたいのでございます。あるいは計画と実績との間に大きなズレを生じた大なる原因というものは、これは資金面でございましょう。それは人件費の膨脹にあると理解されておるのでありますが、それならばはたして三十二年の五カ年計画の樹立当時においては、人件費は向こう五カ年間は据え置くという前提に立って人件費を計画しておられたのか。そうでなかったならば、年々の自然昇給分だけは組んであったのであるか。ベース・アップはどう見ていたのであるか、これらのことも知りたいのでございます。とりあえずこれについての御答弁を承ります。
○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。 御承知の通りに、日本国有鉄道の輸送力が現在におきましても輸送需要にどうも足りない。さなきだに、この内閣の経済成長策によります今後の日本産業経済の成長に伴いましては、現在でさえ十分でない国鉄の輸送力があるいは隘路となるのではないかということさえ懸念される現状にあるのでございます。従いまして、今度は昭和三十六年度を初年度といたしまして五カ年計画を立てまして、主要幹線の複線化あるいは電化、ディーゼル化、あるいは踏み切りの改良とか、あるいは老朽施設の取りかえであるとかというようなことを十分にやりまして、この増大する国民経済の輸送力の需要に対処するために、今回新しい五カ年計画を立てたのでございます。これが資金といたしましては五カ年間に約一兆億円、九千七百五十億円という膨大な資金を要するのでございます。一方、財政融資におきましても、昨年から比較いたしますると、本年度におきましては百四十三億円という多額を増額したしまして、九百九十六億円、約一千億円の融資を取りつけるだけの努力をいたしました。また国鉄といたしましては、自己資本を捻出いたしまするために、まず固定資産の償却というものの繰り入れによりまして、約六百億円の自己資本を投入いたしましたり、あるいは多年叫ばれておりまする経営の合理化というものをこの際一段と強化いたしまして、これでも二十億に近い自己資本を投入することに捻出に努力をいたしました。それでも不足の部分がございますので、この際、今まで他の物価に比較いたしまして低位にありまするところの国鉄運賃というものを改定いたしまして、利用者の負担において四百八十六億円の自己資本を調達いたしまして、そうしてこの計画を実行に移したいと考えておる次第でございます。 第一次五カ年計画の予定通り進捗いたしませんこまかい数字につきましては、国鉄当局から詳しく御説明を申し上げることにいたしますけれども、第一次五カ年計画がただいま御指摘のように進捗率四年目におきまして六七%にとどまりましたということの大きな理由といたしましては、発足当初におきましては予定することができなかったところの仲裁裁定がございまして、人件費の膨張がありましたことや、あるいは発足当時には予定することができませんでしたその後の金融面の変化でありますとかあるいは景気の後退とかいうようなこともありまして、思うような資金を調達いたすことにすこぶる難点がありましたこと、その後の物価の騰貴によりまして経費が相当にかかりました。これらが相待ちまして、第一次五カ年計画におきましては御指摘のような十分の効果を上げ得ることができませなんだことを遺憾とする次第でございます。ただし第一に努力いたしました老朽施設の改良等のことにつきましては相当の成績を上げまして、輸送保安の上から見てさして心配のない状態になりましたことは喜ぶべきことだと思うのでございまするが、あるいは近代化、合理化、改良等のことにつきましては十分の効果をおさめ得ませなんだことは、今申し上げたような理由によって資金の十分なる入手が困難であったことが大きな原因であったと存ずるのであります。 つきましては、第二次すなわち新しい五カ年計画におきましては、幸いに、すでに新聞などで御承知とも思いますけれども、東海道新幹線に対しまする世界銀行の融資も八千万ドルに決定をいたしまして、資金面も潤沢になりましたので、一方幸いに国会の御承認、御議決を経まして今回の運賃改定ということによる四百八十六億円の自己資本の投入ができまするならば、全力を注いで第二次五カ年計画、新計画におきましては予定通りの進捗を見まして、ただいま隘路となっておりまする国鉄輸送力の強化整備に万全を期したいというふうに考えておる次第でございまして、御質問の詳細の点につきましては、国鉄当局から数字をあげて御説明をいたしたいと思います。
○吾孫子説明員 ただいま大臣から相当詳しく御答弁がございましたが、なお数字的なことにつきまして私から御説明を申し上げたいと思います。 まず現在、三十二年から行なって参りました五カ年計画の進捗の状況でございますが、項目別に資金投入をいたして参りました率から申しますと、三十五年度末、当年度末までに新線建設の関係では八四%、通勤輸送の関係では六一%、幹線輸送の関係では四五%、それから幹線電化及び電車化におきましては四七%、ディーゼル化におきましては四八%、それから車輌の増備につきましては五四%、取りかえ及び諸改良といたしましては一一二%というような投入率でございまして、全体として計画に対して六七%の資金を投入はいたしたわけでございます。しかし、それでは具体的に各事項別にこれを見ました場合に、実際の進捗率はどうなっておるかというお尋ねでございますが、これにつきましては、項目によりまして当初スタートの際に必ずしもそれぞれの段取りが明確にきまっておらなかったものも多少ございますけれども、おもなものについて実際の進捗率、特に五カ年計画の中で線路増強の関係、電化の関係、車両の関係等につきまして具体的な進捗率を申し上げますと、たとえば線増の関係の計画といたしましては、当初千キロの計画をしておったわけでございますが、三十五年度末までの累計では三百二十三・三キロということになっておりまして、その進捗率は三二%でございます。また電化工事につきましては当初千六百六十五キロを予定しておったのに対して九百五十二・三キロ、五七%の進捗率を示しております。それから車両の新製の関係につきましては電気機関車が二六%、それからディーゼル機関車が三六%、電車は四七%、軌道車は五二%、客車が二十七%、貨車が六〇%というような状態になっておるわけでございます。 ところで特に取り上げてお尋ねのございました通勤輸送の関係について、実際の進捗の模様がどういうふうになっておるかというお尋ねでございました。通勤輸送と申しますれば、全国関係があることではございますが、その中でやはり何と申しましても東京の周辺と大阪の周辺とが一番問題があったわけでございます。ただいま申し上げました二千九百五十両という電車の増備計画の中の、およそ半分に当たりますものが通勤輸送に充てられる予定であったわけでございますが、この電車の増備の計画は、先ほど申し上げましたように四七%、半分にちょっと欠けた程度でございますが、そういう状況でございますので、電車の増備は十分にいかなかったことは事実でございます。ただ東京と大阪と分けて考えますと、大阪周辺の方は比較的順調に進捗いたしておりまして、この方は東京周辺に比べますればよほど計画に近い進捗率を見ているということは申し上げられると思うのでございます。東京周辺の国電区間の場合には、遺憾ながらただいまも申し上げましたように当初の計画に対して、電車の増備両数そのものは半分ぐらいしかまだいっておらないという状態でございます。しかしながらこまかく取り上げますと、この五カ年計画において、さらに停車場設備の改善でございますとか、あるいは電車輸送に伴います発送電関係の設備とか、変電所の新設とか、あるいは信号保安関係の強化でありますとか、線路の改良でありますとかいうようなことはかなり実行はいたしているのでございますれども、非常に大きな問題となって現在クローズ・アップされております、たとえば中央線の東京への乗り入れの問題、中央線の複々線化の計画というようなことにつきましては、国鉄当局としては、これを何んとか実現したいと考え、予算にも計上し、いろいろ努力もいたしたのでございますけれども、具体的に申し上げますれば、たとえば御茶ノ水から東京に入って参ります区間の線路の増加というようなことは、用地問題でデッド・ロックに乗り上げたような姿でございまして、どうしても地元の反対等が非常に強うございましたために線路増強の工事に着手することができなかったというようなものもございます。今度の新五カ年計画におきましては、地下鉄五号線との相互乗り入れその他の問題、その他の方法も検討いたしておりますが、とりあえず中野から三鷹に向かって複々線化の工事に着手することになっておりますことは、前にも御説明を申し上げたことがあったかと思います。そういうようなわけでございまして、資金投入の状況から申しますと、先ほど申し上げましたように六七%という進捗率でございますが、個々の事項別の進捗率というものを見ますと、先ほど線増、電化及び車両新製の関係について申し上げましたように、いろいろでこぼこがあるわけでございます。こういうふうになって参りました原因、先ほど大臣の御弁にもございましたけれども、計画と実績との間にこのように大きなズレが生じて参りました原因の一つは資金面の事情にあったわけでございまして、御承知の通り昭和三十三年の不況のために、収入累計において、計画に対して約七十億円の収入減を生じました。また支出面におきましては、当初考慮されておらなかった仲裁裁定の実施等による人件費の膨張によりまして、支出累計において約九百七十億円の支出増を生じたのでございまして、この自己資金の不足千四十億円は、そのうち約四百億円を借入金の増加によってまかないましたが、差引七百億円の資金不足は、結局幹線輸送力の増強でございますとか、幹線の電化、ディーゼル化等の項目の実行をおくらせてつじつまを合わせざるを得ない状況になったような次第でございます。すなわち現在の五カ年計画は、現在すでに収支のバランスを失し、五カ年では完了できないことになっておるわけでございますが、その借入金の増加が利子負担として経費増にはね返ってくる悪循環のきざしを見せており、長期的にバランスは、このままではますます悪化していくことが予態されるような状況にございましたので、国鉄のこの病根を取り除いて、将来の建て直しをいたしたいというところから、いろいろ各方面の御勧告あるいは御意見等も伺いました上で、新五カ年計画を策定し、その新五カ年計画を実行に移しますための最大の手段といたしまして、運賃の改正をお願い申し上げておるような次第でございます。 なおただいま御質問の中に、人件費のことについて現在の五カ年計画がどんな考え方であったのかというような御質問がございましたが、現行五カ年計画がスタートいたします際には、実はベース改定というようなことは考えに入れておりません。ただしかし通常の年四%程度の昇給というものは、これはあるものと考えましてその昇給のための財源はもちろん考えておったわけでございますが、ベース改定というようなところまでは考えておらなかったわけでございます。今回の新五カ年計画におきましては、五カ年間の長期的な見通しの上におきまして、国民所得の増加に見合う程度の賃金の引き上げというものはやはり考えていかなければならぬという考え方に立ちまして収支計画を立てておりますので、その見通しに基づいた財源の手当のことも考えた上で作っておりますので、この前の五カ年計画のように、人件費のために所要の資金を食われてしまって、結局実行ができなかったというようなことにはならないはずでございますし、またそういうことには絶対にさせない覚悟で私どもおるわけでございます。ただ運賃の改定額につきましては、実は当初いろいろ御検討願っております際には、私どもといたしましては、もう少し大幅の、と申しては言い過ぎかもしれませんけれども、もう少し運賃改定をさしていただきたいと思っておったのでございますが、その点はいろいろ御検討いただきました結果、ただいまの実収一二%程度の引き上げという案に落ちついたような次第でございまして、現在の新五カ年計画を今後実行いたして参りますためには、当初考えておりました場合よりは借入金の増加をある程度お願いしなければならないようなことになっておりますけれども、この九千七百五十億の資金を今後の経営努力によりまして運賃改定による増収分とあわせて確保させていただくことができますれば、現行の五カ年計画のようなことにはならないように万全の努力をいたすつもりでおる次第でございます。
○高橋(清)委員 詳細な御説明を承ったのでありますが、なおこの際でございますので、人件費についてでございますが、そのうちのベース・アップでございます。私の知ります範囲内でありまするが、三十二年度以降、たとえば三十二年度におきましては千二百円、三十三年度におきましては二百円、三十四年度におきましては六百五十円、三十五年度には八百五十円のベース・アップがあったのでありまするが、おそらく五カ年計画の当初の支出予定表にはこれだけの給与費は載っていなかったと思うのであります。この計画をオーバーする給与費の増額を国鉄はなぜ支払ったのか、支払わねばならなかったのか、計画通り実施せねばならないという制約以上にベース・アップの要請は強力なものであったのか、これらの問題点は、今後の新五カ年計画の人件費の問題点の検討をいたします場合にぜひ必要な問題でございますから、当局より詳細な御説明を伺いたいのでございます。再度にわたってでございますが、重要な問題だけにお聞きするのであります。
○吾孫子説明員 三十二年度以降しはしばベース改定が行なわれましたことはただいま御指摘の通りでございます。ただこの国鉄従業員の給与水準ということにつきましては、日本国有鉄道法にも定められておりますように、国家公務員の給与、あるいは民間同種事業の賃金等を参酌して適当な水準にきめるべきであるという趣旨が書かれておるのでございまして世間全体のべース改定等に追随いたしまして、ある程度適当な賃金を保障するということは公共企業体の職員についても当然考えられなければならないところであると思っておるのでございますが、このように三十二年以降たびたびベースの改定が行なわれました最大の根拠は、いつもベース・アップの要求が組合側からありました場合には、団体交渉で結論を得るように努力いたすのでございますが、国鉄の収支状態その他から考えまして、とうてい組合の要求通りのベース改定を了承するというようなことはできませんので、問題は常に調停仲裁機関であります公共企業体等労働委員会に持ち込まれまして、最後には公労委の仲裁裁定でベースの決定が行なわれるというようなことが繰り返されまして、仲裁裁定が出されますと、御承知の通りこれもまた法律に基づきまして両当事者が裁定には拘束されるということになっておりますので、仲裁裁定が出ますつど、その裁定の線に従ってベース・アップを認めざるを得ないというようなことの繰り返しの結果、今日のように人件費に、当初予想しなかった程度よけいに経費が食われるというような姿になった次第であります。
○高橋(清)委員 それでは、三十六年度より発足いたします新五カ年計画でありますが、以上の論議でおわかりのごとく、人件費の算定の面、物価の値上りをどう見ているか、工事単価の算定の面、こういう点等々におきまして無理のない計画をしていただきたいのでございます。国鉄が過去の失敗を二度と再び繰り返さないという覚悟でもってやって参りましたならば、このたびの新五カ年計画の内容にはいささかの心配もなかろうとは思うのでありますが、法案審査のこの席におきまして、あらためて国鉄当局より新五カ年計画の概要を御説明願いたいのであります。
○吾孫子説明員 それでは新五カ年計画の概要について御説明を申し上げたいと思いますが、先ほど申し上げました今までやって参りました現行の五カ年計画におきましては、そのうちの非常に大きな重点は、戦中戦後老朽荒廃しました施設の取りかえ、改良というようなことが大きな柱になっておったわけでございますが、この老朽荒廃した施設の取りかえ、改良だけは、先ほども申し上げましたようにおかげさまで大体完成することができました。今度の新五カ年計画におきましては、今国鉄として非常な問題になっております主要幹線の輸送力の増強並びに輸送サービス全般にわたっての近代化ということの二つを重点に今度の新五カ年計画を策定いたしたような次第でございます。 そういうように今までやって参りました五カ年計画とは重点の置きどころが少し変わったということがいえるわけでございますが、最大の重点は現在すでに輸送力が逼迫して国民の皆様にもいろいろ御迷惑をおかけしておる状態をすみやかに打開いたしますと同時に、ただいま政府で御発表になっております国民所得の倍増計画と申しますか、国民経済の成長に国鉄の輸送力が追いついていけるように、じゃまにならないようにぜひやらなければならないという観点から、まず第一番には幹線の増強ということを取り上げておる次第でございます。国鉄の幹線は御承知のごとく、その大半が建設当時のままのまだ単線でございまして、逐年増加して参ります輸送需要に対して今までは車両を増備して対処して参ったのでございますが、線路とか輸送の設備等につきましてはきわめて弥縫的な、その場を糊塗するような程度の増強しか行なっておりません。しかしここまで輸送需要と申しますか、輸送要請がふえて参りますと、もうこれでは追いついて参りませんので、現在及び将来の輸送力不足に対する抜本的な対策として、東海道本線を初めとする主要幹線の線路を早急に増強をし、あわせて車両並びにその他の輸送施設を拡充整備をするというふうに幹線輸送については考えておる次第でございます。 次に輸送方式の近代化ということも第二の大きな柱でございまして、輸送の質的サービス向上に対する要望にこたえますために、複線化及び動力方式の近代化を基盤といたしまして、次のような輸送方式の近代化をはかることといたしております。 まず旅客輸送について申しますと、電車化、ディーゼル動車化を積極的に推進いたしますとともに、主要都市間、及び主要都市とレクリエーション地帯間に高速列車を頻発いたしまして、便利かつ快的なサービスを提供するようにしたいと考えております。 それから貨物の輸送につきましては、貨車を増備いたしまして、基本的な輸送能力の充実をはかりますほか、 コンテナー輸送方式とかあるいはパレット輸送方式等、自動車との一貫した輸送体制の推進をはかりますとともに、貨物取扱駅の集約、荷役設備の近代化というようなことを実施いたしまして、輸送速度を向上するようにいたしたいと考えております。 それから三番目に、通勤輸送の増強、改善ということがあるわけでございまするが、東京、大阪を初めとする都市周辺の通勤、通学輸送は今後ともさらに著しい増勢を示すものと思われますので、車両の増備を初め施設の改良に努め、輸送需要の増大に対応するとともに、その混雑緩和に努めたいと思っております。特に東京周辺における国鉄の線路輸送力は、先ほども申し上げましたようにすでに限界に達しておりまして、抜本的な対策を必要とする段階に至っておりますので、この問題につきましては、必ずしもひとり国鉄のみで解決できる問題でもございませんので、関係機関の総合的な施策がすみやかに確立せられますよう、関係の方面にも十分お願いもし、連絡もとって、その増強に力を入れて参りたいと考えておるわけでございます。 あと、少しこまかいことになりまするが、踏み切りの立体交差化を初め、保安設備の強化をはかりまして、列車の高速化あるいは高頻度化と申しますか、回数の増加というようなことに備えるつもりでおります。 なお企業努力を重ねて増収をはかりますとともに、徹底的に合理化を推進いたしまして、経費の節減に努める考えでおりますことは申し上げるまでもないような次第でございます。
○高橋(清)委員 今回の新五カ年計画におきましては、三十六年度より四十年度までの五カ年間に、九千七百五十億円の資金を必要とするわけでありまするが、この資金の調達については、三十六年度分につきましては大臣の提案理由にもありましたように、借入金で千億円、運賃の値上げ分で約五百億円、減価償却費などよりの繰入分で六百億円の御説明をいただいたのでありまするが、五カ年間を通じましての資金計画表をこの際資料として御提出、御説明を願いたいと思うのであります。 と申しますのは、世銀の借款は当初の一億ドルがどうやら最近の新聞紙上からでございまするが、八千万ドル程度となるようでありまして、これは七十二億円でございますか、予定よりも減少する予想が濃厚となって参っておるのであります。また国鉄の利子負担にたえない工事に、利子のつく資金をなるべく使うべきではないという見地からいたしまして、五カ年間の資金は値上げ分と減価償却費等の繰り上げ分の自己資金で幾ら、政府からの助成金が幾ら、出資分が幾らで、それから利子のつく資金は運用部から幾ら、債券で幾ら、世銀で幾ら、これは五カ年間の工事総額のうちの利子負担にたえる工事分は幾ら、たえない工事分は幾らであるか、これがちょうどぴったり合致する、資金運用上いささかの無理もございません、こういう印象を受けまする国鉄当局からの御説明をいただきたいというのであります。
○吾孫子説明員 三十六年度の問題につきましては先ほど大臣からの御答弁にございました通りでございますが、四十年までの五カ年間を通じての資金計画の概要を申し上げますと、いわゆる自己資金として損益勘定の力から繰り入れることに予定いたしております資金の総額は、五千七百二十七億という予定を立てております。それから不用財産処分その他による資産充当としては五カ年間で六十五億、結局それが自己資金に当たるわけでございまするが、それのみでは九千七百五十億の資金の調達は不可能でございますので、結局その不足分の五千九百九十二億という額を借入金によることにいたしております。 借入金の内容は、大部分は資金運用部並びに鉄道債券というようなものによって調達されることを期待いたしておりまするが、そのうち資金運用部資金として幾ら、鉄道債券として幾らということは、やはり各年度の予算編成の際にきめられることでございますので、ただいま五カ年計画といたしましては資金運用部資金及び鉄道債券というものは一本に考えて、ただいま申し上げました五千九百九十二億のうちの大部分がそれに当たるように考えております。一部分はこれまたただいまお尋ねのございました世銀借款でございまするが、世銀の借款は御指摘のございましたように、当初は一億ドルの申し込みをいたしておったのでございますが、ただいま御質問にございましたように、八千万ドルに落ちつくような模様でございますが、この場合には申し込みよりも二千万ドルほど、邦貨に換算いたしまして七十二億円ほど少なくなるわけでございますが、これは国内の長期借入金及び鉄道債券等によりましてまかなうことになるわけでございます。 以上申し上げましたように、自己資金五千七百二十七億、資産充当六十五億、借入金五千九百九十二億という合計が一兆千七百八十四億円になるわけでございますが、この一兆千七百八十四億円の内訳は、そのうちの千六百五十九億ほどは借入金返還等に充当されますので、それを引きました残りのうちの九千七百五十億というのがこの新五カ年計画の財源になるわけでございます。あとの三百七十五億円というものは、これはいわゆる建設費といたしまして、三十六年度においては七十五億の予算が計上されたわけでございますが、今後も大体その規模で建設費が計上されるものといたしますれば、五カ年間で三百七十五億円になりますので、それを全部合わせますと、今申し上げました一兆千七百八十四億というような数字になる。こういう計算でございます。
○高橋(清)委員 さらにこれは前に御答弁をいただきました点の繰り返しになるとは存じますが、新五カ年計画の初年度である三十六年度の給与関係の予算は、前年度に比しまして約百五十億円増加しておるのでありますが、この内容は自然昇給分と昨年のベース・アップ分でありまして、最近の公労協などの春闘態勢や、国労が六千六百万円のベース・アップを要求しておること等よりいたしまして、とにかく現在の六千六百円では国鉄職員の給与ベースが一般公務員よりもやや低いというようなことを考慮いたしますとまことに心配なのであります。従ってこれが足りなければこの新五カ年計画も初年度においてまたも人件費に食われてしまうということになるのでありまして、当局から再度、重要な問題でございますだけに、この点に関し御決意のほどをお伺いしたいのであります。
○吾孫子説明員 御質問にございました通り、来年度の人件費が百五十億ふえておりますが、その中身は、通常の昇給資金と、昭和三十五年度から実施されることになりました平均八百五十円のベース改定による増額分が計上されておるわけでございまして、ただいま組合側から要求が出ておりますようなベース改定のための予算というようなものは、三十六年度予算の中には計上してございません。ただ、先般来、この問題につきまして、国鉄部内の各労働組合と折衝を重ねて参りましたが、先ほどもちょっと申し上げました日鉄法の給与の基準に関する法律の条文の精神その他から考えまして、昨年の人事院勧告に基づく国家公務員に対する給与とのバランスを考えますと、ある程度適正な賃金水準というものは国鉄従業員に対しても当然考えていただかねばならないと思いましたので、組合側に対しましては、先ごろ、おおむね千円程度のベースの改定については、当局としても考えたい、ただしかし、これは、ただいまも申し上げましたように、三十六年度予算にはそのような原資はございません。これをやりますためには、従業員のより一そうの経営合理化に対する積極的な協力がなければ、これは実行できない。そこで、私どもといたしましては、労働組合側の経営合理化に対する積極的な協力ということを前提として、それを条件に千円程度のベース改定ということは考えましょうという趣旨の回答をいたしたのでございますが、現在の労働組合の状況というものは大体御存じの通りでございまして、私ども当局側の提案に対して、はるかに懸隔のある要求を、まだ依然として続けておるという状況でございます。こういうような状況で、団体交渉では、数回重ねましたけれどもとうてい結論が見出され得るような状況にございませんでしたので、国鉄当局の方から一方的に公労委に調停申請をするということを組合に対して通告をいたしたような次第でございます。私どもの考え方といたしましては、国鉄の今後の経営状況ということを考えますというと、なかなか容易なことではベース改定というような要求に応じ得ないと思うのでございますが、組合側にも申しましたように、従業員の積極的な経営合理化、もっと広い意味の経営努力ということに対して協力が得られますならは適正な程度の賃金を保障するということは不可能ではございませんし、また当局といたしましても、そういう積極的な協力を期待しつつ国鉄の従業員に対しても適正な賃金水準というものは確保してやらなければならないというふうに思っております。そうすることによりまして、ただいま御説明申し上げました新五カ年計画を実行いたす上において二度と再び人件費のために所要の資金が食い込まれたというようなことはないようにいたす覚悟をしておる次第でございます。
○三池委員長 高橋君に申し上げます。御質問もまだおありのようですから、午後一つ続行していただきたいと思います。 午前中の会議はこの程度でとどめて休憩することとし、午後再開しますが、休憩後、午後一時から理事会を開いて、本法案の公聴会その他に対する協議をいたしたいと思います。委員会は午後二時からの予定にいたしております。ただし本会議の開会中であるならば、本会議の終了後に本委員会を再開いたします。 これにて一時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後六時四十一分開議
○三池委員長 それでは再開いたします。 この際公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま本委員会において審査中の、内閣提出、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案は、一般的関心及び目的を有する重要な法律案でありますので、本案について、利害関係者及び学識経験者等より意見を聞くため公聴会を開くこととし、規則の定めるところにより、議長に対しその承認要求をいたしたいと存じます。つきましては、公聴会の開会時日は来たる三月二十二日午前十時よりとし、その承認要求の手続並びに公述人の員数及びその選定等はすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三池委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次会は明十五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十三分散会