予算委員会 第5号
- 発言数
- 342 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1960/12/21
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)、以上両案を一括して議題といたします。 昨日に引き続き質疑を行ないます。向井長年君。
○向井長年君 私はまず総理並びに通産大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、特に池田内閣の経済成長と所得倍増、物価政策に最も関係の深い電気事業について質問いたしたいと思います。ちょうど昨日は、九州電力の電気料金値上げに伴いまして、福岡において聴聞会が開かれております。なお、近く東京電力におきましても、値上げに対する準備を行なっているようでございます。こういう中において、特に私まずただしたいことは、電気事業は公益事業に規定された私企業である、こういうことでございますが、これについて電気事業の公益事業としての概念をまず聞きたいと思います。なお、電気事業の供給責任をどう考えているか、こういう二つの問題をまず総理並びに通産大臣に質問いたしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 電気事業は御承知の通り、それが産業の基盤であるし、また国民全般の生活に直接に影響のあるものでございまするから、われわれは公益あるいは公共事業として取り扱っているのでございます。 第二の質問は何でございましたか、第二の質問は……。
○向井長年君 電気事業の供給責任。
○国務大臣(池田勇人君) 供給責任は、やはり電力会社自体にあるのでございます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私企業の形態でやっておるのでありますが、特別の独占区域を政府が認めておるという関係上、政府に対しては民間の需用に応じて供給する義務を負い、それからまた民間に対してもそういう責任をもって経営するものである、かように考えております。
○向井長年君 しからば電灯、一般のいわゆる大衆の生活必需である電灯と、いわゆる産業用動力、こういう二つの分野に考えて、同じように考えておられるかどうか。いうならば、最近御承知のごとく、再編成以来、需用の伸びは非常に膨大に伸びてきておる。この需用の伸びの大半は動力である。いうならば電力である。これの見地から考えまして公益性を最も帯びているという問題は少なくとも電灯であって、動力というものは、これは基礎産業である、こういうように分離できるかと思いますが、こういう点についていかが考えておられるか、同じように考えておられるか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体同じように考えております。
○向井長年君 同じように考えておるということになりますと、いわゆる一般の大口あるいは小口、こういう問題も一般大衆の生活必需である電灯も同じ考え方で料金の算定なりあるいはまた供給の責任を感じておると、こういうことでございますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体としては同じように政府に対してまた国民に対しても責任を負うべきものでありますが、しかしその内容においておのずから緩急の順序があるであろうと思います。それは電灯であるからどう、あるいは動力であるからどうということでなしに、それはもうその場合々々によって緩急順序があるべきものと考えております。
○向井長年君 そうしますと供給責任の問題といたしまして、当然生活必需である電灯の問題につきましては、これはつけなければならぬ義務制を持っておると思います。しかし産業用の問題については現在のいわゆる需用の伸びからして直ちに現在それに対して見合うところの電力が不足しておる、こういう問題についても供給の責任上電灯と同じようにやらなければならぬ、こう考えるわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 電灯でも、あるいは門灯、あるいは何と申しますか、盗難の予防用として、まあつけなくてもいいような場合つけておる例もある。それから動力用で国民の生活というものに非常な必然的な結びつきを持っておる緊要な動力もある、それからまた他のエネルギーによって置きかえ得るような状況に置かれておるという場合もあります。その場合々々によって軽重順序をおのずから違えていくべきのものである、それは電灯供給事業者によって適宜に考えますが、そうして順序怪重をつけるべきものである、かように考えるのでありまして、電灯だからあるいは動力だからということは一般に私は言えないのじゃないかと、かように考えております。
○向井長年君 時間がございませんから次に進みますが、しからば特に電気料金の改定は、昭和二十九年の十月に九つの会社が一列に改定されて発足をいたしました。その後三十二年だったか、ここで東北と北陸が電気料金の改定をしておる、次には九州電力が一七・五五%の改定の申請をしてきておる、近く東京電力が改定の申請をしようとしておる、こういうようにいたしまして、一列に進んだいわゆる九つの会社が、個々に分かれるような改定を申請せざるを得ない、この理由はどこにあるかこの点をまずお聞きしたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 九つの区域に分けたところにそもそも原因があると思うのでありますが、その後その地方における電力の需用の状況、これから生ずる電力会社の経営の状況がいろいろ変化して参りまして、償却済みの設備で電力を起こしているようなところはいいのでありますが、新しい需用に備えるために新しい発電設備を多分に建設しなければならぬというような場合におきましては、どうしてもコストが高くならざるを得ないというような状況から、自然と九電力の電力料金に対する考え方あるいはやり方の違いが出てきておる、こういう形になってきているのであります。
○向井長年君 そうすると、九つに分けたことがそういう大きな原因になっている。しからばこの九つに分けたことがいわゆる料金のアンバランスを来たしておる、こういうことを大きく今大臣が言われたと思う。次に経営の問題ということになって参りますけれども、現在地域差料金をこれはされておるわけでございますが、こういう点、あるいは償却の問題、あるいは開発の問題、あるいは料金の値上げの問題、すべてはこれは政府が一応認可制なりあるいは規制をしているわけですが、こういう中で格差が生じてくるということはこれは非常に、企業努力という立場から若干のいろいろなやり方は別といたしまして、そういう大きな問題に対する格差というものはあるべき姿ではないと思うのですが、この点どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) この点は九電力に分けるときに非常に重大な問題としてあらゆる討議が行なわれたように私は記憶しておるのであります。一律であるからといって、それは何と申しますか、経営がゆるくなって、そうして一律であるけれども、何らその間に企業努力というものが行なわれない、結局は企業努力、競争によって幾らでも安くいくようなふうに仕組んだ方がよろしということが、要するに分割区域になったと思うのであります。でありますから、一律とおっしゃるけれども、果してその一律が国民経済にほんとうにためになる安い低廉な料金になるかならぬかということは、これは別問題であります。
○向井長年君 そうすると、企業努力に主点をおかれているならば、今電力料金値上げを申請をしている会社は企業努力が足らない、こういうように考えられますか、
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私はそういうふうには一律に考えないのであります。結局御承知の通り非常に膨大な建設資金が要るのであります。しかもそれはゆっくりしておられない、非常に急激に需用が増してきておりますから、かつての電力危機のようなことがありますればこれは非常な重大な問題であります。国民経済に及ぼす影響はきわめて甚大なものがある。そこでこれを間に合うように電力を建設、開発するということは、これは相当資金が要る事情があるのであります。そういうような点からいいまして、政府資金も相当これに注ぎ込んできておりますけれども、とてもそれでは間に合わない。国内の一般民間の投資はもとより、外債、外資、外貨すら相当多量に仰がなければならぬというような状況にあるのでございますから、その資本費の点においてどうしてもやむを得ざる事情が出てくると思うのであります。必ずしも経営の怠慢とか、合理化すべきものをしないというような面からだけではないと、かように考えております。
○向井長年君 資本費の増大からいわゆる料金を上げなければならぬ、こういう形のように聞こえるのでありますが、私もそう思います。今全国的に見まして、本年度の場合においては需用の伸びが二〇%、そしてこれに伴う開発がしからばどれぐらいかといえば一二%程度かと思います。しからばこういう工業生産あるいは経済の成長に従って需要がどしどしと伸びていく、これに対する開発計画、こういう問題は政府はどう考えておりますか。 なお開発資金の問題でございますが、今、通産大臣も若干触れられましたが、昭和二十六年度においては、これはまあ再評価の問題もございましたけれども、大体自己資本においては六九%使っておる。そして外部からの資本は三一%である。こういうことでございますけれども、本年三十四年度末におきましてはこれが逆転いたしまして、三六%が自己で外部資金が六四%いっておる、こういう状態に逆転しておるわけです。そうすると、先ほど言われましたいわゆる資本費の増大に伴う開発という問題、ここに大きなやはり電気料金に値上げをしなければならぬというような情勢が出ておるんじゃないか、こう私は思うわけであります。これに対して政府としては、いわゆる開発計画をどう考えるか。需要に対してこたえるための開発計画をどう考えておるか。なおまた、この資金をどう考えて開発をさしていこうとするのか。こういう二点を明確にお答えを願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 二十六年におきまして九電力に分かれたときの水火力の合計が九百万キロでございます。ただいま二千万キロをオーバーしようとしておる。で、この速度は相当高いものでございますが、所得倍増計画というものに伴って、大体今後どういう見通しになるかと申しますれば、四十五年度におきましてはこれが五千三百万キロということになる計算になっております。従って、これに要する建設費はますます膨大になるものがあるのでございまして、これらの資金をいかに調達するかということにつきましては、まだ確たる計画は立てておりませんけれども、さしあたり来年はどうするか、あるいはその次はどうするかというようなそういう見通しを立てまして、そしていろいろ折衝の結果建設の資金計画が確定する、こういうような状況でございます。
○向井長年君 そういうようにして資本費が増大してくるならば、これがすべて、いろいろ資金計画もあるといたしましても、やはり電気料金の値上げに持っていかざるを得ない、こういう形を今とっておるように思うわけなんですが、各社の申請は別といたしまして、政府自身としてもこういう姿が正常であるのかどうか。特に電気料金の長期安定料金という立場から国民に及ぼす影響も非常に大でございますが、こういうようにしてどうしても資本費がふえていく、この資本費に対してはやはり各社が何とかして料金を上げてもらおう、こういう形に進んで参りますけれども、これをやはり料金を上げなければならぬと、こういう立場でやるならば、今後ここに、各社の開発計画なり、あるいはまた企業の状態の中で、すべては料金にしわ寄せしてくる。率は変わってもしわ寄せしてくる。こういう姿が正常であると考えておられるかどうか、この点を明確にしていただきたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) かような基礎的な公共料金につきましては、すでに第一次池田内閣におきましても極力これを抑制するという方針をとっておるのでありまして、ただいまにおきましてもその方針に変わりはない。私自身極力これは抑制すべきものであると考えておるのでございます。ただ最近の一般物価の情勢からして、公共料金が一体どれくらいの率で上がっていくかというようなことも考えてみまして、そしてただあなたのおっしゃるように料金にしわ寄せするというようなことは、これはもちろんいかぬ。できるだけ他の方法によって料金を極力抑制する。しかしどうしてもこれ以上は抑制できない、需要にもう間に合わないというような状況になってくるということになりますれば、勢いある限度においては料金の上昇も考えざるを得ないということになろうかと存じます。それはしかし、ただいま九州電力の問題を私が具体的に言っているのではないのであります。一般の考え方として申し上げておるわけであります。
○向井長年君 抑制と言われるのですが、どういうふうにして抑制されるのか、特に先ほど言った、いわゆる資本費の増大、支払い利息の問題、あるいは減価償却の問題、あるいは料金等の問題、こういう問題が大きく膨張してきていると思いますが、これについて抑制すると言っても根本的にしからば金融の問題、投資の問題につきましても、低利資金の確保とかあるいはまた補償に対するいろいろな調整とか、あるいは料金の低減とかこういう問題を考えての抑制であるのか。ただ何かなしに九州は今一七・五五を出してきている、これを二二%にしろとかあるいはこれをどうせいとか、こういう形の抑制であるのか、その裏づけというものをどう考えているのか、これはやはり供給責任の立場から考えてやはり明確にしなければならぬと思うのです。そういう点を明確にしていただきたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 通産大臣として料金の問題については監督権を持っているわけであります。ただ、監督権を持っているからといって、何ら方針なしにいたずらに抑制々々ということではこれはいかぬのでありまして、その反面においてはどうしても会社自身の企業努力、合理化等を極力指導いたしまして、同時にまた低廉な政府資金の融通でありますとか、あるいは税制等において補助政策を行ないますとか、といったようなことによって極力抑制をして参りたい、こういう意味でございます。
○向井長年君 そこで、特に電気事業の場合においては、資本費の増大に伴って政府が考えなければならぬ、電気料金にしわ寄せしてはいけない、こういう立場から抑制しようとするならば、まず根本的な問題があろうと思います。これは何かというとまず減価償却の問題、これについては電気事業は御承知のごとく設備産業である。従って減価償却費のウエートは非常に大きいわけですね。建設原価の暴騰の原因はしからばどこにあるか、これは何といっても補償費の暴騰が大きく上がってきている。言うならば、いま一つの発電所を作るにいたしましても、公共補償費として道路とか、橋梁とか、こういうような建設に対して占める割合が非常に大きいわけなんです。こういう問題は少なくとも原則として政府が見る、あるいは公共企業体が見る、こういう形になってくるならば、いわゆる償却資産の中に、電気料金にこういうものを繰り入れてやるということになると、これは膨大なものになりますから、こういうものを繰り入れるということは非常に不当だと思うのです。こういう点はどう考えられますか。いわゆる資本費の増大に伴うところの公共補償の問題。
○国務大臣(椎名悦三郎君) お説の通り道路でありますとか建設に必要な補償問題につきましては、できるだけ当該地方の公共団体にお手伝いをしてもらいたいのでございます。また現にそういうことをやっておるのでありますけれども、やはり相当部分電力企業がこれをかぶらなければならぬというような状況にございますので、なかなかこの補償費はおっしゃる通り相当膨大なものであると思います。
○向井長年君 だからそういう補償費を電気料金に繰り入れるようなことはやめるべきではないか、そういう立場で政府は考えないかということを質問しているわけです。池田総理大臣も一つ答弁。
○国務大臣(椎名悦三郎君) できるだけさようにいたしたいと思うのでありますが、やはり現行制度の上からおのずから限界がある、こういうわけでございます。
○向井長年君 ちょっと総理大臣にその問題を答弁してもらいたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 膨大な資本を要しますこの電力会社につきまして、償却しないとか、あるいは建設費に相当する部分を国で持つということは妥当な方法ではございません。しかし補償費あるいは償却の問題につきまして、できるだけ適正な方法で考えなければならぬことはもちろんでございます。
○向井長年君 時間がないのであまり質問できないのですが、公共事業、公共補償という問題を限定して私は先ほどから言っているわけなんですが、そういうものは今後国が十分見てゆくとか、あるいは自治体が見るという格好に仕向けてはどうか、こういう意見もあわせて質問をしたわけなんです。 なお時間がございませんが、次にしからば資本費の増大の中で今後解決しなければならない大きな問題は、やはり財政投融資あるいはまた金利補給あるいは公租公課の減免、こういうところにあるかと思うのです。従ってまず財政の投融資の問題につきましては、最近非常に電気事業については低下しつつあると思うのです。従ってこれについて今開発をやるとすれば四千億かかる。これは商工委員会でも言われておりますが、しかし三十六年度はどのくらい考えておるのか、おそらく微々たる状態ではないかと思うのです。だからこういう問題もこれは経営者を保護するという立場でなくて、電気事業というものが電気料金にしわ寄せしないという立場において、この問題と政府は取っ組まなければならぬ。こういうようにして財政投融資の問題は三十六年度はどのくらい考えようとしておるのか、こういう問題を一つ聞きたい。 次に金利補給の問題でございますが、この問題については超重点的産業である電気事業の料金の安定のためには一般、何と申しますか海運のような、海運も少ないと思いますけれども、こういうような利子補給と申しますかこういうものが必要かと思いますが、この点についてどう考えるか。 それから固定資産税あるいは事業税、法人税、こういう問題についての減免でございますが、これについても電源開発に伴う固定資産税は、全国償却資産に対する課税の額は三分の一を電気事業が占めている。そしてまた法人税については建設工事のための……三十四年度の末の二千億円に近いその資本金を有するこの電力会社には、増資なり配当の免税それから重要物産免税等が、特別措置法として過去にあったわけでございますが、これがなくなった。こういう中から非常に法人税というものが膨大に今なりつつある。こういうことを考えるならば、少なくとも今税の負担割合というものは電気事業において七・二%程度になっておるのではないか。電気事業を除いた全国の主要産業は三・六%である。また一般需用家が現在電気料金の一部として負担しておるあの電気ガス税の問題、こういうものを含めると約一四%程度がこの電気事業にかけられておる、こういう公租公課の問題。こういう点を政府自身が考慮し、あるいは減免あるいは利子補給等をやってゆくことによって、この料金値上げというものはセーブできるのではないか、こういう立場に立って私は質問したいと思う。
○国務大臣(水田三喜男君) 電力資金の問題は今、来年度の予算編成と関連いたしまして、財政投融資の問題と電力社債の消化をどういうふうに円滑にするかという問題と、さらに日本の国内資金だけでは相当窮屈でございますので、開発銀行を通じて外資を入れるという問題、今あわせて来年度の自己資金の調達を円滑にするような方法を検討中でございます。 それからそのほかの問題も通産省から電力行政についてのいろいろな要望がございますので、来年度の予算編成の際に十分私ども考えるつもりで、今そういう問題は検討中でございますので、具体的なことはまだはっきり申し上げられません。
○向井長年君 それは財政投融資の問題でしょう、今大蔵大臣が答えたのは。従って財政投融資以外の、その他の……
○国務大臣(水田三喜男君) その他の税制についてもです。
○向井長年君 そういう問題を検討して、今後電気料金の値上げをセーブするための大きな素材にしよう、こういうことですか。言うならば、こういうところで内部の、料金の値上げを抑制しよう、こういう根本的な考え方だと思うんですが、この点について私の質問を了とされるのか、いいですか、明確にして下さい。先ほど私が申し上げた資本費の増大に伴うところの固定資産税はじめ税金の問題あるいはその他の問題を指摘したんですが、これに対して今後これを政府施策としてやっていこう、そのために電気料金の値上げというものはセーブできるということなのかどうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 電気料金の値上げも政府の方針はできるだけ抑制するという方針でございますが、抑制するためには政府においてもいろいろ考慮しなければならぬ措置が出てくると思いますので、その措置を中心としての検討をやっておるということでございます。
○向井長年君 措置と言うが、私が質問いたしましたことは具体的にあげているわけなんです。ます第一に財政の投融資はどうか、あるいは金融はどうか、公租公課の問題はどうか、あるいはこの点について政府が施策するならば、わずか十何パーセントの電気料金の値上げをしなくても済むのではないか、こういう立場を明確に出しているので、従ってそういう方向で電気料金の抑制をこういうところに原因を求めてやっていこうというのか、この点明確でない、どうなんですか。
○国務大臣(池田勇人君) お話の点もっともなところがあるのであります。従いまして私からかわってお答え申し上げます。 まず資金の確保でございます。資金の確保につきましては大体三千億前後の資金が要るのであります。できるだけ安い金利の、しかもまた金融情勢から申しまして外資の導入に以前から努めてきておるのでございます。私はこの点につきましては今後も十分努力してゆきたいと思います。 なお利子補給の問題、これは電力会社に今利子補給をしなければならぬ状態だとは思っておりません。ただ電気料金の値上げをできるだけ抑制するために、電源開発会社につきましては特別の資金を出しており、できるだけ上がらないようにいたしたい、こういう気持でおるのでございます。 なお固定資産税の問題につきましては、御承知の通り電力につきましては、開業から三年間くらいはすでに軽くしております。しかし、これが地方の非常な重要財源、ことに以前は町村の非常な重要財源であり、また町村財政に不均衡を来たす場合もありましたので、今後固定資産がずっと伸びていく。この電力に対する固定資産税につきましては、今後の分はどうするかということは一つの考えるべき問題だと思います。非常にたくさんの固定資産費でございます。こういう点について今まで通りにやっていっていいかどうかということは、今後研究していかなければならぬのでございます。ただ、法人税を減免するか、これは最も拙劣な、よくない方法で、これは私は考えておりません。また、従って配当免税も考えません。それから、重要物産免税につきましては、これは御承知の通り、これはもう採算のきまっている、見通しのつくものでございます。また、重要物産の免税措置を電力に適用する考えはございません。それから電気ガス税の問題、この電気ガス税は、来年度におきましても低額のものは軽減、免除したい。また行く行くは電気ガス税、ことに電灯なんかに税金をとるなんということは、非常時ならば別、平時におきましてはこういうものは徐々に軽減、免除をしていかなければならない、こういう考えでおるのでありますが、いずれにいたしましても、問題は私は金利だと思うのです。金利も、利子補給とか何とかということよりも、一般に電力債が七分八厘でございますが、この金利を下げていくことが一番の問題で、私は日本の財政経済をほんとうに力強いものにし、競争力を強くするためには、一般の金利を相当下げるということがもう産業のもとでございます。ことに電力事業につきましては必要でございますので、私は一般金利の低下、ことに電力事業のような大資本を要するものにつきましては、供給面と、金利の低下を第一に考えていきたい、これが私の考える方針でございます。
○向井長年君 そこで、今総理大臣からそういう御答弁がございましたが、今の実情から考えるならば、何といっても先ほどから言われる資本費の増大の中から、個々の電気料金の値上げをしなければならぬ、こういう立場で出してきているわけなんですが、いろいろその中で、政府は、具体的に今総理も若干触れられましたが、検討して、この現在の資本費の増大の中で、金利の問題とか、あるいはまた補償の問題とか、固定資産税の問題とか、こういうあらゆる問題について、これはこういう政策をとり、そういう中から電気料金の値上げというものを抑制するんだという、こういう根本的施策が明確じゃないと思うのです、まだ今。だからこの点は現在御承知のごとく九つの会社が個々に独立採算を持っておる。政府の管理下にあって、それに対する独立採算を持っておる。しからば、何といっても、先ほど言った開発が促進される、九州におきましてはおそらく十五万キロやらなければいかぬ。あるいはそれについて二百七十億の建設費が必要だ。しからばこの金はどこからとってくるか、こうなってくると、何としても、これは先ほど言ったいろいろな面から考えて、資本費が増大してくるし、これのしわ寄せというものが一般大衆あるいは産業用の電力の値上げ、これに行かざるを得ないということは、これはやはり私たちは、何といっても政府の電力施策に対する欠陥があるからだと思うのです。従って、先ほど言われたあらゆる問題に対する根本的問題を、電力の長期安定料金の問題に対して一つの指針を出すべきだ。こういう点を、私は先ほどの答弁では不満足でございますが、一応希望を述べまして、この問題を終わりたいと思います。 なお、続いて、今総理大臣も言われました電気ガス税の問題でございますが、これについて、あれは二十三年だったかと思いますが、地方財源の非常に荒廃した中でああいう税金が施行され、その後非常に膨大な資金源になっております、地方公共団体におきましては。そこで最近聞くところによりますと、一般世論もこれに対する廃止あるいは減税という問題が出て参りまして、通産省の方では三百円程度の基礎控除をしたい、こういうような意向もあるようであります。しかしこの三百円という一つの基礎はどこから出てきておるか。少なくとも私たち、電気というものは生活必需品であって、一応生活上必要なものに対して税金をかけるということは、われわれ了解できないので、今回は何としても、これは撤廃するか、あるいは大幅な減免をすべきである、こういう立場に立って申し上げているわけですが、通産省の三百円という一応の試案、こういう問題の基礎を明確にしてもらいたい。私から言うならば、大体電灯の場合、需用がおそらく平均は、メートルにいたしまして、四十何キロか五十キロ要ると思う。それを料金化しますと約五百円、五百円程度は、これは普通の一般家庭で、もちろんもっと貧困な人たちもおりますけれども、一般家庭でこのくらいは最低の、文化生活ともいかなくても、一応の生活に必要である。こういう点にしぼって一つ考えられるべきであろう、こういうように考えられるのですが、その点通産省はどう考えるか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 電気ガス税は、国民の生活必需品に課する税金でございまして望ましいのは、これは全廃すべきであると私は考えるのであります。しかし、現在の地方団体の財政事情を考慮いたしまして、まず三百円程度というふうに考えた次第であります。
○向井長年君 それは地方財源から出てきた問題ですか。その三百円というのは、地方財源の実情から考えて出したものか。あるいは生活の、最低生活に税金をかけるべきではないという基本から出したものか。今言われたのは、地方財源は三百円程度減免してもあまり変わらないから、これくらい減免しよう、こういうことですか。そういうことになりますと、通産省としては私はおかしいと思う。自治省がそう言うのだったら別ですよ、しかし通産省としては。これに対しまして、まずこの産業用の電気の中でも免税されたところがあるのです。なぜこういうものが免税されるか。いわゆる鉄鋼とか銅とかセメントとか、こういうところの産業用を減免しているのです。こういうものの減免はそのままにしておいて、一般家庭の電灯について、しかも自治体の財源が足りぬから、三百円程度だったら何とかなるとか、こういう形でいっておることは、本末転倒だと思う。この点どうです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 地方財政にあまり急激な打撃を与えないように、自然増収の範囲内において、まず零細な人々からこれを廃する。大体電灯二つにラジオ一個というぐらいのところが三百円程度だと思われます。この程度から始めたい、こういうふうに考えております。
○藤田進君 関連。御答弁を聞いておりますと、その答弁自体を私ども聞いて、矛盾を感ずるのでございまして、第一には、通産大臣の御答弁によると、公益事業であり、生活必需物資であるから、この電気事業に対しては、料金はもとより、一般施策において、少なくとも全国の電気料金が上がらないようにしたいということが言われております。しかし実際問題としてどうなっているかといえば、御承知のように今日電話料金においても、あるいは郵便料金においても、国鉄運賃においても、その他公益事業に関する限りは、北海道であろうと東京であろうと、九州であろうと、その料金差は——電力のごときは、最近は、工事においての難易にかかわらず、一定額であります。電気料金が、お説のように生活の必需物資である、産業の基盤、基礎産業の電気事業として非常に重大な役割を演ずるし、ことに池田内閣の施策を見るときに、将来の所得倍増とか、あるいは経済の成長率等を今後進められる上におきましては、重大な電力は役割を持たなければなりません。けれどもこれが料金面において見ると、東北あるいは中国、九州のごとく、かれこれ料金において倍と半分ぐらいな格差を持っておる、これは否定できない。これをどう是正するかということについて、総理大臣は、財政資金についても電源開発について相当なものを出すとか、あるいは出してきたとかいう御答弁でありますけれども、しからば中国であるとか九州というような高コスト電力料金地帯において、電源開発会社の現実に行なった過去の電源開発、あるいは将来の電源開発がどうであるかということは、御承知の通りほとんど見るべきものがない。加えて電気料金が、高コスト地域にかかわらず、電気料金に対して同一に一割をかけられておる、こういう現実にあろうかと思うのであります。そこで私は電力行政、エネルギー行政に詳しい総理にお伺いをいたしたいのであります。抜本的にここに電力の行政として検討を加えられるか、池田内閣において実施されるか、今後の早急な解決を待たなければならない問題があろうと思います。それはまず第一に電力の根本的な今の企業のあり方、漸次経済の成長に伴って産業構造は変革しつつあります。これは総理御承知の通りであります。またそうなければならぬ。これに伴う、ことにまたベルト地帯というか、中小都市あるいは都市間の工場地帯の建設と、こういうことを堅実に自分はやるのだとおっしゃっておる。こうなってくれば、ますます電力というものが産業立地条件になってくると思う。電力料金の値上げで出たとこ勝負の解決でなしに、抜本的な解決というものがここに迫られてこなければならないのではないか。電力業界においては広域運営ということで一部の欠点を是正して供給をするということにあるようであります。しかし、なかなかこれでは解決もできない。電力事情も各地域においてそれぞれ異なってくる。開発をやれば料金に転嫁しなければならぬというような実情であります。この電力政策に対する、ことにその再編成というか、といったような面における池田内閣の抜本的政策というものをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 電力の問題につきましては御承知の通りに、お話の通りに地域差というものが倍、半分とは申しませんが、かなりある。そのよってきたるところは、昭和二十六年の九分割からきておるのであります。九分割というのは、電力の原価によって分けるということよりも、地域別によって分けるということが主になった関係上、そうしてまた地域別にいたしましても、たとえば中部地方の電力を北陸へ持っていくか、あるいは関西へ持っていくかというその分け方につきまして、遺憾な点と申しますか、事情やむを得なかったのでございまするが、そういうような差ができてきておることは事実でございます。しかしこの差というものは、今のように新しい設備によってその格差はだんだん少なくなってきつつあるのであります。それは違っているということは、これは電力の設備の問題よりも、電力と電灯との違いからくることなんでございます。私は長い目で見るならば、だんだんその格差は、今の広域運営あるいは電源開発会社をのぞいて参りますると、私はこれから資本費はどこでも同じように要るわけです。従って理論的には差が少なくなってくる。ただ需用が膨大、非常に伸びるところと、いわゆる人件費の関係その他である程度差がつくことがございますが、見通しとしては、おしなべていくようになるのが傾向じゃないか。ことに、先ほどの答えで申し落しましたが、最近におきまする石炭の値下がりとか、そうしてまた重油専焼でいきますると、電力は将来ある程度今の状態よりも下がってくるのではないか。重油専焼でいくことになれば、いろいろこれからの問題はございまするが、九分割についてこれを考え直さなければならぬという一部の説はございます。しかしこれは何と申しましても大へんな仕事でございますので、私は今のところ、各電力会社の経営の合理化と、そうして供給不足を来たさないように、片一方では合理化し、あるいは石炭代を下げるとか、重油専焼等を昭和三十八年から相当認めまして、そうして上がることを極力抑制していきたいと考えております。藤田さんの御質問は再編成の問題についての再検討のように取れる節もあるのでございますが、この点につきましては、私はまだ検討中でございまして、結論は早い、一部にそういう説があることは私も存じておるのであります。
○向井長年君 関連質問の中で私から言おうとしていることを先に言われてしまったのですが、結局電力に対するいわゆる開発、あるいはまた資本費の増大、この中からやはり根本的な電力に対する一つの施策が必要だと思うのです。今若干総理も言われたように、こういう問題を今後早急に出して、少なくとも各企業ごとに場当たり的な料金にしわ寄せするということは、これは何としても排しなければならない。従ってこれは企業形態の問題にも、再編の問題にも若干及ぶと思いますが、こういう問題も根本にあると思いますけれども、こういう問題をやはり政府としては一応今後検討しなければならぬじゃないか、こう思うわけであります。なお電気ガス税の問題については先ほど回答がございましたけれども、これは何としてもそういう税金は悪税である、従って将来撤廃をする、こういう立場に立って暫定的に、今直ちにできないならば、しからばどの程度までやるか。こういう問題についてはやはり通産省は、この電気の税金、こういう問題を主として、地方財源という問題については、これは自治省との折衝の問題になると思いますが、そういう中から三百円では、一応最低文化生活と申しますか、これから考えるならば、非常に基礎控除が低いじゃないか、こういう立場で再検討を要望いたしたいと思うのであります。 なお次に広域運営の問題にも若干触れられましたけれども、まず、先般通過いたしました重油専焼の問題でございますが、これについては石炭産業対策としてやられたことでございます。私たちも賛成はいたしております。しかしながら、これによって生ずるいわゆるロスの拡大、あるいはまた建設費の増大、あるいはまたコストの若干の増加、こういう問題を考えるならば、これに対する、こういう重油規制を作った裏づけというものもやはり必要ではないか。いわゆる電気の一キロ当たりの単価にこういう問題が含まってくるということも、これはやはり大きな支障になると思う。その裏づけも当然考えるべきではないか、こう私は思うわけなんです。 なおもう一つ、時間がございませんが、広域運営方式の中において、現在特に電発と電力会社のいわゆる水力の開発に対する競合地帯が出ておると思う。言うなれば地域において、これは例をあげますならば、九頭龍においては電発とそうして北陸が争っておる。こういう問題について政府はどう調整をしていくのか、調整の仕方をどうやっていくのか、こういう問題をまずお聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 相当大きな電力資源がまだ未開発のままに残されている地点があるのであります。これらの問題をめぐって電発と当該地方の電力会社との間のいざこざがございますことはお話の通りであります。これは特に公式を設けて、それによってということもなかなか実際問題としてはむずかしいのであります。できるだけ両者の間における話し合いによって解決をいたして参りたい、かように存じております。
○委員長(館哲二君) 向井君に、持ち時間が終わりましたことを御注意申し上げます。
○向井長年君 まだちょっと問題がありますから、続けさせていただきます。 電力問題については、これくらいにいたします。従って今後電力に対する料金の値上げの問題については、先ほども答弁されておりますが、できるだけ抑制したいと、こういうが、抑制というよりも、やらない、やらないためには、こういう方策がある、こういう立場で一つ総理並びに政府は進んでいただきたい、こう思うわけでございます。 そこで次に、時間もございませんが、一言労働大臣に質問いたしたいと思います。と申しますことは、豊州炭鉱の問題であります。豊州炭鉱の六十七名の遺体の発掘の問題、これにつきましては、三十六国会におきましても質問をし、あるいはまた申し入れもやっておりますけれども、それについて政府は、そのまま原因の調査をしているのか、していないのか、あるいはまたこれに対しては、会社に責任があるとしているのか、あるいはまたないとしているのか、あるといたしますならば、少なくとも会社をしてこの遺体発掘を早急にすべきである、あるいはまた、もしそれがあるないは別にいたしましても、こういう人道上の問題は、少なくとも政府自身が若干の金はかかっても、遺体発掘は早急にすべきである、そしてやはり遺族にこたえるべきである、こういう立場をとっているのか、この点はどうか。 続いて先にやります。それから遺体発掘の問題と合わせていわゆる補償の問題といいますか、遺族扶助の問題、これについては、本来会社が責任があるとするならば会社が補償をする、そうでなければ労災でやる、しかし現在は半額をやっておるようでありますが、なぜ半額をやるか、行政措置といわれておりますが、少なくともこれは一応不明確である、原因の問題につきましても、まだ追及していない、遺族に対しては少なくも労災の全額をなぜ支給しないか、この点をお尋ねいたします。
○国務大臣(石田博英君) 豊州炭鉱の犠牲者の遺体の発掘がおくれております状態については、私ども非常に残念に思いまして、発掘の促進方について行政上の指導をいたしておりますが、直接の責任は、やはり御承知のごとく鉱山保安監督部にあるわけでありまして、それから同時にあの事件の責任の所在の調査も、鉱山保安監督部にあるわけでございます。従って、この点については通産大臣がお答えになるのが順当だろうと思います。 それから労災補償金の支払いですね。御承知のように法第十九条によりまして、事件の責任が経営者にある場合においては、労災補償金の支払いを中止する規定になっておるわけであります。この責任の所在が、目下調査中でありまして、明確でございませんので、しかし遺族の方々もお困りであろうと存じますから、行政措置といたしまして半額を支払っておる、こういうことであります。従ってその責任が一日も早く、所在が明確になることを労働省としては希望しておりまして、それが明確になり次第、残額をお支払するのが当然であります。 なおそれが私どもできるだけ早く明確になることを希望するのでありますが、実質上現在の手続が、遺族の生活その他にさらに一そう具体的な影響を及ぼすような場合が明確になりました場合におきましては、適宜の処置は、なお考えたいと存じておるのでありますが、現在のところは、責任の所在が一日も早く明確になるように、鉱山保安監督部の御努力を期待しておるというところであります。
○向井長年君 通産大臣に関係があるわけですが、この問題については、会社側が責任がないといっておりますけれども、特にこの問題については、いわゆる古洞ですか、これがなかったということを知らなかったということを会社はいっておりますけれども、事前に知っておったという証人がおるわけですよ。そういう問題をわかりつつ、まだ調査をおくらしておる、こういう点については非常に遺憾に思うわけであります。 従って、これは早急に、やはりこれに対する責任の明解を、明らかにすると同時に、遺体発掘は、これは責任云々の問題じゃなくてこれは政府自身としても、当然人道上の問題として早急にやるべきで、これについて責任の明解を得るまでは、そのまま放っておくのだ、そういうつもりであるのかどうか、この点をお答えを願いたい。
○国務大臣(石田博英君) 保安局において極力今調査しておりまして、はたしてこれが不可抗力であるか、それとも何らかの責任をとるべき者が存在するかということにつきまして、極力今調査しております。 それから死体発掘につきましては、現場を督励して、極力これを推進しておる次第であります。
○向井長年君 そこで労働大臣に重ねてお聞きいたしますが、今アメリカのドル防衛に伴う特需、駐留軍の労務者のICAについての問題ですが、この見通しはどう考えておるか。あるいはまたこれに伴うところの労務者の対策は、どう考えておるか、こういう問題と、なお、もう一つ、日雇い労務者のいわゆる期末手当の問題、あるいは今後物価の値上がりに伴ったいわゆる賃金の問題、現在三百三十四円、これをどう上げていくか、こういう問題について明確にしていただきたい。
○国務大臣(石田博英君) 特需工場の受注の状態並びにその従業員の状態をちょっと御説明を申し上げます。 現在、特需工場の事業の状況は、四会社でありまして、それに対する従業員は十月現在、七千七百名であります。そのうち一社が明年の三月で契約が切れます。それから一社が明年の九月で切れます。他の三社が明年の六月までの契約であります。従って、現在のドル防衛措置が具体的に影響を及ぼして参りますのは、この契約が切れて次の契約を結ばれる時期だろうと存じておるわけでありますが、この特需関係だけでなく間接雇用の労務者、あるいは直用労務者等にも、漸次影響が及んでくることが想定されまするし、現に横須賀で、まだ明確ではございませんけれども、二百数十名につきましては、このドル防衛措置の影響を受けたものと考えられるような理由のもとに、解雇が行なわれておるわけであります。 従って、私どもといたしましては、この見通しをできるだけ早くつけますために、今外務省を通じて、あるいは特調を通じまして調査を進めておるわけでありますが、大体の見通しといたしまして、現在間接労務者、直用労務者、それから特需労務者は、十月現在八万二千名であります。それがこれから明年三月までの間に、一応六千名程度解雇されるのではないか、こういう見通しのもとに対策を講じておるわけであります。 その対策の基本は、御承知のように駐留軍関係離職者臨時措置法によっていたしておるわけでありますが、まず集中地域、芦屋等の集中地域に対しましては、これを特別の措置をとりまして、広域職業紹介あるいは失業保険の給付期間の延長をいたしておるわけでありますが、一般的に申しますと、今まで十月一日現在までに公共職業安定所で取り扱っておりますのが、七千約六百名であります。それからこれと同時に、今の申しました六千名を合わせて一万三千六百名というものに対する職業あっせん措置を、これから講じていくわけでございますが、現在まで行ないました実績は、九月までで五千三百六十九名、それの職業紹介を行なっております。 それから職業訓練の状態は、九千八百八十名に対して行なっておるわけであります。また公共事業、集中的発生の地域に対する公共事業も吸収しております人員が六千七百名、その他御承知の基地内の職業訓練あるいは自動車運送業等の特別の免許あるいは国有財産の特別の処分措置、それから政府関係機関によります融資、その他の処置を講じまして、現在予想される数字に対しては、万全の措置をとって参りたいと考えておる次第であります。 それから日雇労務者に対しましては、御承知のようにこのたびの補正予算におきまして、従来の期末手当九日分に加えて一・五日分、合計一〇・五日分計上いたしました。しかしその後の一般の労務費の上昇その他の状況から勘案をいたしまして、明年度の予算におきましては、相当程度考慮をいたさなければならないと考えて、今その準備を進めておるところでございます。
○向井長年君 今度の予算の中で入れるということですね。
○国務大臣(石田博英君) 予算の中で、アップをする準備と調査を進めておるところでございます。 —————————————
○委員長(館哲二君) 辻政信君。
○辻政信君 防衛問題についてお伺いいたします。 西村長官は、本年の十月十一日江崎前長官から内閣委員会で説明をなさった昭和三十六年度自衛隊の業務計画、それを御承認なさいますか。
○国務大臣(西村直己君) きわめて、内容は存じております。
○辻政信君 内容は御承知というのじゃなしに、長官がかわっても、その方針を既定方針として引き継がれるかという点であります。
○国務大臣(西村直己君) 私といたしましては、自衛隊の取り扱いについては、基本的にはもちろん国防会議等できまった基本方針、それに基づくところの年次の計画並びにそれについての業務計画は、これは一応踏襲して参るつもりであります。
○辻政信君 では、その中に陸上自衛隊を十三の戦略単位にし、海上ではヘリ空母を建造しようと述べられておるが、その問題は第二期計画の一環と認めてよろしゅうございますか。
○国務大臣(西村直己君) もちろん現在その次期計画に関連する部分は、後年度予算に影響を及ぼします。従って部内において、できる限りその従来取りまとめた一つの方針に基づいて、さらにまた対外的にいろいろな関係が、御存じの通り起こっております。アメリカの無償供与その他それらを勘案して、部内においてただいま検討はいたしております。 基本においてはそういう方向というものは一応新長官としては、踏襲はいたしておりますが、現実の事態にいろいろ変化がありますので、それらの織り込みをした検討を部内において行なわせておる最中でございます。
○辻政信君 ことしは第一期計画の最終年であり、来年はまた第二期計画の初年度であります。そうして新予算を提出しようとしておるのでありますから、常識的に考えて、もうすでに第二期防衛計画が防衛庁の中において決定されておらなければならぬ時期だと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(西村直己君) 一応私はお説ごもっともでございます。しかし私着任が日が浅いので、その間における——その以前におきまして御存じの通り国会情勢等も複雑でございまして、従ってそれらが、多少次期計画の検討が遅れがちであったことは、私率直に認める次第であります。従って新長官に任命されまして、特に対外関係の情勢の変化等も含めまして、なるべくすみやかにこれを決定して参りたい、こういう考えでございます。
○辻政信君 まだ庁内の意見がまとまらないのか、それとも大蔵省との了解が成り立たないのか、あるいは、アメリカとの関係にまだ不明確な点があってまとまらないのか、そのいずれでありますか。
○国務大臣(西村直己君) お答えいたします。 庁内において、まだ検討の余地のある部分が残っていると私は考えております。
○辻政信君 具体的にどの点でありますか。
○国務大臣(西村直己君) 特に中心になりますのは、対外等の援助等について、もう少し正確にこれらの事態を把握いたしたい、こういう考え方が中心であろうと思います。
○辻政信君 そうすると党内の意見ではなくて、アメリカ関係のマップの問題が主体でありますか。
○国務大臣(西村直己君) 党内だけではなくて、庁内の意見の一部には、もちろんそういう対米関係がある程度やはり織り込まれておりますけれども、さらに、もう少し具体的にわれわれがつかんでいきたい、こういうところでございます。
○辻政信君 常識としては、今度の通常国会の劈頭までに、新予算案とそろえて、その裏づけとしてお出しになるべきものと思うが、お出しになる用意はございますか。
○国務大臣(西村直己君) できるだけ間に合わせたい意向で作業は進めさせるように命じてあります。
○辻政信君 では、根本問題についてお伺いしますが、安保条約を改正したのちにおける防衛力の増強の方針は、旧条約時代と変化はございますか。
○国務大臣(西村直己君) 日本の国防方針は、すでに御存じの通り、国防会議においての基本方針にのっとって、国土の平和と独立、こういうものを守るために国力に応じて自衛力を合理的に運用する意味において、国力に応じて漸次、これを漸増すると申しますか、こういう方針をわれわれは考えております。従って、現在、安保条約改定になりました現在におきましても、この基本的な態度においては変わりはないつもりでございます。
○辻政信君 それは非常におかしいと思う。なぜなら旧条約は、日本の自衛力がゼロであるという前提に立って、米軍の一方的な防衛負相であります。日本は基地提供の義務だけを負ったのであります。新条約は、二十三万の現実の兵力をアメリカが承認をして、それを極東戦略の一つの柱として、双務的に共同防衛の義務を両国で分担することになったのであります。 従いまして、日本の第二期計画は、米軍の戦略と密接な関連のもとに立てられるべきが至当であります。改正前のように、日本の独自の見解だけで、日本の国力だけでは決定できない、これが私は新条約に基づく新しい第二期計画の性格と思うが、長官はいかがでありますか。
○国務大臣(西村直己君) お答えいたします。 もちろん旧安保ができました当時と現在においては、国情また自衛隊というものは、その後において漸次ある程度整備された状況は変わっていると思います。しかしながら私どもといたしましては、これは一貫した方向であって、急に新安保ができたが故に、そこに基本的態度を変えるという考え方はないのであります。
○辻政信君 では新条約に基づく日米合同委員会、日米安保協議委員会、これは開かれたことがありますか。
○国務大臣(西村直己君) 私の承知している範囲では、一回開かれたと思っております。
○辻政信君 それでは第二期の防衛計画をおきめになるときは、日米合同委員会にまずかけて、日米の了解の終ったものを成案として国防会議におかけになるのか、あるいは国防会議で日本の意見をまとめたのちに、アメリカとの調整をしてやられるのか、いかがでありますか。
○国務大臣(西村直己君) われわれはたえず、ふだんにおいて米軍との協力体制の部分におきましては、ふだんにおいて折衝いたしております。 従って、その第二期計画をできたが故に、あらためてそれを折衝するとか、あるいはそれを国防会議にかけるということはございません。特にわれわれは国力、また周辺の情勢に応じた自分たちの自主的な防衛力増強というのが中心でございます。
○辻政信君 では防衛庁の案ができ上ったときには、事務折衝の段階においてアメリカとの戦略上の関連が成り立っている、こう了解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(西村直己君) 先ほど御答弁申し上げましたように、援助とか、そういう面におきましては、われわれは自分たちの職責といたしまして、不断に折衝、連絡をとっていくことは当然でありますが、特にアメリカの大きな戦略というものを中心にして、われわれがその中に非自主的にはまり込むというような気持での打ち合わせをする、こういうようなことはございません。あくまでもわが国の自衛隊はわが国の自衛隊、こういう立場でいくのが基本だと私は考えております。
○辻政信君 では具体的に承りますが、長官は、日本の国力と国情から見て、陸、海、空の自衛力を、限られた予算のワクで、いすれに重点を置いて増強なさろうとするか。
○国務大臣(西村直己君) 私といたしましては、自衛隊の本来の目的並びに国防会議の基本的な態度、基本的な方針のもとに、均衡のとれた、いわゆる何と申しますか、三軍という言葉は語弊があるかもしれませんが、三つの関係——陸、海、空——これを調整して参りたい、こういう考えでございます。
○辻政信君 特色のある性格を持たずに、均衡のとれた、バランスのとれた小型のものを作ろうとなさるのですか。
○国務大臣(西村直己君) 御存じの通り自衛隊の発生の歴史、経過等を考えますというと、陸と申します面から直ちに整備が始まったわけであります。海、空とおくれてできたわけであります。従って、海、空はなるほど時期的にもずれております。また、多少装備関係において費用はかかりますけれども、しかしながら、ある程度の均衡というものは持たせなければならぬと、こういう考え方でおるわけでございます。
○辻政信君 それでは国力の少ない日本としては、あぶはちとらずになります。小型の旧式の均衡のとれたもの、盆栽のようなものじゃ、それじゃしょうがない。一体、陸、海、空で一人の隊員を一年間維持するのにどのくらいの金がかかりますか。
○国務大臣(西村直己君) 私がただいま調べた資料によりますと、三十五年度維持費をもとにした陸、海、空自衛隊隊員一人当たりの維持費は、陸上自衛隊におきましては、給与べース改善を含めまして三十七万五千九百五十五円ということになっております。海上自衛隊においては一人当たり七十四万六千九百四十三円、航空自衛隊におきましては九十二万六千二百四円、こういう数字になっております。
○辻政信君 今おっしゃった通り陸上自衛隊一人を維持する費用は、海上自衛隊の半分でいい、航空自衛隊の半分以下でいい。そこに日本としての軍備の性格が出なけりゃならぬはずであります。 池田総理大臣にお伺いしますが、国力の少ない日本が膨大な経費をかけて海、空兵力を無理をして増強するよりも、金のかからない陸上兵力が、まず日本の国情に合うものとしてこれを充実する。海、空のような金のかかるものはアメリカの防衛力に依存する。これが日米新安保条約の精神であります。また政府を貫く防衛予算の方針でなけりゃならぬと考えますが、総理の御見解はいかがでありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 金がかかるから海、空はやめるとか、うんと手控えるとかいう問題ではないと思います。やはり日本の自衛隊として、日本の国土を守るのにはどういうふうにしていったらいいか。しかもまた、海、空というものは技術進歩にも相当の影響がございますので、そのときの金のかかりようということによって自衛隊のあり方をきめるということは少し早過ぎる。やはり長い目で見て、これが日本の現状として一番いいあり方だと、こういうことでいかなければならぬと思います。
○辻政信君 私は、日本が独力で中立を守る場合の自衛体制としては、これは思い切って空に重点を置くべきだと思います。そうして海、陸はしぼるべきだと思います。それができないからこそアメリカと共同防衛しようということでありますから、アメリカの持たないものは陸である、日本の打てないものは海、空である、こういう観点から、限られた予算を効率的に使用して、日米の相互のチームの防衛力を増加する。そこに両国の新安保条約下における共同戦略の分担の性格が出てくる、かように思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 現実の問題としてはそうなっております。二十数万の中で、定員で申しますると、陸上が十七万人、海上、空合わせて五、六万でございます。逆に申しますると、アメリカの駐留軍五万人のうち、半分以上が空軍でございます。一万五、六千人が海軍、陸上五千人、こういうことになっておりますので、結果におきましては、私はアメリカと一体となつて、陸軍の方が非常に多くて、海、空が日本は少い。アメリカは空が半分以上で、そうして三分の一が海、そうして陸軍が今言うようにその一割、これが今の現状でございます。
○辻政信君 防衛長官、陸上自衛隊を現在の戦略単位の十個から十三単位に改編するための予算はどのくらいですか。
○国務大臣(西村直己君) 全部を国費でまかなうといたしまして、一個師団当たり百二十億と、こう考えております。
○辻政信君 ちょっとそれは質問の焦点をはずれておる。そういうことを聞いたのではない。それはこの次に聞く問題です。陸上自衛隊の現在の十単位のものを、定員をふやさないでそれを分解をして、小さな十三単位に改編するのには、そんなに金はかかりません。それをお伺いしたい。
○国務大臣(西村直己君) 一個については三億、全体としてただいま申しあげたような答弁になると思います。
○辻政信君 それでは海上自衛隊でヘリ空母を作る予算はどれくらいですか。
○国務大臣(西村直己君) 百二十億余りでございます。
○辻政信君 それに護衛艦隊を何隻つけるか。その護衛艦隊を含めたらどのくらいになりますか。
○国務大臣(西村直己君) それらの点につきましてはさらに試案を練っておる最中でありますから、政府委員から答弁させます。
○政府委員(加藤陽三君) お答えを申し上げます。現在のところは一ヘリ空母に対しまして六隻くらいの護衛隊と申しますかをつけたいと思っております。この金は一隻が千五百トンで六隻でございますから九千トン。トン大体百万円くらいで計算するわけであります。かように考えております。
○辻政信君 大体二百億をこえる。三百億近い金になりますね。
○政府委員(加藤陽三君) 今調べておりますが、二百四十億余りと思います。
○辻政信君 そうしてそれにはヘリコプター何機と押えていきますか。
○政府委員(加藤陽三君) 大体十八機搭載を計画いたしております。
○辻政信君 十八機のヘリコプターを載せる母艦を作るために二百四十億という膨大な国費を使うというのがヘリ空母の計画なんです。それだけの金があったなら、陸上に基地を作ってヘリコプターを何機整備できると考えるか。
○政府委員(加藤陽三君) 陸上のヘリコプターだけの費用といたしますと、基地の整備を加えましてヘリコプターの種類にもよりまするけれども、相当多数が整備できると思います。
○辻政信君 約百機でしょう。
○政府委員(加藤陽三君) 百機です。ただ私どもが考えておりまするのは、だんだんと潜水艦というものが水中高速化して参りまして、しかも相当長距離からの攻撃力を持っておる。このためには対潜ヘリコプターのような構想を持ちませんと、なかなか対処することがむずかしくなるのではなかろうか。陸上の基地をもってしては対処できないような事態を考えて、ヘリコプター空母の構想を考えたのでございます。
○辻政信君 あなたは専門家じゃないから、それ以上聞きませんが、ヘリコプターの足は短かいのです。PV2なら別問題。だからヘリコプターというのは、空母に積んだところで、その行動する範囲はきわめて狭い。しかもその一隻の空母を中心とした、この二百四十億という大きな金をかけた防衛力が、たった一発のロケットで吹っ飛んでしまう。こうなりますと、むしろ百機のヘリコプターを地上に置いて、平時においては災害救助、航空輸送、そういうものに使いながら、それを適当に日本の地理的の態勢に配置した方が私は戦術的に見てはるかに効果があると思う。それができないところはPV2、これで補うのがほんとうじゃありませんか。
○政府委員(加藤陽三君) おっしゃいました通り、ヘリコプターは今足が短かいのでございます。そこでヘリコプター空母のようなものに搭載をいたしまして、その行動半経を伸ばしたいというのがただいまの構想でございます。将来ヘリコプターというものが非常に足の長い、優秀のものができますならば別でございますが、現在のところはそういうふうな構想を持ちませんと、十分に潜水艦の攻撃に対しましては対処てきないというのが結論でございます。
○辻政信君 こういうものこそアメリカに持たすべきです。一つの空母に十八機持たして、どれだけの戦力になるのか。こういう空母をたくさん持っておるならば、これはあなたのおっしゃる通りになりますよ。たった十八機です、二百四十億かけて。こういうものを一体新年度に要求なさるというけれども、大蔵大臣どうですか。あなたは冷静に聞いておられて、財布のひもを解きますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 次期の防衛力整備計画、これは財政負担も非常に大きいですし、また世界の情勢とか軍事技術士の問題とか、十分慎重に検討すべき問題でございますので、今大蔵省としましては、防衛庁の来年度予算に関しては、国庫債務の負担行為の人件費増、(辻政信君「出すのか、出さぬのか」と述ぶ)こういうようなものは今査定して大体の額が出ておりますが、新規造成の問題につきましては、今のような問題とからんで、これは慎重に検討すべき問題だと思っておりますので、この計画が新予算の編成に間に合って防衛庁から出されるのでしたら、またそのような検討をいたしますし、今のところはなかなかむずかしくて、防衛庁自身そういう計画が新予算編成までに間に合うかどうかと私どもは今思っているところでございます。
○辻政信君 防衛庁じゃもう作っておるのですよ。あなたが同意すれはすぐ出るのだから、あなたが同意するか、同意せぬか。これほど不経済のものはないですよ。
○国務大臣(水田三喜男君) 今ヘリコプター一つの問題じゃございませんで、やはり次期防衛力整備計画の一環としてこれを考えて扱うべきものだと思っております。
○辻政信君 はなはだ貴重な国費を使って……。このヘリコプターを増す一つの試案を申し上げてみたいと思います。それはかつて自動車がまぜ発達しておらないときに、自動車の保護政策をとったことがあります。生産費の半分を政府が出して、民間に半分出させておいて、必要な場合にはそれを全部軍用に徴用した。この歴史を考えてヘリコプターは平時においては災害救助、それから輸送、観光事業に民間の需要がどんどん増してきます。しかし現在は全部外貨によらなければならない。国内生産も金はかかる。この際にヘリコプター空母一隻を作る二百四十億の金で、民間のヘリコプターの保護政策をとって、必要な場合には百機、二百機の民間機を操縦者とともに国の命令で集めて使いましたならば、伊勢湾台風がどんなに救われるか、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) そういう問題はいろいろ検討いたします。
○辻政信君 ごまかさないで検討してもらいたい、国全体のために。 じゃ次に長官にお伺いしますが、自衛隊の編成定員は、現在二万二百七十四人という欠員があります。編成定員の二万名以上の欠員がある。こういうことは、他の官庁にはない。その理由はどこにあるか、その対策はどうなっているか。
○国務大臣(西村直己君) 現在二万余の欠員があることは事実でございます。構成定員が十七力の陸について特にあります。陸の方は一万八千余であります。海、空につきましては通常の欠員の状態でございまして、むしろある意味においては応募者が、技術面の関係がありますから、相当参ります。陸においては、御存じのように任期制の隊員は期間が二年、その後において、やめた場合に、職業的に技術が実が薄いという面があるために、どちらかというと、応募が採用人員よりははるかに上回っておりますけれども、いい質のものをとろうとすると、そこに欠員が出る。従来老兵と申しますか、長い期間在職しておったものが多かったために、退職勧奨をやりまして、除隊勧奨をやりました。それらのしわ寄せが一つここに参っております。いま一つは、最近の経済好況で、新卒の学校の生徒等を引っぱっているということもからんでおります。そこで、私どもとしましては、国防の基本方針から、十七万の要員というものを陸において満たすという従来の編成をくずすということは考えておりません。従って、これに対する補充の対策としては、あらゆる工夫をこらして参りたい。たとえば職業のあっせん、あるいは在隊中における職業の訓練、あるいは募集の方法、あるいは募集から採用に至る期間の短縮、いろいろそういうようなこと、そうして在隊中から、将来に向かっての職業に対する不安感を除くというような考え方を基本に、改善工夫を加えている最中であります。と同作に、いろいろ陸上自衛隊にたくさんの部隊があるわけです。これらの諸君にもその意思を伝えまして、そうして十分良質なる人材をできるだけ発見して陸に加えて参りたい、こういう決意でやっております。
○辻政信君 決意はよろしいが、本年度内にそれを補充する自信と用意はございますか。
○国務大臣(西村直己君) 長官といたしましては、そういう決意で補充する信念のもとにやって参りたいという考えでおります。
○辻政信君 おそらくこれは私は不可能だろうと思います。現在の好景気、それにもかかわらずさらに八千人を増そうという法案を最近国会にお出しになっている。これは結局今度の補正予算が架空の八千人を含んでいるために、つじつまを合わせる手段としてお出しになったとしか考えられない。この重要法案をあと二日しかないこの短期国会に提出をなさって、まじめにそれが通ると思わられたか。あるいは予算に形を合わす意味においてこの法案をお出しになったのかどうか。
○国務大臣(西村直己君) 御指摘のように、現在の陸に欠員はございます。しかし、ただいま出して衆議院で御審議願っております二法案は、一つは主として海、空の中心の人増の方がはるかに多いのでございます。陸上千五百、八千五百の千五百を引いた余りが海、空であります。従って、これらは、御存じの通り、私から申しあげるまでもなく海、空については、艦艇あるいは航空機の整備とあわせて、保安とかあるいは教育とか、船艇の乗組員の養成とかいう意味で、できるだけこの面について法案の成立を願っております。いま一つ、陸の面につきましても、これはむしろ国民の側から非常に強い要望のあります建設大隊あるいは作業大隊というような国土建設を通しての訓練部隊、これらはやはり陸の方に編成がえを行なって参りたい、こういう趣旨のもとに、存の国会においては予算を御承認願ったわけであります。これらに伴う法案という意味で、私どもはやはり成立をお願いする、こういう気持から提案をいたしているのであります。
○辻政信君 あなたはかって予算委員百長をやられた国会運営のベテランです。この短期国会にあの重要法案がほんとうに衆参を通るというお見通しでお出しになったのか、答えて下さい。
○国務大臣(西村直己君) 大へんおほめにあずかって恐縮ですが、私は実はあの法案につきましては、存の解散前の長い国会におきまして八回か九回か行じませんが、やっておりまして、非常に御熱心に内閣委員会においては御審議を願った問題であります。従って期間は多少短くても、私どもの御説明、またそれによって御理解をいただければ、私はこの国会において成立するという確信のもとに出しました次第でございます。
○辻政信君 参議院じゃ一回もやっておりませんが、確信がありますか。
○国務大臣(西村直己君) もちろんその点におきましては残念ながら会期がきわめて短い、切迫しておるのでありまして、現在衆議院の内閣委員において審議を取り急いでお願いを申し上げておる次第であります。
○辻政信君 私が言いたいのは、そういうテクニックをおやめになって、通常国会で堂々とお出しになるべきだと思います。 それはそのくらいにして次の問題に移りますが、警察予備隊として現在の自衛隊が発足以来、十年間に自衛隊に突っ込まれた税金の総額、アメリカの援助の総額、それを合計してどのくらいになりますか。
○国務大臣(西村直己君) その点は私資料を持っておりませんから、政府委員の方から答弁させます。
○政府委員(木村秀弘君) アメリカからの援助の総額は四千百九十七億なっております。それから予算の総額でございますが、全部総計をいたしておりません。
○辻政信君 概略どのくらいになりますか。
○政府委員(木村秀弘君) 九千四百十五億程度になっております。
○辻政信君 アメリカの貸与は。
○政府委員(木村秀弘君) 貸与は四千百九十七億でございます。
○辻政信君 ちょっと違うな。
○政府委員(木村秀弘君) 貸与でございますか。——貸与は五百九十億。
○辻政信君 返還したのは。
○政府委員(木村秀弘君) 返還したのは二百四十億、それから廃棄しましたのが八十億ございます。
○辻政信君 大体その通りであります。合計しますというと、十年間に一兆三千九百六十五億円。一兆三千九百六十五億円という金か日米双方から出されておる。しかも税金でまかなったのが九千四百十五億円、こうなっておるのであります。では、この十年間に入隊させた隊員、辞職もしくは除隊した隊一員、予備自衛官として残った隊員、その数の概略をお願いいたします。これは予告してありますから。
○国務大臣(西村直己君) 陸上におきまして総計を申し上げますと、いわゆる自衛官の入除隊と申しますか、その数でございますが、入隊数は自衛官全部を含めまして詳細に申し上げますから……。
○辻政信君 全部でいいです、トータルで。
○国務大臣(西村直己君) ラウンド・ナンバースは、四十二万五千、それから除隊数が二十一万四千。それからこの内訳を申し上げますと、陸上におきまして……。
○辻政信君 内訳はいいです。
○国務大臣(西村直己君) 内訳はいいのですね。
○辻政信君 よく聞いて下さいし。一兆三千九百六十五億円としいう金を年間に使って、そうして入れて教育した隊員が四十二万をこえて、除隊した者が二十一万、半分、そうして予備自衛官として登録されておるのが一万三千七百五十七名の歩どまりであります。そうすると、この歩どまりは六・五%、これだけの大金百をかけと、そうして残ったのが六・五%というのが今日の日本の自衛力の実態、これほど不経済な軍備というものは世界にない。この制度について、防衛庁、政府は、将来どう考えようとなさるのか、むだ金もはなはだしい。
○国務大臣(西村直己君) もちろん国民の国防に対する考え方、支援、これらと相待って、私どもはこれらの教育を受けたる人間を、さらに法制的にあるいは少なくとも法制外のいういろ協力的な意味で国防に奇与せしめたい、こういうことについては将来も努力して参りたい、こういう考えであります。
○辻政信君 この性格を見ますと、悪口じゃないが、失業対策機関、就職あっせん機関、こうならざるを得ない。本質的な防衛の努力がなされておりません。旧軍では徴兵制があった、既教育兵は予後備として常に戦力をプール化していました。現在は予備兵力がわすかに一万二千、とるに足らぬものであります。これほど不経済な軍備はない。もうそろそろこの問題について政府首脳部は真剣に検討なさる時期に到達しておると思うが、長官いかがでありますか。
○国務大臣(西村直己君) お説の面は非常に私らもよくわかります。ただ問題は、単に自衛隊あるいは私自体がそれを大きく取り上げるだけでなく、国民の御協力のもとにこれらをやって参ることが必要ではないかと考えております。よろしくどうぞお願いいたします。
○辻政信君 それだけではこの大問題の解決にはならない。では私の一つの着想を申し上げます、御研究の資料として。その着想は、長期志願兵制度に切りかえる。そうして採用した隊員は能力に応じて十分教育して幹部にする。幹部十万を持っていれば、有事百万の隊員を訓練することは半年でできる。今のようなどっちつかずのやつではなくて、精鋭な幹部を十四、五万持っていれば増員の必要はない。また失業の心配もない、就職の必要もない。入った隊員の優秀な者は一生そこの技術者として、純然たる技術者として、幹部の能力を与えるようにするならば、この国の兵力というものがむだなくプールされると思う。幹部さえ持っていれば隊員は半年でできる。そういう一つの着想について御検討なさいませんか。
○国務大臣(西村直己君) かねがね辻委員の御構想につきましては、私も漏れ承っておりましたが、しかしながら私どもは、自衛隊が杵部要員だけでよろしいということに踏み切るわけにいかないと思います。
○辻政信君 スイスやスエーデンの防衛体制を御研究になっておりますか。
○国務大臣(西村直己君) 私政治家としては研究いたしても、防衛庁長官は着任してまだ日が浅いので、これから本格的にいたしたいと思います。
○辻政信君 きわめて少数の職業軍人幹部を持って、有事七十万の隊員を動員できる体制がスエーデンであります、スイスであります。こういうことは日本と国情は違うにしても、よほど研究される資料じゃないかと思う。スエーデンはちょっと違っておりますが、スイスはそうなっております。 それから次の問題に移りますが、対空誘導兵器の算入を今度の予算で考えておられる。ナイキとかホークを。それはよろしいが、この受け入れ態勢を陸上自衛隊になさろうとするのか、あるいは航空事衛隊に持たそうとなさるか、きまっておりますか。
○国務大臣(西村直己君) 部内において検討し、一応政府内部におきまして要求する限度においては、ナイキについては陸上に考えておる、こういう段階であります。
○辻政信君 ホークはどうしますか。
○国務大臣(西村直己君) ホークについてはまだその段階にはきておりません。
○辻政信君 ではドル防衛に関連して、アメリカの無償援助が停止されるということが予想されるが、これらの悪条件が来年度の防衛予算にどのくらいの影響を与えるとお考えになっておりますか。
○国務大臣(西村直己君) ドル防衛からきます無償援助につましては、域外発注の面につきましては、最近もうその面は事自衛隊に関してはございません。それから有償につきましては、これはドル防衛と直接関係なし。無償援助の中でもまあ漸次、従来とも無償から有償べという形をとっておりますから、米軍の方の考え方が……。従って、われわれはそれらを前提にものを考えておるわけであります。どの程度、これが影響して参るかということにつきましては、ただいま部内において具体的にこれをつかむように努力をしております。もし私の言で補足が必要がありますれば、経理局その他の担当官から説明をさせます。
○辻政信君 政府委員でよろしいから、三十五年度のマップの内訳を御説明願いたい。
○政府委員(塚本敏夫君) 三十五年度のマップの供与見込みを申し上げます。陸上が四十六億五千三百万円、海上が八十二億二千九百万円、航空関係が百五十四億一千九百万円、合計で二百八十二億九千百万円、かように承知しております。
○辻政信君 そこで、これ同じようなことで来年度の予算に計上されておる。私はどうもドル防衛からまっ先にくるのがこのマップの停止じゃないかと思うのだ。そうなりますと、来年度の防御予算は、今年九月までに受けたのが二百八十二億ですから、こういうことを考えるというと、来年度の予算はこの一点からしても、防衛費においてかなり上回る。それに加えてヘリコプター空母を二百四十億をかけようという、大蔵大臣どうですか、できますかヘリ空母。
○国務大臣(水田三喜男君) 防衛庁の予算につきましては、まだそういう問題の防衛庁との協議は、今のところ始まつておりません。
○辻政信君 次は弾薬を、有事初動に必要な備蓄資材の確保をやる、こう言っておられますが、どのくらいのものを備蓄されようとするのか。
○政府委員(加藤陽三君) 弾薬をどれほど備蓄するかということがやはり次期計画の一つの重点でございます。ただいまの現況は、これはこの前も御説明したと思いますが、米軍から供与を受けましたものが十数万トンございまして、年々の調達は千数トンから二千トンくらいでございまして、訓練の銃砲弾にも足りないということでございます。ただ、これは相当な金を要しますので、これの調達に大幅な予算をいただくということは、ほかの装備にもこれは影響するわけでございます。弾薬等につきましては、相当量を米軍にも期待できるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございまして、どのくらいの備蓄の目標を最後に立てようかということは、現在の懸案の一つでございます。
○辻政信君 通産大臣、防衛の最大の欠点はアメリカから譲り受けた弾薬十万トンというのが、大多数大口径、役に立たない。小品径はゼロで、注文をして八百屋へ野菜を買いに行くようなやり方をやつておるのだ、これについて日本の国内の小口径火砲の需給に必要な計画をどう立てようとされるのか。通産大臣、それを承りたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 専門的な御質問でありますので、政府委員から答弁いたさせます。口律の問題でございますので……。
○辻政信君 政策の問題ですよ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私よく……。政策の問題は、防衛産業につきましては、昭和二十七年以降、いわゆる米軍特需によって各種の弾薬を中心に急激に生産が増加いたしまして、ピーク町の昭和二十九年におきましては、その生産額は百五十七億円に達したのでありますが、その後特需が急速に終息いたしまして、その生産額は十分の一に激減しておるのであります。昨年は約三十三億円程度でございまして、これはもっぱら防衛庁の需要となっておるのであります。かような時期、生産の激減によりまして、防衛生産設備の一部が全く遊休化してしまった。このために通産省といたしましては、これの維持管理の費用を出して、約三カ年、総計一億三、四千万程度の補助金を交付して参ったのでありますが、三十五年度、つまり今年度以降は、予算の補助金の交付は打ち切ったのであります。従って、補助金の打ち切りと同時に、報告義務が解消いたしまして、報告を受けておりませんが、確かにその半数はそれぞれ業者の負担においてこれを維持しておるという状況でありまして、あとの残りは、土地、建物等は他に転用しておる、こういうような状況であるのでございます。従って、今後の兵器、弾薬の生産につきましては、一に防衛庁の需要いかんにかかっておる、こういう状態であります。
○辻政信君 時間がないので詳しい具体的な追及は他日に護りますが、これはほっておきますと、軒並みにつぶれるということがあるということを特に総理も頭に置いていただきたい。 次に選挙の粛正につきまして、ごく簡単に二、三点伺います。私は池田総理が所信表明の演説において、選挙自体のあり方についての国民の批判はまことにきびしいものがあるということを否定できない。私はこの批判にこたえて、広く国民の協力を得て選挙の公明を期する措置を積極的に検討いたしたい、こうお述べになっております。が、この言葉は、岸前総理からは聞かれなかった言葉であります。国民は池田内閣のまじめな態度に大きな期待をかけております。その実行を見守っておるのであります。従って、閣僚の皆さんもこの総理の決意を体して、国民の期待に沿うことが当然であると思いますが、その御決意があるかどうか、まず植木法務大臣からお伺いしたい。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。 ただいまの御質問に対しましては、われわれ関係の閣僚十二分に研究をいたしまして、今後とも極力善処して参りたい、かように考えております。
○辻政信君 植木さんはきれいな人ですから、あなたは違反はなかったでしょうな。
○国務大臣(植木庚子郎君) ただいまのところ存じておりません。
○辻政信君 では続いてお伺いいたしますが、岸内閣の手で行なわれた選挙違反のあと始末がまだ行なわれておらない、三十三年度の。これに対して安井国務大臣、その状況を詳細に、具体的に御報告願いたい。
○国務大臣(安井謙君) お答えいたします。昭和三十三年の五月に行なわれました総選挙の違反事犯につきましては、目下逮捕状を出して手配中のもの五名がまだ未逮捕の状況にございます。
○辻政信君 それだけですか。具体的にと言ったでしょう。名前をあげなさい。
○国務大臣(安井謙君) 五名のうちの現在世間で問題になっておりますものは、椎名候補の出納責任者松川昌蔵ほか妻、二人の逃走中の問題でございます。
○辻政信君 安井大臣は、この前の選挙で、違反容疑のために二年ほど容疑になっておった。最近無罪になったはすだが、今度は皮肉にも国家公安委員長として、また自治大臣として、選挙の主管大臣になっておられるのだが、すねに傷を持つと、ともすれば刀がにぶりがちだが、池田総理のこのかたい決意を了とされて、ほんとうにおやりになるかどうか。
○国務大臣(安井謙君) 私が、昭和三十三年の衆議院選挙の応援のために、嫌疑をこうむりましてお手数をかけましたことは、非常に不徳のいたすところであったと思います。まことにざんきにたえません。しかし公判の結果につきましては、明らかにこれは証拠不十分とか、情状酌量の余地ありというような意味ではなくて、検察側の誤認であるということが、明確に一審、二審できまりました。白日の身になっておる次第でございます。そういうような意味におきまして、今後とも選挙り取り締まりにつきましては、十分厳正な決意を持って当たっていくつもりでございます。
○辻政信君 昭和三十三年の選挙の悪質な違反が、二年半つかまらないほど日本の警察力は無力ですか。
○国務大臣(安井謙君) 鋭意捜査いたしておりますが、数多い事犯の中でございまして(辻政信君「たった五人です」と述ぶ)いや、全体の日本の犯罪件数の中で、数多い事犯の中で、これだけのものが残っておりますことは、まことに遺憾でございます。十分な手配をいたし、現在でも検察庁と協力の上、捜査を続けておる次第でございます。
○辻政信君 落選議員や陣笠代議士の違反は、相当手きびしくやりますが、しかし大物になると手控える。これが今日の選挙をいつまでも公明にできない根本原因です。一体、日本の警察が、これだけ網を張っておりながら、夫婦で逃げておる者を二年半押えられないというような警察力かどうか、どこに原因があるのか、どういう対策をとろうとするのか。国民は、時効になるのを待って、武士は相見互い手ぬるくやっておるのじゃないか、こういう感じさえ持っておるのです。それをはっきりお答え願いたい。
○国務大臣(安井謙君) 本件につきましては、逃走中でございまして、起訴もなかなかめんどうであったのでございますが、検察庁では、これを逃走中に起訴をいたしました。しかし起訴状が送達不能ということで、一昨公訴棄却になりました。あらためて逮捕状が出ております。警察もこれに全面的に協力いたしまして、捜査を鋭意続けておる次第でございます。
○辻政信君 植木法務大臣、こういう事件に対する時効の適用はどうなるのですか。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。 御承知の通り時効が始まりますのは、当該犯罪が行なわれたときからでございますが、この場合におきましては、犯人が逃走中でございまして、一生懸命に努力をして捜査をしたのでありますが、どうしてもわかりません。そのうちに時効が完成してはよくないという見解のもとに、盛岡地検におきまして、昭和三十五年の九月七日に両名を逃走中のまま盛岡地裁の一関支部に起訴をいたしました。この起訴状の謄本を被告人に送達することができませんので、そのために三十五年十一月八日に公訴棄却の決定が行なわれたのであります。で、盛岡地検といたしましては、さらにこれらの被告人らの所在判明を待って再起訴を行なうという建前で捜査を続けているのであります。ところがこの場合、裁判の関係、法律の関係を申し上げますと、買収の場合に、買収の州方でありますところの共犯者の裁判係属中は、昨効の進行が停止されるということになっております。この共犯者の刑の確定は、三十四年の六月に有罪裁判が確定しておるのでございます。従って、それまでの問は進行が停止されておった、こういうわけでありますから、昭和三十五年の九月七日に、先ほど申し上げました盛岡地検での起訴、この起訴は、時効完成前のものでございしますからもちろん有効であります。で、この時効の進行が停止になりましたが、起訴状の送達ができないから、そのために公訴棄却となり、起訴は結局効力を失うという結果となりました。しかし、刑事訴訟法の規定からは、犯人が逃げ隠れているために、有効に起訴状の謄本の送達ができなかったというような場合には、その逃げ隠れておる期間中、公訴の時効の進行は停止するという建前になっております。従いまして、犯人の所在が判明いたしますと、再び起訴をいたしまして、そうして新たなる起訴状に疎明資料を添えて裁判所に提出いたしまして処理をする、そうすればこの時から再び時効の進行が開始する、こういうことになるわけであります。
○辻政信君 時間が参りましたので、選挙法の改正についての質疑は他の機会に譲りますが、最後に一言、池田総理に率直にお伺いしたいのであります。私が憂えるのは、同僚諸君の迷惑なことをこの公開の席上であばきたくない、友情として。しかし、それにもまして、今日の選挙は乱れ過ぎております。しかも当選をしさえすれば違反はどうなってもいいという考えを持った代議士諸公があまりに多い。これは、総理も皆さんも、お互いに認識なさっておるだろうと思う。それは法律の改正だけで絶滅できる問題じゃないのであります。私は、この国民の憂いに対して、政府の信頼を回復する一つの具体案を総理に申し上げたい。それは、法律の改正に先だって政治の倫理を確立していただきたい。具体的に申しますならば、汚職の前歴を持った代議士、悪質での選挙違反をやった代議士は、たとい有能であっても、絶対に大臣にしないというこの政治の倫理を確立することです。これによって、法律以上の効果を現わすのじゃないか、私は池田総理のお人柄に、特にうそを言われない正直な御性格に対しては、岸総理と違った態度として、心ひそかに敬意を抱いておりますし、またその内閣が安定して、思い切った改革を断行していただきたい。多くの国民とともにそれを期待しておる一人であります。この点についての総理の御見解を承って私の質問を終ります。
○国務大臣(池田勇人君) いろいろな考え方はございましょうが、私は、まずそういう選挙違反の起こらない、選挙が公明に行なわれることを第一に考えたいと思います。なお、判決のない場合におきまして、その人にいわゆる政治家として進むべき道を閉ざすということもいかがなものかと思います。しかし私は、ますそういうことの起こらないことに努力をいたし、そうしてその後におきましての閣僚任命につきましては、十分考えていきたいと思います。
○委員長(館哲二君) 午後一昨三十分再開することとし、休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 —————・————— 午後一時五十四分開会
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を再開いたします。 引き続き質疑を行ないます。永岡光治君。
○永岡光治君 総理にお尋ねいたしますが、十九日の本委員会の同僚の羽生委員からの質問に対しまして、中共貿易にふれまして質疑応答なされましたが、その際総理は、中共承認問題とからまない郵便、気象等の協定については、これを締結する用意があるという趣旨の、実は答弁があったわけでありますが、この点について明確にいたしたいのであります。実はこういう問題につきましては、本予算委員会のみならず、逓信委員会その他の委員会におきまして、従来からしばしば政府に早急に締結をすべきであるという要求がなされ、そのつど政府から誠意ある答弁をいただいておったのでありますが、むしろこの問題についてはおそきに失するくらいの問題でありまして、特に郵便とか気象とか、あるいは海難救助、航空、電波、こういう問題は全くこれは国際性の強い問題であります。のでありますから、そこで重ねて総理の所信を明確にいたしたいのでありますが、先般の答弁は、総理の、この郵便及び気象の協定については、ぜひ話を進めてもよいような実は話があったわけでありますが、中共側、相手側にその意思がありますれば、協定を結ぶ用意があるものと理解をいたしていいかどうか、その点を重ねて明確にお答えいただきたい。
○国務大臣(池田勇人君) お話しのように今の海難救助とか気象郵便などの非常に国際性の強い問題については、私はそれが相手国を承設するしないの問題からは相当距離があると思う。従いまして、私はこういう具体的、技術的な問題につきましては、もちろん私が関与しないという意味じゃございませんが、具体的に所管官庁で一つお話を進めたらどうかという気持を私は持っておるのであります。
○永岡光治君 これ以上この問題についてふれることをやめますが、次に、これは農林大臣の方にお尋ねいたしたいのであります。 先般、同じく同僚委員の羽生委員から質問がなされまして、米の統制の撤廃の問題について触れました。その際に農林大臣は、米の統制は撤廃しないのだという、こういう答弁があったわけであります。もちろん、これは買い上げについての統制を撤廃しないことはもとよりであろうと思うのでありますが、世の中には、この米が相当潤沢になってきているやにある今日の状況で、配給まで統制を続けるのはどうかという意見があるやに承わっておりますが、そういう意味で配給についての統制の撤廃を考えておるのかどうかという質問に対して、あなたは、決定を見ていないという、こういう答弁があったわけであります。非常にあいまいな答弁です、決定を見ていないというのは。というのは、すなわち、私の聞きたいのは、この際、配給機構なり、あるいはまた配給の自由化なりについてこういう意思を持っての私は今研究中だから、まだ決定を見ていないという意味なのか、そういう意思は毛頭ないので決定していないという意味なのか、そういう意味が明確でありませんので、どういう考えでいるのか、明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) お話のように、買い上げ統制というか、その農民の保護の立場にあります関係上、少し前に、これは統制を撤廃する意思はないと申し上げたのであります。今御指摘の通り、買い上げは統制して政府が買い上げる、配給だけはふんだんになったので自由にするということも、ちょっと観念的に少しおかしな問題でありますから、そこで私は、そういうことは当然消費者の方の立場で考えておる立場としては、まだそういう撤廃することを決定しておらない。しかし、たくさん政府が買い上げ米を持っております。ところが、できるだけ経理上の面につきましても考えなくてはなりませんので、配給制度それ自体、たとえば米の登録制をどうするかというような問題については、まだ研究中でございますが、手持ちの米がふえて参りますにつれて配給量の増加によりまして、だんだん消費者に対する配給の仕方を考えていきたいということは考えております。従って、最近も配給量を六キロから八キロまでふやしております。来年の一月からさらにこれを引き上げて十キロ配給まで増加するというようなことを、配給量については考えております、かように申し上げた次第であります。
○永岡光治君 そうすると、配給の問題については当分これは十年になるか、二十年になるか知りませんが、今のところその統制の撤廃は考えていないと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(周東英雄君) さようでございます。
○鈴木強君 関連。農林大臣にお尋ねしたいのでありますが、たしか総選挙前に、あなたの前の農林大臣は、消費者米価の引き上げをするというような意見を一度発表したことがあるのです。その後、池田総理大臣は慎重論をとっておられるようですが、現段階において消費者米価の値上げは絶対やらないという方針ですか。
○国務大臣(周東英雄君) ただいまのところ考えておりません。
○永岡光治君 定員給与関係に入りたいのでありますが、その前に冒頭伺っておきたいと思うのでありますが、臨時雇い、つまり賃金予算ですが、この予算の単価は幾らであって、実際に各省で実行しておる実行単価は幾らであるか、給与担当大臣一つお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) その問題は私の所管ではありませんから大蔵大臣から。
○国務大臣(水田三喜男君) 主計局長から答弁させます。
○政府委員(石原周夫君) 今常勤的賃金職員という区分と非常勤的賃金職員と二つに区分されておりまして、前の方が三百三十円、あとの方が二百九十五円ということであります。
○永岡光治君 実行単価は幾ら、実際に各省でやっておる単価。
○政府委員(石原周夫君) その点は各省が今申し上げました予算に基づきまして各個の場合に実行いたしておりますから、必ずしも一本の単価でないと思っております。こまかいことは私承知いたしておりません。
○永岡光治君 それはどこでわかるのですか。
○鈴木強君 議事進行。答弁が的確にできないのだから……。
○委員長(館哲二君) 永岡君、もう少し続けて下さい。
○永岡光治君 大蔵省は予算単価をきめるけれども、あとは各省で実行するわけで知らぬ。どこが責任を持ってやるわけですか。
○政府委員(石原周夫君) 一般職の職員の給与に関する法律がございましてその中の第二十二条の二項「前項に定める職員以外の常勤を要しない職員については、各庁の長は、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で、給与を支給する。」とこう書いてございまして、各省、各庁の長においてその責任において予算の範囲内できめるということであります。
○永岡光治君 それではまず冒頭に郵政大臣にお尋ねいたします。郵政省では実行単価を幾ら取って、そして実際支障なくやっておられるのかどうか。
○国務大臣(小金義照君) 実行単価の問題でございますが、政府委員の方から御答弁いたさせます。
○政府委員(長田裕二君) 先ほど大蔵省の方からお答えがありましたように、今までは一般的には一日二百五十円、長期雇用のものにつきましては、日額二百八十円で予算が成立しております。その範囲内で各地の実情に応じまして、若干の差をつけながら雇用しているような状態でございます。
○永岡光治君 私の聞きたいのは、実行単価がどういうようになっているかということでありまして、実際に雇われている状況を私は聞きたいわけです。それで支障なくやれているのか。それとも非常に不満があって、これを増額してもらいたいという希望があるのか、要望があるのか。
○政府委員(長田裕二君) お答えいたします。先ほど申し上げましたように、土地の状況によりましていろいろ高低がございます。たとえば東京都内あたりですと、平均二百六、七十円のものが全国平均はそのくらいでございますけれども、それを東京都内あたりですと三百円くらいでもなかなか雇用困難でございますし、また地方の方に参りますと、あるいは二百二、三十円でも雇えるというような状況でございます。しかし全般的に申しまして、あまり楽な経理でもございませんので、来年度予算におきましては、若干の増額を要求することにしているわけでございます。
○永岡光治君 私が地方で承わります状況によりますと、非常に単価が安くて希望者がほとんどない。言うならばまあ遊んでおるよりはましだろうからということで雇われているのが実際の状況のように承わっている。ことにこの単価が予算に制約されているために、一ヵ月雇えば当然雇わなければならない筋合いの仕事にもかかわらず、二十一日ずつでこれを区切っているという状況下にあるように承わっております。これは先般の新聞紙上で、今次の全逓と郵政当局の間の紛争の原因になった一つとして取り上げられて、世論も非常に組合側の主張に同情した空気が出ているようでありますが、実際そういう二十一日でまかなわなければならないような、そういう不合理な状態において、どうして郵政事業が守れるかと思うのでありますが、ついてはこの単価もこの暮れの状況では、私のまたこれは聞くところでありますが、三百四十円出しても来ない、なかなかこれでも来ないという状況だと承わっておりますが、そういたしますと、この予算単価と実際の実行しゃっている単価というものがかなり開きがあると思うのでありますが、これについて今お話しによりますと、二十円の金額は引き上げようと考えているようでありますが、きわめてこれでは不十分だと私は思うのであります。今日だれが考えてみましても、日給三百三十円でこれは特に全くの臨時だというそうでありますが、来れる筋合いのものではないと思いますが、この点についてもう一度郵政当局の見解を承わりたいと思います。
○政府委員(長田裕二君) 先ほど申し上げましたように、大都会の方面につきましては、特に全国平均の範囲内でまかないましても、なかなか困難な事情がございますので、ある程度予算の差し繰りもしているというような実情でございます。来年度につきましては、さらにそういう要望をいたせるような形でやって参りたいと考えております。
○永岡光治君 常勤の普通の定員内で採用されている定員内の職員でありますが、それに比べまして、非常勤の職員の給料は高いか低いか、それをお尋ねいたします。
○政府委員(長田裕二君) 新制高校卒業程度の者を本採用にいたしました場合と、非常勤で雇いました場合では、大体一割五分前後ぐらい非常勤の方が安いことになっております。
○永岡光治君 世界のどこの実情を見ましても、私は非常勤という臨時雇いで身分の保障のない者が、本務で採用されている人より安いという例を聞いたことがないのです。各官庁とも、これは給与担当大臣にお尋ねいたしますが、非常勤職員というものは、本務者より安くなっておる、同じ条件でですね、安くなっておる。それをいいとあなた方は考えておるのか。身分の保障がない限り、当然私は臨時者は二割ないし三割、中には五割でもけっこうでありますが、よけい払うべきが正しいと思いますが、どういうように考えておりますか。
○国務大臣(迫水久常君) 非常勤の方が高かるべきか、あるいは常勤の方が高くあるべきかという問題は、非常勤で、ほんとうに非常勤でときどき雇われるというような人でなくて、あなたのおっしゃるのは、形は非常勤だけれども、実際はずっと継続しておるというような人のことを言っておられるのではないかと思うのですけれども、とにかくそれは各省庁の長が、予算の範囲内で常勤職員との間の権衡を考えて処置するということになっておる。従って各省庁の判断に待つことのほかないと私は思います。
○永岡光治君 私はあなたの見解を聞いておるわけです。まあ常勤的非常勤のことをあなたは指しておりますけれども、それにしても身分の保障のない人が、保障のある人よりも安い賃金で、同じ条件の場合ですよ、保障のない人が安い賃金で雇われていいというあなたは考えを持っておるのかどうかということを聞いておるのです。
○国務大臣(迫水久常君) その問題、私もう一ぺんよく考えてから御答弁をしたいと思っております。まだその問題について考えたことはございません。
○永岡光治君 いつ答弁してくれますか。
○国務大臣(迫水久常君) よくみんなの意見も聞きまして、実情を研究しますから、今国会に間に合うかどうかそれはちょっと……。
○鈴木強君 委員長、議事進行について。
○委員長(館哲二君) 鈴木君。
○鈴木強君 今のあなたの話は、ちょっと私は、この国会における審議の過程ですからね。少なくとも、この審議の終わるまでにはその回答をするということでなければいかぬと思うのです、もっとむずかしい問題なら別ですよ。これはそこらで内政干渉をされるから、あなたがぐらつかれるので、自分でどう考えるか見解がないはずはないのです。少なくともこの予算委員会の審議が終わるまでに答弁をしていただくように委員長特に厳重に注意して下さい。
○委員長(館哲二君) はい。
○永岡光治君 それでは一つ次に話を進めますが、その質問の前に、これは総理に一つお尋ねしたいのでありますが、それぞれ国会で附帯決議がつけられますが、この附帯決議に対する総理の所信ですね。
○国務大臣(池田勇人君) 国会における附帯決議につきましては、十分尊重していきたいと思います。
○永岡光治君 そこで、次の質問に入りたいのでありますが、実はこの非常勤職員の定員化がおくれておりますために、非常な混乱を起こしておることは、総理みずから御承知の通りだと思うのであります。本年は特にまあ三公社五現業等におきましても、一応の解決は見ておりますけれども、まだしかし問題は将来に残されておるようでございます。そういうことで、一つ私もお尋ねしてみたいのでありますが、先般衆議院で定員法の改正案が採決をされましてそれには附帯決議がなされております。その中にたとえば郵政省の職員は著しい定員の不足を来たしておるので、業務に必要な定員または定数的非常勤職員など長期間雇用しておる職員の定員化と、新規業務量の増加に見合う定員を確保するよう政府は三十六年度中に抜本的解決をはかるべきである。という趣旨の附帯決議になっております。当然これは尊重するものと、私今の答弁で理解するわけであります。そこで、郵政大臣にお尋ねしたいのでありますが、来年度のこれは予算に関係はいたしてくると思うのでありますが、郵政当局ではどのような決意でこの定員化を行なおうとしているのか。まず、冒頭一つ郵政大臣の決意を承わりたいと思います。
○国務大臣(小金義照君) すでにこの夏、大蔵省に提出しております予算要求の概略を調べてみますると、大体来年度は一万四千人あまりの定員の増加を要求いたしております。極力この線によってその実現を期したいと考えております。
○永岡光治君 大体その決意はわかりました。これは当然大蔵当局においても、その今の郵政大臣の要求を誠意を持って受け入れるものと私は理解しているわけでありますが、ついてはこの非常勤職員の問題について、最終的にはこの企業官庁というものの官庁の定員について、定員法というもので縛っていいのかどうかという問題が根本的にあろうと思いますが、それはどのように考えておりますか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 定員法の問題は、これは元来定員法をこのまま継続してよろしいかどうかという問題については、相当疑問があります。そこで昨年の三月、研究した結果、三十六年度を目途としてこれを改訂しようという動きがあるのです。しかし、すべてその結論には達しておりません。ただ、五現業に対しては、少なくともこの改善をしてよろしくないかというような気分が満たされております。
○永岡光治君 一般公務員については、まだ検討中であるが、五現業については定員法を撤廃してもいいという考えを持っていると、こういうことですが、三十六年度においてこれを撤廃する意思があるかどうか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) これは今そろっておりませんから、必ずしもやるとは言いませんけれども、私はこれをやりたいという考えを持っております。
○永岡光治君 そういたしますと、この通常国会中には法律を出すという、改正案を出すということで十分今検討していると、こういうように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 大体そのような考えであります。
○永岡光治君 それでは一般公務員についてはどういうことになりますか。検討中というのは、通常国会に間に合うかどうかわからないと、こういう意味ですか。私は全然別個に考えていると、こういうように解すべきが適当なのか、もう一度明確にしていただきたい。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 一般公務員についても一緒に解決したいと、こういう考えのもとにこれを考慮しておるのでありまして、切り離してやる考えはございません。
○永岡光治君 一般公務員とも合わせてやるということになって、もし通常国会に間に合わないという事態になった場合には、五現業だけでも切り離してやるという考えは持っていないのか、私はそうすべき筋合いのものではないか、何回も言うように、これは企業でありますから、法律のために企業を曲げるということはもってのほかだと私考えておるのであります。そういう意味で、やはりこの定員法というものは、この際企業官庁に対しては不向きであると、このように考えますが、どういう事態が起ころうとも、通常国会中には解決するように政府の方で法律案を出す、こういうように解釈していいかどうかお尋ねいたします。
○国務大臣(小澤佐重喜君) 政府は誠意を持って努力する考えであります。
○永岡光治君 ぜひそうしてもらいたいと思うのであります。 次に、給与改訂の問題について人事院の方へお尋ねいたします。一般公務員の給与改訂が、いつも民間、その他に比べて一年おくれて実施されておるということは、すでに認められた通りでありまして、そのために、従来の方式からいけば、四月現在で比較をしない、いつも三月末で比較する。四月には他の産業のべース・アップがあり、その前の年の比較をして八月ごろに勧告をする。勧告をしても、実施は、従来の例からいけば、年度の明けた四月一日から行なう、二年おくれの形であって非常に因るじゃないか。従って、四月一日に最小限、四月現在でこれは比較をして、検討をして、そうして勧告をすべきが正しいのじゃないかというような要望もいたしました。その結果は、人事院はそれをいたしますという約束になり、その結果がはたせるかな、今日見るような勧告になった、当然のけりだと思うのでありますが、にもかかわらず、なおかっこの問題については、私はまだ不十分なものがたくさんあろうかと思うのでありますが、それは後ほど質疑応答の中で明確にいたしたいと思うのでありますが、昭和三十六年の勧告の際にも、同様に少なくとも四月、本年度の三月じゃなしに、四月以降の機会において比較をする用意があるのか、ないのか。法律の建前からいえば、一年という期間がありますから、今年の四月にそれの比較をしたなら、やはり当然四月の比較ということに私はなるだろうと思いますが、やはり念のために伺っておきたいと思います。
○政府委員(入江誠一郎君) お答えいたします。来年の調査時期につきましては、現在のところ決定いたしておりません。まあ大体において四月になるんじゃないかと思います。ただ、さらにそれより先にすることは、予算の編成の関係もありまして困難じゃないかと思います。
○永岡光治君 これは、比較は四月以降、おそければおそいほどいい。私は今年度の比較じゃ困るということを言っている。ですから私の理解では、四月以降の起点においてこれを比較すると、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
○政府委員(入江誠一郎君) さよう御承知願ってけっこうです。
○永岡光治君 もう一つ人事院の方にお尋ねいたしますが、本日参議院の方で定員法の改正案が、わが党の熱心な反対にもかかわらず成立を見まして非常に不満でありますが、まだしかし残された問題が幾つかあるわけであります。従来から暫定手当を初めといたしまして、幾つかの手当についてこれを是正すべき要望が国会でなされておるわけであります。特に暫定手当については国会の意思として、早急になくす方向に進むべきであるという附帯決議が行なわれておるのでありますが、この暫定手当をどうするか、人事院の方でお考えがあったならば、またなくてはならないと思うのでありますが、見解をただしたいと思うのであります。
○政府委員(入江誠一郎君) 暫定手当につきましては、現在のところ、市町村合併に伴いまする不均衡是正につきまして、若干の手直しを勧告さしていただきたいと思っておりますが、その根本的なただいまの御指摘の問題につきましては、今後慎重に研究いたしたいと思っております。
○永岡光治君 慎重に検討されることもけっこうでありますが、もうこれはすでに昭和三十二年だと思うのでありますが、その後給与法の改正のときに、これは国会の意思が明確になっておるのでありますが、今日までそれが依然として結論が出ていないという点は非常に残念であります。いつごろを目途にして解決をはかろうといたしておりますか。
○政府委員(入江誠一郎君) この暫定手当につきまして本俸繰り入れという意味の御要望がございました。しかしながら、現在全国各市町村の中で暫定手当がついておりますものは、わずか三百前後の市町村にすぎません。それだけを本俸に繰り入れますると、他の公務員との給与の不均衡が生じまするし、さればと申して、その暫定手当の本俸への繰り入れのために、全国大多数の市町村の公務員の給与をそれだけ引き上げますることも、またいろいろ慎重に研究を要する点がございますので、いつまでにこの結論を出しまするということは、現在のところ申し上げかねますでございます。
○永岡光治君 目途を聞いているわけです。たとえば、三十六年度中に何とか結論を出せるように努力するとか、あるいは来年三月末になろうとか、いろいろあろうと思うのです。早急に、今いつやるということは答えられぬと言う。私は何月何日と日にちを切っているわけじゃない。大よその努力目標があってしかるべきだと思う。その努力目標を聞いているわけです。
○政府委員(入江誠一郎君) 御存じの通り、この問題は非常に困難な問題でありまして、なるべくすみやかに結論は出したいと思っておりまするけれども、明確な期日につきましてただいま申し上げかねる次第でございます。
○永岡光治君 この暫定手当はそんなにむずかしい問題じゃないですよ。何も慎重に一年間も二年間もかかるわけじゃないのです。今の池田総理の説明では、税の問題では一時間ぐらいあったらできる問題ですから、この暫定手当をどうするかということは、一年も二年もかかるわけじゃないのです。国会の意思を尊重して参りたいと、冒頭総理は国会の意思は尊重すると言って、一年たっても何をまごまごしているのだ、早急にこの態度をきめていただきたい。それから一部手直しをやるというが、いつごろやろうとされるのですか。
○政府委員(入江誠一郎君) 今年末になりまするか、あるいは来年早々になりまするか、とにかく来年度予算の編成に間に合いまするように勧告いたしたいと思っております。
○永岡光治君 そこで、一般公務員の糾与は一二・四%、平均いたしまして二千六百八十円改訂を見たわけであります。この給与の内容が上厚下薄であり、公務員の罷業権を奪ったその公務員に対する待遇の改善としてはきわめて不満である。いろいろ内閣委員会で問題になったでありましょうから、私は本予算委員会であえて触れようとはいたしませんが、しかし、一つだけただしておきたいのは、今も池田総理は絶えず法律に従え、こういうことを言っておりますが、相手には法律の順守を要求し、みずからは法律を順守しないという、こらいち精神を私はけしからぬと思うのでありますが、人事院の勧告に、明らかに五月一円の実施ということが妥当だ、適当だと、こういうことで勧告をしているわけでありますが、なぜこれをやらないのですか。私はこの点非常に遺憾に思うのであります。公務員に法律の順守を迫る政府として、当然これは人事院の勧告を尊重すべきであります。公務員はほかに手段がないのです。争議の手段も何もないのです。この人事院を唯一の頼りとしているわけですから、そういう非常に弱い立場に羅かれておる諸君についての勧告、唯一の勧告を完全に実施できないということはきわめて遺憾でありますから、なぜこれを実施できなかったのか。また、そういうことについては、あなたはどう考えているか、お答え願いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 人事院の勧告を尊重するということは、前の内閣以来のわれわれ気持で、常にそういうことに努力いたしておるのであります。しかるところ、今回の給与の改訂におきましては、非常に多頭の費用を要します。また、他の政府としてぜひ支出しなければならない費用も多いのであります。この際といたしましては、尊重はいたしまするが、全部それに乗っかつていけないということは、主として財政上の理由でございます。
○永岡光治君 財政上の理由という答弁でありますが、これは木村委員からも指摘されております。昨日の委員会で指摘されておりますように、やろうとする意思があれば、これはできないことはない全額であります、誠意さえあれば……。だから、政府が財政上の理由で尊重しないということになれば、公務員は生活上の理由で法律に従わないということにも通ずるわけでありますから、どうぞ一つそういうことのないように、ほかに手段のない公務員でありますから、しかも、低い勧告であります。絶えず論議されておりますように、上厚下薄だと、非常に気の毒な状態でありますからこれは一つぜひそういうことのないように、それではもちろん一年間待たされているわけでありますが、来年度その不足分ですね、手当なり何なりにおいて、予算が所得倍増、しかも来年は相当の税収もあるといわれているのでありますが、手当なり何なりの形において、これを一つ補うだけの誠意を持っているのかどうか、予算上の理由であるならば、予算に余裕を生じたならば、私はこれを補つてやるべきだと思うのであります。そういう考えがあるかないかお尋ねいたします。
○国務大臣(池田勇人君) 永岡さん御承知の通り、以前におきましても、人事院の勧告を尊重したいのでありますが、その通りにいかなかった場合もたびたびあるのでございます。そういう場合において、翌年度あるいは翌々年度でこれを埋めた例はございません。私は三十六年度の予算編成に当たりまして、人院の勧告を尊重し、尊重するためにあらかじめそれをとっておくという気持はございません。なお、必要な経費を盛りまして、そこに勧告を尊重するために過年度分の、それを過年度分のというのは語弊がございますが、このたび沿い得なかった点を三十六年度で盛るということにつきまして、私個人としては、大蔵大臣はどういうか知りませんが、私としてはその気持はあっても、実行はむずかしいと思います。
○永岡光治君 私は誠意があればやれると思うのであります。また、三十五年度というのは、来年の三月三十一日までですから、通常国会の会期中でもありますし、ほんとうに誠意をもってやるつもりならば、補正ということも考えられるわけでありますから、ぜひ一つ考慮していただきたいと思います。これ以上は追及いたしません。ただ指摘したいことは、政府は誠意を持ってないという結論になっている、気持はどうであれ、結果においてはそうなってないということを指摘したいのであります。 人事院にもう一つ聞きたいのでありますが、昨年の比較におきまして、年末手当が民間に比較いたしまして〇・二九開きがある、一般公務員と。そこで〇・一でいいんだ、こういう結論を出している。〇・二九の開きがあるのに、〇・一でいいという理由がどうもわからない。しかもその開きが昨年でありまして、おそらく今年のまあ池田さんの言われるだいぶ経済も上昇したということでありましょう。民間筋ではかなりなボーナスが出ているのであります。いよいよこれは開いていくと思います。どうしてあなた方は開きを縮めてあげないのですか。
○政府委員(入江誠一郎君) 臨時手当につきましても、大体において民間の臨時手当に合わすようにいたしておりますけれども、御存じの通り民間の臨時手当は、企業の状況でございますとか、経済の変動によりまして、その年その年の相当変動する可能性がございます。しかしながら、公務員の方はやはり何と申しましても固定性がございますので、その年その年に、民間の臨時手当の率そのものにぴったり合わすことも不適当な場合がございますので、今年におきましては、民間のただいまの御指摘の通り、三・一九に対して公務員を三カ月、こういう程度が適当というふうに考えましてさよう勧告いたした次第であります。
○永岡光治君 これは適当でない、開きがあることは適当でないのですから、これまた論争の対象になりますから私はあえて触れませんが、おそらく来年の四月あたりの比較では、相当の開きがあることを覚悟しなければならぬと思うのですが、その際には今回行なわれておりますよらな不誠意な態度を示さないように要望いたしておきます。 そこで、一般公務員の給与改訂が一二・四%、二千六百円という平均額になるわけでありますが、これは及ぼすところ、おそらくは今問題になっております三公社五現業の給与改訂にこれは触れてこようかと思うのでございますが、はたして一二・四%の引きしげになるかならないか別といたしまして、私は最終的には仲裁委員会の結論になりましょうとも、給与の引き上げが必至と見なければならぬと思うのでありますが、その際に一体政府はどうこれを予算に措置しようとしているのかお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、三公社五現業と申しましても、経理状態が皆違っておりますし、給与体系も違っておるという状態でございまして、たとえば四現業というようなものは今度のベース・アップになる前の一般公務長の給与とそう開いていない、少し高目であるという程度でございますし、それから郵政と三公社あたりは、一般公務員より少なくとも一〇%ぐらい高い、給与水準が高いというようなことになっておりまして、一律に来年度の予算編成でいろいろそこらを査定するということはむずかしい問題がございますし、また公社の現業関係の組合からはすでにいろいろな要求が出て団体交渉に入っておるところもございますので、これはまたこの結論を見ないと処置することがむずかしいというようないろいろの問題がございますので、私どもはいずれにしましても公務員の給与引き上げが三公社五現業にこれは影響するということはわかっておりますので、その辺は適当な、今後査定を行ないたいと考えております。
○永岡光治君 今の御答弁で明確になりましたことは、まあ影響して、引き上げがあることは覚悟しなければならぬし、その意味で予算を考えている、こういうことでありますが、そういう結論が得ればけっこうなのでありますが、問題は、私は、毎年心配することは、結論が出ますね、その前に、仲裁委員会に持ち込む前に、いつも紛争を一回起こさなければ結論が出ないようなことになる。予算がきめられる、きめられたあとで問題を持っていきます。そうすると仲裁委員会で結論が出る、仲裁委員会でベース・アップの勧告が出ると、予算上これはもう支出ができないからということでこれを拒否することになるわけです。それで紛争を、よけいに種をまいていくことになる、非常に不合理な状況である、これは公労法の欠点といえばそういうことになるわけであります。だから、今あなたがおっしゃるように、増額のことは覚悟しているというのであれば、そういうめんどうな手続は行なわれないで、紛争等は起きないで済むように私は一つ予算上十分考慮してもらいたいことを要望したいのですが、どうでしょうか、その点十分お考えいただけましょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 一般公務員と違いまして、三公社五現業の賃金のベース・アップ問題は、その手続も全く違っておりますので、また実態も違っておりますのでどれだけの、将来事が起こるか、団体交渉が起こるかというようなことを一々予想した予算の編成ということは、これはむずかしいと思いますが、しかし私どもは十分慎重な検討をするつもりであります。
○永岡光治君 そういうように対処するように十分一つ用意をもって予算の編成に当たっていただきたいということを言っているわけですが、私は決して無理を言っているわけじゃないのです。そういう用意を一つもって予算の編成に当たってもらいたい、こういうことを、要望しているのですが、それはよろしゅうございますね。
○国務大臣(水田三喜男君) それは予算の編成のときには、どうせ三公社五現業当局と私どもは十分協議し、検討して予算をきめることになっておりますから、そういう点を慎重にいたします。
○永岡光治君 次に、質問を、労働大臣の方にお尋ねいたしたいのでございますが、すでに衆議院の関係委員会におきまして多年の懸案になっておりますILO八十七号条約。それから最低賃金に附する労働条約、二十六号条約。それから強制労働禁止の条約、百五号条約でありますが、この三条約について政府はどのように対処しようとしているのか。特に八院七号条約については、従来しばしば国会に提出をすると言明され、すでにこの前の通常国会に出ているのでありますけれども、提案されると思うのでありますが、百五号条約は、たしか今の労働大臣が前の労働大臣をやっていた当時に、私の質問と私は記憶しているわけですが、百五号条約は批准いたしますという実は言明をいただいておるのでございますが、当然これは批准をするものと思うのでございますが、どのような進行過程になっておるか、どういうふうに措置されるか、あなたの所信をただしたいと思っております。
○国務大臣(石田博英君) 八十七号条約につきましては、今お話のように、前国会に提出をいたしたのでありますが、前国会の状況が御存じの通りでございましたので成立を見なかったのでございます。従って、当然通常国会に提出をいたします。 それから最低賃金に関する二十六品号の条約は、現在実施いたしておりまする最低賃金法が、この条約に合致するよう立案をいたしたものでございますので、諸般の準備を整えました上、これも通常国会に提出いたしたいと存じております。 それから百五号条約につきましては、これは永岡さんちょっと御記憶違いじゃないかと思いますが、私はこの条約の批准に努力をいたしたいと思うのでありますが、条約中字句の解釈その他について不明確な点がございますので、それは一九六一年からこの条約を批准いたしました各国の報告等がILOに集まって参ります。それらの報告等を見まして、こちらの不明確な字句等についてこれを明らかにいたしました上で処理をいたしたい、こう考えておるのでありまして、前に私が労働大臣をいたしておりましたときも同様の答弁をいたしたつもりでおります。
○永岡光治君 ここでまあ過去の言明の、言質の問題をとやかく言っても始まりませんので、私はます八十七号条約から触れてみたいと思っておりますが、今の御答弁によりますと、この通常国会に出す時期は、大体いつごろでございますか。
○国務大臣(石田博英君) できるだけすみやかに提出いたしたいと思っております。できるだけすみやかということは、再開間もないときに提出をいたしたいということであります。
○永岡光治君 そういたしますと、この前の国会では、特に関係法規の整備というようなことで、労働法、特に公労法の改悪をあわせて提出をされたわけでありますが、今回も全く同じような実は建前で法律の改正をやるのか、それとも公労法の改正についてはさらにいろいろな方面の要望もあるのでありますから、それを聞いた上で再検討したいという考えを持っておるのか、その点をお尋ねいたしたい。
○国務大臣(石田博英君) 私は八十七号条約の批准は、現在公労法と一般関係の労組法、その他との、法の建前、植木をできるだけ早く一致させたい、そういう意味で前に労働省におりましたときに批准をいたしたいということを言明したのであります。前国会に提出されました政府案及びそれと関係する関係法案の状態については、ただいま私自身検討を加えたい、提出までに検討を加えたいと思って、私は私の責任において提出をいたしたい、こう考えておりますので、そのままであるか、あるいはどうするかということは、目下、私の自分の責任において検討を加えつつある段階でございます。従って、その段階でございますから、各方面の御意見をもちろん誠意をもってお聞きいたすつもりでございます。
○永岡光治君 本来ならば八十七号条約は早く批准しておいて、もしかりに労働法の整備の必要があるとするならば、その後におやりになってもちっとも差しつかえない問題だと考えるのであります。ところが、どうも一緒に出すとなると、この条約は批准する、そのかわりこれだけはお前たち押えつけるぞということがしばしば行なわれて悪い印象を一般労働者は受けているわけであります。どうぞ一つそういうことのないように、検討にあたりましては、十分一つ意向を聞いてもらいたいと思うのであります。こいねがわくは、その検討が間に合わなければ、若干の時間をとるとするならば、批准の方を一つ早く出してもらいたい、こういうことを要望しておきます。 次に二十六号条約でありますが、この通常国会中に提出をしたい、したいのですか、もう大体できると解釈して間違いございませんか。
○国務大臣(石田博英君) 根拠のない希望は申し述べるつもりはございませんので、提出をいたすつもりで準備をいたしているわけであります。
○永岡光治君 それでは百五号条約の問題でありますが、六一年各国の報告を見て政府の態度をきめる、こういうことでありますが、報告を見なければならないという、支障になっているという大きな問題で、一番心配されていることは何なのか。
○国務大臣(石田博英君) これは法制局にもいろいろ見解があると思いますし、それからもっと冒頭に申し上げるべきことでありますが、条約の批准は、節一義的には外務大臣の所管でありますので、私がとやかくやることはちょっと筋違いなんでありますが、便宜上お答えいたします。法制局等の意見をまだ正確に承っておりませんが、あの中にある強制労働という言葉と、わが国現行法との関係であります。私の心配をいたしております明確にしたいと思いますことは。
○永岡光治君 この問題も一つ早く批准するように、最大の御努力を願いたいと思うのであります。 次に、私は離職対策の問題について若干お尋いたします。炭鉱労働者の離職対策、駐留軍の離職対策、緊急の問題でありますが、その前に一つお尋ねいたしておきたいのですが、これは防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、ドル防衛の影響として、駐留軍労務者の就職状況ですね、どういうふうに影響を及ぼすのか。
○国務大臣(石田博英君) 私がお答えしてよろしゅうございますか。
○永岡光治君 どちらでもけっこうです。
○国務大臣(石田博英君) 本年十月現在におきまして間接の労務者が五万九千三百名と思っております。それから直用労務者が一万五千名、それから特需関係四工場の従業員が七千七百名、合計八万二千名でありますが、この八万二千名につきまして、明年の三月までに大体六千名ぐらいの離職者が出るのではなかろうか、こう考えております。もっともその中の特需関係につきましては、一工場が明年三月で契約が切れます。それからなおもう一工場は、明年の九月まで契約がございますが、残った二つの工場が明年六月で契約が切れるわけでございます。その契約更改期に、問題が発生するのではなかろうかと考えているわけでありますが、現在外務省、調達庁等を通じまして、米軍側との接触に努めて、できるだけ確実な予想数をつかみたいと考えている次第であります。で、それにつきまして現在特定地域については広域職業紹介等をいたしておるわけでありますが、それに対してとりましたこまかい数字は、離職対策の就職数、その他のこまかい数字がお入り用でございましたら、安定局長からお答え申し上げたいと存じます。御承知の駐留軍関係離職者等臨時措置法によりまして、自営業に対する援助、あるいは政府関係機関の金融の援助、あるいは職業紹介、職業の訓練、さらに企業内の職業の訓練等を実施いたしておる次第でございます。
○永岡光治君 ちょっと質問が前に戻りましたけれども、防衛庁長官にお尋ねいたしますが、調達庁長官見えておりませんから、主管大臣としてあなたにお尋ねするわけであります。公務員のベース・アップに伴いまして、駐留軍労務者の給与の引き上げについて、どのような措置を講じておるのかお尋ねいたします。
○国務大臣(西村直己君) 駐留軍の労務者のうち、政府の関係いたしますのは間接雇用労務者でございます。それに対しましては、御承知の通り、国家公務員とかその他の公務員のベース・アップに準じて扱うということが米軍との問に従来から行なわれ、またそれは両方の間で確認をされております。従って、現在これに対する折衝を政府としては強い態度でもって米代表当局と折衝中でございます。
○永岡光治君 見通しはどうでございますか。
○国務大臣(西村直己君) 永岡さんも御承知の通り、その岡におきまして、現在一、二回のスト等も組合の間には行なわれておりまして、有給休暇買い上げ制度の廃止等、こういうようなことが一部言われたために、そういう点は非常に駐留軍労務者、雇用者に対して気の毒なことでありますので、これは折衝の結果、米当局の方におきましても譲歩された段階であります。さらにベースのアップの率、あるいは実施時期等細部にわたりまして、これは雇用労務者の立場、利害というものを十分考慮して、調達庁長官の手元において強い折衝を行なっておる段階であります。なお、見通しといたしましては、おそらく私は、それは妥当なる線において落ちつき得ると、こういうふうな考え方であります。
○永岡光治君 労働大臣にお尋ねいたしますが、ドル防衛の影響もかなりあるようでございまして炭鉱労務者の失業問題と合わせまして、この離職者の対策は、当面の緊急の課題の一つだと私は考えております。そこで、特に炭鉱離職者の問題について、御承知の通り、離職者はかなり年配の人が多いのでございます。それを急にどこへ持っていくということも、これはなかなか容易な問題でもありませんし、かつまた、家庭を持っておる方も、しかも居住を持って、その地域に相当数おいでになるわけであります。それを移動させるにつきましても、これまた相当な困難な状況を私は伴って参ろうかと思いますから、所得倍増の問題と関連をいたしまして、地域の格差を縮めようという政府の政策も伺っておりますので、この際特に考慮していただきたいことは、そういう集団の地域に一つの企業を持ってきていただいて、住宅もそれで解決するわけであります。従いまして、そういうような企業をその地域に何とか持ってくるような方策も特に考えていいのじゃないかと思いますが、これは政府全般の問題になろうかとも思いますけれども、通産省関係にもまた関係が深いものであろうと思いますが、特にこれは私は失業対策、離職者の対策として労働大臣が一番積極的にこれを行なってもらわなければ因りますというような建前でお尋ねするわけでありますが、私のこのような意見が入れられてしかるべきだと思いますが、どういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(石田博英君) 御指摘のように、駐留軍離職者及び炭鉱離職者は、中産年層の人が非常に多いということに大きな問題がございます。それから、従って、新しい労働力の需要地に移動させるように、あるいは本年度予算のやりくりによりまして、名古屋に六棟、大阪に一棟、神戸に一棟、労働者移動用の今アパートを建設中でございますし、パイプハウス等、鋭意努力を払っております。そのほかに、現在の石炭離職者援護会の運営、特に住宅関係の運営について改善を目下加えつつあるわけでございますが、さらに、諸般の政策を講じました上でも、なお、地域的な定着性と申しますか、そういうものも否定できませんし、なお、労働者諸君の移動用の住宅の建設と申しましても、数量的に一ぺんにたくさん建設することがむずかしいというような事情もございます。従って、特に北九州のごとき地域につきましては、不況地帯に対する特殊の振興対策というようなもの、工場の誘致というようなものが必要であろうと存じているのてありまして、閣議においても関係各省に実は要望をいたし、それに必要な産業条件の整備等に御協力をお願いいたしているわけでありまして、御指摘のように、非常に地理的な、地域的なアンバランスが激しいので、この地域的なアンバランスを品定正いたしますために、不況地域に対する特定の施策を私どもは必要と考え、関係各省に連絡し、その実現に、労働省が中心となって、というと語弊がございますけれども、なお格段の努力をいたすつもりでございます。
○永岡光治君 この企業の分散については、特に離職者を中心に一つ特段の御配慮を願いたいのですが、もう一つ労働大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、中年以上の離職者の雇用対策、具体的にどのようなお考えをお持ちでございますか。
○国務大臣(石田博英君) ます、中年、高年層の人たちで十分にたえられる職種の調査選定に目下差手をいたしております。これは労働省だけではなく、経営者団体等の協力を得ましてそういう職種を調査し、その職種をお世話をするということを中心にいたしているのでありますが、その背景には、やはり日本の独特の賃金体系、年功序列型とでも申しますか、そういう賃金体系の存在の問題がやはり強くあるように思うのでありまして、この賃金体系についての研究調査も目下いたしているわけであります。しかし、なかなか、新規学校卒業者は非常に就職率がいいばかりでなく、むしろ五十数万人不足いたしているのに、中高年層は御指摘のような状態であります。従って、いろいろな行政指導で効果が大きく上がらない場合におきましては、必要とあらば、身体障害者等にとっているような施策も行なわなければならないのではないか、そういうところまで目下考えている次第であります。
○永岡光治君 この離職対策のために促進事業団が作られることになったのでありますが、この点について、石炭、駐留軍、この関係のみの専門の、それを全く専門に、例外は、若干ほかのものを入れてもけっこうでありましょうが、これを主にした専門の事業団、そういうものを考えておいでになるのか、それとも離職者全般について促進事業団を作ろうとしているのか、それを一つお考えを承りたい。
○国務大臣(石田博英君) ただいま私ども考えておりまする雇用促進事業団の中には、石炭も駐留軍も内包される構想であります。しかし、この二つは非常に集約的に出て参りますし、問題が重要でございますので、その事業団運営に当たっては、特別のセクションを設けて、これを特に重点を置いて取り計らいたい、こう考えている次第であります。
○委員長(館哲二君) 永岡委員に申し上げますが、持ち時制が終了したことを御承知願います。
○永岡光治君 最後に質問だけして、これで終わります。 そこで、時間がないから非常に残念でございますが、二つだけ質問をいたしまして、政府の関係大臣からお答えいただきたいと思うのです。 一つは、先ほどの私の前の向井君の質問の中で出ておったわけでございますが、後進地域である九州関係の電気料金の値上げの問題かやかましい問題になっておりまして、先般、私たちもその引き上げについて地元から強い反対があることを知りまして、いろいろ通産省関係の関係者の意見も聞いてみたのでありますが、どうやらこれは残念ながら引き上げになる。不幸にしてそういうおそれが濃厚になって参りましたので、そういうことのないようにしてもらいたい、こういう建前からお尋ねするわけでありますが、大へん九州の方の電気料金は非常に高いのでございまして、今度、この引き上げがかりに要求通り行なわれるということになりますれば、メーターを使用しておる各家庭では六割の値上げ率になるわけであります。こういう料金の値上げは、ひっきょうするところ、後進地域の開発をおくらせることになるわけでありまして、そういう意味から料金の値上げはこれを一つやめて、許可を一つやめてもらいたい。しかしながら、それと同時に根本的なこの解決をはからなければならぬのでありまして、この問題については先ほどのお答の中にも明確になって参りましたが、地域的にアンバランスが非常に強うございまして、しかも九州あたりでは重油をたいた方がコストとしては安くあがるわけでありますが、石炭採炭地域を控えておりますためにそれもどうも思わしくないということで、石炭をこれは通産省関係によく聞きますと、やはり燃料として使わせるように指導したい、こういうことになっております。そうなりますと、後進地域はこの石炭と心中しなければならぬというような事態まで起きて参るわけであります。そうしますと、自然、これは先ほど総理の答弁では、これはそういう考えは持つでいないけれども十分検討したいという意向ではございましたけれども、電力の九分割そのものに実は問題があるわけであります。 そこで、重ねてお尋ねするわけでありますが、この九分割の統合が——もとに返るようなことにならないとするならば、各地域差の料金をどう埋め合わしていくのか。高いところをどう救済していくのか。たとえば一つの法としては、最低の料金をもとにしてそれを出たものについては政府の何か特別な補助金だとか、これは私も思いつきでありますからいい悪いはさきに検討しなければならぬのでありますが、そういう高いところについてはどういうような方法でこれを利用する需用民の負担を軽減していくということにするのか、その見解を承りたい。これが一つ。 それからもう一つは、今日の大都市の交通難というのは、交通量の激増に伴いまして非常な波乱を来たしております。このまま参りますれば、おそらく私は東京はあと五、六年のうちにパンクするようなことにもなりかねないと思うのでありますが、従いまして大きな見地から、しかも人口の都市集中を解決する一つの方策、あるいは産業推進までこれは発展して参るかもしれませんけれども、地域経済格差を縮めるという問題ともあわしまして、経済の分布、人口の分布あるいは都市に集中している大学等の学校の分布とか、そういう問題について根本的な都市計画を行なうべきではないかと思うのであります。これは首都圏整備委員会等で論議されておるやには承っておりますが、このままの機構ではこれは問題になりませんし、もう早急の問題であります。しかも、四年後には、オリンピックを招こうという政府のこの態度でありますが、これではとてもではありませんが、私は招いてはたして消化できるかどうかも疑問を抱くものの一人でありますが、こういう根本的な交通難解消を含めました都市計画を、どういう形で調査をし、実行する決意を持っておいでになるのか。ただ単に、十分検討するというのでなく、一つ、政府のはっきしりした見解を承りたいと思うのであります。 以上二点で私の質問を終わります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 第一点について私からお答えを申し上げます。地方によって料金差がありますことは先ほどもお話した通りでありまして、やむを得ざる現状でございますけれども、大体傾向といたしまして、水力は相当補償等の関係で高くつく。それから、向くついたと言われている火力発電についてでありますが、これがいわゆる新鋭火力という名をもって言われておりますが、この建設関係が割合に安くなりつつあるといったようなことで、自然地域差が縮小されつつあるのが最近の傾向でございます。なお、指導上、十分にこの差を縮小いたしまするように丁心を加えるよう考究してみたいと考えておる次第であります。
○国務大臣(中村梅吉君) 現在進めております首都圏整備は、ただいま御指摘のような点にかんがみまして、先年も工業等制限に関する立法をお願いいたしまして、工業あるいは学校施設、一定規模以上のものは既成市街地には新設を許さないという制限措置を講じまして、かたがた衛星都市の建設をいたしまして、そちらに工業用地あるいは住宅、教育施設等を整備いたしましてできるだけその方面に衛星都市を建設して、いろいろ東京に過度の集中をいたしまする事業及び人口を吸収いたしたい、かような方向に向かいまして目下進行いたしておるのでございますが、他の地域につきましても御同様のことが御指摘の通り言えると思うのであります。 かような点にかんがみまして、建設当局といたしましては、広域郡市建設という構想を目下考えまして実は検討いたしている次第でございます。できるだけ産業の立地条件を見まして全国的な分布をはかるということと、同時に、一部分の都市に過度の人口集中を排除する努力を進めて参りたいと思っております。ただ、なかなか、抜本的な措置を講ずればいいに間違いないのでありますが、この抜本的措置につきましてはなかなかいろいろな障害もございますから、慎重に検討して参りませぬと、ただ口頭禅のようなことに終わってもならないと思います。十分、一つわれわれといたしましては深い関心を持っておる問題でございますから、今後とも努力をいたしたいと思っております。 —————————————
○委員長(館哲二君) 米田正文君。
○米田正文君 私は、所得倍増計画の裏づけともいうべき公共投資についてお尋ねをいたしたいと思います。 いわゆる所得倍増計画の基本的な政策としては、あくまて自由企業態勢を前提としているものでございますから、政府の計画とはいいながら、国民の経済活動を誘導助成するという形になるものでございましょう。総理はこれを、そういう雰囲気を作るのだというようなことを言われたと思うのですが、そういう形で今後進められていくものだと思います。で、所得倍増計画の達成についは十年以内でやるということは私はさほど困難なことではない。過去の経済成長の実績を振り返ってみましても、最近十カ年足らずで倍増しておりますので、私は倍増そのものよりも、この計画は長期的な見通しを持つということ、その内容においていろいろございますが、地域較差を解消するという問題は、産業の二重構造の改善をやっていくというような問題、いわゆる平均化政策に重要な意義があるものと思います。そうしてこれらの重要な政策が実現するように政府が誘導を行なっていくということでございましょう。しかしながら、誘導と申しましてもこの計画の立場が政府が直接に実現手段を持っておるものがございます。すなわち政府のやるべき責任のある公共部門の投資、言いかえれば公共投資でございます。これだけは政府が自分で計画を立てられるのであり、かつ、その実行ができるのでございますから、確実にしかも経済の成長に先行的に実行をして、いわゆる民業の誘導の骨格にする必要があると思うのでございます。たとえば倍増計画のしから見ましても、工業の地方分散をやると申しましても、まずそれらの工場の立地条件の整備を、いろいろ問題ございますが、そういう施設を整備して参らなければならない。また、工業の近代化をはかると申しましてもその基本になる施設としては、水利施設等のいわゆる基礎をまず整備をして参らなければならない。すなわちこういう公共施設、道路、港湾、農林水産施設、住宅、環境衛生、厚生福祉施設、治山治水、災害復旧または文教施設等の諸事業を政府の責任において、所得倍増政策の推進のために先行をさせなければならぬと思うのでございますが、今後十年間にその総投資額はどの程度の規模のものでございますか。また、その規模をはじき出す算定の根拠はどういうお考えで出されるのか。これはその作業を担当されておる経済企画庁の長官にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) 先般経済審議会から答申をしましたその所得倍増計画によりますというと、冬小委員会別にいろいろ専門家が集まりまして検討したのでありますが、行政投資の総額は十六兆一千三百億円、こういう計算になっております。これが最小限度の数字で、これだけの投資をすることによって所得倍増の基盤を作る。こういう趣旨になっております。
○米田正文君 試算でございましょうが、十六兆一千三百億というそれを出した考え方ですね、あるいは根拠と言いましょうか、お話をお伺いをいたしたいと思う。
○国務大臣(迫水久常君) 経済審議会では十七の小委員会に分かれておりまして、それぞれの立場から専門家が寄って算出したものの総合計の数字がただいま申し上げた数字でございまして、従いまして、の部門別の算出の基準というものを、ちょっと私今ここで簡単にお話をする用意がありません。
○米田正文君 私は従来の実績から見て、企画庁がおあげになったのは、多分財政全体から見た財政規模の中から幾ら程度は出せるじゃないか、公共投資に幾ら向けられるかというような考え方が基本になって出てきているのではないかと思いますが。
○国務大臣(迫水久常君) それはそうではなくて、大体積み上げていった方が分量が多いと思います。あるいはそういうところもあるかもしれませんけれども、大体積み上げていった集積がそういうことになっていると理解しております。
○米田正文君 その辺は非常に重大なところでございまして、私はまあいずれにしても、両方から児なければならぬと思います。積み上げからきたものと、財政規模から見たものと、両方からで適当なところを決定していくというような方法をとらざるを得ないと思うのですが、しかし、少なくとも当初においては、今お話のように、積み上げ方式と申しましょうか、いろいろのたくさんの公共事業が中に含まれているわけですから、そういうものの長期計画を立てられて、しかもそれか総合的に行われるという前提の上に立った積み上げをぜひお願いいたしたいと思います。金が幾らかかるかということは、そのあとで見るというような方法をぜひおとりを願いたいという趣旨で申し上げたのです。で、戦後のわが国の経済成長は、世界的にも驚異に値するものでございまして、これは戦後の国民の非常な努力と、政府の施策のよろしきを得たものであると思いますが、また一面、公共施設、すなわち公共資本の、社会資本とも近ごろ言っておりますが、社会資本の食いつぶしによって行なわれているということも言われております。たとえば道路を一例にとりましても、全国至るところ、すでに交通能力の限界をはるかにこえまして、混乱を起こしている東京の状態は、それを端的に現わしているものだと思いますが、今日全国に三百万台に及ぶ自動車が、非常に狭いかつ舗装のない道路をむちゃくちゃに走り回っているということでございまして、いわゆる道路の能力の限界以上を使っている、それが私たちの今の表現では食いつぶしと言っておりますが、能力以上のものを使っている。しかもそのために、そういう施設が非常に掛傷をひどくするという趣旨で言っているわけです。なお、港湾にいたしましても、港湾内の荷役ができない、そのために大型の外国船が港外で停泊して時間を空費しているというような問題、あるいは産業振興のための工場設置の問題にいたしましても、工場用地はできるだけ、もう今までのものは全部用地を使い切っている、もう新しい用地を探そうにも土地がない、これはひとり工場のみならず、住宅においてもそうですが、もう土地がないというふうになってきております。それが非常に地価の暴騰を招来しているとも言えるのでございます。あるいは工場用地がかりに整備できても、今度は工場用水がないというように、あらゆる面で産業経済の発展を阻止する要因が続出しているということは御承知の通りでございます。従って、今後の公共投資は、所得倍増計画に即応して、国土計画的に、あるいは地方計画的に、総合品計画を立てて、しかも産業の振興に先行してこれを実施推進をしなければならぬのでございまして、総理は国土総合計画の必要性については自分もそう思うということをおっしゃられた答弁もお聞きをいたしました。十分な認識を持っておられることであると思いますが、これを実行するためには、私は綿密な具体計画のもとに、しかも強力た事業推進の決意をされる、しかもその所要財源については、財政的な考え方と、今のお話のように、考え方からでなくて、事業の必要性から、十分な措置をとることが必要であると思うのでございますが、総理の決意の再確認をいたしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) お話の点全く同感でございます。普通の考え方であっては、この国土総合開発、また、広い意味の国土、あるいは局部的に見れば地方の開発、なかなかよほどの決意を持ってやらなければできることではございません。しかし、これはぜひともやらなければならぬことでございますので、私は渾身の努力をそれにささげたいと思っております。
○米田正文君 総理の強い御決意をお聞きいたして非常に安心をいたしました。国土の総合開発は、現在の制度におきましては、昭和二十五年に制定をされました国土総合開発法によって立案をされておるのは御承知の通りでございますが、この開発法によりますと、立案しなければならぬものが四つございまして、第一に全国総合開発計画、第二が都道府県開発計画、第三が地方開発計画、第四が特定地域計画でございます。この計画はそれぞれ立てなければならぬのですが、ちょっとこの地方計画というのがあいまいでございますから、これは法律でもちゃんと定義をしてありますが、地方計画というのは数府県にわたる計画のことをさしております。特定地域は、これは総理の指定する区域ということになっております。こういう四つの開発計画を立てることになっておりますが、現在のところでは、この計画のうちでできておりますものは、いわゆる特定地域計画という、今四つ申し上げました一番最後の計画であります特定地域の総合開発計画というものが立てられております。これはたしか昭和二十八年以来ずっと各地区のものが立てられてきておりまして、そうしてそれがみんなでき上がりますと、閣議決定をすることになっております。それが現在のところ、全部で二十一の計画が、今日閣議決定をされ、その線に沿って各地区の統合開発が進められておる。その総額は九千九百五十一億に及んでおります。しかもそれが相当な進捗を見せておりまして、本年度までに令投資額はそのうち八千十二億、進捗率にいたしますと八〇・五%進んでおるのでございます。ここで問題になりますのは、この二十一地区の計画の問題でございますが、すなわち今度のいわゆる所得倍増計画には、これは実は関係のない——関係のないというと語弊がございますが、まだそういう考え方のない時代の計画でございます。特に初めのころの東北等の計画の考え方の基本をなしておりましたものは、その当時は食糧増産というようなものが中心をなしておりました。で、今日の状態と非常に変わっております。今日、産業工場の分散をやろうというような考え方と相当に違ってきておるのでございますが、これらの計画はもう相当に進捗をいたしましたし、かつは今日の情勢としては、この計画必ずしも適当でございませんので、私は、これは再検討の時期に来ておる、あるいは再計画の時期に来ておると思うのですが、企画庁長官の御所見をお伺いいたしたい。
○国務大臣(迫水久常君) 国土総合開発法の運用につきましては、まことに申しわけない次第でございますが、従来その第一の眼目である総合開発計画というものができておらないことは事実でありまして、できておりまする特定地域の計画、それは二十二の特定地域が指定されましたが、対馬地域を除きましてあと二十一地域についてちょうど閣議決定になっておりますが、それはただいま米田さんのおっしゃった通り、戦後のいわゆる食糧難時代、食糧難の解決とかあるいは電力不足あるいは災害防除というようなことが主たる観点になっておりまして、所得倍増計画とは必ずしも一致をしない部分があること御指摘の通りでございますので、経済企画庁では早急に国土総合開発計画を立案すべく目下着手をいたしまして、国土総合開発審議会に諮問をいたしておりまして、できるだけ早い時期に成案を得たい、その上でこの地域の計画も再検討をして、これに符合するようなものにしていきたい、こう考えております。
○米田正文君 今の特定地域の計画以外のものはできておらないのでございますが、各地方においては、それだけの計画では満足をしないで、各地方でそれぞれの地元の各府県が寄り合って、いわゆるブロック別に地方計画を立てようじゃないかというような傾向が強くなって参りました。地元地方公共団体の要望に基づいて地方開発促進法という特別立法がたくさん出て参りました。古くからは昭和二十五年の北海道開発法、それから首都圏整備法もこれに属すると思いますが、それから東北開発促進法、九州地方開発促進法、四国地方開発促進法というものが出、さらに本国会では、中国地方開発促進法、北陸地方開発促進法が提案をされることになって、これも多分きょうあたり議決をされることだと思いますが、これらの一連の諸法案は、その内容においては、審議会の設置、それから開発計画の策定の問題、あるいは開発計画実施に要する資金確保の問題等について決定をいたしておるものでございます。内容は非常に簡単でございますが、これらの開発促進法は、国土総合開発法にいういわゆる地方計画に相当するものでございます。こういうふうに続々と地方開発促進法が出て参ったのでございます。で、当初は特別な地域、東北なら東北だけのつもりでやっておったものが、だんだんとこれが全国的にふえてきたという現実でございます。しかし、それなりに私は地方計画というものが非常に重要だ、各地方の要望が非常に強いということが、その根本にあると思うのでございます。で、すでにそういうふうに出て参りましたので、全国で今残っておる地域は、近畿の地方と中部の地方でございます。で、この二つだけが地方計画ができておらぬというのであって、あとはもう大体できたか、あるいはこれから作ろうといたしております。この際、この残っておる二地区の開発促進法を制定すれば、全国的に、これは一応促進法の形ですけれども、実際は地方計画が完成することになるのではないかとすら私は考えておるのでございます。あんなものがどんどんできて困るという考え方をむしろ捨てて、この際、あれを地方計画とみなすというようにすれば、私は非常な意義があるという感じがいたしておるのでございますが、あとの二地区だけはこれはどうお取り扱いになるつもりですか。私はこの際この二地区もいっそのこと促進法を作ったらどうかと、こう思うのであります。あるいは、このまま残しておかれるのか、地元の要望にまかされておるのか、これも企画庁長官の御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) 少し率直過ぎる御答弁かもしれませんが、ああいう地方開発促進法ができましたのは、全国総合開発計画ができないで、総合開発法がはっきり働かずにもたもたしておった点もあるでしょうし、同時に、補助率の問題なんかというのはかなり有力なる動因ではなかろうかと私は考えておるのでありますから、従いまして、残った二地区につきましては、現在国土総合開発計画を立てますと同時に、この補助率の問題なんかにつきましても、総合的な一本の法律といいますか、そういう処置をとった方がいいのじゃないかとも考えてそれを研究中でございます。
○米田正文君 いだいまのお話のように、国土総合開発法による全国総合開発計画、都道府県開発計画、地方計画が今日までできておらぬのでございますが、特にそのうちでも私は、全国総合開発計画の必要が目前に迫まっておる。これは今御答弁の中で長官から総合開発計画を進めるとおっしゃられておったのは、あれは全国総合開発計画のことだと思うのですが、それが非常に必要になってきている。いわゆる今度の経済長期計画に見合う各地方の計画を立てるにはどうしても全国総合開発計画というものが要るわけだと思うのです。で、それは、今おっしゃられておる趣旨は、おそらくこういうことだと思うのですが、この全国総合開発計画は、それが作成されたあとはこれを都道府県総合開発計画、地方総合開発計画及び特定地域総合開発計画の基本とするものとするというように書いてあるわけであります。で、実は、今できておる特定地域総合計画なるものは、その基本がなくてできておるわけなのです。で、ほんとうをいうと、この基本ができないでこれができるのはおかしいのです。特定地域の計画ができるのはおかしいのですが、まあ非常にむずかしい問題でございますから、研究に時間をとっておると思うのです。いわゆる国土計画でございますから非常にむずかしい問題で、終戦後のあの情勢でなかなかできなかったのだと思うのです。けれども、もう今日長期経済計画を立てる以上、この際早急にこの計画を立てる必要があり、しかも、あまり精密なものは今でも私はなかなか困難だと思うのです。で、あまり精密なものよりも大きい目標だけを示す意味においても、骨格のようなものを作る必要があると思うのでございます。これはまあ企画庁長官も今おっしゃられておって、これは大いにやろうと、今急いでやりたいというようにお聞きをいたしましたが、これについて私は、ほんとうに学識経験のある人を集めて、早急におやりを願いたいと思っておるのでございます。で、これは私は、そういう全国的な総合計画が、全国計画ができますと基本ができ上がりますからして、あらゆるこれからの公共事業の、公共投資の筋が決定をしてくるので、これを期待しているわけでございます。今申し上げましたような全国計画から特定地域計画に至たりますまでのもの、いわゆる一般地域、平面的な一つの計画、プランでございますが、こういう今の動きのほかに最近は資源の機能と申しましょうか、そういうものを中心にした構想が出て参っております。そういうものがクローズ・アップされておるのでございます。一例をとりますならば、前国会で審議未了になりましたが、例の臨海地域開発促進法というようなものは、これは権限が各省にまたがっているものを一つにまとめていこうというものであります。あるいは、目下考慮されている、研究されていると思うのですが、工業地帯開発促進法、これも権限は各省に関連を持つものであって、それを一本にまとめるという考え方のもので、いわゆる機能中心の開発をやっていこうというような動きが出てきているのでございます。これはそれの理由を考えてみますと、今までの地方開発促進法的なものは、単にその計画立案を企画庁が引き受けられて企画庁で計画を立てて、そうして各その事業の実施は各省に従来通りまかして、従来通りの所管でやっております。企画庁は調整費というものを数億円は持っておって、それで調整をするという建前だけのものであります。で、そういうような単に企画庁が計画、プランの作成をつかさどっているというのも、実施が各省にまたがっているというようなことでその辺に非常な不便があるというような考え方が強くなってきて、その計画の立案から実施までを一元的にできればやりたいという考え方が出てきておる一つの現われだと、私はそういうふうに見ておるのであります。で、いわゆる実施の統一までの推進が今までの方法では非常にむずかしい、阻害されているので、その現状打開としていろいろ資源の機能中心的な開発計画というものが現われてきているのだと、私はそういうふうに見ております。これも私は今後の非常に重要な問題だと思うのです。今までは、平たくいえば横割り的と申しますか、横だったものを今度は縦の筋で一つまとめて計画を進めるという考え方でございます。私はそういう考え方もまた一つ必要になってくると思うのです。最近問題になってこようとしているものは、例の水資源開発の問題であります。これは建設省では水資源開発公団というものを考えている、農林省は水利開発管理公団というものを考えている、通産省は工業用水公団、厚生省が水道用水公団というように、各省が水資源を通じてそれぞれの省の中において計画から実施まで一元化するような方法を考えようという考え方の一つの現われでございます。私はそういう考え方は非常にいいと思うのですけれども、これは今の形において、そういうものを作ろうとするとなかなか摩擦がございます。もちろん私は、ある程度の摩擦があっても、これを克服してやる必要のあるものは大いにやるべしだと思うのです。また、やらなければならぬとも思うのですけれども、しかし、そういうものを一つ作っていこうとするたびごとに、各省権限の調整は非常に困難をきわめておりますというようなことでは、総理の言われておるこれからの所得倍増計画に伴う公共投資というものが行なわれることは非常にむずかしいのじゃないか、スムーズになかなかいかぬ。しかも、効率的になかなか運営ができぬじゃないかという気が非常にいたしております。現在の事業においてもいろいろな問題があって、最近の災害等を中心にして、海岸地帯の管理の問題、その事業所管が各省に分かれておる、そのために非常に現地の人が困っておる実情、あるいは下水行政の例をとりましても、下水のパイプまでは建設省ですが、その下の方の下水処理場はこれは厚生省に属しておるというようなことで、一つの行政が事業計画的に見て一体であるべきものが各省に分かれておるような、こういう現状の段階の問題でございますが、そういうような各省権限に災いされて事業の進捗がおくれるということのないような措置を考える必要がある。で、私はこの際、機構改革を行なってそうして公共事業を全部担当する公共事業省と申しましょうか、あるいは以前いわれておりました国土省と申しましょうか、そういう国土省の設置というようなものをこの際断行をして、そうして強力に事業推進をする、それでしかも、効率的な事業推進をしていくというお考えはどうであるか。たとえば、道路、河川、海岸、都市あるいは上下水道、住宅建築、農地の開発、治山治水、港湾、漁港、電力開発、いわゆる建設省、農林省、運輸省、厚生省、通産省に属しておるこれらの問題を一元化して、そうして国土省というようなものに一本にまとめて、そうして強力に推進をするという機構改革をお考えになる時期ではないかと思うのですが、これは各省の大臣に聞いてもなかなかむずかしい問題ですから、総理に一つお考えを願いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 建設と申しますか、作り上げるという問題につきましては、一元的の方がいいのでありますが、でき上がったものの運営その他と関連する面がございますので、私はなかなかそういうことは理想としては今直ちにどうこうということはできないと思います。お話のような点は、建設ばかりではない、たとえば港湾の運営にいたしましても、水上警察とか、あるいは検疫とか、あるいは防疫、それから船舶等々、いろいろなものがごちゃごちゃになっている。戦後におきましては、戦前以上に多岐多端にわたっております。これらも問題でございまして、私は今後検討はいたしたいと思いまするが、ただ、そういう建設の中におきまして水の行政というふうなものは、私は、今後は一元的にやらなければいかぬ。特定の目的のために各関係者から取り上げるということはよろしゅうございますが、一般建設、コンストラクションの問題を今すぐ国土省でやることが、将来でき上がったあとの行政とも関連いたしまして、直ちに結論は出しにくいと思っております。だから、今申し上げられることは、特定の重要な行政につきましては、これは私は一本でいきたい。たとえば水資源開発のようなものでございます。
○米田正文君 総理は研究しようということですから、それに望みを託しますが、私はここで特にこういうことを言い出したのは、今後十年間ぐらいは、やはりいわゆる産業建設の時代である。そういう建設期における体制として必要じゃないか。もう大体でき上がって、国が大体いろいろの施設ができ上がったときは、管理を中心とする機能中心的な行政体制というものがもちろんそういう形になると思いますけれども、こういういわゆる、私は、今度の所得倍増計画は、産業建設十カ年計画ともいうべきものであって、こういうときでございますから、特にそういうことを申し上げておる次第でございます。 次に、道路問題についてお伺いをいたしたいと思います。これは冒頭にも申し上げましたように、自動車の輸送というものは非常に増加をいたして参りまして、今日三百万台に達するといわれております。最近の十カ年のトラック輸送は、年の伸び率は一六%になっております。バス、乗用車による旅客輸送は二九%の年伸び率を示しております。しかも、自動車の数は十年間に七倍になってきております。所得は倍増ですが、自動車は七倍増になっておるような状態でございます。これでもまだなお西欧諸国の自動車輸送に比較をいたしますと、全輸送のうち、道路輸送の占める比率は、比率と申しましょうか、比重は、まだこれでも非常に低いのでございまして、わが国の産業構造の進展につれまして、いわゆる西欧化するにつれて、一そう飛躍的な進み方をすることは火を見るよりも明らかでございます。しかるに、わが国の道路の現況を見ますと、文明国とはおよそかけ離れたものでございまして、かつて数年前、アメリカの道路調査団が来まして、そのときの書簡の冒頭に、日本はかほどの工業国でありながら、道路は信ずべからざる程度に悪い。日本には道路はないと言ってもいいというような極言をいたしたものでございます。日本の都道府県道以上のものについても、その舗装率は九・八%、一割にみたない状態でございます。で、政府もこの問題については非常に努力はしてきたのでございます。昭和三十三年以来、道路整備五カ年計画が実施をされており、その総投資額一兆円というものでございますが、今日の道路交通量の現状は、当時の計画をはるかに上回りまして、計画を突破をいたしまして、今日の混乱状態が現出をいたしておるのでございますが、今こそ強力な新対策を打ち出さなければならぬ時期で、特に所得倍増計画は道路からとさえいわれるのであります。その新しい強力対策について建設大臣の抱負をお伺いをいたしたいと思います。今までの一兆円計画、道路整備計画を今後どういうふうに拡充をされていくかということについてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(中村梅吉君) 道路事情につきましては、ただいま御指摘の通りで、われわれもまことに現状に対して遺憾の念を持っている次第でございます。つきましては、御承知のごとく、三十三年度から一兆円、五カ年計画を進めて参っている段階でございますが、この際さらに道路の長期計画を改訂いたしまして、来年度からできることならばさらに新五カ年計画を立てまして、この新五カ年計画におきましては、五年間に一兆六千億、あるいはまあ財政の事情もございますから、一兆三千億円になりますか、財政との関係等をにらみ合わせましてこの際新五カ年計画を策定いたしまして、明年度から一つ一そう活発に道路建設及び改良を施して参りたいと、かように存じておる次第でございます。
○米田正文君 最後に一つだけお尋ねをいたしますが、今の道路対策でございますが、新しい計画を来年から考えられる、新発足をしようという計画中のように承りましたが、その問題にすぐくっついてくるのは財源の問題でございます。今のところ、道路財源は、ほとんどガソリン税によってまかなわれております。これだけではとうてい今後の強力な道路政策は実施できないと思うのでございまして、今後の財源問題については、いろいろな面から研究を要すると思うのです。世界各国がそういう税を使っているのはもちろんでございますから、これは現行の税率の問題はございますが、ガソリン税を中心とすることにはなると思うのですが、そのほかには、今日の状況は一般財源の注入が非常に少ないから、それを相当な幅に引き上げていく。それから、借入金をやる方法もございましょう。あるいは道路公債を出す方法もございましょう。あるいは新税を創設するというようなことも研究をされておるかとも思うのです。こういういろいろな財源の措置がございますが、それについて、きょう大蔵大臣おられませんから、総理に一つこういう道路財源についてどうお考えになりましょうかを承りたいのですが、ガソリン税は、これはこの前もガソリン税をしげたときに、トラック業者等は非常に反対をいたしました。そのときの言い分の一番主要な問題点は、自分らは上がるということを反対しているんじゃない。それよりも一般財源を出さぬというところに反対している。国も出す、業者にも出せというならこれは話はわかる。しかし、一方的にだけ負担をかけて整備をするというのはひどいじゃないか。それは承服できかねる、というのがそのときの反対意見のおもなるものでございました。そういう点もございますが、一つ今後の道路財源についてはどういうふうに総理はお考えになるかをお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 今から七年ぐらい前でございましたか、この道路財源につきましていろいろ問題がございました。ガソリン税を今のような目的税的なことにするかしないかという問題がありました。踏み切りまして、今のような制度になってきたのでございます。最近、ガソリン税の伸びによりまして、道路の方も相当改善を見ました。ことにまた、道路公団ができまして、採算の合いますところ、見通しのつくところは有料道路のあれによりましてよほどよくなりましたけれども、お話の通りに、日本で一番欠けたものは道路と住宅でございます。従いまして、これをどういうふうにやっていったがいいかというときに、まず考えられることは、ガソリン税の増徴でございます。これは各国のそれに比較いたしますると、まだまだ軽い、低い点もございます。また、道路の整備というものがガソリン税を中心として行なわれているということは、各国その軌を一にしておるのでございます。その方向で参りましたところ、今お話のような点があったことは私も存じております。そこで、大蔵大臣あるいは建設大臣にこの道路の早急な整備、ことにオリンピック開催を控えて、しかもまた、今の東京の現状等々を考え、この財源の問題、それから土地収用の問題等々、いろんな点があるのであります。財源にいたしましても、一般会計からの従来の五十億——三十億くらいでしたか、三十億ないし五十億の分をふやすことはできないか。ふやした場合にガソリン税はどれだけ上げ得られるか等々につきまして、実は建設大臣、大蔵大臣に御研究を願っておるような次第でございます。原則としては、やはりガソリン税の増徴ということが私は一だと思います。二段といたしましては、やはり一般会計からの繰り入れという問題でございます。それから道路公債ということがございまするが、私はこれは、道路公団とのかね合いの問題でございまして、そうしてまた、ガソリン税の増徴との問題でございまして、道路公債ということを、将来のガソリン税の増収を見込んで公債を出すということは、ちょっと今早いのじゃないかという気がいたしております。今のお答え申しあげたようないろいろな要素の点につきまして検討をし、いわゆる日本には道路がないと言われる汚名を早くなくし、そうして経済活動の一そうの発展を期したいと考えております。
○国務大臣(中村梅吉君) 先ほど道路整備新五カ年計画について申し上げました際に、どうも新五カ年計画の考え方を一兆六千億と申し上げたような気がするのであります。これは、二兆六千億をわれわれとしては期待をいたしましていろいろ目下策定中でございますという趣旨に、もし速記録がそうでございましたら、訂正を願いたいと思います。
○米田正文君 私の質問はこれで終わります。
○委員長(館哲二君) 市川房枝君。
○市川房枝君 十三日の本会議で伺い漏らした幾つかの点につきまして、池田総理並びに関係閣僚にお尋ねを申し上げたいと思います。 第一は、選挙法の改正の問題でございます。十三日の本会議での社会党の小酒井議員、同志会の杉山議員及び私の選挙法改正についての質問に対し、池田総理の御答弁は、あまりはっきりせず、何だか熱意がなさそうな印象を受けまして、はなはだ遺憾に存じました。総理は、あのとき、私の最後の質問に対して、私は、経済の発展、国民生活の向上もさることながら、この政治のあり方をよくし、日本の政治を信用してもろうようにすることが一番大きい問題だと考えておりますとお答え下すったのですが、ほんとうにそうお考えになっておるのでありましたなら、まず、金のかからない、選挙違反のない選挙で、出たい人より出したい人が当選できるように選挙法を改正することが絶対に必要だと思いますが、いかがでございましょうか。もっとも、十四百の閣議で選挙法の改正に着手なされるような記事も新聞に出ておりました。しかし、新聞によっては多少の相違もありますので、それは事実かどうか、また、通常国会に御提案されるようになるかどうかをまず明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 本会議でお答え申し上げた通りの考えでございます。経済の成長ももちろんさることでございますが、政治のあり方がほんとうに正しい、何と申しますか、正しい明るい政治でなければならない。その根本をなすのは、まず政治家の心がまえでございまするが、それにはやはり通り抜けなきゃならぬ選挙というものが正しく明るくなければならないということでございまして、公明な選挙を行なわれることにつきましては、私はそれが選挙法の改正といわず、国民あるいは政治家の心がまえから直していかなければいかぬというので、所信表明にも申し上げたごとく、公明選挙実現のために努力いたしたい。で、今申し上げ得ることは、私は、ほんとうに国民が心から公明でなければならぬという気持を持っていただくように、来年度の予算には相当、いわゆるPRといいますか、指導的役割をなす方法を、金の面でもまた人の選定につきましても、これはぜひやっていきたいと考えております。しこうして、選挙法の改正と申しましてもいろいろな問題がございます。で、私は選挙法を改正する、改正しないとは申しません。改正するという場合に、しかも、通常国会ということになってきますと、なかなかその範囲で問題があるので、従って、抜本的に改正する用意があるかという御質問に対しましてはイエスとはなかなか言えない、しかし、選挙法を噂に早急にやらなければならぬ問題について改正するかというとこれは考えましょう、こういうこのニュアンスの違いはございます。私は決して選挙法に手をつけるということをおそれておるのではございません。しかし、選挙法に手をつけるということになれば、政治資金規正法とか、あるいは政党法とか、いろいろな関連する問題が国民の心がまえ以外に出て参りますので、よそから見ると選挙法を改正するのだろうかしないのだろうか、おわかりにならぬような点がございますが、はっきり申し上げますると、したい、したいのでございまするが、小選挙区制あるいは政党法、政治資金規正法までを次の国会に出せるか出せないかという点になりますと、これははっきり御返事をそこまで言えないのじゃないか、こういう気持でございます。
○市川房枝君 総理の今のお答えは伺いましたが、まあ選挙法の改正は抜本的と、それから区制などに触れないでやる改正もあると思います。それも私二つに分けてもかまわないと思いますが、それならば、まあ抜本的なものでない改正は通常国会でやるとかなんとかというふうに具体的に一つおっしゃっていただきませんと、何だか選挙法というのは、今までは改正するがごとくでいずれも流れているものですから、非常に不安に思っている、こう言っていいかと思います。公明選挙運動のことはあとでちょっと伺うことにいたしますが、選挙法の改正の場合に、これは私はこの間申し上げてお答えをいただけなかったのでありまするが、各政党の話し合いでありますと、どうしてもまあ議員に都合のいい点ばかりの改正になってしまって、国民の希望するような改正はなかなかできない。だから、ぜひどうしても公正な第三者の機関で立案をして、そうして国会はこれを承認するようにしてほしいという希望が非常に多いのでございますけれども、それについて総理はいかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 大体の考え方はそれでいいのじゃございませんか。やはり利害関係、と言ったら言葉が悪うございますが、公正な立場で一つ案をお作りになって、しかし、その案に対しまして、国会議員がそれに対して賛否の権限がないというところまで行くというのはまた行き過ぎじゃないかと思います。国会におきましてのいろいろな修正あるいは批判はこれは当然のことでございまするから、私はその修正その他についても、やはり国民が見ておることでございまするから、第三者だけでどうするということはいかがなものかと思います。
○市川房枝君 この間の選挙の最中に公明選挙運動をやりましたが、公明選挙連盟がこの運動の結論として、各方面の人たちを集めて、そして国民の立場で選挙法の改正を取り上げようとしておるというようなことを新聞がちょっと報じておりましたが、総理はこういう団体が取り上げることは望ましいとお考えになりますか。また、その結論が出ました場合に、それを尊重なさるような気持でございまし、占うか。
○国務大臣(池田勇人君) 結論を尊重するといっても、人事院その他中労委の結論とは違いまして……。
○市川房枝君 もちろんそうです。
○国務大臣(池田勇人君) とにかく、それがどなたの意見でありましょうとも、国民の意見というものについては私は十分耳に入れていかなければならぬと思っております。
○市川房枝君 安井さんは二十日の衆議院の公職選挙法の改正特別委員会で、公選法は抜本的に改正する必要がある、次の選挙に間に合わせたい、こうおっしゃっておりましたようですが、それはいつごろということになりますか。それからまた公選法の改正にあたっては、選挙制度調査会などの意見を聞いてやっていくと、こうおっしゃっておるようでありますが、調査会委員の任期は十月に切れてしまっておりますね。どういうふうな新しい構想をお持ちになっておるか。また調査会は実は昨年の暮れに非常に急がせて立案させながら、とうとう提案しなかった。そして解散前には調査会はほっておいて各党で話し合いをなさいましたが、とうとうまとまらないで立ち消えになってしまったという経過でありますが、そういう態度で、はたして調査会の協力が得られるかどうか、自治相の選挙法改正についての御意見を伺いたい。
○国務大臣(安井謙君) お答え申し上げます。先だっての衆議院の委員会におきまして、抜本的な改正を目途にやるべきものであろうと、こういうお答えをいたしました。これは今日でも、選挙制度区割り等におきまして相当各方面から批判が出ております。これににつきましては、すでに選挙制度調査会からもかつて答申案が出ておるといったような事情もございますので、これは内外の意見を十分尊重いたしまして、目標としては、根本的な制度改正をやるのでなければなるまいと考えます。ただ時期としましては、何分大問題でございます、前例もあることでございますから。これは慎重に当たりまして各方面の非難のないように、そして国会も円滑にその審議をしていただけるように方法を考えておりますので、まだ時期をいつというふうに区切るわけに参らぬ次第でございます。 なお、御説のように調査会委員の任期は十月の二十六日で切れております。さらにその以前、昨年の暮れに調査会からの答申が出ております。これは区割り制度以外の定員まで、技術的な改正面について出ておるのでありまして、私どもは調査会の答申が出ます以上は、その答申を大いに尊重いたしまして、さらに国会の立場からこれを検討し、政府としても成案を作りたい、このように考えておる次第でございます。
○市川房枝君 次は、公明選挙運動について伺いたいと思います。今、総理から公明選挙を盛んにするというお話がございまして、これはやはり新聞で、十四日の閣議で補助金を増額するというふうに決定されたように実は出ておりました。内閣が、といいましょうか、政府がこの運動を支持されることは非常にけっこうだと思いますけれども、選挙法の改正と伴っていかないと、何だか選挙の腐敗の責任、不公明選挙の出任を有権者におっつけるような印象を私は与えるのではないか、こう考えますので、ほんとうに公明選挙運動を進めておいでになる場合は、やはり選挙法と同じ歩調といいましょうか、そういうことが望ましいと思います。それからほんとうに公明選挙運動が徹底をしますると、私はカバンとか看板あるいは地盤の三バン、今までの選挙に必要といわれた三バンがきかなくなってしまいまして、与党議員の方方の中で落選される方も相当出てくるのではないかと思いますが、それでもいいんでありましょうか。そこまでお考えになってほんとうに公明選挙運動というものを徹底させようと御決意になっておりますかどうか、その点。
○国務大臣(池田勇人君) この選挙の公明は、法律を改正すればそれで事足りるというのではございません。私は、もとは法律よりもやはり国民、ことに政治家の心がまえの問題だと思うのでございます。従いまして、選挙法の改正と申しましても、区制の問題とか、政党法の問題とか、いろいろ問題がございまするが、連座制の問題等は選挙違反に直接関係がございます。私は、やはりもとは政治家と国民の公正な、公明な選挙に対する気魄の問題だと思います。従いまして、まずそれに手をつけるべきだと、こう考え、そうして、あわせて今の選挙法を、そういう気持と同時に、誤まりの起こらないように、実態に沿った選挙法の改正も、これは裏腹をなすものでございます。しかし、まず手をつけなきゃならぬのは、政治家並びに国民がその気になってもらうことであるのであります。そして公明選挙が行なわれて、地盤、看板、カバン、これが役に立たないようになることは当然のことでございまして、そんなことはこの選挙法の改正あるいは公明選挙と別個の問題で、そういうものにとらわれる必要はございません。
○市川房枝君 公明選挙運動に予算を増額するということはけっこうですが、今の公明選挙運動のあり方あるいはやり方では、有権者はちっともアッピールしないのです。講演会をしても、公明選挙と言ったら人は集まらないのです。あるいは印刷物を出しても読まないのです。ですから、その点私は、ほんとうに効果をあらしめるというのだったら、今の公明選挙連盟にしましても、改組して再検討を要すると思います。それからもう一つは、ちょうど労働協会のように、基金から生まれる利息をその運動費として、そして中立の民間の立場で常時の政治教育というものを徹底させていく必要があると思うのです。労働協会は、御承知のように、十五億円の基金を大蔵省の預金部に預託して、その利子約九千万円で運動を進めておるわけでありまして、毎年予算の心配をしなくてもいいわけですし、また、労働協会法によって政府は干渉しないようにということが法の中に規定をしてあるのでありまして、そういうはっきりした立場で運動を進めることが必要だと思うのですが、そういう予算の出し方といいますか、金の出し方ということについて総理並びに大蔵大臣はどうお考えになっておりますか、伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 補助金というふうな格好になりますと、えてして、いつまでこれが続くものじゃないというので、その衝に当たっている人がたびたび陳情に行かなきゃならぬし、困ったものだというので基金制度ということも考えられるのでしょうが、公明選挙運動というものは国の重大な仕事だということになれば、これは基金を置こうが、毎年の予算で出そうが、同じことだと考えております。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、昭和十二年でしたか、この公明選挙運動を政府がやったときの運動が非常に徹底したという話を聞いておりますので、そのときのやり方などを参照しまして、この運動をやるのなら効果のあるやり方でなければなりませんので、ただおざなりな運動ではむだだと思います。私どもは、前にイギリスの選挙の視察に行って参りましたが、結局イギリスでは、警察がこわいために公明選挙が行なわれているのじゃなくて、お互いの有権者がこわい、変なことをやったら、すぐに有権者から、あの候補者はもうだめだといって相手にされないという、その有権者がこわいというところまで進んで選挙が公明にやられておる、あの実情を見て参りましたので、やはり候補者側にもいろいろの問題もございましょうが、問題は、やはり選挙というものに対する国民の考え方というものがはっきりしなければ、この選挙の粛正運動はできないと私は考えておりますので、その意味で、従来のやり方に対して、ただ予算、補助金を出すというようなことじゃなくて、出すのなら、これは効果があるという方式がきまりましたら、これには思い切った予算を出してもいいというつもりでおります。
○市川房枝君 公明選挙運動については、公職選挙法によりまして、各県市町村の選挙管理委員会が当たることになっておりまして、三十五年度は交付税で委託費として一億円、衆議院選挙に際しては七千万円が配付されておりますが、この金も、どうも大して役に立っていないように思われます。この選挙管理委員会が、政治についての常時啓発の効果をあげるためには、選管の組織の私は再検討が必要だと思います。それから、委員に適任者が任命されるようにすること、その中に婦人を委員に任命することがぜひ必要だと思います。現在の選管の委員の方々の中には、りっぱな方もおいでになりますけれども、多くは選挙でおっこった方といっては悪いのですが、そういう方の救済のためのようなことになっていると私は思うのでありますが、それではとうてい政治の常時啓発の目的を達することができないと思います。この問題について安井自治相の御意見を伺います。
○国務大臣(安井謙君) 選挙管理委員会の費用につきましては、国が持ちます部分と、それから地方が持ちます部分と両方になっておりまして、国は常時、平年度一億三千万円程度支給しておりますが、せんだっての選挙には、さらに費用を一億円追加している次第でございます。なお、管理委員の任命、その人物等につきましては、お説のようなことのないように、厳正中立な、しかも実行力のある人を選ぶように今後とも心がけて参りたいと思います。
○市川房枝君 次には、婦人関係の行政機構と、それから予算について伺いたいと思います。総理は、十三日の本会議で、私が婦人大臣及び婦人の地位の向上について伺いましたのに対して、「女子の方もできるだけ政界に出てもらい、また、仕事についてもらいたいということは、私の初一念でございます。」と仰せになりまして、婦人に対しての関心を示していただきました。そこで、この婦人関係の行政機構と予算についてお伺いしてみたいと思うのでありますが、現在、特に婦人を対象としている行政機構は、労働省の婦人少年局、それから文部省の社会教育課の婦人係、農林省の中の生活改善課、そのほか厚生省、法務省等にもわたっております。ところが、それらの間にはほとんど連絡がありませんで、重複をしたり、あるいは仕事の奪い合いをやっているという状態でございます。一例を申し上げますと、この十一月に文部省の社会教育課の所管で九名の婦人が米国、欧州に視察旅行に参りました。このための予算は四百五十万円でございました。ところが、同じ計画を昨年婦人少年局で立案し、そして予算を要求したのであります。計画がはち合わせしたわけであります。ところが、婦人少年局の方は全部削除されまして、文部省の社会教育課の計画が取り上げられたわけでございます。しかし、これはずいぶん私どもおかしいと思うのです。婦人少年局には、この基準予算として国際連絡のための予算が少しばかりありますし、それから国際連合の婦人の地位の委員会の関係の事務もここで担当しております。それから各国の婦人団体等との連絡もとっております。だから婦人の国外の研究活動ということを取り上げるなら、私は当然婦人少年局がするのが最も効果をあげることになると思うのであります。ところが、その予算は文部省に参りまして、そして今度の旅行につきましても、婦人少年局には何らの連絡もせずに出かけているらしいのです。これに類することはほかにも多々ございます。こういう状態ではまことに困りますので、婦人関係行政の連絡調整をはかり、先ほどの総理のお考えを実現をするために、ちょうど青少年問題協議会というような機関が内閣にございますが、そういうふうなものを私は作るべきではないか、こう思いますが、総理どういうふうにお考えになりましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) お話のごとく、先般アメリカ班、ヨーロッパ班、十名近い御婦人の方が視察においでになると同時に、日本の状況等につきましても向こうに宣伝して来る、私はその壮行会に出まして、私の希望も申し述べたのでございまするが、そのときに、文部省の所管だからといって、社会教育ということだけでなしに、どちらかといったら、私は家庭の状況、労働関係等々、全般にわたって御視察願うようにお願いしたのでございます。今お話を聞きますと、文部省には認めて、厚生省には認めないということでございますが、しかし、これはお話のように、そういう方がおいでになるときには、やはり各省話し合って私はおいでいただくように、しかも、こういう予算は、私は今後ふやしていきたいという気持を持っておるのでございます。かるがゆえに、婦人少年関係の一つの役所を設けるということは、なかなかこれは全般の行政から申しまして困難のところでございますから、そこで、やはり内閣というものがございますし、また、関係閣僚の懇談会ということもございますし、また、各部局につきまして、将来連絡をとってうまくいくようにやっていきたいと思います。
○市川房枝君 特別な役所をお作り願うというのではありませんので、一つの連絡機関のようなものを内閣に置いていただいたらどうかという、こういう意味でございます。 それから予算の問題でございまするが、婦人関係機関の予算の決定の仕方も、ずいぶん納得のできない点が多々あるのであります。これは今の問題に関連して聞きますが、文部省の社会教育課の婦人係は、初め要求もしなかったのに前年度の十倍くらいの予算がもらえまして、そしてしょい切れないくらいの予算を与えられた、これに対して婦人少年局の方は、要求予算の十分の一も承認が得られなかった、予算が公平に適当なところに配分されるべきでありますし、全体としてもっと婦人関係の予算は、私はふやしていただきたいと思うのですが、これは大蔵大臣にちょっとお願いをしたいのですか……。
○国務大臣(水田三喜男君) 婦人対策の予算は、御承知のように、昭和三十一年度が三十七億八千万でございました。年々増額されまして、本年は百億をこす、前年度に比べて三十億以上一挙にふえるというふうに、全体として予算は非常に多くなっておりますが、来年度の問題につきましても、先ほどちょうどあなたの御質問と軌を同じゅうして、久布白さん以下、来年度の予算要望を、特に婦人対策費に関するものを持って参りまして、陳情を十分承っておりますので、編成のときに考えたいと思います。
○市川房枝君 今大へんふえたような話がありましたが、あれは母子福祉年金が入っておりますから、それで急にふえたのでありまして、純粋の婦人予算はふえたということではないのでございます。 次は、売春の問題とその予算について、総理並びに蔵相にお伺いしたいと思いますが、売春防止法が全面的に実施せられましてから二年八カ月経過をいたしました。で、この法律は、御承知のように、政府が提案をいたしまして、衆参両院とも、満場一致で通過成立いたしております。しかし、実施後の成績は必ずしもかんばしくなく、いろいろな問題が起こっております。もとより、この問題は非常に関係の方面が多く、重大な問題でございますので、一つの売春防止法ができたからといって、それで解決するようなことはできない、これは初めからわかっていたところと思います。しかし、この問題を婦人の基本的人権尊重の立場から、また、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する国際条約を日本は批准しておりまするから、その立場から申しまして、昔に戻すことは、これは絶対にできないと思います。困難ではありまするけれども、必要な法の改正を行ない、一歩々々これが解決に向かって努力を続けなければならないと思います。これについては、総理御自身のこの問題の解決についての熱意を持っていただく、そうして、それに必要な予算の裏づけをお願いをするということが望ましいのであります。今大蔵大臣おっしゃいました久布白さんの陳情は売春の予算だろうと思いますが、売春の予算は、厚生、法務労働、警察、最高裁等、各省にまたがっておりますが、二十五年度の予算は、要求額七億三千百五十万円に対しまして、約半分の三億九千七百七十六万一千円でありました。三十四年度に比べますというと、約二千万円減少いたしております。三十六年度においては、総額七億二千四百七十六万円実は要求予算が出ておりますが、今度はぜひ相当額お認めを願いたい。今大蔵大臣のお言葉がありましたが、それに期待をしたいと思いますが、これについての総理のお考えを聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 具体的の問題でございますから、所管の大蔵大臣が答えますが、私記憶するところではあれが廃止になりまして、その跡始末を各府県がいろいろやっておられるようでございます。県によって規模は違いますが、そういう予算だと思います。それからまた売春禁止法の結果、麻薬関係等にもいろいろな問題が起こりまして、売春禁止法と、それに関係する善後措置につきましては、お話の通り、できるだけの財政措置をいたしたいと思います。具体的問題でございますから、大蔵大臣から……。
○国務大臣(水田三喜男君) この売春に関連しまして、防犯的な経費は相当多く計上されておりますが、職業補導的な経費が、非常に御承知の通り少なくなっておりますので、こういう点で考えたいと思っております。
○市川房枝君 最後に、婦人の人権について法務大臣に伺いたいと思います。問題は、家庭裁判所の婦人調停員の選任に関してでございます。東京家庭裁判所は、昨年昭和三十四年以来、弁護士の奥さんは調停員に選任しないということに決定をいたしまして、それまで長年委員として努力をされておりました七人の弁護士の奥さんたちをやめさしてしまいまして今日に至っております。これは二十三年暮れ及び三十四年暮れの二年続けて、東京の三弁護士会長の連名で東京家庭裁判所長あてに、弁護士の現職にある者の配偶者は、その選任を避けることを要望する旨の要望書が提出されておるからだと言っているわけであります。弁護士会がさような要望書を出したことは、ここに私は第一東京弁護士会の会報を持っておりますが、これにちゃんと書いてある。この内情は、何でも弁護士会から、弁護士を多数調停員に選任するように申し入れがあった。ところが、裁判所側では、弁護士の奥さんをやめさして、それだけ弁護士をふやそう、しかし、それには弁護士会として一札ほしいというので前記の要望書となったと伝えられております。婦人が不適任だというのなら私はさしつかえないと思いますが、その夫の職業によってその妻の調停員、つまり公職につくことを禁止するというのは、婦人の人権を無視するものでありますし、また、憲法の趣旨にも反するものだと思います。その家庭裁判所の決定が、地方の家庭裁判所にも適用されたり、あるいはほかの公職への婦人の就職を禁止するようなことになってはゆゆしいことだと思うわけであります。法務省には人権擁護局があり、法務大臣は、憲法で保障されておりまする基本的人権を守る任務がおありになるはずだと思いますので、事は裁判所に関することでありますが、法務大臣はこういう事実のあることを御存じかどうか。こういう事実をどういうふうにお考えになりますか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。 家庭裁判所の調停員に弁護士の配偶者である女性の方を選任しないようにというような陳情といいますか、申し入れがあったかどうかにつきましては、そうしたこともあったやに聞いております。しかしながら、実際問題といたしましては、家庭裁判所の調停員の選任につきましては、最高裁判所の規則によって運営するようになっておるのでありまして、その場合におきまして、単に配偶者が弁護士の現職におるからというだけの理由でそれを除外するということは、はなはだ適当でないと私は考えております。従いまして、こうした場合におきましては、いわゆる最高裁判所規則の精神といたしておりまするように、徳望があり、常識を備えた方々の中で、最も適当な人を選任するという、この原則に従って運営せられておるものと考えておるのであります。今後におきましても、もちろん東京のみならず、全国いずれもこの規則によって適正な運営をやっているものと私は信じておりますし、今後もさようありたいと考えておる次第でございます。
○市川房枝君 今の法務大臣のお答え、大へんけっこうです。しかし、事実は現在あるのでございますから、一つそれをお含みの上で、人権擁護局を通して一つ御処置を願いたいと思います。 私の質問を終わります。
○委員長(館哲二君) 明日は午前十時から開会することといたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時三十三分散会