予算委員会 第4号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1960/12/20
会議録
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。 委員の変更について報告いたします。 昨日、西田信一君、田中茂穂君及び小平芳平君が辞任されまして、その補欠として塩見俊二君、後藤義隆君及び市川房枝君が選任されました。 ―――――――――――――
○委員昂(館哲二君) 昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)、以上両案を一括して議題といたします。 昨日に引き続いて質疑を行ないます。大竹平八郎君。
○大竹平八郎君 私は、外交の基本政策の一番かなめでございまする国際情勢の問題につきまして、総理大臣並びに外務大臣から御所見を最初に伺いたいと思うのであります。と申しますのは、岸内閣当時でございます。例の韓国に岸総理は私設秘書と称する特使を送って、そうして町の大統領でございまする李承晩に四十五度のおじぎをいたして、日露戦争以来の日本の対韓政策というものが非常に失敗であり、申しわけがなかったというようなことを言われて、天下の物笑いになったのでございます。そういうことを考えましても、ことに一衣帯水の間にございまするところの朝鮮とか、あるいは大陸等に対しまする情勢判断というものが、外交の基本方針を確立する上にいかに必要であるか、そういう意味におきましてただいま世界の大きな問題になっておりまするところのソ連とそれから中共の激しい理論対立という問題につきまして伺いたいと思うのであります。 これは、昨日外交問題に対しまする同僚委員の質問に対しまして、総理は、推定の問題につきましてはとの前提において、詳細な御答弁はなかったようでございますが、私がこれから申し上げようといたしますることは推定ではございません。全部事実でございます。ことに建国以来中共は、ここに私は持って参りましたが、人民日報が出ております。これは、私は創刊以来毎日目を通しております。かつてこの人民日報がソ連を非難し、そうしてソ連を攻撃をいたしたということはないのであります。ところが、昨年の秋以来の中共は、ソ連に対しまして、ここにもございます通り、きびしく非難をいたしておるという、こういう事実があるのでございます。これは、単なる共産圏内におけるところの理論対立といたしましてわれわれが傍観をすることはできない重大な問題でございます。御承知の十一月七日のソ連の革命記念日を契機といたしまして、共産党国の十二ヵ国を初めといたしましてそれから資本主義諸国の共産党代表が参加いたしまして、そうして八十一ヵ国がソ連において集合いたして、共産党世界大会をやりましたことは、御承知の通りであります。総理は、しばしばこの問題につきまして、自分はその成り行きにつきまして非常な関心を持っておるということも言われていたように私どもは伝え聞いておるのでございます。そこで、この大会の状況というものは、いまだに、いかなる方面から探りましても、その詳報というものはないのてございます。しかし、十二月五日に共同宣言が発表せられましたことは御承知の通りだろうと思うのてございます。しかしながら、この共同声明が発表される前にあたりまして、これはインドの情報でございますので、確実とは申せないのでございまするが、中共の劉小奇主席は、この共同宣言可決にあたりまして、二百ヵ所の修正を要求した、こういうことを伝えられておるのでございますので、その両者の対立というものがいかに深刻であったかということは、これははっきりいたすわけでございます。ニューヨーク・タイムズは、劉少奇の演説を二時間半といっております。それからニューズ・ウイークは九時間といっております。いずれにいたしましても、この劉少奇の演説がいかに激しかったかということは、言うまでもないのであります。 そこで、中共、ソ連の論争の第一点でありますが、中共は、資本主義国家とは当然戦争というものは避けられない。これは、フルシチョフ氏がかつてアメリカに参りまして平和共存を唱えて帰ったときに、すでにこれは唱えておるのでございます。フルシチョフ氏は、御承知の通り、平和共存で、そうして経済競争で米国に打ち勝つ自信がある、こういうことを言われておるわけでございます。 それから第二は、ソ連は、核戦争の場合は両陣営ともこれは破滅をするのだ、こういうことで、核問題に対しまして批判をいたしておりまするが、中共は、資本主義国家がやられるのであって、核戦争が始まっても残るのは共心圏だ。ことに中共は、二億が人がかりに破滅をいたしましても、四億五千万人というものが残るのだ、こういうことまでもこの新聞の中で唱えておるのでございます。こういう場合に、非常に理論的な対立が激しくなりまして、最近のそうした対立の動向というものかどういう点において出て参ったかということを一、二度申し上げますというと、ソ連で発行をいたしておりますところの「友邦」、それから「シナ」という定期季刊雑誌がございますが、これが最近廃刊をせられたという事実でございます。 それから、これは本年のたしか八月と記憶いたしておりますが、北京で開催をせられましたるところの世界労連大会におきまして中共の代表の劉少奇、これは総工会の副主席でございますが、この演説の中で、平和共存を非常に攻撃いたしたのであります。これに対しまして、ソ連代表は立ち上がりまして、もしその演説をやめない限りは自分は退場すると言って、非常に強硬に反対をして、これを取りやめたという事実があるのでございます。 それから、やはりこの八月でございますが、モスコーで開かれました国際東洋学者会議におきまして、各国の学者が六十四ヵ国から約二千人集合いたしております。しかしながら、中共の学者は一人も出席をいたしていないのであります。それから、外蒙大使でございましたスタリーン派の巨頭であるモロトフ氏が最近左遷をせられて国に帰ったという、こういう事実もあるのであります。 それから、本年の八月一日の陸軍記念日に、各国の北京駐在式官がその記念日に招待をせられましたときに、参課長の羅端郷氏の演説に対しまする答礼のあいさつが、普通でありまするならば、当然にソ連代表の武官がいたすのでございますが、この日にはチェッコ代表があいさつをいたしたという、こういう事実があるのでございます。人民日報によりまするというと、当日ソ連代表の武官が出ていたかどうかも疑われるということまても書いてあるのでございます。 それから、いささか旧聞ではございまするが、かつての奉天でございますが、今の東北の工業地帯の中心でございまする洛陽におきまする総領事館が、これが引き揚げをいたしたわけでございます。引き揚げを総領事館がいたしたということは、言うまでもなく、その土地におきまするところのソ連の人たちがいなくなった。こう断言してもよろしと思うのでありますが、それからさらに、そのソ連の中共におきまする五千人の技師が、この一年の岡においてソ連に帰国を命せられておる事実であり、現に北京では行別輸送列車までできて、これを送っておる状況でございます。 それからさらに、ソ連におりまする四千六百人の中共の留学生が、これが東欧諸国あるいは中共へ帰国を命ぜられておるという、こういうような事実もあるのでございまして、まことにこの両国の理論闘争というものは、そういうように実際の面にまで出てきておるわけでございます。 従いまして私どもは、この共産圏の、しかも八十一ヵ国中におきまして、この両派の対立というものにつきましては、AA諸国は中共に賛成いたしております。 そういうわけで、今後の日本が、昨日来各委員よりも問題を提示いたしました対中共との問題でございます。こういった国交問題等に関しまして、この情勢というものを十分に検討、判断をいたさないというと、日本のそういった中共外交というものは失敗をいたすのであります。 そういう意味で、特にこういうような世界の最近に起きた一指大きな事実、これは推定ではございません。こういう事実に対しまして、総理大臣のお考え、それからさらに外務大臣のお考えをこの際一つ御披瀝を願いたいと私は思うのでございます。
○国務大臣(池田勇人君) お話のように、ソ連と中共が平和共存で行くか、あるいは戦争不可避という考えで行くか。議論のあるところは聞き及んでおります。しかし、さきの八十一ヵ国の会議におきまして、この問題が中心に相当論」議せられたことも聞き及んでおるのであります。しかし、結論といたしましては、フルシチョフの言う平和共存で行こうということに一応一致した。こういう報道でございます。そうしてその内容につきましていろいろ伝えられてはおりまするが、私は、今までの平和共存で行き、しかも、平和共存のもとに、かなり従来通り自由国家に対しましての強い非難の気持もあると存じておるのであります。私は、長い文で、全部読んだわけではございません。いろいろ新聞その他で拝見しておる次第でございます。従来と大した変化はないと思います。詳しくは外務大臣から。
○国務大臣(小坂善太郎君) お答え申し上げます。ただいまお話の点につきまして、共同宣言並びにアピールというものを、これは今後においても詳細に検討して参らねばならぬと思いまするが、さしあたり私どもがくみ取りましたところは、ただいま総理大臣からお答えになりました通りでございまするが、要するに戦争不可避論というような非常に物騒な考え方というものは平和共存という考え方によって統一せられたということでございまするけれども、一方におきまして、総州大臣のお話にもありましたように、アメリカ帝国主義というものは全人類の敵である、あるいは、平和共存という形は資本主義、社会主義の附における階級闘争の一形態であるといったような言葉もあるのでございまして、全般的にかなり高い姿勢のものであるというふうな感じがいたすのでございます。しかし、こうしたソ連と中共との間の意見の食い違いというものがあるからといって、この問が何か確執が非常に大きくなるであろうというような見方もこれまた甘いのでございまして、分体としては一つの統一された形になっている、かように私どもは判断しておる次第でございます。
○大竹平八郎君 外務大臣にお尋ねをいたしますが、ただいまのこのソ連、中共の理論対立のよってきたるところ、理論的に申しまするならば、フルシチョフは劉少奇をきめつけまして、それはマルクス・レーニン主義の教条主義だということをきめつけておるのでございますが、私どもいろいろ国民の経済の実体面、そういう点から見ますると、たとえて申しまするならば、中共の相次いだ対外交問題というものが、御承知の一昨年以来惹起をいたしておるわけであります。たとえば、馬祖、金門島の攻撃、これは一昨年の八月のごときは、八月の二十三日から約二週間にわたりまして、あの小さい、人口四万あるかないかわからないような小さい金門烏に対しまして、八六万発の百五十三ミリの砲弾を集中をいたしておる。これは私ども専門家でございませんからわかりませんけれども、金門島をとりましても、馬祖をとりましても、一体、今の中共にどれだけのプラスになるのか。それから、ラオスの問題、チベットの問題、あるいはインド国境の問題と、相次いてこの対外的ないろんな紛擾というものが起きておるわけでございますが、これらは、中共の現在の国情から申しまして、すでに御承知の通り、人民公社というものを延段をいたしまして国づくりに国民はあげて懸命な努力をいたしておるわけでございます。ここて中共というものはどうしてもその国民に対内的に緊張度というものを高めていかなければならぬという、そういう段階にある中共と、それからソ連の方といたしましては、すでに重工業の段階から軽工業の段階に移って、そうして国民生活の消費の面に非常に今重点が払われておるというようなわけでございまして、アメリカの博覧会が開催をされる、それから日本の商品展示会がモスコーで開催をされると、こういうように、中共の国民生活とそれからソ連の国民生活との間に非常に大きなギャップができてきておるんではないか。従いまして、中共のかつてのそういった強力な国民指導というものが、今のこのソ連の国民生活の上からいってこれはなし得ない。しかし、そういうことを中共がやったらば、これは中共は手を上げてしまわなければならぬ。こういうように、私どもは、両者の経済問題に重点を置いてこの対立というものを注目をいたしておるのでありますが、こういう点に対しまして外務大臣はどういうお考えを持っておられるか、一つお答え願いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま大竹委員お述べになりましたように、中ソ両国間におきましては、それぞれ革命以来の歴史的な建設に従事した年限の差もございます。また、国情の差異もありまするし、また、民族的な差異もあるのでございまして、それぞれの発展の段階においての共産主義といたしましての建設の方法、現段階における方法論の相違というようなものがいろいろとただいまお話のような意見の相違となって現われておる、かように考えておる次第でございます。
○大竹平八郎君 まあこの問題は立場立場でその考え方が違いますので、私はこれ以上は追及いたしませんが、どうか、やがてはこの問題というものが大きな実体化されてくるということだけを頭に置いて、外務省はそれに対処する御準備はぜひ一つ願いたいと、かように思います。 次に、外務大臣にお尋ねをいたしたいことは、日韓問題について、その交渉の状況についてでございますが、小坂外務大臣は日韓問題につきましては非常に御熱心で、第一次池田内閣が成立いたしまするというと、早々にあちらに渡られましていろいろ政治交渉をなされた、それほど日韓問題につきましては意欲的と言ってもいいほど御努力をされておるわけでございまするので、この際ぜひ一つ日韓問題の交渉についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、御承知の昭和二十六年の十月に予備交渉が始まりまして本年の十月の第五次会談に至りますまで、実に外交交渉といたしましては十年になんなんといたすのであります。この間、国会におきましても非常にいろいろ論議がかわされ、ことに本委員会におきまして、通常国会のときは、藤山当時の外務大臣に対しまして野党は一致いたしましてこの韓国問題につきまして所信をただしたわけでございます。問題の第一は基本の問題。それから第二が漁業及び平和ラインの問題、第二が財産請求権の問題。第四が船舶の問題、第五が在日韓国人の国籍及び処遇の問題、まあこうあると思うのでございますが、従来のいろいろな予備交渉はともかくといたしまして、小坂外務大臣があちらに参られてからというものと、それから李承晩政権が倒壊してからの後というものは、客観的に私どもは状況が非常に好転したように実は考えておるのでございますので、この第五次会談で、しかも、その第五次会談が数回にわたって開かれたようにも開いておるのでございまするが、ただいま私があげました五項目につきましていかような交渉をなされ、いかような結論をなされたか、お差しつかえない限りその状況をお示し願いたいと思うのであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) 韓国との関係につきまして、私も先般九月六日にソウルを訪問いたしまして、先方の要路に会いまして会談をして参りました。その結果、先方も非常に意欲的にこの対日関係を好転させるということに考えてくれておるのでございまして、李承晩ラインを越えたということで抑留されましたわれわれの同胞は、刑期を終えざる者を含めて全員新大統領の記念式典の際に釈放をいたしてくれました。その後、同方面におきまして拿捕され抑留されておる同胞は一人もないというのが今日までの状況でございます。そのときの話に基づきまして十月の二十五日から予備会談を東京において御承知の通り開催いたしております。で、これが今お話にありましたような五つの問題につきまして委員会を作って、数次にわたりまして懇談をいたしておるのでございまするが、私は、十年間にわたって非常にいきさつのある交渉でございまするので、このたびの会談のやり方としては、一つの案をいきなり出して、これに対して反対とか賛成とか言うことなく、できるだけひざ突き合わせて懇談をして、双方の善意と、また、それぞれの問題とする点について相互の理解を十分に深めて、その理解の上に立って両方がこれならばというような案が出てきてまとまっていくという会談の形式が最も望ましいと考えまして、予備会談の段階で十分その話し合いを固めるという方向て話し合いを進めておる次第でございます。で、大体、明日を一区切りといたしまして、明君また予備会談を開催する、かようなことになっておりまするが、表面的には実は大した進展は見えないのでございます。先方の外務大臣が言っておりまするように、過去十年の交渉に比べては、このたびの交渉というものは非常に短時間に成果を上げておるものではないかというふうに先方も申しております。ほどなくいろいろな点がまとまるものもあろうかと思いまするか、まだ会談中のものでございまするので、この内容につきましては、しばらく時間をおかし願いたいと思います。
○大竹平八郎君 小坂さんか御就任せられてからは、まあ第一次池田内閣にいたしましても本年でございますので、きわめて日は浅いのでありますが、国民の日から見ますると、先ほど私か申し上げました通り、まさに十年でございますね。十年の外交交渉に対しまして、いまだその見通しのきかないということは、これは私は、政府がよほど責任をお感じになっていいのではないかと思うのでありますので、どうかそういう点におきまして、やるべきところは私は断固としておやりになられたらどうかということを特に一つ要望申し上げておく次第であります。 そこで一つ、この交渉の過程において、あるいはまだ公表がむずかしいとおっしゃられるかもしれませんが、これは国民が非常に関心を持ち、それから本委員会でも、ことしの三十五年度の予算審議にあたりまして大きな問題になったのでありますが、占領されておりました竹島問題ですね、その問題につきましては、特にその会談の小において政府がむろん交渉せられたと思うのでありますが、差しつかえない限りその点を一つ御明示願いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 韓国の新政権は、旧政権――李承晩政権と異なりまして、非常にものを合理的に判断し、しかも、非常に対日親善ということを基礎に置いて問題を取り上げようといたしております。この問題――今御指摘になりました竹島の問題につきましても、私はこれは合理的な線で解決ができるというふうに考えておりまするが、これはまあ他の交渉の、いわゆる平和ライン問題とか、あるいは対日請求権の問題、あるいは文化財の問題、あるいは在一朝鮮人の法的地位の問題というような問題とも関連がございまするので、この場においてその交渉の経過というものを御説明することはしばらく差し控えさしていただきますが、非常に合理的な線、しかも、対日親善という雰囲気のもとでこの問題が解決されるだろうということを期待しておる旨だけにとどめさしていただきたい。
○大竹平八郎君 いま一つ、これもあるいは今のような御答弁になるかとも思うのでございますが、対日財産の問題、これはまあ、向こうからこっちに言ういわゆる請求権の中に入るだろうと思うのでありますが、逆に、在韓日本財産に対する今度はこっちの請求権の問題なんでありますね、こういう問題につきましては、交渉の過程においてどういうお話が出ましたか。ある程度それは……、全然お触れになっていないのか。これは持っておる人たちといたしますれば非常に関心を待つ大きな問題なのでありますが、これも一つ差しつかえない限りは……。いわゆる在韓の日本財産に関する請求権の問題。
○国務大臣(小坂善太郎君) 在韓の日本人財産に対する請求権の問題につきましては、もちろん一つのアイテムといたしまして交渉いたしておりますが、はなはだ申しわけございませんが、交渉中の問題でございまするので、われわれの交渉している内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。ただ私が申し上げての反響よりも事務当局から申し上げた反響の方があるいは差があるかと存じますので、事務当局からその性質等についての御説明をさせていただきたいと思います。
○政府委員(伊関祐二郎君) 請求権問題につきましては、日本が韓国に持っております私有財産等につきましては、向こうにおります米軍がこれを処理いたしておりまして、韓国政府に引き渡しております。しかして、この引き渡しの効力というものを平和条約によってわが方は認めております。ただし、そういう日本の向こうにあります財産が韓国に引き渡されたという事実は、韓国の対日請求権を処理する際に、当然考慮されるであろうというのが、アメリカ側の解釈でありまして、日韓ともこの解釈を頭に入れて請求権を処理するということになっております。
○大竹平八郎君 それから、これもあるいは外務大臣が御答弁しにくいかとも思うのでございますが、しかし、これは相当真相のように伝えられておりまするので、あえて一つこの際お尋ねをいたすわけでありますが、最近借款の形で、韓国に六億ドルの借款というものを申し込まれているというようなことを聞いているのでありますが、これは今も請求権の問題につきまして御答弁がありましたので、私はこまかいことを申し上げないが、おそらくこの請求権の問題についての日韓両国の問における考え方の開きというものは非常に大きいと思うのであります。これはわれわれ想像ができるのでありますが、そこで、この日韓の交渉をできるだけ何とかまとめたいというようなことで、この六億ドルという借款説というものが流布せられているのではないかと思うのでありますが、しかも、この六億ドルの借款が、いわゆる例のガリオア、エロアの返済金、これをそれに充てようとする、こういうことでありますが、大体国会の従来からの答弁を見まするというと、二十億ドル、これを三分の二を切り捨ててあとの三分の一を三十年間に払うということが、このガリオアの支払いについては伝えられているのであります。そこで、韓国請求の六億ドル、これはちょうど切り捨てるとガリオアで日本が払わなければならないものが六億ドル前後になるわけであります。何か符節を合したように思いますが、このガリオア返還に関連をいたして、こういうような案が立てられたのか、あるいはそういうことは全く無根拠のことであるのか、この際一つ明らかにしていただきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 韓国に対しまして六億ドルの経済援助を日本が提案したというような流説がございますが、これは事実無根でございます。しかもまた、この金額がガリオアの返済というものと関連あるやに言う報道があるようでございますが、これもまた全然無根でございます。私は韓国とわが国との間の友好親善の関係を強化いたしまするためには、やはりわれわれの応分の、われわれのできる限りの経済的な協力をいたしまして韓国民生の安定に寄与するということができますれば、これまた非常にいいことと考えておりますけれども、しかし、こちらから、一体何を向うが必要とするのかというようなこともわからずに額をきめるわけにも参りませんし、同時に、韓国において必要とする、しかも日本において供与し得る範囲の協力をいたすべきだとは考えております。しかし、それが幾らであろうか、何がそれにふさわしいであろうかということにつきましては、まだ全く申し上げるようなものはございません。六億ドルというのは全く無根拠でございます。
○鈴木強君 関連。今、大竹委員の御質問に対して、日韓の国交は回復されておりますが、さらに親善友好の方向に対する努力をされていることはわかりますが、どうもわれわれ国民が見ておりますと、韓国に関する限りは、非常に感情の外交になっていると思うのです。そう思われるのです。そういうことに対して外務大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げます。日韓両国の関係というものは、まことに悲しい過去を持っておるというほかないと思います。その間におけるいろいろなできごとが、非常に今お話のように、感情的な対日不信を持っておるということは、これはいなめないことだと思います。私は、まずそうした感情をできるだけ日本の今日の真の姿を理解してもらって、そして正しい韓国における日本に対する理解を深めるということが一番大切なものだと思っておる次第でございますが、さような方向で努力をしておる次第でございます。
○鈴木強君 それで私は、大臣にもこの機会にちょっと御要望申し上げておきたいのですが、この日韓の感情的なしこりの残っていることは、どうも日本の統治当時、朝鮮民族というものに対するやり方が、もちろんいい点もあったと思いますが、向こうの立場から見ると、思わしくないというように考えられる点がたくさんあったと思うのです。私は、あるとき向こうのある方にお会いしてお話を伺ったのですが、たとえば日本が統治している際に、朝鮮語というものに対しては、徹底的にこれを排除するというようなことで、家に帰って来ても、朝鮮語をしゃべることについて非常に厳格に取り締まりが励行された。あるときに、夜中の十二時ごろに子供を起こして朝鮮語を教えていることが学校にわかって、何かむちでもって先生になぐられたというようなことを聞きました。ですから、統治下の当時における日本の朝鮮民族に対する政策の行き過ぎその他に対する根強い感情が私はあると思うのですね。ですから、そういう点を根本的に解決しなければ、なかなか日韓の間の友好ということは期待できないと思うのです。先般あなたが向こうに行かれた。これは歴代内閣の外交路線から見ると、非常に一つの前進だと私は思うのです。そういう機会をできるだけとらえて、そうして今あなたのおっしゃったような、感情をほぐすことに大きな熱意を持ってやっていただかないと、もう理屈ではないと思うのです。何かこう正常に戻ろうとすればどこかでぶちこわしてしまう、こういうことであっては国民の期待する日韓の友好親善ということはできないと思いますので、今後この点は、一つ当時のいきさつをもう少ししさいによく検討されて、そういう感情をほぐすように全力を尽してもらいたい。私はあなたにその点を期待しておきます。その点どうですか、やってくれますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私も鈴木委員の仰せられた通りに考えております。まことに両国の間に感情的に、張りつめた厚い氷を、われわれの善意で解かすことがこの際必要だと思います。ソウルに参りましたときに、記者団との会見でもその話しに触れた方もありますので、私は人間である以上、過去を忘れることは非常にむずかしい問題だと思います。しかし、政治というものは前向きな姿勢でなければならないし、過去にこだわっておっては将来の幸福がこないのだから、お互いに過去にこだわらずに、将来の新しい友好と親善を築き上げようということを申し上げたのでありますが、さような気持で対処いたしたいと思います。
○大竹平八郎君 今私、ガリオア問題をこの韓国の問題で引き合いに出したのでありますので、この際、池田総理から、一音ガリオア問題につきまして御答弁を願いたいと思うのでありますが、この問題は、昨日も総理から羽生委員に対しまして、これは債務であるということをはっきり言われておりますし、記録を見まするというと、国会答弁も大体それに終始をいたしておるようであります。しかしながら、国会は、御承知の通り、この問題につきましては、たしか独立以前だと記憶いたしますが、たびたび感謝決議をいたしておるわけなのでございます。そういう意味で、まっ正面からこれは債務だと言って大上段に振りかかられるというと、国民の気持というものは、何かこうそぐわないものがあるので、しかし、これはあくまで債務は債務として、すでにあなたが二十八年の十月でございますか、ロバートソンとの会談を皮切りにいたしまして、さらに重光・ダレスの共同声明があり、あるいは佐藤・アンダーソン会談というものが二回において続けられた。そういうわけで、さらに本年の九月に水田・アンダーソン会談というものが行なわれたのでありまするが、この水田・アンダソーンの会談の結果を、一つ差しつかえない限りお漏らしを願いたい。と同時に、でき得るならば、今私は韓国の例をあげたのでありますが、どうせ払わなければならぬということであるならば、やはり私はそういう意味で、東南ア諸国に日本が技術、それから経済援助をしておるような形で、今のような韓国でやっていいか悪いか、これは別でございますが、そういう意味の形においてやられるということの方が国民が理解をするのではないかと、こう考えるのでありますが、この二点につきまして、特に一つ総理から御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) お話のように、私は過去八、九年前から、これは債務と心得ております、こういうことでこの国会におきましても申し上げております。また、アメリカ方々との話しにおきましても、債務と心得ておる、これでいっておるのであります。昭和二十八年の池田・ロバートソン会談で、債務と心得ておるならば、早く債務を確定して、一つ支払いの方法を講じたらどうかというあれでございます、ドイツでもやっているじゃないかという話はあったんでございます。まだ日本の国情からいって、また、経済状態からいって、直ちにそういう会談に入るということは早過ぎるというのできめなかった。その後お話しのように、重光さんあるいは藤山さん、あるいは水田さん等でこういう話が待ち上がったとは聞いておりまするが、結論にまで至っておりません。今後十分検討いたしていきたいと考えております。従いまして、もし債務と確定して、その支払い方法をどうするかという問題につきましては、これはまだ先のことでございます。まだ債務と確定するかしないかということにつきまして、いわゆる国会の承認をもし得るような手続をとるというときに考えるべきで、しかも、これは相手のあることでございます。私は、これにつきまして意見を申し述べることは、ただいまのところ差し控えたいと思います。
○大竹平八郎君 その最後にやられたのが、水田大蔵大臣がアンダーソンと九月に会談をいたしておるんですね、このときには少しく具体的な問題に触れたんじゃないでしょうか。全然具体的な問題に触れないで、佐藤・アンダーソン会談当時のままの状態なんでしょうか。その点ドイツ等の話もありますので、私どもは、これはあくまで推測でございますが、相当具体的に触れたんじゃないか、こう考えるのでありますが、今一つ御答弁を願いたい。
○国務大臣(池田勇人君) 私の聞いているところは、具体的な問題には触れていない、ただ、こういう問題がある、急ぐということぐらいの問題でございます。もうこちらの方は急いだものではないというくらいのお話と御承知を願いたい。
○大竹平八郎君 いよいよ債務が確定して、支払いの問題のときには、私が申し上げたような、後進国開発に向けるような方法をなるべくとっていただきたいということを特に要望しておくわけであります。 次に、外務大臣に対しまして、賠償の問題につきまして少しくお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、賠償は、これは敗戦国が当然払わなければならない義務でありますので、これは当然と思うのであります。しかしながら、何か賠償の決定という問題が、決して私は何か暗い影があるとかなんとかいうのじゃありませんが、国民から遠い何かお座敷の中で交渉が行なわれておるような感じが多分にするのでありますので、そういう点で、一つこの際も、もうすでに各国との実施が何年かたっておるのでございまするのて、この点につきまして伺いたいと思うのでありますが、まずビルマでありますが、ビルマは合計二億ドル、昭和三十年の四月に効力が発生をいたして、二千万ドルずつの役務及び日本の生産物を向こうに提供しておる、こういうような状況でございまするが、過去五年余の、効力が発生後、向こうに支払いました金額は、これは年々二千万ドルはわかっておりまするが、認証済みの品目の、これはこまかい点まで要りませんが、おもなものは一体どういうものであるか。それから問題になっておりました二十四万キロワットの水力発信、たしかバルーチャンの発電計画というものは、その後一体どうなっておるのか、順調に進んでおるのかどうか。そういう点と、それからさらに、これは五年度すでに実施されておるわけでありますが、六年度の実施状況というものは、どういうことが今両国において決定せられておるのか、その点一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) ビルマの賠償につきましては、ただいまお話のように、第六年度に入っておりまして、十一月末までで支払額が三百九十六億円でございます。おもなプロジェクトといたしましては、ただいまお話のバルーチャン発電所、これもその後順調にいっておるようでございますが、その他自転車、電気器具というようなものが主でございます。ただ、ビルマにつきましては、経済協力という点で、先方の考え方が、一応経済協力についてのテクニカル・ノーハウというものを認めない、経営の委託料というものは認めないというような点等もございまして、経済協力の点は、ビルマについてはなかなか進むことは困難なようであります。
○大竹平八郎君 それから昨年の四月でございましたか、ビルマからの賠償の再検討を要求されておる事実があるのであります。両国のこの両検討案に対しましての意見というものが合意されたかどうか、あるいはそのまま今交渉中であるのかどうか、この点を一つ承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨年の四月に先方からさような申し出がございまして、七月以来、両国の関係者の問に話し合いをいたしておりまするが、今年の九月になりまして、ウ・タン・シェインという、こちらにおります。大使を通じて、私どもの方の事務次官のところに、一つ特殊な杉の経済協力てもいいから、何とか考えてもらいたいという申し出がございました。で、この点につきまして、大蔵大臣あるいは通産大臣とも寄り寄り協歳をいたしておりまして、まだ最終的な結論に到達いたしておりませんが、近くわが方の態度をきめて、それで先方との間に話し合いに入りたい、かように思っております。
○大竹平八郎君 差しつかえない限り、その先方の要求の内容について御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 実は、私どもの内閣になります前に、多少内容等について話し合いのごときものがあったのでありますが、その後、私どもの見解からこの問題を検討いたしておりまして、ただいままだこちらの案がきまらないのでございます。従って、先方にも内示をいたしておりません。この点はしばらく御猶予を賜わりたいと思います。
○大竹平八郎君 その次にフィリピンでありますが、フィリピンは、御承知の金額も三十年間にわたって五億五千万ドル、一番大きな問題でありますが、フィリピンの賠償の実施状況について、概略でよろしいのですから、御答弁を願いたいと思います。 なお、フィリピンにおける、各国それぞれ国によりまして賠償の形が違うのでありますが、特にこのフィリピンの賠償の特徴と申しますか、そういう点について、一つあわせて御説明を願いたいと思うのであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) フィリピンにつきましては、マリキナ・ダムの建設が主で、大きなものでございますが、いろいろな同国内における諸事情のために、また、ダムの安全性の問題等のために、その実施がおくれておりましたが、この安全性の問題も、現在になりましては、ほぼ実証せられるに至りましたので、日比業者間の話し合いが大体妥結いたしまして、来年早々には工事の入札が行なわれる、かような段階になったと認められるのでございます。全体といたしまして、賠償は円滑に実施せられております。ただ、求償国といたしまして、工業化が促進するにつれまして、賠償で供与を受けたい機械の需要というものがふえてきておりまして、協定できめられておりまする年度賠償額を上回るような実施計画案を申し入れてくることが多いのでございまして、交渉に当たりましては、先方の工業化計画と年度賠償額とをいかに調整するかということに多くの問題がございます。
○大竹平八郎君 私どもは、聞くところによりますと、フィリピン賠償につきましては、第五年度を取りきめるときにあたりまして、新規の品目の追加は認めない、こういうことに開いているのでありますが、しかしながら、今度の実施計画を見まするというと、大体百四十四億円、そうして新樹の品目が追加をされているのであります。すなわち、第五年度は工業用プラントが御承知の通りおもになっているわけなんでありますが、そういう取りきめをやっているにもかかわらず、第五年度に新概要求を認めたと、こう解釈してよろしゅうございますか。そういうことになると、非常に合意をくつがえすものになるので、外交上非常に問題があると思うのでありますか、この点を一つお答えを願いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 若干賠償の折衝の実務に関係いたして参りますので、賠償部長からお答え申し上げます。
○説明員(小田野謙一君) フィリピンに関しましては、その前年度からの賠償品目が非常に多いもので、大竹先生のおっしゃいました通り、ことしになってからは新しい新現の品目は出さないという約束で前のものをきめたのでございます。ところが、その後になりまして、フィリピンの国内事情から、いろいろなものがわか方に出てきているのでございますか、その額が非常に大きくありまして、その上、前の約束とも違いますし、それから前の約束がございましても、支払うべき余裕財源がございますれば、これはまた考え直してもいいのでございますが、この三月の末までには、ほとんど余裕財源というものは、現存進行中の契約で一ぱいでございます。そういうようなわけて、フィリピンとの間には、新しい合意実施計画というものはまだできておりません。それから先方の方でも、まだ日本側に一度出してきたことはございますが、その後それを持ち帰りまして、さらに大統領が検討しておりまして、いろいろなものがさらに加わっているという話は聞きますが、先方でも決裁するに至らず、その点で止式の交渉に入ってはおりません。
○大竹平八郎君 次に、問題のインドネシアの賠償なんでありますが、インドネシアは十二年間に二億三百八万ドルということになっておるのでありますが、そのうちで特に船が多いのであります。しばしば本国会におきましても問題になったのでありますが、この船が金額にいたしますというと、千九百九十一万六千八百五十四ドル、それからホテルのプラントといたしまして大成延段の八百万ドル、こういうものがございまして、これはすでに契約済みと思うのでありますが、私は特にこの船の問題について伺いたいのでありますが、これは相当なメーカーもありますし、二流、三流のまたドック会社もあるというようなことなんでありますが、かつて、これ以外たと私は記憶いたしておりますか、小型の船が向こうに参りまして、非常にトラブルを起こした問題があるのでありますが、その後この約二千万ドルに当たりまする造船注文といいますか、この造船の状況というのはどういうような状態になっておるのか、これを一つ伺いたいということと、それからこれに関連をしておると思うのでございまするが、インドネシアのスカルノ大統領は、わすか一年半か二年の間にとにかく四回ぐらい国賓として一木に来ておる。一体これはそんなに用事があるわけじゃないと思うのでありますが、どうしてこんなに国賓としてたびたび来なければならないか、これは何か今申し上げた船の問題に非常に関係をしておるのじゃないか、これはあなたのときの問題じゃありませんけれども、これはこの際、この賠償を実施をするにあたってぜひ一つ関連をしておることでございますので、国民の前に明らかにしていただきたい。こう思うのでありますから、それをどうぞ一つ……。
○国務大臣(小坂善太郎君) インドネシアとの賠償はただいまお話のありましたほかに一億七千七百万ドルですか、に上る焦げつき債券を棒引きにいたしております。賠償全体につきましては順調に推移しておると聞いておるのでございますが、ただいまの点につきましては、政府委員から御説明を申し上げますが、御了承していただきたいと思います。 なお、スカルノ大統領は非常に日本に対して好意を持っておるようでありまして、私が就任いたしまして池田内閣ができましてからも、一度国連への往路で立ち審られたのであります。そのとき池田総理大臣から、いろいろ賠償も払い、両国の関係も順調なのだから、一つ日本の国民が行って入国し滞在し、いろいろな事業活動がお互いにできるように、通商航海条約を結ぼうじゃないかということを御提案になりました。これはまさに承知したということでございまして、私の方から十月の二十一日に、スバンドリオ外務大臣がちょうどこちらにコロンボ会議に参りましたときに案を手渡しまして、ただいま先方が研究をいたしておる、かような段階になっておりますが、これはよけいなことでありますが、つけ加えさせていただきます。
○説明員(小田野謙一君) インドネシアの賠償におきましては、御承知の通りインドネシアは多くの島からなっておりまして、ことに独立いたします際に、オランダのKPMの船を追い出したという関係もございまして、船舶というものが非常にインドネシアの経済関係に必要であるということでございます。それでございますから、インドネシアの賠償関係におきましては、船舶というものが非常に多くの部門を占めてくるというのも、これまた私らの方としてもやむを得ないものと思っておるわけでございます。そして今年度におきましても、インドネシア賠償並びに賠償引き当てによりまして船舶を相当多数引き渡しております。 それからもう一つお尋ねのありました一番最初に先方に出しました船が、あるいはいろいろな事故によって動かなくなったという事実はある程度あるようでございます。ことに一つの点は、船舶は引き渡しましても、何といいましてもオランダの船が引き揚げてしまいましてから、インドネシアの船員というものが必ずしも訓練されていない、ですからちょっとした機械が故障すると動かせないという部分もあるのであります。それからもう一つは、インドネシアみたいな南国、非常に熱帯の地方におきましては、冷房設備といいますか冷凍設備といいますか、そういうものが非常に必要であるわけでございます。ところが日本の方におきましては、通常の船におきましては、必ずしも熱帯地方の冷房とか冷凍とかいうような施設も完備していないというようなこともございまして、今回船舶を発注いたしましたときは、その部分だけはてきるだけほかの外国の品を用いてほしいということがあったわけでございます。ごく少ない額でございますけれどもあった。で、私らの方といたしましては、賠償は通常は日本の品物で受け取ってもらいたい、特は外貨を割り当てるようなものはよしてもらいたいという考えてございましたけれども、過去の経験もございますし、日本の業界などに聞いてみましても、やはり熱帯の冷凍とか冷房設備というものが日本はまだ進歩していないということでございますから、この辺の部分も入れまして、今度の船舶というものを、相当前の欠点等も考えた上であれしたわけでございます。 それからどういう業者がこれを引き受けるかという問題でございますが、これはインドネシアの当初の経験というもので相当非難もありました関係上、今度は全部これをビットの形にいたしまして、入札の形にして値段の安いものからとっていたわけであります。
○大竹平八郎君 時間がございませんので、賠償問題はその程度にいたしまして、所得倍増につきまして、各省からその実施事項についてお尋ねをいたすつもりでおりましたが、あまり時間がございませんので、ごく要点を時間まで申し上げたいと思うのですが、総理に率直にお伺いをいたしたいのでありますが、昨日も村域格差の問題がいろいろ出ておるのでございますが、私がお尋ねいたしたいことは東京都の現状なんでありますが、これは首都圏委員会等でいろいろ論議をされておると思うのでございますが、現在いろいろな意味におきまして、東京都というものは住宅の問題あるいは都内の交通等の問題から考えましても、まさに麻痺状態を来たしているわけでございますので、この際一つ思い切って国会とか中央のいわゆる政府機関を中心として、それから大学、そういったものを一つにまとめて、どこかに一つ新しい首都を作るという大構想は一体お持ちにならないかどうか。これはもし池田総理がおやりにならなくても、当然いつの時代か、だれかの総理大臣の手によって、私はやらなければならぬ時代が必ずくると思うのですね。日本人は大震災があるとか火事があるとかいうと思い切ってやるのでありますが、平生はそういう思い切ったことはやらないのでありますが、新しいそういった一つの首都を作るという御構想はありませんか。一つ伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) そういう御意見を私はよく聞くのでございますが、単に意見として聞いておるだけで、私が今お話のようなことを決意する段階には至っておりません。
○大竹平八郎君 次に、運輸大臣に対しましてお尋ねをいたしたいのでありますが、この所得倍増計画におきまして運輸省といたしましても、それぞれのいろいろな対策をお講じになっておると思いますので、御承知の現状におきましても、陸上運送それから海上ともに輸送状況というものは行き詰まっておるわけでありますが、ことに所得倍増になりまするというと、貿易が盛んになって参ります。そうすると、現在の船舶の総トン数四百八十万トンというものがはたしてこれでいいかどうか。一説には計画達成の輸出の二・四倍、輸入の二・八倍に照らし合わせて運輸当局が千三百三十五万総トン数の計画を立てている。こういうように聞いているのでありまするが、しかしこれを遂行するということはこれはどうしても船会社との関連があるのでございますが、日本の船会社は、御承知の通り終戦後ゼロから出発をいたしているのであります。ことに最近の船会社は、一次会社といえども、これはもう利子の償還のために四苦八苦をいたしているというような状況からいたしまして、なかなか尋常一様では、政府がお考えになっているような千三百万総トンの船を仕るということは容易でない。よほどの行政指導とか、あるいは何か大ぎな助成というような問題を大きくお考えにならないと達成ができないのでありますが、これに対するお考え、それから同時に、きのうもちょっと触れたようでございまするが、港湾設備の問題、それから戦標船をどうするか、こういった一連の海運政策につきまして、この際御答弁を願いたいと思うのであります。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。ただいまお話しのように、所得倍増の計画のように日本の国の経済が成長発展して参りますると、十年後の昭和四十年には、推定いたしまするのに、輸出は現在よりおそらく二・四倍ふえ、輸人が二・八倍ふえるだろう、従いまして、そういうふうに貿易が発展いたしまするのに伴いまして増加する貨物の輸送ということは、非常に重大な問題になって参りますのてふえた貨物につきましても、なるべく自国に運賃を増加したものを還元いたすことを考えたり、あるいはまた経済発展に必要な海外の重要物資を円滑に運ぶというようなことを考えますと、今お話しのように現在ありまする外航船の保有量のおそらく二・八倍くらいの千三百三十五万トンくらいが必要であるという推定をいたしておりまする次第でございます。しかしながらただいまもお話がございましたように、わが国の海運界は、戦後ゼロから出発をいたしまして、船の建造費というものは全部借入金によってやって今日の船会社というものは借入金の利子の負担の重きにたえかねているというような状態であるのでございまして、言葉をかえて言えば、まことに体質が收善されずに基盤が弱いのでございまして、こういう基盤の弱いところへ持ってきまして海運の状況は御承知の通りなかなかよくならずに低迷の状態を続けているのでございます。一方外国の船会社というものは、これは御承知の通りに基盤がきわめてかたいのでございまして、こういうものと競争をする一方、これからの日本の経済の成長発展のために必要な海外からの重要物資を円滑に、安定に運ばなければならぬというむずかしい仕事を持っているのでございます。 そこで、もちろん政府といたしましては、名企業から出ました各企業を強化する方策というようなものを検討いたしまして、各企業ごとに経営の合理化、経費の節減等指導をいたしまして、企業それ自体の、その企業の強化策を指導をいたしまするとともに、それだけではなかなかもって足れりとするわけに参りませんから、政府といたしましても、今の一審負担の重いところの金利という問題につきまして、十分考えなくちゃならない。たとえて申しまするならば、開銀金利を三分引き下げて三分五厘の程度の船会社の負担にするとか、あるいは市中からの金融につきましても、政府の利子補給によりまして、五分程度のものにしてやる、こういうようなことによって局面を打開していきたいというふうに考えておるような次第でございまして、まず長期の計画を立てましても、初めの五年くらいの問は企業の体質改善ということに力を入れまして、あとの五年は企業の力がついてから船を作らせるというようなことで、ただいま申し上げました千三百三十五万トンを目標といたします場合には、九百七十万トンくらいが不足しておるのでございますけれども、しかし、初めの五年間くらいは、あまり無理をして作らせずに、少なくも開銀の融資によるものが二十六万トンを合わせまして、まあ五十万トンくらいを初めの五年間は作らしていくことがいいのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。 また港湾の問題につきましてお話がございましたが、これもまことに御説の通りでございまして、これからの経済の発展に伴いまして、内外貨物の輸送量というものは増加いたしまして、今後十年後の昭和四十五年度におきましては、おそらく九億四千万トンに達するのではないかというような推定さえてきるような状態でございます。こういうものを扱います港湾の新築と、それから改良と、それからそればかりてはありません。所得倍増、経済成長を目途といたしまして、新しい臨海工業地帯を造成、開発することも必要である。日本に多く襲って来るところの台風、津波その他の問題がございますので、防災の設備もやらなくちゃならぬ。こういうことで、これは運輸省といたしましては、長い問の見通しをもちまして、計画を今立案中でございます。これは運輸省だけでなく、関係方面とよく調整をいたしまして、近くその方針を具体的に詳細に決定をいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○大竹平八郎君 通産大臣に最後にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、所得倍増計画によって、その中に含まれる宿命的な自由化の問題というものもあわせまして、今後の貿易の見通し、それからあわせて国際貿易の見通し、この点を承りたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 貿易の現状は、従来まではきわめて順調でございまして、三十五年度におきましては、前年に比較して約一七%程度の伸びが期待されておるのであります。しかし今後一体どうなるか、ドル防衛の問題、あるいはまた世界全般の経済界の情勢等からいたしましても、どういう成り行きになって参るかということでございますが、アメリカはさしあたり特需、ICAの減退が見られますが、それと関連して、輸出ドライブがかかって参るだろうということが期待されておりますので、第三国において相当従来よりも競争はきつくなる、並びにアメリカのリセッションの問題もいわれておるのであります。それからまた欧州の経済もようやく成熟期に入っておるというような原因からいたしまして、どうも三十六年度におきましては、従来の増勢が幾分鈍化してくるのではないか、こういうふうに予想されておるのであります。しかし、幾分鈍化したといたしましても、大体において一〇%を下らない伸びが期待されるのではないかということが結論として申されるのでございます。なおまた、来年度の後半期においては、アメリカ経済の大体調整が終わりまして、また持ち直しを示して参るのではないかということももっぱら言われておりまするので、一〇%ぐらいは下らない伸びを期待しておる次第であります。 後進地域の外貨事情でございますが、これも決してよくならぬ、むしろ悪くなるであろうというような予想もされております。いろいろなことが期待されておりますが、しかし貿易に対する従来の方針をさらに強化いたしまして、これらの障害を乗り越えて参る、かように考えております。
○大竹平八郎君 共産圏貿易は入っているんですか、今のに。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 共産圏貿易は、ソ連に対しましては御承知の通り今年の三月に長期協定をいたしまして、それから年々それに基づいて大体輸出入の協定をすることになっております。来年度の協定も近いうちに調印されることになると思います。向こうもいわゆる七カ年計画というものに入っておりますが、それらの実行に関連して対日貿易というものに対して相当意欲的であるという関係から、これは伸びて参るものと考えます。中共貿易は御承知のような状況になっておりますが、民間ベースにおいてこれを一昨年のあの状態にだんだん引き戻すことにつきましては、政府は別に従来の方針と変わりはないのでございます。ただ、政府間の協定という段階では、ただいまはない。でありますけれども、民間べースの取引によって相当程度伸びることは、私は期待できると思います。
○大竹平八郎君 今一問御猶予を得たい。 農林大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、国民の消費生活が向上していくと同時に、所得倍増計画の問題も相関連をいたしまして、食生活の傾向というものがだんだん変わっていくわけでございます。そういう点から申しまして、どうしても畜産物とか、蛋白質とか、果実とかいうようなものを多くとるような状況になるし、それからこのごろの米の豊作というものは、豊作にあらずして平年作というようにいわれておるし、かたがた、この米穀の問題が日本の後進国貿易というものをある程度まで阻害しておるというような状況からも考えまして、大体この米穀生産というものについての一応の限定期というようなものを、この時期に考慮をするときがきたのじゃないかというように考えられるのでありますが、これに対するお考えと、それから蛋白質とか果実、畜産物の、そういう国民の消費生活の変わり方からいって、今後のこの倍増計画に伴いまして、どのくらいの見通しでそれらに対しての輸入をお考えになっておるか、この点を最後にお答えを願いまして私は質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(周東英雄君) お話の通り今日における米の増産ということは、農業者の非常な努力によって大へん効果を上げまして、今日は六年の豊作続きといわれますが、お話の通りこれはおそらく平年作という形になると思います。一方、お話のように、食生活の改善並びに国民生活の向上とともに、蛋白、脂肪のとり方がふえて参りました。そういう面から考えまして、食生活が大きく変化しつつある状況でございます。しかしながら、それならば将来米の生産をどういうところに目標を固くかということでございますが、これは先日も申し上げましたように、人口の一年の増加傾向――これは大体百万人ぐらいずつふえて参りますが――その人口増加というものは、米食率をふやす要因であろうかと考えます。一面、食生活の改善並びに国民生活の向上に伴う関係は、米食率を減らす要因になって参ると思うのです。この二つの要因をあわせまして、十年後においてどれだけ米が要るかということを出しまして、その範囲において米の生産を進めるとともに、ただいまお話のように、新しい農業の方向といたしましては、需要の減らない、輸出のできるものというような――輸入農産物の国産化ということを考えたときに、今お話になりました畜産、酪農、または果実というものの生産が大きく浮かび上がって参ると思います。 それならば、どういうふうな計画で、年次的にどのくらいの数量ということは、ただいま検討中でございますから、いずれこれは通常国会等におきまして、農林業の基本政策を御相談申しますときに申し上げたいと思います。 ―――――――――――――
○委員長(館哲二君) 須藤五郎君。
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表しまして、総理並びに関係各大臣に質問をいたしたいと思います。 世界は今大きく変動しつつあります。アメリカ帝国主議を先頭とする世界の植民地主義者どもの野望は、根底から大きな音を立てて崩壊しつつあると考えます。アメリカの冷戦政策は、ドル危機を招き、世界の資本主義諸国をゆさぶっております。このような世界情勢の中で、日本の進むべき道は、中立、平和共存以外にないと私は考えます。ところが総理は、中立論や平和共存は幻想にすぎないと言っておられます。日本にとって今日これほど現実的な道はないと私は考えるものです。現に八十一カ国共産党首脳会議においても、平和共存の可能性を強調しておるではありませんか。この現実的な呼びかけに水をぶっかけ、八十一カ国共産主義首脳の声明は、資本主義諸国の軍事力が社会主義諸国を圧倒しておるからであると言っております。このように、今日においても依然として力の政策を強調するのは、ダレスのせとぎわ外交同様、はなはだ危険なものの考え方だと私は考えます。 私は、外交、経済各般にわたりまして詳細に質問をする時間がありませんので、問題を日韓問題にしぼって少々質問をいたしたいと考えるものです。 池田内閣の外交政策は、そのほとんどがアメリカ待ちだという状態であります。日中・日ソしかり、アジア・アラブ対策しかり、国連対策しかりであります。ところが、ただ一つ日韓会談だけは異常な熱の入れ方であります。小坂外相は、自民党内部の反対さえも押し切って韓国を訪問し、今次日韓会談の道を開きました。政府は、積極的に何一つ説明しておりませんが、これほどまで日韓会談を急ぐのは、何かわけがあることだろうと考えるわけです。国民は、不安と疑惑の目でそれを見つめております。そこで、現在日韓会談はどうなっておるのか。こんなに急がねばならぬ理由はどこにあるのか。この二点について、総理、外相の説明を求めたいと思うのです。小坂さんは、第二次鳩山内閣のときに、フィリピン賠償問題で重光外相の秘密外交を非難した方です。どうかこの際、秘密外交をやめて、国民の前にすべての問題を明らかにされることを私は要求したいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 韓国とは一衣帯水の間でございます。また、従来からいろいろ密接な関係がございましたので、一日も早く日韓の外交を正常化いたしたいというのが念願でございます。具体的問題につきましては外務大臣よりお答えいたします。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま総理からお答えがありました通りでございまするが、日韓両国の関係を改善するために、ただいま予備会談が設けられておることは御承知の通りでございます。しこうして、この内容につきましては、ただいま交渉中でございます。各委員会を設けまして、在日韓国人の法的地位の問題、文化財の問題、いわゆる平和ラインの問返その他につきまして交渉をいたしておるということでございます。特別に秘密外交はございません。ただ、交渉の内容につきましては、交渉段階において御報告することは、今日まだ適当でないというだけのことでございます。
○須藤五郎君 ただいまの総理、外相の答弁は、表面だけの説明にすぎないと考えます。 日韓会談の目ざす真の意図、真の背景は、私はあとで追及することといたしますが、その前に、まず聞いておきたいことがあります。 それは、昨日の新聞によりますと、韓国の鄭教授初め女子学生三十六名が朝鮮民主主義人民共和国に渡ろうとして途中で遭難し、日本漁船に救助されたが、政府はこの人たちをその現場から直ちに韓国政府に引き渡したと伝えられております。それは事実かどうか伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) そのようでございますが、その状況につきましては、政府委員から御答弁いたします。
○説明員(宇山厚君) 十二月十七日の正午過ぎに大洋漁業の第七十六東海丸及び第七十七東海丸が、北緯三十四度三十四分、東経百二十三度三十一分の地点――これは大黒山群島の西方約九十五海里のところでございますが――ここで韓国人四十二名を乗せて漂流中の韓国漁船(約三十トン)を発見いたしまして、救助を依頼されました。その両漁船は、この依頼に応じまして同日の午後四時二十分ごろ、北緯三十四度三十一分、東経百二十三度三十分の地点で当該韓国漁船から、乗組員を除く学生及び教師らしい韓国人男二十八人、女八人、合計三十六人のうち、第七十六東海丸に男一名、第七十七東海丸にその他の三十五名を収容したのでございます。その件につきまして通報を受けました海上保安庁の巡視船の「いき」「さつま」「くさかき」及び「くろかみ」は、風速十五メートル、波浪六という現場の状況を勘案いたしまして、両漁船の海難事故を予防するため、及び両漁船を保護するために現場に急行いたしまして、巡視船「いき」は十八日八時、「さつま」は同日の九時四十分「くさかき」は同日の十三時四十五分に両漁船に会合いたしました。他方第七管区海上保安本部では、本件を釜山海岸局に通報するとともに、これらの二つの東海丸に収容中の韓国人を済州島周辺におきまして韓国艦艇に引き渡したい旨を連絡をいたしましたところが、韓国側は直ちに了解いたしまして、当該韓国人の救助に協力するように韓国の船を同方面に向けて派遣いたしたのでございます。そのようにいたしまして同日の午後八時ごろ、これらの収容いたしました韓国人三十六名を先方に引き渡しまして、同日の午後十時五十分その引き渡しを完了いたしまして、この第七十六東海丸と第七十七東海丸は二十時に自己の漁場へ復帰した、こういう状況でございます。
○須藤五郎君 その際この学生たちは、日本に政治的亡命を申し出たということが伝えられておりますが、これは事実かどうか伺いたい。
○説明員(宇山厚君) この学生たちは、まず安全な地帯に連れて行ってくれということを申しまして、日本に亡命したいということを申したという事実はないように聞いております。
○須藤五郎君 彼たちが安全な地帯に連れて行ってくれということは、すなわち私は亡命を希望した言葉だと思う。韓国に連れ帰られるならば、すなわち安全な地帯ではなく、これは最も危険な地帯だといわなければなりません。なぜ彼らの要請を無視して彼らを韓国に引き渡したのか、政府に対して亡命の申し出がありましたら、少なくとも保護を加えて調査し、彼らの意見を十分聞いた上で適切に処置するのが当然ではないかと私は考えます。それもやらずに現場から直ちに最も危険な韓国に引き渡すようなことをやったのはなぜか。これは明らかに非人道的で国際慣行を全く無視したやり方だと私は思います。その理由を明らかに説明されたいと思います。外務大臣どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま政府委員から御説明申し上げましたような、非常に波浪の高い、しかも暴風ともいわれるような状態のもとにおきまして、非常に大ぜいの人を積んでおるということは、その積んでおる船自体が危険でもございますし、できるだけ早く他の船に引き渡すということは、これは国際慣例から申しましても船自身の安全のためから申しましても当然なことだと思います。しかも安全な所へ移りたいというその要求につきましてさような措置をとったものだろうと私は思います。
○須藤五郎君 この事件につきまして、昨日在日朝鮮人総連合代表が海上保安庁におもむきまして抗議をいたしております。そのときに海上保安庁の警備救難監はこういうことを言っております。今回の措置は軽率だった、事務的な処置を急いでああいうことになったが、今後は外務省とも打ち合わせをして慎重にやりたい、こういうふうに弁解しておるのです。この弁解からみましても、今の外相の答弁は当を得た答弁だということができませんが、もう一度運輸大臣なり何かからこういうことが事実あったのかどうか、その点について答弁をしていただきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 運輸大臣から御答弁があると思いますが、私はさようなことを海上保安庁の係官が申したということは聞いておりません。私どもは先ほど申し上げたようなあの状態においては、できるだけ救助した船自身の安全をはかる上からいっても、またその救助された人の人命の保護からいってもできるだけ近い所へ安全に移すということは、これは国際慣例であると考えております。
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。今、韓国人救助の概況につきましては外務省の方からお話申し上げました通りでございます。操業をいたしておりました日本の漁船がいわゆる人命救助というヒューマニティを発揮して、そうして三十六人の人を助けてあげたわけなんです。それでお助けをしまして、それから自分たちの方も漁場で操業しておるものですから、なるべくもよりのところへこういう方々をお助けするということは当然だろうというようなことでやったわけでございます。ただいまお話中の、何か海上保安庁の役所の人から、これからは外務省と連絡をとってどうこうするというようなことをいって、あたかも今回の処置が手落ちがあったようなことを申されたというお話でございましたが、そういうことはないように私は聞いております。ここにその方の係の人がおりますから、その方から詳細にお聞き下さいましてどうぞ御納得を願えれば幸いだと存じます。
○説明員(松野清秀君) 私海上保安庁の警備救難監の松野でございます。今お話がありましたように、在日朝鮮総連の方の代表の方がおいでになりまして、いろいろお話を承っております。それでその際、私は当時の模様をお話しまして、先ほど外務大臣からのお話がありましたように、当時の天候等から見まして、まずすみやかに安全な所に行くということがこれは当時の模様からいいましても当然であり、また従来私どもは外国の船員等を救助しましたときにはいつも相手国に連絡をいたしまして、そうしてできるだけ早く引き渡すという措置を従来からもとっておりました。今回もそういう考えからああするのが適当であったとわれわれは存じております。こういうことを申し上げたわけでございます。手落ちがあったから今後慎重にやるということを申し上げたわけではないのでありまして、むろんいかなる場合におきましても私どもは慎重を期するということはこれはもう当然でありまするし、そういうようなことは申し上げましたが、今回の措置が誤っておったということは申し上げておりません。御了承願います。
○須藤五郎君 学生諸君が日本に対して亡命を要望した。それを無視して自分たちの船が危険だということを理由にして、この三十数名の人を最も危険な韓国の警備船に引き渡すなどということは、これは非人道きわまる私は暴挙だと思うのです。外相はそういうことが国際慣行だとおっしゃいますが、これは全く的はずれな答弁だと思うのです。政府はいろいろな弁解をやっておりますが、この事件とは対照的な事件があることを私は申し上げたい。それは張ケイ根の韓国から日本への密入国の事件であります。張ケイ根という人物はすでに御存じのごとく元内務部長官で李承晩の右腕だった男、三月の選挙では自由党の政策委員伐としてあの買収と暴力の選挙を、やって十二年の刑が確定している男であります。さらに韓国の新しい憲法のもとでは死刑になる男であります。それが糖尿病で保釈になり、京城病院に入院中、十一月十三日逃亡、十六日未明に唐津に上陸した。彼は前の日韓会談の漁業委員会の代表てあったし、船田氏や伊関アジア局長とは特に視交があったといわれている。伊関氏とは三高、東大の同窓であります。だから、唐津でつかまったときにも船田、伊関両氏によろしくと暗に依頼の伝言をしております。この男は韓国政府の立場からいっても人民の立場からいいましても、極刑に処せらるべき人物て、反革命の元凶の一人だと思います。韓国政府及び人民から張の身柄引き渡しの要求が出ておりますが、政府はこれをどう処理するか、お答えを願いたいと思います。総理どうぞお答え下さい。
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたしまするが、ただいまの問題は対照的な事件たと言われましたが、これは対照的でも何でもございませんで、片方の今あげたのは波浪の高いときに救難したと、それを一番近い国に、本人がそれを安全な所という希望によって韓国に渡したということでございます。ただいまの張ケイ根という人の問題につきましては、これは先方が日本に密入国をした、こういうことでございまして、全然これは問題が違うというだけで、対照的ではないと存じます。そこで一般に国際法上逃亡犯罪人の引き渡しに関しましては、特に犯罪人引き渡し条約というものが存在いたさない場合は、わが国はこれに対しまして応ずる法律上の義務はないわけで、現在アメリカとの間にのみ逃亡犯罪人の引き渡しの条約があるわけでございます。そこで今お話のように密入国でございまするから、これは法務省の所管に属することでございまして、これは裁判に付せられるのでございます。私どもはこの裁判がいかように相なりまするかは、その決定を持って善処いたしたいと考えておる次第でございます。
○須藤五郎君 国際法には刑事犯は相互に送還するという条項があることは、小坂外務大臣も御存じの通りだと思う。彼は明らかに刑事犯人です。それが日本に密入国して来た、日本の政府は彼を密入国として扱い、政治的亡命者としては扱わないということを今話されたわけです。そう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) そういうようなことを申し上げておるわけではございませんで、今裁判をやることになっておる。その裁判の結果、これが政治的な亡命者であるか、一般の犯罪者であるのか、とにかく密入国したのでございますから、その件について取り調べをいたしまして、裁判の確定するその結果を見て、われわれの態度というものがまたきまってくるわけでございます。ただいまのところはさような段階にあるということを申し上げた次第でございます。
○須藤五郎君 そうすると、密入国者として扱うのにも困るし、亡命者として扱うのにも困る、まだ決定ができない、そういう何かうしろめたいようなことがあるのではないでしょうか。李承晩の場合にはアメリカが直接手を貸して逃がしました。今度の場合不手ぎわで唐津でつかまりましたが、同じようなことがいえると思うのです。張勉自身もやがて韓国に身の置きどころがなくなる、おそかれ早かれ日本に亡命しなければならぬ運命にあるので、その地ならしのためにこの密入国事件と暗に関係しているといわれておりますが、どうでありますか。彼が唐津の海岸でつかまるとすぐ船田氏と伊関氏に会わせてくれ、よろしく頼むと伝言をしております事実などを見ると、両氏とも何か関係があるように考えられる。事実世間ではそう言っておる人がたくさんあるわけです。そんなことがあるのかどうか。そうとすれどそれは秘密外交などというなまやさしいものではなく、謀略外交だといわなければならないと考えます。日韓会談には最初から非常に暗い影がつきまとっているが、この事件はそれをさらに奇々怪々、複雑なものにしておると思います。この事件の処理いかんが直接日韓会談に影響するので、言を左右にして言いのがれようとしておるのかどうかを答えてもらいたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) 日本は法治国でございまするから、法の定むるところによって政府は決定をいたましす。さようなことを申し上げておるのでございます。裁判の決定を待って、われわれも態度をきめるということは言を左右にしているということではないと存じます。
○須藤五郎君 議論はたくさんありますが、時間がありませんので、その次に移りたいと思います。 この際ついでに聞いておきますが、柳大使は四月革命で解任されたはずであります。まだ柳大使は日本に滞在しておりますが、その滞在期日の延長の理由は一体どういう理由で延長しましたか。
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。在日前柳大使の問題につきましては、当初残務整理あるいは身辺の整理の意味で、またさらに大使という要職におられたその身分等も考慮いたしまして、最初の残留期間を認めましたのは六ヵ月でございます。その六カ月の期限が参りまするのが今月の二十六日でございまして、今月二十六日以後の処置の問題につきましては、なお関係当月と十分相談の上で処理して参りたい、かように考えております。
○須藤五郎君 残務整理ということになると、それば当然公務執行中ということになると考えられます。それならば本国政府並びに人民が要求した場今、日本の政府はその帰還命令を妨害をすることはできないはずだと考えます。今までも韓国政府並びに国民から、たびたび柳引き渡しの要求があったと聞きますが、どうしてそれを無視してきたのか。また、十二月一十六日で彼の滞在期間は切れることになっているが、その後の取り扱いについては、政府はどうするつもりか伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま法務大臣がお答えになりましたように、残務整理として半年の延長をしているわけでございますが、その後どういたしますかということにつきましては、ただいま関係者が協議をいたしている段階でございます。
○須藤五郎君 この答弁おかしいと思います。私の質問の的はずれの答弁だと思うわけです。残務整理ならば公務である。そうすれば当然本国から帰還命令がきたときは、日本はそれを妨害することはできない。直ちに引き渡すべき性質のものだと思う。それを引き渡していない。それはけしからぬ。十二月二十六日で期限が切れるが、その期限が切れたあとは、どう処置するか、こういうふうに私は聞いているのです。
○国務大臣(植木庚子郎君) 先ほど私がお答え申し上げましたのは、残務整理及び身辺整理と申し上げました。両方の意味でございます。前大使の柳氏は、昭和二十六年ごろからだったと思いますが、初め参事官としてこちらにこられまして、自来ずっと最近までの、非常に長期にわたる留日でございます。従って身辺整理等についても、いろいろと相当の期間を要するであろう、こういう考えのもとに最初の六カ月滞在が認められた次第でございますから、その点御了承をお願いいたします。なお、今後の処理の問題につきましては、外務大臣その他関係当局とよく相談の上で、その日までに方針をきめたい、かように考えております。
○須藤五郎君 張とか柳とか、札つきの犯罪人、反革命の元凶に対しては、いろいろ理屈をつけて、今皆さんがつけてきたような理屈です、そしてこの身柄を軸国政府と人民の手に渡すのを引き延ばし、実質的に彼らに保護を加えて、そうして一方では可憐なる女学生たちは有無を言わずその現場から韓国当局に引き渡している。これは張や柳のごとき札つきを保護し、一方では韓国政府との対立を緩和しようとして、三十数名の少女たちを人身御供にしたもので、全く言語道断といわなければならぬと考えます。このように非人間的で、謀略的な措置をとり続けるならば、わが国の外交は、全世界からますます相手にされなくなるでしょう。しかも先に述べたように、これらの事件の処理いかんが日韓会談に直接影響を与えるのであります。全くおそるべき現実だといわなければなりません。 そもそも、従来日韓会談が行なわれる場合には、必ず極東のどこかで血なまぐさい、硝煙くさい何かが起こっているのであります。第一次会談から第三次会談の際は朝鮮戦争が起こっておりました。第四次会談の際には台湾海峡、金門、馬祖の戦いでありました。第五次会談は、日本における安保条約の強行と密接に結びついており、四月の李承晩政権の崩壊と、岸内閣の崩壊によって、この第ゴ次会談は中断されました。そうして今回また始まったわけであります。 今回の日韓会談がしゃにむに急がれている背後にはきわめて重大な幾つかの要素があると考えます。 一つは南ベトナム、ラオス、その他を見ても明らかになるように、SEATOのたがが、がたがたになり、中立への動きが強まっており、アメリカの支配が日に日に弱まってきているのであります。 第二に、韓国は、すでに人民自身の手で李承晩の独裁政権が倒され、蒋介石政権にも危機が近づいてきておることです。 第三は、アメリカのドル危機と海外支出削減の措置は、これらかいらい政権の動揺を一そう深刻なものにしておること。 第四は、韓国自体においても事態は全く変わってきております。北朝鮮から南北の平和的統一を目ざす経済文化の交流を初め、数々の具体的の提案がなされ、また、韓国の内部でもアメリカの干渉をはねのけて、人民みずからの手で平和的統一を勝ち取る具体的運動が高まってきております。一方、韓国の経済的危機は深まり、特に来年四月には食物がなくなるという農民が一千万人をこえるだろうと言われております。これが張勉内閣の命取りともなりかねない。また、アメリカの援助削減はこの傾向を一そう促進しておると思うものです。 五は、相手の韓国がかくの通りであります、四月まで打つか持たぬかわからぬ。だからこそ四月までにはどうしても日韓会談を妥結しようとあせりにあせっておると言わなければなりません。言うまでもなく、アメリカは日韓会談を成立さして、NEATOの結成と、日本に韓国に対するアメリカの援助の肩がわりの役を引き受けさせようとしておるのであります。日本の独占資本もこれを経済的進出の足場にして、かつアメリカの庇護のもとにNEATOの指導権を確立しようとやっきになっております。これこそが日韓会談の真の背景であり、日本が日韓会談を急ぐ原因だと私は考えるものであります。 そこで総理にお伺いいたしますが、朝鮮人民は、北でも南でも、アメリカの干渉を排除して、人民みずからの手で平和的統一を達成するための具体的建設的な努力を積み重ねております。北朝鮮からは連邦制を中心とする経済文化の交流を初め、数々の具体的な提案がなされ、韓国内部でも社会大衆党や新民党の幹部までも公然と南北交流を要求しており、また、世論調査の結果も七〇%までがそれを支持しております。また、四月革命の中核となった学生諸君も中立を要求して立ち上がっております。このように朝鮮民族みずからの手で民主的な基礎の上に朝鮮の平和的統一を戦い取ろうとしているが、総理や外相は、このような偉大な歴史的事実を一体どう評価しているのか。まずそのことを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 南北朝鮮の実情につきましては、須藤さんと私の見方は根本から違っております。ただ問題は、両方とも統一選挙をしたいという気持はわれわれにもわかります。しかし、いかなる形式でやるか、いわゆる韓国の方は国連監視のもとの一般投票、こういうことを言っておりますが、北鮮の方は必ずしもそれに賛成いたしていない。われわれといたしましては、南北朝鮮がいずれかの方法で統一されることを念願いたしておるのであります。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま総理大臣がお答えの通りに私は考えております。要するに、民主主義国でありまする場合、いろいろな意見が国内にあるのは当然でございます。意見がいろいろあるからといって、その国はどうとかこうとか批評することはわれわれとしてはよくない、取らざるところであると、かように考えております。
○須藤五郎君 総理は、北朝鮮から南朝鮮に呼びかけられたあの文書をお読みになったことがありますか。これはすばらしい文書です。世界中だれでも共感をしなければならないような文書です。もしお読みになっていなかったら、私お貸しいたしますから読んで下さい。これを読まなかったら一国の総理として勤まりません。 総理や外相がいかにこのことをゆがめ、過小評価し、あるいは無視してかかろうとも、これはまさしく目の前で発展しておる厳然たる事実であります。この朝鮮人民の戦いは日増しに大きくなり、やがて遠からぬ時期に南北交流と平和統一は必ず達成されるでありましょう。私は、この朝鮮人民の意思と戦いを支持し、激励し、あるいは協力することこそが、日本と朝鮮の間の友好関係を増進し、日朝両国の真の国交正常化をもたらす唯一の道だと思います。しかるに日韓会談はこれに逆行し、水をぶっかける役割を果たそうとしております。それだけでなく、真のねらいは、日韓両国共通の目標としてNEATOの結成にあると思いますが、総理の答弁をいただきたい。
○国務大臣(池田勇人君) NEATOの結成は考えておりません。
○須藤五郎君 しからば伺いますが、国連総会からの帰途十一月十六日、日本に立ち寄りました韓国の鄭一亨外務部長官は、麻布の在日韓国代表部で記者会見をして、NEATOの結成を公然と話しております。また、韓国の新聞も、連日日韓会談はNEATOの前提であると、こういう記事を載せておるのです。総理がこれを否定しましても、当の相手方は堂々とNEATOの結成についてかくのごとく語っておるのです。これほど大事なことを相手が語っておるのに単に知らぬ存ぜぬでは通らぬと考えます。それとも先方が無責任で出まかせを言っておると言われるのでしょうか。アメリカが日韓会談に一方ならず力を入れておるのは、NEATOを結成し、日本に肩がわりさせるためではありませんか。ほんとうのことをここではっきりと私は言っていただきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 軍事同盟的なことを意図しているNEATOに私は参加する気持はございません。はっきり申し上げておきます。
○須藤五郎君 今のような答弁で幾らごまかそうとしましても、国民は事の本質をすでに見破り始めておりますし、何よりもその対象とされております中国では非常な警戒心を持って日韓会談の成り行きを見守っております。総理、あなたはこの日韓会談の成立が少なくとも朝鮮における南北の分裂を固定化させ、中国の日本に対する疑惑をますます深めることになるとはあなたお考えなりませんか。
○国務大臣(池田勇人君) 日韓の外交の正常化が必要と考えて、今交渉を始めておるのであります。
○須藤五郎君 私は以上の質疑応答を通じまして明らかな通り、日韓会談は少なくとも実質的にNEATOの結成を目ざしておるものと断ぜざるを得ないわけです。同時に、日本の大独占資本が一部アメリカの肩がわりをして、南朝鮮を経済的に支配しようとする露骨な意図を持っていることも明らかであります。これはまた、安保条約がさらに具体的に発展した姿であるということができます。私は、このような危険な内容を持ち、他国の内政に干渉するがごとき日韓交渉を直ちに打ち切ることを池田総理に強く要求するものであります。 最後にもう一点、私は厚生大臣にお尋ねいたしたいと思います。 大臣は、十月十六日開かれました生活と健康を守る会全国代表者会議の席上、佐世保の代表から二つの悲惨な話が報告されたことは御存じでしょうか。一つは産み月の日雇い労務者志田原トクさんが保護を打ち切られてとほうにくれ、安産はしたものの、産んだばかりのわが子をみずからの手て絞め殺した事件であります。 二は長わずらいの小瀬良キミさんがふとんやはだ着などの一時扶助申請をしましたが、予算がないと断わられ、裸のまま死んでいった事件でありますが、大臣はこれらの問題を知っておられるか。知っておられるとするならば、いかように考えられておるか、御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) ただいまのおあげになりました二つの事件でありますが、私はまだ実は詳細にその話を聞いておりません。
○須藤五郎君 では係のだれかに答弁さして下さい。
○政府委員(太宰博邦君) ただいまのこと、私どもも承知しておりませんので、さっそく取り調べてお答えいたします。
○須藤五郎君 私は満足な答弁が得られないことをはなはだ不愉快に思うのです。当局者すらもこういう悲惨なことを知らないということは、私は何かそこに大きな問題があると思うのです。何と言おうと、現に二人の生命が失われておるということは事実です。この事実はいかんともすることができない問題です。さきに朝日君の提訴した行政訴訟におきまして、今日の政府の行なっておる生活保護は不当に低い、憲法違反であるという判決が下されております。政府は、十年後所得倍増などうわついたことを言って国民をごまかすのではなく、まず、なすべきことは、このような最低生活者に対して、憲法二十五条による健康で文化的な最低限度の生活を保障することであります。そのためには生活保護法を全面的に改正しなければならぬと考えますが、政府にその意思があり、用意があるか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 生活保護法につきましては、問題があると思います。ことにまた、この保護基準の問題などは、実質問題としてこれは大事な問題だと思っております。研究しておるところであります。
○須藤五郎君 最後に、私は要望をしたいと思います。さしあたって次のことはぜひとも厚生大臣にやっていただきたいと思うことです。 それは保護法の第四条の補足性の原理を改善いたしまして、資産、能力の活用について、また、扶養義務の優先について、個人の自由と権利を尊重した民主的なものに改めること。 二は、朝日判決でもはっきりしているように、現在の不当に低い保護基準のきめ方に問題がありますから、第八条の基準及び程度の原則で、厚生大臣一人で勝手にきめることになっておるやり方を改め、生活保障、社会保障に関係する諸団体の代表を入れた民主的な生活保護審議会を中央、地方に作って、苦情処理に当たらせること。 三は、以上述べたごとく、法の改正をやると同時に、一方民主的な運営をやる必要があります。今のやり方は、生活保護の精神を逸脱して貧困者を取り締まる、管理するというやり方に重点が置かれておると思います。このようなやり方は、即刻やめるべきであります。ただいま年末要求が出されておると思いますが、これに対しまして十分な予算措置をすることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
○委員長(館哲二君) 午後は一時三十分に再開することといたしまして、休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ―――――・――――― 午後一時五十二分開会
○委員長(館哲二君) これより予算委員会を再開いたします。 引き続いて質疑を行ないます。木村禧八郎君
○木村禧八郎君 私は四点にわたって質問いたしたいと思います。その第一点は、いわゆる所得倍増の問題てあります。第二はドル防衛の問題、第三は今回の補正予算の歳入予算につきまして、最後に補正予算の歳出につきまして御質問したいと思います。 そこでまず最初にいわゆる所得倍増の問題について池田総理大臣にきわめて初歩的な御質問をいたしたいと思うのです。でこの所得倍増とかあるいは月給二倍論ですが、これは御承知のように池田総理が昨年二月関西で新聞記者に月給二倍論ということを話されて、それがもとになって自民党の内閣の基本政策になってきたわけであります。私はどうもよくわからないのですが、世間で非常にこの所得倍増に魅力を持ち、珍重されているようでありますが、私はどうしてそんなに魅力があるのか、あるいは珍重されるのか理由がよくわからないのです。そこで非常に初歩的な質問をいたしますので、その主張されました御本人である池田総理から教えを請いたいわけです。まず所得倍増あるいは月給二倍論といっていますが、具体的にこれはどういう意味なのでしょうか、まずその意味からお伺いしたいと思うのです。月給二倍論を中心にしていろんな論戦が行なわれて参りましたが、仏はまず最初に、一体月給二倍とか所得二倍とかいう具体的な意味がわからないので、その点からお伺いしたいのであります。
○国務大臣(池田勇人君) 経済が成長拡大をいたしまして、全体のいわゆる国民総生産が伸びる。そうしてまた従って所得が伸びる。そういう場合においてまあ人口もある程度ふえますから、過去の実績から申しまして私は総生産を十年間に倍以上に伸ばし、そして国民所得を倍にする、そういうことでございます。
○木村禧八郎君 ただいま池田総理は十年間に所得を倍にするとおっしゃいましたね。するということをおっしゃいましたね。それからこれは月給二倍論と言われましたが、月給二倍ということと所得二倍ということとは同じに考えられておられますか。
○国務大臣(池田勇人君) 二倍にすると言ったのは、これは取り消します。二倍になるような政策をとる。この前もここで申し上げたり、また衆議院でも申しましたが、われわれ政治家としては国民の創造力、ポテンシャル・エナージーを刺激し、これを強くし、そして自由な姿で発揮される環境を作るのが私は政治家の務めだと思う。だからこれをするとかどうとかいう問題でなしに、なるような環境を作る。そういう環境を作り、方向づけるということが政治のあり方で、するというのはこれは無理でございます。なるような方向でいこうとしておるのであります。 それから月給二倍論ということは、これはもともと広島の袋町小学校て言ったのですが、わかりいいように、月給は月給二倍論、何も月給取りばかりではございませんので、一般の中小企業、農業あるいは工業等にしても所得の倍という意味でございます。
○木村禧八郎君 それで少しわかりかけてきたのてすか、その倍になるような環境を作っていくということですね。そうすると、その倍になるかもしれないし、倍にならないかもしれないのですが、その倍ということを具体的に説明していただきたい。たとえば国民一人当たりの所得は本年度十二万円、それが十年後に二十四万円になる、そういうことなんですか。
○国務大臣(池田勇人君) これは私が考え出したのは、過去の実績を見まして人口もある程度ふえましたけれども、そうしてまた物価も昭和二十五年に、二十六年でしたか、上がりましたけれども、二十七年から一応横ばいになっている。こういう関係から申しまして、生産あるいは国民所得の伸びを見て、大体倍近くになっていますから、これを続けていこうとこういうことでございます。従いまして今年の一人当たりの所得がどうなりますか、十兆四千億という当初の見込みでいけば、九千三百万人でございますから十万余りになる。それが十年後において人口もある程度ふえましよう、いろいろなまた異動もございましょう、各事業間に。それを倍近くにしよう、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 それでは個々の人の所得が倍になるということではないわけですね、総所得を総人口で割った一人当たりの平均が倍になるということでしょう。そうすると中身を検討してみるとある人は三倍、十倍にもなる、ある人は倍にならないかもしれない。しかし総所得を総人口で割ってみると倍になるということなんですね。そうすると、世間で私は所得倍増、自分の所得はふえるんだといって珍重している人の気か知れない、おかしいと思う。自分の、個々の人の所得かふえるというわけではないのですね。
○国務大臣(池田勇人君) そこで所得の格差の問題が出てくるのでございます。よろしゅうございますか。で、私は、大金持の人の所得は、何も倍になるというふうなことを考えるよりも、所得の下の方の方々が二倍以上、三倍、三倍半になるような施策をとっていこうというのが、成長論とかね合わして所得格差の縮小と、こういうことてございます。うらはらになっておるのでございます。
○木村禧八郎君 それは先ほどの総理大臣の御説明と矛盾しています。総理大臣は所得がふえるような環境を作るというのでしょう。いわゆる経済成長政策によりまして、その結果としてふえるのであって、それでは低所得の人をふやすんですか、上げるということなんですか。そうすると倍にするということは取り消されたわけですね、するのではない、倍になるのだというのでしょう。ですから所得が倍になる場合の条件があるわけですね。ただむやみに倍になるということじゃないということでしょう。そうすると、政策によって低所得の人を倍にする、二倍三倍にするということは、これは倍にすることなんですよ。さっき倍にするということは取り消された、倍になるのだ、ふえるのだ、こうおっしゃっている、それじゃ矛盾されていると思う。
○国務大臣(池田勇人君) 矛盾していないと思います。これは全体としては倍、そして上の人の方は倍にならないように、下の人は倍以上になるような環境を作り、そういう方向づけをするというのでございます。だから結果においてはなりましよう、しかしするというのではない、なるように導いていくというのでございます、矛盾していない。
○木村禧八郎君 それじゃどうしてされるのですか、その具体的な方法を伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) そこで社会保障制度の拡充とかあるいは今の地域別、業種別、規模別の格差をなくしていって、そして農業あるいは中小企業の近代化、成長政策をとろうとしているのであります。
○木村禧八郎君 その程度のことで低所得の人が……。それでは来年度の予算でその通り組みますか、三倍、四倍にもなるように予算を組みますか、また大所得の人がそんなふえないような税制なりその他の予算措置をされるかどうか。
○国務大臣(池田勇人君) 一年で三倍も四倍もなるのじゃございません。十年を見通しましてそういう結果が招来するような予算を組みたいと思います。
○木村禧八郎君 総理はごまかしているのですね。総理は月給二倍論を言われたあとで、いろいろ国民に誤解があるというので、あなたは「進路」という雑誌に論文を書かれています、昨年の五月号に。私はこれは非常に参考になりました、誤解が解けました。『私の「成長論」と「月給二倍論」の根拠』と題しましてその論文でこう書いてある。「月給は上げたいし、上げるべきだ。だがそれは経済の理法に従って上げるしかない。ということは月給が上がるようにする以外に手はないということだ。国民経済が成長し、総生産が増大し、所得がふえるようにする。ここが肝腎なのである。上げるのでなければつまらんと考えるのは、経済の理法に無知なのか全体主義独裁体制にあこがれるか、どちらかである。月給が上がるような経済政策をとるということが重安なポイントであることを忘れてはならない。」こう言っておられる。上げるのでなければつまらんと考えるのは、経済の理法に無知なのか全体主義独裁体制にあこがれるか、どちらかだと言われる。で、経済の理法とは何か、あとで説明しておられます。これは自由競争を建前とする市場経済体制だということを言われております。自由競争経済のもとで、上げるのではなくて上がるのだと言う。そういう倍増論ては、自由競争経済体制は御承知のように、資本カのある者、金のある者、それが強い者でしょう。強い者勝ちの経済でありませんか。そういうことで、上げるのではなく上がるのである、上げるという思想は全体主義の思想だ、それでは低所得の人は上がらないじゃありませんか。
○国務大臣(池田勇人君) これは私、書いた通りでございまして、そういうふうに全体が倍になる、そしてその関にいろいろな税制とか社会政策とかいろんな施策をして、努めて格差をなくしていこうというのが私の目標なんでございます。
○木村禧八郎君 それじゃそれは全体が倍になるということであって、個々の人の所得が倍になるということじゃないのですね。これは明らかになった。それでは今までと同じことじゃないですか。経済が大きくなれば所得がふえる、そうして社会政策をちょっぴりやる。何ら珍重すべきものじゃない。あたりまえのことなんです。それで自由経済体制ですから、資本カのあるものは三倍、五倍、十倍にもふえるでしょう。資本カのない人はふえない。社会政策でちょこつと生活保護費を引き上げる。そうして総平均、総人口で割ってみれば倍になる。何ら珍重すべきものでもありませんし、新しい着想でもないのですが、どうも世間の人は誤解していると思う。だからその点総理は誤解のないように、自分の個々の月給は倍になるものではないのだ、所得が倍になるのではないのだ、誤解のないようにという。経済を自由競争の体制でやるのだから金持は幾らでもふえるのだ、貧乏人は力が弱いからふえない。貧乏人は麦を食え、金持は米を食えというのと同じじゃありませんか。その着想がそうじゃありませんか。
○国務大臣(池田勇人君) あなたはそうお考えになるかもしれませんが、私は一般大衆が私の気持はわかってくれることと思います。なにでございましょう。御承知の通り今から四、五年前にイギリスのバトラーも二十五年間かで所得倍増論をいっております。イタリアでも五年ほど前にそういっております。どこの政治家でも所得倍増を何年間でやるかという計画を立てている人がある。それをそんなことを言ったって何にもならぬじゃないかと言いますが、私はこの所得倍増論というものが世の中に出まして、これに対していろんな議論をされるということは非常な進歩だと思います。あなたは何にもならないことだとおっしゃいますが、私は政治的に相当の進歩だと考えます。見方の違いでございましょう。
○木村禧八郎君 私はむだとは言わない。いかにこの月給二倍論というもので幻想を抱かしているかということであって、国民がむしろそういうことを知らないのですから、これをもっと誤解のないようにされるべきでしょう。そのためにあなたはこの論文を書かれた。それで総理自身がこういっているのです。「国民経済が成長し、所得がふえれば、月給が二倍三倍になるというところをとらえて、何だ、当り前のことではないか、月給を上げるのでなければたいして政治的ミリョクはないじゃないかというような声がある。かと思うと、私がいきなり月給を上げる、上げろといっているのだと勘違いして、それは大変だ、そんなことをしたら企業は成り立たないのたといってあわてた人がいた。だから自分は誤解のないようにこの論文を書いたのだ。そして経済の理法に従って、自由競争を建前とする市場経済体制のもとで、上げるのではないのであって、上がるのだ」こうおっしゃる。ですからこれは何ら新しいことではない。新しいことでないということを国民によく知らせる必要がある。むだとはいいません。これが契機になっていかにおかしいものであるかということは、だんだん経済知識が向上しまして、それで自民党の政府の大きな資本本位の政策に対する批判が高まってくるという意味においては、非常に貢献されると思いますが、私はまだほかに質問しますので、この点については大体総理が個々の人の所得は倍になるのじゃないのだということをはっきり言われた。上げるのではないのだ、上がるのであるということを確認されましたから、その次の質問に移りたいと思います。 第二の質問はドル防衛の問題であります。池田総理はドルの防衛措置に対しで積極的に協力されるということの態度を明らかにされました。しかし協力されるに当たりましてはドル防御措置の内容というものはよくわかっていなければ、これからどういう措置が行なわれるか、それによって何でもかんでも協力するというわけにいかないと思うのです。そこででき得る限り、これまでわかった範囲でけっこうですが、ドル防衛措置についてのアメリカの方の情報もございましょうし、あるいは政府の調べたものもございましょうし、そういう点について、この機会に、もうかなり時日もたっておりますから、そういう点について、ドル防衛措置の内容について、あるいは今後またどういう手が打たれるであろうかという御調査につきましても、この際明らかにしていただきたい。
○国務大臣(池田勇人君) くどいようですが、国民の英知と努力によりまして、十年以内に倍になる、そして人によって三倍にも五倍にもなる人が出てくるような施策をとろうと思っておるのであります。金持ちの方がふえるということより下の方をふやそう。そしてみんなが倍になるのじゃございませんが、倍以上になる人が多くなる、こう私はここではっきり申し上げておきます。そういう目標のもとに国民とともに努力しようというのが私の考えであります。 それからドル防衛の問題につきましては、私は政府関係で特にこれという情報は持っておりません。新聞とかあるいは個々の役人の人がある程度とった情報がございます。問題の一番初め出ましたICAの問題、これは全体の二割あまりを日本が持っておる。ICAの問題につきましても、まだはっきりした情報は来ておりません。ただ原則的なものだけでございます。たとえば肥料の問題なんかにいたしましても、肥料は朝鮮でいえば日本から買う方が安いという問題がございます。従って朝鮮の方は日本から買った方がいいということを考えておったようでございますが、その後において、いやアメリカの肥料を持ってくる、こういうことがいわれておるのです。しからばアメリカから肥料を持ってくるということになると相当高くなる。しかもアメリカの今の生産能力からいって、朝鮮あるいは台湾等に対しましてすぐ供給ができるかという問題がある。肥料の需要期は十二月から一、二月の間であります。間に合うか、こういうことになりますると、ICAの肥料の輸出は二千七、八百万ドル、この問題がどうなるかということは、アメリカ当局の考えておるのと、買う方と、そして日本の立場とまだはっきりしておりませんので、正確なことを申し上げられませんが、大体ICA一億一千万ドルあるいは一億二千万ドルになるかもわかりません。こういう問題もきまった格好になってきておりません。 それから軍人家族引き揚げという問題もございます。この問題につきましても、どの程度引き揚げるか、時期はどうだということにつきまして、初めは四十万人、こういっておりましたが、最近の情報ではよほど減るのじゃないかということをいわれております。それから減ったあとがどういう減り方になるかという、PXの問題あるいは労務者の問題、これもいろいろ結果が違って参ります。沖縄における軍事工事がどうなる。軍事関係のいわゆる家族の問題、それから軍人自体につきましても、後方部隊についてはある程度減るのじゃないかという話もございまして、ICAと軍事関係の分は、まだはっきりした結論が出ておりません。ハーター国務長官の方へ出します報告も十五日でございます。その経過もまだ来ておりませんので、詳しいきまった情報はないのでございます。それから何と申しますか、低開発国の援助の問題、肩がわりといいますか今の三十億ドルの経済援助を全部肩がわりするというわけではないのでございます。だからこういうアンノーン、ファクターが相当ございますが、しかし私はいずれにいたしましても問題の中心であるICAの問題と家族の引き揚げの問題等々ならば、大体結果から申しましても今のこういう全体の関係、特需というものが四億七、八千万ドルでございますから、すぐに半分になるというふうなことは私は考えておりません。 それからわれわれの最も大きく考えておるのは輸出でございます。アメリカの輸出ドライブ、この問題は今後どう出るか、私は日本からの輸入を防遏するということはそう強く起こらないと思う。輸出の方に非常に力を入れる、で、御承知の通り一九五六年は百九十億ドルくらい輸出しておる。五七年は二百億ドルくらい輸出しておる。五八年から百七十億ドルくらいになってきております。というので、その減り方の二、三十億ドルが、結局軍事援助と低開発国への経済援助の合計六十億ドルのところで、輸出の減った二、三十億ドルがドルの赤字で出ておる。そこでアメリカの輸出ドライブがどういう方面にどういうふうになってくるかということは、今後われわれの検討すべき問題でございまするが、この際輸出促進策ということにつきまして、アメリカがどういう措置をとるかということもまだ確報はないのでございます。しかしいずれにいたしましても、私はこれは一つの試練であって、日本がこれを克服できるだけの力ができておるし、また努力次第によって十分克服し得るという見通しを持っております。これは楽観ではございません。それだけの力ができ、それを乗りこえていかなきゃならぬという現在の状態と、われわれの努力で押し切って行こうとしておるのであります。
○木村禧八郎君 ただいま総理からドル防衛措置に関する情報につきまして伺ったんですが、何ですか、非常に頼りない御答弁です。で、一体外務省は何をしているんですかね。これだけの世界に重大な影響を及ぼすドル防衛措置、しかも単にICAだけの問題ではございません、今後まだ二段、三段の措置も出てくるかもしれないというふうに観測されておるんてすが、一体外務省はアメリカで何をしているんですか。あるいはまたアメリカ大使館あたりから政府に何の情報もあるいは示唆もない、あるいはアメリカ大使館の方からこのドル防衛措置について何か打ち合わせでもありそうなものでありますが、そういうふうなことは全然ないのですか。何か新聞の切り抜き程度の情報なんです。そういうものをもとにしてそうして大して心配ないかとかあるいは克服できるとか、輸出ドライブをやればこの試練は克服できるなんて、そういうふうに言っておられますが、まず最初の一番もとになるドル防衛措置が今後具体的にどういうふうになるかについては、はっきりした材料をつかんでおく必要があると思う。それがわからないでいろいろ検討してみても、またわれわれが質問してみても、これは水かけ論みたいで、また政府はどうして、外務省は何をしておる、外務省の方にそういうあれはないのですか。外務省の事務当局でもけっこうなんですが、その間の事情を一つお伺いしたい。
○国務大臣(池田勇人君) まあ、御心配になるのももっともかと思いますが、私は何と申しますか、ドル防衛という問題は、経過的に申しますると三、四年前、四、五年前はアメリカがドルを待ち過ぎておるんだ、これで西欧諸国へ、われわれはドルがアメリカに片寄らない、こういう施策をとるべきだというので、そういうことをわれわれは希望しておったのであります。それが欧州の共同市場あるいは貿易連合、また一木の経済が非常な伸びをしたのでございます。私はドル防衛をしなきゃならぬようになったアメリカの立場につきましては同情いたしますが、西欧あるいはわれわれとしてはわれわれの力がふえてきたんだ、アメリカのドルばかりにたよる必要はないんだ、われわれの力が強くなったんた、で、喜ぶということではないけれども、四、五年前に念願しておったのが実現した。程度は違います、程度はかなりきつくなっておる。そこで私はおととし、その前くらいから自由貿易主義で日本は行かなきゃならぬ、というのは、ドル防衛のこういうことがあることを私は、希望しちゃいなかったのですが、予想はある程度しておった。当然のことで、木村さんが非常に御心配になるほど私心配していないのです。ヨーロッパあたりでも私はそうだと思います。一つことがありますと、すうっと足元から水鳥が立つように議論なさいますが、自分らの今の状態を考え、たとえば昭和二十六年、二十七年ごろの皆さん御承知の通りに特需というものは八億ドルだった。八億ドルでございました、一年に。日本の輸出は十一億ドルだったのです。その八億ドルがずっと減りまして、一年に一億五千万ドルぐらい減りました。今は五億ドル前後でございます。しかもあのころ特需がどうなろうかといって、木村さんが心配せられておりました。減った方がいいのだとか、ああいうものはなくなった方がいいのだとか、急になくなると困ると、あなたもここで議論されておりました。しかし半分近くになりました。しこうして日本の経済はどうです。十一億ドルが四十億ドルをこえるような輸出になってきた。そこで今の特需の四億ドル、十一億ドルの輸出で八億ドルあったときに、それが一億ドルあるいは一億二千万ドル減ったあの状態のときに心配なすったのと、今のように四倍に輸出がなって、しかも減るべきものとが四億数千万ドルのときに、そんなにICAとか軍事関係がある程度減るだろうというので、足元から鶏が立つように驚く必要はないので、われわれ十分力を入れていきたいと思うのであります。しかし私は問題はその問題よりも、ドル・ドライブで向こうがどう出るかということをあんしておるわけでございます。まだドル・ドライブのことにつきましては、外務省も何もないと思います。まだそれについての具体的なものが出ておりません。ただこれはあとから御質問があるかもわかりませんが、外資導入の点についてアメリカがどう考えておるか、一応の考え方につきましては、長い目でいくならば、日本への投資、海外への投資ということは、私はそう第一次的にアメリカも考えぬのではないか、こう思っております。しかるところ、私は衆議院で答えたのでございますが、フォードがイギリスに自動車工場を持っております。今六十何パーセントフォードが持っておりますが、全額持とうというので、三億ドル、アメリカからフォード会社がドルをイギリスに送ろうとしております。新聞に載っておりました。これをやるならば外資導入の点については心配ないと見ておったところ、ある裏側の情報ではその問題はしばらく待ったらどうかということが――アメリカの当局かどうかは知りません、そういうことがございます。たからそこまで行くかということは、私は見ておりますが、われわれとしては、今急にドルが百八十億ドルに減った。そうしてまず第一に経済援助、軍事援助を減らそう、こうしておるのです。それがどういう影響があるかということは、一応私は考えております。しかしドル・ドライブの問題につきまして、外資導入の点につきましては、これは今俗に肩がわりと言っておりますが、低開発国への肩がわり政策というものは、ドル・ドライブ以前に起こっております。もう去年から、一年半ぐらいの問題として、第二世銀その他の問題から起こっているので、肩がわりと言っても、何もこっちは力以上に肩がわりはできないのてす。またある程度の問題はわれわれはドル防衛の問題の起こる前から考えていることで、私は木村さんが非常に心配されておりますが、そこまでを心配するのは、外国人が日本の経済を見たときに、ICAの一億一千万ドルについて大へんな騒ぎをしていると、向こうは思うのではございますまいか、外国の人は。私はその点を御参考に申し上げておきます。
○木村禧八郎君 外務当局に情報のことについて、資料のことについて……。
○国務大臣(池田勇人君) 私が一番詳しいのではないかと思っておりますが。
○木村禧八郎君 総理がそう言われるのですから、大体総理に報告されていると思いますから、それ以上のことはないと思うのです。しかしいかにも何か物足りないような気がするのですね。もう少しいろいろな情報、外務省にアメリカ大使館あたり、あるいはアメリカ駐在の日本大使館あたりから正確な具体的な資料か情報が入りそうに思っておったのですが、非常に物足りなく思いましたが、しかし努めてわれわれそういうものはキャッチしておかなければならぬと思いますので質問したわけです。 で、経済企画庁長官にちょっとお伺いしたいのですが、経済企画庁長官はこのドル防衛協力によるいろいろな影響等を調査され、それから今後の日本の経済の見通し等、また九%高度成長政策との関係等をいろいろ今作業されていると思うのです。そういう点について総合的にこの影響、見通し等について、これまた世界経済にどういうふうに波紋を及ぼし、それがまた日本経済にどういうはね返りを起こすかという点について、今作業されていると思いますので参考のために聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(迫水久常君) ドルの防衛措置につきましては、ただいま総理大臣から詳細に申し上げました通りでありますけれども、要するにアメリカの立場というものは、国際経済計画をそこなうことなく、しかも世界貿易の振興と、これに関連する資金の自由流動という目的を従来通り追求していくような施策、こういう立場でドル防衛政策を考えていることはアイゼンハワー大統領の教書でも明らかなんでありまして、従って国際経済全体、自由主義国際経済全体に非常に大きな変動を来たすようなことは結局しないのだ、こう私は考えております。さしあたりの問題としては、アメリカが輸出を大いに増強するような努力をするだろう、それから先進工業国によっていわゆる後進国の援助の肩がわりをしてもらうように話を進めてくるだろう。同時に特需の域外調達の原則的禁止と軍人家族の引き揚げによる対外支払いの軽減、こういうふうな点に重点がくるものと思って、そういう前提のもとに来年度の経済見通し等を作業いたしている次第でございますが、具体的に数字の上に現われてきますものは、昭和三十六年度において一億二千万ドルくらいの特需の収入減になるだろうというところが数字になるかもしれない、なるだろうということを考えなければなるまい。こういうことが数字に現われた結果でありまして、これを基礎にして目下作業いたしている次第でございます。
○木村禧八郎君 その影響、いろいろ伺いたいと思ったのですが、大体池田総理に伺えば大がいなことは全部ほとんどおわかりのようですから、総理中心に御質問して参ります。 このドル防衛協力ということは、原則的にはこれは日本の経済に対してプラス面ではないわけですね。その影響の程度はいろいろございましょうが、決してプラス面ではないと思うのですね。ですからこれは高度成長政策とか所得倍増政策とは相いれない現象だと思うのです。二律背反の現象だと思います。たとえば貿易の自由化が今までより一そうアイゼンハワーのドル節約七項目に従って要請されてくる、あるいは防衛費の肩がわり、あるいは後進国援助の肩がわり、あるいはICAの域外調達の停止だとか等々は、これは私はマイナス要因であると思う。決してプラス要因ではないと思う。ですから、高度成長政策、所得倍増政策とは相いれない要因であって、二律背反的な作用を及ぼす。そうしてこの影響いかんにもよりますけれども、ドル防衛に積極的に協力するということは高度成長政策をゆるめなければならぬ作用を及ぼすのじゃないか。高度成長政策を既定方針通りやろうとすれば、やはりドル防衛、貿易の自由化の促進等を含めたドル防衛措置の方は消極的にならざるを得ない、これは私は二律背反的な現象てあって、高度成長も既定方針通りやる、ドル防衛措置もこれも試練であって克服する、こう言われているのです。これを同時に達成するということは、私はそれは矛盾してくるのじゃないかと思う。それを結局輸出ドライブによって打開するということが、この克服するといわれる内容ではないかと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(池田勇人君) 大体の考え方はそうでございますが、今の相反するものだと言っても、相反するところがどうか。これは卑近な例でございますが、ワサビのようなものです。それだけ食べたら大へんなことになる、しかしある程度そういうようなドル・ドライブというような、そういうことがあることが長い目で見たら日本の経済のために役立つ、だから災いを福に返すというつもりで私はいくべきだと思う。それが非常に大きいものならば、あなたの言う相反して成長政策も変えていかなければならないというようなことになるかもわからない。私は、これはつまのようなものである。あえて辞せず、そうして低開発国への肩がわりというのは言い過ぎでございますが、日本も独自の考えで、そうしてまたある程度アメリカあるいは西欧諸国と手をつないで進んでいこうと思っておるのであります。
○木村禧八郎君 そこで総理は、相反すると言っても、程度が大したことがなければ心配ないのだと言われましたけれども、その程度が問題になってくるわけですね。そこでこれからお伺いしたいことは、ドルの危機というものをどういうふうに認識されているか、百八十億ドル台の金保有を割ったということは、一体具体的にどういうことを意味するか。IMFから三億ドルアメリカは借りなければならない、そうして百八十億ドルを割ったならば、どうしても百八十億ドルを維持するためにIMFから三億ドル借りて、どうしても百八十億ドル台を維持していきたい、私はその点非常に直安な意味があるんじゃないかと思うのです。これは私はそう楽観すべき――木村君は悲観しすぎていると思われるかもしれませんが、どうも私は百八十億ドル台の金の保有をアメリカが二十年ぶりに割ったという、これはかなり原因についてもあとで御質問したいと思うのですけれども、これは重大な意味を持っているのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(池田勇人君) これは一部の学者で、アメリカの経済が、これは先の質問になるからやめますが、百八十億ドルをどう考えるかということは皆前から議論しておったのでございます。IMFから三億ドルの肩がわりをして、これによってどうするとか、百八十億ドルを堅持しなければならぬというのは私はいかがなものかと思います。御承知の通り、通貨の二五%と申しますと百二十億ドルでございます。そうすると、百二十億ドルあればいいじゃないかという議論もアメリカでもあるわけです。百二十億ドルあればいいじゃないか。ただ背から百八十億ドルの線を引いている、それなら残りの六十億ドルはどういうところからくるかというと、アメリカに置かれている短期資金が百八十億ドルの三分の一、六十億ドルくらいはあるべきじゃないかというので百二十億ドルと六十億ドル、合計百八十億ドルという線でございます。私はこれを割ったらどうなるとか、こうなる、そういうように私は考えない、IMFの三億ドル肩がわりというのは、私は大きい意味でなしに、金融的に言ってもそう心配はない。ただ御承知の通り金利問題が、西ヨーロッパ諸国がアメリカよりも高い、そこでイギリスは二回にわたり、またドイツもフランスも中央銀行の公定相場を下げましたが、こういうことでだんだん落ちついていくんじゃないかと思います。
○木村禧八郎君 百八十億ドルを割ったことが非常に私は重大な意味を持っているということは、ただいま総理もお答えになりましたが、大体この通貨に対する金準備率は御承知のように二五%、連銀券、預金ですね、預金の一五%、そうしますと、これは少し古いのですが、本年七月の統計ですと、連銀券二百七十五億ドル、預金が百九十一億ドル、合計が四百六十六億ドル、この二五%は五十六億ドルなんです。これは百八十億ドルから引きますと六十四億ドルというものが残るわけです。それが今総理が言われたことが六十億ドルくらいの余裕を持たすということだと思うのですけれども、しかし今後アメリカの経済もどんどん成長します、人口もふえてきます、通貨量も多くなりますから、このくらいの余裕は持ってなければならぬと思うのです。しかしそればかりでなく、すでに総理もよく御承知と思うのですが、エール大学のロバート・トリアン氏がアメリカの上院の経済委員会で証言しておりますが、このドルの問題で重要なのは、外国の短期債券が百八十億ドルをさらに十億ドルくらい上回って百九十億ドルくらいある、これがまあ金にかえられるということになったら大へんなことになるし、それからアメリカ通貨自体が、これは御承知のように、アメリカの法律では居住者も非居住者も同様に金を売ってもらえるのでありますから、取付になったならば大へんなことになる、そういう状態にあると思うのです。ですから百八十億ドル台を割ったということは、アメリカの通貨の基礎を脅かすことてあって非常に私は重大だと思うのです。そこで私はドル不安というものはまだ今後も続くのではないか、特に最悪の事態を考えれば金価格の引き上げですね。ドルの切り下げという問題も、これは全然、絶対にないと私は言えないと思うのです。アメリカの金準備よりも短期債券の方が多いのですから、何か思惑でショックがあって取付があったらどうなるか、そういう不安が絶えずあると思うのです。金利の問題もございますが、これは簡単に、各国の経済状態によって金利がきまってくるのです、各国の景気情勢によってきまりますから、そう簡単に直すこともできないと思うのです。そこで金利差についても、これはヨーロッパの方へ金が流れていく可能性もあると思うのです。ロンドン・エコノミストが最近初めてこのドル問題を取り上げて論じておりますが、十一月の二十六日ごろですが、その中でドル防衛と国際通貨機構と題する論文でこう言っておるのです。米国政府当局が当面している問題は、ドルに対する思惑的な攻撃を防ぎながら、国内の必要に応じた通貨政策を遂行することである。当座の問題は、輸出をふやし、ドルによる経済開発と軍事援助の肩がわりを交渉して国際収支の赤字を減らすことである。長期の問題は、ドルの交換基準を変えて、独立の通貨政策を遂行する米国の能力に疑問を起こさせないようにすることだ。国内の経済目的の達成を犠牲にしてまで対外的な均衡を維持しようという国はあまりない。米国にしてもごたぶんに漏れない。こう言っておるわけです。そうなると、ドルの切り下げという問題、つまり金価格の引き上げという問題は全然起こり得ないとは言えないと思うのです。ロンドン・エコノ、ストもこういうふうに言っておりますし、またイギリスのハロルドあたりも前から金価格の引き上げを呼称しております。そういう議論も学者の問にあるのでありまして、従って私は、ドルの将来の見通しというものをやはり立てておかなければいけないのじゃないかと、当面の今度のドルの危機だけで騒ぐだけでなく、やはり将来においてもこれは国際通貨機構にも一つ問題があると思うのです。IMFの機構にも問題あると思います。従って政府は外貨準備を十七億ドルも持っております、これが年度末には二十億ドルくらいになると言われております。この外貨準備のあり方についても、私はドルの将来というものについて十分に検討を加えながら処置していきませんと、もしドル切り下げが行なわれた場合、大へんな損失をするわけです。そういう点について総理大臣はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 木村さんのお説は伺っておきまするが、私はあなたほど切実な問題と考えておりません。また、共産圏は別でございまするが、西欧並びにわれわれといたしましても、ドルの切り下げを望みませんし、そういうことはあり得ないぐらいに考えておるのが普通だと思う。で、エコノミストの議論もありましょう。あるいは学者においてはそういうことはもうあれしておりまするが、イギリスは先般やったことがございまするが、しかしドルというものはポンドとは違います。これは私は軽々しいという言葉はあれてございますが、私はあなたのように考えておりません。ドル危機という言葉が当てはまるどうか、私はだんだんおさまっていくと思います。それから、どうも日本の外貨という――外貨資金を金と結びつけて考えるということ、これはドル防衛の問題が起こる以前から私は考えなきゃならぬ問題だと思っておったのですが、各国の外貨がどういう格好で保持されておるか。まあ西欧諸国は敗戦ということもございませんし、昔からずっとやり来たりのいわゆる金木位制度の頭がずっと残っておりますから、外貨の相当部分は金になっておることを承知しております。ただ日本は、御承知の通り、戦後急に外貨がたまって、そしてどんどんたまりつつあるという状況でございまするので、外貨資金を地金にもっとすべきだという議論につきましては、私は考慮すべき問題だと思いますが、今直ちにどうこうということは、大蔵大臣も考えていないんじゃないかと思う。将来の方針としては、金保有高を多くすべきだと私は考えます。
○木村禧八郎君 私は、問題が急に起こってから大騒ぎして金準備をふやそうといったってそれはできない。これから御質問して参りますが、日本の外貨準備の中における金の保有高というのは、もうきわめてわずか、一三%ぐらいなものですからね。諸外国はどのくらいですか、伺いたいんですが、諸外国はそんなものじゃない。これは金木位というものにこだわっているということもあるかもしれませんが、しかし私は、日本みたいにたくさんドルをかかえている国は少ないんですよ。イギリスは八〇%金ですよ。その点について私は問題があると思う。急に問題が起こって金にかえるといったって、それはできません、間に合いっこないんですから。もう私はすでに、かえようとしても手おくれだと思う。ドル防衛に協力を求められて、今金にかえるということはできない。これは一九五八年からこの問題は起こっているんですから、なぜそういうときから、金の準備をふやすお気持がおありになるんだったらもっと早く処置しなかったか。で、この際参考のために伺っておきますが、諸外国の外貨保有の中における金準備の比率、それはどのぐらいであるか。
○国務大臣(池田勇人君) 正確に覚えておりませんが、イギリスは八十数パーセントだと思います。大体ヨーロッパ諸国はその程度になっております。あるいは九〇%ぐらいされておる国もございます。全体で自由国家群で、まあ六〇%ぐらいなところもありますんで、大体七、八十パーセントというのが平均でございます。日本は御承知の通り十四、五パーセント程度だったと思います。しかし最近におきましても日本はある程度買いましたが、何と申しましても十七億六千万ドルというのは今年においても四億ドル近くふえた。昨年、一昨年、今年を入れて三カ年間でちょっと外貨が十億ばかりふえたような、十三億程度ふえたのでございますから、そういう気持でおりましても、問題になった一九五八年後におきまして相当ふえた。今後は私は金に徐々にかえていく方策をとりたいと思います。
○木村禧八郎君 私は外貨保有高の中における金保有率が、世界各国から見ても、もう十何パーセント、総理の御答弁でも大体八〇%台が多いのであります。あるいは九〇%台が多い。ところが日本はお話にならぬ。ドルを非常にたくさん持っているわけです。そこで、このドルをたくさん持っておりまして、それをどういうふうに運用するかということは、私は重要な問題だと思うのであります。私はもっと金準備率をふやすことも必要である。同時に今の外為会計の運用が十何億ドルも大部分ドルに運用しているのでしょう。それで非常な安い運用をしているのですよ。そのために外為会計に赤字が出てきている。それで私は本年度の外国為替資金特別会計の経理について伺いたいのです。本年度のこのわれわれに提出された最初の予算書では二千九百十二万四千円の利益になっているわけです。この当時は年度末におけるドル保有はどのくらいで、そうしてどういう運用からこういう利益が生ずるように計算されたのか、それが一つと。それから、おそらくその後外貨がどんどんたまっていますからね。それがドル運用が多くなりますから、私は本年度の年度末で赤字になるのではないかと思います。従って年度末における損益計算の予想を推計を一つ説明してもらいたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) 先ほどお答え申し上げましたように十七億六千万ドル、十一月末のあれが、昨年の十二月末は十四億ドル、十三億七、八千万ドルたったかと思います。そうして御承知の通り、外為会計には昔一般会計から繰り入れました、いわゆるインベントリー・ファイナンスの繰り入れが千二百億ばかりある。それから貿易特別会計からの繰り入れが二百三十億、その他占領中における会計からの七百億ばかりが入っております。そのうちからインドネシアヘの賠償一億七千七百万ドル引いておりまして、いわゆる一般会計、あるいは占領中の貿易特別会計等から九百億、それからインドネシア引きますから、千二、三百億か千四、五百億の無利子の金があるわけであります。従ってドルを外為会計が買います場合には、これは日銀に売って買うとか、いろいろな操作をしておりますが、持っている外貨が少ないときには、無利子の金がありますから、為替の手数料あるいは差損と申しますか、経費を引きましても黒字が出ます。しかし外為会計のあれが多くなった場合におきましては、今お話の通りに銀行預金その他につきましては、そう利子が入るわけではございませんから、私の見通しでは、本年度は今の外為会計、相当ふえましたから、ある程度今までのように黒字ではなく、赤字が少しぐらい出るのではないか。しかしこの運用は、一般会計その他の政府余裕金で運用して参る従来の方法をとっていく。そこで正確なところは事務当局でお答えさせますけれども、大体今まては黒字が多かったのが、本年度はちょっとぐらい赤字が出るのではないかと私は思っております。それでよろしゅうございますか。
○木村禧八郎君 計数的にちょっと伺いたいのです。
○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。ただいま総理のお答えになりました通りでございまして、本年度は四月から十一月末までに約十五億の黒字となっておりますが、これは先ほど総理のお話にございましたように国庫余裕金の繰り入れいかんによるわけでございまして、これが相当多額であったわけでございます。今後年度末までには従来のような黒字は望めませんで、結局年度末には多少の赤字が出るかもしれないという見通しでございます。
○木村禧八郎君 多少というのは、それは計数的に大体推定つくでしょう、つかないですか。
○国務大臣(池田勇人君) これは、先ほど答えましたように国庫余裕金の運用が多分、今千数百億円無利子の国庫余裕金を使っておる。従って今度の補正予算で金がどんどん出て参りますと、その出方でございまするが、無利子の余裕金が少なくなってきまずから、赤字が出るかとも思いまするが、今後の問題でございます。で、今までの黒字と、従来の過年度分の積み立てば別でございますが、今までの黒字とあれしたときに、まあ出てもごく少しじゃないかと思うのです。そういう計算がちょっと事務当局ではしにくいと思います。予算の使い方があるものでございまして。
○木村禧八郎君 あとでもいいのですがね、あとでもいいですから。私が知りたい点は、今総理か無利子の国庫余裕金が少なくなるということが赤字になる原因と言われましたが、それがほんとうの原因じゃないと思うのです。この外為会計の赤字の出る根本の原因は、外貨資金をたくさんドルで運用しているというところに問題があると思う。そこで私はこの外貨準備の運用の内容について伺いたいのです。そこで予算書にもございますが、外貨預け金、外貨証券というものに多く運用しているようでありますが、このドル預金はどのくらいの利回りになっておるか、それがどのくらいで、利回りがどのくらいか、金額、それからドル証券はどういうものに運用し、その利回りはどのくらいであるか、その点を伺っておきたいのです。
○政府委員(賀屋正雄君) お答えいたします。外貨準備は、金以外はお話のようにドル預金と証券の形で保有いたしておりまして、そのいずれもが大部分ドルでございます。利阿りでございますが、その預金も大部分定期でございまして、大体アメリカでドルの定期が三%でございます。それから証券の方は、これはやはり政府の発行しております短期の債券、大蔵省証券でございまして、これが二分七厘ないし八厘程度でございます。
○木村禧八郎君 もう一つお伺いしたい。外為会計が日銀から円資金を借りるときの金利は幾らですか、外為証券の利回り。
○政府委員(賀屋正雄君) 一銭六厘五毛でございます。
○木村禧八郎君 それは何分になりますか。
○政府委員(賀屋正雄君) 六・一%でございます。
○木村禧八郎君 日銀から借りる金、外為証券が一銭六厘五毛で六・〇二%、六分で借りている。六分余で借りているのですよ。そしてアメリカに巨額のドル預金、ドル証券、これを運用さしているわけです。それが預金が三%、三分だ。ドルは二・七%、証券の方は。こんな低利でしょう。ですから赤字が出るのは当然であります。それて外貨がたくさんだまってくると、ますますたくさんアメリカにこういう低金利の、非常に低利の預金とかあるいは証券に運用している。そして日銀からは六分の利回り、それで高い金を借りている。ですからこれは赤字ができるようになってきた。こんな損な運用をなぜするか。もっと金を買い、そうして金を日銀に売るなり、あるいは外貨を日銀に売るなりするならば、私は赤字が出なくても済む、問題はやはりここにあると思う。このような外貨の保有のあり方あるいは運用の仕方で一体いいと思うか、こんな損をして一体いいのかどうか、その点を伺いたい。
○国務大臣(池田勇人君) お説の点は私は三、四年前から検討を続けておるのでございます。そこで外為の持っておるドル資金の運用の問題、それ以前に外為会計自体についての私は検討を加えるときがきておるのじゃないかということをひそかに思っておるのでございます。これはしかし所管が大蔵大臣でございまして、私がここで結論を出すわけにいきませんが、外為会計のあり方につきましては、私は検討を加えるべき点があると思います。
○木村禧八郎君 その大蔵大臣にかわって、総理の方がもっと大蔵大臣より詳しいのではないかと思うのですから、ただ検討というのではなくて、こんな損をしていいのですか、こんなにこっちから六、七分で借りて、日銀から六分で借りて、アメリカでは二%余あるいは三%で運用さしている、こんな運用の仕方ございますか。それで外為会計は赤字を出している。これはさっそく直す必要があるのじゃないですか。
○国務大臣(池田勇人君) 常に赤字が出ているわけじゃございません。御承知の通りにそのようにあるかと思いますが、今までは黒字があって、百数十億の積立金があると思います。従って、今回のようにユーロ・マネー等がふえたり、ユーザンス等の関係がありまして急激にふえたこの分につきまして、長期債券を、アメリカの大蔵省証券の二分七厘のような短期がいいか、あるいはもっと長期のものに運用するかどうかにきましては、今後検討しなければなりません。常に外為会計が赤字を出しておる、そうして一般会計から赤字を補填するというふうな状態では今までなかった。最近におきまして、今の国際収支がいろいろなファクターが入ってきて急激にふえたものでございまするから、今後の問題として検討しなければならぬ、私は大蔵大臣に前から言っております。この問題につきましては、今後検討を大蔵省ですることにいたしたいと思います。
○木村禧八郎君 外貨が急にふえたから、そうしてドル預金とかドル証券に低利回りのものを運用するから赤字になるのでありましてかりに赤字にならなくても非常な損の運用をしているわけです。これは検討されると言いますから、これ以上質問しても時間がなくなりますので、次の問題に移りたいと思います。 次は、この三十五年度補正予算の歳入につきまして、自然増収の見積りが、これは私は非常にずさんじゃなかったかと思うのですね。当初は約二千億でしょう。二千百億余でございました。それが千五百十四億も、それ以上に自然増収があった。さらに私は、池田総理はもっとあるとお考えたと思うのです。総理は、私、新聞で見たのですが、二千九百億ぐらいあると思う、そうなると、自然増収全体を、最初約二十億、それから大体二千億円あるというように推定されると言われている。私はもっとあると思う。私は二千九百億、四千九百億ですよ、こんなに大きな狂いが出てくる。こういう歳入の過小見積もりは、私は何か欠陥があるのじゃないか、あるいは欠陥がなければ、何か非常に作為的ではないか。最初はあまり減税を社会保障に回したくないものだから、そうして財源がないような組み方をしておいて、それであとでその減税を、社会保障以外の予算を組み、あるいは大資本に有利な、そういうような予算の組み方をするという、そういうために非常に最初から過小見積り、百億、二百億、三百億の違いじゃないのであります。千五百ですよ、私はもっとだと思う。これは私は根本的に考え直さなければならぬ問題と思う。この点総理大臣どうお考えですか。
○国務大臣(池田勇人君) 私は、三十五年度の予算編成のときに、通産大臣としてこの予算閣議におったのでございます。責任がないとは申しませんが、私は大蔵大臣でなかったので、六・六%という今年の成長率を少し低いのじゃないかという自分の気持は持っております。当初の六・六%の三十五年度の経済成長は私はもっとあると実は思っておった。ほかの雑誌には私はもっとあるということを書いておりましたが、閣僚である国務大臣としては、あれに実は賛成したのでございます。そこで、三十五年度の予算は、二十四年度のそれに対しまして大体二千億円余りのまあ増収を見たわけであります。しかるところ、六・六%の昭和三十五年度の成長率は、私の見るところでは大体実質的で、名目的には一三%ぐらいの増になるんじゃないかと思います。経済の成長は。御承知の通り鉱工業生産は前年二割九分のその上にことし二割三、四分伸びております。こういうことでいきますと、私は今その衝に当たっておりませんから詳しい数字は知りませんが、当初三十五年度の自然増収は、大体増収見込み二千億の上に自然増収として千二百億ぐらい、あるいは千三百億といわれておった。今度ガソリン税を入れて千六百数十億円になっておる。それを木村さんは、その千六百億円とか千五百十四億というのが二千九百億になると、こう、それは私はよく知りませんが、そうはいかないのじゃないかと思います。で、何と申しましても、私がここでそういうことを申し上げるのは不見識かもしれませんが、自分の見る日本の経済の成長率というのは、大蔵省や企画庁の方々のごらんになるのとは違うのです。今までずっと、国際収支の問題でも、政府の見込みの一億五手万ドルというときには五億ドルありますよ、それから一億六千万ドルというときには四億ドルありますよと、常に前から言っている。大体当たっている。従って来年度なんかをどう見るかというときに、七・二%とか何とかというのじゃなしに、私は腹八分目にしても九%の増収は見込んでいるという考え方を持って、今後におきまして、私の内閣では過小見積りということはしないつもりでおります。今までは一閣僚でございましたから、まあまあということで、今度はそれじゃなく、相当の見込みをしたいと思います。それがほんとうに国民に誠実なゆえんであります。それを楽観主義だとか積極主義だとかいわれますが、これがほんとうの姿で、過小に見積るということは過大に見積ると同じようなこれは失敗でございます。その点は私は大蔵大臣によく言っておりまして、来年度におきましては、あなた方がびっくりされるほど正確な見積りをいたしたいと考えております。今年度におきまする事情はそういうわけでございます。そうして千五百十四億というガソリン税を除いた自然増収が大体適当な見方ではないかということを大蔵大臣から御報告を受けておるのであります。 何と申しましても、この九月期決算がどういう格好で出ますか、ぼつぼつ出ておりますが、まだあれしておりません。それから年末を控えて酒の売れ行き、ことにこの年末における一般会社の賞与、これが上積み計算でありますから、二割去年よりふえるか、二割五分ふえるかによりまして、給与所得税というものはびっくりするほどふえたり減ったりするものであります。だから私は予算の編成というものは、正確にしようとすればするほど、十二月の俸給、給料の状況と、油の売れ行き等を見ないとなかなかむずかしいのでございますが、大体この程度の見積りならば、この前の暮れの失敗は繰り返さないじゃないかと思います。しかし何と申しましても、先ほど申し上げましたようなアンノーン・ファクターが多いのでございます。しかし自然増収二千九百億ということは、これはもう間違いであるということは、私ははっきりと申し上げておきます。
○木村禧八郎君 それは間違いと言われましても、今まで信用できませんから、一応計数はじいてみたわけであります。それは多少機械的であるかもしれませんが、しかし今まであまり過小見積り過ぎますから、今度はやはり計数的にはじいてみたわけです。これはわれわれもしろうとですから、しかし大蔵省の方だってくろうとだとは言えないと思う。今まで非常な見積りの間違いがあった。それで私は本年度だけでもまだ過小見積りをするのじゃないかと思う。もう総理は、今過小見積りを繰り返さないと言われましたけれども、ガソリン税を除いて千五百十四億円ですか、現に政府の見積りを見ましても非常に過小になっている。たとえば所得税につきましても、給与所得税につきましては、人員の増加を五・五%見ているのですよ、昨年度に対し。ところか同じ資料)最後にある、この最近までの経済指標の動き、ここで見ますと雇用指数は一二%ふえている、こっちでば一二%ふえるということになっている。こっちの所得税の積算基礎の方では五・五%、その他にも過小見積りがあると思いますか、それで大体総理、二千億くらい見積れるんじゃありませんか、私はもっとあるんじゃないかと思う。千五百十四億どころじゃない。まだ最低五百億は自然増で出てくると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(池田勇人君) 来年度から正確にいたしたいと思いますが、今年度につきましては、私はそういう二、三百億とかなんという問題については事務当局からお答えさせます。私には正確な数字、今わかっておりません。
○政府委員(村山達雄君) お答えいたします。ただいま昭和三十五年度の当初予算の見積りが非常に過小ではないかというお話でございます。当時見通される経済指標をもとにいたしましては、われわれ結論的に申し上げますが、当時としてはあのような見積りは決して過小ではなかったという考えでございます。御案内のように、当時見通されました国民総生産は七・八%伸びといわれておったわけでございますが、これが意外にも拡張を続けまして、一三%程度伸びるのだということになっております。また生産につきましても、当時は一一・八%ということでございましたが、現在は二二・六%でございます。その計算で申し上げますと、たとえば法人税あたりでいきますと、実は一一・八%と申しますのは、各事業年度ごとに税のウエートが違いますので、税収で計算いたしますと、実は一七%程度伸びを見たわけでございます、当初予算では。ところが今回それを同じようなウエートで計算いたしますと、三七%の伸びを見るのが至当であった、こういう生産物価の増高でそういうことに相なるのであります。それに伴いまして、勢い法人税におきましてもその通りでございます。ただいまの給与につきましてもお話がございましたが、企画庁は当時四・八%くらいの雇用の増、こう見ておったのであります。われわれの方は、その場合家事使用人あるいは日雇い労務者というものは、これは一応別計算しておりますので、普通の月給取り、民間でございますが、これは四・五%くらいの伸び、かように考えておったわけであります。それが今の見通しでは、毎月勤労統計その他を見ますと、五・五%の伸びになっている。それから給与につきましても、当時の毎月勤労統計その他から見ますと、六%程度見込むのが――対前年度でございますが、見込むのが至当であったということでございますが、今振り返ってみますと、やはり経済の順調な拡大によりまして、九・二%の伸びになっているわけでございます。これらの点、これは勢い消費資金にも回りまして、間接税その他が非常に好調を続けてきた。こういうことでございまして、今回千五百十四億、このほかに減税五十八億、ガソリン税八十億というものを加えますと、千六百五十二億の自然増収を見積ったということでございます。 先ほど総理のお話にもありましたように、もちろんアンノーン・ファクターがございまして、大きな要素といたしましては、九月決算がどうなるかという問題でございます。で、昨年の下期がちょうど、対前期割合、これは一億以上の法人でございますが、一八%の所得税額の増でございます。それに対しまして、ことしの三月決算では、その一八%伸びた上に二二・九%伸びているわけです。これが今度九月決算でどのくらい伸びるか。新聞の伝えるところによりますと、一〇%くらい伸びるというのが大体のところでございますが、ただこの場合において、公開決算と、それから税務申告ではだいぶ違っております。と申しますのは、景気のいいときには、どうしても会社が有税償却あるいは有税準備金積立をやっております。従って、これらの新樹の見積りが当たるといたしましても、税の上でどれだけ伸びるかということはまだわかりません。おそらく、この一八%あるいは二二・九%と伸びてきたものは相当下がるであろうという、伸び方が少なくなるであろうということは考えられる、これが一つの大きな要素であります。 それから、ただいま総理がお述べになりましたように、年末の賞与がどうなるか、妥結状況その他が相当影響するのでございます。それから申告所得税の最後の予定納税額を二割上回りますと、その上回る分については三カ月の分納が認められておりますので、そのまま今年度の税収に見込まれないということもございまして、この辺が大きなアンノーン・ファクターになっているわけでございます。 なお、御参考までに申し上げますと、当初予算を組みました当時、この租税収入の見積りがどの程度あると、世間では評価しておったかということを、実はわれわれ閣議決定当時、それから当別予算が国会に提出された当時の論調を見ておりますと、約三十くらいの新聞、雑誌のものがございましたが、私どもの見受けたところ二つばかりが、もう少し出るんじゃないかということでございまして、あとはすべて、少し大きく見過ぎてはいないかということが出ておったわけでございます。別にわれわれ、それを引用してどうということは申し上げませんが、当時われわれは意識的に低く見ておったものではないということだけは――当時の論調からも、大体われわれはさようであろう、かように考えるわけであります。なお、今後の見通しの適正につきましては、ただいま総理がお述べになりましたように、できるだけ的確、確実に見込んで参りたい、かように思っているわけであります。
○木村禧八郎君 ただいま当時の新聞の論調なんかあけられましたから、私はあげ足を取るわけではございませんが、昭和三十五年、三月十五日の参議院の公聴会で、慶応義塾大学の高木寿一教授は、限界租税函数あるいは所得弾力性等をもとにして、三千八百億という租税見積りを証言しているのですよ。なぜそういうものを参考にしないのですか。これには、前に大域委員会で――しかし、高木教授の限界租税函数あるいは所得弾力性は少し古いものを使っているから、もっと新しいのでやればもっと伸びるのだと言われましたが、私はもっと伸びると思うのですよ。ですから、大体、高木教授の限界租税函数あるいは所得弾力性、それをもとにしたわれわれの計算は、そんなに私ははずれていないと思う。なぜこれを参考にしなかったのですか。私ちたもそれは不明なところがございます。三千八百億なんかとんでもないと思ったですよ。しかし、政府の二千億よりはもっと多いとわれわれは思っておった。だから、社会党は、それをもとにして予算の組みかえ要求をしたのです。当時三千八百億、ちゃんとほとんどぴったりでしょう。三千八百億、しかし、ほんとうはもう少し私は多いと思う。これより多いと思います。ですから、そういう点も、それはなるほど見通しですから、推定ですから、神様じゃありませんから、困難ですけれども、しかしこれは国民生活、あるいは全体の経済に大きく影響することなんですから、もっと科学的に推定する何か工夫をされる必要があるじゃないですか。これまでの過去の非常な過小見積りが、確かにこれは失敗であったのですから、その原因はどこにあれ。ですから、そういうことをもとにして、もっと何か推定する方法を工夫すべきじゃないかと思うのです。大体当初これだけの財源があるということがわかれば、これはもっと減税すべきじゃなかったかと思う。あの当時減税を主張したら、財源がない。もっと社会保障費をふやすべきでなかったか、ところが、財源がない。伊勢湾台風の予算が出てくるから減税はできないとか、あるいは前年度の剰余金が減るから、あるいは経済基盤強化基金が前年度より減るから減税も十分できない、社会保障も十分拡充できないと言った。ところが、千五百億も新しい自然増収がここへ出てきているですからね。これは実際私は何か作為的じゃないかというふうに思うのも無理はないと思うのですね。ですから、この点は総理大臣から今御答弁もございましたように来年はかなり正確に見通しをつけて、そして過小見積りに陥らないように予算を組みたいと言っておられますから、この点はこの程度でやめますが、来牛度、三十六年度の歳入見積りも、所得弾力係数を一、七ぐらいに見ますと、大体三千九百億ぐらい自然増収が見積れるのですが、この点は総理大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(池田勇人君) 高木寿一先生は、昭和三十二年度の予算のときにも相当大きく言っておられました。ただ、租税函数の使い方でございますが、その高木先生が三十八百億と言われたときに私はおりませんでしたが、三十五年度の経済の伸びをどうごらんになっておられるか。伸びを、今のように実質六・六%、名目七・八%、あの先生が、鉱工業が二二%、そうして実際の所得の伸びが、今結果に呪われたように一三%と見られて租税函数でやられたのなら、これは租税函数の計算方法に私はある程度の信頼をおきますが、なかなかそうじゃない。そこで、私は今後、高木先生の考え方もわかっておりまするから、十分検討して参りたいと思いますが、今申し上げましたように、今年度の自然増収も、九月決算、あるいは年末の各般の情勢を見なければはっきりできないのでございます。来年度の増収の見方につきましては、私は、衆議院の予算委員会でも、三千億をこえる、こう言っておりまして、三千何百億とはまだ言っていないのであります。私の考え方では、大体今年の所得の伸びが一三%ぐらいだということになりますると、それが来年半年分向こうへずれますから、それから法人の決算というものは、主税局長が言っておるように、発表の分と税務計算とはかなり違っております。いろいろな償却その他、そういう点を勘案いたしまして、できるだけ正確な見積りをいたしたい。ことに私は、来年は、大体ことし当初考えておりました十三兆六千億というものが、昭和三十八年に十七兆六千億、年平均九%ずつふえる、こういうふうな考え方で、それをもとにして見積りをすれば、三千億円はこえるということを予想しておるのでございます。今正確な数字はちょっと申し上げかねます。
○木村禧八郎君 時間がなくなりましたので、最後に歳出の問題につきまして簡単にお尋ねしたいのですが、この補正の歳出を分類してみますると、予算作成後の千五百十四億の中身でありますが、予算作成後の出費が一一%、それから国庫負担金の不足分ですね、これが一〇・二%、それからそれ以外の余裕財源、新しく自然増収が出て、それによって新しくまかなうものですね、これが五五・七%、大部分だと思うのです。そこで私はお伺いしたいのは、これほど、千五百十四億も自然増収があったのに、どうして五十八億しか減税をしなかったかですね。年度がわりに。私はもっと減税すべきだったと思うのです。これは当初に予想された当初予算のときにこれだけ千五百十四億もガソリン税を載せてありますが、増収があったならば当然もっと三十五年度に減税すべきじゃなかったか。それから社会保障です。社会保障はこの国庫負担金の不足分以外では一億九千八百万円しか組んでない。社会保障が。いわゆるもち代だけです。この保障は、一体総理の所信表明演説の中では、来年度の予算につながる補正であって、来年度の支出すべきものを一部ここで早目に実脱するための補正内容を持っているのだと言われているのです。その中で来年度のこの政策につながる分として千五百十四億の中で社会保障費が一億九千八百万円、減税が五十八億です。一体これで予算のバランスとして大体池田総理の言われる社会保障、減税に重点を置くというその方針に適合しておりますか。非常な矛盾をしているのじゃないですか。この点お伺いしたいです。
○国務大臣(池田勇人君) 従来にない多額の自然増収が出たのでございまするが、ごらんの通りに、給与の引き上げ、そして災害の復旧、それから輸出貿易の関係等と至急やらざるを得ない経費が生じたのでございます。減税の附題につきまして、まあ財源は自然増収があったのでございまするが、従来やっておりましたように、その年の減税は勤労所得の減税一――三月、こういう場合が昭和二十六、七年ごろやっておりました。まあそれでがまんしていただいて、三十六年度から本格的な政策を実施しようといたしておるのでございます。
○木村禧八郎君 わずかの補正じゃないのですよ。千五百十四億も自然増収が見込まれ、さらにそれ以上最低五百億は私はまだあると思うのです。大体池田総理大臣は二千億くらい見ておられるという、仄聞するところによるとそうらしいのですが、あとまだ五百億あるのです。それなのになぜ五十八億しか減税してないか。なぜ社会保障に一億九千八百万円、もち代しか組まないか。これは厚生大臣に伺いたいのです。千五百十四億の補正を組んだ結果、社会保障費の比率はどうなりましたか。非常に低下しちゃったのですよ。全体の予算がふくらんだのに社会保障費、これはふえないものですから、全体の予算の中で占める社会保障費の割合は低下しちゃってますよ。これでよろしいのですか。社会保障に重点を置くとかなんとか言いながら、一一・六%だった、それが一一・一%になっちゃった。むしろ今予算の中で占める社会保障費の割合が低くなっちゃったのですね。これで大体予算の性格は費目のバランスによって大体きまるものですが、これによれば社会保障重点とは言えない。もち代なんて考え方はどうですか。もっと基本的にあなた生活保護費の基準はさっき問題があると言われたてしょう。なぜ本年度に早く実現するために努力しなかったか。本年度ですよ、千五百十四億も財源があるのじゃないか。まださらに五百億もあるのですよ。なぜそれを努力されませんか。生活保護基準はあなたはやはり問題があると言われたが、来年どのくらいやられるつもりか。その点一つと、もう時間がありませんからもう一つ、ことに生活保護基準とか、あるいは日雇いの賃金とか、ああいう低額所得層の賃金は物価が上がった場合どうするのですか、現に五%生計費が上がっているでしょう。ところが、固定した生活費が上がらない。この問題は私はもっと真剣に考えなければ――ああいう低所得層のほんとうの生活に入ってごらんなさい。大きな問題ですよ。この点について、厚生大臣としてどういうふうにお考えになられるか。今後の生活保護基準について、もう少し具体的に来年度の予算についてどういうふうに盛りたいとお考えになっているか、伺っておきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 財源に余裕がたくさんできたということであれば大きにこれは社会保障の方に回してもらいたいわけであります。正しい、望ましいことだと思うのであります。ただ、何のことにも補正予算というものの性格上、そう、したいことをここで、補正予算で解決するというわけにもいかぬのでありますから、まあ解決すべき問題はたくさん残っておりますし、やまやまと思いますけれども、今回社会保障の方にうんと回してもらうということについてはできなかったわけであります。これはどうも仕方がないのであります。 なお、それから生活保護基準の問題でありますが、これはどう考えても今日低いと思うわけであります。いろいろな一般勤労者の標準世帯の生活水準と、それから保護世帯の生活水準など比べて見ましても、実情が、非常に距離が大きくなっているようだ思います。それで引き上げたいわけであります。そこで今、私どもの方は、希望としては、二八%ぐらいという希望を持っておりますけれども、これは今希望でありまして、これからの問題であります。
○木村禧八郎君 とにかく厚生大臣は、三十六年度予算で社会保障賢を組むときに、よっぽど考え直してもらって要求してもらわないと困りますよ。仕方がないという――本年度予算の補正については仕方がないと――財源があるじゃないか、千五百十四億のうち、〇・〇一三%ですよ、それで厚生大臣と言えますか。それで来年二八%引き上げたいと言うて二八%であなたいいのですか。今生活保護者はどれだけの生活――その生活実態を調べてたですか。大体世法保護費の一・七倍ないし二倍の生活をしているのですよ、実態調査をしてごらんなさい。今の生活保護費では暮らせない、二八%、こんなものは。そんなはずはない。少なくとも今の二千円は四千円ぐらい、少なくとも三千円に引き上げなければ十七日間しか生きられない。今生活保護者は十七日間しか生きられないですよ。あとは世帯分離とか、あるいは所得のあるのを隠したりして、そうして約三千円で最低は生活しているのですよ。この実態に合わせて生活保護費を引き上げなければ、それは厚生大臣と言えません。その点はここで十分――そんな甘い認識を厚生大臣になさられたら因りますよ。ほんとうの生活保護を受ける低所得者の身になってごらんなさいよ。時間がございませんから、最後に二つだけ質問いたしまして、やめます。
○委員長(館哲二君) 木村君、五分超過していますから、なるべく簡単に。
○木村禧八郎君 それでは簡単に二問。 一つは厚生大臣に伺いたいのですが、和歌山の国立病院の廃止の問題です。あれに伴って、生活保護患者ですか、無理に退院さした結果、なくなった人がある。私は実態調査に行きました。ああいう犠牲を起こしてまでも、あすこを強制廃止する。そういう考えおありなんですか。私は患者とかその他に皆聞いてみました。県会でも市会でも廃止反対なんですよ。決議しているのですよ。それだのに厚生省は強引にやろうとしている。その点何でも強引にやるつもりなんですか。その点が一点と、それからもう一つは、経済企画庁の方おられたら……。実は消費者行政ということを最近政府は言っておりますが、経済企画庁あたりで総合的に消費者行政あるいは国民生活行政みたいなものを、本格的に今後調査研究し、そうして今後の生活向上とか社会福祉を充実するとか言っておりますが、そういう点について何か計画があり、あるいは来年度あたりどのくらいの予算を出そうとしているか。そういう点について質問いたしたいのです。 これをもって私の質問は終わります。
○国務大臣(古井喜實君) 和歌山病院の問題でありますが、今お話しの、患者が退院しましたのは、これは病院を廃止するために出したのじゃないのです。これは全く別の問題で退院してよいかどうかということをいろいろ何人かの医者もよく調べた結果、退院してよいのだ、こういうことでこれは退院さしたということのようであります。私が調べたところでは。そこで、病院を廃止するから追い出したというのとは違うのです。病院を置くか置かぬかの問題は、これもあなたは現地へおいでになったのだからよく御承知でしょうけれども、立地条件からいいましても、それから実際の利用状況から申しましても、今日の設備の老廃した状況からいいましても、これは置いておくか置いておかぬかは一問題でありまして、私どもとしては、幾ら患者が少なくても、一つでもよけいあった方がいいのです。それは望ましいというくらいに思うのですけれども、ここにはやはり限度がありまして、やはり和歌山病院は、もう何年来――昭和三十二年からですか、二、三年来いろいろ研究した結果、どうも置いておくということもできない、こういう考えにきておりますので、これはもうその既定方針でいくほかはないと思っておりますから、この点は御協力をお願いしたいと思います。
○政府委員(中野正一君) 御指摘のように、消費者の立場に立ちまして、困民生活の内容の充実をはかるための行政を推進することは、非常に大事なことであります。 その第一は、消費者の物価を安定させる対策でございますが、これにつきましては、九月の三十日に閣議了解を得まして、経済企画庁が中心になりまして、消費者物価対策連絡協議会というものを関係者省と一緒に作りまして、機動的な輸入対策や国内輸送力の増強等の需給の調整等を進めることによりまして、極力消費者物価の安定をはかるように努力しております。 また、このほか消費者生活内容の充実をはかることも必要であります。現在各省で、それぞれの立場からやっております住宅対策、交通、衛生対策等の各種の個人の生活を取り巻きます生活環境施設の整備計画というものを、総合的に推進していきたいというふうに考えまして、それらを相互に均衡のとれたものにするということを考えております。また、将来の国民生活の充実をはかるために、国民生活構造につきましての標準的な形態というようなものを、できれば作りまして、これに基づきまして、国民生活向上に関する施策の推進に当たっていきたいということを考えておりまして、こういうことの基礎になりまする国民生活の実態の調査を、総合的に行ないたいということで、相当額の予算要求をいたしております。また、そういう問題につきまして、国民各層の権威者の意見も、十分行政面に取り入れて、消費者行政というものを推進していきたいというふうに考えております。 ―――――――――――――
○委員長(館哲二君) 大谷贇雄君。
○大谷贇雄君 まず第一に、池田総理にお尋ねを申したいと思います。 池田内閣が成立いたします前に、首班をお受けになりました直後に、私ども有志が伺いまして、池田内閣成立に際しては、政府の施策を国民に十分周知徹底させる必要があるのじゃないか、そうして国民が心から予解をして、そうして納得のいく政治を行なっていただきたい。そのためには宣伝広報大臣を一つ設けていただいたらばどうであるか、こういう進言を申し上げたのでございました。総理も最初はこれを了承をされたかのようでございましたが、その後新聞では、石田労相に兼務させるというようなうわさも実は出たのですが、そのうちにとうとう消えてしまった、非常に残念に存じておったのであります。ここであらためて総理に、宣伝広報大臣をお置きになる御意思がないかと、こういうことを伺いたいのであります。と申しまするのは、最近のラジオ、テレビ等の普及は非常なものであって、総理が各地でお話しになりましたように、日本のラジオの普及率は千三百一万三千台もある。テレビも五十三万五千八百台。アメリカ、イギリスに次いで、非常な普及をいたしているのであります。従って、電波を利用したPRが非常な勢いで伸びております。アメリカの大統領選挙でケネディが優勝したのも、テレビの討論の勝利たと言われているくらいであります。そこで、わが国でも、先般の総選挙最中に三党首の会談等があって、大いに国民の政治意識を喚起をいたしたような次第で、総理も非常に御活路なさったのであります。まあ、まさに今日はPR時代といってもいいと思うのであります。こうした際に、政府が大いに国民の各界、各層にその施策を知らせるということが必要である。犬養元首相の話せばわかるということを、一つ十分にこの際やっていただいたらどうかと思います。 さきの安保国会の際に、国会は数万のデモに包囲されて、連日連夜物情騒然たる状況でありました。労組の人やら、あるいは全学連やら、あるいはそのほかの連中が、あるいは安保反対、再軍備だとかあるいは安保即徴兵だとか、安保即未亡人、安保即みなしご。ひどいのになると、勤評即再軍備などといった、扇動的なキャッチ・フレーズであおり立てたのであります。まるで、まあむちゃくちゃな状態でございました。こういうような状態を起こした一因は、私はPRの不徹底にある、かように思うのでございます。どうしてもPRを徹底しませんというと、今のような社会不安すら生み出すという結果になるのであります。すでにフランスでは宣伝省がございまして、このラジオ、テレビ、新聞、出版等もそこで取り扱っている。そうして西ドイツなどでも新聞情報局があって、その中には放送部門はもとよりですが、映画部門まで設けているような状態であります。フランスは専任の広報大臣を置いている。英国も、アメリカも、西独も、閣僚級の人がこの衝に当たっているというような状況でございます。費用等におきましても、アメリカのごときは年間三百六十億円を使っております。西独のごときも七十二億円を使っている。アメリカの広報庁などは、その職に一万人からいる、こういうような状態でございます。ところが、わが政府の広報予算はわずかに今年一億三千万円、てんでまあ月とスッポンの状態でございます。こういうような、これからますますPRの重要性があることは、これは総理も十分御承知の通り。従って宣伝省大臣をお置きになることが先般来私どもが御進言申し上げた通りでありますが、この際総理の御所見を承っておきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 宣伝広報が政治上非常に必要でありますことはお説の通りでございます。われわれは、今後、政府の施策が国民と十分徹底するように努力していきたいと思います。ただ、御質問の広報宣伝担当の国務大臣を置くかということになりますると、今お話しの通り、広報宣伝に対しましてのわが国の実績は、他国に比べましてはほとんど問題にならぬのであります。従って、私は、今後広報宣伝に力を用いていきますが、専任の大臣を置くことも全然考えぬではございませんけれども、まず総理、各省大臣みずからがそれに当たるのがいいのではないかというふうにただいまのところ考えております。非常に広報は行政上重要なことでございます。将来検討していきたいと思っております。
○大谷贇雄君 次に、外交問題をお尋ねを申し上げたいと思います。 総理は、先般の臨時国会で、近ごろ一部でいわれる中立外交は、幻想論だと、大いに打ち上げられたのであります。まことに私は胸のすくような思いをいたしました。今度の国会でも、衆議院で河野密君、またこちらでもきのう羽生君が質問せられたのに対しまして、わが国の外交方針は中立主義はとらぬ、そして安保体制のもとに自由国家群とともに手をとってやっていくのだという明確な御答弁で、まことに愉快千万に思います。 ところが、この間も衆議院の予算委員会で河野密委員の質問にお答えになって、世界が二つの陣営に分かれておることが力の均衡から起こっておる、こういう場合におきまして、日本のように政治的にも地理的にも非常な力を持っておる国が中立ということはあり得ないことだと私は考えておる、こういう御答弁、その通りだと思います。ところが、新聞を見ると、池田総理は、日本が大国だから、それで中立にはならぬのだと、こういうふうに取り上げられておった。これがどうも割り切れぬ気持があるので、これはちょっと、そういうお言葉が詳細をきわめていなかった、こう思うのですが、ですから、ここのところのさわりをちょっと一つ御解明願っておく方が、国民諸君がよく納得する、こう思うので、そこのところ、さわりを一つ……。
○国務大臣(池田勇人君) さきに申し上げましたごとく、日本の置かれた地理的、経済的、産業的、いろいろな面から見てというのが、私は、大国と申しますか、世界の力のバランスに非常に影響のある国だということを言っておるのでございます。大国と表現するのがいかがかと思いますが、力のバランスに影響をする国であるということを大国ととられたのではないかと思うのでございます。
○大谷贇雄君 そこで、私どもの考えは総理と全く同じでございますが、しかし、こういう重大な問題につきまして国論が分かれておるということが、非常に私ども遺憾千万なのであります。とにかく一国の運命を左右するような外交方針、こういうことで朝野両党の考え方がしっくりいかぬというようなことであっては、これはまことに困ったことで、それこそ一つの忍耐と寛容をもって十分にお話し合いを願い、国民の一致した主張をもって各国に向かわなければ、大体力が出てこぬと思う。従って、そういう点について大いにお話し合いを、今後とも機会あるごとに一つしていただきたい。いかがでございましょうか。
○国務大臣(池田勇人君) 全く同感でございまして、私は、組閣以来、外務大臣に話しまして、一般社会人にもお集まり願って、国民の考えを十分盛り立てていくように外交問題調査会を組織いたしまして、今六回か七回か開いておる状況でございます。で、民間の評論家、あるいは学者、実業家等々入っておるのでありますが、これを各方面、右と左のいかんを問わず、できるだけ広げて、そこで自由に討議をしてもらいたいということでいっておるのであります。また、外交問題懇談会のみならず、私は、われわれ政治家としても機会を作りまして、談笑のうちに外交、経済、教育等の問題を話していきたいという考えでおります。
○大谷贇雄君 大へんけっこうでございますけれども、ぜひ一つそういうふうにしていただきたいと思います。 そこで、ところが、残念ながら、野党の諸君は無防備中立論を相変わらず唱えておられる。安保体制を破棄して、日米中ソと四カ国で安全保障をやったらどうか。こういうことではわが国の安全と繁栄を守ることはとうていできない。そこで、お尋ねしたい。社会党さんの方では、いわゆる積極中立外交の主張をなさっておいでになって、その柱を見るというと、貿易の対米偏重をただすと、こう言っておられるわけです。ところが、アメリカとの安保条約は破棄してしまって、そうしてやれということになると、女房は離縁してしまえ、離婚話をやって、そうしてやれ。(「女房じゃない」と呼ぶ者あり)女房じゃない、離婚してしまってやれ。そこで、そういうことであれば、アメリカと手を断ち切って、一体日本の経済の繁栄が成り立ち得るか。 今日、わが国の経済というものは、自由世界との貿易の上に立ってやっておる。わが国の産業にしましても、国民生活にしましても、これは必要な物資、鉄鉱石にしても、原綿にしても、あるいは石油、原毛、砂糖、小麦、その他の重要物資は、ほとんどアメリカ初め自由主義諸国から輸入しておる。わが国からの輸出も、ほとんど自由諸国を対象としておるわけです。ことにアメリカとの関係は、去年、三十四年度を見ましても、輸出総額三十四億五千万ドルの中で千億三千万ドル、輸入総額が三十六億ドル。そうして対米輸出は輸出総額の三〇%になる、輸人総額の三一%の多額になっておるのであります。こういうことで日本のお互いいの国民生活が豊かになり、経済も繁栄しておる。むろん、きのうも羽生君なり社会党の諸国君からお話しの共産圏との貿易も、これは多々ますます弁ずですから、大いにやったらよろしい。しかし、安保条約を廃棄してしまってやるということになってくれば、日本とアメリカとの間というのは、離婚してしまうのだから、それはあなた、あまりいい気付はしませんよ。話し合いはできぬというわけです。従って、両国間の貿易というものもほとんどなくなってしまうというような事態になると思うが、その点に対する総理の御所見を承りたい。
○国務大臣(池田勇人君) 安保条約を破棄するということは、私は考えておりませんので、破棄した場合のことをお答えするのはちょっといかがなものかと思いますが、しかし、日米関係がますます緊密化し友好の度を加えていくということが、日本の経済成長には非常に役立つことであるのであります。 同心に、それでは共産圏との貿易をどうするかといったら、ウエートの点はアメリカほどにはございません。また、将来の経済交流につきましても、アメリカ程度に伸びるわけにはもちろんいかない。だからといって、共産圏あるいは中国との貿易をほうっておくというのではございません。私は、最近の日ソ間における貿易の伸び等を見まして、これを今後うんと伸ばしていきたい。と同時に、中共との関係におきましても、でき得れば私は積み重ね方式といいますか、有無相通ずる関係で貿易の増進をはかっていきたいということでございます。日本が世界の一国として、そうしてしかも有力な民族としてやっていく場合に、貿易はいずれか片一方というわけではなくて、多角的にやるべき問題でございます。ただ、日本の防衛、安全と独立ということになりますと、どこと手をつないでいったらいいかということになりますと、私はアメリカと手をつなぐ。 で、安保条約に経済条項は載っておりますが、これは日本の独立と安全、しかも経済発展ということを主にしてやっているのであります。アメリカと安保条約のあれを今打ち断った場合どうなるかということにつきましては、私はお答えするのが少し無理じゃないかと思います。
○大谷贇雄君 次に、外務大臣にお尋ねをいたします。 今日、一国では国の安全が期せられぬことは当然のことであります。従って、国際連合ができているのだが、さてなかなかまだ不十分である。そこで、しかしどうしてもこれは国際連合を強化するということは、これは世界の各国民が大いに努力をして、そうして世界の平和を招来するということでなければならぬと思います。そこで、新内閣、新大臣は、国連に対してどういう努力を払い、どういう意図をもって――大いに獅子奮迅の働きをしてもらいたいのですが、それについての一つお考えを承っておきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 国際連合が、今日、世界におきまする唯一の、しかも最高の平和維持の機構があるということにつきましては、各国ともさように考えていると思うのであります。しかし、これを強化しますのは、構成国であります参加国の考え方によるのでございまして、仏は、日本といたしましては、国連にあらゆる面で寄与をしていく、国連を維持発展させるための日本の分に応じた負担をまず誠実にやっていく。しかも、国連の中における諸種の主張等については、今申し上げたような観点から、筋を通して、正しく平和に貢献するような趣旨の発言をし、また行動をとって参る、かような考えでいる次第でございます。
○大谷贇雄君 そこで、だんだんお尋ねをいたしていきたいのですが、一体、日本の立っていきますのに、東西両陣営に属さぬで、インドや群小国家のような中立の道を歩むということで、はたしてやっていけると外務大臣はお考えになっているかどうか、その点を承りたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) このたびの国連におきまして、ソ連の代表が、反植民地主義、それから完全軍縮ということを強く言いたしました際に、中立国というもののウエートを非常に大きく取り上げまして、この役員の構成等についても自由主義の国、共産主義の国、そして中立主義の国というふうな三者構成というようなことを言い出したものでありまするから、いわゆる中立主義というものが大きく耳目に映ったことだと思うのであります。ただ、いろいろ国の置かれておりまする環境等もございまするし、先ほど総理大臣の答弁されましたような趣旨におきまして、私は日本の場合はそうした中立主義というようなものをとることは適当でないと、さように考えております。
○大谷贇雄君 そこで、その次には無防備中立主義というのがございますが、そこで社会党さんは、自衛隊は国土建設隊ですか、平和建設隊に自衛隊をしてしまっていくと、こういう無防備にしてしまうと、こういうことでもって一体一国の防備というものは可能なりやいなや。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今日、国連によりましてその国の安全と平和を保ちたいということはあらゆる国においてさように考えておると思いまするけれども、現段階におきましては国連もまだそれほどの機能を持っておらないのであります。従いまして地域的な集団安全保障の機構というものは、これは自由主義であると共産主義であると、どの陣営を問わずさような共同安全保障の体制をとっておるのも現実でございます。従いましてさような現実においての力のバランスというものが考えられまする限り、その国の防衛というものは、これは固有の権利といたしまして、その国民によって維持さるべきものであるとさように考えまして、従いましてただいまのようなまる裸中立ということは、ちょっと現実の、世界の各国においてはとられておる国はないように考えます。
○大谷贇雄君 そこで第三点には、まあ東西いずれのブロックにも属さんで日本とアメリカとソ連と中共による日本の安全保障を提唱をしておられる一群がございますが、現在のような非常に激しく対立しておるその東西陣営の旗頭がわが国の安全をひとしく保障をせしめるというような約束がはたして可能なりや否や。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今月初旬に発表せられましたるところの共産国首脳部の宣言並びにアッピールにつきまして、すでに大谷委員御承知の通り、平和共存ということをうたっておりまするけれども、その中において、アメリカ帝国主義は全人類の敵であるというような、そうした強い表現もございまするような次第でございまして、現実において私は今お述べになりましたようなアメリカ、ソ連、中共並びに日本というものが相互に安全を保障していくということは現段階においては考えられぬことだと思います。
○大谷贇雄君 そこで第四点はかりに私どもとしても中立化は非常に危険ではないかということであります。中立が成立をする条件の一つには、強大な国の好意の一致がなければならぬと思います。これが大前提なんです。ところが、一つの強国が中立を破ることが自国の利益と考えまするときには、中立が侵されてしまっても、これはいかんとも仕方がない。第二次大戦の際に、ドイツがベルギーやルクセンブルグの中立を侵したのはその好適例であろうと思うのであります。この第二次大戦の際に、昭和二十年の八月の八日に日ソ中立条約が有効であったにもかかわらず、一方的に破棄して日本は宣戦布告をされて、御承知の通りな、まことに煮え湯を飲まされたようなことになったわけでございます。従って、そういう最大の要件があっても、条件が満たされたとしても、これはなかなか容易でない、そういうことは可能でないと私は信じますが、外務大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいまの大谷委員のお考えと私は同感でございます。今日スエーデンとかスイスというような、百年以上前から中立ということを実行している国もございます。しかしながら、これらはその国に比して非常に大きな軍備を持っているわけであります。すなわち、その国を征服することよりも、その軍備を破るために費やすことが非常に高くつくといいますか、非常に負担になる、こうした形において中立を維持している国もあり、しかもその国の位置ということも問題になろうかと思うのであります。それからオーストリアが国家条約によって独立した経緯は御承知の通りであります。五年前に独立いたしましたオーストリアは、四ヵ国の共同の占領から解放される条件として、国家条約によって中立ということを認められているわけでございます。また、外交的にいわゆる中立主義ということを言っております国におきましても、たとえばインドのごとく、国内的には共産党を非合法化している国もございます。いろいろ形はあろうかと思うのでありますが、要しまするに、全然素手で、中立とさえ言っておれば、その国の安全が保たれるという形は、理想はそうでございましょうと思いますが、現実には不可能だろうと思います。
○大谷贇雄君 そこでその次の点は、一体共産主義者は、現在の世界は二つの陣営に分かれているが、結局は共産主義が勝利を占める、こう確信をして、そうして二つのイデオロギーにおいては、中立というものを認めておらぬ、これはたとえばレーニンの全集二十三巻にあります言葉を見ましても、いわゆる中立主義はブルジョアの欺瞞である、こう言っている。フルシチョフは、社会主義と資本主義の闘争においては、中立はあり得ない、と一九五七年のコミュニストという雑誌に掲載をしている。この間国連総会からフルシチョフが国に帰って報告演説をしました中に、帝国主義諸国は、多くの国々の中立路線を、自己の目的に利用しょうとし、また中立諸国は、時としてそれに調子を合わせているが、戦争と平和の問題には中立はあり得ない、こう言っておる。さらに中共の毛沢東は、帝国主義にくみするか、しからざれば社会主義陣営に加わるかのいずれかであって、例外は絶無である、こうはっきりと断言をしておる。また劉少奇主席も、二つの陣営が闘争状態にあるときは、中立というものは不可能だ、中立は結局人をだますたわごとにすぎぬ、こういうことを論文にいているわけであります。そういうことでありまするのに、日本に対しては御承知の通り、しきりにわが国の中立化を呼びかけているのですが、一体中立を認めない方針を持っている国が、日本に対して、そういう呼びかけをするということは、これは一体外務大臣はどういうふうな意図があるとお考えでございましょうか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 本来のマルクス・レーニン主義、あるいはスターリンドクトリンというようなものから、平和共存ということは考えられないことではないかというようなことが中心になりまして先般の共産国首脳会議が非常に議論沸騰したというふうにわれわれは聞いておるのでございます。しかし、究極、結論におきましては、御承知のように、平和共存ということが打ち出されまして、そうして今の戦争不可避論というようなものは本来の公式主義から一歩表現の形では退いたということは、私は非常に大きな意味がある、こう思っておりますけれども、しかしその中においては、先ほど申しましたように、アメリカ帝国主義は全人類の敵であるとか、あるいは平和共存というのは、資本主義と共産主義の階級闘争の一形態であるというような表現もあるのでございまして、簡単に平和共存というものが今日の世界において直ちにそのまま伸びる形になったというふうには理解しがたいと思うのであります。安保条約改定に際しましては、ソ連から、中立ということを特に呼びかけ、しかも安保条約の廃棄ということを要請せられたことは、大谷議員、また他の議員の方々の御承知の通りでございますが、私どもはかかることは内政干渉であるということで、安保条約が純粋に防衛的な性格のものであることを強調いたした反駁の声明を出していることは御承知の通りであります。また、私自身といたしましてもそういう意味の口上書も先方に出したこともございます。先方の意図は私がここで申し上げることははばかりますが、要するに、さような、一つの国に対してかかる主義をとるべしというような行き方というものは、私は、国際平和を考える上からして適当でないと考えます。やはり総理も言われているように、国の政治形態は違っても、社会、政治の体制は異なっておっても、お互いに相手方の立場を尊重して、そうして内政不干渉ということがこれが世界の平和を論ずる場合の大前提でなければならぬ、かように考えております。
○大谷贇雄君 そこで、平和共存説が出てきておりますが、現実には、現実の問題としましては、今、外務大臣がお話しのような明美がある。共産陣営の中に中立の動きがあれば徹底的にこれを現実的には弾圧をしておる。ハンガリー動乱に際しまして、政府が一たび中立を標併したら、戦車と銃剣がたちどころに殺到して、無事の国民はそのためにまことに憤死をいたさねばならなかった。また中共は、御承知の通り、チベットの自治を認めるということをインドと約束をして、いわゆる平和五原則が確認をされたわけです。ところが昨年、中共は、一方的に侵略をして、チベットの、自治及び独立はじゅうりんされ、ついにインド国境を侵犯するというようなことになったのでございます。現実は全く言葉とははなはだしく遠ざかっておることを私どもはまことに悲しまなければならぬのでございます。 そこでちょっとここでお尋ねしておきたいのですが、チベットのダライ・ラマはインドに目下亡命をいたしております。昨年、ダライ・ラマは、実は私どもにその側近のシッキム王女が日本に参りまして、日本に亡命したいというお話があったのですが、それはインドにおった方がよろしいということで連絡をいたした。そこでダライ・ラマは、御承知の通り、エール、マラヤ等が骨折りまして、国連に対しまして提訴をいたした。それでその問題につきましては人権をじゅうりんし、信仰を弾圧した、ゼノサイド条約を侵したこの態度に対しまして、日本としても大いに国連においてお働きをいただいたことだと思いますが、その点はどうなっておりますか、この際承っておきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昨年の三月起こりましたチベット事件に関連いたしまして、ただいまのお話のように、アイルランドとマラヤとが昨年の国連総会で、国連憲章及び世界人権宣言の原則を尊重すべきである、チベット人民の基本的人権及び特殊な文化的、宗教的生活が尊重さるべきことという決議案を提案いたしました。わが国もこれに賛成をいたしたのでありますが、表決は賛成四十五、反対九、棄権二十六でございました。本年はマラヤとタイが同様の問題を提案いたしておりまして、十月十百に議題として採択されました。賛成四十九、反対十三、棄権三十五という数でございます。議決案の表決はいまだこれは行なわれておりません。
○大谷贇雄君 そこで、ただいま論議の過程におきまして、ソ連、中共というものは中立主義は成立しないということが明らかになりました。最近平和共存ということを打ち出しておるが、日本に対しては、先ほどお話のように中立化を呼びかけておる。はなはだ自家撞着で矛盾でありますが、これを押し切って言ってきたということは、明らかにわが国の安保体制を打破しようとすることは、いわゆる内政干渉になることは先ほどお話の通り。さきに政府がソ連に画然と回答を送ったことは当然の措置であると存じます。そこで、こういうような主張を持ち、現実にはおそるべき事態を惹起しておりまするこの共産国家を知りながら、中立論議にうつつを抜かしておるというようなことは、これはあまりにも……これは武者小路実篤さんではないが、おめでたき人々の群れがあると思わなければならぬ。底抜けの善人だと私は思います。しかし、現実に立脚しなければならぬ政党としては、国家の安危をしょって立つのでありますから、慎重かつ冷静な態度をもって考えてもらわなければならなぬと私は深く思うのであります。そこで、今の論議の過程におきまして、安保体制を廃棄して、日本中心の安全保障体制を作るなんということは、これは夢のまた夢まぼろし、まことに非現実であるとか、かように私は思いますが、さらに外務大臣の御所見を伺いたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今日の世界が平和を要望しつつ、しかもいろいろな困難に逢着しておるというのが現実の姿だと思います。そこで東西両陣営がはっきりと対立する世界観を持っておる、この現実を認めないわけには参りません。しかも多くの軍備を持っておる、これも現実の姿でございます。その間に処しまして外交というものはあくまで日本の国の平和を考え、世界の平和を考え、しかも日本国民の利益のためにあるものでございますから、そうした現実を十分直視しながら進めて参りたいと考えておる次第でございます。
○大谷贇雄君 そこで結論は、総理の言われたように、日米安保体制のもとに協力をして、日本の国力を充実して、そうして共産圏をも畏敬させる国を作っていくのだ、こういうことで世界各国仲よくする、こういうことになるわけですな、外務大臣。
○国務大臣(小坂善太郎君) さようでございまして、やはりわが国が自由諸国の丘の上におるというこの立場は、われわれがはっきり堅持しておるところでございます。これはわれわれが思想あるいは言論、集会、結社の自由を打ち、しかもこの小さい国に大ぜいの国民、しかも非常に生活程度の高い国民を持ち、この生活程度をさらに上げていこうとするには、どうしても貿易によって日本の国を富ましていかなければならないというこの国のおい立ちからも、私は経済態勢の必然だと思っておるのであります。そうしたわれわれの態度というものについて、いやしくも世界平和を論ずる場合に、相手の国が自分の国の体制に従わなければこれとの共存ができないというようなことで考えて参りまするならば、現実に東西両陣営というものがあるのでございますから、その中において世界平和を論ずる場合には、やはり相手方の体制というものは尊重し、しかもその内政に干渉しないと、こういう態度を両陣営がとって、初めて世界の平和というものが可能になるわけでございますから、われわれもそうした気持で、総理も言われましたように、われわれの気持は、立場ははっきりと表明しつつ、しかもでき得る限り経済その他において友好的な関係を周囲に醸成していく、かような行き力を考えておる次第であります。また、その行き方が共産圏からしても敬尊される立場になるであろうと、こういうことであります。
○大谷贇雄君 そこで、一つ総理に御意向を伺っておきたいのですが、実は党の国防会で私ども数回にわたって、この防衛庁の昇格――きょう新聞を見るというと、長官は、その意思統一、意思整理か知りませんが、命ぜられたということですが、政調の国防部会におきましては、ぜひとも一つこの際国防省に昇格をせしめることが妥当である、かような意見を具申いたしたのでありますが、それについて総理の御所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(池田勇人君) けさの新聞で初めて拝見したのでございます。私はまだ防衛庁長官から開いておりません。今初めて聞いたのですが、部内で御検討中とも承っております。私は結論を出しておりません。
○大谷贇雄君 それは国防部会でたびたび決議したので、総裁のお耳に入っておらぬということははなはだ遺憾ですが、下意上達がうまくいっておらぬのかもしらぬが、どうか十分に防衛庁長官から一つお聞き取りいただきまして、私どもの希望のようにお願いをいたしたいと思います。 そこで、新防衛庁長官にお尋ねいたしたいのだが、あなたはこの間御就任のごあいさつで大いに抱負経綸を述べられたようでありますが、この自衛隊は国民から信頼され、また親しまれ、かったよりになるようにしなければならぬ――その通りだと思う。そこで同時に、私は、愛される自衛隊、それもけっこうですよ。しかし、自衛隊というものは国家の存立を守っていくのです。国家をおれたちが双肩にしょって守るんだという、こういう烈々たる気はくに満ちた信念が、これは自衛隊の根本教育方針でなければならぬ。その点がごあいさつの中に薄かったようだが、烈々たる御信念をお持ちになる長官のこの際御抱負を承っておきたい。
○国務大臣(西村直己君) 私が国民から親しまれ、かつ、たよりになる自衛隊と申したのは、この基本には、やはり何と申しましても、根本には精神問題があると、こういう意味で発言をいたしているのであります。もちろん装備その他も必要でありますが、根本は何と申しましても精神であります。そこで私どもとしましては、自衛隊については、従来もやったでありましょうが、まず第一に精神教育、こういう点については重点を置いて参るわけであります。こういう点については、現在も部内におきまして、精神教育の基本というようなもの、精神教育課程、いろいろ教科書的なもの、こういうものをできるだけ早く取りまとめて、一つのはっきりした、さらに進んだ基本も与えたい、こういう考え方を持っております。と同時に、平素の訓練等を通じて、絶えず日夜業務課程を通じ、あるいは隊内、営内等の生活等を通じて、こういう気はくを充実して参りたいと、こういう考えでおります。(「だんだん減ってくるよ」と呼ぶ者あり)
○大谷贇雄君 そこで、今「だんだん減ってくるよ」という声があるが、陸上自衛隊が相当欠員があるわけです。そこで、どうしても給与もよくせぬといかぬ、大事な仕事ですから。そこで特別職の給与もああいうことになったわけでありますが、一万八千人ばかりの欠員があるのだが、これを一つ具体的にどういうことで補充なさろうとしておるか、その点をちょっと伺いたい。
○国務大臣(西村直己君) 自衛隊の構成上の定員は、ちょうど十七万に現在なっております。それに対しまして、現在の陸の欠員が約一万八千、海空につきましては、相当技術面がありますので、むしろ志望者が多くて、欠員がそう多いとは私は考えておりません。陸においては多いのであります。しかしながら、これは経済からくるいろいろな民間の中学その他の学校の卒業者に対する好影響がある面と、それから二年くらい前におきまして退職勧奨等を少し多くやった、そのしわ寄せが現在出ている、こういう点から現実に一万八千名近くの欠員があることは事実であります。しかしこれは、やや季節的な面、従来の過去のしわ得せ、それから経済の状況、こういうものも合わせまして、それに対処いたしまして、単に私は給料を多くするから自衛隊に引っぱってくるという、こっちで買うというような考え方よりも、むしろこれが自衛隊を出たあとにおいて社会から喜んで引っぱられるような隊内における職業教育、あるいは出ていったあとの就職あっせんであるとかいう面にも力を入れ、同時に、現在も応募者はありますが、質の低下というものを来たさぬようにしながら、全自衛隊のいろいろな機能を動かしてやって参りたいと、こういう固い決意でございます。
○大谷贇雄君 そこで、一体私は防衛庁は国民に対するPRが足らぬと思うのです。幸い、私は愛知県ですが、伊勢湾台風等では大へんな感謝をされたわけです。九州でもその通りだと思います。これはもう与野党を通じて自衛隊の働きは感謝をしていることと確信をいたします。そこで、どうしても国民諸君に対して大いに国防思想普及の国民運動を展開しなければいかぬと思うのです。それについては長官はどういう御抱負を持っていらっしゃるか。
○国務大臣(西村直己君) 私といたしましては、もちろん自衛隊自体がまずみずから国防思想の信念に徹する、これは自衛隊法の服務規定の根本にもはっきり触れております。これは自衛隊自体、あるいは自衛隊関係者自体がそれに徹するということが第一でありましょう。その次は、広くこれを国民に向かって啓蒙あるいはお願いをする、理解をしてもらう。それには、まず自衛隊体の理解を深めていただくということも一つ必要だろうと思います。そこで、あるいは御意見等もあるかもしれませんけれども、私新長官といたしまして着任いたしましても、いろいろ経緯もありましたでしょう。自衛隊の用語等においても、国民に新しみにくい、あるいは常識から見るとちょっとはずれておるような面もあるのであります。これらもわれわれは直すように、現在部内に命じております。それから同時にわれわれは、もちろんこれは憲法の考え方もありましょうし、それらを十分考慮しながら、国民が理解し得るような自衛隊の内部のそういうふうなことも考えていく。同時に、これはまた外務省の分野にもわたりますが、現在日本が立っている国際政局下における国土自衛、こういうような点については、隊内外を通じてできるだけ大きな努力を払って参りたい。その具体的な方法には、いろいろな方法もあろうと思います。あるいは従来もやっておるような隊内をときどき開放して広く見ていただくこともあれば、あるいはいろいろな訓練を通じて民生安定に供するようなまだ広い分野があろうと思います。具体的に申しますれば、災害の場合もしかりであります。あるいは山嶽における遭難の救出、いろいろな各般の面もあります。同時に、各種の行事、それから日常の自衛隊自体の行動を通しての国防を双肩に背負うという一つの気魄と申しましょうか、風格と申しましょうか、そういうものを通しても国防意識というものを高揚して参りたい。そういう意味で、せっかく御協力もお願いしたい、こういう考えでございます。
○大谷贇雄君 そこで、今用語等についても何か直さなければならぬというお話がありましたが、実はこの間大蔵委員会で社会党の野溝君がたばこのことで――「ハイライト」というたばこがあるが、こんなわけのわからない英語なんかはやめてしまえ、という提案があった。まことにけっこうなことでありまして、私はほまれを推賞しておるのですが、「ほまれ」という名前にしろといっておいた。それは冗談でありますが、階級等の名称についてももう少しやはり……。あれは外国のまねじゃなかろうと思いますけれども、やはり日本的なきりっとしたところでいっていただきたいと思う。制服だって今はだいぶよくなってスマートですが、スマートであって同時に威厳を保つことにはちょっと調子がますいと思う。大いに一つ国民運動をやっていただきたいと思います。 それから、イギリスやアメリカ、スイス等と比べてみても日本の防衛費はわずかに九・八%、スイスのごときは四一%、財政支出のですね。こういうことから考えても、自衛隊の諸君は非常によくやっておることだと思う。どうか国民諸君が大いに理解をし、支持をし、そうして日本国防の自衛の戦士として大いにきん恃を持ってもらうように国民運動をお願いいたしたいと思います。 そこで、文教問題を一つお願いをいたしたいと思うので、文部大臣にお願いをいたします。
○委員長(館哲二君) 大谷君に申し上げますが、持ち時明は済んでおりますが、あと自民党の持ち時間を幾らか繰り入れましてしんしゃくしたいと思います。
○大谷贇雄君 委員長の御配慮、まことに名委員長でございます。大へんありがとうございました。 そこで、今日世界の大勢を見ますると、基本的には教育競争時代である、こういっても過言でないと思います。第二次大戦以来各国におきまして教育改革をするという動きが見られます。特にここ数年来は世界の主要国家におきましては全面的な教育改革が行なわれて参っておるのであります。アメリカは昨年アメリカ合衆国防衛教育法を制定をいたしたことは御承知の通り、ソ連も去年の九月からフルシチョフの教育改革が実施されております。そのほかイギリス、フランス、西独、中共等も同様で、教育革新をやっている。そこで、そうした世界主要国の教育の改革の動きを見てみますと、第一には青年教育、義務教育を終わった者の、まあ昔の中学校教育ですか、中等教育の普及という問題、それから第二には科学技術教育の振興、こういう二点が顕著でございます。そこでこの二点についてまずお尋ねを申し上げます。 第一に、今日今申しました世界の主要国では、初等教育は大体二十世紀初頭までにほぼ完成をしてきた。引き続いて、日本で申しまする新制中学に当たりまするところの義務教育の延長ができた。その普及もなされて、まあその段階もようやく済んだわけであります。そこで今や後期の中等教育、日本でいいますというと、高等学校の教育、この完成に向かって非常な努力を傾けつつ現在あるのでございます。で、わが国も新制中学は大体整備しましたけれども、今申しまするような世界のスタートを切ったこの情勢に立ちおくれてしまっては、日本の水準が下っていくと、こういうことになる。従って十五才から十七才の青少年教育の振興ということに重大な関心を払う必要があるのでございます。これはそういう世界教育競争の面ばかりではなくて、この十五才から十七才の間というものは、非常に感受性の敏感な、教育が非常に可能な年令であります。従ってこういう重要な青年を放置しておくということは、国家社会にとっても非常な損失であるばかりか、非行少年等の問題が続出しておる。そういう点から考えましても緊急対策を作らなければならぬことだと思います。そこで、こういう義務教育を終わった者の青年教育の普及状況を見まするというと、高等学校だとか、あるいは各種学校だとか、あるいは青年学級だとか、通信教育だとか、職業訓練所だとか、経営伝習農場等がありまするけれども、こういう機関に在籍をしている者は年々増加をしている。三十四年度には入っておらん者、受けておらん者、大事な時期に何らの教育を受けておらん者が同じ年令の三六・四%、二百十四万人という多数に上っておるわけであります。そこで、これは御承知の通り、産業界からもこれらの年令の人はどんどん要求される。重要な中堅層になるわけです。そこで、そういう者が教育を受けられんということは、家庭の事情とか、あるいはその付近に教育機関がないとかいうような理由等からでありますが、従ってこういう青少年に対しまして、文部省としては、総合的な教育計画を立てておいでになるかどうか、この点まず承りたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。仰せの通り、義務教育を終わりました後の一番感受性の強い年令層に対する学校教育ないしは社会教育の重大性はまことに御指摘の通りであると思います。もちろん今までも政府としましては、これまた例示されましたような青年学級その他定時制の高等学校あるいは職業訓練所等を通じましても、その求めに応ずる努力はしてきておりますが、まだ十分ではないと思います。そういう面につきましてもさらに今後努力を集中して参りたいと存じます。 なお、教育革新の時代に入ったと仰せになりました。これもまさにその通りで、特に科学技術の振興ということが叫ばれ、そういう角度から見ますると、必ずしも全こまでの義務教育課程を終わった後の、高等学校の生徒に相当する人々に対する教育もさることながら、もともと義務教育課程におきましても、いささか努力が足りないのじゃないかというふしぶしも見受けられるのでございまして、これに対しましては新しく教育課程を定めまして、小学校、中学校におきましても理科教育をもっとみっちりやろう、そういうことで、小学校がたしか来年から、中学校がそのまた次、高等学校はそのまた翌年から実施する予定で、着々準備を進めておる次第でございます。学校教育に関しまする限りは、科学技術教育という角度からの青少年に対する教育改革競争の時代に入ったという課題に対しましては、そういうことで対処して参りたい、かように存じておる次第でございます。
○大谷贇雄君 どうか一つその点とくとお願いをいたします。 今お活の中にありました、先はど第二点として御質問申し上げたいと存じました科学技術教育の振興でございますが、これは世界各国でも方を注いでいる。日本の場合も総理の所得倍増計画を達成するためにも非常な努力を要すると思う。従って、文部省としては、やはりこの科学技術教育振興の点についての計画を立てて進んでおいでになるか、ちょっとこの点も承りたい。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 所得倍増計画達成の立場から申し上げますと、一応私どもが推定しておりますところは、理工系の大学卒業程度の技術者が、向こう十カ年問に約十七万人くらい現状のままでは不足するであろう、それから高等学校卒業程度の技能者と申しますか、その程度の人々が約四十四万人不足するであろうと、まあこう推定されるわけでございます。従いまして、その推定数字に基づきまして、来年度から極力計画的に増員をすることをやりたいというように考えております。すなわち、大学におきましては、理工系において、一方六千人見当を増加収容し得るような施設設備をまず着手して、これに対する教授陣も整備して参りたい。さらに工業高校を増設しますと同時に、これは生徒の急増対策の一環としてもさることながら、所得倍増問題とからみましても、今申し上げるように、四十四万人不足ですから、公私立を通じて八万五千人見当は増加収容するという設備の充実を必要とするであろう、そういう見当をつけまして、極力今検討中でございます。
○大谷贇雄君 そこで、今この御計画の御構想の一端を承りましたが、問題になるのは先生です。教職員です。大学も理工科学生を大いに収容する、また、工業高校も画期的に拡充する、人へんけっこうであります。ところが、一体この学校の先生というものは、これはどうにもならぬわけだ、そこで現在大学では優秀な者が学校の教職につくことをあまり歓迎しない、従って減少するわけです。そこで、第一に必要な問題は、大学の先生方の待遇改善ということが必要になってくると思います。その点いかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 学校の先生の給与の改善は、大谷委員万々御承知の通り、ただいまの特別国会において御審議をいただき、これが実施されますれば、今までの悩みが相当解消できるのではなかろうかということを期待しておるわけでございます。そういうことから、待遇改善の意味合いにおいて学校の先生になる人が幾らかふえてくることを期待しますが、同時に、倍増計画に関連しましての、あるいは生徒急増に対しましての、特に高等学校の先生の不足、そういうものに対しましては、今のところ考えておりますのは、各ブロックの国立大学に臨時教員養成所的なものを設置いたしまして、その修業年限も三年ぐらいの見当で短縮いたしまして、免状の資格等もある程度緩和する措置を必要とするかと思いますが、かような考え方で教員の不足を補って参りたいと考えております。
○大谷贇雄君 そこで、どうか一つその点は勇み足でおやりを願いたいと思います。そうして今公立学校、私立というお話がございましたが、これは一つ私立の学校につきましても、十分御承知の通りな援業料値上げ等で、待遇改善のために困っておる状態です。国家としても十分一つこの点につきまして御配慮をお願いしておきたい。もう時間なんですが、そこで、もう一つ指摘をしておきたいことは、先ほど言った通り、世界各国とも教育改革が行なわれてきた。教育の基本が確立をしておって、その確立した基礎の上に立って、時代の進展に即応するような教育改革を進めておる。アメリカが合衆国防衛教育法を制定したのは、ソ連との生存競争に大いに打ち勝っていこう、こういうことからである。フルシチコフが教育改革を断行したのも、第二次大戦後において、ソ連の国内において個人の自由の気運が高まり、同時に、労働を忌避するような風潮が生じてきたからであるということを聞いておりますが、そういうようなことで共産主義社会建設のためには、これらの風潮を一掃しなければならぬ、こういうことで教育改革を断行しておるのであります。すなわち、各国とも教育目的が確立をされておるのでありまして、その目的を達成するために教育改革も断行されておるのでございます。そこで、わが国の場合、教育の目的は教育基本法に定められておるのでありますが、これについては制定当時から論議のあったところであります。今日においても、また、幾多の議論があるところであります。日教組の諸君でさえも、教師の倫理綱領の解説の中に、日本の教育基本法という法律は、人格の完成というきわめて抽象的な原理、宣言を公にしておるが、これでは教育の目的は明らかにならない、こういうふうに批判をしているほどであります。このように、教育基本法にはいろいろと議論のあるところでありまして、こうした議論のある教育目的のもとでりっぱな教育が推進できるかどうか、不安なきを得ないのでございます。そこで、ソ連や中共においても、子供が学校に入学したその日から、厳重に守らなければならぬ義務が生徒守則というものに定められておる。その第一章には、りっぱな国民となって祖国に忠誠をささげなければならぬということが掲げられておる。また、自由諸国におきましても、愛国心、公共精神の涵養ということが教育の重要目的としてある。そういうようなことが日本の教育基本法にはさだかでないわけであります。従って、この教育基本法につきまして文部大臣はいかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。私個人としての考えは、むろんないわけではございませんが、そういうことを申し上げてもこの場で意味をなしませんので、差し控えたいと思います。政府としては、まだ御指摘のような制定当時からの事情等もございまするし、不明確な点もあるという学者の説もないわけではございませず、そういうことで検討をすべき課題であるとはむろん思いますけれども、改正を今直ちにやらねばならないと決定いたしておるわけではございません。しかし、常に法規は、前向きによりよくするための検討を加えていくということは必要でございますから、衆知を集めて検討をしてみたいという気持だけは持っております。繰り返し申し上げますが、政府でそういうことを決定いたしておるわけではございません。研究すべき課題であるということを申し上げてお答えにいたします。
○大谷贇雄君 今の教育基本法の問題に関連をいたしまして、総理大臣の……。
○委員長(館哲二君) これ一問だけにしておいて下さい。
○大谷贇雄君 日本の教育についての総理の御認識と御所信を、簡単でけっこうですから、承っておきたい。
○国務大臣(池田勇人君) 教育問題は最も重大な問題でございます。わが国は、明治以来、これには力を注いできておることは御承知の通りであります。最近の教育の状況を見まして、あるいは教育基本法について再検討加えるとか、いろいろな議論が出ております。私は教育基本法、その他一般の科学振興、教育全般につきまして、今後一そう力を入れていきたいと考えておる次第であります。
○委員長(館哲二君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(館哲二君) 速記を始めて。 委員の変更について報告いたします。 基政七君が辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十一分散会