社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 239 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1960/12/20
会議録
○委員長(吉武恵市君) それではただいまから社会労働委員会を開きます。 労働情勢に関する調査の一環として、労働省関係予算に関する件を議題といたします。 初めに昭和三十五年度補正予算及び昭和三十六年度予算の概要について労働省当局から御説明を願います。 ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。 それでは労働省から説明を願います。
○藤田藤太郎君 説明をしていただくのは補正予算と来年度の予算区要求ですか。資料を配っていないが、どういうおつもりなんですか。
○説明員(和田勝美君) 三十五年度補正予算はすでに予算委員会で御審議をいただいております。予算案としましては、政府としては意見が一致したものでございます。この件は資料を差し上土げることはもちろんできます。三十六年度につきましては、まだ政府部内でも労働省省から大蔵省に話をしただけで、大蔵省側の意見が全然ございませんので、内容を資料としてお出しすることにつきましては私どもとしては差し控えたいと思いますが、委員会の方の御判断でお許しいただきたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。 それでは和田会計課長。
○説明員(和田勝美君) お手元にただいまお届けいたしました資料によりまして、三十五年度の補正予算並びに三十六年度の概算要求の概略について御説明を申し上げます。 まず、第一ページの三十五年度歳出予算補正要求事項別総表をごらんいただきますと、事項は四事項ございます。第一が政府職員の給与改訂でございます。これは人事院勧告に基づきますものでありまして、額がここにございますように、五億八千四百五万一千円、こういうことでございます。第二の失業保険国庫負担金は、三十四年度に国庫からの受け入れがそこにございます三億五千三百七十一万円不足いたしておりますが、これは失業保険特別会計法の十三条の三の規定によりまして翌々年度までに精算されることになりますので、本年度で精算を国庫から失業保険が受ける、こういうものでさいます。三番目の珪肺等保護費負担金、これはけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法及び同臨時特例法によりまして、国庫から共済保険特別会計がいただく金が一億八百六十六万でございます。それをば今回精算をしていただく、こういうことでございます。第四番目の失業対策事業費の一億一千三百万は、これは年末の失対に働く労働者に対する年末の手当を予算では九日になっておりますのを十、五日に増加いたしたいということで、それに伴います所要の額が一億一千三百万、こういうことでございまして、総計いたしますと、十一億五千九百四十二万一千円、これが補正予算の中身でございます。 次に、三十六年度の概算要求の重要事項別表をごらんいただきたいと思います。まず、第一の大事項といたしましては、私どもの考えておりますのは、労働力の流動性の増大対策と技能労働力の確保をはかりたい、こういうことで予算要求をいたしておりまして、金額は、三十六年度の概算要求額は、一番上にございますように、六百九十一億四千四百万、カッコ書きは、これは失業保険特別会計から計上いたしたいと思っておりますものでございまして、六百三十三億七千万でございます。これは下の六百九十一億四千四百万の内数でございます。 そのうち労働力流動化の促進といたしましては二億四千万を要求いたしておるわけでございます。これは主として職業安定機関の機動力あるいは通信、こういうものの強化のための事務費でございまして、職業安定所関係でございます。 その次は、炭鉱離職者の援護対策は、石炭鉱業離職者の援護法に基づきますものでございまして、三十六億でございます。 雇用促進公団の設置でございますが、これが新しい構想でございまして、中身といたしましては、私どもの考えておりますのは、現在の石炭援護会を発展的に吸収いたしますとともに、労働福祉事業団に所属をいたしております失業保険関係の総合職業訓練所を主体といたしますものをば吸収いたしまして、一つの新しい公団を作りまして、労働力の流動化促進と技能労働力の確保をはかりたいというような考え方に基づくものがここにございますものでございます。 その次の、四番目の職業訓練の拡充強化のうちは、今申し上げましたように、総合職業訓練所関係を雇用促進公団の方でやることになりますので、その部分は重複計上でございます。その額は、カッコ書きにあります二十八億六千四百万、これが総合職業訓練関係でありまして、その差額十四億、これが一般職業訓練所関係の経費でございます。その部分は重複計上ではありません。そういうような状態でございます。 国家技能検定の推進がございます。これは技能検定種目を十五種目にふやしたい——今年度は十種目でございますが——そのための所要経費でございます。 以上申し上げましたように、職業訓練につきましてはそれぞれ施策の強化をはかって参りたいと思いますので、その責任ある行政機関という意味で、現在の職業訓練部を職業訓練局に昇格さしていただきたいというのが職業訓練局の設置でございます。 第二の大事項としましては、失業対策の刷新、改善でございまして、そのうちの大きなのが失業対策事業の刷新ということでございます。これは現在の失業対策事業につきましては、御存じのように、いろいろの改養すべき点が多々ございますので、失業対策事業に働く方ができるだけ一般雇用に復帰し得るような態勢を作ること、及び、失業対策事業自体が能率のいい部門を持ちたい、こういう意味で、これが刷新をはかりたいという考え方の中身のおもなものでございます。 次は、炭鉱離職者の繁急対策事業でございますが、これは、本年度、三十五年度予算から計上されておりますものにつきまして、単価等につきまして、だんだんと質のいい事業をやって参りますために今年度予算に問題がございますので、その単価等の引き上げをはかりたいというのがこの予算の中身のおもなものでございます。 失業保険事業の整備改善、これにつきましては、大体考えておりますのは、月雇失業保険の改善を行ないたいというものでございます。金額のおもなものは被保険者の増大、及び、従って、生じます保険給付の増加に伴いますものが中身のおもなものでございます。 次の大事項といたしましては、労働条件の改善でございますが、最低賃金制をさらに推進をしていきますものが、ここにありますものでございます。 その次は、中小企業の退職金共済制度の普及改善でございますが、これをばさらに拡大するために法律の中身の改讐をいたしたい、こういう考え方でおるような次第であります。 それから次は労働時間と家内労働の改善でございますが、労働時間につきましては、漸進的にその短縮をはかって参りたいというために所要の指導を労働基準局が行ないますので、それに関する経費をば計上いたしたものでございます。それから家内労働につきましても、明年度からは実効ある行政指導を行ないたいということで、その行政指導費を含んでおるようなわけでございます。 第四の大事項といたしましては、中小企業の労働福祉の振興でございまして、これはすでに御承知の通り、大企業に比較いたしまして中小企業の福祉が非常に下回っておりますので、府県に、あるいは市町村あるいは協同組合等におきまして、労働福祉のための施設を作りますときに、それに対する補助金を行ないたいというものと、カッコ書きは、これは財政投融資でございます。六百十三億でございますが、これは備考にもございますように、協同組合等におきまして、あるいは商工会等におきまして、共同宿舎を設置したり、あるいは共同給食施設を設置する向きがございます。これに対して低利長期の融資を行ないたい、こういう考え方でございます。 五番目は中小企業の労使関係の安定促進でございます。これは三十五年度から強化いたしました。中小企業におきます労使関係の紛議が相当激しいものがございますが、これは労使双方におきますふなれ等もあるわけでございますので、これらに対します指導啓蒙費がこの事務費でございます。 第六の大事項といたしましては、よき労使慣行の確立ということといたしまして、国民一般の方々に民主的な労使関係のあり方についての御理解をいただきますことと、それと実情をばよく調査し、それに対する対応策を作って、よき労使関係の確立に資していきたいというのが第六番目の事項でございます。 第七番目は、婦人年少者対策の推進でございまして、事項はそこにごらんをいただきますように、婦人の職業対策、これは未亡人と中年層の方の婦人はなかなか就職が困難な向きがございますので、簡単な職業訓練あるいは家事サービス、こういうような面の職業補導をいたしまして、就職のしやすいような状態を作っていきたいという所要経費でございます。 婦人及び年少労働者の福祉対策は、四番目の事項で申し上げました中小企業労働福祉の振興と重複計上になっておりますが、おもなものは、備考にございますように、すでに実行をいたしております働く婦人の家とか青少年ホームをば今後さらに所要の地に増設をして参りたいというものでございます。 三番目は、労働者家族の福祉対策の強化、これはホーム・ヘルプ制度はすでに本年度から認められまして実行いたしておりますが、そのホーム・ヘルプ制度をさらに拡大をして参りたいという経費でございます。 第四の農山漁村の婦人の地位の向上につきましては、新しい事項でございまして、農山漁村におきます婦人のための簡易な教室施設を作りまして、そこで指導者教育等を実行して参りたいということでございます。 第八番目といたしましては、総合的な労働安全及び労働衛生対策の推進ということでございまして、一番大きなのはその(1)にございますように、労働安全及び労働衛生施設に対する資金の貸付制度を創設いたしたい、こういうのでございまして、これは非常な努力にもかかわりませず、産業災害あるいは職業病の出ておりますことは御存じの通りでありますが、そのいろいろな運動とあわせまして安全施設、あるいは衛生施設の改善をするためには、何といたしましても低利の資金をば豊富に提供いたし、それによりまして、これらの施設が改善されることが必要であろうということで、労災保険特別会計から労働福祉事業団に、三十億の金をば貸し付けまして、その労働福祉事業団が、市中金融機関を通じて、所要の資金の貸付を行ないたいという中身のものでございます。 次は、産業災害防止対策の推進、これは、従来からやっておりますものをさらに拡大して参りたいということでございます。 それから職業病防止対策の推進は、三十五年度に比較いたしまして相当の大幅の増加でございますが、これは職業病に関する労働衛生全般に対します相談所をば設置して、全国で三カ所ほど設置いたしたい。その施設費がふくらんでおりますので、大きな額になっておるわけでございます。 最後は、労働統計調査の拡充整備でございまして、第一に、最も大きなのは、賃金センサスの実施でございます。従来、二十九年、三十三年というようなことで、賃金につきましては、それぞれ相当大きな調査をいたしておりますが、賃金のあり方、あるいは賃金と雇用との関係、そういったようなものをば正確に把握することによりまして、今後の賃金政策に備えたいという意味合いで、相当大規模な統計調査を実行いたしたい、こういう意味で考えておるわけでございます。次の紙をごらんいただきまして、毎月勤労統計調査の拡充整備でございます。これは御存じの通りに、甲調査、乙調査と分かれまして、甲調査が三十人以上、乙調査がそれ以下でございますが、そのうち三十六年度におきましては、乙の方の整備をいたすことによりまして、中小企業の勤労統計の実態をば正確に把握いたしたいというのが、この増加のおもなものでございます。 以上申し上げましたものが、三十六年度の労働省の予算要求の中の大事項であって、その他は従来のものの継続的な意味合いの行政経費等でございまして、総額が、労働省の一般会計といたしましては七百五十億九千六百万の要求をいたしておるような次第でございます。簡単でございますが、御説明を終わります。
○委員長(吉武恵市君) 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○藤田藤太郎君 一応理解するために、少し補足説明をお願いしたいと思うのです。日雇労務者期末手当の補正予算の十・五日分一億一千三百万円というのは何人ですか、それは。
○説明員(和田勝美君) 今申し上げますからちょっとお待ち下さい。
○藤田藤太郎君 じゃあとで。それから次は、雇用促進公団の、具体的にはどういう工合に会計関係がなるのか。もう少し詳しく説明してほしい。
○説明員(和田勝美君) これはここにございます六百三十九億三千五百万のうち、カッコ書きであります六百二十六億六千万円は、私どもの考えとしては失業保険特別会計から出資をしていただきまして、公団の基礎財産にいたしたい、こういうような考え方でございます。それ以外のものは、これは従来石炭援護会に出ております経費、十一億という金をばこちらに受け入れたい、こういうことでございます。
○藤田藤太郎君 重ねて一つ、お伺いするために。六百二十六億というのを基金にして、その利息を使う。それと、十一億か十二億になる石炭事業団の金とを合わせて使う、その使う金が二十一億五千四百万円、こういうことですか。
○説明員(和田勝美君) 石炭援護会は、本年度予算におきましては政府から六億、石炭鉱業合理化事業団から六億の金で、十二億で運営いたしております。そのうち明年度予算におきましては、この十二億なにがしかの金は一般会計から雇用促進公団の補助金交付金として受けまして、それ以外に合理化事業団の方から六億の金を受け入れる。今藤出先生からお話がありましたように、六百億は運用収入、二十六億につきましては、資本を取り崩して事業に使いたい、こういう考え方でございます。
○藤田藤太郎君 もうちょっとわからぬのだけれども、だんだんわかってきたが、六百億は基金としてその利息を使う、これが一つですね。それから二十六億は別個に失業保険会計から取って、これは取り崩して年度計画的に使う。それともう一つは、石灰事業団に出ているものを合わす、石灰事業団のものは十二億プラス六億とこういうことになる。そうすると、ことし使うのは幾らになる。
○説明員(和田勝美君) ことしの事業予算の総計は、三十六年度におきましては、約七十一億程度を予定いたしております。
○藤田藤太郎君 もう一つ理解するために。中小企業福祉振興の二億七千七百万という金は、ここには融資と書いてあるけれども、説明では補助金ということを言われたのだが、この中で、補助金と融資というものは含んでいるのですか。
○説明員(和田勝美君) 説明がなにでありましたが、二億七千七百万は、これが補助金でございます。カッコ書きの分の財政投融資を予定いたしております。
○藤田藤太郎君 もう一ぺん言って下さい。カッコ書きの六百十三億というものは何に使うのですか。
○説明員(和田勝美君) これは大変失礼いたしました。ゼロが一つ多うございまして、六十一億でございます。申しわけございません。三十六年度の概算要求でカッコ書きにいたしておりますのが、数字が間違っておりますので訂正をさせていただきます。この数字で見ますと六百十三億でございますが、これは間違いでございまして、六十一億三千万の誤りでございます。ゼロが一つ多うございます。この分が財政投融資と、こう予定をいたしております。
○藤田藤太郎君 これは預金部の財政投融資ですね。
○説明員(和田勝美君) さようでございます。
○藤田藤太郎君 それからもう一つ、中小企業労使関係の安定促進、良き労使慣行の確立、これはどういう意味なのかよくわからないからもう少し評しく説明して下さい。 それから最後に、労働統計調査の拡充整備というのは、これは労働力調査にかわるものとしてこういうセンサスを入れられておるのか。それをちょっと。
○説明員(和田勝美君) 五と六につきまして、五の方は最近中小企業におきます争議が相当激しく出ておることは御承知の通りでございます。これにつきましては中小企業の特性等、あるいは中小企業におきます労務管理の近代化のおくれというものがございますので、これらにつきまして、行政指導をし、あるいは親切に相談に応ずる、そういうようなための相談員、こういうようなものを設けまして、今申しましたような目的に資したいと思いますが、それの所要経費が五番目のものでございます。 それから六番目の方は先ほどもちょっと触れましたように、国民一般に労使関係のあり方につきまして啓蒙宣伝をいたしまして一般の御理解を得る、そういう材料を提供するためにも、労働実態をば把握する必要がございますので、 〔委員長退席、理事高町一夫君着席〕 そういう実情調査をいたしたい、こういう中身が六でございます。 それから九番目の労働統計は、これは労働力調査は総理府の所管でございますので、ここに書いてございますのは、労働省所管の労働統計だけを予定いたしております。ここにありますのは労働力調査のかわりになる、こういうものではございません。労働力調査の方はまた別途総理府の方で要求をされております。
○藤田藤太郎君 ちょっと、五の点についても行政指導、相談に乗るんだということで六千二百万円もお使いになるのはどういう工合にしてお使いになるというのかわからぬですね。 それから今の六の、国民に啓蒙し、宣伝をすると、こういうのは大体具体的ですけれども、実態調査をするということは、これはどういう工合に……、これも一億五百万という金が入っておる。金の多い少ないを言っておるわけじゃないのですけれども、それから労働統計調査の拡充に一億二千九百万円ですか、毎月勤労統計の調査もおやりになるわけですから、そうすると、大体労働力調査という今日の実態についてどう把握されておるか。これは会計課長じゃなしに、専門の労働統計調査部長がおいでになるのですが、どういうセンスでこういう拡充をされるのか、もう少し説明して下さい。
○説明員(大宮五郎君) 私の方の所管といたしまして、労働統計調査の拡充整備の趣旨を御説明いたします。 一のところに載っております賃金センサスでございますが、これは従来この種の傾向の調査といたしましては賃金構造基本調査というのがございます。その調査をさらに一そう拡充整備したい。名称もこの際質金センサスと、一応かりの名前でございますが、こう書いて要求しておるところでございます。ねらいといたしましては、これはどういう産業のどうゆう規模に、どういう職種で勤めており、そうして年令が何才くらいで、勤続年数がどのくらいの者の賃金が幾らであるかといったような、いわば賃金の構造を調査すると同時に、今度はあわせて労働者の性格別の分布等も調べたい。産業もサービス業を追加し、また、規模も従来十人以上でありましたのを、五人まで下げるといった内容でございます。それから毎月勤労統計の方は、御存じのように、これは賃金構造ではございませんで、平均賃金、平均労働時間、平均出勤率、あるいは全体の雇用労働者の数の推移、そういうものを毎月把握していくものでございまして、その拡充はサンプル数の増加によりまして精度を上げたいということでございます。
○小柳勇君 前の問題に関連して、五の中小企業労使関係の安定促進、六の良き労使慣行の確立のところで、相談員あるいは行政指導の話がありましたが、いま少し具体的に説明願いたいと思います。
○説明員(和田勝美君) 五の中小企業の労使関係の安定促進関係は先ほども申し上げましたが、中小企業におきましてはまだふなれな面が相当ございますので、府県の労政事務所あるいは府県の労政課等によく中小企業の労使双方の方が相談にいらっしゃいます。そういうような場合に、もに職員だけでなくて、中小企業の実情に詳しい方等をば労働相談員ということでお願いをいたしまして、その相談に協力していただいて中小企業の労使関係が安定するようにいろいろと相談を承っていただいております。その方々に対する手当を全国的に出しております。こういう手当に対しまする補助金、あるいは労政課、あるいは労政事務所が中小企業の密集地帯に参りまして労務講座なんかをやっております。講習会あるいは労務講座、こういうものをやっておりますが、そういうものに対する経費に対する補助金、大きなものはそういったものであります。
○小柳勇君 その相談員の人数、それから手当の額、どのくらいですか。
○説明員(和田勝美君) 手当は月額一万円でございます。人員は大体大きな都会でありますと労政事務所に一人ないし二人の方を委嘱をして百八十人程度の方でございます。
○小柳勇君 これはいつから置いてあるのですか。
○説明員(和田勝美君) 三十五年度の予算で初めて認められたものであります。
○小柳勇君 この相談員の百八十名の方の氏名なり経歴なりわかっておると思いますけれども、別途資料として提出願えますか。
○説明員(和田勝美君) 百八十人と申しましたのは、明年度そういうようにふやしたいという希望でございまして、本年度はもっと少ない数字でございます。
○小柳勇君 現在何名ですか。
○説明員(和田勝美君) 現在百十何名であります。
○小柳勇君 この百十何名の方の名前なり経歴なり、資料として御提出願いたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(和田勝美君) 労政局に伝えまして、多分府県でございますから名簿は取りそろえていないと思いますけれども、府県の方に委嘱いたします。労政局に連絡をいたします。
○小柳勇君 まだ藤岡委員の御質問があると思いますけれども、関連でなくもう一つ質問いたしておきたいと思います。 昨日たまたま産経会館に参りましたら、職業訓練協会というものが講座を開いておりまして、寄宿舎管理の教育講座を開いておりました。二日間くらいでありましたけれども、中に入ってみますと、非常にりっぱな資料などがありましたが、その職業訓練協会というものの性格、それから労働省でこれの補助などをしておるのかどうか、そういうことについて答弁願いたいと思います。
○政府委員(堀秀夫君) 職業訓練協会は民間の財界関係で職業訓練について熱意を持ち、また、いろいろ事業内訓練その他を遂行するにあたっての経験を持っておる方方、が結成されました民間の団体でございます。これに対しまして労働省といたしましては、趣旨はまことにけっこうなものであるとは考えておりますが、補助等はいたしておりません。
○藤田藤太郎君 まあ、私はあと政治上の問題をお聞きしたいのですが、大臣お見えにならないので、次官はお見えになっていますか。
○理事(高野一夫君) 私から申し上げますが、政務次官は昨日から病気で一週間請暇を申し出ておられるそうであります。
○藤田藤太郎君 わかりました。それでは職安局長にちょっと無理かもわかりませんが、職安局長にお尋ねしたいと思います。 一つの問題は、石炭離職者の対策がここに出ております。それで、これでいいか悪いか議論は後にいたしまして、雇用公団をお作りになって全般の雇用問題を運営される趣旨はまことにけっこうだと思うのですが、一つは、失業保険会計から基金を六百億持っていってそうしてその基金を使う、これが一つの柱だと思います。もう一つは、やはり失業保険会計から二十六億六千万円を持ってきてごの金を使う、で、この一番目の、六百億持ってきたのが、どういう趣旨で持ってきてこう使われるのか、二十六億をどういう理由でそれは取りくずしてお使いになるのか、これがよく私たちはわからぬ。それから三番目は、駐留軍の離職者が計画的に離職されているが、対策は労働省としては考えてないのですね。ということが三番目です。 もう一つのこれに関連した問題ですけれども、失業対策の方の事業をどういう内容で、概念だけはお示しになりましたけれども、どういう計画で来年度はおやりになるのか、賃金はどうするとか、または稼働日数をどうするとか、その他のいろいろ日雇い労働者には私はあると思いますが、こういう問題について説明がなかった。 〔理事高野一夫君退席、委員長着席〕 それからもう一つの問題は、統計調査というので、九と十とに、一つは賃金の問題、一つは毎月勤労統計で実態を把握するのだとおっしゃいますけれども、たとえば毎月勤労統計に出てくる失業、要するに就労の動きなんかを見てみても、単に機械的にこれだけ就労いたしました、こういう工合に向上しています。しかし、実は非常に不安定な労使関係になって、いつでも都合のいいときには使用者から首にされる。一応働いていても不安定な状態にある、こういうのが今までの統計から出てきて数だけを合わしておられたのが毎月勤労統計ではないかと思うのです。もっと私は労働行政をやるのには実態把握ということが必要ではないか。そういうことについて予算をこれだけお取りになるけれども、そういう実態が一つも出ていない。こういうことはどうお労えになっているのか。そういう点を一つ総合的な面から、これは次官にお聞きする方がいいのだけれども、病気でお休みになっていますから、一つ関係局長として、どういう工合にお考えになっていますか、次官にかわって一つやってもらいたい。
○政府委員(堀秀夫君) ただいまの点につきましてお答え申し上げます。 まず、雇用促進公団の予算の問題でございますが、趣旨は御説明申し上げましたように、最近の雇用情勢にかんがみまして、一面において産業構造その他の変革に伴いまして生ずるところの離職者の方につきましては、生活を保障しつつ転職訓練を積極的に行なう、それによりまして他の産業の企業に転換することを容易にするということ、それから地域的に移動されまする場合におきまして、現在の石炭離職者に対して支給いたしておりまするような趣旨に準じまして移転費を支給するというようなこと、それから他面におきまして、現在の労働力、特に熟練労働力の不足の状況にかんがみまして職業訓練というものをさらに積極的に拡大いたしまして、必要な熟練労働力の養成を行ない、そのために職業訓練というものを積極的に拡充して参る、それとあわせまして、一般的に職安の役所の組織ではできないような親切なサービスを、その役所でできないような面につきまして、離職者その他一般的な求職者の方々につきまして相談その他の親切なサービス、援助を行なう、このようなことを中心にして考えておるわけでございます。そのために現在も職業訓練を実施するにあたりましては、総合職業訓練所関係の費用は、御承知のように、失業保険の運用収入の一部をもってこれに充てておるわけでございまするが、私どもがただいま申し上げましたようなことを雇用促進公団におきまして来年度実施いたしまするためには、総合職業訓練所の事業の活発な運営、それからいろいろな雇用促進のためのサービス業というようなものを合わせますると、平年度において大体三十六億程度の予算が必要である、このように見込んでおるわけであります。そのような平年度関係の金を生み出す原資といたしまして大体六百億程度の基金が必要である。従いまして、そのような意味におきまして失業保険の金の積立金の中から六百億円程度を基金として利用いたしまして、その運用収入をもって平年度の事業にあてていこうというのが六百億の計算の根拠であります。 しかし、それとあわせまして現在御承知のように、総合職業訓練所につきましては、年度計画をもちまして、新設、増設それから施設の整備を行なっておる過渡期でございます。そのような過渡期でございますので、この数年閥におきまして、平年度の落ちついた状態になる過渡期でございまするから、新設、増設、整備等のための臨時的な費用がここ数年間は必、要になるわけであります。そういうような費用、それからなおつけ加えまして、雇用促進公団で、私どもできますれば、就職しようということでいろいろ努力はしておられますが、一時的な金が、資金がないためになかなかうまくいかないというような方に対しまして就職資金と申しますか、そういうものの一部を貸し付けるというようなこともやってみたいと考えておるわけであります。そういうような費用すなわち職業訓練所の整備のための過渡的な費用、あるいはただいま申し上げました就職等に要する資金を貸し付けるというようなことのために、二十数億をその六百億のほかにこの事業団に繰り入れてもらおう、こういう考え方でございます。その他の原資は、先ほど会計課長から御説明申し上げましたように、現在の炭鉱離職者援護のために政府から出資し、それから石炭合理化事業団から出資を、交付金を求めておりますが、これはそのまま雇用促進公団の主要な業務の一部に充てるために繰り入れてもらおう、大体こういうような考えでおるわけであります。 それから第二番目に、駐留軍の離職者に対する手当はどうなっておるのかという問題でございます。これは私どもは最近の状況にかんがみ、来年度においてもぜひも重点的に実施して行ないたいと思っております。それに要する費用は、項目は立ててございませんが、この雇用促進公団において、先ほど申し上げましたようなことを炎施する。その一つの大きな中身に、この駐留軍の離職者の方が含まれるわけであります。従いまして、雇用促進公団の一つの主要な事業として駐留車の離職者に対するところのいろいろの援護措置を行なうということを考えておりますが、その雇用促進公団の事業のほかに、ここに差し上げました資料におきましても述べておりますように、第四の職業訓練の拡充強化、この関係におきまして一般職業訓練所等におきまするところの駐留軍の離職者の訓練所の建設も計上してございます。なお、これには記載してございませんが、失対事業等につきましても、それから、これは政府全体の関係になるわけでございますが、公共事業を重点的に実施して、それに駐留軍の離職者を吸収するという関係の項目もこの中に、あるいは労働力流動化の推進というような項の中に含まれておるわけであります。われわれは、来年度におきましても駐留軍の離職者対策は今年度よりも、さらに進めて積極的な態度でやって参りたい、このように考えておるわけであります。 それからその次に失対事業の運営についてどのような基本的な考え方で進んでいるのかというお話でございまするが、私どもは、来年度におきましては、まず第一に、最近の民間の賃金等の変動、上昇に伴いまして、失対事業関係労務者の百賃金労務費というものも改善していかなければならないと考えております。そのどのくらい改善するかということにつきましては、実は現在御承知のように、労働統計調査部におきまして、屋外労務者の職種別の賃金調査を行ないまして、その結果が近くまとまることになっております。それ等を参酌いたしまして、最終的に大蔵省と折衝いたしたいと考えておりまするが、私どもといたしましては、一応この予算要求の中には、一般失業対策事業関係の労務者の賃金の改善、それから就労日数の増加、事業の内容の合理化等に伴いまして、平均いたしまして大体所得が二七%程度改善されるというような方向におきましてこの予算を組んでおります。しかし、その具体的な内容につきましては、ただいま申し上げました屋外労務者の賃金調査等の結果に基づきまして、さらに具体的な折衝をしたいと思っておるわけでございます。 そこで就労日数の増加の件でございすが、ただいま申し上げましたように、現行は二一・五日にしてございますが、私どもといたしましては、一応二三・五日にして、二日増という予算を組んでいるわけでございます。 それから統計調査の御質問でございまするが、これは統計調査部長からお答え申し上げます。
○説明員(大宮五郎君) 労働あるいは雇用に関する統計といたしまして、単に平均値とか、頭数とか、それだけでは不十分で、質的な中身、あるいは失業の実態、そういうものを把握しなければならないという御意見はまさにその通りでございまして、私どもも同感でございます。そこで労働に関する統計といたしましては、労働省がもちろん中心になってやっておりますが、ほかの省でもずいぶんこれに関連した統計を作っております。特に関係が深いのは総理府統計局との間でございまして、総理府統計局におきましては、御存じのように、五年に一ぺん国勢調査、三年に一ぺん就業構造基本調査、毎月労働力調査、こういうのをやっているわけでございます。そこでそのいずれを見ましてもおわかりのように、それらは世帯を単位とした調査でございます。私どもの方の調査は、主として事業所を単位として調査することに一応総理府との問でまあ話し合いをしておるわけでございます。と申しますのは、これは技術的に申しまして、世帯単位に調査しますのは、国勢調査の調査をもとにして設計しませんとできませんものですから、総理府の方でやってもらっておるわけであります。労働省と統計局の両方の調査を相補い合いまして、御要望のような中身のものをできるだけ出すように努力しておる次第でございます。従いまして、労働省の方で今回の予算の中にも出ております賃金センサス、あるいは毎月勤労統計は事業所を単位とした調査でございますから、失業の方はつかまえられないわけでございます。事業所に勤めている者がどういう状態にあるかということをできるだけ実態に即して詳しく調べたい。その質的な中身につきましては毎月勤労統計よりはむしろ賃金センサス、あるいは従来やっておりました賃金構造基本調査、そういうものが分担しておる次第でございます。それから失業の実態等につきましては、毎月の労働力調査では確かに不十分でございまして、わが国特有の不完全就労等の実態につきましては、二年に一ぺん行ないます就業構造基本調査で詳しく調べるようにしておるわけであります。そういうふうにやるといたしましても、統計局と常に相談し合いまして、われわれの方の要望も十分取り入れてもらって、そのような実態の把握に努力しておる次第でございます。
○小柳勇君 関連して、職安局長に質問いたしますが、第一に、雇用促進公団が六百三十九億という莫大な予算で発足しようとしておりますが、金だけ見ると非常に希望を持てますが、今の説明でわかるように、実質上は六百億というのは運用資金であって、活動するのは三十九億くらいです。そうしますと、昨年度のこの援護会の予算などが二十五億計上されて運用されて参りましたが、それでもほとんど離職対策についてはせんべつ協会とすら言われておる現状ですね、それで十億くらいしか、実質上ふえないわけです。その点についてもう少し説明願いたいと思います。 第二は、質問だけいたしますからあとで答弁願いたいが、駐留軍離職者の援護については、駐留軍関係離職者等臨時措置法がございますが、この法律を改正しませんと、石炭産業離職者に比べて駐留軍関係離職者が若干援護の手が薄いという感じがします。この方の臨時措置法の改正について、政府はどう考えているか。 それから第三点は、緊急就労事業に対して、先日から問題になっておりますように、期末手当については請負業者一任であって、政府が何ら干渉できない。それで年末になりますと日雇い労務者の方との間にバランスがくずれて参りますが、こういう点についても政府として明らかに出資なり何なりして予算を組むのが正しいと思いますが、この点について討議されたかどうか、三点についてお尋ねいたします。
○政府委員(堀秀夫君) 雇用促進公団につきまして、私どもの説明が不十分でございましたので、今お尋ねのような御質疑が出たと思いますが、三十億程度と申しましたのは運用収入だけでございます。そのほかに炭鉱離職者等に現在講じておりますような予算は、そのままプラスされるわけであります。それからそのほかに職業訓練所の整備充実、それから就職資金の貸付、その他就職の援助等に要します費用を合わせまして、事業年度は七十一億四千万円の事業費を要求しておるわけであります。これは来年度は実は七月の一日から発足させたいという考えでございますので、準備の期間を見込みまして、そのような考えでございますので、四分の三の計上をしておる面がございますので、来々年度以降におきましては七十一億がさらにもう少し多くなるというわけでございます。現在の予算に比べまして相当な増額ができる、従いまして、私どもが先ほど申し上げましたような事業につきまして相当活発な積極的な手が打てるのじゃないか、このように期待しておるわけであります。 それから第二番目に、駐留軍離職者の問題でございますが、私どもは、この雇用促進公団の設立に伴いまして、その設置のための必要な法律案は、予算がわれわれの考え通り大蔵省その他関係省との間において妥結いたしますれば、雇用促進公団設置のための必要な法律案を次期通常国会に提出いたしまして、御審議を仰ぎたい考えでございます。そこで雇用促進公団の事業、内容といたしまして、先ほど申し上げましたようないろいろな措置をその法律案の中ではっきりと書いて参りたいと思っております。それに伴いまして、現行の駐留甲離職者等臨時措置法がどうなるかということにつきましては、これは内閣の所管でございますが、私どもは目下いろいろ準備作業をやっておりますので、その過程におきまして十分相談して参りたいと考えているわけでございます。 それから最後に、緊急就労対策事業労務者の期末手当の問題でございますが、これはこの前の委員会におきましても御説明申し上げました漁り、臨時措置法に基づきまして業者に請け負いに出す、業者が事業を行なう、その場合において、業者に炭鉱離職者を八五%以上雇用しなければならないという義務を課しているわけでございます。本年度の予算におきましては、そのような関係から期末手当に要するようなものを予定しておりませんでしたが、その後、いろいろ現地の実情を伺いますと、現在の単価等におきましてもいろいろな問題があります。この改善等についての要望も出ているようでございます。私どもといたしましては、来年度におきましては、この関係者の意見にかんがみまして、現在の単価の改善につきまして、資材費その他の改善、それから期末手当的な特別措置を講ずるのに要するような経費等もこの中に織り入れまして、単価の改善につきまして要求をしております。それは炭鉱離職者緊急就労対策事業の実施という項目の中に含まれております。私どもとしましては、現地の要請にかんがみまして、この点につきましては積極的に努力したい考えでおります。
○藤田藤太郎君 私は今の問題についてもう一、二尋ねておきたいと思います。一つは統計調査の問題です。今の部長の話を聞いていると、何か口の端から統計局にお願いしてという言葉が出るほど、私は実態把握について熱意がないと思うのです。しかし、ここで委員会でお尋ねすると、職安局長は、毎月勤労統計でこういう工合にこう改善されていますと、ここで説明をする。しかし、部長はまた違った機会では、八〇%、九〇%以上が臨時工と社外工に残念ながらなっています、こういう御答弁もある。だから私は、総理府統計局が全般的な調査をおやりになることは、これは国の施策としてもっともでしょうが、しかし、あの労働力調査を見ておりますと、もっと何で実態を把握するために熱意を入れた調査をおやりにならないか、もっと今の失業者、潜在失業者がどう困っているか、これを正常な労使関係や正常な生活を立てていく環境に置くにはどうすればいいかということについて、なぜ調査の計画をお立てにならないかということを私は申し上げたいのです。ところが、どうも今のお話を聞いていると、そういう熱意がなさそうだ。大臣がおいでにならないから、私はこれ以上言いませんけれども、非常に残念だと思う。だからこの来年度予算を要求されるというなら、もっと熱意をこめて一体仕事をしたい労働者がどういう環境、立場におって、どういう社会の中で非常に広範な失業者が不幸な状態にある。これを摘出して、どうしたら救済できるか。これは労働省の行政ですから、こういうところにもっと熱意を入れて私はやってもらいたいということを、非常にきょうは残念ですけれども、そういうことを熱意をこめてやってもらって、予算要求をして、来年度はもっと実態を、われわれがお話を聞いて納得するような方向を一つ出してもらいたいということを特に強く要望しておきます。 もう一つは、先ほどの炭鉱離職者の雇用促進公団の問題なんです。今、失業保険の特別会計は、この前の質疑のときには、九百億からもう少し基金ができるということが、この前の四法改正のときにお話がありました。私はいずれこの問題は来年通常国会で論議になると思いますけれども、どうも私は六百億をここから持ってくるというような考え方を労働省がお持ちになること自身があんまりあつかまし過ぎはせぬかと私は思うのです。基金ができてきて、失業者が多いなら、失業者の救済をどうすればいいかと……。これは共済的な要素でできている、三分の一ずつの要素でできているものなんです。その基金なんです。それで失業されたものが、一定の規格によって、一定の日にちが来れば、もうあとはほっぼらかすという現状にある。これもおのずから限度つがありましょう。しかし、そういうところの改善をしないで、基金ができたから、三分の一の政府の基金を四分の一にいたしますといって、一年もさかのぼって、そしてその政府の支出を少なくしておいて、九百億資金があるから、その金を六百億持ってきてこれを公団にやるなんということは、私は、公団で総合的な雇用の促進をおやりになることはけっこうだと思います。そういうことを積極的にやっていただきたいと思いますけれども、昨年から今日にかけてのやり方というのは少しちょっとあつかまし過ぎはせぬかという感じなんです。なぜ政府が今日の状態に立って、一般予算から、今年はまあ補正予算は国の自然増収の問題までは出ませんけれども、相当な金がありながら隠しておいて——露骨な言葉で言えば、隠しておいて、ちょっぴりだけ申しわけ的に補正予算が組まれているわけです。そういうたくさんな金があるのに、なぜ、思い切って政府の一般予算から金をとって雇用促進のために力を入れるという方策をおやりにならないか。これは局長を責めてもしようがないと思いますけれども、しかし、私は非常にそういう点が残り念なんです。私は、こういう点は十分にお考えをいただかなければ、単に帳面づらを合わしたらいい、去年のことは、前の国会のことはいきさつはどうでもいい、今度の通常国会は、こういう今の形だけ強引に押してきて、形だけこれを利用してつじつまを合わしたらいいという、そういう仕事はやってもらいたくない。これは労働行政は私はそんなものじゃないと思うのですよ。だからもっと私は真剣に考えてもらいたい。こういうことを非常に強く痛感するわけです。だから、これ以上は、この予算からの問題については申しませんが、強く私は希望しておきたい。だから、今の局長の説明ですね、これだけ金が要るから、これだけの基金を持ってきたらいいのだというような、私は、説明でここで終わるのではなくて、もっと真剣に、いろいろのいきさつというものが、私は説明があってしかるべきだと思うのです。どうですか、それは。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記をつけて下さい。
○田畑金光君 関連する意味ですが、時間の関係もあるので、簡単に二、三お尋ねしておきますが、次の通常国会に雇用促進公団法を出されるということは、しごくけっこうなことだと思うのですが、ただしかし、この法律を出すという、そもそもの初めが、今の石田労働大臣の就任前後から急速に盛り上がってきたと記憶いたしておりますが、説明を受けておりますと、労働福祉事業団の携わっていた職業訓練の分野と、それから炭鉱離職者の援護会の仕事を吸収して包括してやっていくのだという説明でございましたが、どうも少し感ずることは、思いつき、あるいは何というか、早く手柄を立てたい、こういうような印象がぬぐい切れないわけで、今までの福祉事業団でやった仕事、あるいは援護会でやってきた仕事では間に合わないから、今度はこういう公団にするというのか、今までの二つの機構でやっていた仕事の、どういう点に弱点があって、今度これは公団というものに持っていくのか、その辺の事情をちょっと一つ御説明願いたいと、こう思うのです。
○政府委員(堀秀夫君) 最近の雇用情勢は、一面において労働力の増加、一面において産業構造の変化、技術革新等に伴いますところの離職者の増、それから、あるいは年令別あるいは地域別におけるところの労働力のアンバランスというようなものが目立っておるわけでございます。従いまして、私どもは現在の労働福祉事業団において労災、病院の運営とあわせて行なっておりますような態勢では、総合職業訓練の積極的な拡大は望めないと考えております。また、炭鉱離職者援護会において炭鉱離職者のためのいろいろな援護の仕事をやっておりますが、これにつきましても、現在の炭鉱離職者援護会の事業内容は、移住資金の支給、職業訓練手当の支給というようなことが中心になっておりまして、それ以上にはなかなか拡大はできない状況でございます。特にわれわれがこの一年間を通じて痛感いたしましたことは、炭鉱離職者の方を広域職業紹介によりましてお世話をいたします際に住宅がない、そのために家族を連れて動くことができないというようなことが根本的な隘路になっておる。このようなことを痛感したわけでございます。従いまして、炭鉱離職者の援護につきましても、現在の炭鉱離職者援護会の機構ではとうてい実施できない、このように考えたわけでございます。それとあわせまして、炭鉱離職者のみにとどまらず、産業構造の変化、あるいは政府全体の政策等の結果として、不幸そのしわ寄せを受けて離職されるような方々につきましての援護措置、これはやはり炭鉱離職者に準じまして、相当な援護をして差し上げなければ、その方の配置転換あるいは離職後の更生というようなことは望めないわけでございまして、そのような見地からいたしまして駐留軍の離職者、また、いろいろな事情で離職されましたような方々に対する援護をあわせ行ないまするためには、やはり現行の炭鉱離職者援護会の機構ではできないわけでございます。それらのことを考え合わせまして、この際それらを一括して雇用公団を作りまして積極的な援護を行なっていこう、こういう考え方で、この構想を打ち出したわけでございます。
○田畑金光君 その点は別に時間を設けてさらに質問したいと思うのりですが、機構を設けたからりっぱな仕事ができるかというと、軌道に乗り、その仕事になれるまでにはやはり相当な時間が必要だと、こう思うのです。労働福祉事業団に仕事をやらしてから何年になるか、炭鉱離職者援護会が発足してから何年になるか、まだ幾らにもならぬわけで、それぞれの機構において十分習熟され、それで足りなければそれを補って政府も予算措置その他においてあれしていくというのならば、これは十分にまた今までの機構においても補いができる正面があったと思うのですが、ただ新しく機構に統合しますから、仕事がうまくいくだろうということでは、われわれとしては簡単にどうもうなずけないのです。大臣がかわってたまたま旅先における談話が雇用促進公団というような構想を発表したので、そういうようなことから急速にどうもこれがこういう形で盛り上がってきたような感じもするわけで、今局長がいろいろりっぱな話をなさっておるが、さて作ってみても結果においてはそれほど期待できるとはわれわれも考えていないわけで、そういうようなことは後日さらに質問することにしまして、今お話によりますと、たとえば炭鉱離職者の援護会等も新しい機構に吸収すると、こういうわけですが、先ほどの駐留軍労務者の問題も総合的にこの中に入っていくのでしょうが、そうしますと、この公団法ができた場合には、炭鉱離職者の臨時措置法というものは、これは吸収するとなればなくなるのか、そのまま存続するのか、これはどういう形で調整していくわけですか。
○政府委員(堀秀夫君) 炭鉱離職者の方々につきましては、現在まで勤めておられました地域が、産炭地の特別な地域に限られておる。しかも長い間炭鉱関係の仕事に一家が従事しておられる、炭鉱の住宅にもおられる、こういうような特殊な環境でございまするから、特別な援護措置がやはり必要であるとわれわれは考えております。炭鉱離職者臨時措置法につきましては、そのような考え方から、今度の雇用公団が設置されましても、これを廃止するというような考えは毛頭ございません。現在の通りの形で存続さしていきたいと思っております。ただ、炭鉱離職者臨時措置法の中に、炭鉱離職者援護会がそのいろいろな事業を行なうというようなことが記載してございます。その関係の部分は、これは炭鉱離職者援護会でなしに雇用促進公団が行なうというふうな読みかえ的な改正を行ないたい、このように考えております。要するに、鉱炭離職者臨時措置法というものは、その炭鉱離職者の特殊性にかんがみまして、これはあくまでも存続して参る、こういう考え方でございます。 なお、ややその炭鉱夫の間に最近誤解がありまするのは、その対象が炭鉱離職者以外の人にも拡大される結果、炭鉱離職者に対するところの援護というものが今までより何か水割りされるのではないだろうかというような危惧を持っておられるような方もあるように聞き及んでおりまするが、私どもはそういう考えでは絶対にございません。炭鉱離職者の方々に対しましては、この雇用公団の設置によりまして、従来よりもさらに積極的な援護の拡大が実施できる、たとえて申せば、ただいま申し上げた住宅の問題一つをとりましても、今までの援護会ではできなかったようなことを積極的にこの公団ができればやっていくことになるであろう、このように考えておるわけでございます。 なお、大臣の旅先の発言云々のお話がございましたけれども、これは大臣も就任早々そういうお考えをお持ちになりまして、私どもの方も最近の雇用情勢を分析すると同時に、従来までやっておりました炭鉱離職者援護のための業務の体験にかんがみまして、どうしてもこういうものが必要であるという考えを持って参ったわけであります。それがちょうど機が一致いたしまして、このような構想が生まれたわけでございます。
○田畑金光君 それなら、今予測される、あるいはまた現在、当面必要とされる、集団的な失業者を出すというのは、炭鉱離職者、あるいは駐留軍労務者、こういうことが予測されるわけです。こういう人方には特別にこういう広域職業紹介ということが必要であることもよく理解できるわけです。ただしかし、先ほどお話の、技術革新に伴う技能労働力の需要とか、あるいは産業構造の変革とか、理屈の上では理解できますが、駐留軍労務者や炭鉱離職者と同じように必要で、広域職業紹介がどうしても緊急の課題として出てくるかどうか、こういうことになって参りますと、これは相当疑問があろうと考えるわけで、そのように日本の労働市場が流通性を持って、地域的な流動性を持つということは、今後あるべき姿としては当然そうでなければなりませが、先ほど局長のお話になるような、そう大きな期待がかけられるかどうかというと、私は相当疑問を持つわけですが、この点はどう考えておられますか
○政府委員(堀秀夫君) お話のごとく、単なる機構の改正によりましてそれで事足れりという態度ははなはだ危険であるとわれわれは考えております。私どもといたしましては、このような構想が実現する機会に、今お話のような、今までやって参りました業務の運営状況を反省検討し、関係者の御意見を十分伺いまして、それらの御要望も限り入れまして、誤りなきを期していかなければ、機構を改正しただけで事が足れりというような考えにはないわけでございますから、その点は、これを機会に今後とも従来の体験を生かし、関係者のお話もよく伺い、これも取り入れていく、このような覚悟でございます。
○田畑金光君 これは公団法となれば公共的な法律になるし、炭鉱離職者臨時措置法を読みますと、これは五年の時限法になっておりますが、この辺のこれは調整といういうか、今後いろいろこういう点においても、今度できる促進公団と援護会との調整については、検討していく必要があろうかと考えておるのだが、こういう点はどういうことになるでしょうか。
○政府委員(堀秀夫君) 炭鉱離職者臨時措置法は時限法でございます。これは現布進行しつつある石炭産業の合理化がどのくらい続くかというような点も見定めながら、時限法という形で成立したわけでございますが、私は雇用促進公団の関係につきましては、今後まだ相当期間こういうような関係の仕出というものは続くであろうと考えておりますので、時限法にはいたさない考えで目下検討しております。炭鉱離職者臨時措置法を、その期限がきましたときにどう取り扱うかということは、もう少し情勢を見まして、それに応じて考えて参りたい、このように思っております。 なお、この援護会との関係につきましては、雇用促進公団をこうやって総合的な形で発つ足させまする際には、援後会というものはこの中に発展的にとけ込でんいくということになりますが、炭鉱離職者援護の特殊性というものを考えあわせまして、この公団の中で特別会計的な形でその特殊性は生かして参りたい、このように考えております。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) 次に、駐留軍労務者の離職対策に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○小柳勇君 駐留軍労務者の離職対策について、三点質問をいたします。 昨日、中央離職者対策協議会が開かれたようでありますが、その中で、ドル防衛による離職者の見通しについてどのような分析がなされたか、これが第一であります。 第二は、離職者が企業組合などを今作りつつありまするが、その企業組合など作りましても、非常に世間の信用が簿いということで嘆いておりまするが、企業組合なり会社なりを組織化いたします場合に、これを援護し育成するような態勢も作らなければならぬだろうと思います。また、離職者がたとえば政府用地の払い下げなど要請するような場面もありましょうが、そういう場合に対する特別な配慮、そういうものも必要かと思いまするが、こういうような離職者の将来の生活に対する援護なり育成についての調達庁長官の御見解を第二に聞いておきたいと思います。 第三は、当面しておる問題として、駐留軍の方で非常に今予算を詰めますために賃金のベース・アップについても難渋いたしておるようでありまするが、将来の賃金の上昇などの、駐留軍労務者に対する生活権擁護のためにどのような対策がとられるか。 この三点を質問いたしておきたいと思います。
○政府委員(丸山佶君) 第一の米国のドル防衛対策の関係から、駐留軍の労務者が今後、どのような状況——特に、整理模様が進んでいくか。この問題に関しましては、当委員会にも御提出申し上げた通り、現在のところ、実は今後の見込みにつきまして確定的なことが判明しておりません。これに限りましては、調達庁はすでに在日米軍に照会を出しておりまして、判明次第の連絡を受けるということにもなっております。また、なおこのドル防衛関係の全般の影響に関しましては、政府として日米合同委員会を通じまして総合的な向こうからの連絡をとる、このような措置がすでにとられておるわけでございますので、これらによりまして判明しました状況、その実情の数字等をもとにいたしまして、第二の御質問のこれに対する対策問題につきまして駐留軍関係の離職者等臨時措置法を十分に生かして、この対策措置を講じていきたいと考えております。 お話のありましたこの離職者が企業組合を作る、あるいは会社を組織していろいろな企業を営む、自動車事業、その他、従来もありましたが、まあこれらに関しまして政府としてはこの臨時措置法に基づいて育成援助をしていくことがございますので、国有財産関係の処分等の問題、それから政府関係機関からの金の融資の問題、これらについても十分に積極的にこの育成措置をとるように私は努めていきたいと考えております。 第三の駐留軍労務者の給与関係でございますが、これ、お話の通り、今当二面重大な問題になっております。これに関する基本方針といたしましては、政府の一般公務員のべース・アップに準じてこの労務者の給与も上げていくという基本方針でございまして、この根本方針に関しましては米軍との間にも確認しております。ただ、その方針によりましていかなる程度、率というものに準ずるのが最も必要であるか、こういう点に関しまして、現在米軍と交渉、折衝中の段階にございまして、近日中に一般公務員の給与関係の法案も国会を通過することでありますので、その問題も、ぜひとも近日中に米軍との協議をととのえまして、そして労務者の給与のべース・アップも実施いたしたい、このように目下努力いたしている次第でございます。この労務者関係の給与に関しては、今申し上げましたように、一般公務員に準じてやっていこう、この方針は今後とも継続してとっていくつもりでございます。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。本件に関する質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) 次に、職業病に関する件を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○坂本昭君 近年、石油化学の発達のために、安価に得られるニトログリコールを使用することで急速に増加して参りました火薬工場における職業病の問題について、数点お尋ねいたしたいと思います。 今春、労災法改正のときに、職業病の一般問題についてかなり討論いたしましたが、そのときに労働基準法施行規則の三十五条による三十八項目にわたる職業病の中には、このニトログリコールというものは出ておりませんでした。寡聞にして私は知らなかったのであります。ところが、最近になりましてニトログリコール中毒、いわゆる火薬病というものが非常に重安性をもって取り上げられるようになり、規則三十五条の三十七虫「中央労働基準審議会の議を経て労働大臣の指定する疾病」そういうふうな三十七項目に当たる問題として取り上げられているように聞いております。そこで、まず審議会の議がどうなっているかを一つ御説明いただきたい。
○説明員(大島靖君) ただいま先生から御指摘のダイナマイトの基材としてニトログリコールを使います。現在のところ、こういう工場が三会社四工場にわたっておりまして、ニトログリコルを取り扱います労働者の数が約千二百名程度であると存じております。御承知の通り、ニトログリセリンが凍結いたしやすいものでございますから、これに対してニトログリコールを混入いたすわけであります。ニトログリセリンに比べましてニトログリコールの方が非常に蒸発しやすいもので、大体、このニトログリコールによって中毒症状が起こり得るわけでして、まあ呼吸いたしましたりあるいは皮膚からも入るようになります。また、手を洗わないで食べたりしますと口からも入る、こういうことで、頭痛がいたしますとか吐きけがいたしますとか、だるくなるとか肩がこるとか、非常に重圧感を感ずる。はなはだしきになりますと、心筋の貧血で死にいたることもあり得るわけであります。こういうふうな各種の症状が、さっき申しました各工場においてもかなり見られるわけであります。ただ、北海道の工場においてはまだ異常所見は見当たらないのでありますが、その他の工場につきましては、軽症のもの、重症のものが相当程度出て参っております。大体昨年から今年にかけて、だんだん問題になってきているわけでございまして、この九月以来、私どもといたしましても各種の措置、対策を講じておるわけでございますが、先月の末、労働基準審議会におきまして、このニトログリコール中毒の問題を正式の議題として取り上げまして、これに対する根本的な研究、対策、措置並びにその根本的な問題については、ある程度の期間を要しますので、とりあえずの応急緊急措置、こういったものを本格的に議題として取り上げまして、直ちに専門委員会を設置いたしまして研究を進めてもらっております。本日もその専門委員会が開かれる予定でございますが、この専門委員会の議を符て基準審議会にその専門委員会の報告がなされましたその上で、近く労働基準審議会の正式の議が定まると思います。これによりまして私どもといたしましてはしかるべき措置を直ちに講じて参りたい、かように考えております。
○坂本昭君 これは資料として当委員会の皆さんに配っていただきたいのですが、あなたの方ですでに十月の七日に労働省の基準局長名で都道府県の労働基準局長あて通達を出しておられます。また、十月の三日の参考資料、これらを見ますと、非常にわれわれとしても勉強になりますので、この委員会に資料として配っていただきたい。で、これらの資料を見ますと、すでに重安な職業病として緊急対策の必要を認めておられるように思うのであります。私はまあ寡聞にして知らなかったんですけれども、労働行政に当っておった人としては決して日新しい事実ではなく、ことにこの参考資料を見ますと、一九二七年から三六年、これはアメリカの三十七例の死亡例をあげておられます。もう今から二十数年も前のこういうアメリカにおける実際のことを皆さんとしては知っておられるので、今度この三つの今社四つの工場に関係している労働者自身が言い出して、そして公表するまで行政当局が何もしなかったということは、私は非常に怠慢ではないか。実はこの資料見まして、これは相当量要な、また致命的な、命を落としている人もたくさんいる。こういう問題をことしの春聞いたときにも、一々私はこういうものがあるかと言って、当時担当の課長に聞きましたが、火薬病、ダイナマイト心臓という問題については全然話がなかった。私はこれは非常に怠慢ではないかと思うんですが、いかがですか。
○説明員(大島靖君) 職業病と申しますのは一走の職業に従事いたしまして、その材料、環境あるいは作業方法、こういうものによって、その因果関係で出て参ります慢性的な病気をいうわけでございますが、このニトログリコール中毒につきましては、外国における報告例も若干あるわけでございます。ただ、日本におきましてニトログリコールによる中毒症状が出て参り、実は九月に私どもの労働衛生課長及び係官、それから労働衛生研究所の専門家、これを合同いたしまして現地の工場の詳密な調査をやらしたのであります。ただその場合におきましても、その作業環境あるいは作業方法から出て参ります、さっき申しましたような症状、この関係で一番困難な問題は、恕限度の問題と申しますか、あるいはニトログリコールの配合率の問題とか、そういう点になりますと、なかなか科学的には困難な問題です。で、ニトログリコールの配合の配合率にいたしましても、さっき申しましたように、ニトログリセリンの凍結を防ぎますために、だんだんニトログリコールの方の配合率を高めて参ります。高めて参りますと、やはりそういう異常所見が多つくなる。そういうふうな関係もありますし、なお、現在までもそういう異常所見の者は出て参ったのでありますが、それを直ちにほかの職種へかえるとか、ほかの職場へかえるとか、配置転換等によりましてそうしますとまた軽症の者については潤えてしまう。そういうふうな関係で、職業病としてこの問題が問題になるということについては、そういうことで職場の配置転換等によって消えて参ります場合もかなりありますし、また、配合率の高まって参りますような——低ければあまり問題がないという、そういうふうな関係もございまして、現在までさしてまだ問題になってこなかったんでありますが、昨年来この問題が職業病として問題になって参りましたので、私どもとしましても、早急にこの対策を講じなくてはいかぬと思いまして、さっき申しましたように、現地の調査もいたしますし、今先生御指摘の応急措置としての、根本的には今申しましたように、恕限度の問題と科学的な研究をなお要する点があるのでございますが、とりあえずそういうふうな症状の出て参りますのを防ぐ応急緊急措置を通達いたしたのであります。なお、労働基準、審議会並びにその専門委員会の専門的な御検討を待って、一つ根本的な対策並びに措置を講じて万全を期したい、かように考えております。
○坂本昭君 もうすでに二、三十年も前からわかっているもので、しかも日本では石油、化学の発達で、ニトログリコールの使用が近年急速に高まってきているということもわかっておって、しかも労働者がやかましくしく言い出さなければほっておいて、職場をかえたらそれで病気がなおるとか何とか言って、言いのがれをしておるから、やはり怠慢じゃないかと、そういうことを言っているんですよ。あなたの答弁は誠意のある答弁ではありません。 次に伺いたいのは、専門委員に委嘱しておられるそうですが、健康管理に関する事項を当然研究させておられると思います。この中毒の、医学的な封建基準というものは、もうできておりますか。簡明にお答え下さい。
○説明員(大島靖君) 現在専門委員会で御検討願っております。
○坂本昭君 その検討はいつまでにできるのか、また、現在はどういう検討が行なわれているか、行なわれているならばその内容を一つ資料として配付して下さい。
○説明員(大島靖君) 専門委員会で、きょうお開き願う予定になっておりますので、大体一応の緊急措置と申しますか、応急措置については、専門委員会の御都合でどうなるかわかりませんが、事務的には一応の結論をいただいて、数日あとの労働基準審議会に報告願って、その基準審議会で応急措置についての結論をいただきたい、こういう予定でございます。
○坂本昭君 それではきょうできた専門委員会の基準並びに数日後と言われますからおそらく年内だろうと思いますが、その資料は当委員会に一つ配付していただきたい。 それから特殊健康診断の基準もこれはできておりますか。たとえば、あなたの方でもいろいろな調査をしようと言っておられるが、血圧だとか貧血の状態、あるいは肝臓機能だとか、心電図の問題だとか、そういうことについての基準もきょうの特別委員会でできるということなのですか。
○説明員(大島靖君) きょう専門委員会で御決定願いますのは一応の緊急措置でございまして、そういうふうな点についても大郷の方向というものは触れられるだろうと思います。ただ心電図にいたしましても、血圧測定にいたしましても、私も専門ではございませんが、非常に困難なむずかしい問題があると開いております。その点につきましては、根本的な研究を引き続き労働衛生研究所でいたしておりますが、しかし、それを待っておるわけにいきませんので、応急緊急措置としての健康診断でありますとか、あるいは環境測定でありますとか、そういう点につきましても、きょうの専門委員会で一応の点は触れていただきたい、かように考えております。
○坂本昭君 皆さんの参考資料を見ますと、わが国にも発生事例があって、四例の死亡とあなたの方に書いておられます。先ほども説明がありましたが、頭痛があったり、吐き気があったり、胸しぼりというのですか、非常に狭心症の発作のようなものがある、さらに現在も入院している患者があります。それからまた、あなたの方で、こうしてこのために死んだというふうにも見ておられるよう、だ。そこで工場の管理者が労災の適用をしているかどうか、それからまた、労働省としてはどういうふうな方針、現に病人もおるし、また、すでに数年前に死んだ人もある、そういう実情のもとに工場管理者の申請がどうであるかということと労働省の御方針を承りたいと思います。
○説明員(大島靖君) 現在までこの件についての労災補償の申請は出て参っておりません。ただ、労災補償はもちろん業務上の死傷に対する補償でございますから、こういう事実につきましても、今申しました専門委員会の専門的な御研究と相待って、同時に業務上の死傷に当たるかどうかということ、これはまた一方において、労災の立場におきまして、労災補償審議会とかあるいは業務上の認定基準委員会とか、そういうところに諮ってその措置はとりたい、かように考えております。
○坂本昭君 死亡している場合といえども周囲の状況からこれがニトログリコール中毒だというふうに考えられる場合には、たしか二年さかのぼって法の適用が受けられると思うのですが、その点いかがですか。
○説明員(大島靖君) 今お話のような事項と申しますか、時期的な制限はございますが、ただ事実関係が明らかになりますれば、その点についての措置はまたいたしたい、かように考えております。
○坂本昭君 問題はニトログリコールの混入率、先ほども局長触れておられましたが、混入率の点では、これは専門的なことですが、従来の例を見るとあまり混入率を高くしてない、ただ石油化学が発達して非常にコストが安くなったためにこれをどんどん使うようになってきたように私もずっと文献を読んで感ずるのですが、三〇%以上の混入率を許可しない、そういうふうにすべきではないかと思うのですが、その点どうか。また夏と冬で今の揮発力の問題——というよりも沸騰力というのですか、夏と冬との条件も私は違わなければならないと思うそれからまた、アメリカそれから西独のもの等は、全部こまかく見ておりませんが、使用禁止になって代理航が使われておる。そういうのも読んでおりますが、そういう点については労働省としてはどういうお考えですか。
○説明員(大島靖君) ニトログリコールの配合率につきましては、今申しました専門委員会で、御検討願っておりまして、おそらくはきょうの専門委員会で御結論を得ていただくことになるんじゃなかろうかと思っております。
○坂本昭君 まあそうすると、専門委員会に全部おまかせしていかれるということで、たとえば今の中毒の予防措置として、全体的な関係なりあるいは局所的な排出岸をやったり、あるいはいろいろマスクをかぶったりクリームをつけたり、そういう保護具の使用の問題も、これも全部専門委員会にまかされるということですね。
○説明員(大島靖君) 専門委員会で応急措置として結論を得ていただきたいと思っておりますのは配合率の問題、それからニトログリコールを取り扱います業務の種類に応じまして、保護国六が違って参ります。業務と保護具の関係。それからまあ蒸気の測定でございまするが、この測定の方法が非常にむずかしい。その辺についての何らかの御結論が得られはしないか。 それからまた、健康診断の問題、別にこれらの点については、やはり地域的なデータを集めませんとなかなか判断がむずかしい。その辺の関係。そういった点について專門委員会の御結論を期待しておるわけでございます。
○坂本昭君 もう一つ、今の有毒ガスの恕限度の問題ですね、これは読みますと号合本の場合は〇・五PPMというような基準額を書いてあります。西ドイツを見ると〇・二五PPM、ちょうど西ドイツは日本の半分の恕限度なんですね。この点ではどうも日本の方が何か有毒ガスに対して甘い考えを持って、それだけ結局労働者というのは職業病にかかって倒れておるんではないか。この点はあなたの方で専門委員会で御検討されるということですから、もうこれ以上御質問しませんが、ただ問題は昔は使っていなかったのを、値段が安いから使い始めた、ごく最近。そして一体どのくらい安くなるかということなんですね。これは私もまだ詳細に調べてありませんが、至急調べていただきたい。三つの会社四工場でこのニトログリコールを使うことによって、一体どのくらい安くなっておるか。ある火薬工場では月間二百万円くらい、つまりニトログリコールによるコスト・タウンでもうかっておる。二百万円くらい少し安上がりに生産ができるようになったというんですが、たった二百万円もうけるために労働者を何人か殺しておる。そういう不幸な職業病で犠牲として倒れさせておるということは、私はこれは非常に大きな人道問題だと思うのです。そしてそういうことに対して労働省が今にわかにあわててきょうはその専門委員会がおありだと、いうのですが、これは一つ慎重に十分検討していただきたいんですけれども、どうも去年からずっとことしにかけてのやり方を見ておりますと、何かスローモーションという感じがするんであります。もちろん職業病でないものを誤って職業病と認定することはおかしいでしょうが、こうした場合にはこの薬を一使わなければ仕事ができないというならともかくも、そうでなかったら私はむしろはっきりするまで使わせないという態度をとるのが、私は正しい労働安全行政じゃないかと思うのです。その点いかがですか。
○説明員(大島靖君) ニトログリコールを正配合いたしますのは、先ほど申しますように、凍結を防止いたしますためが主たる原因でありましょう。一方価格の低廉という点もありましょうが、ただ、この夏以来、この三会社の担当の者を呼びまして指導監督して参ったわけなのでありますが、会社といたしましても、この問題については非常に神経を痛めておりまして、何とか早急にこの環境改善の措置なりあれをいたしたいという非常に強い、また急いでやりたいという熱意を持っていると私は感じておるわけなんであります。ただ、今先生御指摘のような点につきましては、なお会社につきましていろいろ調べてみたいと思いますが全般を通じまして、坂本先生から御指摘のこの問題、私どもも非常に大事な問題でありますし、かつ早急に措置をしていくべき問題であると考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
○藤原道子君 関連して。まじめですけれどもね。私は合の答弁で満足できないのです。上坂本先生がおっしゃったように、アメリカですでに一九二七年からこういう事件が起きていたというのですね。これを使い出したときにこれは少しでも気分が悪かったら配置転換をするとか、許容量とか、こういうものについての報告が必要だったという指示は労働省としてはしておいでになったかどうか。それからこの前もベンゾールの中毒のときに大騒ぎをいたしました。今度も労働者が騒がなければ取り上げない。ベンゾール中毒のときもそうだった。私はこういう労働行政というものがどうしても納得いかない。ですから今までに指示しておいでになったのかどうか、これが一つと、それからもう少し人の命を大事にすることが労働省としての非常に大切な使命じゃないかと私は思うのです。その点についての今の御答弁では私はどうしても納得がいかない。もう少し明確に御答弁をいただきたい。また、ベンゾールだって使わなくてもできたのですよ。今度の問題だってこの薬でなけりゃできないというわけじゃない。利潤の追求を高めるためにやられたことだと私は思う。この点についてどうお考えになりますか。
○説明員(大島靖君) 労働者の人命の問題、この点は私自身の仕事で非常に大きなウエートを占めております。安全行政、これがすなわち人命の問題であります。私自身毎日、新聞を見つまして、社会面の爆発があるかないか、これがもう毎朝私の最大の関心事でござ済います。その点人命の点について私どもとしては最も基本的な問題として考えておりますので、その点については一つ御了承いただきたいと思います。 なお、ニトログリコール使用の問題、あるいは職業病に対する行政上の措置の問題でありますが、これはたとえばある薬がありまして、あるいは材料がありまして、これを使ったらこうなるだろう、こういう結果が出るという問題はあるいは使い方の問題なり、あるいは使う量なり、あるいはその環境なりによって非常に違ってくる問題であります。従って、一定の職業病として要するにそういうものを使いまして一定の結果が出るにいたしましても。たとえば環境を改善するとか、作業方法を改善するとかいうことによって避け得られればそれは問題がなくなるわけでありますが、それでもそういうことによって避け得られない場合に、職業病として行政上の問題になってくると思うのであります。そういう点で科学的にはあるいは学問的にはこういうふうなものからそういう結果が出るということは出ましても、これが現実の労働生産の過程においてどういうふうな形になるかというのはやはり現実の生産工程によってきまってくる問題だと思います。そういう点で私どもも職業病の関係について労働衛生研究所において全般的にまだ問題になっていなくてもそれについての学問的な研究あるいは外国における事例の研究、そういうふうなものはいたしておるわけであります。と同時に、それらについては全国の労働衛生の担当官には始終そのことについては連絡もいたし、啓蒙もいたしておるのであります。ただそれが行政上、職業病として措置していく問題についてはでき得べくんばもちろんそういう事態の起こらぬうちに措置するのが最も理想的なことは私どももよく承知いたすわけであります。また、そういう方面に今後とも努力はいたしたいとかように考えております。
○藤原道子君 いろいろ言いわけをしなくてもいいのです。すでに外国の事例も勉強していらっしゃるとおっしゃるのですからこういうものは使い出したときこういう危険な例もあるから、こういう注意をしなければならぬという指示をされたかどうかということを聞いておるのです。できてからではしょうがない。
○委員長(吉武恵市君) 答弁を明快にしていただきたいと思います。時間がありませんから。
○説明員(大島靖君) その点については私は現在、以前にどういう通牒をいたしましたか存じませんが、いずれ調べましてまた御連絡申し上げます。
○委員長(吉武恵市君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 午後は二時から再開いたします。 暫時休憩いたします。 午後一時十八分休憩 —————・————— 午後二時十一分開会
○委員長(吉武恵市君) 午前に引き続き会議を開きます。 この際、本日の予定案件に追加して、国民年金法中福祉年金の特別の支給に係る規定を除きその他の規定の施行の延期等に関する法律案(参第一号)を議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。それでは国民年金法中福祉年金の特別の支給に係る規定を除きその他の規定の施行の延期等に関する法律案を議題といたします。 発議者から提案理由の説明を願います。
○村尾重雄君 ただいま議題となりました法律について、便宜私から簡単に説明申し上土げたいと思います。 すでに皆さんの手元に配付されておりますので、法案の朗読は省かしていただきたいと思います。最後の理由に「諸般の事情にかんがみ、国民年金法は、福祉年金の特別の支給に係る規定を除いて、別に法律で定める日までその実施を見合わせる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」。 すでに年金法については、御造詣の深い委員の皆さんに、今さら私からこの延期法案を出した理由を御説明申し上げるまでもないことだと、こう思うのであります。 ごく簡単に理由をつけ足していただきますならば、来年四月一日に実施をみようとしておりますこの法案実施に際して、今日非常に国民の中から、また関係者の中から、給付の面において、また、保険料等の問題等について非常に問題点が指摘されていることは御承知の通りであろうと思うのであります。また、政府の方においても、国民の中におけるかなり多い不評判をば取り上げて、それぞれ二、三点の点については修正、また、来たるべき通常国会に何らかの立案を見て提出される用意あるやも伺っております。しかし、今私たちが聞いているような点では、まだまだ不備なものだと、こう思います。 承れば、この十月一日から加入者募集の状況でありますが、かなりいいと聞いております。しかし、それは神奈川県なり、大阪とか東京というふうなものはかなり加入者というものは少ないのであります。こういう点から考えまして、加入者が多ければ多いだけにやはり国として、また、国会としても、相当責任を持ったやはり年金法の実施ということに臨まなければならないと、こう思います。 そういう点から、私ここにわれわれ党から提案しましたように、福祉年金の特別支給を除いた以外、まず問題になっております各年金間の調整が政府においても取り上げておりますように、これが完全に調整されるのには四、五年間の期間が必要だと、こう言われております。また、事実っだろうと思います。そういう期間にこの年金法の受給面においても、また、保険料率においても、十分に完備したものにして出発するのが当然の処置でないかということがわれわれのこの延期法案を出した理由であります。 非常に簡単な説明でございましたが、御審議、またこの延期法案の取り扱いについて皆さんの御配慮をいただきたいと、こう思うのであります。 以上で簡単でありまするが、私の説明にかえたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) 本法案の質疑は次回以後にいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。 この際、お諮りをいたします。本法案は、今国会会期中に審査を完了することは困難でありまするので、本院規則第五十三条によりまして、継続審査要求書を議長あて提出いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 なお、議長に提出する要求書の作成、手続等は委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) この際、本日の案件に追加して請願の審査についてお諮りをいたします。 今期国会中において提出の請願で、当委員会に付託されましたものは三十二件でございます。これを専門員をして整理せしめて参りましたが、さらに委員長及び理事においてあらかじめ検討を行なったのであります。その結果、議院の会議に付するを要し内閣に送付を要するものと意見の一致をみましたものを専門員をして報告いたさせます。なお、その他の請願は、さらに検討を要するものと認め、これを保留すべきものと協議いたしました。御報告いたします。 ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○専門員(増本甲吉君) ただいま御採択を可と考えますものの号数を申し上げます。第三号、第二百六号、第二百七号、第五十六号、第八十九号、第百七号、第百八号、第百七十三号、第二百十八号、第五十五号、第二百三十号、第八十五号、第百六十九号、第八十八号、第百四十一号、第百三十六号、第五十八号、第百五十五号、第百六十号、第二百四号、第二百五号、第二百五十号、第二百五十一号、第二百五十二号、第二百五十三号、以上二十五件でございます。 なお、検討を必要と考えますものを申し上げます。第十二号、第十三号、第五十七号、第八十四号、第百六号、第百五十九号、第百七十二号、以上七件でございます。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。 ただいま増本専門員をして報告いたさせました通り、各請願はこれを本委員会の決定として、本院の会議に付するを要し、内閣に送付を要っするものと決定し、その他の請願は留保とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、大学病院における医療費の補正予算に関する件を議題といたします。 御質疑のおありの方は御発言を願います。
○高野一夫君 ただいま予算委員会で審議しておりまする三十五年度の補正予算の中で大学付属病院の医療費の問題が六億三千七百万出ております。この内容についてわが党の政調でも調査したいと思ったが、一向資料をよこさぬのであります。そこでやむなく医療費の問題は当委員会で非常に重要な問題でありますから、あえて厚生省に限らず、どこの省であろうと問わず、問うて十分の吟味をしたい。そこでこの内容がどういうものであるか、何に備われるのか、それを一つ局長から御説明を願いたい。
○政府委員(小林行雄君) このたびの補正で国立大学の付属病院関係につきまして六億三千七百万の補正をお願いいたしたのでありますが、その中身は医療費が一番大きいのでございまして、医療費の不足補てんの金が五億四千六百万、これが一番大きいわけでございます。それからそのほかにいわゆる校費といたしまして七千五百八十五万六千円、それから患者の食糧費の増高といたしまして三百二十八万三千円、それから学用患者の経費の増といたしまして千百五十四万五千円、大体こういう内訳で補正をお願い申し上げているのであります。
○高野一夫君 この校費というのは範ですか。これはどういうものを校費というのか。全体の予算の項目が大学病院の医療費ということになっているわけですが、その中に校費七千五百八十五万六千円というのがあるのだが、この校費というのはどういうもんですか。僕は知らぬからちょっと教えてもらいたい。
○説明員(安嶋弥君) 校費でございますが、これは内容の第一は基準寝具の借り上げ費でございまして、御承知の通り、基準寝具といたしまして大学病院が寝具を供与いたしますその関係の経費七千五百万円余がまずその内容の第一でございます。内容の第二は、患者の増に伴います診療用費等の増加でありまして、これが病院の特別庁費といたしまして七十六万六千円がその中に算入されております。
○高野一夫君 次に医療費の五億四千六百万円余りというのはこれはどういうものになりますか。
○説明員(安嶋弥君) 医療費の増の要因は実はいろいろございますが、その第一は患者の増でございます。これは従来の実績に基づきまして算定いたしておりますが、入院患者におきまして約三万人、外来患者につきまして約六十万人の増が見込まれております。それから第二の要因は単との増でございまして、これは最近におきます新薬の採用等によりまして医療単価が増高いたしております。そういう関係の要素が第二の要素でございまして、当初積算いったしました医療費の単価の約一〇%増をここに計上いたしております。それから国費外の経費の吸収といたしまして約一億八千四百万円の医療費を計上いたしております。これは大学病院が院外処方といたしまして薬剤を調達いたしておりますそういう関係の解消をはかりたいということで計上いたした予算でございます。期間といたしましては、来年の一月から三月までの三カ月分を計上いたしております。それから第四の要因といたしましては、保存血の使用量の増加に伴う部分でございまして、最初に申し上げました通り、患者が増加いたしますと、当然輸血に使用いたします保存血の使用量も増加するわけでございまして、そういう関係の経費を含むのでございます。
○高野一夫君 その単価の増加というのはどういうことなんですか。たとえば今のお話しによると、新薬なんかが出て、それが高くなった、従って購入費が上がると、こういうような意味のことですか。
○説明員(安嶋弥君) さようでございます。
○高野一夫君 それだけですか。今の御説明からすると、わかったような、わからないような点があるんだけれども、大学病院が患者が増加したと、それによって調剤投薬ができない、その薬品購入の補充ですか、もっと今まで買っておったのよりよけい質わなければならぬ、こういう意味なんですか、そこのところを一つはっきり……。
○説明員(安嶋弥君) ただいま申し上げました通り、医療費の増の要因には二つあるわけでございます。一つは患者の数量的な層、もう一つは医療内容の向上と申しますか、薬品等の物是的な増、その薬の中には従来使用していなかった比較的高価な新薬も含まれておる、こういうことでございます。
○高野一夫君 私は大学病院の人に聞きますと、予算が足りないから患者に薬をやれないというような話を聞いているわけです。そうすると、今まで使わなかったものを買うために増額する、それだけでなくして今まで使っておったものも数量として足りないからよけい買う、こういうような意味があるんですか、そのところをはっきりして下さい。
○説明員(安嶋弥君) 従来の実績を私ども見ておりますと、年々医療費の単価は一五%程度ずつ伸びておるわけでございます。それはなぜ伸びてきたかと申しますと、やはりただいま申し上げました通り、医学の進歩に伴って医療の内容が向上してきた、そのことは比較的高価な薬品の使用ということもございましょうし、その他各種の医療材料等、従来よりよけいに使うとか、あるいは高価なものを使うという関係があるわけでございまして、そういった関係で、年間大体一五%程度の医療単価の増高を来たしておる、こういうわけでございます。
○高野一夫君 その医療単価の、道価とおっしゃるが、単価というと一点単価ということを厚生省関係では言うのだが、一人当たり患者の医療単価が上がるということになれば、診察料も上がるし、今まで機械で見ながった診察を今度は機械へかける診察をする、その方の経費もその中に含まれている。使わなかった薬を使う。その方の経費も含まれている、こういうことでありますから、全体その患者を見て患者を治療する、全体のいわゆる医療費のその平均単価が上がったと、こういう意味ですか。
○説明員(安嶋弥君) さようでございます。
○高野一夫君 それが一五%というと、昨年度に比較して文部省の国立大学においては患者一人当たり単価が一五%上がった、こういうことになりますか。
○説明員(安嶋弥君) そういうことになります。
○高野一夫君 ということは今世間でとかく取りざたされております医療費の値上げ問題、単価の値上げ問題ということを当然この委員会でも討議しなけりゃならない時期がくると思うのですが、それと関連して参りますので、そこで大学病院の場合はどうということだけでもって、日本の全体の厚生省関係の医療費の問題を吟味することにはならず、これはもう全部含めて研究しなけりゃならぬ問題だと思う。だから私はその点がどういう意味なのか、大学病院だけで先走りして、そういう意味の単価つり上げをやられると、こういう意味なのか、自然的にやむを得ずそうなったから、金が足りなくなったからやるのだということなんだろうと思いますけれども、これは十分確かめておかなけりゃならない。 局長でも会計課長でもけっこうですが、当委員会が要求いたしましたならば、五億四千六百四十万五千円の内容についての数字的資料を提供できますか。
○説明員(安嶋弥君) いたします。
○高野一夫君 官房長いませんか。——それじゃ局長と、私は会計課長にお話ししておきたいのは、官房長にきょうは第一に出席を要求してある。にもかかわらず役所の用が忙しいというので、国会が要求した委員会をボイコットした。なぜ来ないのか聞いてみますと、文部省の連絡員がいわく、役所が忙しいために委員会に出られません、そういうことは文部省では平気で行なわれるのですか。ここへ出てこない。今もう一ぺん連絡さしてますが、その理由が、役所の仕事が忙しいから委員会に出られませんという理由なんです。
○委員長(吉武恵市君) 速記やめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記始めて。
○高野一夫君 私は局長と会計課長に聞いておいてもらいたいのですが、これは大学局長にも関係がある。この補正予算の内容の資料を要求した。文部省に私は議員として要求した。ところが、一向よこさぬ。これはまだわかりません、まず最初の返事が。どの事務官がどう言ったということはっ私は言いません。詳細なる下っ端の数字がわからなくて集計した大きい数字が出てくるわけがないでしょう。それを国会議員が要求したにもかかわらず、まだこれから調査しないと下の数字はわかりません、資料ができません、こういうのが文部省の大学局の役人の答弁である。これは、わが党のことを申し上げて失礼だけれども、お許しを願いたいのですが、自民党の政調会から要求されたそれも持ってこない、いまだに持ってこない。そこで、ようやく、きのう私がもらったのは、簡単な、これが資料である。これを出すのはまだよろしい。これに前置きがある。この資料は賞用長の許可がなければ渡せません、と言ったそうです、私の秘書に。国会議員が審議の材料の重要な資料に供しようくと思ったならば、みずから進んで私は出すべきだと思う。それを言を左右にして約二週間出さぬ。そうしてきのうは、官房長の許可がなければ渡せませんから、今許可をとりにいっているから待っていてくれ、というのを私の秘書に言ったそうです。こういうことは私は、かつてほかの役所で聞いたことがない。われわれが資料要求するならば、どんな資料といえども、むしろ進んで審議の材料に提供すべく率先して政府はやるべきである。またそうやっておられる。文部省はそういうようなふうに、国会議員が資料要求した場合は、数字がないはずがないのだから、こまかい数字がなくてこういう数字が出るわけがないのですから、だから、調査しなければ数字がわかりませんということは、私は理由にならないと思う。同時に、それを整理するのに時間がかかったのかしれないけれども、補正予算を出すならば、そのくらいのことが、もし万一これについてどこかの委員会で質疑をされたならば、当然答弁されなければならぬ。それならばそういう資料が関係の政府委員においては当然整理されておられる。さらにそれが十日ばかりも留保されて、そのあとは、官房長が許可しないとそういう資料は国会議員に渡せぬものであるかどうか、文部省はそういう慣例をおとりになっているのかどうか。これは私はあらためて、文部省の態度いかんによっては全体の大きな問題としたい。われわれは決算委員会にも出ます。決算委員会にはどんな資料でも要求でき、お出しにならなければならない。決算委員会でなかろうと、ほかの予算委員会であろうと、社労であろうと、文教であろうと、要求した資料で、あるものは出せぬはずはない。これはどうですか、大学局長、あなた方が所管の資料を外にお出しになる場合は、文部省は官房長の許可を得なければ今、まで出さない慣例であったのですか。このほかに何かそういう事例がありますか。
○政府委員(小林行雄君) 今回のこの資料について、私実はタッチしておりませんでしたが、従来のやり方といたしまして、国会の委員会の方から御要求がありますと、それはものによってはかなり時間がかかる。作成に時間がかかる問題もございますが、大体委員会の御希望のように資料を作りまして提供いたしておるわけでございます。ただその際、まあ大体資料を出す場合に官房長に連絡をして出すというしきたりで従来やっております。別に官房長の許可とか何とかということは実際やっておりませんでしたから、係りが先生に対して官房長の許可と言ったとすれば、その辺はその係りの者の誤りであるわけでございます。
○高野一夫君 私の秘書はそういう言葉を間違うような秘書ではありません。はっきりと、そういうことを繰り返して言っておるわけです。今のおそらく大学局長のお話のごときことがほんとうであろうと思います。どうかこんなばかばかしいことはしないように、もう少しあなた材料をどんどん提供して、審議の材料に供してもらうように積極的におやり願いたいと思う。医療費の増高の問題があれば当然医療費の全体の増高の問題が社労委員会の議題になる。当然予算委員会であろうとどこであるとを問わず、文教や社労や、こういう問題についていろんな話は出るかもしれない。ことに私は社労の理事をしている。当然ここで議題に供したいと思うから私は資料を要求した。このことは一つ官房長にはもちろん、次官、大臣にも、そういうような不愉快な言動がないように、審議を促進するために皆さんが国会審議に協力をされなければならぬ。こういう強い要求を私はいたします。それをどうか、あなた方お二人に文句を言っても始まらぬことですが、御伝達を願いたい。
○委員長(吉武恵市君) 速記をとめて 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) 次に、厚生省関係予算に関する件を議題といたします。 初めに三十五年度補正予算及び三十六年度予算の概要について厚生省当局より御説明を願います。
○説明員(熊崎正夫君) お手元に資料を差し上げてございますので、資料に従いまして簡単に説明さしていただきます。 三十五年度補正予算要求額という一枚刷りの紙がございます。総額で百七億になってございますが、第一の生活保護費三十七億何がしの金額の内訳は備考に出ております二番目を除きまして、五つの項目が備考に出てございますが二番目を除きまして、大体例年補正で埋め合わせをいたしております医務費の増額分でございます。一番目の期末一時扶助につきましては、いわゆる生活困窮者の年越しのためのもち代ということで、東京における標準五人世帯で五百円分を計上いたしておるわけでございます。それから五番目の保護施設給与改善費六千百万円というのがございますが、これはすぐあとに出て参ります児童保護費の方の備考の三番目に出ております施設事務費給与改善分二億九千六百万円、この金額と同じような中身でございまして、国家公務員の給与ベース改訂が補正において行なわれる。それに見合うものとして保護施設、あるいは児童収容施設、保育所といったところで勤務しております職員の給与がきわめて現在低いことは、先生方御承知の通りだろうと思いますが、その改訂を地方公務員並みに一一・九%上げるという金額が施設給与改善費の中身になっておるわけでございます。 それから次に移ります。児童保護費の補正要求額の内訳は、三十四年度の精算不足額が一億三千二百万といいますのは、措置人員が非常にふえて参りまして、過年度分の不足が出て参つりましたので、それを要求いたしておるわけであります。二番目の期末一時扶助は先ほど全話保護費の中で申しました通りのいわゆるもち代という関係の経費でございます。 次に移ります。精神衛生費補助一億七千九百万円、これは例年補正予算で要求をいたしております事務費の増分でございます。それから精神衛生相談所の給与改善分といいますのは、これは地方公共団体の職員の給与改訂分でございますので、国家公務員の給与べース改訂に伴う分でございます。 次の国民健康保険助成費五十二億、相当多顧に計上されておりますが、これは内訳四つに分かれてございます。療養給付費の補助分は、例年は過年度分の、三十四年度、前年度分の不足額を計上いたしておりましたが、本年度の補正予算におきましては、当該年度の不足見込額も新たに計土しょうということで、例年の補正の要求とその点が違っております。 それから事務費の補助金につきましては、過年度分の不足と、それから本年度分の被保険者の増額分は療養給付費の前欄と同じような中身でございますが、最後の三番目の給与改善分は百円を百四円といいますのは、これは例年国民健康保険の事務費は一人百円という単価になっておりますが、その内訳は各市町村の職員の人件費になってございますので、その人件費がベース・アップされるということで計算をいたしましたところ、四円二十七銭八厘という端数が出ましたので、この分を要求いたしたわけであります。 財政調整交付金におきましてば、これの法定に基づきます五分分を計上いたしております。 その他千二百五十二万円、国保の保健婦の補助金あたりの給与単価の改訂分でございます。 次に移ります。在日朝鮮人帰還援護費一億五百八十四万円、これは従前より引き続きまして一月から三月分をお願いいたしました分は、これは改訂が従来の三十五年度の当初予算におきましては協定のきめますのは十一月になっておりますので、十一月分しか計上いたしておりませんでしたが、十一月の残り分と十二月分は予備費でもって措置をいたしております、従いまして、一月から三月分までは補正で計上すると、合わせまして協定の改定によりまして二百名のスピード・アップの増が三月一日から実施されることになりましたので、その分を合わせて計上いたしておるわけでございます。 次に国民年金市町村交付金一億二千三百九十一万円分はっ、これは上、の方にあります国民健康保険事務費補助金の分と似たようなものでございまして、拠出制の国民年金並びに福祉年金分の給与改訂に伴う分だということで、地方公務員の給与改訂分を計算いたしましたところこういうことになりました。 その他のところでまとめてございますのは、補助職員あるいは本省職員の人件費のベースのアップをまとめて計上いたしております。 次に、昭和三十六年度厚生、省関係重要施策ということで、お手元に来年度の予算の主要項目につきまして説明さしていただきたいと思います。いろいろと厚生省関係の予算、出ておりましたが、おもな項目につきまして概略まとめてみた次第でございます。便宜上、各局別に項目をまとめてみましたんで、大体備考を読んでいただけるとおわかりと存じますが、なお、後刻御質問がありますればお答え申し上げます。 公衆衛生局におきましては、保険所の強化費、前年度予算額はカッコの中に入ってございます。保険所の強化費につきましては、職員の数を五百人ふやしたい。現在二万一千名程度でございますが、これを五百人ふやしますと同時に、単価を非常に低く押えられておりますので、単価を上つげていただくというような要求になっております。その他、施設の整備関係につきましては、例年の要求と変わってございません。 それから二番目の重要疾病対策費、中身で分けてございますが、(一)と(二)の結核、精神対策につきましては、厚生省の来年度の最も主婆なる重要政策として計上されております政策でございまして、結核対策につきましては、従来の命令入所患者の入院医療費を、これまでは結核の特別推進地区につきましては三分の二の国庫負担、その他の地区につきましては二分の一という考え方を根本的に改めまして、全額公費で、しかも国が八割、生活保護の医療扶助と同じような高額の国庫負担をやるという対策に切りかえたいという要求でございます。相当準備期間が必要と考えまして、十月から実施ということで六カ月分の予算計上に相なっております。精神衛生対策におきましても同じような考え方をとりまして、関庫負担は結核対策と同じでございます。現在はこれは二分の一の国庫補助になっております。件数は(一)の結核対策におきましては現在一万一千人の件数になっておりますが、来年は大幅に七万八千人まで持っていきたい。それから精神衛生対策の方は、現在は一万一千件程度でございますが、来年は三万八千件分ぐらいにしたい、こういうことでございます。 次の小児麻痺対策につきましては、これはすでに御承知のように、本年度の予備費でもって来年の一月から定期予防接種に準ずる措置をとりたいということで、約二億の予備費の計七をいたしておりまして、それを来年度平年化していくというための経費でございます。 成人病対策につきましては、従来の予算要求とそうさして変わってございませんので、説明を省略さしていただきます。 次は環境衛生部、清掃施設等整備対策の強化といいますのは、これは十カ年計画、昭和三十六年度を初年度として昭和四十五年までに十カ年計画で下本道終末処理施設を整備したいという関係の経費でございます。あわせてこの中に入っておりますのは、清掃関係の施設につきましては、従来四分の一の国庫補助を計上いたしておりましたが、現在下水道終末処理施設については国庫補助が三分の一になっておりますので、その三分の一に合わせて清掃施設については三分の一の予算、要求をいたしております。 それから二番目の水洗便所の普及対策といいますのは、これは現在大都市、中都市まで水洗便所の普及のために貸付金を個々の世帯に出しておるのでございますが、それを国として、この際積極的に取り上げて、水洗便所の普及促進をはかりたいという関係の経費でございます。 それから三番目の水道施設の整備対策につきましては、従来の要求とさして変わってございません。金額はふえております。 四番目の水道用水公団につきましては、先生方御承知のように、水資源をどういうふうに取り扱っていくかという各省共同で出しております公団の分でございます。 環境衛生研究所は、現在のところ、環境衛生に関する研究体制が全然できておりませんので、これだけ生活環境の問題がやかましくなっておるときに、この際独立の研究機四を作りたいということでございます。 それから次に医務局。僻地医療対策につきましては、従来の政策をそのまま伸ばしていくということであります。大体今まで百六十カ所でき上がっておりまして、残りの七十七カ所を二ヵ年託種でやるという計画になっております。それと同時に、医者を確保した場合でも、やはり診療車を出したり、あるいは診療の船を出してやりたいという経費が入っております。 それから二番目の医療機関の整備と機能強化といいますのは、これは従来の要求とあまり変わっておりません。その機能強化の中の医療金融公庫出資金といいますのが、前年出資金十億、借入金二十億ということで発足いたしましたが、すでに十月現在におきまして八十数億も申し込みを受け付けておりますので、来年は出資金四十億、それから借入金は六十億そのうち、五十八億と書いておりますが、二億分はことしの償還分を回したいということで、結局来年度の総資金量としては百億の運転資金をもってその需要に当たりたい、こういう考え方でございます。 次の国立総合ガンセンターの設置といいますのは、ことし四百万で、築地の海軍病院の跡を、調査費をいただきまして委員会の結論が出ましたので、いよいよ来年度は十七億円をもって築地の海軍病院の跡の病院をガンセンターとして発足をさしたい。できましたならば、三十七年度の一月から開院をいたしたいという関係の経費でございます。 四番目の東陶アジア諸国に対する、医療協力関係は、五億五千要求いたしておりますが、この中身は、たとえばビルマにおいて総合病院を建てるとか、あるいはカンボジァア等におきまして医療品のセンター、つまりわが国の医薬品、底薬機械の宣伝をかねた総合センターを作りたいという関係の経費で、あるいは現地の方々をわが国に招待をいたしまして、そこでいろいろ医者や薬剤師さんの教育をするという関係の経費がこの中に含まれております。 薬務局に移ります。麻薬対策の強化ということで、これは従来麻薬関係の仕事につきましては、特に取り締まり機構だけを整備いたしておったのでございますが、来年度以降におきまして、積極的に中毒対策を一つやっていきたいということで、中毒者を収容する施設あるいは相談室を設けるというような経費がこの中に含まれておりますとともに、中央、地方におきまして、麻薬対策推進委員会というふうな委員会を作りまして、積極的に麻薬禍の撲滅をはかりたいという関係の経費になっております。 次、社会局に移ります。低所得階層対策につきましては、従来の要求とさして変わってございません。世帯更生資金の増額がございますのは、備考をごらんになっていただけるとおわかりと思いますので、説明を略します。 授産事業につきましては、これは従来家庭授産ということは授産事業の範疇の中に入れておらなかったんでございますが、授産所を拠点にいたしまして、授産所に通えない家庭の主婦の方方あたりが、授産所から品物を持ってきて、そこで仕事をしておったものにつきましても、授産所を通じて賃金を払っていくというふうな考え方をしたいということでございます。 それから三番目の生活保護基準の改訂等というふうに金額が出てございますが、この主要な中身は、御承知の生活扶助基準を二六%程度引き上げるというふうな関係の経費の大口の分と、その他医療扶助の増高の分が計上されております。 それから四番目の施設職員の処遇改善の分は、これは先ほど補正予算の説明のときにちょっと触れましたが、現在の社会事業関係の施設の職員は、非常に給与べースが低いということで、このたびの補正で一一・九%の引き土げは見ていただきましたのでございますが、来年はさらに一五%ふやしていただきたいという要求になっております。 それから次の精神薄弱者福祉対策の強化、これは前回の通常国会におきまして、精神薄弱者福祉法というものを制定いたしました。それに伴います各般の施策を三カ年計画でやりたいということで計上されております。 次に同和対策の強化促進、これは同和対策正要綱に基づく年次計画をそのまま採用いたしております。その主要な中身は、国庫補助率の二分の一を三分の二に引き上げるということになっております。 次に、不良環境地区の生活環境の改善といいますのは、同和部落を除きまして、都市においてはスラム対策、北海道においてはスラムにかわるアイヌ対策というものを強化しようということで、中身は先生方御承知の同和対策の中身と同じようになっております。 次に、老齢者福祉施策の拡充強化といいますのは、養老施設の需要が最近になって非常に高まっておりますし、あわせていわゆる中産階級を主体にいたしました老人世帯の方々に対しましては、養老施設以外に何らかの施設を作る必要がございますので、大体月額六千円程度納めれば老人ホームに入れるという、いわゆる経費老人ホームの新設拡張を積極的にはかりたいということでございます。 次に、児童局では、幼少人口の健康管理及び母子保健対策が計上されておりますが、これは新生児並びに三才児の健康診断をこの際一斉にやりたいという経費が、主要な中身になっております。 次の非行少年対策その他の児童健全育成対策関係は、これは十四才以下の非行少年につきましては、厚生省の専管でございまして、現在ほとんど行なわれておらないという経緯にかんがみまして、来年度以降大々的に問題の非行少年対策をやろうという考え方でございます。 二番目の非行対策協力委員といいますのは、民生委員、児童委員にかわる非行少年対策関係の協力委員に民間の方を任命してその対策にあてたい、こういうことでございます。 それから次に、要保護児童対策につきましては、(一)から(五)までおおむねこれまでの要求通りの金額でございます。ただ二番目の児童保護措置費は、相当な高額の金額になってございますが、これは生活保護費の方の二六%の基準のアップ等に伴いまして、収容児童等の食糧費も値上げをする必要があるし、あわせて先ほど社会局の施設の指導職員の待遇改善のときに申し上げましたように、一五%の職員の給与待遇改善を行ないたいという脚係の経費でございます。 それから五番目の特別保育対策のところで、変わった対策としまして、僻地保育所を設けるというふうになってございますが、これは現在農村等では季節保育所を大いに利用していただいておるのでございますが、この保育所も、児童の数が少ないために作れないというような僻地に、新たな恒久的な保育所を作ろう、むろん建物は、お寺や学校等を利用するということで、必要といたしませんが、保母さんの人件費補助その他が、この中に計上されているわけであります。大体七百七十カ所ぐらい要求をいたしております。 次の母子福祉対策も、従来の要求とさして変わっておりませんが、ことしから始めました母子福祉センターにつきましては、非常に御要望も強い関係上、ことしはわずか二カ所でございましたが、来年は十カ所要求をいたしております。 次の児童扶養手当の創設といいますのは、これはいわゆる生別母子世帯をいかにしてその福祉の向上をはかっていくかという新たな対策でございまして、大体百九万人分くらいを予定いたしまして、この案では、第一番目の子供につきましては六百円、第二番目、三番目の子供について四百円、それ以降は二百円という中身に相なっております。 次は保険局に移ります。国民健康保険の改善といいますのは、中身を備考で二つに大きく分けてございますが、第一の結核及び精神病対策につきましては、これはいわゆる命令入所患者、いわゆる感染源の対象になっております命令入所患者につきましては、結核予防法、精神衛生法によって国が八割、地方二割で全額国庫負担を行なう、最初に申し上げました対策でございます。それ以外の結核、精神患者につきましては、これは国保の方で給付率を五制から七割に上げます。しかし、その二割上げました分につきましては、保険料の瞬き上げとかあるいは保険者負担にせずに、特殊対策としてその二割分は全額国で負担をするという対策になっておるのでありまして、この分が十六億五千八百万でございます。全体の二十八億のうちから十六億の分が、この第一の対策でございます。それでこれも六カ月予算を計上いたしておるわけであります。 それから二番目の、その他の疾病につきましては、これに五カ年計画でもって初年度一別分を三カ月、すなわち来年度におきましては三カ月予算を計上いたしております。七割まで一律持っていこう、この関係の経費は十一億七千百万ございます。 次、事務費の増額分、これは百三十五円まで持っていきたいと思っております。現在三十五年度予算におきましては一人頭百円、このたびの補正でこれが百四円二十七銭になっておりますが、それを百三十五円まで持っていきたいという経費でございます。 次の分べん給付の改善分の二十三億円は、これは一般会計支出は伴いません。特別会計の中でやるということで、健康保険におきましては、被保険者につきましては、現在の四千円の分べん費を七千円まで引き上げる、それから被扶養者につきましては、千円を二千円に引き上げる。従来六カ月間、毎月二百円ずつ手当を出しておりました分を新児手当というからの名前でございますが、一律に出産のつど二十円出そうという対策が、この中に入っております。 次に、年金局の福祉年金制度の関係でございますが、木支給年金の支給といいますのは、御承知のように、福祉年金がもらえるときになっておりまして、その前になくなってしまったという方々に、当然もらえるべきお金であったということでこれを支給していくということでございます。大体対象は十八万人くらいに相なると思います。 それから第二の母子福祉年金の支給制限の改善分は、これは下の注に出ておりますように、世帯数にしまして三万五千人分くらいを予定しております。これは予算としましては八カ月分計上いたしております。 三番目の準母子に対する福祉資金の創設分、これは一万五千世帯分くらいになります。同じく八ヵ月分でございます。 四番目の所得制限の緩和分は、これは中身は二十三万人、八カ月分をやはり計上いたしております。 次、拠出制国民年金の改善ということで死亡一特金制度の改善分十九億を要求いたしておりますが、これはいわゆる掛け捨てを防止するということで本日の新聞にも出ておりますが、その分の保険財政に対します一般会計からの支出十九億円でございます。 次の事務態勢の確立三十八億といいますのは、先ほど補正のときにも申し上げました市町村の拠出年金交付に伴います市町村交付金、拠出年金の事務に伴います市町村の交付金、前年度十六億計上されておりますが、この分が実は前年度は八カ月分になっておりまして、それを十二カ月分ふやしたというのが三十八億のうちに十二億入っております。十六億プラス十二億で二十八億でございます。残りの十億といいますのは、各市町村に国民年金の印紙の売りさばき手数料として四%を還元するという分が十億に相なっております。 次、最後でございますが、国立公園部、第一につきましては従来の計画と変わっておりません。第二番目がいわゆる国民休暇村の造成ということでございまして、健全なリクリエーション・センターを、国立公園の中の厚生省所管であります集団施設地域といいますか、国有財産の土地の上に国民宿舎なりあるいはその他の遊び場所を作っていきたい、その運営に当たるために、事業団を作って国民休暇村と称して、ここの施設をその事業団に運営さしていくという関係の経費でございます。 以上、全体の厚生省予算の総計は二千七百七十二億でございまして、ただいま私が説明しました項目はその中の主要なものでございます。前年度予算に比べまして大体千百億の増、こういうことになっておる次第でございます。以上簡単でございますが、説明を終わります。
○委員長(吉武恵市君) 本件に対する本日の質疑につきまして順次発言を願います。
○竹中恒夫君 ただいま昭和三十五年度の補正予算並びに三十六年度の厚生省関係重要施策につきましての御説明をいただいたのですが、私はこの三十六年度の厚生予算について主としてお尋ねしたいと思うのですが、残念ながら予算委員会その他の関係で大臣並びに次官等もお見えになりません。主として私の質問は保険局関係並びに医務局関係が主でございまするが、医務局長もおいでないようでございます。特に僻地対策については、相当医務局長にもお聞きしたいと思うわけですが、いずれそうした事柄は、年があらたまりまして正式に計数処理された予算案に基づいて、その機会にいたしたいと一応考えます。考えまするが、すべてこういう予算案というものは、コンクリートされる前に十二分にわれわれの方の意向をお聞き願い、あるいは質疑をただした上で報告してもらいたいということは、常にわれわれが主張しておるところであるわけです。そういうことにならなかったことを、これは私としては遺憾に思うわけですが、特にこの機会に保険局長にもあわせてお願いいたしておきまするが、私がただいまから御質問申し上げますることは、直接厚生大臣として高い角度から医療行政についての信念並びにそれに裏づけするところの予算の内容等について質疑を戦わしたい、こういう気持でおったわけなのです。従いまして、ただいまからお尋ねいたします事柄等につきましては、十二分にメモをしておいていただきまして、誤りなく大臣に伝えてもらって、われわれがいかに厚政行政に対して真摯な気持を持っておるかということについての、誤りない伝達を特にお願い申し上げておきたいと思うわけでございます。 最初に、この予算の総ワクを見ますというと、二千七百何十億円ということで、一応本年八月前後に厚生省が考えられました、いわゆる池田内閣としての画期的な社会保障を拡充するという、一千一百億円以上の増額予算を考えられたという点は非常に多とするわけでございまするが、ただいま説明を聞きますというと、重要施策の中に、その後、非常に医療行政等においては事情の変更を来たしておる部面が多数あるわけであります。それに対する財政的な裏づけと申しまするか、予算的な配慮が加えられておらないということを、私は非常に遺憾に思うわけであります。先日カナマイシンが、十二月の十七日に、官報によって健康保険に採用する、あるいは二十日には、結核予防法によるところの給付にも採用するということでございます。で、こうした点について、特に私は新大臣に対して、大臣が人命尊重の見地から、あるいはまた、人道上の見地という立場から、非常に信念的な裁断を下されたということについては、非常に私は敬服をするところであり、むしろその勇気を称賛したいと思うわけでございますが、特に医療混乱の収拾の糸口がこれによって見つけ出されたということは、まことに慶賀にたえないところでございまするが、特に私は今後こういう、いいことであれば手段を選ばないというような行き方でなくして、あくまでも社会保障制度審議会だとか、医療制度調査会ないしは社会保険審議会、中央社会保険医療協議会等々の、諮るべき機関に諮って、筋を通してやっていただきたいということを、まず私は要望するわけなんです。で、今回の措置につきましては、何ら私は非難の気持もございませんし、むしろその勇気を賞するわけでございますが、長い将来において医療行政を円滑にする意味においては、やはり正しい姿においてやっていただきたいということが、まず第一点であるわけでございます。その点についての——本来ならば大臣からの所信を承りたいわけでございますが、残念ながら岡かれませんので、お伝えを願いたい。 そこで、お尋ねしたいのですが、カナマイシン採用については方法が二つあったと思うのです。新聞紙上に出ておりまするように、この真偽をお尋ねいたすわけなんですが、この十四日の朝日なり、あるいは日経に出ておりますように、カナマイシンは一月から社会保険に適用するということについて大臣権限で実施をするということでございますが、その了解を得たということが出ておるわけなんです。これは一つの方法であろうと思うわけです。非常手段として、やむを得ない場合は一つの方法であろうと思う。これは法律で認められておるわけでございますから、一向差しつかえないということも言えるわけであります。 いま一つの方法は、申すまでもなく、中央社会保険医療協議会において十二分な審議を尽くして、結核の指針を改正するということによってやるべきだろうと思うのです。 そこで、今回とられました結果的なことはいいのですが、どちらの方法によってやったのが正しいかということになりますというと、正しい中央社会保険医療協議会の運営でありますならば、私は当然そうあるべきだろうと思うのですが、今回おとりになりました中央社会保険医療協議会の運営については、相当私は疑義があると思うのですが、その点について一言お尋ねしたいと思うのですが、まず第一にお尋ねしたいことは、今回多数の欠員の中で、公益委員のみを特に任命なさったその理由を、最初にお伺いしたい。
○政府委員(森本潔君) ただいま竹中委員、最初申されましたように、あるいは大臣から直接お答えになるのが適当であることが多々あると思いますが、私の承知いたしております限りで私よりお答えさせていただきます。なお、大臣にお伝えしなきゃいかぬことは、私から十分お伝えいたしますから……。 ただいま具体的の御質問でございますが、今回カナマイシンを採用するについて、中央医療協議会の委員が欠員中、公益委員だけを任命したのであるが、それはどういうわけか、こういう御質問でございます。この点につきましては、実はこういう気持でおったわけでございます。新聞等でも御存じのように、大臣とされましては、このカナマイシンの使用ということはぜひやりたい。万やむを得ぬければ、はかりに違法ということが残りましても、中央医療協議会に諮問せずにやるということは違法な措置でございますが、そういうことがあっても自分はやむを得ぬ場合には職権告示でもやるという、まあ固い決意を持っておられたわけでございます。ところがしかし、他に、その採用とかするについて、職権告示以外でかりに他に適当な方法があればそれは必ずしも否定するものではない、こういうことでございます。それで事務当局に対しまして自分の気持をお話しになりまして、職権告示ということは非常に乱暴なことである。ついてはできるだけ法律に合うような措置も考えてもらいたい、こういうお話がございましたのでございます。それで、その際の方法としましては、医師会の人とかどこかの委員で出ないところがあればやむを得ぬ、推薦のあるところがあれば全部任命してやるという方法もあろうかと思いまするが、しかし、これは長い間休んでおりましたところの医療協議会を再開することになれば、一年半ばかりも休んでおったのを再開するというときに、やり方としてきわめて適当でないということで、これはとらないことにいたしたのであります。しかしながら、現に欠員ではございましても、中央医療協議会という組織はあるわけでございます。ただ過半数に達しておらぬというような状態でございました。それでこの際、この公益委員という方はどの関係団体の推薦でもなしに厚生大臣が直接任命できる、こういう立場になっております。従いまして、その方を任命いたしますれば一応、これは非常にこじつけたことでございますけれども、形の上におきましては中央医療協議会のメンバーが過半数に達する、また、公益委員自体の任命につきましてはさほど影響もないという状態でございます。従いまして、これら法律の要請するところをかなえ、また、一方におきましては、各種の事情に対して将来障害を残さないという考慮のまあ調整点と申しますか、妥協点と申しますか、そういう見地からいたしまして、公益委員だけの任命をいたしまして医療協議会の意見を聞いてしかる後に告示をした、こういうことでございます。従いまして、私たちといたしましても、この方法が完全であるとかあるいは最善だとかいうことは毛頭考えておりません。ただやむを得ぬ場合におきますところの必要最小限度のとれるだけの措置をとっていく方がよかろう、また、とるべきではないだろうか、こういう気持で措置をいたしたわけでございます。従いまして、今後カナマイシン以外の場合におきましてはかような措置をするということ、あるいは今のようなままで協議会を開くというようなこと、そういうことは毛頭考えておらないわけでございます。
○竹中恒夫君 今の御答弁は私には納得いかないのですが、一年半休会しておったんだから、この際欠員の全委員を任命することは適当でないということ、私には納得いきません。それから、たやすく公益委員だけは大臣の立場において、推薦を受けずして任命できるのだから、まあ安易な方法をとった。これは一つの勢いであろうと思いますが、決してそういうことで……、あなたのおっしゃるようないわゆるこそくな方法でもってやるということは、医療協議会の権威の上から申しまして私は重大な問題だろうと思うわけであります。なお、障害を残さないために医療協議会を開いたとおっしゃるのですが、こういう形で医療協議会を開かれることの方がより多い障害を私は将来に残す、むしろ大臣権限でおやりになった方がよかったとこう思うわけなんであります。その点についてなお深く追及したいのですが、応問がわずか二、三十分ということでございますので、深く追及できないのが遺憾でございまするが、公益委員のみを任命したということがきわめてやりやすかったからしたとまあ一応こう理解いたしておきます。 それで次の問題点をお聞きするわけなんですが、しからば他の関係団体は、当局の依頼があれば、推薦態勢に大かたの団体はあったと思うのですが、他の別体に対してはどういう態度をとらむたのでしょうか。
○政府委員(森本潔君) 他の関係団体よりは委員の候補者を推薦のあるところも相当でございました。それでこの際先ほど申しましたように、推薦のある委員の候補者については全部任命するということも考えられますし、あるいはそれが一つの正しい行き方かとも存じますが、先ほど申しましたように、政治的な配慮と申しますか、あるいは事務的な要請の最小限度を満たすと申しますか、まあその辺の調整、妥協のぎりぎりの方法として、先ほど申しましたような公益委員だけの就任をお願いして過半数という形をとったという方針で参りましたので、他の関係団体に対しましては確かに推薦は受けてはおりますが、かかる措置をとるということにつきましては、特別の交渉等をいたさず、厚生大臣の判断においてやったわけでございます。
○竹中恒夫君 厚生大臣の判断でやったとおっしゃいまするが、実際は事務局の判断でやられたと思うのです。私は事務官が政治的な配慮を加えて行なうということはどうかと思う。事務官としては、あくまでも事務的に法律に基づいて処理なさるということでなければ非常な混乱を来たすと思う。大臣の立場ではもちろん政治的な配慮を必要といたしますが、少なくともこういう問題についてはあなた方がそういう政治的な配慮を行なうということ自体が、各団体との間がうまくいかない私は一つの大きな過去における理由であったと思います。特に二十四人なりの定員の中で十四人でやるよりは、他の関係団体の推薦もあれば、やはり十五人、十八人と多数の委員が審議を尽くすという建前でなければ公正妥当な私は結論は出ぬ、こう思うわけです。そういう意味において医療協議会というものを非常に便宜的に今回取り扱ったということについては、非常に私は残念に思っております。特にこの点については大臣にお伝え願いたいと思う。 その次に、第三番目にお聞きしたいことは、詳しくは存じませんが、新聞紙上等によりますと、医療協議会を開かずに持ち回りで二、三日の間に意見をまとめられたということなんですが、持ち回りというものはお互いの意見を討論をすることもございませんし、また、その背景となる予算その他の関係につきまして疑義がありましても、討論や質問することもできないわけなんであります。ただカナマイシンを使うということの可否については簡単に言えるわけなんですが、そういう持ち回りなどで今後医療協議会の諸問題をやられるというようなことはないとおっしゃいますが、関係団体はそれに対して一つの不安を持つわけです。非常な場合やるのだという実力を示されたのですが、過去においても持ち回りの実績がありましたか。特に持ち回りがあったとした場合において、今回のように欠員のままの持ち回りは私はなかったと思う。医療協議会というものは持ち回り閣議のようなものではない、十二分に審議を尽くすべきはずだと思うのです。その場合に、持ち回りということによる結果が、あなた方の望むところの回答を得たわけなんですが、十二分に審議を尽くせなかったところの御所見を承りたい。
○政府委員(森本潔君) 中央医療協議会におきますところのカナマイシンに対する答申の審議方法でございますが、これはただいまお話がございましたように、持ち回りの方法で審議されまして答申されたと聞いております。それでこういう前例があるかどうかということでございますが、あの会議におきましてはこういうような方法をとったことは従来もございませんし、また、会議といたしましてそういう方法をとることは適当とも考えておりません。それでまあなぜ今回そういう異例な方法をおとりになったかといういきさつでございますが、まあ厚生省といたしましては、先ほど申しましたように、一応医療協議会という会議体がございます、諮問機関がございますので、諮問をいたしたわけでございます。その後、諮問をいたしまして、これを受けて立たれますところの協議会としての態度でございますが、あるいは審議するとかしないとか、あるいはどういう方法で審議するとか、あるいは審議をして賛成の答申をするとか、あるいは反対の答申をするとかということでございますが、その点につきましてはもっぱら私たちの立場としては、会議の運営事項だと思うのでございます。まあ聞きますところによりますと、会長が個々の委員と懇談されまして、一応今回限りこの方法で早く答申しようという取り運びをされたようでございます。従いまして、この会の運営自体につきまして役所としては、答申をお願いしますという態度に出まして、会の方とされまして、今回限り今のような異例な措置をおとりになった、こういうことでございます。
○竹中恒夫君 それはおかしいのでね。こういう情勢下に会長にお願いなさったら、会長としては欠員のままで、あるいは公益委員だけを任命してやらざるを得ぬのですよ。だから、運営の面は会長にあるのだ、当局には責任がないんだ、というように聞こえる答弁は、私はいかぬと思うのです。やはりこういう条件下に会長に審議しろ、あるいは諮問を進めてくれということ自体に無理があったと思うのです。しかし、それはもう議論しません。 その次の問題ですが、この医療協議会の裁量については、巷間伝えられるところによりますと、かなり先ほどあなたがおっしゃった厚生事務官僚として逸脱した、政治的なかけ引きにこれを使っておられるということを私は聞いておるわけなんです。医療協議会にすべての団体を参加さすために、医療協議会を開催しなければカナマイシンが使えないんだというような態度に出られ、また、関係団体の方としては、大臣の行政権の発動によって使えるんだという一つの何か、医療協議会開催——開催ということは関係団体が望んでおるのですから、それは一向に差しつかえないのですが、そういう政治的なかけ引きに使われたようなにおいがあるわけなんです。そういう点はどうなんですか。決してなかったのですか。
○政府委員(森本潔君) 今回とられました措置が異例でございますので、あるいは巷間いろいろな風評と申しますか、憶測があったろうかと存じますが、この点につきましての基本的な考え方、これは大臣を含めまして、また、私たち事務当局の一致した見解といたしましては、この治療指針の改正ということについては必ず法律上医療協議会に諮問をしなければならぬということは、大臣以下事務当局も含めましてその立場をとっております。ただ、大臣のお気持とされましては、かりに医療協議会を開くことができないというようなことであれば、これは自分の、大臣としてのあるいは政治家としての立場から、諮問せずにでも使うようにしなければならぬ、こういう一つの政治家の信念を持っておられますからでございます。従いまして、筋といたしましてはこの問題は医療協議会にかけるべきものであるという点については、これは省内一致した見解でございます。その辺の筋の話と、それから政治家としての物事を判断しなければならぬというようなお気持と、その辺の受け取り方がいろいろな意味合いで外部の人に受け取られたのじゃないかと思います。気持としましては、これは大臣以下みな同じ気持でございますことを申し上げておきます。
○竹中恒夫君 大臣が人道的な見地からどうしてもやるのだという精神面をあなたはおっしゃっておられるのですね。それに対して、どうも事務当局にやはり将来を考えれば医療協議会を開いてやった方がいいのだ、それまで権限を——今すぐ実施なさらずに、できれば医療協議会というものを開いてやった方がいいのだという事務当局の気持は僕はわかるのですよ。わかるのだが、医療協議会の重要性から考えて、どうも今回の不自然な行き方について私どうしても納得がいかない。たとえて申しますならば、それほど急を要するカナマイシンの使用を一年半も医療協議会を開かずにおった責任ですね、一体その責任は——また、あなたの答弁は会長にあるのだとおっしるでしょう。医療協議会の招集権は会長にあるわけです。諮問には当局がなさって会長は六カ月に必ず一回開かなければならぬという法律の希定に覇束されることと、委員の過半数の要求で開くという二つによって開催権を持っておるわけです。従って、一年半も開かなかったことについては厚生当局でなしに、会長が招集しなかったのだということも一応言えるのだが、この急を要する——それほど急を要するのであるならば、なぜ一年半もほっておいたかという疑点が出てくるわけです。たまたま大臣が蛮勇をふるわれることになってこうなったのだということはわかっておりますが、われわれはわかりましても、国民は納得いかないのです。そういうような点はもっと明朗でなければならぬと私は思うのです。その点はどうなんですか。
○政府委員(森本潔君) 先ほど、この諮問したあとの取り扱いは、協議会の問題と申し上げたのに関連して、一年半の間協議会を開かないのは協議会の方の責任じゃないかというようなことがございましたが、そういうことはこれは考えておりません。これはやはり正規の委員を任命するということは、やはり厚生省の責任でございまして、それをしない限り会とされましては会議を開くことはできないということでございまして、これはやはり開けなかったことにつきましては、厚生省で所要の委員を任命しなかったという責任があることはよく存じております。 それからこの一年半の間なぜそういうふうにしてほっておったかというような問題でございますが、理詰めで言われますとまことにその通りでございます。弁解する余地はございませんが、ともかく諸般の事情からいたしまして、そこに踏み切ることが困難な事情があって今日に至ったという、申しわけにならないようなことでございますが、そういう事情があったわけでございます。
○田畑金光君 関連。 ちょっと局長の答弁を聞いていて少しわからないのですが、法律的にカナマイシンを採用する、あるいは治療指針を改めるについては、大臣を含め厚生省の事務当局としては医療協議会にかけねばならない、この点については意見の一致を見ておるのだ。ところが、法律的にはそうであるが、しかし、今回の場合は大臣が政治家としての判断によってやらなければならなくなった。大臣の責任において決断を下したのだ、こういうような答弁があったわけですが、法律的にこうしなければならぬということで大臣もそれを認め、事務当局もそれを認めておる。そういう重大な問題について政治家であろうと大臣であろうと、法律にきまっておることは、それを無視して、あるいはそれを手続を経ないで一つの判断のもとに決断を下すということは私はどうも大臣であろうとだれであろうと、きめられた法律に基づいて行政を指導し、政治を進めていくということがこれは常識だろうと思うのですが、あなたの先ほどの答弁では少し納得いかぬのだが、もう一度一つわれわれにわかるように御説明を願いたいと思うのです。大臣ならば法律は曲げてもいいのだ、大臣ならば大臣の責任において、きめられた法律は左右してもよろしいのだと、こういうことになってくるならば、一般の国民が法律に触れるようなことに対してとやかくこれを取り締まるなんということはできないことだとこう思うのだが、その辺を一つわれわれに納得のいくようにお答え願いたいと思う。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○政府委員(森本潔君) 同じことを申し上げるわけでございますが、わかりやすく申しますと、治療指針の関係は医療協議会の諮問を経なければならないという解釈につきましては、これはみな一致したところでございます。厚生省として一致した見解でございます。大臣もそうでございます。それから大臣のお気持としましては、もうこれは何とかしてやりたいということは非常に強かったことを申し上げておきたいと思います。それからそういう前提でございますので、全委員を任命してやるということは、今の状況では非常に困難な事情がございます。法律で要請いたしますところの最低限度の要件を満たした委員で協議会を構成いたしまして、それに諮問をいたしまして答申をいただく、こういうことでございます。
○竹中恒夫君 今の答弁おかしいのだが、医療協議会の議を経なくても大臣の権限でできるのですが、あなたはできぬとおっしゃっている。できぬということを前提に関連質問に答えていらっしゃる。できるでしょう、大臣の行政権の発動で。どうですか。
○政府委員(森本潔君) これは法律の解釈上は、中央医療協議会に対する諮問をしなければならぬことになっております。
○竹中恒夫君 それはだれの解釈ですか。あなたの解釈でしょう。会へは、これこれを諮問すべしだけです。諮問しなくても大臣が単価をきめられる、非常な場合には、今回のような場合にはできるはずです。
○政府委員(森本潔君) 法律の条文におきましては、厚生大臣がこれこれのことを定めんとするときは、中央医療協議会の議を経るものとすと書いてございまして、定めんとする——今回の場合で申しますと、具体的に言えば告示をする、告示をしようとするときは医療協議会の議を経なければならない、こういうふうに書いてございます。
○竹中恒夫君 重大な発言ですが、そうすると、大臣に対して田川さんと同じように責任追及をしますよ。新聞にはっきり出ていますし、閣議で了解なさったのですから。僕はできると思うのです。それは窮屈な解釈です。大臣というものは、そんな小さい権限ではないはずです。最高責任者としてできるはずです。しかし時間がないからこの問題はやめましょう。 ただ最後に、医療協議会の問題についてもう一点お聞きしたいのですが、医療協議会が今のような構成比率で——あなた方の便宜のいいように今度は公益委員だけを任命なさった、それを見てもわかるのですが、はたして今の二十四人の構成比率が医療担当者が四分の一であって、あと四分の三が支払い側あるいは公益側の人であって、はたして適正な医療報酬表を審議する場であろうか、あるいはまた、あの法律によると医師を指導するのですね。指導、監督をすることについての、審議をする場なんですが、しろうとのそういう方々がはたして指導なり監督をするような事項について審議し得る能力があるかということについて僕は相当疑点を持っている。これはあなたを責めるのではない。法律できまったのですから責めるのではないのだが、そういうことからひいて今後国民皆保険になっていく場合には、慎重に考えを変えていかねばならぬと思う。これはあなたに答弁を求めるわけじゃありませんが、そういうことから考えあわせても、医療内容にまで入る医療協議会がああいう簡単な方法でやられたのでは、医療担当者が不安でたまらないということを最後に申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 次は私は病院ストの問題について横山委員から御発言があられるようですが、それに付随してやってもいいですが、病院ストの問題に関連してお聞きしたいのですが、先般衆議院で労働大臣なり厚生大臣の答弁を聞いているわけです。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始 めて。
○竹中恒夫君 では、非常に重大な医療協議会につきまする私の質問に対しましては、先ほど大臣がおいでにならないので局長から答弁がございまし て、また、私の質問の要点も確実にお伝え願いたいということを申し上げておりまするから、後日、十二分にお聞きいただきまして、御善処をお願い申し上げたいと思います。 次に私のお聞きしたいことは、病院ストの問題なんですが、病院ストが当然起こるべき原因があって私は起こったと思うのです。その原因につきまして、先般大臣も、あるいは労働大臣も、衆議院においてそれぞれ御答弁をなさっておられることが新聞に出ておるわけなんです。私、まだ議事録は見ておりませんが、一応、その新聞の報道によりますというと、二つの原因を分けて言うておられるようなんですね。結局、労使関係がきわめて未熟である、あるいはまた、経営管理が放漫と申しまするか、前近代的なやり方をしておる、封建的であるというような事柄、あるいは責任体制がはっきりしない。これは御承知のように、法、医師法、健康保険法、国民健康保険法、いろいろございまするが、この法律が一連性のない点があるわけなんです。従って、管理の立場にある院長と、そうでない院長もございまするし、経営者という立場もあり、そういう事柄がやはりストの——責任体制がはっきりしないことが一つのストの原因である、こういうことも言われておるのですが、あるいはまた、職種が非常に複雑であるとかいうようなことを言われております。従いまして、大臣がおっしゃるように、必ずしも医療費が安いから起きたのでないということは、それは言えると思うのです。その意味では、あくまでも人権闘争であると思いまするが、しかし同町に、待遇の改善が叫ばれておるわけなんです。一律三千円の引き上げだとか、あるいは最低一万五千円だとか、やはり経済闘争がこの中に入っておると思う。そういたしますというと、必ずしも医療費が安いから起きたのじゃないのだと割り切るわけにもいかぬところがあり、きわめて私は密接な関係があると思うのです。 そこで私はお聞きしたいのですが、先般、これも新聞の報道によりますると、大臣は、病院の経営合理化本部かなんかをお考えになって、第三者の公正な意見によって今後、近代的な経常管理を考えるのだという、非常に達見を発表なさったわけなんですが、それに関連いたしまして、いかほどにそういうように近代的な経営をするとしても、やはり待遇を改善するという限りは、経済問題が関連してくると思うのです。ここで私は一番問題にいたしたいのは、今ストを行なっております大病院の公共病院は投下資本も入れないわけです。従って、資本の償却もしなくてよろしい、あるいはまた、税の上におきましても所得税も払わなくてもよろしい、固定資産税も払わなくてもいい、ある病院などでは運営費などもある団体からもらっているというような好条件にありながら、今日医師を含めた従業員の待遇を改善することができないような医療費であるということを考えれば、これは文句なしに医療費というものは安いのだということは私は言えると思う。また、今日一般社会でもそういう通念でおりますし、大臣もそういう意味のことを折に触れておっしゃっておられます。そこでこの際日本医師会の方から三割の医療費の引き上げの要求がございますし、あるいは病院協会の方からも二割七分とか、いろいろ出ております。特に医労協、総評などにおきましても、低医療費政策に対しては相当批判されておられる段階にあるわけです。これはもとより大臣のおっしゃるように、まだ大蔵省とも話し合いがついておらない段階でございますからして、当然ああいう手ぬるい表現でなければならないと思うのですけれども、少なくとも今の段階でいよいよ予算がコンクリートになるこの段階においては、相当決意を新たにしていただいて推進していかなければならぬと思うのですが、その所信をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 病院ストの根源、原因の問題でありますけれども、これは今もお話の通り、また、労働大臣やその他の人が言っております通りに、病院の経営管理の中にまずい点があるということもこれは認めなければならぬと思います。何と申しましても、医学はこういうふうに日進月歩でどんどん進んでおりますし、建物や設備も近代的にどんどん改善されてきておりまするが、病院の事業体としての経営管理という点になりますと、どうもやはり少し言葉は悪いが、おくれているのじゃないか、もう少し近代的に、合理的にこれは考え直さなければならないのではないか、ここに一つの問題があるということは、どうもこれは否定できないように思うのであります。この改善にも何とかこれは取り組んで努力しなければならぬ、こう考えますのが、先般のお話の経営管理の懇談会の問題であります。ここで十分一つ検討していただいて、そしてそれもだらだらやらないで、三カ月期限でこれは切ってしまっております。そして結論を出してもらいたい、こういうつもりでその面はやりたいと思います。ところが、お話のように、いかに経営管理を合理化しまして合理的にやったところで、やはり依然として病院の経済が苦しいのじゃないか、こういう問題もやまやまあるように思えるのであります。何で苦しいのかというと、お話のように、建物や設備に対する投下資本をかかえている。公的なものは別としまして、こういうものもあるいは重圧を加えているかもしらぬ、ことに戦後念激に病院を復興し、また建物、設備を近代的にどんどん直してきておりますから、格別こういう方面の重圧もかかっているかもしらぬというような面の研究点もあるように思います。またお話のように、医療費が安いじゃないか、こういうところも確かに問題点だと思います。氏療費だけと、そういうことにはどうも私どもも前々から賛成できませんけれども、医療費が関係がない、こうは思っておらないのであります。関係があるのじゃないか、こうは思っておるのであります。ところで、医療費の問題は、きょうのスト解決の問題ということとは別に、もうそれとは別個にやはりこのストがあろうがなかろうが、医療費の問題は考えてみなければならぬ、こういうふうに思いますので、医療費の問題を実はいろいろ検討しておるところであります。困ったことに、竹中さん百も御承知のように、医療費の実態調査費が予算化されておるのに、ことしできずにしまった。実態を調べる基礎資料を得るための調査が不幸にしてできなかった。医師会の協力が得られないためにできずにしまったということでありまして、ほんとうの基礎的な資料が実は手に入らぬのであります、困ったことに。そこで、手の届く範囲で、手の及ぶ範囲でできるだけ資料を集めて、合理的なと思える数字をはじき出してみたい。そうして医療費の引き上げ問題はどの辺かという結論を出してみたい、こういうことで今一生懸命急いでいろいろな作業をやっておるその中途であるが、医療費の問題決して関係がないとは申しません。それからまた、ほっておいていいとは思っておりません、大ざっぱな見方からしますとどうも安い、これは私の大ざっぱな見方でありますが、安いのであります。何といっても二十七年の調査がもとになっておる、八・五%上がっておる。一年の年率が一%医療費の上がり方は。ところが、国民経済の方からいうと、国民所得だってこの通りで年率一〇%以上二十七年以来きておる。国民所得が賃金だってもっと高い率で上がってきておる。どうも全体論として非常に医療費が低いと私は思う。直接医療費をはじき出す基礎資料が得られないので非常に困っておる。まあ、あるだけの資料で一つ結論を出して、それをもとにして関係方面ともとっくり話してみたい、こういうことであります。 なお、私おりませんときに、カナマイシンの問題に関連して医療協議会のことについてお話があったようであります。あるいは十分話をまだ私は理解しておらぬかもしれませんが、私は医療協議会を早く起こしたいと思うのです。もう一年半も寝てしまったままになっているのはよくないと思う。何とかして起こしたいと思う。けれどもなかなか起こせないわけがあるから、こうして去年の七月から寝てしまってそのままになってしまったのはわけがあるからですが、そのわけが十分わからないわけでもありません。で、これをどうして起こすかということには苦心がいると思っておるのです。それなら医療協議会が寝ておるからといって、カナマイシンを犠牲にするのか、カナマイシンを使わせないか、一体どっちか。まず医療協議会、それからカナマイシンというのが今までの考え方で、そういうことを言ってめんどうな、なかなか起こせない問題にひっかかってしまって、カナマイシンはいつまでも使わせないのか、私はそういうことはできないと思う、どう考えても。そこで多少の無理は起こるかもしれないけれども、カナマイシンだけはせめて使えるようにしておきたい。手続だけ先にきてカナマイシンをたな上げにすることは私は逆だと思う。手続はきょうの段階で、もし曲りなりにも格好がつくようなことがあるとすればやっておいたらよかろう。つかぬことはせぬでもいい。手続を待ってやるということは反対だ、逆だ、こういうようなことで、あるいは多少無理をしました点に御批判があるかもしれません。重々初めからそう思っておりまして、仕方がない、そう私は判断したものですから、ああいうことをやったのですが、医療協議会との関連においては十分至らぬ点があったと思います。しかし、この医療協議会をその問題として、今度は、取り組んでこれを起こす努力をしていきたい、こう思っておりますので、十分御理解得がたい点もあるかもしれませんが、事情だけは一つお聞き取り願いたいと思います。
○竹中恒夫君 ただいまのカナマイシンの話は、厚生大臣のとられた措置はだれも賛成している。信念的な態度はりっぱだと思う。そこで、問題にするのは医療協議会というものを重要視しなければならない建前であるが、人命尊重の見地からこうしたということはわかるのです。ただ、医療協議会の開きょうに問題があるということで、先ほど来問題にしておったのでありますが、今の大臣の答弁によりますというと、医療費の問題はよくわかりましたが、当然これは医療協議会の議を経るべきだと思うのでありますが、やはりカナマイシンのようなことを場合によってはとるのでしょうか。念のために聞いておきます。
○国務大臣(古井喜實君) これは竹中さん、私がいかに乱暴でも、医療協議会にかけずにはやりません。ただカナマイシンのようにだれもよいと思うことだし、だれも異論がない、一人も国内にいけないという人がないというような問題なればこそでありまして、医療費の問題はこれは多くの議論をしなければならぬ問題でありますから、これは医療協議会にどうしてもかけます。
○竹中恒夫君 その場合に、今の委員の構成で公正妥当な結論が出るでしょうか。
○国務大臣(古井喜實君) これは実に頭が痛む問題でありまして、正直のところが何とかこの医療協議会議会が利害の対立した人の喧嘩の場でなしに、中正な公正な立場が医療協議会を支配するように、そういう医療協議会というものになれないものか。せめて構成の上で一挙にそういかないならば、運営の上ででも何か協議会がうまくなれないものかと私は思うのでありますが、これはもうちょっと研究さしていただかなければいけませんけれども、うまくなるべくいいあんばいにあそこで審議してもらって、公正な結論を出すように努力していただきたいというばかりであります。きょうは……。
○竹中恒夫君 締めくくり的に最後に御見解なり、大臣の所信をお聞きするわけなんですが、今までの御答弁によってよく理解をいたすわけでありますが、実際において病院の存在価値、病院の社会的な存在価値というものはある。がしかし、経営を、経済を考えた場合の、経済的な意味における病院の存在価値がないというような極論をされるほどに医療費の関係からして、経営者から言えば、病院というものはアパートにすればいいのだ、ホテルにすればいいのだということまで、現にそのように転向している一、二の病院もある。病院というものが国民皆保険の前提として社会的存在として意義があると同時に、経営的にも意義のあるようなものでなければいけないというのが厚生行政の終点だと思うのです。特に御理解のあるただいまの御答弁でよくわかりましたが、そういう悲願が早くなくなるようないい政治に持っていきたいと思うわけです。 で、皆保険につきまして、皮肉な着現によりますと、国民皆保険とは保険税の徴収の態勢ができた、しかし、医療給付の態勢はできておらない。無医地区が千以上もありまして、皆保険というものの徴税態勢ができただけで、医療態勢ができておらないというわけですが、本日のこの重要施策としての予算案を見ますと、僻地対策その他保険所の医師の充足費の問題等を見ましても、決して私はこれは十分な皆保険に対する態勢に来年度の予算を見ても私はないと思うのです。こういう点も十分にお考えあわせ願いたい。特に私、心配いたしますることは、日雇いの赤字の問題あるいは国保の先ほど来説明がございましたように、結核なりあるいは精神病の七割給付の問題、いろいろと医療費だけに限って来年度の予算を見ましても、相当大きな膨張があると思う。医療費の増額もございますし、百億や二百億の増額では、今の議論されている問題だけ解決するのにも、私は大へん困難だろうと思うのです。きのうの予算委員会で厚生大臣おられませんでしたが、池田総理の答弁の中に、ある予算委員が社会保障が大きく後退したのではないかと質問したのに対して、決して社会保障は後退いたしておりません、組閣当初の七月前後に減税は一千億円ということを申し上げた、自然増収は二千億円ということをあの当時は踏んでおった、ところが今日経済規模の拡大によって幸いなことには三千四、五百億円の自然増収が見込まれる、そのふえる差額の一千五百億というものは、公共投資並びに社会保障に重点的に使用いたしますという答弁が、きのう予算委員会でございましたから、どうかこういう諸問題について、この機会は絶好の機会だ、と思いますので、大臣の政治力を十二分に発揮してもらいまして、一応画期的な社会保障制度を拡充するんだという最初の池田内閣の施策がうそでなかったという結果を見るように御健闘願いたいと思います。それに対する大臣の決意のほどを最後にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 来年度の自然増収が七月ころ考えたよりも多そうだということは、池田総理も繰り返して言っております。何ぼかわからぬけれども、三千億を下ることはなかろう、その上は何ぼかわからぬけれども、少なくともそれくらいは間違いなしにありそうだ、こういうふうに言っております。それで当時よりは大きな数字が出るわけであります。そして社会保障の方面はこれはどこまでやってもかまわぬ、これでいいというところまでにはなれない、これでいいんだというところにはどうにもならないほど距離がある。何ぼ押してもかまわぬくらいに思うのであります。まあ極力努力はしていきたいと思っておるところでありますけれども、御承知のように、微力でありますので、御期待に沿えるかどうかはまことに心配でありますが、努力だけは極力してみたいと、こういうふうに思っております。
○横山フク君 ちょうど大臣がいらっしゃるところで大へん好都合なんでございますが、この前の委員会で医務局長に助産婦の問題について伺い、それでこの問題、今医務局長から、また藤田委員からこの問題大事なんだし、それに対しての対策を立てるべきだし、立てた結果を委員会に提出するようにというお話がありました。もうそれから相当の日時がたっておるので、きょうその問題について伺うつもりでありました。ところが、医務局長がまだそれは検討中であるので、きょうこの場合には待ってほしいということでありました。大きな問題ですから、まことに御無理のないことだと思いますので、一応私はその問題は了承せざるを得ないとは思っておりますが、しかし、ここで考えていただきたいこと、あるいは大臣に今度の予算にからんで予備知識というと大へん失礼ですが、考えていただきたいと思いますことは、今助産婦が非常に足りない、厚生省の方でも助産婦の充足をやっておる、これが厚生省の案では、今私ここに資料がちょっとないんですが、たしか四十五年、十年後に助産婦の不足を充足するという数字を出しているのであります。ところが、それは全部の養成所が定員だけを養成できるという形において、四十五年に充足できるという形になっておる。ところが、全部の養成所が定員を満たしていない、ある養成所では三人くらいしかいない、ある養成所は六人くらいしかいない、従いまして、この四十五年に充足するという形は、おそらく五十五年になっても充足し得ない形になっている。これは非常に大きな問題なんです。出産が減ったといいましても、年間百六十万余の出産がございますし、また、出産以外の過程においての妊婦というのも、その倍以上のものがあるわけなんです。そういう人たちを対象にして助産婦が五十五年になっても、六十年になっても充足しないという問題は大きな問題でございます。でございますから、全国の産婦人科学会でもこの問題を取り上げて、そうしてこのための委員会ができておる。そうしてその委員長が私にげたを預けた。この問題を解決するのは、私の責任であるという形で私はげたを預けられております。いつもその学会の委員長から私にその後どうなったかと督促を受けております。どうして私にげたを預けたかと言いますと、その場合に、この充足には教育程度を下げることにおいて充足するという形を学会の方では出しているわけです。ところが、私は教育程度を下げてもこれが充足はできない形、というのは、中等学校出た、だけで助産婦になっても、はたして助産婦としての機能を満たし得ないであろう。というのは、臨時応急の処置という場合においては、単独において、医師の監督なくして、医療行為、医師行為までできるわけです。そういう形の助産婦が、中等学校出ただけで、通信教育受けた程度の助産婦で、そういうことをするということは、人命問題から言ってもゆゆしい問題でありますので、私はこれをはねた。これは医務局長も私と同じ意見です。ことに妊婦の保健指導をする場合において、その一般雄婦が高等学校を卒業した人たちが七割、八割にいく時代において、その指導をする助産婦が中等教育だけであったのでは、これは指導をする対象にならない。でございますだけに、私はこの問題だけはがんとしてはねている。それだけに産婦人科学会は私にげたを預けた。これは教育程度を下げるのではなくて、助産婦の生活といいますか、将来に対しての明るい見通しがなければ、助産婦の需要供給の関係で助産婦になれない。その助産婦の職業がよければ、またほかの職業がよければ、その職業にどんなに高い月謝を払っても、どんな長い年月の教育を受けてもその職業に行くと思うんです。でございますから、ただ教育程度を下げただけで、この問題が解決できるという考え方は違っていると思いますし、医務局長もそう思っている。それならばどういうふうにしたら充足できるか。教育程度を下げただけじゃ充足できないと言ってがんばり続けていては解決できない。どういう形かで解決しなかったら、産婦人科病院は非常に困ることは私はわかっております。私がはねつけているだけでは済まされない問題だと思います。でございますだけに、医務局長にこの問題を迫っております、医務局長も、この問題は簡単に解決できないと思います。政治問題として解決しなければならない問題だと思うわけでございます。それだけに厚生大臣におかれましても、カナマイシンをもう就任早々に御解決になるくらいの御鋭敏なる厚生大臣でいらっしゃいますので、こういう問題についても私は解決をしていただいて、そうして産婦人科学会の方々のまことにごもっともなる要望であり、そうして私たちの考えているもっともな考え方に順応していただいて、どういう形で、助産婦を充足するためには、こういう形をやろうといったような施策というものが、私は医務局として、厚生省として当然立てられなければならぬ問題だと思う。で、簡単な問題でございませんから——あれから今日までに医務局でまだ立てられないし、目下成案中であるから、もう少し待ってほしい、こういうのは私はごもっともだと思います。思うのでございますが、いつまでも待っておりましたら助産婦は全然なくなってしまう時代がくる。開業助産婦だけが、今、余っておりますが、これも平均年令が五十三ということでございますから、やがては断層でもって、どたんとなくなる時代がくると思う。現在入院がふえた、ふえたとは言いながらも、日本の全体を見ますると、開業助産婦によって分べんを扱われる数がまだ六割ございますだけに、この問題は解決しなければならぬ問題でございますので、厚生大臣にこの問題に対して特別の御配慮、政治的御手腕をおふるいいただいて、この問題についての解決のめどをおつけいただきますことを切にお願いしたいと思う。厚生大臣先ほどの、御答弁という形でなくて、御決意のほどを伺わせていただくということで御答弁いただきたいのでございますけれども。
○国務大臣(古井喜實君) 今、お話を伺っておったのでございますが、そこでどういうふうにしたら一体おっしゃるような結果が得られるか。つまり先に楽しみができないとこれはやはりいけませんでしょうね。その辺の、こういうふうにしたらという御意見は、局長や、みな伺っているでしょうし、私もよく聞きまして、これはよく研究さしていただきたいと思います。
○横山フク君 研究をしていただいて、そうしてその実現に努力をしていこうというようなところまでおっしゃっていただかないと、研究さしていただきたいだけでは、私の方じゃどうも満足できないわけなんでございまして、これは研究の上、その実現に政治的に御努力下さるという形に了承してよろしゅうございましょうか。
○国務大臣(古井喜實君) 研究しまして、こうだといういい案があります限りは、これはもう実現するように努力をいたします。研究しません分には、案があるのやらないのやらわかりませんもんで申し上げたのですけれども、むろんそういう意味であります。
○横山フク君 一応この問題は時間も限られておりますのでこれで終わりといたしまして、次に伺いたいのは、厚生大臣は医療費を値上げするというようなニュアンスのあるお言葉をどこかでおっしゃったのを私も伺っておるし、この委員みんなも伺っておるように思うのでございますけれども、私は医療費はもちろん値上げしてほしいと思いますし、今度の病院ストも人権問題いろいろございましょうけれども、病院ストの主体をなすものは、やはり看護婦の問題だと思う。そして世間の同情もこの看護婦の苛酷な労働条件においての同情があるのがあの病院ストが、今日何波も押し寄せながらも、なお病院ストに関して同情的な目で見ておるのは私ここにあると思う。でございまして、看護婦の賃金だけを上げるという形であったのでは、これは解決できないと思う。労働時間と賃金とは背中合わせ、うらはらのものだと思う。この問題を解決していただかなければならぬと思うのですが、これは大臣には御質問申し上げないで、医務局長に伺いたいと思うのですが、今日四ベットに一人の看護婦という形になっております。でございますが、四ベットに一人の看護婦でこれが適正な労働量であるとお思いになるかどうか。実を申しますと、赤十字の方からの資料を坂本さん並びに私から要求したのでございますが、赤十字の方から坂本さんに対する資料はここに提出されましたけれども、私に対する資料は提出されてない。と申すのは、あのときに藤原委員からも御質問がございましたが、ある人は連続三十何時閥労働した。そのために患者がベッドから落ちてあったのも知らなかったというような形があって、非常に苛酷な長時間の労働をやっておったということがあったところに……、日赤の葛西さんは、それはたまたま急患があったのだ、こういう形の答弁があったのです。急患じゃなくて常にそういう形をとっているわけなんです。でございますので、この労働時間というものが考えていかなければならぬ問題、その労働時間を考えるきめ手というものはやっぱり四ベッドに一人の看護婦という形がここにあると思う。で、まあ時間がございませんので一間一答式にしませんで、私が申し上げたいことは、四ベッドに一人が私は苛酷な形になっていると思う。と申すのは、すでに非常に苛酷であって、毎月八日から十日というものは深夜作業をやっている。そして同時に、中労作から重労作にあるし、労働率というものは八五%から九三%、ほとんど出ている間じゅう動き回っているという形が、もうここで労働科学研究所から報告が出ているのでございます。でございまして、四ベッドに一人という形がすでに苛酷な……、ところが、厚生省医務局は四ベッドに一人をそのままに持続していった。それだけじゃない。今度四ベッドに一人ですから四十ベッドに十人の形になるのですが、この十人の者を看護婦と準看で埋めておった。それを保険局に押し切られちゃって、十人の者を西、四、二でもって雑役を二人入れてしまった。今まで雑役の二人は定員外であった。ところが、その雑役も題ベッドに一人の、こういう十入の中に入れてしまったために、雑役をはずして、そして看護婦のほかに置いているところは幾つもなくて、ほとんど全部が雑役も看護婦の中に入れた形においてやっているだけに、なおそれが苛酷な状態。それだけではない。今度は完全看護という形をとった。そしてこれが四ベッドに一人という形が完全に守られたときにはつき添い看護婦というものは取り去ってしまった。四ベッドに一人の形を置いたときには、つき添い婦というものはそれぞれについていた。その当時に四ベッドに一人ということをきめたわけです。その後において、四ベッドに一人の形を保険でとるならば、完全看護である基準看護であるからつき添いは要らないという形になりましたので、そこで労働がオーバーした形になるその上に雑役婦を四、四、二という形で入れたために、さらに看護婦の労働量がオーバーした形になった。それは医務局ははっきり肯定なさると私は思うし、また、ここに結果も出ている。看護婦の労働量というものを各病院で御調査下さればそれははっきり出ている。それだけではない。新生児、あるいは未熟児、これはベッドの対象になっていない。ですから四ベッドに一人でもって、四十ベッドに十人といった看護婦の中に、産科であった場合に、新生児、未熟児があった場合でもそれは四ベッドに一人の看護婦のままで、その新生児を見ない。お母さんだけに四ベッドに一人という看護婦でもってやられている。だからこの間のような相模原のような事件が起きたのも、私から言わせたらやむを得ない事件だと思っている。これではいけないと思うのです。なるほどあの保育児の点数は見ています。あるいは入院に対しての二十五点、未熟児に対しては見ております。ですけれども、基準看護の中には四ベットの割合に看護婦が割り当てられていない。未熟児はだれもが見ることのないような形になっていて、それでなおかつ黙っているという形は、私は医務局が少し横着だと思います。のんきだと思うのです。未熟児ほど私は看護婦の手がかかると思うのです。その看護婦を一つも見ていないという形であったら、これはいけないと思う。ですから、看護婦の労働量が過重されるのは当然な形だと私は思うのです。これに対して医務局長はどうお考えでございましょうか。
○政府委員(川上六馬君) 四対一と申しますが、御承知のように、標準でございまして、この病院の状態によって、たとえば重症が多いような病棟では四対一ではありません。それから軽症が多いようなところではそれほど要らないというようなことで、全体としてその辺はあんばいをいたしておるようでございます。 この四対一を、苛酷だから変えるかどうかというような御質問のようでございますけれども、御承知のように、現在まだ四対一に達しないところがたくさんございますので、まず四対一を一つ励行させるようなことが先決であろうというように実は考えておるのでありますが、しかし、御指摘の未熟児の問題などにつきましては、特に手のかかることで、そういう点につきましては、四対一で足りないと思いますので、この辺の指導はやっていきたいと思うわけでございます。この辺は基準看護の問題にからむ問題でございまして、また、よく御相談をして参りたいということでございます。全体の基準の問題になりますと、ただいまお話のように、検討を要する点があると思います。よくまた調査委員会あたりにおきましても御検討を願いたいというふうに思っております。
○横山フク君 四対一が標準だということは私はわかっております。医務局では標準です。しかし、入院料の保険の単価をきめるときに、その四対一の、四ベッドに一人の看護婦で、入院料の採算の根拠をなしているのは、四対一で九点の基準看護料になっている。それから未熱児が手がかかるから四対一で間に合わぬとおっしゃるけれども、四対一もついていない、四対ゼロです。全然ついていない。これはいけないと思う。当然未熱児だったならば、保険の対象になっていないからとか、あるいは保険の対象に平常産がなっていないから、未熱児もそうでないとかというような形にしないで、入院している限りにおいてはその人に手がかかるのです。そうしたらば、未熱児において四ベッドに一人か三ベッドに一人でもいいはずです。ところが、四対ゼロのような形でそのまま保険局に押し切られるという形であったら、これはいけない。ですから入院料が完全給食、完全看護、完全寝具でもって六百円にならない。今日、団体旅行でも六百円でもってやっている。それが病院等では六百円ではなかなか団体旅行だってやらないくらいです。それが大病院でもって完全看護、完全給食、完全寝具で六百円にならないでやれるはずがない。そのしわ寄せばどこにいくかといえば、結局看護婦さんにきているのです。であるので、ここのところはどうしたって直さなければならない。未熱児のゼロという形はないし、新生児もゼロなんです。ここでは医務局と保険局との関係ですから、医務局長がここでもって御答弁しにくいの私わかります。でございますが、このところは基本をなす、その基準をなすのは、私、医務局の算定だと思う。つき添い婦を除いて完全看護だ。それで四対一には及ばないとおっしゃる。その四対一の、四ベッドに一人ときめたときにはつき添い婦がついておる前提において四ベッドに一人だった。ところが、それを四ベッドに一人だったら、基準看護だからつき添いは要らないという形でもって、つき添いもとって、認めないのです。ですから、今日ごらんなさい。重症者の入院はお断わりですよ。はっきり重症者の入院お断わりと言ったらば、これは人道問題ですから言いません。でございますが、重症者の場合だったらば、今ベッドがあいてませんという形で断わるということを聞いております。私この間ストの起こった病院で聞いておる。重症者の人たちが来たときには、重症者は手がかかって四ベッドに一人どころでやり切れないのです。ですから、もうこういう重症者でなくて軽い、手のかからない人たち、そういう人たちだけの入院で、保険の点数はどっちでも同じならば、そういう手のかからない人たちでもって入院埋めちゃった方が病院経済からもいいし、こんな形でもって医療保障がなっていったらばおかしい話だと思う。医療保障というのはそういうのでなくて、ほんとうにかゆいところに手が届くような、そうして重症には重症として手厚い看護をしてあげるのが私は医療保障だと思うのです。これがいびつな形になっている。経済に押し切られて医療というものの実体がお金に押し切られた医療保障という形になり切っちゃっているところに私はこのガンがあると思う。こういう点に対して、もう厚生大臣の御答弁も要りません、もうお聞きいただくだけで、あとはそれをお考えの中にお入れ下さって、おそらく何かのお考えを明敏な大臣はお出し下さると思いますので、私はここで打ち切りますけれども、どうぞこういう問題も考えていただきたいと思う。 それからもう一つ伺いたいことは——まあこれはあとでしましょう。今度報告をいただいてから後にすることにさしていただきます。 今度予算の問題でございますけれども、老人ホームをお作りになる。非常にいいと思うのです。ところがこの経費、老人ホームで経費として六千円お取りになる。生活保護法でも、たしか老人ホームは六千円ちょっと出る形であると私は思っております。でございますが、国民年金は、将来の、先の、現在じゃない、将来において三千五百円をもらえるのですね、やがて六十五になりますと。そうすると、そのときには六千円の老人ホームがおそらく七千円か八千円になっているだろう。三千五百円もらうという形だと、老人ホームにも入れないという形になるのですけれど、これは国民年金として妥当な線ではないと私は思うのでございます。まあ将来老人ホームにぐらいは国民年金でもって入れるような形を私はとるべきであろうと思う。これは年金局長もおられるのですが、将来は老人ホームぐらいは年金で入れるような形が私は理想であると思うのですが、年金局長はどうお考えになるのでしょうか。
○説明員(小山進次郎君) 先生の仰せのごとくそれは理想でございます。(笑声)
○横山フク君 では理想だそうですが、(笑声)まことに明快な御答弁だと思いますが、でございまして、この理想は、やはり政治というものは、理想に向かって実現に努力するのが、私は政治家の務めだと思う。大臣におかれましても、その年金局長が理想であるとおっしゃったし、その理想に向かって当然御努力下さるのだと思うのですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(古井喜實君) 理想に向かって努力いたします。(笑声)
○横山フク君 どうもこの問題は私としては言いづらいところなんで、それ以上私は言いませんが、もう一つ伺いたいことは、これは保健所の問題でございますが、保健所の定員が五百人増加する、これは五百人の増加では私はおそらく足らないし、いろいろの問題で保健所にいろいろ仕事が負担されている。ますます負担されることも、私たちの関係の問題からいっても——未熟児の問題からいっても、あるいは妊産婦の保健指導からいっても、家族計画からいっても、何からいっても、たった私たちの関係だけからいっても、足りないと思うのでございます。でございまして、たとえて言ったらば未熟児の問題を取り上げましても、国で取り上げて、そうして未熟児対策を考えられた。ところが、保育器を保健所につけられた、しかし保育器を使うために保健所の方から保健婦さんが行くころにはもう子供は死んじまっていると、こういうような形、あるいは未熟児として病院にお入れになり、退院してきた、保健所の保健婦さんが指導をしようとしても手が足りないから指導できない。せっかく国のお金でもって未熟児を病院に入れて、そうしてどうやらというか、成熟児に近いところにもってきた、しかし、その退院してから後の指導が十分でないために、せっかく国のお金を使っていながらその子供が死んでしまうという形になって、お金の浪費という形になっている。これは非常に残念だと思う。ですから私は、保健所の保健婦さんなりあるいは助産婦さんなりの定員増を考えなければならぬと思う。五百人で足りないと思う。でございますので、これを千人なり二千人なり、もっと充足する形をとらなければならぬと思っておりますが、伺うところによると、この予算さえも地方においてはそれを消化し切れないというのは国の補助率の関係だと思う。この補助率を大きくしなければこの問題は解決できないと思うのでございますが、厚生大臣におかれましてはこの問題に対してどうお考えでございましょうか。
○国務大臣(古井喜實君) 今厚生省の方では、補助率を上げるか単価を上げるかということの、どっちかという問題がありまして、単価を上げるという案の方をとっていく、こういうことの実現を従来考えてきているようでありますので、そういう線でこれは努力をしていきたいと思います。
○横山フク君 もう時間がございませんので、またこの次にいたします。
○鹿島俊雄君 この際、医療金融公庫に関しまして大臣並びに医務局長のお考えを承ります。予算の画を拝見いたしますと、非常に、資本四十億増、借入金六十億で、運営の面につきましてはこれで当初の目的は達成し得ると思います。ただ問題は、現在の公庫の運営状態なのであります。まだ確定的にこの運営を批判するということは少し過酷とも存じまするし無理と存ずるのであります。今まで私が聞きました点を二、三欠点を申し上げます。 第一は、公庫の設立の趣旨が末端においてゆがめられたのではないかという感じがするのであります。具体的に申し上げますると、いわゆる委託いたします金融機関、受託金融機関が扱いについて、むしろこの公庫の金を借り入れいたしまする手続その他について非常に繁雑である。従って、直接その委託いたします金融機関自身が貸す、こちらが借りるというようなところにだいぶ誘導があるようであります。従って、せっかくできました公庫であるにもかかわりませず、その受託機関と医療団体あるいは医師会、歯科医師会等々と特定契約を結んで、医療金融の道を講ずるということが盛んに起こっております。これは公庫の設置から見ますると、まことに変態的であり、おかしな現象だと思うのであります。これにつきまして何とか受託機関に対しましてもこの趣旨を徹底せしめることが必要である。もしその趣旨に沿わない機関であれば、この委託を取り消すくらいの勢いでございませぬとうまく参らないと思います。 それからその際になお、さような現象がございまするので、医療機関の方では借りに参らない、また参りましてもどうも担保主義である。すなわち力のある面に貸し出しがスムーズに行なわれるというような現象が多いようでございます。そうなって参りますと、本来公庫ができました設立の趣旨というのは曲げられまして、いわゆる一般金融機関の貸し出し対象にならないような、弱い担保力のない機関に貸すというのが本質でありますが、これがゆがめられて参りますと存在の意味がない、かようなことがあるようであります。従って、こういった面に関しましては、十分に緩和をいたしませぬと、増資をいたしましても意味がないということであります。 第二点は、この公庫が資金量の少ない点からと思いますが、業務方法書のきめ方等から見まして僻地対策のような、無医村対策のような形が出て参ります。初めから貸し出しをしぼるという形が出て参りました関係上、あまりに公庫に借り入れの申し込みがない、現在八十三億程度の審査が行なわれておるようでありますが、われわれの想像したものよりはるかに下回っておるという現状であります。従ってこの運営等につきましては、資金量がふえますればこれを改訂しなければ趣旨に反する、かように存じます。この点につきましてのお考えを承りたいと思います。 それから第三点は、これは少しく行き過ぎた点かと存じますが、かような状況は私ども当初多少懸念いたしておりました。従って公庫自体が直接に貸し出しを行なうという直接貸しの道をやはり開いておきませぬと、ますます今のところまかせきりであります。従って弱い、何といいますか、力のない診療所の設備改善というものはできません。こういったことから直接貸しをいたすためにも支所を設けるということが必要であろうと思うのであります。この三点について簡単に大臣、あるいは医務局長でけっこうでございます。
○政府委員(川上六馬君) 金融公庫の貸し出し状況が答申の趣旨に反する、委託機関が勝手なことをしておると申しますか、そういう点については大蔵省とも打ち合わせまして、十分な指導監督をしたいと思います。悪質のものにつきましては処分もやむを得ないと思います。 それから資金量が足りないから自然非常に貸し出しに制約がある、これを緩和する必要があるだろうというお話でありますが、何しろ現在の基準を設けましても現在は八十七億ばかりの申し込みがあるわけでございますけれども、あるいは年度末までには百八十億ぐらいになるのじゃないかというふうにも考えられるわけでございます。わずか貸し出し金は御承知の通り二十九億五千万円しかございませんで大へん不足をいたしております。来年度は相当増額をいたさなければならないのであります。しかし、あの基準をすぐゆるめるかどうかということにつきましては、現在のところまだそこまで考えていないわけでございまして、今後の貸し出上の状況を大いに検討してそういう点をきめていきたいと思っておるわけでございます。 それから直接貸しの問題につきましても今のところ支所を設けてやるかどうかということにつきましてはきめておりませんけれども、これも一つ研究して参りたいと思います。
○鹿島俊雄君 医務局長の答弁でありますが、この公庫の性質から見まして、当然支所を設けるべきものである。当初十億の資本金、二十億の借入金等ではとうてい支所を設け得るはずがない。他の公庫の状態をごらんになってわかります通り、当然これは支所を設けて監督をしませぬと何にもならぬことになる。今の状態で推移いたしますと、かえって中小企業金融公庫あたりのワク内で操作した方がいいというような形が出てくる。そういう方向に行っております。従ってこの点を十分お考えにならぬと、今の御答弁ではどうも満足できないと私は思います。それからとにかく担保主義になるということはどうしても金融機関の通弊でございます。いわゆる安全度を考えますと、償還を考えますと、担保主義、そうなるとますますこの公庫の存在の意味がない。担保力が旺盛であって償還能力があれば、こういうものは必要がない。なぜこうなったかということは御承知の通りであります。今の医療報酬は、安い低診療報酬下で診療設備の改善もできないということで、昭和三十六年に単価引き上げの要求の代替として政府みずからが医療給付の道を講ずるということでできております。従ってこの点非常に重要な意味を持っておりまするから、やがてこれが医療内容の改善に直結するわけであります。医務局長はもっと強くこの問題を私どもから申し上げる前にやっていかなければ存在の意味がないということを申し上げておきます。 最後に、大臣にどうか一つただいまの趣旨によって、強力にこれを育成した、直接もちろん御監督の任にあるわけでありますから、十分にこの点を考えられて、この運用が今の低診療報酬にあえいでおります保険診療機関の唯一の希望でもあります。そこで完全な施設の改善ができる。また陳腐化した諸般の施設の改良もできまするし、理想的な診療所施設の完備もできる。特に皆保険なり低診療報酬の世界では、これなくしては改善ができない要素をお考えいただきまして、これに対する育成を目ざして最後に御決意を承っておきます。
○国務大臣(古井喜實君) 金融公庫は発足してからまだ間がないことでありますから、やってみた実績上いろいろ検討すべき点はあろうと思います。これは実績をもとにしまして御意見を伺い、そして直すべき点は直す、こういうふうにすべきものだと思うのであります。何しろ資金ワクが今の程度では支所も何もまだちょっとそういう格好まできませんので、資金ワクをやはりもう少しふやすことが必要だと思うのであります。今お話のように、やはり建物設備というものを、ぐんぐんこれは新しくまた近代的に改善していきたいのでありますから、さればといってそれを皆医療費にかぶせてきましては、今度は医療費が重くなってたまらないですから、やはり別途今のような公庫とか、またもとにさかのぼれば低利の長期融資とりか、そういう一方突つかい棒を考えまして、そうして両々相待ってやっていくことがいいのだと思いますので、この問題はできるだけ努力していきたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○田畑金光君 私、関連といっても先ほど竹中委員の質問に関連するわけですが、さらに実は大臣が見えられて医療協議会の問題で答弁をなされましたので、その問題について念を押すために二、三お尋ねしたいと、こう思うのです。先ほど大臣の答弁にありましたように、カナマイシンの採用ということは手続の問題で長く放置されてきた、これは遺憾なことであると、私も同感でございます。人道問題であり、保険医療の内容充実の問題とか、しかもまた患者やあるいは医学界等から強くその採用を要望されてきたカナマイシンの問題が、医療協議会が開かれなかったということで長い間放任されてきたことはまことにこれは遺憾だと考えるわけです。そういう点において大臣の今回とられた政治的判断、あるいは処理については、われわれとしてもうなずけるのでございますが、ただ私ここで念を押したいことは、この問題は渡辺、中山前厚生大臣の時代から今日まで、この問題はこじれたままにきておるわけです。新大臣が登場されたとしても同じ与党の政府がずっと続いてきたわけで、それが今日までこのような事態に置かれてきたということは、今大臣がかわったから政治的な判断でこういう処理をした、こう言われても、今まで一年前後にわたってこれがこのように引き延ばされてきたという政治的な責任の問題は、これは明らかに残ろうかと思うのです。あるいは責任の問題というよりも、この問題についてはもっと掘り下げて考えなければならぬ点があると私は思うわけです。この点について大臣としてはどういうお気持でおられるか、まずそれを承っておきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 今の御質問、掘り下げて考えなければならぬ問題と、ちょっとなぞのようにそこをお話しになったのでありますけれども、あるいはこれは医療協議会の問題かもしれぬ、医療協議会がああいうふうにできそこなってきておる、その原因というか、問題かもしれぬとも思いまするし、あるいは他のことであるかもしれぬし、ちょっと……。
○田畑金光君 その問題でよろしいです。
○国務大臣(古井喜實君) その点でいいのですか。血のめぐりが悪いものですからよくわからなかったのですが、その問題ですか。
○田畑金光君 その問題に答えて下さい。
○国務大臣(古井喜實君) その問題のほかにも何かありそうなふうにも私ども思いますので、そこは知恵をめぐらしておりますが、とにかく医療協議会がああいうふうに去年七月以来一年半も寝ておるという一つの事実ですね、大きな。これは御承知のようなわけがあるわけですね。つまりあの法律に基づいて加わってもらわなければならぬ各方面が、全部が容易に乗ってくれない、全部の委員が簡単に満たせない、そこでのけものにしておいて、乗ってくれない者はのけておいて、あとだけやってしまうと、あとガンが残る、こういうわけで寝てしまったわけですね、医療協議会が。しかし、これはいつまでもそういってこれも置いておけないと思う。私はさっきお話がありました医療費の問題になりますと、どうしても医療協議会にかけなければならぬ、ほうっておけないと思うのです。これはこれとして、いつまでも時間をおかずに、一つ何とか片をつけたい、寝ておる者を起こすように、片をつけたいというふうに今もって考えておる途中でありますので、そこまでしかよう言いませんが、何とかこれを起こしたい、ない知恵をしぼっておるところでございます。
○田畑金光君 起こしたいということもよく私わかりますが、先ほど森本局長の答弁を聞いておりまして、それにも関連しますが、新薬の採用であるとか治療指針を改めるとか、こういう点については法律的には医療協議会の議を経なければならない、こう明確になっておるわけです。健保の四十三条の十四にこれは明示をされておる、法律的にはそういう明示にはなっておるが、そういうようなことも考えながら、しかも厚生大臣としては諸般の情勢から見て採用に踏み切ったわけである、それは私はよくわかるわけです。ただ問題といたしましては、先ほど私がお尋ねしましたように、従前、歴代内閣の厚生大臣がこの問題でからみ合ったまま、調整をつけられないまま今日にきておるわけです。おそらく厚生省の事務当局もそうだと、こう思うのです。私はやはり日本医師会と厚生省当局との円満な将来の関係をどう維持し進めていくかということは、われわれは考えなければならぬ問題だと、こう思うわけですが、そういう点から見た場合、やはり私は歴代の厚生大臣がこの問題で悩みに悩み抜いて、結局解決できざるままに新大臣に移ったということは、そういう点に大きな問題があったと、こう思うのです。やはり私はこれは別に厚生事務当局の立場に立つとか、歴代の厚相に同情するとかいう問題じゃなくして、今回の英断というものは英断として、われわれも諸般の情勢上、これを認めるわけでございまするが、ただ今後の厚生行政が、やはり民間の団体とあくまでも話し合いが対等で維持できるような、そういう考え方でやはり新大臣としても事に当たってもらわなければならぬ、こういうような点をわれわれは、はたから見て心配するわけですが、その点は大臣としてはどのように観察されておられるか、それをまず承りたいと思うのです。
○国務大臣(古井喜實君) それで、端的に言えば、医師会との関係が非常にむずかしいことになっておったわけであります。この問題は、あのままの姿がいつまでも続くということは好ましくない、困ったことだと思うのであります。それで厚生省の側として考えましても、厚生省は、利害が対立した医師会あるいは社会保険の関係の他の団体、医師会と利害が必ずしも一致いたしませんね。で、そのどっちかの、二つ対立したものの片方の中に厚生省が巻き込まれて、対立の片棒をかつぐということになってはいかぬ、厚生省は中立的な立場に立たなければならぬと私は思うのであります。ともかく厚生省と法師会の対立、これはおかしなことだと思うのであります。どっちとも対立してはならぬ、中立的な立場でなければならぬと思うのであります。そういう方向に厚生省が河とか歩いていくようにできないものか、こういうふうに私は基本を置くのであります。むずかしいことかもしれませんけれども、そういう方角に行かなければいかぬものだろうと思うのであります。今の、先ほどお話が出ておりました医療費あるいは診療内容の問題につきましても、経済優先、つまり経済をかつぐ方の、負担する方の側の意見が主になってきまるというような行き方も、片寄っていると思うのです。これも進んだ医学というものがあるのですから、そっちの方の立場ができるだけ取り込まれなければならぬと思うのであります。やはり何とか中正的な立場に厚生省が立てないものか、そういうふうに歩いていきますれば、それに対して医師会がひどくけしからぬとか何とかいって、厚生省を敵だと、こういうふうにされるようなことは、そういう立場であるにかかわらずこれは少しそっちの方が悪いと、こういうふうに私は思うのでありまして、われわれの行き方についても考えなければならぬ、同時に理解もしてもらわなければならぬ、こういうふうに基本的に私は思うのであります。
○田畑金光君 まだ二、三ちょっとお願い上ます。あと三点くらいですから、十分時間を考慮しながらやらしていただきます。
○委員長(吉武恵市君) 田畑委員、通告順に……。待っておられますから、できるだけ簡潔にしていただいて……。
○田畑金光君 わかりました。大臣の御答弁よくわかりまするし、私もやはり厚生省はあらゆる団体に対して公正中立でなければならぬと、こう思うので、今日このような関係に医師会とあるということは、まあ言うならば厚生省の不徳のいたすところだと、こう考えるわけです。そこで先ほどの御答弁にもありましたが、医療単価が現在の水準から見ると安過ぎる。安い。このことは一般的な常識として認めさるを得なかろうと思うし、また病院ストの問題等から考えてみましても、価の問題の再検討は当然急がねばならぬ問題だと私も考えるわけです。そこで先ほどの御答弁によりますと、昭和二十七年前後の資料に基づいて八・五%の前回の医療単価の値上げが行なわれた。年率一%前後である。これはよくわかります。そこでやはり厚生省があらゆる団体に公正中立であるためには、医療担当者はもちろん、被保険者、保険者、各団体のやはり了解のもとに適正な結論を生み出すことが必要であろう、こう考えておるわけです。そういう点から見まして、先ほどの大臣の答弁によりますと、ことしの予算に医療実態調査費が計上されたが、現実にこの予算は消化されざるままに今に及んでおる、こういう御答弁でございます。してみますると、やはり今回医療単価をどの程度上げるかという問題については十分客観的な資料、科学的な調査、検討に基づいて当然結論を出されるものと、こう考えておりまするが、一体この点はどういう、厚生省としては方針でおられるのか。私は大臣の衆議院の社労委員会における答弁を新聞で拝見いたしましたが、次の予算に間に合うように、来年の四月からは値上げが実現できるように、こういうような御方針のようでございまするが、それはけっこうだと思います。してその実施のための原案というか、厚生省の事務局案と申しますか、それはどういうような検討のもとにお出しになる準備が進められているか、これをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 今お話しのように実態調査をほんとうはやりまして、そうして実態を調べて、それを基礎にして医療費の問題は考えるのが本格的であると思います。まあずるく言えば、実態調査ができませんから、その調査の結果を待って一つ医療費の引き上げは考えますと言っても、私は仕方がないと思うのです。基礎がはっきりしたものができないのですから。けれどもそうはいかない。やっぱり医療費には無理がある。こういうことになりますから、仕方がない、手元にあるだけの、せめて手の届く限りの資料をそれではこれから整えて、不完全ではあろうけれども、しかしできるだけの、最善の資料で、この際この医療費の問題を片をつけるほかはないし、そうしたいと、こういうところで、私どもは苦しいのであります。一方実態調査はさせてもらえない、医療費は上げなきゃならぬ、困ってしまうのであります、実際。ありますが、しかしいつまでも実態調査をさしてもらえないわけでもありますまいし、また実態調査をした結果、きちんとした、だれしももっともだという資料ができますればまた考えてもいいわけですが、この際はそこまではいきませんから、手の届く限りのことをやっていくより仕方がない。これはいろいろ苦心をして、曲がりなりにももっともだという数字を出したいということでありますから、そういうことをやっておるのだという辺で御了解願っておきたいと思うのです。
○田畑金光君 それで端的にお尋ねしますが、私は今の大臣の答弁非常に遺憾だと思うのです。残念です。やはり実態調査がなされて、科学的な検討の上に立って数字が出てくる。そうして初めて各関係団体も納得の上に立って、医療費の値上げの問題についても国民の世論の上に立って推進ができると、こう思うのですが、それができないという現状は、まことにこれは遺憾だと思うので、その点は、先ほど大臣は掘り起こしてだんだんこれを調整していくという言葉がありましたから、十分今後これを掘り起こされて、こういうような点についても、国民の側から見ても不満の起こらぬように調整を進めていただきたい。そこで念を押しますが、先ほどの質問にもありましたが、この医療費の値上げの問題については、医療協議会の議を経て、あくまでも関係団体の了解のもとに、これを推進をなされるという大臣の御決意であるかどうか、これを承りたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) この点は、先ほども申しましたように、医療協議会にぜひかけてやりたいと思っております。参加してくれないといえば仕方がありませんよ。かけましても、関係団体が加わらぬというのでありますれば、関係団体がそこで発言をされる機会はなくなると思いますが、しかしかけなければならぬ、どうしても医療協議会に。で、できるだけもう関係団体に参加してもらうようにこっちも懇請して、そうして参加してもらって、医療協議会にかけてやりたいと、こういうふうに思っております。
○田畑金光君 時間がありませんで、まことに残念ですが、端折ってお尋ねしますけれども、今の御答弁の中で、もう一度念を押したいことは、参加しないときは参加せざるがままに協議会を開いていかれるのか。もちろん最善の努力をされることは了解できますが、ただ私のお尋ねしたいことは、法律に明示され、しかも国民経済あるいは保険財政に非常な影響を持つ医療費の単価の値上げの問題については、十分やはりすべての関係者が納得のいく角度でこの問題を処理されることをわれわれは信じておりまするが、そういうような角度であくまでも医療協議会を開いてやっていかれる確信には変わりがないかどうか、この点をもう一度念を押したいわけです。 それからもう一つは、私よくまだ勉強していないのでわかりませんが、ただ今日のように医師会と厚生省との関係がこのようなこじれた関係にあるということはいろんな点から来ておろうと、こう思うのです。厚生省としてもやはり単に監督行政という立場だけでなくして、もっとこの保険財政の問題、医療行政の面については保護助長の立場に立って問題を進められることが必要であったし、なお一そう今後必要であろうと思うわけです。先ほど医療金融公庫の問題について質問なり御答弁がございましたが、この医療金融公庫の充実強化などということは確かに保護助長政策の一環であって、私は大いに推進してもらわなければならぬ、こう考えておるわけです。 それからもう一つ、これは私のしろうと考えですが、ああいう大事な医療単価の問題が厚生省の保険局が主管局である。まあどっちかというと保険局はこれは事務官僚の人方が占めておる。一番医療行政について内容に明るい医務局がこの問題の時外に置かれておる。やはりこういうような点等にもっと医療の実態に詳しいというか明るい、また具体的に問題を把握しておるこういう局の意見等がこの医療費の問題等に十分反映されるようなやはり機構上の問題等も私はあるのじゃなかろうか、こういう、これはしろうと観察かもしれぬが、感じを持っておるわけです。そうして初めて私は行政の実態の運営においても、機構のあり方においても十分反省されて、厚生行政が医師会からも信頼が持たれるような姿をやっぱり進めていく、こういうことが大臣のお話しになった掘り起こす一つの要素ではなかろうかと思うのですが、こういう点については大臣としてどのような見解をお持ちであるか、これをお尋ねして、私の質問を一応終わりたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) ごもっともでありまして、今度の医療費の問題につきましても、私は医務局長にもそう言っておるのであります。これは保険局だけの仕事じゃないぞ、医務局と共同責任だと、こう私は言っておるところであります。さっきの経済優先といいますか、そっちが強く、そういう方面ばかりいってもうまくないと思いますし、医療という部面、これを主管している医務局というものが発言力を持たなければならない。ですから両方の共同責任だぞと言っておるところでありまして、これは両方の考えをもとにして進めたい。大よそそういう式にいきたいものだと思っておるわけであります。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記やめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。 それでは、厚生省関係の予算に関する質疑はまだおありになると思います。そこで、それにつけ加えて国民年金及び国民健康保険に関する件、国立公衆衛生院における人体実験問題に関する件、日本赤十字社の運営に関する件を一括して議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○坂本昭君 先刻二千七百七十二億という新しい大臣の予算を承りまして、確かに今までにない塩味といいますか、味のあることを感じました。批評については今申し上げません。ただその中で、今ここで率直に伺って、簡明にお答えいただける数点を御返事をいただきたいと思います。 第一は、生活保護を今度プラス二六%されるという件であります。ことに厚生白書に盛られている厚生当局のお考えなど、最低賃金制あるいは年金あるいは生活保護、こうしたものを非常に緊密にお考えになっておられて、私は非常にけっこうな方針だと思うのであります。ただ、生活保護プラス二六%を実現し得る自信が大臣おありかどうか、これが今度の一番の私は大事な点であって、おそらくこれによって古井大臣のかなえの軽重が問われると思うのです。まずこの点をお伺いいたします。
○国務大臣(古井喜實君) 一牛懸命精一ぱいやりたいとは思っておりますが、かなえは軽い方かもしれません。きょうはどうこうということは、どうも言えませんですが、精一ぱいやってみるつもりでおります。
○坂本昭君 けさ労働省のいろいろな、失対賃金やその他のことを伺いましたが、一脈の連関性があるのです。ですから確かに厚生大臣の問題ではなくて、これは池田内閣の責任問題だと思います。でありますから、これができぬようでしたら、いさぎよく冠をぬいでいただきたい。 第二番目の問題は、これは去年からずっと懸案になっていました日雇健康保険の問題、これは何といいますか、非常に日陰にされてきておりまして、当参議院では去年以来非常なこれについて検討を加えてきりました。われわれもこれに対して非常な心配をしておりましたら、ちょうどだまたまけさの新聞でも日雇いの問題について審議会も答申を出すことができなくて、非常に困っているというふうな状況であります。日雇健康保険の問題について大臣はどういうふうな御方針で来年度の予算を決定される御所存か、これも簡明にお答えいただきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 日雇いの関係、これもごらんいただいたかと思いますが、全くこれもあの通りに困難な事態に陥っておりますし、ほうっておくわけにいける問題じゃありませんので、これも極力やっていきたいと思っております。
○坂本昭君 極力大臣では困りますが、次に年金の改正についてこれはお答えができると思うんですが、所得制限を緩和する案がきょうの説明の中では載っております。これは承るところによると、与党でまだ承認していないようなんですが、一体これはどういうことでございますか。これをどう乗り切られる御所存か聞いておきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 二点ばかりは、これはもう前から党内に、自民党の中で議論しておった問題で、党としてもやろうということにきまっている点であります。あとの点も、いわばこれから結論を出す問題でありますので、そういう意味で区別をつけていったんだろうと思います。そういう意味でいろいろ改正すべき点は、所得制限のみならず、あると思います。もう少し党の方と議論を詰めて結論を出したいと思います。
○坂本昭君 きょうは確かに少し早目に皆さん方の当局の予算編成方針を伺いましたので、最後までわれわれはその責任を追及するものではありませんが、しかし、少なくとも、今回の年金の扱いについては相当に改正を要するものがあると認めておりますので、少なくとも皆さん方が事務当局で、この程度は改正をしようと決意を持たれたものは、これは十分与党を説得して、この程度くらいは成立させる。もちろんそれで私の方が賛成をするというわけのものでもございませんが、少なくともそれくらいの決意を持っていただかなければならないと思うのであります。もう一つ、年金の積立金の問題、これが年金の改正については非常に国民の大衆が不満を持っておった、福祉年金についても、拠出制についても国民大衆の不満が、これが政・治に反映して、法律の改正というふうな、おそらく今までにない、一つの民主的な私は方法がとられたと思うんです。ところが、積立金の問題については、まだあまりに十分な民主的な手段がとられていないと思うのであります。ちょうど南ベトナムのクーデターや、エチオピアのクーデターみたいに、上の人だけやっておってもだめなんです。国民がその気になっていないというと、ほんとうに厚生省のお考え、大蔵当局に対する新しい方針というものは通りません。そこで、この年金の積立金の管理問題については、従来も各大臣非常にあいまいでございました。もうすでにあいまいな時期ではありません。これは一つ明確な大臣の御返答をいただきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 積立金の運用の方法の問題はきわめて重要だと思います。また、このいかんによって国民年金制度の将来に大きな関係を持つと思うのであります。そういう意味で、これは事柄もそういうふうに重要でもありますし、われわれの希望するような方角に何とか結論をまとめたいと思っているところでありまするが、実際問題は、まだ関係方面と議論を詰めてまとめるというような時間的な段階に来ておりませんので、きょうまで。早いことがいいに相違ありませんけれども、そこまでの時期に来ておりませんので、まだ詰めておらぬのであります。極力まあ今のような考えでこれに臨みたいと思っております。
○坂本昭君 それではいささか突拍子な問題を提供して、それに似ていますが、実は来年度の予算の中に小児麻痺の問題が入っております。きょうも四億二千三百万円の小児麻痺対策費が出ておりますが、現実にはこれは来年の一月から三月までの間に早急に行なわれなければならない問題でありまして、特にこの二、三日相当新しい情勢が出ておると思いますので、これを簡単に伺っておきたいと思います。ものによっては担当の局長からお答えをいただきたいと思うのであります。それは今年は北海道に大流行が出ました。一度流行が起きると、免疫体ができるからそう続けて同じ場所には起こらないだろう。言いかえれば、ある程度免疫体を調べたら、次にどこに流行が起こるかということの推定ができる。ところが、そういう調査の予算というものは全然組まれていない。そうしてまた、その全般的に何百万人分のソークワクチンを入れるとか、あるいはなま菌のワクチンを入れるとかいう点が議論をされているというこの点であります。この点は非常に私は厚生当局としては怠慢のそしりを免れない。もっとこういう点についてあらゆる日本の医学の力を発揮して、すみやかに次はどこへ流行が起こりそうであるかという点を調べる必要があるのじゃないか。実はこれに関連して十一月の二十五日にビールス学者と厚生省との間に小児麻痺についての懇談会のあったことが報道されております。そして十二月の十日に千葉大学の川喜田教授、それからまた十二月の十八日に予研の小児麻輝室の多ケ谷博士が新聞にいろいろと意見を書いておられます。ところがそれを読みますと、非常にわれわれとしてはりつ然とするものがあるのであります。それは十二月の十七日に、これは尾村局長も列席されたと思いますが、行政担当者、それから研究者、それから製薬関係者、これらの方々が初めてなまワクチンの問題について協議会をやった。そしてその結果、アメリカの創始者セービン博士から三十万人分のなまワクチンを送ってもらいたいというふうな話が出ているそうであります。一体これはだれが交渉してくれるのか、また一体いつ来るのか、この点をまず一つ伺いたい。 それからもう一つ。この多ケ谷博士の談を読みますというと、予算が今のところ国からは今年度中は一銭も出ないことになっている。製造業者に話をして費用を持ち寄ってもらうほかはない、えらいことなんですね。製造業者に話をして費用を持ち寄ってもらう、こういうことで一体国民が今最もおそれているこの小児麻痺の対策をやろうとする。しかもそれは言われているのは、国立の予防衛生研究所の小児麻痺のこれは主任の博士だと私は思います。一体こういうことを学者に言わしてはたしていいのか。実は今度の、きょうの予算を見ますというと、たとえば外国に薬の宣伝をしたりするためにセンターを七千八百万円で建てたり、あるいはビルマに病院を四億八千七百万円で建てたり、なかなかお金を使っているのです。しかし、これもみな製薬業者の宣伝のために建てるのならいざ知らず、日本の国内には小児麻痺から助かりたいというお母さんたちが何百万人かいる。しかもその予研の学者は、現在びた一文も入ってこない。私はこのきょうの補正予算の中にはもちろん入っていないが、少なくとも予備費くらいはこれに出しても当然しかるべきではないかと思うのであります。この二点について、これは局長からお答えいただきたい。
○説明員(尾村偉久君) 第一に流行予測に必要な地方の免疫体の検査のための措置でございますが、これは来年度予算の中でビールス研究調査、試験調査に必要な経費といたしまして、各地方衛生研究所に補助を出すような、これは新規項目でございますが、これを計上いたしまして、相当な額になりますが、これを計上いたしまして提出しております。主としてただいまのお話のような各府県下における既存の免疫力、これを血清検査をいたしまして統一してやる、こういう予定で出しております。ただし、これは三年計画でございますので、これを十七カ所、来年はブロックごとに主要な地方衛生研究所でやる、こういう第一年度として十七カ所分の整備を予定しております。 それから第二の御質問の十七日のなまビールス、いわゆる弱毒ビールスといいますか、これの研究態勢につきまして約五十名の主として国立のこの方面の権威者、あるいは大学の関連、これは臨床の方々と基礎研究両方でございます、こういう方々御参集を、これはあくまで学者の方の自発的な形でお集まりいただくという形になりまして、私どももそれに呼ばれて陪席したという形になっておりますが、これはしかし、私どももこういうのを希望しておるのでありますから、これは期せずしてみんながその日が都合がよろしいというので、どちらが呼んだというのでなく集まりまして、ここでなまビールスの今後の研究をみんなで分担し合おうという話し合いをいたしました。その結果、これはやはり基礎的にはなまビールスの真の発見者であり発明者であるセービン教授の本式の、研究者自身の原液をもらうことがまず一番正確である。筋も知れておりますし、それから製造方法の正確な文献ももらえる、これを要請してやる。それからいろいろな条件を見まして、二月上旬に日本に到着するというのが諸種の条件から最短の期間であろうという形でこれを入れる。この要請者は政府としてではなくて、ただいまの学者が集まって、政府機関の学者も入っておりますが、これがそれぞれ国民のために至急分担してやろうという形なので、今の学者の協議会の立場で要請する。これは下相談が先方と連絡がついておりまして、そういうような研究の内容等が明白になれば分かとうと、こういう形になっておるようでございますので、その形でいける、二月の初めに着くと、こういうことでございます。数量につきましては、今研究する施設が四十七単位集まりましたが、さらにこれに数単位の国内の権威者が加わると、こういうような見込みでありまして、これによりまして数量を至急算定をいたしまして要請をするということで、まだ最終的にどれくらいの数量を要請するかは私まだ聞いておりませんので、その点先ほど三十が人分というお話がございましたが、これは全然まだ聞いておらぬ数字でございますので、本日はお答えできません。 それからそのための研究費でございますが、これは本年御承知のように、先般二億二千万円の予備費を通過さしていただきまして、一月からの緊急措置をやっておりますが、これは事務費とそれから予研の検定に要するいろいろな設備費、その実際の費用でございまして、この予備費には入っておりませんが、本年度といたしまして、厚生科学研究費で最初からこれの研究を予定しておりましたので、これの当初から割り当てている費用のほかに、厚生科学研究費に最終的に私のところで持っておりました予備費を全額投じまして、これで二月に入りましてから約一カ月半くらいは予研での毒力検定が中心でございますので、いきなり外にはやらぬというのでやっております。それからちょうど各分担者が準備をいたしまして、実際のフィード実験をするのは新年度になります。これに対しましては、また別個に来年の研究費を、今ちょっと数字を持って参りませんでしたが、二千万円だったか三千万円だったか、ちょっと今手元に数字がありません。これに予研におけるなまビールスの研究費も計上しております。これによってやる、まあこういうようなことであります。
○坂本昭君 これはいささか専門的に過ぎるかもしれませんが、実は大臣に承っていただきたいのは、厚生行政というものは非常にお母さんたちの切実な問題に直結しているのです。そしてその中で行政官の立場が、お母さんたちが切実な声をあげなければ、黙っているというふうな傾向が非常に強いのです。一つには小児麻痺の流行というものは昭和二十六、七年にもかなり流行したことがあります。その後は大体千名台できて、それが去年から逐次上がって、ことしは五千名をこえたということになっておる。その間、確かにアメリカが一番セービン教授など研究をしておられ、それをいち早くソ連が入れて非常に研究をやっておる。おそらく大量になまワクチンを使っている。約一億人くらい使っているのはソ連だろうと思うのです。これもかなり一型、二型、三型の混合的なものを型を分けて使ったり、いろいろ技術的な問題はあるわけです。あるのですが、非常に一生懸命やっているということは事実であります。また、ことしWHOがワシントンで国際なまワクチンの会を開いて、最終結論は出ておりません。出ておりませんが、なまワクチンの中でセービン博士のワクチンが比較的無毒である。そういう結論を出している。そこで実は日本の、特に北海道のお母さんはおぼれるものはわらにもすがるという気持で、何とか助けるものはないだろうかというので、一生懸命やって、実は厚生省にも呼びかけて、たまたま私も一緒に行ったこともあります。それで実は私たちがお聞きしておったのでは、やはりこのなまワクチンというものはアメリカではことしから正式に製造許可が出ております。出ておりますが、まだ全世界がどこでも承認しているものではない。若干学問的にもまだ私は医者として危惧の念を持つものであります。でありますが、まず今のところでは間違いはなかろう。だからどこかで責任を持ってこの研究態勢を整えるならば、私は受け入れることができるのじゃないか。ところが、厚生省当局は約千名なら受け入れることができるといって、このソ連のなまワクチンについてはそのくらいならば入れてもよろしいということを言っている。ところが、学者が集まったら今度三十万人入れてもよろしいという、こういうわけですね。一体厚生省当局は千人のことしかやらないのだ、もう三十万、四十万という日本全国の子供のことを考えていない。私はきのうの記事を読みまして非常な義憤を感じているのです。で、特にきょうの説明もありましたこの予算を見ましても、三年かかって十七の衛生研究所で小児麻痺の研究もできるようにしていこう。三年かかっておったら待ち切れるかというのです。少なくとも現在ある能力をフルに動かして、来年の一月でもいい、場合によればお正月の休みも返上して、今の予備費を投入して、この日本の、次にどこが流行地になるかということ、実は私もある地方で衛生研究所の人たちが研究しているのを知っております。そこの研究を見ると、免疫力がどこが弱いということはわかるのです。こういうことはみだりにわれわれが言ったら社会に不安を与えますが、しかし、こういうことのために万全の策をちっともとっていない。そういうために予備費をちっとも出していない。予備費の場合は、一月から三月までの接種の公費負担を出しているので、研究とか、そういうことに対しては出していない。先ほど局長は厚生科学研究費からと言いましたが、たしか二十五万円か三十万円ですよ。総理大臣の今度の新しい給料くらいのその研究費なんです。こんなことで何ができるかということなんです。さらに今度の来年度の予算を見ると、三十六年度は総事業費約十三億、その中に国庫負担約二億三千万、しかもこの二億三千万というのは、これは単価三百五十円、つまり国内で作ると高くなるこの単価三百五十円で、これは計算すると三百七十万回分になりますね。そういう非常に高い単価なんです。ところが外国から入ってくる場合には、これは百二十円で入れることができる。さらに日本で関税だとか、あるいは検定の費用を国が見るということになれば、またこの半分くらいにすることもできる。私たちはこうした国民の負担を、こういう特に今度は予防接種法を改正して、法律で半才から一才半の子供にはやろうといっておる。私はむしろ心配しておられるお母さんたち、三つ四つまでの人々全部とは言いませんが、過半数は応じられるのじゃないかと思う。そういう段階で今なおまだ十分な予算をとることができない。しかも今局長の話を聞くというと、学者が呼んでくれて、そごへ行ったというのです。何を言うのですか、これこそ厚生省がやらなくちゃいけない仕事じゃありませんか。学者は金を持っておりませんよ。厚生省がやって、みんな集めて、日本のビールス学者を総動員してからやるべきことじゃないかと思う。それを逃げて逃げて逃げ回っておる。これは私は非常な怠慢じゃないかと思う。そこで私はあえてきょうは、こういうことは非常に専門的なんで大臣に申し上げるつもりはなかったのでありますけれども、非常にこれは喫緊の問題です。われわれとしてはソ連のものでもアメリカのものでも科学的によいものは日本の子供のしあわせを守るために虚心たんかいに使っていただきたい。大臣は中国にも行かれたし、別に赤がどうという大臣でないということはよく知っています。いいものはどこの国のものでもいいものを使えばいい。そしてお互いにしあわせになればいい。僕はその点で、小児麻痺対策についての差し迫った問題で、来年一月から三月までの間に当面半才から一才半までの子供たち全部やっていこうという問題ですから、だから場合によれば予備費からもっと出していただくなりして緊急の措置をとっていただきたい。どうかこの点についての大臣の御方針を承りたい。
○国務大臣(古井喜實君) 今のなまワクチンの方の問題は、やはり日本として使っていいか悪いか研究しなければなりませぬから、やりそこなって取り返しのつかぬことはできませんから、これはやっぱり研究の手当をさせていただかなければならぬのであります。これについて別にワクチンに赤も黒もあったものではないのですからどうということではありません。ただもともとの発明者の手元から取り寄せるというならこれも一つの道だと思うのです、色合いの問題ではなしに。そういう点は色もくそもあったものではないと思うのです。合理的にやったらいいと思うのです。 来年の対策の問題としては、なまワクチンはなまワクチンでありますけれども、さっき局長も話しておりましたように、来年の手当は国内産と輸入品とで一応つくのでありますから。これはなまではありませんけれども、これでもう法律に準じたような実際措置をやっていこう、来年は一月から始めようと、こういうことで一通り必要なことはやれると思いますから、それでやっていく。なまワクチンの研究はことさら延ばしたりなりはしないで、これもできるだけ急ぐ。それから次に流行するかもしれぬ場所の研究も、これも技術的にわかりませんけれども、ことさらに延ばす必要はない。早く結論が得られるものなら早くできるようにしたいと思います。金の方のことに、こんなことには金をけちることはないのですから、要るものは出してもらわなければならぬ。必要な金は、こういうことには一つも遠慮要らぬから要るだけもらいたいと思います。足らなければもらいたいと思います。
○坂本昭君 この問題については次の委員会に、もう少し今の接種の計画あたりについて私は疑問を持っている。ですから、これは専門的になりますから大臣にその決意を伺っておいて、あと一つ予算的にすみやかな措置をとっていただきたい。そのことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。同じくやはり公衆衛生局の所管の問題、やはり研究の問題に期せずしてなったのでございますが、実は、本年の十一月の四日から十一月の三十日まで、千駄ケ谷の小学校の五年生の男子五名を使用して、公衆衛生院生化学部における人体実験を行なったという事実があるのです。これを簡単に一つ当局から御説明をいただきたいと思います。
○説明員(尾村偉久君) 今回のいわゆる事件として報ぜられましたものは、蛋白質の人体における新陳代謝、つまり需要量を算定するという栄養行政の上で非常に大事なことでございます。従って、今栄養研究の中で非常に重要視されているその中で、児童の蛋白質の真の需要量というものが、従来はおとなの実験値から推定をして出しておったのでございますが、これを具体的に、児童のからだに必要な蛋白量を食べさして、それがどのくらいからだの成長のために蓄積され、どれだけが毎日排泄されるか、これがもう非常に重要なことでございまして、これを全国の栄養関係のこの問題に対する学者が分担をいたしまして、その問題の分担を公衆衛生院の栄養生化学室の中川博士が引き受けてやったと、こういう形でございまして、これは公衆衛生院の栄養生化学部の本年度の重要な研究題目、公式の研究題目の一部でございます。で、このために実はあらかじめ準備の段階といたしまして、昨年の十二月以来、今回は十一月の事件でございましたが、昨年の十二月以来、今回のを入れましてもう四回にわたりましてほぼ同様な実験を繰り返してきた、こういう形でございまして、八月に至るまでの三回におきましては何ら事故もなく、またその安験のたびに必要な成績を得ていよいよ本格的に進んで来たその四回目のことでございます。これは千駄ケ谷小学校の五年生の児童にこれは校長先生をむろん介した形になっておりますが、あくまで本人の児童たちに危険性のない、それから実験の内容はかくのごとき方法でやって、毒等を飲ますのではなくて、あくまで普通食べている栄養品である中の蛋白質を特に測定するために実験をするということも了解をされて、さらに父兄の個々に当たりまして全部了解を得て、むしろこれは従来の三回の例から見ますと、子供としても、父兄といたしましても、日本の科学的な成果を出すための重要な実験に協力するということで、篤志家として非常に喜んで、また非常にプライドを感じて従来来ている、こういう成績でございます。その中の五人を今回選んだのでございますが、この五人のうちの尾形新太郎という一人の子供だけが——この実験にかかりましたのは十一月の六日からでございます。この日から公衆衛生院の生化学部長の部屋に泊まり込んで、夜出る小便も測定する。取っておいて測定するという形でございますから、泊まり込んでの実験でありますが、従来もそうでありますが、それの泊まった子供さんが、その前、四日ほど前、まだ自宅にいるうちに、二日ごろから若干からだに違和が出た。で、泊まり込む前の日に、あとから本人が申し立てたのでありますが、前の日に若干自宅で嘔吐をしたということでございましたが、六日にこの五人がそろって公衆衛生院の都長室に泊まり込んで実験を始めるときには、本人は勇み立っているものでございますから、何らそれを申し立てないという形で実はわからなかった。で、むろん部長は医者でございますから、入るときに子供たちに会ってそれで取りかかるわけでございますから、一応まあ診察ということは視診という形でやったわけでございますが、従ってそれらのことを聞き出せず、その子供が三日間普通の生活をして、特別食でなくて普通の準備をして、八日に至るその日に本人が非常な工合が悪いと言い出したために、十日には家に帰し、もうこの実験はしない方がいいということで帰したわけですが、その後二日から違和があった由の、いわゆるかぜ、へんとう腺炎というものが悪化いたしまして、急性じん炎症状を起こし、その後日赤病院に入院して約二十五日間治療を受けまして完全になおって退院した、こういうことでございます。従いまして結論的に申し上げられますことは、今回の入院をするに至りました急性じん炎というこの病気そのものには、実験は原因になっておらぬということは私どもの方でいろいろなり調査をいたしまして、また入りました日赤病院の既往歴から始まるその後の経過、主治医のすべての検査の結果からもこれは全然原因とは考えない、むしろかぜを引いておったその潜伏期間中にこの実験の部屋に来て、三日間普通に本人も元気にほかの子供と同じように自由な部屋にいるだけでございますし、また学校にも自動車で正規の学校に通わしておった。そういうのを、かぜを引いておったのが潜伏期が経過して悪化して、しかも今度へんとう腺炎からじん刺激による蛋白尿を出し、じん炎が起こった、こういうことでございます。しかしながら、そういうことで、今度の実験の内容から見ましても、決して病気を引き起こすような、からだに影響を及ぼすようなものでもない、また今度のはむしろ今言いましたように、潜伏期間中に浮腫が始まったということで、まことに偶然性の、遺憾なことでございますが、ただ、いよいよ入所して環境を変える場合には、一度小児科なりの臨床科で、のどからからだの全身の検査をすれば潜伏期といえども発見できて、泊めないでそのまま実験に加わらないことで、家に帰って普通のかぜを起こし、さらにじん炎になったかもわかりません。これとは結びつかなかったと思いますが、その点には若干疎漏があったと思いますので、今後はさようなことは厳重にする、慎重に扱う、こう存じております。それからなお実験中の処遇につきましては、十一月のまだ寒くない時期でございましたので、部屋の寝具設備、その他毎晩職員が部長以下一緒に寝泊まりいたしましたので、これらの点については一応疎漏はない、十分配慮された、こういうふうに調査の結果では存じております。従いまして今後これらのような、からだには害がない、また重要な人間の子供さんの協力を得なければ成績が出ないというようなものについては、絶対に名前だけの実験だから、モルモットがわりになるのだということで、これをやめさすことは、日本の必要な学術の進歩が、必要つな資料を得るためにはこれはとまってしまいますので、やはり慎重な配慮と、おとなだけでなくて、子供さんでございますから親ごさんも含めての了解と協力を得る、それがなければむろんやらぬ、こういうことは百パーセントやるという形で、今後慎重にこの研究のためには御協力を得ていきたい。こういうふうな方針で、現在実施いたしました公衆衛生院とも話し合っております。 なおこれに関連いたしまして、三十二年に新潟の精神病院で、精神病患者を実験に使ったということで問題が起こりまして、そのときに公衆衛生局長と区医務局長から、全国の都道府県知事に、人体を、実験に協力を求める場合の指導方針が通牒で流れております。これはもちろん国立研究所にもその形で指導しているわけでございます。その中の、今度のに関係ありますのは、特に乳幼児のように、自分で判断できぬ者を扱う場合には、特に慎重な、保護的な取り扱いをするように、というふうに出しております。これは現在に至るまでもその方針で指導しておりますので、今後もその方針に沿うていたしたい、かように存じます。
○坂本昭君 ただいまの御説明は若干事実と違った点もあります。たとえば自宅のテスト期間などは少し違います。それからまた症状の発現の仕方も少し違うようでありますが、先を進めて文部省にお尋ねしたいのですが、義務教育の学校におけるいわば集団外泊、特に人体実験、こういうものについての御見解を承りたいのでございます。今の説明でおわかりになった通り、昨年の十二月以来私の知るところでは、五回延べ約二十名の児童に実験をしております。そして校長は区の教育委員会の指導室に口頭で連絡している。このような人体実験は、一体これは公務であるかどうか。そしてまた、こういう児童を使っての集団外泊による人体実験について文部省はどういうふうに考えておるか、それを承っておきたい。
○政府委員(内藤誉三郎君) この人体実験のことにつきましては、これは公務ではございません。で、大事な研究でございますから、子供たちが協力し、親がこれを認めていただくことは、私ども大切なことだと考えておりますが、あくまでも学校の管理外のことでございますので、この場合たまたま校長が仲介したわけでございますが、仲介する場合には慎重な配慮がなされなければならないと考えております。
○坂本昭君 公衆衛生院の院長さん、おいででおられますか。——中川博士と田代校長さんのきわめて個人的なおつき合いから、児童の提供を中川博士から依頼をされたように私は見るのでございます。で、人体実験についての公衆衛生院の院長としての一体御方針は、どういう御方針を持っておられるか、特にいろいろとこれは問題点があるんです。たとえば実験手当を三百円出して、で、むずかしくいうと、児童にある種の役務を提供せしめているので、児童福祉法の三十四条に違反するというふうな、むずかしいことを言えば疑いもあるんですが、が、私はこういう非常に重大な、しかも貴重な実験をするについて、院長としてどういう方針を持っておられたか、念のため伺っておきたい。
○説明員(斉藤潔君) お答えいたします。いろいろな新薬を使いますとか、あるいは発見をいたしたり、また先ほどのワクチンにいたしましても、これは最後は人体に使うということになるわけでございます。で、そこまでの順序はそれぞれのものによって違いますけれども、十分慎重に研究者は御承知の通り考えてやっておるわけです。そこでこの人体の実験ができないということになったら大へんなことになるというので、その点で私どもは、研究者としては非常に苦慮しているわけですが、このたびの場合にいたしましても、アミノ酸は御承知の通りLアミノ酸を使っておりますので、これは世界の今日までの栄養的見地から見ましても絶対に人体に害はない。そうしてそれを使うのは、従来の御承知の通りいろいろな標準という中には、一日に七十五グラムというようなことをいっておりますが、これは実験せずにいっておったんだから、実験して七十五グラムでいいかどうかというような、非常に貴重な成績を得ることができたのであります。その場合に、人体実験をやるときに、いつも私どもは非常にいやな気持が実はするんであります。これは偶然のできごとがあってはならぬということで、ずいぶん気持が悪いのでありますが、できるだけの注意はして、勇気を出してやるというのが実情なんでありまして、これは毒でないことは当然であるが、偶然がありますもので、それを非常におそれるのでありますが、今回の場合においても、御指摘のように、その点で万全を期したかどうかという点で、私はなおもっとこの点では注意しなければいかぬのじゃないかということを切に感じておる次第でございます。それからもう一つは学校の子供さんでありますが、ポリオ・ワクチンはアメリカでもソ連でも使われたのでありますが、全部親の承諾を得る、学校の校長さんに御賛同も得るということですが、確かに中川部長と校長さんとは、学校給食の問題で長い間知り合いであったのであります。そういうふうな点がありましたので、心やすだてに学校の校長さんにお願いした、こういうことになった次第でございます。
○坂本昭君 これは法務省の人権擁護局長さんにお伺いしたい。小学校の五年生に、担任の教師から実験参加の意思を求めた。実験のあとでごちそうがあるからうまいぞ、そういったことを友だちも言うし、それからまた若干冒険じみておもしろいというような理由で参加を志願させた。そうして今度親を呼んだときには、親も、子供がそんなに実験に参加したいというんなら、まあよかろうと、実は実験手当を三百円もらえるわけなんです。そういうことで納得をして、そうして研究室の中に臨時の寝台を入れて、居室にしております。私も現場を見ました。普通の居室ではありますが、非常に寒い。すき間風がどんどん入ってくる。そこで外出を禁じて、主としてこれは錠剤による栄養補給です、普通の食べ物じゃないのです。ドーナッツのような形をしたものも食べさしておるようですが、錠剤による栄養補給で、これはやはり異常な食事だといわなければならぬ実験であります。これは人権の侵害ではないだろうか、人権をじゅうりんしているのではないだろうか。というのは、本人の同意はなるほど得ているのです。小学校五年生の子供の同意は得ておりますが、親が承知をしたからよいとはいえないのじゃないか。子供は親の私物ではないので、小学校五年生くらいの子供が、ほんとうに実験の意義などわかって参加し得るものかどうか、そういう点で人権擁護の面でどういうふうにお考えになられるか、口、見を承りたい。
○説明員(鈴木才蔵君) 私も新聞の記事を読みまして、いろいろ人権上問題になるか考えてみましたが、まだ具体的にはっきりと実際をつかんでおりませんので、今御指摘の事実に基づきましても、私としてはっきりした結論が出し得ないような感じがいたします。われわれとしてはできる限り、そういう児童の納得があったと申しましても、学校の校長先生などを通じますと、父兄方面においても、ある程度は、やり方によりますと、どういうふうな実験をやるのかというよりも、学校の方から言ってきて、そうして内容もこうだというある程度の了解で、子供には十分な実験の方法について納得がいっているかどうか疑問に思いますが、私は本件の実験が、いわゆる人体実験にあたるかどうかについてもはっきりいたさないのでありますが、人体実験がどういう定義を与えられておるのか、解する人によって違うと思います。私は児童がモルモット式なような立場に置かれない限り、そこに居室なり実験のあり方、やり方、そういう点に細心の注意が払われるならばいいのではないか、もし医学上どうしてもこの実験が必要であるとするならばやむを得ない場合もあるのではないかという感じがいたしますが、まだ今の御指摘のような事実を前提として人権上どうかと言われますというと、児童の人権上やはり考慮すべき点はあるということは申し上げられますが、本件の場合に人権侵害になるかどうかというその結論は出し得ないような状態であります。
○坂本昭君 まさしくモルモット扱いになったかどうかという、そういう点で検討すると非常に困難な点が出てくると思いますが、じゃ一体児童がどういう状況に置かれるのが人間らしい条件であるかという点から申しますと、私はこれは公衆衛生院か悪意を持って人権じゅうりんをしたとは思いません。しかし、あの部屋はふだんは生化学の部長さんの研究室で、かたい板の問で、そうしてすき間風の入る通風孔が二つあるわけであります。私はその部屋に入って十分くらいたったらちょっとかぜを引いたような気持がしたのです。ですから、物理的にも、心理的にも、あたたかい家庭の環境におる子供が——この尾形君というのはおすし屋さんです。一人息子なんです。そういう子供がこういう変わった環境へ移されることによって、すき間風によってかぜを引き、そしてへんとう腺をはらしたということは十分考えられる。先ほどの局長の説明と違うのは、本人尾形君は寒かったというのですよ、その日はね。次の日にちょっと声がかれたと。本人は、もう前から工合が悪かったというようなことは言っていないのです。また、工合が悪ければおそらく実験をやめたでしょう。ですから、少なくともかぜを誘発したと考えた方がいいのじゃないか。ということは、こういう子供を使って人体実験をするためにはあまりに環境が悪いということなんですよ。これが院長さんや厚生省当局の悪意によるものではなくて、とにかく、たとい善意に基づこうとも、ああいうところで子供を実験すべきではないということ。そこで私はまず伺いたいのは、厚生当局は、じん臓炎であります、長くかかると思います。一応退院はしましたがまだ赤血球は出ております。長期療養せざるを得ないだろうと思いますが、こういう人体実験の結果による児童に対する処置、また今後実験の一州と安全の保障について一体どういうふうにしていかれるか。それからまた先ほど文部省の方では公務ではないといっておられますが、たとえばこの扱い上、学校安全会でどういうふうに扱っていかれるか。それぞれにお伺いいたしたい。
○説明員(尾村偉久君) ただいまのところでは日赤の退院を許可した主治医、先ほどの公衆衛生院が一番よく知っております。そちらを通じての話では急性のじん炎症状で、蛋白尿が、じん臓炎ということではなくて、これは完全に尿所見も改善されて、今のところは治療も今後必要ないということで、全治しているということで、これは公衆衛生院に聞いたのでありまして、私直接には行きませんのでわかりませんが、さように承っております。今後の問題については現在のところ、また将来再発するとか、そういうようなことは全然なきにしてもあらずでございます、この疾病の特有な点から。現在のところでは、さしあたりその問題はないというふうになっております。 それから今後の補償というお話でございますが、現在までのところでは、明らかに日赤の主治医の診療録に残っている記録を見ましても、二日に違和を感じて、五日に本人が嘔吐をしている。主治医の話では、のどのへんとう腺がはれているために前の日の御飯がひっかかって吐いたのではないかと、こういうことを言っているそうでございまして、そういうふうなことがはっきりと日赤に行ってからの診療の方の記録に残っておりますから、六日に入所してから以後ではなくて、それ以前に、もうすでにかぜにかかっていたのだろう、それが増悪したのだろうという判断を公衆衛生院側も私どもも判断しておるわけでございますので、従って実験と今度の病気そのものとのいわゆる賠償的な補償というような、そういう理屈っぽいことでは一応関係ない。しかしながら、先ほどの三百円のお話でございますが、これは従来の例で、学校を休ましてアルバイトさしておるのでも何でもなくて、学業は一切妨げないように、朝、間に合うように、いわゆる朝食後自動車に積みまして部長も何べんか送っていったのでございますが、職員がつき添って学校に届ける。帰るときにはまた職員が行って自動車に乗せてここに帰ってきた。それからむしろ制限的な活動ではなくて、普通の気ままな活動がこの成績に必要なものでございますから、ピンポンもさせれば、テレビも見せる、大体好むにまかしたことを院内でやらしておったことでございますから、かごの中に入れたモルモット的な扱いはしておらぬわけであります。その点は、さような意味では、そのために、人権を害した結果病気になったから賠償というふうには現在のところは考えておらぬわけです。 それから将来のこういう子供さんの実験の問題は、先ほどお話がありましたなまビールスも、千人分なり二千人分なり入れば、これより若い二才、三才の子供に注射をしまして実験しますから、同じことがより何千人に起こるわけでございます。従いまして、こういう実験は絶対に必要である。しかしながら、先ほど言いましたように、万全な——設備はできるだけの措置をしなければいかぬという中に、確かに今までのああいうような生化学の部長室でやったことが直接今度の病気は起こしておりませんが、結果から考えて、将来それが原因になって、気候によりまして何かを起こさぬとも限らぬということでございますから、そういうようなことの、実験の場所等も最も適当な所を考えるということも万全の措置の一つであろう。これは決してあすこがいいということはわれわれも考えておりません。これは大いに改めたい。できれば小児の収容をたくさんしておるような、そういう施設の一部でも使って、実験に事欠かぬようでさえあれば、そういう方法も必要だと思います。まあそういうつもりでございますので、今度にかんがみまして、今後大いにその点は改めて、しかも実験の目的に御協力を願う、こういうふうに考えております。
○政府委員(内藤誉三郎君) 本件は学校管理下の事件ではないのでございまして、公策衛生院と保護者との関係でございます。従って安全会で補償する場合には、学校管理の仕事でございますので、本件は該当しないと思います。
○坂本昭君 最後に伺いますが、実はこの中川博士の実験の目的は、先ほど局長から説明がありましたが、私はもっと重要な実験だと思います。これは公衛衛生院長から説明を求めた方がいいかもしれませんが、私の知った範囲を皆様にお知らせいたしますと、生化学部の昭和三十五年度予算は十九万円です。たった十九万円。そして、去年は十四万円であったそうです。そして、三つの大きなテーマに取り組んでいます。一つは、蛋白質の代謝、特に学校給食における蛋白の新陳代謝、つまり、これが子供の場合に七十五グラムでいいかどうかという、非常に大事な実験なんですね。それから第二のテーマは、ビタミンの定量とその方法の検討、それから第三番目は、学校給食の効果の判定、このために、文部省の、何ですか、判定委員会の委員に中川さんはなっておられて、文部省から一年に十万円の研究費をもらっているけれども、学校給食の効果判定については、文部省から、これは岩手県と、どこか、千葉県でしたか、県の教育委員会に連絡し、そこから学校を指定して、そこでこの研究を続けておられる。で、この生化学部には八人の研究者がおって、この三つのテーマを十九万円でやっております。で、今回の実験で、自動車代が一万円かかっています。それから試験食、これは三共とか、明治から皆ただでもらっている。研究者はこじきのごとくにただでもらっておるのであります。それから実験手当を二万円支出しております。そうしてその教室としたのは部長室であります。これは確かに善意の研究であります。貴重な研究であり、また校長さんを私も責めたくはないのであります。責めたくはなく、校長もこの学校給食に熱心な中川博士にできるだけ協力してやったところが、どうも国会でたたかれてまことにお気の毒です。お気の毒だけれども、いかに善意であろうと、この扱いは私は間違っておると思います。もっとなぜ設備の充実したところでやらないか。それからまた、こんな研究の予算で何ができるかということです。私はそういう点で法務省も一体どんなものだか、現場に行って見て下さい。あなたの子供さんをああいうところに入れて、三週間以上も入れて、便所などは窓が高いところにあるのですよ。あれで人権じゅうりんでないと言えるのか、現場を見て下さい。それから局長もあの部屋に行ってごらんなさい。僕は十分ぐらいおって寒かったからあれですけれども、かぜを引いた。こういうところで実験をやらなければならぬということは人権じゅうりんです。そうして、同時に非常に大事なテーマです。学校給食という非常に大半なテーマですから、私はなぜ公衆衛生院長は文部省と担当の人とひざつき合わしてちゃんと教育委員会を通じてどんな計画ができて、それから、収容する場合にも、もっと子供さんに楽な収容の場所を選ぶ、そういうことをなぜしていただけないかということです。そのためには、ここまで議論しましたから理解ある厚生大臣は、こういう重大なる実験については厚生当局としては十分費用を出そうという御決意を持たれたと思うのです。どうかその点、私がきょうこの問題を摘発したのは、この実験をやめてもらうためではありません。もっといいデータを出すためには、今のような条件ではいかぬということ、また今もビールスの問題が出ました。だから、そういう点で、予算の上からも将来検討していただくために申し上げたのです。一言厚生大臣のお答えを承っておきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 先ほど来のお話は、まことに建設的な、有益な御意見でありまして、私もここでもって伺っておって大いに啓発された点があるのであります。率直に自分の感想といっては失礼だが、申し上げます。できるだけ努力をしていきたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(吉武恵市君) この際、継続調査要求についてお諮りをいたします。 社会保障制度に関する調査、労働情勢に関する調査、以上の調査事件は、いずれも今国会中に調査を完了することが困難でありますので、閉会中においても調査を行なうこととし、本院規則第五十三条により、継続調査要求書を議長あて提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。 なお、議長に提出する要求書の作成手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。どうもありがとうございました。散会をいたします。 午後六時十四分散会