予算委員会 第5号
- 発言数
- 313 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/12/16
会議録
○船田委員長 これより会議を開きます。 昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)、同じく特別会計予算補正(特第1号)、以上両案を一括して議題といたします。安井国家公安委員長より発言を求められております。この際これを許します。安井国家公安委員長。
○安井国務大臣 昨日辻原委員の山口二矢に関する慰霊祭の件について御質問がございましたので、御報告申し上げます。 山口二矢の慰霊祭は、十二月一日、在京右翼団体代表四十五名が参集をして、十二月十五日日比谷公会堂において神式によって行なうことを決定したものであります。慰霊祭の実行委員長には小山田劔南氏が就任、発起人代表としては井上日召、橘孝三郎、三浦義一等が決定いたしておりますが、当日は出席をしておりません。約五千枚の慰霊祭の通知状を全国の右翼関係者に発送いたし、参集を求めた次第であります。当日の現況につきましては、午後一時十九分に開会をいたし、午後三時三十六分に散会をいたしました。参会者は、最高時におきまして二千三百名程度でございました。会は平穏に終始し、不穏な言動は一切なかった模様でございます。 警視庁に対しましては、十一月三十日に準備会事務局の荒原朴水が都の公安条例による集会許可の申請を行なったわけでありまして、警視庁は厳重な条件を付して、これを許可しております。この条件とは、すなわち行事に際し、交通妨害または社会不安を生じさせるような言動は一切しない、申請目的を逸脱しないよう厳粛かつ平穏に実行する、集会終了後はすみやかに解散すること、凶器に類するものは一切携行しないこと、大きな旗、プラカード等も携行しないこと、こういう条件でございます。 これに対しまして、政府はなぜこれを禁止しなかったか、こういう御質問もあわせて、ございました。都の公安条例によりますと、集会の実施が公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすことが明らかに認められる場合のほかは、これを許可しなければならないということになっておりますので、本慰霊祭についても、右の条件に照らし合わせましてこれを許可したわけでございます。講和条約発効以降、この屋内集会の届け出がありました件につきまして、一件もこれを許可しなかったという例は従来もないわけであります。私どもこの行事が決して好もしいものであるとは思っておりませんが、この事実上の問題といたしまして、法的に禁止するわけに参らなかったことを御報告いたす次第でございます。
○船田委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 政府の御答弁の中に、若干私の申し上げたことに誤解があったようでありますから、念のためにつけ加えておきますが、集会をおやりになることは、これは国民の権利でございます。また個人の霊を弔うことも、これは社会の慣習から申しまして当然であります。従って私は禁止をしなかったかという質問は申し上げておりません。これが社会不安を助長するような傾向にもしとられるということになれば、これは暴力絶滅という観点から重要な問題であるからという意味で申し上げましたので、その点については誤解のないように政府の方でも御理解願いたいと思います。われわれは何人といえども国民の権利であることを、法でもってあるいは治安の名によってこれを取り締まれというようなことは一切申しておりません。ただこの種の淺沼事件に関する、また治安対策に対する政府の方針の問題として所信をただしたのでありまするから、その点は誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。
○船田委員長 質疑を続行いたします。受田新吉君。
○受田委員 私は自由民主党の内閣におきまして、その施政方針で述べられ、また日常国会の発言等でしばしば伺っております国連中心主義の自主独立の外交政策につきまして、具体的に掘り下げてお伺いをしてみたいと思います。国連中心主義ということは非常にいい言葉であるし、また国連憲章のもとにおける世界平和の確保を目ざしている外交を進めることは、これは党派を越えての願いでありますけれども、自由民主党の国連中心主義というのは、いわゆるアメリカ圏、米国を中心とした国連の強化、すなわち米国に追随する国連中心主義の外交という印象を多分に受けるのでございまするが、この点は総理といたしましても、一応やむを得ないあり方としてお認めになっておられるのでございますか、お伺いします。
○池田(勇)国務大臣 国連中心主義で参りますことは、アメリカ追従ではない。日本独自の考えでいっておるのであります。たまたま国際情勢に対しまする判断等々が合う場合におきましては、アメリカと行動をともにすることは、これは日本ばかりではございません。イギリスその他西欧諸国もやっておるのであります。決して結果が同じだからといって追随しておるわけではございません。
○受田委員 国連に加盟した国はすでに百を数えております。最近の新しい加盟国は、AAグループから大量に入っているわけでございまするが、その国々はおおむねいわゆる中立外交政策を進めている国々であって、国連の内部における比重は、アメリカを中心とするものが著しく後退して、そうした中立グループが大幅に進出しているというこの現状は、率直にお認めになりますか。
○池田(勇)国務大臣 国連加盟国はただいま九十九と心得ております。御質問の基本になっておりまする中共承認の、あの中共の代表権の問題につきましても、ただいまのところは四十二、そうして棄権が十六、そうすると残りが三十四ぐらいになります。大体そういう状況でございます。
○受田委員 私はまだ中共の承認のことをお尋ねしているわけではないのです。国連の中にアメリカを中心とする勢力、それからソ連を中心とする勢力、そして中立外交政策を推進する勢力という三つの流れがある。その中で中立主義を標榜する新しい小国が大量に加盟しておる。こういう現状を総理としてもすなおにお認めになるかどうかをお尋ねをしておるわけです。
○池田(勇)国務大臣 中立を標榜しているというその中立の意味でございますが、厳格に答えるわけにいきませんが、大勢はいわゆる自由主義を建前としておる国、そしてまた共産主義の国あるいはまた自由主義ではあるけれども、特定の問題について必ずしも従来の大国の方と調子を合わさないグループ、これをあなたは中立主義とおっしゃいますが、私は新たに加盟した国等で、まだ自由主義国ではあるけれども、共産主義の国ではないけれども、特定の問題につきまして、従来の関係、あれを持たないグループというのがあります。この三つに大体分け得られるのではないかと思います。
○受田委員 その三つに分けられると率直に言っておられますが、日本の場合は、そのうちで何かのつながりができたという方へ入る。自由主義陣営の立場の加盟国としてお立場をおとりになるわけですか。
○池田(勇)国務大臣 われわれ昔から、前から入っておるのでございまするが、そういう立場を持っておるし、またいわゆる新加盟国の多いAAグループの方にも入っておるのでございます。
○受田委員 そういうことになりますと、ここで池田さんの外交政策は、国連中心主義の外交を、もっと日本の自主独立外交の本旨に返ってもらいたいと私は思います。アメリカを中心とした自由主義国家群の中にもあるし、AAグループにも入っている。だからあまりとらわれない立場の自主独立外交もできるという線が一つ入っておる。こういうことになりまするならば、すべてアメリカと行動を一にするところの国連中心主義でなくして、日本は完全な独立国としての立場から、敢然とアメリカと行動を別にして、日本独自の国連内部における行動というものがあり得ていいのではありませんか。今までの行動は全部アメリカと一本であって、日本独自なものは拝見できないと私は思っておるのでございまするが、私のながめていることが間違いであれば、御指摘を願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 私の考えは、独立国であって、独自の考えでいっております。結果からいえば今まではそうだったかもわかりません。しかし今後はやはり独自の考えで、案件がいろいろ変わって参りましょうし、情勢も変化いたしますし、私は従来のごとく、今後とも日本独自の考えで進んで参りたいと思っております。
○受田委員 今まではやむを得ずして、結果的にみるとアメリカに追随してきておる、しかしこれからは独自の歩み方をしたい、このように了解してよろしゅうございますか。
○池田(勇)国務大臣 最近行なわれました植民地の問題につきましても、日本は独自の考えでこれに賛意を表しております。アメリカは棄権しております。何もアメリカと一緒に行動していないということもはっきり現われておるのであります。
○受田委員 それは最近の具体的な例として、ついこの間の総会のお立場ですね。それまでは、先ほど申し上げたその植民地問題に関する以前までは、アメリカと行動を一にした、さように了解してよろしゅうございますか。
○池田(勇)国務大臣 アメリカと行動をに一にしたという結果論からいえば、おっしゃる通りです。しかし私はアメリカと行動を一にすることにとらわれておるのではない。独自の考えでいっておるわけであります。その証拠が今回も現われておるわけであります。今後におきましても、そういう事例は起こり得る可能性はありましょう。しかしそれは結果から言うだけで、考え方としては日本独自でいっております。
○受田委員 そのスタートを植民地問題でお取り上げになった、かようにあなたの御発言を私了解します。 そこで池田さん、そこまで踏み切って、日本独自の自主独立外交を進める、従来のアメリカ追随外交は、ついこの間の植民地問題でピリオドを打って、ほんとうに日本の自主性を回復してやるのだということになりますと、一つ新しい提案をあなたに持ちかける。自民党内閣として、敢然と踏み出してもらいたい点があるのです。それは国連の内部における勢力は、AAグループがうんと勢力を増して、アメリカそのものが、アメリカの力で国連を支配しようとした動きに、一つのそこを来たしつつある。こういう段階を考えたときに、国連というものがある特定の国によって動かされ、また一方その特定の国に対抗する国が、別の角度からこれを動かそうとするというような形で、国連の内部において相剋摩擦が起こって、国連本来の使命を逸脱するというような、そういう姿になったならば、これは非常に残念なことなんです。国際連盟でも完全に失敗しておる。連盟が生まれて、十三年目に日本は脱退しておる。せっかくあのスタートがよかった国際連盟が大失敗しておる。そして国連というものができて十五年になっておる。この国連が、再びそういう方向にいかないという大事な方向、そういうような目的の方へ進んでおると私は認めますが、これをりっぱな平和機構として育てる使命が日本にあるということになりますと、日本独自の主張を国連の内部において敢然と取り上げるという形を、これから特に勇気を持ってお進めを願いたい。その具体的な一つの事例をあげます。中共の承認、北京政府の承認の問題については、別にアメリカに気がねが要りますか、要りませんか。日本の自主性でやろうと思えば、やれることですか、どうですか。
○池田(勇)国務大臣 日本の自主的立場から進んでいっております。
○受田委員 日本の自主的な立場で、北京政府を承認しようとすれば、することができる、かように了解してよろしゅうございますか。
○池田(勇)国務大臣 その通りでございます。ただわれわれといたしましては台湾政府というのを認めておりますので、そうゆうむずかしい点がございます。片方では中共という厳然たる事実、しかも隣国ということも考えております。
○受田委員 むずかしい問題がある。それは台湾政府を一応認めておるというところに問題がある。ところが私は英国に例を引いてみたいのでございますが、イギリスはアメリカと最も親しい友好国でありますけれども、この大国は北京政府を正統の政府として承認をしております。これは決してアメリカに気がねする必要もなく、また台湾政府に気がねする必要もなく、独自の立場で北京政府を承認しておるのでございます。この英国の先例にならっても、英国よりももっと身近な善隣、今あなたがおっしゃったようにすぐお隣の中国政府、北京政府を承認するということは、イギリスよりももっと切実な立場で日本では必要になってきているのではないか、こう思うのでございますが、台湾政府の関係ということにとらわれない立場で、これを切りかえるという外交政策を進めることも、あなたのお立場では、私は勇気を持ってこれをやるべきじゃないかと思うのでございまするが、英国の例にならって、あなたの御意見を伺いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 イギリスが北京政府を承認したのは、朝鮮事変の起こる前だったと私は記憶しております。その後におきまして、いろいろ情勢が変わってきております。またイギリスの立場と日本の立場とは違うのでございまして、非常に重要な問題が、隣国の関係上ありますので、よほど慎重にしなければいけません。従いまして、質問の点以外かもしれませんが、イギリスは北京政府を承認しておりますけれども、代表権の問題につきましては、やはりアメリカと同じ行動をとっております。またさきおとといの下院における議論におきましても、ゲイツケル氏が、中共の代表権についてはやるべきじゃないかというふうなことで、非常な論争をいたしましたが、結果は、やはり労働党の党首の発言は否決せられたようでございます。イギリスの例もいろいろな例も見ておりますが、わが国の立場としては、国際情勢の推移を見ながら、自主的に、しかも弾力性ある心がまえでいくということは、申し上げた通りであります。
○受田委員 あなたは今、承認の問題と代表権の問題を一緒に御説明されたのでございますが、そういうことがあればこそ、英国は代表権の問題については、アメリカと行動を一つにしておる。また英国の労働党が代表権の問題を出して、今度は今までとは立場を変えてやろうとする動きに対する結果についても、私は伺っております。しかしそれであればこそ英国のごとく、一応北京政府を承認する、しかし代表権の問題ではアメリカと一緒に行動しよう、そういう外交もできるじゃありませんか。りっぱなお手本ができている。どうでしょう。
○池田(勇)国務大臣 そういうふうに簡単にはいかないのです。朝鮮事変が起こる前に、イギリスが北京政府を承認したが、これは朝鮮事変ということが、世界の情勢に非常に変化を来たしておるということをお考えにならないと、イギリスがやったのだから、それを手本にしろと言われても、そうはいかないのであります。
○受田委員 私は、総理が承認の問題と代表権の問題とを、からめ合わせて考えておられることで、もっと伺っておきたいのですが、これは別に考えるべきです。朝鮮事変云々という、国際情勢の変化のことも、一応は私も了解できますけれども、しかし日本と北京政府との関係は、現実の問題としてどの国よりも深い関係が一応成立しているのです。 まずお聞きしましょう。国家の形態として、北京政府は一応整っている国と認められますか。この点について、台湾政府と比較して一つお答え願いたい。
○池田(勇)国務大臣 一つの国の形をなしておりますが、これが中国なりやいなやという問題につきましては、外交上むずかしい問題があるのであります。 それから私は承認の問題と代表権の問題を一緒にしている、こういう意味じゃございません。ただイギリスの例で、事実はこうだということを言っているだけでございます。
○受田委員 台湾政府は、本国に施政権が及んでおりますか、どうですか。
○池田(勇)国務大臣 事実上及んでいないのであります。そこで事実問題としては、中共というものが一つ存在しているということは、私は認めるのであります。
○受田委員 ここは非常に大事な問題だと思うのでございますが、事実上は存在しておる。国家の形態として、領土、主権、住民という三要素が整って、そしてりっぱな三権の分立が行なわれて仕事がされているという形においては、北京政府はりっぱな独立国としての形を整えているとお認めになりますか、どうですか。
○池田(勇)国務大臣 事実として、国家の形をしておるとは認めております。
○受田委員 台湾政府と比較して、国家の形態としてはどちらがよく整っておるとお認めになりますか。
○池田(勇)国務大臣 それは見方の問題で、私は台湾政府も中国としてりっぱに存在しておると思います。
○受田委員 私たちも、今台湾政府の事実上存在しておることも認めておりますし、また一方において、北京政府が国家の形態を整えているりっぱな政府として存在しておることも認めておるわけです。ところがそれをこのままの形で続けることは、国民に非常な一つの不安を与え、外交上の支障を来たしている。日本の経済の発展にも影響しているのだ。これをこの際勇敢に踏み切って、りっぱな形を整えておる北京政府というものがある以上は、台湾政府と比較したときにどちらが国家の形態として日本国にとって大事な問題であるかを考えるときに、あなたとして一つの勇気をふるうべきときが来ておると思うのです。結局北京政府を承認し得ない、台湾政府を引き続き承認した形を続ける期間というものは、これはあなたとしては当分続くと見られるのですか。あるいはあまり遠くない機会にアメリカのケネディが北京政府を承認するという事態が起こると考えられる前にでも、これを認めるということがあり得るのか。アメリカが中国を承認しなければ、日本はそれより先に承認することはないとお考えなのか、こういう問題についても一応あなたの御意見をお伺いしておきます。
○池田(勇)国務大臣 そういう問題に対してのお答えとして、私は自主的に世界の情勢を見ながら弾力性ある心がまえで行くといっておるのであります。もう答えは前から申し上げておるのであります。
○受田委員 そのあなたのお答えは、アメリカの方へ非常に気がねをしたお答えになっておるのです。今は新安保体制に入ったために比重がアメリカに片寄り過ぎているという印象、国民の中にはこれに反対する勢力が三分の一以上ある。また実際の世論の調査などによっても賛成は三分の一しかなかった。選挙の結果三百名を確保したからということがあったとしても、残りの反対勢力というものははっきり存在しているという立場から考えたならば、新安保体制をアメリカの方へ片寄り過ぎる外交によってこれを裏づけするのでなくして、むしろ世論の中のこれに反対する勢力の立場を考えたならば、逆にアメリカへ片寄る形を拾てて、もっと自主的な立場を強く主張するという方向へあなたはお進めできないかと思うのです。国連部内の新しい中立を標榜する勢力の増加などともにらみ合わせて、その国の外交のあり方として安保体制を強化する形を国民に強く印象づけるよりも、アメリカ以外の国国とも非常な平和的な意欲を持っておるのだということを、むしろ大きく打ち出す方が、政府としても国民にこたえる道ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 あなたは三分一と申しておられますが、三分の一であろうが、あるいは五分の二であろうが、私はそういういろいろな意見のあることはよく存じております。そういうことを考えながら、世界の平和と日本国の利益、国民の福祉増進になるような外交方針をやっておるのであります。しこうしていつどうするかということは、これは私がここで申し上げる筋合いのものではないと思います。
○受田委員 そうしますと、結果的に見てアメリカに追随している外交をやってきたけれども、これからは自主的にやるということになりますと、中共承認の問題などもこれはあなたのお考えで、あなたが政権をとっておる間にでも実現し得る場合がある、そう了解してよろしゅうございますか。
○池田(勇)国務大臣 年限の問題ではございません。情勢の変化と心がまえの問題でございます。
○受田委員 その心がまえが——非常に急速に国際情勢が、国連の内部は今動いている。これは先ほどあなたもお認めになっておられる。 それからドル防衛の問題に一つ触れましょう。ドル防衛によってアメリカとの対外貿易、ドル地域との貿易等に対して、あなたが国民の前にこの間からお約束されていることとは、もっと深刻な形で実際問題が現われておる。こういうようなことを考えるときに、アメリカ中心主義の貿易政策というものにも変更を加えて是正をして、日中貿易というような身近なところで、大事なお客さんのおるこの国との貿易政策というものを強化するというような、そういう貿易政策上の転換をはからなければならぬ時期に来ておると思うのです。こういう問題についてちょっと御所見を伺って、続いてお尋ねします。
○池田(勇)国務大臣 私はアメリカとの貿易を重点化しておるわけなのです。日本と一番貿易のしいい国を選んでおる、こういうものは意欲的にどうこういうものではございません。商売でございますから。だから従来はアメリカと日本との非常な片貿易でございましたが、去年からほとんどつり合うようになりました。ことしになりましてから、アメリカの貿易は伸びませんが、西ヨーロッパとの貿易が非常に伸びている。どこでもかまわない。ソ連ともどんどん伸ばすようにしておりますし、中共にも、たびたび申し上げておりますように、中共貿易の盛んになることは以前から念願しておるところでございます。
○受田委員 ドル防衛政策の波紋は、あなたがお考えになられたような簡単な限界でとどまっていくと、きょうの段階においてもお考えですか。まずそれをお尋ねしたい。
○池田(勇)国務大臣 私は以前から申し上げておるように、特需だけの問題として考えておるのではございません。やはりアメリカの輸出拡大政策、これが西ヨーロッパあるいは低開発国あるいは日本にも相当出てきましょう。自由化の問題等もありまして、四億ドル、五億ドルの特需の問題として私は考えずに、全般の貿易政策の問題として考えておることは前から申し上げております。しかも貿易問題ではなしに、低開発国の開発、こういう新しい問題といいますか、前から問題がございますが、アメリカの低開発国に対する援助について、われわれどれだけ参加し得るか。これにうんと参加していこうという心がまえでおります私としては、貿易外の点につきましてもいろいろな重要問題が起こってくることは覚悟いたしております。
○受田委員 その覚悟ができておるようです。その覚悟を新たにして、一つあなたに今からお尋ね申し上げたい点は、まず日中貿易を増進させるために何らかの形で一歩前進するということは、ドル防衛対策としても日本のとるべき賢明な措置であるという観点から、いかがでしょう。中共の承認の前に、まず日中間の友好を前進させる具体的な問題に一つ一つ触れていく必要はないでしょうか。
○池田(勇)国務大臣 これは気象の関係とか、あるいは郵便電信の関係、文化関係等につきましては、私らは何らやぶさかではございません。またたびたび申し上げているように、積み重ね方式で貿易をどんどんふやすことも私は念願しておるのであります。貿易上の問題で具体的に便利になるような方法は、先般来も政府の方で考えておる次第でございます。
○受田委員 貿易収支そのものの影響ももう出てきておるという現段階のドル防衛の波紋については、日中間の貿易を一歩でも前進させるという立場から、何かの形で具体的に、今お説のような問題よりももっと前進した、たとえば貿易を前進させるための一つの事務的な処理をさせる領事館を、中国の北京政府の管下のいずれかのところに置くとか、ごく端的に申し上げますが、そうした具体的な前進政策というものを、あなたとしてはおとりになっていいのじゃないですか。いかがでしょう。
○池田(勇)国務大臣 ただいまの状態で、まあ政府間貿易というようなことをいっておりますが、私はまだそれは早いと考えます。そういうところまでいく前に尽くすべき手があれば、私は尽くすことにやぶさかではございません。
○受田委員 私は今領事館ということを申し上げたわけですが、領事館というものは国を承認しなくても設置は可能であると思いますが、いかがでしょうか
○池田(勇)国務大臣 承認してない国と領事館の設置が可能かどうか、これは外交の慣例もございますので外務大臣から答えさせたいと思いますが、私はただいま申し上げましたように政府間貿易ということになりますと承認という前提になりますから、そこへはまだ踏み切れない。しかしそれまでの問題は、たとえば具体的な問題と申しますか、ほんとうに文化的の問題、気象の問題等につきましては、これは今までの慣例として承認しなくてもやっておるのでありますから、こういうとは私はやってみたいと思いますが、領事館の問題につきましては、私の知識ではやはり承認をし、国交が成立した後でないとできないのじゃないかという気がしておりますが、専門的のことでございますから外務大臣からお答えさせます。
○小坂国務大臣 領事館を新しく置くということになりますとやはり非常に問題がむずかしくなるのだろうと思います。現在台湾政府にイギリスは領事館を置いておりますけれども、これは従来あったものをそのまま引き上げないという形で置いておるわけでございます。今お話のように新しく北京政府との間に領事館を設置するということになりますと、承認しないという前提で置くということならば、これは簡単にいくと思いますが、領事館を設けるということになりますとこれは将来必ずこれを承認するかしないかというこになってくるのでありまして、置く以上は国の機関としての、承認を前提とした領事館、その国を承認するということを前提とした国の機関である領事館を置く、かようなことになってぐるかと思うのであります。
○受田委員 台湾政府に英国の総領事館がある、それは引き上げ以前のものであるからそのまま残してあるのだというのですが、これはちょっと論理が矛盾しておると思います。その以前のものを現在政府として承認をしてない国にそのまま残しておくということは、結局承認してない国に領事館を置くということも、外交上の慣例としては認められるということになるのじゃないですか、これをちょっとはっきりしてもらいたい。
○小坂国務大臣 すでにあった領事館を引き上げるという意思を、その領事館を置いておる国が通告すれば別でございますが、また台湾の場合でございますと、台湾政府がイギリスの領事館を撤去してもらいたいということを申しますれば、これはまた話が別でございますけれども、両方ともそういう話がないままに置かれておるというのが現状であります。国際慣例として、日本が新たに置きまする場合に、そういう例があるからそれを国際慣例として認めろということにはならないと思います。
○受田委員 現在承認していない国に領事館がある、それは事実であって、国際慣例としては存在しない問題である、かように了解していいのですか、もう一度。
○小坂国務大臣 そういう事実がありますけれども、今受田委員御設問の場合はそういう例には当てはまらない、新しく設けるという場合でございますから、その例は当たらないであろう、適例にならないであろう、こういう意味を申し上、げたのであります。
○受田委員 領事館を置くことが現在の国際慣例の上からも困難である、そういうお説として、しからばこれに近いもう一歩手前で日中の友好関係を前進させる具体的な方法、たとえば何らかの形で公的な資格を有する者を北京政府に派遣するという、この方式はいかがですか。
○小坂国務大臣 そうした公的機関を置きますことが、その政府を承認しないということをはっきりさしておく場合でありますならば、それは可能であります。
○受田委員 政府を承認しないという前提のもとに公的資格を有する者を派遣することができる、こう了解していいですか。
○小坂国務大臣 さようでございまするが、実際問題として外交は実際の措置でございますから、そういう場合に相手国がそれはけっこうであると言うかどうかという問題は、別に残された問題であると考えます。
○受田委員 承認問題は次の問題としても、一歩でも日中間の友好を深め、貿易上の振興をはかっていくという上から、公的資格を有する者を承認問題とは別に派遣するということは可能であると外交当局が言っておられるのです。池田さん、そういう一歩前進するという具体的な方法をおとりになってはいかがですか。
○池田(勇)国務大臣 外務当局は必ずしも今あなたのおっしゃるように言っていないのではございませんか。もう一度外務当局の話を聞いてからお答えいたします。
○小坂国務大臣 私は受田委員の御質問に対しまして、かりに置くとすれば、それはそういった公的な機関を置くことがその国を承認するという前提にならない、そういう前提に立たない、こういう前提においてならば置くことも可能である、かようなことを申し上げただけでございます。
○受田委員 あなたは私の質問にちょっと違ったことを答えておられる。私は公的資格を有する者を派遣するということは、たとえば今の領事館というものでなくて、親善使節のような立場の者を、日本政府の意思を代表した形で、貿易推進とかあるいは文化文流とかいう形のものにこれを充当するという立場を申し上げた。私はそういうお尋ねをしたつもりであったのです。
○小坂国務大臣 それはまた別の問題になろうかと思うのであります。そうしたものを送るかどうかということは、また政治的な判断になると思います。
○受田委員 池田さん、私が今お尋ねしたのはそこだった。公的資格を有する人を派遣するということは、そういうお尋ねをしたことは、領事館の問題とは別に日中間の友好を一歩前進させるために、日本政府の意思が何かの形で示されるという努力をあなた自身でおなしになってはどうかということを今お尋ねしているのです。
○池田(勇)国務大臣 公的機関という問題がどういう意味の公的機関か、たとえば今までの例で申しますると、昭和三十年の一月に村田さんがおいでになりました。これは実質上は私は知っておりますが、前の総理の吉田さんの発案で行ったわけです。公的機関ではございません。見ようによっては向こうは村田さんを非常に信用されておりました。公的機関が行った以上の話し合いができたかもわかりません。あなたが言われるのは表向きに外交上の特権を持った公的機関、こういうお話であった。これは私は今の状態では、承認していない国に承認した国と同じような外交上の特権を持った者を出すということは、いかがなものかと思います。しかし最近におきましてもわが党員が、相当の閲歴のある人が行かれた場合もございます。これは実質的には領事が行ったよりももっと突っ込んだ話をなさったかもわかりませんが、そういう問題、私はすわり直って、承認していない国に外交官を派遣してやるということはどういうものかと考えます。 ただしかし今例外があるかといいますと、これはアメリカのあるポーランドかどこかの大使が、中共の大使といろいろな国交の問題、あるいは抑留者の問題等で話し合いをするということはございます。こういう問題はやはりその置かれた国の立場といろいろな案件の性質によってよほど違って参りますので、一がいに公的機関をどうするかこうするかということにつきましては、ただいまのところお答えしかねるのであります。
○受田委員 私はあなたに、せっかくの眼をアジアに向けておられる、外交へ転進をされようとしているこの際に、公的の資格というのは親善使節、何らかの形の貿易上、文化交流上、何でもけっこうです、そういうある特定の使命を持つ外交官という形でなくて、親善的な代表者として日中間の交流をはかる意思を、あなた御自身でお示しになる段階に来ておるのではないか、このことを特にあなたに申し上げているわけです。そういう意味で親善的な使節、軽い意味で、公的な外交官という意味ではなくて、その歩前の日中間の新しい交流へ役立つ一つの代表者を送るという、こういう意思をお持ちではないのですか。
○池田(勇)国務大臣 これが単にあなたのような軽い意味ならば、私は考えましょうと言いますけれども、軽い意味にとる人ばかりじゃない。ことに社会党の人はウの目タカの目でございますから、あなたのお気持はよくわかりますが、この問題につきましては、御意見を聞いておくだけに私はいたしたいと思います。今後の処置は、抽象的だとおっしゃるかもわかりませんが、弾力性ある心がまえで世界の平和と日本国の利益をはかっていこうという外交を進めていきたいと思います。
○受田委員 もう一つ、この問題で中国北京政府というものが非常に強大な国家である。この強大な国家が国連の中に加盟をしていないという現実は、これは重大に考えなければなりません。核武装でも将来することのできるような強大な国家であると認められる北京政府が国連の圏外にあるということは、国連機構の強化の上には非常なマイナスであるとあなたはお考えじゃないですか。
○池田(勇)国務大臣 あなたのような議論は西ヨーロッパ諸国、ことにイギリスでも行なわれております。またアメリカもそういう議論のないことはございません。そうしてまた今度国務次官になられたチェスター・ボールズ氏はあなたに似たような意見を前から言っておる。そういう意見は前からございまするが、今の現実の問題としてその意見をみな取り上げるという場面までいっていません。そういう議論はだんだんあることは認めておるのであります。
○受田委員 その議論を実際の問題として考えてもらいたい。議論だけでたくて、実際問題としてそういうことが考えられる。この国連機構強化ということは、そうしたすべての強大な国々がこれに入って、平和憲章のもとに平和を愛好する、実践をする。そこでなければいけないのです。その精神を実践するために、北京政府に国連に入っていただくことは大へんけっこうなことであるという、そのお気持はお持ちですか。
○池田(勇)国務大臣 それより前に、なぜアメリカ、イギリス等が国連に入ること、あるいは代表権を持つことに反対しているかといったら、昭和二十五年のあの朝鮮事変を見て、中国は平和を望む国でないのだ、戦争を好む国だから、国連に入る資格がないという極印を押している事実をお考えにならないといけない。そこで中国がそういう国でないということを中国が表わす、と同時に国連でみんなが一致したその考え方が直ってくるようにするのがほんとうじゃありませんか。それが問題だ。平和を好む国でない、あの朝鮮事変を起こしたのは中国である、国連の一員としてはこれはともに語るべきものにあらずと言っておるのでございますから、そのお互いの気持がほぐれるようにしなければいけない。ほぐれるのを待たなければいけない。こういうことが今の現実の事態でございます。だからいろいろな議論がありましょう。しかし片一方ではそういう極印を押しているという事実もお考えにならなければならないと思います。
○受田委員 えらいひどい極印を押されたようでございます。池田さんもその極印を一向抹殺しておらない。ちっとも消えておらないのですが、国連における中共の加盟に関する決議案で、これを否決するための決議案に対する賛成国、つまり北京政府が国連に入ることは今のところ好ましくないという賛成国の数は減りつつあるか、ふえつつあるか、御答弁願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 中国北京政府に代表権を認めるかという問題につきましては、これは加盟国もふえました関係等もございまして、昨年は代表権を認めないというのが四十四、認むべしというのが二十九でございます。その昨年の四十四が今度四十二になりまして、そうして二十九が三十四になったかと思います。そういう事実はございます。
○受田委員 漸次この間の数は圧縮されつつある。こういう数字が現実に出ております。そういうことで池田さん、せっかくあなたの長期政権を御計画しておられることであるのですが、こういうところへ外交上の一つの大きな転換をはかって、国連内部におけるアメリカ追随でなく、自主独立の強い国連協力というものは、アメリカを中心とする方法を強くするのではなく、国連憲章の立場で国連が本来の姿でいけることに協力する、そういうことを勇敢に進めるあなたは一国の総理となってもらいたい、有力な国家の総理としてそういう方針を今後強力に進めてもらいたいと思うが、これはお覚悟はできておりますね。
○池田(勇)国務大臣 アメリカのための外交は一切いたしておりません。世界の平和と日本国家のための外交をやっておるのであります。
○受田委員 この問題は、今の最後のあなたの御発言に対してまた機会をあらためてのお尋ねとしますが、もう一つ外交上の問題であなたにお尋ねしておきたいことがある。それは沖縄の施政権返還要求の問題であります。これはすでに沖繩住民の皆様、沖縄の関係者の皆さんからも強い要望があなたの党にも社会党にもわが党にもみな来ている。この沖繩の施政権返還という問題がこじれている一番根本の問題は、どこにあるとお思いになりますか。
○池田(勇)国務大臣 こじれているとおっしゃるが、これは大体初めからきまっている問題ではございませんか。ただ沖繩に対するわが国の潜在主権は認められている。そうして施政権は平和条約によりまして、国際連合が委任統治するまではアメリカが持つときまっておる問題であります。こじれておるのではない。潜在主権は日本にあるのだから、とにかく早く返してくれとこっちが要求しているのを向こうが聞かないというのを、こじれていると言うのならそうでございますが、もともとそういうふうな状態に講和条約でなっておる。それをわれわれは早く返してもらいたいとこういうのですから、条約上の既成事実をわれわれがこっちへ返すように要求しているだけで、私はこじれているという言葉はどうかと思います。
○受田委員 こちらから要求していると今総理は言われたけれども、沖繩の施政権について日本政府が返還要求をした具体的な外交交渉を一つお示し願いたいです。
○池田(勇)国務大臣 私は前岸総理並びに外務大臣から、その要求をしたけれども、なかなか困難であるということを聞いております。小坂外務大臣が先般参りましたときにも要求したのではないかと思います。具体的な過去の事実でございますから、外務大臣から御答弁させます。
○小坂国務大臣 先般岸前総理が行かれました際に共同コミュニケの中にも明記してございますことは、受田委員御承知の通りでございます。その後もいろいろ話をいたしております。問題はやはり極東情勢におきまして、東西間の緊迫した状況を反映しての点が一番問題だと思うのでございます。南の方における問題と同時に北の方の問題と、かような間にありましてこの問題がなかなか解決しないのは、かような国際情勢を反映した結果と見ております。
○受田委員 日本政府としては正式要求——岸・アイク会談等に示された文句を読むと、日本政府の強い要望があることを伝えた。伝言をしておる。メッセンジャー・ボーイである。強い要求をしてその返還を求めたということでなく、国民の要望があることを伝えたということが、三十二年六月二十二日の岸・アイク会談に書いてある。これでは外交上の努力とは言えない。返還の要求を具体的にどのようにしたか。小坂さん、あなたは今度おいでになってだれと会ってどういうふうにそのことをおやりになったのですか。そうしたらどういう返事があったという、もっと掘り下げたあなた御自身のものすごい外交上の努力を一つ示してもらいたい。
○小坂国務大臣 日は今ちょっと私記憶しておりませんが、たしか九月の十二日だったと思いますが、ハーター国務長官と会いました際にそのことを申しました。しかし現在の極東情勢の続く間は、これはなかなか困難だということでございます。しかしわれわれの要望は、まさに要望としては伝えてあるわけでございます。
○受田委員 そうすると、結局あなたはハーター国務長官に伝えたのですね。具体的な交渉にはなっていないのですね。正式の交渉でなくして雑談で希望を述べたのですか。
○小坂国務大臣 私が日本国の外務大臣といたしまして、正式にアメリカの国務長官と会見いたしました際にいろいろ話したことは、これは交渉であると私は考えております。
○受田委員 正式の外交交渉ですね。そうしますと正式の外交交渉をあなたがやられ、岸さんが三十二年にやられた。そのほかにどういうものがありますか。それを具体的に、あなたの前任者たちの努力をずっと網羅してもらいたい。
○小坂国務大臣 これは歴代の外務大臣から話があると思います。前外務大臣の藤山さんももちろん言っておられるわけであります。ただこれは私ども要求いたし、交渉いたしましても、やはりわれわれは日本国の利益の立場からものを判断いたさなければならぬので、先方の国際的な、極東における情勢の考慮という点については、私どもとしてもこれを理解せざるを得ない、かように思います。
○受田委員 この返還権の問題にこだわると私は申し上げましたが、非常にややこしい規定が一つある。それは今池田さんの御指摘になられた平和条約第三条、この三条の信託統治という制度に関する問題があると思うのです。平和条約第三条の規定は、これは今日期限がついた規定であるか、あるいは無期限の規定であるか。この三条の文章を読んでみると、私にも理解しかねる点があるのですが、これを一つお示しを願いたい。
○池田(勇)国務大臣 私は期限はないと思います。法律の解釈でございまするから、条約の解釈でございまするから、法制局長官からお答えを申し上げます。
○林政府委員 これは御承知の通りに、要するにアメリカを唯一の施政権者とする国連の信託統治に付するまで米国が行政、司法、立法の政権を持つということが書いてあるだけでございまして、あの規定の文言からいえば、いつまでにアメリカがこれを信託統治に付するかということについては、期限はついてないわけでございます。
○受田委員 無期限の予約ということが国際法上許されておるのですか。
○林政府委員 国際法上許されないという問題はこれはないと私は思います。ただいわゆる非常に情勢が変わった場合に、情勢変更の原則とかなんとかいうようなものが国際法上にもあるわけでございますけれども、条約の文言としてそういうように期限をつけないということは、別に国際法上許されないことではないと思います。
○受田委員 国際法学者の見解であなたが御承知に相なっている問題を一つ、二つお示し願いたいです。つまり無期限の予約というものを認めることは許されるのだという……。そんなまことにばく然とした条約というようなことはわれわれとしては考えられないことなんですが、いかがですか。学者の説を一つお示し願いたい。
○林政府委員 この平和条約第三条の問題で、今無期限の予約ということをおっしゃいましたけれども、この問題は実はアメリカがいわゆる信託統治に付する提案を国連に対してするかどうかという問題について、期限がついてないということでございます。それをいつまでにしなかったら日本はそれを当然もとに返し得るということは、条約の文言上は出てないわけでございます。そういうことはないわけであります。従ってそういう意味において、予約とおっしゃる意味が私にもちょっとわかりませんが、アメリカの信託統治に付するものについて期限がない、こういうものは国際法上許されないということではないと私は思います。たださっきおっしゃいましたように、国際法学者の中には、一般的には情勢変更の原則とか情勢何とかの原則というふうに、客観的情勢が変わった場合には、条約の規定そのものの効力に変化が生ずる場合もあるということを言う人もあるわけでありますが、しかしこれはなかなかその適用上がむずかしい問題であります。これは条約は関係国の一致した意思に基づいておるわけでありますから、関係国の意思が変わらない限り、勝手に情勢変更の原則というものを適用して、あれはなくなったのだということは簡単には言えない、私はかように考えております。
○受田委員 この問題は、法制局長官はえらい簡単に言われましたが、この第三条の規定はアメリカの意思で変えられるのじゃないですか。アメリカ一つの国で片づく問題じゃないですか。
○林政府委員 これは私は形式的から言えば、平和条約はいわゆる連合国の全部が署名しておる条約でございますから、形から言えば、やはり私は第三条をもし変えるとなれば、連合国全体の合意が必要なものであろうと思います。ただ実際問題といたしまして、これは受田委員もよく御承知のことと思いますが、あの第三条の区域内で奄美群島を日本に返した例がございます。この奄美群島を返します際は、実は日米間だけの合意でやったわけでございます。形式的には日米間だけの合意で、ほかの連合国はあの協定には署名しておりません。しかし当然アメリカは連合国の明示あるいは黙示の意思を考えてやったのだ、かように考えます。従いまして将来の問題といたしまして、沖繩を日本に返すという問題が生じた場合に、奄美群島の協定の例をもってすれば、他の連合国に異議のない限り、日米間だけの条約でできることは、それは可能性はある、私はかように考えます。
○受田委員 奄美大島の例もある、アメリカの意思だけで、他の連合国の一々の了解を得なくてもやれる場合もある、そういうことはありませんか。
○林政府委員 私はそう申し上げたわけではございませんで、奄美群島の場合は、御承知のように形式的には日米間だけの合意でやっております。しかしこれはおそらくアメリカとしては、他の連合国に異議のないことを見越してやったのだと私は思います。沖繩の場合についてどういうことになりますか、これはやはりその場合の米国の立場を——署名した連合国の意向を一々明示的に聞くか聞かないか、これは私にもわかりませんが、要するに反対の意思がある場合に米国単独でできるかどうかということは、相当問題であろうと思います。
○受田委員 大体この沖繩の施政権返還の問題は、平和条約第三条というそのものは、これは実際問題としてどうなんですか。現に日本の軍事基地化されておるのだし、実際現実にこの三条のようなことが想定される段階ではないのじゃないですか。信託統治制度というものは考えられる段階ではないのじゃないですか。今の日本の現状はいかがですか。
○林政府委員 あれをいわゆる国連憲章に基づく信託統治にかけるには、もちろん国連の議決にアメリカが付さなければなりません。その場合にその決議を得るに必要な多数が得られるかどうかという問題については、これはいろいろ問題があるだろうと私は思います。
○受田委員 現実に軍事基化されておる今の日本が、信託統治にされ得ますかどうか。信託統治にはどういうものがあって、たとえば戦略的なものもあろうし、あるいは一般的なものもある。実際問題として、信託統治にされ得ますかどうか、いかがですか。
○林政府委員 御承知の通りに信託統治の種類には戦略的な問題と、もう一つは将来そこを独立させるという問題の、二つのタイプがあるわけであります。そういういずれのタイプによりますか、それはわかりませんけれども、国連にもしアメリカがかけた場合には、相当の議論はあることだろうと想像はされます。
○受田委員 この三条の問題、これは深刻に今からお尋ねするのですが、この問題は憲章の第七十六条の規定に信託統治制度が書いてある。七十六条をお示しします。その最初に本来の目的の規定があげてあるのです。この地域は政治的、社会的、教育的進歩を促進させる。最終的にはこの地域の独立促進に施政権者が協力し、努力することにあるというこの規定、これは一体この平和条約三条の沖繩信託の目的が国連憲章と両立するものであるという解釈ができますか、この規定は。
○林政府委員 これは日本の立場でいえば、いろいろの言いたい点もあるわけでございましょうが、しかしこれは連合国が当時において国連憲章とマッチするものと考えてやったもの、私はかように考えます。
○受田委員 平和条約第三条は国連憲章の違反であると私は見る。もう一つ根拠をお示ししましょう。大体この平和条約の三条の規定が信託統治制度そのものの規定と相反するだけでなくしてもう一つ大きな問題は、この七十六条の基本的目的の一つであるa号に「国際の平和及び安全を増進する」という規定があります。この号にも違反するものと思う。なぜかと言いますと、今沖繩はものすごい極東の軍事基地ですね。軍事基地であって、これがもし信託統治のもとに移行するとなるとどういう事態が起こりますか。いかがです。それをまず一つお伺いしたい。
○中川政府委員 御承知の通り信託統治制度は国際の平和と安全を維持するというのが一つの目的になっておりますが、御承知の通り信託統治制度そのものにいわゆる戦略地域というものが認められるのでございます。この趣旨は、結局国際の安全を維持するためにはある程度現段階ではやはり戦略的措置が必要である。集団安全保障、そういう措置が必要であるという見地からこのような戦略的信託統治地域というものも国連憲章のもとにおける信託統治制度の一つとして認められておるのであります。おそらく沖繩がアメリカによって信託統治に付せられる場合には、この戦略信託統治地域ということになるのじゃないかと思いますが、これは決して国連憲章のただいま御指摘になりました規定に違反するものとは、国連憲章自体が考えていないところであると思います。
○受田委員 今、極東における最大の軍事基地が一般的な信託統治地域、ソ連の査察を受けるような事態が考えられる場合はどういうふうになりますか。そういう信託統治の制度がとられるとするならば、一般的な問題として……。
○中川政府委員 信託統治地域が設定されました場合には、その信託統治協定に従いまして一定の国連機関による査察を受けることがあると思うのでありますが、はたしてソ連が入りますかどうか、それはその協定を見ないと何とも言えないと思います。
○受田委員 協定を見ないといかんとも言えない、ソ連も査察に参加し得る場合がある、こういうことが事実起こった場合に、問題はこういう信託統治になり得ますかどうか。極東の最大基地がソ連の査察を受けるような事態に実際の問題としてなり得ますかどうか、いかがです。
○中川政府委員 平和条約締結以来今日に至るまで沖繩が信託統治にまだ付せられていないという事実は、ただいま受田委員の仰せられましたようになかなかこれが実現が困難であるという事実から来ておるものと考える次第であります。
○受田委員 これは国連憲章の七十六条にその点でもまた一つ違反する。つまり極東の重要なる最大の軍事基地で、この状態がそのまま続いて、それが信託統治のもとに入れられるということが実際上考えられるかどうかということです。これは国際紛争のきっかけにもなるおそれがあるのですね、そういうことにもしなるとするならば。現状がそのまま信託統治にされた場合、平和条約三条がそのまま実行された場合は国際紛争の新しい紛争の中心になるじゃないですか。いかがですか。
○中川政府委員 平和条約第三条は、そのまま実施されまして沖繩が信託統治地域になった場合に、それが国際紛争の新しい根源になるかどうかという点、必ずしも私御承服できないのでありますが、もし信託統治に付せられるという場合には、安保理事会にこれは当然かかると思います。その場合にロシヤがこれに賛成いたしますれば、ロシヤとしてもある程度の考え方を持ってこれに賛成するのでありましょうから、そのために沖繩が国際紛争の新たな根源になるということとは必ずしもならないのじゃないか。そのときの状況によることはもちろんでございますが、当然そうなるというふうにも考えられないように思います。
○受田委員 ソ連の査察が行なわれるということは考えられるのですからね。そういうことが考えられるような状態でこの平和条約三条があるということがおかしいじゃないか。だから平和条約三条は、ソ連の査察等が現実に極東の最大軍事基地に行なわれるという事態が想定される立場から考えたときには、憲章七十六条違反になる、こういうことを私申し上げた。実際問題としてこの平和条約三条というものはどうですか、実際に憲章七十六条に全然違反しないとお答えできますか。
○中川政府委員 一般的に信託統治地域が、その地域を将来においては独立させるというのが目的であることは事実でございます。受田委員の仰せられるのは、おそらく、日本という国を独立させる平和条約を実施するという時期に、沖繩だけ切り離して信託統治にするということは、その精神に反するということであろうかと思うのでありますが、第七十七条というのがございます、これによりますと、敵国から分離される地域というものを信託統治に付し得るということが書いてあるのでありまして、日本も敵国であったわけであったのでありますが、この敵国に対する措置というものは、またおのずから一つの例外的な措置が国連憲章のもとでも認められておるのでありまして、必ずしも沖繩を信託統治に付するという平和条約三条の規定が国連憲章違反であるというふうには考えられないと思う次第でございます。
○受田委員 それは七十六条の、先ほど私が申し上げた独立への協力促進という規定と、もう一つの規定の方、私の申し上げておるのは、「国際の平和及び安全を増進すること。」という規定、つまりその規定の方から見て、a号に当てはめて、今のような沖繩の驚くべき軍事基地になっているものが、それが信託統治のもとに移行するということになると、大問題が起こるのじゃないかということです。さっきから指摘する通り、実際問題として。
○林政府委員 今受田委員のおっしゃられますのは、七十六条のa号でございますか、それとの関係だと思います。しかし規定の表面からいってa号違反ということにはならない。今受田委員は、そういうことのために国際紛争がまき起こる可能性があるじゃないかという御見解でございますが、これはその通りになるかならないか、やってみなければわからないことでもございますし、七十六条a号に形式的に違反するということではないと私は考えます。
○受田委員 第二のおしまいの方は実質的な影響になっている。実際問題として沖繩をソ連が今査察した場合にどういうことが起こりますか。あなた方がとんでもないごまかしの答弁をしておられるのですが、実質的には大へんなことであると御了解願っておるのですね。
○林政府委員 これは先ほどから条約局長もお答えいたしました通りに、いろいろなむずかしい問題があろうかと思います。従いましてアメリカも容易に信託統治に付する議案を提出しないだろうと思います。また日本側から申しましても、もちろんこれを信託統治にいくことは日本にとって決して有利なことではございません。これは促進する必要ももちろんないわけでございます。
○受田委員 これを促進する気持ももちろんない。そういう気持ももちろんないようなのが平和条約三条ですね、総理大臣、法制局長官はこれを促進する気持はもちろんないと日本政府の見解を表明しておる。平和条約三条の信託統治の促進の意思は全然ない、あなたもやはりその通りですね。
○池田(勇)国務大臣 平和条約第三冬は、沖繩が国連の信託統治になるまではアメリカ合衆国が施政権を持つ、こういうことになっておるのであります。だから今信託統治になった場合にはソ連が査察するじゃないかというような御議論でございますが、なるかならぬかはまだわからぬ。いつなるかということはわからぬ。しからばその問題がアメリカを中心とした連合国できまるのでございます。われわれはそれを待つよりほかにはない。日本からどうこう言う筋合いのものではないと思います。ただ現実の問題としてアメリカが国連の信託統治にするというときには、今お話しのような非常な軍事基地というものは多分なくなるだろう、こう思います。そうなってみれば査察なんかの問題は起こらない。それからまたわれわれとしても信託統治になったというときには、日本の潜在主権はどうなるかと申しますると、いろんな議論がございましょうが、信託統治になった場合には日本の潜在主権はなくなるというのが通説ではないかという気持を持っております。これはまだよく勉強してはおりませんが、信託統治になった場合には日本の潜在主権はなくなるという説が相当強い。こういうことを考えてみますと、私は今沖繩がアメリカの意思によって連合国の承認によって信託統治になる、ならぬを議論するのは少し早いじゃないか。そういうことは今議論しても実益がない。ただ今の状態として、われわれは国際平和が確立して、早く日本の潜在主権に基づいて施政権が返ることを念願しておるのであります。
○受田委員 私は信託統治にせよということを言っておるのではないのです。この条約の規定でいくとそういうことになっている。ところがこの条約が事実問題として平和条約第三条というのは、もうそういうことは必要がないのだ、促進をする必要はないのだ。それから岸総理も昭和三十二年の委員会でそういう答弁をしておる。信託統治の必要はないのだ、そういうことはアメリカもしないだろう、こう答弁しておる。そういうことになると、そういうことを考えられない、そういう事態は考えられないような規定が第三条にあることは間違いではないか。だから平和条約第三条というのは実際的にはこういう規定は役に立っていない。役に立っていないということに、また不憲章の精神からも、七十六条の精神からも違反しておるということになるならば、平和条約三条の基礎というものは、もう根本からぐらついているという解釈をしていいんじゃないかということをお尋ねしておるのです。
○池田(勇)国務大臣 国連憲章七十六条と平和条約の三条との問題につきましては、法制局長官並びに条約局長からの話であなたとの説は違っておると思う。食い違っております。ただ私の考えで、第三条は要らないじゃないかとおっしゃるけれども、平和条約を結んだときに日本の領土であった沖繩が分離せられて、そうしてその沖繩の取り扱いをきめた問題でございます。だから沖繩をどうするかというときに、あの平和条約では、将来国連の信託統治になるまではアメリカが施政権を行政、司法その他の立法の権利を持つ、こういう規定であるのでありまするから、なくなったと私は考えるべきではない、要らぬようになったと考えるべきではない。
○受田委員 実際問題としてそういう事態が考えられないような形になっている規定である、それはあなたは了解しますね。
○池田(勇)国務大臣 実際問題として考えられないということは、いつの現在でおっしゃることでございますか。世界の平和が確立して、そうして規定通りに信託統治として文化国家の将来の独立を見越したような沖繩にするかしないかということは将来のことであって、今の状態では考えられないじゃないかといったら、この冷たい戦争が何十年も続いてアメリカはいつでもあそこに強大な軍事基地を置くという前提でお話しになれば、しかもそれが長く続くということになれば、これは信託統治という規定というものはおかしなものになる。こういうあなたの説も立つかもわかりません。あの三条を設けたゆえんのものは、ただいま申し上げました状態でございまして、沖繩が信託統治になるまではアメリカがこれに施政権を持つのだ、こう御解釈になったらという規定ではございますまいか。
○受田委員 そういう規定ですが、信託統治という前提があるのですからね。その前提が可能性のないような規定は、あなたに今申し上げておる、事実上この規定というものは役に立っていない非常な有害無用のものである、こういうことになる。将来その無期限の予約を実現する日もやがては来るであろうというような、そんな規定が平和条約の三条ですか。そんなことを想定してこれはできたのですか。そんなに無期限のことを想定して平和条約三条はできたのですか。もう一度お伺いしたい。
○池田(勇)国務大臣 あなたのお考えだと、平和条約三条にアメリカが施政権を持つということならばいいが、前提が信託統治になるのだ、それまではアメリカが施政権を持つというのが無意味だ、こうおっしゃる。じゃ逆に信託統治という規定がかったらあなたはいいとおっしゃるのですか。その点をどうお考えになりますか。
○受田委員 あなたはこの三条の規定を信託統治にするまでは施政権を持つ、その信託統治は可能性が現実にはない。将来冷たい戦争がそんなに長く続くことはないから、信託統治にすることはあるかもしれぬ、そういうことですか。ちょっともう一ぺんあらためて……。
○池田(勇)国務大臣 あの規定を設けたときはこういうような情勢ではなかったということで、将来は信託統治にする考えは連合国は持っていたのです。われわれもそういうような気持がありました。しかし、今の現状で信託統治にすることはこんりんざいないときめてかかることもいかがなものかと思います。
○受田委員 こんりんざいないというような、そういう政治家の発言としては、——何かどこかに将来役立つかもしれぬから、信託統治にすることはあり得るかもしれぬから、この規定は生かしておくべきだ、とこういうふうにあなたの御意見を私は解釈させられざるを得ないのですが、それはそう了解してよいですか。
○池田(勇)国務大臣 私は、あの三条の規定は、先ほど申し上げましたように日本の領土を分離して、沖繩をどう取り扱うかという問題でできておる規定でございます。しこうしてその当時は国際情勢はこういう緊迫し、しかもいつ冷たい戦争が終息するかもわからぬという情勢を予想したかどうかわかりません。われわれはそこまでも考えなかったのですが、日本から分離した沖繩というものをどう取り扱うかというのが三条の規定でございます。そこでそのときに、いや信託統治というものは将来起こりっこないから、それはアメリカが施政権を持つのだという規定だけでよかったかという御意見ならば、あの当時の情勢としては、やはり信託統治という前提を置いた方がやっぱり通りよかったと思います。しからばこういう状態ができたときに、これは信託統治というものはいつごろ発足するかとこう申しますると、これは情勢の変化でわかりません。だから私はあの三条の規定は無意味であるとは考えていない。沖繩の処理についての規定で、必要であると考えております。
○受田委員 そうすると信託統治になし得る場合がある、とかように考えておるわけですね。
○池田(勇)国務大臣 なるかならぬかは情勢の変化で、連合国がどういうか、あるいは日本がそういうことはしてもらいたくない、私は、信託統治になったら、日本の潜在主権というものについて相当の疑問があるのですから、そういうことは今のところは想像できぬだろう、したくないというような気持はございます。
○受田委員 これは非常に問題が複雑な問題であります。時間の関係で、大体いつまでやっていいことになっておるのですか。
○船田委員長 零時二十二分ということになっておりますから、どうぞ。
○受田委員 私の質問はいつから始まりましたか。
○船田委員長 午前十時五十二分から始まっております。
○受田委員 一時間三十分、それはちっとも追加できないのですか。
○船田委員長 なるべくそれに従うように……。
○受田委員 第三条の問題は、これは総理大臣、沖繩の施政権返還に関連する規定としては大事な問題だから残しておかなければいかぬ、こういうふうにこれは十分生かす価値のある条文だ、かようにあなたはおっしゃるのですね。
○池田(勇)国務大臣 施政権返還の言いがかりにするために必要だというのじゃございません。今の日本国から分離した沖繩をどう取り扱うかというための規定でございますから、これは無用なものではない。しこうして信託統治がいつ起こるか起こらないかという問題につきましては、情勢の変化だから何とも申し上げられません。ただ私の心配しているのは、信託統治に万一なった場合には日本の潜在主権というせっかくアメリカに認めさせたものがどうなるかということが心配なんで、私はこの規定は今のままで、あまりとやかく言わず情勢を見た方がいいのじゃないか。不必要なものとは私は考えていないのであります。
○受田委員 結局沖繩の施政権の返還を要求するためには、この第三条の規定は、実際問題として、こういう場合は、現在の日本では、現実には予定され、想像されない。そういう問題を前提として考える方法が一つあると思う。それは第三条の規定は、現実の日本の上に信託統治を現実に考えることはできないのだ。そうするとこの第三条というものは、現実問題としてもう効用を失っておる。これを、信託統治を将来非常に長い先で冷戦が解決したというようなときに生かすからというような、そういう長い将来を予定した規定ではないんだ。あの条約を結んだとき、あなたも全権の一人だったんだよ。そんなに長い将来を予定してやったんじゃないんだ、そういうことは言えるでしょう。責任者として一つ。
○池田(勇)国務大臣 あのときの状態では、あの規定が必要であると考えて調印いたしました。その後の変化もございましたが、現在においてあの規定は要らぬとは言えません。要るのでございます。
○受田委員 あなたの前任者の岸総理は、これはほとんど必要ないであろう、アメリカの方でもやらぬであろうと発言をしておられることであります。この問題は、それでは一応あなたの御意見ではこれは要るんだということで、その要る議論でこれを将来次の機会に繰り返し申し上げることにいたします。 いずれにしても、この沖繩の施政権の問題というものは実際に信託統治とすることの可能性がない、またそういうことはあり得ない、現実の問題としては現在の立場では考えられない段階になっておるということになるならば、沖繩を早く日本に軍事基地とは別の問題として返してもらって、施政権は返す、軍事基地は別にまた新しい約束をするという方法があるのです。そういうことが考えられるのですから、返還権の要求と軍事基地の設定とは別の問題として政府としては取り扱うべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○池田(勇)国務大臣 この規定の要る、要らぬの問題で補足しておきますが、あの規定があるからこそアメリカが施政権を持っておるのでございます。こういう意味において必要でございます。信託統治の問題に関する限りにおきましては、これはまた別の考えであります。われわれは先ほど申し上げましたように、信託統治になったならば日本としては有利か不利かといったら、これは不利の方が多いのであります。こういう意味で、あの規定があるからアメリカが施政権を持っておるのですから、この規定は今なくていいんだということにはならぬと思います。それから今の施政権を返して、そして軍事基地をそのまま置くということも、これは観念上あり得ます。あり得ますけれども、施政権を返したなら一切軍事基地は置かないということにきめる必要もないと思います。
○受田委員 最後にこの問題に関係して、平和条約の第三条の規定は、奄美大島の実例もあって一方的にアメリカだけで片づけた事件もある。こういうことを今、法制局長官は言っているのです。だからほかの国が了解しないでやっておる事例がある。そういうことになれば、平和条約三条の規定は、アメリカの一方的意思でこれを放棄することもできる、こういうことは可能性があるということになるのじゃないですか。
○池田(勇)国務大臣 法制局長官の答えたのは、アメリカが自分一人で勝手に返せるんだと答えたのじゃないと思う。ああいう一部の地域でございますから、アメリカの立場は知りませんけれども、連合国にアメリカが相談しているかもわかりませんし、また相談しなくても、前もっていいと言っておるかもわかりません。しかし規定上はアメリカが独断でやり得る規定にはなっていないのです。しかしアメリカの考え方が支配的であるということは、あの事例から見られるのであって規定上、条約上アメリカが単独でできると解釈すべきものではない、私は法制局長官もそういう意見だと思います。
○受田委員 奄美大島の場合は、単独にやったということになりますね。
○林政府委員 この点は先ほども申し上げました通りに、奄美群島を日本に返還する協定は、日本とアメリカだけの署名でやっております。しかしこれはアメリカが連合国にはからずに独断でやったという証拠にならないのでありまして、今、総理も仰せられました通り、先ほど私の申し上げました通りに、当然連合国と事前の了解を得たかあるいはそのとき了解を得たか、それはわかりませんけれども、要するに連合国の意思がそれに反対でないということを考えてやったことだと思います。従いまして沖繩の施政権返還についても、奄美群島と同じような例でこれはやれると思います。やれると思いますけれども、これはアメリカないし連合国の意思いかんであります。アメリカの独断で勝手にやる、連合国の反対があってもできるという問題ではないと私は思います。
○受田委員 総理、あの沖繩の施政権返還の問題は、地元の強い要望、全国民の要望である。そこで今の平和条約第三条の規定の文句もさることであるが、アメリカの意思でこれが一方的に破棄できる可能性もなきにしもあらずということになるならば、むしろこの際政府としては、勇敢にこのアメリカの一方的な第三条の規定を放棄させるという措置をとらせる努力をするとともに、その沖繩の施政権返還という重大な全国民的要望を、今後さらに強力な国民的な意思、超党派の全国民の要望であるという強い背景のもとに、総理としてはこれを推進していただきたいと思うのです。いかがでしょう。
○池田(勇)国務大臣 全く同感でございまして、私はアメリカに対しまして地政権の返還を要求する一方、できるだけ沖繩島民の方、同胞の立場に立ちまして、文化的にも、先般もあれいたしましたが、マイクロを別につけまして、日本のテレビが内地と同じように見れるように、そうしてまた教育も非常に熱心でございますので、教育者を十数人先般も送りましたし、また医療関係その他とにかくもっともっと同胞であることを如実に示して、そうしていやが上にも上がっておる今の内地復帰の気持を燃え上がらせよう、そういたしまして内外ともに施政権返還の願望と悲願が実現するように努力することは、あなたと同じ考えでございます。
○受田委員 その問題については、与野党の分かちなく強い熱望があるし、全国民の要望であるということで急速にひんぱんに外交交渉を推進してもらう、これを一つ要望しておきます。 いま一つ外交に関係する問題で最後にお尋ねをしておきたいことは、米国の駐留軍の最近における引き揚げ、海外基地の縮小、こういう問題です。今度アメリカのとられているドル防衛に関連した措置として、日本におる米軍のその家族の引き揚げ、並びにPXその他における日本商品の不買、こういう問題でもう一つ起こされておる駐留軍労務者の一方的解雇、こういうような問題、これを政府としては、早急に何らかの手を打っておられると思うのですが、具体的にまず今度の新しい安保体制の中の第六条に伴う地域協対における駐留軍労務者の解雇者の中で、まだこの地域協定の規定で直接にアメリカから雇用されておる形の者が間接の雇用、つまり日本政府の責任の方に移っていないのがある。その人々は退職金その他の処遇において非常に不利な取り扱いを受けておるのですが、こういう問題は一体政府として新しい安保体制の規定に基づいてどういうふうにこれを推進されようとしておるのか、お答え願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 アメリカのドル前衛の問題につきましては、先般来いろいろあれしておりますし、ドル防衛という見地から見ますると、今のICAの問題とお話しの駐留軍の家族の問題がまず第一に起こって参ります。しこうして、最近ではケネディ政策によるかどうか、まだ移り変わりの前でございますが、ICAとか軍人の家族を呼び返すということではなしに、基地の問題あるいは軍の編成の問題等々、いろいろな問題が起こってくると思います。私はそういう予想を持っておる。だからいかなる問題が起こりましょうとも、これがうまく円滑にしかも日本の経済、日本の利益に非常に反しないように、お互いの立場を考えながらこれを円滑にやっていきたいと考えております。従いまして駐留軍関係の労務者の問題等々は、関係閣僚からお答えいたします。
○西村国務大臣 ドル防衛とともに昨日基地の縮小というような問題についても、ゲーツ国防長官の指令というものが報道されております。しかしドル防衛からきて、御存じの通り援助に対しての削減があるかどうか、これについては昨日御答弁申し上げたように、防衛庁としては大体従来から有償に切りかえていく。従ってさしあたり大きなる変化はない。それから昨日の基地縮小のことについては、まだわれわれの方には正式に何ら話もない段階であります。特に後方部隊に対して多少、たとえば家族の引き揚げはもちろんでありますが、多少病院、学校等、そういうものには影響がある。あるいは厚生施設、これらはさらに米軍の方の具体的実施という影響と相待って、関係各省とも連携をとって適当な措置はとりたい、こう考えておりますが、根本的に大きな影響はない。 それから、特に受田委員の御指摘のありました進駐軍労務者であります。確かにこの諸君はある意味においては不安定な職業でありますことはよく存じております。そこで従来から直用の者を間接雇用に切りかえる。御存じの通り多少ベース、アップに関係して問題がありましたが、この方はある程度折衝が進んでおります。直用の問題でございましょうか。——直用につきましては確かに行政協定等の趣旨から、われわれとしてはこれを間接雇用というかそういうものに切りかえるべく努力を非常にいたしておる段階であります。それから、さらに引き揚げ等によって多少の削減というようなことが行なわれる事態が近づき、また起こる場合におきましては、御存じの通りこれについては法律等も現存しておるのでありますから、この趣旨にのっとって十分政府側としての万全な措置を期して参りたい、こういう考えでおります。
○受田委員 直接雇用から間接雇用に移行されないままで処分されるというような事態が起こったときに、これに対する補償をどういうふうにしようとしておるのか。新しい地域協定に基づいて日本の責任のある立場にこれを切りかえる必要はないのか、そこを特に明瞭にしておきたいと思います。
○西村国務大臣 直用の諸君は間接の諸君とは違って、数は御存じの通り少ないのでありますが、できるだけその実害の少ないようにして参りたい、こういう考えでございます。なお補償等の問題については、国の全体の立場もございますから、これらはまだ検討いたして参らなければならないだろうと思います。
○受田委員 検討する前に、米軍の直接雇用から当然間接雇用に移行して地域協定に基づく日本の政府の責任の所管に入るべきものを、そのまま処分されるというような形でこれが解雇されるようなことになると、非常に気の毒だと思う。そこを私は今お尋ねしておるのです。地域協定の実施についてどういうお考えを持っておるかをお尋ねいたします。
○西村国務大臣 直接雇用は米軍と被雇用者との間の直接関係であって、政府としては直接に何ら責任はないわけでありますが、しかしながら、行政協定に基づく趣旨に基づいて、できる限り、われわれとしては間接雇用にこれを移すべく努力したい。直接政府との間に関係のないものについては、われわれが今介入してどうこうする段階ではないけれども、できるだけ間接雇用の中に引き取るような努力をするべく、米軍当局とも関係の調達庁長官でございますか、中心に折衝させておるということだけを申し上げます。
○受田委員 その折衝の過程で処分されるという事態が起こったらどうするか。
○西村国務大臣 それ自体は、御存じの通り米軍とそれから被雇用者との直接の関係であります。従ってあくまでもそれは、その直接の関係において妥当なる措置がとられることを期待いたします。
○受田委員 それは、期待通りにいかないのが米軍の従来のあり方なんです。あなたの方として、調達庁とよく相談をされて、これを間接雇用の方にすみやかに移行するというような措置をおとりになることを、特に、私は要望しておるのです。いいですか。 防衛長官、あなたは、ちょうど今おられるので、私、質問をいま一点だけお尋ねをしておきたいのですが、長官になられたばかりで、部下の栄誉礼を受けられて非常に楽しかったという御感想が新聞にも出て、ずいぶん御満足の体でございますが、私は、あなたの指揮される防衛庁の将来について非常な一つの不安な気持がしているのです。それは今度のドル防衛措置に対して、日本に対する軍事援助という形が相当押えられるのじゃないか。これに対する見通しはどうですか。
○西村国務大臣 もちろん、私どもの方としてはMSA協定等を中心に、防衛力漸増方針の中にMSA協定の供与を受けるという体制は、従来とも、第一次防衛力整備計画ですか、等においても考え、また今後検討すべき次期防衛計画等においてもあります。しかしながら、われわれとしてはできる限り、これを、米軍の方針もあり、われわれの方針もありまして、有償に漸次切りかえてきておる。こういう面から、われわれとしては、すでに今回の指令の出る以前から、それを大体そういう方針でやってきておりますから、差しあたり私どもには影響はない、これによって直ちに、それでは日本側だけが独自に防衛力を、従来の方針から変えて、国力不相応、国の経済、財政力不相応な負担を背負ってやらなければならぬというような段階に陥らぬように、すでに用意をさせておりますから、御心配のような点はないと私はかように考えております。
○受田委員 総理大臣、国民に負担をあまりかけないように、今後の防衛の整備計画等も考えていきたいという防衛庁長官の御意見であると私は了解するのですが、今後の第二次防衛計画はまだ立案されておらぬということでありますが、今後の防衛体制、防衛整備計画を進める上において、対日援助がたとい削減をされても、その部分について日本国民の税負担を増強して、防衛力を特にその部分の補いとして強く考えるという、そういう財政政策、防衛政策は考えない、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○池田(勇)国務大臣 MSA援助がどういうふうなことになるか、これはわからぬことですが、しかし全然ないと見ていくことも、これは実際問題と合わぬと思うのです。従いまして、私は、防衛庁長官の答えましたように、日本の国力に相応して自衛力の漸増をはかっていきたい。国力に相応する、こういうことでいきたいと思います。
○受田委員 それは当初の防衛整備計画に出ている言葉その通りだし、また安保条約にも出ているのですが、私は実際問題として米軍が日本から撤退するということは、ごく一部の者を残して撤退するということが想像されるのじゃないかと思うのです。これは海外基地の縮小という新提案がされておるのですから、このことについては基地の縮小、それに伴う米軍の引き揚げ、それに伴う日本の自衛隊の補給、補充、こういうような問題は、一体防衛庁としてまた総理大臣としてどういうお考えを持っておられるか。
○池田(勇)国務大臣 アメリカがどの程度の基地を引き揚げるか、そうして国際情勢がどうなっていくか等によりまして、私は適当な防衛計画を立てたいと思います。
○西村国務大臣 ただいま総理の述べられた方針で当然でありまするが、私どもといたしましても、昨日基地が縮小されるという報道がありましたけれども、これはまだ何ら正式の通報もなし、また別に具体的に実施になっている段階でもない。従ってこれらはよく状況を見なければなりませんが、あの伝えられたる新聞情報の中からわれわれが判定いたしましても、後方部隊の縮小という程度が中心であります、ことに日本においては……。従ってアメリカのいろいろ今日考えている極東における国防政策等がら見ても、後方の基地というと、病院であるとか、学校であるとか、厚生施設とかいう面が中心で、日本の防衛力そのものとはあまり直接の関係はない、こう考えておるのが私の考えであります。従って、もちろんわれわれは、私の所管いたしております防衛力につきましては、あくまでも国防会議等ですでに決定した基本的な態度に基づき国力、経済、財政力に応じた態勢で次の計画等もよく検討を加えたい、こういう考えであります。
○受田委員 防衛庁の職員が、最近において応募者が激減しておる、これは事実定員の中にも補充されないままで相当の数字——これはあなたの方でお示し願いたい、そういうものがそのままにされている。こういう際に、かりに米軍が日本から大量引き揚げていって、日本における自衛隊の任務が新しく課せられたというような事態が起こっても、今の池田総理のおっしゃるように、そのときの国情に応じて無理をしないで増強をしていくというような考え方で処理される、つまり、その米軍の引き揚げた兵力に応じた補給を新たにするという形ではなくして、国力の実情に応じた新しい考え方で防衛庁の今後の方針をきめていく、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○西村国務大臣 私の聞き方が少し間違っているか知らぬが、国力に応じたという言葉は、私は、やはり日本の国力は伸びている段階だと思います。国力が落ちている段階とは違って、伸びている段階であります。従って国防会議等できめた自衛力を国力、経済力に応じて漸増していくという方針については、私は変えてないわけであります。ただ、総理の言われるのも、そこに無理をかけない、こういう点は明らかであると思います。 それから、現実に自衛官の応募数が欠員があることは、これは私も承知をいたしております。その数字は、現在において、自衛隊の陸の方において一万八千名であります。海と空につきましては、これは決して、少ないよりは、応募者は順調だと私は判定していいんじゃないかと思います。従って、陸上の自衛隊につきましては種々な理由がございます。経済界の好調で、新規卒業者等を初任給を引き上げてまで奪い合うような段階、もう一つは、任期制の自衛官というものが、やめてから後の職業に多少不安定感を持っておりはしないか、また募集に対するところのいろいろな技術的な方法等についても改善すべきものがある。従って、われわれは決してそのままおいているのではなくして、防衛庁は全力をあげまして質のよい者を採用する、質の悪い者だけを集めるならいつでも充足ができますが、やはり質を考えつつこれを充足して参りたい、こういう考えであります。
○受田委員 私はこれで終わります。これで最後のお尋ねをさせてもらいますが、今防衛庁長官の御説明で自衛官の数が陸において著しく欠員になっている。そしてなかなか希望者が少なくて期待ができない、海空は何とかなる、こういうようなお話でございましたが、大体自衛隊の陸の兵力というものを今後こういう現状で増員しなくても、今度の防衛二法案などで増員しなくても、またその一万八千というものを補充しなくても、陸の方は現兵員で十分間に合うという事態になっておるのじゃないですか、この点一つ最後にお尋ねして質問を終わります。
○西村国務大臣 国防会議ですでにきまっております陸の——いわゆる兵力という言葉が妥当であるか、自衛官の数を目標にしたのは十八万、現在の定員が十七万、新しく国会に政府が提案せんとするのが千五百名の増員であります。そこで現在募集難であるというのは、——応募者はあります。倍数もある程度ありますが、問題はその中である程度しっかりしたものをとらなければ、自衛隊の本来に沿わないという点が一つあります。 それから、かりに提案されるとしますれば、防衛庁法の改正と自衛隊法の改正のあの二法案の改正の増員分は、やや別個の趣旨であります。別個の趣旨ということは、建設あるいは施設大隊等いわゆる建設を中心にした民生安定等に寄与するような部隊の増強、こういうような意味で、これに対しては応募者は相当ある、むしろ積極的な応募者があるというふうな考え方もとられております。従って、あの趣旨というものは、私は必要がないというよりも、むしろ積極的に必要ありと考えております。
○受田委員 一万八千の補充はしないのですね。
○西村国務大臣 一万八千の補充については、当然われわれとしては努力をして、また開拓もしていくのであります。新規定員分がかりに認められたとしても、これは主として民生安定、各府県で非常に要望しておる民生安定にかなりつながるところのいわゆる施設大隊、建設大隊、こういうものを中心にした陸上自衛官の増でございます。もちろんそれ以外に空海の自衛官の増もあります。
○受田委員 これで終わります。
○船田委員長 午後は一時三十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。 休憩後直ちに理事会を開きますから理事の諸君はお残りを願います。 午後零時三十八分休憩 ————◇————— 午後一時五十九分開議
○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。堂森芳夫君。
○堂森委員 まず池田総理にお伺いいたしますが、池田総理は組閣直後におきましても、池田内閣の重点政策の最たるものの一つは社会保障の拡充にあり、こういうことを言っておられるのであります。またその後九月に入りまして、総選挙を控えまして自由民主党の新政策を詳細に発表しておられます。いろいろとわれわれとしては組閣当時と新政策発表をせられた当時とではかなり社会保障の後退がある、こういうふうに考えておりますが、ともかく社会保障に重点を置く、こういう発表がなされているのであります。また本国会におきまして所信表明の演説におきましても、本会議で社会保障の拡充に努力をする、こういうことを言っておられます。また本予算委員会におきまして、われわれの同僚議員のたびたびの質問に対しまして、社会保障を画期的に拡充する、こういう言葉も使われておるのであります。またその財源については、作るものである、すなわち財源は出てくるものではなくして作るものである、こういう表現も使っておられるのであります。そこで私は、総理から詳細な社会保障の各部面について一々説明をしてもらいたい、こういうことを申し上げておるわけではもちろんないのでありますが、本委員会の答弁において、全国民は、池田内閣は社会保障をどのように拡充していくのかということは非常な期待を持っておるのでありますから、私の質問に答える、こういうこと以外にも、全国民に、池田内閣はこういうふうな構想を持って社会保障を画期的に拡充していくのだ、こういう従来の答弁をさらに具体的に、大綱でけっこうでありますが、まず答弁を願いたい、こう思うわけであります。
○池田(勇)国務大臣 社会保障制度の拡充強化は私の最も力を入れたい施策の一つでございます。お話のように、たびたび申しておるのでございます。なお、財源は作るものだということの意味も、従来日本の経済の成長力というものを過小に見過ぎていた点がございますので、私は日本の経済の伸びを正確に見ながら、当初からそれを土台にしてやっていきたいというのが、私の財政経済政策のもとであるのであります。 私は社会保障制度の拡充ということには、今生活保護その他を受けておられる方々がこれから抜け出るような、それから脱していくような方法も考えなければならないし、そうして、脱出し得られなくても今の生活の程度をもっとよりよくするという消極面もありまするが、片一方ではいわゆる救貧でなしに防貧、貧にならないような——たとえば生活保護を受けておられる方々の原因を調べますと、やはり家族の間に結核とかあるいは精神病等の方々が出られて、それのために生活保護を受けなければならぬというふうな状況に相なってくるのでございますから、生活保護を受けるようにならないように、今のその原因のおもなる病気、ことに結核、精神病等につきましては、政府でできるだけめんどうを見て、全額国あるいは地方で負担しよう、いわゆる強制入院というような場合の国の負担を多くしていく、こういう点を主題に考えておるのであります。もちろん年金の問題につきましても、母子年金等につきましても、死別だけをしておりますが、生別について、各国にはそういう例がないと申しましても、やっぱり母子という現状から見まするとその原因を必ずしも全部見なくちゃならぬということはないので、実情に沿ったように拡充強化していきたいと考えております。
○堂森委員 ただいまの池田総理の御答弁では、私は少しも画期的な内容があるとは思わないのです。しかも、病気になった場合に、家族に病人ができた場合に、貧困に陥るとか、何かそういうふうなこと、あるいは母子年金の問題とか、いろいろ言っておられますが、何と申しましても、社会保障を拡充して参りますためには、予算の裏づけがないことには、これは絵に描いたぼたもち同様であります。従って、池田総理は、池田内閣の重要な政策の三本の柱は公共投資と減税と社会保障だ、こう言っておられるのでありますから、もっと予算というものの裏づけがないことには、幾ら抽象的に画期的に社会保障を拡充するのだ、こう言われましても、われわれは納得ができないし、また国民も納得はできないと思うのでありますが、きのうも同僚の委員から質問がございまして、予算規模はどういうふうにすべきであるか、社会保障に関してはどのような予算規模をもって臨むのであるか、こういう質問もございましたが、それに対しても具体的な御答弁がなかったと思うのであります。 そこで私はさらに進んでお尋ねをしたいと思いますが、社会保障というものは、いわば二本の大きな柱があると思うのであります。その一つは医療保障であり、またもう一つは所得の保障である、こう思うのでありますが、まず医療保障の方でありますが、医療保障の問題についても池田総理がいかに社会保障の画期的拡充をはかると、こう言っておられましても、現実には、今日、公的医療機関の最大のものの一つである日赤の病院のストを初めとして、全国的に病院のストライキが広がってきておる、こういう事態が起きてきたのでありますが、しからばこういう事態が起きてきた原因は、もちろん私は所管大臣にも今後聞いて参りますが、総理は、一体どういうわけで、こうした社会保障の一つの重要な柱である病院にストが起きてきたとお考えになるのか、御答弁を願いたい、こう思います。
○池田(勇)国務大臣 病院関係の職員の方の待遇につきまして十分でなかった点もありましょうし、またもう一つは、病院におきまする管理機構、こういうものが十分でなかった。お互いに話し合って待遇その他についての改善をしていくという、その機構、あるいはまた看護等につきましての待遇、管理、こういう点の不備な点、こういう二つが私はおもな原因と考えております。
○堂森委員 後ほど労働大臣並びに厚生大臣にもお尋ねいたしますが、この病院ストの問題につきましてはゆゆしき大きな社会問題でもありまするし、徹底的に政府の見解をさらにただして参りたい、こう私は思うのであります。 そこで所得倍増計画というものを政府は言っておられるわけであります。私は、池田内閣が予想しておられるように、はたして国民所得倍増計画が順調に進んで参るものかどうか、あるいは所得の格差ということが総理が説明しておられるように、ほんとうに解消していかれるものかどうか。これについてはまた意見を持っておるものでございますが、ともかく池田内閣が所得倍増計画というものを持っておられるわけでございます。私はこの長期の所得倍増計画と見合って、政府は社会保障に対する長期の計画というものがやはりなければならぬと思うのでありますが、池田総理はどうお考えでありましょうか、お尋ねをしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 社会保障制度も御承知の通り、国民皆保険そして年金制度、こういう二つの柱を立てまして、それに向かって進んでいくのでございますが、何と申しましても、そういうことを拡充強化するにつきましても、やはり経済の成長力ということがもとをなすのでございます。もちろん成長の度合いによって力の入れ方は違いますが、私はやはり国力の増進ということがそのもとをなすと思います。従いまして経済成長の計画を立てて、そして社会保障のみならず国土建設あるいは減税等につきましても、成長計画ができるにつれて具体的な構想をこしらえていきたいと考えております。
○堂森委員 そうしますと、ただいま池田内閣では社会保障に関した長期計画というものは現在何もない、こういう御答弁でございますか。
○池田(勇)国務大臣 長期計画という計画の言葉でございますが、私は所得倍増計画といっているのは、計画という意味でなしに、見通しというぐらいのつもりでおるのでございます。成長案と申しますが、計画経済というものはなかなかできるものではないのであります。私はいつかの機会に申し上げましたごとく、これは社会党さんの方でも年に一〇%、こういうことをいっておられる。これもわれわれよりもっと強いあれかもわかりませんが、これもやはり計画的にいわゆる計画のようなふうになっていない。やはり見通しの方が多いんじゃないかと思う。従いまして万事につけましていろいろな見通しをつけて、そして近いものから——たとえば十年の見通しにいたしましても、まず三年ぐらいを一つ正確な見通しでやっていこう、しかもまた明年度の分を予算の実施に移そう、こういうふうにして見通しというものは随時作っていく。御承知の通りいろいろ見通しをしましても、過去の例からいって、もう一、二年たつと日本は変わってしまうというような状況でございますから、私は社会保障制度の何カ年計画というところまではなかなかいかないと思う。しかし経済成長に応じて見合った社会保障制度の拡充の見通しもつけたいと考えておるのであります。
○堂森委員 見通しをつけたいということであって、現在池田内閣ではそうした見通しをつけるような調査といいますか、そういうものをおやりになっておりましょうか。
○池田(勇)国務大臣 まず第一に所得を十年以内に倍にするような一応の案を企画庁の方で民間経験者に諮問して、その案を今検討いたしておるのであります。今後におきましても逐次私は政府としての見通しを作りたいと思っております。
○堂森委員 それでは厚生大臣にお尋ねいたしますが、たしか昭和三十四年と思いますが、元厚生大臣の渡邊氏のころに、厚生省では長期の社会保障の見通しといいますか、計画といいますか、そういうものに着手したことがあったと思うのであります。その後国会を通じて中山前厚生大臣の当時、野党のそうした質問に対して、必ず長期計画というものを作ります、そしてこれがわが国における社会保障の長期計画の初めての試み、計画として皆様方に報告することができます、こういうふうに答弁をしておるのであります。ところが私の聞くところでは、前厚生大臣の中山さんのやめられる直前でありますが、そうした計画を中止せざるを得なくなった、こういうふうに聞いておるのでありますが、中止したとするならばなぜそのように中止したのでありますか、これもお伺いしておきたい、こう思います。
○古井国務大臣 お話のように、たしか渡邊厚生大臣の時代だったと思いますけれども、社会保障の長期計画を作りたいというわけでそういう努力を始められたわけであります。私はこの着眼は非常に意味があると思ったのであります。ただ実際問題は申すまでもなしに非常にむずかしいことで、あまり架空なものを作っても意味がない、しかし反面、何かそういう目安を持っていないと、いわば風の間に間にみたいなことになってしまってもたわいがないことでありますから、やはりむずかしくてもこの問題はもう一ぺん検討してみようじゃないか、あまり架空にならぬで、しかしあまり現実にばかりなじんだものでない辺でそういうものを取り上げて問題を検討してみようじゃないか、こういうことをこのほど言っておるところであります。しかしまだどういうふうにという結論は出ておりませんので、総理にも申しておりません。今私どもの手元でこの問題について検討しておるところであります。
○堂森委員 ただいま厚生大臣の答弁によりますと、ただいま検討中ということでありますので、いずれ次の機会にまた厚生省当局からいろいろと質問をしたい、こう思っておるわけでありますが、私は社会保障の拡充ということは、何と申しましても二本の大きな柱である医療保障というもの、さらに所得保障としての公的年金、さらにまた低額所得者であるところの極貧層と申しますか、生活保護という制度で対象者六十万世帯、百六十万人くらいの人がこの対象者となっておるわけでありまして、まず私はこの三つの制度がやはり緊急にその内容が充実されなければ、社会保障の画期的拡充なんというものは言えないと思うのであります。幾ら総理が拡充々々と、こうおっしゃいましても、今日の医療制度というものを見ましても、なるほど自由民主党の方では本年度一ぱいで国民皆保険が行なわれる、実現する、こう言っておられるのであります。確かに全国民から国民皆保険という形で保険料を徴収する、そういう体制はできたのであります。しかしながらはたして保険料を徴収する体制はできましても、全国民がすぐれた医療を自由に受けることができるような制度であるか、こう申しますと私はそうではない。どう申しますか、かえって前代未聞の病院ストというものが全国的に広がってきておる。これは私は政府が幾ら国民皆保険を誇張されましても大きな問題であろう、こう思うわけでありますが、厚生大臣はこの病院ストというものに対してどういう——さっき総理からは一応の見解の表明がありましたが、厚生大臣、一体どういう原因でこの全国的なストというものが起きてくるようになったかということについての見解を率直に御答弁を願いたい、こう思うわけであります。
○古井国務大臣 今病院ストはこういうふうに広がるし、長引くし、医療機関がこういう状況でありましては、まことに困ったものでありますので、私どもも大へん気を痛めておるところであります。そこで、この原因がどこにあるかという点でありますが、これはやはり病院々々のそれぞれの事情によるものもあると思います。必ずしもどこもここも同じというわけにはいかぬと思うのであります。しかし、おしなべて見まして、病院の経営、管理というものがどうも十分うまくいってないように思えるのであります。それで、医学や医術はこういうふうに進むし、建物や設備もぐんぐんこのごろ新しくなってよくなってきたのでありますけれども、病院の企業体としての経営、事業体としての管理、そういう点はどうも相も変わらずこのようなうらみがあると思うのであります。そこにやはり原因があるのじゃないか。では経営、管理のどういう点にということはいろいろ見方があります。見方がありますけれども、どうもそこにやはり根源があって、ここに取り組まないと、幸い今回のこのストが解決しましても、また将来も繰り返す、根が残るということにもなると思いますので、まずそこだ、こういう判断でこれに取り組むことに実はいたしておるわけであります。
○堂森委員 労働大臣、どう考えておるのでございましょうか。
○石田国務大臣 いろいろ今総理あるいは厚生大臣からお話がありましたことのほかに、いろいろな複雑な事情があると思います。これをまとめて申しますと、まず第一に労使関係が未熟であるということが言えるだろうと思います。経営者側にありましては、近代的な労務管理、あるいは近代的労使関係というものについての理解が非常に乏しい。それから従業員の側にいたしましても、何と申しますか、中小企業的な状態と申しますか、組合ができますと長い間の不満を一ぺんに処理しようとして、平和的な話し合いの場所を持たないで、すぐ闘争隊形を組む、こういうような、労使双方に見られる労使関係の未成熟ということがまず一つあげられると思います。 それから第二番目には、今厚生大臣のお話にございましたように、経営管理というものが、これも非常に放慢と申しますか、不完全である。たとえて申しますと、財務管理の体系ができていないために、団体交渉をいたしましても、その団体交渉の材料になる資料が十分整わない。従って、自主交渉が進まないということもあり得ると思います。 また、責任体制が不明確である。開設者と理事者と病院の院長、あるいは事務長、一体たれが労務管理の責任を負うのであるかその点が不明確でございます。 それから病院の人的関係が非常に複雑である。医者相互間あるいは医師と看護婦の間、看護婦も正看護婦と准看護婦の関係、こういうようなものがきわめて複雑であろうと存じます。その次には、賃金が病院間、職種問において相当隔たりがある。また、同一学歴、同一年令あるいは仕事の責任というようなことを勘案して他の職種と比較をいたしてみますと、適切を欠くものが非常にあるように思われる。それから、やはり労務管理の中に入るのでありますが、就業規則のできていないところが非常に多い。従って、その職種のものがやるべからざる仕事をやるというようなことから生じます労働過重、それから医療法に定められております定員の問題等の充足が思わしくいっていない。そのために労働過重に陥るというようなことがいろいろあげられると思うのでありまして、そういう各般にわたっての処理を行なっていくということが、この病院ストの解決の方向に向かっていく第一の要件であると私は考えておる次第であります。
○堂森委員 ただいま石田労働大臣の答弁を聞いておりますと、その多くの点については私も同意見でございますが、何か監督官庁であるべき厚生省は長い間そうした医療制度一般、全般に対して非常に怠慢であった、こういうことを労働大臣自体が言っておられるように受け取れるのであります。私はそういうふうに受け取るのであります。厚生大臣は、こうした全国的に広がってきた病院のストライキというものを、あなたは監督官庁の大臣としてこの病院ストは一体いつごろ解決していくものであるか、どういう見通しを持っておられるのかまず承りたい、こう思います。
○古井国務大臣 この病院ストの解決の見通しでありますが、これはいろいろ見方もあると思います。たれしも早くと思っていることは共通のことでありますが、見通しの問題になりますといろいろ見通しがあると思います。これは私というよりは、病院ストの時期の見通しは労働大臣から御答弁になった方がよいと思うので、その点は労働大臣からお答え願います。
○堂森委員 厚生大臣にお尋ねしますが、なるほど労働問題に関しては労働大臣の所管であるのでありましょうが、しかし、厚生大臣としてのあなたのやはり見通しがなくちゃいかぬと思います。また、それでは責任が果たされない、こう思います。しからば労働大臣からお答え願いますが、これはいつごろ、あるいはどのような姿で解決していくものか、この見通しをまずお伺いしたい、こう思います。
○石田国務大臣 御承知のごとく、民間の労使関係の紛争というものは、その紛争解決のためにとられる争議等の手段が適法に行なわれている限りにおいては、自主的に処理せられるべきものと私は考えます。現在の法制もそうなっておるわけであります。従って、私どもといたしましては、まず第一に争議等の手段が適法に行なわれるように希望し、その手段を講ずる。が、その前には争議等の手段に訴えないで解決せられるように希望する必要があります。そのためには自主団交、さらに自主団交が煮詰まって参りましても、なお処理できない案件がある場合におきましては、第三者のあっせん等によって平和的に解決をする。さらにやむを得ず争議等の手段に訴えられるというような場合にも、保安要員等の確保に努めて、社会的影響を少なくするように措置をして参るわけでありますが、そういう点において、不幸にして争議の手段に訴えられてはおりますけれども、現在の段階では、きわめてわずかな例を除きましては、必要な保安要員が確保せられて、実際の患者その他に対する被害が及んでいないことは、私は不幸中の幸いと考えておるわけであります。ただそういう場合におきまする争議解決の方法は、ただいま申し上げましたように、適法に行なわれておるのでありますから、その限りにおいては自主的な解決の方法に期待をする。しかし労働省はその解決の障害となりまする諸条件の除去に努める。そしてもう一つは、やはり解決の方向へ向かって進み得られるようなムードと申しますか、雰囲気と申しますか、そういうものを作り上げていくように努力をすることが、私どもの仕事であると思っておるわけであります。 そこで解決の障害になりまする諸条件の除去と申しますのは、その原因の除去であります。その原因の除去につきましては、やはり直接の監督官庁でありまする厚生省におかれて、原因の除去について具体的な検討を進めていただいて、そうしてそれに努めていただくということが必要であろうと存じます。また直接厚生省の監督に属するかどうかは別といたしまして、私どもといたしましては、たとえば日赤の責任者を招致いたしまして、その労務管理の責任を明確にするように要望いたします。あるいは病院等については、先ほども申しましたように、責任の所在が明らかでない場合におきましては、どうも自主交渉をしろと申しましても、相手方が明確でないときには困るわけでありますから、現在そういうものの明確化に努めて参っておるわけでございます。 そこで現在の段階におきましても、主として年末手当等の問題については、漸次妥結を見つつある組合も相当ございます。また昇給の問題につきましても、御承知のように慶応病院のごときは、一つの方式が出て参りました。こういうことが契機となりまして、私は漸次解決されることを希望するわけでございます。 しかし先ほど申しましたように、政府が適法に行なわれておる民間の争議に、具体的に介入すべきでない性質のものでございますので、私からいついつまでに解決させるとか、解決するだろうとかいうことは、見通しとして申し上げることは適当ではないと存じますが、希望といたしましては、年末手当の問題について、でき得る限り年内において、これは年末手当でございますから、また現に話がついておるのでありますから、これはこれで処理をしていただきまして、恒久的財源を要する問題については、厚生大臣も御言明の通り、医療単価その他の解決を待って、あらためて労使の協議に移るという方法で、年末まであまり押し詰まらない前に処理せられるように希望し、あるいはその実現のために努力をしておるという段階でございます。
○堂森委員 私は労働大臣にお尋ねしたのは、ストライキの中に入れ、こう言ったのではないのでありまして、もちろんストライキの中に労働大臣が入ってくる、そんなことはあり得ないことでありまして、その点私は労働大臣にそういうことを言ったわけじゃないのです。ただ労働大臣としてどういうふうになるであろうかという見通しをやはり持っておられるだろう、こう思ってお尋ねしたわけであります。 そこで厚生大臣にお尋ねいたしますが、いろいろな病院制度自体につきまして多くの問題がある。そこで現在そうしたストライキが、特に公的医療機関といわれておる日本赤十字社病院あたりを中心とした全国的な病院のストライキがある、こういう事態になっておるわけでありますが、厚生大臣はどういうような指導でありますとかあるいは厚生大臣として現在どういう態度で臨んでおられるのか、この点について承っておきたい、こう思います。
○古井国務大臣 日赤にしましても、これは民間の病院とは違いますけれども、そういう公的なものにいたしましても、とにもかくにも労使間のこういう争議が起こっておるのでありますから、これに対してあまり度を越すように介入いたしましても、争議の解決にはいい影響があるかどうかわかりませんし、そういう立場はとるべきものでないと思いますので、そこは慎重に態度をとっておるわけであります。むしろやはり根本問題であります先ほど私もまた労働大臣もお話しになった病院の管理、経営のあり方、改善の問題につきまして、これに、今日の争議だけという意味じゃありませんけれども、取り組みたいということで、ちょうどきょうの朝の閣議の御了解も得まして、この問題に対して民間の学者の方や実務の方やそういう人のお力もかりて、管理、経営の問題について一つ速急に検討を加えて、こうだというようなものをつかんでみたいということで、きょうそういう決定をいたしたわけであります。これもあまりだらだらしておっても切りがありませんので、三カ月の期間を切って発足しておるのであります。何も三カ月のしまいにならぬと全部の結論がまとまらぬという必要もありませんので、その間にでもそこでいろいろ検討して、適当な意見が出れば、これは実行に移せるものは移す、こういうことにいたしたいと思いまして、そういうことにきょうはいたしたわけであります。
○堂森委員 昨日でありますか、社会労働委員会に日赤の病院の労使双方といいますか、葛西副社長あるいは労働組合の幹部の諸君が参考人として呼ばれておると思います。この葛西君の発言の中にこういうことがあるわけであります。すなわち日赤病院における経営者側といいますか責任者は、本社——各地方の病院ですね、本社にあるのではなくて各地の病院長に責任があるのだ、こう言っておりますが、いかがでございますか。それはそれでいいのでしょうか。私はどうもおかしいと思いますが、どうですか。
○石田国務大臣 現在の体制はそうなっているようにも解釈できるのであります。いるようにもということは非常に妙な言い方でありますが、と申しますのは、俸給表は全社一本になっておりますが、ただ独立採算でやっておるというのは明治十九年以来ずっと続けてやっておるのだそうであります。ただ私どもから考えますと、数千人の人を一つの責任ある事業体の中で使っておるわけでありますから、その間に当然異動もございましょうし、それぞれやはり日赤社員という自覚もございましょうし、やはり本部に労務管理の責任を持つ体制を作り上げることが適当であろう、従って労働省といたしましては、日赤の今の葛西副社長を労政局長の手元に来ていただきまして、そういう趣旨の勧告というと大げさでありますが、そういう趣旨の希望を申し伝えておるわけでございます。私はそういうふうに早く労務体制を整備されることを希望いたします。
○堂森委員 一昨々日でありましたか、社会労働委員会で、あなたの部下である局長は、日赤病院の最高責任者は本社の社長だという答弁をしておりましたが、それはおかしいですよ。また赤十字病院の機構を見ますと、大体全国で九十幾つかの病院がございますが、中央病院とあと二つでありますか、それは本社直属の病院になっておる。他は全部赤十字社支部の管轄のもとに置かれておる病院になっておる。各県の支部長というのは大体知事だと思います。そうすると、支部長の管轄下にある病院長にはたしてそういう経営者としての責任があるのでしょうか、労働大臣いかがなものでありますか。
○石田国務大臣 日赤が現在どういう体制にあるかということは、私から申し述べる必要もなく御存じだと思いますが、しかしどうあることが正しいか、どうあることを労働行政として希望するかと申しますと、堂森さんのおっしゃる通り、本社が最高の責任を持つべき体制になるべきものだ、こう考えております。と申しますのは、独立採算制をとって参りました結果として、あるところは非常に高い報酬が約束される、あるところはそういう報酬が約束されないということになりますと、悪いところには、報酬が低いわけですから、いいお医者さんも行かないことになって、ますます悪くなる。これはどうも私から言いますと、赤十字精神とちょっと違うように思いますので、そういうことでなく、どんな地域においても、そう差のない医療が保障されるようにいたしますためにも、働いている人たちの労働条件が、本人の希望によって悪いところに行くわけではないわけでありますから、やはり労働にふさわしいものが保障せられるように、本社において一括して管理されるのが適当であろうと私は考えておる次第であります。
○堂森委員 現在の日本赤十字社病院の経営は、あなたの見解によれば好ましくない、好ましくないというと表現があれでありますが、適正な姿で行なわれていない、こういうふうにお考えだという意味でございますか。
○石田国務大臣 別に言葉を飾ってみても仕方がないのではっきり申しますが、いわゆる近代的労務管理という観点から見ますと、私は適当でないと考えます。
○堂森委員 しからば政府はなぜ今までそういう姿で放置しておいたのでありますか。その責任はやはり政府にあると私は思いますが、いかがでございますか。
○石田国務大臣 私どもといたしましては、確かに今まで病院の経営、管理というものは直接の責任ではないわけでありますが、しかしそういうことを日赤側が急速に直せない理由というものも十分了解できる面もあると思います。急速に直すということについては、今までの慣例もございましょうし、現に給与の差ができておるといたしますと、その調整をにわかにするということも困難な場合もございましょう。しかしできるだけすみやかに近代的な労使関係に持っていって、責任の所在が明らかになるように、政府としてもできるだけの努力をしなければならぬ。現に、先ほどから繰り返して申しておりますように、労働者といたしましては、日赤の責任者を招致いたしまして、そういう希望を強く申し述べておるような次第であります。
○堂森委員 厚生大臣にお尋ねいたしますが、昨日の社会労働委員会で、医療費の値上げ、保険診療の単価の値上げをやる、こういうことを答弁しておられるのでありますが、この四月からにしたい、こういう点もつけ加えられておると思うのです。そこで今日医療費というものが——保険診療の医療費というものが科学的に考えて妥当なものではない、こういうふううに私も考えておるのでありますが、今後ともかく保険の診療費が値上がりになっていく、こういう場合に、たとえば国民健康保険——社会保険、政府管掌あるいは組合管掌をも含めまして、なるほど一応黒でありますから、まあ問題の外にするといたしまして、国民健康保険の内容を見ますと、全国で三千三百七十一の市町村のうち、たしか四百二十二ぐらいが赤字になっておる。そしてその金額は十二億弱、十一億七千九百万円ぐらいですか赤字になっておる。こういうことが現われておるわけであります。そして国民健康保険の全国の連合会も医療費の値上げというものに非常に強い反対の態度を示しておる。これはもちろん財政的な立場があるからであろうと思います。また健保連においても強い反対の意思表示をしてきておる。こういう場合に、特に国民健康保険というものの現在の医療給付の内容からいきましても、私は非常に問題があると思いますが、将来医療給付の五割を七割にしていこうというようなことも政府の中には、あるいはそういうことが言われてきたのでありますが、今後国民健康保険の財政的な確保といいますか、安定化といいますか、そういうことはどういうふうにしておやりになる考え方でありますか、これも同時に承っておきたい、こう思います。
○古井国務大臣 国保の話の前に医療費の問題についてでありますが、私は、医療費を引き上げるとか、引き上げる必要があるという結論をきのう言ったわけじゃないのであります。医療費につきましては、御案内でもありましょうけれども、医療の実態調査をやって、ほんとうにどうなのかということの合理的な基礎を持ちたいというわけで、ことしも現に予算を盛ってもらっているのであります。ところがある方面の協力が得られないために、その実態調査が今日までできないでおるのであります。そこで医療費をどう考えるにしても、合理的な基礎が実は不幸にしてつかめないでおるのであります。そこで、二次的、三次的にせよ、手元にあるだけの資料でせめてどうなのか、こういうことを今検討してみておるところでありますから、結論を今日はまだ申し上げる段階に至っていないのであります。ただしかし、まず大ざっぱな見方といたしまして、今日の医療費は、たしか二十七年の医療費を二年前の三十三年の十月かに一ぺん直して、そこにきている。もとは二十七年だったと思うのです。伸ばしてきておるのであります。どれくらい上がってきておるかといえば、年率一%ずつの引き上げになっておる程度だと思うのであります。たしかそうだと思うのであります。ところが国民所得にいたしましても、二十七年からのふえ方は年率一〇%をこしておる。賃金にしたって五〇%をこしておる。そういう辺から見ると、大ざっぱな論としては、今日の医療費に無理があるではなかろうか、上げるとか上げぬとか言ったのではない、無理があるではなかろうか、こういうことを私は申したのでございます。上げる、上げぬの問題は、いずれ予算とも関係いたしますから、そのときまでによく手元の資料だけは整えて、私どもの考えもはっきりし、関係方面ともよく相談してみたい。そういうふうに無理があると思えば、もしほんとうにその通りであるならば、早いときに是正した方がよい、こういう意味を大体きのうは申したのであります。そういう意味にきのうのは御了解願いたいと思います。 そこで国保の問題でありますが、お話の通りでありまして、国保の財政は楽じゃありません。おっしゃる通りにそっちこっちに赤字が起こっております。この上に医療費を上げるとでもいたしますれば、また一つそこに重圧がかかってくることになりますので、関係団体が気にするのも無理はないと思うのです。そこで今日上げる上げぬをきめておるわけじゃありませんから、上げるとしての議論はできませんけれども、もしやそうということにでもなりましたときには、それに対応して、もし筋があって、理屈があって、国で考えるべきものなら考える必要もありましょう。またほんとうに理由があるならば、理由のある点を納得してももらわなければならぬと思うのであります。できるようになることもよく知っておりますし、財政がなかなか楽でないこともよく知っております。治療費との関係は今申したような考えでおるのであります。
○堂森委員 ただいまの厚生大臣の御答弁を聞いておりますと、保険診療費は上げるとはきめていないのだ、こういうふうな答弁でありますから、仮定論で今質問を進めていくことはやめたいと思います。しかし現在の保険の診療費が、これは科学的に考えても妥当なものではない、こういうことを私は考えておるのでありますが、厚生大臣はどうお考えでございますか、もう一度お聞きしておきたいと思います。
○古井国務大臣 今日の医療費は、さっきも申しましたようなわけで、二十七年べースのものを伸ばしてきておるというようなわけでありまして、伸ばすというような方式は一体合理的かどうか、大きい問題が残っておるはずだと思うのであります。また二十七年の場合のものが、大体そのものが非常に合理的だったかどうか、そこらにも議論があると思うのであります。そこでこの医療費の問題につきましては、さっきのようなわけで正確な資料を整えるよしもなく今日に来ておりますので、十分行き届きませんけれども、なるべく合理的な基礎を持って、今日のは安いか高いか、上げるならどれだけか、こういうことを、つかみや勘や政治価格でなしに、できるものなら根拠を持って考えなければならぬじゃないか。今日の医療費が合理的かどうかは、これは合理的でありますとは断言はできないと思うのであります。
○堂森委員 医療制度一般につきましては、大臣の重要な諮問機関である中央社会保険医療協議会ですか、これが従来開かれてきたのであります。ところが昨年の七月以来一回も開くことができない。こういう状態で、一体今後どういう姿で、という機関で医療費の検討をやっていくのでありますか。これもあわせて聞いておきたいと思います。
○古井国務大臣 医療協議会はお話のように昨年の七月から寝てしまっておるわけであります。医療費をどうするかということをきめるにつきましては、どうしても医療協議会を起こして、ここで審議しなければならぬと私は思うのであります。これはあたりまえだと思うのであります。そうすると、寝ているものを起こさなければならぬ。すでに一年半も寝ているというのですから、寝ているだけのわけがある。むずかしいわけがあってこうなってきておるのであります。そこでそのわけはもう百も御承知のことでありますが、むずかしい。むずかしいけれども、何とかしてこれは起こさなければならぬ。医療費問題までにはどうしても起こさなければならぬ。そしてそこで審議してもらいたい、こういうふうに思っております。
○堂森委員 医療協議会を円満な姿で開き得る確信をお持ちでございますか、あわせてお尋ねしておきたいと思います。
○古井国務大臣 これは一年半もこういうことであったというのですから、むずかしい話でありますが、私はこれは一生懸命起こすように、円満な格好にするように努力していきたいと思います。
○堂森委員 来年の三月までに国民皆保険が一応形としてはできる、こういうことが言えるわけでありますが、今日もうすでに種々雑多な社会保険の種類がある。またそれぞれの社会保険との間には、たとえば国民健康保険というものとその他の社会保険との間には、給付の条件あるいは給付の内容といいますか、いろいろなアンバランスがあると思うのであります。また社会保険には非常にたくさんの種類がありまして、これが病院経営あるいは医療担当者に大きな重圧を加えておることも事実であろうと思います。また同じ国民でありながら、給付の条付だとかあるいはいろいろとアンバランスがある。またばらばらな、そうした何ら総合調整のない姿は、幾ら国民皆保険だといって政府与党が誇張しましても——今日は保険医療といいますか、そういうものを統合統一していく段階が来ておると思うのですが、大臣はどうお考えですか。またそうであるとするならば、難事業であるが、これをやっていくような決意をお持ちか、これもあわせて承っておきたいと思います。
○古井国務大臣 今日の乱立した、また必ずしも均衡を得ておるかどうか問題を残しておる姿がよいとは思いません。好ましいとは思いません。でありますから、できることならこれは統合し、またしかるべき調整を加えてすっきりした格好にしたいものだと思うのであります。しかし、まあこういう段階を一ぺんは経なければ、なかった社会保障制度を、発展させるためにはやむを得なかったかと思うのであります。簡単とは思いません。そこで社会保障制度審議会も開いておることでありまして、ここで一つよく審議してもらって結論を出したいと思うのであります。相なるべくはと思うのであります。
○堂森委員 時間の関係もございますから、医療保障につきましては次の機会に譲りまして、まず所得保障の一つの大きなものでありますところの国民年金制度につきましてお尋ねをいたしたい、こう思います。そこで国民年金制度につきましては、国民の間からも多くの不満の意見があることは、政府当局もよく御承知だと思うのであります。そこで来年四月から実施されることになった拠出年金についての申込み受付は、現在どれぐらい進歩しておるのか、まずそれを承りたいと思います。
○古井国務大臣 十一月までで四七%くらい届出があったと存じます。農繁期でもありましたし、選挙もありましたし、こういうわけでちょっとずれているようでございますけれども、十一月現在で四七%をちょっと上回るくらいな状況だと思います。
○堂森委員 しかしそれは全国平均そのような数字が出ておると思うのですが、大都市をかかえた府県あるいは特殊な県などでは一〇%前後である、こういう地域もありますが、はたして政府は来年の四月までに、すなわち本年度内に予定しておる加入すべき人員のほとんどがこれに申し込み、加入してくれることができるような見通しを持っておるのかどうか、これも承っておきたいと思います。
○古井国務大臣 十一月後、だんだん届出もふえてきておるようでありますし、年内に七〇%はこすだろうというふうにも思いますし、大都市などは、お話のように少しおくれておるようであります。これはしかし国民年金だけに限ったことではない。そういう傾向が大都市に時おりありますけれども、これもせいぜい督励いたしまして、三月一ぱいにはもう大体というところまでこぎつけたいと思っておるところであります。
○堂森委員 この国民年金制度につきまして、いろいろと国民の間から不評を買っておる点があるわけであります。そこで政府は国民の間から多くの不満があることをよく承知せられておると思うのでありますが、すでに成立いたしました年金の法律の、拠出年金の部分につきまして、何か修正、改正する意図を持っておる、こういうふうに承っておりますが、どういう点について改正していくのでありますか、またこれをいつごろ国会に提案するのであるか、この点についても承っておきたい、こう思います。
○古井国務大臣 お話のように国民の中にいろいろ意見のあることも承知いたしておりますし、この点は自民党としても今日までも相当検討もいたしました。少なくとも例のかけ捨てというものは改めて死亡一時金を出す点とか、それからまた六十五才にならなくても、六十才になれば支給するという道を開くとか、そういう点は改正をしたい。なおそのほかにも改正すべき点があるかもしらぬと思います。これは検討中であります。いずれにしましても、これは国民年金審議会に一ぺんかけまして、そこの意見も十分たたいた上で案を立てますので、なるべく早く通常国会にという考え方ではおりますけれども、そういう手続もありますので、いつとは申しかねますけれども、なるべく早くと思っております。
○堂森委員 さらに私はこの国民年金制度について伺いたいのであります。国民の間から不評であるという理由の一つは、膨大に上るところの積立金の運用の問題があると思うのであります。すなわち昭和九十年になりますと三兆六千億くらいになる、こういわれておるわけであります。この膨大な額に上る積立金の運用、運営について、たとえば社会保障制度審議会からも答申を政府にしておると思います。また国民年金審議会からも答申をしております。それからまた資金運用部資金運用審議会からも答申をしておるのでありますが、この三つの審議会の答申の内容には非常に違ったものが——もっとも国民年金審議会の答申と社会保障制度審議会の答申は大体似たものでありますが、資金運用部資金運用審議会の答申とは全く対照的になっていると思うのでありますけれども、厚生大臣はこの積立金の運用はどういうふうに行なっていくのか。これは国民が非常に関心を持っておられる問題でありますので、まず厚生大臣から、政府はどういう方針をとるようにきめておるのか、あるいはまだきまっていないのか、この点について伺いたい、こう思います。
○古井国務大臣 お話のように三つの審議会から意見が出ておりまして、必ずしも同じ内容でないわけであります。この点はまだ最後的に関係筋と話が固まっておりません。おりませんから政府全体としての考えはここでは申し上げかねるわけでありますが、しかしこの年金、またその積立金の性格、だれが一体これを出しているのか、そういうこともよく考えて、年金の積立金の性格に合うようなふうにはこれを運用しなければ、どうもこの制度の将来にも悪影響を及ぼす、私はそういうふうに思いますので、まだ全体は相談の結論が出ておりませんが、私はそういう気持でおることだけを申し上げておきます。
○堂森委員 大蔵大臣はどうお考えになるのでしょうか。
○水田国務大臣 これはもう御承知の通り、三つの審議会からこの積立金の性質をどう見るか、運用の主眼をどこに置くべきか、運用方法をどうすべきかということについてそれぞれ意見が出されておりますが、この積立金の性質をどう見るかについては、これは大体三つの審議会の意見とも同じでございまして、国民年金審議会の方は、これは多数零細な資金の強制的な蓄積によるものである。だから任意的な郵便貯金や何かと性質が違うのだ。社会保障制度審議会の方も同様で、これは国民の零細な家計から強制的に徴収するものだから、社会保障のための一種の租税という性質に見るべきものだ。従って運用については拠出者の意向を尊重した運営をすべきだということについては、大体三つの意見とも一致していると私どもは考えています。ただ運用の主眼をどこに置くかというような問題になりますと、資金運用部資金運用審議会の方の意見は、これは財政投融資の形で総合されて全体が公共の目的のために運営されることが望ましいのだという意見を述べておりますし、ただ拠出者の意向も考えて、そのうちの二五%ぐらいはいわゆる還元融資的な考えをもってやることが望ましいという意見でもございますし、国民年金審議会の方も、そういう性格だからその性格に合った運用をすべしとは言っておりましても、やはりこれは国家資金の一部である以上は、他の国家資金の使い道とあまりに均衡のとれない運用方法をすべきじゃない、分離運用を必ず主張するものではないということを言っておりますし、それから社会保障制度審議会の方も同様で、かりにこれを暫定的に預金部に繰り入れるとしても、特別勘定を設けて他の資金とは厳密に区別して、社会保障の目的に十分合うような管理運用をしろということでございます。国民年金審議会の方も、今申しましたように必ずしも分離運用を主張するわけではないが、しかし積立金がどういう使途に運営されているか、一見して明瞭にわかるような仕組みにしろということと、被保険者の意向を積立金の運営に反映させるような何かの工夫をしろというようなことを言っておりますので、こういう三つの意見を総合しますと、大体性格に応じて工夫をこらした運営をすべきだという方向は一致しているようでございますので、私どももなるたけそういう要望に沿うような運営方法を考えたいということで、一つの成案を得るために努力しておるところでございます。 また政党関係で申しますと、自由民主党は、自由民主党新政策という中ではっきりと一つの主張をしておりますし、社会党の方は、選挙綱領、スローガン、政策という中に言っておりますし、例の平和と繁栄の道という本の中でもはっきり主張しておりますし、民社の方も、民社党選挙政策大綱という中でも言っておりますし、また例の経済八カ年計画という中でもこの運営を主張しておりますので、私どもは、この三審議会の意見とこの三党の意見を十分勘案をして、皆さんが納得するような一番妥当なこの運営方法をやりたいということで今成案を急いでいるというところでございます。
○堂森委員 大蔵大臣は、たしか私、当時新聞で見たのでありますが、総選挙中に、十一月の六日ごろでありますか、鳥取県へ選挙に出帳して、たしか国民年金の積立金の三〇%くらいを、直接掛金をかけておる国民の福祉方面に還元していくようにするのだ、こういうことを言っておられますが、今の答弁とだいぶ違いますが、いかがですか。
○水田国務大臣 どうやるのが皆さんが一番納得する方法かということを考えているときでございますので、何%どういうふうにやるのだということは鳥取県では言っていないはずでございます。
○堂森委員 それは新聞の記事であるから、言わないとあなたが言われればそれはやむを得ないことでありますが、しからば各党の主張を取り入れて積立金の運用はやっていきたい、こういうのであれば、一つ社会党の主張を申し上げますから、これを取り入れてもらいたい、こう思うのです。すなわち被保険者の代表を含めた民主的な管理運用の機関というものを通じて、大いに被保険者の福祉に役立つ方面にのみこれを使う、こういうことにすることを要求しますが、大蔵大臣いかがでございますか。
○水田国務大臣 今の運用機構を変えるということは賛成でございます。
○堂森委員 ただいま厚生大臣並びに大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、まだ国民年金の積立金の運用については成案を得てないようでありますが、私は、こういうところにも、国民年金制度に対する、たとえば大都市を含んだ府県においては申し込み受付がまだ一〇%前後である、こういうような原因にもなっておると思うのであります。零細なしかも非常に低額所得者にとりましては、非常な経済的な負担にもなる貴重なこれは掛金でありますから、私は、政府に強くその積立金の運営については早く成案を作りまして、やはり国民の前に示すべきである、こういうふうに思うのであります。 そこで厚生大臣に重ねてお尋ねして参りますが、公的な年金制度というものも、私は健康保険制度、社会保険制度と同様に、やはり非常に雑多なものが群雄割拠しておると思うのであります。そこでやはりこれも社会保障の画期的な拡充という池田内閣のそうした政策をいっておられるのでありますから、今日こそこの統一というもの、調整というものがどうしても行なわれなければならぬ。もちろん政府の閣議決定によりますと、通算は行なうようにするんだ、そういう法律も出すのだ、こう言っておられますが、そういう程度ではなしに、私は今日の複雑多岐な公的年金制度というものについてもこの統一をはかっていく時期がきておると思いますが、この点について大臣の所見を伺っておきたい、こう思います。
○古井国務大臣 お話のように、その点はすっきりしたものにできたら一番望ましいようには思いますが、段階順序も踏まなければなりませんし、先ほども申したようなわけで、できるものならという考え方で十分検討していきたいと考えております。
○堂森委員 厚生大臣の答弁はきわめて熱意がないようであります。できるものなら、これではできるはずはありません。そういうふうに統一していこうという心がまえでやっていく意思があるかないか、こういうことでありますから、もう一度答弁願いたいと思います。
○古井国務大臣 大きな声で申し上げなかったのでありますけれども、非常に望ましいことだと思うのでありますが、しかし私の申した意味は、内容の充実の問題はずいぶん残っている点もありますね。そういうこともありますし、ただ形だけというところだけ力んでも、悪いことではありませんけれども、いいことでありますけれども、それだけでもありませんから、そこで段階を追ってということを申し上げたので、お話のような方向に努力をしていきたいと思うのであります。
○堂森委員 きわめて不満足な答弁でありますが、もう見解の相違でございますから、時間もございませんから、所得保障のもう一つの重要な柱である生活保護の問題について二、三承っておきたい、こう思います。 全国で六十万世帯、百六十万人の保護世帯が現存しているわけでありますが、この現在の保護基準というものは妥当なものであると考えておられるのか、あるいは低過ぎると考えておられるのか、厚生大臣に承りたい、こう思います。
○古井国務大臣 率直に申しまして低いと思うのであります。これはこの二、三年来の都市の勤労者の標準家庭の生活水準と比較いたしてみまして、ちょっと開きが大きくなってきたと思うのであります。そこでこれは引き上げたいと思うのであります。そういう考えでおります。
○堂森委員 大蔵大臣いかがでございますか、保護基準は高いか安いかということを承っておきたいと思います。
○水田国務大臣 保護基準は妥当な引き上げをしたいと思っております。
○堂森委員 それでは厚生大臣に私は聞きたいのですが、岡山県の療養所に入院しておる朝日という人があって、民事訴訟を政府を相手取って起こしたわけであります。それは朝日さんという結核の重症の患者が、長い間、戦前から入院をしておる。ところがたまたまこの朝日さんという患者さんの、行方不明であった兄さんの居どころがわかって、毎月千五百円ずつ送るようになった。ところが福祉事務所から毎月九百円ずつ医療費の個人負担分として納めろ、こういう処置をして、千五百円送ってくるが、六百円しか手に残らない。これではとうてい療養所における給食だけでは十分栄養がとれない。またいろいろな雑費といいますか、チリ紙を買ったり、いろいろな諸雑費に充てるには事を欠く。これは生活保護法のうたっておる精神にも反するし、また憲法にも反することだ。こういう民事訴訟を起こしました。そうして厚生省は第一審で負けたわけです。そうしますと、この保護基準というものが低いからこうなったのだ、こういう訴訟を起こして、政府は負けた。ところが今厚生大臣が、低いと思っておる、こうおっしゃっておりながら、なぜ負けたからといって控訴をしたのですか。少し論理が矛盾しませんか。いかがですか。
○古井国務大臣 朝日事件、あれではどうも少なくて、補食が足らないとか日用品が足らぬとかというようなことがいろいろあれされておるようでありますが、いずれにしましても、この事実は昭和三十一年の事実でありますから、四年前の事実であります。四年前のあの保護基準が適当であったかということが訴訟のポイントであります。御承知のように、今日の保護基準の問題ではないわけであります。私は今日の保護基準が低いから上げたい、こう言っているのでありまして、四年前のことを言っておるのではありません。そこで四年前のこの問題の訴訟は、訴訟のことでありますから、一審がああだったからおしまいということではありませんし、これは道が開かれておるのでありますから、上の段階まで争うのはあたりまえでありまして、訴訟はしなければならぬ、取り下げる考えはありません。
○堂森委員 しかし現在上がって、六百円が七百五十円になったのですか、とにかくこの保護基準の現行のものを見ますと一人二千円、もっとも住宅費とかそういうものを省いて二千円。そうすると五人家族で一万円以内の金で、現在の保護基準というものでは生活していかなければいかぬ、こういうことであります。しからば、厚生大臣は保護基準は現在では低いのだ、こういうことを言っておられるのであります。それで率直に認められておるのでありますから、この訴訟問題については、これ以上時間もありませんから追及はしませんけれども、私はやはり取り下げるべきものだ、こう思うのです。 そこで一体厚生大臣としては、来年度は保護基準をどれくらいまで引き上げようとしておるのでありますか、この点について一つ伺っておきたいと思います。
○古井国務大臣 これは希望はないわけではありませんけれども、予算の問題として最後的にきめなければならぬことでありますので、今日、来年はどれくらいということを申し上げる段取りではまだないのであります。
○堂森委員 私は新聞の記事を読んで知っておるのでありますが、厚生省当局は、保護基準を二六%上げるのだ、こういうふうに努力していくのだと言っておられるのでありますが、これは二六%くらい上げないと不適当である、こういう自信を持っておやりになっておるのでしょう。今それは言えぬとか、それは実現するかどうかまた問題があると思いますが、厚生省当局としてはどれくらいが妥当だ、こういう考え方があるはずだと思うのです。しかも二六%上げるのだ、こういう要求をするのだということが新聞にも報道されておるのであります。どうでありますか。これは当てずっぽうでありますか。
○古井国務大臣 これは標準世帯の生活水準の現状、それと保護世帯の生活水準の現状と、今日の状況を調べましたものをもとにいたしまして、できることならそれくらいいきたいものだ、こういう数字であるのであります。希望であるのであります。
○堂森委員 最初に私、総理にお尋ねしたときも、総理は、財源は作り出すものだ、こういうような力強い発言を、すでにこの予算委員会の質疑応答においても言っておられるのでありますから、一つの画期的な社会保障の拡充をやるのだとしたら、生活保護世帯に現在の保護基準によっては、一体これが非常に不合理な、きわめて合理的でないことは厚生省当局も知っておられるはずだと思うのです。たとえば私、いつか見たのでありますが、ずいぶん前です。もうたしか五、六年も前でありますが、厚生省が労働科学研究所の学者に依頼しまして、人間が生きていくために最低の生活費というものは幾ら要るのか、こういうことを調査したものを私読んだことがあります。そうすると、その報告によりますと、月四千円は要る、こういうように書いてあるのです。これは厚生省が学者に調査してもらったものです。それを下回る半分の——現在はもっと物価が上がっておりますから、二千円というものでどうして生きていけると思いますか。これは私、不合理だと思うのでありますが、大蔵大臣も保護基準は低過ぎるのだ、こういうようなことを答弁をしておられるのでありますが、保護基準というものは当然もっと上げるべきだ、私は当然のことだと思います。時間がございませんから、私はそういう要望をしておきまして、私の質疑を終わります。
○船田委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 総理は、先ほどからもたびたび話が出ておりますように、今次の総選挙において最重点策として公共投資、減税、社会保障を公約され、また所信表明におきましてもその通り言われたわけであります。ところが、この社会保障を含めて、労働条件に関しましてILOという国際労働機構がございます。この機関で一九五二年、未開発国が多く加盟をいたしましたその総会において、社会保障の最低基準に関する条約、いわゆる百二号条約を採択しておるのであります。それからすでに七、八年たつわけでありますが、この条約がいまだ日本において批准の手続がとられていない、これは非常に残念に思うわけであります。しかもこの条約は未開発国がかなり入っております関係上、比較的楽な条約になっておる。すなわち医療、疾病、失業、老齢、業務災害、家族給付、出産、廃疾、遺族給付のうちで三つ条件に合ったら批准してよろしい、こう書いてある。ですから日本国としてはこの程度の最低基準に関する条約は当然批准をしてもいいのではないか、こう考えるわけですが、総理はこの点についてどうお考えであるか、まずお聞かせ願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 ILO百二号の問題につきまして、以前からいろいろわれわれは考えておるのでございますが、九種類のうち三つがその基準に合わないといかぬ。今二つは合っている。お話しのように八十ヵ国が加盟しておりますが、調印している国は八ヵ国であったと思います。しこうしてILO百二条のあの九種類のうちの基準につきましてわが国のそれと比べますると、あれに達しないのもありますが、何と申しましても、社会保障制度というのは年とともにその国情によってだんだんと積み上げたものでありますから、あの九種類の基準に全体的に合いませんけれども、日本がおくれている部分もありますが、また進んでいるところもある。あれに参加し得るようにこちらの方の社会保障制度を拡充する点もありましょうし、また足踏みしなければならぬ点もありましょう。そういう点はやはり審議会その他で根本的に検討いたしまして、そうして社会保障制度の拡充強化と同時に、その基準に合うようにやっていって、その時を見て批准したい。時をかけ、そして拡充強化をしながらそれと見合って進んでいきたいと思います。
○多賀谷委員 わが国が依然として低賃金である。あるいはソーシャル・ダンピングの危惧を持たれておる。これは遺憾ながらガットの三十五条の適用をしておる国もあるのですから、こういった国際的な不安を一掃することがやはり政治においては必要ではないか。ですからILO条約はなるべく早く、すみやかに多くの条約を批准をするということがまた政治においても必要ではないか、こう考えるわけであります。そこで、今二つとおっしゃいましたが、問題になっておるのはおそらく廃疾ではないかと思うのです。これらの点につきましても少し条文を変えれば批准の手続はとられるわけです。なぜおとりにならないのか、お聞かせを願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 お話のように、ああいう国際的の条約につきまして、われわれはなるべく早く批准したいという気持は持っております。しかし、先ほど申し上げましたように、やはり今までの歩んできた道もございますし、そうしてその国情にも合って自然発生に制度もできておるのでございますから、急いで無理してやる必要はないんで、われわれはそれよりも実体をよくして、そうしてそれが進んで、今の九種目について基準が合うように、こちらから内部的に進めていく。あれに批准するためにどうこうということは主に考えてはいないのでございます。ただ社会保障制度を国際並みに、しかも国情に沿ったように拡充強化し、そうして行く行くは参加しよう、こういう気持でおるのでございます。
○多賀谷委員 私は無理に、この条約を批准するために、国情に沿わないけれどもやれ、こういうことを言っているわけじゃないのです。しかし総理はかねてから福祉国家の建設ということを大きな看板にされておるのですから、少なくとも福祉国家の建設を看板にする政府なら、これは最低基準ですから、社会保障の最低基準に関する条約ぐらいは批准するだけの水準に持っていくべきではないか、こう考えるわけです。これについて再度お聞かせを願いたい。
○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げましたように、どこの国の政治家でも福祉国家の実現を期待しております。しかし八十ヵ国のうちで七、八ヵ国であります。しかも社会保障制度の非常に早期に発達していったヨーロッパ、北欧の方であります。だから、私は社会福祉国家の建設を目標に進んでおります。従って、先ほどのようなお答えをしたのであります。できるだけ今までの歩んできた道を拡充強化して、そうして行く行くはあの基準並みに、あるいはそれ以上にいたしたい。先ほど申し上げましたごとく、あの最低基準、ILO百二条のうちでも日本の方があの最低基準より進んでいるのもあるのであります。しかし、そこまでいかないものもあるのであります。従って、私は、だんだん拡充強化して、もう自然にあれ以上にやるというふうなことを期待して言っておるのであります。
○多賀谷委員 政府はかねてから国際信用の回復ということをおっしゃっているのですから、私は、そう日本の国情を無視した国内法の改正ではないと思うのです。こういったことはどしどしおやりになるのが国際信用の回復ではありませんか。これは簡単なんですよ。そう費用もかかりませんよ。なぜおやりにならないか。
○池田(勇)国務大臣 やらぬというのではないのです。なるべく早くそういうような基準に達するようにしたいというのでありまして、費用がどのくらいかかる、かからぬという問題は、所管の大臣からお答えいたさせますが、私の考え方としては、ああいう国際的のあれに参加するということは望ましいことでございまして、それに進んでいっておるのであります。ただ、今までの歩んできた道をじみちにやっていくことが私は早道だ、こう考えております。
○古井国務大臣 できることならばやはりこれに加わった方がすっきりする、望ましいことでありますが、さっきも総理お話しのように、日本の方がかえってこの基準より上にいっている幾つかの点もございますね。たとえばこの基準によれば健康保険の対象が被用者の方で五〇%以上、一般国民なら二〇%以上なら基準に当たるのですが、日本では皆保険というようなことまできておる。こっちの方が進んでいる点なども、そのほかにもあるようでありますが、この基準の立て方が画一的なものがありますので、この中の三つということになると、もう少し検討を要する点があるんじゃないか。今二つ、あと一つでありますけれども、その一つといえば多分医療でありましょう。これは多賀谷さんが一番詳しいでしょうが、しかし医療で残っているのは分べん給付の自己負担をなくする、それから予防給付をする。ちょっとこれは研究を要する点があるのであります。そのほかもやっぱりこれはもう少し研究——今までがけっこうだと言うんじゃありませんけれども、この条約の問題はもう少しやはり研究させてもらった方がいいんじゃないかと思うのです。
○多賀谷委員 私はこの際最低基準で、しかもこの条約はほかの条約に比べて非常にシビヤーな条件がついていないんですね。九つのうち三つやればいいんですから緩和された条件なんです。いやしくもそれを社会保障の最重点政策でやるというならば、この批准ぐらいはすべきではないかと思うんですね。問題は医療だとおっしゃいました。まあ医療でもけっこう、私は廃疾と言ったんですが、厚生省は医療保障が社会保障の根幹であり、大きな柱であるという意味でしょう。厚生省としては医療保障をぜひその基準に合わしたい、こういうことですからけっこうですが、それも問題は出産手当と予防医療、予防医療はほかの法律をいろいろ一緒にいたしますとできるんですから、問題は出産手当であると思うのです。これなんかも私はこの条約を批准する意味において健康保険その他で出産手当を認めて、そうして水準に合わせたらいい、かように考えるのですが、どうですか。
○古井国務大臣 御意見には大いに傾聴すべき点がありますが、もう少し研究させていただきたい、こういうわけであります。
○多賀谷委員 一体福祉国家、社会保障の政策の最重点といわれます老齢給付はどうなんですか。老齢給付は、今の国民年金あるいは厚生年金が完成した場合に、はたしてこの基準に合うわけですか。
○古井国務大臣 老齢年金の点を御指摘になりましたが、これは今の法律で給付内容がこの基準までいかないんですね。年限の方は基準よりかえっていい。厚生年金の方は二十年ですからいいのですが、給付内容が今の通りですから、これはできればけっこうですけれども、老齢年金の内容を上げていくとすると、もう少しこれは検討を要すると思うのです。
○多賀谷委員 これは批准をするとすれば、厚生年金でいくのですか、国民年金でいくのですか。もし国民年金でいくとすると、今から四十五年後、すなわちあなたの方の国民年金が完成するのは今から四十年間納付して五年間休んで、そうして昭和八十一年に完成することになるわけですね。昭和八十一年でも、これは批准の水準にいきませんか。
○古井国務大臣 これは厚生年金の方でも基準に当たればよいのですけれども、厚生年金も今給付内容は御承知のように基準に及ばない。これがまた負担を重くするとかなんとかいうのでは、これはそう簡単な問題じゃありませんし、今の厚生年金の立て方では、すぐそれじゃこの給付内容を基準まで持っていけるかどうか、これはさっきも申したように、もう少し検討しなければならぬと思います。
○多賀谷委員 批准の方は私は再度質問しますからけっこうですが、批准ということを別に離れて、九つのうち三つですから、何もこの老齢給付で批准をされなくてもけっこうですから、私はその老齢年金で批准をするということは伏せておきますが、今問題になっている国民年金が今から四十五年の後に、この国際労働条約が言っております社会保障の最低基準に合うかどうか、これを聞いておるわけです。
○古井国務大臣 これは私もいわゆる新米でありますからなんですが、四十年後でも合わないということであります。
○多賀谷委員 総理どうですか。四十五年後でも老齢給付は国際最低基準にも合わないという、これで福祉国家と言えますか。四十五年後ですよ。
○池田(勇)国務大臣 これは先ほど来言っておられるように、九種目のうちでございます。しこうして理想的に考えている場合の最低基準と、そうして今までの日本の置かれた状態から考えて、四十五年先に、今のままじゃいきませんが、四十五年先まで社会保障制度が足踏みとか、年金制度が足踏みというわけでもございますまい。ですから今から四十五年たってもだめだという結論は出ない。だからこれを全体に見て、ああいう九種類のうちで三つ、あるいは四つ、五つ、六つもあの基準より上になるようにしようというのが、私の福祉国家の理想に向かっての歩みでございます。今これができる、できぬといって、それが福祉国家はだめだという結論を出すべきじゃない。今が悪いからこれをどんどん伸ばしていこうとしておるのであります。
○多賀谷委員 それは批准は、九種目のうち三つが条件に合ったら批准していいというのですけれども、一応社会保障の最低基準というものは、国際的に見て低開発を含めてこの程度です、こう言っておるのですから、いやしくも国民年金がこれだけ大きな問題になっている、四十五年のうちにいよいよ完成するのですから、その四十五年後もまだ国際最低水準にも達しないということで、一体福祉国家と言えますか。問題は給付内容でしょう。すなわち池田さんのように九%上昇しなくても、あるいはまた十年に二倍になる七、二%ずつ上昇しなくても、一応賃金が三%ずつ上昇したと仮定しますと、どういうことになるかというと、この国際最低基準が要求しておりますのは、未熟練労働者の百分の四十の老齢年金がなくちゃならぬ。未熟練労働者を今たとえば八千円と仮定をしますと、わずか三%ずつ上昇すると、四十五年後にはその金額がざっと三万円になるのです。三万円になると、その四〇%ですからこれが一万二千円になる。四十五年後、少なくとも国際最低基準は一万二千円を要求しているのに、三千五百円ということでは、これは水準に全く合わないんですね。ですからこれは長期給付ですから、やはり長期給付の状態において、今から所得倍増論の中にその計画を織り込んで、それは低目でもけっこうですよ。低目でもけっこうですが、この国民年金の制度を作られないと、せっかくかけてもかける人が悲観をしてしまうですよ。希望がないです。これを逆算をしますと、今無拠出で千円もらっておった方がいいということになる。必ずしもそういうことではありませんが、しかし、相対的にものをいえばそういうことになる。ですからこの点を十分考えなければだめですね。四十五年後も最低基準に合わないような国民年金で、一体福祉国家と言えますか。
○池田(勇)国務大臣 国民年金のことばかりとって言っておられまするが、福祉国家というものはそういうもんじゃないです。経済力を増強して国民年金なんかをうんともらえるようにすることがわれわれの念願でございまして、今一応与えられた仮定と、そうして、それによって四十五年の先のことを当てはめてこれでどうだということは、私は生きた経済とか、伸びていく国の議論ではないと思います。
○多賀谷委員 私は遠慮しながらものを言っているんです。あなたの方で所得倍増論の、経済企画庁でいろいろ審議会を設けてやられておりますが、これでは所得格差を狭くするというので、解消するために、低い労働者は高くすることになっています。ですから、低い労働者は一般の労働者よりも上がることになるわけですね。そうすると、この計算はなお違ってくるのです。逆にいえば、まだまだ格差がついてくる。水準に合わないということになる。ですから私は一例を申し上げたんですけれども、ほかは大体推して知るべしです、あれほど看板にしておる国民年金でもこの実態ですから……。しかし、私は、総理がこの最低基準の条約程度は、国際的に見ても早く批准の手続をとられることが必要ではないかと思うのです。これは必要ですよ。少なくとも日本が今後貿易を伸長して国際信用を回復する意味においても、私は社会保障の最低基準の条約程度はおやりになるべきではないか、こう考えるわけです。 答弁がありませんから、さらに続いて、八十七号条約は一体いつ出されるのですか。
○石田国務大臣 御承知のごとく、八十七号条約は前の国会において提出したのでありますが、御承知のような国会の事情で御審議を見なかった、通常国会には提出をいたしまして御審議を願う予定であります。
○多賀谷委員 百五号条約はかねてから批准をする手続をとるように大臣答弁なさっておる。百五号、強制労働、これはどうですか。
○石田国務大臣 百五号条約は、この強制労働という言葉の解釈について議論がございます、問題もありますので、これは六一年、明年度から各国のいろいろの報告がございまして、それに基づいて解釈が明確になるのを待って検討を加えたいと存じております。
○多賀谷委員 この百五号条約についても、倉石労働大臣でありましたか、はっきり本会議で答弁をなさっております。検討をして近く批准の手続をとりたい。こういうことを約束されておるのですから、これも早くおやりなった方がいい、かように考える。できれば通常国会はどうです。
○石田国務大臣 ただいま申しましたように、私は別に倉石前労働大臣の御答弁と違ったことを申しておるわけではありません。不明確な点をできるだけすみやかに明確にいたしました上で処理をいたしたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
○多賀谷委員 国際的な労働条約というのは、やはり国会で意思表示をなさらたらその通り実行していただきたい。いろいろ国際的な舞台で国内のことが問題になるというのも必ずしも好ましい状態ではないでしょうから、これをぜひ早く出していただきたいと思います。 続いて、最近の雇用情勢についてお尋ねいたしたいのですが、時間がありませんから、数字を略して、要点だけ申しますと、最近における産業構造の急速な変化、さらにそれに基づく作業の単純化、あるいは不熟練労働者の分野の拡大、こういうところから若い労働力が足らないという状態になっている。ところが中年から高年にかけてのいわゆる古い労働力といいますか、これは非常に余ってきておる。こういう状態になって非常なアンバランスになっておるわけであります。それを一体政府はどういうように解消されようとしておるのか、これを概略総理からお答え願いたいと思う。
○池田(勇)国務大臣 お話しのように、学校出の若いのは足りない。そうして中年、高年の人が余る。こういうことも言えますし、また地域的に、特定の地域には各年令を通じて非常に労働力が不足しておる。それから地域的に非常に余るというアンバランスもございます。従いまして今問題の中、高年につきましては、職業補導その他の方法で再就職の機会を得るように努力するよう労働大臣と話し合いをしております。また地域的なアンバランスにつきましては、住宅その他の建設等に力を入れまして、それを解消するようにいたしておるのであります。
○多賀谷委員 職業訓練というのも確かに必要ですけれども、実際これは現実問題として、中年、高年の人を職業訓練してもむずかしいですね。それはやるに越したことはない、やらなければなりませんけれども、それでは万全の対策ではない。そこで政府は一体どうされようとしておるのか、これをお聞かせ願いたい。
○池田(勇)国務大臣 これはなかなか厄介な問題でございまして、日本のように技術的な報酬でなしに、年令が上がるにつれてずっと俸給がふえる。こういうふうなことで中、高年の再就職のむずかしい点がございます。これは根本的に、やはり労働技術、労働能力によって賃金をきめるというような方向にだんだん変えていくことが理想的でございましょう。しかし、それは間に合いませんので、今の職業補導ばかりじゃございません。あるいは財界の方に、そういう人もできるだけ雇うように、いろいろな努力はいたしておるのでございます。具体的の問題につきましては労働大臣からお答えいたします。
○石田国務大臣 今総理の御答弁の中にございました賃金体系の問題、日本の年功序列型賃金というものの検討ということが一つの背景をなす問題だろうと思います。しかし、それは急速な問題の処理にはなりませんので、労働省といたしましては、まず第一に中年層、高年層で十分間に合う職種の調査検討を始めております。それから日経連の御協力を得まして、各種企業で、そういうふうに調査いたしました職種についてはでき得る限り中年層、高年層を雇い入れるようにしてもらうように勧奨いたしておるわけであります。 それから職業訓練の問題でありますが、確かに中年層、高年層が職業訓練所に入る率は非常に少ないのでありますが、しかし皆無ではございません。職業訓練所は年令に制限を加えておりませんので、また事実相当な年令層に達しましても、職業訓練を受けた者の就職率は非常に高いのであります。そういう方法をとっているのでございますけれども、さらにでき得る限りの行政的努力をいたしました上で、その成果を見まして、なお困難な場合は身体不自由者その他に対してとったような、あるいはそれに近いような処置も考慮しなければならないのではないか、そういうこともあわせて考えつつ、目下のところは行政指導に努力をいたしておるところでございます。
○多賀谷委員 政府は、民間産業に対する行政指導もさることですが、政府及び政府機関みずからも、その趣旨に合うようにしなければならぬと思うのです。ところが、今度国鉄では要員対策委員会から答申が出ておる。この要員対策委員会は、単に民間の人だけでなくて、国鉄当局がメンバーの中に入っておる。そうして構成されておる要員対策委員会の方で、結局現在三十才代が二十万人もおり、四六%もあって、いわゆるこれが今後は中ぶくれのちょうちん型に雇用形態がなるから、これは好ましくないので、今後昭和四十年以降には、四十才を一万五千名ずつ退職せしめるように、現在は約八千人ずつ退職しておるのですから倍ですが、今からおやりなさいということを答申しておるのです。これは私は大へんなことだと思うのです。労働大臣のようなお話でありますと、むしろ身体障害者については、政府及び政府機関、あるいは民間機関に、雇用義務とまではいきませんけれども、かかえるような指導をされておるわけです。それを、今後中年、高年の者をみずから首を切るという答申を、国鉄当局が一緒に入って出しておる。これは一体どういうことでしょうか。
○石田国務大臣 その企業の内部におきまして、従業員の年令構造がどういうふうであることが適当であるかということは、企業の性質によっていろいろ違うのであります。私が先ほど、中年層、高年層に適する、あるいはそれで間に合う職種を探さなければならないと申しますのは、そういう意味でありまして、国鉄の雇用構造といいますか、年令構成というものについての意見が出たことは承知いたしておるのでありますが、それは国鉄という特殊な仕事の性質から出て参った一つの結論であろうと考えておるわけであります。身体不自由者その他につきましても、身体不自由者の雇用促進法の中でも、除外例を、いろいろ企業の性質、あるいは仕事の性質によって設けておりますこと、あるいは雇用の率に差をつけておりますことは、御承知の通りであります。
○多賀谷委員 国鉄の企業の性質とおっしゃいますけれども、何も三十代の多いのは国鉄だけではありません。戦前からの企業は、大部分が三十代が非常に多いのです。戦後急に発達した企業では二十代が多く、三十代が少なく、ピラミッド型をしておりますけれども、戦前からの企業というのは、新三菱重工のように、飛行機を作っておった会社がかまを作るようになった場合は別として、大体中ぶくれの人員構成になっておる。一国鉄だけではありません。国鉄が、このように自分の企業のことだけを考えて、中年層を排除するならば、これは必ずバス会社に移ることは火を見るより明らかであります。四十五になりますと、運転手さんというのは勘がにぶるのですから、自動車からおりて、そして地上勤務につかしておる。しかしその会社は、今までの貢献とか、社会的非難をおそれてかかえ込んでおるのです。五十五まで無理をして職場を与えているのです。ですから、国鉄が勝手に首を切れば、バス会社は必ず首を切りますよ。私鉄もやる。日通だってやる。民間会社が全部ならえば、私は大へんな状態になって、日本の経済界は混乱し、労働界は混乱すると思う。一体こういうことが政府機関として社会的に許されるかどうか。総理はどういうお考えですか。
○石田国務大臣 先ほどお答えをいたしました中に、説明の不十分な点がありますから……。そういう年令構成をすることが、その企業に適当であり、必要であるといたしましても、他に転職する道、あるいは新しい仕事を捜し出す準備を用意なくして行なわれることについては、労働大臣としては同意いたしかねるのであります。従って、当然それは条件の著しい低下を来たさないで他の職業へ変わり得るということが、その背景の条件にならなければならぬことは、申すまでもないのであります。
○多賀谷委員 日本の労働年令構成そのものが、中年層が多いという状態になるのです。この状態は、何も一国鉄だけの問題じゃないのです。ところが、政府機関がみずからそれが可能であるといって排除するなら、これに各企業が全部見習えば、一体どうなるであろうか。はたしてそれを、労働条件も低下させないように、社会保障で救済するだけの財源の余裕が政府にあるのかどうか。これは不可能なんです。ですから、私はそこに企業の公共性といいますか、社会的な責任を課すべきではないかと思う。これは法律的ではなく、むしろ行政指導としては、国鉄は、これは民間企業だってほとんどそういう例であるから、かかえておくということが必要ではないか、かように考えるのですが、どうですか。
○石田国務大臣 各企業が、企業自体として成立し、企業自体として繁栄していくとともに、それに社会的責任があることは、一般の企業においても当然でありますけれども、国鉄のような企業においては、特にその公共性というものが重大だと思います。しかしその公共性は、同時にやはり国民に対して最大の能率を発揮するような体制に、いつでも持っていかなければならぬと思います。そこで私は、今御指摘の勧告というものについて一般論を申し上げておるので、その勧告それ自体が、国鉄の経営の実態から考えてどういうものであるかということについて、私どもは現在詳細に検討しているわけではありませんが、その場合における社会的責任というものは、第一の前提として、その勧告が国鉄のもう一つの公共性を保つための必要なものであるといたしましても、他に労働条件が極端に下がらないで転職の道を求める努力を当然伴うべき公共的責任があるのだ、こう私は考えております。 それからもう一つ、日本全体の労働力の構成、これは人口の動態というものを見て判断をしなければならないのでありますが、まだここ当分の間、新規労働力というものは漸増いたして参ります。従って、必ずしもこれから先もずっと、そういう中年層が全体のバランスの中で非常に大きな構成を占めるものとは私は考えません。
○多賀谷委員 だんだん大きくなりますよ。
○石田国務大臣 だんだん大きくなるというのは、全体の雇用もだんだんかえるわけです。経済の規模もふえるわけです。その中のバランスが、新規労働力人口というものは、昭和四十五年から五十年までの間は伸びていくのでありますから、それを土台に考えてみますと、私どもは経済の伸びに伴う雇用の増大から見ますと、バランスとして、中老年層はそれほど大きなバランスを占めるわけではない。ただ絶対数は多くなりましょう。しかし、絶対数が多くなった分だけ経済力あるいは産業の力も絶対力が伸びるわけで、それを伸ばしていくのが所得倍増計画でありますから、そういう御心配はあまりないと思います。
○多賀谷委員 私の聞いているのは、若い労働力が足らない状態になるのに、古い労働力が余ってくるということは、原則的にお認めになったのでしょう。そういう立論の上に立って聞いているのです。ですから全体的に見ますと、古い労働力が余ってくるときに、国鉄で勝手に、そういう古い労働力を排除するということは好ましくないじゃないか、こう言っておるわけです。
○石田国務大臣 古い労働力の就業が困難な現在の状態というものは、私どもも認めます。そこで先ほどから申しておりますように、やはり一つには、その企業はその企業自体として成り立つための公共的責任という点からも考えてもらわなければなりませんし、あるいはまた同時に、産業界、経済界の進歩発達、あるいは変化というものに伴う雇用の変動というものもやはり認めていかなければならないと思うのです。ただ、この変動をできるだけ摩擦を少なくしていくことが私どもの責任であると存じます。従って、国鉄がもしあの計画を実行される場合におきましては、それが今申しましたようなことからいってやむを得ないものといたしましても、当然の公共的責任といたしまして、そういう古い労働力を労働条件の低下を来たさないようにして、他に転業、就業の道を講ずることを前提として行なわなければならないということを申しておる。そういうことの前提を伴わないで行なわれるならば、労働大臣としては同意いたしかねるということを言っておるわけであります。
○多賀谷委員 運輸大臣はどうですか。
○木暮国務大臣 お答えいたします。 ただいま御質問になりました、ことしの九月に答申が出ました国鉄総裁の諮問機関である要員対策委員会の答申というものは、今お述べになりましたように、国鉄の職員の年令構成というものが戦争のときと戦争の後の特殊の事情によりまして、まあ中ふくらみのようなちょうちん型になっておるのを是正いたしまするために、昭和四十年以降——これから五年後の話ですが、昭和四十年以降に四十才以上の者を対象として、年平均一万五千人の退職を計画的にやらせるということがきわめて穏当の措置であるということが答申の要旨であるのでございます。もしこれを実施いたすようなことになりますと、今、国鉄で八千人の人が毎年退職いたしておるというお話でございますが、私どもの方の聞いておりますところでは、約一万人の人が大体今日退職をしておるような状態でございますので、それを実施することになると、年々今までよりは五千人ふえるということになるので、これは大きな問題であると思うのでございます。しかしながら、国鉄という企業経営体の経営の合理化の点から見ますると、これはきわめて重要な課題でございますので、国鉄といたしましては、おそらくまだ九月に答申を受けたばかりで日が浅いのでございますから、いろいろ研究を慎重に重ねておることと存じます。御承知の通り、こういう問題は組合ともよく話し合いをいたして慎重にいたさなければならない問題でありますので、国鉄としても慎重にこの問題を考究、検討しておることと考えられるのでございます。政府といたしましては、まだ国鉄総裁の諮問機関からの答申がついこの間の九月にございまして、国鉄そのものが非常に重要な問題として慎重に取り扱っておりまして、われわれの方へは国鉄がどうしようかということの態度の表明、問題等については話し合いがございませんので、まだ何とも私どもの考えを決定するには至りませんで、ただきわめて重要な問題で、将来起こり得る場合におきましては、慎重にこういう問題には対処すべきであるという考えを持っておるだけでございます。
○多賀谷委員 いやしくも人の職を奪うというような答申の出た場合、これは今国鉄の四十万の職員が非常に動揺している。それは昭和四十年からの話でありますけれども、これが出されたということは、労働能率に非常に影響がある。このことをよく考えなければならぬと思うのです。お先まっ暗だという感じを与えておる。これが私はむしろより重大ではないかと思うのです。だからやはり政府としてははっきりした態度で臨んでいただきたい。このことを私は再度総理からお答え願いたいと思うのです。 ついでに私は、政府及び政府機関というものは、ことに労働条件やあるいは労働行政におきましては、みずから雇用する者に対してその模範を示して、指導的な立場を明らかにする必要があると思うのです。たとえば、アメリカにおいても最低賃金を作ります前に、アメリカ合衆国が用度品を購入をしたり契約を締結する場合の条件として、発注をする場合に、その受注をする工場の労働者にまず最低賃金を作った。そして政府及び政府機関が発注をする品物を請け合ってするところに、最低賃金並びに労働時間の規制をした。こういうものの態度でいっておる。あるいは中小企業の品物の購入の場合もその通りです。防衛庁等は、まず中小企業を育成するために何割という、品物によって違いますけれども、発注をするということをその購入の規則でうたっておる。こういったことが政府の態度として非常に必要ではないか。それであるにかかわらず、国鉄にはこういう問題が起こっておるというのは非常に残念である。また臨時工の問題だって、政府みずから臨時職員を置くというようなことがそもそも間違いなんです。臨時工が悪いというなら、政府が臨時職員なんかを全部やめてしまえばいい。そしてこの問題における指導性を政府は発揮すべきである。また現在御存じのように職種別賃金というのがありまして、アメリカとは反対に、日本の場合は職種別賃金のPW以上は請負等を通じて支払ってはならぬという最高賃金をきめておる。こういったことが労働問題に対する政府のいわゆる無感覚さを示すものではないかと私は思う。これらについて総理から見解を承りたいと思う。
○池田(勇)国務大臣 ただいま国鉄の人員構成の問題から、四十才以上の方々が昭和四十年後においてどういうふうになるかということについての答申は、単なる答申で、政府は決定いたしていない。こういう問題は、先ほど労働大臣の答えたように、国鉄の収支計算ばかりで決定すべき筋合いの問題ではございません。だから、私はそういうのは新聞で見ましたが、これは一つの考え方だろうけれども、その考え方は国鉄中心で、全体の日本のあり方について合致しておるものじゃない。首切りとかなんとかいった国全体として考えなければならぬ問題でございます。従って、国鉄のみならず、お話の通りに他の企業にも相当あると思います。そうしてまた臨時工の問題、あるいは臨時雇の問題等々におきましても、われわれは今後の労働問題といたしまして、先ほどちょっと触れましたが、年令別賃金体系ということにつきまして再検討と申しますと少しきつくこたえるかもわかりませんが、労働市場の発達、そうして年令別の賃金の体系ということにつきましては、私、十分に研究しなければならぬ大きい問題だと思うのであります。従いまして、今お話の点等を考えて、今後労働市場、賃金体系、そうして雇用関係の問題等々は、経済の発展につれて十分考えなければならぬ問題と思っております。
○多賀谷委員 総理から、国鉄の問題は単に国鉄だけでなくて、国全体の立場から考えるべきである、こうおっしゃいましたので、そのことをお忘れなく御実行願いたいと思います。最近だんだん平均寿命が高くなった。そうして昔の五十五才と今の五十五才は、率直に言って、肉体的にも精神的にも非常に違うと思います。ところが厚生年金は、御存じのように五十五才でありましたのを、六十才から一般には給付するということになって延長をされた。延長されたけれども、定年の方は一般社会におきましても五十五才で据置きになっておる。政府は一体どういうような指導をされるつもりですか。
○石田国務大臣 一般企業の方でも、急速にではございませんが、一般的に定年の延長というものを考えておる傾向が出て参っておると存じます。しかし、これはまだ支配的にはならないのでございますが、先ほどから申します通り、それぞれの企業の特殊性も考えなければならず、職種も考えなければなりませんので、中高年層で十分勤まる職種を調査し、あるいはさらにそれを増設することによって考慮して参りたい。同時にその企業あるいはその職種において十分高年労働者、高年職員を雇用し得られるところについては、定年の延長等についても検討してもらうように努力いたしたいと思っております。
○多賀谷委員 総理は、年金開始の時期と定年とのギャップですね、これをどういうふうに調整されるつもりですか。
○池田(勇)国務大臣 これはやはり財政関係の点でございます。それから退職金をもらって退職する、あるいは会社によりまして年金制もございますので、私は今の制度でやむを得ぬと考えております。
○多賀谷委員 厚生白書はやむを得ぬと書いてないんですよ。要するに、西欧の各国は、退職年令は六十五才である、だから年金の開始時期が六十才あるいは六十五才でも妥当であるけれども、日本はそういう状態になっていない、だから財政的に見ると五十五才というのは無理であるから、定年の方を上げろ、——これは厚生省も無責任な話だけれども、定年の方を上げろ、まあ厚生白書ではこう書いてある。私はこのギャップは、当然政治としては、今すぐできなくても、政治の方向としてははっきり明示すべきだと思います。どうして調整するか、そうしないと、厚生年金は五十五であったのですからね。それを六十才にしたのです。この点は、私はそのギャップを何らかの形で埋める必要がある、これが政治だ、こういうように考えるのですが……。
○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げましたように、財政的観点からそういうようにいたしておるのであります。それからまた実際問題としても、やめたからすぐ食えないか、千円の年金を要するかどうかという問題もございますし、それから、これは極端な例かもわかりませんが、生活保護費、社会保障関係の問題もある。今ギャップができつつあるからすぐどうせいというお話でございますが、実情に沿ったような措置をとるべきだと思います。
○多賀谷委員 現実にギャップがあって困っておるのです。ですから、実情に沿うてどういうふうに調整をされるか、答弁を願いたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 私は、五十五才の定年でやめて年金がもらえない、六十までのその間のつなぎができぬという実例をまだ聞いておりませんので、実際においてその人がお困りになるようならば、それは別の方向で考えなければならぬと思います。従って、それを今五十五才の定年を六十才に上げるべきだ、あるいは六十からの厚生年金を五十五才に繰り上げるべきだ、こういう結論は今のところ出せません。
○多賀谷委員 どうも所得倍増論を掲げておる総理大臣にふさわしくない答弁だと思う。現実に数字を見ればわかる。六十才が厚生年金の開始時期です。五十五でやめれば五年間困るというのはわかっておる。これは簡単なんですよ。政治としてはどちらの方向で指導するかということを答弁願いたいと思うのです。
○池田(勇)国務大臣 厚生年金の六十才、これは年金をこの程度から出そう、こういうのでございます。しかもそれは今の実情からきておるのであります。しかし片一方退職が五十五、だからすぐにそれに戻せ、五十五にしろと言っても、私は財政上それはできません。そうして厚生白書の言うように、六十を定年にするということもいかがかと思います。それを繰り上げるか、あるいは六十にしなければならないかということは、これは実情を見て考えなければなりませんから、私は、ただいまの状態において、いずれか一方ギャップをなくせよという説には、必ずしも賛成いたしません。
○多賀谷委員 時間がありませんので非常に残念ですけれども、これは政治の方向をぜひ示してもらいたいと思ったのですが、労働大臣は御答弁がありましたけれども、総理大臣がないので非常に残念に思いますが、これは次に質問をすることにいたします。 続いて、いろいろありますけれども、石炭炭鉱の離職者の救済の根本的な問題についてお尋ねしたいと思うんです。それは、労働力の移動を可能ならしめるということが一番でしょう。ところが労働力の移動が必ずしも円滑に行なわれない。ことに住宅が非常に労働力需要地において払底をしておるということがその大きな原因ですけれども、それだけではありません。そこで問題は、労働力が慢性的に過剰である地点においてどうして産業開発をやるかということが大きな問題ではないか。先般後進地域開発のお話がありましたけれども、私は北海道やあるいは九州の南部の方の未開発地域の開発だけでなくて、すでに開発されておるその地域は、鉄道も通り、電鉄も通り、病院もでき、町もにぎやかである。しかしそのところには産業がだんだん衰退をして、失業者が非常に多い。こういったところに対する政策が必要ではないかと思うのです。この点は、各国において、ことにイギリスにおいては、御存じのように、戦前から特定地域開発及び改良法があったし、戦後においても工場配置法がありましたし、また最近は本年四月地方雇用法という法律になって、政府みずからが土地を提供し、政府が誘致をされた工場の建物の建築にまで補助金を出しておる。そうして新しい町作りをやっておるわけであります。あるいはフランスにおきましても、最近炭鉱地帯におきましては、産業転換を、政府としては、インフレ防止あるいは近代化とともに、三大経済政策の一つに掲げておるわけですが、いわゆる利子の要らない金をその企業に貸すというので、これは政府が資本参加をしておる。資本参加をして、政府においてその企業が一人前に歩けるようになったら、その持ち株をその投資をいたしました会社にそのまま買わせる、こういう方法をとろうとしておる。あるいはまた、アメリカのように、かなり一時は完全雇用態勢ができたといわれておりました地域にも、部分的に見ると特殊的な非常な失業者が多く、慢性的な労働力過剰地帯がある。これはアメリカにおきましては地域再開発法案として二度ほど議会を通過したのですが、大統領が拒否をするというような状態も起こりましたけれども、ケネディ次期大統領はいよいよこの問題を徹底的にやることに決意したようです。これは新聞で御存じの通りです。ですから、こういった部分的に非常に失業者が多くて、労働力移動困難な地域に、いわば不況地域再開発法というような法律でも作られて、ある一定の資金を投入をしてやられる意思はないかどうか、これをお聞かせ願いたい。
○池田(勇)国務大臣 日本におきましても、北九州の炭鉱の不況のときに、鉄道をつけるとかいう計画や何かしたこともございました。われわれといたしましても、道路の開設等も検討いたしておるのでございます。今の未開発地の新たなる開発と同時に、お話のような場合につきましても、職を見つける方法は政府としても考えなければならぬと思うのであります。
○多賀谷委員 もう少し具体的にお聞かせ願いたいのですがね。今聞くところによりますと、産炭地開発公団というような構想があるそうです。あるいは九州の若松とかあるいは裏門司あたりに工場敷地を作って、そこに工場を誘致するという方法だけでなくて、現在ある町に、やはりその個所とは言いませんけれども、ことに雇用吸収度の高い機械工業の工場を誘致するという方法が必要ではないか。しかし、これは一般が自由競争でありますし、私企業でありますから、簡単に陳情しても来るような性格のものじゃない。そこである一定期間政府が援助してやらなければ、私はむずかしいのじゃないかと思うのです。ですから、各国の例を見ましても、やはり政府の強力な援助があって、初めてそこに産業が来ておるという状態です。これについてそれだけの決意をなされないと、私は単に言葉に終わってしまうと思うのです。現実に四万からの市が二万台の町になろうとしておる状態ですから、これらの問題についてどういう決意で臨まれるのか、これをお聞かせ願いたいと思う。
○池田(勇)国務大臣 私は、具体的にそういう四万のが二万になるところにこういうものを置くということをお答えすることはできません。ただ考え方として、そういうさびれていくところがさびれないように、しかも移動せずに済むような適当な方法があれば考えるべきだと思います。総理が具体的にこの町にはどうこうということは、私は申し上げかねると思います。
○多賀谷委員 この町にどの工場というような具体的なことまでは聞いていないのです。しかし、考え方として、政府が強力に援助措置をやってやらなければ、私は来ないと思うのです。ただ労働力の移動をしないでも済むようにということだけでは、私は納得できないのです。一体どういうようにされるのか。今、日本経済は神武から岩戸景気であるといって、高原景気を続けておるわけでしょう。一方においては完全失業者も非常に少なくなっておるという状態でしょう。しかし部分的に見ると、大へんな状態になっておるのですから、現在のような経済でこれだけが救えないという方法はないと思うのです。強力な政治さえあれば救えると思うのです。ですから、そのことを私はお聞きしておるわけです。
○池田(勇)国務大臣 お話は、一昨年から昨年にかけましての炭鉱離職者の問題だと思うのです。そしてそれを実施してみたのでございます。実施したところ、必ずしも予定通りに移動もできません。また炭鉱の離職者もそう減らないという場合におきまして、あなたのようなお考えは、私は考えられる問題だと思います。従って、こういうものは、私は通産省あるいは労働省等で考えてみるべきではないかと思いますし、方向としては、私は反対しているのじゃございません。
○椎名国務大臣 離職者の救済については、当初の対策をただいまもそれを踏襲しておりますが、職のあるところに分散するという政策をとったわけです。ところが、御承知の通り、大体中年層が多いもんですから、なかなか移動がしやすくない。やっぱりあなたが言われるように、そのままにして、そうして炭鉱がだんだんさびれていく地帯、あるいはその付近にしかるべき職場を作ってやるということでいかぬといかぬのではないか、かように考えております。それで、これはまだ大蔵省と折衡したあとでどうなるかわかりませんけれども、とにかく産炭地振興対策、そのために要すれば事業団を設けるとかということをいたしまして、そうしてその付近の比較的工場立地条件を具備しておるようなところに多少の公共投資をやりまして、土地を造成するとかあるいは工業用水を設備するとか、あるいは関連道路をつけるとかというようなことによって、その従来の場所から通っていけるところに新しい職場を求める。こういうことができるようにすることがやはり必要ではないかということを考えて、ただいませっかく施策中でございます。 それから、いわゆるタヌキ掘りでやたらに掘りまくって、その跡をあまりかまわぬというので、鉱害が方々に起こっておるということは御承知の通りでございます。これはやはり低開発地帯の開発をするというような大きな趣旨からいいましても、これはほっておいてはいかぬ。やはり復旧事業をなるべく早くやる必要があるのではないか、かように考えるのでございまして、こういったようなことをもし始めることができれば、さしあたりこういう方面に職場を求めることができるわけです。また電発、それから九州電力でも、あの石炭による火力発電を今計画しておりますが、比較的低品位の石炭をその場で使えるということになると、輸送コストがかかりませんから、割合に電力が安くできる。こういったものをもう少し大規模にやったらどうか、こういうようなことを私は考えておるのであります。いずれこれらの問題につきましては、まだ政府の草案というわけには参りませんが、せっかく部内において研究協議をいたしまして、御趣旨のようにやっていきたい、こう考えております。
○石田国務大臣 石炭その他の集団的離職者に対しまして、現在の雇用情勢と対照いたしまして、労働力の移動性、流動性を強化いたします政策は、これは明年度の予算を待たないで、現在でも鋭意努力をいたしております。特に石炭離職者援護会の余裕金を転用をいたしまして、目下名古屋に六棟、大阪に一棟、神戸に一棟、移動用労働者の家族住宅を建設中でございますが、しかし先ほどからのお話にもありましたように、地域的定着性というものを解消することがなかなか困難でございます。従って、現在集団的に出て参りまする離職者のその数に見合った対策を講じますためには、やはり当該地の産業条件を整備いたしまして、工場誘致等の積極的施策を講ずることが望ましい、このように考えておる次第でございます。
○多賀谷委員 私は通産、労働の両大臣に要望したいことは、単に土地の埋め立てをするという程度では、企業は来ないと思うのです。外国の例にも見られる通り、一歩進んで土地の取得を政府みずからやっておる。イギリスではもう長い間やっておるのですね。それから建築の補助金まで出しておる。この程度できるかどうか問題としても、英国ではやっておる。それから企業への貸付もやっておるわけです。その地域に来る季間労働者及び家族の移転旅費まで見てやっておる。道路や電力、上下水道の財政的支出はもちろんです。今おっしゃったうちで、私が申しました最後の分だけをやろうというのですから、その程度ではこれはなかなか企業を送ることはむずかしい。ですから英国等が長い間困って、ことにビバリッジの答申等があって、こういう地帯の政策ができておるのです。しかもそれをアメリカでもやろうとしておる。またフランスでも資本参加までやろうとしておる。日本だって企業育成のために、日本合成ゴム株式会社というように、一産業のためには資本参加をした例はある。これはその合成ゴムがいよいよ軌道に乗れば株は放出するということになっている。一産業のためにはそれだけの資本参加までした例があるのですから、私はこの方法だって考えられないことはないと思う。かような方法をもってしなければ、現在あそこの極貧地帯に陥った連中の救済はほとんど不可能であります。それは今の労働者だけではありません。その子弟も困るのです。あるいは町の人も困るのです。中小企業も全部が困っておる状態です。これについて一つ最後に総理の決意をお伺いしたいと思います。
○池田(勇)国務大臣 方向としては同感でございますので、関係各省で十分検討させることにいたしたいと思います。
○船田委員長 明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十二分散会