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37回国会衆議院1960/12/15

文教委員会 第2号

発言数
43
登壇者
6
会派数
2
開催日
1960/12/15

会議録

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 これより会議を開きます。  この際理事の辞任並びに補欠選任についてお諮りいたします。理事原田憲君より理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  それではただいま一名欠員となっております理事の補欠選挙を行なわなければなりませんが、先例により委員長においてその補欠を指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 御異議なしと認め、それでは竹下登君を理事に指名いたします。      ————◇—————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 次に、公立の中学校の校舎の新築等に要する経費についての国の負担に関する臨時措置法案を議題とし、その趣旨説明を聴取いたしたいと思います。  荒木文部大臣。     —————————————

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 今回政府から提案いたしました公立の中学校の校舎の新築等に要する経費についての国の負担に関する臨時措置法案について、提案の理由を御説明いたします。  現在、公立の中学校の校舎の建築に関する国の負担につきましては、昭和三十三年に制定された義務教育諸学校施設費国庫負担法の定めがあり、中学校の不正常授業を解消するための校舎の新増築に要する経費について、その二分の一を国庫で負担することとなっております。その趣旨は、中学校において不正常授業が生じてからこれを解消するために校舎を建築する場合、これに要する経費を国庫負担の対象とするということでありまして、将来発生を予想される不正常授業を防止するための建築に要する経費につきましては、必要な措置が講じられておりません。  しかるに、中学校の生徒の数は、昭和三十五年度以降昭和三十七年度にかけて急激に増加し、昭和三十六年度約百万人の増、昭和三十七年度においてはさらに約四十万人の増となることが予想され、これに伴って教室の不足もはなはだしくなり、教育の実施に著しい支障を生ずることが予想されるのであります。この場合、現行法のみによって、不正常授業が生じてからその不足教室を建築することといたしますならば、学校によっては、学年初めから当該建築が完成するまでの間、増加した生徒を収容すべき教室に困るという事態が起こるのであります。  政府としましては、以上のような実情を考慮し、中学校における教育の円滑な実施を確保するため、昭和三十六年度及び昭和三十七年度における学年初めの教室不足による不正常授業を防止するための校舎の新増築に要する経費を国庫負担の対象とすることについて、臨時の措置を講じたいと考えるのでございます。これがこの法律案を提案する理由でございます。  次に、この法律案の内容の概略を申し上げますと、まず第一に、昭和三十六年度または昭和二十七年度における公立の中学校の不正常授業を避けるための新築または増築に要する経費について、現行法の規定の例によりまして、これを国庫負担の対象とすることを定めております。  第二に、右の場合における工事費の算定の基礎となる坪数は、昭和三十七年五月一日に当該学校に収容される予定の生徒の数を用いて得た坪数とすることができるものとし、生徒数が頂点に達する昭和三十七年度の不足坪数を基礎とすることができるよう定めております。  以上が、この法律案の提案の理由と、その内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 次に補足説明を聴取いたします。  福田監理局長

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 ただいま文部大臣から御説明申し上げました公立の中学校の校舎の新築等に要する経費についての国の負担に関する臨時措置法案について、補足説明いたします。  この法律案は、本則及び付則二項からなっております。本則の前段においては、この法律案によって国が負担を行なう対象及び負担に関し必要な事項について規定しております。すなわち、まず国の負担の対象となるのは、昭和三十六年度または昭和三十七年度における公立の中学校の不正常授業を避けるため、昭和三十五年度及び昭和三十六年度において校舎の新築または増築を行なう場合における必要な経費であることを明らかにしております。  現行法においては、現に不正常授業が生じている学校について、年度ごとにこれを解消するために行なう建築に要する経費のみを国庫負担の対象としております。しかしながら、昭和三十六年度以降の生徒急増に際しては、現に不正常授業が生じている学校で、翌年度以降それがさらにはなはだしくなると推定されるものについては、現に不足する教室に加えて将来不足する教室を事前に整備する場合にも、その建築に要する経費を国庫負担の対象とすることが必要であると考えられます。また現に不正常授業が生じていない学校であっても、翌年度以降不正常授業が生ずると推定されるものについては、その発生を事前に防止するために校舎の建築を行なう場合に、これに要する経費を国庫負担の対象とする道を開くことが必要であると考えられるのであります。それゆえ、現に不足している教室の整備につきましては、現行法の規定により、建築を行なう年度の不足教室の整備として実施するのでありますが、これを除いた翌年度以降に予測される不足教室の整備に要する経費は、すべてこの法律により国庫負担の対象としようとするものであります。  次に、国が負担する場合の負担の要領は、現行法第三条第一項第二号に掲げる公立の中学校における不正常授業を解消するための校舎の新築または増築に要する経費に対する国の負担の場合の例によることとし、負担割合を二分の一とするほか、経費の種目、工事費の算定に用いる生徒一人当たりの基準坪数、一坪当たりの建築の単価等、国の負担に必要な事項は、現行法の規定と同じ扱いをすることといたしているのでありますが、例外として、工事費の算定方法に関する部分については本則の後段に新たな規定をいたしております。すなわち、現行法第五条第一項においては、工事費の算定の基礎となる坪数は、当該建築を行なう年度の五月一日における当該学校の生徒の数を用いて算定することとなっておりますが、この法律においては、昭和三十七年五月一日において当該学校に収容される予定の生徒の数を用いて算出した坪数とすることができることを明らかにしております。この規定によって、一般に生徒の数が頂点に達する三十七年度における教室の不足をあらかじめ解消することを目途として、建築を実施することを可能ならしめようとするものであります。  なお、工事費の算定の基礎となる坪数の算出方法として、生徒一人当たりの基準坪数に生徒の数を乗じて得た坪数から保有坪数を差し引くことは現行法と同様であり、また、右の保有坪数としては、原則として、当該建築を行なう年度の五月一日の保有坪数を用いることも現行法と同様であります。ただ、この法律において、統合中学校の不正常授業を避けるための校舎の新増築に要する経費も、一般の中学校の場合と同様、国庫負担の対象とすることとしておりますので、現行法第五条第二項の統合学校の校舎の新増築にかかる工事費の算定方法における保有坪数の押え方の例にならい、学校統合が建築を行なう年度の五月二日以降九月三十日までの間に行なわれた場合においては、当該学校の統合が行なわれた日の属する月の翌月の一日の保有坪数を用いることといたしております。  付則第一項は、この法律の施行期日を定めたものであります。公布の日から施行し、昭和三十五年度分の国庫負担金から適用することといたしておりますので、本年度補正予算から適用されることになります。  付則第二項は、この法律の有効期限を定めたものであります。昭和三十七年三月三十一日、すなわち昭和三十六年度末をもってその効力を失うこととしております。  ただし、国庫負担金の交付決定が同日までに終了していても、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律に基づく補助金等の額の確定、その他の事務が同日後となる場合もありますので、同日までに交付決定のあった国庫負担金については、なお、その効力を有する旨を規定いたしているのであります。  以上この法律案の概要について御説明申し上げました。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 本案についての質疑は次会よりいたすことといたします。      ————◇—————

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 次に、学校教育に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますから、これを許します。長谷川保君

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私立大学の授業料値上げの問題が、御承知のようにただいまやかましく世上を騒がしておりますが、まず私立大学の授業料——純粋の授業料の値げではなく、授業料等の値上げの実態はどういうことになりますか、伺いたいのであります。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 ただいまの私立大学等の授業料の値上げの問題についてでございますが、これは新聞紙上等におきましてその値上げが云々されておりますが、私どもの方で調査いたしました結果によりますと、まだ値上げをするというようにきまった学校が割合に少ないのでありまして、目下検討中とか、あるいは若干の学校が値上げの意思がないというようになっておりまして、まだ全体の値上げの状況、あるいは値上げの額といったものが全般的にはっきりしておらないような状況であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 新聞紙によりますと、相当具体的に書いてある。たとえば朝日新聞の昨日の夕刊を見ましても、慶応大学あるいは中央大学その他なかなか詳しく出ております。まだ文部省の方ではそういうことを把握されておりませんか。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 慶応等の学校の値上げにつきましては、私も新聞でちょっと拝見した程度でありまして、今月の七日現在で調査いたしましたときには、慶応大学等は検討中であるというような回答でございました。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 新聞によりますれば、全体として、公務員のベース・アップ一二・四%をいたしますと、現在の一流の私立大学の教授の給料四万九千円が、国立では六万四千八百七十七円、また助教授三万二千円が四万二千四百七十円になる。講師においては二万四千円が三万六百七十三円、助手においては一万五千円が二万一千七百二十二円くらいになる。こういうことになると、大体年間私大で三十四億円くらいの経費が新しく必要になる。従ってどうしても授業料のアップをするよりほかに道がない。そこで慶応大学等においてはなかなか大きな値上げをしていく。あるいは中央大学でもさようである。ここに数字がこまかく出ておりますけれども、そういうようなわけで、学生諸君、ことに貧しい学生諸君にとってはまことに容易ならぬことであると思います。こういう問題について、ただいまお話のようにまだ文部省で十分に把握できておらないわけですね。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 慶応などは、先ほど申し上げましたように、私の方で調査いたしました十二月七日現在ではまだそういう状況でございましたし、その後にあるいはおっしゃるような事柄が決定いたしたのかもしれませんが、それはまだ報告を受けておりません。私ども調査いたしました十二月七日現在におきましては、私立大学百四十校のうちで、値上げの確実なものが五十八校、値上げを検討中のものが二十校、値上げをしないといっておりますのが四校、まだわからないというのが五十八校といったような状況でございまして、それ以後の状態はまだ私ども把握いたしておりません。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それではまたいずれこの問題は事態が明確になりましてからもう一度御質問申し上げることといたしまして、この際大臣も御出席でございますからもう少し私立大学の経営等の問題について伺ってみたいと思うのであります。  今日国立大学の授業料等、学生が学校に払いまする費用に対しまして、私立大学はすでに相当多額のものを払っておることは御承知の通りであります。大体国立大学に参りまする者は、ごく比較的な話でありますけれども、一般に成績の非常に優秀な者でなければ入れない、少しそれより劣りまする成績の者におきましては、やむを得ず私立大学の方へ高くても入るというのが、ごく一般的な話でありまして、もちろん私立大学にも優秀な学生がおりますけれども、ごく一般的な話としてそういう者が多い。また経済的に見ますと、まあいろいろとありますけれども、もちろん私立大学はたくさんの費用を要しますから、比較的裕福な家の子供もたくさん入ります。同時にまたもう一色の学生が中にあると私は思うのです。それは比較的家が裕福でなかったために小学校、中学校等も優秀な学校に越境入学ができないというような事情から、その土地にありまする施設あるいは教育の程度等十分でありませんところの学校でもやむなく行っておった。あるいはさらにもぐり入学を一切させないという正しい考え方から、自分の地区にありまする学校が不十分な学校であってもやったという家庭もあるかと思いますけれども、そういうような関係で高等学校、大学にはいるときに優秀な学校にはいれない、こういうような事態の人も相当あろうと思います。つまり経済的な困難から越境入学というようなことができないということから、高等学校にはいるときに、国立のものにはいれなくて、私立大学へはいっているというようなお宅も相当あろうと思います。こういう人々が十分な経済的な力がないゆえに無理やりに私立大学にはいって、また私立大学で授業料を値上げされるということになりますと、貧しい学生諸君、その父兄にとりましては非常に大きな負担であるわけであります。おそらく奨学金の関係におきましても、私立大学においては不十分であろうと思います。そういうふうになりますと、この大学の学生諸君が非常に気の毒な立場になる。あるいはより無理なアルバイトをする関係で学校へ行けなくなるというようなことも出て参りましょう。あるいはまた場合によっては退学しなければならぬという場合も出てこようかと思うのであります。あくまでそういうことがあってはならぬ、何とかして勉学をいたしまする諸君に勉学ができるような配慮をこの際十分してやる必要があると思うのであります。この際私立大学に対して、大臣としましてはどのような方策で大学の学生諸君が十分勉強できるように、あるいは私立大学をさらに育成していくのに対してどういうような考えを持っているか、大臣のお考えを伺いたいのであります。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ただいまお示しのような比較的経済的に恵まれない人々が私立大学にはいっておりまして、もしくは今後はいる者も同様でございましょうが、授業料が値上げされることによって非常に苦しい立場に立つ。何とかしなければならないというそのお気持については私も同感でございます。ただこれに対する方策を具体的にどうするかとなりますと、国立、公立のほかに私立の学校がある。その私立の学校に対して、国として国民全体の立場からどういう限度まで私立大学を援助し、育成していくかという経済的な面について特に考慮していくかということは、私の今まで承知しております限りにおいては、なるべく施設の整備については考えていこう、しかしながら大学教授の給与の是正のためのいわば運転費と申しますか、経営費と申しますか、そういう点は私立大学の特色を考えます場合に、そこまで及ぶべきじゃないであろうということで、主としてその施設の面について国の立場から援助するというやり方できておると承知いたします。ただ従来は科学技術教育の振興等が特に叫ばれてはおりましても、具体的にあるめどを定めてでも振興していこうということがなかったようでございまして、そういう点に今後考えるべき余地があるのではなかろうか。あくまでも施設の整備の面から私立学校を育成していくという態度で臨まざるを得ないのじゃなかろうか。従ってお示しのような気持でもっと具体的に授業料を上げないでも済む方法がないかというほどの具体的な影響を持つ程度まではちょっと困難ではなかろうかとただいま思っておるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 この際比較していろいろ考えてみたいと思うので、少しこまかいことを伺ってみたいと思います。今国が国立大学に実質に支出する国の負担と申しますか費用、たとえば大学病院から医療収入が国の方へ別途入って参りますが、そういうものは差し引きまして、純粋に国がこの三十五年度で国立大学のために支出する費用、その学生一人当たりの費用は幾らになっておりますか。およそでけっこうであります。

木田宏文部事務官(大臣官房総務課長)

○木田説明員 大へん恐縮でございますが、今手元に資料を持ち合わせておりませんので、即刻調べまして、あとで御連絡させていただきます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 学生が国立大学に参りますために大学に払い込みます一人当たりの、学部によって違うわけでありますが、授業料等の費用はおわかりでありましょうか。

木田宏文部事務官(大臣官房総務課長)

○木田説明員 国立大学の授業料は今年額九千円でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それにプラスする支払いはありませんか。

木田宏文部事務官(大臣官房総務課長)

○木田説明員 正規のものとしては、入学いたします場合の入学料があるだけでございまして、そのほかは授業料だけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 入学料は幾らでありますか。

木田宏文部事務官(大臣官房総務課長)

○木田説明員 千円だったと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私立大学の方に国が純粋に、貸して返す金は別といたしまして、純粋に支出する金は国費で学生一人当たり幾らということはわかりませんか。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 私立大学の方に出します一人当たりの経費は、計算が非常にめんどうでございますが、たとえば理工系のいわゆる設備の充実あるいは新設に対する学生一人当たりというような経費になりますと、学生経費の押え方としまして、大体一人年額二十万円という観点で、この二分の一あるいは三分の二を補助しております。この点は大体国立と同じようなやり方であります。ただ振興会から融資しております年額十五億ないし十六億程度のものは、生徒数一人当たりに対して幾らという計算で出してはいないのでございます。そういう状況でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今のは理工科のことであって、そのほか全体として学生一人当たりに今のを割りますと、幾らになるかわかりませんか。簡単でけっこうであります。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 これは文科系統には補助金を出しておりませんので、計算しておりません。後ほど計算してお答え申し上げます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私の方でも計算できないわけではないのですが、不精しておりますので、大へん恐縮ですけれども、私立大学へ参る学生一人当たりの経費が幾らか、また国立大学に対するのが幾らか、そのことをこの次の委員会に資料を出していただきたいと思います。  それでは、それらの資料が出ましてから他の質問をいたします。一応これで終わります。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 西村力弥君。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 関連してここでお聞きしたいのですが、きょうの朝日新聞の社説にも出ておりましたが、私立学校に対してはノー・サポート、ノー・コントロール、こういう言葉が使われております。私立大学の関係者の方からも教員の給与に対する補助の要求がありますが、また外国の例としましてもそういうことをやっておるところもたくさんあるということでありますが、この問題に対する文部省の検討は一体どういう工合になっておりますか、できるならば諸外国のそういう例と、それが憲法とどういうかね合いになっておるか、こういうことを一つ調べて知らしていただきたいと思うわけですが、その検討はどうなっておりますか。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 世界各国の資料は、新しいのは持ち合わせておりませんけれども、大体私ども伺っております傾向としては、イギリスあたりでは七割あるいは八割以上も私立学校に対して国の助成が行なわれておるというような現状のようであります。アメリカ等におきましては、これは特別な事項につきまして、生徒一人当たりの経費として学生経費を補助するというような場合もあるようであります。しかしながらこれは国が違いますので、日本の場合におきましては、やはり私立学校法の精神に沿いまして、私立学校の経営につきましては、やはり私立学校の自主経営という建前をとりますと、そういった、先ほど文部大臣が申されましたように、経常的な経費について国が助成していくというようなことがはたしていいかどうか、これは私学側も必ずしも望んでないようでございます。従って、われわれといたしましては、そういう私学の経営上におきましていろいろ問題がございますが、特に施設、設備の充実という点につきましては、研究設備もそうでございますが、学生の実験、実習設備等につきましては、これはやはり欠くことのできないものがございますので、そういった面で私立大学の設備あるいは学生の実験、実習設備というものに対しまして従来から助成を行なっております。その他、先ほどもちょっと申し上げましたが、施設、設備の充実につきましては、そういう理工系の研究あるいは実験、実習に対する助成でなくて、もう少し一般的にやるという場合には、これはもちろん私立学校自体の自主的な問題でございますので、助成金でなくて、私学振興会からの融資によってこれは実現させるようにする、こういう方法で現在までやって参っている次第でございます。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 そういう建前をとられておるということは、これは現在の日本の私大に対する立場からいうて当然であるかと思うのですが、しかし現実にはやはり同じ大学教育を受ける官立、公立の学校の学生と、私立大学に学ぶ学生との間に非常に差のあるということ、これはやはりこのままにしてはおけないじゃないか、文部省の文教行政としては、その公立、私立のいかんを問わず、生徒が大学教育を受ける場合における自分の負担というか、そういうものは、やはり公平になるように仕向けていかなければいかぬじゃないか、教員の俸給の補助ができないということ、それはそれとしましても、他の方法によってもっともっとこれは同じような程度の自己負担によって教育を受けられる、こういうところに進めていかなければならぬじゃないかと思うのです。そういう点に対する積極的な検討は、今までは今おっしゃったような程度でありますけれども、現実には非常な懸隔があるわけですから、それをもっともっと縮める努力をどう考えておられるかをお聞きしたい。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 これはおっしゃるように、教育の機会均等という建前から申しますと、私立大学に学ぶ者も国立、公立の大学に学ぶ者も、その負担においてあまり懸隔がないことが望ましいわけでございます。しかしながら私立学校は自主的に経営されますいわば民間の企業でありますので、そういった面で、いろいろな点で経営上やむを得ず、授業料が少し高いとか、あるいは入学金を相当高く取るとか、検定料も年々経営に合うように上げていくとか、こういうようなやり方をいたしておるわけでございます。そこで先ほどお話にございましたように、教職員の俸給に対する助成ということは現在のところ望ましくございませんので、私どもといたしましては、極力——現在私立学校におきまして必要としております資金の中で、施設、設備に対する資金というものが、かなり大きな比重を占めております。その施設、設備に要する資金が足りませんものでございますから、授業料その他の一般の学生負担金によって納入された経費の一部というものが、施設、設備の充実の方に相当回っておるのでございます。これは年々、私立大学その他の高等学校以下でも同様でございますが、学校の決算を見ますと大体そういう傾向になっております。従ってこの点に私どもは着目いたしまして、先ほど大臣からおっしゃいましたように、施設、設備に対する充実の資金を何とか国の方である程度カバーできれば、これは経常費から回る資金というものが給与の改善その他の人件費に回り得る、こういうような見当をもちまして、来年度におきましてはその設備の充実あるいは振興会の融資の大幅増額といったような観点から取り上げまして、予算要求をいたしておるわけでございます。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 その予算の要求が通れば、現在計画されている各大学の授業料値上げをどの程度に押えることができるかという、こういう見通しというか、それは経理の内面に立ち入った計算になるでしょうけれども、何かそういう見通しを持ってやらなければ、やはり授業料値上げは現実に進んでいる。これをやむを得ないものと、こうするのではなくて、それを押えるためにも相当今言ったような施策というものが力を入れてやらなければならぬことになってくる。そういう一つの見通しを何か持っていらっしゃるかどうか。

福田繁文部事務官(管理局長)

○福田政府委員 これは今お話のございましたように個々の学校の経理の内容に立ち入ることでございますので大へんむずかしい問題でございます。しかしながら大体の全体の見当としては一応のことが言えるのではないかと考えております。ただいま申し上げましたように、年々の経常的な経費の中から臨時的な施設、設備の経費の方に回っております資金が、従来は大体四十億程度回っておるようでございます。今後の見通しとしては、三十五年以降におきましては少なくとも計算上は六十億以上これが回るような計算になってくるのでございまして、従ってそれと私立学校のベース・アップに必要な資金というものを一応勘案いたしてみますと、大学以外の高等学校以下も全部含めましても、今度の人事院勧告に従った率でベース・アップいたすとかりにしますと、約三十九億程度と計算いたしております。従ってその三十九億のベース・アップの資金を——これは仮定でございますからなんでございますが、経常費から臨時費に回さないように、設備、施設に要する資金というものを国が大幅に助成をしていく。そこに充填されますと、少なくとも全体で三十九億程度の資金は一応生み出せる。そういたしますと、現在私立学校でいろいろいわれております二割あるいは三割というような大幅な授業料値上げをいたさなくても、私どもの計算では一応一%程度の授業料値上げはやむを得ないかと思いますが、まあ大体それの前後のところで、今度のベース・アップの問題についてはおさまるのではなかろうか、こういうように、これは仮定に基づいた計算でございますけれども、考えておる次第でございます。これは、私立学校側がそういう考え方に賛成して下されば、そういくかもわかりませんが、個々の学校によって事情が違いますので、全体的な観察と個々の学校のケースとはまた違ってくると思います。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 その三十九億程度以上埋めてやるということに成功すれば、文部大臣としては、やはり何かはっきりしたようなことを、授業料値上げはできるだけやめるべきである、こういうような意思表示はできないものですか。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 ちょっと言いにくいことかと思います。ただし、プライベートに、個々にできるだけ上げないことを学生のために考えてもらうという話は、これはしてもいいでしょうが、公にそういうことを言うのは、ちょっと穏当でないかと思います。それは、私立大学は特に自主的に運営し、自治をたっとぶ意味においては国立、公立より以上の意欲を持っておるわけでございますから、またそこに特色もあるわけでございましょうから、一般的に授業料を上げてはいけないというふうなことを通達したりなんかということは控えたいと思います。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 やはりベース・アップに要する費用に見合うものを、他の設備、施設のような形にせよ、私学に援助をするのですから、これを出したら、税金を出した者からいいますと、これだけ出しておきながらなお上げられるというのはおかしいじゃないか、国がそれだけ金を使うなら、やはり大学当局に、そういう面にもいささかの意思表示はあってしかるべきじゃないかと思うのであります。これは私学の特色いかんを云々する問題でなくて、ただ学生諸君の負担を重くならないようにしよう、また均一化していこうというような趣旨のものでありますから、できるだけ、その金を、税金を使う文部省としては、そういう意思表示を何らかの方法で大学当局に通ずるようにしてもらうことが必要じゃないか、こう思うのです。  それから大臣にもう一つお伺いしたいのですが、私立大学に対する一般人の寄付金に対する免税を、ぜひ一つ今度あなたの力ででかしてくれたらどうか。これは主税局長にでも来てもらって話せばよかったのですけれども、これをやることが私学の発展のために非常に必要であると思うのです。その点の交渉経過や——今までもあっただろうと思うのですが、そういうことはどうなっているか。それとともに、大臣の来年度からのそういう寄付金に対する免税を実現するという強いお考えを示していただきたいと思うのです。

荒木萬壽夫自由民主党文部大臣

○荒木国務大臣 これは私、以前に科学技術庁と兼務しております時分に、科学技術そのものの振興のための研究機関に対する寄付、あるいは学校等に対する寄付、これは趣旨は、国民の側から見て同じことでございますから、たとえば西ドイツにそういうものをいわばプールいたしまして免税措置等を講じておる制度があるそうでございますから、そういうことも参考に検討しながら、今おっしゃることにも見合うわけですけれども、何らかそういう制度づけをしたらどうだろうという角度で、数回関係者と相談したことがございます。大蔵省にも文部省の立場からそういう意味での話し合いもしておりますが、まだ具体的に申し上げるほどに至っておりません。そういう意欲だけは持っております。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 これは一つぜひ意欲を一段進めて具体化して、これを損金として落とすような工合にやっていただくことが必要だと思うのですよ。この点は一つ、強く実現をはかっていただかなくちゃならぬと思うのです。それをお願いしまして終わります。

濱野清吾自由民主党

○濱野委員長 本日はこの程度とし、次会は明十六日午後一時理事会、午後一時三十分委員会を開会することといたします。  これにて散会いたします。     午前十一時四十六分散会

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