大蔵委員会 第5号
- 発言数
- 95 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/12/20
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 国の会計に関する件、税制に関する件、金融に関する件、外国為替に関する件及び専売事業に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 時間がありませんから、大蔵大臣に簡単にお尋ねいたしますが、今私立大学の授業料値上げ問題で非常に世間を騒がしております。御承知のように、日本の私学というのは、現在国の教育の三分の二を背負っておって、しかもその資金は全部学生の授業料でまかなっておるわけでございます。ところが、最近公務員のベース・アップと関連して、大学の教授の待遇問題がからんできまして、何とかもう少し国立大学並みの給与を与えてくれという立場から、授業料値上げの問題がやかましくなりました。ところが、学生は学生で、御承知のように現在ぎりぎりのところへ来ておるところへ持ってきて、授業料が上がったら大へんだということで、いろいろ問題が出ております。時間がありませんから、かいつまんで申し上げますが、アメリカでもイギリスでも、寄付金というものは全部無税になっておるわけです。日本では特定の場合以外にはなかなか税金を引かないのでありますけれども、私学の救済のために、この際大学べ寄付するお金は全部免税にすべきではないかというのが質問の第一点なんです。 それから、アメリカでは、御承知のように、特定の会社の利益金の五%くらいは大体無税の形でやっておるわけであります。そういう点で、日本の大学にも、寄付をする場合には、そういうような立場から、幾らでも寄付をするものはただだということでなくて、そういうくらいな限度で何とか免税の処置をとるというような方法がないか。それは根本問題でありますが、少なくとも現在私学の立場から考えますれば、やはり教職員の待遇をよくするためには、結局授業料を上げるというような、まことに単純な形式より方法がないということになっておりますが、これに対して大蔵大臣はどんな考えを持っておられますか。まずお伺いしたいと思います。
○水田国務大臣 今のお話は寄付金の指定をしてくれということの問題か、そうじゃなくて別個に私学の寄付というものを取り扱う独自の措置を作れということかとも思いますが、今までそういう扱いをどういうふうにしておったかというのを、一応主税局長から御説明いたします。
○村山政府委員 ただいま佐藤委員のお話でございますが、外国の扱いをちょっとお話し申し上げますと、アメリカでは、学校に対する寄付金は、おっしゃるように課税所得の五%を限度にしまして損金に算入しております。それから、ドイツの場合は、一般の法人はやはり課税所得の五%でありますが、特に相手が学校である場合には一〇%まで損金に算入しております。それから、イギリスは、特に授業の遂行上必要だ、つまり授業上の必要経費と認められるような場合に限って経費に認める、純然たる贈与的な寄付金については損金算入を認めない、かようなことになっております。それから、フランスにおきましては、取引額の千分の一を限度として損金に算入しております。こういうことでございます。これに対しまして、わが日本では、学校に対しましては二つの道が開かれております。一つは、だれに対する寄付金の場合も同じように、資本金の一定割合と、それから所得の一定割合の合計額の二分の一までは損金算入、資本金は千分の二・五、それから所得に対して百分の二・五、この合計額の二分の一までは、これは学校に対しましても、その他のものに対する寄付金でありましても、損金に算入いたします。ただし、学校のような公益法人につきましては、特にそのほかに指定寄付の制度が設けられておりまして、学校の施設を作るというような場合に、大蔵大臣の指定を受けますれば、それとは別ワクで、金額の限度を定めずに全額損金算入、こういう道が開かれておるわけであります。従いまして、学校に対しましては、指定を受ければ、その金額は全額損金、それから大蔵大臣の指定を受けなくても、そのほかに資本基準の千分の二・五、所得基準の百分の二・五の合計額の二分の一というものが認められておるということでございます。これは日本の現行法でございますので、他の国に比べてそういう法人の寄付金についての扱い、あるいは私立学校に対する損金の扱いというものは、かなりゆるやかにできておると言うことができると思います。 これが現行法でありますが、さらに、先般政府の税制調査会の答申がございまして、そのほかにも、これはどこまで適用するかは今後の研究問題でありますが、試験研究のための寄付金がありましたら、現在の先ほど申しました資本基準の千分の二・五、所得基準の百分の二・五という一般の寄付金のワクとは別に、試験研究のために一つの別ワクを作ったらどうかというようなことが今問題になっておるわけでございます。この問題は調査会でも試験研究ということに限定しておりますが、私学のようなものに及ぼすかどうかということは、今後の研究問題だと思います。
○佐藤(觀)委員 そういうことはあとで聞きますが、大臣は、今度の授業料の値上げ問題、これはこれから大きな社会問題になると思うのですが、こういう点について私立大学の側が補助金を今二十五億とか今度のあれで請願をしておるそうですが、そういうような手を打つのか、あるいは、私学の問題はやむを得ないというので、そのままほっておくのか。これは大きな問題になると思うのですが、こういう点についてどういうお考えを持っておられるのか。この点は一つ大臣から伺いたいと思います。
○水田国務大臣 まだその問題についてどうしたらいいかという方針は今のところきめておりません。御承知のように、中学生がことしは七十万人もふえた。来年は百万人もふえる。そうしますと、昭和三十八年度から今度は高等学校の生徒の急増の年になりますので、その場合に高等学校の整備の予算問題が当然出てきますが、その際、この波が過ぎてしまったらあとは各教室があくというようなことになりますので、公立学校についてそういう予算を強化するのがいいか。実際には今日本の私学の内容が充実しておるときですから、この高等学校の急増というものを、私学の内容充実と関連して、そこに相当の学生を引き受けてもらうというような方向をとったらどうか。そういうものと関連して、私学への国の補助とかいうようなものも、理屈をつけてやられることにもなろうかと思いますので、高等学校急増対策と関連して今後考えたいと思っておるところでございます。
○佐藤(觀)委員 高等学校の問題を質問しておるのではなく、今現に足もとに火がついておる私立大学の問題をどうするかということを問題にしておるのであって、公立学校や中学校の問題は別個の問題でありますから、私は今ここで大臣に答弁を求めてはいない。少なくとも私が水田大蔵大臣にお伺いいたしたいのは、現在大体国の大学の関係で三百億以上の金が要るわけです。ところが、現在学校の約三分の二は私立大学の関係にあって、三十八万人くらいおる。やはりそれの教授があるし、同時に私学関係では毎年十億円足らずの金しか国家が援助してない。こういう問題をどういうふうにお考えになるかということを私はお伺いしているのであって、中学校や公立学校の問題は別個の問題ですから、これは当然大臣がお考えになるのはけっこうでありますが、現在当面の問題をどう処理されるか。これは、あなた方政府は所得倍増論なんといって、物価はどんどん上がる、公務員のベース・アップをするなら、それに応じて学校の給与を上げるということもやらなければならぬと思うのですが、そういう関係で大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておるかということをお尋ねしているのであって、公立学校の問題は他日の問題にしたいと思いますから、この点をとりあえずお伺いしたいと思います。
○水田国務大臣 今高等学校の問題を言いましたが、大学においても同様でございまして、公立の大学をできるだけ理科教育の方に持っていくという方向と関連して、文科系統の教育を、やはり現在内容がよくなってきておりますので、なるたけ私学に委譲という言葉はおかしいかもしれませんが、そういう方向の施策も私どもは考えたいと思っております。そうしますと、今まででも私学振興についてのいろいろな施策を政府はやっておりますが、その一環として、私学への補助というようなことも私は考えたいと思います。しかし、それだけでは解決しないという部分については、私学独自の授業料の値上げということも、これはある程度やむを得ないと考えておりますが、これをどういうふうにするかの方針が、さっき申しましたように、来年度の問題とからんで、今のところまだきまっておりません。
○佐藤(觀)委員 時間がありませんから、最後にお尋ねしておきますが、あとでまた主税局長からいろいろお伺いしたいと思いますけれども、問題は、教授の待遇を改善するためには、学校に財源がなければ結局月謝を値上げする、しかし、月謝を値上げすれば今の大学生が非常に困るというような問題が、今当面の問題として起きておるわけです。だから、政府もやはり責任を感じていただかなければならぬのは、私学の教授といえども、国立大学と同じように生活をしているわけです。現在私学のそういうような方々の給与の悪いのは、国立大学の教授もよくはありませんけれども、相当ひどい生活をしておられることは事実であります。そういうことと関連をして結局国が補助をしなければ、大学ではやはり、今の学生はアルバイトをやって困っておるけれども、授業料を値上げする、授業料を値上げしなければやはり教授の待遇がよくならぬという問題が出てきておるわけです。それだから、少なくとも二十六年度の予算を組む場合に、何らかの形で大蔵大臣にこういう問題の処理を私はお願いしているわけであって、このような問題が起きて今学校は休みでありますが、おそらく来年の一月から二月ぐらいになって、われわれの予想では相当大きな問題になると思いますが、こういう問題の処理の仕方についての大臣の決意を私は聞いておきたいと思いますから、その問題だけお伺いいたします。
○水田国務大臣 これは十分検討するつもりでおります。
○足立委員長 加藤勘十君。
○加藤(勘)委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、最近また債務にあらざる債務といわれておるガリオア、イロアの問題が問題になってきかかっておるようであります。もうすでに、この問題については、昭和二十四年以来衆参両院の、あるいは本会議において、あるいは外務、大蔵、決算委員会等において十数回の質疑が行なわれておるのでありまして、そのたびごとに政府はそこばくの所信を表明しておられるようですけれども、私はこれに全部目を通してみました。しかし依然として少しもはっきりしていない。政府は債務であると心得ておるということが中心で、しかも債務の返済についての交渉をやっておる。正式に債務とすれば、憲法八十五条との関係において言い切れないものがある。こういうところからこういうあいまいな言葉が使われておるのであろうが、その当時におけるガリオア、イロアの恩恵を受けた一般国民はこれを債務とは心得ていない。これはもう明白であります。この点について今日まで政府はアメリカ側との交渉をどういうようになされてきたか、それからまた現在これを正確に債務と規定しておるのかどうか、もし債務と規定しておるとするならば、どういう法律的根拠に基づいてこれを債務と規定しておるのか、これについてお伺いしたい。
○水田国務大臣 私も、就任以来、この問題のいきさつを一ぺん研究したい、こう思って、いろいろきょうまでのいきさつについての説明を聞きましたが、すでに御承知のように、この援助の額については今いろいろ問題がございまして、額の確定について両国の当事者がいろいろ折衝しておるところでございますが、法律上の根拠というのではなくて、終戦以来日本の民生安定のため、日本の経済復興のためということで援助してほしいという希望は日本からも述べておりますし、向こうもそれによって援助してくれたのでございまして無償供与と当初からきまったわけではございません。いずれ時期がくれば、日本が復興した後には何らかの形でこれは処理するという了解のもとに出発したものでございます。従って、歴代の政府もこれは将来何らかの形で両国政府で交渉によって処理するという建前で今日まできておることは事実でございまして、その状態をいわゆる債務と心得ておるということでございます。これが両国政府の交渉によって話がきまって、額が確定して、これを日本が正式に債務とするというときには、当然国会の承認を得るという手続を必要とすることでございまして、この手続によって日本の確定債務になる。そういう手続は当然すべきでございますが、現在そこまでいっておりませんで、両国の折衝では、向こうも債権と心得ておるし、われわれも債務と心得ておる、こういう立場で、今額の問題や何かを当局同士で折衝しているということでございます。
○加藤(勘)委員 今私は額の問題を聞いておるのではない。今水田さんが言われたことは、大体歴代の国会答弁における政府当局の意向を似たり寄ったりでありまして、それだけでは問題は少しも進展しないと思います。 そこで、私は具体的にお伺いするのですが、当時のガリオア、イロアについての恩恵を受けた、ことにガリオア物資の恩恵を受けた国民感情というものはどういうものであるか。今日からその当時にさかのぼって、その当時の実際にああいう物資を目の前にしたときの国民感情はどうであったか。これについて大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○水田国務大臣 この援助は債務であるということを当時政府が国民にはっきりと言明してなかった事情もございますので、国民の大多数は、これは債務じゃなくて、援助だと思っておったのが実際ではないかと思っております。
○加藤(勘)委員 そういう国民感情と国民の生活の実態に基づいて、国会においては数度の感謝の決議がなされております。この感謝の決議は、どういう意図で——これはお前の方が貸したやつだから、あとから借りを返すのだ、こういう考えで感謝の決議がなされたのか、非常に窮乏しておったとき、一人々々の消費者は代金を払ったにしても、ともかく口に入れるものがあり、着るものがありということで、感謝の気持を率直に国会が表明するために、感謝の決議をしたのであるか、どちらですか。
○水田国務大臣 援助されても、国民は無償じゃなくて金を払っておりますので、もらったという感謝じゃなくてとにかく終戦後の物資がないときに援助されることによって、自分たちがその恩恵を受けたということの感謝であったと思います。ただでもらった感謝じゃなくて、国民の方は金を払っておりますのですから、国民は払っても、その金をとった政府間においてどういうふうになっておるかということは、むしろ国民はあまり関心事ではなかったと私は思っております。
○加藤(勘)委員 そこで、もう一つ重ねて聞きますが、阿波丸の損害賠償請求権を放棄した国会の決議は、どういう意思に基づいてこの請求権を放棄したものと思われますか。これもお伺いしたい。
○水田国務大臣 この問題は政府委員から説明します。
○安藤(吉)政府委員 本件は、阿波丸請求権の処理のための日本国政府及び米国政府間の協定に関係しておりますので、私から御説明させていただきます。 当時、この協定の第一条にございます通り、降伏後の期間において米国政府機関から受けた物資及び役務の直接間接の援助を多として阿波丸の請求権を放棄するということが第一条に規定してございます。ただし、この了解事項で、当時国会でも政府当局から御説明があったように記録で承知しておりますが、この了解事項は「占領費並びに日本国の降伏のときから米国政府によって日本国に供与された借款及び信用は、日本国が米国政府に対して負っている有効な債務であり、これらの債務は、米国政府の決定によってのみ、これを減額し得るものであると了解される」というのでありまして、この了解事項の法的性質というものは、これは債務を負ったという性質のものではございませんで、従来より政府当局が説明しておりました通り、このガリオアの問題というものは、いつかは何らかの形で処理され、あるいはその幾分かが返済されるということが予見されておって、そういう意味で政府はずっと債務と心得てきたという事情がございますので、そのことをこれで確認したわけでございます。
○加藤(勘)委員 その了解事項がついておるということは、私も速記録を調べてよくわかっております。しかし、それはいわゆる債務と見るべきものであって、そこで、問題は、このガリオア、イロアというものが、道徳的にはなるほど何か一つの借金をしょっておるという気持があるが、これをやはり法律的、政治的に見て債務と称すべきものであるかどうかということがきめられなければ、またもしもこれが債務であるとするならば、当然その当時において物資の数量、品種、価格等が明記されなければ、債権債務の体裁をなさぬ。ところが、当時の物資は、少なくとも二十四年四月の見返り資金特別会計が設定されるまでは、御承知の通りまるで司令部の経済科学局のどんぶり勘定であった。わけがわからない。それで今日これを証すべき書類は何もない。ただアメリカ側から通報を受けた資料しかないわけで、日本側にはない。実はこの問題については私も終戦直後一ぺん調べたことがあります。終連事務局に勤め、あるいは経済科学局に勤めておった日本人の人から、ある程度の資料をもらったのですが、やはりそれでもわからない。実際にわからない。そういう不確定な債務というものが一体どこの世界にあるか。これは債務ではない。しかも、このガリオア物資は、なるほど実質的には当時の被占領国であった日本国民の生活の窮乏を援助するという形もありましたが、また一面においては、占領軍の治安維持とか、あるいは日本国民の背離を食いとめるとか、要するに占領軍から離れていく人心を自分の方に食いとめようとか、ことにはなはだしきは、これによって占領軍の軍人の病気疾病を守る、こういうような純粋にアメリカの占領政策の建前から出されておるのです。これはアメリカ側の文章を見ても明確です。アメリカ側の国会におけるいろいろな決議を見、そういうものから調べて参りましても、ガリオアが債務であるということを規定したことは一つもない。ただ、阿波丸の問題のときに、アメリカ側が今おっしゃったようなことが述べられておる。それから時に触れて、あれを何とか返してもらいたいというような意思表示があったということはありますけれども、具体的にこれを資料として証明すべき何ものもないのです。一体もしこれを債務とするならば、その当時の品種、数量、価格等をどうやって調べますか。この点についての大蔵大臣の御意見を聞きたいのです。
○水田国務大臣 確かに昭和二十四年の四月以降のものははっきりしておって、約九億ドル前後のものでございますが、それ以前のものは、貿易取引が総司令部の管理下にあって、商業物資と援助物資との資金別区分というものは、日本側には明確でございませんでしたので、この金額が不確かであることは事実でございます。従って、この当時の総司令部が残した資料とか、日本の旧貿易庁当時の資料で、今私どもは推算もしておるのですが、大体十一億ドル前後の金額は推算されるということでございますが、なおこれについては米国側の資料の提出を私どもは求めておりまして、それによってこの両国は折衝でこの金額を確定する以外には方法がないだろうと思っております。いずれにいたしましても、債務額が大体両方の資料で一応確定することが、この問題解決の前提だと思っておりますので、今その問題では、御承知のように昭和二十八年にこの話の折衝に入りましてから、今日まで折衝はしながらも、まだその数字がはっきり確定するところまでいっていないという実情でございます。
○加藤(勘)委員 問題は折衝というか、今日までたびたび話し合いがなされておる。ことに最近では、当時の佐藤大蔵大臣がアメリカに行った場合に、アメリカ当局と話し合いをして相当に具体的な話を進めて、できれば、安保条約によって新体制に入るから、そのときに過去一切のものを清算しようという気持から折衝に当たったということも伝えられております。しかし、それはいわゆる伝えられておることだから、どうこうと今私は言いませんけれども、しかしながら、そういう気持で折衝に当たるということ自体が、憲法八十五条の解釈からいきましても、債務と決定するならば、金額の問題の前に、そういう債務を一体負っていいのか悪いのか、こういうことが定められなければほんとうじゃないと思うのですが、これは憲法の解釈論になるから、あなたの方は、そうでない、正式に国会に提案してきめられてから初めて債務の履行が生ずるといえば、そういう解釈も成り立たぬことはないでしょうけれども、少なくともその当時の国民感情ばかりでなく、政府の当局もこういうことを——これは当時の岡野通産大臣の答弁ですが、二十八年七月十日の衆議院の決算委員会の答弁です。ここでこういうことを言っておる。その当時ちょうだいしたものと思っておったものですから——これは岡野通産大臣ですよ——ちょうだいしたものと思っておったものですから、これは比較するということはできません。——これはというのは、すなわち、朝鮮に向けた——あの河野一郎氏が予算委員会で爆弾質問をした、四千何百万ドルの日本からアメリカに債権があるのではないか、それをそのままにしておるのはけしからぬという質問をした。その当時に関連した問題ですが、そういうことを言っておる。これは、政府の当局、通産大臣がちょうだいしたものと言っておる。そうすると、これをあとになって道義的な点から債務であると心得ておるということで交渉を進めていくということは、私ははなはだ穏当を欠くのではないかと思うのです。これでも一体政府は、二十四年当時、二十七年当時、三十五年当時、時の大臣がみんな違うから言うことも違ってくると言い切れるかどうか。私は、政府は日本政府を代表し、日本国民を代表する政府であるわけなんですからして、当然、ことにこういうような対外関係については一貫したものがなければならぬと思うのですけれども、こういう点について大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。
○水田国務大臣 その経過等私もいろいろ調べましたが、これは私どもも、当時は、実際言うと、もらったものという考えを持っておりましたが、ずっと経過をさかのぼってみますと、やはりこれは当初からもらったものではなくて、いつかあとでこれは解決する債務と心得るということが、事実は最初からそうなっておったのがいきさつのようでございますので、私どもはこれはやはり債務と心得て解決すべきものと思っております。
○加藤(勘)委員 これが債務であるかということは、大体吉田総理の時代に、吉田さんが、ああいう性格から、慈悲や情でやってはいけない、これは当然ある時期がきたらお返ししなければいけない、こういうことを言うておるのですね。それが発端になって、それから何か知らぬがもやもやと幽霊に手足ができたように、債務らしい形にだんだん日本政府の方で仕上げていってしまった、こういうことになっておるわけなんです。アメリカ側のガリオア物資についての規定を読んでみますると、こういうことになっておる。ガリオア、イロアが債務であるかないかということはちょっともはっきりしていないが、商務省の文章でもよくわからない、こういうのでありまして、どうしてわからないかというと、ガリオア支出の予算をきめた一九四七年のアメリカの第八十議会で可決した追加予算法合衆国公法典第六十一巻六百二十五ページにちゃんと書いてある。それによりますと九つの条件があるわけなんです。その中で、一から八までは直接本題に関係ございません。九にこういうことが書いてある。「かかる地域の市民人口に対し達成すべく追求されている目的を害するような飢餓、疾病、不安を阻止するに必要な最低の供給」こういう言葉が書いてある。すなわち、もしガリオアをこの規定の中に含めるとすれば——含めるのでありまするが、その他の八項目の中には入らない。これは、たとえばアメリカ人の旅行がどうしたとか、翻訳をどうしたとかいうようなことばかりですから、直接何も関係はない。こういう第九項の今申しましたような条項に一体ガリオアが当てはまるか。もうこれ以外にガリオア支出をする法律的な根拠がないとしますれば、ここからは債務という、アメリカにとっては債権ということは一つも出てきておらぬ。これを一体どうして日本だけで勝手に債務々々といって騒ぎ出すのか。どうしてもわれわれにはそれが理解できないのです。ただ、だんだんさっき言われましたように、阿波丸事件のときの向こうの申し出のときの付帯条件——付帯条件というのはおかしいが、アメリカ側から言われたのは、阿波丸の損害賠償請求権を日本が放棄したので、それを何かアメリカの側から合理化するために、そういうことがつけ加えられたのじゃないか、こういうことが想像されるのでありまして、決してガリオア、イロアをこれに結びつけて相殺するというのではない。ただもし相殺するということが一つの条件らしいものになっておるとするならば、さっき申しましたような、河野一郎君が予算委員会で質問をして、朝鮮向け物資の四千何百万ドルという対米債務をなぜ請求しないかと言うたときに、これを相殺する腹がアメリカ側にあるらしいということから、相殺という言葉が起こっておるのでありまして、それのほかには何にもない。そうすると、もう全くその当時は、いわゆる日本の国の経済復興のためにはイロアが使われる、人心の安定を保つためにはガリオアが使われる、こういうように、アメリカ側もそう思っておったに違いないわけです。もしアメリカが、将来ある時期になって日本の経済が復興したりあるいは余裕ができたりすれば、これを返してもらうという意思があるならば、当然こういう法律をアメリカ政府がきめる場合に、何かそこに法律上の、将来の根拠となるものが規定されなければならなかった。ところがそういう規定がないのですね。そうすると、一体何に基づいているのか。ただ道義上の、俗にいう、われわれはあの人に——この間も池田さんが社会党に一つの借金をしょったというような意味においての、そういう道義的な借金というか、負債というか、観念は生まれてきても、法律的にも政治的にも少しもそういう根拠がないわけなんです。どうしてそれをことさらに日本から債務だ債務だと言うて騒ぎ立てて、ことさらにこれをでっち上げなければならぬのか、どうしてもわれわれにはわからぬ。ただ日本の面目上、面目上というが、むしろこれは、占領中に被占領国が受けた苦痛に対しての——さっきも申しまするように、これは、アメリカ側からいうならば、アメリカの占領政策の必要上やったことなんです。従って、このガリオアが債務であるとするならば、当然、ただ単に品種、数量、価格というようなものばかりでなく、日本から、どういう物資を買わなければならぬかというて、買い主である日本もしくは借り主である日本が請求するなりあるいは希望するなりして、それに基づいてはっきりした文書の基準によって送られて初めて一つの債権債務が成り立つわけでありまするが、そうではない。この当時の物資は、なるほど日本からも、米国の方に食糧を送ってくれ、いや肥料を送ってくれというような抽象的な希望は述べられたであろうけれども、具体的な物資の供給はアメリカの一方的な行為として行なわれておる。少しもそこには債権債務というような関係において行なわれたものはない。だからこそ、国会においても私は感謝の決議がなされておると思うのです。それを、どうして後になってこれを債務であると心得なければならなくなったのか。吉田さんが一ぺん言い出したから、それを金科玉条に守り通さなければならぬのか。それはどうですか。どちらがほんとうだと思われまするか。大蔵大臣の所見を聞きたい。
○水田国務大臣 日本が債務と心得べきことについては、いろいろいきさつもございますし、その間の問題を、正確を期するために、もう一ぺんアメリカ局長から補足的に説明させます。
○安藤(吉)政府委員 従来の経緯の詳細につきまして、できるだけ御説明いたしたいと思います。 一九四五年九月二十二日「降伏後における米国の初期の対日基本政策」、それから、同年十一月一日付「日本占領及び管理のための連合国最高司令官に対する降伏後における初期の基本的指令」、それから、一九四七年六月十九日付の極東委員会決定「降伏後の対日基本政策」というようなもの、並びに当時米国の政府関係者の米国議会における証言がございます。最初の二つにつきましては、単に日本の輸出代金は輸入の支払いに充てるというばく然たる表現でございますが、極東委員会の「降伏後の対日基本政策」の中には、輸出代金は占領に必要な非軍事的輸入であって、降伏以来すでに行なわれていたものの費用の支払いのために使用するということが、大きなバック・グラウンドになっております。また、当時のマッカーサー元帥は、一九四六年九月に、日本の輸出によって得た収入は、米国の援助資金に対する債務を履行ずるに十分となるはずである。また、一九四七年二月二十日にも、同元帥は、陸軍省の要請により、下院に対して、米国予算からの支出は日本の債務となるが、これは日本の国内にあるすべての資産に対する第一義的債権によって保護されなければならない、援助は慈善行為ではない、また、日本国民も慈善を欲していない、ということを述べておりますし、四六年二月にも、ヒルドリング国務次官補は同様な趣旨を述べております。その他いろいろございますが、省略させていただきます。 これはドイツに対しても同様でございまして、ドイツはすでに措置いたしました。 なお、過去におきまして、これに対して米国は日本へ無償でやると言ったことは一つもなかったような次第でございまして、むしろ将来何らかの形で処理されるということが、当時から言われておったわけであります。ただし、先ほどの八十五億の関係におきましては、これがいかように処理され、いかなる部分が債務となるのかということにつきましては、日米間の協議によりまして、支払い金額だとか支払い方法だとか支払い条件だとか、いろんな問題でもう少し固まりまして、初めて国会に提出して債務として確認される次第であります。
○足立委員長 加藤君に申し上げますが、御承知の通り申し合わせの時間を超過いたしておりまして、参議院の予算委員会からの大蔵大臣の出席要求が熾烈なものがございますので、まことに恐縮ですが、この問題についての御質問は、でき得べくんばあなたの質問権を留保していただきまして、後刻理事会で取り扱いを相談さしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤(勘)委員 それでは留保しておきましょう。
○足立委員長 次に、足鹿覺君。
○足鹿委員 葉たばこの収納価格の問題について大蔵大臣に二、三お尋ねいたしますが、御存じのように、去る十二月十五日にたばこ耕作審議会が開かれて答申が行なわれておることは、大蔵大臣も御承知だと思います。十一名の委員のうち、会長が議長席に着いて、十名の委員のうち五人の生産者代表がこぞって反対をいたした事実は、議事録によっても明らかであろうと思いますが、このような会合の性質上、数でもって答申案をきめるなどということは、かつて例を見ないことでありまして、不当な運営であると私は思うのであります。しかも、専売公社の諮問案に対して若干の異なった答申を学識経験者のみで起草をいたし、これを会長の採決によって答申をいたしております。このような答申を基礎にして、来年度の葉たばこ収納価格を大蔵大臣として御決定になるのでありますか。昭和二十八年以来、他の農産物価格は漸次、政府の支持価格制度のあるものはもちろんのこと、その他のものにつきましても相当値上がりがあることは御案内の通りでありまして、当然今までに改定をすべきものであったと思うのであります。それを今日まで放置しておき、この情勢になって、しかも今述べたような不当な運営に基づく答申が行なわれておるのであります。伝え聞くところによりますと、価格の公示をきわめて急いでおると聞いておりますが、大蔵大臣として、いかような裁量をこれに加えられようとしておりますか。専売公社の今までおとりになった態度は、私は別にまた公社総裁に伺いますが、少なくともこのような大きな問題になり、すべての党派を超越した価格の適正化が叫ばれておるときに、政治家として最高の価格の決定権を持っておられる大蔵大臣としていかに対処されるお考えかを、この際承っておきたいと思うのであります。
○水田国務大臣 審議会から公社の総裁に答申が出ておりますので、この答申をもとにして専売公社総裁がいろんな事情を勘案して決定して申請してくれば、その申請通りを私は許可する方針で今おります。
○足鹿委員 公社総裁が申請をすれば、それに基づいてやるという御意思のようでありますが、それでは申請はなされておるのでありますか。なされておるとすればどのような内容のものがなされておるのでありますか。大蔵大臣はその案に基づいて検討をしておられると思うのでありますが、まだそういう事実はないのでありますか。
○水田国務大臣 まだ公社の総裁から申請が出ておりません。
○足鹿委員 聞くところによりますと、本日公社総裁は公示をする意思のように伝えられております。従って、私は特にこの委員会を通じてその所信を明らかにしていただきたいと思いまして、わずかな時間でありますが、大蔵大臣の御所見を求めておるわけであります。大体生産費所得補償方式を加味したと伝えられておりますけれども、事実においては、公社原案は、十億円の大体の見当をつけて、それに合うよう算式をきめておるようであります。元来このような五、六年も放置されておる安い葉たばこの価格を改定するについては、やはり一つの算式が確立され、その算式に基づいて決定されていかなければならぬと思うものであります。しかもわずかな一日や二日間の審議によって、しかも学識経験者のみでそれを一方的にきめるというがごときは、私は、運営もまずいが、まず算式について諮問をし、そこでよく論議を尽した後、その算式が一応審議会において妥当と思われる算式が確立された後において、実際に葉たばこの価格に適用していくべき性質のものだと思います。それを、この重要な問題を、一挙にしかも短時間のうちに審議会が答申をする。また、それを尊重するのかしないのかという問題もありますが、少なくとも全会一致の答申でない。半数の異論がある。しかも、それは公社制度の審議会ではなくして、葉たばこ耕作の審議会でありますから、当然生産者の主張というものがよく織り込まれ、生産者も納得をした上において、少なくとも答申はなされなければならないと思うのであります。従って、私どもは耕作審議会をやり直して再審議を求めたい。これは一般の常識としてそういう声が強いのであります。大蔵大臣としては公社総裁が申請を行なっても、これを一応留保せられて、そうして相当の時間をかけて算式を十分検討し、しかる後に来年度の葉たばこ価格を具体的にきめるべきものだと思う。少なくとも政治家としては、それだけの配慮があってしかるべきだと思います。公社総裁はその権限を持つといいますけれども、それは明らかに不当不法な審議会の運営が行なわれておるのでありますから、出直すべきだと私どもは思うのでありますが、こういう点について、十分一般耕作者の声をまじめにお聞きになって、そして公社にも再考すべきことの掲示を与えられ、そしてしかる後に慎重なる態度をもって、この画期的な六年ぶりの価格改定に対して善処されたいと私は思うのでありますが、大蔵大臣は、公社から出てくれば、それを何らの検討も加えないで、そのままお認めになるのでありますか。大蔵大臣の手においてさらによく考慮をせられた後、今私が述べたような態度をもって対処してもらいたいと思いますが、その点さらにもう少しお考えの上、御答弁を願いたいと思います。
○水田国務大臣 審議会には今おっしゃられたような事情がございました。ですから、そういう点をやはり考えられたと思うのですが、この価格については、はっきりした数字を答申しないで、最低五%を下らない価格でというような答申がなされたのではないかと私は思っています。従って、問題は審議会の意見を尊重して、五%以上どの辺の価格で決定するのが妥当かというような問題につきましては、私どもにも若干の考えはございますし、監理官を通じて今専売公社の総裁といろいろ協議を願っておるという段階でございますので、いろいろなそういう事情を取り入れられ、生産者の主張されておる意見も取り入れられて、妥当な値段を公社の総裁が決定するものと私は考えております。
○足立委員長 春日一幸君。
○春日委員 私は、アメリカのドル防衛措置と、これに対応する当然わが国としての自衛措置、すなわち最終的には金保有の政策、これとの関係について要点を緊急性のあるものについてのみお伺いをいたしたいと思います。 戦後、ドルは、金にかわる地位を占めまして、世界最高の通貨としての価値を保って参りましたが、ここ二、三年来のアメリカからの金流出が、ようやくにしてドルの危機を招いて参りました。かくて、十一月十六日には、アイゼンハワー大統領がドル防衛のための強行措置を指令いたしました。このようなアメリカのドル防衛措置によって節約される海外ドル支出は、約十億ドルといわれておるのでありますが、一方アメリカの第三・四半期の国際収支の赤字は、大体年率に直すと、四十三億ドルに達するといわれておる。従いまして、アメリカのドル防衛のための方策は、さらにこの段階において抜本的な措置がとられるのではないかと推測をされるのでございます。当然これが日本に与える影響は甚大なものがあると予想されるのでありますが、先般、総理はこれに対して、カゼを引いたからといってすぐに騒ぎ立てるのは事大主義であるというふうに、いわば軽視された形で答弁をされておるのでありますが、大臣はこれに対してどのような御見解をお持ちになっておるのか、見通しについて伺いたいと思います。
○水田国務大臣 私どもは、アメリカのドル防衛政策を決して軽視はしておりません。この影響については慎重な検討をいたしておるのでございますが、アメリカがああいうドル防衛対策をとることによりまして、世界の貿易に今後どういう影響を与えるか、世界経済にどういう影響を与えるかということを、私どもは非常に重視しています。その影響による日本への影響というものは、これは相当大きいこととなりますので、まずその点の検討をやっておることと、同時にアメリカ対日本のこの問題の直接の影響というようなものと、両方分けて一応考えておりますが、アメリカのドル節約が、今伝えられるようなことだとすれば、日本にどういう影響を与えるかということにつきましては、私どもそう大きい影響はない、影響は当然ございますが、日本経済がこれによってどうこうされるというような影響はないということでございますし、それから世界経済の影響ですが、これは欧州諸国がこのドル防衛に協力するかしないかで、いろいろ変わってくるわけでございますが、今のところ協力するという体制がはっきり出ておりますし、御承知のように西ドイツあたりが一番先に協力の方式まで声明しておるというようなことでございますが、ああいう協力が各国に行なわれるということになりましたら、世界貿易がアメリカの今度の政策によって大きい縮小を見るというような懸念はないのではないか。ドルの危機というものは、やはり近い将来に切り抜けられるというような見通しを持っておりますので、この点の心配もそう深刻にする問題ではないというふうに考えます。その二つから最悪の影響というものも考えますし、また私どもとして、現象が起こったら、これに対処するための打つ手も考えておりますので、これが最小限度に食いとどめられるという問題も想定して、いろいろ勘案してみますと、そう心配な影響はないというのが、今の私どもの見方であるということでございます。
○春日委員 非常に軽視されておるのではなくて、楽観されておるということでございますが、われわれもそういうふうに運ぶことを最も期待をいたしておりますけれども、やはり国の責任者としましては、最悪の場合に備えて、わが国が大きな損害をこれによって受けることのないように、自衛態勢というものはあまねくめぐらさなければならぬということは、言うを待たないところであろうと思うのでございます。 そこで、私はいろいろと分析してみたのでありますが、ここにそのアメリカの金準備は、引き続く金流出の結果、現在は百八十億ドル前後に低下をいたしておると思うのでございます。ここにアメリカでは、金準備法でありますか、それによりまして、それぞれ法定準備率がきまっておるようでありますが、これによりますと、大体百二十億ドル程度は法律的に準備されなければならね。ところが、現在のアメリカの保有高が百八十億ドルでありますから、結局純保有の額は六十億ドルしかない。ところが、一方アメリカの対外債権等の関係で、結局アメリカが持っております対外短期債権債務の現状は、百七十億ドル程度の負債超過になっていること、これまた明らかでございます。こういうような百七十億ドルの対外債務というものは、すなわちドル不安の結果、一斉に各国がこれを取り立てていく、俗に言う取付が行なわれていくということになりますと、六十億ドルの純保有高というものはたちまちにして消滅してしまうのではないか。もしそういうようなことになりますれば、これはアメリカ経済にとっては重大な問題であるばかりではなく、これは世界の通貨体制、ひいては全世界の資本主義体制の根底を破るような大きな重大問題にまで発展するのおそれなしとはしないのであります。こういうような諸関係をいろいろと分析して判断いたしますれば、必ずしも政府が楽観されておるような工合に事態が推移するのではなくて、特にはかられざる事態がここに惹起しないものとも限らない。そういうような場合を想定しつつ、われわれはそのドル防衛に協力するということは、これは資本主義国につながる国として当然の義務ではありましょうけれども、最悪の場合はわが国の利益を確保することのための自衛態勢の確立、これは当然にして考慮されなければならぬ問題であると思うのでございます。この点についてどんなお考えをお持ちになっておりましょうか、御答弁——実は私あと七分か八分しか時間がございませんので、御協力を願いたい。
○水田国務大臣 世界貿易の拡大というようなものについてむしろ障害をなしておったのが、アメリカにドルが集中しておって、各国がドル不足であったということがむしろ原因であったのに、そうではなくて、アメリカのドルが各国に分散して、ドル不足が今解消しておるときでございますので、世界経済の流動性というものは、今むしろもとよりは強化しておる。こういうときに、アメリカのドルが節約されたからといって、分散されたドルの保有国が協力態勢をとっていろんなことをするんなら、その影響というものはそんなにないということになります。もうすでにドイツでは、援助の債務もこの際一挙に返すというようなことを決心したと聞いております。そういうような協力態勢ができるということになりますと、アメリカのドルの危機が今よりもっと深刻となって、ドル切り下げの事態というようなものが起こるという方向には、私どもは考えられないというふうに考えておりますので、その点の心配はもうないんじゃないか。アメリカ経済自体の様子を見ましても、大体在庫調整が済めば、もうすでに来年度の後半から経済は上向くだろうという見方が最近通説になってきているというようなことを考え合わせましても、このドル危機というものがそこまで深刻になるというふうには私ども今考えておりません。
○春日委員 アメリカの政府は、幾つかのドル防衛強硬措置を講ずることによって、やっきになってドル防衛のための措置を講じておるのでございます。にもかかわらず、ドルの流出、金の流出というものがどんどんと行なわれておるというこの事態にかんがみまして、当然意識的に楽観だけをされておるということについては危険なしと断じがたいのであります。 そこで、私はまず金価格の関係について申し上げたいと思います。申し上げるまでもなく、ロンドン相場は一オンス四十ドルという大台を両三回にわたって突破いたしまして、ずいぶん世界を驚かせました。これは当然ドルに対する信任の動揺から換金運動が起こった結果であろうと思うのでございます。これは現在一時的に鎮静を見てはおりまするけれども、しかし、底流としてドル不安が続きまする限り、いつ何どき何らかのきっかけでこのようなことがもう一ぺん爆発しないとも限らない。こういうようなときに備えて、政府は十分その措置を万全を尽くしていかなければならない。私は各国外貨準備中金保有の割合を調べてみたのでありまするが、イギリスにおいては八八%、フランスは七一%、イタリアは六六%、西独は五二%、すなわち外貨準備中金の保有割合というものはかくのごとくに高パーセントを占めておるのでございます。従いまして、そういうようなことが今のところ考えられないといたしましても、万が一アメリカが第二段の抜本的な措置、すなわち金価格の改定であるとか、金の輸出禁止であるとか、あるいは金準備率の変更であるとか、そういうようなことをやって参ったといたしましても、イギリス、フランス、イタリア、西独等においては、その損害は少ないと思うのでございます。しかるところ、日本は、この十一月末によりますと、外貨準備十七億六千万ドル中、金保有はわずか二億六千万ドル、わずか一四%であります。イギリスの八八%に比べて一四%の金保有しかいたしておりません。従いまして、もし万一金価格が引き上げられるような事態が発生いたしますならば、このとき手持ちドルを金にかえておった者は大きな利益を得るでありましょうし、日本のようにわずか一四%しか金保有をしていない国は、莫大な損害を受けることは当然のことであろうと思うのでございます。従いまして、私は、長い目で見ますならば、今ここでドルを絶対的に過信をして、そしてことごとくドルに依存し切ってしまう、盲目的に依存をし切ってしまうということは、各国が、こういうような不時の事態、最悪の場合に備えて、金保有によって保全措置を講じている実態とあわせ考えてみまして、これはちょっと危険ではないか。政府はもう少し金買い入れをしておくべきではないか。漸増的にでも、とにかく協力を破るというようなことではなくして、諸国がやっておるだけのある程度の態勢というものをこの際確保していくべきではないか。この点はいかがでありますか。
○水田国務大臣 私どもは今のドル切り下げというような事態には大体ならぬという考えを持っておりますので、今ここで大急ぎで金を買うというようなことはしないつもりでおりますが、おっしゃる通り、長い目で見たら、日本の一四%という保有率は各国に比べて明らかに少ないものでございますし、せめて三〇%前後くらいの金の保有は将来やった方がいいという考えを持っております。
○春日委員 私は、当然、アメリカのドル防衛措置、これに対して国際的な協力のワク内において協力されるということについては、反対するものでもありませんけれども、しかし、アメリカの経済は、規模が大きければ大きいだけ、一たん破綻をすると、その影響はまた甚大であると思うのでございます。従いまして、英米仏、イタリア、西独あたりがこういうような保全措置を講じておりまする実態にかんがみまして、わが国としてなし得る限りのことはやっていく必要があるけれども、大臣の御答弁によると、現在の一四%は過小に過ぎるから、三〇%に漸次これを高めていきたいという御意見でありますが、それにしても相当の時間がかかると思うし、しかも、その買い入れをしないということは、やはりドル防衛に協力するというわが国のポリシーに基づいてのことであると思うのでございます。従いまして、私は、この際金の買い入れをしない、またするにしても漸増的にこれに時間をかけてやっていくということでありますならば、一方危機はこんな形でどんどん深刻化されつつある。アメリカがこの間、八項目でありますか、ドル防衛の措置を講じましたけれども、それによってはなお目的を達してはいないので、さらに何らかの抜本的な措置を講ずべく新規の態度を打ち出してくるのではないか。そんなことが心配されなくはないのでございます。でありますから、私は、わが国政府がそういうような態度で換金運動といいましょうか、そういうことを積極的にやらないならば、手持ちドルについてわが国がやがて損失を受けるようなことがあるならば——すなわち、アメリカが米貨の切り下げをやるとか、金価格を改定するというようなことがあった場合、あなたは絶対ないという前提のもとに何らの措置を必要とされてはいないのでありますが、もしアメリカがそのようなことをやったような場合は、やはり日本の受けるべき損害に対して、何らかアメリカは補償するというような取りきめを政府間に何らかの形で取りかわしておく必要があると思いますし、当然、アメリカのドル防衛措置に協力する日本として、そのような要求をすることは、何ら私は不自然でもなく、また信義にもとるものでもないと思うのでありますが、これらの関係について大臣の御見解はいかがでありますか。
○水田国務大臣 それは日本政府独自の考えで対処すべき問題であって、アメリカと取りきめをするというような性質の問題ではないと思っています。
○足立委員長 春日君に申し上げますが、申し合わせの時間が超過いたしておりますので、簡潔にお願いをいたします。
○春日委員 実は、この問題は、実際問題として、あなたの方が一方的に断定されて、私はこう思うからこうだ、こういうふうにはならぬだろうというようなことでは、経済現象は有機的にいろいろ相互関連して作用して参りますから、私はこういう問題は十分論議して、万が一に備えるという態勢を確立しておくというのでなければ、政府、国会の職責は達しがたいと思うのです。しかし、時間が参ったからというようなことでございまして、これまた論議を尽くすことができませんが、どうか大臣、ドル防衛とわが国における経済的な諸影響、この問題についてはできるだけ一つ時間をかけて、お互いが的確な資料の上に立って、また情報を集めて十分論議できるという、そんな場所と時間をお考えいただくことを委員長に強く要請いたしまして、参議院の予算審議に協力するという意味で、私の質問はあとは留保しておきたいと思います。
○足立委員長 どうも大臣御苦労さまでございましった。 足鹿覺君。
○足鹿委員 先ほどの大蔵大臣に対する質疑に続いて、専売公社総裁にお尋ねいたします。 ただいま、大蔵大臣は、あなたが申請をすれば、それに基づいて収納価格をきめたい、こういう御意思の発表がありましたが、すでに申請はなさったのでありますか、どうですか。
○松隈説明員 葉たばこ収納価格審議会の答申を十四日の夜半にいただきまして、その答申の趣旨を尊重しながら、目下昭和三十六年産の葉たばこの収納価格をいかに決定すべきかということについて検討中でありまして、なお、その検討の段階におきまして、監理官を通じまして大蔵省とも連絡しつつあるという状態でございます。
○足鹿委員 ただいま総裁は答申に基づいて云々とおっしゃいますが、答申を読んでみてわかりますように、諮問の価格についてはこれを適当と認めることができなかったと答申は冒頭に言っておるのであります。あなた方の諮問案は不適当である、こういう答申をしておるのであります。それに対して一顧の反省もなされないということは、これは、現在の民主主義の立場からいって、特に問題の多い葉たばこ価格について、私どもはその態度をきわめて遺憾とするものであります。検討検討と言われますが、あなた方自体が検討されたものが審議会において事実上否決をされておる。五%を下らざる範囲内においての引上率云々ということは、学識経験者の一部が付帯的に意見を述べておるにすぎぬのであります。このような答申形式というものはあらゆる審議会に類例を見ない点でありまして、これについて当然あなた方としてはその至らなかった点を反省されて、そしてさらに算定方式についても再検討を加え、そしてその算定方式それ自体を、慎重に審議会の意見を聞いた上に、三十六年の収納価格を実際に適用するのが、私は、常識としても、いろいろな審議会の先例等から考えてみましても、妥当だと思います。なぜそのようにあなた方は立場を固執されるのでありますか。少なくとも十人の委員の半分の人が反対しているものをもって答申と認められるのでありますか。これは重大な問題であり、そのような運営をなされるということになりますれば、これは法を無視した独善的な態度だと非難されても弁明の余地はないと私は思います。私はこの際強く総裁の反省を求めたいと思います。当然耕作審議会を再開されて算定方式から練り直される必要があると思いますが、これについての御所見はいかがでありますか。
○松隈説明員 葉たばこ耕作審議会の答申が全委員の一致した答申をいただくことができなかったのは、まことに遺憾とするところでございまするが、二日間慎重審議されまして、この間耕作代表の方々の御議論になった点も、学識経験委員の意見という中に多分に盛られておるわけであります。 今回の葉たばこ収納価格の計算方法はすでに御承知かとも思うのでありまするが、生産費を加味するという方式と、他の物価との均衡をはかるという二つの方式を採用することで提案いたしたのであります。生産費を加味するという方向に踏み切ったことにつきましては、学識経験委員はもちろん、生産者の委員の方々も賛成しておられるのであります。ただ、その生産費のとり方の問題といたしまして、公社の原案は昭和三十四年の生産費調査の成績にその後の物価の変動率というものをかけて提案したのでありますが、昭和三十四年一年をとるということは農産物価格の決定の上において安定性を欠く、少なくとも三年くらいをとるベきではないかという意見が、学識経験委員はもちろん、耕作代表の委員の方々の御意見であったわけであります。それで、その点ははっきり答申の中にも、三十四年度に限ることなく、なるべく最近の平常年の三カ年程度をとり、基準価格の安定を期するという趣旨の答申になっておるのであります。 次に、他の農産物価格との均衡をとるということにつきましては、公社の原案は米、麦、カンショ、繭の四品目をとっておるわけであります。この四品目で全農産物の約七割に当たっておりまするし、大体これらの農産物は政府が何らかの形において価格決定に関係しているものでもあるというので、これをとったのでありまするが、このとり方についてはいろいろまた意見がございました。しかし、これはあと何を入れるかということについては意見が一致せず、また、もし議論の末に、それでは全農産物を入れるというようなことになると、かえって公社の原案よりも低くなる、こういうような事情もありましたので、この点については答申自体もはっきり意見が出ておらないわけであります。こういう議論の過程を経て、大体こういう点が改定さるべきである、それを希望するということについての耕作者代表委員の意向は相当はっきり読みとれましたので、私といたしましては、この答申の筋、すなわち生産費を基礎とする調査については、三十四年度限りではなくて、三十二年度、三十年度、四年度という三カ年度の計算に改めるようにして、そして他の農産物との価格の均衡については、先ほども申し上げましたように、四つのものについては異論がないが、その他のものを入れるということについては意見がついにまとまっておりません。その方をいじるということは、必ずしも価格の引き上げになるかどうかはっきりいたしませんので、今考えておりまするのは、大体先に申し上げました生産費を基礎とする計算の基準年度を変えるということ、これは全員一致しての意見と認められますので、その点を改正すればどの程度の引き上げになるであろうかということを一応試算しつつあるわけでありまするが、この三年の生産費の調査については、おのおのの年度にそれぞれの特殊事情がありまするので、それを勘案して計算しつつあるわけでございます。なお、そういう点、はっきりした点を直すということであれば、公社原案と違って大体前年度に比較いたしまして五%程度は上がるであろう、こういうような予想もありましたので、答申としては前年対比五%を下らざる引き上げを希望する、こういうふうに出されたものと了解しておるわけであります。
○足鹿委員 私のお尋ね申し上げておるのは、五%を下回らざるということに、別にそのものにこだわるのではなしに、算定方式それ自体に委員会において大きな疑義が出て、三十四年を基準年次にとるか、あるいは三カ年間をとるか、あるいは五カ年間をとって豊凶の差の著しいものを引いて、その三カ年間をとるかというふうに議論がなされた結果、一応とにかく学識経験者の諸君も三カ年というものを否認できなかった。その三カ年をとるということは、普通の常識からいって、豊凶の差の著しい二カ年を引いて、そして五カ年のうち正常と認めらるべき三カ年のものをとるのが、これが基準年次のとり方については当然なんです。あなた方の、三十二、三十三、三十四と一番葉たばこ価格の低い、家族労賃の評価の低いときを恣意的にとられれば、当然安いものになってくるのであって、その結果から五%という一つの目安がそこから出てくるわけであります。たとえば、ここに農林省の統計調査部が調査をした権威あるものによりましても、葉たばこに大体関連があると思われる工業原料の作物につきましても、平均労働報酬は四百九十一円であります。今あなた方が改定をされようというものをはるかに上回ったものが出ております。先ほど総裁は麦、米、カンショ、繭をとったと言われますが、麦のごときは、小麦は一日当たりの家族労賃は百九十二円にすぎません。大麦は百七十二円にすぎません。これは農閑期の農家は遊んでおってはつまらないから、農閑期の余った労力を麦に使うという程度でありまして、これは明らかに裏作であります。葉たばこは御存じのように一番いい時期の表作として、しかもおそらくこれ以上の労力を要する耕作物はないといわれるぐらい多くの自家労力を投入しております。従って、生産費調査といっても、結局自家労賃の評価問題が中心になってくるのであって、あなた方が相対的に比較をとられた米、麦、繭、カンショというものは、米を除いては最も家族労賃の低いものを対象にしておられる。少なくとも常識で考えてみて、葉たばこに該当すべきものとしては、常識的に妥当な議論としては、工業原料作物を対象としてとるべきが私どもは妥当だと思います。その畑作の趣旨の上からいっても、水田の裏作を相対的に比較するなどは、腰だめ的に値上げ率を最も低いところに落ちつけようという頭から意図を持って、それに合わせるような算定方式をとられて、またそれに必要な基準年次をとっておられるから、そういうものになるのであります、少なくとも、少数意見であるとはいいながら、事実において、少なくとも基準年次を三カ年とれというふうに、学識経験者といえども、一応あなた方のやり方に対しては批判を持った意見を述べておるところを見ましても、明らかに算定方式そのものの再検討が当初から必要であります。運営しない前から算定方式はすでに誤っておる。従って、私どもは、価格をきめる前に、算定方式をもっと入念に——一式一式の平均で価格を出すというようなああいうやり方をとられたり、どうして下げようか、どうして値上げ率を、収納価格を低いところに落ちつけようかという意図一点ばりであなた方は作業しておられる。そこに、いわゆる耕作者代表の大きな不満があり、満場一致の答申ができなかった、半分の反対者を見るような希有な審議会の運営となった。 二日間とおっしゃったが、最初の一日はあなた方の通り一ぺんの説明を聞いただけで打ち切っておる。その次の日も辛うじて審議がなされたという程度であって、審議会は議を尽くしておらぬとわれわれは認めざるを得ない。そのようなあなた方の一方的な意思の通りに動くような審議会は、名実ともに私は間違っておると思います。他の似たような審議会、委員会をごらんになっても、このような独善的な、あなた方の意思を押しつけるような委員会の運営がおりますか。元専売官僚であったところの舟山氏がみずから起草の衝に当たったといわれております。おそらく学識経験者といえども、ビール会社の社長、新聞社の論説委員あるいは専売、大蔵省の出身のあなた方に近い人々が、あなた方の意を体して起草されて、それが妥当な答申と言えますか。形式の上においても、内容の上においても、間違った方途、やり方がとられております。そのようなものをいまだにあなたは答申々々と言いますが、これは答申ではない。答申においては明らかに妥当でないという前文があるのであります。あとに、「ただし」という条項で、わずかに自分たちの学識経験者の若干の意見を付しておるにすぎません。それは意見であって、耕作審議会そのものの意思ではございません。そのわずかな者の意思に基づいて、あなた方は、この重大な、しかも生産者が納得しない葉たばこの収納価格を御決定になる。そういう運営でいいのでありますか。そういう運営があるからこそ、一面において公社の民営論が出てきたり、いろいろな問題が出てくるのであります。民営論におびえて耕作者の収納価格の引き上げをちゅうちょされた事実もありましょうし、また、他に転換できないことを知っておりながら自然減反せしめたり、今日まで耕作者を抑圧することをやってきたのが公社のとってきた態度ではありませんか。もっと真摯に、こういう大きな転換期にあたっては、少なくとも政府の言う所得倍増、農業生産力の問題、農産物価格の問題、そういった点と関連して見ますならば、最もたばこ作に近い畑作物と均衡のとれた価格を設定し、その基準としての工芸作物等の自家労賃を基準にとっていくべきでありましょう。基準年次の取り方、他の作物との比較の問題等、まだまだ私は、審議会においても十分審議をされ、意を尽くして、そしてお互いが納得した上に立って、そのものを正確にあなた方は執行し、価格を検討されることが公社の責任といわなければならぬと思うのであります。 今のあなた方のおとりになっていることは、公社の意思をとことんまで通す、その他のものはいれない、こういう基本的な観念に立っておられるから、今日のような混乱が起きてくるのであります。過日のあの耕作審議会の両日間における公社の前に押しかけた全国の耕作者代表の意思を、あなたは無視していかれるのでありますか。この際もっと真摯に反省をされて、算定方式そのものをまず再検討さるべきである、私はそう思います。どうしても反省をしてもらわなければならぬと思いますが、あなた方にはなお言い分があるのでありますか。私の言うのは無理でありますか。だれの意見を聞かれても、少なくともあなた方のとっておられる頑迷な態度に対しては非難が集中しておるのであります。耕作審議会そのもののメンバーも、まだもっと検討し、人数もふやし、そしてその諮問の方式や審議のやり方についても問題はありますが、私は今その問題には触れません。現行の審議会の少なくとも半数の人間が納得しないものをもって、これをあくまでも答申として押し切っているということは、私はこれはあなたの大きな責任問題にも発展すると思います。そのようなことで耕作者が専売公社の仕事に協力できましょうか。今あなたが御答弁になったことは今まであらゆる機会にお聞きしたことでありまして、私はそのようなことをお聞きしようと思っておりません。あなたが職を賭してでも、もっと生産者の立場を守っていく、そこに初めて公社と耕作者の一体の運営ができて、専売制度の民営論などを一蹴していく一つの基礎ができるのではありませんか。今あなたのおとりになっているようなやり方では、火に油を注ぐように、また民営論なども再燃するでありましょう。あまりにも頑迷というものでありましょう。耕作審議会の再開と算定方式を中心とする再検討をおやりになることを私は強く主張いたしまして、これに対するあなたのもっと真摯な御答弁をお聞きしておきたいと思います。
○松隈説明員 算定方法の問題でありまするが、葉たばこの場合に生産費所得補償方式をとることがいいかどうかということについては、米の場合とも違いまして、かなり問題が多いのであります。そこで算定方式について何らか事前の検討の機会を持つという足鹿委員の方向づけに対しては、私もごもっともだというふうに考えております。ただ、どういう生産費をとるべきかということになりますと、葉たばこの場合におきましては、米と違いまして、収量を目的とするというわけではなくて、おのおのの葉の性質に応じて価格が非常に分かれております。種類も多いし、産地も違っておりますので、そういうものについての生産費はどれをとるべきか、また生産費とできた品物との間においては、耕作技術の巧拙とかあるいは災害等の関係があって、直結させて考えるということに非常に困難があるわけであります。しかし、困難があるにしても、その中で一番困難な点を除いて、この点ならば一応妥当であろうという線が出ることはきわめて望ましいのでありまするから、そういうものを見出すことの努力は今後続けるべきだと思っております。米の場合も、足鹿委員も御関係になっておりまするが、なかなか一朝一夕にできません。従って、これは今後なお時間をかけて、そういう検討をあわせて行なっていく、こういうふうにすべきだというように考えております。 それから、耕作者の立場を考慮しなければならぬということもおっしゃる通りでありまして、公社といたしましても、今後のたばこの売れ行きの増加に伴いまして、必要な原料を確保して参らなければならない立場にありまするので、今後あらゆる機会をとらえまして、公社の意のあるところを耕作者の方々にも知ってもらうように努力をしたい、かように考えております。
○足鹿委員 まだいろいろと私は申し上げたいことがあるわけでありますが、また他日に譲りたいと思いますが、少なくともこの簡単な論議を一般国民が聞きましても、今あなた方がおとりになろうとしておる一方的なやり方に対しては、公社の今後のいろいろな面において大きな支障が起きてくると思います。少なくともこの際今までのことは今までのこととして、まず一応流して、そうして心機一転していわゆる農産物の適正価格、農産物の中でも一番低価格に呻吟しておるところの、特にこの在来種の問題につきましては、もっと大幅な、そうして納得のできる、他の同種の工芸作物等と均衡のとれた金をとるべきだと思います。農林省の統計調査部の数字を、あなた方は少し軽率に見ておられはしないか。私はあるところで聞いたことがありますが、農林省の統計は信憑性が云々ということを、総裁みずからも言われたように聞いております。そういうことではなしに、今の農林統計としては、これにまさる何か資料がありますか。公社はたばこのみをとっておられますが、農林省としては他の一切の農作物に対する権威ある統計を持っておるわけでありまして、これらとの関係をよくにらみ合わされて、都合のいいものだけをとってくるという考え方ではなしに、畑作の一体性、たばこといえども所管は専売公社が所管しておられますが、農民は農作物の一環として一つのものとしてやっておるのでありまして、決して公社のひとり考えでこういう問題はおきめになるべき筋合いのものではない。少なくとも、審議会のメンバーにしてみますれば、そういう専門の統計の立場に立つ人とか、あるいは一般の農民団体の声を代表するものとか、まだまだ審議会のメンバー構成等についても改善の余地はあろうと思います。また、運営についても、これ以上申し上げませんが、御反省なさらなければならぬ点があろうと思います。いずれまた、私どもは、専売法の抜本的な検討、耕作組合法の再検討、いろいろな点で、来たるべき議会において、それらの点は解明し、適当な対策を立てていきたいと思いますが、少なくとも公示を急ぐことをやめられて、そうして慎重に善処せられんことをこの際特に御要望申し上げておきます。 一応本日の質問を打ち切っておきます。 ————◇—————
○足立委員長 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の三法律案を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。堀君。
○堀委員 輸出入銀行の問題を伺います前に、建設省、運輸省等からもお見えになっておりますから、この方は簡単ですから、この問題だけを先に処理して、輸銀の問題を伺いたい。 実は本日ちょっと伺っておきたいと思いますのは私どもの地元の尼崎というのは、御承知のように日本の中で地盤沈下の著しいところでございます。この地盤沈下が何によって起こっておるかと申しますと、これは工業用水を井戸水によってくみ上げるために地盤沈下が起きておるというのが、大体定説になって参っておりまして、工業用水道を敷設することによりまして、最近敷設されました地域、工業用水をあまりくみ上げない地域におきましては、地盤沈下がだいぶ少なくなって参っておるわけであります。ところが、実は、私この間この問題でいろいろ調べてみますと、取り扱い上に非常に公平を欠いておる点が二、三見受けられますので、最初に建設省の河川局からお見えになっておる方に伺いたいのです。ちょっと性格は違うのですが、同じような地盤沈下を起こしております新潟の場合と尼崎の場合と、河川の方の補助が、昭和三十五年度は一体補助率がどういうふうになっておって、昭和三十六年度では、大体どういう補助率で大蔵省の方へ御要求になっておるのか、これを最初に河川の方に伺っておきたいと思います。
○鮎川説明員 ただいま御質問になりました高潮対策事業の補助率の問題についてお答え申し上げますが、すでに御承知と思いますが、この地区におきまする事業は、昭和二十五年のジェーン台風によりまして災害がございました。その後その復旧工事を完了いたしたわけでございます。ところが、今御指摘のように、この地区におきます地下水のくみ上げ等によりまして、またその後起こりました伊勢湾高潮による被害等の経験によりまして、現在、建設省におきましては、神崎川の防潮堤におきまして、かさ上げ工事をやっておるわけであります。これにつきましていろいろ調査の結果、昭和三十五年度から事業を実施することにいたしまして、昭和三十五年度におきましては一千万円の事業費で、補助率は十分の三で事業を実施することにいたしておりますが、なお、昭和三十六年度におきましても、五千万の事業費で十分の三の補助率で実施するように、ただいまやっておるわけでございます。
○堀委員 新潟の場合もあわせてちょっと伺っておきたいと思うのですが、これはちょうど同じような条件で並んでおりますから、今の同じ該当部分につきまして……。
○鮎川説明員 新潟の場合は、二分の一の補助率でやっておりましたが、昭和三十六年度には三分の二の要求をいたしております。
○堀委員 一つずつ伺っていきたいのですが、尼崎は十分の三、三十五、六年通じて同じで、新潟は当初からすでに二分の一であったのが、今度は三分の二になるというのは、一体それほどに現状として違うものかどうか。実は私が伺う気持になりましたのは、新潟も非常に地盤沈下が激しいのは私もよく承知しておる。ですから、新潟は二分の一になり三分の一になることは大へんけっこうだ、国土保全の意味からも大へんけっこうだと思うのですが、実は危険の度で申しますと、新潟は徐々に下がりますけれども、ここに台風で高潮がくるとかというような危険については、きわめて地域的に少ない状況です。尼崎の場合は、累次の台風できわめて危険な状態にさらされておる。地盤沈下のスピードについては、なるほど新潟は当初五十センチぐらいだったのが最近だいぶ減っておるようですが、私どもの方は大体十七、八センチメートルというところでございます。危険の度合いにおいては非常に違う。なるほど時間的に何年か先にいけば、新潟の方も大へん全体が沈むという徐々の危険があります。しかし、台風による高潮に対する危険というものについては、はるかに尼崎の方の危険度が高いにもかかわらず、尼崎は十分の三、新潟は当初二分の一、来年度三分の二になる。何でこんなに違うのか、私は理解ができないのです。そこのところを説明願いたい。
○鮎川説明員 ただいまの御質問は、尼崎地区においては十分の三、新潟地区においては三分の二の補助というように差があるのはどうしてかというお尋ねでございますが、尼崎地区の高潮対策事業は御承知のように尼崎及び大阪、東京地区におきまする高潮対策事業の一環として事業を実施しておるわけであります。これらの地区におきまする高潮対策事業の全体計画は相当の事業費に上るわけでございまして、これらの地区の全体につきまして高潮対策事業に十分の三の補助でやっておるわけであります。この地区だけを切り離して考えますと、その地区ごとの比較になりますが、高潮対策事業の全体の事業量は相当な額に上るわけでございまして、これらの相当な額の事業量と現在の地方財政とを考慮いたしまして現在のところ十分の三ということで実施をいたしておるわけでございます。新潟地区につきましては、それぞれの特殊事情もありますし、ほかの事業との関係等も考慮いたしまして、三分の二で要求いたしたわけでございます。
○堀委員 東京、大阪の高潮対策の一環だから十分の三、新潟は特殊事情だから三分の二ということですね。なるほど東京、大阪みな地盤沈下があります。しかし東京、大阪の地盤沈下と尼崎の地盤沈下とおのずからその差がはっきりしておることは御承知だろうと思うのです。そうすると、尼崎には特殊事情がない、東京、大阪と同じベースでいいんだ、新潟だけに特殊事情があるとおっしゃるなら、その特殊事情を説明して下さい。
○鮎川説明員 ただいま申し上げました高潮対策事業は全体の高潮対策事業の問題でございまして、地盤沈下による事業とそれから河川改修事業、こういうものが結びつきまして、防潮堤のかさ上げ、それから堤防のかさ上げ等をやっておる事業でありまして、こういう観点からする高潮対策事業につきましては、東京、大阪、兵庫県におきまして同様な性格のものとして、全体計画及びそれに基づく事業実施をやっておるわけでございます。そういう一環として尼崎地区の補助率を考えたわけでございます。新潟の場合はこういう角度以外の問題がいろいろとございまして、ほかの事業との関連等もございまして、そこでその差がついておるわけでございます。
○堀委員 それじゃ抽象的でわからぬじゃないですか。高潮対策の一環なら一環でいいですよ。しかしその尼崎の地盤沈下という特殊性はあなたは見ないというわけですか。それで新潟の方はほかに関連があるからそうだとおっしゃるが、その三分の二になる根拠を言って下さいよ。そんな答弁では了承できないですよ。
○鮎川説明員 尼崎の場合は、先ほどから申し上げましたように、高潮対策事業として東京、大阪その他の地区と同様な性格のものを持っておるわけでございます。ところが、新潟の場合は、そういうような性格以外に都市計画事業その他の事業がございまして、それらの事業との関連も考慮して、三分の二にいたしたわけでございます。
○堀委員 都市計画があったら三分の二になるのですか。あなたのお答えがちょっと誠意を欠いているのじゃないかと思うのは、率直に言って私の聞いていることはおわかりになっておると思うのです。あまり差があり過ぎる。だから、尼崎というのは地盤沈下をしない町だ、東京や大阪と同じベースで問題の処理がされておるところだというならば、さっきお話しのように高潮対策でかぶせてあります。このレベルで見て下さいというならば、私は了承するのです。しかし日本の中で一番地盤沈下を起こして困っておるのはどこかというと、新潟の問題が出るまでは尼崎だったのです。だから工業用水についてはいろいろ配慮してもらってきておるわけです。そうすると、大阪とか東京とかの高潮対策と、もちろん尼崎も高潮対策は必要だが、普遍的な高潮対策以外の地盤沈下に対する特殊性は配慮が払われておるのかどうか。新潟の場合は地盤沈下ということに関連しておるのでしょう。地盤沈下に関連してそういうことが行なわれておるならば話がわかるけれども、都市計画その他による特殊な事情なんというものは私は了解できない。はっきり言って下さい。
○鮎川説明員 尼崎の河川局関係の事業は、先ほどから申しますように、その他の地区と同じように、地盤沈下及び伊勢湾高潮による被害の状況等によって防潮堤等のかさ上げをする必要がある、こういうような面でとらえまして特に地盤沈下だけによる対策ということにはなっていないわけでございます。従いまして地盤沈下だけを対象として考えますと、あるいは新潟その他の地区と同様なことで考えなければならないかと思いますが、地盤沈下につきましては通商産業省などの工業用水の方とも連絡をいたしまして、その点について地盤沈下対策をお願いしておるわけでございますが、河川行政の立場から申しますと、治水事業を確保いたしまして洪水あるいは海岸からくる被害を防ぐための最小限度の今の事業をやっておるわけでございます。そういう点で新潟と若干異なる点があるわけでございます。
○堀委員 あなたは若干異なるとおっしゃるけれども、若干じゃないですよ。十分の三と三分の二で若干なんという言葉が出るのでは、私は困ると思うのです。私は時間がかかるので次にいきますが、今の高潮対策の一環はいいですが、尼崎の地盤沈下の実情に関して、要するに新潟でもこれだけのことが行なわれておるならば、今後の問題として配慮をされるかどうかということをちょっと伺っておきたい。——私は聞いていただいている方はわかると思うのですが、ちょっと取り扱い方に差があり過ぎると率直に思うのです。実際問題として、地盤沈下というものと高潮に対する危険というものが非常に強い条件のあるところで、私は知らなかったのですが、実際この話を聞いて、これはちょっとひど過ぎると思う。国がやることについては、おのずから地域的ないろいろな程度によって差があることは、私は場合によってはやむを得ないと思いますが、ちょっとこれは差がひど過ぎると思いますので、これは今後一つ御検討を願います。 次に、下水道の関係の方は見えておりますか。——下水道の部分についても、新潟の方はこれまで三分の一であったのが、今度は三分の二になるというふうに聞いておるのですが、その点はどういうことでしょうか。
○寺島説明員 補助率の問題でございますが、御承知のように下水道は全国的に見まして非常におくれておる事業でございまして、一般の補助率は三分の一になっております。尼崎及び新潟等の地盤沈下対策事業としての下水道事業も、従来は全部三分の一だったわけでございます。しかも、この三分の一は、全事業に対して全部を補助の対象にしておらないので、実は補助の総ワクが非常に少ないために、補助の対象額は全体の事業の半分にも満たないという状態でございますが、地盤沈下対策事業関係だけはできるだけ全部を補助の対象にしようという方針で実は進んできております。来年度も実は三分の一で要求してございます。ただ、先ほどお話がございましたように、新潟は緊急事業が来年度で終わりますので、今まで三分の一で参ったのでありますけれども、要求といたしましては三分の二で要求しておるわけでございます。
○堀委員 そうすると、その緊急事業が来年で終わるというのは、私よくわかりませんが、来年で新潟の下水道は終わってしまうということになるわけでございますか。
○寺島説明員 すでに今までに応急対策の事業といたしましては約十二、三億ございまして、あと一年で応急対策事業は完了する見込みでございます。
○堀委員 私は下水道の補助は全般として三分の一だと理解しておるのですが、今お話で新潟が三分の二になったのは大へんけっこうだと思うのです。ただ普通の土地の下水道と地盤沈下を起こしております地域の下水道は、下水道でも趣が違うわけです。下水道を作ってポンプ・アップして外へ出さなければ排水が不十分で、少し水位が高くなれば水が逆流するという地域における下水道と、その他の一般都市における下水道が同じ下水道で処理されておるという点に、私は非常に不満があるわけですが、今度新潟が緊急事業の最終年度だから三分の二を要求しておられる。これは主計官もお見えになっておられますが、ぜひこれは大蔵省の主計局も考えていただきたい点なんです。今の下水道の補助の問題にしても、単なる環境衛生といいますか、そういう単なる下水としての問題以外にも、そういう国土保全上のやむを得ざる要件を満たしておる下水道については、私は当然三分の二を緊急でなくても一つ要求していただきたいと思うのです。そうして、これについては、それが行なわれないために水が逆流をして低地帯に水がしょっちゅうあふれる。向こうをごらんになればわかりますが、都市の中にある川のふちに堤防を作って、水位はいつでも地面より上にあるというような地域がたくさんにある地域の下水道が、そうでない都市の下水道と同じ補助率で行なわれておるという点は、これは常識的に見ても問題があろうかと思いますので、私ここでちょっと重ねてお願いしておきたいことは、今の下水道の問題については、地盤沈下のおそれのある都市については、一つ三分の二を要求していただきたい。これはお願いでございます。 次に、港湾の関係について運輸省に伺います。運輸省の方で港湾に対してやはり新潟と尼崎で差別があるように感じておりますが、私が知っております範囲では、本年度の新潟における要求は、やはり三分の二を要求していらっしゃる。尼崎は依然として二分の一でございますが、これはどうでございましょうか。
○比田説明員 お答えいたします。 私どもの方は、海岸法を適用いたしまして、東京、大阪、尼崎、新潟等を現在やっております。三十五年度までは新潟も尼崎も同じ率でやっております。御承知の通り市街地は四割でございます。市街地をはずれたところは五割補助でございます。なお、新潟につきましては、防波堤等は一般修築工事をやっておりますから、これは一般修築工事で五割でございます。ところで、尼崎は、先ほどお話がありましたように、従来第一回分が終わりまして、私どもの海岸の部分はその継ぎ足し工事でございます。従いまして、金額もそう多くはございません。ところが新潟の方は従来までに二十億を費しております。これは応急の工事でありますが、今後八十二億かかる。非常に大へんな金になりまして、地元の県あるいは市からとうてい分担ができないということを再三再四申しておりますので、新潟については三分の二を大蔵省の方に要求いたしまして、予算折衝をしております。これはまだきまっておりません。尼崎の方は、ちょっとここに的確な数字がないので、誤まっておれば訂正いたしますが、あと全部入れまして十数億だと思うのです。その中にはいろんなものが入っておりますが、今までの仕事の分の残りというような意味で、仕事は軽微であるから地方も分担に耐え得るだろうということで、要求がございましたけれども、いろいろ事情を調べまして、自粛して大蔵省に従来通りの要求をいたしております。
○堀委員 実はおっしゃることが私ちょっと納得できないのですけれどもも、尼崎は御承知のように今地財法の適用を受けておる再建団体であります。本来比較的富裕都市なのですが、それがなぜ再建団体になったかといいますと、ジェーン台風によりまして私どもあそこに防潮堤を作ったわけですが、国庫補助が非常に少なくて、市が非常に大きな負担をいたしました。その負担が、今日地財法の適用を受けなければならぬ根本的な原因になっておるわけです。そうして、その危険につきましては、率直に最初に申したように、新潟における危険よりも尼崎における危険の方がはるかに大きいのです。毎年夏になれば、私どもは台風がこなければいいなとそればかり念じて、特に南部の低湿地帯におられる方たちは非常な危険にさらされる。これは日本におけるオランダと同じで、新潟はまだ全部が水位の下に沈んでおるわけではない、将来はわかりませんが。しかし、尼崎の場合は、あの堤防を取っ放したら水が入ってくることは明らかだ。オランダと同じ状態の中で、現在依然として十七、八センチの地盤沈下をしておる。かさ上げに次ぐかさ上げをしなければならぬということで、財政上の問題としても実は非常に大きな問題があるわけです。ところが、新潟の場合は幸い県庁所在地とその都市とが重なっておりますから、県自体の熱意においても非常に強いと思いますが、残念ながら兵庫県の場合は、尼崎に県庁がないということのために、ややもすると県における熱意にも、私ども見ておって率直にいって欠ける点がある。 そこで、私が一つお願いしておきたいのは、私もこまかいことは知りませんが、十数億と一口におっしゃいますけれども、地方自治体における負担というものはそう簡単なものじゃないと思いますので、これは遠慮なくまず要求をしていただきたいと思うのですよ。特殊な地盤沈下をしておる地域だということは御了解になっておると思うので、新潟はこうしてあるけれどもも、尼崎はいいじゃないかというようなことでなくて、要求をしておいていただかなければ、私がここで主計官に幾ら言っても、運輸省から出ておりませんものは仕方がございません、これでおしまいになってしまうわけですね。だから、ともかく要求についてこういう公平を欠くような要求をしていただいたのでは、私はちょっと納得いたしかねる。これは何も私が尼崎の市民だから言っているのじゃなくて、全体で見ても公平を欠いておる点は遺憾だと思いますので、今度の予算でこれを要求していただけますか。
○比田説明員 要求するかしないかという前に、一分だけ説明させていただきます。 尼崎の方は、さっき申し上げたように、私の方の海岸部分に関する限りは一回でき上がりまして、実はまだ一、二年は絶対大丈夫だ。ところが、新潟の方は、潮の差が少ないとおっしゃいますけれども、ある部分は二メートル以上沈下しております。そこから下がりますと、中に仕切りがございませんから、全市水没するようになっております。従いまして私の方は、尼崎の方は患者にいたしますと急性患者だけれども、まだ体力がある、ところが新潟の方は慢性患者で非常に衰弱しておる、一つ切れれば命をとられてしまうと思いましたので、そういう措置を講じたのであります。それからあとは、今度は私の方は五カ年計画の事業量をまず最初に決定して、来年度の予算を決定した上で国費を大蔵省と折衝する考えでおりますけれども、予算折衝の段階では、今先生のおっしゃいましたようなことを十分考慮に入れまして、大蔵当局ともう一ぺん話してみたいと思います。
○堀委員 私は医者ですから、病気の例をお引きになったのはちょっとまずかったと思うのです。なるほど新潟は慢性だとしても、急性のものは早目に手当をすればなおるわけですね。慢性のものはちょっと手当をしてもなかなかなおりにくい。これは医者の常識です。だから急性にあるものは急性にお願いしたいと思います。 全体の問題として、冗談はさておき、尼崎の地盤沈下は依然として深刻な問題があります。今あなたは現状のままで大丈夫だとおっしゃるのですけれども、台風というものは、一体どれに対して大丈夫だとおっしゃっているかわかりませんが、もし伊勢湾台風がまともに大阪湾にずれておりましたならば、私どものところは完全に水没しておるわけです。ですから、台風の規模というものは予想されないものでありますから、私どもは最大のああいう伊勢湾台風がまた起こることも予想しなければなりません。そうすると、今おっしゃった御答弁は少し無理があるんじゃないか。伊勢湾台風の水位を調べたら、私は北部の方に住んでおりますが、私の辺まで水がくる。そういう点をお含みいただいて御検討をお願いしておきたいと思います。 そこで、主計官の方に伺っておきたいのですけれども、各省からいろいろ要求が出ますので、私どもやはり大蔵省としては全体を考えておやりになっておると思いますから、とやかくは申しません。まず私が本日各省の方にお越し願ったのは、やはり要求について程度の差がありましょう。問題は、その程度の差がここへ出てくる補助率の差ほどまでに実はないのじゃないか。これは、さっき申したように、慢性と急性といろんな要素がありましょう。都市の実情ということもありましょうが、今新潟の方で配慮をされるならば、同じにしろとまでは申しませんが、やはり非常に困難な状態にある地盤沈下をしておる地域については、それ相応の配慮を大蔵省として考えていただきたい。全体として見るのは、大蔵省が特に重要な立場にあるのじゃないかと思います。これについてもし要求が——私は催促して要求してくれ、こう言ったのですが、要求が出た場合にはどうなるか、ニュアンスでいいから……。
○宮崎説明員 ただいの御質問の過程で十分御意見は承知しておりますが、御承知のように、この地盤沈下対策事業につきましては、最近あちらこちらで非常に問題になって参りました。現在企画庁が事務当局となりました地盤沈下対策審議会におきましてその計画及び実施にかかわるいろいろ重要な事項につきまして検討しておるわけであります。先生のおっしゃいましたような補助率の問題も、審議事項としていろいろ検討されておるわけであります。私どもも、各省の幹事会がございますが、そこでこういった問題についていろいろ各省の御意見を伺っております。必ずしも、今先生がおっしゃったように、各省は別にこれに無関心であるというようなことではございませんので、いろいろ研究をしておられるようであります。尼崎の場合も非常に議論になりますのは、要するに今後どれだけの仕事をやるべきかということが決定をしておりません。どうして決定しておらないかと申しますと、ただいま御指摘のように、計画の対象とすべき高潮を何にとるか、それが従来は二十五年のジェーン台風を基礎にしたわけでありますが、昨年伊勢湾台風の例などもございますので、この際再検討したいということでありまして、そういった問題を各省が技術的に検討しておるという段階であります。従いましてただいま実施しておる事業あるいは来年度要求のあります事業は、いわばこの事業のほんの一部をやるという形でありまして、当面措置をしておかなければならぬところだけをやっておこう、こういう考えであります。従いまして事業費も非常にわずかである。そういう形でありますから、従来からやってきておる補助率でやっていこうという形になっております。もちろん今後の事業の規模というものがはっきりいたしまして、それが尼崎なり兵庫県の財政力と比較してどうかということが問題になりますれば、ただいま新潟で議論になりましたように、当然そういった問題も検討の対象といたさなければなりません。三十六年度にそこまでの問題になるとは私実は考えておりませんけれども、今後の問題といたしましては十分検討してみたいと思います。
○堀委員 この点は私だいぶ申し上げたから、十分勘案をして、三十六年度についても——大蔵省は権衡を維持するというのは、皆さん非常にふだんおやりになっておることだから、権衡のとれた範囲で配慮していただきたいとお願いして、本題に入ります。 実は、ちょっと輸出入銀行にお伺いしたいのですが、皆さんの方の支出と収入の当初計画というのは大体いつごろお立てになるのでしょうか。
○酒井説明員 当初の計画は、毎年私ども政府関係機関の予算が提出されますその際に、一応収入支出を検討いたして立てるわけでございます。
○堀委員 そうすると、十二月ですか。一月ですか。二月ですか。
○酒井説明員 決定は大体一月、一般の予算と同時期に決定いたします。
○堀委員 そこで、皆さんの項目の中に繰越金という項目がありますが、この繰越金というのはどういう性格の金でしょうか。
○酒井説明員 御承知のように、私どもの予算といたしましては、収入支出は国会の御承認を得まして、政府関係機関予算として実行するわけでございますが、別に資金計画と申しますか、融資の、あるいは投資金融に関する計画の方は、これは国会で議決をしていただく項目ではございません。そこで、一応その年度においてどのくらいの資金が支出される、資金源はこれだけあるということで、そこに若干の繰越金というものが出てくるわけであります。なぜそういうものがあるかと申しますと、これは新しい年度に入りまして、年度早々、やはり金融でございますから、相当に資金用途がございます。それに対処いたしまして、金融機関としてある程度金庫に余裕を持っていなくちゃいかぬ。その必要な時期に金が出て参りますから、そのときに金がないということになりますと困りますので、繰越金を置いておくわけであります。
○堀委員 繰越金を置いておかれることはいいのですが、繰越金というようなものについて当初計画というのが出ますね。そうすると、繰越金で当初計画が出るのは、どういうバランスの中で出るのでしょうか。そこをちょっと伺いたい。
○酒井説明員 これは当該年度におきまするところの大体の資金計画、これがその年度の予算と一緒に御参考に供されるわけでございます。ところが、御存じのように輸出あるいは輸入金融、投資というものは、国際情勢によって非常に変わってくるわけでございます。年度当初に予想したより以上に輸出が出ることもございます。それだけ出さないこともございます。そういう意味におきまして、当初の計画に対して若干のそごを来たすということはございますが、しかし、大体においてその金は明年度に持ち越しまして、そう大した額ではございませんが、四月早々の金融に使われるということで、一月になりまして、当該年度の計画に対して実績からいえばこれだけ繰り越しするだろうというような算定をするわけでございます。
○堀委員 それで、実績見込みが出ますのはいつになりますか。
○酒井説明員 実績見込みはときどき作っておりますが、正式に出しますのは、さっき申し上げました政府関係機関予算が決定されますのと同じころになるわけでございます。しかし、これは一月でございますから、実際に二月、三月にどれだけ金が出るかということは、まだそのときにははっきり正確にはつかめません。三月になってみますと、また繰越金が若干違ってくるということはあり得るわけであります。
○堀委員 私ちょっとよくわからないので、これは少し教えていただくことになるかもしれませんが、皆さんの方から出していただいた資料によりますと、昭和三十二年は貸し出しの当初見込みは六百九十一億であって、実績は五百八十七億、この間約百億からの差が実績と貸し出し見込みとの間にあるわけです。昭和三十三年は当初見込みが七百三十億円の貸し出しを予想して、実績は四百七十億しか貸し出しがされておらない。そういうふうになっておりますね。そうすると、この資金計画の方で見ますと、昭和三十三年などというのは、驚くなかれ二百六十億円ものお金が、予想されておったにかかわらず、使われなかったということが起きておりますね。繰り越しというものの性質が私そこのところでよくわからないのは、こういうふうに予想した資金計画の中で、残ったものがたくさん出れば、こういうのは全部を繰り越しにされるわけでもないのでしょうが、借入金返済とかいろいろ充てられるのでしょうが、何らかの、その部分を限って繰り越しというものを別途に予想されるのではないか、そういうふうに思うのですが、この繰り越しの関係と、今の貸し出し見込みと実績の差というものとの関連はどういうことになるのでしょうか。
○酒井説明員 まず三十二年度について申し上げますと、仰せの通り貸し出しと実績が狂っております。これは、一つには船舶の成約が見込みより相当多く出ました。それから、実は三十二年度にアラスカ・パルプとかミナスとか特別な大きな案件がございまして、これが若干出るであろうというふうに当初に見込みまして、それを計上したのでありますが、それが仕事がだんだん延びまして、これが出なかった。そのずれがございます。さようなことで、結局六百九十二億の貸し出しに対して五百八十七億という実績になったわけであります。その他回収が三十二年度は非常に良好でございまして、これは当時船が非常に足りなくなりまして、キャッシュ払いの船が非常に多くなってきた。延べ払いでなくて一時にキャッシュで入る。そういう関係で一般に条件が好転しておりまして、回収が予定より多かったわけでございます。それから、三十三年度に入りまして。実はこの前年度は船が非常にたくさん出ましたので、船舶輸出をかなり見込んだのでありますが、これが船舶の市況等によりまして輸出が漸減いたしております。それからまた、同じく特殊案件といたしましてミナス製鉄所あるいはインドの円借、パキスタンの肥料工場といったようなものが、若干やはり計画に対してずれまして、それだけ減ってきた。そういったような関係で、貸付が七百三十一億が四百七十一億に減ったということであります。
○足立委員長 ただいま議題となっております三法律案に対する質疑はこれにて終了いたします。 —————————————
○足立委員長 なお、各案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 まず、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の両案について採決いたします。 お諮りいたします。両案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、両案はいずれも原案の通り可決いたしました。 続いて日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○足立委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。 ただいま可決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次会は明二十一日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時散会 ————◇—————