大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/12/13
会議録
○足立委員長 これより会議を開きます。 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、昭和三十五年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案、昭和三十六年分の給与所得等に対する所得税の源泉徴収の臨時特例に関する法律案及び製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案の八法律案を一括して議題といたします。 —————————————
○足立委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官大久保武雄君。
○大久保政府委員 ただいま議題となりました国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案外七法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 まず、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案について申し上げます。 この法律案は、すでに昭和三十五年七月十五日御承認をいただきました国際開発協会協定に基づきまして、わが国が国際開発協会に加盟することに伴い必要な措置を規定することを目的とするものであります。 国際開発協会、すなわちいわゆる第二世銀は、世界経済の繁栄のためには先進諸国が一体となって低開発諸国の経済開発を援助することがきわめて重要であるとの認識に基づきまして、新たに設けられました国際的な開発金融機関でありまして、本年九月二十四日協会協定が発効し、十一月八日第一回理事会を開催して正式に業務を開始いたしましたが、同日までの協会加盟国は、米、英、西独を初め二十二カ国で、同日現在の出資承諾額は合計七億二千六百二十七万ドルであります。このような国際機関としてはすでに世界銀行等があるわけでありますが、それらの性格上融資の対象、条件等におのずから制約があり、そのために低開発諸国の開発援助をより効果的な方法により促進するため、新たな国際機関を設立することが要請された次第であります。 国際開発協会は十億ドルの資本金で世界銀行加盟国により構成されることになっておりますが、わが国は、従来からの低開発諸国に対する開発援助に加えて、このような国際機関による活動が、一そう効果をもたらすものと考え、進んでこれに加盟しようとするものであります。 なお、協定によりますと、この協会の原加盟国となるためには本年十二月三十一日までに一切の加盟手続を了する必要があり、わが国としてはこの協会の設立を提唱した国の一つでもある関係上、ぜひとも年内に加盟を終わって原加盟国となることが望ましいわけでありますが、そのためには加盟手続の前提となるこの法律の早急な成立が必要とされる次第であります。 次に、この法律の概要を申し上げますと、国際開発協会協定により、わが国の出資額は三千三百五十九万合衆国ドルすなわち百二十億九千二百四十万円となっておりますので、政府は、この金額を限度として同協会に対して出資し得ることを規定いたしました。この出資は金または自由交換可能通貨によって行なうこととなっております。なお、協定によりますと、自由交換可能通貨として本邦通貨を出資することが認められております。 次に、協定によりますと、出資額の一部については、それが本邦通貨である円で払い込まれる場合には、本邦通貨の払い込みを国債の交付によってかえることが認められておりますので、この出資のために協会に交付する国債の発行等に関して必要な事項を規定いたしました。 なお、この国債は、協会から要求のあり次第直ちに現金で支払われるべきものでありますので、政府は協会からこの国債について償還の要求があった場合には直ちに償還を行なうとともに、償還財源に不足がある等のため償還ができない場合を考慮して政府はその償還できない金額に相当する国債の買い取りを日本銀行に対して命ずることができることといたしたのであります。 次に、協会が保有する本邦通貨その他の資産の寄託所として日本銀行を指定することといたしました。 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。 日本開発銀行は、昭和二十六年に設立されたのでありますが、政府出資金及び政府借入金等の財政資金をもって重要産業に対する設備資金の融資を行ない、わが国経済の再建と産業の開発に大きな役割を果たしてきていることは御承知の通りでありまして、その開発資金貸付残高は現在約五千三百二十億円に上っております。 このほか、同行は昭和二十八年以来いわゆる世銀借款の窓口として、電力、鉄鋼等の重要産業に対する世界銀行からの借款による外貨貸付をも担当しているのでありましてその貸付残高は現在約八百九十億円に達しております。 わが国重要産業の設備資金を世銀借款を初めとする外貨資金によって調達することにつきましては、今後とも、これが円滑な導入をはかっていくことが必要と考えられますが、近年わが国の経済力の充実、国際信用の向上等に伴い、従来はもっぱら世銀借款が主体となっていたのに対して、今後は次第に外国の民間資金による借款を期待してよい段階になって参るものと考えられるのであります。このような事態に即応して、外国より民間資金を導入するための一つの方法として、この際日本開発銀行に外貨債券発行の道を開き、今後機会を見てこれが発行を行なわしめることが適切な方策であると考えられます。これがためできる限り早期に外貨債券発行の法律上の権能を日本開発銀行に付与することが必要であると考えられるのでありまして、ここに日本開発銀行法の一部を改正する法律案を提出いたした次第でございます。 なお、この法律案の内容は、さきに第三十四国会に提出いたしました法律案の内容と同じでありまして、これに基づき発行せらるべき外貨債券の元利金支払いの政府保証については、昭和三十五年度一般会計予算総則においてすでに必要な措置が講じられている一のであります。 次に、この法律案の概要を申し上げます。 第一は、日本開発銀行が大蔵大臣の認可を受けて外貨債券を発行することができるようにすることであります。現在、同行の資金調達の方法は、政府からの借り入れと外国の銀行その他の金融機関からの外貨資金の借り入れに限られておりますので、外貨債券の発行について新たに規定を設けることといたしたのであります。 第二は、外貨債券の発行額の限度を借入金と合わせ現行の借入金の限度額の範囲とすることであります。現在、借入金の限度につきましては、日本開発銀行の金融機関としての健全性を確保する見地から、資本金及び準備金の合計額すなわちいわゆる自己資本額の二倍までと定められているのでありますが、外貨債券もこの限度の範囲内で発行することといたしております。 第三は、政府が、外貨債券の債務について、他の政府関係機関の発行する債券と同様、予算の定める限度においてこれを保証することができるようにすることであります。 第四は、外貨債券の消化を円滑にするために、その利子等に対する租税その他の公課については、国際慣行にならい非課税措置を講ずることとしていることであります。 以上のほか、外貨債券の発行事務の委託等について規定を設ける等所要の規定の整備を行なうことといたしております。 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。 現在食糧管理特別会計において、食糧の買い入れ代金等の支払いに充てるため、証券を発行し、借入金をし、及び一時借入金をすることができる金額の限度額は、食糧管理特別会計法第四条ノニの規定により「最高四千四百億円」と定められております。本年度当初におきましては、この限度額の範囲内で不足資金をまかなうことができるものと予定していたのでありますが、本年の豊作により、米穀の買い入れ予定数量が当初の三千四百万石から四千百万石に大幅に増加するなどの関係から、現行の限度額の範囲内では不足資金をまかなうことができないものと思われますので、この限度額を引き上げる必要が生じたのであります。 この食糧証券等の限度額と食糧の買い入れ費等の予算とは、本質的に密接な関係を持つものでありますので、食糧証券等の限度額につきましては、むしろ歳入歳出予算とあわせて国会の審議を仰ぐこととするのが最も合理的な措置であると存ずるのであります。従いまして、今後は、この食糧証券等の限度額は予算をもって国会の議決を経ることに改めようとするのが、この法律案の内容でございます。 なお、この限度額につきましては、今回の予算補正におきまして本年度は五千百億円とすることとし、別途、特別会計予算総則により審議をお願いしている次第であります。 次に、昭和三十五年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案について、提案の理由を御説明いたします。 この法律案は、昭和三十五年産の米穀につき、事前売り渡し申込制度の円滑な実施に資するため、米穀の生産者が同年産の米穀を政府に対し事前売り渡し申し込みに基づいて売り渡した場合において、従来と同様、同年分の所得税についてその売り渡しの時期の区分に応じ、玄米百五十キログラム当たり(一石当たり)平均千四百円を非課税とする措置を講じようとするものであります。 次に、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を申し上げます。 産業投資特別会計におきましては、同会計の貸付金の償還金及び利子、特定物資納付金処理特別会計からの繰入金、この会計に帰属する国庫納付金、前年度の歳計剰余金等を財源として、経済の再建、産業の開発及び貿易の振興のための投資を行なうこととしているものでありまして、昭和三十五年度の当初予算においては、これらの収入金により総額二百六十億円の投資を行なうこととしていたところであります。しかるに、その後における日本輸出入銀行及び商工組合中央金庫の資金収支の見込みの変動にかんがみ、それぞれ百二十五億円及び二十億円の出資をすることを必要と認めまして、今国会に同会計の補正予算を提出し、また、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を提出して御審議を願っている次第であります。これらの措置に伴う同会計の源財としては、前年度剰余金二十五億円を充てるほか、 一般会計から百二十億円を限りこの会計に繰り入れをする必要がございますので、ここにこの法律案を提出いたしました次第であります。 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。 日本輸出入銀行は、昭和二十五年十二月日本輸出銀行として設立されて以来、プラント輸出金融を中心として輸出入及び海外投資に関する金融を行ない、わが国貿易の振興並びに経済協力の推進に格段の寄与をいたして参っておりますことは御承知の通りであります。 日本輸出入銀行の業況は、わが国貿易の進展に伴って着実に伸びてきており、その融資残高は、本年十一月末において千百九十億円に達しております。今後も、海外からのプラント輸出等の引き合いは、東南アジアを初めとして、さらに増加していくことが予想されますとともに、東南アジア諸国との経済協力もまたインド、パキスタン等を初めとして一そうその実をあげていくものと思われ、日本輸出入銀行の融資を必要とする事案はますます増加する見通しであります。 このような状況にかんがみまして、昭和三十五年度の財政投融資計画において、政府は、日本輸出入銀行の融資見込額を七百二十億円と推算し、このため必要な資金として同行に対して新たに三百六十億円の資金を供給することといたしたのでありますが、その後、本年度に入りましてから、プラント輸出の増加等によりまして、同行に対する資金需要は予想以上に旺盛となり、年度内に資金不足を生ずる状況となって参ったのであります。この資金不足を補てんするため、同行の収支状況をも勘案し、昭和三十五年度補正予算において、産業投資特別会計から同行に対して新たに百二十五億円の出資を行なうことといたしたく、現在御審議を願っている次第でありますが、これに対応しまして、日本輸出入銀行法の一部を改正して、同行の資本金四百五十八億円を百二十五億円増加し五百八十三億円とする必要があります。 次に、昭和三十六年分の給与所得等に対する所得税の源泉徴収の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 政府は、税制調査会の答申を基礎として、平年度一千億円以上の減税を行なうことを目途に、現下の情勢に最も即応した昭和三十六年度の税制改正を実施いたしたいと考えております。このうち、国民の期待の大きい所得税の減税は、昭和三十六年分の所得から行なうこととし、来たる通常国会に所要の法律案を提出する所存でありますが、特に給与所得及び退職所得につきましては、あらかじめ明年一月以降に源泉徴収を受ける税額から減税の利益が及ぼすことが適当であると考え、ここに本法律案を提案いたした次第であります。 本法律案の概要を申しあげますと、昭和三十六年一月一日から三月三十一日までの間に支給される給与所得及び退職所得につきましては、明年度において改正を予定いたしております控除及び税率に基づいて計算した源泉徴収税額により源泉徴収することといたしました。すなわち、この源泉徴収税額は、配偶者控除の創設、扶養控除の引き上げ、給与所得控除の拡充、税率の緩和及び退職所得の特別控除額の限度の廃止を織り込んで計算いたしておるのであります。配偶者控除につきましては、七万円の扶養控除にかえ、新たに九万円の控除を行なうこととし、扶養控除につきましては、十五才以上の扶養親族につき、現行の三万円の扶養控除を五万円に引き上げ、給与所得控除につきましては、新たに一万円の定額の控除を設けるともに、税率につきましては、七十万円未満の所得に適用される税率の緩和を行なっております。さらに、退職所得の特別控除額につきましては、従来退職者の勤続年数及びその在職中の年令に応じて計算し、その額が百万円をこえるときは、これを百万円にとどめることとしていたのでありますが、この百万円の限度を廃止して退職者の勤続年数に応じて計算した特別控除額をそのまま控除できるようにいたしたのであります。 このような諸控除及び税率の改正によって所得税の負担は相当に軽減されるのでありまして、夫婦、子三人の給与所得者を例にとってみますと、現在月収二万七千三百二十七円までは所得税を納めなくてもよいのでありますが、今回の改正により、これが月収三万二千五百二十二円まで引き上げられることとなり、月収四万円の場合には、月千百七十円の税金が六百五十円となって、約四十四%軽減されることになるのであります。 以上、本法律案の大要を申し上げたのでありますが、これらの改正により、源泉徴収の所得税は昭和三十五年度において約五十八億円の減収となる見込みであります。 最後に、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 この法律案は、日本専売公社製造たばこの最高価格を定めている価格表の一部を改正するものであります。 その概要を申し上げますと、まず、日本専売公社におきましては、十本当たり三十円級の「光」、「パール」の売上高が次第に減少の傾向にありますので、これを補うため、消費者の嗜好等を考慮の上、昭和三十五年五月一日から新たに両切り紙巻きたばこ「スリーエー」を試製して販売中であります。また、従来フィルター付紙巻きたばこで国産のものは「ホープ」だけでありましたが、諸外国におけるフィルター付紙巻きたばこの売り上げは年々増加し、わが国でもフィルター付紙巻きたばこの発売増加を要望する声が強いので、この要望にこたえるとともに、専売益金の増収をはかるため、昭和三十五年六月二十日からフィルター付紙巻きたばこ「ハイライト」を試製して販売中であります。「スリーエー」及び「ハイライト」はいずれも売れ行きが良好でありますので、今後継続して販売するため、これらを価格表に追加しようとするものであります。 次に、黄色種葉たばこの配合割合の実情に顧み、この機会に日本専売公社製造たばこ価格表の品質欄中「ピース」については黄色種葉たばこ五〇%以上とあるのを六〇%以上に、「光」及び「ホープ」については黄色種葉たばこ五〇%以上とあるのをそれぞれ五五%以上に改めて、これら製造たばこの黄色種葉たばこ配合割合の最低限度を引き上げることといたしました。 また、現在試製販売中の「ハイライト」の型式は内周二十六ミリメートルとなっておりますが、昭和三十六年四月一日以降日本専売公社が小売人に売り渡す「ハイライト」の型式は、内周を諸外国のフィルター付ロング・サイズの紙巻きたばこと同様の二十五ミリメートルの規格に改め、一方品質においては、黄色種葉たばこの配合割合の最低限度を五〇%から五五%に引き上げることにいたしました。 以上が、この法律案の提案の理由であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
○足立委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 —————————————
○足立委員長 続いて質疑に入ります。 堀昌雄君。
○堀委員 大臣がまだなかなかお見えにならぬようですから、ちょっとそれまで村上財務調査官に少し講義をしていただきたい。よろしくお願いいたします。 実はきょうのいろいろなあとの問題に関連のありますことで少し伺っておきたいのは、一昨日以来本会議でも論議がされております問題との関係もございますが、米国経済の最近の実情について、四半期別のデータを、一つ年率で、設備投資、在庫投資、個人消費、その中でも耐久消費というようなものについて、おわかりになっておる範囲で承りたい。
○村上説明員 アメリカの最近の景気動向につきましては、この夏以来やや停滞の傾向にございます。そのある程度の資料はここに持ち合わせておりますから申し上げます。 まず、国民総生産でございますが、この第一・四半期におきましては、待望の五千億ドル台の年率を実現いたしまして、五千十三億ドルというふうな数字を示しました。それから、次いで第二・四半期に入りまして、さらにその水準が少し上昇いたしまして、五千五十億ドルという水準に達したのでありまするが、第三・四半期にはやや停滞の感がございまして、五千三十億ドルと減少いたしております。 個人消費支出につきましては、アメリカの景気停滞の大きな原因である住宅とかあるいは自動車購入とかいうふうな耐久消費財の需要というものは、いわゆる可処分所得におけるそうした年賦償還の金額が非常に大きくなっておりまして、その関係から停滞を示しておりまするけれども、一般消費財につきましては、これは依然として、需要の状態は順調でございまして、それらを総合しまして、個人消費支出は第一・四半期の三千二百三十億ドル台から、第二・四半期には三千二百九十億ドル台というふうに上がっております。第三・四半期も、この個人消費支出につきましては大体横ばいというふうな数字を示しております。 それから、民間の投資でございまするが、民間の投資は、これはいわゆるアメリカ景気の停滞の一つの原因になっておるところでございまして、第一・四半期の七百九十億ドルというものが、第二・四半期には七百五十億ドルと減少いたしまして、さらに第三・四半期には七百億ドルというふうな水準に落ちてきております。しかし、これを一九五九年、去年の例に比べますと、たとえば第二・四半期の七百五十億ドル台に対しましては、去年の第二・四半期は七百八十九億ドル台、わずか四%くらいの減になりますか、そういう程度の減少でございます。大体私の持っております資料からは、最近のアメリカ景気の情勢はそういうふうな数字になっております。
○堀委員 一番肝心な耐久消費財の部分にお触れにならなかったのですが、これは今お手元にございませんか。
○村上説明員 耐久消費財の需要だけを取り上げた資料を今持ち合わせておりませんが、御要望ならばあとで調べて差し上げます。
○堀委員 最近のいろいろな経済誌その他の伝えるところによりますと、実は、過般の臨時国会において、池田さんが、私どもの党の質問に対して、われわれが、アメリカの景気は下向に向かいつつあるのではないかということを申し上げたのに対して、アンダーソン財務長官が心配ないと言っているのだから、アメリカの景気は心配ないのだということを本会議でおっしゃったのは、まだ数カ月前のことであります。アメリカの景気の動向というものは、日本の経済には昔ほどの影響力はないかもわかりませんけれども、やはりこれを度外視して日本経済を考えるわけにいかないと思うのです。今のような指標から見ると、村上さんはそう心配はないのじゃないかと受け取れるような御発言のように承ったのですが、すでにもうアメリカのリセッションというものは始まっている。これが来年の上半期にはさらに深刻化するのではないかというふうな判断を持っておるのですが、これについてはいかがですか。
○村上説明員 アメリカの景気がこうした数字から現実に停滞を示しているという事実は認めざるを得ないだろうと思うのでありますが、だからといって、それを日本経済の立場から心配だと解するかどうかということについては、二つの点から検討を要すると思うのであります。一つは、アメリカの景気の停滞が今後どう発展するかという問題であり、アメリカの景気の停滞が日本の貿易構造というものとどういうふうに結びついておるかという問題、この二つの点から検討すべきだと思うのであります。前者のアメリカ景気の停滞が今後どうなるかということにつきましては、これはいろいろお説もあろうかと思うのでありますが、われわれの解しますところでは、最近における景気の動向がこれ以上非常に深刻化するというふうなことは読み取れないのであります。たとえば、大きな問題になっております在庫投資の問題につきましても、すでに相当調整過程は進み切っておる。従って、現在在庫が非常に低い水準にあるということは、遠からず需要面においてよい結果として反映してくるではないか。あるいはまた、アメリカの政府は最近において静かなる景気対策というようなことをやっておりますが、アメリカの政府筋は現在のアメリカの景気に対してあまり深刻に考えないということから、表面は停滞ということをあまり認めることをがえんじないようでありますが、そのかわり、たとえば公共投資を繰り上げてやるとか、そういう財政支出の面からの需要振起策、あるいは公定歩合の引き下げというふうなことから、着々として対策を打っておるようでありまして、大体一般の見解としては、来年下半期には再びアメリカの景気は上昇に向かうのではないか。で、それまでの過程において、たとえば来年度の上半期においても現在の停滞現象が非常に深刻化するというふうには考えておらぬということのようであります。で、われわれもこうした説に対してその理由を了解できるのでありまして、こういう点から見ますと、アメリカの景気停滞そのものが今後非常に深刻化するというふうなことは、まず第一点の問題として考えられない。それから、第二点の問題として、アメリカの景気停滞と日本経済の関係でございまするが、御存じのように、日本の対米輸出の相当部分というのは非耐久消費財の商品でございます。で、この非耐久消費財の商品というものは、過去の実績に徴しましても、アメリカの景気の消長とあまり変わりなく順調に従来の輸出面では増大しておりますので、確かに耐久消費財の需要というふうなものには相当な景気的な消長の波があるかと思うのでありまするが、非耐久消費財を主とする日本の貿易にはそう大きな影響はない。御存じのように、ことしになりましてから日本の輸出は相当伸びておりますけれども、その伸びておりますいわば機動力になっておりますのは、東南アジアあるいは西欧向けの輸出でありまして、アメリカ向けの輸出はすでにこの上半期におきましても微増という程度になっておりますので、今後その面の影響がアメリカ景気の停滞に関する限りそう深刻に日本の貿易を脅かすというふうなことはなかろうか、こういうふうに理解しております。
○堀委員 まあ今のお話は、アメリカの問題をただアメリカと日本という関係だけでごらんになれば、私は多少そういうことが言い得るかと思うのですが、資本主義社会全体として見た場合におけるアメリカの影響力というものは、直接的なものもあるけれども、間接的なものもある。結局今問題になっておりますところのドル防衛の問題一つにしてみても、これをアメリカ経済の今後の消長というものとは決して切り離して考えることはできないということになってくると、少し全体として村上さんのお考えは甘いのではないか。第一、私どもはこのいろいろな政策を今後考えていく場合に、可能性の極限というものに対するかまえが必要なのではないか。そうすると、アメリカ経済は一体来年度はどこまで落ちていくという見方がされておるのか。もちろんそれは今後の見通しの問題でありますから、それが変更されることは十分考えられますけれども、最悪の場合にはここまでいくということに対応するだけの私たちのかまえ方というものが少なくとも整えられていなければ、責任のある政治を今後やっていくわけにはいかないのではないか。そうすると、今の場合に、上半期は少し停滞をするであろうけれども、下半期になれば持ち直すであろうというお話でありますが、そうすると、その上半期の落ち込み方というものは、これはさっきおあげになった指標のGNPで出していただいてもけっこうですが、一体どのくらいまで上半期は落ち込むと予想されておるのか。そのくらいに落ち込んだ場合に、それが何を機動力として今度は上向きに転じてくるのか。それは単に在庫調整だけの問題にそういうふうにいくのか。実質的には、私はやはり一番需要構造の変化というものがアメリカの中にあると思っておるのであります。第一、鉄鋼の今の操業率は大体五〇%くらいのところにきているわけでありますけれども、では、この鉄鋼の操業率の五〇%が来年度の下半期には一体何%まで上がり得るか、それをささえるものが一体何なのかということについて、何らかの的確な判断を持たずして、何となく下半期は上がるであろうなどというような予測では私は承知できないのです。そういう面で、もう少し具体的に、GNPとして見ると、来年度はアメリカは大体どこらまでは下がるかもしれない、それが今後上昇に転ずる場合の機動力になるのは一体はっきりいうと何かという——特にアメリカの生産関係で大きな比重を占める鉄鋼生産についての操業率は、もし上がってくるとすれば、それを押し上げる力は一体何に求めるのか、こういうふうな点について、もう少し具体的な御説明をいただきたいと思います。
○村上説明員 責任ある政治回答を私に求められて、まことに恐縮なのですが、おっしゃったように、来年度上半期のアメリカの景気が下半期の回復を控えてどの程度の状態になるだろうかということを数字で示せというわけでございます。私ども数字で示したいのはやまやまでございますが、これはなかなかむずかしいのでありまして、私が先ほど申し上げたように、日本経済にとって、もちろんそれは、アメリカの景気が悪くなるということは、過去におけるごとく、アメリカがくしゃみすると西欧がかぜを引くということはない。アメリカがかぜを引いても西欧はくしゃみ程度だということで、関係は非常に変っておりますけれども、それは確かに世界経済全体の流動性に影響するところがございましょう。しかし、御存じのようにアメリカ景気の停滞を示しましたこの夏以降におきましても、日本の西欧貿易は伸びておりますし、だから、そうした意味からいうと、われわれとしてはそう深刻に考える必要はないということを申し上げたのでありますが、その今後の程度いかんと言われましても、私としてはそう深刻なものにはならないということを申し上げるだけであります。 ただ、景気が回復する場合の機動力には何がなるのだという問題でございます。これはいろいろな見方があろうかと思います。たとえば、政府の財政支出の増大、この面からの購買力の振起ということも一つでございましょう。また、鉄鋼の在庫がおそらく現在は千五百万トンを割っておるんじゃないかと思うのでございますが、この春ごろまでは、アメリカの鉄鋼の正常在庫は二千万トンを上回る程度のものと考えられておったわけであります。それは、いわゆるコパクト・カーというようなものが非常に生産の割合の大きなものを占めるに至って、鉄鋼の使用量が少なくなるとか、いろいろな問題があるかと思われるのでありますが、そういう影響はあるにしましても、現在の鉄鋼の在庫は、確かに現在の景気停滞に対応する企業のいわば自衛的措置の一つでありまして、今後これが在庫の調整というものが底をつきますと、そうした、たとえば財政支出の増大という、そういう需要増加の面が刺激されますと、在庫もいずれ正常な水準に返っていく。そうすれば、その在庫投資の面から鉄鋼に対する需要も上がってくる。こういうふうに、経済というものはいろいろな経済諸要素間の相関的な影響によりまして上がっていくわけです。そのすべての機動力の詳細について示せと言われても困りますけれども、いわゆる在庫投資あるいは設備投資というものが景気の回復期における非常に大きな誘因であるということから、そうしたものを刺激するような需要力喚起の政策というものがとられるに従いまして、アメリカの景気は回復してくる。説明せいと言われれば、こういうふうな構造的な関係になると言うべきであろうかと思います。
○堀委員 村上さんに伺う範囲がどこまでか私もよくわかりませんからあれですが、どうも大臣が一向においでにならないので、やむを得ずもう少し続けたいのですけれども、今のお話の中で、鉄鋼の正常在庫が一体今度幾らかということも、私はちょっと議論のあるところじゃないかと思います。これまでの二千万トンか一千五百万トンですか、減ってきた。今のこれが正常在庫かもわからないと思います。そういうことは、今あなたは財政で今度少し返るだろうという話をされましたけれども、アメリカの場合には、軍需支出を今後増大するとしても、その軍需支出は一応鉄鋼に結びつかない。おそらく研究投資とかそういう方向にはいくけれども、それが即鉄鋼需要に結びつくわけでもないし、最近の、今さっきおっしゃったような個人住宅にしても、耐久消費財にしても、これが下降しておるという現状から見ると、一体鉄はどこにそれほど出ていくのか。一体財政をふくらましてみたところで、鉄の需要自体に関係のない財政がふくらんでみたところで、これは鉄だけ一つとっているわけですが、やはり鉄鋼の生産というものは、その国の生産に非常に大きなウエートを占めておるわけですから、ちょっと抽象的過ぎて私は理解きないわけです。それはいいのですけれども、私が申し上げたいことは、さっきアメリカのGNPのおり方というものは、数で示しにくいとおっしゃったのですが、やはり、私どもは、何らかの皆さん方が今後の問題をお考えになる資料の整備ということについては、試算なりいろいろな見通しをお立てになっておるのではないかと思っておったわけです。だから、そういうことはおやりになるのかならないのか、そういうことも含めてちょっと伺っておきたい。
○村上説明員 われわれが日本経済の将来をいろいろ予測します場合に、それに関係のある世界経済の動向については、もちろん検討をいたしますが、その場合に、日本経済の見通しの場合のように、来年のGNPが一体幾らになるかということまでは考えておりません。それはばく然と五千億ドル台を割るとか割らないとかいう程度のことを考えるということはありますけれども、外国のGNPについて、一々日本の見通しと同じようなそういう数字をはじくというふうなことはやっておりません。 それから、政府の支出がふえたからといって、どうして鉄に結びつくのだということでございましたけれども、これは私もそう申し上げたわけではないので、もちろん政府の支出がふえれば、それによって鉄鋼の需要もございましょうけれども、それがいろいろな他の経済諸要素に影響して、たとえば自動車の購入台数というものがふえてくれば、それはもちろん直接に鉄鋼の需要にもなります。あるいは、住宅の需要がふえて参りますれば、これも鉄鋼に関係があるわけであります。そういう意味から、私が申し上げたのは、要するにいろいろな経済の調整過程が大体終わっておりますときに、そういういわば景気を上昇に向かわせるような一つの誘発点に刺激を与えるというと、それによっていろいろな需要が伸びて参るということを申し上げたわけであります。
○堀委員 それじゃその問題はそこまでにしまして、これはちょっと大蔵省のどなたにお答えいただくのかわかりませんけれども、最近の米国の金の保有の実情、これについてちょっと教えていただきたいのですが……。
○賀屋政府委員 アメリカの金の流出の状況でございますが、ことしの十一月二十五日現在が百七十九億九千六百万ドルという数字になっておりまして、年初来の流出額は十四億七千万ドル程度、こういうことです。
○堀委員 私ちょっとわからない点があるのです。赤字の問題と金の流出の関係というのが、ちょっと私これまた不勉強でよくわからないのですが、大体第三・四半期の赤字は、年率にすると、国際収支で四十三億ドルの赤字ということになっていて、そして年初来の金の流出はやはり十四億ドルだ、こういうことのようですが、この関連は 一体どういうことになっておるのか、ちょっと教えていただきたい。
○賀屋政府委員 国際収支上の赤字は、一つは、大きく分けますと経営収支と資本収支とあるわけでありまして、御承知のように、貿易面の経営の面ではアメリカは輸出超過で黒字を出しております。それ以外に資本的な支出、つまり軍事援助でありますとか、後進国の開発援助のための支出が膨大な金額に上りまして、結局国際収支上の赤字を出しておるわけであります。その結果アメリカに対する債権というものが出てくるわけでありますが、それはまるまる金に対する需要という形には現われないわけでございまして、債権がふえましても、ドルの債権という形で持っている限りにおいては、必ずしも金として国から出ていくということにはならないのではないかと考えております。
○堀委員 そこで、ちょっと古いのですが、十月十九日現在の金保有高が約百八十五億ドルある。その場合に、比例準備制度から見て、法定準備高は大体百十六億ドルくらいあるべきだということにアメリカではなっている。これを差し引くと、実際の余裕というものは七十億ドルくらいしかない。しかし、この場合にアメリカの短期ドル債務なり短期債権というものがかなりあると思うのですが、大体これはどれくらい——どこでもいいのですが、そちらにある資料でどれくらいの関係になっておるか、教えていただきたい。
○賀屋政府委員 ただいまちょっと資料を持ち合わせておりませんので、後刻調べましてお答え申し上げます。
○堀委員 それでは、私の方でちょっとわかっておるのを——これがあれかどうかあとでお調べ願いたいのですが、大体短期ドル債務が百七十三億ドルで短期債権が三十億ドルだということに伺っているのですが、その中で、短期債務の内訳の中に、日本の短期債務が十五億ドルあるということになっておるのですが、この日本の短期債務の十五億ドル、それから日本の短期債権の五億六千万ドルというのは、一体どういう格好のものなのか、ちょっと教えていただきたい。
○賀屋政府委員 その日本の短期債務が十億ドルあるという点につきましては、私の方の資料がございませんので、どういうものを含んだ数字か、ちょっとお答えいたしかねますが、アメリカに対する債務と申しましても、為替銀行が持っておりますところの債務ということにいたしますれば、銀行からユーザンスを受けておりますとか、あるいは輸入のユーザンスの残高でありますとか、あるいは外銀から無担保借り入れをいたしております場合、そういったもの、その他こまかいものでは綿花借款ですとか、石油のスタンドバイ・クレジットとか、そういったものがあるのでございますが、はたしてそういったものを総計しまして十億という数字をおあげになっているのか。その点は私どもまだ検討を要する点だと思っております。
○堀委員 これは明日も委員会があるようですから、どこかで一つお調べ願いたいのです。私が知っている範囲では、短期ドル債務は百七十三億ドル、短期ドル債権が三十億ドル、要するに百四十三億ドルくらいのものは請求があれば払わなければならないものがあるように伺っておるわけなのです。その中には、西独なり、カナダ、イギリス、日本、イタリア、スイスというようなところの債務と、日本その他の債権とがあるということなので、これは一回お調べを願いたいと思います。 そこで、もう一つ伺いたいのは、今の日本の外貨保有が十七億九千万ドルとか八千万ドルとかいろいろ伺っているのですが、この内訳をちょっと教えていただきたい。要するにユーザンスとして大体どのくらいあるのか、それからユーロー・ダラーとしてどのくらいあるのか、ネットのドルとして一体どうなのかということです。
○賀屋政府委員 ごく最近、十一月末の外貨準備高は十七億六千万ドルでございまして、その内訳は金が二億四千七百万ドル、それから預金の形で持っておりますものが七億二千万ドル、それから証券の形で持っておりますものが七億九千三百万ドル、こういう形でございます。今外貨準備の中に、この短期債務が含まれておるようなお言葉がございましたが、ただいま申し上げました十一月末の十七億六万千ドルという数字は、政府なり日本銀行が持っております純資産でありましてこの中には、例のオープン勘定の残高でありますとか、それから為替銀行が持っております外貨、そういったものは含んでおらない数字でございます。従いまして、この十七億六千万ドルの内訳としてこの短期の債務があるという観念をいたすのは、理論的には誤まりでなかろうかと思うのでございまして外貨準備との関係においてそういうものがあるじゃないかということになりますと、今度は為替銀行が持っております資産というものも、片方にあるわけでございますので、為替銀行が負っております債務全部を直ちに不安定なものとして十七億から引くというのは必ずしも適当でないのでございまして、そういう意味におきましては、十七億六千万ドルというものはネットの資産でございます。その点を御了承いただきたいと思います。
○堀委員 そうすると、それは御説明でわかりましたが、それじゃユーロー・ダラーはこの十一月末で大体どのくらいなもので、ユーザンスの残高はどのくらいになっているのか、伺いたい。
○賀屋政府委員 十一月末におきまするロンドンのわが国為替銀行のドル預金は二億一千三百万ドルでございます。それから、ユーザンスの数字は、十月末でございますが、六億一千五百万ドルでございます。
○堀委員 そうすると、ロンドンの二億一千三百万ドルと預金の関係というものは、これは完全に切り離して考えていいことになりますか。この七億二千万ドルと二億一千三百万ドルは全然別個の勘定で見るのだということに理解してよろしいわけですか。
○賀屋政府委員 日本の為替銀行の支店がロンドンでドル預金を受け入れました場合に、そのドルの使い方でございますが、これはその貿易の関係の使途に充てる、現地で商社等に貸し付けるといったようなこともあるわけでございまして、大体日本に本支店勘定を通じまして解禁すると申しますか、ドルを回してくるという金額は、その約半分見当に当たっておりまして、それが、御承知の七月に創設いたしましたいわゆる自由円勘定というものの中に支店勘定名義として入っておるわけでございまして、これは直接には十七億何がしという外貨とは関係がないわけでございます。自由円に入りましていろいろまた運用するわけでございますが、何と申しますか、ドルとして使う予定のない、必要がない、さしあたり手元にドルの形で置いておく必要がないという場合には、モフに外貨を売ってくるわけでございます。そうしますと、そこで外貨の準備が増ということになってくるわけでございまして、直接十七億とロンドンで受け入れましたドル預金あるいはそれを解禁して参りましたものとは結びつきはないわけでございますが、言えますことは、そういった操作ができるということが、外貨準備をふやす一つの原因にはなっておる場合があるということでございます。
○堀委員 何か大へんよそのことのようなお話で、ちょっと私も納得できないのですが、為替銀行は勝手に自由円勘定にしたり、それをまたドルに入れかえたり、そうなったときには幾らか預金の中に入ってくるのだろうという話なんですが、皆さんの方で、一体このユーロー・ダラーの中からそういうメカニズムを通って入ってきておるものは幾らかということは、把握はしていらっしゃらないのでしょうか。さっき半分くらいは関係がある、こういうお話だったですが……。
○賀屋政府委員 数字で申し上げますと、自由円預金勘定が、十一月末で、円で申し上げますと六百三十五億円でございますが、そのうち興銀の本支店勘定に相当する分は三百八十五億円でございます。ドルに換算いたしますと一億七百万ドルということで、先ほど申しました二億一千三百万ドルのちょうど半分ということでございます。
○堀委員 そうすると、その一億七百万ドルというのは、今の七億二千万ドルの内側に入っておるということじゃないでしょうか。これはまた別個なのでしょうか。十七億六千万ドルの中の内訳の預金が七億二千万ドルあるとおっしゃった。この七億二千万ドルの中に、今の一億七百万ドルというのは入っているのじゃないですか。
○賀屋政府委員 その自由円預金勘定を通してモフに売ってきた分はもちろん入っておるわけでございます。
○堀委員 あなたは、さっきこのお話を伺ったときに、これは全然別建だとおっしゃったわけですね。メカニズムを通してこの半分はあるのじゃないか。外貨保有の十七億六千万ドルの中に入っておるのじゃないか。それとも、全然別個なものかと伺ったら、あなたはそれは別個だと言った。別個だというと、ほかにどこかにそれだけのドルがあるということになると、十七億六千万ドルというものは、その関係でどうなるか。私は全くおかしいと思う。そこでさっきの答弁はお取り消しになるか。要するに十七億六千万ドルの中の預金は——それは預金だと思いますが、七億二千万ドルの中に今の本支店勘定の一億七百万ドルというのは入っているんだということになるならば、私は一応それで了承します。どうなのでしょうか。
○賀屋政府委員 私が申し上げましたのは、外貨準備ができました十七億六千万ドルという準備の内訳としてのユーロー・ダラーを解禁してきた分があるというわけではございません。それは一つの原因であって、そういう操作を通してこの十七億六千万ドルというものができて、この十七億六千万ドルは、一つのネットの資産であるということを申し上げたのでございます。言い方がちょっとむずかしくて、よく御理解できなかったかもしれませんが、その一億七百万ドルをモフに売ったであろう、従ってそれが十七億の一部をなしているという点は、お説の通りでございます。
○堀委員 お話が非常に込み入っていて、これは普通に聞いたらわからなくなってしまうと思うのです。私が今申し上げておることは、なるほどメカニズムの中ではいろいろとそれは自由円勘定になり、その自由円勘定が本支店勘定の中に入ってきて、それが売られてドルになってきておるということになった場合には、これは原因とかなんとかではなくて、一貫した道筋としてそのドルになった部分は当然その外貨保有高の中に入る。原因じゃなくてこれは一つのメカニズムになっている、私はこう理解しております。だから、要するにユーロー・ダラーというもののあり方と、それから預金というもののあり方と、われわれの外貨保有というものとは完全に断ち切られておるものではなくて、それはなるほど関連はいろいろの経過を通ったにしても、とにかくユーロー・ダラーがどんどん引き揚げられる条件ができてきたならば、少なくともこの中で十七億六千万ドルの中からは、あなたのおっしゃったように最低一億七百万ドルというものは引き揚げられる可能性のあるものではないのか、こういうことを私は伺いたかったから、この点を少し詰めて伺っておる。そこのところをもうちょっとはっきりおっしゃっていただきたい。最初のお話では、完全な別建のようなお話でちょっと理解しにくかったのです。
○賀屋政府委員 厳密に理屈を申せば別と言って差しつかえないと思うのでありますが、つまりドル預金を受け入れまして、それを解禁したものが全部が全部モフ勘定に売られるということは、理論的には必ずそうだということではないのでございまして、手元にドルとして置いておいて貿易上の取引に自由に使う、そういう場合がありますから、今の一億七百万ドルが全部この十七億の内訳としてぴったり当てはまるということはどうか、こういうことを申し上げておるのでございます。それと、もう一つ、それではユーロー・ダラーがどんどん引き揚げられたら、内訳になっておるんだから必ず自動的にそこから出ていくかというと、そういうものではないのでございまして、ロンドンでユーロー・ダラーが引き揚げられますれば、これも理屈上のことでございますが、大部分はもちろん日本からドルを手当いたしまして送らなければならない事態は起こるかもしれませんが、また別に外地で向こうの銀行から融資を受けてドルの手当をするということもあり得るわけでございますので、そういう意味で別だということを申し上げておるわけでございます。
○堀委員 どうも今のお話はさらっと聞きにくいのですね。それはいろんな関連があって、シビヤーにこれとこれとがぴしゃっと一緒だということを言っておるのじゃないのですけれども、少なくとも一億七百万ドル——一億七百万ドルなのか八千万ドルなのかわからないけれども、とにかくこれが日本の十七億六千万ドルの中に入っておるということを私は確認しておきたいということなんです。全然入ってないというふうに私には最初聞こえたわけです。あなたの御説明を聞いておると、ユーロー・ダラーなりユーザンスは全然入ってなくて、ネットの保有でございますというふうに聞こえたから、私はそれはちょっとおかしいじゃないかということ。それと、もう一つ、今のお話で、ユーロー・ダラーがもし引き揚げられた場合には、よそからも借りられるんだというようなお話が出ました。それは借りられる可能性はあると思う。しかし、われわれのユーロー・ダラーが引き揚げられるような条件になった場合に、一体ほんとうによそから借りられるものかどうか。私は、そういう条件がもし起きたとするならば、やはりこれはこちらから持っていかなければならないのじゃないかと思う。その比重はどうなのか。そういう場合には、国内から持っていくよりも、よそから借りられる可能性が多いのかどうか。そこのところをあわせて伺っておきたい。
○賀屋政府委員 これは仮定の問題でございますが、かりにユーロー・ダラーが非常に大量に引き揚げられるということになれば、当然日本からドルを手当して送らなければならないということは予想されるのでございますが、若干の減少程度であれば、現地で外銀から融資を受けてその手当をするということはあり得るわけでございます。現に今申し上げましたロンドンの二億一千三百万ドルというユーロー・ダラーの十一月末の数字は、前月に比較いたしますと、千四百万ドルの減少になっております。これと直接必ずしも見合うわけではないと思いますが、同期間中無担保借り入れの残額が一億九百万ドルございまして、前月と比較いたしますと、千五百万ドルの増加ということになっておりまして、大体ユーロー・ダラーの減少額に見合う分だけ無担保借りがふえておる、こういう数字にもなっております。もちろん大勢としてユーロー・ダラーが大量にどんどん揚げられておるというような事態になりますれば、事態は別かもしれませんが、日常の取引上にはそういうことがあるわけでございます。
○堀委員 そこで、これに関連してですが、最近アメリカが金の流出で諸外国に対して公定歩合の引き下げをいろいろ要求しておる。それに伴ってフランスも下げたし、イギリスも下げたし、西独も下げた。そこで日本に対しては一体どうなのかということをついでに伺っておきたい。アメリカからそういう希望はないのですか。
○石野政府委員 そういう話は全然ありません。
○堀委員 これはあと横山さんがお聞きになる点かもしれないのですが、私ちょっと金利のことを伺いましたから触れておきますけれども、そうすると、今皆さんの方で考えていらっしゃる金利引き下げというものと、それから今のドルの流出という問題は、完全に別個のものだというふうに考えておられるのか。そこのところはどういうことでしょうか。
○石野政府委員 ただいま金利の引き下げの問題が取り上げられると申しますか、いろいろ議論になっておりまして、そういうような雰囲気がだんだん強くなっております。これは、ドルの問題が出て参ります前から、やはり貿易・為替の自由化が進むという場合に、日本の金利が高いと産業の資金コストも高い。それからまた、貿易・為替が自由化して資本取引が自由になれば、どうしても金利は国際水準に平準化すべき筋合いのものでありますから、そういう意味で、できる限り金利を国際金利水準にさや寄せしていく意味で、できることなら下げていくべきだ、こういう基本的な考え方があるわけです。そういうことで金融機関の方でもそういう問題として研究をいたしておりまして、ドルの問題が起こってきたので、従って外国から要請があって金利を下げる、そういうような性格のものではございません。
○堀委員 そこで、この中で、これは皆さんにお聞きしていいのか悪いのか私もよくわからないのですけれども、スイスは非常に全体として金利が低い。ところが、ここへもなかなかどんどん金やなんかがいろいろなことで流れていく。これは一体何が原因なのか。これは率直に教えていただきたいと思いますが、スイスは他の国と比べて著しく金利の低い国であるにもかかわらず、かなり資本なりいろいろなものが流れていくというのは何に原因があるのか。
○石野政府委員 ちょっと所管外かもしれませんが、私の想像のようなこともまじるかもしれませんが、とにかくスイスという国は安定した国だということで、特に非常に自由経済ということで為替活動も非常に自由な体制を続けておりますので、そういう意味でやはりスイスに金が集まるのじゃないかというように考えられます。
○堀委員 企画庁の中野調整局長がお見えになっておるようですから、ちょっとお伺いしたいと思います。 この前、十月十二日に非常に時間のない中で来ていただたいて、いろいろと例の経済九%成長問題をやらしていただいた中で、調整局長は、九%の問題もあるけれども、私どもは現実の中からの積み上げによって来年度の経済計算をやっていきたい、こういうお話があった。そこで、そろそろその来年度についての経済計算は相当固まってきたのじゃないかと思うので、今の来年度に対する経済計算をおやりになる場合に、今度のドル防衛に関連するいろいろな要素というものはどういう形で考えられているか。来年の国際収支にいろいろなそういう面に関して経済計算をお立てになる場合に、この評価というか、そういうものについて一つお答えを願いたい。
○中野政府委員 来年度の経済見通しにつきましては、目下、企画庁を中心にいたしまして、関係省ともいろいろ連絡とりまして作業を進めております。大体の見通しといたしましては、今月の終わりごろに予算編成の方針といいますか、そういうものが立てられるとすればその直前ぐらいに、三十五、六年度の経済見通し及び三十六年度の経済運営の基本的態度というものを、毎年予算編成の前に作っておりますので、そういう段取りで今やっております。 それから、来年度の見通しを立てる場合に、このたびのアイク声明あるいはハーター長官のICAの域外調達の停止というふうな一連のアメリカのドル防衛の対策というものの影響につきましては、もちろんこれを、現在の段階で、われわれの手でわかる限りの影響は織り込んで作るつもりでおります。これはいろいろの方面に響くわけでありますが、直接に響きますのは、まず来年度につきましての軍関係特需であります。狭い意味でのICA輸出をのけた軍関係特需にどの程度響くか。それから、もう一点は、貿易外の収入の方に響いてくるわけであります。それから、もう一点は、ICAの輸出、これが昨年で一億ちょっとございまして、片方の軍関係のものが三億幾らかございます。この輸出にどういうふうに響いてくるか。いずれにしましても、来年度は、アメリカの景気後退といいますか、景気の調整過程に入っておる。一部には通説としては来年の下期くらいからは景気は上昇するのじゃないかと言っておりますが、そういう意味合いから、対米輸出等もことしほどは伸びるかどうか、そういう点も十分検討しまして、そういう点もあわせまして、輸出面に対する影響、それから国際収支としては貿易外の収入にどう響くかということで国際収支がどうなるか、それから輸出面にどう響くかということで、国民総生産にどういう影響があって、はたして九%以上にいくのか、九%ちょっとくらいにひっかかるのか、そういう点は十分検討していくつもりでおります。
○堀委員 最近新聞で伝えられておるところによりますと、大体ICAで六千万ドル、その他で六千万ドル、一億二千万ドルぐらいではないかというようなことが新聞に出ております。しかし、これだけ減ってもやはり乗数効果で相当需要というものが減ってくると考えなければならないのじゃないか。それだけにとどまらず、これは非常に広範になってきますけれども、輸出がこれまでは日本のシェアが大体満足な状態でいっていたのだということでありますが、今後やはりそのシェアがはたして守られるかどうかということにも問題があると思う。今度は逆向けに輸入の面で見ましても、自由化というものがこの間の本会議の答弁ではこのくらいでやりたいのだということですが、はたしてそういうようにいくかどうか。私は、どうも、来年のIMFの総会では向こうからコンサルテーションが出てくるのじゃないかというようなことをいろいろ考え合わせてみると、この間十月十二日にいろいろとここで議論をいたしましたけれども、必ずしもあのような楽観的な見通しの上で来年は問題が処理できにくくなるのじゃないか。これまではどっちかというと企画庁のいろいろな予測が非常に下回る傾向があったことは、私ごとしの予算委員会においてもちょっと御指摘申し上げたのですけれども、しかし、今度は池田さんたちを初め水田さんいずれも非常に強気の方たちで、皆さんのしりを大いにたたいておられることでしょうが、そういうときには、今度こそ少し内輪でないと、これと重なったような格好であると、やはり日本経済を誤る点が非常に出てくる。こういう心配があるわけです。そこで、さっきの一億二千万ドルは、これはわかりませんが、その程度であった場合には、今の状態では池田さんのおっしゃるようにもう日本の経済には影響ないのだ、そのくらいは簡単に乗り越せるのだというようなお話ですが、具体的にはしかし需要が減るわけですから、その需要は一体どこで伸ばすかということを考えなければ、そう簡単にいかない。その乗数効果が起きてくる需要減は一体どのくらいにお考えになっておりますか。
○中野政府委員 今度のドル防衛によって直接どのくらい国際収支に響くかということは、いろいろ関係の事務当局では事務的に計算をいたしておりまして、たとえば、先ほどちょっと例に申されましたが、一億二千万ドルというときの基礎にはICAが半分くらい、それから円セールと言っています例の軍人とか軍属の家族の個人消費のようなPXで購入するとかというようなものが四千万ドル、それから、軍預金振り込みと言っておりますけれども、軍機関の調達するものでございますね、それが二千万ドルぐらい響くのじゃないか。これはごく事務的な計算でございますが、そのようなことで、それ以上にいくというのもあるし、いや一億ドル以内にとどまるという見方もございまして、もちろんまだ最終的にはきまっておりませんが、いずれにしてもその程度の影響であれば、これは御指摘のようにそれによる乗数効果なり何かということでいろいろな影響はございますが、国民総生産全体の伸びというものからいうと、そんなに大きいパーセンテージを占めるわけじゃない。しかし、それはそれだけにとどまらず、世界経済の動向が今後どうなって、いくかというようなことで、また日本側としても打つべき手はある。また、特にわれわれが強調いたしたいのは、輸出振興等については、この際一段とやはり今まで以上に努力をせにゃならぬじゃないか。政府としても、当然これは対策をいろいろ考え、そうしてできるだけそういうもののカバーもやっていって、影響が少ないように手を打っていくというような、対策面のことも考えまして、見通しを立てるということにして、慎重に検討を加えておる現段階でございます。
○堀委員 実は大臣が今お見えになったので、約一時間ばかりアメリカの経済情勢からいろいろと金の問題について話をしてきて、これは実は大臣に初めから聞いていただいておって大臣のお考えを承るつもりでいたのですが、まああなたがお見えにならないし、ともかくつないでくれということで、肝心なところを水田さんに聞いていただいてないので、ちょっと残念なんですが、これからもう少し申し上げて、少しお考えを聞きたいと思うのです。 実は、この間からの池田さんの演説、いろいろお話を聞いておりますと、今度のドル防衛問題に対して、この間出ました七カ条ですが、大体あれが中心的に取り上げられていて、それから起こるところの一億数千万ドル程度のものは大したことはないのだ。きょうも石村さんの質問に対してそんなものは乗り越えられるのだというようなお話で、昭和二十八年には特需が八億ドルあったけれども、それが今五億ドルぐらいに減った、それだけ減ってきたけれども、生産は非常に伸びたじゃないか、これを乗り越えるためには、とにかく経済成長をやるのが特効薬だというようなことをさっきお話しになった。これは本来なら私池田さんに伺いたいのだけれども、池田さんにここへ来ていただけないから、それのかわりに財政の担当者である大蔵大臣に伺いたいわけですが、実は私はこの問題について非常に重要な点があると思うのは、これはアイゼンハワー大統領が十六日に米国の国際収支の現状に対する報告を発表されたときの中にあるのですが、いろんな基本的な問題、これは年頭教書の中にもすでに出されておる問題のようでありますが、国際通商に関する問題、国際金融に関する問題、国内経済に関する問題、こういうような問題についていろいろと今後のアメリカのドル防衛に対する問題を提起して、そのあとに、これらの処置が検討される間、政府として早急実施する処置として次のように指示するということになって、今度出ましたあの七カ条ですか、そういうものが書かれておる。ですから、ドル防衛については、今非常に論議をされております当面出てきたICAの問題であるとか、円セールの問題であるとか、JPAの問題であるとかいうのは、その基本的なものを整備し、処置を検討し、準備をするまでの間の早急に実施する処置としてだけ出てきておるのだ。実はこれは氷山の一角であって、ドル防衛に対するアメリカのいろいろなかまえ方というものはしかく簡単なものではないというふうに私は考えておるわけです。 そこで、一つ大蔵大臣に伺いたいのは、一体氷山の一角であるこれと氷山の本体というものは大体どのくらいに考えておられるかということを、最初にお尋ねしたい。
○水田国務大臣 指令が具体化しないからまだはっきりしませんが、ただあの七項目以外にも影響が出てくるだろうということも当然考えております。しかし、問題は、低開発国のいろいろな援助にしましても、アメリカがある程度ドル防衛のために手を抜く、そのかわり外貨を持っている国がそれを肩がわりして援助しろということは、この夏以来のアメリカの考え方で、IMFの総会のときにも、すでにアメリカは、ドイツに対して、いたずらに外貨をためていることが能ではないのだ、それを使わないのはけしからぬのだ、こういうものをどんどん他国へ出すことによって世界貿易の拡大をはかるということは、ドイツのこれからの義務だというようなことまで言って、こういう問題に対するアメリカの考え方をあのときにすでに示しておったわけでございますが、そういう方向でアメリカが今後いろいろ出てくるだろうということはわれわれにも予想されております。そうしますと、そういう方向にきても、ドイツ、イギリス、西欧の外貨を持った工業国がそういう方面でみんなが協力するという態勢をとるのなら、アメリカのこういう措置によってすぐに世界の不景気を来たすとか、世界経済の縮小というような方向は避けられる事態になるだろうと私どもは見当をつけています。ですから、これは将来どういうふうになるかわかりませんが、これは各国が協力することによって世界経済の規模を縮小するというような方向にいかなくても済むだろうということをまず私どもは想像していることが一つと、それとは別に、あの措置によって直接日本へどういう影響がくるかということは一応分けて検討しているつもりでございますが、直接日本への影響というようなものは、今までいろいろ答弁いたしましたように、いずれにしろこの三十五年度、本年度の日本の国際収支に影響を与えるようなことはないということは、もうはっきり言えようと思います。三十六年度でございますが、もう事務当局からいろいろ話があったかもしれませんが、これは相当の影響があることも今検討しております。が、この影響がフルに出てくるというのは、大体日本に関する限りは三十七年度以降ということになろうと思いますので、私どもはこれに対する対策はもちろん万全を期すつもりでおりますし、三十六年度に急に現われてくるだろうと予想される影響につきましても、まだ各項目の具体的な米国政府の措置というものが示されておりませんので、正確な把握はできませんが、きょう参議院で言いましたように、日本の域外買付を停止する、停止したあとで全部これは米国品に置きかえるかというとなかなかそうもいかないので、そこで日本などはそれにかわって、たとえば東南アジアの国が必要とするものを日本に求めろ、日本はそれを売ってやれというふうに、商業ベースにおける輸出という形で日本が今後めんどうを見なければならぬ問題が出てくるだろうと思います。これは相当日本が援助の意味を持ちますから、条件は今までのような商業ベースによる条件でない、もう少し条件のきついもので日本が見てやる必要があるという事態が起こるかもしれませんが、そうならそれに対処する方法をこちらでとっていく限りは、打ち切られたものがそれだけすぐに日本の国際収支に響くのか、それにかわる別の輸出という形で、別の方からその需要が出てくるかというようなことを見きわめないと、この影響がはっきりしないというようなものもございますので、かりにそういうものを見ないで考えても、三十六年度、来年度における国際収支を私どもが予想しましても、日本の経済が、今まで経済の成長に従って伸びてきた輸入のふえ方を一応やはり今まで通り一一%程度輸入がふえてもいいという確保力を持つということだったら、経済成長にそう影響は与えなくて済むでしょうし、輸出も従来通りの伸び方をする。かりに一〇%なら一〇%の輸出増というものを確保する措置をわれわれがとり得るとするなら、やはり来年度においても経営収支で赤字を出さなくて済むところまでいく。そうすれば、総合収支においては、まだ来年の見通しははっきりはいたしませんが、二億ドル以上の黒字というものを確保できる。黒字基調を続けられるというような見通しも立ちますので、そういう意味から、私どもは、まだ、これによってすぐに日本の経済成長政策を変更しなければならぬとか、この措置だけで日本の国際収支が全く狂ってしまうというふうに考えなくてもいい。対処策はいろいろこちらにもあるというふうに思って今まで答弁したというような事情でございます。
○堀委員 お話が少し抽象的なんで、私少し具体的にいたします。アイゼンハワー大統領が、オーガスタですか、十六日に発表しました中に、一番目に 一、国際通商=(A)外国、特に経済的強国に対し関税引き下げ、輸入割り当ての緩和、対米輸入制限の廃止を関係諸国に強く要望し、米国の商品、サービスの輸出上特に障害となる内国税その他の廃止についても要望する。 (B)必要に応じ輸出助成措置を講ずるなど輸出増強に万全を尽くす。 二、国際金融=(A)友好諸国に対し、自由世界の安全を維持するための費用を十分に肩代わりするよう要請する。 (B)西側先進諸国に対し低開発国向け長期開発融資を増額するよう強く要請する。 これはそちらにございますか。——ございますね。それを私読み上げませんが、こういう項目について、これが実施に移されるということは私は明らかな見通しだと思うのです。それが今おっしゃるように非常に具体的な問題ということにはおそらくまだなってない、向こうも検討中だと思いますが、しかし、予測されるものは私どもはこの際十分これに対応して考えていかなければならない。やはりこれが今度のドル防衛の本物であって、さっき申し上げたように、今出ました七カ条というのはそれのつなぎ的な緊急処置だというふうに私は見ておりますので、この項目について一つ政府の御見解を承っておきたい。一つずつそれを読んで参ります。「外国、特に経済的強国に対し関税引き下げ、輸入割り当ての緩和、対米輸入制限の廃止を関係諸国に強く要望し、米国の商品、サービスの輸出上特に障害となる内国税その他の廃止についても要望する。」これについてはどうでしょうか。
○水田国務大臣 要するに貿易自由化のもう一段の推進ということを意図しているのだと思うのですが、この問題は、すでにことしの七月以来日本の政府の今持っておる自由化のプログラムについては相当の検討をして、ある程度日本の特殊性というものを認めておるという事情になっておりますし、また最近ガットの会議でも日本からもいろいろな問題を出しておりますし、向こうも、たとえばアメリカが一番関心を持っている大豆のごときも、日本の関税引き上げについての了承を向こうがしているというようなことで、最近までこの問題を中心としたいろいろの折衝をやっておりますので、私は、あの限りにおいては、そういう大きい変化が日米の間ではあまりないで済むだろうと思っています。ただ対米差別品目だけはもとから米国の強い要求でございますし、これは御承知の通り十品目のうち八品目はすでに解決している問題ですから、あとの二品目の差別撤廃を日本が急ぐというようなことは当然やるべきであろうかと思っておりますが、全般としては、日本のあの自由化計画を、すでにアメリカだけでなく、世界の各国が了承しているということになっておりますから、私どもは、それとは無関係に、日本自体として無理なく急げるものは急ごう、これは最初からの方針でございますので、その検討はまたいたしますが、これによって特に日本があの計画を変えられるというような事態ではないだろうというふうに考えています。
○堀委員 今、対米差別十品目に限ってお話があったのですが、私は、それだけに限って問題を把握しておられるのは、ちょっと少し甘いのではないかと思う。やはりこの中で書かれておる関税の引き下げ、輸入割当の緩和、対米輸入制限の廃止ということになると、私は、もう一歩前進したものであって、その程度のことならここであらためてこういうふうに出してくるほどのことはないのではないか。やはり十一月の十六日にこれが発表されたということは、九月の終わりか十月に大臣はアメリカにおいでになりましたが、そのときの情勢とはさらに深刻なものがあるという評価の上に立って、おまけにこれが大体民主党のケネディたちとの話し合いの上で発表されたということが伝えられておるというようなことから、私はもう少しきびしいものではないかと思いますが、それはそれといたしまして次に、「必要に応じ輸出助成措置を講ずるなど輸出増強に万全を尽くす。」とありますが、これは私はやはり相当大きな問題になるのではないかと思います。特に日本では今いろいろな電気製品なんかが相当出て、いろいろしておりますけれども、アメリカがやはり本気になって輸出トライブをやるということになれば、これは、今これまでのいろいろな答弁を伺っておるうちのように、日本の輸出が手放しでこれまで通りいくとは考えられないのですが、この点については、その影響とそれに対する対策というものはどういうふうに考えておるのか、ちょっと伺いたい。
○水田国務大臣 御承知のように、アメリカヘの輸出が去年一年で五割も伸びたというようなことから、非常に日本の輸出増が目立ったために、米国の業者を刺激した事実はございました。そのために、自主規制というような形で、今後一度にどっと米国市場へ日本の商品輸出を伸ばすというようなことは、日本側も少し自重しようというような話し合いから、そういう自主規制というような形で調整しておりますために、今年度は米国への輸出というものはそう御承知のようにふえない。日本の輸出は反対に欧州、東南アジア方面に伸びる、またそちらへ伸ばすという方針を私どももとって、きょうまできたといういきさつもございますので、すでに米国へだけ特に輸出を伸ばすというようなことは、私どももある程度自制しておったということでございますので、この点もこれ以上日本商品の輸出を規制するというような方向で向こうが出てくるかどうかは、もう少し推移を見なければ今のところわからないと思っております。
○堀委員 これはアメリカに対する日本の輸出の問題ではなくて、アメリカが輸出助成措置をやって、アメリカの輸出をミューラー長官によればさらに三十億ドルふやす。昨年はたしか五十億ドルのプラス、黒字だったのを、さらに三十億ドルくらいふやすのだということとのつながりだと私は理解しておるのですが、その場合における日本の輸出との関連ですね、それと日本の輸出に対する対策というようなものを伺ったわけです。それはどうなのですか。
○水田国務大臣 今各国が日本に自由化を迫っておりましても、日本としてはそれならみんな日本品の差別待遇をやめるかということで、各国がやめてくれるならば、日本の自由化のやり方もまだほかにあるというふうに、条件を平等にすることを私どもは今主張しておるときでありまして、日本がいろいろな輸出奨励をすることがこのガットの精神に反すると言ってやられておるときですから、米国がもしそういうような方向で来るということは、従来の主張には反しておることでございまして、そういう輸出競争が起こるというのでしたら、またこちらにいたしましても、輸出を伸ばすために各国がやる程度の助成策は日本もとってやるというような事態になるだろうと思います。おそらくこれは逆行ですから、そういう方向にはならないと私どもは思うのですが、これは相手方の出方によって私どもが考えるべき措置でありまして、今のところはまだ何とも言えません。
○堀委員 次に「国際金融」として「友好諸国に対し、自由世界の安全を維持するための費用を十分に肩代わりするよう要請する。」これは西独に対してはすでに駐留軍費の肩がわりの要請があって、西独は強くそれを断わっているというような実情のようですが、これは単に西独だけではなくて、こういうことになると日本の場合にもそういうことが起こるということを予測する必要があるかもしれない。そういう場合における考え方は一体どうなりましょうか。
○水田国務大臣 たとえば安保条約による分担金の問題ですか。
○堀委員 そういう格好のものになるでしょうね。
○水田国務大臣 そうだとしますと、私は、安保条約をこの間お互いに改定したばかりであって、日本は分担金を払わないということがきまったばかりでございますので、すぐに日本に復活要求がくるという事態はないだろうと、今のところは思っております。
○堀委員 その次に「西側先進諸国に対し低開発国向け長期開発融資を増額するよう強く要請する。」これはきょう議題になっておりますところのIDAにも関係してくるのじゃないかと思うのですが、このIDAの問題。それから最近話題になっておりますDAGの問題——これはIDAの方はよろしいですが、DAGの方については一体どういうことになっておるのか、事務当局から答えていただきたいと思います。
○賀屋政府委員 DAGつまりOEECの一つの下部機構でございますが、これは後進国の援助を各国がいたしますにつきまして、その総合調整をやろう、こういう趣旨のもとに、今年三月第一回の会合がありまして、七月に第二回、それからワシントンでIMF総会のあと第三回をやりました。こういうようにきわめて活発に意見を交換いたしておりまして、これは十カ国参加いたしておりますが、大部分がヨーロッパの国々でございまして、東洋の国といたしましては日本のみが参加を認められておるのでございます、この会議は今申しましたように一つの総合調整機関であるということでございますので、この会議自体において決議をいたしまして、どこの国は幾らの援助を分担せよといったような各国別の援助の割り振りをきめる機関ではないのでありまして、今日までいろいろな問題を討議して参りましたが、たとえばタイド・ローンがいいか、アンタイド・ローンがいいかといったような問題でありますとか、第三回の私が出席いたしました会議におきましては、主として。プフレインヴェストメントの技術援助、つまり低開発国に対しまして投資をいたします前に、投資国がどのような技術的な援助をするか。たとえばこの国の一般的な経済状態でありますとか、あるいは投資を受けようとする具体的な計画についての調査、技術的に先進国が援助する方策とか、あるいは一国がやるのがいいか、あるいは多数国が共同してやるのがいいか、あるいはまた一定の基準を作りまして、その調査の結果が、直ちにたとえば世界銀行というような具体的な融資機関の役に立つようなものを作ることができるかどうかとか、あるいはいろいろな融資機関がダブって調査するのをどういうふうに避けるのがいいかといったような、どちらかといいますと技術的な問題についての討議を活発にいたしました。それから、もう一つ、本来総合調整の機関でありますので、どこの国がどのような援助をしておるかということを知ることが第一の前提になるわけでございますので、援助についての情報の交換の制度をどうするかということで、一つの情報の提供のホームをきめるといったような作業もいたしたのでございます。また、来年三月ころ、ロンドンで第四回の会議を開くことが予定いたされております。ここでは、主として低開発国に対する援助の条件はどういうものが適当であるか、いろいろな具体的な事情に応じてどういう場合にはどういう援助、どういう場合にはどういう形なりあるいは条件なりの援助をするのが適当であろうか、そういった問題を議論し合おう、こういうことなんであります。大体DAGの件はその通りであります。
○堀委員 そうすると、今の項目に直接関連してこない部分の方が私は多くなると思うのですが、われわれに予測されるところの低開発国に対するそういう肩がわりを要請されるような長期融資というものが当面ありますか。これからアメリカから要請されるもの……。
○賀屋政府委員 指令にありますように、後進国援助について今までのようなアメリカにまかせ切りということは、最近のアメリカの事情から、特に自由主義諸国間の協調を保っていく上において、考え直さなければならないということになったわけでございますが、実は指令が出ます前からもそういう空気はあったわけでございまして、私どもも、一方では外資の導入に努めておりはいたしまするが、他面東洋における一つの先進国といたしまして、東南アジアその他の低開発国に対しての援助を、自分の国力の許す範囲内で積極的に進めていこうという考えはすでに持っておりました。その現われ——実はDAGに加入いたしましたのも、それから最近、インド、パキスタンに対する債権者会議これは英、米、カナダ、西独、日本の五カ国で開催されておりますが、こういった会議に積極的に参加いたしましたのも、実はそういう考え方の現われでございまして、従いまして、この指令によってどの部分をどう具体的に肩がわりをしてくれということは、もちろんまだ正式な通告もございませんし、おそらくそういうことはないと思うのでございますが、従来以上にこの援助についての態度と申しますか、方針を固めまして積極的にやるということは、これはアメリカから言われるということも、一つはこういう指令の現われでもあろうかと思いますが、実は前々からもそういった考え方で進んでおったわけでございます。本日御審議願いますIDAに加盟をいたすのも、そういった趣旨からでございます。
○堀委員 そこで、IDAのところをちょっとお伺いしたいのですが、IDAの出資は、今のところは定められた形のものになるのではないかと思うのですが、今お話を聞くと、当面すぐにアメリカの海外援助を肩がわりするようなものは具体的にはちょっと見当たらないんじゃないか。ということになると、IDAの今の出資十億ドル、われわれの方では当初現金で六億ですか、それと国債で二十一億ですか、幾らかを出資することになっておるようですが、今後に相当急速な出資金の増加を要求されるようなことになるのではないかという感じがするわけです。ほかには肩がわりをさせようといっても具体的にはないのですね。これをここに肩がわりさせようというものがちょっと見当たらないような感じが私はするのです。そういう場合にやはり問題になりますのは、出資のあり方について——もちろんIDAの出資ですよ。IDAの出資というものは、こういう意味でわれわれももちろん必要だという部分もあるとは思いますけれども、ここへ出ていく金というのはほとんどただのような格好で諸外国に貸されることになる。そこで、国内では、御承知のように、これは経済の問題を見ますと、世界的に先進国と後進国があると同じように、国内にも私は先進性の部分と後進性の部分があると思う。そうすると、国内の後進性の部分は、二重構造の下部は非常に高い金利で金を借りておる。大体この前ちょっと見ましたら、市中銀行の貸し出しは、従業員が千人以上のところに対して八割とか九割とか貸し出されておる。市中銀行なんというものは中小企業にはほとんど貸し出しをしていないという資料があったように思うのであります。ですから、この人たちは相互銀行とか信用金庫とかいうところで借りている。そうすると、これは歩積みと両建になると、年の利回りが二割を越えるようなものを借りている者がある。外国の方の後進性の方はただでどんどん貸してやるんだという矛盾がここで非常に大きく出てくるんじゃないか、こういうふうに思うのです。大臣は、その場合に、後進諸国の方へは今後そういうことでアメリカに協力するために大いに金を出すけれども、国内のそういう二重構造の下部にある後進的な企業に従事しておられる人に対しては一体どうしようというのか。ここらが非常に私は不公平な問題が生まれてくるんじゃないか、こう思うのですが、それについての一つ大臣の見解を承りたい。
○水田国務大臣 国内における御指摘のような金融状態の改善ということは、これはまた政府としては別個の問題として徐々に解決をはかっていくつもりであります。同時に、国外においてのこの問題は、ひとりただアメリカに協力するということだけではなくて、日本の将来のためにもこの低開発国の授助はどうしても今後やらなければならぬ問題でございますし、特にこのやり方としましては、二国間援助、個々の国との相談によって援助する場合もございますが、国際協調による多角的な援助という方式の中に日本が入らないということは、将来の日本にとって大きい不利でございますので、この援助方式の両面を今後日本は考えていこうという以上は、これは問題が国内ではございませんで外国でありますし、ことに国際協調による多角援助であります以上は、各国が負担する条件は当然日本も負担すべきでありますので、そういう点で今言ったような矛盾のような形のものは出るかもしれませんが、これは対外問題として別個に考えるべき問題で、国内問題は国内問題として善処していきたい、こう思います。
○堀委員 私はそれはものの考え方はその通りだと思うのですが、高い金利で非常に困っておる人たちから見ると、自分のところの子供にはおかゆをすすりなさい、隣の子供にはごちそうを食べさせましょうということでは、これはやはりちょっとうちの子供はそのままでは済まないのではないか。あまり今較差が大き過ぎて、皆さんの方では今度多少金利を考えられて、国民金融公庫と中小企業金融公庫と、これは三厘下げられる。これは片一方は九分三厘が三厘下がり、片一方は一分なのか二分なのか知りませんけれども、想像を絶するようなことでやられるということになると、私はやはりこの点の配慮というものは相当に重要なんじゃないかというふうに考えますので、IDA、それは今の条件の中で必要な部分もあるかもわかりませんが、十分にこういう問題についての配慮を欠いたのでは、これは私はちょっと筋は通りにくいのじゃないかと思います。 最後に、さっきの問題にもう一回戻りまして、国内経済の中で非常に私は心配な点があると思うのは、こういうことがいわれております。「経営と労働に対し米国商品の輸出市場における競争力を確保するため合理的措置をとり、積極的に市場開拓を図るよう勧告する。」こういうふうにあるわけですね。これは私はこれらのいろいろな問題の中で非常に中心的な問題だと思うのですが、日本は最近いろいろと合理化が行なわれて、相当国際競争力がついてきた。池田さんのきょうのお話によると、ともかく乗り切るためには成長一本やりだ、こういうお話ですが、しかし、そのアメリカがそういう合理化を推進して競争をやるということになった場合に、はたして今の日本のそういう技術革新にしろ、大量生産にしろ、いろいろな合理化の段階でとても私どもはこれは海外で競争することはなかなかできないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、これに対して一体大臣はどういうふうにお考えですか。
○水田国務大臣 この日本の企業の体質改善をやって国際競争力をつけよう、そのためには自由化はむしろ日本の経済の内在的要請であるという考えすら持って、政府はその方向で今日までやってきておりますから、引き続きさらに私どもがその方向の施策を強化していくのなら、私は、国際競争に負けないで、日本の国際競争力というものは今おっしゃられた通り非常に最近強くなって参っておりますし、これをさらに一段と推進すれば、私は国際競争に負けない日本経済を築けるという自信を持っております。
○堀委員 さっきから伺った中を見ますと、大体私の質問の仕方によってそういうお答えが出たのか知りませんが、いずれも集約すると大したことはないのだというふうに伺えることになるわけです。その結果、さっきのお話では影響は三十七年度くらいに現われるだろうということに伺えるので、私は全体の基調は非常に楽観的だというふうに理解せざるを得ないわけです。しかし、私どもは、なるほど日本の最近の経済というものは非常に好調にやってきましたけれども、これはきょう石村さんも言われましたけれども、今の皆さんがとっておられる政策だけによって私どもはここまできたのじゃないのですね。いろいろ世界的な情勢の中における日本の位置がそういうことを可能にした要素というものを見のがすわけにはいかない。そうすると、どうも皆さん方のお考えというものは、ともかく最近日本の経済力は強くなったんだから、アメリカ経済なりあるいはそういう輸出競争なんというものはそう大したことはないんだ、日本は日本なりにやれるのだという考えが少し前に出過ぎておるのではないか。私は、この際には、もう少し精密な分析も必要だと思いますし、向こう側で起きてくる問題に対処する可能性の段階というものをもう少し検討していただかないと、今の大臣の答弁のようなことでは、三十七年度を待たずして、三十六年度の後半期において、われわれは相当困難な状態に逢着するのではないかという不安が感じられるわけです。これは議論になりますからこれでやめますけれども、そういう検討を見ると、今の日本が立っておる地点というものは、単にそういうふうな金の流出ということだけではなくて、世界経済の上ではもうオーバープロダクションということが一つの基調として出てきておるのではないか。日本の場合について、私はこの一月にも申し上げましたけれども、日本の生産をささえておるものは明らかに設備投資です。生産財が生産財を生んでおるという形であるならば、どこかで一つつまずきがくれば大きな影響が出てくるのではないかということを私は非常に不安に思うわけです。慎重な検討をしていただかないと、これは来年度の予算にも関係をしてくるだろうと思いますし、先の論議になりますけれども、アメリカのとろうとしている態度というものは、今大臣のおっしゃったような甘い見通しだけでは対処できないものだということを感じておりますので、この点で一つ御検討をいただきたいと思います。
○水田国務大臣 決して私どもは手放しで楽観しておるわけではございませんで、むしろ最も慎重にこの問題を検討して対処する覚悟を持っておるものでございますが、こういう情勢が起こってくることは予想されましても、国民と政府が無能で何にもせずに対処策を考えないというのでしたら、この影響は相当大きいとも言えるかもしれませんが、私どもは起こり得た現象に対しては必らず対処策をもって臨むという非常に強い意欲を持っておりますので、少しぐらいの影響に対しては必らず克服してみせるというぐらいの考えを持っておるために、楽観的に聞こえるかもしれませんが、これは決してなおざりにしておるわけではございませんで、起こり得る影響というものについては十分慎重にやっているつもりですから、この点は御了承願いたいと思います。
○足立委員長 横山利秋君。
○横山委員 今の最後の大臣の御答弁は言葉としては力強く思いますが、私は、時間がありませんから、問題をしぼってお伺いをしたいのです。 金利の問題です。金利は資金の需要と供給できまる、だから自然の流れにまかす、しかも金利をきめることは政府のなすべきことではなくて、日銀のすべきことだ、これが今日までの本委員会において政府側の一貫した基本的な態度であったことは、みんな承知をしておるわけであります。しかし、それにもかかわらず、今とうとうたる天下の大勢は金利引き下げの方向に向いておるし、大臣自身もこの間大阪で金利の引き下げについて言明をされたのです。私はこの問題を少し深くえぐってお聞きしたいのですから、大臣も率直にお答え願いたいのですけれども、金利は資金の需要と供給できまる、自然の流れにまかせたい、金利引き上げというのは長期的な展望であって、努力はするけれども、それに対して相当な力をこしらえてやるようなことはしないのだという政府の一貫した方針というものは、今まだあるのかどうかということです。それはそれだけれども、この際金利についてのものの考え方を変え、引き下げの方向にあらゆる努力をしたい、こういうお考えでありますか、どうですか。
○水田国務大臣 金利問題については、この前の国会で申し上げたときの方針に変わりはございません。基本的には資金の需要と供給によってきまるということが言えましょうが、その需要、供給の環境を作っていくことに政府の力というものは相当働き得るもののでございますから、そういう意味において、私どもは、外資の導入というようなことも、もう一歩自由化を考えて、そして国内の資金量をふやすという政策をとりますし、同時に、日本の金利が決定されておる要素にはいろいろなものがございますので、金利水準を国際水準にさや寄せするという必要がある以上は、まず政府側でその環境を作れるいろいろな仕事が残っておると思っています。金利水準を下げるためには、日本の預金金利の問題も外国と比べて特別なものを持っておりますので、こういう点の是正とか、政府側でなし得る仕事も残っておりますので、こういうものを今後積極的にやることによって、金利引き下げの環境をまず私どもで作る。そして金利水準が全体として下がることを今期待しているということでございまして、本年度中にはそういう情勢になることを私どもは今期待して、この方針は変わっており ません。
○横山委員 私の耳には、大臣が、基本的方針は変わっていないと言いながら、環境整備をするというなみなみならぬ決意を示されたことは、やはり基本的方針にも相当な変化ありと思われるのであります。今さら言うまでもございませんが、たとえば公定歩合を例にとってみますと、日本の公定歩合は約七分、アメリカは三分、イギリスは五分五厘、西ドイツが四分、フランスが三分五厘、イタリアが三分五厘でございますから、日本における金利が高いということは一致したことであります。だれしも認めることである。従って、その金利を下げていきたいということは、だれしも思っておることだ。けれども、今日までの趨勢としては、あなたの言うところの環境整備ということについても積極的ではなかったと私は思うのです。私の見解に間違いがあれば、これはベースが違うのですから議論になりませんけれども、大臣のおっしゃる環境整備ということが、金利を引き下げる、そのための環境整備をはかるという御決心であるならば、今一例として預金金利の引き下げという重要な問題が出て参りましたけれども、あなたの言う環境整備ということはどんなことを意味しておるのですか。政府としてまず先行するというお気持らしいが、政府としてその環境整備としてやるべきことは何と何をお考えでございますか。
○水田国務大臣 やはり経済成長政策をとる以上、それに見合った資金の供給ということが一番大きい問題でございますし、そのためには資金量をふやすという仕事をしなければならないだろうと思います。それには、資本の蓄積に関する、これを阻害しておったいろいろの制約というものをこれから検討していく。税制もその一つと思いますが、資金の蓄積についてのいろいろな施策をとるということ、国内資金が足らなければ外資を日本に導入するということも環境を作る一つのことでございますし、同時に、先ほど申しました預金金利というような問題についても合理的な検討を加える時期にきておるのではないかと思いますし、そういう問題もやはり金利水準を下げる環境整備の一つの仕事であろうと考えています。
○横山委員 二、三、一つ一つお伺いしますけれども、市中における預金金利を下げるということは容易でないことでございますが、もしも政府がそれに先行をするとするならば、たとえば郵便貯金の預金金利を引き下げるということをお考えでございますか。
○水田国務大臣 来年度の予算編成と関連して、こういうものも検討すべきときにきておると今のところ考えています。
○横山委員 この郵便貯金の金利を引き下げる、それに追随さして市中銀行の預金金利を引き下げるという御構想が明らかになるわけでありますが、そういうことをやって貯蓄意欲に影響はないとお考えでございますか。今の金利の上下がそんなに影響がない、また影響があってもそれは克服し得るとお考えでございますか。
○水田国務大臣 影響が私どもは相当あるというふうに考えております。従って、これを克服する措置も考えなければならないと思いますが、そのためにはどうしたらいいかといいますと、やはり税制なども当然関係してくることと思いますので、こういう面における検討もあわせて行ないたいと思っています。
○横山委員 そこでお話を少し別な方向からお伺いしたいのですが、あなたは大阪で市中金利の自主的引き下げを要望されて、その見返りには利子課税の特別措置を存続させるからというような御公約をなさったそうでございますが、それは事実でございますか。
○水田国務大臣 その公約はまだしておりません。はっきりとそういうことは申しておりません。
○横山委員 けれども、私は、はっきりとはおっしゃらなかったけれども、今の大臣のお話によって裏づけされたような気がするわけであります。あなたが市中金利の引き下げに非常な意思があり、そのためにはたとえば税制で何とかしたいというふうに今おっしゃったのでありますが、まさかとは思うのでありますけれども、大阪でおっしゃったことは事実だと考えられるわけであります。しかし、そういうお考えで税制を云々されるということは、本委員会としては、いささか大臣の税に対するお考えについてお考え直しを願わなければならぬと思う。いわんや、これは税制の調査会においてすったかもんだかやっておるその最中に、大臣が旅先で公約されたために、そのすったかもんだかやって議論百出しておるものを、ぱっと一声で、議論は何をやったってだめなんだ、そういう印象を与えてしまったことは事実のようでございます。その点について大臣は少し責任をお考えにならなければいかぬと思うのでありますが、これは別といたしましても、しかし、それほどまでに大臣は市中金利を引き下げるということについて決意を持っておられるということを、私は承知いたしました。 そこで、お伺いをしたいのですが、逆に利子課税の特別措置を、調査会の議論を抜きにさせるまでに善処することをお約束なさったあなたが、これは逆に市中金利が引き下がらなかった場合にどうなさいますか。市中金利はいつごろ引き下げられるのでありましょうか。この利子課税の特別措置の法安は、日ならずして本国会に出てくるわけでございますが、それと相呼応して市中金利は下がりますか、どうですか。
○水田国務大臣 今言いましたように、公約ということはございませんが、私の気持としましてはそういう金利水準が下がる方向を民間にも期待しておりますので、まず政府自身の手でやれる分野の仕事だけは、これはやりたいと思っておりますので、市中金利がいつ下がるかというようなことは、今のところ私の方からはっきりした予測はできませんが、必ずそういう情勢になっていくだろうと信じています。
○横山委員 これはお言葉とも思えない。私の理解をいたしますのは、今日までの本委員会における政府の答弁は、一貫して金利というものは資金の需要と供給できまるのだということ。それから金利というものはわれわれが云々するものではない。多少のサゼスチョンはしても、日銀のきめることだというのが一貫した方針だった。それはあなたはその通りだとおっしゃるけれども、ここ約十分か十五分の間にあなたがおっしゃった、なみなみならぬ決意というものはよくわかりました。だから、郵便貯金も考えもしましょうし、税金についても一つ存続もしましょうし、そのほか、本日提案されておるのですが、商工中金や中小企業公庫等の金利の引き下げも問題になっているわけですね。このように、あなたとしては政府の措置を先行させるという御決意をしかと承った。けれども、それはそれで食い逃げされたらどうなさいますか。まさか大臣が何らの約束もなく、何らの手付もなくて、こういうことをどんどんとおやりになるはずがないし、かかる重要な問題について本委員会で率直におっしゃるはずもないと私は思うのです。ですから、そうであるならば、公定歩合についても、それからまた市中の金利についても、郵便貯金についても、一定の一つの道筋をあなたはもう腹の中に入れていらっしゃらなければうそではないか。もしも、政府がやるだけやって、あとは市中の誠意を待つというようなことはあり得ないのではないかと私は思う。いま少し大臣の率直な御意見を伺いたい。
○水田国務大臣 今まで申したところが大体率直な意見であります。
○横山委員 もう一つ、では逆の角度で伺いたいのでありますけれども、先ほど堀君も聞いておったのですが、この金利の引き下げということが、かほどまで大臣もお話になるような情勢に至りましたゆえんのものは何といっても一般論としては別としても、今の問題としてはやはりドル防衛の問題が具体的な問題としてきておるのではないかと推察されるのであります。イギリスについても、それから西ドイツについても、最近公定歩合を引き上げましたのは、結局はアメリカの国際収支の悪化に対応した、国際間の金利水準を平準化する必要に迫られたものだ。いわゆるアメリカの要請によって、話し合って、そしてそれじゃということでなされたものだ、こういうふうに理解をいたしますが、どうですか。
○水田国務大臣 それは全くそうではございませんで、また今アメリカから要請があったわけでもございませんし、これは今度のアメリカの政策とは全く無関係に、日本の自由化の方向がきまった以上、これに対処する大きい一つの問題として、私どもがずっと検討してきた問題でございまして、今のあなたのおっしゃられるような今度の措置とは一切無関係でございます。
○横山委員 けれども、常識的に考えれば、今年末金融の繁忙のときでもあり、それから、政府としても、公共投資や社会保障やあるいは減税という、三本柱の景気のいい資金需要の強い政策を掲げたときでもあるし、年が明ければ、二月、三月の揚げ超になるときでもあるし、こういうときに金利の引き下げなんて議論は普通では行なわれないのですよ。長期の展望としては議論があっても、短期の問題として金利の引き下げが、郵便貯金の利息を下げてもよろしいなどという大臣の御答弁は、普通だったら大蔵委員会であろうはずがないのです。しかし、そうであっても、そういう状況を克服して、なおかつ金利の引き下げが議論されるゆえんのものは、もっと大きな論議がなくてはならぬでしょう。その意味で、今日のドル防衛の問題といい、イギリスも西ドイツも国際的なアメリカの今日の状況からいって引き下げを行なったのだ。これは論議の余地がないじゃありませんか。だから、日本においても、こういう点についてはもっとフェアな気持で大臣が事情を御説明なさった方が、世間に対する説得力があると思うのです。普通今町へ行って、銀行へ借りに行くと、なかなか貸してくれない。中小企業公庫へ行ってもなかなか貸してくれない。町へ行けば利息だって高い。そういうときに金利引き下げという、そういう話はまっとうに通らないのですよ。それでもなおかつやるんだと言う以上は、もう一歩突っ込んだ政府の説明がなければ、これはだめだと私は思うのです。もう一度大臣の御説明を伺いたい。
○水田国務大臣 この前の国会で新内閣の方針として申しましたことによっておわかりだと思いますが、私どもが一番問題にしておるのは、金利の水準を日本において下げるというところに問題がございまして、高い金利水準をレベル・ダウンするということは、今後の自由化に対処するためにはどうしてもやらなければならぬ仕事だと私どもは思って、特にああいうことを申しましたのですが、それとは別に、金利は経済の調整機能を持っておるのですから、資金需要が非常にきついときに金利を上げたりあるいは下げたりするという問題は、金融情勢に応じていろいろその場でとられることはあり得ると思います。それと今私どもの考えておるのは違いまして、日本の金利水準を下げるということだけは、これとは無関係にもどうしてもやらなければならぬ。これをやっておいて、金融情勢の変化に応じて金融調整力を発揮させるために金利を短い期間に動かしたりすることは、今後当然あり得るとは思うのですが、私どもは、これと一応分けて考えて、将来自由化に対処するためにも金利水準を下げなければならぬと考えていますので、この水準を下げる仕事を特に私どもは強く考えて、来年度においてこれを一応実現したいと思っているわけでございます。
○横山委員 ですから、そうなればますます問題になるじゃありませんか。あなたが資金の需要と供給できまるという自動調節的な金利の水準の決定とは無関係に、今どうしてもやりたいのだと、それほど言う理由は一体何であるかということを私は聞いておるのです。今経済の状況は金利引き下げという条件にない、ないにかかわらず、また今までの基本線でないにかかわらず、そこまで金利引き下げをあなたが熱心におっしゃる理由は何であるか、今必要なその積極的な理由は何であるかと言って聞いているのですが、あなたはそれに対してすなおな御答弁をなさらないじゃないですか。
○水田国務大臣 今言ったようなことでございますが、日本の特殊事情とでも申しますか、資本の蓄積の少ない国でございましたので、今言ったように金利は需要供給の関係できまるということを言っておったのでは、日本の現状から見てなかなか資金がゆるむというときはありませんので、そういうことでいっておったら日本において金利水準を引き下げるという仕事はなかなかできないというふうに感じまして、私どもは、やはりここで資金需要が窮屈であるという、本来なら金利を上げなければならぬと思われるようなときにおいても、一ぺんこの水準を下げることだけは強い決意でやらなければならないだろうと考えましたので、私どもは、内閣に就任以来そのことを考えて、いろいろやっておるということでございまして、今そうじゃないじゃないか、こういう時期ではないかと言われたら、この仕事はなかなかできるものではないと思いましたので、私どもは、現実のそういう事情にそうわずらわされないで、日本の将来の政策としてやるべきことはやる、そしてそのときどきの金融事情によって金利が上がり下がりがあってもいいんだ、これは分けて考えて、やはり強くやらなければ実現はできないという決心で当たっているというだけでございまして、特に何かがあったから、ここへ来てそれを特殊な事情で強く考えているというような問題ではございません。
○横山委員 納得できません。あなたは私の質問にほんとうに答えていないじゃないですか。くどく言って恐縮でありますが、本来ならば金利を上げなければならぬような状況であるけれども、ここでやらなければやれないからとおっしゃる。なぜここでやらなければならないのかということを聞いているのです。そのなぜということを、あなたは特殊な事情は何もないとおっしゃる。何もないならやらなければならぬという理由はないじゃないか。そこをどうして今それが必要なのか。今あなたの答弁をもってするなら、今でなくても、あしたであっても来年であっても再来年であってもいいんだけれども、今やるんだ、こういう意味になってしまう。堂々めぐりでなくて、普通だったら金利を上げなければならぬような情勢のもとに、なぜ今それを決意してやらなければならぬのであるか、これが聞きたいのです。
○水田国務大臣 それは、先ほども申しましたように、日本の技術革命はだいぶ進んでおりますし、いろいろな点から日本の国際競争力が今ついて参っており、そのために輸出も進んでおりますが、まだ欠けておるのは、これからの自由化に対処するために、日本の金利水準が外国に比べて非常に高いということが、日本の競争力を減殺しておる大きな原因となってきております。政府がこの問題について解決に当たるということは、これは政府の施策としてどうしても必要な問題だと考えてこの問題を私どもが取り上げたわけでございます。日本の経済は今この問題を解決するところまできているんだという事情から、私どもはこの問題を取り上げているというわけでございます。
○横山委員 押し問答になって参りましたから、もうこれでやめたいと思いますが、どなたが聞いていらっしゃっても、少なくとも消極的な理由にはなるけれども、積極的な理由にはならないと判断せざるを得ない。これは郵便貯金の利子を下げるようなことを招き、あるいはそれが貯蓄意欲を阻害するというようなおそれがある場合においては、もう少し積極的な理由を持って政府が事に当たりませんと、私どもはもちろんでありますが、国民を納得させるわけには参らぬということを、私は警告をいたしたいと思います。その次の問題は、時間がもうございませんから、恐縮でございますが、きわめて簡単な問題を二つばかり、大臣の善処をかたがたお願いしながら、聞きたいと思います。一つは税金の問題であります。総選挙の最中、私どもは税金それ自体についていろいろ議論はいたしましたものの、具体的な問題についてはやはり目を離しておりましたところ、いろいろな問題が出ました。時間の関係上簡単に一例を申しますが、ついこの間、名古屋で、国税局と税務署が一緒になって、あるうなぎ屋さんを八日間調べたそうであります。何も出なかった。うなぎ屋さんがとうとう怒って、おれは初めから何にもないと思っておるのに、何でそう一生懸命にやるかと言ったら、税務署の人がいわく、これは局の命令だからしようがない、がまんしてちょうだい、お宅の白だということはもうわかっておる。それじゃ何のためにやるのですかと言ったら、一つのモデル調査だ、税務署の用語で言いますと基幹調査だ、こういうわけですね。効率表、標準率表ともなるべきものでありましょう。それだけかと思ったら、東京でも同じ事件が起きている。それで、調べてみましたら、実は全国的にいつもやっておることだそうであります。まことにこれは驚いた話でありまして、別に中小企業が問題があるないにかかわらず、基幹調査と称して非常に周密な、電力の使用から生計に至るまで、とことんまで調べてそのうなぎ屋さんは二階の一室を提供して八日間シラミつぶしに調べたそうです。初めのうちは、うなぎ屋さんも、まあにらまれてもいやだからという気持であったそうでありますが、しまいにはほんとうにかんかんに怒って、税務署の職員は平あやまりにあやまって、一つ頼む、お前のところは今度何かあったときには大目に見るから、一つよろしく頼むと言わぬばかりにやったそうでありますが、全国的に行なわれておる基幹調査について、これは十分にお考え直しを願わなければならぬというのが一つであります。それから、年末を差し控えて、中小企業の商店にしろ、工場にしろ、十二月に入ったならば大へんに多忙なんです。年が明けても同じであります。それにもかかわらず、例月と同じように調査その他が行なわれておるという事情については、これはいかがなものであろうかと思うのでありますが、大臣、一つ年末年始の税務署の検査あるいは査察あるいは差し押え等については、十分これは国税庁としても配慮すべきものではないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
○村山政府委員 これは国税庁長官からお答えした方が適当だと思いますが、私もつい一、二年前まで国税局におりましたので、その辺の事情を多少存じておりますので、申し上げてみますが、おっしゃるように、標準率調査あるいは効率調査につきましては、記帳の正確でない人たちにつきまして、ある指針を求めるという意味で、どうしても必要なデータでございます。従いまして、そういう意味で納税者のうち比較的記帳が正確だと思われるものを中心にいたしまして、そのデータを固めて参るわけでございます。ただ、おっしゃるように、そういう意味の調査——もちろんその調査も目的にはしておりますけれども、主たるねらいは標準率あるいは効率要素を確定するということでございますので、おっしゃるように、納税者の迷惑もかまわず八日間もやったというのはちょっとわかりかねますが、事情をよく納税者の方にお話しして、そういったデータをとって参るということでございます。なお、年末の忙しい時期には、納税者の迷惑にならないように、できれば調査を差し控える、あるいは滞納処分につきましても、その辺のことについて手心を加えるということは、国税庁におきましても、例年、特に滞納問題でございますが、通達を出して実施しているような状況でございまして、おそらくことしも同じような方針でやるのではなかろうかと思うわけでございます。
○横山委員 委員長にお願いしたいのでありますが、時間がございませんから、詳細な事情を申し上げるわけに参りません。明日か明後日の理事会に私の意見を付して、ぜひとも本委員会においても本問題について何らかの結論に到達されんことを私は希望して、委員長に善処をお願いしたいと思います。それから、第二番目の問題は、大臣にお伺いしたいのですが、これは最後ですが、今国家公務員及び三公社五現業等の地方公務員等のベース・アップや年末手当の問題が大詰めにございます。ところが、これらのほかに公団、公庫の職員というものがやはり問題になっておるわけであります。ここにモデルとして申し上げますのは、日本住宅公団の労働組合と住宅公団とが三十五年度第二次給与改定に対する覚書を交換して、ベース・アップについて妥結をいたしました。しかるところ、これは、話を聞きますと、大蔵大臣は、また大蔵省はかもしれませんが、その妥結の内容に異議を持って、もう少し上の方を上げろとか、あるいは総額がどうだとかいうようなことで異議を言って、妥結はいたしましたものの、その実行ができない状況にあるわけであります。聞くならく、この住宅公団のみならず、他の公団及び公庫につきましても、これが災いして、実質的な団体交渉がほとんど進展をいたさないようであります。これはまことに奇怪なことでございまし大蔵省は、労使の間に妥結したその内容に、これが上が薄いの、厚いの、もう少しこうしろというような権限があろうとは、私は考えられないのであります。大臣としては、この事情を御存じでございましょうか。
○水田国務大臣 大蔵省がきめるという問題ではなくて、関係公庫の幹部が、同じような機関との均衡をとるためというところから、いろいろ検討しておるということだそうであります。
○横山委員 労使の間で賃金の交渉が行なわれて、それによって問題が妥結したんですよ。その妥結した内容について、大蔵省が、今大臣のおっしゃることによれば、他の均衡上検討しておるといって、これは体裁のいいことですが、異議を唱えておることになる。妥結し調印した内容に大蔵省が異議を唱え、それに反対しておるために実行ができないというばかげたことがあるでありましょうか。聞くならく、主計局から——これはうそかもわかりませんが、一ぺん聞きたいと思いますが、何か主計局は、各公団に対しまして特殊法人の、つまり公団、公庫等のベース・アップは今回の補正予算等には認めない、かりに将来ベース・アップをするにしても、公務員よりベースが上のものについてはベース・アップを認めない、こういう通知をしたそうでありますが、大臣は御存じでございましょうか。
○水田国務大臣 大蔵省からそういう通知を出したことはございません。
○横山委員 主計局がそういう口頭なり何なりで言ったということは、あなたは否定なさいますか。——大臣はよく御存じないようでありますから、主計局長あるいは給与課長がやったことだとするならば、これは大臣、撤回さしていただかなければなりません。もし大蔵省が約二十くらいに余る公団、公庫等の理事者側との団体交渉で話のまとまったものすらけちをつける、そうしてまとまっていないものについては、お前ら幾らやってもおれらがうんと言わなければだめだというふうに牽制をしておる。そういうことをしておるとするならば、あらゆる団体交渉は無意味であります。だから、私はそういう相談を受けたならば——まさかそんなことを大蔵大臣はなさるはずはない。これは下僚の者が官僚ばしってやったものではあるまいか。もしそれが事実であるとするならば、公団、公庫等の理事者側を相手にするな、みな大蔵省に行って、大蔵大臣あるいは主計局長ないし一番下の給与課長と団体交渉をやれ、おれが引率すると言ってやったけれども——これは冗談でございますが、それではみんな公庫、公団の職員がそういうことになってしまうのですよ。そう考えてしまう。だから、こういうことはおやめになって、少なくとも、たとえば例としております住宅公団の労働組合と住宅公団の理事者側で妥結したこの内容というものは、なまでそのまま一日も早く実行させて、年内に給料が渡るようにしてやりなさいよ。今あなた方が文句を言っておるならば、このせっかく妥結した内容のものですら年内に渡らないのですよ。そういうおそれが十分にあるのです。ですから、私は、これはきょうのほんとうの議題ではないのだけれども、せっかく妥結したものが年内に渡るかどうかということを心配して、大蔵省が大蔵省がとみんな言っているのですから、この辺は、労働協約として妥結したものを、あなたとしては、きちんと主計局長なり課長に、そういう余分なことまで言うんじゃないい、早くこれを実行さしてやれというふうに裁断を下していただきたいと思う。
○水田国務大臣 経過は十分聞きまして、あとからこの委員会で主計局長から答弁させます。
○足立委員 長次会は明十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時十一分散会