P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
37回国会衆議院1960/12/23

社会労働委員会 第7号

発言数
110
登壇者
11
会派数
2
開催日
1960/12/23

会議録

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これより会議を開きます。  委員長の手違いのため開会がおくれましたことを、深くおわびを申し上げます。今後かかることのないように注意いたします。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 労働大臣が見えるまでに、最初雇用問題の中で失業対策の問題について質問いたしたいと思います。  失業対策事業における登録者と、それから就労者の最近の傾向について、一つお話をいただきたいと思います。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀説明員 失対事業関係についての御質問でございますが、現在職安の窓口におきます業務統計を基礎にして申し上げますが、最近の数字によりますと、これは本年の四月—十月の平均でございますが、登録日雇い労働者の数が五十三万でございます。そうして、これは、前年の同期に比べますと一万人の増加、こういうことになっております。そのうち失対事業の就労適格者と認定されております者の数は約三十五万程度でございます。これは昨年と大体同様でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 政府の今までの本会議あるいは予算委員会の説明を見ますと、雇用状況はよくなっている、こういうお話ですが、しかしながら、中年令層から高年令層にかけての不完全雇用者はしみついておる。だんだんと増大をして深刻になっておる。あるいは臨時工とか社外工とか、そういう不安定な雇用関係の労働者がふえておる。あるいは賃金の格差も増大をしている。こういう一つの特徴を持っていると思うのです。その他にもたくさんありますけれども、そういうのが失対の中に現われておる傾向なんですけれども、失対事業の中で、昨年から本年にかけまして、やはり希望者も就労者もふえておる、こういう傾向だと思うのです。そこで、二十一日の夕刊にもちょっと出ておったのですが、失対賃金の問題と、それから適格基準の問題、就労日数の問題等について、今までの社会労働委員会で、これらの問題を含めて失対事業について根本的にこの際一つ再検討する時期じゃないか、政府の方もそういうふうに答弁してきたわけです。それで、来年度の予算の編成方針の中には、雇用促進公団とか、いろいろなのがあるわけですけれども、しかし、こういう失業の実態に沿うて、失対事業は社会保障として暫定的にやってきたわけですが、十カ年間くらいの経過を見てみますと、五年以上失対に固定をしておる人がたくさん出ておる、こういう実情です。これはもはや失対事業というようなことではなくて、それで生きていっているということです。しかも、これが生活保護よりも、標準家族なんかを例にとってみますと、安いという場合が出てくる。こういうことから最近いろいろな社会問題が出ておると思うのです。そういうことで、失対事業について労働省としてはどういうふうな考え方でこれを再検討しようとするのか、そういう点を具体的に一つ列挙して御答弁いただきたい、これは来年の予算編成に関係しておることですから……。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀説明員 現在の失対事業就労者の状況を見ますと、御指摘のように、若年の方もおられますが、その相当部分は中年令層、高年令層の方々でございます。従って、失対事業に入られましてから後におきましても、停滞する期間が非常に長い、こういう状況でございます。そこで、これらの問題につきましては、私どもとしては、この際根本的に検討を始めたいと考えておるわけでありますが、来年度におきましては、まず第一に、この失対事業の就労者につきましては、最近の民間におけるところの賃金の上昇傾向とにらみ合わせまして、その労務費を上昇せしめ、それと同時に、就労日数の増加ということとあわせまして、一カ月間の所得を増加させる、こういう方向で予算要求を組んでおるわけでございます。それと同時に、中、高年令層の方々につきましては、それに適するような作業を考えると同時に、まだ比較的若く民間に就労することが適当である、また本人も希望しておるというような人々につきましては、希望によりまして職業訓練を行ないまして、これを民間に流動させる。と同時に、民間におきまして、この失対労務者を受け入れるというようなところに対しましては、これに対する助成措置を考えるというようなことで、ただいまの失業対策事業関係の就労者の所得の増加、それから停滞する方々につきましては、これの民間就労を促進するということ、それと同時に、現行の失対事業につきましては、その内容を合理化していく方法を考える。大体こんな基本的な考え方で予算要求を組んでおるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 この十二月二十一日の夕刊で、母子が飛び込んで、乳児を絞殺したという失対の日雇いの家庭の記事が出ておったわけでありますが、この状況を見てみましても、子供を二人と父親をかかえて、主人が一カ月一万三千円、三畳の間で暮らしておったが、乳が出ないから自殺した、こういう記事であります。この問題はやはり日々雇用の関係で暫定措置として失対事業をやっておるのだが、これが今日の雇用状況からいえば非常に固定化しておる。これが長年積もって参りますと、この失対事業の中では生きていけない、こういう現実だと思います。この事実は、今日の失対事業の内容を非常に端的に示しておると思いますが、それではこれを具体的にどういうふうに打開をいたしますか。こういう場合に具体的にどういうふうにこれを解決していくような政治をやるのですか。政策をやるのですか。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀説明員 第一番目に、最近の賃金その他の上昇傾向にかんがみまして、その労務費の上昇をはかるということを第一に考えております。それと同時に、就労日数の増加とあわせまして、一カ月におけるところの所得の上昇をはかるということを、労働省としては予算要求に組んでおります。今後の問題でございますが、われわれとしては大いに努力いたしたい考えでございます。それと同時に、やはりこの失対事業に停滞するような人々の中には、多少手に覚えがあれば民間に就労できる、しかしそういうような機会がないためになかなか民間の適職につくことができない、というような方々もあるわけでございますので、これらの人々については、職業訓練所にそういうような方々のための専門的な部門を設けまして、そうして訓練中に生活を保障しつつ適当な職業訓練を受けていただいて、これを民間に誘導するというような方法を考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 一つ一つお尋ねいたしますが、賃金の引き上げについて、生活保護との関係で具体的に一つ説明して下さい。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀説明員 現在の法制によりますれば、失対事業の就労者の賃金は、労働大臣がいわゆるその同地域、同種の労働者の賃金の傾向を見まして、そのワク内で定めるという原則があるわけでございます。私どもといたしましては、労働省で毎年屋外労務者の賃金調査というものを実施しております。本年においてもすでに実施いたしまして、目下集計中でございます。年内にはこの結論が出てくると思いますので、それらと見比べました上で、最終的にこの労務費の問題を考えて参りたいと考えておりますが、一応現在のところでは、就労日数及び賃金の推定その他を合わせまして、大体生活保護とは均衡をとるような考えにおきまして、失対労務者の所得上昇をはかりたい、こういう気分でございます。詳細は、現在労働省において実施いたしました屋外労務者の賃金調査の速報が近くまとまりますので、それを見て最終的に金額をきめて参りたいと考えております。基本的な考え方としてはただいま申し上げたところでございます。要するに生活保護基準の上昇と均衡をとりつつ考えて参りたい。具体的な額につきましては、その調査の速報が出た上で具体的な金額をきめたいと考えておりまするが、いずれにしても生活保護基準との均衡をはかって参りたい、このように考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 生活保護の引き上げは労働省ではどのくらいだと考えておるのですか。何か主体的なものがなければいけませんよ。総合的に主体的なものがなければ問題の解決ができないのではないか。生活保護に追従するというのではなしに、そのことにはまた問題がありますよ。生活保護と働いて生きていくという失対事業、それとの関係もありますけれども、そういう点については、もう少し数字的に、あなたの方の予算要求の態度というものを私は議事録に一つとどめてもらいたい。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀説明員 これはわれわれの予算の原案でございまして、政府部内において調整を要する問題でございますが、具体的なただいま現在におきまするわれわれの原案という程度で御承知おき願いたいと思います。また今後の傾向によりまして変わる可能性もありますが、現段階におきます一応のわれわれだけの原案といたしましては、一カ月の所得が二七%程度の上昇になるというような線で原案を組んでおりまするが、なお具体的には、先ほど申し上げました調査の結果の出るのを待ちまして、金額をさらに確定して参りたい、このように考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 労政局長が急いでおられるので、あなたにだけもう少し質問いたします。今のお話で二七%の賃金の上昇だということなんですが、賃金の上昇とそれから適格基準をどうきめるかということと就労日数、こういうことが実際上一つの世帯における所得の問題になると思うのです。そこで、賃金の上昇については二七%、生活保護に見合う賃金の上昇を大体考えておる、こういうことなんですが、これはやっぱりあとで政治的な一つの判断になるけれども、生活保護と同じ社会保障制度であっても失対事業、これは社会保障制度と見るのか、あるいは働く場所を与えて最低賃金の保障をするというような考えでいくのか、これは基本的な問題があると思いますが、とにかくそれは問題といたしまして、そういうときに相関関係で問題になるのは、適格基準がどこでも問題になるのです。各県で適用の仕方がばらばらだ。認定基準が各県にできておって、これが財政事情とかいろんなことでばらばらになっている。認定基準については、実情に沿うようにやるべきだと思うのですけれども、その認定基準の問題と一緒に、やはり地域差の問題が、だんだん経済情勢が十年前とは違っているから、これが問題になるわけです。認定基準について労働省は全部を把握した上で、あなたの方で認可を与えてやる、こういう形式になっているのですか。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀説明員 各県の認定基準につきましては、私どもの方では認可するというようなことはございません。要するに、その地方々々の実情に応じまして、適格基準のある方々につきましては、その重点度に応じましてきめているようなところもありますし、きめておらないところもございます。要するに各地の実情に応じて、失対に就労させる場合に必要度の高いところから就労させていく、こういう方針でございます。われわれの方では統制しておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 その失対の平均家族の構成は非常に年齢が高いから家族は多いわけです。従って、そこへ適格基準を主たる家計の担当者ということで機械的に押しつけますと、いろいろな問題が出てきて、御承知のように夫婦が戸籍上の別れをいたしまして、それぞれ失対の適格者の登録をするという形が普遍化しておる。だからそういう適格基準の問題についてこの際一つ再検討をする必要がないか。これは政治問題ですから再検討する必要がないか。いかがですか。

堀秀夫労働事務官(職業安定局長)

○堀説明員 失対事業に就労する方々につきましては、やはりその必要度の高いところから就労していただくという意味で、現在適格基準の制度が設けられているわけでございます。失対事業につきましては、いろいろ根本的な問題があることは先ほど御指摘の通りでございまして、私どもといたしましては、これらの根本的な問題について、広い見地から検討をいたしたいと考えているわけでございます。その際におきまして、当然今のような問題も検討の対象といたしたいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 小さい問題はきょうは時間がありませんから申し上げませんが、ぜひこれは労働大臣にも聞いていただきたいのですが、先般も母子心中——心中の記事を見ましたら大てい日雇いです。だからその社会問題を解決しなければいけない。そして失対の賃金をどうきめるかということは、いろんな政治上の問題、制度上の問題があるのですけれども、これは抜きにいたしまして、社会問題といたしまして考えて、このことはやはり最低賃金制にも非常に大きな影響を及ぼす。だから、雇用問題の中で、今、日本では失対事業というものは国がやっている事業といたしましては大きなウエートを占めている。大きな影響がある。だから、そういう問題について、私は、今日までずっとこの社会労働委員会の審議を通じまして、根本的に再検討するときがきていると思う。それを単なる社会保障制度、日々雇用の関係でこの問題を糊塗的に解決しようということではできない。従って、私は、解決できる問題といたしましては、賃上げの問題について最低生活を保障する。幾ら軽度の労働にいたしましても再生産できる、こういう賃金を総合的に保障しなければならない。そのためには、やはり今問題は、賃金をどれだけ引き上げていくかという問題と一緒に、適格基準の問題は非常に大きな問題です。これは今申し上げた通りであって、くどくど申し上げません。  それからもう一つは、就労日数の問題。だから、失業対策社会保障というふうに基本的には考えるわけですけれども——そのワクで現在やっておるわけだが、しかし、やはり一方においては生産性あるいは効率ということを世上論議されるので、そういう方向へ持っていこうといたしておるわけです。そういう点をあわせて考えて、最低生活を保障しながら、しかも賃金といたしましても働ける賃金を保障していく、こういう方向でなすべきだと思うのです。私は、そういう失対事業についての、労働大臣といたしましての予算折衝に臨まれる基本的な態度について御答弁いただきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 これは二つ私は考えておるわけでございます。一つは失業対策事業だけではなく、社外工、臨時工あるいは土木建築工事等における一般的日雇い労務の問題、そういうものを一切含めて、不安定な状態にある勤労者諸君を常用雇用の方へ向ける、安定性を持たせていくという、あなたの御指摘の通り、根本的な方策を講じなければならぬということが一つであります。そのためには、比較的高年層の人はいろいろな事情からやむを得ないとしましても、若い人々は失業対策事業に固定しないようにいたしますために、明年度から職業訓練の仕事を始めていきたい、そしてそれを進めつつ、ある過程を通じまして、ただいま申しましたほかの不安定な状態にある勤労者の問題を含めて、根本的な対策を講じたいということが一つであります。その根本的な対策の一つの手始めとして、明年から失業対策事業の労働者諸君を対象とする職業訓練を計上するということ、それからもう一つ、明年度の予算に対する対策、これは根本的な対策の立案というものはそう早くできませんものですから、明年度は現在の法制下において許される最大限の労働条件の向上をはかるように努力するということであります。そして、明年度は、先ほど局長も説明をいたしましたように、現在の法規あるいは制度その他を勘案して、でき得る限りの賃金及び労働日数あるいは御指摘の適格基準の問題の検討等もいたさなければならぬと思いますが、そういうことを含めて、現在の制度下で許される最大限の要求をする。同時に、根本的な問題も一つすみやかに解決をするように、雇用審議会等の御協力を得て立案に努めたい。立案に努めるだけでなく、その手始めとして職業訓練を一つ明年度から実施していきたい、こういう考え方であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 適格基準の問題については、先ほども申しましたが、そういう生活の実態から見てみましても、労働の量と質ということがありますけれども、しかし、生活保護以上に、やっぱり労働に見合う賃金を保障するような、そういう最低の国家の保障の制度を作るべきだ、これは所得倍増計画の中における国の責任である、こういうふうに一つは考えるわけです。  それで、たとえば今のお話で、不安定な雇用関係の者あるいは失業者、そういう者を安定した雇用の方へ持っていくのだ、こういう労働大臣のお話ですけれども、そのためには、一つの職場を離れ、炭鉱とか駐留軍にいたしましても、あるいはいわゆる技術革新に伴うて、日の当たる産業、日の当たらぬ産業、いろんな角度から労働力の流動ということがいわれておるわけです。政府の方の御所信表明にもあったわけですが、それを円滑にやろうといたしますと、最低は、やっぱり失業保険の給付を改善することが一つと、それから移動期間中における医療保障を完全にすること、これは労働大臣の関係じゃないのですが、たとえば厚生省の関係で日雇い健康保険なんか、たちまち、家族やあるいは職場を離れて、医療保障はどうするのだ、あるいは住宅はどうするのだ、あるいは失業期間中職を探しておるとき、あるいは職業訓練中の生活はどうするのだ、こういう不安があったら、社会保障制度が貧困なためにこういう問題が起きておるわけですが、文字の上では、机の上では労働力の流動ということをいいましても、これはなかなか解決しないわけです。失業保険の給付の内容を改善することと、それから日々雇用の関係を含めまして、たとえば日雇い健康保険の内容等の改善、こういう問題は、大工さんや左官屋さん、あるいは日雇いの諸君とか日々雇用の諸君から非常に熾烈な要望があるわけです。少なくともこの二つの問題については、労働大臣としては、最初説明されておる以上に一つ関心を持って努力してもらいたい。この点についていかがでしょう。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 労働力の流動性を持たすと申しましても、家族と離れさせて動かすということは実際上できないことですし、それからそれを無理にやっても、生活の安定をはかるということになりませんから、流動性をはかるということの前提は、やはりあくまで家族と一緒に動かす。家族と一緒に動かすという建前であれば、それに伴っての各般の社会保障も同じように動きやすいようにすることが、私は前提条件だと思います。従って、日雇いの健康保険の問題は私の所管ではございませんけれども、その取り扱いその他はやはり流動性を持たせていくという施策に沿って扱っていただくように、連絡を強化していかなければならない、こう考えておるわけであります。それと同時に、家族の方も一緒に動けるように、住宅その他の問題の処理についてもできる限りの予算措置をとるように、目下立案中であります。  ただ、もう一つ、流動性を持たすと申しましても、地域的流動性を持たせることは、大ぜいの人数については実際上なかなかむずかしいことが多いのでありますから、不況地域に対する特定の集中的施策——企業の誘致、産業状況の整備ということがどうしても必要になろうと考えております。  それから、失業保険の給付の内容の問題でありますが、これは私ども十分検討すべき問題であると思います。同時に、御承知のように失業保険積立金は相当な金額に上っておるときでありますから、十分検討すべき問題だと思うのでありますが、それが、直接的に給付の内容を改良することが失業状態をなくすのに適当であるか、あるいは実際上雇用の増大と安定をはかる具体的施策を強化することによって失業の状態をなくすことがより多く効果的であるか、私どもとしてはやはり考えなければならぬ問題だと思います。やはり施策は、失業の状態を短くし、そうして新しい仕事に移りやすいようにする条件を作り出すことに、第一の条件を置くべきだと思います。ただ、今余裕金がある状態でございますから、給付内容の向上その他についての検討はいたさせる所存であります。ただ、実際私どもが困っておりますことは、御承知であろうと思いますが、三井、三池の離職者、現在の対象人員千百十六名にはそれぞれ職業相談を個々に行なっておりますが、その中で七百名をこえる人数は希望を全然まだ言わないのです。もう少し考えますということで、訓練所に入るともあるいはよそに行くとも、あるいはまたここですぐ就職をしたいとも……。こういうことが実際の状態で、これは何とかやっていける間はというような気持がその裏に幾らかあるんじゃないかということも考えられるので、こういうこともあわせて考慮しなければならない問題じゃないだろうか。しかし、御説の失業保険の給付内容を考究すると同時に、有効な施策を積極的に講ずることによって、失業期間を短くし、あるいは転職をしやすくしてやるということに、今度の予算では主力を置いてやって参りたい、こう私は考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 失業保険の給付の内容、たとえば期間と金額を上げていく、こういう問題が一つある。その中で、たとえば端的な、前から懸案になっておって与党の方でも了承しておられると思うのですが、たとえば日雇い失業保険のうちで、六割給付の原則を割っている安い失業保険があるわけです。百四十円と二百円というのは、六割給付の原則を割っているのです。だから、これらの点につきまして、先般、財源の問題について、三分の一助成を四分の一に低下させることでちょっと問題になったわけですけれども、附帯決議にも明らかでありますが、とにかく低い下の方は、六割給付の原則でなしに八割給付、そういう原則も当然適用しなければ失業者の生活保障にならぬと思う、こういうことが議論になったわけです。だから、そういう問題については、今の予算折衝の過程においては若干おくれる問題があるかもしれぬけれども、この失業保険の給付内容を期間的にも金額の上でも改善すると同時に、今のようなはっきり六割給付の原則を割っておる日雇い失業保険は必ずあるわけです。これは政府委員の答弁でもよろしいのですが、日雇いの賃金が上昇すれば、また当然矛盾が出てくるわけですから、最低八割ぐらい目標にして、この金額の是正をすべきだ、こういうふうに思いますけれども、これは政府委員の答弁でもよろしいが、一つお考えをはっきりしてもらいたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 ただいま御指摘の日雇いの失業保険の問題は、明年度の予算で改善をするように立案いたしております。最大限の努力をいたして改善に努めるつもりであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は労働大臣に要望しておくのですが、日雇い健康保険は、やはり厚生省はこれを助成して強化をしていく方針だったのです。しかし、先般以来いろいろ問題がありまして、私ども話をいたしましたけれども、これはぜひ労働大臣といたしましても、流動する過程において非常に不安定な——もちろん理屈を言えば安定した雇用の方法を造成することが中心で、これは経済成長理論から言うのでしょうが、しかし、そういうことを言いましても、実際の問題は、当面の不安な問題を一つ一つ解決しなければならぬ。これが政治の課題ですから、だから日雇い健康保険の問題等につきましても、そういう不安定な雇用関係にある人々の健康保険の問題を改善する問題について、ぜひ関心を持って、失業問題と関係が深いのでありますから、ぜひ努力してもらいたいというのが要望であります。  それから、時間もあまりありませんから、端的に御質問いたしますが、最低賃金制の問題について、大臣は、ILOの二十六号の批准については次の国会でやる、こういう御答弁だったようですが、これは間違いありませんか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 現在施行いたしておりまする最低賃金法は、ILO二十六号条約に合致するように立案をいたしたつもりでございますので、次の通常国会に提出いたしまして、批准をいたしたいと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 それで、最低賃金制の実施については、政府委員でもよろしいのですが、三年計画で今の実態のあらまし——結論的な数字でよろしいのですが、三年計画でどのくらいのことをやるんだ、この点について先般も御答弁があったのですが、もう一回、この点簡単に……。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 現在約三十八万に適用されております。三年間で二百五十万人に適用をいたしたいという計画を持っておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 この内容は、業者間協定が何%でどのくらいふえるか、こういう点を一つ御答弁いただきたいと思います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島説明員 ただいま大臣から申し上げました三カ年間で二百五十万に適用の計画は、業者間協定に基づく最低賃金制であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 ある賃金の理論の専門家が言っておるのですが、業者間協定というものは死んだ最低賃金だ、こう言うのです。動かない最低賃金だ。だから、最低賃金をそういうふうに法律で制度的に保障いたしましても、時間がたっていくと次から次に古くなっていく。これは二つの問題があると思いますが、大いに論争するんだという点で労働省の方も御留意いただきたいのですが、国際的に見てみますと、やはり労使共同決定の原則に違反をしないか、こういう問題が一つある。それから、労働者の最低賃金を保障しないようなそういう最低賃金について、政府が労働者の意思というものをそこに反映させないで制度的に押しつけることは憲法上問題がありはしないか。こういう二つの点から私は将来議論をしたい。二十六号の批准をするという問題については、大臣は次の国会でやるというふうに、これで二回目の言明であると思うので、これで私はその点は了承いたしますけれども、当然最低賃金制の問題については、この際、日本の雇用情勢やそういう生活の実態等から考えてみまして、最低賃金の政府原案を再検討すべきときではないかというふうに私は思うのです。その点について、労働大臣の一つ率直な御答弁をいただきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 現行の最低賃金法の業者間協定にあたって、労使双方のうち、労働者側の関与する余地がないから、従ってここに問題があるという御議論であります。これは最低賃金法の御審議を通じて何度も繰り返された問題でありますけれども、私どもといたしましては、中央地方の最低賃金審議会に、労働者側の委員の方の御参加を願っているわけであります。それで不十分ではありますが、この条件は満たされると考えております。ただ不十分と申しますのは、やはり個々の具体的な場合においても労働者側の参加が望ましいのでありますが、現在の組織状態、その他におきましては未組織のところも相当ございますし、そういう意味からいって、やはり完全な形のものにいたしますが、経過的な措置としてああいう形をとらざるを得ない、こう考えておるわけでありますが、あの法律はもちろん業者間協定だけではございません。他の三つの項目等の活用も期待したいと思っています。  それから、あれは固定するのではないかという御議論でありますが、これは行政指導で固定させないようにいたさなければなりませんし、実際上われわれの方といたしまして、各基準局長に対しては、業者間の話し合いがよしんばできたものでも、その額があまりに低いものについて、具体的に申しますと、十五才で二百円を割るようなものについては、これは現在の段階では最低賃金とはいえないのであるから、十分指導をいたして、できるだけ高いところにきめさせるようにやりております。ただ、現行の最低賃金法の中に問題があることは、われわれも万々承知いたしておりますが、と申しまして、これは現在の日本の中小企業の実情から考えまして急速な措置がなかなか問題がございますので、先ほど申しましたように、三カ年間で二百五十万人に適用するような行政効果を上げる措置を通じまして、そうしてその経過の中から問題点を拾い上げて再検討いたしたい、こう考えておるわけであります。現在でも一割ないし二割程度の賃金の上昇にはなっておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 そういう実態とか、そういう数字的な問題については、あらためて通常国会のときでも次の機会にでも検討いたしたいと思うのですが、今の大臣の答弁の中で、やはり行政当局といたしましては、最低このくらいなければならぬ、そういう考え方を持った指導をしていく、こういう点は私は新しい傾向だと思う。つまりそういう点について、労働団体の代表なりあるいは資本家あるいは政府が専門的な意見をいれまして、そうしてこれだけはなければ生活は保障できない、安定した雇用にはならない、食える賃金で雇用を完全にしていくのが完全雇用政策である、だから、そういう一つの方針を持って政府がやられるんですから、そういう方針を持っていかないと、これは決してILOの精神にも、現実の最低賃金制の趣旨にも合致しない、労働の質をよくすることもできない、こういうことについて、新しい点につきましては、大臣は着目される方向があると私は思いますけれども、この点については、客観的に見てそういう最低賃金にどういう金額をきめるかという問題については、法の改正と一緒に、運営上の問題においても政府ははっきりした方針を持って、やはり労働者側の意見を聞きながらやっていく、こういうことが私は必要だと思う。客観的には生きていけるだけの賃金、たとえば二百円とかいう賃金では、とてもじゃないが、一人の青年が、若い者が、一つの希望を持って働いていくことにはならぬと思う。今の業者間協定を見てみますと、百八十円とか百七十円というのが一ぱいある。これでは雇用の安定にもならぬ。最低賃金にもならぬ。国際舞台に出してみたら、これはとてもじゃないが批判にたえられない、こういうように思います。そういう点について、私は、法律は改正すべきじゃないか、今改正できなくても、改正の方向で見通しを持つべきじゃないか、運営の問題においては、最低賃金については政府が、行政機関が最終決定をする権限がある以上は、これはやはり相当客観的な目標を示すべきではないか、こういうふうに考えるのですが、労働大臣の新しい最低賃金制に対する考え方を、一つ御答弁いただきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 これは各社、各地域、各業種間によっていろいろ事情が違うわけでありますが、先ほど申しましたように、現在の段階では私ども十五才で最低賃金をきめておるわけですが、たとい十五才でも、二百円以下の賃金では、もう現在の状態、諸般の事情から見て、二百円以下の賃金をきめることは適当でないという考えを行政指導上徹底させておるつもりであります。従って、最近できておるものを数字的にはっきり覚えておりませんが、近来できておるものは、二百円以下のものはほとんどないと思います。ただ、それでは全般的に今一定のめどをつけたらいいじゃないか、こういう御議論でありますが、先ほどから申しましたように、私は現行最低賃金法に満足はいたしておりません。従って、問題点を拾い上げて検討し、そうして全面的によりよきものにしていかなければならぬということについては全く同感でありますが、それは、先ほどから申しましたように、現在のところ三十八万と申しましても、三分の一くらいは静岡県に集中しておるわけでありまして、まだ全国的に広がっておるというわけではないので、経営者あるいは使用者、労働者、雇用者の方から見ましても、問題に対する認識その他の問題はまだ一般的でありません。従って、これを多くに普及して参りまして、そうして普及していく過程を通じて問題点を取り上げていく。そこから改正の方向へ持っていこうというので、この現状で満足をしておるというわけではなく、一応のめどは三カ年間で二百五十万に普及させるというところに置いて、その過程を通じて問題点を具体的に拾い上げていこう、こういうふうに考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、答弁していただいてもいいのですが、していただかなくてもよろしいが、山勘で二百円というのではなしに、やはり一つの方針と客観的な資料——所得倍増といえば賃金は三倍にも四倍にも上がるのだ、池田前大蔵大臣、今の総理大臣は言っておる。そういたしますと、十年間に三倍も四倍も上がろうといたしましたら、三年間に倍に上がらなければいけない。そうしたら最低賃金をどうきめるかということ、あるいは臨時工、社外工の問題等を含めてそういう雇用問題、失対問題、生活保護の問題がある。それについて具体的な方策がなければ、来年度の予算は相当批判を受けることを覚悟しなければならない。言うたことが実行されたことにならないという場合に、結局は、経済成長一本やりでいくと、自然におしめりが下にくるということと変わらないことになる。私はその点について労働大臣も厚生大臣もしっかりした考えを持ってもらわなければ、これは社会労働委員会においては批判にたえないと思う。そういう面においては、そういう二百円という労働大臣としての勘というものは、だいぶそれは私は納得できるところがあるのですが、しかし、それに対しても労働者側の意見が反映するように、しかもそれは一つの基準を決定する際の主観的な条件です。客観的にはそれで生きていけるように、あるいは所得倍増計画の、そういう政治の中において所得を再分配する、雇用を安定させる、具体的問題に結びつくような、そういう最低賃金でなければいけない、こういうふうに考えるのです。だから、二百円ということは山勘で言われましたけれども、私は、そういう面からいえば、これは最低賃金というものはもうだいぶたっているけれども、ほとんどそういう局面で地域的に限られておって、しかも普遍化するその問題等におきましては非常に大きな欠陥を持っておる。これは百年河清を待つというふうに私どもは議論をいたしましたが、前の業者間協定については、そのきまったときだけが一つの最低賃金としての役割を果たしておる。時間的についていきますと、いろいろなところに抜けてきたり、あるいはそれが古くなって死んでしまう、こういうことになって、三カ年計画といったって有名無実で、から回りして、机上プランである、こういう点もあります。そういう点で、私は法の制度の改正に中身の改善についても問題がある、その点についてしっかりした政治の方針を示してもらいたい、こういうことを要望申し上げます。  それから、時間が参りましたから、最後にILOの問題について、これは御承知のように八十七号条約は次の国会では批准するということになっております。池田内閣ができました直後の社会労働委員会において、私はちょっとの時間をかけて御質問いたしました。そのときに関連法規の問題を私は言った。関連法規については、岸内閣の当時の方針とは石田労政においては新しい観点において考えるのだ、私はこういう御答弁をいただいたと思うのですが、その点変わりありませんか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 私は、前の内閣、第一次池田内閣に就任以来、実はまだ私自身関連法規の問題について詳細に前内閣の作ったものを検討いたしておりません。しかし、今度は私の責任において国会に提出をいたすのでありますから、私は、前のものと比べてどうということは、前のものを現在しっかりつかんでおるわけではありませんので、比べてどうということはまだ申し上げられませんけれども、私は私なりの考えと責任において提出をいたしたい、同時に、もちろん国会を通過しなければならぬのでありますから、通過いたします要件についての調整はもちろん必要でありますが、しかし、それを加味しても私は私なりの責任においてやりたい、こういうことを申しておるつもりであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 非常に政治的な答弁ですが、その中身いかんということが問題なんです。一番問題は何かといいますと、次の国会ではこれは非常に大きな問題になると思うのです。つまり問題は、江戸のかたきを長崎で討つように、これに便乗いたしまして、輪をかけたようなそういう政策がこれにくっついてきますと、これは非常に大きな国際的な——日本の国内におきましても、国会内外を問わず大問題になる。この問題はそういう性質のものです。それは政府としては痛くもない腹を探られるという場合もあるだろうし、労働政策としてILOの百五号とか、その他の労働慣行や国際的な考え方から問題になる点もあるでしょう。そういう点については、私は、すっきりした形で、政府はILOの八十七号条約の批准の問題を取り上げていただきたい。私は直接影響があるのは、公労法四条三項と地公労法五条三項、あとは逐次手直しをするとか、政令やその他でいじるべきであって、あとを全部くっつけておいて、これが関連法規だ、こういうような問題でもってこられますと、大問題であると思う。その点について、労働大臣はきのうきょうの労働大臣とは違って専門家でありますから、もう少し突っ込んだ御見解の表明をいただきますと、議会政治の正常化の上からも非常にいいと思いますが、もう少し突っ込んだ具体的な答弁を一つお願いいたします。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 江戸のかたきを長崎で討つとかおっしゃいましたが、八十七号条約の批准ということが、何か労働政策と申しますか、そういうもの全体で政府が一点とられたとか負けたとか、そういう考え方は全然私は持っておりません。私が前に労働省におりましたときに、八十七号条約は批准すべきものだということを私は最初に言明をいたしました。その言明をいたしました精神は、これは民間労働組合に対する取り扱いと公共の労働組合に対する取り扱いが違っておる。御承知のように全く反対になっておる。これは法の建前としてはおかしいという見地から、私は法の建前を一本化する、基本を合わせていくということから、八十七号条約は批准すべきものだ、そう考えた。私は江戸で負けておるとは決して考えていない、従って長崎でかたきをとる意思は全然ございません。しかし諸般の今までの各省間の折衝あるいはそのほか関係方面との話し合いの結果前の提案がされたわけでありますから、その話し合いの経過というものも、労働省一省で独走するわけにも参りませんし、やはり議会を通過する要件が必要でございますから、そういう点についてあわせて考えなければならない、こういうことを申し上げておるのです。私は一点とられた、江戸で負けたとは決して思っていないのですから、長崎でかたきをとる意思は全然ございません。

大原亨日本社会党

○大原委員 具体的な答弁にならないで、政治的な答弁ですけれども、今度は、先般四月の終わりに八十七号条約とそれから関連法規を出したわけですが、これは審議が済むとか承認されるということを考えないで、追い込まれて出した。そういう点で先般出した案に拘泥しないで、労働大臣としては十分各方面の意見も考えに置きながら白紙の立場で、結果はどうなるか知らぬけれども、結果について具体的に聞きたいと思ったのだが、それはとにかく再検討する、こういうふうに考えてよろしいのですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 前の国会に提出いたしましたものは、やはりそれだけの経過を持ち検討を加えられて出されたものであると私は承知いたしております。従ってそれを全く無視せよという御議論には私は同意はいたしかねるのであります。やはりその経過というものは当然尊重いたさなければなりませんし、十分検討しなければなりませんが、今度は、私の責任において提出をするのでありますから、従って私は私なりに、新たに各方面の御意見は当然これを聞いて参りたい、こう考えておる次第であります。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 石田労働大臣に質問を申し上げます。かなり御質問申し上げたいことがあるのですが、時間の都合がおありだそうですから、比較的時間を詰めて簡明に申し上げますので、簡明にお答えを願いたいと思います。  実は社会保障の問題について労働大臣にお伺いいたします。労働大臣並びに国務大臣として、社会保障の問題についての御見解があれば先に承っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 どうもえらいむずかしい問題でありますが、やはり社会保障というものは、経済がいかに成長発展をいたして参りましても、そこにどうしても生じてくる谷間というものは免れ得ないものでありますから、そういう谷間の人も、憲法で保障されたいわゆる最低の文化的な生活ができるように考えるべきものだ、こう考えております。特に一般的に経済が上昇すればするほど、その差を縮めるということが政治としては必要だ、こう考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 一応それで大体いいように見えますが、これは社会保障本来の表側を言われたわけであります。そのほかに社会保障については労働大臣として考えられなければならない大きな意義が二つございます。聰明な石田さんですから考えておられるかと思いますが、時間の関係上私から申し上げます。結局社会保障というものは所得の再分配ということを意味いたします。それからその効果として、大衆購買力の増大安定ということになるわけです。それは日本の産業の振興安定ということに関係がある、労働大臣が最も考えなければならない雇用の増進安定という問題に非常に関係があるという一つの点があります。  もう一つ労働力の新陳代謝ということに非常に大きな関係があるわけです。それはおもに所得保障に関しての問題でありますが、所得保障が完全に行なわれておれば、結局ある程度の年令に達した人が生産の第一線から安心してその所得保障で暮らすように変わることができる。そのために新しい元気な労働力が生産面につくことができる。これは狭義の、雇用という意味の生産手段を持たない人のみにとどまらず、広義の労働といわれるところの、農業の自営業者であるところの労働の方、これにも関係がございます。すべての点で日本の働く力の中の若い元気なエネルギーが第一線につく、そのためには、第二線に隠居する人のためにはりっぱな所得保障が必要だ、こういうことになります。そういうような意味の雇用という問題と労働力の新陳代謝をいい意味で促進するという意味で非常に大きな課題になるわけであります。その点について石田労働大臣も同じようにお考えになるかどうか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 御指摘の問題は私もそう考えます。考えますが、ただその場合に留意しなければならないことは、社会保障の充実拡充によって生ずる購買力に過大に期待をいたしますと、他の生産性の上昇、経済力の増大ということに響いて参りますから、それはやはりバランスをとる必要がある。  それから労働政策といたしましては、現在の段階においてはやはりまだ中高年層の雇用の機会を探すということに私どもは重点を置いて参りたい。しかしそれがもう働くことが非常に困難になったというような人に対する所得保障を確保していくということは、もちろん考えなければなりません。現在の段階では私どもは中高年層の所得の機会を増大さしていくように努力していきたいと思っております。しかし経済全体として労働力が若返る方が一般的に効果がある。特定の職業においては必ずしもそうではないと思いますが、一般的には効果があるという原則は私は認めます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大体社会保障の問題だけでございません。減税の問題とか賃金の問題とかすべてを関連して所得の分配を公平にする。それによって国民購買力が増大するということは経済の発展の非常に大きな要件であります。それでその分配をし過ぎて消費をするから蓄積ができないというような理屈は原則的にはこれは一番大きな理屈ではないわけです。国際収支その他と関係があって、無尽蔵に分配することはできないということがあっても、経済の回転上は生産をする、その生産がよく分配されるということが基本の原則でなければなりません。そういう方向に進むべきであるかどうか、どのようにお考えになりますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 先ほどからお答えを申し上げておりますように、そういう効果あるいはそういう原則を私は決して否定をいたしません。ただそのバランスをとりそこなうことは警戒しなければならない。つまり生産の増大と見合いながらやっていかなければならないということを言っておるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 バランスの問題について私がことさらに申し上げておらないのに、労働大臣がバランスを取り上げられた。その言葉の裏には、社会保障の進展のスピードがそれほど早くないということを希望しておられるように曲解をされるおそれがあるわけです。聰明な労働大臣がそのような、卑怯というか勇敢でないあいまいな答えをする必要は一つもないのであって、ほんとうにりっぱな嘱望される政治家として、勇敢にお答え願いたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 私はバランスをとりながら進むことが全体として日本の経済を強固にし、同時に社会保障の実際的な効果を強めるゆえんであると考えるのであって、それは社会保障の速度を鈍らすということを私が希望しておるのではなくて、せっかく保障された所得、その他の保障というものが実際的効果を得るために必要である、こう考えておるのであります。速度は早い方がよろしい、しかしその速度は生産の上昇速度も同様に早からんことが必要である、こう申し上げておるのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 でございますから、質問がそっちの方の問題に入らないうちに、初めからバランスをとるなどという消極的なことをおっしゃらないで、進める必要がある、それを強調されてから、進めるスピードとしても、自由民主党ではやむを得ずある程度バランスをとる必要があるというくらいの表現になさらないと、意欲のある労働大臣がこの問題については全然意欲がないというふうになってしまうように思いますが、そのようなやりとりは別にしまして、社会保障制度をよくしなければならない。今では不十分である。急速によくしなければならないということについては御同感であるかどうか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 ですから私は、まずあなたのおっしゃった原則を認めて——その原則を認める方が先なんです。そうしてバランスをあとで言うておるので、バランスを先に言うておるわけでは決してございません。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでははっきりいたしましたから安心をいたしました。石田さんには非常に嘱望しておる、その人がさっき私がちょっと感じたようなことでは困ると思ったのです。  安心をいたしましたところでお伺いをしたいのですが、そういうふうにはっきり明言された以上は、社会保障を進める決心を持たれておるのですから、大きな政治家としてそれを実行されなければならない。そこで労働省自体の問題でありますけれども、直接の問題としてはいろいろありますが、社会保障にぴたっと中心的にぶつかる問題は失業保険の問題であります。失業保険の問題については、昨年非常な改悪が行なわれた。三分の一国庫負担が四分の一に変わった。これは猛烈な改悪であります。この改悪のきざしは、石田さんではなしに、倉石君の時代に労働省が失敗をしまして、卑怯未練なことをやって失敗のもとを作った。石田さんはそういう気持はなかっただろうと思う。過去のことはさておきまして、今度の池田内閣というものは社会保障を看板にしているが、看板に偽りありとわれわれが申し上げると、断じてそうではない、やるんだということを総理大臣が毎回方々で宣伝しておる。それである以上は、ほんとうに昔の改悪を戻すくらいの余地が十分にある。さらに、昔の改悪を戻すだけではなく、前進される機運にあるわけであります。特に失業保険については黒字がたまっている。そしてその給付は不十分である。その給付は三カ月と六カ月と九カ月である。失業保険というものの要諦は、失業してから再就職するまでの間失業保険給付で生活ができるということが本則であるわけであります。それが三カ月、六カ月、九カ月、条件の違いによって違いますが、それで遮断をされる。そのようなことでは不十分である。それと同時に失業保険給付が賃金の六割ということに大体規定をされておる。賃金の六割ということは、各国においてもそのような例はないということを言っておられる向きがあるようでありますが、聰明な石田労働大臣は、日本の賃金が世界の賃金から見てはるかに低いということはおわかりのはずであります。向こうの三分の一、四分の一、アメリカに比べれば八分の一というくらいに少ない。同じ率をかけたのでは非常に金額が少ない、最低の生活が維持できないということは当然おわかりになっておられると思う。おわかりになっておられるはずなのに、毎月の給付が少ない、給付期間が短かい、そのような欠点が厳然としてある。そして失業保険会計は黒字である。そこで事情によっては三分の一国庫負担に戻すということがあそこについている。池田内閣は猛烈に社会保障をやると言っているが、そうならば当然三分の一に戻す法案を今度出して、六割給付を八割給付にする、三カ月、六カ月、九カ月を再就職までにする、そのように改正されなければ、池田内閣の公約も、石田さんの今おっしゃったこともうそであるということになる。そのようなことはないと思いますが、石田さんは積極的な政治家でありますから、断じてそのような法律を出す、大蔵省が何と言っても通す、このような方針を決定しているから今発表しますとおっしゃっていただけるだろうという期待を持って御答弁を伺います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 私は労働行政というものは積極的にやりたいと思います。その積極的にやるということは、やはり雇用の機会を増大していき、安定した状態において早く失業した人を職につけていくということが一番積極的な政策だと私は考えておるわけであります。つまり失業保険で食べていられる期間が長くてもいいというような政策ではなくて、給付期間が残っておってもできるだけ早く、要するに失業保険をもらわなくてもすぐに次に移れるような必要な施策を講ずることが労働行政の一番積極的なあり方であると考えておる次第であります。そこでそこに重点を置いた施策をやって参るつもりでありますが、失業保険の現在の状態、あるいは給付の内容その他について御議論があることは私も承知いたしておりますから、それは検討をいたしたい、こう考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 非常に有能な政治家であられますので、私が申し上げることを率直に受けないで、ほかの方で上品な有効な反論を交えていかれる、そうなれば私も反論せざるを得ない。ですからそういう反論を誘発するようなことをおっしゃらないで、率直に端的におっしゃっていただきたい。  まず雇用の機会を増大する、これはあたりまえです。おっしゃらなくてもわれわれも知っている。どんどん就職ができるようにしたい。石田労働大臣の言われるように、就職ができるのならば失業保険給付を十割にしたところで、再就職まで全部失業保険給付をすることにしたところで、そういうふうに改善をしても国庫の支出はぐんと減るのです。あなたたちの政策がほんとうにやれるとお思いになるならば、そのような雇用政策をやって、大体再就職ができるというようなときになっても、非常に不幸なごくわずかな残る人に十分な給付をしたらいい。ほんとうに雇用政策に自信があるならば、失業保険給付を今の倍にしたっていい、十倍にしたって財政上は一向心配はない。その方に自信がないから失業保険給付を上げることをちゅうちょする、そういうふうに言わざるを得ない。  その次にもう一つ、失業保険給付をよくしておかなければ、雇用をされてもほんとうの雇用ではありません。臨時工とか社外工とか、賃金が少なく労働条件が悪いところに就職することになる。雇用という問題は量だけの問題ではありません、質の問題であります。失業保険給付がある程度食える給付であって、再就職まで食える期間があればその人たちは自分の希望する、自分の能力に適した職場を、労働条件の人並みな職場を選ぶ。それが短く切れるために、その給付が少ないために自分の性質に合わない、健康に合わない、そういう職場に泣く泣く臨時工や社外工で勤めなければならない。雇用の質を高める意味においても、失業保険をよくしなければなりません。そのような二つの大きな論点がある。ですから雇用の問題について、失業保険の給付を検討されるとおっしゃったことはけっこうです。けれども、検討されるくらいではなくて、大いにやります、やる用意がまさに整わんとしております、二十六日くらいには答弁ができます、そのくらいの積極的な答弁でなければ、石田さんの今までの輝かしい政治的業績はここでストップになります。御返答願いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 次の就職の条件をよくするために、自分の満足する条件が整うまでの間の生活安定を確保することが必要である、私はそういう八木さんの御議論はそのまま認めます。しかしもう一つ問題がある。これはまた反対の議論を誘発するとおっしゃるかもしれませんが、必ずしもそれだけではないと思います。いろいろな事情があると思うのです。先ほども大原さんにお答えしたのですが、現に三池の問題を私どもの方で扱いますと、千百十六名に対して七百三十名くらいの人は、もう少し考えさせてくれ、もうちょっと待ってくれと言って、お世話をする具体的な希望もまだおっしゃらないのがあるのです。私は、必ずしも失業保険があるからだとか、退職金があるからだとか、それだけだとは決して申しません。決して申しませんけれども、それとのかね合いを考えなければならないということを私は申し上げておるのであります。しかしそれだからといって、あなたの立てておられる議論の一つの筋というものを私は決して否定しておるわけではない。ただもう一つ別に考えなければならぬ問題が他にあるのだということを申し上げておるわけであります。  それから雇用政策に自信があるかないかという問題でありますが、これはいろいろ御承知のように問題がたくさんあるわけですから、手品のように一ぺんにあしたから——現在労働力の需給関係というものは大よそ殺到率一に近づいておる状態であります。場所によっては、東海地区、近畿その他では、むしろ逆に殺到率が、ひどいところは名古屋などは〇・二六くらいのところもあるわけですから、流動性を理論的に持たせるようにやっていけば、理論上バランスをとることは可能ですが、しかしそのためには住宅をこしらえなければなりませんし、あるいは技術の訓練もしなければならぬ。これは一日にしてできることではございません。しかし現在の経済状態の段階におきましてはむしろそういうことに積極的な努力をいたしてみたい。こういうふうに私は考えているのだ。しかしそれは先ほどあなたのおっしゃったことを冒頭に認めているのでありますから、給付内容が現在のままで何の検討をする必要もないのだということではないということをお答えしておるのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 議論をいささかまた誘発されたので言いたいのですが、議論ばかりしても仕方がないから、ほかの問題に移りましょう。そこで申し上げたこと以外に、ほかのことを、言わぬことについて、少し論議がこっちへ移るように、誘発しようとしていられるらしい。そうじゃなしに、議論は幾らでもしますよ。労働大臣はまだ時間が五時間もあるとおっしゃるなら、私は本格的に議論してもいいんですが、何かそっちがお急ぎのようだから問題にはいりますけれども、失業保険給付ですね、三カ月、六カ月、九カ月では——基本的な問題については再就職までですが、これはあまりにも短い。これは延ばす必要があります。三、六、九という分け方もおかしいです。これは保険料を納めた期間の性質に従って、期間のあれによって、三カ月の方は季節労働というような関係が少しありますけれども、保険料支払いの期間に従って六、九と分けておりますけれども、それは本則的にいけない精神だ。というのは保険料を納めた度合いに応じて給付期間をきめるという精神、これはそういう考え方を貫いているとほんとうの社会保障はできない。社会保障というものは給付の必要のある人にいくという精神に移っていかなければならない。その前に六カ月しかもらえない要件の人はちょっとしか就職できてない人です。ちょっとしか就職できてない人は非常に気の毒な要件の人です。そういう人が職業を離れたというときに、ほかの人より給付期間が短ければそれだけ条件が悪くなる。政府の方のお役人の考えることは、職業を転々と歩いて、失業保険をもらって遊んで歩いている、そういうようななまけ者を作ってはいけないというような、思い上がった、自分たちがエリートであるような考え方でよく役人は考える。国民の生活というものはそんなものじゃない。ほんとうにもっと深刻なんです。エリート意識で、なまけ者を少し規制するというような、そういうような考え方ではなしに、ほんとうに必要な人には同じように給付がいくという考え方に立っていただく必要があると思う。少なくとも六カ月給付、九カ月給付は一緒にして、これを二年なり三年——私どもは再就職までと言いたい。そうしていただきたいと思う。ところがそれは一方雇用政策が進んで、その方が一年以内に就職なさる、三カ月以内に就職なさる、これは喜ぶべきことです。別に失業保険を長いこともらいたいという人はいない。幾ら政府が上げてくれても、石田さんがどんなに政治力を発揮されても、八割給付になったらいい、八割よりも、十割、全部賃金をもらった方が生活が楽ですから、だれも失業保険にかじりついていようという人はいない。百万人に一人くらいですから、原則的にはそんな人はいない。だから、原則的には失業保険の給付をよくして、ほんとうに働いて生活を立て直したいという人が、その希望にそぐわないときに、失業保険給付が今よりも金額が多くなって、それで安心して生活を保障される期間が多くなる、そうしてそういう立場に立って自分に一番適した、この仕事なら打ち込める、そして生活も立て直し、その産業にも貢献したいと思う、その人が意欲に燃えて、追い詰められないで職業を選択できる、そのような条件を作ってあげていただきたい。それがほんとうの意味で雇用の質的な問題を改善する道である。そうでないと、やはり今は、ことしは就職はいいように見えるけれども、相対的に今の時代はやはり雇用主の方が——とにかく卒業生は全部引っぱりだこということになっておりますけれども、大学を卒業して非常にいい条件で出るという人はそうですが、三十五になって失業した、四十になって失業したというような人にとっては、やはり非常に不利な条件だ。そういうようなときに、そうでなしにほんとうにいい職業を選べるように、そしてその間生活できるように失業保険をよくしていただきたい。具体的に見て今の六割給付はいけないので、たとえば私どもはある示唆として申し上げるのですけれども、全部八割にしていただけば一番いい。それができなければ、少なくとも賃金の一万五千円くらいまではその底上げをして八割にするというような考え方が前進されていいのではないか。石田労働大臣の政治力に大いに私どもは期待をいたしておりますので、そのように少なくとも底上げを今度の予算において実現する、そのような法律を出す。あるいは期間を、どの程度と言えないにしても、延長する。そうして社会保障の精神に従ってその期間を設定する、そのような方向について最善の努力をする、そのようなお答えを願いたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 先ほどからお答えを申し上げております通り、給付内容その他に問題があることは承知いたしております。従ってそれについての改善の検討をいたしておるわけであります。言葉は不十分でございましょうが、右お答えを申し上げます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そうすると失業保険の改正案を通常国会に御提出になっていただけますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 先ほどから申しましたように、いろいろ問題がございますので、私は一種の保険というもの、その他の保険のあり方というものと比べまして、生命保険その他は、保険がかけてある条件が適法であるなら、かけた期間を問わず契約のものは支払われるということになっておるわけでありますから、そういうような状態と考えれば、保険という性質から考えると問題があることは御指摘の通りですけれども、しかし季節労働との関係もある。これはよく御承知だろうと思います。そのほか他の関連において検討いたさなければならぬ問題がたくさんございますので、十分検討をしたいということはこれは熱意を持って当たりますが、法律案をいつどうするということは今のところお答え申し上げかねます。ただし御期待に沿うように努力いたしたい。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 さらにその問題で法律案について最大の御努力を御要望申し上げておきまして、その中でもう一つ五人未満の事業所の件です。これについては労働省が厚生省よりは進んでおりまして、一部ああいう方向で実際的に五人未満の事業所が失業保険の適用を受けられる道を開かれた。これは二、三年前でありますが、一つの前進であります。しかしあのように任意でありますと、これはやはり完全な状態ではありません。それから六人、七人の事業所の非常に頑迷な事業主が隣の四人の事業所を見て、あそこでないからいいのだというようなことで、実際上失業保険が適用にならない。これはまた厚生年金保険も健康保険の場合も同じであります。そういうような悪らつな事業主がおります。それに対抗できる強力な労働組合のない労働者がたくさんいます。ですからやはり全部強制適用ということにして初めて——もちろん四人未満が実行されると同時に、次に強制適用でありながら法網をくぐって適用されていない事業所、六人、七人の事業所がそれができなくなる。そういうことになると思います。そういう意味で五人未満の事業所に対する適用の道を改正案のときにそれもともに考えていただきたいと思いますが、労働大臣の御所見を承りたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 五人未満の事業所に対する適用の道を開いたのは、前に私労働省におりましたときに立案さしたものであります。従って今お話しのように、私は失業保険というものは全員に適用させるように、全員が失業保険の恩恵に浴せられるようにするのが理想であり、それは理想という遠いものではなくて、できるだけ早く実現しなければならないものと考えております。ただし現在の段階で五人未満の事業所の適用は、これは事務的に非常に厄介な問題があることはよく御承知だと思います。そういう問題を、今までの経験を通しましてさらに行政効果を上げることに努力をいたしつつ、御指摘のような状態に一日も早く近づけていくようにいたしたいと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それとともに、前から懸案になっている山林労働者の失業保険の問題であります。その問題について、石田さんが最初に大臣になられたときに熱意を示していただきました。実を結ばなかったけれども、石田さんの御努力については理解をいたしております。今度三回目に就任なさった機会にぜひこれを実現する道を開いていただきたいと思います。御承知の通りでありますが、前の労働大臣に申し上げたときに、一般的な季節労働者の問題と初め混同しておられました。そういう状態でない、一般的の季節労働者の問題ほどむずかしい問題じゃないということは石田さん十分御承知だろうと思いますが、山林労働者の失業保険の問題についても実現するように進めていただきたいと思いますが、それについて伺いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 この前検討させましたときは、雇用状態について問題があったことは御承知の通りであります。その後雇用状態がだいぶ変わってきておるようであります。従って変わってきておる雇用状態に基づいて私ども処置を講ずべきものと考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それでは石田さんの方はもう一問だけにしぼりますから……。今失業保険の問題についてたくさん申し上げましたが、結局給付率の引き上げ、六割を八割、九割、十割にしてほしい。それから三カ月、六カ月、九カ月を少なくとも六、九は同じにして、これを再就職まで、全部できなければ二年、もしできなければ一年半、これくらいはぜひすぐに延ばしてほしい。五人未満の事業所、山林労働者等一ぱい申しましたけれども、これは全部していただければ最も幸いであります。ところが全部の問題が検討が済まないから今度は出しませんでしたというようなことをおっしゃらないでいただきたい。石田さんは非常に率直に私の言葉を受けていただける政治家だと思います。ですからこの問題は一緒に検討しなくても大丈夫ですから——全部していただければ一番いいが、四つのうち三つ見当がついたというなら三つだけ改正案を出していただきたい。その次は半年後、一年後でも、早い方がいいけれども、やっていただけばいいので、全部そろうまでは出さないということではなくて、先ほどの御答弁の通り積極的に前進するために、失業保険法の改正案を出す、しかもその内容の改善をして三分の一国庫負担に戻す、それで足りなかったら積極的にさらに四割五分国庫負担とか五割五分国庫負担とかに前進をさせる、そういう方法で失業保険の改正案を出させるような努力をされるというふうにしていただけると信じたいと思います。大体の方向についてもう一回答弁を願いたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 いろいろ改正についての具体的な内容について御希望がございました。その御希望は十分承りつつ検討をいたさせたい、こう考えております。それからその検討をした場合、改正を要するという結論になりましたときに、それをできるだけすみやかにいたさなければならぬことは申すまでもございません。その場合に相互に関連することもございますし、あるいは関連せずして独立に行ない得ることもございましょう。関連せずして独立に行ない得るものは、四つのうちたとい一つ結論がつきましても、やれるものはやりたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 答弁がすなおな答弁だったら、それだけで終わりますが、反撃する点があったら伺います。  それで一問だけ。実は厚生大臣がおいでになっているので、非常にいい機会なんです。社会保障の前進について厚生大臣は非常に熱意を示しておられます。そこで内閣の中でも池田さんも熱意を示すと言われるけれども、池田勇人君は総括的なあれはあるけれども、社会保障についてはあまり知識はない。それで厚生大臣に協力をして、労働大臣に検討していただかなければならぬ点がある。失業保険の問題はもちろん労働省自体の問題だが、そのほかにたとえば厚生年金保険の問題もある。これは厚生大臣の所管であります。厚生大臣の所管であるけれども、労働者の問題であります。また健康保険の問題もありますが、これも厚生省の所管であるけれども、労働者に非常に重大な関係のある問題であります。今までこの労働者関係の社会保障がストップをして前進をしなかったのは、歴代の労働大臣が非常に怠慢であったからであるのが大きな一つの原因ではないかと思います。もちろん厚生大臣自体の怠慢の方が大きいのであります。そこで古井さんあるいは石田さんというようなものすごい名コンビができ上がったのですから、古井さんはもちろん厚生省所管で第一線に立たなければなりませんけれども、石田さんがその大きなバック・アップをして、必ずこの問題が前進するようにしていただきたいと思う。そこで厚生年金保険の問題は、国民年金法が一方にできて、国民年金法は外は五割、内は三分の一の国庫負担がある。厚生年金には一割五分の国庫負担しかない。諸条件は違います。金額その他について違いますけれども、精密に計算してみれば労働者に対する国庫負担が少ない。条件の違いはありますけれども国民年金保険の方は六十五才三千六百円、片一方は六十才三千五百円、年限の条件がありますからこれは計算し直さなければなりませんが、しかし少ないことは少ない。そうすれば国民に同じように国が配慮をするという観点に立ちましたならば、当然国庫負担を上げて厚生年金保険の内容を向上させるということをやらなければ、政治の公平を欠くことになります。次に、健康保険についてもそうであります。もちろん国民健康保険の対象者は使用主の負担がなくて実際困難があるから、これを上げることは賛成であります。むしろぐんぐん上げて十割給付にしていただかなければならないと思います。もちろんそれと同時に労働者の問題についても、やはり同じ国民でありますから国が——使用主の負担というのはこれは労働条件ですから、そういうことではなしに、国自体が直接の手当をほかの国民と同じように考えてやる必要がある。そのやり方については残念ながら労働者の健康保険制度がいろいろと分離をされております。一つにまとまっておれば国民健康保険と同列ということができるでございましょう。そういうふうに前進していただいてもちろんけっこうでありますが、今分離している現状においては、その中で貧困な労働者がある社会保障に、厚みのある国庫負担をするということによって、問題が実際的に解決できるわけです。共済組合あるいは組合管掌の共済保険に国庫負担がない。政府管掌は非常に要求に反してだんだん減らされていく。日雇い労働者健康保険は一番貧困な人の集まりでありますが、そういう事態を労働大臣もおわかりのはずであります。厚生大臣は政治力を持っておるから、御自分一人でも通してみせるという熱意を示しておられるわけでありますが、厚生行政については同僚として一緒に労働者の利益を守るべく、労働大臣も厚生大臣に御協力になって、そうしてそのような健康保険の政府管掌の国庫負担が実際に議題として出て、日雇い労働者健康保険の国庫負担が非常に飛躍的に増大される、そういうことで給付の内容がよくなる、厚生年金がよくなる、そういうような方向に進めていただきたい。厚生大臣に協力して、失業保険の実際問題とともに、またもう一つの形態の社会保障という意味を持っている失業対策事業の賃金の引き上げ、ワクの拡大あるいは適格基準の撤廃、PWをやめること、そういうような案とともに大いに一生懸命やっていただきたいと思うわけであります。それについての御決意を一つはっきりと伺っておきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 厚生省の仕事の対象も私どもの仕事の対象も、ともに社会の谷間と申しますか、そういう人々を対象とすることが多いのであります。従ってそういうことならば共通の問題がたくさんあるわけでありますが、厚生省所管のことについて私がとやかく口を出してあなたのおっしゃるように手助けをしたりする必要は、古井さんの場合はないと思いますけれども、厚生省御決定のことについてあとう限りの努力をいたすことは当然と考えております。      ————◇—————

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 次に、厚生省関係の基本施策に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。  五島虎雄君。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 時間がずいぶん経過しましたのに、大臣どうも済みません。いよいよ通常国会も間もなく招集されますし、そうしてまた予算編成で非常に御多忙だと思います。それからまた厚生関係としては、医療の問題とかあるいは国民年金の問題とかいろいろ重要な仕事をかかえ込んでおられるから非常にお忙しいだろうと思います。しかし、この予算編成期にあたって、ここにわれわれ社会党が毎国会過去歴代大臣にその基本的な考え方をお尋ねしてきた問題が一つあります。それは社会問題の非常な谷間におけるところのこの部落解放の問題です。今日までの歴代大臣は、部落解放の問題について非常に熱心に検討をされてきたようであります。古井大臣は、自民党の中では政策審議会のベテランでございますから、この問題にはもう十分に取り組んでこられたはずだと思います。しかし、すべての国民が協力することによって、この差別の問題とかあるいは部落の人々のあらゆる問題の解消のために努力をしておるところでございますけれども、古井さんが新大臣となられ、そうしてこの部落問題と取り組むその基本的態度、どういうようにこの部落解放の対策を進めていかれるか、この点についてまずお尋ねしておきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 この同和対策の問題につきましては、お話しのように、歴代各大臣が力を入れてやっておられることと私もはたから見てそう感じております。それから私自身できるだけ党内でもこの問題に関係したいと思いまして、及ばずながら関係をしてきたつもりでありますが、今また自分の役所の担当の仕事となってみますと、一そうこれは今まで以上に身を入れて打ち込んでやっていきたいと思うのであります。ことに私どもの村の中には一緒に学校に行ったりしておった級友もたくさんおるのであります。今でも友人であります。よく事情も身をもって感じて知ってもおりますし、今までの大臣に劣らぬように身を入れてやっていきたいと思っております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 ただいまの大臣の言葉を聞き、そうしてどうしてもこの問題の解決、解放、それがやはり民主主義の徹底に通ずる問題でなかろうかと思うのです。われわれ社会党といたしましては、この部落解放の問題あるいは同和対策——同和対策といいますか、この問題をすみやかに解決することなしには、やはり社会の谷間というものは埋めることができないと考えております。従って社会党としましては部落解放の綱領も作り、その方向に向かって今日まで努力いたして参りましたけれども、自民党の中でも同和対策特別委員会ができ、そこでいろいろの施策が池田内閣によって講じられておるやに聞いております。しかし、従来の予算編成にあたって、要求はある点非常に高く出されますけれども、大蔵省において大体三分の一程度に切られてしまう。従っておととしの予算は八千万円程度でちょっぴりであった、それから去年の予算では少しふえて、一億三百万円程度であった、それから今年度の予算ではモデル地区などを作られて、そこに少々ばかり予算をつぎ込まれましたから、一億三千万円程度になったと思うのです。ところが厚生省当局が大蔵省に要求されるときは三倍ぐらいの要求を出されますけれども、きまって三分の一に足を切られてしまうわけです。そこで全国の部落民に対するところの予算の措置、あるいは行政の措置というのが非常に希薄になってはいないか、こういうように思うのです。従って、ことしの予算の要求もそれぞれ行なわれておるのですから、大蔵省に対して、古井さんの力をもって多くの予算を獲得されて、そうしてでき得る限り池田内閣のもとにおいて部落解放の一歩前進のために努力していただきたいと思いますが、どうでしょうか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 今までの実績はお話のようなことで、あるいは進み方が遅々たるものであったかもしれませんが、党の方もよほど認識も高まってきております。かたがたできるだけ私も努力をしたいと思っております。やはりこれは何といってもよいことだと私は思っております。できるだけ努力したいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 政府の同和対策に対するところの施策が、今年度から新たな観点として予算づけられるようになりました。それはモデル地区に対するところの予算づけであります。ところが現在私たちが調査したところによると、六千部落、三百万人の部落の方たちがおられるというように考えておるのです。六千部落あるとするならば、岸内閣の当時予算づけをされたところの、施策をされたところの新しい計画が、とにかくモデル地区として登場してきたわけですね。ところが、去年は十二地区ですか、そして来年、三十六年度は十七地区をモデル地区として決定されているようであります。六千部落に対するところの十七地区だけをモデル地区として、モデル的にこれを解放しようという考え方であろうと思うのです。いろいろの施策の中から十七地区をまず何とかしようということでありますけれども、われわれは全国の三百万人の人々に対するところのあらゆる問題を取り上げて、そうしてこれは国民が全体の力を振りしぼって協力して、これらの問題を解決しなければならぬと私たちは考えておる。ところが岸内閣から池田内閣にバトンが渡されたのですけれども、モデル地区を十二地区とか十七地区に限定をされて、そこに約半額の予算が予算づけられている。従って、モデル地区の対策については、われわれはこれはどうも政治地区のにおいが多いと思う。三百万人の六千部落に分かれているところの部落の人々、非常に苦しい生活をしておられる人々、あるいは環境的に悪いところの人々がある。そこにモデル地区、モデル地区といって、十数個所だけに限定してこれを予算づけて、重点的に対策されるこということは、部落の中の対立を深めるゆえんじゃなかろうかと私たちは考えておるのです。ところが三十六年度にもやはりモデル地区の予算づけを大体四分の一程度行なっておるわけでございます。僕は全然そんなことは無意味だということではないのですけれども、ほんとうに貧すれば鈍するのですから、生活が停滞しておれば停滞しておるほど、よそがよくなればそこに羨望の感情も出てくるのじゃないかと思う。そうするとせっかく部落解放、あるいは同和対策に重点を注がなければならないときめられたところの池田内閣の方針そのものが、非常に何か希薄な考え方になってくるのじゃないか、こういうように思うのです。一体同和地区に対するところのモデル地区ということは、どういうところを基準としてモデル地区を作られておるのか、この点について……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 モデル地区を取り上げる数が少ないというお話でありますが、これはいろいろな条件から見て、総合的にその地区に対して対策を講ずる、その条件が整っておる、また経費もかかることでありまして、これも負担できる、このいろいろな条件ですね、それで総合的に対策を講じて確かにもうよくなる、またそれだけの負担能力もあるとか、いろいろな条件を考えて、場所を選んでおるはずでありまして、私もまだ厚生省へ来てから詳しくその辺のことを聞いておるわけではありませんけれども、従来から見ておるところで、そういうはずであります。そこでそうやたらにたくさんモデル地区に取り上げることも、実際問題で困難な点もあるかと思います。それだけかどうかわかりませんけれども、そういう面もあると思います。かえってほかの部落との間にまずいことが起こりやしないかという点も考えなければなりません。でありますから、モデル地区以外においても施設、施設に対する助成は従来からもやっているはずでありますし、両々相待っていくほかはないのじゃないかと思うわけであります。程度などについては、いろいろ私どもも希望として考えてみると、もっとあるいは考えようもあるかもしれぬと思います。その辺は先向きに進めたいという考え方のもとに、もう少し勉強して努力をしていきたいと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 関連して。社会党と自民党との間で話し合いをしまして、両党提案で同和対策審議会ができておるわけです。委員の任命その他の問題について話し合いがなされたと思うのです。この趣旨は党派的にこの問題を取り上げるのでなしに、必要なところから先に年次的に、計画的に、総合的に公平にやるべきだ、こういう趣旨だと思うのです。今五島委員のお話のように、モデル地区と称して頭をなでるようなことをしたのでは、再生産になる。しかもえこひいきというか、不公平にしますと、このことは問題解決にならない、こういう点が言われているのです。私はそれは非常に大切な問題だと思う。特に同和対策審議会が発足いたしますと、そういう関係団体も参加するわけです。そこで十分討議して、年次計画を立てて、そして総合的に、計画的にやるべきだと思うのですよ。私はこの事務局は内閣の担当参事官だと思うのだけれども、しかしやはり厚生省が非常に大きな分野を占めると思うのです。今日までもそうだったが、厚生省が推進力だと思うのです。だからそういう点については、要望と一緒に、そういう問題について不公平がないように——もし不公平があったら私はいけないと思うのですけれども、その点について大臣の所信を一つ述べてもらいたい。事務局もおられることですから、そういうことについては絶対に不公平がないように、必要なところから年次的に、総合的に、計画的にやるべきだ。こういう点について従来とかく言われておりましたので、その点は私は古井厚生大臣に期待するところが非常に大きいと思います。そういう点で御所信のほどを一つ聞かしてもらいたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 どの問題につきましても、党派的とか政治的な意味で不公平があるということはいけないことだと思いますが、格別同和対策、この種のことに政治的な色合いが出るということは、きわめてこれは好ましくないことだと私も思います。極力公平に、合理的に計画と実行を進めるように、できるだけ努力していきたいと思います。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 ある新聞で見ますと、四千部落、百二十万人となっているというように記事に載せております。厚生省調べでは、この部落の人口、それから部落の数、それはどのくらいになっておるのですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 局長から……。

太宰博邦厚生事務官(社会局長)

○太宰説明員 これは少し古い、三十三年度で調べたものでありますが、大体私の方で対策を構ずべき地区といたしまして、約三千七百、そこにおられまする人口が百十六、七万ある、こういうような一応の考えを立てております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 私たちが調べたところによると、もっと多くの部落があり、もっと多くの人口を包容すると考えておりますが、太宰局長が言われたように、三千七百部落で、そしてこれに対応する人口が百十六、七万ある。そうすると、厚生省だけでこれを解決することはできますまいし、建設省も、あるいは労働省も、あるいは文部省も、各省が寄ってたかってこれらの問題の解決に努力しなければならないのは言うを待ちません。そうすると、厚生省関係の環境衛生の面とか、それらの問題だけを解決するのでも、今日のような予算を計上して着々進んではおりますけれども、どのくらいのことであなたたちがこれで十分な環境施設ができたとか、あるいは衛生設備もできたとか、そういうような何カ年くらいかかるような計画がございますか。

太宰博邦厚生事務官(社会局長)

○太宰説明員 政府といたしましては、一応十カ年の計画をもちまして、こういう部落のいろいろな問題、それは御指摘の通り経済の問題もございますし、環境改善の問題もございますし、またいわゆる社会教育という問題も含む総合的な問題があるわけでございますが、それを進めて参りたい。それにつきましては、中央でも熱意を傾けますと同時に、その地区の方々及びその当該地方公共団体みんなが力を合わしていくような方向にこれを持っていきたい、かように考えておる次第であります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 間もなく同和対策審議会が発足すると思うのです。ところがことしまではその総合的な審議会の答申などは出ておりませんから、従って従来通りの対策を立てられたんだろうと思うのです。そうすると関係各省を一堂に会して、厚生省が中心になられて同和対策の問題を論じられたと思うのです。従って建設の問題、不良住宅の問題、あるいは農林の問題、漁民の水産業の問題、労働雇用の問題、さいぜんも労働法をあれして日雇い労働の問題を大原君から労働大臣に質問されておりましたけれども、労働の関係ではその多くの部面をこの部落の人々が占めておるという事実もわれわれはよく知っておりますし、あなたたちもよく御存じだろうと思うのです。そこで今年度の同和対策についてはよく各省と連絡をされて、打ち合わせをされて、ある程度総合的な施策が行なわれたと思うのですが、そういうように行なわれましたか。

太宰博邦厚生事務官(社会局長)

○太宰説明員 お尋ねのように、この問題は関係のあります各省が力を合わせて総合的にやらなければ、なかなか効果の上がらないものであることは事実でございます。政府部内におきましてもすでに昨年度から寄り寄りそういう相談をいたしながら参っておりますが、ただ遺憾なことには、これは厚生省が中心になってというお話でございますが、なかなかそういうことではうまくいかぬ点もございますので、ただいまのところは内閣の審議室が一応の中心になりまして、各省相談をしながらやっておる状態でございます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 時間もございませんけれども、もう一点質問をしたいと思いますが、この同和問題については、厚生省だけについて質問をいたしましても総合的な対策が出ません。それで追って各省関係について、この問題についてはいろいろ総合的に私たちは質問をしていって、わが党の態度も出したいと思っております。  そこで、この部落に関係したところの事件が非常に多い。たとえば御主人が奥さんに、部落の人はどうもしょうがないとののしられて、自分の子供を連れて親子心中をしたり、あるいは結婚をするのに、部落出身だから結婚ができないと言って、そこで親あるいは親戚あたりから結婚の話をぶちこわされて、そうして世をはかなんで心中する、こういう事件が非常に世の中には多い。それは権力的な差別の問題から発し、そうして現在は国民の感情にまで浸透しておる。そこで民主主義を樹立するためには民主化を樹立するためには、こういう問題を解決していかなければとうてい真の民主化はあり得ないと私たちは考えておるのですが、こういうような社会問題は、生活あるいは環境、そうしてまた従来の観念の中からミックスして発生する。これは古井大臣も友だちなどもおられるそうですから、よく御存じだろうと思うし、私たち以上に十分これらの問題には配慮されていることであろうと思う。従って冒頭に返りまして、今年度の予算づけについてはあらゆる問題が重要でありますけれども、この問題も忘れないで大蔵省と強力な折衝をされて、そしてできるだけこの問題を解決するように努力をしていただきたいと思うのです。局長さんも同じです。どうぞ一つよろしくお願いいたします。これは要望です。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 この問題について簡単に関連質問をさしていただきたいと思います。  先ほどの古井さんの御答弁で大体いいわけでございますが、実はこの部落問題について岸内閣当時から何回も政府と私どもと討議をかわしました。前の総理大臣の岸信介さんとその根本問題についてお約束をいたしまして、部落問題については、こういう現象、そういう状態があることは、徳川時代以来の歴代の政府の責任である、これを急速に解決することは、今後のどの政党のいかんを問わず歴代の政府の責任である、しかも歴代というようなことを言うのはいけないのであって、急速に完全に解決しなければならない。そのために審議会を置く、また非常に予算を増大する。もう一つ、そういう問題については全国民的に解決をする問題であって、政党利己心は、各政党は出さないというようなお約束をしたわけであります。あらゆるところでこのお約束はさらに確認をされておるわけであります。今の政党の利己心を出さない点について、古井厚生大臣の御答弁で安心はしたわけでございまするが、残念ながら政党間の抗争、競争が方々にございまするので、与党である自由民主党員の方が、現に政府を持っておる、あるいは現に地方自治体において自民党の知事とか市町村長とかいう方もおられるというような関連を利用して、あたかも自民党がこの問題を推進したとか、自民党が口をきいたならば諸施設ができるとかいうようなことが——残念ながら各地方でそういう傾向があるわけです。そういう傾向はほんとうにまとまってやっていこうという傾向に非常にブレーキになるわけです。今御答弁を願ったことでございますが、勇を鼓してこれから同じ政党であられても、それらの利己的なことで問題解決を阻害するような行動、そういうような傾向に対して、断じて同調しないで、それをたしなめるようなことをなさっていただきたいと思うわけです。大へん蛇足でございますが、一応お答えを願いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 私は御案内のように、ある意味では愛党の精神が強いのでありますけれども、ある意味では党派心の薄い一人でありまして、格別、こういう筋の問題については、事柄から言っても、今のような党派のにおいが出るというのはおもしろくない、ありとすれば苦々しいことだと思うのでありまして、力が足らないかもしれませんが、できるだけそういうにおいを払拭するように努力したいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 御答弁で非常に満足をいたしました。それを推進していただくことを私ども伺いまして安心をいたしました。  それともう一点だけでございますが、今社会局長の御答弁にございましたが、この問題について環境改善の問題とともに、あるいはそれ以上に生活の問題が大事であるということは、政府間においても各政党においても討議をされて、もう常識になっておるわけであります。生活の問題についてはいろいろございます。自営業の経営の問題もあるし、労働の問題もあるし、いろいろな問題もございますが、厚生省御担当の問題で直接生活に関係のある問題は、端的に申し上げますと、生活保護制度の問題であり、福祉年金の問題であるということになるわけであります。一般的に生活保護の問題、福祉年金の問題は、大いに前進をしていただかなければならないわけでありますが、特に部落の完全解放を推進されるという意味も込めて、この問題が早く前進するように御努力を願いたいと思います。その内容については、別の機会に福祉年金についてはいささか申し上げたこともございますが、生活保護の問題についてはきょうは時間もありませんので、別な機会に申し上げたいと思います。  私が申し上げたいと思うことは、申し上げなくてもすでに古井さんは御承知だろうと思います。予算編成期でございますから、そういう問題については、古井行政についてわれわれが讃美できるような実際の推進をやっていただいて、通常国会で喜び合えるような、そういうことをぜひやっていただきたいと思います。もしそれが不十分でありましたときには、非常に親しい古井さんでありますけれども、非常に強力に追及することを前に申し上げておきます。御答弁願います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 できるだけやってみたいと思っております。今おっしゃっておる問題はおよそわかります。具体的に詳しくおっしゃらぬでも、前々の御意見から見てわかります。できるだけやってみたいと思います。力が足らぬのでしかられてしまうようなことになっては困るかと思って気を痛めておるのでございます。できるだけやってみたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 滝井義高君の質疑を許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 非常におそくなって恐縮ですが、実はけさ十時から私たちはお待ちしておったのですけれども、ようやく順番が回ってきたわけですが、与党と野党とが議会政治の共通の土俵で争う場合には、それはやはり第一歩は、予算編成の前にお互いに討議をすることが大事である。予算編成が終わってしまうと、それは城郭を築いたことになって、なかなかその城郭の中に攻め入ることはむずかしくなる。攻め入ることがむずかしくなると、火花が散って議会政治に危機が来るという可能性も出て参ります。そういう意味で一番予算編成の大事なときでございますが、大事なときであるだけに、野党の意見にもまた耳を傾ける価値のある大事な意見が出てくると思うのです。そういう意味でお聞きを願いたいし、御答弁をいただきたいと思うわけであります。きょうはあなた方の相手の大蔵省の主計官も来ていただいております。  一昨日以来懸案になっておりました国民年金の積立金の運用の問題については、有沢先生の方の国民年金審議会の答申が出るまでは意見は言えない、こういうことだったわけです。昨日その答申の結論も出たようでございます。答申の結論の内容を見ますと、中間的な報告と方向としては大して変わっておりません。むしろこれはいわば大蔵省の方の資金運用部資金審議会が出した意見に非常に近寄った、妥協的なニュアンスのある答申が出て参ったわけです。それはもう内容をここで申し上げるまでもなく、国民年金の積立金は大蔵省の資金運用部に預託をする、この点については自主運用を許さずという点の大蔵省の見解と大体意見の一致を見ておるようです。しかし第二点の、資金運用部は年金特別勘定を設ける、そうして特別勘定の中に甲種と乙種と設けて、甲種は低利で運用をして、そうして社会福祉施設に持っていくし、この社会福祉施設で今までの資金運用部からルートの通じていないところには公庫を設けて運用していく。乙種は高利で運用をする。これは今までの一般の運用と同じ形態でやっていく。これはしかし利子が少し高い。大ざっぱに言うとこういうようになっておるようでございます。こういうものが出れば老練堪能の士である古井さんの大体の腹がまえ、方向というものはおきまりになったと思うのですが、この際、厚生年金はすでに三千四百四十億の積立金が三月末で出ておりますし、それから国民年金の拠出制が発足しますと三百七十億か三百九十億くらい出るだろうと思います。それで積立金運用の厚生省の腹がまえ、方向をお示し願いたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 お話のようにきのうまで国民年金審議会で熱心に審議をしていただきまして、きのうの夕方あの答申が出たわけであります。そのあと代表の方がお見えになって説明を伺いました。そこで、この答申は非常に貴重な答申だと私は思っております。今まで御案内のように資金運用部関係の審議会のあの答申もあり、社会保障制度審議会の答申もあり、また国民年金関係の審議会の中間の答申もあったのでありますが、それらのいろいろな案、いろいろな考えを知った上で十分検討して作った案でありますから、その意味では他のどの今までの答申よりも耳を傾けてよく尊重して検討しなければならぬ答申だと私は思うのであります。それで実際問題は、あの案を作りますのに小委員会などを作ってやったようですが、それに関与したメンバーなどから見ましても、これはわれわれとして貴重な材料として考えてみなければならぬものだと思っております。それでこれにつきましてこっちはどういう考えを結論的に持つか、こういう問題でありますが、これは今私はいろいろ考えてみてはおります。こういうことを申すのは何ですが、ただ何分にも事務当局などと十分話をするいとまがないのであります。実はきょうまで話をしたり論じたりしているいとまがないのでございます。それでなお事務当局の諸君なんかとも十分あれをもとにして意見を交換いたしまして、そして私の最後の考えはきめたいものだと今思っているところであります。そうなりました上は、こうだという結論にきました上は、私は強い考えでこれを実現したい、こういうことを思っております。せっかくお尋ねでありますのに、また一日時間がすでにありますのに抽象的なことしか申し上げられないのは申しわけありませんが、率直に実情を申し上げてお答えをするわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この国民年金審議会の答申の特徴は、年金特別勘定を設けるということと、それから特別勘定に付随するものとして、年金福祉公庫を運用上の一つの手段として設ける点です。従ってこれを要約して言うと、集中的に大蔵省の見解と異なるのは年金特別勘定というものを作るという一点に帰着すると思うのです。この点についてはあなたは一体どう思うかということです。ここがそういうものは必要ない、今までと同じように統一的にやればいい、自主運用はやらないのだ、こういう考え方であるかどうかということなんです。ここがはっきりすれば、大体方向はおのずからきまってくるのです。分かれ目はここだけです。この案は、自主運用というニュアンスを幾分特別勘定というところに出しておるだけなんです。自主運用であくまでもあなたの省は、今までいくという答弁をしてきておったわけです。ところが今度はこういう妥協的な案が出ましたので、その妥協的なもので特別勘定でいく、こういう方針になるのかどうか、ここらあたりだけで私はけっこうだと思います。それ以上公庫を設けるとかなんとかいう質問はきょうはしたくないのですが、方向として一体厚生省はどうなんだということです。  われわれは、今対外的に労働組合その他零細な金を出した勤労大衆の諸君とともに、前回申し上げた通り拠出制国民年金を延期すべきであるという運動を起こしておるわけであります。それをあなたの見解によって、この運動に対する指導の仕方も、幾分われわれは変わってこなければならない状態が出ると思うのです。ところがこれをうやむやのうちに予算編成期までずっと引きずられると、これはやはりわれわれとしては大蔵省の見解が勝ちを占めておるなと、こう思わざるを得ない結果にもなると思うのです。だから一つ厚生省としての特別勘定というものは、もうこれはずいぶん前からそういう考え方はあったわけですから、まだ今まで全然それを検討せずに、海のものとも山のものともわからぬというものではないと思うのです。正直にあなたの考え方を御表明願いたいと思うのです。特別勘定だけにしぼってけっこうですから……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 特別勘定を置くか置かぬかという点が急所であります。あなたのおっしゃる通り、急所だと思います。この点につきまして、私が考える方向としてどういう考えを持つかは御想像がつくだろうと思います。そこで、これを私はまあこうだと表に申しますときには、もう対外的にも踏み切ってしまうときであるようでありまして、今日いろいろ微妙な段階でもありますので、奥歯にものがはさまったようなことを申し上げるのは私もいやでありますけれども、まあどう考えているか、少なくともこの国民年金制度というものの将来を考えて、これに悪い影響が起こってくるような、暗影を投ずるような行き方は私はしたくないと思っておりますので、御不満であることはよくわかりますけれども、きょうはまあその辺で一つお察しを願って、かんべんをしておいていただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 御発言の中で、その意のあるところが予承できましたので、その問題はそれでいいと思います。  次は最近病院経営管理改善懇談会というものをお作りになって、十五人の委員を任命されたわけです。多分この仕事をやる期間は三カ月くらいじゃなかったかと新聞で読んで記憶をしておるのですが、こういう病院の経営管理の改善を審議する場合には、病院の経営の実態というものを知らずしてこれを論議することはできないわけです。病院の実態を知ろうとするならば、病院の費用分析というものが必要になってくるわけです。病院の費用分析をやるためには少なくとも数理に明るい専門家が相当要るわけです。この病院経営管理改善懇談会は、これは多分医務局の所管になっている大臣の諮問機関ではないかと思うのですが、残念ながら現在医務局を見ますと、そういう専門家はいないですね。数理統計をやるだけのスタッフがいないのです。私の知っておる限りではいない。そうすると、これは一体どういうことになるのかということです。保険局にはおるのです。これはもう保険局には数理をやる専門家が雲のごとくおって、自由自在に社会保険医療の数理的な分析をやっていらっしゃる。しかし医務局にはいないのです。これは一体どういう工合に把握しておるのか、それとも今後直ちに、三カ月の間にそういう人を配置するのか、この点一つ大臣の見解をお聞かせ願いたい。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 ただいまの懇談会でありますが、これは病院の経済が一体成り立つかどうか、経済面の成り立つか成り立たぬか、苦しいか苦しくないか、そこら辺につきましては少し手薄だと私は思っておるのであります。この問題は、あの懇談会で扱わないわけではありませんけれども、もう少しこの問題には、あれだけでは手薄だと思いますので、考えてみなければならぬことがあると思っておるのであります。その点が多少手薄でありましても、大体今日の病院経済のあのやり口というものは、毎々お話のようにずれている、ですからたくさん問題があると思うのです。それでまた経済を抜きにしても、やり口を合理化、近代化していきませんことにはどうにもならないのであります。そういう意味からお話のような点はあるかと思いますけれども、あれはあれとして最善の結果を得たいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実は医療法の三十七条を見ますと、今たとえばストライキの起こっている公的医療機関、日赤等、こういう公的医療機関の開設者が請求することのできる診療報酬に関して必要な定めを厚生大臣はやることができるわけです。その場合には医療審議会の意見を聞くことになっておるわけです。そういう機関を現在ずっと歴史的にお持ちです。ところが公的医療機関が、現在たとえば日赤にしても済生会にしても、非常に苦しい状態で、済生会はとにかくとして、日赤が今歴史的なストライキをやっている、こういう場合に、その公的医療機関の今払われておる診療報酬が正しいか正しくないのかということを当然医務局が把握しておらなければならぬ。ところが具体的に先般医務局長は現在の医療報酬が適正であるかどうかについては問題があると思いますとおっしゃった、じゃ具体的にその問題のある点をお示し願いたいというと、自分のところにはそれらを調査する手足がない、こういうことになっておるわけです。この点が現在の日本の医療制度をわれわれが展望した場合に非常に盲点になっているわけですよ。保険経済という経済の面からは計算をしておるけれども、病院の経営管理の面からの報酬を決定をする資料というものは何もない、これが現在日本の医務局が保険局医務課になっている証拠なんですよ。医療行政が保険行政に従属しておるのですね。これはいけないことなんです。これはこういう経営管理の懇談会をお作りになったならば、いわゆるスタッフをすみやかにそろえる、そして人間もそろえてやらせないと、とてもこれは画竜点睛を欠くことになってしまうのですね、どうですか、これはさっそくやる必要があると思うのです。私はそのために大蔵省の意見もきょうは聞きたいと思うのです。こういうものを幾ら作っても、下に働くスタッフがなかったら空論にこれは終わります。ただ作文の討議だけで、ほんとうの統計的な数字の裏づけのある結論は何も出てこないのです。これはどうですか、こういうスタッフを医務局でおそろえになって、保険局と十分連絡をとりながらおやりになるという機構を直ちにお作りになる必要があると思うのです。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 保険優先といいますか、経済優先といいますか、保険経済の方が中心になって、医療というふうな立場が少し薄くはないかという感じは私も持っておるのであります。それで病院の経営が成り立つか成り立たぬか、それには公的医療機関もあろうし、それよりもっと問題の民間の医療機関もありましょうし、ほんとうは実態をつかみたいのであります。ところが御案内のようなわけで、実態調査が行き悩みになっておるということで今日に至っておるわけでありまして、せめてできる公的のものだけでも実態を明らかにしたいというので、その計画を進めておるのであります。医師会の協力が得られないために、この民間の個人のものの方は手がつかぬのであります。そういうことがありますが、お話の意味はよく私はわかります。医務局の構成というか、足らぬ要素を整える問題なども、よくこれはじっくり考えてみたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 至急にやる必要があると思うのです。  次は、それと関連をして出てくる問題は、今後われわれが日本の医療費の問題を論議をしようとする場合に、昭和三十五年度の社会医療と限定をしたいんですが、社会医療における総医療費というものは一体幾らなんだ、こういうことなんです。これが一番大事なところなんです。これはわかっておるはずですが、それぞれ管掌別に、数字だけでけっこうですから言っていただきたいと思うのです。これが一つ。  それから三十六年度の予算を要求せられる場合には、三十五年度に、たとえば政府管掌の健康保険の総医療費は千億あった。そうすると、それが三十六年にいく場合には、人口がふえ、被保険者の数がふえ、それから疾病が変化をする。すなわち、この千億というものが、疾病がどういうように変化をしていくかという、この伸び率と申しますか、そういうものがここに出てこなければならぬはずです。そうしますと、三十六年度の総医療費は、政府管掌の健康保険幾らと、こう出てくるわけです。これが必要なんです。これがわれわれ野党としては、今後われわれの政策を政府と同じ土俵で論議する場合には、これがないと論議できないんです。もうすでに政府は、厚生省のことしの予算要求を大蔵省へお出しになっておるのですから、そこで大蔵省は、昭和三十五年度の一月から十二月、十二月がなかったら一カ月ぐらいは推定できまずから、十一月まででけっこうですから、大蔵省の見解を聞かせていただきたい。大蔵省は予算を査定するのですが、もう査定期ですから三十六年度の医療の伸びをどのくらいに見ておられるか、これは一つ大蔵省の見解、厚生省の見解を述べていただきたいと思います。これが一番大事なところです。これがわからず、ここで答弁ができずして、今から幾らあなた方がけんけんがくがくやったって、それは砂上の楼閣です。この点の大蔵省の見解、厚生省の見解を明らかにしていただきたいと思います。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 医療費の総額については、私は大ざっぱな見当しかありませんから、これでは御返事にならぬと思います。ちょうど今保険局長がきておりませんので……。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 総医療費でいいのです。社会医療費の総額でいいんです。総額は三十五年度は幾らで二十六年は幾らと……。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 三十五年、三十六年となると正確な数字でないと、——私の大づかみな見当では、四千億を少し出ておると思うのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三十五年度ですか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 三十五年が四千億を少し出ておるくらいだと大ざっぱに記憶しております。そういう大ざっぱな話でありますから、五年、六年と申し上げるのは、これは少しまずいかと思いますので、私にはそれ以上答える力がないということで御了承願いたいと思います。

岩尾一大蔵事務官(主計官)

○岩尾説明員 医療費の問題でございますが、今手元に資料を持っておりませんので、正確な数字は申し上げられませんが、概観いたしますと、大体国民所得の四%というのが総医療費ということになっております。受診率等が保険の給付に伴って年々ふえておりますので、実際には三十五年の医療費から三十六年の医療費を算定いたします場合には、今申されましたような人口の伸び、それから受診率の伸び、それから過去の実際の単価、これがたとえば社会保険の場合におきましても、国民健康保険と政府管掌健康保険あるいは生活保護の医療扶助と、それぞれやはり単価の内容が違います。そういうものは過去の実績に基づいて単価を算定いたしまして、さらにそれに対してたとえば今問題になっておりますカナマイシンとかクロルプロマジンのような治療指針の改訂によって、新しい医療費というものがどういうふうにふえるかということを推定いたしまして、そういう積算をして積み上げておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはわかりますが、それをあなた方はどの程度に伸びをごらんになり、どの程度の受診率があるということをやはりちょっと御説明願わぬと、これはここであなた方御説明できずに幾らやったって同じです。それは架空論になってしまう。厚生省、だれかわかるはずだと思うのですがね。同時に大蔵省の見解も、これは岩尾さん大事なところですから、科学的な政治を行なおうとすれば、科学的な論議をやらなければだめですよ。つまみ金を持っていったんじゃ問題です。こういう国民所得の四%というような抽象的な数字じゃだめですよ。だからまず典型的なものは、政府管掌の健康保険、国民健康保険、生活保護、これをやってもらったらわかります。社会局長がおられますから、社会局長の方から一つやってもらったら一番わかるんじゃないですか。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 滝井君お約束の時間が参りますから……。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ちょっと待って下さい。  予算要求しておるのですから、まさかこれはでたらめな数字で要求しておるはずはないと思う。二百六十六億二千九百二十七万四千円というのが医療扶助費です、これが三十五年。今年度は、三百三十三億三千二百十四万七千円を要求されておるわけです。六十七億ちょっとの増なんですね。これは基準に寝具を加算をされておる。この分が多くなっておるわけです。従って六十七億生活保護費が増加をしたというのは、一体どういうような人数と受診率が増加をしてこういうことになったのか、こういうことがわかってくるわけです。これがわからなければこういう数字は出てこないわけですから、それと同じように、国民健康保険も出ているわけです。健康保険も同じです。それをここで説明をしてもらって、そうして大蔵省の意見を聞かせてもらえれば、これは何も議論をする必要はない。大蔵省の意見が正しいかどうかということを、科学的に少し調査してみるとすぐわかるわけです。これをやはりここで明らかにしてもらわないと、われわれあなた方との議論ができないのです。われわれも実態調査をやるし、大蔵省も実態調査をやるでしょう。この共通の広場がないところでは議論ができない。こういう一番科学的な——これは大臣は急所という言葉を使われましたが、これは急所ですよ。これがわかってきますと、もう一割の医療費の引き上げということになれば、一割をそれにかけたらいいんですから、すぐわかるわけです。それに幾分の誤差、いろいろな医療費が高くなるために変化は起こるでしょうが、その誤差をちょっと修正したらすぐ出てくるわけです。そう目の色を変えて論議をしなくてもいいことになると思うのです。ここを一つ明らかにしていただきたいのです。今なければあすでけっこうです。今答弁ができなければ、明日大蔵省の資料と厚生省の資料を出していただけますか、どうですか大蔵省。

岩尾一大蔵事務官(主計官)

○岩尾説明員 今申しましたように、いろいろな点から積算をするわけでございますが、実際に来年の予算にみますそういったパーセントを幾らに見るかということは、これは予算を計上いたしまして初めて決定されるわけでございます。現在私の方でそれをどう見るかということは、ちょっと申し上げられないわけでございます。ただこういう考え方もある、こういう考え方でいけばこうなるということは、幾らでも御説明したいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それならばこういう考え方があって、こういう考え方とすればこうなるということでけっこうです。それからもう一つ参考のために、三十三年から三十四年、三十四年から三十五年と、これはもう過去の実績ですから、そのときの伸びをどういう工合に大蔵省が見たか、これを一つ大蔵省の方はお出し願いたいと思うのです。そうすればあなたの方のはすぐわかりますから、それはあるでしょう。

岩尾一大蔵事務官(主計官)

○岩尾説明員 過去のはございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それを一つ出してもらいたい。それを出していただきますと、これはきわめて重要な問題になるのですが、いよいよ医療費の改定をやるということになると、どの程度の幅の改定をやるかということが問題になるのです。これはきょう質問いたしません。日本医師会は三円要求しています。病院協会は二円七十銭要求しております。今までの例からいって、一円以下の引き上げというのはない。まあ一円が限界です。そうすると勝負は一円から三円、一円から二円七十銭の間でつくと見ておりますから、この幅というものは、総医療費というものをきちっと出してくると、あとは財政措置の問題になってくるわけです。そこでこの財政措置というものを政府は一体どういう方向でやるかということです。これをお聞きしたいのです。もし医療費を引き上げるとした場合に、幅は私は問題にいたしません。一円であろうと、二円であろうと、三円であろうと、五十銭であろうと、それは問題にいたしませんが、この財政措置を、方向としては、一体所得倍増の経済成長のもとにおいて政府はどう措置をしていく方針なんだ、これだけを聞かしてもらえばいいんです。厚生省の腹はどういう方向で決定するのか。

古井喜實自由民主党厚生大臣

○古井国務大臣 負担できないところに負担させるわけにはいきませんから、負担できないところに対するものは国で見る、そういう考え方でいきたいと思います。

山本猛夫自由民主党

○山本委員長 これにて散会いたします。     午後六時三十二分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗