社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 169 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/12/21
会議録
○大石委員長代理 これより会議を開きます。本日公報に掲載いたしました請願四十五件を一括して議題とし、審査に入ります。 まず請願の審査方法についてお諮りいたします。 各請願の紹介議員より紹介説明の申し出もないようでありますが、その趣旨につきましては、すでに文書表によって御承知のところでありますので、直ちに採否の決定に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 採決いたします。 本日の請願日程中、第一ないし第八、第一二ないし第一六、第一九、第二二、第三二及び第三三ないし第四五の各請願は、その趣旨妥当なるものと認め、採択の上、内閣に送付すべきものと決し、その他の請願につきましては採否の決定を延期することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○大石委員長代理 なお、本委員会に参考のため送付せられた陳情書は、お手元に配付してありますように、国民年金制度の改善に関する陳情書外六十件であります。 以上、念のため御報告いたしておきます。 ————◇—————
○大石委員長代理 次に、この際、閉会中審査申し出の件につきましてお諮りいたします。 本委員会といたしましては閉会中もなお審査を進めることができますように、厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件につきまして議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————◇—————
○大石委員長代理 ただいま齋藤邦吉君外二名より、炭鉱離職者緊急就労対策事業就労者に対する年末特別措置に関する件について、委員会において決議せられたいとの動議が提出されました。 この際、本動議を議題とし、まずその趣旨の説明を聴取いたします。齋藤邦吉君。
○齋藤(邦)委員 私は自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、決議案の提出につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 案文を朗読いたします。 炭鉱離職者緊急就労対策事業就労者に対する年末特別措置に関する件 石炭鉱業合理化にともなって発生する炭鉱離職者の対策として昭和三十四年十二月炭鉱離職者臨時措置法が制定され、以来炭鉱離職者緊急就労対策事業が実施され、現在約七千五百名が就労しているが、当該事業就労者には年末特別措置が講ぜられていない。 政府は、本事業が炭鉱離職者の就職までの間の生活安定をはかることを本旨とするものであることにかんがみ明年度においては、年末特別措置を講じ得るよう措置すべきである。 なお、本年度においても、右の趣旨に基づき年末特別措置を講じ得るよう適切な措置をとるべきである。 右決議する。 以上が案文でありますが、簡単でございますので、内容の説明は省略させていただきます。皆様方の御賛成をお願い申し上げます。
○大石委員長代理 以上で説明は終わりました。 本動議について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大石委員長代理 起立総員。よって本動議は可決いたしました。(拍手) この際職業安定局長より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
○堀政府委員 緊急就労対策事業に就労しておられる炭鉱離職者の方々に対する年末特別措置の件につきましては、本年度は事務的にきわめて困難な問題がありますけれども、ただいまの御決議の趣旨にのっとりまして、本年度におきましても何がしかの特別措置を講じますように政府としては極力努力する所存でございます。
○大石委員長代理 なお、本件の参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大石委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————◇————— 〔大石委員長代理退席、齋藤(邦)委 員長代理着席〕
○齋藤(邦)委員長代理 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 労働問題一般を御質問申し上げるわけでございますが、大臣が今参議院の予算委員会に入っておりまして、十一時にはいらっしゃるということでございましたが、まだいらっしゃれないので、とりあえず質問の順位を変えまして、調達庁あるいは外務省関係に関連する部分から先にやらしていただきたいと思います。 〔齋藤(邦)委員長代理退席、柳谷委 員長代理着席〕 それは、昨年来、非常に日本の内外をゆり動かしました新しい日米安保条約すなわち日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約によりまして、今まで駐留軍の労務者の中で米軍に直接雇用をされておった労務者が、かの新しい条約、そしてその条約に基づく新しい行政協定によりまして、直接雇用が間接雇用に切りかえられることになったわけです。すでにやがて六カ月になんなんとしておるわけでございますが、この現状は一体どうなっておるのかを調達庁からまず御説明願いたいと思います。
○小里説明員 お答え申し上げます。 安保条約並びに地位協定が六月の下旬に発効を見るに至りましたが、その発効を見るに至る以前から、直接雇用が間接雇用に切りかわるという想定のもとに予備的な折衝を米軍と日本政府との間で行なって参りました次第でございます。外務省あるいは調達庁で米軍当局と再三にわたって折衝を重ねて参ったのでありまするが、何分にも歳出外諸機関に雇われておりまする労働者が、現在の調達庁が雇用主になっております間接雇用の労務者とは異なりまして、米軍の直接の予算をもってまかなわれておるわけではなくて米国軍隊の軍人軍属の拠出金あるいは運営による余剰金をもって運営がされておる、こういう特殊な形態でございますので、一口に歳出外資金と申しましても、これがPXからクラブから劇場から、小さいものになりますと託児所というような非常にスケールの小さいものまでございまして、しかもこれが陸海空三軍に分かれて、全国に散らばっておる、こういうような複雑な状況でありますので、これを統一したものにして、日本政府と米軍との間で新しい契約を結ぶ、こういう関係にありますので、発効前の予備折衝の段階におきましてもいろいろな困難な点があったわけでございます。 そこで六月の下旬に安保条約並びに地位協定が発効を見るに至りまして、日本政府といたしましても、できるだけ早く切りかえたいという意図のもとにスピード・アップをいたしまして、たびたび米軍と折衝を重ねて参ってきております。そういたしまして、九月十五日に一応日米合同委員会の場において、直接雇用を間接雇用に切りかえる基本原則的なものが日米間において合意を見たわけであります。それの骨子は、まず第一に、日本政府と米軍との間の契約は、今までの調達庁がすでに雇用主になっております間接雇用と異なって契約を別にする、いわゆる基本労務契約というようなのが今までの間接雇用に関します契約でありますが、それとは別個の契約といいますか、協定を結ぶ、これが一つ。それから原則として従来の労働条件はそのままさしたる変更を加えずに切りかえる。それから切りかえのために日米間にそれぞれ協議班を作りまして、米軍側と日本政府側においてそれぞれそれのチェアマンをきめまして、その協議班において協議を進めていく、こういった基本原則的な事項が合意を見まして、自来その原則に基づいて調達庁と米軍との間で折衝を重ねてきております。 先ほどもちょっと触れましたように、非常に規模の点から言いましてもあるいは職種の点から言いましても、あるいは三軍別にわたっておるというようなことで、これを一本の契約にしてしかも現在の基本労務契約とは別の契約にする、こういうことでありますから、その内容につきましても、基本労務契約に類するような相当膨大な契約になるわけであります。そこで現在の段階といたしましては、米軍から一応全般にわたる提案がございまして、それについて各条を追って協議を進めておる、こういう段階でございます。すでに地位協定も発効を見たことでございますから、一日も早く直接雇用を間接雇用に切りかえて、日本政府が雇用主になって労働者の保護という点においても全きを期したい、こういうことで、できるだけその契約の内容につきましてもいい契約を作りたい。もちろん現在の基本労務契約とは規模、内容が違っておりますから、相当違った契約の内容になることは当然でございますけれども、それにいたしましても、できるだけいい契約を結びたい、こういうことで日米間で意見を詰めつつあるというのがただいまの状態でございます。
○滝井委員 そうしますと、日米間でこの問題について話し合われた骨子というものの中で、従来の労働条件を踏襲をする、切りかえのために日米間に協議班を作ってやるとかいうことはとにかくとしてやはり一番問題は、今までの間接雇用とは別立ての間接雇用形態を作るということになるわけですね、今の御説明では。それは私は少しおかしいのではないかと思うのです。それから一応日本政府が間接雇用の形態で自分が責任を持って労務を援助し供給するということになるわけです。これは明らかに新しい行政協定の十二条にそうなっておるわけですね。そうしますと、一体どうしてそれを今までの間接雇用の形態をかえなければならぬのか。それは業態が非常に複雑である、三軍にわたっておる、あるいは職種が違うということは理由にならぬのじゃないですか。今までの間接雇用のものだって、同じように職種も違うし、それぞれいろいろ複雑であり、三軍にわたっておりますから、そうするとこのときだけ何か別立てにしなければならぬということは、ちょっとどうも納得がいかないのですがね。何かそういうように別立てにしなければならない根本的な理由が他にあるのか。それから今こんな六カ月たってもなおその話がまとまらないという理由が何か別にあるのか。たった今言われたような規模とか職種とか三軍にわたるということだけがこれを現在まで締結できない理由なのか。どうもそれだけの理由にしては、人数が十万も二十万もおるわけではないですから、せいぜい一万二、三千か、多くて一万五千という情報もあります。この人数は幾らかわかりませんが、人数もあわせて御答弁願いたいと思うのですが、一体延期しておる険路となる根本的なものは、今言われたような職種が違うとか、規模の大小があるとか、三軍にわたるとかいうようなほかに何かあるのか、こういう点もう少し明白にしていただきたいと思う。それからどうして別立てにしなければならぬかということ。
○小里説明員 人数は大体一万四千人でございます。 現在基本労務契約と別の契約を結ぶ必要があるというのは、基本的な問題といたしましては、先ほどもちょっと触れましたように、これが現在の間接雇用と違いまして、米軍そのものが雇っておる労務者でないということであります。現在の間接雇用は、御承知でもございましょうが、米軍自体の用に供するために労務者が働いておる、米軍の予算でまかなわれておる、米軍の直接の指揮監督下にある、管理下にある、こういう形態でございますが、歳出外諸機関の労務者は、予算的にも全然米軍の予算が使われていない。ただ米軍の施設を使うということはありますが、予算的には全然別系統である。従って、軍人軍属から集めた金でありますとか、あるいは運用して余剰金が出たらその余剰金を充てるとかいうようなことで、これが全然別系統になっておる。しかも米軍自体がこれを直接に管理するという関係にない歳出外諸機関という、いわば純然たる軍ではない、軍に準ずるような機関である、半公的な機関である、こういう性質上の差異がございますのが別立ての契約を結ばなきゃならないという根本的な理由でございまするのと、それともう一つは、お話の中にもございましたように、非常に規模の違った、独立採算的に運営をしておる、大から小から、ピンからキリまでの各種の機関がある。従ってこれを一本の契約にまとめるということになりますると、どうしても現在の基本労務契約とは別立てにならざるを得ない。それぞれ労働の態様が違っておる。最初のころはあるいは陸海空三軍別になるんじゃないかとか、あるいは歳出外諸機関別になるんじゃないかというようなことも議論の話題に出たのでございますけれども、それではたくさんの契約を結ぶということになってとても煩瑣にたえない。こういうことから米軍においてこれを一本にして、契約としては一本でいく。しかしその内容たるや種々雑多なものがあるという関係にありまするので、どうしても現在の間接雇用の契約とは別にする必要がある、こういう結論に達したわけでございます。 それから、こんなにおくれておるのはけしからぬじゃないかというお話、まことにごもっともでございまするが、今申しまするように非常にそういう複雑な内容を持っており、性質の違った点がございまする上に、私どもとしては、相当膨大なものではありまするけれども、やはりできるだけいい契約を結びたいということで、細部にわたって意見を交換しておる。こういう関係にありまするので、どうしても短時日の間にできないということになっておるわけでございます。おくれておるのはまことに申しわけないと思っておりまするが、できるだけ早く成案を得て結論を出したい、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 どうも少し間接雇用形態になるものが二本立てあるいは三本立てになるということは——われわれはほんとは行政協定の十二条をやるときに、こういう問題は安保の特別委員会がもう少しはっきりしておかなければならなかった。ところが与党が強引にやって、こういうものに対する質問をわれわれにさせなかった。当時われわれはこれをやるつもりだったのです。当時日米安保条約あるいは行政協定がよくなったという部面において、どこを世間が高く評価しておったかというと、やはりここが一応問題だったのです。直接雇用の労務者というものは、日本の労働法その他の適用も受けないで非常に問題がある。ところがこれが日本政府の間接雇用の形態になると非常にいいんだ、こういうことだったわけです。ところがそのものが今の段階になって、今度は全くアメリカの予算外の支出だから、みんなの金を合わしたもの、あるいはその余裕金でまかなわれるんだから、別立てでございますということでは、私たちは受け取れないんです。それは新しい行政協定の十二条をごらんになっても、「合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」こういうことで一本になっておるわけですよ。これがやはり別なものでは、保険局長も参りましたが、今後たとえば健康保険を適用するというような場合に別の組合を作るか、こういうことはなかなかできないことになるわけなんです。そうすると政府管掌に入るかどうか、こういうような問題も起こってくる可能性もあるわけです。従って、これはやはり私はいろいろ問題もあるかと思いますが、自主独立態勢を政府は作ったのですから、当然これは間接雇用一本で私はいくべきだと思うのです。そして賃金のアンバランスがあるならば、政府はその中に入って、きちっと賃金というものは一本にしなければならぬ。それはどうしてかというと、間接雇用の今の駐留軍の皆さん方は、いわば公務員と同じような形できているわけですから、これは給与体系が作りやすい。しかし今度の場合は、いろいろアンバランスがあるということはわかるのですが、この間接雇用に切りかえるときにこそ、私は給与体系というものは一本化して、虐待その他のないようにやるべきだと思うんですね。これが当然調達庁なり外務省のやる一番大きなものだと私は思うんですよ。ところが今のように向こう様の言う通りに、アメリカの軍人さんたちがお金を出し合ったもので雇用されておったものだから、どうも工合が悪うございますというのでは受け取れないのです。これはあなたは言っておっても仕方がないことだけれども、外務大臣なり総理大臣に一応私たちは別の機会に申し上げたいと思うのです。 そこで、これは外務省の方としてはどうですか。実際に条約改定をおやりになって——私たちは、これは行政協定が相当前進のものがあるとすれば、こういうところ以外にないと思っておったわけです。ところが今の調達庁の御意見によりますと、骨子というものはもう別立てになるのだ、こういうことではどうもこれは受け取れぬのですね。外務省の見解はどういう工合になるのですか。
○田中説明員 御指摘の通りに、行政協定改定のときには、直用労務の裁判上の保護を確保するということを主たる目的にいたしまして交渉した次第でございますが、調達庁から御説明がありましたように、直用の関係の労働の態様が非常に違うということと、それから資金源の問題につきましてもすでに御説明があった通りでございまして、やはり契約といたしましては別立ての方が適当ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。現在でも船員の関係は別の契約になっておるわけでございます。ただ交渉がおくれておりますことは御指摘の通りでございまして、なるべく早く解決をいたしたいと考えております。
○滝井委員 どうも少しもはっきりとした誠意が認められないのですがね。こういうものを別立てにしていけば、しからばこれは健康保険なんかどうなりますか。
○小里説明員 アメリカ側の提案の中には、健康保険の問題にも当然内容として触れておりますが、この問題につきましても、まだ日米間で健康保険をどういう形態にするかということについての結論は出ておりません。ただ日本政府として、調達庁といたしましては、雇用主が一本になり、しかも今まで直用労務者は政府管掌の健康保険に加入をいたしておりまするが、政府管掌よりも健康保険組合を結成して、それで運営をするということの方が労務者の利益にもなる、こういう観点から現在の間接雇用労務者が作っておりまする健康保険組合に加入させるのが一番妥当な方法である、こういう考えを持っており、また厚生省当局と私どもが折衝いたしました中でも、厚生省当局としても、そういう指導方針で私どもに臨んでおるわけでございます。従って、まだ日米間で意見の一致を見ておりませんけれども、日本政府としては、現在の間接雇用でやっておりまする健康保険組合一本でやりたい、こういう気持を持っております。
○滝井委員 気持はわかるのです。川崎君が厚生大臣のときに、料率の改定の問題が出ても、なかなか米軍はオーケーを与えなかったことは、あなた御存じの通りです。従って、あなた方の今の御説明のように、アメリカ軍が自分の財布から金を出して、そしてその金を集めたもので直用労務者を雇ったのだから、こういう形になりますと、私たちは日本政府がそこにきちっと入れば、今の駐留軍労務者と同じ形になるので、非常にいいのだと思っておった。ところが今のように別立てでやりますということになって、資金源その他についても今まで通りのやり方でいけば、健康保険の問題については必ず問題が出てくる。時間がありませんから、私きょうは一応あなた方から、予備的な今までの状態だけお聞きしました。ところが今の状態では、これはなかなか簡単には進捗しそうにないような感じがしますが、これはいつまでに妥結する見通しですか。外務省と調達庁は、この契約が別立てなら別立てをあなた方の方針としていくとしても、見通しとしては、どういう形で、いつごろ妥結しますか。
○小里説明員 いつまでというお話でございますが、日米間で意見の一致を見まして、成案を得ますれば、それを一応関係の労働組合あるいは労働者に提示しなければいけない、労働組合とは協議もしなければいけない、こういう関係にございまするので、できるだけ早く日米間の合意を得て、そういう手続を踏みたい、かように考えておれまするが、何分にも非常な膨大なものになりますし、相手のあることでありますので、いつまでというはっきりした期限はちょっと申しかねるかと思います。できるだけ早く結論を出したいと思っております。
○滝井委員 いつまでとも言えないということで、はなはだ残念だと思うのです。行政協定あるいは安保条約をそそくさとお通しになるときは、相当腹がまえも持っておったと思うのです。ところが今になって、米軍の言い分がなかなかむずかしいので、いつできるか見通しが立たぬ、こういうことでは困る。これはいずれ外務大臣なり総理に、われわれも機会を改めてお尋ねしなければならないと思うのです。幸い石田労働大臣がおいでになっておりますが、石田さん、実は新しい日米安保条約あるいは行政協定に基づいて、来軍に雇用されておる直接労務者を、今度は間接雇用に、政府が中に入って切りかえることになっておるわけです。それがまだいつのものか見通しが立たぬ、こういう状態なんです。これは直接あなたの所管ではございません。ございませんけれどもそこにおける直接雇用の労務者というものが、今まで日本の労働法その他についても十分な恩典に浴していないので、これはやはり間接雇用にやることは非常に進歩だということで、あの行政協定改定の中における進歩面として強調された点なんです。ところが、その見通しもたたないし、今までの間接雇用の形態とは別の形態でやるのだ、別立てでもう一、つ間接雇用形態を作る、こういう形のようですが、これではなかなか問題だと思うのです。一応あなたの御見解も、この際あわせてお聞かせ願っておいて、今後におけるわれわれの討議資料にしたいと思いますので、一つあなたの御見解もあわせて伺っておきたいのです。
○石田国務大臣 駐留軍関係の直用労務者の地位につきましては、安保条約改定にのっとった趣旨に基づいて、外務省、調達庁が交渉していただいているものと私は理解をいたしておるわけでありまして、その交渉が目下経過過程にあることは承知しておりますが、見通しが立たないというふうには理解をいたしていないわけであります。相手のあることですから、明確に時期は言い得ないけれども、現在お話しのような方向に向かって努力をしておられるものだと、こう理解をいたし、その結果に期待をいたしておる次第であります。
○滝井委員 これは、もう少しかすに時日をもってしたら、もっと全貌がはっきりしてくるだろうと思いますし、きょうは時間の関係もありますら、一応このくらいにしておきたいと思います。 次に、駐留軍労務者に関連して保険局にちょっとお尋ねをしておきたいのは、駐留軍労務者が、最近になりましてから急速に解雇せられていくわけです。この解雇に関連をして、保険上今二つの問題が出てきたわけです。それはどういう点かと申しますと、まず第一に、法定の積立金と申しますか、準備金の問題です。現在調べてみますと、駐留軍労務者の法定準備金は、五億二千万円になっております。ところが現在、健康保険法の施行令五十条でいきますと、過去三カ年間の保険給付に要した費用の平均の一年分の額に達するまで、剰余金の中から年額五%以上の積立金をしなければならぬということになっております。それが五億二千万円程度になっているわけです。現在駐留軍の労務者は、多分五万八千くらいに減ってきているわけです。これが、二、三日前の石田さんの答弁によっても、なお七、八千くらい減るだろうということですから、どんどん減る情勢にあるわけです。そうしますと、今おる五万八千人が全部首になったとしても、法定準備金は五億二千万円要らぬわけです。三億ちょっとあればまかないがきく、こういう形になると思う。こういうように駐留軍労務者の法定準備金というものがどんどん多くなってきているが、これを今の健康保険法から考えた場合、これはいざ鎌倉のときに使う準備金だから、それが実際には人数が減ってきたために、もうそれだけ必要がない、こういう矛盾が一つ出てきている。これを一体あなた方はどうお考えになるかということが一つです。 もう一つは、駐留軍の労務者がぐんぐん首を切られるために、厚生年金の保険料が、昭和二十四年以来ずっと調べてみましたら、七十億五千六百三十四万四千円になっているわけですけれども、駐留軍の労務者で首を切られていくと、独立自営業その他勤務につく人もおります。しかし、いわばこういう莫大な金がかけ捨てになってくる情勢が出てきているわけです。そうしますと、これは全く政府の施策、アメリカ軍の事情によって、こういう損害を駐留軍の労務者は受けてきたわけです。自分のなけなしの給料の中からこれだけのものを積み立てたが、厚生年金の二十年間の期限がきてこれをもらう前に首を切られるわけです。七十五億というと、莫大な金ですよ。今駐留軍勤務者の離職の問題その他が非常に大きな問題になっているが、金がないわけです。そこで、こういう特殊な社会的、国家的な変動によって損失をこうむる労務者については、何らかの施策を考えてやる必要があると私は思う。これは全く自分の意思に反してやられるわけですからね。こういう二点について、あなた方はどういうお考えを持っているのか、時間もありませんし、あと労働大臣にも質問しなければならぬから、要約して簡単に、こうしたいということを伺いたい。
○森本政府委員 ただいまの二点でお尋ねでございますが、最初の法定準備金の点でございます。お話の通りの数字でございますが、これは組合員が減っていくという見通しがはっきりいたしますれば、その年の年々の予算におきまして積立金の額も、所要額を考慮する、こういう気持でおります。それは毎年予算が出ますから、そのときの計算によって処理して参りたいと思います。 それから第二点でございますが、保険料をかけておるが、早くやめる場合がある、首になる場合かけ捨てになるじゃないか、こういう御質問でございますが、これは現在の厚生年金保険法から考えますと、脱退手当金でございますとかというのを一時金で出すという一般的な法制しかとれないと思うのであります。ただ御存じのように、今問題になっております公的年金の通算制というものがございますが、その際におきまして、これらの短期の人は後ほど新しい職業につきましたならば、この期間が生きて通算される、こういう措置が講ぜられる予定でございますので、今直ちに金が入りませんけれども、将来の通算の基礎になり得る、こういう点が残るので、一応支障がないじゃないかと考えております。
○滝井委員 そうしますと、法定準備金の問題については五十条にきまった施行令があるわけです。しかしその運用の面についてある程度弾力的に考えてよろしい、こう理解してさしつかえないですね。
○森本政府委員 その通りでございまして、毎年予算を編成して参ります、そのときの被保険者数とかというものが出て参りますから、それを勘案いたしまして必要額を見て参りたい。従いましてこの被保険者数が減りますれば五億二千万円で足ることもありましょうし、あるいはこの数が減らないというと、なお要るかもしれない。それは毎年の予算の編成の際におきまして所要額を算定いたしたいということでございます。
○滝井委員 所要額の算定はわかるのです。しかし問題は駐留軍がだんだん減る傾向にあるので、現在の五億二千万円の積立金があれば、もうあり余るほど実際問題としてあるわけです。どんなことが駐留軍の労務者の健康保険に起ころうと、その積立金で対応しなければならないという点は、多過ぎておるのですよ。たとえば現在他の健康保険組合の状態を見ても、東京都で六万六千人おって、そして九千円くらいの積み立て。日通が一番多いのです。これは八万九千人、七億八千万円くらい、給付が十二億ですから、法定準備金が七億八千万くらい、これがかしらじゃないかと思うのです。そうしますと、駐留軍はだんだん減少形態にあるのですから、五十五条その他の問題が出てきても、いわゆる継続給付ですね、こういうものが出てきても、実際三億ちょっとあればいいのですよ。五億以上あれば多過ぎておるわけです。ですから結局駐留軍の状態から考えてみると、今の五十条における、過去三カ年分の一年分を積み立てなければならぬという、そこに問題が、健康保険法自体に内包しているということです。これは今あなたが運用の問題と言いましたからこれ以上言いませんが、駐留軍は例外の例外ですから、ある程度運用でやはり考えなければならぬ点があるのじゃないか、こういう点です。それからあとの問題は、厚生年金の積み立て金が七十数億もかけ捨ての状態に現実はなっておる。なるほど将来国民年金の通算の問題が出ればそれはカバーされるかもしれないけれども、今度の条文の書き方によって、二十四年以来の駐留軍労務者の全部が適用を受けるかどうかという問題はあるわけです。現在の段階ではとにかく救済の方法がないのですから、七十五億のかけ捨てになっておることは事実です。こういう労務者が、今石田さんその他にお願いをして駐留軍の離職者対策をやつてもらいたいといっても、じゃ還元融資がどこにいくかというと、今はいく方法がないわけです。こういう点について幸いに予算編成期ですから、駐留軍離職者のいわゆる離職者対策その他について還元融資を考える必要があるのじゃないか、そうすれば、こういう七十五億のかけ捨てがあるから、これをなんとかしてくれなんという陳情その他も来ない。それはあなた方の七十五億の中から幾分一つ見ましょうということになる。これは施策としてはいい思いつきだと私自身考えるのですが、どうですか。還元融資その他で駐留軍の問題についてはある程度考えてやる必要があるのじゃないかと思うのです。七十五億もかけ捨てなのですから、それだけ三千四百億の積立金に貢献をしておるわけです。これは今公けのところとか大きな会社以外には貸していないのですから、こういうものに貸すことはむずかしいかもしれないが、それならば五億二千万円の準備金を持っている駐留軍健康保険組合が何かを通じて、そういう方面に貸す方法を考えたらと思うのです。どうです、これは一つ労働省とも協力してお考えいただけませんか、ちょうど予算編成期ですから。
○石田国務大臣 これは私もそういうけっこうな財源がある話を聞いて非常に耳よりな話に存じます。従ってその耳よりの財源の処置につきましては、御意見を尊重して、さっそく研究をさせたいと存じております。
○滝井委員 この問題はまた研究してもらってからやります。ちょっと詳しく言いますと、昭和二十四年四月から二十六年六月まで——これは終戦処理費です。これで出している保険料が十四億六千九百三十四万円、それから旧契約昭和二十六年七月から三十二年九月までが四十五億二千二百六十四万七千円です。それから新契約で三十二年十月から三十五年九月までに十五億六千四百三十五万七千円、計七十五億五千六百三十四万四千円、このうち駐留軍の労務者は結局厚生年金の恩典に多くの人が浴さないままで預けた形になっている、こういうことです。今後駐留軍の労務者は増加する傾向はないわけです。減るばかりですから、通算調整ができない限りは厚生年金の恩典に浴する人はないのですから、ぜひ一つ石田労働大臣に協力して考えていただきたいと思います。 次は労働の基本的な問題ですが、少し時間が足りないのです。大臣が十二時半には行かなければならぬそうですが、私の方はちょっと系統的になっておるので、少し時間がかかるのですが……。
○石田国務大臣 先ほどの滝井委員の御発言の中で、計数上ちょっと私の発言と違った数字をあげられましたので明確にしておきたいと思います。ただいま十一月現在の数字が調達庁にあるそうでありますが、私は十月現在の数字を申し上げます。間接労務者が五万九千三百名、これが十一月現在ですと五万八千七、八百名になっておるそうです。けれどもあとのものが十月ですから十月で申し上げます。直用労務者が約一万五千名、特需労務者が七千七百名、合計八万二千名というのが十月現在の在籍者であります。そこで全体を通じてどれくらいの離職が明年の三月ぐらいまでに出るだろうかという、これからは予想であります。予想は、全体を通じて約六千名くらいじゃないかと申し上げたわけです。その五万八千名の間接労務者だけからそうたくさん出ると申し上げたわけではありませんので、一つ訂正をいたしておきます。
○滝井委員 そうしますと五万九千三百名の間接と、直接、特需の八万二千名、これを合わせたものから六千人……。
○石田国務大臣 いや違う。間接労務者が五万九千三百名、直接労務者が約一万五千名、それから特需労務者が七千七百名、合わせると八万二千名、その中から約六千人くらい出るのではないか、こういう予想をしておるわけであります。
○柳谷委員長代理 河野正君。
○河野(正)委員 先ほど炭鉱離職者に対しまする年末処置に関しますところの決議が行なわれたのであります。それに対しまして政府当局からの若干の所信の表明がございました。私どももその決議の精神にのっとりまして政府当局のすみやかな適切な御処置をお願い申し上げるわけでございます。ところが年末年当もさることながら、この炭鉱離職者に対しまして炭鉱離職者臨時措置法が制定をされた今日まで、いろいろとその炭鉱離職者に対しまする対策が具体的に進められて参ったわけでありますが、しかしその運用の不合理なために、今日までいろいろと立法の精神というものが著しくゆがめられまして、炭鉱地帯の失業問題というものが、かえってますます深刻な方向に進み、さらには重大な社会問題を惹起しつつある例がしばしばございますることは、私どもまことに遺憾に感ずるわけでございます。そこで私は、そういう基本的な点につきましては、時間もございませんからいずれ別の機会にいろいろと御質疑申し上げるということにいたしまするが、当面して起こつて参りました具体的な二、三の事態につきまして若干御質疑を申し上げ、御所信を承って参りたいと考えております。そこで、先ほど決議にございましたように、年末手当に対しまする臨時の処置が行なわれて参りましたことは、まことに同慶にたえないところでございますが、しかし先ほども申し上げますように、運用の不合理のために憂うべき現象というものが今日しばしば行なわれて参っております。その一つとして、最近の新しい現象でございますが、現場のいわゆるロック・アウトというようなものが逐次起こりつつある現象がございますることは当局側も十分御承知だろうと思います。こういう一つの新しい傾向に対しまして、大臣はどういうふうな御所見を持っておられまするか、一つまずもってお伺いを申し上げておきたいと思います。
○石田国務大臣 ちょっと反問をいたすのでありますが、ロック・アウトというのは、今勤めておる炭鉱がロック・アウトするという意味ですか。
○河野(正)委員 言葉が足りなかったと思いますが、現在臨時措置法に基づきまして緊急就業をやっておるわけです。その現場がロック・アウトされた、こういう事例が福岡県下におきましても若干起こって参ってきておる。そういう一つの新しい傾向、先ほど申し上げましたようにこれは一つの新しい傾向でございますが、そういう新しい傾向に対してどういうふうにお考えになっておるか、御所見を承りたい、こういうことでございます。
○石田国務大臣 私も今実は報告を聞いたばかりでありますから、その事態につきまして職安局長からお答えをさせます。その事態についての労働省としてこの所見は、今聞いた具体的な例でありますから、いずれさらに詳細な報告を聞いた上申し上げたいと存じます。
○堀政府委員 ただいまのお話の点は、おそらく福岡県下の宇美町周辺の緊急就労対策事業に現在起こっておる若干の事例についてであろうと思うのでございますが、これにつきましては、実は緊急就労対策事業は御承知のごとく炭鉱離職者臨時措置法に基づきまして、政府からもしくは公共団体から業者に事業の発注をいたしまして、請け負って施行してもらっておるわけであります。その際におきまして、業者は八五%の炭鉱離職者を就労させなければならないという条件が付せられておるわけであります。従いましてそのような事業の性格上、賃金あるいは労働条件等の問題につきましては、これは労使間の話し合いできまっておる面が相当あるわけでございます。そのような面をめぐりまして、ただいまお話しの事例につきましては労使間に紛争が起こりました。そこでその労働者側の要求に対していろいろ交渉をいたしておる過程におきまして、業者がそのロック・アウト的な行為を行なったいうような報告を最近聞いたところでございます。これに対しましては私ども緊急就労対策事業の趣旨からいたしまして、このような紛争の結果、離職者が一時的にも職を失うというようなことがあってははなはだ工合が悪い問題であるという観点から、福岡県に連絡をいたしまして、関係者もなるべくこの問題について関心を持ち、介入をいたしまして、双方の交渉が円満に妥結いたしまするように関係者としてもできるだけの努力をする、こういう方針で指導いたしておるところでございます。
○河野(正)委員 委託事業であるので、労使間の賃金問題その他については労使間で自主的に交渉する、そういうことでございますけれども、今度の場合は相手方がおらぬわけです。それで労使間が対等の条件で話し合うという方針でございましても、今度の場合はちょっとケースが違う。話し合うといっても相手がおらぬ。ところが相手がおらぬのみならず、実際にはロック・アウトをしておりますから、賃金が入ってこない。そこでもともと一般失対と比較いたしましても、条件がこの緊急就労の場合は非常に劣悪である。たとえばこの年末手当もさることながらも、そういう悪条件が重なっておりますにもかかわらず、今度のように交渉する相手がおらぬ。そのために結局仕事にもありつけないということになりますと、私は生活的にも非常に大きな圧迫を受けて参るものと考えております。ところが今日までもこの紛争が解決しない。解決しないということでも、たとえば相手と交渉の過程において解決しないということでございますならば、一応就労できるわけです。今度の場合は、ともかく相手がおらぬわけですから就労もできない。そこで結局一般の交渉過程とちょっと違うわけです。そこで私はさっき申し上げますように、非常に大きな生活上の圧迫を受けて参るであろうというふうに考えますると同時に、まずこの点は性格上は一般失対とは何ら違いないにもかかわりませず、ただ炭鉱離職者だということで臨時措置法の適用を受けておる。そういうところに私は非常に大きな基本的な問題が残っておるというようなことを考えるわけですが、問題は、そういうロック・アウトと申しますか、委託を受けました業者が雲隠れをする。そのために結局生活的に非常に大きな困窮状態に入ってくる。そこでそういう場合の責任の在所と申しますか、この点が私はきわめて重要な問題ではなかろうかというように考えております。そこで、なるほど地方団体がいわゆる業者に委託をされて仕事をさせるということでございますけれども、こういう場合の責任の在所というものは一体どこになるのか、この点に対しまする御所見を一つ伺いたいと思います。
○堀政府委員 ただいま申し上げましたような性格の事業でございまするから、責任の対象は、使用者側としての責任は業者にあるわけでございます。従いまして業者とされましても、そういう点を労働者側に対して話し合いを十分するということは当然でございます。そのような観点から、私どもといたしましては福岡県に連絡をいたしまして業者側に対しまして労働者と話し合いを行なうように目下指導をしつつあるということでございます。 なおついでに申し上げますが、一般失対よりも条件が悪いというお話でございますが、期末手当等は、ただいま申し上げましたような請負に出して施行させておるという性格から、政府としてはつけておらないという問題であります。その請け負いました条件のもとで使用者側がきめることになっておるわけでございますが、賃金等につきましても一般失対よりは相当高くなっておるという状況でございます。なおこの関係者等の意向を一般的に聞きますると、いろいろ請負の際の条件その他につきまして、現状では無理があるのではないかというような御要望も聞きまするので、私どもといたしましては、来年度におきまして予算折衝の過程等を通じまして、この条件を改善いたしまするように十分努力いたしたい考えでございます。
○河野(正)委員 御承知のごとく使用者、業者というものが最終的の責任者だというような一つの筋書きは大体わかると思うのですが、しかし今度の場合は、結局労働者側がストライキをやった、職場放棄をやったということではなくて、就業しようと思っても、交渉しようと思っても相手がおらない。しかもその業者は国の臨時措置法の方針に基づいて仕事を委託されておるということであるわけです。そこでただいま申し上げましたように、労働者側が職場を放棄したとか、あるいはストライキをやったとか、こういう場合に賃金がもらえぬということは、一つの筋は筋として——私どもはそれを是認するわけではございませんけれども、一つの筋が通っておる。今度の場合は業者が雲隠れして、おらぬ。そこでなるほど業者というものが最終責任者であるということでございますけれども、一般からいいますると、ちょっとケースが違うわけですね。実情が違う。実情が違うからといって、年の瀬に賃金がもらえぬということでは、私は非常にお困りだと思う。筋は筋であるけれども、実情は今も申し上げましたように非常に違う。そういう場合に何らかとるべき措置というものがないものか。単に労働省が県側に対して話し合いしなさい、善処しなさいということでは、話だけでは食っていけぬわけですね。善処をする、善処はしようとするけれども、じんぜんと時が経過していって、しかも正月を迎えよう、こういうせっぱ詰まったような深刻な情勢のもとで、何らか配慮する方法はないものかどうか、こういう点に対しまするもう一つ突っ込んだ御所見を伺いたい。
○堀政府委員 私どもも現実に今起こっておる状況でございまするので、正確なことはさらに把握いたすように連絡いたしております。やや不確かかもしれませんが、聞きました情報によりますると、労働者側の方におきましても、賃金の改善要求等とからみましてサボタージュ的な行為があった、こういう報告を受けております。ただこれは不正確な情報でございまするから、正確な情報は追って把握いたしたいと思って、今連絡をいたしております。そのようなことがあってロック・アウト的なことがこれに対して起こったというような話を聞いておりますが、いずれにいたしましても、労使間において至急話し合いをしてもらいまして、そうして関係の労働者諸君が年の瀬を不安に越すというようなことのないように、炭鉱離職者を八五%も就労させるべき緊急就労対策事業という特殊性がございますから、他の一般の民間の事業と異なりまして関係者としても十分——これは県側におきましても十分な配意が必要であると思いますので、お話のような点も織り込みまして、福岡県において関係者と十分連絡して善処しまするように、私どもとしても十分注意する所存でございます。
○河野(正)委員 時間がございませんから、あまり突っ込んだことをお尋ねするのは別の機会に譲りたいと思いますが、先ほど局長の御発言の中で、一般失態と緊急就労の場合の条件の問題について若干意見の相違があったと思います。そこで私はそういう御意見がございましたから若干この機会に触れておきたいと思いますが、たとえば賃金問題一つ取り上げてみましても、なるほど設計単価というものは四百四十五円ということで予算積算の基礎になっておるようでございます。私もさっき運営の面でいろいろ不合理が存在しておるという点を御指摘申し上げましたが、設計単価は一応四百四十五円ということで予算の積算基礎になっておる。ところが実際に業者が利潤追求するという建前で、現実の面においてはかなり賃金を押えておる。そういう面が今日ちょいちょい出て参っておるわけです。 〔柳谷委員長代理退席、齋藤(邦)委 員長代理着席〕 そこで労働者諸君に言わせれば、なるほど設計単価はそうだけれども、実際にもらっておる賃金は低いというようなことから、労働条件が非常に劣悪だという要求があろうと私は考えるわけです。そういう具体的な事例につきましては、時間がございませんからいろいろと別の機会に御論議申し上げたいと思います。そこで私は当局側としては、やはり機械的に中央できめられた方針というものが現地でそのまま完全に実施されておるというようなことでなく、そういう運用の面でいろいろな不合理な面が出てきておるということを一応頭に入れておいていただかたいと、将来今申し上げましたような不測な事態がしばしば繰り返して起こつて参るというようなことを、一応お含み願っておきたいと考えております。 それからなおまた、たとえば炭鉱離職者は八五%受け入れなければならないというような建前になっておりますけれども、そのワクだけで工場管理をするというような具体的な事例も出てきておるわけです。なるほど八五%受け入れておりますけれども、百を使わずに八十五だけでも事業を完了する、これは事業というものが業者に委託されておりますから、直営にせずに委託されておるという立場をとっておりますから、業者は利潤を追求する。そのために、なるほど定められた方針で八五%受け入れておりますけれども、そこだけで工場を管理しておる。そこで一般の特失臨就、そういう場合には予算のワクが余りますね。剰余が出てくる、そうするとそれを歩増しと申しますか特配と申しますか、そういう形で予算の再配分をやっていくというような方針をとられておりますけれども、炭鉱離職者の緊就の場合には単に賃金だけで押し切られていく。そうしますと実際には労働強化、低賃金という形になって、非常に炭鉱離職者の不満が充満してきておるというように思うわけです。なるほど今度の紛争の当初の原因は、あるいはまあストライキ、実力行使というような行動にあったかもしれませんけれども、そういう事態を起こした原因というものが、そういう具体的な数々の事態によって起こってきたということを十分御承知願っておかないと、私は将来のために、こういう不測の事態が起こってくるいろいろ不幸な原因になっていくということを非常におそれるわけです。そういう事態があるということを今初めてお聞きになったのかどうか知りませんが、そういう新しい傾向が起こりつつあることは私が今申し上げた通りでございます。労働大臣は、私が今具体的に申し述べました実例をお聞きになって、将来どういう方針をとっていこうとされているのか。たとえば緊就を一般失対と同じに取り扱うとか、一本化すなわち直営という方針で将来臨むとか、いろいろ具体的な方針がたくさんあると思いますが、どういう方針で臨んでいかれようといたしまするか、一つ労働大臣の御所見を承っておきたいと思います。
○石田国務大臣 基本的には、今回の緊急就労を実施いたしておりまする趣旨に沿うように行政指導をいたしたいと存じております。ただその対策として、一般失対と同様に取り扱うということは、緊急就労を行ないましたのは、次の適職をお世話いたしますまでの間の措置としていたしておりますので、そういう事業に停滞させることは望ましいことではございません。従って、ただいま河野さんのおっしゃったような措置をとるということについては、これは異論がございますけれども、しかしこういう施策を講じておりまする趣旨に沿うように行政指導をいたしたいと存じております。
○河野(正)委員 それでは最後に一点だけお尋ねをして、一つ将来の方針を承っておきたいと思います。 それは適職につくまでの暫定的な措置だということでございますけれども、御承知のように合理化政策によって今後十一万人の炭鉱離職者が次々に出てくるという、炭鉱離職者にとりましてはまことに切実な、深刻な状態に置かれておることは御承知の通りでございます。ところが、さっきもちょっと申し上げましたように、炭鉱職離者であるそのために、適格要件は持っていても一般失対の事業には登録ができない。そのために、実際現地の状況を見て参りますと、炭鉱は離職したけれども一般失対に入れませんから、そこで結局生活保護の適用を受けている。働こうとしましても、要するに炭鉱離職者であるがゆえに一般失対に入ることができない、そのために結局生活保護の適用を受けなければならないというふうな状態も今日生じつつございますることは御承知だと思うのでございます。そこで、適格要件を持っておりまするならば、今申し上げますような失対事業への登録が制限されるというようなことでなくてその中に吸収していく、そういうことも必要ではなかろうかと思いますし、さらには今申し上げますような緊急就労対策事業の性格からして、さっきも決議等の出ましたような、要するに手当その他に対しましても同様の措置がとらるべきではないだろうか、こういうことも考えるわけです。そこで、これは時間がありませんから、最後に一つ大臣から、そういう二つの問題点等について、将来どういう方針で対処されますか、お答え願いたいと思います。
○石田国務大臣 やはりできるだけ緊急就労その他にお世話をするというのがいい方法だと思います。しかし、適格要件があるのにそれを一般失対に登録させないというようなことは実際はさせてないつもりでおります。させてないつもりでおりますが、なお、実情どうなっておりますか、局長からお答えをいたします。
○堀政府委員 ただいま大臣からのお答えにございましたように、緊急就労対策事業、鉱害復旧事業、公共事業等に対しましてまずお世話をするということで働いていただいておるわけであります。その方におつきになっておりまする場合には、適格要件がございましても一般失対の方にはお世話はしないわけでございます。しかし、緊急就労対策事業公共事業、鉱害復旧事業等にどうしても入れないという場合には、残された方法として一般失対の方にお世話をする、これは当然でございまして、適格要件がございますればお世話をする、こういうことでございます。 ————◇—————
○齋藤(邦)委員長代理 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。 医療に関する調査をなすため、小委員十三名よりなる医療に関する小委員会を設置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤(邦)委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長より指名することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤(邦)委員長代理 御異議なしと認めます。 よって、 井村 重雄君 伊藤宗一郎君 小沢 辰男君 大石 武一君 藏内 修治君 齋藤 邦吉君 藤本 捨助君 柳谷清三郎君 大原 亨君 河野 正君 滝井 義高君 中村 英男君 本島百合子君を小委員に、大石武一君を小委員長に指名いたします。 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 手 ————◇————— 午後二時五十五分開議
○柳谷委員長代理 休憩前に引き続い て会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件につ いて調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。八 木一男君。
○八木(一)委員 私から、ただいま森 本保険局長に出席を要求してございますが、いかがになっておりますか。
○柳谷委員長代理 間もなく来ると思 います。
○八木(一)委員 それでは来てからも 申しますけれども、その問題について申し上げます。 一般の行政の問題について申し上げる前に、厚生省のあり方について大臣に御質問を申し上げたいと思います。 昨日起こったことは、ほかから聞いておいでになると思いまするけれども、厚生省のあり方としてははなはだけしからぬやり方であると思うのです。 まず第一に、厚生省は国民の陳情を非常に拒否をして、来てはならないという——厚生省の構成員全部とは申しませんが、そういうことを申しました。要務があるために会えないこともあるでありましょう。あるでありましょうけれども、熱心な国民を七時間も放擲をして、そのままほっておる。そうしてその人が会いたいということを、人がいないといってほったらかしておいて、その人たちがくたびれはてて帰ることを望む。そのようなことが厚生行政としていいものであるかどうか、大臣の御所見を伺いたいと思う。
○古井国務大臣 なるべく時間がある限りは、どんな人にでもお目にかかって御希望や御意見は聞いた方がよいと思います。これは厚生省だけのことじゃない。あたりまえのことだと思います。全体のことだと思います。
○八木(一)委員 大臣はそのようなお考え方でけっこうだと思うのですが、在来の厚生省には、全部とは申しませんけれども、一部分に非常に悪い風習かございます。国民を非常にないがしろにしておるわけでございます。昨日の問題は、もし詳しくお聞きになっておられなかったならば、詳しく私から事情を申し上げますけれども、大体は知っておられるという前提のもとに、ごく簡単に申し上げます。 数十名の人を八時間放置をした。放置をして、結局厚生大臣に会いたいという要望、保険局長に会いたいという要望に対して、参議院の社労委員会が八時まであるから、それはだめだということになっておった。ところが七時過ぎに再度、御都合はいかがでございますかという連絡を厚生省の人を通じていたしましたところ、七時前に散会をして、大臣も次官も局長もどこにおられるかわかりませんということであった。そのようなことは、そのときに会えるかどうかということは別問題といたしまして、そのような熱心な人が七、八時間も待っておるということであれば当然、それからまた参議院の委員会が終わったあとでお目にかかれるであろうということを期待して待っておるときには、当然ほかに行かれるときには、ほかのこれこれの要務があって行かなければならない、参議院の委員会が終わったならば、こういう要務であるという連絡をすることが、普通の人間対人間の場合の当然のやり方である。官庁の場合には、特にそれ以上に懇切丁寧にしなければならないのに、まだ、いまだに官庁の構成員は、お役人として高級な、えらい人間である。陳情に来る人間などのうるさいことは、あまりしっかり聞けないというような気分があったのではないかと思われますけれども、そのように八時に終わったらという話をすっぽかして、七時前に終わっていながら何ら連絡をしないで、その人たちの時間を空費させて厚生省の中に置いておるというふうなことはいけないと思うのです。そういう問題でその人たちが非常に憤慨をしておられました。そこで私どもが、それではどこにおられるのだろうということを調べましたところ、あるホテルにおられることがわかった。別にそこで飲み食いをしておられたわけではありませんで、そこで重大な会議をしておられたのであろうと私どもも信頼したいと思いますが、そこにおられることがわかって、そこに連絡をしたときに、その連絡の話がついておらないのに、国会議員の電話に対して、一方的にこの電話を切るということが行なわれた。その後、それに対して電話を途中で切られたから、会ってもらえるかどうかということはわからない。この話を伺うために、そのいるはずの場所に行った。その場所に行くと、フロントなりにおられる関係者に、厚生省の会議は終わったということを言わせている。十分前に会議があって、非常に重大な会議である。そのような熱心な陳情の人にも会えないという以上、どう考えても十分後に終わるはずがない。終わるものであれば、きょうは会えないということは、何といいますか、非常な官僚的な答弁であります。十分後に終わるのであれば、十分後に会ってやる配慮をしてしかるべきである。ところがそうじゃなしに、会議は続いておったはずだ。しかるにかかわらず、会議は終わりましたということをホテルの関係者に言わせる。そしてまた別のフロントへ行くと、終わってないかもしれない、どこにいるかわからない。厚生省の借りている会場がホテルの管理者にわからないはずはありません。それをどこにいるかわからないということで、十分か十五分空費させている。わかったところへ行けばあやしげな状態である。おられたはずであるというところが個人名の表題に変わっておったように思います。それは個人名の会場であるかもしれません。それが不可思議なことにかぎがかかっておる。普通の人の場合に、秘密会議ではあるまいし、かぎをかけて会議をされたり、懇談をされる方はめったにありません。ホテルの関係者はまことに困ったような表情でおります。言ってはいけないと関係者から言われて、そう言っておるような状況である。一人や二人ではありません。すべての関係者が相当そのようなうそを言う。どんな場合でもうそを言う。そのようなことを厚生省の高級官僚がやるというようなことであっては、すべてのことに信頼が持てません。どんなことを言われても、うそを言っているんじゃないかというようなことになる。そのようなことはよくない。厚生大臣はどう思われますか。
○古井国務大臣 私はさっきも申しましたように、どなたがおいでになろうが、委員会に出ておれば途中で出るわけにはいきませんが、しかし委員会が終わった直後か、時間があります場合には断わったことはない。お目にかかっておるつもりでおります。多分私の記憶する限りでは、申し入れがありまして会う時間があって会わなかったことは一ぺんもないと存じております。これはあたりまえなことだと思いますし、私にしてみれば、ことに初心者ですから、なるべく各方面の意見を聞いた方が自分の勉強にもなると思ったり、かたがたあたりまえのことであるし、そういうつもりでやってきておるわけでありますが、省内の者も、ことさらお目にかかるのをいやがるということじゃないだろうと思います。これはむろん希望されれば、都合のつく限りは喜んでお目にかからなければならぬことですから、そういう考えに立っておるだろうと思います。そこで早いところ結論を出さなければならぬ緊急の要務でもあって、みんなが会議をしておるということがかりにありとすれば、やはりそこはお互いに時間のやりくりをいい具合に調和する、そういう努力をしまして、むずかしい場合はなるべくやりくりの努力を双方がしてお目にかかる、こういうふうなことにしたらいいんだろうと思うのです。今のお話の具体的などうということは私は知ったことじゃありませんけれども、考え方として今のように思います。 それで外国を旅行してみますと、一つの役所はむろんのこと、会社のごときに面会に行くにしましても、アポイントメントをあらかじめとっていくという慣習があるところがありますね。飲み食いなどしておるために、それなら理屈になりませんけれども、仕事も必要だ、会うことも必要だ、どういうふうに効果的に調和するか、こういうことから、そういった習慣が出ているだろうと思います。やはり行き違いも起こったり、誤解も起こったりするので、日本にもああいうお互いの立場を調和した慣習が起こると大へん双方のために望ましいというふうに思います。考え方は今のように思っております。
○八木(一)委員 大臣の考え方はそれでけっこうなんです。けっこうなんですけれども、厚生省全体にはそうでない。きのう非常に熱心な人が大臣にお会いをしたいということで、厚生省の公務員の方を通じて申し入れておったところが、大臣の耳には達しておらない。大臣だったらお会いになったと思います。そのようにほんとうの責任者が自分の都合がついたら快く会う気持があるのに、中間の者がそれを遮断するということは許されないと思う。それは遮断されておるわけです。そういうようなやり方について、厚生省の中の全部とは申しませんが、一部の者が、善意に考えれば、一時的にあやまってさそういう空気になったのかもしれません。そういう空気がなくなるように大臣はしていただかなければならぬと思う。それを有力な厚生省の公務員諸君に、大臣から厳重にさとしていただきたいと思う。 それからもう一つ、断わるにも事欠いて、ほんとうのことでない、はっきりいえばうそを言うことはいけないと思います。私はうそを言った事実があることを二、三知っております。それは陳情を受けるのが非常にめんどうくさい。官庁側の立場に立ったら、仕事が忙しくて時間がないという立場かもしれませんが、普通の国民の立場からいえば、めんどうくさいというような感じで、いないと言えば向こうがあきらめるだろう、何かの会議があればあきらめるだろうという、そのような思い上がった考え方でうそを言う。うその探偵はしておりませんけれども、そのうそが偶然にわかることがある。事実今まであった。そういうことで、会えるのに、めんどうくさいから、あるいはその人が思い上がって、聞かなくてもおれはわかり切っておるというような考え方から、ほんとうの国民の陳情を聞きたくないという考え方から、国民にまことしやかな理由で会わない、そういうような事実がたくさんあるのです。断じて厚生大臣は厚生省の方の空気を改められますか。
○古井国務大臣 さっき私の申しました考えと今八木さんがおっしゃっておる御意見とあまり違わぬと思うのです。さっき申し上げたような考えで臨みたいと思うのであります。
○八木(一)委員 実は私はきのうの事情を簡単にしか申し上げませんけれども、断じて承知しがたい事情であるので、徹底的に追及するつもりでおりましたが、しかしながら大臣の誠意もわかりましたし、私どもが憤慨した焦点の人がだれであるかということを委員会で公に言うことは控えておきたいと思います。その方々が反省をされない場合には、今日の問題をさらに蒸し返して追及することの用意のあることをはっきり申し上げておきます。その問題については大臣は、関係者がだれであるか、そういうことがおわかりでありましょうから、それについて反省を求められ、その方々自体が反省をすることを期待いたします。この問題は保留いたしますが、反省しないときには再度追及することにいたします。 次に、一昨日質問を申し上げました問題につきまして、大臣は小山年金局長といろいろ御検討になったのではないかと思います。それについて大臣のお考え方を聞かしていただきたいと思います。
○古井国務大臣 ある程度は説明も聞いてみたり、私も考えてみたりいたしましたけれども、その節も申し上げましたように、あしたと言われても無理だ、結局この法の改正案を提案するのは、もうこれは既定事実になっておるし、そのときまでに最後的に結論を出したいというふうにお断わりしたつもりでおりました。まだ中間でありますから、最後の結論が出る時期までほうっておくわけじゃありませんが、まだあの節のお話について結論的な意見は申し上げる段取りに来ておらぬのであります。
○八木(一)委員 それでは厚生大臣のおられるうちに、事務的な最高責任者である小山君にその問題について質問をいたしまして、厚生大臣の判断の有力な資料にしていただきたいと思います。 そこでまず小山年金局長にお伺いいたしますが、前々から定額保険料ということが、所得再配分という考え方からしても、あるいはまた今の日本の生活の断層がある状態からしても、非常に無理な状態にある、収入や資産に応じて保険料をとるという考え方をとるべきであるということを、再三以前の厚生大臣なり小山年金局長に申し上げました。小山年金局長は、そのような傾斜的な保険料を考えることは考えなければいけないと思う——いつ実現するとは言われませんけれども、そういう方向で考えなければいけないと思うということを答えておられたわけでございます。それについて小山さんから、私どもの今申し上げていることについての現在の御返事を伺いたいと思います。
○小山説明員 所得比例制を取り入れるという問題につきましては、ただいま八木先生が申された限りにおきましては、おっしゃる通りだということを繰り返して申し上げておきます。ただ、これから申し上げるとお気に召さない部分が出てくるわけでございますが、少なくともここ三年やそこらの間には、先生がおっしゃるような所得比例制を取り入れる条件というものは、どうもいろいろやってみても出てこない、この結論には変わりございません。
○八木(一)委員 方向は正しい、二、三年にはそういう条件がむずかしいと思うと言われるけれども、その条件がむずかしいということは、事務的にむずかしいのでありますか、政治的にむずかしいのでありますか。
○小山説明員 これは行政技術的にむずかしい、こういうことであります。少しく具体的に申し上げますと、所得比例制をとります以上は、当然のことながら被保険者になる人々の所得というものを正確につかまなければならないわけであります。この対象になる人々の所得をつかむルートとして考えられるルートは、現在のところ三つあるわけであります。一つは、所得税をかける際にとられていくあのルートで把握する。第二には、市町村民税を徴収する場合にとられていくあのルートで考えていく。第三には、国民健康保険料なりあるいは国民健康保険税を徴収する場合に把握をしていくあのルートで考えていく、この三つのルートがあるわけであります。ところで、第一のルートにつきましては、これはもうすでに明らかになっておりますように、この国民年金の対象のうちで、所得税を納める程度の人々というのは、せいぜい一一%から一二%足らずの間であります。一応計算上は一一・四%と出しておりますけれども、その程度でございまして、約九割足らずの人はいわば所得税を課せられない人々であります。ということになると、所得税をとられるあのルートで所得を把握するという道はないと言わざるを得ない。これはどなたが御議論になってもそういう結論にならざるを得ないのでございます。それから市町村民税の所得割を把握する場合のルートでいったらどうか、こういう問題が出てくるわけでございます。これも国民年金の対象になる人々のうち約四割程度の人が、市町村民税の課税方式においてオプション・ワンと言われる方式——世一課税方式をとっている市町村に居住している人々でありますが、オプション・ワンの方式は、これは申し上げるまでもなく所得税を課税する上に立って所得割をとるという方式でありますから、少なくとも全体のうちで四割程度の人々の所得というものは直接に把握できない、こういうことになるわけであります。残る六割程度の人々には、たとえばオプション・ワンでとられるとか、あるいはオプション・ツーのただし書きによってとられるというようなことになるわけでありまして、いずれにしても課税方式も違っているというようなことですから、市町村民税の課税方式のルートを通じて全国的に公平につかむということもできぬ、こういうことになるわけであります。それで問題は、なぜ三年程度の間にはどうしてもできぬということを申し上げるかというと、これはもう先生もよく御存じの通り、実は市町村民税の課税方式というものを何とか簡素化してもっと統一していこうじゃないかという考え方が、関係者の間に相当強く出ているわけであります。税制調査会の答申にも出ておりましたように、今のようにオプション・ワンの方式を残しておくと、所得税が動いていくに従って不可避的に市町村民税が動いてしまう、それは工合が悪いから、それと切断した別の方式を考えるという現実の必要もありますし、またかたがた五つにも分かれている課税方式というのはどうも困るというような考え方もあってこれを一本ないし二本程度にまとめていきたい、こういう考え方が関係者の間にあるわけでありますけれども、ただそういうものがかりにいろいろな障害を排除して実施されるようになるにしましても、これはどう考えみても、実際に使えるようになるにはどんなに早くみても三年、おそらくそれを使うための期間は順調にいっても五年くらい見ざるを得ないと思います。そういうことになると、このルートも使えないということにならざるを得ないという結論になります。第三の問題は、国民健康保険料のあの課税方式のルートを通ってこういうことでありますが、これは先生の御立案もそれになっているわけでありますが、実はどうもこれは使えないのであります。実際に調べてみますと、国民健康保険は市町村単位になっておりますから、市町村でそれぞれ独得のやり方をしておる。従って、所得が全く同じ、家族構成が同じで、しかも納めている国民健康保険税なりあるいは国民健康保険料が全く同じ場合でも、その中で占める均等割と所得割との関係が市町村によって非常に違っております。とてもそのまま使って全国的なものにしていく可能性はない、こういうことに現実の問題としてならざるを得ないわけであります。 そういうようなわけでありまして大へん長く申し上げましたけれども、行政技術的に見てどうしてもさしあたりのところはできないということにならざるを得ないのであります。
○八木(一)委員 小山君から詳しく述べられました。わが党の案のことを言われましたけれども、わが党の案の均等割、所得割、資産割については、今までのようなやり方でないことは規定しておりますので、そういうことまで研究されないようにしていただきたい。その点についてわが党は自信を持っておりますから……。 ところで、どの方式でもいいけれども、たとえば国民健康保険料の均等割、資産割、所得割、収入割とかいう問題、これは各市町村でそれぞれのものを持っておる。各市町村の事務機構でそれぞれのものを作れるような問題、それを国家の大きな事務機構をもって独自のものを作れないはずはない。市町村のような小さな事務機構でも独自のものを作れる。それをこれだけの大きな年金局の構成を持って、しかも明敏なる小山君をその大将にして作れないはずはない。だから市町村民税や所得税、そういう問題は、税制調査会の方のことで、できなければできないで、それもいけないけれども、それができなければ独自のものを作ったらいい。また古井さんの政治力で、税制調査会の答申がなんとかいっても、それがいいものであったら、すぐやったらいい。これは池田さんがほんとうにやる気だったらやれるわけです。ただ会議にばかりぐるぐる回しているから、二年も三年もかかる。ほんとうにやる気だったら、どんな重要な審議でも委員がほんとうに一生懸命になれば、二週間あれば審議を尽くせないわけはない。のんべんだらりと審議会をやったり、答申が出ても官庁がずるずるしたりするから、二年も三年もかかる。税制の根本から、ほかのものとのバランスをとってやりたいというつもりであれば、内閣自体が問題を取り上げて、半月くらいで結論を出せばいい。それだけの政治力がなければ——厚生省として厚生省独自のものを、市町村がやれるくらいのものは厚生省が全国にやってみせる、そのような態度でやることが必要であろうと思うのです。事務陣もなかなか苦労があるでしょう。その事務陣にもう少し陣容を加えればできるというならば、これは厚生大臣の政治力で、年金局の構成を増大しなければなりません。そういうことは枝葉末節であります。定額保険料ではいけない、収入、所得に比例して保険料を取らなければ、構成としてはまずいという方向がきまっている以上は、それを実現するためにほんとうの努力をしなければならない。年金局の努力で、自分でできたらできたでいいし、できないときには構成をふやしてほしい。それでもできなかったら内閣自体でやればできるはずです。それでも知恵が足りなかったら、それこそしょっちゅうやる年金審議会にでも学識経験者というのを全部集めて二週間で結論を出してくれと言えば、結論は出ます。つまらない問題のときには、審議会できょう一日で審議してくれと言う。あんまりやりたくないときには、二年も三年もほったらかすという行政が行なわれているけれども、そうじゃなくて、ほんとうに取っ組むつもりだったらそれはできる。ただし小山さんはまじめになって努力しておられるが、この小山さんの政治力だけでは、頭脳は明敏であっても、いろいろなしゅうとめさんがおるからすぐはできません。古井さんが決断すればそれは早くできる。そういう意味で、方向として正しいことならば、早くすることがいい。そういうことで早く所得比例制度で保険料を取るような——国民年金法には改正の必要ないろいろな点がありますけれども、そういう項目を今度の改正に事務的に入れる。それでも間に合わないというなら、別に面子を立てる必要はない、一年間はできなければ、翌年からは所得比例制にするという条文を入れればいい。それならば国民も安心するでありましょう。方法は幾らでもわれわれ進言申し上げます。ですから定額保険料を所得比例の保険料制に変えることを進めるという御答弁を、相談しなければできないというようなことでなしに、ほんとうに古井さんの政治家としての英断をふるってそのような方向で進むということを、古井さんの御所見を伺いたいと思います。
○古井国務大臣 この一律の定額制というのは、私なども率直に言って何か割り切れぬものがあるように思うのであります。考え方としまして、所得というか、資力というか、そういうものに比例するような取り方をするということがいけないとは言えないように思うのであります。考え方として否定すべきものではないように思うのであります。けれども、今も局長がるる申したようなことでありまして局長の話もお聞き下さったでしょうが、私は自分で頭の中でぐるぐる考えを回してみても、それなら合理的な方法があるだろうか、こういうことになってみると、なかなか必ず方法があるという見当がつかぬのであります。きょうなくても、これは必ず合理的な方法がある、こういうふうに思えば、それは今度間に合わぬでも一年後とかいうことも言えましょうけれども、今のところどう考えてみても、うまい合理的な方法があることはあるんだ、こういうふうなところまで私どうもこないのであります。でありますから、あなたにはお気に入らぬかもしれませんけれども、この段階における私の考えとしましては、方法があるという大体の見当がつかぬ以上は、次の改正のときに出しますとか、一年後には出しますとか言うことはちょっとできないわけであります。そういうめくらめっぽうなことはできませんから、遺憾ながらそれは御希望には沿わぬかもしれませんが、今申し上げたようなことになるのであります。
○八木(一)委員 重大な問題でありますから、即答は無理かと思いますけれども、ここで申し上げたいことは、古井さんは非常に頭が明敏であるので、今わかっておられると思う。年金局長もこの年金制度を作るに相当命がけで働いた人であって、いいかげんなことを言う人でないということを信頼しておられると思いますが、私が質問したときに前々の厚生大臣は独断で答えたのではなくて、局長とともに答えたのであります。そういう方向はいい方向である、それでそういうことを考えますという答弁を繰り返し行なわれた過程において、どういう方法でできないというような、古井さんのおっしゃったようなぼうばくたるものでなくて、もっと煮詰まっておる。どういうような方法で収入認定をするかといえば、所得税方式でやるか、市町村民税方式でやるか、そこまで考えが到達しておるわけであります。古井さんは就任直後ですから、いかに明敏な方であってもぴんとこないと思いますけれども、とにかく古井さんの御議論より問題は進んでおるわけであります。そういうことをやる方法はあるかもしれませんけれども、その所得のつかみ方についてというところまできておるわけであります。そうなれば、つかみ方については、先ほど年金局長に対して大きく言いましたように、ほんとうにやる気があったらできる。やる気がなかったら、どういうふうにつかむかという苦労は、五年後にやっても、十年後にやっても苦労であります。つかみ方について今やったって三年後にやっても五年後にやっても同じことであります。つかめなければ不公平になりますから、公平なつかみ方をするという制度はちょっと時間がかかります。一生懸命やれば二週間くらいでできますけれども、一時間で考えてわかるという問題ではありません。ですからそういう問題は、いつやったってそれだけのことをやるのだから、国民の要望にこたえて、当然のやり方に従ってすぐとっかかって早く間に合わせるということがほんとうのよい政治であると思う。古井さんもそういうお考えを持っておられると私も信じたいと思う。私が今言って、この年金法にいかなる改正点を入れるかという御答弁を今の古井さんにたった今求めることは無理かと思います。しかしながらそういう方向で今改正点を四点出そうとしておられる。そのようなときに、そのような大事なものが抜けておるから、それを至急に検討して入れる努力をする、それくらいの御答弁がなければ問題は前進をいたしません。そういうような御答弁をいただきたい。
○古井国務大臣 八木さん、今小山局長が三つの方式を申しましたね。私はあの三つの方式くらいは小山君が言わぬでも考えております。きまりきったことではありませんか。それで所得税の方式を基礎にするか、これはだめであります、所得税を納めない人が多いのでありますから……、適用できない人が多いのでありますから……。そうすると、市町村民税の所得割でつかむか、これも今申したようにできないことはわかっておる。それでは保険税あるいは保険料といいますか、あれでいくか、これもうまくいきませんよ。そこまできておるとおっしゃるけれども、私はそれくらいはここで聞く前だって、三つくらいの方式が出ておるくらいのことは知っております。私は三つともだめだと思っておる。第四方式というものが——もっと合理的ないい案があるかという点になると、どうも私はちょっとあると言い切れぬ。つまり固めておらぬまでも、あることはあるんだ、率直に言って、こうまで言い切る自信がつかぬのです。だから、きょうは、案がなくても時間をかければ必ずあるというめどがつきません限りは、今度の改正に入れますとかあるいは一年後に入れますとか、それは言えません。そのくらいのことは、何ぼ愚鈍でもわかりますよ。三つの方式のどこに欠点があるくらいのことは考えていますよ。
○八木(一)委員 古井さんには僕はほんとうに敬意を表して言っているつもりです。僕は率直、端的に言っているのです。古井さんを侮辱するような意味で言っているのではないのです。早くほんとうの核心に触れたいから言っているので、その点はそういう意味でお聞き取りを願いたいと思います。古井さんが自民党の政調会の重鎮であることは知っておるし、税制なんかに詳しいことも知っております。それで、一、二、三がだめであれば第四の方式を考えなければならないということになるわけです。政治は、方法がまだつかめないからほっとくということはできない。この年金の金の徴収の問題でございますけれども、何かのことで人がばたばた死ぬ、それに対して、方法がつかないから、方法がつかめるまでその対処は考えないということではいけないわけです。問題を解決するためにそういう方法をとらなければならないということが厚生省の方針として確定し、また内閣の方針として確定すれば、そこにおいて、その方法を見つけるための最善の努力が、あらゆるところから考えられ、それが見つかる。ただどんな明晰な人であっても、古井さん一人で考えたって、こんな複雑な問題を、数字についてすみずみまでできるはずはない。古井さんが天才中の天才だってできるはずはない。古井さんは政治家であります。そういうことは、厚生省の方針としてそうやるということをきめたならば、その原局が作ります。それでできなかったら、内閣の方針ならば、ほかの局なりほかの税制の関係の大蔵省なりがこれに援助をして、協力をして、作る態勢になるわけです。技術的なすべてのすみずみまで古井さんが検討しなくても、これはやる方向である、だからやるという方向を定めるということになれば、ものは動くわけです。定まってからでなければ返事ができない、そんなものは政治ではありません。事務であります。古井さんは、大きな政治家として、ほんとうに厚生行政を進めていただける方だといまだに確信しておりますから、そうしていただきたい。ですから、私は追及はするけれども、変な言葉じりはとりません。ただものごとをほんとうに進めていただきたいために申し上げているわけでございます。ですから変に言葉を気をつけなくてもいいのです。うっかり間違えたとき、あとで取り消されても、それに対してぐずぐず文句は言いません。ほんとうによい政治をするために、率直に方向を示していただきたい。そういう意味で、方向として、できれば正しい、しなければならないが、技術的に困難がある。技術的に困難があるときに、厚生大臣一人や今の年金局長一人では、なかなかその成案は見つからないというならば、その方針をやろうという方向をきめて、それを解決するために最善の努力をする。そこでその努力をわれわれは今度の年金法に間に合わしてもらいたいけれども、それは間に合わされるかどうかわからないという今のお立場であると思いますから、今直ちにそれの御返事はなくてもいいのです。しかし最大のことをして、間に合えば入れたいというくらいの積極的なものがなければ、ほんとうに今喫緊事である社会保障が進むものではありません。その積極的な前向きの御答弁を一ついただきたい。
○古井国務大臣 よく研究をいたします。これは研究をしないと申しておるのではないのです。いい案があるかないか、とことんまで研究をいたします。ただ今の私の乏しい頭の回転から申しますと、それからまた局長などが今日まで研究したところをここで聞いてみたり、前にも聞いてみておりますけれども、その辺から考えますと、合理的な案が必ず見出せるのだ、時間さえかければという、まだそこまでの自信がつきません。研究はいたしますよ。けれども必ずあるということを予定して改正してしまうとかいうことは、それはきょうは申せません。これはあたりまえではありませんか、無理を言っていますか。
○八木(一)委員 だから僕は改正案についてどうということを言えということは無理でしょうと今言っておるのです。僕は言葉じりをとらえて言っておるのではないのです。ほんとうのことを進めたいので言っておるのです。言葉じりなんかどうでもいいのです。それで厚生大臣、この問題を前進させるために最善の努力をするということを示していただきたいし、そこに可能であれば、この改正の時期に間に合わせるつもりだということを言ってもらいたかったけれども、それが無理であれば、それまで強要いたしません。しかしながら国民は要望しておりますよ。国民が要望しておりますから、厚生省がどうであっても、それをさせなければどうにも承知できないという空気になるかもしれませんよ。その問題は別問題として、ほんとうにそれを解決するために急速な最善の努力をする、そういう御答弁がいただけないのであれば、敬意を払っておった古井厚生大臣でございますけれども、厚生大臣としてはなはだ不適格であると言わなければならない、不信任要求をしなければならないということも言わなければならないということになると思うのです。そういうことで、はっきりと御答弁を願いたいと思います。
○古井国務大臣 さっき以来申しますように、十分研究はいたしましょう、いい案があるならばけっこうですから、十分研究をいたしましょうということはさっき以来申しておるのですから、研究はしませんよとまた言ってはいません。研究をいたしましょうと言っておるのですから、それで一つこれは御了解願いたいと思うのです。
○八木(一)委員 とにかくほんとうに大事な問題を短時間に審議しなければならないので、ひっかけ質問はしないから、率直に答弁をしていただきたいと思うのです。問題を前進せしめる意味において、意地悪いひっかけ等の質問はしません。こう言ったからこうじゃないかというような字句にとらわれたことをしないで、ほんとうの本質に立って前進する意味で答弁してもらいたいと思うのです。 その次に、この前申しました減免制の問題と、十年以上保険料を払わなければ年金がもらえないという問題、この問題についてあれから御研究になりましたか。
○古井国務大臣 実はこれは私もまだ判断がつかぬのです。というのは、なるほど一面から申しますと、三年納めない、あるいは十年納めない、こういうことがあっても、社会保障的な意味を強く考えれば、これは年金が受けられるようにするというのがいいということになりましょう。ところが一方に、いい悪いは別にして、保険方式をとっております。そこで保険の体制でこの保険の利益を受ける、こういうことになるためには、ある程度の何年納めたとかいう条件が要る。そういうことがないと保険の体制が成り立たないのかもしれない。そこでそういう辺もありますから、私にはきょう結論がまだ出ていないのです。もう少し研究してみないと最後の結論が出ませんから、御了承願いたいと思います。
○八木(一)委員 池田内閣では社会保障を進めることを公約しておられるわけです。それから国民年金法の条文には憲法第二十五条の精神を受けたことが書いてある。すべての国民が健康で文化的な最低生活ができるという憲法の条章からきた態勢をとっておる。そうなるとすべての国民は健康で文化的な生活をしなければならない。ところが貧乏な人が年寄りになる、障害を受ける、その人が死んで遺族が困るという場合には、一番その憲法の条章が働いて何らかの手当をしなければならないことになる。その条章を受けた国民年金法であらねばならない。そういうものであるようなことを、最初の方の条文で約束をしているわけです。しかるに実態はそうではない。保険料を払いにくいような人が全部保険料を払えない、年金はもらえない、保険料の減額制度はない、そうして免除制度は、この前申し上げたように幽霊だということになったら、憲法の条章にも国民年金法の条章にも自民党の公約にも、あらゆる点で違反をしているわけです。保険であるからということは第二段なんです。社会保障という点で看板を上げたんだ。憲法二十五条でこの法案はできている。そのシステムとして、ほんとうは社会保障に徹底したものでなければいけない。それに妥協的な方法として保険というシステムを取り入れられている。保険は最高ではないのです。保険という概念は、この国民年金法の中では一番下に解釈されてしかるべきだ。保険だけでいいというなら国民年金法は要りません。生命保険の満期契約の中で、年金支払い条項をやるのを猛烈に奨励したらいいでしょう。そうしたら金のある人はどんどんそれに入り込む。そうしたらどんどん年金がもらえる。国民年金というのはそうではない。だから保険という言葉に縛られてその問題を考えられないということがもしあったというならば、これは非常な間違いであります。これがさっき申しました年金局にはやや少ないのでございまするが、厚生省全体に保険という概念が強過ぎる。社会保障を担当すべき厚生省が保険の概念から脱却ができない。社会保障を停頓させておる。保険というものの概念は、掛金を納めた割合において反対給付をとる。そうしたならば掛金を納められる金持ちの人は、医療給付について、老齢給付について、反対給付をとれる、掛金を納められない人はとれないという原則に立つ。それを国庫負担にして、幾分手直しをして、幾分社会保障的になっているけれども、あくまでもこの問題を考えるときに保険という概念に固着してはいけない。それが厚生省には前に保険局というものがあって、年金局というものがなかったせいか、保険という言葉、人間の作った抽象的な活字にとらわれて、人間の生活を無視した態度をとっておる。そんな活字で人間の生命や幸福や健康が脅かされてどうなるのか。保険という人間の考えた、一部的には合理的であるけれども、社会保障の徹底した観点からいえばはなはだ不十分な、はなはだ不合理な概念によって社会保障が停頓をしておる。そういうところを、古井さんが来られて間がないから、これは古井さんはほんとうにりっぱな政治家であるが、無理がありません。しかし保険という概念があるから今の問題がすぐ結論がつかないということは、その頭は切りかえてもらわなければならない。保険ではないのです。保険であってはいけないのです。社会保障であらねばいけない。社会保障というものは必要な人に医療給付なり老齢給付なり遺族給付なり障害給付がいくものでなければいけない。それが保険というものに縛られていかないということであれば、それは社会保障ではない。その点について、概念的に私どもの考え方について御賛成であるかどうか伺いたいと思います。
○古井国務大臣 今お話しの、徹底的に社会保障的にすっきりと考えますれば、これはいろいろ御議論のような点があると思います。もし徹底して考えますれば、段階をつけるなどと言わないで、保険料だって、掛金だって段階をつけず、税金でとって、それからこれを与える場合だって定額などにしないで、必要に応じて差をつけて配る、あるいはこれが一番徹底しておるかもしらぬのです。けれどもそれくらいのことは、そっちの方の理論からいえば一番徹底しておるくらいは私もわかりますけれども、しかしきょう現実の制度はああいうふうに発足したわけです。これをまずいところは直したりしつつ漸進的に改善していくというのが実際的な歩みだと思います。白紙に絵をかいているのじゃないのですから、漸進的にまずいところはよくして進塁させていくというのが、きょうの実際の態度だろうと思いますので、そこで今の一番理想のようなところに一ときに飛んでいくわけにいかないわけです。実際問題としては検討すべき点があると思います。ですから先ほど来あなたのお話の点なども、ことに大目標から申しますと大いに検討すべきものだと思うのです。これは検討いたします。いたしますが、しかしすっと飛んでしまえと言われても一挙にいけませんから、きょうの制度というものをもとにして漸進論でいくほかはありません。
○八木(一)委員 私どもだって漸進論なんです。今一ぺんにいかないことはわかっている。ほんとうにいけば老齢年金を三万円とか五万円全国民にやる。うちの方の七千円だって十分じゃありません。そんなものを作るときに恥しくてしょうがなかった。月に七千円という案は、究極の目的は三万、五万全部に渡すようにならなければいけない。だから漸進といっても程度がある。あなた方のは漸進じゃなくて、ほんとうにストップしているようなものだ。程度があまりひど過ぎるですよ。漸進の程度をもうちょっと進めなければ話になりません。総額の問題もそうだけれども、組み立てにおいてそんなひん曲がったものがあることは許されるものではない。古井さんがきのう言われました金額や量の問題については漸進的にしなければならない、自由民主党であれば仕方がない点もあるでしょう。それでもいけないけれども、構成の方でひん曲がった点があったら、これは直さなければいけないということを古井さんはこの前おっしゃった。それがほんとうの答えだ。それをこの二日間かかってからちょっと反動化した。これは社会党のいろいろなことを聞いてうっかり返事しちゃいかぬぞということをほかから言われたのか——古井さんのような政治家だから、ほかから茶々を入れても断じて所信を貫かれるだろうと思っているのですけれども、あるいはそうじゃないかと思うくらい返事が少し停頓をしております。三日間の研究時間があるにもかかわらず停頓をしている。ある意味では逆行をするような傾向がある。そんなほかの人の茶々によって信念を曲げられるようなことはないと信じたいと思いますが、そういうことです。それで十年未満しかかけられない人は貧しい人です。その人に年金が来ないということでは、年金制度がほとんど意味がなくなる。これはどうしたってそうなのです。 もう一つ、この前申し上げましたのでよくおわかりだろうと思いますけれども、若い私どもの言うこともよく聞いて研究をしていただきたいと思います。国庫負担というものが六十五歳、月三千五百円のうちの三分の一です。従って千百六十六円六十六銭六厘大毛というものは国家から直接に出るのです。それは住友吉左衛門さんや松下幸之助さんも受け取られるわけです。なぜ住友や松下さんに千百六十六円を上げることを決定されて、保険料も払えないような人に千百六十六円を上げないのか、こんなことはどうしても理屈に合いません。自民党内閣の最高責任者である池田勇人さん、そして自民党の総裁の池田勇人さんが残念ながら予算委員会というようなものにばかり縛られて、きょうも要求しておるのにこっちに来られません。古井さんは池田さんよりもっと進歩しておられると思いますけれども、池田さんも率直な人であります。池田さんに直接聞いてその点を考えていただいたら、これは変だとお気づきになると思う。ところが今の官僚機構は非常に複雑怪奇にできておって、総理大臣にそういうところまでわからない。説明するときには、この案はいい案だ、野党はぎゃあぎゃあ言うけれども、現実的にはこれよりほかに仕方がありません。また自民党の方の政調会でも似たような傾向があって、ほかのこともあってこれくらいしかできないというようなことを出されるわけです。内容は検討されないで、これくらいに信頼する公務員、信頼する同志がきめたものだから、それでよかろうというわけで閣議できまる。ところが——全部が悪いとは申しません。そういうふうに極端に悪いところについて、私どもが直接的に指摘をし、たとえば池田勇人君に十時間会ってそれを説明すれば、あの人は利口だとは積極的に申し上げたいとは思いませんけれども、少なくともばかではないと思います。わかればする。ほんとうの政治家であればする。そこで古井さんのような練達の方がそういうことをしたらいいじゃないか。今までの方式はこうであっても、政府の面ではこうであっても、しかしそれを思い切って変えるということによってほんとうの政治が行なわれるのだ、政党の立場が、自民党の信頼がその部分ではふえるのだ、やろうじゃありませんかということを古井さんが言われれば、今までの政府の方針がこれまでに決定していても、自民党の方針がこれまでに決定していても、問題は動くと思うのです。それを動かしていただくために一生懸命お話しをしているわけです。 それで保険理論と社会保障理論については、明敏な古井さんだからおわかりだと思う。少なくとも完全な形で、一〇〇%何十年後の理想であるという形は、古井さんに御希望申し上げても、古井さんが総理大臣でない限りにおいてはむずかしいかもしれません。しかしながらそれくらいのことは手直しをできるはずです。今四項目や三項目の改正案ができるこの機会にそれを入れれば、ずいぶんと問題が違ってくるのです。それを考えていただきたいと三日前に申し上げたところが、それが停頓しているのでは非常にさびしいわけです。国民の立場で考えていただきたい。これは自民党が大いにやったんだと宣伝していただいてけっこうです。社会党は別の面で宣伝しますから。だから自民党はどんどん、おれたちが考えてやったんだと言っていただいてけっこうです。ですからそういうことで、ほんとうにいいことになるように、十年以上納めなければ年金を上げられないという点をやめる。国庫負担の千百六十六円が金持ちだけにいって、貧乏人にこないというような、どう考えても不合理なことはやめる。そのくらいの手直しは政府の方で積極的に国民年金法の改正案に出されるべきだ。これは事務的に不可能でありますなんという問題ではありません。これが事務的に不可能だなんと言われましたならば、これは厚生省の年金局長以下無能きわまるもので、年金局を預かる資格はありません。この問題はしょうと思ったらできます。そういうことで御答弁願いたいと思います。
○古井国務大臣 よそで水をさされたりして、別に考えが行ったり来たりしておるわけじゃありませんので、それは御心配のないようにお願いいたします。 そこでただいまの問題は、初めにも申し上げましたように、私としてはきょう結論が出ておりませんから、それできょういたしますという返事はできませんということを申しておるのでありまして、考えないということを言っているのでも、検討をやめると言っているのでもないのです。これは十分検討はいたします。ただきょうの瞬間はまだ私自身が結論を出しておらぬのです。総理を説きつけるにせよどうするにせよ、私自身の結論が出てないので仕方がありません。言い方はお気にいらぬかもしれませんが、正直なところ私も率直に言っているのです。そういうわけでありますから、きょうは結論が出ておりません。
○八木(一)委員 実はほかの問題の質問をしたいので、年金の問題はまだまだありますけれども、この間の決着をつけなければならぬし、もう一間だけ言います。 三年未満の没収の問題ですが、あれについて御検討になりましたか。
○古井国務大臣 さっき以来私も申しておるわけでありまして、三年の問題と十年の問題をひっくるめて考えておるつもりでありまして、私は同じことに思っております。
○八木(一)委員 そうすると十年の問題にひっくるめて、それをやめるために検討しなければならぬという御意思でございますね。
○古井国務大臣 ですからきょうこの瞬間で右とか左とか、自分ではどっちとも結論は出てない、これがさっき以来申し上げていることなのであります。
○八木(一)委員 頭のいい大臣だからおわかりになっていると思うのですけれども、やはりおわかりになっていただいたならば、あの問題はごくわずかな問題なのです。きょう返事が出るはずだと思う。ですからどんなに頭のいい大臣でもすっかりおわかりになっていただいてないのじゃないかと思うわけです。そうじやなければ何かの変な圧力がかかっているというふうにしか考えられない。どう考えてもおかしいですよ。貧乏な人が一生懸命年金をもらおうと思って保険料を納めた。ところが息が切れて十年以上納められなかった。十年未満の保険料は返すということになっている。しかしながら返すうちの三年未満は没収するということになっている。月百五十円の場合には年に千八百円、二年で三千六百円、三カ月計算ですから二年四分の三が没収される最高限度であるとすれば、千三百五十円加えて四千九百五十円——零細な人、何も悪いことをしていないのですよ。その人が一生懸命努力して、息が切れて、ほしいほしい年金がもらえない立場に追い込まれるわけです。政府が冷酷なためにその人が年金をもらえないだけじゃなくて、自分の苦しい中から納めた五千円という金を、何も悪いことをしていないのに没収される。こんなばかな話はないと思う。主命保険の場合は、それは任意保険ですよ。大ていはわからないで入っていて、二、三年で解約して、損をしたと言っていますけれども、形式的には約款があって、解約返戻金は一年ではゼロですよ、二年目はほとんどゼロ、三年目くらいでは幾らくらいですよということがちゃんと書いてある。これは読まないで入ったから悪い。これも気の毒だけれども、こっちの場合は、政府はそんな選択は許さない。強制適用で無理にでも入れるわけです。貧しい人が入って一生懸命高い保険料をかけておるのに、年金をくれないだけでなく、そのうちの五千円は没収する、どう考えたってそんなのは理屈に合いませんよ。これだけは即時変えると言われなければ、これは古井さんの政治家の資格はないと思う。こんなもの検討も何もない、ほんとうに直されなければ、これはありとあらゆるところでわが党の全勢力をあげて、この前の強盗という表現がいいかどうかわからないけれども、もっとわかりやすく、政府は皆さん方の五千円をふんだくろうとしている、これが社会保障かということを言わなければならぬことになる。われわれはそんなことは言いたくない。国民に安心してもらいたい。国民に損はしてもらいたくない。しかし損をさせることを無理やりに自民党なり政府がやるというならば、それをやはり国民に訴えて制止しなければならぬ。そういうことはわれわれはやりたくないのです。自民党の政府であってもいいです。正しい政治が行なわれて、そういうしんどいことをやらないで済むようにしてもらいたい。だから積極的に直してもらいたいということを言っているわけです。そんなことはさっきの二つの問題よりもっと簡単です。直ちにこれはやめるという御返事がいただけなければ厚生大臣の政治性を疑います。
○古井国務大臣 それは今の問題は、私は今までいけません、反対ですと言っているのではないのです。きょう結論を申し上げる段取りまできておらぬということを言っているだけです。反対だと言っているのじゃないのです。これは誤解のないように。研究は十分する、ことに身体障害者とか母子家庭であるとか、そういうものにはせめて三年などといわずに短縮したらどうかなどという意見もありましたり、いろいろ意見があります。それでその辺はもうちょっと検討しませんと結論が出ないということでありまして、八木さんそれは反対ですと言っているのじゃありませんよ。検討している、結論がまだ出ていないということを言っているのですから、誤解のないようにお願いします。
○柳谷委員長代理 八木さんにちょっと申し上げます。他に質疑の通告がありますので、簡潔にお願いします。
○八木(一)委員 簡潔といっても、まだ質問がありますから、努力はしますけれども、何分以内というようなことはできませんよ。 それについて、これはほかの問題と違って非常に簡単で、三年を一年に縮めたからそれでいいという問題じゃないのです。事務費は普通国庫でほかに出しているのですから、国としては一文一銭も没収する資格はありません。ですからこれは母子の場合、障害者の場合のみならず、老齢の場合も全部含めて撤廃しなければならぬ。政府が一部収奪をしている。この前強盗的な方法をとっていると申しました。それで田中君から抗議が出ましたけれども、そういうことです。それは明らかにそうです。どこのだれが来てもそれは断言できることであって、明敏な厚生大臣としてもそういうことはおわかりになっているはずだ。そういう絶対的な間違いに至っては、どんな立場になろうと、予算が半分進もうと、国民年金法案はこれだけしか改正しないというふうな閣議決定がもしあったことであろうと、そのような徹底的な完全な間違いは即時改められなければ政治ではありません。そういう意味で、といって厚生大臣も総理大臣に相談せんならぬ、大蔵大臣に相談せんならぬということもあるでしょうから、これ以上ここで答弁しろとは言いませんが、それについて、やめる方向で最善の迅速な努力をするという立場を明らかにしていただきたい。
○古井国務大臣 今の研究はそうことさらぐずぐずやるのじゃありませんで、十分早く研究して結論を出したいと思っております。ただ御案内のようにこの年金制度の改正となりますと、審議会などとも相談しなければなりませんし、どう改正するか、独断でどうするというわけにはいかないことは御承知の通りであります。ですから極力早く検討して結論を出したい、これは御了解願っておきたいと思う。 ただ一つ、これは私の聞き違いか知らぬが、政府が金を収奪するのだというふうにおっしゃいましたが、これは意見の食い違いか知らぬが、これは政府というより保険者全体のものになるのであって、かりに三年にならなければ本人はもらえないにしても、これは保険者全体のだれかのものになるのであって、共通のものになるのであって、政府が別に取ってしまうんじゃないだろうと私は思うのです。これは間違っておったら訂正いたしますけれども、政府が収奪するのである、ちょっとこれは私は誤解かもしらぬが、そうは思っていない。保険者のだれかが、かりにその人はもらえなくても、潤うだけのことです。そうじゃないでしょうか、どうでしょう。
○八木(一)委員 これは政府の法律でこういうことがきまった、その前提は忘れてもらっちゃ困りますよ。政府の法律で国民にとって非常に不合理なことがきめられたわけです。ですから、その意味で政府が収奪するわけです。政府との間に団体があるというけれども、これは政府が作ったものです。ですから、政府が収奪するということになるわけです。そういうことで、言葉じりで弁解は許されない。政府がきめて国民に従わせて、国民がそれだけ損をしておる。貧乏人が五千円損をするということになれば、政府が収奪するということになると断言してもちっとも差しつかえないわけです。そういうことを言わないでも済む、そういう苦しい答弁をしないでも済むように、これを改めることがまず肝心だ、そういうことだと思います。 それから次に問題を変えまして、次の問題に移りたいと思います。実は、健康保険制度全体について御質問を申し上げたいと思いましたけれども、非常に緊急な問題がございますので、その中で日雇労働者健康保険法の問題について御質問を申し上げたいと思います。日雇労働者健康保険法というものは昭和二十八年に成立をいたしまして、二十九年の一月から実施されました。非常に最初は乏しい案でありました。それに対して逐次改正はされておりますけれども、その内容はいまだ非常に不十分であります。御承知の通り医療給付が一年しかございません。それから傷病手当金が十四日ということであります。それくらいしかないわけでございます。ところで、健康保険の方は御承知の通り三年間の給付がある。それからもう一つ、傷病手当金は六カ月の給付がある。それで医療給付は、病気をなおすということが必要なのはどの国民も同じであるはずでありまして、特に差をつけるならば、日ごろ非常に貧困であって、自分の資産なり、自分の収入をためたものでカバーすることのできない人にとっては、より厚くしなければならない制度であります。その点で非常に貧困な人たちを対象とする日雇労働者健康保険法の医療給付期間は、それよりはやや裕福と思われる人を対象とする傷病保険よりもずっと少なくなっておる。これはまことに不合理であります。また次に傷病手当金の問題にしても、医療を受けて働くことができない場合に、農民とかあるいは中小商工業者のように、農地とかあるいは店舗というような生産手段を持っていない労働者にとってみましたならば、勤労による収入以外にないわけです。そこで病気をすると勤労の収入がシャット・アウトする、断ち切られるわけです。そのときに当然傷病手当金がなければ、医療の上で手当をしても生活の面で困って、半なおりのからだでまた働いて病気をして死んでしまう。そういう意味で傷病手当金は働く人々の健康保険には絶対必要なわけであります。特に賃金が少なく生活が困難な人にとって最も必要であります。ところがその最も貧困な階層を対象者にした日雇労働者健康保険法の傷病手当金がわずか二週間、一般のものは六カ月、これはまことに不合理であります。このことについて当然急速に変えられなければならないのが、今までスピードが鈍くて、現在においてもこういうことは非常に残念なことであります。それを改正することについて、厚生大臣は熱心に急速にやっていただきたい。少なくとも今度の予算の中にその予算についての措置もされまして、療養給付期間を三年間にする、傷病手当金の期間を大幅に延長するというような方針を打ち出していただきたいと思いますが、厚生大臣の御所信を伺いたいと思います。
○古井国務大臣 日雇い関係の健康保険は、今お話しの給付期間の問題や、それから傷病手当を給付する期間の問題や、そういう点のみならず、もっとよくできぬものかという直観的な感じを持つのであります。経済が非常に苦しいからああいうことになるのかもしらぬけれども、もっとよくできぬものかという感じは大きに私もするのであります。ひっくるめてよく検討をしてみたいと思います。
○八木(一)委員 日雇健康保険については、直すべき点はたくさんございます。たくさんございますけれども、その中で、問題が医療の問題でございますから、医療給付期間は、なおるまで見てもらえるということが第一要件であり、そしてそのときに傷病手当金がもらえて療養に専心できるというのがそれと同じように重要な要件なのであります。いろいろな点がございますが、その点が一番改正を早く急がなければならない主要点であります。全部それについてすばらしい改正をして下さるというならば古井厚生行政を礼讃をいたしたいと思います。しかしながら、全部やっていただければそれでもちろんいいわけでございますが、少なくともその主要点だけは、今予算編成期でございますから、直ちにやっていただくというような方向で最大限の努力をしていただきたいと思うわけでございます。でき得るならば今直ちに御返事をいただきたいと思いますけれども、それについていかがでございましょうか。
○古井国務大臣 今申したようなわけで、十分検討してみたいと思います。
○八木(一)委員 方向はそういう方向でやるという御答弁をしていただかないと問題は動かないと思う。医療給付期間と傷病手当金、もっと理想が高ければ全部について本年度にそれを実現するための改正案を出し、そしてまた予算を組むという御返事が必要であろうかと思います。そういうような積極的な前進的な御答弁をぜひしていただきたいと思います。
○古井国務大臣 あなたの御意見、それから熱心な考え方はよくわかります。これはよく伺って参考にいたしたいと思います。しかし十分検討してみたいと申し上げておる通りでありまして、それ以上きょう申し上げることはできません。
○八木(一)委員 検討する方向はどういうことなんですか。それを実現するために検討される意味であろうと思いますけれども、具体的には日雇労働者健康保険法改正案をこの次の通常国会に提出をされるということ、それから予算の措置をされるということになると思いますが、そういうことを実現するために検討をするということと解釈したいと思いますが、それについていかがですか。
○古井国務大臣 これはいかようにお受け取りになっても仕方がありませんが、よい案の結論が得られるものなら実現をするように努力してみたい、こういう意味で検討をしたいと思います。
○八木(一)委員 よい案の結論が出るならばということは、古井さんやほかの方が一生懸命やられれば結論は出ると思うのです。問題は金の点だと思います。金の点で、その二つの実現にはそれほど大したお金は要りません。十分に考えても十億あれば足りると思います。社会保障を池田内閣は表看板にしておられます。それについていろいろの追及があったときに、断じて社会保障は進めるのだということを池田さんははっきりと国会を通して全国民に公約をしておられるわけです。社会保障の中で、医療保障というのは非常に大事な問題であって、貧しい人たちに今の既存のほかの制度よりもはるかに程度の低いものしかできていない。それを直さないようでは池田内閣の看板をおろしてもらわなければいけないということになるわけです。ところが池田さんはほんとうに公約を実行するつもりでおられる。古井さんもそれを補佐するつもりでおられると思います。ですから、そういう問題についてはやるつもりでやる、そうして具体的な方法についてこれから検討するという御答弁があってしかるべきだと思う。いかがでございますか。
○古井国務大臣 社会保障は、今もお話しのようでありますし、私も、また総理もたびたび申しておりますように、これはうんと力を入れて前進させたい、こういうことは御了解願っておると思います。ただいまの具体問題はさっき申し上げた通りでありますから、よい案が得られるものならば実現したいという考えのもとに検討する、こういうことでありますから、これは何ぼおっしゃっても、申し上げることは申し上げる、申し上げかねることは申し上げないのでありまして、さっき申した通りでありますから、これで御了解願いたいと思います。
○八木(一)委員 もう少し積極的な御答弁をいただきたいと思うのです。よい案ができますならばということは、よい案を作ろうと思っている、実現しようと思っているということでなければいけないと思うのです。そういうお気持を持っておられるだろうと信じたいと思います。そうしてもらわなければいけないと思う。そういう意味であるということをおっしゃっていただければ幸いだと思います。
○古井国務大臣 これはむろんそうですよ。よい案が得られればと言っているのは、むろんそういう意味です。
○八木(一)委員 よい案を作って実行したい、そのためによい案を作り検討しているということで理解をいたしたいと思います。それについては予算編成期でありますから、もちろん急速な措置をとられるということを信じておきたいと思います。ことに、厚生大臣には釈迦に説法でありますが、大蔵省という省はものわかりのいい人もあるけれども、悪い人もあるようでございます。そういう人たちに対して、当然非常に強い態度で立ち向かっていただけるということでなければならないと思います。厚生省ではいい案を作ったけれども、大蔵省の横やりが入ってだめだったということでは問題は進まないわけであります。その間に一年の療養給付が切れて、結核で悩んでいる貧困な療養者諸君が奈落のどん底に落ちるということがどんどん出てくるわけであります。国民がほんとうに病気になり、死亡をし、貧窮のどん底に落ちるのを前にして、ほんとうにしなければならないことを官庁間の努力が足らないためにそれが延びてしまうということであっては非常にいけないことだと思います。最大の勇気をふるってやっていただきたいと思います。もしこの問題がスムーズに、簡単にいかないときには、厚生大臣は、三千億の自然増収があると称せられる池田内閣、特に社会保障を第一の柱としている池田内閣で十億くらいの問題ができないはずはない、できないならば厚生大臣の職にとどまることができないというような強い態度で必ず押し通すという決意があられてしかるべきではないかと思う。そのような厚生大臣の決意をお伺いさせていただきたいと思います。
○古井国務大臣 ぜひ実行したいと思いますことは全力をあげて努力してみるつもりであります。ぜひと思いますことは、困難であっても極力やっていきたいと思っております。
○八木(一)委員 厚生大臣の御決心を伺いまして非常に安心をいたしました。それが前進するように一つ厚生大臣の御健闘を祈りますけれども、それについて保険局長その他補佐をする人も、厚生大臣の御意図に従って最善の補佐をするというふうになっていただきたいと思います。保険局長の決意を一つ……。
○森本政府委員 ただいま大臣からのお答えもありましたが、この案でいくということをはっきりきめておる段階のようには言っておりません。なお検討の余地が残っておりますが、いい案を作りまして、それを実現するように努力して参りたい、かように考えます。
○柳谷委員長代理 滝井委員。
○滝井委員 少し時間が半端でございまするけれども、あすまでしかございませんし、予算編成に関連する一、二の重要な問題について、簡単に大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。 それは、国民年金の積立金の運用の問題についてであります。御存じのように、十六日に大蔵省は資金運用部の審議会の見解をもとにして省議を決定したわけです。それは厚生年金なり国民年金積立金の運用というものは厚生省の自主運用を許さず、統一的に運用していくのだ、こういう見解をはっきりさせたわけです。そしてそれについてはいろいろつけ加えております。たとえば、今まで一割五分の還元融資を二割五分程度にするのだとか、できるだけ民間の意向を反映するように資金運用部資金審議会を改組するとか、いろいろつけております。この問題は、われわれが国民年金制度確立の問題を討議するとき以来論議をしておった問題でございます。厚生省にも国民年金審議会が答申をして見解を発表しておるし、内閣における社会保障制度審議会も見解を発表しております。三種三様でございます。今後年金制度を具体的に確立する上に非常にこれは重要な一つの問題点です。厚生省として一体どういう方向でこれを運用する腹がまえにあるのか、大蔵省は大蔵省の見解を発表しておりますが、厚生省としての見解を、予算編成期を前にして、きわめて重要な問題ですから、一つ大臣の率直な腹のうちをきょうは明白にしておいていただきたいと思います。
○古井国務大臣 積立金の運用方法の問題はきわめて重大だと私も思っております。一体だれが出した金か、またこれが運用の方法いかんでこの国民年金制度の将来にどういう影響を及ぼすか、いろいろな考えなければならぬ重要な点がありますので、少なくともこの積立金の性格、趣旨というものに合うような方向に運用しなければなりません。これが基本の考えであります。そこで、今どういう形でという点は、百も御承知のように、まだ関係省の間で詰めておらぬのであります。大蔵省はそういう意見を出したかもしれませんが、予算をきめますときまでには、おそくとも最終期限としてきまりをつけなければなりませんけれども、きょうの段階では詰めておらぬのであります。基本の考えとしては、今申し上げたような考え方でおるが、国民年金審議会からもあす最終の答申が出るとかいうことを今聞きましたが、これもよく参考にしなければならぬと思います。きょうの段階はそういうところであります。
○滝井委員 実はさきにこの委員会で、岸総理が健在のときにどういう答弁をしたかというと、今後にかける積立金の運用についてはやはり統一的な運用をしていきたい、さらに第二点としては 一割五分程度の還元融資のワクを、社会福祉、国民福祉の増進のためにもっとこれを拡大したい、この積立金の使用にあたっては軍備調達のためには絶対に使用いたしません、この三点をかつて明らかにしたのです。これで大勢はきまったからと、こういう考え方も一部にはあるのです。しかし当時厚生省がなおその意向には私は屈服していなかったのではないかと想像しておった。今日大臣の答弁を見ても、必ずしもそうではないようであります。その後厚生省では三原則といいますか、いわゆる積立金というものは拠出者の意向を十分反映させる、社会保障、社会福祉のためにできる限り役立てる、運用利回りを効率的にするというような一応三原則をお立てになっておるわけです。この三原則に大蔵省の案というものはだんだん合致する方向にはきております。審議会に民間の意向を反映するようなものを作るとか、一割五分を二割五分にする。それから運用利回りもできるだけ何とか考えようということになると、これは厚生省と非常に近づいてくるという可能性がその中に内包されておるわけです。これは非常に政治問題になりますが、やはり古井厚生大臣の腹がまえ——いたずらにその諮問機関の答申を待つ待つといっておったのでは、なかなかこれはうまくいかぬです。やはりそれも参考にはしなければならぬけれども、一ぺん基本的な精神は年金審議会で出ております。あるいは社会保障制度審議会で出ておるのです。資金運用部資金審議会というのはあなたの方の所管には直接関係ないのです。関係があるのは社会保障制度審議会と年金審議会なのです。これは基本方針は出ておるはずなのです。これは大臣としてはこれでいくのだという腹がまえがないと、それぞれ答申を待ってからまたというようによろめいておると、大蔵省にやられる可能性がある。そこで私はきょうは、大臣がこういう方向でいくのだ——これは今後の日本の年金制度を確立する上のいわゆる画龍点睛、龍の眼に当たるところです。われわれは今度年金法の延期を出しました。次にやはり国会には抜本的な改正案というものを出さなければならぬ。それについても、あなた方の腹がまえがわれわれと意見が一致しておれば、その部分については出す必要がなくなる。手間も省けるのです。だからもう二十二、三日ごろには党のそれぞれの予算編成方針がきまるし、内閣の予算編成方針だって二十五、六日には経済見通しとともにきまってくるのですから、だからきょうくらいに大臣は、厚生省としては積立金運用はこの方針で参りますというものが確立しておらなければうそなのです。それをしていなければ小山さんの補佐が悪いということになる。だからもう腹は確立しておるはずですから、その腹を、あしたの答申を待ってということではなくて、何ぞ来年を待たんやです。きょう明らかにする必要があるのです。これが最後なのですから、どうですか。
○古井国務大臣 この委員会が開かれておる機会でありますから、はっきり申し上げられるものならこういう機会に申し上げたいのでありますけれども、しかし国民年金審議会の答申にいたしましても、私はやはりこういう審議会を設けて、せっかくいろいろな人に御苦労かけて意見を出してもらう仕組みになっておるのでありますから、極力尊重しなければいかぬと思うのです。どうでもいいというわけにはいかぬと思う。そんなものの意見はどうでもいいということになれば、こんな審議会を設けるのはおかしいのであります。やはり審議会の答申も私は十分に参考にしたいと思う。それから政府の部内の考えが最後的に統一しておらぬのに、あっちはああだこうだ、途中の考えを申しますことも私はあまりいいことだと思いません。ですからきょうのこの機会にわれわれの考え方をはっきり申し上げ得るものなら申し上げたいと思いますけれども、きょうはまだその段取りにきておりませんので、これはどうもいたし方ないのであります。
○滝井委員 そうしますと、国民年金審議会の最終答申があす出るのですか。
○小山説明員 そういう予定になっております。
○滝井委員 あす出てもその内容は、この前の特別会計ですか、そういうような意見と大して変わらないと思うのです。この前お出しになった国民年金審議会の意見と、有沢さんの委員会ですから、そう変わりやしないと思うのです。そうすると、あれにのっとって厚生省はどういう腹がまえでやるかという、あなた方の腹がまえをやはりわれわれは聞かしていただく必要がある。社会保障制度審議会の方式をとるか、国民年金審議会の答申をとるのか、それとも全く新しい方式を、参考にしながら厚生省としては考えておるのか。答申が出てもものさしがなければはかることはできないのです。これが政治が自主的であるということです。審議会の意見を尊重しなければいかぬというけれども、その諮問したものを、今までの例からいって、そのままあなた方がのむわけではない。だから、出た諮問をそのままとるか、そのいいところのものを八分とるか、五分とるか、七分とるかということは、こちらにものさしがあるときに初めてできるのです。あなた方は大体こういう方向でいきたいという方向があるはずです。最終的な結論はなくても、その方向はあるはずだ。その方向をきょうはお示し願いたいというのです。三原則というものがきまっておる。その具体的な三原則を実現する方向というものは一体どういう方向なんだ。たとえば資金運用部に別の特別会計を作って、国民年金と厚生年金積立金をそこにやって運用してもらうということになるか、そういう簡単なところをお示し願いたい。最終的結論でなくともよろしい。厚生省としてはこういう方向で参りたいという方向がなければ、出てきた答申に対して取捨選択ができません。それは自由民主党の、政党政治の主体性、自主性というものを私は持っておられると思う。そのために政調機関をお持ちなのですから。その政調機関から古井厚生大臣には、こうやるべきだということはきておるはずだと思います。それは役人なりあるいは諮問機関がきめたもので、風のまにまにゆれて政党政治がいくというなら、それは政党政治の主体性がないということになる。これは若僧の私が政党政治について大臣に言うあれもないのですが、しかしそれが私は政党政治だと思う。それがなくて、大臣が行って、そうして役人なりあるいは諮問機関のとりこになってしまったら、自由民主党の政党政治は消えておるわけです。ですから自由民主党としてあなたが大臣に入るについては、資金運用部の運用はこうやるのだという腹がまえがきまって大臣になられたと思う。社会党だったらそうです。社会党だったらちゃんときめて入ってくる。そうして社会党の考え方とそれから答申と役人の考え方との間に討議をしながら、きちっとしたものがそこに出てくるのだろうと思う。その場合には、まず政党としての主体性はお持ちだろうと思う。この問題は今始まった問題ではないのです。もう法案のできるときからわれわれこれを論議しておる。どういう方向でやるのか示しなさいということなのです。これは大臣、コンクリートしたものでなくともよろしいですから、厚生省としてはこういう方向でやりたいという、その方向だけでけっこうですからお示しいただきたい。大蔵省は方向を示したのです。
○古井国務大臣 この機会にとおっしゃる意味はよくわかるのですが、私もこの機会に明らかにできれば一番よいと思うのであります。しかし理屈を申すわけじゃありませんけれども、審議会というものを設けましてせっかく審議をしてもらうのであります。その通りにとるかとらぬかは、これは諮問機関ですから、われわれの責任でとるかとらぬかはきめるのでありますけれども、せっかく審議をしてもらうのですからして、初めから審議の結論も出ないのに、こっちだといってしまっておったのでは、一体審議を軽んじておるような行き方でよくないと思う。やはり審議会を設けておる以上は、かりに考えがあっても、審議会の自由な意見の答申を待って、その上で深く考えてみて、結論を出す行き方の方がどうしても正しいと思う。これは考え方の違いかもしれません。けれども私はそれが正しいと思う。
○滝井委員 審議会はもうすでに前に有沢先生の方でお出しになっておるわけです。それは、われわれのところに、国民年金等の積立金の運用に関する資料というのが、社会労働委員会の調査室から来ております。それによりますと、九月十六日に中山マサ厚生大臣に対して、国民年金審議会会長の有沢広巳先生が答申しておるわけです。だから、これからそうかけ離れたものが答申されるものではないし、また公的年金積立金の運用についての要望というようなものも社会保障制度審議会から総理大臣あてに出ておるわけです。それらのものを御参考になれば、およそ厚生省の腹というものはさまっておるはずだと思うのです。こういう大事な問題が今になっても何もきまらぬということでは政治にならぬと思うのです。そうするとわれわれ野党は、内閣の方針も何も知らぬままで、コンクリートしたもので今度は通常国会に臨んでしまうわけです。これから予算が固まってしまうまでは、われわれがあなた方の意向を聞く機会はないのです。こういう年金の問題というものは、今社会党が国民運動をやっておりますが、運用の問題がはっきりしないということが延期の大きな理由になっておるのです。そういう問題について大臣がここで口を緘して語らないのだ、こういうことでは協力のしょうがないです。だからそういう点をもう少し——出ていなければ別ですけれども、出ておるのですから、最終答申といっても、それはおそらくもう少しこまかく具体的に出るだけのことなんです。大ざっぱなことが出ておるのですから、これにのっとっておやりになることが——腹がきまっておると思うのです。だから大臣、何か私強制するようでありますけれども、これをお読みになると詳しく書いてあります。金利のことから何からお書きになっておるのですから、大臣もお読みになっておると思うのです。どうですか大臣、うしろに小山さんという専門家がおるのですから、もう少しお聞きになって、小山さんもだいぶ腹がまえがあって、この前私に答えておるのですから、こういう方向で厚生省としてはいきたいということを言ってもらわないと、大蔵省の方向が正しいのかどうかわからぬのです。くどいようでありますけれども、大臣、何なら小山さんと御相談になって一つ御答弁願いたいと思うのです。
○古井国務大臣 ことさらきょう言っていいことを回避して言わないのじゃないのです。ものの筋道として、あすにも審議会が最終答申を出すといっておるのに、これも聞かずに、こっちが諮問しておって答申も聞かずに、その前にこういう考えだ、ああいう考えだと言うのは、私はそういう行き方は筋道としてよくないと思う。これは考えの違いかもしれませんけれども、私はそういうものだと思うのです。でありますから、これはさっき申し上げたように、答申を待って私の考えは最終的にきめるということにしたいと思うのです。
○滝井委員 そうしますと、九月十六日に出した中間的な結論というものは、厚生省には全然役立っていないのですか。
○小山説明員 先生がおっしゃっておる九月のあれは、中間答申でございまして、主として現行制度のどういう点が悪いかという批判に重点を置いておるわけであります。それから年金積立金の性格というものが、どういうものかということに重点が置かれておるわけでありまして、今度、明日される予定の最終答申は、それを積極的な提案として、こういうやり方でやることが最も適当だという形の答申をされる段取りになっておるわけであります。そういう事情でございますので、先ほど来大臣から申し上げているように、明日答申を受けましたならば、早急に大臣を中心にいたしまして集まって、厚生大臣の最終的な考えをきめていただく、こういうような段取りになっておるわけであります。
○滝井委員 非常に残念に思われます。一体何のために有沢さんが中間的な結論を出したかというと、この事態は、非常に急ぎそうな情勢が九月以降あったからです。だからこれを早く出さないと乗りおくれるということで有沢先生はお出しになった。だからこそ、あれが出た後に、あなた方の党は明確に三原則をお作りになった。だから、あなたはここで、われわれとしてはこうしていきたいという、ある程度の方針を明らかにされた。ところがきょうになると、大臣が口を緘したから、あなたも口を緘しておる。この前の速記録をごらんになって下さい。相当あなた方の方向をお述べになっておる。そういうように、そのときそのときの出たときの政治情勢で、貝がらの口を閉じるようなことではいかぬと思うのです。やはり厚生行政としてほんとうに率直に、こういう方向でいかなければならぬということを出すべきであると思う。大蔵省を見てごらんなさい。もう絶対に認めないとはっきり大蔵省が言っておるのに、厚生省は出すことができますか。だからそういうふうに内輪々々に言っているから、後手々々になってしまうんですよ。やはり言うべきことははっきり言って、最終的に国会で討議すればいい。与党と野党と、あるいは党内で討議してもらったらいい。そういうふうに野党の質問に対しては口を緘して語らない。そうして最後には予算がきまりましたからといって、われわれにはきまったあとにしか持ってこない。それがいけない。だから社会党は死にもの狂いになって延期をやらざるを得ないことになる。前もってわれわれに何も教えない。諮問機関が出さないからという、こういう態度がいけないんですよ。それが岸的な行き方ですよ。官僚的な行き方ですよ。ほんとうにお互いが、与党と野党とが国民の福祉について討議をしようということでなければいけない。国会はあすになったら終わってしまいます。二十六日以降は開会するだけで、来年の一月の二十七、八日ごろに自民党が大会を開けば、それできまってしまいますから、われわれの意見をいれる余地はない。そういう閉鎖的な行き方はやめてもらわなければいかぬということです。 そこで、それならばあす答申が出るそうですから、できればあす出た答申を午後一つここへ出していただいて、ある程度の答申に基づく厚生省の方針をお教え願いたいと思います。どうせあす国会は夜中になりますから待ちます。
○小山説明員 今の御要求に対しての分だけをお答え申し上げます。明日の審議会は二時半から開きまして、五時ごろまでかかる見込みでございますから、おそらく答申の得られるのは、それ以後になるだろうと思います。その点を御了承願いたいと思います。
○滝井委員 夕方まで待ちますから……。 次は生活保護の問題です。最近たとえば選挙中に、われわれの福岡県においては一人の生活保護世帯の御老人が、どうも自分が生きておったのでは大へんだ、だから口減らしをしなければいかぬということで自殺をした例が出て参りました。それからやはり最近志田原トクさんという生み月にきていた日雇い労務者の女の方が保護を切られてとほうにくれて、安産はしたものの、生まれたばかりのその赤ん坊をみずからの手で締め殺すという事件が起こってきた。さらに長わずらいしていた小瀬良キミさんという方が、ふとんやはだ着などの一時扶助の申請をしたけれども、予算がないといって断わられて、裸のまま死んでいったという事件があります。これは生活と健康を守る会の全国連絡会が、多分厚生省の調査を依頼しておるはずですが、こういう事件が頻発しております。 それから私たちが極秘に——もうほんとうにこれは国会で言うべきじゃないのですが、大事ですから言いますが、極秘に東京における二百三十世帯の生活保護の家を調査したのです。驚くべきことが出て参りました。保護費はおとな一人大ざっぱにいって一カ月二千円です。この二千円で食っているわけですが、その二百三十世帯の調査の中で、二千円の保護費で食っていらっしゃる人がたった一人おりました。六十六才のおじいさんの一人の家庭ですが、その人が一人二千円で食っておりました。ところがおじいさんの身体検査をしたら全身浮腫です。そうして貧血が非常に著名です。生けるしかばねです。日本における生活保護の二千円で、あと一文もかせぎがなくて食っていたら、人間は生けるしかばねになってしまうということです。ただ生きているだけで、そうして間もなくそれだけでは死ぬということが、これではっきりして参りました。その結論が朝日裁判にも出て参りました。これは今厚生省は控訴しておりますが……。しからば、二百三十世帯のうち一人だけが生活保護費で食って、そういう生けるしかばねのような状態になっておるが、あとの二百二十九世帯はどうしておるのだ。率直に申し上げます。その人たちは五割から七割、どこかでケース・ワーカーの目を盗み、民生委員の目を盗んでかせいでいることがわかりました。これは政治としてはほうっておくわけにいかぬです。だから私どもはこれを、ちょうど予算編成期ですからきょうは言わざるを得なくなった。そこで五割ないし七割かせいでおるということは二千円に対して千円ないし千四、五百円かせいでおるということです。すなわち保護費を五割上げなければ、少なくとも最低にやって人間が生きていくだけのものはないという結論に到達をいたしました。だから社会党は五割引き上げの法案を出そうとしておるわけです。今度厚生省は二割六分の引き上げの要求をしておりますが、一体この理論的な基礎をどこに求めたかということです。これは大臣として当然知っておかなければならぬことですが、二割六分をこれから大蔵省なりに御要求をなさる、私どもは二千円の二割六分ではやはり生けるしかばねと同じ状態が出てくると思いますが、二割六分引き上げの理論的な根拠は、大臣一体どう閣議なり予算要求で御説明になるのか、それを一つここで、演習じゃございませんけれども、御説明願いたいと思います。
○古井国務大臣 今の二百三十世帯というお話がありましたが、これは大きに参考になりますので伺いました。まあどういうふうに二百三十世帯をお選びになったのか、その辺などは一向存じませんが、とにかくお話としては十分伺いました。それから保護基準の引き上げの点でありますが、今の保護基準は低いと思っているのです。それで引き上げたい、これは今まで申しておることであります。そこでこの二割六分とかいう数字があるわけであります。それでは足らぬとかどうとかいうわけでありますが、この数字の根拠は、今の普通の標準世帯であります都会の勤労者の標準世帯と、それから被保護者といいますか、これの生活水準の実情、これを比較してみて、これくらいは上げたいものだという、それが根拠になっておるはずであります。もうちょっと詳しい数字とかいうようなことは、主管の局長でもおりますれば詳しく申し上げられると思いますけれども、考えはそういう見方でこの数字を出しておるわけであります。
○滝井委員 できれば、これは人間が生きていくためのものですから、やはり大臣が——私は日本の政治の一番底辺に当たる部分はここだと思うのです。これがどう動くかによって日本の政治の方向は変わってくるのです。なぜならば、保護基準が二割六分とか五割上がるということはどういうことになるかというと、これはPWに影響します。PWの影響は公共事業の予算全体に影響してきます。PWに対して日雇いの賃金が、その八割ないし九割ですから、これに影響してくるのです。そうすると、これは同時に最低賃金に影響してくるのです。だからこれは日本の予算編成の根底をゆるがす問題になってくるいわば土台ですよ。だからこれを二割六分上げるという理論的根拠をがっちりと確立しておかぬと、これはまた答申だ何だかんだとゆれておると話にならなくなるのです。だから古井厚生大臣が政治生命をかけても、われわれの五割に対して二割六分ですから半分ですが、しかし半分でもあなたが今度要求をされておる、これをもしおとりになることができれば、日本の政治の方向は少し変わってきますよ。これはそのくらい重要な要素があるのです。現在厚生省が食えるというのは、成年男子二十五才から六十才までは、三食合計六十円七十銭です。一ぺん大臣これで一週間やってごらんになるといい、動けなくなりますよ。朝食が、米と外米と押し麦で十一円三十銭、みそ汁はジャガイモ五十グラム、みそ三十グラムで四円十七銭、つけものはたくあん四十グラムで一円八銭、合計十六円六十三銭です。一体日本で十六円六十三銭で食わしてくれるところがどこにあるかということです。これは一ぺんおやりになってみるといい。あとで多分五島さんが人間実験のことの質問を明日かいつかやると思うのです。一ぺん厚生省の、私、大臣と社会局長と言いたいのですが、一週間この献立でおやりになってみて下さい。私に言わしてみれば、やはりこのくらいのことを大臣なり局長、一ぺんやってみる必要があるのです。そうしないと池田総理に迫る迫力がないですよ。一体十六円六十三銭で食えるかどうか。われわれは一回昼飯抜きだけでも腹が減ってとても質問ができない。ところがこの人々はこれでやはり、金もうけの仕事はできませんが、いろいろ内輪の仕事はやらなければならないのですから、こういう点は、ナイチンゲール精神ではないけれども、あるいは昔の偉い人が自分の子供を実験台にしたというのじゃないけれども、この最低基準をきめるときには、やはり一ぺん厚生省の担当の役人の何人かがおやりになってみることが一番いい。その点、朝日裁判の裁判長は、私は現地に行って見て参りましたが、そういう点では大したものだと思いますよ。一応お互いにヒューマニティを持っておりますから、何だったら、あなたがおやりになるのなら、私も一緒にやってもいいですよ。一週間くらいこの献立でやってみて、一体われわれの体重がどの程度振るか、どういう貧血状態が現われてくるか、医学的な材料に私も大臣と一緒になってもいいですよ。これは一ぺんおやりにならないと抽象論ではだめですよ。この二百三十世帯を調べて、これは大へんだと思ったんですよ。そこでこの二割六分をおやりになるならば、役人の机上論ではなくて、一ぺんみずからが実験台に立ってみて政治をやる、これが私はやはり昔からの孔子、孟子の教えだと思いますよ。やはり政治家はみずから実践をしてそれを国民に施していかねば、みずからがいやなものを国民に施していくことは政治ではないと思います。そういう意味で、何だったら私もその中に加えてもらってよろしゅうございます。社会局長、大臣、私でけっこうですから、やってみたいと思います。これは私だけがやったって、滝井のやつそんなことをやってもだめだと言うといけないから、あなた方が御賛成ならば私と一緒におやりになって、そうして二割六分を要求すればこれは迫力が出てくる。この六十円七十銭で二割六分をやったって十七、八円くらいしかふえないのです。われわれが今食っているのは、一食百円でも議員食堂では大したものは食えないじゃないですか。それでもわかるんですよ。こういうものを健康で文化的な最低の生活だと国民に押しつけて平気でやっておるということは許されないと思います。所得倍増の時代ですから、下の方を四倍も五倍も上げようというのですから、ミンクのオーバーを着せてくれとまでは言いませんが、食うだけのものは何とかしてもらいたい、こういうことなんです。経済企画庁の出した生活白書をごらんになると、電気冷蔵庫ができ自動車ができたけれども、日本の食生活というものは蛋白質が少ない、六%かそこいらしか食っていないのだから、もうヨーロッパ諸国に比べて明らかに低いということを指摘しております。それよりかなお低い、その三分の一の生活しか生活保護世帯はできないのですから、この大事な予算要求の時期に、この二割六分が通るか通らないかによって政治の方向がきまるだろうと思います。ほんとうに池田さんが社会保障をやるかやらないかはここです。だから十分に御研究になっていないようでありますから、もう少しここらあたりをお聞きになって、そうして何だったら一緒に実験台に立って——これは三日でいいですよ。二日でもいいかもしれません。それで一つお互いにやってみて要求をする方がいいと思いますが、大臣はどうですか。この二割六分を政治生命をかけて御要求になれるかどうか。今大蔵省はどう言っておるかというと、去年の三十四年から三十五年に二・五%引き上げた、三十六年度は五%引き上げたら倍じゃないか、そういうことを言っておる大蔵省の人がおるんです。これじゃいかぬと思うのです。だから、あなたの厚生行政が竜に眼を入れるか入れぬかということは、ここが一番です。年金の問題はそれに比べたら小さいです。どうですか、もう一ぺんあなたの最終的な御見解を聞かしていただきたいと思います。
○古井国務大臣 今の数字を聞いておったら、実感が出ない、自分で実験してみるのが一番早い、これはすばらしい御意見だと思って伺いました。よく研究いたします。
○滝井委員 ぜひ一つ、私はあなたの人間性を信頼しておりますから、どうか一つ真剣に御研究になっていただきたい。結論が出ましておやりになるときは、私にも通知していただけば、私も一緒にやらしていただきたいと思います。それで大臣けっこうです。次は、小児麻痺ワクチンの問題ですが、価格の問題の間だけおっていただきたいと思うのですけれども、大事な予算の問題ですから、けっこうです。事務当局に聞きます。 次は、少し時間が過ぎましたが、小児麻痺の問題です。今から数年前までは小児麻痺というものは散発的にしか起こっていなかった。ところが最近多発的になってきたわけです。局地的ではありますけれども、百人、二百人と集団的に出てくるという状態になっている。いかにしてそういう多発的な状態になってきたのかという問題です。今まで小児麻痺の問題について、国会でその全体的な体系的討議をやったことがないのです、参議院では幾分あるようでございますが。従って、私はきょう少し時間をいただきまして、この機会に日本における小児麻痺の予防、治療、後保護につきまして、一般の政府の基本的な方針がどこに向いているかを国民の前に明らかにして、国民の小児麻痺に対する恐怖感と申しますか、危惧の念を払拭することが政治の任務だと思います。 そこで私質問するわけですが、こういう多発的な状態になってきた、その原因というものを一体厚生省はどこに求めておるのか。
○尾村説明員 結論から申し上げますと、日本のみならず外国におきましても、逐次多発をしてきたその径路につきまして、多発の形になった原因というものが的確にまだ定説として判明しておりません。これに対しましては学説はいろいろございまして、むしろそれの総合的な結果であろう、こういうことになっております。今まであります学説のうちでは、たとえば集団免疫の変動、それからまた環境にびまんしております菌の環境による毒力の変化、すなわち変異も入りますが、さようなもの、この環境に及ぼす影響といたしましては、特定の気候条件とか、あるいはいろいろな汚物、その他いわゆる環境衛生施設のいい方への影響と悪い方への影響、これの変動、それから受ける側の人間の先ほど言いました集団免疫力も含めまして、感受性の変動、これらが総合して特定の地域に集団発生が頻発してきておるのだろう、こういうようなことでございまして、私どもの方も伝染病予防調査会のヴィールス部会というのもございます。それからこのヴィールス疾患、ことにポリオを中心にする学者をもってする会がございますが、それもまだ決定的な結論は日本においても出ておらない、こういう状況であります。
○滝井委員 そうしますと、この多発する原因については非常に多くのファクターが錯雑しておって、これだという明白な原因というものは今のところ見当たらない。そうなりますと、なかなかこの予防措置というものはむずかしくなってくるわけです。そこで予防措置がむずかしいならば、一体どういう状態で流行をしておるか、最近における流行の傾向、現状ですか、たとえば患者がどういう状態で発生しているか、そこをまず明らかにしておいていただきたい。
○尾村説明員 今から九年前の昭和二十六年に一つの大きな流行が全国的にございまして、このときには届け出られました患者だけで年間四千二百名という高率を占めたわけであります。その後ほぼ一千名程度の年を数年経過いたしたのでございますが、それからまた逐次増加をいたしまして、前年に比しまして、多い年では七、八百名のいわゆる増加の階段の高い年もございましたが、概して三百名ないし四百名の増加率で参りまして、昭和三十四年には一年間を通じまして約三千名の患者の発生でございます。その前年度はこれより三百名ほど少ない二千六百余名でございます。それが突如といたしまして本年度、ごく最近現在で約五千三百名、前年度に比較いたしまして一挙に倍の大増加を本年度は来たしたわけでございます。しかもこの集団発生が、一定の人口に対して一定数以上の濃厚な患者を出したという一つの線を引きますと、二十数カ所の集団発生例を見ております。最もこの中では、北海道ではこれを部落別、町村別にいたしますと、その集団発生の単位は非常に増加するわけでございますが、それは一定の集団にくくりましての計算でございます。 それからこの傾向といたしましては、全国的には昭和三十四年以来漸次東の方に濃厚になってきておる現象でございます。三十三年以前には一般的に申しまして九州を中心とする西の方がより高かった。これが漸次三十四年から東の方が逆に高くなってきたという現象でございます。もっともこの中には、同じ九州でありましても、その前までは南九州、鹿児島等が多かったのでございますが、これは二十四、五年にかけまして下がりまして、九州では北九州地区のみが前に低かったのが、本年度北海道にやや類似した増加を見ているという特有性がございますが、一般的の県単位の患者発生率は、昨年は十万対三・六が全国平均でございましたが、その平均率から見ますと、東の方が増加している。特にそのトップをいくものがことしは北海道であります。こういうような状況でございます。
○滝井委員 今の御説明でもわかるように、ここ数年来ずっと毎年罹患者が増加をしてきておるということは明らかです。そうしますと、その増加の年令構成というものは一体どういうところに集中してきておるかということです。
○尾村説明員 満四才以下がほぼ全患者の八五%を占めておりまして、またその約八五%のうちの七〇%までは大体満二才以下、ことにこれを半年刻み——これは正確に半年刻みのデーターをとっておりませんが、そのうちのほとんど大部分が生後半才から一才半の間の者が最も中心の大部分をなしておる、こういうことでございまして、満五才以上になりますと著しく急激に減少いたしまして、残りの一五%を占めておる。しかもこれは十才以下に切りますと、十才以上の者は非常に希有である、こういうような年令別の発生率を示しております。
○滝井委員 大体年令的な状態がわかりました。そうしますと、その対策は、八割五分を占める満四才以下を中心に対策を立てればいいわけですが、政府は一体四才以下のかわいい子供に対する防疫対策といいますか、これを現在どういうように展開をしようとしておるのか、またしておるのか、現在の防疫、予防接種等もひっくるめて、その防疫の対策の全貌を明らかにしてもらいたいと思う。
○尾村説明員 第一には、病気にかかりやすい感受性をなくする。幸いにいたしまして現在人工免疫の方法がございますので、この人工免疫、すなわち予防接種によりまして、この一番かかりやすい年令の者に人工免疫を与える。これが第一のやり方でございます。そのために現在まですでに約八十万人に対しましてすでに予防接種を終わったわけでございますが、このうちの相当な大部分は、北海道の子供を中心にしておるのでございます。そのほかに、来たる一月から三月までは、本年度の予備費によりまして緊急人工免疫対策をやるという形で、生後半才から一才半までの年令の者には実施可能な者、すなわち年令該当者は百六十万人ほどあるわけでございますが、この時期において実施可能な者を一定度推計いたしまして、この者には全部予防接種をする。それからそれ以外の者に対しましては、今の一番濃厚な感染の危険度を持っておる者よりは少し薄いわけでありますが、この者に対しては、形では任意の自発的な予防接種ということでございますが、これは十分指導、勧奨いたしまして予防接種を四才くらいまでの者には危険年令と見まして十分行なう。これをさしあたりの本年度の緊急対策といたしまして計画をいたしておる。なお四月以降につきましては明年度予算を要求いたしておりますが、同様その時期における同年令の者は同じやり方でやっていく、こういう形でございます。ただし一ぺん終わった者は毎年やる必要はないのでございまして、その年代にいわゆる三回接種を受けた者は、さらに満三年になった時期に一回だけ追加接種をする。これによりましてその後の一生の免疫を確保する、こういう形をきめておりますが、さような形で現在この人工免疫の集団確保ということを計画いたしております。 なお、今の人工免疫につきましては、今の該当年令の者についてはできるだけこの接種を受けることが容易にできるように、公費によりまして経済負担の非常に困難な方には公費でやる、すなわち免除いたす、あるいは減額をするというような措置を相当程度講じまして、これが実施できるようにする、こういう形でございます。 なお、これに伴うワクチンの確保は今着々と進行中でございまして、大体防疫措置として考えております需要量に対しては、薬務局の方でいろいろ計画しておられるはずであります。供給量は十分供給を受けられる、こういう見込みで、これは密接な連関を保って進めております。 それからこの人工免疫以外につきましては、もちろんこれは消化器系の伝染病でございますので、一般の環境衛生、それから食品衛生というようなこの消化器系の伝染病に対する予防措置は、これは伝染病予防法も発動いたしまして十分講ずる、こういうような形。それからなおこれが全国的な規模をもちまして、特定の伝染病のように、あるところに予定されて出る、あるいは出てからそこにのみとどまるというのでなくて、先ほど御説明いたしましたように、全国的な規模で、大きくは西から東に移るような傾向はございますけれども、全国の規模でございますので、やはり集団免疫がどの程度現にあるかということを相当程度調査いたしまして、つかみますと、流行予測にも非常な役に立ちますので、このためにはポリオ・ヴィルスのいろいろな諸検査、これは血清の免疫検査も含めました諸検査の国内の体制を整備していくというために、これは予算措置も講じておりますが、それも現に計画中でございます。 なお予防衛生研究所で、まだ未知の問題が多いので、これの研究体制、それからワクチンに対する検定並びにワクチン自身の研究、これをやはり一そう充実しませんと並行いたしませんので、これも大事なことといたしまして予算も要求し、またそれに必要な人員の確保ということを、これは予備費から始まりまして、明年度分予算はもちろんでございますが、進行中でございます。
○滝井委員 そうしますと、まず一番重点を置かなければならぬのは、生後六カ月から一年半までの者だ。この数は、今実施可能な者が百六十万人ですか、これが一つ。それから第二点は、重点的に現われてくるのが、八割五分が四才以下でございますから、四才以下の子供というものは 一体全国でどのくらいおるのか。そうしてその四才以下といえば、生後六カ月から一年半の者も入るものですから、四才以下が何百人かおる。その中から一体予防接種をする数というものを、どの程度厚生省は見ておるのか、この点を一つ御説明願いたい。
○尾村説明員 現在の百六十万人と申し上げましたのは、半才から一才半に至るちょうど満一年間に当たる総児童数でございまして、これは年間の出生数でおわかりのように、この年代の者が百六十万、これは総数でございます。これに対しまして、現在予算上この公費でこの一月から三月までの間を対象にいたしまして実施できるのは、予算上は六〇%というふうに踏んでいるわけであります。すなわち約百万弱であります。これだけに踏みましたのは、決してこれだけに減らしたわけではなくて、従来のジフテリア予防接種というような、非常に有効であって、この乳児期から始める予防接種、しかも価格も安いというようなものでの実施率をここ数年見ましても、この程度がもう最高でございまして、いろいろな勧奨をしておると思いますが、これをとる。さらにこの注射は比較的きらわれるものでございますが、注射でない接種によるいわゆる乱刺法で最近やっております天然痘の予防接種、これももう世界じゅうだれもが必ずやるという常識になっておりますが、これの接種率も現在のところ、第一期接種が七〇%から八〇%の域を出ない。これはやはり時期によりますので、非常に時期が移行して、最後には完全になると思いますが、この一定の年令時期に必ずやらせるというのには相当な制限がございます。ことに一月から三月までにやっておりますというのは、冬でございますので、乳幼児の集まりということで、物理的にもその他の事情からこの程度であろう、こういうことを踏んだのでございますが、もしかりにこれが、必要なことでございますので保健所等の勧奨によりましてこの六〇%が七〇%になりますれば、それに対しては必要な措置、これは予算上の措置も相当ございますし、供給上の措置もこれは十分いたす、こういう計画になっております。 それから現にこの一月現在の四才未満の乳幼児が何人になるのかといいますと、生後直後からを含めますと約六百万人、ちょうど四年階層、この年代の出生率から換算いたしまして六百万人、こういうことでございます。この中の、今の百六十万人を引きました四百四十万人というのが、この今の該当年令以外の実存の子供に当たるわけであります。これにつきまして非常に濃厚な感染可能年令は今の半才から一才半に集中しておりますが、その上の者でも、その地域が自然感染のチャンスの非常に薄かったところでは、相当程度まだ未免疫の者もあるかと思うのであります。従いまして、できればこういうような免疫の薄い地域を免疫反応の調査によりましてつかめますと、重点的な措置ができるわけでございますが、これは六月以来全国的に、できるだけこの流行予測の必要がありまして、免疫調査を地方衛生研究所を中心にやっておるのでございます。これはとても全国的に全部をつかむわけにいきません。そこでこの年令に対しましても予防接種は、任意という形ではございますが、できるだけ応じてやらせるようにする、こういう形をとっております。従いまして現在の供給量、この三月までの供給量約四百五十万回分をほぼ予定されておりますが、この四百五十万回分のうち、今の約百万人の半歳ないし一歳半の子供、これがこの期間には二回できますから、二百万回分が減ります。あとの二百五十万回分というのが、この一番危険年令の者の任意接種という形に充当されている。すなわちほぼ半々になります。こういう形で予定しております。
○滝井委員 そうすると問題は、百六十万の一年半未満の子供については、これはいわゆる行政措置で強制的にやるわけですから、これは無料になるわけですか。 それから四百四十万の中で、私も種痘が一番多いと思ったのですが、最近は小児麻痺の恐怖症が相当広がっておりますから、第一期で七割見ますと、四百四十万の七割で二百七、八十万から三百万人分が二回やることになるから六百万でなければならないわけですね。そうするとこれは二百四、五十万だから三分の一程度しかないということになるわけです。三人に一人の割合でしか受けられないという、こういう問題が起こってくるわけですね。そこらの把握の仕方、任意の四百四十万人の状態というものは、一体どの程度の接種希望者があるとごらんになっていますか。
○尾村説明員 今の費用の有料、無料の問題でございますが、次の通常国会にお願いいたしまして、法律で強制する。それに準じて今度は行政措置でやるわけでございますが、これは行政措置でやりますので、公費でやるという建前です。ただし資力のある者からはその費用をあとから徴収ができる、こういうような建前にいたしておりまして、これは従来の予防接種法がそうでございますが、それを踏襲いたしますために、大体費用徴収に耐える者が大体半数、残りの半数が公費でやりまして、四分の三の減額をかける者と、それから一〇〇%免じてしまう者と、この両者になっております。すなわちこの対象の約半分が減免、それから半分が実費徴収、こういうような対象でございます。 それから第二の御質問の、今の四百四十万人という実存があるわけでございますが、これのうちから任意予防接種の見込みを現在府県からいろいろな指数を出させまして、需要、供給量をとっております。これは現在までつかんだところでは、ほぼわれわれの方で予定しております需要、供給が大体この程度で、今の三月までにやりたいというのと合っております。と申しますのは、これはやはり任意ではございますけれども、半歳、一歳半にある行政措置と一緒に町村が世話をいたしまして、町村みずからやるということが大部分。そのときに二歳以上も一緒にやる。そうでありませんと個々の医師のところに行って全員が一緒にやるということはポリオ・ワクチンの流通から見ましても不可能でございますので、時間的にも三月までのことでございますので不可能でございますが、そういう点から勘案して府県が算定したものはほぼこの程度、これで打ち切るわけでありませんので、四月以降また国産品が大量に出回って、検定も急がせまして、相当の供給量がふえる予定でございますが、この方に時期のずれはございますが、来年の流行期の六月に間に合うように、少なくとも二回終わるというものが——また四月以降の計画に相当余地が出て参ります。供給量もまた相当にふえる。こういうようなことで二歳から四歳までの者については一挙に三月までに今の一番危険年令と同様にやってしまうというわけには参りませんが、来年度も含めまして逐次これを埋めていく、こういう形であります。
○滝井委員 そうしますと、百六十万人については四分の三減、それから一〇〇%の免除、これが約八十万、実費が八十万、こうなるわけです。四百四十万については、これは任意になるのですが、これについてはやはり今のような分け方をするのですか。その所得に応じて四分の三減、一〇〇%免除、それから実費、こういうように分けるのですか。任意は全部お金が要るということになるのですか。
○尾村説明員 第一の問題、今百六十万人の半分の八十万人とおっしゃいましたが、予備費でやる、すなわち三月までの計画は、物理的その他の事情で百万人が受けるという建前になっておりますので、実際に実施して公費で見るのは減免が五十万、徴収するのが五十万、こういうことになるわけであります。それからそれ以外の任意のものにつきましては、現在のところ一応公費によって公にはやりますけれども、徴収を免除するということは今のところ計算に入れておりません。一応実費は全部徴収する。これは従来のほかの予防注射と同じで、ただし生活保護その他で現実にとれない、しかしぜひやらなければいかぬというようなところも出ますが、そういうようなところには、もう一つ臨時予防接種という形を計画いたしております。これは従来の予防接種もございますが、これは相当危険であって、金の有無にかかわらず、とにかくその集団は該当者全部やってもらいたい。こういうような地域の判断がつきますと、府県知事みずからそれを指定いたしまして、これは貧富にかかわらず公費でやってしまう。それに対しましては国庫補助も高率に見る、こういうような建前にいたしておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、四百四十万の任意分については大体実費徴収、こういうことですね。次は、しからばその徴収せらるべき実費、一回のポリオ・ワクチンの接種の価格は一体幾らになりますか。
○牛丸説明員 ただいま公衆衛生局長から申しましたような状態で、一定の需要量に対しまして、私どもの方で供給計画を立てたわけでございますが、現在五社で国内生産をやっておりまして、生産の状況は予定通り進んでおります。しかし先ほどのお話にありましたように、来年の一月に緊急対策の一環として、とりあえず生後六カ月から一歳半に至る約百万の人たちに対して接種をする、そういうことで時期的に年が明けました来年の初めの前半の方に需要が非常に片寄ってくる、こういうふうな一つのひずみがございますので、とりあえずの分は国産品と輸入品でこれはまかなっていきたい、そうして価格の操作も両方の価格を操作いたしまして、統一した価格でやっていきたいというような方針で現在すでに実施中でございますが、そうしました結果、大体医師渡しの価格で一CC、つまり一回分の値段を三百四十円見当というようになるように私どもとしては計算をしております。そしてこれはいわば自由価格でございますけれども、事予防接種なりあるいは強制的にやる国の方針に従ったものでもございますので、そういうものを私どもで行政指導いたしまして、最終価格はすべて統一的に三百四十円でやっていってもらうように、現在指導をやっておるわけであります。
○滝井委員 最近国産品がある程度出回りつつあるでしょうが、輸入品の価格は、一体原価が幾らで、そうしてその関税と検定料が幾らで、そして医師渡しが幾らになる。それから国産品の生産原価が幾らで、その検定料その他が幾らで、医師渡しが幾らになる。これを一つ分けて説明願いたいと思う。そうしてそれはプールしたものが三百四十円になる。そこらをちょっと明らかにしておいてほしい。
○牛丸説明員 ちょっと今正確な資料を持ち合わせておりませんが、輸入品につきましては輸入先の売り渡し原価にプラス関税、それからその他の経費、そういうふうなものを入れ、それに一定の雑費というふうなものを入れて、最終価格を百二十円見当に私どもは計算しております。
○滝井委員 内訳は……。関税は二割にきまっておる。
○牛丸説明員 これは大体計算の基礎といたしましては、一本——一本というのは九CCでございますが、その輸出先の売り渡し価格が一ドル二十五セント程度でございます。それに税関は、そのCIFの価格に二〇%の関税がかかりますので、それの二〇%、それに輸入の諸掛りとそれから検定費——検定費は一ロットで百八十万でございますので、輸入量が多い、少ないによって多少の差はございますが、百八十万を、大体四百リッターとして計算すれば四百万分の一になるわけでございます。それから包装費その他の経費を入れまして、原価が大体一本当たり六百三十円見当になるわけでございます。それに管理費並びに利潤を加えまして、一本九CCの値段が千百円程度でございます。これを一CC当たりに直しますと、おおむね百十九円三、四十銭ぐらいの価格になりますので、それを百二十円というふうに計算して、一CC百二十円というふうに計算したわけでございます。それから、国内の生産価格は同様な計算で、これは生産費プラス検定費、その他諸雑費、そういうふうなものを集積しまして、一CC当たりが三百四十五円程度に計算しております。それで、三百四十五円と輸入価格の百二十五円というものの年間の総生産量により按分しまして、国産品の価格が割高になります。輸入品が割安になる。それを加重平均しまして一CCを三百四十円、これは生産者原価が大体三百円程度でございまして、それから医師に行く、最後の消費者に行く、それまでの販売経路における諸掛りというふうなものを入れて三百四十円が最終価格、そういうふうな計算になっておるわけであります。
○滝井委員 もうちょっと、私算術が下手かどうか知らぬが、内地製のものが三百四十四、五円、向こうからきたものの値段が百二十円だとすると、三百四十円というのは少し納得がいかないのですが、あなた方が計算して一CC三百四十円医師渡しというふうになりますと、患者というか、予防接種を受ける人になるときには幾らになるんですか、実費を支払うときには幾らになるんですか。
○尾村説明員 これは今の町村でやる場合には府県の臨時予防接種なり、定期の場合は最後にきまりました薬の最終的な原価が今の価格になるかと思いますが、大体標準単位といたしまして二百人が一日に来るという形で、これに所要の看護婦、医師——雇い上げ医師でありますが、これらを計算いたしまして、大体原価プラス七円程度、実費徴収する場合にはこれで払ってもらう、またそれが必要な費用、こういうことであります。
○滝井委員 大体三百四十円プラス七円程度でやってもらうということになった。三百五十円程度でやっていけると思いますが、そうしますと、現在の輸入の状況、それから日本における国内産の現状、これを一つ説明して下さい。輸入でどのくらい、一月から三月までの間にどの程度買うのか、日本の五社でどのくらいできるか、三十五会計年度で輸入の製造状態がどういう状態になるか、簡単に御説明して下さい。
○牛丸説明員 現在輸入は十月に八百リッター輸入をいたしましたし、それから十二月に七百リッター輸入をいたしました。十月分はすでに検定が終了いたしました。十二月輸入分の分は現在検定実施中でございます。もう一回二月に六百リッターの輸入、合計二千百リッターを本年度内に輸入する状態でございます。それから国産品の方は、一番最初に出たものから逐次検定に回しておるわけでございますが、十月に一番最初に六百リッター一つのメーカーから出て参りましたので、それを直ちに検定いたしまして、間もなくこれは検定終了の予定でございます。それが終了いたしますと、現在すでに製品は第二回の次のメーカー分が千リッター生産ができておりますので、それを検定にかけて、これは二月に終了する予定でございます。二月に終了いたしましたら、直ちにそのあともう千リッターのものが検定に入って、四月にはこの検定ができる。そういう格好で本年度内では国産品が千六百リッターと輸入品が千五百リッター、合計三千百リッターでございます。それだけのものは出るわけでございます。四月以降になりますと、大体二カ月程度検定に要しますので、第三回目の輸入品が四月に検定終了します。これは大体六百リッターの予定でございますが、それと同時に、各メーカーが、初め六百リッター程度の製造の見込みでございましたが、製造が割合に順調にいっておりまして、現在のところ、千リッター以上のものが一回の製造でできる見込みがついておりますので、そういうものを計算に入れますと、隔月に千リッター以上のものが生産されるというふうに私どもとしては予想を踏んでおります。従いまして、本年度、あるいは本年度から来年度の末、つまり再来年の三月までの見込みとしましては、輸入品が二千百リッター、国産品が七千リッター以上のものが生産できる。そうしますと、少なくとも九千百リッター以上が生産ができる、そういうふうな見込みで、現在やっております。
○滝井委員 問題は、三百四十円、それに手数料七円を入れて、約三百五十円程度になるわけですが、これは三回やりますと千五十円程度になるわけですな。予防注射で、普通ジフテリアにしても種痘にしても、まあ高くて三十円程度です。ところが、これが千円をこえるということになりますと、二人、三人と子供のおる家庭では、なかなかこの予防接種ができないという問題が出てくるわけです。私は、こういうものについては、行き方は二つあると思います。五社が製造しておるそうですが、その五社の製造の過程で、国が財政投融資をやって、その方で製品を安くする方法と、それから直接に国民に対して、政府がその品物を買い上げて、二十円とか三十円で渡すという方法があると思うのですね。この小児麻痺は、赤痢とか他のものと違って、これは身体障害者になるという——全部が全部なるとは限らないが、なるという、こういう致命的な後遺症を残すわけです。赤痢なら、よくなれば、それであとはもう見えないのですが……。こういう点、私大臣に聞きたいところだったのですが、これでは、何百万人の人に予防接種をしなさいと言っても、なかなかこれは進まない可能性がある。初めのうちはいいです。これはみな恐怖のあまりにわれもわれもと来ておりますが、二回、三回とやるうちには、免疫になって、もうやらぬでもよかろう、こういう気持になるわけです。その地域から見れば何人かの子供しかかからないわけですから。こういう施策は予算要求のときですから、思い切って予算要求をやって、こういうものは私は無料に近い、少なくとも他の予防接種と均衡のとれたような、せいぜい五十円かそこらまでくらいでとどめる必要があるんじゃないかと思うのです。と申しますのは、輸入の原価、いわゆる輸入先における渡しの価格だったら一ドル二十五セントですから、一CCが四十五円くらいにしかならぬでしょう。そうするとそれに十円かそこら加えたくらいのところで、あるいは輸入原価に近いという五十円くらいで、して、あとはその差額は政府が全部持つのだというくらいのところにいかないと、これはやはり私は怨嗟の的になると思うのですよ。私は今度は小児麻痺で当選しました。日本の政治がいかにこのたった一つの小児麻痺についても手落ちがあるかという点ですよ。当初これは一CCが五十四円ぐらいの輸入原価だったと思うのですよ。それが医者に渡ったときには四百五十円、約十倍になってしまうのですから、輸入業者の中間マージンが三百七十七円七十銭ぐらい出ておったと思うのです。こういう状態で中間マージンがたくさんとられておると、大企業優先の政策を池田内閣がとっていないのだといっても、とっていることになってしまう。それから初め厚生省が予算要求したときには、多分十二万人分要求したと思うのです。一億四千万円くらいじゃなかったかと思うのです。それがばっさり削られて、二千四百万円かそこらに削られて、二万人分くらいになってしまったんじゃないかと思うのですが、ずっと削られてしまったわけですよ。こういういわば人間の命に大事なワクチンについてはわずかしか金を出さぬけれども、人殺しの武器のロッキードについては、一機が四億七千八百万円ですか、四億も五億もするものに、平気で千億、二百機分も金を出す。こういう政治は、ヒューマニズムじゃないと思うのです。だから、こういう金を出すことによって、所得倍増の道に一歩ずつ近づいていくのじゃないかと思うのです。そういう点で、安藤政務次官もおられますが、むしろ私は来年度からおやりになる——ことしはやむを得ない、緊急だから、今からまた予備費をよけいに出せといっても無理でしょう。だから、やっぱり来年からはそういうものの予算というものは、これはやはりとって、百円以下でやれるというぐらいにしないと、こういう悪疫の防疫というものは、なかなか私はできぬじゃないかと思うのです。どうですか、この価格の問題について、政務次官、あなたは、大臣がいらっしゃらぬから、これは一つヒューマニズムの実現の絶好の機会だと思うのですが、どうですか。
○安藤(覺)政府委員 御趣旨はよく承っておきまして、大臣によく伝えておきましょう。一〇滝井委員 こういう問題は、わずかの金ですから、百億も二百億も要るわけではない、一億か二億あれば片づく問題ですから、ぜひ一つ安藤厚生次官就任記念事業としてお残しを願いたい。 もう一つ、今度はそれで予防がうまくいく。ところがこいつは三回注射をしなければならぬという欠陥を持っておるわけです。第一回にしたら二週間日にもう一回やる、あとは七カ月したらやる、七カ月目には忘れてしまう可能性がある。それは今予防接種における種痘あるいは百日ぜき、ジフテリア等も相当の間隔を置いて、特にジフテリアは一、二カ月の間隔を置くようになるので、二回目、三回目は忘れてしまうのです。また回覧板を回さなければならぬ。それでもやってこない。種痘はなかなか痕跡を残すものですから、昔からみんな行かねばならぬということでさそい合わせて行きます。ところがジフテリアや百日ぜきになるとなかなか行かないのです。私は自分でやってよく知っておりますが、三回目ぐらいになると非常に接種率が低くなるのです。そうなりますとここにいわゆる生ワクチンの問題が出てくるわけです。現在この生ワクチンについては、われわれも医学的に見ても多くの疑問を持っております。しかし、大衆にしてみれば、国民にしてみれば、そう三回やらなくても、一回でいけるものがあればそれを何とかする方法はないだろうか、こういう世論が起こってくることも必然です。従ってそういう世論を納得させるためにも、生ワクチンに対する統一的な厚生省の現段階における見解というものを明らかにしておく必要があると思うのです。そしてやはり国民の輿望というものに、こういう理由だからもうしばらく待って下さいということを、率直に政府が言う必要がある。そういうことを言わないので、生ワクチンに対する強い要望が至るところに起こってきて、そしてわれわれにも生ワクチンが何とか手に入らぬでしょうかという要求が出てくるわけです。従って生ワクチンに対する政府の見解を国会を通じて明らかにしておく必要があるのですね。生ワクチンはセービンとコックスとコプロフスキーという三つがあるということを私は聞いておるのです。セービンが一番いいのだ、こういうのも聞いておるのですが、しかし、これも聞いておるだけで私が実験したわけでもないし、実際に研究の成果を十分調べたわけでもありません。そこで厚生省の方にはそれぞれ学者の方がこうだといういろいろの意見の開陳もあるだろうと思うのです。そういうものを集約をして、生ワクチンに対する政府の権威ある見解を一応はっきりしておいて下さい。
○尾村説明員 生ワクチンに対しましては、まず第一には、結果において今の皮下注射法によるものがほんとうに有効で無害ということになるなら、生ワクチンが実施されることが望ましい、これが第一でございます。と申しますのは、ヴィールスというような、しかも生きた菌を、しかも経口的な投与によって予防接種が行なわれるということは、おそらく画期的なことでございまして、こういうような細菌学の中で、百年前にジェンナーのときに、生きた天然痘というヴィールスが皮内または皮下にやられることはありましたが、これを消化器の中に口から取り入れて、しかも全身免疫ができるのだということは、おそらく有史以来一つの大きな事柄でございます。しかも人間としては皮膚に傷をつけたり、あるいは針を刺すということは、ことに子供でございますから一そうきらうわけでございますし、これがほんとうに有害でなく有効ならば早く行なわれることは望ましいことであります。この方針ははっきりいたしております。ただし今まで入手しておったこの生ワクチンを直ちに自信を持ってやるには、われわれ、あるいは日本の国内の学者、全国民が詳しいことはわからぬのでございます。安心してやるというための確信を持つに至っておらない。今まで国内では長岡市で約二百五十人に投与したという、これは北岡博士がやったのでございますが、この実験例が主たるものでございます。あとは諸外国におきます文献を入手して、ないしはことしの夏行なわれました国際会議で日本の学者が出席いたしまして討論に参加して、十分諸外国の意見を聞いてきた、こういうような程度でございます。あくまでこれはなまの菌でございますから、有毒菌をいろいろな方法で毒力をなくして免疫力だけを残したというような変異菌をだんだんと育てるのでございます。BCGと同じでございますが、これが日本の環境状態とそれから日本人というものを対象にいたしましてやる場合に、また逆戻りのおそれはないという絶対の確信を日本の多数の学者に抱いていただいて、その意見に基づかぬと、行政的に強制もするわけでございますから、政府としてはできない。従って早くその経路を経たいということで、これの実験計画を計画いたしまして、去る十七日に四十七名の、大体日本国内でわれわれがお集まり願える範囲の権威者は全部集まっていただきまして、弱毒ヴィールス免疫研究協議会というものが発足いたしまして、ここでそれぞれ必要な研究を分担する。その第一の研究の前提といたしましては、この生ワクチンというものが無毒であるということが前提でございます。これだけは何としても責任を持って無毒の証明をしなければいけない。それでありませんと、すでにありましたカッター事件とか、あるいはBCGのリューベックのときのような事件が万々一国内に起こった場合に責任を持てませんので、これをやる、そのためには発明者であるセービン博士自身が作った原液そのものをすみやかに入手して、これならば絶対責任を持ってもらえるわけでありますから、これを入手して、これの毒力検定を予研で今の研究の一環としてやってもらう、これはすみやかにやります。それを今度は臨床実験に移すために、今の四十七研究単位、さらに若干ふえますが、この方にお分かちして、これで今度人間による実験をする、こういうようなことまで今計画が進んでおります。多分セービン博士のところから原液として、これは何人分というのではなくて、原液でございますから、あくまで何リットルということになるかと思いますが、これが二月早々には、正規の、しかも混合でなくて一種類ごと、これは三系ございますが、一種類ごとの別々なものを単独なもので入れて、毒力検査をやって、これを分かつ、これによりまして、おそらく数カ月以内にフィールド実験に至るまでの実験に着手ができるというふうに今考えております。その結果によりまして、外国の、従来ソ連あるいはアメリカその他でも実験が行なわれましたが、これらの実験の成績とあわせまして、いよいよ日本で製造基準を作る、あるいは検定基準をその研究の結果も入れて作りまして、よければその結果に基づいていよいよ切りかえる。その時期については今のような研究の進行状態を見ませんと、今からいつまでに作るというと、研究を抑制することになりますので、これは結果を見ないとわかりません。大体そういう予定であります。
○滝井委員 これで大体政府の生ワクチンに対する公式な見解がはっきりしてきました。そうすると問題は画期的な生ワクチンというものが毒がないという決定をするためには、相当の研究費が要るわけです。四十数人の学者を——あれは製造業者も入っているのですね。そういう人に集まってもらって、生ワクチンの研究協議会をお作りになったのですが、そういう学者諸先生方にこういう画期的な研究をやってもらうためには、当然金を出さなければならぬわけです。今まで厚生省では厚生科学研究費とかいうのがあって、二十万とか三十万、学者に金を出しておったのですが、ああいうちゃちなことではこういう人類、特に日本人にとっての画期的な研究体制は進まぬと思うのですが、こういう予算上の措置というものはおやりになっているのですか。
○尾村説明員 ただいま言いましたように、大体二月に入りまして、約一カ月半ないし二カ月が前提として予研における毒力検査になるかと思います。これは、この間の研究協議会でも、国立の予防衛生研究所が全面的に引き受けるということでございます。またこれ以外ではちょっと不可能でございます。これに対しましては、国立の予研の既存の庁費その他研究費がございますが、必要のある範囲でこれをできるだけ動員する、これは主としてサル代でございます。サルの各臓器を病理試験にかけて脳の変化、全身の変化を見るのが毒力検査でございます。もちろんチーテルの検査もございますが、主体はサルの費用でございます。これは今年度の予備費まで回しました厚生科学研究費と予研の経費でできるだけまかなう。それからフィールドに移りますと、これは主として今のサルを使っての研究段階ではなくて、人間に現実に飲ませまして、それの免疫力が血清の中にどう上がっていくか、ないしは今度排泄されてこれがどんどん地上に分散されるわけでございます。増殖していきます。これの追及をやるわけですが、これは地方衛生研究所とそれから今の研究者のところで、ビールスの検索と免疫の血清反応、これが中心になるかと思いますので、これにつきましては、今、来年度予研の費用として研究費を要求しておりますが、これはぜひ通るように努力したいと思っておるのでございます。ちょうどこれが四月以降の分になりますので、本年度内に万々一足らなければ、またお願いして、足らぬ分を何としても今年度使わなければ研究が中途半ぱになるという予研の分については、場合によっては移用なり予備費なりの要請をしなければならぬかと思っております。現在のところはいけるという計画で進めております。
○滝井委員 ぜひ一つ国立予防衛生研究所の研究体制なり、検定の体制を確立をして、すみやかに生ワクチンの飲める姿を作っていただきたいと思うのです。 次は、すでに小児マヒに罹患をして、非常に悲惨な後遺症を残しておる者の問題です。最近五千有余人の患者が出たということになると、おそらく二、三千人くらいの後遺症の方がおると思うのです。この後遺症の患者の数は、最近の状態はどういう数ですか。
○尾村説明員 これは北海道のようなかなり重度の濃厚流行地帯と、それから散発しております全国のとは模様が違うようでありまして、一番重い北海道の例を申し上げますと——まだこれは十月までで出ておりましたので、全数の比率というのは、やはり後遺症をほんとうに残す三月以上の経過を見ないとわからぬわけでございますが、現在の北海道のポリオ対策委員会、これは主として臨床の方と基礎の方が入っておる、権威者を網羅しておるわけでございます。これが一応過程を分けまして、分けたところから見ますと、軽、中、重と分けておりまして、中以下は大体三カ月くらいでなおるというふうに判定されておるようでございますが、これが大体今のところ六割、それから向こうでいう重というのがほぼ四割、こういうふうでありまして、この四割が大体三カ月以上後遺症を残す。従ってそれがあと半年でなおる者、さらに一生なおらない者というふうなものは当然含まれるわけでございます。これはまだ経過中でございますが、大体四割程度というのが北海道でございます。これが全国では、最高の重度じゃないかと思われますのが、東京やあるいは愛知県の集団発生、岩手の集団発生等を見ますと、死亡した者を除きまして残りは、これよりかなり長期にわたる後遺症はもう少し低率でございます。まあそういう形でございますが、ただいずれにしましても、三割でも四割でもかなり長期の肢体不自由が残るわけでございます。そこで従来まではこれが療育医療という形で児童福祉法の方で前からやっておるわけでございますが、急性期とこれに至る間にギャップがあったわけでございます。それを昨年このポリオを指定伝染病に指定いたしまして、伝染病予防法のいろいろな条項をかけたときに、まず急性期、約一カ月かかるわけでございますが、この急性期がなくなって、それからさらに菌の排泄がなくなる時期まで、またこれは熱症状その他が去ってから三週間ないし一カ月の間は伝染病予防法で治療まで見るという形にいたしまして、従ってかなり早期のうちからマッサージその他の肢体不自由対策が治療として行なわれるわけでございます。この急性期に続く亜急性期といいますか、無熱、無排菌になるまでの時期は伝染病予防法が発動するように昨年からいたしたわけであります。これによりましておそらく従来のようにこの時期をただ隔離したりあるいは自宅で放置したよりははるかに後遺症の残存率は予防できるようになったかと思っておりますが、今のが終わりましたあとが、今度は児童福祉法の方でいく。さらにこれが長期になりますと、おそらく養護施設収容の問題が起こるかと思います。これは児童局の所管でございますので、あとの方はちょっとお答えいたせませんので御了承願いたいと思います。
○滝井委員 そうしますと、小児麻痺だという診断を受けると——なるべくお金のかからぬような方法を大衆に教えておかないといけませんから……。小児麻痺の診断を受けると、これは隔離病棟に入れるわけですね。そうしますと、その経費は全都市町村なり県の分担で、伝染病予防法ですから、持つことになるわけです。それで一カ月ないし三カ月で菌の排泄がやむまではずっと伝染病予防法で無料で見てもらえる、こういう確認をしてさしつかえないわけですな。これが一番大事なところです。
○尾村説明員 これはほかの伝染病と同じ扱いでございまして、御承知のようにこれは伝染病予防法で指定伝染病でございますから、届け出られて市町村で扱う。個人が大学その他に、自分はあそこへ行くのはいやだという形で自分の好きなところに行きますと、ほかの伝染病でも従来指定されておらない施設に気ままに行きますと、健康保険等が発動することはございますが、一応の形は伝染病予防法は原則として適用されないという形になっております。従ってこれはあくまで市町村の隔離処置を受けて、指定の病院に入る、これが前提でございます。ただ今度の場合には、その原則は通しておりますが、非常に小さい子供でございますので、飛び回るわけではないし、家におりますので、環境上やむを得なくて家庭におりまして、動かした方が危険な時期には、特に指定しまして、そのままにして、逆に治療に役立つ指定の医師が行くようにする、こういう形にいたしておるわけでございます。なお伝染病予防法による適用を受けましても、ほかの伝染病と同じように公費でやりますが、先ほどの予防注射と同じように、食費、薬価ほぼ半分ないし三分の一になるかと思います。これはわが国の伝染病予防法の発動の仕方はみんなそうでございまして、あとから実費徴収をする、こういう建前でございます。もちろん困窮者に対しては免除するという形はありますが、原則としてはオールただではないのが伝染病予防法の全部の建前でございます。さような形になっております。
○滝井委員 小児麻痺の患者を赤痢やチフスの隔離病棟に同じように入れるわけにはいかぬ状態が出てくるのじゃないかと思うのです。そういう場合における市町村の措置というものは一体どうしたらいいのかということですね。たとえば北九州に例をとれば、最近は爆発的に赤痢が流行した、そうすると一つの学校の児童のほとんど全部が赤痢だ、とてもその市町村の組合立の伝染病院なんかに入れる収容能力はない。そういう状態のもとにこの小児麻痺も発生しているわけですね。これは当然赤痢の患者と一緒に小児麻痺を置くというわけにいかぬと思うのです。こういう対策の指導というものは、厚生省の方としてはそういう場合に一体どういう指導を市町村に対しておやりになっておるかということです。
○尾村説明員 昨年六月にこれを指定伝染病にいたしましたときに、指導方針の要領を作成いたしまして、正規の通牒で都道府県知事に流して、これによりましてこれを担当する保健所並びに市町村は、その要領に基づいて整備さしたわけでございます。その要点を申し上げますと、従来の赤痢や腸チフスのように、ただ隔離病舎だけではなくて、この小児麻痺の場合には、隔離と同時に小児科的並びに整形外科的な治療が必要でございますから、そういう条件の整った病院をあらかじめ契約指定しておくということを原則にしておるわけであります。従いまして、東京都の場合には、駒込病院のような都立伝染病院のみならず、大きな大学病院とか、あるいはその他の都立病院、国立病院、これをすでに昨年から指定しているわけでございまして、ここでは他に伝染のおそれのないような措置をすれば、規定の隔離病舎だけではなくて、小児科の病室のある部分そういう措置をすれば、こういうところでむしろあとのための適切な治療もできるようにいたしております。それから北海道とか北九州のように爆発流行した場合に、夏でございますとすでに半分くらい町の隔離病舎はおとななり子供なり赤痢患者が入っておる。そこに赤ん坊を入れますと、あわせて疫痢にかかってしまうというおそれもありますので、そういう集団的に発生する場合には、むしろ臨時のこれを収容する隔離病舎を置き得るようにしております。ただし、これは勝手にしろうと的な判断で町村長等がむやみにやりますと、治療の内容も悪くなります。かえって危険なこともございますので、これは必ず都道府県知事の指導に基づいて、その許可を得てやる、こういうことになっております。ほとんどこういう場合には、今までの例では、必ず府県の方にそういう対策本部的なものができまして、そこが乗り出して市町村と相談して、学校を臨時にそれにあてるとか、いろいろな措置をいたしまして、その場合には府県のいろいろな権限を出して、府県の費用もかける場合が概して多いわけでございます。
○滝井委員 そういう全国的な指導措置をとられておれば、おそらくその通りに各地もやっておられると思います。そうしますと、問題は小児科的、整形外科的な処置を後遺症の患者にはやることになるわけですが、いよいよ三カ月以上になって、後遺症が固まってしまってからの治療というものは、なかなか治療効果が上がりにくい。やはり病気が進行中に、すみやかに脳細胞なり脊髄細胞の回復の方向に薬を投入した方がいいのでしょうから、そうなりますと、問題のいわゆる治療薬、ガランタミンの問題が出てくるわけですね。このガランタミンに対する厚生省の今まで到達をしておる統一的な見解というものは、一体治療薬として相当きくものかどうかという点、それからガランタミンの価格、あるいは入手の経路というものは、一体今どういうようになっているのか。これを一つこの際明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
○牛丸説明員 ガランタミンは御存じのようにソ連で製造され、あるいはブルガリアあたりで製造されておるわけでございますが、日本では戦争中これと同じ構造のものができたというように私どもは聞いておりますが、ガランタミンそのものは、まだ新薬として私どもの方で国内の製造販売の許可はいたしておりません。それで最近のこれに対する動きを申し上げますと、ことしの十一月でございますか、ソ連の労働組合の方から日本の総評の方に相当多量のガランタミンの寄贈ということが連絡があったわけです。それに対してその輸入の問題その他で私どもの方に照会があったり、そういうことがあったのでございますが、現在の段階ではそういうソ連側の好意による寄贈なり、あるいは国内で直接治療薬としてほしいと言っておられる方々が、個人的に入手の手続をする、そういう段階でございまして、まだいわゆる一般の薬としてそれをどうするかというようなところまでいっていないわけでございます。しかし日本で適当な小児麻痺の治療薬も現在ない段階でございますので、私どもとしましては、国内で治験例を早急に集めましたならば、外国の、ブルガリアなりあるいはソ連なり、向こうの実験例等も参しゃくしまして、早急に輸入販売の手続をとった方がいいんじゃないかと思っております。現在総評に対しましては約千本、二、三百人分のものが寄贈の第一回分として参っておるようでございます。そういうふうなものが国内に入れられて、適当な大学の付属病院なりその他のところで実験をされて、そのうち成果が出ますならば——私どもはその成果が早急に出ることを期待しておるわけでございますが、そういう結果によって早急に一般的な医薬品の輸入販売の許可をとるように、特定の業者なりあるいは希望する業者にも指導していきたい。現に医薬品販売業の中で数社のものにそういうふうな動きもあるようでございますので、早急に新薬としての一般的法律の手続によりまして販売の許可の段階にまで、年が明けましたならばなるべく早い機会に持っていきたい、こういう考えで現在おるわけでございます。
○滝井委員 このガランタミンが小児麻痺の治療に画期的な効果を持つかどうかという治療実験ですね。これをやはりあなた方が確信を持つためには速急にやる必要があると思うのです。そうしてそのためにはこれを国が輸入をするのですから、当然政府としてはやっていいんじゃないかと思う。その措置をどうしておとりにならぬのですか。総評その他が千本ばかり——聞くところによると四十本から五十本ぐらいの注射をしなければ治療効果が現われてこないと言われておるわけですね。そうしますと、千本だってあなたの言うように二十人かそこらしかない。これじゃ実験としての確信が学者も持てないと思うのです。われわれだって、濃厚なビタミンを今まで脊髄の中に入れると、軽いやつは早く入れればみんななおっちゃう。ガランタミンと濃厚なビタミンを一緒に入れてやると、ガランタミンがきいたのか、ビタミンがきいたのかわからないという場合がありますね。だからそういうのがありますから、やはり私は、あなたの方で新薬としてすみやかにやろうとすれば、すみやかに治療実験用に入れて、そして特定のそういう生ワクチンの学者と同じように、何人かの学者に委嘱して、その研究成果を学会に問うて、ここ一、二カ月のうちかあるいは三、四カ月のうちにやる、こういう早い方法をおとりになる方が世論の対策としても非常にいいのじゃないかと思うのです。そうでないと——ぜひガランタミンを入手してもらいたいというのは、やはり子供が小児麻痺になって、かたわになるかならぬかということになると、親は、やはりおぼれる者はわらをもつかむという感じであらゆるつてを求めてやってくるのです。現在も私どものところにそういう申し込みというのは実にたくさんあるのです。滝井さん、ガランタミンを何とかして入れてくれませんか。何か新聞にそういう記事が出たらしいのです。だれかがある代議士なんかを通じてガランタミンの入手をやった。そしてそれをやったら非常に効果があったというのを見て、親は矢もたてもたまらずに、だれかつてを求めたらその入手方法があるのじゃないかということで、模索をやり始める。だからそういう模索をやって、莫大な金をブローカーその他からとられるよりか、やはりすみやかにあなたの方で治療実験をおやりになって、そして公式な見解を発表して、輸入をする。それがソビエトであろうと、ブルガリアであろうと、これは人類の福祉に貢献をし、人の命を助け、身体障害者を少なくするなら政府は早くやらなければならぬと思うのです。牛丸さんなり安藤政務次官にお尋ねしたいのですが、ガランタミンについては、そういう体制をすみやかにおとりになることが私は人道上必要だと思うのです。
○牛丸説明員 ただいま滝井先生からおっしゃられるような趣旨でございまして、私どもも一日も早くそういう措置をやりたい。現在すでに輸入の計画がございますので、それに対しましては、私どもも治験用としての輸入を早急にやるように慫慂しておりますし、国が直接やるやらぬは別にいたしまして、結果的には今滝井先生がおっしゃったようなことが現在進行しつつあるわけでございます。従いましてこの輸入につきましては、おそらく非常に近い時期において、私は今先生からおっしゃったような結果ができるということをここで申し上げていいかと思います。
○滝井委員 これで予防体制から治療体制、後遺症の対策まで、時間がありませんから、一応ざっと簡単に触れました。この問題は、この病気がいよいよ五月から六月の初夏の候から始まるというようなことですね。もし来年の五、六月ごろになってだんだんまた流行があって、七、八月ごろになると、やはりこれは厚生省の公衆衛生行政なり厚生行政に対するかなえの軽重を問われるおそれがあると思うのです。ぜひ一つ、そう何百億も金がかかるわけではないのですから、思い切って五億か十億の金をお出しになれば、この病気に対する対策というものは万全の対策がとれると思うのです。万全の対策をとってなお流行があった場合には、これはもうやむを得ないと思うのです。そういう意味でぜひ一つ、小児麻痺が非常に大衆の中に恐怖感を与えておるのだから、この恐怖感をすみやかに除く体制を来年度予算からとっていただくことを、三月までの緊急措置とあわせて要望をいたして、質問を終わります。ありがとうございました。
○柳谷委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後六時九分散会