社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/12/15
会議録
○山本委員長 それではこれより会議を開きます。 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件、特に医療機関における労働争議に関する問題について調査を進めます。 この際お諮りをいたします。本日は本問題について、参考人として日本赤十字社副社長葛西嘉資君、同じく日本赤十字社人事部長服部武夫君、全日本赤十字労働組合連合会中央執行委員長赤塚健吉君、及び同じく中央副執行委員長宇夫方貞夫君より参考人として意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 —————————————
○山本委員長 参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。本委員会におきましては、近時相次いで発生しておりまする医療機関における労働争議に関する問題について多大の関心を有し、先般来政府と質疑を行なうなど、調査をいたしておるのでありますが、本日は、特に労使双方の代表の方々に御出席をいただきまして、本問題について忌憚のない御意見を承り、もって本委員会の調査の参考に資したいと存ずるのでございます。 議事の整理上、御意見を約十分程度に要約してお述べをいただきたいと存じます。その後委員の質疑にお答えを願いますが、まず葛西参考人より御意見の開陳をお願いすることにいたします。 それに先だちまして、委員長から総括的に承りたいと存じます。日赤本社側から、葛西君あるいは人事部長のどちらでもけっこうでございますが、適宜お答えをいただきます。 まず第一にお尋ねいたしますが、労働争議に関しましてのただいままでの経過の事情について、御説明をいただきます。
○葛西参考人 今度の赤十字の、約百ある病院の中の三十ちょっとの病院で、いろいろな規模のストが行なわれまして、患者の方々あるいは一般社会の人たちに、大へんいろいろな御迷惑をかけましたことを、まことに遺憾に存じ、また特に迷惑をかけております方々に対しては、申しわけなく存じておるような次第でございます。 今委員長から、争議の経過を申すようにというお言葉でございましたが、去る十月の二十五日に、労働組合の側から、五つの点についての要求があったのでございます。簡単にその要旨を申したいと思うのでありますが、第一は、労働協約の改定でございます。ちょうど改定の時期が迫っておりますので、具体的な事項について、これこれの事項について協約を改定してもらいたいという申し入れでございます。それから第二は、大幅賃金の引き上げという点でございます。これは一人五千円、最低一万円にしてもらいたい、一口に言えばそういうことでございます。それから第三は、年末賞与の点についてでございます。これは、従来の本俸支給割について、プラス一律アルファの給与をするようにという要求でございます。それから第四番目は、糸崎の赤十字病院を、今廃止したらどうかというような意見があるのでありますが、これの存置、再建について適当の措置をとってもらいたいということ。第五番目は、この夏から武蔵野赤十字病院に争議があるのでありますが、これの解決に努力をしてもらいたいという五点でございます。それが十月の二十五日に要求書として提出がございました。そして書面で回答をしました。それは十月の二十九日でございした。それは十月の二十九日でございます。 その要旨を申し上げますと、第一の労働協約の改定についてはよくこちらも研究をする、しかしこっちの方の、本社の側としても、なおこういうふうに改定をしたいというものがあるので、そういう具体的な案を出しまして、一つ両方で検討をしようじゃないかというのが、第一に対する回答でございます。 それから、第二の大幅賃金の引き上げという、五千円、そして最低一万円に賃金をしてくれという問題については、これは、御承知のように、昭和三十三年の秋に医療費の八・五%の引き上げがありまして、その際に全職員に対して一回、二回に分けまして、第一次及び第二次の給与改善をいたしたのでございます。これによりまして、平均いたしまして二十七カ月の期間短縮というものをやったのでございます。そういうわけで、上がった金というものを大体給与改善に向けてしまっておるので、今は財源の余裕もないし、とてもできない。近く医療費の改定、医療費のまた値上げというようなものがあるように聞いておるが、そういうときに一つ給与の全職員に対する改定をしたい、こういうことでございます。そういう回答をいたしました。 なお、その後の団体交渉におきまして、これは重複いたしますが、今でもこの年末賞与というもの、これは次に申し上げますが、これについては、赤十字の各病院によって財政がまちまちでございますので、そういうような点で財源の余裕があるものについては、これはわずかでも賞与というようなもので支給することは差しつかえない。またその病院々々によって、特にアンバランスがあるとか、あるいは特に看護婦さんが低いとか、あるいは第一次及び第二次給与改善の結果、アンバランスの是正は若干やったのでありますけれども、それでもなお高低があって、病院の全体の給与上いかぬというような場合には、財源があれば、その財源をそちらへ回して、まあ特別昇給と私どもはこれを申しておりますが、そういうものをやることは差しつかえないという回答をいたしておるのでございます。 それから、第三は、簡単に申し上げますが、年末一時金の問題については、これは病院々々によっていろいろ違うのでありますけれども、プラス一律アルファというのは、従来は——従来といえども、私どもはあまりプラス一律アルファということになりますというと、賃金のまあ何といいますか、悪平等と私どもは申しておるのでございますが、そういうことになることをおそれる。しかしながら、地方の今の実情、たとえば県庁でありますとか、あるいはその病院のあります市町村でありますとかというようなところなどで、今の一律アルファたとえば年末に対するもち代のようなものと私どもは申しておりますが、そういうものを出しておる場合においては、赤十字といえどもそれにならって、その地方の社会通念に従いまして、これを支給することは差しつかえない、こういう回答をいたしております。 なお、その財源でありますが、これは、財源は今の賞与のワクというものが、その病院々々によって一応きまるわけでありますから、そのワク内で支給する、こういうことで差しつかえないという回答をいたしております。 それから糸崎の問題につきましては、これは病院の廃止等については、本社の建前といたしまして、各支部々々でどうするという意見をきめて、そうして本社社長の承認を経るというような建前になっておりますので、目下鋭意支部において小委員会等を作りまして、どうするか、地元等と相談をしておるのでありまして、その意見を尊重するのだ、こういう回答をいたしております。なお第五番目に、最後の武蔵野病院につきましては、これは、御承知のように、夏以来いろいろ折衝がございまして、最後に東京都労働委員会の方からあっせん案が出ておるのでございます。これは病院側は大体その線でいいというようなことであったのですが、なかなかうまく話がまとまらぬでおるのでありまして、私どもとしましては、都の労働委員会のあっせんで円満解決をすることを期待しておるのだ、こういう五項目の書面の回答を十月二十九日に出しておるのでございます。 その後、十一月十日、十一月十七日、二十二日、それから十二月一日と四回にわたりまして、ときには夜おそくまでかかったのでありますが、団体交渉をいたしておったのでございます。しかしながら、いろいろな問題があるのでありますが、特に大幅賃金値上げというものは、本社の方としましては、今の年末の賞与で解決するとか、あるいはまた各病院々々の特別昇級で解決するというようなこと以外は、全部の職員に対して賃金の値上げをするということは、医療費の値上げをするというときでなければ、財政上もできない。そのほかも、本社の建前上できないというような回答をいたしておるのでありますが、この点がどうしても話し合いがつきませんのでございます。 そんなようなわけで、組合側にも、労使双方で幾ら話し合っても——四回やったのでありますが、大体平行線というような形でありましたので、これではどうも暮れも迫ったし困るから、一つ中央労働委員会にあっせんを依頼して、そこで公平な第三者で判断をしてもらおうじゃないかということを言うたのでございますが、どうもそうはいきませんでした。そこで十二月、今月の二日でございますが、本社の方としましては中央労働委員会にあっせんを依頼しておるのでございます。 その後、病院ストの問題は、御承知のように、赤十字としましては、先ほども申し上げましたように第一次、第二次、第三次、第四次というように四回のストがあったのでございまして、若干違ってはきておる。新しくストに参加した病院があったり、あるいは初めてストをやっておっても、二度目からやめたというような病院もあるのでございますが、ごく大ざっぱに申し上げまして、全国百の病院の中に三十前後といいますか、三十ちょっとになるかもしれませんが、職場大会というようなものを含めて、まだそういうことがございまして、解決しておらないのはまことに遺憾に存じます。私どもとしましては、十月二十九日、先々月の二十九日に、今申し上げましたような趣旨の書面の回答をいたしておるのでございまして、今日まで一カ月余りいたっておるわけでございます。この間、団体交渉等で本社の意のあるところは十分申したつもりでございます。なかなか妥結ができませんので、これは繰り返しますが、どうしても公正な第三者によって中労委のあっせんを受けて、そうしてそこで妥当な結論を見出して妥結をしたいという努力をしておるのでございますが、いまだにその希望は捨てぬのであります。 なお明日午後一時半から私どもはさらにまた団交を継続する予定でございます。 経過は、ごく簡単でございますが、以上でございます。
○山本委員長 次に、葛西参考人に続いてお尋ねをいたしますが、私は日赤側にも、また全日赤側に対しましても、何ら恩怨を持つものでございませんことは、明白な事実でございます。中にはお耳ざわりになるようなお尋ねもあるかもしれませんが、これは委員会の運営上必要なことでございますので、あらかじめ御了承を得ておきたいのでございます。 次に葛西参考人にお尋ねを申し上げます。日赤本社と支部、それから病院の権限ないし責任の所在につきましてお尋ねを申し上げます。
○葛西参考人 お尋ねに正確にぴたりと当てはまるかどうか存じませんのでございまするが、一応お答えをいたしたいと思います。 御承知のように、日本赤十字社法によりまして、その国の赤十字は一つの国に一社あるという原則にのっとりまして、日本赤十字は一つの法人ということになっております。そうしてその法人を代表するものは、社法並びに定款に基づきまして、日本赤十字社社長でございます。そして社長はその赤十字業務の一切を総理するということを書いてございます。この社長の総理の内容の実態でございまするが、これは大ざっぱに言って四つくらいあるかと思うのでございます。一つは、定款上定められた役職員並びに幹部職員の任免を社長がいたしております。それから第二番目には、本社の全体の制度の改廃、どうしていくかという根本方針の制度の改廃というような点、それから三番目は、赤十字事業は、あとで申し上げますように、支部というような組織、あるいは病院というような施設がございましてやっているのですが、それら赤十字事業の全般的な企画、指導と申しますか、そういうふうなことを本社が取り扱っております。それから第四番目にあげられると思いますのは、国際的ないろいろな事業の企画でございます。先般やりましたような中共の引き揚げでございますとか、あるいは今私どもが国の委託を受けてやっておりまする在日朝鮮人の北鮮帰還の問題でありますとか、こういうふうなもの、あるいはまた国際赤十字の会あるいは国際赤十字の執行委員の国といたしまして、いろいろこれらの国際赤十字活動というような点をやる。その総理の内容の実態は、大体この四つくらいであろうか、こういうふうに思います。 さて今度は日本全国にわたる赤十字の事業につきましては、これは御承知のように定款の規定によりまして、全国を府県の単位によって支部というものを作ってございます。そしてその支部には民主的に選ばれた評議員会の選出によりまする支部長を任命いたしておりまして、その支部長がその支部の一切の業務を管理することを規定されております。 従いまして、病院のことになりまするが、病院のようなものをかりに設置したいとかやめたいというときに、支部長がどういう働きをするかというのをちょっと申し上げた方がいいかと思うのでございますが、本社の規定によりますると、支部長が病院を設けようとする場合においては、いろんな書類なんかをつけて社長の承認を経なければならぬ、こういうことになっております。そして社長の承認があったらば、支部長は、社長からのその承認によって、社長の委任によって、社長にかわって病院開設の手続をする、こういうことになっております。そういうことになりましたゆえんは、赤十字は、大きなことを申しましても、やはり各支部における社員あるいは特殊な方々の御好意によって施設を経営し、あるいは施設を設置せねばならぬというようなことになっておりまして、昔から赤十字の寄付金を、その地方でいろいろ集めていただきまして、それらの浄財によって、あるいは国の援助によって立っていくというようなことになっておる関係から、国で国立病院を作るというような場合とは、いささかその辺のニュアンスの違いのありますことは御賢察を賜わりたいと思います。 ただ病院と申しましたが、その百ある病院の中に実は三つばかり、渋谷にございまする日本赤十字社中央病院並びに産院、それから特殊の沿革がありまして長野の諏訪にありまする諏訪赤十字病院、この三つだけは支部の所管に属しませんで、本社の直轄の病院ということになっております。これは本社赤十字社長が、こういう手続を経ずして自分でそこに作るという直轄病院が三つございます。あとは全部支部長の指導のもとにある、こういうことこなっております。 次に院長の点でございますが、これは皆さん御存じの通り医療法等の関係もございまして、病院の業務の管理者というものは院長がなっておるのでございます。本社の規則もそれを踏襲いたしておりまして、病院の管理に関する第一次の責任者を院長ということにいたしております。従いまして、今問題になっております労働組合のような関係になりますると、各病院々々に単独の労働組合というものがございまして、それらと院長との間に団体交渉をいたしておるのでございます。病院の業務の管理というような点でいたしております。ただ先ほども申しましたように全国的な一つの制度、たとえば給与体系をどうするというようなことになりますると、これは本社が一応の基準をきめまして、そうしてその基準によって各地方の実情並びに特にその地方の財政というようなもので当てはめ等をいたしておるということでございます。従いまして、先ほど申しました五つの問題につきましても、年末の一時金というような問題につきましては、これは地方の単組とそれから病院長との間で妥結することにいたしております。もう現に二十五くらいの病院は年末の賞与については各病院長と単組との間に妥結を見ておるのでございます。ところが一律ベース・アップというような問題になりますと、給与体系が関係いたして参りますので、これは本社で、中労委でやる、こういうふうなことでございます。ちょっと足らぬかと思いますが、なお不足の点がございますれば、お尋ねいただきとうございます。
○山本委員長 次にお尋ねをいたしますことは、各病院ごとに特別会計になっていて、独立採算方式がとられておる、こういう経営の様式である、かような仕組みであるというふうに伺っておりますが、これらに関しましてきわめて簡潔にお聞かせをいただきます。
○葛西参考人 独立採算というお話がございましたが、私どもどう定義するか、その定義によって違うのでありますが、赤十字病院がやっておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたようにその病院を作りますときには、昔でありますると、その地方々々の方方から設置の要望がございまして、それでやろう——財源がないものでございますから、昔本社が金を持っておった時代には若干本社も出す、しかしそれだけでは足りませんので、大部分の金は地方で一つお集めをいただく。これは昔でありますが、今は本社に金がございませんので本社が出すということはできない。それで地方で出していただく。若干の公の援助等も受けておるのもございますが、そんなことで地方地方で作っていただいて、地方の人たちの福祉のために貢献しておるというようなことでございます。そんなようなことで、これは赤十字病院は創立以来、古いことを言いますと明治十九年といいますか、明治二十年以来から大体そういうふうに、そこに病院ができますと、そこの病院の収入でもって大体の支出をまかなう、よその方からそのお金を持ってくるということは——明治十九年というとずいぶん古いのでございますが、それ以来ずっとそういうふうな形でやっております。また今の、これは申すまでもないのでございますが、病院でありましても、株式会社みたようなものでございませんので、株主にそういう金の配当をするというふうなことは毛頭ありませんし、またその病院の金を取り上げて本社へ持ってくるとか、あるいは支部の方の財源にしてやるとかいうようなことはいたしておらないのでございます。大体その病院であがった金をもってやっていくという仕組みになっております。これを本社は会計上区分いたしまして、特別会計を作りまして、その特別会計で入ったものをその病院で使う、こういうふうなやり方になっております。従いまして非常に経営がよろしいと申しますか、そういうふうな病院は比較的財政状態は豊かにやっておる。ところが経営が悪いとか、あるいはまた特に地理的の条件が悪いというふうなところは非常に財政が苦しいというような実態でございます。そんなわけで、委員長のお尋ねのあれですが、結果的には私どもの百の病院には財政にでこぼこが極端にございまして、一律にものを考えるということは非常に困難な実情でございます。従いまして最近のことを申し上げますと、公務員等が一号俸上がった場合には、大体本社の方もこれに準じて一号俸上げるというふうな措置を従来とってきております。ところがその一号俸上げることにしましても、上がらない病院があるということでございます。そんなことで四苦八苦して月給を上げなければならぬという病院が十五、六から二十くらいあるというような実情でございます。しかしながらこれはいろいろ、一つの病院がやっているのであって、なぜそれをプール制といいますか、こっちへ集めてやらぬかというような議論は、議論としてはわかりますし、またそういうことも一つの法人というようなことならば考えることも可能かと思うのであります。しかしながら今そういうふうな長年のしきたりでやっておりまして、その病院で努力いたしまして上げますれば、それが一つは給与の改善になり、一つは患者のサービスに向けられるというようなところにもまた捨てがたいものがございます。そんなようなことで実行も不可能だと私どもは思っておりますし、またそういう沿革あるいはまたそういう実情というふうな点を申し上げて、この問題のお考えの御参考にしたい、こう思っておる次第でございます。
○山本委員長 次に二、三点でありますが、きわめて簡潔にお答えを願います。 立ち入ったことをお尋ね申し上げて恐縮に存じますが、巷間伝えられるところによりますと、日赤が本社と支部で社費を職員が浪費をして、事業費に使用しないというふうなことが喧伝されておるようでありますが、これにつきまして差しつかえのない範囲でお答えを願います。
○葛西参考人 私ども、国民の理解のある、あたたかいものを浪費するというようなことは、一文といえどもやってはならない、またやっておらないつもりでございます。赤十字の事業は先ほども申し上げましたように、大体本社でやりますものは国際的とかあるいは全国的なものでありますが、残余のものというのは大体その支部々々を中心にしてやっておるというのが実情でございます。それで浪費という意味がどういう意味か知りませんが、かりに人件費にそれを向けるというような点が御指摘でありますならば、私どもとしましては、この事業費と人件費の割合というものにつきましては、実はもう非常に細心の注意を試みまして、人件費のふえることは一切これはならぬというような方針をずっと堅持して指示をして参っております。現在で総事業費と人件費の割合は一二・四%ということになっております。従いましてこれらのことを考えますと、最少の人間をもって、少数精鋭でもって事業をしておるのであって、私どもは浪費というようなことは全く一文もない、こう確信をいたしております。
○山本委員長 次にお尋ねを申し上げます。今回の賃上げの要求金額が五千円と聞き及んでおりますが、これに対しまして日赤当局側のお答えをいただきます。
○葛西参考人 一人月五千円、それから最低一万円にしてくれ、こういうことでございます。
○山本委員長 もう一つだけお尋ねをいたします。日赤の病院の数は現在どれくらいございますか。
○葛西参考人 産院とかそういうものを入れまして百でございます。診療所が四十五、全部で百四十五ということになっております。
○山本委員長 そのうち幾つの病院が今日のストに参加をしておりますか、伺います。
○葛西参考人 先ほどごく大ざっぱに、三十ちょっとというふうに表現をいたしたのでございますが、百の病院のうちにストに参加をしておる病院、これが第一次のスト、第二次スト、第三次スト、第四次ストによって若干違うのでございますが、全日スト、午前の外来スト、午後の外来スト、時限スト、部分スト、休暇スト、職場大会、それからストをやめたというふうなのがございまして、そして数を一々申し上げても煩にたえぬと思いますが、大体職場大会のこともストと考えまして、ストをやめたものが五十の組合のうちに、第一次の場合には十二でございます。従いまして五十から十二引いたものが職場大会を含めてのストをやりました。それから第二次の九日のときには十四ストをやめております。第三次も十四ストをやめております。あとは全日ストというのが第一次が七、十一、十一、十三ということになっております。それから時限ストに至りますと四、三、三というふうになっております。それから職場大会というようなことでやっておるものが十、七、三、一というように、だいぶそのときによって変わっておりますが、大体三十ちょっとのものが、職場大会というものまで含めてのものをストと考えれば、まあ百のうちに三分の一ちょっとというものが参加している、こういうことでございます。
○山本委員長 次に全日本赤十字労働組合側にお尋ねを申し上げます。 連合会の中央執行委員長と連合会の中央副執行委員長とおいでのようでございますが、どちらがおもにお答えになりますか。
○赤塚参考人 副執行委員長がお答えいたします。
○山本委員長 それでは宇夫方参考人にお尋ねを申し上げます。 あらかじめ申し上げておきますが、委員長は総括的なお尋ねでございますので、時間の都合等もございまして、簡潔に、なるべく手短かに、要を得たお答えを願いたいのでございます。 日赤本社では四回にわたって深夜に及ぶ団交を重ねて参られましたが、今日まで平行線が続いておられまして、なお第三者のあっせん等も思うにまかせなかったというふうに伺っておりますが、これらに対して第三者の、たとえば中労委等のあっせんをお断わりになりました事実がありやいなや、これをまず伺いたいと存じます。 〔「まだ労組側の意見を述べさしておらぬじゃないか」と呼び、その他発言する者多し〕
○山本委員長 それでは宇夫方参考人にお尋ねいたします。 大体今までの経緯についてきわめて簡単にお答えをいただきます。具体的には各委員からお尋ねをいたします。
○宇夫方参考人 経過につきましては、先ほど副社長から述べましたので、私の方からは、もう少し具体的に中身を申し上げたいと思います。なぜ私たちの争議が起きたかという点から申し上げたいと思います。非常に時間が限られておりますので、まず一番先に私たちの賃金から聞いていただきたいと思います。 私たちの賃金が、現在どのような賃金が支給されているかと申し上げますと、まず国家公務員と非常に性格がよく似ているということから、国家公務員と比較して申し上げたいと思います。去る八月に人事院勧告が出されまして、その人事院勧告によりますと、国家公務員の賃金が平均二万一千六百円と発表されております。さらにこれがもし勧告にのっとってそのまま実行されますれば、公務員の平均賃金は二万四千二百八十円になります。そこで私たちの賃金は、これは基準内賃金を国家公務員の場合計算しておりますので、基準内賃金を計算いたしますと、平均八月現在で一万三千百二十七円でございます。ですから、この国家公務員のべース・アップ後の賃金と比較いたしますと、一万一千円の差が生じます。ですから、私たちの要求である五千円のベース・アップは、むしろ低過ぎるということが言えると思います。言いにくいこともここで申し上げますけれども、経営者側は報道陣などに、日赤の賃金は安くないというようなことをよく言います。しかし本社や支部の高級職員まで含めた健康保険組合の発表した資料によりましても、月額報酬の総額が、平均一万七千六十九円というふうになっております。これはあらゆる手当から何からひっくるめた額で一万七千六十九円でございます。このように低いことの理由の一つには、初任給が第一には低いということ、この初任給におきましては、例を申し上げますと、看護婦さんで平均九千四百円、国家公務員の場合には一万一千三百円になっております。低い看護婦さんになりますと、七千百五十円という初任給さえもあります。一般労務員におきましては、なおさら低くて、三千七百五十円という生活保護基準にも満たないような金額が示されております。もう一つは、定期昇給が極端に低いということでございます。たとえば五千円の賃金の人が一万円になるには、大体十二年を要します。さらに一万円から二万円になるには何と十八年を要します。ですから、今の日赤規定によりまして、高等学校卒業生が勤めたといたしますと、初任給六千八百円でございます。この人が二十八才になりますか、十年間勤めたといたしましても、本俸が一万二千円にしかなりません。こういう状態では、現実に言われておりますように、結婚もできない、こういうのが実態でございます。ですから、私たちが要求しております五千円の賃上げと、もう一つは、定期昇給の昇給率を三倍にしろという要求はしごく当然なものと言わざるを得ません。こういう低賃金と一緒にもう一つは、現在の労働条件の問題がございます。看護婦さんを中心にして医師、薬剤師その他の職員が非常に不足しております。そのためによく町で、病院は一日がかりで、あるいは三時間待って診療が二分だ、こういうことが盛んに聞かれます。これは武蔵野の例でございますが、実はステッカーで二時間待って診療三分と書きました。ところが患者さんから文句を言われまして、これはうそだ、三時間待って診療は二分だと言われました。そこでさっそく書きかえました。こういう事実さえございます。そこでさっそく計算してみましたところ、武蔵野におきましては、診療時間が一分三十秒という数字が出ております。これでは良心的な治療も何もできないというふうに判断いたします。労働条件については、各病院によりましていろいろと条件が違いますので、一がいに言うことは困難でございますけれども、例をあげますと、たとえば水戸の赤十字病院におきましては、一昨年過労のために手術場の看護婦さんが全部倒れたというようなことがあったり、あるいは患者さんがベットから落ちて死んだのを知らないでいたという事実さえあるわけでございます。たとえば九州福岡の日赤におきましても、産科病棟の看護婦さんが連続三十二時間という勤務をしいられております。これは朝八時から日勤をいたしまして、夕方の四時までが昼の勤務でございます。それから引き続いて夜勤を行ないます。これはあすの朝の八時まででございます。さらに引き続いて日勤が次の日の四時まで続きます。連続三十二時間という勤務がしいられております。これはその他にもございます。たとえば山形県の東根におきましても、連続二十七時間の勤務がしいられております。こういうような勤務体制、あるいは石巻の日赤におきまして高橋睦子という看護婦さんが、夜勤者がたった一人のために夜患者から殺されたという事件さえも起きております。これは労働省の方に労災適用かどうかということで現在回っております。こういうふうに基準法違反その他がたくさん行なわれ、たとえば女子の従業員を保険の請求事務だと称して夜の十時または十一時、十二時までも勤務させてみたり、このことは山形県の東根の日赤においても監督署から、こういうような長時間時間外をさせてはいかぬということで勧告を受けましたところ、病院長は、十一時までとか十二時まで時間外をつけるのはけしからぬ、十時以下にしろ、こういう強制をしております。現実には十二時ごろまで働かせておきながら、監督署に怒られると、帳簿の上では十時までに落して、それをのがれよう、こういうことまであえて行なっております。こういう時間外をやらせておきながら、さらにこの時間外の手当を支給しなかったり、あるいは時間外が多過ぎるということで削ったりしております。さらにそういう時間外をさせ、あるいは削ったりしながら、時間外協定も行なっていないという病院が非常に多くあるという事実でございます。このことは、赤十字本社が一貫した指導理念に基づいて行なわれているとわれわれは判断せざるを得ません。昭和三十一年病院経営資料の中に、こういう文句が書いてあります。「職員はフルに稼働して、患者サービスの減退を来たさないぎりぎりの線までできる限り多くの患者を取り扱うことが肝要である。」こういう指導を本社は行なっております。この指導に基づいて行なわれているというように判断せざるを得ません。こういう労働条件の中で私たちの人権争議といわれるまでの戦いが現在起きているわけでございます。先ほど副社長さんの方からも、金がないから出せないということだけお話をお聞きいたしましたけれども、実は団体交渉が四回行なわれて、もう行き詰まりになったから、第三者にあっせんを依頼するのだということを申されておりますけれども、団体交渉の席上で金がないという資料を見せられたことは、第四回目の団体交渉の夜の十二時過ぎに初めて見せられた、こういう事実でございます。その本社側の資料によりましても、昭和三十四年の決算で三億四千万の黒字が出ております。さらに本社の説明によりますと、設備投資が総額で四十億、元金の返済が一年間に四億、そうして利息の返還金が三億といわれております。さらに本来赤十字病院が事業として行なわなければならない看護婦の学生の養成も、実は年間一億五千万かかっております。しかしこの一億五千万のうち三分の二を占める一億円については、全部私たちが働いた病院収入の中から支出されております。これらは本来赤十字本社が当然行なわなければならない事業であり、支出しなければならない金額でございます。これらをもし総計いたしますと、私たちの五千円の要求は決して無理なものではないし、出せないものではないというふうに考えております。こういうことから、本社は四回の団体交渉におきましても、今言いましたように、資料にも出さずに、ただ金がないから出せないの一辺倒で今日まで押し切っております。その一方こういうことが本社から出されております。ストライキをやられたときの対策を指令した文書でございますが、その中からちょっとおもなものを引き抜いてみますと、対策本部を作れ、あるいは非組合員に呼びかけて全面的な協力を得ろ、あるいは保安協定を急げ、あるいは部分ストあるいは全面ストに入る前日は地方労働委員会が職権あっせんに乗り出すかもしれぬから、そのときまで五分五分の態勢を作れ、あるいは状況によっては外来患者の診療を中止しろとか、あるいは県の警察あるいは市の警察に事前にあいさつをしておけとか、そういうような指示まで行なって、本来団体交渉で解決すべきこの問題を、ストライキをやるならやれ、やったらこちらにも対抗手段がある、こういうような態度に出ております。それで団体交渉では、一方で資料も出さずに、金がありませんとかなんとかで四回もすっぽかされた、こういう事実でございます。私たちは、中央労働委員会の実情を聞きたいということも、実は時期尚早ということでお断わりをいたしました。このことは、決して私たちが中央労働委員会、第三者を否定するものではございませんけれども、現在の段階でまだ話し合う余地が十分残され、十分話し合いが行なわれないままに第三者にあっせんを依頼する本社側の不誠意については追及いたしたい、かように考えております。私たちは第三者を交えないで、しばらくの間とにかく誠意を持って団体交渉に応ずるまで、自主的な団体交渉によって解決すべく努力いたしたい、このように考えております。 非常に大ざっぱでわかりにくいと思いますけれども、簡単に申し上げました。
○山本委員長 以上で意見の開陳を終わります。 それではこれより各参考人に対する質疑を行ないたいと存じます。 質疑の通告がありますので、これを順次許します。 伊藤宗一郎君。
○伊藤(宗)委員 私は、今度初めて選挙で国会に出て参りまして、また最初の委員会の社会労働委員会で質問を申し上げるものでございますが、私は、正直に言いまして、今度の病院のストというものはやはり起るべきものが起きたというふうに思っております。私がお尋ねしたいことを委員長がお尋ねになったものですから、重複を避けまして申し上げたいと思いますけれども、今度のストライキは、賃金闘争から始まったものには違いありませんけれども、私はその背景には、現在の病院を中心とする前近代的な労使関係がある。きのうの委員会でも労働省の富樫労政局長が、病院の経営、労使関係は中小企業的であり、またその不満が爆発的に拡大したのが今度のストライキだというような見解を述べておられますけれども、また実際病院というものが、特別な環境のせいもありますけれども、院長、医局あるいは看護婦と、この関係があまりにも封建的であるということは何人も否定することのできない状態のように私は考えております。こういう点に関しまして、葛西副社長さんが、この労使関係の現状、そしてまた将来この労使関係を近代的に持っていくためにどういうような御見解であり、あるいはどういうような対策をお考えになっておられますか、これをお聞きしたいと思います。
○葛西参考人 今のお尋ねの、病院の中の労務管理と申しますか、そういう方面に改善すべき点があるという点は、私もその通りだと思います。それで、自分のことを申すのもおかしいのですが、過去数年来院長の会合等には、これらの点を改善していかなければならぬということで、毎回病院長の会議にはそういう方面の指示あるいは対策等はでき得る範囲のことはいたしてきたつもりでございます。しかし何にいたしましても、大きな点になりますると財源を要する問題にぶつかってしまいます。先日ある病院長とも私話したことでありますが、私の病院では、もう金がなくてやれることはみなやっておりますというようなことまで申したような院長もおったようなこともあるのでございます。しかし、全体的に見てそこまでいっておると私ここで申し上げる自信はまだございません。私どもとしてはそれらの点を十分やっていかなければならぬ。今ちょっと組合の話は引かぬ方がいいのでしょうが、今何かストに対策していろいろ指令を出したのがばかにけしからぬというような話もあったかと思うのですが、これも私どもはストがけしからぬからどうこうという意味でなくて、ストになった場合に患者に迷惑をかけては悪い。そういう点で、保安要員でありますとか、あるいはどういうふうなことをしなければならぬというふうな指示はいたしております。また管理の問題について、これは具体的な例でございますが、二、三年前ある病院で、改善すべき点があるというのは病院のシステムというものがはっきりいっていないために、それを適当の伝票制という——これは薬の点でございまするが、薬を購入いたしまして倉庫へ入れる、倉庫へ入れたものを各病院が使ったというようなことを伝票でずっとつけるような制度がございます。そういうふうなものに改善をしたために、その病院で一カ年に約四百万の経費の節約ができたという実績をもっております。こういうことも広い意味の病院管理、そういうもののむだを排除して、そして一つは患者のサービスにそういうものを向けるし、あるいはそういう財源をもって低い階級の者にやるということは、これは私どもそうしなければならなぬと思っております。今申し上げましたのは、関東近県のある一つの病院の実例でございまするが、何せ数が百もございまして、場所は全国に広がっている。しかも経済はまちまちだというふうなことで思うように至っておりませんので、御指摘のように今の労使関係といいますか労務関係といいますか、こういうものについて私どもがさらに一段と努力をしていかなきゃならぬという点は、今お述べの通りだと思って今後努力をして参る所存でございます。
○伊藤(宗)委員 実は少し具体的にお尋ねしたいと思うのですが、また私事で大へん恐縮ですけれども、今回の選挙が始まる直前に私の家内が乳ガンで入院をいたしまして、私は手術を見ないままに郷里へ帰りまして、この選挙を戦って出て参ったのです。この選挙期間中、病院ストが頭から離れないで、やっと出て参って無事な家内を見たのですが、その間病院ストが私にとりましては非常に大きな重荷になりまして、特別今お尋ねをするわけであります。 今の病院の内情を見ますと、どうも科長さんの往診というものはあまりにも大名行列のように過ぎて、それが科長さんの往診が医局に当たり、医局が看護婦に当たって、その看護婦さんは当たるところがないから患者に当たる。そうして患者さんはしようがないからベッドをたたいて泣いている以外にないというようなことをよく聞くのです。そういうような、経済面でなしに、大体が病気でございますから、どうしても暗くなる病院を、やはりもう少し明るい環境にするような方向に、当局者あるいは理事者が持っていっていただくような努力がもう少しほしいような気がする一人でございます。その点につきまして、ただいまもお聞きしまして大体は納得しましたけれども、最も近代的であるべき病院が最も前近代的、むしろ封建的といわれる状態におかれているということに、今度のストライキの一つの大きな要因があると私は考えておるのでありますから、この点に関しても十分の御努力をなお一そうお願いしたいと思います。
○葛西参考人 今身近の点でお話がございまして、もしそういうことが赤十字の病院にあったとすれば、まことに申しわけないことでございまするので、金が要らぬで、しかもちょっとした気をつけることで明るくできるというようなことは、今後うんと努力をしていかなきゃならぬと思っております。今お述べのような点は、ほんとうに即刻にも実行していかなきゃならぬことと心得ておりますので、そういうふうに指導して参りたいと思っております。
○伊藤(宗)委員 結局、これらのストあるいは今のようないろいろな隘路を打開するためには財政だというようなお考えのようでございますけれども、それでは一体問題はどこにいくかといいますと、大問題になっております医療費を値上げする以外にないということになりそうでございますが、その点に関してはいかがでございますか。
○葛西参考人 大へんむずかしいお尋ねで、私ごとき者が申し上げていいかどうかわかりませんのでありますが、私どもの病院長など、あるいは私ども相談をしたところでは、どうしても現在の医療費では困るということで、とりあえず二割七分の引き上げをしてもらいたいということで、これは関係方面にもお願いをしております。医師会の方は三割ということでありますが、病院長が集まりましたときにいろいろ計算をいたしました結果、二割七分だけはぜひやってもらわなければならなぬ。その中にはいろいろのファクターがございます。その一つには、今の国家公務員のベースが上がるというようなことになれば、うちにはほとんどそれには追いつけない状態、そこらにもやるというようなことを考えますと、二割七分は最小必要だというようなことでございます。なおまた私どもとしましては、今の医療費の値上げということのほかに、また現在の——これは要らぬことでございますが、たとえば看護婦の養成でありますとか、あるいは先ほども述べたと思いますが、設備というようなものが古くなって参ります。赤十字の病院は古いのがございます。そういうことで改築を要する、あるいは進んだ医学に応じて新しい設備をしなければならぬ、これは金がなければできません。ところが今の状態では、一般から寄付を求めるというようなことも、若干はできますけれども、大きなものはやはり何とかせねばならぬ。それは政府にお願いしている長期低利の金融というような措置で、これは返さなければならぬ金でありますが、そういうものをやっておるわけでございます。こういうものがもしないとすれば、ことにまた公的医療機関というようなものの責任をほんとうにやっていくということから考えますると、医療法何条かにありますような、国なり公の援助を仰ぎたいというふうなこと、そういうふうな点をただしていただきますと、それだけの財源というものは別の方面に使うことができるというようなことで、そういう大へん失礼なことでございますが、医療費の値上げ及びそれに関連をした、あるいはまたいろいろな保険の制度等にも改善の問題があろうかと思います。そういう方面は、これはあるいは赤十字というよりは私個人の意見だ、こういうふうにお聞き取りをいただきたいと思います。いろいろございますが、そういう問題に関連があることを御了承願いたいと思います。
○伊藤(宗)委員 全日赤の労組の方々にお尋ねをしたいと思います。私は、冒頭にも申し上げましたように、今度のストライキは当然起こるべきものが起きたというふうに思っておりますけれども、そういう前提のもとにお尋ねをしたいと思います。 現在のストライキがいろいろ言われておりまして、日本医療労働協議会で全国の統一闘争を決定して、その一環として全日赤も今度のストライキに参加したのだというふうに私は聞いておりますけれども、この点についてはいかがでございますか。
○宇夫方参考人 これは昨年から私たちの賃金、労働条件が非常に悪いということで、いろいろとみんな集まって協議しまして、やるのなら一緒にやろうということで、八月の日本医労協の総会で決定されたものでございます。これがあたかも何かスケジュール闘争のごとき感を与えておりますけれども、決してそうではありません。これは下から盛り上がった力で、ただそれを一時期に合わしたということにすぎないのでございます。
○伊藤(宗)委員 要求の五項目がございますが、これらの点につきましては、先ほど葛西副社長が申された通りに、本社でできるものと病院でできるものといろいろありますけれども、それを本社で一本にしぼってやっていくと、なかなか解決ができない面が出てくるのじゃないかと思います。この点を、具体的にケース・バイ・ケースでやっていくという方法に、これから切りかえる意思はございませんですか。
○宇夫方参考人 これは全部本社でやるべきだと私たちが判断して、五つの項目をあげておるわけであります。これはたとえば先ほど葛西副社長の方から、年末一時金などについては、各病院個々においてやれということでございます。それは事実だと思います。しかし私たちの要求しておりますのは、越年手当として各個人一律に出す方式を本社で認めてくれということを要求しておるのでございまして、今まではがんとしてだめだという回答でございますので、これを一本化して、今までは各個病院でやっておりますが、それではいつまでたってもらちがあきません。本社がいかぬということでございますので、本社に対して要求を出す。それから糸崎の問題につきましても、今広島県において行なわれておりますけれども、最高の権限はどこにいっても、ともかく本社でございます。ですから、本社の方で善処されたいということで出したのであります。決して個個ばらばらに行なえるものじゃなくして、やはり本社の責任においてやるべきだという判断で全部出したのであります。
○伊藤(宗)委員 皆様方の要求、要望はわかりますけれども、やはり事は人間の命に関する問題がほとんどでございまして、その点に関して医療従事者としてのお心がまえといいますか、御良心というようなもの、たとえば患者さんの給食をストップするというようなことも聞いておりますけれども、そういうことに関して皆様方の御良心というものをちょっと伺いたいと思います。
○宇夫方参考人 私たちは決して患者さんをいじめるためにストライキをやっているのじゃございませんで、患者さんの待遇を少しでもよくするため——私たちの労働条件をよくするということは、患者さんに一番いい治療、看護を与えることであります。ですから私たちの要求はあくまでも患者さんの利益を守るために戦っておるのであります。ですから患者さんにできるだけ迷惑のかからぬ方法でやろうということで——再三、最近におきましても、こんな手ぬるいストライキでは本社はうんと言わぬから、もっともっと強いストライキをやってくれというところまで電話がかかっておりますけれども、できるだけ最低の線でもっていけることを望んで、今日までごらんの通り、ざる抜けストライキとか悪口を言われながらも進んでいる、こういう状態でございます。私たちはむしろ、もっともっと強いストライキで反省を促したいというふうには考えております。しかし現在の状態でできるだけ患者に迷惑をかけないために、今のような方法で進んでいるということであります。
○伊藤(宗)委員 五千円の内訳ですが、五千円を要求された根拠というのはどういう趣旨でございますか。
○宇夫方参考人 根拠といいましても特別にございません。少なくとも私たちは最低五千円を上げてくれ。先ほども申し上げました通り、まだそれでも人事院の勧告にありますように国家公務員にも及びません。しかし一応とにかく最低を一万円にしてくれ、五千円上げてくれ、こういうことで、切なる要求として出したわけでございます。ただこれはそろばんではじき出した、そういう要求ではございません。
○伊藤(宗)委員 いよいよあすから団交が再開されます。これに対して両方にお伺いしたいのですけれども、一刻も早くストライキを解決していただいて、患者はもちろん国民が安心できるようにしていただきたいと思いますけれども、葛西参考人に、まずあすからはどういう態度で臨まれるか、それをお聞かせ願いたいと思います。
○葛西参考人 私どもは先ほど申し上げましたように、私どもの十月二十九日の回答というものは、われわれができる限りのかけ引きのない措置だ、こういうふうに思うので、ぜひ一つわれわれの言うところを虚心たんかいに聞いていただいて——できることとできぬこととあると思うんです。そういう点を理解されて、そうして私どもも決してストを好むものではございませんので、ぜひ一つ円満に妥結して早くまとめたいという点においては仰せの通りであります。
○宇夫方参考人 私たちは再三団体交渉を申し入れました。七日にも申し入れましたけれども、そのまま回答がございませんでした。できるだけ早く団体交渉によって解決するべく努力したいと思います。ただ、今まで団体交渉を申し入れておるのに、申し入れがあったらやります、こういう返答を受けております。そんなむちゃくちゃな話はないということで、やっとあす開く、こういう状態になっております。ですから、私たちはできるだけ団体交渉で解決するべく努力はいたしたいと思いますけれども、今日までの四回の団体交渉に見られたような、ああいう回答では解決ができないというふうに考えております。
○葛西参考人 ちょっと……。今団体交渉を非常にきらっているという話であったのですが、実はわれわれの方でも、今のこの問題は各地方々々いろいろな事情がございますので、いろいろな情報に基づきまして、先般も土曜日でございますか、各地方の院長等を集めましていろいろ打ち合わせをしてその上でやらなければならぬ、そう急にきょう言ってきょうというわけにいかない。むしろ私どもの方で言いたいことを言えば、いわばどろ試合みたいなことはやりませんが、今の二十日の日にやりましてもなかなかきまらぬでおったというようなことでございます。両方やっぱりそれは内輪のいろいろ相談の事情がありますので、私どもの方でもそういうことで各院長に聞くとか、手続はいたしております。
○伊藤(宗)委員 それでは一日も早い解決をお願いいたしまして、これで私の質問を終わりたいと思います。
○山本委員長 大原亨君。 なお参考人の方に申し上げておきますが、発言をなさる場合には、委員長と声をおかけになって発言をなさるようにお願いをいたします。
○大原委員 葛西参考人にお尋ねいたしたいのですが、きょうは自民党の人も言われたわけですけれども、日赤は経営と労務管理がなっていない、こういうことは世論もそうですが、ほとんど全員一致の意見だと思います。私は基本的な心がまえを聞きたいのですが、日赤というのは国際的にも国内的にも人道主義であって、病院経営あるいはその事業活動におきましてもヒューマニズムに貫かれているわけであります。あなたの基本的な御認識を聞きたいのですが、職員の人権を尊重することなしに日赤の事業の人道的な運営はできないと思うのです。私はその点について、お話をお聞きしておりまして非常に奇怪に思うのです。たとえば組合を作るということは働いている人の基本的な人権です。その問題についてとやかくいろいろな問題が提起されている。私は時間がないから申し上げませんけれども、経営や労務管理がなっていない。これは先般も政府の当局が言っておりましたが、基本的には今申し上げたような職員の人権を尊重することだと思う。その中には組合を尊重していくという精神がなければならない。団結して人権を守るという、憲法で規定されました精神を尊重して、そしてあらゆる労働条件の改善について誠心誠意努力するということが必要だと思うのですが、私はお聞きしておりまして、いろいろ現在現実に起きている問題を考えまして、あなたのそういう基本的な考え方につきまして疑義を持つのですが、いかがですか。
○葛西参考人 おっしゃる点はまことにごもっともだと思うので、博愛人道の旗じるしを掲げている赤十字としましては、人権ということには最もあたたかい気持を持ってやっていかなければならぬと思うのであります。あるいはまた労働組合法に基づく組合の意見を聞いていくべきだということはお述べになった通りだと思います。具体的にどういう点で私のあれが工合が悪いということならば、われわれはできるだけのことをしたい。労務管理のようなものでも、先刻も申したと思うのございますけれども、できる限りこれをやっていくということで、特に数年来そういう方面に気をつけてやっているということを申し上げたつもりでございます。今後もやっていきたい、こう考えております。
○大原委員 私が言っているのは、決してやりとりするわけじゃないのですが、経営とかあるいは労務管理がなっておらぬということはだれも言っているのです。政府を初め、世論も、自民党の諸君も、与野党を問わず、特に組合側はそうです。たとえばこういうことはどうなんですか。組合側からお話しになりましたけれども、超勤手当——二十七時間とか三十二時間というのはこれは論外にいたしましても、これについて御説明があれば御意見を聞きたいのですが、超勤手当をほとんど正当に払っていない、これが常識化している、こういうことが一つと、たとえば結婚いたしましたら今度は格下げをする、子供が生まれたら今度はやめさせる、看護婦についてそういう実例があるということもあがっておるのです。私は病院やその他事実をあげてもよろしいのですけれども、そういうことなんかは、およそ他の職場、他の社会では今日通用しないことなのです。そういう封建的なことが行なわれておって、できるだけ努力いたしますというような官僚答弁では、私はこれは決して問題解決にならぬと思うこの問題を解決しなければ、こういう争議は解決しないのです。問題解決についてどういう具体的なプランや誠意があるか、こういうことを私は問題にする。私は今二つの点を申し上げましたけれども、その点についてあなたの方でお考えがあれば——悪ければ悪いということならよろしいのですが、しかしながらそういうことは全体としては経営上の問題になって参りますけれども、いかがでしょう。
○葛西参考人 超過勤務の問題については、大体うちは予算がないから出さぬということはございません。ただ現金がありさえすれば払わなければならぬというわけで、大体のところは払っておると私は思っております。ただしかし病院はピンからキリまであるのでございます。金がなくて払えないというのがございます。そういうのは追って支給するというふうな措置をとったことも現にございます。私も一、二その例を知っておりますが、金がないから払えない、待ってくれということをした実例はございます。しかし予算がないから払えない、ただ現金が払えないから払わない、これは財政の問題になるわけでございますが、そういうことは当然やらなければならぬことだと思っておりますので、これは努力の仕方が足らぬ、もう最大級の努力をしてやるべきだ、こう心得ております。 それから看護婦の結婚の問題あるいは子供の問題等で差別をつけるというふうなことはあってはならぬ、これは当然でございます。職場等でいろいろ病棟の勤務を外来にかえるということは、これはやってもいいと思います。そのほかのことで区別があろうはずはないのでございます。その実例を知っているとお述べになりますけれども、私どもも若干そういう気配があるのを聞いたことがあるのでありますが、そういうのは厳に院長をしかって、これを是正をしていくという努力をしているつもりでございます。何にいたしましても、一つは財政と、それから今百あまりございまして、そして地域が広いという点で至らぬ点もあることは正直に認めざるを得ない。従いまして最大級の努力を払うべきだというふうに心得えております。
○大原委員 あなたのお話を聞いておりますと、おかしいことがあるのです。払う金がなければ払わぬ、そういう場合は認めておられるのですね。あなたはどんなに美しいことを言われても、それだったら払わぬでもいいということになって、払わぬでも超過勤務をやらせるということになるでしょうそれは基準法の精神ではありませんよ。そんな労働基準法の基本的な認識は私は問題じゃないかと思うのです。金がなければ払わないとすれば、払わないでも超過勤務を命ずるということでしょう労働基準法に対する考え方がおかしいと思いませんか。
○葛西参考人 今のあれは、病人がたとえば急病でどうしてもやらなければならぬというふうなことがある。しかしそのときに実は払う金がない。しばらく待ってくれと言って延ばした実例があるということを申し上げたので、労働基準法の精神に違反する意図は毛頭ございません。
○大原委員 その点については労働者側の意見をお聞きしたいと思うのです。しかし私はこれでずっと進めて参りますと、独算制に対する考え方は経営者側の非常に便宜主義的なものだと私は思うのです。というのは、たとえば糸崎の問題だけでもそうですけれども、必要なところへ赤十字精神で医療を施すというのが私は日赤の一つの大きな精神だと思うのです。単に独立採算だけで、営利主義だけでそういう点を貫くということはおかしいと思うのです。あなたは独立採算の妙味があると言われましたけれども、それはおかしいと思うのです。それと一緒にやはり従業員、労働者の人権を尊重しなければ、当然今のような人権問題が起きてくる。あるいは良心的な仕事ができないのです。だから、支払いを待ってくれとか、あるいは夜中の十一時にも深夜勤務をやれというふうなことを言われましたけれども、そういうことが常識化するような経営、独立採算の結果というものは、結局日赤の根本精神というものをひっくり返しているのではありませんか。独立採算の経営方針というのがそれを否定する結果になっているのではありませんか。あなたはそういう点については反省するお考えはありませんか。 もう一つついでにお尋ねいたしますが、日赤に従事する人々の生活費のいろいろな実態については、環境等によって違うかもしれないけれども、やはり統一的に賃金をきめて、労働条件については近代的な、だれもが納得できるような基本精神を全部の日赤の職場に貫く、こういうことが必要なんですが、あなたの方ではそういう点では反省はしておられませんか。この二つの点について私はお考えをお聞きしたいと思う
○葛西参考人 人権を尊重しなければならぬ点は、これはもう仰せの通りだと思います。第二の独立採算の問題ですが、これは考え方はいろいろ私はあると思います。同じ赤十字であるというふうな点から考えて、そういうふうなことの研究はしなければならぬと思います。しかしながら現実具体に、先ほども申し上げましたように、私がいい面があるというのは、そういう面も一つのファクターとして考えられる。しかしながら赤十字病院のそもそもの沿革、それからそもそもの成り立ちというふうなものから、実際問題として今のいわゆる独立採算というふうなものをまとめて、一本の資金にプールして考えてやっていくということは、現在の段階においてはきわめて至難、むしろ不可能、こう私は考えていかざるを得ない、そうせざるを得ない、こうお答えいたします。
○大原委員 一つお尋ねいたしますが、今組合側の方から話を聞きますと、昭和三十四年における黒字が三億四千万円というお話でありました。結局は病院経営から得たものだと思うのです。寄付やその他の問題については時間がありませんから申し上げませんが、そういうのが三億四千万円もあるということですね。そういう黒字はどこから出たのですか。それからもう一つは、私がいろいろ調査をいたしてみますと、退職金のプールを本社でやっておられると思うのですが、これは相当の金額になると思うのです。俸給割でやっておられるのです。そういう吸い上げる面については勝手に独立採算をくずしているのじゃないかと思うのですが、それはいかがなんですか。
○葛西参考人 三十四年度の決算に、病院全体を集めてのそろばん上の利益金というものが三億四千万幾ら出ていることは事実でございます。ただしかし今申しますように、その三億四千万というのは、これは利益金と申しましても、今建物あるいは設備等のために借入金を各所からいたしておりますが、そういうものの元金の償還はその中からやらなければならぬ。あるいは病院が健康保険の診療をいたしますと薬を買わなければならぬ。ところが病院が実際に現金をいただきますまでには三カ月余の間がかかるというわけで、まあつなぎ資金と申しますか、ランニング・エクスペンスがどうしても必要になる。そういうものを見たらむしろ不足くらいなことでございます。プールいたさぬということになりますれば、今のように一つ一つ独立でございますからどうもならぬ、こういうことでございます。 それから退職金の問題は、これは非常に情ない話でございますが、退職金がないために銀行から金を借りて払うとか、あるいは年賦にお願いしておるということも、経済の苦しい病院では現実にあるわけでございます。そういう場合のために、そういうものを平素から一定の比率によって——これはいいかげんにやるわけではない、一定の比率によってこれを積み立てていく。積み立ての比率なんかも数字で出しますが、やってみてそれだけ要らぬということであれば、これは今の率を減らすというふうなことでやっていくというふうにしていく。要するに退職というような大事な問題については、しっかりしたあれを確保しておかなければならない。そのためには退職金積み立ての制度を作っておこう、こういう趣旨でございます。これはそれだけの資金をプールするということでありまして、これでもだいぶ今の病院々々によってはいろいろな問題があったのであります。しかしながらこれは数年間検討の末、それだけの限られた、しかも一定の基準に基づいて、しかも限られた目的のものについてだけは一つこれをやろう、こういうことになってやっておるわけでございます。
○大原委員 長年の伝統を持っておる日赤が、そういう退職金とかその他労務管理の問題等についてまことに行き当たりばったりである、こういう印象を私は受けるわけです。今の退職金の問題についてはいい方の例で私は言ったのです。全国的に本社に集めるのは……。しかし黒字の問題は、あなたの方の説明は非常にあいまいです。そういうものを全部計算しまして、黒字なんです。あなたが組合に出された——私は組合の方とあなたの方と論争になってはいけませんから、私が質問をしております問題で、問題といたしまして組合の方からお話しになった点と違いがあるから、組合の方はその点であとで逐次まとめてお話しを願いたいと思います。一応形式といたしましては経営者の方が、やはり経営上の責任があるということを社会的には認めているのですから、あなたはなかなかうまいことを言われますけれども、みんながそういうことになっておる。そこであなたに質問を集中しておるわけです。これは公平の立場に立ってそうです。黒字の問題はそういうふうになります。そして結局は、賃金などもそういうふうに初任給がばらばらであるとか、あるいは昇給の間差がばらばらであるとか、そういうふうなことは、これは労働条件、住みよい職場を作る、明るい職場を作ることとは基本的に違うのです。逆の方向です。そういうおもな労働条件については、団体交渉をなさる際に当然本社が責任を持ってやる、こういう体制にならぬといかぬと思いますけれども、あなたの団体交渉や問題解決に当たっての心がまえについてお聞きいたしたいと思います。
○葛西参考人 先ほども一番最初に概括的に申し上げましたときに、本社というものはそういうふうな赤十字事業の全般的な制度の企画、指導というふうな点をやっておるのでございますので、そういうふうな基本的な問題、大きな問題については、これはもう本社がやるのは当然だと思います。しかしながら個々の病院のいろいろな管理につきましては、病院の業務管理につきましては、先ほど来申しておりますように病院長が病院の業務管理者でございます。しかもそれに一定の権限を与えておるわけでございます。これと折衝をするということは、現在の全国に散らばっておる百の病院ということになれば、これは管理能力というか、そういう点から見ても、また地方で作っていただいておる病院というような点から考えましても、支部長の指導のもとに各病院々々がこまかい労務管理について改善の相談をしていくということは当然のことだ、こう考えております。
○大原委員 あなたのお話は口先で答弁されているから、私は労使関係がうまくいかぬと思うのです。私が言っているのはこういうことですよ。たとえば糸崎問題等についてもそうです。そういうふうに赤字が出ているということについては、すぐそれはつぶす、それは公共性からいって反するじゃないか。それから黒字が出た場合には中央に集めていく。しかも日赤法には当然公共の問題として処理する場合には、国が監督したり助成したりする道があるわけです。低利の融資もできるわけです。そういう点についてあなたは必要を認められているのです、今さっきのお話でも。そういうことについて努力しないでおいて、結局は一番弱いところにしわ寄せをするから、職場が非常に不明朗になって、だんだん労働問題がうっせきしてこういうふうになってきたのだ、こういうふうに思うのです。そういう面において、経営とか労務管理がなっておらぬということは通説です。世論です。そういう点から考えてみまして、そういう点を根本的に改めなければいけないのじゃないかと私は言っているのです。あなたはそういう点について、実態に触れないであちらこちらと、のらりくらりやっておられるようですが、その点はあとで総括的にお聞きします。 それから組合側の公述とあなたの公述との間においてぜひお聞きしておきたいと思うのは、公務員の賃金は民間賃金よりも少し安いのです。これは人事院勧告というものがそういうふうになっております。時間的にもおくれて安いのです。その人事院勧告よりも、組合側の主張によりますと一万円も違うという、あるいは健康保険組合の調査によりましても、相当に開きがあることを認めておるわけです。また今組合が言われた数字を聞きますと、一万円から二万円になるのは十八年間もかかるというのです。それじゃ家庭生活の設計なんかできないでしょう、高等学校卒業について具体的に言われたわけです。そういう点からいいまして、賃金の問題を中心に、労働条件等の問題で非常に封建的な、一方的な管理が行なわれておることは事実です。賃金の問題を中心といたしまして、相当な見解の開きがあると存じますけれども、そういう点について葛西さんの方の御見解を一つ公表してもらいたい。
○葛西参考人 賃金の点についてのお話がございましたが、これは実は国の方の賃金の制度と、本社の賃金の制度というのは非常に比較がしにくいわけです。本社の場合にはいろいろな手当とかなんとかいうものが、そのときそのときの必要によって出ておるわけでございます。従ってどの辺からとってどの辺と比較すれば公務員とどうだという正確なものはなかなかむずかしゅうございます。大体これくらいなところでという近いところの比較をいたしますと、今度の人事院勧告による給与ベース・アップ前のことになりますと、これは概してございまして、全国平均で——うちの場合は非常に無意味な数字であるかもしれませんが、それを比べますと、大体医師、薬剤師等については大した違いがない。むしろ少しいい数字が出ております。ただしかし看護婦についてはやや劣っておる。事務職員等につきますと、地方から通う人であるとか、あるいは恩給をもらって入っておる人があるとかいうことだろうと思いますが、国家公務員よりは少し低いという数字が——ごく最近こういう事態に対処して作りましたものによると、国立の病院と比べてそういう数字が出ております。しかしそれは全国的な話でございます。先ほど申し上げましたように昭和三十三年秋の八・五%の医療費値上げの後におきましては、たとえば近畿のある大きな病院のごときは、ほとんどの職種が国家公務員のベース・アップ前の給与よりは上だという数字が出ておる病院もございます。ところがまた経済の非常に劣悪な病院になりますと、非常に低いものがあります。大体そういうふうなことでございます。 昇給の問題についても先ほどお話がありましたが、本社の給与体系というのは実は終戦直後に作りましたそれを、手直し程度の修正を数次施しまして今日に至っております。従いまして非常に不備な点が多い。ことに昇給年限というものが、何カ月たったら幾ら上がるというのがあるのですが、そういうものは今度の国家公務員のあれと比べますと、非常におかしな格好になって、だんだん悪くなる情勢が見られます。従いまして私どもは、今度もし医療費の値上げというものを国の方でやっていただくということになりますれば、その機会にそういう不合理をベース・アップと一緒になんとか是正をしたい、こういうふうに今考えております。賃金は今申した通り、昇給等についてはお述べのように非常に悪い部分があることは事実であります。今度の昇給というものを、今すぐ変えたらいいじゃないかといっても、今かすかすに経営している病院にそういうものだけ上げてしまいますと、なかなか急に金とのバランスが合わぬようになります。従って医療費の根っこの上がったときにそういうものをやりたいというわけで、医療費の値上げの機会にそういいうふうなものを改正したい、言葉をかえて申しますれば、古い給与体系を改正したい、こういうふうに考えております。
○大原委員 ずっと聞きましてもそうですが、ずいぶん職場や病院によってアンバランスがある。それは労務管理がなってない証拠ですよ。そういうことであったら公共性は貫けませんよ。経営上からいってもそうです。労務管理からいってもそうです。そこに基本的な問題がある。経営者が責任を持っていないということになる。私は参考人に対してこういう失礼なことは言いたくないけれども、結論は経営者が責任を持っていないということになる。経営者は資格がないということになる。たとえば、私は日赤の社員です。昭和二十何年かの日赤法通過の際の附帯決議があるけれども、いわゆる公共性なり、私の社員としての意見が通るような日赤全体の運営の仕組みになっておりますか、どうなっておりますか、私はそれを聞きたいのです。私は非常に官僚的なシステムであって、労働問題、労務管理の問題も非常に封建的でなっちゃおらぬと思うのです。これでは日赤は日赤本来の使命を果たすことができませんよ。私は日赤の社員ですけれども、私が具体的にそういう経営その他について発言等をしていくにはどういうふうにやればいいか、お聞きしたい。
○葛西参考人 赤十字社法並びに赤十字の定款によりまして、各地方々々の市町村が一番の単位になる、これを地区、分区と申しておりますが、そこで一番先に選ぶのを評議員と申しております。これが府県の支部の議決機関になります。その支部の評議員が今度代表を選んで、代議員ということになって全国から東京へ参ります。その評議員を選びます方法は、選挙とかなんとかいっても大へんですから、一応その分区の長が社員の中から推薦委員候補者をだれということを指定をいたしまして、それを公告いたします。そして一週間ですか、その間に社員の方で異議があれば市町村長に申し出る、そういう異議がなければ、評議員の候補者を推薦する母体ができるわけであります。それによってその地区の評議員ができる。その評議員が支部の議決機関となって、支部長とともに仕事をしていく、今度はその評議員が代議員を選んで、代議員が本社の意思決定機関になっているわけでございます。これは各支部からそういうふうに選ばれた者が東京に参ります。これが二百数十人になっておりまして、そこで社長及び副社長を選任するということになっております。
○大原委員 日赤の寄付であるとか、社員であるとかいうことで、われわれは名誉に思って百円出し、千円出しているのですよ。ところが実際に見てみましたらこういう経営じゃないですか。そんなことでは納得がいきませんよ。 もう一回、これは大切な、話し合いをされる基本的な問題ですから問題として出しておきますけれども、経営とか労務管理の問題について今まで議論があった。これは集中的な議論になっておる。労務管理の中では、労働条件、特に賃金の問題について非常にひどいアンバランスがある。間々いいのがあるかもしれぬけれども、非常にひどいのがあることは間違いない。そういうことがずっとうっせきしまして、経営者が責任を持っておらぬものだから、そのしわ寄せを末端が受けて、これが爆発している。この爆発を解消するためには、どの職場にもしっかりした組合があって日常の不満を消化する、経営者側の方におきましてもそういう態度をとっていく、こういうことが連なっていないものだからここで爆発しちゃった。だから、それは本社がもう少し経営上の責任をとるような、そういう仕組みを作るべきじゃないか、そういう方針をもって労働者側と話し合いすべきじゃないか、私はこう思いますけれども、いかがですか。
○葛西参考人 今の赤十字の組織、全国で中央集権的にいろいろなことをやるというようなことは、実際先ほど来申し上げましたように、大体各地方の、府県を単位に作っておりまする支部というもので、いろいろその事情に応じて、そしてまたその支部の援助によって社員になっていただいたり、あるいはお金をいただいたりしてやっておるわけであります。そういうふうなことにして各支部々々々でやっておるのが実態でございます。これを東京に全部集めてやるというようなことは、これは今の一般の寄付をいただいていくというようなことになりますると、なかなかむずかしいのじゃないか、こういうふうに思っております。
○大原委員 葛西さんにお尋ねしますが、社会局長や政府の方はこういう答弁をしておるのです。島津社長が責任を持っているのです。経営上の責任があるのです。だからその責任を果たしていないことがこういう問題を起こしているのですよ。これは間違いないのですよ。私は官僚的な中央集権でなしに、やはり民主的に近代的にやるためには、そういう労働条件等については、近代的な考え方で最低の条件は統一すべきだ、そういう当然のことを言っているのです。日赤をつぶすつもりはないのだ。日赤がほんとうによくなって、国際的にも国内的にも十分役割を果たしてもらいたい、そういうことを念願して言っているのです。りっぱな日赤にするために、この点はほんとうに党派を越えて言っている。社長に責任があるという、これは何回も繰り返している政府の答弁です。滝井質問に対する政府の答弁です。きょうはなぜ社長は出席なされないのですか。こういう重大な問題について社長はなぜ責任をとらないのですか。重大な責任のある人がとらないということはいけないじゃないですか。そういうところがいけないんじゃないですか。
○葛西参考人 一番最初申し上げましたように、一国一社の原則で日本赤十字社というものがあって、それの代表が日本赤十字社社長であります。そして社長が一切の赤十字業務を総理しておる。最終の責任が社長にあるということは、これはもうその通りでございます。しかしながら実際の運用としまして、全国都道府県一々目が届きませんので、そういうふうな点、あるいはニュアンスの違いというようなものをやるために、それぞれの仕事をそういうふうにしていくために、また寄付を仰ぐために、全国を分けて、支部でやっておる、こういうことを申し上げておる。最終の責任が社長にあるという点を私は否定しているわけではございません。しかしそういうふうな格好である、第一次、第二次というふうになっておる、こういうふうに申し上げたのであります。 それから、島津社長はきょうなぜ出ないかというお話でありますが、これは、きのうお話がありましたが、ちょうどよんどころない用事がありまして行けぬので、私が代理で行けということでございました。
○大原委員 僕は漸次最後の質問に入っていきますけれども、いろいろ寄付からできておって、有志の寄付あるいは意見というものに左右されるから、支部がだんだんにウェートが強くなるんだ、こういうことなんですが、それは日赤の事業活動面です。そういう面において筋を立てて調整していけばいいのであって、病院の黒字なんかをずっと中央へ入れているのだから、そういう点から考えてみましても、やはりそれは統一的な方針でやらなければ近代的な経営はできませんよ。この点は強く要望しておきます。 最後に一つ。私は労使双方にお聞きしたい。労働者側の方に対しましては、今までの葛西さんのお答えに対しまして違った意見があればお聞きしたいと思います。問題は、財源の問題です。財源の問題で、大体想定できるのは、黒字の問題が一つある。三億四千万円云々という問題がある。それからもう一つは設備投資に非常に金がかかるという問題がある。これがしわ寄せになったりしている場合もある。それから私が今までお聞きいたしました中では、看護婦の養成を公共的な仕事としてやっておられるけれども、一億五千万円かかっておる。その問題の中からも問題が提起されておるわけです。その他経営についてもう少し筋道を立てていけばあると思うのですが、これは小さい問題、人件費等の問題もあるでしょう。人件費がくずれてしまうと経営全体がくずれてしまうのですけれども、この点は重大な問題ですが、この三つの問題が問題として提起されておる。この問題について私は葛西さんと組合側の方の御意見を聞き、組合側の方には労働基準法その他の問題でつけ足して実態を明らかにしてもらいたいから、つけ加えて御答弁をいただければよろしい。この点について葛西さん。
○葛西参考人 今看護婦の養成についてのお話がございまして、赤十字としましては一年に六百四、五十人の看護婦を養成しておるわけであります。これは各国の赤十字ともそうでございます。これは大体一億五千万円ぐらいかかっておると思いますが、そのうちの三分の一の五千万円ぐらいが大体支部と申しますか、一般の寄付金から出ておる、そっちの会計の方から出ておるものであって、あとの三分の二が病院におんぶしておるという格好だと思います。これはできますればこういうものは医療費ということでなしにやりたいのでございますけれども、何としても病院ではいい看護婦によってやるということが必要だというようなことで、全国で三十七カ所でございますか、看護学院というものをもってやっておるのでございます。そういう点について非常に財政上負担の無理がある経営を正直のところ申しますとしておるわけでございまして、こういうものは何とかしていかなければならぬ問題だというふうに考えております。ただしかし何としても要は財源の問題に帰着いたします。そうすると今の財源というものは昔の、戦前の赤十字のように資金を持っておりますものならば、それを出してやるということもできるのでありますが、現在はそういうものは何もございません。しかしどうしてもやらなければならぬというような必要に迫られ、そして全国で約一億円ばかりのものが病院の収入の中から支出をされておるというのが実情でございます。こういうものはできるだけ避けて、合理化させていく必要があると思いますが、これは財源に関係いたしますので、非常に難渋をいたしておるというのが現状であります。
○宇夫方参考人 財源の問題は先ほど私の方から申し上げましたから、特別に申し上げることはないと思います。本来ならば日赤は公的医療機関として認められております。ですから先ほど来大原代議士の方から質問がされておりますように、ばらばらであっていいとは考えておりません。ばらばらであることが間違いだというふうに考えております。これは公的医療機関の認可の条項の中にも、経済的動揺によって左右されないことという条件が含まれておりますが、現在の状態では左右されております。だから時間外手当なんかについても、金がないから払えない、待ってくれという現状も出ておるのであります。労働条件におきましてもまだいろんな実例はございます。 ただ、今看護学院の学生の問題が出ておりますのでちょっとつけ足しておきますけれども、看護学院の学生はあくまでも学生です。労働者として使うわけにはいかぬはずです。しかしながら現実には労働者として労働力を提供さしております。もう少しはっきり申し上げますと、看護婦が指導しなければ実習させられないはずなのに、現実には看護婦が一人もおらぬところに日勤をさしているという事実さえあります。これが看護学院の実態でございます。こういうめちゃくちゃなことをあえて本社は行なっておると言わざるを得ません。 看護婦さんの業務については、実はあんまりたくさんあってどれから言ったらよいかわからぬくらいあります。たとえば夜勤におきましても一カ月のうち二十日間も夜勤をやった、あるいは二十六日やったという例さえあります。そうしたら日勤はほとんどゼロと言わざるを得ません。看護婦さんの中で、これは変な言葉ですけれども、夜の女といわれるぐらいに夜勤をやっております。その夜勤は、たとえば一週間やったとしても体重が〇・五キロから一キロないしは一・五キロ減るといわれております。そういうことを、あえて二十日またはそれ以上にも及ぶ夜勤をさせられておる、これが現状でございます。ですから、これは組合の内部のことになりますけれども、組合大会を開いても疲労こんぱいして大会にも出られないというぐらいに看護婦さんは現在疲労しておる状態でございます。ですから、極端な例を申し上げますと、ストライキをやらしてくれ、そして休ましてくれということさえ言葉に出てくることがあるということをつけ足しておきたいと思います。
○大原委員 あと同僚の質問がありますから、私は以上で一応終わりますが、どういうお気持か、とにかく団体交渉を再開される、これは理由はともあれ非常にいいことでありますが、やはり問題の中心点に触れて、私は理事者側の方が誠意を持ってこの問題を一日も早く解決されるように、問題を解決するということに中心点を置けばいいのですから、早く解決されるように強く切望いたしまして、質問を終わります。
○山本委員長 次に井堀繁雄君の質疑を許します。 井堀繁雄君。
○井堀委員 日赤の葛西さん並びに労働組合の赤塚さん、宇夫方さん、いずれでもけっこうでございます。一、二お尋ねをいたしたいと思います。与えられた時間が短いのでありますから、一問一答を避けまして、重ねて幾つかのお尋ねをいたしますが、一つお疲れでございましょうが、それぞれ明確なお答えをいただきたいと思うのであります。 私どもは病院のストライキについて心を痛めておる国民の一人であります。病院のストライキがいかに社会に大きな影響を及ぼすかは今さら申すまでもないことであります。きょうはことに日赤の関係者でございますから、特段に重要性を痛感いたしておりますので、二、三重要だと思われる点をお尋ねいたしたいと思うのであります。 私がただいままで両者の報告を伺っておりますと、ストライキの原因はおおむね理解ができるようであります。問題は、日赤のような国際的にもまた国内的にもきわめて重要な地位にあるところにかかるストライキが発生したということについて、私どもは重大な関心を持っておるのであります。私がこれからお尋ねをいたそうと思います点は、ストライキの原因が労働条件にありますことは明らかになりましたが、その労働条件をめぐりまして、労使間が話し合いで解決のできるものではなかろうかという強い疑いを私どもは持っておるのであります。どうやら今までの質疑応答を通じまして、話し合いの間に解決できるものであるという確信がだんだん強くなって参りました。それは、私大あわてに資料をいただいたのでありまして、不十分でありますが、日赤の昭和三十四年度の事業概況に目を通してみたのであります。この概況の中に明らかにされておりまする一、二の問題を取り上げてお尋ねをいたすのでありますが、日赤のお仕事の中で、金額を通じてみますと、医療関係の仕事がいかに大きいかということがよくうかがえるのであります。昭和三十四年度の予算を見ますると、一般会計におきましては十八億二千七百八十二万何がし、特別会計、すなわち医療施設特別会計におきましては百三億五千四百九十七万何がし、さらに追加予算が組まれておりますが、その追加を見ましても、医療関係におきましては六億九千六百一万何がし、このように金額の上から見ますと、日赤のお仕事の最も大きな部分が医療関係にあるということがうかがえると思うのであります。言いかえますと、日赤のお仕事がここに大きなウエートが置かれておるといたしますならば、日赤の定款にも明らかになっておりますように、日赤の目的遂行の上からいっても、かかる事態が発生するということは、日赤としても遺憾でありましょう。私どもとしましては、これは国内的な問題だけではなくて、日赤が国際的にも大きな地位を占めておるという点を重視をしなければならぬと思うのであります。しかも定款の条章を拝見いたしますと、総則の第三条、第四条、第五条は、本問題ときわめて重要な関係があると存じます。第三条におきましては、日赤の理想とするものが明らかにされております。これは国際的なものでありましょうが、人道的任務を強調されておる。第四条には世界の平和と人類の福祉に貢献することを規定しております。第五条には日赤の基本的な原則、従って自主的に運営をするということが明らかになっております。これは国際的なものであろうと思うのであります。こういう三つの重要な、いわば日赤の基本的な方針というものから判断をいたしましても、少なくとも人道的立場を守らなければならぬ、のみならず、世界を通じてこれを人類に普及していかなければならぬ立場の機関におきまして、労使の関係が、先ほど伺っておりますると、わずかな金額の問題を中心にして相争う、慣行になっておりまする年末手当の問題を自主的に解決できない、それ以外に問題はあるかと存じますけれども、そういうようなことでありましては、私はひとり日赤の問題だけでなくて、日本の国民全体が世界に信を失うことになるとすら考えるのであります。でありますから、かかる問題というものは、他の医療機関におきましても同様でありますが、特に日赤のような団体におきましては、第三者の手をわずらわせるというよりは、自主的に話し合いをして解決できるものではないか。それが今日まだ延々として第二次、第三次、さらに第四次が行なわれるかもしれないが、団体交渉の目鼻がつかない。うかがうところによりますと、日赤側は第三者のあっせんを求めておいでになるようであります。こういう点から判断をいたしまして、どうしてもわれわれは理解ができないのであります。これは日赤当事者だけの問題ではなくて、われわれもひとしくこういう問題に対して協力しなければならぬ立場を痛感いたしておりますから、お伺いいたすのであります。 以上、定款や、あるいは事業報告等に現われた一、二の分をとりましても、日赤のストライキというものは平和的に処理をさるべきものではないか。労使関係が利害を通じまして相争うということは、今日の社会においては当然なことであるかもしれませんが、それは直接行動に訴える前に、なぜ平和的な処置ができないか。またどんなに困難があっても、自主的に平和的に解決をなすべきものであるとわれわれは信じていたのであります。それがここにこういう形で暴露されてきたということは、いかんせん残念しごくであります。この点について、私は日赤の責任の地位にありまする葛西さんも、こういう問題に対して御苦労はなさったと思うのであります。決して成り行きにまかせるというようなことではもちろんなかったと思うのでありますが、こういう重い地位にある日赤としまして、かかる事態になりましたのについては、もう今から言いましてもやむを得ぬことであります。ここでこの問題をすみやかに解決するということは、以上の事情からいきまして決して異論のないところでありますことは申すまでもないのであります。そこでなるべくすみやかに、そして合理的な解決をいたさなければならぬと思うのでありますが、まず当面の今起きております労使関係の中心課題であります問題を、最も早くといえばどのくらいの期間に、どの方法で解決をなされようとしておるかということをまず伺いたいのであります。 また労働組合側に対しましても、今伺っておりますと、第三者のあっせんによらなくても、自主的に話し合いでまとまるという見込みを強く持っておいでになるような発言でありましたが、その点は具体的にこういうところに問題があるのであるから、自主的に話し合いをすればすみやかに解決するといったような御意図があるのではないかと私は思われるのであります。いい機会でありますから、こういう機会に、そういう主張を率直になさいまして、きょうは国会の中でありまして、国民の周知の中で行なわれる討議でありますから、率直に述べていただけば、問題解決のためにいい結果をもたらすのではないかと思いますので、歯に衣を着せないで率直に述べていただきたい、こう思っております。
○葛西参考人 今、井堀さんからお話のございました点は、その通りだと思います。金額的に今お述べになりましたように、予算といたしましても百十億ばかりございます。あとの方は一割にも足りない、予算的にいえばその通りでございます。非常に大事な、ことに赤十字が赤十字社法によって、あるいは災害救助法によって与えられている災害救助というような点については、今のところは赤十字が力としてなし得る点は、災害地における医療に関する救護というようなことでございます。それが重要な部分を占めているのは御指摘の通りでございます。国際的にもというお話がございましたが、これもその通りでございます。実は先般、今国際委員会の代表が北鮮の問題で来ておりますが、新聞を見てびっくりしまして、私のところへ参りまして、どういうわけだということで、ずいぶん長い間聞いて、そうかと言って感にたえないような顔をしておりました。そうしていろいろな資料を出してくれというので、英文に直して出したこともございます。そんな意味からいいましても、今仰せられたようにきわめて遺憾なことであり、また患者その他関係の方々に対して申しわけなく思っていることは、最初に申し上げた通りでございます。できるだけ早く、自主的にわれわれのうちで、内輪に解決すべきだという点についても御同感でございます。できるだけ早くやりたい。明日団交があるわけであります。どういう方法でやるかというような点、いろいろお話がございましたが、これは今労使間でやる問題でございまして、われわれも中労委に出たということもございますので、この機会にこういうところで申し上げるのはどうかと思って、その点発言は差し控えさせていただきたいと思います。私どもは、ただいま仰せのように非常に遺憾であり、すみやかにやらなければならぬというふうに考えておりますので、その線に沿って努力いたしたいと考えております。
○井堀委員 今何かこういうところで発言するのをはばかるような御意見でございましたが、ちょっと了解に苦しむのは、あなたが今までここで発言なさったのを伺いますと、私の聞き間違いかもしれませんが、第三者のあっせんを求められたとおっしゃったが、第三者のあっせんを求める前に、私は労使間で話し合いができないということにも問題が一つあると思う。ここで言うことをはばかるということですが、私のお尋ねしているのは、具体的な問題ではなしに、基本的な態度を伺いたい。すなわち労使間のあり方について、こういう事業場というか場所における労使関係というものは、国民環視の中で、しかも模範的なものを求めておると思うのであります。これは先ほど私は定款や赤十字社法を拝見いたしまして、私どもに多く教えるものがある。言うまでもなく、さっき私が例をとりましたいずれの事業場を見ましても、やはりまず範をたれてもらわなければならぬところでありますから、そこで、何か第三者の力にたよらなければならぬという事情はあるかもしれませんが、その事情はおっしゃらないと言われれば伺わなくてもいいと思いますが、それでは、これはここで解決がつきましても、次にまた起こるだろうと思う。ですからこの機会にといってはなんですが、労使関係のあり方についてわれわれはいろいろ心配が起こる。今度は解決ついたけれども、またこういうことが再び起こるということになりましたのでは、せっかく国会までおいでいただいていろいろお尋ねしたのに……、そういう気がいたしますので聞いておるのでございますから、どうぞそういうおつもりで。無理に言っていただかなくてもいいのでありますけれども、言えることではないかというふうに私が理解したものですから伺っておるのです。 それでは伺いますけれども、大体事業報告書を引き合いに出しますが、これによりますと、財源の中に医療関係だけではないかもしれませんけれども、お年玉はがきの収益が大きな役割をしておる、あるいは義援金が集まっている。それは国内的なものもあれば海外から集まっておるものもあるようでありますが、この報告の中で伊勢湾台風のときの義援金を見ましても、海外からもかなり集まっております。国内からも相当の金額のものが集まっておる。その大部分がやはり医療関係に一番大きな費用が出ておるように伺います。これはいろいろなものがありましょうけれども、いずれにいたしましても、こういう関係からいたしまして、できるだけ公開できるような形で、どこの人の前でも話のできるような関係にしておくべきではないかというふうに私は信じておる。だから、こういうところで問われたら、いい機会だから、日赤の内部関係をこういう機会に堂々と国民に知らせる、そういうチャンスをむしろ与えるという意味で僕はお尋ねしておる。もし従業員の言っている賃金や給料が不当に高いものであったり、あるいは今までの慣行にないとっぴな要求をしているということでありますならば、これはもちろん世論の力をかりて、あなた方の立場からいうならば有利に問題を処理することもできる立場にあるのに、なぜ進んでそういう立場をおとりにならぬのであろうかというふうにすら思っておるわけです。あまり言いにくいことは言わぬでもいいのですけれども、進んで言うべき事柄ではないかと思ったからお尋ねをした。誤解のないように……
○葛西参考人 今大へん御好意のあるお言葉でございまして感謝にたえませんが、私実は少し勘違いをしたのかもしれませんのであれですが、今の基本的な態度というような点につきまして、これは先ほど申し上げましたように、私どもの給与体系が古過ぎて困る、従って給与体系を改める、これはまだ実は大体の骨子みたいなものがきまっておるだけで、ここで申し上げるわけにはいきませんが、できるだけ国家公務員に近づいて、赤十字の色彩を入れたものにしてやる、そういう給与体系をまず作る。 それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、今全員に対して一律ということは、医療費でも上がらぬことにはどうにもならぬ。しかし今の財源のある病院については、アンバランスの是正ということで特別昇給ということはいい、年末賞与でやるのはいい。こういう財源のあるものはやる。これは今まで説明したことでございますけれども、具体的にいえば、私どもはそういう態度でございます。 それから今のお年玉のことや義援金の問題が出まして、非常にいい機会でございますので申し上げさしていただきたいと思いますが、お年玉の寄付金は毎年いただいておりますが、これは郵政審議会の方の御意向で、臨時費にしか使ってならぬ。従いまして私どもはここ数年来、みんな原爆の病院でございますとか、あるいは病院におけるガンの治療センターでありますとか、あるいは非常に不足な肢体不自由児の施設というような施設費にいただいておるだけでございます。従いまして、今度の問題の財源にはならないわけです。 それから、義援金を伊勢湾台風その他のときに集めておるのは、これも御承知の通りであります。この義援金は、今のお言葉では医療の関係の方に若干入るのじゃないかというお話ですが、これはほとんど入っておりません。きました物はもちろん向こうへ参りますし、お金の方もこれは全部罹災地に、政府と相談をいたしまして按分率をきめてやりまして、罹災地で緊急な、たとえば食料品でありますとかあるいは衣料品でありますとかいうような方面に使っておりまして、これはもう利子ほか一切別に経理しております。全部罹災地にやる、従いまして、病院等にいく金ではございません。こういうことになっております。 それから、お話のように大へんいい機会でございますが、どうも無理じゃないかというのは、私どもとして財政上どうもできぬので、やはり医療費値上げとかなんとかいうことができたときにやっていただくより仕方がないというような点を御理解いただきたいと思っておるわけでございます。
○井堀委員 言いにくいことを無理に言わせるのもどうかと思いますが、ただ私は、さっきから言っておりますように、こういう公共的な性格、しかも国際的な性格を持っている団体ですから、職員のために支出する金は、国民全体が許される基準のものであれば、さっさと主張したらいいじゃないか。特に日赤は、私は一般の病院にもそういうことが言えると思うのでありますが、他の生産事業場や営利会社に雇用されております職員や従業員と異なりまして、公共的性格をいろいろな法規や規定に基づいて要請を受けるわけです。特に日赤の場合に見ますと、災害の場合に、医療関係の動員というものは、不時の態勢に備えて不時の動きをしなければならぬのでありますから、一般の病院、医療よりは、そういう公共性もあることでありますから、そういう特徴を組み入れた給与であるとか待遇であるとかいうものがあっても世間は納得されると思うのであります。先ほど伺っておりますと、どうも労働組合側の主張も公務員の給与に均衡させるような、何か消極的な主張のように伺ったのです。もっと大胆に、そういう公共的性格、国際的な性格を持つのでありますから、給与、待遇についてももっと国際的な規模に立って要求してもいいのじゃないか。また、そういう不時に備えて特別の支出をすることは、国民も許されると私は思う。でありますから、そういう点では、問題の解決は、支払い能力を中心にして民間企業で相争うようなものと違って、筋さえ通れば、大義名分さえ立てば話し合いがすぱっとできるのじゃないかという感じが私いたしておるものですから、それで、そういうことについてさっと言った方がいいのじゃないかと思ってお尋ねしたわけですが、お答えいただけなければやむを得ません。そういうことをこういうところで言ってもらわなければ、労使の今後のいい慣行を作ってみても、実際の運営がうまくいかぬのじゃないか、こう私は考えておりますものですから、伺ったわけです。時間がありますと具体的な例をあげてお伺いするといいのでありますが、与えられた時間がきわめて短いものでありますから、私どもの方で多く申し上げることができませんで質問が抽象的になりましたが、そういう意味でもう一度お答えができればしていただきたい。できなければやむを得ません。
○葛西参考人 今のお話、大へん御理解のあるお話をいただいたので、ありがたいと思います。実は給与、待遇をしたいと申しましても、病院はやはり経済的に運営をしていかなければならぬのであります。そうしますと、今のように一定の収入があるわけで、これは国民皆保険でありますと、ほとんど健康保険の金というようなことで出て参ります。そうしてきまっております。そうすると、そのほかにいろいろな必要な支出、材料費でありますとか、わずかでありますが、今の看護婦の養成に一億円、それから建設費とかいうものが出てくる。そうすると、人件費に回せる部分というものが実はどうしても限られて参ります。それを今やっておりますものですから、ぎりぎりのところへいっておってこれ以上は出せぬ、こういう格好になっておるわけであります。医療費が上がるというようなことにならなければできないということでございます。
○井堀委員 私まだ日赤の内容を詳しく承知していないので、的はずれのお尋ねをすることになるかもしれませんが、どうも私どもが今客観的に判断をいたしまして、こういう事業場、職場にこそやや理想に近い合理的な労使関係あるいは労働条件の規定を作っていただく格好な場所ではないか。そしてその要求は必ず社会的には満たされるというふうに実は理解をしておったのですが、私の理解が誤っておりますなむば、この機会に……。さっき申し上げましたように、あまりにひどい労働条件で、それからあまり人件費をつめますと、私は、平時であっても困難を生ずるのに、有時の際に役に立たぬのじゃないかという不安の方が大きいと思います。ただ営利事業でありますと、採算をとらなければなりませんけれども、こういう公的な性格を持っておるのでありますから、政府だって大臣には大へん大きな給料の値上げをいたします、国会議員も今度は上げてもらうことになりましたけれども、遠慮なさらずに、やはり堂々と主張なされることが望ましい。そういういい機会がここに与えられたのですから、こういう機会に用意をされて、こういう医療技術者に対しては、国際的水準はこのくらいある——あなたのところは国際的資料を得るには事欠かないと思う。やはりどこに連れていっても、りっぱな医療技術者あるいはそれぞれのあれがありましょうから、基準が国際的にあるはずです。そういうものに対して、あまり低いからこれを今度上げる。それを上げるために財源が欠除しているなら、こういうところで主張されて、むしろそういう問題の解決をあなた方の立場からきょう主張されるだろうと思って楽しみにいたしておりましたところが、一向にその点にお触れにならない。それで私はお尋ねしたのです。だからあなたの方には、やや理想的といったら言い過ぎかもしれませんが、そういう世間並みにとやかく言われぬような労働条件というものを作れる立場にある。そういうものをぽんと出せるくらいの用意があるんじゃないかと実はきょう思っておったわけでありますが、そういう御用意はございませんか。
○葛西参考人 たいへんありがたいお話しですが、問題はやはり財源の問題にかかって参ります。財源さえありますれば、今のようにああもしたい、こうもしたいというものはたくさんあるわけでございますが、やはり国民の方からいろいろ御援助を仰ぐというよりほかないわけでございます。そういうふうな財源とにらみ合わせてこれをやりませんことには、要は一に財源の問題でございます。そういうことになりますると、どうしても手がございません。私どもとしましては、今の経営を合理化して、財源を生んで、そしてやっていくというより手がない、こういうふうにしかできぬわけであります。やりたいというのは、今お話しのように、公務員と大体似せるようにしていきたいというのが、当面の目標でありますけれども、これは理想から言いますれば、ほんとに今仰せのように、何も公務員でなくても、別の仕事が付加されればそれに対応する給与の改善があっていいというお話だと思うのであります。そういうことで、私どももそうしたいと思うのですが、要は、どうも財源の問題だということになってしまうのであります。
○山本委員長 井堀君に申し上げます。質疑の通告者が多数ございますので、その点をお含みおき願いたいと思います。
○井堀委員 それで今、大事な点は財源とおっしゃいますけれども、さっき申し上げたように、営利事業でありますと採算を考えなければならぬ、あるいは家庭でありますなら、収入に見合うような支出をするということでありますけれども、日赤のような事業は、これこれの仕事はやらなければならぬということを国際的にも規定されているし、あるいは赤十字社法を見ましても、あるいはあなたの方の定款を拝見しましても、むしろこれこれの仕事をやるんだから金が必要なんだという建前のように、私は承知いたしております。でありますから、あなた方のような立場、執行者の立場になりますと、むしろこれだけの仕事をこういう方法で、こういう程度でやっていきたいということになれば、資金が集まらなければ、それは国民全体が赤十字の事業に対して理解が足りないとかあるいは熱情が不足しているとか、問題はそこへくると思うのでありますが、私は、日本の赤十字事業に対する国民の関心というものはかなり高い、歴史的に見ても情熱を傾けて援助しておるものと、いろいろな客観的な事実の上から判断をしておる。そういうものに対して甘えてはいけませんけれども、必要で欠くことのできないものは率直に出していく。私は日赤の問題は今度初めてでありませんで、前回もこの委員会で四、五年前扱ったことがありますが、そのときも、どうも何かくさいものにふたをするいう感じを受けて、不愉快なまま実は終ってしまったのであります。今度はそういうことはせぬでありますから、国民の前にさらけ出して、そしてこういう問題の解決は、私はそういう態度でなければよい結論に達することができないと思いますから申し上げたのでありますが、委員長から再三注意を受けているので、これから本論に入ろうと思ったときに残念でありますが、私の意図するところはおわかりいただいたと思うので、ぜひ一つそういう態度であってほしいという考え方も前提になりますので、この問題の解決ができないようでは、私は日赤の運動全体に大きな障害が今後たび重なってくるのではないかという不安すら感ずるものですから、またこれを災いを転じて日赤の前進の体制に置きかえることもできると思うものでありますから、過ぎたことにくよくよしないで、抜本的に解決をして、医療関係の職員の労働条件や労使関係はおれのところに来て見ればいいのだといったようなものを、実は国民も期待していると思うものですから、そういうものを作り上げるために実は質問をいたしたのであります。お答えができなければ後でもけっこうであります。また機会も作りたいと思いまするが、文書でもいいのでありますから、できるだけそういうものをわれわれの参考のために出していただきたいと思っております。 労働組合の方にお尋ねする時間が非常に少なくなって恐縮でありますが、今葛西さんの方に伺ったことについて、組合の方もお考えになることがあるだろうと思いますので、この機会に組合の方のお考えを総合的に聞かしていただきたいと思います。
○宇夫方参考人 質問の要点は三点にしぼられておるように判断いたしますので、その点についてお答えいたします。 最初の、話し合いで解決ができるのじゃないか、ストライキをやらないでもできるのじゃないかという御質問でありますが、私たちもその通り考えて今日までやって参りました。しかし今井堀代議士さんの方がら御質問にも葛西さんがお答えになっておりますが、あっちへいったり、こっちへいったり、ポイントがずれておる。どうしても話し合いがつかない。そこでこういう状態になってしまった。私たちとしても、先ほど申し上げましたように、話し合いで解決するために全力を出しましたけれども、こういうような状態では話し合いがつきませんので、現在のよう状態になってしまった、こういうことであります。 それから第三者のあっせんにつきましても、まだ私たちが話し合いができていない。四回団体交渉をやっても、現実に資料その他でやった時間はたった四十分であります。それもたった二枚の資料に基づいて、これだからないのだ、こういう資料だけであります。こういう状態の中で第三者が入るのは、まだ早過ぎるというふうに判断いたしました。もっともっと本来ならば誠意を持って話し合えばできるものと信じております。そういうふうに考えております。 それから解決の具体化につきましても、私たちは先ほど私が申し上げましたように、現在の中でも五千円は出せるというふうに判断をしております。 そのほかに要求をしております人員の増加や、いろいろな、たとえば制限診療の撤廃とかそういうところまで含めますと、現在の医療費その他ではできないかもしれません。この点については、今のところ全然別個に、賃金の要求とは切り離して問題を進めている、こういう現状でございます。 それから非常に消極的で、五千円というのは少な過ぎるというお話しでございますけれども、私たちとしては、ごもっともなんですが、とりあえずとにかく食える賃金を最初にほしいということから五千円を要求しました。 それから、今ここでも副社長がなかなか公表なさらなかったのですが、たとえば支部の財政その他の公表についても再三私たち迫るのですけれども、いまだかつて見せてもらったことは一ぺんもありません。たった一回資料について支部で見せていただきました。これも徹夜の団体交渉でやっと出していただいた、こういう現状でございます。
○井堀委員 与えられておる時間がありませんし、またあと関連質問いたしたいと思いますので、私の質問は終わりたいと思いますが、この機会に私は委員長を通じてお願いしておきたいと思います。 ただいまお尋ねしますと、問題はまだたくさんあるようであります。しかもわれわれの立場からいたしましても、病院関係のストライキは一般善良な市民に及ぼす影響、ことに患者に対する影響は物理的な問題だけではなくて、精神的に非常に大切にしなければならぬ対象だと思うのであります。でありますから、あまり手荒な労使関係の争いが善良な第三者である国民、患者に与える影響をおもんばかりまして、できた問題はやむを得ぬのでありますけれども、早く解決するようにいたさなければならぬ。そのためには当事者の御努力を希望することはもちろんであります。伺ってみますと、問題は当事者だけではなかなか解決困難な条件もあるかに伺えるのでありますが、ことに日赤法でありますとか、あるいは医師法あるいは医療法あるいは伝染病予防法、結核予防法等々、公衆衛生その他の関係で、医療機関には対社会的にまた政治的にもいろいろな要請が重なっておるようであります。従いまして当事者だけの問題にまかせるということ自体にも困難があるかに思われますので、政府の機関はもちろん、一般社会の好意的な協力援助を求めて、かかる問題を円満に合理的に早く解決して、そして今後こういう事態を繰り返さないで、平和的な方法で合理的な労使関係、そして労働条件の改善がすみやかに行なわれるような措置をとるべきではないか。このためには政府にも多く要望することがございます。それから当事者にもまだお尋ねいたしたいことがたくさんあるのでありますが、時間の制約がありますので、後日文書などによりまして資料の提出方をお願いするようにいたしたいと思いますので、その節、経営者側の方もあるいは労働組合の側も、資料の提出に御協力いただきたいことを希望して私の質問を終わりたいと思います。
○山本委員長 ただいまの井堀繁雄君の御発言は承りおくことにいたします。 次に滝井義高君の質疑の通告を許します。滝井義高君。
○滝井委員 今年に入りましてからいろいろと病院のストがございましたが、この年末を控えて全国的に広がろうとしておるストというものは、日本の医療史が初めて経験をする大きなストライキでございます。このストライキの発展のしようによっては池田内閣の命取りになる可能性もあるほどの重大な要素をこの争議は内包しておると私は思います。それだけにこの争議の根は深い。この病院の争議の中において典型的な姿を現わしておるのが、私は日赤のストによって代表せられておると思うのです。従ってきょうは御多忙なところでございましたけれども、労使双方のおいでを願って率直な御意見の開陳を願うことになったわけです。従って当然問題は日赤の機構なり、その内部的ないろいろな問題に触れると思いますが、時間がございませんから重複をしないように御質問を申し上げます。従って簡明、率直にお答え願いたいと思います。 まず日赤は、私は三つの大きな柱というものがその支えになっておると思うのです。その一つは、そのおやりになる仕事を貫く精神というものが、いわば人道と博愛によって貫かれておるということでございます。それは赤十字指導原理十三カ条の第四の中に、「各国赤十字社事業の根底は、国民に対する人道的理想の伝播と人類の苦悩を予防軽減する実際的事業とにある。」こういうことが指導原理の十三カ条の一つに出ておるということから見ても明白でございます。ところが現在その人類の苦悩を予防軽減をする、その事業を行なう日赤自体の中に苦悩が満ち満ちておるということです。たとえば超過勤務その他の点において多くの労働基準法の違反があるということは、日赤自体の中に、苦悩を除かなければならないその事業体の中にこの苦悩がある。こういう一つの矛盾点が出てきておる。 第二番目には、日赤の大きな仕事というものは医療の事業であるということは、今予算の面から井堀議員が指摘をいたしましたが、医療事業というものは非常に大きな比重を占めておる。従ってその医療事業をやる場合の形態というものは公的医療機関というものでやられておるということです。公的医療機関というものは営利を目的とするものではないし、特に医療というものは営利を目的とすることをかたく医療法では禁じられておる。ところが現在の日赤の姿を見ると営利が満ち満ちておるということです。これが第二点です。 第三番目は、当然日赤の精神から考えて、多くの国の助成が行なわれなければならないにもかかわらず、国の助成が積極的に行なわれていないということです。 こういう三つの精神と、何と申しますか、柱があるにもかかわらず、それらの三つのものが十分に行なわれていないところにこういう状態が私は出てきたと思うのです。これはひいては監督行政の立場にある厚生大臣の責任であり、日本の戦後における社会保障行政、医療行政の大きな失態であると思います。こういう点について葛西さん率直に一つどうお考えになるかということです。今の三つの点については私の言ったことが間違っておるかどうか、これをまずあなたの御見解をお聞きしたい。
○葛西参考人 今の三つの点、指導原理をお引きになっての通りで、その通りだと思います。 ただ一、二点ちょっと申し上げたいと思いますことは、この公的医療機関である赤十字の病院の中に営利が満ち満ちておるというようなお話でございましたが、営利というとどうお考えでおっしゃるのか私はわかりませんですけれども、赤十字は一朝災害等の際には法律の命ずるところに従って奉仕をせにやならぬという使命を持っておることは、これは申すまでもございません。ただ平素の場合におきまして、今の一般の医療もここでやるということになっております。一朝の災害とか、あるいは非常有事の際というような以外の場合においては一般医療もやる、こういう建前になっておるのでございます。そうしますと、その地方なり、地元なりのところで公的医療機関と申しますか、そういう機能で働いていかなければならぬということでございます。ただしかしこの上がりました金は営利という意味、どういうことでお使いになったかと思うのでございますが、それは本社や支部へとってくるというふうなことはいたしておりません。先ほど来申し上げました通り、その上がりました金は、これは患者に還元すると申しますか、患者のサービスに向けると申しますか、あるいはまた給与に向けるというか、そういうふうにして、最近だいぶ給与の問題が御承知のように急激なものですから、そっちの方に向けておるというふうなことでございまして、それを種にしてどうこうしようというようなことはいたしておらぬつもりでございます。 それから国の援助という点は、滝井さん日本赤十字社法などの点をもって御指摘のことだと思うのでございますが、これは実は非常に弱い者がなまいきなことを申すようでございますが、国際赤十字の大体の考え方として、この一般的な経費などについて国の援助を設けないで、財政独立でやれ、国民から援助を仰いでやれ、そうしないと、これはよその赤十字の例で、日本は戦争ということを予想しておりませんが、戦争になったような場合には時の内閣から財政援助を受けておりますと、その内閣の息がかかるというふうなことになって、敵国との間に平和に中立的な交渉ができなくなるというようなことで、財政独立の原則と申しますか、そんなようなばくとしたものがあるわけでございます。しかしながら、そうは申しましても、特にこの赤十字の目的のために臨時の事業には援助を受けてもいいという例外はもちろんあるわけでございます。そういうふうな点から現在わずか——いただいておってわずかと申しては失礼でございますが、災害等の準備のために国からも若干のものをいただいておるものもございます。これは仰せになったお言葉にちょっと乗っかったような格好で失礼ですけれども、あまり多くないちょっとしたものでございますが、そういう援助がこの中にはあるわけです。それから今度北鮮の帰還でありますとか、あるいは中共引き揚げというような特定の仕事になって参りますと、政府の委託事業といたしまして、現に本年も北鮮委託事業としては一億に近い予算をいただいて、これは北鮮だけの仕事に使う、ただ一般の運営につきましては、今の国の助成ということは財政独立の原則によってやる、こういうことでありますが、私ども今最も熱望しております問題は、今の病院なんかで、たとえば看護婦の養成の費用が一億円くらい、こういうものでありますとか、あるいは特に設備の改善等に要する、病院が古くなって建てかえなければならぬ、あるいは医療施設を新らしい医学に応じてやらなければならぬ、こういうものについては禁止せられてもおりませんし、法律でもやっていいということになっておりますので、こういう点ではうんといただきたいと思う。そうすれば、そっちの方のしわ寄せが減って参りまして、だんだん正しい姿になっていく、先ほど井堀先生のお話もその点があったのじゃないかと思いますが、そういうふうな点はいただきまして、ほんとうの姿における公的医療機関としての援助はお願いしたいと思うのでございますが、残念ながらそういうふうな三つの点について、ちょっと違いますけれども、根本は仰せられた通りだと思います。
○滝井委員 私はむちゃくちゃに一般の国民の税金を日赤にやれということでなくて、建前としては赤十字事業の趣旨にかんがみて、当然国が、たとえば新しい病院を建設するというような場合においては、長期低利の資金のあっせんをするというのも一つの助成なんです。いわゆる広義の助成を国が積極的にこういうものにやらなければならないにもかかわらず、やっていないというところにこういう問題が出てきておるわけです。 この問題はあとで触れるとして、いわゆる営利に満ち満ちているという言葉が悪ければ、相当の営利性が露骨に現われておるという点であります。私はこれをあとで指摘しますが、その前に、昭和二十七年に日本赤十字社法が両院を通過するときに、特に参議院で附帯決議をつけているわけであります。この問題は財政にも関連して参りますが、社員制度というものを確立することになっている。一体今社員制度というものは確立されておりますか。葛西さんは当時次官であったか、あるいは次官をおやめになった直後だと思うのです。その後輿望をになって、社長代行として日赤の意向を代表する副社長におなりになった。私は、代表するのは社長だけかと思ったら、定款等を見ると、副社長も代表することになっている。従って私は、きょうは全く社長と同じだという考えで御質問しているわけですが、社員制度を確立することが附帯条件の第一についておるわけです。これを確立されておるかどうかということです。この問題が日赤の財政問題に重要な影響を及ぼしてくる。
○葛西参考人 参議院における附帯決議の社員制度の確立という点につきましては、これは御存じのように共同募金その他との関係がございまして、終戦直後に募金をやっておりましたのを社員制度に変えるということでございまして、これは相当の準備を要しましたので、三年ぐらい前だと思いますが、募金という形態をやめまして、本社の財源を全部社員にする。それから、社員というのは一定の金額がございますから、なるべくたくさんの国民から御援助をいただくという意味で、社員の金額で足りないのは賛助員という新しい制度、これは準社員みたいな格好でございますが、そういうものにいたしましてやっております。それから法人の社員というような新しい——たくさんいただきたいということから、自然人だけでございませんで、法人の社員ということにいたしました。そして数年前から、あのときに問題になりました募金というものはやめまして、社員制度一本にやるということに踏み切っておるわけでございます。ただ、戦前と違いまして、ちょっとブランクがあったものでございますから、この社員を普及してたくさんの方から御援助をいただくという金額の点につきましては、非常に残念ながら思うようにいっていないというような現状でございます。そういう点で一年に集まります金が大体九億弱ということでございまして、これは毎年少しずつ増してきております。法人の社員につきましても、本年初めて組織的にやりまして、これが約一億ちょっとじゃないかと思います。それぐらいの法人から御援助をいただいたことになっております。これはやはり特定の使途をきめまして、何でも使えるということでありませんで、たとえば東南アジアの方面に医療班を出してやりますとか、あるいは北鮮帰還の経費をまかないますとか、あるいは災害救助のための物資並びに設備の備蓄をするというような、そういう特定の使途を限りまして、法人にお願いしました金が一億ぐらいでございます。ですから、大へん口幅ったいあれでございますけれども、数年前から募金というものをやめまして社員という制度に切りかえた、これはこれからも開拓していかなければならぬので、非常に困難と思うのでございますが、一応切りかえは終わったと申し上げてもいいのではないかと思います。
○滝井委員 そうしますと、歳入に当たる面は、社員費それから賛助員の出す寄付、それから法人その他が特別の事業をやる場合に出す歳入、大まかに言ってこの三つ、それから特別会計から入ってくる病院の収入、こうなるわけですね。そうすると、本社に入ってくる金は、社員の九億と、そのほかにさいぜん十八億とか二十億とかいう本社の経理が出ておりましたが、その内訳を簡単に葛西さんから言って下さい。葛西さんは答弁が長過ぎるから……。
○服部参考人 大体本社に入ってくる金の合計は十三億九千九百万というような金が入って参ります。そのうち事業費として四億三千百八十五万というような金が事業収入でございます。そこで、自余の問題につきましては、もちろん今お話し申し上げました賛助費あるいは寄付金、こういうようなものが入ってきておるわけであります。これはこまかい問題になりますので、後刻書類で御報告申し上げるというようなことでお願いしたいのであります。
○滝井委員 今社員を確立された、そうすると社員は社費を払わなければならない。社費を払わないときには日赤法では社員から消すことになっておるんですね。従って社員が確立をされたという御答弁があったのですから、当然社員費で幾らの財源が中央に入ってくるのか、そのほか事業収入で、今十四億とおっしゃったが、それでもいいと思う。事業収入が十四億というのは、どういう事業とどういう事業をおやりになって十四億か。それから社員の特別会計で入ってくるのが幾ら、これが出てくればわかるんです。あとは歳出をお聞かせいただけばそれでわかるのですから、一番簡単な経理でしょう。——時間がありませんから、それがおわかりにならなければ、では歳入歳出のバランスはどうなっておりますか。黒字があるのかないのか、黒字があれば三十三年、三十四年の黒字は幾ら、これでいいですから、それを言ってみて下さい。総額で言って下さい。
○葛西参考人 三十四年の決算は一応ごく大づかみなものがありますが、全部まだ締めておりません。それで今の事業収入と申しましたのは、支部所管の診療所みたいなものがありますが、そういうところでは今の四億幾らというのが入っております。従いまして一般会計の診療所みたいなものは支部に所管をされております。
○滝井委員 総収入幾ら、総支出幾ら、差引赤か黒か、それだけわかればいいです。
○葛西参考人 これはこまかくてなんですから、ちょっとあとで……。
○滝井委員 それでは数字はよろしいから、葛西さんにお尋ねいたしますが、三十三年は日赤の一般会計、特別会計を通じて黒字ですか赤字ですか。三十四年の決算見込みは一体どうか。黒字か赤字かだけお聞かせ願いたい。三十三年と三十四年です。
○葛西参考人 黒字というか、翌年度に繰り越して若干やるというのはあるはずでございます、つなぎに。というのは、結局社費が入るのは九月ごろになりますから、その間のつなぎというふうなものがございます。ただ支部の会計におきましては、今の黒字、赤字というような簿記形式を使いませんで、普通の予算形式でやっておりますので、病院の今の利益率というものと支部のものとは、予算の建前が違うわけであります。国の予算みたいにやっておりまして、黒字、赤字というようなことはございませんで、習年度繰越金というもので若干残ります。それはございます。それがないと、今の社費が九月ごろ入ってきますから、その間の、入ってきます間のつなぎが繰越金になっておる、こういう状態であります。金額は必要であれば三十三年度はあとでお知らせします。
○滝井委員 普通われわれは黒字、赤字というときには、一体三十三年の決算をやってみて、そして診療報酬なんかは当月分が習々月末しか入ってこないのですから、そういうものも一応十一月か十二月、あるいは会計年度は国の会計年度と同じなら、四月一日から三月三十一日までを締めて、それで独立採算制とおっしゃるのだから、一体そこで黒字になっておるのか、赤字になっておるのかということは、これははっきりできると思うのですよ。こういう一番大事な点があなた方ははっきりできないというならば、いずれ午後、社会局長もいらっしゃっておるので、十分日赤の経理については調べてくれということを、一昨日ですか要望してありますから、これはあとでお聞きいたしましょう。 それならばもう一つお尋ねをしますが、昭和二十二年の戦後には、日赤の病院の数は幾つありましたか。そして昭和三十五年には特別の直轄のものも入れて、大体百になったということはわかったのですが、戦後は日赤はそれほど病院は多くなかったと私は記憶しておるのです。幾ら病院がふえたのか。そしてその病院のふえたその財源というものはどこから調達をしてきたのか。
○葛西参考人 今病院が百あると申しましたが、戦後赤十字が受けました病院が二十二ということになっております。その財源は大体今の県立、もしくは市町村立、あるいは市町村の連合立というようなものから移管を受けたものがございます。それが一つのグループ。それから日本医療団の解散に伴うて、そのときに引き受けたというものが一つあります。それからもう一つのグループとしましては、これは先ほどお尋ねがありましたお年玉年賀はがきを基礎にいたしまして、原爆の病院というふうなものを作りましたのが、これは二つあります。そんなもので大体二十二ということになっております。 この財源は、今のようにお年玉の場合は、これは寄付をいただいておるので問題ありません。それから県立や医療団等からは、それぞれ市町村等で作りましたときに償還しましたものは終わりまして、借金が残っておるようなものがございます。そういう場合には借金つきで引き受けさせられたというような、大体ごく大ざっぱに申しましてそういうふうな形でございます。そのときに一番の問題は、借金つきでもらった、その借金をどうするかということでございますが、これは県立、市町村立等がいろいろ無理をしないようにということで、なるべくまあそう大した無理をせずに返せるものだけを大体選んで移管を受ける、こういうふうなつもりでおります。しかしながらこれは大した無理をせずにということでやっておるのが、戦後の実情でございます。
○山本委員長 滝井委員に申し上げますが、お約束の時間が参りましたので、お含みの上どうぞ願います。
○滝井委員 県立、市町村立、それから日本医療団からもらったのは借金つきだが、これは無料でもらったわけではないでしょう。安いお金を出して買う。しかし安いから同時に借金も引き受けてくれ、こういうことでその代価を払い、そうして同時に安くする、価格が安くなる分について借金がついてくる、こういう形できたのではありませんか。無料でくれたのではないでしょう。借金つき無料じゃないと思うのですがね。
○葛西参考人 これは個々の場合がたくさんございますので一概には言い切れないと思いますが、今のある病院のごときは、現にそれは無料、そして市町村で残っておる借金だけをもらうというものもございます。大体そういうことになっておると思うのでございますが、公のものでございますので、たとえば市町村の組合立というふうなことになっておった。そして借金をして建てた。それを若干返しておったがこれだけ借金が残っておる。こういうものは、その残っておる借金をつけてもらうというのが大体の格好だと思います。医療団の場合には、御承知のように医療団の清算がございますので、ある一定の対価を払って買い取った、こういうことになっておったと思います。しかしその後医療団は例の清算後お金が余りましたので、その余った金の配分を受けております。
○滝井委員 二十二のものが百になったということは、七十八程度ふえてきたわけです。それが全部無料というわけにもいかぬでしょうが、相当の代価は払っただろうし、相当の借金もつけてきたでしょうが、ともかく曲りなりにもそういうものを払う能力があったからこそ、覚悟して百になったと思うのですが、その具体的な内容はいずれ機会をあらためてやりますが、きょう一番大事なところにきてもう時間がなくなりましたから、最後に一つだけ、公的医療機関でありながら非常に営利性に富んでおるという一つの点をお尋ねして終わりたいと思うのです。これは先日社会局長にも質問をいたしましたが、御答弁がございませんでした。今から四年前に私はその点を指摘して、当時の安田社会局長にこれを直すことを要求しておりましたが、はっきりしないままに今日に至っております。 そこで二点についてお伺いするのですが、特に日赤を代表するものは日赤の中央病院です。この日赤の中央病院においてベットが六百有余、結核を入れたらあるいは七百くらいになると思いますが、その中で健康保険証を持っていったら——とにかく今健康保険法では、本人で、初診百円払って、一日三十円だけ入院料を払うことになる。そのほかの金は大体要らないわけです。人道と博愛を目的としておる日赤でございますから、私は当然日赤の病院では貧しい人たちがそこに多く収容されておると思うのです。保険証を持っていって、健康保険の本人が一銭も払わずに——一銭も払わずというのは、三十円の入院料を払うことは一銭も払わぬということに一応して、どの程度のベッドの数がありますか。中央病院のベッドの中で、保険証でまかり通る、差額徴収その他を払わなくともよろしいというものは幾つあるかといとことが一つです。 もう一つは、今から四年前に、たとえば特一、特二というのですか、とにかく最高級の個室に入る場合には、私はここに当時の入院案内を持っておりますが、保証金特別一人室三万円、三等三千円を前もって払うことになっておるのですね。これはあなたの方の日本赤十字社中央病院入院案内です。これを直すことを強く要請した。政府は十分調査して検討いたしますという答弁をいただいたので、直っているだろうとは思いますが、こういうことが現在もなお行なわれておるのかどうか。この二点だけをはっきりしていただきたいと思います。
○葛西参考人 中央病院についてのお話でございますが、今の健康保険を持っていってすぐ入れる、差額をとらない病室との違いの点は、政府からも前からなるべくそういうふうに努力すべきだというふうなお話がございまして、最近だいぶ努力をいたしました。ことに先般八・五%医療費の上がるときには大幅にそれを増しまして、現在では四百十一ベッド、差額のあるベッドが三百十六、パーセンテージで申しますと五六・五%と四三・五%までこぎつけることができました。これは質問の外ですが、全国的に申しますと、今のとだいぶ違いまして、七四・一%というものが入れることにいたしております。赤十字の病院は、先ほど来申し上げましたように、災害時における医療給付をやる、看護婦の養成の臨時訓練をやる、それから一般医療をやる、保健指導をやるというような四つ五つの目標を掲げておるわけであります。従いまして相当の需要がございますと、全部そのベッドに変えるというのでは、地元の要求にも応じかねるような事情がございます。この点は御存じのように社会福祉関係の済生会その他の病院とはいささか違う形態ではあろうと思います。しかし、仰せのように、できるだけそういうベッドをふやす点については今後とも努力をいたしたい。中央病院の方は、今のパーセントで申し上げますと、三十一年にはそういうベッドが三六・二%でありましたものが、今日五六%ぐらいまで来ておる。努力をしたあとを実は御賢察いただきたいと思います。 それから、今の保証金と申しましたが、これは保証金と書いてあるのでありましょうか、予納金というような考えでやっておったそうでございます。出るときに困るので、あらかじめ予納をしてもらっておるという制度があったそうでございます。ただ、そういう金がないと入れないということじゃ困る。現に今でも規則にはそうありましても、ほとんど予納金を取っていないという実情だそうでございます。そういうまぎらわしいものならばもうやめようということにしまして、来年の一月一日からその制度をやめることになっておるという報告を受けております。
○滝井委員 それならば念のためにお聞きしておきますが、生活保護の患者は中央病院にどの程度入院しておりますか。社会局の所管ですから何ですが……。
○葛西参考人 ちょっと今その資料を持ってきておりませんので、調べまして……。
○滝井委員 入ってはおりますか。
○葛西参考人 それは入っております。
○滝井委員 ではあとで聞きます。
○小林(進)委員 関連して一言。時間もありませんから、私は自分の質問はやりませんけれども、実は今まで副社長のお話を承っておりまして、私は非常に落胆をした。日本の国会がこういうような答弁で質問を終わったというふうにとられては私は非常に残念でありますから、最後に一言申し加えておくのでありますけれども、あなたの先ほどの答弁は、結局財源がない、金がないから十月二十九日の線で妥結する以外にはない、集約すればこういう答弁になっている。実際金がないのかどうか。それならば一体本社経理はどうなっておるのか、収入はどうなんだ、支出はどうなんだという今の滝井君の質問に対しても、わからないじゃありませんか。大まかに言う収支の道はどうなっておるのか、そういう大まかという条件付の答弁もできないじゃないですか。一体副社長ともある人が、本社の経理の元締めを握っておる人が、この中で答弁一つできない。アウトラインもつかんでいないで、金がないという答弁が一体どこから出てきますか。本社経理の収支もわからない。そんなずさんなことで、金がないなどという答弁で、この急迫せる事態をごまかされたんじゃ、われわれはとても了承することはできないのであります。しかも、私は先ほどから答弁を聞いておりますけれども、人道精神とか博愛精神とかナイチンゲール精神などという隠れみのをあなた方は悪用しておる。そうして自分たちが使っている方方に低賃金、過剰労働をもって重圧しておきながら、しかもあなたの先ほどの答弁の中に、この提出せられた四項目に対して、それが無理だとか、あるいは使っている労務者や職員が気の毒だとか、そんな言葉は一つもない。お気の毒だという言葉が出たのは、患者がお気の毒だという言葉が、この長い話し合いの中でたった二言ばかり出ただけだ。経理もわからなければ、博愛精神もないような、そういう官僚的な答弁はわれわれは了承することができません。その意味において、今度は委員長に申し上げますが、きょうの参考人の供述に対してわれわれは了承することができませんから、日を改めていま一回、今度は島津社長においでを願って、いま少し誠意のある、ナイチンゲールに似た博愛の精神に富んだ答弁を願うように、一つ十分御考慮おきを願いたいと思います。
○山本委員長 小林君にお答え申し上げておきます。必要がございますれば、理事会の議を経て御期待に沿うように取り計らいます。
○葛西参考人 今の滝井さんのお話では、収支のこまかい点についてはどうだというお話でございましたから、あとで資料をお送りしたいということを申し上げたのでありますが、ごく大づかみな話を申しますれば、病院の収支経済が約百十億前後、それから本社、支部合計したものが十三億ばかり、その中で、今の社員、賛助員というようなもので集まるものが大体九億、そのほかに今の収入として四億くらいなものが病院、診療所の収入、大体そういうことになっておるわけであります。しかし幾らということになると、それはちょっと……。数字をお尋ねになりましたから、後刻あれしたいというわけで、ごく大づかみな話をすれば、今の大きいものはそんなことになっております。
○小林(進)委員 私は大づかみの話を聞いておるのです。しかもきょうあなたにおいでを願った問題は、いわゆる労務管理の問題もありますけれども、当面は賃金ベースの問題なんです。賃金ベースの問題なんだから、きょうのわれわれの質問が会計経理に関するというようなことは、最初から用意しなければならぬ問題です。それを質問をせられて答弁できないで、大まかなことはこれでございますというようなことでは、われわれをごまかすわけにはいきません。第一、準備の様子がなっておりませんよ。そんなことでは態度がなっておりませんよ。時間がありませんからやめておきますが、ただそういうようなあなたの答弁でわれわれが了承したというふうにとられるのは非常に残念でありますので、あえて一言申し上げます。
○山本委員長 参考人に対する質疑は一応これで終了いたしますが、最後に一言だけ宇夫方参考人にお尋ねを申し上げておきます。 今次の労働争議には、背後に政党関係が介在しておるやに、伝えられておりますが、たとえば共産党の争議指導などがございますやいなやを伺っておきます。
○宇夫方参考人 そういうのはどこかの悪宣伝が入っておるので、一切ございません。
○山本委員長 承りました。 参考人各位にごあいさつを申し上げます。御多忙中にもかかわりませず、本委員会のためにわざわざ御出席をいただきまして、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましたことに対しまして、委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。まことに御苦労様でございました。 この際暫時休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 ————◇————— 午後三時二十八分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 医療関係における労働争議に関する問題について質疑を続行いたします。本島百合子君。
○本島委員 一昨日の委員会で、厚生省、労働省として、この病院ストについてはどういう考え方をお持ちになり、なおかつ解決の道としてはある程度の考え方をお持ちにならなければならないはずであるから、その点はどうであろうか、こういう御質問をいたしましたが、役所側の答弁はさっぱりわからなかったものですから、本日大臣に伺いたいと思います。 大体病院ストというこの状態は、今までいろいろストライキもございましたが、国民の一番不安になる要素を含んでおるわけであります。ということは、皆保険下におけるという形と、いま一つは日赤の関係であるということ、こういうことで、非常に世間の人が驚いたと思うわけであります。本日も日赤から参考人を呼んで事情聴取をいたしましたが、それを聞いておりましても、労務管理あるいは経営管理、こういう点について、他の病院と比較して非常にずさんなところがあるわけです。従って監督官庁としては、こうした面についてどのように今後指導をされるのであるかというような点について、まずもって大臣のお考え方を聞かしていただきたいと思います。
○古井国務大臣 病院ストの問題でありますが、まずもってこれはお話のように、一日も早く円満な解決を見たいものだと私どもも熱望をいたしておるわけであります。これは申すまでもないことであるわけであります。それにつきましてどうしたらよいか、きょうの当面のストが、どうしたら早く結末がつくのか、苦慮いたしておるわけであります。何と申しましても問題は労使間の問題でもありますので、やたらに法の上の権限や根拠がなしに私どもが介入いたしますことは戒めなければならぬことでありますので、呼びかけてみたいような気もやまやましておるのでありますけれでも、さような点もありますので、今日まで戒めてきております。その点については労働大臣が極力尽力してくれておるわけでもあります。この尽力が効果をあげるだろうと思って待ちつつおるわけであります。一方またこういうストが起こりますのも、それだけの原因があるからだと思うのであります。病院の経営管理の面は、率直にいって、全体論としておくれておると思うのであります。これは民間の病院のみならず、お話しのように日赤などについても改善すべきものがないとは言えぬと私も思うのであります。そこでひっくるめまして、病院の企業体として、また事業体としての経営管理のどこをどういうふうに改善したらよいか、その問題に一つ取り組んで解決に努力しなければ、やはり今度のみならず、いつまでたってもこういうことを、根が残る以上は繰り返すと思うのであります。そういう考えで、私どもの方は今の病院の経営管理の問題に、正直なところまだきょうまでのところ十分突っ込んで取り組んで、こうだ、こうしたらよいというところまではきておりませんもので、その点では少しおくれたような気はいたしますけれども、これから早いところ、その問題に取り組んでいきたい、こういう考えでおります。日赤のことについても改善すべき点があろうかと思うのでありますが、もっと実態も明らかにして、やはり全体論として、また個々のものにつきまして、原因に取り組んでいきたい、今こういうところであるのであります。
○本島委員 きょう参考人のお話の中にも、医療費の値上げをしてもらわなければ、赤字の面の解消もできない部分もあるというようなことで、日赤それ自体の問題としてはプール制にするかしないか、こういうことが残されて参るだろうと思いますが、しかしこの単価引き上げという問題は、新聞にもある程度発表されたと思うのです。そういたしますと、一部負担のいわゆる保険者、被保険者、こういう面で私ども考えて参りますときに、非常に大きな問題だと思うのです。従ってこの点の解決がなされなければ、いわゆる医師会あるいは病院側、そしてわれわれ患者の国民、こういう形においてこの問題の解決がなされない、ここに大きな問題があるのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、この点についてはどのように考えておられるのでしょうか。
○古井国務大臣 そこで病院の経営が苦しい、その苦しい原因が、医療費が低いからだ、そこに原因があるのだという意見も、今おっしゃるようにあるのであります。医療費も関係がないとは言えぬと思うのであります。今日の医療費でほんとうに病院の経済がりっぱに立っていくかどうか、問題がない、関係がないとは言えないと私は思うのであります。しかし、医療費の問題だけども思わぬのであります。率直に申せば、医療費にも何にも、病院の経営とか管理とかいうことが、初めから頭にないくらいな、いわばおくれてしまったような、そういう経営の姿のところもあるかもしれぬような気もするのであります。そのほか、何がほんとうの原因かまだ考えてみなければならぬものがあると思うのでありますから、そういう意味で、医療費も考えなければなりませんけれども、それだけと、こう考えるわけにもいかぬという心持でおるのであります。医療費を上げる上げぬの問題は、お話しのように関係する面が非常に多いのでありますから、国が金を出すからといって、負担できるかできないかわからない団体もありますし、また個人の負担の点もありますし、これは医療費を上げるといたしますればひっくるめて考えたあげくでないと、医療費を上げるか上げないか、またどれくらい上げるかということはきめかねるわけであります。しかし、今日の医療費はどうも少し無理があるように思うのであります。けれども、どの程度、またその影響がどういうふうになるかという辺をひっくるめて結論を出さなければならぬ。お話しのように全部を考えて結論を出したいと思っております。
○本島委員 今の御答弁で参りますと、医療費単価引き上げというような問題については、現在のところ政府は考えていない、こういうことに受け取ってよろしいのでしょうか。もちろん一部負担者たちに関する大きな問題で、保険負担の問題が問題になってくるところなんです。そこで、きょの日赤側のお話の中からも、経営のずさんということが私どもにはぴんとくるわけなんです。従って、その点で是正ができるならば、この医療費単価引き上げというようなことは軽々になされるべきじゃない、このように考えておったわけでありますが、いつかの新聞に値上げを考えておるというようなことがちょっと出されたと思います。そこでこの病院ストと関連して、こうした政府の考え方があいまいなところに、また問題をかもし出す一つのものがあるのじゃないか、こういうふうに考えるのです。従って私は、この点は非常に大きな問題であるだけに、上げなければならぬ点もあるが、今上げると影響も大きいからというような答えでなく、もうどのくらいにおいて検討してみるというような目安があるのかないのか、ないものならば、値上げしなければいけないのじゃないだろうかというような軽率な表現は、あるいは発表はやめてほしいと思うのです。そうでない限りにおきましては、今後一般の被保険者たちも、この点について非常な不安を持ってくるわけなんです。その点をもう一度お聞きいたしたい。
○古井国務大臣 病院のストとは関係なく、医療費は医療費の問題として検討をしておるのであります。そこで結論を出しますには、各方面の関係のことを十分考えた上でないとできませんから、結論を今日出す段階にはまだ至っておりません。しかし現状は無理がある、こういうことは私どももそう思いますので、このままにほうっておくわけにはいかぬという気持でありますが、今のようなわけで、結論をきょうなんぼとかどうとかと出しておるわけではない。またいわば政治価格みたいに、目の子づかみでなんぼという式のことはできることならなるべく避けたい。やはりできるだけの資料と根拠を持って、なんぼになるにせよ考えたいものだと思いますから、そう簡単に結論は出ないのであります。しかし検討中でありますからその点をお含み願いたいと思います。
○本島委員 監督権はやはり厚生省にあると思いますが、看護婦さんたちの労働時間あるいはまたその待遇、賃金、こういうような点が一般公務員に比較して非常に低いということがきょういわれたわけであります。こういう点については厚生省としてはどのように指導されてきておったかどうか。超過勤務等にいたしましても、長い人では三十二時間などということをいわれております。これは夜間をずっと勤務しているが、多い人で二十七日もやっている、これは人間として考えられない、こういうことが労働組合の方から言われておるわけですが、こういう点については厚生省としてどう指導されて参られたか。
○古井国務大臣 病院によって状況も違いましょうし、実情も把握しなければらぬことであります。満足にいくと申し上げている意味じゃありませんけれども、いろいろ病院によって状況もあろうと思います。その点、どういうふうに指導しておるか、きょうの知識では私も申し上げる準備がありませんし、ことによると、これは労働省の方からお答え願った方がよいのではないかと思いますので、そうさせていただきたいと思います。
○本島委員 看護基準というものがあるわけですね。そういたしますと、そういう面からでは、やはり厚生省が監督なさるんじゃないでしょうか。ですから、そういう意味で労働省はまた別としてお尋ねいたしますが、そういう点の矛盾が非常に大きく出ておると思うのです。大体国立病院等を見ましても、この点がうまくいってないという実情が多々あるわけです。これに比較いたしましても、組合の方々の話を総合いたしますと、日赤関係はそれが非常にまずいのではないかというふうに考えられるわけです。この点はやはり厚生省の管轄であろうと思いますから、厚生省の側から一つ御報告願いたい。
○川上政府委員 御承知のように、医療法の中に看護の標準を規定いたしておりますが、なるべくその標準に達するように看護婦を置くように実は指導いたしております。けさほど非常に勤務の長い看護をやっておられるという例をあげられましたけれども、そういうことはやはり不適当なことでありますから、今後そういう面の改善を、県を通して一そういたしたいと思うわけであります。
○本島委員 初めて聞かれたような御答弁でありますが、これは一応厚生省が監督できる範囲内における病院については、常日ごろもっと実情を把握していただいておかなければならぬことではなかったか、こう考えられるわけであります。そうした点については、大体基準が守られておるという病院は片数少ないはずです。大体守られていないというのが原則で、労働オーバーということになるわけです。ですから、きょうみたいな労働組合の発表を聞きますと、人権争議と俗にいわれておりますが、全く人権争議だと思うわけです。そして病院の設備とかあるいはまた建物、こういうものに重点が置かれておって、働く人の側にはあまり重点が置かれていない、こういうようなことがあの日赤の副社長の言葉の中から私どもは受け取れるわけです。こうした病院関係というものは、人それ自体がもう一つの医療器械でもあるし、また薬でもあると思うのです。これは普通の労働組合と違うわけです。看護に当たられる方々あるいは投薬される方々、こういう人々に対するものの見る目というものは、医術は仁なりと昔は言うておったのですが、現在はある程度機械化された、こう申します。しかし、患者の心理とすれば、やはり自分たちに接触してくれる医者並びに看護婦がどれだけ力になっているかわからないのであります。そうすると労働条件が劣悪であるということ、賃金が低過ぎるということ、こういうことが現に日赤関係で行なわれているとするならば、他の開業医等は推して知るべきだということがここにも出てくるのじゃないだろうか、そうした場合において厚生省としては、ただ今後考えますということだけでなくて、いま少し進んで積極的に各病院を調査するなり、あるいは調査して基準が守られていない場合、どういう措置かをとるというようなことがなければ、この病院ストも長引いていくのではなかろうか、その視察すらないということは、私は役所がストに介入せよということを言っているわけではないが、むしろ側面と言いながらも本質的な問題だと思う。そういう点の監督官庁としての考え方、そういうものをここで一応お話し願って、そうしてこれが円満なる解決への道の第一歩になればしあわせではなかろうか。介入するのではなくして——第三者のあっせんという形において役所が乗り出せ、こういうことを言っておるわけではない。ただそういう基本的な問題についての今後厚生省としての立場をどういうふうに考えられるか、これが一つの大きなかぎになっていくのではないだろうか、こう考えたために役所側の考え方を本日の委員会までに御発表願いたい、こう申し上げて前回の委員会にお願いしておいたわけであります。
○川上政府委員 医療法によりまして、今申しましたような診療部門、あるいは入院部門、あるいは給食部門、管理部門というように病院を分けまして、従来も寄り寄り病院の分類調査などもいたしております。それによってA、B、C、Dというような判定をいたしまして、これらの部門というものが内容が充実いたしますように実は指導いたしております。日赤につきまして、これを一般の全病院などに比べてみますと、各部門ともにだいぶ年を追いまして改善をされておるわけであります。むろん医療法の標準にまだ達しないような面が残っております。これは先ほど申しましたように、国から県に指示いたしまして、そうして医療監視というような面でその改善をはかっておるわけであります。このたびのストの状況など見まして、一そうこの面を強化して参りたいというようなことでおるわけでございます。
○山本委員長 本島委員にお願いしておきますが、約束の時間もありますから……。
○本島委員 これで終わります。こうしたストというものが起こってから調査だというようなことであってはならないと思うのです。常日ごろ国民の健康管理というような立場から、十二分な調査並びに基準に基づいていないというような点については、積極的な指導というものがなくてはならぬだろう、こう考えるわけで、労働大臣がお出ましになりましたならば別の角度から御質問したいと思っておったのですが、本日はいらっしゃらないようなのでこの程度にいたしますが、できるだけ早い機会に妥結されるよう、役所側としても根本的な問題の解決というものがあるはずであると思います。そうした点の施策というものが、やはりこうした委員会で堂々と述べられるようになりますならば、長引くということもないのではないか、こういうふうに考えましたために御質問したわけなんです。どうか一つ早い機会に妥結のできるように、やはりその当事者でなくとも、それだけの関心と積極性とを持ってやっていただきたいと考えます。 いま一つお伺いいたしたいことは、カナマイシンの問題で、ストとは違っておりますが、これを保険適用にするということは、従来の大臣は医療協議会を通さないと使用しない、こういうことを言われておったわけですが、今回は協議会を開かれないで、これを使用するということを発表されたようですが、これはどういう理由でございましょうか。
○古井国務大臣 ただいまのカナマイシンの問題でありますが、これはとにもかくにも来年の四月一日からは使用できるように処置をする、こういうことをきめたのであります。そこでこれは筋から申しますと、医療協議会を開いてやるのがよいことは申すまでもない。ところが御案内のように、医療協議会はもう長い間寝たままになってしまって、機能を失ったままになっておる。通さなければならぬけれども、機能を失っているということで困ってしまう。そういうことでいつまでもいつまでも人命に関係する問題を延ばしていくことがよいことかということにもなってくるのであります。手続ばかり重んじて、人命は軽んじていいというわけでもありますまいけれども、そういう結果になることも、私は政治として考えものだと思うのです。手続を無視する意味ではありません。きょうの段階で、いわばできそこないになっているままの医療協議会というものに対して、活用できるような方法においては医療協議会の立場も十分尊重しつつ——形式はきちんと整わぬでしょう。大体がああいうふうですから、無視はしませんけれども、きちんとしたかっこうにはなりません。そういう考慮を払いつつ、事柄だけはやってしまいたい、こういうことでありますし、また後日医療協議会が姿を整えますれば、もう一ぺんあらためてそこの御相談にもかけて、きちんとした姿においてしたい、こういう考えでおるわけであります。多少の無理はあるかもしれませんけれども、これは仕方がないと私は思っております。
○本島委員 従来医療協議会を開催しなければこの問題はどうにもならぬといわれた。それを今度新しい大臣は勇敢に率直になさったわけで、やはりこういう考え方でありますならば、医療協議会の正常なる運営が早くなされるように努力されることが一つ必要であると同時に、今回の病院ストに対しましても、越権にならない程度で、なおかつ問題の解決というものがあるはずでありますから、そうした点についての積極的なる努力をされまして、できる限り早い機会にこうした問題の解決がなされていくように努力されることを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○山本委員長 小林進君の質疑の通告を許します。小林進君。
○小林(進)委員 新大臣をお迎えいたしまして、私はいろいろお伺いいたしたい問題を持っているのでございまするが、特に先般お伺いいたしました大臣の所信表明等についても、いろいろ御質問申し上げたいと思っておりまするけれども、何か本日の質問の範囲は医療ストに関する問題だけだということでございまするので、本日はそれに限って一つ簡単にお伺いいたしたいと思うのであります。それは午前中の参考人の供述に対する質問にも自民党の議員が言われたように、起こるべくして起こった問題である、世論もそんな考え方でようやくここまで来た、そういうふうな考え方で、むしろ組合側に世間の同情が向いている。こういう形でございまするが、起こるべくして起こった、こういうような世論の考え方に対して、よく厚生省は今日までそれを黙認していられたという、この点が私どもどうしても了承できないのでありまして、世論は今も言うように起こるべくして起こったと言っているのだが、一体厚生省はこの問題を、やはり唐突として起こった問題であると考えるか、世論が認めている起こるべくして起こった問題であるというふうにお考えになっているのかどうか、問題のとり方を私は大臣からお伺いをいたしてみたいと思うのであります。
○古井国務大臣 今回のストが起こったので、初めてびっくりして、というほど厚生省も今までうかつでおったのではないと思うのであります。私は今までのことは十分は知りませんけれども、それほどうかつであったのではなかろうと思うのであります。ただしかし、病院の実態調査などにしても、なかなか今までも協力が得られなくてできないくらいな話でありまして、これは御承知の通りであります。またそうやたらに、ことに民間の病院などになると、あれだこれだと役所が口ばしをいれ過ぎても困ることでありますし、また経済を考えてみると、病院の経営というものに苦しい原因などもあるかもしれぬし、なかなかそこはいろいろな事情があるものですから、全然気がつかず、またほっておいたわけでもありますまいけれども、十分な処理まではできていなかったのだと思うのであります。たまたまこういうようなストが起こり、こういうように長引き、大きな社会のまた政治の問題にもなったことでありますから、ここで一つもう一ぺん締め直して、出直して、病院のこういうことが起こってくる原因に対して真正面から取り組んで、そして根を除くように努力をしたい。これはただ口で言っておるだけでなしに、実行をもってそのことをお答えを申し上げることにしたいと思っておるのであります。そういう状況でありますから、今までの点については、足ったとか足らぬとか、認識がどうであったかという御批判があると思いますけれども、ここは一つ大目に見ていただいて、これから一つ努力をしようということを認めていただいて、御協力を願いたいと思うわけであります。
○小林(進)委員 大臣の御就任早々の御答弁としては、私はそれでまあ一応は筋が通っていると思うのでございまするが、しかし厚生省としては、従来こういう起こるべき要素を一応認めておいでになったということになるならば、どうしてもやはりそこに監督官庁、指導官庁としての責任問題は一つ起きてくる、こう私は言わなければならないと思うのでございまして、過去は過去で気がついて、どうせ起こるべき要素はあったのだけれども、そのままに放任したという答弁は、それをわれわれは了承するわけに参りません。この点は一つ直接の監督の任に当たっておる局長から、いま一ぺん明確にしてもらわなければならないと思います。 それから時間がありませんから、私もついでに、同じ形の質問になりまするから、これもお伺いいたしておきますが、この問題が起きたときに、一応調査に出られたか事情を知られたか、労働大臣かあるいは労働省でありまするか、これはやはり厚生省がいけないのだというようなことを非公式に言われた。いわゆる労働省から見た病院側ストのあり方に対しては、どうも労務管理に対する厚生省の指導その他がよろしくないと言われたというふうに私どもは聞いているのでありまするが、そういうふうに労働大臣ないしは労働省から厚生省のやり方に対する批判が実際にあったのかどうか、これもあわせて同じ質問として承っておきたいのであります。
○川上政府委員 御承知のように、今まで医務局といたしましては、医師法あるいは医療法によりまして病院の指導監督をいたしておったのであります。従って、診療面につきましてのいろいろな問題については、指導も監督もいたしたわけでございますけれども、経営面に立ち至りまして調べるという権限もございませんものでありますから、経営の実態がどうなっているかというようなこと、あるいは雇っている看護婦さんの賃金がどうだというようなところまでは、私の方では実はよく調べて、おらないわけであります。しかし、こういうような状態になりますと、単に診療、看護のような面ばかりでなしに、経営の実態もある程度把握をいたしまして、そうしてその指導をやはり今後やっていかねばなるまい、こう考えておるわけでございます。 それから、労働省からいろいろ指摘を受けておるというお話がございましたのでありますが、別に特に御批判をいただいておるというようにも存じておりません。しかし、確かに労務管理というような面は、これは労働省が所管をされておることでありますけれども、やはり病院管理の指導の一環といたしまして、労使関係というものもうまく参りますように、あわせて指導しなければならぬというように考えておるわけであります。ストが起きまして以来、労働省ともよく相談をいたしまして、厚生省でできることはやっていきつつあるわけでございます。今後そうした面の指導はやはり労働省の出先機関でありますところの労働基準監督署と県の保健所あたりが協力してやれるような態勢にいたしたいと存じておる次第であります。
○小林(進)委員 労働基準法だとか、労働法に対するそういう監督は労働省の管轄としまして、先ほども言われたように、実はこれは質問じゃないのですけれども、局長の答弁を聞いているとだんだん疑問が深まってくるから、私はそういうことを言わざるを得なくなってくるのであります。先ほども話があったように、看護婦が二十七時間、三十時間あるいは一カ月のうちの二十日間も夜間勤務につくというようなことは、これは労働省の労働基準監督署の仕事でございましょうけれども、あるいは看護婦の資格があるかないか、あるいは准看護婦と看護婦との仕事の区別がごっちゃに行なわれている、あるいは先ほども言ったように、講習生、学生が独立して看護婦と同じような任務を担当しておる、こういうようなことは一体労働省の管轄であるか、そういうようなことも厚生省がこういう問題が起きない前に、監督を十分あるいは指導を十分おやりになっているかどうか、これは私は労働省の仕事ではなくて厚生省の仕事じゃないかと思う。どうでございましょうか。
○川上政府委員 お説の通りでございます。そういう面は、中央は医務局において、地方に行きましてはやはり衛生部の医務課がその指導をやっていかなければならぬわけでございます。
○小林(進)委員 そういう面も合わせて、やはり今までこういう問題が起こるまで放任しておおきになったということは、私どもはどうしても了承できないのでありますが、その責任の追及は、私は了承できませんということで一応打ち切ります。 次に、私どもはやはり問題を解決しなければならぬという方向で御質問しているのでありますけれども、巷間伝うるところによれば、日赤あたりでこれくらい起こるべき問題がうっせきしておったにもかかわらず、厚生省がその監督指導をおやりにならないのは、どうもむしろ意識的にサボタージュをされているではないか。その理由の一つに、さっきも言うように葛西さん——かつて厚生省の事務次官、皆さん方の先輩です。こういうものをやはり日赤へ送り込んでいる。官僚システムというものはなかなか根深いものでございますので、そういう関係で、葛西元次官がおやりになっているからというようなことで遠慮をされたり、あるいは監督の介入することを差し控えたとか、そういう関係にあるのではないか。あるいは勘ぐったものの見方かもしれませんけれども、そういう意見もりまたにあるのであります。一つこの点について明快な御答弁を伺っておきたいと思います
○古井国務大臣 今までははたから見ておったわけでありますけれども、別に先輩だから後輩だからというようなことで気がねをしたり、しんしゃくをしたりというほどのことはなかろうと思うのであります。今までとても、先輩だから後輩だからというようなことで遠慮をしたり、しんしゃくしたりというほどのことはなかろうと思うのであります。少なくともこれから先は、先輩であろうが後輩であろうが、いけないことはいけないし、よいことはよいのですから、いけない点があれば遠慮なしに幾らでも注文をして直してもらう、こういうふうにいたしたいと思うのであります。
○小林(進)委員 こういうことを言うのも、実は根拠がないわけではないのです。大臣は厚生省の責任者になられたのは今度が初めてですから、私はあらためて別の機会に事例をあげて申し述べてもよいと思うのでありますが、実はこういうのは同僚議員を打つようで悪いから言いたくないけれども、近来行なわれた選挙においても、やはり厚生省の先輩というか、官僚というか、同僚というか、おやめになって立候補されたのに対して、厚生官僚陣はあげて応援をせられている。これは大臣、笑いごとではないのです。そういうことがないとおっしゃるならば私どもは具体的に幾つも例を差し上げてやる。(「うるわしい友情だ」と呼ぶ者あり)大石君の言うように、それはうるわしい友情だからそれでよろしいというならば、その点厚生省側の友情からやったのであるという理論的な根拠も承り、その筋が通っていれば了承いたしましょうが、そういう事例がある。私はまだ幾つも事例を持っているが、その事例から推しはかって、すべて厚生省官僚を送り込んでいるところに有形無形の便宜がある。努めて利益を提供してやるというようなことがないと一体大臣ここで言明せられる自信がおありになりますか。これはもう一般の常識です。常識を飛び越えて、ついに選挙戦にまで突入して、同僚、友人の選挙戦まで展開している、病膏肓に入ったというふうに世人は見ているのです。ですから、こういう根拠に基づいて日赤病院の問題も、働いている労働者諸君が低賃金や過剰労働でいためつけられているのに、もっぱらその任に当たるべき厚生官僚がそれさえもサボタージュして、そして、そういう自分たちの先輩の次官、かつての次官がいたところだからということで、どうも手を省かれておるんじゃないか。質問の趣旨がそこにあるのでございますから、大臣、いま一回、そういうような巷間伝うるような、自分たちの仲間だから利益をよけいに提供することがなかったか、あるいは自分の仲間だから特に欠陥があっても、それを補って隠してやって、公正にそれを明らかにするというふうなことがなかったようなことはないか、実際にないならば、一つ大臣、ないとして明らかにしていただきたいと思うのであります。
○古井国務大臣 まあ厚生省だけの問題じゃなしに、どこの役所でも、どこの団体でも、そこの関係者や縁故者が選挙に立ちましたりいたしますと、まあ人情のおもむくところ、好意を持つというようなことは、それは実際問題で、ないと断言はできないと思うのであります。しかし、これは厚生省特有の問題としてじゃないと私は思うのであります。もっと目に余ることも場所によってはあるかもしらぬと思うのであります。しかし、よいとは申しません。どこのことでも、そういうことがよいとは思いません。私どもは、そういうことはいけないという、むしろ昔から論者の方でありますが、よいことと思いませんし、そういうわけでありますから、これはともかくにも、そう厚生省に限って言われることがどうかは私は受け取れませんが、少なくともそういうことはなくするように、これからはさしていただきたい、こういう考えでおりますので、御了承願いたいと思います。
○大原委員 関連質問。古井新厚生大臣は、公私を分けてなかなか筋を通される人だ、こういう世間一般の評判でございます。私も大いに期待しておるんですが、一つその前に、今小林委員の質問は非常に大切な問題であるが、日赤の経営において、人道の名前に隠れたり、あるいは日赤という特別の職務、地位に、そういうふうにあぐらをかいたりいたしまして、経営やこういう労務管理がずっと前近代的な封建的な形にうっせきしている、こういうことになれば大へんな問題であります。一昨日の滝井委員の質問や、きょうの各委員の質問に対して、厚生省の各局長の御答弁を聞いておりますと、どうもやはり私は法律に従って責任ある行動をとっておられぬような気がするんです。端的に御質問いたしますが、日赤の経理や財産状況について、午前中もいろいろ論議いたしましたけれども、厚生省当局は実情、実態を把握しておられますか。私はこれは局長にお聞きしたい。
○太宰政府委員 日赤全般に関しましては、厚生省の中で社会局が主管局になっております。まあ法律にも、日赤法の三十何条でありましたか、監督の権限を持っておる。私の方でも随時、場合によりましては向こうから報告を徴したり、それから指導というほど大げさでございませんけれども、相談にあずかっておるというようなことは従来やっております。
○大原委員 では私あとでゆっくり質問する時間をとってもいいんですが、日赤の——午前中論議になりましたが、結局自主的に解決ができるかどうか、こういう問題。その一つのポイントは、日赤の財政状況、経理、そういう財源があるかないかという問題、その問題について、あなたが監督官庁として妥当な監督権が行使できるというように御答弁できますか、答弁できますか。そういう日赤の経理の状況、財産状況、給与の財源の状況等について実態を把握しておるんですね。
○太宰政府委員 政府の監督でございまするから、必要な程度において従来やっておるわけであります。今日の病院ストの問題につきましては、先ほど午前中日赤の当局が申し述べましたように、なかなかむずかしい問題であることは、私どももその通りだと思います。ただこの日赤の中の労使の争い、これは病院の使命にかんがみましても、極力お互いでもって話がつくものであるならば、これはお互いが話をつけるように進めておりまして、またどうもそれでは話がつかぬということになりまするならば、ああいう実力行使などに訴えないで、やはり公平なる第三者と申しますか、そういう機関も制度上設けられておるわけでございますから、そういうところに一つごあっせんを願うというようなことにおいてやるように、私どもは切望しておるわけであります。従いまして、今日そういう状態において、日赤のあれが、これは今後の交渉及びそういう当事者同士のものの考え方、あるいはお互いに話し合いでとにかく固めようということでありまして、幸いにいたしまして、けさほどの話でありますると、また再び労使双方が話し合うということになった。私はそれは非常にけっこうなことでもあるし、また相なるべくは適当な第三者のあっせん機関からも十二分な御協力をいただければけっこうだと思っております。
○小林(進)委員 大臣、何か四時半にお帰りになるそうですね。そういうことのないように一つゆっくりお願いしたいと思います。
○山本委員長 小林君に申し上げますが、参議院の委員部からの交渉がございまして、四時半ぎりぎりまでということで大臣に交渉しておりますので、あと社会党の滝井君の御発言もございますから、どうかそれをお含みの上でどうぞ。
○小林(進)委員 それでは非常に困るのですが、まとめてやります。国会のことですから、そう私だけ独占するわけにいきません。 日赤問題を解決するための朝からの話を承っていて、第一には、金がないという答弁に終始しておるのですが、金がないと言いながら、その最高の地位にある副社長が、経理の内容というものは一つもわれわれに示さない。その問題を言えば、独立採算制で各病院に経理を委託しているから内容はわからぬ。内容がわからぬ人から、金がないから払えないという答弁が出てくるはずがないと思う。私は実に不謹慎な、国会を愚弄した答弁の仕方であると思って非常に憤慨をいたしておるのでありますが、監督官庁として厚生省当局は、日赤の経理の中に一体切実に追い詰められている労働者諸君、従業員諸君に支払う金はほんとうにないと判断されておるかどうか、その問題が一つです。これも先ほどのように、調べてから答弁しましょうという不誠意なお答えを承知するわけにはいかぬ。これは監督官庁として、もう少し明確な御勉強をいただきたい。 それから第二番目は、同じ日赤という一つの公的機関の中に含まれている人たちの中で、同じ仕事に働きながらアンバランスがある。これは副社長みずから認めておる。独立採算制のしからしむるところで、仕方がないとは言わぬが、むしろこれが妙味があるという、先ほどは実に人を食った答弁で、独立採算制でやっていることに非常に妙味がある。妙味があるということは、アンバランスがあるということを含めて妙味がある。実に失敬な説明の仕方だと思って聞いたのでありまするけれども、こういう同じ一つの企業体なり機関の中に含まれて同じ働きをしている者の中に、あるいは地域的に、あるいは場所の違い、あるいは職場の違いによって、非常に俸給のアンバランスがあるということを、これは正当なあり方であると一体大臣はお考えになっておるかどうか、こういうことを一つ一つ私は解明していかなければ問題にならぬと思う 第三点に、私はやはり指導監督者の立場からお聞きしたいのでありますけれども、一生懸命日赤の副社長が、四回も団交に応じたということを言っておられる。けれども組合の諸君に聞きますると、前後を通じて四十分しか話し合いをしていない。そうすると一回平均十分だ。こういう四回という回数だけを一生懸命にやって、何か弾圧するというか、交渉を忌避する材料を作るために、会合を重ねたという言いわけを作るための会合を作ったとしか思われないくらいの実は単純な四回だ。先ほどの大臣の御答弁の中には、当事者同士で一つ話し合いをきめてくれると思っておったから、余分に干渉することを控え目にしてきたという意味の御答弁がありました。私はそれはそれでけっこうだと思います。思いますけれども、当事者同士話し合わなければならないというその当事者が、いわゆる四回重ねたということを口で言いながら、その内容はわずか四十分の話し合いしか応じていないというこのあり方です。私はこれは日本の経営者全体のあり方じゃないかと思う。しかしナイチンゲールを看板にする日赤までが、こういうでたらめな交渉をやっているとは私は考えていなかった。この点も大臣は一体どうお考えになるか。これが大臣のお考えになっている話し合いできめなさいという、その話し合いの求めている形のままに、ありのままある正しい交渉の姿かどうかということも、私は承っておきたいと思うわけであります。 時間の関係上まとめて三つばかり言いましたけれども、御懇篤なる御回答をお願いしたいと思います。
○古井国務大臣 そこで第一番目の金があるかないかという問題でありますね。金がないから仕方がないのかどうかという点でありますね。これはそう豊かな経済とばかりは思いませんけれども、しかし金があるかないかも見方だと思うのであります。ただこの問題については、余裕があるかないかということは、今あたかもこの労使間というか、争議の争点になっておる大事な点でもありますので、私どもがここで余裕がありますとかありませんとか申し上げることは、この際にはどうも少し控えた方がいいように私は思うのであります。 それからその次に、給与のアンバランスがある、よいことと思うかどうかというお話でありますが、それはあまりいい格好とは思いません。都会地もどこもみんな同じ金額でなければならぬとは思いませんけれども、合理的な違いは仕方がないとして、不合理なアンバランスということは、好ましいこととは思わぬのであります。たださっきもお話がありましたが、日赤もあの全国にわたる大きな組織でありまして、そして地方の支部というものが相当強い立場にもおるわけであります。支部の財源が、実際支部で苦労してそれぞれ作っておるというような面もあるのであります。やたらにこれを全部ならしてしまってということを、本部の方で一挙にやれるかどうか。アンバランスがよいという意味ではありませんけれども、そういう辺には苦心をする面があることは、私はその点もわかるのであります。けれどもきょう問題にはなったのでありますから、今後の問題としては、これは日赤も検討をいたしましょうし、私どももこれは十分研究さしてもらいたいと思うのであります。 それからあの話し合いとかいうものにおける態度の問題ですが、これは日赤にしましても、またああいう大きな古い組織は、従来の惰性できているような点がまだありはしないかと率直に思うのです。そういう点はやはり一つ時代とともに考えてもらわなければならぬと私は思うのであります。またストの問題につきましても、病院ストがここまで来た、いわばこういう問題に今までなれておらぬのであります。そこで十分行き届いた姿かどうか、これも見方があるかもしらぬと思うのであります。いわば初めてぶつかってきたのでありますから、その辺は少し事情をしんしゃくしていただいて、それよりもこれから先をよくしろ、こういうところに問題の焦点を向けていただけばありがたいことだと私は思うのであります。
○小林(進)委員 私は大臣の御答弁はやや納得がいくのであります。今大臣から、ここで金のやりくりがつくから云々というような話を引き出すということまでは無理であるというようことは、私も了承するのでありますが、ただ先ほどの日赤側のお話によれば、団交をしながらもどこの支部の会計の内容も教えない、交渉の相手に教えない、ただ金がないという一本やりの話し合いしかしてないという、これは私は交渉のやり方としても誠意がないと思うのであります。またこの国会のわれわれの前における陳述においてもしかりです。問題は金なんです。ベース・アップの問題であり、最低賃金の問題である。金が中心で争いが起きているそのものに対しても、われわれの前においても、経理がどうなっている、ああなっている、余裕がないというようなきめのこまかい親切な答弁がない、実に不誠意きわまる答弁の仕方でありますから、厚生省に対しても、日赤側はこういったような通り一ぺんのあいさつをしているのかどうか、あるいはいま少しこまかく経理内容の報告までもして、やりくりがつけばどうなるとか、あるいはこの事業費を人件費に持ってくればこうなるというふうなこまかい報告や相談事があるかどうか、この点を私はお聞きしたかった。この点を一応聞いた上で、しかしまだここで発表する場合ではないとおっしゃるならば、私は大臣の答弁をちょうだいいたします。 第二番目のアンバランスの問題だってその通りです。私どもが言う寒いから寒冷地手当をつけよう、雪が降るから雪寒手当をつけよう、勤務地手当をつけようというようなアンバランスはあってしかるべきですから、決してそれまでも全国一律にしようというのではないのでありますけれども、日赤が今行なっているアンバランスというものは、基本給においてアンバランスがある。この中に独立採算制という名前、病院の経営という名前において非常にアンバランスがありますから、こういう点は今日人間が生きる最低の経費、豚や鶏でない限り、人間が人間として生きるためには、北海道で生きようと東京で生きようと、どこで生きようと、生活費に変わりがあろうわけはないのでありますから、最低の生活費だけはやはり全国一定の線の上に立たなければならない。そういう点は、私はきちんと一つ大臣からも監督官庁の立場で言ってもらわなければならぬと思っております。
○山本委員長 小林君に御注意申し上げます。参議院から大臣の催促がありますから、どうぞ……。
○小林(進)委員 わかりました。それで、私はもうこれで終わります。終わりますが、次に一つ言っておきたいことは、今やはり金がないというならば、先ほどのお話のように、長期低利の金を何か借りたいということのお話が日赤側からありました。私もその意向をもっと質問したかったのだが、一体厚生省に対して日赤の方から、こういう賃金やあるいは人件費やその他の問題について、長期低利の金のあっせんを願いたい、そういうお話が一体あったかどうかということです。積極的にこの問題の解決のためにも金策に狂奔したという態度があったかどうかということなんです。厚生省側にあったかどうか。これが一問です。 いま一つは、これは先ほども委員長が言われたけれども、厚生省側もこのストの陰に一体思想問題があるというふうに思っておるのか、特定の政党が指導しておるというふうに厚生省はお考えになっておるかどうか、この点を一つ、二点だけ私はお聞きいたしたいと思います。
○古井国務大臣 大事な問題について、三つ四つの点でお尋ねでありましたが、そこで従来、今の詳細な報告をよこしておるかどうか、これはちょっと事務的な点でもありますので、私としてはまだよくわかりませんから御了承願いたいと思います。 それから給料のアンバランスのことは、御意見として伺っておきます。 それから長期低利の金、これは今の給与が払えないから長期低利の金を借りて給料を払っていくというような経営の仕方はあんまり感心しないと私は思うのです。金を借りて給料を——一時のことならとにかくとして、これはちょっと健全な姿とは思えない。そういう解決の仕方にうまくないんじゃないか、私はそう思うのです。その点はそういうふうに御了承願いたい。 それから思想問題、これは私は別に何かの思想的な背景で起こっている、そういうふうに思っておりません。
○山本委員長 滝井義高君。 滝井君に申し上げておきますが、三十分までというお約束ですから、もう十分だけいたしましたら参議院に大臣は行ってもらいます。
○滝井委員 実はこういう大事な問題をこまぎれな時間では、実際にお互いの意思の疎通ができないです。だから同じ国会でやるんですから、大臣あわてずに衆議院に五時までいてもらいたいと思うのです。向こうの方は私責任を持ちます、同じ党の社会党の坂本君がやるのですから。こういう問題を五分か十分でただおざなり通りでやるなんという国会審議の仕方は私はいかぬと思うのです。やはりきちっと政府の方針を明らかにすれば、参議院で明らかにしようと衆議院で明らかにしようと同じだと私は思うのです。 実は十三日にこのストに対する政府の見解をお聞きいたしました。その結果明らかになったことは、現在の医療機関の給与その他の労働条件というものに非常に大きな問題があるということが一つです。もう一つは病院の管理、運営というものが非常におくれておるということです。もう一つは医療費が適正でないということです。もう一つは日本の医療制度全体が大きな欠陥を内包しておるということ、これが日本における医療行政を担当しておる最高のいわゆる役人側の責任者の言明でございます。もう一つ、労政を担当している労働省の見解というものは、日本における病院の労使関係というものは非常におくれておって、中小企業的な水準である。同時に病院に新しく組織ができたために、いわゆる労働組合ができたために、その不満が爆発をして今度のようなストライキになっておる。平均的に見ると、日本の全産業と病院の賃金を比べると、三十人以上を比較すると幾分低い。こういうことがはっきりしてきたのです。 そこでこの状態をいわばもう少し達観的に見てみると、一体どうしてこういうことになったんだ、こういうことだと思うのです。こういう形が拍車をかけられたのは皆保険政策です。皆保険政策でどうしてそういう状態になってきたのか、こういうことが私非常に問題だと思うのです。きょうは大臣ですから、政治的に少しものを見ていってみたいと思うのです。 まず日本の皆保険政策は、病院と診療所に国の行なう医療保障というものをおっかぶせたわけです。にない手にさせたわけです。そして医療保障いわゆる皆保険政策のにない手として病院、診療所を登場せしめて、そうしてそれに公益事業のワクをかけたのです。病院というものは公益事業になっておるわけです。同時に医療費は限定をしたわけです。点数単価制度というものを作って医療費は限定したわけです。そして限定した医療費の中で、施設と人員との整備については国が責任を持たなかったわけです。全部その限定された医療費のワクの中でおやりなさい、こういうことになったわけです。従ってそこにおいては労務管理というものは非常に無理にならざるを得ない。ここに労務管理が大きな破綻を来たしてきたという、こういう状態がいわば出てきておるのです。従ってこれを根本的にメスを入れてみると、長年にわたるいわゆる政府の医療政策というものが一つの破綻を来たしたということです。この問題の処置を誤るならば、この問題は私は池田内閣の命取りになる可能性があると見ております。それだけに古井さんの責任というものは、私池田さんがあなたをお選びになったというのは、じっくり腰を据えてこの問題の解決に当たってもらいたいという、こういう意味だと私は解しております。それだけに私はあなたの識見、あるいはあなたの見通し、あなたの今後の行政手腕に対して満幅の信頼を置いて御協力申し上げ、御見解もきょうはお聞きを申し上げたい、こう思うわけです。率直に一つ語ってもらいたいと思うのですが、今私が述べたような見解はあなたの部下が、あるいはあなたと密接な関係のある労働省の方のお述べになった見解ですが、あなたもそのことについては異議はございませんか。さいぜんいろいろお聞きをいたしておりますると、まあ慎重に考慮しておるとか、いろいろ全般を見詰めたいとか、いろいろ言葉に非常な含みを持って御答弁をされましたが、私率直な答弁が好きなんです。一つ率直にあなたの方の部下なり、あるいは関係官庁がお述べになったそれをあなたがお認めになるかどうかということです。
○古井国務大臣 ただいまいろいろおあげになりました諸点、いろいろの点、これは私はどの点にも大きに問題があるという認識を持っております。大きに問題があるというふうに私も思っております。そこでその程度や、何というか重大性はいろいろあるかもしれませんけれども、どの点にも今おっしゃった点にはこれは問題があるように私は思うのであります。それでただ診断、つまりどこに一番の問題があり、どこにウェートがあるか、私どものみならず専門家もかかってじっくりこれを診断をして、見当や勘はめいめいないわけではありませんけれども、そうして本格的にこれを改善していくような努力をしたいと思うのであります。私はそういう考えでおるのであります。私一個の思いつきというか、きょうの考えはとおっしゃれば、それはないわけではありません。しかしお話にもありましたように、今いわばだいぶ問題もたまってきておりますし、ずれてきておる面もありますし、できることならじっくり一つ腰を落ちつけてその場、そのときだけのことでなしに、本格的に問題に取り組んでみたいという考えでおりますので、気持を一つ申し上げておきたいと思います。
○滝井委員 ゆっくり取り組むことはよろしいと思います。これは医療制度なんというものに欠陥があるということは、立ちどころに解消できるものではないと思うのです。明治以来八十年にわたる積弊が積もり積もって今になっておるのですから、これはいかんともならぬと思うのです。しかし事人命に関する現在のストを解決するためには一体何をやらなければならぬかということは、政府としてやらなければならぬことがあると思うのです。なるほどこの争議というものは労使間の問題に政府が立ち入るということはよくない。それは私もよくわかっております。ところがこの病院ストというものは、その性質が、たとえば日赤というようなものを見てみましても、これは非常に政府と関係がある日赤なんです。あるいは健康保険病院というものを見ても、あなたの所管の健康保険をつかさどるところの保険局と密接な関係がございます。こういう点、あるいは先日私が指摘いたしましたが、労使関係の問題だから、従って労使の間で解決をしなさい、こう言っても、使用者というものがなかなか明白になってこない。たとえばきょうは葛西さんに来ていただきました。しかし日赤の最高責任者は葛西さんではないのですね。副社長ではない。社長なんです。ところが社長がここに出て堂々とその所信を表明をして解決の方策を打ち出すだけの実力があるとかないとか言ってもおかしいのですが、出ていらっしゃれない。これほど複雑なんです。そうして出ていらっしゃられた副社長は、それぞれ病院は独立採算制だから支部長にまかしておるのだ、こういうことなんです。支部長は知事です。知事が一体そんなものを乗り出して解決する力があるのか、これはない。こういうように、使用者の問題をだんだんつきつめていってみると、何が何だかわからなくなってしまうこういう複雑怪奇の様相、普通の労使関係と違った様相が病院ストの場合には出てきておるということになりますと——ある与党議員が私をつかまえて言った。実は労働省もいろいろこの病院の問題に入れば入るほど手がつけられなくなっておる、こういうことをささやいた。三すくみだ。使用者側も労働者も政府も三すくみの状態だ、これは私は率直な言葉だと思う。おそらく今あなたがこの問題についても苦慮しておるというこの言葉のニュアンスの中には、この三すくみの状態が私は端的に現われておると思うのです。きょう来た労使の意見を聞いてみても、具体的にこの問題をどう解決するかということについては何ら出てこない。葛西さんは金がありませんというだけです。労働組合は、われわれの要求を何とか一つ満たしてもらわなければいかぬ、国家公務員に比べてうんと給料が低いのだ、五千円の一律アップをしてもらってもなお低いのですよ、こう言っている。日赤の方は、今までの給与の体系を見ると、旧国家公務員の給与体系を持ってきている。これは旧体系ですから、新しい体系に直したって、人事院の勧告の体系に直したって、これは理論的には悪くはない、こういう状態で平行線です。あなたの方も苦慮して手を打てない、こういうことではいかぬと思うのです。そこで私をして言わしめるならば、このストを解決するためには一つ方法がある。それはすでに慶応病院にそれが出た。どういう形が出たかというと、慶応病院は古井さん御存じの通り、中央労働委員会の会長の藤林さんのおる大学です。この大学は一体どういう解決方法を出したかというと、これはまず十月一日にさかのぼって、国家公務員と同じように千五百円のべース・アップをやりましょう。来年の四月一日からもう千五百円追加して三千円のベース・アップをやりましょう、こう出てきたのです。いわゆる三千円の一律アップというのは、今、日赤以外のその他の統一的要求として出てきております、こうやったわけです。そうすると、これは一体何で二段階に分けたかというと、これは私は推定ですが、推定をしてみますと、おそらく四月一日になったら政府が単価改定をやってくれるだろうという推定です。これは経営者がその推定に立っておる。それからきょうの葛西さんの答弁の中にも、金がありません、しかし私たちは今の給与体系を変えたいと思います。しかしその変えるためには、政府が医療費の改定を行なったときに、私たちはそれをやりたい、そうでないと一時金でしか考慮ができません、それはもう各病院長にまかしております、各病院にまかして、一時金については妥結したところがあります、こういう答弁なんです。そうしますと、きょうこれが終わったあとにはそれぞれの党が話し合って、何とかこのストに対する態度をきめようじゃないかというお話がございます。これは私は、やはり国会がそういう態度をきめようとするならば、政府がこの際手のうちを示さなければいかぬ。労働者の諸君も、経営者の諸君も、一つじっくり話し合いなさい、話し合うについては政府がある程度責任を持ちますよ、ここが大事なんです。これがないところに混迷があるのです。そうしますと、経営者でも苦しい中から一つ何とかしよう、こういうことになってくるのです。この点については、今あなたは医療のストに関係なく医療費の問題については検討中であるという御答弁をされたわけですね。これは率直な言い方でございますが、このストを解決する一つの突破口として、政府が医療費問題について検討中であるということは、おそらく引き上げるんだということだと思うのです。そうすると、予算編成をやっておるのだから、四月一日からは医療費の問題については引き上げるんだ、こう理解して差しつかえございませんか。すでに慶応その他は四月一日から三千円というのは、医療費引き上げを前提にしたと思うのです。この慶応病院の決定は東邦大学、慈恵医大、その他ストをやっておる大学に重大な影響を及ぼしてくる問題です。この各大学のストを、そういう形でもしやめれば、他の病院にも連鎖的にこれが鎮静剤となってくることは明らかです。従ってここらあたりであまり歯に衣を着せずに医療費の引き上げを断行するならするということを言って、あのマイシンに示されたあなたの腹がまえを一つお聞かせ願いたいと思います。
○古井国務大臣 医療費の問題がストの関連においても非常に重要な意味を持っておるという面もあるように私ども思うのであります。ただこの医療費の問題はストがあるから、ないからということでなしに、一体上げるものならば上げなければならぬものだと、ストがあろうがなかろうが今までそういう考え方できておるわけであります。同時に医療費はできるだけ合理的な基礎の上に上げたい、先ほども申しましたように、きょうの医療費には無理があるということは、私はどうしてもそう思うのであります。むろんきょうのままでいいと思っていないということであります。どれだけというのはできるだけ——今は不十分でしょう。ほんとうは御承知のようなわけで、医療の実態調査もできそこなってきましたわけですね、予算まで持っていくのに協力が得られない向きがあったりいたしまして、実態調査もできずにおるというようなわけでありますから、完全な資料が整い、これならどこへ持ち出してもというほどの基礎が築けるかどうかは、そこには自信が十分ありませんけれども、せめてできる限りのところで合理的な基礎をとって上げたい、こういうことでありますので、無理があるということは何としてもそう思います。そういうわけで、何ぼだかんぼだというところまではきょうはどうしてもよう言いません。これはもうちょっと時間をかけないと仕方がない問題だと思います。
○滝井委員 私はきょうは幾らに値上げしなさいということは質問はいたしません。しかし問題は当面燃えておるストを解決していくために、しかも経営者に交渉の場に自由に出ていく、その腹がまえを作らせるためには、やはり政府が医療費については不適正なんだから責任を持ちますという、ここが大事なんですね。これは今考えるとおっしゃるから、それは私はけっこうでございます。医療費の改定については考えます、額は言えない、それならば時期をいつにするかという、この程度だけは言えると思うのです。新しい予算が四月一日から発足いたしますから、四月一日から考えるかどうかという、この点なんです。私は一月一日から考えてくれというやぼは今申しません。新しい予算の発足する四月一日からもしこれを上げなければならぬならは合理的なものをやりましょう、こういうことになるかどうかということです。
○古井国務大臣 時期の問題でありますね。いずれにしても、これはもう言うまでもなしに来年度予算との関連においては最後的にきめるほかありませんから、予算をきめる時期まではっきりいたしませんが、まあ希望としてはできるだけ四月一日から上げたいものだという希望はきょう持っております。最後的なことは、今申す通りに予算を編成するときまで確定はいたしません。きょうはそういうところであります。
○滝井委員 これで大体おそらく使用者側は非常に明るい希望が持てると思うのです。そこで私はおさらいの意味で、一、二指摘をしておきたいのですか、それはすでに古井さんがそういうお気持になられたということのバック・アップをする問題として、この医療費改定をやって、今後ストを解決する一つの導火線をわれわれはぜひ作ってもらわなければならぬと思っておりましたが、さきに総選挙の終盤戦で大平官房長官も、年末の予算編成の際には値上げの額を考慮する、こういう言明を一つしておるということです。それから中山——あなたの前の厚生大臣が、党の首脳部がその気ならば、値上げの作業を事務当局に命じよう、こういうことで命じておるはずです。従ってこういう二つの既成事実がある。それから使用者の中で今度のストを何とか早く解決したいというのは、おそらく四月になったら政府が何らかの医療費の改定をやってくれるだろう、こういうことを考えて、すでに妥結をしたものがあるということです。従ってこういうところからあなたを支える勢力というものがわいてきておる、こういうことです。 それからもう一つは、労働省自身が、今の病院の状態というものは前時代的な労使関係で、これは改善しなければならぬということを、厚生省内部からでなくて、他省から、いわば兄弟のような省から言われておるということです。これはおそらく労働大臣自体も、あなたが今度やる場合にそれをささえてくれるだろうと思うんです。こういういいささえというものが出てきておる。 しかし、もう一つ悪い面が出た。この面については一つ積極的に古井先輩の政治力で解決してもらわなければならぬ。それはどういうことかというと、健保連、あるいは日経連を中心として、この値上げに反対をする声が相当あるということです。これはどうしてこういうことになるかというと、私はここで特に指摘をしておきたいのですが、一律三千円なら三千円のアップを断行しますと、少なくとも形態としては一律賃金の体系ができるのです。産業別の一律賃金体系が医療労働者についてはできるのです。これは日本における賃金体系に大きな影響を及ぼすということで反対をしておる向きがあるのです。この点については相当強い反対があるでしょうが、乗り越えていただきたいと思うんです。 もう一つは、医療経営の実態調査ができていないという意見です。これはすでに私は言質をいただいておりますが、大体四カ月かかれば、医療経営の実態調査にかわり得る、資料として使い得る頻度調査が大体できるだろうということは、森本さん言明しております。今年の終わりか来年の一月の早々には、まあ何とか理論的な筋の通ったものができると思います。そういう点で、御安心をこの反対については願いたいと思います。 それからもう一つ、これは難点ですが、医療費を決定する場合には中央社会保険医療協議会を開かなければならぬということです。これを四月までにはぜひあなたの政治力で決定をしてやってもらわなければならぬ。すでにカナマイシンについては踏み切られました。しかし、カナマイシンで踏み切られましたけれども、一応一月一日にやるのだ、こう踏み切って、その前に医療協議会が開催できれば、あなたのあやまちはそれによってつぐなうことができるわけなんです。やはりその努力をしていただく必要がある。せっかくそこまで踏み切られた古井さんですから、私たちはあなたを傷つけたくないのです。その場合にはわれわれも御協力申し上げたいと思いますが、こういう一つの問題点が医療協議会にはあるということです。少なくともこれを開くという努力を医療関係者に向かってやはり努力していただく。 それから三割の引き上げをしたら千二百四十億かかるんだというこの厚生省の宣伝というものが非常に大衆に行き届いておるということです。きょうは私は千二百四十億かかるその内容についての検討はやめます。しかしこれが相当大きなショックを大衆に与えておることは事実です。従ってこれの解明というものをやっていただかなければならぬと思うんです。 それからもう一つは、昨日大蔵委員会で税の問題が出てきた。大蔵省の、今後は社会保険の租税特別措置についてはやめますという言明が出てきた。これもこの医療費改定の問題、スト解決の問題に密接に結びついてくる問題です。これはやはり大きな支障になる問題です。 こういう五つばかりの支障になる問題点がございます。しかしあなたをささえる点も四つか五つくらいあります。こういうバランスの上にあなたはお立ちになっているのです。そこで私はきょうのあなたの言明を支持し、信頼して、すみやかに日本の医療制度なり病院経営制度を合理的なものにするために、あなたが勇往邁進せられる限りにおいては、僕らは一臂の努力をお貸し申し上げるにやぶさかでないと思いますから、一つ勇往邁進していただきたいと思います。そういう隘路がございますが、今のささえるもので隘路を乗り切る決意があるかどうか、あなたの決意のほどを聞かしていただきたい。 もう一つ最後に、カナマイシンをお使いになりましたが、もう一つザルコマイシン、マイトマイシンというものがあるのです。白血病やガンに対する、これらのものも当然一諸にお使いになるようにしてくれるのでしょうね。ちょっとそれだけつけ加えて、あなたの決意と、それをお聞きしておけばよろしい。
○古井国務大臣 今のカナマイシン以外の薬のことは、ここでは今すぐはちょっと申し上げかねます。きょうまでにきめたのはカナマイシンをやるということだけでありますから、その限度で決定したものであります。 それから、いろいろお話を伺って大いに啓発されるところが、率直に申してあったのであります。これは私の方から感謝をいたします。なお、お話にもありましたけれども、なかなか取り運びなどにもめんどうがありまして苦慮しておるのでありますが、しかし少なくとも医療費をどうするという問題については、是が非でも医療協議会にかけたいと思います。これは何としても医療協議会を軌道に乗せて、そこで審議をして、そして医療費の問題はきめたいと思います。また医療協議会を軌道に乗せる問題については、今までのあの通りの経過でありますから、たやすいこととは思いませんけれども、ぜひこれは一つ軌道に乗せるように取り組んでいきたいと強く考えております。順次、問題が次から次と、全体の医療制度の改善までには展開してくると思いますが、御理解の上で、御教示を願ったり御鞭撻を願ったり御協力を願い得るならば、まことにしあわせだと思いますので、その辺はよろしくお願い申し上げます。
○山本委員長 次回は明十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することといたしまして本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十七分散会