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36回国会参議院1960/11/30

法務委員会 閉会後第1号

発言数
52
登壇者
7
会派数
2
開催日
1960/11/30

会議録

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員の異動について報告いたします。  十月十九日付、坂本昭君が辞任、江田三郎君選任。  十一月五日付、片岡文重君辞任。  本日付、江田三郎君辞任、坂本昭君選任。高田なほ子君辞任、亀田得治君選任。  以上であります。   ―――――――――――――

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 検察及び裁判の運営等に関する調査の一環といたしまして、まず昭和三十六年度裁判所関係予算並びに昭和三十六年度法務省関係予算について調査を行ないたいと存じます。  本件に関して、当局から最高裁の栗本経理局長、法務省の近藤経理部長が出席しておられます。  まず、裁判所の概算要求につきまして、栗本経理局長から御説明をお願いします。

栗本一夫最高裁判所経理局長

○説明員(栗本一夫君) 裁判所所管の昭和三十六年度の予算について御説明申し上げます。  お手元にタイプ印刷の裁判所所管の書類がございますが、これに基づきますと、まず総額でございますが、昭和三十五年度の予算は百三十八億、千三百九十三万三千円でございましたが、来年度の予算要求におきましては、ここに書いてございます通り二百二十四億六千六万六千円という総額になっております。パーセンテージにいたしますと、これが一六四%になりますので、約六四%増しの予算の要求、こういうことになるわけでございます。  以下、内容につきまして御説明申し上げますが、「第二重要事項」と書いてございますが、それにつきまして重点的に御説明申し上げますと、まず第一に、第一審裁判の充実強化、ここに書いてございます通り、事実審であります地方裁判所につきまして、合議体による裁判を増加いたしたい。これは現在民事事件につきまして一五%、刑事事件につきまして二五%まで持っていきたいという希望でございまして、現状は大体この半分になっておると御承知願えればけっこうでございます。すなわち民事事件につきましては約七、八%、刑事事件につきましては一二%あたりが合議体によって裁判されておりますが、それを合議体による数を倍にいたしたい。それによって裁判の適正化をはかり、同時に審理期間を短縮いたしたい。これはカッコ内に書いてある通り、現在平均民事十二カ月、刑事六カ月でございますが、これを半減いたしたい。まあ平均でございますので、個々の事件につきましてはもっと長いものもございます。平均いたしますと、かような数字になります。審理期間を半減し、訴訟の促進をはかりたい。要するに審理の充実強化ということでございます。しかし、これは全国的に行ないますには、いろいろな経費の面もございますので、さしあたり問題になります大都会に実施いたしたい。書いてございますように東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、かような大都市の地方裁判所について実施いたしたい、こういう構想でございます。その予算の内訳は、ここにアラビア数字で1から6まで書いてございます。  まず1が判事の増員。それが八十八名。2が裁判所書記官等の増員。これが二百七十六名。判事の増員は、これは結局ここに書いてございます東京、横浜、名古屋、京都、こういうような地方裁判所に、今申し上げましたような構想で合議体を増加し、かつ審理期間を短縮するということをはかりますときに、大体百六十人ほど判事が不足という計算が出てくるのでございますが、これを二年計画と考えまして、さしあたり本年度は八十八名という増員をいたしたい。この判事が増員いたしますと、当然書記官等の補助職員も増員せざるを得ませんので、これが二百七十六名。かような数字になるわけでございます。  それから次に3が法廷準備手続室等の増築。これも人間がふえますと、当然かようなものがふえる必要がございますので、横浜、大阪、京都、神戸、名古屋の法廷十六、その他を要求いたしております。  4が検証用自動車、裁判事務能率器具等の整備。これは、いわゆる事務の能率化をあわせてはかっていきたいという観点からでございます。  5は証人の日当増額。現在証人の日当は、ここに書いてございますように二百三十円でございますが、いかにも低いと感ぜられますので、これを五百円に引き上げたい。証人の日当の増額は、審理の充実強化ということと直ちに結びつかないかというような御疑念もあるかもわかりませんが、証人の出頭を確保するということがやはり審理の充実強化促進ということに大きく響いて参りますので、証人の日当を増額いたしたいということでございます。  6が国選弁護人報酬の増額。これはここに書いてございますように、地裁でございますと、一件五千二百円平均ということになっておりまして、それを三〇%ほど値上げしたい。三〇%上げますと、ここに書いてありますように一件六千七百円平均となるのでございます。この程度まで上げたいという構想であります。  二、裁判官の待遇改善。これはやはりアラビア数字の5までに分かれております。  1が裁判官の報酬の増額。これが今度のベース・アップに伴います報酬の増額でございまして、特別なものを要求しておるわけではございません。一応予算の要求としては掲げざるを得ませんので、かようなことを掲げただけでございます。  2は裁判官管理職手当の拡充。これは三十五年度予算では、判事五百九人認められておりますが、このうち八七人が一八%、残余の四百二十二人が一二%になっておりますが、行政官につきましては、御承知の通り中央官庁におきましては二五%、ブロック官庁におきましては一八%、末端官庁におきましては一二%という管理職手当が支給されております。それにならいまして、最高裁長官、最高裁判事、高裁長官、地家裁所長、長官代行等――これは高裁の長官代行でございますが――かような人たちに対しまして合計三百二十一人おりますが、これに二五%程度の管理職手当を支給したい。総括裁判官等――これはいわゆる部長と呼ばれておりますが、裁判官でございます――この六百十四人に一八%、その他の判事全員が二百八十九人おりますが、それに一二%支給いたしたい。御承知のように裁判所には、裁判官といたしまして、判事と判事補、簡易裁判所判事というような分類がございますが、判事補と簡易裁判所判事を除きまして、その他の判事全員及び最高裁の判事、かような人たちに管理職手当を支給したい、率も多少高めたいという構想でございます。  3が裁判官調査研究費。これは最高裁裁判官に各月額三万円の調査研究費を支給したい、それから下級裁判事には各月額一万円の調査研究費を支給したい、この構想の予算要求でございます。現在裁判官につきまして三万円ちょっと切れますが、月額二万七千円程度の調査研究費が昨年度初めて認められております。従いまして、最高裁裁判官につきまして月額三万円というのは、これは数字をまるくした程度で、ことし通り認めてもらい得ますれば、この分は当然認めていただけるものだと思っております。従いまして、下級裁判事につきまして一万円という調査研究費が新たに要求になるということでございます。  4が最高裁判所裁判官退職手当の増額。最高裁裁判官につきましては、初めから役人であった方は、いわゆる恩給がつくわけでございますが、途中から弁護士等からいらっしゃいます方につきましては、必ずしもいわゆる恩給年限に達しないで、退職される方がございますので、さような方に対しましては、やはり何らかの方法をもって報いる必要があるということを考えて、結局、事務的には退職手当金を増額するのが一番適当ではなかろうかという構想のもとにこの予算案を提出したわけでございます。結局この内容は、既定の退職手当のほかに、勤続期間一年につきまして報酬月額六八〇%に相当する額の退職手当を支給したい。これは結局退職手当と申しますものは、勤続年数一年につきまして俸給の一カ月分というのが大体退職手当の額になっております。従いまして、十年で退職されます方は俸給の十倍を退職手当として――俸給と申しますと月給でございますね。月給の十倍を退職手当としてもらうという構想に現在なっておりますが、それに何ほどかをプラスしょうといたしますと、勤続年数一年につきまして、報酬月額の五倍にするとか六倍にするとか、そういうような構想をもっていかないことには、ふえないわけであります。で、この六八〇%という案を出しましたのは、公団の理事等にかような例もございますので、要するに、この構想によりますと、月給の七・八倍を一カ月分として、勤続年数一年につきまして七・八倍の報酬月額を掛けたものを差し上げたいと、かような構想になるわけであります。大体これで金額的に申しますと、現在のところで一番たくさんおもらいになる方でも千万円程度の退職手当になるわけでございます。まあさようなことになっております。  5が裁判官室の器具の整備。これは事務的なものでございまして、裁判官の執務環境を改善するために、下級裁判所の裁判官室備えつけの備品を整備したいというもので、机、器具等の金でございます。  三が補助機構の充実、これは裁判官、書紀官の事務量の増加に伴いまして、裁判所書記官を増員して裁判官の負担の軽減をはかるというものでございまして、その内訳が1、2となっておりますが、1が裁判所書記官補等の定員を裁判所書記官の定員に組みかえる。これは増員ではなくて、書記官補等を書記官に組みかえるというだけの金でございます。  2の裁判所書記官の増員、これがほんとうの増員でございまして、百五十二人の増員をはかりたいというものでございます。  四が判決前調査官制度の新設。これは前から問題になっておりますところの地方裁判所の刑事事件につきまして判決前調査を行ないまして、裁判の適正、つまり刑の量定、処遇等に適正なものをはかりたいということでございますが、それで地方裁判所に調査官として置きたいという構想でございまして、これは判決前調査官を五十人程度増員したい、各地方裁判所に各一人――大体一人という構想でございます。  2の講習会、裁判官会同印刷物等、これはまあ調査官がふえますれば、当然かような金が要るということでございます。裁判所は三、四年前からこの制度をとりたいと考えておりまして、毎年予算請求をいたしておるわけでございます。  五が家事、少年事件処理の適正化。これがまた1、2に分かれておりまして、結局1は家庭裁判所調査官の増員をはかりたい、これは何と申しましても現在調査官が足りませんので、百四十一人の調査官の増員をはかりたい。  それから2の凶悪犯少年の予後の実態調査、これは逐次増加の傾向にあります少年の凶悪犯罪の原因を究明いたしまして、処分後の成り行きを明確に把握して、今後の調査、審別の適切な運用に資したい、かような構想でございます。  六が調停制度の拡充強化。これは結局調停委員の日当の増額と日本調停協会連合会に対する補助金の増額とに帰するわけでございますが、日当の増額の方は、現在四百八十円になっておりますが、これは本年四十円増加されまして初めて四百八十円になったわけでありますが、それをさらに七百円に上げたい。それから鑑定委員というのが現在四百八十円でございますが、これをやはり七百円に、それから司法委員、参与員、検察審査員が五百九十円になっておりますが、これらをやはり一律に七百円に上げたい、そのような構想も合わせてここに含まれてございます。  それから2の日本調停協会連合会に対する補助金の増額、これは現在はカッコに書いてございますように六百七十九万円でございますが、これを一千万円に上げたいという構想でございます。  それから七が研修指導の充実強化。これもまたさらに四つに分かれておりますが、結局研修指導を充実強化したいということでございまして、まず1の司法修習生の増員、これは四十六名となっておりますが、これは、もう今回司法修習生の数は、すでに試験が終わりましてきまりましたので、四十六名の増員を必ずしも必要としないことになったのでありますが、八月当時には、かような構想で増員を要求しておったわけであります。しかし試験がございますので、試験に通りませんことには、必ずしも増員をはかるわけには参りません。  2が司法修習生の実務修習における偏差調整。これは、要するに司法修習生のいわゆる指導をなさる方々の研究会あるいは協議会というようなものの金でございます。  それから3の司法研修所教官の研究費。これは司法研究所教官におのおの月額五千円の研究費を支給したいという構想の金でございます。  それから4の裁判所書記官、家庭裁判所調査官の研修の拡充。これは研修の回数あるいは日数等を増したいというような金でございます。  八、人事管理体制の確立。これは人事管理機構を整備いたしまして、職員の服務規律の確立をはかりたい。具体的構想といたしましては、現在地方裁判所、家庭裁判所には、原則として人事課というものがございません。大きな地方裁判所にはございますが、それもわずかな二、三のものでございまして、原則として人事課というものがございませんので、さようなわけで、職員の服務規律の確立をはかりたいということ。具体的な内訳は人事課設置。結局事務官の増員になるわけでありますが、これが六十八人。その他の講習会、研修というのは、これはいわゆる講習会や研修を開きたいという金でございます。  最後が営繕費でございます。これは「別紙のとおり」となっております。その具体的な内訳は、さらにその次の紙に個々の地方の名前をあげて御説明申し上げておるわけでございますが、大体営繕費は、本年度は裁判所関係では十二億でございますが、大体その三倍の要求をいたしておりますが、例年この程度の要求をいたしておりまして、必ずしも要求といたしましては、多額とは考えておりませんが、大体要求の三分の一か四分の一しか認められないような実情でございます。特に一言付加させていただきます。大体昭和三十六年会計年度におきまして東京地方裁判所刑事部を完成させる予定でおりまして、その東京地方裁判所刑事部を完成させますにつきまして、なお七億、少なく見積もりましても六億五千万円程度の金が必要でございますので、全国の裁判所を考えて参りますと、十二億程度もらいましても、必ずしも潤沢とは申せないような実情にございますので、さような点を御了承おき願いたいと思うわけでございます。  きわめて簡単でございますが、以上によりまして裁判所関係の予算の御説明を終わらせていただきます。   ―――――――――――――

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 次に法務省関係の概算要求について近藤経理部長から御説明を願います。

近藤忠雄法務大臣官房経理部長

○説明員(近藤忠雄君) 法務省所管の昭和三十六年度概算要求の概要について御説明を申し上げます。資料につきましては、おそらくお手元に配付いたしておると思いますが、一応そういう手続をとっておりますので、お手元にございますれば、それを御参照の上お聞き願いたいと思います。  昭和三十六年度の概算要求は、総額で四百三十五億一千三百八十三万八千円でございます。そのうち標準予算額となっておりますのが百九十四億三千九百九十七万円でございます。その内訳を大別いたしますと、一般事務費が三百七十三億六千五百四十五万九千円でございます。そのうち標準予算額が百九十一億七千二百六十五万四千円でございます。営繕費が六十一億四千八百三十七万九千円になっております。なお、これもそのうちの標準予算額になっておりますのが二億六千七百三十一万六千円でございます。これを昭和三十五年度の予算額の二百九十億二千三百八十四万一千円、これには建設省所管の官庁営繕費が三億三千三百四万八千円を含んでおりますが、その額に対しまして五〇%の増額要求となっておるのでございます。  まず概算要求の内容につきまして申し上げます前に、一般的に法務省の予算の特異性ということを簡単に御説明を申し上げまして御参考に供したいと思います。  御承知のように、所管の各組織の所掌事務と申しますのが、法務省は非常に多岐多種類に分かれております。かつその性格もそれぞれ異なっておりますが、おおむね民事局、訟務局、人権擁護局などの所掌する何と申しますか、国民の権利擁護を主たる目的とするものと、刑事局、検察庁、矯正局それから刑務所、少年院さらに保護観察所あるいは入国管理局、公安調査庁というものが所掌いたします治安維持を目的といたしますものとに大別できるものと考えております。また、一般的に申しまして、法務省の予算はきわめてじみな事務的な予算であるということが言えるかと思っております。しかしながら、事務的な予算ではございますけれども、その事務と申しますものは、直接に国の治安あるいはまた国民の権利保全に関する、いわば民主法治主義の根底をなすというような、きわめて重要な事務であると考えておりまするので、このような重要な事務が数字の上に化体されました法務省の予算も当然これにふさわしい姿をとるべきであるという感覚を持っております。そういう観点から見まするというと、なおわれわれの所掌事務につきまして改善助長すべき懸案がたくさんあると考えておるわけでございます。  かかる事態でありますので、数年来所管の各組織の所掌事務を逐一分析検討いたしまして、機械化の可能なものにつきましては極力機械化をはかりまして、能率の増進をはかるとともに、人員の節約に努めておるのでございますが、その所掌事務のほとんどが人を中心とした事務でありますために、機械化にもこれはある程度の限度がございます。結局その大半を人というものにたよらなければならないというのが実際の姿でございます。法務省が毎年のように増員要求を掲げておりますのは、そのような所掌事務の性格自体に基づくものでございまして、その点、他官庁といささか趣を異にするものがあるかと考えておる次第でございますので、御銘肝をお願いいたしたいと考えるわけでございます。  そこで、明年度の概算要求を編成するにあたりましては、予算の有効的な執行を確保するためにも、極力事務の簡素化、能率化ということに努めましたが、そのような性格に由来いたしまして、結局三千四百九十二名の増員を要求しなければならなかったわけであります。この点、御賢察を賜わりたいのでございます。  次に、明年度予算において当省が特に取り上げました主要施策事項とその事業計画につきまして、簡単に御説明申し上げたいと存じます。  まずその第一でございますが、暴力犯罪対策等の治安対策の確立でございます。安保反対闘争、三池争議などをめぐりまして続発しました多くの違法事件とか、あるいは羽田の空港事件、さらには首都の一隅に繰り返されました集団による交番襲撃事件等がございますが、このような最近の治安情勢は、いろいろな内外の不安な客観情勢を反映いたしまして、各地において組織的、集団的な実力行動に伴う集団暴力犯罪の発生を見るに至りましたことは、われわれといたしましてきわめて憂慮すべき様相だと考えております。このような現状に対処いたしまして、治安維持の機能を拡充強化して治安対策の確立をはかる必要があると考えております。そのために、われわれは事業計画といたしましておおむね次のようなことを考えておるわけでございます。  第一は、公安検察の拡充強化でございます。本省刑事局公安課を拡充強化いたしまして約十一名の増員をいたしますとともに、検察庁においてもその人的、物的両面の充実、これは人員の面におきましては増員が百四十四名、それから採証器具等の整備を行ないまして、集団的実力行使を伴う公安事件に対しましては、その犯罪の実態を調査いたしまして、事件処理、公訴維持の効率化をはかり、強力な検察を実施いたしたいという計画でございます。その概算要求の内容につきましては、大まかなことを省略させていただきますが、総額といたしまして二億二千五百三十二万六千円、これは前年度の予算に比較いたしますと、前年度の予算が三千九百八十九万八千円でありますので、御対照をお願いいたしたいと思うわけであります。その内容につきましては、お手元に配付いたしました資料の通りの内容でございます。  次は破壊活動調査機能の充実強化でございますが、公安調査庁の調査活動機能を充実して、増員として五百二十一名を要求いたしております。そういたしまして、その合理化をはかり、調査体制の確立をはかるという計画でございます。金額といたしましては十三億六千四十四万一千円でございます。前年度の予算は御承知の通り五億八千六百七十四万四千円でございます。その内容につきましては、これまたごらんを願いたいと考えるわけであります。  第二は、公判審理の迅速、充実化でございます。最近の刑事裁判における公判審理の遅延と公判事務の増加の現状にかんがみまして、その迅速化、合理化を促進するとともに、第一審の充実強化方策に伴い、われわれの側から申しますれば、検察体制を確立する必要があるわけであります。そのような観点から、次のような事業計画を立てておるわけであります。すなわち、公判部設置検察庁――これは東京地検ほか七地検でございますが――におきまして、対応裁判所の一裁判部に一検事、一検察事務官をそれぞれ配置することによりまして、公判立会体制の確立をはかり、あわせて公判運営の技術面の合理化をはかりまして、第一審の充実強化方策に伴う検察体制を確立いたしたいという計画でございます。そのために百十四名を増員いたす計画でございます。これは検事、検察事務官を含めましてでございます。概算要求の額は九千五万三千円でございます。その内容につきましても資料をごらんいただければ幸いでございます。  第三は、非行青少年対策の推進強化でございます。わが国の次代を背負う青少年を健全に育成することは最も重要な政策であると考えるわけでございますが、成人犯罪はその傾向が漸く固定化しておるというように見られるのでございますけれども、それに反しまして青少年犯罪はその凶悪化、悪質化の傾向が依然として上昇の一途をたどりつつあります。このような現状に対処いたしまして、一貫した方針のもとに抜本的な各種施策を緊急に講ずる必要があると考えておる次第でございます。  事業計画といたしましては、まず第一が青少年検察の刑事政策的運営の強化でございます。法務省の刑事局青少年課の機構を拡充いたしまして、約九名を増員いたしますとともに、全国の地方検察庁の刑事資料調査室を拡充強化いたしまして、そのために九十八名の増員を要求しております。そういうことによりまして、犯罪の実態と犯人の素質環境を科学的に分析することによりまして、刑事事件の処理を合理化いたしまして、公訴権の行使を適正ならしめ、また保護矯正等の関係機関との有機的連係を緊密化することによりまして、犯人の改善、更正を期する等、青少年風紀、暴力犯罪に重点を置いた検察の刑事政策的運営の強化をはかり、あわせて一般に犯罪の予防と犯人の改善を強力に推進いたしたいという計画でございます。その要求の総額は七千三百三十七万二千円でございます。本年度の、すなわち前年度になりますが、三十五年度の予算は二百五十二万八千円でございます。その内容については、同様資料を見ていただきたいと考えます。  その次は、青少年犯罪者に対する保護観察機能の充実強化でございます。犯罪者の更生をはかりまして、犯罪のない明るい社会を築くということを目的とします保護行政は、刑事政策上きわめて重要な責務を負荷されておるわけであります。特に国家将来の興隆をになう青少年の非行防止を期する上につきましては、年々逓増しておる保護観察事件に対して、事件処理担当者である保護観察官の増員をしまして、その人員約二百四十八名を要求しておりますが、その事務負担過重を軽減いたしまして、保護観察の円滑かつ充実した運営をはかる必要があるのでございます。それとともに、地方裁判所甲号支部など六十九カ所に保護観察所の支部を設置いたしまして、それに増員百三十八名を要求しておりますが、それによりまして裁判所、検察庁からの事件授受の完全を期していく。また、遠隔地における保護観察対象者の保護観察を強化するとともに、保護司との連絡の緊密化をはかり、より一そうの保護観察の効果を期したいと思っておる次第でございます。  なお、更生保護会収容者の食事付き宿泊費について一人当たりの単価を、現行が一人一日八十五円になっておりますが、それを百十五円五十七銭に増額するわけでございます。また委託事務費を、現行が一人一日に五十六円でございますのを、九十四円二十四銭にそれぞれ増額いたしまして、更生保護会の充実をはかり、収容者の完全な更生を期するとともに、他方において保護司の活動を充実強化いたしまして、犯罪予防の世論の啓発指導、地域社会の浄化活動を推進いたしたいという考えで計画をいたしておるわけであります。  概算要求の総額は六億五百六十八万八千円でございまして、前年度の予算の二億六千七百二十五万二千円に対してその金額を要求しておる次第でございます。その内容につきましては、同様資料を見ていただきたいと思います。  第三は、少年院の強化活動の充実でございます。最近の少年犯罪の増加とその内容の悪質化は、そのまま少年院収容者にも反映いたしまして、収容人員も年々増加を来たしておる現状にかんがみまして、既設施設の整備、少年院の増設――これは仙台と札幌と高松の三カ所を予定しておりますが――によりまして、過剰収容の緩和をはかるとともに、教官を百三十四名増員することによりましてその補導を強化しまして、また被収容者の非行の原因を見ますというと、身体並びに精神的欠陥によるものが多数認められる実情でございますので、それに対処して医官等の増員を九十五名いたしまして、医療衛生等の管理面の充実をはかる。そういうことによりまして少年院の機構を人的、物的に整備強化して、収容少年の健全な社会復帰を強力に推進いたしたいと考えておるわけであります。要求金額といたしましては十六億二千三十六万九千円でございまして、前年度の予算六億七千九百九万六千円に対してこの金額を要求いたしておるわけでございます。  第四は、少年鑑別所の鑑別業務の充実でございます。非行少年に対する処遇の適正をはかるために少年鑑別所に与えられた役割は、きわめて重要でございます。でありますので、その鑑別機能を強化いたしまして、そのため増員三十七名を要求し、その業務の充実をはかり、少年の矯正補導をより一そう適正効果的にしようという計画でございます。これは本年度の予算の八百八十九万二千円に対して概算要求の総額は五千七百五十七万五千円でございます。  第五は、非行少年における再犯予測方式の研究等の充実でございます。最近の青少年犯罪現象と申しますのは、これはわが国のみならず、欧米の諸国にも見られる世界的な現象でございます。このような現象を招いた原因が、どこにあるかということを根本的に研究することによりまして、これを防遏する対策を研究し、この犯罪対策を樹立することは、きわめて大切なことであると同時に、当面急務であると考えるわけでございます。これのために法務省の法務総合研究所がその使命の一環として与えられておるわけでございますので、その責務を果たさすためにも、研究経費の充実をはかりましてその目的を達したいと考えておるわけでございます。そのような観点で概算要求の総額は千二百四万六千円を、昨年度の七百六十九万三千円に対して要求いたしておる次第でございます。  第四は、国連アジア地域研修所の設置の問題でございます。国連の社会防衛に関する技術援助事業の一環として、アジア、極東地域における犯罪の予防並びに犯罪者の処遇、特に少年非行の予防並びに非行少年の処遇の分野に関しまして、この地域の国連加盟二十一カ国ありますが、その地域諸国から派遣されます委託研修員の研修、研究及び調査を行なうことを目的としました研修機関を、本年の五月十七日閣議決定をしていただきまして、日本に設置することに相なったわけでございます。そのようなわけで、そのためにこのようなことをしようという事業計画を立てておるわけでございます。すなわち地域諸国から派遣されました委託研修員――これは各国から来るのが三十名を予定しておりまして、国内十名、合計四十名でございますが――これを予定しておりますが、その委託研修員に対しまして九カ月の研修期間をもって矯正、保護及び一般刑事司法の分野における行政監督者及びケース・ワーカーとして必要な教育、訓練を施すとともに、所要の調査、研究、出版、広報等の諸活動を行なう計画でございます。なお、国連より研修員のうち約十名分のフェローシップ及び所長、上級顧問等派遣要員に対する人件費並びに実験器具その他の備品整備費については財政的な負担がある予定になっておるわけでございます。日本政府の要求額といたしましては一億五千七百七十三万一千円でございます。このための人間といたしまして二十四人、所要経費が千五百二十九万九千円でございまして、そのほか庁舎等の新営費九千九百九十一万二千円、その初度設備費を加えまして総額といたしまして一億五千七百七十三万一千円という要求に相なっております。  第五は、刑務所作業の拡充強化の問題でございます。刑務所収容者の収容に要する経費の償却を目的としました刑務所作業の運営をはかりますために、刑務所作業推進年次計画を樹立いたしまして、生産、販売の態勢を改善整備し、経営、管理の合理化をはかり、作業の能率的な運営を行ないまして、あわせて受刑者の労働生産性を向上せしめて、社会的な適応性をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。そのために、予算といたしましては十六億六千四百三十万七千円の要求をいたしております。昭和三十五年度分の予算は十二億四千六百九十三万三千円でございます。そのため若干の事業用器具の整備とか、原材料費の要求を出しているわけでございます。  第六は、一般法務行政の充実強化でございます。一般法務行政が適正円滑に行なわれるかどうかということは、御承知のごとく国民の権利義務に直接影響するところでございます。そうであるにかかわらず、これらの事務量は年々増加しておる現況でございます。そこで、予算の有効的執行を確保いたしまして、迅速適正な処理が望まれる次第で、それぞれ現状を逐一分析検討して予算的な措置を講ずる計画を立てる必要がございますので、そのような考えのもとにそれぞれ要求いたしておりますが、そのうち主要なものを概括的に申し上げますと、次の六つの項目と相なっておる次第でございます。第一は、登記、台帳事務の迅速処理の問題、これは増員として九百四十一名の要求をし、若干の能率的事務器具の整備等を考えております。それから第二は不動産登記制度の改正事業の推進でございますが、これは御承知のように超過勤務手当その他旅費、庁費等の手当てをいたしたいという考え方でございます。第三は、訟務事務の円滑適正な処理をいたしたいために増員を六十九名考えております。それから人権侵犯事件調査の充実強化をはかるために、増員並びに旅費、あるいは実費弁償等を考えておる次第でございます。第五は、出入国審査業務の迅速適正な処理をやるために、羽田の空港の出張所、現在出張所でございますが、それを事務所に昇格いたしたい。それで、そのほか各地の港出張所の機構を整備いたしたいということでございます。さらにもう一つは、最後の点といたしまして在留外国人対策の適正化のために、外国人登録記録の整備充実をはかり、それから不法入国者の防遏の経費を考えたいと考えておる次第でございます。  最後に営繕費の関係に相なるわけでございますが、法務省所管施設は検察庁、法務局、公安調査局、入国管理事務所、保護観察所、少年院、少年鑑別所等、非常に多岐にわたっておるわけでございまして、その各地の施設の総数は三千三百余庁に上っておるわけでございます。それらの施設には完備された施設を有するものはきわめて少のうございまして、まだ国有の施設を有してない借り上げ庁舎等の一部で執務をいたしておりますもの、あるいは裁判所と同居いたしておりますものもございますし、また建築年度が非常に古うございまして、建築後数十年を経過した老朽建物を使用しておるものも非常に多いわけでございます。治安の確保、権利の保全、犯罪人の矯正保護等のためには、いわゆるわれわれの重要な所掌事務というものを適正円滑に遂行するためにも、また一面国民の利便の上におきましてもはなはだ遺憾な面がある実情でございます。これらの改築あるいは新築につきましては、現在の国家財政を考え、数年前から長期――一ぺんというわけにもいきませんので、数年前から長期営繕計画を立てまして、緊急度の特に高いものから逐次実施することにいたしており、逐年若干の増額を認められておりますけれども、何分にもその数がきわめて多く、われわれの考えますところからいいますれば、なおその希望するあるべき姿から見て、はるかに遠い姿になっておるのでございます。その点につきまして特別の御配慮をお願いいたしたいと考えるわけでございます。なお、刑務所の移転問題の対策といたしましては、御承知のごとく各地の刑務所がいずれも都市の中心に、時代の変化とともに、なっておる現状にかんがみまして、こういう問題につきまして十分な検討をしなければならぬ実情になっておるわけであります。種々慎重な検討をいたしました結果、特に緊急度の高いところから考えまして、われわれといたしましては本年度におきまして浦和刑務所外五カ庁において二十三億八百余万円の国庫債務負担行為を要求いたしておるわけでございます。国庫債務負担行為にいたしました理由は、御承知のごとくとうてい一度に要求するということにつきまして十分な手当もできません国家財政の現状を考えまして、こういうふうな考え方で進んでいきたいと思っておるのでございます。  なお、営繕費の総額といたしましては六十一億四千八百三十七万九千円の要求をいたしております。前年度の予算は御承知のごとく十七億四千三百三十九万円でございます。こういう数字でございますので、特別御配慮をお願いいたしたいと思うわけでございます。  以上をもちまして、簡単でございますが、法務省所管の三十六年度概算要求の概要の御説明を終わりたいと思います。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 以上をもって説明を終わりました。  速記を止めて。    〔速記中止〕

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 速記を始めて。  本件に関する本日の調査は、この程度にとどめることといたします。  これをもって暫時休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩    ―――――・―――――    午後二時四十九分開会

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  樺美智子の死亡を中心として六・一五事件をめぐる人権問題に関する件について調査を行ないます。  本件について当局の出席者は、小島法務大臣、竹内刑事局長、木村参事官の諸君であります。  御質疑のある方は順次御発言を願います。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 すでに当委員会では八月の十日、それから十月の十七日と二回にわたって六・一五事件をめぐる樺美智子さんの死亡の問題について審議をいたして参りました。専門的、技術的かつ具体的ないろいろな質問をいたしましたので、出席議員の各位におかれましては、専門的な面について聞き苦しくお感じの方がおられたかもしれませんが、私は政治的な扱いというよりも、もっと具体的に追及する必要がこの際は特にある、そう考えましたので、従来そういう審議の仕方をとって参ったわけであります。  前二回の審議を通じて感じておりますことは二点ございます。それはこの六・一五事件というものの事件の本質がまだ十分に明らかにされていない。これは当然当委員会としては明らかにして、はたして国際共産主義の手先のなせる集団暴力の結果であるか、あるいはもっと別の背後関係があるか、そういう点を明らかにする必要がどうしてもある。それは特にこれからの日本の政治を進める上においても必要であるという点が第一点であり、もう一つは特に私の質問に対する答弁、その内容を通じて、どうも検察当局に対して、私並びに国民の多くの人たちが不信感を持つに至っているのではないか。特にこのことは、検察当局に対し国民が不信の念を抱くということは、非常に許しがたいことであります。でありますから、これは当然当局としても責任を持って正しい答弁をされる必要がある、そう感じまして、本朝来、検察当局の出席の問題についてもいろいろとお互いに率直な意見をかわして参ったのであります。でありますので、本日はこの第一回、第二回の質疑を通して、少しも明らかにされていない問題がある。それらについて一応整理をしていただきたい。私はまだ本日をもって最終的な結論にまで至るつもりはありません。むしろ検察当局が自主的に、みずから正しい検察の姿を国民の前に出してもらう。そうしてわれわれの不信感というものをみずから排除していただきたい。私は主としてそういうつもりでお尋ねいたしますので、法務大臣並びに関係の局長におかれては、私並びに国民の納得のできる御答弁をしていただきたい。ことに前十月の十七日に幾つかの具体的な質問をしております。中には文書をもって出してもらいたいと申し上げてあるにかかわらず、まだ全然出ていない、そういう点がありますので、それらを整理するために、これから若干お尋ねをいたして参ります。  まず、先般十月の十七日に、数枚の写真をもって、樺美智子さんの倒れる前後の警官隊との接触状況及び倒れた場所、またその運搬経路が地検の発表したものと違っているということを私としては明らかにしたつもりであります。特に先般の文書回答によりますと、「諸般の事情から見て、南通用門向って左側柵外でP君が受け取り宣伝カーの側まで運んだ女子学生が樺であると認めざるを得ない。」と断定してありますが、前回私の説明した通り、樺さんは南通用門の中を通って運ばれているのであって、P君が運んだのは樺さんではないということになる。従って、地検の想定した人なだれ圧死は単なる仮説ということになるのではないか。しかも、南通用門左側さく内で終始配置についていた警察官の供述も疑わしいということになるのではないか。疑わしいこれらの事実を積み上げて不起訴処分を決定したということは、非難のそしりを免れないだけでなく、私は責任問題ではないか、そう考えるものであります。で、前回法務大臣は、八月十日に、新しい証拠が出れば再び捜査をするということを言っておられますが、十月十七日に私の出した新しい証拠に基づいて、どういう御見解をとられ、またどういう処置をとっておられるかをまず承りたいと思います。

小島徹三自由民主党法務大臣

○国務大臣(小島徹三君) 御承知のように、その後選挙等がございまして、私選挙の方に参っておったりいたしまして、十分なる調査が進んでおるかどうか、私実は今のところ存じませんけれども、私は、検察当局といたしましては、もう自信を持って不起訴処分にいたしまして、その後坂本委員からのお話もありましたから、私は刑事課長の方で、おそらくそういうことは検察当局にも伝えまして、研究をしておると思いますけれども、その後、実は今のところその報告を用いておりませんので、いずれ確かめました上で御返事いたすことにいたしたいと思います。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 私は、その八月の十日に言われた、新しい証拠の出てきた場合には再捜査をするという、あの御答弁にはもちろん責任を持たれるはずだし、そういう決意は少しも変わっておられない、その点は間違いありませんね。

小島徹三自由民主党法務大臣

○国務大臣(小島徹三君) その点は間違いございませんし、私その後刑事課長から、何か書面によって返事をするということで、一応書面の――詳しくは存じませんけれども、一応書面らしきものを見せていただきまして、おそらくそれに出ているものとばかり思っておりましたが、出ておりませんのでしょうか。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 ええ、出ておりません。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 十月十七日にこの委員会に出席いたしまして、坂本委員から数点についての御質問に対する答弁を留保した点がございます。その後の調査をいたしました結果につきましてお答えを申し上げたいと思います。  まず第一は、六月十六日付の産経朝刊に掲載されました、私服警官三名が一人の女子学生を捕えている写真についてでございます。これは調査の結果によりますと、私服警官三名が女子学生を逮捕しようとしているときの写真でございます、この女子学生は、逮捕をされた後に、病院へ参ります途中で所在不明になっております。学生の名前は一応推定されておりますけれども、まあ学生という立場でございますので、名前を申し上げることははばからしていただきます。なお当人は、その後、呼び出しをかけておるのでございますが、応じてくれないために、その点の捜査が進行していない。鋭意説得をして、呼び出しに応じてもらうように努力をいたしておるというのが、検察庁のただいまの状況でございます。  それから第二点は、デモ隊後退の際の旧議員面会所東北角付近における負傷者六名の受傷状況についてでございます。これは速記録の十二ページのところにございますように、書面をもって報告をしてほしいという御要望がございましたが、当時河井刑事課長から「書面をもってあとで御報告申し上げるということをお約束いたしますよりも」と言って、書面でお答えするというふうにはなっておらないようでございますが、それはそれといたしましてお答えをいたさなければならないわけでございまして、名前を今申したような理由ではばからせていただきますが、そのうちのA学生は肋骨亀裂、肩部打撲、重症で入院をいたしております。それからB学生は右足指の出血、これは軽傷でございます。それからC学生は肩腕部打撲、頭部腫張、これは軽傷ということになっております。D学生は腹部打撲、両眼充血、これは中傷、そういう術語があるかどうかわかりませんが、重傷と軽傷の中間くらいな傷の程度でございます。それからE学生につきましては頭部、胸部、左膝部打撲、これは軽傷でございます。F学生は右下肢挫創、これは中傷で病院に通って治療を受けている。以上六名の学生はいずれも取り調べの結果によりますと、警察官と接触しておらないようでありまして、これらの傷は警察官から受けた傷ではないというふうに推定されておるのでございます。  次に第三点、樺美智子さんの受傷の場所についてでございますが、先生から後に申し上げますようないろいろな御提示、御質問の趣旨等も十分考慮をいたしましたけれども、やはりその場所につきましては九月六日付の提出をいたしました「いわゆる樺美智子死亡事件について」と題する書面に記載をしたような事情であるということに相なっております。  次は現場写真四枚によって認められると御主張になっております樺美智子さんの受傷の場所、つまり七トン・トラック付近の点でございますが、この点につきまして調査をしております。結果を申し上げますと、坂本委員かお示しになりました現場写真と地検が見ております現場写真とが同一であるかどうかということは確認する方法がないのでございますが、地検においては、ここで見せていただきました写真とよく似たものを検討しておるということがうかがえるのでございます。その他、地検で検討しております現場写真に出ておる戦闘帽をかぶった男でございますが、この戦闘帽の人は取り調べ済みでございます。名前もわかっておりますが、学生でございますので、名前を先ほど申しましたと同じ理由で省かしていただきたいと思います。で、この戦闘帽をかぶった人が介抱したという女性がどういう傷を受けて、またどういう手当を受けたかということ、また、その婦人が実は歩いて帰ってしまっておるのでございまして、この歩いて立ち去ったということも取り調べによりまして判明いたしております。この女性が樺美智子さんではなかろうかという御疑念が坂本委員の御質疑の根底になっておるように私も伺ったのでございますが、この女性につきましては、樺美智子さんでないということが捜査の結果明らかになっております。ただし戦闘帽をかぶった人は、自分が救い出した女性は樺美智子さんであると信じているというふうに述べておるようでございますが、その人が樺さんでないことは、当時全学連宣伝カー内にあって救護活動に従事しておりました看護学校の生徒らの供述によりましても明らかであるというふうに検察当局は考えております。  以上が答弁を留保しておりました四点でございまして、お答えを申し上げたのでございますが、先ほど冒頭に仰せになりました六・一五事件の性格というような点、それから検察に向けられた不信感というような点につきまして、私どもも六・一五事件の性格が明瞭になりますことを希望しておりますし、もちろん検察当局に不信がかかっているということであるならば、これは取り戻さなければならないのでありまして、この事件に対しましては、捜査の結果を異例なほどに詳細に発表いたしまして、疑念にこたえたつもりでございます。ただ、しかしながら前の事件の性格という点につきましては、検察当局の捜査は、もっぱら犯罪事件を追及しておりますので、そういったような地検の政治的な意味における性格というようなことは、捜査それ自体からは、なかなか反映しにくい点をあわせて付け加えさせていただきたいと思います。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 まだ御答弁が漏れているものがあります。たとえばあのときも重ねて前回質問の第八、第九、第十、第十一に対して私はあらためて地検としても答弁をしてもらいたいということを重ねて私から申し上げた、その点についてはもう全然答弁をしないという御方針であるかどうか。  それから最初のトラックに火をつける写真に載っている疑問の学生、これを調べたかどうか、これは一例として、これほど明らかな事実についても地検は捜査をやっていないのじゃないか、それで、このくらいのことは明らかにしておく必要があるということの一例として私は申し上げた。ここにちゃんとした写真があります。はっきりと一番最初に火をつけたところの操作をしている写真、新聞の先に火がついて――委員長から見ていただいて、法務省の方でも見て下さい。あなたの方で戦闘帽の学生がだれだということを調べておられるとするならば、それぐらいのことは当然調べておられるはずだと思う、そうしてそれが学生かどうだか。あなたの方の説明によると、全部学生が火をつけて、全部学生がこわしていることになっているが、はたしてそうかといって、私は地検の捜査が非常にずさんだから、一例をあげてそれはだれだということを調べてあるかといってお尋ねをしている、その件も抜けております。まずとりあえず、その二つの補足をして下さい。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 死亡事件についてというあの書面によってお答え申し上げました八問以下の医学的な見解につきましては、前回も私なりにここで御答弁申し上げた次第でございましたが、地検当局といたしましても、医学的な意見につきましては、みずから意見を述べるということにつきましては、大体私が述べたようなことを申しておるのでございまして、そういう意味において、特に地検から御報告申し上げるような意見を引き出す、聞くということはできなかったのでございまして、その点御了承願いたいと思います。  それから、なおただいま見せていただきました写真の、火をつけたという点につきましては、別件事件がたくさん残っておるのでございまして、その関係の事件としてただいま捜査中でございます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 先般あなたのお答えでは、十分お答えができますかどうかもう少し研究をさせていただきましてというふうな表現を使っておられるので、私は当然研究をされて、しかるべき御回答がいただけると思ったところが、地検の方からは何の説明ももらえなかった。だから私は地検に聞きたいと言っているわけです。地検の、少なくとも検事正なりあるいは主任検事にその点の――何もこれは秘密事項じゃありません。われわれとして納得できないから説明してもらいたい。だからあなたのように、実はこれ以上地検の方も御説明をいたさない、私もこれ以上何もできないということになってしまったら、こっちの聞いたことがいつまでたったって回答が求められないということになる。  それから今の一点も、火をつけた問題も、これははっきりとあなたの方の不起訴処分の説明の中に、とびらを破り、自動車に火をつけて学生が入ってきてというところから説明が始まっている。だからその説明そのものが根本的におかしいじゃないか。ほんとうに学生がとびらをはずし、破り、そうしてまたトラックに火をつけたのかどうか。私は最初に火をつけた学生は、これはどうも学生ではないのではないか、率直にいうと。私も学生の代表に当たって調べてみました。少なくともあの場合に、先頭に立ってリーダー格をやっておった連中はみな知っている、しかし、このような学生はわが校には存在しない、これが全部の学生諸君のまず一致した見解であると私は理解している。だから最初の出発から、地検の説明には納得できないものがある。だからこれを明らかにしていただきたいということで質問申し上げている。が、もうすでに四カ月以上たって、今でもまだ捜査の段階だ、一体いつになったら御答弁いただけますか。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 捜査が進行いたしまして、御答弁申し上げる時期が早いことを私も希望しておるのでございますが、前回のときもちょっとお答えをしたのでございますけれども、六月十五日の事件というのは、非常にたくさんの事件が出ておるのでございまして、重ねてここで、数字を調べて参りましたのでお答えを申し上げますと、告訴、告発事件の件数は、合計百五十八件でございます。告訴、告発事件における被害者の総数は七十名でございまして、その七十名のうちで、告訴人になっておる方が三十五名、告訴人以外の傷を受けたといわれる方が三十五名でございます。そうして被告発人、告発を受けた警察官の合計は四千百五十二名でございます。現在までの取調べの状況を申し上げますと、大ざっぱに申し上げまして、被害者のうち、七十名のうち、取調べ済みは六十四名でございまして、残りの六名の方はどうしても調べに応じて下さらないということで、調べ未了の状況でございます。一方、被告発人である警察官につきましては、第五機動隊の四百三十六名のうちで百三十一名をすでに取り調べておりますが、まだ全体の小部分しか取り調べが済んでおりませんので、全体的に捜査が進行しておりますものの、まだ報告を申し上げる段階ではないというふうに考えておるのでございます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 この六・一五の問題は、樺さんの死亡を含んで確かに非常に複雑な、多種多様な問題を含んでおる。だからあなたの方でも非常に慎重な捜査を必要とするとは思いますが、じゃ、なぜこの樺美智子さんの死亡事件のみ、八月の六日に不起訴処分という、非常に早い決定をされたのですか。もっと全般的に、私は関連して、捜査の慎重を期すべきものがたくさんあったと思う。これだけ非常に早く結論を出して不起訴処分にされた理由はどこにあるのですか。それだけはっきりとした捜査が整っておりますか。今の話では、私は整っておるとは思われない。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) この六・一五事件にたくさんの暴行、あるいは先ほど写真で見せていただきましたような事故が起こったのでございますが、何と申しましても、人一人がなくなっておるわけでございます。もしこれが殺人であるということになりますれば重大事件で、そこで樺美智子さんの死亡という現実の事実につきまして、最もすみやかに、最も重点を置いて取り調べをいたしたのでございます。それと、この死亡をめぐりまして、御承知のように警察官の扼殺であるというような御意見もありますし、はたしてそうであるか。もしそうであるということならば、これまたゆゆしい問題でございます。さような重大事件でありますので、全力をあげまして解明に努めたのでございます。そうして、この部分につきましては捜査を終わりましたので、不起訴処分にいたしたのでございますが、他の事件につきましては、先ほど申し上げたような事情でお答えしたような次第でございます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 先般私は栗原という人の名前をあげて、その所属と官氏名を報告されたいということを一つ質問としてつけ加えたのですが、これについても御答弁が行なわれていない。これはいかがですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 地検についてその点をただしてみましたが、地検当局におきましても、栗原某という方は調べていないようでございます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 さらに、じゃ申し上げますが、今の週刊サンケイに載っておったこの私服警官は、もちろん取り調べられたはずでしょう。その中に栗原という人はおらないのですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) その点、御満足いくような御答弁ができなくて申しわけないのでございますが、週刊サンケイの中に出ておる三人の私服警官の中の一人のようでございますが、今確認をいたしておらないので、ちょっと調べておらないように私申し上げたのでございますが、さっそく今直ちに電話をかけましてその点を確かめてみます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 先般のあなたの方の答弁では、女子学生に対して暴行を加えていることが認められる写真は一枚も発見されていない。これは、暴行とはどれを言うかという厳密な問題も起こってきますが、少なくともこの女子学生は、あなたの方も大体名前はわかっておられる。もちろん私もわかっています。そしてこの場合、彼女は無抵抗であり、彼女の被服は破れています。そしてまたこうした場合に、国会議員の数名の者が、こうした暴力を伴った逮捕に対して非常に強い意見も述べて、それをたしなめている。そういう事実もある。私たちはこういう事実をあげて、当夜警官の行為に法を越えた暴力的な行動があったのではないか。だからそういうことが樺美智子さんに対しても加えられる可能性があったのではないか。それらの点を十分にどこまで調査をしたかと言って第一回、第二回と重ねてお尋ねをしてきた。そしてその証拠としてこのような満天下に流布せられた写真も例としてあげた。しかし、あなたの方では十分な納得のできる御答弁もして下さらない。  で、これについて、この写真は単純なる逮捕なんですか。このときに彼女が無抵抗であったのにかかわらず負傷したとか、そうしたことについては何ら取り調べはしておられませんか。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 私どもの承知しておりますのでは、逮捕でございます。先ほど申し上げた通りでございます。そこで、その逮捕に際しまして、逮捕の域を越えて、ただいま御指摘のような乱暴ろうぜきがあったかどうかということは、これは検察官としても十分捜査しなければならない事項でございます。それにいたしましても、その女性が取り調べに応じてくれないというようなまあ状況があることを私は承知しておるのでございます。進んで協力をしていただくことを私は希望いたします。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 呼び出しに応じていないと言われますが、一体何べん呼び出しをかけたんです。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 何べん呼び出しをかけましたかは、また調査いたしまして御報告申し上げます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 先ほどの御答弁の中にはまだ幾つも問題点が残っております。たとえば圧死を伴うほどの人なだれの中で、負傷者が六名、しかも重傷、肋骨亀裂の疑いというのが一例で、あとは中等度あるいは軽傷である。こういう点も、従来の医学常識から言って一人の圧死を伴う場合にはもっと重傷の人がその周囲にはおらなければならぬ。まあこういう点はあなたと議論しておっても水かけ論になりますから、次の写真の点について、今の御答弁を承るとよく似たものを検討したと言われておりますが、よく似たものというのは何枚であり、一体どれに似たものを取り上げておられたのか。この際明らかにしていただきたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) よく似たものと申し上げたのは、同一のものであるということが確認できないので、私の方で見せていただきましたのと、地検で検討をされたと思われる写真等を見比べまして、非常にたくさんの写真の中でございますので、あるいは三枚ともあるかもしれませんが、私が気がつきましたのは、戦闘帽をかぶっておる男のついている写真でございます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 その戦闘帽をかぶった――女性はあなたの方の取り調べによると歩いて帰ったと、歩いて帰ったという証拠はどこにあるのですか。これは非常に重大なことですから、根拠を一つ明らかにしていただきたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) これは先ほども申し上げたように、その戦闘帽の人も調べておりますし、その写真のときに出ております女性の方の名前もわかっております。それから救急車ですか、そこに入っていた人たちの供述等によりまして明らかになっておるということを申し上げておきます。そういう捜査の結果でございます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 これはえらいことになってきました。もし今その名前が違っておったら、これはこの捜査は初めからやり直しになりますね、よろしいですか。――いかがですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) よろしいかというのはどういう意味かよくわからなかったので、御答弁がしにくいのでございますが、真実を発見するというのが検察の立場でございます。真実に反したものでありますならば、幾らでも、大臣も御答弁申し上げたように、何ぼでも真相を明らかにするために努力いたしますことはやぶさかでございません。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 それでは、この前私は確信を持って樺美智子さんの死体であると申し上げた写真が三枚ある。そしてあなたはその人は名前のわかった歩いて帰った人だ、こう言われる。非常に大きな食い違いなんです。この前お見せしましたこれが七トン・トラックの前輪の下から出された直後の写真、それからそれをすぐ戦闘帽をかぶった学生並びに角帽をかぶった学生が二人で運んでいる写真、ちょうど七トン・トラックの車の前を行っておる写真、さらに同じ姿勢で戦闘帽をかぶった学生が南門の通用門の中を外へ向って出ていこうとする写真、この三枚を私はお見せしました。そしてこの三枚について、一貫してこれは同じ人物であり、かつこれは樺美智子さんである。だからあなたの方の言われる植え込みのそばあたりで倒れたという場所と、それから南門の向かって左のさくの上を越して運んだということは事実と非常に違う、その点を十分調べてあるか、これが事実と違っておれば、地検の不起訴処分決定の説明もみんな食い違ってくるのじゃないか、だからとくと調べていただきたい、そう申し上げたところが、あなたの方は、この人は名前がわかっておって、歩いて帰ったと、だからそれが事実だとするならば、これはゆゆしい問題だというわけなんです。あなたの方で確信を持ってこれは樺美智子さんでないという証拠があるならば提示していただきたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) ただいまお話の写真は、この前同一物があるかどうかという御質問が第一にございました。同一物であるかどうかはお借りしていって比べてみないとわからぬからお答えできないということを申し上げたのでございます。まあできればお貸しを願いたいと言ったのですが、貸すわけにはいかぬということでございました。で、私の目で印象に残っておりますものと、地検が捜査しておる写真とを見比べまして、その中の一枚は戦闘帽の点で私記憶に明らかなんですが、その写真の点で、それらしいものが地検でも検討しておるということがわかったわけでございますが、地検当局におきましては、その点、その戦闘帽の者の名前もわかっておりますし、実は別件で起訴されておるわけです。それはもう明らかになっております。その関係につきましては、明確な捜査をして、樺美智子さんではないという確信を持っておるということを申しておりました。そういう点を御報告申し上げます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 その明確な確信が違うということを私は指摘しておるのですよ。違うのですよ。私ももちろんあなたの方が調べたくらいのことは調べてある。それからこの前あなたが私に貸してくれといった写真は、裏を見せたでしょう。共同通信フォト・サービスにちゃんとあるのだから、何も私から借りぬでもいいから、そのくらいのことは地検だってやりなさい。国会議員に借りなければ捜査ができないようなことではどうなりますかというので、だから何も貸してやらぬということではないのです。それくらいの捜査もやらないでおって、これは不起訴処分で問題をやみからやみに葬ってしまう、そういう態度が国民が信用できないということなんですよ。私は、とにかく今の段階では地検を信頼できません。少なくとも必要ならば私だっていつでもお貸ししますよ。私だけが手に入れる写真では決してない。だからこれらの点に基づきまして、今のように、その戦闘帽の人がかついでいるところの人が樺美智子さんでないというならば、だれだということを返答して下さい。そうして、その人の素顔写真があるならば、名前は要らない、素顔写真を持ってきて下さい。私もその本人に、率直に申し上げて、会って聞いております。が、こういう雑踏の中のことです。記憶というものは非常にあいまいであります。しかしこの現場写真というものは、これは事実を曲げることができない。だからその点で、あなたの方は、地検の言うことを確信を持って間違いないと言っている。だとすれば、あなたが幾ら受け売りしても、これ以上私が突っ込んで聞いても、あなたの答弁では満足できない。だから地検の責任者に来てもらいたい。そうしなければ、これ以上お尋ねすることもできない。そういうことに相なるわけです。決してこれは単なる一事件ではなくて、非常に重大なる、また地検当局の信頼の問題にかかわるので、十分慎重にやっていただきたい。何か今のことについて、大臣として御見解があるなら述べていただきたい。

小島徹三自由民主党法務大臣

○国務大臣(小島徹三君) 地検といたしましては、おそらく慎重に慎重を加えて捜査した結果を発表したものと存じますが、もし検察庁の不起訴処分に対しまして非常に疑問があるということでございましたならば、検察審査会もあるわけでございますからして、その方でしかるべく御調査願いたい、私はそう思うのでございまして、実際問題といたしまして、私も長らく法務委員をしておりましたが、現場の第一線に立っておる人間をここで調べるということは、ついだんだんと調べていくうちに、真実をここで調べるということはけっこうなんでございますけれども、その調べる内容について、いろいろな質問が出て参りまして、まるで検察庁がやるべきことが国会でやられるとか、あるいは裁判所がやるべきことが国会で非難されたり、またいろいろと調査されるということになりまして、どうもその辺に問題が起きてくるのではないか、かように私も思いますので、第一線の者はできるだけ国会には遠慮さしていただく。そうして検察庁の取り扱いについて不満の点がございましたならば、検察審査会でやっていただく。こういうふうにしていただくのがいいのじゃないか。実際において、具体的な質問になって参りますれば、つい言葉のやりとりの上で、だんだんと国会が調査の内容について関与してくるということになるものですから、その辺になってくると、非常に問題が起きてくるのではないかと思いますので、私は従来の経験から申しまして、第一線の者を国会に呼ぶことは御遠慮願いたい、そうしてしかるべき機関がありますので、その方でやってもらいたい、このように私は考えております。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 今の大臣の御答弁については、また私たちとしても、十分慎重に審議を進めていきたいと、そう思いますが、ただ死亡事件については、すみやかに結着をつけたいという趣旨のもとに、この樺事件の不起訴処分については、できるだけ早期にこういう措置をとったのである、こういう御説明がありましたが、その趣旨はもっともだけれども、できるだけ早期にということが誤りの結論をもし導いたとするならば、これは非常にゆゆしい問題であると思います。そのことについては、当然法務大臣がこれをよろしく指導すべき責任があったと思う。私はそういう点で、法務大臣として、これはもう前法務大臣の責任の問題になるかもしれませんが、はなはだ慎重さを欠いたということで、今まで具体的に、地検当局が不起訴処分にしたときの説明の一つ一つを反駁して参ったわけであります。  さらにもう一つ申し上げたい点は、今の写真の点については、どうも一番大事な点において、地検の見ているものと私の見ているものとの間に、どうも食い違いがあるようであるので、この取り扱いについては、また別途に私は考えていきたいと思っております。私だけが何も死蔵している材料では決してありません。真実を明らかにするためには、幾らでもお互いにお使いになっていただいてけっこうなので、その点は私がこの間申し上げたように、もう町でどこでも売っているもので、それさえも、一々国会から借りなければ捜査ができないようなことではどうもなりませんよと言って、たしなめたにすぎないということだけを申し上げておきたいと思います。  そこで、この問題について、最初から私はかなり法医学的なこまかいことを申し上げてきましたが、実は十一月の十八日に、第四十回慶応の医学会総会で、慶応大学医学部法医学教室、中山博士が、犬、ネコ、ウサギ、モルモットの実験を通じて、研究発表をされました。詳細については申し上げませんが、ここで大事な点を三点指摘しております。この三点の指摘の点については、今後も法医学界で問題になるだろうし、また地検に対する批判と申してはなんですが、若干の批判的な研究発表もあるのであります。  第一点は、死体検案に立ち会った医師が、外部所見と状況を聞いただけで、検案者に圧死あるいは圧死の疑いなどとしるしてあるのを見かけるが、今後は特に十分な注意を促したい、これが第一点。  第二点は、専門的になりますが、頸部軟部組織の出血は、扼頸が加えられない限り認められなかった。  第三点は、人の圧死に見られるすい臓の間質性出血については、これを窒息の一症状としてのみ考えている学者もいるが、私どもの実験成績及びこれまでの人の窒息死体の剖見例から見ても、これを窒息死のきわめて特徴ある所見とは思われない、むしろすい臓の出血が高度である場合には、別の機転によるものと考えた方が妥当ではなかろうか。すい臓の出血が限局性で、攻撃面が比較的なめらかな鈍器または鈍体の打撲あるいは圧迫によって腹壁に何らの障害を伴わずに発見される場合もあることを肯定しなければならない。  この三つの点を、慶応の中山博士が発表されたのであります。で、この第一点については、東京地検に意見書を出し、それから週刊誌にかなりでたらめな記事を書いた東京都の監察医務院の監察医に対する批判であると私は見ております。で、やや専門的な点になりますが、扱いとして死体検案に立ち会った医師が、外部所見とその状況を聞いただけで、検案者に圧死あるいは圧死の疑いという説明をする、診断書を書く、こういうことについて、法務省はどういう指導をしておられますか、その点を一つ伺いたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 特段の指導はいたしておりませんし、検察庁におきましてもこの前もお答え申し上げましたように、鑑定書そのものをそのままの姿で出すことは困るという態度をとっておりますが、その中の学問的な問題につきまして、学問の発展に貢献するような意味においての学者のその問題を書きますことは、これはあえて否定するものではない、これが基本的な態度であります。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 私の質問とちょっと的がはずれておりますが、たとえば少年鑑別所でこの間自殺をしたと伝えられている山口少年の件、あの死体検案は一体だれがやったのですか。死亡診断書は一体どうなっておりますか。これもその外部所見だけできめたのではないのですか。東京都の鑑察医務員の医師は一体だれがやったのですか。これは非常に重大な関係があります。だからあなたの方で今のような専門家が指摘されるような死体検案のこの事実については、深く戒めなければならない点があるにもかかわらず山口二矢少年の場合、これは死体解剖いたしましたか、行政解剖、司法解剖、これは一体どうなっておりますか。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 死体解剖はいたしておりません。もちろん医師はそこに立ち会って三時間も人工呼吸をやったくらいでございます。さらに行政監察医も来ております。もちろん検事も検死官としてそこに臨んで検死をいたしております。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 だからそのときの扱いの責任者は、当然東京の場合は東京地方検察庁の検事が責任者であると私は思います。その人が解剖に付すべきかどうかを決定したと思います。どういう理由で解剖に付せなかったのですか。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 検事がいわゆる司法解剖をいたします場合には、その変死体が何らかの犯罪と関係があるのじゃないかという疑いのある場合でございまして、山口少年でございますか、問題の少年の場合には、専門家の意見等によりまして縊死であるということで明確であったという判断のもとに、あえて死体解剖をしなかったのでございます。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 それではお尋ねしますけれども、山口少年が最後に監視せられたのは七時五十五分、次に発見されたのが八時三十一分、診断書には八時十五分に首をつったというふうになっております。そうすると、首をつってから発見されるまで十六分、十六分ですぐ下ろされておる。人工蘇生を施されている。数時間にわたって行なわれてついに蘇生しなかった。従来私たちは溺死したような場合、水に溺れたような場合、三十分以上水の底におって出された人を人工呼吸をやって救った例がある。こうした場合に、完全にこれは縊死で、首をつって死んだ、縊死である。そういう判断を外部所見と状況を聞いただけで死体検案に立ち合った医師が下だすとすれば、往々にして大きな誤りを犯すおそれがなしとはしない。かりに何らかの方法で小さい青酸カリの丸薬を飲んで飲み下だすと一緒に首をつったら、そうした場合の調査というものはどうやって行ないますか。この場合行なわれていない。これは重大なる手落ちじゃないかと思う。これはなぜ解剖をしなかったのか。私はもっと具体的な説明を承りたい。このことはすでに慶応の専門家の中山博士が学術研究会でも発表して強く指摘している点です。しかもあの重大な問題の中でも肝心のことが行なわれていない。解剖が行なわれていない。当事者の説明を私は求めたいと思います。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 坂本委員の御指摘のように、変死と、首つり、縊死と見せかけて実は違った方法で死んでいるという場合ももちろん保しがたいのでございまして、ただ首をつってさえいれば皆縊死であるというような考え方で事に当たっているものではございません。しかし、具体的な場合に臨みまして、さらに一点の疑いもいれないというような状況でありますならば、その立ち合いました検察官の診断によりまして、あえて死体を解剖しないということもあり得るのでございます。その辺は何か御疑問でもあるならば、もちろん私どもも真相発見のために調査をいたしますが、いずれまたそういう問題につきましても御答弁しなければならぬ機会があろうかと思いますが、本日はその縊死の問題には関係ないということでございましたので資料を持ち合わせておりませんが、私の感じておりますことを率直に申し上げますと、今申し上げたような次第でございます。

大川光三自由民主党

○大川光三君 議事進行。今、坂本委員からお尋ねになっている山口少年に関することは、これは非常に重要なことと思います。しかし、いずれ亀田委員から浅沼事件についていろいろ御質問があろうと思いますし、私どももそれに関連して質問いたしたいと思っておりますので、これに関することは浅沼事件にお回しを願ったらどうかと思います。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 それでは十分に担当の死体検案者の説明を調査の上、ここで御回答していただくことを望んでおきます。  そこで、さらに先ほどの中山博士の報告の中で第二点、第三点、首の出血の問題とすい臓の出血の問題、これは私は今後も法医学会で純粋に議論されていくと思います。これについてもう一度あらためて大臣の御見解を承っておきたい。

小島徹三自由民主党法務大臣

○国務大臣(小島徹三君) 先般も申し上げました通りに鑑定書並びにいろいろな状況を調査いたしまして、検察庁といたしましては最後の断を下だしているわけでございまして、その中の鑑定書の提出という問題につきましては、これが純学術的な問題として、場合によったら提出するということは考上えられまするけれども、国会の委員会に提出するということは、今のところ考えておりません。しかし将来おそらくそういう問題について学界で議論がございますれば、おそらくその鑑定書も出てくるということはあり得るのではないか。かように考えております。

坂本昭日本社会党

○坂本昭君 それではきょうの私の一番お尋ねをしたかった写真の点について地検当局と、それから私の提示した写真との材料そのものの扱い方にも食い違いがあってこれ以上質問を進めてもむだのように思います。でありますから、その写真の取り扱い方については少し別途に考慮して、要すれば地検に検討を願う。そして地検の自主的な立場で捜査をやっていただく。あるいは大臣の言われた検察審査会に提出をするということも当然考えられるでありましょう。で、きょうは時間の関係もありますので、一応その写真の扱いについては、別途に、まあ委員会の皆さんともはかった上きめていきたいということで、きょうはこの程度でとどめておきたいと思います。

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) ほかに発言もなければ、本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    〔速記中止〕

松村秀逸自由民主党

○委員長(松村秀逸君) 速記を始めて。  以上をもって本日の調査を終了いたしますが、次回の委員会は明十二月一日午前十時から開会いたします。本日はこれをもって委員会を散会いたします。    午後三時五十八分散会

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