農林水産委員会 閉会後第3号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1960/09/07
会議録
○委員長(藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 九月一日、大河原一次君が辞任、その補欠として大和与一君が選任されました。また、同月二日、大和与一君が辞任、その補欠として大河原一次君が選任されました。 委員の異動に伴い、理事が欠員となっております。ついては、この際理事の補欠互選を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。 ついては、互選の方法は、成規の手続を省略して、便宜委員長から指名することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって、委員長は理事に大河原一次君を指名いたします。 —————————————
○委員長(藤野繁雄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 先ほどの委員長及び理事打合会において、ビール麦に関する件について参考人から意見を聴取することに意見の一致を見たのでありますが、このように決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。 参考人の人選及びその他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤野繁雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(藤野繁雄君) 次に、農林漁業政策に関する件を議題といたします。 本件については、特にテンサイ糖工業に関する件、大笠価格に関する件、肥料に関する件、農林畜水頭関係物資の国鉄貨物運賃に関する件、災害に関する件、食糧管理に関する件、その他農林漁業政策について、農林大臣に対して質疑の御要求があり、本日農林大臣の御出席を得ましたので、この際これについて質疑を行ないたいと存じます。 それでは、それぞれの件につきまして、順次御質疑をお願いいたします。 なお、農林大臣は、ただいまのところ午前中は当委員会に御出席の予定であり、また政府からの御出席の方は、次の通りであります。今のところは振興局長、食糧庁長官、経済企画庁調整局参事官、通産省化学肥料部長、農林経済局長であります。それでは順次御発言をお願いいたします。
○田中茂穂君 貴重な時間でございますので、私は端的に本年度九州に及ぼしました旱害の被害に対しまして、どういう対策をお考えになっておられますか、大臣の御所見をお伺い申し上げたいと思います。端的に申し上げますが、陳情その他で詳細な被害の報告はそれぞれ事務当局の方で御集計になっておられることと存じますが、今回の九州一円に及ぼす旱害の被害はまことに甚大でございまして、過ぐる昭和三十三年度の旱害被害に匹敵するような状況でございます。あの三十三年当時は、とりあえず農林省におかれましては、救農土木事業並びに天災融資法の適用あるいは作付転換に対する緊急の措置をおとりになっていただきまして、一応の対策が緊急措置として講ぜられたわけでございますが、ことしの九州一円に及ぶ旱害に対する緊急措置として、何かお考えになっておられるかどうか、また、昭和三十三年当時のように、救農土木事業を御計画になっていただけるか、あるいは天災融資法の適用の対象にしていただけるか、あるいは揚水機、燃料その他に対する農林省の助成の措置が講ぜられるかどうか、その大綱だけでけっこうでございますので、水害に対する対策は相当御関心をお持ちになり、対策は講ぜられておるやに承っておりますけれども、一方、旱害に対する、それらに対する措置がきわめて今のところ積極的な措置が講ぜられておるとは聞き及んでおりませんので、まことにこの席をお借りして申し上げることはどうかと思いますが、どうかそれらにつきまして大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(南條徳男君) お答えいたしますが、今年の各地におきまする旱害の被害の甚大なことはまことにおっしゃる通りでございます。当初は関東地区においても相当雨が激しかったのでございますが、その後九州地方が非常に長期にわたって被害があったというので、それぞれ地元からの陳情等もございまして、農林省といたしましても、原局からも十分調査もいたしまして、その後八月十五日現在で、全体として百十九億という被害高でございましたが、八月二十五日現在で百五十億余に上っておるというようなことで、先般の台風十七号、十八号が、皮肉にも九州に上陸しなかった、宮崎県の一部だけであったというようなことで、まことにこれに対する対策としては、十分手当をしなければならぬということから、さっそく今月の初めになりまして、農林省から政務次官二人を別々に各地に視察に行かせ、今出張中でございます。なお、天災融資法につきましても、当時さっそくその必要を認めまして、ただいま大蔵省と資料を提供しながら検討中であり、近くその発動を見るだろうと思うのでございまして、言うなれば、三十三年のあの大きな旱害並みに取り扱って、被害者の窮状を救いたい、こういう建前にある次第でございまして、ただいま御質問のいろいろな対策につきましては、十分さような見地から対処したい、こういう考えでございます。詳細なことは、もし何でしたら事務当局から説明いたしたいと思います。
○東隆君 私はテンサイ糖工業に関して、少しお尋ねをいたしたいと思います。私は広義の農村工業、それから農産物の加工工業、こういうようなものを考えたときに、当然農産物加工工業のようなものは、農民の組織である農業協同組合、こういうようなものを中心にしてやるのが、今までの農林省の伝統的な奨励方針でなかったか、こういうふうに考えておりますが、この点いかようにお考えでしょうか。
○国務大臣(南條徳男君) ただいまの御質問につきましては、全部が全部さような方針ではない、原則としてそういう建前だということでございまして、ものによっては、必ずしもそうはいかないものもあるかと思います。
○東隆君 私は農産物の加工工業のうちでもって、特に税金に関係のある酒をこさえる醸造工業というようなものは、これは大蔵省が非常に強くて、そうして農業協同組合関係にこれを認めないというような方針が、ずっと続けられておったわけで、ところが、それ以外の農産物の加工関係については、もし農業協同組合関係の資本の構成、その他が妥当である場合には、その方面が優先的にやるのが今までの事例でなかったか、こういうふうに考えるのですが、この点についていかようにお考えでしょうか。
○国務大臣(南條徳男君) ただいま申し上げました通り、個々のケースについてこれは検討すべきものであって、全部が全部優先すべきものだとは考えておらぬのであります。
○東隆君 それではビート工業の問題でありますが、北海道では御承知のように、会社経営と、それから協同組合経営というものができて、そうしてその成績は、きわめて短いのでありますが、北連によって経営している工場の成績は、会社経営に何ら劣らない、かえっていい成績を上げている、こんなような事態が出ておりますが、この点については私は、すでにいい実績が出ているのでありますから、協同組合経営によるところのものを、やはり優先的に農林省は認めるのが、農民の経済を向上させる上において非常に役立つと、こういうふうに考えますが、この点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(南條徳男君) お説の通りで、二、三年前に北連がビート工業を始めまして、好成績であるということについてはごもっともであると思うのであります。しかし、ビートの従来の北海道における主産状況という過程を見ますと、なかなか困難な時代が相当長く続いたのであります。そこでその間は民間会社が相当な犠牲を払って参ったのでございますが、最近政府において、経済振興法等のいろいろな助成をし、あるいは関税その他についても考慮をすることになったために、二、三年前からビート工業が有利だというので、北連の中でもこの仕事を始めたのでございますが、当時でも相当単協などでも議論があって、やるべきかやるべきでないかという議論があったのを、無理にやりましたが、幸いに時勢の進展で今日のような成績を上げておりますが、ほかの会社は全部普通の営利会社でございます。そこで、これは必ずしも今の農協北連が、農業団体が優先的にかような仕事をしなければならないという建前で、私どもは判断すべきものではないと考えております。たまたまそういうケースがあったということです。
○東隆君 私は普通の製糖工業は、これは海外から原料を輸入してそれを精製するというような仕事でありますから、これは私は普通の営利会社がやって一向差しつかえない。ところが、このテンサイ糖業に関する限り、農民が生産をして、その農民が組織をしておるところの農業協同組合が加工をする、こういう形になるのでありまして、それを営利会社が中に入って、そうして原料供給者と営利会社の間が切れるのですから、従って農民が原料を供給すると会社が利潤を追求するためには原料をできるだけ安くしなければならぬ、こういうような形になるのですから、それと協同組合の場合にはそうでなくてできるだけ原料は、間に合うならば相当ワクを返す、こういうようなこともできますし、非常に農民にとっては利益になる組織だろうと思う。協同組合の組織と会社の組織とこの二つが進められておる場合に、私は原料の生産地において加工することができるようなものは、当然農民の組織によるところの企業形態、これをとるべきが当然ではないか、こういうふうに考える。この点は、歴史的な過程でもって北海道のビートその他についてのお話がございましたが、私も北海道のビート工業についてはずっと知っておりますし、それがいろいろな形になって国の大きな助成のもとに進められたことも知っております。ですから、そういうような点を十分知っておるので、今の時点において協同組合の系統でやる方が、私は北海道の畑作農民にとっては非常に有利なことになり、農民をして非常に歓喜して大いに努力すべき方面に向け得るのではないか、こういうふうに考える。従って農林大臣、この点はいろいろお考えになっておるようですけれども、しかし、農業協同組合経営によるところの何か悪い点がございましたら、その悪い点を一つお聞かせ願いたい、なぜ悪いか。
○国務大臣(南條徳男君) ただいま申し上げました通り、たまたま二、三年前にできました北連の工場は、他の工場もそうでございますが、今日の政府のいろいろ施策等が関連いたしまして、この事業が好成績であることは間違いないのでありますが、だからといって私は、他の営利会社に優先して、この農協の団体にかような仕事をさすべきだという考えにはなりません。もちろんただいま現在でも農協団体が新しい申請をいたしております。その点で事業をやりたいということには決して反対するものではございませんが、他のまた営利会社もたくさん申請をいたしておるのでありまして、これはおのおの立場々々で経営することはけっこうだと思います。他の営利会社をやめても協同組合に優先的にさせねばならないという議論には私は承服できない。
○森八三一君 関連して、今の大臣のお話を聞いておりますと、非常に私は疑義を持っております。もちろん企業の自由というものは認められておりますから、だれが計画しようと一向差しつかえないと思う。しかし、生産者が自分の生産したものをみずからの手でもって加工しようという意欲に燃えておる場合に、それと営利を追求するものと同列に並ベていずれをとるかという点については、自由な立場で判断するんだという大臣の感覚ですね、それでよろしいんでございますか。農民が自分の生産したものを自分の手によって加工しようとする意欲がある、それをたまたま営利を追求するものと並列したという場合に、その前者と後者とを同列に並べて議論するというので、一体農政上よろしいのかどうか、基本的な観念としてもう一ぺんはっきりとお伺いしたい。
○国務大臣(南條徳男君) 今の御質疑のようなことについては、観念論としてはそうであろうと思う。しかし、事業の形態というものはいろいろな危険負担を含むことでございますから、必ずしもこれが全部が全部採算がとれるというばかりにもいかない。で、今まで申し上げましたように、北海道のビート産業というものは過去においては非常な犠牲を払い、危険をはらんでおりました。ようやくこの二、三年来採算がとれるようなことになっておるのはよく御承知だと思う。さような場合におきまして、私はこうなったからといって、そのことが、協同組合がこの仕事をやれば、全部農民のためだから、これをほかの営利会社よりも先にさすべきだという議論は、もう少し、観念論としてはそういうことがあるかもしれませんけれども、この北海道のビート事業というものについてはもう少し時を見なければならぬじゃないかという考えでございます。
○森八三一君 利益があるかないかということは、これは現在における農民諸君だってばかではございませんから、よく検討し、現にそういう経験を持っておるんですから、そういうことによって出発をして、かくすればごうなるんだという計算もやっておりますれば、理論的な根拠に立っておると思う。そうでなければ、やりたいという意欲が燃え上がるはずはございませんから、そういうような科学的な緻密な計算の上に立ってさらにやりたいということでありますれば、やはり農政上それを伸ばすという感覚でやっていただきませぬと、これはひとりビートの問題だけではないと思います。今後農家の所得を倍増していくということは大臣も強くお考えになっておると思いますが、そのことのためには、そういうような加工部門を相当取り上げていかなければ、畜産にいたしましてもただ牛や別を飼うというだけではいけないので、これがさらにカン詰その他に発展していくということにまで推し進めていかなければ、非常に低所得にあえいでいる農民を救うというゆえんにはならぬと思う。これはビートの問題だけの問題ではなくて、農政上の一貫した一つの問題だと私は見ておるのであります。そういうことを考えますと、その点は農民がやろうとする意欲が出ておるんですから、生産者がみずからやろうという意欲が燃え立った場合に、その計算についてアドバイスすることは必要だと思う、その計算が成り立つものであればそれを伸ばしていくということが、当然農林当局の態度でなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(南條徳男君) お説のことはごもっともでございまして、先ほどから私は観念論としては農民の生産意欲の燃えておるものにつきましては十分これを指導していく、そうして農家の所得を伸ばすような方向に指導するということには変わりございません。でございますから、その事業のケース、ケースによってこれは考うべきものであって、場合によっては農協が必ずしもいろいろな技術を、あるいは経験を持っておらぬものが多いと思うので、そういうものに対してでも、直ちにその仕事に着手して、これが農民のかえって損害を見るようなことがあれば、私ども政府としては指導を間違うようなことになりますので、これは十分それらの点も考えて、その場合々々、ケース、ケースによって、私は農民が生産意欲を燃やしているそういうような立場を考えて、そうしてこれがお互いの協力によって十分採算がとれる、農民に対しても相当な利益が還元できるという事業については、これは大いに奨励してやりたいと思っております。
○東隆君 大臣は観念論と言われますけれども、私はこれはもう脱実の問題だと思う。それで観念論でもって判断されるべきものでなくて、現実の問題として判断をしなければならぬ。 そこで、九社ですか、合同会社案をお持ちのようでありますが、お伺いしますが、異質の会社企業と、それから協同組合企業、この合同の企業ですね、こういうようなものが今までございますか。また成績を上げておりますか。そういう事例を一つ伺います。
○国務大臣(南條徳男君) それは別段ないわけでもないと思いますが、このたびの北海道のビートの会社の申請につきまして農林省としては、これに対する一応各会社の北海道のビートの生産ということが、また北海道の開発ということに即したビートの増産計画であるから、この主眼をもし目的とするならば、お互いの会社の立場というような面は忘れて、一つ北海道のこの生産計画に同調してもらいたいという建前から、合同案というものを出したわけでございますから、私どもはお互いにおのれを捨てるということは言い過ぎですけれども、自分らの会社のことばかりを考えないで、北海道のビートの生産、増産という、これがすなわち国策になるということの意味からいえば、お互いに一つ譲り合って、そうしてやってもらいたい。それにはお互いがどうしても譲り合わぬというならば、共通した会社を作って、その中で一応土地改良なり、土壌改良というものを、国の補助もいたすのでございますから、そうして十分生産目標が立ったときに会社は自分の場所へ工場を建設するというようなことは話し合ってくれという話を申し出ておるのであります。
○東隆君 私は、協同組合経営と、それから会社経営というものは非常に質の異なったものであると思う。これを一つにしてやるというようなことを、農林省がお考えになるのは非常に間違いだろうと思うのです。そこで私は、協同組合系統でも一つこしらえて、それから会社合同して、それでもって計画的に将来幾つでもこしらえる。こういうような二本立にして、そうして両者の競争をやらせる。競争をやることによって成績が十分に上がることだと思う。それから農民、従って協同組合経営によるものと、会社経営によるものとによっての計算その他もはっきりいたしますし、私は異質の企業形態が二つできるのですから、会社は合同しておやりになるのは一向差しつかえないと思う。だけれども、その中に協同組合系統のものを入れて、それをごっちゃにして国策の見地に立つとか何とかというようなことをやりましても、会社は利潤を追求するのが目的だし、協同組合は組合員の利益のためにやるのであって、利潤の追求は目的でないのです。こういうような異質のものを一緒にしてやろうというような、そういうことをやるのは大きな間違いだろうと思うのです。将来において大きな禍根を残すし、私は農業協同組合の企業組織を大きく将来伸ばしていかなければ、農村の発展というものはないと思うのです。そういうようなことから考えてみても、これはどうしても二つにすべきじゃないか。今はまるでみそもくそも一緒にするようなやり方をお考えになっているようですけれども、これはこの際はっきり分けてやっていただきたい。北連系統でもって将来十も十五もこしらえるという考え方を持っておるわけでない。だから、当然その間に調節をとっておやりになることができるのじゃないか。この点はいかがですか。
○国務大臣(南條徳男君) でございますから、決して農林省としては北通が出願をして、これを認めないというようなことは申しておりません。各会社もまた同様にぜひやったらどうか。北海道としては将来八カ年の間に八工場の生産計画はできて、それだけの土地改良なり、土壌改良ができるという見通しのもとに、その一部の一工場を北連に経営させるということは決して異存がないことでございまして、その点を決して拒んでおるわけでございません。ただ、今のお説のように全く性格が違うから、農協というものと他の営利会社というものは違うから、それを一緒にして合同会社を作らせても意味がないんじゃないかという御趣旨でございますが、これは今日まででも、農協というものはほかの会社に出資いたしておる事例もございますし、また私ども今度農業基本法などを考えております立場からいうと、将来の農村の体質改善と申しますか、農村の構造をいろいろ変え、そして生産性向上をはかるということのためには、私ども合同会社というようなことも考えておるのでございます。農民として他の産業への出資等のことも考えるわけでございます。こういうようなことによって、将来私どもは農村の体質を改善したいという建前から申しますと、今の協同組合が全く他の産業と異質であるから、体質が全然別個なものだから、別な取り扱いにせよという議論は、今まではさようなことでも通るかもしれませんが、今後の農村の発展、農民の生活向上という面から申しますと、私どもは必ずしも御賛成できないわけでございます。
○東隆君 今までは今まではと、こういうお話ですけれども、それは完全に逆なんでありまして、今までそんな合同した形のものはこれはないんです。協同組合は協同組合でやっておるわけです。協同組合が出資をして会社をこしらえるというのはございます。これは農民資本の会社でそういうものがございます。北紡だとか、あるいはクレドールの会社だとか、こういうものはこれは明らかに協同組合の出資によってできておるわけでございますし、オープンになっている株はないわけです。従って会社に協同組合の組合員の生産したものを委託して加工をしておる、そういうような姿です。だからそれは問題でないんですけれども、営利会社と並列にやって共同会社を作る、こういうためしはないと思います。ただ一つ文化団体、そんなものに適当な負担をしているのは、放送関係だの何だのにはありますけれども、それは単に文化関係のことをやるためにやっておるだけであって、ほかにそういう例はないと思います。農産物の加工工場、そういうようなものにはないんです。従ってこいつは十分にお考えを願って、そして資金の融通面においても、協同組合関係は農林漁業金融公庫から出ております。それから北海道東北開発公庫から会社関係のものは出ておる。こういうように融資関係もはっきりしておりますというようなことで、私は苦しんで農林省が二つの異質のものを一緒にしてお考えになる必要はないと思う。会社の方は会社系統でもってやる、協同組合系統は協同組合でやる、そして両者に競争をやらせる、公平な関係でもって競争をやらして生産の増強をやらせる、こういう考え方を持つのが、私は自由主義経済に立っておる今の自民党政府の当然のお考えでないかと、こういうふうに考えます。その点どうですか。
○国務大臣(南條徳男君) 農協資本をの産業の合同がされてないとおっしゃいますが、われわれの方ではさような実他例はあると思います。その点説明員から具体的な点について答弁させます。
○説明員(酒折武弘君) ただいまのお尋ねでございますけれども、産業資本と農協資本との共同出資による会社というものはあるわけでございます。たとえば協同乳業などがそういう例でございます。
○東隆君 今、事例をあげられたのは、私は酪農経営その他が、実は北海道において雪印の乳業なんていうのは、これは完全に酪農農業協同組合系統によってできておった、酪連という形でもってできておったものが、あの戦争中に輿農公社となり、それが戦後酪農協同会社というような形になって、そして次第に株がオープンになって、そして会社形態に移っていった例です。それから協同乳業の関係においても、これは最初は産業資本が出資をしたけれども、次第にそれを農業協同組合関係の出資に振りかえて、農業資本によるところの酪農会社に作り上げようと、こういう関係でありまして、これは初めからもう会社組織になっております。そして原料を供給するところの単協が現に出資をしている。こういう形になっている。だから私は、その事例はビート工業というようなものを、工場をこしらえるときに一つの企業形態が、分配問題もいろいろありましょうし、分配の方法が全然違うのですから、出資の計算も違いますし、全部違うのですから、そういうものを一緒にしてビート工場をやるなんていうのは、私は非常におかしいと思う。ことに農業協同組合部長が、そんなものを一生懸命奨励をされるような口調でもってお話しになるのは、これは大きな間違いだ。農業協同組合部長はどういうことを考えなきゃならぬかというと、そういうようなものは、これは非常に例外なんだから、農村の資本は非常に少ないから、従って産業資本を入れてやるんだ、こういう形でもって始められてるんだから、そういうようなものをそんなに重要視して例示をされたって、これはこの場合には当てはまらぬと思うのです。私はそれよりも農業資本だけでやり得る態勢になっておるのにそいつをやらさないというのはおかしいじゃないか、こう言っているのです。だから、これは非常に違うのですよ。
○説明員(須賀賢二君) 大臣の御答弁になりました点に若干補足をして申し上げますが、今回北海道のテンサイ糖工場を新設するにつきまして、合同会社の考え方を提案をいたしておりますが、ただいま東委員からるるお話がございましたように、テンサイ糖工業の企業の形といたしましては、必ずしも一般営利会社のみならず、農協系統でもりっぱな成績を上げられておるわけでございます。私ども各企業形態をそれぞれその実績に応じまして十分評価はいたしておるわけでございます。ただ当面いたしておりまする今後の工場建設問題の具体的処理の方法といたしまして、いろいろこれは、まあ御承知のように長年の複雑な経緯があるわけでございます。いろいろ検討いたしました結果、今後の工場を建設して参りまする過程におきましていろいろ予想されまする問題なり、トラブルを極力防いで参りたい。一定の秩序の中で今後の原料テンサイの増産の伸びに応じまして適当なところに、適時の計画によって工場を新設して参らなければならぬ、さような考え方をいたしまして、いろいろ検討いたしました結果、この考え方を提案いたしておるわけなんです。従いまして企業の形態として、一般営利会社と農業資本、農協とが一体になったものが一つの考え方として理想的なものであるというような、そういう筋からの談論じゃないのであります。現実の工場建設問題を処理いたしまする具体的な方法としてこの考え方を提案しておるわけでございます。従って将来工場が建設されました暁におきまして、関係企業の間での相談によってこれを分割して工場を持った方がいいというようなことがあれば、その暁にはまたこれを分割して持つというような事態も予想いたしておるわけであります。御指摘のように、農協は農協、一般会社は一般会社というようなことでそれぞれ区分いたしまして、さしたる混乱もなく処理ができますればけっこうなのでございますけれども、当面いたしております問題は、なかなかそういう処理方法では非常にむずかしいわけであります。私どもいろいろ検討いたしました結果、当面の事態を処理する方法としてこういう考え方を出しておるというのでございます。
○東隆君 これで終わりますが、私は筋道をはっきり立ててもらいたいのです。協同組合によるものと、それから会社のものですね、これを二つ一緒に施設して、あとでもって分割して、そのときにまた問題が起きてくる、だから、最初から問題が起きないように北連系統に一つなら一つ、あとのものは会社でやる、こういうふうにはっきりお考えになって、そうして進めていかれれば、これは非常にいいと思う。ことに私は会社が経営をするとしても、以前工場を建築したりその他の経験を持っておるものはやる方がいいと思う。そういうようなことを考えて、私は会社の場合は合同施設をして、そうして工場を建設したものが主になって、そうして新しく経営をこしらえていく、こういうふうにすれば経験を十分に生かしてやれるのですし、そういう点をお考え下さってそうして進められた方がいいと思う。これを初めからごちゃごちゃにしておいて、そうして分割するときにまた問題を起こす、こんなような筋道の立たないやり方をやる必要はないと思う。だからこの際農林省の案が、私は異質なものには一つずつ進める、こういう考え方でおやりになった方がいいと思う。その計画によるところの工場の配分は、これは大かた見当がつくだろう。だからそういう形において初めからはっきりおやり下すって進める方が一番賢明なやり方じゃないかと思う。それをみんな一緒にしてそうして進めるなんて、そういうことをおやり下さると、南條農林大臣北海道からお出になっておりますけれども、私は大へん、そういう点でもって将来問題が起きるたびに南條大臣に引き合いに出されて、そうしてお苦しみになることが起きるだろうと思いますので、はなはだ後輩が失礼でありますが、それだけを申し上げておきます。
○千田正君 簡単に聞きますが、今のビート産業と自由貿易化の問題ですが、農林当局はおそらく砂糖に関する限りは高関税をかけて、そうしてビート産業を守る、こういう御趣旨のように考えておったのですけれども、いつまでそれが続くか、たとえば通商協定等におけるガットとの問題、それの振り合いにおいてどこまでそれを続けるかということを非常に私は杞憂をもって考えておる。農林大臣のお考えとしましては、このビート産業を守るために、自由貿易化と砂糖の輸入の問題との関連した考え方の調整をどうするか、こういう根本的な問題について簡単でよろしゅうございますから、重点的にお話をしてもらいたい。もう一つは、現在台湾その他からの砂糖の輸入に関して、特に最近になってキューバの砂糖等に関しては、カストロ政権ができる前にすでに日本とキューバとの間の通商の一つの協定がなされておる。そういう面に対しては農林省としてはどういうふうに考えておるか、そういう点もこれは大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(南條徳男君) お答えいたしますが、将来の自由化に伴ってわが国としては国内のビート産業の保護政策をしたい、そうして国内のビートの増産をはかるという建前におきましては、ぜひそういう方向で進めたいと思って今日まで関税の引き上げその他の措置をとっておるわけでございます。今後といえどもできるだけ国産の甘味資源というものを増産いたしまして、そうして輸入を制限する方向に持っていきたいということに変わりございません。従いまして、ひとりビートばかりではございませんが、最近の澱粉の酵素糖化法による甘味資源等においても十分今後施策をいたしまして、これらの輸入の防遏に尽くしたい、こういうふうな考えを持っているわけでございます。 なお、キューバ糖の問題でございますが、キューバ糖の協定は、毎年四十五万トンの輸入の協定がございましたけれども、最近には四十万トンぐらいの輸入がございますが、これは他の国との貿易状態等も考えまして、最近は多少減っておるわけでございますが、先般も向こう側からの要請がございましたけれども、これらについてはいろいろ他の国との調整を考えながら進みたい、こう考えております。
○千田正君 非常に抽象的なお答えですが、問題は今の関税等においては、砂糖に対してはおそらく最高の関税をかけているのではないか、こういうことまで考えられる、その方向によってビート産業を守ろうという御趣旨はよくわかります。われわれも賛成であるが、そういう高関税がはたしていつまで持てるか、それが持てなくなった場合に専売公社における製塩事業のように、せっかく製塩事業を保護していながらついにはそれをやめなければならない、そういうような事態がくることをわれわれはおそれるのであって、それは今の高関税をあくまでも維持できるかどうか、持っていけるかどうかという非常な杞憂を持っておる。ということは、生産コストの面とのつき合わせという調整の問題が起きてくると思う。これはいつまでも、日本ではもう全部ビート糖にして、ビート糖を主体にするのだという考えでやっていくのか、あるいは一方においては通商関係もあるから、カンショ糖も入れての調整をとりながら国内の産業を保護していくのか、この点のかね合いをどういうふうに考えておるか、七分三分か五分五分か、あるいは全面的にビート産業だけでもって日本の将来の国民の甘味は全部まかなうくらいにするのだ、こういうお考えのもとでやっているのか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(南條徳男君) 先ほどもその点を一部お答えしたように、決してビートのみによって日本の甘味資源を確保しようということではございません。澱粉の処理等については、非常にこれは農民の生活安定に大事な問題でございますので、そこで今の酸化法よりもっと進んだ酵素糖化による結晶ブドウ糖がなかなか成績がいいということから、しかも生産コストがビートよりも安くなるだろうというようなことでございますので、かような面を十分政策に織り込んで増強するならば、甘味資源というのはビート糖ばかりではなく、こういう方面に大いに展開するだろうということを期待しながら今後の貿易の自由化等にも対処したい、こういうふうに考えております。
○森八三一君 大臣、午前中ということでございますので、時間もありませんから端的にお尋ねいたしますが、この大豆の問題でございます。貿易の自由化が予定されておるが、これは大豆に非常に関係がありますことは申すまでもございません。そこで福田前農林大臣は、本会議におきましてもこの委員会におきましても、国産大豆に悪影響をもたらすような場合が予定されるとすれば、大豆の貿易自由化はいたしませんということを再三再四言明をされております。この言明はひとり福田農林大臣の私見ではなくて、政府の一貫した方針であるというふうに私は理解をいたしております。内閣がかわりましたので、あるいは変わるのではないかという相愛が持てないわけでもありませんが、自由民主党の内閣であることは間違いありません、その方針は引き続き堅持されるものと、こう了解してよろしいかどうか。
○国務大臣(南條徳男君) その通りでございます。
○森八三一君 といたしますれば、予定されている時期が刻々迫ってきているように思いますが、その趣旨を達成するためにいかなる方途をお考えになっているのか、この際その対策について御明示をいただきたいと思います。
○国務大臣(南條徳男君) その対策について先般来関係閣僚の方にも折衝いたしました。少なくとも農民に対して、この大笠の輸入がありました場合にも、孫産者を保護する建前から三十五年産の大豆につきましては、三千二百円で庭先全部買い上げるということは前農林大臣も言明した通りで、私もその方針を踏襲いたしております。この点は変わりございません。
○森八三一君 三十五年度は大体現在の市価水準であります三千二百円を堅持する予算措置を講じて全額政府が買い入れるということははっきり了承いたしました。三十六年産以降は、前段の御確認いただきました理由によって農民にしわ寄せがこないようにするという方針が堅持される限りにおいては、三十六年度においても実質的にそういうことが堅持されなければならぬと思いますが、三十六年度についてはどうなされますか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(南條徳男君) その点については、今日までもしばしば申し上げているのでありますが、三十五年度はやむを得ないけれども、三十六年度以降は、三千二十円という今までの政府の支持価格でございますから、この支持価格で一つ買おうと、こういうことに一応考えているのでございます。
○森八三一君 そうしますると物価水準、生産条件等が変わりませんければ、三千二百円から三千二十円に買い入れ価格、支持価格が低下することは、農民にそれだけのしわ寄せが及ぶということが明確であると思います。前段の方では農民に迷惑をかけないということを明確に言い切っていらっしゃいまして、後段の方では一年たてばそうではないぞと、こういうことになると思うのです。それでは前段の方の大方針というものがここで乱れてくるということになると思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(南條徳男君) これは三十五年度以降も三千二百円で必ず買い上げるということは今までも申しておらないわけでございまして、経過措置としてはさようなことで、支持価格はいつも三千二十円でございますからさようなことにした次第でございますが、しかし、今後農民に対する損害を少なくするためにはいろいろな生産性向上のための増産計画、あるいは品質の改善等々についての予算措置等も考えながら、政府としては今後この大豆の生産については考慮する、農民のいろいろな生産意欲を高めながら品質の改善等もして、そうしてこの支持価格で引き合うような方向に持っていきたいという施策をしたいと思っております。
○森八三一君 確かに、三十五年産以降三千二百円で全量買い上げる、そうして農民に迷惑は与えない、こういう具体的なお話はございませんでしたが、しかし、その前にもう一つ大前提として、貿易自由化によって国内の大豆生産者には一切の迷惑をかけません、もし迷惑がかかるようでありますれば自由化はいたしませんということを明確になすっておるのですね。その具体的な措置として三十五年度はかくかくにする、その大前提の内容なんですね。そこで三十六年度は三千二十円ということになりますれば前提がうそになる、物価水準その他が変わって参れば別です。変わらぬといたしますれば、それは最初におっしゃっておることは三十五年度限り、三十六年度以降にはその言明というものは及ばないのだ、こういう御説明であればわかります。そういう御説明がなければそれはおかしいじゃありませんか。そこで、今お話のように、三十六年度以降については、生産性の向上なり品種の改良なんかやって三千二十円にしても三千二百円と同一の経済効果が農民に及ぶようなことを考えるのだ、そのことを私は当然考えるということでなければならぬと思いますが、その考えが現実に具体化されるかどうかという問題は将来の問題ですから、そういう現実が起きたときに初めて措置されるのはよろしいが、そういうことを考えておるだけで、三十六年度には三千二十円に下げるという方針を確立されることは言行一致しない、こういうように申し上げていいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(南條徳男君) 私はただいま申し上げた通りでございますが、それについて詳細事務当局から御説明申し上げたいと思います。
○説明員(坂村吉正君) 大豆の自由化の場合の価格の問題でございますが、この問題につきましては、先ほど大臣から御答弁ございましたように、現在政府といたしましては、前々から三千二十円という大豆の支持価格があるわけでございます。三千二十円は農民に対しまして政府が責任をもってこれは支持する、こういう態勢をとっておるわけでございます。昨年でございまするが、急に大豆の自由化の問題が起こりまして、この際、本来であれば三千二十円というもののベースを政府が支持する、こういう今の態勢を続けて、この線で無制限に買い入れるということが、これが最低の生産者に対する保証であろうと思うのでございますが、しかし自由化ということを行なうことによって急に現在の大豆の生産農家に影響を与えるということは、これは穏当ではないんじゃないかというような考え方のもとに、三十五年産につきましては、いろいろのその他の施策、あるいは準備等もございませんから、とりあえず現在の、過去における三カ年の市価水準を維持して、そうして急に不測な損害を与えることのないようにこういう措置をとろうじゃないか、こういうことで、前内閣の当時からそういう方針をとっておりましたわけでございます。ですから、従いまして、三千二百円という価格は、過去の三カ年間の内地の大豆の大体の価格水準でございますが、これにはいろいろ変動もございますからですから、最近におきましては三千円を割っているというような、そういうような事態にも相なっておるわけでございます。そういう状況ではございますが、とにかくその自由化によって、準備のない間に自由化されたというようなことで非常な不測の損害が起こらぬようにということで三千二十円ということでやってもいいのじゃないか、しかし、もしかりに三十六年度以降の問題ということになりますと、これはいろいろ従来の三千二十円という態度で政府が大豆の価格支持をしております関係もございまするし、それから自由化に応じまして、生産者の方におきましても、それだけのいろいろな準備とか心がまえ、そういうようなものもできましょうし、現に最近におきましては大豆の生産面積等も減っているというような状況でございますので、そういう環境が、大体準備がされてくるというようなことも当然考えなければいかぬだろうと思うのです。それとともに一面からいいますれば、生産の合理化、そういう面の対策、あるいは流通価格の問題、そういうようなものも当然いろいろの施策をやっていこう、こういうこともあわせて考えますると、いわゆる一年先の三十六年産からのものにつきましては、従来の政府の三千二十円の最低の支持価格というものを大体基礎にして、これで生産者に非常な損害を与えたというようなことにならないのじゃないか、こういう考え方をしておるわけでございます。これには考え方によってはいろいろの理屈もあろうと思うのでございまするけれども、そういう今までの政府の支持価格というものが三千二十円というものをずっと続けてきておるのでございまするので、そういう前提から考えますると、そのほかに、あわせて生産面についての合理化、流通面についてのいろいろな施策、そういうものを考えてみますれば、従来の政府の支持価格を大体ベースにして考えても、生産者にとってそう大きな損害を与えるということにはならないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○森八三一君 そういう説明ではこれは全く農民は納得できない。なるほど農産物価格安定法により支持価格は、これは数年三千二十円できておることはよく知っております。知っておりますが、今までしばしば本会議でもこの席でも、前大臣が言明なすったことは……、現在農民が所得をしておる三千二百円というものを基礎にして議論をしておるんですよ、今三千二十円をここに持ち出してとやかくおっしゃるなんというのは、これはおかしいのです。そういうことをおっしゃるなれば、現在の農民の所得をゆがめていくような、それにしわ寄せをするようなことは一切いたしませんというようなことを言わなければいいんです。そういうことをはっきり言っておいて、しかも説明としては、三千二百円で全量買い上げますということまで言って、そうして今になると支持価格が三千二十円だから三千二十円でやることがあたりまえだなんとおっしゃることは、これはまさに私は官僚的な答弁であって、百姓はそんなことでは納得しないと思うのです。そんなことで世の中が通用するならおめでたい話で、そんなものじゃありませんよ。そこで、おっしゃるように、私も三千二百円、三千五百円、そういうことをかれこれ言うのじゃないのです。農民の所得というものに悪影響は与えないというのが政府の方針ならそれをおやりなさい、そこで生産性の向上なんかやって生産コストが下がって三千円でもよろしいという時点ができる、それは現在の三千二百円に匹敵すべき効果ということになりますれば、私はあえて三千二百円を主張いたしません。それはそういう他日に期待できる筋合いのものではない、そういうことが具現された場合にはこうするとおっしゃるなら話はわかるけれども、三十六年度には安定法による支持価格がこうだからこうしますとおっしゃるなら、今までの言明の趣旨とは反しますよ。そういう答弁では納得できません。大臣はどうでしょうか、こんなことは子供でもわかることですよ。支持価格が三千二十円だから三十六年度から三千二十円にしたってそれでいいんじゃないか、法においてはそうだ——それでは前段の、農民に貿易の自由化のしわ寄せばいたしませんというそのことと矛盾するじゃありませんか。三千二十円で三千二百円と同じ経済効果が農民に及ぶのだという立証が与えられますか、与えられなければ矛盾するでしょう、そうはお考えになりませんか、はっきりして下さい。
○国務大臣(南條徳男君) お答えいたしますが、ごもっともなお説だと思います。でございますから、政府としてはできるだけ農産物の自由化はいたしたくない方針でおったのでございますが、自由品目が、この大豆だけが最後に残って、国際的信用にかかわりますから、そこで今後この措置をした後における農民に対する損害がもしあるとするならばこれを除くために、十分に三十六年度以降においては先ほど申したようなあらゆる方途を講じまして、そうして経済効果が上がるような方途を講ずる、この施策を三十六年度予算の上においても十分いたしたい、こういうことでございますから、ごかんべん願いたいと思います。
○千田正君 今の大臣の森委員の質問に対するお答えにさらに関連しまして私はお伺いするのですが、農民が三千二百円の従来の価格が現在三千二十円になって、もちろん百八十円というマイナスである。これは対しては、農林省としては、今経済局長が言うように、心配するなと、何か考えるからと、しかも前内閣のときはこれは関税によって、輸入大豆に対する問題に対しては、関税を高めることによって大豆の産業に対して影響を及ぼさないようにする。そうすると、農林省予算のうち関税を徴収した分は大豆産業その他に対する方向に、その徴収した分が還元して農林行政の上に反映するような予算の組み立てをやるのかどうか。農民はむしろそういうことを期待しておるのです。外国から入ってくる大豆に対しては関税をかけるのだ、そうしてお前たちの方を保護するのだ、心配するなと、こういうことを言っておる。徴収した関税は、しからば還元して、農民の方のそういう大豆の改良であるとかいろいろな、肥料を安く配給するとかそういう面に持ってきて、生産性の向上に役立つような方向に予算の編成をやっておるのかどうか。実質的に一体裏づけが何があるのだ。それは農林大臣の手腕に待つよりほかにないのでありますが、あなたはどういうふうに考えておるか、はっきりこの際御答弁願いたい。
○国務大臣(南條徳男君) その点については、十分、この関税の引き上げという問題が起こりますので、関係省において協議いたしまして、ただいま開会中のガットの会議にもこれを提案いたしまして、そうして一般の農林予算と別にこの分についての損失の補償をするという考えに立っておるのでございます。
○森八三一君 最後にこれだけ一つ大臣に御確認を願っておきたいと思うのですが、私も、貿易を伸展する、国民経済の安定を期するという意味から、実は、さらに高物価を期待するのではございません、できるだけこれは引き下げて、そうして国際間の協調を保つために貿易の自由化も促進する、こう思っております。思っておりますがね、それによって生ずる農民の不利益というものはどこまでも芟除しなければならないという一貫した政府の方針をどこまでも堅持していただきたい。そのために、昭和三十五年度については万難を排して現在の水準である三千二百円を堅持する。それから昭和三十六年度以降につきましては、今千田委員からも御質問のございましたような、あるいは関税の対策だとかあるいは生産性向上の施策だとかいうようなことをお取り進め願うこともけっこうであります。そのことによって具体的に成果の上がりますまでは三千二十円を堅持する方針だということをはっきりしていただきますれば、これは農民は納得すると思います。こういうことをやるのだからこうなるはずだということだけで三千二十円ということに下がっていくということは、これはやはり政治として私は不信行為になると思う。そういうことが具体的に数字的に統計的にはっきり出てきたというケースの上に立って初めて行なうということでなければならぬと思いますが、そういうようにお考えいただけませんでしょうか。三十六年度から三千二十円にするのじゃない。できるだけ、そういうことをやっても三千二百円と同じ経済効果が及ぶようなことをやるのだ、やった結果、事実がそうなったときにはそういうことにする、こういうことでございますれば、一応この時点においては納得ができる。だから、三千二十円にするというのじゃなしに、そういうことに対する具体的な取り進めをする。その効果が具体的に現われたときにはという内容を一つここに御確認を願うということでなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(南條徳男君) この点はごもっともでございますけれども、政府としてはただいままで御答弁申し上げたように、従来の支持価格三千二十円というものが、これは長い間の支持価格でございます。三千二百円というものは二、三年間の価格でございますので、今年に限って、先ほど経済局長の説明のように、三十五年に限りこれを買い上げるという方針でございますから、やはり従来通りの三千二十円で今後はいきたいという方針はやってもらって、そうしてこれに対してはできるだけ将来経済効果を上げるような措置を講じて、そうして農民には負担をかけないという方針でいきたいと思うので、どうぞこの点は一つ御了承願います。
○森八三一君 大臣の気持はよく私にはわかりますが、わかりますからこれ以上申し上げませんが、どうもそこが、農民に迷惑をかけないようにするということをおっしゃいましても、これは一朝にしてそのことが達成せられるという筋合いのものではないと思うのです。これは品種の改良にいたしましても、耕種栽培技術の前進にいたしましても、原始産業のことですから、その割に、工業製品のように、設備を改善すればずっと生産コストが下がるという筋合いのものではないこと、よく大臣も御承知と思います。でございますから、そういうことが具体化せれた暁には三千二十円という支持価格に戻るのだ。そういうことが具体化されないうちはやはり三千二百円という現行水準というものを、実勢水準というものを維持する、こうでございませぬとどうも農民としては納得しない。極端な議論をいたしますれば、三十五年度だけはやってあげようと、三十六年度以降は損しようが得しようがそれは政府としては関知しないことだ。こういうことに聞こえちゃうのですね。そういう態度ならそれでいいんです。そういうことならばそういうことで、われわれ農民に、三十六年度以降は君たちの所得というものは保障されるということはない、保障されておらない、政府はそういう態度だということを農民に言い聞かせなきゃならぬ。われわれは今まで三千二百円というものが維持されるのだということを一貫して話をしておるのですよ。いいですか。これでいってよろしいならよろしいとはっきり聞かせて下さい。今この時点はきわめて重大な段階ですから。そういうことではっきり言っていただけばよい。もうそれ以上は議論いたしません。
○国務大臣(南條徳男君) まことにごもっともな御意見でございまして、われわれの立場からいっても、ぜひ農民に不安を与えないような施策をしたいということには変わりはございません。ただ、国の今後の予算その他の措置を考えねばなりませぬし、実際問題として、これは今後の施策を見ていただくことが一番よかろうと思いますが、十分この点については経済効果の上がるような措置をすることを今考えておるのでございます。どうかこれが、十分農民にも御心配の点はかけないようなことを今後説明いたしまして納得させるつもりでございますから、よろしくお願いいたします。
○櫻井志郎君 大臣の御出席の時間が大へん残り少なくなって参りましたので、私は端的にお伺いをいたしますが、硫安の価格が新年度になったのにいまだに決定を見ないために、大へん消費者つまりは農民に不安を起こしておる。私、実は一週間ばかり選挙区へ帰って、けさ戻って参ったのでありますが、私の郷里のような地方にまでこうした問題が相当やかましく論議されておる。先般八月の三十日ですか三十一日かの閣議の模様を知る由もありませんが、農林大臣としてはぜひ早くきめたいという趣旨で御発言になっておるようでありますけれども、他の大臣の御発言がいろいろな言い方で民間に伝えられ、大へん不安を巻き起こしておる。もちろん肥料二法からいいましても、いつまでに価格をきめなきゃならぬというきめはないことも承知をいたしておりますが、しかし、慣例からいっても特に農民の安定という点からいいましても、一刻も早く硫安価格をきめなきゃならぬ。きめられない事由については十分承知をいたしております。そういう理由の説明は私お聞きしたいのではありませんので、理由は理由としてあるけれども、しかし、もう最近こうできるのだという見通し、それに対する努力、こうした問題について大臣のお考えを端的にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(南條徳男君) 硫安肥料の問題につきまして、ただいまの御指摘はもっともなもので、農林省といたしましては、一日も早く価格審議会を開きまして、その価格を決定したいという方針に変わりはないのでございます。ただ前回、需給審議会のときの決議、要望としても、従来の生産者のいわゆる輸出会社等の赤字が相当大きくなっているので、この機会に年産者側の機械の合理化というようなことが進めば、今後三年の後においては五十二ドルの価格が四十二ドルに下がる、十ドルも下がるようなことになるから、そこでこの際合理化を政府としても進めてもらって、生産者の側においても大いに協力するということになれば、農民の、非常に消費者側にも利益になることであるから、そこでこの価格審議会を今度開くときまでにはこの合理化案というものを作って、そうしてこの価格をきめてほしいという要望があったわけでございます。で、そういう要望に従いまして、政府部内では通産省、大蔵省、農林省等の各省間にいろいろ折衝をしておりますので、また与党の方でもこれに対するいろいろ折衷案もありましたし、実は一昨日もその問題で大蔵、通産、農林の各大臣との間で話し合いもしておるわけでございまして、もう一、二回話し合いをいたしますれば、何とか妥協案を生み出せるのじゃないかということでございますから、農林省側としては、実はこの価格審議会を開くことをもうしばらく待っておるようなわけでございますが、だからといってそう長引くわけではございませんので、衆議院の農水委員会におきましても、少なくとも今月中には最後の決定を出せという御要望でありますから、その方針に従いたい、こう思っておる次第でございます。
○櫻井志郎君 大臣のお言葉じりをとらえるわけではありませんが、合理化案を作ってとおっしゃるが、合理化案は当然できてしまっておる。第一次合理化の時期はすでに済み、第二次合理化の第三年度に入っておる。要するにその合理化案通りに進む手段を早くきめたいということだろうと思いますが、これはぜひそう早くしていただきたい。いろいろ私申し上げたい点もありますが、時間がありませんので省略いたしますけれども、妥協という、これはものの言い方にはいろいろございますが、やはり政令には一応の方針というものがてきまっおる。しかも、ことしは生産制限を解除する合理化もすでに相当促進しておるその段階において、価格の高騰というものは当然出てくるものだと思いますが、と同時に、今大臣がお触れになった生産者側の赤字の累積ということももちろんございます。百十五億たまったと言っておりますが、もちろんその中にはメーカーのメリットも入っておる、メーカーのメリットを除いてしまえば、裸にして八十何億という、少なくとも赤字があるようでありますけれども、その赤字の累積を避けて国際競争力というものを培養していくということは、これは当然必要なことでございましょう。大臣の御答弁を私要求いたしませんが、一刻も早く、一日も早くこれはきめていただくことを要望しておきます。
○岡村文四郎君 肥料の問題でございますが、そのうちの硫安でございますが、今櫻井委員は郷里に帰ってからというお話がございましたが、私は帰りませんが、こんなに電報が来、書類が来たのは初めてでございます。北海道はまあ当然でございますが、各県からもそういった問題が出てきておる。何だろうといって見ると、内心に出血赤字を農家に負担させるような措置をするのじゃないかという心配がどうもあるのですが、あるかありませんかわかりませんが、帳面を見ると、電報を見ると、そういうことがないと言っても疑いを持っているのですから、私に、あいつに言えばわかるだろう、あいつは昔肥料のいろいろな組織をやった男だからわかるだろう、こう思っているのだろうと思いますが、どうも通産省からお聞きになっても、農林省からお聞きになってもそういう懸念はないというのに、地元ではそう考えているようでありますので、非常にきびしい催促がございますから、御答弁は要りませんが、ぜひ早急に農民の期待いたしておりますような価格におきめ願うことをぜひ大臣にお願い申し上げておきます。
○戸叶武君 硫安の問題は、肥料二法ができたときにも、生産者の利益を擁護する趣旨からできたものだと思いますが、今日においては逆に業者がこれを防衛のたてとして使っているような傾きがあるのですけれども、あの時分においても、国内においては九百円からの高値で農民に売りつけ、韓国や台湾には七百円以下でこれを流して、しかも国際的に市場を確保するためにはやむを得ないという言い方でしたが、このようにして硫安を政府は育成し、国内の農民の犠牲において硫安会社に繁栄をもたらしてきたのですが、その結果として百十五億からの貿易による赤字が累積されたといって、これを当分の間国内の高値を維持し、農民に転嫁させようというやり方は、これは農民がだれでも納得できない問題でございまして、あの当時からわれわれは肥料会社の方に対して原価計算なり、生産コストの問題に対して正確な資料を出してくれるようにと頼んだが、当時の通産省の化学肥料部長は汗ばかりかいて、一年間政府としての責任ある資料を出さずに、そのあげくというものは硫安工業会に逃げ出してしまって、今専務理事か何かやっている。こういうような形で奇々怪々な政府と肥料会社との関係に、一般が怪奇の眼を寄せるような出来事というものは、あの二法前後においても起きているのですが、今日これをずるずるに延ばしておきまして、そうして硫安の値下げもしない、そうして国内の農民に対して硫安を高値で売って犠牲を払わせるというようなことになると、全く日本の肥料政策というものは農民のための肥料政策でなくて、生産会社、営利会社のための肥料政策になってしまうので、これはドイツのエアハルトさんが来たときにも忠告したように、国内の安定した市場というものを確保しないで海外のダンピングをやるということは、日本の貿易政策の上における大きな失敗であるといわれている。こんなやり方をやらしておっては私はいけないと思うのです。それから政府側にも、われわれが今後肥料問題に対してはいろいろな資料を要求しますが、新聞等においても幾分ついておりますけれども、在外公館からくるところの調査というものもまだ正確を保しがたいところもありますけれども、日本の硫安生産費というものがトン当たり五十四ドル八十四セントで、国際水準は四十ドルだなどと言っておりますけれども、そうでなくて、西ドイツは六十三ドル六セント、フランスが六十一ドル七十九、イギリスとベルギーは五十八ドル前後といわれているくらいで、この点においても非常な問題点があるので、肥料にメスを入れるためには国際的な生産費、それから価格の問題、貿易市場における競争価格、いろいろな点を検討しなければなりませぬけれども、政府においてはもう長い間かかってこれらの資料は全部取りまとめてあると思いますから、私たちはこの機会に、この肥料二法がこんなふうなら廃止したらいいのではないかという意見も起きておりますけれども、廃止するとか廃止しないとかの論に入る前に、もう少しこの肥料政策に筋の通った肥料政策をやってもらうために、政府はどれだけこれに善処した——ただ審議会というものに逃げるだけでなく、十分今までこの硫安を中心とした肥料対策にこれこれの研究をしておったという国際関係、国内関係の資料をこの委員会にやはり出していただきたい。それで、このこといかんによっては、これは造船疑獄前後の問題と同じように農民は硫安の問題に対しては監視の眼を注いでおりますから、政府でもしっかりこれは善処してもらいたい。
○説明員(坂村吉正君) ただいま戸叶委員の御質問でございますが、お説の通りでございまするが、ただ、問題は、現在の肥料二法の建前は、御承知のように国内の消費者に対してできるだけ安い肥料を配給してもらうと、こういう考え方が基礎になっておるわけであります。ですから、従いまして審議会に諮問をしまして価格をきめるわけでございますが、価格をきめる場合におきましても、各メーカーの一番生産費の安いところから内地の消費量の数量だけ積み上げまして、それで、その中での平均の生産費をとってそれを価格の基礎としている、こういうようなことでございまして、ですから、国内の農家は硫安工業の作っております硫安の中で一番安いところから積み上げられた価格で買っておる、こういう状況でございます。ですから、その考え方は、今後といえども今の肥料二法というものがあります限りは、その考え方で硫安の価格というものは考えていかなければいかぬということは、これはもう非常にはっきりした政府の方針でございます。一面、海外との輸出の競争の問題でございまするが、それは結局海外の価格が相当安いものが出てきておるのでございまして、最近の情勢からいいますると、たとえばFOBでは三十五ドルとか六ドルとかというようなものが、ヨーロッパ諸国から、出ているという状況でございまして、そういうようなものと競争していく関係上、相当輸出競争でつらい思いをしている、こういう点も実際でございます。そういうようなことでございまして、ヨーロッパあるいは海外の各国で硫安工業について実際どういう施策をとり、それからどういう価格の硫安を農民が消費をしているかというような問題につきましても、これは精細な調査が必要だろうと思うのであります。そういう点はすでに在外公館を通じていろいろ調査もいたしております。あるいは機会を作りましてはいろいろな審議会の委員等も視察をいたしておるのでございまして、そういう内容等につきましても実態はある程度はつかめておるのでございまして、御要求がございますれば海外の資料等を提出いたしたいと思っております。
○戸叶武君 貿易の自由化とも今後は関連あると思いますが、在外公館等からの資料だと、西独ではトン当たりハドル十セント、英国では二十七ドル九十二セントの補助金を出しているというような話も伝っておりますけれども、こういうことはだんだんできなくなると思うのですけれども、こういう形において国際的なダンピングをやるために政府が金を使うというのはどうかと思いますが、そんな無理をして私は海外に出血輸出をするようなことよりも、価格を安くすれば、もっと国内におけるところの消費量というものは拡大するのですから、そういう方向に持っていくのが肥料二法の私は趣旨だと思う。肥料政策を、海外の市場を確保しなければならぬという名目のもとにおいて、海外には安く売って損をして、そのしりぬぐいは政府がやるというやり方は、私は非常に不合理であり、しかも農業経費の三割三分までは今肥料に使われておるというときに、農民の生産意欲を減退させるような肥料政策というものは、私たちは許しがたいものだと思っているので、もうとうにこういう問題は肥料二法ができて以来というものは政府において私は処置できるものだと思っておったが、今までもうほとんど独占資本の肥料会社にあおられて政府が引きずられてきておる。河野君のような強引な人でも肥料五円値下げで悲鳴をあげて男を下げたようなこともあるのですが、どうぞ農林大臣も河野さんに次いで男を下げないように気をつけてもらいたいと思う。
○中田吉雄君 今坂村局長は、内地の農民は最も安い価格で買っておるような、安い生産費でできたものを買っておるようなことを言っておるが、たしか内地の農民は、全購連からずっと出て単協から農家の買い取る値段というものは八百円くらい。ところが朝鮮と台湾です、大体五百五、六十円、硫安が一俵。過去一年の統計を調べてみると、大体そうなっておる。これはどういうことなんですか。一番安い価格で買っておるのはだれですか。少なくとも二、三百円です、硫安一かます違うのですよ。
○説明員(坂村吉正君) 先ほど御説明申し上げましたのは、現在の内地の消費者価格をきめるきめ方は、一番安いコストのものから積み上げまして、そうして内地の消費量に到達するまでの数量を積み上げましてそれの平均値段で価格をきめるのです。こういうことを申し上げたのでございまして、もちろん海外との競争の問題は、先ほど私が申し上げましたように、海外との競争の関係上、入札や何かで相当競争しておる関係で、それよりも安いものが出ることは当然でございます。しかし、それは、内地の価格と輸出価格とはこれは輸出会社というものでもって遮断をしておるのでございまして、従いまして輸出の赤字分はこれは内地の消費者に対しては負担は全然かけない、こういうシステムが現在の制度でございます。ですから、輸出の赤字分が硫安輸出会社にたまりまして、それが大臣の御答弁がございましたように、昭和三十五年の、本年の七月末で百十五億になっておる、こういうような状況でございます。ですから、赤字輸出をしておる分は内地の消費者には転嫁はしておりません。そういう建前でございます。
○櫻井志郎君 次へ入りますが、国鉄の運賃の公共政策割引についてですが、これも時間が迫っておりますけれども、私は実際の経緯を省略してお尋ねをいたしますけれども、この九月末で期限が切れる。ところが一方、私どもはかねがねこれの延長を要求もして参りましたし、またそうしたことをくまれてでありましょうけれども、総理大臣あるいは運輸大臣は新聞紙上等でありますが、国鉄運賃の値上げはしない、こう言っておられる。値上げをしないと、こういう言い方は、一方においてはこれは延期するのだ、こういうふうにそのまま受け取っていいはずにも思えるのでありますが、九月で切れるものを延期しない、こう言ったら少なくとも現在公共政策割引によって割引がされておるものの運賃は上がる。上がるということは、主管大臣や総理が言っておられることと違ってくる。これはそういう言い方は別にいたしましても、政策割引を廃止してもいいのだという理論というものはどこからいっても出てきておらないから、これは延期するのが当然だと、こういう言い方で当委員会は終始いたしておるわけでありますが、その後のお考え、御措置等についてお伺いいたします。
○国務大臣(南條徳男君) この公共政策割引の問題につきましては、たびたび政府として、農林省としても、当委員会もそうでありますが、農林省側の農産物が非常に多いわけであります。百種目くらい、約二十億くらいのうち、十八億が農林物産に入っておるというようなわけで、非常に影響力が大きいのでありまして、農林省としては、どこまでもこの点については、従来通り九月の末においてもこれは延期してもらいたいという建前で目下政府部内で調整しております。企画庁が中心になりまして、この調整をいたしておるのでございますが、その方針には変わりなく、これを主張するつもりでおります。
○櫻井志郎君 値上げをしたくてむずむずしておるはずの運輸大臣が値上げをしない、こういう言い方をしておられるのでありますから、そういう言い方については、あるいは閣議等すでに話が出て御決定になったのかしらぬというふうで新聞を読んでおったのでありますが、まだそこまではいっておらないのでありましょうか。
○国務大臣(南條徳男君) 昨日の閣議でたまたまこのことが、新聞に運輸大臣が発言したということから出たわけです。運輸大臣は、実は昨日は旅行中でいないのです。ですから、運輸大臣からの発言であったはずはございません。新聞にそういうことが出ておったことが非常にいい傾向だということであります。われわれも大いに賛成したわけであります。いずれ運輸大臣が参りましたら、よく事情を確かめたいと思います。
○櫻井志郎君 一言だけでありますが、とにかく新聞にまで大臣の談として出たのでありますから、今さらそれの取り消しは起こらない、こういうふうな期待をいたしておりますから、ぜひ実現をするように努力を願います。
○森八三一君 次の問題に移りたいと思いますが、その前に今の問題で、この前も発言をいたしましたように、私も政務次官とはっきり約束ができておるのです。速記録にも載っておりますから、大臣お聞きになっておると思うのですが、九月末に当然これはもう延期しなければならぬので、早く延期の手続をとってもらいたい。不幸にしていろいろの情勢から一部の物資についても割引制度を廃止するというようなことが考えられるとすれば、そのことについては逐一当委員会に報告して納得の上でやるようにしていただきたいということを申し上げまして、ぜひとも政務次官はそういたしますということを、はっきり速記に残っておりますから、単独でおやりになりますると、これは食言をするということになりますので、大臣はそういう御答弁はありませんが、政務次官がお答えになっております。そのことは御報告があったと思いますから、念のために申し上げます。勝手におやりにならぬという確認がされておることだけは御了承願っております。 その次に、時間がございませんから、食糧管理の問題に入らせていただきますが、食糧の管理の問題は、国の経済の上にも、国民生活の上にも、きわめて重要な関係にありますことは、もう申すまでもございません。そういうことでありまするから、先ほど農林大臣もこの問題に触れまして、再三お尋ねをいたしましたときには、現行の管理制度というものの根幹はこれを変えませんということを、これはしばしばもう言明されております。これは私、内閣としてはそういう方針でお進めになっておるものと、こう私は受け取っておるのです。ところが、これは大臣のお話を新聞がその通り伝えておるとは思いませんけれども、三日の新聞にこういう記事が出ておるのです。「南条農相は二日夜、東京赤坂のホテル・ニュージャパンで記者団と懇談、米の統制問題について選挙後は間接統制を考えなければならぬ。私はそのことを覚悟しておる。」こういう記事が出ております。これは、おそらく大臣の御趣旨とは違うと私は了解しておりますが、もし現行の管理制度をお変えになる意思がありといたしますれば、これはむしろ今そういうことを明確にしていただいて、そうして、消費者も、生産者もそういう政策が正しいか、正しくないかということについて判断をする機会を与えてやる方が民主政治としては、私は正しい方向ではないか、こう思いますが、お変えにならぬというなら、それはもう答弁要りません、それだけ言っていただけばよろしゅうございますから、いかがでしょうか。
○国務大臣(南條徳男君) ただいまの御質問の新聞の記事については全く私は関知いたしません。従いまして、この米の統制管理につきましては、ただいま考えておりません。変更については考えておりません。
○森八三一君 もうそれだけ伺っておけば、かれこれ申し上げる必要はありませんが、ただいま考えていないということと、どうも新聞記事を私も信用しているわけじゃありませんが、世間では、こういうことにはすぐ心配を持つんですね。これはもう大臣も御了解できると思うんです。大新聞がそういう記事を書けば、生産者としても、消費者としても非常な不安感を持つことは間違いないと思う。一々大臣がそれを言ったのじゃないといって取り消しをなさるわけじゃありませんから、この時点においては非常に大切なんです。その時点が大切ということはかれこれ申し上げる必要はないと思うんです。ですから、この時点では考えないが、時がくれば考えるのだというにおいが出ますと、どうもこの新聞記事がこう何となしにものを言うような気がしてくるんです。だから福田農林大臣がおっしゃっていましたように、当分という表現も、時間の長短はありまするが、常識として当分ということは、数年ということを私は意味すると思う。当分現行の管理制度の根幹は変えないという程度に、今の大臣発言を了解してよろしいかどうか。そうでございませぬというと、どうももやもやとしたものが残っちまうんです。
○説明員(須賀賢二君) 私から事務的にお答えを申し上げますが、現在私どもが事務当局として、いろいろ米の需給が緩和をいたして参りました事態に応じまして検討いたしておりますが、実態を率直に申し上げますと、米の集荷面につきましては、これは現在におきましても、また近い将来におきましても、現行制度を大幅に直すということは、事務的にも、まだ現在の段階におきましては検討いたしておりません。ただ、配給面につきましては、実際に需給市場も非常に緩和をいたして参っております。できるだけ消費者の便宜等も考慮いたしまして、消費者側の要望に沿うような制度の実態に持って参りたいということで、いろいろ検討いたしております。しかし、この場合におきましても、いわゆる統制の根幹と申しますか、やはり米は政府が買い上げをいたしまして、政府の手を通しまして、また一定の配給業者の手を通しまして、消費者に届ける、この統制の根幹は動かさない建前で、現在検訪いたしている段階でございます。
○森八三一君 今の長官の説明でよく了解いたしました。そこではっきり確認をしておきますが、生産者し政府の関係における管理制度と申しますか、現在の建前というものは変えないのだというように私は了解いたしました。ただ、お言葉のうちに大幅にというちょっと説明がつけ加わっていましたが、大幅とか小幅とか言いますと、またどの辺までが小幅だという考え方を聞かなければならぬので、この段階ではそういう論議はやめまして、大臣も言明されておったように、生産者と政府の間における管理制度の現状というものは変革しない、これだけはっきりしたいと思いますが、よろしゅうございますか、大臣どうでございますか。
○国務大臣(南條徳男君) その通り、変わりございません。
○北村暢君 私は、先ほど九州その他の旱害の問題についての御答弁があったのでありますが、台風十一号、十二号、十六号の各種災害について資料が出ておりますけれども、これについて、現在国会中開会中でもございませんし、また臨時国会も選挙後というようなことになるわけで、従来の特別立法を実施したというようなことにはちょっとできない状態にあるわけでございます。しかしながら災害は、これは何としても処置しなければならない問題でございまするので、私の要望としては、特別立法に下回らない措置を政府はぜひ一つとってもらいたい、こういう希望なんでございますけれども、大臣として今度の災害に対しまして、どのような基本的な考え方で対処せられるのか、この点だけを一点お伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(南條徳男君) この間の災害に対する対策につきましては、過般も衆議院の委員会におきまして、この点の御質疑がございましたので、特別立法は今回はいたしませんけれども、昨年の伊勢湾台風等で災害を受けた場所が例年また災害にあったような非常に悲惨な場所につきましては、高率補助というわけにも参りませんが、できるだけその精神をくんで、失業者に対する対策あるいは農民のいろいろな施策等についても予備金の要求をいたし、さっそく手配をいたしておりますが、今後ともこの点については急速な措置をすることが一番大事だということから、いろいろ金融その他の措置をとっておるわけでございます。もっと詳細御必要であれば、事務当局から説明させたいと思います。
○小笠原二三男君 伊東局長お見えになっておるけれども、ちょっとこの間、地方へ行って聞いたことで、大臣のお考えをお聞きしたい。それは、ある県のあるダムの建設等の、国営開墾で畑作を水田に転換するということの陳情があったのに、農林当局は、これは伊東局長は、農林漁業基本問題調査会等の意見もあり、四千五百町歩の水田開発、それは望ましくない、ということで押えられたということだった。そしてそれは技術的な問題やあるいは経済効果の問題や、いろいろの理由があってそういう考えであるというならわかるけれども、基本問題調査会のその中間的な意向というものによって、全国的な水田の経営規模を現状で押えていくという基本的な問題を、今直ちに個々の施策の上に出すということはおかしい。それが条件としても、何ら経済効果の上からいっても支障がないというものであれば、当然それはそれで農民の期待にこたえるべきであろうという考えを私は持った。このごろその基本問題調査会の結論が出ないままに、そこで論議の過程になっておる問題が実際の行政面に現われて、さっきも話のあったような米の統制撤廃等の問題も、やはり農林省が何と言おうがもう時間の問題だ、従って今後農村においては、品種の改良その他によって得意を確保するという方向でなくちゃならないというようなことでいろいろ施策する、貿易の自由化からくる問題等でも、基本問題調査会のいろいろな結論が影響を与えて、あれやこれやと農村においてそんたくしている部分があるのであります。混淆している。方針としてきまらぬものも、もうその意を体してそれぞれ施策するというようなことが行なわれてくる、これであっては行政は乱れるのじゃないかと思うのですが、伊東局長、長野県の松本の近くの、東電のダムの建設に伴う問題です。一応ここで経過を御説明いただきたい。 それから基本問題調査会の今の通りの所見と、農地局のそれについて、何ら実際的には関係がないのだということを、明らかにしてもらいたい。
○説明員(伊東正義君) 御質問になりました点で、長野のおそらく中信平というところで、今の私の方で言いますと、計画部の段階で、計画をしている段階の土地改良の問題だと思います。私その問題で、直接お会いしたかどうか、今はっきり記憶ありませんが、その計画は、実はまだ着工するというような段階まで計画は終わっておりませんし、実は三十六年度におきましても、やはり調査を要する地区ということで、事務的には考えておる地区でございます。でありますので、たとえば来年度、三十六年度の予算要求で、そこを新規着工として持ち出すとかというには、まだ計画が十分できておらぬということで、先ほど申しましたように計画の段階で、来年度も調査をしたいと思っている地区でございます。 それからもう一つの問題で、基本問題調査会の答申と、農地行政の関係でございますが、これは御承知のようにあの答申では、水田につきましては十年後現在の面積でいいのじゃないか、ただし増産的には一割の増産ということはこれは考えるが、面積的には今の現在の面積を維持する、といいますのは、その間に改廃等もございますので、それは改良とか干拓で造成して参りますが、面積的には大体今の面積でいいという意味の、実は答申が出ております。われわれとしましては、これはいろいろ検討を要する問題でございますが、そういう答申に基づきまして、いろいろ十年間の農地につきましての長期の見通しでございますとかというものを、実は検討いたしておることは、これは確かでございます。全然あの答申と切り離しまして、農地行政をやるというわけには私ども参らぬという考え方で、あの基本問題調査会の答申を前提としまして、実はいろいろ考えているのです。それで先生の御指摘になりました地点は、先ほど申しましたような段階でございますが、新規にこれから手をつけていくということにつきましては、水田は一切いかんという態度ではございません。これは地域によりましては、そういうものも当然地目変換なり何なりで考えた方がいい、それがその地方では一番安定した作物である、それ以外のことについてはなかなか考えられぬというような地域につきましては、これはそういうものも考えて参りたいというふうには思っておりますが、従来のようなどこでもどういう限界地でも水田を作って限界地を広めていくというような態度につきましては、私どもはあの答申を前提にしますと、やはり考え方をある程度変えていく必要があるのではないかというような考えを持っていることは、これは事実でございます。
○小笠原二三男君 将来この一割の増で、今の八千万石をこえる、それが九千万石以上になって大体自給ができる、いろいろな方針からそういう考え方が出てくるということも一応わかりますけれども、つぶれ地等の問題を考えたら、それに追いつくだけの、国営開墾なりあるいはその他の土地改良というものが追いついているか、追いついていないのですから、そういう点を考えればやはり確かに局長が言う通り、他の作物なり果樹なりでやる方が都合がいいというような地域もあるでしょうが、米作が一番農家収入になるのだというような地域においては、やはりその点は重点的に考えなくちゃいかぬだろうと思う。ただ今の地点において、私はそれが何が一番適正であるというようなことは申しません。ただ現地の農民等はたんぼはだめだ、強硬に農林省がこれを主張されるということで非常な憤激をしておる。ですから計画の段階、調査の段階であるというならば、その理由もしかじかであるということが明らかになり、またこの方が現地の農民諸君の将来の所得水準を高めるのにいいのだという、そういう納得がなされなければならぬと思うのですね。そういう点で私はどこか話に行き違いがあるのではないかということで、いずれにも軍配を上げないで帰って参ったのですが、もう少しそういうところは親切な扱いで、計画も立てられ、そうして農民の満足を得られるということで、あくまでも納得づくでやってもらうことをこの際希望しておく。紋切り型で、あれはだめだ、これはだめだというようなことは、私今の農林省で言うはずはないと思う。今でも信用しません、この点は……。けれども、現地で、もう農民大会までやって問題にしようというくらい憤激しておるのです。やはりこの点は至急善処することを私は望みます。 それから今のように、基本問題調査会の答申は直ちに農政の根幹的な方針として農林省は取り上げるのだ、施策に盛り込むんだということであれば、全体の問題としてもう少しこういう委員会でそのことが十分討議されるような機会を私は求めます。それから農林大臣もその基本問題調査会の答申に基づいて、これこれの問題はこうするんだという農林省自体の計画を示してもらわなければならぬと思います。とるものをとり、とらぬものはとらぬでは国会も納得しない、知りもしない。まして対象である農民諸君は全然わからない。国民全体——消費者の階級の方もわからぬというような、そういうやり方であってはいかぬと思う。で、今はしなくも、農地局長から非常に基本的な問題として取り上げてやっていく方向にあることが示されているんですから、この際大臣に、特に積極的にあの答申に基づいて農林当局が将来の農政に関して方針を示されることを希望します。それから委員長もそういう機会を持つように、少なくとも臨時国会においては、農林政策として新政策が発表になっておりますが、この基本問題調査会のそれと調整して、一丸として農林当局の新政策というものを臨時国会においては御説明願いたい。これだけは強く希望申し上げておきます。
○委員長(藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本件については本日はこの程度にいたします。 ここでしばらく休憩し、午後一時半から再開いたします。 午後零時三十六分休憩 —————・————— 午後一時五十九分開会
○委員長(藤野繁雄君) 委員会を再開いたします。 公有水面埋め立てと漁業に関する件を議題といたします。本件については御質疑の要求がございます。
○森八三一君 まず最初に農林省の漁政部長にお尋ねいたしますが、公有水面の埋め立てにつきましては、どういう手続で一体許可がされるのか、工事が進んでいるのかという問題であります。昭和二十四年に漁業協同組合法が施行されたというそのときを境にして、従来存在しておった専用漁業権は共同漁業権として協同組合に付与されておるというように私は理解をいたしております。といたしますれば、そういうような漁業権の存在しいる場所を埋め立てるというときには、当然漁業権者である漁業協同組合の了承がなければこれを取り運ぶわけにいかないというのが立法の趣旨でもあり、取り扱いの実態でもあろうと思います。問題のない当然なことと思いますが、公有水面の埋め立て手続につきまして、どういうような手続を経てそれが実施されるのか、その実態をまずもって御説明いただきたい。
○説明員(林田悠紀夫君) 公有水面の埋め立てにあたりましては、公有水面埋立法がございまして、埋め立てをしようとする者が地方長官の免許を受けなければならないことになっております。それで、地方長官が免許を与えますには、地元の市町村会の意見を徴してこれをなすようになっておりまして、その場合その公有水面に関して権利を有する者が埋め立てに同意をしなければ埋め立ての免許を与えることはできないことになっております。それで「公有水面二関シ権利ヲ有スル者」というものの中には、漁業権者または入漁権者が入っておりまして、仰せのように共同漁業権を持っておりまする漁業協同組合は当然権利を有するものとして権利を主張することができるわけでございます。それで、埋め立ての免許を受けました者は、そういう権利を有する者に対してその損害の補償をしなければならぬということになっておりまして、従いまして、漁業権者たる漁業協同組合に対して漁業権の補償をしなければならぬということが規定してございまして、そういうふうな手続を経た上で埋め立ての免許が行なわれるということになっておるわけでございます。その補償に関しまして協議をなすことができないというふうなときは、地方長官の裁定を求めるということになっております。
○森八三一君 そこで具体的に埋め立ての認可をいたしまする官庁は、それが港湾等の整備計画に基づいて行なわれるという場合には当然運輸省の方で埋め立ての認可手続等の取り運びになると、こう私は了解いたしますが、そういう取り扱いであるのかどうか。そのことをお伺いいたします。
○説明員(岡田京四郎君) 公有水面の埋め立ての免許権者は通常は都道府県知事になっております。ただ港湾地区の場合にはこの港湾管理者の長が免許権者になっておるわけでございます。また港湾管理者の長が免許いたします際には、これは一定のまあ制限はございますが、運輸大臣の認可を得た後にそれを行なうということになっておるわけであります。
○森八三一君 そうしますると、ただいま水産庁の方からの御説明のように、運輸大臣が認可をする、あるいは認可に関連して補助を出す、もしくはその行為についての起債等を認めようとする場合には、水産庁で御説明のあったような手続が取り運ばれておるという実態を確認した上でなされるのが通常であり当然であると思いますが、従来運輸省におきましては、認可は、手続をなさる場合にはそういうような運びがなされておるのかどうか。その点を確かめておきたいと思います。
○説明員(岡田京四郎君) 先ほど申し上げましたように、まあ認可と申しますのはこれは運輸大臣がやりますものでございますが、これは公有水面埋め立ての免許について補完的、そういう補完作業になる分でございます。免許権者が免許をするに先だって当然先ほど水産庁からも御説明がありましたように、公有水面埋立法に書いてあります第四条の「公有水面二関シ権利ヲ有スル者」が埋め立てに同意をしたかどうか、こういうようなことは免許権者がまず免許をきめます場合の当然調査すべきことでございます。さらにそういう問題をはっきりさせた上で運輸大臣に認可を申請するわけでございます。で、運輸大臣の認可にかからしめております主たる理由は、港湾計画の関係から見てそういう公有水面の埋め立てを、そういう免許権者が免許しようと思った場合、それをそのまま認めていいかどうかということをチェックするというのが主たるねらいでございます。しかし、やはりまあ認可ということがございますから、運輸省としても気がつきます限り、今御指摘のような点も、そういう権利者があるかないかというふうなことは、まあわれわれとしても当然できるだけ注意はするということはいたしております。筋道だけから申し上げますと、先ほど申し上げた通りであります。
○森八三一君 そこで具体的にお伺いをいたしますが、福岡市の須崎海岸の埋め立ての問題に関連して、これは確実に私が調査したものではございませんから、今ここで確言はいたしませんが、港湾整備計画に基づいて運輸省の方では了解を与えられておる。その了解に基づきまして起伏の認可であるとかあるいは補助金の交付についてそれぞれ内示的な手続をなされておるというように承っておりまするが、そういうような事実があるのかないのか、いかがでございましょう。
○説明員(岡田京四郎君) まあ御指摘の須崎地区でございますが、これにつきましては福岡市が港湾計画上この埋め立てを計画いたしまして、起債のあっせんを運輸省に対して依頼しております。起債そのものの正式な認可というものは今の自治省、従来の自治庁でやっておるわけでございます。この点につきましては、実体的なものは運輸省がしております。しかし、これはその港湾計画上それが必要だということで、その面から起債についてはそのあっせんをするということをやっております。まあ運輸省としましては、それと同時に、そういうものが認められた場合には、当然やはり免許手続を踏んで、そうして免許を経た上で行なわれるものというふうに思っていたわけであります。
○森八三一君 その辺が、前段の方でおっしゃいましたように、運輸省が免許権者の打ち合わせに基づいて審査をして認可をするという、その際には水産庁でお話しになったような行為が事実上取り運ばれておるのかどうかということも十分見きわめた上でそういうような起債があっせんなり補助金の交付なりについて了解を与えるということにならなきゃならぬはずなんですね。そこで、今問題になる須崎埋め立てにつきまして、そういうことを現地について調査をなすったのか、あるいは文書の上ですでにそういうことは確認を得ておりますと、だから問題はないから一つ起債も認めてほしいとかというような文書上の審査によって行為を進められたのか、そのいきさつはいかがでございましょうか。
○説明員(岡田京四郎君) 先ほどちょっと申し上げたかと思いますが、起債の方は毎年の起債の計画が、全体として年度の計画がございまして、その関係から見て、そこの計画、今度、たとえばここの場合でございますと、福岡市のこの計画が港湾計画上適切であるかどうかという観点から一応まあ見まして、それが適切であれば起債をつけるということを一応予定するわけでございます。それから、正式な運輸省の審査と申しますか、そういう漁業権等があるかどうかという審査のことにつきましては、本来は免許の申請が出ましたときに、そうして免許権者が免許をして可なりと一応判断しましたときに、それについて運輸大臣に認可の申請をいたします。その認可の申請がありました場合には、運輸省としましても利害関係がないかどうかということは、調べるといいますか、できるだけそういう点を調べることはいたしますが、しかし、これを現地におもむきまして一々実地調査するということはいたしておりません。そういう点は、先ほど初めに申し上げましたように、運輸大臣が認可をいたしますのは、免許権者が本来免許権を持っておるわけでございますが、それについて、港湾計画との関係から見て適切かどうかというようなことを審査するということに主たる眼目がございます関係から、わざわざ現地に出まして、一々それを確認するということはいたしておらないわけでございます。
○森八三一君 そうしますと、今問題になっておるこの案件について、起債のあっせんをなすったり、補助について多少でもその了解をとられておるという事実のあることがはっきりしましたがね、それをそういう行為をおやりになるについて、免許権者が、漁業権の存在しておるものについて、それは漁業権者との間で了解が成立しておるというような文書を運輸省の方にも出さなければ、そういうところまでの取り運びは事実行為としては私はできぬと思うのです。起債のワクが非常にたくさんあって、あり余っておるものであれば事前にそういうあっせんもできまするけれども、起債のワクというものはきわめて狭いので、極端に申しますれば、各府県とも取り合っておるというような姿のものですから、まだ埋め立てする工事ができるのかできぬのか、海のものとも山のものともわからぬようなものをあっせんするということはあり得ないと思う。ですから、本件に関する限りにおいては、運輸省の方に協議されておる文書において、漁業権者の同意を得ておるというようなことがなければ、そういうお運びを運輸省の方ではおやりになるはずはないと思いますが、そういうように文書は、そのものから見れば整備されておるような姿のものであったのかどうか。
○説明員(岡田京四郎君) 先にまともにお答えいたしますと、文書でそういうものを確認するということはいたしておりません。 それから、あとは少し釈明的なものになるわけでございますが、市の方におきまして、この問題がはっきりなりましてから、私たちの方でもいろいろ市について聞いたわけでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、正式の免許という形でこちらに出ておりません関係で、そこまで知らなかった。市の方でこれを、こういう点について何らのことをしなかったと申しますのは、実は昭和三十一年の三月でございますか、漁業権の二十六年に認められましたときは一応航海の時期になっております。その際に県知事に対して、市長名で港湾計画上必要である漁業権を新たに設定することは、ここの分については避けてほしいというようなことを依頼しておるそうであります。漁業調整委員会の方にもそういうことを言っております。それで市の方で、それにつきまして、何らの県の方からも回答がなかったために、この分については漁業権がなくなった、市の方の主張が認められたものというように何か誤認したというようなことを市の方では、事務当局では言っております。これは、そういうことはかりに誤認でもとにかく誤っておるわけでございます。事実に反しておるわけでございますから、そういう点については、もっと慎重を期さなければならない。実際はそういうような誤解があったために、ここには漁業権がないということで、実際に着手した。かえって運輸省の方に対して、その点をお断わりすることの必要を感じなかったというようなことを言っておるようであります。まあしかし、この点については、とにかくもっと事実の調査を十分してやるべきでございますから、運輸省といたしましても、こういうことがわかりましたので、市に対しては厳重に注意を出してございます。 一般的に、先ほど先生のおっしゃった起債のつけ方の問題でございますが、これにつきましては、先生のおっしゃるようなこともごもっともでございます。しかしまた一方におきまして、年に一回この起債の計画を立てますその時期に、一般的に申しまして、これから漁業補償の問題を話し合いして解決をするという予定で、三十五年度なら三十五年度の事業には起債をつけてほしい、認めてほしい、こういうことがよくあるわけでございますですね、そういう場合、これは補償がまだ解決がしていないから、三十五年度予算ではおよそ見てやれないのだということでは差しつかえがございますので、一応運輸省としましては、そういう場合、起債のワクを必要と認める場合には、起債のワクを一応認めまして、しかしこれは正式にまだつけるのでなくして保留する、そうして、そういう漁業権の問題等がなくなりました上で正式に起債の認可を自治庁からしてもらう、こういうことに最近ははっきり取り運ぶことにいたしております。御指摘のような点は、運輸省といたしましても十分気をつけるようにいたしたいと思います。 それから一つだけ申し上げたいと思いますが、先ほどの先生のお話の中に、起債とそれから補助もあるということをおっしゃっていました。須崎地区につきましては、これは埋め立ての関係だけで、起債の方だけで、補助の方はございません。念のために申し上げておきます。
○森八三一君 時間がありませんから結論に入ろうかと思いますが、大体本件に関しましては、別に運輸省に手落ちがあったとか何とか責任を追及するつもりはございません。ございませんが、確かにその間に誤認があったということはお認めになる。といたしますると、これは水産庁でお話しになりましたように、相互の権利、義務に関する問題ですから、とるべき手続というものはきちんと踏んで行動に入るべきであると思います。それが順序として誤っておるという事実がここにはっきりしたのですから、そこで今後これをどういうように解決するかにつきましては、十分これは関係者が相話し合いまして円満に解決の歩を運び、どうしてもこれが円満に解決できぬといたしますれば、法規に照らして処断をするなり、あるいは原状回復に、戻すなりということをしなければならぬと思いますが、そういうことにつきましては他日に譲るといたしまして、そういうような方針が定まりますまで誤認の姿において工事が進行するということはこれは許されぬと思うのです。でございますから、もし誤認の姿のままに工事が進行していくということになりますれば、これは多数の漁民諸君としては自分の持っている権益を侵される、不当に侵されることになるのですから、どういう行動に出ようともちょっと保証しがたいと思うのです。もし極端に言えば、あるいは工事をやっている請負業者等に対して実力をもってそれを阻止するというようなことにでも発展いたしますれば、これは重大な社会問題になる。私はそういうことはなるべく避けて円満に解決の歩を進めるべきであると思うのです。そこで今後の処置をどうするかという問題が関係者間において円満に妥結いたしまする間工事は直ちに中止を命ずるということが当然の私は役所の措置であろうと思う。そういう措置を直ちにおとりになれるかどうか、その点を水産庁と運輸省両方から一つ明確に御回答いただきたと思います。
○説明員(岡田京四郎君) この須崎地区につきましては、ただいまのような事情もございますので、そこで市当局におきましても現在工事を中止しております。運輸省といたしましてもこのことがわかりましたので、これは絶対中止すべきで、漁業者との間に話し合いがつくまでは工事をすることは認めない、こういうことをすでに言ってございます。
○森八三一君 この件に関しましては、須崎地区については工事を中止するように市当局に命じたというお話でありまするが、私が直接行ったわけではありませんから、今ここで責任をもってお答えをするわけには参らぬのでありますが、現に工事は進行しておる。そこで私の仄聞しているところでは、そういうことではもう漁民としてはじっとしておられないので、市の議会ですかに文書をもちまして、中止をしなければ実力をもって阻止するというようなことを申し入れたやに聞き及んでおる。そこで市の議会当局でも非常に心配なすって、そういうような実力を使わないように漁業協同組合等の幹部に説得をしてもらいたいという依頼をなすっているらしいのです。その事実は、運輸省の方では工事の中正を命ぜられたと言いながら、工事が進行しておるというふうに私は理解せざるを得ないと思う。事実中止されておるものであれば、そんなことを市議会で申し入れたり、市議会の責任者が協同組合の責任者に実力を使うようなことは一つやめてもらいたいといったようなことを懇願するというようなこともあり得ないことなんです、中止されているならば。現にそういうことがきのう、おととい発生しておるという事実ですから、これは即刻厳重に中止を命ずる。すでに中止を命じてあるものが行なわれているならば、その責任を追及していいと思う。そんなことは、ぼんやりしていらっしゃるからなめられてしまって、最後は何とかなるであろう、埋め立ててしまえばもうこれは既成事実として誤認のもとにやっておることが確認されてしまうということになりかねないと思う。それでは非常に遺憾なことですから、そういうようなことで、すでに市当局が気がついているというなら、直ちにその実効が上がるような措置を講じてもらいたい。同時に須崎地区のほかにもう一点は、東浜地区というのも同様の状態になっておると私は聞き及んでおります。同じ地点で二カ所もそういう乱暴な漁業権を無視した工事が進むということは残念なんです。両方ともこれは即刻工事の中止を命じていただきたい。その実が上がるような行為がとれるかとれぬかという点が一点。 それからもう一つは、箱崎の地区ですでに四十年も前にその埋め立てのことについてその当時何か了解がついたかなんかで認可になった。ところが、四十年間工事もせずにほうりっぱなしで現に工事をやっておらぬ。そこはその後漁業権も発生しておるということで、現在相当の漁獲が上がっておる。ところが、その漁業協同組合法の実施以前のそういう手続をたてにして、これは埋め立ての権益が存在しているのだというようなことで、その埋め立ての認可の期間を次々と延長するという行為が行なわれておると聞くのであります。埋め立ての期限を切って認可したものが、四十年も五十年もそのままほうりっぱなしにしてあり、その間に法規の改正によってそこにはまた新しい漁業権が発生している。しかもそこが有力な漁場であるという場合には、当然認可の期間の更新ということは阻止すべきである。行なわない方がいいと思いますが、そういうことはいかがでございましょうか。 その二点をお伺いしたい。
○説明員(岡田京四郎君) 第一点の点でございますが、これは先ほど私がお答えいたしましたのは須崎地区の方でございます。須崎地区では現在工事は行なわれていないはずでございます。それからあとに先生がおっしゃったのは、実は東浜の地区のことかと思います。ここでは現在工事をやっておるわけでございます。その東浜地区については、運輸省の方からもこれをやめろという指示はいたしておりません。東浜地区につきまして、それではどういうことになっているかということを申し上げますと、東浜地区並びに先ほどお話の箱崎地区、どちらも大体同じケースになるわけでございますが、前に埋め立ての免許がなされ、すなわち市が埋め立て権者になっているわけでございます。その後一応前に免許をされました期間が切れます時期になっておりましたので、その少し前にこれを期間を更新するという更新の申請手続を踏んでいるわけでございます。従いまして、この点については、埋め立て権者の方としてはまだ埋め立て権が権利として残っているというわけでございます。そういうところに、逆に言いますと、そういうまだ埋め立て権者の埋め立て権の残っているところに漁業権の方があとから認められた。これは漁業権をやはり認めます場合には、今度は漁業法の方によりまして、やはりその水面に他の権利者がある場合には、それの同意を得てからでなければ認められないという点があるわけでございます。そういう点との関係が実は出てくるわけでございます。その点で少し問題が紛糾しておる点がございます。いわば両方、今権利がある。沿革的に言いましてどっちがどうということは別にいたしまして、それぞれが十分にその権利を主張し得る立場にあるわけでございます。その点が須崎の場合とは事情を異にいたしておりますので、運輸省といたしましてもこの点については、これは違法であるとは全然考えておらないわけでございます。しかし申し上げたようなことは、実際には非常におかしなことでもございますので、こういうケースが今後絶対に起こらないようにいた大したいと思います。今まで起こりました分につきましては、今後一つ水産庁の方とも御相談していきたいというふうに考えております。 それから実際上の行政上の措置といたしましては、こういうことがございますので、市と漁業組合との方では相互にそういう状態であるということの事実の認識の上に立って実際上のお話し合いをしていただくようにということを、運輸省といたしましては、これは一種の行政指導でございますが、そういったことを両方に対して申し上げておるような次第でございます。
○森八三一君 それで、円満に話のつくことを行政上のあれとして指導いたしましょう、私はそれも大へんけっこうだと思う。そういう指導をやっておるかたわら、どんどん二重に権利が発生しておるようなこと、そこに一方的に工事が進められる。しかもその認可を受けておった地区の面積よりも、また戦前一応の権利があると主張されておる地域を拡大してやっておるという行為もあるということで、非常に問題が複雑しておる。ですから、一刻も早くそういう問題をきれいに整理するまでこの東浜地区といえども工事を中止せしめて流血の惨事を見るようなことはやめた方がいいと思う。それでもやるということであれば、これはさっきおっしゃったように権利は認められておる、漁業権も。これは非常にむずかしい問題になる。だからそういう問題をきれいに話し合えば、地元同士ですから、話し合ったら話し合うことができると思う。ですから、そういう間工事を中止せしめるということは、私は当然行政上の措置としてなされてしかるべきであると思う。双方が権利を主張するのですから、その裁断を下すまでは、一方的な工事の実施は待ったということは当然でなければならぬ。その間に不祥事が起きたらどうしますか。それでもいいということにならぬでしょう。それが今後五年も十年もかかるというものではなくて、紛糾しておる問題ですから、双方が誠意を持ってやればそんなことは長くかかる問題ではないと思います。それに水産庁、運輸省が中に入って調停あっせんをいたしますれば、おのずからそこに限度があることですから、話し合いは妥結すると思う。その間の工事の中止ということは、これは行政上の措置としては当然なされてしかるべきであると思う。これはどうですか。
○説明員(林田悠紀夫君) 水産庁のこれに対する態度をお答え申し上げておきたいと思いますが、先ほど運輸省から答弁がありましたように、須崎地区と東浜地区と箱崎地区とこの三カ所に分かれておりまして、須崎地区についてはすでに工事は中止中でありまして、東浜地区は工事が継続中であります。それから箱崎地区につきましては工事は行なわれていないというのが現状でございます。それで東浜地区につきましては、これは昭和十八年に福岡市が埋め立ての免許を得まして工事に着手いたしましたが、戦争中、戦後一たん工事を中止いたしまして、昭和三十五年に再び工事に着手したわけであります。それで途中で漁業権が免許されておるということがありまして、この漁業権を免許するにあたりましては、知事が公益上必要があると認めるときには漁業権に制限を加えたりあるいは条件を付することができるということになっておるわけでありまして、この埋め立ての免許とどういうふうな関係で知事が漁業権を免許しておるかということにつきましては、問題があると存じます。しかしながら、私たちが聞いておりまするのは、その後福岡市が埋め立て計画を変更いたしまして、さらに四千坪の増加埋め立てを行なっておるというように聞いておりまして、その増加埋め立てにつきましては、これは漁業権者に無断で工事を行なっておるというふうに見ていいんじゃないかと存じているわけであります。それで、工事中止させるかどうかというふうなことは、これはまあ運輸省の問題になると存じまするが、水産庁といたしましては、できるだけ円満に漁業権者と市当局が話し合ってこの問題を解決した上で工事をやってもらうというのが行政上最も望ましい姿であるというふうに考えまして、昨日も福岡県庁を通じまして市の方へそういうことでしばらく工事は見合わして、そういう問題を解決するのがいいんじゃないかということで申し出をしておるような次第でございます。
○説明員(岡田京四郎君) なお、事実関係につきまして、今水産庁からお話があった通りであります。ただ、あれ一つだけ最近になって拡大しておるという先生のお話がございました。今水産庁のおっしゃったのは、四千坪というお話がそのことかと思われますが、これにつきましては、私の方で市に確かめておりましたところでは、その計画は持っておるそうでございます。そうして設計変更と申しますか、そういう手続をこれから踏もうということでございます。まだその点につきましては、計画の段階である、従って、現実に工事に手をつけているわけではありません。従来の既定計画の分については工事をやっておるということのようであります。 それから、いずれにいたしましても、まあ実際に今そういう事態になっておるのだから、これについては何らか措置をしなければならぬということはこれは当然でございますけれども、よく水産庁の方とも打ち合わせしまして、事態の解決に努めたいという考えでございます。
○森八三一君 議事の時間もございますので、くどくどしくは申し上げませんが、行政官庁としては、ただ円満に解決することを私は期待しておられると思うのです。そのために妨げになるような行為というものは、これは中止をすることが好ましいと思うのです。そこで、双方に権利の主張があるのですから、そのことが円満に解決する、かりに双方とも自分の権利の主張の上に立つということをやめるということが正しいと思うのです。そういう指導をすべきであると思うのです。それが行政庁の義務であると思うのです。ですから、須崎地区については中止命令が出ておってやっていないからよろしい。東浜海岸については、同様に私はこの際すみやかに工事の中止を命じ、一日も早く円満な解決の歩を進めるというのが政府のとるべき態度だと思うのです。一方も権利があるからこれをやる、こういうことになるとどういうことになりますか。いずれか裁断しなければならぬ。それならそういうことで、関係者が相争うような、しかもそれが発展して実力行動に出てくるというようなことは避くべきであると思う。ですから、この際一応工事の中止を命ずるということは、私は行政庁として当然の措置だと思うんですが、いかかですか。できませんか、できぬじゃおかしいですよ。両方が権利の主張をしているんでしょう。大へんなことになりますよ。そのことについて、話し合いが円満に妥結するまで一方の権利の主張はやめなさい、両方の権利の主張をやめるのですから……。そういう行為がとられなければ政府の態度としてはおかしい。そういう措置はできませんか。
○説明員(岡田京四郎君) いろいろ本年度の工事計画との関係もあるかと思いますが、今おっしゃったような御趣旨に沿うように努めたいと思います。
○委員長(藤野繁雄君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にとどめます。 速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤野繁雄君) 速記を始めて。 —————————————
○委員長(藤野繁雄君) 次に、ビール麦に関する件を議題といたします。午前御決議されましたところに基づき御出席をいただきました参考人は、全国農業協同組合中央会常務理事一楽照雄君、全国販売農業協同組合連合会会長石井英之助君、麦酒酒造組合理事山本為三郎君、栃木県麦酒麦耕作組合連合会参事安納武三郎君であります。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます、本日は御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただき厚くお礼を申し上げます。ビール麦の取り扱いにつきましての問題は、かねて当委員会におきましてもこれを取り上げて参りましたが、本日は特に参考人の出席を願い、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、当委員会の調査の参考にいたしたいと存じます。 参考人に対して御質疑の向きは御質疑をお願いいたします。 なお、政府からただいまは農林経済局農協部長酒折君、振興局農産課長石川君、食糧庁総務部長岡崎君、公正取引委員会第一審査長八尋昇君の出席を得ております。
○戸叶武君 ビール麦耕作農民は、現在この独占的ビール会社によって思いのまま支配されているという印象を強く受けているのです。それは、現在全国で二百十五万俵の生産量に上るビール麦が大部分が日本、朝日、麒麟、宝の四大ビール会社によって独占的に買い上げられているからであります。その買い上げ方法というものは、従来農村における市町村の農協とビール会社との間の売買契約という形式もあるが、実質的には麦耕連なるものがビール会社の下請機関的な役割を果たしてきたのでありますけれども、昨年来、茨城、栃木その他で問題になりまして、全国的に農協陣営におきましては、こういう方法では生産農民を擁護するわけにはいかない。単協——麦耕連というルートだけでなく、むしろ単協、経済連、全販連を通じての系統共販に乗せていかなければならぬということが、強く各県の農協大会並びに全国の農協大会で決議されておるのであります。農協は自主的団体でありまするが、この生産農民と農協のメンバーの人たちが結集しての農協の大会における決議というものは、ゆるがせにすべきではないと思うのでありまするが、こういう決議に貫かれておるところの生産農民の意欲というものに対して、具体的に農協の中央会というものはどういうふうにこれを今まで処理してきたか、それを一楽さんにまず承りたいと思います。
○参考人(一楽照雄君) ただいまお話がありました通りに、昨年の十一月の全国農協大会の決議というものが、ビール麦については三十五年度の麦から系統的共販に移すように努力しようという決議が行なわれましたが、それが初めてではなくして、かねて、今日米その他の主要なる農産物については相当程度系統的取り扱いが進展しておるのに比べて、ビール麦は単協まではほかのものと比べて比較にならないほど徹底して結集ができておるのだけれども、それから後の系統的取り扱いがきわめて不十分なのはあまりにも不つり合いだから、このビール麦についても他の農産物と同じような趣旨によって、できる限りすみやかに系統的に結集して、そして外部に対しての取引を進めていくようにしなければならぬということは、かねての懸案的な話には内部的にはなっておったわけでございます。それが最もはっきりした決議になったのが昨年でございまして、この問題は急に起こった問題ではないわけでございます。しかしながら、それはそれぞれわれわれの系統におきまして、御承知の通りに、終戦後の農協において、特に経済連という連合会において、整備促進法による整備をしなければならないというようないろいろな困難な状態があって、ビール麦についての取り扱いがおくれておった事実、連合会においてできておらなかったというような事情もあったわけでありまして、主としてそういった系統内部における事情が、十分条件が整備してなかったというのが主たる事情であったわけでございます。それで、しかし昨年来からは、いよいよ全販連、県の経済連という団体においても、もう今日の段階になればこれを取り扱い得るという自信を持つ段階になった。それと今の農協大会の決議というのが相照応しておるわけでございます。ところが、昨年の十一月に決議になったその以前から、若干それは具体的に問題になっておりましたけれども、御承知の通りに、会社といたしましては、これは作付のときから生産者と御相談して、ある程度計画的に栽培し、それに基づいて取引関係等も相談をしてきておりますし、また種の供給等のあっせんもされており、また技術的な指導もされておるというような継続的な仕事になってきておられますので、三十五年度産麦を、急に一挙に系統取り扱いにするということは、会社側の方とされましては、これは間に合わぬ問題ではなかろうか、それからまた会社側とせられては、従来通りの取り扱いとしても、別に会社自身としては困った事態もないわけでありますから、今まで進めてきている話を元へ戻して、そうして急に系統取り扱いにするというようなことまでする必要はないのじゃないかというような立場であったと思うのでございます。従っていろいろ先生方の御心労をわずらわすような事態が、三十五年度産麦についてあったと思うのでございますが、しかし、そのことにつきましても、われわれの団体の責任者である荷見と、ビール会社側の指導者であられる山本先生との密接なる、最初からの御提携といいますか、気持を合わせての御配慮によりまして、本年の四月七日、いろいろ問題になっておった問題を、三十五年度産麦の処理というものについて、円満なる解決といいますか、協定ができたわけでございます。ところが、もちろんこれはきわめて円満にできたわけでございますが、この実務の上での、こまかい実務的なことまでは、この御両所の間で協定するというわけにいきませんわけでございますので、あとは個々具体的なめんどうな取り引関係でございますので、この協定の趣旨を実現するために、今日までわれわれの方の側におきましても、また会社の側におきましても、それぞれ趣旨の徹底ということについては、いろいろこまかい点で時間を要したと思いますので、外部からごらんになりますと、この協定の実行という点についても、円滑にいっておらぬじゃないかというようなお考えが、途中においてごらんになってお見えになったと思うのでございますけれども、幸いにしてとにかく、それぞれ責任者側の基本的方針が明確にされ、それによって御指導をいただきましたので、この三十五年度のものの処理は、われわれの側から見て、不満な点なく、紳士的にほとんど実行されておる、この今日の段階におきましてはそこまできておると思います。それでもうそろそろ、三十五年度がそうなりますので、今後は、それでは三十六年度以後のものについて、どういうふうに進めるかということについても、中央会会長と山本社長との間で、まず、大きなところからお話を進めて、そうして円滑に具体化していきたいということを、両者ともそういう御相談になっておりますので、追ってこの三十六年度のことについても具体化していくだろうと思うわけでございます。この大会決議の趣旨に沿って、われわれが内面的にいかに指導するかということにつきましては、これはもう系統機構といいますか、系統運動としては論議の余地なく、できるだけ系統的にあげていくということですから、まあ、格別、特別なる措置といいますよりも、今申しましたように、ビール会社方面との具体的問題が、三十五年度のものについてあったわけでございますので、そちらとの円滑なる進行ということについて今日まで努力をしてきておった、そういう経過になっておるわけでございます。
○戸叶武君 本年四月におけるところの中央会の荷見会長と、ビール会社側の代表であるビール界の実力者といわれる山本社長との協定というものは、これは歴史的な意義を持っておると思うのです。今、一楽中央会の常務理事が言われたように、両方のいろいろな主張があるが、暫定的な、現実的な処理として行なわれた協定だと思いますが、会社側に対してはあとで質問することにして、私たちが農協関係の人に一言言いたいのは、農協大会で決議して、農協中央会の見解というものも、今、一楽さんが述べられたように、一致した見解を持っておるにかかわらず、農協指導機関ともいうべき農協中央会が、その趣旨を各都道府県における中央会長に徹底しているのかどうか。協同組合運動の一番中心は教育、宣伝、普及です。その農協運動の指的導な役割をする人たちは、必ずしも明朗な動きをしていない。この農協大会における決議なり、今一楽さんの言われたように、農協中央会における基本的見解、今の段階におけるところの処理方針、そういうものを私は、実践していないと思う。そういうところに混迷の種があるので、一楽さんも系統農協内部に問題があるということは灘直に言っておりますけれども、そこらはもっとはっきりしないと、日本の協同組合運動というものは、あらしの中の私は危機に立っておると思うのです。そういうところから、結局あの原則的な協定ができても、実施段階におけることしのような紛争というものが住まれたのだと思いますが、この二本立の販売ルートといいますか、それに対して会社側においてこれは山本さんではありませんが衆議院段階においては、会社側の代表の人たちが麦耕運の方はこれは契約栽培であり、系統農協の方としては、これは売買契約にすぎないんだというような強弁をやっておりますが、これは少なくとも、昨年におけるところの荷見さんと山木さんの間にかわされた協定の基本的な精神にそむいたところの見解だと思いますが、あなたはどういうふうにこれを解釈しておりますか。
○参考人(一楽照雄君) この協定は山本先生と荷見会長の間で、きわめて道義的、精神的な考え方、そういう範囲内での文章がそのまま現われておりまして、法律的な表現にはなっておらないわけでございます。それで特約栽培であるか、単なる売買契約であるかというような観念づけ、概念づけをするというようなことは、御両者自身においてもお考えになっておらなかったと思います。またわれわれがこれを事務的に処理していく場合におきましても、あれだけ各方面をお騒がせする結果になった者の一人でございますので、双方いろいろいきさつがあって、しかも非常に関係者が多いものでございまするから、それぞれ誠意をもって得心をさして、そうして円満に処理していこうという趣旨でございまするので、言葉の上であえて特約栽培であるかないかということで争いといいますか、見解の何を申すということよりも、個々具体的な事務上の進行についていろいろと困ることがあり、あるいは途中において係の方も御見解の違ったこともありますが、そういうものを一々われわれとしては要望をして、結局はそれらをそれぞれ適当なところで妥協をいいますか、折り合って、そして円満にいくというのできておりますので、あの文書の趣旨から見て、特約栽培であったとかなかったとか、いかに解釈すべきかというように概念的に、観念的に考えることを避けて、個々具体的に実務の問題としてそれを処理してきたという経過になっておりまするので、ただいまお話がありましたように、麦酒酒造組合の山内常務さんがおっしゃられたということ、これは必ずしもそういう言葉をお使いになりました意味が、従来やってきておった麦耕運の取り扱い等、いろいろ経過的にあって、こちらのものについても全販連系統のものと認めるということになったので、実務的にすべてが同じにいかない点があるということが、そういうふうに特約栽培と違うということは、従来の特約栽培そのものと違うというような意味でおっしゃられたのではなかろうかと想像するわけでございます。
○戸叶武君 これは山本さんの言ったことではなく、麦酒酒造組合の山内常務理事が言ったことですが、その言葉じりを私は取り上げるのじゃありませんが、契約栽培と売買契約とは違うのだという口実のもとに、麦耕運と系統共販との取り扱いに差別待遇をビール会社の方でやってきた。そういうところに本年度における紛争の種がまかれたので、種の問題で一番問題なのはやはり本物の種のことですが、やはり種の配布や数量の割当についても、それから指導費の問題、指導費は契約栽培で、麦耕運の方へは出すが、系統共販の方には出さぬというようなこの主張というものもそういうところから出ているのですが、こういうもろもろの問題に具体的にはこの考え方というものが尾を引いているのですけれども、それに対して中央会としてはどういうふうに調節しようと考えておりますか。
○参考人(一楽照雄君) 仰せの通り、いろいろそういう現地第一線のところにおきましては会社の方々がいかにも差別待遇をするかのごときお話があるというようなことがわれわれの方にも伝わって参ります。それで、そのつど必要のあることにつきましては、麦酒酒造組合の方にも申し上げて、そしてそれが一つのはっきりとした会社としての御意思ではないかということをそれぞれ固めてきた経過でございます。私ども察しまするところ、何分にもあれだけ対立的な関係になりましたので、なかなか山本社長、荷見会長の精神というものが末端の第一線の人に徹底をするのには、ある程度時間といきさつを要するということはやむを得ないのじゃなかろうかと思っております。また、ああいう経過がありましたので、われわれの方へ伝わってくる話も針小棒大といっちゃ少し大き過ぎますけれども、神経過敏になってくるという点もあるかと思いますので、いずれにしましてもそういう意識的な差別待遇はしていただいては困るということで、具体的なことについてお願いし、御相談をしてきておって、そうしてそれからのことが順調に、われわれが不満のないように解決しつつあると思います。で、われわれがあえて不満だといいますれば、そういうことになるためにすっきりと、そう簡単にすっといかなくて時間を要する手間を要するということは、無理にそれを不満だと言えば言えないことはないと思いますけれども、それはお互いに考えてみまして、関係者が大きいことと、長年ずっとこれでいいと信じて、またこれでなければならぬと信じてやって、また途中で会社とせられましても、三十五年度の麦については系統にはタッチさせないのだということを前に早くから方針が確立しておりましたのを、それを大所高所から妥協せられたというような経過もありますので、それぞれ従業員の方々が相当の、いわばレジスタンス的な態度になられるのもやむを得なかっただろうと思いますので、私ども、そういう事実なり傾向がありましても、傾向としてそれらのことがすべていい方に解決しつつあるというように考えておるわけでございます。
○戸叶武君 一楽さんは時間にも制約があり、あとの人も一楽さんに質問したいという人もありますから、次の一点だけ、私は一楽さんに対する質問はこれだけにとどめたいと思いますが、それは農業協同組合法の第四十二条の二に「組合の行う事業と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事する者は当該組合の理事、監事、参事又は会計主任になってはならない。」と役員の競合禁止の規定があります。このことは御承知と思いますが、このことに関連しまして、日本で一番大きな県単位では麦耕運といわれている栃木県の麦耕連の会長の坪山徳弥さんは農協の方の中央会の会長でもあり、それから県の経済農協連の監事でもあるのであります。これは明らかに農協法違反です。このことはことしの三月三日に当委員会において農林省の酒折農協部長も経済連の監事は法律上競合禁止の規定があるから問題になるというふうに回答しております。そういう回答がなされておりますが、これははたしてそういう回答をしたところの部長から、栃木県の経済連の方に、どのように通告したかはまたあとで承ることにしますが、それと同時に農協中央会の会長は、中央会が農協法の組合でないからという理由のもとに、当時部長はあいまいな返事をしましたが、そういう三百代言的な法の形成的な解釈によって農協法の精神というものが生かせるか。農協の指導機関ともいうべきところの中央会の会長が農協法に抵触するような行為をやっていても、中央会の会長というものが農協法に基づく組合でないから関係がないのだというような解釈というものは疑念があると私はそのときにも追及したのですが、その日に廊下に出ましたときに、農林省の農林経済局長は、部長はああ言ったけれども、省内における統一的見解ではないと言って弁解しておりましたので、これは何らかの機会にこのことを明らかにしなければならないと思っておりますが、役所の意見を一々伺うまでもなく、農協法における自主的な態勢というものは精神的な規律というものがなければだめだと思います。法律解釈においてこうだああだと言っているんではなくて、農協運動を率先していくのに、農協大会でもって決議をなされ、農協中央会におけるところの見解の統一がなされて、なおかつ農協中央会のここの会長というものの進退を左右することができない。こういう農協運動は世界中どこにもない。これに対して中央会においてはどういうふうな見解を持っておるか。
○参考人(一楽照雄君) この問題につきましては、この点を一つ特にお考えおき願いたいんです。一般的に系統販売に賛成である、反対である、決議はしたけれどもそれに従わないというような問題ではありませんで、三十五年度からやれるように努力をしようという趣旨、それには相手の方があって、ただできたものをさっと売るのではなくして、ずっと前広く種の供給割当と価格の折衝というようなものをしておったわけでございまするから、それでこれを三十五年度からぜひやってもらいたいということを会社にお願いすることは、無理でありあるいは困難ではなかろうかという考え方の人と、とにかくがむしゃらに、がむしゃらではないが、とにかくできれば、そういう話で進行しておっても、そういうように変えていただいても、会社側としては何も実質上困るのではないんだから、せっかくわれわれも気持がそろったところで、この三十五年度からやってもらったらどうかというようなことについての見解の相違が、県と県との間に違いがあったということでございまするので、趣旨として農協大会の決議に異存のある人はないし、その後の実行においても変わりはないと思うのです。なお、そういうようなことでございまするので、今の同じ人がどうこうという法律上の問題におきましても、これはとにかく麦耕運といいましても、それを構成しておりますのは単位農協でございまするから、農協が作って、そうしてあるいは中央会なりあるいは経済連なりという系統組織を、正規のそういう組織を活用しておれば問題はなかったわけでございますが、それがさっき申し上げましたように系統的正規の機関としてはまだこれを取り扱うというような状態になっておりませなんだので、便宜申し合わせ団体としての麦耕連を作ってやってきておったという性質のもので、従ってわれわれ農協の中の中央会の者から言いますれば、それはその中で全販なり経済連なりがやれるものはそれでやらすようにすれば、麦耕運はもう役割がなくなればやめてもいいんじゃないかというようなことも言えます。同時に、しかし麦耕運の名において、せっかく会社との関係が円滑にいって、生産指導等の点においてはこれをやはり生かしていった方がいいという会社側の御見解等もありますれば、やはりその生かせるところは十分尊重して、その組織と、そうして経済連、全販連という組織も相提携して、そうしてよりよくやっていくというようなことも考えられます。そういう意味でわれわれは、要するに実質的に系統販売が進み、また同時に過去のいろいろな経過でできておる組織なり、また関係者の御努力、そういうものも積極的に、これが生産者のためにもまたビール会社のためにも困るという不合理なものでない限り、われわれの方から見てもじゃまにはならない、また会社から見てもじゃまにはならないという限りにおいては、それぞれ実績のある組織、実績のある団体、人というようなものは、やはり尊重していくという建前でいかなければならないと、こういうふうに考えております。
○戸叶武君 今の答弁を聞いていると、話がだんだんわからなくなってしまうのです。もっと歯切れがいい一つの方針を打ち出さないから、いつでも農協運動というものはどういう方向づけをやっているんだかわからなくなっちゃうんじゃないかと思う。やはり麦耕運というのも一つの実績があるのは事実です。それは認めるべきです。しかし、農協大会における決議なり、農協中央会の意思決定というものがなされたら、系統共販の方に徐々に、多少のトラブルがあっても、それを具体的に調節して、そして持っていくという方向づけをやらなければ、農協運動の指導にならぬじゃないですか。その点を、基本的な態度というものをはっきりして、そういう方向づけに協力していけるかいけないかの問題です。今、事実上においてそういう系統共販に持っていこうという農協大会の決議なり農協中央会の指導方針というものに、相反するような、こういう麦耕運の会長というものを兼務してやっているというのは、農協運動の敵です。農協運動に対して反対するものです。そういうものに対して明快なとにかく態度をとらないで、ああでもない、こうでもないというふうな、右向いているのか左向いているのかわからないような議論をやっているから、いつまでも農協運動というものはなめられるのであって、私は、そういう点は、これは摩擦なしにスムーズに発展するということが理想ですけれども、ものが転換して脱皮していかなければならないというときには、若干のトラブルはあるのです。それに基本的な指示というのを立てて、具体的な調整をやるという断固たる態度がないから、今日のような混乱が起きているんだと思いますが、私は、一楽さんは非常に苦労人過ぎるのじゃないかと思いますけれども、今の置かれている立場は非常にむずかしい立場だということは御了解できますけれども、もっと私は確固たる信念をもって日本の農協運動を指導していただきたいと思います。
○参考人(一楽照雄君) 私、きょう別の会がありますので、先にお帰し願いたいというので、あらかじめお願いしておきましたけれども、その後そちらの方面へ手配をいたしまして、ほかの方々と一緒に最後まで残らしていただくようにいたしましたから、どうぞ……。
○中田吉雄君 それじゃ、一楽常務理事に少しお伺いしたいと思いますが、ビールの需要者側は、申すまでもなく、四社が麦酒酒造組合という一本の窓口でやっておられるんですから、農協運動の当然として、合理的な流通関係を樹立するためにも、戸叶さんが言ったように、単協、県の経済連、全販連という共販体制を確立することは、これはまあ、もうどんなにしてもはばむことのできない勢いだと思うのですし、当然だと思うのですが、先に一楽さんは、石井会長と山本代表理事とはきわめて紳士的によく話し合いがいっているように拝聴したんですが、八月十二日の衆議院における農林水産委員会の会議録を見ますと、きょうおいでになっているかどうか知りませんが、山内さんですか、麦酒酒造組合の山内さん、やっと全販というものの実力を知りかけた、だから今後は考えていこうというようなことで、少しその辺が、むしろ販売体制におけるそういう、また力というものについて、流通過程におけるその意義を十分知られない。八月十二日ですから最新なんですが、やっと全販というものを知ったから少し考えてやりましょうというような答弁がなされているんですが、まあトップ段階だけでなしに、末端まで早くそういうことをやられることが大切じゃないかと思うのですが、いかがですか。
○参考人(一楽照雄君) 全く仰せの通りでございまして、そういう意味で、先ほど私も申し上げましたように、なかなか大ぜいの方であって、少し言葉は悪うございますが、私どもから見ますると、こちこちになって、従来通りのことが最高のことである、最大のいい方法であって、それよりいい方法はないんだと頭からきめこんでおられるというように、われわれからいいますと。しかし、われわれの考えておることは、決してビール会社としてお困りになることじゃなくて、全体が双方ともいいことだから、よく話を聞いていただいて、相談に乗っていただきたい。ことに取引でございますので、こちらからいいますと買っていただかなければならぬものでございますので、よく話していただけばきわめて円満にいくものだという確信はわれわれは持っておりまするが、そのことが、おっしゃいます通りに、できる限り早く全部の関係者の方々に徹底していただくように、またするようにわれわれ努力をしておるわけであります。そういう事実上の問題でございまして、方針とか会社としての考え方がどうとかということじゃないわけでございますので、ある程度、これはあまりにも相当長い、六十年とか三十年とかの歴史を持っておるものでございまして、そうしてこれを切りかえていこうというものでございますので、やはりある程度しんぼう強く考えていきませんと、これが力づくや何かでいける性質のものじゃありません。やはり相手のあることでございますので、双方理解し合っていくという基本態度に基づいて、しかもなおかつ、御指摘のように、また先生方の、一般世間の御理解を得て、早く進むようにいたしたいと考えております。
○中田吉雄君 私は、単にビール麦だけでなしに、最近遠洋漁業等の不振にからんで、大洋、日冷その他が岡に上がって、えさを作り、ひなを肥育させ、豚をやり、カン詰技術を持ち、販売機構を持って一貫作業でやる、そういう点でも立ちおくれがあると思うし、まあ再建整備の問題もあったと思うのですが、出おくれ等もあったのだと思いますが、その点、一つ十分気をつけていただきたいと思うのですが、私は、麦耕運というものがなかなか根強い力をもって、むしろ中央会、全販はビールの会社と合理的な流通機構を立てられる運動と同時に、まあ背後の内輪の過程の問題がこれは大きいのですが、その大きい問題は、全国農民連盟から「ビール麦生産並びに流通合理化運動について」というまことにりっぱな、いろいろな資料が満載されたのがあるのですが、私は、ここに大きな麦耕運が存続する、一楽さんや石井さん等がやられても、なかなか——この問題を整理できるのは、たとえば栃木県の麦耕運の三十五年度収支予算の内訳を見ても一千三百五十万円の予算で、ほとんどというものが一儀あたり十七円ですか、それでほとんどが、九割以上がビール会社から出る交付金で、しかもこれを見ますると、法人格を持たない任意組合だから、自己監査をやる以外にない。会長さんの交際費が何十万、何が何ぼといって、まことにこれは、もう普通の協同組合法によって設立された農協ではあり得ぬ予算運用上のうま味がある。これはなかなか、農協というものは生涯を傾けても報いられぬものですが、これはなかなか妙味がある。私は、この妙味がある限りは、なかなか精神運動をやっていても、この問題を克服するということは私は非常に困難である。任意組合で法人格がないから、自己監査以外にはできない。みんながうま味を吸っているから、自己監査ができるはずがないし、私はこの問題に一つの、農協とそこに勤める役職員の待遇というような根本的な問題に触れる問題が、私はなかなか全国の大会、県の大会段階できめられてもいかない大きな問題がある。それに、とにかく一千三百五十万の中でほとんど九割以上が、前年度の繰越金を含め、会社から交付される金に依存し、なかなか予算の流通上の費目の転換の妙味もある、ここに私は問題がある、こういうふうに思うのですが その辺はいかがですか。一楽さん、どうですか。
○参考人(一楽照雄君) 麦耕運の経理内容は承知しておりませんけれども、この一俵当たり十七円会社からいただくのが主たる財源になっておるだろうということは、常識として私どももそういうふうに想像し、承知しておるわけでございます。そこらの点は、御承知の通り、農協の仕事は組合員のためにやるのだから、その実費は組合員からいただくというので、全販連にしましても経済連にしましても、すべて組合員の結集であるから、それの実費はそれを頼んだ人からもらうということになっておりますので、逆に会社側からいただくのが主になっておるというようなことは、農協の方の行き方とはちょっと逆になっておるわけでございます。しかし、これも御承知の通りに、農民というものは組織を作っても会費は出しませんから、どうしても結局その相手方から、逆の方面からいただくということになりやすいのは、皆さん御承知の通りである。そういう組織があると、どうしてもそうなるのじゃないかと思います。また、われわれの系統の全販連の、また経済連の仕事にしましても、今のところ、米については政府という大きな買手のところに納めておる関係上、米の手数量は政府からもらっておるというようなこともありまして、まあそういう点が、体質改善の方向としてはすべて理論的に進んでいかなければならないわけでございまするが、農協組織についてすらまだそういう点が不十分な点があるくらいでございますので、この申し合わせ団体の麦耕運がそういうような経理関係になるということはよく想像できる点でございます。 それが、しかし、この問題の根本になっておるとも、それを逆にいいますと、ほんとうに系統販売についての御理解を会社側がしていただいて、そうして麦耕運のあるべき姿において健全に育成し、そうして提携していくというように、十分の話し合いが会社と系統の間にできますれば、先ほど戸叶先生がおっしゃいましたように、われわれも強くその決議の線についていけるわけでございますけれども、今まだ具体的に……。山木社長と荷見会長の方で何とかやろうというお気持は十分あるわけでございますが、まだ具体的に提携の方式のそういう何が現われて、三十六年度以降のものについて現われておりませんものですから、その点の御了解と御理解がつかないうちに、こちらだけあまりずっと進めますと、また去年のような摩擦、混乱が起こるおそれがありますので、何とかして三十六年度については、会社側にも十分今まである精神的な基礎に基づいて、双方無理のない具体的な施策を協定して、それによって進めていこう、こういうふうに考えております。
○中田吉雄君 会社とされても、八十年来の古い方式よりか、全販を通ずる共販体制でやった方がいいのだということはいずれ理解されて、そういうふうになると思うのですが、しかし、なかなか農協組合の大会等で、こういう交際費幾ら、接待費幾らということは、なかなか農協大会では通らない。内容はあとで点検していただきたいと思うのですが、私はやはり相当、これは全購連にしましても、肥料は全購連の中央で六割しか握れない。なぜか。必ずしも外で買った方が安いからというのでなしに、会社を通じて買っていろいろうま味のあるということが、私の若干の経験からいっても、そのことがやはり……。全購連が肥料でも六割ぐらいしか握れない、単協にいけば九割握れるというのは、なぜかといえば、やはり生涯を組合に捧げても、年金制度も共済制度もできたがなかなか報いられぬ組織なんです。やはり私は、全購連等でたった肥料が六割しか握れない、末端にいけば九割握れているというようなことと同じように、この問題がなかなか相当な比重を占めるということじゃないかということを頭に置いて、一つ今後の運動を進めていただきたいということを申し上げて、一楽さんに対する質問を終わります。
○戸叶武君 荷見さんと山木さんの協定というものは、このビール麦問題に関するところの今の段階における基本的な方向づけをやられたので、大局的な見地から見解を披瀝している点においては非常に意義があると思うのであります。しかし、この衆議院の農林水産委員会における山内常務理事のいろいろな見解を見ていると、これはやはり麦耕連をかばおうという情義にほだされているのでしょうけれども、どうもやはり系統共販を排して麦耕運とだけ結んでいこうという意欲があまり出ているので、これは親の心子知らずの言動じゃないかと思うのですが、これは長い間のつき合いだからやむを得ませんという点もあるかもしれませんけれども、やはり社会の流れる方向というものに逆行しようという行き方、ちょんまげを取らなければならないときに、なお昔なじみのちょんまげに愛着を持つような考え方に固執していると、ビールという近代感覚に結びつくところの業者としては不適当なことになるのじゃないかと思うのですが、その中で強調している点は、麦耕運との関係は、その契約は従来通り契約栽培であるが、系統共販関係を、荷見・山木協定は売買契約であるというような見解を示しておりますけれども、これは暫定的な処置であって、麦耕連と系統共販が違うというのではなくて、二つのルートからとりあえずこの段階においては買っていこうというだけの取りきめであって、そういう原則的な理論をそこに展開したのではないと思うのですが、もうそこらの出発点から非常に誤解が生まれていると思うのですけれども、その点を山本さんから直接お聞きした方がよいと思いますが、山本さんはどういう見解をお持ちでしょう。
○参考人(山本為三郎君) ビール協会の常務理事から御答弁をいたしたことにつきまして、あまり詳しく私は聞いておりませなんだので、ただいま聞いてちょっと私もとまどっております。で、この話の前提に、私と荷見会長とがなぜこうようなお話し合いをするに至ったかという経過を、まず申し述べておきたいと思います。御承知の通り、私は五十年間ビール及びその関連事業を経営して参りましたので、こういうところでどうも被告的な立場でものを言うことはきわめて不得手でございまして、法律に私は全然経験を持ちませんので、どうぞ失言その他の点は、あしからず一つお許しを願いたいと思います。どうぞそれだけは、前提にお願いを申し上げておきます。 さて、私は、昨年の十月からちょっと健康を害しまして、東大病院に入院中でございましたが、ある私の親友が見えまして、ビール麦のことでだいぶ問題が錯雑しているようだ、これではいかぬと思うから、何か一手を打つことを考えてたらどうか。同時に、私の友人、元大臣をした私の友人が参りまして、荷見会長がこれで大そう心配してござるから、君、荷見会長から一つ忌憚のない御意見を聞いて協力してくれないか、こういうお話もございましたので、実は長らく私はビールの、昭和八年以来外部的な交渉は全部一人でお引き受けしておりましたが、最近当番制をとって、私は今日その責任の立場にありませんのでということを申し上げたら、君個人として話聞いたらいいじゃないかということで、一月五日に荷見合会長がおいでを下さっていろいろ話を伺いましたところ、これは捨てておいてはいけないということを私も自覚いたしまして、どうすればよいだろうかということを御相談いたしました、お前も考えてくれ、わしも考えようということになりまして、ちょうど私が一月十日から大阪へ参りますので、その前に一つこれを取りきめようじゃないかというので、私が農林省へ出かけることも、あるいは農協へ伺うこともかえって目につくからということで、帝国ホテルで私と荷見会長と、農林大臣がお越し下さいまして、経済局長はただアウトサイダーとしてお越し下すって、いろいろお話し申しました。そのときの話は、私と荷見先生と二人は、この紛議が起こっておるビール会社及び麦耕運、一方は全販連との間に立って二人が話し合ったものを、でき得るだけ円滑に実行せしめることにすればよいのではないかということになりまして、いろいろお話しいたしました結果、この四月七日の申し合わせに近いものがその日にでき上がりました。 これを、私はビール八会社の当局、及び従来契約をし引き続き本年度分の契約をしておる農民の方々によく話をして、この方向で取りまとめてもらいたいということをビール酒造組合に申したのであります。同時に、荷見会長は、全販連その他の関係のところへもお話し下すったのだと存じます。ちょうど私が引き続いて病院におりましたので、なかなかものがはかばかしく参りません。荷見会長もおそらく二十回以上足をお運び下さいましたのですが、ようやく四月七日に共同声明が出せるようになったのであります。 私は、これをこう解釈いたしております。ビール今会社は、先ほどお話がございましたように、明治八年に北海道で初めて二条麦というものを作りました。これはもういまだにきわめて少ない量でございますが、明治二十年を過ぎまして、一方は京都、一方は栃木県及びその近県におきまして二条麦を作った、これがほんとうは日本におけるビール麦の耕作の初めだったと思います。日本の地味がこれに適するか適せないか、この品種がわれわれのビールに使用のできるような品種になり得るかどうかを疑問を持ちましたのですが、幸いにして、学門の力と技術がそれを成功せしめまして、農民の方々のお力によりまして、ようやく外国の一流麦にひとしい品種のものを得るようになりました。近年に至りましては、二条麦でありまして、あとの四条は退化をいたしておるにかかわらず、所によりましては六条麦の収穫以上のものをとった実例もあります。今日、日本のビールが世界の一流ビールに伍しまして、本年のごときはわれわれも予期しなかったドイツのビール業者が日本を視察に来たということ、この近年の日本のビールが長足の進歩に驚異の眼をもって見られるようになりましたのも、私はこのビールとホップがこんなよいものができるようになったことが、最も大きい貢献をしているものだと存じます。ここにおきまして、われわれのビール会社の技術当局と農村の方々とは皆さんの御想像以上に親密なものでございまして、私らの記憶いたしております範囲におきましても、京都府のここきは、工場長が人力に乗りまして農家を一々回って歩いて督励をし、感謝をして歩いておったのでございます。今日もなお、私はこれを続けておると信じております。そんなことで、当貴族院におられました風間八右衛門の御親父はこの麦の功労者でございますが、これの記念碑さえ向日町に立っているほどのことでございまして、ビール会社及びビール麦の耕作者との間は皆さんの御想像以上でございます。 さて、われわれの当該係員はそういう間柄で、新しい品種を研究所で作り、農林省にもいろいろお世話になって、農事試験場にも御心配願い、よい品種を持っていって、よい指導をして、よいビール麦を多収穫させる、みなに喜んでいただく、会社も喜ぶのだ——抱き合って泣いたというようなことも、私は数限りなく聞いております。そんな間柄でありますために、皆さんが今協同組合運動のお話をなさいますのにも、ちょっと私ら、もう一度この実態をごらんいただきたいとさえ思うのでございます。 さて、昨年の夏ごろから全販連からのお話があり、われわれの買っておる単協が全販連を通じてビール麦を買ってくれということでありましたが、われわれの農村指導をしております技術者は、従来の関係を知り、農民の方も喜んでござるし、ビール会社もそれで感謝しておるんだから、やっぱり従来通りやってくれ。あるいはそういうところに、反乱軍から買いませんくらいのことは言ったらしいのです。これは事実です、言ったらしいのです。そんなものですから、さて問題が起こってくると、なかなか収拾がつかなくなりまして、農中の方でも、これはもう理屈でも力でもいかぬから、何か話し合いで進めるよりほかに方法がないだろう、こういうことになった。僕らからいえば、荷見会長に、これはあなたのところでさばいて下さい、あなたのところの内輪のけんかではありませんか、西尾末廣を押えるのはあなたの力だから西尾末廣の頭を押えて下さい、これは反乱軍ができたのだからこれは僕らの手では押えられませんと。わしらのところの子供がけんかしておる、われわれの子供がけんかしておるのだから、わしらの力ではどうにもならないのだと、あなた方で内輪で押えて下さい。いや、内輪ではいかぬのだ、ビール会社が力を持っているだから、ビール会社で押えろ。ビール会社は農民の一々に頭下げて回っているのだから、ビール会社ではいけませんというので、今のようなことで、先ほど一楽さんがお話しになっていること、私もちょっと、皆さんのお思いになるほど、なまぬるいと思うが、実態はそうなんです。いわゆる一楽さんのところの農民の人同士のけんかであり、私の方の子供のけんかなんですよ。それで困っておる。 で、あなた方のおっしゃるように、かわいいからというのではなくて、従来の農民、ここにやっておる、ビール会社とこれだけ長くやっておって、われわれ見殺しにするのかと言われれば、ビール会社、ついていかざるを得ない、困っておりますから。もうこれは、言い方は悪いですよ、言い方は悪いですけれども、実際はそうなんです。向こうからわれわれにしりをまくってきて、これが、これまでビール会社が作るのにこれだけの功労があるのに、おれを見殺しにするのか、こう言われるのです。ここにおられますがね。うしろにおる……。そう言うてビール会社はやられる。それじゃ、それを私らは何も知りませんからいいのですが、この担当の連中はそう言われると頭が上がらないものだから、あなたの麦は買いませんぐらいのことは言っているらしいのですよ。これがことしの夏までいろいろのいきさつを作りました。おかげで、もうだいぶ双方の感情もとれましたので、もうただいまでは正常に復しました。 ただ、皆さんに一つ、もう一言申し上げておきたいことは、われわれは甲野太郎兵衛さん、乙野次郎兵衛さんによい種をやって、いろいろ奨励をして、それでよい麦を作らしておる。その会社と向こうとの精神的なつながり、よい麦を会社に持ってきてもらうつながりを作りたいのです。一つの系統共販のところへ行くよりも、どうしても会社はいい麦を持ってきてもらいたい。ことに、最近は各社は品質競争になりまして、例の遺伝学の大家の木原均君が世界の麦の研究をしております研究所におきまして、われわれの麦の品種改良をいたしておりまして、最近だんだんよいものができて参りました。この麦を農家に与えますと、農家は仕事がしにくい。それを忍んでやってもらって、よい麦でよいビールを作るようにしたいと思っておりますために、われわれは、その系統の農協、系統組合を排撃するものじゃないのですが、われわれは、農家とわれわれとの血のつながり、心のつながりを持って、ものを買いたいということが、われわれの総意なんです。それが完全にできるならば、私らは決していかなるものもはばむものではありません。その農家とわれわれとの血のつながりだけは残しておきたい。明治二十年からきょうまで、七十何年の間つないだこの血は、やっぱり私は持っていきたいと考えておるのです。 さて、先ほど御質問がございました麦酒酒造組合の山内常務理事から、一方は契約栽培であるし一方は売買契約だということを申したそうであります。これは事務的にいうとそういうことになるかしれませんが、私は法律のことはわかりませんが、私と荷見先生との約束は、問題は、中間に麦耕連がおるとか、ないしは系統の共販である全販連がおられるとかいうことは違いますが、先端の単位農協と私とは親子の関係はいまだに切れておりません。これは同じことです。ただ問題は、中間に全販連がお入りになるという違いだから、といって、そちらへは私は指導費はよう差し上げませんと。けれども、その単位農協、単位組合がほんとうの指導をされて、お前の言う通りやったんだから、これだけの費用が要ったと仰せられれば、これはわれわれは十七円の範囲においては差し上げます。これが違いなんです。これを今簡潔に申しまして、一方は売買の契約だ、一方は契約栽培だと申したのだと思います。私の気持はですよ、そういう意味で、子供は何にも知らぬが、中間のけんかなんだから、だからわれわれはその農民の方々には同じような気持をしております。けれども、麦耕連ないしはその他のわれわれの従来の組合を通じて指導しているものは指導費を差し上げますが、全販連の方には、指導はしていただいておらぬのだから、差し上げられません。が、しかし、もしもその単位農協が実際に指導を受けたと、ないしは自分が指導をこれだけして実費がこれだけかかったんだとおっしゃるなら、これは同じ子供なんですから、私は差し上げます。これは先生に申し上げました。荷見先生に申し上げてあります。これを事務的にただいまのようなことを申し上げたのだと思います。趣意は、言い方は私間違っておるか知りません。精神はそういうことを申し上げてあります。 それから、流通機構の問題で、実力がわかったということを申したそうであります。そんなことは私思っておりません。そんなことは思っておりません。少なくとも当事者である私は思っておりません。実は、先ほども申し上げましたが、石井さんは、ビール会社が農林省で、麦をホップで御厄介になっております当時、課長、局長、次官と、私は長らく御厄介になっておりますし、また農林省のことにつきましては少しは承知いたしておりまして、決してそういうことについての疑念は持っておりません。系統機関が整備されることはいいと思いますが、ただ、ビールはビールの特殊の事情があるから、これは現状のままでしばらくそっとしておいていただきたい。ある一定のときまでに整備して、そういうような御意思に沿うようにいたしますが、今急に百八十度の転回は困難ですということを申し上げておるのでありまして、決して系統の組織がそんなに弱いものだとか、そういうものがあっちゃ悪い、そういうことは決して私ら考えておりません。誤解のございませんように、御承知願いたい。われわれはできるだけ内部の整備をいたしまして、皆様の貴意に沿うことの一日も早からんことを心に念じておりますことだけは申し添えておきます。ありがとうございました。
○戸叶武君 荷見さんと山本さんの取りきめの文書の中には、今言われたようなことは書いてありません。「ビール麦の取扱について」は、「一、ビール麦耕作者の実績はこれを認めるものとする。二、ビール会社の負担している手数料等経費は現状をこえないものとする。三、生産技術指導等はビール各社の希望を尊重して行うものとする。四、本年のビール麦取扱については、単協と会社と契約済のものはそのまま実行し、経済連、全販連等系統販売ルートに乗せる手続の進んでいるものについては、そのルートを通じて取扱うものとする。」というようなことが書いてあるのですが、今のところでは、やっぱりこの手数料の方は、麦耕連には出すが系統共販の方には出さぬというのは、何かやはり誤解点があるのじゃないか。 生産農民との直結、長い間の結びつきによる愛情の深さというものを山木さんが切々と訴えられましたが、そのことはわかるのです。しかし、農協の体制というものが整備させられないときに、麦耕連というものができ上がってきたのも事実でありまして、その事実は認めなけりゃならないと思いますが、今ほんとうに山本さんが愛さなければならないのは、麦耕連とか経済連とかいう言葉にとらわれないで、ビール麦を生産する農民を愛情の上に立って、どういうように持っていったらこれがいいのかというところに、私は基本的な考えがあるんだと思いますが、今のような考え方、山本さんはやはり大人だから大局的にものを見ておりますが、一たびその解釈が実際上の解釈になって、山内常務理事の段階になると、系統共販と戦っていこう、麦耕連と結びついて親子の関係においてという形だと、今後ビール会社というものは全国の協同組合運動と真正面から衝突していかなければならない点があると思うのです。これは私は変なおどかしで言っているのではない。時代の流れの方向というものに逆行して、ちょんまげ方式でもって、親子の関係だからという形で見ているのでなくて、日本の農業が大きな転換期に来て、貿易為替自由化の中にゆすぶられて、換金作物を作っている農民が、どうやってビール麦の品質を改善し、生産コストを下げながら、この価格をあるところまで維持して、自分たちの経済を保っていこうかという戦いの中に、系統共販運動というのが起きた。ただ麦耕連に反対するというような消極的なものではないと思うのです。麦耕連との問題の調節というものは、私は若干の期間がかかると思うのです。麦耕連はただ歩いていっているのではない。ただ、今そういう方向に向かって麦耕連が抵抗を示す、これは御維新のときの徳川幕府の旗本のようなものです。よしと言って、フランス政府が幕府を支持したように、山木さんがその麦耕連を函館の砲台まで引きずっていこうというやり方は、よもややろうとは思いませんが、私は、そこいらは何でもないようだけれども、なぜ、その技術指導をやるのは同じであるならば、麦耕連に出して系統共販に出せないか。あとの言葉では、出費がかかるならそれは出そうという心があるから、そこいらには必ずしも一本調子でない、なかなか政治家としての山本さんのうんちくのある表現があると思いますけれども、何か言っている言葉の含みの中には、麦耕連を希望して、それと一緒に行くんで、どうも系統共販なんかはあまり好ましくないのだとかいう心理的な作用というものが非常に出ていると思うのです。 そこで、問題になるのは、やはり栃木県の麦耕連の実力者、大御所といわれておりますが、坪山さんの私に対する答弁の中に、ビール麦は作付前において取引条件を協議し、決定し、相互に契約証書などを取りかわして契約栽培に当たるのであるから、契約裁培方式による裁培方式と見るべきであると答えておる。ところが、これは麦耕連ではない、単協との契約です。その契約文書を見ればわかりますし、山木さんも十分にそのことは御承知のことだと思います。単位農協です。麦耕連は、実際上においてそれについての販売をあっせんしているだけであって、片手間の技術指導と言っておりますけれども、実際は単位農協なり、農協がこれに協力してやっているのです。麦耕連は全然やらぬというわけでありませんけれども、無理に麦耕連の二重組織というものを置くところに問題点がある。 その考え方から発展しまして、今日問題になっている、農民一般に不安をかもし出しているのは、この種子の配付の問題ですが、種子の配付に対しては、山内常務理事は、衆議院の農水委員会において、契約裁培は種を配付し、裁培の過程について会社が指導する、全販の方に行ったものは、契約裁培でないから全然指導しない、だから交渉が途絶した、との発言をしているのです。これじゃ挑戦です。種をやらぬという、簡単にいえばこういう暴言を吐いて、公平な立場から二つのルートを通じてビール麦を買おうという荷児・山本協定の原則というものは、山内常務においては踏みにじられていると思うのです。こういう奇怪な言動を行なうということは、あなたの精神に私は違反している。よし、ここらで、農協陣営というものはへっびり腰で、とても、古手官僚の巣みたいになんて気合いがかかってないから、よし、ビールのあわで吹かしてやろうという挑戦的態度になっておりますが、こういう行き方というものは、ビール会社として、池田さんの低姿勢を学べというのじゃないが、私はもう少しやりようがあるのじゃないか。 三十五年種子の採種圃は、三十六年度ビールの作付計画に見合うように、もう設置されているはずです。その場合、ビール麦の取り扱いルートが麦耕連たると全版連たるとの違いはあっても、平等に配付するというのが、差別をつけないで配付するというのが、これがほんとうの意味のビール会社の親心じゃないかと思うのです。そうじゃなくて、おれの方は親子の関係だから古い昔からの、ちょんまげ時代からの因縁があるから、そっちの方には契約裁培の種はやるが、系統共販はどうも理屈っぽいから、こっちの方はうるさいからやるまいというような形では、これはもう明らかに挑戦です。そういうことを、またこれは独禁法にも当然関係がありますが、監督官庁としての農林省が、ああいう委員会における暴言を聞いておってどういう感じに打たれたかも、あとで私は農林当局にも聞きたいと思いますが、何しろ、ビールの会社は今お盛んだから勢い当たるべからざるものがありますけれども、こういうやり方というものは、ほんとうにこれは生産農民をばかにしている。この麦耕連というものを通じて生産農民を牛耳ろうというような意図がそこにあるのじゃないか。麦耕連を御用組合として、そうして生産農民のみにやるというような封建的な支配がこの中にあるのじゃないかという感じを与えるのです。まあ、とりあえずこの種子の配付について農民は不安を持っております。 で、末端においては、山本さんがおそれる以上の暴言をもって、もう系統共販の方には種をやらないぞというような威嚇や文書まで流れておりますが、山本さんは御存じないので、山本さんの下の輩下がそういうことは実際にしていると思いますが、これに対して、山本さん、明快な御回答を願いたいと思います。
○参考人(山本為三郎君) そういうことは絶対にあり得ないと思います。あれば、訂正いたします。この麦の配付は平等にすることにしております。この間衆議院の委員会でもそういうお尋ねがありまして、それは明確にいたしますと申し上げました。 それから、系統の場合をどうするとか共販をどうするとか、そんなことはビール会社が、町の中をごらんになりましてもおわかりになる通り、ビール会社は血の出るような競争をしておりまして、そんな高姿勢ではございませんよ。どうぞ御安心を下さいまして、池田内閣以上の低姿勢で渡っております。ことに農民にはわれわれは頭が上がらないのですから、どうぞ今のことは御疑念なく、ここにも担当者が二、三来ておりますから、そういうことはいたしません。もしもそうことがあれば、ごく個人的な一部の者であります。 ここで、ちょっと申し添えておきますが、この間衆議院のところでお話がありまして、差別するというお話がありました。帰っていろいろ聞いてみますと、そういうところもあるが、今度逆に、系統共販の農協に対しては責任回避をおそれている。麦耕連、いわゆる麦耕連に従来契約したものに対しては、きわめて誤った取り扱いをするという抗議が来ているところもたくさんあるそうです。で、検査も、系統の全販連のものに対してはおくらしたという御無礼がこの間あったのですが、今度は地方によりましては反対のところもあるようであります。いろいろの誤解、感情もあります。そういう点がありますれば、私は陳謝してこれを訂正いたしますが、それを区別してするような意思はございません。なお、どこまでもわれわれは、先ほど申しました通り、単協というものを相手方に見ておりますことも事実であります。どうぞこれを御承知願います。 なお、もう一つ、先ほどお話がありました荷見・山本会談と私の説明とがちぐはぐになっておるというようなお話がありましたが、これはただいまここで時間がありませんので、私は言葉がきわめてまずくとられますので申し上げませんが、私はあの申し合わせと私の申しておるそれと変っておらないと思います。
○戸叶武君 山木さんの腹を割った話を聞くと、何もこっちが質問する必要がなくなるように見えるのですが、やはりいろいろな、山本さんはそういうことを知らないのですが、会社側並びに麦耕連の者が、三十五年度産についての協同共販のものは一俵も買わないというような文書や言動を起こさせ、また種の問題も農民に不安を与えているのは事実でありますが、こういう資料は公取の方に参考資料として届けておくようにします。 そこで、問題は、その契約数量の割当を公平に行なうかどうかの問題ですが、これを聞けば、きっと、山本さんのことだから、公平に行なうという答弁があると思うのですが、契約調印は生産者が契約条件を納得して作付を確定した上で、確定された面積と数量に基づいて契約調印の運びとすべきでありますが、契約数量の割当と同時に契約調印を行なうということは契約栽培の本旨に反すると思いますが、会社側ではこれをどういうふうに考えておられますか。
○参考人(山本為三郎君) ちょっと、私あまり実例を知りませんので、もう一度ちょっとお話しを願います。
○戸叶武君 契約数量の割当と同時に契約調印を行なうということは契約栽培の本旨に反するのじゃないか。すなわち、契約調印は、生産者が契約条件を納得して作付を確定した上で、確定された面積と数量に基づいて契約調印の運びにいくのが順序じゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○参考人(山本為三郎君) おそれいりますが、実は私は、耕作については全部技術者にまかしてございますので、詳細がわかりませんが、ここに技術者を連れて来ておりますから、これから説明をいたさせますが、いかがでございましょうか。ちょっと私ではそこの説明はできません。よろしいですか。
○委員長(藤野繁雄君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(藤野繁雄君) 速記をつけて。 お諮りいたします。麦酒酒造組合民野高巳君を参考人に追加して御異議ございませんか 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤野繁雄君) 異議ないと認めます。民野君。
○参考人(民野高巳君) 私からお答え申し上げます。ただいまの契約の基礎の問題でございますが、これは契約数量が、大体各それぞれの契約農協におきましては、農家の希望数量はあらかじめもうまとまっておるはずでござい出す。そうして、会社から参りました耕作台帳に一応各耕作者の契約数量なりあるいは反別なりが記載された耕作名簿を集計いたしまして、それと、その数量と割り当てられました契約量と符合する数量を契約書に記載いたしまして、そうして会社に提出されます。以上で終わりです。
○戸叶武君 これは実際的調整の問題ですが、全販連の石井さんの方から、今の問題に関して見解を伺いたい。
○参考人(石井英之助君) ただいま御質問の点は、組合の技術の方の関係の方が今お述べになりましたような取り扱いになっておると私どもは理解をいたしております。
○戸叶武君 この問題は、実際的に両者間でもっといろいろ検討して、間違いがないように調整をして、トラブルが旭きないようにすべきだと思いますが、次に、会社側にお尋ねをしたい点は、ビール麦の買い上げ状況です。会社側はしきりに、山内常務のごときは契約栽培しておるということを言われておりますが、このことはけっこうだと思いますが、やはり言うからには、名実ともに伴うところの契約栽培の内容をやはり具備していってもらいたい。タバコの契約栽培ほどまで一気にいかないでしょうけれども、今日農民が一番不安なのは、やはり契約栽培によって栽培の面積の規定及び契約された面積から生産される麦の処理についての規定等も検討する段階に入ってきておるのでありまして、このことは真剣に取っ組んでやろうとすればやれないことはないのです。せっかく契約栽培ということを強張しておるのですから、麦耕連と系統農協とを問わず、合社はその言動に責任を持って、今後においては契約栽培の名によるところの売買契約のようなものでなくて、この契約栽培の実を備えていってもらいたいと思うのです。 そこで、今年そういう、なぜ不安が出るかというと、今年におきましては、御承知のように、天候の関係でしょうけれども、細実多発の現象が生まれまして、不合格品が非常に多く出た。これは一つは天候の関係ですが、一つはふるいの目を二・ニミリから二・五ミリに引き上げた。すなわち、昭和三十三年五月二十三日に改正をやつて、三十四年度からふるいの改正をやった。そのことによって非常に不合格品が今年のようなときには出てきた。そうすると、この不合格品によって事実上生産農民というものはビール麦というものを買いたたかれてしまう。三十四年度産のビール麦の合格数量というものは二百十四万俵で、契約数量は二百六万俵で、その差の八万俵のうち、ビール会社が検査に合格したものを六万三千俵をとったというような成績があがっているのですが、今年の状況は大体どんな状況になっておるか。大体の推定ができると思うのですが、買い上げ状況について会社側から御説明願いたい。
○参考人(民野高巳君) お答え申し上げます。特に戸叶委員の御出生地であります栃木県におきましては、非常に、一月から二月にわたりました寒波、異常乾燥でございますね、それから三月末におきまするところの寒波並びに成熟期におきまするところの高温、こういうことが本年麦数に関しまして細実を生じたわけでございます。これはビールばかりでなく、普通大麦において関東、北関東において特にこうしたことが見られたのでございます。従いまして、比較的充実が少なく、悪く、格外品ができました。この問題につきましては、ビールに適する、ビール麦として用いられるようなものは格外品も買いまして、そうして耕作者各位の御負担も軽減したような次第でございます。
○戸叶武君 全国的な買い上げ状況は、数字的にどういうふうになっておりますか。
○参考人(民野高巳君) 全国的には、大体昨年の秋の予定数量が二百十五万を予定しておったのであります。俵であります。大体八月末におきまして二百十七、八万俵になっておると思います。これはまだ、御存じの通り、北海道は十一月くらいでないと、十月の末でないと受け渡しが完了いたしません。そういうような次第で、まだ集計は十一月末か十二月でないと全国的のことはわかりません。
○戸叶武君 二百十七万俵を買い上げた中で、合格品は何俵くらいです。
○参考人(民野高巳君) それはわれわれの会社としてはわからないのでございます。むしろそれは食糧庁の方でないと、われわれの方じゃ、会社の方じゃどれだけ農家で生産されたかわかりません。われわれが合格したものだけをちょうだいするので、会社側としてはそうしたものはわかりません。
○戸叶武君 食糧庁の方でもまだわからないと思いまするが、大体推定できますか。
○説明員(岡崎三郎君) お答え申し上げます。私どもの方では、検査の数量の調査は、実は月ごとにやっておるわけでございます。八月末の分は、実はまだまとまっておりません。七月末の分までしかございませんので、それでもって全体を推定するというようなことは非常にむずかしいかと思います。また、七月末における現在の数字で申し上げますると、大体全国的に見まして、私どもが検査をいたしましたうちで約二割程度が不合格品ということになっております。なおまた、御参考に申し上げますと、昨年は大体これが一割程度不合格品が出ておったようでございます。以上でございます。
○戸叶武君 これは栃木県だけのことでなくて、愛知県あたりは、これは森さんが詳しく知っていると思いますが、所によっては半分もの不合格品が出ているところもあるというような形で、私は県内をほとんど回りましたが、至るところで、これは結局買いたたかれだ、五年前に余剰農作物受け入れの中にタバコをアメリカから買いたたかれて以来、やはり買いたたかれてしまったが、もちろん今年のできは悪いということは承知しているけれども、これでは結局安く買われて、会社側は安く買うのだが、ビールの方はそれだけ非常に品種が悪くなったから安く売り出すということはないんで、大へんなもうけになるじゃないかということで、お百姓はすぐそういうことを考えますからね。この数字は、あとで正確の数字を何らかの機会に統計はとってみたいと思うんですが、一等価格二千二百四十四円としても、ほとんど一等は少ない。二等は二千二百十四円、大部分が三等だと思いますが、二千百七十四円、そのほか栃木県あたりでは準ビール麦を二千十円くらいで買っておりますが、その他格外品というものを、今年はビール会社の方で、ビール増産にビール麦が足りないということで、麦芽を去年の暮から外国から買うとまで力んでいるような状態なので、今年はそういうふうにビール麦のできの悪いことによって、いつもの買い上げからみると、会社側は、買い上げ価格というものは非常に今度はいつもから比較すると少なくなると思いますが、会社側はどういうふうに考えておりますか。
○参考人(民野高巳君) 買い上げ数量でございますか、買い上げ価格……。
○戸叶武君 価格。数量は相当買わざるを得ないんでしょう。
○参考人(民野高巳君) いや、買い上げ価格の方は、契約の麦の方は前年通りでございます。そうして、いわゆる格外品でございますね、その格外品は大体大粒大麦、その地によって一類、二数違いますけれども、その大粒麦の価格に百六十円プラスということにしております、そうですから、普通の麦よりも、普通大麦よりも非常にいいことになっているわけであります。
○戸叶武君 普通大麦よりもいいのは事実だけれども、いわゆるビール麦というものと比較すると、実際はビール麦なんだけれども、普通大麦という形において、結局それに心づけを与えた程度で買いたたかれているので、大体百五十八円から百四円安で買いたたかれているというんだから、会社側で出す金はいつもの年より今年は二割減と推定すると、ずいぶん金がダブつくのじゃないか。安いビール麦を買ったからといって、ビール会社はわれわれにビールを安く飲ませてくれるわけじゃないから、しこたまもうかるんじゃないかという結論も出てこないわけではないんですが、その合格品の価格は変動しないのですけれども、そういうことはあとでこまかい数字を農林省の方の統計が集まってから聞くことにいたしますが、問題は、さっき言った二・二ミリから二・五ミリにふるいの目を引き上げたときに、これによって品種を変えたのだから、また会社側の要望する品種はこれなのだからといって変えたので、根拠があることだと思いますが、会社側は会社側としてその粒でけっこうだと思いますが、これによって生産者が今年あたりは、前の通りだと合格品になるのに、今年はひどい目にあったと泣いているのが事実であります。なぜ変えたときに、私は、生産者との間に立っているという麦耕連が、生産農民の利益を代表するとするならば、規格が今度窮屈になったのだから、値を上げてくれという交渉をしなかったか。麦耕連としては交渉したけれども、会社側が聞かなかったというような発言もなされたが、この経過はどうなっておるか。麦耕連というものは、ほんとうに生産農氏の利益を代表して会社側に当たっているか。それとも、会社側の言うことだけを聞いて生産農民の方を支配しておるかを、性格決定の上に非常に参考になりますから、会社側からその発言を聞きたい。
○参考人(山本為三郎君) 今の最後の御質問にはかわりの者に答えさせますが、ビール会社が農民を痛めて利益を取っておるというようなことは、どうぞおぼしめしにならないようにしていただきたい。細麦を使うことはビール会社は困るのです。同じ量目の麦をとりましても、細麦はビール会社は困るのです。目方が同じだから同じ汁が出るとは言えません。細い麦のしぼり汁は少ないのと、今日本でビールの新しい研究によりましてビール麦の皮から出ます悪い味というものが今日やかましく研究されておりますので、細い麦はわれわれは買うことは困ります。で、今おっしゃるように、細い麦をなぜとるかと申しますと、農家がお困りだからとっておりますので、ほんとうはビール会社は太い麦をとりたいのです。どうぞ一つ一度御試験を願いまして、いけなければ、会社から資料を差し上げますから、どうぞそういうような前言はお取り消しを願います。
○戸叶武君 前言を取り消せとは失礼な。私は、今まで、二年前の規格においては、今の会社の言うのはよくわかります。細い麦よりは太い麦を買いたいのだ、その方がいいのだと。それはごもっともだと思う。しかし、二年前にはその麦を買っていたのは事実なんで、会社の都合で今度は細い麦から太い麦に変わったときに、規格が今度は会社の都合のいいように厳重になっただのから、農民の方は窮屈になった。そのときに、その価格をそれによって農民の方に増してやったかどうか。これは会社側でなく、麦耕連の坪山さんの代理として安納さんがきょう来ておりますから、麦耕連としては、そのときに交渉を会社側にしたかどうか、それを伺います。
○参考人(安納武三郎君) 規格改正に伴う割増金の、いわゆる加算金の増額でございますが、私たちも当然、規格改正に伴いまして加算金は増額していただくのが至当であるということで、われわれの責任の関東甲信一部八県の連絡協議会の名をもちまして交渉いたしたのであります。しかし、それがいれることにならなかったという会社側の理由の一つとして、実際われわれはその麦を買い入れて醸造して、その結果がまだわからない。実態は——これは食糧庁の意見でございますが、実態は、二・五ミリ以上で八〇%の品物が現在出回っている。昭和二十五年の統制中に規格をきめたものが、現在の自由経済時代にまた品質が相当向上したにかかわらず、それが行なわれているということは矛盾である。やはり出回り品の実情に沿った規格改正が行なわれるのが、適正な検査をやるのに当然なことである、というような意見を聞きました。しかし、私は、やはり今日のこの席のように、参考人として食糧庁に呼ばれまして、そのときにずいぶんと、四時間半にわたってわれわれの意見を申し述べたのであります。時期尚早であるから、いま少し時間をかけて、ほんとうにそういう規格のビール麦が生産された暁において改訂をしてくれということを申し上げたのであります。その内容においても具体的に——技術的にこまかくなりますから省きますが、生産農民の無理のいかないようにわれわれとしては述べたつもりであります。しかし、これは決定は食糧庁にあるわけでありますから、決定はなされたわけでありますが、しかし、暫定期間として一年置かれたのであります。それで、われわれは、その点につきまして技術指導を加えて参ったわけでございますが、平年においては何ら問題なかったのでありますが、本年は先ほどお話がございましたような異常天候によりまして、そういうものが参ったわけであります。 しかし、これはわれわれとしては全勢力をあげて、今年度は格外麦の、いわゆる災害農家に対しての格外麦の買い入れをやりました。そうして契約会社も、われわれの要請を全面的に取り入れて、買い入れをされたのであります。栃木県は五十八万俵の契約のところ、六十四万四千俵という麦の買い入れによって——農民は一時は非常にがっかりいたしましたが救済措置によって買い入れがなされましたので、非常に現在においては、私どもは、全体としては非常に喜んでいるのであります。で、われわれはこれに対して要望いたしまして、いれられなかったわけでありますが当然本年も要望いたしまして、本年は加算金の増額は達成できるのだということをわれわれとしては考えております。しかし、価格の問題につきましては、常時委員会を開いて検討するということになっておるわけであります。 そういう点から、私たちはこのビール麦の価格問題を処理して参ったわけでありまして、生産調査に見られるように、ビール麦はほかの麦と比較して、今まで安いのであるという調査結果は出ておりません。反当四、五千円の黒字が出ております。小麦は土地によっては赤字になっております。大麦は反当千円……。
○戸叶武君 私の質問したことだけ答えて下さい。
○参考人(安納武三郎君) 地区によっては二百五十円の赤字になっているわけであります。一日当たりの労働報酬にいたしましても、ビール麦は五、六百円、なおほかの麦は一日当たり労働報酬が三百円にもなっておりません。そうなっておるわけであります。
○戸叶武君 私の質問したことだけ答えればいい。
○参考人(安納武三郎君) 決してわれわれが耕作者を圧迫している、あるいは会社の御用機関になっている。——先ほどどなたか重大なわれわれに対する発言でございますので、申し述べたいと思いますが、麦耕連は任意組合だからでたらめだ、われわれは……。
○戸叶武君 質問をした事項だけ答弁して下さい。あなたのための委員会じゃないのだから。 この規格改正に伴う価格の問題だけを私は質問したのですが、この問題は衆議院の段階でも問題になりまして、麦酒酒造組合の山内常務理事は、この点だけは低姿勢で、二・ニミリのものを二・五ミリに規格を上げたのだから、値段は上げるのが当然だという答弁をしております。こういうふうに、強引と思われる山内常務理事すら、これだけの発言をしておられるのに、麦耕連が力足らずに、二年間結局据え置かれたその大半の責任は、今の現状を見ると、どうも食糧庁にあるような印象を非常に強く受けたのですが、監督官庁としての食糧庁は、網の目を変えるだけに力を注いで、網の目が変わって農民が犠牲を払った段階に対しては何らの配慮も行なわれておらない。このように今ちょっと無能が暴露されている状態でありますが、これに対する見解を示していただきたい。
○説明員(岡崎三郎君) 規格改正を三十三年にしたのでございますが、その結果、適用はやはり三十四年から適用したわけでございます。規格改正に至りましたまでの事情につきましては、実は私前回、あるいは前々回に申し上げたかと思いますが、ビール麦の大体作られております品種、これが大体なかてからおくての方に移りまして、かつ比較的大粒種麦に変わってきているという現状が当時からあったわけであります。従って、二・二ミリということで検査いたしましても、ほとんどのものは二・五ミリ以上のものが包含されており、ビール製造上の技術的な過程から見ますと、やはり一たん二・二ミリ以上で検査された合格品を引き取りましてからも、会社はこれをさらに二・五ミリでふるい直して、それに合格したものとそれ以下のものに分けて、それで別々にいわゆるモルトを作っているということを聞いておったわけでございます。従って、いろいろな面から見ましても、これは二・五ミリが至当であろうということで、当時の生産者団体であります麦耕連の方にもお諮りして、いろいろ議論はあったように私も聞いておりますけれども、結局二・五ミリということになったわけでございます。 さて、価格でございまするが、私どもは実はその当時まで価格にあまり深くタッチいたしておらなかったわけです。実は現在でも、流通面の価格ということになりますと、実は食糧庁ではあまりタッチしておりません。ただ、私どもの考えでは、やはりこれは二・二ミリから二・五ミリということになりますれば、いわゆるその規格に合致した取引のものは、これは上等なものになるわけでございまするから、需給事情その他が同じでありますならば、これは当然価格が上がるのが当然であるという見解を持っておるわけでございます。当時といたしましても、そういうことで価格はおそらく手直しされるであろうということを期待しておったわけでございますが、私、三十三年のビールの取引のときにはおらなかったのでございまするが、あとから調べてみますと、三十三年のビール麦の取引のときは、多少値上げがあったということを聞いております。そこで、あとでこれも実はビール麦協会の方からお聞きしたのでございますが、三十四年から適用になるんだけれども、実はそれを見越して早めに上げたんだというようなことも……。何かこういうふうに私は記憶しております。 以上でございます。
○戸叶武君 麦耕連の方が自分の立場と実態をみんなに知ってもらいたいという心はやるものを持っておるようですから、それでは麦耕連の方にそろそろメスを入れていきます。麦耕連はみずからの任務をビール麦耕作の生産及び販売の指導機関と称しているが、実態はビール会社の下請的な御用機関と化していると農民は言っております。これに対しては言い分があると思いますから、なるたけ興奮しないで冷静に述べてもらいたいんですが、ビールだから多少あわの立つことですが、栃木県のビール麦は生産高は日本一で、三十五年の契約裁培の全国売り上げ総数は二百二十八万二千俵のうち、五十八万七千俵というふうに推計され、全国生産の四分の一を占めるといわれておりますが、今のお話だとだいぶこれが多くなっておるようですが、先ほど中田さんが言いましたように、多くなったら多くなったように、リベートは一俵について十七円というものが増しておると思います。昭和三十五年度予算書を見ると、収入合計一千三百五十万円のうち、その大半を占める九百三十万円が、ビール会社より一俵につき十七円の指導費名目でリベートがとられているはずですが、多くなったとすると、すでに実収入は一千万を突破しておると思いますが、よけいなことを語らないで、私の質問内容だけを答弁願いたい。
○参考人(安納武三郎君) 指導費が一俵当たり十七円、これは当然でございます。われわれは一切の指導は麦耕連が━━むろん単協の協力を得まして、麦耕連が指導しておるのでありますから、われわれはこれは堂々といただく権利のあるものでございます。単協は、集荷手数量として一俵当たり二十一円を得ております。これも会社側が集荷を依頼して買い入れるのでありますから、契約裁培でありますから、当然これは単協が収入するのは当然でございます。従いまして、リベートという言葉でございますが、これは私は指導費と呼んでいるわけでございます。指導をするための当然の実費弁償的なものをいただいているわけです。その数量がふえれば、当然それは指導費は増額されるのが至当であります。単協と会社によって契約されている契約書の内容には、一割増しまでは━━農作物でございますから、豊凶の差が当然ございます。従いまして、一割の増減は認めるこういうふうになっております。当然これは契約数量から一割増しまでは出せるわけでございます。そういう約定書になっております。従いまして、得ました俵数に対する一割増しまでは、十七円の指導費がわれわれのところへ交付されているわけでございます。ふえるのが当然でございます。
○戸叶武君 きょう、それより具体的な答弁ができなければ、当委員会に、ここ数年来の決算並びに予算書を提出してもらいたい。この麦耕連の費用の使い方については、生産農民が非常な疑惑を持っております。生産農民には何ら公開されておりません。この生産農民に了解を求めた上におけるところの指導費名目のリベートならば別だが、会社からの取引で、しかも茨城県における麦耕連の参事に会ったときのお話しには生産農民から金をとるというのはなかなか困難だから、生産農民に渡すべき金かもしれないけれども、会社の方からもらってやっているのだという。中間においてこれはカットしているのです。ここが一つの大きな問題なんです。あなたは協同組合運動を長くやっているからおわかりと思いますが、任意組合と称するところの麦耕連が、こういう経済行為の中に入っておって、そうして生産農民に対して生産農民を納得するだけの啓蒙宣伝をやっていない。私は上都賀、塩谷、芳賀などを調べて参りましたが、しかもそのほかにとっているのです。耕作者の負担金というものを調べたら、平均上都賀で会費四十円、それから耕作者一戸当たり百円を納める。会費を別に払っている。それで四等で一千八百七十六円で、売ったものは手取り一千八百円しか入ってこなかったと農民は嘆いております。こういう実態を、もっと詳細な材料はいろいろ持っておりますから。これは麦耕連が生産農民から一個の伏魔殿と思われているのです。今までビール麦会館を建てると称して集めた金は、一体だれの名目で預金がなされているのですか。そういうことに対しても農民は疑惑の眼を持っている。これはこまかいことはまた、きょうの席じゃなく、またほかでやりますけれども、今中田さんが途中で質問されておりますから、私次にまたもっと深く突っ込んだ質問をしてみます。
○中田吉雄君 戸叶さんの方と重複しないように少し山本さんと石井さんにお尋ねしてみたいと思います。 先に、山本代表理事さんは、八十年近い年月を傾けて、ビール王国ドイツから視察しに来るほど今日育ててこられたその気魄とその自信、そういうことに対しては十分われわれとしても敬意を表しますが、そうして荷見さんと山本さんとの協定の線を、行く行くは全面的に実施されるのじゃないかという片りんがうかがわれたのですが、当分はそっとしてくれ、こういうことを言われたのですが、ちょうどビールの麦の栽培と同じように、繭の生産におきましても、やはり郡是とか鐘紡とか、みな原々種の育成からやって血のつながりを持って戦前まではやってきたのです。しかし、戦後になりましてから、養蚕の協同組合品の連合会ができまして、それと一本で取引をして、そうしてその指導の手数料もそれを通じて流しても、むしろその方が合理的にできて、決して両者が相いれないものではないというふうになってきていると思うわけであります。そういう点については、やはり近代産業のビールの醸造業とされては、ここらで荷見さんと山本さんとのなにで一歩を踏み出されたのですから、当分そっとしておいてくれということでなしに、やはり英断をふるっていただく方が私はいいのじゃないか。結局、その認識の問題が、種子の配付から来年は三割くらいもふえるかもしらぬ、その間増反の割当、品物の売り渡し、代金の決済、指導費の流し方という、やはり将来における行くべき方向に対する認識というものが、やはり差別を生んだりする根本ではないかと思うのです。 再々聞いて恐緒ですが、八月十二日の衆議院における農林水産委員会では、山内さんは、できるだけ差別なくしてやる。ただ、会社と契約しているものを一応先へやるというのは、人情じゃないかと思うのでございます。しかし、その点については、差別といえば差別でございますけれども、これは許さるべき差別でございますと言って、すでに山本さんの下におられ、一緒にやっておられる山内さんは、そういうふうに述べておられるのですが、こまかいことは民野さんにあとから御質問することにいたしまして、私は、やはり前の生産過程において原々種から、郡是、鐘紡その他がやって、お宅なんかのビール麦の栽培と同じような過程を戦前まで経て、終戦後二十二年ですか、養蚕の農協ができて、その一本でやって、何ら支障なしにやれてきているのです。そういうことに対して、やはり過渡期ですからいろいろ御事情もわかりますが、やはり山本さんと荷見さんとは一歩を踏み出されたのをさらに前進していただくことが双方のためにいいじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○参考人(山本為三郎君) 今のお話、ごもっともです。実は来年度のことについて三十五年度麦の収穫後に私と荷見さんと御相談するということにしておりまして、それについては何ら条件をつけておりません。御相談するということだけでございます。これはできるだけ善処いたします。ただ問題は、先ほど山内君が衆議院でお話ししたということですが、私はこれはあってはいけないと思います。それはごもっともです。大体私と荷見さんとで御相談して、どんな割合でどうしてやろうかということをきめてから後に、それは事務当局が言うことで、われわれを除いて事務当局がそんなことを言うのは越権でございます。これは取り消しをいたします。
○中田吉雄君 それでよく御趣旨はわかったのですが、こまかいことは民野さんその他に質問することにしまして、農民連盟から出しましたビールの売価に対する税金の割合ですね、なかなかこれは高いもので、おそらく世界最高じゃないかと思う。それはもう所得税でも自然増収というものを当然国民に還元するというような点から、財政多難の折でも、やはりそれだけ納められれば、ビール産業の振興なり、あるいは栽培者に対するいろいろな厚い手当があってもいいと思うのです。そういう点で、やはりわれわれとしてもこの点考えてみねばならないと思うのですが、このビールの生産コストにおけるビール麦の割合についてお伺いしたいことと、やはりそういう運動を、われわれもこの点については協力したいと思いますが、税金をもっと世界最高で五割六分の税金で、米国等は一割三分高いイギリスでも四割、ドイツは一〇%、フランスは二割ぐらい、イタリー二割というふうで、はなはだ高率で、こういうことも勢いビール麦の生産者にしわが寄りがちだと思いますが、そういうことに対する所見と、やはりこれは戸叶さんも申したんですが、私は生産コストでビール麦の占める割合はそう大きなものじゃないと思うのですが、特にビール麦は、これを作りますと、なかなか、今栃木県の参事さんが言われたように、単に四、五千円の黒字だけではなしに、特におくてを要請される。そうしてあとに作る米にはもう一割じゃなく、もっとそれ以上の減収は、これは当然影響するわけで、そういう関連で、これは見ねばならぬので、四、五千円の黒字というだけではこれを見ることはできない。これは必ずおくてを作るということを要請されながら、なかてとかいうものを作りたいというのは、あと作に、なかなかこれは少なからぬ稲作の減収を及ぼすというような関係もあり、私は税金の問題、それとの関連で、まあビール麦の生産者を優遇するそういう措置について御所見を承りたい。
○参考人(山本為三郎君) だいぶ話はむずかしくなって参りましたので、私はここで資料を持っておりませんが、間違いましたらお許しを上願いたい。 大体、ビールの価格をまず分析いたしますと、私の常識ですが百二十五円のビールは、びん代が十二円で、百十三円がわれわれのいただく金でございます。百十三円のうちで、小売の手数料が十円おそらく八、九十銭だと存じます。そのほかに空びん手数料が一円ございますので、おおよそ十二円ぐらいが小売屋さんに入るものだと思います。あとの百一円の価格がわれわれがいただく価格です。生産者販売価格です。この中には一般に申します卸屋というものがあります。ビールでは生産者が小売店に直接販売するという方式を明治の初めからとっておりますので、われわれのいただく金の中から、いわゆる卸屋、われわれの特約代理店に手数料を払います。これが二円五、六十銭でしょうが、まずわれわれはいろいろな費用を見て三円と見ております。そういたしますと、あと税金が七十円幾十銭でございますので、われわれのいただく金が二十七円か八円であります。これで全国の津々浦々、山のてっぺんまで直接の配達をするのであります。これがわれわれの実情です。 ごのうちで原料費が占める割合は、会社によりまして違います。昔は大体同じでございましたが、この四、五年の間に違って参りました。いわゆる原料が一割以上違う会社がございます。なお、麦の使い量が、二割以上たくさん使う会社がございます。そういうために、原価がまちまちになって参ります。まず、七円五、六十銭から九円の間が原料費だと思っていただいていいと思います。これは概念的です。で、ビール会社の一番たくさん金のかかりますのは、原料費以外に、あの大きい設備を使います設備の費用と、次は運搬費です。これが一番多い。その以外は御承知の通り人件費であります。それで、われわれは各得意先の庭先まで、ほかの酒は醸造家の庭先ないしは特約代理店でありますが、われわれは小売店の庭先まで送ります。その運搬費、全国至るところに庭先までお届けする費用であります。原料費が大体三分の一と御了承願いたいのであります。 さて、私はこの機会に一つ戸叶さんに——質問以外のことを言うなとおっしゃるかしれませんが、これはつ余興としてお聞き願います。日本のビールは、戦前は三十七、八銭の小売価格でありまして、税金が八銭から九銭の間でありました私は概念的に、小売価格の四分の一が税金なりと思っておりました。今日は百二十五円でございます。びん代は私は取りまして、百十三円のビールに対して税金が七十円でございます。約七割ほどの税金でありまして、大きく申しますと四分の三に近い税金を払っております。これは先ほど中田さんのおっしゃったように、だいぶ外国事情と違います。それで、私は、日本のビールは間接税としておとりになることは、これはやむを得ないと私は思いますが、私はこのビールの価格は税の対象としてお考えになることもやむを得ませんが、その前に、私はおとといの新聞に随筆で書いたのでありますが、いわゆる中産以下の生活指数で生活している一般庶民に幾らのビールをどのくらいの量を飲ましてやるべきかということを考えてそれにはどのくらいの生活の部分をそれに充てるべきか、そういうことから考えると、ビールの価格は一本がどのくらいになるかということの結論が出ると思います。それを考えてビールの価格を思うべきでありますが、今までは、何でもいいから税金とれるからとれと、ある大蔵大臣は私に、百三十円のビールになったときに、山本さん、百三十円のビール、売れるじゃないかと、こう言われました。私は失礼でありますが、あなたは政治家として、これはそういうことを言ってもらっちゃ困りますと。今申しましたように、飲みたい人に飲ましてやるのには幾らの価格が妥当であるかということから考えて下さい。で、ビール会社が暴利をとっておればビール会社にじゃんじゃん値段をお値切りになったらいいし、ないしは別納金を納めさせてもいいし、配当に制限なすってもいいじゃありませんか。良心的に、法律的でなくたって、それくらいのことおっしゃったらいいじゃありませんか。が、しかし庶民の人が、手を黒くし帰ってきた汗みどろの人が、うちへ帰って、十円のキャラメルを子供に買ってやれない家庭で、親が百二十五円のビールは飲めないから、飲めるビールの値段にまで下げて下さい。それがためにビール会社が、あるいは配当が減じ、経営が苦しくなることも、やぶさかでありません。私は申し上げました。 そこで、そのビールをどのくらいにすべきかということでありまして、私はある席上でも申しましたから、お聞き下すった方もあると思いますが、大体外国のビールは、市販ビールが地下鉄の料金にひとしいというのが常識であります。一本二十円、いわゆる半びんであります。日本のビールの半びんが、アメリカの人の飲んでるカン詰ビールが、ともかく一本が私は三十円で作ったらば、私は庶民の階級で毎晩飲んでいただけて、喜んで翌日の活動のかてになると思います。そうなると、そこに起こることは、税金を私は半分とって、半分の原価で生産費とその他の費用、手数料を出すようなところまでやるならば、私は理想でありますが、今すぐには国家もできますまい。せめては一本五十円とし、漸次四十円、最後は三十円という段階までやっていくのは、私は可能なりと思っております。国家がそれに対するお助けを願えれば、農民が作ったこの麦で、われわれが血みどろになって作って得たビールを、その労働者の机の上に三十円から五十円の価格で上したい、これが私のビール事業に携わっております一生の念願でございまして、どうぞ皆さんでそういう方向に一つ御協力を願いたいと思います。
○中田吉雄君 まあ御高見を拝聴しましたが、その点は一つ御検討いただきたいと思いますが、幸い山内理事のような御発言はお取り消しいただいたのですが、一つ山本・荷見の協定の線を上から下まで下して、まあ近代的な流通機構を一つ確立していただきたいということを、代表理事の山本さんにお願いしておきます。 石井さんにお伺いしますが、昨年の十一月ですか、インドのニューデリーで開かれた国際農業生産者会議に出られたやに聞いて、こういう契約栽培というものがヨーロッパでもアメリカでも取引条件が悪化し、まあ大へん恐縮ですが、業者に依存していくということで非常に問題になったという報告が石井さんの何で出ておるのですが、そういうことはまあ山本さんの方でよく御検討願いたいと思いますし、まあそういうことから全販が共販体制の確立に努力しておられると思うのですが、どういうふうにそういうことを実際に移すために御努力なすっておられるか、会議の模様等を簡単にお知らせいただきたいと思います。
○参考人(石井英之助君) ビール麦の共同販売の問題につきましては、先ほど一楽君からお話がございましたように、ここ数年来、ビール麦についても、他の農産物と同様に系統共販をすべきであるという御意見がずっと出ておりまして、まあいわばここ数年の懸案ということに農協側としてはなっておったわけでございます。全販に対しても各地方の農協の方々から、なるべく早くビール会社の方にもお話し合いを求めて共販に踏み切るようにという御要請も、しばしば受けておったという問題でございます。それで、昨年そういう問題が起こりまして、いろいろ努力をいたしておりましたときに、たまたま私が農業団体側の人間としてニュデリーでの会議に参りましたところが、御承知のように、カナダ、アメリカ等におきましては、主としてブロイラー、鶏の肥育を中心といたしまして、事業者が個々の農家と契約をいたしまして、そうしてひなの供給をする、えさを供給をする、それから技術上のいろいろな指導をする、そうしてできたものは、これは一手に企業者が買い取るという契約をいたしまして、その当時の話では、カナダあたりでは若鶏の市場流通量の九割程度のものが契約飼育と申しますか、特約経営と申しますか、そういうものによって占められておるという報告でございました。そういう形勢が非常に強いので、国際農業生産者連盟というものが、この問題に対して農業生産者側としてはどういう見解を持つべきであるかということが、前回の総会のときに問題になったのだそうであります。 この国際農業生産者連盟と申しますのは、主要国の農業団体ほとんど全部入っております。そこでこれが問題になりまして、特に委員会を作って、この契約栽培と申しますか、契約特約経営と申しますか、向こうではそういうものをバーテイカル・インテグレーションという言葉を用いているようであります。初め私どもはあまり不案内で、一体バーテイカル・インテグレーションがどういうものを意味するのかということが表題だけではわからなかったようなわけで、だんだんなにしてみましたところが、そういうことでございました。その委員会会で約二カ年実地に調査をいたしました結果の報告書というものが、総会に出たわけであります。どうもその結果は、生産者が特約契約ということで一切企業者の方に依存する傾向になるから、そこでどうしても契約の内容というものが生産者にとって不利なものに傾く傾向が強いのであるから、どうしてもこれは生産者が個々の業者と結びつくということなしに、農業者の組織する団体を通じて業者との契約関係に入るべきである、そうして合理的な取引形態というものを設定すべきである、こういう意味の報告書が出たわけであります。それで、総会では問題なくその報告書が採択された。こういうことに、たまたまそういうところに出席をいたしたということでございます。日本のビール麦の問題についていろいろ議論がありましたときに出かけましたものですから、特に印象深くその経過を観察したということがございました。 で、まあ何と申しましても、私どもとしては、もうよく御承知の通り、零細な生産者の場合におきましては、どうしても共同販売という線によって大量取引をいたしますことによって、需要先との間に長期的な安定した取引関係を設定するということが可能になる道であるということで、農協としては努力をしておるわけであります。全販連はそれの担当部門として、すべての問題についてできる限り協同販売、系統共販ということの実現に進んでおるような次第でございます。
○委員長(藤野繁雄君) なるべく簡単に願います。
○中田吉雄君 三十三年ですか、二・二ミリから二・五ミリに変わったときですね、栃木県の麦耕連の方もだいぶ規格改正に伴うビール麦の値段を改正してもらうように努力されたわけですが、実現せずに今日に来ておるわけですが、やっぱり全販中央会等で強力にやっていただかないと、なかなか私は麦耕連だけではできないと思うのですが、一つぜひその問題をやっていただきたいということ、と同時に、単にビール麦だけではなしに、さきにも申し上げましたように、大洋、日冷というようなものが同じような形式で畜産部門に大量に進出しますから、あとで何とか規制してくれということでなしにやはりやっていただきたいと思うのですが、値段の、規格改正に伴う価格の引き上げといいますか、その問題を一つ積極的に食糧庁と交渉をしてもらいたいと思います。 それと、もう一つ、山本さんに聞いておきたいことは、幸い差別なしにやろうという言明ですが、まあこれまでのいきさつもあり、若干不安なしとしない。特にもう十一月総選挙というようなことになりますと、国会ではその状況いかんというようなことをお尋ねすることもできませんし、まあそういうどさくさにまぎれてやられるというようなことは方々ただいまの発言でないと思いますが、その辺の呼吸も一つぜひお考えいただいて、公平な線を貫いていただきたいということを希望して、御両氏に対する質問を終わります。
○参考人(山本為三郎君) ただいまの御趣旨はよくわかりました。われわれ、選挙がどうだから、自分ら農民の希望に━━そういうことはございません。どうぞ御安心下さって。議会がなくても、お呼び出し願って、お問いただし願っていただきたいと思います。 ところが、ただいま価格の問題がありました。私わかりませんでしたので、今係りの者に聞きましたら、精麦と申しまして、芽を出しますのをやってみなければわからないから、それまでということでペンディングになっているそうです。一昨年でしたか、前にもそういうことをして、あとで割増しをつけたそうですから、会社はもう少し慎重にやりまして、おそらく支出すべきものは支出すると思いますし、またそういうことがあるならば支出さすことにいたしますから、その点は御了承おき願いとうございます。
○戸叶武君 麦芽の輸入について、会社側並びに政府側はどういう見解を持っているか。ことしの麦のモルトのできが悪かったということを、いろいろ理由としてあげておりますが、ただ単にビールの数量だけでなく、麦芽に関する施設が十分でないというのを理由に、会社側ではたしか昨年十一月に一万三千トンの麦芽輸入を要請し、国会で九千トンぐらいに削られたかと思うのですが、三十四年度にあらためて二十二万三千トンを要求し、大蔵省は八千六百トンを大体認めるとかいうので、農林省との協議で保留となっているというような話を聞きますが、これらの事情は、農林省、どうなっておりますか。
○説明員(岡崎三郎君) 麦芽の輸入の問題でございますが、農林省の各局にわたる関係がある問題でございますが、便宜私から御答弁を申し上げます。 ただいま麦芽の輸入について一体農林省はどういう見解を持っているかということでございますが、先ほど山本会長からもお話があったと思いますが、現在のモルト製造設備、精麦設備といわれておりますが、それが残念ながら足りないのでございます。ビールの需要が年々二割ないし三割というように伸びておりますので、従って、これは伸びるのは非常にけっこうである、最終的にはこれは国内産のビール麦でもって全部まかなってほしいということを、実は私どもは昨年もそういう注文を出したのでございます。ことし一年はまあやむを得ないからモルトの輸入は認めるけれども、しかし、来年からはこれはもう絶対に認めないということで、昨年実は一応そういう条件のもとに賛成したことがあったわけでございます。本年になりまして、いろいろビールの酒造組合の上の方から事情をお聞きいたしますと、どうもビールの伸びが最初見込んでおったよりももっともっと伸びそうだということが一つ、それから、なかなかやはり現在の精麦設備、これを約倍にする計画を持っておるようでございますが、これが資金の関係、あるいは設備、いわゆる敷地の関係等でなかなかうまくいかないようなこともありまして、どうしても、あと、ことしのほかに三十六年度、三十七年までかかるのだ、こういうお話があったわけでございます。従って、その間におきましては、たとえ国内で幾らビール麦を大量に増産されましても、ちょっとそのモルトの製造設備の関係で間に合わない、しかしながら、いたずらに手をこまねいて見ておるわけにもいかないので、その差引不足分だけは輸入を認めてほしい、こういう要望があったわけでございます。 で、私どもといたしましては、昨年一応、そういうことし一カ年ですよという条件をつけた手前もございまするし、なるべく早く国内産のビール麦で自給してほしいという農林省のこれは全体としての見解でございまするので、まだこれは正式にもちろん賛成はいたしておりません。ただいまのところ、三十七年はこれはもちろん論外であるということでございますが、なお来年度も、これも来年また輸入するというのはこれは困るじゃないか、何とかことしじゅうに少なくとも来年のビール麦の出回る時期までには設備を倍にするなりして、十分国内産の麦で間に合うようにしてほしいという、そういう前提で私どもの方が各麦酒酒造組合並びに大蔵省と今折衝中でございます。まだ話はついておりません。 以上でございます。
○戸叶武君 先ほど冒頭に質問した農協法違反、独禁法違反の問題についての質問をいたします。農林省当局のこの前の見解というものが、協同組合部長と農林経済局長との御意見が若干違っているように私は伺っておったのですが、きょうは農林経済局長から御答弁を願いたいと思います。
○委員長(藤野繁雄君) 来ておりません。
○戸叶武君 これは私は要求もしておりますし、協同組合部長だけでは困るとかたく言っておったのです。部長の見解とその上司であるところの農林経済局長の見解が違うのですから。そうして農林経済局長の意見としては、農協部長のここで発表した意見というものは━━農林省内における統一された意見発表ということを私は明言しておるのですから、やはりその意見をここで聴取しておかなければ、協同組合部長が前と同じような勝手な独走をやられたのでは意味をなしませんから、農協中央会会長あたりの圧力があってじゃないかなどの、かつてうわさが飛んでいるから、私の質問に対して文書で出すなり何なり早急にしてもらいたいと思います。 それでは、とにかくこれは農協部長も上司の方と意見の交換をやって、前とは迷う意見調整が行なわれたと思いますから、農協部長からの答弁を願います。
○説明員(酒折武弘君) 麦耕連の会長が経済連の役員を兼ねておることは四十二条の二の規定に触れないかという御質問でございますが、規定上問題になるであろうということはこの前申し上げた通りでございます。そこで、現実にはどうするかという問題でございますが、これは麦耕連もやはりいわば農民の作った団体であるし、いわば農民内部の問題であるということで、直ちにこの規定の適用は必ずしも適当じゃないのだということで現在に至っております。
○戸叶武君 農協法の法のワク内の論議をして下さい。あまり土俵を広げ過ぎると、海に落ちますよ。
○説明員(酒折武弘君) 問題は、実質的に競争関係にある事業という法の解釈の問題として取り扱っております。
○戸叶武君 それじゃ、具体的例をあげます。私はあらかじめそのような変な意見が出ると思って、坪山会長に公開の質問状を出しております。その質問内容は、取引契約は耕作者と会社とが対等の立場で結ぶべきで、ビール酒造会社たる四社のカルテル組織に対抗するのには、単協、県経済連、全販連と系統農協による共販体制を確立すべきであると思うがどうかということに対して、坪山氏は、「現在各単協に一元化されている契約取引の正しい実態を認識せずして、一部のものにより紛争が起されていることは、取引の混乱を生じ、集荷商人系統取扱いのチャンスを与える結果となり、単協一元化集荷共販の基盤が崩れ去ることになり耕作者にとり好ましくない」という答えをしております。これは農協大会の決議に対してまっこうから挑戦しておるものであります。農協中央会の統一された意見の開陳とまっこうから対立するものであります。ただ単に、これは業務上の競業だけでなくて、こういう農協運動の基本路線に相反するところのイデオロギーをもって、そうして農協中央会長と麦耕連会長と県経済連の監事を兼ねているボス的存在が農協陣営に許されていいのか、農業協同組合部長は何をやっているのか。今まであれだけの答弁をして、どういう処置を県の県連なり中央会に対してあなたは伝えましたか。だから、私は、あなたじゃだめだ、農林経済局長を呼べと言ったのはそれだ。このことはあなたに聞かぬ。今度私は農林経済局長と大臣に対してこのことは質問する。農協法というものがありながら、この法はないがしろにされ、農協の最高機関としての大会決議は無視され、農協中央会の意思決定というものを平然として踏みにじっておるような中央会長をいただいておいて、農協秩序がこのように紊乱しておって、そうして何が農協が主張することができるか。内部の混乱から私はもう少し整理してもらいたい。 このような状態のもとにおいて、農林省は監督官庁たることができず、農協陣営の混乱を招いているときにこそ、初めて公取の出動すべきところの重要な余地があるのだと思います。公取を、今茨城、栃木においてたんねんに私は調べたところが、末端にまで入って詳細な調査をやっているのが事実であります。ただ、生産農民がおそれているのは、上層部に出すべきときに政治的にカットされて、結局うやむやにされてしまうのじゃないか。造船汚職のときの職権発動ではないが、竜頭蛇尾に終わるのではないかといって農民は嘆いております。法の威信がかくのごとく傷つけられ、公取におけるところの意思発動というものが全きを得ないというときにおいては、農民は何にたよったらいいのか。法の権威はむなしくされ、組織の責任ある言動というものは混乱されておるのですが、公取はどのような態度でもって調査を行ない、その調査資料というものをどういう形において集約して出すか、それを中間的であってもいいから御説明を願いたい。
○説明員(八尋昇君) お答えいたします。公正取引委員会の事務局では、先月中に事実上の調査を一応終了いたしました。それで、資料を取りまとめまして、とりあえず九月一日に事実関係だけあらまし御報告いたしました。現在結論的な面について検討中でございます。なおこの理論的な検討の段階において若干資料の補遺をするかもしれませんが、一応私どもとしては、事実については一応終わったと、こういうふうに考えております。
○戸叶武君 山本さんがかねがね尊敬している石井さんから先ほど世界の大勢が述べられましたが、今後におけるところの運営、特に生産と消費との結びつきの問題、消費と生産との調整の問題、そういう問題が、生産者の利益を代表するところの団体とこのメーカーなり業界を代表するところの団体との契約によって円滑な運営がやっていかれることが理想であるという世界的な大勢を聞いたことは、総明な山本さんも私はうなずいておられたと思うのです。で、私たちは、ただビール会社をやたらにたたこうとしているのじゃないのです。麒麟がことしの春のああいうように株価が下がったときに一割八分の配当があり、朝日が一割六分、日本が一割六分あったからといって、それをうらやましがっているわけじゃないのです。これをほんとうに大衆のものにするためには、山本さんのお説の通りです。私はやはり三十円ビールと十円牛乳が出現するような、レクリエーションという形において歌を歌ったり、踊ったり旅行するだけじゃなくて、生活の中に潤いのできるような、大衆搾取をされないような状態を導くためには、税の改正なり何なりをやっていかなくちゃならないと思うのです。しかし、それと同時に、この日本の農民というものが、産業上における二軍構造において苦しみ、それから低価格の中においてこの労賃の安さにおいて苦しんでおるという現実は無視できないのです。これはドイツのエアハルトさんが来たときも注意したのは、日本の一番の欠陥は労働者の賃金の低いことであり、さらに労働者の賃金よりも農民の所得が低いことだ。大衆購買力というものを基盤としなければ、国民経済というものの円満な発展はできないのだ。低米価なりあるいは低賃金におけるところのダンピングというのは、輸出発展の基礎じゃない。国内において健全な基盤を持って、消費基盤を持って、大衆購買力を持つとこによって、この恐慌なきところの繁栄というものは持続されるのだと言った言葉は、私たちはほんとうに頭を下げて考えなくちゃならぬと思う。こういうふうに、エアハルトもドイツでビールを飲んでいるので頭がいいのかと思いますが、(笑声)日本でもやはり税金を飲まずに、すなおにビールを飲んで頭をもっとさえさせるようにさせたいために、まずドイツの五年前の農業基本法が三〇%の工場労働者と農民労働者との所得のアンバランスを是正することから出発したように、今の農民の少しでも所得をふやしてやらなければいけないというところにかかっているのでありますから、旧時代的な三井争議が起きたようなやり方でなくて、私は新しい一つの生産者とそれらか企業家とが完全に結びつけるような一つの形態にいこうというだけのスマートな状態というものが生まれないと、これから、とにかくビール会社が少しもうかっているから、また四社が組めば何でもできるというような形で私はまかり通ろうとしたならば、あぶないと思いましたけれども、きょう山本さんが来て非常な率直な見解を述べられたので、その点は私は敬意を表します。 それは中田さんが言われたように、私たちの言い過ぎた点もあるかもしれませんけれども、要は、山本さんと荷見さんのあの歴史的な会談というものは、ビール界にとっては一つのマグナ・カルタだと思います。あの原則を基礎として、積み上げ方式によって、どういうプロセスを経て、そうして円滑にこの生産者と企業の結びつき、生産農民の利益を擁護すると同時に、企業も成り立っていくというような体制ができるか、それともこれからいよいよ摩擦をしていくかという分かれ目だと思うのでありますが、そういう深いことにこれから、あまり立ち入ってはいけないかと思いますけれども、とにかく私は、栃木県の麦耕連の会長の坪山さんは、旧時代的な一つのボスです、悪い意味においてもよい意味においても。実力者です。しかし、もうほんとうの、旧時代的な実力者が近藤勇的な役割をしてのさばることではなくて、新しい時代に対して席を譲るという謙虚な脱皮作用が起きないとすれば、農協運動において一大汚点を坪山さんの存在によって私は作られる。昔の博労の親方としての、競馬場の親方としての坪山氏でなくて、農協運動におけるところの坪山氏としてもっと進退というものを明瞭にしなくちゃいけないので、あのような協同組合運動から出たエキスパートが、あまり力みかえって、親分の後生大事と力み返ると、逆にどぶに落ちますから、その点も注意していただきたいと思います。 きょうは非常に言い過ぎた点もあると思いますけれども、問題点が非常に山本さんの出現によって解明されましたものですから、雨のあとで晴の可能性もあるということだけが出てきましたから、どうぞそれをほんとうに晴の方向へ持っていってもらいたいと思います。
○中田吉雄君 具体的なことでいろいろお尋ねしたいと思いましたが、時間がないので、山本さんの意見よくわかりましたが、一つ民野さんの方で、たとえば種子の配付、増反の割当、受け渡し、残量の処理、代金の決済というような具体的な問題が、やはり差別なしに下までおりるような一つ具体的な指導を希望して、私の質問を終わります。希望です。
○参考人(山本為三郎君) できるだけその線に沿います。
○委員長(藤野繁雄君) 他に御質疑もなければ、本件についてはこの程度にいたします。 参考人の各位には長時間にわたり御意見を述べていただき、厚く御礼を申し上げます。 本日はこれをもって散会いたします。 午後五時二十七分散会