地方行政委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1960/10/15
会議録
○委員長(増原恵吉君) これより委員会を開会いたします。 地方行政の改革に関する調査を議題といたします。 まず、派遣委員の報告を聴取いたしたいと思います。当委員会におきましては、さきに伊勢湾台風及びチリ地震津波に伴う災害復興状況と道路交通の状況を聴取するため、鍋島、木下の両委員を愛知、三重の両県に派遣をいたしましたが、この際、調査の概略について御報告を願い、別途、文書報告を会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう取り計らうことといたします。 それでは第二班につきまして鍋島君よりお願いをいたします。
○鍋島直紹君 地方行政委員会の視察報告書を朗読いたします。 私と木下委員は、伊勢湾台風及びチリ地震津波による災害の復旧状況並びに道路交通状況につきまして調査をいたすため、去る九月八日より一遍間にわたりまして愛知、三重の両県を視察して参りましたが、その詳細につきましては、追って文書報告を提出することとし、本日はそのごく概略について御報告を申し上げます。 まず、伊勢湾台風被害の復旧状況についてでありますが、昭和三十四年九月、東海地方を襲いました伊勢湾台風は、愛知、三重、岐阜の三県に大きな被害を与えましたが、その被害総額は、死者四千三百二十九人、いまだ行方不明の者二百四十五人、公共施設被害千百十二億円、民間の被害四千四百億円の巨額に達しております。このような未曾有の被害をもたらしました原因としましては、もちろん、想像を絶しました台風、さらにこれに基づく高潮によることはもちろんでありますが、浸水地帯がほとんど標高ゼロ・メートル以下の低地帯でありましたこと、さらに近年におきまする地盤沈下に対しまする十分なる認識を欠きましておったこと、また不時の災害に対する物心両面の準備態勢に欠くるところがあった事実も一面認めなければならないと思うのであります。特に愛知県鍋田干拓等の干拓地帯、すなわち木曾川水系のデルタ地帯等におきましては、激烈な台風、高潮によります大自然の威力に対しまして水防態勢が十分確立されておらず、特に甚大なる被害者を出した現地の実情を見、かつ、状況の説明を聞きますと、破壊されました防潮堤、河川堤防、護岸等、それぞれ今後においても十分の強化を必要とすることはもちろんでありますが、特に国、県、市町村、または政府各省間の真に総合されました、また一貫した災害への復旧工事が一段と実行さるべきと感じたのであります。そして再びこのような惨事を繰り返さないだけの強力なる防災工事が今後にわたって実行されるべきことを痛感いたした次第であります。もちろん災害後各県におきましては、県民各位の旺盛なる再建意欲と関係機関の日夜を分かたぬ努力によってその成果は着々と上がっております。 愛知県におきましては、同県の災害復興計画委員会の策定されましたその計画総額二千二十三億円でありまして、そのうち高潮対策の事業の進捗率は、建設省関係におきまして三六%、運輸省関係におきまして二三%、農林省関係におきまして一五%。また一般土木施設におきましては、建設省関係で本年末で四八%、運輸省関係が八六%、農林省関係が四八%、うち農地関係では除塩作業等はほとんど完了をいたしております。農地復旧の面におきまして六五%、農業施設の面におきまして四五%、干拓堤防二四%の進捗率とはっております。 このうち特に申し上げたいのは、高潮対策事業の実施にあたりまして、建設、農林、運輸の三省連絡協議会の機能をさらに充実をいたされ、また強化されまして、堤防の高さのみならず、堤防の構造、またその設計、施行方法、また施行時期等、大切な国土保全のために統一ある計画施行がもう一段前進ずることを希望いたす次第であります。また運輸省関係の所管になります名古屋港の前面の高潮防波堤の実現が計画されておりますが、今後の工事に大きく影響するものでありますから、一日も早く計画が樹立確定され、続いて工事に着手されることを強く希望いたしたいのであります。 さらに名古屋市におきまする都市計画は、従来その構想と規模におきまして世間注視の的となっておったのでありますが、高潮に対しまする防災的配慮が十分でなかったように思われました。よって名古屋市におきましては、この台風の体験を生かしまして、本年五月に災害対策要綱を確定し、災害防止計画及び災害救助計画等を策定いたしまして根本的な恒久対策が進められておる状況でありました。 名古屋市において特に申し上げておきたいのは、さきに施行されました公立学校施設の復旧に関する特別措置法のねらいの一つは、水が入って参ります水没地帯ないし災害頻度の高い海岸周辺地域に対しまして鉄筋コンクリート建等の改良復旧工事を行なうことによりまして、この学校の災害防止と、非常の際におきまする地域住民の安全な緊急避難所を確保するにあったと思われるのでありますが、名古屋市の南部におきましては、被害校三十七校のうち、わずかに南陽小学校一校だけしか認められておりません。また海部地区におきましての水没地帯におきましても、被害校二十校中わずか八校が認められたにすぎず、名古屋市におきましては単独事業で鉄筋コンクリート建の増改築を計画している実情であります。国としても大都市の災害防止と不時の際の人命救護の見地からこれは再検討を要することと考えたのであります。 次に、流木対策でありますが、水害の際に流木等が破壊力を増大し、あるいははんらん区域を拡大することは通常見られるところでございますが、今回の伊勢湾台風災害におきましても、名古屋市の港頭地区の水面貯木場より多数の大型木材が高潮に乗りまして遡流いたしまして、臨海地域の家や、あるいは人命に大きな被害を与えております。名古屋港管理組合及び関係業者団体等におきましても、将来の対策について一応の結論が出され、すでに一部の工事が進行中でございますが、貯木場周辺地区の住家の鉄筋コンクリート化及び貯木場の位置等につきまして、さらに検討が望まれる次第でございます。 三重県におきましても、伊勢湾台風によりまする被害は、死者が千百九十七人、行方不明七十六人、物的被害千七百九十三億円に達しておりまして、とりわけ木曾川下流地域の被害が最も大きかったのであります。本年七月末におきまする各復旧事業の進捗状況は、国の直轄事業では河川の復旧四〇%、海岸の復旧三七%でありまして、本年度実施分では、河川復旧五五%、海津復旧四〇%となり、一応原形復旧が完了いたしておるのであります。県営事業におきましては、一般災害対策三二%に比べ、高潮対策がわずか一〇%と低率であります。これは同事業が特別措置法に基づき改良復旧を原則としているためでございますけれども、本年度予定額に対してもなお二三・四%とかなり、進捗率が低いことは同県営分の復旧事業が愛知県に比してかなりおくれている実情を示すものであります。さらに市町村または団体営になりますと一そう進捗率が低くなりまして、〇・九%となっておりますが、一般災害では四一・三%と県営をしのぐ進捗率になっております。三重県の場合、山、森林関係と漁港関係の復旧がおくれていることを見たのであります。 さらに三重県におきまして気がつきましたことは、県内各河川の堤防の共通的被害が全県下にわたってあったにもかかわらず、そのうちの一河川でありまする宮川のみ堤防の決壊がなかった点であります。これは宮川上流百キロメートルの地点に県営電気事業の多目的ダムがありまして、約五万四千八百キロワットの電力を供給いたしておるのでありますが、このダムの調節によって下流の伊勢市付近を洪水から防ぐことのために大きな効果をもたらしたことを如実に示しておるのであります。この意味におきましては、他の河川の被害をよそに治水の大きな功績を残したのでありますが、今後の災害防止対策に一つの大きな参考となる点を認めたのでございます。 次に、チリ地震津波によります災害復旧について申し上げます。本年五月二十四日、伊勢湾及び熊野灘一帯に大きな被害をもたらしたチリ地震津波は、三重県に約百五十億円の被害を与えましたが、そのうち五十五億円は水産関係の被害で、その九六%は真珠及び真珠養殖関係でございます。この復旧につきましては、県におきましても全力をあげて真珠対策協議会を開いてつなぎ融資を手配するほかに、掃海作業、または沈下しましたいかだの引き揚げ、流失しました貝類の回収等に努め、現在大体順調な復旧状況にあると認めました。 なお伊勢湾台風及びチリ地震津波の災害復旧に関連して各種の要望がございましたが、これは文書に譲ることにいたします。 次に、道路交通状況について申し上げます。最近におきまする愛知、三重両県下の交通量の増加はいずれも驚異的な増加を示しております。特に両県を通過し大阪に至りまする国道第一号線のごときは、前年度に比べ二四五%という増加率であります。これに伴います事故も激増の一途をたどりまして、愛知県では本年上半期ですでに死者の数が前年同期より四四%をこえる実情で、重大事故の飛躍的な増加を物語っているのであります。また三重県におきましても、昭和三十四年以降、毎年五〇%ないし六〇%の増加を示しておりますが、このような事故の激増ぶりに対しまして、各県とも取り締まりの強化、モニター制の採用、交通安全協会の組織の強化拡充、交通安全協力会の設置等に努めるほか、運転する人に対しまする講習会、懇談会等の開催、学童の交通安全班によりまする登校児童の交通指導等、いろいろなことをいたしまして努力をいたしておりますが、このあまりにも急激な交通量の増加に対しまして、現在におきまする交通警察力では事故の起きた場合の処理で手一ぱいといったような実情であります。特に両県ともに施設——信号機でありますが、等の施設及び交通警察要員の増強につきまして非常に強い要望がございましたが、特に名古屋市におきましては、信号機の不足が目立ち、至るところで車道を横断するところの歩行者の姿が見られたのであります。信号機の設置が国の補助に基づいて行なわれておる現状では、地方都市の信号機についてさらに一段の考慮をし、いかにしてこの実現をはかるかということを考究すべきであろうと思うのであります。また国道第一号線におきましては、東京—大阪間を走行いたしまする長超離トラックの経路に当たるのでありますが、ほとんど昼夜を問わず大型トラックが疾走しておりまして、これらの中には積載量の違反と認められるものがありながら、検量機の施設がないために十分な取り締まりができないという実情であります。これら施設の充実につきましては強い要望がありましたが、主要路線の主要地点における検量機の設置増加が今後におきまするやはり一つの大きな問題であり、必要なことであろうと感じた次第でございます。 三重県におきましては、学童の交通事故防止対策としまして、昭和三十一年以降、県警察本部、県教育委員会及び県婦人児童課の主唱によりまして、児童危害防止県民運動を推進しておりますが、これによって児童生徒の交通に対する関心が著しく向上いたしまして同運動実施前の昭和三十年に比し、被害率は、死者が半減した事実があります。この点今後の交通対策に対しまして大きな参考になる点もあったのであります。 なお道路交通関係の要望としては、長距離輸送用の真のいわゆる道路計画の実現、交通警察に関しまする人員の増加及び施設の増強、信号機設置のための国庫補助増加等につきまして両県から要望がございました。詳細は文書報告に譲る次第でございます。 以上、簡単でございますが、第二班の概略御報告を終わりたいと思います。 以上で終わります。
○委員長(増原恵吉君) ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○委員長(増原恵吉君) 速記を起こして。 本日はこの程度にいたします。これをもって散会いたします。 午前十時三十五分散会