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35回国会参議院1960/10/15

大蔵委員会 閉会後第3号

発言数
34
登壇者
5
会派数
3
開催日
1960/10/15

会議録

山本米治自由民主党

○理事(山本米治君) ただいまから委員会を開きます。  租税政策に関する件を議題といたします。  ただいま提出されております二資料につき、政府側から説明を求めます。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) お手元に差し上げてありまする三十五年度の八月末におきまする租税及び印紙収入の収入額の調べの方を先に御説明を申し上げます。  まず、下から五番目をごらんいただきますと、一般会計分といたしまして、八月末収入金額六千四百三十七億三千八百万円が上がっております。これは前年同期におきまする収入額の四千七百八十七億八千八百万円に比べまして、約千六百五十億の増収になっておりまして、本年の予算額でありまする一兆三千三百六十六億に対しまして、四八・二%でございます。前年の予算に対しまする収入額の実績は四〇・六%で、同期がそうなっておりましたので、約七・六だけ収入率がよろしいということに相なっておるわけでございます。ただ、前年同期に対して千六百五十億の増収になっておりますが、御承知のように、前年の予算額に比べまして本年度予算額は千五百八十億ふえております。従って、今後、この増収の様子が引き続いて出てくるかどうかということによって、本年度の自然増収がどれくらいになるかということがきまって参るわけでございます。  各税の内訳について申し上げますと、所得税におきましては、源泉分が前年に比べまして比較的よく入っております。前年が予算に対しまして四三・二%でありましたのが、四七・六%、申告分も二八・八%が三四・二%、かなりいい成績をおさめております。法人税は、さらに、最近の経済好調を反映いたしまして、前年の四二・七%が五五・六%というふうに非常に良好な結果になっております。相続税は、前年に対しましてあまりふえておりません。再評価税も同様でありまして、むしろ前年より減っておる。従って、再評価税につきましては、若干でありますが、予算見込み額に達しないのではないかと思っております。酒税も、最近の酒税、砂糖消費税、揮発油税及び物品税のこの消費税の四税の関係は、いずれも前年同期に比べましてかなり良好な成績をおさめておるわけでございます。と申しましても、砂糖が悪くなっておりますが、これは御承知のように、昨年砂糖消費税を関税に振りかえる措置を行ないまして、その関係でストック課税が行なわれたために、前年の八月末までにかなりの収入がありましたために、その割からいたしますと、減っておりますけれども、本年の予算の見通しからいたしますと、かなりの好調とうかがわれるわけでございます。それからトランプ類税と取引所税は特に申し上げることはございませんが、有価証券取引税、これは最近の株の取引が予想以上に多くなっておりますために、七九・一%というふうに、前年に比べまして非常に成績がよくなっております。通行税、関税につきましても、トン税等につきましても同様でございます。  問題は、八月末の収入はそのような状態であるが、本年は一体幾ら自然増収が出るかということが御関心の的かと思うのでございますが、本年の自然増収につきましては、御承知のように、昨年の収入が、三十三年のいわば一種の経済不況から脱しまして、景気が上向いて参りましたために、三十四年度の経過中には、後半に至って非常に収入成績が伸びたのでございます。三十五年におきましては、その繁栄が引き続きまして、全般に相当収入成績が上がっておるわけでございますが、はたして今後も同じような好調を続けるかどうかということは、一に今後の経済がどういうふうに動いていくかということにかかってくるわけでございますが、そのうちでも、特に最も税額の多い法人税の九月決算及び十月決算の見通しがどうなるかということによってかなり左右されるわけでございます。この状況がかなり良好でありますれば、相当額の自然増収が出るのではないかというふうに観測いたしております。  それから、お手元に租税特別措置及びその減収額一覧表というのが差し上げてございます。それは私どもが租税特別措置と考えておりますものにつきまして取り上げたものでございまして、必ずしも租税特別措置法自体に規定されているものだけでなしに、所得税あるいは法人税法に規定されているもの等も含まれておるのでございます。その意味では、あるいは租税特別措置の範囲をこのように解するのが適当であるかどうかという御批判もあろうかと思いますがか、私どもといたしましては、税法本来の性格から当然行なうべきものかどうか、特別措置と考えるものにつきまして、取り上げてみたわけでございます。  まず、その第一は、貯蓄の奨励を目的といたしたものでございます。資本蓄積に資するという意味でのこれが五つほどございます。  まず第一が利子所得の分離課税。御承知のように、現在利子所得は他の所得と分離いたしまして、総合しないで、源泉で一〇%の税率だけで徴収することにいたしております。その関係で、総合課税をしないことによる減税額が平年度九十億円ということになっております。これが来年三月三十一日に現在の規定の期限が参ることになるわけでございます。これを延長するかあるいは改正するかということが、今後御検討いただく問題になるわけでございます。  その次の配当所得に対する源泉徴収税率の軽減、これも配当所得は総合課税することになっているのでございますが、源泉徴収税率は、所得税法では利子所得と同様に二〇%の源泉徴収税率ということになっておりますが、現在特例措置で一〇%に軽減されているのでございます。その結果、配当所得のうちで、もちろん総合課税されまして、配当控除なり、あるいは受け取り株主が法人であります場合におきましては負債利子控除後益金不算入の措置がとられているのでありますので、課税される場合におきましては別段取り漏れということはないのでありますが、非課税者等の場合がございます。そのために源泉徴収税率を一〇%にしていることによって取れない金額が八十億ということになっております。  その次が生命保険料控除でございます。これは一万五千円までの年間生命保険料につきましては全額、一万五千円をこえて三万円までにおきましては、その半額を控除するようになっております。最高二万二千五百円の控除をいたすことになっております。これも貯蓄奨励の目的でございますが、これによる減収額が百六十億円。もっともこれは所得税法の方に規定がございまして、期限が定められてございません。  もう一つは、国民貯蓄組合のあっせん貯蓄の利子につきましては、元本が三十万円まで非課税になっておりますことは御承知の通りでございます。それで、これによりまする減収額が百億円でございます。これは国民貯蓄組合法の四条に規定がありまして、やはり期限の定めがございません。で、この部分につきまして問題がありますのは、御承知のように、本来は国民貯蓄組合は戦時中地域組合ということが主体で発足いたしたのございますが、戦後地域組合よりも、むしろ銀行等金融機関の窓口組合というのが多くなりまして、しかも、本来貯蓄組合は一人が一組合に加入するという建前であるのでございますが、窓口組合ということが認められた関係上、一人で方々の窓口組合に加入いたすために、本来一人が三十万円まで免税になるという趣旨が乱用される傾向にあります。これを乱用されないで、一人一組合にするかどうか。その場合に現在の元本三十万円という限度を引き上げるかどうか。これは御承知のように、郵便貯金の預入限度がやはり三十万円ということになっておりまして、必ずしも関連があるわけではございませんけれども、現在同じ金額になっているという点におきまして、郵便貯金の預入限度の引き上げという問題とも関連いたしているわけでございます。  その次が有価証券の譲渡所得の非課税、これは所得税法の六条で規定されておりまして、期限がやはりございません。これには御承知のように、有価証券の譲渡所得でありましても、年に数回多量に有価証券の譲渡を行なうような場合におきましては、事業所得といたしまして課税する建前をとっておりますが、かような大量な取引をしない、また常時そういう有価証券の取引をしていない方につきましては非課税になっておりますために、これによる減収額が八十億円ということに相なっております。もっとも、これは御承知のように、有価証券取引税というものがございまして、かつては有価証券の譲渡所得と有価証券移転税と両方課税しておった時代もございまして、必ずしも有価証券取引税を課税するから有価証券譲渡所得に対しては課税すべきではないというわけでもないかと思いますが、この辺、有価証券の譲渡というのはなかなかわかりにくい関係がございまして、税の実務上もいろいろ難点があるということから、このようになっておるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申しあげましたような本来事務所得と認むべきものの把握が徹底しておらない点を徹底するという点と、最近有価証券譲渡所得が非課税になっておるということを利用いたしまして、本来不動産の売買を行ないます場合におきまして、不動産を譲渡いたしますと、譲渡所得が課税になるのでございますが、それを不動産の所有会社を作りまして、その株を譲渡するという形をとりますと、土地の譲渡所得が課税されないで、株の譲渡所得という形になりますために全然課税が行なわれないということがあるわけでございます。これにつきましては、やはり有価証券の譲渡所得を非課税にする趣旨は、そういうところまで非課税にする趣旨ではないと思われますので、そういうことができないようなふうに改正をしなければならぬのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから、その次に企業の内部資本の充実方策といたしまして、やはり七つほどの措置があるわけでございます。  そのうちの貸し倒れ準備金につきましては、これはまあ本来企業会計の立場から申し上げますれば、貸し倒れということは起こりがちなことでありますので、その貸し倒れが起きることを予想して準備金を積み立てておくという意味におきましては、将来の見越し費用を現在の収益にチャージする必要があるということは、ある程度認められるわけでございますが、それでは一体幾ら現在の収益にその見越し費用をチャージするのが適当であるかという点につきましては、いろいろ問題のあるところでございまして、本来から申しますれば、それぞれ企業によって貸し倒れの程度は違いますので、その企業の過去の貸し倒れ実績というものを基礎にして貸し倒れ準備金を積み立てるというのが正しいやり方かもしれませんが、現在の税務の実情からいたしまして、そういう過去の実績を基礎にしてやっていくということはいろいろ困難な点がありますので、一応期末の貸金残高というものを基礎にいたしまして、それに対する一定率で準備金の積み立てができるようにいたしてございますが、これにつきましてもいろいろ問題があるのでございまして、はたして現在のように積み立てておく必要があるかどうか、従来の貸し倒れの実績から見ますと、それほど必要もないように思われるのであります。またこれにつきましては、御承知のように、金融機関につきましては、その特殊性からいたしまして若干特例を設けておるのでありますが、そういうふうに業種によりまして、そういう措置をとることが適当かどうかという点もあるのでございます。そこで、この積み立てにつきまして若干圧縮する方法を考えたらどうかというふうなことを現在検討いたしておるのでございます。  その次の価格変動準備金、これも企業会計上段も費用性の少ない性格の準備金でございまして、とかく利益留保に用いられがちのものでございます。従って、これにつきましては相当準備金の積み立てを制限する必要があるのではないかと思っておる点もあるのでございますが、他方、御承知のように、貿易・為替の自由化ということからいたしまして、今後におきまする国際商品の価格の変動による影響を相当日本企業が受けるのではないかということも予想されますので、そういうふうな非常に変動の予想される商品につきましては、まあ現在程度のものは残さざるを得ないのではないかというふうにも考えられます。それ以外につきましては、相当積み立てを圧縮していいのではないかというふうに検討いたしております。  その次の退職給与引当金でございますが、これにつきましては、将来退職する場合のことを考えますと、退職給与引当金を設けておくということは、そこに勤務する者の立場からいたしまして必要のあることは当然でございます。ただ、御承知のように、現在のところ退職給与引当金につきましては、その人が退職いたしますと、積立金の方は自己都合による退職の場合だけの金額を予定してしか積み立てておらないのでございます。しかし、会社都合でやめる場合には、それに割増しがあるわけでございます。ところが、その分については積み立てておりません。ところが、現在の規定におきましては、会社都合でやめました割増分も退職給与引当金から落とすようなことになっておりますが、それでは酷ではないかというような点もございますので、これにつきましては検討いたしました結果、その会社都合による割増分につきましては、当期の損にして、この引当金から別に落とさなくてもいいようにしようかと思っておりますが、そういたしますと、この減収額の百六十五億というのは、もっとふえるという勘定になります。特別措置の整理という点からは、奇異にお感じになるかもしれませんが、引当金の性格上その方が妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお、貸し倒れ準備金は百六十五億、価格変動準備金は百四十億という減収額になっております。  それから、異常危険準備金、これは火災保険なんかのいわゆる大火なんかがあります場合に備えて準備金を積み立てておくのでございますが、これが平年度減収額十五億になっております。これにつきましては、異常な危険というものが何十年に一回あるかといったような状態でもございますので、過去の実績を見ますと、取りくずしのケースよりも積み立てがぐんぐん伸びていくというような状態に見受けられますので、積み立て限度につきまして資本金を基準とした限度を設けたらどうかという点と、それから異常危険が何十年に一ぺんか生じるということを考えますと、周期的に、たとえば十年などを周期といたしまして、その間にそういう異常がなかった場合には、十年前に積み立てた分は取りくずすということも考えたらどうかということを検討いたしております。  その次の渇水準備金、特別修繕引当金はいずれも八億、六億、違約損失補償準備金も四億といったような程度でございますが、このうちの違約損失と渇水準備金につきましては、大体異常危険準備金と同様な見地で検討すればいいのではなかろうかというふうに考えております。  それから、技術の振興及び設備の近代化という見地から行なっておる特別措置が四つほどございます。これは、まず第一は、科学技術振興のための特別償却の制度でございまして、これは科学技術の研究のために使用する機械設備でございまして他に転用できないというようなものにつきましては、所管大蔵と大蔵大臣の承認を得まして、三年間に五割、二割、二割という償却でやっていくという特別償却の制度でございます。これによる減収額が十五億ということになっております。これにつきましては、科学技術振興の必要性がありますことは当然でありまして、さらにもっと特別措置をふやせというような意見も見受けられますので、ことに試験研究の見地からいたしますと、大臣の承認を得なければならぬということは、その試験研究の内容の機密性を保つ上において好ましくないから、そういう承認を得ないでも、つまりどういう試験研究をいたしておるということがわからないでも特別償却の対象にしてもらいたいという意向もありまして、これにつきましては、今後拡張するかどうかというような点を検討いたさなければならないことになっております。  それから、ここで入るのが適当かどうか存じませんが、新築の貸家住宅の特別償却の制度がございます。これはまあ住宅事情からいたしまして存置いたさなければならぬかと思います。その減収額は十五億でございます。  それから、探鉱用機械設備等と鉱業用坑道等の特別償却の制度がございます。これは来年の末をもって期限が到来することになっておりまして、その減収額は平年度十億ということに相なっておるのでございます。これはまあ現在の状態からいたしまして、そのまま存続するよりほかないのではないかと考えております。  その次の合理化機械と重要機械の特別償却、これは平年度減収額が百億になっております。このうち、御承知のように、合理化機械の方は初年度取得価額の二分の一を償却できるという制度でございます。重要機械の方は、取得後三年間、普通償却額の五割増しの特別償却ができる内容のものでございます。これにつきましては、税制改正の問題といたしまして、昭和二十六年に現行の耐用年数をきめておるわけでございます。その後相当年月もたちますし、その間技術革新の程度も著しいものがございますので、それらの状況を考えまして、明年度耐用年数の一般的な改訂を行ないたいと考えておるわけでございますが、その一般的な改訂の際に、この特別償却につきましても若干の改正をしたらどうか。その改正の方向といたしましては、たとえば重要機械などにつきましては、取得後三年間五割増し、法定償却額の五割増しの償却ということは、耐用年数の短いものにつきましては相当のメリットがあるわけでございますが、耐用年数の長いものにつきましては、ほとんどそのメリットがないというようなことでございまして、耐用年数の長短によってその受ける利益というものが違っているということがございますので、これはむしろそういう重要機械というものは技術革新の相当強いものが多うございますので、むしろ耐用年数の一般的短縮の中に取り込んだ方が公平ではないか。短いものの方が得をして長いものがあまり得にならぬというのは、不公平ではないか、むしろ耐用年数を一般的に短縮した方がより公平な方法になるのではないかというふうに考えているわけでございます。それから、合理化機械の方の二分の一特別償却につきましても、現在のところ、この特別償却は、普通償却と特別償却と合わせまして初年度二分の一ということになっております。そういたしますと、今度は、合理化機械の方は重要機械と違いまして、耐用年数の短いものにつきましては特別償却のメリットが少ない、耐用年数の比較的長いものにつきまして特別償却のメリットがあるということでございます。その関係からいたしまして、むしろ従来と異にして、普通償却と特別償却とを分けまして、普通償却は普通償却通り行なわせる、特別償却の分は別にいたしまして、そのかわりその特別償却の割合は減らすということの方が、耐用年数の長短による利害得失をより公平にするのではないかというふうな考えをもちまして検討をいたしているわけでございます。  その次に、産業の助成というのがございます。これも七つほどございます。  そのまず第一は、輸出所得の特別控除、これが平年度の減収額百十五億ということに相なっております。輸出所得につきましては、元来、この制度がドイツの制度をある程度まねしてできた制度でございます。ドイツの方は、すでにOEECの関係で他国から指摘を受けまして、その制度をやめているのでございます。わが国におきましても、ガットの関係あるいはIMFの関係等からいたしまして、この輸出所得の特別控除を今後存続するかどうかにつきましては、相当輸出相手国が関心を持っておりますから、検討しなければならないことになっているわけでございますが、他方、貿易・為替の自由化ということの面から輸出の振興が今後ますます重要になって参るのだから、その面においてこの制度を存置してくれというような要望もございます。実は来年三月に期限が参るのでありまして、これをどうするかということはかなり大きな問題でございます。ただし、ガットの関係では、新聞紙上に一時出たかと思いますが、フランスが従来、ガットの十六条の規定で、輸出奨励の特別措置につきましては漸次廃止していくという方針がきまっているのでございますが、その輸出奨励の特別措置というものが何をさすかということにつきまして、明確な規定が存しておらなかったのを、本年フランスの方から提案がありまして、その措置を明確にしようということを言われております。このフランスの提案がガットの会議でどういうふうに取り扱われるか、まだ予測できませんけれども、それらの関係をもにらみ合わせながら検討いたさなければならないことだろうと存じております。私どもといたしましては、そういう情勢をにらみつつ、他国から指摘を受けないように、それが日本の輸出の障害にならないようにしなければならぬというむずかしい立場に立って検討を続けております。  その次の重要物産所得の免税でございますが、これは御承知のように、所得税法、法人税法に規定されておりまして、大正二年以来存続いたしておる制度でございまして、これによる減収額は四十五億円でございます。ただ、重要物産の免税ということが、そういう新規の企業を起こす場合において一つの励みになるというメリットはあろうかと思うのでございますが、しかし、何分にも全額免税にしてしまう、重要物産から生じた所得は全部免税にしてしまうということが、はたして制度として適当であるかどうかということ、及び重要物産というものをいかにして認定するかということにつきまして、いろいろ困難な事情がございますので、これについてはむしろそういう免税制度でなしに、そういう新規の産業におきましては特別償却の制度を適用する、そして免税という大きなものでなしに、免税というのが当たれば当たるのがある場合がありますが、場合によって重要物産の製造を始めましても利益を生じないときがありまして、そういう利益を生じないときには、何らのメリットにもならないというような点もございますので、そういう点からいたしますと、むしろ特別償却の制度の方が適出なのではなかろうかというふうに考えて、そういう方向で検討をいたしております。  それから、重要外国技術使用料の課税特例、これは御承知のように、ロイアリティの支払い、外国からそういう技術導入をいたしました場合に外国にロイアリティを支払う、その場合に二〇%で課税するのを一〇%に軽減いたしておるのでございます。これは御承知のように、日本でその課税を軽減いたしましても、たとえばアメリカでいいますと、アメリカでやはりその所得が課税される、日本で納めた税額を控除してアメリカで課税を行なうということになっておりまして、日本で使用料の課税の軽減をいたしますと、アメリカ政府の歳入がふえるというような結果に終わっております。納税者といたしましてはあまり恩恵が——納税者といいますか、向こうの会社としては特段のことはない。ただ、わが国が外国から技術導入をしなければならぬという弱い立場にある関係上、技術導入の協定を結ぶ際におきまして、わが国で納める税金は日本側企業の負担とするという条項を入れられがちでございまして、本来、技術提供会社といたしましては、別段損得に関係のない話のはずなのでございますが、わが国企業が弱い立場にあります関係上、そういう日本で納める使用料に対する課税につきましては日本企業の負担になるという関係で、こういう特例が設けられておるのでございますが、本来、筋からいたしますと、諸外国と租税条約の交渉をいたしまして、それによって日本で軽減される措置が諸外国において認められるというふうにするのでないと、あまり効果はないことというふうに考えております。これによる減収額分は平年度十六億でございます。   それから、協同組合課税の特例は四億でございまして、これはまあ今後も存続することになろうかと思います。それから、航空機関係で揮発油税の免税、これ二十一億。それから、通行税を二〇%を一〇%に軽減いたしております。これが四億でございまして、通行税の軽減の力は来年三月に期限が参るのでございます。これはまた本委員会の御検討をわずらわすということになろうかと思います。それから、内国税ではございませんが、重要機械類の輸入関税の免税がございます。これも平年度六十億で、これは関税暫定措置法の方に規定されております。やはり来年三月に期限が参ることになっております。本委員会の御検討をわずらわすということになるわけでございます。  そのほかといたしましては、米穀の所得課税の特例、これが平年度十七億ということになっております。いわゆる予約米減税であります。予約米につきまして、平均石当たり千四百円の部分について非課税にするという特例でございます。本年の米につきましても、いずれ法案を提出いたしまして、御審議をわずらわすということになろうかと存じております。それから、社会保険診療報酬の所得計算の特例、これは平年度十六億でございまして、御承知のように、社会保険診療報酬につきましては、特別の制度がとられておりまして、収入額の二八%を課税標準とするというようなことに相なっているわけでございます。この二つにつきましては、米の方は本年分につきましては、現在の特例をまた新しく法律にしてやるより仕方ないかという見地で検討いたしておりますが、別途、御承知のように、来年所得税の減税を行ないます際に、専従者控除等の改正もありますし、そういう点からいたしますと、この特例はいかにもそういう農業所得者、あるいは社会保険のお医者さんなどの場合におきましては、負担が相当軽減されますので、今後さらにそういう措置を続けていくのがいいかどうか問題ではないかということで検討をいたしております。  それから、新築住宅の登録税の軽減、増資登録税の軽減、いずれも七億、九億程度でございます。このうち増資登録税の方は、明年三月期限が参るのでございます。登録税の千分の七を千の五に軽減いたしているわけでございまするが、これを存続するかどうかということが、また本委員会の御審議をわずらわすことになろうかと思います。  その次、これは実は減収じゃなしに増収の方の特例でございまして、交際費の課税につきまして、二十八年の実績及び三十二年の実績と、それから売上金額に対する一定比率からいたしまして、交際費の限度というものを設けまして、その限度超過額に対しましては損金に算入しないという措置をとっているわけでございます。これが来年三月にやはり期限が参ることになっておるのでございます。こういう会社の交際費というようなことに税を課税するという点につきましては、いろいろ御批判の点もあろうかと思いますが、まだまだいろんな租税特別措置が続いている段階におきまして、とかく交際費が多額に出されるということは好ましくないというふうに考えますので、この特例は存続すると同時に、現在の交際費課税の実情から見ますと、比較的中小企業が交際費課税の損金不算入の適用を受けがちであります。大企業がそれほど受けない。これはまあ過去の実績あるいは売上金に対する一定比率ということでは、必ずしも交際費というものが売上金額に比例しているというわけでもありませんので、どうも中小企業の方が負担を受けやすいという形になっているようでございます。むしろそういうことにならないような方向で直すべきではないかというふうな見地で、検討をいたしておるわけでございます。  以上申し上げましたが、まだいろいろ検討の段階でございまして、将来の方向として明確に申し上げることができませんことを御了承いただきたいのでございます。

山本米治自由民主党

○理事(山本米治君) ただいまの説明に対し質疑のある方は、順次、御発言を願います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 租税特別措置の減収額一覧表について今御説明をいただいたのでありますけれども、この表によると、昭和三十五年が一千四百七億円となっているのですが、そこで、これらの措置は昭和二十五年からたんだん制度化されて追加され、今日のように膨大な租税特別措置を行なうようになったのでありますけれども、制度ができてから今日まで、国家が租税特別措置として減収をした総額の累積、これは幾らになっていますか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) まことに恐縮ですが、本日その資料を持っていませんので、後日作成いたしまして提出いたします。

平林剛日本社会党

○平林剛君 後日文書で一つ御提出をしていただくようにお願いをいたします。  それから、もう一つ、私は、池田総理の自慢しておるように、今日の日本の経済というのは昭和三十年においてほぼ一定の段階に達し、あとは成長しつつあるということを自慢されておるわけであります。それにもかかわらず、依然としてそれらの産業に対して、内部留保の充実だとかという名目で、資本の蓄積を急いでおる。これには政府とわれわれの見解に違いはありますけれども、どうも政府の政策が片奇っておるということがわれわれ批判の対象に常になっておるわけであります。そこで、内部留保の充実、つまり準備金とか引当金の累積額、これは制度ができましてからかなり膨大な金額になっておると私は承知しておるわけです。今日まで多分一兆四千億円に達するくらいの準備金と引当金の累積額になっておるように思いますが、これも今そこでわかりませんか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) お説の通り、この制度ができまして以後の準備金、引当金の累積額は九千七百八十八億に相なっております。ただし、この準備金のうちにおきましても、退職給与引当金のように費用性の強いもの、それから貸し倒れ準備金等につきましては、積み立て限度が問題でございますが、費用性がやはりあるもの、それから価格変動準備金の方は費用性の点は少ないのでありますが、やはり企業会計上若干のゆとりは必要であるというような点も見受けられますので、こういう措置をとることが企業会計上認められる部分もございますので、その点は一がいに特別措置であるからいかぬのだというわけには参りかねる点もあることで、平林委員御承知だと思いますけれども、申し上げておきたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 私の調査したのでは、九千七百八十八億をはるかにこえて一兆三千数百億円になるのです。これは取り上げ方によりますが……。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) 平林委員のおっしゃる場合には、引当金、準備金のほかに、特別償却、あるいは免税所得、輸出の特別控除、こういったいろいろな非課税の留保金を全部合計いたしましたものが、一兆三千八百九十三億に相なるわけでございます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 そこで、この内部留保の充実のために、それぞれ貸し倒れ準備金あるいは引当金等が今日まで相当な巨額に累積をされておるわけでありますが、実際にこの目的あるいはこれらの制度を設けた趣旨に基づいて活用した実例というのはどのくらいになり、それは何パーセントぐらいに達しておりますか、そういう調査はございますか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) それは別段集計をいたしてございませんのですが、たとえば貸し倒れが起きた場合にそれを取りくずすということによって、その効用を発揮しておる。それから、退職をいたしました場合に、退職者に対して引当金からそれを取りくずして支払うというようなことで、効用を発揮する。また、渇水準備金などにおきましても、冬季と夏季で渇水の程度が違ったりなどいたします。そのつど引き落としまして、これを補う。特別修繕の場合におきましても、たとえば船舶であれば四年に一ぺん大修繕をする、鉄鋼の炉でございますれば、何年かにやっぱり大修繕をするということで、そのつど引き落としておるわけでございます。それぞれ効用を発揮いたしております。ただ、現在のところ、その累計額につきまして調査した資料はございませんので……。

平林剛日本社会党

○平林剛君 その件も一つ、お手数ですが、調査をいたしましてわれわれの参考にしていただきたいと思います。  次に、今回国民貯蓄組合あっせん貯蓄利子の非課税及び有価証券譲渡所得の非課税計百八十億円を、政府の発表する減収額一覧の中に加えていることが、従来と比較をして特徴があります。先般提出をされたときは千二百二十七億であったのが、千四百七億円の減収額になっておりますのが、これが加えられた結果だと思われるのであります。そこで、この国民貯蓄組合のあっせん貯蓄利子の非課税は百億になっておるが、これの算出根拠、どういうふうにして出されましたか。結局、国民一人当たりの貯蓄、国民全般のこれを利用した貯蓄額から算出されたと思うのでありますが、参考のためにこれを聞かしていただきたい。  もう一つ、私、今御説明を受けて奇異に感じたのは、交際費課税の特例が六十億円の増に記載されていますね。国民貯蓄組合あっせんの貯蓄利子の非課税、これは本来非課税であるから、租税特別措置の中に加えること自体に矛盾を感じておったのでありますが、片方の交際費課税の特例の方は増収になっておる。これも今説明がありましたように、交際費であるところの接待費、機密費、贈答費その他について損金に不算入する限度額を設けて、それ以上についてはしない、こういうことになるわけでしょう。逆説的にいえば、交際費というものに対してはまあ特別の措置をとるということになっておるわけなんで、この貯蓄組合あっせん利子の非課税のやつをこれに入れたのと比較して、こっちの方の増収というのはおかしいように私は思うのですが、要するに、交際費で税金をとらなかったものが幾らであるかという計算の仕方がこれにのらなければ、前のやっとうしろのやっとでは矛盾をしてくるのじゃないかと思いますが、その点はどうなんですか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) 交際費の点は、まあ交際費を支出いたしますと、本来ならば、それが会社の経費に落ちるのが本来の性格であろうかと思います。ただし、その使用先などが不明であるとかいうような場合には損金に落とさないようなことにいたしておりますけれども、使用先が判明いたしました交際費でありましても、先ほど申し上げました一定限度額をこえる分につきましては損金に入れないで、従って、本来会社が払ったものでありますけれども、その経費性を否認して利益の中に繰り入れるという形をとっておるのでございます、本来、交際費には課税すべきだというような建前からいえば、平林委員のおっしゃるような理論も成り立つかと思いますが、本来会社が支払ったものということからいたしますと経費性のあるものでございますので、それを特例によってその経費性を認めないということになりますので、これはやはり特例措置でございまして、お話のように、交際費に課税しなかったことによる減収額を上げろというのは、いささか経費性の点から見て問題であろうかと思います。ただ、これで六十億減らした結果が千四百七億になっておりますので、これを減らさないと、特別措置による減収額は本来千四百六十七億でございます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 前のやつはわかりませんか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) 国民貯蓄組合に加入をいたしておる場合の預金の力の分が、三十四年三月の実績によりますと三兆一千二百六十七億ということに相なっております。これを基礎にいたしまして、三十五年——まあ三十五年の実績はございませんので、これを基礎にいたしまして、三十五年にどれだけ国民貯蓄預金が伸びるかということを基礎に計算いたしまして、それに対する金利をべースにいたしまして減収額をはじくと同時に、このほか社債等も国民貯蓄組合の貯蓄対象に取り入れておりますので、そういうものを加えまして計算いたしました結果が、こういうふうに百億。もっとも百億というのはかなりラウンドいたした数字でございまして、正確に計算すれば端数の出るのは当然でございますが、一応ラウンドした数字にいたしております。

平林剛日本社会党

○平林剛君 租税特別措置の説明についてはそのくらいにして、租税収入の方について一つお尋ねしておきます。  今、御説明によりますと、三十五年度八月末までの実績についてお話があったわけでありますけれども、この間大蔵大臣に、ことしの自然増収が幾らくらいになるかという質問をしたのに対し、大よそ千三百億円くらいと見込んでおるというお話があったわけです。ところが、最近の新聞を見ると、予算補正の分を含めて大よそ千五百億円くらいに見込んで検討中だという記事もあります。さしあたり、現段階においては政府は自然増収千五百億円くらいに踏んでいるのではないかと思われるわけです。この千五百億円と見ておられる自然増収についての根拠について、私は先般政府に出してもらいたいという要求をいたしておいたのでありますけれども、これは後ほどでもけっこうです。しかし、私の聞きたいことは、現在の千五百億円の増収というのは、このきょう御発表になったものを基礎にして立てられたものですか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) 先ほどお話がございました千三百億の自然増収の見通しというものは、この八月末の租税及び印紙収入の収入工合を基礎にいたしまして、その後の見通しを加えまして、千三百億というふうに計算いたしておるのでございますが、お話の千五百億というのは、まだ検討中でございまして、近々九月末の収入見込みもわかりますし、それから先ほど申し上げましたように、今後の収入、自然増収の額がはっきりいたしますのは、何といたしましても、九月決算の法人税がどういうふうになるかということが一番大きな要素でございます。で、巷間千五百億というふうに伝えられておりますが、これはまだ正確にそういうふうにまではじいておるわけではございませんので、この八月末の租税及び印紙収入を基礎にして千三百億をはじきましたときに、法人税におきましては、この九月決算の法人税は、三月決算の場合より、まあ半期決算の分でございますが、それに比べまして一二%程度増加するのではないか、一二・三%増加するのではないかというふうに見込んでおるわけでございますが、それがどうも、最近の会社の決算の内容をいろいろ調査いたしますと、一三%よりふえるのではないかというような見込みがありますので、もしそれがふえれば千三百億よりもふえるということで、いろいろ現在検討いたしておりまして、その検討は本月中かかるわけでございますが、そういうことからいたしますと、まあ千三百億をまた上回る数字が出るのではないかというようなことから、巷間まあ千五百億というふうに伝えられた記事が出ておるのだろうと思います。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 きょうはまあ幸いこういう事務的な質問のできる機会ですから、少しこまかく聞きますけれども、その一番最初の貯蓄奨励というところに五項目書いてありますが、これで見ると、私も別に計算したわけじゃないから、いささか勘も入りますが、国民貯蓄組合の非課税というのが百億と、こう出ているのです。ところが、まあ利子所得の分離課税及び税率の軽減、これは九十億だと。こういうようなことで、何か配当所得や利子所得に対してはおそろしい優遇措置が講ぜられておるのに、額としてはこの方はきわめて少なくて、片方まあ一般大衆も恩恵に浴する貯蓄組合の方は百億だ。これはどういう計算の基礎からこういう数字が出たのか、私にはちょっと疑わしいような気がしてしようがないのです。これは国民貯蓄組合といって、確かに窓口組合であるけれども、ごまかしは——さっきあなたが、ごまかしはこれを防げば幾らでも防げるので、所属の税務署に金融機関から報告させさえすれば、ごまかしなんということはすぐ出てくる。だから、ごまかしはないものとして私は考えますが、そうすると、これは三十万が限度になっているのですよ。一ぺん三十万円元本一年分非課税にしたところで、翌年——それがずっと継続していくにしても、翌年あらためて三十万円というわけにはいかない。落としてしまうわけじゃないのでしょう。そうすれば、何か他のものと比べた場合に、ことさら数字をここへ大きく見せているような気がしてしようがないのですが、どういうことです。こんなになりますか。ほとんど国民全部がこの恩典に浴しているわけでもないし、生命保険の方ならば、全部これは恩典に浴しているのです。数字としてあまり変わっていないというふうに見られるのですが、この点どうですかね。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) 国民貯蓄組合のあっせん貯蓄利子の非課税につきましては、先ほど申し上げましたように、預貯金分が一番大きいわけでありますが、これを二兆一千億のべースを基礎にいたしまして、それを三十五年に引き延ばして計算しておるわけでございます。これは全国民がもちろん何しておるわけではございませんけれども、品数からいたしますと、五千二百万口が非課税の対象になっておるのでございまして、人口九千万からいたしますと、五千二百万口というのは、有業人口等からいたしましても、一人が何日も入っているということを予想しなければとうてい出てこない数字でございます。それから、お話の生命保険料控除の方は、先ほど申し上げましたように、限度額が二万二千五百円になっております。従って、上積み税率が低いところでも一人当たりのかなりの減税額になるわけでございます。これは両者とも過去の統計に基づいて計算した数字でございまして、別段私どもの方で勝手に作った数字でございませんので、こういう結果になっておるわけでございます。  それから、利子所得の分離課税と税率の軽減で九十億ぐらいになっておりますが、これは国民貯蓄組合のあっせん貯蓄が非課税になっておる関係、それから御承知のように、郵便貯金はもちろん非課税でございますが、そういう関係からいたしまして、預貯金のうち利子の一〇%の源泉課税に服するものが全体の三割程度にしかなっておらないのでございます。しかも、このうち法人の受け取る利子につきましては、これは法人税の方で総合して課税をされますので、その分が除かれると、個人の分だけということになりますとこの程度になるわけでございます。というのは、法人の分はあとで取り返すことを計算いたしまして、こういうふうになるわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 もう一ぺん伺いますが、さっき言うように、貯蓄組合の分が元本三十万円ということなんだけれども、その元本の分の三十万円というのは、その年に落とせるものではなくて、落としてしまうわけにはいかないものであって、その翌年からはそれにまた上質の三十万円ということはできない。ですから、その際にもし恩典があれば、単なる利子だけが恩典になる、こういうことになると思うのですよ。それですれば、何人も入っているわけじゃないのだから、利子だけだとすると、私は、とてもここで今そろばんをはじくわけにいかぬけれども、どうも百億にならない。もしなるとすれば、今あなたのおっしゃるように五千二百万口というようなとほうもない、要するに法律をこえた処置を、いわばごまかしを各人がやっている、ここに帰するのだと思うのです。それは、税務当局としては報告などは一切させないで、幾日でも許している、こういうことですか。さっき言うように、税務署に報告制度さえ励行させれば、二重なんていうことはあるはずはないのですが、どうなんでしょうか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) お話のように五千二百万口もあるということは、一人で相当多数入っているということが予測できるわけでございます。それで、本来ならば、お話のように税務署に報告させる措置というものをとるべきかと思いますが、現在のところまではそういう報告をとらずに、そういう報告をするということは預金者の貯蓄心理に悪影響を及ぼすからというので、今日までとらずに参ったわけでございますが、これは検討いたしまして、そういうことはいけないのではないか、むしろ限度額を三十万から上げましても、一人一組合ということに限定すべきではないかという方向で検討いたしていることは、先ほど申し上げた通りでございます。ただ、税務署に報告を出させると申しましても、住所地と勤務先といろいろ違いますが、税務署で全国で連絡をとって、それを総合するということであるなら、また仮空名義を使われてもなかなかわかりにくいというような事情もございまして、お話のような方向でいろいろ検討いたしておりますけれども、なかなかむずかしい問題があるということは御承知いただきたいのでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 この数字が正しいとすれば、他の要するに配当所得の軽減だとか有価証券譲渡所得の非課税というのが、この方が取り漏れになっているかおそろしく少ないということは、私は明らかだと思うのです。配当所得などは、これは要するに配当するのは法人ですからね。ですから、みんなそれぞれは報告があることであって、幾ら利益が上がっておるかということは総体としてつかめるし、また総体として資本金が幾らということもつかめるわけですね、大蔵省としては。それでなおかつ、この有価証券譲渡所得の非課税などは八十億円、配当所得に対する軽減は八十億円、こんなものなんでしょうか。日本の法人の資本額からすれば、これは著しく少ないとも言えますがどうなんでしょうね。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) まあ有価証券の譲渡所得の方は、市場を通じまする譲渡分につきましては資料がございますけれども、いわゆる市場を通じないで個人間に取引されるものにつきましては、なかなか資料がつかめません。先ほど申し上げましたように、土地の売買を行なう場合に不動産会社を作ってやるというようなことであれば別でございますけれども、そうでないとなかなかわかりにくいのでございます。従って、有価証券の譲渡所得の非課税分八十億円につきましては、いろいろの御見解があろうかと思いますが、私どもといたしましては、利用し得る資料を、あらゆる資料を使ってこういう推計をいたしたのでございます。  それから、配当所得につきましても、御承知のように、配当所得控除及び益金不算入の制度がございますので、配当を申告いたしましても、そういうことによって減収になる面がございますので、これによる八十億というものは、そういう点も、もしそれを申告すれば、そういうのはそういう点で減ってくるというのもありまして、こういう八十億という数字になっておるわけでございます。お話のように、日本の企業が年間配当いたしまする金額は約三千六百億程度でございまして、その三千六百億のうち約半分が法人の所有株であり、残りが個人の所有ということになっておるわけでございます。そういう数字を基礎にいたしてはじいた数字がこういう金額になっておるわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 次に、内部留保の関係ですが、これはまあ退職給与引当金は別として、他のいろいろな準備金、それからその次の技術振興以下の特別償却、これらは一定年限特別償却を多くし、あるいはまたこの準備金を初年度なら初年度、あるいは数年度で積み立てれば、そうして限度額に達したあとは、今度はそれが全部利益に計算されているのでしょう。ですから、そうであれば、結局これらはいずれにしても、今年度に直ちに利益として計上しないまでも、やがて利益に計上されるべき性質のものである、こういうふうに考えられるわけですが、そうすれば、単にその間の融通がつけられるということが結局恩典ということになるわけですが、そうじゃないですか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) お話のように、この特別償却の方は、初年度特別に償却すればその後の償却額は減って参ります。従って、また耐用年数がたとえば十年といたしますと、初年度に半額をいたしますと、その後の償却範囲額というのは本来認められておる償却範囲額よりも少なくなるわけでございますので、初年度半額償却するということは、その後の十年間の間にいわば無利子金融を受けておるということになるわけです。その社内留保があることによって新しく設備調達等ができる。いわば無利子金融を受けておるという形になるわけでございます。それから、貸し倒れ準備金とか価格変動準備金などにつきましては、お話のように、積み立て限度に一ぱいに至れば利益に今度は入ってくるということになるわけでございますが、日本の経済が御承知のように最近非常な発展をいたしております。従って、売上げ額あるいは商品のたなおろし資産といったようなものが年々ふえて参っております。これがふえない段階に来ますと、お話のように頭打ちして、利益に入ってくるようになるわけでございますが、年々こういうふうにふえておりますと、年々積み立てていくという形になっております。まあ今後日本経済がどういうふうに伸びていきますか、いろいろ見方もあろうかと思いますが、現在のような成長率でありますと、年年積み立てていくばかりという傾向にあるわけでございます。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 それでは、さっきも平林君が指摘されましたが、積算の方を出していただいて、それからまた検討したいと思います。  次に、退職給与引当金の問題ですが、これなどは退職者が不安のないように幾らでも私は積み立てていいと思うのですが、ただ、それが問題は、これが一般の金融のように利用されてしまって、帳簿上だけは記帳されて、何何額ということで表に出るけれども、実際はそれがプールされて企業のいろいろな面に使用されていく。さて退職する時分になったりすると、その金は実はないのだ、現金としてはないのだ、こういうふうなことが私は起こり得ると思うのです。そこで、これはかなり融通をするとしても、国の企業機関ですか、日本銀行のごときものにやはり吸い上げて、退職者の身分を保障するといいますか、そういうことは事務的に検討しておりますか、おりませんか、それが一つ。  それから、もう一つ、異常危険準備金、これは十年くらいで押えるという検討はしつつあるというお話を伺いましたが、異常危険なんというのは、そういう短期間じゃなくて、われわれは農業関係ですけれども、そういうところからいえば全然忘れた時分に来るのであって、そうすれば、これはむしろそういう農業にでも何にでも当てはまることに変えていけば、大いにこれは実はいい制度だというふうに考えられますが、これは現行の異常危険準備金というのはほとんどある種の業種に限定されているからですが、これは一般農業にであろうと、畜産業にであろうと、水産業にであろうと、すべてむしろ簡単に恩典が行き渡るように検討もこれもしていますかどうですか、それを一つ。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) 退職給与引当金につきましては、お話のように、企業内部に留保する関係からいたしまして、先ほど特別償却につきまして申し上げましたと同様に、それが会社にいわば無利子金融を政府から受けたと同様の効果を生じておるわけでありまして、実際企業に勤務いたしております者が退職した際に、その引当金があるから安心だというわけになっておらないのが現在の実情でございます。これにつきましては、お話のように、現在ではそういう危険も心配いたしまして、特別預金という形をとる形にある程度の部分、引当金の一定割合だけそういう特定の資産にしておくということを強制はいたしておるのでございますが、しかし、その資産につきましても必ずしも従業員に先取特権があるわけではございません。従って、特定資産になっているからといって必ずしも安心ができないという実情にございます。従って、これは企業内部に留保するのでなしに、企業外部に積み立てさしておくというのが一つの方法かと思います。外国でも退職給与引当金につきましてはそういう制度をとっている国も、企業外部に積み立てさしているところもあります。また、企業内部に積み立てさしているところもあるようであります。ただ、もし企業外部に積み立てる制度をとるにいたしますれば、この退職給与引当法という法律を作りまして、そういうことを行なうのが適当であろうかと思いますが、そういう法律は大蔵省所管と申しますよりも、労働省あるいは厚生省の方の所管のことに相なりますので、私どもとしましては、この引当金の制度が現行のままでは必ずしも退職者にとって安心のできるものでないということは考えております。厚生省、労働省の方と話し合いを進めていかねばなりませんので、まだそこまで話し合いが進んでおらない状況でございます。  それから、異常危険準備金の方につきましては、お話のように、これが損害保険会社が主としてこの特典にあずかっておる関係はお話の通りでございます。これを他に広げるかどうかということにつきましては、農業とか畜産業というようなお話がございましたが、なるほど畜産なんかの場合、異常な危険が起こり得ることは承知いたしておりますが、はたして、まあ将来農業法人等ができますれば別でございますが、といってそこまで広げるのが適当かどうかについては現在まで検討いたしておりませんが、お話がございましたので、今後検討いたしてみたいと思います。

天田勝正民主社会党

○天田勝正君 一点だけ、私の方から意見だけ申し上げておきますが、その退職給与引当金の問題は、これは自己意思による退職だけなんですが、会社意思の退職の場合でも、企業が不況になってつぶれたという場合に、あるいは他の理由でつぶされたという場合に、実際にこの引当金があっても恩典が薄いなんという問題じゃなくて、その際の大量退職あるいは大量解雇という場合には、ほとんど何の効力も発していないというのが事案なんです。事実を見ているから私はこれを指摘したわけなんですけれども、それを、今お話を聞けば、大蔵省側としては、むしろ大蔵省の所管でとやかくいうべき筋合いのものじゃないと言うんだけれども、私としては、もともとこれは所得税法、法人税法を受けて、規則でこれを処置しているわけなんですよ。そうだとすれば、やはり他の省と連絡をしさえすれば、規則で幾らでも今私が言ったような処置が可能じゃないのですか。不可能ですかね、これは。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) お話のように、退職給与引当金は規則でやっておりまして、会社がこういうふうな退職引当金を作った場合において法人税の課税をどうするかというようなこと、あるいは個人の企業が、青色申告をいたしておりまする個人の企業が、こういう退職引当金を設けた場合にどういうふうに所得税を課税するかということだけ書いておるのでございますが、お話のように、企業外に積み立てるということになりますれば、事業主はどうしなければならぬという義務を課さなければなりませんので、その義務を課すには、やはり法律の規定がないとできないものと考えております。

永末英一日本社会党

○永末英一君 自然増収の見方ですが、先ほどから、法人税の伸びを見てまた積算をいたします、こういうことですけれども、法人税だけが問題があるのではないのであって、いろいろなところに要素があると思うのですが、大蔵省の考え方は、法人税が昨年と比べてこれこれ伸びてきた、その伸びと同じような度合いにほかの方も伸びるだろう、こういう計算をして、自然増収を計算しておるとすると、不確定の要素の一番多いのか、申告所得じゃないか。そうすると、まあどういう計算をされるか知りませんけれども、一応それで計算すれば、自然増収はこれこれあるだろう、そこで一番不確定な申告所得分のところへそれがぶっかかってきますと、非常に確定申告をやったあとに増収の場合に、税務署の方ではやはり申告所得者は大体これくらい自然増収があるだろうというので、割当課税になるというおそれがあると思うのですが、この点いかがですか。

泉美之松大蔵大臣官房財務調査官

○説明員(泉美之松君) 私が、法人税の自然増収によって千三百億というのがどうなるかきまると申し上げたのは、お話のような意味で申し上げたのではないのでございまして、千三百億の自然増収が出るというときに、まあ私どもの計算によりますと、法人税がそのうちの八百億を占めるのでございます。従って、あと所得税の方は、まあ今度の公務員給与の引き上げが十月から行なわれますれば、それによる自然増収がございますけれども、それ以外では、さして自然増収を牛ずるものではございませんので、お話のように、自然増収を見積もったから、来年の申告所得税の確定申告の際に割当するというようなことは毛頭ございませんので、そういうことの御心配はなさらないでいただきたいと思うのでございます。

永末英一日本社会党

○永末英一君 ええ、毛頭として承っておきましょう。

山本米治自由民主党

○理事(山本米治君) この際、お諮りいたします。  閉会中、租税及び金融等の実情調査のため派遣されました委員の報告でありますが、先例に従い、口頭報告を省略して、これを会議録に掲載することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本米治自由民主党

○理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。よって、そのように決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十七分散会

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