商工委員会 閉会後第4号
- 発言数
- 36 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/10/15
会議録
○委員長(剱木亨弘君) これより、商工委員会を開会いたします。 委員の異動がありましたので、御報告いたします。昨十四日、椿繁夫君が委員を辞任され、その補欠として久保等君が委員に選任されました。 また、本日、久保等君及び島清君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君、松浦清一君が委員に選任されました。 —————————————
○委員長(剱木亨弘君) まず、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。 先般、福岡県田川における炭鉱の出水による災害の実情調査のため、委員派遣を行ないましたので、その報告を聴取することといたします。
○阿具根登君 去る九月二十日午前一時ごろ、福岡県田川郡上尊鉱業豊州炭鉱において、出水のため、作業中の鉱員二百二十名のうち、六十七名が遭難するという戦後最大の炭鉱事故が発生いたしました。剱木委員長、岸田委員と私の五名は、九月二十六日、七日の両日にわたってさっそく現地調査を行なって参りましたので、その概況を御報告申し上げます。 日程は、二十五日の夜、東京発、二十六日昼ごろ博多に着き、ただちに福岡通産局を訪れ、通産局長及び鉱山保安監督部長より、災害状況について詳細な説明を聴取し、翌二十七日、現地を視察いたしました。その結果、知り得ました災害の状況は次の通りであります。 豊州炭鉱は、現在上田尊之助氏が経営、従業員八百名余り、月産約一万二千トン、主として国鉄と九州電力に売炭しており、中小炭鉱としては従来、生産面、保安面でもかなりの好成績をおさめてきた炭鉱であります、 災害の発生は、九月二十日午前零時過ぎ、抗夫の一人が坑口から百十五メートルのあたりで坑道に水が吹き出しているのを認め、報告により、ただちに係員が現場を見て事態の急なのを知り、坑内の詰所に退避の連絡をしたのであります。 坑内の作業場は、芳の谷区域と大焼区域に分かれ、両区域とも坑口から二千メートル以上、地表から約三百メートルの深さの位置でありまして、芳の谷区域には連絡がとれましたが、大焼区域には落盤によって電話線が切断されたもののごとく、ついに連絡がとれず、両区域合わせて六十七名の行方不明者を出すに至ったのであります。この坑内に流入して大惨事を起こした水は、坑口から約二百五十メートル離れた中元寺川の川底が陥没し、古洞を伝わって川水が流入したのでありますが、災害当日の午前三時には、坑口から十五メートルの位置まで水位が上昇してきたのであります。 災害発生の前日には、北九州一帯に豪雨があり、中元寺川の水量がふえていたため、事故発生後の防水作業も困難さをきわめたそうですが、炭鉱では消防団の協力によるほか、自衛隊の応援を求めて懸命の防水に努め、二十一日十二時過ぎ、やっと川底の陥没孔の締め切りに成功しました。坑口近くまで上昇していた坑内の水位は、陥没孔の水どめとともに漸次低下して参りましたが、坑口から百八十メートル付近に坑道を閉塞した大落盤があって、その先の様子はいまだ確認されておりませんでした。 救出作業は、労使、主婦会、全鉱一丸となって当たり、排水ポンプも準備しておりますが、抗道崩落個所の取りのけが困難をきわめるため、別に切替坑道を掘さくして、奥に通ずることとし、作業にかかっておりました。ほかにも、さらに崩落個所が予想されるので、救出の見通しは立たず、かなりの時日を要するものと思われます。 私どもは、炭鉱の事務所で実情を聴取した後、罹災者の家族の方々に面接し、衷心よりお見舞を申し上げたのであります。 次いで、現場視察に向かいましたが、陥没孔は川幅が三十メートルあるところに、堤防下から川底の三分の二、すなわち直径二十メートル前後に拡大しており、周囲に土のうが積まれ仮の防水工事が施されてありました。この陥没孔の本格的復旧については、二十六日福岡通産局において河川に対する鉱害と認定し、福岡県が工事を実施する段取りとなりましたが、着工までには、なお費用の分担等について問題が残されているようであります。 陥没孔の深さは四メートル余りで、川底から三メートルほどのところに炭層が出ており、孔の底から古洞が川底に広がっているのが、見受けられます。この古洞がいつごろ採掘されたものであるかは、居合わせた人にはかなり昔のことであり、あるいは明治、大正のころであろうと言い、だれからも明確な答えは得られなかったのであります。それにしても、よくも川底すぐ下まで危険をおかして掘ったものだと、その無謀さには驚かされました。 ここで、中元寺川の陥没と関連あるやに見受けられるもう一つの事態が発生していることを申し上げたいと存じます。川底陥没地点の周辺では、今回の事件の数カ月前から地下に相次いで奇怪なできごとが起こっておりました。それは陥没孔から四メートルほど離れた民家の土間や庭先きに大きな穴があいて家がつぶれ、穴から火柱が上がり煙を吹いて石炭燃焼のにおいを放ったり、近所の十数戸の井戸水が温泉のように温かい湯となったり、異変が続き、周辺の人々が深刻な不安を訴えている事実であります。古洞の中で火災が起こっているためと思われますが、まだ消火方法について何らの方途も考えられておらず、田川市長及び地元民から切実な陳情がありました。なお、倒壊した家屋の者が去る二十八年に自分の家の床下から石炭盗掘を行ない、発覚した事件があったということを申しそえておきます。今回の川底陥没と同時に大爆発を起こしたこの地区の被害範囲は拡大を続け、いつまた爆発や陥没を起こすとも知れぬ一触即発の危険状態にあるため、田川市では十五世帯六十名余りを地区公民館に強制避難させております。この古洞の火災が川底陥没と関係あるかいなかはいまだ確認されておりませんが、こういう事態を放置しておくことは、第二、第三の惨事を起こす可能性が十分予想されるのであります。 そこで私どもは、当面の急を要する問題として、川底の本格的復旧工事をすみやかに着手するとともに、この古洞内の消火作業について直ちに対策を講ずるよう政府に強く要望しておきます。 私どもは二十七日昼過ぎ豊州炭鉱の調査を終わりましたが、たまたま二十六日朝、ガス爆発により十三名の犠牲者を出した炭鉱災害がありましたので、帰途、その籾井炭鉱に立ち寄り、弔意を表して参りました。 以上で私どもの明地調査状況の説明を終わりますが、この際、今回の調査を通じて感じましたことを若干申し上げたいと存じます。 筑豊の中小炭鉱で多数の死者を出した出水事故のほとんどは古洞から噴出した水によるものであります。今回の豊州炭鉱の災害の原因は川水の流入という全く前例のないものではありますが、川底陥没の面接原因となったのは、やはりこの所在の不明であった古洞によるものでありまして、事故を未然に防ぐには、古洞のあり場所を突きとめることが先決であります。事故の起こるたびに強い対策が叫ばれながら、この古洞の所在がいまだに通産局にもつかめておりません。戦災で古洞の記録が焼けてしまい、昔の採掘跡がわからぬこと、また中小炭鉱では、石炭の景気の変動で経営者がしばしばかわり、採掘跡の報告が不完全なこと、さらに筑豊一帯には盗掘による非合法の坑道跡が無数にあって、監督官庁にもさっぱりわかっていない等の理由によるものであります。中小炭鉱ではもっぱら地元の老人の話で旧採掘跡のあり場所を知るというめくら採炭で、坑内で働く人は常に恐怖の死にさらされながら炭を掘っており、いつまた、このたびのような惨事が繰り返されないとも限りません。通産省では昨年から古洞の再調査に手がけておりますが、予算も少なく調査も不十分なので、徹底的な古洞調査を早急かつ強力に進めるよう、この際強く希望するものであります。 一方炭鉱経営者の側でも慎重を期するため、自分の鉱区内の古洞の調査を十分行ない、もしも今回の豊州の場合のように異変を認めた際には直ちに関係官庁に連絡して、さっそく対策を講ずる等の措置が必要であったと思うのであります。 また古洞の存在をつかみがたくする事情の一つとして、石炭鉱区が簡単に分割され、合併され、権利の移転がひんぱんに行なわれてきたことにも問題があると思われます。かような事態の醸成に一役買っているものに粗鉱権制度があり、これは鉱区の一部に権利を設定するもので、残された鉱区の古洞などは管理されぬままに放置され勝ちになることも考えられますので、この租鉱権制度自体について検討を要すると思うのであります。 さらに一部の中小炭鉱では従来ともいろいろ批判のあるように、経営者と従業員、あるいは地元民の間に、独得の人間関係、複雑な事情があって行政庁の監督を困難ならしめ、災害発生の下地を作っているような面もうかがわれるので、法的にも研究を要する問題であろうと思われます。 籾井炭鉱につきましては新聞等の報ずるところによれば、組合は解散し、賃金は遅配、欠配し、労災の掛金にしても今回の災害が発生するまでは納入していなかったほか、籾井鉱業株式会社の名義になっている数炭鉱においては保安命令違反事件があり、鉱山保安監督部より送致しているとのことであります。かかる事実があるとすれば、こういう不適格な者が鉱業権を取得しているところに問題があり、そこに災害発生の根が横たわっていると思われるので、鉱業法上の問題として十分検討を要するものと存じます。 以上が現地の調査を通じての感想でありますが、最後にこのたびは突然の視察であったにもかかわらず、御多忙お取り込みの中を、私どもの調査に御協力下さった現地の関係者の方々に厚くお礼を申し上げて報告を終わります。
○委員長(剱木亨弘君) 引き続いてただいまの報告に関連し、鉱山保安等の問題について質疑を行なうことといたします。政府より今井石炭局長、小岩井鉱山保安局長、畑谷建設省河川局防災課長が出席いたしております。質疑のある方は順次御発言を願います。
○阿具根登君 大臣の出席を要請しておきましたが、都合で出席できないそうでございますので、基本問題に触れることはできませんが、ただいまの災害の問題に入ります前に、一、二石炭局長にお尋ねいたしたいと思います。政府が現在行なっており、また今度の新しい池田内閣で経済の伸びが三年間毎年九%伸びるであろうということを非常に大きく宣伝しておりますが、その経済の伸びとエネルギーの伸びとの関連を教えていただきたいと思います。九%経済が伸びる場合にはエネルギーは一体どのくらい伸ぶべきものであるか、またどのくらい今日まで伸びてきておるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(今井博君) 経済の成長率とエネルギーの全体の伸び率とに関する御質問でございますが、従来経済の成長率に大体相応しましてエネルギーが伸びております。特に鉱業生産の伸びは成長率をだいぶ上回っております。大体言えることは、エネルギー全体の伸びは鉱工業の生産の伸びに沿って同じような伸び率で過去においても伸びてきておる。これはやはり日本のエネルギー——これは各国はそこまで伸びておりません。日本のエネルギー関係の伸びは割合鉱工業の生産の伸びと大体並行している。これは世界的に見て相当大きな伸びであります。今後どういうふうに伸びるかということは、目下経済企画庁で所得倍増問題とからんで盛んに検討いたしておりますが、経済の成長率が九%伸びるという場合には、鉱工業の生産率は従来の実績からすると、それを相当上回るものと思われますので、エネルギー全体の伸びも経済の成長率九%をもちろん上回わって伸びるものと考えております。なお、詳細なる数字の検討は今目下経済企画庁において検討中であります。
○阿具根登君 経済企画庁や大臣がおられませんので、非常に質問しにくいのですが、ただいま言われましたように経済の伸びとエネルギーの伸びはほとんど同じくらいであり、エネルギーの伸びの方がむしろそれよりも上回る。こういうことになりますと、今日本のエネルギーの総需要量はおそらく一億一千万トンを越していると思います。一億二千万トンくらいあると思う。そうしますと、それの一〇%伸びたとしても一千二百万トンの伸びがあるはずでございます。おそらくそれを加味されて今度重油、原油の輸入を示唆されているものと私は思うのでございます。そういたしますと、一千三百万トンからのエネルギーの伸びがあるのに、なぜ石炭は不況であるか。おそらくを今日まで総エネルギーの半分は石炭忙使っておった。それに千三百万トンからの伸びがあるのに、石炭はちっとも伸びない。むしろそれよりも下がり気味である。そして斜陽諭、日没論が叫ばれている。こういうことになりますと、日本の石炭は重油との太刀打ちかできないから価格面だけで、日本で唯一のエネルギー源である石炭産業は衰微させてしまって、日本のエネルギー源を外国の輸入に依存する、こういう非常にゆがんだ日本の経済になっておると思うのです。そういう場合にどうして石炭局としては石炭の必要性をもっと強く叫ばないのか、たとえば一千万トンの需要の伸びがあるならば、そのうちの半分でも石炭に回すならば、石炭の今日の斜陽論、日没論というものは出てこない、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
○説明員(今井博君) 現存の石炭の生産は大体五千二百万トン、ないし五千五百万トンというところに現在きております。しかし最近の世界の情勢から見ますると、これは日本だけの現象ではなくて、世界的に御承知のように燃料革命という現象が起こっておりまして、ことにヨーロッパ各国ともに石炭問題については非常に苦慮しておるという状態でございますが、これはやはり物事の全体の生産の組織からいいまして、やはりエネルギーの経済性というものを一体どのように考えるかということに起因していると思います。もちろん国内資源というものは重要性がありますので、極力これを大いに育成するということは当然のことだと思いますが、やはり経済性という点において相当な隔たりが出てくる場合におきましては、やはりそれをあまり無視してそれにあまりに依存しておる結果、むしろ経済全体の成長をはばむのじゃないかという考え方でありまして、われわれも石炭は国内資源としては唯一のものであり、これを大いに育成強化しなければならぬと思いますが、何分にも最近のこの燃料革命による石炭の経済性という点においては、大いにまだ隔たりが今後出てくるのじゃないか、現にこれが出てきておる。しかしながら日本の現在の石炭生産もやはり合理化をしてコスト・ダウンをする余地が相当残っておりますのでこれを極力やっていきたい、それでできるだけ経済性を確保するという点について極力努力を払って、しかる後にこの石炭の生産の規模というものを、これはいろんな労働事情もございますし、いろんな社会的な条件等も考えまして、合理的な範囲において石炭の生産というものをできるだけ維持したい、こういうふにう実は考えて参ったのであります。従って現在は、ことしの生産は五千三百万トンと、大体そういうことになると思いますが、私は今後十年間、まあ所後倍増計画は四十五年ということを目途にいたしておりますが、現在の五千五百万トン程度の規模というものを四十五年度まで一応これをこのまま横すべりで維持したい、こういうふうに実は考えております。先ほど先生の御質問では、エネルギーが非常に伸びるのに石炭がちっとも伸びないじゃないか、こういうお話でありますが、先ほど申しました経済性という面から追求して参りますと、何も重油価格にそのまま裸で対抗するということでなくても、相当程度重油値段に対抗するという観点からいきますと、供給力の面からそう大きな数字を望むことは、現在の石炭の資源構造から見まして私は非常に無理じゃないかと思います。従って現在のところは五千五百万トンというけれども、規模としてはこれを横ばいでもっていくということが一番妥当な方策である、こう考えております。
○阿具根登君 そこに私と非常に見解の相違がございますから、西欧の、これはまあ一部の人の見方でございますから、それが絶対確実だとは言いませんが、住友の重役が外国から帰ってきてそうして燃料革命は西欧でも起こっておる、しかし日本のように急激な革命でないということは何だろうということを言っております。それに対しては政府の非常にあたたかい石炭政策が第一にあげられている。日本はこれと全く反対である。それから長くなるから端折りますが、それから一つの見方では西ドイツにしろフランスにせよ、石油の寿命は今後三十年くらいだろう、そうするとこの石炭の不況というものはそう長く続くのではなくて、今後十年もすれば重油を燃料にたくということは避けなければならないという声が起こってくるに違いない。だから石炭はあくまでも非常に重要な資源であって、これを日没とか斜陽とか考えるのは大きなる誤りであるという非常に長い見当をつけております。日本はその場その場の場当たりで、経済に追随してきている。今日までの石炭事情を見てきても、それが顕著に現われている。私は今日石炭事情がこうなったのは、そういう経済事情の変化によるものではなくて、石炭業者に対する悪感情がこうさせたものだと思っている。たとえば朝鮮事変等が起こった場合には利潤の隠し場所がないほどの利益を上げている。そうして今度は需要者には一カロリー一円以上の値段で拝み倒して石炭を売ってきた。こういう極端なことを業者がやってきた。極端な言葉で言えば石炭業者はばくち打ちのような根性を持っている。もうかりさえすればいいのだ。損したらば人を首切ればいいのだ。それに政府が乗っかっている。よその炭鉱と日本の炭鉱とを比べた場合、私は政府が乗っかっていると思う。もう少し日本の経済、日本のおかれている立場ということを考えるならば、諸外国でさえもそういう今油が非常に重要であるけれども、この油の寿命というものは一体どのくらいだろうかということ、そういうことを労使ともに研究されておる。それを政府が非常に補佐して、労使の紛争が起こらないようにやっている。私はこれが政治だと思うが、それを日本の政府は目の前の経済の変動に乗っかってしまって、どういう国内に失業者が出てこようと経済の変革が起ころうと、一切目をつぶってきておるというところに大きな誤りがあると思うのです。これをあなたとここで論争しても仕方がないから、一応私の意見として申し上げておきますが、これはこのあと大臣が見えるそうですから、そのときに一つ大臣とゆっくり討論してみたいと思っておりますが、それでは日本の石炭が重油と見合わない。三十八年度までに一千二百円のコスト・ダウンせよ、そのためには十一万人の人をやめさせなさい……、今日から見れば約七万人以上となると思いますが、それだけの人をやめさせなさいと言っているが、三十八年までに千二百円下げて重油と競争ができますかどうか。できないとするならばどういう対策を持ったらいいのか、お伺いいたします。
○説明員(今井博君) 昨年度におきまして石炭の新政策といたしまして、石炭の合理化対策を打ち出したわけでありますが、御承知のように揚地における千二百円の価格引き下げということで、揚地における重油に対抗できるという目途のもとにスタートしたのであります。ところが御承知のように重油の値段はどんどん下がって参りまして、三十八年度においてはそれではとても大刀打ちできないのではないかという議論が出ておったことは事実であります。私もいろいろな資料を集めまして、最近においてはそれではとても対抗できないのではないか、こう考えております。しかし、この千二百円というのは約二割のコスト・ダウンでありまして、これは先ほど先生はヨーロッパの各国においては非常にあたたかい石炭政策をとっているという村木さんの御報告を御紹介になりましたが、日小も従来はこれは炭主油従政策というので、世界の各国に比較しましてはもっと手厚い石炭政策をとっておったわけでございますが、世界の各国はドイツにしてもフランスにしても、現在の石炭政策に移る前に二割程度のコスト・ダウンをすでに実行いたしております。日本ももちろんこの合理化は従来からやって参ったのでありますが、まだこの合理化のコスト・ダウンという点では確かに一歩各国に比べておくれております。従って、ここでもちろん重油に対抗するということを目標にいたしますが、やはりできるだけ一つ石炭のコスト・ダウンをやるということも、現在の石炭の値段からみますと、これは必要なことでございまして、この点から石炭の労働事情なりあるいはいろいろの資本的な能力なり、あるいはいろいろの社会的の条件を加味して、この千二百円というものが石炭合理化の一つの限度じゃないかというふうにも実は考えて、この千二百円を打ち出したわけであります。しかし、おっしゃるように、この重油の値段では三十八年度においてはとても対抗できないということも事実でございます。従ってここで次の石炭対策というものを打ち出すべき段階に私もきているように思います。目下その点については石炭鉱業審議会等でいろいろ議論をかわしておりますが、現在のところはやはり千二百円引き下げるという努力を石炭業界あるいは労働方面すべてが結束して、そういうものが実行される場合には私は、石炭の大口需要家というものはそれぞれの分野に応じて、引き取りの保証と言いますかこれをやはり考えてもらわなければいかん。これはある一部分の業界において、たとえば鉄鋼業界においては、日本で生産される原料炭を全部引き取るということを確約いたしておる向きもございます。電力業界ともこういう大口引き取り保証につきまして、もう少し長期に、四十年は幾ら、四十五年は幾ら、こういうふうに長期にわたって需要の確保という観点から、私は、この大口引き取りについての保証の問題あるいは引き取り態勢の問題を、今後進めていかなければならぬと思っております。これはしかし若干時間がかかりますし、両業界同士の話し合いで私はそう簡単に解決する問題とも思いませんので、こういう問題に関しましては、やはり政府がその中に入ってこの辺の調節をとる必要があるのではないか。こういうことで今そういう引き取り保証の問題を中心に盛んに検討を進めて参っております。従って、われわれが五千五百万トンというものを維持したい、これを横ばいで持っていきたいということを考えます場合におきましても、やはり日本の国内資源というものを大いに考えなければいかぬ、こういう観点から多少高くとも、これは国内資源を維持するという面からそういうことを要請いたすつもりでございまして、この点につきましては、やはり先生のおっしゃるように、国内資源の尊重という点については、そう私は考えが違わないのじゃないかと思いますが、そういうことで一つ進めたい。ただ、こういう引き取り保証につきましては、やはり必ずしも過去にそういう前例があったわけではございませんで、全く新らしい試みでございますので、これがうまくいかないという場合にはさらにいろいろの対策を一つ考えたいと思いますが、さしむきはやはりそういう大口需要家の需要確保、需要を確保させるというためには、その手段としてやはり合理化をして、できるだけ値段を下げていくということがその手段として必要だ、こう考えております。
○阿具根登君 諸外国に比して日本の炭価が高いことはわかりますが、それも日本の今日までの石炭の歴史を顧みることなくしてそれを一挙に引き下げようとするところに私は矛盾があると思う。もう一つは自由経済だから勝手ではあるかもしれないけれども政府は責任を持たない、責任を持つのは出てきた失業者に対してであって、経営者にも他の需要家にも一切責任を持たずにやっておるからこういう現実が現われてくると思う。たとえば石炭業界の言っておることを聞いてみても、石炭業者はこれから先は石炭業者は一つの販売ルートを持たなければならない。一つのポケットを作らなければならない。そうしなければ雨が降れば石炭が余る、雨が降らなければ石炭が足らない。こういうことでは膨大な石炭をかかえて仕方がないから、業者がそういうものを買い取って一時貯炭をしていくとかいうことを言っているが、これは私はそういうことをすればこれが石炭の値段を釣り上げあるいは投げ売りしたり、そういうことになると思う。石炭に対してこれだけの政策を考えていくならば、やはり政府がそれに何らかの規制をしなければならない。政府が失業者に対しても、もっと積極的な責任を持たなければできないけれども、その反面経営者に対する規制処置がなければできない。それが経営者には何ら規制処置をしていない。また私は需要家にもそれが要ると思う。たとえばフランスではそれではどうやっているか。石炭の値段はこのくらいにしなさい、重油はこのくらいで買いなさいということをぴたっときめているわけです。需要家にも責任を負わせている。石炭業者にも責任を負わせている。西ドイツは御承知のように消費対策として、重油一キロリッター当たり二千八十円ですが、税金をかけて石炭との見合いをする。そのかわり失業者を出すなとか、出した場合はどうする、こういうことをやっているわけなんです。だから自由競争であるからといって野放しにしておれば、お互いが、損をしたやつはこの次にそれを取り返すためにはどういうことでも考える。資本家というものはそういうものです。そうでなければ自由企業は成り立たない。しかし、こういう原始産業であり基礎産業であるならば、どこでも政府があたたかい政策の手を伸べているかわりに、その反面には経営者にも非常に痛い統制、規制をやっているわけなんです。そういうことを考えないから、今局長が五千五百万トンと言っているけれども、ちょっと世界の情勢が変わってくる、そういうことになってくると、これは六千万トン要るかもしれない。そうした場合にはまたかね太鼓で炭鉱労働者を集めておいて石炭をどんどん出させる。また経済の状態が変ってくると労働者は要らないとまた首を切る。今日まで戦後ずっと繰り返している。それを今なお改めようとしない。重油はアラビア重油も日本の資本が入ったものが日本に入ってくるでしょう。もっと安い重油がソ連からも入ってくるでしょう。アメリカや英国が日本の油業者の資本のかなめを握っているから、なかなか無理かもしれません。しかし貿易の自由化になってくればどこからか少しでも安いものを入れてくるのは当然です。そうすると今のような政策ではやっていけないということになるのです。そうするならば日本で規制するものがあるではないか。たとえば北海道のワクチンを見てみなさい。あれは日本の手数料から検査料から七十二円なんぼか一回分に入っている。それを医者に売るときは四百円で売っている。なぜそういうことになっているか。日本でワクチンを作れば三百五十円かかる、だから日本のワクチンに見合うために税金もかけずに業者をもうけさせている、七十二円五十銭で入ってくるのを四百円で医者に渡している。医者は六百円で打つ。それが足らない所は千円、千五百円になって、自分の子供が小児麻酔にかかるかかからないか、という親が地獄の苦しみをしているのにあまり高くて買えない。外国から入ってくるのは七十二円五十銭です。手数料から検査料から税金、関税まで全部入れて。そういうことまでやっている、日本の政府が。なぜそういうことが石炭にできないのか。そこに日本の石炭のあり方に大きな間違いがある。私は労使を血みどろにして戦わしているのは政府だと思う、政府が日本の石炭業者あるいは石炭の労働者を血みどろにして戦わしている。そうしてあげくの果ては大手炭鉱の石炭、大手炭鉱で損をして掘れないという石炭がどうして中小炭鉱に回わされるのか。中小炭鉱で掘ればなぜ安くなるのか。そうして今度中小炭鉱で掘れなくなったならば整備事業団で国民の税金で買い上げる。わざわざ買い上げるようなことを日本はしている。政府がしている。一体石炭の炭価は幾らになればいいのか。それからそうするためには一人当たり何トン掘らなければならないのか。今新聞では、一カ月に二十六・二トン——一カ月に二十六・二トンといえば、一応日曜が四日あるとして、大体一日に一人一トン掘りなさいということです。一日に一トンということは、戦時中に私どもか坑内で仕事をしたときのモットーです。一人一トンというのは、戦時中です。これが基本になっているようですが、何トン掘れば見合うのか、千二百円コスト・ダウンするために何トンが最終の目的であるか、教えていただきたいと思います。
○説明員(今井博君) 千二百円を引き下げるというために、これは全国平均いたしまして二十六・二トンという先生のおっしゃいました数字をはじき出したものであります。これは各炭鉱によっていろいろ違いますので、それを全部平均した数字でございます。われわれは最初は、二十六トンではまだ足らぬのではないか、こう考えておりましたけれども、現在の石炭界のいろいろな労使の実情とか、いろいろな社会的な条件等を考えまして、この千二百円引き下げ、二十六・二トンというところがやはり一番妥当な線だ、こういうふうに考えまして、石炭鉱業審議会でもそういう答申をいたしたわけであります、先ほど、一挙に引き下げるということは非常に無理ではないか、こういう実はお話がございました。この点は、私も従来の石炭の歴史というものをいろいろ勉強して参りましたが、今度の合理化のコスト・ダウンというものは、やはりこれは相当私はきついものだと思います。しかし、これは世界の、フランスなりドイツなりのいろいろな歴史を見ますと、現在日本がこれをやる前に、二割コスト・ダウンというものをドイツもフランスもすでに実行済みでありまして、日本は一歩おくれておる。しかも相当やはり日本の石炭の価格、品質ともに、これはいろいろな自然条件があると思いますが、相当な現在隔たりがございまして、日本のエネルギーの経済に占める重要性から考えますと、これは相当やはり合理化をする必要があるのではないか。その意味から三十八年度にはあのような線を出した次第でございまして、千二百円の引き下げというものが実行される場合には、私はあらゆる努力をして、先ほど申しました需要の確保とからんで価格安定、需要の安定について、一ついろいろな方策を考えて参りたいと思っております。
○阿具根登君 そういたしますと、平均二十六・二トン出さなければ千二百円のコスト・ダウンに合わない、むしろそれでも無理だろう。おそらく無理だということは、一人三十トンぐらい出さなければ、私は三十八年度までに千一百円のコスト・ダウンには引き合わない、こういうことになると思うのです。そういたしますと、今問題になっております北炭の社長は河野一郎さんと非常に仲よくしたから、どういう政策を考えおられるかわかりませんけれども、十三社あります。十三社あれば、たとえ一方の山で二十トンしか出なくても、一方の山で三十五トンも出ればカバーできるわけであります。そこが大手炭鉱の私はいいところだと思うのです。ところが、その大手炭鉱で、どうしても二十六・二トン出ない、この山はだめだと、だからこれは一つ第二会社に認めてくれと、こういうことを言われた通産省は、喜んで、それこそ労働者にひた隠しでこれを許可された。大手でさえも、ほかに優秀な炭鉱を持っておるから、たとえそこが少なく出てもカバーできる大手の炭鉱で、これはだめだと切り捨てたやつが、どうして第二会社で二十六・二トン以上の炭が出るか。金も資材も保安設備も十分持っておる大手でさえもこれはだめだというやつですよ。それを中小炭鉱にやりなさいと言って、どうして許可したのか。中小炭鉱で出せないのを大手にやりなさいというのならわかります。中小炭鉱では資金もない、あるいは資材その他の設備も不完全だ。だからこれを大手で買い1上げて、少々損をしても、他の山でもうかっておるから大手でやりなさいというならわかるけれども、その大手がこれはだめだと言って切り離したやつを、どうして今日即座に第二会社を許されたか。租鉱権というのは、御承知のように、租鉱権におろせば、そのおろした小炭鉱は、租鉱権の借賃まで大炭鉱に払わなければいかぬから、ますます赤字になるはずです。大手で持っておったときよりも赤字になるのを、なぜ小炭鉱になったならば赤字にならないか、なぜ小炭鉱になったら二十六・二トン以上の石炭が出るか、私はこれに非常な矛盾を感ずるのですが、いかがでしょうか。
○説明員(今井博君) 租鉱権の設定によりまして、これが能率的な小規模経営によって、逆に高能率炭鉱が達成できるという場合が、過去においても相当例がございました。従って、この租鉱権を設定して、それが小規模経営であるけれども、相当高能率の運営ができるということになれば、これは決して現在やっておる石炭合理化に私は逆行するということにはならないと思っております。昭和三十四年度の租鉱権のいろいろな能率の状況を調べてみますと、租鉱権炭鉱の能率は鉱業権炭鉱の能率よりも高いという実は資料がございまして、これはいろいろな事情が私は重なっているのではないかと思います。あるいはものによってそうでない場合もあるかと思いますが、一般的に見ますと、どうもそういう傾向を持っておりまして、租鉱権設定が一がいに合理化に逆行すると、こういうふうに私は実は考えておりません。
○阿具根登君 私は、局長が現地を御存じないからだと思うのです。しからば、どうして租鉱権炭鉱にしてしまえば、中小炭鉱にしてしまえば、小炭鉱にしてしまえば、石炭が出るか、小炭鉱にすれば資金をうんとふやすのか、機械化するのか。機械化できないから小炭鉱に落とすのでしょう。機械化もしない、金もかけなくて、どうしてそれではたくさん石炭が出るかということになると、基準法の裏をくぐって、坑内に下がったら十二時間も十三時間も上がらなくて仕事をするということなんですよ。そこには非常に危険度合があるということなんです。本論に触れていきますが、だからこういう災害が起きてくるわけなんです。そういうことをやっておるから、水が出たり、ガスが出たり、籾井炭鉱も御承知でしょう。籾井炭鉱を私は見てきたのですけれども、保安日誌が持ってこれぬじゃないですか。現場に行ってみたら、保安日誌がないのですよ。しかも私は、ガス爆発を聞いて、直ちに保安日誌を押えろ、そうしなければ保安日誌に勝手に書き込まれるから、通産省あなたの方で押えろということを言っておったわけですよ。そうして、現場に行ってみたら、保安日誌がないのです。調べてみると、ガス検定器もないのですよ。そうして、人間の鼻でかいで、ここはガスがどのくらいあるだろう、こういううわさがされておる。そういうことをすれば石炭が出るのはわかっておる。しかし、これは人道上あるいは日本の労働法上、文化国家の日本で認められるか。それを認めてあなた方はこういう租鉱権を許されておるのか。これは法律違反じゃないですか。法律違反をしなさいというのか。大きな炭鉱は法律を守っておるから、だから二十六トン以上の石炭が出ません。小さな炭鉱は、法律くそくらえだ、なんぼ死んでもかまわぬ、だから小さい炭鉱は石炭をうんと掘るのだ、こういう結果になるわけなんです。そうでなかったら、どうして小さい炭鉱になったならは——大手で金持で掘り切らぬものを、どうして貧乏人が掘れるのか。そういう法の裏をくぐっておるからこそ小炭鉱で石炭がうんと出るのです。しそうしなかったら出っこありません。機械も持っておらない、保安設備も持っておらない、奉準法の八時間労働で働かせる場合に、炭が出るはずがない。出ないのが出てきているのは、石炭局長はおかしいじゃないかと思われるのがあたりまえなんです。大きな炭鉱でさえも出ない石炭がなぜ小炭鉱で出るか、それはおかしいというふうに考えられるのが当然なんだ。それを考えられずに、すぐに租鉱権をお許しになる。だから今度は保安問題がこういう重大な問題に発展してくる。私はこう思って、租鉱権の許可については十分なる考えを持っていただきたい。この前の石炭局長は、租鉱権問題は実際は一切ストップしたい。租鉱権があるがゆえに炭鉱の災害は倍加しておる、そして非常なむちゃかやられておる、だから和鉱権は即座に中止したい。しかし現在やっておるものを今中止することはできないかり、租鉱権といっても十年くらいの租鉱権を認めなければ、たった二年なら二年租鉱権を認めて、坑内で機械化するならば、二年間でどうして取り戻しますか。損をして石炭を掘る人がだれがおりますか。だから租鉱権の許可については十分慎重に一つ取り扱ってもらいたい。 まだこの問題にも私は相当意見がありますが、きょうはあまり長くやるなということですから、一応打ち切って、今度はこの保安問題に入りたいと思うのですが、小岩井局長にお尋ねしますが、六十七名の人はまだ上がっておりません。局長も御承知のように、一昨年東中鶴炭鉱で水害のあったときに十八名の人が水没した。そうして、これは人道上の問題であって、何とかしてこの死骸を掘り出してもらいたいということで、保安局長も非常に御心配をいただきましたが、結果はついに掘り出すことができなかった。そして家族の泣きの涙の前に慰霊塔を作って、十八名の遺体は永久に地下に埋もってしまった。今度の六十七名の遺体は、全員出す自信がございますかどうか、お尋ねいたします。
○説明員(小岩井康朔君) ただいまお話のように、東中鶴炭鉱におきましては、十八名罹災者を放棄した、これは全く事実であります。今回の豊州炭鉱の災害は、東中鶴炭鉱とは多少趣が違いまして、東中鶴はもうほんとうの中小でございまして、これもただいまのお話のように租鉱権の炭鉱でございまして、経営も非常に苦しく、期限も切れかかっておったわけでございます。そこで救出作業に要する経費もまかないがつかぬ、そういうようないろんな事情がありまして、まあ涙をふるって死体放棄をしたわけであります。豊州炭鉱は、たまたま中小炭鉱の中でもかなり有力な方でありますので、もちろん私どもも、現在の考え方としましては、もう是が非でも収容してもらって、人道上からも、また経営者の徳義の面からも、持っておる資金を全部つぎ込んでも、私どもはぜひ収容してもらいたい、こういう考えであります。ただ現在はいかんせん、御承知のように排水作業にもごく最近、数日前に取りかかって、まだわずかしか排水作業が伸びておりません。まだ川底の陥没の口も完全に抑えられておりませんし、これが安全にできませんと、排水作業を安全に続けることができないわけであります。すぐ豪雨がありますと、また再びあそこから坑内に流入してもとの状態に戻ってしまう。非常に危険な作業を続行することになるわけであります。従って、まず川底の陥没の口を早くあれを工事完成をしたい、それからでないと排水作業ができないわけであります。しかし、現状と見合いながら今目下排水作業を続行中であります。しかし、いかんせん坑内は二千数百メーターもございまして、東中鶴の場合よりももっと大量の水が急速に入ってくるわけであります。従って私どもの予想では、坑道の崩落も相当激しいだろう。そこで排水が進みましても、坑道の崩落個所に何個所かぶつかって、非常に難航するのじゃないかという予想をいたしております。東中鶴の例におきましても、当初は三カ月ぐらいで排水が完了できるという現地の報告を受けておりましたが、もう一年を過ぎてもまだ半分の排水もできない、こういうような実情から判断をいたしますと、相当の長期間かかるのではないか。そこで今後相当な時日もかかり、経費もかかることと思いますが、たまたま今申し上げました、現在の鉱業権者は、中小とは申せ有力な経営者でありますので、死体の収容につきましては、私どもはもちろん、経営者も最後まで収容するつもりであろうということを考えております。省といたしましても、ぜひその線に沿いまして努力して参りたい、かように考えております。
○阿具根登君 少し状態が違うようですから、一つ考えていただきたいと思いますのは、東中鶴は自分の炭鉱で掘っておって、空洞に打ち当てて水が出たものと私は思っておる。そういたしますと、業者の責任はこれは重大であって、そうしてあれは非常な小炭鉱でございましたので、わずか百名足らずの炭鉱でございました。今度は八百名からの炭鉱でございます。このあと局長さんの責任になりますが、これが鉱害ではあっても、これは掘進増区の前に掘られた炭鉱であって、現在の炭鉱主には責任がないということになってくれば、事情が一変してくるわけです。それからもう一つ、今度の上尊炭鉱は非常に経営者が裕福であるといわれますが、それは上田政二郎さんのことをいっておられると思う。上田政二郎さんは日本一の金持ちです。しかしこれは鉱区の名義は上田尊之助さん、そのおいの人の炭鉱です。おいの人が金をどれだけ持っておるかということは、これから先疑問です。おいの炭鉱だから、おじが自分の財産を投げ出してまでもやるのだ、こういうことになれば、また別です。そういう観点から見てくると、非常に私はこれは心配になってくる。それからこの現場が芳の谷区域と大焼区域と、二つに分かれている。今掘進して人車道について水を揚げておるのは芳の谷区域の二十数名いかっているところだと思う。それから大焼区域になれば、もっと下に行かなければならない。出水と同町に落盤して、電話線が切断されて、連絡もとれずに四十数名の人がそこに眠っておるわけです。これは非常な時間もかかるであろうし、経費もかかるであろう、こう思うわけです。そういたしますと、局長が何としても出させるのだとおっしゃることはわかるけれども、現実問題として行き詰まるのではなかろうか、こういう心配を非常にするわけですが、そういう場合には、政府として一体どういう対策を立てたいと思っておられるか、お開きいたしたいと思います。
○説明員(小岩井康朔君) ただいまのお話のように、現在の鉱業権者が金をどのくらい持っておるかという点につきましては、もちろん内情を詳細に調べたわけではございません。ただ上田政二郎氏の非常に近い親戚でありますし、父親がたしか弟であるというふうにも聞いております。それで、その父親の家もかなりりっぱな、お城のような家に住んでおられるということも聞いております。一般の世評も、相当持っているのではないかという一応の見方をしておるようでありますので、私どもも簡単に、普通のいわゆる中小の鉱業権者よりも状態がいいのではないかというくらいに考えておるわけであります。 なお、現在鉱業権者としましては、積極的に収容作業を続行しておりまして、これを打ち切るというような気配は毛頭見えておりません。また、経営者としての徳義上からも、これは、これを放棄するようなことは絶対ないと、こういう確信を持っておりまするけれども、もちろん法的に、これを強制するというようなことは、現在の法律では困難な実情にありますので、私どもは、そういう方向にいかないように、極力経営者と力を合わせて収容に万全を尽くしていく、かように考えておるわけであります。従って、確信があるかというお問いに対しましては、絶対確信をもってやれるということは、御返事が非常に困難なわけでございます。 ただまあ政府といたしましても、経営者と十分力を合わせて、そうして収容を完全に遂行していきたい、かように考えておるわけであります。 ただ従来、東中鶴のケースにおきましても、この問題が出まして、ずいぶん苦慮いたしたわけでありますが、従来いろいろなケースがありまして、この点は、簡単にすぐ国で持つというわけにもいかない場合がございます。そこで従来はケース、ケースによりまして、まあ適当な処置、方法をとってきたわけであります。今回も非常に重要な大きい問題でありますので、十分大臣、次官ともよく相談をいたしまして、適当な事態に、適当な方法をとって参りたい、かように考えております。
○阿具根登君 石炭局長にお尋ねいたしますが、掘進増区の前に掘ったのか、あとに掘ったのかというのが非常に問題になると思いますが、その後の調査の結果わかったところがありましたらお知らせ願いたいと思います。
○説明員(今井博君) 掘進増区の関係につきましては、これは非常にむずかしい認定でございまして、現在のとこり、掘進増区の前に掘ったかあとに掘ったか、この問題につきましては、まだはっきりした認定といいますか、断定はまだできておりません。今、目下現地の通産局と、その点を打ち合わせ中でございます。
○阿具根登君 私が現地の人の陳情を開いてみますと、こういうことが言われております。これは田川地区でございますが、まず第一に、ガスのふき出してきたのは三十四年の九月二十日でございます。日曜日です。それから第二回の爆発が三十四年九月の二十七日、一週間後、これも日曜日でございます。第三の爆発が三十四年十月四日、これも一週間後の日曜日、日曜日にずっと連続して三回爆発しておるわけなんです。それをそのつど福岡の通産局には連絡をして、そうして早く調査してくれということが言われておるが、それが調査されておらない。たまたま日曜であったとすれば、会社の休みで扇風機がとまっておる。そのときに、ガスが三回も日曜日々々々に爆発しておるということを考えると、この扇風機がとまったから爆発したのではないか、そうしてそういう危険なことが、すでに去年から現われておるのにそれに対する対策が非常にお粗末であった、こういうように考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
○説明員(今井博君) 私が現地へ参りましたし、またそのときも、そうでありますし、現地から、さらに報告を受けましたのも、昨年九月に爆発したことは、実は現地の通産当局は、全然知らなかったようでございます。連絡を受けましたのは、ことしの六月に入りまして、ガス漏れがあるとか、あるいはどうも下で燃えているようだということは、六月になりまして、書面で田川市から連絡を受けまして、それを、これは保安の問題にも非常に関連がございますので、鉱山保安部の方に連絡いたしまして、鉱山保安部の方から、現地調査をお願いをしたわけでありまして、その日曜日というのは、私はそこまで実はよく知りませんでした。 その他の点については鉱山保安局長からお答えいたします。
○説明員(小岩井康朔君) 私が変災がありまして、すぐ現地に参りまして、事情を聞きました結果では、現地の監督部では、ただいまのお話のように今年の六月四日に、通産局の鉱害関係として陳情のあったものか、監督部の方に回っております。これは陳情の内容が、付近の井戸水が非常に熱くなって困る、こういう内容のようであります。従って中で相当火災でも起こしておるのではないかという観点から、監督部の方に回ったのであります。 監督部としましては、たまたま監督官があの近辺に監督に出ておりましたので、非常に早く、すぐ連絡をとってついでに現地を見てこいということで、すぐ六月九日に現地を見ておるようであります。その現地を調査しましたときに、亀裂がたくさんあって、そして蒸気をふいたりガスをふき出しておったりしておったようであります。ところが非常に不思議に感じたのは、そのふき出しておる個所もたくさんあるのですが、その中に吸い込んでおる個所が見られた。そこで監督官としましては、一体この吸い込みは、どこへ吸い込んでおるのかという懸念から、近辺で作業をしておりますのは豊州二坑が一番近いのでありますので、豊州の坑内にすぐ下がりまして、そうして旧坑と関連を持っておると思われる近辺のガス観測をやって、はかったところが、やはり一酸化炭素が検出できた。そこで、これはずっと旧坑を伝わって漏れてきておるということがわかりましたので、直ちに通達書を出しております。 その通達書の内容のあらましとしましては、豊州二坑の、坑内の旧坑と関連を持っておる個所の密閉を強化しなさい、ガスが漏れておるから密閉を強化すること、それから新庄地区のその水を吸い込んでおるようなところ、あるいは蒸気をふき出しておるようなところは消火して、そして埋め戻す、亀裂を充填するという内容の通達書を出しております。その後監督官が参りまして、主として坑内は、かなり厚いコンクリートで百メーターぐらいのところをすっかり固めまして、その後ガス検定をやったところが、もう漏れておる状況がないという現状も見ておるわけであります。新庄地区の方も亀裂に充填がされて、一応おさまっておるという報告をいたしておったようであります。 ただこの新庄地区の点は、現地の監督部としましては、さっきちょっと先生が触れましたように、保安法で命令ができるかどうか、指示が十分にできるかどうかという点については、法的にはかなり迷っておったようであります。それで経営者にもよく相談をしてそしてこれはあなたの方でやるように、やってもらいたいということで、一応監督部としての希望は達したようであります。 もちろん坑内の点については、自衛上、現在の自分の操業に関連を持っておりますから、これは山の方でも文句なしに、さっそくやったようでありますが、新庄地区の点は、特に盗掘とも関係があり、ちょっと法的に、監督部長として正式に指示ができるかどうかについては、かなり危惧を持って、特に山の方に頼んだというか、まあ少し弱い態度で交渉を持ったようでありますが、しかし監督部としての目的は、一応達せられたという確認ができておるようであります。
○阿具根登君 その場合に川底三メーター、あるいは二メーターですか、そういう近くを掘っておるということは、わからなかったかどうかです。
○説明員(小岩井康朔君) これは現地の監督部長からの直接の報告では、全然承知していなかった。これは、なぜそういうような見方をしたかといいますと、通産局にあります坑内実測、これは鉱業法に基づいて山から出さしておる一番信頼のおけるものでありますが、この坑内実測にも、川底の直下一番浅いところ……少し深いところになりますと、もちろん採掘跡になって出ておりまするけれども、あの直下のところは、坑内実測にももちろんありませんし、それから古洞調査で、昨年の八月実施された古洞調査におきましても、やはりあの直下の採掘跡というものについては出てきてないわけであります。 従って監督部としては通気上の観点から、吸い込みがある。吸い込みは、旧坑を伝わって、これはもう気体ですから、ぐるぐるどんなところへも一番近い道を通って行くわけでありますから、図示されておる一番近いところを通って豊州の方に抜けたということで、抜けたことは完全に認められておるのでありますけれども、現在判明しておるあの直下を通って抜けてきておるということは、これはもう全然知らなかった。監督部長も、非常に嘆いておりましたが、こんなにすぐ底が採掘されておるのは、もう全く関知しなかった。これは鉱業法でも、もちろん川底から五十メーターは絶対掘っちゃいかぬ。施業案で許されるわけもないし、まさかあんなところを掘っているとは、私どもももちろん考えてもおりませんでしたし、いろんな観点から残されておるものであるというような、逆の実情があまりたくさんあった関係で、気体と亀裂との関連を知りながら、あの直下の採掘がわからなかったというのは、見方によっては、もう一歩何とかできなかったかという点もあるのでありまするけれども、監督部長としては、全然その点については考えなかった、かように申しております。
○阿具根登君 今、それがわかっておったかわかっておらなかったのかということを論議するのは、死んだ子の年を数えるようなものでありますが、それで二十八年の一月に永井という人があの田川地区を掘った場合に、二十七年の十二月から掘り始めて、二十八年の一月に監督部につかまった。そのときに、保安監督部は始末書をとっておられる、本人から。そうして本人は、図面を添えて始末書を出しておる。それには、はっきり川底にこれはつながっておりますぞということを言っておる。そうすると川底よりもあの田川地区の方が、露頭に近いのです。それの方が浅いのです。そうするとあの層を掘っておるのだから、川底二メーター掘っておるということは、そのときに当然常識でもわかる。 それからもう一つは、先ほど私が申しましたように、この豊州炭鉱の扇風機が止まっていて爆発したというならば、これは永井の掘っていたところと通じていることになり、ガスがたまったので爆発する、これを全然知らなかったというのはおかしいんで、うかつにも、そこまで考えておらなかったというならわかるけれども、おそらく二十八年の一月に始末書をとられたときには、十分それは知っておられた。掘った永井自身は、これは川底から古洞につながっておりますということは、十分にそのときに説明しておる。自分は知っておったということを言っておる。 それからもう一つ、永井の庭を掘って、井戸の中に縦坑を掘って約十三メートルぐらい行ったところで石炭に当たって、はしごをそれからおろして、そうして石炭を掘って、背中にかついでほうり上げておるのですね。そうしますと、私が常識で考えると、これは常識でものを言ってまずいかもしれませんが、一カ月間に二人の人がしょいかごを背負って、そうしてはしごを上って、そうして石炭を出してきたというなら、七十トンの石炭が出るはずはないと思います。機械化された石炭でさえも、先ほどから私が言っておるように、機械化された大手の目標でも一日二トンです。そうすると二人で一カ月七十トン掘ったというならば、一トン以上のやつを何の機械もなくて手で掘って出したということになる。そういうことはあり得ぬではないか。しかもその掘ったところは、監督部からの摘発によって、会社が立ち合ってこれを埋めさした。会社が最後まで立ち合って、これでいいというまで埋めさした。ところが埋めても、掘ったのを埋めたのでは、その層が違います。だから、ごらんになったように、あの庭がふき出した。ふき出したので、その庭を会社側が立ち合って鉱員が三十人から五十人くらい行って、もう一ぺん掘ってみた、あの庭を。それは御存じですか。
○説明員(小岩井康朔君) 盗掘に関しますことは、鉱業法に基づいて通産局でやっておりますので、もちろん私の方には関係ございません。 ただ、今の扇風機との関係でありますけれども、これは先ほどもお話がございましたように、だいぶ何回も爆発をやっておるようなお話がございましたが、実は監督部で承知しておりますのは、六月四日の坑内実測の関係で書面が回ってきて、そうして実地調査をいたしましたときに、初めて昨年爆発があったという話を聞いておるのでありまして、その後何回もやっておるということが、はたして事実なのか、どういうふうになっておったかという点は、監督部では全然承知していなかったわけであります。従ってその点は、わかっておれば何かの手が打てたのではないかという気がするのでありますけれども、むしろいろいろな面から見ますと、その後事故を何回か隠しておったのではないかというような感じがいたしておるわけであります。 監督部としましては、もう六月四日以前のことは全然知らない。知らなかったというふうに現地の部長も申しております。話では、昨年の九月に爆発があったということは聞いたという点は申し述べておりましたけれども。従って、そういった何回も爆発があって、すぐ調査をしておれば、もちろんその扇風機との関係も、あるいはよくわかったのではないかと思いますが、全然そうことを知らずにおりまして、大へんぼんやりしておるといえば、ぼんやりしておったのでありますが、山側からも、現地の住民からも、監督部には全然連絡がなかった。かような状態であります。 盗掘の内容につきましては、石炭局長から一つ。
○説明員(今井博君) 永井渡さんのおっしゃいました点につきましては、鉱業権者の間で、示談でもって一応解決いたしております。それは佐世保に通産局の石炭事務所がございまして、そこに始末書を出しまして、こういうように掘ったという地図を提出されております。 その地図は現在ございます。その地図によりますと、永井さんの家の下を掘られて、割合小範囲でございました。川底の上には及んでおりません。こういう地図がございます。
○阿具根登君 そうすると、今度の爆発で、この地下が陥没する前に、永井の、あのふいたところを、もう一ぺん掘り返したということは御存じですか。ガスがふいてきたからあれは掘り返しておるのですよ。あの永井が盗掘した自分の家を。もっと具体的に申し上げますと、庭に井戸を掘って、これを埋めたけれども、長年のうちに、この井戸の方が沈下するわけです。また井戸ができてくるわけです。そこをごみ捨て場にした。だから、たとえば石炭をたく、豆炭をたく、そういうようなたいたものまで、そこに捨てたから、永井自身としては、あるいは火がついたのではないかと非常に心配しておったわけです。たまたまそこから湯げがふき出してきたから、これは会社が立ち会って、それを掘ってしまった、全部また掘ったんですよ。そうしたところが、全然火はついておらなかった。 だから会社も安心して埋めたし、永井も安心した。こういうことを私は聞いておるのですだから、この陥没の直前に、あそこを掘ったことを御存じありましたかどうかと聞いておるのです。掘っているのです、一回。
○説明員(今井博君) それは聞いておりません。
○阿具根登君 そういう事態があるわけなんです。 そういたしますと、これは保安局長の方にもお願いして、この川底の方は、鉱害だということで積極的に仕事をされておりますので、一つ業者とも話し合って、死骸はどうしても出していただきたい。今になれば、もう死骸と言っていいと思うのです。常識で考えて今日まで生きているとは考えられない。だからもう私は、死骸と言っていいと思うのです。これは出していただきたい。 それから田川地区の、今、坑内の石炭に火がついておるであろう、その火をどうして消すのか、だれがその責任であるか、こういう問題について、非常にこれは微妙な問題でもありますし個人的に局長さんとも十分話し合っておりますので、もう深く質問しようとは思いません。ほかの方も、ほとんどおられないようになりましたし、こういう御存じないことを、あまり私が一人で長い間質問しても、かえってまずいと思いますので、あまり深く質問しようと思いませんが、現在火がついておる。そうして井戸の水が湯になっておる、植木が立ち枯れしておる、家が傾いておる、六十数名の人が退避しておる。これは一体どうして解決するかという点を、一つ石炭局長にお尋ねしたいと思います。
○説明員(今井博君) 対策としましては、いろいろございますが、火を消すという問題は非常に大切な問題でございまして、一日も早くこの火を消さなければいかぬというふうに考えておりますが、実はこの消火をするうまい方法が急に見つからぬということで、非常に苦慮いたしております。早速現地の通産局に、山の専門家に出てもらって、地下で炭層が燃えておる場合にどういうふうにして消したらいいかということについて、早速調査を進めて参っております。ただいまのところは、いろいろな案がございますが、一番手っ取り早いのは、水を入れる、注水するということ、これは非常に簡単でございますが、これは御承知のように、豊州炭鉱の死体救助の問題に非常な悪影響を与えますので、これは急にはとり得ない。そういたしますと、結局地表を全部はぐという方法はどうだろう、結局地表を全部はげば、これは一番徹底したことでございますが、これは大へんな仕事でありまして、相当大きな金額になります。家そのものも、全部こわさなければいかぬというような問題にも実はなりかねません。従って、さらに第三の方法としましては、ざんごうを周囲に掘りまして、応古洞を遮断して、その中で亀裂とか穴を、できるだけいろいろなものを埋めまして、逐次消していくという方法がどうだろうかという案が出ております。まだ現在のところ、どの方法がいいかということについては、結論が出ていないのでありますが、どうも第三案が、現実としては一番妥当なんじゃないかということで進んでおるようであります。 それから、そういうことをやる場合の施行者は、一体だれになるのだろうかという問題につきましては、過日来田川市の当局あるいは関係者が、現地でも打ち合わせましたが、東京へもお見えになりまして、いろいろ相談をいたしましたが、現在の法律制度では鉱山保安法の適用ということは非常にむずかしい、やはり現在の市町村において、工事の施行者になっていただくということよりほかに方法がないのじゃないか。その場合には、特別交付金という制度がございまして、これで、あとで埋めていただくということになるかと思います。さらにこれは、善隣友好といいますか、そういう精神によって関係の鉱業権者に協力させるということも必要だろうと考えております。 これは消火の問題でございまして、消火が済みましたら、さらに現在傾いた家を復旧するという鉱害復旧の問題に移るわけでございますが、これは当初は、盗掘の古洞の性格については、はっきりした事情がわからなかったのでありますが、その後いろいろ、大学にある鉱区原図等を調べて参りましたところ、先ほど先生おっしゃいましたように、掘進増区であるという事情が判明いたしました。こうなりますと、またそれの鉱業権者の責任問題との関係において、従来考えておったのと若干事情が変わって参りますので、掘進増区であるかどうか、それとその当時の鉱業権者が、はたして実在するかどうかという点も、これははっきり確かめなければなりませんので、今は鋭意それを法務局の方にも詳細照会中でございまして、その辺の関係がはっきりいたしますれば、これが現在の鉱業権者の責任であるか、あるいは前の鉱業権者の責任であるかどうかという事情が判明いたすと思いますが、いずれにせよ、これは鉱害復旧という形において解決いたしたい、こう考えております。
○阿具根登君 よくわかりましたが、今言われた第三案が、私専門家でございませんが、常識としては一番いいのじゃないかと思うのですが、その前に、浅い炭層ですから、ボーリングをやって、どこまで火がついておるのか、どの範囲であるか、その範囲をまずつかむべきじゃないかと思う。ボーリングをして、ここは火がついておる、ここはついておらないということで、ここまでは危険ですぞという危険区域を早くきめてやらなければ非常に心配だと思うのです。ボーリング、これはそう金のかかるわけでもないので、ボーリングを一つ早くしていただきたい。そうして、その範囲を握っていただきたい。 それからもう一つは、これはあの地区から陳情も上がっておりまして、局長さんにも御心配願っておるようでございますが、この被害住民でございます。この被害住民に対しての対策が、何も考えられておらない。いまの特別交付金その他では、おそらく被害住民に対する損害賠償も実際できないのじゃないか。そうなれば、その危険成城をきめた場合においても、現在十二世帯、六十数名の人が退避しております。その人たちの家の修理、あるいは危険区域をきめて退避させた場合、家を取りこわす場合でも、だれが一体取りこわして、だれが建ててくれるのか、こういう点が非常に問題になると思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
○説明員(今井博君) その点は、私も実は非常に現在苦慮しておる問題でございまして、現在の制度では、こういう被害住民に対するいろんな補償の問題あるいは家屋の修理の問題等については、金の出どころがないということでございます。しかし、消火するという問題に関連しまして、それを消火する場合には、家を少し何かしなければいかぬというふうな問題を含めて、消火の特別交付金というものを自治省に折衝する場合に、できるだけそれを広く考えていただくということがまず必要であろう。しかしもっと広義に、被害住民の補償の問題ということになりますと、ちょっと金の出どころがございません。 従いまして、これは先ほどもちょっと申しましたように、一応これは、市町村が消火に当たってもらうのでありまするけれども、やはり自分の鉱区内から出た、自分の鉱区の炭層が燃えておるのだということから出ておりますので、やはりこれは鉱業権者に、それ相応の協力をしていただかなければいかぬというようなことで、これは一方で鉱業権者は死体の収容、その他莫大な損害を受けておりまして、その方の問題に追われているさなかに、こういうことをさらに要請するということは、私は非常に困難ではあると思いますけれども、しかし、現在ではやはりこの鉱業権者に、こういう協力をどうしても願わなければいかぬじゃないか。その方向に私は努力をいたしたい、こう考えております。
○阿具根登君 私は、まだ、ただいまの局長の御答弁に、私自身の意見は持っておりますが、委員長との約束の時間も参りましたし、委員の方も見えないようですから、一応、きょうはこれで質問を打ち切りたいと思います。
○委員長(剱木亨弘君) 他に御質疑はございませんか。他に御発言がなければ、本件の質疑は、この程度にとどめます。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時一分散会