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35回国会参議院1960/09/01

外務委員会 閉会後第3号

発言数
95
登壇者
14
会派数
4
開催日
1960/09/01

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日大和与一君が委員を辞任され、七の補欠として大河原一次君が選任されました。   —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 本日は、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  小坂外務大臣から発言を求められておりまするので、まずこれを許可いたします。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  大へんごあいさつがおくれておりまして、恐縮でございますが、先ごろ内閣の改造によりまして、私は外務大臣に任命されたのでございます。御承知のように、まことに弱年かつ短才、はなはだ及ばざるをおそれておるのでございますが、どうぞ御叱正と御鞭撻をいただきまして、わが国外交の大任を誤らざるように努力いたしたいと考えております。  どうぞよろしくお願いいたします。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) なおこの際、国際情勢に関する外務大臣の方針を伺いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 本日の委員会は、私が就任いたしまして以来最初の委員会でございまするので、外務大臣といたしまして、その所懐の一端を申し述べさしていただきたいと存じます。  個々の具体的な外交施策の内容につきましては、また機会を得まして御説明申し上げる所存でございますが、本日は、まずもってわが国外交の基本的な指針と運用上の心がまえといった点につきまして、概略御説明申し上げますとともに、ごく最近に予定いたしておりまする私の韓国並びに米加両国訪問、国連総会の出席等につきまして、簡単に御報告を申し上げたいと存じます。  申すまでもございませんが、およそ外交は、国家と国民の運命を左右いたしまするべき国家間の関係に関するものでございまする以上、内閣ないし担当大臣の交代によりまして軽々にその方針が改めらるべきものではないと存じます。従いまして、私がこのたび外務大臣に就任いたしましても、わが国の外交基本線は、もちろん変わるところはないのでございます。しかしながら、国際情勢の推移は、常にこれを注視すべき必要がございまして、当面わが国力も漸次増大しておりますので、国際社会におきまするわが国の責任や影響力もそれだけ重きを加えるに至っております。従いまして、外交施策を進めるにあたりましては、国際情勢に即応し諸般の情勢を勘案して、十分にその責任を全うし得ますよう、いやが上にも慎重を期して参ることが必要であると存ずるのであります。  私は、このような前提のもとに、わが国の外交を行なうにあたりましては、常にわが国民が自由と平和のうちに繁栄することを第一の目標といたすのでありまして、このようにしてつちかわれましたわが国力をもって、広く世界平和と人類の福祉に貢献いたしたいと考えるのであります。このためには、わが国が常に自由民主主義国として国際社会に確固たる地位を占め、この基盤の上に立って各国との友好関係を深めて参ることが必要であると思うのであります。  しこうして実際に外交を運用するにあたりましては、常に国際情勢の現実を直視し、あくまでも自主的な立場に立って、じみちな外交施策を推し進めることが肝要であり、またこのためには、常にわが国民大多数の良識ある声を反映した外交施策を行なうことが必要であると考えるのでありまして、かくすることによって、わが国が国際社会の尊敬さるべき一員としての実を上げ得るように努めて参りたいと存ずるのであります。もとよりこれがためには、常に国民各位がわが国の外交問題を正確に理解されますよう、国内啓発にも特に十分意を用いる所存でございますので、この点、国民を代表せられます各位、特に本委員会の皆様方の十分な御理解と御支援とをお願いする次第でございます。  私は、かねてから、歴史的にも地理的にも宿縁の関係にある日韓関係をまず正常化することの意義と必要性を認め、日韓会談がすみやかに再開され、多年の諸懸案が大局的見地から解決せられんことを念願して参ったのであります。このことは、単に日韓両国及び両国民の繁栄と福祉に貢献する道であるのみならず、世界の平和に寄与し得る第一歩であると確信いたしおるものであります。  このような気持から、私は、去る四月以来の韓国における新事態の発展を深い関心をもって見守って参ったのでありますが、このたび新大統領に尹フ善氏、新国務総理に張勉氏、新外務部長官に鄭一享氏がそれぞれ就任されて新政権が発足し、これら政府の要路の人々がひとしく日韓関係の改善につき積極的な見解を表明されましたことは、まことに喜ばしく存じた次第であります。  私といたしましては、この際日韓関係打開の糸口を開くため、尹大統領始め韓国新政権の要路の方々にお目にかかって、親しく日本政府及び国民の慶祝の気持を伝達することは時宜に適するものと認め、韓国側の意向を打診しておりましたところ、去る二十六日、韓国政府より来訪を歓迎する旨の意思表示がありました。よって私は、勝俣外務政務次官、伊関外務省アジア局長らを伴って、九月六、七の両日ソウルを訪れることといたしました次第であります。  今回の韓国訪問は、もっぱら慶祝の意を伝えることを趣旨としたものでありまして、両国間の諸懸案に関する具体的話し合いは、あらためてしかるべき機会にこれを行なうつもりであります。私といたしましては、今回の訪韓が所期の目的達成に資することを衷心より希望しているものであります。  次に、訪米及び国連総会出席について一言御報告いたします。  私は、昨今の情勢よりして、外交運用上各国の外交担当者と個人的に知り合っておくことの必要性と重要性がますます増加して参った事実にかんがみ、今後なるべく多くの友邦の首脳者と直接接触の機会を持つよう心がけたいと考えておった次第でございます。  今回九月二十日より開催されます第十五回国際連合総会にわが国を代表して出席いたします機会に、米国、カナダを訪問することとし、九月十日ごろ出発、九月末帰国する予定にしております。また、将来時間の都合がつきますれば、欧州その他の主要国をも訪問いたしたいと考えております。  今回の訪問は短期間ではございますが、できる限り多くの米加両国の指導者と接触し、胸襟を開いて相互の理解を深めることを念願いたしております。  ワシントンにおきましては、ハーター国務長官その他の米国政府首脳者との間に、最近の世界情勢について意見の交換を行ない、わが国今後の外交施策に資したいと考えております。特にその際わが政府の今後に処する所信を述べ、わが国に対する理解と国際信用の回復に資したいと考えております。今回の会談は、日米ないし日加間の特定の懸案の解決を目的とするものではございませんが、これらの懸案をも含めまして、両国がともに関心を有する事項につきまして、広く意見の交換を行なう所存でございます。特に経済基盤の拡大はわが国の平和と繁栄の根本でありますので、経済問題については、単に対米貿易問題のみならず、欧州貿易共同体の動向など広く国際経済全般の問題について話し合いたいと考えております。  ついでオタワにおきましては、ディーフェンベーカー首相、グリーン外相その他のカナダ政府首脳者と懇談いたし、近来ますます緊密の度を加えております日加両国の友好親善関係の増進に資したいと考えております。  国連におきましては、国連が平和維持と国際紛争の平和的処理のための機関としてその重要性を加えつつある事態にかんがみ、国連の役割を強く支持するとともに、国連強化のために寄与するよう努力いたしたいと考えております。また、国連の当面する諸問題に関しましてわが外交の基本方針にのっとりわが国の所信を明かにいたしますとともに、その際出席の各国首相、外相等の首脳とできる限り多く接触することによって相互の面識を深め、また、十分に意見を交換いたしたいと考えております。  昨年の総会が平和の総会といわれ、大国間の話し合いの空気が促進されたのに反しまして、今次総会は、頂上会談流会以来の東西関係を反映いたし、諸問題の審議に際して東西間の対立が予想されます。また、アフリカにおける新独立国十五カ国の国連加盟に伴い、アフリカグループの比重が増大いたしますとともに、コンゴーに対する援助の問題等一般にアフリカ問題が関心を集めます結果、アフリカ総会という観を呈するのではないかと予想いたしております。日本代表団といたしましては、軍縮交渉その他東西間の話し合い促進の必要を強調いたすとともに、核実験停止協定の早期締結は特に強くこれを訴えたいと考えております。また、アフリカ問題に関しましては、コンゴー問題の処理の成否が平和維持機構としての国連の機能についての重大な試金石であることを強調いたすとともに、国連の権威を高揚し、その機能を強化、発展させる上にも、全加盟国が一致協力してその活動を支持すべきことを強調し、わが平和外交の役割を十分に果たしたいと考えております。  以上、所懐の一端を申し述べますとともに、当面する課題につき御報告申し上げた次第でございます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) それでは、これより質疑に入りたいと思います。

鹿島守之助自由民主党

○鹿島守之助君 小坂外務大臣におかれては、近々第十五回国連総会に出席のため渡米せられ、その節ハーター国務長官やジロン国務次官初め米国多数の要路者と会見されるよう承わっており、日米経済協力問題もその議題にあるように承知しておりますので、私は、大臣渡米の機会において、新安保条約の運営並びに米国との経済協力、なかんずく東南アジアの低開発国援助の問題についていささか意見を承わり、また私の希望も申し述べたいと存じます。  日米安保条約には、その前文並びに第二条、岸・アイゼンハワー共同声明において、経済協力に関する規定、申し合わせがあることは、とくと御承知のことと存じます。私は、参議院の過般の安保特別委員会において、本条約の運営について次のように岸総理並びに藤山外務大臣に進言いたしました。旧安保条約は、朝鮮事変による恐怖と衝撃から生まれたものでありますが、安保体制が国民から愛せられ、生き残るためには、積極的な経済並びに政治的協力の実践が必要であります。従って、日米新安保条約は、単なる軍事条約としてでなく、軍事、経済、文化の全面にわたる最高の政治条約として、長期的かつ全般的視野から運営せられたい、かような希望を申したのであります。これに対して、岸総理大臣より全く同感の意を表せられたのでありますが、岸内閣は遂に本条約を運営することなくして辞職しました。従って、本条約の運営の問題は、池田総理並びに小坂外務大臣のお考え次第となったのでありますが、前に述べましたような趣旨で運営せられることを重ねて希望いたします。すなわち、日米安保条約は、高度の政治条約として、単に軍事面ばかりでなく、政治、経済、文化の全面にわたる、長期的かつ全般的視野から常時運営せられたい。現下の時局にかんがみまして、特に経済協力に重点を置いて運営せられたいのでございます。御所見を承れれば幸甚でございます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げますが、鹿島委員が非常に安保新条約、安保条約の改定につきまして深い関心を寄せられ、ただいまその一端をお述べになりましたような貴重な御意見を抱懐せられることは、かねがね承わっておりまして、敬意を表しておる次第でございます。  安保条約は、今お話がございましたように、あくまでも防衛的な性格のものでございまして、私どもは、究極の事態において考えまするならば、世界の平和というものが完全に達成せられて、列国間が猜疑と不信の念というものをお互いに去って、安保条約も要らないような時代になることが、実は安保条約の最終の目的であろうと考えているのであります。その意味において、単に軍事面ばかりでなくて、今お話のような経済、文化の面におきましても、大いに条約自身にも書いております通り、意を注ぐべきものであるということは、まことに御意見の通りに私も心得るのであります。その点につきましても、今般渡米の機会に、ハーター国務長官等と一般的な政治問題について意見を交換いたすのでありまするが、さらにその後、ジロン国務次官とも、主として経済問題について一時間の会談を予定いたしている次第でありまして、そうした機会等においても、十分安保条約締結後の両国の経済的な繁栄、相互繁栄策、また相互の繁栄策を通じて世界の平和に貢献するという意見を交換いたしたいと考えているのであります。  さらに文化面につきましても、すでに今日、小児麻痺の対策等につきまして、非常にアメリカ政府首脳においては、意を用いられまして、ワクチン並びに鉄の肺を何台も送ってこられたということは、やはりこれが、中山厚生大臣が特に閣議で言われたごとく、そうした安保条約によるところの両国の強い靱帯というものは、そうした文化面にも及んでいるということではなかろうかと私も考えます。  御意見はまことにごもっともと拝聴いたす次第でございます。

鹿島守之助自由民主党

○鹿島守之助君 今回外務大臣が米国に行かれることについて、国連総会における大臣の演説内容が新聞に出ておりますが、それによると、経済問題よりも政治問題に重点を置き、特に東西関係、軍縮、アフリカなどの問題に焦点を置くことになるようだとのことであります。しかし、これらの問題も重要ではありますが、経済問題、特に低開発国開発援助の問題、すなわち百の低開発国と、その国民十二億五千万の運命こそは、目下世界最大の関心事であり、一九六〇年代の世界の経済発展は、この問題の解決なくしては、促進され得ないのであります。従って、日本の経済発展も同様と思います。世界のいかなる大政治家も、これに対しその態度を明確にせないものはないのであります。アイゼンハワーは、不幸な環境に置かれた諸国とすでに高度の経済的発展を遂げた諸国との生産的協力の時代を築くために与えられた機会をつかむならば、安全と自由と平和の上に立つ世界秩序の建設への道を明るいものとすることができる。われわれは歴史の一大転換期に直面しており、今やさいを投じなければならないときが来ている。フルシチョフも、植民地主義の廃墟の中から立ち上がりつつある新興国の経済的発展にできるだけ寄与することは国連の義務である、この義務は大規模の経済援助の実施によって果たすことができる。ドゴールは、貧しい恵まれない人々を助けることは、最も恵まれた地位にある大国の義務である。またマクミランも、世界の低開発諸国における生活条件の改善は、現代の大きな課題の一つである。私は、日本もまた小坂外務大臣を通じ、この世界の最大の課題について、その態度を明白にすべきであると思うのであります。  それにつけても思い出されることは、今より約六年前、すなわち一九五四年十一月八日、吉田元総理が、ナショナル・プレス・クラブにおいて、東南アジアの低開発国に対して四十億ドルの経済援助を至急なすべきであると提案されたことがございますが、その演説において、吉田総理はかように申されております。もし中共の経済的発展が数年後に隣接国を実質的に凌駕するようになれば、その圧力に抵抗できなくなって、東南アジア諸国はあっけなく共産主義のもとに屈服するであろう。中共は、その経済能力を増加するため盛んな投資を行なっており、一人当たり東南アジアにおけるそれの少なくとも二倍は投資している。手おくれにならないようにしようとするならば、外部から援助の手を差し伸べねばならない。東南アジアの自由国家内では、開発資金は十分に得られない。未開発諸国に資本を供給する専門の機関は幾つか存在する。しかし、これらの機関は、全部で東南アジアへ年間四億ドルの資金を供給しているにすぎない。しかし、これでは中共と競争するのに必要な十分の一しかない。それで、政府や国際金融機関による資金供給は大規模に拡大することが必要だ。日本国民は、かかる計画を成功させるためにはいかなる努力も惜しむものではない。私が右に述べた程度以上の雄大にして決定的な行動をもってしなければ、中共との競争において負けてしまうであろう。ゆっくりしている時間はもうない。残された道は、今すぐ行動あるのみ。  以上の吉田総理の演説は、米国で多大の反響を呼び、きわめて好評でありました。私、この外務委員会でも、そこにおられる佐藤先生なんかも、これは非常な賛意を表せられたことは、六年前でありますが、その佐藤先生の言われたことを今もって忘れることができないのであります。その後間もなく吉田総理が辞職せられ、東南アジアに対する雄大なる構想が遂に実現できなかったことは、当時吉田内閣の閣僚であった小坂外務大臣もよく御承知のことと思います。  一九五四年から今日までの六年間において、世界政策において大きな変化があった。スターリンの死後、ブルガーニン、フルシチョフの時代になって、特にフルシチョフの権力が確立して以来、軍備を縮小して、あるいは全廃して、一路平和共存と競争の新政策を打ち出してきたのでありますから、アジアに対する共産諸国の脅威は、軍事的よりもむしろ経済的面にあると思います。現在自由諸国と共産圏諸国との天下分け目の争いは、低開発諸国に対する経済援助をめぐって行なわれていることは、何人も否定し得ないところであります。それは、朝鮮からアフリカに登る広大なる地域ばかりでなく、最近中南米にまで拡大せられつつあります。コンゴーしかり、キューバしかりであります。従って、この六年前の吉田構想は、今日その実現がその当時よりもさらに切実なものがあると思うのであります。  新安保条約において、はっきりと日米相互間の経済協力が明定されたので、低開発国援助に関する交渉は、条約上の取りきめを基礎として常時行なうことができますから、吉田総理当時より交渉ははるかにしやすくなっているはずであります。わが国においても、低開発国、なかんずくアジアの諸国に対する経済協力基金として五十億円が考慮せられておりますが、これでは非常な不足であります。私は、現在の国際情勢からして、もっと増額を希望するものであります。しかし、自木の対外経済援助能力においてもおのずから限度があることでありますから、ぜひ前に述べた吉田構想を生かして、東南アジアの経済協力がますます積極的に実現できるよう、格段の御尽力をお願いする次第であります。  貧困に悩む数億のアジアの国民大衆の生活を保障し、その生活程度を不断に向上せしめる政策は、人道主義の見地よりも、はたまた国家的利益の見地よりするも、わが外交政策上最高の地位を占めるものと確信するものであります。  右に関し、何か御意見を承ることができれば幸いでございます。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私の国連におきまする演説の内容というものは、目下検討中でございまして、まだ確定したものはございませんのでありますけれども、経済問題についてもとより強く言及する考えでございます。政治一般情勢並びに経済の一般情勢両方に分けて問題を提起いたしたいと考えておるのであります。その中におきまして、ただいまお話のような、まあ非常に表現は、私、デリケートだと思うのでありますが、いわゆる低開発国ですね。初め後進国と申しましたが、私は、低開発にまだいかぬ、むしろまだ開発されんとしている、デベロッピング・カントリーという表現がいいではないか。アンダー・デベロップではなくて、これからデべロップされるという国です。そういうような前向きの表現の方がいいのではないかと思うのでございますけれども、こういうものに対する資金的な手当というものについて、もっと全部で国際間の諸国が考えて行なうことが必要ではないかということを強く申す考えでおるのであります。これは、御承知のように、現在DAGというものができておるのでありまするが、これはちょっと内容を、もう皆さんすでに御承知だと思いまするが、御紹介申し上げますと、Dはデベロップメント、Aがアシスタント、Gはグループですね。これを略してDAGと申しておりますが、これは、本年一月パリにおいて開催されましたいわゆる大西洋経済会議にその端を発しております。この会議は、低開発国の援助に対する決議と、共同体と自由貿易連合との調整問題に関する決議、それから欧州経済協力機構、いわゆるOEEC、これの改組に関する決議、この三つの採択を行ないまして、大西洋諸国より成ります援助及び通商問題を対象といたしまする新国際機関を作ろうということに一歩踏み出したのであります。俗称OEECDと申しております、経済協力開発機構というものを作ることにいたしたのでございます。従いまして、このDAGはこの新機構と密接につながっているものでありまして、将来この新機構が成立した場合には、この機構の重要な一委員会となるだろうということが予想されるのであります。わが国は、従来からの援助の実績並びに将来におきまする寄与の可能性等を認められまして、DAGに正式に、かつ原参加国として、これに加入することを得たのであります。他の参加国といたしましては、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、イタリー、ポルトガル、オランダの九カ国及び欧州共同体が独立のメンバーとしてこれに加入をいたしておるのであります。第一回のDAGの会議は、本年の三月ワシントンにおいて開催され、第二回がこの七月ボンで行なわれたのでありまするが、その次の会議は、本年十月に再びワシントンにおいて開催される予定でございます。DAGの目的は、低開発国に対する資本授助その他の援助に関しまして、援助国相互間で情報の交換、協議、調整等を行なうことになっておるのでありまするが、私は、このいわゆる低開発国援助というものが、いわゆる金持ちクラブの慈善事業というふうな考え方ではないかという一部に批判があるのでありまするか、そういうものになったのでは困る。やはり世界の人類がほんとうに平和に共存し得るためには、やはりその経済のアンバランスというものをなくしていくことかわれわれの共同の理想でなければならない。こういう点から、強くこの経済協力の機構を強化するということについて要請をいたしたいと考えておるのであります。  後段にお述べになりました、六年前のいわゆる吉田構想、ワシントンのプレス・コンファレンスで吉田元総理が言われました、東南アジアに対する援助強化の必要性というものは、今や広く万人の認めておるところであると考えます。その結果でしょう。第二世銀が設立せられたわけでございまして、第二世銀を中心といたしまする若干の東南アジアの諸国に対します国際協力による援助計画推進の動きもだんだん具体化して参っておるのでありますが、国際協力が進められつつあることはまあ御承知のようでありますか、またこれが本格的な軌道に乗っておるものとは患われません。こうした動きは、もっと強化する必要があることは当然でありますが、これまた吉田構想そのものとは必ずしも全面的に同一のものではないのでありますが、方向においては軌を同じゅうするものかと考えておりまして、われわれといたしましても、できる限りこれに協力いたしたいと考えております。  吉田元総理が六年前にお述べになりました当時の世界の協力機構のあり方とその後のあり方というものは、今申し上げましたように、そうした提唱が一つの契機になったかとも思うのでありますが、この六年間に、非常に世界的な協力機構というものは強力かつ整備されつつあるのであります。われわれも、新たに機構を作ることを考える方法と、従来の機構に協力していくという方法と、二つの方法があると思うのでありますが、やはり国際的な全般の問題といたしますると、二国間の援助協定というものも必要でありまするけれども、一方から申しますると、いわゆるひもつきというものをきらう考え方もあるのでありまして、そうした感情も尊重しつつ、できるだけマルティラテラルな考え方で行くのもよろしいじゃなかろうか。こういう考え方から、今申し上げましたようなことを申しておるのであります。  海外経済協力基金の額が十分でないことは、私はまったく御指摘の通りだと思います。これはどうしても御協力をいただきまして、予算を獲得せねばならない問題でございまして、私は、御承知のように、はなはだ若年、短才、非力でございますので、どうか皆さんのお力によりまして、十分な予算が獲得せられまするようにお願いを申し上げたい。  この基金の増額につきましては、どういう方法がよいかということでございますが、私は、結局輸銀の原資をふやすということであろうと思うが、具体的には、現在世界的には、非常に輸銀の輸出貿易の金利が低いのでありまするけれども、最近は、聞きまするところによりますると、むしろ輸銀の金利を上げなければならぬというような議論も行なわれておるようでありまして、私は、経済協力について一分野を担当する主管大臣としまして、さようなことがあっては実は困るので、どうか一つこの資金量を豊富にいたしまして、海外経済協力が活発に行なわれますように、特段のお力添えをお願いいたしたいと思います。

永野護自由民主党運輸大臣

○永野護君 関連質問。外務大臣が今度御出発にあたりまして、ただいまの鹿島委員の御質問の趣意には全面的に私賛成するものでありますが、具体的の一つの点として、特に御留意を願いたいのは、日米経済協力ということが必要だということは、もう何人もこれに対して異議を申し述べる者はないと思うのでありますが、さて具体的にどういうことをどういう形でやるかという問題になりますと、実はすこぶる研究すべき問題が多いのであります。  そこで、安保条約、ことに第二条が新しく加わりました以上、これを具体的にどういうふうに運営していくかということを検討する機関がほしいということを、この前藤山外務大臣御出発の前にもお願いして、御努力を願ったらしいのですけれども、残念ながら何らの成果が得られなかった。そこで私は、この安保条約というものが軍事同盟条約じゃなくて、むしろ経済同盟条約的の性格を帯びるということを具体的に国民に認識させますためにも、何かそういう軍事委員会と経済合同委員会の二本立にして、この安保条約を運営するという何らかの形、もちろん外務省の機関があって、りっぱにおやり下さることは信じて疑いませんけれども、軍事委員会の方が軍事の専門家が加わりまするように、経済委員会の中には、外務省のお役人のほかに、経済の実際に当たっておりますものを幾人か加えた、少し広範囲の、それから経済委員会という名前をつけることが適当かどうか別といたしまして、実質にそういうものをこしらえていただくようなお骨折りを、今の鹿島委員の質問を一つ具体的にせんじ詰めまして、そういうふうに考えますが、これに対しまして外務大臣の御所信を伺いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げますが、永野委員の御意見はまことに傾聴いたします。ただ私は、前の内閣の引き継ぎで安保条約をいかに運営していくかということに腐心しておるわけでありますが、そういったものを作る合意というものは今までないわけでございますので、先方どう考えますか、ここで直ちに申し上げますよりも、そうした御意見を体してよく懇談したらどうかと考えております。  さらに、これは本題から離れますが、生産性の向上というものを通して、東南アジア諸国とも大いに協力をしたらいいじゃないかということで、APOアジア・プロダクティブ・オーガニゼーションというものを作ろうということで、中山一橋大学教授等も非常に骨折っておられるのでありますが、これにつきまして、アメリカも、非常にけっこうなことだから、自分の方でもそれに対するサブシディを出そうというようなことを言っているようであります。そういうような、ただ単に一つのプラントを作るための経済協力も必要でございますが、さらにそれの年産性を上げるための協力、技術的ないろいろな仕組みを研究するというようなこともまたあわせて必要かと思いますので、そうした問題を含めながら、十分話し合ってみたいと考えております。

永野護自由民主党運輸大臣

○永野護君 今の点をぜひ御交渉願いたいと思いますけれども、言うまでもなく、むろんそんな誤解はないと思いますが、日米経済協力ということを具体的に委員会でもこしらえて検討するというと、アメリカの商品と日本の商品の競争が起きるときに、関税の問題たとか、割当の問題ということがすぐ連想されるのではないかと思うのでありますけれども、私の申し上げますことは、そんな点には全然なくて、経済協力する以上は、日本の商品に対して税をかけたり割当をするのはけしからぬというようなことに触れないで、今申します低開発国と申しますか、その方面を協力してやろうという部門に限っていいと思うのであります。特に念を押す必要はないかと思いますけれども、何かアメリカが日本の商品の輸入または関税率を変更するときに、日本の商品だけは特殊な制約を受けるのではないかというような懸念あるいは誤解があるのではないかと心配いたしますから、その点に全く無関係なことで研究する余地が非常に多いということを一言申し添えておきまして、何とかぜひ、どういうことで具体的に日米経済協力ができるかということを検討する機関、それをぜひ一つ御尽力願いたいと思いまして、私の質問を終わります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 先ほど小坂外務大臣の外交に臨む所信を承ったわけですが、池田内閣それから小坂外交の基調を大体大要すると、自由諸国との提携強化と国連中心主義、この二つにあるように思われるわけです。しかし、率直に申しまして、日本が今日当面をしておる外交上の方針としては、われわれと政府との立場の違いは別としても、これだけでは非常に不明確ではないかと思うのであります。所信の点にもいささか触れられておりますが、そもそも今日の世界の緊張とかあるいは冷戦といわれるものは、東西の対立関係に起因しておるのでありますから、この緊張あるいは冷戦を緩和することが日本の外交の基調でなければならぬと思うのであります。発足後まだ日が浅い池田内閣、小坂外交に、ここで具体的なことを、また決定的な答弁を求めることはいかがかと思いますが、しかし、西側との関係だけを必要以上に強くうたわれておるとも思われますので、この機会に疑点をただしたいと思うのでありますが、歴代自民党の政府の外交政策を見ますと、東西の緊張緩和という立場で、もし何らかの具体的な施策があったとすれば、私は鳩山内閣のソ連との国交回復ぐらいのものだと思います。それ以外には何もありません。岸内閣は、北鮮帰還の問題を一応とにかく軌道に乗せましたが、しかし、安保新条約という緊張増大要因を逆にかかえ込んでしまったわけであります。それで、自由諸国との提携も、国連中心主義もよいのですが、今申しましたように、今日の世界の緊張の原因が、そもそも東西の対立にあるのですから、これを緩和するための具体的な施策がそもそも問題の重点だろうと思います。この面について何らかの意思表示がもっと承りたかったわけであります。自由陣営との提携強化は歴代政府のうたい文句でありまして、これをうたうだけでは問題の解決にならぬと思います。また国連中心主義も、日本の場合においては、歴代内閣がこれを外交上の隠れみのにしておる感が深い。もちろん私は、国連中心に異論はありません。賛成であります。しかし、そういう形で、隠れみのにしている感じが深いので、日本外交では、終局的に国連の決定を中心に行動するのはよいとしても、国連という場において、日本がどういう立場で発言をするか、どういう行動をするが、どういう表決をするかという一連のプロセスが問題であるし、また大切ではないかと思うのであります。だから、精神的なよりどころとして西欧諸国との立場に立つのは、これは政府の自由であります。それをわれわれがかれこれ言う資格はありません。しかし、具体的な政策については、世界の今日の客観的な諸条件をよく理解し、もっと柔軟性があってよいのではないかと思います。所信の表明の中にもありましたが、またアジア・アフリカ諸国の立場などももっと考慮に入れた、柔軟性のあるものであっていいのではないかと思います。そういう意味でいって、所信表明そのものにとり立てて異議を申し上げるわけではありませんが、非常に抽象的で、具体性がない。具体的にどうして今日の世界の冷戦なり緊張を解きほぐしていくかということに対するもう一歩突っ込んだ具体的なお考えをまず最初に承らしていただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私が申し上げました、基本方針が抽象的であるということは、私は御意見の通りだろうと思います。しかしながら、やはり外交というのは動いて参りまする国際情勢に処して参りますものでありますし、相手がございまするので、やはり基本線としては、抽象的な表現であるけれども、立場は一応はっきりしておくということがよろしいのではないかと思います。従いまして、自由陣営に日本はおる、国連中心であると、それからもう一つ、仰せられませんでしたが、私は、善隣友好といいますか、近きから遠きに及ぼして、世界中の各国と仲よくつき合っていって、平和なうちに日本の民生の安定と繁栄に貢献いたしたいと考えておるのでありまして、もちろん、お話にありましたアジア・アフリカの諸国のみならず、中南米の諸国等においても、非常に日本に対するところの関心が深まっておりまして、こういう各国との間の親善友好もさらに深められて参りたいというふうに考えておるような次第でございます。ただ私は、基本的に申し得られると思いますことは、われわれは、立場はさようでありまするけれども、政治的な信条とか、社会経済の体制が異なっておるという国においても、お互いにその国の立場を認め合う、そうしてしかもその国の内政に干渉しない、こういう立場をとって世界の平和に貢献いたして参りたいと思うのであります。申し上げるまでもないことでございますが、現在世界におきましては、その政治信条、社会、政治、経済体制の違う国が現に存在しておるのであります。これをどちらかの自分の考えに一色に塗りつぶすにあらずんば自分らは満足せぬということであっては、これは世界の平和というものは達成できないと思うのでありまして、それぞれその国の地理的な環境からするところのいろいろな政治、経済の体制ができておるわけであります。その立場においてお互いに尊重し合っていく、しかも、その関係において友好関係を深めていく、かような考え方で参るつもりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 具体的な問題に入る前に、もう一つ、今のことに関連をして伺いたいと思っておりますが、日本が外交を行なう場合に、国際的な動向も、もちろんこれは無視すべきではないし、かつ非常に大切だと思います。しかし問題は、いついかなる場合においても国際情勢待ちであっていいとは思いません。従来の外交方針は、率直に言って国際情勢待ち、こういうことだろうと思います。しかし、それとともに、日本みずからが一つの路線を確定して、問題の打開の道を示して、そして関係の各国の協力を求めて、そして新しい国際情勢を日本がみずから作っていくという、そういう積極的態度が望ましいのではないかと思います。ですから、今までの歴代日本政府の外交を見れば、ほとんど率直に言って国際情勢待ち、それから、何か決定的な問題が出てくると、国際情勢をよく見た上でという、こういうお答えになる。それは、国際情勢を見ることも大事でありますけれども、今申し上げたように、特にアジア・アフリカ関係の諸国の問題については、一番関係が深い日本が、みずから方向を策定して、関係各国を説得し協力を求めて、それで、国連なりあるいは国際外交の場においてむしろ日本の立場というもので積極的にリードしていく、そういう気魄なり積極性があっていいのではないか、私はこう考えておるわけです。日本が人口や工業生産力の比重で世界でかなり高い地位にありながら、率直に言って、国際的地位は必ずしもそう高く評価されておるわけでもないと思うのですが、その理由は、そういう外交政策の面にあったのではないかということを私はつくづく感じるわけです。ですから、国際情勢をよく見届けて、世界の大勢にあまり食い違いのない方向を進むことには異論はありませんが、同時に、それを特にアジア・アフリカ関係等については、日本が積極的に日本の立場を主張して国際世論をむしろ啓発していく、そういう立場で外交をやることが望ましいのではないかと思うのでありますが、歴代内閣の国際情勢待ちということがまたあるいは今後も言われるのではないかという気がしますので、一言この点について伺っておきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 羽生委員の仰せられる気持は私もよくわかりまするけれども、私、外交の非常に重要な衝に立つことを命ぜられまして、考えておりますことは、外交を一度失敗した場合におきましては、これは非常な国家国民のために大へんなことになるのでございまするから、私は、できるだけじみにやって参りたい、しかも、私の能力相応なことを考えて参りたいというふうな気持がいたしております。その意味で、非常に平凡な方針ということになるかもしれませんけれども、基本路線と申しますか、そういう気持はさような気持であるのでございます。ただ、現実に動いていく世界の情勢というものに対しましては、きわめて真剣に、しかも精力的にこれを把握する、そしてその流れを敏感にくみ取っていくという努力は怠ってはならないことはもとよりだと存じますけれども、こちらがとるアクションというものについては、これはきわめてじみに慎重に参りたい、かような気持でおる次第でございます。弾力性を持っておるけれども、弾力性は持ちながらも、しかし、あくまで日本の置かれておりまする立場というものに対しては、従来の経緯というものを十分胸にたたみ込んで慎重に対処して参りたい、かように考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私は、別に外交で特に奇をてらうようなことをやる必要はないと思うので、それはじみで着実であることはけっこうだし、それは希望いたしますが、しかし方向としては、今申し上げたことを一つ御留意いただきたいと思うわけです。  次に具体的な問題に入りますが、先日来中国側が、久しくとだえていた日中貿易再開の意思表示をしてきたわけでありますが、これは、両国の関係を打開する一つの契機であると思います。しかし私は、この問題を今政治的にからませて質問する意思はありません。また先方も貿易問題に限定をしておるようで、特に政経可分とか不可分とか、そういうことはあまり言っておらないようでありますが、先方が意思表示をしたからといって、こちらがすぐ何かそれに対して受け答えをするというのもどうかという議論もありますが、同時に、先方が何か言ったときに、タイミングをはずさぬように、適当な受け答えをやることも外交の一つであろうと考えます。そういう意味で、この問題を、従来の岸内閣のとってきた静観的態度から一歩を進めて、さらにそれが政府間協定になるか、民間協定の進むのを見守るか、それは別として、さらに前進的な姿勢で政府がこの問題と積極的に取り組む考えはあるのかどうか。私は特に政治の問題にからませてお尋ねする意思はありませんが、これは非常に一つの契機だろうと思いますので、この機会に所見を伺いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 周恩来首相と鈴木君という方の会談の電報が入ってきたということで、私も新聞紙上を通しましてその問題を知りました。そこで、ただいま御質問のように、これを政治的にからませることではないということでございますので、私も率直に気持を申し上げます。私は、まあ今もお話のありましたように、そうした電報があったから、すぐ政府で外務大臣が所見を述べるということは、一応避くべき問題かと思いますし、大体経済的な問題に、私どもの考え方からいたしまして、政府ないし政治というものがあまり介入することは、本来避くべきことのように私どもは考えております立場もございまして、非常にすべて控え目にこの問題は取り扱っておるのでありますが、しかし、根本的に申しまして、貿易というものは、これは、両国国民の間に必要なものがあるという場合に、そこに経済交流が行なわれるのでございまして必要のないところに政治ないし政府というものが前面に出て、これを強制したり拒絶したりしても、これは貿易というものはうまくいかぬものではなかろうかと思います。むしろ政治というものは、そうした貿易の問題に関する限り、これをレギュレイトする、調整する立場に一歩下がっておるべきものではないかと思うのです。そこで、経済的な関係について、そうした交流が行なわれることについて、私は、さような立場でこの問題を見ていきたいというふうに考えております。必要がすべてを決定するものではなかろうか、かように考えます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 必要が問題を解決していくということは当然だろうと思いますけれども、私の承りたいのは、あまりこまかいことをこの際お尋ねするのはどうかと思って控えておるのですが、従来の岸内閣の静観主義に比べて一歩進めて、さらに前向きの姿勢で問題を解決する方向であることは間違いないですか。その点はどうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、岸内閣は、別に非常にこの問題について特別の立場をとられたとも実は思っておりませんので、岸総理のおやりになったことについては、深く私どもも党員としてこれに敬意を表しておるのですが、やはり時とチャンスというか、機会というものがなかったというか、そういうことではなかろうかと思うのでありまして、やはり貿易でございますから、日本だけが貿易をしたいと言っても、相手が買わなければしょうがないし、日本が買いたいと言っても、相手が売らなければしょうがないので、相互の必要性というものがある時を得て生じてくる、こういうことでございまして、私どもは、そうした動きというものを敏感に感じつつこれをとらえていくということで対処して参りたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう少し突っ込んで伺いたいのですが、どうもあまり具体的に触れてはどうかと思うので、次の問題に移りますが、外相は、近く国連総会に出席をされる機会に、アメリカの要人ともお話し合いになるようですが、先ほど来の御所信を承って、前に岸総理がとられたような、いわゆる日米新時代的な形で、ああいうものに象徴されたような道をもう一度歩まれるとは私思いません。ただ、米国自身も国際国内的に条件はだいぶ変わってきておるようでありますし、また国連加盟国も、来たるべき国連総会がアフリカ総会と言われるというほどに、加盟国の数も非常にふえてきた。それから、問題の性質が非常に独立の達成という形で新しい様相をはらんでおると思うのですが、こういう機会に、このあと当路の力と小坂外相が話し合いになる場合に、日中問題もお話しになるのかどうか。これは、けさ一部の新聞に出ておりますが、その問題をお話し合いになるのかどうか。私は、日中問題にかかわらず、アメリカに行っていろいろ当路の方と話をされる場合に、やはり西欧陣営といいますか、アメリカの側に立つと考える——いろいろな世界観、哲学観で、アメリカ側の西欧陣営の側に立つのは、これは政府の御自由であるし、それを私はかれこれ言うわけではないが、しかし、問題の性質によっては、もっと自由性を留保するような形でアメリカの方々と話し合いをされた方がいいんじゃないかと思うのです。ですから、そういうことも含めて、今度向こうへおいでになる場合に、日中問題等についてもお話し合いになるのかどうか、この問題をちょっとお伺いしたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) アメリカへ参りまして、当路の諸君とお話をいたしまする際に、私は、万般の問題を準備しておるのでありますが、話に行く前に、おれはこの問題について言うということはどうもいかがなものかという、外交上の一つのしきたりもあるようでございます。何か気負って、この問題について話し合うのだというふうになりますと、かえって話もしにくくなるかと思いますので、内容の点は一つ、はなはだ私も実は迷うのでありますが、こうした国会においてすべて申し上げるべきことであろうと思うのでありますけれども、しかし、そうしたことがかえってこの諸般の問題を納得させる上に障害になってもと思いますので、できますれば、一つ帰りましてから御報告をさせていただくようにお願い申し上げておきます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それはいいのですが、なぜ私がそういうことを特にお尋ねしたのかというと、先ほどの所信表明を拝見しても、外相に就任されてから各所でやられた演説等を新聞を通じて拝見をしても、たとえば、今度アメリカへ行って当路の方と会われる、それからカナダに行っても当路の方と会われる、機会が許せば、将来欧州の諸国を訪問してみんなと会いたい、それで、西欧陣営に属するその方のことは全部出てくるわけです。これは圧倒的に出てくるわけです。ところが、片方の方はさっぱり出てこない。それからもう一つは、国連では東西話し合いを強調するということが言われております。これは、もう先ほどの所信にもあることであります。東西話し合いを強調されるのはむろん賛成です。異論のあるはずはない。しかし、大国や他国にそれを求めて、大いによその国はやりなさいと言う。しかし日本はどうするのですか。それができたら、それについて行くということですか。小坂外交としては、大国の東西間の話し合いは大いに慫慂するが、今度は、小坂外相自身としては、そういう問題について何らかの動きをされるのか。中国問題なんかについても触れて、私は、実はそんなに遠慮する必要はないんじゃないかと思っておるのですが、どうも何か国連が隠れみのになって、西欧陣営の提携強化ということがうたい文句になっておるどうも日本外交に、そういう従来の方向をさらに一歩進めて、東西の緊張をやわらげる意味の積極性が足りないというように思いますので、重ねてこの問題を、小坂外相自身としてはどうされるか、承っておきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 実は、御指摘があって、なるほどそういうものかと思って恐縮いたすのでございますが、実はヨーロッパの問題は、ヨーロッパのある国から招請状を出すがという内容を聞いてきたのでございます。アメリカに来るなら寄らないかということで来ましたので、実は私も考えまして、こちらでITUの総会がございますので、それまでに帰ってこなければならぬ。そうすると、そちらに参りますと、一国に参りますと、次々と招請状が来るそうでございますので、かえって失礼になるというので、これは取りやめるということで書いたのです。ところが、そういうふうに言うと実はまずいから、ヨーロッパ諸国も次に回ると書いた方がいいという事務当局の配慮があって、こういうふうに書いたということでございますので、別に他意はございません。何もヨーロッパだけ回ろうという気持が私にあるわけではないのでございますから、その点御了承願いたいと思います。  私は、軍縮の問題については、確かに日本は軍縮すべき何ものもないじゃないか、そんな国が人のことばかり言って何だという御議論もあろうし、日本自身として、ただいまの御意見のように、軍縮というものについての考え方がきまっておらんじゃないかというふうなお考えもあるいはあろうかと思うのであります。しかし私どもは、いわゆる財力、経済力というものも乏しいのでありますし、それから、武力という意味においては、全くなきにひとしいのであります。そういう力も金もない日本が、やはり世界に立っていく道というものは、結局信頼をかち得るということ以外に私はないと思います。日本の国際的な信用が下落しているということが言われまして、その点は遺憾でありますけれども、私は、日本は信頼すべき国であるということをかち得ることが必要だと思います。その意味において、やはり日本は、ある程度理想主義の旗というものを掲げて啓蒙するという立場をとることも、われわれに許されたる一つの道ではなかろうかと思いますので、国連におきましては、そうした趣旨から、大国間で実効性のある軍縮をやってくれなければ、非常に世界がこういうふうな最近の科学兵器の驚異的な進歩によって不幸になる場合もあるからということを、大いに鼓を鳴らして言ってみるのもいかがかと存じております。ことに、南極の平和利用ということはすでにきまったのでありますが、大気圏外が今度は使われてくるわけであります。大気圏外の平和利用ということも、わが国のように、武力を持たざる国から見ると、客観的な立場から、こういうものについては、この際もっと世界各国が胸襟を開いてそれを話し合うべきことではなかろうかということを言うことも立場上できるのじゃないかというようなふうに思いまして、さような点も考えている次第でございます。もちろん世界万般、ことに日本を取り巻く諸問題については、また日本の国民の国民感情というものもあわせて十分にお互いに知り合うような話し合いをしたいと考えていることはもちろんでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 他の方の御発言もだいぶあるようでありますので、もうあと二点ぐらい承って終わりたいと思いますが、次に、外相は近く韓国を訪問されるようでありますけれども、この場合、韓国との折衝は、北鮮との関係もあって、すこぶる私はデリケートだと思いますが、問題は親善に限定されているように承っておりますが、かりに先方で何らか問題に触れられても、長い南北朝鮮の将来を見通しての外交的政治的配慮を持ちながら、特に当面もし何かやることがあるとすれば、韓国限りで解決できる問題、将来南北に及ぼさない性質の問題として取り扱えることに限定さるべきものではないかというような感じがするのです。そういう意味で、ほんとうに単なる親善なのか、また先方からいろいろ問題を持ち出されたときどうされるのか、あるいはまた、昨日の衆議院の外務委員会で、日韓の国交正常化ということが言われているのですが、正常化はいいとしても、単に代表部設置というような問題なのか。あるいは条約等の問題にも触れる性質のものなのか。その辺を少し承らしていただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 日韓両国の関係というのは、一衣帯水の間にもありますし、非常にわれわれ親近感を持つ民族同士でありますが、不幸にして現状はさようにいっておらないということは、まことに残念なことだと思いまして、このたび新政権ができました機会に、まずもって私自身韓国に参りまして、親善の気持を伝えるということから、気分をお互いになごやかにして、いろいろな懸案があるわけでありますが、その懸案の解決に資したい、こういう気持でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その通りで、別に何らほかに具体的な問題に触れることは全然ないわけでございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) さようでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それからもう一つは、これで終わりますが、私必ずしも先日の、前の社会党の鈴木委員長がフルシチョフと会見をして、ああいう記事が出たから承るわけではない。私は、本年の二月の本会議の代表質問の際にも触れた問題でありますが、今度の安保改定の結果、これははなはだむずかしくなったとは思いますけれども、日ソの平和条約の問題については、何らか今後積極的な考慮を払われるお考えがあるのかどうか。最後にこの点を一つ承っておきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 日ソ間の平和条約は、領土問題を問題として残しておって、この問題が解決できなければできないということはわれわれの了解となっている点であります。その意味において、この領土問題が、これは本来南千島は、これはわが国固有の領土である、国後、択捉は、歯舞、色丹のみならず、これは北海道に所属する島嶼でございまして、地理的にも歴史的にもわが国の固有の領土であることであるから、わが方に帰属すべきものであるという主張は、これは超党派的に国会において考えられているところだと思います。なお、得撫から以北占守に至る十八島嶼、この問題も、これは千島樺太交換条約の経緯から見ましても、これはわれわれとして主張すべきものである、こういうふうに考えております。しかしながら、いわゆる政治的配慮といいますか、そういうことから、南千島は少なくともというのがわれわれお互いの主張でございまして、社会党におかれましては、全千島返還ということを言っておられると私は承っているのでございます。そういう点で、領土問題というものは大きな問題でございまするので、これはむしろわが方から、その問題を解決してくれと申しましても、現状ではなかなかそういかぬのではなかろうかという感じもいたしまするので、しばらくはこれはいわゆる国際間の推移を見るほかないのではないかと、正直に申しまして見ているわけでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 全般的の御意見は、おそらくこの次の臨時国会の際にでもあらためて伺わしていただきたいと思いますので、ごく簡単に、一、二点について御意見を承っておきたいと思います。  第一には、アメリカにおいでになっての使命についてですが、ここに、御意見の中に、ワシントンにおいては、特にハーター国務長官その他米国首脳部との間に世界情勢について意見交換を行ない、特にその際わが政府の今後に処する所信を述べ、わが国に対する理解と国際信用の回復に資したい、こうまあきわめて抽象的に書いておられるわけであります。これは、いろいろな非常にデリケートな問題を含んでいると思うので、何も細目について伺うわけではありませんが、だれしも承知しているように、日米安全保障条約を改める問題から端を発して、非常に両国のために不幸であったことは、理由のいかんを問わず、アイゼンハワー大統領が日本に来られなくなったことですね。こういったようなことから、それらの問題について何か日米国交の上におもしろくない事態を起こしている。そこで、そういう情勢のもとに新内閣ができて、その新内閣の外相がアメリカに乗り込まれる。そこで、日本国民の方も、またアメリカ側の方も、アメリカ側は日本国民ほどにこの問題に重大な関心を払っているかどうかは別として、しかし、安保条約に関連して、非常に日本の態度あるいはアメリカの対日政策ということがかなり真剣に、今まで以上に深刻に考えられてきたことは事実です。そこで、外相が向こうにおいでになって、アメリカの要路、さらにはアメリカ国民に接触される態度いかんということは、やはり非常に大きなことではないか。たとえば、今申し上げたように、アイゼンハワーが来られなかったことは非常に遺憾である。わが国の国際信用からいっても、非常に私は重大なマイナスだと思うのです。あれを来させないことに、阻止に成功して万歳と言っている人たちの考え方は、まことに私は浅はかだと思う。理由のいかんを問わず、特にその理由については、率直に言って、私は岸さんのやり方の方が悪かった、アイゼンハワーの来ることを安保問題にからめた岸さんのやり方が悪いと思います。しかし、ともかくもアイゼンハワーが来られなかったことはマイナスなんで、そのこと自身に拍手かっさいすべきものではない。そのことについては、わが国民の素直な気持を伝えることは私はいいと思う。また同時に、一面変に卑屈な、謝罪使的な——私は、賢明なる外相だから、そういう気持はないと思いますが、まあもし謝罪使的な気持でアメリカに行くというようなことだったら、これはやはり日本国民も納得しないし、そういう態度がかえって日本とアメリカとの一つの、ぎこちなくなったあれを、何と言いますか、わだかまりを打開するゆえんじゃないのじゃないか。ですから、いわゆる日本国民がほんとうに民主主義に忠実なのであるというような確固不動の国内態勢ということが、実はアメリカの欲しているところではないか。そういう意味で、ただ卑屈な態度というような気配があってはならないと同時に、むしろこれは注文ですけれども、アメリカの世論にかなり変化があったのじゃないか。率直に言って、岸さんのように、もうやみくもに安保条約を強引に押しつけたということは、アメリカ側から見ても決してプラスでない。これは外相も御承知のように、たとえば、ウォルター・リップマンに代表されるようなアメリカの良識家は、これは、アメリカがもし日本に軍事的関係を押しつけたとするならば、それはかえって日本をいわゆる中立主義の方に追いやる、これは決してアメリカから見てプラスでないという、こういうことを端的に言っている人もあるわけです。従って、そういう安保条約をああいう形でやったことが、一体どういうふうにアメリカの世論に影響を与えているのかというようなことを、ただ窓口から行って、日本の外務大臣とアメリカの国務長官と、安保条約ができてよかったね、親善というのでは、これは私は、まさに国民の期待から大いにはずれるではないか。もちろん政府の立場もありましょう。いきなり安保条約廃棄論で外相に会ってくれなんというようなことを私は申し上げているのではありません。ただそういう、この安保条約を無理やりにああいうふうにやったことについて、また日本における、少しナイーブではあるけれども、一種の中立主義的ムードを、確かに岸さんがえらい力を入れて、大いに日本でアジってしまったということは、まさに岸さんの失敗なんだか成功なんだかわかりませんが、そういうことがあるのですから、そういうことを背景にして、どういうふうにしていったらいいのだろうか、こういう点は、むしろあなたは静かに、アメリカに行かれて、ほんとうにそういう表の体裁だけの話でなくて、ほんとうにそういう点をよくキャッチして来られることが望ましいのじゃないかと思うのです。特にそういうことを含めて、先ほど鹿島委員からお話がありましたか、私はむしろ意味を変えて、安保条約を無理やりに日米経済協力の条約だというように、お化粧したことが本題であるような無理な議論でなくて、それよりも安保条約の運営について、少なくともこれは、自民党の諸君の中にも、安保条約の運営について、少なくとも運営上行き過ぎのないようにやっていくとか、そういったような問題について先方と話をされる。特に、これは私たちの考えですけれども、日本の良識ある国民の中には、ああいうふうに無理やりに押しつけた条約というようなものは、これは長い目で見て適当でない。アメリカの今後の内政がどう発展するか等について、軽々に予測したり何かすることはいけませんけれども、しかし、大統領選挙後の事態等も見て、世論の動向を考えたときに、たとえば期限の問題を考え直すとか、何か無理やりに作ったものについて、これをむしろ再交渉して、再改定するというようなことが私は必要だと思う。私は、またその余地はアメリカには決してないことはないと思う。むしろ、あまりこだわって、強引にやっちまったからこれでいい、あとあやまっておけというようなことでなく、それこそあなたの言われたように理想を持って、しかし現実には非常に足を踏みしめて、はね上がりでなくやっていくんだという意味において、安保条約の問題を含めて、日米の関係については、相当柔軟な態度と、非常に耳を開いて、向こうの意見を聞いていくような態度でやっていただきたい。特に謝罪使節的な意味でおいでになっていただきたくないという気持なんですが、何かそれについて承っておくことがあれば幸いであります。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 曾祢委員から、非常に示唆に富んだお話をいただきまして、よく傾聴いたしました。実は、アイクの訪日が中止になり、その前にハガチー秘書事件等がございまして、この点はまことに遺憾だと思いますが、ただいまお話のように、これは、たとえてみれば、自分の家のむすこがあばれて隣の家に迷惑をかけたというようなもので、おやじがそこに行って、ただぺこぺことあやまってみても、どうも向こうはそれで喜ぶとは考えられませんので、むしろその自分の家のむすこをよくして、こうなったというふうに、実を示すことの方が相手が喜ぶんじゃないかというふうに私は思っております。そうした努力を政府といたしましては大いにやるべきであろうと私は思います。ただ、アイク訪日中止以後、われわれ政府といたしましては、ニクソン副大統領あるいはジロン国務次官等が、積極的に、日本に対して従前の態度を変えるべきでないという、非常に理解のある態度をとるべき旨を主張せられまして、一般にわっと日本に対する不信感が盛り上がらんとしたときに、こうした政府の要路の当局者がこういった態度をとられましたことは、われわれとして深く感謝すべきだと思っております。まあそういう態度で、できるだけ一つ日本人の気持に内在する各種各様の気持というものに率直に触れて話をしてみたら私はどうかと思っております。いろいろ人によって考え方はあるかと思いますけれども、私は、まだ日本人の気持の中には、占領下にあったコンプレックスというものが相当根強くあるように思うのです。これがいいことだとは私は思いません。私自身できるだけ努力をして、そういう偏見というものを取り去らなければいけない。日本がほんとうに世界の中に信用される大国民として伸びていく上には、そうした偏見は去らねばならぬと思っておりますが、しかし、一方において、現実にそういう問題はあるのであります。そういう点については、十分配慮しながらつき合っていくということが、私は今後の日米関係上非常に大切なことだと思いますので、そんな点にも触れまして話をしてみたらどうかと思っております。  安保条約そのものの再改定というのは、曾祢委員せっかくの御意見でございますが、私は、現在それを言うべき時期でないと思っております。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 もう一つ伺いたいのですが、ちょっと羽生委員も触れられた、社会党の鈴木前委員長がフルシチョフソ連首相と会っての際の、全面的な問題ではありませんが、領土問題に関するフルシチョフ首相の態度として新聞に伝えられていることでありますが、すなわち、私は、これはいろいろニュアンスもあろうし、正確なことは、こういう非常に重要なことですから、直接鈴木さんに伺ってから公の議題にするのが私は儀礼だと思いますが、とにかくあれだけの問題なので、正確に本旨を伺うつもりで明らかにしたいという意味でこれを問題にするのですが、結局、安保条約破棄といいますか、なくしてしまう、いわゆるそういう意味で日本が中立になるならば、南千島——国後、択捉、これに関する日本の要求等については全く新たな見地で考えていい、明確ではないが、要するに日米安保条約が破棄されたならば、南千島についての要求をソ連が受け入れる用意があるがごとき態度を示した、こういうことだろうと思うのです。これは、繰り返し申し上げるように、その言ったニュアンス等については非常な意味もあろうと思いますし、あるいは、新聞の特派員の記事からすれば、いや、実は今までのソ連の一貫した主張と変わらないのだという報道もあるようであります。そこら辺のところは、いろいろこれはあると思います。ただ問題は、ソ連のこういったようなことは大体真相に近いものだと思いますが、もしそうだとすれば、一体この問題について、日本国として、別して外交の衝にある政府として無関心でおられるはずはない。私は、門脇大使からどういうあれが来たとか、門脇大使にどういう訓令を出して調べさせたか、そういうやぼな内側の話は聞きたくないのです。ただ、新聞に伝えられるところによると、官房長官は、新聞人等から質問があると、ソ連がまた日本の中立化を言い出した、内政干渉はけしからぬ、相手にならぬということばかり応酬されておって、私は、ソ連の日本に対する、日本が中立国であればいいというソ連の態度がけしかるとかけしからないとか、いろいろ議論があると思いますが、しかし、単に内政干渉で片づけられない、向こうの国からすれば、自分の国の国防に関する大きな問題であります。ですから、ソ連が日本の中立を押しつけたり、日本を中立化するために、かりに領土問題でああ言ってみたりこう言ってみたり、領土問題をえさにして中立化を押しつけるようなそういう態度は、ソ連としてけしからぬということは明確に言えると思いますが、中立化をソ連が言うことは内政干渉だからけしからぬ、それだけでは済まない。ただ、領土である以上は、これはやはりソ連は、鳩山内閣の際は、これはもう国後、択捉を含めて——歯舞、色丹だけは日本に返すべきだ、しかし、もう国後、択捉から南千島、北千島、南樺太については、これはもう全然きずのない形でソ連の領土になってしまったのだから、日本の他の領土、沖縄がどうであろうと、日本の海外資産がどうなろうと、全然無関係に、こういう条件ができたら返してやろうということは全然受けつけない。まことに強硬な態度であるということが一つ。  第二は、その当時は、日米安全保障条約の旧条約があって、日本にアメリカ軍が駐留していたという条件があった。だから、旧条約のもとにおいては、無条件に南千島は絶対に返さないという態度であった。私はそれはけしからぬと思うけれども、そういう態度であった。それは歴史的事実です。  それから今度は、岸内閣が日米安全保障条約を改める、こういう方向に踏み切って調印したときに、今度はその共同宣言の約束を踏みにじって、そうして今度はこうなったが、歯舞、色丹は返さぬ、日本全体からアメリカ軍が撤退しなければ、つまり旧条約の問題も否定して、完全にアメリカ軍が撤退しなければ歯舞、色丹ですら返さない。これはどうも納得できぬ。つまり安全保障条約にからんで領土問題で出したり引っ込めたりする、非常に大国的な態度はけしからぬ。今度はそれと一連のソ連らしいやり方ではなかろうか。事実がそうだとすればですね。今度は逆に、もし安保条約が今度は破棄されたならば、これは旧安保条約があった時代、鳩山内閣時代とはさらに飛び越して、今度は、そのときは絶対によこさないといった国後、択捉まで日本に返してやる、こういうことを言ってきた。こういうふうなソ連の行き方、これはもちろん、日本の外交路線について、つまりアメリカとの軍事的結びつきについてソ連が関心を持つことは、これは私は否定しちゃいかぬと思うんですね。また、日本の外交路線が、だからこそソ連を不必要に刺激するような外交路線はまずいということをわれわれは主張してきた。だからといって、ソ連のような、この三つのソ連の態度の使い分けのような、日本の外交路線の行き方いかんによって、本来もっとそういうことに無関係に領土の帰属というものははっきりすべきものであるにかかわらず、日本の外交路線いかんによって領土問題を道具に使うというようなもしやり方だとすれば、これはわれわれとしてどうしても納得できないということになるんじゃないか。従って、ずいぶん長い間しゃべって恐縮ですが、そういう意味で、この鈴木さんとフルシチョフとの応酬ということは当然に、これは真相はどうかということについて、外務大臣は重大な関心を持っておられると私は思う。従って、それを単なる形式論で、中立化を言ってきたのはけしからぬとか何とかということでなしに、この問題についてあなたのお考えを、並びに、お調べになったことがあるならば、実情の調査の結果を、さしつかえない限りここで教えていただきたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この問題は、世界情勢の推移と関連して考えていかにゃならぬ非常に重大な問題でございまするし、また、お話しになった御本人がまだこちらにおられないんですから、外務大臣としては、全くこの点についてのコメントは差し控えたいと思いますが、ただ、これは私は純粋に理論的に申し上げますが、全く理論的に申し上げますと、日米安保条約廃棄といいますか、要するに、日本が中立の状態になったら国後、択捉は返そうということを考えるということを全く理論的に申しますと、国後、択捉には日本の潜在主義があるということを認めたことになるんじゃないか、潜在主権を認めるのだが、今の状態はけしからぬから、これをやめたら返してやるというので、これは、私はあえてソ連を相手に議論するという意味でこれを言っているんじゃありません。ただ理論として考えてみますと、そういうことじゃないかという感じがいたすのであります。これは一切コメントではございません。ただ私の理屈を言っただけでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 だから、それについて何か特別に外務省筋の報告等はないんですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) ええ。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 あるいはここに知らすべき何ものもないということですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) ここで申し上げるべき特別のものはございません。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 けっこうです。もういいです。

佐藤尚武参議院同志会

○佐藤尚武君 私は、小坂外務大臣御新任の早々、この外務委員会において種々重要な問題について、大臣の御意向あるいは方針等に関して御質問申し上げるということは、この際としては避けたいと思うのであります。そういういろいろな問題につきましては、また別の機会に改めて私からも御質問申し上げたり、また私の意見を申し上げたりすることになろうかと思うのでありまするが、本日は単に、私に発言の機会を与えられましたので、私の新内閣に対しまする希望の一端を申し述べることにいたしたいと思います。  先ほど外務大臣の御発言の中に、この九月に開かれまする国連の総会が、昨年の模様とは違って、かなり手きびしいものがありそうに思われるというようなことが言われております。昨年は、平和の曙光が認められたかのように思われたのでありまするが、今年に入りましてからは、がらりと形勢は変わって参っております。従いまして、本年の国連総会はかなりとげとげしいものがある、こういうふうに感じられまするし、外相御自身もそういうふうに予見しておられるように見えるのでありまして、実に遺憾なことでありまするけれども、戦後十五年の今日、なお冷戦が続いております。いつこれが解消されるか、見通しがだれにもつかないというような情勢であります。たびたび私は歴代政府の注意を喚起した点は、この冷戦の根本問題がどこにあるかということについてでありまして、私は、共産圏諸国が世界赤化の野望を実現しようとしておるからこそ、自由国家群が安心できない、従って、冷戦が続いてきておるのだと確信しておるものであります。もしそうでなくして、ソ連が、世界赤化の野望などは、それは昔の話で、そんなことはとっくの昔に捨ててしまったのだ、単に口の先ばかりでなくして、ほんとうにそういうソ連の新たな国策を世界に表明し、かつまた、実績をもってこれを証明してくれるということができましたならば、世界情勢というものは根本的に一変すると私は確信いたすものであります。しかるに、現実はそうでなくして、ソ連の世界赤化、すなわち国際共産主義というものを今もって続けられておる。少なくともそれが解消されたという証拠はわれわれに一つも見せておらないというような現実でありまするならば、その現実に基づいて、日本は日本の立場を考えていかなければならぬということになるのが当然な話であろうと思うのであります。しかるに、現実の問題につきましては、日本の言論界が案外無関心でありまして、その点において国民を理解せしめる、国民を啓発していくというような努力はほとんど払われていないというのが、むしろ私は不思議に感ずるくらいであります。しかし、その問題は今後も長く続いていく問題でありまするし、ここで論議する問題ではござりません。  ただ、私の申したいと思いますることは、それが現実の情勢であるということをはっきりさせて、そしてその上で日本の国策を立てていくべきであるというように考えることを申し上げたいと思うのであります。そういったような情勢におきまして、そのときそのときの情勢に従って、よしんば一時限りの問題であるにしろ、国際間の緊張をできるだけ緩和して、そして世界平和の維持に努めて、世界の情勢を安定させていくという努力は、これはいつの時代でも払わなければならぬ問題であろうと思うのでありまして、従いまして、今回小坂新外相がニューヨークにおもむかれて、そして国連の総会に出席されるという、そういう機会におきましても、世界緊張緩和の上にできるだけの努力を払っていただきたいということを、私からも希望を申し上げる次第でございます。  同時にまた、政治上のそういう大きな諸問題とともに、経済上の問題につきましても、日本は十分注意を払い、日本の利益を擁護していくというばかりでなく、それをきっかけとして国際平和の維持のために貢献するというような努力も払わなければならぬと思うのでありまして、この問題につきましては、先ほど来各委員からいろいろ御意見がございました。最初に、鹿島委員からるる経済問題についての意見が述べられたのでありまして、私自身も、同委員の述べられました御意見に対しましては、心から賛意を表するものでございます。とかく国際情勢の緊迫ということに気を取られてしまいまして、経済上の問題は二の次になるというような傾きが過去にもあったのでありまして、それではやはりいけないのであって、国際政治上の緊迫を解消する、緩和するという努力が払われると同時に、経済問題についてもできるだけの努力を払い、これによって国際関係の緩和をはかるということも忘れてはならない問題でなかろうかと思うのでございます。同時にまた、日本の外交方針の根本義は国連憲章の尊重でありますということは、これはまた当然の話でなければならぬと思うのでありまして、平和条約の冒頭に、日本は国連に加盟をするという約束をし、かつまた、国連憲章の原則をあらゆる場合に尊重するということも誓っておるのでありまして、現に四年前に日本は国連に加盟をし、かつまた、その平和条約に日本は忠実であり、そして国連憲章の原則をどこまでも尊重して参ったのであります。そういう意味におきまして、私は、日本の国策の根本が国連憲章の尊重にあるというべきであり、また現にその通りであったと思うでありまして、これは、今後もむろん条約に忠実なる以上は、その方針に微動だも来たしてはならないと感ずるものでありまするが、さて国際連合の総会にお臨みになりまして、すぐ外相が感じられますることは、新興国の非常な勢いでもって頭を持ち上げつつあるという、その情勢であろうかと思うのであります。日本が加盟いたしましたのは、四年前、その当時は、日本はたしか八十番目の加盟国でありました。その後アフリカに新しい国が続々と生まれまして、現在は八十二カ国の参加国でありまするが、何でも本年一ぱいには、それが百カ国になるという話でございます。日本加盟当時のアジア・アフリカ・グループは、たしか二十七カ国であったかと記憶しております。本年末になりまするならば、それが何と三十七カ国になるという勘定であるそうでございまして、正確な数字は承知しておりませんが、大体その見当だと思うのです。現在におきましても、すでに国連総会においては、A・Aグループは三分の一つの勢力を持っている。年末になりまするならば、三分の一を超過するということになりましょうし、これは、国連としましても非常に大きなできごとでなければならぬと思います。三分の一の勢力を持った一つのグループがかりに極端な方向に突っ走ってしまう、あるいは世界平和の維持の上において、間違った方向に突進してしまうというようなことがありましたならば、これは世界平和の維持ということはとうていできないのでありまして、まさに第三次世界大戦を覚悟しなければならぬというほどの重要問題であろうかと思うのであります。  従いまして、この三十七カ国に及ばんとするA・Aグループの行動を適切に律していくということは、これが国連自身にとりましてはもちろんのこと、世界平和維持の上からいきましても、非常に大きな問題でなければならぬと思うので、そこに、日本がA・Aグループに加盟しているのでありまして、何も日本がそのA・Aグループの指導者になるなどという、そういったような野心を持つことは、これは私は禁物だと思うのでございますけれども、何と申しましても、A・Aグループの中では、日本が一番の先進国であり、明治維新の際あれほど大きな社会的、経済的、政治的な革新をやったその日本が、九十年の間に、今日のような各方面におきまして隆盛を見るに至りましたこの経験というものは、これは、A・Aグループのどこの国を探しましても、ほかにはございません。従いまして、そのグループの中で、日本が自然に重きをなすということは当然な話であります。でありますから、そういうような過去の経験を生かして、そうしてA・Aグループが間違った方向に突っ走らないように、日本も手伝いをするということは、これは当然な話でなければならぬと思うのでありまして、そういう点において、自然日本はそれらのグループの中で重きをなし得る地位にあるわけであります。こういう点に外務大臣がよく意を用いられまして、そうしてA・Aグループの人たちから信頼を博する日本にまでこの国を導いていく、そういうことができましたならば、これは、大きく申しまするならば、世界平和の上に非常な大きな貢献をするということになろうかと思うのであります。  幸いに外務大臣は、貴重な経済方面におきましての体験をお持ちでありまするし、また、世界の情勢にも意を配っておいでになるような大臣でありまするから、このたび国際連合総会においでになりましたならば、そういう点につきましても十分な御注意と努力をお払い下さるように、これは私のお願いかつ希望でございます。ただ単にお聞き取り置き下されば、それでけっこうであります。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 国連協会長として、国連につきまして非常な専門的な知識を持たれ、しかも、わが国における指導的な立場にあられる、外交上の大先輩である佐藤先生からいろいろ御意見を承りまして、傾聴いたしました。今後またおりに触れまして、御示教をいただきますようお願いいたします。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 私は大臣に、対ソ外交について若干お尋ねしたいと思います。  前内閣から現内閣にわたりまして、対ソ外交の方針が一つの進展を示しておるもののように感じております。つまり、モスコーにおける日本品の見本市の開催に対する両国の同意及び実行、さらにまた近くは、さらにこれに加えて、シべリアの地方においても、これよりもやや規模を小さくした見本市を開催するような構想についてもいろいろと論議せられ、話し合いが進んでいるように承ります。さらにまた、シベリアの地方の開発についても、日本の協力をも期待している。あるいはまた、日本からも、いろいろな商品をも受け入れようというような一つの傾向も見えている。逐次そうした工合に、日ソの間の国交の窓が開かれてから親善の傾向があって、従来とは変わってきている、私どもはこういう工合に考えるのでありますが、こういう方面における経済外交を、どう一体新外相がソ連との間に進めておいでになろうとするのか。この点についてまず伺いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) モスコーにおきまする見本市が非常に好評であったということは、喜ばしいことと存じております。やはり国と国との間ができるだけ親密になって参りまするためには、経済的な交流ということが活発に行なわれることが最も望ましいかと思うのでありまして、そういう意味で喜ぶべきことと思っております。まあ一つのエピソードみたいなことでありまするけれども、仕掛け花火を持っていったわけですが、天気が悪くて、うまくつかなかった。これは、富士山の仕掛け花火をやっておったが、雨が降っておるので、完全に燃焼しないで、雲になったそうですね。ところが、あるソ連の高官が、あの雲はアメリカだ、それが日本の姿を隠しておるということを言ったが、いや、あれはソ連だ、ソ連が真の日本の姿を見ておらぬのだと言って応酬して、非常に和気あいあいと話をしたということを承っておりますが、そういうような気持で、わだかまりなく経済的なつき合いをしていったらいいのじゃないかと思っております。ただ、家庭の事情になるたけ干渉しないようにお互いにやっていくということが、よいつき合いの道ではないかと心得ております。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 今のような心組みで、国交が次第に緩和され、あるいはまた進展していくということは、その態度はけっこうなことだと思います。困難な北洋漁業の問題においても、常に話し合いということによって、科学的な調査をもととして、双方の問題が逐次満足的に進展するような方向へ行くということも、やはり今いったようなことで、これはむずかしい問題を解決していく道ではないかと思っておりますので、こういうふうな方法を進めていきたいとは思うのでありますが、それにしても、今残っております問題は、何としても領土の問題で、先ほど来大臣が言明しておられますように、南千島における領土権は、これは潜在主権という言葉を用いられましたが、潜在主権ではなくて、当然これは日本の領土である。ただ戦争に引き続く軍事占領が行なわれているにすぎないので、完全なこれは日本の領土であると私どもは信じております。それは、先ほどのフルシチョフの言葉を引用して、反論のような意味での理論的な表明がございましたけれども、私ども、もっと根本として、一体領土の割譲ということは、当事国の両国が条約においてこれを決定すること以外には成り立たないものだと、明確に私どもはそう思っている。ただ戦争によってそれが占領されておるということによって領土権というものは動くものではないのだ、こういう工合に私どもは考えておる。にもかかわらず、ソ連が一方的に強引に、これを自分の領土としておるということは、これは、武力をもって道理をじゅうりんしてはばからないということにしか私どもは考えられない。ですから、もっと根本的にこの問題を掘り下げて、明確にする必要があると思うのであります。さらにまた、向こうが主張しますヤルタ秘密協定というのは、一体今まで日本の政府は認めておらぬ。これを新大臣は同じ態度でいるのか。この根本がはっきりしていることによって——従来いろいろと政治的な外交の具に供されているような領土権の帰属に関する問題はありますけれども、根本的に、やはり理論的に、これは国際法的にゆるがない確信を持っているのだという態度を私どもは持っているのでありますが、外務大臣のこの点に関する明確な御所信を伺いたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この問題につきましては、笹森委員御指摘の通り、私どもは前内閣の方針同様に考えております。これは、衆議院でもお答えしたことでございますけれども、北方領土、ことに南千島の帰属につきましては、何か停止条件付で日本のものに認めるというようなことは、筋としてはおかしいのでありまして、われわれの側から見れば、これは無条件にわが領土であるという主張を堅持しているということを私は考えております。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 そこで問題が起ってくるのでありますが、その日本の固有の領土においては、日本人がそれぞれ土地の所有権を持っておったわけであります。この所有権が、戦後全くこの軍事占領によって利用が阻止せられておる。類似の問題があるいは小笠原等においても起こっておって、この土地の個人的な所有に関する補償の問題が今大きく浮かび上がってきていることは、後存じの通りであります。ところが、北方領土の個人の土地所有に関しまして、一体外務省がいかなる保護の方法を今までとってきたか、全くこれはなおざりにしておったのか、その点をまず明確にしてもらいたいと思います。

高橋通敏外務省条約局長

○説明員(高橋通敏君) ただいまの御指摘の点でございまするが、補償の問題云々ということもございまするが、北方領土の問題は、御指摘の通り、最終的には平和条約によって決定されるということになるわけでございます。もちろん、われわれの主張といたしましては、御指摘の通り、そういう主張でございますけれども、この最終的帰属は、平和条約によってその土地の最終的決定がなされるというのが現在の、御承知の通り、日ソ協同宣言の内容である、こういうふうに考えております。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 私のお尋ねしておりますのはその問題ではなくて、そういう工合に、今まで長い間所有権の利用が阻止されておる、非常な損害を受けておるわけでありますが、その損害を受けていることに対して、日本の政府が何ら措置しておらぬじゃないかということに対して、土地所有者のいろいろな苦痛を訴えられておる。これに対して何らか措置したか、またそういうふうな方法をとったか。それとも、ただそれをなおざりにしておったか。それを明確にしろ、こういうことでございます。

石井通則総理府特別地域連絡局長

○説明員(石井通則君) 北方地域の元居住者の人たちから、土地あるいはまた漁業権の補償的な措置をやってくれというような要望が出ておりまして、総理府におきまして現在いろいろ検討いたしております。まだ金額をどの程度にするかということについて、若干いろいろな関係の方面との意見がまだまとまっておりませんので、早急に検討いたしまして、補償ということはなかなかむずかしいかもしれませんが、何らかの見舞金の支給というような方法を講じたいというようなことで、目下検討をいたしておるような状況でございます。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 ずいぶん慎重に検討されていると見えて、戦争を終わって十数年、今日まで検討しておるということでありまするから、さぞかし完全なものがおできなさるでありましょう。しかし、この補償は一体どっちがすべきか。小笠原等においては、現に行政権を持っておる米国が、国会の決議によって、予算を決定して支出しようという状況にある。日本においては、ソ連に対してそういうような交渉をしたかしないか。あるいはまた、日本の政府だけが、敗戦の結果であるから、やむを得ず日本の国力によって財政的な措置をするというのか、この根本の問題があると思いますから、これは一つ外務大臣からお答えを願います。

金山政英外務省欧亜局長

○説明員(金山政英君) 御承知のように、アメリカとの関係におきましては、行政権をアメリカに譲渡する合意ができております。ところが、ソ連は、歯舞、色丹は別にいたしまして、択捉、国後につきましては、これは自分の領土であるということを主張しているのでありまして、補償を要求するという段階には非常に飛び離れた形にあります。従いまして、先ほど条約局長も申しましたように、結局ソ連との平和条約締結のときに、この問題が最終的に解決される、かように考えておりますので、外務省といたしましては、補償の問題に関してソ連と交渉をした経緯はございません。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 その外務省の説明は、私は納得ができるわけであります。そこで、今の総理府の方の関係官からのお話になるわけでありますが、その間十数年、あるいはまた何年続くかわからぬが、平和条約を締結するのに、領土の問題が非常な至難な問題として、今でもガンになっている。しかし、その間に、年々その島の居住者の困難というものが引き続きあるのだ。従って、その問題は早急に取り運ばなければならぬ。そこで、この際具体的にお尋ねをしたいのでありますが、たとえば、この色丹島における居住者が、その当時の日本の政府の指導によって、戸籍を北海道あるいはその他の本島に集籍している。しかし、これが非常にみんなの損害のことが予想せられて、将来最終の帰属がきまるというときにおいて明確に主張し得るように、その本籍をもとのところに回復したいという要望が非常に大きい。従って、四月五日の外務委員会においても、この戸籍をもとの島に戻すということのために、根室における法務省の出張所においてこれを取り扱うことができるような方法をすべきだということが問題になったときに、大体そのときの委員会の空気は、そういう工合に一つ検討しましょうということであったが、その後この問題がなお切実に、今度の小笠原の土地所有者のこういう主張に反映して、一そう強くこの問題が言われておる。ところが、伝えられるところによると、何らそういうことをしても利益がないからということで、これをうっちゃっておるような状況にも私どもは聞いておる。しかし、これは非常に島民の利益を無視したものであり、日本国民の権利をじゅうりんするものであると考えられる。こういう意味で、一体戸籍をもとのところに移すという問題について、これは早急に実現さるべきものであると思うが、これは問題はこまかいようでありますけれども、重要な問題でありまするので、この問題について政府の今までとっておる態度についての解明を願いたいと思います。

石井通則総理府特別地域連絡局長

○説明員(石井通則君) もとの南千島、歯舞、色丹の居住者は、法務省の通牒によりまして、一応引き揚げた場所に新しく集籍するように指導されておるわけでございまして、それに関しまして、もとの島に戸籍をまた新たに作ることができないかという要望があることは聞いております。これにつきましては、法務省におきましても検討してもらっておるわけでございまして、まだしかし、結論がどういうふうになったかということは聞いておりません。

笹森順造自由民主党

○笹森順造君 これは、法務省と関係の内閣の機関とにおいて至急この問題を取り運んで、いつまでも長くそのままにしておかないように、私の方から要望を加えておきます。  さらにもう一つだけお尋ねしておきますが、日本は、今大臣の言われたように、南千島に対する領土権というものは不動の態度においてそう規定してあるいはまた、ソ連が占領しております場所等においても、領海は三マイルと日本の方で主張しておるにもかかわらず、その領海外と考えられる所における北海地方の漁民の操業が、依然として、安全操業が妨げられておるという状況にある。従って、このことを数年来熱心に外務省において交渉しておるのであるが、昨年以後において現在まで、この、安全操業についてどういうような交渉をして、現段階においてはどいう工合になっておるか。またどういうことを考ておるのか。先ほど来話しておりますように、経済外交が話し合いによってだんだんに緩和されてきておる。この問題だけが北海道方面の北方漁業者を非常に困難にしておるということを考えまして、ことに、日本の政府がこの安全操業に関して現在までとって参りました実際のこの点についての報告をこの際に明らかにしていただきたいと思います。

金山政英外務省欧亜局長

○説明員(金山政英君) 北海道近海における安全操業の問題につきましては、すでに数年来ソ連との間に交渉いたしておることは、御承知の通りであります。わが方の主張といたしましては、ソ連と日本との領海に関する意見の相違、あるいは領土問題に関する意見の相違をたな上げにいたしまして、この切実な北海道近海の安全操業の問題を解決いたしたいという希望を先方に述べておりますが、ソ連としては、これを領土問題にからめて、現在まで非常に無理解な態度を持しておることは、御承知の通りであります。その後も、北海道近海における漁船の拿捕事件が跡を断ちませんので、そのような問題に関連いたしまして、ソ連の態度が一応従来のまま非常にかたいものであることは、わが方としては承知しておりますが、この漁船の拿捕問題等に関連して、その後もしばしばソ連側にこの問題の具体的な実際的な解決について申し入れておりますが、先方から一向に好意的な態度が見られないのが現状でございます。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 小坂外務大臣が就任されまして、今後新しい方針でおやりになるというので、いろいろそれぞれ違った立場から関心を持たれておるのでありますが、根本的には、就任早々でございますから、今後あらためて、機会を得てお尋ねいたしたいと思いますが、今ちょっと曾禰委員が質問をされましたのに関連いたしまして、ちょっと気になることがありますから、二つばかりお尋ねいたしておきます。  その一つは、領土問題に関連しまして、最近鈴木さんが向こうに行って、その結果、ソ連側が、南千島も安保条約をなくすれば返すというようなことを言ったと、それに関連して、外務大臣は、そういうことを言うことは、理論的に言えば、ソ連は潜在主権があるということを認めているのだ、こういうことをおっしゃる。私は、何もあげ足を取るわけじゃありませんけれども、領土問題はそういう考え方では今後解決しないんじゃないか。また、外務大臣が一般の外交問題を、そういう理論的に言えばと言いながらあげ足を取るような考え方で処理しようとされておるということでは、今後小坂外交というものの将来は、非常に私は危惧の念をもってみなければならぬと思うのです。潜在主権があるとかないとかということを別にしても、今ソ連は、これは自分の領土だと思って自分は主張しておる。しかし、今までの経過から考えて、日本に適当なときに返すということはあり得るのです。そういうことは、潜在主権ありと認めたのだというような発言は、非常にこまかい、小さいような問題のようですけれども、小坂外務大臣が今非常に低姿勢でやっておられる、必要以上に低姿勢のようにも思うのですが、それは、池田内閣が低姿勢であるのと同じに、どうもつけ焼刃のような気がする。その一端が、今の非常にささやかのようであるけれども、場合によれば、これはやくざが因縁をつけるような態度じゃないかと思うのです。私はこれ以上言いませんが、あなたは、いかにも理論的に言えばなどとおっしゃったけれども、何か小坂外交の本体を見たような気がいたしまして、あなたのために非常に悲しんで申し上げる。御答弁があれば承りますけれども。それからもう一つは、これは曾禰さんもおっしゃいましたけれども、やはり領土問題に関連して、ソ連が今度言ったことは、安保条約に関連して、南千島の帰属の問題について言ったことは、外務省は、これは内政干渉である、こういうような発表をされておる。あなたも大体そういうようなことをおっしゃった。ところが、私は、こういうことを言うのは、何も内政干渉ではないと思うのです。外交上いろいろの自分の国のこれは国防に関する重大な問題ですから、こういうことを言うのは当然であるかどうか知らないけれども、一つの手段じゃないかと思うのです。こういうことが内政干渉であるというようなことで、日本はかりに主張しなければならぬようなことでも主張しないということになれば、これは大へんなことじゃないかと思います。小坂外交の低姿勢というのは、今後そういう主張すべきことを主張しないということなのかどうか。これは何も私は内政干渉ではないと思います。あなたは内政干渉だと思われますかどうか。お尋ねします。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) どうも御質問の意味が、私はっきり理解しがたいところがあるのですが、私の受け取った点でお答えいたしたいと思います。  お互いに、私どもの党も、社会党におかれましても、北方領土の問題については、意見が一致しておると思います。そうしてわが方といたしましては、正当な領土の帰属を主張して今日に至っておるわけであります。その立場で私いろいろ考えておるのであります。やくざがものを言っているとおっしゃいましたけれども、そんなようなつもりは毛頭ないので、これはやはりどういうふうに考えるかは、人の受け取り方でございますけれども、やはりどうか物事をフラットにお考え願いまして、小坂が言ったのだから特別のことだというようにお考えになりませんで、平明に考えて、お互いに国のために建設的に考えてやっていただきますようにお願いいたします。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 それから、ソ連の領土問題に関する今回の提案が内政干渉であるということを強く外務省は言われておるのですけれども、あなたも先ほどそういうような意味を言われました。私は、そんなことはちっとも内政干渉でも何でもないと思います。ソ連としては当然の主張を、自分の重大な国防に関係する問題ですから、言うんじゃないかと思うのです。そういうことを一々内政干渉であるとか何とか言うよりも、むしろ、それが不当であれば、正々と抗議するとか何とかやったらいいじゃないか。そういうことはやらないで、それは内政干渉であるなどと言って、ぶつぶつ言っているのは、それこそあなた、今、日本国民が終戦後どうも少しコンプレックスになっているのじゃないかと言われたが、それこそ外務省がコンプレックスであって、外務大臣はその最たるものじゃないかと思う。何もあなた、国のためを思ってとか何とか言うが、われわれみなそう思っているのですから、そんなことをおっしゃらなくても、あなた方と同じ立場に立ってやっているのです。何もあなたに言いがかりをつけようとか何とか思ってやっているのではないのですから、あなたの方でよほど何かこだわって言っておられるのじゃないか。私の質問に平明に答えていただけばいいので、ちっとも答えてないじゃないですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) じゃあ、お気にさわったら低姿勢で行きますから、御了承願いたいと思います。私もお話があったから申し上げたのであります。内政干渉問題は、私は実はそういう言葉を使った覚えはありませんのでさっき申し上げたのは、われわれは領土問題というのは無条件で一切を……条件をつけて、それならこうという問題じゃないのじゃないかということを言っているつもりであります。これも平明に御了承願いたいと思います。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 大臣は直接おっしゃらなかったけれども、外務省は、官房長の発表で、大きく新聞にそういうふうに出ているのです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 外務省はそういうことは言っておりません。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 あれは官房長官ですか。それじゃ官房長官が言っているのですが、外務大臣はどうですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 外務省は申しておりませんから……。

小林孝平日本社会党

○小林孝平君 官房長官、内閣はそういうことを言っているのですが、外務大臣はそれではそう思うかどうか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えいたしますが、私は、さっき申し上げましたように、この問題については、これは、とにかく鈴木さんがまだ国にお帰りになっていらっしゃらないのですから、御本人から伺ってみないと、実際どういう事情であるかわかりませんし、非常に微妙な関係にある問題だと思います。そこで、外務省といたしましては、一切コメントいたしませんということを先ほど曾祢委員にお答えいたしました。それだけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 すでにほとんどあらゆる問題が論じ尽くされた感がありますし、時間もあまりありませんので、ただ二、三の点について簡単に御質問したいと思います。  一つは、日韓関係で、大臣の先ほどの所信あるいはそれに続くいろいろ大会員との間の御質疑によると、日韓関係の正常化ということに非常な意義と必要性を求めている。これを何とかしなければならぬ。こういうことを主張されたのですが、一体外務大臣は、そり日韓関係の正常化ということの内容をどういうふうにお考えになっているか。その点が実は先ほどの御説明その他ではっきりわからない。と申し上げますのは、先ほどのお話あるいは質疑応答の中で、今度外務大臣が韓国にいらっしゃるのは、単なる慶祝使節として行かれるのだ、これは日韓関係打開の糸口として考えているのだ、こういうふうなお話であるわけです。ところが、これに対して、新聞の伝えるところによると、韓国側は外相会談を非常に希望している。何らかこの会談において、日韓関係の正常化の基本的な方針等をいろいろ論議したい、こういうふうな意向じゃないかと思われます。一体、今度外務大臣がいらっやる場合には、こういう意味での外相会談ということになるのかどうか。先ほどのお話によると、鄭外務部長官との会談を非常に重要視しておられる。あるいはこういうことになるのではないかとも思いますが、いや、そうでなくて、それは今度はやらないのだというお話なのか。なお、そうだとすれば、その外相会談というものを今後どういうふうに展開をするか。どういう時期に、あるいはどういう場所でやるというようなふうにお考えになっているのか。さらに、それと、諸懸案を解決する日韓会談なるものと、今の外相会談というようなものをどういう関係として考えていらっしゃるのか。単に慶祝使節で、外相会談でないというのならば、必ずしも私は、今急ぎ歩いて、外務大臣自身がお出かけになる必要は毛頭ないので、もっと一般的に、国民代表という形で、あるいは党の代表者というような方が向こうに出られて、一般的な親善使節の役割を果たしてきて、そうして今言われたような雰囲気なり空気を作って、その後に外務大臣が行かれて、外相会談なり何なりに臨むとかなんとかということが順序ではないか。そこいらがどうも外務大臣の言動、行動等に関連してはっきりしませんが、その点を一つ明僚に御説明を願いたい。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げますが、私は、韓国へ参りまして、尹新大統領、それから張勉新国務相、それから鄭新外務部長官に、それぞれ個別にごあいさつする予定を立てておりますが、しかし、これはあくまで親善的な雰囲気をかもすというのが主たる目的でございまして、いわゆる外相会談という形のものではなかろうかと考えております。いろいろ佐多委員の御示唆がありましたように、私はいろいろな方法が実はあると思っております。しかし、何と申しましても、日韓両国は非常に地理的にも近いのでありますし、非常に本来親善関係にあるべきものが、過去不幸な状況にあったということで、何か親善の糸口をどういう形でほぐしたらいいかということをいろいろ考えてみますと、やはり政府の外交担当者を迎えることが最もそれにはよいと思われるのではないかという諸般の判断がございましたので、まあ私でお役に立つことならば行こうかということになったわけであります。  私は、外交のやり方としまして、これは一般論で申し上げますわけですが、サミット・コンファレンスが非常にうまくいきます場合はいいのであります。しかしそれは、それをするまでに相当の地ならしが要ると思うのです。それなしでいきなりしまして、かりにそれがうまくいかなかった場合、かえって悪くなるということも考えられますのでありますから、私は、そのスモール・サミットでも、やはりそういうことを考えます場合には、それ相応の準備が要るかと思っております。しかし、そうした諸懸案が山積しているこの両国の間でございまするし、外交関係がまだないわけでありますから、そういう場合に、民間使節ということもいいのでありますけれども、やはり政府の方の担当者が行くということが、ほんとうにこちらの親善の意図を端的に表わすことになるのではないか、こういうことでございましたので、実は意見もいろいろあったのでございますけれども、そうきめまして、一つできるだけ努力をしてみたい、こういう気持でございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その日韓関係の正常化ということは、どういう内容を考えておられますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 要するに、サンフランシスコの講和条約で、朝鮮の独立ということは認めておるわけですが、その後統一的な朝鮮の政府というものが、国連の決議によって、作られることが望ましいということになりましたが、韓国の方でその選挙をやりまして、大韓民国という政府ができたのですね。ところが、北鮮の側におきましても、事実上の地域的な支配権、地域的な支配をする政権というものができているわけであります。そこで、国としましては、やはり一国について一つの政権というものを対象にしなければならぬわけでございます。私は、韓国と外交関係を持つということが、何もいわゆる南北間の緊張を増すということにはならないというふうに思うのでございます。今の状態でそれじゃいいかというと、いろいろな意見がありますけれども、今の状態でいいかというと、これでいいと思う人はだれもないのじゃないかと思うのであります。そういうことで、まあとにかく、何といいましても、日本に対するところのいろいろな過去のいきさつというものがございますので、そうした気分をほぐすということがまずもって必要だということで行って参るのであります。多少でもこれがお役に立つならばと思っていますが、えらい気負っているようなわけではもちろんないわけであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 日韓関係の友好を促進する、それに積極的な態度をとる、そのために、まずそういう糸口を作る慶祝使節を派遣をすることの必要、そういうことについては、もちろん私たちも同感であり、賛成であります。問題は、今おっしゃったように、それは外相会談なり何なりではないのだというようなお気持だと、向こうに行かれたときに、少なくとも、われわれが新聞で拝見をすると、向こうの意向と相当意向が食い違ってくるのじゃないかという懸念も持つのであります。同時に、どうも日韓関係の正常化で何をお考えになっているかという質問に対してのお答えから、すると、どうも、あらわには言われないけれども、私は、やっぱり韓国を唯一正統政府として認めて、国交を回復するというような方向に進まれるのじゃないか。また、向こうでは、韓国側はそれを非常に強く希望すると思う。そういう場合に、こっちで非常に明確な態度なり何なりを持っていらっしゃらないと、そこはずるずるとそういう方向になるのじゃないか。どうも外務大臣自身は、それでいいのだ、そういう方向だというふうに考えておられるのじゃないかという懸念を持つのですが、私は、そうなると、非常に外務大臣は弁解はしておられましたけれども、南北朝鮮の対立をむしろ激化することになる、ということは、南北朝鮮が分裂をしておるという現実を無視してしまって、現実に即さないような形で、韓国だけを唯一の正統政府として認めて、国交回復するということになりかねない。そういうことになれば、これは韓国の鄭外務部長官もあなたとの会談にきっと出すのじゃないかと思いますが、外交原則として、七項目の外交原則の一つとして、NEATOを結成をするということを非常に希望をし、考えているのだということを発表していたように記憶する。従って、もし韓国を唯一正統政府として承認をし、そういう考え方で国交回復をし、それが日韓関係の正常化だというようなことになれば、それは、さらに進んでは、NAETOの結成に進まざるを得ないということになるのじゃないか。こうなれば、対立を激化するということがいよいよ現実的な問題になって、対立を激化するどころか、むしろわれわれが恐れておる戦争の危機をさらに激発をしていくという結果にならないとも限らないし、これは、日本の憲法自身にも違反する行為にもなることは非常に明瞭なんじゃないか。そういう動きも十分にお考えになって国交正常化を考えておられるのかどうか。私は、やはり日韓の国交の正常化ということでなしに、朝鮮との国交の正常化という建前で問題をお進めになることがしかるべきなんじゃないか、ということは、申し上げるまでもなく、南北朝鮮に今現実に分裂しておるけれども、この両鮮が平和的に統一をしなければならぬという民族的な念願は非常に強いと思うのです。ことに北の側は、さらにそれを積極的に推進をするために、この間の八月十五日の解放記念日には具体的な提案をしたようですが、南の方も李承晩大統領のときには、これは全然一顧だもされなかったし、さらには、軍事的な武力による統一ということまで非常に積極的に望んでいたと思うのですけれども、しかし、新内閣になってからは、やはり南北鮮の統一を自由選挙を通じて統一をということは、大命題として掲げているというふうに考える。そうなれば、やはり新政権のもと、南北統一という問題は、非常に強い希望なり念願になって出てきたし、ことにこれは、現在政権を持っている人たち以上に、韓国の一般大衆はそれを望んでいるんじゃないか。現在のいろいろな経済的な実情その他から考えて、どうしても両鮮は統一をしなければならぬという念願なり希望は、韓国の政府当局者以上に非常に強いものが盛り上がっている。そういう時期、そういう段階でありますから、韓国との国交正常化ということをさっき言ったような方向でおやりになり、NEATOへ進めるということになれば、非常に危険だから、それをちゃんとお考えになって乗り込んでいらっしゃるのかどうか。そこいらも、とくと外相の決意のほどを聞きたい点なんです。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) NEATOの問題につきましては、これは衆議院でもお答えしたのですが、わが国の憲法九条の点が明確でございますから、これは、わが国自体として、そういうものに参加できない、また参加しないということは、これは明瞭に申し上げてございます。ただ、先方とこういう長い間のいろいろな関係があったあとで、とにかく気分をなおそうということで行きまする前に、おれはこういうところまでは言うが、こういうところはいかぬとか、こういう問題はどうこう、あまり言いますと、これは初めからぶちこわしになってしまって、何もできぬということをおそれまするので、これは一つ、ほんとうに親善友好を深めるのだ、お前行ってこいというようにお考え願えれば、大へん私はありがたいと思うのであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 ただ、私が先ほど言ったような懸念を非常に抱くから、特に韓国を唯一正統政府として認めるという形での国交正常化をおやりになる、それは日本としてはとるべき態度じゃないんじゃないかということを非常に考えますがゆえに、これは、あるいはあなたとわれわれとは意見が違うかもしれませんが、そこいらはしかし、もっと国民にはっきりさして、そして決意のほどを披瀝されることが、さっきあなたの言われた、国民に納得のいく外交をするんだというゆえんでもあると思うのです。それから、もしそういうことに全然触れないんだというなれば、先ほども申しましたように、今の時期、段階に、外務大臣自身がお出かけになることは、非常に妥当性を欠くものだということにもなりかねない。その点、どういうようにお考えになりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 一つの国に法的に二つの政府を認めがたいということは、これは国際法上の原則でございまして、現在の状況を申し上げますと、御承知と思いますけれども、自由諸国三十五カ国が韓国を、それからソ連圏の十一カ国が北鮮を、それぞれ朝鮮の代表政府として認めておるのであります。従って、自由諸国としてのわれわれは韓国を認めるということになると思います。しかし、それだからといって、この両国の緊張が増すということは私はないと思う。なぜといえば、すでに現実に三十五カ国は韓国を認め、十一カ国は北鮮を正統政府として認めておって、その現状のもとに国の生成発展という営みが行なわれているのであります。私は、そこまで考えることはないんじゃないかと思います。ただ、お話の中にあったように、南北の両朝鮮が、韓国と北鮮が一つになろうと、こういう民衆の要望がそういうことでございますれば、これは、韓国なり北鮮なり自身の判断すべきことでございまして、われわれは、そうならなきゃどうというような条件を付する問題でもないと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 今、自由陣営三十数カ国がすでに認めているというお話ですが、これは、例の朝鮮事変の直後一、二年の間の事態で承認その他が行なわれたのかと思いますが、そのときと現在の事態では、先ほど言ったように、非常に事情が違ってきているということをやはり十分にとくとお考えになって、今直ちに、三十五カ国がそうしているから、自分たちもそれにならうんだという態度はおとりにならない方がいいのじゃないかというのが私たちの意見です。しかし、これは意見の相違になるかと思いますので、これ以上はあれしませんが、ただ、私たちは、意見、希望としては、従って、早急に韓国との間にそういう関係を確立をされるということには、十分もう一ぺん検討をし、考えていただきたいということと、同時に、北鮮側との間においてもいろいろな友好関係を増進をするということは、南の方に劣らず、同時に並行的にお進めになることが妥当ではないかと思うし、従って、特に北鮮との関係においては、たとえば貿易その他も、北鮮側から非常にこれを希望をしておるようですから、直接貿易なり何なりの道を開いて、こちらとの友好関係なり親善関係も同時に並行的に進めていくということも、十分にお考えになってしかるべき点じゃないか、こういうふうに思いますが、それらの点、どういうふうに考えておられますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 非常に微妙な点でございますので、私から申し上げますのはいかがかと思うんですけれども、今の状態で、それじゃ北鮮との間に何したらどうなるかというと、もっと悪いと思います。そこで、やはり私は、このステップをとることの方が、今の御趣旨にも将来の問題として沿うゆえんじゃないかというように考えておりますから、どうぞよろしく……。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その点はどうも意見が違って、まあ意見の相違になりますから、これ以上申し上げませんが、もう一つちょっとお聞きしておきますが、今新潟でやっております両赤十字の会談の問題ですね。あれで、新聞通信の問題で、新聞電報ですかの問題で、いろいろ問題がもめているようですが、どうもあのいきさつをわれわれが新聞から承知しているところによると、本来人道的な問題として解決すべき問題を、政治的な配慮その他をからませて、問題がこんがらがっているのじゃないか。しかも、そのからませ方が、どうも赤十字両方の間の問題でなくて、それに外務省が介在して、外務省の方からそういう政治的な配慮がなされたために、問題がこんがらがっているのじゃないかというような感じを持つんですが、それらの点はもう少しさらっと、そうでなしに、そういう政治的な配慮を除いて、純粋に人道的な問題として、しかも北鮮側も新聞代表でないことは認めておるので、随員として認めているのでしょうが、随員としてただ新聞電報を打つ、その他のことは新聞記者に準じてそれを許してやるというような、すらっとした、政治的な配慮を抜きにして、純粋に人道的な問題として問題を解決することができないのかどうか、むしろそうさるべきじゃないかと思うんですが、その点、どういうふうに考えられますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどの問題で、三十五カ国、十一カ国の問題は、毎年国連でかような決議をしているそうであります。  それから、今の北鮮帰還の交渉の問題でございますが、これは私は、政府がなるたけ出ない方がいい、赤十字社同士でやるのがいいという立場に立っておりまするので、政治的に出ないということがこの事柄の性格上適当と思って、実は何も世話をやいておらないので、従って、事務的な立場からとういう解釈をしているのか、担当局長から答弁させます。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○説明員(伊関佑二郎君) ただいま問題になっております、北鮮から赤十字の随員として来ております二人の新聞記者出身の人が新聞電報を打てるかどうかという問題は、人道問題でもなく政治問題でもない。これはもう法律上の問題であります。記者の資格のない者は打てないというのが国内法のきめているところであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それは、大体国際的な慣習からいうと、通信社なり何なりに委託を受けた場合には、新聞記者に準じて電報を打たせるとか何とかいうようなことが国際的な慣例になっているんじゃないですか。その点はどういうふうにお考えになりますか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○説明員(伊関佑二郎君) 慣例といたしますか、国際電気通信条約と申しますか、要するにこれこれの者が行く、この者は新聞記者の資格を持っているから、よろしくお願いするという通報が日本の電電にございますと、その人に新聞電を打つ権利を認めるわけでありますが、今度入った人たちは、赤十字の随員という資格で入れておるわけであります。新聞記者という資格は法律上持てないわけであります。そこに矛盾があるわけであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それは、新聞記者ではなくて、随員として入ってきているのだが、しかし、そういう意味で、新聞記者として入ってきているんじゃないけれども、彼ら自身は、向こうの通信社から新聞電報を打つ委託を受けてきているわけですね、新聞社の。だから、そういう委託を受けた者として、新聞記者ではないけれども、そういう委託を受けた者として、それに準じて取り扱うというのは、国際法的な普通の慣例になっているように思うのですがね。従って、そういうことをいろいろと、ある意味では政治的な配慮だと思うのですが、そういうことにこだわらないで、もっと円滑に、スムースに問題を解決し、早く本来の会談を進めるように取り計らうべきだと思うし、そういう余地はないのかどうか。この点、一つ大臣の御意見を聞きたいと思います。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 伊関アジア局長から御答弁申し上げた通りで、これは、本来その国の政府が赤十字の問題に介入してはならぬというふうになっていると思います。従いまして、今御説明したように、随員が記者としての電報を打つということは、これは今の国際電気通信条約ですか、ということと背馳する。どうも事務的に赤十字間で考える場合、非常にむずかしいことのようであります。なお、それが何とかならぬのかと聞いてみたのです。実は、これは私のよけいなことなんですが、ところが、北鮮の方はその条約に入っておらぬのですね。ですからそれはできる、こっちはその条約に入っておるからできぬ、こういうことだそうでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 どうもそこらが、もっと会談を円滑に進めるならば何とかなりそうな気がするし、何とかすべきだと思いますが、なおその点は今後検討する、配属されることを希望をして次の問題に移ります。  日中貿易再開の問題ですが、どうも、いろいろお話を聞きましたが、まだはっきりしなくて、周恩来と鈴木君との会談の結果は、日中間の貿易はなるべく早く再開をしたいと、これが両国人民の利益にもなってきたし、願いでもある、こう周恩来は言っていると伝えられておりますが、この点は、わが国としても異論はないことであろうと思うのです。その場合に、政府間協定、それから民間契約、個別的な配慮という三方式、三段階をあらためて提示をしておりますが、その段階をどういうふうにとるか、その他いろいろ問題はあると思いますけれども、この三段階、三方式は、すでにさきに劉寧一首席が日本に参りましたときに、われわれと会談したときも、この問題を同じように提起をした。それらのことを考えると、中国側においては、とにかく日中の間に早く貿易を再開することがいいというふうに考えていることは疑いないし、そういう点では、これまでの態度に比較して、非常に弾力性のある態度をとってきたし、ある意味においては方針を変えたかと思う。そこで、そういうことを考えると、やはりこの際、日本の政府としても、小坂新外務大臣の外交方針としても、これまでのいわゆる静観主義というか、何というか、ほとんどそういうことを考えなかったのに比べてはもっと弾力性のある考え方をして、積極的にはやっぱり日中の貿易は再開をするのだ、そのためには、両国政府が友好的な関係を増進をする努力をしなければならないし、正常関係を樹立するという方向で努力をしなければならぬのだという態度は、少くともこの際おきめになることの方がいいんじゃないか。そしてそういうことを前提にして政府間協定を結ぶような空気を作り上げていかれるという、それがいつの段階、どういう方式でやるかということについては、もちろん日中の間にいろいろ意見の相違はあると思いますから、これらの点については、いろいろ今後話し合いを進めなければならないと思うが、とにかく方向としてはそういう方向を強く打ち出すということが時期としては非常に適正じゃないか、こういうふうに考えますが、この点について、大臣はどういうふうに考えておりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) この問題も、実は電報が入ったということでありまして、全貌が実は正式にわかっておる方もあるかもしれませんが、私ども政府の立場で、それを基礎にしてとかく言うことは時期でないと思っておりますので、とかくのコメントは御容赦を願いたいと思いますが、一般論として申し上げて、先ほど申し上げたように、双方の必要性というか、貿易というものを必要とする、こういう考え方で、どこの国とも、政治信条とかあるいは世界経済体制が異なるからといって、これを特別に考えることはないというふうなことで、お互いにお互いの立場を尊重して、そして内政不干渉、こういう原則でものを考えていったらよくないか、こういうふうに一般論として思っております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 経済的必要性があれば、それがおのずから解決をするだろうというお話ですが、日中の貿易関係という問題は、両国の地理的な位置からいっても、歴史的な関係からいっても、経済的な実情からいっても、その必要性は、もうだれもいなむことのできないくらいに明瞭な問題じゃないかと思う。そういう必要性、必然性があるにかかわらず、不幸にして日中両国の政治的な態度のために、これは必ずしも私は日本だけだとは言いません。中国側にもあると思うのですが、そういう政治的な態度のゆがめられた問題のために、その自然の姿がむしろ阻止されているというのが今の実情なんじゃないか。そこで、そういうふうに見てくれば、その経済的な、あるいは地理的な、あるいは歴史的な必然性をそのままに生かすためには、政治的なゆがみを解くことが必要なんで、その点については、少なくとも両国の友好関係は進めなければならない。いかに社会体制が違おうとも、考えが異なっていようとも、それはやらなければならない。少なくとも平和的な共存は進めなければならないという点においては、あなた方も異論はないことじゃないか。だから、その点をこの際むしろ率直に出されて、そういう方向を推進する、そういう方向に行くことを少なくとも妨げないというような配慮は積極的におやりになることが必要じゃないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。その点も、どうもアメリカに行く前だから、アメリカとの会談の前だから、そういうことを軽々に言えないと何とかというような配慮でなく、そこは、もっと独自に日本の外交方針なり外交政策としてお考えになり、決断をされることの方が、むしろ日米会談の場合にも自主独立の外交が貫かれるゆえんになるのじゃないか、こういうふうに考えますが、それらの点、どういうふうにお考えですか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 私の考えは、あまり経済問題に政治が前面に出るということはどうかという根本的な考え方を持っておる。経済問題は経済問題として処理され、政治というものは、むしろその間にできてきたひずみを直すというような立場で考えるのがいいのじゃないか、こういうふうに思っておりますので、あまり今政治的にこの問題をいろいろやることが、諸般の状況といいますか、この問題を将来扱う上に、どうもそういう、今佐多委員のおっしゃったような意味で全然なくて、電報一本ですぐ日本の政府がどうしたこうしたということにならぬ方がいいのじゃないかというふうに思っています。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その電報一本で簡単にという意味では、そういう慎重な態度をとられることについては、私もあえて反対をするものではありませんが、しかし、さっきからるる述べているように、両国の貿易、経済の必然性がむしろ政治によってゆがめられているのだ。これは、先ほどから申しているように、単に日本の態度からだけでなく、中国も同じような態度で、政治的にこれをゆがめていると私たちは思うのですが、そういう意味で、政治的なそういうゆがみを取りのけるということが必要だし、それから、先ほど申しておりますように、周恩来が突如として言ったことではなくて、最近の劉寧一その他の言動からも、また彼らがこちらに来たという事実等からも、そういう政治的なひずみはなるべく直していって、両国の貿易関係の再開を進めようという方向に弾力性を持ってきている、こういうふうに見てとっていいんじゃないか。そうだとすれば、やはりそれに関連するあらゆる検討と配慮と手の打ち方は積極的にやられるべきだし、ことに第二の民間契約の方式あたりでは、必ずしも政府間協定ができなくったって、民間契約は進められるんだし、大いに進むべきだというふうなことを非常に具体的にいたしてきておりますから、それらの点については、むしろ政府がそういう方向に進むことを阻止しないような形、あるいは積極的にそれを促進するような態度を示されることがこの際非常に必要なんじゃなかろうか、こう思うのですが、それらの点、どうお考えになりますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 相互の必要性というものが貿易を生んでいく、中共において日本の物がほしい、日本において中共の物がほしいといえば、そこに貿易が生まれていくわけだと思うのです。私は、それのことを先ほどから繰り返して言っております。それによっていろいろ御判断を願ったらよろしいと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それが政治的にゆがめられていると言うんです、さっきから言うのは。その政治的なゆがみをおとりになる態度なりお心がまえなりは、今やはりお持になる御決意があるか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) 政治的なゆがみというのは、佐多委員のおっしゃったように、中共の側にもある、日本側にもあるということであれば、双方でそれを直していくということです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 だから、そういう意味で、人をさらに派遣をして話し合いをするとか、あるいは場合によっては、政府間交渉へのいろいろ瀬踏みをするとかいうようなことを積極的におやりになってしかるべきじゃないかと思うのですが、そこらあたりの心がまえを……。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連して最後に、それで、必要が問題を解決していくことはわかるが、その場合に、条件がだんだん整った場合には、あえてその政府間協定というものはこばむわけではないのですか。問題が発展して、今外務大臣が言われたように、必要が問題を解決するという形で、まあそれが配慮物資なり業者間協定なりに積み上げていった場合に、必要が成長していった場合に、ことと次第によっては、あえて政府間協定というものもこばむわけではないというふうに解釈してよろしゅうございますか。

小坂善太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(小坂善太郎君) あまり先の先まで考えて原則論をどうこうと言うよりも、やはり実際の問題を深く研究して、国としてもあやまたず、全般が有利なように、諸般の情勢を考慮していくということで考えたいと思います。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑かなければ、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後一時七分散会

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