内閣委員会 第2号
- 発言数
- 70 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/07/29
会議録
○池田委員長 ただいまより会議を開きます。 この際一言ごあいさつ申し上げます。私が今回皆さんの御推挙によりまして内閣委員長の席を汚すことになりました。何分にも不なれでございますので、皆様の特段の御協力によりまして、この委員会の運営を円満にはかっていきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ————◇—————
○池田委員長 この際順次各長官のごあいさつを願いたいと思います。高橋行政管理庁長官。
○高橋国務大臣 ごあいさつを申し上げます。 今回行政管理庁長官を拝命いたしましたが、当委員会から今後特別なる御指導、御鞭撻をいただきまして、その職責を尽したいと考えております。 申し上げるまでもなく、行政管理庁のねらいとするところは、行政運営が国民生活から遊離しないような形において国の行政があり得るということをその念願としておるのでございます が、なかなかこれは言葉としては簡単でございますけれども、実際問題としては、あまりやり過ぎれば行政のじゃまになるし、やらなければまたこれは何をしているかということになりまして、その辺の呼吸はきわめてむずかしいことであります。しかしながらわが国の行政運営が必ずしも円滑にまだいってないということを、日常の生活を通じても痛感いたしておりますので、私といたしましてもその職責上、こうした行政運営の険路打開につきまして、渾身の努力を尽くしたいと考えるのでございます。それにはどうしても国会の皆さんから深い御理解とまた絶大なる御指導、御鞭撻をいただいて初めてこの行政目的が達成できると思うのでございます。私日を経るに従いまして、その職責のきわめて重いことを痛感しておるのでございますが、今後何分とも皆様方の格別なる御支援と御鞭撻を賜わりたいと存じます。一言ごあいさつを申し上げます。(拍手)
○池田委員長 続いて江崎国務大臣よりあいさつがございます。
○江崎国務大臣 このたび防衛庁の長官に任ぜられました江崎真澄でございます。事の重大を思いまするときに、いかにも微力でございまするが、皆様方の御支援によりまして大過なきを得たいと思っております。 そもそも国防の重要な仕事に任ずるわけでございまするが、戦後の防衛庁に対する国民的理解は必ずしも十分なものがあるとは思っておりません。将来にかけまして国民から信頼をせられる防衛庁にしていきたいと思っております。また国民から親しまれる自衛隊の育成に努めて参りたいと考えておるものでございます。皆様方のこの上ともの御協力、御理解をお願いいたしまして、一言就任のごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍子)
○池田委員長 次いで大平官房長官。
○大平説明員 今度内閣官房長官を拝命いたしました大平正芳であります。大へん微力でございますが、皆様の御指導と御鞭撻のもとに職務に精励いたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。(拍子)
○池田委員長 次に藤枝総理府総務長官。
○藤枝説明員 総務長官を拝命いたしました藤枝であります。当委員会の皆さん方には特別御厄介になると思いますので、何分よろしくお願いいたします。(拍子)
○池田委員長 外務大臣は本委員会の所管ではございませんけれども、何かと関連性を持ちます関係もあり、本日特に御出席願っておりますので、外務大臣から一言ごあいさつを願います。
○小坂国務大臣 このたび外務大臣を拝命いたしました小坂善太郎でございます。御承知のごとくはなはだ弱年、短才かつ微力でありますので、どうぞ皆さん方の御指導をいただきまして、この重要なる職務の大過なき遂行を期したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) ————◇—————
○池田委員長 次に国の防衛に関する件について調査を進めます。質疑を許します。飛鳥田一雄君。
○飛鳥田委員 きょうは休会中でもありますので、緊急な国民が焦眉の急として心配をいたしておりますことだけに限って一、二伺いたいと思います。そのまず第一は、先ごろソビエトの沿岸あるいは領海、こういうところで撃ち落とされたということで非常に問題になっておりますアメリカのRB47型の問題であります。このRB47型は日本の横田の基地にも駐屯しておるのではないか、あるいは横田の基地を中継基地として使っておるのではないか、こういう疑問が非常に濃いのであります。新聞も再々これをとらえて報道をいたしておりますので、この際外務大臣、さらには基地に関係のあります防衛長官の側から、日本にこのRB47型がいるのかいないのか、あるいはこれを中継基地として使っておるかどうか、この点について明確なお話を承りたいと思うのであります。どうぞ一つ御両者のうちよろしい方からでけっこうでありますから、お答えをいただきたいと思います。
○江崎国務大臣 飛鳥田委員のお尋ねの件でありまするが、米側からのはっきりした通報によりますれば、RB47は現在日本には全く配備されておらない、こういう通報を得ております。
○飛鳥田委員 私は配備という言葉を使って伺いませんでした。いるのかいないのか、あるいはさらには横田の基地を中継基地として使っておるのかどうか、こういうふうに伺ったので、配備をせられていないということは新聞等を通じてみましても公式に大体そうであろうと思われますので、その段を飛び越して伺ったはずですが、一つもう一度お願いいたします。
○江崎国務大臣 今申し上げた通り、配備されておらないわけでありますが、以前には日本に立ち寄ったこともあるというふうに私どもも聞いております。
○飛鳥田委員 以前にはということは、今はもういないという、日本に立ち寄らないということであるかどうか、さらには米軍の発表によりますと、このRB47型は戦略空軍に入っており、第五十五戦略偵察飛行連隊、こういうものに配属せられておる。そしてその第五十五戦略偵察飛行連隊の第二分遣隊が横田にある。こういうことを米軍当局が明確にせられておるわけなんです。この第二分遣隊、オぺレーティング・ロケーションというのだそうでありますが、これは飛行機を持っているのではなく、部隊だけがここに来ておって、ここに立ち寄るRB47型を検査し、整備し、補給をする、こういう役割を持ったものであります。言ってみれば整備隊でありましょう。こういうものが横田の基地に常駐している、こう明確に米軍は発表をしておるわけです。この点どうでしよう。
○江崎国務大臣 これは二十一日の記者会見でアメリカのハーター長官が言うておりますように、米国はいついかなるときにおいてもRB47型偵察機を日本に駐留をさせたことはない、それからまた、これは外務省の方からお答えをいただくことの方が適切かと思いまするが、今飛鳥田委員御質問のような事実はないということをアメリカ大使館から通報を受けております。
○飛鳥田委員 そういたしますと、在日米第五空軍が十二日に記者団に向かって発表をしたこういうことは虚偽だということになるのか、あるいは記者団の方々が第五空軍の発表を故意に曲げて書かれたということになるのか、私はわかりませんが、少なくともこのRB47型が横田には今までも来ないし、今後もこれを基地として使用することはないとおっしゃるのですか。
○江崎国務大臣 記者会見の模様については、大使館から私どもに申してきておりまする内容は、そういう事実はないと、こういうことをはっきり言っておるわけでございます。それから先ほど申し上げたように、今までどうだったかといえば、今までには来たことはあるように私どもも承知をいたしております。
○飛鳥田委員 もう一度あなた方の方で、第五十五戦略偵察飛行連隊の第二分遣隊が横田に常駐しているかどうか、こういうことをお調べになってみるお心持がありますか。ただ向こうの発表だけでさようしからばで下がってしまわれるお心持であるかどうか。
○江崎国務大臣 御質問の御趣旨もありまするので、むろん私どもの方においてもその事実については確かめたいと思っております。
○飛鳥田委員 きょう私がこういう質問をすることはほぼわかっていることでありますし、しかも私の伺いますことは産経新聞の七月十四日朝刊に載っておることでありますから、当然お調べおきのことだと考えておったのですが、どうぞ一つ、今からでもけっこうです。お調べになっていただきたいと思います。そこで、この横田の基地に今までも来た、こういうことは防衛庁長官もお認めになっておられるわけですが、これは一体RB47型のうちいかなる機種であるかお確かめになっていらっしゃいますか。
○江崎国務大臣 それについては確かめておりません。
○飛鳥田委員 はなはだ失礼な言い方ですが、47型はかなり新聞等においても明確に議論になり、国民の不安の対象になっているものです。これに対して47の何型であるかということをお確かめにならない、こういうことは少なくとも防衛庁なり外務省として手落ちではないでしょうか。僕らでさえわかることなんです。いかがでしょうか。
○江崎国務大臣 これについて私どもとしても、もちろん今後にかけて調査をするということはぜひやりたいと思っております。
○飛鳥田委員 このRB47型が日本にやってきた証拠は、もうごくしろうとの方々の間にはっきりしておるわけです。あとでごらんに入れてもけっこうですが、昨年の十二月号の航空情報、これを見ますと「日本土空を飛ぶ米国機」、こういうことになっておりまして、撮影者は戸田保紀、こういう方であり、はっきりとこの型を示すべき写真が載っておるわけです。このくらいなものは当然ごらんになってしかるべきものではないか。しかもこの型を見ますとRB47型のうちのH型だということがはっきりわかります。しかもこのH型は他のE型、K型と違いまして搭乗員が六人、こういうことも少し専門の雑誌などお調べになれば明らかになります。もしそうだといたしますと、ソビエトに撃ち落とされましたRB47型も搭乗員が六人ということについて、ソ連の側もアメリカの側も議論をしておりません。一致している意見です。そうだといたしますと、ソビエトで撃ち落とされたRB47型はH型、そして日本土空に飛んで参りました飛行機もH型、こういうことになるわけです。この点について別に御議論の余地はなさそうだと思うのです。もしそうだということになりますと、このH型こそ今世界で問題になっておるものであり、それはすでに日本に再々飛来してきている。昨年の十二月だけではなしに、一九五八年の十月号の航空マガジンという雑誌にも、航空ファンの方がとられた写真が載っております。これを見ましても、明らかにH型だということが明白になります。さらに三軍記念日にページェントが行なわれましたがこのページェントに出かけられました航空情報社の横森さんという方のお話によりますと、そのときにも、一般用に陳列された飛行機のはるか向こうの方に一台H型がとまっておるのを見た、こう言っておられます。そういたしますと、何べんも何べんも日本に飛んできた、しかも大ぜいの日本国民の目に触れているものはH型だということになります。国民はこれらの事実を知って非常な不安にかられるのは当然ではないでしょうか。それを、なるほど大臣はおかわりになりましたから、大臣かすぐ御存じになる、こういうことは事務引き継ぎその他で困難であろう、いかに俊敏な江崎さんでもそれは無理だと私は思います。だがしかし防衛庁は江崎さん一人で持っておるわけではなさそうです。まだほかにもえらい人はたくさんいるはずで、そういう方々は怠慢のそしりを免れないのではないか、こう国民は言いたくなるところだろうと思いますが、一体、江崎長官にこんなことを伺うのは恐縮ですが、なぜ今までこれだけ明白な事実をお調べになっていないのですか。これは長官を責めるという意味ではなしに、今後の問題もありますので、その点についてのあなたの御見解を聞かしていただきたい、こう思います。
○江崎国務大臣 御意見まことにごもっともでございます。もちろん防衛庁において事務的にそういった問題について調査しておることは、これも当然ございます。しかし私はここで申し上げたいのは、ただいまだんだんのお話でございましたが、これは例の撃墜事件を見ましても、最近の国連の審議の経過にかんがみてみましても、これを過去問題になりました、日本からは引き揚げていったU2型機と同一のものであるという、そういうふうには私どもは了解をしておらぬのでございます。
○飛鳥田委員 僕はU2と同一のものだなんてたった一ぺんも言わなかったはずです。そう問題をそらさずにお答えをいただきたい。少なくともソビエトにおいて撃ち落とされて、イギリスにも非常に大きな衝動を与え、世界にも一つのショックを与え、国連でも問題になり、そして日本国民も心配をしているこの飛行機について、七月十三日から今日に至るまでの期間、相当な時間がありながらも、それがH型機であるかK型であるかE型であるかの調査さえしていない、こういうことは怠慢ではなかろうか、こう僕は言っているわけです。そしてそれは大臣の責任ではないけれども、しかし一般の防衛庁の高級幹部の方々の怠慢ではなかろうか、こう私は思うのですが、長官いかがですかと申し上げているわけです。U2と同じであるかないかということではなしに、これはこれで独自の恐怖を世界の人々に与え、日本の国民に与えているのです。そういう点で私は申し上げたので、U2のお話はあとからもう一度別の機会に伺います。
○江崎国務大臣 防衛庁の事務当局において、事務的にいわゆる消息について調査しておることは、これはもう当然やっております。しかしRB47の国民に与えた恐怖というものについては、U2型の場合とは全然違うということで、私はその恐怖の度合いの説明として申し上げたわけであります。
○飛鳥田委員 U2の問題は幸い安保委員会の中で明確に事実が国民に知れ渡りましたから、国民の恐怖は大きいのです。ですが47の場合には、まだその実体が国民に知れ渡っておりませんために、その恐怖は小さいのです。決して問題の大小ということではないのです。これから一つ防衛庁にも外務省にも御協力を願って、事実を明らかに国民に通知し、そしてそれが恐怖すべきものであるかどうかを判断してもらわなければならない、こういう問題です。しかも問題は五年たとうと十年たとうと、一向に変わらないという問題ではなしに、刻々変わっていく世界の情勢の中で問題になっておるのであって、一週間、十日を争う問題です。これについて調べていない。これは国民に対して正しい認識を与えようとしない態度じむないか、こう私たちは言わなければならないのでありまして、別に怠慢を責めるということを繰り返して強く申し上げるわけではありませんが、この点について、せめて新しい防衛庁長官から、なるほどそれは手落ちだ、今後そういうことがないように、そしてこういう重要問題については、問われればすぐすぱっと答えられるように今後準備しておきましょう、こうおっしゃっていただけるだろうと思ったのですが、いつの間にかU2機にすりかわったり、恐怖の大小の測定論にすりかわったりするということは残念です。しかしそれ以上のことは申し上げません。 それでは、このH型は一体どういう機能を持ち、どういう作業を日本を中継基地としてやっておったのか、これについて防衛庁の見解を伺いたいと思います。もし防衛庁が御存じなければ、外務省の方でお答えをいただいてもけっこうです。外務省の方では航空情報社などに電話をかけられて、しばしば御調査になったようでありますから、どうぞ……。
○江崎国務大臣 それでは政府委員から……。
○加藤説明員 お答えを申し上げます。RB47型にはわれわれの知っておる範囲におきましては、E型とK型とH型とございます。E型というのは写真偵察を主としておるものであります。K型がウェザー、気象でございます。Hはエリント——エリントと申しますのは御承知と思いますが、地上または他の航空機から受けます電波を解明するというふうな機能を持つものでございます。
○飛鳥田委員 そういたしますと、このH型が電子偵察機—英語は使いませんで、電子偵察機、こう言っていいのだろうと思います。 そこで、それでは電子偵察を行なうこの飛行機の航続距離はどのくらいですか。
○加藤説明員 航続距離は六千五百キロメートルであります。
○飛鳥田委員 六千五百キロとおっしゃるのは、少しオーバーな言い方ではないかと私は思うのです。これは御存じのように爆撃機の改装型であります。従っていろいろな爆撃をいたしますための弾倉を改造して電子機器を入れたり、あるいはレドームをつけたりいたしておりますので、爆撃機であった47型が、五千キロといっておりますものが千五百キロもさらに伸びていく、こういうふうにはとうてい思えない。しかしその間の議論の違いは、加藤さんと私がここで論じてみたところで仕方がありませんから、五千キロないし六千キロと承っておいてけっこうです。 それでは一体これの本拠はどこにありますか。どこに配属されておりますか。アジアにおいては、私はグアム島かウエーキ島だと思うのですが、間違いですか。
○加藤説明員 これは戦略空軍の所属の飛行機ということになりますると、極東方面におけるアメリカの戦略空軍の立場からグアム島でございます。
○飛鳥田委員 グアム島という点についてお互いに意見は一致しました。もしそうだといたしますと、グアム島から航続距離五千キロあるいは六千キロ、これは往復しなければなりませんから、六千キロとしましても片道三千キロになるわけです。五千キロとしましても二千五百キロになるわけです。グアム島を中心に二千五百キロないし三千キロの円を描いてみて下さい。海ばかりです。せいぜいその範囲に入るのは日本です。電子偵察機です。地上から発するレーダーを探知する。そうしてそれの周波数を調べる。どのくらいの態力を持っておるかを調べる。こういうものだと思うのですが、海上ばかり偵察したって何の役に立ちます。なるほど潜水艦が浮かんでいるかもしれない、仮装敵国の軍艦が浮かんでいるかもしれないという逃げ口上はありますが、しかし現実にそれでは役割は果たせないのです。こう考えて参りますと、当然中継ぎ基地としての横田というものの重要性ははっきり浮かび上がってくるはずです。これは別にしろうとが計算したって明らかです。だからこそ横田の基地には、先ほども申し上げましたように第二分遣隊が駐屯をしておってグアムから飛んで来て横田でこの第二分遣隊によって——この産経のこの第五空軍の発表によりますと、これらの補給、検査のために活動をする。この種の基地は日本では横田基地だけである、こういうことになるわけです。従って横田の基地にときどきぶらりと漫遊に飛んで来たものだとはいえないということは、考えてみたって明らかなわけであります。こういう点について一体防衛庁はどのような計算をなさり、どのような観測をなすっていらっしゃるのか、一つ伺わしていただきたいと思います。僕よりか専門家のあなた方ですから、きっと国民を納得させるだけの議論があるでしょう。
○加藤説明員 航続距離の問題は議論するつもりはないとおっしゃいましたが、これはやはりいろいろな計算方法があると思います。私が前ほかで見た資料には五千キロというものもございました。航空幕僚監部の調べでは六千五百キロとなっております。これは増槽をつけますとか、いろいろな構造上の模様がえによりまして、航続距離は伸びたりすることもあるのであります。それから戦略空軍の飛行機でございますから、これはどういうふうに使っておるかということは、私ども直接には聞いておりません。しかし今飛鳥田さんがおっしゃった御推測は、一応首肯できると思うのであります。電子偵察機でエリントを持っておるものでございまするから、電波を解明することを任務とすることはおっしゃる通り、私よりか正確におっしゃっておりますが、飛行機から飛んでおる飛行機を調べることもある、艦船から出す電波を調べることもある、固定した電波局から出る電波を調べることもあるだろうということは言えると思います。ただ日本の基地を使わなければ機能が果たせないかどうかということになりますと、これは推測の域を出ないのでありまして、責任を持ってここでお答えする用意はございません。
○飛鳥田委員 私の推測を大体肯定せられたことになりますが、この私の推測をさらに具体的に裏づけるものとして、ソビエト領海における撃墜という事件が起こっているのです。ソビエトの領海においてあるいは領海からちょっと外へ出ておったかどうか、そういう議論はどちらでもよろしゅうございます。しかしいずれにもせよ、ソビエトの近辺において撃ち落とされ、フルシチョフからアイクに対して厳重な抗議が行なわれているというこの事実こそ、私の推測を裏づける一つの明確な事実じゃないか。もしそうだとすれば、日本にも再々来、そして日本を中継基地としてアジアに活動をしておる、こういうことを考えることは、精神病院に入っておる妄想患者が考えることだけではなさそうです。国民はかなりすなおにこういうことを考え得るのではないか。もしそうだとすればこういう形で日本の基地を使うという可能性、そしてそれは単に可能性ではなく、もう何べんかこういうふうに証明されている事実、これに対して日本の外務省が黙っておってよろしいのでしょうか。少なくとも事前協議などと藤山さんはかなりでかいことをおっしゃいました。一体外務省はこの問題についてどういう態度をとっていらっしゃるのか。もう時間もお昼前ですから、続けて申し上げてしまいますが、イギリスはこのソビエトで撃ち落とされたRB47型がイギリスの基地から出ておった。こういうことによってアメリカに向かって、イギリス国内の軍事基地を特殊な用途で使う場合には、あらかじめイギリス政府の承諾を得るように、こういう強硬な申し入れをしたそうであります。日本でもその必要はありませんか。ありませんどころか、当然なさる責任が国民に向かってあるのではないでしょうか。フルシチョフは世界に向かってこのようなスパイ行動、こういうものの行なわれる軍事基地に対しては断固報復する、こう言っておるのであります。そのことをなまいきだとか、そのことをいいことだとか、どんなにでも人は批評できますが、批評で問題は終わらない。少なくともそういうことのあり得る場合には、これに対処する措置をとるべき責任が私は外務省にあると思いますが、イギリスの実例に照らしてみて、イギリスに対してアメリカはよろしゅうございますという返答をしたかに新聞は伝えておりますけれども、その確実なところは私にはわかりません。従って、たくさん述べましたけれども、二点にしぼって、イギリスに対してアメリカがどの程度の明確な答えをしたのか、こういうことが一つ、これを教えていただきたい。第二には、日本の政府はアメリカに向かってRB47型などという明白な偵察機、電子偵察機、こういうもののために日本の軍事基地を使っては困る、もし第二分遣隊などという整備部隊がいるならば、早々に御退去を願いたい、こういう申し入れをなさる意思があるかどうか、この二つについてお答えをいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。RB47型機について性能その他いろいろお話がございましたが、私どもの方の立場から申しますと、この飛行機が一体国際的な不法なことに使われるのかどうか、また現に不法なことをしておるのかどうかということの方が、私どもの立場からは問題でございます。不法なことをするというようなことであれば、私どもはそれを許さないという気持であるべきだと思っております。またそういう態度をとるべきだと思っております。そこでRB47型機の撃墜をめぐっての問題でございますが、御承知のようにこれはソ連側におきましては、国境から二十二キロも入った地点において撃墜されておる、こう言っております。米国側におきましては、これは三十マイルよりソ連に接近したことはないのだ、従ってこの撃墜された場所は公海の上のできごとである。こう言って抗議をいたしております。そこで、七月二十二日、二十五日また二十六日の三日間、国連の安保理事会においてこのことが審議されたのでありますが、ソ連のアメリカに対する非難決議案は、ソ連、ポーランド二国が賛成でございます。アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、チュニジア、アルゼンチン、セイロン、エクアドル、中国の反対で否決されたことは御承知の通りであります。そこでアメリカ側におきましては、米ソ及び両国の受諾し得る第三国による共同調査または国際司法裁判所への提訴を勧告する決議案を出しまして、これは米、英、仏、伊、チュニジア、アルゼンチン、セイロン、エクアドル、中国が賛成をいたしたのであります。しかしソ連が拒否権を行使いたしました。ポーランドもまた反対をいたしまして否決せられたのであります。そこでイタリアが国際赤十字委員会によります乗組員に対する人道的業務の自主性を許す旨の決議案を出したのでありますが、これも同様にソ連の拒否権の発動によりまして否決せられたのでございます。これは御承知のように乗務員は一名死亡し、二名が現存しておる、生きておるのであります。そこでこの事実を調査したいということについては、私はゆえあるかと考えるのでありまして、調査委員会を作って、しかも二人の人間が生きておるのでございますから、どこの地点であったかということは調査すればわかる問題と思うのでございます。そういうことでこのRB47型機に対しまするところの問題は、私どもはそれが国際的に不法なものであるかどうかという、そういう行動をしたかどうかということに重点があろうかと考えておるのであります。そこで御承知のように領海というものの範囲が、三海里というのが従来の国際法上の通念でありましたが、ソ連は十二海里ということを主張しておることは御承知の通りであります。いずれにいたしましてもそれが領海内であるか、あるいは公海であるかということは、これは今後国際間でいろいろ審議されるべき問題だと考えております。 それから第二点の米英間の話し合いは、御承知のように一九五一年十月のいわゆるトルーマン・アトリー協定なるものがございまして、緊急時の基地の使用は米英の共同決定によることということになっておりますが、これは口頭の了解であるのでございます。今回のRB47型機事件につきまして、与野党間に非常に激しい応酬があり、野党が激しく政府を攻撃しておるということも伺っておりますが、国としてこれをアメリカに申し入れたというような点については、まだ私どもの事務当局から話を聞きましても、そういうことは経緯が不明ということでございます。さような状況になっておることを御報告申し上げます。
○飛鳥田委員 私は国連における論議、あるいはそれが不法であるかないかという最終決定が下るまでの問題を言っておるのであります。すなわちお互いに国連でかりに双方の決議が否決をせられたとしても、それで完全に了解したわけではないはずです。ソビエトはソビエトの主張をいまだに持ち、アメリカはアメリカの主張をいまだにおなかの中に持っているというのが現実だろう、もしそうだとすれば、お互いに自分の腹に従って今後も行動をしていくはずであります。そうだとすれば、このRB47型機は再びそういう危険を作り上げる種になるのじゃないか、もしそうだとすれば、日本政府はここで明確にアメリカに向かって日本政府の態度を述べて要求をしておくということが、国民を納得させる第一の点になるのじゃないか。ちょうど問題が起こって、三年も四年も訴訟をやって。やっと勝訴判決をとったときには、もう問題は古びてしまっているのと同様です。今が私は問題じゃないかと思う。国民はRB47のH型が横田の基地を中心にまた再びスパイ活動を始めたのじゃないか、そういう恐怖を持っているわけです。今はしなくも江崎さんがU2にかわるものだということをおっしゃったのですが、国民はみんなそう思っているのです。江崎大臣ですらつい口の端にそういうことをお出しになる。これが国民全体の感情だと思う。そうだとすると、この問題についてはっきりとアメリカに申し入れていく必要があるのじゃないか。なぜかと申しますと、先ほどおっしゃったように、ときどき飛来はしてくる、しかしここには常駐はしていない、こうなりますと、これは補給なりあるいは中継ぎなりという形になるのです。さきにいろいろ議論のありました安保条約の事前協議の中の配備における重要な変更、これに入ってこないというのが藤山外務大臣の御説明でした。また重要な新しい兵器を導入するという中にも、これは入ってこないだろう、こう思うのであります。そういたしますと、何ら日本政府とは無関係に、現にこういう不安の種をまき散らかしている飛行機が日本へ入ってき、日本を中継ぎ基地として飛んでいく。こういうもとになるのですが、この国民の不安を放置してよろしいですかということを私は伺っているわけです。日本の政府は当然アメリカに向かって、こういう重要な問題については話し合った上で、日本政府の了解の上で来てほしい、日本政府の了解の上で活動してほしい、こう言うのが当然じゃないでしょうか。いかがですか。
○小坂国務大臣 お話が出たから申し上げますが、U2の問題は、これは元来日本の周辺が、ジェット・ストリームという気流の調査に非常に適するというようなことで配備されておったのでありますが、気象の観測任務も終わったしということで、日本から完全にその問題は消え去ったのであります。日本としてはこの問題はないと考えてよろしいと思うのであります。そこでただいまRB47型機の問題が御心配のようでございますが、これにつきましては、江崎長官がお答えになりました通り、日本には配備されておらないということをアメリカ当局は言っておるようであります。ただ、今お話のようにスパイ活動をこれがやるのではないか、こういう危惧の念があるというお話でございますが、スパイ活動のごとき国際活動上、国相互間で許されておらないことをやることを目的としてそういう機種がおるということであるならば、これは事前協議以前の問題であると私は思います。越境してスパイ活動をすることは許さるべきでないというふうに思います。
○飛鳥田委員 だれだって初めから私は強盗をやりますと言って入ってくる人はないわけです。形だけは通常活動という形で入って来て、現実にはやる、こういう場合が普通です。そういう可能性をどうして除去していくのかということを私は伺っているわけです。極端な事例の場合だけをおあげになってみたところで問題の解決にならないわけです。問題は国民の不安をどう解消するかということなんですから、当然国民に対して今おっしゃったようなお説教を繰り返してごらんになったって効果がない、こう私は思う。効果がない、そんなことはうそだと思うのが国民の常識として健全だろうと私は思うわけです。現にソビエトで問題になっているのですから、少しシビアであっても、あなたの方で明確な態度をアメリカ軍に対して出されることが重要じゃないか、こう私たちは思うわけです。越境するかしないか、これはあなたがその飛行機に一緒に乗っていかれるわけじゃあるまいし、行ってみなければわからぬじゃないですか。そしてその可能性のある仕事をやっているわけです。電子偵察、写真撮影、こういうものが国境線すれすれに飛びながら、内陸に向かって二百三十キロぐらいは写真がとれるとか、電子偵察ができるとか、だから国境線すれすれのところを飛んでいるのだという説明もできるのでしょうが、しかし中へ入らないという保証はできません。そして現に中に入っているから問題が起きているわけです。そういう点でこのRB47型が日本に不安をもたらさない、こういうことをもっと明確に外務省あるいは防衛庁は国民に向かって声明をせらるるなり説明をせらるる責任がある、こう私は思うのです。先ほど申し上げたように、グアム島にある47型が海の上だけ飛んでおっても何の役にも立たない。少し言い過ぎかもしれませんが、当然日本の基地を中継に使う。そうしてこそ初めて役割としての価値が出てくる。そうだとすれば、中国の内陸あるいは満州、シベリア等に入っていく可能性をそのこと自身が示しているのじゃないか。もちろん入っていくかいかないかというのは、ここでは水かけ論です。だがしかし、国民の胸の中に巣くってしまった疑惑というものは、ここで何べん水かけ論を繰り返してみたところで解けるものではない。従ってその国民の胸の中に巣くった疑惑を明確に解く責任があなた方にあるのではないか、こう私は思っているわけです。そういう点についてまず第一になさることは、アメリカに向かって、この種の飛行機を横田で使ってくれては困る、こうおっしゃって差しつかえがないのじゃないか。もしそれができないのならば、RB47型、しかもそのH型はこれこれのものであって、絶対に中へは入れないのだ、こういうことを説明なさるかどっちかしかないのじゃないでしょうか。いかがでしょう、外務大臣。
○小坂国務大臣 大体私の申し上げたことで尽きていると思うのでありますが、結局そうした越境諜報というようなことをやるようなことは、これは国際間で許されておらぬことで、われわれとしてはそういうことは事前協議以前の問題として許さるべきことでないと思っております。ところが今のお話ですと、越境するかしないかわからぬものを入れるのがいけない、こういうお話であります。アメリカの方は、これは今日本におらぬということを明確に言っている。おらぬのに、またさらに絶対に入れるなということを言えというお話でございますが、その点は少しよく研究してみるようにいたしましょう。 ただ一つ、私先ほど申し上げましたが、ただいま外電が入ったということで、これを御披露申し上げますが、マクミラン・イギリス首相がフルシチョフ・ソ連首相あてに出した書簡の抜粋でございますが、「七月十二日付米政府の対ソ連政府あて書簡は、問題の米国機がソ連領土より三十マイル以内に立ち入らなかったことを明記している。よってソ連外務省の七月十一日付書簡に述べられている主張は誤まった前提に立っていると思われる。それどころか、ソ連政府は米国機を国際空域において撃墜したソ連飛行士の行動につき重大なる責任を有する。英政府はソ連空軍に現在与えられている指令が包蔵する危険を例証する今次の挑発されざる攻撃をきわめて重大なものと考える。イギリス政府は、米国空軍が英国領土を国際空域における合法的行動のため使用することは、いかなる意味でも侵略的行為と考えることには同意し得ず、従ってソ連外務省の書簡に含まれた主張を認めることはできない。」こう申しているのでございます。われわれの方といたしましては、今申し上げましたように、RB軒は今日本におらないのでございますから、その問題について、おらないという事実をもって、どうぞ国民諸君に御安心願うように飛鳥田委員の御協力をお願いいたしたいという気がいたすのであります。
○飛鳥田委員 おらないということが、常駐していないということであるにすぎない、すなわちこれは中継ぎ基地として使われているのだということは、今までの事実をもってして明らかです。おらないということが常駐していないというだけの意味であるならば、国民は満足すべき筋合いはないだろう、こう思うのです。私たちだけがそう言っているのではなしに、七月十三日の東京新聞の論説を読んで見ましても、こう書いてあります。少し長いですが、締めくくりとして読んでみようと思います。「幸い、RB47型機は日本基地には常時配備されていない、といわれる。目下のところ日本基地は問題の圏外にあるわけだ。だが新日米安保条約の事前協議の対象に関する、去る三月十四日の政府・与党の統一見解によれば、配備の変更は陸軍は一個師団、海、空は一個師団以上の単位とされており、この限りでは今後、少数の同機の配備を断わる根拠はない。が、今回の事件が生じた以上は、同機の配備はわが国民の不安を招く恐れがある、と覚悟しなければならぬ。新条約の運用にあたり、政府の一層慎重な態度が望まれる。」こういうふうに言っておるわけです。もちろんこの論説と私たちの考えとには相当な開きがありますが、しかし何人もがこういう不安を持っもおるという事実を現わしているものとしては、読み上げる価値のあるものだと私は思って申し上げたわけです。いずれにもせよ、47型機が横田にやってきて、これを中継ぎ基地として行動しておるというこの現実に対して、政府はより一そう厳重な態度で臨まれることを要望します。これ以上のことは、きっとお互いに水かけ論になりましょうから、以上のような要望だけを申し上げておきます。 そこで第二の問題ですが、防衛庁は最近タイ国に武官を派遣する、こういう申し入れをなすったそうでありますが、事実でしょうか。
○江崎国務大臣 防衛庁としてそういう事実は承知いたしておりません。
○飛鳥田委員 どう読むのか私も知りませんが、バンコックのサムニコンという新聞ですか、十八日のサムニコンという新聞によりますと、駐タイ日本大使は、このほど日本が陸海空三軍の武官をタイ国に派遣することを認めるようにタイ外務省に申し入れをした、こう言っておるわけです。同大使は、武官派遣の理由として日本と自由諸国との軍事的連携が強化される点を指摘し、さらにタイ側に提出した覚書の中で、もし別段の困難がなければ日本政府は今後十月に武官を派遣するだろうと述べた、こういうふうにサムニコンという新聞ですか、アクセントが違うかもしれませんが、このサムニコンという新聞は報道しておる、こういうことであります。外務省が申し入れたとしても、その原動力は防衛庁のはずだと思いまして、防衛庁に伺ったわけです。外務省はそういう申し入れをなさいましたか。
○小坂国務大臣 外務省としては防衛庁の申し入れがあれば、それに対して行動するわけでありますが、飛鳥田委員の仰せの通りでありまして、われわれの方からイニシアをとるということはありません。
○飛鳥田委員 申し入れられたのですか。
○小坂国務大臣 防衛庁はないとおっしゃっているのですから、われわれの方はやるわけはありません。
○飛鳥田委員 そういたしますと、それは完全な誤報ですね。——誤報ですか。
○江崎国務大臣 ただいまそういうことについて承知をしないと申し上げたのですが、私も新任早々でございまして、そのあたりの消息に詳しくありませんので、この問題については政府委員から答弁をさせます。
○加藤説明員 防衛駐在官でございますが、三十五年度におきましてタイ国に一名派遣をいたしたいということで外務省と相談をいたしまして、予算措置も講じてもらっておるわけでございまして、外務省からタイ国の方に話をなさったかどうかということは存じませんけれども、防衛庁としては十月ごろからタイ国に派遣したい、こういう考えを持っておるわけでございます。
○飛鳥田委員 そうしますと、防衛庁は内心は出したいが、まだ外務省が申し入れしてくれておるかどうかはわからない、こういうことでありますが、ところが外務省の方はまだ申し入れをなさっていらっしゃらない、こういうことですから、これはまだ部内の問題としてとどまっておる、こういう段階に理解してよろしいわけですね。
○小坂国務大臣 仰せの通りでございます。
○飛鳥田委員 もしそうだとすれば、まだこれからでもやめられるわけですが、一体何のためにタイ国に派遣をなさるのか、その説明を一つ聞かせていただきたいと思います。今無理ならこの次の委員会でもけっこうです。しかし私たちの考え方としては、タイ国に派遣をなさるということには相当国際的な影響があるのではないか、こういうふうに考えないわけにいかないわけです。そういう点も含めて次会に御説明いただければけっこうです。できることならば、このようなばかばかしいことはおやめになることを望みます。そこで第三の問題でありますが、例のアメリカの大使館から発表になりましたU2機に関する怪文書と称するものです。こういうものについて実は私の方から大平さんにわれわれのところにも配達せられました現物をお明けして、その真偽のほどの御調査をお願いしておいたわけであります。これは大体防衛庁の方できっと担当してお調べになったのだろうと思いますが、あるいは外務省かもしれませんが、担当してお調べになりました側から一つそのことに対する詳細な御説明をいただきたい。これが真偽のほどがわからない状況のもとで国内に長く流布されるということは、本物だとすれば大へんなことですし、にせものだとすれば、これまた大へんなことでありますので、一つこの際明確にしておいていただきたい、こう思います。
○小坂国務大臣 ただいまのお話の点は、官房長官から問い合わせがございまして、防衛庁でもちろんなさったと思いますが、私どもの方でも大使館に問い合わせなど必要な調査をいたしたわけであります。その結果、アメリカ大使館からは全く捏造文書であるという通報を受けております。その理由は、用箋は大使館の用箋を使っておる。しかしエメンズという空軍武官でありますから、本来ならば空軍武官の用箋を使うべきものであろう。そこで書いてある用語等もはなはだ専門的な英語を完全に使う者から見ると、非常に規格はずれといいますか、調子が狂っておる。たとえばこの中では防衛庁を、ジャパン・ディフェンス・エージェンシーという言葉を使うべきものでありますが、これがナショナル・セーフティー・エージェンシーと書いてあります。そういうことで、これは一例でございますが、非常に調子が狂っておる。のみならず、サインと称するものがエメンズ空軍武官のサインとは全く似て非なるもの、こういうことでございます。さらにトップ・シークレッドという言葉が上の方に書いてございますが、そういうものの書き方も全く慣例と一致しないのだそうでありまして、こういう点は、お話のようにできるだけ調査をしてもらって、ほんとうに私どもが希望いたしますことは、一体だれがやったかまでわかれば一番よろしいわけでございますので、そういう調査をしてくれるように要望いたしておるわけでございます。
○飛鳥田委員 その今の御説明の程度のことは新聞紙等で拝見したのですが、しかし私こういうことまで突っ込んでお伺いしたいと思いますが、サインが違う、こうおっしゃるのですが、防衛庁などには当然このエメンズ大佐から何べんか手紙などもきておられると思います。そういうふうに日本に参りましたエメンズ大佐のサインと現実にあなた方が目でお比べになってこのことをおっしゃっておられるのかどうか、こういう点が一つ。 さらにまた用語等についても、マヌーバーとかエアリアルとかいう言葉が英語流のつづりになっている、こういうようなこともあげられておりますが、しかしこれは必ずしもそれだけでは偽物の断定にならぬのではないか。私などの知っておりますアメリカの軍人さんなどでも——今はこんな立場におりますから知っておりませんが、昔私が横浜で戦争裁判の弁護人をしておりましたころ、アメリカの大佐、中佐級にも、イギリスの大学を出られた方が相当あるわけです。こういう方は、アメリカ人でありながらもイギリス流のスペルを使う、こういう場合はしばしばありました。従って、それだからといってこの人がアメリカ人でないという断定にはならぬわけですから、そういう点まで突っ込んで一つお調べをいただくというふうにしていただきたいと私は考えてきょう伺うわけですが、一体サインを比べたかどうか。 それから書式等についても、ただ向こうの説明だけでなしに、向こうから幾つかの実例を持ってきて比べてみて、この通りですということで納得をなすったのかどうか。さらに言葉などというものについては、このエメンズさんという方がイギリスの学校を出られたのかどうか、そういう経歴までお調べになった上での断定であるかどうか、こういう点を伺いたいと思うわけです。 それから用箋についても、用箋が違うということをおっしゃいましたが、私でも日本社会党の用箋を使って手紙を書くこともありますし、私の商売をしております飛鳥田法律事務所という用箋を使って手紙を書く場合もあります。その点、これはそう決定的な問題にはならぬのではないかと私は思うのです。さらに私が非常に疑問を感じますのはこの覚書なるものの中に私の名前が出てくるわけです。ちょっと読んでみますと「日本社会党の飛鳥田一郎代議士が」と「一郎」と中はなっているわけです。ところが私のところに送られて参りました場合の手紙の上書き、これには明確に「一雄」と「雄」という字が書いてある。もしだれかが偽文書を作って、それを私に送ってきたとするならば、この文書の中に出てくる「飛鳥田一郎」と表書きのあて名とは一致しなければならぬのではないかと思うのです。手分けをしてやったということも言えるかもしれませんが、こんなにせものを作るとすれば、そう大ぜいの人でこんなことはやっていないでしょう。とすれば、中が「一郎」で手紙のあて名が「一雄」という、こういう大きなそごが出てくるとは思えません。従って、少なくとも私のところに送ってこられた方と、この文章を作られた方とは別個のグループに属している、こう考えないわけにいかないわけです。こういう点から考えてみても、一体疑問を差しはさまないわけにいかないわけです。ほかに何べんも私の名前がそう出てくるとも思えませんが、米軍のいろいろな文章の中で太いやろうとして出てくるのでしょうが、飛鳥田一雄という名前がどういう形で出てくるのか、こういうことが一番早い手がかりになるわけですが、こういうこともお調べになった上で比べていらっしゃるのか。こういう点なども私としては疑問なわけです。一刻も早くこのことが明確になることを望みます。そして私たちも、その点についてあなた方に協力することはやぶさかではございません。ただしかし向こうの言うことを、はい、さようでございますかといって終わりにしたのでは、調査ずさんのそしりを免れない、こう考えるわけでありまして、あれやこれやとごたごたいろいろ並べましたが、私が以上申し上げた点までお調べの上でそう断定をせられたのかどうか、伺いたいと思います。
○小坂国務大臣 お答えを申し上げますが、一番重要な点はやはりサインだろうと思いまして、サインはとりました。ちょっと遠いのでございますがごらんをいただきたいのですが、これが真正のサインであります。この書いてあったのには飛鳥田委員御承知のようにこういうふうに書いてあった。明らかに違うのでございます。そこで、これはその写しでございますが、飛鳥田委員先刻御承知のトップ・シークレットというのはこういう書き方をせぬそうでございます。どういう書き方をするかは、私聞いておりますが、ここで言うのは差し控えます。そういうことでありまして、これは明らかに偽物だと私の信念においても思います。アメリカは、U2は完全に日本から帰っておるというのを、ことさらに沖縄にいるといって、日本国民の恐怖心をあおるようなことは、これは非常に残念なことであります。どうか一つ飛鳥田委員におかれましても、この点は政府の調査をお信じ下さいまして、この文書については偽造であるという私どもの確信を一つ御承認を願いまするようにお願いを申し上げておきます。
○飛鳥田委員 今申し上げましたような点についてこれは速記録をお調べになれば私の申し上げた点がわかりますので、一つ今後項目別に文書にでもして私の方にお教えをいただきたいと、こう思います。なぜこういう疑問が出てくるかと申しますと、一番問題なのは、やはり基地の使用に関する協定が不明確だから出てくるのです。私はこの文書が偽物であろうと本物であろうと、そうそのことにとりついてとやこう言うつもりはないのです。むしろこれが偽物であるとすれば、なぜこういう偽物が現われてくる余地があるのか、こういう点を政府は考えてもらいたい、こう私は思うのです。もしこれが偽物だとするならば、やはりかなり今の日米間の弱みにずばりくさびを打ち込んだ偽物じゃないか、こう思うのでありまして、その弱みというのは先刻来私が申し上げておりますように、基地の使用についての明確な取りきめがないからである、こう私は思うわけです。まあ今度のU2が帰った、このことについてはけっこうです。だがしかし、一体これはどっちのイニシアによって帰ったのか、こういうことを考えていただく必要があります。アメリカは気象観測の仕事が終わったから帰ったので、日本政府からの要求などというものとは全然無関係に帰っているわけです。また都合が悪ければ持ってくるかもしれません。持ってくる場合にでも、これについて日本政府に承諾を得なければならないという保証はないでしょう。あるのですか、ないはずです。日本政府は、これだけ大ぜいの国民のU2に関する不安——これはもう大臣といえどもお疑いにならぬはずだと思います。U2に関する不安、こういうものを否定はできないだろう、こう思うわけです。ところがその不安に基づいて日本政府が何ら行動しないで、向こう側の一方的な行動で帰ったわけです。もちろんその間非公式な話し合いはあったかもしれませんが、正式の申し入れも何もなさらない、こういうことでしょう。また今度来る場合も、これを防ぐ方法というものは一体あるのですか。多分アメリカは断わってくれるだろうという、向こうさんの誠実を頼みにするという程度であってはどうにもならないじゃないですか。こういう状況に日本の基地使用がある以上、今後第二、第三、第四、第五のこういう怪文書が現われるだろう、現われる余地があるのじゃないですか。そうして現われるとすれば、それは国民の胸の中にぐっと入っていく余地がある。こういう点を政府は反省をしていただきませんと、これをただ偽物だ偽物だと断定することで事は終わらないのじゃないか、こう思うのです。一体U2機はアメリカのイニシアによって帰ったのではないか、日本の政府の要求によって帰ったのではないのではないか、この点を明らかにしていただくことが一つ。さらには、今後U2機が来る場合——来ないとは思いますが、こういう種類のものが来る場合に、日本政府には必ず断わりがあるのか。そうして日本は断われるのか、そのときの場合によっては断われるのか、この二つを最後に明らかにしていただきたいと思います。
○池田委員長 飛鳥田委員に一言お諮りいたします。外務大臣は十二時半に御用があるそうです。
○飛鳥田委員 はい、わかりました。
○小坂国務大臣 ただいまのことにお答えいたします前に、ああいう怪文書が幾らでも出てくる余地があるとおっしゃいましたが、これは悪意に基づいてやれば幾らでもあることは私はそうだろうと思います。しかしそれを国民が受け付けるか受け付けないかということの方が大事でございまして、そういう意味から言いますと、そういうものが受け付けられないような国民感情なり何なりを作ることが大事だと思います。それで、私はここで飛鳥田委員と議論するつもりはないのでありますが、問題となりますことは、われわれは安保条約というものは決してアメリカから押しつけられたものでなくて、現在の世界の情勢下にあって、日本の防衛力その他との関連におきまして必要なものだ、こう考えておるのであります。飛鳥田委員のお口ぶりからは、この新条約は不要なものである、こういうふうなお口ぶりがうかがわれるのでございまして、この点はどうも意見が根本的に対立しておりますので、対立した意見のもとにおいて、いろいろな技術的なことを論議いたしましても、これはどうも工合が悪いのではないかというような気がいたすのであります。 そこで御質問のU2の問題にしぼってお答えをいたしますと、U2機が日本から撤退したということは、これは双方の気持が一致した結果だと思います。そうしてその自発的に撤退したこと自体は、アメリカにおいて自発的に撤退したものであると考えます。ただU2機の問題がああした国際的な一つの大きなアジェンダになったのでありますが、これについて今後またアメリカとしてU2機を日本に持ち込むということはおそらくなかろうというふうに思っておる次第でございます。
○飛鳥田委員 なかろうという一つの御判断だけで国民が納得できないところに、こういう怪文書が再び国民の胸に受け入れられる根拠が出てくるのじゃないか。ないということをなぜ明確にできないのか、こういうことを私は申し上げているわけです。
○小坂国務大臣 なかろうというのは、将来のことに属するからないであろうという未来形を使ったにすぎません。それだけでございます。決して怪しいとかなんとかということではございませんので、現在のことならないとかあるとか申し上げますが、将来のことであるからないであろうとか、あるであろうというだけのことであります。
○飛鳥田委員 これはあらせないという意味で私は申し上げたのであります。この点は議論の分かれるところでしょうし、大臣もお急ぎのようですから、次会に申し上げます。
○小坂国務大臣 お言葉を返すようでおそれ入りますが、あらせないということよりも、向こうは今日の国際情勢、今日の世界の各国は戦争はいやだ、戦争は回避するという気持が非常に強いわけでございまして、そういう紛争の種になるようなことはアメリカもおそらく考えないだろうということが私どもの気持であります。そういう確信に基づいて、将来のことでありますからないであろうというふうに申し上げた次第であります。
○飛鳥田委員 最後に一言。なかろうというのは、アメリカもソビエトも戦争はいやだ、だからないだろう。従って私もそういう確信に基づいてなかろうと申し上げた、こういうのではなく、だれがどう考えようと、日本の政府の立場としてはそういうことがないというふうな担保をとります、こういうことでないと、国民は承知しない。国民はいろいろな考え方を持っておるわけです。私のような考え方を持っておる者もある。小坂さんのようなことを考えていらっしゃる方もある。まん中の方もある。あっちの方もある、こっちの方もあるのです。そういうすべての国民に、全体としての不安を取り除くということが政治でなければならぬ。信念ではいけないのです。こんなことを議論しても仕方がありませんから、もうこれで、お互いに議論したということでけっこうです。しかしそういう立場で、自分と違う立場の者も安心させるような努力が政府の責任じゃなかろうか、私はこう言っておるわけです。以上です。もうお答えは要りません。
○池田委員長 次会は公報をもってお知らせすることにし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十五分散会