予算委員会第一分科会 第4号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/03/28
会議録
○主査(松澤兼人君) これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 まず、法務省所管を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秋山長造君 鈴木さんおられますか。あの、この間の新聞に大きく出た事件ですが、山形県の鶴岡のホテルで高松宮さんが見えるといって、ホテルの従業員を四つんばいにして直接検便をやったということが非常に問題になっておりますが、これに対して新聞を見ますと、それぞれの関係者皆さん、どうもとんでもない非常識なことというような発言をしておられるのですけれども、ただ、こういう問題がたまたま新聞あたりで取り上げられれば、皆さんはそれぞれにとんでもないということで発言をされるのですが、やはり依然としてこういう問題が跡を断たないで、あちこちでうやむやのうちに済まされている場合も相当あるのじゃないかと思うし、また今後同じような事件がやはり続いて起こるおそれがあるのじゃないかと思うのですが、あなたの方としては、ただ新聞によると鈴木人権擁護局長の話として、まあ事実なら人権尊重の面から好ましくないというようなことを語っておられるのですけれども、ただこれは新聞でそういうことを評論家のように語られるだけにとどまらないで、何かもう少しこういうことに対して世論を納得させるだけの手があなたの方で打てないものですか、その辺から一つお尋ねします。
○政府委員(鈴木才蔵君) この間の朝日新聞の記事でありますが、あれは実は私はああいうことは申しておりませんし、ただこういうふうな事件が起きているがどうだろうかというので、私のところへ新聞記者が会いに来られました。で、私は、まだ真相はつかんでおりませんので、調査課の方で聞いていただいた程度であります。私もややあの記事には迷惑している。ただし、ああいう問題については関心は十分持っております。本件のようにただ新聞に出まして、そつしてこれについて騒ぐ、もう少し根本的な手を打てないものであるか、こういう御質問の要旨に伺ったのでありますが、こういう事件は前に昭和三十三年度に水戸でございますか、あのあたりにも起きたことがあるのであります。われわれの方といたしまして徹底的にこういう隠れた事実があるのではないかということを調査するわけにも参りませんし、やはり新聞なんかに出まして、その事件を契機として忠告をする以外にはないのであります。昭和三十三年度に起きました事件の場合は、やはり各保健所に対しまして厚生省の衛生局長なんかから、こういう直接検便をする場合やはりよくその取り扱い方、あるいは対象、そういうものについて注意をするように、こういうふうに指示が出されておりますが、やはりこういうふうな具体的な事件になりませんと私の方もなかなか取り上げにくいのであります。その点は御了承いただきたいと思います。
○秋山長造君 それじゃ端的にお伺いしますがね、この事件はその後何か出先を通じましてお調べになっておられますか。
○政府委員(鈴木才蔵君) 新聞に出まして、去る二十六日のことでありますが、問題となりました鶴岡市の湯野浜の亀屋ホテルの従業員に対して、あるいはこの検査をしました人たちを山形の地方法務局の人権擁護課で呼びまして、その真相を確かめております。おっつけ私の方に報告があると思います。
○秋山長造君 そういうことはまだよくわからないのですね。この新聞記事によりますと、これは厚生省にしてもあるいは宮内庁にしてもどこにしても、ぜひ直接検便までやれいというようなことを指示したことも何もないというのですね。ただまあ何となく今までの慣例で、まあそういうことをやって度を過ごしているのじゃないか。おそらく私はこの事件だけでなしに、大体まあ皇室関係のことは特にそうです。不満があっても口に出すことを大体はばかりますからね、それからまたそんなことをうっかり言って首にされたらこれは処置なしですからね、だから大体その旅館の女中さんだとか、ホテルの使用人という人は、相当従来度を越えた非常識な検疫なんか受けても結局泣き寝入りになっているような場合が多いのではないかと、これは想像されるわけですよ。で、この事件に対してあなたの方としては、これは明らかにやはりその通りなら、調査されているのですが、その新聞記事の通りならば明らかに人権侵害だという御見解と受取っていいですか。
○政府委員(鈴木才蔵君) 私どもも真相を確めませんと軽々に結論は下し得ないのであります。私もそういう軽率な結論は下したくないと考えております。もし仮定の質問で、もしか新聞記事にありますように、特に女性の直接検便をする場合に医者でない男性の職員がそばにおるその場で新聞に報道されておりますような格好で直接採便をやったとすれば、それは人権上相当考慮すべき問題である、こういうようなやり方は今後やめてもらいたい、こういうようなのが私の考えであります。
○秋山長造君 この面接検便では、何か条件によっては人権侵害ではない、行なってもいいということなんですか。大体何を根拠にこういう四つんばい検便なんということをやっているのかと思うのですが、その根拠ということは別にないですね、ただ何となくやっている。まあ尊い方が見えるのだからということで、心理的な強制を与えてやっているに過ぎぬのじゃないかと思うのです。直接検便なんということは人権擁護の建前からいって拒否することができるのじゃないかと思うのですが、その点についての御見解はどうです。
○政府委員(鈴木才蔵君) 私もまだこの事件の報告を受けまして、十分にこの法規関係、医療上の関係をまだ検討はいたしておりません。今御質問の趣旨に対して的確なる御答弁ができないのは遺憾でありますが、ただ今までわれわれの方で調べました結果では、この問題となりましたホテルで行ないました直接検便と申しますか、これはやはり医学上は一番的確な検査方法であるということを聞いておるのであります。的確に保菌者であるかどうかを調べるのには、やはり今新聞で問題になっておりますような直接検便という方法が一番確かだと聞いておるのであります。ただこういうふうな直接検便をする根拠と申しますか、これは結局伝染病予防法の第十九条に、「都道府県知事ハ伝染病予防上必要ト認ムルトキハ左ノ事項ノ全部又ハ一部ヲ施行スルコトヲ得」その一つとして、「健康診断又ハ死体検案ヲ行フコト」結局検便は健康診断ができる、こういうところ、それからまたこういうふうな、同じく伝染病予防法の「第八条ノニ」には「伝染病患者ハ業態上病毒伝播ノ虞アル業務二従事スルコトヲ得ス」要するにその条文で「前項ノ業務ノ範囲二関シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」こういうふうな規定がありまして、この命令の中には旅館業、そういうものが含まれておりますので、やはりある程度府県知事は旅館を営む者、その従業員の健康診断を強制的にでき得るということは理解できるのであります。ただここの伝染病予防法の第十九条の「健康診断」という言葉の中には、いわゆる今申しました問題になっております直接検便ができるかどうか、これはやはり私にはまだいずれとも解釈できないのであります。これはやはり厚生省なんかの専門家の御意見も承りたいと思っております。いずれにいたしましても、伝染病予防法の第十九条の中にあります府県知事の施行できる健康診断の中に、たとえホテルなんかの従業員の直接検便ができるといたしましても、問題はそのやり方にあるのじゃないか、こういうように解釈いたしております。
○秋山長造君 大体宮内庁自身が、伝染病予防法十九条なんか発動すること自体がとんでもない行き過ぎだということを言っておりますし、それからこの新聞によると、宇佐美長官は、いろいろひどいことがあるので、そのつど指導しているが、なかなか直らない、困ったものだというような発言をしているのです。だれの意思でもないことが現実にはどんどん行なわれておるといううことになりますと、それで問題が起これば、結局伝染病予防法の第何条がどうとかこうとかいうて、理屈にならぬ理屈をこじつけて、それをうやむやにしてしまう。特に個人の場合と違って、相手が行政官庁の場合は、せっかく人権擁護局があって、人権擁護ということのためにやっておられるはずでありながら、やはり行政官庁に押えられてしまって、結局うやむやで、言いわけばかりに追い回されている。ただ人権擁護の件数がどれくらいあったとかいう記録作りくらいで落ちになってしまって、ちっともほんとうに性根を入れて人権擁護という働きをあなたのところでやっていられないのじゃないかと思うのですが、ちょっと言い過ぎかもしれんけれども、私はそういう懸念を持っておるのだけれども、こういう点、この事件に限らず、人権侵害事件なんかが起こった場合、その跡始末といい、ますか、処理はどの程度徹底しておやりになっておるのか、その点について御解明を願いたいと思います。
○政府委員(鈴木才蔵君) 今どういうふうな処理をしているかというお話でございます。言いわけのみが多いというお話でありますが、御存じのように、私の方のやっておりますことは、刑事事件に対してあるいは訴追し、それに対して裁判所が判決を下す、一定の国家の刑罰を課する、こういうふうな一つの制裁を加える役所ではないこと、それはよく御了承いただけると思うのであります。たとえばこういう事件におきましても、私の方の人権擁護局の下部機関であります地方法務局等の人権擁護課がこういうような事件を取り上げまして、調べること、それ自体によりまして、やはり無意識に行なっていたある行為が人権上問題になるということを理解していただくという大きな効果を持っておるのであります。決してこの事件が今人権侵害だという事実認定をされましても、われわれの方といたしましては、これをこういうふうなやり方によって健康診断した保健所の人たちに何ら制裁を加えることもできません。ただ今後こういうふうなやり方は注意してほしいという勧告をする以外にはないのであります。また各地方に起きておりまする相当集団的な人権侵害の事件におきましても、われわれの方といたしまして制裁を加えるとか、そういうふうなことはできません。結局調査の過程において人権感覚というものをみがき直してもらう、それ以外の方法はない、こういうことを今お答えできるのであります。
○秋山長造君 そうすると、法務省の人権擁護局というのは、まあ社会教育機関ですか。社会教育機関以上のものではないということになりますが、これは法律上の権限というものは、せいぜい一番ひどい場合、勧告ぐらいなことなんですか。
○政府委員(鈴木才蔵君) もしそれが、たとえば警察官の拷問が刑法上のいわゆる特別公務員の職権乱用に触れるような場合は、告発をいたすような場合もございます。けれどもわれわれの最後の処置というものは当事者に対するアドヴァイスをする、そういう勧告以外にはございません。また法規上、特に法務省設置法によりましてもわれわれの仕事というものは人権侵犯事件の起きました場合の調査、それからまた人権問題についての情報の収集、それが眼目であります。おっしゃいますように、社会教育的な面が主たる任務であるかとおっしゃいますれば、そう解釈せざるを得ないのであります。で、調査におきましても何らの強制権も持っておりません。
○秋山長造君 人権侵害事件で告発はできるということなんですが、告発をされた実例がありますか。
○政府委員(鈴木才蔵君) 警察官の事件でこの一、二年は告発した例はほとんどございません。
○秋山長造君 調査一の資料はいつごろそろうんですか。
○政府委員(鈴木才蔵君) 土曜日に大体調べを終わっておるようでございますから、二、三日うちには向こうから、現地からの文書による報告が参ると思っております。
○秋山長造君 それはきょうは間に合いませんが、いずれ場所をかえて法務委員会あたりでさらに私自身が質問を続行するか、あるいはだれかほかの方に質問をしてもらうか、何かしたいと思っておりますがね、それは法務委員会へ資料を提出できますか。
○政府委員(鈴木才蔵君) いつごろの法務委員会でございましょうか……明日も法務委員会、高田先生から、何か来るようにとおっしゃっておられるんでありますが……。
○秋山長造君 それ聞に合いますか。
○政府委員(鈴木才蔵君) 明日は間に合いません。これは山形地方法務局から仙台の監督法務局を経由してくるので、ちょっと時間がかかります。
○秋山長造君 私はあなたの方の全国に網を張っておられる組織の実態というものをつまびらかにしないんですけれども、ただこういう問題は事の性質上、ほとぼりのさめぬうちに手つとり早く調査されないと、もうほとぼりがさめてしまって、何日もたってしまって、みんなが忘れちまったころにぽかっとただ成果の上がらぬよらな報告資料だけ提出されて、そしてそれでお茶を濁すくらいのことでは、ほんとうの人権擁護というようなことはできぬと思うんですね。人権擁護というものは、切れば血が出るというところがないと……。それにやはり何ですか、事務の手不足というようなことで手間どるんですか。それとも大体この事件をきちっと調査するためにはどんなに事務の方が充実しておっても相当時間がかかるのですか。どんなものでしょうか。
○政府委員(鈴木才蔵君) それは事案によると思うのです。どうも私の方はいろいろ誤解を受けておるようであります。この際私はっきり申し上げたいのでありますが、一部の人では、少し人権擁護局はやり過ぎじゃないか、特に国家公務員の事件ばかりやり過ぎやしないかというふうに言われるし、また一部では、どうも何にもやっていないんじゃないかというふうな御批判をいただくのでありますが、私は人権擁護局長として、この現在の非常に少ない人員、予算の機構のもとに、よくやっておると私は思います。ただ私の方は結論を出すような勧告をする事案というものはそうたくさんはございません。大体人権擁護局、あるいはその下部機構が事件に乗り出したということによりまして、その地方は相当緊張いたしまして、またわれわれの方が調査をすることによってこの人権侵害の現状というものがおさまる場合が非常に多いのであります。事案によりますと、特に新聞によりますと、大きな集団的な労働争議、その他勤評に伴うああいうような事案の場合においては、私の方はほとんど手が出せない実情にはございます。けれども、手前みそのようになりますが、新潟県の青梅町における青梅電化の事件でございますが、これなんかはやはり私の方から、本省から調査に参りまして相当反響を呼び、地元においては相当な反省をし、やはり行き過ぎであったということを自覚された空気が強くなっております。まあそういう点においても何らかの効果を上げているように私は思います。 それからもう一つは、血の出るうちに早く結論を出せとおっしゃるのでありますが、私の方はこれが人権侵害であると、こういうふうに事実認定をいたしました場合に、その事実認定に対して裁判事件のようにアッピールといいますか、不服申し立ての方法もございませんので、勧告をいたしたいと思う場合には、やはり相当慎重に事の真相を調べてからでないと軽々な結論は下されません。それからまた事実認定ができましても、やはりこの人権侵害という概念構成というものがはっきりいたしておりませんので、そういうあなたの行動は人権侵害であると、こうきめつける場合にも、やはり相当いろいろの法規関係その他を考えまして、慎重にいたしたいと、私はこう考えておりますので、事案によりましては、ややこの結論を出すのがおくれるのでありますが、大体こういうふうな実際に調査をいたすのが年に八千件ほどあるのでありますが、大体この調査の過程におきまして当事者もよくわかり、そして行き過ぎがあった場合は反省をしていただいておる、そういうふうな、勧告によらないで大体このことの効果をおさめる、こういう事例が相当多い、これを御了承願いたいと思うのであります。
○秋山長造君 最後にお尋ねしますが、あなたの方が公式に調査に取りかかられるということだけで相当大きな効果をおさめておるというお話なんですが、この事件はどうですか、公式に調査されておるんでしょう。
○政府委員(鈴木才蔵君) それは私の方から、新聞等にこういう記事が出ましたので、さっそく電報によって調査するように命じて、それで二十六日に調査に取りかかったわけであります。
○秋山長造君 反響はどうです。
○政府委員(鈴木才蔵君) まだ聞いておりません。
○秋山長造君 また場所を改めて……。
○一松定吉君 人権擁護の問題はもちろん重大な問題でありますが、これは調査してみなければならぬ、調査の結果適当な処分をしなければならぬというようなことについて、何か積極的にあなたの方から調査に立ち入るというようなことをなさる場合もあろうかと思います。民衆の方からあなたの方に向かっていろいろな申し出とか、投書とかというようなことがたくさんあろうと思うのですが、そういうようなときには、やはりそういうような要求をした人を直接お呼びになって詳細の内容を調査して、そうしてそれを調査の資料として十分に御研究なさるというようなことをしておるのでしょうね。
○政府委員(鈴木才蔵君) その通りであります。
○一松定吉君 私は弁護士としてやっておるが、弁護士の中にずいぶん妙な弁護士がおりますよ。原告から隠し金を取り、被告から隠し金を取る。法外な金額の要求をする。しろうとですから、その要求に応じて金を出す。出したあとは知らぬ顔をしてほったらかしておく。しかも原告の代理人と被告の代理人が共謀してその金を取っている。被告とか原告の方から金を取って知らぬ顔をしておるというようなことで、私どものところに何とかして下さらぬかと申し出るものが最近二件ほどある。私どもはそういうようなことは人権擁護局の方に持っていって取り調べてもらうか、あるいは弁護士会に持っていって調査してもらうかしたらいいだろうといって私は直接手を下すことはしなかったのですが、そういうような申し出があるときには、一つ熱心に誠意をもってやっていただいて——結局裏面を爬羅剔抉して相当な処置をおとりになるというのでないと、そういう悪質弁護士なんかの是正はできないと実は私は痛感しておるのですが、そういうような例は近ごろありましたか。
○政府委員(鈴木才蔵君) 最近はございませんが、昨年あたりには、やはり補償金の問題とか、今先生のおっしゃいましたような事案も持ち込まれる——特に東京法務局の方に持ち込まれる事案があったのですが、そういう事案、弁護士の非行に関する問題は、法務局の方で調べるよりも、これは直接その弁護士会のその委員会の方に持ち込む方がいいというふうな弁護士会からのお話もございまして、私の方は弁護士の非行に関する、特にひどい人権侵害でなく、その職務上依頼者との関係に起きた紛争的な問題は、全部弁護士会の方に申し出るように私の方から手続をとっております。私は、弁護士のその問題、特に依頼者との関係における問題、そういう問題につきましては、私どもは直接調べないような方針を最近とっております。
○一松定吉君 直接お調べにならぬでも、そういうような手続をとって、それらの被害者の救済の目的を達することができる方法をおとり下さればそれでけっこうです。そのことはひとり弁護士だけでなく、検察官でも、裁判官でもある。検察官の不都合な問題だとか、あるいは裁判官の不都合な問題があると、民衆は、検察官に対しては検察官審査委員会に持っていくとか、裁判官に対しては弾劾裁判所、訴追委員会の方へ持っていくとかということを知らないで、あなたの方に持っていくことがあろうと思うが、そういうふうにやはり今のような方法でよく丁寧親切に教えてやって、それはどこそこの機関に持っていきなさい、それはどこそこに持っていきなさいというふうに親切に教えてやって、彼らの不平不満を何だね、喜ぶことのできるような方法をおとりになっていますか。
○政府委員(鈴木才蔵君) できる限りそういうような方法をとっております。そして私の方には、本省の方にもそういういわゆる国家の公務員に対する不満、やり方の不満、そういうものの直接の訴えというのが毎日相当ございます。むしろそういう人たちの声を聞くために相当の時間を少ない職員がとられておるのが実情であります。
○一松定吉君 今あなたのおっしゃるようなお考えでそういう仕事をしていらっしゃれば、民衆も自分の侵害された人権については、こういうように救済の方法があるのだということを御指導によって了解ができて、そうして手続をとって、それで満足する人も多いでしょうから、そういうことは丁寧親切にやって、そういう人間のほんとうの不平不満を是正するようにしてやることがあなたの方の重大な職務の一つだと私は考えておるのだが、どうか一つ、そういうことを進んでおやり下さるように私はした方がいいんだと思うのだな。申し入れがなければ知らぬ顔をしようとしているのじゃなくて、どうもおかしなことがあるというようなときには、実に気の毒だ、あなたはそういう点についてはこういう救済方法があるのだから、こういう手続をおとりなさい、そうすればあなたの不平不満は是正することができるのだからということを民衆に親しく教えてやって、そうしてそれを是正するというようなことを直接おやりになることを特に私はお願いしまして、あなたの方の質問を終わります。
○主査(松澤兼人君) ほかに法務省所管に関する御質疑がないようならば、質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(松澤兼人君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○主査(松澤兼人君) 次に、裁判所所管を議題といたします。裁判所につきましては、裁判所書記官の勤務時間延長に関する問題が残っております。御質疑のあります方は御発言を願います。
○秋山長造君 土曜日のこの委員会で、加瀬君からいろいろ質問があって、事務総長から御答弁があったのですけれども、われわれとして、どうもその御答弁では納得しかねるということで、もう一度きょう出直すということになっていたのですが、この裁判所書記官の勤務時間の延長ということについて、あなたの方でこの間の御説明一以外に何かお考えになったことありませんか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 先日私どもが申し上げましたことに対して、特にはっきりしないということでお申し入れがございました点は、将来この勤務時間について、あるいはこれを短くするとかいうふうなことを考えておるかという点が主たるものであったように思いまして、実は御承知のように、一般公務員につきましても勤務時間をだんだん短くして参るということが、これは世界的な傾向でございますし、御承知のようにアメリカのごとく、土曜日まで休日にしておるところもあるわけでございますので、やはり日本の場合におきましても、一般的傾向といたしまして、そちらの方向に向かうべきものであるということは、私も全く御同感でございます。従いまして、現在四十四時間勤務しておりまする一般の公務員につきましても、将来その勤務時間の短縮という問題が当然に起こることと思います。ただいま問題になっております裁判所書記官の今度延長いたしました期間についても、将来のある時期には必ずその勤務時間について検討を加えなきゃならぬ時期が参るということは私も考えておるわけでございます。ただ、将来のある時期というようなことでは、はなはだ漠としておりまするけれども、ただいまここで責任を持ちましてそういう方向に向かって、いつごろからそういうふうにするかということをここではっきり申し上げることができないのは残念でございますが、傾向といたしましてはそういう傾向にある、またわれわれといたしましては、今後もいろいろな実情を考えまして、できるだけそちらの方向へ向かって問題を進めて参りたいというように考えております。
○秋山長造君 そういたしますと、あなたの方でも今度の勤務時間の延長は、本来裁判所の書記官の勤務条件としてあるべき姿ではない、 〔主査退席、副主査着席〕 時間延長というようなことはあるべき姿ではないが、何分にも今日裁判事務が非常に遅延をしているので、まあこういういわば非常事態を切り抜ける便宜手段として一時的、暫定的にこの勤務時間の延長ということをやりたいのだと、従ってこれは将来において元へ戻される、あるいはさらに勤務時間短縮というその世界の時代の趨勢には裁判所としても沿うていきたいのだと、これが本心だ、こういうように御了解してよろしゅうございますか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) その通りでございます。
○秋山長造君 そういたしますと、私はあなたの方でも、これはまあこの間加瀬君が繰り返し質問をしておりましたように、まあ本来滞った、渋滞した事務を片づけるという便宜手段としても、本来ならば人をふやすことによって片づけるべきであって、時間延長というようなことを軽々にやるべきじゃないというこの原則論ね、これはもうあなたの方もお認めになったものと私は思うのですがね。で、そういたしますと、やっぱりこういう問題についてあなたの方で一方的におやりにならずに、当事者の意見をも十分聞き、あるいは全司法の組合の諸君ともざっくばらんにひざを交えて話し合う、そうして現在の裁判所のおかれておる裁判事務の非常な渋滞というこの非常事態についてこれをどう処理するかというようなことについては、これはあまりかたくならないで組合あたりとよく話し合われたら、こういう問題はスムースにいくのじゃないかというように思うので、この間のあなたのお話では、とにかく何がなんでも時間延長ということを強行するというような感じを私受けたのですが、きょうのお話ではそうじゃないので、この非常事態に対処するまあ暫定措置だ、本来はそういうことは好ましくないのだという相当やわらいだ御答弁でしたね。で、この問題について組合の諸君と話し合われたことがあるのかないのか、また十分話し合って了解をつけるという努力をされる御意思がないかということと、それからただ最高裁の裁判官会議あたりで天下りきめてしまうというようなことでこれをやろうとされておるのかどうか。もしそうだったら、そういうやり方を避けて、下級裁判所の第一線の裁判官諸君の意見をも十分徴された上でやられたがいいんじゃないかというように私は考えるのですね。それが事を円満に運ぶゆえんじゃないかと思うのですが、それらの点について御見解を伺いたい。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 仰せのように、この勤務時間の延長というようなことにつきましては、できますれば職員とよく話し合ってきめるというのが、おそらく本筋でございましょう。ただ、秋山さんも御承知かと思いますが、現在組合、いわゆる職員組合の役員の構成がいささか変則的な形になっておりますために、現在まで職員との間の正式な話し合いという場を持たずに参ったわけでございます。ただし、この時間延長をいたすにつきましては、私どもといたしまして、いろいろ職員の方の動向も、特に書記官、調査官の方の動向はいろいろな面から考えまして、大部分の者がこれを望んでおるということを看取いたしましたので、予算の請求の際にもそれを取り上げたわけでございます。そういうようなわけでございまして、いささか、そこの手続につきましては、通常の場合の完璧な手続をとれなかったことは残念に思いまするけれども、そういう点につきましては、いろいろ考えまして、単に一方的に無理に押しつけたというようなことではないと思っております。
○秋山長造君 組合と話し合うには、その話し合いの相手の構成が変則的になっているというお話ですが、それは私どもも承知しているのです。ただ、いずれにしても、あんまりこういう問題を形式にこだわって、そして実際には、結果的に事務がますます渋滞をしてまずいというような状態がそういつまでも続くということは好ましくないので、たとえば、年末に全逓の問題が、あれだけむずかしい世間を騒がせた大きな問題になっておりましたけれども、労使双方の歩み寄りで、結局ああいう御承知のような便法で一応軌道に乗ったわけですね。それで解決したわけなんですが、あの先例があるわけですから、あなたの方でも、少し事をこの際実質主義に切りかえられて、そしてざっくばらんにお話になった方が私はいいんじゃないかと思うのですね。何も上から天下りに強制してはおらぬとおっしゃるが、しかし、われわれの聞くところによると、ちゃんと事前に一週五十二時間にすることに同意しろという同意書をあちこち配られたりなんかして、そしてそれと引きかえに、八%から一六%べの調整額の増額というようなことを認めるのだというようなことをおやりになっているらしいのですがね。これなんかも私はまことに労務管理というか、人事管理のやり方としては、裁判所に似合わぬ良識を欠いたまずいやり方じゃないかと思うのですがね。 それからもう一つは、この間からしきりに、今度の裁判所法の改正によって書記官の権限を強化するんだ、だから、権限を強化してやるのだから、そのかわりに、時間延長も承知しろというような交換条件で権限を強化するというようなことをしきりにおっしゃっておったのですが、私はこの改正案を読んでみて、権限を強化する点は一つもないのです。権限でなしに、書記官の職務内容というものを変える、むしろ、その職務内容をふやす、事務をふやすということであって、権限を強化するというようなことはちっともないので、むしろ、地方の出先の書記官諸君が権限を強化してもらえるのだから、まあ時間延長もがまんしなければならないんじゃないかというように、とんでもない誤解をして、そうして同意書へ判こをついて出しておるというようなケースもだんだんあるのじゃないかと思うので、そういうことをやられるのでなしに、やはり、さっきから繰り返し言うように、どうせ、一時的、暫定的な、その非常事態の処理対策ということが前提になっておるのならば、私は、組合の諸君ともう一度かみしも脱いで話し合われて、納得ずくでおやりになることが賢明じゃないかというように考えるのですが、再度一つ御答弁願います。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) いろいろ御批判はございましょうが、ただいまの、全体の問題としまして、組合ともう少しよく話し合ったらどうかというお話でございます。私どもも、健全な組合のあることは非常にけっこうなことだと思います。また、そういう組合といろいろ問題について話し合って参るということ自体につきましては、何らの異議がないどころか、大いに賛成でございますので、組合の方にも考えてもらい、また、私どもの方でも、今後の問題といたしまして十分考えて参りたい思います。
○秋山長造君 もう一度念のために伺いますが、そうしますと、あなたの方としては、この問題について——まあ、ほかの問題もありましょうが、とりあえず、この問題について決して組合を相手にせずというような、かたくなな態度をとるものじゃない、何とか、何らかの形において組合と話し合う用意があるというように了解してよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) この問題につきましては、この前も申し上げましたように、一応この線が出ておりますので、今後話し合いまして、どういうことになりますか、ちょっとはっきり申し上げかねますが、一般的な問題といたしまして、いろいろ話し合うということにつきましては、現在もすでにいろいろな場をもちまして、われわれの方といたしましては、公式な話し合い等はしておりませんけれども、できるだけの場を作りまして話し合ってきております。その態度を今後も続けていくつもりではおりますが、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
○秋山長造君 もう一、二点お伺いしますが、そうすると、時間延長はいつから実施なさるおつもりですか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 大体予算をお認めいただきました上で、なお、裁判所法の改正法律がただいま国会で御審議いただいておりますので、大体それが幸いに通過いたしました暁を待ちまして実施いたしたいと考そおります。
○秋山長造君 そうしますと、この法律案はやっぱり予算関係法案ですか。いわゆる予算関係法案ですか、この法律案は。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 直接には予算には関係が……まあいろいろからんではおりまするが、いわゆる予算関係法案ではないかというように私どもは考えております。
○秋山長造君 だけれども、たとえばこの改正法律案の内容を読んだだけでは予算とそれほど必然的な関連があるようには思われないわけですがね。だから、この法律案が通ろうが通るまいが、この調整額の方は予算案が通り次第すぐ実行されていいんじゃないかと思うのですが、何か大蔵省あたりから、やっぱり法律が通った暁においてというワクをはめられているんじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 法律案が通りまして、その結果現在裁判官がやっておりますある程度の仕事を補助するような事態が生じてきます。その関係で、現在の裁判所に渋滞しております事件をさばく上において書記官の勤務時間をある程度延長せざるを得ないということでございます。
○秋山長造君 また話が前にちょっと返るようなことになるのですが、この予算の説明書を拝見しますと、この八%から一六%への調整額の引き上げというのは、裁判官等の待遇改善という項目の中に入っているんですね。先ほど来の質疑応答の経過からいきますと、むしろ裁判官等の待遇改善という項に入れるべきじゃないんで、その前の二の項目の訴訟の迅速適正な処理に必要な経費と、この方に私は入ってしかるべきじゃないかと思うのですね。裁判官の待遇改善ということには私はならぬのじゃないかと思うのですがね。現在の勤務時間のもとで幾らか調整額をふやすというなら待遇改善にもなるけれども、これはあなた、事務はふやすし、そうして四十四時間から五十二時間——八時間の一時的、暫定的とはいうものの勤務時間を延ばすのですからね。だからそういう裏の条件がついているのですから、私は裁判官の待遇改善というところには本来入るべき筋合いのものじゃないと思うのです。そこらにちょっと私、ごまかしといったら失礼ですが、まやかしみたいな点があるのじゃないかと思う。調整額でふやしてあるのだから、勤務時間の延長にあまり文句言わずに賛成しろというような響きを感ぜざるを得ないのですが、どうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) その程度のいわゆる調整で待遇改善になるかならぬかということは、これは組合の方の人々はならぬというふうにも申しますが、私どもと見解の相違でございまして、私どもは待遇改善の面のあることは間違いないと思っておりますが、なるほど御指摘のように、書記官に大いに勉強してもらいまして、訴訟の促進なり、あるいは裁判の適正をはかるという面が大いにあるわけでございまして、その意味から申しますと、訴訟の迅速、適正、あるいは第一審の強化というような面が確かにあるわけでございます。しかし、われわれといたしましては、やはり待遇改善という面もございますので、まあ分類をいたします際に、その裁判官の待遇改善のところにそれをつけまして一応御説明をした形になっておるわけでございます。
○秋山長造君 最後にお伺いしますが、この八%の調整額の引き上げに該当する人員はどのくらいでございますか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) 大体予算は三千九百幾らかと思います。調査官を合わせまして。
○秋山長造君 その調査官と書記官の内訳わかりますか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 内訳は、先ほど総長が総数が三千九百と申しましたが、三千九百三十五でございまして、書記官が二千八百六十九、調査官が八百十七でございますが、そういう数字になっております。
○秋山長造君 総数と合わないですね。三千九百三十五でしょう。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 間違いました。調査官の八百十七はその通りでございますが、書記官の方は、その三千九百から引いたものが書記官でございますから……。もう一度正確に申し上げます。書記官が三千百十八、調査官が八百十七、合わせまして三千九百三十五でございます。
○秋山長造君 それは間違いないですか。
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) こういう数字になっております。
○秋山長造君 そんな簡単な数字がどうも合わぬが……。
○松澤兼人君 ちょっと関連してお伺いいたします。 非常に説明がこんがらかっていまして、そこで問題が起こってくるのだと思うのです。つまり、いわゆるあなた方の言う権限の強化という問題、これは職務内容を変えて、法令判例の調査その他必要なる問題の調査ということになっているのですね。それが一本あなた方の説明をする柱だと思うのです。それに裁判が停滞しておるという、そういう点から定員の問題を考えたり、あるいはまた勤務時間の延長の問題と関連しておりまして、そこで、調整額という問題が出てくる。これを先ほど秋山君が言いましたように、待遇改善というところでぽんと入れてありますから問題が非常に複雑になって参りまして、何度も何度も質疑応答しなければ的確なお考えを聞くことができないということだろうと思うのです。まあ裁判所の方はあまりこういう国会の中の質疑応答などになれていらっしゃらないかもしれないのですけれども、もう少し明確な御説明があればこんなに問題は複雑にならなかっただろうと思うのであります。この点は将来のこともありますから、もう少しすっきりした御説明を願いたいと思うのであります。 そこで、先ほどの、予算は大体三十一日にあがる。しかし法律案はなかなかそう簡単にあがらない。四月を越すと思うのですが、先ほど御説明もありましたように、予算は成立いたしましても、裁判所法の改正法律案が成立しなければあなた方がお考えになっております勤務時間の延長もできないし、調整額の支給もできないということだろうと思うのですが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) そういうふうに考えております。
○松澤兼人君 それでは、もし四月の適当な時期に裁判所法の改正が実施されたといたしましても、勤務時間のことでありますからさかのぼるわけにもいかないと思いますが、そうしますと、やはり調整額も勤務時間の延長もできないということになりますか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) その通りでございます。
○松澤兼人君 そうすると法律案が成立して、そうして施行期日の問題ですけれども、その成立を見なければ結局調整額の支給もできないし、勤務時間の延長もできないということになると思うのですが、その通りでございますか。
○最高裁判所長官代理者(横田正俊君) さようでございます。
○松澤兼人君 私の最後といたしまして、先ほど秋山君が申されましたように、実際に働いていらっしゃる職員との間にどのような形であろうと、もう少し納得のいくような話し合いを続けていただきまして、こういう制度の改正などはできるだけ円滑に進めていくように御希望を申し上げまして質問を終わります。 〔副主査退席、主査着席〕
○主査(松澤兼人君) それでは裁判所につきまして、ほかに御質疑もないようでありますから、裁判所所管に関する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(松澤兼人君) 御異議ないものと認めます。 以上をもちまして昭和三十五年度総予算中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府のうち防衛庁、調達庁、経済企画庁、科学技術庁を除く部分、及び法務省所管並びに他の分科会所管外の事項の審査は全部終了いたしました。 なお予算委員会における報告の内容及び審査報告書の作成につきましては主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(松澤兼人君) 御異議ないと認めます。 それでは当委員会はこれにて散会いたします。 午後二時三十五分散会