予算委員会 第16号
- 発言数
- 83 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/03/17
会議録
○委員長(小林英三君) これより予算委員会を開会いたします。 委員の変更について御報告申し上げます。東隆君が辞任せられ、その補欠として永末英一君が選任せられました。 —————————————
○委員長(小林英三君) 議事に入ります前に、御報告いたすことがございます。本日外務大臣から疱状疹兼頸部淋巴腺炎のため、数日間の安静休養を要する旨の診断書を添えて今週中欠席いたしたいとの申し出がございました。従って委員長といたしましては直ちに各理事と協議いたしました上、総理大臣の出席を交渉いたしましたが、本日は日程の関係で出席の運びにいたりません。そのためさらに委員長及び理事打合会を開きまして今後の議事の進め方につきまして協議いたしました結果、午前中は島委員及び武藤委員に質疑をやっていただき、その後の議事につきましては休憩中さらに理事会を開いて協議することといたしました。さよう御了承願います。
○委員長(小林英三君) 昭和三十五年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。島清君。
○島清君 自由化政策を推し進めて参るためには、それぞれの態様の政策を進めていかなければならないと思います。その意味におきましてコストの引き下げをしなければならないと思いますが、そのコストの部分に非常にウエートのかかっております電力の再々編成をおやりになる考えはないか。 さらに関税政策はどうされるのか。財政政策の中で非常に関税政策は重要な部分を占めて参ります。その意味において関税政策をお尋ねいたしたい。 さらに金融政策でございますが、その金融の正常化の進め方、さらに銀行のオーバー・ローンの是正の仕方、金利体制の是正と金利引き下げの方針をお聞きをしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 途中ちょっと私はずしていましたので、関税の話と……。
○島清君 委員長、坐って説明してようございますか。(「だめだよ大蔵大臣そういうことじゃ」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(佐藤榮作君) 大へん申しわけございません。
○島清君 坐って御説明申し上げていいですか。御理解願えなかったようですが、坐っていて説明してようございますか。持ち時間の中に入ると困ります。
○委員長(小林英三君) 簡単にお願いします。
○島清君 こういうことを申し上げたのです。貿易の自由化政策を推し進めて参るのには、商品が国の内外において国際競争力にたえるようにしなければならない。そのためにはいろいろの諸政策を進めて参らなければなりませんけれども、その中で重要な部分を占めておるのは財政政策の中の関税政策というものが非常に重要になってくるが、その関税政策はまだどういう形でお進めになるかというような姿が出ていないのです。その意味においてどういうふうな関税政策をもって自由化政策を推し進めていかれるおつもりであるかというようなことをお聞きしたのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘になりますように、自由化を進めていきます場合に、在来の関税率そのままではいかんということ、これはもう御指摘の通りであります。そこでこの貿易の自由化、これに相応する適正な関税率というものを定めまして御審議をいただくつもりでございますが、ただいまこの関税率を全面的に検討してみようということで、関税率審議会でこの問題をとり上げるつもりでございます。その際にどういう考え方をするかと申しますと、もちろんこのわが国の自由化そのものから見て、経済を拡大さし、また国際貿易拡大の方向に役立つような面についての関税の取り扱い方、これはもう非常に楽だと思いますが、わが国の産業でもまだ成熟していない、これから伸ばしたいもの、あるいはまた本来農産物等のごとく長い間保護の立場で育成強化しておるもの、こういうものについて特に関税で保護的な率を設けるということはこれは当然であります。しかしながら自由化がただいま申し上げるように経済を伸張さすのに役立つ、こういう考え方でありますから、原材料等については非常に低率あるいは無税、こういうようなことにするのが適当だろうと思います。いずれにいたしましても、この関税審議会におきまして十分その点を検討の上さらに国会に提案いたしまして御審議をいただくことになるだろうと思います。ただいままだそういう段階でございませんから、この国会中にはそこまでの措置はできないように思います。ただ、今まで問題になっております対ドル地域に対する十品目、そのうちにはこの国会にすでに法律案を提案いたしまして御審議をいただいておるものがございます。それは対ドル地域に対する十品目の自由化に備えての措置であります。けれども、ただいまのお尋ねは全面的な問題だろうと思いますので、全面的には関税率審議会でその問題と取り組む考え方であります。さらにまた、貿易の自由化について金融が重要な役割を果すことこれまた御指摘の通りでありますし、その意味において金融機関の課せられた責任はまことに重い。かように思いますので、金融機関が、まず体質を改善すること、これが第一のことだ。ことに過当競争といいますか、競争を避けること、これは非常に必要なことだということで、たえずその面の指導もいたしておりますし、また金融機関自体が体質を改善して、今後の活発な競争場裡でひけをとらないように、時宜を得た措置をとるように指導いたしておる最中でございます。また金利の問題につきましては、金利は、たびたび申し上げることでございますが、これは低金利であるべきこと、低金利と申すと語弊がありますが、いわゆる国際金利水準にさや寄せする。この基本方針は堅持して参るつもりであります。このことを実現しなくてはなかなか貿易の自由化など十分競争力を強めるということにはならないように思いますので、これは十分注意をいたしまして、たえず国際金利にさや寄せする政策を堅持して参るつもりであります。しかしながら、金利自身は経済に対しまして調整的機能もあることでありますので、一時的にはこれが、ときに上がることもあるというものでございますが、長期的にみますれば、貿易自由化に備えて国際金利にさや寄せする。その方針でなければならぬことはこれは御指摘の通りであります。そういう意味の指導を十分するつもりでおります。
○島清君 答弁漏れがあるのです。銀行のオーバー・ローンを是正しなければならぬと思うのですが、そのお考えについてお尋ねしたのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 答弁漏れはなかったつもりで、体質改善ということがただいまのオーバー・ローンの解消という方向の努力であろうと思います。
○島清君 電力の再々編成の基本について。
○国務大臣(池田勇人君) 自由化に伴いまして電力の問題にさしたる影響はないと考えております。
○島清君 今、通産大臣は何とお答えになったのですか。
○国務大臣(池田勇人君) 貿易為替の自由化によりまして、電力界にさしたる影響はないと思います。特別の措置は考えておりません。
○島清君 説明してようございますか、こっちですわっていて説明してよろしゅうございますか。
○委員長(小林英三君) いえ、立って御質問を願います。
○島清君 時間があれば、……理解してもらわぬと……そんな質問をしたのではないのです。 独禁法はそのままでいいんですか。
○国務大臣(池田勇人君) 独禁法自体を今改正する考えは持っていません。
○島清君 独禁法も改正しないであれですか、貿易を自由化して国際的な競争に勝てるという自信はありますか。
○国務大臣(池田勇人君) 大体私は自由化のテンポによって、今直ちに独禁法を改正しないで、どういう方向にいくかということによって支障ないと考えております。
○島清君 東南アジアの開発の方針をお聞きしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 東南アジア開発の方針はどうかというお尋ねでございますが、御承知のように戦後の国際経済の傾向といたしまして、競争も一面ございますが、同時に協力という考え方が非常に強く出ております。おそらく第二次世界大戦の原因はいろいいあげられましょうけれども、経済のブロック化傾向というものがこれは戦争を惹起させた大きな原因の一つだという考え方もあろうかと思います。そういう意味で、やはり協力ということを非常に強く申しております。 そこで日本の東南アジア等未開発といいますか、低開発国の経済の開発をいたしまして、そうしてその経済を拡大し、その生活を向上さす、こういう意味の協力が非常に必要だ、わが国はわが国独自の立場においてもやりますが、やはり国際的な協力機関、これを整備してこの開発に協力するという基本的な考え方がございます。で、わが国独自の考え方といたしましては、経済開発協力基金、これを設けまして、積極的に後進国諸国の経済の発展に協力するということをただいま考えている次第でございます。と同時に、国際協力機関においてもわが国の持ち分を果していくということを考えている次第でございます。
○島清君 政府の移民政策についてお尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 移民政策につきましてはすでに御承知の通りに、わが国も積極的に移民の実績を上げるように海外移住会社を作りまして、そうしてこれを中心にして移民政策を推進して参っております。
○島清君 ソビエトとは貿易協定の中で延べ払いを承認しておいて、南米あたりの市場開拓をしなければならない日本の経済状態においてブラジルあたりとの貿易協定が不成立に終わったということについて矛盾を感じませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 別に矛盾は感じておりません。
○島清君 感じない理由を説明して下さい。
○国務大臣(佐藤榮作君) それぞれの国における経済力というものが違っておりますし、また経済的事情も違っております。それらを勘案して、とりきめをいたすわけであります。
○島清君 石原長官にお伺いします。 昭和三十四年度に競輪に警官が派遣された延べ人員は十八万三百七十八名でございますが、こういう賭博行為に、国民の税金でまかないまする警官を派遣することが正しいと思われますか、そういう考え方について……。
○国務大臣(石原幹市郎君) 競輪の取り締まりにつきましては、大体施行団体あるいは施設者との自衛警備ということを中心に考えておるのでありますが、しかし最近の事態等から考えまして、暴力団の介入しているのみ屋の取り締まりであるとか、あるいは自転車競技法違反取り締まり、こういうことを考えまして競輪開催中あるいはその前後にパトロールを強化するとか取り締まりを強化しまして、事犯が起きました場合にすぐ摘発できる。こういうことで、ある程度の警備態勢をとっておるのでありまして、競輪という事態がある以上、これはやはり治安確保ということから当然それはやっていかなければならぬことではないか、かように考えております。
○島清君 皇太子の警備なんかもずいぶん戦争時代に逆もどりしたような感じがあるのですが、それは憲法に保障されている皇太子の人権を侵害すると思いませんか。
○国務大臣(石原幹市郎君) 皇太子の行啓の取り締まりに当たりましては、主として交通雑踏取り締まりとか、あるいは地方等に行きまする場合には歓送迎も非常に多いのでありまするから、そういう面の取り締まりといいまするか、事故を防ぐということが主でございまして、都内における恒例の行啓とか、そういう場合に対しましては全く大体普通の警備をやっておるのでありまして、別段変わった考え方をもってやっておるわけではございません。
○荒木正三郎君 関連質問。……私はこの間経験したのですが、夜分、町の信号灯が全部消えている。非常に不思議に思って、そこの赤坂見附だけじゃないです。ずっと消えている。どういうわけで消えているかと、これは自動車の運転手に聞いたのですが、皇太子さんがお通りになるから信号を全部消しておるのだと、こういうのです。これはどういうわけか私は了解しにくい。そういう事実があったのかどうか。それは一再ならず、皇太子の行き、帰りを問わず、全部そういう信号を消しておる。そのために自動車運転が非常に混乱しておるということは事実ですが、特に夜分においてはこれは非常に困る。そういう点どういうふうになっているのか御説明を願いたい。
○国務大臣(石原幹市郎君) 普通の場合は、やはり信号灯でやっておるのでありまするが、非常に雑踏のおそれがあるとか、いろいろの場合には信号灯を消しまして、手信号で局部的にそういうところを取り締まっておる、誘導しておる、こういうことをやる場合がありまするので、ちょうど荒木委員がぶつかられたのは、信号灯を消して手信号でやっておったときのお尋ねではないかと思いますが、意味はそういう意味でやっておるわけであります。
○荒木正三郎君 ただし、これは一回ならず再々あるのですよ。だから皇太子が行き来する際いつでもそういうことをやっておるかということです。そういうことは私はやってはならぬと思うのです。かえって交通を妨害されておる。その他の方法でやれますよ。信号が一カ所じゃない、十数カ所にわたって全部消されている。そして夜間、警察官がちょうちんでやっておる。そういう必要はないと私は思うのですが……。
○国務大臣(石原幹市郎君) ただいま申し上げましたように、日曜日であるとか、あるいは交通量が少ないような場合は普通の信号でやっておるわけでありまするが、雑踏のおそれがあるとか、いろいろ混雑しておる、こういうときに信号灯を消しまして手信号で、夜はちょうちんでやることになるわけでありまするが、そういうことでございまして、まあ考え方としては、むしろ雑踏を整理しようという、国民に迷惑をかけないようにするというつもりでやっておるのでありまするが、なお非常に迷惑をかけておるということであれば、あるいはそういう交通整理の方法についてさらに検討しなきゃならぬかと思いまするが、考え方はむしろ一般の取り締まりをよくしよう、丁寧にしようと、そういう意味でやっておるのでありますから、一つ誤解のないように願いたいと思います。(「皇太子のことは何も言っていない」「特別のことはやらぬと言っているけれども特別のことをやっておる」と呼ぶ者あり)
○島清君 オリンピック開催に当たって国家の決意とその国家の考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(松田竹千代君) オリンピック大会が東京で開催されることになりまして、これは国会での決議もありまするし、できるだけりっぱに運営を果たして参りたいと、かように考えておるのであります。しかしオリンピック大会は国が協力するという建前でありまするので、必ずしも莫大な金を使って、国民がこれのためにうつつを抜かしてやるようなことであってはならぬ。国の実力に応じ、むしろこれぐらいのものは日本としては片手間といったら語弊があるかもしれませんが、要するに国民をあげてうつつを抜かすようなやり方はしたくないという考え方を私といたしては持っておるのであります。しかし、アジア地域における初めてのオリンピックの開催であります。スポーツ界における行事としては最大のものである。できる限りりっぱな実績を上げられるようにやって参りたいと思っておるわけであります。で、文部省といたしましては、そのために、たとえば国立の競技場、これは今のところ五万五千人の収容の競技場でありますが、これを八万人まで収容できるようにしたい。本年度の予算におきましては、その設計に要する費用を計上いたしておる次第であります。また競技者の競技技術の向上ということも考えられておりますので、それに対しては国がこれを養成するという形ではなくて、そういう考え方ではありませんけれども、競技の技術の向上を目指しまして、そういう日本体育協会に対する例の補助をもってその技術の向上をはかっていきたいと、かような考えを持っておるわけであります。さらにこのオリンピック大会を通じて国際親善のために寄与するというような考え方を持っておりまするし、何分にも外客の大ぜい来ることを契機としてわが国の事情をよく見てもらい、それによって国際親善の実をあげ、またわが国の実情もいろいろの面についてよく見てもらうというような考えでありまするので、それに対してこれら外国の接受の方法等について、いろいろの面について考えが必要なことでありますので、そういうものを十分に準備をしていきたいと思っております。もちろんこれらのことに対しましてはJOC、日本のオリンピック委員会からその開催運営の仕事は日本のオリンピック組織委員会に委任をされておるという形でありまして、その委員も今日では決定されておることは御承知の通りでありまして、これらの組織委員会を通じて、必要なあらゆる施策をそれぞれ下部委員会の方を通じて決定していくことと思っておる次第でございます。
○島清君 首都圏整備計画を二、三年繰り上げて、充実したオリンピックを開催したいという東京都の要望がありますが、こういう要望に沿うて建設大臣等に折衝されたことがありますか、そういうまたおやりになる気持がありますかどうか。
○国務大臣(松田竹千代君) これらのことにつきましては、何分にもこれが運営ということは一切あげて組織委員会でやることになっております。文部大臣もその一員になっておりまするので、各関係各省との連絡を密にしてやっていかなきゃならぬということは当然のことと思います。なお、オリンピック関係の予算につきまして申し上げますると、国立競技場の設計費でありますが、これが百三十五万円、それからオリンピック東京大会組織委員会の補助金は四千万円、競技技術向上の助成が四千万円、海外オリンピック施設等の調査費に二百二十万円余り。オリンピック精神の高揚、これも特にこの機会に中心として考えなきゃならぬ問題でありまして、その方面には六十五万円、計八千四百二十万円。また間接的になりまするけれども、ローマオリンピック大会選手団の派遣の費用として五千万円を計上し、日本体育協会の補助金として一千四百七十万円を計上して合計一億四千八百九十万円、こういうことになっております。
○島清君 オリンピック開催について特別競輪を開催するということですが、その特別競輪とオリンピックの関係について通産大臣は今後特別競輪をおやりになっていかれるつもりであるかどうか。
○国務大臣(池田勇人君) 競輪につきましては、先般競輪審議会の答申が出ましたし、またわが党におきましても委員会を設けて検討いたしております。その結果によりまして考えていきたいと思っております。
○島清君 住宅政策を妨げておりまするのは都会地の宅地の入手難だと思うのですが、そういう宅地の開放についてどのようにお考えであるか。
○国務大臣(村上勇君) 国有地とか、あるいは公有地等の開放も考えなければなりませんし、また今の中高層建築に切りかえて、できる限り宅地の利用度を高めていきたいと、かように思っている次第でございます。
○島清君 中産階級を造成するという意味におきまして、個人に住宅を建てさせるというような住宅地の開放、さらに収入の中から一定額住宅資金に積み立てさせて、それを非課税にする、こういったような政策をとられて個人住宅の建設を促進していくというようなお考えはないかどうか。
○国務大臣(村上勇君) 個人住宅につきましては、金融公庫等の貸出を円滑にしてできる限りこれを奨励いたしたいと思っておりますが、その宅地についての、個人住宅の宅地をどうするということについては、まだ検討いたしておりません。
○島清君 防衛庁長官。新安保条約によりまして極東地域以外でアメリカが第三国と戦闘状態に入ったときに、日本は中立国になるのですか。
○国務大臣(赤城宗徳君) さようでございます。
○島清君 ヘーグ条約によります中立国としての権利義務をお認めになるわけですね。
○国務大臣(赤城宗徳君) さようでございます。
○島清君 自余の問題については、外務大臣が見えませんからして、後日に質問を保留したいと思います。 —————————————
○委員長(小林英三君) 武藤常介君。
○武藤常介君 私は、大蔵大臣、文部大臣、自治庁長官その他の方に、二、三の御質問をいたしたいと思います。 まず第一に、予算の件につきましてお伺いいたしたいのですが、昭和三十五年度の新規事業で、大体新規事業は、最初でありますものですから、数カ月の予算しか組まないと思うのですが、それが三十六年度の平年化した場合には、一カ年分でどの程度一般会計に歳出増となりますか。大体おもなものを、どういうふうな種類で、どれくらいの金額ということを簡単にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねがお尋ねでございますので、そう簡単にというわけに参りませんが、予算の編成に際しまして、ことし一番新しいものは治山治水の計画だろうと思います。あるいはその他給与等の問題について、年間実施のものもありまするし、あるいはきわめて月日を限ったものもございますし、そういうものが平年度化される、そういたしました場合には、御指摘のように一体どうなるかということになるわけでございます。ところで治山治水の計画自身について申し上げてみますと、大体の前期五カ年計画というものを予定いたしておりますし、前期五カ年計画は、毎年一二%前後増加していけば、前期五カ年計画を完遂できる、こういう実は計画になっております。従いましてこれは一二%増、かように御了承いただけばいいと思います。ただ給与の関係等の防衛庁の関係のものになりますと、これが非常に期間を限っておりますし、定員増等も、そういう問題でございますので、人件費などは、それぞれこれを平年度化してみる必要があるだろうと、かように考えますが、まあその他のものについて、もしこれという問題がございますれば具体的にお尋ねをいただけばお答えを申し上げます。 ただ申し上げておきたいのですが、来年度の問題で、当然増は当然計上するだろうなというお尋ねでございますから、まず当然増は当然計上していかなきゃなりません。しかし全体の予算規模というものを絶えず想定して、当然増なるものを予定しておりますから、当然増は計上する分において差しつかえないことではございますが、三十六年度以降の予算の総体につきましては、ただいま申し上げるような段階ではない、この点を御了承いただきたいと思います。
○武藤常介君 これはなかなか複雑で、金額でお伺いするわけにいかないとすればけっこうでございますが、なお三十四年度のこの分と、三十六年度の一般会計予算において歳出の増となるものは、概略どれくらいの金額になりましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっとお尋ねが把握しにくいのですが、三十四年から三十六年を想定しろと、こういうお話だと思いますが、三十五年度の予算をただいま御審議いただいております。そこで三十六年の問題になりますと、いろいろ治山治水あるいは道路、港湾その他長期計画のものもございますので、一応のいわゆる長期計画と申さなくても目標計画はございますので、その目標計画等を考えられますと相当の金額が出るだろうと予想されます。それからまあ減というものの方で考えられまするのは、おそらくあまりございませんが、この災害対策費などが減として考えられるだろうし、まあ減に見合うというか、そういう意味にもとれるものとして、税の自然増収というものがあるだろう、かように思います。ただいま数字的に全体を御披露することは困難のように思います。
○武藤常介君 あるいは短時間に数字をお伺いすることは無理かもわかりませんから、私はこの三十五年度の予算に比べて、三十六年度というのは明年度でありますので、今からお伺いすることはどうかと思いますが、いろいろな方面から大体勘案しまして、三十六年度の予算は余裕が出るとお考えになりますか。それともどういうふうなお見込みでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 三十六年度の歳入が余裕が出ると——まあ余裕という考え方にもいろいろございますが、もしその余裕という意味が減税財源を考えられるかと、こういうことでございまするならば、私どもは十分これは考えていきたい、かような考え方をただいまいたしております。おそらくこの三十六年度で、治山治水は先ほど申し上げる一二%あるいは道路の伸びがあるだろう、これはガソリン税の問題があります。国民年金の問題も一つございます。これなどがどういうようなことになるか、もちろんこれはまかない得ると、かように思います。さらに新規事業も、もちろんただいまの状況でございますから、いろいろ計画いたして参らなければならぬでしょうし、その中には、ただいま御披露するような減税の問題等もございますから、それらのものを全部織り込み得るかどうかということが予算編成上の基本になるわけであります。ただ総体的に申し上げ得ることは、経済において非常な変調を来たさない限り、今日の計画を推進して参りまするならば、税の相当の伸びがあるし、また他面行政諸支出についても、やはり節約協力願って、必要な経費は生み出すという心がまえでいること、それだけは御披露できると思います。私はあまりその金額にもよりますが、ただいま申し上げる点をやはり具体化することが三十六年度予算の主要な点であろう、かようなことを考えている次第であります。
○武藤常介君 ただいまの大蔵大臣の御答弁でありますが、これは来年度の問題で、きわめてむずかしいのでありますが、大臣も再々述べられておりますように、減税ということに相当重点を置いておられるが、ほんとうは不幸にしてこれができなかった。ところが、来年はおそらく多少の余裕は私はあるだろうと思うのですが、一面においては、新規要求も相当、陳情その他等から見ましても、しなくちゃならぬこともあろうと考えます。こういう場合に、どちらに重点を置くかということは、ちょっと無理なお伺いであるかもしれませんが、減税に重点を置くか、それともまた、新規事業でも、のっぴきならないものは、これはまずもって取り入れなくてはならぬかと、こういうことを私は考えておるのでありまするが、これに関しまして大臣の御所信をお伺いいたしたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) これまた、なかなかお答えすることの困難な問題でございます。と申しますのは、新規事業と申しますものの重要性なり緊要性というものをいかに判断していくかということでございますし、減税のごとく、これはまあ国民もう全部が必要だと実現を強く要望しておることでありますから、ウエートをいずれに置くかということは、やはり具体的な問題と取り組んだ後でないと結論が出にくいのではないかと、かように私は思いますので、御了承いただきたいと思います。
○武藤常介君 それでは次の問題に移りますが、昨年は、交付公債の問題につきまして、非常に地方が、交付公債の累積というものは、三十三年度の百五十億を加えまして、すでに六百六十二億というような増額になりまして、県によりましては、これがため予算の編成にも困難したと、こういうことで、各地から二十数県がやって参りまして、盛んにこれの撤廃を叫んで、たな上げをしてくれと、少なくとも利子の方は免除してくれと、こういうふうな切なる要求がありましたが、大蔵当局におかせられましても、大いに考えるところがありまして、本年はこれをやめました。これは、私は、しごくけっこうなことであり、また当を得たことであると考えるのでありますが、そこでまた私は一つ考えなければならぬことは、これを実際、将来特別会計の交付公債をやめたと、同時に特別公債の地元負担というものは、一般的な経営収入と、それから起債によってこれをまかなうというのでありますが、その起債によってまかなう場合に、工事の必要性、あるいは区域の関係上その他におきまして、この負担に多少の支障を感ずるようなことがないではないと、私は過去の経験から考えまして、そういうことも考えておるのでありまするが、これに対しまして自治庁長官の一つ御意見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(石原幹市郎君) 交付公債のことにつきましては、たびたびこの委員会でも申し上げて、大体おわかりをいただいたと思っておるのでありまするが、特別会計分の二百三億を三十五年度ではやめまして、そのうち百六十億は起債の手当を融資のワクでしてあるわけで、あとの四十三億は三十五年度の地方財政計画におきまして、それだけ財政需要の中にみておるわけでありまするから、心配はないのでございます。今後の財政計画に、あるいは起債のワクにつきましても、すでにそういうことを念頭に置いて計画を立てていきたいと存じまするので、御心配のようなことは万々ないと思うのであります。かりにそういう心配が若干あるにしても、交付公債制度を存置していく方の弊害の方が私は大きいと思う。それから、元利の償還につきましても、地方交付税法を改正いたしまして、従来よりはもっと高率に財政需要額の方に元利の償還を織り込んでみていくということになっておるのでありまするが、交付公債制度に対する将来につきましても、非常に明るいことになってくると私は確信しておる次第でございます。
○武藤常介君 ただいまの自治庁長官の御答弁のごとく、今年は交付公債を廃して起債によると、こういうことでありますし、同時にまた、過去の累積した交付公債に対しては、交付金その他の方面におきましてこれをだんだん解消して参ると、こういうことは、私は非常にけっこうだろうと思うのですが、大体交付公債をしたのは、治山治水等の特別会計の問題でありまして、これを実際実行するにあたりましては、この負担金が、甲の県に負担さして、その負担金をその県は負担するだけの義務もないというように感ずるような部面も生じて参りまして、実際の問題としては、過去の私の経験からしては、相当問題になったことがあるのであります。かようなことになりまするというと、この治山治水のような国家的な事業になりまするというと、これは相当問題を起こすのではないかと、かように考えておるのであります。むしろ私は、国家的の事業なのでありますので、これを部分的に受益の方面に負担金をさせるということではなく、根本的に考えを改めて、国家が全部負担すべきものではないか、そういうふうな大乗的な見地からこの国土保全という国家的な大事業は行なうことが必要ではないかと、かように私は考えるのでございます。そうすれば、今度は、納めておいたからまた還元してくれとか、あるいはこれを交付公債じゃない交付金で埋めてくれとか、あるいは交付税をくれとか、そういうめんどうなこともなくなるし、非常にそこがはっきりして参って、その方が私はいいのではないかと、かように考えるのでありまするが、これは大蔵大臣の御意見をお伺いしたいと思うのです。
○国務大臣(石原幹市郎君) 私から一応お答えしまして、また大蔵大臣から御意見があるかと思います。 これは、われわれ地方財政の方の立場の者からいたしましても、直轄事業はすべて国費でやってほしいと、地方に負担をさせないようにしてほしい。そのかわり、その議論を押し通していきますれば、いろいろな補助事業といいますか、地方的な事業は、補助なんかもらわないで、一切地方費でやるべきだと、こういうふうに、国費と地方費の事業を截然と区分してやったらどうかという一応意見を立てて、大蔵当局ともいろいろ相談したのであります。しかし、直轄事業といえども、やはりそれぞれの地方も受益があるのでありまするし、地方がある程度負担するということも、一ぺんに断ち切るということはどうか。また、地方としてのいろいろな補助事業、これは河川ばかりじゃない、道路とか、すべてに通ずることになりますが、これを一切地方費でやるということになれば、この負担も大へんじゃないか。直轄事業と補助事業というものがそれほど理論通りに押し通せるほど截然と区分されておらないという実態でありまするので、一応おあずけの状態になっておるのでありますが、将来の問題といたしましては、直轄的な事業は原則としては国費でやるべきである、そのかわり地方的の事業は原則として地方費でやるべきであるというこういう筋道は、私は立てていった方がいいと思います。まだ現在の事業をそのまま直轄と補助とに分けて国費と地方費で截然と区分していくということは、まだ困難な段階ではないかと思っておる次第でございます。
○武藤常介君 この問題はなかなか重要な問題でありまして、たとえば公共事業にいたしましても、直轄河川の問題あるいは中小河川の問題等によりまして、おのずから違うようでありまするが、ただいま自治庁長官の言うのには、直轄事業ぐらいは国庫負担にすべきものである、私も全く同感であります。過去の国においてはそういう金をまかなうことはできない、こういう時代もありまして、これはやったのでありまするが、最近のようなわが国の経済の状態は非常に発展いたしまして、自然増収等も相当ふえて参りました。一昨日も慶応大学の高木教授の言うのには、自然増収は私の計算によるというと、大体倍ぐらい計算されるということですが、これもいろいろ、昨日もまた公述者の言うのには、本年度二千百億の自然増収はあやしいと、どうも学者の方の話もいろいろ違っておりまして必ずしも信用するわけには足らぬと思いますが、とにもかくにも大へんな金でもないのですから、直轄河川ぐらいはこれは国家が負担していくべきものである。中小河川等も逐次、重要な河川に対してはこれを直轄河川に繰り入れる、こういうことによって国土の保全ということに力を注ぐ必要があるだろう、こう思うのでありまするが、大蔵大臣の一つ御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど石原自治庁長官の答弁を伺っていたのですが、武藤さんやや誤解されたようにも聞くのでありますが、直轄事業を全部国で持てという議論があるが、今の直轄事業の施行状態から見ると、地方においても受益する面が相当あるのです。従って国の直轄事業の遂行が一地方に偏重するという事態が起こると困るというような意味があるのだろうと思いますが、そういう意味でこの受益の点を考えると、やはり地方分担金の制度が望ましい、こういうことがただいま私どもの考えておるところであります。これは基本的な考え方でございますが、また地方におきましても、在来から補助事業を直轄事業へ変更しろという強い要望もございます。これなどもその持つ意図が財政の建前だけでなしに、いろいろの意味を持ってかような要望も出ておると思います。また、直轄事業自身が非常にその県に対しまして直接関係がないように考えられるところもある。そういう意味で非常に地方とすれば迷惑する。たとえば茨城県は利根川改修自身が直轄事業でやられる。そうして茨城県自身はこの直轄事業の施行によってどれだけ利益を受けるのか、結局下流の東京なりその他のためにこの直轄事業が遂行され、自分の方では分担金、これが非常に重くなる、こういうような事態もあるように見受けるのであります。しかし、これも考え方でありまして、自治体自身のその内部において一つの事業が起こるということは、自治体自身としても利益を受けることでありますので、工事目的そのものとは別に、事業がその自治体内で行なわれる、こういうところに利益のあることでございますから、またお互いに協力するという観点に立ちまして、この点はしばらくごしんぼう願いたい、かように思います。私はこういう問題をも念頭に置いての地方財政の強化ということは、やはりその補助制度、あるいは直轄事業制度ということで割り切らないで、自治体の全体の財政のごときは別途の観点から総合的にこれに対する対処を考えるべきじゃないか、かように私は思いますので、ただいま直轄事業なり、あるいは補助事業等についての分担金、あるいは補助という制度について変更を加えることはまだ適当でない、かように実は考えております。
○武藤常介君 ただいま大蔵大臣の御説明によりますというと、受益という言葉はいろいろに解釈できまして、工事を施行するために、その工事に従業いたしたという方面から相当の収入が地元にあるという方面とまたその工事そのものが河川の修築によりまして被害を免れる、あるいは利益をこうむるとか、こういうふうな見地からも考えまして、必ずしもこの受益というものは、簡単には私も解釈はできないと思うのでありますが、とにもかくにも過去の実績によりますというと、交付公債というものが山積して参りまして、ほとんどこれの償還の道がないというような県ができました。これは一体何を物語るかというと、これはやはりその交付公債ということによる地元の負担ということが、そういうガンをなしたものと思うのでありますが、今回またこれを起債によりましても、その県の起債でありますので、将来は国庫の方からまた何かの意味において交付金を得られるかもしれませんが、とにもかくにもそういうことになりまして、その地元の県は受益県であるないにかかわらず負担をせなければならぬというようなことで相当の厄介な問題になりまして、まずある県によりましては、とにかく交付公債は考えものだ、はれもののようだとこう言うのでありますが、また来たるべき将来においては、さっそく起債をして、これを県議会にかけて決議を得なければならぬ、これは厄介なことができた、こういうような叫びも持っております。私はしからば特別会計によりましてできたところの治山治水のごときは、それならば必要がないかと思われるかもしれませんが、私は治山治水の五カ年計画、十カ年計画の最初の主張をした方でありますので、それはどうしても施行しなければならぬ。けれどもが、地元負担等にいざこざができるようなことがあってはこれは相ならぬ、かような見地からお尋ねいたしたのでありますが、ただいま大蔵大臣、自治庁長官の御答弁によりますというと、いろいろ考え方はあるようであります。おそらくは建設大臣としてもいろいろお考えはありましょうが、念のために一つ大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(村上勇君) 私としては、その財源さえ得られれば、もうむしろ地方が楽でいける方が楽なんでありますけれども、しかし、この治水事業はきわめて重大な役割を持っているのでありまして、特に直轄事業につきましては、その治水事業の中でも最も緊要度の高いものであります。従いまして、これは国も利益でありますが、地方にとりましても、この事業を遂行いたしますれば非常に利益がありますので、私は現段階におきましては、地方がその一部の負担をするということは適切じゃないかとかように思っております。
○武藤常介君 大体地元負担の問題は私これくらいで切り上げたいと思うのですが、これは将来とも必ず問題になる問題であり、やはり国土の保全でありますので、これは将来とも国の豊かになるにつれまして、ことに未開発な農村等においては、財源等も少ないのでありますから、こういう問題は、単なる農村の問題ではありませんのですから、将来は国庫負担にすべきものであると深く信じておりますが、御答弁は時間がありませんから、けっこうでございます。 次に、教育の問題に移りたいと思いますが、文部大臣にお伺いいたしたいのでありますが、わが国の青年は、戦後はなはだしくどうも不良化いたしまして、はなはだ遺憾に私は存じておるのであります。戦後のあの混乱の状態において、青年は希望を失なったというので、不良化したということもこれは確かに同情に値するところでありますが、世界の情勢を見まするというと、戦争に勝った国は案外その後滅びてしまう。あるいは戦争に負けた国が復興するという例が非常に多いのでありまして、日本などもその方に入ってきたようには思うのでありますが、どうも毎日の新聞を見たり、ラジオを聞いてみるというと、青年等の不良化というものはおびただしいのである。われわれはこのままにしていくことは、とうてい忍びない。文部大臣におかれましても、相当の方法は講じておることと存じますけれどもが、大臣のこれに対するところの所信をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(松田竹千代君) わが国において戦後青少年が多く不良化しておるということでございまするが、なるほど一面十五才から二十五才くらいまでの青少年にして、すでに警察あるいは検察当局の御厄介なったものは、約四人に一人というような数字も出ておるわけでございまするが、しかしその中には不良化というような性質のものでないものもたくさんあるのでありまして、一面から見まするならば、なるほどわが国の青少年の実情というものはきわめて憂慮すべき問題であると考えるのであります。しかしまた、別の面から見まするならば、わが国の青年は、今日はきわめて明朗、闊達、かたい精神をもって、そして国家社会に有為の人物として立っていこうという意欲に燃えておるということを私は感じるわけです。決して私は悲観的に考えておらない。むしろ楽観的に考えて、悪い面だけを見るならば、なるほどそうでありますけれども、よい面がまた非常に強い点があるのでありまして、私は先般も、あす、あさってもまた行くようになっておりますが、中央青年の家における青年学級の全国の青年が多数集まったときに、私が参りまして、そしてその地方々々におけるこれら青年が、いずれもすでにそれぞれの仕事に従事しておる青年であります。それがグループ活動を通じて、そうしてその研さん、その研究成果を発表する発表会の光景などを見、起居を共にしなどして、その青年の実情をつぶさに見まするときに、私は実に涙ぐましいような感じを受けたのであります。これが単に空理空論を叫んでおるのではない。いずれも自分のやっておる仕事、先般もこのなんでお話が出ましたが、松の苗木や杉の苗木、これをさし木をやる研修のありさまなど、一若き妙齢の婦人が山奥から出てきて、その実情を述べるのでありますが、まさに言うこと、することきわめて適切であり、すでに父祖からの仕事、あるいは自分たちで考案して、先考の説も聞き、そうして研究のたびを重ねて、足が地についた仕事をやっておるというその光景を見て、私はひとしお感に打たれたのでございます。不良少年の問題は古くからの問題である。外国においてもこの問題は一つの大きな問題となって考えておられまするけれども、よい面から考えまするというと、私はこの日本の青年の実態というものはきわめて明朗であり、また、りっぱに信頼できる次代の国民ができ上がることを信じて疑わないのであります。そのためにはもちろん適切なる施設をもってこれに対処し、青少年の不良化を防止してゆく施策に対しては十分な意を払ってやって参らなければならぬ、かように考えておる次第であります。
○武藤常介君 ただいま文部大臣のお話によりまして、青年が大いに最近非常な勢いをもって盛り上がっておるということを、私は非常に喜ばしく存ずるものであります。しかしながら、不良的な者がやはりどうもなかなか解消しない、少なくならないということは、これは事実でありまして、これが救済策としましては、やはり途中からではなかなかだめなんでありましょうが、小学校なり中学校時代からの教育というものによってこういう方面を救済する必要があるんだろうと思うのでありまするが、こういう方面におきまして道徳教育の問題に対して、教科書にはこういう問題を入れないとか、あるいは教育者として何だか道徳教育というと昔の教育勅語でも繰り返されるのかというような考えで、どうも好ましくないと、かようなことをよく聞いておるのでありまするが、最近とにもかくにも課程のうちにもそういうものが入ってきたということは、私は喜ばしく存じておるのでありまするが、この方面に対しまして道徳教育に対するところの大臣の信念、簡単にいえば信念というんですが、私は真の日本人の養成というもの、日本人は世界に非常に賞讃されておるのでありまするが、その美点を失わないようにどうしてもしなくちゃならぬと考えるのでありまするが、大臣として特殊な抱負、経綸もありましょうし、御所信もこの機会にお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(松田竹千代君) 青少年の不良化を防止するためには、これは若いときからやらなければならぬということはまさに同感でございまして、もうすでに成人として大きくなっていろいろ社会のあらゆる悪い風潮に染んだ者は、これはなかなかむずかしい。みずから何かの機会によって大いに自省、反省してゆく非常な衝撃でも受けてやる、まあ鉄か何かのように一つ焼きでも入れるというような方策でもあれば、それはまた人間が変わってくるかもしらぬけれども、これは何としても子供のうちからやらなければならぬということは最も大切でありまして、従って学校教育において十分に道徳の基礎、何と申しましても国家社会においては道徳ということが基本である、従って教育におきましてもこれを重視して、あらゆる面からこれが若い時分に道徳感というものは基礎つけられるということでなければならぬと思うのであります。しかし、学校においてむろんこの点を大いに力を入れて、そうして教育課程の上においても特定の時間をこしらえ、またあらゆる内容を、道徳教育における内容を一般にその目標とするところも明らかにして教育をやって参らなければならぬと思うのでございます。しかし、なおこれをもってしても私は足らないと思います。お話しのように、やはり児童の教育にあたっての最低標準というようなものを考えるときに、何としても第一義に行なわなければならぬのは、健全なる家庭である。また、学校の訓育課程のしつけ、そのほかにも放課後の児童が遊んでいる間によくもなれば悪くもなるというのが実情である、いかなる時代にも。従って放課後の児童に対しても、特に、地方は別としても、都会などでいろいろ刺激の強い所、しかも遊ぶ所が十分でないというような所に対しては、こういう方面に対しても十分な施設と、それから指導者を置いて、そうしてその不良化を防止するということが必要であるかと思うのであります。要するに、子供の間は何と申しましても遊ぶということの教育的な価値を十分に認識して、それに対して適切なる施設をしていかなければならぬ、かように私は考えている次第でございまして、これらに対する施設もそれぞれ考えて、目下やっている次第でございます。
○武藤常介君 ただいま文部大臣のお話しによりますと、学校、家庭その他、放課後の遊び場所、そういう所にもいろいろと根本的に一つ考えておくというのでありますが、ただいま大臣は日教組の方ともよく会見しているようでありますので、私、その内容はここで伺いません、伺いませんが、私の単純なる考えから見るというと、現在の教育者にしてですね、何か生徒でこれを観察しまして、先生でも一体ああいうことをしてもいいのかな、こういうふうな感じを持たれることもあるらしいのですが、こういう方面も、教育者は労働組合ではないのですから、よほど注意していかなければならぬと思うのですが、その点のところは、大臣はどういうふうに考えておりますか。
○国務大臣(松田竹千代君) 日教組と申しましても、これみな教員であります。日本の教職員組合にほかならない。従って私は、この教職員がやはり人の子を教えるということは特殊な仕事である。これは工場においてものを生産するのではない、あるいは炭鉱においてものを掘ったりする仕事と違う。人間を形成する仕事であります。しかも、人間がこれに当たるのでありますから、いかにむずかしいことであるかということは容易に想像できるのであります。しかし、このむずかしい仕事をする学校、そういったようなところにおいて、また今申し上げたように、学校のみならず、一般社会環境によって児童がよくもなれば悪くもなるということでありますので、これら各方面から人間形成に対しての施策と方針というものは確立されなければならぬと私は考えているわけであります。で、これをやって参るについては、何と申しても秩序の保持ということが第一であると思う。従って規律ということが必要になってくる。学校の先生がいわゆるすし詰め、五十人以上の児童を一教室に入れて、そうしてこれにものを教えていこうというにあたっては、何をおいてもまず秩序、すなわち規律ということも必要であって、それがなくして何事もできるわけではありません。従って教育にあたってはまず秩序の保持ということが第一義である。これを維持するためには、やはり厳正な態度をもって、そうして不法なことをやった者に対しては、やはり峻烈な態度をもって臨まなければならぬ。しかしながら、それだけではいけないのであって、先般もこの議場においていろいろお話がありました、一罰百戒もあるということでありましたけれども、やはり強い力のみをもってしては、私はこのむずかしい教育の事業は完成できない、特に今日の民主主義下におきましては、その一番大切な要因というものは、私はやっぱり寛容の精神であると考える。そこで、教育にあたっては、一面秩序保持、峻厳、厳正、一面寛容、この両建でいかなければならぬ、かように私は考えておる次第であります。
○武藤常介君 ただいま大臣の御所信を伺いまして非常に力強く感じたのでありますが、学校の生徒が将来青年になり、壮年になりまして行為をするときに、必ず教師を考えて、そして、どうも悪いことをしようと思ったが、あの先生に対して考えるというと悪いことはできないというような感じを持つのが普通であると思うのですが、そういうことを考えるときに、現在の教育界の情勢は、私は具体的には申しませんが、どうも必ずしも感心しない、かように私は考えて、はなはだ憂えておるものであります。どうか大臣におかれましても、いろいろと交渉中のようでありまするが、やはり教育者は、今日そういうことを言うと笑われるでありましょうが、いわゆる天職である、単なる労働者ではない。天職とは何だと言われると、これは時代錯誤であるかもしれませんが、とにもかくにも教育者としてはやはり普通の労働者とは違った見地に立たなければならぬと私は考えるので、どうかそういう方面で教育者の一大奮起、一大戒心を私は要するのではないか、かように考える次第でございます。何かの機会に大臣からよろしく一つ御指導を願いたいと思うのであります。 それから、いろんなことを申し上げましたが、私の考えでは日本の教育というものは普及している、こういうことになっておりまして、事実そのようあります。徹底でなくてこれは普及である。普及徹底となればいいのですが、遺憾ながら普及徹底とは申せない。普及である。こういう点から考えるというと、施設の面において、また一歩進んだ面において私は考えなければならぬと思うのでありますが、時間がなくなりましたから、ただいまから二、三申し上げますから、一回に御答弁をいただきたいと思います。大体町村の合併その他によりまして、新市町村の建設が大体整いましたが、また、教育に対するところの予算の配分というものは十分ない。その一、二の例を申し上げまするというと、危険校舎、老朽校舎の問題、ある屋内体操場の問題、それから技術強化の設備の問題、それから一般的に研究指導に対する助成金の問題、こういうものに対して一つ現在の状態をお伺いいたしたいと思うのでありまするが、さて、私はこれと別に、いよいよ日本も為替の自由化、いわゆる貿易が自由化いたしまして、農林省、通産省、大蔵省がそれぞれ用意を考えて計画を立てておるようでありまするが、現在のアメリカの状態は非常に科学技術者の吸収というものに非常な熱意を上げておるということであります。わが国の産業は今日御承知のように非常な大発展でありまして、貿易にも黒字を出しておることは御承知の通りでありまするが、しかしながら、それかといってトランジスターはいい、ミシンはいいとかなんとかいって安心しておるうちに、あのかつての大東亜戦争のときにアメリカは天文学数字をいっておるといったように、あえて今日はアメリカばかりではありません。あるいはアメリカにしたところが、ソ連にしたところが、欧州にしたところが、相当の技術方面の研究が盛んで、これの吸収にはきゅうきゅうとしておる。ところが日本の現在はどうであるかというと、どうも教育の幅は広いけれども徹底した方面がどうも十分でない。その一証拠としては東大病なんというのができるくらいに、ある学校だけには非常に希望者が多い。ところが、全般的にはどうも変なことになっておるというのでありまするが、どうかこれは大蔵大臣また総理大臣もそうですが、日本の考えを少し根本的に考えて、学校教育の徹底を期するために、国立の大学というものをいま少し徹底して数多く作る必要はありはしないか。なるほど日本人は技術者も科学者も優秀でありまして、数学方面でも相当優秀でありますが、いざといってこれは貿易上にあるいは生産の競争となりますと、これは将来は共産主義と自由主義の競争でもない、科学技術の競争になります。これの優先した国が将来立っていかれるというふうになるだろうと思うのでありまして、この点からいうと、科学技術者の養成こそ私は重要な問題であろう、こういうふうに考えまして、いろいろな予算の関係もありましょうが、この教育の根本的な拡充を必要とするのではないか。単なる幅ばかり広くするのではありません。しかしながら、それかといって少数の科学技術者ではだめでありまして、やはりソ連側の人工衛星を作ったとかなんとかいいますが、やはり多数の科学者がああいうことをなし遂げたのであるということを私は伺っておりまするが、やはり科学者の数をふやすということが、将来日本がこの経済競争に立っていく道ではないかと、かように考えておるのであります。いろいろ一緒になりましたが、時間がないので、これらの点につきまして、まず学校の増設の問題、あるいは二、三述べましたが、まず大蔵大臣からお伺いします。それから文部大臣からの御所信をお伺いしたいと思います。また、現在の状況でもけっこうでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府は三十四年度からいわゆる危険校舎の整備五カ年計画を樹立し、三十五年度は二年目になるわけです。この計画は御審議をいただきました結果、大体私は計画遂行通り参っておると思います。三十五年度でまず三八%程度になっておりますが、この危険校舎あるいは老朽校舎の整備と申しましても、さらに内訳をこまかに見ますと、ものによりましては非常に進んだものがある。たとえば市町村統合等による統合校舎の整備等は計画以上に上回っておる、かように思いますので、その詳細等の説明は必要であれば事務当局からさせたいと思います。ところで、この科学技術の振興、これについていろいろ御意見を述べられました。私も基本的にはその考えに賛成するものであります。三十五年度の予算におきましても、技術者教育の衝に当たられる方、あるいは研究員等についての給与も一般公務員より以上に引き上げの率を上げるとか、あるいは研究費等について特別な処置を講ずるとか、あるいは設備が不十分でございますので、この設備についてこれを普及さすというようなことも工夫いたしたわけであります。あるいはまた、科学技術庁を中心にしての科学技術振興の諸方策につきましても、それぞれ具体化いたしたわけであります。しかし、何を申しましても、現在の状況ではまことに不十分であります。技術者の待遇にしても、あるいは技術者の養成にいたしましても、また設備等についても、これをもって十分とは決して申しません。今後財政の面から特にこれらの点について私どもも意を用いて、そうして教育の点において特に科学技術関係の部門を急速に拡大向上さす、こういう意味の努力を予算編成にあたりましてもとって参りたい、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(松田竹千代君) 順序がお尋ねの通りでありませんかもしれませんが、まず危険校舎、学校統合のお話がありましたが、これも五カ年計画の一環として国家の、国庫が負担しなきゃならぬということになっておりまするが、学校統合による国庫負担金は、明年度は三十五年度十二億八千万円、その坪数は六万四千坪、これは総計画の二二%になっております。そのうちでまた継続事業の分がありまして、これは四万一千坪、それから新規事業分は二万三千坪、こういうことになっております。それから義務制危険校舎の改築でありますが、これは国庫負担額が二十一億五千万円、坪数にいたしまして十六万一千坪、この計画は全体の計画の二八%になっておるわけであります。要するに三十五年度の予算において学校統合及び危険校舎の整備については、五カ年計画の第二年度として必要な坪数が整備されて、それに必要な予算が計上されておるということでございます。ところが、明年度は御承知のように、中学校の校舎の増設ということが最重点になっておるわけであります。 なお、学校関係、教育関係についてはなはだ不徹底であるというおしかり、その通りでございます。しかし、これはある一方だけをうんと徹底させましても、また一方で非常におくれているというようなことがありましては、そこにでこぼこがあって、全体の力を発揮するに至らぬのでありまするから、やはり教育の面におきましても、均斉のとれたやはり教育が必要ではないか、かようにも考えるわけであります。たとえば御指摘になりました科学技術の振興を期するというにいたしましても、まずそれについて一番先に考えられることは、やはり大学における基礎研究でございます。何と申しましても科学技術のほんとうに振興をはかるためには、そのもとのもとになるものは、やはり基礎的の研究に力を入れなきゃならぬ。また、これに伴うところの人材を養成しなきゃならぬということが必要になってくる。しからばそれでよろしいかといえば、やはり高層部の研究ばかりではいけない、従って中堅層の人材も養成していかなきゃならぬ、さらにそれ以上に幅の広い小中学校においても理科、産業教育、そういったような面において力をいたしていって、全体として、幅の広い、層の厚い科学技術要員が満たされなければできることではない。さらに考えるならば、国民全体が、家庭においても、どこにおいても、機械とか、科学とかいうことに身近なものになって、男性はみな菜っぱ服に親しめるというぐらいなことにならなきゃいかぬ。機械をおそれるという考え方ではいかぬのであって、国民あげて科学に対して、科学そのものを身近なものと考えるところまで徹底せしめていかなきゃならぬ。しかも、均斉をとっていかなければ総力が発揮できない、かように考えるわけでございまして、大学におきましては、今までの長期経済計画に基づきまして、八千人の人材を養成するということになっておりまして、本年度は最終年度になって、国立関係において千人以上の者を養成し、これでもって本年は八千人を、ほぼ、私学とともに、完成できるという形になっておりまするが、さらに、今後のいわゆる経済倍増計画に伴う線に沿うて、そしてさらに新たなる計画を立てていかなきゃならぬと思うのでありまして、今科学技術会議におきまする人材分科会において、これが計画を立てておるわけでありまして、それが六月ごろには完成される。これと見合って、文部省においてもその計画を研究いたしておるような次第でございます。
○政府委員(石原周夫君) すし詰め教室の解消の五カ年計画でございますが、内訳の数字につきまして、文部大臣からお答えがございましたが、全体の計画に対しまして、三十四年度、三十五年度、どういう割合になっておるかということについてお答えを申し上げます。全体計画が二百五十三万三千坪、金額にいたしまして四百十九億五百万円、それに対しまして、三十四年度に四十六万七千坪、金額にいたしまして七十五億七千九百万円、パーセンテージは、一八・一%、こういうことでございます。それに三十五年度に、坪数が五十万九千坪、八十六億八千七百万円、二〇・七%を加えまして、三十四年、三十五の両年度を合計いたしますと、九十七万六千坪、百六十二億六千六百万円、パーセンテージが三八・八%でありまするから、五カ年間で半分をいたしまして、四〇にほとんど近い、まあ三八・八%という数字に相なっております。
○武藤常介君 それじゃこれをもって私の質問を終わります。
○委員長(小林英三君) 午後は二時十分から再開いたします。 暫時休憩いたします。 午後一時十四分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕