商工委員会 第6号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/02/17
会議録
○委員長(山本利壽君) これより商工委員会を開会いたします。 まず、委員の変更について報告いたします。 本日、大矢正君が辞任され、その補欠として近藤信一君が再び選任せられました。 —————————————
○委員長(山本利壽君) 次に、通商産業省の昭和三十五年度予算及び施策に関する件を議題といたします。 本日は貿易政策について御説明を承りたいと思います。
○政府委員(松尾泰一郎君) 貿易及び為替の自由化につきまして簡単に御説明を申し上げます。 お手元に簡単な資料をお配りをいたしておりまするので、それに沿いながら申し上げたいと存じます。 まず、現段階を申し上げますと、本年の一月の五日に貿易為替自由化促進閣僚会議というものが設定をせられたのであります。その第一回の会合が一月の十二日に開かれておりますが、そこで決定をせられましたのは、要するに貿易及び為替の自由化につきまして、年次目標を定めつつ、内外諸対策の整備と相待って自由化を急速に推進をするという基本方針が決定をせられまして、なお五月末日を目途としまして、自由化計画を策定するということ員会会議に相なっておるわけであります。目下通産省を初め、関係各省におきまして業界の御協力も得まして、案の取りまとめをいたしておるという段階でございます。 そこで、御説明の便宜上、この貿易及び為替の自由化の必要性につきまして一言申し上げてみたいと思います。資料の第一、「自由化の必要性」というところに、数項目にわたりまして理由を書き述べておりまするが、若干順序は前後いたすかと思うのでありまするが、まず、この自由化の必要性につきましては、外的な要因と国内的な要因というものが考えられるかと思うのであります。で、まず外的な要因といたしましては、御存じのように、戦前の各国の貿易競争、経済競争の弊害の経験にかんがみまして、戦後いち早く自由主義国家陣営が、国際通貨基金ないしガットというふうな機構を設立をしたのであります。日本もおくればせながらその機構に参加をいたしておりまするが、これらの国際機構の理念とするところ、理想といたしますところは、資本及び物資の交流をできるだけ自由にすることによって、各国の経済の成長をはかり、雇用の増大をはかり、ひいては国民生活の向上に資するというのがその理想になっていることは、御存じの通りであります。ところが、今日までのところ、その理想は必ずしも実現をいたしておりませんが、各国ともその目標に向かって努力をしてきたことは御存じの通りであります。日本におきましても、たとえば五年前と今日をとってみまするならば、全輸入額におきまして自由化の率の占める割合は約倍にふえて参っております。一六%程度のものが一三—二%程度にまでふえて参っておりますし、ヨーロッパ諸国におきましては八——九〇%程度になっておるのであります。 引き続きまして、御存じのように、一昨年暮れにヨーロッパの諸国家が通貨の交換性の回復ということを実施をしたのであります。通貨の交換性を回復した以上、通貨の種類によりまして差別待遇をすることの意味がなくなって参ったのであります。それまではヨーロッパ各国におきましても、ドル地域からの輸入と、ヨーロッパ諸国内、またはポンドで物の買える地域からの輸入というものについて若干の取り扱いの差がありまして、ドル地域からの輸入については非常にシビアな政策をとっておったが、ヨーロッパ諸国内からの買付あるいは非ドル地域からの買付につきましては比較的寛大な措置をとっておったのであります。ところが、通貨の交換性の回復に伴いまして、これらの差別待遇の根拠というものはなくなったのであります。しかしながら、昨年の当初におきましては、ドル地域からの輸入の差別待遇撤廃を中心とするいわゆる貿易の自由化というものにつきましては、必ずしも明るいという見通しではなかったのでありますが、昨年の半ば以降、特に秋以降、この差別待遇の撤廃を中心とした自由化というものを急速に進めるようになったのでありまして、その実情は、お手元にお配りしてあります資料の三ページのこの表でごらんの通りでありまして、たとえば西独を例にとりますと、対OEEC諸国からの輸入につきましての自由化率は九八%でありまして、ドル地域からの輸入につきましては九三%であります。なおこの両地域について差はございまするが、非常にこの差はせばまってきておるのであります。ベルギーにしましてもオランダにしましても、みな同様な状況でありまして、イギリスは、OEEC諸国からの輸入に対しましては九八%の自由化率、対ドル自由化率は九五%、こういう工合であるわけであります。従いまして世界の大勢とまではいえませんが、アメリカ、カナダは当然、従来から完全に近い自由化をいたしておりまするし、ヨーロッパ諸国もかような趨勢に相なって参つたのであります。 振り返って日本の貿易を見まするならば、日本の全輸出の約五割が、このアメリカ、カナダないしヨーロッパ諸国、いわゆる先進国へ輸出をいたしておるのでありまして、従いまして日本の輸出の約五割に関しては、趨勢としては貿易の自由化の方向が急速に進められておるということはいえるかと思うのであります。 それから、これらの各国の自由化を促進をした一つの原動力として、やはりアメリカの国際収支の悪化が考えられるかと思うのであります。その点につきましては、やはり資料に書いておりまするが、アメリカは過去二、三年かなりの国際収支の逆調でありまして、お手元に差し上げている資料が若干わかりにくいのでありますが、二ページのアメリカの金ドル準備の推移というところをごらん願いますと、五十七年末と五十九年十一月末とを比べてみますると、約三十億ドル程度金の流出を見ているのでありますが、これだけではアメリカの国際収支はわからないのであります。別途私たちが調べましたところによりますと、五十八年度におきましては、アメリカは貿易上におきましては、三十三億ドルの輸出超過ではありましたが、貿易外の面におきまして非常な支払い超過であったということから、差し引き国際収支は三十四億ドルの赤字を示しておるのであります。五十九年度の上半期におきましては、二十三億ドルの赤字を示しておる。五十九年度は若干推定が加わりますが、一年間としては三十九億ドル程度の赤字に相なるのであります。六十年度につきましては、今のところ若干国際収支は改善をすると見通されておるのであります。諸般の資料によりますと、赤字が二十九億ドル程度に減るというような情勢でありますが、これらのアメリカの国際収支の逆調から見まして言いかえてみるならば、アメリカの輸出が必ずしも振わない、輸入は非常に多くなってきた。たとえてみまするならば、五十八年度のアメリカの輸入は百二十九億ドルでありますが、五十九年度の輸入は百五十二億ドルということで、二割程度ふえておるのであります。 そういう状況でありまして、特に日本の対米貿易の推移を申しますと、この二ページの註2の表でごらんの通りでありまして、輸出は逐年増加をいたしております。五十九年の一月から十一月までの数字によりますれば、輸出が九億五千八百万ドル、輸入が八億四千七百万ドルということでありまして、常に輸入超過が対米貿易の姿であったろうと思われましたのが、昨年度におきまして一億ドル以上の輸出超過ということになったのであります。これは日本だけの現象ではありませんが、アメリカ全体として見て、さような輸入超過に非常に苦しむというようなことからいたしまして、ドル差別の待遇の撤廃ということを、日本のみならず、西欧諸国に強く要請をしたというのが、ヨーロッパ諸国の自由化を特に最近急速に進められた理由であろうかと思うのであります。 他方、アメリカとしては、外国品の急激な輸入増加によりまして国内産業が輸入制限運動を起こし、輸入防渇を叫ぶ声が非常に強いのも御存じの通りであります。これに対して、日本政府としても対処しなければならぬ。しかし、輸入を制限するという方向よりも、やはり輸出を増大することによって、世界経済の繁栄を願うという方式をとらなければならぬが、各国の対ドル差別待遇のために伸びないとするならば、国内の産業界に対する説明もしにくいというようなことも手伝いまして、ドル差別の待遇撤廃を中心とした自由化の要請を非常に強くいたしたということであります。 次には、日本の輸出市場の確保あるいは輸出拡大という点から考えてみまして現在ヨーロッパ諸国と若干の通商協定をいたしておるのでありますが、その通商協定の交渉過程におきまして絶えず問題になりますのは、日本の輸入管理政策はあまりに酷に過ぎる、産業保護的である、制限的であるという批判が非常に強いのでありまして、お手元の資料の中にもございますように、四ページの註1、ガットの対日輸入制限協議会における日本に対する批判をごらん願えばわかるのでありますが、これは非常に代表的な日本に対する批判でございます。要するに、日本は外貨収支について慎重に過ぎる。自由化率が低過ぎる。産業の保護をし過ぎておるということであります。こういうことでは、各国における対日輸入制限運動はさらに激化するであろうというような言いぶりであるわけであります。もちろん、各国の言い分の中には首肯しがたきものもあるわけでありますが、最近彼らがドル差別の待遇を撤廃するにあたりまして、その利益を日本に均霑することを承諾しない国が多いのでありまして、イギリスにしましても、フランスにしましても、ドイツにしましても、さような状況であります。で、彼らの言い分は、彼らの自由化を日本に均霑せしめることによって、日本商品が彼らの市場にフラッドするという心配も一面あるわけでありまするが、単純に自由化の利益を日本に均霑せしめても、日本のあまりにも輸入制限的なやり方では、まあ損得の点から申しまして、損である。ある程度のバーゲンを得て、自分らの自由化を日本にも均霑させるという言いぶりから、今までのところ、自由化の利益を日本に均霑せしめることは非常に消極的なのであります。従いまして、これらの国と通商交渉によりまして輸出を維持拡大をするという上から申しましても、日本のある程度の自由化が望ましいのではないか、こういうふうに考えられるのであります。以上が自由化の必要性に関する外的な原因と申し上げてよかろうと思うのであります。 次には、国内的な必要性であります。これも一ページの前半のところに書いておりますが、釈迦に説法になりますが、御存じのように、シナ事変の勃発前後から、為替管理を先頭といたしまして、生産統制、配給統制というふうなことになり、いわゆる統制経済が実施をせられ、その後、その目的、あるいは程度というものはさらに変更いたしましたものの、戦後もそれが引き継がれまして今日に至っているのであります。今日いわゆる国内における統制は、米の配給統制と、あるいは酒のマル公制度ぐらいかとも思うのでありますが、輸入の外貨割当制度を通じまして、間接に生産の調節なり、流通秩序の維持が行なわれ、結果的に産業保護化が行なわれている。いわば間接的な統制的経済下にあること御存じの通りであります。ところが、特にこの認許可事務、為替の認許可事務の簡素化、手続の簡素化という趣旨よりしまして、輸入許可制度の自由化ということが数年前から叫ばれたのでありまして、先ほど申しましたように、二八%が一二、二%程度の自由化率になったというのもまあそういう事情もあったかとも思うのでありますが、まあ最近、この外的な要請もあり、また国内的に見ましても、長年にわたるこういう統制的、あるいは温室的な経済から逐次脱却する方が望ましいのではないか。経済運営の正常化ないし産業の国際競争力の培養という角度から見ても望ましいのではないか。世界の情勢は日々刻々に変化しつつあるのでありまして、ヨーロッパにおきまして六カ国の共同市場が昨年から発足し、また最近に至りましてはヨーロッパ七カ国の欧州貿易自由帯というようなものも発足し、結果とするところは、彼らの国際競争力というものは日々強化されている際でありまするので、今後の国際経済の中におきましては、何としても国際競争力の培養、強化ということが必要であるわけであります。もちろんそのためにはいろんな方式も考えられるわけではございまするが、この自由化を推進をすることによってみずからの力を強め、国際競争力を増強する必要があるのではないかという国内的な要請も強いとも思うのであります。まあ保護政策に伴ういろいろの非経済性についてはここでるる申し述べる必要もなかろうかとも思うのであります。 まあさような外的な要請とか、あるいは国内的な必要性とからして、自由化をいたすべきではなかろうかと思うのであります。そこで、一つ問題になりますのは、日本の外貨準備がはたして自由化に耐え得るかどうかということが一つ問題であろうかと思います。その点につきましては、三ページの下の方に掲げておるのでありますが、日本の外貨準備は、一時は四億五千万ドル程度にまで落ち込んだのでありますが、最近の輸出の好調と相待ちまして、三年間連続黒字を続けておるのでありまして現在のところは十三億三千万ドル程度の外貨準備を持っておるのであります。資料の十一ページをごらん願いたいのでありますが、まず、三十四年、三十五年というところをごらん願いますと、上の表におきましては、実質収支が三十四年度におきまして一億五千万ドルの黒字、三十五年度におきまして一億五千万ドルの黒字でありますが、参考のために形式収支を掲げていただきますならば、三十四年度の黒字が四億五千万ドル、三十五年度の黒字が四億四千万ドルということになるわけでありまして、その下の「外貨準備高の推移」になりますと、三十五年の一月末が十三億二千八百万ドル、この三月末が十四億程度になるわけでありまして、その上の国際収支と照らし合わしてみまするならば、来年三月末には十八億以上の外貨準備を持つのではなかろうか。なお、この数字の中には大蔵省が為替銀行に預託している三億数千万ドルの外貨を含んでおりませんので、それらを合わして考えるならば、ちょうど一年先には二十億ドルを突破する外貨準備額になるのではないかというふうに考えられるわけであります。 で、輸入の規模と外貨準備額との比率というのは、非常にむずかしい議論でありまするが、大体、世界的にいわれているのは、年間輸入の四割程度の外貨準備を持つならば自由化はいたすべしというのがかなり強い意見になっておるのであります。そういう点から見ますと、二十億ドル程度の外貨準備額というものは、日本の年間輸入の五割ないし五割以上になるわけでありまして、自由化を進める場合の障害には少なくとも外貨準備額という点からは考えられないのではなかろうかというふうに考えられるわけであります。なお、御存じのようにIMFからいざの場合に借り入れのできます限度は、現在六億二千五百万ドル程度の借り入れが可能になっておるのであります。かつて一億ドル程度の借り入れをいたしましたが、現在は全部支払い済みであるというような現状になっておるのであります。 次に、しからば自由化措置のスケジュールを現在までどういうふうに進めてきたかという点について簡単に申し上げたいと思います。五ページのまん中のところからごらんを願いたいのでありますが、まず、(イ)としまして、AA制についての対ドル差別の撤廃でありまして、昨年の一月に二百十七品目の対ドル差別の撤廃をしたのであります。一言ここで説明を加えさしていただきますと、従来、日本の輸出構造は、ポンド地域に対しましては輸出超過の傾向がありましたので、そうして、そのポンドの交換性がなかったがために、できるだけかせいだポンドは早く使ってしまう方が安全であるという角度から、ボンド地域からの輸入を促進をいたしたのであります。従いまして、輸入の制度上も、ボンド地域から——ポンドで物を買える地域からの物の輸入につきましては、かなり自由な政策をとっておったのであります。従いまして、ドル地域といわゆる非ドル地域との間に差別ができておったのであります。そういうふうな差別を逐次撤廃をしていくことによって自由化を推進しようという一つの意図から、昨年の一月にすでにかなりの品目につきまして差別を撤廃をしたのであります。昨年の四月に引き続きまして三品目の差別を撤廃した。そこで、このときになっていわゆる俗称、対米十品目の差別待遇というのは、このとき以来唱えられていることであります。本年の一月からラワン材を初めとしまして四品、四月から三品目と、また上期中、いわゆる七月からは原皮、それから、おおむねこの十月からは銑鉄、大豆ということで、主要物資につきましては対ドル差別は、この予定のごとくして撤廃——差別はなくなるわけであります。そのほかに、一般的にこのAA品目の拡大といたしまして、(ロ)以下に記載をいたしておりますように、昨年の四月に二十四品目をやりまして、また、十月に百四十三品目、本年の一月に七十三品目のAA制を実施いたしまして、この結果、AA品目数は現在のところ七百六十三品目程度に相なっているのであります。なお、本年の四月から約三百品目の実施を内定をいたして、また、来年の四月から原綿と原毛につきましての追加を内定いたしておるという状況であります。 次に、自動承認制ではございませんが、自動割当制というものを創設いたしたのであります。これはどういう差が自動承認制との間にあるかと申しますと、割当事務は役所がやります関係上、申請書は役所へ一たんお出しを願わなければならぬのでありまするが、割当事務は無制限に自動的にいたそうというのであります。で、なぜ自動承認制にできなかったかといいますと、品種の解釈上いろいろ問題のあるものもありますし、また、あまりにも輸入が多くなった場合の対策が自動承認制ではとりにくいというような趣旨からしまして、一応、経過的、暫定的な措置として自動割当制というものを創設いたしたのであります。その結果を見まして自動承認制に逐次移していきたいというふうに考えておるのでありますが、そういう制度を、昨年の十一月から、そのときには四十八品目、本年の一月には三十六品目、本年の四月には百四十三品目を予定いたしておるのであります。 次には消費財ないし完成品の輸入制限の緩和であります。このイ、ロ、ハで申し述べましたのは、いわゆるほんとうの意味の自由化でございますが、ニの場合は輸入制限の緩和でございまして、広義の自由化ではございますが、輸入量の拡大というふうに御了解を願えばいいかと思うのであります。まず、その順序としまして、現在、特定国あるいは特定地域にしか認められていなかった協定品目につきまして、従来対象とならなかった地域に対して輸入ワクを設定する。たとえばテレビ、ウイスキーのたぐいでありますが、従来日英協定あるいは日仏協定というふうなもので、その地域からのみ輸入をしておる、まあいわば一つの、その他の地域に対しては差別待遇になるわけでありますけれども、バイラテラルの協定の性質上やむを得ずそういう措置をとっておりましたのを、全地域からの輸入というふうに拡大していこうというわけであります。これにはもちろん通商交渉を要するわけであります。現在もイギリスとの間に通商交渉を開始いたしておりますが、これらの問題を取り上げてやっておるのであります。そういうことによりまして少なくとも自由化はできないまでも、こういう消費財につきましても、国産の三%とか五%とかいうふうなものにつきまして輸入を認めることによって、国内産業に対する刺激剤、清涼剤にいたしたいというふうに考えておるのであります。2は、いわゆるそれ以外に、従来事実上輸入禁止をしておる消費財、まあこれは大部分になるわけでありますが、これにつきましても逐次輸入の道を開いていきたいということで、先般試験的に外貨予算五百万ドルをもちまして、どういう輸入要請があろうか、それを研究する意味をもちまして、輸入申請の受け付けをいたしたのであります。約八千件の申請が——もちろんその中には、大した割当も受けられまいということで、重複をした申請もかなり見受けられますが、金額にしまして六千万ドル以上の申請額が現在あるわけであります。今この関係各省とどういうふうな基準のもとに許可するか、検討をいたしておる段階であります。 以上が現在までとってきました貿易に関する自由化の歩みであります。 そこで、四ページの註の2に移っていただきまして、まあそういうふうなことの結果、日本の自由化率がどの程度になるかということでございますが、ABCと書いておりますが、Aが、すでにAA制をとっておるものが三〇%ないし三五%あります。それから対ドル差別の十品目が全部なくなりますと、ここで約一〇%なり一二%程度の自由化率が増加するということになります。それから来年四月の原綿、原毛の自由化によりまして、一八%ないし二〇%の自由化が達成をできることになるわけであります。Dの砂糖以下は今後の問題になるわけでありますが、その結果としまして、一応現在までやってきたものと、実施を内定しているものを入れまして六七・八%程度の自由化率になる。まあ来年の四月までには外貨予算の編成といたしまして本年上期、下期、二期の外貨予算の編成がございますので、そのときにも若干の自由化ができるかと思いますので、そういたしますと、かれこれ七〇%程度の自由化率になるのではないかというふうに考えるのであります。しかしながら、現在のこの外貨予算、いわゆる輸入ベースというものが原材料中心の輸入予算でございまするので、それを基準にしてパーセントをいうことがはたしていいか悪いかという点については疑問があろうかと思いますが、比較の方法もございませんので、現在の外貨予算から比べると、まあ七〇%前後の自由化率に相なろうかと、こういうふうに考えるわけであります。 次には、為替の方の自由化の問題であります。がこれは大蔵省の所管の分がかなりございまするので、私の方の通産省に関係する分だけを御説明をさしていただきますと、貿易に伴う貿易外の支払いの自由化でございますが、七ページの上の方に書いてありますように、昨年の四月に、代理店手数料以下四項目につきましての自由化を実施をし、また本年の二月に、運賃以下八百項目の自由化を実施をいたしたのであります。その結果におきまして、通産関係の貿易外の支払いの許可事務におきましては、件数にして約八割程度の自由化を実施をしたということになっております。その他、この交互計算の範囲の拡大、あるいはユーザンスの拡大の問題等々がございますが、これらはいずれ大蔵当局から御説明をお聞き取りを願うことにいたしたいと思います。 それから八ページのまん中のところで、外資に関連をすることも若干書いてありますが、これも大蔵当局なり企業局の方から御説明願った方がよかろうと思うのであります。貿易の自由化に伴いまして、貿易外あるいは外資面におきましてのある程度の自由化が必要であるということのみをつけ加えさしていただこうと思います。 それから次に九ページに参りまして、貿易自由化に伴う施策、いわゆる対策という点をちょっと簡単に申し述べたいと思いますが、外貨割当制度がなくなる結果、輸入面における過当競争の激化が予想せられぬでもない、それがまたひいて輸出の競争を巻き起こすということも予想されるわけでありまするので、貿易取引体制の秩序化、組織化の必要があるわけでありましてそのために輸出入取引法の一部を改正する法案を近くこの国会に提出をいたしまして御審議をお願いする予定にいたしておるのであります。 それから2に、国内産業秩序維持の問題といたしまして、業界の自主協調体制の整備促進の問題あるいは独禁法改正の問題ということが書いてあるのであります。いずれもこれは事務当局のあれでありまするので、独禁法の改正を今上程するとかいう問題ではなしに、そういう面を研究をいたしておるということでありまして、また、ある業種につきましては、生産調整あるいは設備規制のための立法措置を必要とするのではないかということで書いておるのであります。 3では、国内競合産業の保護のためには、完全自由化ということはなかなかそう急速にいけませんので、ある期間、また、ある量を限って輸入をするという問題がございますので、そういうものの期間なり量の問題の検討を進めておるような次第であります。また、現行の関税制度につきましても真剣に研究する必要があるわけであります。 一言、現在の関税制度について申し上げますと、現行の関税率は、昭和二十六年の改正でございますが、最高関税が五〇%、無税という間に、五%刻みに十三段階を考えまして、それぞれの商品を、適当と思われる税率に分類整理をしたという格好になっておるのであります。現在税目の総数が九百四十、有税品が七百七十三品目、残りは無税品ということになっておるのですが、有税品の多くは一五%、二〇%ということになっておるのであります。これが諸外国の例からみまして、高いか安いかという議論は非常にむずかしいのであります。と申しますのは日本の現在の輸入の大部分は無税か、あるいは低税率の原材料しか輸入はないわけで、それが六五%も占めておるということで、輸入額と関税収入との比率の比較によっては、税率の高い低いの決定が非常にむずかしいのでありますが、少なくとも一五%あるいは二〇%の税率が多いということは、諸外国の例に比べまして、まあ比較的低税率国ではなかろうかというふうに考えておるのであります。なお、現在の関税分類も非常に、何と申しますか、大分類になっておりまして、実情に沿わぬ部面もあるのであります。そういう点から見ましても、この際、税率につきましても見直す必要があるし、分類についても見直す必要があるのではないかというふうに、事務当局としては考えておるのであります。なお、関税の運用につきましても、いま少し弾力的な運用のできるような法的な改正が望ましいのではないかというふうに考えております。 次に(4)に書いてあります後進国の問題でありますが、先ほども申しましたように、日本の輸出の五割が先進国、半分が後進国ということになっております。ところが、その先進国の占める比率というものが逐年増加をいたしておりまして、三、四年前には三四%であったものが、先ほども申しますように五〇%程度に上っておるのであります。しかし、後進国問題は、日本の地理的な環境等から見まして、非常に重要であるわけであります。そこでわれわれといたしましては、後進国にとって自由化というものがどういう影響を及ぼすか、彼らはあまり自由化ということに対しては熱心ではなく、どっちかというと冷淡な目で見ている国が多いのであります。そこで後進国との貿易を拡大するためには、やはり割高物資でも輸入をいたす必要があるわけであります。物資別に検討をしなければならぬわけでございますが、戦前にやりましたような輸出入業者の組合あるいは協定によりまして、この輸出入の調整をいたす方法が一番スムーズであり、合理的ではなかろうかというふうに考えまして、今回の輸出入取引法の改正の中にもその輸出入調整に関する規定を織り込みたいというふうに考えておるのであります。なお後進国に対しましては経済協力を推進をする問題の重要であることは申し上げるまでもありません。 それから次に企業の体質の改善ということを考えておりますが、いろいろ金利の問題あるいは合理化資金の確保問題、あるいは税制の合理化問題等々含めておりますが、私の実は所管でもありませんので、その辺はまた項目だけを申し述べて省略をさせていただきます。 大体以上で自由化の必要性ないし、これまで自由化を進めてきた足取りなりあるいは対策の一部として、事務当局の考えておることを申し述べた次第であります。
○委員長(山本利壽君) それでは続いて通商産業省企業局長の松尾君。
○政府委員(松尾金蔵君) 外資導入の関係の御説明を申し上げますが、この配布資料の八ページに要点だけ掲げておりますように、現状で外資導入につきましてまあ大きな政策転換があったというようなそういう問題ではございませんけれども、昨今全体の貿易自由化の傾向と相伴いまして、従来外資導入につきまして相当厳重な審査が行なわれておりましたにつきましては、ケース・バイ・ケースについてはもう少しややゆるやかな考え方を取り入れていいんではなかろうかというようなことの意味合いであります。御承知のように昨年の秋にアメリカから御承知の・ラウンド・テーブルという会合の名前で向こうの実業家が相当多数こちらへ来て、いろいろ懇談的な話が出たのでありますが、そのときの様子等を聞きましても、相当日本に対して技術の提供なり資本の提供をやりたい、提携をしたいというような空気がかなり見られたと思います。しかしまあ日本側の経済、日本側の立場から申しますと、現在の外資法の規定にございますように、やはりこれにつきましては日本の経済のために何らかプラスになるようなもの、少なくもまた逆に日本の経済のためにマイナスにならないようなものというような積極、消極の両要件を満たしたものをやはりある程度選択的に導入を認めるということにならざるを得ないと思います。現在外資法の運用の基本方針においては変わりはないのでございますが、実際具体的にケース・バイ・ケースの審査にあたりましては、ここに掲げておりますような意味合いを相当程度織り込んで、今後運用していっていいのではなかろうかというような段階でございます。現在までに外資につきましては、二十五年外資法を施行されてから三十四年の十一月末までの現在におきまして、外資法によって認可されました技術援助契約は九百五十四件ございます。なお株式及び貸付金の取得は七億七千三百万ドルになっております。この七億七千三百万ドルのうち約三億ドルは御承知の世銀借款に伴うものでございますが、現在そのような結果になっておりますが、御承知のように、外資法は、この外資法の認可を得て入ってきました場合には、その元本なりあるいは果実なり、技術援助でありますとロイアリティその他の外貨の支払いについて、その支払いを現在の為替管理法の規定をはずして送金ができるということを、いわばそういうフェーバーを与えることによって、外資法の認可という形をスクリーンしておるのであります。しかし現状でそういう返り、すなわち送金その他のことを考えないで入ってくるということであれば、現在の外資法の認可は必ずしも必要でないのでありますが、しかし現在までのところでは、日本の為替管理法その他の運営状況を見て、やはり外資法の認可を得て入ってきておらないと、その返りの送金その他に安心感がないということで、少なくも現在まではほとんど大部分の場合が外資法の認可を得て入ってきております。ただ最近の空気といたしまして為替管理法そのものがだんだんと自由化の傾向と相まってゆるやかになるのではなかろうか、送金その他もだんだんゆるやかになるのではなかろうかというようなことから、必ずしも外資法の認可を得ないで入ってきておっても、将来あまり支障がないのかもしれないというような、若干の期待と申しますか、そういう心組みが外国にあるのではなかろうかという点もあるのでありますが、これは実際問題といたしまして、為替管理法の運用その他について現在緩和の議論がされておりますのは、いずれも正常取引に関する部分でありまして、おそらく為替管理その他の点が今後ゆるやかになるといたしましても、資本取引の分につきましては相当将来の問題であろうというふうに私どもは考えております。そういうことを考えまして現在やはり外資法の運用という形で技術導入、資本導入その他は法律の規定にありますような趣旨で、スクリーンを受けていくことができまするし、また日本の現在の実情を考えますと、やはり考え方にややゆるやかな考え方を織り込むといたしましても、基本的な考えとしては、やはり外資法によるスクリーンをかけて、日本の経済に少なくもマイナスにならないようなことをやっていく必要があるというようなことで、現在運用いたしております。
○委員長(山本利壽君) それでは続いて大蔵省為替局、総務課長、片桐君。
○説明員(片桐良雄君) 本日為替局長がお伺いして御説明申し上げるべきなんでありますが、健康を害しておりますので私がかわりに参りました。よろしくお願い申し上げます。ただいま通産省の通商局長並びに企業局長からいろいろ御説明がございましたが、大蔵省といたしましても為替貿易の自由化というものにつきましては、かねてからその計画を進めておりましたし、目下着々実施できるものから手を染めておる次第でございます。これもただいまお話がございましたように、貿易・為替の自由化、ことに大蔵省が直接関係いたしますのは為替の面について、これは貿易及び貿易に付帯する経費を除いたその他の海外取引に関しての問題でございますが、この中でも、これもただいま企業局長から詳しく御説明がありましたように、一応その資本取引と普通の正常取引というものとがはっきり分けられるのでありまして、資本取引につきましては、これはなかなか問題も多いことでございますし、これによる影響というのは単に一時的な現象であるにとどまらず、長く子孫にまで影響を及ぼす問題を含んでおりますので、どうしても非常に慎重な態度でこれに臨まなければならないとわれわれは考えております。従いまして、資本取引の問題につきましては、ただいま局長からお話がありましたように、これは時間的に申しましてもまだまだ研究の余地のある問題でございますので、これからだんだんゆるやかな方向に向くとは思いますけれども、商品取引及びその他の海外送金といったようなものの自由化のテンポとは、だいぶ違ったものになってくるということを御承知おき願いたいと思います。 貿易及び貿易に付帯する経費以外の海外送金その他海外渡航といったような問題につきまして、わが国の経済上許します限りこれを自由にしていくというのはもう当然のことであります。大蔵省といたしましても、この線に沿いまして最近種々の方策をとって参りましたし、また将来とる考えでおります。具体的に申し上げますと、われわれの終局の理想とするところは円の完全な交換性の回復ということでありますので、これは完全なという意味は、一番広い意味では資本取引も全部含めた意味の完全な交換性の回復、たとえば私どもが持っております円を、アメリカの株式を買うためにあるいは英国の社債に投資するために、自由に外貨にして送金できるという状態であります。しかし、これはまあ目下のところは単なる理想でありましてわれわれそういうステップ、段階が近くくるとは実はまだ考えておりません。しかし、そうでなくて、普通のわれわれが海外に渡航したり、あるいは海外からいろいろなものを買ったり、あるいは海外にいろいろな送金をする、たとえば親族に対する送金であるとか、留学している自分の子供に対する送金であるとか、あるいは商社、銀行等が海外でその資金をいろいろ日本の貿易のために使うといったような意味の各種の送金なり、取引なりというものは、これはかなりの程度に自由化されるものだとわれわれも考えておりますし、またしなければならないと考えております。 最近、御承知のように商社の特高集中制というものが実施されまして、言葉は非常に悪うございますが、一般にそう言われておりますからその言葉を使わさしていただきますが、商社が輸出によって得ました外貨を、今までの為替管理法では為替銀行に売らなければならなかったのを自分で持っていてもいいというように制度を改めました。これなどは商社がその本来の商社活動をする上において為替の面において従来よりかなりの自由を得たとこういうふうに申しても差しつかえないかと思うのであります。これとてもわれわれの眼から見ればまだ理想には遠いとは思いますが、まず最初のスタートとしては、一定の期間を限って商社がその得た外貨を自由に使っていい、自由と申しますのは、商社が海外から輸入します場合に輸入代金に充ててもいいという制度であります。これも現在の為替管理法の支柱をなしております為替の集中制というものから見ますと、一種の例外であります。またその緩和であるというふうに考えておりまして、われわれはその線に沿って将来また各種の緩和措置を考えていきたいと思っております。 もう一つは、われわれが考えております大きな目標は、これも世間でよくいわれております円為替の導入ということであります。現在の日本の為替管理制度では、円というものは国内の決済手段だけに使われることになっておりまして、国際的に円を使うということは許されておりません。まあこれは日本の経済が未発達、未開発の時代にはやむを得なかったことなんでありますけれども、御承知のように、最近の著しい経済の復調とともに、円に対する世界的な信任というものがかなり高まって参りました。従ってわれわれとしましては、もしできることなら円を国際貿易の分野にも使いたい。言いかえれば日本の貿易業者は円建てで海外と取引をする、あるいはさらに大きな理想を申し上げれば、第三国間同士が円で国際取引をするというようなことも考えられないことはないのであります。われわれはこういうステップを踏んで逐次実現していきたいと念願しております。これは日本の為替管理法上実施されますれば、非常に大きないわゆるエポツク・メーキングなできごとだと私どもは思っておりますが、これには、外国人を為替管理法では非居住者と申しておりますが、非居住者が日本の銀行の中に円のアカウント、勘定を持つ、その円は自由にいつでも好きなだけドルにもポンドにも交換できる、こういう勘定を持つ制度を作ろう、そうしますとこの勘定を通じまして円が国際的決済の手段として使われていくということであります。この円が使われていくことはいろいろな意味で日本の貿易の伸張に役立つのでありまして、たとえばその為替変動のリスクというようなものも日本の業者になくなりますし、また円が使われるということになりますと、貿易に伴う運賃とか保険料は勢い円を使うようになってくる、円の使用範囲が広まる。また今まで日本に円が置けなかった外国銀行なり商社なりが、ある程度日本に円勘定を持つということは、日本の国際収支がそれだけよくなるということでありますし、いろいろな意味の利益があるのであります。こういう制度をできるだけ早い機会に導入したいと思って努力しております。 そのほかたとえば海外渡航であるとか雑送金につきましては、最近かなり緩和されて参りましたけれども、まだ不十分なところが多々あるかと存じます。私どももできるだけ諸種の事情を勘案しながら差しつかえない限度において、これらの制限の緩和をはかっていきたいということを念願しております。一般的に非常に興味があると申しますか、関心がありますのは海外渡航の制限の緩和でありまして、これは現在のところ渡航する資格と申しますか、どういう目的で渡航するかというその目的の緩和というのは、いまだ実は手がつけられていない状況であります。実際問題としてはかなり緩和されておるのでありますが、形式的にはたとえば世界見物に行くから渡航を認めてくれとか(「ぜんそくをなおしにでも行きたい」と呼ぶ者あり)病気のための渡航ということなど、まだ世界見物というのにはちょっと工合が悪いと思いますけれども、またただ従来いろいろ渡航を認められた方が得られます外貨の持ち高、一日に二十五ドルとか三十ドルとかいう持ち高を、一律に三十五ドルにまで上げるというようなステップから踏み出しまして、漸次沖縄とかそういう近い所から渡航の範囲をゆるめていこうということを考えております。これは外務省その他関係各省と連絡をとりまして逐次実現の運びにもっていきたい。まあ、大体大蔵省で考えております為替の自由化というのは、ただいま通産省両局長のお話しになりましたものを除きましては、そういうような問題であります。
○委員長(山本利壽君) では、本件に対する質疑は次回に譲ることとして、本日は……。
○栗山良夫君 通商局長ですか、企業局長ですか、資料を一つちょっとお願いしたいと思うのですが、できるかどうかお尋ねをいたしたいと思います。それはただいま御説明をいただきました印刷物に、保護政策に伴う非経済性というのが一番冒頭に書いてあります。それで(註)に「価格構造のひずみ」というのがあります。従いまして、われわれは、これを非常に、日本の価格体系というのは果して適切なものであるかどうかということに疑問を持っているので、こういう指摘を受けたことは、まあ大へん通産省においても関心があられるということでけっこうだと思います。思いますが、実際に具体的にどうなっているかということがよくわからないわけです。それででき得るならばただいまの時点において原材料、あるいは耐久消費材、完成品等のおもなるものについて、わが国の物価とアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア等の主要国の同じ規格の品物の物価との同じ貨幣による比較表がほしいと思います。 それからもう一つは、わが国の戦前のほぼ経済が、貿易なり為替が自由であった時代の日本のそれらの物資の価格と、それからその後統制経済、管理貿易を通して今日までひずみの状態ができて参りました結果としての今日の物価との、戦前と戦後との貨幣を等価においた比較表、この二つがぜひともほしいと思うのでありますが、作っていただけるかどうか。
○委員長(山本利壽君) よろしゅうございましょうか。今のわかりましたか。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(山本利壽君) 速記を始めて。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十八分散会