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34回国会参議院1960/03/01

議院運営、地方行政、法務委員会連合審査会 第3号

発言数
283
登壇者
11
会派数
2
開催日
1960/03/01

会議録

高橋進太郎自由民主党

○委員長(高橋進太郎君) これより議院運営、地方行政、法務委員会連合審査会を開会いたします。  前回に引き続き、国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案を議題として審査を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 前回、総括的な問題として、第五条第二項にある警察官の職権の問題について御質問申し上げておったのでありますが、あらためてお尋ねしたいことは、提案者は、この法案は国会法に関するものであるという認識の上に立たれ、私は治安立法としての性格を持つものである、このように、提案者とは全く違う見解を実は持ったわけであります。重ねて提案者にお尋ねをしたいことは、これは国会法に関するものであるという基本的なお考えに何らのお変わりはないかどうか、この点まず確かめたいと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私はそのように考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 さらに提案者にお尋ねいたしますが、第五条によっての都公安委員会並びにこれに基づく警察権の行使、この第五条は二項目に分けているわけで、要請に基づく警察官の職務行為の範囲をここに規定してあるわけでありますが、新たなる義務をこの条項の中において何ら課している部面かない、こういうような再々の御答弁かあったと思いますが、その通りでございますか、あらためてお尋ねいたします。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 義務に関しまする限りは、五条のみならず、本法のいかなる場所にも明記されてはございません。義務規定は本法にはございません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 義務規定のないことは、この法案を通読すればわかるわけであります。しかし私がお尋ねをしていることは、いやしくも法律の中において都公安委員会の職務権限の行使について明記されておるわけであります。都公安委員会は、これはいやしくも公職でありますから、地方自治法並びに警察法等においてそれらの区分並びに職務権限が明確に公職としてここに規定されておるわけであります。従って、都公安委員会は、議長から要請を受けた場合に、してもしなくてもいいというそのような性格のものではなく、明らかに議長の要請に基づいて、公職としての責任と義務というものが果たされなければならない性格を持つものである。私はこういうような考えを持っているのであります。先般からの提案者の御答弁を総括して伺っていると、都公安委員会は、要請に基づいてやってもやらなくてもいいというようなものであるから、これは単なる訓示規定のようなものである、こういうような説明をされているように思うのでありますが、私はこれは訓示規定というものではなくてむしろ都公安委員会そのものが、これが公職であるという限りにおいて、ここに明らかにこの職権の行使の上において、公職としての義務が履行されなければならない、こういう建前の上に立って私はもりを考えたいと思っている。だから、条文の中には何ら義務規定はないとはいうけれども、この第五条の中に、「自らその職権を行使するほか、」行使する、このことは明らかに公職としての職権の行使の責任を明確にする表現であるというふうに考えているわけであります。あなたはこの点について、単に、義務規定がないから義務ではないんだというお考えに終始なさるおつもりでございますか。この点について立案者の御見解を特にわずらわしたいのです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 第五条に関して、これが訓示規定であるということを申したことはございません。ただ義務規定かどうかという御質問でありまするから、義務はないということを申したわけでありまして、第五条に関する限り義務規定ではございません。しかしながら、何回も申しまするように、国権の最高機関であるところの衆議院、参議院の議長が連名で要請なさることに対しては、それが正当に尊重されるべきことは当然のことであると考えます。従って、趣旨の点から申しますと、お説のように、これが議長の要請にこたえられるような措置がとられることを当然われわれは期待することはもちろんのことでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 よくわかりました。義務規定ではないが、公職であるという内容から考えて、明らかにこれは職務に対する責任と義務というものがここに明確にされているということを提案者においても御確認になったようでございます。  次に、新たなる義務を課すものではないというようなことが第五条の討論の中にあったわけであります。私はこの問題について、前回の委員会でも若干これに触れたわけでありますが、まだ明確にならない点がありますので、この点を柏村警察庁長官並びに立案者に対してそれぞれお伺いをしたいと思っております。先般、警察官の職権の問題について、警官の職務執行における警告並びに制止の範囲について、私はいろいろお尋ねをしたわけであります、その結果明らかになったことは、警告そのものに対して、あるいは制止そのものに対しても、警察権という、いわゆる警察強制の伴う実力行使を背景にしたものであるということがはっきりとしたわけであります。そこで提案者にお尋ねをしたいのでありますが、「警察官は、自らその職権を行使するほか、」このことについて、提案者はこの「ほか」の内容はどういう内容かという私の質問に対して、それは職務執行法あるいはまた公安条例第四条に基づくものである、こういうような説明をされたと思いますが、その通りでございますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) その通りでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これに対して、警察庁長官は、本法に基づく警告であり、本法に基づく制止である、こういうような答弁をせられたのでありますが、その通りでございましょうか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 私が前回申し上げましたのは、「自らその職権を行使するほか、」という、「その職権」というのは、既存の法律に基づく権限行使である。それから五条の最後のところにあります警告、制止をすることができるというのは、この法案が成立した場合、この法律に基づいて行なわれる権限である、こう申し上げたわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そういたしますと、提案者と警察庁長官の御答弁の内容というのは、厳密に、私は非常な違いを持っているものだというふうに把握しております。なぜならば、提案者は、この「警察官は、自らその職権を行使するほか、」この問題に対して、今確認なすったように、警察官職務執行法並びに公安条例の第四条がこの中に含まれているのだという答弁をされて、今もそれを確認しておられる。しかし警察庁長官は、この最後の「集団示威運動等の主催者、統括者その他の責任者又は参加者に対して、警告を発し、又はその行為を制止することができる。」、すなわち本法に基づく警告であり、制止であると答弁されている。私は警察庁長官の法案の解釈が正しいというふうに考えているが、提案者はどうですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私と警察庁長官との考え方は少しも食い違ってはおりません。ただいまの御質問で、「自らその職権を行使するほか、」というその意味はどういう意味かという御質問であると私は考えましたので、その「自らその職権を行使する」ということは、公安条例や警職法によって規定されたことを独自の立場で実行することはもとよりのことであるが、さらに議長からの要請にこたえて適当な措置をとらなければならぬということを申したにすぎないのであります。前回あなたの御質問にもお答えをしたと思いまするが、しからばその要請を受けた警察官がいかなる根拠法に基づいて警察行為をするからという御質問に対しましては、この場合、公安条例の第四条であるとか、警職法の第五条であるとか、さらに本法第五条の二項に基づいて警告、制止ができるというようにお答えをいたしたわけでありまして、私と柏村長官との意見は少しも今日まで食い違ったことはございません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ただいま提案者は、説明が足りないと御自分でも思われたのでありましょうか、柏村長官と同じような説明をされたのでございますが、私は第五条の「警察官は、自らその職権を行使するほか、」云々、この二項の問題については、単に公安条例の第四条並びに職務執行法の第五条に規定する以外に。新しい問題がここに条文の中に提起されているということを指摘しなければならない。従って、しばしばわが党の前質疑者からの新しい義務がここに生じるのではないかという質問に対しては、生じないという答弁を終始一貫されてきておるわけですが、これは確かに新しい義務が出てきている。私は重ねて提案者にお尋ねをしたいのですが、警職法の第五条にも次のように書いてあります。ここの職務執行法にいう第五条の(犯罪の予防及び制止)、これはよくごらんになるとおわかりだと思いますが、「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があって、急を、要する場合においては、その行為を制止することができる。」、すなわち警職法第五条にいうところのこの警告と制止、この中には明らかに職務権限が規定してある。警告を発する場合は、まさに犯罪が行われようとするのを認めたときなんです。ところが第五条第二項にいうところの警告は、前条の第三項に規定してある通り、まさに行なわれようとする場合においてもそうでありますが、「又は阻害されるおそれがあると認められる場合」も同じように警告と制止の職権を発動することができることが規定されている。そうだとすると、警職法の第五条にいう警告と制止と、本法の第五条二項にいう警告と制止とは、おのずからこの内容がはっきり違ってきているということを私は指摘しなければならない。提案者は、この点についてどのように見解をお持ちになっていらっしゃるのか。警職法の第五条との関係においてあなたの見解を私は聞きたい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 御指摘のように、警職法第五条におきましては、犯罪がまさに行なわれようというときに警告をすることができる、またその犯罪行為によって、人の生命、身体に危害が加わる、あるいは財産に損害を与える、しかもそのことが非常に急を要する場合においては、制止することができる規定になっているわけでございます。本法におきましては、そのようなことがもしありました場合におきましては、この第五条の規定を発動することは当然のことでありまするが、この第五条に該当しない場合におきましても、第四条の中で、「国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使が著しく阻害され、又は阻害されるおそれがあると認められる場合においては、」議長から要請をするわけでありまするから、従ってその要請を受けた公安委員会とか警視総監が、要請にこたえるためになし得る警告、制止の行為というものは、どの規定に根拠を置くかということになりまするならば、第五条第二項になるのではなかろうか、こう考えるわけでございます。で、職権が非常に拡大されたとは私たちは考えてはおりません。つまり警告、制止という内容を少しも越えるものでないということを主張したわけでありまするが、しからば、その警告、制止を発動する要件がどうかという点になりまするなれば、やや変わってきた、つまり前の公安条例ないし警職法のみならず、本法によっても発動することができるわけでありまするから、要件が変わってきた。で、この際、私はもう一度繰り返し申し上げておきまするが、私が今日まで言ったことは、義務はないかということですから、義務規定はどこにもない。しからば新しい職権が拡大されてくるのではないかという点に関しまする限りにおきましては、警告、制止を越えるものではない。しかし今おっしゃいまするように、発動する要件が変わってきた、だからこういうことじゃないか、そういう意味のことをおっしゃ、いますならば、その点に関しまする限りはお説の通りでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 提案者は私の質問に答えられて長々と答弁をされましたが、要約すれば、やや変わってきたということをあなたは認めている。で、私は、提案者がやや変わってきたという表現で認められたことは多といたします。しかし少なくとも警察権の行使は警察強制が伴うものであるということを私は指摘しておいた。つまり警察権の行使は、実力を背景として個人の身体または財産に対して規制を加える強制行為である。従って警察権の行使がこの条文にある限りにおいてやや変わったというような、そういう表現では私は満足できないし、それは法の常識を越える感覚だと思う。すなわち、治安立法に対しては、法律の解釈、適用あるいは規制の基準、範囲、これらのものが明確に規定されなければならないはずのものであります。上がるにもかかわらず、やや変わったというようなことでお茶を濁そうとするがごときことは、私はこの法案の危険性を正そう痛切に感ぜざるを得ない。で、提案者は、新しい義務が生じないと、こう言っておられますが、ただ、やや変わったというだけでは私は承服できない。警職法の第五条にいうこの警告は、犯罪がまさに行なわれようとするのを認めたときに警告を発する。——まさに行なわれようとするときに。——今度はこの法律が変わって新たにここに抜き出して第四条二項を受けてまさに行なわれようとする場合のほかに、もう一つ、または阻害されるおそれがあると認めた場合に警告または制止という職権を発動することができる。すなわち警職法の職務行為の範囲をさらに拡大したものである。まさに行なわれようとするときにのみ警察権の行使が規定されている。しかも警察法の第二条、第三条並びに警職法においても、職権が憲法に違反せず、基本的人権の阻止にわたらないということを強く規定してあるのでありますから、この警察権の行使にあたって少なくとも警職法第五条の範囲を越える問題については新たなる義務がここに発生するのだという見解に立たなければ、あなたの理論は成り立たない。私はそういうふうに思う。明らかに警官に対して新しい法律上の義務がここに発生したものと、私はこの条文の上からつかまざるを得ない。警職法の建前からもそういうふうに考えざるを得ない。提案者はどういうふうにお考えですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 言葉を正確に申しまするならば、繰り返し申しまするように、私は法律上の義務の規定はないということを言っているのです。しからばその権限を越えていないかというふうなお話でございまするから、警告、制止という権限に関する限りは私は越えていない。しかし、その発動するというような要件が、今警告の場合について申しまするならば、御指摘のように警職法におきましては、まさに犯罪が行なわれようとするのを認めたという場合でありまするが、本法におきましては、国会議員の登院や国会の公正な審議が著しく阻害されたりまた阻害されるおそれがあると認めたときにも、その警告、制止の権限を発動することができるわけでございます。従いまして、その発動要件が変わってきたということから申しまするならば、先刻申しまするように、御指摘のように、やや権限を越えてきたというふうにも、その点に関する限りは解釈はできると思います。しかし警告、制止の権限を越えて勝手ほうだいなことができるかというふうなことになりますれば、そういうことはできないわけでございます。今申しまするように、確かに御指摘のように、警職法の五条の場合のまさに犯罪が行なわれようというときの要件が、今度は国会議員の登院が阻害されるというおそれのあるときにも発動ができる、こういうふうに変わって参ったわけでありまするから、その点に関しましては、言葉は別といたしましてその少しく変わっておることだけは間違いございません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 提案者はようやく私の指摘していることに対して正確に答弁をせられたわけであります。私は提案者にそういう認識を持ってもらいたかった。つまり警告とか制止とかいうのは、何でもやっていいのだということはだれも考えない。ただしかし、警告と制止を発動する条件、この条件が変わったということは、明らかに新しい問題が起こってきたというふうにこれはとらなければならない。これは提案者もまた警察庁長官もこの点については御認識になりましたから、この新しい義務がここに発生した。で、この新しい義務の行使にあたって聞きたい。つまり、阻害されるおそれがあると認められる場合、この場合は、警察官独自でも、おそれがあると認められる場合にもこの警告と制止を行使することができるというふうに、私は法律の建前から考えておりますが、この点どうですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) この場合は、議長の要請に基づいた場合のことをわれわれは指しておるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 警察庁長官にお尋ねをいたします。おそれがあるという要請に基づいて警察権が行使される場合、この場合、警察官独自の一人々々の判断に基づいておそれがあるということを認定する権限が警察官にあると私は思いますが、この点どうです。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) ただいま提案者からお話がございましたように、両院議長からの要請があった場合に限るという点はその通りでございます。また、ただいまお話のように、警察官が必要な限度において警告、制止ができるということになっておりますので、法文通り考えれば御指摘のようなことになるということは間違いございませんけれども、しかし、警察は組織体でございまして特に、そうした大衆に対して権限を行使するというふうなときには、もちろん、上は警視総監からさらに現場の指揮官というようなものが、十分にこれを統制していくという前提に立って権限が行使される、実際にはそういうことになるというふうに考えるわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 長官の御説明ではございますが、しかし警察官の職務並びに第二項の条文から見るときに、明らかに、個々の警察官がおそれがあると認めた場合に警察権を行使することは、これは越権行為にはならない、職権の乱用にはならない、こういう建前がとられている。しかし、その危険性を払拭するために、警察は組織体であるから、上からのいろいろの指揮命令に基づいてやるのだから、そのような職権乱用はあり得ないと長官が答弁をせられております。その通りですね。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 私、卒直に申し上げますが、あり得ないということは断言できないと思います。それは職権乱用ということが警察官にときにあるわけでございます。ここに、この法案でも「必要な限度において、」ということがございます。従いまして、必要な限度を越えてそうした警告、制止が行なわれるというときは、これは職権を逸脱したということに相なろうと思いますし、また警察の内部の統制としましては、上官の指揮統率に従わないで行なわれるというときは、内部の規律違反という問題が起こると思いますが、そういう担保のもとに警察が適宜行動を起こすということは、これはある程度現場における状況によって個々の警察官にもそうした権限を発動し得る余地があるということは、当然のことだと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 長官にお尋ねをいたします。ただいまの御説明ですと、私やはり矛盾を感ずる。個々の警察官が警察権を発動し得る。これは私は、そういうこともあり得るのではなくて、それが現在の警察の原則だと思う。上からの命令に従って警察官が行動する、国の行政機関の命令を受けてその通り警察の強権を発動するという形は、これは今の民主警察ではとらない行き方じゃないかと思う。命令系統はもちろんあり得ます。しかし警察官の職権そのものから考えて、警官下命の原則というものはくずしてはならない原則ではないかと思う。そうだとすると、個々の警察官のいわゆる判断とか職権というものは、これはかなり大幅に認めていかなければならない。しかし、大幅に認めるがゆえに、警察法並びに職務執行法には、警察官の職務権限についてはきわめて明確な、緻密な規定がしてあるものだと私は考えるのです。そういうふうに承知しているのです。でありますから、長官が何とおっしゃいましょうとも、第五条第二項にいう警察官の「おそれがあると認められる場合」、警察官個々が、おそれがある、これは屋外集会をしておって、これはおそれがある、この行進はおそれがあると認めた場合には、警官の個々の職権に基づいて、警察官のこの職務というものは、てきぱきと行なわれるという傾向を必ず持ってくるものだというふうに解釈するのであります。あなたはそういうふうに解釈になられませんか。私が質問しているのは「おそれがある」ということです。警察官の職務が個々にこの警察官の認識の上に立ってやられるとするならば、これは大へんなことになってくるという危険性を指摘する意味においてこれは質問をしている。だから、警察官下命の原則と、個々の警察官の認識による警官の職権によって国民の基本的人権が著しく阻害されるおそれがあることを憂えて、私は質問しているのであります。質問の要旨を汲んで御答弁願いたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 議長からの要請がありました場合に、その要請に応ずる必要な限度において警察官が警告または制止をするという建前になっておるわけでございますが、確かに、民主主義の警察において、個々の警察官が教養が高まり、そして適正な措置を個々の警察官がとるようにしなければならぬということは、これは当然のことでございます。ただ街頭における交通整理等のごとく、その現場で、個々の警察官の判断で措置をいたす範囲が非常に広い場合と、この法案で予定しておりますような大衆——相当騒ぎを起こすような——を相手にする場合におきましては、どうしても警察としては部隊活動になり、ある程度の、相当の統制を持った警察官の集団的活動ということが大体前提になるというふうに考えられますので、多くの場合、部隊として統制ある行動をとると、個々の警察官の判断にゆだねられる場合は比較的少いであろうということを先ほど申し上げた次第であります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 行政警察の分野において、今、長官の言うことは成り立つことだろうと思うし、また民主警察の建前においては、そういう原則がくずされることは非常にまずいと思う。しかし、行政警察の分野においてはそういうことはあり得ましても、本法には、明らかに司法警察の活動分野が七条、八条に規定されている。つまり刑罰規定、ここに刑罰規定がある以上は単なる行政警察の分野ではない。警察官の職務自体の中に司法警察官の職務もまた含まれるとみなければならない。そうだとすると、個々の警察官の認識、判断というものは、即、警察官の職権として行使されるということはあり得るのです。あなたはそういうふうに考えませんか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 私、先ほどから申し上げておりますように、個々の警察官の判断で行なわれるという建前はもちろんある、しかし、多くの場合、部隊活動によって行動されるから、相当の統制がそれに加わるというのが実際であろうということを申し上げておるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 その通りでしょう。しかし、今私が質問しておることは、そういう原則とそういう方法は私も肯定します。また今までもそういうふうな形でやったと思うのです。しかし、おそれなければならないのは、単にその道路交通の取締りとか何とかいうものであるなら私はそんなに心配いたしませんよ。けれども、七条、八条で明らかにここに刑罰規定が書いてある。そうだとすると、この刑罰規定に基づく司法警察の活動というものが当然行なわれるのではないかと私は言っている。この点どうです。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 罰則規定の適用につきましては、これは純然たる刑事訴訟法上の手続に基づいて捜査が開始されるわけでございまして、これはおのずから先ほどの五条の話とは違うと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 刑事訴訟法の手続にもちろん基づくものではありましょう。しかし犯罪容疑者の逮捕ということはあり得ると思う。しかも、これは犯罪に関係があるなと警察官が認識をした場合、これを抑えようとすること、このことは私は警官の職務の範疇に入ると思います。司法警察官の範疇に入ることであると私は思います。この点はどうですか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) もちろん現行犯の場合におきまして、現場において検挙するということも当然ございます。しかし、七条、八条の問題は五条とは直接の関係の問題ではないように私は理解いたしております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 直接の関係はないとしても、現象面において私はこれはつながっておるだろうと思う。警察官の警察権の職務の範囲には、それはいろいろあるだろうと思うけれども、しかし、このデモが行なわれている、集団行進が行なわれている、その中の指揮者あるいは参加者が不当に指揮をしたかどうかというような判断については、これはやはり警察官の個々の認識になってくるわけですね。現実問題としてそうだと思います。その場合に、不当に他人を指揮したと認識した場合には、これは容疑行為としてその場からつかまえていくことも、これは職権であり得るでしょう、あり得ますね、長官どうですか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) そのときの状況によりますから、一がいに申し上げかねると思いますけれども、現行犯逮捕ということもあり得るわけです。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私は、大体総括して自分の受ける印象は、やはり一人一人の警察官が、個々の認識に基づきながら、本法に規定されるおそれがあると認められる場合に、警察官自体がおそれがあると認められる場合に、明らかに職権行使がなし得るという判定を持つわけであります。私は、警察庁長官の御答弁によって、この点を非常に憂えているわけであります。おそれがあるという認定を警察官がした場合には、これは次々と罪のない多くの人たちに警察権が及んでいくということは、これは当然の帰結なんです。しかも、提案者が、警告並びに制止の項については、新しい要素の変更を認められておるわけでありますから、非常にこの第二項については危険な要素をはらんでおるというふうに私は考えておるわけであります。  次に、公安条例の第四条に基く警察権、これについて少しお尋ねをしたいわけであります。先般から、公安条例の第四条に基く警察権ということをよく言われておるわけでありますが、本法二項にいう警察権の行使と、第四条にいう警察権の行使とは、これはどういうところに違いがあるのか、一応説明していただきたい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 公安条例第四条は、ここに書いてある通りでございましてこれは要するに、届出条項に違反をしたり、あるいは届出をしなかったり、そうした違法な行為をやった場合のことであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 非常に簡単な御答弁でありますが、やはりこういうところは提案者みずから御研究になって、第四条にいうこの警察権の行使の範囲というものは、明確にせられる必要があると思います。従いまして、警視総監に、第四条における警察職権の内容、範囲、こういうものについて、あらためて伺いたいと思います。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 第四条の条文にも書いてあります通り、公安条例の第一条の規定に違反して行なわれた場合、すなわち、許可と申しますか、届出なく集団示威運動等が行なわれた場合、それから第二条の規定による記載事項、ここにいろいろきまっておりますが、その記載事項に違反して行なわれた集団示威運動等の場合、それから、第三条のただし書きで必要な条件をつけることができることになっておりますが、この条件に違反して集団示威運動等が行なわれた場合、こういうような場合に必要な警告、制止等を行なう、こういうことでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 公安条例の第四条では、ただいまの御説明のように、無許可、条件の違反、それから「但し書の規定による条件又は同条第三項の規定に違反して行われた集会」これは官公庁の事務妨害、交通秩序を乱すこと、こういう点が特に警察権が行使される限界であるというふうに解釈してよろしゅうございますか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) この四条に関しましては、先ほど申し上げましたように、それぞれ第一条あるいは第二条、第三条のただし書きによる条件、これに違反したということが現実にあった場合にそういう警告、制止が行なわれるのであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そうだとするならば、本法においては、この第五条の二項の範囲というものは、私はずいぶんばく然としたものだと思う。非常にばく然としたものだというふうに提案者はお考えになりませんか。公安条例の第四条では、非常に事こまかに警察権の行使の場合を明記してあるわけなんです。無許可の場合、それから条件に違反した場合、その他第三条のただし書き全部にわたり、六項目にわたってこまかに規定してあるわけなんです。これは明らかに、警察の職権の乱用というものが行なわれないために、警察権の拡大行使が行なわれないために、このような第三条のただし書き規定があるものだと私は考えている。ところが第五条ではどうです。「集団示威運動等の主催者、統括者その他の責任者又は参加者に対して」と実にばく然たるものなんです。このようなばく然たる規定、内容を持ったこの内容に対して公安条例の四条、警職法、そういうものがびしびしと、警察官の個人認識、判断の上に立って行なわれるとするなら、容易ならざる人権侵害というものが行なわれるであろうということを指摘せざるを得ないのです。提案者はこの点についてどういうふうに認識を持っていられるか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) ただいまの第五条の場合に、非常に不明確ではないかというお話でございまするが、私たちは必ずしもそうは考えないわけでありましてつまり第四条の議長の要請のところを読んでいただくとわかりまするが、これはまず国会議員の審議権の公正な行使、国会議員の登院、これが著しく影響があるということが認められる場合、それから、おそれがあるという場合、またそれに加えて、両院の議長からこれが要請をされるというワクがあるわけです。大体こういうことで、三つぐらいの安全弁が設けられておるというわけでありますから、決して高田さんのような御心配はなく、かなりこれは具体的に明確になっていると思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私はこれを、提案者とわれわれの認識の相違だというような、そんな簡単なことで結論をつけるべき問題ではないと思う。私がしばしば指摘しているように、憲法違反だと東京地裁でも判決を下した公安条例においても、但し書きにおいて警察権行使の範疇というものが厳密にここに規定されている。しかもその上に、警職法並びに警察法では、職務権限が憲法並びに人権を侵害してはならないということを詳しく明記してあるとともに、公安条例の六条、七条、ここには明らかに、警察官の職務権限の範囲を逸脱してはならないという明文上の規定が添えてある。しかるに本法においては、警察の職務権限行使の範囲というものは、集団示威運動とか、統括者とか、その他の責任者とか、または参加者とか、全然わけのわからないような内容を列挙しておいて、何にもここに逸脱してはならないというような権限の規定というものの片鱗すらここに見いだすことができない。明らかに憲法違反といわれる公安条例を上回る、稀代な悪法だという感じをせざるを得ない。あなたは認識の相違だということを言われますけれども、公安条例の六条や七条というものを一体ごらんになっておりますか。はっきりここに、警察官の職務というものは多岐にわたってならないというようなことが書いてある。ここには何にも書いてない。それもややばく然としておるけれども、そんな心配はないというような、そういうような御答弁でいいと思っていらっしゃるのでしょうか。あなたの認識を私は疑いますよ。これはどうしたのです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 本法をごらんいただきますると、そういう点については、具体的に、まず議長の要請ということで一応しぼっておるわけであります。しかも、それが必要な限度をこえてはならない、必要な限度においてということが書いてあるわけでありますから、決してそういう乱用の心配はないと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 水かけ問答になることを私はおそれるわけでありますが、とにかく公安条例あるいはまた警察官職務執行法については、繰り返して言うようですけれども、非常に限定されているのですね。警察官の職務が強制行為を伴うという点から限定されている。限定されていても、なお、私は法務省から昭和三十年度から昭和三十四年度に至る警察官による人権侵犯事件の統計をちょうだいしてあるわけなんですが、これによりますと、非常に注意しておっても、大へん注意をしておっても、警察庁長官の御説明にもありますように、実に注意をされておりましても、なおかつ、この侵犯事件というものが非常に多い。二百四件という人権侵犯事件が起こっています。これは刑事手続中におけるものが多いようでありますが、逮捕に関するもの、勾留に関するもの、捜査押収に関するもの等々、刑事手続の中における人権侵犯事件の統計であるようでございますが、非常に注意をしておっても、刑事手続という精密な規定の中における警官の職権を行使した中でも、このような二百四件という人権侵犯事件が統計の数字の上に出ておるのです。しかも、これらの人権侵犯事件に対して、警察官の職権乱用罪起訴人員の調べの統計をちょうだいいたしますると、この職権乱用罪ということは大へん少ないのであります。警官の職権乱用罪というものは、なかなか成り立たない。非常に成り立たない場合が多い。そういう性格のものなのです。だから、この警察官の職権が行使される第五条の規定というものは、このようなばく然とした範疇の不明確な、しかもその上に、個々の警察官の「おそれがある」という認識をもとにしてこの法が発動された場合に、予想せざる問題が起こってくるということを、私はあなたに警告せざるを得ない。提案者に警告せざるを得ない。私はここだけにこだわっている時間の余裕もありませんから、次に進みたいと思いますが、しかし、その前に、一応ここで確かめ、ただしておかなければならない問題がございます。  これは、主として柏村警察庁長官にお尋ねをしておかなければならない問題なんです。前委員会では、警職法の犯罪予防の面における、「警告」と「制止」の権限についてお尋ねいたしましたから、ほぼこれについては私はわかりました。本法でいう「警告」あるいは「制止」、この行為自体はどのような法律を基礎として行なわれるものであるか、その行為、「警告」という行為自体、「制止」という行為自体、これの範疇はどこに根拠を求めたらいいかという問題です。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 五条二項の末尾にございます「警告」「制止」、その内容つきましては、前回申し上げた通りでございます。この権限は、この法案によって与えられるものというふうに理解しておるわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 この法案に基づくものというと、具体的にどういうことになりますか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 五条二項の規定によって、「警告」または「制止」することができるという文言から、「警告」「制止」ができるということに相なると理解しております。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 これは私、先ほどからだまって聞いておったのですが、佐々木さん、だいぶあなたの答弁は、三月十八日の議院運営委員会それから先回の連合審査会における御発言が、だんだんと変わってきている。今、警察庁長官のお話によりますと、五条二項に定めるこの法文によって「警告」「制止」ができると、こう言われるのですが、あなたも同じようにお考えですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 結論だけを申しますなれば、ただいまの柏村警察庁長官の申しましたことと同じことでございます。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 聞く方がきまりが悪くなるくらいに話が変わってくる。(「変わってない」と呼ぶ者あり)これは私は、ちょっとだまって聞きなさいよ。この法律は、よろしいか、この法律は、国民の基本的な権利を制限したり、新たに規制を加えたりする内容はないということを、あなたは何回も繰り返しておられる。ただこの法律は、議長に、警察に対して要請の権を与えるにすぎない、こう言っておられるのであります。ところが、ただいまの警察庁長官の御発言とあなたは変わりがないとこう言っておられる。これは非常な違いであります。私は前回も田畑金光君の御発言に関連して、新たに警察に義務を課することになりはしないかということを聞きましたところ、何ら義務を課するものではありませんと、こう答弁された。きょうもそのことを繰り返しながら、ただ警察行為を発動する場合に新たな要件がこれによって加わると、こう言っておる。義務を謝するものではないが要件が加わると、こう言っておる。その新たな要件を加えることは、警察に、その要件の発生があった場合に、警察行動を起こさせる義務を課することになるのじゃありませんか。同時に、それに対して従わない者に対しては、公務執行妨害罪というふうなことによってこれに従わなければならぬ義務を国民には課することになりはしないか。明らかなんです。警察に対して、本法によって新たな要件が備わった場合には、新たな義務を課することとなり、国民に対しては、それに従わなければならぬ新たな義務を課することになるのですよ。そうでしょう。それをあなたは、二月十八日の議院運営委員会におきましても、ただいまのようなことで変わりはありませんか、ありませんと言っている。取り消しませんかと言ったら、取り消しませんと言っている、あなたは。読みましょうか、速記録を。これはもう少し、ただいま私が申し上げたことに、変わりがあるのなら変わりがあるように、ないのならないように、それによってさらにあなたに対して答弁の違っていることを申し上げましょう。そのたびに答弁が変わるのでは聞く方がきまりが悪い、恥かしくて。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私の今日まで申し上げたことは、私はそう筋違いなことを申しておるとは思いません。現に今あなたのおっしゃるように、警察に新らしい義務を課するのではないかという、今もあなたがおっしゃっておる。従って、私は、義務を課することは、この五条のみならず、本法のいかなるところにも義務規定はございませんから、義務とおっしゃいます限りにおきましては何らの義務を課するものではないということを申しておったのです。それじゃ新しい権限がふえてきやせぬかと、こういう御質問でございましたから、その節は、警告、制止の権限がただいま公安条例や警職法によって与えられておる、それ以上のものを越えるものではない、こういうことを言っておったわけであります。しかし、先刻も申し上げましたし、またこの前の当委員会においても申し上げましたように、それを、その権限を発動する要件と申しまするか、議長の要請を受けたときに、警察官がその警察作用を発動する要件として、先ほど高田さんのおっしゃったように、たとえば警職法第五条のような規定のみならず、おそれがあるというときにやり得ることになっておる。それではどこに根拠法があるか、こういうことでありまするから、それならば、第五条の三項において警察官がやり得るのだ、それを越えたと、こういうふうな意味のことをおっしやるならば、その点においては越えたともいえるでしょうということを、今しがた高田さんにお答えをいたした通りであります。私の言うことは、特に注意をして今日まで参りましたので、義務じゃないので、そういう警察官の権限というならばそういう権限はできます。しかし、それを発動するかしないかということは、警視総監が独自の考え方に基づいて自主的判定ができるというわけでありますから、私の言ったことは、ちっとも筋が違っていないと思います。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 そういう言いのがれを聞こうとしているのじゃないのです。私どもは議院運営委員会でお尋ねしたときには、まだ各条の審議に入らないで、総括的なこの法についての提案者としての心がまえ、さらに国民に対する義務、あるいは警察に対する権限というようなことでお尋ねをした際に、あなたは、何ら新しい義務を課するものでもなければ、国民に対しても権利の制限が加わるものではないということを言っておられるのです。ところが、ただいまの警察庁長官、前回の警視総監並びに都公安委員長のお話を聞きますと、本法ができることによって、四条二項なり、あるいは五条二項の条文によって新たに警告、制止を加えることができると、こう解釈しておられるのです。この法ができれば受けて執行をする側の警察がそういうふうに言っておられるのです。提案者のあなたとは私どもこれは違うなと思ってきておったのです。ところが、今聞きますと、これは違わないのだと、こう言われる。違わないということになると、これまであなたが議院運営委員会においてしばしば言われたことと、あなたの方が変わってきている。こんなに変わられては困りますよ。考えてみて下さい。あなた、先ほど高田委員の質問に答えて本法によって警察行為を行なうにあたって、新たな要件が加わるだろうと言われた。新たな要件が加わるということは、取り締りするにあたって本法によって新たに要件が加わるのですから、それだけ警察には警察力行使をやらなければならぬ義務が出てくるのです。国民にはそれに従わなければならぬ義務が発生するのです、この本法によって。そういうことは、あなたは今日まで、権利の制限、規制を加えるものではない、新たに警察に義務を課するものではない、ただ議長に要請の権を与えるにすぎないということをしばしば繰り返しておられるのに、きょうの答弁を聞いておりますと、これは変わっておる。いずれ議院運営委員会で詳しくこれは質問したいとは思いますけれども、議運が単独でやった場合の御発言と、ここにおけるあなたの御発言とが違うようなことでは、これはどこをたよりに審議をしていっていいかわかりませんから、注意して下さい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 総括的な御質問や御意見がありましたときに、私は、こういうような質問に、何と申しますか、非常に包括的な、抽象的な話をしていると、かえって誤解を招くようなおそれがあるから、できるだけ逐条的に、どの条項のどこがどうだという具体的なことを言ってほしいということを、前の委員会においても申し上げたことを記憶いたしております。しかしながら私は、あなたの速記録に基づいておっしゃったその考え方は、私は持っておるのです。今でも同じ考え方です。しかし、先ほど申したように、決して新しい職権を警察官に与えるものではない。警察官というものは、今のところ警告、制止の権限しか持ってないのです。それを越えてどうこうできるものではないのだと、そういうような意味においてはちっとも警察官に新しい権限を与えるものではないということを申したわけであります。またどんな義務を課するかというお話でありまするから、義務は何にもありません、その判断は公安委員会や警視総監が自主的に決定するものであると、こういうことを申しておったわけでありますが、この議長から要請を受けたときに、先刻来、高田さんのおっしゃったように、警職法や公安条例以外にも、国会の審議が非常に阻害されるおそれがあるというような場合において議長が要請されたときには、その行為を制止し、警告することができる権限が与えられる、それはどこか、この本法だ、本法の第五条の二項によるのだと、こういうことを前回の当委員会においては説明したわけでありますから、私の申したことが、抽象的な概念としていろいろ話しておりまする表現の中には、ややもすればそういう誤解を招くようなところがあったかもわかりませんけれども、私の申し上げたい真意というのは、大体今申し上げておる通りであります。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 前にこういう聞き方を私はしておるのです。都公安条例、警察官職務執行法、道路交通取締法などによって、警察には警告、制止の権限がある。本法が成立することによって、新たに警告、制止の機会がふえる、そうでしょう。ふえるということは、五条三項に明らかにしておりますように、「自らその職権を行使」というのが、ただいま申し上げた三法です。そのほか警告、制止の機会がふえるのであります。そのことは、警察に対して一つの新たな義務を課することになり、権限を与えることになり、国民に対しては、これに逆らったのでは公務執行妨害などといって引っ張られますから、従わなければならぬ義務を課することになると思うのであります。あなたは、いやいや、そんなことはないのだ、どこまでも基本的な権利に対して制限を加えたり規制を加えたりするものではないということを言っておられるのに、きょうの御発言を聞いていると、新たに権利が制限されるような印象を受けますから、これまでの御答弁とは違うじゃありませんかと、こういうことを言っておるわけです。そうでしょう、どうなんですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 繰り返し申しまするように、今まで言ったことと私の今日申しておることは少しも違っていないと、私は少なくとも信じております。あなたにお言葉を返すようですが、今の場合のような具体的なことをかつておっしゃったことはございません。つまり、これによって、本法第五条によって警告、制止の新しい要請権が生まれるというようなことをおっしゃったことはないと考えております。従って私は、どうもあまり抽象的な意見を交換しておると、ややともすると、あげ足とりみたいになったり、あるいは誤解を招くようなおそれがあるから、できるだけ具体的な根拠に基づいて話をしてくれませんかということをお願いをしておったような次第でありますから、私の申したことは、あるいは誤解を与えたかもわかりません。しかしながら少なくとも私の考え方は変わってはおりません。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 はっきり取り消されるならそれでよろしいのですけれども、そうじゃないようなことを言われるから、もう一度申し上げるのですが、これまで、私どもの発言は、連合審査までの議運の審議では、各条審議に入っていないのです。総括的な質疑をあなたに続けておったのです。その際にも、「両院の議長が要請をしたその要請に基づいて、警視総監や都の公安委員会は、全く自主的な立場に立って警察権を発動する、その警察権を発動した際に、この警職法のワク外、公安条例のワク外にわたってまで警察権を発動できるような、そういう根拠規定をこの法律は全く含んでおらない、こういうことをはっきり答弁いただきたいわけです。」、こう米田君が質疑をしております。あなたは、「ちょっと待って下さい、わかっています。」と、こう重ねて、「即答はできるのでありますけれども、なるべく慎重を期して御期待に沿いたいと、こういう意味から意見を徴しておったわけであります。ただいま仰せの通りに思っております。」、こうも答弁されているのであります。きわめて具体的に聞いている。明快にあなたもお答えになっている。それがただいまのところはちょっと変わってきている。しかも、こういうあなたの御答弁を訂正されませんか、取り消しませんかということまで、わざわざ念を押して聞いております。あなたは、取り消しませんと、こう明言しておられる。取り消されるならよろしいのですけれども、回を重ねるに従って全然逆のことを言われたのでは困ります。こういうことを言っている。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私どもの立場からいうと、決して逆のことを言ってきているとは思いませんし、その今の米田さんの御質問であったかと思いますが、今おっしゃったことは記憶ありますから、その通りでありましょう。しかし、それから先の方で、私の述べていることもあったやに私は記憶いたしているわけでありまして、従って、そういうことで、やや何と申しますか、誤解を与えて、あとになって問題を起こしてはいやだから、だから、できるだけその条項に沿って、一つ具体的なことを指摘していただきたいということを申しておったようなわけであります。もしその点において誤解があったといたしますれば、私はただいま本日限り、私の申したように一つ御訂正願いたい。私は訂正いたしますから、訂正願いたいと思います。しかし、前回の当委員会におきましても、速記録を見ていただいてもわかりますが、私は本日とちっとも変わった答弁はいたしておりません。終始一貫した立場を堅持しているわけであります。用語の上におきましては、ときには誤解を招くようなことがあったかもわかりませんが、もしあった、それがいけないとなれば、私はこの席を拝借しまして懐しんで取り消します。(「どこをどう取り消すんだ」「休憩」と呼ぶ者あり)

高橋進太郎自由民主党

○委員長(高橋進太郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕

高橋進太郎自由民主党

○委員長(高橋進太郎君) 速記を始めて。  暫時、休憩いたします。午後は一時より再開いたします。    午後零時九分休憩    —————・—————    午後二時十一分開会

高橋進太郎自由民主党

○委員長(高橋進太郎君) 連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律案を議題として質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 提案者に重ねてお尋ねをいたしますが、この連合審査会に移りますまでの議院運営委員会におきまして、私どもしばしばお尋ねをし、御答弁をいただきましたことと、過般の第二回の連合審査会及び本日午前中の質疑を通じて、提案者の趣旨が全然違った答弁がなされておるやに感じまするので、重ねてお答えをいただきたいと思うのであります。この法律ができることによって新たに国民の基本的権利を制限したり規制をしたりするものではないということを、繰り返しお答えになっております。さらに、警察官職務執行法あるいは都公安条例、道路交通取締法等のワクを越えて、新たな義務あるいは権限を警察に与えることになりはしないかということにつきましても、義務を課するものでもない、権限を与えるものでもない、ただ議長に警察に対する要請権を与えるだけであるということを繰り返しお答えになっていたのでありますが、本日午前中の御答弁を聞きますと、柏村警察庁長官の答弁は、これまでの法律の権限に、この法律ができることによって、新たに警告、制止をする要件を与えられる、こう思っておりますと警察庁長官がお答えになりました。ところが、提案者も同様でありますというお答えであります。そうなりますと、これまで議院運営委員会で審議をして参りましたことと、私どもの受け取っておりました提案者の趣旨というものが全然違うように思うのであります。この点について明らかにしていただきたいと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 提案者の私の立場におきまして申しまするならば、本法に対する解釈は変わってはおりません。しかしながら、今御指摘のような点につきましては、質問される方のあなた方の御意向と私の答弁との間に、やや食い違い等があったのではなかろうかと思います。これから申し上げますることに、もしそういう誤解があったならば、一つ私の方が訂正をいたしまするから、そういうふうに御了解を願いたいと思います。  何回となく私たちは繰り返して申しておりまするように、本法によって何か新しい義務が出てくるのじゃなかろうかという御質問でございました。従って、それに対しましては、私たちは、何ら本法には義務規定はありません。従って公安委員会や警視総監に対して新しい義務を付加するものではないという原則を堅持して参ったわけであります。それからまた、国民に対して新しく権利を制約するのではないか、こういうふうな御質問でございましたので、決して本法によって新しく従来の警職法やあるいは公安条例によって警察官が行ない得る職権行為を越えるものではない。従って、新しくそういう国民の権利に制約を与えるものでないという意味において申し上げておったわけであります。しかしながら、この法律ができれば、この法律に従って国民が守らなければならないじゃないか、——その限りにおいては、それでは国民の権利義務に影響がある、こうおっしゃれば、それはその通りでございます。そのゆえにこそ新しい法律を作るわけでございますから極端なことを申しますと、何ら国民の権利義務に関係がなければ、こんな法律を作る必要はないことです。従いまして、そういう点から申しまするなれば、確かに国民の権利義務にもそういう意味において関係がございます。そういうふうに一つ御了解願いたいと存じます。また私たちの申したのは、この公安条例あるいは警職法によって規定された範囲を越えるものではない、つまり警告、制止というもののワクを越えるものではないということを申しておったわけでありますが、前回の当委員会におきましても、また本日の午前中にも、御質問があった際にお答えいたしましたように、警察作用を行なう際の要件が違っておるのじゃないかと言われれば、確かに違っております。そのことを指摘して、従って、警察官の権限のワクを越えるのではないか、こういうふうにおっしゃいまするなれば、それは大体その通りでありますというふうにお答えせざるを得ないと思います。しかし、私の今まで申したこととあなた方の御質問との間に、用語等につきましても、あるいは不適当なものがあったり、あるいはあなたの方と私の方とのあうんの呼吸があまり合わないで、変な答弁になったことがあったかもしれませんが、私たちの申したことには、別にそう矛盾はないと考えております。今申しましたのが私たちのほんとうの見解でございます。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 聞いておりますと、二月十八日の議院運営委員会における佐々木さんの御説明や御答弁とは全然もう違っているのであります。たとえば「警察に新たな義務を課するものではありませんか」ということを、前回の当委員会におきましても繰り返しお尋ねをいたしました。「義務を課すものではない」と言われました。ところが今度は、この法律ができると、警察作用を起こすのに、警職法の五条や都公安条例の四条で厳格に警察作用を起こすことを規定しておりますが、本法によって新たに警察行動を起こす要件が備わってくるのであります。警察行動を起こす要件が新たに本法によって規定されるということになりますと、警察は、これをやはり忠実に執行していく義務を持つことになりましょう。国民がこれに対して反抗したり、きかなかったりいたしますと、公務執行妨害罪ということになるでありましょう。そうなりますと、国民はこれによって基本的権利に制限を受けるわけでありますから、これは重大な義務の発生であります。そういうことを、これまで私どもは、新たな義務を警察に課したり、新たな取り締まりを拡大するようなことはないかということを聞いておったのに、全然そういう御心配のようなことはないと繰り返しながら、今これを言われるのでありますから、重大なこれはあなたの方の提案の趣旨の変更であります。でありますから、二月十八日の議院運営委員会における御発言と、ただいまの御発言の食い違いの部分につきましては、全部お取り消しになりますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私の側から言うならば、決して食い違っておるとは思っておりません。現に今もおっしゃいますように、そういう義務があるか、こういうお話でありますならば、義務がないと答えざるを得ないのであります。なぜなれば、本法には義務規定がないからであります。これは言葉の言いのがれと言われるかもしれませんが、これは法律であるから明確にしておけというお話でありましたので、明確に義務があるかとおっしゃられれば、明確に義務がないと答えざるを得ない。それで、国民の権利義務に影響がないかと言われれば、これは、法律ができた以上、法治国において国民はこの法律を守らなければならぬ。そこから国民の権利義務に影響があることは御承知の通りであります。その点におきましては、今御指摘の通り認めざるを得ません。従って、私は今日まで申し上げておりましたのは、とかく、こういうものは、あまり一般論ばかり抽象的な話をいたしておりますると、誤解や、相手方の意見を正しく了解をしていただけない場合がありますから、できるだけどの条項はどうかということを御指摘を願いたいということを、繰り返しお願いをしておったようなわけでありますから、従って、今申し上げることが、私の立場から言うなれば終始変わらない立場でありまするけれども、それが私の基本的な考え方でありますから、かりに、過去においてもし誤解があったとするなれば、今私の申したように一つ御理解願って過去のことにつきましては、それを改めろというふうにおっしゃいますなれば、私は基本的に改める——改める必要はないと思いますけれども、その点、説明の不十分であったというような点につきましては、ただいまの私の説明で御了解が願えるなれば、ただいまの説明に一つ置きかえていただきたいと思います。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 どうも  あっさりしてもらいたい。これを読みますと長くなりますが、あなたのきょうの御答弁と二月十八日の御答弁とは、これは全然違うのであります。ちょっと一つ二つ読んでみましょう。「きのうの同僚委員からの質問に対してお答えがあったのですが、ちょっとだめ押しをいたしておきたいと思います。この法律は、新たに国民の権利を制約あるいは規制をするものではないということでありましたが、これは間違いありませんか。」という私の問いに対し、あなたは「間違いがないと思っております。」「どういうわけでこれは間違いないのでしょうか。そのことを一つお聞かせいただきたいと思います。」重ねての質問に対し、あなたは「本法の趣旨につきましては、もう再三繰り返し申し述べた通りでありまして、この各条を見ていただけばわかりますが、要は、国会周辺の秩序保持のために、衆参両院の議長から公安委員会ないし警視総監に対して、その公安委員会ないし警視総監の持つ権限に基づいて善処されることを要望するにすぎないわけでありまするから、従って、議長に特別の権能を与え、それによって国民の持つ基本的な人権に拘束を加えようというような趣旨のものではないからであります。」もう少し読んでみましょう。さらに私は、「そういたしますと、これは東京都公安条例、警察官職務執行法などで規制してある事柄が議長の要請に基づいて警察行動が行なわれるのであるから、新たに国民の権利を制限したり規制したりするものではないということでありますか。」と重ねて伺いましたところ、「大体そういうことであります。」あまりばく然としておりますので「大体でありますか。」と、こう伺いましたところ、あなたは「あなたのおっしゃいます趣旨と私の趣旨は同一のように今私は考えておりまするから、そういう考え方に立っておるということなんであります。」ちょっと今読みましただけでも明きらかでありまするが、さらに同僚の米田委員は、「警視総監や都の公安委員会は、全く自主的な立場に立って警察権を発動する、その警察権を発動した際に、この警職法のワク外、公安条例のワク外にわたってまで警察権を発動できるような、そういう根拠規定をこの法律は全く含んでおらない、こういうことをはっきり答弁をいただきたいわけです。おわかりですか。」あなたは三浦さんと盛んに相談しているから、「おわかりですか。」と米田君がだめを押しておられます。あなたは「ちょっと待って下さい、わかっています。」こう発言され、さらに米田君から、「すぐ答弁して下さい。提案者わかってるでしょう、そんなことは。後ろからばかにささやいている。そんなことわからないで、法律案を提案するとは不見識だ。そんなことは即答できるはずです。」こう言いましたところ、あなたは「即答はできるのでありますけれども、なるべく慎重を期して御期待に沿いたいと、こういう意味から意見を徴しておったわけであります。ただいま仰せの通りに思っております。」いろいろ御相談の結果、警職法あるいは都公安条例のワクの外に警察権を発動できるような根拠規定はどこにもございませんということを、はっきりあなたはおっしゃっているのであります。これから考えましても、ただいまの御答弁というものは、全然これは、誤解というのは、これを読んで誤解する方がどうかしているのでありまして、はっきりしているのであります。ですから、よけいなことを言わないで、きょうのがほんとうである、これまでの部分は取り消します、こういうふうにはっきり言って下さい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 速記録には御指摘の通り、その通り記録されておりまするが、その少し先の方におきましても、私が「やや幅があるわけであります。」あるいはまた合法的なデモの場合と非合法の場合ということについても言及をしておるところがあると、私は思っております。いずれにいたしましても、もしそういう意味でありますならば、私は何回となく、こういうふうな論戦をしておると誤解を招いてはいけないから、どうか具体的な問題、何条のどこにこれがあるかということを聞いてもらえないかというようなことを言っておったのであります。かりに、私の側としては、別に言ったことがそう間違っているとは考えておりませんけれども、言葉が不十分であったり、あるいはまた、ときにあなた方に誤解を招くような表現をいたしておったということでございますれば、きょうの午前中に申し上げますように、それらの分については私は取り消す、そして新しく今私たちが申し上げることに一つ御理解をいただきたいというようなことを申したわけであります。従いましてそれらの点につきましては、今申すことが私たちの真意であったというふうな点につきましては、私がここで皆さんに訂正をしておきたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 提案者から、第五条の「警告」並びに「制止」の問題については、本法に基づく警告であり、制止である、こういうような点について、はっきり今お取り消しがありましたが、そこで私は警察庁長官にこの点についてさらに尋ねたいわけです。  本法に基づく警告と制止、これは一つの新しい条件に基づく警告と制止であることは、長官並びに提案者も御認識のところでありますが、お尋ねしたいことは、警察官職務執行法の第五条に言う「警告」と「制止」というものと、本法の第五条二項に基づく「警告」「制止」というのは、これは若干内容が違ってくるのではないかという疑いを私は持つわけなんです。その理由は、警職法に基づく警告は、まさに犯罪が行なわれようとするときに警告が行なわれる。まさに犯罪が行なわれようとする、そのときに警告が行なわれるのだと、警職法第五条は言っているわけです。ところが本法では、それともう一つ、「阻害されるおそれがあると認められるとき」にも、警告と制止、この権限が発動できることになっているわけであります。「まさに行なわれようとする」だけではなくて、おそれある場合にも警告と制止の権限の発動が行なわれることになるわけであります。従って、おそれある場合の警告、おそれある場合の制止というのは、具体的にどういうものであるのか。私はこの点について柏村長官にお尋ねしておきたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 警職法に申します「警告」と「制止」、それから本法の五条二項に言いまする「警告」と「制止」、その警告のあり方、制止のあり方の内容自体については変化はございません。相違はございません。ただ、警告、制止を行ない得る場合というものが、ただいま御指摘のように違って参ろうかと思いますが、五条二項におきましても、議長が、そういうおそれがあるときに要請をする。そして、その要請に基づいて、その要請に応ずるため、必要な限度において警告、制止をするということに相なろうと思います。従いまして、御指摘のように警職法、五条の場合の「警告」は、「犯罪がまさに行なわれようとするとき」はもちろん当然できる。それから、行なわれているときにさらに警告するということも当然できるということに相なろうと思いますが、本法案の五条二項とは、発動の場合が若干異なるという点は御指摘の通りでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 発動の場合が異なる、そこに私は問題があると思うのです。たとえば警職法の第五条に言う制止の項であります。この制止は、「その行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があって、急を要する場合においては、その行為を制止することができる」のであります。本法の二項に言う制止は、おそれがある場合にも制止することができることになってくるわけであります。そうだとすると、警察の職務権限というものは、明らかに、この警職法に、犯罪がまさに行われようとするとき、身体、生命、財産に危害が及ぶときに制止をするという、これだけの範囲が、今度はおそれがある場合にこの制止ということまでやれるということになってくると、私は、この警職法自体の行政自体に疑義を持つものなのでございます。この理由についてはくどく申しませんが、とにかく警察権は強制を伴うものである、実力行使である。その実力行使が、事前に、おそれがあるということで、警察の実力をもって事前に抑制するという権限が、はたして憲法上妥当であるかどうかという問題に言及しなければならなくなってくる。私は、事前抑制の限界というものは、このような制止まで含むものとは考えられないのであります。しかし本法においては、おそれがあった場合にも警告を発し、おそれがあった場合にも制止し得る権限を与えておるわけでありますから、これは明らかにこの警職法の目的とする権限を逸脱したと申しますか、不当に拡大し得る可能性を持つものであるというふうに考えられるのでありますが、あなたはどういうふうにお考えになられますか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 先ほども申し上げましたように、この五条二項が発動をいたしますのは、両院議長の要請という重大な要素がなければならないわけでございます。軽率にそういう要請が出されるとはわれわれ考えておらない。よほどの事態ということを想定されて出されるものと思います。その場合において、警察官がその要請に応ずるため、すなわち登院の妨害であるとか、あるいは公正な審議というものの妨害が著しく行なわれるというような場合において、必要な限度において警告、制止をするということにしほられておりますので、そう権限が乱用されるということは考えられないというふうに思っておるわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 警察庁長官だけがそういう心配がないと思いますというようなことでは、ちょっと私は根拠が薄弱だと思います。この問題は、やがて逐条の問題になった場合にさらに検討しなければならない問題だと思いますが、ただ、その警察の職権行使が事前抑制にまでわたって、その抑制の方法が実力行使を伴う制止という部面にまで展開することについては、これは明らかに私は警職法の警察の職務権限を逸脱しているものだというふうな認定を持たざるを得ない。おそれを持たざるを得ない。あなたは、両院議長の要請に基づくものであればそういう行き過ぎは防げるとは申しておりますけれども、私はそんなものじゃないと思うのです。法律が発効すれば、法に基づいて忠実に行なわなければならない義務をお互い持つわけであります。事前抑制に対して警察官の警告並びに制止権限が発動し得る根拠を与えるということは、これは非常な憲法違反の疑いをはらむものであるという問題点を私は指摘しなければならないのであります。しかし、あなたに答弁を求めても、これ以上の御答弁をいただくことはできないと思いますから、次に進ましていただきたいと思いますが、この制止の問題についての実力行使のことについて前回若干触れたのです。しかし、時間がないために途中で切れてしまっておりますから、あらためてここで伺いたいと思います。  おそれのある場合にこの警察官の制止が行なわれるわけでありますが、この制止は、実力行使の分野を含むのではないかという私の質問に対して、必ずしもそうではないと、あなたお答えになっておられますが、この点、もう一ぺんただしておきたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 警察官の行ないまする制止は、実力行動を伴うものが主でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 事前抑制に対して警察官の実力行動が伴うことがここに明らかになったわけでありますが、その実力行動の限界というのはどういうところにありますか、お尋ねします。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 事前抑制というお話でございますが、制止は多くの場合は事前抑制でございます。もちろん犯罪がすでに行なわれている現行の場合においても制止ということがないわけではございませんが、多くの場合、事前抑制ということが制止の本体だと思います。それで、その限界というのは、その場合々々の状況によって一がいに申すことは困難かと思いますが、必要最小限度に限られるという制約を当然受けるべきものと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これは多くの場合事前抑制であるという答弁をされているのだが、これは私は問題であろうと思う。警察官がすべて事前抑制であるという言葉を使うくらいなら、何も警職法は要らないと思う。警察権の行使にわたる事前抑制という言葉は、明らかに犯罪の予防という言葉で私は表現せられているものだと思う。それが事前抑制の限界だと思う。警職法の第五条にあるこの予防の限界は、「まさに行われようとするとき」、これを予防の限界であるというふうに警職法の第五条は規定しているのではないかと思います。事前抑制という言葉を、ここで警察官という立場において広くお使いになることについては、私は当を得ないものだと思いますが、予防と事前抑制との、その法律上の差異、その点についてここにやはり明確にしていただかなければならないので、お伺いいたします。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 事前抑制と申しますのは、予防の一態様であろうと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 予防というのは、そうすると、法律的にどういうことになりますか、その点お伺いします。法文の通りおっしゃっていただきたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 予防と申しますのは、読んで字のごとく、犯罪が行なわれないうちにこれを防止するということでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そういうわけであるから、特に警職法はここに予防及び制止と、こういう条項を設けて、予防の限界を私はここに規定したものだと思います。制止の限界を規定したものだと思うのです。くどいようでありますが、警職法第五条の予防というのは、「犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に」云々と、こう書いてある。でありますから、現象が起こらない先に、こういうおそれがあるだろうという、あるだろうというその認識の上に立つ事前抑制というものはあり得ないのじゃないかと、こういうふうに思うわけなんです。公安条例についてしばしば違憲問題が取りざたされておりますが、一番のポイントは事前抑制だと思うのです。でありますから、警察当局のこの事前抑制という認識について、その範疇をしっかりしなきゃならないということは、これはあたりまえのことだと思う。これは私は問題点として提起しますけれども、やはり警察庁長官として、この事前抑制というものと予防というものと、法律的な見解というものは特に明らかにしておいていただかなければならないと思う。今までの御答弁では私は納得できないのでありますから、もう一度法律的な御答弁をわずらわしたい。読んで字のごとしなんというはぐらかす答弁は、あなたの立場としておもしろくない。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 警職法の精神が、強く警察を戒める意味において価値を持っているということは、私ども常に考えておるところであります。警察官の職務執行というものはそういう考え方を原則として行なわれなければならないと思いますが、しかし、他の法律において、あるいは他の条例において、別個の規定が制定されるということを禁止している趣旨のものとは考えていないわけでございます。  なお、最後の制止の限界ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、人権を尊重するという意味におきまして必要最小限度に限られるべきものであると、これは抽象的であるということになろうかと思いますが、そういうことしか申し上げられないと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 必要最小限度である、その権限は必要最小限度である、私もその通りだと思います。そうだとすれば、またくどいようでありますが、事前抑制というものは、いかようにもこの拡大解釈ができることになってしまう。だから、警職法第五条の事前抑制という限界を、予防という言葉で表現している。私そう思うのですよ。あなたは必要最小限度と言いながら、事前抑制という言葉を平気でお使いになっているので、大へん腑に落ちない問答がここで繰り返されておりますが、私はこれは逐条審議の場合にさらにお譲りしておきたいと思います。これは問題点として、提案者も当局も、十分に事前抑制と予防という問題について御研究をわずらわして、すべての人の納得のいく御答弁をわずらわしたいと思います。これは希望です。宿題です。  次に、この制止について実力行使が伴う強制行為であるという答弁があったわけです。前回の質問において、私は警告の場合の実力行使の中に武器使用が含むか含まないかという問題を提起したわけです。これに対して、さらに武器使用の問題について若干ここに制止という言葉がある以上はお尋ねしておく必要があろうかと存じますので、この点についても承っておきたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 警告の場合は、武器を使用するということはまず考えられません。また、実力を行使するということも原則として警告というものの中には含まれないというふうにわれわれは考えております。制止の場合におきましては、前回も申し上げましたように態様によっていろいろの仕方があると思います。武器使用につきましては、警職法第七条に該当する場合にのみ許されるものと考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 第七条によれば、制止という問題の中に、指導者と疑わしい者、あるいは不法侵入者と疑わしい者、こういうような者も一部含まれるのではないだろうか、あるいはまた不退去者——命令をしても退去しない者、こういう者に対してもこの武器の使用というものは一部許され得るのではないかと考えておりますが、この点どうですか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 本法案におきまする第七条の、たとえば既遂の問題が起こるということになりますれば、これは武器を使用するというような方法によらない制止発動をすることになるのが通常であろうと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 しかし、制止の場合には法律的には武器の使用が認められておるわけでありますから、この武器の使用の限界というものについても、これは相当研究をしていただかなければならない問題ではないか。先般も指摘したように、武器使用の場合には、危険を伴わない使用と、危害を加えるための使用と二通りあるわけであります。通常危害を加えるための使用の場合は普通使われませんでしょうけれども、本法に言う制止の場合は、危害を加えない程度の武器使用ということもあり得ると判断しなければならない。催涙ガスの使用とか、放水ポンプの使用とか、そういうようなことはあり得るのではないかという、これは一応の懸念が法律的に出てくるわけであります。だから私、伺っているわけなんです。絶対そういうことはないという確信ある御答弁ができますか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 先ほど来申し上げておりますように、事態の状況によるということに相なるかと思いますが、原則的に、大衆活動を制止する場合には、武器を使用しないというのを運用の原則といたしておるわけであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 原則はわかっているのですが、原則をだんだん逸脱してくるような現状であるから、私、それを心配して伺っておるわけでありますが、これもまたこの問題に突っ込んでいきますと、相当時間を食うのであります。これはまだ逐条の問題も残っておりますから、これも一つの問題点として、お互いに謙虚な気持でその研究をしていく必要があるのではないかということだけで、次に進ませてもらいたいと思います。    〔委員長退席、議院運営委員会理事田中茂穂君着席〕  堀切公安委員長にお尋ねをしたいわけであります。この公安条例は、合憲、違憲の問題がしばしば繰り返されておったわけでありますが、この公安条例で違反になったものは、一体この条例が発効してからどのくらいあるのか、それからもう一つは、公安条例違反とはいうけれども、職務執行妨害というかどで起訴されているものもこの中に含まれていると考えるので、従いまして特に職務執行妨害というものは、この中に一体どのくらい含まれているものなのか、その実情を提示していただきたいこと、これが一問です。  それから同時に、警視総監に対しては、公安条例に基づいて許可申請をして不許可になった件数は一体どのくらいあるのだろうか、こういう点を数字的にお示しいただきたい。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) 数字はあとでお手元に差し上げるようにしたいと思います。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) ただいま手元にある資料に明確な数字がございませんので、後刻すぐお答えいたします。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私の手元にあるのはあまり正確なものではないだろうと思ってお聞きしたわけでありますが、この公安条例違反で起訴された件数、人員というのは非常に少ないのですね。二十七年に一名、二十八年に三名、二十九年なし、三十年なし、三十一年なし、三十二年に二名、三十三年に七名、二十七年以降三十四年に至る間に十三名の公安条例違反者として起訴されている者があるわけでありますが、この中には公務執行妨害を含んだものもございますので、内容がわからないのですが、現行の公安条例でも相当に効果をあげていると見なければならない。憲法違反の疑いある公安条例のもとでも、これは相当に効果があがっているのに、さらにつけ加えていろいろな問題を拡大していくということについて大へん疑問を持つので、この点を実は伺っておいたわけなのであります。ちょっと公務執行妨害のことに触れたかったのですが、資料がないので、ここでちょっとこの点は打ち切らせていただきたいと思うわけであります。  提案者にお尋ねいたします。本法に基づく警察権の行使は、警告と制止だけなんだと、さっきお答えになりましたが、その通りでございますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) その通りでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そのほかには、警告と制止以外の職務行為というものはあり得ないのだという、そういう確信ある御答弁でございますか、いかがですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) その通りでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 柏村警察庁長官にあらためて伺いますが、私は、提案者が警告と制止だけだと言うことについては、これは本法第五条の条文を消化していらっしゃらないからそういうことをおっしゃるのじゃないかと思う。第五条二項の警察官が「自らその職権を行使するほか、」云々、みずからの職権というものは、何も警告と制止だけではない。そのほかにも職務質問の権限であるとか、あるいは容疑者の同行権限これは刑事訴訟法の強制に当たるわけではありませんか。当然、警察官の職務内容として、質問権あるいは同行権というものが内容の中に含まれるものと私は解釈するわけです。この点どうです。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) この法案によりまして新たに権限として付加されるものは警告と制止だけであろうと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私の質問は新たにということで言っているのじゃないので、新たには今質問してわかっているのですから、そのほかに警察官は、第五条二項の条文の中で警告と制止だけの職権行使しかあり得ないというのかと尋ねているのです。「自らその職権を行使するほか、」のその職権の行使の内容の中に、いうところの質問権や同行権というものは当然本案全体の流れの中から発動し得るものだと私は解釈するけれども、長官はどうお考えになりますかと質問しているのです。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) お説の通りでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 提案者は警告と制止の権限しかないと言いますが、第五条の二項にいう通り、警察官の職権というのはこれにとどまらず、質問権、同行権というものが伴うものだと今答弁しているよ。(「あたりまえだ」と呼ぶ者あり)あなたはちょっと解釈がお違いになったのじゃないでしょうか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 警察官が警職法等に基いてやる独自の行動はもとよりそれは当然のことであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 同僚委員の中にあたりまえのことだというお叱りのささやきが聞こえますが、私は、あたりまえのことであっても、本法案が治安立法としての性格を持つ以上は、そういうあたりまえのこと自体について明確にする必要があるので、そのほかに問題点があるのをこらえながら重要な点を指摘しているわけです。そういう私の瞥というものを提案者は少しわかつて下さいよ。警察庁長官、この質問権、同行権という中には、実力が伴うものとあなたは解釈しておられますか、この点、いかがですか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 質問権には、実力と言いますか、強制は伴いません。同行権というのは、どういう趣旨でございますか、任意同行の場合にはこれは強制は伴わない。現行犯逮捕の場合には強制を伴います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 質問のために停止を命ずることは実力行使ではありませんか、職権上。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 警職法の解釈からいたしまして、質問をする場合に、それに必要な限度で、強制的にわたらない程度で、ある程度とどめてこれを聞くということはあり得ると思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 この停止に対して振り切った場合に、当然ここに、そのときの事情、時間、こういう周囲の事情から考えて、ここに公務執行妨害という要因が成立する場合があり得る。そういう場合が今日までたくさんあった。だから私はここにあらためて質問の問題を提起しておるわけです。資料の中でも先ほど指摘しましたように、警察官の職権乱用という問題はなかなか罪状にならないのがこれは普通になっているし、職務質問の容疑で停止を命ぜられた場合に、この停止に対して抵抗をした場合、これはやはり公務執行妨害になるでしょう。正当防衛であるか、公務執行妨害になるのか、この限界というのは非常に微妙です。非常に微妙です。これは専門家のあなたの方がよくわかっていらっしゃると思うのです。私はその微妙な点を特に声を大にして言わなければならないのは、これは屋外集会、集団行動の中に、そういうことが行なわれた場合に、警察官の正しい職務行為であっても、大衆の秩序を混乱させる要因を来たす恐れがあればこそ、これらの問題を提起しているわけです。ただわかり切ったことをあなたに聞いているのではない。そういう危険性があるから聞いている。この危険性を防止するということは私は相当容易なことではないと思う。提案者は、こういう危険性を防止するために何らかの規定というものぐらいは、この法案の中に私は盛るべきではないかと思うのですけれども、何にもないのです。あなたはそんなふうな気持がいたしませんか。笑わないで答えて下さい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) それは警職法自体の問題だと思うのであります。本法におきましては、議長の要請があったときにのみ警告、制止を行なうことができるということにいたしたわけであります。しかも、その議長の要請にあたっては、両院議長の連名であるとか、まさに行なわれようとするときとか、著しく阻害されるおそれがあるとか……。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ちょっと質問のポイントに答えて下さい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私はそういう今御指摘のようなことをする必要はなかろうと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 大へん簡単なお答えのようであります。集団行動というのはこれはなかなかむずかしいのです。指揮者がいなければ集団行動はできない。本法は指揮者自体にポイントを置いて狙っている部面もあるのですが、そこで、特にこういう集団行動に対しては、無過失の責任に対する取り扱いというものが本法の中に規定されるべきではないかと私は思う。この平穏に行なわれている群衆が他の第三者によって混乱に陥れられるような場合が最近起こっています。これが警官だというわけではありませんが、ときには警官だってそういう役目を果すことがある。さっき指摘したように公務執行妨害か正当防衛かというような問題の発展の中にそういうことが起こり得る。つまり、平穏に行なわれつつある集会、群衆、そういうところに第三者が突然不法状態に陥れた場合に、善良な管理者、主催者を処罰し得るような内容を持っておる本法の規定である、善良な管理者、善良な主催者を救済し得る体制というものは、本法の中にこれは規定しなければならないものじゃないかと、私はそんなふうに考えるのです。あなたは全然そういう必要はないと言われますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 非常にこう本法の性質を勘違いされておるのじゃないかと思うのでありまするが、この本法におきましては、平穏な請願運動や集会、行進、集団示威運動は、何ら規制をしよう、制限をしようというものじゃないので、平穏に行なわれます限りは、これが国民の基本的権利として認められるところであります。ただ本法に規定しておりまするように、国会周辺の限られた道路において議員の通行ができないとか、国会の公正な審議ができないということ、そのときだけに議長の要請権を認めたものでありまするから、善良な人々が本法によって非常な国民の基本的権利を侵害されるというようなことは毛頭ございません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 お説はごもっともと拝聴しなければなりませんが、この第六条をごらんなさい。「請願、陳情その他の名義をもってする」、請願も陳情もこれは正当の権利なんです。その権利の状態が何もここに規定されておらないで、そうしてこういう体刑がくるのでしょう。それにかかわらず、無過失責任の取り扱いが全然必要ないなんというようなことは、それはずいぶんおかしな話だと思う。私は請願権の問題についてもここで触れたい。平穏な請願、陳情、そんなことはあたりまえのことなんです。こういう名をもってする云々というところがあるから問題になる。請願の名をもって虚構な事実を作って暴力デモをやったなんという事例は、いまだかつてない、わが国の労働運動にそういう事例はないのです。しかるにもかかわらず、第六条の規定がここにありますから、こういうのがなくとも集団行動における無過失責任の取り扱いというものは、少なくとも公安条例が前提となる本法においては明記されなければならないものではないかと、こういうふうに私は聞いている。しかし、あなたが必要がないというならば、ないと御答弁いただいてけっこうです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私はその必要はなかろうと考えます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それでは次の問題に進みます。  今度は議長の権限について伺っておきたいのです。立案者にお尋ねをいたしますが、議長の政治上における地位というものはどういう地位を占めておられるものでありますか。一応それを明確にせられたいのであります。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 申すまでもなく、今日三権分立の制度をとっているわけであります。憲法に規定されておりまする通り、国会は国権の最高機関であります。その最高機関の一切の権限をお持ちになっているのが議長でございまするから、議長の政治的地位というのは今日最高の立場にあると思っております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 立法府における最高の責任者である。行政あるいは司法、そういうものとが明確に分立されておることは、お互いこれはお伺いするまでもなかったところかとも思うのでありまするけれども、お認めいただき、そして、次のこれに関連を持ちますので伺わしていただきたいと思うのであります。議長の権限は、これは、ときに拡大されなければならない場合もあり得ると思うし、本法はその意味において議長の権限が国会法から抜け出してここに規定されておるようでありますが、議長の権限というものは当然この憲法の規定によらなければならない、あるいはそれを逸脱しないような方向に拡大されなければならないというふうに私は考えますが、提案者はいかようにお考えになっておられますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私もそのように考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 第四条では議長が——両院の議長を当然私は指しますから、議長と申しました場合は両院の議長だというふうにおとりいただきたいのです——議長は第四条の第二項において必要があると認められる場合に警視総監に対して適当なる措置を要請する権限がここに出てきているようであります。で、私は、警視総監は、警察組織法における一つの行政機構のあり方として、地方の権限に属するセクションであるというふうに考えておるわけなんです。そうすると、立法府の最高責任者は、この地方行政機関に対して要請をする権限というものを、はたして現在の国会法に規定される範疇の中で持ち得るかどうかということが問題になってくるのではないか。従って提案者にまずお尋ねしたいことは、国民及び諸官庁に対して、あるいは地方行政機構に対して、立法府の議長が要請し得る権限の範疇というものは一体どういう範疇を指すのか、この点をお伺いしておきたい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 本法が新しく成立しようとしまいと、議長の立場において、警察、警視総監に対していろいろな要請をするということは、一向にかまわないことだと思います。現に今までも議長はこの警察官の派遣方について何回となく要請しておる。これは別に不法なことだとは、いけないことだとは考えておりません。そういう意味におきまして別に——たとえば今回のこの法律を作るということが議長の権限を逸脱したものであるというふうには、私たちは考えません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 原則論を私は尋ねておきたいのです。私自体も疑問がありますし、また後ほどの質問者も触れられる問題だと思いますが、疑問に思うことは、立法府が行政府に対して要請をする場合に、やはり何でもそれは要請できるというものではないと思う。要請をしてその要請をしつぱなしならばまだいい。本法のように、要請をし、その要請に基づいて警察権が行使されるというような場合には、なおさら、立法府の権限と行政府の権限と、その間におけるその関係というものは明確にしなければならないのじゃないかという気持を持っておるわけなんです。あなたはどんなふうにその点はお考えになられますか。何でもやれるとお考えになっておられますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 本法におきましては、議長が単に要請をするにとどまっております。国会議員が登院できなくなったり、国会の審議ができなくなった、この事態を何とか解決をしてもらわなければならぬということを議長として要請するわけでありまするから、このことが別にさほど議長の権限を越えたものだとはわれわれは考えておりません。現に諸外国におきましては、むしろ国会周辺の一定地域というものを指定し、しかもきわめて広範な地域というものを指定し、イギリスにおきましても、国会から一マイル以内というものについては五十人以上の集会が一切できない。あるいは西ドイツにおきましても、国会を中心としてライン川の両岸を回って、二キロ以内は全然集会ができないというような規制事項まで設けておるわけでありまするが、そういう例から考えてみましても、これが議長の権限を非常に逸脱した行為だとはわれわれは考えておりません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 いやしくも、私たちは立法府に籍を眠く者として、その立法にあたって原則的な事項をお互いに確かめ合うということは、これは当然の私どもの審議権であり、また義務であろうかと思う、そういう意味において私は原則についてお尋ねをしているのに、あなたはいろいろな違うことばかり言われます。イギリスはなるほど規制されているかもしれませんが、イギリスの国会はわれわれの国会と違いますよ。もっと民主的に運営されていますよ。もっと紳士的ですよ。こんなやたらに質疑打ち切りをしたり、提案者が質問者にげらげら笑って答えたり、そういう不謹慎なことをやりません。あなたも派生的なことを言うから、つい私も派生的なことを言いたくなるのです、そんなに挑発しちゃいけませんよ。あらためてお尋ねしますが、立法府の長は国の事務または地方の行政機関に対して、どんなことでも強制を伴わない要請というものはでき得るものかという質問をしているのです、こういう質問なんです、私の直間ま……。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 三権分立の建前をこわさない範囲内において、いかなることをなすも、私は要請をすることはできるだろうと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そうしますと、この議長の、あるいは議長の権限と申しましょうか、議院の警察権行使の範疇というものは、私は国会法に基いているのが原則じゃないかと思いますが、この点どうお考えになられますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 今私はここに書類を持っておりませんが、憲法上の規定によってこの秩序維持の権限というものは議長に与えられた権限でございます。また院内の警察権は、これは議長の専権に属すると考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 国会法第百十四条、第百十五条、これらは、国会の開会中並びに閉会中においても、「内部警察の権は、この法律及び各議院の定める規則に従い、議長が、これを行う。閉会中もまた、同様とする。」つまり内部警察の権限は議長にその一切をゆだねられているわけであります。それから「各議院において必要とする警察官は、議長の要求により内閣がこれを派出し、議長の指揮を受ける。」、これもやはり議長の権限に属するわけであります。これはいずれも院内警察についての権限の規定なのであります。今回の法律は、単に院内警察の問題ではない。外部に対する問題である。    〔委員長代理田中茂穂君退席、委員長講席〕 そこで、議長の外部に対する警察権行使の範疇を明記されたと思われるのは、大体百十八条並びに百十八条の二ではないかと思う。つまり傍聴人が議場の妨害をしたときは、これを退場させ、または警察官に引き渡すことができる。議員以外の者が議院内部において秩序を乱したときは、議長はこれを院外に退去させる権利がある、警察官にその身柄を引き渡す権利を持っている。つまり議長の警察権行使の権限というのは、国会法の中で明らかに私はこう明記されているものだと考えているわけであります。そうすると、本法のいわゆる議長の要請権というのは、国会法第十四章に規定する「紀律及び警察」のこの範疇の中に属するものか属さないものか、この点お尋ねしておきたい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 議長の警察権の根拠は、国会法を見ましても、第十九条にもございます。「議長は、その議院の秩序を保持し、」云々とございます。それから今御指摘になりました第百十四条にも警察権を持っているということがございます。それから、第百十八条で、議場を妨害した者に対して議長が退場させることも、これはもとよりできることになっております。それ以外にはできないじゃなかというような御質問でございますなれば、議長の警察権が外部に及ぶわけではないのでありまして議長は単一に外部に要請をするにとどまるわけでございまして、要請を受けた公安委員会ないし警視総監がいかなる措置をとられるかということは、もっぱら自主的判断をされるわけであります。ただ、われわれとしては、警職法第何条に基づいてかくのごとき措置をとれということを議長から言うわけではない。国会の公正な審議が行なえるような状態にしてくれ、こういうことを要請するだけでありますから、決してこれが越権的な行為であるとは考えません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 失礼な言い分でありますけれども、私の質問のポイントに答えていただきたい。つまり議長の権限は、国会法の第十九条に「その議院の秩序を保持し、」と、第十九条で議長の議院内の秩序保持の権限が明記されている。しからばその権限をどういうふうにして維持するかという手段方法が、第十四章の、今あなたがお読みになられ、私が指摘した第百十四条、第百十五条以下、ずっと第十四章がそこに当てはまる。つまり議長の議院内の秩序保持の権限を行使するためにかくかくするのだということを規定したのが十四章、だから、それ以外の手段方法をとる場合は、あなたが国会法だと初めからおっしゃっておるわけなんだから、当然、国会法の改正にこれは進展しなければならない、これは外部の行政権はここに規定していないのです。議長の権限はいずれもこの内部警察の権限を持っているだけのことであって外部に対する、特に地方行政機関に対する権限というものは、ここには何にも書いてない。そうだとすると、明らかにこれは、あなたが国会法と言うならば、国会法の改正をしなければならないのじゃないかと私は思います。この範疇から出ている、この第四条が……。そう考えませんか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 少し私とは見解を異にするのでありますが、要は、国会の中の秩序を保つための措置をとってほしいということを議長が要請をするので、国会の中において審議が公正に行なわれたり、国会の構成員の議員が登院することができるような、そういう状態に置いてくれということを要請するわけでございますから、決して今御指摘のような、この議長の規定された権限を逸脱するというようなことではないと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 要求する相手はだれなんです。国会法に示されている議長が、院内の秩序をあなたがおっしゃるように保つためにその方法を要求する、その要求する相手は現在の国会法では一体だれだというのです。これは地方行政機関に対して要請をしているのじゃないですか。公安委員会というのはそうじゃないですか。警視総監というのはやはり地方機関じゃないですか。そういうものじゃなくて、この第十四章に規定される議長の要請権の及ぶ相手の限界は何かというのです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私はどうも今の御質問の趣旨がよくわからないのでありますが、要は、先ほど申し上げた国会法第十九条に基づく議長の権限に基づいて、国会の中の秩序を保つために要請をする、要請をするのは本法に基づいて要請をする、こういうことであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そんなことは聞かなくってもわかりますよ。もう一ぺん言いますから、ちょっと聞いていて下さい。議長は院内の秩序を保持する権限を持っているわけです。しかし、ただ持っているというのじゃ困るのですから、そこで、国会法第十九条は議長が院内の秩序を保つ権限を持つものであることを規定しているわけですね。そこで、その方法について、秩序を維持するといってもただ維持はできないわけでしょう。だからその秩序を維持する方法として新たに項を設けて十四章の「紀律及び警察」というところで、その手段方法について議長の権限をここに明確にしているわけですね。ところがこの第十四章の中には、地方行政機関に対する要請権というものは、何もここには入っていない。そうすると、現行の国会法の規定外の権限が第四条で与えられるのじゃないかというのです。そうだとするならば、国会法の改正が必要なのではないか、こう言うのです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 平ったく言うならば、つまり、すべてわれわれが万一の場合に110番に電話をかけて、何とかなりませんかというのと同じようなものでありますから、(「ばかなことを言うな」「何を言うのだ」と呼ぶ者あり)まあそれとは違いますけれども、大体同じことができるわけでありまするから、議長がこのことを要請することにしたからといって、国会法の改正が必要であるとはわれわれは考えません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それでは、なぜ三権分立ということがやかましく言われるかというのです。地方自治法は、これは国の事務と地方の事務というものは明確に分けてある。同じ行政の中で、国の行政と地方行政、これは同じ行政なんです。その行政の分野においても、国の事務と地方の行政事務というものは画然と分けてある。そういう精神は、明らかにこの三権分立の、日本の民主的行政機構というものを育成するための方法なんです。従って、立法府が地方の行政に対して、少なくとも要請権を本法で明示する以上は、これは明らかに国会法の改正が必要なんじゃないかというのです。立法府に法の根拠なくして地方行政機関に対する要請権が一体あるかというのです。法律的にあるかというのです。あなたは110番なんて、ばかなことを言っていますが、そんなことではとても話にならんですよ。あまりひど過ぎはしませんか。立法府と行政機関との区別というものは画然としなければならない。議長の権限がいかに最高の権限であるとはいいながら、この三権分立の基盤を危うくすることは許されないことです。従って、この国会法の十四章、百十四条以下は、この議長権限の行使の手段方法の限界をここに列挙している。そんなに何でもできるならば、こんなばかみたいに列挙する必要は何にもない。列挙しているというこの精神をあなたは知らなければならない。(「院内のことだよ」「権限の行使じゃない」と呼ぶ者あり)権限です。明確にいたしましょう。確かにこの法の目的は院内の秩序を維持するためだと、こう言う。そうだとするならば、院内規則であるこの国会法というものが一番重点になってやられなければならないものでしょう。あなた方の言う理屈が常道ならば、国会法が完全に踏襲されなければならないはずじゃないですか。しかるにもかかわらず、この十四章の中には、外部に対して、地方行政機関に対する議長の要請権というものは一言一句もないじゃありませんか。それで理屈が合っているというのはどういうのです。だから、こういう法律を作るなら、国会法の改正ということは当然この中に入れていかなければならない、法律の整備として。(「これは院外なんだよ」と呼ぶ者あり)黙ってなさい。あなたは自分の時間に発言しなさい。もっと研究してきなさい。私もこういうヤジが入ると疲れるのですよ、一生懸命なんだから。私は、あだやおろそかでここに立っているのじゃない。きょう許されたあとの士五分内に、ほんとうにこの日本の民主化というもの、そして大衆の合法的な集団行動というものが、こういうべらぼうな法律で規制されないようにということを憂えて何とかしたいと思っているのです。私は、皆さんはヤジるけれども、深夜ひそかに読んで、実際衝突するような思いがしている。あなた方は、いいかげんなヤジでこれをごまかそうと思っているかもしれませんけれども、私はほんとうに深夜これを徹夜のような状態で研究したつもりです。人権に関する問題ですからね。多くを言いません。この点は、大へん失礼な申し分でありますけれども、立案者の御研究が不足だと見ております。一々私に言われてこれを引っ張って研究するようなことでは、ろくな答弁ができるはずはない。あなたから、そういう状態の中でろくな答弁を引き出そうとする私の方が愚かであるかもしれません。またあなたの答弁に期待することは愚かであるかもしれません。しかし少くとも大衆の人権を抑制するこの法律の提案者としてあなたの態度はふまじめであろうと思う。真剣であろうかもしれないけれども、御研究が足りないのじゃないか。少なくとも国会法の各条文にわたって、三権分立のそれがどういうふうに行なわれるかということくらいの御答弁というものは、何にも見ないでもしていただきたいものだという期待なんです。これは、いやみです。  次にお尋ねをしたいことは、やはり議長の権限ですが、あなたはさいぜん、議長の権限の拡大については、憲法の精神によらなければならない、憲法を順守しなければならない、こういうふうにお答えになられました。私も全くその通りであろうと思います。しかし、これは前発言者もしばしば指摘しているところでありますけれども、現在公安条例を前提としたものでありますから、要請の前提となるものは公安条例。そうだとすると、この公安条例については、合憲、違憲の問題が出ている折柄でありますから、議長の権限の行使は事前抑制のおそれのないものでなければならない。具体的に、憲法に沿うということは、不当な事前抑制のないものでなければならないということが、百歩譲っても、前提にならなければならないと私は思いますが、この点はいかがでありましょうか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) この事前抑制という点について、非常にそれを広範囲に解釈をなすっておって、その結果というものが非常に正当な集会やあるいは集団運動というものを抑制するかのごとくに解釈なさって暮夜ひそかに憂慮にたえないというお話でございまするが、私たちは、これには、議長が要請をする場合におきましては、そんな簡単に要請するわけではございません。これは、このままの状態ではもうとにかく国会の審議はとても行なえないという事態を認識して、そうして衆議院と参議院が、しかも両院議長が相談し合った上で要請をされる。しかもその要請を受けた方におきましても、それが必要な限度  必要以上の権利の乱用をした場合においては、私は詳しいことは知りませんけれども、警職法などにおいてもそれぞれの罰則の規定があろうかと思います。従って、そういうことをすることによって議長が非常な越権的なことがやれるんじゃないか、あるいはそのことによって非常に大衆に迷惑をかけるようなことになりはせぬかという御心配は、全然ないんじゃなかろうか。しかし結論は、あなたと私とはだいぶ主観が異なっておるようであります。あなたは現にこれが非常に国民の権利を犯すようなものであるというので、これを読んでおれば夜も眠れないというようなお話でありますが、私たちはむしろ、今日、国会の周辺に行なわれておる事態を静かに考えると、夜も眠れないような憂慮をしておるわけでございます。これ以上はだいぶ主観の違いじゃないかと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それぞれ認識や立場の相違はあろうかと思います。しかし忘れてならないことは、すべて法律は憲法の基本的な方針をくずしちゃならないということ、基本的人権の侵害を不当にしてはならないということ。今日までの治安維持法において、あるいは治安警察法においても、当時の若槻内務大臣の提案説明を見ても、あるいは治安警察法の提案理由を見ても、いずれもあなたと同じことを言っている。そうしてこの内容は全く治安警察法の規制内容と同じなんです。認識をどうだ、こうだという問題じゃない。法の運営は厳密精細にやらなければならない。治安維持法も決して違法だとはあのときは言わなかった。治安警察法も、これは労働争議や小作争議を解放する法律で、明るい法律だと述べている。それであってもなおかつ思想弾圧、身体の拘束、無準の民衆があのためにどれだけ苦しめられたか。そういう内容を含んでおるから、私は暮夜ひそかに心配する。あなたは今ひやかし半分に言っている。屋外集会というのはそれじゃどういう規定なんです。あなたがそういうことを言うと、全部ここでもって私は問い詰めてゆきますよ、法律的に。そういう用意は持っているつもりです。あんたはそういう御用意はない、今までの答弁ではないんだ、非常に不謹慎ですよ。私は、議長の権限の抑制は、事前抑制にわたるべきものじゃない。東京地方裁判所の違憲判決の中には、非常にこの事前抑制の部面が掲げられているわけなんです。念のため読んでみると、「公共の福祉の点から、制限をうけるのはやむを得ない。」これは当然ですね、「しかしそれは必要最小限度で合理的明確な基準のもと——明確な基準のもと人的無差別の原則によることを要する。」人的無差別、ここが大事なわけです。「ところが都条例はこれを一般的に許可制で制限し、許容の基準も、公共の安寧という、伸縮性に富み、安易に解釈されるもので、具体性を欠き不明確である、このような規制は、一般的事前抑制で憲法違反といわざるを得ない。」、こういう判決なんです。つまり一般的事前抑制の傾向を持つおそれあるものに対しても要請権を行使し得るということになってくると、これは明らかに東京地裁の判決文の内容をさらに上塗りするものです。こういうような違憲的な権限をこの三十四国会で議長に与えるということは、私、同僚議員としてお互いにこういう問題は研究しなければならない問題だとして問題を私は提起しているわけなんです。ですから、謙虚に、提案者と立場が違うとか何とか、そんなおちゃらかしたようなことを言わないで、もっとやはり謙虚に私は御研究を願いたいと思うのですが、この事前抑制の範疇というものは、遺憾ながらこの第二条の中には明記されておらない。かくかくの場合にはこのおそれがあるとか、影響を与えるおそれ、審議を阻害するおそれじやなくて、影響を与えるおそれまでここに書いてある。事前抑制の最大の限界をここに示してある。これがそのまま合憲であり、全くこれは合法的なものであると言うに至っては、実に遺憾にたえない点であります。私はこのことについてはもはや提案者に答弁をわずらわす勇気を持たない。どうぞこれは問題点として指摘いたしますから、さらに担当委員会において十二分にこの点は御審議をわずらわしたい。  特に提案者に最後にお願いをしておきたいことは、本法がかりに百歩を譲って通ったとした場合に、このことは地方議会と民衆との間に治外法権を作るでありましょう。あるいはまた裁判所の秩序維持を、今盛んにその事例を宣伝している最中でありますから、おそらくそれらの問題に対する法的な根拠を与えていくでありましょう。本法案は、全国に及ぼす影響はきわめて大きい。全国各地に私は警察官と民衆との治外法権の区域を作るべきではないという見解に立つ。そうしてまた、立法府は地方行政機関に無制限な行政権を持つものではないし、与えるべきものではないという見解を持つのであります。以上の点については、とくと一つ、御同席の長谷川委員の方はまだ御壮年であられるわけですから、十分一つ御研究願って、私の今提起した問題等については正そうの御奮発をわずらわしたいと思います。長時間にわたりまして大へん失礼いたしました。

高橋進太郎自由民主党

○委員長(高橋進太郎君) 加瀬君。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 提案者の法律案の趣旨説明書は、将来裁判官等が法律適用の場合に重要な参考資料となるものでありますので伺いますが、提案者は先般お配りになりました趣旨説明につきまして、御訂正をなさる御意思がございますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 訂正する必要はなかろうと存じますが、しかし、もし訂正しなければならぬということがあったら、具体的にお示しを願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、法律案の文言を訂正されるお考えがありますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 本法律案につきましては、私の方からは進んでこれを訂正するような意思はございません。しかし、皆様方がどのように修正されましょうとも、あるいはどうなさいましょうとも、それはけっこうなことであると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは参議院の法制局長に伺いますが、法律用語上「と」という言葉と「や」という言葉は同一内容を指すものと認めてよろしいか。

斎藤朔郎警察庁長官

○法制局長(斎藤朔郎君) お答えいたします。「と」と「や」の両方の区別ということでございますが、「何々と何々」とございましたら、二つの要件が並存しておらなければならぬということは当然でございます。「や」と言いましたら、普通われわれの感じといたしましては、一方または他方という、両者のうちどちらか一方を選択していい、こういう意味になるのが普通だろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 重ねて法制局長に伺いますが、ただいま御訂正はないかという質問をいたしました提案者の提案説明の中には、「第二は、その区域」云々という次に、「国会議員の登院や、国会の審議権の公正な行使が阻害されるおそれ」とあって、国会議員の登院という一つの要件と、国会の審議権の公正な行使という要件が「や」で結ばれている。ところが法律案の第四条では、「国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使に」云々と、これは「と」で結ばれております。そういたしますと、国会議員の登院もしくは国会の審議権に対する阻害かいずれか一方があれば、議長要請の要件はそろったと、提案説明では解釈できる。しかしながら法律案の内容ではそのようには解釈できない。このように解釈してよろしいか。

斎藤朔郎警察庁長官

○法制局長(斎藤朔郎君) お答えいたします。この法律案の中にはただいま御指摘の第四条以外にも、第一条から「登院と国会の審議権」という言葉が出て参っておるわけでございますが、この法律案をわれわれ拝見いたしましたときに解釈いたしましたことは、登院とそれから国会の審議権の公正な行使、こういうものがワン・セットになっておるのだと、こういうように受け取っておりまして、また、その立法の趣旨も、われわれとしてそんたくいたしましたところでは、この法律が、国民の集会の自由とか表現の自由を最小限度規制するのだ、そういう前提で立ててあるということでございますから、登院または審議権ということにいたしますと、適用される幅はそれだけ広くなるわけでありますし、登院と国会の審議権を、これをワン・セットに結びまするならば、適用される場面はそれだけ狭くなるわけでありますから、私は立法の趣旨はさような趣旨でやっておられるのではないかと解釈いたしておりましたが、提案趣旨の御説明の中で「や」というのを使っておる、それは提案者の方がどういう意味でお使いになったかは、そちらの方から御説明を聞いていただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法制局長にもう一度伺います。提案説明の内容をどういう意味合いで言ったかということは提案者に当然伺うべきことでありますが、この「国会議員の登院や国会の審議権の公正な行使が阻害される」云々という提案説明の内容から見れば、これはただいま局長の説明の、法案の内容のワン・セットという解釈とは違ってくる、こう解釈するのが当然だと思いますが、それはいかがですか。

斎藤朔郎警察庁長官

○法制局長(斎藤朔郎君) 先ほど私が申し上げましたように、「と」と「や」の普通の解釈と申しますか、われわれの受ける感じといたしましては、「や」の方は一方または他方、「または」、「もしくは」というような感じを受けますから、文言自体としては御説のようにとらざるを得ないと思いますが、提案者の御真意がどこにあったかということは、またそちらの方に聞いていただきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法律専門家が見て、明らかに提案説明の内容と法律案の文言の内容が違っておる、こういうことになりますと、この提案説明をわれわれはこのまま受け取るわけにはいかなくなる。もう一回提案説明を出し直してきて、あらためて審議をしなければ困る。提案者はどうですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私の提案趣旨の説明でございまするから、これは法案の趣旨を説明すれば足りるのだと私は思うのです。要するに、私たちのなぜ提案するに至ったかというその気持と、また、その大体の内容というものをここで明らかにすればいいのでありまして、あなたの言われるほど、これは法律案と同じほど厳格な文言を用いなければならないものであるとは、私は別に考えておりませんが、この中にも言っておりますように、二、三「と」と「や」のところがあります。まず二ページにおきましても、「国会議員の登院と、国会の審議権を妨げないように」ということを申しております。それから、その次のページに参りまして、なるほど御指摘のように、「国会議員の登院や、国会の審議権の公正な行使」ということを申しております。これは、私が、まあ非常に強調するというか、その言葉をエンフアシスする意味において申したわけでありまして、しからば、厳格に「と」というのと「や」というのとどう違うかということになりますれば、今度の場合は、「と」というのは、何々と並びに、英語で言えばアンドという意味であって、何とかオア、もしくは、という意味ではない。従って今の参議院法制局長の御説明と私の見解は一致しておる。たまたまこの言葉の中に「や」というふうになっているだけでありまするが、その「や」と使った趣旨はこういう趣旨だというだけであります。これは法案の内容とは違うわけでございまするから、その辺の点は一つ御了承願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは、法律の提案者でありますならば、用語というものは相当厳格に吟味をしなければならない。衆議院の法制局なり内閣の法制局なりに十分伺いを立てて立案はされたと思うのです。「と」と「や」は同じだという、そういう認識に立って、「や」と書いたけれども「と」と読むんだと、そういう認識に立って法案の説明をされては、法案の審議はできませんよ。もっと一言一句というものを厳密に解釈するところに法律の法律たるゆえんがある。特に私がこの「や」を問題にするのは、この法律の内容の第一の問題はこれだ、第二の問題はこれだというふうに大きく分けておる、その第二の方に「国会議員の登院や、国会の審議権の」云々とある。まるきり違いますよ、これは法案の内容とは。こういう大きな誤りをなさっては困りますというのです。御訂正なさいますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) ただいま私が指摘をいたしましたように、私の提案趣旨の中におきましても、この「と」という場合と「や」という場合と二つあるわけなんであります。従って、これは演説の原稿でありまするから、かりにここへ「と」と書いておりましても、私が演説をするときには、「や」と間違ったり、あるいは読み違えたり、その勢いに応じて申し上げたりすることもあるわけであります。私は、従って、それほど、「と」という場合と「や」という場合があったからといってこの法案を全部やり直さなければならないというほどまでの御解釈を願わないようにお願いしたい。しからば、「や」というのは不適当だとおっしゃるならば、その通りであります。「と」という意味でありますから、ここで訂正をいたしておきます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 訂正をすればいいですけれども、これは演説をする原稿であるから、「と」が「や」でもいいというようなことでは、これからいろいろ御質問を申し上げていっても、わからなくなってくると、それは大体前のような意味だという、今まで繰り返されたような問答がありましてはいけませんので、私は念のためにこの問題を提起したわけなんです。  そこで、次の質問に移りますが、提案者は、高田委員からもいろいろ御指摘がありましたように、このような法案を立案するまでにはいろいろ万全の準備というものが当然必要だと思います。なぜなれば、これが憲法に抵触するおそれのある面も浮かんできますし、あるいは、基本的人権という面とも重なってきますし、あるいは、公安条例という条例に乗って法律が作られるわけでありますから、その手続上の問題もあろうかと思うのです。そこで、前の委員からも触れましたけれども、条例に乗せて法律を作るということは、こういう前例がおありですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) この案を起草するにあたりまして私たちといたしましても、法制当局にも意見を徴したわけでありまするが、条例を基礎としてこういう法律を作ったという前例はきわめて少ないやに承っております。しからば、それがゆえにこれが非常に違法ないし違法性に富んだものであるかどうかということにつきましても、法制当局の意向も徴したわけでありまするが、そのようなことはない、かようなことでありまするから、私たちは、条例とてもまたこれは一つの法の形態でありまするから、それを基礎にして作ったからといって、決してこれは違法なものではない、こういう見解を持っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 違法、合法の前に、立法形式なり、それぞれの法律を作成をする慣習というものがございます。こういうものを無視して、憲法違反でないから、法律形式的に違反でないからどの法律を作ってもいいということは、通常行なってはならないことだとわれわれは考えておる。そこで、違法ではないというけれども、地方自治法の第十四条をあなたはどう御解釈なさっておるか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 御趣旨はどういう趣旨か知りませんが、第十四条は、「法令に違反しない限りにおいて……条例を制定することができる。」という項目であると思いますが、もう少し具体的におっしゃっていただかないと……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 その十四条は、法律というものが前提になって上位に法律というものがあって、その下位に条例というものはでき上がるものだという原則を示しておる。それをどう御解釈なさっておるか。あなたは、下位の条例というものをもとにして上位の法律というものをお作りになったのだけれども、そういう御無理をなさるのは、この十四条の趣旨からいってどうか。しかも、この法律の作用として及ぼすものは警察業務です。地方団体の仕事です。そうなってくると、条例と法律というものはもう少しあなたの場合は検討されてしかるべきではないか、こういう意味です。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私たちは、すべての国会議員が法律の専門家であるわけでもないわけで、(「提案者だ」と呼ぶ者あり)私たちは提案者になりましたからには、提案者としてこれが法律に違反したり憲法に違反したり、あるいは国民の人権にも非常な影響を与えはせぬかという点もずいぶん憂えて、そういうことを研究をして、そうして最終的にはやはり法制当局の意向などを聞いてやるのが、従来の建前です。かりに立場を変えて言うならば、あなたが何らかの立法措置をするというときにおいても、おそらくそういう措置をとられると思うのであります。また、現に、同じ法律につきましても、早い話が、国会に条約の修正権ありやなしやという問題につきましても、学者の意見だって二つにも三つにも四つにも分かれておるわけです。従って、すべての国会議員というものがそれぞれの法律の専門家でないから、都条例の何条は何か知っているかとか、その条項のあれはどうかというような、そういう小じゅうといじめみたいなことをおっしゃっても困る。  そこで、あなたの御質問の法律と条例とどっちが上位かとおっしゃいますなれば、それはもとより法律であると思います。原則はもとよりそうであります。しかしながら、この立案をするにあたって、しからばこのことが違法であるかとか、非常な違法性に富んでおるかということを、それぞれ専門のところに聞きましたが、さようなことはないということでありまするから、この法律を提案いたしておるようなわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたの言い分はわかった。しかし、あなたのような立場で今まで立案をされて提案の御説明をなさった方は、寡聞にして私は知らない。少なくもわれわれはしろうとです。しろうとであればこそ、十二分に専門家に検討をしてもらって万遺漏なきを期さなければ、立法府の法の作成ということにおいては、はなはだ適正を欠くものだと言わざるを得ない。  そこで、参議院法制局長に聞きますが、条例に死命を制せられるような法律というものは現在存在しておりますか。

斎藤朔郎警察庁長官

○法制局長(斎藤朔郎君) 条例の上に法律を組み立ててあるような形の立法形式は、他に実例はないと私は思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 佐々木さんは、さっきから国会の権威というものをおっしゃっておりますが、あなたの言う国会の権威という立場から、国会があなたが提出したこの法律を決定したといたします。しかしながら、その法律の及ぶところの都議会なり都公安条例というようなもので、この法律の効力を否決される場合は、国会の権威はどうなりますか、この間の検討はなさったのですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私は、考えの相違でありまするが、あなたの御指摘になるような、たとえば東京都条例が無効になるというような場合において、本法案がかりに通過したとしても、影響を受けるのではないか。——なるほど影響は受けます。しかし、影響を受けたからといって、それによって国会の権威が失墜するとは私は考えません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたの御提案をなさったこの法案が可決されて法律となった場合、当然発効をいたしますね。しかし、都の公安条例なり都議会なりの条例に対する改変というものがあった場合は、この法律はどうなりますか。あるいはこの議長の要請権というものがそのまま動いたとしても、これは都の公安委員会なり都議会の意思の決定によりまして、要請権がゼロになることもあり得る。最高の権威とあなたがおっしゃる国会できめた法律が、地方の行政機構の右か左かによって半身不随になるというような、そういう前例のない立法のやり方をあえてして、一体、私がさっきから指摘するように、国会の権威というものは保たれますか、こういうことです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 公安条例に基づいて公安委員会の持っている権限を発動することによって国会周辺の秩序を保ってもらうわけでありまするから、そうなることを議長に要請する権限を与えたわけでございます。その東京都の条例がかりに違憲であるということになって法律の効果を失いまするならば、しかし、私はそういうことはなかろうとは考えておりまするが、かりに、仮定の問題として、都条例が法律的根拠を失った、無効となったという場合において、従って本法に影響を与えてくる。具体的に申しまするならば、本法の第四条の一項の点などにつきましては効力がなくなるというようなことになるかとも思いまするが、それが直ちに国権の最高機関としての権威を失墜するものであるとは私は考えておりません。あなたと私の考えの相違でありますから……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 いや、考えの違いではなくして、どちらの考え方の方が立案に際しての常識であるか、その点もお互いに話し合ってみたいと思うのです。あなたは、法律と条例というものを、法律が上位であって条例が下位であるということはお認めになりますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 原則的にはそういう点においては私も同感であります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうであるならば、この下位の条例にほとんどの作用の全部を委任したような法律を作ったとすれば、法律が変わって条例が変わるということが通常ありますが、法律が変わらないのに条例の変化によって法律の効果というものが上下することになります。こういうことは今までの法慣習の上ではなかったことなんです。あなたが初めてやったことなんです。初めて法慣習を無視するようなやり方をなさって、あなたはそれをどうお考えなさるかという点をさっきから私は聞いておる。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 先ほど申したように、原則論的には法律というものの方が上位に位しておるということは考えます。しかし、それでは今度のような立法をすることが非常にいけないことであろうか、また、そうすることが非常に前例が少ないから、もう根本的にこういう法律を作ることができないじゃないかというような点につきましては、私たちもその点については法制当局等とも相談をして、いや、これでりっぱにやれまするからけっこうでございます、こういうふうな話でありまするし、各人が別に法律の専門家であるわけではございませんから、そういう意向を徴してやる。そうしてこの場において皆様方からいろいろ御検討願えばけっこうでありまするが、なお私の答弁で足らないところは、私がいろいろこの法案を作るにあたって相談をいたしました衆議院の法制局次長もおりまするから、その意見を一つ御聴取になることも必要であるかと考えるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 法制局の次長がいらっしゃるそうでありますから……。このような下位のものに上位のものが左右されるような立法というものは今までに例がない。そこで非常に妥当を欠く。法原則の破壊であると私は認定しておる。あなたは専門家の立場で衆議院にこういう立法をさせたわけでありますが、そうでないという理由を十二分に御説明をいただきたい。

三浦義男法制次長

○衆議院法制局参事(三浦義男君) お答えいたします。  先だってもその点に関しましては、この連合審査会に出て申し上げたつもりでございますが、今お尋ねの点につきまして、その点についてお答えする前に一つ考えておかなければならぬ点があると思っております。と申しますのは、今おっしゃいました質問の中には、前提におきまして、下位の条例がだめになった場合においてという仮定がございます。なおまた、この問題につきまして考えます場合におきまして、国内全般に関する法律と、それから条例と、こういうような関係において把握する場合と、東京都という特殊の一地域の中の国会周辺の道路という限られた場面において国会の審議権を確保する場合において、いかにその関連を持つかという点において、それをどう規制するかというような点を頭に置いて考えませんと、一般的に法律と条例ということで、条例が下位であるから、それが違憲になった場合においては、上の法律はある程度において変更されることになって適当ではないのではないかというようにすぐに結論づけることはどうかと私は考えております。  しかしながら、この具体的問題についてお答え申し上げますならば、この立法の方法としては二つの点が考えられると思います。まず第一は、東京都公安条例というものを特にこの法案は書いてはおりませんで、ただ権限として公安委員会の許可とか取り消しということを取り入れたにすぎませんが、それはまあ別問題といたしまして、とにかくそういう公安条例とかかわりなく、国会周辺の道路における集団示威運動等に関する規制を、公安条例に書いてあるような事項をあげまして規制する法律形式ということは考えられると思います。それからもう一つは、そういう新しい立法措置をやらないで、現在あるところの条例で規定してあるところの公安委員会の権限というものを前提といたしまして法律を考える、こういうような立法形式も考えられることでありまして、そのどちらがいいとか悪いとかいう問題は、そのおのおの見られるところによって違うと思いまするが、少なくともいずれの形式をとるにしましても、それが違法でない限りにおいては、適当な、適法な立法であるわけでありまするから、その意味において、私は本案に関しましては少しも御心配の点はないと思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたは専門家でありますから、もう少し法慣習の尊重というものを専門家の間では当然の義務として感じていただかなければならない。今まで前例のないようなやり方をして違法でないからこれは当然存在の価値がある、こういう理屈は、少なくも私は法原則の破壊というものに目をおおうている議論だとしか考えられない。独自で、いわゆる国会周辺の静穏の保持のための規制をするというなら、それはそれでわかる。ところが別の方式がもう一つある、それは東京都の公安条例に乗っければいいんだというやり方が一つの法形式としてここで生まれてくれば、国会で審議すれば非常に問題があるけれども、どこかで、地域で条例を作って、条例の上に法律を乗っけるということになったら、一体、いろいろ前の方々が心配されている憲法のあらゆる権利の保障というのはどうなりますか。もっとわれわれは、立案をするならば、この内容がいい悪いの問題じゃなく、正しい形式と正しい法理論というものをふんまえた立法というものを私はすべきだと思う。あなた、この点についてどう考えておりますか。

三浦義男法制次長

○衆議院法制局参事(三浦義男君) おっしゃっていることはよくわかりまするが、この法案自体が特殊の立法でございまして、あなたが御指摘になるように、全体の、国内全般にわたる事項をどうという事柄でございませんで、先ほどから申し上げておりますように、東京都内の一地域に限られた国会周辺の規制でございまするので、その場合におきまして、いろいろ立案をいたします場合におきましては、先ほど申し上げましたような二つの方法が考えられるが、現在その条例として存在しておるものを、特殊の限られた地域において、それを前提として考えるということもさしつかえないのじゃないかと、こう申し上げておるわけでありまして、法律的にこれは特殊の例とおっしゃれば、まさに特殊の例かもしれません。と申しまするのは、事柄自体が国会の審議権の確保のための秩序保持に関する法律という、国会周辺の特殊事態について規制したものでありまするから、それはある程度やむを得ないと、こう考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察庁長官に伺いますが、現在の諸法規あるいは東京都公安条例によっては、国会周辺の静穏を期することは不可能か。こういう法律を新しくつけ加えなければ公安条例は十二分に発効しないか。これは警視総監に伺うべきことかもしれませんけれども、あなたは監督の長官として、この公安条例というものはそんなお粗末なものかどうか、客観的に見てお答えいただきたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) この法律がなければ都の公安条例というものは十分に活用できないものかという御質問と承ったのでありますが、この法律ができなくても、公安条例は独自に十分に活用をさるべきものである、また、現に警視庁において活用されていると私は理解いたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 質問を先に進めますが、提案者は、この立法が発効すれば、当然国民にいろいろの諸影響というものがある、特に高田委員の指摘したように、人権侵害の問題、あるいは警察官の過剰行為の問題等が出てくる心配があるわけであります。しかし、ただいままでの御説明を承っておりますると、そういう個人法益よりは公共法益の方が優先するのだという考え方が、あなたの御説明の中にはあるように聞きとれるのでありますが、そのように解釈してよろしゅうございますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 本法が成立いたしますならば、何人も本法を守らなければならぬことは当然のことでございます。しかしながら、私は、先刻の高田委員の御質問にもお答えいたしましたように、本法が不当に国民の基本的権利を侵害するというような建前のものではないと考えておりまするから、今御指摘のような心配はないと私は考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警職法違反によります警察官の人権侵害の事実を知っているかどうかという高田委員の御質問がありました。あなたはこの質問に対して明確な御答弁をなさっておりませんでしたが、警職法違反による警察官の人権侵害の事実というものを、あなたはどの程度御研究、御調査なさいましたか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) それは警職法自体の問題でありまして本法は何も警職法のことだけを規定したものじゃございません。むしろそういうことは警視庁なり、あるいはまた法務当局の方から詳しく正しく御理解を願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 あなたのような立案の根拠にお立ちになりますと、公共法益というものが個人法益より優先するような建前をとっているわけでありますから、そうすると、どうしても人権侵害のワクというものが拡大せざるを得ない。そこで、人権侵害が拡大するような作用をこの法律によって及ぼしてはならないという配慮が当然、御立案の際あったと思う。そこで、一体、警職法違反による人権侵害がどのくらいあるか、また今度の法律を作ってその影響が現われないか、どうして防ぐかという配慮は当然のことでありますから、伺っているわけであります。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) そういう具体的なことは一つ専門に扱っている関係の当局からお聞き願いたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 立案をなさったのはあなたで、関係の官庁で立案したのじゃない。立案者は、やはり基本的人権の尊重という立場から、人権の侵害されない措置というのは十分配慮しなければならないはずである。そこで警職法の発動による人権侵害がどのくらいあるかということを十分御調査なさって、その上で、今度の法律はそういう心配はないのだということをここでお話をいただかなければ、われわれとしては納得できない。なぜならば、これは、はなはだしく基本的人権を侵害する法律であるということが明白であるからであります。もう一度……。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私は警察庁の役人でもなく、またそんなことを毎日調査しているわけじゃございません。しかも本法は、そういう警職法だけの問題について規定したわけのものではございません。また私のようなしろうと、しかも門外漢に、そういうことについて何件ありましたか、どういう事件がございましたかということを私にお聞きになりますよりも、関係の専門家に——それを担当している部門があるわけでありますから、そこにお聞きになる方があなたに対する正しい回答をいただけると思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そういうずさんな準備で立案をされると、これは非常に困るのです。私はあなたをいじめるためじゃない、あなたは先ほど小じゅうと根性と言われましたが、そうじゃない。国民に影響するところが大であるから、立案者は国民に対してどういう配慮をされているかということを聞いている、それがわからなかったから……。そういうことは必要であると考えるか、そういうことは必要でないと考えるか。この法律が発効をいたしまして、国民の基本的人権を侵害するような作用を及ぼすおそれがあるとすれば、どうしてそれを防がなければならないか、あるいはそういう作用を及ぼさないようにするにはどうしたらよいかと、こういう配慮は必要とはお感じになりませんか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 国民の基本的人権を侵すようなことがあるとは私は考えませんが、もし本法律についてそういうことがあるとお考え下さいますれば、そういうことのないように心がけなければなりませんから、どうか御指摘を願ったり、あるいは皆さんが一緒に御検討の上、いかように御修正なさいましょうとも、それは御自由でございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 すいぶん乱暴な御立案をなさっておるようでありますから、売り言葉に買い言葉ではございませんが、あなたは憲法第九十七条をどうお読みとりになっておるか、あらためて伺います。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 九十七条とおっしゃいまするが、これは基本的人権を何人も守らなきゃならないということでございましょう。それはその通りでございます。私たちは基本的人権を侵害しようなどとは毛頭考えておりませんし、これくらいの常識は私たちも持っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、提案者は国民の自由の原則を国会が守らなければならないということは十分おわかりという御答弁でございますから、それならば、一体、議会の最高権威の性格というものを先ほどからお述べになっておりますが、議会が国民を代表するからといって、多数でどういうことをきめてもいいという原則は、日本の憲法のどこにもない。われわれがきめなければならないのは、国民の自由の原則を最高として、この自由の原則を伸ばす方向に法律を作っていかなければならないという原則があるのです。当然これは憲法の底流としてあるわけです。あなたは、基本的人権が侵害されようが、そういう事実があろうがなかろうが、そういうことは専門家にまかせたということでは、一体、国民自身が国民の自由の原則を守らなければならないという国会議員の義務をお感じになっておるのかどうか、質問せざるを得ない。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 国民の自由な権利を束縛したり、これに圧迫を加えるような考え方は、われわれは毛頭持っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 具体的に伺いますが、国会議事堂周辺の静穏保持というのは、警察法に言うところの公共の安全と秩序の維持、こういう内容に含まれるものと解釈してよろしいか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 広い意味においては、私はその中に当然含まれたものであると、こう思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 狭い意味ということになりますと、どういう違いが生じますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 広い意味においてはそうでありまするがこれは国会の周辺という地域だけでございまして、一般的な公共の秩序とか安全ということではなくして、国会周辺というきわめて限られた地域だけについてのことでございまするから、まあ国会周辺という小さな区域であっても、それが公共の安全とか公の秩序ということには含まれるでありましょうけれども、そういう意味におきましては、もっと限られたものであると、こういう意味であります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 限られたものだという御説明をそのままに受け取りまして、国会の周辺というものは、その警察権は全部議長にありと御認定ですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) ちょっと御質問の要旨をのみ込むことができなかったのでありまするが、国会周辺に議長の警察権は及びません。申し上げるまでもないことでありまするが、議長の警察権は院内に限っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それならば、それは広かろうが、狭かろうが、公共の安全と秩序の維持という警察法の内容に、警察行政の内容に当然含まれるものと、これは解釈しなければならないのじゃありませんか。  そこで、事務総長がさっきからお待ちでありますから伺います。議長の警察権の問題が先ほども論議されたわけでございますが、参議院では、議長の警察権の範囲というものがどう確認をされておりますか。  それから議員会館は、この案によりますると、これは議院内とは認めておりませんが、議員会館は議院内ではないという確認が参議院においては行なわれたことがございますか。

河野義克事務総長

○事務総長(河野義克君) 参議院の場合におきまして、議長警察権の及ぶ範囲は、内部、いわゆる院内に限られると考えております。具体的に申しますれば、大体構内といっておる範囲で衆議院の議長警察権の及ぶ範囲を除いたものでございます。なお、衆議院と参議院の議長警察権がどういう区分けになっておるかということが必要でありますれば、さらに申し上げます。それから議員会館につきましてどう確認しておるかという問題でありますが、まあ確認という言葉に当たるかどうかわかりませんが、議長としては議長警察権の及ぶ範囲として議員会館を考えておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 議員会館は議長警察権の範囲外だという御確認は、正規の機関でなされておりますか。

河野義克事務総長

○事務総長(河野義克君) 確認云々ということでさっきお断わりを申し上げましたが、実は初期の国会におきまして、議長警察権は議員会館に及ぶやいなやということが議院運営委員会で論議されたことがございます。けれども、結論を得ませんでした。しかし、議長警察権の執行の責任者である議長としては、その範囲を確定しないでいいというわけには参りませんので、議長として種々考究をいたしまして、議員会館は議長警察権の及ぶ範囲外であると定めております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 もう一つ事務総長に伺いますが、そうすると、この法案によりまする議長警察権と、議長警察権の範囲内というものをみますと、議長警察権の範囲内より一般警察権の範囲に属する地域の方がはるかに広いと御確認なさいますか。

河野義克事務総長

○事務総長(河野義克君) あるいは御質問の趣旨を把握しかねているかもしれませんが、この法案の言っておるところは、ことごとく議長警察権の及ばない範囲であると存じております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、議長警察権の及ばない範囲が多いということになりますし、さらに今の事務総長の御説明によれば、この法案の意図するところは、議長警察権の範囲外ということになりますと、当然これは都道府県にまかせられておる警察行政の範囲のことでございますから、この法案立案については、警察法というものが当然根拠法として十二分に研究されたと思いますが、どういう点を特に御留意なさいましたか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 申すまでもなく、地方自治法の建前から、地方自治に干渉しない、あるいは、従って公安委員会や警視総監の持っている独自の権限を侵すことのないように、その点は十分注意をいたしました。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察法の第二条と三十六条をどのように御解釈なさいましたか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 第二条は、公共の安全と秩序の維持に当たるということと、それから個人の生命、身体及び財産の保護に任ずる、犯罪の予防ということだと思います。それから第三十六条ですか、三十六条のどこを……、ずいぶんだくさん内容はあるのですが、その全部を読めとおっしゃるのですか、どういうことか知りませ

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 二項。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 第三十六条の二項ですか。「都道府県警察は、当該都道府県の区域につき、第二条の責務に任ずる。」いわゆる都道府県の警察があるということなんでございましょう、別にそう大した問題じゃないと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 私がその点を指摘した理由は、今あなたが御提案の中で、御提案の御説明としてお述べになったことは、警察法の第二条の問題であるし、これは当然三十六条によって都道府県警察の、言葉を強めて言うならば、固有の事務なのです。それをことさらに議長の要請という条件をつけて都道府県警察の行政に一つの干渉をするような内容を生み出すということは、この三十六条あるいは二条等の警察法の精神からいって、先ほども出ましたけれども、非常にこれは行政の混淆を来たすものじゃないか、こういうことを言っているのです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私は、行政の混淆を来たすものでもなく、また、そういう地方自治に口ばしを入れる、干渉するという性質のものではないと思います。単なるこれは要請権でありますから……。元来言うならば、何人も要請することができるのです。特に国会周辺の秩序保持という立場から、議長がこの審議権の確保のための要請をするというだけのことでございまするから……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは先ほど何度も繰り返しがありましたことをまた蒸し返すようになりますが、あなたの御提案になったような通りの法律が発効するならば、これは東京都の関係者あるいは警察庁長官が何回もお述べになっておるように、公安条例の発効の一つの要件が生まれたと、こう認めておる。公安条例の発効なり警察力の発動なりというのは、これは明らかに警察業務の範囲内です。地方固有の事務だ。それに、こういう行動をプラスしなければならないという要件を与えることは、明らかにこれは警察業務に対する介入、あるいは警察業務に対する混淆ということになるんじゃないですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) この第五条の二項のことかと考えまするが、この点につきましては、私、あなたとはだいぶその見解を異にしております。その理由につきましては、もう何回となく御答弁いたした通りでありますから、御了承願います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 その御答弁が法律的な御答弁に少しもなっておらないので、くどく聞くのですよ。それじゃ、あらためて伺いますが、あなたの言う集団示威運動とは一体何か、この法案の中に集団示威運動というのがはっきりと定義されておりますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 本法に言う集団示威運動等ということでございまするならば、第四条に規定をいたしておりまするように、屋外集会と集団行進と集団示威運動、三つを含めて集団示威運動等と呼んでいるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 しかしながら、この法の発効の対象になる集団示威運動というものの定義はどこにもないでしょう。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) これもよく今の御趣旨がわからないのでありますが、この集団示威運動等と本法で呼んでおりまするところの内容を申し上げますならば、先ほど申したように、屋外集会と集団行進と、または集団示威運動でございまするから、しからば、屋外集会とはどういうことであるか、集団行進とはどういうことであるか、集団示威運動とはどういうことであるかという御質問であったならば、また、それに対してお答えをいたしますが、(「それを聞いておる」と呼ぶ者あり)そうでありまするならば、屋外集会というものは、これは申すまでもなく、特定の目的をもって多人数の人が一定の場所に会同をすることだと思います。集団行進とは、車馬や、あるいは人間が、同じような目的のために移動をすることであると思います。また、集団示威運動は、今言ったような同じような条件のもとに、それが公衆に対して気勢を示す行為のことをさしたものでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 普通の法律の形式は、集団示威運動というならば、集団示威運動というのはかくかくかくのごときものであるというように、はっきりと例示されておらなければ、非常に運用の上で混淆を来たすわけであります。それを公安条例に全部譲ってあるのか、それとも、公安条例以外の意味をもいろいろ含めて、適時解釈するという立場をおとりになったのか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) これは、一般的常識によって御判断願う以外にないと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは常識ではなかなか解釈できませんので、それで、あなたの常識は違う、こうおつしゃられても困りますので、昭和二十九年の十一月二十四日、新潟県の公安条例に対する最高裁の判決が出ております。これについてお伺いしたいと思いますが、これはお読みになっていらっしゃいますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 大体のアウトラインだけは承知いたしております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それならば、話をするのに非常に都合がよろしゅうございます。この内容をどのようにお読み取りになりましたか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) どうも子供の入学試験のテストみたいで、私は元来、審議の形式としては、もう少し親切に、この点はどうかということを例示していただいて、それに対してお答えする方が、時間を空費することなく過ぎるのじゃないかと思います。ややもすると、そういうような、与野党ともそういう傾向があったことは、むしろ遺憾に思っておるのでありますが、しかし、この新潟県の場合の条例について合憲判決が出たのはどういうことかというお話でありまするが、今日、違憲判決が出ておるのを見ましても、一般的な規制措置を設けて、許可するとか不許可にするとか、そういうことは、これは憲法違反の疑いがある。しかし、新潟の条例の場合におきましては、たとえば二十四時間以内に不許可なら不許可という返事が来ないときには、許可をしたものと考えてけっこうである、こういうふうな規定などを設けておって、そうして非常に明確に具体的な基準を定めて許可制をしくということは、決してこれは憲法違反ではない。しかし、一般的に、頭から規制措置を設けるというようなことは、これは違憲の疑いがある。大体そういう趣旨だと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 提案者もお疲れでしょうから、一つ提案者の御趣旨に沿って具体的に申し上げます。今あなたのおっしゃったのは、最高裁の新潟県条例に対する判決は、事前に一般的に抑制することは、これは憲法違反の疑いが十分だ、しかしながら、公安条例というのを作ってならないということじゃなく、このような公安条例を作る場合には、合理的かつ明確な基準というものがなければならない、それから、公共の安全に対し明らかに差し迫った危険というものがあれば、禁止条件としてこれを認めていい、こういう内容だと解釈してよろしゅうございますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私もそのように存じております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは伺いますが、「国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使に著しく影響を与えるおそれ」ということも、はなはだしく客観的明確性を持った禁止条項に当たるとお考えになりますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私は、これにはかなりその具体的な基準がつけられたものと思います。第一、これはまず国会周辺の道路でなければならぬこと、それから、それが集団示威運動等が行なわれておるということ、しかもそれによって著しく国会の審議権が阻害される、または審議が阻害されようという直前の事態であるということ。こういうときにおいて両院の議長が相談をし合って、そうして要請するわけでありまするから、かなりこれは具体的に合理的な基準がここで設けられたものと解釈をすべきじゃないかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 道路や何かを抑えておれば、それが一つの明確な基準と言い得るかもしれない。それは認めましょう、一歩譲って。ただし、新潟条例の判決は、「公共の安全に対し明らかな差迫った危険」というものがなければ禁止条件は認められないと、こう判決文は説明をしておる。法案の四条や五条の内容というもので、「公共の安全に対し明らかに差迫った危険」があると判定できますか。「おそれ」ということだけで、こういう明らかな判決が下せますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) これはまあ要請ということと、直接の権利義務ということは、おのずから別のことでありますが、先刻も申しましたように、これはまず「国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使」ということが一つの安全弁になっておるわけです。三つには、その程度の非常に著しいということがございます。しかもその認定をする主体が、衆参両院議長の一致の要請でなければならぬ、こういうことでありまするから、かなりこれは具体的にしぼられておると、こう考えるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 しぼられておらないじゃありませんか。「阻害されるおそれがある」と認定をなさる者は両院の議長でしょう、そうですね。事件が明らかにそこに発生したならば、これは直ちにわかる。しかし、発生もしないときから、明らかにこれは「国会議員の登院と国会の審議権の公正な行使」が阻害されるという認定が、両院の議長がいかに全知全能であろうとも、そうやすやすと認定ができる問題じゃないと思う。逆を言うならば、この認定にはどうしても議長の主観というものが入って来ざるを得ない。これをどうして防げますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 第四条を読んでいただきますると、第一項は、「公安委員会に対して……許可の取消又は条件の変更を要請」するわけでございます。これは、許可したことを取り消したり条件の変更を求めるわけでありまするから、まあかなりこれは事前と申しても相当前の時限に属することであります。第一項の方は、これはもう、すでにまさにその行動が始まろうという直前の事態においてなされることであります。「おそれ」があるからというて、一週間も二週間も前からこのことを要請するわけじゃありません。そういうもし時間の余裕があるなれば、これは公安委員会が許可の取り消しをすればいいことなんであります。従って、第二項の場合には、非常に差し迫った事態である、つまり事件の発生の直前であるというモメントではなかろうかと私は考えます。従ってそういうときにおきまして、今申しまするように、二重にも三重にもしぼった基準を設けて要請するということは差しつかえないことでなかろうかと考えるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは先般の警職法の改正のときにも、その内容で非常に問題になったところであります。現行法は、犯罪がまさに行なわれようとする状態にあること、もしその行為により人の生命、財産等に危険、損害を受けるおそれがあってしかも急を要する場合は、制止といったような方法がとられる、警職法はこういう建前をとっている。今度は、現実に危険が起こつておらない場合でも、この「おそれ」があるかもしれないけれども、その「おそれ」の結果は、全然「おそれ」がない結果にもなり得る場合がある。そうなってくると、その事実というものに対しては、明らかにこれは自由の侵害ということにもなりかねない。そこで、今までは、警察諸法規では、現実にそういうことの起こるか起こらないか、起こったものに対する問題というものを非常に重視をいたしまして、「おそれ」という仮定のもとに警察権の発動をするということに対して非常にブレーキをかけておった。今度は、両院の議長といっても、議長だけの個人的な判断で、今まで警察諸法規においても個人的人権を守るということからとめておったそのブレーキを一ぺんにはずしてしまう、こういうやり方が私にはのみ込めないのであります。この点を説明して下さい。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 先ほど私が答えたことを繰り返す以外はないわけでありますが、さらに三浦次長から補足して御説明を申し上げたいということですから、御了承願います。

三浦義男法制次長

○衆議院法制局参事(三浦義男君) 御質問の点につきましては、私こういうふうに考えております。まず第一に、先ほど御指摘になりました新潟県の公安条例、あるいはそれに関連いたしまして、そういう条例に基づきまして警察作用なり警察措置を行ないます問題と、議長がこの法案によって要請いたします問題とは、二つは明らかに異なっている問題であるということを、御承知のこととは思いますが、前提に御了解になっていただきたいと思っております。従いまして今御指摘になっております点は、もっぱら条例等に基づきまするところの警察作用の問題でございますので、それをもちまして直ちに議長の要請段階における問題に発展いたしまして、それ自体がどうということを論ずるには、多少そこに考えを変えなければいけない問題があると、かように考えております。従いまして、すぐに要請の場合に同じ基準が要求されなければならないとは、私ども必ずしも考えておりません。しかしながら、要請がございますれば、それに応じまして、ある場合におきましては警察作用が発動するという意味におきまして、あまりそこにかけ離れたことがあってはいけない、こういうことは当然であろうと思います。それからなお一つ私、つけ加えて申し上げておきますが、新潟県の公安条例の判決をよく読んでいただきますと、二点ございまして、今御指摘の方は、明らかに差し迫った危険が起こって、それが「予見されるとき」と書いてございます。「予見されるとき」ということは、それは先ほど申しておられますいわゆるその事態が起こったときだけでなくして、範囲はもう少し広く、「おそれ」がある、こういうことを意味しているわけでございますから、その点、あらかじめ御了承願っておきたいと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、今の法制局の御答弁の基礎をなすのは、ホームズ判決の原則というものは全然認めない、こういう立場をとっていらっしゃるのですか。

三浦義男法制次長

○衆議院法制局参事(三浦義男君) 私の言葉が悪かったかどうか存じませんが、認めないとはちっとも申し上げませんで、要するに、公安条例に基づきます警察作用の場合の抑制措置と、議長がこの法案に基づきまして要請する場合における要請段階の条件が異なると、こういうことの問題であります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それは違いますけれどもね。要請段階を経て要請された公安条例の発動というものは、今までの公安条例の発動にプラスするものがあるということは、午前中からの質疑で明らかにされた。それがしかも、今までの公安条例ならば、明らかにそういう差し迫った状態というものがなければ、これは公安条例の発動をすることができなかった。しかしながら今度は、おそれがあるということだけで、議長の要請があれば公安条例は発動せざるを得なくなる、当然……。そうなってくると、解釈が拡大されておるのじゃないか。今までの日本における刑法なりその他の法律における大原則というものはくつがえされておる。こういうことに解釈をせざるを得ないじゃないか。

三浦義男法制次長

○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点、私ちょっと理解が悪いのかも存じませんけれども、問題が少し違っておるように思います。と申しますのは、今御指摘になりましたいわゆる四条二項の要請に基づきまして、五条二項の警察作用、あるいは警察措置を働かせる場合におきまして、五条二項に書いてあるところの「警告」、「制止」の権限がどうであるかという問題でございまして、今、私が御質問に応じてお答え申し上げておりまするのは、そういうことでなくして、要するに、要請段階において、いわゆる国会議員の登院と国会の審議権の公正が著しく阻害され、または阻害されるおそれがあると、こういう問題に関連いたしましてそれがいわゆる公安条例あるいは警察一般原則に基づくところの抑制措置から離れているのじゃないか、こういうようなことでありまするから、私が先ほど、そういうことではない、事柄、問題は二つとも違っておる、こういうことを申し上げたわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは先に、あなたが私の質問に対してその点はお答えにならなくて、別の問題をお答えになったので、私の最初の質問に対して答えて下さい。

三浦義男法制次長

○衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は、私たびたび申し上げましたように、要請いたします場合におきましては、この要請と、それからそれに基づきまして公安委員会なりあるいは警察官がとります処置との間には、午前中からのいろいろ御討議がございましたように、義務的な関連はない。従いまして、要請は単なる要請段階にすぎない、それに応じて警察なり公安委員会なりがいかなる措置をとるかは、別個の問題である、こういう原則を一つ御確認になっておいていただきたいと思います。ただ、議長の要請をいたします場合におきましてその要請が、一般警察作用を行ないます場合における作用に直接働き得るような段階において要請がなされることが望ましいであろうと、こう申し上げております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 高田委員の質問に対して、警察庁長官は、両院議長の要請は相当の重大な事実があると予想されるので云々というお答えがあった。そうすると、今までは、公安委員会が独自で、あるいは警視総監独自で、公安条例違反かどうかというものを判定して公安条例の作用を発動することができた。ところが今度は、両院議長の要請は相当重大な事実があると認めて判断をするのでありますから、この要請というものは、これは相当の重要さをもって判断の一つの基礎にせざるを得ない、両院議長の要請でありますから。しかしその両院議長の要請というものは、何ら法律的の判断の基準がない。両院議長がおそれがありと主観的に認定すれば、要請はいつでもできる。そうなってくると、公安条例のワクをはみ出す警察職権の発動というものを、議長の要請は要請する形になるんじゃないか。そうであるとすると、これは今までの、東京都の公安条例で押えてみても、その公安条例からはるかにはみ出す自由の侵害、基本的人権の侵犯というおそれを生じてくる。そのもとが議長の要請ということになる危険はないか、こう聞いておる。提案者に。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 私はその危険はないと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうすると、佐々木さんは、先ほどはこうお答えになった。制止等の発動要件はやや変わってきた、議長の要請によって。それから今申し上げました通り、警察庁長官は、やはり両院議長の要請というものは重く見なければならないということになってきた。そうすると、公安条例は、今まで発動をしていた以外に、ある要件というものによって発動をしなければならない新しい分野というものが生じてくるんじゃないか。それが、事実そこに犯罪もなければ何にもない、「おそれ」という判定のもとに行なわれることは、私は危険だと思うのです。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) もう何回も申しましたように、第五条の第二項において警告、制止を発する要件というものが、公安条例や警職法の場合よりは少し変わってきた。従って、議事長の要請を受けて国会の審議権が阻害されるおそれがあるというときに、この第五条第二項に基づいて警告、制止を行なうことができるようになった、その点に関しまする限りは今御指摘の通りでありまするが、しからば、その警告、制止の権限を発動するにあたって、むやみやたらに警察官がこれを発動するわけでもなく、それは「必要な限度において」ということもあります。また、議長の要請につきましては、先刻来しばしば申しますように、単にいいかげんなことを議長が要請をするというようなことではなくて、それには、国会の審議権の公正な行使ができないという事態、それから両院議長の見解が一致しなければならぬというような、そういった二、三の安全弁というものが設けられておるわけでありますから、従って、今御指摘のような心配の点はなかろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 国会議員の登院や国会の審議権の公正な行使が著しく阻害されておるという事実があって、これが出動を要請するなり、この静穏への復活活動というものを警察に要請するということは、はっきりしておる。そうではなくて、阻害されるおそれということでありますから、その「おそれ」ということは、少なくも、どうしたって両院議長の主観的な判断にこれは待たざるを得ない。事実行為として「おそれ」があると思ってそれぞれの措置がとられたところが、「おそれ」の事実は行なわれなかったという具体的な問題も起こってくる。こういう場合がおそれがありと判定する一つの基準があるならまだしも、何にもない。これはどうしても政治的に利用されがちになる。あるいはそれが拡大解釈されて、事前に合法的な行動が不許可になるというおそれが出てくる。そういう心配は考えられないですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) この法律の趣旨というものは、現に起こった行為を犯罪捜査をしてどうこう考えるものではないのでありまして、国会の周辺の秩序を保つということが主たるわれわれのねらいなんであります。従って、もう阻害されてしまってから、その阻害されておる事態を排除するということも、もとよりこれはやらねばならぬことでありますが、まさに阻害されようという危機一髪のときに議長から要請をするということ、ここがあるということが、むしろわれわれの立場から言うならば、ぜひともこの項目こそはなければならぬ。もうここで大へんな不祥事態が起こってしまってからどうこうというのでなくして、起ころうという寸前において、できますならばその事態を制止し警告をし、そういう不幸な事態を回避するように努めなければならない。さような考え方でありまするから、ぜひともこういうおそれのあるときに本法を発動するということが必要であると考えます。しからば乱用されないかというお話でありまするなれば、乱用されないかくかくの安全弁がついておるということは、先刻来申した通りであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 安全弁は何もついていませんよ。あなたは両院議長が相談するという以外に何も安全弁の話をされません。参議院の法制局長に伺いますが、東京都の公安条例と、今、佐々木さんらによって提案されておりまするこの通称デモ規制法、この法案では、東京都の公安条例がさらにこれによってしぼられたと、こういう見方が成り立つと思いますがいかがですか。しぼりが強くなった。この法案の方がしぼりが強い、公安条例よりも。

斎藤朔郎警察庁長官

○法制局長(斎藤朔郎君) ちょっと御質問の趣旨をはっきり了解いたしておりませんかもしれませんけれども、一応はそういう感じはしておりますが、もう少し具体的な何か御質問を受けましたら……。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察庁長官は今の問題をどうお考えになりますか。先ほどの御説明から大体了解はできるわけでございますが、あらためて伺います。この法案が発効いたしますと、さらに公安条例の適用がきびしくなってくるんじゃないか、条件が激しくなってくるんじゃないか、こういう意味です。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) あるいは御趣旨を取り違えているかもしれませんが、都の公安条例自体、先ほども申しましたように、この法案のあるなしにかかわらず、慎重にかつ十分に活用されるべきものであり、先刻来そうなっておるというふうに申し上げたのでありますが、この法律ができることによって、公安条例の適用が現在よりもきびしくならなければならないというふうには、私は受け取っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 この前の合同審査のときに公安委員長は、この法律ができれば公安委員会の判断の重要な要素が得られる、こうお答えになっている。    〔委員長退席、議院運営委員会理事田中茂穂君着席〕  総監は、公安条例による措置がこの法律によって一そう効果的となると、こうお答えになっている。こうなってくると、しぼりがきいた、こういう判定を下さざるを得ないのじゃないか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 先般警視総監がお答えいたしました趣旨は、第一条に目的が掲げられ、第二条で周辺の静穏が保持されなければならない。これは何も罰則を伴わない規定ではございますけれども、法案としてこれが成立すれば非常に制限的な意味がある、いわゆる国民として、そういうふうな心理的な影響と申しますか、道義的にそうしなければならないということがはっきりする、そういうことで、今まで、とかく論議して、いや、これは違法である、これは合法であるというように言っておったのが、少なくとも静穏を害するような行為はすべきでないのじゃないかというような話し合いができるという趣旨において、第二条というのは非常に効果的であるということと、それから要請というものは、先ほど私が申し上げましたように、相当重要な事態に対して要請がなされるであろうし、また、両院議長からの要請があれば、それを尊重して重要な参考にすべきものであるという趣旨において、適用を公安条例だけでも十分慎重にすべきであるけれども、さらに心理的に慎重の度を増すであろう、そういう意味において適正な運用が期待されるということを警視総監が申し述べたと、私は記憶いたしておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 長官もさきにお述べになりましたように、両院議長の要請は相当重大事実として見なければならないということなんです。仮想を立てては申しわけないですけれども、かりに両院議長が要請をいたしましたものを公安委員会なり警視総監がけって、そのときの判断としては、公安条例の中から当然これは要請をけるべきだという結論に達して、けって、何か問題が起こり得る場合もある。そういうときには、これは政治的圧力あるいはその判断に対する政治的責任が当然この法律からかぶってくることも予想される。そうなって参りますると、これは警視総監そのものの判断としては、公安委員会自身の判断としては、このデモは議長の要請を受けなくてもよろしいという判断がかりに浮かんだとしても、その判断を強行するには、なかなか行政当局としては勇気が要ることなんです。こういう結果が行政の事実面において当然行なわれてくると思うのです。それを、やはり皆さんは御答弁が上手ですから、両院議長の要請は相当重大な事実として認めなければならないとお答えになっておる。あるいは警視総監なり公安委員長なりは、これは公安条例による措置がこの法律によって一そう効果をあげると、こう言う。そうすると、結局行政面に強い作用を及ぼすということは事実だ。これを提案者は御否定なさいますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 議長の要請権につきましては、法律で要請することができるように明記をするわけでありまして、また、今日国民主権の立場にありまする国会の議長さんから公安委員会や警察当局に要請があったものを——全然なくたっておやりになることはあたりまえのことでありますが、そういう要請があったときに、これを相当尊重されるということは、もとより私は当然のことであります。そのことを本法は期待をいたしておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで、私はさっきからいろいろ質疑応答を聞いて疑問に思ったのですけれども、公安委員会なり警視総監としては、尊重しなければならない最大のものは両院議長の要請でありますか。提案者に伺います。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 両院議長の要請であるとも言えますし、また、しからば要請の内容は何かというなれば、国会議員の登院と国政の公正な審議、それを確保するための周辺の静穏ということでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 ですから、一応概括して国会周辺の静穏が危殆に瀕しておるという、こういう認定のもとに議長の要請されることが、公安委員会なり警視総監にとりましては、判断を決する一番の要素であるということに受け取ってよろしゅうございますか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 今おっしゃる限りにおいてはその通りだと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警視総監に伺いますが、それでよろしゅうございますか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 警察なり公安委員会として考えますことの一番の大事な点は、現実の事態がどうであるかということであろうと思います。議長からこの法律に盛られたような要請がありました場合には、その趣旨を十分尊重し、さらに現実の事態と検討し合わせて措置をとる、こういうことになろうと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 おかしい。あなたが行動するかしないかの一番基準とすべきものは、公安条例の内容じゃありませんか。公安条例がどこかに吹っ飛んでいる、さっきから。公安条例の内容というものの検討をしないで、議長の要請があれば事実に照らしてみて発動するということが、一体、公安条例自身のどこに書いてあります。あなた方がしなければならないのは、議長の要請は、けってもいい。しかし一応これを認めて、公安条例なり警察法規なりというものに準拠する行動というのは、あなた方の最低の線として要求される行動。公安条例というのは、先ほどからさっぱり出てこない。公安条例の内容というのはどうでもいいということですか、この法律ができれば。あらためて御答弁願います。(「当然だ」と呼ぶ者あり)当然のことがわかっていないんだ、警視総監は。だから聞いているんだ。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 公安条例なりその他の法規、これを前提としておるということは、もう当然のこととして、私は申し上げなかったのでございます。そういう法規に照らし合わせまして、現実の事態はどうかということをまず第一に考え、さらに、この法案によりまする議長の要請がありました場合には、その点をさらに加味して慎重に措置をいたしたい、こう考えるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そうではない。あなたの考え方の、今までお述べになった点は、議長の要請ばかりが強く浮いてきている。私のねらっているところは、公安条例を守るということの方が先じゃないかということが発源になっているということが、専門家のあなた方にわからないはずはない。公安条例に照らして議長の要請が正しけりゃ行ないます、こういう答えが、当然これは出べきはずですよ。それがすらすらと出てこないのは、それは、やはり議長の要請という政治的な権力というものが頭へきている。それだけ影響が大きいと私は判断せざるを得ない。  そこで、提案者に伺いますが、その発効の一つの根拠になる東京都公安条例、これは新潟条例とは憲法解釈上大きい原則上の違いがあると言われておるのでございますが、提案者はどのようにお考えですか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) これは必ずしも東京都条例につきまして裁判所の見解も一致しているわけじゃございません。申すまでもなく、現にすでに違憲の判決が出たり、あるいは合憲の判決が出ておるようなわけでございます。しかしながら、東京都条例について違憲説をとっておりまする立場というものにつきましては、先ほども申しましたように、ややその許可、不許可等の合理的な基準が不明確であるというような点については、憲法で保障するところの基本的人権に属する集会やデモ行進等を侵害するものであると、こういう立場をとっているように思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 新潟条例が合憲と認められた判定をされましたのは、第四条に、「第二条の申請書を受理した公安委員会が許可を与えない意思表示をしない限りは許可のあったものとして行動することができる」。ただし、東京都の条例では、返事がない場合は許可がないとみなす。そこで、新潟が一般的に許されておりまするのに、東京都は、許可のない場合一切やれないということが違憲性があるんではないかという問題になっておるわけです。そこで、提案者に伺いたいのは、この法案の発効によりまして、新潟条例では一般的に許されるわけでありますが、東京都では一般的に許されない、許されないワクがさらに拡大される、あるいは、公安条例の許可条件というものがさらにきびしくなる、こういうおそれはないでしょうか。

佐々木盛雄自由民主党

○衆議院議員(佐々木盛雄君) 東京都公安委員会の許可条件が、本法が出たことによって、特にきびしくなるとは考えておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警視総監に伺いますが、公安委員長でもけっこうです。この法律が出た場合は、この法律内容の条件というものが、許可、不許可の参考資料として非常に大きなウエートを占めてくると考えられますが、そのように解してよろしゅうございますか。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) この法案が成立いたしましても、公安条例の適用には影響はないと思っております。  なお、先刻警視総監からもお答えを申し上げましたが、議長の要請がありました場合には、これを重要な参考として公安条例に照らしまして、その処置を決定するということは、この前のときにお答え申し上げた通りでありますが、御指摘のように、今度の法案は、おそれのある場合に議長の方から要請が出されます。しかし公安条例といたしましては、またこの許可、不許可を決定し、あるいはその百条件の変更をし、許可の取り消しをいたしますのには、「公共の安寧を保持するため緊急の必要があると明らかに認められるに至ったとき」とありますので、この条項を慎重に要請に応じて判断して決定するつもりでおります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、「公安委員会は、前二項の規定にかかわらず、公共の安寧を保持するため緊要の必要があると明らかに認められるに至った」——この明らかに認めない場合は、議長の要請があろうとも、公安条例のこの解釈通りにおやりになると解してよろしゅうございますね。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) そういうふうに解釈いたしておりますが、議長の要請は最も重要な参考といたしまして、その他の情勢とあわせて判断をしたいと考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 これは事務的なことでございますから、警視総監に伺いますが、今、公安委員長あるいは私の方で述べました明らかな条件というものは、現在の警視庁においては、これは明示されておる。その明らかな条件というものを、その提案者の意図するような方向に、条例の幅をさらにきびしくするとか、あるいは条例を改変して、この法律案に合わせるような作業をするとか、こういう意図は将来ともお持ちでないと解釈してよろしゅうございますね。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) お答えします。公安条例の適用につきましては、ただいまお話の通りでございます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 東京都で、将来、ただいま提案されている法律が発効いたしました場合に、この法律に合わせて条例改正をする意図はないと解してよろしいか。

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) そのような考えは持っておりません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 それでは、公安条例をもっとゆるやかなものに改正、あるいは公安条例を廃止しようとお考えになりましたときに、この今提案審議中の法律案というものは、じゃまにならないか。もう少し申し上げるならば、この法律が新しく出てきたために、廃止すべき公安条例が廃止できない、改廃すべき条項が改廃できない、こういう事実が生じませんか。    〔委員長代理田中茂穂君退席、委員長瀞席〕

小倉謙警視総監

○説明員(小倉謙君) 東京都の公安条例におきましては、先般来いろいろ御議論もありましたように、ただいま違憲判決もあり、また簡裁における合憲の確定判決もあり、最高裁に今かかっておるわけであります。その結果によって私どもは処理をいたしたいと、こう考えておりますので、現在のところ、この条例をどうこうするという考えはございません。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 違憲判決が出れば問題は簡単でございます。結論はすぐ出るわけでございますが、そうでない場合、この法律案が法律として発効いたしますと、この内容に合わせるような公安条例の改正案、あるいはさらにこの法律の方向を前進させるような内容の変更、そういうものはないと、こう考えてよろしいですね。さらにもう一歩突っ込んで、こういうものが出てしまうと、違憲判決の場合は結論は明瞭でありますが、そうでない、公安条例そのものを自主的に改正しようと思っても、この法律が一つの手かせ足かせになって、法律改正が東京都公安委員会としては自主的にできなくなるおそれがあるのじゃないか、この御心配はないでしょうかと、こういう質問であります。

堀切善次郎東京都公安委員会委員長

○参考人(堀切善次郎君) そういう心配はないと思っております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 衆議院の法制局に伺いますが、デモ規制法を、私は佐々木さんのように立案されるのに、これは立場は別ですけれども文句は言いません。ただし、法制局がそばについておって違憲判決が出るかわからない危険のある公安条例というものをふんまえてこういう立案をするのが、これは補佐の立場として当を得ているか。さらに、衆議院や国会というものが、違憲判決が一部に出ているものを、強引に合憲という立場で新しい立法を加えることは、これは立法府の司法権に対する一つの抵抗なり圧迫なりとも見なされないわけではない。こういうことをあえてなさいますのはどういうわけでございますか。立法作成者としては当然考慮しなければならない最低の条件だと私は考えてお伺いをいたします。

三浦義男法制次長

○衆議院法制局参事(三浦義男君) 立法政策の問題につきましては別問題といたしまして、その点に関しましては、あらゆる委員会を通じて提案者からも話がございましたし、質問者の方からもいろいろ御提示になった問題もございました。御承知の通り東京都公安条例につきましては、東京地裁におきまして三件ほど違憲の判決がございます。なおまた、東京高裁におきましては、東京都公安条例に関する事件につきまして、東京高裁において三件の合憲判決、それから一件は地裁において違憲判決あり、一件は地裁において——上件と申しますのは、一つの事件の中につきまして集団行進については合憲であるし集団示威運動については違憲である、こういう地裁の判決がございます。従いまして、それらの点を考えますと、東京高裁という地裁の上の段階において、事件はたとい同じでなくとも、それにつきまして合憲の判決が下されておるという実情もございまするので、今この際それが違憲であるとか合憲であるとかいう結論をつけることをいたしますることはなかなか困難でございまするので、私どもといたしましては、この立法措置が現在の段階において必要であるという立法政策上の問題に立ちまして、それを立法化すればどういうことになるかと言えば、現在違法でない条例が存在しておる以上は、多少それにかかわりのある関係において法律を制定することは差しっかえない、こういう立場に立っておるわけであります。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 警察庁長官に伺いますが、阻害される行為または阻害されるおそれのある行為というものは、これは警察行政担当者自身で判断をしなければ、議長の要請にこたえるべきか断わるべきかという判断は出てこないと思う。そこで、この法律案の内容では、阻害される行為または阻害されるおそれのある行為、少なくも阻害されるおそれのある行為というものは一体どういうものだと、提案者の御説明を承りましても、私どもは判然といたしません。それで、警察庁はみずから行動を起こすわけでございますが、どういうものをもって、この法律の解釈から、阻害されるおそれのある行為というものだと、対象はこういう状態だと御判断をなさいますか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) 阻害される行為をどう判断するかということは、御説の通り警察当局でいたすわけでございます。ただ、実際に阻害される行為というものが具体的にどういう状況であるかということは、そのときそのときによって非常に違うと思います。極端な例を申せば、凶器を所持して多数が乱暴する態勢で集まるというようなことで、しかも、その企図としては議員の登院を阻止するというような指令を出しておるというような状況でありますれば、非常に明白になるのではないかというふうに考えます。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 そこで、これはきびしい罰則があるわけでありますから、当然提訴ということになるかもしれない。そのときに、阻害されるおそれというものを、一体、法廷で争う場合に、一つの基準というものがなければ、これはいろいろ問題を起こす、あるいはまた取り締まられる方としても、どういう状態が阻害されるおそれのものであるかということが明確にならなければ、これは行動そのものも不安で、何もすることができないということになる。これの判断が非常にこの法案の内容ではあいまいでございますが、どういうように警察庁はお考えですか。あるいは直接担当なさいます警視庁では、その基準をどういうようにお作りになろうとお考えですか。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) ただいま申し上げましたように、そのときの情勢、事前情報等によって個々に判断して参らなければならないので、直ちにどういう状況になれば阻害される行為であるという基準をこまかに作るということは、非常に困難かと私は考えております。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 日本の法律には、社会を不安に陥れるおそれのある罪というものはないはずです。明確なものがあるのか。取り締まり当局としては、一応公安条例としてはこういう線、こういうものというのがあり得るはずでありますから、それをお示しいただきたい。

柏村信雄警察庁長官

○政府委員(柏村信雄君) やはり具体的にその事態を見つめなければ判断できないものではないか。やはりこの法案に掲げてありますように、具体的に阻害されるおそれがある行為、状況ということで考えざるを得ないのではないかと思います。

加瀬完日本社会党

○加瀬完君 具体的にと言いましても、そういう事象が起こってから、これは公安条例違反だ、これは公安条例に許されている範囲の中だというような判断をすることはできないと思う。公安条例そのものは作用が激しくなってきたわけですから、今度はその働きそのものにブレーキを激しくかけておかなければ、問題の解決はなかなか困難になってくると思うのです。これはいずれ担当の議運の諸君から重ねて質問があろうと思いますので、私の質問はこれで終わります。

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 本日質疑の通告をされていて、まだ質疑を終わっていない方がございます。さらに亀田委員のごときは、本法案審議中に内閣から提出されております道路交通法との関係などについて、まだ質疑を留保しておられるのでありますが、ここで連合審査を打ち切られるようなことになりました場合に、発言を留保しておられる人たちの扱いについてどうお考えになっておりますか、委員長の所見を伺いたい。

高橋進太郎自由民主党

○委員長(高橋進太郎君) 椿委員の御質問にお答えいたします。連合審査会については本日をもって終了いたしますけれども、そういう方々の取り扱い等につきましては、十分に議運の理事会において、それらの件につきましてはお打ち合わせをいたしまして、十分それらの方々の意見が本法案の審査の上に反映し得るように取り扱いたいと考えております。  これにて本連合審査会を終了いたします。なお、今後の審議の取り扱いに関しましては、理事会において十分打ち合わせをすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会

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