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34回国会参議院1960/03/22

外務委員会 第6号

発言数
44
登壇者
5
会派数
2
開催日
1960/03/22

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまより外務委員会を開きます。まず、理事の補欠の選任についてお諮りいたしたいと思うのですが、劔木理事が辞任いたしましたので、その補欠を選任しなければならんと思うのでありますが、前例によりまして委員長に指名をおまかせ願うことにしてよろしゅうございましょうか。    〔「異議なししと呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。それでは青柳秀夫君にお願いいたしたいと思います。   —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 本日財団法人日本海外協会連合会に対する移住者渡航費貸付金の貸付条件等に関する法律案が付託になりましたので、政務次官から提案理由を御説明願います。

小林絹治自由民主党外務政務次官

○政府委員(小林絹治君) 財団法人日本海外協会連合会に対する移住者渡航費貸付資金の貸付条件等に関する法律未の提案理由を説明いたします。  本提案は移住者の渡航費貸付条件を緩和し、直接には移住者の定着を容易ならしめるとともに、間接には今後の移住をますます振興することを目的とするものであります。従来、移住者に対する渡航費の貸付は、日本海外協会連合会を通じ、年利五分五厘、元本据置四年、自後八年の元利均等年賦償還の条件でこれを行なって参ったのでありますが、移住者の定着を促進する見地に立って考えますと、右の条件にはなお相当の無理があることが看取されるのであります。  このような事情から、この際貸付条件を画期的に緩和して、本案第一条のようなものに改めることにいたしたいと存ずるのでありますが、特に利率につきましては、十年間無利子、その後も一般金利を大幅に下廻る一分六厘五毛ということでありますので、国の財産は法律に基づく場合のほか、適正な対価なくしてこれを貸し付けてはならないという財政法第九条の趣旨にかんがみ、立法措置に基づいてこれを実施いたしたいと存ずるのであります。  なお、以上の新条件設定に伴いまして、既往の貸付分につきましてもできるだけ新条件に均霑させるよう検討を加えました結果、本案第二条の通りすでに発生済みの利息は別といたしまして、今後の利率と償還期限に関しましては、新条件と同様の取り扱いといたしたいと存ずるのでありますが、財政法第八条では、国の債権を免除したりその効力を変更するには法律に基づかねばならぬこととなっておりますので、その実施のためにはぜひとも立法措置を要する次第でございます。何とぞ本案につきまして、慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 本案に対する御質疑はあとに譲ることといたします。   —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) この際国際情劣等に関する調査を議題といたしまして御質疑をお願いいたしたいと存じます。  速記をとめて。    〔速記中止〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 速記を起こして。  伊関アジア局長が来ておられますから御質問を願います。

大和与一日本社会党

○大和与一君 国際情勢の中で最近の日韓問題ですね。いろいろ新聞では拝見しておるのですけれども、一応その衝に当たった外務省の方から御報告をいただきたいと思います。それによってまたいろいろお尋ねしたいと思うのでございます。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 大体は新聞に出ておりますのが間違いございませんが、実は昨年の七月の末に日韓会談再開の申し入れがございまして、ての後委員会等も開いたのでありますが、一こうに進展いたしませんで、これは先方は北鮮帰国問題にこだわっております。日本側としましては、相互送還と申しますか、漁夫の釈放が行なわれない限りは実質的な会談の進展には応じ得ないというふうな態度をとつておりましたので、会談自体は何らの進展を見ずに今日まで至ったわけでございます。やっと相互送還の話がつきましたので、これが実現しました上で、本式な会談、実質的な会談の進捗をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。ごくあらましを申し上げますと、そういう状況でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、まだあれですか、やや詳細に報告するようなまだ文書もできていないわけですね。まだ今から、ほんとうの大事なところは今から話を始めるのですか。これもきまってしまったのですか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 相互送還に関しましては連絡委員会を開きまして、正式な話し合いをいたしました。大村の約一千名を三回に分けて帰します。これは二十八日に第一船、三十一日に第二船、第三船は準備でき次第ということになっております。それから釜山におります抑留漁夫の者のうち、刑を了した者百六十七名が三十一日に釜山を出る、これは先方の船の手配等の都合もございますので、一日、二日おくれることがあるかもしれない、それ以上はおくれない、こういうことをはっきり申しております。この相互送還につきましては、はっきり、ですからきまっているわけでございますが、日韓会談そのものにつきましては、柳大使が明日京城に帰りまして月末に帰って参ります。それからその他の代表も皆京城に帰っております。これらがいつ帰って参りますか、それが全部そろいました上で、四月の十日前後くらいになるのじゃないかと思いますが、そこで委員会を開きたいと、こう考えておりますが、とりあえずまず日本におります韓国人の法的地位の委員会、それから漁業問題に関する委員会、こういうものが中心になろうと考えております。  それから貿易再開という問題がございます。これは昨年の六月十五日に、先方は一方的に貿易を中絶いたしておりますが、貿易の実況を見ますと、一月から十一月までで、こちらから六千二百万ドル余強を売っておりますし、先方からは千二百万ドルのものを買っておりまして、これは過去の数字に比べまして決して減っておりません。大体例年約六千万ドルのものを売り、千二百万ドルくらいのものを買っております。ですから、貿易中絶とは申しましても、実際上は貿易が行なわれておるのでありますが、表向きは中絶になっております。それも貿易を再開するということを向こうは言っております。まあ米を買うという問題がこれにからんでおるわけでございますが、そういうことが行なわれまして、相互送還とか貿易の問題は日韓会談の前提になる問題であるというふうにわれわれは考えております。これらの問題は解決いたしますので、そこで会談に入る、こういうふうな考え方でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、あれですか、今までの新聞に出たことは、大体その中身はその通りだ、こういうことでよろしいですか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) その通りでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、アメリカが、まあ今回のこの相互送還については、ある程度のサゼスチョンをしたとか何とか書いてありましたが、これは一体どういう方法で、どういう文章が——あるいは行動か何かしらぬけれども、どういう方法でやったのか、おわかりですか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) この点につきましては、従来ともアメリカ側はわれわれの方に密接な連絡をとっております。この日韓会談の、日韓のいろいろな問題の交渉ぶりにつきましては、もう常時向こうが連絡に参りまして、非常な関心を示しておりまして、アメリカとしては、なるべく円満にいくようにということで、できる限りの努力をしておったわけでありますが、先月の二月末から今月の初めにかけまして今回まとまらなければ日韓の間はまあ最悪の事態になるであろうという見通しがはっきりいたしましたので、アメリカとしましても非常に心配いたしまして、できるだけの努力をするということをわれわれの方に申し込んで伝えてきておりましたが、そういうふうな抽象的な言い方でありまして、それに基づいて具体的にどうしたということは、そうはっきりは申しておりませんが、京城においてアメリカの大使をして李承晩大統領に申し入れをさした。また、ワシントンにおいてハーター国務長官が梁大使を呼んでああいう申し入れをしたということはわかっておりますが、申し入れの内容までに至りましては、われわれの方は通報を受けておりません。

大和与一日本社会党

○大和与一君 そうすると、日韓会談は現在も継続中ということになりますね。去年から始まって、途中で引っかかって、分科会までやったかどうかわかりませんけれども、特に、送還問題などは北鮮の妨害があったかと思いますが、しかし現在は続けられておる、こういうわけですね。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 昨年の七月三十日に日韓会談再開の申し出がありまして、八月十二日でございましたか、第一回の会合を開きまして、それ以来形式的には続いておるわけでございます。ただ、実質的に進捗を見なかったというのが実情でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 その当時、北鮮機関の妨害について私も御質問したんですが、その後の新聞とか週刊誌によっても、やや正確に名前なんかも出て、非常に悪いことをした人がおるわけですね、韓国の大使館なんかに。そういうことについては、外務省はどういう措置をその後おとりになったか、お尋ねいたします。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) ここの代表部に金永煥という書記官がおりまして、これが、新潟センター爆破事件に関連しまして逮捕された謝という者と、それから、もう一人は何と申しましたか、ちょっと、李といいましたか、これは名前を忘れましたが、二名の者がこの事件に関連して逮捕されたのでありますが、検察当局で取り調べを進めました結果、この金という者との関係があるんじゃないかというまあ疑いを持ちまして、金を取り調べたいという話がございました。そこで、代表部と連絡いたしまして、この金永煥という者を検察当局で二回にわたりまして調べました。その結果、まあ調べは終わったからということで、これを本国に帰したわけでございますが、金がどの程度関係がありましたか、その点につきましては、私の方は、検察当局からは詳しい報告を受けておりませんが、いずれにいたしましても、ここの代表部というものは、形式的には、国交はございませんから大使館という扱いにはなりませんが、実質的には、まあ大使館に近い仕事をいたしております。そこで、われわれといたしましても、大使館に準ずる待遇を与えておりますので、もし、これが普通の大使館、正式の大使館の館員でありますれば、おそらくそういう問題がありましたときには、かなり何か関係があると思われれば、好ましからざる人物として本国に召還を要求するというのが普通の形でございますが、まあ大使館に準ずるものでございますので、二回の取り調べをいたしまして、その上で本国に召還をするというふうな形をとったわけでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 すると、再び来ることはない、これはよろしゅうございますね。  それで、この相互送還ですね。これは外務大臣にもまあお尋ねしているのですが、外務大臣がアメリカから帰ったとき、再び三たびこれに触れたのですが、そのときは、もう十一月と言ったかな——近くなったならば、その刑期の残った者を、これはもうずっと残っているのじゃ困るから、それは一体どうなるのだと言ったら、それは二、三ヵ月と言ったかな、ちょっと議事録を覚えていないけれども、そういうお話だったのですけれども、今度の新聞によると、刑期の残った者は、それがやはり全部終わらなければ全然動けない、こういうふうにきちんと話ができたように書いてあるのですが、その辺はどうなんですか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 刑期——現在刑を受けております者につきましては、刑を終わり次第帰すということに了解ができております。これは文書にはよりませんが、口頭で、はっきりそういうことを申しております。この間の連絡委員会の席上でも、私のそれに対して、先方はその通りにするということを申しております。まあ昨年からなかなかできそうでできなかった経緯につきましては、これはやはりいろいろ事情がございまして、九月の初めに——まあ七月の三十日に、また相互送還をやるという、その申し入れがあったわけでございますが、八月の半ばでございますか、北鮮帰還に関する協定がカルカッタで調印を見たわけでございます。十三日でございましたか。そういうこともありましたので、そのショックといいますか、その刺戟が非常に強いので、しばらく様子を見まして、九月の初めにお互いに名簿の交換をいたしたのであります。九月のこの名簿を交換いたしますと、韓国の警察が、これら密入国者の本籍地を一々調査いたしまして、はたして密入国者であるかどうかというふうな調査をいたすわけでありますが、そういう調査をやっている最中に、韓国の南部が非常な台風といいますか水害を受けまして、それで警察が忙しいということで調査がひまどりまして、約一ヵ月くらいかかったのでございます。十月の初めになりますと、調査はでき上がったのでありまして送還の準備はできたわけでございますが、ちょうど九月の末ごろになりまして、赤十字が発表いたしました北鮮帰還案内という文書につきまして、ここにおきます、東京におります北鮮側の機関、総連あたりが猛烈な反対をいたしまして、この問題をめぐって、これを変える、変えぬというふうなことが非常に騒がれまして、そういう騒ぎがございましたために、また韓国の方も刺激されて、結局それを、送還を延ばしていって、そしてまあ北鮮との間に、一部帰還協定の実質的な修正も行なわれまして——面会とか、外出の面でありますが、話がつきましたのが十月の末でありまして、そこで十一月になりまして、まあその問題も片づきましたので、十一月の末からまた交渉を初めまして、ほとんど話がまとまりかけたところへ、この十二月十四日が近づきまして、そこで十四日に第一船が出るというふうなことがございましたので、またそのために流れるというふうなことがございまして、また年末からやりましたが、時間切れになるというふうなことで、今まで延び延びになったというふうな次第でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 ただいま、私たちは国民の立場からすると、今度のアメリカのサゼスチョン、これが五分なら五分とすると、まあ大統領選挙があるということは皆わかっておったから、その前に李承晩が手を打つか、どうせこれはもう上がるにきまっているから、上がってから手を打つか、まあこんなことは、われわれ横から見ておっても一応感じられたところなんですね。ですから、今の局長のお話は、もちろんそれは筋の通った経過報告だけれども、しかし今まで何べんもやって、いつも向こうに適当にやられちゃって、うまくいかなかったので、今度のやつは、自力よりか、他力でこれはできちゃつた、こういうふうな見方が案外国際的には正しいのじゃないかと思うのですが、ただ、この日韓会談がこれから本格的に持たれるにあたって、一つ、私はやはり根本的の韓国の日本に対するいろいろの問題の不当性、これに対してどういうふうにやっているか、ふるいは言おうとしているか。二つには、今後の保証について、どういうふうなところまで取りつけられるか、たとえば、北鮮帰還については、妨害しないとか、あるいは李ラインの問題その他を含めてそういう点に相当強い折衝がなされなければ、これは李承晩上っちゃったら、長くやるから、死ぬまでやるかもしれぬから、そうすると、これは勝手のことを言い出すかわからないから、そういうときにアメリカの今度のてこ入れがどのくらいきいたのか、ちょつと数字に見られませんが、またそんなことで世話にならなければならないようでは、日本の自主独立の外交がちっとも芽を出さない、こういうことになっては困ると思います。そういう点を、やっぱりきぜんたる態度で、やはり国民の意を受けて徹底的にやっていく、やり方もいろいろありますが、そういう点ではどうですか。不当性と、それから今後の保証等については、今日までどういう話ができておるのか、あるいは、なそうとしておるのか、要点だけでけっこうですから……。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) ただいまの二点につきまして、われわれは李承晩ラインというふうなものを認めぬということは明瞭でございます。アメリカ側もこの聞そういうことを言っているようであります。韓国の主張が不当であるとか、人質外交がいかぬというふうなことにつきましては、向こうにもこちらの考えは十分わかっていると思います。今後の会談においてどういう保証をとるのかという点になりますと、これはやはり会談をやった上でのことだというふうにわれわれは考えておるのでありまして何と申しましても日韓交渉が始まりまして八年近くになっておるのでありまして、その間何らの解決を見ておらぬというふうな実情でありまして、これは、非常にこの日韓の関係というものはこじれておるのでありまして、そうしてわが方は向こうに何らの機関を出しておりませんので、正確な情報はつかめませんが、韓国側としてはこれは理屈のあるなしにかかわらず、これまた日本に対していろいろのことを考えておるわけでありまして、これは感情の問題でございますが、そういうふうに非常に問題がこじれておる、お互いに感情的な対立があるというふうな現状でございますが、これはやはり解決をしやすい問題から一つ一つ取り上げて解決していく、そうしてその一つ一つを解決することによって、その両国間の空気というものが逐次改善される、そういうふうに改善された空気の上で、また次の問題を解決していくというような、かなりしんぼう強い、気長い交渉をしなければならぬのじゃないか、こう思っておりますが、もちろんこれにも限度がございますから、この問題の解決前、今度の解決前、二月の末ごろには非常に強硬な決意もいたしたわけであります。しかし、できることなら、話し合いによってやっていきたいというふうな考えを持っておる次第であります。

大和与一日本社会党

○大和与一君 やや抽象的のお話だったのですが、たとえば、向こうの方も、何か朝鮮人がたくさん財産を持っているから、それを補償しろ、そういう話があるのだけれども、これはまた逆に言うと、戦争が済んだ直後に朝鮮にアメリカのホッジという軍司令官が京城におったのです。これが布告を出して、日本人の財産は責任をもってちゃんと返す、補償するというか、そういう布告を出したのを私は覚えているのですが、そんなことはまるで問題にたらぬようなことになっているのですが、向こうは向こうで、たくさん日本にうんと置いてあるというふうに言うのだけれども、そういうことはどうですか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) この問題につきましては、日本が向こうに残しました財産をアメリカ側が占領軍として韓国側に全部渡しているわけであります。その日本の財産を渡したという事実を考慮に入れて、請求権の問題は解決するというふうな話し合いになっておりますから、そういうふうなことが丸二年前の暮でございましたか、そういう申し合せもできております。ですから、アメリカの覚書といいましたか、文書を考慮してやる、結局実質的に申しますと、そのものと韓国のこっちに持っておるものとは相殺されるというような基本的の考え方に立っておると私は考えております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 もう一つ、たとえばこれはでかい問題だけれども、たとえば李承晩ラインというものを向こうが作ったというのは、あなたも朝鮮のことをよく知っているのだけれども、南と北との経済的な実態が非常に違うのですね。南には米しかほとんどできない。北にはマイニングから水力から金から銀から銅、みんなあるのですから、ですからまるで、これは産業の基本になる石炭、鉄が北にはある。南にはほとんどない。そういうことで、やっぱり一つの見方は、韓国がどうしても食っていけぬから、それで今まで漁業なんてあまりしたことはないのですが、これ以上食えないからやっているという見方はあるのです。そうなってくると、そういう点まで日本が、大国としての立場から大乗的に考えて、それでは一体李承晩ラインを狭ばめろとか、なくするというのだったら、そのかわり、どうしてやるのだ、韓国の経済を具体的にどうやって復興させながら韓国の国民と日本の国民が仲よくいこうか、こういうような重大な観点があると思う。そういう点までお気づきになって、今まででも、あるいは今後でも話をしようとしているのか。ここら辺を聞きたい。これは非常に重大な問題なんです。これはほとんど、石炭といっても、東海岸に粘結炭が少しあるだけで、あとは米がとれるだけ。南の方で魚がとれるだけで、そんな程度で、ほとんど鉱物資源も問題にならない。水力電気もないし、問題にならない。そこまで考えてやらぬと向こうは決していいとは言っていないのですね。やっこさんなんか勝手に線を引っぱって、どうだこうだと言っているのですけれども、そこらに遠因なり近因なりがあると思うのです。そこら辺までお考えになってやっておるのか、お聞きしたい。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) とりあえずの問題といたしましては、貿易再開になれば、かなりのアンバランスがある。これを是正するように考えよう、こう思っております。  それからまた、李承晩ラインの問題につきましては、ああいうふうな漁業専轄権というものを一方的に宣言するということは、設定するということは、これはもう理論的には絶対に認められない。しかし、魚族保護という見地、それから韓国の漁業が成り立つというような観点、その両方から専轄権、専管権は認められない。しかし、実質的には韓国の漁業が成り立つように、そうして魚族も保護、保存できるように、何か歩み寄り調整をはかろうという考えではもちろんおるわけであります。  それからまた、国交が回復いたしますれば、それは何と申しましても従来の関係もあり、また同じ陣営に属しておることでもございますし、できるだけの経済的な協力というふうなことは、当然考えられることと思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それから漁業の問題だけではなくて、その他の問題だけれども、今のところは韓国の実態も行き来がないからわからぬわけですからね、実際は。そうすると韓国がアメリカの金をもらってそれで主として生きているという格好なんだから、そんなものは本物じゃないのです。本物であるかないかしらぬが、その事実はやっぱり正確にあなたの方でつかんで、できるだけ正確な、これはアメリカの情報なんか、うんともらえばこれはある程度わかるわけです。その上に立って日韓会談というものを実質的に進められていいと思うのです。ですから、漁業の問題はそれはいいのですけれども、そのほかに、日本が韓国に対して貸す格好、やる格好というものはわからぬけれども、経済的にはそういうやっぱり具体的な援助方策というものはあり得ると思うのです。そこをよほど考えてやれば、一つの活路というものが、ただ忍耐力だけの外交折衝によってではなくて、あるいは見いだせる場合があるのじゃないか。それを先に、やっぱり個人的には李承晩という人はあまりわからぬから、死ななければわからぬというので、それはそれとして李承晩だけが永久に生きているわけじゃないのですから、死ぬのだから、あれが死んだら、すぐにでも朝鮮の国民は日本と交易を望んでいる、往来を望んでいるのは間違いないのですから、すぐ次の手を打てるというためにも、やっぱり具体策をもってやらなければならぬ、こう思います。  それから、今度これからやる日韓会談の条件というか、さっき言われた法的地位、漁業の問題、貿易再開とか、こんなところから今始まるわけですか。この辺は……。  それからもう一つは相互送還が今度は間違いないのでしょうけれども、一体間違ったらどういう決意があるのですか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) これはもう今度これができないというふうなことになりますれば一切の交渉は打ち切りになることは、もう前々から申し上げている通りでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 それから、たとえば今後の保証ですね、北鮮の帰還問題は一応これで、まあ、もうじゃましそうもないけれども、そういうこともちゃんと、そういうことはしちゃいかんぞというふうなことはちゃんと話をできますか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 積極的にじゃまをするということは、これはもちろん日本の治安を乱すようなことは、これはもちろんやらぬと思います。こういうことはやらせないつもりでおります。ただ韓国側としては、北鮮帰国が続く限り、これを非常にいやな目で見るということは、またこれ事実でありまして、これをやめろと申しましても、これはやめろという方が無理なんじゃないか、向こうは向こう、戦争をした関係もございます。われわれは人道的な観点でものを見ておりますが、向こうはやはり北鮮と非常な対立をしているわけでありますから、何と申しましても北鮮を助ける結果になるというふうな政治的な面のみを見ております。これをやっていることを韓国が完全に認めて了承するということまで望むのは、これはむずかしいと思っております。

大和与一日本社会党

○大和与一君 在日朝鮮人の登録がきちんとなっていないのですね。南と北に再登録か何かをしつつあるのでしょうけれども、約六十万人おるとして、それは一体どういうふうに手続はできていますか。まだ両方とも届出をしない人がたくさんおるでしょう。それはどういう割合ですか。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) これは入管当局の問題でございますが、私はかつてやっておりましたから大体のことは存じておりますが、韓国という籍に登録しておる者と、それから朝鮮というふうに登録しておる者と両方あるわけであります。一時初めはすべて朝鮮ということでやっておったわけでありますが、その後韓国というのを認めまして、そして朝鮮であったものが南の系統は韓国というふうに直していったわけでありますが、それをある程度やらしておったところ、非常な何か混乱が起こるというふうなことで、北と南の争いもございましょう。民団と朝連との争いということもございましょう。非常な混乱が起きたので、あるところでストップをかけて、そこで朝鮮から韓国へ移すということはやめさしたわけであります。初めは全部朝鮮、それから韓国というのに変更を認めておった。あんまり騒ぎになるのでとめた。その結果としまして六十万、まあ六十万か、もう少しおると思いますが、私はよく覚えておりませんが、四十万近いものが朝鮮であり、二十万ちょっとが韓国である。二対一くらいの比率になっているのじゃないかと思います。その後これらの人が子供が生まれるとか何とかすれば、そのまま朝鮮の者なら朝鮮、韓国なら韓国の者となる。それから全然登録しておらぬという者はわからぬわけでありますが、いわゆる潜在密入国者ということになるわけでありまして、これはどのくらいおるか、ちょっとわからないのでございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 じゃ、私はもうやめますが、わが国の立場からすれば、やはりこの北と南と一つになることが一つの希望だし、また国際連合でもそういうことを議論していますが、ただし国際連合の議論というものが、もしもいわゆる自由陣営ということだけに片寄ったそういう統一の方法というものを考えておるとすると賛成できませんけれども、いずれにしても、やはり一本にしたいということはこれはもう明らかなのです。ですから、まあ北の方はあなたの方に言っても今すぐいかんわけだから、南の方を、いくら李承晩が独裁政治、警察政治だといってもいろいろな人間が中にはおるのでしょうから、少しは脈を通じているだろうと思うのですね。そうすると、李承晩に対して相当批判勢力も、当然野党だけでなくてもあるのじゃないかと思います。そういう点は情報は相当確度の高いものをお持ちになっておるのかどうか。その辺をお尋ねして、まだこれから折衝は本格的になるのだから、相互送還の取りつけについては、これは御苦労でしたということぐらいは言うわけですけれども、本格的な折衝を一つ大いにやってもらいたいと思うのですが……。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 情報につきましては韓国で出ておりますいろいろな新聞、雑誌等はとっておりますし、ここにおります韓国人が向こうにしょっちゅう往ききもいたしますし、いろいろルートもございます。これを通じての情報もとっております。アメリカ大使館からの情報ももちろんもらっております。ある程度の確度があるかということになりますと、一々チェックもできませんからわかりませんが、できるだけのものを集めることは努力いたしておる次第でございます。

井上清一自由民主党

○井上清一君 関連してちょっと伺いたいと思いますが、日韓間の貿易が断絶しましてから半年以上になるわけでありますが、どういうふうな形で一体貿易が行なわれているのか。それから前も、例のこげつきの債権が相当あったわけなんですが、これに対する処理。そして今後日韓会談で、この問題をとり上げておいでになるおつもりかどうか。そしてまた、今度の貿易が断絶いたしました以後において、日韓間の貿易が事実上行なわれているわけでありますが、これが将来相当こげつきになる可能性があるのじゃないかというふうに私は懸念するわけでございますが、これらについて少し詳細に実情を承りたいと思うのです。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) この貿易の方は、外務省の方でも経済局の方で扱っておりますので、私はあまり詳しいことは存じません。大体の傾向は知っているわけでありますが、昨年六月十五日でもって貿易を断絶したのでありますが、統計を見ますと、一昨年よりも十一月末まででも、すでに多いというふうな数字は出ているわけでございまして、もちろん断絶後もICAによる買いつけが行なわれております。このICAに関する限り大体昨年は十一月末までで三千五百万ドル強でございますが、これはまあ影響がないわけでありますが、六千二百万ドルと申しますと、三千五百万ドル引きましても二千七百万ドルのものを売っているわけでありますが、これを月別の統計がございませんので、六月までに、はたして売ったものかどうか、その辺はよくまだ検討はいたしておりませんが、しかし、あの断絶後は、わが方でほしいもの、主として無煙炭ですが、無煙炭が主でありましたが、それに多少鉄鉱石があった。そういうものにつきましては話し合いをしまして、これを買っております。そして、その限りにおいて向こうが日本のものを入れております。そういうような状況できたわけでありまして、まあ表向きはとまっておりますが、実質的には、大事なものについては、ある程度動いているということも言えるのでございます。それから一方、これは統計に載らぬと思いますが、密貿易というものが非常に盛んになっておったように聞いております。それからこげつきの問題につきましては、現在約四千五百万ドルくらいまだ残っておるのじゃないかと思いますが、これは過去においてできたものでありまして、その後はなるべく向こうがこちらのものを買った範囲において向こうに輸入を認めるというふうなごとをやってきておったようでございます。ですから四千五百万ドルという数字は最近はほとんどふえずに、何と申しますか、そこでとまっておったというふうなことのようでございますが、今後貿易再開になりますと、アンバランスの問題を含めまして、そういうふうなこげつきが出ないような点につきましても、これは日韓会談とは別途にやはり折衝をしなければならぬ問題じゃないかと考えております。

井上清一自由民主党

○井上清一君 私はその日韓間の問題はターニング・ポイントにきていると思うのです。それで今後の日韓会談に対して非常な期待を寄せますと同時に、外務当局として、ぜひ一つ今後この相互送還を機会として日韓間の親善融和というか、正常な関係に入ることに非常な御努力を願わなければならぬ、こう私は思います。それでまあ差し当たって私は考えなければならぬ問題は、現在日本には向こうの代表部が来ておりますが、これは占領軍司令部がありましたときに、その連絡という意味で代表部が日本に置かれて、そのままずっとずるずるべったりに日本に大使館に準ずるものとしての取り扱いを受けつつ現在まで来ておるわけであります。ところが一方先ほどもお話がございましたように、韓国には何らの出先機関もないわけでございます。いろいろ向こうの事情を調査するにいたしましても、向こうと接触するにいたしましても、どうも、くつを隔ててかゆきをかく感をわれわれは持たざるを得ないのでございます。どうです、今後の日韓会談の再開を機会として、ぜひとも日本の代表部も韓国に設置をするという点を強く一つ会談の一題目としてお取り上げになって推進をされることを私は希望いたしたいと思うのでございますが、それについて一つアジア局長の御意見を伺いたい。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) 今の代表部の前身は司令部時代の連絡機関であったことは、ただいまのお話の通りでございますが、平和条約発効前に文書を交換いたしまして、お互いに国交回復までの間、代表部という形でもって両国の機関を相互に設置しようという文書を交換いたしております。それに基づきまして、向こうの代表部というものは、その文書に基づいてその後残っておるわけでございますが、わが方の代表部を先方に置きたいということもしばしばその後申し出ておりますが、その当時はまだ朝鮮事変の直後でありますが……二十七年といいますとまだやっておりましたが、そういう関係もあって、治安の関係があるので、ちょっとまだ困るということを言っておったわけでありますが、現在になって治安の関係があると、わが方代表部の生命財産の保護ができぬというふうなことは、これはもちろん全然理由にならぬことでありまして、にもかかわらずしばしば要求いたしましても、これを受け入れないで、非常な片務的な結果になっておるわけでございます。この点は早急に是正したいと、こう考えております。けさも柳大使が明日帰国するというので、本国政府の訓令として大臣の所にたずねて参りまして二、三の点を申しておりましたが、それに対しまして外務大臣から、ぜひ京城に日本の代表部を開くようにしてもらいたい、このことを一つ正式に本国政府に取りついでくれということをけさも大臣が話されたばかりというふうな状況でございます。

井上清一自由民主党

○井上清一君 韓国代表部について、私はここでかれこれ申し上げることはあるいは当を得ていないかもしれませんが、どうも最近非常な何というか悪いうわさがだいぶいろいろ広がっている、また在日韓国人の間においても、いろいろな何か不信の念を持っている人が非常に多いように私は思うのです。こういう点については、外務省も十分御承知だろうと思うのでございますが、何かこういうような問題について、正式に韓国政府にいろいろお申し入れになったことがあるかないか、そうしてまたこういう点について関心をお払いになっているかどうかというような点について若干伺いたいと思う。私は具体的なことは申し上げません。

伊関佑二郎外務省アジア局長

○政府委員(伊関佑二郎君) いろいろなうわさがございますことは、われわれも知っております。私は、ごく最近はむしろ事態は改善されておるように聞いておりますが、ただ何と申しましても、これはこちらにおります連中の間のうわさ程度のものでありまして、われわれとしてもはっきりした事実をつかんでおるわけでもございません。韓国人と代表部との関係、あるいは民団との関係等ございますので、これに基づいていろいろ外務省が正式に申し入れるということは差し控えておりますけれども、いろいろの話のついでに、あるいは北鮮側あたりと比べまして民団の要するに韓国側に対する、韓国民に対する統制が弱いのじゃないかというふうなこともわれわれはよく話には乗せておりまして、この意味で、民団が弱いということは、代表部の民団に対する支援と申しますか、援助が足らないということになるわけでありまして北鮮側の統制のとれたものと比較しまして、非常に民団側が弱いという点は指摘しておるような次第でございます。

大和与一日本社会党

○大和与一君 ちょっとさっき言葉が足りなかったのですが、朝鮮も北、南を含めて、国連でやはりこの統一をしたい、こういう希望のあることはお話した通りであります。それで私たちわが党としては、やはりこれは統一をぜひしたい、こういう立場で朝鮮問題をあらゆる角度から検討をし、ぜひその実現が一日もすみやかであることを祈っておるわけです。しかもそれによってアメリカとソビエト、中国との間も、あるいはひいてはアジアの安定勢力というか安全というか、そういうことまでやはりこれは朝鮮問題が軸になって解決をするきざしをぜひ作りたい、こういう態度が私たちの態度であります。従って政府も、国連は国連の立場で統一を考えておると思いますが、日本の自主的な立場に立っての公正な考え方で、そういう大きな気持も持ちながら、私たちはぜひとも北の方とも、もっと話をしてもらいたいのですけれども、これはなかなかすぐやってもらえなければ、南の方とも十分そういう気持で努力を願いたいということを一言付言をしておきます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) それじゃ、速記をつけて。  他に御質疑がなければ、本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午前十一時三十四分散会

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