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34回国会衆議院1960/02/26

予算委員会第二分科会 第3号

発言数
240
登壇者
27
会派数
3
開催日
1960/02/26

会議録

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 これより会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算、同じく特別会計予算中厚生省所管について質疑を続けます。田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 私は厚生省所管事項のうちで、同和対策の問題並びに医療行政の問題に限って若干質疑をいたしたいと思うのでございます。  いずれ本委員会のしめくくりの総括質問を行なう予定でありますので、そのほかにも厚生省関係で聞きたい問題がありますけれども、きょうは今申し上げました大きく二問題に大体限って質問申し上げたいと思います。特に同和対策の関係は各省にまたがる問題でありまするので、各省からも担当者の御出席を願っておるわけであります。問題は広範になりますから、私もできる限り簡潔に質問をいたしますけれども、それに対して簡潔なお答えを願いたいと思います。  まず厚生大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、それは一昨年同和対策の問題につきまして、私が全国の書記長をいたしております部落解放同盟を中心にいたしまして、いわゆる同和地区、未解放部落を含んでおる関係の府県、市町村などの地方の行政機関、それから私どもの解放同盟と同様に民間でこの問題に取り組んでおる諸団体とが共同いたしまして、部落解放国策樹立要請全国会議というものを開催いたしたのであります。この会議には、当時与党の自民党の政調会長であられた三木武夫氏も出席せられまして、この問題に対する自民党としての関心を表明せられました。それが一つの契機になりまして、政府、与党の中にも同和対策に関する議員懇談会、あるいは政調の中に同和対策の特別委員会等が持たれて、特に昨年来からこの問題が政府並びに与党においても重要な国内問題として取り上げるに至ったことについては、私どもこの問題を終生の問題として取り組んでおる立場から非常に喜ばしい傾向だと実は考えておるものでございます。  そこで、この問題に関連をいたしまして厚生大臣にお伺いいたしたいのでありますが、今申しました一昨年の部落解放国策樹立要請全国代表者会議の決定に基づきまして、部落問題解決のために、厚生省を初めといたしまして、政府の各機関に対しまして、国会のそれぞれの委員会を通じて、ぜひこの問題の解決のために実施してもらいたいという事項を請願として実は提出をいたしたわけでございます。第何国会であったか、私もはっきり記憶いたさないのでありますが、一昨年の通常国会であったと思います。特に厚生省に関する関係につきましては、生活保護の問題、それから結核対策。生活保護の問題は、さらに生活保護法適用の基準になる収入の認定の是正の問題、それから未解放部落の、成績優秀であるけれども、家庭が貧困であるために進学できない子供たちの進学の問題、それから生業扶助の問題、住宅関係の、特に不良住宅の解消の一番手っとり早い住宅の補修費の負担の問題、こういう大体四つの問題。それから二番目は結核対策の確立、三番目は医療保障の改善普及、それから四番目は、これは実現いたしましたが、無拠出年金の創設の問題、それから環境整備の問題と、大体五項目にわたる特に厚生省に関する実施事項を請願として提出いたしまして、社会労働委員会は満場一致でこれを採択せられて、内閣に送付せられておるのでありますが、その当時の厚生大臣ではありませんけれども、渡邊厚生大臣は、こうした国会の意思決定をされた問題について、特に本年度同和対策についての予算を組まれるにあたりまして、こういう国会が請願として採択したものについて目を通され、またそういうものを勘案しながら今度の予算を組まれたのかどうか、まずこの点について厚生大臣の所信を伺いたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 一昨年国会で採択されました請願の内容につきましては、三十五年度予算におきましてこれを十分に取り入れまして、そうして予算措置を講じたような次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 十分考慮されて三十五年度の予算に取り入れられておるということでございますけれども、残念ながら予算を拝見いたしますと、部分的にはこの請願で要請をしましたことも取り上げられておりますけれども、基本的な点については、まだ不十分というか、ほとんど取り上げられていない。ことにこの委員会は、午後はまた外務省所管に移らなければならぬ時間の制約がありますから、私ここで議論をすることは差し控えますけれども、問題は、やはりこの部落の差別という問題に対する政府なりあるいは与党の関係の諸君の考え方というものが私は相当問題ではないかと思う。確かにこの未解放部落は、社会的、経済的、文化的な条件において、一般の国民の水準よりも以下の状態に置かれておる。従って差別をなくすためには、まずこうした環境改善をしなければならぬという考え方は、私は部落問題の一つの面をとらえておると思うのであります。しかし、環境改善をすれば従って差別がなくなるということではないのでありまして、これはある意味からいえば、そういう環境が一般の水準以下に置かれておるということは、やはり具体的に差別というものがあればこそ、そういう環境に置かれざるを得なくなったということにもなるのであります。やはりそういう環境の中で、貧困家庭あるいは慢性的失業者が非常に多いというような状態につきましては、これらの人たちの生活そのものを引き上げていくという基本的な考え方がなければ、環境改善だけの問題ではこの問題は私は解決されないと思う。私も、この問題に専門的に取り組んでおる立場で、資料は政府の予算の関係等については十分に持っておりますから、きょうはあらためて伺うということはいたしませんけれども、予算を見渡しましたところ、そういう意味で未解放部落の人たちの生活を引き上げるというような面における施策に対する力の入れ方がどうも薄いように考えられる。その意味で、厚生大臣は、前の請願の事項はよく承知をいたして勘案をされたということでありますけれども、特に一番初めに書いてある生活保護の問題についての内容等については、一般の生活保護の適用を受ける援護家庭とまた違った特殊な条件にあるという点を考えてもらわなければならないのであります。この請願は今後よく読んでいただきたいと思うのでありますが、この点についての議論はこれ以上繰り返す考えはございません。  そこで、厚生大臣に次に伺いたいのは、先ほど申しましたような経過をたどって政府の中に同和対策閣僚懇談会を持ちました。また自民党の政調会で立案されました同和対策十カ年計画、一口に申しますならば、大体年間三十億の予算を十カ年継続的に組むことによって、部落問題についての一つの前進を画そう。こういう趣旨で十カ年計画なるものが、新聞紙等でわれわれも見ておるのでありますが、本年度はその意味の十カ年計画の第一年度に当たるというふうにわれわれは伺っておったのでありますけれども、どうも当初の計画から比べますると、初年度の予算の規模にいたしましても、うんと圧縮されたような関係にありますけれども、このいわゆる十カ年なりあるいは時間がずれて十五カ年にいたしましても、そういう長期の計画的な問題でこの問題に取り組んでいこうとするお考えが政府にあるのか。本年度は、厚生省の関係におきましても、従来五千万円程度であったものが、少なくとも億の段階にまで進展しているということは一つの前進であると思うのでありますけれども、本年限りのものなのか、継続的にやられようとするものであるか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 お説の通り、われわれは部落について差別的な考え方は毛頭持っていないのでございます。生活保護の基準につきましても、十五次改訂につきましては三・一%、また十六次の改訂につきましては三%の上昇をいたすことにしておるのでございます。それでありまして、自民党が立てた同和対策特別委員会につきましては、十カ年計画いわゆる年額三十億、こういうことに相なっておりますが、政府といたしましては、今年度特別に同和対策といたしまして十億六千万という数字を掲げておりますけれども、しかしながら、すべてのいわゆる厚生施策といたしまして、あるいは建設なり、あるいは関係各省等におきましての総事業費を比べましたならば、ここに計算いたしまして、数字はわかりませんけれども、すべての立ちおくれているところの地方に対しましての開発計画というものは、毎年これは社会福祉国家といたしまして、私ども増額いたさなければならない、かように考えておりまして、年々これは増額すべきものと私どもは確信をいたしておるような次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 年々増額していくということは、継続的にやるということの政府のお考えを一面から申されたものと理解するのでありますけれども、その計画自体には、私らも大いに異論があるわけであります。たとえば与党の政調で立てられました十カ年計画というようなものは、一応私は、この問題を解決していくための一つの構想として、やはり認めなければならぬと思うのであります。そういう意味で、政府の方としてはことしより来年は増額していくのだ、こういうようなことではなしに、一定の長期計画のもとに計画的にこの問題を取り上げていく。そういう考えに向いて施策を発展させていってもらいたいと思うのであります。  これは厚生大臣だけに申し上げても、大体同和対策に関する窓口は厚生省ということになっておりまするけれども、本日私が御出席を願っておる関係から見れば、同和対策閣僚懇談会の事務を担当している内閣の審議室、それからこの問題は重要な人権問題でありますから、法務省の関係もございますので、きょうは人権擁護局長においでを願っておるわけであります。それから農林省が今度二千二百万円で初めて同和対策と銘打って、土地改良その他具体的な施策の関係で立てました。従って農林省がある。それから建設省から住宅局長と計画局長がおいで下さっておりますが、環境改善の問題、住宅の問題あるいは下水、水道、都市における区画整理、道路というような関係から、あるいは広島の太田川等の関係から見れば、河川の関係も部落の問題と不可分の関係に実はあるわけであります。そういう関係からは建設省、それからあらゆる関係で、金の裏づけの関係から見ますと大蔵省が関係をいたします。さらに文部省、地方自治庁、それから通産省、こういうような関係があるわけでございますので、私どもが先年政府に要請いたしました問題については、これはやはり各省に今申し上げましたように、ほとんど全部にまたがる問題でありまするから、総合的な見地から強力なる施策を進める意味の機関を設置してもらいたいということの要請も実は出てきておるわけなんでございますけれども、同和対策関係閣僚懇談会の幹事役といいますか、一番重要な役割にありまするので、厚生大臣、便宜お答えを願いたいと思うのですけれども、毎年これから、ことしを手初めにふやしていくのだというような考え方ではなしに、政府の方としても、必ずしも与党の案——これは完全なものとは思いませんので、われわれの意見も申し上げまするから、内閣において、今後十年なり二十年なりの長期でよろしいのでありまするが、計画的にこの問題と取り組んでいくという考え方に進めていただきたいと思うのですが、それを厚生大臣として推進をしていただくお気持があるかどうか、お答え願いたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 お説の通り、同和対策閣僚懇談会におきましては、きわめて熱心にこの運動を推進していきたい、かように考えております。それならば、同和対策審議会というようなものを作ってみてはどうか、こういうような一部にお話もございまするし、あるいはそういう要望も非常に強いのでありますが、われわれといたしましては、今現に着々と現実の諸問題をとらえてやっておりまするので、審議会の議につきましても、それらの要望等もにらみ合わせまして、それらの方向に進めつつ、しかも現実的に段階的にいわゆる諸方策を講じていきたい、かように存じておるような次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 やはり私の申し上げておることが厚生大臣に十分のみ込んでいただけないうらみがあるようでありますが、政府の施策をずっと見まして、この問題と取り組んでいく上から見ると、パーセンテージからいえば、私らの要求しておるもののほんの何%、あるいはコンマ以下の問題しか取り上げていないと思うのです。そういうことでは実はいけないと思うので、内閣に今の閣僚懇談会、これは当面の問題の政府内部の連絡機関としては、これでもいいかもしれませんけれども、そこでは結局、かりに取り上げていくというようなことになりましても、民間の一部の団体やその他から出てくるところの断片的なものだけしか取り上げられないような形になると思うのです。じっくりとやはりこの問題——これはいつも申し上げるのですが、部落問題は外国にあるような民族問題ではないのですね。民族学的な点から見ても、人種学的な点から見ても、日本民族というものはきわめて単純な民族構成を持っているのです。その中に今日全国に部落の数でいって約六千、人口で三百万、この人たちがあたかも特殊な異民族であるかのごとき取り扱いをされておる。こういうところに問題があるので、われわれがほんとうに民族の正しい融和と発展を願うという観点から見ますれば、一番先に解決しなければならない問題なんです。私はあまり例として実は引きたくないのでありますが、同じ国民でありながら、昨日は国会において皇孫殿下がお生まれになったということに対して慶祝の決議をされておる。一方にはやはり日本の民族の一人である者に対してこれだけの慶祝がされる。ところが今日部落の男女青年にとりましては結婚の自由すらない。かりに恋愛が成立したとしても、いざ結婚するという関係になりますると、相手方の娘さんが部落出身であるとか、あるいは相手の男性が部落出身であるとか、こういうような関係で、事実上の恋愛関係あるいは事実上の結婚生活に入りながら、結婚ができない。こういうような現実の問題があるというところに、私はこの問題を国内問題でまっ先に取り上げなければならない問題だ。その点から申し上げまするならば、今度の厚生省関係の同和対策に関する予算にいたしましても、厚生大臣以下関係の部局長は非常に御苦心なさったと思うのですけれども、来年度から生産するというロッキードの一機分にも、その半分にも当たらないような金額しかない。数は、九千数百万のうちでその半端の三百万の人口に関する問題であるかしれませんけれども、私は問題の性質からいってきわめて深刻な問題だと思うのです。そういう考え方から、この問題の本質をそういうように理解することによってこの問題と取り組んでもらいたい。その点から見れば、やはり部落の実態等についても、昨年の分科会でも私申し上げたのでありますけれども、厚生省からいろいろ関係府県へ照会しますけれども、私らの調査では何十かの部落があり、そこではやはり悲惨な生活をしておる状態があるにもかかわらず、当該の府県からの厚生省の社会局への回答では、当該事項がないというような回答が来ているということが、昨年も資料として実は提出されている。私は、そういうことではいけないと思うので、この問題の根本的な対策、計画的なものを立てていただく前提としても、部落の実態、それから部落問題解決のために、継続的でけっこうでありますけれども、どういう施策を進めるべきかということについての実態をつかむ仕事から始めなければならぬと思う。現在のような形で、厚生省は偶然にも戦前からこの問題の窓口のような格好にはなっておりまするけれども、私まだこれでは完全なものにはならないと思うので、やはりそういう形で推進をしていただかなければならぬと思うのでありますけれども、閣僚懇談会でこういうような観点でこの問題を取り立ててもらいたいと思う。実は国会に出しました請願の基本的な精神は、私が今申し上げておるようなところにあるわけなんですが、そういう観点から閣僚懇談会において、内閣での総合的な調査のための機関——当面調査だけだと私は思うのでありますが、当面政府で考えていられることを推進することと並行して、そういうことを考えていただくように、閣僚懇談会を推進していただくことに御努力を願えますかどうか、重ねて厚生大臣に伺いたい。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 ただいま田中さんから申されました点につきましては、いわゆるこの部落内におけるところの諸種の生活環境あるいは生活の実態等を把握した上において、そしてそれを閣僚懇談会に進めよ、推進させよ、してくれろ、こういうことでございますが、私どもも、もちろん同感でございまして、詳細なるところの具体策につきましても、私どもはすでにこれが実態調査というものも持っておりますし、すでに着手をいたしておるような次第でございます。たとえてみまするならば、隣保館にいたしましても、共同浴場にいたしましても、共同井戸におきましても、共同炊事場におきましても、共同作業場におきましても、授産場におきましてもあるいはまたその他諸種の生活環境施設、下水あるいは水道施設、それらの面につきましても、強くこれを要望いたしまして、何といたしましても、部落の解放の実をあげるためには予算が先決でなければならない。かように考えまして、これを強く推し進めることをここにお約束しておきます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 その点は、当面厚生省を中心として進めていただいている施策を全般として強化していただくということと並行した形で、やはり先ほど私が申し上げましたような問題の本質に対する理解の上に立って、恒久的な抜本的な対策を立てるための御努力を願いたいと思うのであります。  その次に厚生大臣にお伺いいたしたいのは、この点は昨日同僚の辻原委員からも指摘されたのでありますが、今度の厚生省初め政府の同和対策の施策の考え方の一つといたしまして、全国に十幾つかの地区を含めまして、いわゆる同和対策を推進するモデル地区という考え方で、そこではそこにおける環境改善のための幾つかの施策を重点的にやる地区を指定せられております。このモデル地区を推進していくというやり方についてもいろいろ問題がございます。自治庁の関係の方がおいでであればお答え願いたいと思うのでありますけれども、これは当初与党の方からは、少なくとも三分の二の補助を国からやるという考えであったようでありますが、予算が通ったのを見ますと、全部二分の一補助、従って半額は地元の市町村が負担しなければならない。従って、この関係で厚生省、建設省、農林省等の関係を合わせますると、総額で六億ばかりになりますが、かりにそういたしますと、それに見合うだけの金額を、関係の部落を含んでおる、モデル地区に指定された部落を持つ市町村が財政負担をしなければならぬ。はたしてそれが負担できる現状にあるかどうかというところにも問題があるのでありますが、これは後ほど伺うといたしまして、全国に、先ほど申しましたようにざっと六千ある。その中から十四や十六の部落を取り上げてモデル地区にするということになりますると、今度モデル地区として、かりに自治体が半分の負担をして計画通りのことが進められたといたしましても、他のモデル地区として指定を受けない地区との間に新しい対立を生むということになる。極端な言葉でいえば、やはり差別の拡大再生産になる危険性を多分に私は持ってきておると思うのです。それでこの点については、与党の同和対策特別委員会の委員長である堀木参議院議員、それから副委員長の秋田大助議員とも別の機会に話し合いました。しかし、どうしてもやはり予算を具体的に組むという一つの方法として、こういう考えを立てざるを得ないので、その点は了解してもらえないだろうかというようなお話も別の機会にあったわけなのですけれども、実情は、昨日も辻原委員から指摘しましたように、やはりこれには問題があると思う。しかし大臣も昨日お答えになっていたように、全国の未解放部落を、今後何年かかるけれども、何年かかっても、一つ全部がモデル地区になるような形で進めていくのだ、こういうことを述べられておるわけであります。その考えも、私わからぬではありませんが、毎年十四、五の部落をやるとしても、六千部落を全部モデル地区にしていくという関係になるためには、私は、少なくとも何十年じゃない、もっと長い年月を要すると思う。そんなことは現実にはできる問題ではないと私は思うのです。部落問題というものは、一番先に解決しなければならぬ問題でありまするから、われわれはやはり予算、国費というものを優先的にこの地区へ振り向けるということを主張いたしまするけれども、特別にこのためだというひもつきの予算を組めということをわれわれは要求しない。一般施策の中において、重点的に、優先的にやらなければならぬ問題だという考え方でこの問題を位置づけしてもらいたいという要請なのです。そういう点から見れば、モデル地区というような考え方は、一般部落との間にやはり対立を生むことにもなるし、同じ未解放部落の中においても問題が起こりまするので、これは別の言葉でいえば、同和対策を推進していくための一種の重点主義的な地区だ、重点的な地区だ、私はこういうような考え方なのだと思うのであります。     〔主査退席、床次主査代理着席〕 モデル地区という考えは、満州国などにおいても、あるいはかつて戦時中に経済更生モデル町村というような考え方を農林省が立てたことがございまするけれども、これは、私は何か特殊な感じを与えますので、名称等もまた考え、その精神も改めたいと思うのでありますが、当面モデル地区というような表現は避けなければならぬと思うのであります。俗にモデル地区という形で今度の同和対策の一つの柱になっているわけでありますけれども、名称について何かお考え直しを願うことが必要だと思うのでありますが、厚生大臣の方からお答えを願いたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 この問題につきましては、私どもは昨日も申し上げたように、同和部落の中における差別待遇を発生するような考え方のもとにおいて作ったわけではないのでありまして、一歩前進、それからモデル地区というものが、今後そういうケースというものが、全部落におきまして、どういうふうなところからどういうような施策、どういう具体策を講じたらいいかといったようなところから、今年初めてモデル地区という名称をつけた。こういうことに相なっておりますので、もしモデル地区という言葉が妥当でなければ、われわれはこれを検討するにやぶさかではないのでありまして、われわれはモデル地区という名称が、非常に何か差別待遇をやっておるという考え方は毛頭ないのでありまして、一歩前進主義、こういうことで、要するに同和対策十カ年計画におけるところの初年度におきましてああいう施策を講じた部落については、翌年度他の部落においてはどういうケースでやったらいいか、こういう面に御解釈を願いたいのでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 この点については、実はことしの三十五年度の予算全般の一つの傾向として、これは自民党のいわゆる組織化対策のためにいろいろな名目で予算が組まれておるということが一般に指摘されておるわけなんです。ここに中央公論の三月号がございますが、「一兆五千六百九十六億七千四百万円の予算」ということで真野さんという人が書いておる中にも、やはりいわゆる同和対策としての同和モデル地区振興対策関係のもので、農林省関係の予算の問題をあげてきておるのであります。確かにモデル地区の選定の過程を見ましても、これは党勢拡張あるいは勢い言葉は強過ぎるかもしれませんが、党略的な立場からいろいろ自分の党の支部等に文書を流すということはなにだと思うのでありますけれども、やはり自民党の方針に従うところにはこの予算がどうだ、先ほど言ったように毎年三十億、十年計画で三百億ですが、しかもその流す地区として、大体予算の半分はそういうモデル地区に振り向けられるようですが、それもやはり自民党に協力する部落を指定するのだ。そういうような形で進めていくということになれば、私が心配するような問題が勢い起こってくると思うのです。そういう意味で、これは名称が適当でないなら改めてもいいということでありますけれども、このモデル地区の選定方針あるいはモデル地区でやるという関係のものが弊害を伴ってきますので、その点については、モデル地区という考え方について何か別の適当な名称を考えてもらうように、これは同和対策閣僚懇談会等でさらに研究をしてもらいたいと思うのですが、その努力を約束をしてもらえますか。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 私どもは政党政派を超越してやっておるのでございまして、それならば来年またある部落を、別にモデル地区でなくても、部落に対しての諸施策を講じた場合において、これもまた与党の組織活動ではないかと言われるようなことがあってもいけません。私どもといたしましては、あくまで政党政派を超越しまして各方面あるいは各地方庁等の意見あるいは実態調査等を参酌いたしまして、立ちおくれているところから順次これを手をつけていきたい、かように考えておる次第であります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 その点については、まだいろいろ問題があります。私は、この間の臨時国会の予算委員会でも指摘したのでありますが、私はそういうモデル地区という重点的な施策を進めるということになれば、例の伊勢湾台風のときに三重県の長島町の松ケ崎部落、これは戸数わずか五十戸足らずの部落であります。全部落が海底に沈んでしまった。もし重点的に施策を進めるということになりまするならば、こういうところにこそ、何か私は同和対策という関係だけでなくとも、災害対策の関係から見ても入れられなければならぬと思うのでありまするけれども、今度は三重県がいわゆるモデル地区の指定が、県から手続をとられなかったというような関係もありまして、堀木さんも言っておりましたけれども、三重県が入ってないようでありますけれども、こういうようなところが取り上げられるということがやられていないということになれば、そのほかの文部省関係の、たとえば社会教育関係へ近年まれな予算が加えられる。婦人学級の増設の問題であるとか、あるいはこれは新農村建設運動だということで銘を打ってますが、農林省関係で見られる若干の予算、通産省の関係で見る商工会、これも私ら政党人の立場から見れば、まあ時の権力を握っている政府でありまするからいいようなものだが、与党の組織化の線に沿ってこの予算というものが使われる危険性が多分に含まれている。美名は、協同組合にまで発展しないところの零細な商店その他を商工会に組織するということで、別途商工会法が出るようでありますが、この運営費の三億円、これの使い方というようなものについても、われわれの目から見ればそういうにおいがする。そういう感じがいたしまするので、そういう点は特に部落対策の関係においては、そういうものをみじんだに私は出すべきではないと思うのでありますが、政党政派を超越した立場で取り組むということであれば、私が申し上げている点も十分考慮に入れて努力をしていただきたいということを私は要望をしておきます。  そこであと厚生大臣には低所得階級の問題、それから先ほど申しましたように、医療行政についての若干の質疑がありますが、同和対策関係の問題で関係の各省からも出ておられると思いますので、建設省、通産省の関係等に若干の問題点だけ簡潔に伺います。特に建設省の関係で、これは昨日辻原委員からも指摘されておるのでありまするけれども、今度不良住宅の解消という関係で乙種公営住宅でありますか、二千戸の計画が立てられておりますが、これは昨日も辻原委員から質問をいたしておりまするが、このうちどの程度のものが、いわゆる同和対策として同和地区に振り向けられる考えでありますか、この際伺いたいと思います。

稗田治建設技官(住宅局長)

○稗田政府委員 お答え申し上げます。不良住宅地区改良事業に使う改良住宅の建設戸数でございますが、お話のありましたように二千戸でございます。これは本年度から別に項目を立てまして改良住宅の建設に要する費用というのを作ったわけでございます。従来は公営住宅の第二種、三分の二の補助のものでやっておったわけでありますけれども、本年度から、目的が少し違いますので、別に予算項目を立てまして、公営住宅の外に改良住宅の建設ということを行なうことにいたしたわけでございます。それで二千戸のうち同和関係の地区には大体千百戸くらい振り向けるというような考えでおるわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そうすると、これは従来の第二種公営住宅というのですか、それとは別の考え方だということを今お述べになったわけですが、この改良住宅は一戸の坪数はどの程度のもので、一戸に対しての建設の予算はどの程度なのか、それから一地区に大体何戸くらいから、たとえば部落の状況にもよりますけれども、大きなその意味から見て、五十戸も百戸も集団的な改良住宅を建てなければならぬところもありますし、農村部落等で十戸以内の住宅に振り向けなければならぬというところもありますけれども、たとえば従来の乙種住宅の関係で京都市に、これは三十四年度でございますか、建設しておる事例等によりますると、やはり一定の地区を限って、しかも集団的なアパート式なやり方でやる。はたしてその地区の人たちが——これは最近のような宅地が十分にない地区の区画整理等との関係からも、私は立体的にそういうことになることはいいと思うのでありますが、それぞれやはり生活の様式も各人で違ってくるわけでありますから、その意味で独立家屋を小さいながらも要求する声と、全体的な関係から見て集団化さしていこうというものとの問の調節の問題も起こってくると思うのでありますが、改良住宅として今度二千戸別項目として予算を組まれるにあたりましては、そういう関係をどういうように考慮されたのか、この際伺っておきたいと思います。

稗田治建設技官(住宅局長)

○稗田政府委員 二千戸の改良住宅でございますが、これは鉄筋のアパートの分が一千戸、それからブロック構造、コンクリートのブロック構造でございますが、簡易耐火構造の二階建のものが一千戸、合わせて二千戸でございます。それから規模は公営住宅の第二種の規模と同様でございまして、畳の部屋としましては六畳に三畳、それに台所、便所、物置といったようなものがつく規格のものでございます。補助率は第二種公営住宅と同様に三分の二でございます。それで一つの地区につきまして、不良住宅地区の改良事業といたしましては大体五十戸くらい集団的に固まっておるところを最小の単位として改良していくという考え方でございます。御承知のように、従来から不良住宅地区改良法という昭和二年に制定された法律がございますが、それにおきましては、その事業の施行のため支出する経費の二分の一の補助だったわけでございます。現在まだこの法律は生きておるのでございますが、これが実情には合わないというので、従来この法律を使わずに、公営住宅の三分の二の補助のものを用いまして改良住宅等の建設をやってきたわけでございます。不良住宅地区の集団しておりますところは非常に建物が密集いたしておりまして、また個々の宅地におきましても過小宅地が多いというようなところが大体基本的な性格でございます。従いまして、そこにもとおった世帯を同じように吸収するのには、健康にして文化的な住環境ということにいたしますのには、どうしても宅地を高度利用しなければ改造できないということで今申し上げましたように二階建のものと四階建のものとを予算に計上してあるわけでございます。  なお、不良住宅地区改良事業の目的と申しますのが、そういった非常に劣悪な住環境にあります建物が集団として市街地の中に発生しておる、それが公共的な立場からいろいろ支障があるというところに、この公共的な事業としての性格を持つことになりますので、これが分散してぼつんぽつんと非常に不良化した住宅が一戸ずつ建っておるという場合の事業とはまた別な考え方になるかと思うのでございます。農村等におきまして非常に分散しまして建っておる場合の不良住宅の対策というものは、この不良住宅地区改良事業では取り上げることは不適当かと存ずるわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 大体五十戸以上で、不良住宅の密集地帯で、できるだけ宅地を高度に活用するという関係から見て、勢い立体的な建築様式をとりたい。こういう考え、これは理解できないことはないと思うのでありますが、農村部落等におきましては、私のところの和歌山県有田郡吉備町の庄という部落でありますけれども、ここなどにおきましては、六畳間に家族が八人から十人ぐらい生活している。雨漏りもする。こういうようなものに入っているのが、五十戸まではありませんけれども、少なくとも三十戸や四十戸はあります。これを建てるということになるともうこの関係の適用が実はないということになると私は思うのであります。今いわゆる不良住宅改良法の関係で別に考えなければならぬということになりますと、従来の第二種の公営住宅の関係は農村部落等の五十戸未満のところ、あるいは極端な例は五戸だとか七戸だとかいうような関係においてもそれは考えてもらえる。この改良住宅とは別に、第二種乙種住宅の関係の予算が何戸分計上されているか、私調べておりませんけれども、その関係にもそういう農村部落等の関係は広げていく。従来の第二種乙種住宅の方でカバーしてもらえる分もあると考えていいのですか、どうですか。

稗田治建設技官(住宅局長)

○稗田政府委員 第二種公営住宅には、もちろん木造のものもブロック構造の平屋のものも、それから二階のものも四階のものもございます。それで公営住宅の入居者は、御承知のように一般に公募して、住宅困窮者を公平な立場で選考して入れる、こういうことがまず原則になっておるわけでございます。しかし特例といたしまして、不良住宅の撤去に伴う住宅困窮者には、優先入居ができるように相なっておるわけでございます。従いまして、その地方公共団体におきまして、今の分散して建っております不良住宅を撤去いたしました場合、その入居者を新しく建てた公営住宅に優先入居させるということは可能でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 不良住宅改良法というものがありますけれども、本来この法律の趣旨に従った生かし方というものは、従来の例から見て十分でないと思うのでありますが、農村部落等の関係から見ますと、これは現在の時点においては、私は、同和対策ということで未解放部落の中における不良住宅の解放のためにそういうものが活用できるように弾力性のある考え方をとってもらいたいということだけの要望にとどめておきます。  同時に不良住宅の解消の問題と関連して、かつての神戸の番町——これは現在自民党の代議士に出ておられる中井一夫さんが当時神戸市長のときに、思い切ってあそこの真中に大きな道路を通しました関係から、一種の区画整理が推進されたような事情にあるわけなんですが、現在大阪のたとえば西成におきまして、あるいは京都市の七条の関係あるいは田中の部落というような関係においては、勢いやはり新しい都市計画との関係で、いわゆる同和地区の区画整理の問題が具体的に出てくるんじゃないかと思う。ことに京都の七条の場合は、御承知のように京都駅に近接しておるわけなんです。今度東海道の新幹線ができて、現在の京都駅に併置されるという関係になりますと、この地区の人たちは一体自分たちはどこへ行けばいいんだ、こういうような問題が出てきておるわけなんですけれども、建設省の都市計画関係からこういう点について特に問題になるような、同和地区を含んでおる地区の区画整理というようなことについて、特別に考慮を払っておられるかどうか、この点、計画局長さんの所管であればお答えを願いたいと思います。

關盛吉雄建設事務官(計画局長)

○關盛政府委員 ただいま同和地区の改造につきましてのお尋ねでございますが、都市計画法を適用いたしております町村の中で、私たちの方で今わかっておりますのは京都のただいまお話しの駅裏、崇仁地区と申しておりますが、あるいは京都の三条の地区でありますとか、そういったいわゆる密集いたしております地区につきましては、今お話しの区画整理の手法としてではなく、都市計画の施設といたしまして一団地の住宅を経営する。こういう形で実は都市計画の決定をいたしております。従って三条地区等において計画を進めておる姿というのは、地方公共団体である京都市が当該地区を一括住宅団地として経営をする。そしてそこにただいま住宅局からお話しのありました不良住宅を改良するところの住宅を建てると同時に、区画街路と申しまして、今できておりますところの道路のほかに、その道路の拡幅はもとより、区画街路も整備しまして、中には一部公園等の設備もとる。こういったような計画のもとに三十五年度から着工するという計画が最近になって出てきておるのでございます。ところによりましては、考え方として区画整理という形も考えられるのでございますけれども、最近——昨年以来いろいろ各地方公共団体と相談をしておりました形として、今のお尋ねに該当するのは、今申し上げましたような地区であります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 建設省の関係になお伺いたい点があるのでありますが、私だけで午前中という予定で建設省関係で分科の時間をとるわけにいきませんので、また別の機会にお願いすることにいたします。先ほど厚生大臣に申し述べましたように、一昨年の通常国会であったと思うのですが、建設省にも、いわゆる部落対策の関係で、主として住宅政策を中心といたしまして施策を進めていただきたい。上下水道の問題、今お伺いしました都市計画との関係で要請をした事項があるわけなんです。これも建設委員会で採択になりまして、内閣を通じて建設省の方へ国会の意思として送付されております。どうか一つ関係の局長等におかれましては、この点を昨年の国会で採択された請願に基づいて、これは私ども民間の方から出した事項でありますけれども、部落問題の実体に触れて、当面進めていただきたい施策を全部あげておりますので、これを一つ土台にして、さらに積極的に同和対策を強化していただきたいということを希望しておきます。  それから通産省の振興部長もおいで下さったようでありますから、通産省関係で一点だけ実は伺っておきたいのであります。部落の中における中小企業というか、零細企業のことについては、昨日辻原委員からお伺いをいたしましたので、もうその点は重複を避けますけれども、実はきょうは同時に軽工業局長をお願いしておいたわけなんです。これは必ずしも部落の産業というわけではないのでありますけれども、中野さんにお伺いをしておきたいのは、部落の関係に御承知のように皮革関係の業者が非常に多いわけです。それで現在問題になっておる為替の自由化、貿易自由化の問題と関連をいたしまして、部落の中にある零細な皮革業者、これが一体今後の原皮の輸入の関係、あるいはそういうものの割合というような関係について、たとえば皮産協というのですが、大手の明治、山陽などの皮革業者の過去の輸入実績というような関係でやられるということになると、部落でごく小規模な原皮の鞣成に参加しているというような関係の人たちが非常に困ることになると思うのです。特に自由化との関連で、原皮の輸入の問題について、特に部落対策の関係から考えていただかなければならぬ問題があるのですが、その点についての何か構想が現在通産省でおありなのかどうか伺いたいのです。

中野正一通商産業事務官(中小企業庁振興部長)

○中野説明員 お答えいたします。原皮の輸入が自由化されるということは、方針がきまっておりますので、これに関連いたしまして、御承知のように今までは輸入の割当というようなことを通じましてある程度業界の調整といいますか、安定といいますか、業界の秩序も保たれておった点もあるというようなことで、これがはずされたことについて、御指摘のような鞣成関係の、特に零細な方々の業態というものはどうなっていくかということにつきましては、これは実は軽工業局の方でも非常に心配をしておりまして、いろいろ組織の点にも今ちょっとおっしゃったように比較的大きいところと小さいところとの調整の問題等もあるのじゃないかと思いますが、そういう点は今原局の方で対策を研究中でございますが、まだここで申し上げる段階に至ってないと思います。それから中小企業庁といたしましても、そういう点は非常に心配をしておりまして、実はけさの閣議で決定になったわけでありますが、中小企業業種別振興臨時措置法というようなものを用意いたしまして、特に貿易自由化のあおりを食うような中小企業等につきましては、少し早目に業種別にその中の大企業と中小企業の関係、あるいは皮革等の場合も製品の関係あるいは輸入業者との関係、そういう関連業者との関係をどういうふうにしたらいいか、それから業者自身が経営のやり方をどういうふうにすればいいか、あるいは労働問題、あるいは設備の問題、技術の問題等を総合的に取り上げまして、それを審議会にかけまして、この改善をはかっていくということをやろう。これは世間では非常になまぬるい法律じゃないかという声もございますが、今申し上げましたように、業種別に問題のある業種を取り上げまして改善事項をきめて、それを政府と府県等が中心になりまして、関係の組合、団体等を指導いたしまして実行していくわけでございますから、それに必要な調査あるいは通産大臣の勧告というようなところまでは今度の法律に書いてございます。そういう業種として今はっきりしたことは申し上げられませんが、一応皮革等もその中に取り上げていくべきじゃないかというふうに事務的には考えております。いずれにしましても、そういう問題があるということは承知しておりまして、軽工業局の方で鋭意対策を研究中でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 実は秋山軽工業局長が、いわば戦時中の皮革、ゴム等の関係のエキスパートでありますが、戦時中も、膨大な軍の需要に応ずるために勢い大企業中心の統制が行なわれたわけであります。秋山さんが軽工業局長であるというだけに、戦争中に苦しい経験をなめた部落関係の零細な皮革関係の業者はその点を非常に心配しておるわけであります。具体的な自由化に対する対策として、中小企業、零細企業についての対策を特別に考える法律ができるということになりますれば、皮革関係のものをぜひ入れていただくことと、それからこの点につきましては輸入の問題でありますけれども、過去の輸入の実績本位ということになりますと、これらの零細企業者は勢い原皮の輸入にあずからない、自由化という美名のもとに結局また部落の零細業者がやられてしまうということになるので、その点は特に中小企業庁の方でも関心を払っていただきたい。それから同時に、影響するところは製品です。皮並びに皮製品、これの輸入が同時に自由化されるということになるかどうか。これは軽工業局でないとわからないかもしれませんけれども、こういうことについても関係業者が相当多いわけです。その意味で心配をしておりますので、その点についてはあらためて御答弁を求めませんけれども、そういう要請のあることを、関係の部局と御相談願って、特にこの内閣の重要な施策として取り上げました同和対策の一環として、そういう問題をお考え願いたいということだけを申し上げておきたいと思います。  それから、法務省の人権擁護局長がお見え下さっておるので、これはこの前も実は法務委員会でありますか、鈴木さんにもお伺いしたのでありますけれども、人権擁護局で取り扱いまする人権侵害の問題として、部落差別に関する問題は、現在数字的にはどういうようになっているか、もし手元に資料をお持ちでございましたら、お答えを願いたいと思います。

鈴木才藏法務事務官(人権擁護局長)

○鈴木(才)政府委員 私の方で人権侵犯事件として取り上げました事件、これは差別待遇を受けたという人の申告、あるいはそういう問題に関する新聞情報によってキャッチしておるわけであります。昨年度においてはそう多くございませんで、わずか五件くらいの程度でございました。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 私らの方でも実は指導いたしておるのでございますけれども、やはり部落差別に関連した人権侵害問題というものはたくさん起こっておると思うのです。私らの部落解放同盟の本部には、ほとんど毎日一件ぐらいずつは、新しい差別事象としての問題が全国から報告がきているわけです。ほとんどそれはやはり誤った差別意識というか、ただ単なる観念ではなしに、現実に差別の実態があるところから起こってくる問題でありまするけれども、問題が出てきておりますので、私らの方はもよりの法務局の人権擁護部等へ、問題が起こったときには、これは擁護局として取り上げてもらえるもらえないにかかわらず、問題を持ち込むようにという指導を実はいたしておるわけです。三十四年度において五件程度だということは、私非常に少ない数だと思うのです。この問題は私、従来からも言っているのですけれども、憲法に保障された人権の侵害の一番悪質な問題だというふうに考えますので、地方の擁護部等に積極的に——ただ新聞等で問題が起こったというときに手がけるという形じゃなしに、解放運動団体であるとか、同和運動の団体であるとかというものと密接な連絡をとられて、この問題を法務省の人権擁護局の立場においても根絶するように積極的にやっていただきたいと思う。  そこで、もう一つ伺いますけれども、これは一昨年でありましたか、鈴木さん就任間もないときに、私法務委員会で取り上げた問題ですけれども、例の広島県の尾道在で起こりました結婚誘拐罪に関する問題、実はこれは最高裁に係属されたまま、現在まだ最高裁の最後の判決がないわけです。最高裁へ上告をいたしましてから、すでに本年の来月になりますと、もうまる三年を経過するのではないかと思うのであります。和田君という被告でありますけれども、そういう関係でこれは結婚するわけにもいかない。私は、これは重大な人権問題だと思うのであります。これは人権擁護局から最高裁の裁判の推進をやるわけには参らないと思うのでありますけれども、しかしあのとき私は実は、広島の法務局の人権擁護部から、人権擁護局長の方へ御報告が参っておるはずだということを伺ったわけなんです。そのことについては、私もその後法務委員会に出ないものですから、報告を実は聞いておらないのでありますけれども、一審、二審の関係におきましては、広島の法務局の人権擁護部が非常にこの問題に関心を持ちまして、また警察等の取り調べの段階について現に争っているのは、検事の起訴状の中に露骨な差別的な文章があって、一審の終結まぎわに、検事の方からその差別的な文章を削除しておるという実はいきさつがあるわけなんです。そういう意味でわれわれは最高裁で無罪の判決の出ることを確信しているわけです。それにしても、こういう形で係属していることで結婚もできないというようなことは、これは二重な人権侵害の問題になると思うのです。この問題については、一審、二審当時、広島法務局で調べた関係もありますし、現在最高裁の審理の状況も、役所間の正式な連絡としてもお調べ願うことが可能だと思うのであります。これは重大な人権侵害を重ねて行なうような形になるという意味において、最高裁の方との連絡をとって具体的な行動の点については擁護局の自主的な立場でけっこうだと思うのでありますが、問題がまだ未解決にあるということを指摘して、善処を願いたいのでありますけれども、いかがなものでしょうか。

鈴木才藏法務事務官(人権擁護局長)

○鈴木(才)政府委員 できる限り最高裁の事務局とも打ち合わせまして、事件が早く推進されるように要望したいと思います。  それから先ほど事件が五、六件と申しましたが、決してそれのみではございませんで、私どもの関係機関も、各県のこういう問題の委員会の委員として出て、いろいろその委員会と連絡しつつやっております。また全国各地方に七千名ほどの委員がございますが、こういう方も、差別観念の解消につきましてはいいろいろな方法で——その方法にはいろいろ困難な点もございますが、啓発活動を推進しているので、この点は御了承願いたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 なお具体的には、栃木県で部落の娘さんと一般の青年との間の恋愛問題から発展した殺人事件でありますけれども、実は大体殺人の容疑者の目星がついているわけなんですが、それがほんとうにあがらない。そういうことで警察、検察庁段階における非常に不明朗な問題として問題があるわけなんです。そういうようなことが幾つか実は具体的にあるわけでありますけれども、先ほど申し上げたように全般的な問題だけを要望して、そういう具体的な問題については、いずれ別の機会にお伺いをすることにいたしたいと思います。  それから自治庁から財政課長がお見え下さっておられますが、昨日辻原委員が質問をいたしました三十四年度の同和対策関係の特別交付金の配分は、具体的にはいつごろになりましょうか。その日時、時期の問題を伺いたいのです。それから過去三十三年も三十二年も出ておったと思うのですが、これは今すぐでなくてよろしゅうございますから、おわかりになれば町村までの配分、具体的な町村が組んでいる予算とにらみ合わせて各府県に配分をまかせておるということでありますけれども、どういうように各町村へ配分したかということをもし自治庁で集められておればその関係をも含めて、それが不可能であれば各府県へ配分した部分、三十二年度と三十三年度、これを一つ資料として出していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。

松島五郎総理府事務官(自治庁財政局財政課長)

○松島説明員 三十四年度の特別交付税は二月中に交付いたすこととなっておりますので、一両日中に決定をいたしたいと考えております。なお三十二年度、三十三年度におきます特別交付税におきましては、市町村分としましては三十二年度七千六百万円、三十三年度一億七百万円でございます。本年度は一億四千五百万円程度の予定をただいまのところいたしております。各県別市町村分につきましては、県別までは資料として差し上げられると存じますけれども、さらにその県内における市町村別ということになりますと、膨大な数にも上りますし、三十二年当時のものは書類も整理してあると思いますが、ちょっと資料として直ちに差し上げられるかどうかはわかりませんが、帰りまして調査いたしました上で、できるものにつきましては調製をいたしまして配付いたしたいと考える次第であります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 その点は市町村の分がもしわかりましたら出していただきたいと思います。府県別の分だけでも資料として三十二年、三十三年、それから二月中ということになると、いずれここ両三日中だろうと思いますが、それも各府県別のものがわかりますれば一緒に資料を出していただきたい。それをお願いしておきたいと思います。それからその出し方の問題についても私意見を持っておるのでありますが、これはもう昨日辻原君からも指摘されておったことでありまして、私はまた別な考え方を持っておりますけれども、別の機会に担当大臣に御質問をすることにいたします。  ここでまだ農林省関係も御出席をいただいておるので、同和対策について伺いたい点もありますけれども、ほとんど午前中私が時間をとってしまったような形で、同和対策の問題は一応これで打ち切りまして、もう一点だけ厚生大臣に伺いたいのでありますが、国立病院の地方の病院あるいは療養施設について新しく統廃合する点を考えておられるのかどうか。それと今度の特別会計で、この間実は大蔵省の方から間違いだからということで正誤をいたしてきておるのでありますけれども、積立金から二億円をとりくずして施設の整備に振り向けられるように予算が組まれておると思うのです。これを雑損に入れていたのを、施設の整備に振り向けるのだから雑損ではないから、資産勘定の方に入れるべきのを間違っておったのだ、こういうことで訂正が来ておるのでありますが、それなら二億円の関係で施設の整備をやられようというのは、具体的にどことどこをやられようという考えでありますか、この際伺いたいと思うのであります。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 特に和歌山病院のことのようでありますが、これは医務局長が見えておりますから、医務局長から答弁いたさせます。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 さきに御質問ございました国立病院、国立療養所の統合などを考えておるかという御質問であります。御承知のように国立の病院や療養所の施設は、終戦後主として軍の施設をそのまま受け継いだものでありますから、地方の医療需要の面からいいましても必ずしもマッチしていない。場所にいたしましても、あるいは数にいたしましてもマッチしておらないのでありますが、しかもその上にどんどん地方でなかなかりっぱな病院ができておるところも多うございまして、国立病院、療養所の中でも利用率のだいぶ悪いのが出てきておるわけです。そういう点から考えまして、ことに療養所が御承知のようにだんだんベッドの利用率が減って参っておるものでありますから、先般の行政管理庁などの御指摘もありましたように、ベッドの利用率の悪いものはこれを他の施設に転換するとか、あるいは統合するとかいうようなことが適当であろうということでございます。そういう点から考えまして、国全体で一般病床が多過ぎるとか、あるいは保養所がもっと少なくてもいいのだということは、なかなかむずかしい問題でございますけれども、地域的に見まして利用率の非常に悪いようなものはこれをよく検討して、今申しましたように他に統合するとか、あるいはほかの施設に転換するとかいうことを今後も考えていかねばなるまい、こういうように考えておるのでありますが、これは地方の事情をよくにらんで慎重に今後やっていきたいと考えておるわけであります。  それからその次の御質問の積立金から二億円くずしておるが、これはどういうものに使っておるかということでありますが、御承知のように一般会計の方から本年度も十四億八千万円ほど繰り入れてもらっておるわけであります。従ってこの繰り入れの一部としまして積立金を二億ほどくずしまして、特別会計自体としましてもその足らない面に当てたというわけでございまして、特にこれを何に使ったというふうには必ずしもきめてくずしたわけでもございません。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 一般会計からの繰り入れに十四億、それから積立金からくずした二億円を含めて、合計十六億何がしというものが、今度国立病院関係における施設の整備に振り向けられるということになると思うのですが、具体的にそれが大まかにいってどういう方面の整備に向けられるというようなことは示さないのですか。ことに雑損に現在の予算書はなっておるのでありますけれども、それは間違いで、施設の整備に向けるのだから資産勘定に入れるべきだ、それが間違いであったということを大蔵省の方から正誤で訂正を求めてきておるわけなんです。そういう状況から見て、どうも片一方では、先ほど大臣は事務当局からお答えさせるということでありまするけれども、去年から問題になっているうちで、和歌山病院の廃止等は強行されようとしている。一面今伺えば積立金からの二億の取りくずし、あるいは一般会計からの十四億の繰り入れ等で、ほかの地区の病院は整備される。国の医療設備を何も持たない和歌山地区で、最近は商工会議所を中心にして労災病院の誘致等の運動もいたしておりまするけれども、御承知のように和歌山の国立病院の近くには、住友金属が八幡製鉄と同じあるいはそれ以上の規模のものを作って、住友だけでも人口五万の都市ができるという。そういう膨大な人口の増加を見込まれる地区にある病院を——これも確かに軍の施設でありますが、それを廃止してしまおう、こういうようなことをやられることは、いかにも僕らが特別会計に反対したにもかかわらず独立採算制を強行している結果、今言うように採算の合わないところはやめていくという、厚生省も商売気を出している感じがいたすのであります。私はちょっと矛盾するので伺っておるわけでありますけれども、もう少し具体的にお答え願えませんか。

岩尾一大蔵事務官(主計官)

○岩尾説明員 大蔵省の岩尾でございます。今の前段の御質問にちょっと御訂正をしたいと思います。先生の方で先ほど医務局長から御答弁のありました十四億の繰り入れと積立金の二億で十六億の施設整備費があるというお話でございますが、これは先生のお手元の予算書にもございますように、施設整備としては十一億ということで計上いたしております。今申しました一般会計からの繰り入れは大半施設整備に回ることになりますが、全体としては一般会計からの繰り入れ並びに積立金の取りくずしというものを、国立病院の診療収入と同じように歳入として受け入れまして、あとは歳出で御審議を願っておりまするそれぞれの費目に充てるということで、施設費としては十一億であります。  それから正誤の問題は、大蔵省といたしましては原案自体も雑損ではないようになっておりまして、係のミスでございまして、施設整備というよりは、従来そういう決定をいたします過程におきまして、予算書を出すまでの議論といたしましては、積立金より取りくずすということ自体を雑損に計上した。施設整備として計上したのじゃなくて、積立金からの取りくずのを雑損に計上した、これは誤りでございますのでこれを直した、こういうことでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 その予算上の関係、十四億と積立金の取りくずしの二億で合計十六億という算術的な数字が、全部施設整備に回るわけじゃないということはわかりますけれども、それにいたしましても十一億何がしの莫大な施設整備費を使っている反面、端的に言えば和歌山の療養所のような、これはもう先年廃止をきめた形でありますけれども、地元からの執拗な存続運動の中に、大阪の医務局の出張所が地元のそういう要望をむげに振り切るわけにいかないから、現在まだ存続しているという形になってきていると思う。ところが昨年も私取り上げましたうちで、福岡県の筑紫の分院でありましたか、そのときには坂田大臣の時代でありますけれども、これは取りやめになったように私は聞いている。山口県の埴生の療養所も、和歌山と同じように廃止する運命にありましたけれども、私が取り上げたときの言葉で、そういうようなものも存続しているように聞いているのです。ところが一つ和歌山だけが、依然として厚生省の方はこれは廃止するのだ。それで和歌山の市会が開かれ、県議会が開かれるたびに、あそこの職員並びに入院患者等が、現在入院者が八十何名じゃないかと私も見ておりますけれども、これらのからだの不自由な諸君が、病院の存続のために県議会や市議会へ傍聴に押しかけ、陳情に出かけている姿を見ると、この予算の審議の過程で、私は積立金がほかにもあるのだろうと思うのでありますけれども、そういうようなものを取りくずして施設の整備に振り向ける積極的なものをとりながら、片一方では廃止を強行していくというようなことは私はちょっと矛盾すると思うのですが、その点でこの十一億の施設整備ということの内容をもう少しはっきりさせていただくわけにはいきませんか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 和歌山病院は、御承知のように非常に立地条件も悪いわけでありますし、施設も悪い、従来やはり利用率も低い、あるいは飲料水もよくないというような、こうした病院として今後存続するには不利ないろいろな条件があるものでありますから、これを廃止することにきめたわけでございますけれども、決して今おっしゃるように採算がとれないからこれを廃止するというような考えは持っておりません。やはり将来とも県の事情なんかをよく考えまして、国は国とし、また県は県とし、その他私設の病院などの整備などにつきましても総合的に今後考えていきたいということでありまして、決して消極的な態度でこれを廃止するというようなことは考えていないわけでありますから、その点は一つ誤解をなさらないようにしていただきたいと思います。  それから国立病院の整備費が十一億六千五百七十八万四千円ございまして、その中の六億五千七百七十五万一千円、これが東京第二病院、それから岡山病院、福岡病院、これを基幹病院といたしまして、継続的に年次計画をもって整備をいたしておるわけでございますが、この基幹病院の整備費で、今申し上げました六億五千七百七十五万一千円というものがこれに充てられるわけでございます。その他の一般病院、基幹病院以外の病院の整備費が三億八千四百一万六千円、こういう関係になっておるわけであります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そういたしますと、一昨年来から廃止する、統合するという計画以外に、新規に本年度になってやめるというような計画のところは、ほかにございませんか。

川上六馬厚生技官(医務局長)

○川上政府委員 従来考えておりました線以外のところは、今廃止するという考えは、現在は持っておりません。  それから先ほど埴生を残しておるというようなお話でありますけれども、これも従来の方針で廃止することにいたしておりますので、着々その方針で、近く廃止の運びに至るであろうと思っております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 やはりこの内閣の一枚看板である福祉国家を建設する、確かに国民皆保険が三十五年度中に実現すれば、医療についての体制ができるようになる。しかし採算を度外視して、もっと国直接の医療内容というものを充実していくことが、私は厚生省の医療行政の中心でなければならぬと思うのです。そういう点から、基幹病院等を整備されることも、私はけっこうだと思うのです。しかし和歌山の病院であるとか、あるいは山口県の埴生の療養所というようなものも、これは方針をきめたのは、私の承知しておる限りにおいて三年にもなると思います。それがやはり地元関係者の強力な反対があるから整理できない。和歌山病院が交通不便だといいますけれども、大阪と和歌山との間に第二国道がつくときには、あの病院のそばを通るのです。現在そういうことになっておる。それから多奈川町から加太町へ向けて観光道路がつくということで、すでに和歌山県境に向けて工事が進んでおるのです。もともと和歌山の二十四部隊のあとに、これはもちろん軍の施設を改造したのでありますけれども——そうして療養所、分院のような形に、現在の加太の深山の病院がなったわけです。ところがその和歌山市内にあったところを処分してしまって、その金は聞くところによると田辺の病院の整備に振り向けてしまって、一応交通の便が悪いという深山に押し込んでしまって、今度は利用率も少ない。あそこへ入っているのは七〇%は生活保護の適用者だ、そういうような関係でいけば、設備も整えないし、病院にも専属の院長も来ないで、田辺病院の院長が腰かけで兼任でおる。そういう形で、つぶれればつぶれるように仕向けるからそういうことになるので、私はこれはほんとうに厚生省としてやらなければならぬ、どんなに保険制度が充実しても、医療についてはほんとうは私らの立場から言えば、医療の国営化が、ほんとうの理想の形だと思うのだ。そういうところにたまたまああるところの病院をだんだん押し詰めていって廃止してしまうというような考え方は、私は根本的に間違いだと思うのです。厚生大臣、これは一つ新たなる観点に立って、あの地区は先ほども申し上げましように、住友金属の拡張工事のために人口五万の新しい都市ができるというような情勢の中にあるわけなんです。その意味でやはりあの中心において新しく労災病院を建てるということになれば、開業医が反対をしてなかなか実現をしないのです。従って、現在あるものについては、そういう意味でもっと思い切って、大阪方面から観光のために大ぜいの人がくる風光明媚なところだし、環境は決して悪くありません。交通の便だってだんだんあそこがよくなってきている。和歌山県だけでなくて、南海線の大阪府下からもどんどんこの国立病院に世話になろうという人がふえる情勢の中に、これの廃止はむしろ時代に逆行すると思いますが、根本的に考え直してもらうわけにはいきませんか、厚生大臣。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 国立病院の整備ないしは統合の問題につきましては、先ほど医務局長から申されましたように、立地条件やあるいは利用率あるいは施設あるいは飲料水等の関係上、私どもはこれを廃止するというよりも、また作らなければならないところには、どうしてもこれは作らなければならない、かように考えておるわけでございまして、特に今和歌山病院の実態につきましては、私も明確に存じていないのでありまして、よく事務当局とも話し合いまして、その上におきましてはあらためてまた考慮いたすことといたします。

床次徳二自由民主党

○床次主査代理 木原津與志君。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 時間がありませんから、簡単に大臣に質問します。今年度予算で原爆の障害対策につきましては、新たに医療の範囲を拡大し、さらに医療手当、交通手当といったようなものを含めて、七千三百万円を増額ということになっております。満足なものではありませんが、一応この程度だけでも予算の増額になったということは、原爆被害者、関係者は、大へん喜んでおることだと思うのでありますが、ただ大臣に私はぜひ今後のこともございますので、要望などいたしておきたいと思うのでございます。  そもそも現在の医療法ができました、あの三十二年の鳩山内閣のときに、私は時の厚生大臣神田さんに対しても種々進言いたしたことがございますが、当時から原爆の関係者と国の当事者との間に原爆の治療援護というような問題について根本的な考え方の違いがあったのであります。従いまして、現在の岸内閣における厚生大臣であるあなたが、原爆の治療、あるいは遺家族その他の援護という関係について、基本的にどういう考え方を持っておられるか、まずあなたのお考えを聞きたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 原爆被爆者に対しましては、われわれは今できるだけ考慮をいたしておるわけであります。それでありまして、今年度七千万円ばかりの予算も最大努力の上とったわけでございましたが、私どもはさらにこの内容につきましては、医療手当の支給であるとか、あるいは原爆症の認証等につきましても、都道府県知事と——都道府県というと広島、長崎でありますが、よく相談をいたしまして、そうして原爆被爆者医療審議会等の意見をできるだけ尊重いたしまして、そうしてこれを運営していきたい、かように考えておるような次第でございます。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 当時、神田厚生大臣はこういうことを言われた。原爆の対策、原爆被害者及び遺家族に対する対策は、まず医療を通じて、そうして漸次援護の方に発展していくということをおっしゃっておる。私は当時、それならば、医療だけでは完全なものではないから、原爆被害という特殊な形のものであるから、これはもうすみやかに徹底的な援護を要求する。だから、援護のための措置を急いで、早急にやってくれということを、当時申したのであります。ところが、私どもは、当時の考え方として、三十二年にあの医療法の制定がありましたから、少なくとも二、三年後、三十五年ごろにはこれがわれわれの要望する、あるいは広島、長崎の原爆被害者が満足できるような、徹底的な家族補償、あるいは障害補償という点に至るまで、徹底した援護の完全な措置が、今年度こそできるものだということを期待しておった。特に御承知のように、三十五年度は、あなた方の計算によりましても、日本の経済が非常に上向いてきて、しかも二千数百億の税の自然増収があるというようなことを言われておるのでありまするから、この機会にこそ、徹底的な援護措置が行なわれるものだと期待しておったのでありますが、その期待がわずかに七千万円程度の交通手当、医療手当というようなものでこれがすりかえられてしまったということに対して、私どもは非常に失望の感があるわけです。なお今年度といわず、あるいは来年度の予算においてでも、さらにこの問題について予算の増額が期待できるか。そうしてその上で、徹底的な援護措置への新しい踏み切りを厚生省がすることができるかどうか、大臣の御決意を承りたいと思うのです。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 援護手当につきましては、先ほども申しましたように、できるだけ私どもはこの援護措置を講じていきたい。今年度におきましては、いわゆるこの認定患者につきましては、月額二千円の範囲内におきまして、認定医療を受ける期間中、医療手当を支給する、あるいはまた交通手当をも支給することと、こういうふうに措置を講じた次第でございますけれども、まだいろいろな御意見等もございまするので、目下できるだけ範囲を拡大いたしまして、あるいは増額をいたしますることにつきまして検討中でございますが、詳細につきましては、公衆衛生局長から説明いたします。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 三十五年度のこの原子爆弾被爆者の医療法に関する拡大のまず中心といたしましては、従来、原爆に直接基因しておりました患者を保護するということで、進んできたわけでございます。原爆を受けた者で、手帳交付者は約二十二万人ございますが、まだこれらの中で一向これの恩恵を受けておらない、しかも体位が低下して、ある程度どうも関連したための健康障害がある、それにまず手を伸ばすべきであるということになりまして、いわゆる関連の疾病につきまして、この被爆者の中から一定の条件の者にすべてこの法律を拡大いたしまして、見よう、これに最重点を置いたわけであります。  それからいま一つの問題といたしましては、直接基因しました白血病その他のいわゆる原爆症というものが、毎年約三千名認定を受けて保護を受けておりますが、同様のものでありながら、やはり入院するといろいろな諸雑費等もかかる。そのために入院したくてもしない者があるということでございますので、これが入院しやすくなりますように、月々その認定の医療の期間に二千円を、その医療に必要な経費といたしまして見る、こういうことによりまして、従来原爆症患者でこの法律による保護の機会を失しておった者を救済していく、なおして差し上げる、この二点を一番最重点にいたしまして、これに伴いまして、さらに、健康診断を受けずに放置しておる者が、診断を受けに行くための交通の費用さえないという者もあるやに聞いておりますが、これの調査をいたしまして、それに必要な往復の経費を見る、こういうようなことを今般やりまして、しかもこれは今回法律の改正をお願いしておりまするが、実は今年の七月からの九カ月分の予算になっておりますのがこの七千万円の増額でございますので、翌年からむろんこれは一年を通じますから、これは十二月になるわけで、今までの三年間の実績によりまして、一番重点的に必要なところにさようにいたしましたので、将来はこの新しい拡大によりましていろいろまた必要性がはっきりいたしてくれば十分考えてみたい、こういうような予定にいたしております。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 被爆者そのものの被爆による治療あるいは健康管理、こういったようなものもけっこうであります。しかし問題は、安んじてその被爆者がこれを治療することのできるような環境を政府が措置してやらなければできないのです。たとえば病気で工合が悪い。それにもかかわらず治療するということになれば、あるいは就職の問題が起こってくる。あるいはその期間中の家族の生活の問題が起こってくる。こういったような問題が起こってくる。それに対する措置がなされないために、悪いからだをそのままかかえて病院に行くこともしない。徹底的な治療もしない。そういう間に病勢が悪化して、突然死亡するというような悲惨な事態が、長崎や広島その他で起こっておるのであります。問題は、この医療の手当あるいは交通費ということも、これはやられることは当然でありますが、なおこれに対しまして、その期間中徹底的な治療をやるだけの医療の手当、すなわちこれは家族の生活の保障というようなものを、これは今後は徹底していただかないと、ただ患者そのものに治療しろ、治療しろ、治療費は国で持つんだからと言うても、徹底できないのです。そこのところを私どもは援護の措置を完備してもらわなければ、治療はできないんだというのでございます。その点についてもっと積極的な政府の助成の措置をお願いしたいのですが、そういうことはできないものかどうか、それをお聞かせ願いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 三十五年度は、先ほども大臣並びに私から御説明申し上げましたように、医療中心にいたしまして、医療をできるだけ完璧にする、あるいは健康管理という面からこれを充実していく。こういう拡大政策をとっておるわけでございます。ただいまの先生の御意見の原爆の被爆者の生活、福祉、就労問題いわゆる生活全般の福祉ないしは保障という問題をどうするかというお話でございますが、現在のところは、そういうような一般の福祉保障の問題につきましては、他の国民と同じように生活保護法なり、あるいは就労者につきましては、それぞれの保険によりまして、病気になれば休業手当を出すというような形で、並行してそちらの方でやっていくということになっております。これを別個に取り出しまして、被爆者全般に新しい形で、全然他の一般国民と隔ててこれらの福祉保障の方法を広く考えていくということにつきましては、いろいろと検討中でございますけれども、何といいますか、特別な形で、広い援護法に現在あります医療等に関する法律の範囲で変更するということは、現在のところはまだ結論に達しておりませんので、さような点で御了承願いたいと思います。     〔床次主査代理退席、主査着席〕

木原津與志日本社会党

○木原分科員 問題はその点なんですよ。私があなた方にもいつもお話するし、さらにまた大臣のお考えも聞きたいのは、その点なんですよ。いつも、今あなたのおっしゃった点で、今日まで十何年間、原爆の被害者の関係者と国とが対立してきておるのです。そもそも原爆被害者、あるいは被害の関係者の人たちの治療、援護というものの考え方と、あなた方との考え方が根本的に違うのです。と申しますのは、原爆の被害者は、当時戦争にいって、国と国との交戦で戦病死をする、あるいはたまに当たって死んだという人たち、あるいはその人たちの遺族という関係と、この原爆によって死亡し、あるいは原爆によって傷害を受け、そうして苦しんでおる人たち及びその家族との関係は、根本的に違うと思うのです。直接戦闘に従事して病死をしたり戦死をしたりといったような人たちは、権利として国に対してその補償の措置を要求することができましょう。しかし戦闘員じゃないのです。何の罪もとがもなくして、国際法に違反した原爆投下というアメリカの非人道的な行為によって、また、あなた方も御承知と思いますが、その当時避難の措置を国家が何ら講じておらないで、無警告に無防備の状態の中で広島、長崎は被爆したのですよ。三十数万の人たちが被害を受けているのです。これはアメリカの非人道的な国際法違反の行為によってこうむった被害でございまするから、これは当然アメリカに対して、被害者並びにその遺族は被害についての損害賠償の請求ができ得るわけなんです。それをアメリカに対して損害賠償ができぬようにしたのはだれかというと、日本の政府が、当時の吉田内閣がやったんです。というのは、広島市民や長崎市民として、アメリカの不法行為に対して当然損害賠償の請求権を持っているのを、講和条約のときに政府が、一切の損害賠償の請求をやらないといって放棄してしまったんじゃないですか。こんなむちゃなことはないです。政府が市民のアメリカに対する損害賠償の請求権を放棄したら、放棄したということは政府がアメリカにかわって、被爆者に対して責任を持って損害賠償としての補償をやるという趣旨なんです。そうでなければ、人間が個人的に持っている不法行為に対する損害賠償請求権を、政府が勝手に放棄することはできない。それを講和条約のときにやったんだ。だから被爆者は、アメリカに対して損害賠償の請求をするのをかわって国に対して当然請求できる。ここが普通の戦病者、戦闘行為に従事して死んだり、あるいはけがをしたりした人たちの国に対する補償の請求と、原爆の被害者並びにその家族が国に対して援護してくれということと、根本的に性質が違うところです。だから戦争の犠牲者に対して国が補償するのはこれは当然だが、この原爆の被害者に対する補償はより以上当然のことじゃないか。国がアメリカに対する請求権を放棄したからこそ、アメリカに対して損害賠償の請求ができない。その賠償を国がかわってやるのだから、これは徹底的な補償でなければならぬ。損害に対する一切の賠償でなければならぬというところに、この被爆者の国に対する要求の趣旨があるのです。これを厚生省に行って何べん言うても、歴代の厚生大臣はここのところを聞かないのです。そこで私は大臣に初めて意見を述べて要求をするのですが、そういう趣旨に立ってのこの被爆者の要求を大臣はどう考えられるか。はたして私の言うような趣旨をくんでいただけるかどうか。もしくんでいただくということになれば、この予算はまことに少ない。ことしはやむを得ぬとおっしゃるならば、来年度からもっと大幅な予算を組んで、そうして原爆の治療の人たち、あるいはその遺家族の人たちに対して、損害賠償としての意味における予算の措置を講ずる決意があるかどうか。大臣の御決意と御所見を承りたい。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 先ほども申し上げました通り、われわれはこの治療者の範囲の拡大と申しますか、金額の増額でやろう、かように申し上げたわけであります。あなたの申されるところの御意見には全く賛成でございます。そこで今年度はいわゆる財政上の措置といたしましてようやく七千万円、全額国庫負担という形におきましてこれをやったわけでございますが、しかしこれも限度のあることでございまして、ある一定の所得以下の方々に対しましては二千円の生活手当、あるいはまた健康保険とか社会保険で見られない方方に対してはいわゆる医療費を国で負担する。これは私ども漸進的にかような施策をとったわけであります。来年度はさらにまた御要望の線に沿いまして努力いたしたいと思っておる次第であります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 原爆被害者の補償について私どもの考え方に賛成だとおっしゃった。歴代の大臣でそういうことをおっしゃった人はあなただけです。私は敬意を表します。そこでそういうことになりますと、原爆患者の医療の拡大あるいは援護措置ということだけで終わるのでなくて、そうなれば、原爆で死んだ人たちに対する何らかの見舞金、あるいはそれらの人たちの遺族に対する扶助ということも、国が一切の損害を賠償するという形の上から、当然国として措置しなければならないと思うのでございますが、将来の予算措置においてそういうようなこともなされる気持がおありであるかどうか。さらにこの点については、すでに戦争犯罪人に対しては恩給が支給され、遺族の扶助料も給付されておるという現状の中でございますから、これは政府の御決意いかんによって簡単にできる問題だと思いますが、そういった戦没遺族と同じように、原爆被害者の遺族に対しても年金なりその他の扶助料の措置によってこれを慰謝するお気持がありやいなや。その点を重ねてお尋ねします。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 戦争の犠牲者というのは非常に多うございます。原爆以外にも空襲等を受けましていろいろな被害を受けた人たちというものは非常に多いのでございまして、原爆の遺族に対しましてのみこれを考えるということは、今ちょっと私どもの方では考えておりません。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 それでは大臣のさっきのお答えとはちょっと違うのです。空襲で被爆したというような人たちもたくさんあるからやれないということでございますが、その空襲で家を焼かれたりあるいは死んだというような人たちが国家に対して請求するのと、原爆の被害者が請求するのとは、性質が違うのだとさっき言ったじゃありませんか。空襲で被害を受けた人たちは、これは国家に対して何がしかの補償をしてくれという要求なのです。しかし原爆の被害者は、先ほどから私が言いましたように、アメリカの不法な国際法違反によって引き起こされた被害であるから、当然これはアメリカに対して全部の、有形、無形の損害の賠償の請求ができる。それを政府の行為によって、損害賠償の請求を一切放棄するということを講和条約で言ったがために、この被害者はアメリカに対して請求ができなくなった。そのためにその損害賠償の義務をアメリカに肩がわりして政府が負担をするのだという趣旨でありますから、全然一般の戦没者あるいは空襲の被害とは性質が違うのだ。一般の被害者はアメリカに対する損害賠償の請求権はありませんよ。国と国とが戦争しておるのですからね。戦闘行為によって引き起こったのですから、敵国の政府に対して損害賠償の請求はでき一ないわけなのです。しかし原爆の被害者だけは当時の敵国であるアメリカに対して損害賠償が請求できるのです。それをできないようにしたのは政府だから、その損害賠償の請求権を政府が肩がわりするという立場に立って完全な補償をせよというのが、この原爆の被害者の要求なのです。そうなれば、これは当時の被爆者に対しまして、弔慰金なり、あるいはその遺族に対する損害賠償としての補償措置、あるいは年金というようなものを、当然政府として予算措置化されるべきだということを私は期待するのですが、もう一回合の点についての大臣の所信を伺いたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 私は原爆被爆者の範囲と今度の予算措置についての増額の問題を申し上げただけでございまして、そういうふうにあなたの御趣旨を尊重して明年度も私どもは考慮をいたしたい、今年度は昨年よりも、ちょっとばかりでございますけれども、あなた方の趣旨に沿いまして、御要望によりまして、私が措置したわけでございますので、詳細のことについては、また事務当局からお答えをさせたいと思います。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 私が国家補償の性質が全然違うのだということを言ったのに対して、大臣もそうだというお答えがあったものとばがり思ったものだから、あなたに対して私は敬意を表すると言ったのだけれども、そういうことでないという御趣旨で、ただ予算増額だけをやるということだったら、私はさっきあなたに敬意を表すると言ったのは取り消しますよ。私は、神田大臣や鳩山さんたちよりも、よほどあなたは考えがわかっていると思って敬意を表するという言葉を使ったのだけれども、それはちょっと保留しなければいかぬですな。なお現在の予算についてもわれわれは満足いたしませんから、一つ来年度から予算の増額だけはせっかく努力して、完全な補償はできないかもしれぬけれども、よりよく一歩一歩前進してこの治療あるいは援護についての完璧を期せられるよう切にお願いしておきます。  そこでさらにこの問題で一番困るのは、治療をやるにしてもこれが遺伝をするというようなことも言われておることです。そこに非常な人道上の問題なんかも介在するのです。ところがこういったものに対する治療あるいは調査というものは、まだ国自身として何ら政府機関が責任を持ってやっておらないのです。主としてアメリカから来ているABCCとかいう実体のわからぬ人たちが来て調査研究をするというようなことになっておる実情でございますが、これに対しても、原爆の患者あるいは関係者、被害者、こういった人たちは国の冷淡な措置を非常にうらんでおるような実情です。そういうような点から考えまして、この根本治療あるいは遺伝の予防、こういった患者が一番心配していることに国として根本的に対策を立てあるいは措置するという意味において、原爆症の医学的調査研究機関あるいは治療機関というようなものを国が予算措置を講じて設置してもらいたいというのが地元の切実な要望なのですが、これについて将来そういう施設をお作りになるお気持があるかどうか、その点をお伺いします。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 研究と現実に医療を専門にやる医療機関と二つの御質問でございます。研究につきましては研究所というようなことも考えられますが、従来原爆被爆者につきまして、厚生省に置きました連絡協議会で長い間これの研究成果を取りまとめて、改善につきましていろいろ進めてきた経験等から見まして、従来すでに経験を持っておるところのそれぞれの研究をより伸ばし、これを連絡調整いたしまして総合的な成果を上げるというのが一番効果的であります。ぽつんと新しいものを作って、そこに新しい人を集めて研究するといいましても、これは急速には能率も上がらぬということで、そういう建前から、厚生省並びに科学研究費、あるいは放射線医学研究所というような、これと従来非常に関係の密な研究費を国費で、所管はそれぞれに属しておりますが、これをつけまして、これは全額では相当な巨額になりますから、それぞれ従来の経験を生かして研究を助長していく。ただしそれをやりっぱなしであるといけませんから、年間研究発表会も昨年からいたしておりますが、こういうような形で相互に総合的にこれを活用していく、こういう形で研究問題は今後も進めていきたいというふうに存じております。今のところ科学技術庁が科学研究の中心の省でありますが、この原爆に関しましてはわれわれの方からプランを出しまして、毎年各省でこの中で必要な予算をつけることになっております。それから医療機関につきましては、現在原爆病院が広島と長崎にございます。それぞれ百名程度の収容力でやっております。そのほかに、今回広島大学の医学部と長崎大学の医学部にそれぞれ、これは外国からの金でございますが、この基金によりまして専門の病棟を作るということになっておりまして、さらにダブリまして国立の単独の原爆病院を、今現地なりあるいはそういうものの多い土地に特に作るということは必ずしも必要でないように思っておりまして、当面は国費による直轄の国立病院的な原爆病院は作らぬ、従来のそういうもの、あるいは今回できます一番経験豊富な両大学に作られます原爆病院、これに期待していくのがいいのじゃないか、こう存じております。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 時間がないそうで、あとに質問者がおられるそうですからこれで質問はやめますが、他日社会労働委員会その他でもこの問題について質問があろうと思いますから、その際に大臣に再度、特に私はこの原子爆弾の死没者遺家族の援護措置をどうするかということについて、詳細なデータをあげて大臣に所信を伺いたいと思います。  時間がありませんから、これで終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 井手以誠君。

井手以誠日本社会党(左)

○井手分科員 おそくなりましたので、ごく簡単に二点だけお伺いいたしたいと思います。  第一は、各府県にあります保健所は、保健衛生に今日大きな役割を果たしております。その保健所が、全部ではありませんが、私は相当保健所を回わっておりますけれども、ほとんどお医者さんがいないのであります。理由を聞きますと、待遇が悪いからほかの公立病院あるいは民間開業医の方が有利だというので、三名の定員に所長が兼務しておる、四名の定員に所長だけだ、こういうのが非常に多いのであります。これは赤字県が特にひどいかと思っておりますが、このせっかくの保健所、医者が中心だと思われる保健所に、何とか必要なお医者さんを充足させる工夫はないのか。国から三分の一くらいの補助があるわけでありますが、これをふやすか何かの方法で充足させる方法をこの際大臣から承りたいと思うのです。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 保健所の医師の足りないということは、まことに私どもも遺憾な点と考えております。それで今年度は保健所の医師の俸給の国庫負担分を三割増額いたしまして、それからさらに研究費補助も三割ばかり引き上げている次第であります。

井手以誠日本社会党(左)

○井手分科員 その程度では、今の民間との給与の開きから申しますと、とてもお医者さんは集まって参りません。あるところには一人もいなくて、私どもの方では九大にときどき巡回をお願いしておる、あるいは県立病院にお願いをしておるという状態です。もっと根本的な工夫はないものですか。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 さらに将来この保健所にどうしても行ってもらいたいというので、われわれの対策としましては、公衆衛生修学生の貸与金制度というものを作りまして、そうして昨年度からことしにかけまして約七十二名ばかり貸与金を貸与いたしまして、そして勉強さしておるような始末でございます。

井手以誠日本社会党(左)

○井手分科員 いろいろ工夫はなさっておるでしょうけれども、保健所は非常に一般から期待されておる。その保健所に一番大事なお医者さんがいない。いないお医者さんを集めるのには、三割くらいの待遇改善程度ではとても追っつかぬと思うのです。私は今直ちに御返事できないならばあとでもかまいませんけれども、この保健所の医師の充足問題は非常に重大でございますので、十分お考えを願いたいと思います。  それからもう一点お伺いしたいのは、引揚者の給付金の問題であります。これはだいぶ日にちがたちまして、近いうちに期限がくるかと思いますが、私予算委員会で最初聞いたときは五百億と承っておりましたが、新聞の報道によりますと百二十億円くらい宙に浮いているという報道があります。方々からいろんな意見を聞きますが、なかなか証明がとれないで、最近若干緩和はされておりますけれども、もう十数年もたった今日、海外におったという証明はとてもとりにくいというので、金額も少ないことであるし、権利を放棄しておる人が非常に多いのであります。せっかくの給付金でございますから、引揚者にはあまねく行き渡るように、期限を若干延期するとか、あるいは引揚者の団体から要望されております海外居住の期間を縮めるとか、あるいは年令を引き下げる、そういったことに格別の御配慮を願えないものかどうか。予算については十分なお話も聞いておりまするし、人情家のように承っておりますが、この際一つ、せっかく五百億の給付金を予定されたのでございますから、大事な国費ですから使い切る必要もございませんけれども、これを生かすために期限の問題あるいは内容の問題、特に証明を簡単にする方法についてのお考えを承りたいと思います。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 まことにお説の通りで、私どももこの点につきましては何とかPRの運動を盛んにさして、もっと徹底させたい。それから書類が多少不備であっても受け付けさせたい、かように府県を通じて現在PRをさしておるわけでございます。詳細につきましては引揚援護局長から説明を申させます。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 まずこの時効関係のことでございますが、お説のようにことしの五月にちょうど時効がくるわけでございます。しかしこれは時効でございますので個人々々について進行するわけで、引き揚げのおくれた方につきましては帰ってきてから三年というふうなことになるわけでございます。時効の趣旨から言いまして、これを延ばすということは適当ではないのではないか。それぞれのことに時効という制度がございます。それとの均衡がとれてこういう制度ができておるわけでございます。時効を延長するというようなことになりますと、ほかの制度に響いてくるわけでございます。時効を延長しないで措置をしていくというふうなことが正しいことであろうということで指導いたしておるわけでございます。ただいま大臣からお答えございましたように、もうじき時効がくるという人につきましては、府県を通じましていろいろな方法でPRをいたしておるわけでございます。またかりに証明等がとれないというようなことがございましても、書類が不備であるというようなことがございましても、受付だけはしろ、受付をすればそのとき時効が中断されますので、受付だけはするようにということで指導いたしておるわけでございます。そういうふうなことで、実際上の必要からいいましても延長の必要はないんじゃないか。昨年ちょうど遺族援護法の時効にかかるものが相当出たわけでございますが、同じような措置を講じまして、現在まで時効のために困ったというような事態も聞いておらないのでございます。同じような指導方針をとってやっておりますので、実際問題としては措置ができるのではないだろうか、かように考えておる次第でございます。  次に、先般の新聞で百何十億か余るのじゃないかというふうな記事が出まして、私も非常におかしいと思って詳細に新聞を見てみました。あの新聞をよくごらんいただきますと、見出しとその中身が非常に違っておりまして、中身を見ますとむしろ五百億を突破するのじゃないかというふうな内容に書いてあるのでございます。見出しのっけ方がちょっと——と言いますのは、調査を締め切った日における支給金額を押えまして、それと五百億との差額を書いたのが百何十億であります。それは十二月の末だと思いますが、十二月からまたどんどん事務が進んでおりまして、それを合わせますとそういう数字にならない。むしろ五百億を突破するのじゃないだろうかというふうにも見られるわけです。この辺、実は私ともももう時効も近いので十分検討しなければならぬと思っていろいろ検討いたしておるのでございますが、まだ的確な数字がつかめておらないのでございます。先ほど申し上げましたように昨年遺族援護法が時効に到達したわけでございますが、実は時効後にでも相当長期間にわたって初度裁定の申請が参っております。そういう点から考えましても、時効が済んでもなお市町村等でいろいろ書類の調整をやるというふうなことで時間がかかって、相当あとになって府県の段階にまで出てくるという件数もかなりに上るのではなかろうかということを考えてみますと、はたしてどのくらいが正確な数字になるだろうかということを実は的確につかみ得ないような実情でございます。この辺はさらに十分今後も検討してみたい、かように考えております。  内容の簡素化につきましては御質問にもございましたように極力努力いたしております。引き揚げ証明書がなぐても、たとえば子供が入学したとか配給のいきさつがあったとか、こういうほかの方の書類で大体引揚者であるという目安が立つわけでございます。できるだけ簡便な方法をとりまして、引揚者に迷惑のかからないように指導をいたしておるわけでございます。制度それ自身を変える必要につきましては、現在そこまで考えておらない次第でございます。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 床次徳二君。

床次徳二自由民主党

○床次分科員 ただいま井手委員が質問されました保健所の充実の問題でありますが、今回若干補助を増額せられましたことはけっこうに存ずるのでありますが、元来保健所の予算そのものに対して、なかなか伸びが悪いんじゃないか。そのおもな原因はこれが交付税中に入って、地方負担の分が非常に多いことも原因ではないかと思うのでありますが、この点に対しまして、厚生当局といたしまして地方保健所の医員に対する熱意があまりないのじゃないか。その地方の負担の予算の増額の傾向と申しますか、これがどんなふうになっておるか、一つ御意見を伺いたいのであります。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 お話の通り現在保健所の創設費は二分の一の補助でございますが、保健所一般の経費につきましては三分の一の国庫補助ということになっておりますので、御意見の通り三分の二は府県、一部は特別の政令市でございますが、経営する側の負担になっておりまして、これに対しては交付税で積算をいたしまして、それぞれの所要額が一応府県にまとまっていくわけでございますが、確かに過去におきまして、ごく近年まではこれさえ消化し切れずに、むしろこちらできめました国庫補助額さえ全部の裏づけができないで未消化というような事態もあったわけでございます。ここ一、二年、私の方も極力、保健所は国が必要でやっておるということもさることながら、県民の生活の中における保健指導の中心の、府県も一番責任のある仕事でございますので、同じように考えてもらうということで指導いたしました結果、現在では、国の補助に対しましてこれを未消化で残すというようなことはなく、全部消化いたすように県費が組まれまして、むしろ最近は、たとえば医療器械の整備、衛生器械でございますが、こういうものにつきましては、むしろ要求の方が多くなりつつあるということでございまして、今後そういうような必要なものは必要として認識が十分になって参りましたので、その需要に合うように国の補助も逐次逐年拡大していきたい、かように存じております。

床次徳二自由民主党

○床次分科員 当然かくあるべきでありまして、交付税中において当然必要なる基準財政需要が見てあるならば、都道府県におきましてもこれを消化する力があるべきなんです。これができなかったということに対しては、やはり保健所設置に対する熱意、これは国及び地方に関係があったかと思うのでありますが、この点において欠けることが相当大きな原因であったろうと思う。この点はただいま御答弁がありましたが、今後とも一そうの努力をしていただきたいと思うのであります。  なお保健所に働いておりまするところの保健婦、看護婦等の職員の待遇であります。特にその中心をなしまする保健婦につきましては、一時はこれが非常に優遇されておるかのように見えたのでありまするが、最近の状態から見ますると、相当待遇が下がりつつある。特に俸給等におきましても、これは医療職の三号表ですか、採用におきましては悪くないようでありますが、将来の伸びというものが待遇上見てない。また各地方におきましても、その待遇のあり方がまちまちである、というよりもことごとく最低の方を基準としておって、よい方にこれを扱おうという積極的な意図が見えない。この点本省におきましても、従事する職員の待遇向上についてもっと努力すべきものではないかと思うのでありますが、伺いたい。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 保健所の一番数を占めております職員である保健の待遇は、これは非常に大事でございまして、大体今のところ人事院のきめました国家公務員医療職二号表にこういう職種の給与がきまっておりまして、各府県ともそれを基準にいたしましてやっておるわけでございますが、一般的には国家公務員できめられた者よりは、全部平均いたしましたら少し上回っております。ただ県によりまして非常なでこぼこがある。それよりもはるか悪い県、そういうところは財政力も少なく、しかし保健婦に期待するいなか的な県が多いわけであります。そういうところが矛盾しておりますので、この点われわれもできるだけ上の方の水準を越すように十分指導し、また国庫補助についてもさような線に沿うように将来措置していきたいと思います。

床次徳二自由民主党

○床次分科員 保健婦に医療職の二号表が使われることは、栄養士その他と比べて非常に不利がある。むしろ一号表でもって遇すべきじゃないかという点が考えられるのであります。この点は一つ十分御研究いただきまして、待遇の改善をはかっていただきたいと思うのであります。  次に伺いますのは、わが国の人口増加の趨勢でありますが、漸次人口に対する正しい認識と申しまするか、一時の過激な増加というものが安定してきたということはけっこうなことと思うのであります。ただしその人口増加がだんだん低下した原因の中におきましては、いわゆる人口制限と申しますか、計画産児とでも申しますか、そういう考え方が入っておると思います。しかし実際において調べてみますと、依然として人工早産と申しますか、この部分が非常に多いので、本来の計画産児というものからはなお実態は遠いのではないかということがうかがわれておるのでありまして、これはわが国の家庭生活における非常に大きな問題だと思う。この点に厚生当局はいかように見ておられるか、伺いたいのであります。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 仰せの通りでございますが、私どもは生産人口につきましては、目下計画指導をいたしておりまして、特に人工による妊娠中絶というようなことは、できるだけ避けるように指導をしておるような次第でございます。でありまして、最近における傾向は妊娠中絶というよりも計画出産という、要するに家族指導という面に重点を置いて、これを指導しておるような次第でございます。

床次徳二自由民主党

○床次分科員 大臣の言われるがごとき正しい方向によるところの計画家庭が実施されるならばまことにけっこうだと思いますが、なおしかし世間におきましては、いわゆる誤った数量のみの計画産児思想が案外大きいのでありまして、むしろこの点はいろいろな方面において障害を来たしておるという点について、もっともっと強い努力をしていただきたいと思うのであります。それから次に国民皆保険の実施について意見を述べたいと思うのであります。皆保険の実施は当面の急務でありますが、現在まで残されておった、今年度において着手しようという町村の実態を見ますと、いずれも財政面で非常に困難なものでありまして、今日まで延期せざるを得なかった事情にあったものと考えられるのであります。従ってこの実施にあたりましては、予想以上の困難に遭遇しておるようにわれわれは見ておるのであります。厚生当局におきましても、この実施にあたりまして、いわゆる特別の調整交付金を支出いたしまして、かかる町村に対処するように考えておられるようでありますが、どうもその交付金の調整の割合というものがまだまだ実態にそぐわないのではないか。ぜひとも皆保険を実現しなければならないというときにあたっておりますので、その調整の出し方につきましてはもっと弾力性を持たせまして、そうして今日まで取り残されておるところの町村においてこれが実施できるようにすべきではないかと思うのであります。この点従来の予想された調整率よりももっと運用について御考慮をいただきたいと思うのでありますが、これに対する御意見を伺いたい。

渡邊良夫自由民主党厚生大臣

○渡邊国務大臣 調整交付金は御承知の通り今年は五分の引き上げをやったわけであります。これから漸次国民皆保険の前進につきましても、国民皆保険は三十五年度において完了するわけでありますが、事務的な運営につきましては、やはり調整交付金の増額というものは年とともに必要なことではなかろうか、というような面において極力努力をいたす次第でございます。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 他に御発言はありませんか——なければ厚生省所管についての質疑は終了いたしました。  午後二時まで休憩いたします。     午後一時二十四分休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算中外務省所管について質疑を行ないます。質疑は通告順にこれを許します。木原津與志君。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 外務大臣にお尋ねいたしますが、本年度三十五年度の予算によりますと、在外公館の事務運営等に必要な経費として六十四億八千六百七十四万二千円の予算が計上になっております。これは大体既設公館とそれから三十五年度新たに新設予定のサウジアラビア、エクアドルあるいはモントリオール領事館、ソールズベリー領事館というようなものが新たに新設されることになって、それの職員の人件費その他事務費ということになっておるのでございます。そこで私は外務大臣にお尋ねしたいことは、エクアドル、モントリオール、ソールスベリー、こういったようなところと新たな外交関係が成立してここに使節の交換がなされ、あるいはラオスの領事館の昇格というようなことがなされるということは、日本外交の戦後の出発としてこれは当然なことであるし、また非常な喜ばしいことであろうと思うのでございまして、これについて別に異議を差しはさむ余地は何もございません。ただ、私どもが最も最近の外交問題の中でわれわれが待望するところは、アジア外交ですね。アジア外交の促進を非常にわれわれは、戦後の日本の外交として国民もどういう外交方面に発展するかということを注目しているところなんです。ところがこのアジア外交の面において、まだ中華人民共和国とも国交回復されない。従って中華人民共和国に在外公館の設立を見てない。さらにまた北朝鮮の人民共和国との使節の交換もされてない。さらにまた南朝鮮、韓国との間には外交関係があるのかどうかわからぬけれども、一応韓国の代表部はおって、ここに柳公使がおる。しかるにかかわらず、日本は韓国に在外公館を持っておらぬ。そのために、韓国との関係がどうなっておるのか、非常に国民は心配しておる。特に目下の外交問題の一番の焦点は、何としても李承晩ライン問題を中心として、日本は、特に九州方面、中国方面ですが、李承晩ラインでの漁業問題に関連して、現在の統計からしましても、抑留漁民がここにいまだ二百十四名、すでに刑期満了になってそのまま滞留している者でも百六十七名、その他艦船、漁船、漁具、こういったようなものを不法に拿捕されておる。李ライン問題を解決をしてくれという国民の要望は、すでに李承晩ラインが設定されてから六年以上になる。さらにまた竹島の問題も出ておる。こういうような重大な問題があるのにかかわらず、いつまでたっても韓国に対する外交が進展しない。この進展しない状況の一つの中には、韓国は日本に公使を置いておるが、日本はここに何にも置いてない。従って韓国に対してはめくら外交をやっておるのだ。そのために外交交渉が一つも進捗せぬのじゃないか。こういうような危惧を持っておるわけです。一体この韓国との外交はどうなるのかということについての国民の危惧というものは、非常に深いものがあるのです。そこで、在外公館の予算の問題に入るにあたりまして、一体三十五年度の予算でもまだ韓国との外交官の交流ができていない、予算の措置もできていないということになれば、一体いつになったら正常な韓国との外交機関の交換ができる見通しであるかまずその点を外務大臣から御説明いただきたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知のようにわれわれ外務省の活動をいたして参りますために、在外公館を充実し、あるいは拡張し設置していくということは全く木原委員と同じ考え方で、できるだけ国交を回復して、そうしてそういう在外公館の設置をいたしますことが必要だと存じております。韓国との関係は、御承知のように昭和二十七年の四月でありましたか、韓国との間に交換公文をいたしまして、そうして平和条約の発効に伴いまして、両方で代表部の設置をいたそうということを約束いたしたのでありますが、当時御承知のように韓国に、いわゆる朝鮮事変が起こっておりまして、韓国政府も釜山に移転しておったような状況でありましたので、直ちに日本の在外公館を韓国に設置することは、先方側も釜山に政府がある以上困難であるということでありましたので、日本側でもその当時の実情から見てやむを得ないことだ、こう了承いたしたわけであります。日本にありますのは、御承知の通り終戦後いわゆる代表部として特に派遣されてきておったものでありますから、そのまま認めていったわけであります。その後状況がだんだん改善いたしまして、韓国政府も京城に帰るというようなことになりましたので、われわれとしては再々京城に日本の代表部の設置を要望して参ってきておりますが、しかし、そのつど先方におきまして公館員の生命等の防衛と申しますか、十分身体の保護ができにくい状況にあるから、いま少し待ってくれというようなことで、だんだん延びてきております。この点はまことに遺憾でありまして、われわれといたしましても今日なお強くその点を主張しておるのでありまして、日韓会談等におきまして会談の話し合いの中でその点を申しておるわけであります。予算につきましてはわれわれいつでも設置できるような準備はいたしております。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 そうすると現在の韓国の代表部が日本に駐在しておる外交上の根拠は、二十七年四月の韓国と日本との交換公文によって駐在しておるということになるわけです。そうすると、その前の駐在は、これはどういう根拠に基づく代表部の駐在ということになるのでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 当時のいわゆる占領軍、スキャップに連絡のために来ておったのございまして、それが一つの事務所を持って活動しておる、こういうことになるわけであります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 そうすると現在の柳公使というのは、昭和二十七年の四月の交換公文によって日本に派遣されたものだとすれば、これは国際法上適法な資格を持った外交官、すなわち俗に公使ということをいわれておりますが、国際法上のこれは外交使節としての公使でございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 その点につきましては信任状の奉呈もいたしておりませんし、領事に準じた待遇を与えておるだけでございます。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 そうするとその信任状の認証をしてない公使ということになって、日本として信任状を接受をしていないということになれば、これは正式な国際上の外交官、いわゆる公使ということでないということになるのでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 信任状の奉呈もいたしておりません。従って柳大使あるいは何々公使と申しましても、国際法上外交官の特権を持っておりますいわゆる大使、公使というもので日本は待遇はいたしておりません。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 そうすると、いろいろな日韓問題、特に日韓の終戦後の財産処理の問題あるいは韓国民の、朝鮮人の国籍の問題、それから李承晩ラインの問題、竹島の問題、こういったような外交交渉を外務省は主として柳公使との間でなされておるようでございますが、その柳公使そのものが国際法上、外交上の公使じゃないということになれば、一体柳という日本に駐在しておる韓国の一官吏、こういったような者と外務大臣との交渉がかりに外交交渉として妥結したり何かしたような場合に、一体それは外交上の正式な取りきめというか、そういうようなものになるのですか。そんなルンペンみたいな者とあなた方は話し合いをしておって責任を——あなたは日本のれっきとした外務大臣でしょう、外交権を持っているその外務大臣が韓国の公使なんという、国際上の公使でもない者と話をして、かりに一つ二つ妥結ができたとしても、それは国際法上の国と国との条約あるいは協定その他の締結として効力を生ずる性質のものですか。まるでルンペンを相手に交渉をしておられるし、交渉のいきさつを見てみると、このルンペンに引きずり、引き回されてきりきり舞いしているような格好に見えるが、一体これでいいのですか。その点、外務大臣の御所信をお伺いしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 柳大使は韓国においては大使の資格を持っておるようでございます。むろん日本におります場合、日本と外交関係が正規に樹立されておりませんので、今申し上げたような待遇以上には日本としてはこれをいたしておりません。しかし韓国政府の役人であること申すまでもないのでありまして、従って相手といたしまして話し合いをいたすことは、便宜の上からいって適当だと思いますし、また何か妥結いたしますれば、正規の全権状を持った人と調印もしくはそれと同等の効力のあることをいたすことは当然のことでございます。従いまして、今申し上げたような立場において便宜柳大使と交渉をすることは一向にさしつかえないのではないか。また日韓会談におきましては、向こうから別個に代表が来ております。これと折衝いたしておる、こういうことでございます。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 そうすると、おかしいですね。柳さんは向こうからの正式な外交をやる全権公使ですか、こういった全権状は持ってきているのですか。この点どうでしょう。委任状を持ってきているかどうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 正規の全権委任状というものは、信任状を奉呈しておりませんから、むろん持ってきておりません。また現在の段階においてはそういう手続を日本でいたすべきものではない、こう考えております。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 外交交渉の全権委任状も持っておらぬ者と話し合いをして外交上の取りきめをするというようなことは、あなた方もちょっと不見識な態度じゃないかと思うのです。いわば法律上認められておらぬ代理人でしょう。われわれの言葉で言えば三百代言ですよ。正式な法定代理人じゃない。認められぬ資格でこそこそやっている俗にいう三百代言ですよ。こういう三百代言みたいな者とあなた方は話をしているから、いつまでたったって日韓交渉は進まぬ。特に現在の韓国との交渉というものは国民の生命財産に関して大きな問題のある外交交渉なんです。単なる外交の儀礼上の取りかわしというものと違いますよ。切実に生命財産と結びついた外交交渉で、その外交交渉の相手方が全権委任状も持たない、いわば三百代言なんだ。ちょうど私が日本の外交官だといって韓国に行って向こうの外務大臣と話をするのと一つもつ変わりはないじゃないですか。そういった者と何で便々と六年も七年も交渉なさるんですか。私はそういう外務省の態度は了解できないのですよ。そういうようなことでなくて、両国の外交についての正式な権限を持った全権公使相互の間でこの重大な問題を解決するというようなことに踏み切っていただきたいです。特に李承晩ラインの問題、韓国人の国籍の問題、財産権帰属の問題、竹島の問題、現在の日本の外交の一番焦眉の重大な問題はここにあるじゃないですか。それにもかかわらず全権委任状も持たぬ者と交渉してじんぜん日を五年も六年も送って解決の曙光が見えないということは、何としてもこれは岸内閣の重大な責任問題だと思う。外交の衝に当たっている外務大臣であるあなたに対しても国民はもう少しはっきりしろ、ちゃんとしろと言いたくなりますよ。私はいやみを言うわけではありませんけれども、終戦後向こうが終戦処理のために来ている通商代表部のような資格ならば、そういったような文句も、日本は被占領国だから、一応言えないかもしれませんが、講和条約によって日本が完全に独立し、特にあなた方のお言葉に従えば、アメリカとさえ対等な外交関係が新安保条約によってできたんだということを大きくPRされているその口の端から——韓国、こんなものは国としては問題じゃないですよ。こういうようなものと交渉をするのに、正式な授権された外交官との交渉もできないで、三百代言のようなものを東京に置いて、そうしてこれと交渉をしなければ交渉の窓口があかないということは、日本の外務大臣としてはまことに情ない話だと思う。これについてのもう少しはっきりした態度を今後とられるのか、今後どうするのか、正式な授権のある全権公使との交渉に移される用意があるのかどうか。なおこのままの姿でまだ交渉を継続するのか、その点についての外務大臣の所信をお伺いしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今申し上げましたように、現在交換しております交換公文で明らかなように、両国間に正規の外交領事関係ができるまで暫定的にそういうものをお互いに認めていくということであるわけであります。従いまして、国交が回復しておりませんから正規の外交官としての待遇を与えるわけに参らぬことは当然でありまして、与えたらかえっておかしいことになると思うのでございます。ただ日韓問題を解決します上におきまして、今こちらにおります大使もしくは公使等の連中と話し合いをいたしますことは、便宜本国にも連絡をいたしてくれるわけでございますし、そういう意味において、それらの人と話し合いをいたしますことは、便宜上の措置としては、現在の国交が回復しておらない限りにおいてはやむを得ぬことではないか、こういうふうに存じております。むろん日韓会談を通じまして、便々としてわれわれも六年これを続けておるわけでもございません。相当に日本としては今日まで、日韓会談再開にあたりましてときに強くときに弱くと申しますか、硬軟よろしきを得て折衝して参ったつもりでありまして、おそいようではありますけれども、日韓会談も成立いたしておるのであります。そういうことで、ただわれわれとしては一日も早く問題を解決して参りませんければ、御指摘のように李ラインの問題もございます。これは日本国民にとりまして大きな問題でありますので、従ってこれを十分な解決を見るように政府としても力を入れて参らなければなりません。あるときは強く、あるときは向こうの気持も察しながらやって参っておるわけでございます。そういう意味で韓国といたしましても、かつてはわれわれと同じ立場にありました人々でありますから、やはりできるだけ好意を持って当たって、問題の解決をはかるというのが必要ではなかろうかとわれわれは思ってやっておる次第であります。しかし、問題の解決というものが非常に困難であります場合には、いろいろな方法を考えて参らなければならぬこともこれまた当然のことでありまして、われわれとしては日韓会談を進行させていくべく現在最大の努力をいたしておるわけであります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 正式な国交の回復ができてないから、向こうから来ておる者は非公式なものであって、これと交渉をするよりほかにないという見解のようでございますが、それならばそれでよろしい。韓国が一方的にこっちにおるのだから、それなら日本も非公式でかまわぬから一応韓国に外交代表部というようなものでも置いて、そうしてお互い対等な立場に立って交渉をするということにならなければ——韓国は日本の状態を全部駐在代表部を通じて情報その他とれるわけでしょう。日本は韓国にだれも行っていないのです。正式な外交官はもちろんのこと、今韓国から来ている柳のような者も向こうに行っていない。情報機関が全然ない、日本はめくらだというような形で外交交渉をやるということは、私ども外交のことはわかりませんけれども、しろうとの私が見ても、これはもう完全な情報に基づいた円満な外交ができるはずはないですよ。だから私が外務大臣にお尋ねしたいことは、一体いつになったら韓国に、正式といわぬでも非公式のそういった通商代表部でも置いて、そうして会談をそのルートに乗せる時期が来るのが、その点のあなたの見通しをお聞かせ願いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 その点につきましては私も木原委員と同じように遺憾に存じておるのでありまして、従って、再再度にわたって韓国側に対してその点を要望いたしておるわけであります。韓国側は今日まで、先ほども申し上げましたように、引き続き身体その他の保護ができかねるからということを唯一の理由にしておるわけでございます。むろん日本の外交官としていかなる危険な地にも参ることは覚悟をいたしておりますので、そういうような若干危険があっても当然行かなければならぬことだと思っておるわけであります。そういうことによって、一日も早く韓国側が反省をして、そうして受け入れる態勢になるようにわれわれとしても今日でも絶えず向こう側に申しておる次第でございます。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 外務大臣のお言葉でございますが、日本から向こうに行って生命その他の危険に対する完全な保護ができない、だから来てもらっては困る、まだその時期でないというお話だということでございますが、そんな言い分は、対等な国際社会では私は言い得ないと思う。日本が韓国の非公式な柳公使以下の外交官に対して完全な保護をしておるじゃないか、そのしておるのも——われわれは別に彼らに対してどうしようという悪感情を持っておるわけではないですよ。しかし、これは日本の法秩序において、外交官とみなしてそれ相当の敬意を表し、待遇もしておるのです。それを待遇されておる韓国が、相手国の外交官を相当な待遇をもって処遇できない、そういうような言い方はありませんよ。ちょうど昔の帝国主義の国と植民地の国ならばそういうことも言い得るかもしれませんが、今日の対等外交ということを基調とする国際外交の中で、そういう失礼な言い分というものは世界で通用する言い分ではないですよ。そういうような言い分をされて黙っておるという法はないと思う。その話がつかないならば、韓国の代表部を、柳公使以下正式なものでなければ、ちょうどいいじゃありませんか、全部京城に引き揚げてもらうわけにはいきませんか。特に私が申し上げたいのは、今日まで韓国の代表部が昭和二十七年から交換公文に基づいておって、その外交の交渉の仕方というものは、日本国民として見るならば、腹わたの煮え返るようなやり方なんですよ。李承晩ラインのあの問題にしても、抑留漁民の問題にしても、最近やっと、外務大臣は、先般予算委員会において相互送還というような話のめどもつく予定だということをわれわれにお話しになりましたが、その予定も、韓国から五万トンの米を買うてくれ、五万トンの米を買うてくれるならば抑留漁民を相互送還の形で帰してもいい、こういうような話し合いが出ておる、できるだけそういうことにしたいというようなことをおっしゃった。私はあの外務大臣のお言葉を聞いて何とも情けなくて涙が出そうなんですよ。特に李承晩ラインが合法か非合法かということはともかくとして、不法に抑留しておって、国際法上当然帰さなければならぬものを帰さない。帰すからそのかわり米を買え、米を買わなければ帰さぬぞというような外交交渉というものがどこの世界にありますか。こういうようなものに引きずられてあなたは農林大臣とも話をして、あなたが抑留漁民の送還の問題だからなるべく米を買うようにして、相互送還をしたいというお考えを私どもに予算委員会でお話しになりましたが、そういう理不尽な話は、私は、これは国際社会で通用する話じゃないと思う。韓国だけの横車だといっても私は過言ではないと思うのです。こういう屈辱を受けて、なおかつ彼らと外交交渉をしなければならぬのですか。その外交交渉が、今あなたがはっきりおっしゃるように、日本としては外交官の資格のない、外交官として取り扱っていないという人を相手にする。まことにもって私どもは心外にたえない。こういうような外交態度をとる。その他李承晩ラインの交渉にいたしましても、竹島の問題にいたしましても、韓国人の国籍の問題にいたしましても、ことごとく、少なくとも日本に好意ある外交態度とは見られないのですよ。それならばあなた方にこの三十五年度の予算の審議にあたって私どもが言いたいことは、もう少し決意を固めていただきたい。そうして強固な態度をとって日韓問題を抜本的に解決しなければ、国民はいつまでもがまんしておりませんよ。やがて爆発する事態が起こります。私は断言する。こういう状況にあって外務大臣はこの韓国問題をどう処理されようとするか、いま一回外務大臣の決意を私はお聞かせ願いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま木原委員のお述べになりました考え方というものは、多くの日本人の持っております考え方だと私は思います。われわれもお話のような御意見について、決して異議をはさみあるいは反対の考え方を持っておるものではございません。ただ日韓の問題につきましては、やはりかつてわれわれもいわゆる一つのかまの飯を食ったのであります。われわれといたしましてはできるだけ兄弟のような立場で話し合いをしていくということによって、問題の解決をはかっていきたいということが、ごく隣接している国の関係でもありますから必要であろうと思って、われわれはそういう意味において努力をいたしております。しかしむろんお述べになったような御意見というものあるいはお気持というものが、だんだん国民の多くの人たちに持ってこられている気持であり、あるいは意見であるということは、私も了承しておるわけでございます。従ってそういう点につきまして、われわれといたしましても国民の考え方あるいは国民の常識の線に乗って、外交は当然やるべきだと考えておりますので、そういう点については十分その気持をくみながら、今後やって参ることは、これは当然のことでありまして、そういう努力をいたして参りたい、こう考えております。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 この抑留漁民の早期引き揚げの問題が、あなたの御説明によれば三月中には何とか妥結して、帰される見通しだということだった。私が昨年十二月、あなたお忘れじゃないかと思うが、あなたに何とかしてくれという御相談をいたしましたときに、ことしの一月、自分が安保条約の調印に行く前までには何とかこの問題は解決できると思うということをおっしゃったのですよ。私はそれを聞いて帰って、皆さんにそれを伝えて非常に喜んでもらった。ところがそれがナシのつぶてになって、今度は米の問題が起こってきて、そしてこれが解決すれば三月には大体引き揚げができるんじゃないかということを言われましたが、私どもはこれに大きな期待をかけておるのです。もしこれがまた三月もだめだということになったらあなたは一体どうして下さる。こういうときにでもなお韓国の態度に何らの変更もしないで、便々と今まで通りの交渉を続けるつもりであるかどうか、これはあなたは外務大臣として腹をきめていただかなければならぬ問題と私は思うのですが、その点についてどういう御所信を抱いておられるか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまお話のありましたように、昨年末以来われわれとして日韓会談を進めていきます上の前提条件として、釜山の抑留漁船員の早期送還ということを韓国側に要求いたしておるわけでありまして、それについて韓国側が年末あるいは年末が延びまして一月というようなことを言っておったのでありまして、むろん韓国側がたびたびいろいな意見を持ち出して、そういうことをときに修正して参りますことのあることもわれわれ知っておりましたけれども、むろん誠意を尽くしてやっておりますことでありますから、できるだけ早い機会に問題の解決をはかっていきたい、こういうつもりで進めておるわけであります。従いましてわれわれとしては抑留漁船員が帰って参りませんければ、日韓会談を進めていくわけに参らぬのであります。お話のように韓国側において貿易をしたい、あるいは物資を買ってもらいたい、あるいは日本からものを買いたいと申しましても、漁船員の問題が解決しない限り、われわれとしてはそういう方面に踏み切るわけには参らぬのであります。でありますからそれを先決問題としてただいませっかく交渉をしております。今日の段階では韓国側も相当反省してきたというふうに考えておりますので、近い時期に何らかの解決を見るようになっていくのではないかということを考えておるわけでありますが、しかしむろん抑留漁船員の問題が解決しません以上は、われわれも日韓会談をこれ以上続けていくということを考えておるわけではないのであります。また貿易等の関係を自由に打ち立てるというような考え方も持っておらぬことは当然でございます。従いましてそういう態度をもって今日強く韓国側に、釜山の抑留船員の早期送還ということを交渉いたしておるのでございます。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 ついでに外務大臣にお尋ねいたしますが、過般北鮮の帰国の問題にからみまして、日赤の爆破計画を韓国人がやったということで警視庁にとらわれましたね。その計画した犯人の口から、これについては韓国の現在の柳公使が背後にあるのだというようなことを言ったというので、非常に新聞その他で騒がれた、大きな問題になりましたが、この問題の結末はどういうふうになりましたか。その点を外務大臣からお伺いしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 詳しいことはアジア局長から御説明申し上げさせます。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 この問題に大使館の書記官が関係しておるということが、われわれの方では一番問題といたした点であります。先ほど申し上げましたように、この代表部におられます者は外交官に準ずる待遇を与えておりますので、普通外交官ですと、そういうふうな嫌疑がありましても、ただ送還するということになるのでありますが、今回の場合は検事局で二へん取り調べをいたしました。そして取り調べが済みました上で本国に帰したというふうな処置をとっております。それから車と申す者がいろいろなことを申しておりますが、それらは取り調べの上ではそういうことは出ておりません。彼がただいろいろとしゃべっておるたけにすぎません。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 そうすると、車というのは取り調べの結果、検察庁で不起訴になったのですか、どうなりました。起訴になったか不起訴になったか、その点を……。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 まだ起訴も不起訴もきまっておらないそうでありますが、申し上げましたのは、大使館との関係について申し上げたのでありまして、車とか、そのほかにもまだもう一人おりますが、これらの処置がどうなりますかは、もっぱら警察にまかしておるわけであります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 外務大臣、公式に来ておらないといえども、少なくとも国の代表としてきておるその韓国の外交官に準ずる人が、その駐留しておる日本で、そういうような不穏な、赤十字社を爆破する、そういうような行動に参加しておる、そういう嫌疑があるということだけでも事は重大だと私は思う。こういうようなものをもう少し外務省として真相を徹底的に究明されて、そうして国民に事の真相を明らかにしていただいて、それに対する責任なりあるいは処置なりは、断固主権の命ずるところに従ってやられるべきが至当だと私は思う。これについての所見をいま一回外務大臣からお聞きしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいまお話のありましたような事柄は、まことに遺憾なことでありまして、その問題については警察庁方面において取り調べをいたされたわけでありまして、そういうことにつきましてわれわれとしては特に関心を持っております。今後そういうようなことの起こらないように、われわれとしても代表部の連中に警告はいたして参ってきております。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 私が聞いたところによりますと、そういったような計画に参画をした韓国の代表部の人たちについて、外務省が犯人を庇護するというような態度、あるいはそのもみ消しというような行動が、日本の外務省であったということで、検察あるいは警察の機関で非常に遺憾の意を表しておるということもちょっと耳にいたしましたが、そういう事実があるかどうか、その点を明らかにしていただきたい。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 私はそういう事実については何も聞いておりません。今回の処置につきましては、警察並びに検察庁等と十分打ち合わせた上でいたしたことでありまして、検察庁もこの嫌疑あるやに思われましたので大使館の者を二回調べまして、その結果で十分満足して、もう帰してもいいということで帰したわけであります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 外交上の秘密でなければ、強制送還をした韓国代表部の人の氏名を明らかにすることができますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 金永換という、三等書記官の資格を持っております。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 そうすると、その金永換について日本での司法処分はどうしてやられなかったのですか。放火未遂あるいはそういった策謀をしておるということになれば、教唆なり封助なりの罪が当然あると思うのですが、この点についての処分はどうしてやられなかったのですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 領事館の場合でも、国際慣例といたしましてこれを逮捕するとか、処分する、処罰するということはほとんど行なわれておりません。代表部の場合は外交官に準ずる待遇を与えることにいたしておりまして、外交官の場合にはそういうようなことは全然いたしません。外交官が何か罪を犯しました場合には、本国に帰すというだけでございます。そこで領事館と大使館の中間にあるものといたしまして、多少車等が関連があるようなことを申しましたので、検察庁で二回の取り調べをいたしております。普通完全なる外交官であれば取り調べ等もいたしませんが、今回は外交官に準ずるという点で取り調べはいたしまして、その取り調べの結果、検察庁としてはこれでもうよろしいというわけで帰したわけであります。ただそういううわさが立つということからして好ましくない、好ましからざる人物として本国に帰すように要求して、帰したわけであります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 どうも私には納得できないのですが、先ほどの外務大臣並びに外務省関係の政府委員のお話によりますと、韓国の代表部というのは、代表部である、柳公使そのものでも日本で外交官としての信任状を提出しておらない。そうすると外交官に準ずる待遇をしておるといっても、これは日本で認めた外交官じゃないわけです。その外交官じゃない者を、準ずるからといって、そういった国内法の適用において——国内法の適用は準ずる者について特別な規定はないはずなんです。はっきりした外交官としての身分を持ち、外交官としての国内法で処遇をしておる者に対して特権を付与しておるのであって、準ずる者に対して私はそういった特殊な権能、権益というようなものを付与しておるものじゃないと思う。もし嫌疑があるということになれば、これは外務省としても当然強硬な措置をとって、摘発なりあるいは告訴の手続をとるなり、当然国内の刑事法に基づいて処断を要求されることが私は至当な措置だと思うが、この点どうですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 外交官の待遇というものは国内法で定めてあるのではありませんで、国際法でもって外交官というものは特権を持っておるわけであります。外交官に準ずる者をどう扱うかというのも、これまた国際法できまっておる、国際慣例できまっておるのであります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 国際法に準ずるといったって、別に準じても準じないでも、国としては自由なんでしょう。特に準じなければならぬという性質の人たちじゃないじゃありませんか。私はそう思う。あんた方だけが準ずるとして待遇するといっても、こういう悪をやるような——それは善をやる場合、あたりまえの外交官らしい行動をとるときに、初めて準ずるのであって、それ以外の、少なくとも刑事被告人というような態度をとった場合に、何も準ずる必要はないのですよ。これは主権が自由に決定していい問題です。そこに正式な外交官と準ずるというような者との身分上の区別があるのです。これは日本の国権によってどうでも処遇できるのでしょう。準ずるという待遇を国際法上付与することも、準じないという待遇を付与することも、これは日本が自由に決定していいことなんです。だからこういうような、いやしくも刑事犯罪の疑いのある行動がとられる場合において、何でこんな連中を準じて、そうして特別な処遇をしなければならないのですか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 現在の韓国の代表部というものは、形式的には大使館ではありませんが、実質的には大使館とほとんど同じような仕事をいたしておるわけでありまして、正規の外交関係がないので、これは大使館に準ずるような待遇をいたしておるのであります。こうした例は各国ともあるわけであります。こういう待遇をやるということは国際慣例になっておると申していいかと思います。大使館の場合に、大使館の館員が犯罪を犯したという場合には全然手がつけられない。準ずる場合ならば、取り調べくらいはいいということもこれまた国際法の通念になっておるわけであります。

木原津與志日本社会党

○木原分科員 この問題につきましては、いずれまた時を持って真相を明らかにしたいと思いますが、きょうは時間がございません。あとの質問者も待っておられるようですから、これで打ち切りますが、外務大臣に最後に要望しておきたいことは、すみやかに日韓外交を正式なルートに乗せられるよう、それには韓国にたとい非公式でも外交代表部が置かれるようになるように、さらに、日本のアジアの外交を確立するためには、韓国だけではない、韓国の北にある北朝鮮の人民共和国とも、あるいはわれわれが一番あなたに期待するのは中華人民共和国との間にも国交をすみやかに回復され、もし諸般の事情によって国交の回復がまだ早急にできないというような段階であれば、少なくともそういった非公式な外交代表部でも——北朝鮮あるいは中華人民共和国あるいは北ベトナム、こういったようなところに非公式でも早く在外公館を置くようにしていただいて、そしてここから新しいアジア外交の基調を求めるということになりたいと思うのです。そういう方向に外務大臣努力していただきたいと思う。ことしの在外公館の設置の予算の中にはもう間に合わなかったけれども、少なくとも来年は議会に付議される昭和三十六年度の在外公館予算の中に今私が言いました北朝鮮あるいは中華人民共和国あるいは北ベトナム、こういったアジアの主要な国家における在外公館の施設の予算をあなた方の方から要求されるようなことになるように切に期待いたしまして、私の質問を終わります。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 上林山榮吉君。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 私は外務大臣と農林大臣おそろいの上で質疑をいたしたいと思っておるわけでありますが、農林大臣がお見えになっていませんが、水産庁長官がお見えになっておるようですから、まず私は水産庁長官に最初お伺いをいたしてから、外務大臣その他へ質疑をいたしたいと思います。  木原委員から日韓関係について適切な質疑が繰り返されておるようでございますが、私もこのうちから一、二だけ捨い上げてまず伺いたいと思います。  第一に、現在韓国に抑留されておる漁民は幾らであるか、なお抑留されておる船舶は何隻か、この点をまず伺いたいと思います。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 ただいま韓国に抑留されておりまする漁民は総計で二百十四名でございます。その中にはつい先日拿捕されました第五八幡丸乗組員十三名も含んでおります。  なお、昭和二十六年以来韓国に拿捕され、抑留されました漁船のうち、まだ返してもらえないもの、これはたしか百五十七隻だったと承知しております。あるいは一隻くらい違うかもしれません。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 韓国は、御承知の通り不法なる竹島の占領をやるとか、あるいは国際法を無視して李ラインを引いて漁民や漁船を抑留しておるとか、これは日本人としても、国際的に考えてもまことに遺憾しごくなことです。  そこで、抑留されておる抑留民のことはわれわれも直接間接いろいろと聞いておりますが、これらの抑留中の待遇というものは、国際的に考えて国際水準に乗った待遇を受けておるのかどうか。それから第二に、抑留されておる船舶ですが、これが普通の国際的の通念からいけば、これは善良なる管理者の注意を持ってその船の管理をしていなければならないのであるが、韓国側は抑留船舶をいわゆる善良なる管理者の注意を持って管理をしておるかどうかという点、この二つの点を水産庁はどういうふうにお調べになっておりますか。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 韓国釜山にある抑留所の待遇の問題でございます。私どもが承知したのは一昨年九百名の送還がございまして帰ってきた乗組員がございます。その人たちが収容中に受けた待遇というものを私たち承知しておるわけでございます。その後公の記事によって詳しい内容と、その後の状態というものは承知しておりません。ただ、想像されることは、依然として待遇は相当ひどいじゃないかということが考えられますので、昨年でございましたか、ある漁船の拿捕がございまして、韓国の裁判所にかけられる場合に、一つ弁護士をつける。弁護士をこちらから頼めば——これは日本人でだめなら、たとえばアメリカ人を頼むとか、そういう弁護士が常におれば、待遇の状況等も見られるし、それが多少とも貢献するんじゃないか、こういうことで、業界におきましてそういう線を推進いたしましたけれども、その点につきましては、韓国側の裁判所がそれを許容しなかった、こういう状態であります。  なお、拿捕いたした漁船の管理につきましては、私ども正式な情報は持っておりませんけれども、聞くところによりますと、拿捕した船を運搬船に使ったり、あるいは漁船に使ったり、場合によっては監視船にも使っておるやに聞いております。その程度であります。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 ただいまの御報告の程度でございましても、日本人の常識あるいは国際的な常識からいえばあまりにもかけ離れたやり方だ、こういうように考えるわけでありますが、ただいまの経過を伺っていますと、たとえば裁判をする場合に、アメリカ人なり日本人の弁護士をつけるのも拒否されておる、こういうことでありますが、拒否された結果、農林省としては外務省に対して、せめて裁判のときだけでも、あるいはいかなる待遇を受けておるかという査察といいますか、調査といいますか、そういうことを国際赤十字社なりその他の方法によって要望したことがあるかどうか、あるいはまた、その要望に従って外務省はそうしたような二つの事案に対して、いわゆる抑留者がどういう待遇を受けておるかあるいは裁判に弁護士もつけられないというが、これを救済する方法はないか、あるいは船舶をむちゃくちゃに使っているらしいが、それはどういう状態であるかというような調査を、外交機関でできないとするならば、私は国際赤十字その他の方法によってできると思いますが、そういう処置をとられたのかどうか。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 これは既往におきまして、私の方としては、随時この問題については外務省と連絡をとっております。あるいはこれは外務省から御答弁願う方がいいと思いますが、過去においてやはり国際赤十字社を通じて、そういう調査を申し入れたことがございます。ただし、そのとき、私の記憶に間違いなければ、韓国の赤十字社はそれを拒否したという事実があったと思いますが、この点については、外務省当局から詳しく申し上げた方がいいと思います。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 昨年暮れ、ちょっと月日は忘れましたが、あそこに収容されております者が、収容所を集団で脱走したと申しますか、脱走というほどの事件でもなかったのでありますが、そういう事件がございまして、そのときに、どういう原因であるかということが非常に問題になったわけであります。その関連におきまして最も早い取り調べと存じましたので、釜山にございますアメリカの総領事館に頼みまして、どういう待遇を受けておるかという点を調査してもらったことがあるのであります。この点は、大体韓国人一般の生活が、日本人の生活よりは生活程度が低いという点もありましょうから、それらに比べてアメリカ総領事館は判断したのではないかと存じますが、特に人道上問題になるような悪い待遇ではない、こういうふうな報告が参っております。国際赤十字の方はただいま水産庁長官からのお話の通りでございます。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 ただいまの外務省の報告ですが、それはいつごろのことでございますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 昨年の末でございます。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 それまでに何回ぐらい、今のような方法で待遇なり、あるいは裁判の便宜なり、あるいは抑留船舶の管理なりこうしたようなものについて、アメリカの総領事館でもいいし、その他の信用ある機関において、協力的に調査を依頼したことがありますかどうか、昨年末が一回であるのかどうか、その点も参考に承りたいと思います。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 私が責任者になりましてから、まだ半年ほどでございますので、私の記憶では、そういうふうな事件が起きたときに、非常に待遇が悪いじゃないかということを向こうに申しまして、いろいろ待遇をよくしろということを申しておりますが、私の記憶では、アメリカ総領事館に調査を依頼したのが一回でございます。その前に何度かやっておると思いますが、それにつきましては、一度過去の記録を調べました上で、御返事申し上げたいと思います。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 相手が韓国でありますから、外務当局もいろいろ苦心をされていることは、私もよく承知いたしておりますが、しかし今の局長の話を聞きますと、調べてみなければ、自分の在任中のことでないからわからない、この前年末に一回、そういうことに関連してアメリカの総領事館に依頼したことがあるという、その程度の記憶では、どうも相手が相手であるけれども、私は何となく承服しがたい。相手がどういう返事をよこそうとよこすまいと、幸いに通商代表部か何かわかりませんが、柳大使が日本に来ておるのでありますから、一カ月に一回でもいい、あるいは返事があるまでは、もう一週間に二回でも三回でもよろしい、何回でも、それこそこちらの誠意と熱意を、私は相手方に示すべきだと思う。そしてそのたびに、政府は適当な機会に国民にこれを知らせるべきです。こういう交渉をしたけれども、何らこれに対する回答がないということたけでも、これは大した人道問題になるわけでありますから、抑留されている漁民の家族に限らず一般国民の、いわゆる息吹きといいましょうか、悩みといいましょうか、そうしたものを伝えるべく、外務当局は御苦心であろうが、それはもう相手方がいやになるほど交渉を続けていかなければならぬのじゃないか、こういうように考えるのであります。ことに、先ほども木原分科員の質疑に出ておりましたが、日本は豊作が続いて、米は外国からそうたくさん買わぬでもいい時期になっているのに、米を買うならば一つ抑留民を相互送還しよう、こういうような外交的センスを持っている韓国であるから、私どもとしてもまことに遺憾に存ずるのでありますけれども、そういうむだなものも買って、そして苦んでいる抑留者を日本に早く送還しようとするのは、これは私は木原分科員とは少し考えが違いまして、やむを得ないと思う。やむを得ないとするならば、これが最大の効果をおさめるように、さらに努力してもらわなければならぬと考えるのであります。そこで、三月をめどに相互送還が行なわれる想定のもとにお尋ねいたしますが、大体何名くらいを相互送還するのであるか、その際抑留船舶が何隻日本に返されるのかどうか、こういう点等について伺いたい。交渉の途中であって、もし数字を言えないものがあるとすればやむを得ませんが、この際明らかにしておかれたいと思います。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 相互送還の話が現在つくといたしまして、直ちに帰って参ります者は、百六十七名になると思います。それから現に刑を受けておる三十五名は話がつけば、刑が終わり次第帰ってくるというふうなことになるわけであります。それから、まだ十三名の刑を受けない者がございますが、これは特殊なケースでございますから、これについても交渉いたしておるわけでございます。  船舶につきましては、今回の話の対象にはなっておりません。船舶全体の問題は、日韓会談の方でいつも取り上げておるのであります。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 日本側から韓国に送還される人員は、これと同数でございますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 相互送還と申しますので、これは何か関連があるように見えますけれども、本質的には関係はございません。ただ時間的に同時にやるというだけでありまして、これは大村に収容されております密入国者を帰すのでありまして、これは逐次ふえておるわけでありますので、どんどんたまって参ります。現在のところ、今回の送還の対象になりますのは七百何十名になるかと考えております。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 相互送還というものは、機械的にはなかなかいかないだろうけれども、米を買った上に、こちらから帰す者は非常に多く、向こうから帰してもらう者は少ない。船舶のごときも、船舶の抑留の種類によっては、この送還と同時に話し合いをしてもいいものもあるはずであります。それを日韓交渉に移して、その上で船舶の問題は取り扱うんだという考え方は、私どもは船舶全体として取り扱うということを一応了承いたしましても、その中のこれは軽微な、あるいは不法な理由で抑留されておるものが多いわけです。たとえば李ラインという勝手な線の中に入らなかったものでさえも抑留されておると聞いておる。こういうものは、この際の抑留漁民の相互送還と同時に解決していいものじゃないかと思うのでありますが、それはなかなか困難であるのかどうか。困難であるとすれば、船舶全体として扱えば、こういう利益があるから、あるいはやむを得ざるこういう事情があるから切り離してやった方がいいと思われるならば、その根拠を一つ示していただきたい。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 ただいまの御質問の中で、大村から帰す人間の方が多いという点がございましたが、これは私の方は向こうが引き取ってくれればいつでも帰したいのでございまして、この点は比較すべき数字ではないのじゃないかと考えております。  それから船につきましては、従来とも抑留者の釈放という問題とは切り離して扱って参っておりましたものですから、私もそれに従ってやっておったという実情でございます。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 そこで私は外務大臣と水産庁長官に同時に伺いたいのですが、抑留漁民の問題はただいまの質疑応答を通じて大体わかったのでありますが、この抑留船舶の問題ですね、これは漁民にとって船舶というものは命の次に大事な生産器具でございますね。これがただいまの御報告を聞きますと、韓国側は善良なる管理者の注意で管理しておらぬ、いろいろな方面にむちゃくちゃに船を使っておるということである。そういうことになりますと、もし日韓会談の結果話し合いがついて、ぼろぼろのものを返された、使いものにならない、こういう場合は国家は補償なりあるいは融資なり、何か関係漁民が再起できるような積極的なお考えを持たなければならぬと私は思うのです。そういうようなことに対してお考えはあるかどうか。それが一点。  ついでに申し上げますが、もし日韓会談の結果、言を左右にしてほとんど船が返されなかった。また相当長期間にわたって返す見込みがないという場合、代船建造なり、あるいはその他のことが起こった場合、補償もしくは低利の長期の融資、その他立ち上がっていくようなことを考えてやらなければ、これは国の外交上の犠牲ですよ。だからこれを私は経済的にでもやはり協力してやるべきものであると考えるのでございますが、これは予算を伴う問題でございますので、外務大臣、一つ水産庁あるいは農林省とお話し合いの上で、御答弁願いたいと思います。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 今抑留されている漁船が日韓会談の結果返すとなった場合、しかもそれがぼろぼろで使いものにならないというような場合、これはおそらく外交折衝の問題だと思います。それは返すとなった場合にはそれの代償と申しますか、そういう問題が出てくる、それから返さないといった場合、これは将来のことで仮定の事実はわかりませんけれども、これはどういたしますか、これはそのときの問題として外交折衝の結果を見ないとわかりません。いずれにいたしましても、現実の問題として先ほど申し上げたように、百五十七隻も依然として抑留されているという事実でございます。こういう事態に対処するために、昭和二十七年から漁船保険の特殊保険という制度を設けまして、拿捕その他の事故による損害を填補するという制度が始められた、これによって現在填補されておるわけであります。ただその保険にたまたま入っておらないという問題についてこれを今国家が補償するというような制度はございませんし、むしろ今申し上げたように、将来の外交折衝として韓国から返還を求めるべきのものである、こう思っております。しかし、いずれにいたしましても、そういう被害漁業者がさらに再起する場合におきまして、現在の農林漁業金融公庫を利用するというような場合には、われわれとしてはそういう場面はできるだけ優先的に便宜をはかる、そういう努力をいたしたい、今後もそういう点は進めていきたいと思っております。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 漁船保険に入っておる者は救済の方法があることは私も知っておりますが、今お話にもあった通り、漁船保険に入っていない者は外交交渉の結果それは賠償として損害を計算して相手国に要求をする、その結果によって協力その他のことを考える、これは確かに現在の常識上当然の一つの考え方だと思います。しかし外交交渉がいつ妥結するものやら、あるいはまた返されたものが使いものになるやらならぬやら、あるいは外交交渉が長くかかる場合は、これは漁民は保険に入っているの入っていないのというどころではない、からだに火がついてあすの事業をどうしようかというようなことになるのであります。まことに地方の小さな漁船は非常に再起に困るわけなんです。それに農林漁業金融公庫から何かの協力をしましょうといったところで、実際は事ほどさように簡単にこういう問題が処置できていないのです。だからここで暫定的な方針でもいいから政府は新たなる観点に立たれて、これが補償なりその他の低利長期の融資なりもっと積極的な案をこしらえる必要があると私は思います。そうしなければ漁民は立っていけない。原則としてはこれはもし賠償がとれると仮定いたしましたなら、当然賠償がとれるのですから、それを身がわりにして政府が一つの方針を考えてあるいは補償なり——補償という名前が悪ければ適当な名前でけっこうであるから、何らかの形で漁民が立ち上がれるようにされるということが、私は焦眉の急務だと考えるものであります。だからありきたりの常識的な考え方だけではなくて、もう少し血の通った、——当面の問題をいかに切り抜けるかということを私は強く、これは外務当局にも関連がありますが、特に農林省はこういう問題については大蔵省その他とも強力に折衝されて——常識ではちょっとと思うようなお考えは私もわかります。こういうような、その常識の例外と申しますか、そういう考え方でこの問題を処置してもらわぬと間に合わぬのですよ。一つこれに対する答弁を伺っておきたいと思います。さっきの答弁では、私は不満足です。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 ただいまの件につきまして、先ほども申し上げましたように、農林漁業金融公庫の融資等もあまりうまくいっていないということであれば、私どもの方としては、こういう場合はできるだけ優先して従来もやっておりますが、その点は従来よりまた一段と努力をして参りたいと思っております。  それから第二の点につきまして、今上林山委員からも非常に示唆に富むお話を承りました。私はそれに対しまして、今そういたしますという答弁はいたしません。これはいろいろ問題があると思います。しかし大へん示唆に富んだ案ではございますので、私どもとしては、そういうことについても一つ検討を進めていきたい。ただし目下のところ、従来はそういう措置はとっておりません。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 こまかく考えると非常に壁に突き当たったり、連鎖反応を起こしまして、いろいろな問題があるだろうと私もお察しします。しかしこれはもうそういうありきたりの考えを一つ清算して、からだに火がついておる漁民の悩みでありますから、積極的な善処を要望いたしてこの問題を打ち切りたいと思います。  次に外務大臣にお伺いいたしたいのでございますが、沖繩周辺の演習によって関係漁民の受ける打撃というものは非常に大きいのでございます。これは私ども九州だけに限らず、ほかの数県の者も被害を受けておるわけでございます。これは相手国のあることでございますから、日本が考えたようにはいかない問題もあるだろうと思います。思いますけれども、また沖繩で演習をやるために受ける漁民の打撃をお気の毒だと言うだけで済まされるかどうかということです。私はもうこの辺にくれば、お気の毒だといってそのままほっておけないのじゃないかと思うのでありますが、外交交渉を通じて、この問題についてアメリカ側に何か御折衝になったことがありましょうかどうか。あるいはその結果はアメリカ側はどういう回答を外務省にしておるかどうか、この点を一つ承っておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 アメリカ大使館と外務省と交渉をいたしたのでございますが、それにつきまして詳細事務当局から御説明いたします。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 昨年の春か夏ごろからこの点は問題になって参りました。元来この演習は終戦後ずっと行なわれておったのではないかと私は思うのでございますが、われわれの方が知りましたのは、昭和二十六年くらいにこの通告があったわけでございます。それで昨年まではこれという問題も大してなかったのでございますが、私どもの方の耳には入ってきておらなかったわけでございます。昨年の春から夏にかけまして、非常にこの問題が大きく取り上げられました。そこで従来関係官庁とも連絡いたしましたが、大使館の方とはその後これは非常に密接に連絡をいたしまして、なるべくこの被害が少ないようにという点で交渉いたしておるわけでございます。これは原則論といたしますと、アメリカの方にも、公海において演習をするところの一種の権利というふうなものもございましょうし、もちろんこちらは公海で自由に漁業をするという権利があるわけでございます。これが競合いたすケースでございまして、この点なるべく両方が、漁業のじゃまにもならぬように、漁業が自由にでき、かつまた演習の目的も達成できるような調整ということをわれわれは考えたいと思いまして、またそういう意味において交渉をいたしておる次第でございます。昨年からいろいろとこの関係の業界の方から陳情はございます。それで私たちはアメリカ側とそういう交渉をいたしておりまして、アメリカ側も、原則的にはなるべく漁業のじゃまにならぬようにしたいという点は同意いたしておるわけでございますから、あとは詳しい資料を持ち寄って、どういうふうにすればいいか、地区をどう調整すればいいかというふうな細目の折衝をいたしたいと思っておるわけでございますが、目下のところ、関係の漁業団体においてそういう資料を集めておられる段階であるのではないか、こういうふうに存じておる次第であります。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 外務省が漁民の立場を考えて、それぞれ御折衝になっておるということを承ったのでありますが、これはあの近海で演習をしてくれないことが一番いいわけであります。おっしゃるように公海で演習するのも自由だ、魚をとるのもこれは自由だ。自由と自由が競合しておる際は、これはできるならばその付近で演習をしてもらわないようにした方が一番いいわけでありますが、それが交渉の結果だめであるというならば、今局長の答弁のように、時間を短縮するとか、場所を被害の少ないところに持っていくとか、あるいはアメリカ側か日本が漁民に対してその損害の補償、そういうようなものを考えてやるとか、それぞれ次善の策をおとりにならなければならない。そういう線で進めておるという今のお話でありますが、それは関係漁民からの資料も出ましょうし、政府もまた機関を動員してお調べになるでありましょうが、いつごろになったらそういう細目の協定と申しましょうか、申し合わせと申しましょうか、そういうものができる見通しでございますか。これは関係漁民としては演習絶対反対、こういう強い線を打ち出しておるところもあるわけで、これは漁民の立場からすれば、私はやむを得ざる一つの考え方であろう。彼らの立場を私は心から同情をしておる一人でございますが、一体いつごろになったらまあまあという一つの結論が出る見通しでありますか。これを承りたいと思います。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 この点につきましては、われわれが折衝いたします材料になります具体的な資料が、いつ出てくるかということにかかるわけでございますが、ただいまも仰せになりましたように、漁民の方では絶対反対、演習をやめてくれという希望の方が非常に強かったわけでございます。それに対しまして、絶対反対と言われても、向こうもやはり演習をする必要があるので、われわれとしても完全にやめろということは言えない。外務省の立場としましては、やはり両者の利害を調整するという方向に進まざるを得ないのでございます。何か資料を出してほしいということを再々申しておりまして、最近に至りましてそれでは資料を出そうかという機運にぼつぼつなってこられたという段階でないかと思っております。水産庁もまだ調査をしておられるようであります。その結果も近くいただけるものと思いますので、そういう資料が整い次第、われわれの方は交渉が開始できるわけでありまして、今までは原則論としての交渉、先方の主張の内容がどうであるかということは十分調べておりますが、今度はこちらの資料に基づいての交渉になりますと、それらがそろいました上でということになりますので、いつという見通しになりますとそれらの資料が完全にそろうのを待っておるわけでございます。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 アメリカ側から交渉の結果そういう資料を出してくれという要望があって、それに符節を合わせて質料を出す、こういうことになっておるのでございますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 アメリカ側からの要望と申しますよりも、調整をいたしますにはどうしても資料がないとできないわけであります。向こうも当然資料を要求いたしましょうし、われわれといたしましても資料がなければ話ができない。今までは原則論、アメリカ側の規則がどうなっているか、そういう点を調べておったのでございますが、いざ両者の利害を調整するとなりますと、当然資料が要るわけであります。向こうが申したかこっちが申したかということになりますと、同じじゃないか、どっちか私も覚えてないような状況であります。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 最初は漁民は絶対反対であったが、絶対反対ばかりではいけないから、次善の策としていろいろなことを伸縮性を持って考えておる、こういう関係団体からの申し出があったのでございますか。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 関係団体もたくさんございますので、どの団体が今どういうふうに考えておられるかという点までは私もはっきり覚えておりませんが、申し出があったと申しますよりも、私たちの方で、今後折衝をいたすにはどうしても資料が要るから、ぜひ資料を出してもらいたい、資料に基づいて交渉等をしたい、絶対反対だけではわれわれとしてもこれ以上交渉はしにくいというふうに、われわれの方が資料を出すようにお勧めして、ぼつぼつ資料を出そうかという機運に関係の団体がなってこられたというのが実情でございます。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 水産庁長官に伺います。ただいま外務省側の御答弁でございますが、あなたの方の資料が出そろうのは大体いつごろになりますか。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 私の方で昨年の十一月、とりあえずそのときまでにわかった資料を外務省にお渡ししてあるはずであります。ただしこれは急いで作りましたので、あるいは多少足らざる点もあるという断わり書きはつけてございます。従いまして、それを補完する意味で目下資料を整えておりますが、私今はっきりした事実は承知いたしておりませんけれども、できるだけ早い機会に補完をいたしたい。ただ私の方で申されることは、あそこはカツオ、マグロの回遊魚を対象としておるものですから、どこといっても、魚が移動してくるところで、ある特定のスポットについて漁獲がどうだ、その影響がどうだということはなかなかむずかしい。率直に申しましてそういう資料はなかなかできにくい。全体としてあの水域にどれくらいの漁船が出てどれくらいの漁獲がある、これはもう十一月に差し上げております。なお事務的な点につきましてさらに打ち合わせをいたしたい、こういうふうに考えております。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 伊關局長、水産庁長官からお聞きの通り、補充する、一部足す程度である、こういうふうに言っておるのですが、もう少しこの問題はお急ぎになって、私は最善の策、それができなければ次善の策、そうしたようなものを、日本の漁民になりかわって、農林省と連絡をされて、一つこの問題の解決に努力をしていただきたいと考えます。  なお、水産庁長官、外務大臣に伺いたいことは李ラインの問題ですが、この問題で、この前業者の諸君がもう日本の外交交渉なり海上自衛隊なりは歯がゆい、だからお互いで自衛船、いわゆる武器を積んだ船を出す、こういうところまできたのです。私はこれを最後に伺いたいのですが、自衛船を出さなければならないほど逼迫しておるのですが、今度の日韓交渉あるいは今度の相互送還等を契機にしてこれが好転していくという見通しですかどうか。相手はなかなかさるものでございますから、むずかしい質問がございますが、ほうっておかれると、先ほども質疑があったように、国民はもう自分たちで武装して自分たちで自分を守らなければ生活権を脅かされる、こういうところまできておるのですが、私は、日本の近海をめぐるこうした問題は、どうしてもこの際、外務省も相手のあることでなかなか困難であるけれども、一皮も二皮もむいた御決意で進んでいただきたいと思います。このままでほうっておくと、業者は、漁民は自分で守るために自衛船を出そうという空気が出てきつつあります。これに対する両当局の考え方を伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 李ラインの問題の解決が非常に重要なことであることは申すまでもないのであります。われわれとしては最善を尽くして今後やって参りたいと思っております。韓国側の態度のことでありますから、なかなか予測し得ないのでありますけれども、われわれとしてはだんだん国民的要望も深まっておりますので、決して弱い態度をもって今後交渉して参るつもりはございません。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 私どもとしまして漁民が自衛船にまで訴えるということは決して好ましい事態でないのでありまして、このままに推移する場合におきましては、何度も同じ事態を繰り返すということでありますので、事外交の問題でありますが、日韓関係の根本的な解決ということを一日も早くやってもらいたいということをわれわれは強く念願しておるわけであります。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 水産庁長官に私は資料を要求しておきます。ただいま次善の策としてアメリカ側と相談をする資料を集めておる、大体できておるけれども今足らないところを補充しつつあるんだという、その一番最近の資料を一つ私の手元に提供していただきたい、こういうふうに考えます。それは大体いつごろでき上がりますか。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 私、その時期について今はっきりお答えできかねるのでございますが、できるだけ早い機会に差し上げたいと思っております。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 何もやかましく言っておるのじゃないですがね。いつ出せるかお答えしかねる、そういうことは国会では通らぬのですよ。だからそういうことをおっしゃらないで、そんなにむずかしい資料じゃない、大体できておるんだ、ただ一部足らぬからそれを近いうちに補充するんです、こうさっきあなた言っておるのでしょう。予算委員会が済まぬうちにお出しにならなければ意味がないことに常識上なるわけですから、これを一つ出していただきたい。どうですか。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 私の申し上げるのは、できるだけ早く差し上げたい、こう思っております。今十一月のものならできておりますので、その程度のものなら先に差し上げます。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 できるだけ早くということはわかりましたが、この予算委員会がある間に出せますか。

西村健次郎水産庁長官

○西村(健)政府委員 その資料の程度で、上林山分科員の御要求が最終的な詳しい資料をということでありますと、率直に申しましてちょっと私むずかしいのじゃないかと思います。できるだけすみやかにということで御了承願いたいと思います。

上林山榮吉自由民主党

○上林山分科員 こまかいところまででなくていいですから、大事なところだけ、大まかな資料でいいですから、衆議院の予算委員会は多分、何日か知りませんが三月の初めに大体終わるのじゃないだろうかといわれているのですから、それまでに出して下さい。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 外務省の予算に関連して主として大臣に若干の質問をいたしたいと思います。  一番最初に、先ほど木原分科員並びに上林山分科員から質問のありました日韓交渉に関係した問題でありますけれども、新聞紙の伝えるところによりますと、釜山に抑留されておる漁夫と長崎にあります抑留韓国人の相互釈放が今月中にも行なわれる。もしそれが行なわれないような段階に突入すれば、長い交渉でありますけれども、そこらで交渉についてもだらだらと継続していくかどうかということを根本的に考えなければならぬ段階に到達するのではないか、こういうことが新聞紙等で報道せられておるのでありますが、大体これらの見通しについて外務大臣はどういうふうにお考えになっておるか、まず伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知の通り昨年の七月三十日でありましたか、日韓会談を無条件再開するという韓国側の話がございましたときに、釜山におります抑留漁船員の送還問題については、これと並行し、日韓会談にかかわりなくこの問題を処理していくという向こう側の確言を得ましたので、われわれは無条件再開に同意をいたしたわけであります。従いまして、その後名簿の交換等もいたしまして、その問題を進めて参ったわけでありますが、たびたび申し上げましたような昨年十一月以来の経過によりまして、今日までまだその送還の目的が達しておりません。一方日韓会談は一応十一月前後に抑留漁船員の送還があるものとして開始はいたしましたけれども、今みたいに延びて参りますと、現状におきましては、日韓会談を並行して進めて参ることが適当ではないかと思われますから、会談自体をややスロー・ダウンして、話し合いをいたさない状況にあります。私どもといたしましては、今回さらに強く抑留漁船員の送還問題を日韓会談の前提条件として持ち出しておるわけでありまして、これが解決をいたしませんければ、現在やっております日韓会談というものに入るわけに参らぬのであります。そういう意味において現在強くこれを韓国側に要望いたしておるわけであります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そういたしますと、北鮮への帰国問題等が障害になって中絶したような格好になっておるわけでありますが、外務大臣の御意向としては、日韓会談再開の前提条件として、釜山にある抑留漁夫は当然韓国側で釈放しなければならないのだ、またそれが交渉再開のときの了解事項であるというふうにお考えになっておると受け取ってよろしゅうございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 交渉再開のときの了解事項ではございませんけれども、しかし日韓会談を進めて参ります上におきまして、一昨々年の予備会談におきましても、漁船員の釈放ということが前提であったことはむろんでございます。従って日韓会談の議題としては取り上げないで、別個にこれを扱っていくという立場をずっととってきております。でありますから、昨年の十月前後を目標として七月に日韓会談再開を申し入れてきましたときに約束をいたしておる、それが若干ずれて参りますことは、諸般の事情もありますから、これはやむを得ぬことだと思います。しかしいつまでもこれができていませんければ、やはりわれわれとしては日韓会談を友好裏に進めていくわけには参らないというふうに現在考えておるのでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 抑留漁夫の釈放問題は、おっしゃられるように人道問題であり、これは国際法的な立場からいっても当然早く釈放しなければならぬ問題でありますので、交渉再開の前提条件にするかどうかということと別な考え方の上に当然この実行を迫っていくのだという考え方は正しいと思うのであります。ところが過般の予算委員会におけるわが党の足鹿委員の質問によって明らかになったのでありますが、最近日韓交渉再開の一つのきざしというか、そういう意味で朝鮮米の三万トン買付の問題が先方から提示せられておるようであります。福田農林大臣の答弁では、それは相当の外米を買わなければならないのであるから——これは答弁が多少誤解を招いたと思うのであります。抑留漁夫等の釈放が従来の約束の通りに実行せられるということの保障があるならば、そういうことについても経済べースは経済ベースとして考えていいのじゃないかという意味の答弁をされるつもりであっただろうと思うのですが、若干福田農林大臣の答弁が誤解せられるような節があったと実は思うのであります。その点は農林大臣の答弁をわれわれ善意に受け取りますけれども、日本側としてはやはり玄米での買付を希望している。ところが朝鮮側としては白米による三万トンの日本への輸出を考えておる。それが何か食い違っておるようで、伊關局長と柳大使との間の交渉でもその問題のやりとりが行われているように新聞に報道せられるのでありますけれども、朝鮮米の買付問題は日本側の玄米の希望に対して向こう側の白米の希望というような形で、今申し上げました抑留漁夫の釈放問題と関連なく具体的な話が現に進行しているのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 抑留漁船員の釈放の問題はすべての日韓交渉の前提だと私ども考えております。従いまして日韓会談をなめらかに進行させる上におきましても、あるいは貿易関係の話し合いをするにいたしましても、前提として抑留漁船員の問題が解決していなければならぬのでありますから、関連さして考えてはおりません。釜山の漁船員の釈放ということが第一義でございます。そうしたことが起こりますならば日韓会談も進行させていけましょうし、また貿易等の相互交換ということもやり得ると思うのでありまして、その上に立って米を買う、のりを買う、あるいはこちらから物を売るという問題が相談されていくことになろうと思います。ただ向こう側としては、現状におきまして、釜山の抑留漁船員の釈放については今鋭意自分たちの方も努力をして、意見をまとめて近くそれについて日本側と取りきめができるだろうということを言っておりますので、従って貿易等の問題につきましても、その暁にはこういうことにしたらどうだという別個の話し合いはいたしております。御指摘のような米の問題につきましては、玄米、白米等の問題もございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 その点については私が持っておる情報と若干食い違うのでありますけれども、その点はいずれまたあらためて別の機会に尋ねることにいたします。  なお日韓交渉再開の見通しの問題に関連して、韓国側で来月の大統領選挙の関係、その後の韓国内部における経済情勢等の推移の関係からも、韓国内部の事情でたとえばICAの関係のいろいろな買付の問題等についても、現在の日韓貿易の途絶した状態の中に西欧諸国に振り向けられておったような関係のものも、地理的な関係その他の問題をも考慮に入れて日本でやはり調達すべきではないか、こういう韓国内部の経済事情の変化があるということが別の情報で伝えられてきておるのでありますが、外務大臣、直接当たっておられるわけではないと思うのでありますが、先方との接触の過程においては、そういうような意味の問題で、朝鮮米の買付問題ではなしに、いろいろなものを含まれると思うのですが、たとえばICA資金の関係の機材その他の日本での買付というような関係の問題で、特に経済的な関係等の問題から、交渉再開の機運というものが先方側に盛り上がっているような情勢は察知できないでしょうか。何かそういう事情があるように私らは伺っておるのですが、この点は伊關局長の方からでもお答えを願いたいと思います。

伊關佑二郎外務事務官(アジア局長)

○伊關政府委員 ICAの関係につきましては、私たち交渉をいたしておりまして今まで特に出て参りましたことはございません。ただICAで、日本の肥料が安いという点で日本から当然買うべきものを——最低のビッドにもかかわらずこれを実施しないというふうな気配が一時見えたこともございました。その点は今は解決されておるようでございます。ただ大統領選挙と直接関係がございますかどうかは存じませんけれども、やはり韓国の経済事情というものは相当インフレの傾向が強いわけでありまして、今後漁夫の釈放等も行なわれまして、日韓会談でも軌道に乗って参りましたならば、ぜひ日本との問で経済的な話し合い、ICAを除きましての貿易の話し合いをしたいということは先方が盛んに言っております。その一つとして米を買ってほしいというふうな問題も出ているわけでありますが、要するに貿易は相当アンバランスの状況でございますので、将来の問題としてこの点はぜひ話し合いをしたいということを先方は申しております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 現に日本に来ております韓国の代表部の性格、あるいは駐日代表部と別に日韓交渉の関係で韓国側から来ている代表の外交上の資格等の問題についての質問を先ほど木原委員からやっておりますので、その点については重複を避けまして、問題を少し変えて御質問を申し上げたと思います。  外務大臣に全般的なお答えを願うと、これまた非常に世界全般にわたることでありますから、時間がかかると思うのでありますけれども、外務大臣の先般の本会議における演説の中でも、本年度における外交路線として経済外交の強化充実ということをあげておられるわけであります。そういう点で、これが世界的な貿易の自由化、為替の自由化というような情勢の中に従来と違った方策を立てなければいかぬと思いますけれども、具体的に経済外交を推進していこうという外務大臣の基本的な考え方だけを一応伺いたいと思います。それに基づいて外務省の予算関係で、たとえば貿易振興の関係であるとか、あるいは経済開発協力の関係等で外務省の共管をしております予算関係がありますので、そういうような点について具体的に質問に入りたいと思いますが、その前に外相の描いておられる経済外交の大きな路線についての御所信を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今日の外交の大きな観点から申しますと、申すまでもなく現在まだ雪解けがきたと申すことはできないと思います。しかし雪解けにいこうという努力が払われつつあることは当然だと思います。そういうような状況にありまして、おのずから各国が世界の平和を考えて参りますと、それぞれの国の国民生活の向上、そうして物資の流通というようなものが大きな面でクローズ・アップされてくるわけであります。従って経済上の外交の手というものは、それぞれ活発に動いてくることは、私はこれは当然のことだと思います。現に共産国の側におきましても、また自由主義国の先進国の間におきましても、今日の状況におきましては、相当経済外交の面を強調して参ってきておるのでありまして、先般来アイゼンハワー大統領が各地を旅行し、あるいはフルシチョフソ連首相が各地を旅行しておりますのも、そうした経済的な面が相当に強調されておると考えております。従いまして日本といたしましても、そういう状況の中において経済外交を推進していかなければならぬと思うのであります。経済外交の面におきましては、かねてから申し上げておりますように、貿易の円満なるあるいは順調な交流ということが、一面においてはそれぞれの経済的な外交の一つの焦点でありますと同時に、他面では現在のような国際間の状況から見ますと、後進国に対する経済援助あるいは経済協力というようなものが経済外交の一つの大きな路線になっておるのであります。今日この二つの線をわれわれは強く進めて参らなければならぬことは申すまでもないことだと思います。国際貿易の伸展、拡大という問題につきましては一方では戦後十五年ほどたちまして、それぞれ戦争の被害あるいは戦争からこうむりました影響というものから脱却して、それぞれの経済的な力を先進国はたくわえてきております。その結果として、御承知の通り一昨年の秋からヨーロッパにおきましては、為替の自由化貿易の自由化ということが叫ばれてき、他面経済的な協力体制を作るというので、ヨーロッパ共同体なりあるいはそれに対抗するイギリスを主体とするアウター・セブンの問題等が出てきておるのであります。そういう情勢を反映しております今日の国際貿易の関係から見ますと、われわれもそれに対処して国内的の整備も必要でありますが、同時に国際的な経済外交の手を一般に強化して参らなければならぬと思うのであります。日本といたしましては、位置から申しますと、先進国と低開発国との中間と申しますか、やや中間よりも先進国に近い方に来ておりましょうけれども、先進国にことごとくならうわけにいかぬ場合もありますし、同時に低開発国の産業発展の段階におきまして、われわれが同情の目をもって見られる面もあるわけであります。でありますから、自由化というような問題をめぐってみましても、われわれはある程度国際経済外交においては、低開発の立場を十分に頭に入れて、先進国との間の調整をはかっていくということも、われわれ経済外交の与えられたる任務の一つだと思うのでありまして、そうした国際面におきます今後の会議外交なりあるいは個別的外交なりを通じて、そういう面については基本的にわれわれは努力をして参らなければならぬと思います。同時に日本といたしましては、今申し上げたようなヨーロッパのブロック化なりあるいは最近できました南米の貿易ブロックというような関係をも考慮しながら、日本の貿易伸張ということを考えて参らなければならず、同時に二国間にあります自由化に伴います諸般の関連の問題を解決していくのが必要であろうかと存じております。また経済協力の面から申しますと、各国が戦後、ただいま申し上げましたようにその経済力が逐次回復して参っておりますので、十分な力を発揮できる段階になって参っておりますので、国際的にも従来の一国だけのいわゆる援助が、何かひもつき的な援助になりがちだという後進国の不安に対して、やはり国際的協力による後進国開発というものが一面出てきておるわけであります。そういう面については、日本の経済外交としては十分な協力をいたして参らなければならぬと思います。同時に、やはり二国間の関係におきましても、われわれとしては日本の国力の充実に伴いまして持っております知識なり経験なり技術なり、あるいは使用し得る限度における資金なりを活用して、そして低開発国のために力を注いで参らなければならぬと思うのです。大体私どもが考えまして、経済外交の路線として今申し上げたような点を考えておるわけであります。そういう意味におきまして、今後一そう力を入れて参りたい、こう存じております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 経済外交の具体的な面としては、自由化の傾向に対処した形でわが国の貿易をどういうように伸ばすか。それから、今大臣がお述べになりました後進地域、低開発地域の経済開発に対する援助協力、具体的にこういう二つの面を通じて行なわれなければならないと私思うのであります。ただ自由化の傾向に向いてはおりまするけれども、貿易振興の面で、これは別に本委員会でいずれ締めくくりの総括質問を行なうときにも安保条約に関連して触れたいと思うので、ここでは単に問題だけを指摘するにとどめたいと思いまするけれども、やはり新安保条約の締結というものが、昨日重ねてソ連から強硬な覚書が日本に持ち込まれる、こういうような状況、それから日本の経済的な発展、経済外交の中においても重要な位置を占めなければならない中国大陸との間の経済交流の問題が、先年の第四次日中貿易協定の調印後の蹉趺から、今日三年余にわたってまだ打開できないというところに根本的な隘路がまだあると私思うのでありますが、これは別の機会に伺うといたしまして、特に今大臣もお述べになりました低開発地域に対する協力の問題について、これはやはり大別すると、一昨年でありましたか岸総理の東南アジア各国への訪問のときに打ち出された、東南アジアの経済開発に対する協力と、今アメリカにおいて日本の参加が慫慂せられておるという、いわゆる西欧の低開発地域に対する協力参加、この二つに分かれて考えられると思うのでありますが、そのうちで東南アジアの経済開発、特に後進地域への開発の問題については、先般のアイクのインド訪問等の関係、あるいは今回のフルシチョフソ連首相のインド、ビルマ、インドネシア方面への訪問というような関係で、米ソ二大両国からの、これらの地域に対する援助あるいは開発に対する協力というようなものが、大きく打ち出されておるのでありますが、日本の立場において東南アジアのこれらの低開発地域に対する経済協力の問題を、具体的にはどういうようにお考えになっているか、総理の先年発表せられたものがだんだん具体化する段階に入ってきているのではないかと思います。それらしきものも予算には見られないことはないので、もしお答えがなければ後ほど具体的に問題を提起してお伺いをしたいと思うのでありますが、まず東南アジア全般の開発に対する協力援助というような関係について、お答えを願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 東南アジアは御承知の通り低開発国でありまして、第一次産業によって主として生活をいたしております。また人口もかなり多い国が少なくないのでありまして、これらのものに仕事を与え、産業を与え、また輸出力を与えますことは、従来のいわゆる第一次産品以外の輸出力を与えますことは非常に必要なことだと思います。従いまして第一に考えられますことは、従来の農産品以外に鉱物資源である地下資源の開発というものに協力して参りますことは、それぞれの国の経済を伸張する上において望ましいことでもあり、また援助に対する日本の成果も期待し得られると思うのであります。でありますから、そういう意味において一面では考えて参らなければなりませんと同時に、一面ではやはり中小規模の工業というものが、これらの地域においては欠除いたしておるのでありまして、日常生活品の簡単なものをまず生産するという方面に向かって、力を注いでいかなければならぬと思うのであります。これは日本の中小企業の経験というものを十分生かして、活用されることに相なろうと思います。そういう面から申しまして、技術の面においては、今日われわれは低開発国に協力いたしまして、ヨーロッパ先進国と遜色のないような技術を持ち、かつまたむしろ中小企業の現地における育成というような点についての経験というものは、ヨーロッパ各国なりアメリカよりも十分生かし得る経験を持っておることなんです。ただ残念ながら財政的に資金的に、日本としては今日までまだ十分な力をいたし得ない段階でございましたけれども、最近の日本経済の伸張に伴いまして、外貨事情も特に好転して参ってきております。こういう状況になりましたので、先年、岸総理が提唱されました経済開発基金等の構想につきましても、国際的な協力の面から、これに参加いたしますと同時に、日本自身も、何らかの動きを若干ずつ進めて参らなければならぬと思うのでありまして、先年、五十億の資金を一応積み立てたものを、今回は活用し得る道を開いていく。そうしてまた、金額は少ないのでありますけれども、少なくもその金額だけでも活用し得るような方法を考えて参りたいということが、われわれの念願でありまして、今回大蔵、通産、外務、三省から開発基金に対する一つの法律案を作り、予算面においても、この五十億の積み立て資金を活用するような道を開いていくことに踏み出したのでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 その点は、私も伺いたいと思っていたのですが、従来の輸出入銀行の中の東南アジア開発協力基金勘定を、新しい海外経済協力基金に独立させよう、こういうことが予算面で一応出ているのでありますけれども、輸出入銀行の特別勘定から新設の協力基金に発足するのは、まだ関係の法案も出て参りませんし、実施の時期は、予算面から見ますと九月のようでございまするから、内容が判明をいたさないのでありますが、大体この海外経済協力基金の構想のあらましというものは、一体どういうものでしょう。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知のように、今回凍結しておりました基金を凍結から解除いたしまして、新しい基金制度を作ることにいたしたのでありまして、数日中にその法案を国会に御提出することができることになろうと思っております。大体従来の輸出入銀行の機能といたしましては、従来の輸出入銀行が、長期、低利に、しかも投資的な金融をいたすことが非常に困難でございます。輸出入銀行本来の性質から申しまして、貿易金融を大体主眼としてきておるわけであります。投資的な、あるいは長期に、しかもその長期なものがある程度安い金利でというような目標になりますと、現在の輸出入銀行の機能においては欠くるところがあるのでありまして、これは今まで各国との経済協力をやってみまして、痛切に感ずるところでございます。従いまして、今回はそういう点を考えまして、輸出入銀行以外にこれを設けて、どの程度までそうした面について運営上、長期化し、あるいは低金利でもってやれるかということは、今後の運営上の問題になって参りますが、主眼としてそういうことを考えておるのでございます。それによりまして、今日までの欠点を、金額は少ないわけでありますから、十分補うとは言えませんけれども、しかしこれは効果さえあれば、毎年積み立てていっても、繰り入れていっていただいてもいいような制度にいたしまして、そうしてそういう面から推進して参りたい、こういう構想でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 いずれ近く関係の法律案が出るということでありますが、ただいま藤山さんがお答えになったような、まだ構想としてもきわめて抽象的なものであります。輸出入銀行の凍結をしておった五十億を振りかえるわけでありまするけれども、もともとはこれはやはり国民の血税であります。しかもこの開発基金は、経済開発について協力する場合等におきましては、それぞれの当該の国との間の一応外交上の協定を結んで行なわれるという形で、ほかの賠償等に関連する部分はやってこられておるわけであります。今後そういう外交上の協定等がなくとも、たとえば日本人が東南アジアの低開発地域へ参りましてやる事業であるとか、あるいは先方の法人というようなものには、貸付あるいは事業体に対する出資というようなことが当然行なわれると思うのであります。これはその意味から見れば、厳密なる意味の政府機関とは言えないかもしれないと思うのでありますけれども、私はやはり全額国が出資をいたしまするところの特殊な法人でありまするから、かりにこの振りかえを現実に実施するのは年度半ばの九月であるといたしましても、私は、この国会の予算審議の段階で、もう少しこの具体的な内容が示されなければならぬと思うのです。しかしこれは必ずしも外務省の専管の問題でないので、いずれ本委員会において大蔵大臣からも伺いますけれども、特にその点は、従来行なわれてきておる経済協力の問題については、藤山さんも御承知のように、賠償条約と関連をしたそれぞれの国との間の協定に基づいて行なわれてきている。今度は必ずしもそういうものが私前提にはならない場合もあり得ると思うのです。その点だけにやはり、かつて輸出入銀行で東南アジア開発協力基金勘定を設けるときに、国会で承認を得ている金を、そういうものに振りかえるんだという事務的な解釈をせずに、これはもし誤解をされると、先般の岸首相の東南アジアの開発に協力するというようなことは、まあ岸総理の人となりというものにもよりまするけれども、大東亜共栄圏思想じゃないかというようなことで反撃を受けたような場面もあるわけで、誤解をされる面も私は出てこないとも限らぬと思うのであります。その点は今直ちに、先ほどお述べになった以上の具体的なものをここで聞こうとはいたしませんけれども、いずれこの予算の衆議院通過までの間には、もっと具体的な構想を示さなければならないものだと思います。やはり関係大臣の方へ藤山さんの方からも連絡をとることを私要求をしておきます。  そこで、時間もだいぶ経過しておるので、私たくさん質問をしたいと思っておりましたが、あと二、三点この機会にただすことにして、あとを滝井委員に譲ることにいたしますが、もう一つの問題といたしまして、これは外務省に関係のありまする、賠償その他のいわゆる特殊債務の支払い関係の予算でありますが、まあ昨年度よりも本年度は減少をいたしております。これは昨年度に支出を予定して国会で議決をされたものが、今年度に繰り越された部分がございまするので、本年度は通例であれば、先般の、われわれは反対いたしましたけれども、支払うことになった南ベトナムに対する賠償支払い等も、具体的な支払いの段階へ入ってくるので、金額は私、本来は増加すべきものだと思うのでありまするけれども、昨年度との繰り越しの関係で減っておるのであります。まあ賠償関係の支払額は私らも条約の関係で承知いたしておりますけれども、賠償以外の旧連合国もしくは旧連合国人の、日本の国内における財産の戦争損害の補償及び戦争の遂行もしくは連合国の軍隊による占領に関連して負担する対外債務、こういうものの支払いに充てられる部分が二百四十億二千三百二十四万円の中にどの程度に含まれているか、この点の内訳を一つ伺いたいと思うのです。具体的には賠償以外のいわゆる連合国または連合国軍人の財産補償等に伴う債務というものはどういうものがあるかということを一つお示しを願いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 この関係は直接外務省の所管でございませんからはっきりいたしませんけれども、若干の点について外務省の政府委員から答弁させます。

内田藤雄外務事務官(大臣官房長)

○内田(藤)政府委員 実は本件で私が想像いたしますところでは、日英の問題などがその一つのおもなものじゃないかと思うのでございますが、私の記憶しておりますところでは一応十億ぐらいの線でだいぶ歩み寄ってきておるということを聞いておりますが、まだその条件等につきまして、必ずしも向こうと折り合いませんので、まだこれも妥結しておりません。そのほかおもなものはだいぶ片づきましたので——表面上懸案に上っておる国はだいぶあるかと存じますけれども、実際上の額としてはそう大きなものはないのではなかろうかと私は考えております。もっともガリオアとかイロアとかいう問題は特別でございますけれども、これはちょっと別にしての話でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 具体的にちょっと一つ伺いますが、これは別の機会に外務大臣にお調べを願うようにこの前お願いしておいたのでありますが、たとえばオランダ関係で戦時中に日本の海軍が拿捕した病院船のオプテンノール号、舞鶴の沖合、これは領海外に自沈をしておる関係のものであります。これもオランダ側からの申し入れがありまして、現在西村委員会ですか、第三国委員会にかかっておると思うのでありますが、こういうような問題が当然、もし具体的な結論が妥結すれば、今申し上げた賠償以外の特殊債務として処理しなければならぬ問題だと思うのですが、これはまだ外務省の関係でオランダ側との間、あるいは私が承知しているところではスイス関係の人を入れて、西村熊雄氏と、それからオランダ側の代表とスイス側の代表とのいわゆる三国委員会で検討を続けておる状況のようであります。私らの聞くところではオランダ側としてもこの第三国委員会での結論とは別に、もし話し合いができるならば、これについて妥結をしたい、こういうような意向もあるように聞いておるのですが、そういう関係はどうなっておりましょう。

内田藤雄外務事務官(大臣官房長)

○内田(藤)政府委員 大体田中委員のおっしゃる通りのことを私も承知いたしております。日蘭の間の財産委員会の間で正式にやっておりますけれども、別途適当な話がつくならば外交折衝の線で妥協するという可能性もあるというふうな段階だというふうに承知しております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 この点については先般というか、もう二年くらい前でありまするが、別に外務委員会で、櫻内君が委員長時代だったと思うのでありますけれども、取り上げられた例もございます。賠償関係も南ベトナムで済んでいると政府の方はおっしゃられるわけでありますけれども、毎年こういうような不確定な形の債務の処理の予算が計上されることのないように、もう戦後十五年を経過しておるのでありますから、こういうような懸案についてはできるだけ早期に解決するように処理しなければならない、その点を申し上げておきたいと思うのであります。  それから移住振興に関する経費が本年若干増額をされておるのであります。移住振興に関する経費の中で、日本海外協会連合会に対する補助金が従来の二億五千万円から三億七千九百七十三万円と、一億三千万円ばかり増額をされておるのでありますが、この海外協会連合会は具体的に移住振興のためにどういうような活動をされておるのか。本年度特に一億三千万円からの巨額の増額をされた理由は那辺にあるのか。まあ移民政策というようなことについてはいろいろ私も基本的に申し上げたい点もありますが、そういう点は本日は申し上げないことにして、この予算がふくれたことの御説明を願いたいと思います。

高木廣一外務事務官(移住局長)

○高木政府委員 ただいま御質問の海外協会連合会東京本部及び地方の予算が約一億五千万円ふえました。一番大きなねらいは移住につきまして海外の受入地の施設をできる限り強化する。移住者はブラジルのサンパウロのようなすでに開けた移住地に参る方も相当あるのですが、同時にアマゾンとかパラグァイとかボリビアとかの原始林を伐採してそこに新しい移住地を作っていくという移住もございます。これが今後力を入れていかなければならない将来伸びるところであります。そういう関係で、移住地に対する教育施設、医療施設あるいは移住地開発のために必要なブルドーザーだとかトラックだとかその他の政府の援助施設を増す、さらには新しい構想として南米の移住地に移住訓練所を作る、それから現地の受け入れ強化ということで営農指導のための人々も増加する。政府の補助で移住を促進していきます点はすべて海外協会連合会でやる、こういうことになっております。それ以外に金を貸して、つまり営業べーシスといっては言い過ぎでありますが、金を貸して取り戻す金融上の援助という立場で、移住振興をはかる。その二本立てでやっておりまして、本年は海外の受け入れ施設は特に重点を置きまして予算をふやしていただいた次第であります。なお国内におきましても、募集、選考、送出、こういう面で従来とも十分ではございませんでしたので、その点につきましても予算の増額をお願いし、本年は海外協会連合会本部の群馬県におきます移住者の指導者を養成する移住研修所、これの予算が昨年は二百五十万円ついたのですが、ことしは五百万円余り、わずかでございますが、これもわれわれのささやかな努力からすれば相当の力を入れることになるわけでございます。  そのほかごくわずかでございますが、新しい試みといたしましては、これからの移住は単に農業移住者のみでなくて、工業、商業、技術者の移住というものにも力を入れなければいけない。特に先ほど申し上げましたサンパウロ、ブエノスアイレスあるいはメキシコ・シティーとか、中南米でも相当工業が発達しておるところへの移住には企業者を出す。それがためにこれのあっせん及び現地における連絡その他のための金を出す、そういう点を含めまして今申し上げましたような増加になりました。なお言い忘れましたが横浜の移住あっせん所は、来年度は従来の借家の建物を政府の建物に建て直すということで、これに千二百万円の予算をつけました、こういう点で相当の増加になっております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 農村の次男、三男対策その他いろいろな関係から、移住の振興ということについては考えなければなりませんが、問題はやはりそういうように日本を離れて向こうへ参りまする人たちの施設なりあるいは先方での生活が引き上げられるというようなことのために直接役立つように、これらの補助金等の使途については、外務省においても、これは率直に申し上げますけれども、とかく、海外移住の問題については、外地移住先においての問題ではなくて、国内においてかなり問題になっておる経緯もありますので、十分その点は注意していただきたい。  それからこれはやはり海外移住振興のためにできておる特殊法人としての海外移住振興株式会社に対して、昨年は産業投資特別会計から十億円、本年もまた五億円支出することになっておりますが、私昨年委員会では取り上げませんでしたけれども、資料を要求したところによりますると、もちろんこの会社は営利主義でどんどん利益を上げていくべき筋合いの会社でないことは十分わかります。わかりまするけれども、この会社の創設以来毎期の決算を見ますると、支出の面において相当問題のある数字が出ておると思うのであります。昨年十億の投資をするのについてはそれぞれ理由があったわけでありますけれども、本年産投から五億円を繰り入れることにいたしたのは、具体的にはこの移住振興会社でどの方面に力を入れられようとするのか。それから金額はこれとほぼ同額でありまするが、今年はこの会社が会社法に基づいて外貨資金を借り入れることの限度も引き上げられるようでありますけれども、そういうような関係は主としてたとえば中南米の移住地に対する施策に振り向けられるものであるか。多分そうではないかと思うのでありますが、大体どのような計画を発展させようという観点から、この産投特別会計からの出資が増額されることになったか。これもごく簡潔でけっこうでありますから、お答え願いたいと思います。

高木廣一外務事務官(移住局長)

○高木政府委員 移住会社は、さっきおっしゃいましたように、来年度五億円の増資と、それから米銀借款は本年度三百万ドル借り入れ得ることになっておるのですが、これを借りないで来年度に回すということになっておるわけであります。それで、移住会社のこれからの移住の力を入れる方向といたしましては、従来移住会社の一番大きな仕事は、土地を買ってこれを造成と申しますか、道を作り区画を作り、そして移住者の入れるようにし、そしてこれを移住者に分譲する、これが移住会社の一番大きな仕事であります。そしてそれの重点がパラグァイ及びブラジル・サンパウロ州に向けられていたわけでありますが、本年度は、この土地の購入造成もさることながら、すでに買いました土地の造成を急ぐ、特にパラグァイのごときは新しき移住協定が発効いたしましたので、協定額だけ十分出せるように造成を急ぐ、その方に費用、力を入れる。それからサンパウロにつきましては、これは一つにはあそこはすでに既成の社会でございまして、ここに土地を買って植民地を大大的に造成するということはかなりの問題がございます。土地も相当高うございますので、サンパウロにつきましては、むしろあそこに呼び寄せられた移住者が独立することを援助するような融資、移住者のあとからフォローしてこれを経済的に援助する融資に力を入れていく。それからパラグァイ、サンパウロのほかには、ボリビア、アマゾン地域、これらは相手の国も開発を希望し、われわれといたしましても、日本が協力して繁栄し得る移住地を作るめどが大体ついておりますので、これに会社の精力を注ぐ、それから、単に土地を買って造成するだけでなくて、これらの移住地に精米所あるいは搾油場あるいはもう少し進んだ軽工業を興り、あるいはたとえばアマゾンにおける移住地の建設におきましては、商業、工業、農業を総合したような移任地を建設していく、こういう面に会社の力を入れていただく、こういう方針でやって参りたいと思っておるわけであります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 この会社の投資先も日本から遠く離れた海外であるだけに、いろいろの問題を含んでおるようでありますが、これはいずれまた別の機会に検討することにいたします。そのほかまだ相当伺いたい点がたくさんあるのでありますが、最後に一つ大臣からお答えを願いたい問題をお尋ねいたしまして、私の質問をきょうは一応打ち切りますが、それはコロンボ計画等に基づいて、技術関係の協力の意味で、東南アジアの諸国等に水産その他いろいろな方面の技術者が向こうに参っております。私も先年国会から派遣されて東南アジアを回りましたときに、それらの人たちと会ったわけですが、まあ一年、二年、それから大体契約を更新して、長い人になりますると、三年も四年もおる人がございます。そういう人の関係で、これらの人がやはり成年の男子であります関係から、何とか奥さんを連れて向こうへ行かれるように、半年やそこらのことであれば何ですけれども、一年も二年にもなると、その間に帰ってくるということも不可能ではないでしょうけれども、そういう関係からやはり向こうで腰を据えて、技術的な面で協力し、貢献をするためにはやはり生活の安定の意味からも奥さんを連れていきたい、こういう希望が私らに述べられてきておるのです。大臣もこれはお聞きになっておることと思うのでありますが、なかなかそういうような面までの予算措置ということについてはいろいろな意味で困難があるかもしれませんが、私はこれは一つの人権問題だと思うのです。特に今後ともこの方面の技術的な面から、どんどんあらゆる技術家をこれらの後進地域や東南アジアの友邦には、ことに若い人を送り出さなければならぬと思うのでありまして、特に予算を立てる上から見れば、そういうことも当然考えなければならぬと思うのでありますが、この点について藤山外務大臣のお考えと、御努力を一つ約束していただきたいと思うわけです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 田中委員の今の御意見はまことにごもっともなことでありまして、実は三十四年度から一年半以上いる者につきましては細君を同伴することに経費の点からやったわけであります。ただ一年半というのはわれわれから見ましても少し長いんじゃないか、もう少し早くから連れていけるようにした方がより効果的であろうと思うのですが、これはわれわれの方の財政事情もございますから、見合いながら御意見をなるべく尊重して努力していきたいと思います。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 滝井君。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 だいぶ時間もおそくなりましたから簡単に二、三点だけお聞きしたいと思います。  まず第一点は、先般新聞でも御存じのように、米国の対日援助の額が発表されたわけです。従ってこれの米国における支出権限承認額、これとすでに日本に引き渡し済み額とを一つ御説明願いたいと思います。——それでは担当の政府委員がいないようですからあと回しにいたしまして、次は日本が国際的な分担金というものを予算面では十億六千九百六十六万一千円程度出しておる。いろいろ国際的な会議の分担金はたくさんありますが、一番大きな問題はやはり国際連合の分担金です。これは昨年は五億一千三百四十六万八千円程度出しておりましたが、今年は幾分減って、四億一千四百五十九万一千円になっているわけです。九千八百八十七万七千円の減でございますが、この国連の分担金というのがこういうように約一億近くも減少をしたり、三十三年度に比べたら三十四年度はふえるというような波動があるのは一体どういう理由に基づくのかというのが一つ。  もう一つは、こういう国際的な分担金というものは、やはりこの戦争に負けた貧しい日本は日本なりの分担の基準がなくちゃならぬと思うのです。その変動をする理由と、それから分担金の分担をする基準を一つ御説明願いたいと思います。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 国連の分担金は、分担委員会というのが国連総会のもとにございまして、十カ国から構成されております。今日の委員の国は、イギリス、エクアドル、カナダ、アメリカ、イラン、ポルトガル、ソ連、フランス、インド、ペルー、こういうことになっておりますが、これは秘密会でやっております。そこで御質問の点を逆にお答えいたしたいと思いますが、それならば秘密ではあるけれども、この委員会が各国の分担金をきめるときに、どういう原則に基づいて行なうかという点でございます。それは要するに各国の支払い能力を基準といたしまして、全体との割合で分担比率を出すことになるわけであります。算定基準の大体を申し上げますと、国民総所得、それから国民各一人ずつの所得、それから外貨の獲得の可能性、それから戦後の立ち直りの様子、それから人口の総数、そういうようなものを勘案してきめなければならぬことになっておるのでございます。日本は五九年、六〇年、六一年、三年間ずつにきまるのでございますが、この三年間といたしましては二・一九%というのが基準になっております。  その次に分担金の変動のあります点でありますが、それはやはり分担金はある意味ではだんだんよけいふえる傾向があるのでありますけれども、同時にまたいろいろ事業を整理せよとか事務を簡素化せよとか、こういうようなことは日本を初めといたしまして加盟国からいろいろ注文がございますので、事務局も鋭意軽減に努める結果、減るときもあるわけであります。それを形式的に申しますと、未使用の金の繰り越しが多い年、少ない年、こういうような点もありますし、事業収入、たとえば切手の売上高というようなことがございます。国連は郵便切手を発行いたしておりますが、その事業収入の多寡といったようなことが分担金、つまり国際連合そのものの費用の総額の増減になります。従って各国の分担の割合の違い、その絶対額の違い、こういうことになって現われるのでございます。  なおこれはごくわずかなことと思いますが、最近だんだん加盟国の数がふえて参りましたので、その関係からもこれは必ずしも減額ばかりではございませんけれども、各国の分担金額といたしましては理屈では幾らか減ることになるはずであるというふうに考えられるのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 国連の日本の分担金というものは日本における国民所得その他人口の増加というような日本の内部におけるファクターと、それから国連自体における事業その他収入のファクター、この要素が天びんにかかってきまってくる、こういうことなんですね。そういうことはちょうど現在日本の国でいえば、地方自治体の交付税、交付金みたいなものになってくるわけです。これはやはり計算をする基礎というものは公開をされておるわけですね。大体どういう方針でやるのか。この国連の内部における分担委員会は多分国連の第五委員会かと思ったのですか、この委員会がなぜ秘密会にしなければならぬかということです。各国の分担金を決定するのはやはりフェア・プレでいかなければならぬと思うのですよ。ところがそれが秘密会で十カ国でやられて日本なんかはその外だ。常任理事国になっているのに、自分の国の分担金の額を、どういう具体的な根拠でやられるかわからぬ。秘密会でやられているのだ。こういうことは私は今の国連の機構からいってもどうもおかしいという感じがするのですが、こういう点、常任理事国としての日本か、もう少しこういうものはフェア・フレーで公開してくれ、これは公開して何か差しつかえがあるのですか。これは外務大臣どうですか。

高木廣一外務事務官(移住局長)

○高木政府委員 分担金委員会は第五委員会とは違い、別にもう一つございます。それで何を資料にしてどういうふうに決定したかということにつきましては、今御指摘のような不満が現にいろいろな加盟国にございます結果、昨年の第十四総会で資料公開に関する決議が可決されたのでございます。しかしながら今までは、支払い能力というようなかなりデリケートな要素のたくさん入っていることなものですから、自分たちの選んだ十カ国の相談を信用しようではないかというので、デリケートな問題を持ち出して、また国連総会で八十何カ国で騒ぎ立てるというようなことよりも、自分たちの選んだものを信用してがまんしようという傾向であったのでございます。しかしながらだんだん経験も積んできたし、ここいらで資料を公開したらどうかというので、資料公開に関する決議が通過いたしましたわけでありますが、それはやはり自分の出している額と非常に近い額を出している国の様子を知らしてくれというような決議であったと承知いたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 日本は戦争に負けて、一挙に国際社会で日本の主張を通すことはなかなかできないと思いますけれども、やはりこういう問題は国内においてもフェア・プレーでいかなければならぬと同じように、国際的にもやはり私はあまりこういうものは秘密にすべきものではないと思うのです。それぞれ各国の分担金ですから、出すときはお互いに気前よく、納得の上で出す方がいいのじゃないか。もちろんわずかに四億か五億の金ですけれども、おそらくこういう国連の基準というものは、やはり他の一切の国際会議なんかの基準になる可能性が十分あるわけですね。そういう点で、これは小さいことのようでありますけれども、やはり私は国際社会にお互いが信頼を持って、そうして心の中に戦争のとりでを築かないためにも、お互いに信頼感というものがなくちゃいかぬと思うのですよ。小さいことだけれども、あの国の分担金というものはどうもインチキをして少しうまくやったぞ、おれの方は高かったぞなんていうことでも困ると思うのです。こういう小さいところから、まずお互いの感情の疎通をはかるように御努力願いたいと思うのです。  次は、外務本省に報償費というのが三億七千万円ある。在外公館に六億三千万あるのです。十億円あるわけです。これは各省の中で一番多い報償費です。もちろん外交には多くの秘密がありますから、これは私はある程度当然のことだということは認めるのです、ところが昨日同僚の横路君が第一分科会でだんだん——こういう問題をもうここ数年横路君がやるか私がやるか、この報償費を取り上げてやっておるのですけれども、これは会計検査院が一つも発表しないのです。全部機密でございますといって、一つも言わないのですよ。おそらくきょうもあなたの方も言わぬのじゃないかと私は推定しておるのですが、しかし報償費と非常に似ておるのに情報啓発事業及び国際文化事業実施に必要な経費二億一千百七万九千円というのがあるのです。これは内閣にも同じようなものがあるわけです。で、内閣の情報の収集及び調査に必要な経費三億九百七十三万一千円ですが、この中にいわゆる日本ニュース社、それから国際情勢研究会というのがありまして、日本ニュース社というのは海外のニュースを収集する、それから国際情勢研究会というのは、今度集めた情報の分析をやる。日本ニュース社が千八百万、国際情勢研究会が四千六十万、こういうのがわかってきたわけです。そのほかに報償費として内閣の方には一億七千九百十九万円余がありまして、これは昨年岸さんが外遊するときに与党の議員がついていったのですが、その経費はここから出ているわけです。こういうことがはっきり向こうでわかってきたわけです。そうしますと、外務省にも同じような経費があるわけです。そこで一体内閣にやがてできるであろう——これは財団法人組織でできるらしいのです。従って当然外務省は集めたニュースというものを向こうに提供しなければならぬことになるわけです。そうすると、外務省の中の報償費やこの情報啓発事業及び国際文化事業実施に必要な経費という国際情勢の分析をしたものが向こうに持っていかれるということで、これは有機的な関連がここにできてくると思うのです。昔は情報局というようなものががっちりあって、莫大な金を持って内閣でもやっておったし、外務省でも相当やっておったと思うのです。近ごろはそういうものはだんだん外務省では小さくなった。一体外務省の報償費や情報啓発事業及び国際文化事業実施に必要な経費というようなものは、内閣の方とどういう関連を持っておるのかということです。これをまず第一にお答えを願いたいと思います。

内田藤雄外務事務官(大臣官房長)

○内田(藤)政府委員 全然無関係と申し上げるとうそになるかもしれませんが、大体においては関係……(滝井分科員「うそは言わない」と呼ぶ)うそという意味は、何かの場合にこういう場合には関係あるじゃないかという例があるかもしれませんけれども、大体においては私どもは全然内閣のそれとは関係なしでやっております。私は内閣調査室の方のことにつきましては、詳しくは承知いたしておりません。今御指摘のようなことは新聞で問題になったということは承知しておりますけれども、内容的なことは存じません。  外務省の大体のことを申し上げますと、在外公館の方ではこれはいわゆる情報収集と申しますか、そういうものも一つの大きな用途でございますけれども、それ以外に交際費などもございますが、しかし広い意味におきましてその国との外交の問題ばかりでなく、外交団の関係とかいろいろな意味において使用されておるわけであります。過去におきましては、これは必ずしも健全とは申せないと思いますけれども、宣伝費とかこっちが要求してもそういう正式に予算化されないものがたくさんありました関係で、報償費がそういう対外宣伝などのあるいは啓発などの経費に使われたという事実も過去においてはあったと思います。しかし大体において広い意味においての外交工作ということに使われておるわけであります。  それから本省におきましても、これも御承知のように、このごろは招待外交と申しますか、そういうものも非常にひんぱんであります。これら予算に計上されてないしかも外交工作として使わなければならぬ場合が非常に多いものでありますから、そういう場合には報償費でやっておるというのが大体の実情でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、結局十億というのは交際費的なものだということになるわけですか。実は内閣の方はそうではないのです。内閣の方の報償費は部外協力者、それから国の事業に功労のある人に出すのだ、それから特に高度の機密性を持っておるというようなものに出すのだというようなことですから、交際費とはちょっと違うのです。交際費は別にあるのです。当然外務省の方の報償費というものも、部外で、たとえば外国で情報を集めるそういう者に対する協力費として出していくのだ、あるいは非常に高度の機密性というものはあると思うのです。これは何も軍事的な面だけでなくて、商売をやる上においても、貿易をやる上においてもめくら貿易ではできないのですから、やはりいろいろな商品の動き、その国における投機的な動きというものをいろいろ情報を集めて本国に送ってこなければならぬと思うのですよ。そういう方面に使われておると思ったのですが、今のような交際費的なものだということになると、交際費は別にあるのです。そうすると、内閣の方のものとは、同じ報償費でも違う、こういうことになるのですね。そうすると外務省は、一体今言ったような高度の機密性を持ったりそれから外部のものに協力してもらって、その協力的なものは一体どの経費から出していくかということなんですがね。昔の機密費的なものは……。

内田藤雄外務事務官(大臣官房長)

○内田(藤)政府委員 もちろん外務省におきましてもまさに高度の機密、昔の機密費のようなやり方をしておるわけでございます。ただ内閣調査室を私は存じませんけれども、国内におきましてわれわれは特別な協力とかそういう国内の情勢というようなことは全然やっておりませんから、本省における報償費の使い方というものは、おそらく内閣調査室などとは全く別ではないかと考えております。しかし交際費と全く同じかということでございますと、それは違うわけでございます。交際費として宴会に使う場合もむろんないとは申し上げませんけれども、先ほど招待外交と申し上げましたのは、たとえば非常に多くの金が旅費にも使われておるわけでございます。滞在費にもなりましょうし、あるいはそのほか贈りものをする場合もございましょうし、そういう意味において非常に大きな額でございますから、特に例として申し上げたのでございますけれども、広い意味においてはやはり外交工作全般の意味において使われておるという意味になるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと非常に広義の機密的なものに使っている。それがある場合には旅費その他にもなり得るという非常に内閣のものとは違った状態のようでございます。これはいずれ内閣と違っておりますから——実は内閣の方は会計検査その他をしても、がんとして答えないのです。あなたの方はどうも内閣ほど高度の機密性はないようでありますから、これはいずれ機会をあらためて、別のところで質問をしていきたいと思います。  次は、最近ビルマやらフィリピンやらインドネシア——前の国会でベトナムとの賠償が一応片づいたわけですが、これらの諸国の優秀な人材を日本に連れてきて、日本の大学なりあるいは日本の技術を修得させようとする動きがあるように聞いておりますが、賠償と関連して何かそういう東南アジア諸国の日本が賠償を支払った国の留学生みたいなものを入れる計画がおありでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今回インドネシアの賠償を留学生方面に使うような話し合いができましたが、そのほかに御承知の通りコロンボ・プラン等によりまして研修生、留学生を入れております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、今コロンボ計画なりインドネシアが出ましたが、一番賠償に関係があるのはインドネシアで、われわれは六百三十七億円のこげつき債権等も賠償として放棄したわけですが、一体どういう具体的な計画で学生というか留学生を日本に連れてくることになるのでしょうか。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 御説明申し上げます。学生は毎年約百名を五年間にわたって受け入れる予定でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうすると学生は五年間毎年百人。そのほかにはないのでしょうか、何か技術訓練とかいうような。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 研修生は別でございまして、研修生は年間に約二百五十名を七年間にわたって受け入れるということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 文部省の方おいでですか。春山さん今お聞きの通り、インドネシアの賠償として学生を五年間毎年百人、それから研修生を年間二百五十人七年間受け入れることになるわけですが、この学生は技術というからおそらく理科系統だと思うのですが、百人をどういうふうに一体日本の各大学で受け入れようとするのか。それから研修生の二百五十人、これは相当な数になるわけですが、どういうところでこれを受け入れるのか、一つ文部省の計画を御説明願いたい。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 研修生は文部省ではございませんので、私の方からお答えいたします。研修生の内訳は、まだインドネシア側からは申してきておりませんのでわからないわけでありますが、想像されるところではいずれ工業機械そういった方面だろうと思われますので、民間の工場といったところに受け入れをあっせんする、そういうふうになろうかと思います。

春山順之輔文部事務官(大学学術局大学課長)

○春山説明員 インドネシア留学生の大学の受け入れにつきましては、外務省と十分連絡をとりながら、目下計画中でございます。その計画の内容は、ただいまお話がありましたように、昭和三十五年より毎年百人を五年間留学させ、卒業させる、つまり九年計画でございます。留学生教育の方法は、留学生教育で最も大事な日本語とその基礎教育、これを一年で修了して大学に受け入れ、日本の学生と一緒に教育を行なっていく、こういう計画でございます。その百人の内訳は、大体六十三人が国立大学、三十七人が私立大学。科目は、国立大学につきましては理工系、農科あるいは商船、水産というものですが、それが五十七人、六人が商科関係でございます。私立大学につきましても、三十七人のうち六人が経済、商科関係、その他が自然科学でございます。この中には医科が若干含まれております。学科の種別は国立大学と同じです。こんな状況になっております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 インドネシアの賠償は原則として日本が役務を提供するということになっておるわけです。これを役務のかわりにインドネシアの学生を毎年百人と、研修生二百五十人を入れることになるのですが、一体この予算はどの程度に賠償の中からどういう形で出ていくことになるのでしょう。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 長期にわたる計画でありますので、正確な経費はもちろんはじかれないわけでありますが、現在見込まれておるところによりますと、大体六十三億円くらいがその計画全体のために使われる費用であろうかというふうに思います。初年度においては二十三億円くらいが必要であろうかと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 その二十三億円のお金は予算としては大蔵省の方に計上されておりますか、初年度三十五年度の予算としては。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 これは賠償等特殊債務処理の特別会計に計上されております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 賠償等の特別会計に入っておるそうでございますから、これはあとであれさしていただきます。  次はその研修生の問題でございますが、現在身体障害者を工場に預けるというときには、今度労働省が出しました身体障害者雇用促進法という法律では一人当たり六千五百円なら六千五百円のお金を身体障害者につけて事業主に預けるわけです。こういう形をとっておるわけですが、今度の研修生というのもそういう形をとるのですか。各工場へ行って技術を修得しようとすれば、教えてもらう間はやはり足手まといになるわけですから、何ぼか持参金を持っていかなければ工合が悪いということになるのじゃないかと思うのです。それとも工場その他に預けるということのほかに、労働省の総合訓練所とか一般訓練所とか、労働省所管の訓練所に預けることになるのか、こういう点を一つ……。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 インドネシア側から具体的な内訳が出て参っておりませんので、いかなる種類の研修生が来るかということはまだわからないわけでありますが、想像されるところでは、各工場に預かっていただいて、そこにそれ相当の経費を賠償勘定から支払う、こういうことになると思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 アジア技術財団とかというようなものがありますか。——自由太平洋協会とかというものがありますか。そういうようなものが、このインドネシアの留学生なり研修生の日本への受け入れに関係しておりますか。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 御指摘の団体の名前は聞いたことがございますが、本問題と関係して伺ったことはございません。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 大蔵省はいらっしゃっておりますか。——至るところに国有財産があるわけですが、特に米軍が撤収した後に、たとえば昔の兵器廠ですね、そこには建物もあれば機械もあるわけです。これを東南アジアのこういう研修生のために利用しようという動きがあるわけですが、それはこのインドネシアの賠償と関連があるかどうかわからないけれども、一応今の内閣として、おそらく東南アジアからの研修とか学生の留学というものは、これ以外には計画はないと思うのですが、これ以外に計画があるかどうかまずお聞きしたいのです。これ以外に計画はありますか。外務省としてやっておるのに、こういう計画がもう一つ別にあるかどうか。これだけしかないと思うのですが、これ一つですかどうですか。

内田藤雄外務事務官(大臣官房長)

○内田(藤)政府委員 ちょっと私も詳しく存じませんが、私の聞きましたところでは、外務省が関係しておるものでは、ないようでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、文部省の方もないのでしょうね。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 外務省が直接関係しているわけではございませんけれども、国連のゼミナールというのがときどきありまして、これは大体国連の費用でやっております。たとえばアイソトープの研究のために十五人ほど近隣の諸国から来ております。今の問題と直接関係がないと思いますけれども、ちょっと申し上げておきます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 それは原子力の研修生か何かの予算に載っておる項目でしょう。

鶴岡千仭外務事務官(国際連合局長)

○鶴岡政府委員 はい。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 わかりました。そうすると外務省関係ではないようでございます。  そこで大蔵省の方に尋ねたいのですが、元の小倉の造兵廠ですね。これは十七万坪あるのです。現在駐留軍の離職者が留守番をやっております。最近そこに東南アジアの、こういう技術を修得をするために何か学院みたいなものを作って、やはり日本語を教えて、そうして、英語で教育をして将来はプラント輸出をやるというような計画があるやに聞いておるのですが、これはインドネシアから年間二百五十人やってくる研修生と関係はあるのですかないのですか。

賀屋正雄大蔵事務官(管財局長)

○賀屋政府委員 実は私どもの方でそれをお伺いしたいと思っておったくらいのものでございますが、確かに小倉の造兵廠の跡を、そのような東南アジア方面からの青少年を誘致いたしまして技術指導をやる機関の敷地として活用したい、こういう御希望が昨年の夏ごろでございましたか、文部大臣から申し出がございました。それで私ども財産をその方面に御利用願うにつきましては、一体どういう形で、どういう機構のものができ、どの程度の規模でやられるのかという点が全然不明でございました。従いまして、私どもといたしましては文部省の事務当局に再三再四、この具体的な計画をお話しいただきたい、こういうことで交渉をいたしておったのでございます。予算の編成がきまるころには、おそらくその具体的な内容もきまるのではなかろうかということで、心待ちに実はいたしておったのでございますが、その後予算が編成されましてもまだ決定に至らない、お聞かせ願えないということで年を越しまして、ごく最近事務当局から来年度の予算で一つ特殊法人を作ることにしたいから……。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 三十六年ですか。

賀屋正雄大蔵事務官(管財局長)

○賀屋政府委員 そうです。当初は全部をほしいというお申し出であったのでありますが、五万坪程度を留保してくれないか、こういうお申し出がごく最近ございました。私どもは今仰せになりましたように、大体この造兵廠の跡は、駐留軍の労務者の離職された方々の雇用の吸収ということに活用するという意味で、当初は大企業を誘致する工業地区ということでその方面のPRもいたしておったのでございますが、工業用水の不足その他町の中心地に近いということから、いろいろ制約もございまして、なかなか思ったような企業が乗り出してこないということから、最近は市当局の御希望もいれまして、ある程度こまかく分割いたしまして各方面の利用に応ずるような処理をせざるを得ないのではなかろうか。それにいたしましても基本線は労務者の吸収、駐留軍の離職者の雇用を大幅にふやす、こういう線であの財産を活用する、こういうふうに考えておったのでございます。従いまして市当局におかれましても、きわめてばく然とした技術者の養成機関として使うという点については猛烈な反対をしておられるようでございますから、私どもといたしましても、具体的な計画がございますれば、まだ考慮の余地はあるのでございますが、その点についてもまだ全然計画がわかっておりませんので、市当局の方でその程度の、五万坪程度でそういうものができればその方面に使われることもよかろうというような御見解があれば、またこれは別でございますが、そうではない限りは、ちょっとこれは五万坪を来年度まで遊ばしておくのは無理じゃなかろうか、私どもはそういうように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、今大蔵省の方の御答弁でわかったのですが、三十六年になりますと特殊法人ができて、そうして東南アジアのものをやるということは、これは今外務省が関与せられております研修生、これはもちろん留学生ではないわけですね。これは今のところ研修生とも全然関係がないわけですね。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 今のところ、先ほど申し上げましたインドネシアの研修生計画に関係しているようには聞いておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 どうもそこらあたりすこしはっきりしておいてもらわぬと、これはやはりあとに尾を引くと思うのです。外務大臣今お聞きの通りですが、研修生というのは各工場にやるのだ、こういうお話のように聞いたのです。そこで私は労働省の職業訓練所か何かでやるのかと思ったらそうじゃない。工場につけてやるということになれば、それは相当の金をつけてやらなければならぬことになると思うのです。そうしますと、東南アジアのために何か学院みたいなものを別に作ってやるということになるのか、そこらあたり、やはりこれははっきりしておかないと、あとになって問題が出てくると思うのです。そこで外務省当局は毎年二百五十人の研修生を、これから七ないし九カ年間に千七百五十人収容してくることになるわけです。これは一つ基本方針をここで——三十五年、ことしからおやりになるのですから、そうして二十三億の予算も賠償の会計の方に計上しておるわけですから、外務大臣どうですか、そこらあたりもう少し、事務当局の答弁にまかせずに、大臣としてはこれは非常に大事なところだと思うのです。六十三億も今後インドネシアの賠償のかわりに金を使っていくのですから、初めから計画をやはりきちっとしておかぬと、途中でぐらつくということはよくないことだと思うのです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま事務当局から説明いたしましたように、インドネシアの研修生につきましては、まだ向こうから内訳も出ておりませんし、それをどういうふうに実行していくかという計画もまだ立ててはおりません。全体の計画として六十三億というような金がかかることは先ほど申し上げた通りでございます。従って特定の地域に何か学院を立てて収容するというようなことは何も現在考えておらぬわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、今の計画では労働省の職業訓練所、こういうものにも入れる計画はないわけですね。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 インドネシア側から内訳がわかりませんけれども、内訳がわかれば、あるいは労働省の機関にお願いすることがあることもあり得ると思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そういう場合には、さいぜん申しましたように、やはりお金をつけてやる、こういう形になるわけですね、工場に配置する場合でも。そうしないと工場では言葉もわからない人を受け入れて、そうして工作の技術なんかを指導する時間的な余裕はない。日本の工場というのは、時間短縮をして能率を上げて自由競争に打ち勝たなければならぬというのに、二百人も工場に入れてこれを指導するなんていうことはなかなかできないという面がある。当然なんぼかお金でもつけてやる、こういう形になるんじゃないかと思うのです。

高杉幹二外務事務官(アジア局賠償部調整課長)

○高杉説明員 必要なる経費は賠償勘定から支払われることになるだろうと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そこまでおよその構想をお聞かせ願えれば、これはいずれまたあとで……。これはおそらくインドネシアだけでなく、東南アジア全体の問題になってくると思うのです。この構想は、将来東南アジアの技術者を養成して、そうして日本の技術者は不足しておるのですから、日本の技術者をつけてプラント輸出をするというより、日本で養成した東南アジアの若い優秀な人々を、今度日本の製品と一緒に出していく、これはものの考え方としては非常に私は外務省のヒットだと思うのです。ただ問題は、この運営の仕方が、今いろいろと国有財産その他の利権にからまった状態で、インドネシアの純真な学生が日本の利権屋のダシに使われることのないように、一つぜひ外務大臣、御注意をしておいていただきたい。  次に、さいぜん留保しておいた点だけ御説明願いたい。

東郷文彦外務事務官(アメリカ局安全保障課長)

○東郷説明員 御質問は、今まで日本がアメリカからMSAで幾らもらっていたかということと存じますが、二十五年から去年の九月までに全体で四千億円くらいであります。陸が約半分の二千億円、その内容のおもなるものは、弾薬それから火器、車両、そういうものです。それから海上は約一千百億、おもなものはもちろん艦船、それから航空機及び弾薬、それから空の関係は約九百億円、飛行機、これは共同生産の援助も含めて約九百億円、それでこの数を足しますと約四千億円になりまして、二、三日前のアメリカの発表の数とは少し違いますが、その違うについては、この四千億円の中には、MSA協定そのものではなくて、艦船貸与協定とか、そういう系統のものも入っております。アメリカの発表した数字はどこまで入っておるのか実はまだ取り調べ中ですが、そういう点から食い違いが生じたのと、それから評価額の多少の違いがある、そういうことで、アメリカの数字とは少し違っておると思いますが、今までもらっておる額は、日本側ではそういうふうに計算しております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 実は、やはり予算委員会ですから、四千億円とかいうような数字ではなくて、四千幾らと、数字をこまかく出してもらわぬと困るのです。これが大衆に演説するのならば、それでいいです。ラウンドの数字でいい。しかし予算というものは二千九百八十五万三千百十円、こういうことまでやはり言っておるわけですから、ある程度こまかく言わぬといかぬのです。防衛庁でも四千四百二十三億くらいと言っておるのですが、やはり予算ですから、もう少しこまかく言ってもらわなければいかぬと思うのです。  それからもう一つは、今のは日本がもう受け取った額ですが、アメリカですでに支出することの承認額というのは一体幾らになっておるのかということです。この承認した額が全部日本にはまだ来ていないはずです。たとえばMSAなんかでも、これは前に質問したことがあるのですが、日本では潜水艦の機関部と船体はできてしまっておる、ところがMDAPで向こうから潜水艦に積む武器が来ないので潜水艦が進水しないというようなことが幾らでもあるのです。そうして、そのうちに厚板が値が上がって、結局できずに翌年度に追加予算をしなければどうにもならぬというようなことが幾らもあるわけです。だから、アメリカがこれとこれとを入れますと約束したものでも、まだ日本に来ていないものがたくさんあるはずです。どうしてこういうことにこだわるかというと、これが日本の国の予算に非常に重要な影響を及ぼしてきているのです。だからその額が一体どの程度のものになるか。これは外務省の出先で朝海さんが向こうでいろいろ折衝して、そしてそれが今度は防衛庁に移されてくると思うのですが、アメリカの一九五九会計年度にはこれだけ対日援助することにしたのだ、しかし一九五九年が終わった現段階ではこれくらいしか支出していない、まだこれだけ残っておるというものがあるはずです。だから、その支出承認済額というものが幾らで、支出した額が幾ら、こう御説明願いたい。

東郷文彦外務事務官(アメリカ局安全保障課長)

○東郷説明員 ただいまの御質問ですが、米国政府で承認されて支出済みのものが、昨年の会計年度、すなわち一九五八年七月から一九五九年の六月までが五億六百五十七万一千ドル、そのうち昨会計年度分すなわち去年の六月までの一年、それが一億六百六万七千ドル、それからことしの見積もり、ことしと申しますのは去年の七月からことしの六月まで、それが一億一千五百十七万四千ドル、これが見積もりであります。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、概算してみると、七億ちょっとしかないわけですね。七億というと、これが支出済み額ですね、そうすると二千億ちょっとしかないので、半分にしかならないわけです。そうすると艦船の貸与とか、あるいはそのほかの協定で、全然MSA以外のものがある。こういうことになると、千何百億というものが日本に入ってきておるけれども、それは一体どういうことになっておるか。

東郷文彦外務事務官(アメリカ局安全保障課長)

○東郷説明員 先ほどちょっと申しましたように、ただいま申し上、げた四千億の中にはアメリカのいわゆるMSA協定そのものでもらっておるのではなくて、船舶貸与協定、艦艇貸与協定というものでもらっておるものが入っておるために、そういう関係を引きますと二千六百八十億円という数が出て参ります。その数は多少の開きはありますが、大体今の七億ドル余りに近づいております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 私が言うのは、一体アメリカの支出権限をしておるのは幾らかということを今お尋ねしておるわけです。一九五八年から一九五九年六月までの五億六百五十七万一千ドルというのは、これは大体支出済みでしょう。それから一九五九年の一億六百六万七千ドルというのは、これは相当の部分が支出済みだ。あと幾らかこの中から残っておるのじゃないかと思うのです。それから今年一九六〇年の一億一千五百十七万四千ドル、これは手についていないわけです。だからあなたの方では四千億もらいましたということになっているわけです。だから四千億というラウンドの数字でなくて、もう少しこまかく言ってもらいたい。防衛庁は四千四百二十三億といっているわけです。ラウンドの数字でなくて言ってもらわなければならぬが、ラウンドの数字で見ても非常に違っておるわけです。だから今度、今の支出済み額でいってもらって、そのほかに支出済みで近い承認を受けておる額をまず先に教えてもらいたいというのです。たとえば一九五〇年から五九年までにアメリカが承認している額が幾ら、その中で支出済み額が幾らといってもらいたい。

東郷文彦外務事務官(アメリカ局安全保障課長)

○東郷説明員 各年別のこまかい数字はここに持っておりませんけれども、今のMSA法による権限額は先ほどの一九五〇年から去年の六月まで、それが七億一千百五十五万七千ドル、それからそのうち昨年一年の分が七千八百十三万五千ドル、それからことしの法律に載っている分が八千五百九十二万八千ドル、これを先ほどの数と比べていただきますと、権限額よりも実際の支払額の方が多いわけですが、前のが最近のところでは繰り越されてふえているという結果です。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 今あなたの御説明では、承認を受けた額が七億一千百五十五万七千ドル、そうしますと、すでに支出を受けたものが五億六百五十七万一千ドルですから、一九五〇年から一九五九年の六月までになお約二億ドルの未済があるわけです。まだこっちがいただかなければならぬ分があるわけです。そこで第二段の質問としてこれは一体何かということです。大臣、これはやっぱり非常に大事なことですよ。あいまいな数字をそこで見て言ってもらっても困ります。われわれもやはりアメリカからもらうものはもらわなければいかぬし、ガリオア、イロアのように、債務と心得るというものが五億五千万ドルになるかもしれない、これはやはりまだわれわれは承認しておらないけれども、払わなければならぬかもしれない。だからそこらあたりの関係から、あした冒頭に、その資料を文書にしてきちっと承認済み額を出して、それを日本の金に同時に直したもので出していただきたいのです。お願いいたします。

東郷文彦外務事務官(アメリカ局安全保障課長)

○東郷説明員 ただいまの点、ちょっと補足させていただきますが、アメリカの方の予算は、先ほど申し上げましたMSA法の権限額の内容というものは発表になっておりませんので、それは差引幾ら残っておるとかいうようなことはわれわれには出せないのです。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 それは第一次防衛計画なり、第二次防衛計画を立てておるわけです。従って防衛計画に見合ったものがアメリカから入ってこなければ——日本では潜水艦も作っておりますよ。すでに機関部とそれから船体とを作って、機関は川崎重工業、船体は三井造船が作っておる。ところがその潜水艦の上に乗せる武器がNDAPでやってこない。だからそれはそのままほうっておる。そうして繰り延べてずっと潜水艦は進水しないままでやっておる。それはあなたの方には尋ねなくとも、防衛庁に尋ねたらいいと思いますが、あなたの方では外務大臣が日米合同委員会でいろいろ折衝して、あるいはアメリカでは朝海大使が折衝して、日本に入ってきておるから、それは外務省ではわかるはずです。それを一つあなたの方のわかるだけの資料でけっこうですから、一覧表でドルと、日本のお金に直したもので出していただきたい。大臣、お願いいたしますよ。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 出せるものならお出しいたします。

北澤直吉自由民主党

○北澤主査 明二十七日は午前十時より開会し、外務省所管についての残余の質疑と文部省所管についての質疑を行なうことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十九分散会

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