予算委員会第三分科会 第3号
- 発言数
- 166 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/02/26
会議録
○綱島主査 これより予算委員会第三分科会を開 会いたします。 本日は、昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算中、農林省所管を議題といたします。 まず説明を求めます。福田農林大臣。
○福田国務大臣 昭和三十五年度農林関係予算案についてその概要を御説明申し上げます。 まず一般会計における農林関係予算案の総体について申し上げます。 農林省所管合計といたしましては、千百六十五億二千七百万円となっております。これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管の農林関係経費を加えました農林関係予算合計は、千三百十九億八百万円となり、これを昭和三十四年度当初予算に比較すると二百五十五億五千七百万円の増加となります。 なお、この増加額のほか、前年度の経費で減となるものが糸価安定特別会計繰り入れ、日本蚕繭事業団出資金等で約三十七億円あるので、これを加えた約二百九十三億円が三十五年度予算の新規事業または既定事業の増額の財源に充当されております。新規または増額のおもなるものは、食糧管理特別会計繰り入れが麦製品学校給食費分を含めて百三億四千二百万円、一般公共事業費七十九億四千八百万円、各種災害対策費七十九億三千一百万円のほか、農産振興費、畜産振興費、試験研究費、農業保険費、開拓者助成費、漁業協同組合振興基金貸付金、人件費等であります。 次に本予算案編成の重点について申し上げます。 第一に農業基盤の整備強化に関する経費についてであります。 土地改良、開拓、干拓事業につきましては、農業の基盤である土地条件の整備強化をはかる事業としての性格を明確にするため、従来の食糧増産対策費の名称を農業基盤整備費と改め、総額三百八十九億一千万円を計上したのであります。なお、従来食糧増産対策費中に含まれていた海岸保全事業につきましては、治山治水事業の一環である海岸事業費として農業基盤整備費からは区分してその充実をはかることといたしております。 1 まず土地改良事業の拡充に要する経費として百九十九億九千六百万円を計上し事業の計画的推進をはかることといたしましたが、 (一) このうち重要九水系における土地改良事業については水系開発事業として、国営灌排、県営灌排を通ずる事業効果の発現を期するため、総額三十三億九千五百万円を計上し、事業の計画的実施を行なうこととしたのであります。 (二) 水系以外の一般土地改良事業につきましても、国営、県営、団体営を含め百三十九億六千七百万円を計上し、事業の計画的推進をはかることといたしておりますが、このうち特定土地改良工事特別会計に含まれる国営土地改良事業につきましては、十一億九千二百万円を計上して計画期間内完成を期することとし、一般会計の国営地区につきましては、四十八億四千一百万円を計上して継続事業の進度の引き上げをはかるとともに、新規事業の採択を行なうことといたしました。また県営土地改良事業につきましては、他事業との関連、完了予定等を考慮して事業の促進をはかることといたし、団体営事業につきましては、積寒法等の特殊立法による振興計画を目標として非補助小団地等土地改良事業助成基金による低利融資ワクを九十億円に増額することと相待って事業の推進に努めることといたしたのであります。 (三) 土地改良に関する調査計画につきましては二億七千五百万円を計上いたし、事業計画の樹立、基礎資料の整備に努めることといたしております。 2 干拓事業につきましては総額六十六億二千二百万円を計上いたしております。特定土地改良工事特別会計に含まれる国営、代行干拓につきましては、八郎潟の三十八年度完成を初め、計画期間内の事業完成を期して事業の促進をはかるため、新規事業も含め国費六十億三千七百万円を計上しており、補助干拓についても三億五千五百万円を計上し、事業の促進をはかることといたしておりますが、本年度におきましては、伊勢湾高潮の悲惨な経験にかんがみて、干拓地の保全と住民の安全をはかるため堤防の補強、宅地のかさ上げ、退避場の設置等の措置を講ずることといたしております。なお、干拓計画につきましては七千九百万円となっております。 3 開拓事業につきましては総額八十億一千六百万円を計上しております。 まず開墾事業につきましては、開墾建設事業四十七億四千七百万円、補助開墾八億一千四百万円、開墾計画二億二千二百万円合計五十七億八千三百万円を計上し、事業の促進をはかることといたしておりますが、事業の重点を既入植地の経営安定に置くとともに、新規地区の採択も行ない事業の拡大をはかっております。またこれとともに開墾事業の調査計画の整備をはかることに努めることとしたのであります。 また、開拓者に対する開墾作業、入植施設等の助成としては入植施設災害復旧を含め十七億八千二百万円を計上いたしておりますが、本年度は新規入植者を一千戸にとどめ、開拓営農振興臨時措置法に基づく振興計画の達成等既入植者の経営安定に重点を置くことといたしたのであります。このほか、機械開墾地区の事業促進のため四億五千一百万円を計上いたしております。 4 愛知用水事業と篠津開発事業との外資導入による特定地域開発事業につきましては、それぞれ二十五億円、十三億五千一百万円の国費を計上いたして事業の促進をはかることといたしておりますが、特に愛知用水事業につきましては所要の国費のほか、資金運用部資金六十億円、余剰農産物資金四十五億円等の事業資金を確保することとし、三十五年度内完成を期しております。 5 なお本年度からの新規事業として、国営事業によって造成されたダム頭首工等の施設について、その維持管理を適正に行ない、事業の効果を発揮せしめるため、事業の規模と施設の公共性に応じて国が直接維持管理する道を開いたのでありますが、本年度においてはさしあたって二地区の維持管理に必要な経費として四千二百万円を計上いたしております。 第二に、畑作及び果樹振興対策に要する経費についてであります。従来に引き続き水稲生産力の安定向上をはかるとともに、農業経営の近代化とその企業的育成をはかるため、畑作の改善及び果樹の振興のための経費を充実することといたしております。 1 まず畑作営農の後進性の要因となっている低位な畑地土壌生産力を向上するため、前年度新たに開始した畑地地力保全事業と、畑地土壌病害虫防除事業を大幅に強化してこれを推進するため、三億五千九百万円を計上いたしました。 2 次に土層改良及び深耕事業につきましては、暖地を含め全国的な事業化に一歩を進めるため、導入方式を県有補助に改めて導入数の増加をはかるとともに、今後畑作営農の機械化の主体になると期待される中型トラクターの利用方式について現地実験を行なうこととし、これらに要する経費として、二億七千二百万円を計上いたしました。 3 次に畑作物の生産対策につきましては、従来の種子確保対策等を継続するほか、三十五年度においては、特にテンサイ、麦、大豆を重点として取り上げることといたしております。テンサイにつきましては甘味資源自給総合対策の一環として、北海道における生産の拡大を引き続き推進するとともに、東北及び暖地における導入試験を強化することといたしております。またテンサイ振興の技術的基礎を充実するため、日本テンサイ振興会に対して三億四千万円の増額出資を行ない、その研究活動を促進することといたしております。 次に麦につきましては国内需要構造の推移、及び輸入麦との価格開差等にかんがみその生産合理化を推進するため、多条播栽培を中心とする省力多収栽培の普及をはかるため六千万円を計上いたしました。なお、大豆、菜種についても、能率的栽培技術の普及はをかることといたしております。 3 果樹農業の振興につきましては国民所得の成長に伴う果実需要の増加傾向に対処して、生産の安定的増大をはかるため、予算の大幅な充実をはかることとし、果樹園経営計画の促進、発生予察事業の実験的実施、果樹統計の整備等について五千二百万円を計上いたしましたほか、別に果樹園造成資金について農林漁業金融公庫から新たに五億円の貸付を行なうことといたしました。 4 以上の経費のほか、畑作改善の関連施策といたしましては、畑地土地改良事業、畑作物流通改善対策並びに畜産の振興に意を用いますとともに、畑作関係の試験研究及び農業改良普及事業の充実に必要な経費を計上いたしました。 第三に畜産振興対策に要する経費についてであります。 1 まず畜産の生産基盤を強化するため草地造成改良事業を拡充するとともに、大規模草地改良基本調査の実施と相待って、草地制度確立の方途について根本的な検討を加えることとし、これらに要する経費として、二億八千二百万円を計上いたしました。 2 酪農対策につきましては、酪農経営改善地区を追加指定し、国有貸付、有畜農家創設事業等による乳牛の制度導入を引き続き実施するほか、生乳品質改善指導事業及び産乳能力検定事業を拡充実施することといたしております。さらに乳牛飼料給与改善施設を新たに設置して乳牛飼養の経済性を高めることとし、これらに必要な経費として三億七千八百万円を計上いたしました。 3 次に肉畜増産対策については、最近における食肉消費の著しい増加傾向にかんがみ、肉畜増産のため肉資源の確保に特に重点を置き、所要経費の確保をはかっております。種畜対策としては、新たに和牛のための種畜牧場の支場を設置するとともに、都道府県における種雄豚の設置に対する助成を行ない、また肉畜の導入対策としては、有畜農家創設、中小農家畜預託、国有貸付等の既存制度による導入頭数を増加するほか、肉用素畜の導入促進のため新たに利子補給の道を開くことといたしました。また乳牛の場合と同様肉牛、肉豚についても飼料給与改善施設を設置することとし、これらに必要な経費として二億六千六百万円を計上いたしました。 4 家畜及び畜産物の流通対策については、家畜市場及び中小都市食肉市場の施設整備を促進するとともに、生産者の共販体制を強化するため、生乳共販施設及び産地技肉共同出荷施設の設置の助成を行なうことといたしました。 また、畜産物の需給調整及び価格安定のため、牛乳の消費拡大事業牛乳、乳製品の学校給食、乳製品の調整、保管を拡充するほか、価格変動の著しい豚枝肉についても新たに調整保管を行なうことといたしました。以上に必要な経費として十六億六千三百万円を計上いたしております。 5 流通飼料対策としては、一千六百万円を計上し、その品質保全のため飼料検査所を新設する等のほか、政府の需給操作力の強化により需給の調整及び価格の安定をはかるため一般会計から食糧管理特別会計に六億三千三百万円を繰り入れて同会計の輸入飼料の売買損の補てんを行なうことといたしております。 6 以上のほか、畜産技術経営診断事業の強化、家畜伝染病予防対策の実施、家畜保健衛生施設の整備、種畜牧場整備等の諸施策を引き続き継続し、その充実を期するとともに、畜産の試験研究及び改良普及事業についても重点的に強化をはかることといたしております。 第四に蚕糸業の安定に要する経費についてであります。 1 まず、養蚕経営の合理化対策につきましては、生産の合理化により繭生産費の低減を推進するため、年間条桑育指導施設を増加するほか、新たに桑園の集団化により桑園の共同管理、全齢共同飼育を奨励するため、壮蚕共同飼育所の設置等に対して助成を行なうことといたしました。また、蚕業普及員に対する国庫補助の増額を行なうこととし、以上に必要な経費として三億二千九百万円を計上いたしました。 2 生糸の需要増進につきましては一億五百万円を計上し、日本絹業協会をして従来の米国のほかに欧州事務所を新設せしめ、消費宣伝及び調査活動を強化拡充して参ることといたしております。 3 以上のほか、蚕糸関係の検査事業の充実及び能率化をはかるため、新たに国用生糸検査所の施設の改善に対して助成を行なうとともに、繭検定所の統合整備によって検定の効率化を促進することとして、これらを含め総額三億四千一百万円を計上いたしております。 第五に農家経済の安定に関する経費についてであります。 1 既入植地区の営農不振の現状にかんがみ、不振開拓地の営農安定対策の刷新強化をはかることとし、これがため開墾建設事業等の公共事業の拡充と相待って、各般にわたり措置を講ずることといたしました。すなわち過剰入植地区の経営規模の適正化をはかるため、計画的に一部入植者の移転を奨励するとともに、開拓農家の債務負担の軽減をはかるため、償還困難な入植者に対し償還条件緩和の措置を講ずることとし、さらに被災開拓者に対して開拓者資金融通特別会計から災害対策資金を貸し付ける道を新たに開くこととしたほか、中央開拓融資保証協会への政府出資の増加を行なって、営農資金の融通の円滑化をはかることといたしました。これらに必要な経費として八億七千五百万円を計上いたしております。 2 次に農地調整関係経費の確保と相待って自作農の維持安定並びに経営の拡大をはかるため、自作農維持創設資金ワクを百三十億円に増額いたしました。 3 農業災害補償制度については、最近の農業経営及び農業災害の実態にかんがみ、本制度の改正を検討するとともに各種調査を実施し、すみやかに抜本的改正の成案を得たい所存でありますが、当面の制度運営の円滑を期し、最近の引受実績に基づいて国庫負担金の増額を行なうほか、家畜診療所の整備及び農業共済組合、同連合会の職員人件費及び事務費の充実をはかることとし、これらに必要な経費として百十四億九千六百万円を計上いたしました。 第六に林業関係の経費についてであります。 1 まず林野公共事業につきましては、治山事業費に五十七億九千六百万円、造林事業費に三十八億四千一百万円、林道事業費に森林開発公団補助金も含めて二十九億四百万円等合計百二十五億四千一百万円を計上いたしております。 これらのうち治山事業につきましては、本年度より新たに樹立する総事業費千三百億円の十カ年計画に基づき事業を計画的に推進することといたしたのでありますが、これがため、国有林野事業特別会計に治山勘定を設け、民有林治山の直轄事業及び補助事業を一元的に処理するとともに事業規模の拡大をはかったのであります。 また造林事業につきましては林種転換を主とした拡大造林に重点を置き事業を推進するとともに、前年度に引き継ぎ農林漁業金融公庫に対する一般会計よりの七億円の出資に基づいて融資造林を促進することといたしております。 林道事業につきましては奥地林開発に重点を置いて林道網の整備をはかることにいたしておりますが、新たに既設林道の改良事業を実施することといたしております。 2 次に保安林の整備につきましては、これが整備と維持管理に重点を置くこととし、新たに保安林改良事業を実施するため八千六百万円を計上しましたほか、前年度に引き続き保安林の指定に伴う補償を実施することといたしております。 3 その他の林業関係の主要経費につきましては、まず森林計画の樹立及び実行のために三億六千七百万円を計上するとともに、木炭関係については五千八百万円を計上し、前年度に引き続き木炭の生産指導及び調整保管事業を実施いたしますほか、新たに奥地製炭促進のため木炭簡易搬送施設の助成を行なうことといたしました。 また林業技術普及の強化をはかるため四億三百万円を計上し、林業改良指導員の増員、機動力の強化、林業普及設備の新設等を行なうことといたしております。 第七に水産業の振興に要する経費についてであります。 1 まず漁業基盤である漁港の整備につきましては、漁港整備計画に基づき事業を計画的に進めるため四十五億八千七百万円を計上いたし、継続四百港、新規四十九港について事業を実施することといたしたのであります。 2 資源及び漁場調査につきましては、国際協調のもとに公海漁場を確保し、既存漁業の合理的利用及び新漁場の開発を積極的に推進するため、北洋サケ・マス資源等を初め、各種の調査を実施することといたし、これらに必要な経費として一億一千八百万円を計上いたしました。 3 次に、沿岸漁業の振興につきましては、三億四千一百万円を計上し、沿岸漁業依存度が高く、かつ漁業所得水準の低い地域に対し、昭和三十三年度より実施中の沿岸漁業振興対策事業を計画的に推進いたしますほか、漁場改良造成事業を充実することといたしております。また水産業改良普及体制の整備充実をはかるため、二千四百万円を計上し、沿岸漁業改良普及員の増員、機動力の強化等を行なうことといたしました。 4 次に、漁家経済の安定をはかるため、漁業共済事業の試験実施を継続して行なうとともに、特に漁船保険制度につきまして改善をはかることとし、四億八千三百万円を計上いたしました。また大衆多獲魚の調整保管事業についてはこれを継続実施することといたしております。 第八に、農林畜水産物等の価格安定その他流通改善及び輸出振興対策に要する経費についてであります。 1 まず、食糧管理特別会計における米麦の管理をこれまで通り維持して参ることはもちろんでありますが、このため百億円を一般会計から特別会計の調整資金として繰り入れることとし、またその他の主要農産物、飼料等につきましてもその価格安定を引き続きはかることとし、農産物等安定勘定の損失見込みを補てんするため十二億円の繰り入れを行なうことといたしております。 2 次に、農林畜水産物の流通改善対策につきましては、すでに申し述べましたもののほか、青果物関係については市況速報、産地出荷実情調査等を引き続き行なうとともに、中央卸売市場の施設整備に対して新たに助成を行ない、公正取引の確保と適正価格の形成に資することとし、これらに必要な経費として四千三百万円を計上いたしました。 3 農林水産物の輸出振興につきましては、生糸以外につきましても輸出品検査所の業務の充実をはかるほか、別に九千一百万円を通商産業省に計上し、輸出農林水産物の海外市場調査及び宣伝事業を強化することといたしております。 4 以上のほか、農林水産業に必要な各種生産資材対策につきましては、飼料検査所の独立のほか、一億二千六百万円を計上し、肥料、農薬、農業機械、種苗等の検査を引き続き実施し、その品質の保全及び改善に努めて参る所存であります。 第九に農山漁村の振興に要する経費についてであります。 1 まず、都市に比し、立ちおくれている農山漁村の社会及び生活環境の急速な整備に資するため、全国の代表的市町村につきまして、基本的調査を行ないますほか、特別の後進地域の環境整備事業として僻地及び離島における電気導入事業を拡大することとし一億七千二百万円を計上いたしました。 2 次に、不安定な就業状態で農漁村に滞留する農漁村子弟に対する対策として、新たに農業委員会が行なう農漁村子弟の就業動向に関する調査に対して助成を行なうほか、前年度に引き続き、海外移住の促進及び農山漁村青年活動の強化をはかることとし、これらに要する経費として四億八千一百万円を計上いたしました。なお、他省関係におきましても、一般職業訓練所の増設、職業安定協力員の新設等農漁村子弟の就業機会の増大をはかるための施策を一段と強化することといたしております。 また、新農村建設総合対策の推進をはかるため三十四億七千六百万円を計上し、特別助成事業及び小団地開発整備事業を継続実施いたしますほか、新たに同和モデル地区におきまして土地整備、共同利用施設設置等の振興対策を実施することといたしております。 第十に、農林水産業諸団体の活動促進に要する経費についてであります。 1 まず、農業委員会関係におきましては、その組織及び活動を維持するに必要な経費十一億四千五百万円を計上いたしましたが、このうち、農家労働力就業動向調査の助成のほか、職員給与の増額及び前年度に引き続き農家台帳の作成費を計上いたしております。 2 次に、農業協同組合関係につきましては四億四千七百万円を計上し、連合会の整備促進対策及び不振単協の整備強化措置を既定計画に基づき推進するほか、新たに組合振興対策の策定に資するため、組織上の問題点につき調査及び検討を行なうことといたしました。 3 また、森林組合関係につきましては四千万円を計上し、連合会の整備促進対策を継続実施するほか、単位組合の強化をはかるため、引き続き不振組合の指導を行なうとともに、新たに合併促進のための奨励金を交付することといたしました。 4 次に、漁業協同組合関係につきましては一億五千三百万円を計上し、連合会の整備促進を引き続き行なうほか、漁業協同組合の整備強化をはかるため、規模過小組合に対する合併奨励金の交付に対し助成するとともに、不振組合を対象として欠損金に見合う借入金に対する利子補給等を行なうことを目的とする漁業協同組合整備基金を設置し、これに対し一億円の貸付を行なうことといたしました。 5 また、農業共済団体関係につきましては、職員給与の改善のほか、共済連絡員手当を新たに計上することとし、二十五億円を計上いたしております。 第十一に、試験研究、統計調査及び技術普及の強化に要する経費についてであります。 1 まず、試験研究につきましては、四十四億二百万円を計上し、農林水産試験研究の拡充強化をはかることといたしております。 2 次に、農林水産関係統計調査につきましては五十五億九千六百万円を計上し、一九六〇年世界農業センサスの結果の集計公表のほか、米生産費調査農家戸数の増加、果樹基本資料の整備等統計調査を拡充するとともに、統計調査の能率化をはかることといたしております。 3 また、農林水産関係技術普及事業につきましては、農業関係特技普及員五百三十八人、生活改良普及員百三十一人、林業改良指導員七十八人、沿岸漁業改良普及員四十八人の増員、機動力の強化等を行なうこととし、これらに必要な経費として三十億七千五百万円を計上いたしております。 第十二に、防災事業及び災害復旧対策についてであります。 本年度においては伊勢湾台風等による災害地の復旧に努めるとともに、防災事業の充実をはかることといたしております。 1 防災対策としては、すでに述べました治山事業のほか、本年度より農地、漁港関係の海岸保全事業を農業基盤整備事業または漁港事業から区分し、治山治水事業の一環として、その拡充をはかることといたしまして、農地関係三億四千九百万円、漁港関係二億五千万円を計上いたしたのであります。また、伊勢湾台風による被害を受けた伊勢湾地域の干拓地、農地及び漁港の区域の海岸等の復旧改良事業につきましても、伊勢湾高潮対策として、本年度は台風期までに原形の復旧をはかることを目途として農地関係二十億四千二百万円、漁港関係五億五千一百万円、計二十五億九千三百万円を計上いたしたのであります。一方従来の防災溜池、農地保全、地盤変動対策等の農地関係防災事業につきましても、本年度は事業の拡充をはかっております。 2 災害復旧事業につきましては、農地、林野、漁港等公共事業関係災害復旧費百十八億二千五百万円、災害関連事業費四億九千四百万円を計上いたしたのでありますが、これによって過年災につき所定の進度による復旧をはかることとし、特に三十四年災につきましては激甚地に対する高率補助、災害関連事業の拡大等の特別措置によりその復旧に努めるつもりであります。また三十四年災害につきましては、これ以外の災害対策といたしまして入植施設災害復旧、救農土木事業、農林漁業共同利用施設災害復旧、共同利用小型漁船建造、水産養殖施設災害復旧、災害経営資金補給、米予約概算金返納資金利子補給等に必要な経費として十四億二千七百万円を計上し、災害対策の万全を期する所存であります。 次に昭和三十五年度の農林関係特別会計予算案について申し上げます。 第一に食糧管理特別会計について申し上げます。 まず国内産米麦の買い入れにつきましては、米はその集荷数量を五百十万トン、麦は買い入れ数量百三十一万トンと予定いたしており、また国内米の政府買い入れ価格は百五十キロ当たり一万三百三十三円とし、消費者価格は現行価格といたしましたほか、これら米、麦の管理につきましてはすべて従来の方針を継続して参ることといたしております。 外国食糧は、国内米麦の生産量及び持越量を考慮し、需給上必要な数量の輸入を予定いたしております。 なおこの会計の損益見込みにつきましては、国内米、国内麦、輸入食糧の各勘定を通じまして、三十四年度九十三億円、三十五年度約百八億円の損失を見込んでおりますが、二十四年度当初の調整資金は百六億円でありますので、三十四年度の損失分をこの調整資金の取りくずしによって処理しますと、三十四年度末には十三億円しか残らないことになります。そこで三十五年度においては当年度の損失見込み額をも勘案して一般会計から百億円の繰り入れを行なうことといたしております。また、農産物等安定勘定についても当年度に生ずる損失見込みをあらかじめ補てんするため、一般会計から十二億円を繰り入れることといたしております。 第二に、農業共済再保険特別会計について申し上げます。 この会計の農業勘定は、歳入歳出とも前年度予算に比べまして五億七千九百万円の増加となっておりますが、これは最近の引き受け実績を基礎において算定いたしたためでありまして、これにより一般会計からの受入額は七十九億二千八百万円となっております。また、家畜勘定につきましては歳入歳出ともに前年に比し二億四千五百万円の増加となっておりますが、これは加入頭数の増加によるものでありまして、これにより、一般会計よりの繰り入れは八億九千四百万円となっております。 第三に、漁船再保険特別会計について申し上げます。 この会計は、三十五年度においては義務加入制度を改善し、特に小型加入者の負担の軽減並びに異常災害に対する保険料の全額国庫負担を行ない、また集団加入制の採用など保険体系の合理化をはかるほか、本会計の積立金の運用益により、事故防止のため技術面の積極的指導を行なうことといたしたのであります。 これにより一般会計よりの繰り入れは普通勘定において四億三千一百万円、業務勘定において三千五百万円となっております。 第四に、国有林野事業特別会計について申し上げます。 この会計は二十五年度より二勘定に区分いたし、従来の国有林野事業は国有林野事業勘定において経理するとともに、新たに治山勘定を設置いたし、従来一般会計で実施しておりました民有林の治山事業を一元的にこの勘定で実施することといたしました。 まず国有林野事業勘定におきましては、三十四年度より林力の増強を経営計画に従って強力に実施して参りましたが、三十五年度におきましても生産基盤の拡充を行ない、なおその資金と組織を活用して民有林林政への協力をいたすこととした次第であります。 この勘定の三十五年度の歳入は五百六十一億四千四百万円でありますが、歳出面におきましては奥地未利用林開発のための林道新設、生産面における機械化、造林、国有林における本来の治山事業及び官行造林等にその主力を注ぐ一方、本会計の積立金を減額し、林政協力のため十一億円を一般会計に繰り入れることとし、前年通り七億円を農林漁業金融公庫の出資に充て、長期、低利による融資造林の促進を行なうことといたしております。 治山勘定におきましては、治山事業十カ年計画に基づき前期五カ年を五百五十億円とし、三十五年度は初年度として、歳入歳出ともに六十一億一千三百万円を計上し、民有林における直轄治山事業八億三千一百万円、補助事業四十九億二千二百万円の事業を行なうこととし、これによる一般会計からの繰入額は五十七億九千六百万円とし、前年度の事業に比し大幅の拡大をはかることといたしました。 第五に、糸価安定特別会計について申し上げます。 この会計は三十四年度におきまして生糸価格の著しい持ち直しにより需要の増加を来たし、政府保有生糸の大幅な整理が行なわれ、先行き明るい見通しとなりましたので、三十五年度はさしあたり現行安定法による生糸の買い入れ一万五千俵と百万貫の繭の保管を予定し、万一不足の場合は予備費をもって買い入れ等の措置を行なうことといたしておりますが、これらの財源といたしましては、証券発行及び借入金百十五億円を予定いたしております。これにより三十四年度設置されました日本蚕繭事業団の事業と相待って本会計を通じ繭糸価格の安定をはかりたい所存であります。 以上の各特別会計のほか、特定土地改良工事特別会計、開拓者資金融通特別会計につきましては別途御説明しておりますが、森林火災保険、自作農創設特別措置、中小漁業融資保証の各特別会計につきましては、前年に引き続きほぼ同様の方針で計上いたしております。 次に、昭和三十五年度の農林関係財政投融資計画について御説明申し上げます。 昭和三十五年度における農林関係財政投融資計画は四百六十六億円でありまして、そのおもなるものは次の通りであります。 1 まず農林漁業金融公庫につきましては、三十五年度の貸付計画として五百十七億円を予定いたしておりまして、前年度に比し八十五億円の増額となっております。この原資計画といたしましては、産業投資特別会計からの出資七十億円、一般会計からの出資七億円、資金運用部等からの借入金二百五十八億円、回収金等百五十四億円であります。なお、融資造林事業促進のための一般会計からの出資七億円、非補助土地改良事業低利融資及び自作農維持創設資金の拡大、果樹園造成資金の新規貸付五億円等につきましてはさきに述べた通りであります。 2 次に、開拓者資金融通特別会計につきましては、三十五年度の貸付計画は、基本営農資金、振興対策資金、農地開発機械公団地区運営資金、災害対策資金等で三十六億一千万円となっておりますが、これらの事業を行なうため資金運用部等からの借入金三十五億円、一般会計よりの繰り入れ四億七百万円、その他回収金等の歳入を計上いたしております。 3 特定土地改良工事特別会計につきましては、その総事業費百四十億円に見合う資金計画は、資金運用部からの借入金三十五億円、一般会計からの繰入金八十八億円、その他他用途転売収入等であります。 4 愛知用水公団事業の三十五年度総事業費百三十四億円に見合う資金計画は、国費二十五億円、資金運用部資金六十億円、余剰農産物資金四十五億円等であります。 5 農地開発機械公団事業におきましては、公団保有の土木機械を整備する設備を拡充するための資金一億円を資金運用部から借入することといたしております。 以上をもちまして農林関係一般会計予算案及び特別会計予算案並びに財政投融資計画の概要の御説明を終わります。 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○綱島主査 これをもちまして、農林省所管、三十五年度一般及び特別会計予算の説明を終わりました。 —————————————
○綱島主査 質疑に入ります。 質疑の通告がございますので、順次これを許します。松浦周太郎君。
○松浦(周)分科員 与党側から質問するのは八百長のようになるかもしれませんが、私は今日の農政の曲がりかどにきておることを非常に重大視しておるのであります。国民生活の安定向上、あるいは収入の増加という問題については、労働問題が従来非常に大きな問題でありましたけれども、それぞれ基本的な制度ができ上がりましたのでございますから、労使の話し合いのもとに、経済が上昇するならばそれと並行して勤労者の給与は上がっていくことが当然であると思う。今日の日本経済の成長率から見ましたならば、一般経済は十年で倍になるということは計数の示す通りでありますが、日本の内政の中で、国民生活の向上をさせるということについては、今日は農政が一番重大であると思うのです。経済が拡大いたしましても、土地の面積に宿命的なものがありますから、いかにがんばっても生産を倍にすることはできないのであります。でありますから、私はこの問題については真剣に取り組んでおるのであります。予算委員会並びに農林委員会において、一般経済の成長率並びに今後の農家個々の経済収入の成長率等が論じられており、農林委員会においてはもっとこまかくお話があったようでございますが、この成長率並びに今後の農家の収入を、十年後にはどういうふうに持っていくつもりであるかということについて、いま一度御意見をお伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 今政府の方では、所得倍増長期計画というのを作案中でございます。これをそういうふうにいたしたゆえんのものは、今後の日本の経済の発展を展望いたしますと、十年間くらいで倍になるということは、そう私どもはむずかしくない、こういうふうに考えておるわけです。そう大きな国際変動でありますとか、あるいは内政上の間違いということがなければ、大体におきまして二倍ということは努力をすれば達成できる、こういうふうに考えております。ただ問題になりますのは、その二倍になった場合に、今お触れになりましたように、国民各階層の間に大きな違いが出てくる可能性を持つわけです。そういうことがあるということは、経済的にも社会的にも政治的にも大問題でありますから、これをあらかじめ計画的に是正するというところの方策を講じながらいかなければならぬのではないか、それには所得倍増計画、とにかく一つの計画をあらかじめ作っておいて、そしてその線で諸政策を指導していくという方策をとらなければならぬのではないか、こういうことが所得倍増計画の主たるねらいなんですね。そこで一番問題になりますのは、今の農業と農業以外の関係でありますとか、あるいは中小企業と大企業との関連でありますとか、あるいは勤労者と事業経営者との間の関係でありますとか、いろいろそういう特定の問題があるわけです。そこで農業と他産業との関連ということになってきますと、これは日本の農業は戦後非常に高い速度で回復をしております。しかし問題は他の産業、ことに鉱工業におきましては、世界でも奇跡といわれるくらいの大きな回復、発展をしておる。それに比べると、農業もいい調子で発展、回復はしてきておるけれども、そのテンポがおそい、こういうことがいわれるわけでございます。それから今後のことを考えましても、ほうっておきますと、そういう傾向はますます顕著になる。そこで国政の重点といたしましては、所得倍増計画の策定という中におきましても、特に農業者の地位をどうするかということを考えなければならぬ。それでこの所得倍増という計画は、言うまでもなく、政府におきましてはさような問題がすでに経済的にも社会的にも着目されなければならぬ問題であるというので、昨年の通常国会におきましては、農林漁業基本問題調査会の設置をお願いいたしまして、ただいまその方で農業の角度からの専門的な検討をやっておるわけでございますが、私は農林漁業基本問題調査会や、あるいは所得倍増計画の策定、これが基本問題調査会の方は、三十六年の三月にその最終結論が出るわけです、それから所得倍増計画の方は、この秋ごろ最終的な結論が出ると思います。しかしその結論を待つまでもなく、農家に対する施策の基本的方向というものははっきりしている、さように確信をいたしております。問題は日本の農家は、過小零細農家である、その事態を克服していかなければならぬ。しかし農地をそう一挙にふやすわけにもいかぬわけでございますから、限られた農地の中で最高の生産能率を上げるように、またできた品物が効率よく売れるように、そうして所得が確保されるように、高い農業総生産が実現できるようにという政策がとられなければならぬと思う。しかし同時に私はそれだけでは農業問題というのは解決できない、これは日本経済全体の力に待つほかはないと思うのでありますが、日本経済は今所得倍増計画といわれるごとく、大いに拡大して農業の方面で生産の合理化、能率の改善等によりまして、過剰となった労力をそこに秩序正しく有効に移動せしめるという政策、考え方というものが相待って行なわれるという必要があるというふうに考えるわけであります。過去三十一年から三十四年は比較的農家の安定した状態の時期でありますけれども、こういう時期のことを考えてみると、農業総生産におきましては年率四一二%の増加をいたしておるのです。これは総生産でございます。私どもが問題にするのは総生産の増加ということも大事であるけれども、終局の目標とするところはそうではない、一戸当たりの農家の所得を増加するということ、これを実現しなければならぬ。そういうことから申しますと、過去三カ年の実績、総生産の率は四・三でございますが、経済界が発展しておる、それに伴いまして農村からの他産業への人口移動が相当行なわれておるわけであります。さようなことを加味すると、おおむね五%を相当こえるところの一戸当たりの農家の生産性の向上ということが実現されていくというふうに見ておるわけであります。今所得倍増計画というのはまだ検討中でありますが、これを立案するにあたりましてあら見当をつけた、それは十カ年で倍だ、そうすると、年率七・二%で総生産力が平均に伸びていけば十年で倍ということになるわけです。その場合におきまして鉱工業と農業が総生産の方からいうと、違うのです。どうしても鉱工業の方が高く、農業の生産の方が低いわけであります。さようなことでございますが、農業の方は大いに合理化して拡大する、日本経済の中に過剰労働を移動させるということによりまして、平均倍率というものは達成できるであろうというふうに私は考えております。と申しますのは、七・二%の年率といいますけれども、これは総生産の比率ですから、人口、ことに労働人口の増加というようなことを考えますと、五・三%というふうにいわれるので、年率一人当たりの所得増加は五・三%、そうすると、先ほど申し上げましたように、過去においてもそういうものは実現されておる。将来四・三というような総生産の増加はこれはなかなか困難だと思います。二・五%ではないかというような人もありますが、まあ三・三以上の総生産の実現ができますれば、私は努力をいたしますればそう困難なことではないと思います。そういう考え方に従いまして三十五年度もいろいろな施策を進めております。まだ確定した計画はできないけれども、結論を待たなくても方向はこうだというところで、あらゆる角度から農業生産性を向上し、また農林省ばかりでなく、各省の施策におきまして農家の過剰労働、ことに次三男その他の子弟につきまして就業の機会を与えるというような施策を進めるということを考えております。
○松浦(周)分科員 今年の予算の中に、今お話しになったような方向に、金額は各項目とも少ないですけれども相当頭を出しておることは十分に認めます。しかしただいまお話しになりましたように、一般の産業全体が七・二%になる、その七・二%に全体のものがなるという点から見れば、鉱工業などは一三とか一五とかいうことになって、あるいは特殊なものは二七・何というのも三十四年度の場合にあるのであります。そうすると農業の方では二%か二%半しか伸びないではないかということが考えられるのであります。そこで二%ずつ伸びていって十年といったってそう大きな伸びにはならない。しかしただいまお話しになりましたように、他産業に転換していくものがやはり二%なり三%あれば、平均五%に伸びていくということは考えられるのであります。そのようなことをこの間農林委員会でも御説明になっておるのでありますが、それは現在一般産業に携わっておる者と農業、非農業と農業との関係は、農林省でお出しになった白書を見ましても、非農業に比較しまして二九・三%ですか、約三〇%にしか達しておらない。このまま伸びていきましてもその差は縮まらない。ここが私は一番大きな問題であると思うのです。この差を縮める方策が立てられなければ、ほんとうに農村を救済することはできないと思うのです。伸びる率はそれぞれありますが、現在格差がある。その格差が、鉱工業はさらに伸びていく、農業は伸びないということは、最初に申し上げましたように小農であって、しかも経営面積というものに宿命的なものがあるのでありますから、ここを手術しないで今後の農業は救われない、私はこういうように思うのですが、この点についてどういうお考えですか。
○福田国務大臣 お話の通り、ごもっともなことと考えますが、私は今生産性の向上と人口の移動ということが、非常に重要な二つの問題であるというふうに申し上げたわけです。ところがこの二つの問題をとっても、そう簡単に実現できる問題ではないのです。これは政府総力をあげて努力をし、また農家の人も努力をして初めて実現されるものです。私はお話のような点もありますが、とにかくこのことだけは実現する。そうして次の段階においてそういうものの是正ということに一歩踏み入れる。また一応国民各階層が所得倍増計画で均等に伸びるということは考えておるわけでございますが、しかし同時に私どもが持つべき心がまえとしては、農家の方は平均よりは高いくらいのところを意気込んでいくべきものだと考えております。しかしこれを実際の具体的な計画として実現するということは、まずこの所得の十カ年二倍拡大ということを実現させなければならぬ。それを実現した上でまた第二次の問題として考えていく。かように考えております。
○松浦(周)分科員 それはだんだんと階段的にいかざるを得ない現状でありますが、一方の鉱工業その他一般産業が急速に伸びて、農業がただいまのような話で伸びていかないということになると、これは政治上非常に大きな問題になると思うのです。私は、見方によっては、そのやり方が、農民に今の生活は十分でないけれども五、六年たてばこうなるという一つの明るみを見せつついくならばいいけれども、一つやってから後だということであれば、それは非常な大きな問題になると思う。でありますから、今からそのときのことを考えて計画を立てていくのでなければ農民は安心しないし、実際の政治というものも一ぺんにはできないのですから、今からこういうようにするのだというはっきりした計画を立てて、安心をさせながら引っぱっていくのでなければ私はいかぬと思うのです。それが今基本法の問題になっておるようでありますが、基本法ができ上がってから後だ、こういうことでいろいろ御答弁されておるようであります。その基本法は農林省が中心になって作るのです。でありますから、基本法はこういう方向に持っていくのだということがはっきりしなければならない。今調査中でありますけれども、調査の目標はすでにきまっておらなければならない。それがどうも今の調査の行き方を見ると、目標がぼけているのではないか、今のような問題を解決する方向に向かっていないのではないかということが考えられるのです。この基本法の調査会に出席された稲葉秀三君のお話を聞きますと、今の日本の経済の状況ではここで論じられているようなことはできないのだ、十年なり十五年過ぎるのでなければほんとうのものはできないのだ、農村をそこまで持っていくだけの経済力が日本にはないのだ、だからここ十年くらいはやるやると言って引っぱっていく以外に道はないと稲葉君がはっきり言っているのです。これは一つの経済評論家の言葉でありますが、そういう考え方が政府の部内にあるのではないか。そうなればただ作文を作るだけであって、ほんとのものにならぬのです。その点を私は非常に心配をするのですが、この基本問題調査会の主査をしておられる小倉君の考え方も、ややそれに似たようなことを言っておられる。それは、調査会の事務局は生産政策、価格政策の将来については批判的で、構造政策に重点を置くといわれるいわゆる所得均衡の問題は目をつぶろうとしておる。たとえば小倉武一君は次のように言っておられます。農業と非農業との不均衡の是正は考えるが、当面国民経済における農林漁業と他産業との所得均衡というようなことは現実政策の目標とはならない。十年以降において平均農家の労働力一人当たりの農業所得と他産業小規模経営従業者の所得との均衡をはかることとしたい、これからの十年は価格政策と生産政策とをうまくかみ合わせて、農業所得の総体が下がらないように工夫するより仕方がない、こう言っておる。所得均衡が基本法問題の出発の一契機にすぎないという点からいえば、農林予算や農林補助金の増額の要請も同様である、こういうふうなことを言っておられるのです。そうするとやはり稲葉君の思想と似たところがあるのです。調査に当たっておる人がこういう考え方であったのでは、われわれの意図するところにほど遠いものがあるが、農林大臣の考え方はどうでございますか。
○福田国務大臣 政府がやる政策につきましては、一切私は責任を持っております。いろいろ調査会の人が意見を述べるというようなことがありましても、そういうことにあまりとらわれないようにしていただきたい、かように思っております。私はただいまるる申し上げましたように過去においても相当の実績を上げておる、ここで長期計画によってそういう際に配意をいたして参りますれば、必ず農村というものも明るい前途を持ち得るのだ。農村の人が曲がりかどに来て、前途に希望を失うというようなことは、私は遺憾に存じております。ここで政府の施策と相待って、大いに勢いをもって日本経済発展の一環をになってもらいたい。かような考えでおります。
○松浦(周)分科員 大へんごりっぱなお話でありますが、政府の調査会委員がいろいろなことを言っても、政府が責任を持つ、こうおっしゃるが、一体この調査の責任者はあなたです。農林省がやらなければならない。それをやっている人が、まあいろいろの形でありましょうけれども、そういったような考え方がぼけておる人がやっているのでは、ほんとうのものができ上がらないのではないか。そうであるならば、もう一ぺん一つこのことは文書によって発表されておるものでありますから、お読みになってお前の考えはおれの考えと違うのだ、おれはこういう考えであるけれども、考え直して調査し直せとでも言わなければ、曲がった方にいってしまうのではないですか。それを私は非常に憂慮しておるから、それを申し上げているような次第であります。もう一ぺん調査し、われわれの希望するような方向へ持っていく考え方があるかどうかということを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 農林省はこの調査会に対しましては事務当局的な立場にあるわけです。調査会は調査会といたしまして、一つ御意見を承りたい、こういう立場に政府としてはあるわけなのです。そこで政府といたしましては、調査会が結論を出す、これはできる限り尊重しなければならぬというふうに考えておりますが、しかしその事務局的な機能をいたしております農林省の役人といたしましても、この調査会に重要な関係がありますので、私もこの調査会の仕事を農林省で担当いたしております部局のものとはときどき意見の交換もいたしまして——いろいろ調査会自体の中には意見があります。しかし事務局的な立場にある農林省といたしましては完全に意見を調整いたしまして、私がただいま申し上げた通り、どうしても農村問題はこの方向へ実現したいという意気込みを持ってやっておりますから、御安心下さるようにお願いいたします。
○松浦(周)分科員 農業基本法というものを作るためには、いろいろな問題が問題になりますが、まず収入を増加して他産業との間の所得の均衡をはかるということであれば、大体要約すると三点考えられるのです。 一つはやはり生産性の向上です。今大臣がしばしばお話しになるような生産性の向上、その次は価格の安定であります。さらに農業構造の改善、いわゆる小農であるような現在の問題、兼農の問題というようなものを直していくという構造の改善、その三点が一番大きな問題になると思うのです。それに付随するならば青少年の他産業に転換するための技術の養成、あるいは工業の地方分散ということも考えられる。どうもまず一番大きな柱になるのは、その三点だと思うのです。 この三点について、まず第一の生産性向上の問題については、今度予算編成中にただいま御説明になりましたような農業基盤の整備ということになったのでありますから、今までのような水田中心の農政を一転して、畑地や牧野の方面に重点を置くということは、ただいま御説明になった通りでありますが、これに対して大体日本の耕作面積の半分は水田で、半分は畑なのですが、この畑の振興について力をいたすということが、農業収入を増すゆえんであると思うのであります。従来はすべてが水田に重点を置かれましたが、畑地の問題について水田以上に今後生産性の向上をはからなければならぬという点が第一点であると思います。 第二点は、農業構造の改善と同時に考えなければならないことは、日本のような狭い国土で、しかも一億人の人間になろうという場合に、一五%しか土地を利用していないということでは、これは農業の構造改善なんか、思いもよらぬことだと思うのです、でありますから、私は牧畜を中心とする草地の改良ということを考えるならば、さらに一五%くらいのものが草地として放置してあると思うのです、その土地の種目をいうならば、泥炭地や火山灰地帯は相当ありますが、これはお金が大へんかかるから、あと回しにいたしましても、東北、北海道、あるいは北陸方面における潮風の害によりまして穀菽農業ができなかったのでありますから、それを全部草地としてほってあるのです、土壌はあまり悪くない、これを大規模な草地改良事業を行なうことによって——オランダなんかは海を干拓して牧草を植えておりますが、そんな大きな金をかけなくても、かりにこれは雑草の根や木の根をとってしまえばでき上がると思うのです、それを海岸線の大面積のところから手をつけて、それができ上がったならば、その小農を統合してこれをこっちへ持ってくるというような大きな考え方をしなければならぬと思うのですが、そういう大規模の生産性向上、畑地及び牧野の改良、これについてどういうお考えがありますか、一つお考えをお聞きしたい、
○福田国務大臣 まことに私はただいまの御意見同感なんですね、あなたがヨーロッパ、特にオランダ等を回られまして、本もお書きになられましたし、私も拝見させていただきました、また御意見もとくと承ったのであります、牧野を今後大いにふやさなければならぬ、畑地を利用しなければならぬということにつきましては、全面的に私もさように考えます。さような考え方で今度の予算も今までとは違って大きな転換をいたしておるわけであります。ただいまのお話のように、従来の食糧増産という考え方、食糧増産はもとより、これは今まで通りの努力をしますが、それに新たに加えて土地の効率を上げるという考え方です。そうすると、畑地ということがお話のように問題になるわけであります。土地改良事業の中に、畑地の土地改良ということを大幅に考え方として取り上げていかなければならぬ。田畑輪換とか、そういうことも大いにやる必要がある、それから畑地自体の体質を改善する必要がある、そういうようなことで、土壌線虫の退治だとか、そういうようなことにも大きな力を入れていくわけであります、それから同時に、お話のように、今まで生産を上げていない林野、これにも着目しなければならぬ、そういうようなことで、今度は草地の調査を行なうという施策も打ち出しておるわけであります。それらの線を今後大いに進めなければならぬ、かように考えております。
○松浦(周)分科員 ただいま畑地と牧野のことを申し上げましたが、そういう方面に新しいものを開いていけば、今まで二%であったものがあるいは三%、四%になるかもしれません。同時にそのことは農業構造の改善の基本的なものになると思うのです。それをやってもらわなければならぬと思うのです。 その次は価格の問題と流通の問題であります。米や麦は大体買い上げ制度になっておりますから価格は安定しております。米価については、常に論争はありますけれども、一応安定しておると言わなければなりません。ところが畑作物について価格が不安定なんです。大豆にはあまりありませんけれども、その他の豆類については豊作貧乏のようなことがしばしば起こる。この農産物の価格安定を総合的に考えなければならぬことは、自由貿易を前にして考えなければならないことと、国内の農業経済安定のために考えなければならない。ところが他国の価格安定の方策と日本の現在やっている状態とは非常な差があるのです。でありますからこれを合理的に、少なくとも先進国でやっているくらいの価格制度を作り上げなければならないと思うのです。それについて総合的な農産物の価格安定問題についてどういう政策を今後おとりになるかという大臣のお考え方と、もう一つは流通経済の不合理、消費者は相当に払っていますけれども、その消費者の払っておる金が農村の手元に、ものによっては三分の一ぐらいしかいかないものがあります。牛乳なんかも一つの例であります。特に蔬菜、果実、鮮魚というようなものは、生産者の手元に入る金と消費者が出す金とは非常な差がある。牛乳の例をとりましても、四円五十銭でやっているものが十五円で売られているというような例は、大衆魚——サンマとかイワシとかいうようなものについてもそれを考えられる。また蔬菜の問題につきましても、問屋がもうけるのかどこがもうけるのかわかりませんけれども、国民は払っているけれども生産者の手元にはいかないというような、流通経済の非常な不合理があらゆる品目にあるのです。先進国の状況は、牛乳などは生産者の手取りの金の六割増くらいで消費者の口に入っている。生産者に対する遷元率が高いのです。ここのところをやらなければ、牛乳が余る余るというのですが、かりにこの牛乳を六割にしなくても四円五十銭なら九円に売るということなら需要は倍にふえるのです。そうするとまた農家が安定するというのです。この流通経済の問題についてはここに流通経済を改善するための費用を計上しておると御説明になっておりますが、費用は計上されておるのですけれども、少しチャチではないか、もう少し本腰を入れなければこれは改善できないのではないかというふうに考えられる。今申し上げましたような果実や蔬菜というものは市場関係があります。魚類は大体八%市場にとられる、あるいは果実その他のものは一割とられるのです。そういうものも考えなければなりませんが、この流通経済全体についてどういう形が——これはほんとうに本腰を入れなければ、せっかく農村が生産をあげましても、農業経済を改善するところにいかないのです。これが日本の農政の一番大きな問題であると私は思いますが、価格制度と流通の問題、この二点についてお伺いしたい。
○福田国務大臣 農家の所得を確保するという意味から言いますと、お話の通り、流通と価格の制度のあり方というものは、もう非常に基本的な問題だというふうな考えを持っております。価格につきましては、今米は全農林水産物の半分くらいになりますが、これが価格を保証されているというようなことになっておるわけです。麦についてまたしかり。その他重要な農作物につきましては、形は違いますが、いろいろな意味の価格支持機構ができておりまして、大体におきまして全農産物の七割程度のものは価格を支持されておるような形になっておるわけであります。それで私は大体において日本の農産物に対する価格支持というものは、先進国に非常に劣っておるというお話でありますが、相当程度のところにきておるというふうに考えておるわけです。今の支持機構を拡充するという問題になるわけでございますが、これはいろいろな角度から慎重な配慮を必要とするものですし、たとえばくだものにもそういう制度を適用したらどうかというようなことを考えてみますと、この需給の関係があるわけです。やはり価格支持制度と申しましても、大きな経済原則というものを飛び離れてこれが存在するということにつきましては、よほどの事情がなければならぬというふうに私は考えますので、価格維持対策というものには特段の努力をして参りますが、しかしこれが運用につきましては、よほど慎重な配慮が必要であろう、かような考え方をいたしておるわけです。 流通面につきましては、まことにお話の通りに考えております。今後農産物の流通面の対策というものは、これは農業政策のうち残された非常に大きな問題であるというふうに考えております。牛乳に例をとられましたが、牛乳につきましても、小売り段階で相当のマージンが食われておるというふうになっておるわけです。これがいわゆる生乳で四円五十銭、市乳としては十五円もするというようなことになるわけです。これは一面において日本経済の持った宿命的な要因があると私は思うのです。こういう狭い国土で中小企業というものがたくさんあって、そうしてみんなで総生産、総所得を配分しなければならぬという立場にあります関係で、やむを得ざる宿命的な因子もあると思いますが、これが解決というものは、どうしても日本経済全体を拡大して、そうしてそれらの中小企業の人がもっと大きな働き場において日本経済に協力するという素地ができていくに従って、基本的には解決されなければならない問題であると思います。しかしそれにいたしましても、そこまでの基本的な考え方の過程におきまして、いろいろ考えなければならぬ幾多の問題がある。たとえば牛乳の例でありますが、これが放置すれば腐る、そういうような関係で値段をたたかれるような関係がある。そういうものに対しましては、クーラー・ステーションというものを各地に設けて、さようなことがないように、また魚につきましても、日がたてば鮮度が落ちる。従って買いたたかれるというようなことになりますから、そこで冷蔵庫というようなものの設置を奨励しなければならぬというようなことも考えなければならぬとか、幾多の経過的な措置を必要とする。またそういう方向の施策を三十五年度の予算ではとっておるわけです。できる限りのことをやっておりますが、なおいろいろ御名案がありますれば承りまして、どしどしやることにつきましてはいささかもやぶさかではございません。
○松浦(周)分科員 そういうふうに御答弁になられますと、時間をお許し願わなければなりませんが、時間は差しつかえありませんか。案があったら提示しろというのですから、時間がかかるのですよ。よその国のものをすぐ生き写しにしろとは私は申しません。しかし中小企業があるから云々ということでありますが、それは段階を急に変えるということは困難でしょうけれども、私は日本の中小企業を救うためには、いろいろな手を打っておられるけれども、今のようなことでは救えないと思うのです。それはどうやるかというならば、やはり国民の購買力を増すということだと思うのです。その有効需要を起こすということは、一番大きな層である農村の経済を安定させることだと思うのです。中小企業は多く農村の付近にありますから、現在の三〇%の所得の格差が五〇%になれば、農村の人々は文化生活にあこがれておって、かわいておるのですから、その増された二〇%というものは、全部購買力になって現われてくる。かりに電気洗たく機を一つ買う、みんな買えるという経済に立ち直るならば六百万個要るのです。それは工場からはすぐ買わないのです。いずれも中小企業の手を通じて買うのです。これは一つの例ですけれども、すべての問題がそうなるのでありますから、中小企業を直そうとするならば、やはり農村に購買力を持たせるということが必要だ。ところが農村に購買力を持たせるというのではなくて、購買力を持とうとするものに三分の一しか消費価格のものが戻ってこないというようなことがあっても、これは急激にできないというようなことを考えておられるようなことであるならば、先ほどから申されるような抜本的な農政の改革はできないと思う。それが私は踏み切り場所だと思うのです。牛乳の例を申されましたから、また牛乳の例で申し上げますが、一戸々々に配達するようなことを考えるものですから高くなるのです。それは失業者の仕事だといえばそれまでですが……。よその国でやっているように、組合が一つの販売所を設けまして、そこヘガンガンを持って朝早く起きて買いに行くのです。それでも相当安くなるのです。牛乳の生産は農村もやっておるのですから、農村の組合を拡大をして、そうして都市の中に販売一所を設けて、そこへ買いに行くという機構にしても、その点は相当違ってくると私は思うのです。あるいは消毒の問題でも、よその国でやっているような——ああいう小びんを消毒するのですから、消毒、詰めかえ等の経費が農村で四円五十銭以上かかるというようなことではとても改善できないのです。やはり思い切ったことをやって——一時中小企業が困るかもしれぬが、農村がよくなれば中小企業は自然と基本的に直っていくのです。 それから蔬菜やその他の市場制度の問題について、一割なんという高い口銭を取って、それが不合理な行き方になっております。国が公社を作って、その公社のもとに市場を経営さして、それに総売上高の二%とか三%をその経費として取って、それを基金にしておいて、蔬菜が余ったときには値が下がるので、その余った分を買っちゃうのです。買ってしまって、鮮度の下がったものは飼料に落とし、いいものはカン詰めにして将来に保存するというようなことをよその国ではみなやっているのです。ところが日本の市場はもうけるだけで損失のことをやってくれない。値が下がってもかまいはしない。そうでなくて、公社を作って、公社が、今一割払っているけれども、それを五分でもいい、その五分を積んでおいて、過剰生産になった場合はそれを買い取ってしまう、それで処理する、値を維持させるという方法をとっている。同時に、この価格安定の問題と作付登録の問題はどうしても並行して考えなければなりません。無制限に生産しておいて、生産過剰になれば値が下がるのは当然だ。これは日本の野菜の生産者についてはずいぶんあります。今度の果樹の法律案の問題についても、作付登録を考えない価格安定はないと思う。やはり需給の関係と生産の関係とをにらみ合わせて、その上に公社式の市場を作って、その市場の運営をよくしていくということがまず考えられなければならぬと思うのですが、こういう考え方についてはどうですか。意見を言えと言われましたから、意見を申し上げます。
○福田国務大臣 まず、牛乳を配達するということをやめて、みんなが取りに行くようにしたらどうかというお話でございますが、これはまことにごもっともだと思うのです。ですから、一般消費者がそういうふうなことを希望するというときにおきましては、そういうことは私どもまことにけっこうでございます。よって、中間経費がそれだけ節約できるということになるので、そういう方向に行くことを期待しています。ただ、これを法制的にどうのこうのということにはいきませんから、そのことを言っているわけです。あなたが技本的々々々と言われますが、これを技本的にやる方法は、法律をもってそれをやるのが一番技本的なんです。しかしそういうわけにはなかなかいかない。これはやはり経済の動きと大体調整がとれて、逐次そういう方向に行くことを助成するという程度のことかと、かように考えるわけです。 それから市場の中間経費、これはごもっともな点と思いますが、なお私どもといたしましても検討して参りたい、かように考えております。
○松浦(周)分科員 もちろん法律でこういうことを定めるということはできないと思うのですが、適者生存の自由経済のもとにおいては、小びんを消毒して、詰めかえて配達する経費は私はあのコストの中で最も高い部分を占めていると思う。でありますから、集乳をするのは農業組合がやるんですから、その農業組合の出店、配達所を方方に作ったらいい。それでやらしてみたらいい。取りに行けば九円で、配達してもらえば十五円だということになれば、自然にそっちへ行くと思うのです。それを手初めにやらなければ、いつまでたっても自然にまかしておったのでは改善できないではないですか。何かそういう一つの変わった方法をやらせてみる。そうすれば、その方が安いから自然に行く。自分のうちで消毒したものを持っていくから、あのたくさんのびんを集めて消毒する必要はない。これは牛乳のことばかり言っておったのではだめですが、そういうことを一つ一つやっていってもらいたいということの例として牛乳を申し上げたわけであります。 次の問題は、構造改善の問題なんです。いろいろな統計を見ますと、大体兼業農家が十六万戸もあって、三町歩以下が百万戸もあるという現状です。まずこれなんかも一つ考えなければ、農業統計の上に現われる数字もそういうものは全部平均に入ってくるのですから、非常にまずい統計が現われてくると思うのです。この交換分合の問題、それから小農統合の問題というものは、先ほど申しました草地の改良の進展に伴って並行してやっていかなければならない。また、小農統合の問題を実際に行なうことによって均分相続の問題を防止することができる。よその国ではやはりどの国も憲法は均分相続になっておりますから、農地の細分は免れない。けれども、その場合にはやはり交換分合あるいは小農統合——国の制度によって行なったものは細分することはできないような制度になっております。この小農統合ということを日本はやらなければ、どうしても日本では適正規模の農業になれないし、他産業と同じような科学的なことにならないと思うのです。それでなければ、機械農業にもなれないのでございますから、この交換分合と小農統合の問題についてどういうお考えを持っておられますか。
○福田国務大臣 私もそういうふうに考えますが、ただ小農統合というて、小農はどうもだめなんだというふうな印象を与えると、これは間違いがありはしないか。小農といえども農業者として熱意を持って大いに農業をやっていこうという人がありますれば、これはさらに農地を拡大して、そうして農家として残存する道を開くということを考えてやらなければならぬ。要するに、農業者としての熱意、情熱を尊重する政策はその中でとっていかなければならぬというふうに考える次第です。 しかし、そういうことは別といたしまして、大きく申し上げますれば、やはり日本の農業の後進性というか、おくれは、やはり機械科学、技術の世の中におきまして、農業自体にそういう便益を受け入れがたい特性があること、特に日本のような零細農家におきましては、機械技術の利益を享受しがたい状況になっているという点にあるというふうに考えておるわけです。しかしお話のように草地を造成するというようなことを考えましても、あるいは開拓、干拓あるいは移住というようなことを考えましても、一挙に土地を何倍にするというわけには参りません。そこでやはりそういう努力をいたしますのと並行いたしまして、限られた土地の効率を上げるということを考えていかなければならぬ。それにはやはり交換分合だとかなんとかもいたさなければならぬ。あるいは相続のやり方につきましても検討しなければならぬ。同時に機械を導入できるように集団化、共同化というようなことにつきまして国家が助成する必要もある。さらに農業法人というような傾向も出ておりますが、これに対しましても政府はそれを検討するという熱意を示していかなければならぬとか、いろいろな問題があるわけでありますが、お考えの基本的方向につきましては私もまことに同感であります。さような考えで農林行政をやっている次第であります。
○松浦(周)分科員 先ほど来農業の収入の伸びについてお尋ねいたしましたが、御答弁によれば三%くらいは伸びるだろう、こういうことでありますが、しからば三%伸ばすといたしまして、どういう施策をやらなければならぬかということになると、今まで、戦争後現在の食糧増産のために投じられました農地の開発、改良、その他地方の増進という方面に使われた金が過去十年間に約二千億であります。それから耕種肥培に政府が投じた金は四百億くらいであります。ところが今後年々三%なり三・二%なりという農業成長率を採用するとすれば、これはただ伸びないのです。今の畑地の問題についても、牧野の問題についても、さらに水田地方における反収増加の問題についても、ただほうっておいたのでは伸びないのです。今まで十年に二千億地方の増進、開発のために使ってきたのですが、その二千億を投じたのは多く水田地方に投じておりますから、驚異的に水田の反収が上がるようになった。これを畑地の方に向ける場合、水田以上に考えなければなりません。資金が要ります。今までの十年間に二千億でようやくここまできたのですが、今後十年間にどのくらい要るか。三%ずつ伸ばしていくためには少なくとも八千億の金が要ります。四倍ないし七倍と学者は言っております。でありますから、大臣は大蔵畑御出身であって、財政、経済問題についてはわが党一番でありますから、この考え方がなければ書くものだけ書いたって何にもならぬ。あなたが先ほどから御答弁されることの裏づけは、あげて予算にある。これが十年問に一体どのくらい出されるお考えか。三%伸ばすといったって資金を投じなければ伸びないのです。
○福田国務大臣 お話の将来の予算をどうするかという点につきましては、私どももまだ結論を持っておりませんけれども、どのくらい伸ばすのだ、これは伸ばす方向によってまた財政のあり方も相当違ってくると思うのです。たとえば果樹について大いにやる、あるいは畜産をどうするか、あるいは畑地をどうするかというようなそのウエートのつけ方とかなんとかによりましても、内容はだいぶ違ってくると思うのです。倍増という計画が設定されました以上、これに必要なる資金を裏づけといたしまして十分確保する所存でございます。
○松浦(周)分科員 それならこういうことをお尋ねします。日本経済の戦後の考え方は、もちろん小さな島に一億の人が入るのですから、やはり貿易国策というものが中心であって、この十三年間というものは基幹産業のために、基礎産業のために、あるいは貿易、造船、その他のために国の財政、経済を傾けてきたことは言うまでもありません。それが今日の貿易がここまできたのでありますが、国の経済力をあげてそちらに傾むけてきたものでありますから、従って農林漁業には手が届かなかったという結果になるのです。それがこんなに格差ができるようになったのです。私は今やっておるものをすぐやめてしまって、こっちへ持ってこいと言うのではないが、かりに財政投融資の問題をながめてみましても、この予算の中に五千九百四十一億組まれておりますが、その中で農村に幾らきておるかといえば、この御説明では四百六十億と書いてありますが、大体五百億くらいのものが農林漁業に振り向けられる財政投融資であります。また中小企業の問題を見ると、やはり六百億くらい、両方で千百億くらいのものでありますが、その他の約五千億近いものはあげて農林漁業以外のものに投ぜられておる。しかも港湾もある、道路もある、その他の公共施設もある、あるいは政府事業もある。あるが、その投ぜられた金は生産面にいくものは農業以外の鉱工業の方の物資を使う方面にいくのでありますから、国の施設がよくなると同時に鉱工業はよくなっていくのです。しかしその恩恵は農村にはこない。この問題を考えても将来大規模の牧野の改良をやろうとすれば、やはり一般会計から出すよりも三十年なり三十五年の長期にして低利の財政投融資の金を使うという場合、今までこっちへ傾けておるものを、せめて一割なり二割というものを農林漁業の方に持ってくる考えがあるか、大ざっぱな考えだから御返事はできると思う もう一つは、予約減税というものを農村は受けておりますが、特別減税というものが九百億から約千億、一般鉱工業の方面に減税されておるのであります。しかしこの全部をやめろとは言わない。せめてその中の三分の一くらいのものはこっちへ当然持ってこられるものが農村の経済と比較すればあるのです。何があるかといえば、ここに書類もありますが、時間がありませんから一々申し上げませんが、この減税を三百億なら三百億やめて、その収入は農漁村に持ってくることができる、これが第二点。 第三点は、これから経済が七・二%ずつ伸びていくとすれば、税収入も相当伸びてくると思います。その伸びた税収入の配分については、あなたの政治力でこっちへ持ってくる、この三点について御決意を聞きたい。これは計数的にでなく、あなたの気持を聞いておる。それだけの迫力がなければ、基本法の作文を書いたって何にもならない。予算の裏づけをやるという決意が政府にないとだめだと思いますが、その点について伺いたい。
○福田国務大臣 先ほども申し上げましたように、所得倍増計画が設定されました上は、これを実現するために必要な予算はあくまでも確保いたします。その第一の御質問であります財政投融資ですが、これも農業といえども機械化、集団化という体制が整い投融資でもいいということになりますれば、これはもう投融資をどんどんとこれに振り向けていいと思います。ただそこまでの段階として、投融資だけではやれないんだという状態が今の農村でありますから、財政支出に中心を置いておるわけです。農村に金が出るのが少ないとおっしゃいますが、これは農林省予算だけを考えられるのもいかがかと思います。たとえば昨年の暮れから国民年金制度をやる。これはなぜやるのだということになりますと、これは農村対策ということが主たる背景をなしておるわけです。役人に老後の備えがあって、朝から晩まで働く農家の人にそういう備えがないのはどうだ、こういう議論からあの問題は出発しておる。また国民皆保険がことし実現されるわけでございますが、これとても農村地帯、すなわち市町村等におきまして医療の便益がない、こういうことから発生しておりますので、これまた農村対策。あるいは文部省の育英資金制度、これの考え方というものも農村に優秀な子弟が出て、これが世に埋ずもれるということでは困るというので、ああいうものが始まっている。これは国の政策全般に農村対策というものがしみ通っておるのです。お話の通り、農村が安定すれば、農村に介在する地方都市というものもおのずから安定する。農村が安定し地方が安定すれば、国の経済もおのずから安定する。経済の安定した形を築き上げる基礎というものは私は農村にあると思う。そういう意気込みをもちましてやっておるわけでございます。 ただ、今特別減税のお話がありましたが、農村の方はほとんどもう所得税を納めていないのです。三十五年度はよほど景気がいい。この状態におきまして、総合所得税は二十億円くらいのものです。ほとんどないといってもいいくらいなものであり、しかも予約減税というような特別措置もとっておるわけであります。ほかの方におきまして特別減税の措置はありますが、これもみなそれぞれ理由があり、しかもそういうことによって経済がよくなるということは、また農村に対する購買力、所得弾性として振りかかってくるのですから、そう一がいにこれを整理してしまうというわけにもなかなかいくまいと思います。しかし結論といたしまして、農村のためにさらに財政力を傾けてやりたい。なお財政投融資でよろしいという段階になりますれば、大いにこれに振り向けていきたい、かように考えております。
○松浦(周)分科員 私は農村の税金が高いと言ったのではない。一本立ちで一割五分も二割も配当するような会社への減税はやらなくともいい。それだけ今の投融資のところまで手の届かないところに一般会計からやる財源になるのではないかと言ったので、農村の税金が高いと言ったのではありません。そういうふうに今三%ずつ伸ばすについても八千億の金が要るとある学者は言っております。ところがそれは三%ずつ伸びるだけの問題であって、この格差は依然として離れつつある。農村の三%、片方は一〇%以上、あるいは鉱工業のいいものについては二七%もいっている。経協は一三%という統計を出しております。片方は三%、片方は一〇%から離れている。しかも今は三〇です。ここのところを直してやるのでなければ、農村は満足しない。そのためには国の財政経済を傾けるという考え方を持っていかなければ——敗れた国が貿易を今日までにたたき上げるためには経済力をあげてそっちに向けている、それをやったからできたのです。これに追いつかせなければならない。そのためには為政者の政治のとり方、予算の盛り方というものがこっちへ傾けるように、傾け過ぎたと思うほどやるのでなければついてこない。三%ずつ伸びても、片方は一二%さらに伸びていくのでありますから、もとの収入が違うこのところを一番重点に置いて国の経済なり財政なり政治のとり方というものがこっちへ傾いていかなければならないということを私は強調しているのであります。 私は、最後に言いたいことは、こんな行き方で、農村が疲弊したままで引っぱっていくということは、今の政治力ではできなくなると思うのです。それは政権の交代でなくて、政体が変わりますよ。根こそぎいってしまうということをおそれるのです。だからほんとうに思い切ったことをやらなければならぬし、その基本法というものが中核になるのですから、それを作られるのは調査会でやるけれども、やはり農林省が中軸でなければならない。その農林大臣は一つしっかりしてもらいたいということを言っているのです。でありますから、もう一ぺんその決意をお聞きしたい。
○福田国務大臣 御鞭撻ありがとうございました。御鞭撻によりましてますます勢いを得て努力いたします。
○綱島主査 午前中はこれにて終わりまして、午後は一時二十分より再開いたします。 午後零時十六分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分開議
○綱島主査 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑を続行いたします。永井君。
○永井分科員 最初に北洋漁業の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 日ソ交渉は難航を続けておるようでありますが、現在の状況はどうなっておるか、この現在の状況の上に立って将来の見通しをどういうふうに立てておられるか、これを伺いたいと思います。
○福田国務大臣 日ソの北洋漁業の交渉でございますが、去る二月の二日に委員会がモスクワにおいて開催をされております。昨年の日ソ漁業委員会におきまして、来年は一月の十九日にやろうではないかという約束があったわけなんです。ところがソ連側からそれを約一カ月くらい延ばしたいという申し出がありました。そういうことになりますと、従来ずいぶん時間もかかっておりますので、始める時期といたしましては少しおくれ過ぎやしまいかという感じを当方として持ったわけです。従いましてわが方といたしましては、ソ連に対しましてまあ一カ月延ばすという話だが、なるべく早くいたしましょうということを申し上げたわけでございます。ちょうど一月の中旬にオットセイの会議がモスクワで開催をされたのであります。さような関係もありまして、事実上一月十九日に開催するということは不可能な状況であるということが判明いたしたわけです。そこでその状況を避けて、なるべく早くということになりますと、まあ二月になってすぐということになりますので、時期といたしましては二月二日に始めるということは適正な時期であったというふうに考えております。それで二月二日に始まりました委員会におきましては、本会議を開きました。これを九回行なっております。去る二月の十五日に九回目の本会議を開きまして、資源関係の討議をいたしましょう、それは小委員会にいたしましょうということになりまして、資源関係の小委員会がただいま資源論を相互に展開をいたしておる。これが現在までの状況でございます。それから今後のことにつきましてはその資源論争が済みましてから——まあいろいろな規制措置の問題でありますとか、いろいろあります。いかなる段階に最も重要なる議題である漁獲量の問題に入りますか、これはまだきめておりません。いずれにいたしましても資源論が済んでから適当な時期に漁獲量の交渉に入る、かようなことになるわけであります。 一方、わが方におきましては、大日本水産会が政府に対しましていろいろ漁業交渉の問題についてアドヴァイスをしてくれておりますが、さような次第もありますので、私といたしましては大日本水産会会長である高碕達之助さんが、適当な段階になりましてモスクワに行かれることを希望いたしておるわけであります。さようなことをお願いをいたしましたところ、高碕さんもこれを快諾してくれまして、今のところ一応三月末こちらを立って、四月上旬にモスクワに滞在するというようなことになっておりますが、これは今後の進行状況によって変更されるかもしれないところの問題でございますが、まあなるべくすみやかに結論を得て、しかもわが方の主張する科学的資料、科学的説明というものがソ連側にも納得されるような結果になることを期待しているようなわけであります。
○永井分科員 そういたしますと、現在モスクワで進められておる交渉というのは、事務的な積み上げの段階である。事務的な積み上げができたら、今度はその状況によっては高碕さんが行くかだれが行くか、とにかく本番折衝に入る、こういう一つの段階的な方式でこの交渉を進めていく、こういうことでありますか。
○福田国務大臣 日ソ漁業交渉というものは、もともと日ソ漁業条約におきましては、毎年々々その実行を日ソ漁業委員会できめる、こういうことになっておりますので、この交渉自体がその性格として事務的のものなんです。それが、これは私の乏しい知識でございますが、私の観測するところによりますと、科学的論争と申しましても資源についての見解ということになる。ところがソ連の方は、漁獲が、川にさかのぼるサケ・マスをその川の近傍においてとらえるということである結果、知識がどうしてもそういう方面からのものに重点が置かれるわけです。これに対してわが方は大体において大洋における魚族ということが中心になります関係もありまして、どうしても科学的な資源論というものが一致しないというようなことがあるわけであります。さようなことで、いつも科学的といいますればこれは必ず一致すべきものであり、そうであるにかかわらずなかなか一致しない。そこで最後に漁獲の量につきましては政治的な配慮というか裁断が下されるというようなことになっております。しかし、私はどこまでも相互に資料を持ち寄りまして、科学的、合理的な資源論の立場からやるべきものだというふうに考えておるので、今でもそういうふうな期待を持っておる次第でございます。しかし、三人の委員を出しておりますが、総指揮官というような立場において高碕さんが向こうに行かれるということは、委員の気勢を上げるというような意味もあろう、かように考えまして、高碕さんにお願いした、かように御了承願いたいと思います。
○永井分科員 従来の交渉の経過から考えましても、また現在漁業委員会における問題点が資源論である、資源関係の論議である。しかも、これは科学的な基礎に立ってということであるが、なかなかはっきりした統一見解というようなものが確立されない過程においては、今までの例から見ても、私はことしすぐ科学的なことが解明されるというものではないと思う。そうすると、その論争の限りにおいては問題の解決は見出せない。ある程度論争した上で、そういうものを内容とした政治的な解決以外にはないと思う。そういうふうに考えるのでありますが、それはどうでありますか。もしそうであるとするならば、今までの交渉の上に積み上げられたことしの交渉というものは、科学論争においてあるいは両国の親善友好の関係において良好な環境にあるのか、あるいは従来よりも悪化しておる状況の中にあるのか。政治的解決に待たなければいけないということであるならば、科学的論争の背景となる政治的環境というようなものが非常に重大だと思うのですか、その関係はどういうふうに考えておられますか。
○福田国務大臣 ことしの交渉は、一つはマスの不漁年であるというようなことから、なかなか困難があるのではあるまいかというような観測が行なわれておったわけです。それからもう一つは、日本の安全保障条約の締結ということについて、ソ連で政治的な考慮をこの漁業交渉に加えるのではないかというような観測をする向きもあったわけです。しかしながら、私どもは初めから漁業交渉は経済問題で、安全保障条約というような大きな政治問題と切り離さるべきものであるし、とにかく世界の大国であるソ連がさような混淆をするというようなことは万々あるまいというふうな観測を持っておったわけでございます。交渉を始めてみますと、ソ連側におきましても、私どもが観測いたしました通り、漁業交渉とその他の外交案件とを混淆するような空気は一切ございません。まことに大国ソ連であるというふうな感じがしておるわけであります。御承知のようにそういう傾向は漁業交渉ばかりではないのです。目下行なわれております日ソ貿易協定におきましても、貿易問題と外交問題は全く別だという角度で、きわめて友好裏に話が進められておるわけでございます。でありますから、不漁年ではありますが、不漁年下における資源状態はどうであるかということを科学的、合理的に論争していくというようなことで、大体最後の結論が導かれるのではないか、かように考えております。
○永井分科員 日本からの出漁の時期もありますので、大体交渉成立のめどをどのくらいのところに置いておられるか。
○福田国務大臣 これは毎年交渉が百日前後費やされておるわけでございますが、私は、そんな長い期間をかくべき性質のものではないと思うのです。できますれば、毎年々々交渉することはやめて、五年なり十年なりこういうふうにしようではないかという長期協定ができれば一番いいので、それが昨年において出されましたができなかった関係もありまして、ことしまた交渉しなければならぬということでございますが、これはなるべく早く解決した方が、本年だけの問題としてもよろしい。それで幾らおそくとも四月中にはこの問題を決定いたしたい、かように考えております。
○永井分科員 先般の国会質疑の中で、日本から持ち出す数量を外務大臣は十一万トン内外、そういうものはちゃんと持っておるのだというようなお話であったのでありますが、一体こちらからはどのくらいが適当だということで、数量の点においてはどのような腹がまえであるか。
○福田国務大臣 これは率直に申し上げましてまだきめておりません。一部の漁業界の方では十万五千トンというような持ち出し方はどうかというようなことを言っておる向きもありますが、政府の方では、とにかく資源問題でありますから、ソ連の方の資源に関する意見をとくと承った上、その資源論におきまして参考になることがあればわが方においてもこれを取り上げるにやぶさかではないのであります。さような資源論争が済みました上、資源は一体総体としていかほどになるのであろうか、そのもとにおいて規制区域内の漁獲量はどういう数量であるべきであろうかというようなことを出していきたいと思います。まだ今きめておりません。
○永井分科員 数字の問題については、区域内と区域外、また漁業の方法、そういうものによっていろいろ数字が違ってくるのではないかと思うのですが、本年の交渉はどういうふうなお考えでこれをお進めになる予定でありますか。向こうの方では日本の漁獲の総量に対して、非常に乱獲しておるというようなことが言われておりますが、それの一つの論争のテーマとしては、区域内のとり方、区域外のとり方、あるいは母船式によるもの、あるいははえなわ式であるとか、あるいは基地からの独航の関係とか、いろいろあるでしょが、そういう関係はどういうふうにお考えになるわけでありますか。
○福田国務大臣 ソ連の方との間では、今までの議論では、形式的なことのほかは資源論議が展開されているという問題でありまして、今後いろいろな話題が出てくるであろうと思います。その話題が出る中で、どんなことをソ連が言ってくるかということを、私この席からいろいろ想像もありますが、ちょっと申し上げにくいのです。ですから申し上げませんが、私どもといたしましては大体においてそう資源的に窮屈な考え方をすべきではないのではないか、さようなことでいろいろな資料が整えられておる次第でございます。
○永井分科員 そういたしますと、日ソ交渉の関係において、現在の時点ではまだ数量は日程に上っておらない。またこちらの方の腹がまえも、まだ数量というものについてはきまっておらない、こういうふうに了解して間違いございませんか。
○福田国務大臣 その通りでございます。
○永井分科員 もしその通りであるとしますならば、国内における独航船の整理及び母船の整理の関係の問題は、どういう根拠に基づいてお進めになっておられるか、これを承りたい。その整理基準を示していただきたい。
○福田国務大臣 今ソ連との間に交渉が続けられておりますが、この交渉の結果、今までの漁獲量がさらに非常に拡大されるというような結論にはなかなかならないと思うのです。まあ常識的な見地から考えてみますと、今十六船団四百六十隻、独航船という体制は、漁獲の経営というような見地から見ますと、やや大きいのではないかというふうに想像されるわけでございまして、一応さような一般的な換算からいたしまして、私どもといたしましては一割程度低めるということが好ましいのではあるまいか、それが会社の経営の合理的な運営という見地から見て、会社の収支その他の面に利益になるのではないか、かように考えておる次第でございます。
○永井分科員 そういたしますと、現在独航船、母船関係の整理というのは、これは日ソ交渉とは別個に独自の立場で腰だめでやっておる、こういうことでありますか。そういたしますと、日ソ交渉のいかんによっては、さらに第二次の実情に即した整理等もしなければならないという段階が予定されるわけですが、その関係はいかがでありましようか。
○福田国務大臣 お話の通り、大体腰だめというか、大きく換算いたしまして、この程度が会社のためによかろうということで、現在行なわれておる日ソ漁業交渉とは何らの関係がございません。日ソ漁業交渉のきまり方といいますのは、私どもは大体日ソ漁業交渉の結果というものがさような、これと関係なくきめられた体制に適合するという形できめられることを期待をいたしておるわけであります。
○永井分科員 その期待はけっこうですけれども、日ソの間にどれだけの数量が成り立つか、またその数量によっては採算の関係が非常に違ってくる。そしてしかも今交渉の過程にある、それはやはり両国間において相当政治的な関係、かけ引きもある程度は考慮しなければならぬという状況の中で、みずからこれだけ整理するのが妥当だ、こういうことで整理をするということは、今までが非常に過当であった、不採算の実情にあった、こういうことで、その採算線まで削る、こういう自主的判断に基づくのか、あるいは日ソ交渉を、腰だめの上に立って減るだろう、こういうのでやったのか。大臣の答弁では、腰だめでもいろいろあるのですから、その関係は相関関係があると思いますけれども、もっと整理の性格を一つはっきりさせていただきたい。
○福田国務大臣 この行なわれております交渉とは何らの関係はございません。従来からも船団再編成ということはいわれておりましたので明らかな通り、この船団の再編成には考慮がされなければならないところがある、かような見解から今回再編成が行なわれようとしておる、かように御了承願いたいと思います。
○永井分科員 独航船を五十隻限度転換させる、これは現有隻数の一割という数字が基礎であって、一割を整理するという根拠は何もないのである、ただ一割くらい減らしたらいいだろう、こういう一割でありますか、五十隻ということは、伸び縮みしないのかどうか。
○福田国務大臣 今の十六船団四百六十隻という船団では、やや過大であるということは、これは業界自身も認めておるのです。それでこれを整理した方がいいのではないかという声は各方面にあるわけです。私はこういう考え方をしたのですが、これは政府の方でもそういう感じを持っておる。しかしながらこれは強制すべきものではない、これはどこまでも会社の採算関係を主とした会社内部の合理化的角度の問題であるから、これはほっておいても会社がそういうふうにするに違いないというふうに考えておったことであります。これは私がそう考えておりましたのと並行いたしまして、この通りの空気が業界にも出て参りまして、今業界では自主的に一割減、再編成ということを進めておる、かような状況でございます。
○永井分科員 そういたしますと、まず今度の整理は業界の自主的なものである、そしてその数字は日ソ漁業交渉と何ら関係ない、またその漁獲量がどのくらいにきまるかという数字の問題とは別だ、別だといっても、この十六船団四百六十隻という独航船が過大かどうかという問題は、漁獲量と見合っての問題であって、ただ漁船の数字だけで多いとか少ないとかいうことは言えないものだと思いますが、それはそれとして、そうしますと、母船は何船団減船するという自主的な動きがあるのか、またこの関係には全然行政指導というものがないのかどうか。
○福田国務大臣 今業界で自主的に盛り上がっておる意見としましては、三船団減らそうという意見と五船団減らそうという意見と、またその中間的に四船団減らそうというような声もあるようであります。まだ最終的な、統一的な意見にはなっておりません。それから行政指導は表だったことはしておりません。
○永井分科員 独航船の縮減について、五十隻限度でフイッシュ・ミールの方へ転換したらどうかというような案を示して、その方との交渉等が積極的に行なわれている。それがうまくないというので、業者の方から今度はカツオ、マグロ漁業の方への転換ということを農林省は積極的にやっているのではないですか。またそういう漁業権を与えるとか与えないとかいうことが裏づけにならないで、ただ自主的にやれと言ったって、これはできるものではない。行政指導がなくてこういう問題が自主的にできるものではない。積極的にやっているのではないですか。
○福田国務大臣 私どもは、申し上げましたように、この船団が大き過ぎるという感じは持っておったのです。しかし、再編成はどこまでも業界内部において自主的にきむべきものであるという見解も持っておったのであります。そこで積極的に、こうしたらよかろう、ああしたらよかろうという指導はいたしておりません。母船のことにつきましてもしかり。また独航船についてもしかり。ただ再編成の結果、行政庁のいろいろ許認可を要するような問題も出てくるわけですから、こういう場合にはどうなんだろうというような御相談にはあずかります。産婆役はいたしますが、指導者としての役割はいたしておりません。
○永井分科員 独航船の転換についての転換基準といいますか、何をどういうふうにした方がいい——やはりそこにはおのずから公正と妥当な基準というものがあるでしょうか。そういうものは全然お持ち合わせないのですか。
○福田国務大臣 私は独航船の再編成につきましては、当初ミール船に転換するのが一番いいのだというふうに考えたのです。しかし、ちっとも指導しないが、その機会を与えてやろうというので、昨年の暮れに独航船に対しまして、今回二船団のミール船団がふえるから、それに乗りかえるならば優先的にその機会を与えましょうということを、通告をいたしたわけでございます。ところがそれには独航船側は乗ってきませんわけであります。その後他の方向でというので、独航船内部でいろいろ相談をしているようでございます。
○永井分科員 カツオ、マグロ漁業は千二百隻ですか、それだけの魚獲量で安定操業をしておる。そこへこちらの方から割り込んでいくということになれば、やはり今度はマグロの方の不採算の問題が起こってくる。こういう関係になるのでありましょうし、北洋漁業の方には、カツオ、マグロの漁業権を持って兼業的に出ておるものもあるということになりますと、やはり両方を両立させる方法とすれば、転換はマグロ漁業権を持っておるものを優先的に転換させて、そちらの方に終年就業させる、こういうふうな方法をとられることが妥当だと思うのですが、そういう御指導はお考えになっておりませんか。そして現在五カ月分の漁業権を与える、四カ月分はお前らで買え、それから業者の方からは転換について補助金を出してもらいたいといろいろ要望がある。残るものについても転換の方へ相当金を出さなければならぬ。一隻がそれぞれたくさんの借金を背負っているといういろいろな問題があるわけでありますが、そういう独航船転換のもろもろの条件の関係についてどういうふうにお考えになっておるか、一括して御答弁を願いたい。
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたように、これはあくまでも業界の自主的な問題として解決すべきである、こういうふうに私どもは考えております。別に母船の数が多く、独航船の数も多くて操業して、私どもはそれでどうしても悪いのだというふうな考え方に基づいて、これを何とか行政で矯正しようというような考え方は持つべきでないという考え方をいたしたわけです。しかし業界自体としてこれを反省してみましても、限られた魚を過大な船団を使ってやるということは、経営としてきわめて妥当性を欠くのだということに考えられるような状況でありますので、そういう業界自体の反省ということを私どもは期待しておったのであります。ところが期待通りの状況に今なってきておるのです。独航船につきましても、マグロ業界との間にいろいろ話を進めておるようでございます。そういう自主的な反省に基づいて行なわれる動きが、業界自体の問題としてある程度の進行も見たという際に、行政庁の許可、認可というような関係がいろいろまた出て参ります。そういう際にはできる限り内部の自主的なさばき、結論というものに協力をしていこう、こういうふうな基本方針でございます。
○永井分科員 まあ自主的自主的ということを非常に強調されますが、その内容も知らないわけではないのです。こういう問題は自主的にやれるものではない。こっちから削ったらこっちに権利を与えなければならぬ。相関的にやらなければならぬのですから、行政指導というものが相当中に入って、水産庁の声がかからなければできないことは言うまでもないのですが、それはそれとして、しっかりした基準でおやりになったらよろしい。まあ自主的にやれ、責任はしょわないという形では私はいけないと思う。その意味において母船はどうするのですか。母船の方の整理は自主的にまかせて、こっちはもう何もしない。たとえばどこへ回れというような経済的な裏づけも漁業権も、そういうことは考えないで、整理だけせいというお考えですか。そして何隻ぐらいが現在の状況で妥当だとお考えですか。
○福田国務大臣 今申し上げましたように、三船団説、四船団説、五船団説、こういうものが出てきておるわけでございます。とにかくこういうものは業界で円満に話がついて、その結果に基づいて行なわれるのが一番いいというので、私は円満第一主義でございます。その出た線に当局としてはできる限り協力していく、こういう考えでございます。 〔主査退席、松浦(周)主査代理着席〕
○永井分科員 それではまだ母船についての船団整理の数は固まっておらないのですね。そこでそれならば整理の段階においては、やはり過去における許可状況、たとえば日魯が現在六船団持っておる、大洋は幾らだというような許可の今までのやり方について、行き過ぎがあったり不公正があったならば——あるという一つの判断があるならば、この機会にそういう関係を是正するという措置が必要であろう。出過ぎておるのは削ったらよろしいし、まあ足りないというのは、削る段階ですから加えるということはできないでしょうが、そういうように一様に不公正な形によってできた現状の比率でものを整理しようという悪平等はいけないと思いますが、この母船のなにについては、もう少し行政指導と公正な線を——弱い者を泣き寝入りさせる形における円満はいけないので、やはりそこには公正妥当という筋の通ったものがあって、円満にいくということが必要だ、そういう点でどうですか。日魯などは六船団持っておる。昭和三十年なんかのおそい段階において、一年に二隻も母船を許可しておる。こういうやり方は私は妥当ではないと思うのです。そういうようなものを是正する段階ではないか、こう思うのですが、これはいかがです。
○福田国務大臣 弱い者が、泣き寝入りになるというような状況ではないのです。北洋の母船といいますれば、みんな強大な会社でございまして、それぞれみんな実力を持ったものです。従って、さようなことはないのでございます。申し上げております通り、どこまでも自主的に話がきまるということが一番いいのだ。そこで私どもは、そういうことを期待しながら、その話の進行というものを注視しておるのでございますが、私どもの期待通り話が進行しておるのです。それで、その進行過程を見守っていくという態度を、今日現在の段階においてはとっておるわけであります。
○永井分科員 弱い者はないということでありますが、力の差は非常にあるので、大臣も御承知のように、北海道の漁業公社などは、零細漁民が出資して作ったものであります。現在いろいろひもつき関係にはなっておるでありましょう。そういうものを吟味するならば、独航船から何から、ひもつき関係を全部洗って、もっと公正な形におけるやり方というものがあるでしょう。そういう関係はどういうふうにお考えになっているか。やはり零細漁民が出資して作ったそういう公社関係は、普通の営利会社とは違うのだ、異質だ、質的な吟味において、こういう問題をお考えになるお考えはございませんか、伺っておきます。
○福田国務大臣 お話の通り、形の上から見ますと、いろいろな会社があるわけです。しかし実質におきましては、これはそれぞれ一団をなしておるものでございまして、私どもは必ずしも規模の小さいものが少さい立場にあるとは考えておりません。しかし皆さんが言うその立場を、特に小さいがゆえに弱くするということのないように、できるだけ気をつけます。
○永井分科員 次に安全操業の問題は、どういうふうにお考えになり、どういうふうに目的をお達しになるお考えですか。
○福田国務大臣 これはときどき話が出ては沈んでおるという状況でございますが、何とか解決しなければならぬ問題だと私は考えております。北海道北辺の漁民のことを考えますと、一刻も早い方がいい、さような考えを持っておるわけです。 〔松浦(周)主査代理退席、主査着席〕 これは日ソの北洋漁業交渉の問題ではございません。別個の外交交渉の問題になりますが、先ほど申し上げましたように、ことし高碕達之助さんにモスクワに行ってもらうことを考えておりますが、その際には、別の問題ではありますが、この問題を取り上げて、ソ連側に厳重に話をしてもらいたい、かような考えです。
○永井分科員 北洋の問題ばかりやっておられませんから、次に移らなければなりませんが、大臣にしても、岸総理にいたしましても、政治と経済は別だと言う。そうしていろいろな点において向こうがなにしますと、それは向こうの誤解で、こちらは寸分間違ったことはない、こういう一方的なやり方、考え方でものを進めていく。日ソの関係だって、向こうのやり方ばかり批判して、自分の方は間違っていないのだと言う。安全操業にしても、それから今度の北洋漁業の問題についても、もっとこちらにも考える余地があるのではないかと考えて、そして堂々と押すところは押さなければならない。安全操業の問題は、何か安全操業というと、公海で漁業しているとそれがつかまるのだ、不当に向こうに拿捕されるのだというような印象を、相当与えておるわけでありますが、われわれが現地へ行って、歯舞なり色丹なりの境界を、君らの方はどういうふうに考えておるのだと言って聞くと、これは零海里にしてもらわなければだめだ、われわれは零海里でやっておるのだというようなことを言う。実際コンブなどは向こうの岸まで行かなければとれないのであります。そういう関係を考えますと、やはりその背景が、もっと両国が友好になるような、そういう政治的背景でなければ解決できないのではないか。漁業の問題だって、政治と経済は別だと言いながら、覚書その他については、新聞等も、こういうことでいいのかと心配するほど高姿勢でたんかを切っておられる。そういうことで、安全操業だけはおれの方の言い分を通せ、こういうことではいけない。こういうことを申しますと、何かわれわれがソ連の側に立ってものを言っておるのだ、民族的な意識があるかどうかというような、そういうおっかぶせるようなものの言い方をしますけれども、そういうことではなしに、この問題について、業界の人たちがほんとうに心配し、沿岸の漁民がどのような苦労をしておるかということを考えなければならない。そしてまた、どういうような実態の中で漁業をしておるかということについても、政府はもっと考えなければならない。両国の間における問題についても、政治と経済は違うのだ、向こうは誤解だ、こういう高姿勢ではいけない、こう思うのです。これからだんだん具体的な問題に入っていくのでありましょうが、国交の関係では悪化するような方向をとっておきながら、漁業問題では、人を差しかえて、今度はだれだというので、人柄で問題を解決しようというような、末梢的な措置ではいけません。もっと基本的に国交を改善していくという、誠意ある態度に転換する必要があるだろう、こう思います。北洋の問題はまだいろいろありますが、時間がございませんから次に移ります。 次はビートの問題についてお尋ねしたいと思います。新設工場の問題はどういうふうにお考えになって、いつごろ、どういう基準で御決定になるか、簡単でよろしゅうございますから、項目的に一つ御答弁願いたい。
○福田国務大臣 御承知のように、ただいま日本の砂糖の需給は、非常に不足をいたしておるわけであります。海外から原糖を一億ドルも輸入するという状態です。わずかに国産はその一割であります。従いまして、政府としては農家の所得を増加するという見地から見ましても、また国際収支を健全化するという見地から見ましても、ここで国内の甘味資源を自給するという方向に、政策を強く打ち出すべきではないかというふうに考えた次第でございまして、さような見地から、すでに甘味資源増産計画というものができておりまして、その中心を受け持つものとしてテンサイ糖を考えていることは御承知の通りです。さような政府の施策に呼応いたしまして、すでに北海道において着手されておりますテンサイ工業、またテンサイ農業というものがきわめて順調な推移をたどっております。そこで各製糖会社においても、北海道でもっと増産に協力しようという態勢が出てきておるわけでございます。それに対して、ことごとくの会社が全部出ていってさようなことをしますと、テンサイの生産が足らぬという問題が起こるわけです。さような生産計画を考慮いたしまして、前三浦農相時代に、さしあたり三工場を認可しようということを考えられたのでございますが、これがいろいろの御批判がありましたので、私が農林大臣になってからこれを撤回し、万事白紙だということにいたした次第であります。自来私も鋭意北海道のテンサイ増産計画をどういうふうに進めていくかということを検討中でございますが、基本的な考え方といたしましては、ただいま申し上げましたような砂糖の需給状況でございますので、生産に熱意のある会社がなるべく北海道に出ていって、そうしてテンサイ工業に携わるということが最も望ましいというふうに考えております。でありますから、生産計画がこれに伴う限りにおきましては、希望する全部の信用ある会社が工場を新設するということを考うべきであるというふうに考えた次第でございます。さような考え方に基づきまして、ただいま生産計画を検討しております。検討しておりますが、生産計画をやってみますと、なかなか全部というわけにはいかぬようであります。これが幾つの会社、工場を創設するような計画になりますか、まだその原計画を立てますところの北海道庁当局から報告がありませんので、見当をつけにくい段階でございますが、近く北海道当局からその生産計画につきましての意見の具申があるはずでございます。その意見が具申されましたならば、できる限りすみやかに計画をきめていきたい、かように考えております。
○永井分科員 国内砂糖の増産をはかる上からいいまして、三工場といわず五工場でも十工場でも、多いほどいいのはきまっています。ただ工場の側から何工場だ、こうだときめないで、農業政策として積みあげていく性質のものだと思うのです。でありますから、原料の生産がどれだけ伸びて、どれだけの工場を設立する条件があるか、下から積み上げていかなければならないものではないかと思う。大臣は、生産に熱意のあるもの、協力してくれるもの、こう言うのですが、これは現在のようなやり方でいけばだれだって協力しますし、だれだって熱意を持ちます。それは政府の政策に熱意を持つのではなくて、もうかるからやるのです。もうかるから熱意があるのです。もうかり過ぎるから、八工場でも十工場でも、みんなわいわい言って騒ぐのです。こんな不当なやり方をやっておるということは、私は甘味資源の増産ということに名をかりて農民を収奪するものではないかと思うのです。土台から築き上げていくということが必要ではないか。それともう一つは、経営の実態について、もう少し再吟味していくというお考えがないかどうか、伺います。
○福田国務大臣 ただいま申し上げた通り、下から積み上げていく、すなわち生産計画が立たなければ工場の構想というものは立てにくい、こう申し上げておるわけです。しかし生産計画を立てる場合に、いたずらに現状維持的な認識ではなく、あるいは土地改良も大いにやるべし、あるいは会社にもそういう努力をさすべし、そういうような意欲を込めてこの生産計画を作るべきものだ、こういうことを申し上げておるわけでございます。もちろん工場を決定するにあたりましては、その工場を経営しているところの会社の信用状況、これが問題であり、信用のあるものでなければならぬ、これももちろんであります。
○永井分科員 いや、経営についての内容の再吟味をする考えはないかと尋ねておるのです。
○福田国務大臣 これももちろん政府がいろいろ助成をするということもありますし、適正利潤のものでなければならぬ、さように考えております。
○永井分科員 下から積み上げていくというのですが、ではどういうことを今までやってきましたか。ほとんど何もやっていないではないですか。たとえば土地改良について、増産のためにどれだけの何をつぎ込んでいます。甘味資源のための何カ年計画というものはありますか。その計画に見合った何か基礎工作をやっておりますか。たとえば振興会を今度作って、初めて新しい品種を作ろうという。新しい品種を作るのにどのくらいの年限がかかりますか。ことしからかかりまして、どんな品種をどんなふうに、選んで、いつごろにこの適正な一つの品種ができるとお考えになっておりますか、伺います。
○福田国務大臣 これはいろいろ努力しておるのです。昨年の通常国会でも関税法の改正をしておる。これは一に北海道のテンサイを育成したい、こういう気持だけから出ているような改正でございます。また三十五年度の予算におきましても、土地改良費を使いまして、このテンサイのための基盤を作るとか、あるいはその他いろいろ振興局所管の方面におきまして、テンサイ糖の育成政策をとりますとか、いろいろわれわれの考えられることはやっておるのです。
○永井分科員 新しい品種はいつごろできるのですか。
○増田(盛)政府委員 新しい品種の問題は、これはそう簡単にいつできるかということがなかなか述べられないのではないかと思います。御存じの通り、現在は導入二号を中心としたGWの系統を使っておるわけでございます。これに対して本育一九二号という北海道の農業試験場が創成された品種があるのでございますが、こういう国産の品種の育成過程を見ましても、これはやはり大正、昭和の年代にかけまして、相当長期間かかっておるわけでございます。しかし今回は特にてん菜振興会を設けまして、北海道に相当規模の大きい研究所を設けたわけでございます。従いまして、この大きな組織を持った研究所が本格的に事業を開始いたしますならば、私はおそらく大ざっぱに言って十年くらいたちましたならば、相当風土に適応した新しい品種ができるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○永井分科員 どのくらいの品種を入れて、そうしてどういうような方向で新品種を育成固定させるお考えなのか。
○増田(盛)政府委員 御存じの通り、研究所の計画は、実は三十四年度におきましては、現在土地の選定あるいは将来の計画に対する下準備等をやっておる段階でありまして、この研究所が本格的に動き出しますのは、やはり建設期間として二年くらいかかるわけでありまして、三十五年度あるいは三十六年度にわたって研究所の施設を完備し、その間に技術者を整備していく、こういう準備期間が必要なわけでございます。従いまして、こういう研究所の具体的な運営方法、特にそれの最も骨格をなす品種改良の方法等に関しましては、技術者を集めまして本格的に検討作業に入るのは三十五年度でございまして、今詳細には述べられないのでありますが、おそらくいろいろな方法が考えられるわけでございます。たとえば北海道にあります在来の系統と、それからアメリカ系統あるいはヨーロッパの系統の品種との交配も考えられるわけでございます。それは全世界にはいろいろな品種がございますので、こういう品種等も技術者を派遣いたしまして、先進国におきます品種改良の実績等も十分調査させまして、御期待に沿い得るようにしたいと考えております。
○永井分科員 今お聞きの通りだと思うのです。農林大臣が土台から築き上げているのだという、そういうことはよくわかるのですが、建物もこれから建てようというのです。そうしてこの振興会も業者から何億という金を出さして、そうして国の予算をこれに加えてやろうという、そういうけちくさいものの考え方で出発している。新しい品種といったって、現在振興局長が言ったようにGW三五九号、導入二号、本育一九二号というのは一〇%くらい植えている。一部にはオランダからのポリラーべをやっておられる。しかしこれは奨励品種にはなっていない。染色体の配合の問題がなかなか解決しないというようなことでこれからやろうということになっている。まだ研究する建物は建っていないんですよ。それから土地改良などといいますけれども、その関係だってほとんどそういう関係になにしておりません。北海道の農事試験場あたりの本省からのあれには、科学的に何年輪作というような輪作形態というものがきちっとあるはずだと思うのです。ドイツあたりではきちんと輪作形態を出しておる。それを土地改良で土地の条件を整備するための努力をしないで、四年輪作、五年輪作というやつを二年か三年の輪作でとれるようにならぬかというテーマを試験場に与えて、ただ結果だけを期待しよう、基礎をつちかわないで結果だけを期待しよう、こういうようなことをやっている。これは非常な間違いです。増産計画をやるなら、ほんとに土台から築き上げていかなければならない。それから会社々々というけれども、会社は八社も十社も建ちますよ。現在のやり方ではただもうけみたいにもうかり過ぎる。ばかもうけがあるから熱意があるのであって、その限りにおいては、農民はそれだけ収奪されているということになるわけです。ですからこの関係は、大臣はこれからおやりになるならもっとお調べになって、ほうとうに御答弁のように基礎から積み上げて、その上に工場を適正に配置するというお考えをお進めになるのかどうか、一つその決意を伺いたい。
○福田国務大臣 甘味資源自給政策は農政の一つの大きな柱として熱意を持ってやります。
○永井分科員 このビートの種子はヨーロッパなりアメリカから輸入してきた。製造方式も外国から輸入をしてきた。先進国を手本にしてやっているのですが、原料の工場受け入れにおける取引条件はちっとも外国のまねをしない。これはどうなんですか。大臣おわかりにならなければ事務当局でもいいが、いろいろなことで外国のまねをしながら、取引分野ではちっともまねをしないのはどういうわけか、その理由を承りたい。
○増田(盛)政府委員 御趣旨の点で十分わからない点があるのでございますが、現在の取引の条件は、会社と生産者団体の間に一定の取引条件をきめまして、それによって取引されるように承知いたしておるのでありまして、現在までこの取引方法によって毎年々々両方の団体交渉が行なわれておりまして、そのつど具体的に問題を解決しているように聞いているわけでございます。
○永井分科員 振興局長はとぼけて答弁しておるのか、ほんとうに知らないで答弁しておるのか、知らないことはないと思うのです。これは外国でもみんな含糖率で取引していますよ。なぜ含糖率で取引しないで原始的な数量だけで取引するのですか。種は向こうから入れる。耕作方法もやはり外国を手本にしてやっておる。製造工場も外国を手本にしてやっておるのになぜ取引のところだけはちっとも受け入れないで、含糖率による合理的な取引の方向に進めようとしないのか。当局者がそういうことがこの世の中にあるのかというようなとぼけた答弁をされるのはどういうわけですか。
○増田(盛)政府委員 現在のような従量取引に比較しまして、含糖率による取引というものは、商品取引が進んだ社会におきましては、最も望ましい形態だろうと考えておるわけでございます。将来は十分に先進国の例を参照いたしまして、やはり含糖率による取引等を取り入れる工夫をすべきだと考えるわけであります。おそらくこれが現在までなかなか入りにくかった、しかもわれわれのところにきても、この問題があまり大きな問題として下から突き上がってこなかった理由の一つといたしましては、この取引をやる場合に、耕作農家が、経営規模がきわめて分散されまして、少量でございます。従いまして、これに対して一々糖分を測定しまして、これによって値段をきめるという制度にしますと、なかなか手数がかかるわけでありまして、そのために中間経費もかさむ、こういう事情もあったのではないかと思うのでありますが、きわめて貴重な御意見でございますので、十分に食糧庁とも相談いたしまして研究いたしたいと思います。
○永井分科員 やろうと思えばできないことはありません。簡単であります。外国でやっているのですし、もう日本でビートを作り出して何十年になるのですから。その間その事実に目をおおうて、知らぬ顔をしてきた。また現在でもすぐやれる条件はあります。大臣、これはよく聞いておいていただきたいと思います。現在農林省で価格を決定するについては標準原価算定基礎というものがありまして、一工場当たり、作付面積は六千町歩、それから反収を四千百斤、それから欠減を三・五%、砂糖の歩どまりを一三%そして産糖高を三十万八千六百七ピクル、これを基準にして買い上げ価格を工場別にきめておるわけです。そういたしますと、歩どまりで取引するのが合理的だということがわかっておるならば——ここは一三%の歩どまりで算定をしておる。ところが去年もそうですし、ことしの工場も一四・四二とか一四・二四とか、一四%以上の歩どまりにみんなちゃんと出ているのです。ドイツあたりの価格差というのは〇・二%です。こういう小きざみで格差をつけている。それほど非常に採算の高い歩どまりを一三%基準でやっているのに、一四・何%というのが歩どまりとします。そうすると、一工場でこの関係のただもうけが一億数千万です。それはこの歩どまりを上げるために工場能率を上げるということもありましょうが、大体農家でビートに含糖率のある原料が生産されなければ、どんなに工場がりっぱになったって砂糖の歩どまりが上がるものではないのです。そうすると、今一つの事実がここにあるのだから、一三%基準でやっているのですから、一四・四二%ということになると、一・四二%、一工場における一億数千万円の不当利潤というものは、会社には何%あるいは原料生産者には幾ら、こういう形で処理したっていい。これははっきりただもうけなんです。一三%でもうかっているのですから。どうしてそれができないのです。頭のいい皆さんがこういうところに目をおおうて少しも含糖率によるところの取引にしようとしない。これは簡単にできるのです。外国のような耕作組合を作って、みんなそれをやっているのですから。非常に頭のいい皆さんは、外国のまねをすぐやるのに、何十年やっていてもこれに目をおおうて知らぬ顔をして農民を踏みつけにしたいだけ踏みつけている。歩どまりの問題だって取引の条件だって、これは泥が幾ら、ひげがどのくらい、トップがどのくらい、しっぽの方はどのくらい、こういうことだって大きな利害関係です。そういうものがまだきちんと基準化されていない。ただ会社との間の非常に不合理な取引条項なんです。これをどうしてやらないのですか。一四・四二というような歩どまりなんです。これをことしからすぐ改善するお考えがありませんか。もうはっきり出ているのですから。大臣、いかがです。
○福田国務大臣 私もそういう問題はよく存じませんでしたが、あなたの話を伺ったところでは、あなたがおっしゃっておる方式がもちろん合理的だと思う。たとえば概算で払っておいて、あとは含糖の率を計算して生産するとか、その方がはるかに合理的である、かように思うのです。そういう合理的な方法なら、なぜ生産者と会社側との間にそういう収納契約というものができないのだろうか、ちょっと私も不思議に思うわけですが、これはよく検討してみます。確かにおっしゃる方が合理的な行き方だと思います。
○永井分科員 われわれは大臣のその誠意は十分わかります。しかし現地では、今度だけの問題ではありませんよ。去年からずいぶん耕作農民と会社側とごたごたが続いているのです。その場合常に農民の側に立って農民を説得して合理的にこれを納得させるという方法ではなしに、行政権限で、そして法的根拠もないのに地域をどの工場と指定する。そして取引の面ではごたごたが起こって、こんなひどいやり方ではだめだ、おれは農民だから、北連の工場をおれが持っていくのだといったら、それは行政権で絶対まかりならぬ、こういうことで、ここの答弁では、それは法的根拠がないのだから生産者が自分のものだから自由にできるんだ、こういうことを答弁しておいて、実際の現地では押えつけて、そしてはじき出すような、こういうことを非常にやっているのです。ですから、含糖率一つの問題でも、これは事実をおおうて農民に知らせようとしないのです。 それから取引の問題でも、地域の問題でも、これは現地ではまた非常に問題があります。その問題の一つは、去年も問題だったのですが、これは春きめました。そうすると北海道の場合知事がかわったのですから、がらっとひっくり返って、今度は八月前後にまたこれを査定し直して、きまったやつを取り消してまたもとへ戻しました。もとへ戻す理由が、前にきめた一つの計算基準が反収の計算が多過ぎるから、これは不当だから現状に即したような形でこれを修正するんだ、こういうことで反収を非常に少なく計算してこれをもとへ地域を修正いたしました。これは議会において当時やかましく論議されたのですから、食糧庁長官も振興局長もよく知っております。ところが、これが十月になってようやくきまったのですが、八月、九月といえばもうその年の作柄がはっきり出て、ことしは反収がどのくらいあるということはもうはっきりわかるのです。三月とか二月とかいう春先の予想ではなくて、現地の実情で収穫量がもうわかるのです。その辺、実情の中で、ことしは非常に少ないんだ、減収なんだということで反収をうんと少なくして、ひっくり返した結果はどうですか。私はそのときに、その結果について責任を持ちますか、こう言ったのです。大臣、北海道の各地域においてはビートはずっと増反されております。ところが芝浦という工場の地域だけが七百何十町歩ですか、約八百町歩に近いものが減反しておる。これは非常に大へんな減反なんですよ。一割以上減っているのですから。そういう減反をして、そして現われた結果はどうかというと、反収は八月のときうんと減収だというのに、事実はうんと上がっているのです。そして道庁の最初に、三月ごろにこれだけあるといって予定したのが一番事実に近い数字だった、八月、九月の収穫期に予想した収穫が非常に少なかった、事実に反したやり方だ、こういうことです。ですから、今後この地域の問題にいたしましても、非常に利害が伴ってくるわけですから、自分の工場の地域を隠し反別で隠しておいて、新設工場ができる。そうすると新設工場における地域割りができる。地域割りができて、大体自分の地域だという安定したところで、その中で増反してやろう、こういうかけ引きや何かを十分できるようなこういう弾力性のある現地の状況です。そうしてそれと利害があるものですから、いろいろな行政庁の関係とが結びついて事実が非常にゆがめられておる。増産をするならば、こういう問題をほんとうに公正に正しい方向で、それもとっぴな形で、どこの工場がどうかという形でなしに、それぞれの工場の中にいろいろなインチキな条件があるでありましょうから、そういう問題を是正するために公正な基準をすみやかに出さなければならないと思います。これに対して内容を——工場新設にあたりましては、もちろんこれは内容がいろいろあります。それから今後の取引の分野においてもいろいろ問題が出てくると思いますが、これに対して、大臣は、白紙の立場で再吟味して、是正するものがあったならば急速にこれを是正するという厳正な科学的な基礎を打ち立てる熱意でお進みになるかどうか、一つ決意のほどを伺っておきたい。
○福田国務大臣 その通りに考えております。
○永井分科員 それからもう一つ伺いたいのですが、国産を増強していくということは大へんけっこうです。それから百万トン内外の大量の輸入を現在しておる、こういう実情であります。外国の例を見ましても、砂糖に関しては相当計画的な運営をやっておりますし、統制的にものを処理しております。そういうところから見ると、私はビート会社に大もうけさせて、そのもうけた金であれに寄付する、あるいは農家の方に農機具を貸してやる、あるいは土地改良の金を会社から直接出させる、こういうような工場に付属した農民の奴隷的な立場を築き上げていくようなやり方でなしに、その不当な利潤は国がとって、国の予算を通して農家の方に増産のための資金を還元していくというような、正しいルートに問題を乗せていったらどうか。その意味において、私は砂糖なんか専売にしたらどうかと思うのです。専売にしたらうんと収入はあります。砂糖にもなにはあります。工場、会社には適正利潤を与えたらいいのです。もうからない仕事をやらせることはできないのですから、適正利潤を与える。こんな今日のようなべらぼうな利益を与えるようなことをやらしてはいけないと思う。輸入の関係だって、溶糖の倍の設備を持って、半分より稼動しない。そうして値段が上って去年あたりはもう大へんなぼろもうけをしておると思う砂糖関係は国内でもうけ、輸入でもうけ、ひどい状態になっておると思うのですが、こういうものを根本から是正するために、専売なんかおやりになったらどうですか。大蔵省にいて専売の方は手なれておると思いますが、いかがですか。
○福田国務大臣 専売制度をしくということはなかなか容易ならざる問題で、砂糖につきまして専売論をときどき出される方々があるのはよく承知しております。私もまだそれを追い詰めて検討しておりませんが、検討してみます。
○永井分科員 国産奨励はけっこうですが、内容を大臣、相当吟味して——大臣の誠意と公正な立場というものは私は信頼いたします。吟味して、農民が不当に収奪されないように是正するよう期待いたしまして次に移ります。 次は大豆の輸入でありますが、これは貿易の自由化から論議すればいろいろ議論がありますが、この問題だって、ヨーロッパ共同市場等を見ましても、農産物は適用を除外して、何年かの積み上げた計画の後に、十年の後にこうするとか、五年の後にこうするとか、長期に計画をもってやっておる。大豆をぽんと出して、現実において値下がりしてきておる。七万五千トンですか、先日輸入大豆が発券されたわけです。それで次に保税倉庫にあるものに対して国産大豆四十五万俵を抱き合わせで受け取れ、こういうようなことをやっているのに対して、業者の方では高いからだめだ、そういうことで折衝悩みということですが、これは国産大豆をたたかないように抱き合わせで処理する確信がありますか。またそれを努力されるお考えでありますか。その点について責任を負われますか。いかがですか。
○福田国務大臣 今大豆の値段が幾分下がりぎみでございますけれども、これは今お話がありましたが、大豆の自由化というような影響ではないと私は思うのです。もし自由化という影響がありとすれば、自由化の結果、大豆が大へん不利な状態になるという誤解をされておる結果だ、かように考えるわけであります。しかしながらそういうことは誤解であって、大豆につきましては十分保護措置をしてありますから、これから自由化ということが値下がりの原因になるという理由は私どもは考えられません。ただ昨年船繰りの関係なんかがありまして、輸入大豆がこの季節に集まってきたわけでございます。さようなことが大きく響いてきておるのではないかというふうに考えるわけでございます。従いまして、さようなことがないことが望ましいのでございますから、発券等にあたりましては、できる限り注意をしていきたい。また業者と生産者との間の価格の問題、こういうものにつきましては私どもも行政庁として、できる限りこれが円満に解決するように努力いたすつもりでおります。
○永井分科員 大豆を自由化に備えて国産大豆の改良をしていくための試験、大へんそれを期待していましたら、予算として七百万円ついております。七百万円くらいの試験費で何ができるか、こう思うのです。たとえば麦についても五千九百万円です。ほんとうにすずめの涙です。何といったって農業の今後の発展は試験、研究、調査というものが基礎になって——そういう問題は一朝一夕ででき上がるものでないのですから、これは非常に長期にわたって積み上げていかなければならぬ性質のものです。そういう一つの土台を基礎にして——改良普及員というのが現在何をやっているか、人員を配置しただけで、実際に改良普及の役割を十分に果たしていない。また果たされるような能力を持たしていない。西ドイツあたりでは御承知のようにいろいろな階層があるでしょうが、最低の普及員でも高校を卒業して試験を受けます。合格すると二年間実地をやらせる。そうして三年間大学に入れる。卒業してきたらさらに二年間実地をやらせる。七年問のうち、四年間の実習と三年間の学習を通しまして現場に出す。そして改良普及員はもっぱら現地における改良普及をする。農家各戸には御承知のようにカードをやって、農業累計の中からカードが集まってくる。そのカードを整理したり何かする事務はほかの事務屋がいてやる。改良普及員はもっぱら現地における指導をやるというようなシステムでどんどんやる。日本なんかはほんとうにそれだけの実力のない者が農家にいくから、力のある農家には相手にされない。実際技術屋は事務の用ばかりで時間がつぶされておる。こういう形では私はいけないと思うのです。先ほど松浦委員から言われましたけれども、日本の農業というものをほんとうに考えていくなら、口先でちょこちょこやらないで、もっと腰を据えて土台から積み上げて作りかえていかなければならない。やっていることがちゃちで、目先だけで、そうして口先だけでごまかしていくということが、どうしてもこれはぬぐい切れないと思うのであります。そういう意味において、私は大豆の試験研究の問題も、それからいろいろありますが、時間がありませんから、ただ大臣から一言だけお答えを願いたいと思うのですが、北海道における農家の負債整理の問題を自創資金でどうこうするというごまかしではなくて、やはり特別立法によってきちっと内容を整備しなければいけないと思うのですが、どうですか。 それから開拓者に対する問題は、今日はもう農業政策の分野ではありません。経済べースの段階ではございません。これは全く社会政策としてまず手がけていかなければならない人道上の問題だ、こう思いますが、それらの問題に対して大臣はどういうふうにこれと取っ組まれるのか、その決意のほどを伺いたい。
○福田国務大臣 農家の負債整理の問題の中で一番差し迫っている問題は、開拓者の問題だと思います。この開拓者の負債の整理につきましては、今度の予算措置におきましても配意をいたしておりますので、解決に一歩踏み出したというふうに御了承いただきたいと思います。 それから一般の農家につきましては、特に北海道地区からいろいろ問題が出ているわけでございますが、私といたしましては北海道の負債の状態というものを徹底的にことし調べてみたい、こういうふうに考えておるわけであります。その調査に必要な予算なども今度御審議をわずらわしているわけでありますが、これを見た上、その調査に応じて必要な措置をとる、予算措置が必要であれば予算措置、立法措置が必要であれば立法措置をとる、さように考えております。
○永井分科員 時間がございませんから次に移りたいと思います。 林野庁長官に伺いたいのですが、パルプの問題ですが、これは自由化すれば相当影響がある、そういうようなことで国内におけるパルプ生産メーカーが紙の方へ転換しようとしておる。そういうようなことで国内市場の関係はどういうふうな見通しを立てておられるのか、あるいは原木関係はどういうような実情なのか、この関係をお答え願いたいと思います。
○山崎政府委員 現在のパルプの生産は、約二百五十万トン程度が生産されまして、それに五万トンあるいは八万トン程度のものが輸入されておりますが、この中で自由化等に伴いまして最も大きく影響を受けますのが溶解パルプであろうかと思います。と申し上げますのは、溶解パルプの輸入価格と比較いたしまして、国内で生産いたします針葉樹の価格とは二〇%程度の差があるという状態でありまして、溶解パルプに関係する影響が一番大きいというふうにわれわれも考えるのであります。溶解パルプの国内におきます生産は約四十万トンでありまして、これに使われております木材が五百万石程度のものであります。今後溶解パルプがどういう方向に進んでいかなければならないかということにつきましては、主管であります通産省におきましても、まだ最終的な結論は出ていないように聞いておるのでありますが、資源という立場からいろいろ検討いたして参りますと、溶解パルプを作ります場合の原木の針葉樹の占める比率というものは四五%程度になるのでありますが、最近の技術の進歩等によりまして、針葉樹でなくても広葉樹にこれを切りかえることができるのではないかというふうに考えます。そういたしますと、原木価格におきましても、広葉樹は六割程度の価格でこれが調達ができる、しかも利用率におきまして一五%ないし二〇%針葉樹よりも利用率が向上するというふうな問題もあるわけでありまして、業界がこの自由化との関係から体質改善というものを積極的に取り上げてやるといたしますならば、そうおそるべきものでもないというふうにわれわれは考えておるのであります。ただ体質改善と自由化の時期というものとのアンバランスというものは非常に大きい問題をはらむのではないかというふうに考えておる次第であります。
○永井分科員 パルプ関係及び製紙関係を含めまして、自由化に伴うコスト引き下げということを理由にして、原木価格の値下げを要望し、実際にそういうふうに、実際はカルテルをやっているのですから、従来とも協定価格で原木値段をたたいてくるという傾向が出ていると思うのです。この木材を百パーセント利用するというためには、従来山に捨てていた枝のようなものやそういうものを利用するということが必要である。そういうものを利用するためには相当値段を出さなければ市場へ出てこない、こういう関係だと思うのです。パルプが高い高いといいますけれども、実際はパルプ適木だけを払い下げているのではなくて、非常に径級の太い大きなものもパルプ材と同様に払い下げて、そうしてパルプ業者はこれをよそへ転売してパルプ適木と取りかえてやっている。だから払い下げを受けている価格よりはずっと実際の原木価格は安くなっているのではないか、こういうふうに思うのであります。そういうふうなところから、国有林はどんどん貧乏になって、社有林がどんどんふえて、会社の造林がどんどんできてくる。こういう逆なことになってきているのではないかと思うのでありますが、今後原木の関係をどういうふうにお考えになっているかということ、これを一つ聞きたいのであります。 もう一つ、治山関係でありますが、治山勘定ができた、国の方は十カ年計画でこれを進めているわけです。ところが北海道の関係は五カ年計画を立てておる。十カ年と五カ年と、こういう年次割りにいたしますと非常に時間的なズレができていると思うのでありますが、今後こういう関係の調整と、それから年次予算の配分等について、簡単でよろしいですが、地方の計画と中央の計画との時間的な関係をどういうふうに調整していかれるか、これをお尋ねいたします。
○山崎政府委員 パルプ産業と原木との関係につきましては、先ほども申し上げましたように、今後コストの引き下げということが非常に緊要な問題になるわけでありますし、丸太にいたしましてもほんとうにパルプしか使えないというようなものを中心にして使っていっております。それから針葉樹を極力減少いたしまして、広葉樹を使うという問題、あるいは製材の廃材とか、山に残されております枝とかいうものをチップにして利用するというような方向に強力に進まなければならないという関係にありますし、また統計的に見まして、広葉樹の使用率はここ二、三年間で倍加しておる。あるいはまたくず材等につきましても、三十二年度はほとんど使用量がなかったものが、三十四年度におきましては総使用量の一四%程度までそういうものの利用が進んできたというような点からいたしまして、今後林野といたしましても、ほんとうにパルプでなければ使えないものを供給し、パルプにはもったいないというものについて、これをパルプ関係には供給しないというような方針を強く実行して参りたいと考えております。 それから北海道の治山の問題でありますが、これは予算の段階におきまして、関係の方面と協議いたしまして、前期の五年、後期の五年、合わせまして十カ年計画が一応協議がととのったのであります。これを治山治水の緊急措置法の成立の暁は、閣議の決定に運びまして、その線に沿って今後政府としては実現に努力するという考え方でおるのでありまして、これを地域別にどういうふうに配分していくかというような問題につきましては、それぞれの地域によって荒廃の状態も非常に違うわけでございますので、北海道開発庁あるいはその他の関係の方面と十分打ち合わせまして、それぞれの地域に最も適合している配分というものを考えて進んでいきたいというふうに考えております。
○永井分科員 最後に大臣にお伺いいたします。大臣が答弁できませんければ、事務当局でもけっこうでありますが、内容については大臣に聞いておいていただきたいと思います。北海道等の農村電灯の問題ですが、開拓農民とかそれから非常に不便なところに入っている農家は、これは現在の基準である電灯二本半で電灯をつけられるというなまやさしいものではないので、これは電灯の恩恵に浴さない。そこで農林省等から補助をいただいて電灯をつけておりますが、その電灯が、開拓農民とかそういう零細な非常に貧しい人たちが、一つの電灯をつけますために、十五万円くらいの自己負担をしなければ電灯一つつけられない、そしてつけたあとの設備の補修なり、あるいはそこに供給される電力料金というものは非常に高いものでしなければならない。こういうことで電灯一つのために、借金を背負って開拓農民なんか非常に苦しんでおるわけであります。またその設備を会社の方に引き取ってくれといっても、ちゃんと整備しなければ引き取れないということで、貧しい人たちが技術者を頼んで補修をしなければならないというような惨状にあります。これは農林省一つの問題ではありませんけれども、農林省はこういう問題を公益事業という電力会社に対して特別な推進をする必要があろうと思うのであります。 もう一つは農村電力の問題でありますが、北海道のように酪農業をやる、一日のうちに十分か二十分より使用しない、そういうものでも基本料金で一カ月一千何百円でありますから、一時間当たりの電力料金が三百十一円というような、こういうひどい状態になっておるわけであります。農村の近代化も何もあったものではないので、こういう問題を一つ取り上げただけでも、社会問題として、これは十分考えていかなければならないと思うので、一つこの問題の解決については特にお考えを願いたいし、現在これらの問題に対して農林当局はどういうふうに考えているか、どういう対策を持っておられるか、お答えを願いたいと思います。
○増田(盛)政府委員 農村に対する電灯の導入の問題でありますが、開拓地を除きまして、一般農村に関する電気の導入に関しましては、三十四年度から新しく助成の方途を講ずることになりましたのは、御承知の通りでございまして、特に三十五年度におきましては、前年度よりも相当大幅に予算を増額していることも御承知の通りであります。ところで大体全国に四万七千戸以上と思われる集団的な無点灯農家が、まだ一般農村にあるわけであります。これは開拓地等々を除いたものでございます。このうち北海道の占める割合が相当高い。しかも北海道ではこの割合が高いだけではなしに、非常に大きな問題といたしましては、その農家が既設の配電線から遠いために、どうしても電線の距離が長くなって施設費がかさばるわけであります。この場合に従来は自家用の共同受電方式というものをとって参っておりまして、これに対して大体助成しておったわけでありますが、しかしなかなかこれだけでは農家負担が高くなるし、それから私どもの方では九万円をこえる部分は、これは原則として認めない、やむを得ざる場合には、そのこえる部分は町村の負担ということで、指導しておるのでありますが、こういう点で、やはり非常に困るのは、受電の経費がかさむということと電力のロスでございます。私どもの方といたしましては、この問題に対しまして、従来とも、通産省並びに電力会社に対して、共同受電方式を廃止して、施設は会社で待ってもらいたいという点を交渉しておるのでありますが、現実に道におきます電力会社の主張は、やはり会社の経理内容等からいって、なかなかこれにかえんじないというのが実情でございます。農林省といたしましては、今後この共同受電方式をやめまして、そして会社の施設として設けるという方法に進むことに対しまして、一そう努力いたしたいと考えております。
○松浦(周)分科員 ちょっと関連して……。今の電気の問題は、永井さんのおっしゃるように、十五万円もかかっておるところがあるのです。それは、ずいぶん長いところへ電灯を引っぱっていかなければならぬものですから、自然そうなりますが、最近風車で電気を起こすことが非常に研究されて、一つや二つの電灯ならば、風車で十分受電してやれる設備が完成しております。それは大体七万五千円くらいで、三灯か四灯つくんです。それを一つ御研究になって——遠方まで送電していかなくても、その地元の小高いところに風車をつけて、それでその下で電気を起こして、昼の間は蓄電するという設備まで入れて、七万五千円くらいでできる。それを一つお考えになって、補助対象におやりになれば、今の十五万円もかかるところの遠方まで引っぱっていかなくてもということになるのですが、そういうことをお考えになる気持はございませんか。
○増田(盛)政府委員 低廉に自家発電ができる方法がございますれば、農家のために非常に都合がいいと思いますので、十分研究いたしたいと思います。
○永井分科員 最後に一つ。予算の中に農村青壮年海外派遣、この予算が千九百八十万円組まれております。このことについては、ここにいる綱島主査と一緒に、昨年アメリカの方へ参りまして、農村の方を回ったのですが、日本から向こうへは、何かアメリカ農業を実習させる、研究させるというようなことでやるようなことを言って、向こうへやります。向こうの受け入れの方は、全く季節労務として受け入れておる。でありますから、こっちでは、ある場所では、アメリカに行くんだからお前、相当教養ある者でなければいかぬというので、大学を出た者とかなんとか、こっちから特に選定して向こうにやった。向こうでは、全く単純季節労務でやられるのですから、向こうへ行ってうまくいくわけがない。こういうようなことが各地にあるように見えます。それから、実習の関係であっても、現地では、現地の二世農家、日本の農家が、自己の負担で、全部帰りの旅費から何から持ってこれをやらなければいけないというようなことで、どうも海外派遣の関係は、こちらの意図しておることと現地の受け入れる側と、それから本人がそこで体験することとは、もうみんな食い違っておる。これをもっと正しい線に乗せて、実習をさせるなら実習をさせるように、季節労務で出すなら季節労務で出すように、もっとこれははっきりさせる必要がある、こう思うのですが、この点はいかがでございましょう。
○福田国務大臣 私も初めて伺いますが、十分気をつけます。
○永井分科員 終わりです。
○綱島主査 次に八木一郎君。
○八木(一郎)分科員 私は、予算委員会の質疑応答、審議の過程で、これは一つはっきりさせておきたい、特に福田農政の力をいたしておられる農業基盤整備の内容の問題につきまして、これは分科会で明確にいたしておきたいという点だけ質問してみたいと思うのであります。 佐藤大蔵大臣は、本会議の財政演説でこの問題に触れまして、「農業基盤の整備につきまして特段の配慮を払い、必要な措置を講ずることといたしました。」と述べておるのでございますが、私がここで、「必要な措置を」と言った予算の内容を見ますと、三百八十九億一千万円の内容になるわけであります。その中で重要な点を検討して参りますと、それは政府の企図するところは多とするし適切だと思うのです。しかし国民に約束をし、国民の代表である国会の審議を通じてここ二、三年来言明せられておりますことが、はたしてこの程度でやれるだろうかどうかという心配が非常に深いのであります。 そこで、内容の点としては、第一点は、愛知用水公団方式の活用についてであります。第二点は、土地改良の特定工事特別会計方式の充実をはかる点であります。第三点は、これらの農業治水あるいは利水の事業工事資金の問題などについて、特に大蔵当局、農林当局は、率直にいってどのようにお考えになっておるのであろうか。抽象的でなく具体的に、できるだけ率直に伺いたいのです。ねらいとするところは、福田農政が、生産性を向上させて、所得を他の産業におくれないように増大していこう、そうして貿易自由化の準備体制を確立していこう。ねらいは私はきわめて多としておるのです。ところが、そうならば、生産基盤だけは、自由化体制が全面的に——まあ予算委員会で政府の言われたようなスケジュールに沿ってやるとするなら、せめては農業基盤整備だけはやってしまうんだ、こういう方式でこうして片づけてしまうんだ、この見通しを得られるかどうかというところに、私のお尋ねしたい点があるのであります。 まず、第一点の愛知用水公団方式は、これは実行成績、五カ年の経験、こういうことからかんがみて、このままやめてしまうというお考えはないようであります。第二、第三の愛知用水工事を実施しようという御決意と、そうしてこれをこんなふうに考えておるという所信の一端は、私の調べによれば、福田大臣は、農林委員会での答弁の中にお述べになって触れておるようであります。また名古屋の愛知用水公団などにおかれても、この問題にはかなり積極的な御意思の発表があるようであります。でありますが、実際にこういうことについては、すぐ予算的に、抽象的には考えられるけれども、突き当たったくる。そこで、大蔵大臣はきょうはおられないので、かわって大蔵当局の意見として所信を聞かしてもらいたいと思う。せっかく技術陣を三百人も動員してあすこに精魂を打ち込んで、ともかく三十五年度に農業土木工事は完了する、この経験を——あれだけの技術陣をワン・セットに考えて、あのシステムに改善すべき点は改善を加えて、そして第二、第三の愛知用水公団方式によって、おくれておる農業基盤整備が、どのように工期をきめてやっていけるかどうか、こういう期待に沿う意思があるかどうか、大蔵、農林両御当局の御返答をいただきたいと思うのであります。
○福田国務大臣 愛知用水公団はお話のように、いよいよ来年の六月ごろをもちましてその事業を終了するわけでございます。従いましてこの公団は、一応当初の計画からいいますと、任務終了、解散ということになるわけでございますが、しかし私は、今、八木さんのお話のように、これをそのまま解散ということにしてしまうのは、国家的な大きな損失ではあるまいか、そういうふうに考えておるわけです。とにかくこれだけの経験のある技術団を雲散霧消をするということはまことに忍びがたいことである。さようなことからこの愛知用水土地改良事業が終了いたしました後におきましては、この技術陣を保存いたしまして、そして同様の事業を他に求めまして、これを転用していきたい、かような考えを持っております。
○相澤説明員 愛知用水公団を作りました際にねらいとするところは、事業の経済的ペースによる促進と、それから世銀借款の関係もありまして、経理を明確にするといったような点があったかと思います。そこで今後、たとえば世銀借款等の問題が起こりません場合におきましては、その後におきましてとられた土地改良特別会計における事業の促進というような形でもって処理すべきではないかというふうに考えております。今、農林大臣から御答弁がございましたが、私の方にまだ農林省からお話もございませんし、目下のところ私どもとしては考えておりません。ただ公団の跡始末をどうするか、あれだけの技術陣を分散するのは惜しいではないか、また他にそういったような方式による適当なものがありはしないかという問題につきましては、なお今後検討に値する点もあるかと思います。農林省からのお話を待ちまして検討したいと思います。
○八木(一郎)分科員 大蔵省のものの考え方というのは——大蔵大臣は財政演説で福田農政の掲げた旗じるしの、農業基盤の整備には特に配慮をして力をいたしますということを言うておるのは、まさかことしだけではないでしょうね。全体として、ことしから特に力を入れていこう、諸般の事情もあって特に力を入れようというので、増額予算もこれに見合ってつけてある。そうすれば当然もう八月からすぐ明年度予算の編成に取りかかるわけであります。政府の名において財政演説で述べておる方向に対して、悪いことではないからまあ研究しましょうなんという答弁では、事務当局としても、大蔵省を代表して私が尋ねたい気持には沿わない。もう少し明快に、政府としての方針の中に取り上げていくという御意思があるかどうかということをはっきり確かめたいと思います。どうですか。
○相澤説明員 率直に申しますと、公団方式を愛知用水事業の場合にとりました際にも、いろいろ議論がすでにあったと存じます。そこで特にこれだけは特別なんだということで、ああいった措置がとられたわけでありますが、それには先ほど申しました通り、事業の経済的な進捗というほかに、世銀借款との関連で経理を明確にするという理由もあったかと思います。 そこでそういう問題がない一般の土地改良につきまして、次々に第二の公団、第三の公団を作っていくことが適当であるかどうかという点については、これは確かに慎重に検討を要する問題ではないかと思っております。と申しますのは、やはり一つの公団を作りますと、そこに一つの組織なり人なりが残りますので、結局事業を終了した場合に、残った人の身の振り方なり何なりを考えていかなければなりません。それは今回の愛知用水公団の場合もなかなか大へんな問題でございまして、やはり農林省から出ておる人を引き取れとか、あるいは地方から出ておる人をあわせて引き取ってくれとかいうことがすでに問題になっております。そういう人の処置を、これはあるいは末節の問題かもしれませんけれども、その処置を考えねばならないために、またその次の事業を考えるといったようなことになりましたら、これはやはり物事としましては順序が逆ではないか、事業の経済的な進捗をはかるという意味におきましては、現在の特定土地特別会計の方式を活用することによって、相当程度までは目的を達せるのではないか、かように事務的には考えております。
○八木(一郎)分科員 この方式の特徴は、外資を農業の生産性向上に導入をしていくという新しい試みである。また余剰農産物から出る資金の活用に充ててみる。いろいろな意味で確かに試み的に始めたというふうに見ることもできるでありましょうけれども、五カ年の実施によって農業土木としては世紀の画期的な仕上げをしてしまったというこの事実を見て、この陣容を、技術陣の跡始末とかなんとかというような意味で始めるのでなくて、私は効率的な土地改良、農業基盤整備のために取り上ぐべき方式だ、こういう考えに立つのです。未経験な者を寄せ集めてやるよりは、これだけ経験をした事実の上に取り上げるべきである。取り上げるにはどういうところを検討するか、大蔵省について言えば資金的に問題のあることはわかっていますが、その資金的な外資導入面だとか、あるいはその他の資金活用の面については、どう検討するかという方向で御検討を願うという意味に受け取りまして、ここで希望の事項を一つ加えておきたいと思うのです。それはこの公団の方式でやってみた結果から考えますことは、一つは農業土木の建設工事だけを見れば、工期の計画年度内に完了しております。水が利用できるということに伴って大切なことは、むしろ土地の条件が変わって、適地適産主義による近代的な営農類型をそこに打ち立てていけるような期待を持っておるわけです。国会で愛知用水公団の当事者を参考人に呼んで意見を聴取しても、もっぱら問題は営農改善面における事項と農業土木、土地改良事項とのズレです。これは並行的にいって、同時に経済効果を打ち出すねらいにあったのですけれども、必ずしもそういっていない。これは内部的に見ますと、農林省の中は、仕事は農地局の仕事である、しかし振興の仕事、畜産局の仕事その他農林全体の中でここに大切な力を入れなければならぬ部面があるにかかわらず、必ずしもこれが緊密な状態になっていない。幾らでも指摘する事項があるのですが、この点が一つ。もう一つは果樹、畜産に振興の重点を向けて、企業的なウエートをかけて大いにやっていこう、たとえば私も地元でやっておりますが、一人の農業労働力をもって百頭の養豚をする、六人半の労働力をもって一万貫の育豚を現にやっております。これは特殊な環境はありますけれども、農業の振興問題などを考えますと、これは刮目すべき問題だと見ている。一人当たり頭割りにして粗収入百万を上げる事実が今生まれようとしている。こうなれば耕地を狭くして農業収益を上げる特殊な企業的な形のものをやれるんだという一つのモデルが出ている。鶏に例をとりますと、一人の労働力で一万羽、これも実際にやっておる、こういうような例をあげればたくさんあります。果樹に関しても同様でありますが、それらの企業的な集落化、法人化問題を取り上げて、法的な基礎の上に企業的な面で、耕地はあまり使わないけれども、収益が、所得が増大していけるということが、現に動いておるのですから、こういうものは、それはそれ、これはこれでなしに、土地改良、農業基盤整備の中で新しい村作りに関しては、各局が相互に連絡を密にして、実績を上げるように期待したい、その点が非常におくれておるように思う。これは関連しておりますから希望的に申し上げておきます。 ドイツの農業基本法実施以来五カ年たって耕地を三倍にした。これを予算委員会の公聴会では佐藤教授でしたか述べておられた。これらも耕地面積を拡大して農村の人口を調整をしつつ農業所得の増大に寄与するために、せっかく農業生産基盤を作って整備しようというのならば、あわせ行なうこの面に力をいたしてもらいたい。これは希望ですから、時間の節約上この点については答弁をいただかないで、その次の土地改良方式でやれば、その方は、これはやらなければ仕方がないという顔をしておっしゃっておりますから、この問題に進んで参ります。 一体、特別会計方式というのは七カ年に完了させるという、この問題について、法律の提案の説明をあらためて速記録を調べてみたんですよ。明確に工期は七カ年で事業を完了させる方針といたしております、こう言っておりますし、それから私が予算委員会の分科会でやはりこの部屋だったと思いますけれども、三十三年の二月十三日に、この問題に触れて、七カ年の完成を政府はどのように義務を感じておるか、どのように責任を持っておるかというようなことを追及したときに、こう言っていますよ。「七年目の最後には全部完成できる予算をつけることが政府全体の責任であろうと思います。」これは大蔵、農林両当局の結論。またこういうことも言っています。「工事別には七年以内に終わり得るという見通しで予算を組んでおります。」まことにりっぱなことを言っている。そこで始めてから三年目ですから、どういう進度になっておるだろうかと思いまして、私が特定土地改良工事進度調査表というのを資料として要求し、今明細な表をここにいただいておるわけです、これを見ると、平均いたしまして、三十五年度までの、今回の予算が成立して予算配付を終えて予定される進度は二九%、おそいものは一一%、最大進んでおっても六五%の進度にしかならぬわけです。これで残る事業年度に一体いけるのかどうか。干拓で見ますと、干拓では三三・四%の進度になる。七割残っておる。一年に一割ずつ程度しかやっていけないとすると、七年では七割しかどんなにしてもいかぬではないか。この点をなぜ私がやかましく言うかというと、理由は幾らもありますが、私どもはこの進度の、七カ年完成に関しては、一つは院議決定がある。国民代表の国会において決議をしておるという事実が、政府を政治的には予算的にも拘束しておるということだけは重大性があるということを強調したい。決議文はここにございますが、「特定土地改良工事について、その完了を極力促進し、七カ年以内において必ずこれを竣工させること。右決議する。」国会のこの種の法律執行についての附帯決議に対して、どのように政府はこれを受け取っておるかという点について関心を寄せておりましたところが、過日、十九日でしたか幾日でしたか、足鹿委員が佐藤大蔵大臣の答弁を要求しておる中で、この点に触れておりましたが、佐藤大蔵大臣は、その答弁の速記録を私今持っておりませんが、私の受け取るところによると、まことに軽く考えておる。足鹿委員は、法律できめたと同様な理解の上に立って、この責任を追及しておるのですが、それに対して佐藤さんは予算化すべき責任と義務についてはほとんど感じていない。法律的な事項ではございません。もっともこれは法律で縛られてはおりません。こういうふうな政府自身の特別会計七年完成に対する理解と認識、そしてその責任と義務について、院議決定の国会の決議について、政府を拘束しておるという政治上の重大性についてはきわめて認識がない、こういうふうに聞き取れましたので、この点をまず明確にお答えをいただいておきたいと思います。
○福田国務大臣 国会の御決議でございますので、これはもとよりできる限り尊重して参ります。
○八木(一郎)分科員 そうすると今の進度はただいま二割九分だ、一方は三割三分だ。これを足鹿委員は、残工事はどんなに計算しても八年かかる。残り四年ないし五年であるのに、八年はどうしてもかかる。水系一貫工事では十六年はかかる。そういう御答弁でこのまま進んでいっていいであろうか。もう一度これに対しては、こういう工夫、こういう措置を考えて、進度に合わせて——さっき私が申し上げた前の二十八回国会で、工事別には七年以内に終わり得るという見通しで予算を組みます。七年目の最後には全部完成できる予算をつけます——これはうそになりはせぬかどうか。これは大蔵当局の言明を承りたいと思います。
○相澤説明員 特定土地改良工事特別会計の事業の進度といたしまして、おおむね七カ年完成の線が出ておることはもちろん承知しております。ここにいらっしゃる安田前農地局長も速記録に答弁されておると思いますが、七カ年の完成を一応標準としてやるというふうになっております。私昨年この農林担当になりまして、いろいろ経緯を調べてみましたが、どうも文書その他によりまして七カ年間で必ずやるという約束を大蔵省としてしているような模様もないのでありますが、とにかく一応七カ年ということが合言葉になっております。この合言葉は、私どもとしましては今回のこの特定土地改良工事特別会計の事業費を算定いたします際にも十分頭に入れてやっていくつもりであります。ただ問題は、現在御承知と思いますが、単純に七年平均の事業費を毎年つけるという形ではございませんで、初年度は当然でございますが小さく、後になってだんだんふえるといういわゆる等差級数方式というものも一つのめどになっております。従いまして八木先生のおっしゃる各事業について、現在の事業費で残事業を割った場合には、その年数が七年以内におさまらないということもあるかと思いますが、考え方としましては、今後毎年金額をふやしまして、できるだけ七年完成の線を尊重していきたいというふうに考えております。ただこまかいことを申すようでございますが、どこから始めて七年と見るか、つまり工事着工がいろいろな事情でおくれた場合には、やはり年度ということでなくて、工事着工の時期から七年ということに考えていくべきではないかと思います。いろいろな説もあるようでございますが、国会の御決議の趣旨は十分尊重してやりたいと思っております。
○八木(一郎)分科員 前回の予算委員会の審議過程で、大蔵省としてはあまりそういうことにははっきり言ってないようで、言葉じりを押えるようで恐縮ですが、ここにあなたの前任者の高木説明員が、「前国会で決議がありました通り、工事別には七年以内に終り得るという見通しで三十三年度の予算を組んでおります。」要するに、残事業費を七年以内に処理し得るという建前で予算を組んでおります、とこういうふうに言明しておるし、その認識に立っておるということを言っておるやさき、さっき引用しました大蔵大臣の、私の受け取ったニュアンスでは、どうも国会を軽視しておるとまでは言いませんけれども、政治的にこの法律施行上政府を拘束しておるはずの附帯決議の認識が非常に浅いように思う。福田さんもそのときおったと思うのですが、そういう受け取り方はありませんでしたか。
○福田国務大臣 私はその席に立ち会いませんが、大丈夫です。
○八木(一郎)分科員 いや、もうすぐ明年度予算編成に着手の時期を見通して、三十五年度以降において農業基盤整備というようなりっぱな旗を上げられてその実を実らせるということは、ことに自由化問題などが問題になって心配している際ですから、くどく申し上げておきます。それなら今大蔵当局の言われたようなお考えならば、三十六年度以降およそこういう計画を持っておりますというような年次計画に触れて、毎年この予算の査定をし、この予算を見ておる、こういうことですか。その辺はどうですか。
○相澤説明員 正直に申しまして、今年の農業基盤整備費は災害とそれから米麦の増産とのはさみ撃ちにあいまして、その金額の増額の点については私どもの中ではいろいろ問題があったわけです。しかしながら取りかかった事業を経済的な速度でやるということは、これはその七カ年完成という合言葉のあるなしにかかわらず当然のことでございまして、私どもとしましては七カ年完成ということを理想の線としましてこの予算を組んでおります。今後どのようにやるかという点は、これは国の予算全般の姿との関連において考究しなければならぬ問題であると思いますが、既定の工事、しかも古く着工した工事にできるだけ重点を置きまして工事の進捗をはかりたいというふうに考えております。
○八木(一郎)分科員 残工事、すなわち明三十六年度以降完成までの年次別計画というものは、全部は大へんでありましょうけれども、モデル的に一、二を検討をして具体的に当たって考えてみる、審査してみるという意味から、この際委員長を通じて政府に資料として、明三十六年度以降完成までの年次別の腹案と申しますか計画の数字を、私の地元で一番よく詳細に心得ておる豊川用水について例示してもらいたい。政府はほんとうに誠意があるか、その誠意が那辺にあるかということを憂えておるのであります。ほかの地区でもいいのですが、あまりたくさん要求してもなかなかえらいことですから、この資料を要求しますが、提示してくれますか。
○伊東政府委員 実は私の方でもまだ年次別について残幾らという確定したものを作っておりません。豊川だけについて出せというお話でありますが、来年度予算要求の関係もありますので、私は軽い意味の試案ということならできますが、それを確定したものと見ていただくと困ります。その意味でお目通しを願います。
○八木(一郎)分科員 それは出してもらいましょう。 それからもう一点、あとだいぶたくさんの質疑者があるようですから、私はもう一点だけで終わります。それは国営、県営、団体営区画整理という水系一貫事業で同時施行で、その地方一帯の土地条件を整備して、そして効率的なまた経済的な成果を上げていこうというお考えは非常にいいと思うのです。本年も、わが党の予算編成当時はその問題もそうあるべきだという強い主張をしていたにかかわらず見送りになった。いわゆる篠津方式とか総合開発方式とか、開拓の仕事、干拓の仕事、土地改良の仕事、農地局の仕事、できれば畜産管理、営農全般の指導が、一指導体系、一事業所でいけるように近づけていきたいと思うのです。さっき私が愛知用水公団方式で希望意見として述べておきましたようなことを実行しようという内意は農林省にもあったようですけれども、政府としては取り上げるに至らなかった、この経緯、そして今後はどうするかという点を大臣から承っておきたいと思います。
○伊東政府委員 私がかわりましてお答えいたします。実際今先生がおっしゃいましたように、豊川地区につきましては、総合しました開発方式というものを取り上げまして、予算の一つの項として、総合的にものを考えていったらどうだろうかという意味の予算要求を実はいたしました。今も考え方自体につきましては同じような考え方で、やはり総合開発する地域につきましては、予算もぜひそうありたいというふうに農林省としてはそういう希望を持っております。また先ほど公団方式で御議論になりましたが、そういうことも一部頭に置きまして実は考えたような次第でございます。ただ公団につきましては先ほどからの御議論がありましたように、これから方式につきましては検討いたします。そういう公団方式というものをとらないで総合開発方式を要求したのでありますが、これにつきましてはいろいろな予算技術上の面等からもう少し検討をすべき余地もあるということで、実は今年の予算には入っておらないのでありますが、予算の実行に当たりましてはそういうものの考え方で、なるべく効果が同時に発生するというようなことで、予算の実行をはかっていきたいというふうに考えております。
○八木(一郎)分科員 前回の質疑の際に継続予算問題に触れたのですが、そのときの御答弁によりますと、大蔵省と農林省と両方ありますが、年次計画を立てて自信のある継続予算制度、財政法の十四条の二によるような、五カ年で継続予算化してあげていくのが筋だろうと思う。それが一番徹底しているだろう、全部をやるわけにはいかぬだろう、そこで継続予算の問題に二年ほど前に触れてこの問題に取り組んだ。建設省の方は多目的ダムその他類似の行為があって、これは継続予算のうちにあげておるわけです。農林省は取り上げておらない。年次計画をつげてこれを予算化していくというのは技術的になかなか骨が折れるということはわかりますけれども、よく検討をして、いつの日にか継続予算化することに、頭を出すことに努力いたしますというのが前回の答弁ですが、二年たっているが、その努力のあと、どの程度に考えてきたのか、これを一ぺん聞かしていただきたい。
○伊東政府委員 継続予算の問題でございますが、農林省で今やっておりますのは、実は愛知用水につきましては、特に大体五年間の債務負担行為、それから予算外契約をするというようなことで、先のものまで考えておりますが、そのほかの地区につきましては、まだその実現に至っておりません。実はこれは建設省の河川につきましてはそういうようなことはございますが、われわれの方としましていろいろ検討したのでございますが、先生がおっしゃいましたように、技術的な問題がやはり一番の問題でございまして、なかなかむずかしい。それを変更いたします場合にも相当な手続なり時間も要するということもございまして、むしろそれよりも今の制度でやっていって差しつかえないのではないかというような結論を持っておりますので、まだ現在も継続予算を組むということまでにはなっておりません。
○八木(一郎)分科員 最後に大臣に私は劈頭申し上げましたようにただ一つ、これだけを確かめておきたい、こういう意味で質問を申し上げておるのでありますが、ほんとうに農業基盤整備をやろう、そうして必ずしも法律的でないにしても、こういう年次計画を追って事を片づけようという意思があれば、愛知公団方式も取り上げる、土地改良も取り上げて、ともに予算外義務負担とか、負担行為とか、継続とか、方法はいろいろあるでしょう。あらゆる方法を尽くして、せっかく福田農政としてりっぱな旗を上げたのであるから、この農業基盤整備については実が結ばれるように、今年度のお考えを第一年度と考えて今後に処せられる決意のほどを伺って終わりといたします。
○福田国務大臣 今後の農政の中心は、何と申しましても農家の生産基盤を作るということにありますので、農業基盤整備費並びに整備費的な考え方の施策につきましては、本年を手がかりといたしまして、今後ますます努力をいたしたいと思っております。 豊川のことにつきましていろいろ御熱心な御協力にあずかっておりますが、愛知公団は来年の六月に済むことになります。その際にはその技術を豊川に使うということは一つの行き方ではあるまいかというふうな感じを今持っておるのです。これは政府部内におきましてもなお考え方をまとめていかなければならない問題でございますが、そういうふうな考えを持っております。政府全体の財政といたしましても、ことしは災害の関係で非常に負担の重い年になっておりますが、来年はそれが幾らか軽減されますし、再来年に至りますと財政の負担状況は非常に軽減を災害の関係からされるということになるわけです。それからまた農林省自体といたしましても、農林省の災害の関係が楽になってくるとともに、愛知用水公団の事業が終わる、こういう問題も出てくるわけであります。私は裏づけをもって手段をかまえて、この土地改良というか、農業基盤の整備というものは御期待に沿うがごとく実現できる、かような確信を持っております。
○八木(一郎)分科員 終わります。
○綱島主査 次に門司亮君。
○門司分科員 ごく簡単に率直に聞きますから、そのつもりで御答弁を願いたい。先ほど永井君から北海道の砂糖の話がありましたが、私はこれと全く反対の南の端の奄美大島の同じ砂糖のことを聞いておきたいと思うのです。と申しますのは、今度の国会に奄美大島の振興法の一部改正の法律案が出ております。その中を見ますと、従来公営事業、公共事業外の個人やその他に貸付のできる金が一億であったのが一億八千万円にふえておる。そういう関係がありまして、ことにこの問題は奄美大島自体の復興資金に使われる、こういう関係がありますので一応聞いておきたいと思うのであります。御承知のように北海道のテンサイ糖につきましては今なお保護政策がありますが、奄美群島の農民の最大の農作物であるカンショ糖についての保護政策とは何か懸隔があるように聞いておるのですが、これはどういうわけなんですか。
○増田(盛)政府委員 カンショ糖の問題につきましては、昨年度におきましては一般的な砂糖の関税の値上げによりまして、間接的に幾分は見られておると思うのでありますが、今お尋ねの点は、砂糖ではなしにサトウキビの問題のように承ったわけであります。これに対しまして私ども承知いたしておりますのは、従来は奄美大島は何といいましても黒糖が全部でございまして、これの取引はたしか大阪市場の取引価格にスライドしてきめられておったように聞いておるのであります。市場におきます黒糖相場の変動が非常に激しいために、農家経済、農業経営の面から見ても、奄美大島の主産業であるサトウキビ生産にとって不便な面が多かったようにも聞いておるのであります。それが昨年より分みつ糖の生産が開始され、準備されるに従いまして、やはり原料であるサトウキビの取引価格を、分みつ糖の価格を基準にして年間一本価格を取り結ぶようにする要求が持ち上がりまして、この価格に関しまして生産者団体と工場側にいろいろ折衝があったようであります。現在のところ鹿児島県庁等のごあっせんによりまして、この協定価格が実現いたしておるように承知いたしております。農林省といたしましては、もちろんこういう方向がきわめて望ましいことであります。私どもといたしましては国で価格を指示するわけにはいかないのでございますが、こういう特に地方的な利害関係の非常に深い、細部の、いろいろな地方事情に通じておった者でなければできないようなキビの価格というものは、やはり今回行なわれたように鹿児島県庁があっせんをして、そして両者の団体的な交渉によって取り組んでいく、この方法が一番いいのではないか、従って農林省といたしましては、今後ともこういう方針に対してできるだけの援助を与え、指導を与えていきたい、かように考えております。
○門司分科員 私の聞いておりますのは、一体そんなことでこれができるというようにお考えですか。テンサイ糖の支持価格が今御承知のように三千百五十円です。これはさっきもお話のありましたように、歩どまりを大体一二・五%に見るか、あるいは一三・五%に見るか、大体こういうことでこういう値段になっておる。これは現在の同じ量の買い入れについては奄美大島の場合は三千三百円になっておるのです。そしてこの歩どまりは大体百分の十一くらいです。原料の悪いのを高く買わなければならぬことになっているのですよ。その原因が一体どこにあるかということです。その原因がどこにあるかということは、サトウキビを作っております農民が会社へ出すまでの運搬費に非常にたくさんの金がかかっている。いわゆる農道の完成というものは全くされていない。こういうところにたくさんのむだな費用を使っているということです。私は農林省に聞きたいのは、テンサイ糖については一応の振興法があります。ところがサトウキビには振興法がない。こういう差別もありますが、問題になるのは、農民が一生懸命汗を流して働いても、業者との間にそういう矛盾が出てくる。業者は高い値段で買っておる、農民は安い値段で売っておる。どこにそれが消えておるかというと、運搬に四百円も五百円も金がかかる。農業政策がまるきりなっていないから、こんなものが出てくるのです。もう少し基本のものを考えてもらう。農道なら農道を十分にしてもらうということ。 その次に問題になるのは、反当たりの収穫をどうするかという点です。反当りの収穫は今非常に低い。これが高くなってくれば勢い原料も安くなるという形が当然収益の上からも生まれてくる。農民が生活していこうとする——最低の生活はいたしております。日本であのくらい生活の悪いところはないと思うが、最低の生活を維持することを考えても、結局高いものになって製糖会社に入ってくる。そのことは農道が悪いということと、生産の量が非常に低いということです。従って、反当たりの生産量を上げるということと、農道をよくするということが農民を救う最大の問題である。農林省は一体そういうことを何か考えておりますか。
○増田(盛)政府委員 奄美大島におきまする農業に関する指導につきましては、御存じの通り自治庁が予算を一括して鹿児島県庁に交付する方法をとっております。これに対しまして農林省といたしましてももちろん積極的に意見も開陳し援助しておるわけでありますが、ただいま御指摘の農道その他に関しましても、これは農業生産の最も基本であり、しかも本島のようなところでは地勢的に見ましても最も適切な対策であろうかと考えるわけでありまして、今後自治庁とも十分協議いたしまして、これが改善整備に努力いたすように努めたいと思います。
○門司分科員 そういう抽象的な問題でこれが解決するわけはないと思う。今まで奄美大島振興の特別法がありますが、これは主として公共事業をやっておりますから、島民の一人々々の生活状態を改善していくことは困難である。同時に農民の収益をあげていくということも困難である。従って、今度やっと去年一億出していただきまして、ことしまた八千万を加え、一億八千万円が出ておるが、その中に、もし農林省がこういうことをお考えになっておるなら、はっきりしたものが出てこなければならぬと思う。その前提として、もう一つ聞いておきたいことは、奄美大島における畜産、これを一体どういうふうに農林省は見ておるかということであります。こういう原始的の農業を営んでおりますところでサトウキビの生産を上げていこうとするには、やはり自給肥料がかなりものをいってくると思います。自給肥料を得るには、牛とか馬とか豚とかいうようなものが飼育されるように家畜の増産が行なわれなければならない。そういう点について、統計表が私のところにありますが、今まで奄美大島の振興法に関係してとった処置というのがいろいろ書いてあります。これを読んでみますと、牛が百六十七、馬が十六、豚が九十八、ヤギが七十七頭というようなことで、種畜が導入されておるように書いてあります。全島農家ですから、農家はあそこは四万あります。しかも交通の悪いところはなかなか畜産は伸びにくいと思う。今度八千万円ふやしてみたところで、どうにもならない。だからほんとうに奄美大島の農村を振興させていこうとすれば、農家に対して、われわれの理想からいえば牛あるいは豚というくらいのものは、牛が一匹おれば豚が三匹か四匹飼えるような指導をやらなければカンショの増産もできません。あそこは一年中青いところですから、牛や豚を飼うには大して困難はない。それからえさになるサツマイモも従来はアリモドキゾームシがおって、そのために六〇%くらい食糧にもならなかった。最近はこれが少なくなっておるといいますけれども、御承知のように一年に三回くらい収穫をやればやれる。従って、えさはかなりある。ただそういうものの種をどう見つけてやるかということが問題点だと思う。ここには特別の処置をとって、種豚なり種牛なりを入れてやるというようなことが行なわれなければ、カンショの増産もなかなか困難だと思う。こういう一つの奄美群島における農村振興の具体策というものがなければならないと私は思う。これは自治庁だけにまかしておいたのではどうにもならぬと思う。だから農林省自身がこれにもう少し力を入れてもらいたい。こういうことなのですが、その辺のお考えはどうですか。
○安田政府委員 奄美大島を中心にしました奄美群島の、特に畜産の御質問でございますが、最近までは、あの生産力の低い、貧農の多い、未開発な土地につきまして、奄美大島の開発計画を立てておった段階だと思います。その実行に移った第一は、大きな島につき周辺の道路ができた段階であるというふうに心得ておりますが、その後農作物とかカンショとかいうことにやっとかかった段階でございますところ、その畜産に対しましては、特に肉豚、次いで肉牛の最も適地だと存じますので、御指摘の奄美大島の振興法に基づく自治庁の取りまとめする施策に限らず、家畜の導入及び種畜場設置等、その他衛生施設等もありますが、これに対しましては助成をいたしたいと思います。過般も鹿児島県の副知事の金丸君とか農政部長等と打ち合わせしますと同時に、生産があれば、出荷消費がこれに伴いませんと、何しろ離れた島でありますから十分でございませんので、先般串木野には日本で最大に近い豚肉加工場の設置等も慫慂いたしまして、工事中でありますので、門司先生御指摘のような方向に農林省は援助していきたいと考えております。
○門司分科員 今の串木野にあるということも私は存じております。しかし問題は、処理をするところも大事でしょうけれども、まず飼わせるということが先だと思うのです。豚のいないところに処理場だけ先にこしらえたところでしょうがないと思う。だから先にもう少し気をつけて一つ指導していただきたい、また入れていただきたい。それには今度の国会に出されている法律の内容というものはきわめて貧弱なのです。私は農林省はおそらくこんなことには何も関係していないと思うのです。もう少し農林省がやかましいことを言うならば——八千万ばかりふやしてみたってどうにもならぬ。豚一匹コロ三千円から四千円するでしょう、かりに種豚でなくても。そういうものの取引をいたすにいたしましても、四万の農家に一匹ずつあてがったといたしましても、かなりの金がなければやれない仕事なんですよ。実際どうにもならぬですよ。 そこで問題になりますのは、そういう振興法が一つありますのと、それからこういうことはないと私は思いますが、念のために聞いておきますが、貿易の自由化について、砂糖の問題は一体どうなります。自由化の範囲に入りますか。これが入るということになりますと、ことにテンサイ糖よりもずっと率の悪い奄美大島のサトウキビなんというものは、ほとんどどうにもならないような状態になりはしないか。ジャワにしたって、キューバにしたって、日本とは四倍から五倍くらい生産費が違っているのですが、これの圧力を受けるということになると、奄美地方の農民のほとんどというものは生業をとられたような形になりはしないかと思うのですが、その点はどうなります。
○福田国務大臣 砂糖につきましては、ただいま自由化する考えを持っておりません。砂糖は甘味資源の一環といたしまして、資源的に国産甘味資源を培養しなければならぬという今の段階でありますとともに、砂糖の輸入先がキューバである。そのキューバに対しましては、日本の品物が引きかえに出ているということが非常に少ないわけでございます。日本の貿易構造の中から考えまして、そういうことは、もし自由化になりますとキューバ糖が安い関係から多量に入ってくるというようなことになりまして、貿易構造としておもしろくないというようなことも考えなければならぬ。いろいろな関係からただいま砂糖につきましては——これは将来検討する必要はあると思いますが、ただいまのところでは自由化をすることはありません。
○門司分科員 それからさらに聞いておきたいと思いますことは、さっき申し上げましたようなテンサイ糖の保護とサトウキビに対する保護政策というようなものにどうも差があるように考えますが、この差はございませんか。同じように農林省は取り扱っておりますか。もし差があるとするならば、それを一つ是正してもらいたいと思うのです。
○須賀政府委員 テンサイ糖と国産カンショ糖の扱いでございますが、御承知のようにテンサイ糖は、寒地のテンサイ糖につきましてはてん菜糖振興法によりまして保護育成の措置を講じているわけでございます。育成措置の最も重要なきめ手となっておりますのは、原料テンサイ糖の価格支持という面と、それの裏づけといたしましてのテンサイ糖の政府買い入れという措置でございます。これは、現在寒地のテンサイ振興につきまして特別立法を講じましてとっている措置でございます。今後、寒地以外にテンサイが漸次伸びて参るというような事態が出て参りますれば、またその事態に応じて必要なる措置を考えなければならぬというように考えているわけであります。現在は、寒地のテンサイ糖等につきましてただいま申し上げましたような措置を講じているわけであります。国内カンショ糖につきましては、現在の段階におきましては、鹿児島県当局等を中心といたしまして、一つの地方産業としての保護育成をはかっていきたい、だから、ビート糖に対する取り扱いとは現状におきましては若干の差異があるわけでございます。
○門司分科員 私は、若干の差異があるということはおかしいと思っているのです。国が甘味についての十カ年計画というようなものを立てて、そうして需給対策を立てようというときに、差別をするという理屈はどこにもないと思うのですよ。ことに後進地で、北海道よりもっとおくれているのですからね。奄美大島へ行ってごらんなさい。島民の意識というものは、ソテツがなくならない限り私どもは死にませんからというようなことを平気で言うのです。ソテツの実を食べてしまったら中の繊維を抜いて食べよう、多少中毒になってもかまわないというような、きわめて素朴というよりも、むしろ野蛮的なものの考え方を持っているようなところの後進地域を伸ばしていくについて、差別的な取り扱いをするということ自身農林省はおかしいと思うのです。これについてはやはり伸ばしてもらうという形をとって、暖かいところでありますし、手を入れてやればかなり見込みのある島であることに間違いはないのでありますから、手を入れないからできないのでありますから——きょうは大臣も時間がないというお話でありますから、この問題はいずれまた法律を審議する場合にお聞きすることもあろうかと思いますから、長くは申し上げませんが、その次に聞いておきたいと思いますことは、やはりこの振興法に関係した一つの法律として、例の水産関係ですが、戦前の奄美大島はかなり水産をやっておったわけであります。ところが、御承知のように戦争で非常に荒されますと同時に、戦後二十八年までアメリカの占領下にあった。いわゆる行政分離ということで、アメリカの行政に属しておった。そのことのためにほとんど漁船の建造というようなものが行なわれていないのです。あそこは、いろいろの土地柄、黒潮の流れてくるところでありますから、近海の鯨その他等を考えてみますと、かなりの漁獲が昔からあり、また現在もあるわけです。それを処置しようという、いわゆる大型の船がここにはほとんどない。こういうものについて、やはり戦前と同じような形に戻るように一応の水産指導をすべきだと思うのですが、その点の考え方はどうですか。
○林田説明員 水産の御質問でございますが、水産につきましては、確かに奄美大島に対する特殊の方策はとっていない次第でございます。しかしながら、農林漁業金融公庫から貸す船につきましても、すべて日本全体として同じような考え方でやっておりまして、特に奄美大島を軽視しておるというふうなことはない次第でございます。御承知のように、あの辺はカツオ、マグロとかあるいはサバの漁場でありまして、やはり奄美大島の沿岸漁業を振興していくということが必要だと存じますから、今後自治庁と十分連絡をとりまして、そういう方向へ進みたいと思います。
○門司分科員 特別の、と言いますけれどもちゃんと奄美群島復興特別措置法という法律があるんです。国はやれということをちゃんと書いてある。特別の法律があるのです。その法律によって助成していると言うがちっともやっていない。だから、私は農林省は知っているのか、知っていないのか、こういう法律があることを御存じなのか、御存じでないのかということさえ疑わしいと思う。御存じになっておれば、もう少し何とか問題があろうと私ま思う。 今のような答弁ではしようがありませんが、その次に、この機会に聞いておきたいと思いますことは、例の奄美群島の中にあります徳之島という島であります。この島は島の形としては非常にいい島であって、従来よかったのでありますが、ここに戦前は実は全部電気がついておったのです。ところが、今徳之島は亀徳の町以外にはほとんど電気がついていない。ここは無灯火の場所なんです。そのことと、農村の文化、あるいは農村のさっき申し上げましたような生産手段等についても、今の時代に電気が一つもないというような村を三つも四つもこしらえておいて、しかも戦前はあった、こういう農村の振興策については、農林省は考えたことがありますか。一体こういう実態を御存じですか。
○増田(盛)政府委員 農村に対する電気導入につきましては、現在いろいろな制度がございまして、たとえば離島振興法に基づくものとか、あるいは開拓地に対する電気の導入、それから最近では僻地電気導入と称しまして、一般農村に対しても電気導入をいたしておるわけであります。ただ、この場合に、奄美大島の関係、従って徳之島の関係につきましては、これは私ども並びに農地局、すなわち農林省で取り扱っている電気の導入事業と一応区別されておるわけでありまして、これが助成は自治庁で行なっているように私は了解いたしておるわけでございます。実はその間相互の、たとえば電灯の進捗率等に関しましても、現在私は承知いたしておらないわけであります。ただしかし、農林漁業金融公庫等の融資に関しましては、これは農林省が取り扱っておりますので、こういう面におきます融資による導入等に関しましては、当然奄美大島の地域も包含されると考えておるわけでございます。
○門司分科員 どうもそういうわけのわからぬ答弁では実際弱るんですが、農村の振興のために、私はやはりもう少し農林省からもこういうものを一つ考えておいてもらいたい。戦前はあったのですからね。詳しくいえば、沖縄に上陸が行なわれた、この次に来るのはここだということで、軍が陣地を構築するために、電柱も電線もみなはずして、その下に陣地構築をやったのです。それをそのままにしておって、やりっぱなしになっておる。こういう戦争の犠牲というか、こういうことは考えられないことなんですよ。考えられないことでも、軍がやったのだから仕方がない。そういうあとがそのままになっておる。従ってさっき申し上げましたような農道等についてもそのままの姿になっておる。おもな農産物であるサトウキビ等も今申し上げましたように、反当たりの収穫も非常に少ない。そうして鹿児島県に聞けばあなた方おわかりだと思いますが、増産の施策をやらせておるでしょう。ここでは三倍から四倍普通のものより反収があるはずだ、これはあなたの方に報告が行っておるはずです。やればやれるのです。農道を直せば運搬費もかからないのです。そうして分みつ糖も会社の方も非常にやりよくなりますし、農民も生産が高くなればそれだけ価格を安くして収入はふえてくるわけです。こういうことはわかり切ったことなんです。だれがあそこに行っても一目見ればわかるのです。それがいまだにほうっておかれる。そうして今お話のようなことではどうにもならぬと私は思う。だからそういうことでなくして、もう少しこういう問題等についても——私はきょうは農林関係と水産関係でありますから、この法律の内容についていずれこの法案を審議するときにまた来ていただいてさらにこまかいことをお聞きするかもしれないと思いますが、そういうことではこれは大島にせっかく復興資金を入れて参りましても、うまくいかぬのではないかということが私どもには考えられます。大島の問題としてきょうここで聞くことはその程度に一応いたしておきまして、あとは法律審議のときにもう少し詳しいことをお聞きすることにいたしたいと思います。 それから大臣がおいでになりませんからこれはやむを得ませんが、もしお答えができるならお答えをしておいていただきたいと思いますことは、過般の予算委員会でも私は申し上げたのでありますが、農民の税負担の関係というものが事実上非常に割高になっておる。こういう問題について農林省は一体どうお考えになっておるかということを一応はっきり聞いておきたいと思う。
○齋藤(誠)政府委員 先般予算委員会等におきましても国税に対して地方税なり、あるいは税外負担等が相対的に重いではないか、こういう御質問があって、それに対して農林省の見解はどうだ、こういう御質問だと思いますが、率直に申し上げまして、国税に比べまして地方税が相対的な比率としては多くなっておるというのは事実でございます。もっともこの関係におきましては、国税は比較的人税といいますか、所得に基づいた税金であるし、地方税はどちらかといいますと物的な課税、固定資産税であるとか、そういったような性質のものでありますので、勢い国税の方は所得税の軽減に伴って総体的に農民の課税が減っていくにもかかわらず、地方税についてはそういう関係もありまして負担率が高くなっておるというのも事実でございます。ただ地方税におきましても国税の軽減に伴いまして随時軽減の方向をたどってくるわけでございまして、たしか本年度におきましても地方税の所得割につきましては若干の改善の措置が講ぜられることになっておるわけでございます。おそらく御質問は、その中で法定外税あるいは税外負担についての軽減をどう考えておるかということだろうと思いますが、そういうふうな税全般の改善に伴いまして、法定外税につきましても逐次これは適正化されるように、われわれとしても自治庁の方と常に連絡をとっておるわけであります。全体の財政の関係からいってそういう方向に持っていくように今後とも努力いたして参りたい、かように考えております。
○門司分科員 地方税の関係は一般の問題ではないのです。今お話のありました法定外普通税というのは、ほとんど農村ですよ。都会にはこんなものはありはしませんよ。あったらえらいものです。都会にあるのは、犬税くらいなものですが、犬は大体全国かけております。これを見てごらんなさい。家畜税というやつが書いてあるが、牛馬一頭当たり年額二百円、豚と綿羊については大体百円、こういうことになっていますよ。さらにはなはだしいところになってくると、なま繭一キロについて六円四十銭、乾燥した繭が十六円、こういうもので、これは全部といっていいほど農村のものなんです。都会にはこんなものはありはしませんよ。あとは町村の方にいくと、ミシン税とか立木伐採税とか、家畜税とか広告税とか、林産物移出税とか屠畜税とか、あるいは入漁権の税金というもので、しかもこれを町村別に分けてみますと、大体町村の二四%というものは、こういうものと同時に超過税率を取っておるということになっているのですよ。数がはっきりここに八百六十九団体と書いてあります。都会に生活している人と比べて農村がどうしてこういうふうに過重な負担をしておるかということは、これは国全体の一つの問題だと思います。しかし、農民の生活を保護し、守ろうとする農林省がこれに無関心であるということはおかしいと思うのです。片一方では一生懸命に豚を飼いなさいと勧めておいて、飼えば税金をかけるのだという理屈がちゃんとでき上がっておる。繭の値段については今日までいろいろ問題がありましたが、なま繭一キロにつき幾らの税金をかけていくという。一方で奨励しておいて、一方では税金を取っていく、こういうことはあまりいい慣習ではないのです。私が農林省に望みたいのは、どうしてこういうものを農林省自身がそのまま認めているか、それは町村の財政が苦しいからということになれば、それだけのものなのです。ところが、これを自治庁だけにまかしておいて、自治庁が税金のことをおやりになるのだから、私どもはただ生産だけを見ればいいのだからということになれば、それまでですよ。私は、少なくとも農林省の諸君の考え方というものは、農民を保護しようとすればここまで行くべきだと思う。農村が貧乏だ貧乏だといっておりますけれども、税金を全部合わしてごらんなさい。八十八億幾らという数字になりますよ。これは三十四年度の税の収入見込額からいいますと、大体三十三年度の決算額もこれにそう違わない数字が出ておる。だから農村の今日の収奪の面というのは、単に農産物価の問題や、経営の問題ではないのです。こういうふうに農村を収奪しているのです。約百億くらいのものがよけいに取られている。そういうことについて農林省は一体どう考えているかということです。この点を明確に一つ答弁して下さい。
○齋藤(誠)政府委員 終戦後におきましては、法定外税というものはずいぶん一般にも行なわれておったのでございまして、その後も税改正のあるごとに、農林省として絶対に無関心であったわけではないのでありまして、このような税改正のそのつど、自治庁とこういうものははずしてほしいというような話を常に続けて参ったのであります。現在法定外税を取っております県の名前を言いますと、北海道、岩手、宮城、岐阜、和歌山で、県税として家畜税、果樹税、繭の取引税といったようなものを課しております。町村につきましても、おそらく今お話がありました八百六十九団体ですかに同じような性質の法定外税というものがあるのではなかろうかと思います。荷車税だとかあるいは果樹税とかいったようなものにつきましては、ずいぶん整理されて参ったのでありますが、今後といえども、われわれといたしましては、お話のありましたように、農家のせっかくの所得を、こういう面から歪曲されることのないように、重大な関心を持ちまして、これに対する検討は引き続き続けて参りたい、かように考えておる次第であります。先ほど申し上げましたように、現在の地方税は、農家経済全体の状況から見ますと、比率といたしまして、大体道府県税が農家所得に対して〇・二%、市町村税が四%というような程度でありまして、額といたしますと一万五千円、市町村税がそのうち一万四千円程度ということに相なっております。これはだんだん傾向といたしましては、こういう税全体の負担率も改正の方向には行っておりますが、先ほど申し上げましたように、一方の国税の方はどうしても人的税であり、地方税の方は物的税の性格を持っておるというような関係で、たとえば固定資産税のようなものは零細農でもかかるというような関係もありますので、負担率としてはどうしても高くなるということになりますが、全体の税制の改正の方向に沿って次第に改善されるようにわれわれも期待いたしておりますし、それからまた地方財政全体の拡充充実に伴って、そういうものも漸次軽減されるこを期待いたしておるわけであります。お話の通り、今後この問題につきましては、十分関心を持って改善に努力いたしたいと、かように考えております。
○門司分科員 数字は、三十四年度の状況から見ると、少しあなたの方の考えと違うようですけれども、私の手元にある三十四年度の税収見積もり、それから税をどこの村にどうかけておるかということ等については、多少開きがあるようですが、私は今その数字をやかましく言いませんが、とにかくこういうものが一つあるということ。 その次に出て参りますのは、あなたの方から出しておる統計表です。この統計表に基づいて見ますと、農家の実態調査というものの中から見ますと、農村の状況というものはきわめて悪いのであって、ことにたとえば北海道だけを一つ見てみましても、北海道の道税と市町村民税との大体加わったもので、北海道の一番悪い二町未満の農家に対しまする税の総額が九千百四十一円という数字が出ております。そうしてそのほかに出ておりますのが、部落の協議会費まで入れますと、大体寄付金と名のつくものが、千八百四十二円という数字があなたの方の数字で出ておる。そのほかにまだ赤十字のものであるとか、あるいは共同募金であるとか、青年会とか婦人会というような直接生産手段に関係のないものを入れますと、非常に大きな数字になる。これが、農家の経営別にずっと勘定して参りますと、全国を平均して一つ一つ当たって見ますと、一番零細農家といわれる各都道府県の下の方になりますと、税金の県税と市町村民税に比べて、まごまごしていると、こういう寄付金の方が割合が多いのですね。だからこれは十割ないし十五割という形が出てくる。ところが、ずっと農家の上の方になって、一年の収入が七十五万円、一カ月五万円くらいの富農のところになりますと、税と寄付金との割合がずっと下がってきて、二五%くらいの数字になっております。そうすると、農家の実際の生活のありさまというものは、貧農ほど非常に高いものを払っているという議論が出てくるのですが、これの是正は一体どこでされようとしておるのですか。これははなはだしい相違があります。これは私の方よりも、あなたの方でできた資料だから、あなたの方がよく知っておると思うが、こういうふうに農村の実態というものは、貧農であればあるほど公租や公課の負担が多い。そうして富農ほど割合が非常に少なくなってきておる。これは部落がそういう部落で悪い部落だからといえばそれまでかもしれませんが、しかしそういうことが現実に行なわれておる。こういう問題についても、農村全体を見渡して参りますと、もう少し是正する必要がありはしないか、何とか農林省が指導する面がありはしないか。これを全部自治庁にまかしておいて、それは自治庁が悪いのだといえばそれだけのものかしれませんが、何とか農林省の関係でもできないかという気持を持っているのですが、こういう面についての指導はどういう形で行なわれておりますか。
○齋藤(誠)政府委員 今お話しになりましたいろいろの階層別の税の負担状況、私もその資料を見て承知いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、もちろんその階層別に、絶対額としては上の方にいけばいくほど多くなるわけですけれども、地方税あるいはその他の公租公課等におきましては、人頭割であるとか、あるいは所得に関係なく面積割といったような関係がありますので、所得に対する負担の割合から見ますと、勢い下層と上層と比べてみると、逆進とまではいきませんけれども、そういうふうな比率が見られる。所得税については明らかに累進課税でございますから、逆の方向になるわけでありますが、地方税あるいは公租公課等につきましては、若干そういうふうな傾向が見られることは事実でございます。税自身につきましては、これは税全体の立場から合理化するという方向について、いろいろとわれわれも努力いたしておるわけでありますが、末端の公租公課等につきましては、これはいろいろのその地方、その町村における事情もありましたりして、中央において一律的な指導なりということはなかなか容易でないわけであります。たとえば土地改良事業の負担関係といったようなことにつきましては、事業を通じて是正するというようなこともでいきますけれども、それ以外のいろいろの団体の負担金とか、あるいは町村全体として各住民にかかる負担金等の是正につきましては、農林省だけで画一的にどうというわけにもなかなかいかない部分があるわけでございます。しかし、農家経済を指導するという見地からは、われわれといたしましても十分関心を払って、今後対処して参りたい、かように考える次第でございます。
○門司分科員 税金のことを申し上げているんじゃないのですよ。さっきから言っておりますように、こういう税金に対比してそういう形になっている。税金は私はやや公平に一応納められているものと考えてもよろしいかと思います。ただ非常に不公平なのは、秋田でありますかのように、県民税については、百円のものを六百円とってみたりしておるところもないわけではありませんで、これはべらぼうなことをやっております。しかし、そうでなくて、こういう農家経済全体を見て、零細農家と思われるところに非常に負担が重くなっている。こういうものの指導というものは、やはり私はある程度農林省としても当然行なわるべきだと思う。これが行なわれていないところに、今日非常に大きな無理がありはしないかと思う。 それからもう一つその次に聞いておきたいと思いますることは、農林省のこの統計から見て、私が最も遺憾に考えておりますのは、農道その他の問題について、賦役といいますか、そういうものが平気で行なわれているのですね。これなどはどうお考えになっておりますか。そうしてこれは大体全国を平均すると六日ぐらいになっていますか、少ないところの県で二日から五日——南九州ですか、一番多いところは九日くらいの数字が出てきております。大体六日ぐらいに私はなっていると思います。そういうものについて、当然こういうものは村の建前からいえば公費でまかなわるべき筋合いだと考えておるが、これがこういう賦役のような形で行なわれる。しかも地方財政法からいけば、こういう費用は当然予算にこれを計上しなければならないと書いてある。しかしながら、これが予算にも何にも出ていない。そういうことが平気で行なわれておる。これもあなたの方では自治庁のせいだとお言いになるかもしれませんが、しかし自治庁は自治庁として話をすべきだと思うのです。農林省の立場としては、そういうものをそのままの姿で置いてよろしいかどうかということを一つ……。
○伊東政府委員 今の問題、数字につきましては私の方でまだ調査しておりませんが、土地改良をやります場合に、自己負担分がございます。自己負担分につきましてそういう形で負担するというようなことは往々にしてございます。ただ、今おっしゃいましたような数字その他につきましては、もう少し調査してみたいと思います。
○門司分科員 大体約束の時間がきておりますからこれ以上私は聞きませんが、最後に聞いておきたいと思いますことは、大臣がおいでにならぬからどうかと思いますけれども、貿易自由化によって農産物に影響するというような面で大豆の問題等が一応新聞等に書かれておりますが、貿易自由化が農業生産物にどういうふうに作用するかということ等について、もしお話ができるならばこの際承っておきたいと思います。
○齋藤(誠)政府委員 大臣から答弁するのが筋合いだと思いますが、またたびたびの機会に大臣から申し上げておりますので、特に詳しく申し上げるまでもないと思いますが、大体の農林省の現在までの考えといたしましては、当面起こっておりますところの問題といたしましては、対米ドルの差別をいたしておる地域については十品目について自由化すべきであるということで、先般の自由化促進閣僚会議において了承されておるのであります。そのうち農林関係の自由化品目としては六品目でございますが、その中で一番問題になりますのは大豆の問題でございまして、これはすでに午前中からの御質問に対して大臣からるる申し上げた通りであります。従って、それ以外のものにつきまして今後どういうふうに自由化していくかという問題でございますが、これまた大臣からたびたび申し上げておりますように、米麦であるとかいうものにつきましては、従来通りの食糧管理制度を維持する。さらに今後の成長産業としての酪農品については、にわかに自由化にするということには参らない、十分な保護措置を加えて参らなければならない。さらに砂糖の話は先ほどあった通りでございます。それ以外の自由化品目につきましては、現在まで自由化した農林関係の品目は、約三一%くらいになっております。今後これらを自由化する場合におきましては、すでに相当自由化されておるような品目もある、あるいはバーターで入っておる、あるいは自由にしましても、結果において国内に入ってくる量も少ないし、また影響も少ない、たとえば中華料理の材料であるとかいったようなもの、そういったようなこまごました品目が当然自由化の日程に上るかと思いますが、今申しましたように、大きく影響のないものということについて検討しておるわけであります。今後のそれらの品目につきましても、具体的に、品目別に、どういう農業に影響があるかということについて検討して、十分それに対する対策を講じた後に自由化の措置をとっていくというのが、現在まで農林省の事務当局として考えておる考え方でございます。
○門司分科員 私の心配していますのはそういう抽象的なものではない。最後に言われたどういうものはどうするかということがはっきりできませんか。そうしないと、農村関係の諸君は、何が一体はずされるか、どうなるかということをかなり心配しておると思います。だから同僚の質問もいろいろあると思うのです。これを明らかにして、これとこれはこういうふうにする。その場合に内地の関係がどうなるというようなことを、もうぼつぼつ指示されてもいいんじゃないですか。どうも国会が終わるまでは、そういうことはのらりくらり逃げておって、国会がなくなってしまうとやられて、どうも質問もできなければ小言も言えないという形が出てくると困るのです。いつごろそういうことをきめられますか、その調査されたものが発表されますか、影響があるかないかということについて伺いたい。それから品目等についてもはっきりしていきますか。どういうことになるのですか。
○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げました六品目については、すでにそれぞれ計画も立って、次はどうするかということになっておるわけであります。具体的に申し上げますと、その六品目のうちのラワン、アバカ繊維については一月から実施する。それから牛脂については四月から始める。ラードについては、粗製は四月から、精製ラードについては関税を引き上げた後において実施する。牛皮については、通産省の方の関係の準備が整えば実施する。あとは大豆でありますが、大豆は一応十月を目途にして自由化の措置を講ずる。それ以外の品目として、さっききわめて抽象的に申し上げましたが、一月以降あるいは四月以降において実施すべき品目は、農林省関係の品目の全体としまして、五百七十くらいの品目がある。たとえば支那料理で言いますと、何とかの種だとか、カボチャの種だとか、あるいはタケノコだとか、小さな品目がたくさんあるわけです。そういうものにつきまして、今後一月あるいは四月以降から、そういう自由化ができる、影響のないものについて実施していきたいということについて、検討いたしておるわけでありますが、先般の自由化促進の閣僚会議においては、一応五月を目途にしまして、そういうことの計画を立てていきたいということで、農林省としてはそういう品目につきまして目下検討いたしておるという段階でございます。
○門司分科員 私はしろうとですから、最後に聞いておきたいのですが、えさの問題とそれから牛とか豚とかいう関係の飼育の問題は一体どういうことなんですか。たとえばこの間私いなかに参りまして、これははっきり名前を申すと少し差しつかえがあるから申しませんが、かなり知名な人ですが、その人の話を村の人が批評いたして、こういうことを言っておったのです。「豚を飼うともうかるんだ、おれのところは四千五百円でこれを買って一万二千円で売った」という話をされたという。それで百姓の人が、「それならえさはどのくらい食わせましたか。」と言ったら、「十俵ぐらい食わせました。」と言う。「七百五十円のえさを十俵食わせたら、四千五百円を加えるとちょうど一万二千円になる。それじゃちっとも百姓の手間にならぬじゃないか。」と言って笑っておりましたが、えさ代を見ないで話をすればもうかることになるが、ところが、百姓はそれでもうけて生活をするのだから、そういう話を聞いてもしょうがないということを言って笑っておりました。そういうことがえさ代の関係でありはしませんか。 もう一つついでに聞いておきますが、牛乳にしても、十円牛乳ということが長い間叫ばれておる。これができるとかできないとかいう議論がしばしば行なわれているのですが、農民の方に言わせますと、乳の値段はそう高くはないのです。そうして市販は非常に高いのです。これの処理方法とか、あるいは高いものの中には、たとえばビタミンの何を入れているとか、いや何を入れているとかという学者のいろいろな説があって、値段がだんだんつり上げられているのですが、生産と消費の関係からいくと、途中にどうもマージンが多過ぎるように、消費者の立場から考えても、生産者の立場から考えても、考えられるのです。こういうものについて農林省はどういうお考えを持っておいでになりますか。
○安田政府委員 第一点の御質問は、日本で行なわわれている畜産の農家経営として、飼料費が経営費の何割くらいに当たっておるかというような、あるいはそれに対する割合はどうか、こういうことだと了解いたしますが、いろんな家畜を組み合わせてやる場合を除きまして、養鶏は養鶏、養豚は養豚、乳牛は乳牛、その他というように単独にやっておるような場合について、全国達観した場合を申し上げますと、仔畜や種畜を生産する場合でなしに、肉や卵の畜産物を生産する畜産経営という立場で見ますと、今申し上げました順序に購入飼料、しかも購入濃厚飼料費は相当多いようになっております。申し上げませんでした役牛とか綿羊は、代金を出して買う購入濃厚飼料が比較的少ないと思います。北海道から鹿児島、特に奄美大島までいろいろな土地で自給と購入飼料の割合とが違いますけれども、全国的に見ますと、現在の実態を申しますと、養鶏、特に採卵養鶏が日本は大半ですが、購入濃厚飼料は六割ないし七割になって、非常に多くなっております。肉豚はこれに次ぎまして、酪農におきまして大体四、五割になっておるのが普通でございます。 今度、裏から申しますと、目下の段階では、粗飼料に優良なる牧草や野草をまぜまして、これを栄養価換算した場合に、私どもこれを三割くらい自給しておると見ておりますが、そのうちでは酪農は割に自給率が高くて、全家畜平均の一割増くらい、四割近いものが全国平均になりますが、北海道と九州と相当違います。 今おっしゃいました農家が畜産物を生産する場合は、種畜と仔畜を購入して、素畜を購入して肥育をする畜産経営では——養鶏になりますと、最近卵や何かだいぶ上がっておりますが、過去四カ年ばかりは、豚の子三カ月くらいのもので一頭当たり白豚で二千五百円から三千五百円くらい、今は一時高調で、去年の秋平均で五千五百円くらいになりましたが、鹿児島等一部では七千円、一万円のばかでかい値も出ましたが、今は三千八百円から四千三百円くらいになっております。豚の例が出ましたから、あわせて申し上げますと、これを十カ月肥育して、豚として一番肉量が多いところまでを出しますと、飼料費は六、七千円かかります。御指摘になったようなお話は、経費としても、達観数字としてはその通りだと思います。素畜プラス購入飼料費は、養豚の販売費とほぼ似ている。これは全般的に申しまして、その傾向は日本の畜産に多いのですが、副業的な畜産が大部分であり、少頭羽数である。特に大家畜は一頭飼いが多い。最近酪農でも全国平均は一・九頭、そんなような関係で、だんだん濃厚飼料費の一頭当たりの費用を少なく、かつ単価を安く、自給飼料を豊富に量を多くして、そこにだんだん正当な、他の農産物に匹敵する労働報酬が得られる、また他産業と比較すべき労賃のようになってきますので、飼料問題についても考え、素畜の価格安定についても考えまして、養豚の経営形態や経営規模や経営の方法、飼育の方法や適地適産の方向へ持っていくようにせっかく努力中であります。
○門司分科員 私はそんなことを聞いているのではないのです。私の出身は神奈川県でありまして、かつて神奈川県の農業会議議長を私はやっておりましたので、大体豚の飼い方がどうだ、牛がどっちを向いているくらいのことはわかっているつもりなんです。だからそんなことを聞いているのではないのです。私の聞いているのは、十円牛乳とか叫ばれておって、そして十円で売れるということを世間の人が長い間待っている、長い間叫ばれておる。ところが、牛乳屋はなかなか十円では売れないと言っている。その理由の中には、処理の方法が一つあるということ、それから何とかのビタミンを入れるとか入れないとか、いろいろ値段をつり上げることが考えられているが、十円では売れないという結論が大体出ておる。そうすると、消費者の購入価格と生産者の価格の間に非常に大きなマージンの幅があるのですが、この幅をどう縮めるかということによって、消費者に対しては非常に需要を大きくする、生産者に対しては非常に割に合う生産ができるということなんです。今のようなことでいけば、どんなにあなた方が勧められたところで、農家はそう簡単にできないということです。農民は生きていかなければなりませんから、何か仕事をしなければなりませんから、仕事はしますが、さっき私が申し上げた数字も大体そういうことで申し上げたのです。これを業としない人は四千五百円で買って七千五百円えさを食わして売ればそれでよいかもしれないけれども、業とする人はみんな干ぼしになりますからね。干ぼしにならないようにするためには、その間に農村に何か利益を得させなければならぬ。それには実はえさが高過ぎるんだということなんです。牛乳についても中のマージンが広過ぎるんだ。これをもう少し縮めることができないかということです。農村の方を上げて消費者の方は下げていく。われわれの言葉で言えば、生産者の販売価格も消費者の価格も正常なものにならないかということなんです。まん中だけが正常な価格であって、あとさきが正常価格でないということは、私は実際はおかしいと思うのです。その点を農林省は一体どうお考えになっておるかということなんですよ。
○安田政府委員 御質疑の第二点は、これから答えてみたいと思っておったのです。しかし、日本の畜産が副業的で、零細で、労働報酬を得る余剰労力の賃金価格になっておるからそこが問題になっておる。飼料費の状況は以上のようにつかんでおります。 次は畜産物の生産者価格と乳業者とか加工業者とか販売業者の価格、小売価格との関係でございますが農業経営の面はただいま申しましたように経営の合理化、生産性を向上しまして手取りを安定しますと同時に、中間の利潤は、輸送費でありますとか、売り方でありますとか、金利でありますとか、包装料の関係とかいろいろございますので、加工業の段階とか販売業の段階はおのおの消費と見合いましてやっぱり合理化の余地が多いと思います。
○門司分科員 私はもうこれ以上聞きませんが、大臣に聞いておきたい。今のような畜産の答弁ではどうしようもありません。副業的のものが多いと言うて、日本の農村の推移はどういうようになっておるか見てごらんなさい。だんだん零細農化しておる。田畑にたよっておれない。そうすると農村はどこにはけ口を求めるのか。食物の関係をずっと見てみますと、需要の関係は比較的畜産の需要が多いのです。そうすると農家経営というものはそういうことに移行していかなければならない。世の中の人間の欲する食糧の需給関係の品物と農家の生産するものとは一緒にずっと進んでいかなければならないのですね。そうすると単に畜産が副業的のものであるというようなものの考え方を農林省がされておるということは、将来の日本の農村経営について大きな誤りだと私は思うのです。将来の日本の農村経営というものは、耕作反別はだんだん零細化されているでしょう。次三男は一体どこへ持っていくつもりなのか、これを立体的に効果的にやっていこうとするなら、ジャガイモを一反作って、そのジャガイモのままで売ったのがいいか、豚を飼うのがいいか、どっちだということです。 もう一つ私ははっきり言っておきますが、危険作物といわれておる陸稲等については、いろいろの問題がある。しかし米を作るよりもサツマイモを作った方が、あるいはサツマイモをどう利用するかということについて、こっちが有利であると見れば、やはり危険作物でないサツマイモの方に移行する。農家の実際の今日の姿というものは、今のようなあなた方のお考えではどうにもならぬと思う。だんだん畜産化していって、高度な農業経営化していくということが将来の日本の方向でなければならない。そういう面から見れば、単に農林省が、どうも日本の畜産というのは副業的にできているから、いいかげんでよろしい——という言葉を使うと怒られるかもしれませんが、適当にあしらっておけばよろしいんだというものの考え方では、私は農民は助からぬと思う。だから私は農林大臣に聞いておきたいのだが、その辺の関係は一体、日本の農業経営というものはどっちの方向へ向けていくつもりなのか、今までのような米麦中心主義で、そして植物的な蛋白と脂肪だけで日本の人口が養えるものか、あるいは動物的の蛋白と脂肪でなければ日本の将来の人口が養えないものか、これはどっちに移行するのかということ、この根底をなすものとして農業をどう推進するかということがその次に出てこなければならぬ。片方では人間がどんどんふえてきて、米麦を中心とした蛋白質と脂肪だけではどうも工合が悪い。やはり量の少なくて済む動物の蛋白と脂肪に依存した方がいいのだということになれば、農村の形をそういうふうに変えなければならぬでしょう。だから副業だということでなくて、日本の将来の農村の方向というものは、もう少し深刻なものがこの際私はあると思うのですよ。個々の農産物をずっと伸ばしていくことも必要です。農村の経営は、よく一つ大臣は考えてもらいたいと思うのです。ミチューリン農法というものが一つありますね。これもずっと前にソ連から持ってきていろいろやりました。しかしミチューリン農法についても議論はあります。議論は別にして、私は神奈川県に一応これを導入した責任者なんです。ところがその後の状態を聞いても、農村がどういう姿になっているかというと、なるほど作ればいい。しかしナスを五つならせるか、三つならせるか議論すると、五つならした方が損だと言う。今あなたのように、作れ、作れと言ってみたって、作って損をしている。それならそんなにやかましいことを言いなさんなということが偽らざる議論なんです。ここ二、三年ミチューリン会に出てみると、そういう議論を百姓は盛んにやっている。豊作貧乏ということが必ずついてくる。そういうことをなくしていくためには、農村というものは、かなり計画性を持たなければ、日本農村はやっていけない。昔のような粗放農業だけではやっていけない。農家というものが高度化していくためには、畜産というものが非常に大きな問題になってくる。それについてのものの考え方が、今の御答弁のようなことでは、副業だから適当でいいのだということでは、私は承知ができない。だからさっきからくどく申し上げておりますように、ことに牛乳だけで申し上げてもよろしいのですが、まん中のマージンだけがあんなに高くなければならないかということ、そうして買う者が高いものを買って、農村が困っておるという実態で一体よろしいかということです。それに対する農林省の基本的なものの考え方を大臣から聞かせておいていただきたいと思います。
○安田政府委員 現在の畜産の実情をどう見ておるかという御質問だと思いましたので、非常に生産性の高い、機能の高い今後の農業を畜産がどう変えていくか、畜産自身でどう発展していくかという面がたくさんありまして、その方向をますます伸ばさせていくものだと思いますが、申し上げましたのは、大半の畜産の状況はどうかを御説明したのでありまして、なお今後農業上畜産はいかにあるべきか、畜産はまたどうあるべきか、それは日本の農家ではどうだ、生産者から消費者までのあり方、販売から農家までの利益の分け方については、門司委員と全く同じ意見でありまして……。
○門司分科員 同じ意見だからどうすればいいのですか。
○福田国務大臣 お話しのように、日本の農家は零細な農業基盤である。この零細農業基盤を、あるいは草地を開拓するとか、干拓あるいは開拓、あるいは海外移住というようなことを拡大する努力もしなければならないけれども、同時にそういう零細な土地における生産を高めていくようにする。しかもこれは単なる量的生産ということでなくて、生産性ということですが、よって生ずる所得効率というものが高くなるように、こういう考え方をとらなければならぬと思います。それで、農作物につきましては、これは所得、需要という面で非常にむずかしい問題があるわけです。これは大へんもうかるといって作ると、これが豊作貧乏ということで値段が下がるというようなことにもなりがちなことで、非常にこの点に悩みがあるわけでございまするが、しかし酪農という点に関しますると、私はこれは若い産業でありますだけに、最も前途のある産業であるというふうに考えておるわけです。今畜産局長からもお話がありましたようでありますが、農林省といたしましては、今後の若い未開発産業というような意味合いをもちまして、酪農につきましては、これは特に重点を置いて取り組んでいきたいというふうに考えております。 具体的な御指摘がありました中間マージンですが、この問題につきましては全く同様の感じを持っておるわけであります。特に小売段階におきまして非常にマージンが多くかかっておるという事態は、何とかこれを克服しなければならぬというふうに考えております。私も数年前から十円牛乳ということを提唱しておるものでありまして、石川島重工の労務者に対しまして、今十円で牛乳を出しておる、これは生産者と直結をする仕組みでやっております。私もそれをお勧めいたしまして、そういうことを試験的に、社長の協力を得てやってもらったわけでございますが、そういう中間マージンを何とかして節約していくという方向につきましては、私どももあらゆる努力をいたしまして、さようなことが実現するようにいたしたいと思います。
○綱島主査 山本勝市君。
○山本(勝)分科員 もう時間もだいぶたちましたので十分だけ。——先ほど大臣が個人的に幾らでも話すから、こういう席では質問するなということでありましたが、大臣になって偉くなるとなかなかつかまえるわけにいきませんし、ことに各局の局長連中がおるところで大臣のお耳に入れておきたい、こういう意味で同じ党内でまことに水くさいようですけれども、実は立ったわけであります。 私が申し上げたいことは一つだけある。それは、農林省の農政を見ましても、あるいは各委員会での質問を見ましても、全部欠けておる点がある。それは、農林行政において目に見えない要素というものを問題にしないで、目に見える、数字で表わせるような量的なものばかりを扱っておるということに対する一つの警告であります。われわれは農民を保護せねばならぬ。日本の人口の中でできるだけ農民の数を減らしたくないというのは、ただ農民が食糧を作ってくれるからとか、あるいは農民の所得がどれだけあるからというようなことでなくて、やはりほんとうに農民らしい農民というものを保存しておきたいというところにあるのだと思います。農民らしい農民というのはどういうものかということを、農林当局、大臣初め局の人に研究していただきたい。それで今門司君の質問にもありましたけれども、たとえば終戦後に千数百万という人間が二、三年の間に海外から引き揚げてきた。これが何らの社会的不安もなしに、ともかくも吸収し得たということは、日本の農村が、農民がこれだけおったからだ、これが大きな理由だと思う。もし農民諸君が量的に数字ばかり考えて収入と支出をきちっと帳面に控えて、自分の所得がどれだけふえた、どれだけ財産がふえたというようなことを事こまかく計算しておるような農民諸君であったとしたら、この千数百万の同胞を平穏裏に吸収はできなかったというように考える。つまり目に見えない農民の一つの要素、疲れて帰ってきたのだから何はなくとも一緒に寝て、一緒に食べていこうというので、ショウチュウでも買ってきて迎えた、そういうところに私は農民のよさというものがあるのじゃないかと思う。そういうものを失わぬようにすることが——所得を、ふやすということも大切です。しかし、所得は三倍になりましても、かりに日本の農民がだんだん数が減ってきて、そしていわゆる賃雇い労働者あるいはサラリーマン、月給で暮らすというものの所得が、かりに三倍になりましても、喜ぶべき現象じゃない。所得がかりに少なくとも、首になる心配はない、好きなときにたばこを吸う、海外から兄弟が帰ってくれば、何がなくとも一つのふとんに寝てでもやっていこうという精神を持った農民を保存していきたいということであります。ですから、所得の格差も問題ですけれども、農民の目に見えない非物質的なる利益とはどういうものか、あるいは目に見えない非物質的な、とうとぶべき性格とはどういうものかということを考えると、たとえば農村における昔からの行事であるとか、農村生活、それが農民のそういう気質を形作っている。行事なども調べて、保存すべきものは保存していく。だから、大臣でも局長でも課長でも農村で生まれた者でなければならぬように私はむしろ考えているのであります。目に見えるものは、大学で勉強すれば数字などはすぐわかります。本を読めば農民政策というものはわかります。しかし、ほんとうに目に見えない農民の精神というようなものは、母親の乳ぶさと一緒に吸い込まなければわからない。中年から幾ら勉強したってわからないものだろうと思うのです。だから、そういう目に見えないものに大きな重点を置いて、目に見えるものと少なくとも同格、それ以上の価値を置いて今後の農民を考えていくときに、ただ税金とか所得とかなんとか、そういう数量的なことばかりでやっていかぬように、また国会の審議もどうも数量的なことで、今の畜産局長の言われた、実際は計算をしないで豚を飼う。損しても得しても最後まで飼うというような農民であればこそ、自分の兄弟が帰ってきたら、何が何でも迎えたのです。これがそろばんをおいておったら、一人弟が帰ってきた、すぐあすにどれだけ響くということになって、細君は、うちへ入れるのはやめましょう、こうくるのです。その計算を離れてやっていく農民のよさというものが失われぬような農政でなければ、所得は幾らふえても何にもならない。本人にとってはふしあわせです。私は、農村でなぜ農村の娘が農家の嫁に来たがらぬのかという質問をよく受けまして、それは親や兄さんが、百姓はつまらぬ、百姓はつまらぬという話を聞かすからだ、政治家もみんな百姓はつまらぬと所得の少ないことばかり聞かすものだから、本人は錯覚を持って百姓ほどつまらぬものはないと思う。自分の仕事をつまらぬと思って仕事する者が、幸福になる気づかいはありません。百姓は所得が少ない場合でも、空気もいいし太陽の光もいいし、これは大切なものであります。それから夫婦共かせぎで子供をそばに置いて仕事ができる。そして首になる心配は一切なくて、好きなときにたばこが吸えるんだ、こういうことを両方まぜて、なるほどそういえば自分たちはつまらぬものじゃないから自信を持ってやっていこう、その上に所得もわずかずつでもできる限りふやしていこう、こういうふうにやってもらわぬと、物質的な数字ばかり言いますと、いよいよ百姓に自信を失わせる。そうして寄るとさわると都会の連中の所得と比べてみては不平不満、そうして自分はつまらぬと思ってしまう。自分の職業をつまらぬなというふうな考えの農民を作り上げていったら、これは大へんな事態になると思う。このことを一つお願い申しまして、局長連中も一つ農林省の中に、農民の目に見えない利益、あるいはたっとぶべき、保存すべき性格、あるいは農村の行事、そういうものは何かを考える。合理的な経済ばかり考えてはだめなんです。ほんとうに経済的だけいうなら、お母さんが内職でもしてもうけて、子供には十円玉を渡して、お菓子やだんご買うてこさした方がいい。ところが、お母さんが子供と一緒にヨモギをつんできて、そうしてお彼岸に草もちを食わした。その草もちは、味は店で買うたのよりもまずいかもしれない。経済的には内職してもうけて、十円で買わせた方が得かもしれぬが、そうじゃない。むだでも、お母さんがだんごを作って食わせたことが、その子供の将来にとっては、どんな一流の菓子屋のだんごよりも価値があるのだということ。つまり経済の数字以上のものを一つ大いに着目してもらいたいということをお願いして、大体十分たちましたから終わります。
○綱島主査 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より農林関係予算の質疑を続行いたします。 午後五時二十一分散会