予算委員会 第19号
- 発言数
- 18 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/03/03
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 井手以誠君外十三名、並びに今澄勇君外三名より、それぞれ昭和三十五年度一般会計予算、昭和三十五年度特別会計予算及び昭和三十五年度政府関係機関予算の編成替えを求めるの動議が提出されております。 —————————————
○小川委員長 この際、順次その趣旨説明を求めます。北山愛郎君。
○北山委員 私は、日本社会党を代表して、昭和三十五年度予算案に対するわが党の組みかえ要求動議について、その趣旨及び内容の概要を説明いたすものであります。昭和三十五年度政府予算案は、一言にしていえば、軍備拡張と大資本擁護の予算でありまして、軍縮を目ざす内外情勢に逆行し、勤労国民大衆の要望にそむくものと言わなければなりません。すでに保守党内閣は歴代にわたりまして憲法に違反する再軍備を進めて参りましたが、岸内閣はさらに今回安保条約を改定して、その中に防衛力増強の義務を明らかにし、従って、昭和三十五年度一般会計の自衛隊費は百二十五億円の増強となるほか、三十六年度以降においてロッキード戦闘機購入費七百億を初めとして、約千億に達するところの国庫債務負担行為を提案しておるのであります。これこそは国民の血税を、役に立たない、しかも危険きわまる軍事費に費消するものでありまして、われわれは断じてこれを認めることはできないのであります。さらに本予算案の重要な問題は、相変わらずの大資本、大企業擁護の性格であります。歴代の内閣は資本蓄積と言い、あるいはまた生産力の増強と称して、大企業や大金持ちの利益偏重の財政経済政策をとって参りました。その結果、社会の中で強い者、あるいは富める者は税法上の恩典を与えられ、安い金利の資金を供給され、独占価格によって膨大な利潤を得て、肥え太って参りました。その反面では、産業活動の大事な生産面を受け持っているところの労働者は、低賃金と失業に苦しみ、中小企業と農林漁業は、税金と借金地獄の中で呻吟いたしておるのであります。経済が成長し、その規模が拡大すればするほど、産業間の格差、所得賃金の格差、あるいは地域経済の不均衡、貧富と生活の差等が拡大して参りますことは、政府の出しております経済白書あるいは厚生白書などの資料の認めるところでありまして、何人も否定することのできない事実であります。政府の予算案は、この国民各階層の格差を縮め、二重構造を是正するためには、見るべき何らの施策を持たないことはきわめて遺憾に思う次第であります。この政策を続けるならば、十年にして金持ち階級の財産は五倍にも十倍にもなるでありましょうが、勤労大衆にとっては、所得倍増どころか、借金倍増となることは必至であります。しかも毎年大幅にふえるものは、軍事費あるいは警察費、公安調査庁などの思想スパイ活動費、検察や刑務所の経費、税金徴収のための徴税費、そういうものが数千億にも達するのでありまして、これこそは福祉国家ではなくて、軍事警察国家への道を示すものと言わなければならぬのであります。われわれは、このような政府予算案は、断じて国民の平和と幸福のためのものではないと信じます。従いまして、日本社会党は、党の基本政策に基づいて、政府案組みかえの大綱を示しつつ、この編成がえを要求し、この予算の改革を通じて、日本の内外政策をして平和と独立と国民生活安定、福祉の方向へ根本的に転換することを求めんとするものであります。従いまして、われわれの基本目標は第一に、平和憲法の精神や国連軍縮決議の趣旨に基づいて、自衛隊を縮減して、平和国土建設隊と民主的な警備組織に改編すること。第二に、国土の、平和的改造と開発によりまして、天然の災害を克服し、産業の地域的な不均衡を是正し、国民の幸福のための経済基盤を整備することであります。第三には、国民各階層間の所得や税負担の不公平を改め、特に低所得階層の生活水準を引き上げ、社会保障と社会福祉の拡充をはかることであります。第四には、農林漁業、中小企業の大資本に対抗する力を強め、いわゆる二重構造を改めることであります。第五点は、経済文化の長期的発展の前提として、文教と科学技術の拡充向上をはかることであります。以上がわれわれの基本目標でありますが、なおこの際、公務員の給与ベース及び昭和三十五年産米の生産者価格につきましては、現在公務員の組合、農民団体が政府にそれぞれ要求を提出し、交渉中でありますので、われわれはこの正当な要求を支持しますとともに、政府はその要求を尊重して、正当な順序を経て決定されるところの給与べースあるいは米価によって所要の補正予算を行なうことを要求するものであります。次に、一般会計の歳出歳入の項目につきまして、その要点を説明いたします。歳入中の租税については、所得不均衡是正の建前から、生計費には課税をしないという原則に基づいて、各種控除の増加によって、年収三十七万円まで免除最低限を引き上げることといたしまして、特に妻の扶養控除、現行は七万円となっておりますが、これを配偶者控除十万円というふうに改めまして、男女の差等をつけないことといたしておるのであります。また寡婦、身体障害者、学生、老年者の控除の引き上げ、それとともに農家や中小企業につきましては、白色申告の場合でも、家族専従者の労賃分を十万円の控除として認めることを要望するものであります。その他、退職所得控除の引き上げ、また国民大衆の生活必需物資並びに中小零細企業の生産いたします商品に対する物品税の廃止を行なうと同時に、特に中小企業近代化促進のためには、その償却資産の耐用年数を約三割短縮を行なうことによりまして、中小企業設備近代化の促進を要求いたすものであります。以上によりまして、減税分は約七百八十億円と見込まれますが、一方増収分としては、百万円以上の高額所得者に対する累進率を高め、法人税につきましても、五百万円以上の所得につきましては、その税率を四〇%、以下三段階において、法人税につきましても累進税の方法を取り入れることといたしております。同時に、問題の租税特別措置につきましては、そのうち約六百三十億円相当の利子所得分あるいは配当所得、各種準備金などの分につきまして減免税を取りやめることといたしておるのであります。そのほか交際費課税特例の強化あるいは過当な広告費に対する課税、並びに一千万円以上の資産家に対しましては千分の二の富裕税を取ること等によりまして、増収分は大体千百三十億円と見込まれるのであります。さきの減税分を差し引きまして三百五十億円の増収は、これを社会保障費を中心とする歳出の財源に充当するものであります。次に歳出につきましては、まず削減すべきものは、防衛関係費におきまして約八百五十億円、同時に先ほど申し上げたような防衛関係の国庫債務負担行為、これは全廃といたしたいのであります。なお国防会議公安調査庁、憲法調査会費等の削減、並びに旧軍人恩給は一千億円以上に達しておりますので、階級差を是正すると同時に、受給者の余命率等を参酌いたしまして、これを交付公債に切りかえ、打ち切り補償を行なって、一部の低所得者に対しては公債の現金化を認めて、恩給費を節減することといたしておるのであります。公共事業費につきましては、その資金の運用効率につきまして相当問題があるのでありますから、工事請負や入札方法などの規制、合理化を行ない、同時に平和国土建設隊の活用などによりまして、事業の量を減らすことなく、資金効率を高めることによって、約一割の削減を行ない、その他造船利子補給を取りやめ、これらの減額分は約千六百四十億と見込まれるのであります。このようにして、この削減分を社会保障、農林漁業、中小企業施設等に活用せんとするものであります。歳出の増加分の中心は、一千億以上の社会保障関係費であります。まず、生活保護基準を大幅に引き上げ、国民年金の増額を行ない、失対の賃金については、一日八十円の引き上げと同時に、就労日数現在二十一・五日を三十五日に増加をし、失業保険につきましても、給付期限平均六カ月を九カ月に延長し、国民健康保険の補助率は二割から三割、日雇健康保険の補助率は三割から五割にそれぞれ引き上げることといたしておるのであります。また、結核対策につきましても、命令入所対象人員を大幅にふやし、児童保護につきましては、保育所のおやつ代は五円に引き上げ、その他原爆障害対策及び精神薄弱者の援護費等それぞれ所要の増額をすることといたしました。その他勤労者住宅につきましては第一種及び第二種の公営住宅など三万八千戸の新設、改築の経費を計上いたしております。同時に、部落対策費は各省にまたがるものでありますが、約総額四十五億円の見込みになっておるのであります。社会保障関係の政府原案に対しまして約千二十五億円の増額を要求するものであります。次に、農林水産関係には約二百億円の増額となっておりますが、これによりまして社会党が主張しております農業サービス・センターを百カ所設けまして、これに農業機械を置き、技術の指導あるいは経営指導まで行なって各種のサービスを拡充せんとするものであります。問題の農業保険費につきましては、約九十五億円を増加し、事務人件費、いわゆる賦課金は全額国庫負担に移し、農民の掛金負担を軽減すること、また同時に、農林漁業金融公庫に対して十億円の利子補給のための出資を見込んでおるのであります。こういうことによりまして、農業経営の近代化と農業災害補償の合理化をはかることといたしておるのであります。また、水産関係におきましては、沿岸増殖事業の補助費の補助率の引き上げ、社会党がすでに昨年来提案しております水産業改良助長法に基づく経費、魚価安定対策などに総額五十五億円の増額を見込んでおるのであります。これとともに農林金融関係におきましても、農林中金あるいは信連の資金は、本来は農民の預金でありながら、近年非農林業に運用される傾向が非常に強くなって参りました。そこで、今回農林中金から二百億円程度を吸い上げて、これを農林漁業公庫の資金として、利子補給を加えて長期低利の農業改良資金として農村に還元することを要求しておるのであります。中小企業対策費としては約百億でありますが、これをもって総合サービス・センターの設置、施設近代化の助成、勤労性事業共同施設補助並びに国民金融公庫へは五十億円の出資によりまして、利子の低い資金の供給をはかっておるのであります。中小企業対策としては、その他税制面において、地方税等におきましても、個人事業税の基礎控除を二十万円から三十万円に引き上げ、また、財政投融資におきましても、中小企業金融公庫五十億、商工中金百億、国民金融公庫に百億、合計二百五十億などの増加によりまして、低利資金を増ワクすること等、まだまだ不十分ではございますけれども、中小企業対策の拡充を考えておるのであります。次に、文教関係費の増額の分は二百三十四億円に達するのでありますが、これによりまして義務教育教員の増員を政府案よりも一万人ふやし、また、教材費においては四十億円、学校施設の整備につきましても五カ年計画の第二年次の分を計上し、国立大学及び国立学校の研究、運営費等につきましても五十億円、科学技術教育振興あるいは私学振興費もそれぞれ増額をするほかに、準要保護児童対策費、育英事業費及び社会教育等それぞれ充実をはかっておるのであります。科学技術振興としましては、各省所管の国立試験研究施設整備などに三十億円の増額を要望いたすものであります。問題の石炭対策費としては、石炭鉱業安定対策と労務者対策費として約百二億円の増額を見込んでおりますが、これによりまして石炭鉱業の開発、石炭需給安定費並びに離職者の就労対策費を充実せんとするものであります。次に、地方財政につきましては、わが党の国、地方税の改正案によって若干の増収になりますが、地域差がはなはだしいので、地方交付税交付金の率を二八・五%から三〇%に引き上げることによりまして、政府案に対しさらに二百七十六億円の増額とし、地域的な不均衡の是正をはかることといたしたのであります。以上、歳入歳出の組みかたの結果、予算規模は政府案に対して約三百五十億円の増加となるのであります。なお、財政投融資の計画は、その大資本中心の運用を改め、これを地域、産業、階層間の不公平あるいは不均衡を是正し、雇用を拡大するように大幅の転換を要求いたします。元来財政投融資の原資は、郵便貯金、簡易保険、厚生年金など勤労国民の零細な貯金が大部分であります。これを基幹産業が、大産業が市中金融機関の資金をふんだんに使い、その上に国民の零細な貯金まで横取りをするということは許されないところであると思います。従いまして、われわれは、開発銀行、電源開発会社、輸出入銀行に対する資金運用部資金のワクを二百五十億円削減し、これを農林漁業、中小企業金融に振り向け、その補てんは生命保険や損害保険に集中する資金を活用してこれを補てんすべきことを主張いたします。これによりまして財政投融資のワクは六千四百九十一億円となるのであります。以上がわが党組みかえ要求の概要でありますが、われわれは、決して不可能なことを求めるものではありません。内外の情勢と国民生活の実態に即して、健全な良識に立って責任ある政治を考えるときに、何人といえどもわが党の組替案に示されると同じような結論に達することを確信するものであります。各位の御賛成を期待しつつ、社会党の動議の趣旨説明を終わる次第であります。(拍手)
○小川委員長 廣瀬勝邦君。
○廣瀬(勝)委員 私は、民主社会党を代表して、明年度予算政府三案に対して、手元にお配りした通り組みかえの動議を提案するものであります。わが党の組みかえの趣旨の詳細につきましては、別紙資料を御参照願いまして、ここではわが党組みかえ動議の要点を御説明申し上げます。まず最初に、わが党の組替案を作る前提として、政府予算案が内包する問題点につき、わが党の見解を明らかにしておきたいと存じます。第一に、政府は一般会計予算において二千百億円という大幅な租税自然増を見積もりながら、今回は一切減税を行なっておりません。しかも歳出増加は公共事業費と防衛庁費に全力を集中しており、国民生活の安定については、何ら見るべき新施策を実施していないのであります。また財政の運用面を見ましても、防衛庁費においては、国庫債務負担行為を千億円近く計上し、治山治水関係につきましては、財政法上も大いに異論のある、特定財源も特定歳入もない特別会計を新設するなど、制度の乱用、制度の悪用の限りを尽くしておるのであります。第二に、今後の財政の見通しについて見ますならば、本年度はすでに三回の補正予算の編成を行なって、三十六年度に繰り越す余裕金は全く枯渇しており、防衛関係費には防衛分担金百十億円のワクがなくなる関係上、今後の増額は歳入の自然増に食い込まざるを得ないのであります。また外債償還は、明後三十六年度には、三十五年度の八倍、二百二十億円の増となり、国民年金の支払いは平年度化五十億円の増、拠出金面でも二百億円の増となるのであります。このほか国民皆保険、治山治水費並びに人口増に見合う各施策の自然増の諸経費を合算いたしますと、明後三十六年度は、予想される歳出増のために、あるいは赤字公債発行の問題さえ起こり得るのではないかと危惧せられ、減税はおろか、社会保障関係費の増額さえできなくなる可能性があります。第三に、経済政策全体との関連について見ますならば、政府は、貿易自由化がわが国の今後の経済に課された重大問題であると、繰り返し述べているのでありますが、関係法案として提出されるのは、近く上程される輸出入取引法の改正案でありまして、これは貿易自由化に備えるという名のもとに、商社並びにメーカーに輸出入商品についてのカルテルの範囲を拡大し、アウト・サイダーに対する規制をさらに強化せんとするものであり、事実上の独禁法の全面崩壊を意味するものであります。すなわち、大企業が絶対優位に立つ経済体制の整備、これこそが岸内閣が貿易自由化に名をかりて作り上げようとしている経済政策のねらいなのであります。従って予算案につきましても、自由化の被害を直接に受ける農業、中小企業面に対する特別の対策こそが必要なのでありますが、政府予算案はこれらの点を全く無視しているところに、われわれとしては承服しがたいのであります。第四に政府案の特徴は、安保改定に伴い、自衛隊の整備と編成の強化をはかっている点にあるのであります。政府の意図しているロッキード機の採用、ミサイル兵器の採用、混成団の編成などは、いずれもわが国の自衛という立場から見るならば、むしろ有害なる存在となりかねないのであります。以上のごとき政府案に反対しまして、わが党は別紙の通り組みかえ動議を提出するものであります。わが党の組みかえ動議の特徴を一口で申し上げますならば、まず第一に、わが党が政権を担当すればこのような方針で予算を組むという趣旨でありますが、それにもまして重要なことは、自民党や岸内閣においても、国の将来を真剣に考え、国民生活の向上安定を良心的に考えるならば、今直ちにでもこの組みかえであれば、できるというきわめて現実的な組替案であるという点であります。第二に、われわれの組替案は、歳入面において空想的な減税を唱えるのではなく、現実に減税してほしい、しかもぜひ減税しなければならないという緊急性と具体性を持った減税を主張し、歳出面においては、国民の熱望している全国民の中産階級化と、世界の趨勢である貿易自由化に対処する農業、中小企業など、わが国経済体制の弱点の整備に重点を置いたということであります。第三には、防衛関係費の削減については、良識ある国民の要望を入れ、具体的な項目について予算を削減し、しかも、大きな混乱と摩擦を避けながら、自衛隊を漸減する方式を取り入れている点であります。以下、資料の組みかえ動議に基づき、わが党の意のあるところを重点的に申し述べてみたいと思います。まず一般会計歳入予算については、最近ますます著しくなっている企業格差の拡大、これが生ぜしめている国民の租税負担の不均衡の是正を強く主張いたしてあります。特に低額所得者に対しては、毎年度あらゆる努力を払って減税措置をとるべきであるとするものであります。わが党の案は、第一に大企業向けの極端なる減税の恩恵に偏し過ぎている現行の租税特別措置を現実的に改廃し、なかんずく交際費の損金不算入範囲を拡大することによりまして、四百十一億円の増徴、また、土地価格の高騰している現状にかんがみ、土地増価税を新設して四十五億円の増徴、この二つの措置によって上を押え、下を引き上げるというわが党の中産階級化の理念に立ち、不当なる超過利得に対し、合計四百五十六億円の増徴をはかろうとするものであります。一方減税措置としては、特に具体的な減税を取り上げることとし、第一に所得税の基礎控除を一万円引き上げて十万円とし、これによって百四十三億円を減税し、納税者の可処分所得水準を一万円実質増加して、それを生活費に向け得るよう措置いたしております。第二に、農業、中小企業の要望しております減税措置として、事業所得における専従者控除は、労賃相当額として一人当たり八万円を、家族専従者に白色、青色の区別なく控除し、四十億円の減税を実施するものであります。零細企業のうち年百万円以下に限り、所得三十万円までの分を二〇%控除して八十億円の減税。さらに老齢年金制度が整備されていない今日、退職所得の基礎控除を五十万円に引き上げ、かつ免税限度額を百五十万円に引き上げて十五億円を減税し、退職金の実質手取り額の増加をはからんとするものであります。また国税と地方税との調整の問題といたしまして、トン税は、港湾管理が地方自治体に移管されつつある現状にかんがみ、全額を地方税に移譲すべきであるとするものであります。このような歳入予算組みかえによって、歳入増加四百五十六億円、歳入減二百八十五億円、差引歳入規模は政府案より百七十一億円の増額をはかるものであります。一般会計歳出予算につきましては、わが党は、国民の生活と雇用の保障による全国民の中産階級化、並びに貿易自由化に対処して、生産性向上に基調を置く産業体制の整備の二点に、増額の重点を置くべきことを強く主張するものであります。すなわちまず第一に、社会保障関係費については、別紙組みかえ動議に示している通り、健康保険、国民健康保険の双方についての医療給付率を七割に引き上げ、これに必要な国庫負担額として、政府案よりも百十八穂九百万円を増額し、国民の大きな期待である老齢福祉年金については、支給年令を七十才より六十五才に引き下げ、支給金額も千円を千五百円に増額することといたしております。これは老人の定年退職と老齢年金との間のギャップを一日も早くふさいで、国民の老後の保障体制の整備を促進せんとするものでありまして、国民の大半が老後の保障については何らの安心も持ち得ない今日、せめてもの老齢者に対しての思いやりというものであります。さらに母子年金は、生別世帯にも支給し、障害年金は、二級障害もその対象にすることといたします。社会福祉、生活保護についてもそれぞれの施策の充実をはかります。このほか、義務教育関係、育英資金関係、低家賃公営住宅建設関係、失業対策事業費関係、炭鉱離職者対策関係、日雇い失業保険など、これら関係費計三百八億円の増額を実施し、生活と雇用の保障を期しておるのであります。わが党が歳出増額の第二の重点としている、貿易自由化と関連した生産性向上に基調を置く産業体制の整備については、明年度一般会計予算として、特にわれわれは、農業、沿岸漁業、中小企業、不況産業である石炭産業の四つの対象にしぼって組みかえ増額すべきことといたしております。われわれが、明年度産米について、石当たり一万一千円の生産者米価を主張する理由は、農家収入のうち主たる収入は米の供出であるという現状を認識し、現在の生産者米価の不合理を価格政策としても是正すべきであると考えるからであります。米価審議会におきましても、米の生産者価格は、農家の所得と生産費を補償する価格でなければならないと要望されております。この見地に立つならば、現在農民の労賃部分が米の生産費の中に織り込まれていないという不合理は、ぜひとも是正さるべきであり、米価において農民の自家労賃を正当に評価することは、他の農産物価格におきましても、価格が単に市場価格で左右されてしまうという現在の欠陥を是正していく足がかりとなるのであります。国民の主食である米の消費者価格は、一円でも引き下げて安くすべきでありますが、国民の四割を占める農民の自家労賃を正当に評価していく価格政策を、国は予算の面においても実現すべきであります。それが政治の責任であり、農民の経済向上をはかる現実的な第一歩なのであります。もちろん、農業政策は、単に価格政策によって現状維持の安易に流れるべきではなく、経営の近代化と合理化をはかって、農業の体質改善を目ざすべきであります。その意味で、土地改良等の農業基盤整備費、畑作振興対策費、畜産振興対策費、水産業振興対策費について、合計三十三億円の増額の措置をとることといたしております。また中小企業対策費については政府の計上額は二十五億八千万円で、歳出総額のわずかに〇・一六%にすぎません。中小企業の生産が国全体の生産の五割強を占め、家族、従業員を含めて三千万人の人口を持っている現状に対して、国の予算の比重がわずか一%にもならない矛盾をどう打開すべきか、政府は真剣に反省すべきであります。われわれは少なくとも政府計上額の倍額程度に増額するよう主張するものであります。さらに、公務員の給与改定については、単に組織労働者の要求をそのままうのみにするものではなく、その答申の当否は別として、現行人事院制度を尊重し、昨年十月一日にさかのぼって人事院の勧告を完全実施するために六十五億円計上いたしております。また政府案に新たに計上された臨時地方交付金制度については、わが党といたしましては反対の立場をとり、この三十億円を地方交付率の引き上げに恒常的に繰り入れ、現行二八・五%を二八・八%とすることを主張いたします。明年度の地方財政は、一見するところ、租税の自然増も多くなっておりますが、現在もなお多数の赤字団体が存在する事実を見のがすことはできないのであります。一般会計歳出予算組みかえの第三点は不用額の削減であります。わが党は、削減項目として、第一に防衛庁費の漸減、第二に行政事務費並びに雑件の節約を実施いたします。防衛庁費に関しましては、われわれ民主社会党といたしましては、わが国の価値ある国民的文化の伝統を維持し、外国の侵略から国民協同社会の安全を守ることは国民の当然の務めであり、完全なる世界軍縮協定が成立するまでは、みずから国を守るために、最小限の措置を必要とするとの立場に立つものでありますが、だからといって、現行政府の新安保条約の強行による、わが国防衛のためにあらざる自衛隊の非自主的な増強計画については、承服し得ないのであります。よって、政府案に計上された一切の新規増額並びにこれに伴う継続費と国庫債務負担行為の中止、陸海空自衛隊の五カ年にわたる人員と装備の漸減を主張するものであります。明年度予算としましては、さしあたり、陸上自衛隊は千五百人の増勢中止、新規補充二万人の中止、予備自衛官二千人の増員中止、海上自衛隊、航空自衛隊についても、新規増勢と新規補充の中止を行ない、これらによって防衛庁費三百七十億円の減額をはかります。このほか、雑件の節約百五十億円を加え、一般会計歳出予算は合計五百二十億円を削減し、これに歳入規模を政府案より増額した百七十一億円を合算して、計六百九十一億円をもって歳出増額組みかえ分をまかなわんとするものであります。次に財政投融資計画につきましては、原資の配分を、財政は国民に平均して還元するという原則に立って行ない、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫、中小企業信用公庫に対して、合計四百億円の融資分を増額し、この原資は、開発銀行、電源開発、輸出入銀行の四百億円を減額して振りかえ、その補てんは主として民間資金の活用によってまかなうことといたしております。最後に申し上げたい点は、わが党は、政府予算に対する組みかえを、その実現性を無視した、単に自党の政策の網羅と宣伝のアッピールとは考えていないのであります。組替案は、特定の年度、すなわち今回は昭和三十五年度予算に対する組替案なのでありまして、組みかえられた予算が直ちに行政府によっても執行可能でなければ、この組替案は実施可能とは言えないのであります。従って、わが党の組替案は、わが党の掲げる基本政策を目ざしての第一年度の財政計画を意味し、これは直ちに岸内閣においても実施可能な現実性と合理性を持っておるのであります。その点、組みかえというよりも、むしろ政府案修正を目ざすものであることを特に御銘記いただきたいのであります。何とぞ、わが党案の真意を御理解の上、御同調あらんことを望んでやみません。以上をもって組みかえ動議の趣旨説明といたします。(拍手)
○小川委員長 これにて編成替えを求めるの動議の趣旨説明は終わりました。 —————————————
○小川委員長 これより井手以誠君外十三名提出並びに今澄勇君外三名提出の編成替えを求めるの動議及び原案を一括して討論に付します。八木一郎君。
○八木(一郎)委員 私は自由民主党を代表いたしまして、昭和三十五年度一般会計予算外二案について、政府提出の原案に対し賛成の意見を申し述べたいと存じます。わが国経済最近の動向は、一昨年秋ごろからの景気回復のあとを受けて、順調に展開して参ったのでございますが、さらに今日の状況は、設備投資、在庫投資ともに著しく旺盛であり、近代的工業化の速度も特に目ざましく、欧米各国に比べてもきわめて高い成長率を持続いたしているのであります。すなわち、設備投資は三十四年度の一兆七千九百億円から二兆円と、約一二%の上昇が見込まれ、在庫投資は、三十四年度の急上昇のあとを受けて、ほぼ横ばいの六千億円、輸出は予想以上の伸びで、アメリカへの輸出を中心に、通関ベースで、前年度に比し約二五%の大幅増加を示したのでありまして、三十五年度も、約一一%の増加となる見通しであります。すなわち、昭和三十五年度のわが国の国際収支は、貿易において輸入三十六億一千万ドル、輸出三十七億ドルが見込まれ、これに貿易外収支を考慮いたしますならば、実質において一億五千万ドルの黒字が予想されるのでありまして、二十四年度における予想外の黒字に引き続く好調が期待され、また物価はほぼ横ばいに推移するものと予想されるものでありまして、昭和三十五年度の国民総生産の見通しは十二兆七千四百八十億円、三十四年度に比較して実質六・六%の経済成長が予想されるのであります。鉱工業生産もまた三十四年度に比較して約一二%の上昇が見込まれるのでありまして、現下わが国経済発展の趨勢は、国際的にも驚異の目をもって高く評価されているところでありますが、これは国際経済の好況もさることながら、これまで一貫したわが党並びに政府の堅実な諸般の政策推進と、国民各位の理解ある協力と努力のたまものであると信ずるものでありまして、まことに御同慶にたえないところでございます。一方最近における世界の経済及び貿易の情勢は、依然好調であって、拡大成長の気配がうかがえるのでありますが、西欧諸国においては、一昨年末実施した貿易・為替の自由化が急速度の成功をおさめているという事実にかんがみ、わが国も昨年三月以来自由化措置のスケジュールを作り、内外の要請にこたえようとしておるのでありますが、この際政府は各般の情勢を勘案し、特に中小企業あるいは農業等に与える影響をも十分考慮して、遺憾なきを期せられんことを希望するものであります。昭和三十五年度の政府予算は、このような内外経済の諸情勢を背景として、わが党が昨年十月決定いたしました国民所得倍増の基本構想に基づいて、今後長期にわたり所得の増大を期するに必要な基礎的条件を整備しつつ、健全財政を堅持して、財政面から景気に刺戟を与えることなく、通貨価値の維持と国際収支の安定、経済の安定的成長と体質改善をはかるということを基本といたしまして編成されたものでありますから、これがために一般会計における公債の発行を行なうことなく、すべて租税等二千百五十三億円に上る自然増収その他普通歳入をもってまかなわれた点から、健全、中立を旨とした均衡予算であると申すことが私はできると思うのであります。 以下私は予算の内容について申し述べてみたいと存じますが、その前に、まずこの予算が国家、国民の将来を左右する政策の根幹となるとの立場から、これが編成の途上、政府与党内において真剣な努力と熱心な論議を尽くした経緯にかんがみ、大きく言いまして、この予算は昨年の参議院選挙に際し、わが自由民主党が国民に公約した重点政策と、災害克服、国土保全対策とを忠実に盛り込んだものであるとの見地から、私は心からなる賛意を表したいと思うのであります。 昭和三十五年度本予算は、一般会計において歳入歳出ともに一兆五千六百九十六億円でありまして、三十四年度当初予算に比較して千五百四億円、第二次補正後の改定予算に比較して七百十五億円の増加でございます。 また予算とともに重要な意義を有する財政投融資の総額は五千九百四十一億円でございまして、三十四年度の当初計画に比較すれば七百四十三億円、改定計画に比べ三百十五億円の増加となっているのでありまして、一見その規模においていずれもかなり大幅の増額に見えるのでございますが、この一般会計予算規模を国民所得と対比するときには、三十三年度一五・八%、三十四年度当初予算は一五・九%、第二次補正後も国民所得の増加により一五・五%となっているのに比べまして、三十五年度は一五%でありまして、国民所得の増大に合致した適正規模であり、景気に対しても中立的予算であると申すことができるのであります。 また財政投融資計画につきましても、通常の原資のほか、適正規模による民間資金の活用と相待って、公共投資を初め、生活環境の整備、所得格差の是正等を基本として、重点的に資金の供給をはかった点、現下のわが国経済の実情に即した適度の投融資計画であるということができると思うのであります。 次に、私はこの予算に含まれる各般の施策につきまして申し述べてみたいと思います。 まず第一に、災害復旧と抜本的国土保全対策についてでございますが、三十五年度は総額二千八百九十億円、前年度に比べて三百四十九億円増の公共事業関係費のうち、過年度災害をも含めて公共土木施設等の災害復旧に総額五百八十一億円を計上して、三十二年度災を一〇〇%、三十三年度災を八五%、三十四年度災を六五%復旧することとし、また伊勢湾台風の激甚な被害に顧み、伊勢湾高潮対策事業として大規模な海岸堤防工事等を取り上げ、三十四年度に引き続き七十四億円増の百三十五億円を計上して今後に対処することになりましたことは、被害を受けました関係者として深くこれを多とするものでございます。 さらに、国土保全対策としての治山治水事業は、最重点施策として画期的な特色を持つものでありまして、三十五年度を初年度として治水関係において九千二百億円、治山関係において一千三百億円合計一兆五百億円をもって十カ年計画とし、前期五カ年で四千五百五十億円、後期五千九百五十億円を策定、三十五年度は初年度として治水五百八十億円の事業量を確保し、対前年度三二%増、治六十七億円の事業量で、前年に比べて三五%増を確保するに至りましたことは、この事業を特別会計の事業とし、財源の裏づけを確実にすることといたしましたこととともに飛躍的な前進であって、毎年災害に悩まされておりますわが国といたしまして当然のこととはいえ、ひとしお安定感を深めた次第でありまして、欣快に存ずるところでございます。 第二は、国民所得倍増の基礎的諸条件を整え、国民経済の体質改善をはかるための財政措置を講ずることでありまして、特に道路、港湾、交通、通信等の施設の整備及び用水の確保、その他産業基盤の整備について具体的にきめておる点であります。 今これらの点を予算面から見てみますと、道路につきましては、三十五年度は五カ年計画の第三年目に当たるのでございますが、その主たる財源であります揮発油税の大幅な伸びなどによりまして、道路整備特別会計の予算は、一般会計から受け入れる九百八十八億円を含めて一千七十二億円となり、対前年度七十九億円増で、その進度はほぼ五カ年計画のべースに乗っており、港湾については、特定港湾特別会計において一般会計からの受け入れ四十二億円を含めて九十五億円で、対前年度十七億円増、このほか一般会計の公共事業におきましても、対前年度約十九億円増の百四十四億円をもって、経済基盤の強化がはかられております。 次に、国鉄につきましては、その建設投資の規模を前年度より百三十七億円増加して一千二百五十二億円とし、特に東海道新幹線に二百七億円を充てて、工事の本格的促進を企図しておりますほか、既設線についても新線輸送と車両の増備に重点を置き、また最近における電話利用の増加及び整備計画遂行のため、電電公社建設投資の規模を大幅に拡大し、前年度より四百三十五億月増の一千二百八十五億円としたほか、二千万ドルの外債を発行することと合わせて四十万個の電話架設を予定していますが、これらはいずれもわが国の産業基盤の拡大強化及び経済の体質改善上の必要な措置が講ぜられているのでありまして、適正妥当なものして私は深く賛意を表するものであります。 次に強調いたしたいことは社会保障関係の諸施策についてでございます。 福祉国家の建設ということは、わが党並びに政府の終始変わらざる重要政策の中心をなすものでありまして、過去数年にわたり民生の安定向上と雇用の増大、福祉年金制度の充実、国民皆保険の普及促進等、いずれも強力に推進しておりますことは、国民周知の通りでございます。 三十五年度の社会保障関係費は一千八百十六億円でありまして、前年度より二百七十六億円の増加でございます。一般会計予算の総額に占める割合は一一・五七%であって、野党の諸君からよく言われます防衛関係費と比較いたしましても、防衛関係費の一般会計予算総額に占める比率九八%に対し、社会保障関係費は比率において約一・八%、金額において二百七十一億円多いことになっているのであります。 さらに広い意味での社会保障関係費でありますところの恩給関係費一千三百億円を加えますと、合計は三千百十六億円に達し、一般会計に占める割合は約二〇%となるのでございまして、三十五年度予算は、社会保障を最重要視した予算であると思うのであります。大幅増額のおもなものは、国民年金費二百八十九億円、対前年比百七十九億円増でありまして、三十五年度の年金給付対象人員は二百五十四万人とされ、本年三月から十二月までの十カ月分が予算に計上され、いよいよ無拠出国民年金制度は軌道に乗るのでありますが、本制度充実の一歩前進ともいうべき保険料徴収による拠出年金は三十六年度四月から実施となりますので、本予算ではその事務準備費四十一億円が計上されております。 生活保護費、児童保護費などにつきましても、加算制度の改正、生活扶助基準の引き上げ、保育園児童の間食費の新規計上、施設職員の期末、勤勉手当の増額など、末端に血の通うそれぞれの改善を行ない、また国民皆保険は三十五年度いよいよこれが達成の最終年度に当たりますので、被保険者の増加を約六百十八万九千人と見込み、三十五年度末における被保険者の総数は四千八百十一万二千人に達するという目途のもとに、社会保険費は前年度に比して五十億円増の三百六十億円が計上されております。 さらに加えて、多年の懸案でありました医療金融公庫の創設が認められたことは、国民皆保険の協力者である私的医療機関の施設改善に大いに役立つものと思うのであります。 私は、特にこの際農林漁業関係並びに中小企業関係予算について簡単に触れてみたいと思います。 まず農林漁業政策については、根本的検討を加え、新たに基本政策を確立する必要を認め、党においても政府においても権威ある調査会を設けてその研究を進めているのでありますが、三十五年度予算においては大幅な拡充をはかり、一千三百十九億円を計上しまして、福田農林大臣が自負する通り、相当充実した予算規模になっておるのでございまして、前年度の当初予算一千六十三億円に比し、二百五十六億円、二四%の増加を示し、一般会計予算総額に占められる比率も前年度の七・五%に対し八・四%となり、従来の食糧増産対策費を農業基盤整備費に改め、予算額も前年より五十二億円増額して三百九十億円を計上し、また財政投融資の面におきましても、農林漁業金融公庫において前年度より四十三億円と大幅に増額し、三百二十八億円が予定されているのでございまして、これらの予算並びに資金をもって、農業の生産性の向上、農山漁村の環境整備、農村の二、三男対策に対しまして、積極的に取り組む熱意を示され、他面新規に営農改善対策、耕種改良対策、流通対策、技術刷新対策、畜産振興対策、果樹振興対策、麦の合理化対策等、各般の施策を充実推進しようとする新農政の芽ばえに努められております点に対しまして、私は満腔の賛意を表するものであります。 次に、中小企業関係の予算につきましては、設備近代化補助費並びに退職者共済制度等の助成を強化し、一般会計において前年度より十億円を増額して二十五億円計上しておりますこと、並びに財政投融資におきまして、国民金融公庫、中小企業金融公庫などの政府関係機関に対し、新規資金をそれぞれ二百九十億円、三百十五億円投入し、三十五年度の貸付ワクをそれぞれ一千四十億円、七百十五億円と予定し、前年度当初貸付計画に対し、合わせて二百億円と大幅に拡大しておりますことは、これを多とするものでありますが、他方、来たるべき貿易・為替の自由化による中小企業への影響等を考えまするとき、政府は、わが国の中小企業の立場を十分考慮し、理解ある施策を望んでやまないものであります。 次に、経済協力について申し上げます。三十五年度一般会計における経済協力の関係予算は、貿易振興費を含めて四十五億円であり、前年度に比し約七億円の増であります。 これはわが国の輸出貿易の一そうの拡大をはかるため、海外との経済協力及び技術協力を推進するためのものでありますが、このほか、東南アジア開発協力基金、五十億円を基金といたしました経済協力体制の発足を見るに至りましたことは、低開発地域に対する世界両陣営の経済攻勢に対処し、わが国も一役買うものとして、大きな意義を有するものと思うのであります。しかし、何分にも金額がわずか五十億円程度では、直ちに大きな期待は無理かと存じますが、何はともあれ、この発足をもとに、今後さらに資金を大幅に増額することにより、飛躍的な躍進を期待するものでございます。 地方財政につきましては、予算の編成途上にいろいろの論議が尽くされたのでございますが、三十五年度はその健全性を一そう強化する態勢のもとに、交付公債の制度を原則として廃止することになり、とりあえず特別会計分の交付公債を廃止し、さらに三十六年度からは、一般会計分も廃止が予想されておるのであります。 そもそもこの制度が発足いたしました当時には、相当の意義があったのでございますが、今日の状況を見まするに、昭和三十三年度までの交付公債の発行総額は六百六十二億円に達し、三十四年度以降毎年度百五十億円を発行して参りますと、三十九年度には、元利償還額が新規発行額を上回るという事態になりまして、政府が今回とりました地方財政健全化への措置はこの意味において時宜に適した英断で、あるとも申すことができると思うのであります。 さらに、地方財政は、地方債の画期的な増額と、地方税の自然増収見込み八百十七億円、地方交付金の増加三百七十九億円、補助金等国庫支出金の増加七百億円余等、地方譲与税の減収十七億円を差し引きましても、一千八百七十九億円の増収となることを考えますとき、今や地方財政は健全化の方向に向かって、公共事業、交通事業等、諸般の整備が行なわれようとしているのでありますが、一方、地方税制のあり方や、貧富団体間の財源調整の問題など、幾多の検討を要する困難な問題もございますので、政府はこれらの問題と真剣に取り組んで、さらに健全化確立に特段の御努力を要望しておきたいと思うのであります。 以上のほか、石炭、海運業等の不振重要産業対策、文教の刷新向上及び科学技術の振興対策、住宅及び環境衛生対策等におきましても、それぞれ前年度を相当上回る予算をもって適切な措置が講ぜられておりますが、時間の関係もございますので、詳細に述べることは省略させていただきます。 最後に、予算と表裏一体をなします財政投融資につきまして、簡単に申し述べてみたいと存じます。 申すまでもなく、財政投融資は、予算とともに一体として弾力的に運用すべきものでありまして、三十五年度の財政投融資は、さきにも触れましたごとく、わが国内外経済の実勢に即して、前年度の規模に比して、適度の増加が見られるのでありますが、予算とあわせ考え、まず適切な計画と認められるのでありますすなわち、明年度予算における財政投融資の規模は五千九百四十一億円、三十四年度当初計画五千百九十八億円に比較いたしますならば、七百四十三億円の増加でありまして、その後の伊勢湾台風等による改訂計画五千六百二十六億円に比べましても、三百十五億円の増加となっておるのであります。 原資のうち、財政資金が四千八百二十六億円、公募債借入金等、民間資金の活用が一千百十五億円でございますが、この民間資金の活用一千百十五億円のうち、百十五億円は、国鉄、電電債の満期償還によるものでありまして、実際は一千億円であり、三十四年度当初計画八百八十八億円に比べて百十二億円、改訂計画九百二十八億円に比べまして七十二億円の増加でありその消化につきましては、さきの公聴会に出席せられました全国銀行協会連合会会長堀武芳氏も公述せられましたごとく、金融界としても十分消化に協力するということでありましたから、無理な数字ではないと思うのであります。その運用はあくまで予算と歩調を合わせて、わが国経済の成長と質的改善に置き、重点的に産業基盤の強化、その他所得の地域格差の是正等の施策遂行に充てられて、昭和三十五年度における経済成長率、実質六・六%の達成を可能ならしめるものであります。従いまして、予算並びに財政投融資の規模の拡大が、直ちに、景気に刺激を与えるとか、民間金融を圧迫するとかいう心配は当たらないと思うのでございまして、ここに財政と金融の一体的運用が、明年度予算の執行と関連して強く望まれるゆえんがあると考えます。 以上、私は昭和三十五年度予算の内容を検討しながら、政府に若干の要望を申し述べて、賛成の討論を行なって参ったのでございますが、次に、私は社会党並びに民社党提出の組替案に対しまして、簡単に反対の意見を述べてみたいと存じます。 両党提出の組替案を見まするに、まず予算規模において、政府原案に対し、社会党が三百五十億円、民社党が百七十一億円と、それぞれ増額し、その財源は、いずれも増税と減税の差額を充てており、その内容はいずれも単なる目算による机上プランであるという感じを、まず抱くのであります。 もとより政府並びにわが党におきましても、減税の重要性につきましては深く考慮し、過去数年来、毎年度にわたって実施して参っておりますことは、すでに御承知のところでございますが、三十五年度は、緊急災害復旧対策その他財政需要の増大に応ずるため、やむを得ず減税を見送ったものでありまして、政府並びにわが党は、引き続き、三十六年度において予想される租税等の自然増収は、優先してこれを減税に充てる用意を持っているのであります。 両組替案の歳出面については、毎度のことながら防衛費を削減し、社会保障、農林漁業、中小企業関係費等の増額に回しておりますが、政府原案においては、先ほど私が触れましたごとく、わが国の財政の許す範囲内において、これらに対しまして最大限に重点施策として適切な予算措置を講じ、国民の期待にこたえようとしているのでありまして、社会党並びに民社党の組替案では、ただ数字の増加、羅列にすぎないものと断ぜざるを得ないのであります。特に強調いたしておきたいことは、この予算組替案に対しては、その裏づけとなる法案提出等の措置が全然用意されていないということでございまして、この点、組替案は実行の熱意を欠くものと断ぜざるを得ません。この意味におきまして、ここに提出された両組替案は、その場限りのただ慣行によるものでしかないということができると思うのでありまして、私はいずれにも賛成することができないのであります。 以上、私は、自由民主党を代表して政府提出の原案に賛成し、社会党並びに民社党提出の両組替案に反対して私の討論を終わります。(拍手)
○小川委員長 楯兼次郎君。
○楯委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、今回政府から提案をされました昭和三十五年度予算案三案に対し、また民社党より提案されました組みかえ動議に対し反対の意思を表明し、わが党提出の組みかえ動議に賛成の討論をいたさんとするものであります。 ただいま八木委員は、予算編成の際の政府の真剣なる御検討を賞賛されたのでありますが、私は、まず最初に政府に警告を発したいのであります。それは、三十五年度一般会計及び政府関係予算の編成にあたりまして、昨年年末から本年初頭にかけての政府の態度についてであります。 大蔵大臣は、昨年年末までには予算案の編成を終わってみせる、こう言って天下に広言をされておりましたが、ついに年を越しました。あまつさえ本年に入ってからも、あるいは七日までには編成をする、あるいは十日までには編成をするというので再三予告をしたにもかかわらず、与党のぶんどり合戦にあいまして難航に難航を重ね、ようやく一月十三日になって目鼻がつくという醜態を呈したのであります。しかも、この予算のぶんどり競争が、きまってホテルとかあるいは高級な料亭で行なわれたということは、きわめて遺憾だと言わなくてはなりません。かくのごとき様相は、予算編成権という制度上の問題を無視した、横暴な与党の予算に対する私物視的現われであり、当時国民の激しい批判を浴びたことは当然と言わなくてはなりません。政府与党は深く反省すべきであると思います。しかも、この状態を内閣を統括すべき岸総理が拱手傍観をして、積極的態度を示さなかったことも、大いに糾弾をされなければならないものと考えます。 このような予算編成に現われた政府与党の無秩序と統制の欠除は、本予算案の性格に遺憾なく現われておるのであります。政府は、一般会計一兆五千六百九十六億円の規模を、与党内の増額要求によっても変更し得なかったとして得々とされておるのであります。しかし、この態度はきわめて不誠実であります。政府は、無理に当初のワクを維持するために、緊急災害費、食管会計の赤字補てん分等約百四十億円を三十四年度第三次補正としてはずし、さらにロッキード生産費約七百億円、その他器材整備費など約二百二十億円を国庫債務負担行為としてワク外とし、さらに賠償等特殊債務処理費並びに雑費等から隠し財源を捻出するなど、苦心に苦心を重ねて守り得た表面上のワクであって、何ら自慢すべきものではないばかりか、むしろ予算に対する国民の大きな不信を買う以外の何ものも得られなかったのでございます。従って予算全体を貫く精神は何ものもなく、きわめて放漫な予算となり、時代おくれの軍備増強だけが強く印象づけられる予算案となっておるのであります。まさに三十五年度予算案は、軍拡と大資本偏重の予算と評し得て過言ではないと思うのであります。 私が政府案に反対する第一の理由は歳入面において二千百五十三億と、三十四年度の約二倍の自然増収を見込みながら、すべてを食い荒らし、一銭も減税を行なわないという点であります。わが国の経済規模が拡大成長するに従って、国民所得階層別の不均衡はますます拡大の傾向をとり、産業所得、賃金、生活の格差はいよいよ激しくなってきております。従って税負担の総額を減額することは別といたしましても、少なくとも所得税の基礎控除の引き上げなどによる生計費には課税しないという軽減措置、あるいは中小零細企業、農林漁業者など自営業者の所得税につき、自家労賃を経費に算入するとともに、大企業に対する租税特別措置の減免税を整理するなどを実施し、税負担の不均衡是正を行なうべきにもかかわらず、政府案は何らこれに触れないで、大衆課税の増大をはかっていることはきわめて不適当であります。年百五十万円もの配当所得を得ている資産家が一銭も所得税を納めることなく、少額の勤労所得には遠慮会釈なく源泉で徴収するというわが国の税制は、金持ちにとってはまことに天国であります。しかし働く者には地獄だと言わなくてはなりません。 こうした反面、岸内閣は、諸物価、公共料金の値上げによって、大衆の生活を圧迫いたしております。天の岩戸以来の好況を謳歌するそばで、日銀卸売物価は昨年十一月までの一年間に五・二%も上がっておるのであります。私鉄一七%、ラジオ二六%、新聞一八%から二〇%、ガス一一%から一八%、電気料金三割頭打ち制の廃止、さらに近く国鉄特別割引の廃止、学割値上げ、地下鉄料金、通運料の引き上げ、理髪、浴場、学校の授業料の値上げ、宅地の暴騰と地代家賃の上昇など、岸内閣はまさに物価値上げ内閣といわれても弁解のしようがないと思うのであります。かてて加えまして先ほど申し上げました自然増収二千百五十三億円の国民一人当たりの税負担は、国税地方税合わせまして三千三百五十円の増加であります。五人家族では一万六千円の負担となり、国民生活をこの面からも圧迫することと相なるわけであります。 政府は減税をしなかった理由といたしまして、財源が減少した、あるいは伊勢湾台風等災害復旧費の増加を理由にいたしておりますが、しかしこれは心がまえの問題であります。減税を行なおうとすれば、私が考えましても財源は捻出できたはずだと思うわけであります。その一例といたしまして、大蔵省のワクをくずさずに自民党の三百億円の復活要求をいれる隠し財源があったではないか。大災害の起こった今回の場合こそ防衛費を削減して災害復旧費に回し、減税財源を確保すべきであったと思うのであります。きのうも井手委員の質問に対しまして大蔵大臣はきわめて安易に三十六年度は減税をする、こういう答弁を行なっておるのでありますが、このような本年度の財源の底をはたいている実態から見まして、三十六年度の減税余地は全く見られないと思います。昨日の大蔵大臣の言明というものが、減税をするとはっきり言っておられますけれども、私どもにはどうしても当面をごまかす公約と言っても過言ではないような気がいたすのであります。 反対をいたします第二の理由は、防衛関係費の激増であります。防衛関係費は、本年度は千五百四十五億円で、政府は前年度より九億の増だ、こういうふうに弁解これ努めておるのでありますが、問題のロッーキド七百億円、その他で二百二十億円の国庫債務負担行為が計上されておりますので、実質的には二千億円をこえる膨大な非生産費予算となっておるわけであります。しかも本委員会で明らかにされたごとく、ターターを初め、ミサイル兵器までも持ち込んで軍備を増強し、米軍の極東戦略の一翼をになうことを政府みずから示されたのであります。日本の自衛隊は日本を守るだけのものではない。こういうことはMSA協定によって明らかなところであります。すなわちアメリカから兵器援助を受けている自衛隊は、米大統領によりアメリカの国家的利益とアメリカの安全保障に役立たない訓練をしていると認められたときは、軍事援助は取り消されるということに、相互安全保障法第五百二十九条、相互防衛援助法第四百五条によって規定をされておるのであります。従って自衛隊は日本を守るための軍隊ではなく、実質はアメリカを守るための軍隊と言えるわけであります。かくて新安保条約第三条に明記されました防衛力を維持し、発展させる義務が本予算案の中に具体的に実施されようといたしておるのを見るわけであります。これらの方針は今や無限に発展しつつある軍事科学及び軍縮の話し合いを初めとする世界の平和共存の方向と全く相反するものであって、時代錯誤もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。 次にわれわれが反対をするのは、貿易自由化に対して何ら基本的、具体的対策を示しておらないことであります。新安保条約による日米経済協力とは、アメリカの要求する貿易と投資の自由化を受け入れることであります。岸総理は訪米の手みやげの一つとして急速な自由化を進めることによって、大豆、綿花その他アメリカ商品の野放し輸入と大幅な米資本の導入を許して、彼らに低賃金を利用させ、高利潤を約束することであるというふうに伝えられておるのであります。今や産業界、金融界は自由化におびえ、混乱を呈しております。自由化によって苦しむのは弱小資本、中小企業、農林漁業であることは間違いないことであり、労働者には合理化と低賃金を強化するものであります。日本経済の根幹をゆすぶる自由化の推進をあえてしながら、これに対する備えは予算の中に何一つ発見することができないことは、まことに奇怪しごくと言わなくてはなりません。 特に中小企業、農林漁業に対しては体質改善のための予算措置が不可欠の要件であります。しかるに農林予算を農業基盤整備と銘打ちながらも、その実質は災害復旧費と食管会計繰り入れに増加部分がほとんど食われ、実質増加はわずかに八十億円にすぎません。総予算の比率から見ますなれば七・二%、前年度三十四年度は七・四%でありますから、福田農林大臣が幾ら得意に説明をされましても、実質低下を免れないわけであります。中小企業の面でも同様であります。法人税、事業税については三十四年度はそれぞれ若干の軽減を見ましたが、三十五年度においては全く据置であります。政府が鳴りもの入りで宣伝しておる商工会法案にしても、その裏づけはロッキード一機分にも満たない、わずか四億円であります。財政投融資を初めその他の金融はすべて大企業中心に集中し、中小企業輸出振興費と銘打ったものまでが、実質的には大企業のためのものであって、日本経済二重構造のしわは依然として大きく中小企業等に寄せられているわけであります。 さらに岸内閣の三大公約の一つである所得倍増計画は、選挙当時の宣伝に使用されたにすぎないのでありまして、本予算案では何らの配慮も見当たらないのであります。昨年十月発表されました自民党の国民所得倍増の構想は、消費面の分析が十分でない、財政面からの長期的裏づけがない、農業生産の分析に難点があるというわけで、差し戻し、練り直しとなって、今経済審議会にかかっておるわけであります。従って政府には所得倍増計画はもちろん、その構想さえないのであります。にもかかわらず予算編成方針には、国民所得の倍増を期し云々と述べているのでありますから、あきれ返らざるを得ません。(拍手)本委員会において過日佐藤進公述人は本予算案を評し、国民は行き先のわからない船に乗せられたようなものであるということを述べておられますが、まことに適切な批判であるというべきであります。 昭和三十五年度予算案は、新安保条約に即応し、軍事化と独占資本の性格をいよいよ濃厚にしております。しかも軍事経済の対米従属の方向は、一九六〇年代を迎えて世界資本主義の矛盾と対立が激しくなりつつあるとき、歩一歩と日本経済を危機に近づけておる感がいたします。一九六〇年代は決して伝えられるように黄金の時代ではないと思います。一方では社会主義圏対資本主義の経済競争、他方では資本主義諸国間の競争と二重の競争が展開をされようといたしております。特に戦後十四年、世界資本主義の王者として君臨をいたしておりましたアメリカが内部矛盾に苦しみ、指導的地位から退き、西欧、日本などと相並んで貿易投資競争に転じてきたことであります。米国からの貿易自由化と投資自由化の強圧は、日米協力関係からではなくて、経済競争の現実の姿を示していると思います。経済自由化は国内の弱肉強食と階層化を進め、そのしわ寄せは中小企業と農業と勤労大衆に寄せてくるでありましょうし、本年度末から予想される資本主義の後退によって、所得倍増計画も中産階級論もその基盤を失うことは必至であると私は思うのであります。 以上重要なる数点の理由を申し述べまして、政府案に私は反対をするものであります。政府案に比べ、社会党提出の組替案は、平和共存に向かわんとする国際情勢を外交政策の基礎として、中小企業、農林漁業を大資本の抑圧から救い、勤労大衆の生活を向上するために税の不均衡を是正し、あわせて社会保障、社会福祉を完備するために必要な政策を打ち出したものであり、国民大衆の声の結集とも言い得るものであると思うのであります。(拍手) ここで特に一言いたしたいことは、防衛関係費の大幅削減について、現実離れの理想論だとの先ほどの八木委員からの批判がございましたが、戦争が不可能視される今日、有害無益の自衛隊に莫大な国家資金を投入することこそ、現実に目をおおい、雪解けの事実を無視するものであると言わなければなりません。(拍手)わが党は自衛隊諸君を解雇して失業者とするものではなく、公務員として国土建設隊に切りかえ、高価な弾薬の消耗訓練でなく、災害復旧、国土開発に従事することを提案しているのであって、全く現状に即した措置であると考えるのであります。 私はわが党提案の組替案に賛成をし、各委員の御賛同をお願いいたしまして、討論を終わる次第であります。(拍手)
○小川委員長 鈴木一君。
○鈴木(一)委員 私は民主社会党を代表いたしまして、政府提出の三十五年度予算三案並びに日本社会党提出の政府案組みかえの動議に反対し、わが党提出の政府案組みかえ動議の妥当性を立証し、これに賛意を表するものでございます。(拍手) 初めに政府案について申し上げますならば、私どもの見るところ、岸内閣の編成した三十五年度予算案ほど、予算編成について悪い前例となるものはないと考えるものでございます。 われわれがまず第一にあげなければならない点は、行政府にあるはずの予算編成権が与党の手に移され、予算編成でなく予算ぶんどりとなり、しかもこれが最終段階においては党内派閥争いの取引の具に供されたとまでいわれている点であります。(拍手)臨時地方特別交付金三十億円というつかみ金はその最たるものでございます。 第二に、防衛庁費に計上された一千億円に近い国庫債務負担行為の累積は、歳入歳出予算をもって年度予算の主体とする予算編成の通常なるあり方を明らかに破ったものであります。これこそはまぎれもなく、新安保条約に対応するところの第二次防衛六カ年計画が予算化されつつある姿なのであります。日米新戦略体制の展開の必要上から、従来の予算制度が簡単に捨て去られたのであります。第三に、治水特別会計が大蔵当局の反対にもかかわらず、ついに予算案に登場しているのでありますが、何らの特定の財源、何らの特定の歳入を持たない特別会計なるものは、明らかに財政法の精神にそむくものではないかと思います。もしこの治水特別会計が許されるならば、文教特別会計でも社会保障特別会計でも、官僚と与党の話し合いができさえすれば、いかなる特別会計でも立ちどころに成立し、いかにもこれに重点を置いているような錯覚を国民に与えることになります。このように多分に知能犯的な性格が、このたびの政府提出の予算案に見られるのであります。(拍手)この点に関しては過日の本委員会でわが党の佐々木良作君より政府の見解をただしたのでありますが、何ら納得するような答弁が得られなかったのであります。(拍手)しこうしてその内容を拝見いたしますと、二千百億円の租税増収を計上しながら何らの減税措置をも考慮しなかった点は、国民の租税負担の均衡化の点から見て、何としても納得しがたい点なのであります。また歳出面において福祉国家の建設を唱えながら、最も計画的に重点的にかつ多額に増額をはかった項目が治山治水費と防衛庁費である点も、まさに福祉国家建設の看板に偽りありと言わなければなりません。しかももう一点、わが党がどうしても政府案について見のがすことのできない欠点は、昨年七月に人事院が勧告した公務員給与改善について、何ゆえに既往にさかのぼらないのか。少なくとも最小限として昨年十月一日にさかのぼってこれの実現をはからなかったかという点であります。人事院は戦後の政治民主化の過程においてその果たすべき任務は重大なものがあります。現在は政府のたび重なる人事院勧告無視により無力化されたとはいえ、この勧告を尊重し、この勧告を直ちに実施に移す誠意を持つことこそが、政治の民主化、公務員給与の保障、ひいては勤労者の給与の保障についても重大な意義を持ち、よき影響を与えるのであります。政府がこの民主政治の精神を無視して、本年四月一日より公務員給与を改定すれば事足れりとしている態度は、断じて許しがたいのであります。このような見地に立つわが党が、政府案組みかえ動議として、第一に、歳入面については、国民の租税負担の均衡化を要望して税制改革を提案しているのであります。最近の経済好況は、企業格差をいよいよ拡大し、大企業はますます租税特別措置法の恩恵を享受しております。また証券、土地売買などで不当な超過利得を得ているものも続出しております。これらに対して徴税を強化し、これを財減としてできる限り低額所得者に対する減税に振り向けるのは、民主国家としては当然の責任である思うのであります。第二に、歳出面において歳出増額の重点を、国民の生活と雇用の保障並びに生産性向上に基調を置く産業体制の整備の三点に置いた方針は、他党の諸君も御賛成いただけると思います。特に国民の生活保障の面で、医療保険と国民福祉年金の充実は、社会保障政策を消極的な貧乏救済政策から、積極的な厚生福祉政策へと向上せしめていくために、絶対必要なのであります。政府予算案が多額の自然増加財源を擁しながら、この点を無視している点は、ぜひとも改めねばならないのであります。第三に、歳出減額組みかえの面で、世界の新情勢に対応し、民生安定に重点を置きながら、防衛庁費についての新しい減額方式を提唱しております。しかも急激な減額を避けて、漸減方式を提案している点を、特に政府与党の諸君に熟慮をわずらわしたいのであります。このわが党の組みかえ動議に対照してみますと、日本社会党の組みかえ動議は、組みかえ規模も大きく、その上広範囲な予算項目を含んでいるようでありますが、一体これだけの組みかえを現実に行なうとしたら、多くの時間を費やし、とうてい年度間に予算執行はできないと思います。また当初予算案の組替案でありながら、米価並びに公務員給与について何らみずからの積極的な施策を発表しておられない点はわれわれの理解に苦しむ点であります。われわれは組みかえなるものは政府の年度予算案に対する組みかえ要求であるがゆえに、年度内に必ず実施可能な現実性を持つべきものと考えております。この点わが党と日本社会党のお考えとの間には大きな隔たりがありますので、残念ながら日本社会党案には賛成できません。従って私は民主社会党の組みかえ動議に基づいて政府案を組みかえるよう主張して、私の討論を終わるものであります。(拍手)
○小川委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○小川委員長 これより採決に入ります。まず、井手以誠君外十三名提出の編成替えを求めるの動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立少数。よって、井手以誠君外十三名提出の編成替えを求めるの動議は否決されました。次に、今澄勇君外三名提出の編成替えを求めるの動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立少数。よって、今澄勇君外三名提出の編成替えを求めるの動議は否決されました。次に、昭和三十五年度一般会計予算、昭和三十五年度特別会計予算及び昭和三十五年度政府関係予算案を一括して採決いたします。以上三案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小川委員長 起立多数。よって、昭和三十五年度一般会計予算、昭和三十五年度特別会計予算、昭和三十五年度政府関係機関予算は、いずれも原案の通り可決いたしました。(拍手)委員会報告書の作成につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。これにて昭和三十五年度総予算に関する議事は全部終了いたしました。この際一言ごあいさつ申し上げます。去る二月四日総予算の審査を開始いたしまして以来、終始真摯な論議を展開され、本日ここに審査を終了するに至りましたことは、ひとえに委員諸君の御理解ある御協力によるものでありまして、委員長といたしまして心から感謝の意を表する次第であります。連日審査に精励されました委員諸君の御労苦に対し、深く敬意を表しましてごあいさつといたします。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十二分散会