予算委員会 第17号
- 発言数
- 250 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/03/01
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 昨日の本委員会において、井手委員から政府に対して、本予算案に関連する法律案のうち、未提出のものがまだ十数件もあるが、これらを速急に提出せよとの要求がありましたが、現在の状態ではどのようになっておるのか、この際官房長官から御報告を願います。
○椎名政府委員 予算関係法律案は昨日も申し上げましたが、総件数七十六件中、すでに提出済みのもの六十五件であり、差引、未提出のものが、昨日までに十一件と申しましたが、この十一件につきましては、すでに閣議決定を了したものが六件でございまして、この六件につきましては、ただいま印刷中でございますが、印刷完了次第、速急に提出いたす予定でございます。残りの五件でございますが、本件につきましては、ただいま関係各省間において調整中であり、調整つき次第、持ち回り閣議によりまして至急提出したいと考えております。大体、今明日の間に五件のうちの大半は片づくものと考えております。
○小川委員長 それでは、昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。田中織之進君。
○田中(織)委員 私、質問に入ります前に、ただいま官房長官から報告のありました、予算を伴う法律案の残余の案件については、おそくともきょう一ぱいに提出をしていただかないことには、予算委員会の締めくくりをするわけには実は参らないと思う。それと同時に、本委員会並びに分科会等で資料として提出を要求したもので、まだ出ておらないものもある。今朝出た資料等につきましては、われわれ委員会で要求したものにこたえてはおりません。いずれこの点は、時間があれば質問の過程でも明確にいたしますけれども、資料要求したときに、委員長並びに主査から、どういう趣旨のものの資料を提出するということを具体的に申し上げておるのです。それも出ないことには、明日予定されておる委員会の質疑を終了するというわけには参りませんから、その点をあらかじめ警告を発しておきます。 私、本年度の予算に関連いたしまして問題になりました、新安保条約並びにこれとうらはらの関係にあります防衛予算を主として、同僚諸君が取り上げた問題で明白にならなかった分、あるいは政府側のその後の答弁を変更して参りました問題等について、社会党の立場から、これを確認するために若干の質疑をいたしたいと思うのであります。 まず最初に、岸首相にお伺いいたしたい問題は、一昨日岸総理は、大阪の中之島公会堂におきまして、新安保調印報告演説会なるものを開催せられたことを、新聞を通じて拝見をいたしたのであります。この演説の中において岸総理は、新安保条約に私ども日本社会党を初め友党の民主社会党並びに共産党の諸君も反対をいたしておることは、総理御承知の通りでありますが、この社会党あるいは共産党が新安保条約に反対することは、あたかもソ連や中共と気脈を通じてやっておるかのごとき発言をせられたということが、新聞に報道せられておるのであります。ここに昨二十九日の日本経済新聞の朝刊がございますが、これにははっきり「ソ連、中共と気脈通ず」もちろんインタロゲーション・マークはついておりますが、それを見出しにまで出されるような激しい口調で、総理がそういう独断をせられておるのではないかと思うのでありますが、一体何を根拠として、私どもは日本民族の古年、万年の将来を考えればこそ、新生保条約に対しまして反対をいたしてもるのであります。それにもかかわらヂ総理が、あたかもそれが、社会党、共産党がソ連や中共の手先であるかのとき発言をするということは、きわめて私は穏やかでないと思うのであります。もちろん新安保条約についてソ連側から二回にわたる対日覚書が手交評られて第二回目の覚書に対して政府ら近く反論が提出せられるということもわれわれ聞いております。これに間しましては党を代表いたしまして、浅沼書記長あるいは岡田国際局長等からそのつど、このソ連の覚書に対しまして社会党の見解を述べております。更に第二回目の覚書に対しましては、れわれは自主的な立場において、日本の国会で審議している過程に領土問題等にからめた形でこうした問題を提加せられることは、問題の正しい解明の上に決して役立たない、われわれの立場から考えて、むしろそれは障害にたるという考え方の上に立って、ソ連に対して反省を求めるところの党を代表した見解を発表いたしておるのであります。また数日前のインドネシア議会におけるフルシチョフソ連首相の演説に対しましても、日本との間には、まだ平和条約はできておりませんけれども、今朝の新聞によりますと、日ソ通商条約も新しく締結せられるというような段階にあるときに、インドネシア議会においてフルシチョフ首相が行なったと伝えられる演説の内容については、大国の首相としてあるまじき言動も含まれているという点については、われわれそのような見解を持っておるのであります。それにもかかわらずーソ連首相の見解に対して日本国首相として反論をせられること、それはあなたのある意味からいえば責務でありましょう。しかしわが党が新安保に反対していることが、ソ連や中共とあたかも気脈を通ずるかのごとき言動を公開の席上で行なうということは、断じて私は許すことはできないと思う。何を根拠にして総理が言われたのか、この際明白にしてもらいたいと思う。
○岸国務大臣 私は、あの演説をお聞き下さればわかるように、気脈を通じているということを申した覚、えはございません。私の申し上げたことは、私は、共産党といえども、あるいはこれに反対する人といえども、日本国民としてその主張をされておることであることを信じておる。しかし非常に奇異な惑を抱くことは、これらの反対理由と中ソ両国が内政干渉的な言動として主張しておることが非常に一致しておることは、私としては非常に遺憾に考えるということを申した。それは事実がそうでございますから、その通り申しただけでございまして、気脈を通ずるという言葉は私は申しておりません。
○田中(織)委員 私どもが反対している理由と同じことを、ソ連なり中華人民共和国のスポークスマンが言っておることは事実かもしれません。しかし、それは向こう側がわれわれの言うこと、われわれの考え方を取り入れた発言をしておるのであります。われわれの言うことは日本の国民の立場において申しておることなのです。私は主客が転倒しておると思うのです。そのことが総理の発言の中では、ソ連や中共の言っていることと符節を合するような社会党なり共産党の安保に対する反対理由というものは奇異の感を抱く、こう今言われるのでありますけれども、一体それは御承知のように、最近民主社会党ができますまでは自由党と社会党との二大政党の対立時代にありましたわが党の主張というものは、ソ連なりあるいは中共においてわが党の考え方に同調したような見解を表明することがあったとしても、これは総理の考え方というものは主客転倒をしておると思うのです。何が奇異の感を抱くのですか。もっと具体的にあなたの真意を表明してもらいたいと思います。
○岸国務大臣 先ほども申し上げました通り、私自身がそれに対して奇異の感を抱くことは、これは私の自由であると思います。私はあくまでも安保条約は日本にとって必要であるということを信じており、それを主張しておる。他国からこの問題についてかれこれ言われるべき筋合いのものではないという信念の上に立っております。その間において、私は気脈を通ずるとかなんとかいう言葉は一切用いておりません。ただそれが符節を合するごとき反対論があった事柄については、私自身が奇異の感を抱いておる。これは事実でございますから、そのままを申し上げたのであります。
○田中(織)委員 安保条約について国論が大きく二つに分かれておるということは現実の事実であると私は思うのです。その一つの意見というものを、ソ連や中共と結びつけたものの考え方というものは、私はきわめて危険だと思うのであります。御承知のようにあなたも責任の一端を負わなければなりませんが、第二次世界大戦のときに日独伊の軍事同盟が締結されました。そのときも、いわゆる共産主義に対する反共の立場において、この日独伊の枢軸強化ということが行われたのであります。今回の安保条約につきましても、この前あなたがアメリカベ参りましたときに、ハワイにおいてでありましたが、対日向けであるか、対米向けであるかわかりませんけれども、日本がいわゆる反共産主義の陣営に立つのだ、こういう考え方の上に立ってあなたが発言をされた。そういうようなことがやはり今度の安保条約の底流に流れておるという点も私はいなめない事実だと思う。今からかれこれ二十前にもなりますけれども、日独伊の軍事同盟が締結せられたときにも、それに反対する勢力を赤だ、共産党だということで、当時治安維持法をもって弾圧を加えた。今度の新安保条約も、これらの共産主義国をあたかも仮想敵国としたような条約であるというところに、今後この条約が不幸にして国会の承認を得るというようなことになった場合には、そういう時代が再現しはしないかという点を、総理のあなたがかつての戦争の最高責任者の一人であるがゆえに、国民はひとしくその点について危惧の念を抱いておるのであります。私は、共産主義にどうして対抗していくか、あるいは共産主義がよってもって日本国民の中に影響をしてくる原因が那辺にあるかということについて、政府の立場において対策を立てられることに対しては別な考え方を持っておりますが、今日この新安保条約の問題に関連をいたしまして、あなた方の共産主義に反対する立場でわが社会党をしいるがごとき発言は、私はやめてもらわなければならぬ。そういうことになれば、あなたがあたかもアメリカのかいらい政権のごとく、アメリカの言われるがままに、かつては鬼畜米英としてあなたが排撃をしたアメリカに今日鞠躬如としてこれから私が質問申し上げるように、この条約を対等の立場で改定をするんだと言いながら、その主張が十分貫かれておらない。こういうようなことについて、岸内閣はあたかもアメリカのかいらい政権じゃないかとあなたが言われた場合に、決して愉快ではないでしょう。その立場から私は、総理が新安保条約に対して、国論に反対の立場から意見を持っておる者があるということに対して、もっと謙虚な立場でこれに対する政府の見解を披瀝する、あるいはそういう問題を明確にする態度をとられなければならぬと思うのであります。私は、その意味において大阪におけるあなたの演説内容はきわめて不穏当だと思うのでありますが、今後こういうことについてあなたは戒心をされるお気持があるのかどうか、重ねて伺いたいと思います。
○岸国務大臣 私は安保条約の調印をして参りまして、これが国会の承認を得る手続をいたしております。しこうして、この問題に関しましていろいろと誤解もありますし、あるいは他に意図があって反対をしておる向きもないわけではございませんから、これらに対しまして、正当な国民の理解と支持を得るように、国会を通じあらゆる機会において私どもの考えを十分に徹底するように努力するつもりでございます。しこうして、このことは特に国会を通じてもできるだけ国民に明らかにすると同時に、また機会がありますならば、直接国民に接する機会におきまして私の信念を申し述べて、そうして国民に正しい理解を得るように今後も努力していくつもりでございます。
○田中(織)委員 他党のことを言うよりも、あなたの党内にも異論がある。ことにあなた方が、この一ヵ月足らずの委員会の審議でありますけれども、委員会の当初に答弁したことと途中で答弁したこととの間に重大な食い違いがある。こういう事態をあなたはこの条約締結の責任者として私は十分反省しなければならぬ問題があると思うのです。その点を警告して具体的な質問に入りたいと思います。 今私が取り上げました大阪における演説におきましても、また本会議におけるあなたの施政演説におきましても、昨年からとみにそういう傾向が強化されて参ってきておりますところのいわゆる東西両陣営の対立緩和、雪解けということについて、あなたも率直に事実を認められておると私は思うのです。しかしあなたの認識は、やはりそれは力の均衡が保たれておるから雪解けが始まった、こういうふうな見解を持っておるように、あなたの演説なり国会における答弁からうかがわれるのであります。私は今日、ことしの五月には再びアイクのソ連訪問ということが行なわれて、東西両陣営の巨頭会談というものも進められて参りまして、この雪解け傾向というものがますます進んでくる傾向にあると思うのでございます。これは非常にけっこうなことであり、われわれはそれを念願しなければならないと思うのでありますけれども、しかしあなたは大阪の演説で述べられているように、この雪解けのバツクボーンというものは力の均衡、いわゆる米ソ両陣営の端的にいえば軍事力の均衡の上に初めてこの雪解けが出てきておるような考え方をされておるという点は、きわめて危険なことだ。もしあなたのような見解だとすれば、そのバツクボーンをなしておる力の均衡というものが万一破れるというような事態があれば、全世界の人類がひとしく待望しておるこの雪解けというものは一朝にして瓦解する、逆流するような傾向になると私は思うのであります。もちろんこれが直ちに完全なる世界平和に進むものではないし、幾多の困難もあるということも了解できます。るけれども、あなたのように力の均衡の上に立っているのだ、従ってこの雪解けに対処していくためにも、やはり今度の安保条約のような形で自由主義陣営は軍事的にも力を合わせていかなければならないのだ、こういうような考え方は、昨日橋本龍伍君の質問に対して、そういう雪解けにこの安保条約は逆行しないのだということをあなたはお答えになっておるけれども、私は結果的には、あなたのそういう前提となっておる力の均衡の上に雪解けが行なわれるという考え方の上から見れば、そういう傾向に逆行する事態も起こる危険性があると思うのでありますが、雪解けに対するあなたの信念を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 東西両陣営の問における緊張を緩和する、それが世界の恒久的平和を望み、特に最近における軍事科学の発達によって人類に非常な惨害をもたらすような兵器が発達した現在の状態におきまして、この緊張を緩和しなければいかぬということは、私は万人の望んでいることであり、特に政治家はその点に対してあらゆる面から努力をしていかなければならぬことであると思います。幸いに昨年のキャンプ・デービッドにおけるところの米ソ両巨頭の話し合いにおきましても、いわゆる力を用いずして話し合いで紛争を解決しようという原則が確認されまして、いろいろな会談がこれから設けられることになっていることは、われわれもこの意味において非常にけっこうなことであり、またその前途においていろいろな困難があろうけれども、この道を閉ざさないように進めていかなければならぬ、かように考えております。しかし現実の問題、ことに東西両陣営の間の紛争としてまず解決すべき問題として取り上げられておるドイツ問題及び核兵器を含んでの一般軍縮の問題の前途を考えてみますと、容易ならぬものがあることも、今田中委員の御意見のうちにもあった通りであります。特にこの軍備制限、軍縮の問題は、過去におきましてもありましたように、なかなか一挙に全面軍縮というものが行なわれるということはだれも考えておらないのでありまして、その段階的の場合におきましても、常に均衡ある軍備の縮小ということが東西両陣営の間で問題になることは当然であります。そういう意味におきまして、やはり力のバランスというものが背後のバツクボーンをなしておるということは、この一つの事実を取り上げてみても明らかであり、また現実にその力を形成しておるところの各国の軍備の状況を見ましても、まだ縮小の現実は出ておりません。また同時に、いろいろ共産圏内におけるところの条約機構なり、あるいは自由主義国間におけるところの安全保障体制に関する集団的な機構というようなものは、少しも弱められたとかあるいは解消とかいうような傾向は見えておりません。こういうときにおいて、日本が現在持っておる安保条約というもの、この体制を廃棄する、やめるというべき問題じゃないと私は思います。これを存続していく以上は、これを合理的な基礎にする。われわれが現行の安保条約が最初から持っておるところの不合理性を改めて合理的なものにするということは、独立国とし、また最近の日本の国際的地位から申しましても当然のことである。こういう意味から申しますと、雪解けというわれわれが念願しておる恒久平和への道というものと、われわれがこの安保条約を改正して合理化するということはちっとも国際情勢の上で矛盾しておらない。むしろそれを合理的にすることが日本のために必要であると同時に、私はそういうことによって自由主義国の協力関係を強めていくことが、東西両陣営のこれからの話し合いを有利に進める上からいっても望ましいことである、かように考えております。
○田中(織)委員 雪解けが直ちに完全なる世界平和をもたらすまでの間になお幾多の困難と時日を要することは、私も認めるのであります。しかし、こうした対立を緩和して雪解けに持っていこうという努力は、やはり力と力によるところの対立というようなものが帰着するところ全面的な戦争に発展していくというところに、いわゆる第二次大戦の申し子として生まれました国際連合の大精神にのっとって話し合いによって国際間の紛争を解決していこうというのが、この雪解けの基本的な原動力である、私はこういうように理解をいたしておるのであります。この点については、私は総理も異論のないところだと思うのでありますが、あなた方が、今度調印をして参りました新安保条約の第一条にその点をうたっておる。「締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。」ということが第一条に書かれている。この点は、私は武力というものを背景としない、一つの国連という世界的な規模によるところの安全保障体制ができるということが理想の形であるということを、やはりこの新安保条約としても前面に掲げざるを得ないところに、この第一条が国連憲章の文句をそのまま私は持ってきたものだと思うのでありますが、その点は、あなたの考えておられる力の均衡の上に雪解けが可能になるのだという考え方との間に矛盾しはしませんか。
○岸国務大臣 この新しい安保条約が、国連憲章の精神を入れて、あくまでも問題を平和的に解決する国連のこの崇高なる精神にのっとることは今御指摘の通りであります。また本条約機構につきましても、国連が現実に安全保障についての機構を設けた場合においては、本条約は期限内といえども失効するということを明示しておるゆえんもそこにあるわけであります。ただ現実におきましては、国連のそういう平和維持機構、また各国の安全保障の機能につきまして、今日の国際連合はまだ不完備でございます。従ってその理想はそこに置くことは当然でございます。しかしその中間におきまして不当な侵略、他から武力攻撃が加えられるというような事態が全然ないというように考えることはできないのでありまして、国連憲章のうちにも、そういうことができた場合において個別的もしくは集団的自衛の固有の権利を持っておるということが明らかにされておりますから、やはり今日の現実の国連の実態と国際のこの状況から見ますと、われわれは理想としては、あくまでも話し合いで解決し、平和的手段によって解決するという理想を持っており、またそういう理想のもとに国連におけるところの安全保障機構が完成されることを望み、これを強めていくようにしていかなければならぬことは言うを待ちませんけれども、しかし現実の間にそういうものがないというならば、国際の情勢に基づいて自国の安全をはかるための機構を考えることは当然である、こう思います。
○田中(織)委員 そういたしますと、総理は、今度の安保条約によるところのいわゆる日米のその意味から見れば、地域的な集団安全保障体制は、国連憲章の五十一条によるところのいわゆる集団的自衛権に基づくものだ、そういうことをおっしゃられるのですか、その点はいかがですか。
○岸国務大臣 国連憲章との関係におきまして、今おあげになりましたように、この機構をもって日本の安全をはかっていくということは、五十一条に根拠を持っておる、かように考えます。
○田中(織)委員 国連憲章の五十一条に、いわゆる総理がたびたび言われる個別的または集団的な自衛権の規定がいたしてあります。それを読み上げてみますと、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」こういうことになっておるわけです。しかしそれが総理の言われるように、直ちに個別的な自衛権に基づくものと、地域的な自衛権に基づくものと、その次の五十二条にありますところの「地域的取極」という問題とは私は必ずしも同じものだというわけには参らないと思うのでありますが、その点についての総理の見解はいかがですか。
○岸国務大臣 私は、この日米安保条約の根拠は、国連憲章のワク内で、国連憲章の精神に基づいて、他から不当な武力攻撃を受けた場合において、自国の安全を保持するために、日米が協力してこれを排除するということを規定しておるものである。ある意味からいえば、地域的な集団安全保障というふうに解釈することも差しつかえない、かように考えております。
○田中(織)委員 総理のその答弁で参りますと、国連憲章のワク内とか、あるいは国連憲章の精神にのっとってということを言われますけれども、私、多くの問題があると思うのであります。 まず第一に、国連憲章の五十一条で、個別的な自衛権の問題は、これも憲法との関係で問題がございますが、それはさておいて、いわゆる集団的な自衛権の問題について、これが発動する時期というのは、武力攻撃が発生した場合、こういうことになっておるわけです。ところが安保条約の場合には、必ずしも武力攻撃が始まった場合だけに限らない、いわゆる在日米軍の行動というような問題が起こり得る危険性が多分にこの条約の中から出てくるのではないでしょうか、その点はいかがですか。
○岸国務大臣 新安保条約の第五条の関係におきまして、この条約が発動する場合においては、条約に明らかなように、国連憲章の場合と同じように、武力攻撃が現実に加えられたときにおいて発動するのでありまして、決して国連憲章とその点において矛盾しておるものではない、こう思います。
○田中(織)委員 それでは具体的に伺いますが、今総理があげられました新安保条約の第五条には、憲法上の規定と手続に基づきいわゆる行動を起こすことになっておるのでありますが、この憲法上の規定と手続というのは、具体的には何でしょうか。
○岸国務大臣 憲法及び憲法上の手続というこの二つのことは、言うまでもなく、日米両国に対しての意味でございます。そうして憲法上の問題は、日本の憲法は御承知のように特殊の内容を持っておるものでございますから、発動する場合におきましても、憲法九条の範囲に限らるべきことは当然だと思います。憲法上の手続というのは、日本の方のなにには、特に憲法上に手続を直接にきめたところのものはなかろうと思います。主としてアメリカ側の憲法上の手続という場合であろうと思います。ただ、直接には手続を規定をいたしておりませんけれども、憲法に基づいて制定されておるところの自衛隊法等の適用を受けることは当然である、こう思っております。しかしそれは直接には憲法上の手続とは言えないかと思いますけれども、そういうことを広く包括して申しておるわけであります。
○田中(織)委員 自衛隊法の七十六条をさされるのであろうと思いますが、その点はいずれあらためて伺いますが、今総理は、憲法上の規定に基づきということで憲法第九条をあげられたのでありますが、それでは憲法の第九条に認めておらない交戦権の問題は、総理としては、この種の行動の場合にどういうようにお考えになっておられますか。
○岸国務大臣 御承知の通り交戦権というのは国際法上いろいろな内容を持って解釈をされております。日本の自衛隊がそういう意味における交戦権を持たないことは、これは憲法に明示されておる通りであります。ただ自衛のために必要な実力行使ができる、そうして他からの武力攻撃を排除するための実力行使というものは、自衛隊として自衛上当然できる、かように考えております。
○田中(織)委員 憲法の第九条には交戦権を否定しておるのでありますから、当然のお答えだと思うのでありますが、しかし現実に自衛隊が自衛のために防衛の措置をとるという場合には、これは常識的な言葉でありますけれども、交戦状態に入るということに私は現実にはなってくると思います。これはいわゆる憲法九条で禁止している交戦権ではないという御解釈でありますか。
○岸国務大臣 先ほどお答え申し上げました通り、そこにおける交戦権というのは、国際法上認められておるところの内容の交戦権というものを持たないということであります。実力行使、これは常識的に交戦という事実上鉄砲を撃ち飛行機でこれを爆撃するというような行動は、これは自衛権の内容として実力行使ができることは当然であると思います。
○田中(織)委員 それでは総理、僕には実はよく理解できないのでありますが、自衛隊が自衛のために行なう実力行使と、いわゆる憲法第九条で禁止している交戦権との間の区別がはっきりつかないのですが、それはどういうように違うのでしょうか。
○岸国務大臣 交戦権として国際法上あるいは他の国の土地を占領するとか、あるいは中立国の船を拿捕する権利であるとかいうような、交戦権として国際法上認められておる内容がいろいろあると思います。こういうものを日本の自衛隊は持たない。しかし自衛隊が、いわゆる自衛隊として自衛権の範囲内において実力を行使する。すなわち他から攻撃を受けた場合に、その攻撃を排除するためにはこちらから承鉄砲を撃たなければなりませんし、爆撃もする。いわゆる交戦すること自体の実力行使を否認するものではない、こういうふうに解釈しております。ただ国際法上認められているいわゆる交戦権として軍隊を持っており交戦状態に入っておる場合に、今申したような占領だとかあるいは中立国の船の拿捕だとかいうような権利は持たない、こういうことだと思います。
○田中(織)委員 私が頭が悪いのか、どうもいわゆる憲法九条で否定しておる交戦権と自衛のために防衛上とる実力行使との間の区別が、今の総理の御答弁でははっきりいたしませんが、確かに交戦権という問題になりますと、旧憲法の規定がありましたような宣戦布告の問題、こういう問題があるかないかというような形から、いわゆる戦時国際公法における交戦権というような解釈の問題が私は出てくるかと思うのであります。しかし憲法九条は、御承知のように国際紛争の解決手段としての軍事力というものを否認している立場から見て、そういうものが当然あろうはずはないのであります。そこで総理に伺いますけれども、それではこの安保条約で予定をされております極東の平和と安全に対する脅威というものが具体的に起こって参りまして、この安保条約の五条の規定が具体的に発動するというような場合は、これは国際紛争とは見ないのですか、どうでしょう。
○岸国務大臣 五条は、日本の領域に対して武力攻撃が行なわれた場合の規定でありまして、いわゆる極東の平和と安全が脅かされる、これは日本の現実の平和と安全ということと非常に密接な関係がありますから、この条約におきましても日米が共同の関心を持っておることとして、四条において、協議を受けるような場合におきましては協議をして、これに対処すべき方法をいろいろ考えるということがございます。それからまた六条において、日本に基地を有する米軍が、この極東の安全と平和に対して現実に出動していく場合の規定がございます。こういう場合において日本には、もちろん日本の領域外における米軍の行動というものに対しては、御承知の通り事前協議の対象にするということになるわけであります。そういう場合において米軍が出動するということは、やはり国連憲章によって、そこにおける、極東地域においての武力攻撃が他からあったという場合に、これを排除するために米軍がそういう行動をとるのでありまして、その場合に日本の基地や施設を利用して作戦行動をする場合には、今申したように事前協議の対象にする、こういう建前になっております。
○田中(織)委員 私が申し上げているのは、かりに日本の領土内に第五条にいう日本の領土内における場合あるいは第六条で在日米軍が日本の基地から行動を起こす場合におきましても、この安保条約で予定しておる問題は、いわゆる憲法第九条にいうところの国際紛争とはならないという解釈なのかどうかという点です。
○岸国務大臣 第五条の日本領土に対する場合におきましては、国際紛争ではなくて、現実に日本に武力攻撃が加えられた場合、その攻撃を排除するに必要な自衛の手段をとるということでございますから、五条自体が規定しておるのは、いわゆる国際紛争を武力で解決するということではなしに、現実に日本に対して武力攻撃が加えられた場合に、これを排除するという規定でございます。
○田中(織)委員 日本の国の立場で考える場合、そうしたものが一方離れた立場において国際的な関係から考えられる場合においても、私はやはりこれは国際紛争の一つだと思うのです。そういうところにわれわれは憲法の第九条というものは、そういう意味で自衛のための軍備というものをも禁じているのだ、これは憲法制定のときの事情からしても明らかなのでありますけれども、そのわれわれの解釈と自衛のためには憲法九条の規定にもかかわらず、軍隊を持ち得るのだ、名前は自衛隊でありますけれども、りっぱな軍隊であることは否定できないのでありまして、そこに分かれ道が出てくるわけでありますけれども、その問題はいずれまたあとで伺うことにいたしまして、先ほど、今度の安保条約というものが国連憲章の五十一条による集団自衛権に基づくものであり、さらに五十二条にいうところの地域的な取りきめ、あるいは地域的な安全保障機関だ、こういう解釈を総理が述べられたのでありますけれども、その場合に五十二条の二項に、総理のような解釈で参りますとしても、こういう規定があります。「前記の取極を締結し、又は前記の機関を組織する国際連合加盟国は、地方的紛争を安全保障理事会に付託する前に、この地域的取極又は地域的機関によってこの紛争を平和的に解決するようにあらゆる努力をしなければならない。」という規定がございますが、安保条約にはこの国連憲章の五十二条の二項を受けた規定はどこにあるのですか。
○高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。安保条約には、この地方的紛争を平和的に解決する機関という規定はございません。しかしながら、その規定がないからといって安保条約が地域的取りきめではないというわけにはいかないと思います。と申しますのは、地域的取りきめには必ずこのような機関がなければならないというふうな規定ではないと考えております。すなわち、地域的取りきめがどういう取りきめでなければならないかという定義はここにはしていないわけであります。しかし一般的に見まして、この「国際の平和及び安全の維持に関する事項で地域的行動に適当なもの」、こういうふうな一般的規定はございます。従いまして、このような一般的規定には、もちろん安保条約も合致するわけでございまして、その意味からいいまして、やはり地域的取りきめである、こういうふうに考えております。
○田中(織)委員 その点はどうも政府の新安保に対するPRの関係で、まだ明確にはなりませんけれども、あたかも、これは国連憲章の五十一条による集団的自衛権に基づくものだというPRをなされておるわけでありますけれども、今の条約局長の説明では、安保条約にそういう意味のいわゆる五十二条による取りきめだという点が具体的になくても、実際的にはそうなるのだ、そういう解釈なのですか。結局そういうことになると、われわれが言うように、これは別に国連憲章の五十一条による集団的自衛権に基づくところの集団的安全保障体制というものではない、こういう解釈も成り立ち得ると思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
○高橋(通)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、第五条にも規定がございますように、安保条約は個別的または集団的な自衛権の発動を前提とした条約であることは確かでございます。しかし五十一条の発動を前提とした条約であるということと、第八章の地域的取りきめというのは相矛盾する、一方が他方を排斥するような問題ではないと考えております。安保条約第一条におきましても、紛争の平和的解決に関する規定はございます。しかし、それを解決する機関その他具体的な問題は取り扱っていないわけでございます。しかし、取り扱っていないからといって、この地域的取りきめでないというふうには考えられていない。一般に地域的取りきめということは広い意味で考えられている次第でございます。従いまして地域的取りきめであると同時に、やはり憲章五十一条の集団的または個別的自衛権の発動を前提とした条約でもある、このように考えております。
○田中(織)委員 どうもその点は理解できませんが、さらに問題を解明する意味でもう一点発展さして伺います。 それでは、新安保条約に基づいて本日米軍が、不幸にして日本基地から出動して行動する、こういう場合にはオの次の五十三条のいわゆる強制行動、こういうことに私は当然なるのでないかと思いますが、その点はいかがでしよう。
○高橋(通)政府委員 ただいまの点でございますが、五十三条に、地域的取りきめまたは地域的機関を安保理事会は利用することができる。ところがこの地域的取りきめまたは機関が強制出動をとります場合は、ただいま御指摘のように安保理事会の許可を得なければならない、こういうことになっているわけであります。ただその例外といたしまして第五十一条の規定がございまして、個別的または集団的自衛権に基づく場合はこの許可は必要としない。すなわち五十一条に、この憲章はいかなる規定も武力攻撃が発生した場合に安保理事会が措置をとるまでの間、個別的または集団的自衛の固有の権利を害するものではない、こういう規定がございますので、本来許可を得るべきでございますが、集団的または個別的自衛権の発動として武力行動を行なわれる場合は、この許可なくして行なわれる、こういうように解しております。
○田中(織)委員 そうすると政府側の解釈といたしましては、安保条約に基づいて在日米軍が具体的に作戦行動に出るというような場合は、この憲章五十三条のいわゆる強制行動に当てはまる。しかし五十一条の関係から、五三条についているただし書きの安保理事会の許可という問題が、時間的に間に合わないからそれを免責されるのだ、こういう解釈なのですか。
○高橋(通)政府委員 その通りでございます。従いましてそのあとで安保理事会に、五十一条でとった行動は報告しなければなりませんし、安保理事会が措置をとるまでの間、すなわち措置をとったならばこれは安保理事会の措置に従わなければならない、こういうわけになるのであります。
○田中(織)委員 その五十一条の場合には従って武力攻撃が発生した場合ということになるのでありますが、これはいかなる武力攻撃もこの場合には含まれるのでありますか。いわゆる国際法上にいう急迫不正の侵害という考え方は、この五十一条による武力攻撃が発生した場合という場合にはその制限はつくかつかないか。
○高橋(通)政府委員 この五十一条の規定は武力攻撃が発生した場合でございます。従いましてまさに発生せんとするというような場合は含まない、こういうような解釈であります。
○田中(織)委員 そういたしますと先ほど保留をいたしました——これは安保条約にも、直接的な関連はないとも言えるのでありますが、結局関係を持ってくると思うのでありますが、自衛隊法の七十六条の規定、これは武力攻撃の発生した場合だけではなしに、この間の淡谷委員の質問でありますか、木原委員の質問でありますかにお答えになった場合には、防衛庁長官は、たしか武力攻撃のおそれある場合をも含むということになっているのですけれども、これは憲法の規定にも反するし、国連憲章にこの自衛隊法七十六条の規定というものは反する結果になると思うのでありますが、この点は総理いかがですか。
○岸国務大臣 自衛隊法七十六条の場合におきましては、他からの武力攻撃が行なわれるおそれのある場合も含むというふうに答弁したことは、要するにそういう場合には防衛出動ができるということでありまして、防衛出動したから直ちに武力行使をするということとは違うのでありまして、そういう実力行使をするものについては、国連憲章の規定に従ってやらなければならぬ。防衛出動というものの条件としては、武力攻撃が加えられた場合でなくても、そのおそれある場合にも防衛出動はし得るというふうに答弁したことと思います。 〔委員長退席、西村(直)委員長代理着席〕
○田中(織)委員 ちょっと総理、防衛出動の場合と、いわゆる武力攻撃が発生した場合の出動と、それから武力攻撃のおそれがある場合の防衛出動とは別だというような総理の解釈にとれるのでありますけれども、そういうふうにはっきり分けて解釈していいというのですか。
○岸国務大臣 そういうふうに私は分けて解釈をすべきものだと思います。
○林(修)政府委員 ただいまの点もう少し詳しく御説明いたしますが、御承知の通りに自衛隊法の第七十六条は、いわゆる防衛出動の要件を規定してあるわけであります。ここには外部からの武力攻撃があった場合、カッコして「武力攻撃のおそれのある場合を含む。」これはいわゆる防衛出動の要件として規定されています。同時にいわゆる実力の行使の方は、第七章の第八十七条・以下に自衛隊の権限が書いてございまして第八十八条に「第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛・隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。」一応防衛出動を命令された場合には武力行使ができるわけでございますが、同時に第二項をごらんになりますと、第二項で「前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、」云々とございます。そういうわけでございまして、当然にこれは日本が入っておる国連憲章をかぶるという考え方でございます。従いまして国連憲章において第五十一条の、いわゆる自衛権の行使の要件は、先ほど条約局長が御説明いたしました通りに、要するに武力攻撃の発生した場合でございます。従いまして防衛出動を命ぜられた自衛隊といえども、武力攻撃に対処して実力を行使するのは発生した場合に限るということがこの八十八条から当然出てくるわけでございます。
○田中(織)委員 自衛隊法七十六条を具体的に発動する場合は、国際法規を順守しなければならぬ規定があるから、国連憲章の五十一条ははっきりと武力攻撃が発生した場合に限定しておるわけであります。これは国際法上、武力攻撃のおそれがある場合には、いわゆる個別的あるいは集団的自衛権の発動に基づいて行動できないということが、五十一条の条文の表からはっきりしていることなんですから、どうして自衛隊法七十六条をそういうように改めないのですか。この点は総理からお答え願いたい。
○岸国務大臣 自衛隊法の七十六条は、要するに防衛出動の場合の要件を規定しており、八十八条にその防衛出動したところの自衛隊が現実に実力行使する場合の要件はそこに規定しております。従って私は、自衛隊法を改める必要はないので、そこは明確であると、かように考えております。
○田中(織)委員 それではこういうように伺いますが、これでお答えを願いたいと思うのです。安保の第五条の場合に、これは憲法上の手続は、厳密には憲法には規定してない。憲法に準拠した手続ということになれば、自衛隊の出動に関する七十六条等を意味するということを先ほど総理が答弁されたのでありますけれども、今言うように、自衛隊法七十六条で武力攻撃のおそれある場合に出動するわけですが、それは安保の第五条との関係はどうなりましょうか。
○岸国務大臣 安保条約の五条の規定は、現実に武力攻撃があった場合において自衛隊が武力を行使する場合を規定しておるわけであります。従って自衛隊法八十八条の規定によるべきであり、七十六条はこの五条のいわゆる武力攻撃があった場合だけではなしに、おそれのある場合の防衛出動を規定しておる、こう解釈をすべきものだと思います。
○田中(織)委員 七十六条の場合は、やはり外からの武力侵略のおそれのある場合、こういう外からのということがはっきり規定されておると思うのです。従って防衛出動が同時に私は武力行使というものとのつながりを持ってくると思うのですけれども、その場合、この七十六条の武力侵略のおそれある場合、武力攻撃が発生するおそれある場合に自衛隊が出動するということ自体が、国連憲章の五十一条に違反することになりませんか。
○岸国務大臣 防衛出動をしたから直ちに武力を行使するというその問題ではないのでありまして、武力行使の場合におきましてはこの国連憲章によらなければならないし、その点を自衛隊法八十八条に明確に規定をいたしております。
○田中(織)委員 それではこういう点を伺います。国連憲章の五十二条にある個別的自衛権あるいは集団的自衛権の自衛と、今言う防衛出動等に使われておる防衛というものとの概念は一緒ですかどうですか。
○岸国務大臣 国連憲章の五十一条にも規定しており、それから安保条約五条にも規定しておる日本の自衛隊の実力行使の条件というものは、この五条でも、あるいは八十八条に規定しておる通りでありまして、防衛出動というものが直ちに武力行使と同じことであり、防衛出動したものは必ず武力を直ちに行使するという性質のものではないのであります。 〔西村(直)委員長代理退席、委員長着席〕 従って安保条約の五条やあるいは国連憲章の五十一条にいう自衛権の発動ということと防衛出動ということを直ちに同意義に解釈することは私は適当でない、かように考えております。
○田中(織)委員 そうすると、国連憲章の五十一条にいう個別的あるいは集団的自衛権の自衛というものと、自衛隊法の七十六条にいう武力攻撃のおそれある場合の防衛出動の場合の防衛とは同じものではない、こういう解釈ですか。
○林(修)政府委員 先ほどから総理が御答弁いたしました通り、また私から御答弁申し上げました通りに、自衛隊の権限の行使は八十八条に書いてあるわけでございます。内閣総理大臣が自衛隊に対する防衛出動を命令する要件は、第七十六条に書いてあるわけでございます。その第七十六条に基づいて防衛出動を命ぜられた自衛隊の権限は、御承知の通り第八十八条にございます。第八十八条第一項は、つまり他から武力攻撃を加えられた場合には、これに対して武力行使ができる。それで、二項において、これは御承知の通りに、国際の法規、慣例に従わなければならないということが、はっきり書いてございます。これは国連憲章に従うということを同時に意味しておるわけであります。国連憲章のみではございません。ほかにもいろいろの国際法規がございますが、そういう意味でございまして、これはまさに五十一条の要件に当たる場合以外には、武力を行使してはいけないということを、八十八条の第二項ははっきり書いておるわけでございます。そういう点におきまして、何らこれは国連憲章とも矛盾はないわけでございます。
○田中(織)委員 今林法制局長官が答弁されました八十八条の一項は、「七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。」従って外部から攻撃が加わるおそれがある場合に、七十六条によって防衛出動した自衛隊は、この八十八条の一項によって武力行使ができるということに私はなると思うのです。その点はどうですか。
○林(修)政府委員 この点は八十八条第一項だけをお読み願ってはこれは困るのであります。八十八条の第一項、第二項は、これは関連する規定でございます。第二項には、御承知の通りに、「前項の武力行使に際しては、」と書いてございます。第一項を受けて、「前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあってはこれを遵守し、」と書いてあります。第一項は裸で、ただ第二項なしに書いてあるわけではございません。第二項において、「前項の武力行使に際しては、」云々と、これはまさに第一項に対するただし書きの意味でございます。つまりそれを注釈したわけでございまして、当然に国連憲章に従えということが書いてあるわけでございます。
○田中(織)委員 その点は依然として私はやはり了解できない。その点からいえば、やはり七十六条については、国際法との関係でこれは改正することが当然だと私は思います。今のようなお答をされるならば、七十六条の発生のおそれがある場合への防衛出動の問題は、これは国際法の規定からいえば改めるべきだと私は思うのです。
○岸国務大臣 先ほどお答えを申し上げました通り、自衛隊の任務は、他から日本が不当に武力攻撃を受けないようにすることであり、また受けた場合において、これを排除するに必要な実力行使をするというのが、建前でございます。従って、他から武力攻撃が加えられるおそれが非常にある場合において、これを防衛する体制をとる意味において、防衛出動を命ずるという必要がある場合もあると思います。ただその場合において、現実に実力を行使して武力を用いるという場合においては、国連憲章の五十一条にも従い、すなわち現実に武力行使、武力攻撃があった場合にだけ、それに対してこちらも武力を用いて対抗するというのでありまして、事態そのものによっては、防衛出動をして、そうして事態がおさまればそれでけっこうなのであります。従って七十六条を改正する必要はない、また改正することは適当でない、かように思います。
○田中(織)委員 その点で、赤城さんおられますが、この間の赤城さんの答弁とちょっと食い違っておると思うのです。赤城さんの御見解はいかがですか。
○赤城国務大臣 自衛隊法七十六条によりまして、自衛隊の出動の条件をきめております。それは武力行使が現実にあった場合及び武力行使のおそれがある場合、こういうふうにきめてあるわけであります。でありますから、総理大臣が防衛出動を命ずる場合には、おそれある場合にも命じられるわけであります。おそれある場合に命ぜられた自衛隊は、現実に武力行使がなければ武力行使に対抗することはいたさないわけであります。それは八十八条に載っております。ですから、自衛隊が出動する場合は、日本自体で出動する場合、それがあるわけです。おそれがある場合にも出動を命ぜられるわけであります。 (「ボタンを押すおそれがある場合にもたたくと言ったじゃないか」と呼び、その他発言する者多し) いや、そんなことは言いません、そんなことは言わない。それから今の安保条約の五条との関連で、共同の危険に対処する場合と、また自衛隊自身が武力に対処する場合、こういう二つあるわけであります。でありますから、おそれある場合に出動することは、これはあり得るし、出動の条件であります。出動したから直ちに武力攻撃に対処する、こういうわけではないわけであります。
○田中(織)委員 その点はなお解明されないのでありますが、時間の関係もありますので、その次べ進みます。 国連憲章にある自衛権という考え方の中には、相手方の攻撃というものが急迫不正なものであるということが、国際法上の通念から当然でなければならぬと思うのでありますが、すべての攻撃必ずしも不正なものだというわけには参らない場合も私はあり得ると思うのでありますけれども、自衛権を発動する、あるいは個別的でも集団的の場合でもそうでありますけれども、その場合の相手方の武力攻撃というものは、国際法上の通念として必ず急迫不正の侵害ということでなければならぬと思うのですが、その点についてはいかがですか。
○岸国務大臣 武力行使が正当化されるのは、私は、国連憲章に従う場合だけだと思います。それ以外の武力行使があったとするならば、それは不正な武力行使であると言わざるを得ないと思うのであります。個別的あるいは集団的の自衛権において武力を行使するという場合は、他から攻撃があった場合、その他からそういうふうな武力攻撃が加えられるということは、これは、私は国連憲章の精神から申しますと、不正なものである、国際紛争はすべて平和的に解決すべきであって、武力を行使すべきものではないということが明らかになっておりますから、そういう他から武力を行使するということは、これは不正な武力行使である、こう言わざるを得ないと思います。
○田中(織)委員 そうすると、これは日本には直接関係ないのでありますが、一昨年だったと思いますが、たとえばレバノンに起こった問題ですね。隣に起こったイラクの内乱に影響があるという形で米軍のレバノンへの出動の問題があります。これは私、国連憲章に基づく米軍の出動ではないと思うのであります、が、こういう場合は、従って、総理の今の答弁から見れば不正の侵害だ、こういうことになるわけですか。
○藤山国務大臣 レバノンにおきますアメリカの出兵というのはレバノンの主権者が要請して出兵をいたしたわけでございます。
○田中(織)委員 私は今の外務大臣の答弁と実情とは違うと思う。日本も参加した形で問題を国連で取り上げたからアメリカは撤退したのではないですか。それは外務大臣の答弁と事実とは違う。
○藤山国務大臣 事実は違わないのでありまして、今申し上げた通りであります。ただそういうことが適当であるかどうかということをあとで国連でも問題にしたということでございます。
○田中(織)委員 その点は外務大臣の理解と私のとは違うのでありますけれども、これも疑惑を残したまま進みます。 (「一方的疑惑だ」と呼ぶ者あり) 一方的疑惑云々の問題ではないのです。 それでは次の問題として伺いますが、総理の解釈で参りますと、私らこういう場合があり得ると思うのです。新安保条約、これは特に六条の規定で、米軍が極東の安全のために出動した、このことからくるいわゆる連鎖的な攻撃というものがあり得ると思うのです。その場合は、総理の先ほどの解釈からいえば、これはもう国連による行動ではないのだからすべて不正なものだ、こういうように解釈をされるのですか。その場合に、不正であるか不正でないかという点については、受け取り方のいかんによれば全面的な戦争拡大べの危険をはらんでおるので、そういう場合も想定しなければならぬと思うのですが、いかがですか。
○岸国務大臣 米軍が日本の基地を使用して出動する、作戦行動に出るという場合は、これは国連憲章の要件を具備しなければならぬのであります。その制限は当然受けるわけであります。従ってそれは、その出動する地域に不正な武力攻撃が加えられた場合において、これを排除するためにだけしか出られない。従って、日本の基地を利用して米軍が不正な武力攻撃を排除するための行動をとったからといって、それを理由に、その武力攻撃をした国が武力を行使して日本の基地を攻撃するということは、何ら権利がないのでありまして、それはやはり不正な武力攻撃が日本に加えられたということに当然なると思います。
○田中(織)委員 どうもその答弁が理解できないのでありますが、私の時間もだんだん迫っておるので、それでは少し角度を変えて質問を申し上げます。 総理はこの委員会の最初の総括質問で、わが党の横路委員の質問に対して、この新安保条約でいういわゆる極東の範囲の問題について統一見解を、いろいろの曲折があって答弁をされたのであります。ところが過般安保特別委員会が開かれまして与党の愛知議員が質問をいたしますと、重ねて統一見解なるものを発表せられました。両者の間にいろいろな食い違いの問題が出てきておると私思うのでありますが、一体どちらの統一見解を最終的なものと受け取っていいのでしょうか。私は統一見解というようなものに、野党からの質問に対する統一見解、与党の質問に対する統一見解と二つあるべきはずのものではないと思う。一体どちらをほんとうだと受け取っていいのでしょう。
○岸国務大臣 よくごらん下さいますれば、両方とも同じことを言っておるのでございまして、過日安保特別委員会において空目えましたことは、いろいろな点について取りまとめて私が答えたのでありまして、極東ということの意義につきましては全然同じことを申しておるわけでございます。
○田中(織)委員 ところが総理、普通の日本人として解釈をした場合に、だいぶ食い違いが出てきておる。その具体的な問題として、いわゆる極東の範囲、極東の平和と安全が脅威せられる場合の協議あるいは在日米軍の出動のための極東の範囲というもの、そのものについては、協議の場合の極東の範囲と、具体的に在日米軍が日本の基地から出動する場合の行動範囲とは違う。その前には外務大臣なり総理はおおむね同じだ、こういうことを答弁されてきているのでありますが、この間の愛知議員に対する答弁では、それは、協議の場合の極東の範囲に極限されないのだ、それよりも広がるのだ、これは日本語からいえば常識的に当然そうなると思うのでありますが、その点は食い違いではないとおっしゃいますか。
○岸国務大臣 新安保条約におきましては極東という文字を三カ所であったと思いますが使っております。これはいずれの場合においても極東というものの範囲は同じであります。ただ問題は、今お話のように、第四条においてその極東というきまった地域の平和と安全に対して脅威を与えるという場合は、その限られた極東内の事項だけではなしに、極東に近接する地域におけるいろいろな事態が極東という地域の平和と安全に脅威を与えるような場合において協議するということでございます。また米軍が極東の安全と平和を守るために行動する範囲はどこまでであるか、極東に限るということは従来申しておりません。しかしながら米軍としては、もちろん行動はその事態に応じて、アメリカの憲法が認め、国連憲章の許すことでやるわけであります。またさらに日本の基地を使ってそういう行動をする場合においては、日本の事前協議の対象になるわけであります。従って、現実に行動する範囲というものはおおむね極東の地域に限られる、おおむねということを申しておる。おおむねということは、同一でないということを意味しておるわけでございまして、以前の私どもが説明しておることと少しも違っておりません。
○田中(織)委員 これは総理、私は非常に重大な問題だと思うのです。あなたの安保特別委員会における答弁では、日米両国が条約にいう通り、共通の関心を持っているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということである。この意味で、実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域であるということをあなたは述べられておる。今の総理の答弁だと、この間愛知君に述べられた統一見解とまた違う答弁になるではないですか。
○岸国務大臣 私は違っておらないと思います。
○田中(織)委員 そうではなしに、この部分はあなたが述べられた通りでありますけれども、先ほど申されたように、この前にあなたがお答えになった点から見れば、在日米軍の行動範囲というものは、こういう意味の協議の対象になる極東の地域に同じだということをいまだかつて答弁したことはない、おおむね一緒だという、それは必ずしも一緒ではない、あなたが述べられている点ははっきりと、この条約に関する限りということで断わられて、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域ということは、これは平たい言葉で言えば、在日米軍の行動範囲だということになるではないですか。ここではあなたは同じだと言いながら、先ほどの答弁ではそれはおおむね一緒だ、おおむねということは同一だという意味ではないというお答えは、明らかに矛盾するではないですか。
○岸国務大臣 私が申し上げましたあとの方を読んでいただくと一そう明瞭だと思います。日本に基地を持って駐留しておる目的は今の点において述べております。それからその次に米軍の現実の行動は、どういうふうな行動するかということにつきましては、その次に申し述べておりまして、結果品には私が従来申し上げているように、おおむね行動範囲もこの極東の範囲と一致するということを申し上げておるのであります。
○田中(織)委員 そういうように置きかえられては私はいけないと思うのです。なぜかというと、極東にある米軍は在日米軍だけではないことは私も承知しております。従って米軍の行乱範囲というものは、そういう形で逃げられるということは——日本の国民が一番関心を持っておるのは在日米軍の行動範囲なんですから。あなたはその点をこのあとで述べられている点は、あなたたちの場合には問い詰めていけば、これは必ずしも在日米軍だけではない、そういうものを意味しているのだ、しかしやはりこの新安保条約で問題になるのは、在日米軍の行動範囲なんですから。その点はいかがですか。
○岸国務大臣 米軍は、在日米軍もその他の地域におる米軍の現実の行動とうものは、国連憲章の範囲である制限を受けております。また在日米軍のものにつきましては、その上に日本国の事前協議において現実に制限を受けるのでありまして、ある場合においては極東というものよりも狭く米軍の作戦行動を制約するような場合もあろうと思います。従って、そういう意味におきまして、在日米軍の作戦行動の地域というものは、極東の地域とおおむね一致するということを申しておるのであります。
○田中(織)委員 今総理がたまたまお答えになったように、常識的に考えると、日米両国が極東の平和と安全のために関心を持つ地域は、これはきわめて常識的な言葉からいえば、その範囲は広くとも、在日米軍が、事前協議によるようないにかかわらず行動する範囲というものは——行動する範囲というものは戦争行為なんですから、それが狭いほどいいというのは私は常識だと思うのです。そういう方針が出ておれば何ですけれども、国民が心配する点は、極東における米軍というものは、日本に基地を持っておる米軍だけではなくて、沖縄にも、朝鮮にも、台湾にも、フィリピンにもあるいは海上にもおるというところに、日本から行動を起こした米軍の行動によるものであるか、あるいは日本に関係なく他の国の基地から出た米軍の行動であるかという点について明白に区別はつかない。これは先般の公聴会でも、林克也君から、それはもう全然区別はつかないのだ、こういうことを申されておる関係から、きわめて関心を持って国民がこの点を知りたがろうとしておるのです。その点から見たら、総理が言われるようにおおむね同じなんで、これは狭められる場合がある、逆に広げられる場合があるということになると、国民は不安でならないのです。その点はいかがですか。
○岸国務大臣 私は、国民が一番関心を持つことは、要するに日本の平和と安全ということであろうと思います。これが脅かされたり、あるいは現実に侵略されないということが必要なので、これが一番国民の関心の的であると思います。一体安保条約そのもののこういう体制をとることは、日本がもしも非常に強い自衛隊を持っておって、それだけでもって日本が防衛できる、それで安心できる、他から侵略されないというような情勢であるならば、こういう条約は必要でないということになるでしょう。しかしながら、現実にはそうでない。従って、米軍が日本に駐留しておって、そうして共通の危険だという場合には行動できるということによって未然にそういう侵略を防ぐことができることに安心感の基礎があると思う。また事実上安保条約の真のねらいはそこにあると思う。しかしながら、その意味において私は、米軍の行動を制約すれば制約するほどいいのだというふうには実は根本的には考えておりません。それではなしに、ただ不当にこれが広げられるとか、あるいは国連憲章の精神に反して行動されるとかいうようなことがあることは、これは厳に慎まなければならぬし、また日本自身の安全と平和に直接関係ないような行動は、これもまた日本が自主的に制限することは当然でありますけれども、その侵略なり武力攻撃の行なわれたときの事態に即応して、これを排除するに必要な行動を米軍がとるということを前提として考えるべきであって、必ずしもいつも狭いほどいいのだというふうには考えるべきものではない、こう思うのであります。
○田中(織)委員 それが私が一番最初に総理にお伺いした問題と関連をするわけなのであります。そこが私らと根本的に違う点なのです。端的に言って、太平洋を遠く離れたアメリカが、たとえば極東地域に対するアメリカの利害関係、関心というものと、また日本海あるいは東シナ海を経てこれらの地域に接しておる日本の関心といえば、これは比較にならないということは常識ではありませんか。その意味で日本の安全、防衛という観点から考えることは当然でありますけれども、極東においてアメリカ軍の——これは在日米軍だけには限らず、遠く太平洋を離れておる、その意味から見れば、常識的に利害関係のないアメリカが、たまたま第二次世界大戦で連合国の指導者としての地位をとったからという形で極東の平和の問題についてアメリカでなければこの平和は守ってやれないのだという資格がアメリカのどこにあるのですか。私はそういう意味でアメリカに無批判的についていく、その考え方が間違いだと言う。そういうように申しておるので、その点から見れば、やはり在日米軍はもちろんのこと、極東における米軍の行動範囲というものは平時におけることが問題ではないのです。何か紛争が起こったときに具体的に行動を起こすことが問題なのですから。それはアメリカの立場に立って考えてみたって、私は狭い方がいいということは当然のことでなければならぬと思う。総理の考え方は私は根本的に間違っておると思うのですが、いかがですか。
○岸国務大臣 お話の通り、極東に対する平和と安全ということをアメリカが痛切に考えているか、日本が痛切に考えているかという問題については、私は田中委員と同じように、日本が安全であり、平和であるためには、この極東地域の平和や安全が脅かされたり、乱されたりするということについては、アメリカ以上にわれわれは緊切な、また強い関心を持つのは当然だと思います。従ってその地域に関する国際の平和と安全を守るということを、それでは日本ができるかといえば、日本は日本の自衛隊の特質から申しまして、日本の自衛隊がそういうことができないことは、これまた御承知の通りであります。その場合に私は、この極東の安全と平和というものを守るために、どこかの国と協力してこれを守っていくという根本に立つ場合において、(「軍事同盟じゃないか」と呼ぶ者あり)それではアメリカが適当でない、あるいはソ連の方が適当である、あるいはどこの国が適当であるかという問題については、これはお互いに十分に考えなければならぬ問題だと思う。しかしながら私は、われわれと政治的な考えを同じくし、経済的な基盤においても非常な密接な関係にあるところのアメリカと協力して極東の平和と安全を守るということが適当であるという、この観点に立ってこの安保条約というものが結ばれておるのであります。従って日本がそれほど強い関心を持っておる、極東の安全と平和を守るというこの意義を安保条約が持つことによって、初めて極東も平和と安全であり、日本も平和と安全であるという結果が出るわけであります。これは軍事同盟というようなお言葉があちらの方から出たようでありますが、言うまでもなく、この全体をごらん下さればわかるように、防衛的なものであって、国連憲章のなんによって、先ほど来議論されたように、他から武力攻撃が現実に行なわれない限り——これは先ほどもお答え申し上げたように、不正な武力攻撃が加えられた場合において初めて発動するのでありまして、そういうものを私は軍事同盟ということをもって攻撃することは適当でないと思うのであります。そういう意味に驚いて、私はこの条約のその目的を達するに必要なようにすべてのものを解釈していくことが適当であって、この侵略が行なわれる事態に即応して、これを妨ぎ得るような状況に持っていくととが必要でありますから、必ずその米軍の行動を制限することがこの条約の本旨であるというふうには私は考えておらないのであります。しかし不必要な行動を許す考えは毛頭持たないということを申し添えておきます。
○田中(織)委員 昔から戦争の歴史をひもといて参りますと、自衛のため、防衛のためだということでいつも戦争が起こっておるのです、そこで第二次大戦が終わったあとにおいて、考え方の違うところをもひっくるめた形で、再び戦争の起こらない体制を作ろうというのが国連なのです。その国連の機能を強化するということも、従って国連の世界的な規模による安全保障体制ができることは最も理想とするところだということは、総理もきのう橋本龍伍君にそういうようにお答えになっておる。私はそういう建前から見れば、総理が言われるように、この条約の軍事同盟的な性格というものをやはりわれわれは駆逐すべきだ。これはもう明らかに第三条においては、武力で抵抗する能力のために、端的な言葉で一声えば防衛力増強をお互いにやることを第三条で掲げておるのです。第五条におきましては、先ほど赤城防衛庁長官も述べましたように、共通の危険に対処するために行動する、これは軍事行動以外の何ものでもないと思うのです。これは明らかにその意味から見れば軍事同盟であるということは、総理が何と言われようと否定することのできない問題であります。先ほどから取り上げております極東の範囲の問題については、最初の総括質問で横路委員が伺ったときにも、藤山さんはこの点についてはアメリカ側との間の意見の不一致はない、相違はないという点を述べられましたけれども、何かこのことが問題になりましてから、過般愛知委員の安保委員会における質問に対して答えられた統一見解までの間に、具体的にアメリカ側と打ち合わせをされた、そういう事実があるのかどうか、これはもう今後は絶対に変更のないものなのかどうか、その点について念を押しておきたいと思います。
○藤山国務大臣 かねて申し上げておりますように、条約交渉の途中においてフィリピン以北、日本の周辺及びそれを含む海域というような点については、交渉の過程でもって話し合いをいたしました。今回、総理が愛知委員の質問に対して答えられましたのは、先ほど総理が言われました通り、いろいろ誤解等があって、そうしてそれをまとめて今回正確に表現をいたしたわけでありまして、別にアメリカと連絡をいたしたわけではございません。
○田中(織)委員 伝えられるところによると、あの統一見解は手回しよく印刷まで用意されておって、マッカーサー大使との間で打ち合わせが行なわれた後に総理が読み上げたものだというようなことが伝えられておりますが、別段これがこの委員会で問題になったから具体的に打ち合わせされて双方で取りまとめた統一見解と、こういうわけではないのですか。念を押すようですけれども……。
○藤山国務大臣 ただいまお答えいたした通りでありまして、別段打ち合わせをいたしておりません。
○田中(織)委員 そこで極東の範囲の問題でもう一点伺っておきますが、今までの統一見解で述べられておる点では、いわゆる極東の範囲内に中国沿岸の金門、馬和島は包含するのだ、こういうことが答弁されておるのでありますけれども、これは先般辻原委員から指摘をいたしましたように、米華防衛条約におきましても、米華防衛条約の対象とする地域に金門、馬和島は含まれていないのです。それから先年金門、馬和島をめぐる台湾政府と中華人民共和国との間の武力紛争の問題の際に、アメリカの第七艦隊が台湾海峡で行動した。在日米軍が日本の基地から、補給等のために飛び立ったということは事実でありますけれども、たとえば第七艦隊で金門、馬和島における台湾の軍隊を補給する場合におきましても、はるか後方からこれを護衛する、こういう形で、アメリカとしても先般の中華人民共和国と台湾政府との紛争の問題の場合にも、これについては慎重な態度をとって参った。それにもかかわらず、アメリカは米台条約等の関係でこれには深い関心を持っておるかもしれませんけれども、日本の場合に、アメリカすら慎重な態度をとっているにもかかわらず、金門、馬和島が協議の対象になる、極東地域に含まれるという見解は、中華人民共和国側を刺激する最大の問題になっておると私は思う。与党の中においても、昨年中国を訪問された松村さんが、新聞紙の報道するところによれば、岸総理に対して、日中関係の打開のためにもそういうことは改めるべきだ、こういうことを進言されたやに聞くのでありますけれども、この点は当然日本として、今後日中関係について、国交回復その他重要懸案をかかえておる立場から、私は考えなければならぬ地域であると思うのでありますが、従来の通り依然として、米軍と軍事的な問題で話し合う極東の地域にこの金門、馬和島を含める考えであるか、この点総理に確かめておきたいと思います。
○岸国務大臣 先日愛知委員にお答えをいたしましたように、やはり私は極東の地域に含めて考えていくべきだと思います。ただ極東の地域に含めたからといって、米軍が直ちにそこに出動することを認めるか認めないかというようなこととは、これはおのずから別の問題であります。従ってそういうことと関連してこれを考えることは適当でないと思いますが、州地域には含める、こういう解釈であります。
○田中(織)委員 その点については、一昨年でありますか、金門、馬和島をめぐる台湾海峡の緊迫した情勢の中に、岩国にある在日米軍の飛行機が飛び立っておるという事実があるわけです。そういう関係だけに、また先ほどから十分な解明は得られませんけれども、協議の対象に入れるということは、何のために協議をするかということになれば、不幸な事態が予測せられる場合の作戦行動に直ちに関係する地域ということに、勢いこの条約の性格から見てならざるを得ないので、私はやはりこの地域は含まないということにしなければならないと考えるのでありますが、この金門、馬祖を含まないということに改めた方が、そういう点からいいのである。もう時間がありませんからあまり追及をいたしませんけれども、先般来在日米軍が、たとえば沖縄というものを中継してこれらの地域に出動する。一たん日本を離れた場合には、そういう作戦行動で移動した場合においても事前協議の対象にはならないのだということ、ところがこの間の公聴会で林克也君の公述によりますと、やはり在日米軍も、沖縄にある米軍も、ハワイに本部を置くところのアメリカ極東空軍の指揮下にあって、それは先年レバノンベ出動したアメリカの空軍部隊にしてもイタリアから出発したのでありますけれども、それはレバノンベ行ってもやはりイタリアに基地を持つところの米空軍であることは、これは国際法的な考えから、また軍事科学的な立場からいって、そういう、もう日本の基地を離れたら在日米軍ではないのだ、全然こちらは関与できないのだということにはならないという、きわめて重要な意見を開陳されておるのです。そういう関係から見れば、私は将来問題の種になる地域だと思うので、これはやはりはずされた方がいいと思いますけれども、総理は考え直すお考えはありませんか。
○岸国務大臣 金門、馬祖は御承知の通り中華民国の領有しておるところでございます。従ってこの状況のもとにおいて、台湾の平和と安全の場合に非常に密接な関係を持っておる地域でございますから、この極東という範囲に入れるという解釈を変えることは、これは私どもは考えておりません。
○田中(織)委員 総理、金門、馬和島は中華民国の領土だということは、この前には領土ではないということをはっきり答弁せられているのです。それを中華民国の領土であるということは、これはきわめて重大な問題だ。
○岸国務大臣 御承知の通り、中華民国と中華人民共和国との領土に対する領土権の主張は、両方が違っております。私はだから、特にここに領土権を持っておるとは申しておるわけではございません。領有しておるという…(発言する者あり)という意味のことを申し上げております。
○田中(織)委員 その点は、先般辻原委員からであったと思うのでありますけれども、藤山外務大臣は、一般質問で答弁しましたときには、はっきり、むしろ中華人民共和国の領土である、こういうように藤山さんが答弁されておることと食い違います。(「今、領有と言ったろう、取り消した方がいい」と呼ぶ者あり)これは外務大臣の答弁と食い違うことにもなるししますから……。
○岸国務大臣 先ほど申し上げましたように、この領土権についての主張は、両国が違っておりますから、そういう意味において、領土権を持っておるというような意味で、私は申し上げたわけではございません。事実上そこを支配しておるという意味で申し上げたのでありますから、そういうふうに御了承願います。
○田中(織)委員 その点は速記録でなお調べて別の機会に確認をすることにいたします。 そこで、もう時間もありませんが、なおぜひとも確かめたい問題は、第三条の、武力攻撃に抵抗する能力、これを維持発展させるということを約束しておるわけです。これはその意味から見て現行の安保条約では、日本の防衛力の増強というものは、当時の状況から見て、期待するということ、ところがその後この現行安保条約に基づいてできたMSA協定によれば、日本の防衛義務というものははっきり義務化されてきておる。私らには、この武力攻撃に抵抗する能力を維持発展させるということを三条にわざわざ掲げた点は、憲法の規定の範囲内という制約はあるといたしましても、これは防衛力増強の義務づけであると、こういうように解釈をせられるのでありますが、この点は、従来は必ずしも義務的なものでなくて、それぞれの範囲内でやればいいのだ、こういうことになりますけれども、先ほどの五条の、共通の危険に対処するために共同作戦をするということまで入れておる関係から見て、これは私は相当強力な義務的な規定であるというふうに受け取るのでありますが、真意はいかがですか。
○岸国務大臣 三条の規定の趣旨は、お読み下さればわかるように、締約国のそれぞれの国が他から不当な武力攻撃を受けることに対する抵抗力を、それぞれの憲法の範囲において維持し発展せしめるということを約束したわけでございまして、われわれがこの日本の防衛力をどういうふうに維持、発展せしめるかということは、日本が自主的に国防会議できめておる方針に基づいて、いわゆる国情に応じて漸増するという方針を堅持しておるわけでありますから、これによって新たな、実質的な防衛の増強の義務を負うているものだとは考えておりません。
○田中(織)委員 次の第四条によりますと、第四条では、条約の実施上これこれのことは協議するということになっていますね。従ってその条約の実施上日本の防衛力がどうあるかということがきわめて重大問題だと思うのでありますが、その場合の協議の中に防衛力の問題が入るというふうに従来答弁をされておると思うのですが、その点は間違いございませんか。
○藤山国務大臣 四条におきまして協議というのは、この条約実施の上でいろいろな意見の交換もし、話し合いもし、あるいはお互いに忌揮なく意見の交換をするわけであります。従いまして条約実施の面におきまして、何か防衛に対する援助をするとかしないとかいうような問題については、むろんそういう内容についても協議すること当然でございます。
○田中(織)委員 外務大臣の今の答弁だといたしますと、総理がお答えになった、防衛力を維持、発展させるということについて三条で約束していることは、日本の防衛力の増強についてこの条約からは何ら義務づけられるものはないということにはならないと私は思うのです。だからこそ、これは今澄委員からも質問をして、そういう構想を明らかにされたのでありますけれども、日米軍事委員会というものが持たれるという。防衛予算、特にアメリカの対日軍事援助費の問題についてあとで質問を申し上げることとも関連を持ってくるわけなのですけれども、現実にはMSA協定が交換公文によって今度の新条約に置きかえられる。こういうような関係から見て、日本の防衛力の増強というものは、この安保条約と密接不可分の関係にあるので、維持、発展させるという点から見れば、当然防衛力増強ということが義務的なものになってくると解釈せざるを得ないのですが、その点はいかがですか。
○藤山国務大臣 独立国家として自衛力を持って参りますことはこれは当然のことであります。従ってその自衛力をそれぞれの国において、自分の経済その他財政、社会的な条件を勘案いたしまして、そうして維持し、発展させていくことは当然のことであります。それをお互いに宣言しておるわけであります。従いまして協議にあたりまして自衛力を維持して参る場合に、何かいわゆるMSA協定で物資を供与する、しないというような問題については、それは当然協議に入りましょうけれども、しかし維持し発展させる内容そのものについて何らの義務を負うているわけではございません。
○田中(織)委員 それはこの条約に基本を置きかえて、MSA協定が生きてくるのでありますから、MSA協定の規定から見れば当然やはり義務づけられておるのだから、安保条約の調印に行かれるときに、われわれが追及しても国会にはなかなか出しませんけれども、いわゆる第二次防衛計画案なるものもみやげとして持っていったのだというようなことも、それぞれ軍事科学の研究家たちの間では伝えられておるわけでありますけれども、義務づけられておらないということであれば、今後の予算の問題に関連をしてこれはわれわれ締めていくことにしたいと思います。 そこでこの武力攻撃に抵抗する能力の具体的な内容の問題でありますが、時間もありませんので、端的に聞きますけれども、この三条にいう武力攻撃に抵抗する能力というものの中には核兵器が含まれるのですかどうですか。
○岸国務大臣 日本は自衛隊を核武装しないということ、これはかねて私がしばしば声明しておる通りであります。またこの核兵器の持ち込みということは認めないということも申しておりますが、この核兵器で米軍が装備するという問題は事前協議の対象になっておりますから、われわれはこれを認めないという方針で進んでいくつもりであります。
○田中(織)委員 そうすると、第三条にいうそれぞれの国が持つ武力攻撃に抵抗するための能力を維持しかつ発展させるものとするという、日本側が維持し発展させる武力攻撃に抵抗する能力の中には核兵器は入らない、条約上もそういう点をはっきりしておる、こういうふうに理解していいのですか。
○岸国務大臣 その通りに私どもは考一えております。日本側は絶対に持たないということをきめておるわけであります。
○田中(織)委員 それではこの間から大陸間弾道弾あるいは中距離弾道弾等の持ち込みあるいはその基地の設定、こういうような関係、これは米軍が持ち込むという場合については事前協議の対象になるということがはっきりされておるわけでありますが、最近ワシントンからの外電によりますと、何か原子潜水艦というか、ポラリス潜水艦の補給基地を本年度あるいは明年度あたりから日本に持つということも、これはアメリカの極東戦略からそういう必要に迫られておるので、この点については日本と協定をしなければならぬというようなことが、アメリカの国防省の方から出ておるようでありますが、この点については先般横路委員からも伺った点でありますけれども、現在までにそういう話があるのですかどうですか。それからまた補給基地についての協定の問題が出る場合には、今度の条約の関係から見れば、そういうことについては事前協議の対象に当然なるものと思うのですが、その点はいかがですか。
○赤城国務大臣 ポラリス潜水艦の基地、補給基地等についての話は全然受けておりません。
○田中(織)委員 もしそういう話が出て参りましたときには、どういうように対処せられる方針ですか。これは主として日本海等に短距離のミサイル兵器を積んでいく関係から、一定の期間は補給等の必要がないけれども、長期になると補給しなければならぬ関係から基地を設けなければならぬ、こういうような報道がなされておるのですが、現在まで持ち上がっておらないといたしまして、将来こういう問題が持ち上がった場合にはどうされるつもりですか。
○赤城国務大臣 現実に核装備しているかどうかということにつきまして、そういう場合には事前協議の主題となる、こう考えております。
○田中(織)委員 現実に核装備しておるかどうかということにつきましては、先般総理はそういうことを調査する権限もない、ただ日本側の強い願望だから、その点についてはその日本側の願望を踏みにじってまでアメリカは持ち込まないだろうと信じておる、こういうことにしかならないのであります。私はこれはよくわかりませんが、やはりあまり遠くない距離の原子兵器を塔載するための潜水艦であるというふうに聞いておるのでありますけれども、場合によれば補給基地を設けるということの相談に乗るつもりなのですか。これは調査権もないということであれば、先ほどのような点から見て、核兵器は日本の自衛隊には絶対に持たせないということを総理からはっきり答弁された建前からいえば、日本側としては断わるつもりだ、これは当然出てこなければならぬと思うのですが、いかがですか。
○赤城国務大臣 日本側として、米軍の装備等についてこれを調べる権限はないと思います。しかし今度の条約によりまして、随時協議することになりますから、お互いの間の協議の中から、そういうものを装備したものを持ってくるかどうかということが明らかになるだろうと思います。そういう場合には、総理の答弁されたような措置をとるということに相なろうと思います。
○田中(織)委員 その点は調査する権限もないから、アメリカ側の善意に期待するよりほかにしょうがないということを総理が述べられておるのであります。私はやはり先ほど述べたように、自衛隊には原子兵器は絶対に持たせないということを言明されている建前から見たら、やはりこういうものの基地協定の話し合いがあった場合には、断わるという建前で臨んでもらわなければならないと思うのでありますが、時間がありませんからあまりそれを追及しません。 そこで、防衛力増強の問題に関連をいたしまして防衛予算の問題について触れたいのでありますが、時間がありませんから明日、同僚井手委員から追及をしていただくことにいたしますが、本朝防衛庁から出されました一九五〇年から今日に至るまでの間のアメリカの対日軍事援助費の総額の問題について、分科会で同・僚の滝井君、横路委員から質問をいたしましたことで数字の食い違いが出たのが、けさ出された資料でもまだ明確になりません。これは一体どういうことなんでしょう。昭和二十六年から三十四年九月までの受領実績が四千四百二十三億円、ところがアメリカ側が発表いたしたものが、たしか千八百二十四億円です。しかしそのほかに船舶貸与協定だとかあるいは艦艇貸与協定、警察予備隊当時の武器、弾薬の補給等のものを若干入れましても、本朝出された資料によりましても差引八百五十七億円の開きがまだ出てきておる。これは私簡単な金額ではないと思うのですが、一体どうしてこういう金額の差が出てきたのか、御説明を願いたいと思います。
○赤城国務大臣 今お話の、国防省発表の額と、わが方で受け取った額との差があります。その差をいろいろ調査いたしたのでありますが、その中で今もお話ありましたように、米極東陸軍の特別補給計画に基づく供与分千百五十億、それと日米艦艇貸与協定及び日米船舶貸借協定に基づく貸与分、これが五百九十二億ですか、これをこちらでは含めておったわけでございますので、それを差し引いてみますと、今のお話のように約八百五十七億円が違っております。これにつきましてはなお調査中でありますが、一つは今申し上げました千百五十億の米極東陸軍の特別補給計画に基づく供与分でありますが、これが私どもの調査では千百五十億、こういうふうになっておりますが、このほかにアメリカ側として極東陸軍特別補給計画に基づく分がなお相当あるというふうに考えられます。しかしその額は今向こうに調査を要求していますが、これが出てきません。しかしこれは含んでおるだろうということであります。もう一つは、今もお話がありました通り、一九五九年の米会計年度は昭和三十四年の六月末でありますが、防衛庁側として調査を出したものは昭和三十四年の九月末まででありますので、三ヵ月のズレがあります。その間のズレの計算がまだ出ておりません。それから供与品の評価の相違がある程度あるというふうに考えます。これはまだはっきり数字が出てきません。目下調査中でございます。
○田中(織)委員 総理、今お聞きの通りの状況でございまして、総額で八百五十七億という開きがあるのです。しかもこれによりますと「米国防省発表の計画額はわが方には従来知らされていない数字であり又その内容についても何ら知らされていない。従って計画額と引渡額の差については判明しない。」こういうのです。幾らMSA協定あるいは従来の安保条約の関係から見て、日本が対等の立場に置かれていない、押しつけられた条約であったからといって、現実に武器なりあるいは弾薬なりで、あるいは飛行機なり艦船で渡されるものについて、僅々十年たつかたたないかの間に八百五十七億という莫大な開きが出た。その開きが出た根拠がわからないというようなことで、一体国民は納得するでしょうか。ことに今防衛庁長官が言われましたように、日米間の評価の相違がある程度あると考えられる。そんなことでは大きな食い違いの問題ではないですか。ことにこの前段の関係から見ればこういうことまで書いてある。実際に四千四百二十三億円というものは日本側で引き取ったものの総計なのですから、これはアメリカ側との間で予算委員会で問題になってからでも十分引き合わせする時間的な何があると私は思うのです。このままの形でこの予算を質疑を終わって通してくれと言っても、これは通せません。与党の諸君どうですか。さらにこの中には、三十六年度以降の債務負担行為として、ロッキードの関係の七千五百万ドルというアメリカ側の負担額が一部分は一九六〇年度の分に含まれておるのだということを外務大臣が分科会で答弁してきているのです。ところがこの債務負担行為の年度割の額もまだ委員会にも示されていない。ところが七千五百万ドルというアメリカ側の負担額というものがこの間突然示されて、そして今八百五十七億という開きの中にその七千五百万ドルが入っているのか入っていないのかという問題も未解決のままでこの予算を通すわけに参りませんが、この数字について、予算案の委員会の審議が明日で終わるわけなのですけれども、それまでの間に明確にさせることを責任を持ってもらえますか。大蔵大臣いかがですか。
○赤城国務大臣 日本側の引き取ったという四千四百二十三億、これは日本が現実に受け取って日本の帳簿に載っておる価格であります。でありますので、アメリカ側では、先ほど申し上げましたように、極東陸軍の特別補給に基づくものとかあるいは艦船貸与協定とか貸借協定に基づくものは含めないというふうに見ているかもしれません。これはアメリカ側の予算の経理あるいは会計の経理からだろうと思います。でありますので、私の方におきましては四千四百二十三億一千五百万円を供与として受け取っていることは間違いない額でございます。そこで八百五十七億は、今度のロッキードのアメリカの負担もこの中に入っているのではないかと言いますけれども、これは入っておりません。三十四年の六月までの分でありますから、今度の七千五百万ドルのものは含んでおらないわけであります。この差額につきましては、どうも向こうの引き出しとこっちの引き出しが少し違うのです。そういうような関係で今も顧問団を通じて調査しております。調査しておりますが、別にこれは日本でごまかしたとかなんとかいうことではなくて、現実に請受け取ったものが日本の帳簿に載っておる。それがはっきり載っておるのでありまして、別にこのために何か不正とかおかしなことがあるというふうなことは全然ないわけであります。でありますから、今度の予算との関係において関連をつけられればつけられるかもしれませんが、そう直接関係があるというようなものでもないように私は思います。
○小川委員長 田中君、申し合わせの時間が過ぎておりますから簡潔に。
○田中(織)委員 これで終わりますが、今度の債務負担額との関係が出てくるのでありますけれども、ロッキード関係のアメリカの負担分の七千五百万ドルは、外務大臣の分科会での答弁では、外務省側のなんでは一九六○年、すなわち本年の七月までのアメリカの会計年度の中に一部分は含まれているのだ、こういう答弁をされているのですけれども、その点は赤城さんの答弁と私は食い違うと思うのですが、どっちがほんとうなのですか。
○赤城国務大臣 七千五百万ドルの一部分が入っておると思います。
○田中(織)委員 今の答弁では、先ほどは三十四年度、日本流にいえば三十四年の中に含まれておるということになるわけですけれども、長官はその点は否定をせられて、分科会で外務省関係では答えているではないかといえば、一部分は含まれているという。私は大蔵大臣に答えていただきたい点は、債務負担行為が額も違います。質問者によって、五人聞けば五人に対してあなたたちの答える債務負担行為の額が違うのです。今私の方で表にしていますからあしたまでに出しますけれども、従って債務負担行為については必要に応じて年度割額を出させるということが大蔵大臣にできる権限になっておる、しかしそういうものもあなたの方ではまるつきりやらないのです。今度の安保の関係で防衛力の増強ということも必至な情勢にあり、しかも現在までの関係によると、防衛予算のことではアメリカから受け入れたものでもこれだけ大きな食い違いが出てくるし、これから新三菱でやらせようというロッキードの関係についても、債務負担額の金額というものが、五人質問すれば五人に五者五様に答えられる。こんなことでは国民にかわって予算審議をしているわれわれは責任を持てないではないですか。 最後に大蔵大臣、防衛関係では繰り越しの問題も不用額の問題もずいぶんだくさん出て、ちょうど戦前の臨時軍事費のような様相を帯びてきていることに対して改める考えはないのですかどうですか。防衛庁長官と大蔵大臣の答弁を求めて質問を終ります。
○佐藤国務大臣 三大臣の金額が違っておるということでありますが、大蔵大臣の答弁いたしたものはそのつど変わっていないつもりでございます。最後に間違いのない数字をはっきり申し上げます。三十五年度予算に計上いたしました防衛庁関係国庫債務負担行為の総額九百十八億六千四百八十五万八千円、このうちでただいまお話しになりましたF1O4戦闘機関係の分は六百九十八億五百八十二万二千円、今まで毎回申し上げました六百九十八億というのは、億以下を省略して表現いたしました。さらに関連器材の整備のために十七億四千七百八十八万四千円、合計いたしまして、戦闘機関係は七百十五億五千三百七十万六千円、こういうことでございます。 この年割額を作って出せ、こういうお話でございますが、この点については毎回申し上げておりますように、今回ロッキードの二百機についての——正確に申しますと百八十機分でございますが、その契約をいたしますについて債務負担行為の承認をお願いしておるのでございます。これを予算化するにつきましては、そのときの財政状態等や、また工事の進行状態等を勘案いたしまして、これを予算化いたすのでございます。従いまして今日からこれを三十六年度以降四年を平均して金額を見積もるというわけには参らない金でございます。この点を誤解のないようにお願いをいたします。 以上で債務負担行為についてのお話は済むと思います。 それから残りの分については艦船等の購入費でございます。これは省略させていただきます。また先ほど来防衛庁長官がお答、えいたしております過去の援助金額等につきましては、当方の受け入れ金額は先ほど来防衛庁長官が答弁された通りの金額でございます。
○赤城国務大臣 ただいま大蔵大臣が申し上げた通りでございます。債務負担行為の中で航空機購入として七百四十一億五百三十八万七千円ありますが、そのうちF1O4の関係は六百九十八億五百八十二万二千円、こういうふうに相なっております。これは総額九百六十八億五百万円から米側の負担分を除いたものでございます。
○田中(織)委員 その数字は最終的なものと伺いますけれども、それも従来大蔵大臣が述べてこられたもの、あるいは防衛庁長官が述べてこられたものとまだ若干の食い違いがございます。そういう形で、ことにロッキードの問題なんかは、国民から非常な関心を持たれている問題について、一カ月足らずのこの委員会で質問者が五人なら五人かわるごとに数字が違う。これは締めくくりの質問でありますから、そのときに述べたことはもう動かないのだということになっても、そのたびに国民が違った数字を見ることによって、この予算に対する信頼感というものが私はだんだん薄らいでくると思うのです。そういう点で、その数字の食い違いの点は明日重ねて同僚の井手委員から追及されることと思いますので、その点だけ申し上げて、予算の数字についての変更をそのたびにやられるというような不見識なことをやらないようにしてもらいたい。それでなければ、われわれ予算に対する態度をきめる場合に当然大きな問題になるということだけは申し上げておきます。(拍手)
○小川委員長 閣僚各位に申し上げますが、本委員会開会の放送がありましたら、出席要求をされている閣僚はすみやかに御出席相なるよう強く申し上げておきます。 この際午後二時三十分まで休憩いたします。 午後一時三十四分休憩 ————◇————— 午後二時四十九分開議
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。佐々木良作君。
○佐々木(良)委員 私は民主社会党を代表いたしまして最後の総括の質問をいたしたいと存じますが、予算委員会並びにその他の委員会におきましても、総理大臣はまことに名答弁を続けられておるところでありまして、最近また外部におきましても相当高姿勢で問題を処理しておられるようであります。私は最もじみに、特に貿易並びに為替の自由化を中心として、今度の予算委員会におきましては、格別に経済関係の論議が少なかったと思われますから、この点を補う意味をもちまして、経済論議を通じて岸内閣の施政の内容をただしたいと思いますが、その前にまず一、二お伺いいたしたいと思います。 先ほど申し上げましたように、岸総理は大へん能弁に答弁を進められております。最近、安保条約のいわゆる修正権をめぐる条約修正の問題につきましても、またはなはだ能弁に話を進められておりますが、私はこの種の問題については、当然に議会の内部において十分研究をいたしまして、議会内部で自主的に決定すべき問題だと思うのでありまするが、これについての総理の御所見を簡単にお聞かせ願いたいと思います。
○岸国務大臣 国会における条約の修正権がありゃいなやということが論議されておりますが、佐々木委員の御意見のように、最終的な決定は議会が自主的にきめられるものである、かように考えます。
○佐々木(良)委員 グロムイコの対日覚書に対しまして、岸総理は非常に強烈な言葉をもって内政干渉と断ぜられておりますが、最近における岸総理の院内外における発言は、この条約修正の問題につきましても大上段に、むしろ国会には修正権は断じてないというような立場で問題を進められておりまして、ちょうど威嚇的態度と干渉的な態度は似たような感を抱くものでありまするが、格別に、国会法の八十五条というようなものが工合が悪ければ、これは修正すればいいのだ、つまり条約修正権が問題になるような条項を含んでおる国会法の八十五条自身がおかしいので、これは修正した方がいいと思う、こういう発言がどこかであったと思いまするが、いかがでございますか。御所見は同じですか。
○岸国務大臣 先ほど申し上げましたように、この問題は結局は国会において決定されるべき問題だと思います。しかし政府としてどう考えているかというような質問に対しましては、政府としての見解を述べております。それは、法律や予算に対して国会が持っているような意味においての修正権は、条約についてはないのだという政府の見解を述べております。また国会法の規定についての意見は、実は政府としては何もまだ申したことはございません。わが自民党内におきましては、あるいはその修正に関する意見等が出たことがあるように聞いてはおりますが、政府といたしましてはただ先ほど申しましたように、条約については、法律や予算に対して国会が持っておる修正権のような意味においての修正ということは考えられないということを申しておるにとどまります。しかしながら最後の決定は国会できめられる問題でありまして、国会が自主的にきめられた解釈に対して、政府が従っていくことは当然でございます。
○佐々木(良)委員 この問題につきましては、あくまでも国会の自主的の決定に従うべきであるという見解を述べられたのでありまして、私も同感であります。ただこの際に私は特に注意を申し上げておきまするが、先ほど申し上げましたように、新聞面を通じまして、国会法八十五条自身が改正に値すべき条項だというふうな発言をどこかでされておったように思われます。総理はたびたびこういうものの言い方をされておるのでありましてたとえば選挙の際等におきまして山梨県でありましたか、選挙応援に行かれておって、連呼行為を行なわれた。そして連呼行為だというて当局から、あるいは反対党から注意を受けると、さかさま向きに、そういうようなのが連呼行為だというならば、そういう法律なり条文の方がおかしいのだ、これは直した方がいいのだというようなことをあえて言われておりまするし、さらにまたいつでありましたか、宮城県の方のやはり同じような選挙の応援に立ち会われまして、はっきりと利益誘導的な言動をされている。それを注意を受けると、注意をする方がおかしいのだというようなものの言い方もされておったようであります。総理はたびたび、法治国家の建前から、格別に労働組合でありますとか野党の立場にある者に対しましては、法律を順守することをずいぶん説かれるのでありますけれども、逆向きに総理自身がそういう違反あるいは法律違反の疑いある行為をされた場合には、反省をされる前に、そういう条文なりそういう取り扱いがあるとするならば、そっちの方がおかしいのだという言い方を、しばしば総理はされておるわけでありますが、私は大いに注意を喚起しておきたいと思います。 それから、本論に入りたいと思いますから先を急ぎますが、なお総理は責任内閣制ということについて、最近非常に解釈上の混同があるようなお考えをお感じにはなりませんか。たとえば総理自身の責任内閣制の立場についてあるいは与党の幹部自身と政府との関連について最もそれの混同の激しかったのは、御承知のこの予算案を編成される前の予算案編成に関することであったと思います。この辺につきましては、私は別の機会にはっきりと、現在の憲法上の建前になっているところの責任内閣制についての総理の見解を求め、同時に与党並びに政府の反省を求めたい、こう思っておるわけでありまして、本日は時間の関係上追及することをやめますけれども、端的に一つ総理のこの問題についての御所見を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 憲法上内閣の責任については明確な規定が設けられております。たとえば予算を編成してこれを国会に提案するものは政府であります。ただ同時に、われわれは責任内閣制と同時に政党内閣制をとっておりますから、この間において政党との関係をどういうふうにしていくかという実際上の問題を考えなければならぬ。しかしそれがために憲法上の内閣の責任というものと紛請するようなことがあってはならないのであります。その間の調整をどういうふうにとっていくかということが、私は日本における現実の内閣制度の運用上、意を用いなければならぬことであると考えます。予算の編成等につきましても、一面において政党の主張する政策、国民に対して公約しているところの政策等を盛り込んでいかなければなりません。そういう関係上、あるいは外から見ると、その点が非常に紛清しているような観を呈する場合もございましょう。これらについては、将来の予算編成に当たる場合におきましても、政府として十分に留意しなければならぬ点である、かように考えます。
○佐々木(良)委員 この問題につきましては、格別にまた別の機会にはっきりと、もう一度今のような考え方に立って内閣を運営され、総理として自民党自身を運営されるように要望いたしたいと思いまして、次の問題に移ります。 もう一つ本論に移る前に注意を喚起するわけでありますが、今度の三十五年度予算を審議するにあたりまして、いわゆる制度の悪用、法律上は確かに許されておるだろうとは思いますけれども、それを極限にまで使いまして、その立法の基本的な精神をじゅうりんしたようなやり方が今度は非常に多かった、非常に目立っておるということを遺憾に思っておるわけであります。たとえば、これはすでに論議されたところでありますが、当然に三十五年度予算の内容となるべき問題について、それを三十四年度の第三次補正としたような点についても、それからたびたび問題になっておりますところの国庫債務負担行為の問題にいたしましても、それからまだあまり触れられてはおらないようでありますが、治山治水の特別会計を今度制定されたことにつきましても、これらは純粋の財政論あるいは従来の予算編成の方針からいきますと、これは相当な例外的措置でありまして、あまりこれを使ってはならない限度にまでそろそろ入りつつあるような措置かと思いますが、御所見を承りたいと思います。
○岸国務大臣 いわゆる第三次補正予算の補正案を提案をいたしましたのは、内容的に御検討いただいたのでありますから御承知でありましょうが、昨年のこの災害に対する対策について、昨年の第二次補正以後事実が明確になり、さらに工事の進捗状態等も考えて、こういうものは一日も早くこれを実現すべきものであり、またその他のものは法律上の義務に属するとこるのものでありまして、これを一日も早ぐ実現することが望ましいことであります。幸いに本年度の歳入の見込みにつきましても、確実なものを見込むこができた結果、これを補正予算に編成したわけでございます。御趣旨のように、いろいろの財政法上の原則、例外いうようなものにつきまして、なるべく原則に従って例外的なことに対しましては必要の限度にとどめるべきであることは、私は制度の運営上当然だと思います。しかし補正につきましては、今申し上げたような意味におきまして、われわれはこれが必要であり、決して一部で非難されているように、三十五年度に支出すべきものを三十四年度に繰り上げたという性格のものではないと思います。またその他の点についての御指摘の特別会計等の問題につきましても、もちろん特別会計制度というものはなるべく少なくすることが望ましいと思いますけれども、事業の性格上必要であり、それを運営していく上において望ましいという場合におきまして、われわれは特別会計の制度を襲いるわけであります。財政法全体の建前をくずすような考えは毛頭持っておりませんし、またそういうことはすべきではない、こう思います。
○佐々木(良)委員 今の問題について、特別にその中の特別会計法の問題につきまして、それでは大蔵大臣から承りたいと思います。今度の治水特別会計法の第一条によりますと、治山治水緊急措置法の三条に規定する治水事業十カ年計画の実施に伴って、政府の経理を明確にするために特別会計を設置するのだ、こういうふうに言うてありますから、従いまして特別会計を設置した目的は、政府の経理を明確にするというところにあると思いますけれども、これはどういう意味ですか。今度の特別会計が格別に政府の経理を明確にする措置になっておるのでありましょうか。
○佐藤国務大臣 治水特別会計を設けましたことは、長期計画でございますので、長期計画は同時に財政的な裏づけがなければ因るということがしぱしば申されております。今回私どもが十カ年計画を了承し、その経理を明確にして事業の遂行並びにその継続性というものを十分尊重していきたい、こういう意味で特別会計を設置いたしたわけでございます。同時に特別会計の数がいたずらにふえることは望ましいことではございませんから、御指摘の通り、すでにありますものをこの中に吸収するということで、特別会計の数をやたらにふやすということは慎んだつもりでございます。
○佐々木(良)委員 さらに治水特別会計法第四条、第五条によりますと、歳入財源は従来の一般会計歳出のうちの関係項目の総和が内容になっておるように規定してあります。御承知のように財政法の十三条第二項によりますと、特別会計というのは「特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、こういうふうに規定されておるわけであります。今度の治水特別会計に出ておりまするものは、今言いましたように、一般会計歳出のうちのその関係の部分をただ引き抜いて寄せたというだけでありまして、ここにいう特別の資金または特定の歳入という財政法上の意味に該当するものではないというふうに私は思いますけれども、大蔵大臣、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 十三条にございますように、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て」云々、こういうことでございますので、特定の事業を行なう場合という点に私どもは今回の特別会計を設置する主たる目的を認めておるわけであります。同時に一般歳入をもって財源にするというだけでは不十分でございますが、今回は御承知のように補助事業も対象にしておるという点で、この財源確保にも一段の努力をしておるということでございます。
○佐々木(良)委員 大蔵大臣、それは相当無理な解釈です。法制局長官どうですか。普通のこの十三条の解釈、十三条を普通に読む場合、特定の資金または特定の歳入というのは、これは特別の財源というのを普通に意味しておるのであって、一般会計から事実上すぽっと持ってきたものをもって特定の資金だ、こういう解釈をするならば、これは何でもかんでも特別会計ができることになってきますけれども、これは相当無理な解釈だと思いますが、法制局長官、相当無理な解釈をあえてされますか。
○林(修)政府委員 御承知のように、この特別会計の設置の基準は、旧会計法の時代と比べまして、現在の財政法第十三条はだいぶゆるやかになっております。旧会計法の時代は実は相当厳重になっておりましたが、現在の会計法は比較的そこはゆるやかで、大体三つの種類を認めておるわけでございまして、今おあげになりました特定の事業を行なう場合も一つ、それから特定の資金を保有してその経理をやるという場合、それからそのほかにもう一つ、いわゆる特定の歳入をもって特定の歳出をまかなうため必要がある場合、この三つについていわゆる特別会計を認めておるわけであります。この治水特別会計は主体は、今大蔵大臣の仰せられましたように、政府の直轄事業の治水事業を行なうことが主たる内容だと思います。その意味において、事業特別会計の性格を強く持っております。同時に補助金の経理もやっておりますから、その意味においては事業会計のみではございませんで、第三番目の、特定の歳出を特定の歳入をもってまかなうということに当たると思います。特定の歳入というのは、特別のいわゆる何々税をもって充てるとか、何々の収入をもって充てるというふうな意味にまで私は解すべきではないと思うわけでございます。この点は従来の特別会計の扱いにおきましても、もう少しそこは幅広く考えておりまして、今度の治水事業のように、一般会計の受入金あるいは地方公共団体の負担金、そういうものを財源として特定の事業をやっていく、あるいは特定の歳出に充てるというのも、現在の財政法の建前からいえば、認められるものではなかろうかと思うわけでございまして、そういう意味で、財政法の第十三条の二項の趣旨に反するものではない。従来の実例においてもある程度この程度のものはあるのではないか、かように考えております。
○佐々木(良)委員 従来の前例が一、二あるからといって、その前例に従うような、本来の法の精神に反するような拡張をされてはならないということを私は今言っているのです。先ほど来言っておりますることは、決してそれが全部違法であって、従ってそのままこの効果がおかしいとかなんとかいう性質のものではないと思う。解釈上の問題もあると思う。しかしながら法の精神というものがあり、財政の建前というものがある。その常識の方針をなるべく明確にするというのが皆さん方の努めであるはずである。一、二の、たとえば多目的ダムなんというもの自身が本来おかしい。御承知の通り、あれができたときに大蔵省でも相当問題があったはずなんですよ。そういう一例を作っておいて、そういう例があるからこれもやってもいいのだと、大蔵大臣、そうでしょう。あなた、これはずいぶん反対されたはずでしょう。今度は一つ逆にそれならば厚生省あたりから社会保障制度特別会計の要求がありましたならば、法制上は認められますか、大蔵大臣。
○佐藤国務大臣 非常に簡単なお尋ねでございますので、内容はどういうものであるかよくわかりません。従いましてこれが法理的に賛成できるかどうか、ちょっと私返事をいたしかねます。
○佐々木(良)委員 これはまあやめておきましょう。あまり無理らしいから。ただ御承知のように、補助財源があるといっても、これはここに条文に書いてあるのを見れば、特別な財源ではありません。一般会計に類する財源です。今度同じように、社会保障費の中でずらっと並んでおるものを一般会計からちょっとちょん切ってきて、それを特別会計だというふうにするのと本質的に相違はない。格別な公債発行の権限を与えるとかなんとかいうことならば別でありますけれども、その意味におきましてはこれは財政法上の明らかな拡張解釈、従って私は特別な意味があるならばいざ知らず、普通の関係であるならばこういうことはやってはいけないことだと思う。総理大臣、先ほどからこのことを言っているのですよ。制度の悪用をあまりされてはいかぬというのです。正面から違法ではないかもしれませんけれども、本来財政法が規定いたしておりますところのなるべく明確に財政をしようという方針からすると、ほんとうはおかしい、こういうことを言っているわけでありますから、一つその点は十分に私は考えていただきたいと思います。 なおむしろこれを作られた意味は、総理大臣や大蔵大臣が苦労されたように、逆に政治的な意味を含んでおるだろうと思いますが、その政治的な意味、格別な財源と格別な計画をもって治山治水事業を行なおうとする見せかけを特別会計という制度によって行なわれようとすること、これは大蔵大臣、相当知能犯的なやり方であって、私はほんとうの筋の正しい政治家のやるべきものではないと思います。 〔委員長退席、西村(直)委員長代理着席〕 十分一つ御考慮をお願いいたしたいと思います。 それにいたしましても、この条文によりますと、今法制局長官が言ったように、特定事業が前提となっておって、その特定事業ということを閣議決定によるところの五カ年計画、あるいは十カ年計画ということにしてあるのだと思いますが、従来きめられておりますところの政府の計画というものは、五カ年計画であれ十カ年計画であれ、それはこういうものの対象になり得るほどの厳格なものではなしに、むしろ言うならば実施の尺度、毎年々々修正されるところの実施測定の尺度という程度のものでしかなかったと思います。従いましてこれが特別会計の対象になるためには、そういうものでなくてたとえば一つのダムを具体的な計画に基づいて三年計画なら三年計画ごやるというふうに、本来は固定的な内容を持つべきものだと思うのです。従いまして今度の五カ年計画なり十カ年計画なりというものの閣議決定をとられるべきその計画内容は、従来のようないわゆる五カ年計画、いわゆる政府計画とは相当性格が変わってこなければならないと思いますが、そういう前提に立って大蔵大臣はこの五カ年計画、十カ年計画を承認されるわけですか。
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりますように、治山治水の計画は長期にわたって国土保全の基本的な計画を樹立することであります。当然主管省といたしましてはそれぞれの計画を持っておることではございますが、やはり財政的な裏づけがないと、その計画の実行力といいますか、これが十分強く出てこない。こういう意味におきまして、私どもは前期五カ年計画を樹立することを予算編成にあたりまして一応了承したわけでございます。そういう意味において今回の特別会計のもとにおいて遂行されることについては、この計画自身が十カ年のうちには全部総規模を達成するように、財政的にも十分協力するという考え方のもとに、ただいまの特別会計制度を設け、また治山治水計画を近く決定を見ることになる予定でございます。
○佐々木(良)委員 その閣議決定、つまりこの法律の前提になっております五カ年計画、十カ年計画のその閣議決定はいつされるのですか。
○佐藤国務大臣 ただいま準備中でございます。
○佐々木(良)委員 三十五年度自身の計画はどうなりますか。
○佐藤国務大臣 三十五年度の実施計画は予算に計上いたしております。
○佐々木(良)委員 五カ年計画自身が対象になるという特別会計で、その五カ年計画はいまだ閣議決定もされておらない。しかも三十五年度のその会計から支出さるべき計画が載っておる、これはどういうことですか。
○佐藤国務大臣 大体前期五カ年計画といたしまして、治水で四千億を予定いたしております。そうして初年度の予算を計上いたしました際に、平均の伸び率で見ますと、これは大体一二%の平均伸び率ならこれが達成できる、こういう一応の見通しを立てておるわけであります。また治山の計画にいたしましても、初年度予算をつけ、これが今後一一・九でしたか、その程度の伸び率ならばこれを達成することが可能である。今日まで治水治山で予算を編成いたしましたその平均の伸び率等を考えてみますと、災害復旧等の予算が予算編成上の非常な重荷にならないということを考えれば、普通にただいま申し上げる程度の予算の伸びならばこれは一応遂行し得る、こういうような見通しのもとにただいまの計画を了承して、本年度の予算を計上いたしたわけでございます。
○佐々木(良)委員 それであるならばなおさら、今年度の事業が特別会計から支出されなければならない理由は一つもない。一般会計の公共事業費から出ておってちっとも差しつかえない問題である。それをなぜ今年度からその特別会計という特別整理をされることになるわけですか。それによって非常に政府の経理を明らかにすることになりますか。
○佐藤国務大臣 ただいま佐々木さんの述べられるような御意見も、もちろんこの特別会計についてはあるわけであります。その御意見を私ども全然否定するというか、無視してかかるつもりはございません。もちろんそういう御意見もりっぱにあると思います。しかし治山治水計画といたしまして長期なものを、その単年度に終わらない、こういうような事業を想定いたしますと、やはり全貌についての計画を持つことが望ましい。特別会計の方がそういう意味では特定の事業遂行という場合に望ましい形、しかも長期にわたるという場合においてはこれは非常に望ましい。財政当局もこれについての拘束力も相当はっきりしておる、かように実は思われますので、今回は特別会計の制度を採用いたしたわけでございます。
○佐々木(良)委員 これは幾ら言ってみましても水かけ論みたいなことでありますが、しかしこれは相当に無理な特別会計であることは大体御承知いただいておるのではなかろうかと思う。本来そういうものであるならば、従来政府でも何べんも五カ年計画なり六カ年計画なり十カ年計画というものがある。御承知のようにエネルギーでも電気でも五カ年計画というものがある。その五カ年計画を閣議決定をされる、閣議決定をされると、今度特別会計の対象になります治山治水の五カ年計画、十カ年計画というものと法的に相違のしょうがない。おそらく法的な違いはないと思う。おそらく政府の部内においても扱いの相違はないでしょう。ただそういうふうになるべく確保しておくと、ちょうど継続費をよけいあらかじめ取っておくのと同じような意味で取りやすいという官庁のなわ張りの問題があるだけだと私は思うわけであります。もしそうでないとするならば、格別な財源を持って、そして従来と違ったところの計画を明確にされなければならぬと思う。幾ら今大蔵大臣が抗弁されましても、今のあなたのお話を百パーセント了承するとしても、本来財政当局のとるべき手段は、それであるならば五カ年計画、十カ年計画を明確に今閣議決定をされて、そして対象になるべき事業の内容と範囲と金額を明確にされて、それに対する財源を明確にされてそうして特別会計を設定されるならばまだ筋がわかる。しかしながらその前提の措置をされずに、こういう特別会計に突入を旧れるということは、私は日本の財政の建前からして非常に無理でありますし、好ましくない現象であることを慮感せざるを得ないわけであります。 なおこの問題の最後に、これは御承知のように五カ年計画、十カ年計画として、政府の直轄事業のほかは国の負担金、補助金の形で歳出されるものでありますから、従ってこれに相応するところの地方財政の負担金が伴ってくることになりますが、この地方財政の負担金を拘束することに結果としてたりますね。地方財政は十カ年間にわたって今の財政支出を——この特別法によって特別会計ができ、五カ年計画、十カ年計画が計画として閣議決定されますと、その自治体は全然無関係に財政支出をこれによって強要さわる、拘束されることになる、こういうことになりますね。 [西村(直)委員長代理退席、委員 長着席〕
○佐藤国務大臣 補助事業の面についての総体の規模は一応明確になると用います。しこうして先ほども一般会計についての国費についてのお話も出ておりますように、年度計画は今日の状況のもとにおいてはまだ立て得ない状況であります。ただ補助事業そのものの年度の成長率等を勘案いたしますと、まず伸びるのではないかということがおそらく考えられる。長期計画の前期五カ年ということを特に申しておりますのは、これは御理解いただけるだろうと思いますが、治山あるいは治水の計画というものにいたしましても、その緊要度はそれぞれございますので、前期五カ年計画におきましては特に緊要度の高いものを取り上げるということでございます。また地方のものもこの計画のうちに入れましたのは、やはり治水事業としては国の事業、地方の事業それぞれを総合的に見ていく必要があるということで、ただいま申し上げたような点を勘案して、全体として計画するわけであります。ちょうど地方を縛るとおっしゃいますが、それは前期五ヵ年間あるいは十カ年計画、こういう規模の問題だと、かように考えております。
○佐々木(良)委員 全体的な計画を立ててそれを遂行するということと、特別会計を設立してその特別会計支出によってまかなうということとは、話が違うのです。御承知のように計画自身を立てて計画自身を遂行するということであるならば、それは国土省なら国土省を作ればいいという仕事でありまして、財政支出の問題とは違う。今私が格別に地方財政の問題を言いましたのは、こういうふうな決定をされることによって、地方自治体は別に何にも相談にあずからずに、この五カ年計画、十カ年計画が決定されますと、当然に政府の方の補助金支出に対応するところの地方財政の支出が拘束をされる結果になるのではないか。これはもっとさかさまにひっくり返して言いますならば、それはそのまま地方自治権の侵害だというふうに言っても過言ではなかろう。自治庁長官は十分相談を受けて賛成をされたのですか。
○佐藤国務大臣 佐々木さんはよく御承知のことだと思いますが、地方が直轄事業を遂行いたします場合に、当然これは国の場合におきましては地方と相談もいたしますし、また地方が取り上げますいわゆる補助事業にいたしましても、国と十分に相談をいたしましてそれぞれの事業がきまるのでございます。従いまして、ただいま言われますような自治体の自治権侵害というような問題は起こらない、かように考えております。
○佐々木(良)委員 どうもあなたにしましても、総理にしましても、官僚的な頭脳が明断過ぎて、形式的にものを言われ過ぎる。自治権侵害ということになって、それがはっきりと法律違反ということになれば、あなた方やられるわけがないじゃないですか。それでなくて、実際に五カ年計画として決定をされれば、それに伴っての地方財政の支出が拘束されるわけでしょう。そのことは相談もせずにやるわけでありますから——相談もせずにという意味は、そのときどきに相談をするというのと筋が違うわけです。従って私は、当然にこれは地方の自治体の支出を特別会計によって拘束する結果になるのではないか、こういうことを言っているわけです。そうでしょう。もし従来とちっとも違わぬというなら、特別会計を作ってどういう違いがあるのですか。
○佐藤国務大臣 先ほど来言っておりますように、まだ閣議決定をしているわけではございません。建設省にいたしましても、閣議決定をいたします前にいろいろの準備行為があるわけでございます。ただいま準備中というのはそういう意味だ、かように私は理解をいたしております。十分関係のところとも話し合った上で、計画の全貌を明確にするということになると思います。また特別会計と一般の場合と、普通の計画だけ作っておけばそれでいいじゃないかというお話でございますが、政府は特に特別会計までしてこの治山治水計画を遂行しよう、ここに私どもが政策的な非常な意気込みがあることを示しておるわけでございます。この計画につきましては、政府自身も十分検討をいたして具体的な案を作り、同時に財政的な裏づけも十分これに対応するように考えていく、この政府の決意を特別会計の形で示しているということが言えるかと思います。
○佐々木(良)委員 本論でないからやめようかと思いましたが、そういうように宣伝されるとなお言わなければならぬ。特別会計を作ることがどうしてそういう決意を示すことになりますか。特別会計で特別財源をここに設定してあるのならば、それはお話の通りになりますよ。特別財源はないじゃないですか。何で特別のことになるのですか。
○佐藤国務大臣 今日の状況は、ただいま御指摘になりますように、一般会計から財源を配付いたしますし、また補助事業を対象にしての財源を確保しておる、こういう意味において特別会計の新味というものはございません。これは御指摘の通りだと思います。しかしながら、長期計画を承認しているという点において、やはり特別会計としての意義は、普通の閣議決定、あるいは一省の中の担当局の五カ年計画というものとは違っておる、かように私は考えたいのでございます。
○佐々木(良)委員 ほかの長期計画やその他の政府部内の計画とどう違うのですか。
○佐藤国務大臣 やはり財政当局としての財政的な裏づけをなしますことが必要だ、かような点でございます。でございますから、一省の計画ということになりますと、なかなかその計画通り遂行できない。これは他の省の計画とお互いにぶつかることがございますので、なかなか遂行上困るわけでございます。しかしながら今回のように特別会計を作り、政府一体の考え方としてこれを遂行していく。また財政当局といたしましてももちろん、年次計画こそは作っておりませんが、その前期五カ年なら五カ年というものの間において計画の全貌を実施する。こういうことについては十分な責任を持っておるわけでございます。
○佐々木(良)委員 この治水特別会計の四条によりますと、はっきりとその歳入財源が書いてある。これによりますと、その第一項におきまして一般会計からの繰入金、これが中心になっていることがはっきり書いてあるわけでしょう。そうすると、まあ三十六年を例にとりましょう。三十六年の当該工事を遂行する特別財源は、三十六年において一般会計から繰り入れられるわけでしょうが、三十六年の一般会計というものは、三十六年度の予算の審議決定のときに初めて出てくる問題じゃないですか。それが長期計画の財政的裏づけということとどう関係があるのですか。
○佐藤国務大臣 先ほど御説明いたしましたように、大体前期五カ年なら五カ年計画というものの、初年度の予算から自後一体どの程度の伸び率ならば前期の計画を実行し得るかという計画は、財政当局も十分検討しておるということを申し上げましたから、そういう点において、三十六年度においても、特別な事情がない限り、その平均伸び率を予算化し得るという考え方でございます。
○佐々木(良)委員 総理にお尋ねいたしますが、今の論議を通じてもおわかりになりましたように、これは特別の財源もくっついておらないし、それから今大蔵大臣からお話がありましたけれども、決してこれは従来の計画とそれほどの大きな違いはないと私は思うのです。もし従来の計画と違うものであるとするならば、特別の法的な性格が出てこなければならない。そうすると、第一従来と違うということになりますと、その変更手続等についても相当違わなければならぬ。しかし、従来の計画と違いようがないと私は思うのです。一つの河川の一つの計画であるならば別ですけれども、これの対象になっておるところの数十本の河川、それから山、それの会計の計画の立て方は、従来の公共事業の計画の立て方を五年なら五年の箱の中に入れてオーソライズするというだけのものでございまして、内容において違いはないと私は思うのです。そこからもし公債発行だとかいうような特別な財源を裏づけにされるならば、大蔵大臣の言われるような、決意を示すだけの意味はある。しかし、特別の財源の裏づけがないならば、決意といってもそれは決意にならぬと私は思うのです。もし財源を出さずにそれだけの決意を示されるならば、この特別会計法を設定される前に、今おそらく一番問題になるのは、むしろ逆に農林省だとか建設省だとかその他の各省のなわ張り争いでどさくさしていて、うまく計画が進まないことにあるわけです。そのことは御承知のはずです。そこから御承知のように国土省の計画が出てきておる。むしろ今言われたような趣旨であり、特別な財源がつけられない現状であるとするならば、特別会計措置よりも、私は国土省なりそれに類する行政機構の変革の方が先だと思うのですけれども、御所見いかがですか。
○岸国務大臣 この治山治水の事業、これはだれも、特に近年の災害を見て、緊急に力を入れてやらなければならない仕事であるということは、国民がひとしく要望しているところだと思います。これをどうして強力にやるかという点につきまして、第一の点は、何と言っても財政的の裏づけについて相当な見通しをつけ、財政的裏づけをしていくということが必要であると思います。同時に、それを遂行する行政機構についても、今御指摘になりましたように、各省に分属しており、いろいろな権限が錯綜しておるというような事柄を、あるところに集中して、強力に行なわれるという問題とあわせて考えていかなければならぬと思います。こういう点をいろいろ考えなければなりませんが、今回の特別会計を設けました関係は、実は従来といえども治山治水の長期計画——そういうものはどうしても長期計画を立てられなければならないのでありますけれども、それについては主管省である農林省やあるいは建設省についてありました。しかし今度はやはりこういう特別会計法を作り、同時にこれと並行して御審議を願っておる、治山治水緊急措置法によりまして、今までの計画と違って閣議決定をそういう長期計画について定めて決定するという、そうしてその決定されたところの事業を特別会計において施行し、こういう特別会計を設けるということについては、財政当局におきましても相当な決意でもってその財政的な裏づけをしていくという建前をすることが、この事業を遂行する上において望ましい、こう考えておるわけでございます。今お話しのように、こういうものを設けるよりも、行政機構において国土省のようなものを作った方が早道じゃないかという御意見でありますけれども、私どもはそう考えないで、やはりこの特別会計を設けて遂行することが適当である、かように考えております。
○佐々木(良)委員 本論に入りたいと思いますが、今の問題はいろいろお話がありましても、財政当局が異常な決意を示したとするならば、むしろ財政当局がこういう政治的な混乱に巻き込まれることについて、今後異常なる決意を持って当たらなければ、一そう混乱をされるに違いない、私はこういう意味の決意を示したのだろうと思うのです。従いまして、これはあまりつつきはしませんけれども、どうかほんとうに治山治水特別会計を作るような意味で今の治山治水の緊急措置をやられるならば、名だけあって実の伴わないものでなしに、もっと実の伴う計画を立てられるように、私は強く要望をいたしておきたいと思います。 さて、いわゆる自由化問題を中心としての経済論議に入りたいと思いますが、政府では、昨年の暮れ以来異常なる決意を示されましてこの自由化問題に取り組んでおられるように承ります。従来たとえば経済閣僚懇談会であるとか、あるいはまた特別な閣僚会議があるように聞いたりいろいろいたしておりまするが、昨年の十一月の十一日にいわゆる対ドル差別待遇の撤廃を含む輸入自由化方針というものを発表されましてから、当時多分通産省から発表されたと思いまするが、それから十二月二十六日の決定を見ますと、経済閣僚懇談会の話だということになっておりまするし、一月五日以降になって参りますと、何とか促進閣僚会議ということになっておりまするし、ともかくもこの自由化の問題は、総合的に、内閣の施策を集中的に調整しながら進める必要があると思いまするけれども、そのためにどういう機関で進められておりまするのか、一口御説明を、恐縮でありますが、総理大臣にお願いいたしたいと思います。
○菅野国務大臣 貿易・為替の自由化の大綱につきましては、昨年の三月五日の経済閣僚会議で決定いたしたのであります。その後関係各省において自由化につきましてそれぞれ具体策を講ぜられ、また昨年の四月一日から実施されたものもあるのであります。その後ガットの総会や何かで、また世界の大勢、日本の経済の伸展上、どうしても各省で検討され、推進しておりますこの自由化を総合的にかつ円滑にまとめる必要があるということで、貿易・為替自由化促進閣僚会議を設けることを大体昨年末の閣議で決定いたしたのであります。経済閣僚会議の組織につきましては、本年の一月五日の閣議でこれを決定いたしました。そうして一月十二日にその初会議を開きまして、貿易・為替の自由化の根本方針を大体きめたのであります。それによりまして、この閣僚会議におきましては、大体自由化の目標、時期などを審議決定いたしまして、それによって所管の各省でそれぞれの商品について自由化の具体策について処理するということに相なっておるのであります。なお先般の閣僚会議におきましては、自由化を促進する意味におきまして、大体五月中にスケジュールを作りまして、それによって自由化の具体化をはかっていこうということに相なっておるのであります。
○佐々木(良)委員 その貿易・為替自由化促進の閣僚会議というもののメンバーはだれだれですか。
○菅野国務大臣 メンバーは、内閣総理大臣を議長といたしまして、各大臣すなわち外務、大蔵、農林、通産の各大臣、経済企画庁長官、内閣官房長官、党の政調会長及び日銀総裁をもって構成しておりまして、なお必要に応じて関係大臣の出席を求めるということに相なっております。
○佐々木(良)委員 その機関はどういう性格のものですか。それは内閣に設置された機関ですか。それともその他の機関ですか。それの決定はどういう拘束力を持つものですか。
○菅野国務大臣 この閣僚会議で決定したことは、すなわちその後直ちに実施することに相なるということになります。
○佐々木(良)委員 党の代表もそこに参加されておるのでしょう。つまり純粋の閣議ではないはずです。そうすると、純粋の閣議ではないもので、従ってここできめられたものはどういうことになるのですか。
○菅野国務大臣 この閣僚会議で決定しましたことは、再度閣議にかけます。閣議にかけまして、そこで決定しまして、それによって閣省所管大臣がそれぞれ処理することに相なっております。
○佐々木(良)委員 それに間違いありませんか。たとえば十二日の基本方針をきめられた場合でも、この促進閣僚会議で決定をされて、同様のことが閣議にかけられて決定されておりますか。
○菅野国務大臣 閣僚会議で決定されましたことは、再度閣議にかけております。
○佐々木(良)委員 この多分十二日だろうと思いますが、そのときに、五月中に大体のプログラムを作ろうという話が出ましたときに、菅野長官は、それとの関連において、その内容といいますか、その計画は大体三カ年で完成したいということで、三カ年計画が前提になってきめられたと聞いておりますが、その三ヵ年というきめ方は、どういうきめ方ですか。促進閣僚会議というもののきめか、閣議のきめか、どういうきめですか。
○菅野国務大臣 三カ年というのは閣僚会議で決定したわけではございません。迅速にということを閣僚会議で決定したのでありまして、ただ、一応目標として三カ年くらいでやりたいものだという私の希望を申し上げたにすぎないのであります。
○佐々木(良)委員 それではその三カ年計画というものは、相当に可変性のあるものであるというふうに了承をいたします。しかし、その際に、菅野企画庁長官が三年説を特に主張されたところの理由はどこにありますか。御承知のように、有沢教授らをもって作っております総合政策研究会の提案は、内閣と似たような考え方で計画を進められておりまするけれども、これは四ヵ年計画を立てておられるわけであります。それを格別に一年を縮めまして、三年計画にしようとされた長官の見通しを伺いたい。
○菅野国務大臣 御承知の通り、貿易・為替の自由化は、日本は諸外国に比べますとおくれておるのであります。従いまして、やはり諸外国におくれないように、日本の自由化を促進したいというのがわれわれの念願なのでありまして、種々の経済の状況あるいは国際収支の関係などを勘案いたしまして、できれば三年間でやりたいという私の希望を申し上げたにすぎないのであります。
○佐々木(良)委員 その場合に、長官は、その総合政策研究会の提案が四年になっておること、並びにそれを四年にした特別の理由として、日本とアメリカとの間の友好通商条約の期限が三十八年に切れることになっておること、及び基幹産業の一つである石炭産業の若返りの期間として、どうしても三年以上が必要であるという観点に立っておること、この辺を検討された上で一年間短縮の方針をきめられましたか。
○菅野国務大臣 三年間で全部やろうという考えではないのでありまして、従いまして三年間にできないものはまた一年なり二年なり延ばしてでもやりたいという考えで、大体の一応の目標を三年間で、一つ皆さん方いろいろ研究してほしいということをお願い申し上げたのであります。
○佐々木(良)委員 その三年間で完成したいという内容と、先ほど私がお話をいたしましたところの総合政策研究会で四年間でしたいという内容の結論とは、相当内容のずれがあるわけですが、どういうふうに考えておられますか。
○菅野国務大臣 もちろん総合政策研究会の意見もわれわれはよく徴したのでありまして、お話しの通り、たとえば石炭の問題、そういうようなことは三年間にはやれないということは一応考えておったのであります。
○佐々木(良)委員 そうすると、自由化率を大体どの辺に考えての三年間の計画ですか。
○菅野国務大臣 この自由化率は、大体来年の四月をもちまして、綿花、羊毛の自由化を実現いたしますと七〇%程度であります。そこで三年間でできれば九〇%まで自由化のできるように一つ考えてみたい、こう考えたのであります。
○佐々木(良)委員 それでは問題をもう少し裏返しにしてお伺いをいたしたいと思います。普通の学者が考えましても四年間というのを、少しの内容の相違があるといたしましても、むしろ三年間で早急に実施をしたいという御希望のようでありますが、私は、御承知のように、昭和三十三年の秋の臨時国会の補正予算の審議の際におきまして、アメリカの金流出の問題を提示いたしまして、金ドル準備について西欧諸国のやっておる方向と、わが国経済でとっておられる方向とが相当違っておることを指摘して、注意の喚起をいたしました。佐藤大蔵大臣、まだよく御記憶のことだと思います。さらにまた昨年の、つまり三十四年度予算の審議に際しましても、その臨時国会に引き続いたような論議を行ないまして、前年度の末に西欧の通貨の自由交換性の回復の問題を中心といたしまして、それに対応すべき措置として遠からず貿易の自由化、為替の自由化という問題が来るが、これに対して、管理貿易のワクの中で、特別な温床で育っておる日本経済に対して、一つ体質改善を今から進めなければならぬということを非常に強く要望いたしました。しかし、これらにつきましても、内閣総理大臣からも大蔵大臣からも、十分一つ検討するくらいな話で、大して反応を示されなかったことは御承知の通りでありまして、昨年の秋の臨時国会におきましても似たような要請をいたしましたが、格別な反応は示されなかった。それが少なくとも日本の経済人の常識であると思います。これまで相当いろいろと問題を提示してみても、政府としてはむしろ慎重に、慎重にという立場の方が従来は非常に強かった。御承知のように、大蔵省の内部において、通産省の内部において、その官僚内部においての措置は、むしろ非常に慎重論の方が強かったはずでありまするが、それが今言いましたように、積極的である学者グループの考え方よりも一そう急速度な自由化に踏み切られる、決心されるというような状態に突如として私は変わってきたと思いますが、突如として変わってきたのには格別な理由があるのか。総理大臣、眠そうでありますから、総理大臣にお聞きをいたしたいと思いまするが、特に色をつけてみようとするならば、この予算委員会がほとんどそのために予算論議ができなかった安保条約の問題、この安保条約のアメリカとの外交提携の問題が、それがそのまま経済提携といいまするか、むしろ逆に日本経済支配のような形で今度の自由化の問題も迫られておるのではないか、こういう観測が一部にされておると思います。そうして、そういうふうに思われても仕方がないほどの急速な変化であったような気がいたしますが、この自由化方針に踏み切られるにつきましての総理の、外部からの圧力なり、その他の問題があったのかどうか、われわれが普通に経済的に考える以外の事情があったのかどうかお聞かせを願いたいと思います。
○岸国務大臣 先ほど菅野長官からお話を申し上げましたように、政府として、自由化の方向に進んでいくべきだという方針をきめましたのは、昨年の春でございました。その後しばしば国際会議等が行なわれまして、その機会におきましても、日本の方針というものにつきましては、これらの国際会議に出席する代表からその方針を述べて参っております。ただ、自由化の問題は、各方面で論議されておるように、これが日本経済に及ぼす影響、各種の産業に及ぼす影響というものは複雑でございまして、従って、これに対して十分な準備をしていかなければならぬことは当然でございます。これらのことについてそれぞれ方針を昨年の春きめて、そういうことを政府としては内外に明らかにして参ったのでありますが、準備をさらに進める。秋にガットの会議が日本において開催され、このガットの精神から申しましても、当機この自由化の問題が相当に論議されみごとは御承知の通りであります。また日本自身としても、ガットの総会におきまして、日本商品に対する差別待遇を撤去すべきことを主張して参った関係上、主催国としてこの問題に関する意見が積極化してきたことは当然でございます。一部で考えられておるように、あるいはアメリカから強制されるとかいうような事実は全然ございませんで、今申し上げましたような経過をとって自由化の問題は進んできておる、こういうことでございまして、それ以外の外部的な理由は全然ございません。
○佐々木(良)委員 そうすると、自由化のためのいろいろな準備を進めて吾たが、ここで大体日本経済は自由化に踏み切るための準備が整った、こういう判定のもとに進められるわけですか。
○岸国務大臣 いろいろな準備が、決してすべてができ上がったとは申しません。私は、基本的に申して日本の産業経済の全体の基盤、それから国際収支の関係を見て、この自由化に向かって相当これを促進することが望ましい、またそういうことが適当である、こういう考えに立って、これを促進いたしておるわけであります。
○佐々木(良)委員 どういうわけで突如として決心をされてえらい早急に急がれるのか、私はまだ十分わかりかねるわけでありますが、先を急ぎたいと思います。 主として大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。いずれにいたしましても、ともかくも自由化をしなければならぬという前提に立って施策を進められるようでありますが、その自由化がいい、悪いという問題は別にいたしまして、自由化を行なうための諸条件について、まず私は認識をお伺いいたしたいと思います。御承知のように、今総理大臣も言われた世界の趨勢と称せられる貿易あるいは為替の自由化というものは、ヨーロッパを中心にして大幅な技術改革、技術革命といっていいほどの大きな生産力の発展がそのささえとなっておりますところの好況、私は必ずしも景気循環説をとるものではありませんけれども、少なくとも相当の波のある景気変動の中で、好況面を背景としてヨーロッパの共同市場化あるいはそれと対応する連合、そしてもう一つ大きな、今度は国際的な自由化という方向に来ておると思う。つまりこの自由化の波は景気の好況面をささえとして発展をしてきておると思いますが、もしそうであるとするならば1今年度の経済見通しにつきましても政府は平穏に推移するという見通しのようでありますが、御承知のように、アメリカ経済は相当険悪な様相もなきにしもあらず、デフレ政策にならない範囲内でのいろいろな政策をとっておるようでありますけれども、国際収支の逆調をとどめるための有効なる手段を必ずしも見出してはおらない。逆調をとどめるためのいろいろな政策をぎりぎりまでとってはおられるけれども、しかしそれ以上やると今度はデフレの危険性に脅かされて、それ以上の措置がとれなくなりつつある。それらを見ましても、ヨーロッパの経済は相当な好調を示しておりますが、アメリカの景気は必ずしも楽観を許さないものがあろうかと思う。日本の国内の経済につきましてもいろいろな見方がありまして、過熱論をとる人もあれば、下期ダウン説をとる人もある。ともかくも景気の一つの曲がりかどが近づいておるような印象を日本の経済界でも受けておることは事実であろうと思います。この世界の趨勢と称せられる自由化の方向が、ともかくも好況の面を支柱として動いてきておるものであるとすれば、もう一つの前提が、そろそろ日本経済、世界経済も景気の動きを感ぜられつつある状態にあるのではあるまいか、この二つを前提とするならば、ここに急速な自由化を決心されるについては、当然に世界経済が、あるいは日本経済が不況面に突入するならばという想定を行なって、この決心をされるべきだと思いますが、この不況面に移行した場合に、今三年間で九〇%までも進められようとしておる日本の自由化計画は途中でとまるのか、あるいは逆に戻ってくるのか、あるいは突入していくのか、どういう問題がその後それに付随して出てくるのか。つまり好況面を前提として進められつつある今の自由化の問題と、不況面に突入する場合の想定を含めてこの自由化を考えられたかどうか、一つお聞かせを願いたいと思います。
○菅野国務大臣 景気のお話がありましたから、一応私の方からお答えしたいと思います。 先ほど、昨年末になって突如としてこの自由化の問題を取り上げたのではないかというお話があったのでありますが、それについて総理からもお答えがありましたけれども、御承知の通り、昨年の十月ごろまでは、伊勢湾台風などからして景気の過熱ということがありはせぬかという一部の人々の心配があり、私の方でもできるだけそういうような過熱のないように、あるいは公定歩合の一厘の引き上げということを日本銀行はとったのでありますが、そういうように財政金融面か過熱のないような方策をとってきたのであります。ところが昨年十二月になりまして、大体もう過熱はないという一応見通しができたのであります。それからなお経済の成長が初めの予想よりも非常にすみやかに行なわれてきまして、毎月国際収支が黒字であるというようなことで、これなれば自由化してももう大丈夫だという確信を得ましたので、それで十二月に大体自由化をやるという最後の決心ができたのであります。でありますからして、十二月になって突如としてやったわけではありません。 それから景気の見通しのお話がありましたが、アメリカでは、四、五日前の新聞でごらん下さった通り、警戒論は今日では消えたということが出ております。今までアメリカではそういうような議論も出ておったのでありますが、ほとんど警戒論はない。従ってまた、商務長官のミューフーなども、先般のクラブの演説でも、ことしほどいい年はないというようなことも言っておるのであります。従って、アメリカでは大体もうそういうような景気の過熱とかいうようなことはない、この一九六〇年は非常に繁栄する年だ、史上における最良の繁栄の年とまで言っております。そういうことで、アメリカの景気も大体いい。それからお話の通りヨーロッパでもいい。日本も過熱は大体ないという見通しをつけましたので、そこで内外の種々の情勢上、貿易自由化をしてもまず間違いないということで、自由化ということを一そう促進することにきめた次第であります。
○佐々木(良)委員 かりにそうだといたしましても、私の質問は二つの前提には立ちますが、これから三年四年かかって自由化をするわけでありますから、その間にいろいろな経済変動もあり得るはずである。従いまして、現在は好況面にささえられた自由化の方向が推進されておるわけであるが、好況面が逆に重聽になって参りまして、不況面に突入した場合にでも現在の自由化のテンポを進められるか、あるいは不況面に突入した場合をどういうふうに考えられて自由化を推進されるのか、こういう質問であります。
○菅野国務大臣 ご承知の通り、最近貿易・為替の自由化がヨーロッパ方面に盛んになってから、ヨーロッパの経済は一そう発展しておるのであります日本も貿易・為替の自由化を実現しようというのは、やはり日本経済を発展せしめるという大きな目的から自由化をやるのでありますからして、従って、私も自由化をやることによって日本の経済は一そう発展するという考えをいたしております。そういうように、ご心配になるような景気後退は大体内という見通しのもとにやっておる次第でありますからして、従って、自由化をやるのをやめるとかいうようなことは全然考えておりません。
○佐々木(良)委員 ヨーロッパの自由化の動きと内容と、それから日本の自由化の内容とはおのずから違っておる。これからその問題を論議しよう)思っている。しかし、これから景気がよくなるのだ、三年か四年かよくなりつぱなしだとあなたが幾ら考えられても、もし政治家であるとするならば、——日本人の大部分の人はそう思っておらぬ。これから四年も五年も黄金の年が続くとは思っておらぬ。心なくとも六十年、今年はひょっとしたら黄金の年であるかもしれないと思っている。これから五年も六年も黄金の年が続くなら、もっともっと株価がけねるはずじゃないか。そういうことではなしに、やはり不況に対する不安を持っておるわけです。従って、不況に対する考え方を持たずに、必ず好況面だけが出ていくのだという前提のもに経済政策を立てられるとするならば、これは非常に大きな冒険だといわなければならぬ。私の言うのは、そうではなしに、不況面を考えられた場合に、自由化の途上で何か対策を考えられておりますか、こういうことなんです。
○菅野国務大臣 その不況面というのは、業種々々についての不況面という御意見か、あるいは経済界全体の不況面というお考えか、その点私ははっ芦りしませんが、業種々々については、この自由化をやることによって、打撃を受ける業種もあります。それについてはやはりそれの対策を考えなければならないのでありまして、その点は今各省においていろいろ対策を考えていただいておるのであります。 それから経済全体といたしましては、なるたけ過熱のないように、緩慢な景気の上昇をさすということは、今日世界各国の政策でありまして、いわゆる安定成長というのがそれであります。でありますからして、この安定成長を各国ともやっておるのであります。アメリカも、御承知の通り、今年は予算で四十二億ドルの黒字予算を計上したということは、過熱を押えるという意味でやっておるのでありますからして、従って、安定成長するという前提のもとにおいてわれわれは考えておる次第であります。
○佐々木(良)委員 菅野長官ともあろうものが、そういうものの言い方をしたらあかん。安定成長させるために苦労しているのじゃないか。ほっておいて安定成長することが前提だったら、政策なんか要りはせぬ。安定成長させるために、今アメリカもぎりぎりの苦労をしているのじゃないか。それならあなたにはっきり聞きますけれども、アメリカの今度の政策の中で、むしろ過熱でなくて逆向きにデフレになる危険性も感じながら、どうして国際収支の逆調を調整しようかと苦労して並べている手段をここに言ってごらんなさい。どれだけ並べておりますか、そしてそれが百。パーセント効果をおさめて、必ず安定成長の方向にいくという証明をしなさい。
○菅野国務大臣 お話の通り、安定成長をやるべく各国はやっておるということを申し上げておるのであって、それによって日本も安定成長を実現すべく、いろいろみな経済政策を講じておるということを申し上げておるのでありますから、さよう御了承願います。
○佐々木(良)委員 はっきり質問に答えてもらいたい。しかしながら安定成長をするために苦労をしておるならば、ひょっとしたら安定成長をしないかもしれぬという危険があるからやっているのでしょう。安定成長をしないかもしれぬ危険に対してどう考えておるか、対策はないか。あなたは安定成長をすることを前提にしてすべてを考えているんじゃないか。安定成長することがきまっているなら何も苦労は要りはしない。あなた方もアメリカもそのために苦労をしているのでしょう。安定成長は、ほうっておいてもいくものではないのだから、安定成長しないかもしれぬでしょう。安定成長しないかもしれぬ途上において自由化をやっておったとするならば、ここに問題が起こるのではないかということを言っておるのです。その心配は絶対にないと言うのですか、ないと言うのなら、どういう根拠でないと言っておるのですか。
○菅野国務大臣 絶対ないということは、それは私ども断言できません。それは経済の行き先の将来のことでありますから、絶対にないということは言えない。各国ともにそれぞれ努力しておるということを申し上げておるのでありまして、従って、各国ともに安定成長せしめるべく努力して、その前提のもとにおいてそれぞれ経済政策をみな考えておられる、こういうことを申し上げておるのであります。
○佐々木(良)委員 私は、経済企画庁長官はもう少し勉強家だと思っておりましたけれども、実はがっかりしました。むしろ自由化がそれほどいいにきまっているなら、昔から、もっと早くからだれでもやっておる。そしてこれが安定成長するにきまっているなら、だれでもやっている。ヨーロッパがなぜ、最初アメリカから非常に強い要請があったにもかかわらず、自由化のふんぎりがつかなかったかというと、それよりもまだ悪くなる危険性も感じておるからヨーロッパはやらなかったじゃないか。ヨーロッパが今度は共同市場に発展をし、それから貿易自由連合に発展をして、そしてその前後からは、一昨年の秋、私が皆さんに提示したように、アメリカからの金流出はどんどんとヨーロッパに対して行なわれた。そしてアメリカよりもむしろ逆に、ヨーロッパこそは実力を持ったところの経済の背景を持ってきた。従ってここから自由化してみたところで、アメリカの言うように、アメリカの得になるばかりじゃない。ヨーロッパの方も決して損にはならない。むしろそれの方が得になるという見込みをつけたから、一昨年の暮れあたりから自由化の方向をヨーロッパもやってきたのじゃないか、そうでしょう。それと同じような条件に日本があり得るかというのをこれから吟味しようとするのだが、そのヨーロッパが自由化の方向に踏み切って現在まで進んできておる背景には、景気の好況面がこの二、三年ずっと出ていることが裏づけになっておる。その前の不況の面のときには、ヨーロッパにおいても自由化の方向は出さなかった。好況面が出てきて、そして非常に生産力が発展をしてきておることが今のような決心をさせておるところのささえになっておるということを言っているわけです。だから、必ずしも経済循環説をとらないとしても、景気というものはこういうふうに上がったり下がったりするものだということは、だれだってある程度わかるのだから、従って、不況面に突入する場合の対策——あなた方が自由化を行なわれようとする三、四年間の間に、去年からことしのような安定成長をそのまま遂げるというふうには考えられないでしょう。昨年の経済成長率に対してことしの経済成長率は六・六%と下げているじゃないか、来年もうまくいっても六・六——来年というより再来年ですが、ということであって、それ以上に上ろうとしないじゃないか。われわれ心配しておるのは、それ以上にダウンする危険を感じているじゃないか、従って、そういう不況面に突入した場合の措置というものは全然考えられずにやっておられるかということが質問したかった。しかしあまりこれで時間をとられると先の質問ができませんから、私はこの質問はこれでやめにしたいと思いますが、ただ大蔵大臣、今のような問題を前提といたしましていわゆる自主調整であるとか、これから述べる関税調整であるとか、そういう調節手段をいろいろ考えておられると思いまするが、そのほかに輸入調節手段としての金融措置、金融対策、たとえば日銀によって輸入保証金制度を採用するとかいうように、そういう普通の状態のときでないような金融面からする対策も考慮に入れておられますか、今全然考えておられませんか。
○佐藤国務大臣 自由化されました暁において、業界の実態を把握する最後のところは一体どこか、いろいろ考えてみますと、結局金融の面だ、かように考えます。ただいま御指摘のような点は、ただいまいつからどうするということは申し上げませんが、私ども十分そういう面においての金融のあり方というものは考えなければならないということで、研究しておる途中でございます。
○佐々木(良)委員 この問題はおそらく非常に困難な問題でありまするし、私ども見通しつきませんけれども、現在の世界経済の発展のもとになっておりますのが御承知のような技術革命であり、そしてそれを支えとするところの経済の非常な好況面である。従いまして好況の裏というものが出ないとは限らない。そういう前提のもとに、これから三、四年の間に自由化を進められるわけでありまするから、そういう見当もずいぶん立てられながら、その場合の手段を並行的に考えられたいことを希望いたしておきたいと思います。 それから自由化を行なうための条件の吟味に入りたいと思いまするが、先ほど経済企画庁長官から国際収支並びに外貨問題についてちょっと触れられたわけであります。しかし私も昨年来の国際収支の状況を決して不安に思っておるのではなしに、むしろ非常に順調だとは思っております。しかしながら御承知のように、まだ大した危険信号ではないようでありまするが、一月の実質収支の赤字現象というものについても、私どもは従来自由化を行なうということが前提になっておらない場合とは違った吟味の仕方が必要ではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、この一月の実質国際収支の赤字現象、並びに二月の外為の予想以上の引き揚げ超過という現象についての御所見をまず承りたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりました点について、これが一つのわが国国際決済の傾向なのかどうかということを十分検討したつもりでございます。ところで一月の赤字、あるいは二月において外貨準備が減るだろうという、それらの点について私ども考えてみまするのに、これは一時的現象だ、かように実は見ております。従いましてただいまこの状態だけで非常に心配することは、これは早計ではないか、かように考えております。
○佐々木(良)委員 特別会計の予算総則の九条におきまして、外国為替管理資金について一時借り入れ、それから融通証券の発行、または国庫余裕金の繰りかえ使用のできる範囲につきましてのその最高限度を三十五年度におきましては五千五百億円に定めておられます。この五千五百億円というのは三百六十円に換算いたしますと十五億ドルをこえる額でありますが、政府は昨年の三十四年度におきましては、御承知のように国際収支の実質黒字を一億六千万ドルと見込んで、そして今の最高限度を三千五百億円とされました。それがことしの場合には、今の経済企画庁長官のところから出ておるところの見通しによりますと、実質的な黒字を一億五千万ドルと見ておられるようでありますが、昨年の三十四年度の場合には、一億六千万ドルと見て最高限度を三千五百億とされた。ことしは一億五千万ドルでありまするから、たった一千万ドルしか相違がないのになぜ二千億円もふやされて、そして五千五百億という大きな金額をこの最高限度の範囲に充てておられるのか承りたい。
○酒井政府委員 数字に属することでございますから、私からお答え申し上げます。御承知のように今年の経済計画の国際収支の見込みで参りますと、実質が一億五千万でございますが形式は四億四千万というふうになっております。なぜそれでは外為会計の借入金の限度額が違うかと申しますと、経済計画における形式収支はこの実質収支にユーザンスの残高の増加を加え、インパクト・ローンの受け入れを加え、そしてまた外債発行による外貨収入を加えた上で調整したものでございまして、これが四億四千万ドルになるわけであります。それがなぜかような数字になるかと申しますと、国際収支は一応計画を立てますけれども、これは将来の見込みでありまして、あるいは若干動くことはやむを得ない。しかも外為会計は、御承知のように法律で売買につきましては一定の値段で売り買いに応じなければならぬ義務になっておりますので、買わないというわけにいかない、売らないというわけにいかないということで、結局わが国の外貨の受け払いの二%、これだけはアローアンスに見まして、その程度のものはあるいはピークによって出てくるかもしれないということを計算いたしましたので、さような数字になったわけであります。要するに外貨の受け払いについて二%くらいのアローアンスを見た、こういうことでございます。
○佐々木(良)委員 大蔵大臣は、自由化を行なうことについて、ことし三十四年度の暮れから三十五年度にかけまして今のような現象が起き得ることを予測して、そうしてちょうど二月の外為会計が示しておりますようなことを予測して、今の方針を立てられたのですか、どうですか。
○佐藤国務大臣 ただいまの為替局長の説明したことは、大体ある程度のアローアンスを見る、これは当然のことですからあまり議論はございません、ただ先ほど私の説明いたしました一月あるいは二月の状況というものは一体どうなるのかということについては、これは特別な異例な状況だ、と先ほど申したように、私は考えております。理由をあげますれば、おそらくちょうど原毛原綿の輸入期に参りましてそれで輸入がふえたこと、あるいはまた輸出が十二月に比較的多かったこと、そういう点で一月は収入が少ない、あるいはインパクト・ローンの入り方が思うようにいかない。また最近引き続いてですが、ユーザンス等についてのあり方なり、あるいは外為銀行が外貨を保有している模様等もだんだん事情が変わって参ります。今の自由化という点からそういう点もやや変わってきております。そういうような変調が一月の特別な状態を招来した、かように実は考えております。ただ信用状だけの受注の状況から見ますと、一月にしても二月にしても、依然として黒字でございますので、これらの点を考えると、私は心配する状況じゃないだろう、かように実は先ほど申し上げた次第でございます。
○佐々木(良)委員 論議になりますから先べ進みたいと思います。ただ大蔵大臣、話が違っているのです。私が言っているのは、一月の国際収支が実質赤字が出た、こういうことを先ほどあなたに聞きましたが、それから今為替局長の答えられた問題は、二月の外為会計が一千万ドル減少したということ、二月の外為会計の減少ということと関連をしまして、そして今私が三十五年度の限度額の問題を出したわけです。三十五年度の限度額は、繰り返して言うようだけれども、昨年の場合には、実質の国際収支一億六千万ドルの黒字を見越して三千五百億円の限度額を繰り入れた。ところが三十五年度の場合には、一億五千万ドルの黒字を見越して、しかも五千五百億円を繰り入れている。いいですか、国際収支の黒字の減少だけから見ると一千万ドルしか減っていないわけでしょう。それだのにかかわらず、三十四年度に比べて三十五年度は二千億円もプラスをしている。このことはあなたは知らぬかもしれないけれども、事務当局の方は逆に、ことしは自由化の問題が進むから、同時にまた国際収支の見通しもそう楽観も許されないし、自由化の問題が進むにつれてドル買いも相当ふえていくのではなかろうかという見込みから、私はこういうふうなふやし方をしたのではないかというふうに思ったのですけれども、どうもあまり内容に入り過ぎてぴんとこないようでありますから省略いたします。ただ問題は、一月の国際収支の赤字が出てきておること、二月の外為会計の引き揚げ超過が予想以上であること、この辺を十分考えられないと、普通の国際収支の見方をしておると、これから自由化に向かおうとするときだから、注意を大いに喚起しなければならないのではないかということを言っているわけでございます。時間がありませんから、御答弁はよろしゅうございます。 今度はもうちょっとわかりやすいやつにいきたいと思います。ほんとうは自由化の条件の国際収支と、外貨の保有高の問題にも触れたかったのですけれども省略します。つまりそれはヨーロッパの自由化に踏み切ったときと条件が違うということを認識をしてもらって対策を考えてもらいたいということなんです。 もう一つの問題は、御承知のようにヨーロッパの自由化が進む場合に、その前提に共同市場という非常に安定市場を持っておった。ところが日本の場合には、東南アジアという低開発諸国並びに中国、ソ連という共産圏、この地域に隣接している貿易地域を持っている。このことは非常に大きな相違であると思うわけであります。従いまして今度の自由化を進められるについて、東南アジアとの経済提携について従来とは違った考え方なり方法が考えられておるのかどうか、これは一つ総理大臣にお伺いをいたしたいと思います。従来ともあなたは東南アジアとの経済提携の問題を非常に言われておったわけでありますが、必ずしも具体的には別に何も上がってきておらない。それから今度の予算で五十二、三億の基金を作られておる。これは一体どういう目的で、どういう方法で従来とは違ったような形で東南アジアとの経済提携を進められようとしておるのか。同時に東南アジアはあなたが行かれましてから数年後、ちょうど今や政治の焦点になって参りまして、アイゼンハワーがあの辺を近くまで訪れてきた。それから最近におきましてはソ連のフルシチョフ首相が次々に三カ国を回って経済提携をし、援助方針をきめ、共同声明をおのおのぶつ放してきておる。そういうふうで、非常に東西両陣営の冷戦が緩和の方向に向かうにつれて経済競争が激化してきつつあるまつ最中に、経済未開発地域の中心である東南アジア諸国というのが脚光を浴びてきたと思います。従って、この新しい状態に対して、具体的に経済提携をはかられる方針があるかどうか、総理大臣の御所見を伺いたい。
○岸国務大臣 今回の予算におきまして、五十数億の基金を設けまして、主として東南アジア方面に対する経済協力を具体的に進めるような考えを持っております。この使い方につきましては、従来五十億の基金が設けられておりましたが、これは将来東南アジアにおいて一つの国際的機構ができる場合に、これに参加する。またそういう国際的機構ができた場合においてこれに対して融通等が行なわれるというようなことがはっきりしているような仕事に対して出すというふうに、非常に限られた目的を持っておったのであります。従ってこれが設定されましてから、実は全然使われておらない。今回はそうでなくしてこれを特別法人とし、そして内閣総理大臣のもとに審議会を置きまして、その議を経たところのものに対して具体的のプロジェクトに対する金を出して、そして東南アジア開発に積極的に協力するというふうな運営をして参りたい、かように考えております。 東南アジア地域に対しましては、この基金の運用ももちろんでありますが、さらに大きく考えてみますと、従来もやっておりますが、このクレジットを設定するとかあるいは延べ払いの方式によってこれらとの間の取引関係を拡大していくという方針のもとに、いろいろなプロジェクトが今日までもある程度行なわれてきております。今日の状態から見まして、なおそういう従来やってきておりますこのやり方を一そう拡大していく必要が私はあると思います。これらのことについてはそれぞれの国との間における具体的の問題が持ち上がりますに応じて、それに対処して今申したようなクレジットの設定の問題や、延べ払いの方式によるところの問題や、あるいは従来ありますプラント輸出の輸銀を通じてのこれらの地域の経済開発の協力というものを一そう積極化して参りたい、かように考えております。
○佐々木(良)委員 総理は最近脚光を浴びてきておる東南アジアの低開発国の援助の方式について、今言われたような五十二億というものを前提とする単独の日本の国からの開発援助の方針に重点を置かれるのか、あるいは国連を通じてのプール方式による援助の実現を期する方向に重点を置かれるのか、いずれをとられるわけですか。
○岸国務大臣 これは両々相待っていくべきものだと私は考えております。今日先進工業国の間におきまして、低開発地域に対する経済開発に協力するという機運がだんだんと盛り上がっております。また国連におきましても、この問題に関して相当な積極的な方向が現われつつあります。現に第二世銀に日本が参加して、相当な出資をしていくというような問題も、この国際的の低開発地域に対する経済協力に、やはり日本が協力していくという考えの現われの一つでございます。ですから日本としてはやはりこの二つの、今おあげになりましたこういう国際的な開発計画に対して協力していくという方面と、日本が単独でやれる問題に関して単独な日本の立場からの、先ほど来申し上げているような諸施策を行なうということは、両方相並んで行なっていきたいと思っております。
○佐々木(良)委員 外務大臣にお伺いいたしますが、来月ワシントンで開催の予定になっております西側の八カ国委員会に日本も代表を送られるつもりでありますか。
○藤山国務大臣 私ども低開発国援助の八カ国会議には参加をいたしたい希望を持っておりまして、各国に対しましてそれぞれ打診をいたしております。ただ御承知のように、昨年ヨーロッパで行なわれました経済問題の会議において、二つの経済上の大きな国際関係があると思います。一つは先ほど御指摘になりましたような、ヨーロッパ連合と共同市場との調節をはかるという問題、そして何らかの形でもってその調節を強化していくという問題、そしてあわせて低開発の問題、二つ出たわけであります。そういう席で出た話でありまして、従って八カ国の国の中には低開発国の援助計画等には日本を参加させることが適当であるけれども、しかしヨーロッパ共同市場とアウター・セブンとの関係の調整というような問題について、ずるずるに日本が入ってごられることは、若干困るじゃないかという考えを一方には持っておる国がございます。そういうようなことでありまして、来月開かれます低開発国援助の会議等につきましても各国の態度がまだあまりはっきりいたしておりません。しかし、われわれとしては参加いたしたい希望を持って各国にそれぞれ話はいたしております。佐々木(良)委員出席されるとするならば、当然低開発国に対する開発の基本的な態度がきまっておらなければならないし、そしてその基本的な態度を迫られる危険性がなきにしもあらずだと思います。時間がありませんのであまり具体的に聞き得ないのを残念に思いますけれども、総理は従来、アメリカの資本と日本の技術で東南アジア開発を、というスローガンを掲げておられましたけれども、今やそのことはほとんど実現困難な問題になってきつつある、こういうふうに思っておるわけでありまして、先ほど申し上げましたような東西両陣営の政治的な影響が東南アジアの各国の経済開発に非常に競争的に反映しつつある、こういうふうに思うわけであります。従って、その中に立ってわが国がこれと経済提携をしようと思うならば、これは相当に具体的な、相当に決意を持ってかからなければならぬと思うわけでありまして、今お話を聞いたような形では、ちっとも日本の独得なといいますか、あるいは特別な東南アジアとの提携を早める、あるいは提携を強化する内容は持たない、こういうふうに思いまして非常に残念に思うわけであります。 特に最近においてソ連フルシチョフ首相が東南アジアを訪れて、三ヵ国に対してそれぞれの経済提携の話を進めておりますが、その経済提携あるいは経済開発援助の特性を私は非常に重視するわけであります。やり方は御承知のように、受益国の工業化推進、相手の国の工業化を推進して、そしてそこの国の生活状態がよくなるということだけを直接の目的にしておる。従いましてここで投下資本に対する利潤の回収であるとか、あるいはそのための特別な市場の開拓であるとか獲得であるとかいうことを直接の目的にしておらない。ここに東南アジアの諸国が非常に大きな魅力を持ってこの問題を迎えておるポイントがあると思います。この辺は総理もそれから外務大臣もはっきりと感じ取っておられると思います。 これに対してアイクを中心とするアメリカの経済援助の増額が今や問題になっておるようでありますが、それは出席されるならば、来月のワシントンにおける八カ国会議での基本的な援助方式についての問題が当然出ようと思うのです。それにつきまして今のような話では私は二兎を追う者一兎も得ず式の危険に陥りはせぬかと思うのですが、もう少し明確な、日本としたならば現在の世界情勢から見て、国連を通じての共同援助ということをもっと端的に推進するという立場に立ち得られないものであるかどうか、もう一ぺん御所見をお伺いしたいと思います。
○藤山国務大臣 御承知のように、国連におきましても低開発国の経済援助の問題は相当関心を持ってやっております。しかしながら、同時に国連の全体の機構として国連加盟各国におきましては、どちらかと申しますと受益者の方のグループが非常に多いわけであります。それの希望というものは、お話のようにできるだけ国連において各国が資金を集めて仕事をしてもらいたいという希望なのでありますけれども、これを出します方の側からいいますと、必ずしも政府資金だけを出してというわけに参らないのが各国の財政事情その他から見ての一つの大きな問題だと思います。従って民間資金その他を動員するいろいろな関係からいいまして、国連自身が十分な活動をし得ないところもあるわけであります。そういう意味からいいますと、理想的には国連が中心になることが適当でありますけれども、少なくも現在の実情からいいますと、やはり西欧側においては先進国が相集まって一つの。プランを立てていくというのが適当な方法ではないかというので、わ、れわれも来月の八カ国会議に期待をいたしておるわけであります。 〔委員長退席、上林山委員長代理着席〕
○佐々木(良)委員 東南アジア開発援助に対しまして、ちょうど日本の外交方針が今論議の最中であるのと同じような意味で、世界の対立緩和さらに国連を通じての世界平和という方向とちょうどマッチすることを推進するのがいい時期であり、日本のとり得る一番いい方法ではないかと思うわけであります。従ってこの東南アジアの国々に対して東西両陣営からの単独の援助競争が行なわれようとしておる際に、一つ国連を通じて共同のプールによる開発援助方式というものを進められるように、そしてそのことが東南アジア諸国の生活向上と、ほんとうの意味での世界経済の繁栄、そして平和への唯一の道である、こういうふうに信ずるわけでありますので、そういう方針によって開発援助方式を固めてもらうようにお願いしておきたいと思います。 時間がなくなりましてまことに恐縮でありますが、先を急がしてもらいたいと思います。 問題の本論に入ることにいたしまして、為替の自由化の問題でありますが、為替自由化を進めておる段階で一番問題になりますのは、おそらく自由化が行なわれますと外資がどんどん日本に入ってくる。ある意味ではいい意味での外資導入であろうけれども、ある意味では経営参加ということによって日本の企業があるいは産業が外国資本によって相当支配されるという危険を持つものであると思いますし、それから一部で心配されておりまするコール市場におけるホット・マネーの台頭する危険も、為替自由化を進めていく上において考えなければならない問題の焦点ではなかろうかと思うわけであります。端的にお伺いいたしますが、自由化のプログラムの過程において、外国為替管理法と外資法の改正が当然に日程に上ってくるかと思いますが、その日程に上ってくるのはいつごろのことであるか。昨年の暮れあたりの新聞報道等によりますと、両方の法律を一本にまとめまして対外経済法という形に統合して今国会に出したいという状態であったと思いますが、いつの間にかこれが消えておるように思います。いろいろな自由化のかけ声にもかかわらず、為替面というか資本自由化の一番のポイントであります為替管理法と外資法の問題が日程に具体的に上っておらないというのはどういう理由であるか、あるいはまたどの辺にやられるつもりであるか。
○佐藤国務大臣 為替の自由化をいたしました場合に、いろいろわが国経済界に及ぼす影響、ただいま二点特に重要だとして御指摘になりましたが、全然同様の見解を持っております。この二つに対して十分な対策を講じなければならぬと思います。その意味から申しまして為替管理法あるいは外資法、この二つを一本にしたらという御意見でもあるようですが、御承知のように外資法は送金自由の規定があるわけでございます。これはわが国に入ってくる外資について特に優遇措置をとっておるということでございますが、その結果が国際決済上なお弱点を持っておる際には、かえってそういう優遇措置が、許可する場合に非常に困るわけです。従いまして十分これは使われておらない。しかし最近外貨準備などもふえて参りましたので、今後は為替管理法によって外資を導入していいのじゃないかというような考え方でございます。これならば国際決済上必要があればいつでも送金をとめられるというように考えておりますので、ただいま為替管理法を基準にして、基準制度を採用して、外資の導入を計画しておるわけであります。ただいまお話しになりましたが、外資の導入が資本的あるいは技術的提携の場合におきましても、どこまでもいわゆる優良な外資といいますか、わが国の産業の育成に役立ち、同時に貿易拡大に役立つような外資ならま、これは進んで優遇受け入れしてし驚きものだ、かように考えておるわけです。しこうして為替の自由化の場合において、普通まず第一にとられる手段は、いわゆる経常取引の面においての自由化を拡大していくということがまずとられ、資本についてこれはやはり並行的に考えられることですが、ただいま申し上げるような優良な外資については、積極的にこれを迎えるということに努力して参るつもりであります。 ところで資本についても同様でありますが、為替・貿易の自由化をいたしますということは、先ほど来いろいろお話がありまして、経済の好況が影響したのだろうという言い方を強く主張しておられます。私どもは経済の好況であるということも一つの見方かと思いますが、本来の基本的な考え方を申せば、わが国の産業が国際的に競争力を十分持っておる、こういう点がこの自由化に備え得る経済なりやいなやということだと思うのであります。この自由化した後の利点を十分取り入れ得るためには、わが国の産業自身が十分強い基盤の上に立って、いわゆる国際競争力にもひけをとらないような状況である、こういうことで初めてこの自由化が目的を達する、かように考えておるのでございます。資本の面においても同様な点が言われる。しかしただいまの状況のもとにおいて国内産業を見ますと、非常に弱いものもありますし、またさらに育成していかなければならない産業もあるわけでございますから、その自由化の過程において、これは弱体産業であるとかあるいはまた育成していかなければならないものについてそれぞれの保護もしていかなければならない。資本の導入等についてもそういう観点で対処して参る考えでございます。
○佐々木(良)委員 時間がありませんから、一つ簡単に明確にお答えを願いたいと思います。外資法並びに管理沖の改正は、今国会には予定されておりませんか、するならばいつごろの予知ですか。
○佐藤国務大臣 今国会には予定しておりません。
○佐々木(良)委員 いつごろの予定でありますか。
○佐藤国務大臣 今国会に予定しておらないという状況でございますので、今後の推移を見ましてしかる上に必要な措置をとります。ただいまさらに積極的に改正を必要とするというところまでの結論は得ておりません。
○佐々木(良)委員 その問題は非常に微妙でありますが、御承知の日米通商航海条約の規定は、明確な無制限な自由化です。国際収支の偏重を理由としない限りの制限は一つもありません。これとそれから管理法並びに外資法との関係はほんとうを言うと、これは少し筋がおかしい、当然の矛盾を持っておるものと思います。このできたときのいきさつから見て、今度の自由化の問題にはっきりと取り組まれるならば、この問題は明確に解決されなければならぬと思いますが、御方針を一つ承りたい。
○佐藤国務大臣 今日の為替・管理法のやり方ならば、日米通商条約と基本的に考え方が合っておると思います。それから外資法自身のように外貨送金保証のついておるという点は、これは優遇ではございますけれども、日米通商条約とは必ずしも一致しておらない。ただいま外資につきまして二つの法律を併用しているというのが現状でございまして、この考え方ならばうまくいくのではないか。また日米通商条約があります際に、すでに外資法があり、為替管理法があり、別に問題なしに今日まで経融いたしておる次第でございますから、ただいま御指摘になりますように、片一方は非常に自由であり、片一方は制限を受けておるというような見方は必ずしも当たらないのではないか、かように私は考えます。
○佐々木(良)委員 必ずしも当たらないのではないか、それはどういう意味ですか。この条約を読みましょうか、はっきりと裸にしてある。
○佐藤国務大臣 必ずしも当たらないというのは、言葉が不適当かもわかりませんが、日米通商条約があるにかかわらず、そういう外資法を持っていても別に問題は起きておらないということを実は申し上げておる。外資法自身は国際決済いかんにかかわらず送金保証という道を開いておるということは、非常に優遇しているということでございますから、いわゆる制限と考えないで、これは優遇措置だ、かように考うべきものだという意味でございます。
○佐々木(良)委員 そういうふうにこれまで解釈をして、そうして無理にこれまで通っているんです。これはアメリカとの特殊な関係があるから通っているかもしれぬが、これから自由化というほんとうの素っ裸になろうというときにはそういう陳弁は許されない、こういうことなんです。 [上林山委員長代理退席、委員長着席〕 通産大臣、通産大臣はこの問題につきまして直接御関係があったはずでありますし、それから特別に、むしろ通産大臣の方が外資導入については積極的だという話も聞いております。通産省の側から見て、この問題はどうお考えになりますか。
○池田国務大臣 私は特別に関係があったという御質問でございますが、どういう関係でございますか。
○佐々木(良)委員 もし言い方がおかしかったならば、一つ実力者からお取り消しを願って、私の方から失礼いたしましてけっこうでございますが、私が言うのは、二十八年の条約締結の際は特別に有力な関係におられたと思います。吉田内閣を言うのでありますが、その際に、御承知のように、この条約というものは事実上国会でほとんど審議するひまなしといいますか、問題なしにこの問題は推移いたしております。しかしその後起きている問題は、明確に外資法との関係が相矛盾するという状態が出てきているわけであります。これを今大蔵大臣が言われたような説明の仕方でともかくも押えてきているのが現状だと思います。従って私は、外資法の改正というものが自由化を大蔵大臣なり通産大臣なりが言われるような形で推進するならば、当然問題になってこざるを得ぬ、これを最近逃げられているのはどういう意味か、こういう意味であります。特に事情を知っておられるはずである。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。日米通商航海条約は二十八年の三月だったかと思います。私は平党員でございます。別に大臣もしておらぬし、政調会長もしておりません。国会議員としては責任を負うわけでありますが、お話の通り、日米通商航海条約につきましては、為替関係におきましてはほとんど無制限なような規定をしております。従って今の昭和二十四年にこしらえました外資法、外国為替管理法は相当制限しているような格好で、そのことは矛盾しているじゃないか、こういう御質問でございます。これはどうも一見矛盾しておるようでございますが、今大蔵大臣が申しましたように、送金の保証がなければ幾ら日本へ入ってきてもいい、建前はこういうことになっている。ただ元本、利子の送金を保証するために外資法あるいは外国為替管理法ができておるのであります。こういう大蔵大臣の説明も私は成り立つと思います。ただ問題は、今外国為替管理法あるいは外資法を改正しようといたしますると、実際問題として非常に条文が多く、規定しなければならぬ事柄が多いのであります。原則として不自由にしております。従って私は今後為替・貿易の自由化を進めていく上につきまして、徐々に外資法並びに為替管理法の制約を解いていって、すっきりした形で両法律を改正するのがいいのじゃないかというので、もちろん審議会にかけていかなる点をいかに改正すべきかということを研究いたしております。研究の途中でございます。いずれはこの両法律を改正いたしまして、通商航海条約に大体マッチするような方向でいきたいと思います。
○佐々木(良)委員 私の言うのは、法の建前は確かにそういうふうに見られ得る法律である。しかし原則としての法の運用は、御承知のように外貨審議会を通じまして非常に強い外貨の規制であります。法律にはちっとも書いてない。おそらく行政措置でありましょうけれども、制限業種におきましては総株数の五%以下、非制限業種におきましても八%以下という基準を定めまして、事実上それ以上の問題は不許可という立場で外資を非常に制限しておられる。このことは法律の精神と本来違っている措置になっているでしょう。法律の精神は今両大臣が言われましたように、送金保証をするだけの特別の優遇を与えるところの措置だ、こう言われる。しかし現実にはこの外資法を援用いたしまして、外資の入ってくるのを外貨審議会にかけて、ほとんど全部不許可にしているのが現実ではありませんか。だからこの建前をどう変えられるのか、こう言っている。形式論を言っているのではない。
○佐藤国務大臣 外資法はただいま申し上げますように送金保証というものがついております。送金保証がついておる限り、わが国の国際収支、決済に非常に大きな影響がございますから、もちろんその手続は煩瑣であります。従って一見優遇ではあるが、実際の面から見るとなかなか困難だ、こういうことに実はなるわけであります。そこで最近は外資法と為替管理と両建で扱っております。最近のように外貨準備も十分できるようになりましたら一応両建にするということで、最近は決済上、国際収支上どうこうという問題ではなしに、ただ資金が入ることによりましてわが国の産業に及ぼす影響が非常にございますから、そういう意味においてのいわゆる優良なる外資ということを考えるというのが実情でございます。しかし先ほど通産大臣が申しますように、関係法規がまことに複雑多岐である、これをもっと簡素化しないと困るという話がございますので、その点はもちろん検討は続けております。おりますが、外資の導入自身はただいま申し上げるような問題がある上げでございます。
○佐々木(良)委員 そうすると現在の行政措置によるところの外資の入ってくるのを制限する問題は、全部これをやめて、外資法の本来の精神に基づいて送金保証だけをむしろ外資導入のプラスの条件とするような格好に運用する、こういうことですか。
○佐藤国務大臣 そういうことでなくて、今後は送金保証という問題ではたく、普通の外貨保有の状況で考えればいいじゃないか。ただ国際決済上必要があればその送金をとめる。そうでないものは自由にさせていい、こういう方向へ順次持っていく。ただいままだ全面的に非常に大幅な自由の状況ではございません。ございませんが、将来はそういう方向べ向かって検討していくということでございます。
○佐々木(良)委員 外資法の八条によりますと、認可、許可の基準とそれから不認可、不許可の場合の基準が示されておる。そうして不許可の場合には「日本経済の復興に悪影響を及ぼすものと認められる場合」こういうふうに規定をされておるわけです。しかしほんとうは、この法律の趣旨は、御承知のようにむしろ外資を導入しよう、そうして送金保証をしようという建前であった。しかし現実の運用は、この不許可条件を援用いたしまして、今言いましたように五%なり八%なりしか持てぬということで、ほとんど外資を入れないための法律に使われておるのです。従って自由化問題が出てくるならば、この法律をまっこうから修正をされるか、あるいは現在の運用の仕方を変えられるかしなければおかしくなるのではないか。むしろそれをすぱっととってしまうならば、通商航海条約の形そのままになる。そのままになる場合にはかえって逆の効果が、心配が出てくるので、そのための措置を私は外資法の修正なりあるいは対外経済法という設窟でもってやられるつもりではなかったか、そいつをやめられたのはどういうことかとこう聞いておるのです。
○佐藤国務大臣 先ほど来申しますように、自由化の観点に立って貿易が自由化される。為替は当然並行して自由化していかなければなりません。しかし先ほど佐々木議員から御指摘になりますような弊害がある。その金利のさやからホット・マネ云々の問題があったり、あるいは中小企業等に及ぼす影響も考えなければならぬ。そういう意味でいましばらく模様を見ようというのが私どもの考え方であります。外資法自身はそのままにしておきまして、今度は為替管理法で外資の扱い方を一応扱って参って、そうしてしばらく模様を見ることによって次の段階に移っていこうということであります。いつまでもこれを変えないという考え方ではございません。過渡的な状況として、この国会には出しません。あるいはいつやるのかというお話でございますから、いましばらく預っておりますということでございます。
○佐々木(良)委員 時間がありませんから留保いたしまして先に進ませていただきます。ただこの問題は今言いましたように、私はほんとうは国際的な関係があるからあまり大きな声では言うまいと思っておった。しかし今のような形でごまかされてはよろしくない。あくまでも貿易の自由化、為替の自由化措置が行なわれる場合に、今心配しているのは、そのことなんですから、このことがはずされると、そうすると全然条約上裸になってしまう危険性がある。裸になった場合には、日本の独特の、むしろ今度は通産大臣の方の所管であるところの、輸出産業でありますところのたとえばトランジスターであるとかあるいはカメラであるとか時計であるとかいう労働力を加えた近代設備とくっついてちょうど工合のよくなるような日本独特の産業、これに対しても支配力を及ぼされる危険性があるし、同時にまた国際水準に達しないところの企業単位、大きさ、企業規模であるところの自由工業あるいは機械工業あるいは化学工業というようなものが、円満なる発達をする前に、外資の圧力によってあるいは部分工場化するなり、下請工場化するなりあるいは小会社化するなりという危険性を伴う、野放図にやられるならば。そのことを心配をいたしまして、従って資本取引の自由が行なわれる場合には、今の外資法の建前とは違ったもっと基準を明確にしたところの、その制限といいますか、規制の法律が出てこなければならぬのではないか。そのことを裏づけとしなければ、資本取引の自由化という問題は、なかなか論じ得られないということを言っておるのでありまするから、一つ十分御配慮を願いたいと思います。 それからもう一つ最後に今度は通産大臣に、自由化、特に貿易の自由化の問題の最大の問題は、御承知のように原材料の輸入が自由化してくるということであって、繊維を中心といたしまして原材料の輸入が自由化して参りますと、輸入が多くなり、過剰輸入から過剰生産へそうして過当競争べということが非常に案ぜられておるわけでありまして、聞くところによりますと、独禁法でありますとかあるいは輸出入取引法でありますとかの改正が議題に上っておるようでありますが、自由化のプログラムの過程で、その日程の上にこれらの法改正はいつ、どういう形で上ってくるか御説明願いたいと思います。
○池田国務大臣 先般来問題になっております対米十品目、これにつきましては私は法制的にとやこうする問題は、ただいまのところ大豆だけではないかと思います。従って次に起こりまする繊維関係の原料の自由化、この問題につきましては、佐々木委員の御心配のような問題が起こってくるのであります。たとえば今原綿につきましては、生産業者の設備割当をいたしておりますが、今度自由になって参りますと、商社がどんどん輸入いたしますと同時に、製造業者も輸入してくる。そうして過剰輸入という場合が起こり得るのであります。従いましてこういう場合におきましては、輸出入取引法を改正いたしまして、輸入の場合のいわゆる業者の調整並びに製造業者までも入れた調整をしなければならぬのじゃないか。こういうことで輸出入取引法を改正しようといたしておるのであります。
○佐々木(良)委員 今のお話で大体の輸出入取引法の改正のポイントはわかりましたけれども、それは、御承知のように問題は従来からあったように、輸出入取引法というのは水ぎわから向こう、そして水ぎわからこっちは独禁法という建前が本来の出発点であったと思います。独禁法に触れずに、輸出入取引法でもってメーカー規制まで行なわれようとする形は、これは本来正常ではないと私は思いますが、あえてその方法を選ばれようとする理由並びに独禁法はその意味ではいらわれないつもりか。それから今のその意味での輸出入取引法は今国会提案の予定か、あわせて承りたい。
○池田国務大臣 輸出入取引法で生産調整はいたしません。そうしてまた原則といたしまして水ぎわより向こうからの問題を考えておるのであります。たとえば輸入いたしますときに、綿花を商社もあるいは製造業者も勝手にどんどん輸入していくということになりますと、そこに弊害が起こりますので、そういう場合につきましては、従来商社だけに限っておったのを、取引法を改正してメーカーの方も調整のうちへ入れていこう、こういうことを考えておるのであります。なお国内的の独禁法の改正はいたさない考えであります。
○佐々木(良)委員 私の心配しておるのは、メーカーを含めた価格カルテルが行なわれるならば、生産のカルテルでないといたしましても、似た問題が発生する危険性があるのではないか、こういう意味であります。これらのカルテル化の動きと、それに対応すべき中小企業者の保護対策とはあわせて検討されておりますかどうか。
○池田国務大臣 中小企業者につきましては、資本の点から申しましても、技術の点から申しましても大企業より劣りますので、中小企業団体法あるいは協同組合法等の活用をはかりますと同時に、今国会で御審議願いまする中小企業の業種別臨時措置法、こういうものをこしらえまして、自由化対策につきまして万全の措置をとりたい。また中小企業の設備の近代化資金あるいは一般の金融資金につきましても、十分自由化と関連して考えていきたいと思います。
○佐々木(良)委員 輸出入取引法の改正でもってやり得ない可能性のある、たとえば大豆の規制等につきましての独立の単独立法を考えておられるかどうか。
○福田国務大臣 大豆につきましては特別の立法と特別の予算措置を検討中でございます。
○佐々木(良)委員 それは多分瞬間タッチ制といわれる内容を含んでいるものであろうと存じますが、それに類するその他の業種、たとえば鉄原料でありますところの銑鉄でありますとか、くず鉄でありますとか、過剰輸入から問題が起こりそうなその他の製品について大豆に似たような単独の調整法を考えておられる部分が現在ありますかどうか、通産大臣……。
○池田国務大臣 繊維関係におきまして、ただいまございまする繊維工業設備臨時措置法、これにつきましてある程度の改正を加えたいと思いまするが、ただいま申しておりまする繊維につきましての輸出入取引法、まあくず鉄なんかについても起こってくるかもわかりませんが、特別にどうこう言うことは、今申し上げた輸出入取引法と繊維設備臨時措置法程度で済むのではないかと思っております。
○佐々木(良)委員 自民党同僚議員から時間を迫られてまことに弱っておるわけで残念しごくであります。 それでは最後にお伺いをいたしまして終わりにいたしたいと思います。この貿易並びに為替の自由化という問題は、非常に重大な問題でありまして、いろいろ具体的な問題を含んでおると思いまするので、私は他の委員会におきまして一そうの政府の御所信を承りたい、こういうふうに思いますが、この為替・貿易の自由化の計画の中に、目下のところはきのうの橋本龍伍君に対する御答弁によりましても、農林大臣は、農産物の輸入自由化も一応この中に入れて考えておられるようでありまするが、先ほど来伺っておりまするところの、自由化の基本的な方針並びに自由化のもたらす基本的な経済効果から見るならば、格別に日本の農産物がこの自由化の対象となって圧迫を受けるということは、非常に重大なる問題を含んでおると思う。むしろ私は輸入自由化がもたらすところの目的と相反するのではないか、逆に輸入自由化を行なう場合には、今他の通産省関係のものでも、国内法の建前から順次にという前提をつけて、各業種別なプログラムと対策がだんだんとでき上がることを前提といたしておりますが、その最後の列に私は農産物があるのではなかろうかと思う。逆に言うならば、農産物は今のところ三年や四年の見通しでこれを自由化の波に洗わせるような条件は出てこない、私はむしろこう思うのでありますが、農林大臣の御所見を承りたい。
○福田国務大臣 原則論としては全く同感でございます。
○佐々木(良)委員 原則論で同感でありますならば、各論におきましても一つ同様な取り扱いを願いたいと思います。私は、もう一つだけ最後に希望を含めて質問しておきますが、農業関係で自由化の問題に取り組まれるならば、農民の利益という意味から自由化の問題に取り組まれるならば、今の農産物の輸入の自由化というものはほとんどマイナス以外の何ものでもない。唯一のプラスがあり得るとするならば、少しこれは大胆過ぎるかもしれませんけれども、今問題の焦点になっておるものに肥料がある。肥料二法を改正いたしまして、そうして硫安系肥料を自由化的措置をとられるならば、むしろ国内の消費価格は国際価格にさや寄せする結果に私はなると思う。国際的な自由化を非常に叫ばれながら、国内的の今の農業関係、農産物にさえも原則的にしか承認されないような状態で、しかも自由化を進めようとされるのか。今の農業関係を最も不自由に規律しておるものに肥料の問題がある。その他の問題もあり得ますけれども、これらに非常に大きなメスを入れるのでなければ、今言われておりますような自由化の方向とは合致しないと私は思うわけであります。従いまして一つ農林大臣でも通産大臣でもけっこうでございますが、肥料二法を修正して、この自由化の波に乗って硫安系肥料の国内消費価格を国際価格にさや寄せされるようなお考えはありませんか。
○池田国務大臣 貿易・為替自由化の問題もさることでございますが、国内産業保護も重要でございますので、今自由化のために肥料二法を廃止するという考えは持っておりません。
○佐々木(良)委員 質問を終わりますが、国内産業の保護も必要でありましょうが、本来肥料二法というものは、肥料業者を保護するための立法ではなしに、肥料の消費者であるところの農民保護、内需優先の方針を持って立法されたものである。しかもそれが現実的には、今のところ御承知のように肥料製造業者保護の内容になっておる、結果になりつつあるわけであります。従いまして私はこの自由化の波とともに当然にメスを入れなければならない問題だと思いますので、一つ別の機会に伺いたいと思いますが、十分一つ御配慮をお願いをいたしたいと思います。時間を食って失礼いたしました。終わります。(拍手)
○小川委員長 次会は明二日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時九分散会