予算委員会 第16号
- 発言数
- 68 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/02/29
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 この際、分科会主査よりそれぞれ分科会における審査の報告を求めることといたします。 第一分科会主査早稻田柳右エ門君。
○早稻田委員 第一分科会の審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本分科会の審査事項は、昭和三十五年度予算三案のうち、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、経済企画庁を除いた総理府、法務省及び大蔵省所管の分並びに他の分科会の所管に属せざる事項でありまして、二月二十四日より二十七日までの四日間、連日慎重審査を続けました。 審査の順序は、まず各省、各庁当局よりそれぞれ所管予算の説明を聴取し、次いで質疑を行なったのでありますが、これらの詳細は会議録でごらん願うこととし、ここでは二、三の点だけ御報告申し上げます。 質疑は分科会の特質上微細な数字にまでわたった部分がはなはだ多かったのでありますが、特に防衛庁関係予算につきましては、ロッキードF104Jの一機当たりの価格の積算の根拠、F86Fの生産実績並びに現在機数その他について、当局側のあげた数字の不正確な点が追及され、そのため何回かの数字の訂正が行なわれたような次第であります。その詳細はもとより会議録でごらんを願いたいと存じますが、明らかになったおもな点は、F86Fの一機当たりの価格は、第一次生産においては一億五千五百万円で、日本側の負担率は一七・二%、第二次生産においては一億三千二百万円で、日本側負担率は五〇%、第三次生産、これは見込みでありますが、一機当たり一億一千九百万円、負担率が七九・三%であります。これに対しF104の場合は、全体で総額二億六千八百万ドルと予定され、日本側の負担率七二%、一機当たりの価格は複座練習機で百四万七千ドル、三億七千七百万円、単座機百八十機のうち、ノック・ダウンによる二十機は百二十八万九千ドルで四億六千四百万円、国内生産による分百六十機は百十万八千ドル、三億九千九百万円、総平均で百十二万ドル、四億三百万円という数字であります。また一機当たりの年間維持費は、燃料費、人件費等を含めてF86Fが千七百四万円、F104Jが五千四百三十万円と見込まれております。 さらに防衛庁関係では、数日前にアメリカの国防省から発表された、過去十年間の対日軍事援助実施額五億六百万ドル、一千八百二十一億円という数字と、防衛庁のあげた四千四百二十三億円という数字の間の大きな食い違いについて質疑が展開されましたが、防衛庁当局の説明によりますと、この差額二千六百二億円が生じた理由は、アメリカ側の数字には、船舶貸与協定による分約五百九十億円と、警察予備隊発足当時日本側に貸与されたものでその後MAPに切りかえられた装備品約千百五十億円とが含まれていないこと、さらに残りの差額八百六十二億円は、供与品に対する日米両国政府の評価基準の差から出ているのではないかというのでありました。さらに、アメリカは日本を作戦行動上の重要な補給基地として考えていることが明らかだが、米軍の補給は事前協議の対象にならないというだけでよいのかとの質疑が行なわれましたが、これに対して防衛庁長官から、一般には補給行動は事前協議の対象にはならないが、直接作戦行動と密接不可分の補給は事前協議の対象となるだろうとの答弁がありました。 次に、大蔵省関係予算の質疑について申し上げます。 まず租税収入の見積り、特に法人税の自然増収九百八十億円の根拠について質疑がありましたが、大蔵省の説明によりますと、昨年十月末現在で、過去一年間の申告税額を基礎とし、これに生産の伸び三一%、物価の伸び二・五%をかけ、さらに生産、物価の伸び率以上に所得が伸びる率を二%と算出して、前年度に比べて三七%の増を見込んだ、これに年度によるずれその他を調整した結果、九百八十億円の増加という数字が出たとのことでありました。 最後に、賠償等特殊債務処理特別会計について、特に三十四年度からの繰り越しが五十八億円も見込まれていること、また三十三年度から三十四年度への繰り越しが予算見込みより十八億円も増加したこと等の原因に関して質疑が行なわれました。大蔵省の答弁によりますと、三十五年度以降に支払いの確定しているこの種の対外債務は、ビルマ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの四カ国に対する賠償が二千七百九十七億円、オランダ、カンボジア、ラオスに対する補償や経済協力で十八億円、合わせて二千八百十五億円である、三十三年度から三十四年度への繰り越しが予算見込みより十八億円ふえたのは、連合国財産補償費で約十二億円、ビルマ賠償で六億円がそれぞれ未使用になったためであり、また三十四年度から三十五年度への繰り越しが五十八億円も見込まれているのは、一方でビルマ賠償が予定より六億円ふえるが、他方でベトナム賠償の未使用が二十四億円、予備費の未使用が十七億円、前年度剰余金の受け入れ増加が十八億円もあるためである、またこのように繰り越しが多額に生じたり、あるいは繰り越し見込みが狂ってきたりするのは、賠償等が何分にも相手方があることであり、不確定要素が多かったためである、しかし、こうした要素は年々減りつつあり、少なくとも三十四年度から三十五年度への繰越額については、大した見込み違いはないはずだとのことでありました。 質疑の過程におきましては、以上のように予算積算の根拠その他について詳細な数字的検討が行なわれ、さらに公務員の給与、内閣の報償費、調査委託費等各般の問題について終始熱心かつ活発に審議が行なわれたのであります。 質疑を終わって後、分科会の討論採決は本委員会に譲ることに決定いたしました。 以上簡単ながら御報告いたします。(拍手) …………………………………
○小川委員長 第二分科会主査北澤直吉君。
○北澤委員 第二分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。 本分科会は、昭和三十五年度総予算中、外務省、文部省、厚生省及び労働省所管に関しまして慎重に審議いたしました。 審議は、去る二十四日関係各省所管大臣よりそれぞれ所管予算案の説明を聴取し、翌二十五日より二十七日まで労働省、厚生省、外務省及び文部省の順序で熱心に質疑応答が行なわれたのであります。その詳細につきましては会議録に譲ることといたしまして、ここでは質疑応答のうちおもなるもの若干について申し上げます。 まず労働省所管について申し上げます。 失業対策事業につきまして、三十五年度予算では賃金の若干の引き上げを行なっているかわり、吸収人員は一万人減らし二十四万人となっているが、むしろ失対事業はさらに伸ばして、同和地区あるいは農山漁村に対し弾力的な運用をはかるべきでないかとの質疑が行なわれたのでありますが、これに対し政府は、完全失業者は漸減し、民間日雇いあるいは公共事業等の雇用は増加しており、当然三十五年度もこの傾向は続くものと見られるし、特に三十四年度は石炭離職者を失対予算から出していたものが、三十五年度は別途に吸収の道をはかることとなるから、失業者の吸収は余裕あるものとなっている、また労働省として三十五年度から失対事業に対し特にとるべき方針としては、従来の建設省を中心とする公共事業に結びつけた運用を、さらに農山村などにも失対事業が行なえるように農林省の治山、造林などに結びつけることにしたいと考え、農林省と話し合って行なうつもりであるとの答弁がありました。 またその他の質疑といたしましては、労災保険の給付の問題、ILO批准に関する国内法整備の問題、炭鉱争議のロックアウトの問題等について質疑応答がなされたのであります。 次に、厚生省所管について申し上げます。 政府管掌の健康保険につきまして、被保険者は保険料率の引き下げよりはむしろ給付内容の向上を望んでいるが、政府があえて料率を引き下げようとするのは、経営者の引き下げを望む声に押されてのことではないか、また保険が黒字になったからといって、前年度に引き続き補助金を減らしたが、保険財政の赤字克服のため、入院患者の一部負担等が行なわれて健全化したのであるから、補助金は減らさないで、まず一部負担をもとに戻すべきではないかとの質疑がなされたのでありますが、これに対し政府は、保険料率の基準は千分の六十であり、現行の千分の六十五は保険財政最悪の事態に際し、最高の限度まで引き上げたものであり、三十三年度末百八十二億円の黒字積立金を持ち、かつ二十四年度も相当の黒字が予想されるので、この際は、限度一ぱいまで引き上げた料率を引き下げて、調整をはかることが法律の趣旨に沿うものであり、給付内容の改善については、他の社会保険等との調整を考慮して行ないたいとの答弁がなされたのであります。 その他、精神薄弱者の援護の問題、保育所の間食費の問題、国民皆保険にからむ差額徴収及び助産給付の問題駐留軍労務者の健康保険の問題、原爆被災者の医療給付及び補償問題等についての質疑応答がなされたのであります。 また特に同和地区対策の積極的推進拡充につきまして、厚生省を初め、労働、文部、農林、通産、建設、自治庁等関係各省にわたりきわめて熱心に質疑が行なわれたのでありますが、これに対しまして政府は、同和対策は閣僚懇談会の設置により強く推進され、三十五年度は生活環境の改善に重点を置くと同時に、その他についても大幅に予算の増額をはかり、モデル地区の設定など新しい構想にも着手しており、今後ともさらに努力を続けるとの答弁が行なわれました。 次に、外務省所管について申し上げます。 日韓問題につきまして、政府は正式な外交機関でないいわば柳氏個人を日韓問題の交渉相手としているが、そのことが日韓関係を複雑にし、李ライン、竹島、抑留漁夫の問題等の解決を困難ならしめているのではないか、また日本には韓国代表部の存在を認めながら、韓国に日本代表部を置いていないのは何ゆえであるか、また抑留漁夫釈放の前提として韓国米の買い入れを認めんとするのはおかしいではないか等の質疑がありましたが、これに対して政府の答弁は、柳氏は韓国の官吏であり、日韓の正式国交再開まで便宜交渉相手とすることはやむを得ないところである、ただ政府は、日韓会談再開を強く要望し、先方の反省を求めてきたが、今日中断状態にあることは遺憾である、しかし次第に事態は改善されつつある、また抑留漁夫については三月中に相互送還の形で釈放が行なわれる予定であるが、もし抑留漁夫の問題が解決しなければ、日韓会談の再開にも、いかなる貿易の話し合いにも応じない決意である、また韓国における日本代表部の設置は、韓国側において代表部の生命の安全について十分責任が負えないとの理由で、まだ韓国に日本代表部の設置を見るに至っておらないとの答弁がありました。 その他米軍の沖縄海域における演習による漁業補償問題、経済外交に関する具体的構想、海外経済協力基金の具体的運用方法、賠償に関連する東南アジア留学生の受け入れ問題、MSA協定に基づく対日軍事援助費の問題等に関しての質疑応答が行なわれました。 次に文部省所管について申し上げます。 給食費につきまして、三十五年度は父兄の負担増加となり、父兄の教育費の負担軽減をうたった予算として受け取れないがいかにとの質疑がなされたのでありますが、これに対し政府は、米国の余剰農産物による贈与の小麦粉が三十四年度限りなくなるので、これがため父兄負担の若干の増高を来たすこととなるが、三十五年度給食費に対する措置として、今までPTAの負担となっていたボーダー・ライン階層で給食費を支払えない子供たちに対する分は今度は政府において負担することとし、このため前年度より三億円増加して五億六千万円を計上し、父兄の負担の軽減をはかることとした、さらに給食の従事員について今まで児童四百五十人について一人を平衡交付金で見ていたのを、今度は三百人に一人を見ることによって、このほとんどを負担していたPTAについて約十八億円程度の軽減をはかったとの答弁がありました。 以上のほか、すし詰め学級解消計画、教材費、進学の問題、炭鉱地帯の児童給食の問題、組合役員専従の問題、勤評問題、ILO批准の問題等について質疑応答がかわされました。 かくて質疑終了後、本分科会の討論採決は慣例により本委員会に譲ることに決定した次第であります。 以上簡単でありますが、御報告申し上げます。(拍手) …………………………………
○小川委員長 第三分科会主査八木一郎君。
○八木(一郎)委員 第三分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。 本分科会は昭和三十五年度総予算中通商産業省、経済企画庁及び農林省の所管に関するものでありまして、去る二月二十四日より二十七日まで四日間にわたって、各省所管大臣の説明を聴取した後質疑を行ない、慎重に審査いたしました。それらの詳細につきましては会議録をごらん願うことといたしまして、ここでは質疑応答のうち若干のものについて、簡単に申し上げたいと思います。 まず通商産業省関係について申し上げます。 重油専焼ボイラー、電気料金、肥料対策、鉄鋼産業の自主調整、貿易自由化の中小企業に与える影響、航空機購入、ベトナム貿易、商工組合中央金庫の金利、百貨店法九条と独禁法との関連、工業用水と地盤沈下等の諸問題について政府の見解がただされたのでありますが、特に重油専焼ボイラーにつきましては、ボイラー規制法を三カ年延期し、その後電力側の石炭使用量の増加引き受けを前提として重油専焼ボイラーを認めるというが、重油と石炭との経済的効率の上からいっても、だんだん石炭需要の減退を伴うことは必至であって、重油専焼ボイラーを認めるということと石炭使用量の増加引き受けということとは矛盾するのではないかとの質疑に対し、政府の答弁は、重油専焼ボイラーを新規に幾ら認めるかはきめていないが、産業全体から考えてボイラー規制法をいつまでも続けるわけにはいかぬ。しかし、重要産業である石炭の消費の増加をも考えなければならないので、この矛盾の点は今石炭業者と電力業者との間で話し合っており、話がつくと思うというのでありました。 次に経済企画庁関係につきましては、国土調査、東北開発促進法第十二条の不合理性、国土総合開発計画の再検討、世界経済動向の適切な把握、通貨価値、経済の見通し、エネルギー対策、貿易の自由化、経済基礎統計資料の充実等の諸問題について、政府の見解がただされたのであります。 特に今後の輸入について、貿易の自由化に伴って、合理化のための機械等の過当輸入が行なわれるのではないかとの質疑に対し、政府の答弁は、自由化が積極的に動くのは来年の四月ごろからだと思うが、輸入については、財政金融の面から十分調節できる現状であり、しかも、貿易商社を初め、各産業の自己資本が少ないので、金融政策よろしきを得れば、過当輸入の心配はないというのでありました。 最後に、農林省関係につきましては、農政の基本政策、農業基盤整備、酪農における不当な中間マージン、農林金融、外米輸入、開拓入植者の負債軽減、北洋漁業、ビート栽培、農業経営の共同化等の諸問題について詳細に政府の見解がただされたのであります。 特に、農業基盤の整備の問題と関連して、愛知用水公団の事業は明年六月に完成するが、数百人の技術陣を擁する機構をそのまま活用する方法はないかという質疑に対し、政府は、愛知用水公団は任務終了後解散すれば、国家的損失とも考えられ、経験者の雲散霧消は忍びないことである、解散後は、この陣容を保有し、同公団と同様の事業を求めて活用したいとの答弁でありました。 かくて、質疑を終了し、分科会の討論採決は本委員会に譲ることに決定いたした次第であります。 以上、御報告申し上げます。(拍手) …………………………………
○小川委員長 第四分科会主査岡本茂君。
○岡本(茂)委員 第四分科会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。 本分科会は昭和三十五年度一般会計予算、同じく特別会計予算及び政府関係機関予算中、運輸省、建設省及び郵政省所管について、去る二十四日建設省所管、二十五日運輸省所管、二十六日郵政省所管、二十七日再び建設省及び運輸省所管の予算について、四日間にわたり、慎重に審査いたしたのでございます。 質疑の詳細につきましては、時間の関係もございますので、会議録をごらん願うこととし、ここではその大要について簡単に御報告申し上げます。 まず第一に建設省所管につきましては、道路問題について政府がさきに策定実施中の道路整備五カ年計画は、最近における交通情勢等諸般の実情から見て計画を再検討し、拡大した計画のもとに出直すべき段階にあるのではないかという委員の質疑があり、これに対しまして建設大臣は、道路整備については相当大規模な事業を年々実施して参り、三十五年度は五カ年計画の第三年目を迎えるのであるが、最近の交通情勢あるいは来たるべきオリンピックの開催、観光道路の整備等、各般の実情を考えると、一兆円予算による計画策定当時の国内諸情勢は急速に変化しており、五カ年計画の終了を待っていては間に合わないというところに来ているので、この際相当に規模を拡大した新計画を確立する必要があると考え、ただいま計画改訂の方向に立って慎重に研究している段階であるという答弁がございました。 また住宅対策の問題について、政府は三十五年度において民間自力建設三十八万戸と合わせて六十万戸の建設を予定しているが、民間自力建設に期待する住宅対策では、真に住宅難にあえぐ庶民の住宅難は解消されないのではないか、もっと公営住宅の建設を拡大し、低家賃政策をとるべきである、また宅地対策が徹底していない、最近の宅地価格の暴騰は目に余るものがある、さらに政府は地代家賃統制令を廃止すると聞くが、その真意を承りたいとの質疑があり、建設省当局はこれに対し、今日の住宅難が低所得層に著しいという実態にかんがみ、三十五年度の賃貸住宅の計画も、住宅難世帯の所得階層分布に見合って計画を立てており、第一種、第二種公営住宅を四万九千戸、災害公営住宅三千九百戸、不良住宅地区改良事業として二千戸の建設を予定し、住宅事情の実態に即した対策を推進しており、同時に不足戸数の解消のみならず、低家賃住宅の供給という点についても、政策の重点を置いて今後もさらに一そうの努力を尽くしたい、宅地対策としては、安い宅地の造成という見地から、日本住宅公団及び住宅金融公庫の融資において、宅地造成を従来よりもワクを拡大して行なうとともに、住宅の高層化等宅地の高度利用をはかっていく考えであり、宅地価の高騰を抑制する施策としては、土地増価税の創設等、従来から研究は重ねているが、なかなか名案を得るに至っていない、今後もさらに研究を続けて参りたい、地代家賃統制令は、昭和二十五年七月十日以前の建物で、三十坪以下のものに適用され、それ以降のものは自由であるという不均衡な占領政策が残されている関係上、早晩廃止の段階にあるが、建設省としては、いまだ時期、方法等について結論を得るに至っていない、改正または廃止の場合はポツダム政令であるから法律と同様、法律案を国会に提出しなければならないと考えているという答弁でありました。 次に運輸省所管の中では、数人の委員から、交通事故防止対策について、運輸行政の中には人命を尊重するという基本的政策がないように思われる、交通事故による死亡は年間一万人にも及び、その原因は、都会においてはスピード違反によるものも多いが、一方、道路と大型化されたバス、トラックとの不均衡による事故がはなはだ多い、バス路線の免許にあたって十分注意すべきであるという熱心な論議がかわされました。これに対しまして、運輸、建設両大臣から、道路交通の基本対策については、内閣に設置されている交通関係閣僚懇談会において検討するが、さしあたりただいま事故の原因として指摘された点は、早急に関係閣僚間において話し合い、本年三月一ぱいをめどに、道路と自動車の制限基準を定める政令を定め、道路交通の安全をはかって参りたいとの答弁がありました。 また委員から、海運の国際競争力強化対策及び鉄鋼界が石炭専用船として外国用船を計画しているという問題について、運輸省の考え方をただしたのに対し、運輸大臣は、今後の海運政策は国際競争力の強化に重点を置くが、それには、まずわが国の計画造船の金利を国際水準の線まで引き下げる必要がある、また、船舶の量より質への転換をはかるため、第十六次計画造船から超高速船主義をとり、低性能船を大幅に解体する方向をとって参りたい、また、鉄鋼界においては石炭専用船が問題になっているが、これは鉄鋼界が、法の盲点をついて、年四分という割安な輸出入銀行の資金を調達しようとするものであり、海運界を圧迫し、その与える影響は大きいと思われるので、現行法のあり方について検討いたしたいとの答弁がございました。 その他国鉄の運賃是正、東海道新幹線の建設、伊勢湾高潮対策等の問題につきまして熱心な質疑応答がかわされたのでございますが、これらの詳細は省略させていただきたいと存じます。 郵政省所管につきましては、郵便局舎の建設、特定局の普通局への昇格等、すべて郵政省の計画は進捗がおくれておるが、これは当局の熱意が足りないためである、また電電公社の経営は、大幅な黒字を生じておりながら、さらに今回電話公債を十五万円に引き上げ、利用者の架設意欲を押えようとしている、公社は利用者へのサービスの向上をどのように考えているかとの質疑がございました。これに対しまして、郵政大臣、電電公社当局は、三十五年度は緊急局舎建設整備八カ年計画の六年目に当たるのであるが、現在のところ、整備局数において六百九十五局、整備坪数において六八・七%、予算措置としては七三%が措置済みであり、今日までの進捗状況から見ておおむね計画の線に沿って進んでおり、八カ年のうちには完了するものと考えている、特定局の普通局への昇格は、明年度予算においては、予定の三分の一程度しか認めていないが、今後も熱意をもってできるだけ公平に昇格させて参りたい、また電電公社における収益は、利用者へサービスをもって還元すべきことは当然であるが、何分にも新規の電話需要に応ずる必要から、ある程度の高額債券を持ってもらうことはやむを得ないところである、今後は事業の経済的運営と経営の合理化、設備の近代化等によって、利用者への一そうのサービス向上に努力して参りたいとの答弁がございました。 このほか、労働問題その他郵政業務全般の問題につきまして、委員各位よりきわめて貴重な意見の開陳及び質疑が熱心に行なわれたのでございますが、その詳細はここでは割愛させていただきたいと存じます。 かくて本分科会は連日きわめて熱心かつ円滑に審議を進め、所管予算全般の質疑を終了いたしました。 討論採決はこれを本委員会に譲ることといたした次第であります。 以上きわめて簡単でありますが、第四分科会の報告を終わります。(拍手)
○小川委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終わりました。 この際午後一時まで休憩いたします。 午前十一時十三分休憩 ————◇————— 午後一時五十五分開議
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 井手委員より発言の申し出がありますので、この際これを許します。井手以誠君。
○井手委員 議事進行に関連いたしまして政府に一言お尋ねをいたします。本日から、三十五年度予算関係議案は締めくくりの総括質問に入るわけでありますが、この予算に関連した法律案、私は八十件近く予定されておったと記憶いたしておるのでありますが、まだ二十件近く提案を見ていないようであります。従来、関係法律案の提案がおくれて審議に支障を来たしたというので、毎国会早期提案を警告して参ったのでありますが、本年度もまた二十件近く提案を見ていないことは、怠慢もはなはだしいと言わねばならぬのであります。 そこで官房長官にお伺いをいたしますが、残っておる予算関係法律案は何件あるのか、またその残っておるものはいつ提案をされるのか、この二点をお伺いいたします。
○椎名政府委員 お答えいたします。予算関係の法律案は七十六件でございます。そのうちすでに提出済みのものが六十五件、差引残り十一件ということになっておりますが、これも至急に手配をしつつございますので、提案の運びに至るものと考えております。
○井手委員 ただいまの答弁で件数はわかりました。しかし至急に提案するということでは、承知ができないのであります。本来ならば、関係の法律案は予算案と一緒に提案すべきである。しかしいろいろな都合もございますので、少なくとも締めくくりの総括質問の審議に支障のない程度には、やはり出してもらわなくてはならぬ、これが従来の慣例であります。本日は与党の質問でございますから、それを私の方からいろいろ申し上げることはございませんが、明日からは野党の質問に移りますので、その前にはぜひとも提案をしてもらわなくては、審議に支障を来たすことになるのであります。われわれ野党は、今日までこの総予算案の審議に対して極力協力をいたして参りましたけれども、関係法律案が出ないということになりますと、簡単に協力もいたしかねるのであります。明日までに提案できますか。
○椎名政府委員 なるべく御審議に間に合うように、至急提出したいと思います。
○井手委員 多くは申し上げません。なお一両日残っております。従って、明日の同僚議員の田中委員の質問には間に合うように、審議が終わってからはいたし方ございません。その点は念を押しておきますので、ぜひとも明日までには御提案なさるように警告をいたしておきます。 —————————————
○小川委員長 それでは質疑を続行いたします。橋本龍伍君。
○橋本(龍)委員 いよいよ当委員会も、最後の締めくくりの総括質問の段階に相なりましたが、私が自由民主党を代表いたしまして、質疑をいたしたいと思います。 当委員会におきましては、この一カ月の間、ほとんど安保条約の質疑応答に終始したかの観がございます。私も十年ほどこの委員会におりますが、今回の委員会ほど予算自体に対する質疑の少なかったことはまれでありまして、これは安保条約が重大な関係があるわけでもありましょうけれども、しかし野党の諸君として、予算にあまり御異議がない点もあると思うのでありまして、それはまことに慶賀の至りであります。私は締めくくりにあたりまして、一番多く議論の出ました安保条約の問題及び貿易・為替の自由化の問題に重点をしぼって、お尋ねをいたしたいと思います。安保条約の問題に関しましては、関係閣僚がいろいろあられますが、時間も限られておることでありますので、もっぱら総理から御答弁をお願いいたしたいと思います。 第二次世界大戦が済みましてからあと、自由民主主義の国家は、ほんとうに平和と繁栄を願って、今日までいろいろな面での努力をいたして参りました。経済面での国際通貨基金だとか、ガットの考え方も、自由な、平和な経済流通というものをできるだけ促進をして、国際分業をできるだけ十分にして、それで世界じゅうの生産を上げ、かつ生活水準を上げようというねらいでありまして、これの基礎としては、平和と安全の維持というものが不可欠の大事な要件であります。そこで、こうした経済的な努力と並んで、国際連合の集団安全保障の規定に基づく集団安全保障体制というものも、あちこちで発達をいたして参りました。日本もその一環として、同じく自由主義、民主主義、平和主義の観点を同じくするところのアメリカとの間に、日米安保条約を結んで参ったのであります。 今日、安保条約の改定ということが問題になっておるのでありますが、この現行の安保条約というものが、独立直後にきめられたものでありまして、まことに不備、欠陥が多いということは、われわれ自身も考えたことであり、また野党の諸君におかれましても、始終指摘をされたことであります。従いまして、安保条約の不備、欠陥を除くという意味においては、これはもう改定が当然でありまして、問題はないのでありますが、今日の議論を拝聴いたしておりましても、やはり改定自体よりも、安保条約そのものの必要か必要でないかという点に論点があるようでありまして、私も今日これを主体にして伺いたいと思うのであります。 今日までの政府の答弁は、全然観点を異にする野党の御質問に対する回答でありまして、黙って伺っておると、条約の本旨からむしろ非常に離れたような感じのする部分すらあるのでありまして、私は、日米安全保障条約を必要とする観点からして、今日までの政府の考え方の疑義をただして参りたいと思うのであります。 この日米安全保障条約というのは、本来、日米両国がどこに対しても武力によって現状変更を企てるような侵略行動をしないという決意をして、そうしてまた、逆に、どこかの国が日本に対して、また極東諸地域に対して、武力による現状変更の侵略行動を起こした場合には、これに対して防衛すべきであるということを決意して、このために日米安全保障条約が結ばれたのでありまして、これが安保条約を論ずるにあたって一番大事な安保条約締結の意義であり、同時にまた不十分な点を改善しなければならぬ中心の意義であると思うのでありますが、この点についての総理大臣の御所見をまず伺っておきたいと思います。
○岸国務大臣 日米が協力して日本及び極東の安全と平和を守るというこの体制は、現在の安保条約の基本的精神であります。この安保条約の改定、新条約の締結の意義も、現行の安保条約と基本においては少しも変わっておらないのであります。すなわち、国連憲章の精神にのっとって、日本を中心とし、これに不可分の関係のある極東に対して、他から不当に武力的な攻撃が加えられたときにおいてのみ発動するという、純粋の防衛的のものでありまして、要は、日本及び極東の安全を維持し、他からの不当な侵略を未然に防ぐことによって、アジアの平和はもちろん、世界の平和に資するという根本の理念に立っておるわけでありまして、その点は現行の安保条約あるいは改定の新条約も、精神を一にするものであります。 ただ、問題は、御指摘になりましたように、現行の安保条約が、その成立のときの特殊の事情から、きわめて不備の点が多いし、日本の自主独立の立場から望ましくない点が多々ありますので、これを合理的に改善しようというのが今度の条約の改定の趣旨でございます。
○橋本(龍)委員 私もそう思います。 そこで、続いて大事なことをお伺いいたしたいのでありますが、当委員会におきまする今日までの質疑応答の間に、事前協議が問題にされまして、この場合に拒否できるかどうかということがしばしば論ぜられたのであります。一体極東の平和と安全を脅かすような事態が起こった場合に、日本が事前協議の際に、米軍の出動を拒否する場合があり得るということは、言葉をかえて言うならば、どこかの国が武力による現状変更の侵略行動を起こす可能性があると想定をして、しかも日本がその侵略を成功させたいと思うか、ないしは成功させてもよいと思う場合があり得るということになるのでありますが、そもそも日米安全保障条約を締結した目的から顧みて、そんな場合が一体あり得るのでありますか。私は、条約は、ただ言葉の質疑応答ということでなしに、なぜ条約を結ぶかという本旨から顧みての内容の究明が必要だと思うのでありますが、私は本条約の目的からして、事前協議というものは、日米共同一致して侵略行動を防止するために、一つの手違いも一つのすきもあってはならないから、防衛の効果を上げるために、事前に手落ちなく協議をするということが最大の目的であって、意見の根本的不一致ということは原則として予想していないものと思うのでありますが、いかがでありますか、この点についての総理のはっきりした御所見を伺いたいのであります。
○岸国務大臣 もちろんこの条約におけるところの目的は、先ほど来申しましたように、日本が他から不当に武力的な攻撃を受けることのないように、すなわち、不当な侵略を受けない、そうして平和と安全が保たれるということが主眼でございまして、これと不可分のような関係にあるところの、密接な関係のある極東における同様な武力攻撃が他から加えられる、それによって極東の平和と安全が脅かされる、これはひいて日本の安全と平和が脅かされるということを考えまして、そういうことのないことを念願する意味において、極東の平和と安全に対して、日本に駐留しておるところの米軍が、かかる場合において出動して、その武力攻撃を排除するという規定ができておるわけであります。もちろんこの安保条約の真のねらいは、またそれのほんとうの効果は、私は戦争を防止し、そういう不当なる武力攻撃を未然に防止するというところに非常な意義があると思います。これは世界各地域に集団安全保障体制というものができております。これがどういう効果をなしておるかといえば、現実に世界の平和を保ち、そのために不当な侵略がその地域に起こらないということによって平和が維持されておるという現実から見ましても、こういう安保体制というものの真の意義は、そういうことを未然に防ぐというところに主眼があると思います。しかしながら、不幸にしてそういう事態が起こるといった場合におきましては、この武力攻撃に対してこれを武力によって排除するという事態が出てくるわけであります。日本は、幾ら日本の平和と安全に直接に密接な関係がありといえども、領土外に日本の自衛隊が出て行動し、これを排除することはできないのでありますが、米軍はそれができる。従ってそういう場合において、われわれは事前の協議によって事態を、十分なそれに対処すべきあらゆる面からの協議をすることは当然でありますが、しかし現実に米軍が出動するという場合においては、やはり私は日本の自主的な立場で、これが日本の基地から出ることに対して、基地を使用することに対して、ある場合においてはイエスと言い、ある場合においてはノーと言うことが自主的な立場から決定し得るものと思います。 しからば、日本の平和と安全にきわめて密接な極東のそういう不当な武力攻撃を排除する米軍の出動というものに対しては、当然イエスというような場合だけではないかというふうな趣旨の御質問でありますけれども、その場合におけるところの武力攻撃が起こり、武力侵略が起こった場合の事態というものは、私はいろいろな態勢があると思います。またある場合においてはそれをごく局地的に制限するために、ある場合には出た方がいい場合もありましょうし、出ない方が、局地的に制限して極東の平和と安全を維持する上においていいというような場合も、これはあらゆる武力侵略の態勢を考えなければならぬと思います。従ってそういう場合において十分事前において情報を交換し、協議をすると同時に、そういう出動については、日本が最後のイエス、ノーをきめ、そのときの情勢を十分に頭に置いて考えていく、こういうことになることと思います。
○橋本(龍)委員 総理の言っておられることはわかりますが、ただこの安全保障条約というものを締結した趣旨からいたしまして、私はやはり日本がイエス、ノーを言う場合においても、あくまでも極東の平和と安全を効果的に維持するためには、どちらがいいかという観点からして、あるいはそれは、ある場合においてただいま総理の言われたような、あるいはこういう場合があるということもあるかもしれません。目的はあくまで極東における平和と安全を維持するために現状変更の武力侵略は許さないということが目的であって、従って日本自身がこの事前協議に応ずる場合においても、これに対してものを考える場合においても、そういう観点からしてものを考えるべき筋であって、よそごとのように日本が判断をするという趣旨ではないと総理のお言葉を私は了解をいたしたいと思います。 次に、一つただしておきたいのでありますが、今日、安全保障条約を独立国にふさわしい態様に改めたということは大事な問題でありますが、これはあくまでも安全保障という目的を達成するために、やはり日本は日本の立場というものをはっきりさせて、そうして対等の立場で協力するということがより効果的だということが、改定した趣旨でなければならないと思うのであります。一体安保条約を結ぶということは、お互いが平和維持という目的を同じくして、その決意を信じ合って、そのために防衛の条約を結ぶのでありますから、その条約の中で相手を縛ってその効果を減殺しようと考えることは本末転倒であります。安全保障という目的を達成するためには、日米双方ともきわめて円滑緊密に連絡をして、きわめて迅速果敢に行動できることが、本条約の本旨でなければならないと思うのでありますが、この点についての所見を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 すべての国際条約も広く言えば同じことでありましょうが、特に安全保障のごとく、一国の基本に関して他の国と結ぶこの条約については、相手国との間に十分な理解と信頼があり、その上に私は初めて成り立つものだと思います。ただ条文の上においてどういう事項を規定いたしましても、いよいよというときにこれが破られるとか、あるいはそれが正しく履行されないというような不安がある限りにおきましては、私はこういう条約というものはできないと思います。日米安保条約におきましても、その意味において日米が十分に理解し、信頼し合う、これはただ単に両国の政府間における理解と信頼だけではなくして、国民と国民の間におきましても、十分な理解があり、信頼があることによって私は効果を発揮するものであり、その意義を十分に達成するものだと思います。私が昭和三十二年にワシントンをたずねまして、アイゼンハワー大統領と話した際におきまして、要するに、現行安保条約に対して、いろいろ日本国民として持っておる不満の点を述べて、これを改善しようという話し合いの糸口を作ったわけでありますが、その際の共同声明にもはっきり言っているように、この安保条約の運営については、両国の利益と両国民の感情に適するようにこれをやっていく必要があるということを特に共同声明の中に盛ったのであります。それは、要するに、こういう条約について国民がやはり理解と信頼を持ってそれを支持する、それに協力するということがあってこそ、初めて円滑な施行ができるわけであります。私は、安保条約は、その意味において、日本が国力を充実し、「独立を十分に完成してきておって、自主的な立場、国民的な一つの意識というものが強まってきておるときにおいて、いつまでも不平等な状態で、アメリカが一方的にすべてのことを決定するのだという状態にあることであっては、日本国民として、国民感情としてこれを信頼し、これに十分な協力をするという気持が出ぬと思う。ところが今度の安保条約の改定によって、従来論議され、不備とされておったところの点を対等の立場に、また日本国の国民の意思が十分に自主的に反映するというような方面において改善することによって、私は、国民の理解と信頼、また国民感情としての協力の気持が十分に出るものである、その意味において、今後安保条約が円滑に十分にその目的を達成するように運営されていく、こういう考えでございます。
○橋本(龍)委員 なお、従来事前協議には同意が含まれるやいなやの点が世上問題となって議論がされておるのであります。協議が成り立つためには当然双方当事者の合意が前提となるものであることは論を待ちませんが、そんなことよりもまず同意ということは、先方の意思に対して当方から受け身で応諾をすることである。本条約の目的からいって、同意、不同意ということはきわめて不適当であります。本来極東における平和と安全の維持ということは、わが国にとって一瞬も忘れることのできない大切な外交方針の一つのはずでありまして、この大切な問題に対しましては、本条約第四条に関しても、本条約第六条に関しても、日本は米国と同様の関心を持って協議をすべきであって、他人ごとのように日本が同意、不同意だけを受け身で言うべき筋でないと考えるのでありますが、この点についても御所見を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 もちろん極東の問題というものは、日本が最もその中心におりまして関心を持っておることであり、日本がこれに対する考え方は、自主的にきめていかなければならぬことは言うを待ちません。従ってこの条約の運営につきましても、各所に協議という事項が出ております。従って日米が両国ともいろいろな情報であるとかいろいろな考え方であるとか、いろいろな情勢分析等につきまして常時お互いに協議していく、これは全く対等な意味でございまして、従ってわれわれが自主的に考えること、また自主的な情勢分析についての意見を立ててアメリカ側と協議するというような場合もたくさんあることは当然でございます。ただ問題の事前協議にかけておる三点というものは、従来論議の上から見まして、これらの重要な事項をアメリカが一存にきめて、そうしてそれを実現し得るということに、現行条約においてはなっておる。しかるにやはりこういう重要な問題、日本が日本及び極東の安全保障について独自に考えるところの意見というものを、これらの重要な事項の上に反映させなければいけないということが、従来の国民の感情でもあり、要望でもあり、また今回の改定にあたりましてもわれわれが主張してきたところでございまして、従ってこれらの事項が、従来アメリカが単独の意思で実現できたものを、事前に日本側に協議して、日本側の意見を聞いてこれを実行するということにいたしたわけでございます。従ってその場合に、アメリカ側から相談があり協議があった場合において、日本が日本の自主的な立場で、それをよろしいといって承認する場合と、日本の立場から、これは望ましくない、また日本の国民感情なり国民の要望をそのまま現わせば、これを拒否すべきものであるといった場合におきましては、これに対してノーと言う場合が出てくるわけでございます。問題の、この極東の問題について日本が主として考え、またただ受け身だけではなしに、日本側が進んで日本の外交目的からいって、独自の見解をもってアメリカと協議すべきであるということは、これを条約全体を通じてその精神であることは今御質問の通りであります。ただ事前協議の三点についてはそういう経緯がありますために、はたして日本がその場合にノーと言い得るかどうか、ノーと言った場合にアメリカがこれを無視して行動し得るか、あるいはそのノーと言ったことによって、アメリカの行動がそういうふうに制限されるかという問題が起こってくるわけでありまして、その点に関しては従来の交渉から申しましても、日本の同意、日本のイエスが必要であるということになっておりますし、私とアイゼンハワー大統領の共同声明の中にもそれを再確認いたしておるわけでございます。
○橋本(龍)委員 なおお尋ねしたいことがたくさんありますが、時間が限られておりますので、重要な点をあと二つばかり拾って御質問をしたいと思います。 日米安全保障条約は、その条約の付随した効果として、もう一つ重要な意義を当初から持っておるのであります。わが国の財政は、安保条約なしにはやっていけないということでありまして、この点は今日でも変わっておりませんし、当分の間変わらないと思うのでありますが、どう考えておられますか。わが国の過去を振り返って見ますのに、おくれて九十三年前に出発したわが国に対して、周辺の大国の圧迫が激しくて、国防費の負担は早くからなかなか大きかったのであります。一般会計予算に対する国防費の割合は、明治十三年に一九%、明治十八年に二〇・六%、明治二十三年において三一・三%に達しまして、その後累増いたして参っております。わが国の過去における戦争の危険がなくて、純粋に防衛的な国防予算を組んでおりました大正の末年から昭和の初期にかけても、大体二八%から二九%くらいであったのであります。 現在世界各国の最近の予算によって、歳出総額に対しまする国防費の割合を見ますのに、西独が二九・七%、フランスが二九%、スエーデンが一九・三%、スイスが三九・六%、インドが一七・九%、英国が二三・六%、米国が五九・一%という状態でありまして、各国とも国防費は相当大きな負担であります。共産圏の諸国の予算では、国家投資や国営企業の経費を含んでおりますので、比較はできませんが、軍事費は非常に大きなものであります。 日本は財政的にもとうてい防衛費の負担に耐えないので、日米安全保障条約にたよって、今日までの間、大体総予算に対しては一二・三%の予算で国の復興をなし遂げて参ったのでございます。もちろん今後日本みずからの力が充実するに応じて、防衛計画をできるだけ充実していくべきでありますけれども、敗戦後の国内の動揺を一掃して力強い再建を遂げるためには、財政上の余裕はまだ十分とは申せません。明年度の予算では、防衛費は九・八四%で世界に類を見ない低率であります。現に今日中立国として独力でやっておるスイスが三九・六%の国防費をさいて、日本と同じように国内に米軍の基地を設けてアメリカと助け合っている英国が二三・六%の国防費をさいているという場合に、もし今日安保条約なしで独力でまかなうとしたならば、幾らぐらいの経費で一応自信のある防衛力を築くことができますか。財政上今日はなかなかやっていけないと思うのでありますが、将来の問題としても財政上日本が独力で防衛をやっていくという見通しのあるようなときがどれくらいのときにくるか、この見通しについて一つ総理の御所見を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 われわれは究極において、世界が一切の安全保障を国連の安全保障機構に託し得るような事態がくることを望んでおります。しかし、それは今日において、いつになったらそういう事態がくるということを予見することはできないと思います。その間におきましては、どうして独立国が各個の安全を保障し、平和を維持していくかという問題については、自力でもってまず自分の祖国が他から不当に侵略されないような防衛体制を作るということが基本でなければならないことは、言うを待たないのであります。しかしその情勢は、これはいろいろなその国の置かれておる周囲の情勢をにらみ合わせて考えなければならぬのでありまして、日本が置かれておる地位から考えまして、もしも日本の独力だけで日本の国民が一応安全感を持ち得るような防衛体制を作るとするならば、今御指摘のありましたように、私は相当な財政的負担になると思います。日米安保体制によって、とにかく日本の平和と安全、他から不当に侵略されないという安全感を持ち得る状態でございますがゆえに、日本が、今おあげになりましたような数字の防衛費でもって、今日まで国の復興を来たしておる。 将来どうなるかという問題につきましては、私は将来の日本の防衛をどうするかという点については、すでに国防会議において基本方針をきめておるように、われわれは国力と国情に応じて漸増していく。先ほど来お話がありましたように、日本の経済が非常に伸びてきた、また国力がついてきたと言いながら、日本の経済は一方においては、まだまだ根底が弱い、あるいは財政の点におきましても、この支出の、一方から言えば天災もあるし、一方から言えば戦争によって破壊されたところのいろいろな公共施設の建設の問題があるし、あるいはまた国民生活の上におけるいろいろな社会保障制度の問題があり、文教の問題があるというようなことを考えてみますと、なかなか日本のこの財政の力でもって、日本が単独でもって一応安全感が持てるような防衛の費用をまかなっていくということ、見通しは今日の状態においてつけることは非常に困難である。私はこの意味においても、日米安保条約のこの安保体制によって、日本の安全と平和を守っていくということが、国民生活の向上であり、日本の経済の基盤の強化である、あるいは一種の福祉施設、福祉国家に向かっての基礎的な施設を行なっていくということが可能なことも、この安保体制に負うところが私は非常に多いと思うのであります。従って、われわれがわれわれの独力でとにかく祖国を防衛しようということを考えることは当然でございますけれども、将来において、いつになったらそういう時代ができるかということの見通しを、今日の状況において立てることは、なお困難である。やはり日米協力して安保体制によって日本の平和と安全を維持していくということが、日本の財政からいっても望ましいことである、かように思います。
○橋本(龍)委員 ただいままでの質疑によって、条約の本旨はほぼ明らかになったと思います。 そこで、今日は日米安全保障条約の改正が問題になっておるのでありますが、改正の内容は総理が累次お話しになったように、独立後の今日の状態にふさわしい日本の自主性を明らかにして、そうしてそういうふうに条約を改正するということであります。ところが私は、やはりこの条約改正の趣旨は、ただ自主性を明らかにして、アメリカに対して日本がいろいろなことを言う、日本は日本の立場で言うことを言うようにしたということ自体が問題なのではない。独立後できたような、ほとんどアメリカばかりが発言をするような条約では、先ほど総理も言われたような、心からの気持のいい日米提携というものはできない。そこでこの際これを改正をして、日本の自主性を明らかにして、日本の国民感情が満足ができるようにして、そして結論は、平和と安全の維持という点についても、また経済的発展の点についても、日米提携というものを一そう強化して、日米関係というものを一そう強固な安全な基礎の上に築いていくということが、今回の改正の終局の一番大事な目的だと思いますが、その点の念を押しておきたいと思います。
○岸国務大臣 御指摘のように、われわれがこの現行の安保条約を改定しようということは、日本の自主的な立場を十分に強調することによって、国民がこの安保体制というものに対して従来持っておった不満の念を除いて、日米対等な意味において協力をしていくという点をねらったわけであります。それがほんとうに安保条約のこの防衛の意義を達する上からも必要であると考えたのであります。しかしさらに、今回の安保条約は、現行安保条約の改定でありますが、その表題にもありますように、日米相互協力及び安全保障に関する条約といたしておるように、また内容の条文の上においても、現行の安保条約にはないところの政治経済に関する協力関係を規定いたしております。全体を通じて日米が真の理解と信頼の上に立って協力していく、それが一方においては世界の平和に貢献するゆえんであると同時に、両国民の繁栄に資するゆえんだ。日本の立場から考えるならば、日本の安全が維持されると同時に、日本の繁栄を期していく上において、日米の従来の協力関係をさらに深めていくということが、私は日本にとって望ましいことであるという考え方のもとに、この新しい条約を結ばんとしておるものでございまして、御指摘のような日米の間における従来の協力関係をさらに一そう強め深めていくということを、この新しい条約においては企図しておるわけでございます。
○橋本(龍)委員 安保条約の関係について、最後にもう一点だけ伺っておきたいと思います。 今日東西会談が行なわれておるのでありますが、これは今日東西緊張の緩和をはかりたいというのは世界的な願望であって、各国とも真剣に取り組んできておるのであります。ただこの東西会談においては、当然ドイツ問題の解決と、一般的軍縮協定の問題が出てくると思いますが、ドイツ問題の解決についてもいろいろむずかしい問題がありますし、一般的軍縮協定の問題についても、十分に国内査察をもって実行が保証できるような一般的軍縮協定を作るのはなかなかむずかしいことであります。各国とも、一般的軍縮協定ができたならば、そのワクの中で防衛力を漸次縮減していきたいということは考えながら、しかし今日の段階においては、本質的な危険というものは一つも去っておらないので、東西会談は東西会談として真剣に取り組みながら、防衛だとか安全保障だとかいう体制については、どこともゆるぎない方針を持って仕事を進めておるのでありまして、世界中どこでもそうであります。日本だけが非常に国内で、東西会談で雪解けだから、もう何にもしないでいいではないかというような議論があるのでありますが、私はむしろ、東西会談で何らか話がまとまるという期待に対しては、逆の効果を及ぼすものだと思うのであります。つまり東西会談が今日行なわれてきたということは、世界じゅうがもう大体共産陣営は共産陣営なり、自由民主主義の陣営は陣営なりに固定して参って、そしてこのままの対立ではいけないから、どこかで話し合いの糸口をつけていきたいということであります。その間において、もし今日日本に対していろいろな働きが行なわれて、どうかつ的ないろいろな働きまで行なわれておるのでありますが、これはやはりうまくいったら、日本は自由民主主義の陣営から共産陣営の方に追い落とすことができるかもしらぬ。少なくともその中間に置くことができるかもしれないという欲があって出ておることでありまして、東西陣営というものはほんとうにそれぞれの陣営において協力して固まって、その上で話し合いをするという態勢からいうならば、その基礎の極東における大事な部分である日本を、うまくいけばこまをはずせるかもしらぬというようなことは、これはむしろ国際会談のほんとうの話し合いというもの、真剣な両陣営の話し合いというものに対してマイナスの要素にはなっても、プラスの要素には決してならないと思うのであります。私は日本の今日置かれた立場からいってみても、この安保条約をめぐるいろいろな論争はありますけれども、はっきり自由民主主義の陣営に立って、そしてその間においてもう七年も前から支障なく結んで参ったこの日米安全保障条約の不備、不完全な部分を直す改正といったようなものは、ほんとうに問題なしにすらっと通すということが、これはいろいろな意味において非常に大事なことであります。東西会談というものの本旨から見て、これを将来何らかの話し合いにまでこぎつけるためにも、むしろ日本は決してこの際動揺してはならないと思うのであります。そういう意味でこの安保条約の改定にもゆるぎなき信念を持って邁進すべきだと思うのでありますが、最後にこの点について総理の所信をただしておきたいと思います。
○岸国務大臣 今日の国際情勢を雪解けという言葉で申しております。しかし実はいろいろ外国を回ってきた人の話におきましても、私自身が接した限りにおきましても、あるいは外国のいろいろな文書を見ましても、今日日本で考えているような雪解けというものが国際間にきておるような考えを持っておる人はほとんど私はないと思います。すなわちこの雪解けということは、一切の防衛に関する体制というものを、従来のやってきておるものを解除して、そうして全面的な軍縮へ向かって、ほんとうに何らかの成案を持って進んでおるというような事態がきておるというふうに日本ではややともすると解されるのでありますが、そういう意味の状態ではないと思います。ただ今日の核兵器の発達から考えてみて非常にそれが威力を持っておるために、もしもそれを用いるようなことがあるとするならば、これは世界人類の破滅であり、そういう意味において戦争のおそろしさというものがさらにさらに加わってきておるから、何としても政治家は一つそういう戦争をしないように、これを防止するということに対して協力していかなければいかぬということがだんだんと考えられて、そうしていわゆる東西間の意見の相違しており、今日まで紛争の種になっており、解決を見ておらない懸案となっておる事項を、そういう武力を用いずして話し合いで解決するようにしなければいかぬのではないかということが、この東西両陣営の首脳部において真剣に考えられてきておる。そこにいろいろな会談が行なわれ、互いに訪問し合ってその解決の糸口を見出そうという状態が今日の国際情勢であると思います。 しかしながらその話し合いというものは、やはりその背後においてのいろいろな意味における力というものを背景として話し合いをしていく、共産主義の国々の間における強き団結は言うを待ちません。ほとんど共産陣営の方からいえば、モスクワ、ソ連の意見によって代表されてすべてが統一されておる。ところが西欧側、自由主義陣営の側におきましては、各国の自由な意見があるわけでありますから、この間におけるところの意見の統一、並びに協力関係をゆるぎないものにしていくということが、東西両方の巨頭会談なり、あるいは外相会談なり、あるいはいろいろな話し合いにおいて問題を解決する一つの背景になるわけであります。これが乱れるということであり、これの力の関係がバランスを失するということになるというと、これは私は話し合いができなくなる。結果としては、われわれが回避しようとしておる武力行使というようなことが行なわれ、また防ぎ得ない事態がくるおそれすら私はまだあると思います。この意味において、われわれ自由主義の国々がやはり強固な団結を、協力関係を持って、そうして東西の話し合いに臨んでいくということが話し合いを成功せしめていくところの私は唯一の道である。今日世界の各国におけるところのこのいろいろな防衛機構なり、あるいはお互いの協力機構というものは、共産主義の国におきましてもそれぞれございます。また自由主義の国々の間においてもあります。それが少しもゆるぎのない状態であり、むしろそれを強化していって、そうして東西間におけるところの意見の違っておる問題の話し合いに臨む。そうして話し合いにおいて自分たちの意見を有利にこれを実現するように努力していこうというのが、これからのいわゆる話し合い外交であり、雪解けといわれる国際の実態である。この意味から申しまして、われわれがこの日米の協力関係を強めて、そうしてあらゆる面において経済、政治、防衛の面においてこれを強化していくということは、むしろ今日のこの情勢を考えますというと、これはいわゆる国際情勢に逆行するものではなくして、むしろ国際情勢にかなっておるものである。またこれによって東西のこの話し合いというものを成功するように導くところの一つの手段であると私は考えておるわけであります。そういう意味においてこの安保条約の改定は、私自身も十分な責任を持って調印をいたして参りましたし、国会においてもすみやかに御承認を得るようにあらゆる努力をしていかなければならぬ、かように思っております。
○橋本(龍)委員 安保条約に関しまする部分の質疑はこれで終わることにいたします。今後特別委員会でも安保条約についての本格的御審議が始まるわけでありますが、お願いいたしたいのは、今まで質疑応答を拝聴いたしておりますと、言葉のやりとりということで、条約の目的ということから離れて、聞いていると何のことかわからないような議論が非常に多いのであります。あくまでも安全保障条約というものは日米が提携をして国際の平和と安全とを守るということが目的でありまして、この条約の目的からすべては解釈すべきものだと思われますので、どうか一つ今後の審議にあたりましては、日米が提携をして、平和と安全を維持するためにこの条約を結ぶのだということ、改定ということも、そのために一そうそれを効果的にするためにあるのだということを十分頭に置きながら、どうか一つこの審議を進めていかれるようにお願いしたいのであります。 次に、もう一つ、当委員会におきまして大きな問題として取り扱われました貿易・為替の自由化の問題について質問をいたしたいと思います。なるべく問題を区切って質問をいたしたいと思いますので、所管の閣僚におかれては端的に、簡潔に御答弁をお願いいたしたいと思います。 まず第一に、貿易の自由化ということは一体どういうことかということでありますが、これはわが国自体も数年前から国際通貨基金にも加入し、ガットにも加入をいたしまして、商品の国際的流動性を高め、国際分業を高めて、世界の貿易を拡大し、世界の総生産を拡大し、生活水準を拡大することが必要だ、こういう趣旨に沿うものだと思うのであります。従いまして、これについては直接の外国為替及び外国貿易管理法によるいろいろな制限の問題でありますとか、あるいは保護関税の問題だとか、いろいろな面に触れると思うのでありますが、今日政府は貿易の自由化ということを一つの意味を持って使っておられるようであります。その意味を具体的な事例からただして参りたいと思うのであります。初めに農林大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、農林大臣は主食と酪農製品については自由化をしないと言っておられるようであります。ところが今回の国会にも関税定率法を改正して、精製ラードは一キロについて十五円の関税に引き上げて入りにくくする、そしてこれをAA制に移すということを言われておるのでありますが、この精製ラードの例で申しまして、つまり関税定率法を改正して関税を高めてなるべく入りにくくして、AA制に移すということは、自由化をするという方に入るのでありますか、自由化をしないという方に入るのでありますか、これをまず農林大臣に言葉の定義として伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 自由化をするという方に入るものでございます。
○橋本(龍)委員 次に通商産業大臣に伺いたいと思うのでありますが、ただいま農林大臣からお話のありましたように、今日政府が貿易の自由化と言っている場合には、ほかの、たとえば関税定率法の改正等によって制限をするということはかりにやるにしても、外国為替及び外国貿易管理法による制限をしないということを一応自由化と言っておるようであります。私はこのことはこのこと自体で意味があると思うのであります。つまり、今日は外国為替及び外国貿易管理法による制限がございますので、これでいろんなことをやっておるわけでありますが、かりに何か保護的な措置を講じようという場合には、管理法によらないとすれば、関税定率法によるとか、あるいは特別の事業法を作るとかいうようなことをしてできるわけであります。ただいまの政府で考えておられる自由化という定義からして、外国為替及び外国貿易管理法による制限というものを一応全廃してみるという御意思があるかどうか伺いたいと思います。
○池田国務大臣 一応全廃するというのではございません。今の規制を国内産業に合うようにだんだん緩和していこうとしておるのであります。
○橋本(龍)委員 私は、管理法によります制限を保護関税に切りかえるということだけでも相当の意味があると申しましたのは、管理法によって数量を制限しております場合には、価格は時の状況によってどれだけ上がるかわからないのでありますが、関税を上げれば、国際価格との開きは関税だけしかないわけであります。その上管理法で数量制限をやっているときと違って、行政上の手心で数量がいつふえるか減るかわからぬ、あるいはまた輸入の時期つが行政上の手心でいつどう変わるかわからぬといったような点がなくなるわけであります。私は、やはり貿易の自由化にあたっては、まず管理法の適用からできるだけはずしてかかる、保護関税で保護のできるものはできるようにするということは考えてみる値打のあることだと思うのであります。ただいまの通産大臣のお話からみると、管理法というものは今の形で総体的に運用をして、そうして貿易の自由化の程度をどうするかということを全部管理法の運用で考えるように伺ったのでありますが、私は、むしろ産業別にいろいろな状況を考えた上で、もし完全に管理法からはずすことができなければ、管理法で制限するものはこの業種とこの業種とこの業種だけだというふうに、非常に限定的に限って、あとを保護するにしてもできるだけほかの保護方策に移す方がいいんじゃないかと思うのですが、そういうお考えはありませんでしょうか。
○池田国務大臣 あなたのお考え通りに進んでおります。
○橋本(龍)委員 次に、なぜ貿易を自由化するかということを伺いたいのでありますが、直接の促進の動機としては、アメリカの申し入れがあったり、あるいはガット総会におけるいろいろな国の意見があったり、あるいはまたイタリアが昨年九月にIMF八条国に指定されたというようなことがあると思うのでありますが、しかし本来の筋からいうならば、日本は数年前にIMFに入り、ガットに入ったときから、貿易の自由化をするつもりで参加をしたはずなんであります。従ってその当時以来心がけていたことが、戦後日本の経済がひよわでなかなか決心がつかなかったのがいろいろな外国からの注文もあり、今日だいぶ国内も強くなってきたので、この際決心をしてやる気になった基本は、IMFやガットの精神に従ってこれが世界の利益にもなるが、やはり日本自体の利益にもなると思ってこの自由化をやるのだと思うのでありますが、その点について通産大臣の所見を伺いたいと思います。
○池田国務大臣 御承知の通り、国内経済におきましては、十年以前から自由化して参っておるのでございますが、国際経済につきましては、貿易、為替につきまして非常な窮屈ないわゆる制限を置いておったのであります。こういう状態では、ほんとうに日本の経済の発展にも、また世界経済の伸張にも役立たないという観念が前からございました。従って、日本の経済力がだんだんよくなり、世界の情勢がそれに向かってきているときを見計らってやろうとしておったのであります。昨年来いろいろな事情が固まって参りましたので踏み切ったわけであります。
○橋本(龍)委員 そこで、もう一段踏み込んで、一体貿易の自由化は日本の利益になるのかどうか、日本の利益になるとしたらどういうふうに具体的に日本の利益になるのかということを突っ込んで伺いたいと思うのであります。私が今日本の利益になるかどうかということをうかがうものさしは、貿易の自由化をすることによって国民総生産が上がり、国民総所得が上がるかどうかということをものさしにして、どうして貿易の自由化が日本国民経済にとって利益になるのかということを具体的にもう少し掘り下げて伺いたい。というのは、この貿易為替管理法に従って、いろいろな意味における庇護を受けて商売をやるということは楽なことでありますから、それを続けたいという気持がある。それを続けることはいろいろな意味においてできなくなっているのであります。しかし考え方としては、今日の日本経済がひよわでも自由化さえしないでいるのならば、同じだけの生産を上げ、同じだけの所得を上げることができるということならば、しいて自由化をしないで庇護のもとに、やはり同じだけの生産と所得を上げたいという気持が一般にあり得ると思うのであります。そこでこの自由化をやるについては、自由化ということによってほんとうのわれわれの所得がふえるのだという確信がやはり必要だと思うのでありますが、この自由化が日本経済にとってどうして利益になるのかということについて、もう少し掘り下げた説明を願いたいと思います。
○池田国務大臣 統制経済よりも自由経済の方が伸び方が多いということは、橋本君も御存じだと思います。従いまして国際的に見まして日本が不自由化の状態におりますると、それだけ日本の品物の国外への伸張が鈍ります。だから外国人が日本のものを喜んで買ってくれるような格好、それにはいわゆるギブ・アンド・テークで、日本も各国のものを自由に入れるということが前提条件であると考えます。これが国際的に見て利益のあるところでございます。また国内的に見まして、いろいろな制限を加えますと、特定の物資につきましてはそこにやみがある。いろいろな、何と申しますか、正常でないものが起こるのであります。それを正常化することは、物価の面からも、企業の合理化の上からいっても適当である。これはやはり価格の点、生産を伸ばすゆえんだと私は考えます。
○橋本(龍)委員 私もただいま通産大臣から御説明のあった通りに思います。相手国に対して貿易制限をさせないというためには、日本自身できるだけ自由化する必要があることは当然であります。しかしお話しもありましたように、それだけではただ対外的な効果で、相手に買ってくれる可能性が生ずるというだけであります。対内的なやはり効果が大事であって、この管理貿易によって制限されて、でこぼこにプレミアムがついたりしておった物価体系が、自由化の結果是正されて、そして非能率な生産が減って能率的な生産がふえていくということは、まさしく必ずそうなるに違いないと思うのであります。 そこでその面からして次に伺いたいのでありますが、こうして自由化の効果を上げるためにはやはりこれに対してできるだけ好意のある促進の措置が必要であります。自由化によって物が安く豊かに入ってくる。これで消費者が利益を受ける。そして生産者は同じ金額で多量の生産ができる。また自由化によって新しい機械、新しい技術や何かが入ってくる。ただこういうふうにやって、利益はありますが、他面従来管理貿易で保護されて、価格の点においても技術や品質の点においても、おくれたままでおった国内産業の改善が行なわれなければ、先ほど通産大臣が言われた、ほんとうに生産を上げ、総所得を上げるという効果が生じてこないわけであります。そこでいろいろな対策が必要だと思うのでありますが、まず第一には技術的な体質改善の援助であります。新しい設備の改善をしたり、新しい機械を輸入したり、それからもう一つは、やはりどうしても企業を集約化したりあるいは製品を単一化したりするために、いろいろ企業の内容を変えていかなければならぬ場合があります。それからいよいよ持たないものについては転換の援助をしたりして、必要なあらゆる便宜をはからなければならぬのでありますが、そのために、一体どういう産業にどれくらいの年度の間にどれくらいの自由化のための資金というものを必要とする見通しでありますか。それからなお昭和三十五年度の予算及び財政投融資計画には、この点についてどういう配慮が行なわれておるかということについて通産大臣と大蔵大臣から伺いたいと思います。
○池田国務大臣 為替・貿易の自由化自体は非常にいいことでございます。しかしこれを急速に、まだ準備ができずにやるということは非常に悪いことが起こりやすいのであります。従いまして事柄はいいのでございますが、そのテンポ、度合いということが非常に大切でございますので、国内産業に非常な悪影響を及ぼさざる程度で、そうしてまたこの体制が整う度合いを見ながらやっていきたいと考えております。今年一月から、また四月から施行しようといたしておりますものにつきましては、大した準備は要りません。今のところ、先ほどお話しの精製ラードについての関税定率法の改正程度でいいと思います。しかし問題の繊維関係につきましては、相当の準備を要しますので、決定から一年半を置いたわけでございます。その間にいろいろ準備をしていきたい。繊維関係の方におきましては、ただいま規制しております繊維工業設備臨時措置法によりまして、現有の設備について調査をいたすべく、今年度の予算に数百万円を計上いたしておるのであります。また事務的にいろいろの検討をいたし、これが対策を立てながら自由化に進んでいきたい、こういうのでございまして、今予算的には先ほど申しました程度のものでございます。
○佐藤国務大臣 貿易・為替の自由化は先ほど来お話がございましたように、たとえば物価を安くするとかあるいは経済を拡大するに役立つ原材料等も自由に入ってくるとか非常な利点もございます。同時にまたこれが在来の保護産業に与える影響あるいはおくれておる産業、企業等に及ぼす影響等が非常に大きいということも十分考えなければならない。すでに貿易・為替の自由化というこの大方針は決定いたしておりますので、この実施にあたりまして国内産業に対して悪影響を及ぼさないように努めたい。その意味において、予算編成に当たりましても、基本的問題としてこれを取り上げたわけでございます。ものの考え方といたしまして、自由化が推進されました場合に、通貨価値を安定さすことは、これは絶対の基本的要件でございます。その意味において、いわゆる健全財政を貫くという基本方針をとる、これが予算編成の根本方針でございます。 さらに、ただいま申し上げるように、影響するところが非常に大きいという観点に立ちまして、わが国の産業の体質改善、これに特に意を用いなければならない、こういう意味では、産業の基盤を強化する、こういう意味で、公共事業等に対する投資も非常にふえたわけでございます。たとえば治山治水、あるいは港湾、道路、あるいは交通、あるいは電電の事業等の拡大、これなどはそういう意味で必ず役立つことだと思います。さらにまた、弱小産業部門といわれる農業部門であるとか、あるいは中小一企業に対しましては、自由化に備えて、これが強化に特に意を用いなければならないのであります。冒頭にお尋ねがありましたように、必要によりましては関税政策も講じなければなりませんが、生産部門を強化するという意味において、土地改良、その他必要なる事業に予算を計上し、前年に比べましては六十五億円の増加を計上しておるという具体的なものがございます。あるいはまた、弱小産業だといわれる中小企業に対しましては、金融の面から特に援助を与える、その意味においての体質の改善をはかる、活動を活発にする、こういう意味で、財政投融資の面で特に意を用いたつもりであります。 さらにまた、石炭、海運等の今日不振産業といわれます部門につきましては、その体質の改善、あるいは国際競争力を強化する、こういう点に意を用いたつもりであります。問題は、この為替・貿易の自由化は、先ほど来の答弁で申し述べられましたように、その利点を生かしていって、悪影響をできるだけ排除するということに留意しなければならないのであります。そういう意味で、実施につきましても、漸次といいますか、あるいは階段的にこれを実施に移していく、そうしてその影響度を勘案して適当な対策を講じていく、一面において関税等の問題もあると思います。それらについて関税定率その他品目等の整理も当然しなければならぬと思います。問題は、国際的競争という面と、また国際協力という面と二つの面から貿易・為替の自由化に対処していく、その意味においての具体策をいろいろ考究していくということが必要である。かように考えております。
○橋本(龍)委員 いろいろ伺いましたが、なお自由化の対策の一つとして、企業の経理面の体質改善をはかるということがぜひ望ましいと思うのでありますが、これは大蔵大臣にお伺いしたいと思います。 この際不十分であった企業の再評価をもう一度やったらどうかという意見があるのでございますが、これはいかがでございましょうか、これが一つ、それからもう一つ、自由化にはある程度の年月がかかると思うのでありますが、これは自由化によって、経済を貿易面また為替面で正常化するわけであります。これがほんとうに正常化されるためには、ほかの面で特に関係の深い金融だとか、税制だとかいう面においてやはり正常化が行なわれなければならぬと思うのでありますが、特に税制についてこの際自由化が課題に上ると同時に、将来日本として終局的に所得税なり法人税なりの負担をどの程度まで下げていくかという将来の税の正常化の計画というものを立てられたらどうかと思うのでありますが、いかがでありますか。
○佐藤国務大臣 資産再評価法を基礎にして再評価を行なったのでありますが、なおこれが不十分だという御意見もございます。問題は、企業の体質改善を積極的にやる、自己資本の充実をはかっていく、そういう意味の指導をいたすつもりでございます。そういう意味におきまして、この再評価の問題についてなお検討を要するものがありはしないかと思います。 また、御指摘の通り、貿易・為替の自由化は、当然経済全般にわたってのいわゆる正常化を進めていくということになるわけでございます。そういう観点に立ちましての金融なりあるいは税制等について全般的に検討をすることは当然でございます。しかし、金融の面におきましては、たびたび御説明いたしておりますように、金利そのものについては国際金利にさや寄せするという基本的態度を堅持しておりますし、また、経済の活動状況によりまして調節的機能も十分働かしていく、今後におきましては、あるいは準備預金制度であるとか、あるいは公定歩合操作であるとか等によりまして臨機に当を得た処置をとって参りたい、かように考えております。 かような問題は、これを進めて参りますと、再評価の問題も同様でありますが、国民負担、企業負担という根本の問題においてその適性化をはかっていかなければならないのであります。政府におきましては、御承知のように、すでに税制審議会を発足しておりまして、この基本的な態度の検討をただいま進めております。できるだけ早くその結論を出しまして、十分自由化に処していくということでなければならぬ、かように思ってせっかく準備を進めておる次第でございます。 ところで、負担の軽減という意味におきまして、どの程度になるか、目標をどうしておるかというお話でございますが、最近の国民所得に対する税負担の率、これは二〇%——時に上回ることがございましても、まず二〇%程度でございます。この二〇%がいいと申すわけではございませんが、この大よその見当のもとに、これより高くならないようにあらゆる機会にできるだけ努力をしなければならない、これを一応の目標といたしております。 そこで、この負担を二〇%程度にとどめるといたしますれば、当然税の自然増収分のうちから相当の額を減税に振り向ける処置をとらなければならないのであります。今日の中央の、国の歳入の面におきましても、ただいま申し上げるような観点に立って、過去においては減税を毎年続けて行なって参ったのであります。ことしの三十五年には不幸にして減税の計画はございません。しかし、今後におきましては、国、地方を通じて国民負担をただいま申し上げる程度にとどめるように自然増収分の相当の部分を減税に振り向ける、かような努力を続けて参るつもりでございます。
○橋本(龍)委員 やはり自由化の対策の一つとして通商産業大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、打撃があまり急激にならないように関税を上げたりすることは、ある程度やむを得ないことであります。むしろ積極的に考えなければならないことでありますが、しかし自由化の利益というものは、先ほど大臣があげられたように、あくまでも管理法によって、数量的に、価格的にゆがめられていたものが正常化する、つまり正常に値段が下がる、数量がふえるというところに自由化の利益がある。従って、その効果を減殺するような措置というものは、これはよほど考えなければならぬと思うのであります。ことに自由化にからんで、独占禁止法を改正してカルテルの結成が容易になるようにという意見があるのでありますが、輸出について、価格維持その他で輸出のカルテルを作るということは、これは今でも努力しているし、もっと努力すべきだと思いますが、自由化対策としてせっかく管理法をはずしたけれども、輸入カルテルの結成によって数量や価格を規制するということは、いやしくも自由化をする限り、むしろ原則として許すべきでないと思うのでございますが、その点についての御所見はいかがですか。
○池田国務大臣 原則としてはお話の通りでございます。ことに輸入に対しまして独占禁止法の除外例を認めるということは、私はよくないと考えておりますが、しかし、今までの状態を急に全部自由化してしまって、あとはどうでもいいというわけにも参りません。やはり過渡的には、ある程度輸入につきましてもアウトサイダー規制を経過的にやらなければならぬ事態が起こるのではないかというので、今検討いたしております。原則的には、私は独占禁止法の改正、あるいは輸入につきまして特別の規制をするということはやりたくないという考えでございます。
○橋本(龍)委員 その点に関してもう一つ、これは大蔵大臣に伺いたいのでありますが、ラワン材の輸入をAA制に切りかえた結果競争が起こって、フィリピンにおけるラワン材の値段が上がった、どうも自由化はよくないという議論があって、やはり輸入のカルテルを作れとかなんとかいうような話があるのでありますが、これは一時的に非常にばかげた波乱が起こるのであります。そういうことをあまり気にして、特別な変わった割当制度のようなものができるのはおもしろくないということについては、今通産大臣からお話のあった通りであります。しかし、あのラワンの輸入のようなことを見ますと、今日における為替銀行というものがいかに不見識なばかばかしい働きしかしていないかということを、一面において示すものだと思うのであります。管理貿易下においては、どうせ制限貿易でもマージンがあるわけですから、輸入なんかについて非常に荒っぽくやっておるわけでありますが、自由化されるとなれば、世界中から安くていいものを入れるということについては、よほど研究が必要だと思います。ただその場合に、やはりたよりになるのは、従来は世界的に手を張っておった横浜正金銀行であった。今日でも、やはり世界の各国の進んだ国の貿易については、輸出入為替を扱う為替銀行というものが、商社の相談相手として非常に重要な役割をしておると思うのであります。今日貿易の自由化、為替の自由化ということをやる場合に、これはその自由化自身を通じて商社も為替銀行もだんだん強くもなっていきましょうけれども、やはりそれと並行して、商社に手をつけるのはむずかしいかもしれませんが、為替銀行などは、むしろある程度国の意図を体して、市場調査などを積極的にやらすとか、その負担に耐えなければ、負担に耐えるような措置を講じてやるとか、為替銀行をある程度国策的に強化する必要があるのではないかと思うのでありますが、その点についての所見はいかがですか。
○佐藤国務大臣 自由化に備えて為替銀行を強化することを考えておるかというお尋ねでございますが、ただいまラワン材の輸入について一つの例をあげられました。また過去におきましては、いわゆる神武景気の際におけるスクラップ等についてもいろいろ価格が急騰したというような問題が起きております。ところで、これは自由化の前になりますと、いろいろ見越し輸入なんかがある。一面自由化に当然伴う競争の激化を招来いたします。そこでただいま言うような意外な状態が起きて、業界の混乱を来たしております。なおまた、自由化をいたしますと、物資はどこからも入ると申しますが、供給地はほぼきまるのでありますから、非常に大きな市場を考える必要はない。そういうことを考えますと、この自由化の場合に業界に特に私どもが注意をしたい点は、不当競争、——競争が激化しないようにということを絶えず注意しておるわけであります。ことに見越し輸入その他は市場撹乱以外の何ものでもなくて、貿易正常化には役立たないものだということを絶えず注意しておるわけでございます。だんだん自由化が進んで参りましたならば、業界の協力もそういう点では今よりももっと変わったものが出てくるだろう、かように期待をいたしております。 ところで、為替銀行の場合でございますが、戦後におきましては、御承知のように、輸出入為替を扱っておる銀行は相当の数に上っております。しかして順次その得意先等もきまって参りますので、それぞれの為替銀行の持つ持ち味は、それぞれ特質を備えるようになっております。戦前のいわゆる為替銀行の制度とは今日こと変わっておりますので、新しい事態に対しまして、今後自由化が進んだ場合に、さらに為替銀行の内部にある程度の変化は当然起こるだろうと思いますが、ただいまの状態では、政府は積極的にこれらについての特別措置を講ずるということは考えておりません。しかし、将来の問題等を考えてみますと、場合によりましたらさらに考究の要があるのではないか、かようにも考えますが、ただいまは具体的にお尋ねのような点までには突き進んで考えておりせまん。
○橋本(龍)委員 次に自由化の影響について、およその見通しを伺いたいと思うのであります。まず第一に中小企業でありますが、中小企業について自由化の影響が強くないかということが非常に心配をされておるのでありますが、私はある種の、たとえば機械だとか機械部品のような業種としては、大企業も中小企業も打撃を受けるものがあろうかと思いますが、中小企業だから自由化によって特に悪い影響があるということは、一般的には言われないじゃないかと思うのであります。自由化で原料が安くなってくるという好影響もあります。たとえば、鋳物屋の使う銑鉄や鋼材が下がる、織物屋の原糸が下がるということもありますし、また相手国の輸入制限が少なくなって特産雑貨などが伸びるという利益もあると思うのであります。ただもし中小企業の特有の影響があるとすれば、たとえば自由化によっていろいろ改善をはかっていかなければならぬ場合に、大企業の場合には金融力の点からいっても、あるいは技術のブレーンという点からいってもそろっているから、合理化の競争に早く乗って、中小企業は総体的にそれにおくれていくというような場合、あるいはまた自由化によって、たとえば鉄鋼メーカーのようなものが経費を減らしていくときに、そのしわ寄せが中小企業に来るというようなことがあるかもしれません。こういうふうな面が中小企業については特に特性として心配される点じゃないかと思うのでありますが、そのほかに、自由化について中小企業への特殊の影響が考えられるかどうかということと、それから中小企業に対する特殊な影響に対する対策をどんなふうに考えておられるかということを通商産業大臣からお答えを願いたいと思います。
○池田国務大臣 自由化によります影響は、大企業、中小企業、大体お話の通りに、同じように受けるべき筋合いのものでございます。しかし、その受けた場合に、これが対策の面で中小企業と大企業とはそこに違いが出てくるのであります。すなわち、金融面におきましても、技術面におきましても、また規模の面におきましても、影響を受けることが多いと思います。業種によっていろいろ対策を講じておりますが、こういう場合にはやはり中小企業団体法とか、あるいは協同組合法、あるいは最近御審議を願うことになっております中小企業の業種別振興法、こういう法律を作りまして、そういう影響を受けるところの多いものにつきましては業種別に検討を加えて、これが金融面、技術面、規模面につきまして私は考えていきたいと思っております。
○橋本(龍)委員 ただいまお話のあったように、業種別に影響が非常に違うのは仰せの通りであります。そこで、これは閣僚会議もこの正月からきめられて、これから具体的に検討をされるところのようでありまして、まだ具体的にきまっていないと思うのでありますが、およそ今日政府で考えている自由化の方向、つまり程度というものをどの程度まで持っていきたいかという見当を一つ具体的に伺いたいのであります。産業別にいろいろ違うと思います。結果は体質改善をやって、そうして能率的な生産をふやしていくわけでありますが、ただ企業によっては、内部的に一そう研究を進めるとか、あるいは機械を若干改善するとかいうことで足りるところもありましょうし、中にはそれだけでは持たないところがあると思うのであります。具体的な事例を一、二あげてみたいと思うのでありますが、一つは乗用自動車であります。乗用自動車は大体ペイする生産単位は年産十万とか十一万とかいうふうに考えられておるようでありますが、日本では四社が少しづつ作っているわけであります。ヨーロッパではフォルクスワーゲンだとか、ルノーだとか、フィアットなどが御承知のように単一化された形で大量に生産をしているわけであります。今後日本で自由化をやっていきます場合に、たとえば鋼材の生産でも、あるいは珪素鋼板を専門にするとか、いろいろな問題が起こってくると思うのであります。一つ乗用自動車をまず例にとって、これは無制限に自由化した場合にはとても生産を続けていけないと思うのでありますが、企業の集約化までいかすというふうな考え方でおられるかどうかということが一つ。それからもう一つ、自由にした場合に非常に影響の多いものとしては、ソーダ工業などは、これはドイツあたりは三ドル二十セントくらいの塩を使い、日本では安くても十ドルくらいの塩を使っているわけでありますから、苛性ソーダやソーダ灰はとても競争ができないようになるのじゃないかと思うのであります。こうしたものについてはどの程度まで保護を加えたり、あるいはまたどの程度まで合理化を進める方針でおられるかということをおよそ伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 まず第一に自動車の問題でございますが、御承知の通り、国産自動車は七、八年前に物品税の三割を一割五分に引き下げました関係上、国内需要が非常に起こりまして、相当の規模ができたのでございます。しかし、今現在において各国の自動車と競争できるかといったらまだまだそこまで至っておりません。これが対策につきましては、国内でこれを相当消費し得るような状況に持っていかなければならぬ。たとえば電気冷蔵庫とかあるいはテレビ等につきましては、国内需要が非常に多かったために大量生産になりまして、外国と十分競争して勝つようになりました。こういうものはもう自由にしてもよろしい。自動車はまだわが国の経済水準から申しまして、また今の税制その他からいって、国内需要がもっともっと起こらなければならぬし、もっと起こるような措置を講ずべきだと思います。そうすることによって外国へも輸出ができるようになるし、また外国商品に対して採算的に対抗できるように相なるのでございます。従って、国内消費が相当起きて、そして企業の合理化ができるのを待つよりほかにはいたし方がない。しかし、自動車に対するわが国への輸出の希望は各国とも相当多いのでございますから、今までのように年に三百台とか四百台とか、特殊のものに対して割り当てておったものを徐々にふやしては参りますけれども、自動車工業につきましての自由化ということは、国内の需要の増と産業自体の合理化ということから考えて、今いつとは私はなかなか言えないと思います。相当時間を要すると思います。しかし、これも先ほど申し上げましたような国内の需要増大の方法をとることによって、その期間が長くなりあるいは短くなると考えております。 次のソーダ工業でございますが、ソーダ灰につきましては、お話の通り、これはもう塩の値段が非常に違いますので、企業自体が相当努力いたしましても、英国のソーダ灰と日本のソーダ灰は三割以上の違いがございます。このソーダ灰につきましての自由化ということは相当長時間かかるのではないかと思います。ことにアフリカの天然ソーダ灰等のことを考えますと、なかなか自由化がむずかしい、最もおくれる方ではございますまいか。また荷性ソーダの方にいたしましても、今塩化ビニール等の問題がございまして、苛性ソーダを自由に輸入するということになりますと、塩素の供給が足りなくなりまして、非常に高くなり、塩化ビニールに影響がありますので、塩の関係また塩素の関係から申しましても、苛性ソーダの方の自由化ということも相当おくれるのではないか、他の産業よりも相当おくれると私は思っておるのであります。
○橋本(龍)委員 今言われましたような点をいろいろ検討されて、そうして、今日自由化の問題については、国内で非常な関心を持ち、ある意味では不安も持って見ておるので、なるべく早くそうした見通しというものを発表をした方がいいと思うのでありますが、大体荒筋の具体的計画というものは、いつごろ発表される見込みでありますか。
○菅野国務大臣 先般の貿易為替促進閣僚会議におきまして、大体自由化の根本方針をきめたのであります。それによりまして、この自由化を迅速かつ円滑に実現したいという方針を一応きめまして、大体五月中にそのスケジュールを作るということで申し合わせをしたのでありますが、しかし、商品によりましてはそう簡単にできないものもあるのでございますから、五月じゅうに全部のスケジュールができるということはここで私たちは断言はできませんが、大体五月じゅうには一応スケジュールのできるものは作りまして、方針を定めて一般に発表して、そして業者の方もその準備をしてもらうという見込みでいたしております。
○橋本(龍)委員 次は農林大臣に伺いたいのでありますが、農業関係についてどの程度に自由化をするかという問題であります。この農業の問題については、各国とも農業の特性から見て保護をしておりますし、ガットその他においても農業の問題についてやかましくその保護をやめろという話はないようであります。今日大豆のAA制移行が問題になっておりますが、これも地域的な差別を今日やっているのをやめるということであって、国内産の大豆に対する政府買い上げの保護政策といったようなものについて、どこの国からも異議があったわけじゃないと私は思うのであります。そこで、農産物の価格の水準の問題、農業生産のあり方の問題というのも非常に大事な問題でありますが、これは当面ごく荒筋から言った場合に、農産物については今日問題になっている貿易の自由化の筋というものからははずして、むしろ農業基本計画の問題としてこの価格なりあるいは数量なりあるいは農業経営全体のあり方などを検討すべきものだと考えておるのであります。私はそう思いますが、政府側の見解はいかがですか。
○福田国務大臣 全体的に見まして、または理論的に言えば、農産物といえども海外品も大手を広げて受け入れる、そのかわり日本の農産物も大いに買えという態勢かと私は思います。しかし、お話しのように、現実の日本の農業というものは零細農業であって、そういうわけには遺憾ながらいかないのです。そこで、私といたしましては、農産物の自由化ということにつきましては、できる限り慎重を期していきたい、かような考え方です。もちろん米麦、主食につきましては自由化はいたさない。また酪農製品というような今後期待されるような産業につきましても、これを適用しない。また砂糖につきましても、競合関係がテンサイ糖で出てくるわけです。また国際貿易構造というような点からも問題がある。さような点でこれも慎重に検討していきたい。ただいまのところではこれを自由化する考えはないのです。ただ、大豆につきましては、差別的に、ドル地域だけ差別をして自由化していないという関係がありますので、これはやらなければならぬことであります。しかし、この場合におきましても、国産の大豆につきましてはいささかも心配を与えない、こういう配慮を加えてしかる後にやりたい、かように考えておるのです。それで基本政策の樹立を待って考えたらどうかというお話でありますが、あるいは結果においてはそういうふうになるかもしれませんが、ただいま私は、基本的な考え方といたしましては、日本全体は農産物を含めて自由化の方向に向くべきだ、こう考えております。ただ、ただいま申し上げましたように、実際問題といたしましては、できる限り慎重にしなければならぬ、いささかも不安を与えてはならぬ、かように考えております。
○橋本(龍)委員 農産物に対する対策は当面そういう形だということは大体わかりましたが、今農林大臣からも、本質的にはやはり自由化の方向を考うべきだというお話がありましたので、その中の一環としてぜひやはり考えていただきたいことを一つ私は申し上げておきたいと思うのであります。というのは、文部省が学校衛生統計というのを出しておるのでありますが、これで見ますと、明治以来生活環境が改善をされて、経済状態がよくなり、食料もよくなってから、国民の体格というものは非常に伸びておるのであります。明治三十三年から昭和三十三年までの五十九年の間に、大体成長の終わったと見られる二十四才の大学生で見まして、男で四・五センチ、女で八・二センチという驚くべき成長であります。人類学や考古学でいろいろいうところによると、人種の差別の大きな特徴は身長であって、ものの十センチも違っていたら人種が違うというふうに大体判定をするので、非常に大ぎょうな引用をするならば、日本は明治以来いろいろな意味において新しい民族として改善されつつあるといっていいくらいなのでありますが、そういう面から見ますと、農産物の保護という点も、よほど消費する側から考えていただきたいのであります。今日チーズなんかでも、たしか三割も関税をかけて入れてなおかつ国内で半値くらいだから、農林大臣は酪農品は自由化しないということを言われますが、現実に国民の体格というものが、要するに生活の内容についてこれだけ変わりつつあるということを考えた場合に、ぜひ一つ農業基本計画ともからめて厚生大臣や文部大臣にもお考えをいただきたいのでありますが、特に成長期の子どもの栄養なんかについては、簡単に酪農品を自由化しないということがはたして日本全体の利益かどうかという問題があるので、十分御検討願いたいと思います。 なお次に、貿易の自由化と国際収支の見通しの点を伺いたいのでありますが、私は、貿易の自由化を相当大胆にやっても、国際収支はあまり心配は要らないのじゃないか、もちろんインフレをやったら大へんですが、健全財政、健全金融のもとにおいてはあまり心配はないのじゃないかと思うのであります。一時的な波乱はあるかもしれませんけれども、原材料の輸入はむやみにふえませんし、——今までひどく押えていた大豆だとか重油などは二、三割ふえるかもしれません。石炭とかソーダとかというのは、通産大臣もお話しのように、これはなかなか自由化ができないというふうなことを考える。かつまた一般消費財については購買力に限度があるということを考えてくると、これは相当広範囲に自由化してみても、せいぜい経常的な輸入で二、三億ドルふえる、あるいは一時的な合理化機械の輸入でやはり三、四億ドルもふえるかというくらいが見通しであって、輸出も対応して伸びていくので、相当大胆に貿易の自由化をしても、国際収支には心配がないと私は大体思うのでありますが、これは大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
○佐藤国務大臣 私どももさように考えております。十分自信を持っております。
○橋本(龍)委員 そこでなお準備が要ると思うのでありますが、現在約十三億ドルの外貨があるのであります。適正外貨準備というものは一体どれくらいあったらいいのか、つまりどれくらいあったら安心かということを伺っておきたいと思います。まさかの場合にはIMFから六億二千五百万ドル引き出せることを考えますと、そんなに憶病になる必要はないと思いますが、それにしても現在の十三億ドルよりはもう少しあった方がいいような気がするのでありまして、その点について大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
○佐藤国務大臣 十三億では少ない、金額が多ければそれだけ安心だということは言えますが、それはあまりにも形式にとらわれている議論だ、かように実は考えております。国際収支、貿易あるいは貿易外受け払いというようなものの傾向を十分につかんでおれば、この程度で私ども心配ないということを実は考えておるのであります。ただいままで自由化についてのお話がいろいろございましたが、過去においては、国際決済上から見て自由化は危険だという議論がございましたが、今日の経済情勢等から見ますと、いわゆる国際潮流である自由化に備えてもまず危険なしというのが私どもの見方でございます。
○橋本(龍)委員 現在の状態を大体続けていく限り、自由化に相当大胆に踏み切って心配のないということであります。ただ今後非常に注意しなければならないのは、今日まで外国為替及び外国貿易管理法があって、まさかの際には権力的に国際収支のバランスがとれるというのに対して、自由化に踏み切ってまた戻すというふうなことは、これは悪影響があっていけない。ほんとうにこの国民経済全体のバランスをとることによって、国際収支のバランスが自然に合うように、今後十分考えていかなければならぬわけです。そこで今までにも増して、インフレーションを防止する心がけがなければならないのでありますが、この際自由化という体制の切りかえをやるにあたって、やはり財政の切り盛りだとか、金融や一般商品のあり方についても、もう少し引き締まった倫理があった方が安心だと思うのでありまして、行政費の節減だとか、あるいはまた貯蓄の奨励なんかについて、これは陳腐なことのようですけれども、構想を新たにして、やはり真剣にもう一度やられる値打があるように思うのですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤国務大臣 全然同感でございます。同一意見であります。
○橋本(龍)委員 今おもに貿易の自由化のことを伺ってきたのでありますが、次に為替の自由化の問題についてお話を伺いたいと思うのであります。 この貿易に基づいた為替の自由化は、先ほどの話で済んでおるのでありますが、貿易外の為替の自由化をどうするかということであります。貿易の自由化には、明瞭にガットやIMFの精神にうたっているように、商品流通をできるだけ自由にする、それによって国際分業をできるだけ完全にするという一つの目標があるのですが、貿易外の自由化について、そういったような国際的な目標とか基準とかいうものがないように思うのであります。この貿易外の自由化というものを、どんなふうにして考えていかれるのかということを伺いたいと思うのであります。その間において非常に神経質に考える人がありますが、もちろん資本勘定を自由にすることはできないし、ことに日本国内にいる居住者の資本勘定を自由にすることは、なおのこと考えなければならぬことでありますが、ただ技術の導入に関しまする問題であるとか、あるいはまた技術と外資とが一緒にくっついてくる問題については、私はあまり神経質にならずに、貿易外の為替も自由化をした方がいいのじゃないかと思います。大体貿易外の純粋な為替の自由化についての方針、それから今私があげた問題についての御意見を伺いたいと思います。
○佐藤国務大臣 貿易の自由化を促進して参りますために、当然並行的に為替の自由化が考えられなければならない。もうこれは御指摘の通りであります。ところで貿易の自由化につきましても、国内産業との関係においてなかなかいろいろの問題がございます。政府は貿易・為替の自由化を決意はいたしておりますが、時期的な問題といたしましては、さらに準備を遂げなければならないものが幾多残っておる、かように実は考えております。この貿易の自由化をはかるにいたしましても、わが国の産業を拡大するに役立つ、こういう意味のものが、まず先に取り上げられ、比較的悪影響の少ないものから手をつけることだと思います。為替の場合におきましても同様の考え方で立っております。ただいま経営取引については、相当広範囲に自由化を取り進めたらどうかというお話でありますが、もちろんまず第一に経営取引についての為替の自由化というものが取り上げられ、並行して同時に優良なる外資の導入があれば、資本の導入についても差しつかえない、かように実は考えております。優良な外資と申しますのは何かといえば、わが国の産業の拡大に役立つ、あるいは輸出貿易に役立つ、こういうような外資であれば、今日の外資法なり、あるいは為替管理法のもとにおきましても、私どもは積極的にこれの導入に協力して参っております。今後におきましても、そういう点については十分、従前にも増してさらに意を用いるつもりであります。通産省が主体になりまして、最近共同経営の外資が入ってくる、こういうような記事が最近の新聞にも出ております。いわゆる優良な外資の導入、これは資本でありましても私は積極性を持ってこれを迎えるつもりであります。ところでただいま申されます為替の自由化の方向でどの程度の準備ができておるか、過去におきまして、すでに発表いたしたものが数点ございます。もちろんそれらにつきましても、程度としてはまだ非常に低いもの、また範囲も小さいものであります。たとえば商社の持ち高制を許すにいたしましても、これが金額あるいは融資の期間等も非常に短いというような欠点はございますが、さらにこれを拡大していく方向に努力しなければならないと思います。また国内にある非居住者の円にいたしましても、順次これを解除していくというような方法を講じて参るつもりでございます。旅行者の場合とか、あるいは送金等につきまして、具体的に相当緩和して参っておりますが、順次これらも拡大していくつもりでございます。
○橋本(龍)委員 最後に総理大臣に伺いたいのでありますが、貿易・為替の自由化ということは、これは日本の経済の発展のために、われわれの所得の増大のために、ぜひ真剣にやるべき問題だと思います。ただ現在しきりと、たとえば欧州共同体等に関する認識について、よそではブロック経済が行なわれてアウタルキーが行なわれておる、それに対して日本が自由化をするのはおかしいのじゃないかという議論があるのでありますが、私が今日まで当たったところでは、アウタルキーを今さらやっておるような形跡というものはよそで見えません。アウタルキーというものは総理も御承知の通り、比較生産費の面で非常に不利なもの、軍事的目的その他でわざと生産をして、従ってその国の総生産、総所得からしては損をした生産をやっておるわけであります。第二次世界大戦後におけるIMFなりガットなりの思想というものは、少なくとも自由民主主義の諸国に関する限り、割合によく行き渡っておる。ただできるだけ門戸を開いて、広い地域に対して国際分業をやっていくというについては、いきなり世界じゅうをやっては不安だ、自分の身近なところにやはり安定した経済の流通を拡大するというのが第一次の段階で、欧州共同体などはその意味で、共同体の六カ国の中でかなり能率的な広域経済をやっております。最近私が見た共同体の事務局の報告から見ても、決して外に対して排他的な結果は出ていないように思われるのでありますが、この点に対する総理の認識を伺いたいと思うのであります。そしてその間に処して日本は何をするかでありますが、日本はやはり大胆に勇敢に自由化をやるべきだと私は思います。日本のようなおくれて世界へ出た国にとって、制限というものは損であって、これはもう自由であるほど得なんです。これをみずから狭めるのはばかげたことだと思いますが、ただしその場合にやはりなるべく安定した市場を求めて成長していかなければならない。その場合の一番安定した市場の相手としては何といってもアメリカで、アメリカは日本の輸出市場としては世界で一番なんだし、またアメリカ製品の輸出市場としてはアメリカにとって日本が世界で二番目だし、かつまた太平洋を隔ててお互いに世界の平和に対する立場も同じくしているのだから、まず広域経済を広めていくについては、アメリカとの間にやはり一番安定した経済の発展ができるのだと私は思うので、そういう意味で、私は貿易の自由化という点についても、迷いなくアメリカとの間の経済を拡大していく、同時にやはり日本に割合に身近なカナダなり豪州なりヨーロッパなりというところに安定した広域経済圏を広めていくなり、後進国を助けていくというのが、今後の日本の行き方だと思うのでありますが、最後にこの点に対する総理の所信を伺いまして、私の質問を終わることにいたします。
○岸国務大臣 日本経済の将来を考えてみますると、何といっても日本の経済としては、資源が小さくしかも多い人口をかかえて、この経済を繁栄さしていくという意味におきましては、世界経済につながりを持って、輸出入の関係をできるだけ円滑に拡大していくことが、日本の経済拡大の上からいって望ましいことである、この意味からいって自由化の方向に踏み切って進んでいくべきものであると、私は基本方針はそこにはっきり出てくると思います。ただ先ほど来いろいろ質疑応答がありましたようにそれを行なう、そういう方針ははっきりしておる。またそれに向かって政府も国民も協力して、その方向に進んでいかなければならないのでありますが、各種の産業に及ぼす影響等を考え、できるだけそれをスムーズにやっていくというふうな配慮を加えるべきことは当然であります。そうして今お話のようにこのヨーロッパ共同市場であるとか、あるいはいろいろな意味において中南米においても共同市場というような考え方がある、こういうことにつきまして、しからばその共同市場の地域におけるところのものが他の地域に対して差別的な待遇、考え方を持っておるかというと、私はそういう方向には今日進んではおらないと思います。ヨーロッパ共同市場ができましたことにつきましては、これはヨーロッパにおけるところのいろいろな事情がございます。ただこれを簡単にヨーロッパにもアウタルキーができたというふうに見るべきものでないことは言うを待たないのであります。そうして今日までのいろいろなヨーロッパ共同市場の行なっておること、またいろいろな考え等の発表されておること等につきましては、第一段にこれに参加しておる国々の間におけるところのいろいろな経済的交流の障害を取り除く、同時にそれが協力して自分たちよりも後進的な地域におけるところの経済開発に協力する、またこの地域に対して、これに加入しないところの国々に対して不当な制限を加えるというような傾向は、今日まで全然私はないと思います。やはりガットの精神やIMFの精神に基づいて、ヨーロッパの繁栄と世界経済の拡大に対して、そうすることがヨーロッパとして協力する道であるという考え方に立っておると思います。従ってわれわれもいろいろな意味においてこれと緊密な関係を持ち、日本の基本であるところの世界経済の拡大、この間におけるところの物品、商品の交流を盛んにするということをいやしくも妨げるようなこの事柄に対しましては、われわれとしては十分にそういうことのないようにあらゆる方面において努力していく、そうして世界経済の発展が行なわれていくということであれば、日本の経済がこれと緊密な関係のもとに発展していく、そのためには、やはり自由化の方向に進んでいきたい、かように考えております。
○小川委員長 次会は明一日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時七分散会