予算委員会 第10号
- 発言数
- 189 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/02/15
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 昭和三十四年度一般会計予算補正(第3号)及び同特別会計予算補正(特第2号)を一括して議題といたします。 これより質疑に入ります。北山愛郎君。
○北山委員 私は補正予算に関連をして、主として財政経済の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、まず最初に、三十四年度の補正予算は災害対策費の追加が中心となっておりますが、すでに三十四年度もあと一カ月ちょっとであります。この押し迫ったときに災害対策事業の追加予算を出して、これが年度内に消化し切れるかどうか、この点の不安があるわけでありますが、この点について大蔵大臣から承りたい。また同時にすでに計上されました伊勢湾台風等の災害対策事業費、これの執行状況、進捗状況がどうなっておりますか、この点については建設大臣から簡単にお答えを願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 伊勢湾台風また十五号台風、これは御承知のように非常に年も迫りまして災害が起きた。当時も第二次補正を急いで作りましたが、十分の資料があるいは整わないかもわからない。そういう関係もありますので、債務負担行為などで工事の進捗をはかるようにいたしたわけでございます。ところで第二次補正を組んだ後におきまして、いろいろ資料が整ってきた。この資料が整いましたものを、これは当時十分歳入等の見通しがつけばあるいは引き続いて出すことも必要であったかと思いますが、時期的にも少しおくれておりますし、また歳入等についても十分確信が持てない、こういう意味で少し時期をずらしたわけであります。今回第三次補正を出しまして、この工事の進捗並びにその後の調査資料に相応する金額を計上した、かような経過でございます。
○村上国務大臣 お答えいたします。伊勢湾等の高潮対策事業につきましては、三十五年の台風期、本年度の台風期までにはおおむね原形復旧程度までに復旧する方針のもとに、工事の進捗をはかっておる次第であります。このために三十四年度におきましては、第二次補正予算及び既定予算の予備費支出を含めて、約六十三億円の予算措置を行なっておりますが、その後の進捗状況によりまして、今回さらに七億円を第三次補正予算として計上いたした次第であります。
○北山委員 災害対策につきましては、社会党からもこの前の国会で、すみやかに補正を出せというような要求をしたわけであります。今回の補正もその趣旨に沿ったと思うのでございますが、問題は工事を罹災民の要望に沿うように、すみやかに進捗、完成するということにあるのでありますから、この点を要望いたしまして、この問題は一応終わりたいと思います。 次に昨日、地方財政計画が発表されましたが、自治庁長官は来ておられますか。——それではこれはあと回しにいたします。ただ問題は、大蔵大臣にお尋ねしますが、交付公債を廃止する。国の直轄事業に対する地方負担が非常に問題になってきております。そこでこれは廃止をして地方団体の国の直轄工事からくる負担を軽くしよう、こういう要望がありましたが、今回は交付公債は廃止になったわけであります。ところが廃止はしたけれども、逆にその地方負担分については、今度は現金でまた返さなければならぬ。二百三億というものを三十五年度で国の直轄事業に対する地方負担として、地方自治体がこれを納めなければならぬ。こういうことで、むしろ交付公債を始められた制度以前に逆戻りをした。決してこれは改善ではない。こういうふうに思うのでありますが、なぜ一体そういうことをしたか。また二十億の地方負担に対しては、わずかに百六十億の起債のワクしか認めておらない。あとの四十億は地方団体が一般財源の中からこれを負担しなければならぬ、こういうことになったわけであります。結局交付公債の制度を廃止することによって、実質は改悪になった、こういうふうに考えるのでありますが、大蔵大臣はその点はどういう考慮を払ったか、お伺いしたいのであります。
○佐藤国務大臣 交付公債を廃止して、普通の起債に回す、その意味ではあまり変わりないじゃないかという御議論のようですが、交付公債は実はいつの間にか借金がふえていく。しかし起債は了承の上で起債をする。しかも最近は自然増収が相当ふえておりますので、みずからの力でも引き受ける、財源をまかなっていく、その足らない分を起債にする、こういう意味で今回制度を改正したわけでございます。ところでただいま御指摘のように、交付公債にもよさがありますし、ことに財政状態が非常に悪いときは、むしろ交付公債でないと、地方の所要の工事遂行はできない、こういうような欠陥があると思いますが、最近地方財政が非常に見直してきた、そういう場合におきましては、やはりみずからの力によりまして、現金支払いという範囲を拡大していくことがいいだろう。最近の情勢から見れば、いわゆる交付公債にあと返りしなくても、その方法でやっていけるのではないか、そういう見通しがついたので、今回公共事業に関する、特別会計に関する分を交付公債をやめて起債に回した、かような処置をとったわけでございます。
○北山委員 自治庁長官が来られましたから、この問題について自治庁長官にもお伺いをしたいのでありますが、交付公債が問題になってきたというのは、国の直轄工事に対して地方団体がその三割も負担させられるということが、いわゆる財政負担として適当でない。しかもその交付公債には利子をつけるのだ、その利子補給をしてもらいたい、無利子にしてもらいたい、こういうのが今までの要求であったわけであります。ところが今度の交付公債の廃止というものは、その要望には少しもこたえておらない。むしろ改悪になっておると思うのですが、今後自治庁長官としては、国の直轄事業に対する地方負担を廃止する方向、あるいは少なくともそれに伴う利子負担というものを軽減する方向に進むように努力するのかどうか、この点を承っておきたいのであります。 それから地方財政計画についても問題点はたくさんありますが、時間もありませんから、これは地方行政委員会の方でやっていただくことにいたしますが、ただ問題は、地方財政計画というものはもう少し早く出してもらいたいということであります。これはやはり国の予算審議、地方自治体の予算とあわせて審議をすることが必要であろう、こういうふうに考えますから、少なくとも国の予算の審議が始まるころには、地方財政計画というものは国会に提出をするということにしていただきたい。これを要望申し上げて、以上の点を自治庁長官にお尋ねいたします。
○石原国務大臣 お答えいたします。少しおくれまして、前半の御質疑を聞き漏らしておる点もあるかもしれぬと思うのでありますが、交付公債の問題につきましては大蔵大臣からも今ありましたように、特別会計の計上分につきまして廃止の方向を打ち出してもらったのでありますが、百六十億はちょうどそれをそっくりそのまま地方債の方へ回すということにいたしまして、それから現金納付の四十億という部分につきましては、基準財政需要額の方である程度見ていこう、こういうことになっておりますので、地方団体に過重な負担をさらに課するとかいうようなことは全然ないと思っております。 それから将来の元利補給につきましては、三十五年度の地方財政計画におきましても、基準財政需要額の方で相当部分を見まして、財政計画でまかない得るような建前に指導していこう、かように考えておりますので、今回の交付公債の特別会計分からの廃止で一歩踏み出したわけでありますが、地方財政の健全化のために大きな寄与をしていくことと私は確信しておるものであります。 地方財政計画を早く出さねばならぬということはお説の通りでございますが、地方財政計画には国の予算できまりましたいろいろの方針に基づいての地方の負担額をずっと盛っていかねばなりませんので、御承知のように本年は国の財政、予算が少しおくれましたので、それに関連して若干おくれたというような次第であります。この水曜日の衆議院の地方行政委員会で御説明申し上げ、御審議をいただく、かようになっておりますので、御了承いただきたいと思います。
○北山委員 ただいまの交付公債の問題については、私は納得いたしかねるわけです。それは少なくとも国の直轄事業というものは、国が全額を負担してやるべきであるというような建前からして、地方負担を軽減するというのがやはり地方自治体の要望であったと思うのです。またそれの方が合理的である。国、府県、市町村のそれぞれの事務の範囲と経費の分担の責任を明確にするという趣旨からして、国がやる事業については国自体の仕事として全額国が持つという方向に進むべきである、そういう点については私は納得ができないのでありまして、その点はなお御検討を要望いたしておきます。 それから地方財政の問題はいろいろありますけれども、一応以上で打ち切りまして、次に防衛庁長官にお伺いをしたいのでありますが、今度の安保条約のいわゆる防衛力増強の義務でございます。この前の横路委員の質問に対して、日本が自衛隊を増強していくというのは、これは自主的にやるのであって、何も条約上の義務があるのではないのだ、安保条約とは関係ないというような御答弁でありますが、われわれからするならば、今度の安保条約の第三条に「締約国は、」「武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、」「維持し発展させる。」ということが明記されておるわけでありまして、少なくとも今度の安保条約においては、この第三条において日本はアメリカに対し、またアメリカは日本に対して防衛力を維持し発展させる約束をしたのだ、こういう点は疑いのないところであると私は思うのでありますが、防衛庁長官いかがでございますか。
○赤城国務大臣 お話の通り、第三条によって防衛力を維持発展させる、こういう約束になっております。しかしその中身はやはり言われていますように、それぞれの能力に応じて、こういう意味を含んでおるわけであります。でありますから、維持発展はすることにいたしますが、具体的にどの程度の防衛力を維持しあるいは発展させるか、これは日本の自主的な判断によって、国力、国情に応じて維持発展していく、こういうことに相なっておるわけであります。
○北山委員 そうすると、具体的にどの程度にやるかとか、あるいは経済その他財政上の条件によってどのようにするかということは、日本なら日本の自主的な決定であるけれども、しかし条約上今度の安保条約においては防衛力を増強する約束というものをアメリカにしておる、この点は確認されたと思うわけであります。 なお進んで、この前の委員会の審議の際に、この安保条約とMSA協定——昭和二十九年の日米相互防衛援助協定の関係が聞かれましたときに、総理は両者は関係がないというような答弁をしたと思いますが、MSA協定とこの新安保条約との関連について総理にお尋ねをしたいのであります。
○岸国務大臣 先般の審議においてお答え申し上げておるように、安保条約とMSA協定の内容というものには直接の関連性はない、私はこう解釈すべきものであると思います。
○北山委員 それならば、今度の新安保条約に付属をする交換公文の中で、MSA協定に書いてある安保条約というものは、一定の範囲で今度の新安保条約とみなすのだというような、いわゆるMSA協定に関連をした現行の安保条約と新安保条約との関係について交換公文をかわしておる。そういう点から考えましても、総理が今言ったように、今の安保条約とMSA協定というものは関係がないということは、そういう交換公文があるという点から見ましても間違っておると思うのですが、いかがですか。
○岸国務大臣 私が申し上げましたことは、MSA協定によっていろいろな権利義務というものがありますけれども、それと安保条約というものとの関係、権利義務との関係について直接の関係がないということを申し上げたのでございます。もちろんMSA協定が現行の安保条約というものに基づいて出てきておる協定であるという関係におきまして、従来の現行の安保条約に基づいて出てきている関係を、今度の新安保条約に基づいてMSA協定が効力を持つという関係に読みかえていく必要は、そういう意味においてはある。ただ具体的の権利義務の内容について直接の関係がないということを申し上げたわけでございます。
○北山委員 ただいまのお答えは、この前のMSA協定と安保条約は関係がないというお答えとは違うわけでありまして、総理の答弁はこの前の答弁を実質的に訂正されたというふうに解釈されますが、問題は、今の総理の答弁にもありましたように、現行安保条約のもとでMSA協定があるわけであります。すなわち現行の安保条約では、日本は防衛力を増強する義務を持たないが、アメリカは日本に対して防衛力増強を期待しておる。その期待する趣旨に沿うてMSA協定——軍事援助協定ができておるわけであります。今度の交換公文で現行安保が新安保に切りかえられる、こういうことに従って今度の新しい安保条約ができ上がりますと、その前の安保条約の立場を継承するわけでありますから、今度の安保条約のもとにMSA協定が立つ、こういう密接不可分の関係になると思うのでありますが、いかがでございますか。
○岸国務大臣 MSA協定は現行の安保条約を援用しておる個所がございますが、今回現行安保条約をやめて新しい条約を結ぶわけでありますから、従来のMSA協定が現行安保条約を援用しておるところを読みかえるという意味において、交換公文をいたすわけであります。
○北山委員 簡単に言えば、要するに新しい安保条約ができればこの安保条約の第三条によって、先ほど防衛庁長官の答弁の通りに、日本はアメリカに対して防衛力を維持発展させる義務を持つ。その義務に基づいてMSA協定においては第八条その他の規定にありますように、日本が義務を負担する、いわゆる防衛力増強に対してアメリカが援助する、こういう上下の関係といいますか、今度の関係においては新安保条約の第三条との関連においてMSA協定がそういう関係に立つのだ、こう了解すべきだと思うのですが、いかがですか。
○岸国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、MSA協定は現在の安保条約を前提としてそれを援用しておるわけでございます。それに対して現在の安保条約が改定をされましてこれが効力を失い、新しい条約が効力を発生するわけでありますから、本来言うならば、MSA協定がもととしておった安保条約がなくなるわけでありまして、ほっておきますとMSA協定の根拠というものがなくなるということになりますので、今回この新安保条約を現行安保条約に読みかえて、新安保条約に基づくMSA協定ということで存続せしめるというのが、交換公文の趣旨でございます。
○北山委員 ただいまの総理の答弁は、現行安保条約とMSA協定との関係、しかもその安保条約を承継する新しい安保条約とMSAの関係、これは密接不可分の関係があるということを総理自身が肯定したのでありまして、新安保条約とMSA協定は全然関係がないというこの前の答弁は、訂正なさる方がいいと思いますが、いかがですか。
○岸国務大臣 ちょっと私の今申し上げたところが正確でございませんでしたので、もう一度正確に申し上げます。と申しますのは、現行の安保条約を援用しておる個所が現在のMSA協定にございますから、私、何かこの安保条約がなくなれば当然なくなるというように申し上げたことは私の間違いでございまして、そうではなしに、それを今回の新しい条約に読みかえるという意味の交換公文をいたすわけであります。それからせんだっての私のなにと何か違うではないかというお話でございますが、私の申し上げたことは、全然関係がないということを申し上げたことではございませんで、義務そのものの内容として直接の関連はない。これは別のなにである。ただ、今申し上げておるように、援用しておることがございますから、そういうものにおいて関連性のあることは、これは否定した意味ではございませんでしたから、前のなにが全然何らの関係ない、もしも私の説明がそういうふうに理解されるならば、私は正確に申し上げれば今申し上げた通りでございますから、御了承願います。
○北山委員 きょうの私の聞いていることは、総理も認めておられると思う。問題は、MSA協定は現在の安保条約と関係しておる。いわゆる現行の安保条約が親であって、そこからMSA協定が出てきておるという関係、その関係が今度の安保条約とMSA協定との関係に変わってくる、これだけははっきりと認めたと思うのであります。——それでは今の答弁によって、現在の安保条約とMSA協定というものが上下の関係にあって密接不可分な関係にある、今までの関係がないという答弁は誤りであるというふうに、総理ははっきりと明言していただきたいと思います。
○岸国務大臣 私の終始申し上げておることは、MSA協定に基づくところの権利義務というものはMSA協定できまる問題であって、安保条約とは関係がないということを申し上げたわけでございます。ただMSA協定が安保条約を援用していることがございますし、安保条約というものが前提となっておるという背景を基礎にしてでき上がっておるという意味から申し上げますと、何らの関連性がないということを申し上げるという意味ではございません。私はこのMSA上の権利義務というものは、直接にMSA協定で出てくるものであって、それがこの安保条約とは関係がないのだ、直接の関係がないのだということが、私の終始申し上げていることでございます。
○北山委員 問題は、私は確認をしておきたいと思うのでありますが、MSA協定の前文に現在の安保条約が引用されておって、それはアメリカが日本の防衛力増強を期待するということを背景にしてこのMSA協定を結ぶのだ、こう書いてあるわけであります。ところが今度はそれが読みかえるということになりますと、実質的にこれをいえば、今度の新安保条約の第三条において、締約国は、自助または相互援助によって、それぞれの防衛能力というものを維持発展させることを約束したということを背景にしてMSA協定が今後続けられていく、こういうふうな関係に立つ、これを総理は確認されるかどうか、これをはっきりしていただきたい。
○岸国務大臣 先ほどから申し上げておる通り、このMSA協定というものが安保条約というものの体制を背景としてでき上がっておるということは御説の通りであります。しかしMSA協定上の権利義務というものはMSA協定で出るものであって、安保条約とは関係ない、かように申しております。
○北山委員 それではMSA協定の第八条にも、「安保条約に基づいて負っている軍事的義務を履行することを確認するとともに、自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し」云々とあるわけであります。こういうことをMSA協定の第八条で約束をしておる。ですから、この条項についても、また今度の安保条約の第三条に基づいても、日本は防衛力の漸増をする、維持発展させる義務を条約上アメリカに負うておる、これだけははっきりしていると思うのですが、これをはっきりと答弁していただきたい。
○岸国務大臣 従来のMSA協定第八条の内容は、今回におきましても少しも変わっておりません。
○北山委員 そういう答弁は困るのです。今私が申し上げたように、防衛力増強の義務というものが、今度の安保条約の第三条にも、先ほど申し上げた通りあるわけでありますが、MSA協定の第八条にも、はっきりと今私朗読した通りで、防衛力を維持発展する——一定の条件ではありますけれども、維持発展するという約束をしておる。こういう条約上の約束がアメリカに対して日本はあるのだということを確認していただけばいい。
○岸国務大臣 今お答え申し上げたように、MSA第八条によるところの義務は、現在もございますし、将来もそのまま残っておる、かように存じます。
○北山委員 ですから、今まで政府が、日本が自衛隊を増強するのは自主的にやるのであって、条約上アメリカに対してそういう義務を負っているのではないのだ、こういうことをよく言っておりますが、問題は、もうすでにMSA協定第八条並びに今度の安保条約の第三条によって、防衛力増強の義務をはっきりと日本はアメリカに負うのだ、ことに安保条約の関係では、現行安保条約ではその義務はなかったわけであります。アメリカが日本に対して期待をしておる、これだけのことであったわけでありますが、今度の安保条約第三条によって、はっきりと防衛力増強の義務を、安保条約に関する限りは負うたのだ、その点はお認めになりますか。
○岸国務大臣 MSA協定の八条におきましても、また今度の新しい安保条約第三条におきましても、われわれが現実に防衛力を増強していくことは、日本が、自主的に日本の憲法の範囲内におきまして、国力、国情に応じて自主的にやることでございます。それ以上の新しい内容を持った義務を負うておるわけではございませんで、いわゆるMSA協定におきましても何におきましても、一応条約上もしくは協定上の約束をしておるという意味において、それだけの義務を負うておるのではないかというお話でございますが、その義務の内容として考えることは、われわれがあくまでも国力、国情——MSA協定にもそういうことが書いてありますが、国力、国情に応じてわれわれが自主的に定める、そういう義務の内容でございます。
○北山委員 具体的なその内容をどうするかというようなことを私は言っているのではなくて、条約上の義務を一般的に負うているのだ、もしも負うてないとするならば、かりに社会党政権ができて、自衛隊を改編縮小しても、この安保条約あるいはMSA協定に違反しないということになるわけでございます。条約上の義務を負うているということだけは総理も認められたようでありますから、問題を次に移しますが、こういうような条約上の防衛力増強の義務に従って、やはり日本は自主的か、個々の具体的な問題は自主的にやるでありましょうけれども、防衛費というものが漸増して参るわけであります。 そこで昭和三十六年度以降における防衛費がどれだけ膨張するかということが、これは国民の非常な関心の的であります。まず第一に、国庫債務負担行為、これにおいて約一千億の防衛関係の国庫債務負担行為を今度の予算に出してきております。主としてロッキードが七百四十一億、その他の施設あるいは器材、艦艇、こういうものを合わせますと百七十七億ばかりになる。それは大部分が昭和三十六年度において予算化をしなければならない、こういうことになりまして、国庫債務負担行為で政府が提案しただけでも、来年度には三百五十億ぐらいの予算化をしなければならないと思うのでありますが、一体ロッキードの購入によって四年間に七百四十一億、この年度割りの財政支出がどの程度になるか、三十六年はどの程度になるか、こういう年度割りといいますか、内訳を明らかにしてもらいたい。防衛庁長官にお尋ねをいたします。
○赤城国務大臣 ロッキード関係の直接の国庫債務負担は、本年六百九十八億であります。そのほかに関連器材が十七億あります。これを三十六年度以後において予算化していく計画はどれくらいになるかということであります。これはまだ大蔵当局と最終的な協議はしておりません。ただ三十六年度にどのくらいか、こういうお尋ねであります。三十六年度は七十から八十億程度、その程度の額に予算化するものが相なろうか、こういうふうに予想しております。
○北山委員 大蔵当局との話し合いと言いましたが、これはアメリカ当局との話し合いができていない、こういうことになるかと思います。今七十、八十——八十億といたしますと、それだけでも国庫債務負担行為で、それ以外の分は全部三十六年度でありますから、二百五十億はふくれ上がるわけです。ことしの三十五年度の予算においては、新安保条約の批准が国民を刺激してはならぬ、安保条約の批准をすれば直ちに防衛費がふえるような印象を与えてはならないというので、防衛費、自衛隊の経費は百二十五億程度の増強に極力とどめたようでありますが、三十六年度には二百五十億もうすでに国庫債務負担行為でふえるわけです。それ以外に防衛費がふえる理由の一つは、アメリカのMSA援助、先ほどお話があったMSA援助が無償から有償に切りかえられる。今まで無償で供与していたものが、政府の資料によりますと、昭和三十五年までに四千八百三十五億円と推計をされる、非常に膨大なものであります。ところがこれが昭和三十三年度は六百六十一億、三十四年度は三百三十八億、三十五年度は二百六十五億というように、最近になってどんどんふえる傾向にある。数年たつとこの無償援助、無償供与というものが有償になって、日本が金を出して、予算を出してアメリカの古い兵器を買い込んだり、あるいは国産品を買い込まなければならない、こういうようになっていくように聞いておりますが、防衛庁長官いかがですか。
○赤城国務大臣 確かにお話のように、アメリカのこの援助予算も減ってきております。そういう関係で、今までの無償援助の額は、今数字もあげられましたが、三十四年度は三百三十八億、三十五年度は二百六十五億というふうに予想しているように、無償援助の額は次第に減る傾向にあります。しかしこの無償援助の額は減りましても、有償援助、コスト・シェアリングといいますか、費用分担の方式によって援助を受けていく、こういうことで継続はされるわけであります。それでこういうものが減ってくると、日本自体の防衛費を相当大幅に増さなくてはならぬじゃないか、こういう御意見です。しかしこの点につきましては、再々申し上げておりますように、日本の総予算に対する防衛費のあり方、あるいは国力、国情に応じてきめていく、こういう方針は変わりませんので、それに従って適当な額を要求する、こういうことですから、このために急激に増加する、また増加させるというようなことは考えておりません。
○北山委員 昭和三十三年度までの無償兵器、資材の供与というものは約四千億でありますが、その大部分は第二次大戦で使った中古品だ、補充更新をしなければならぬということが、この前の予算委員会でも言われておりましたが、これを補充交換をするとなれば、国産でこれを代替をする、あらためて更新をするということになれば、二倍あるいは三倍の金が要る、こう言われておる。四千億のものをやるのに一兆円以上のものがかかると言われておるのですが、この補充交換、補充更新のために、一体どのような計画を持っておるのか、またどの程度の資金が今後要るのか。私は国民所得がどうの、予算がどうのというようなことはあなたから聞かない、ほかの人から聞きますが、問題は、自衛隊が今持っておる古くさい兵器を新しくするのに、どういう計画を持っておるのか、こういうことを具体的にお聞かせを願いたい。
○赤城国務大臣 四千億からのものが、みな中古だとか、要らない兵器だとかいうようなことではございません。御承知のように自衛隊の発足しましたときには、日本の自衛力というものはゼロであります。ゼロから発足したのでありますから、それを整備するのにある程度の援助はあったわけであります。その額が四千億以上になっておることは御指摘の通りであります。この更新計画について、それがみんな悪いもので不用のものであるから、更新しなくてはならないという前提で御議論をされると非常に違うのであります。今までの兵器等につきまして十分に使用しておるものが相当あります。大体更新しなくてはならぬもので一番大きいものは艦船であります。艦船が相当の年令にきておりますので、この艦船の古くなったものを更新するというようなことが主なるものであります。飛行機等におきましては、どんどん新しいものが入っておりますので、今までのものを別に更新しなくてはならぬというのではなくて、これは今までやっておる程度で差しつかえないわけであります。弾丸等につきましては、これは供与を受けまして補給、保存をしておりましたが、これは新しくことしの予算等におきましても七億ばかり計上しております。そういうようなことで補充をしておるということでありますから、全部が何かかえなくてはならぬというようなお考え方のようにちょっとお聞きしましたが、そういうような意味ではございません。
○北山委員 私は更新の計画があるかどうかということを聞いたのですが、いや、私がこういうふうに主張しても、更新しろということではない。自衛隊、防衛庁が古い兵器を大事にして使っておることは大へんけっこうであります。むしろ更新してもらわない方がいい。問題は最新兵器を買うのだと称して、外国でもう中古になったような廃品を、ロッキードのようなものを買い込まれては困るわけです。むしろ今のような、前に供与された兵器を大事に使っていくという方針そのものはけっこうだと思うのでありますが、しかし更新をする計画というものがあるのではないか、こういうふうにお伺いをしたわけなんです。 それからもう一つの問題は、問題の第二次防衛整備計画であります。これはすでにこの一月の国防会議にかけるという予定が、これまた新しい安保条約の審議に影響があってはならないというので、批准のあとまで決定をおくらしておるというように聞いておるわけであります。問題は、この関係で、この前昭和三十年度には二千九百億の防衛費ということを言われましたが、それは第二次防衛整備計画の分としてそれだけ要るのであるか、その辺を伺っておきたいのであります。
○赤城国務大臣 防衛力整備の第二次計画につきましては、再々申し上げておりますように、実は三十五年度を第二次計画の初年度として、四十年度までの六カ年計画を検討策定中であったのであります。ところが第一次計画の三十五年度が予算の審議の時期に入りましたから、三十五年度を第一年度とする第二次計画は改めていかなければならないということで、三十六年度から五カ年計画を目下検討策定中なのであります。でありまするから、でき次第国防会議にかけたい、こう考えております。その最終年度におきまして、前に新聞等に聞かれまして申し上げたのでありますが、今三十年度とおっしゃいましたが、これは四十年度ですが、四十年度の第二次計画の最終年度において、大体どれくらいの予算を考えているのか、こういうことに対しまして、二千九百億くらいと、これは国民総所得十四兆近くの所得と見て、その二%程度に当たるものが必要じゃないかというような一応の案は持ちました。しかしこれはあくまでも一応の案でございまして、三十五年度を初年度とした案でございましたが、この点等につきましても、なお国力、国情に応ずるといいますか、整備の問題と関連して検討をする必要がありますので、それであるということを今申し上げる段階ではございません。従ってこれからの検討によりましてどの程度を必要とするかということをはっきりさせていきたい、こう考えております。
○北山委員 この防衛計画については、いつ質問されても、どうも明らかにしない。私は総理にお尋ねをしたいのでありますが、従来日本政府は、アメリカに対しては防衛計画を常に提示をしております。昭和三十年に重光さんがアメリカに行ったときも、三十二年に岸総理がアメリカに行って交渉したときも、それぞれ防衛計画というものをアメリカに対しては提出をしておる。日本の防衛計画が、先ほど言われたように、自主的にきめるものであるならば、なぜ国民に対して、国会に対して、これを示すことができないのであるか。このわけを一つ明らかにしてもらいたい。
○岸国務大臣 国防の計画は、防衛計画は、国防会議においてきめるということになっておりまして、きめたものにつきましてはこれを公表いたしておりますし、また国会等において説明いたしておるのは当然であります。第一次の防衛三カ年計画というものがそれであります。さらに第二次の計画につきましては、先ほど来防衛庁長官が申しておるように、目下防衛庁内において検討をいたしておりますし、これを国防会議にかけて審議した上において発表する、こういうように進めて参りたい、かように思っております。
○北山委員 総理がどのように答弁しようとも、事実は、国民に知らす前にアメリカに示されておる。また個々の防衛庁内の予算、いろいろな器材、艦船あるいは航空機なんかを買うについても、まずアメリカに交渉して、向こうの援助分をきめてもらわなければ予算が組めない。こういうような格好でありまして、そういう予算編成の上から見ましても、国の自主性というものがはなはだしく侵害されておる。こういう点はまことに遺憾でありますけれども、問題は、非常に大ざっぱではありますが、今防衛庁からお話がありましたように、国庫債務負担行為あるいは装備の更新あるいは第二次防衛整備計画、こういうようなものによって三十六年度以降は防衛費が急増するということになる。大体この関係が国庫債務負担行為だけでも二百五十億ふえる。 これは大蔵大臣にお尋ねをしますが、大蔵大臣は来年度は減税も考慮するなどということを言われましたけれども、しかし今度の三十四年度の補正予算、追加予算によって三十六年度に繰り越されるはずの剰余金も使ってしまうということになりますから、三十六年度の予算編成はおそらく三十五年よりももっと苦しくなるだろう。その圧迫をする一つの問題が防衛費の増大であり、また治山治水の長期費であります。これが出て参ります。ことしは前期五カ年計画の初年度としてはまだ足らない金額ではないかと思うのでありますが、治水事業の五カ年計画においては四千億、治山計画においては五百五十億ということでありますから、一体三十六年度以降においてはどのような年次別の計画を持っておるのか。これを大蔵大臣からお伺いしたいのであります。
○佐藤国務大臣 治山治水の年度計画あるいは防衛関係のロッキードの年次計画、これらはただいままだできておりません。先ほど防衛費については防衛庁長官から申した通りでございます。また治水治山計画、これは前期五カ年計画は立てておりますが、いわゆる年次計画はでき上がっておりません。
○北山委員 治山治水の長期計画でありますから、年次計画もすみやかに立てて、そうしてこれを示して、その計画に沿うて継続して事業を遂行するということにしてもらいたいと思うのであります。今までのように、計画は何カ年計画を作るのだが、二年くらいやると、もうどこかへ消えて、また次の五カ年計画を作るというような、今までの轍は踏まないようにしてもらいたい、こう思うのでありますが、問題は、治水計画だけでも四千億でありますから、五カ年に分けますと八百億、この関係だけでも三十六年度に相当な財政支出が必要になって参る。 それからもう一つの問題は国債費であります。来年度国債の償還は約八百億というふうに見ておる。いわゆる償還期のきた内国債及び外債の償還は八百億、そのうち外債が非常にふえて二百億以上に達する、こう言われておりますが、三十六年度に満期の到来する外債の償還について、大蔵省はどういうような用意をしておるか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
○佐藤国務大臣 外債の三十六年の償還計画はどうなっておるかというお尋ねでございますが、合計いたしまして大体七百十四億、普通国債あるいは割賦償還制交付公債あるいは外貨債等合わせて七百十四億になっております。しかしこの三十六年の国債償還計画は、先ほどの防衛庁関係費その他と同様でございまして、ただいままだ申し上げる段階に立ち至っておりません。いずれ三十六年の歳入と見合いました上、また外債の償還については借りかえその他等も勘案して処置して参るつもりでおります。
○北山委員 それで三十五年度の国債償還計画を大蔵省からいただいたわけでありますが、これによると、本年の償還は二百八十一億二千九百万円、こういうことになっておるわけでありますが、予算書を見ますというと、国債整理基金特別会計の予算において国債償還額は七百四十二億五千三百万円、これに対して六百十五億の公債金を財源として見ておる。一体二百八十一億償還するのか、七百四十二億償還するのか、どうもこの資料がさっぱりわからないのですが、この説明を大蔵大臣にしていただきたい。
○佐藤国務大臣 三十五年の国債償還計画は、ただいま御指摘の通り、内国債、外国債を合わせまして総額二百八十一億二千九百万円を予定いたしております。その内訳は、内国債の償還につきましては、これは遺族の国庫債券、これが約百十六億円であります。引揚者の国庫債券、これが四十八億円であります。これが見込まれておるのであります。ところで普通国債につきましては、満期の額は六百二十九億二千八百万円ございますが、これは日銀、市中銀行等所有分等々、その他大部分はいわゆる借りかえを行ないまして、個人その他について十三億三千二百万円の分について現金償還を予定しておるのでございます。財源といたしましては、一般会計、特別会計さらにまた国鉄、電電、ただいま御指摘になりました国債整理基金特別会計、これらをもってまかなうつもりでございます。
○北山委員 この予算書にある国債償還の七百四十二億というのは、これはどうなんですか、どういう関係に立つのですか。それからもう一つは、この二百八十一億の国債償還計画の中で、前年度からの繰越引当という百五十四億、これは一体どういうようになるのか。要するに予算の特別会計の国債整理基金の歳入歳出予算に書いてある数字と今の国際償還計画というものは、全然別個のものになっておるわけです。だからその関係をお聞きしたい。
○西原政府委員 三十五年度の国債の償還でございますが、満期の参ります内国債が六百二十九億ございます。そのうち日本銀行、市中金融機関等の所有にかかっております国債六百十五億を借りかえいたしまして、そうしてあとの差引十三億を現金で償還することにいたしております。これ以外に割賦償還で百五十四億、買い入れ償却で五十三億、外貨債で五十九億、合計いたしまして二百八十一億を現金で償還することになっておるわけでございます。
○北山委員 一番下の前年度よりの繰越引当というのは、これは何ですか。予算上はどういうことですか。
○西原政府委員 前年度からの繰越金の百五十四億は、これは三十四年度における国債償還のうち借りかえ等を行ないましたもの等によりまして、現金が浮いて参りましたその関係で、財源として百五十四億、大体その分だけは三十五年度に繰り越しになります。それをもってこの財源に充てるわけでございます。
○北山委員 そうすると予算面からいえば、予算に新たに公債を出して借りかえをするという以上に公債を発行して、そしてその分が繰り越されるということになるわけですか。またもしも三十四年度にそういう繰り越しが出るとするならば、三十五年度の予算の中にはやはり当然計上しておかなければならぬと思うのですが、百五十四億というのはどこにも出ておらぬ、繰り越しの中にも出ておらぬ。ですからさっぱりわけがわからないということになるわけです。だから予算書だけを見ると、七百四十二億の国債償還に対して本年は六百十五億の借りかえ債を出して、そうして百二十七億だけを現金償還するというふうに考えられる。ところがこの国債償還計画を見ると、二百八十一億というわけでありまして、百五十四億だけがはみ出しておるわけです。その百五十四億がどこから出てきたのかさっぱりわからない。予算の方から見て全然わからない。この国債償還計画というものは予算と関連なしに作られておる、あるいは予算の中に別途の経理をされておる、こういうふうに考えられて、どうもこういうやり方は適当でないと思うのですが、いかがでしょう。
○西原政府委員 国債整理基金特別会計法の第八条に、「国債整理基金ニシテ毎年度内二使用セサルモノハ翌年度へ繰越スヘシ」、「国債整理基金特別会計ノ毎年度歳出予算二於ケル支出残額へ逓次繰越使用スルコトヲ得」、こういう規定がございますので、この規定によりまして、結局使用しなかったものは順次翌年度に繰り越されているわけであります。その金額が百五十四億、こういうことになるわけでございます。
○北山委員 今の特別会計法というのは非常に古い法律で、そして国債整理基金のやり方を特別会計の中で相当適当に運用できるような格好になっておる。その格好が、その運用が予算の中に現われてきておればいいのですけれども、特別会計の予算を見ると、その逓次繰り越しなり、そういうものがさっぱり現われないというような格好になってきておりますから、そこで、これは悪く考えると、大蔵省がこの国債整理基金の会計の運用によって、ことしの分を来年に回すとか、あるいは来年の償還に充てるために数年間の金をためておくとか、いろいろな操作ができるわけでありまして、こういう経理の仕方は、会計のやり方は適当でないと思うのですが、大蔵大臣はこれを改める考えはないかどうか、これを伺いたいのであります。
○佐藤国務大臣 現在の制度は先ほど来説明いたした通りでございますので、今回の処置が法律違反でないことは御了承がいただけたと思います。こういう方法がいいか悪いかということは、別個の問題でございますし、ただいま問題を提起されておるのでございますが、元来国債償還というような性格のものから申しますと、この種の規定は必要で、ただいま改正することは、私どもはなお検討を要する、実はかように考えております。
○北山委員 問題は、本年あるいは来年に国債の償還が非常に集中してきておるということであります。従って、三十六年度の国債償還も、先ほどお話がありましたように、七百億以上になる。ことしも七百億以上ということになっておるわけであります。従って、三十六年度の予算編成上、やはり国債償還というものが大きな財政負担になろうかと思うのであります。それで今申し上げたように、三十五年度の予算編成が非常に無理をして、財源をすっかり吐き出して、そしてそれでも足らなくて、三十四年度の財源まで追加補正をする、そして三十六年度以降の国庫債務負担行為を一ぱいに、千億以上も、千二百億も見ておる、こういうような不健全財政といいますか、三十五年度の予算編成というものがいろいろな事情——予算のぶんどりもあるでありましょう。いろいろな事情からして不健全な予算編成であったのではないか。そのしわ寄せが三十六年度以降に及ぶのではないか。来年度以降の経済がどうなるかということは、これはだれも予測することができないと思うのであります。大蔵大臣自身が楽観は許さない、こう言っておるのであります。楽観を許さない以上は、三十五年度の予算編成について今申し上げたような不健全なやり方、後年度のことはどうでもいいというようなやり方あるいは三十四年度の財源まで追加に使ってしまうというようなやり方、当然こういうやり方は適当ではないと思うのでありますが、大蔵大臣、これに対してどうお考えですか。
○佐藤国務大臣 ただいまの、今までの繰越金やあるいは繰越剰余金等を使うことがいいか悪いか、そういうのを使ってしまったのはまずいじゃないかというお話でございます。一面そういう御議論もあろうかと思います。その観点に立ちますならば、その年の歳出はその年の歳入だけでまかなえ、こういうこと、これがむしろ健全だという議論にもなるのではないかと思うのであります。しかしことしの予算編成で過去の剰余金その他を使ったとか、あるいはたな上げ資金を使ったとか、三十四年とその点で事情が違っておる、こういう意味から申すと、むしろ本年の歳入で本年の歳出をまかなう、逆にその方が健全性だという議論も成り立つんだと思います。しかし私どもはいろいろ考えますが、なるべく蓄積はして参りたい、かように考えておりますし、また予算規模自身もやはり適正な規模にこれをすること、これがやはり必要だろうと思います。今回もアメリカの予算などがいわゆる黒字予算といわれている。歳入と歳出と比べてみますと、相当の差額が残る。こういうような予算を作ること、これも必要だろうと思います。しかし財政需要というものはそのときどきの要請があるのでございますから、その要請にこたえること、これがやはり国の政治としては必要だろう、かように思います。そういう意味で財源はどこまでも健全な財源を使っていく、そうして財政需要にこたえるということにして参りたいものだ、かように考えます。私は本年の予算がこの観点から健全性を貫いた、かように考えております。特に指摘いたしますことは、本年の歳出は三十五年の歳入をもってまかなう、こういうところに健全性をむしろ主張したい気がいたしておりますが、やはり過去の蓄積等についてもときにはこれを使わざるを得ない、こういうように私は考えております。
○北山委員 三十五年度の予算編成についての今の態度、後年度以降についてどうも考慮が足りなかったという点は、私は非常に遺憾に思うわけであります。ことにその増強の主力が防衛費の後年度における膨張にある、この点はまことに残念であって、私どもとしては少なくともロッキードの購入はやめるべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、問題を次に移しまして、貿易・為替の自由化の問題について若干お尋ねしたいと思うのであります。 これはこの委員会においてもすでにいろいろと論議をされましたが、政府の自由化政策を推進するテンポは、昨年の十二月以降は非常に急テンポでありまして、対米制限物資の十品目の自由化も方針としてはすでに決定しておる、あるいは実施しておるのでありますが、この対策の方は具体的には進んでおらない。まことにこの点はおかしいと思います。具体的にお尋ねをしますが、大豆については一体どういうふうにされるのであるか、農林省においてはいわゆる瞬間タッチ方式でもって輸入大豆に調整金をかけて、その金でもって農民を保護する、こういうふうな案を持っておるように聞いておりますが、一体政府としてはどのような方針でいくのであるか、十月からやるというのでありますから、もしも瞬間タッチ方式でやるとするならば予算も組まなければならぬし、法律も出さなければならぬわけであります。この国会で審議するのは当然であります。こういう方針をきめて、それから大豆の自由化をするのだ、こういう方針をきめるのが順序であって、一応まず十月からやるのだということをやっておいて、その方針の方は一向きまっていないというのでは、これはあとさきが、順序が逆だと思うのです。それで大豆については一体どういうふうにされるのか、これを農林大臣あるいは通産大臣からお伺いをしたいのであります。
○福田国務大臣 お答えいたします。大豆につきましては、一応十月にこれを自由化したいという考えを持っております。ところが大豆を自由化いたしますると、生産者にも、それから消費者にも、また加工業者にも非常な影響があります。そこでそれらの影響をならした上、これを実施しなければならぬ。そのならし方で一番問題になるのは、これは生産者の場合なんです。生産者が今一俵三千二百円くらいで売っておるわけでありますが、これが下がっては困るというふうに考えております。そこで政府の方じゃそれを全部買い上げるということをまず基本の方針にしたいということを考えておるわけでございまするが、そのためには財源をどうするかという問題があるのであります。今御指摘のようにその財源を新たなる課徴金か関税で充足するか、あるいは手持ちの財源をもちましてこれを充足するかという二つの考え方があるわけであります。これをいかにするかということを今政府部内において調整中なんです。その意見がきまりました上におきまして、これをいつ具体的にどういう方法で実行するかという段階になるわけでございまするが、しかしいずれにいたしましても生産者にはさような考え方をもちまして、こうも不安を与えないということは、これは堅持をする、かように御了承を願います。
○北山委員 だから順序が逆だというわけなんです。一体今の国会は三十五年度の予算なり、政策を審議をしておる国会なんです。それを十月にやるということは一応きめておいて、そうしておもむろに対策を——起こり得るいろいろな事態というものはすでにわかっておるのです。だからどうするのか。調整金をとるのか、あるいは国が財政支出をして農民に対する保護をするのか、どういう方針で大体いくのだということはきめて、それと同時に大豆を自由化するということをきめるべきが当然なんです。そうでないというと、自由化の方針をきめてしまえば、醸造業者からは陳情がくる、農民からは陳情がくる、陳情がきてから対策を協議するというのじゃ、これは政治としては逆じゃないでしょうか。この前のこの予算の審議に際しまして、自由化問題は急に起こったものではないのだ、安保条約の関係で自由化が進められたものではないのだ、もう一年も、二年も前からいろいろと準備をしてきたのだ、こういうことを言っておられたのですが、今の大豆を一つとっても対策をきめないで自由化を進めるとは何事ですか、総理はどう考えますか。
○岸国務大臣 自由化の問題につきましては、各品目についていろいろな日本の産業に及ぼす影響があるのであります。その影響をどういうふうにして調整してやっていくかということが当然考究されなければなりません。そのうちにおきましても大豆というものは、従来からもこれは御承知のように対ドル地域以外の地域のものは自由化しまして、従ってその対ドル地域についても自由化すという問題が従来からもいろいろと研究をされ、論議をされてきておるのであります。ただ問題は今農林大臣が申しておるような、日本の農民に、ことに零細農民に及ぼすところの影響がございますから、各政策の問題を十分に検討し、これに対する対策を立てなければ実際は実施できない問題だと思います。もちろんわれわれが政府として対ドル地域の十品目についての大体の目標を立てて、その時期までにいろいろな対策を十分考えて、そういうところを目途として自由化しようということをきめたわけでございます。従って今大豆につきましては、大体十月を目途として自由化す、それについての対策としては先ほど来農林大臣が申し上げておるようなことを十分検討して、そして対策が立ちました上において実施するということにいたしたい、かように思っております。
○北山委員 大豆その他についてそれぞれ問題は明らかなわけです。これを自由化すればどうなるか、どういう現象が起こるか、その影響等について経済評論家が論議するというのではなくて、政府としてはどうするかということが明らかにされなければならぬ。大豆を自由化すればどういう影響が起こるのだとか、そんなことはわかり切っているわけです。総理が、政府が十月にやるとするならば、もしも予算措置なり法律案の提出が必要であるとするならば、もしこの国会で間に合わなければ臨時国会を開かなければならぬ。臨時国会を開いてやりますか。おおむね十月という方針である以上は、必要な法律なり予算を出さなければならぬわけです。この国会に出しますか、それとも臨時国会を開きますか、そういう点をはっきりするのが政治だと思う。
○岸国務大臣 もちろん先ほど来申し上げておるように、これに対する対策は十分立てて、農民に対する不安はこれを一掃するような施策を立てた上で実施するつもりであります。従ってそれに対して予算その他法律等必要なものがございますならば、本議会に間に合うものであれば本議会に出しますし、あるいはもちろんそういうものは国会の承認を得なければ実施できないのでありまして、十月ということは、大体それを目途として自由化す上において対策を今練っておるわけでございます。必要な手続は、もちろんやるということであるならば、通常国会に間に合わないものは臨時国会においてこれを御承認を得た上で実施する次第でございます。
○佐藤国務大臣 大豆の自由化は、御指摘の通り大へん問題は重要な意義を持つものでございます。御指摘になりますように、農民に及ぼす影響、またその扱い方いかんによりましては、大豆の二次製品に対しましても非常な影響があるということでございます。従いまして大体の目標は、十月という目標を立てております。それまでにぜひとも諸準備を進めたい。ただ先ほど来、北山さん御自身はおっしゃらないようですが、この委員会の空気に出ておりますように、あるいは瞬間タッチだとかあるいは関税を引き上げるとか、あるいは据え置くとか、いろいろの議論が出ておるわけであります。そこで今回の予算編成に当たりましても、十分結論が出ておりますれば、もちろん予算的措置を講ずるべき筋のものであったのであります。しかしこの国会、また予算編成前には結論に到達することができなかったという問題でございます。従いましてこの会期中におきましても、各方面から十分論議され、またできるだけ急いで結論を出して参りたい、かように考えております。結論が出まして実施の時期が予定通りにこれを実施することができますれば、先ほど来お話がありますように、所要の措置をとらなければならぬことは当然でございます。
○北山委員 大豆一つをとってもほとんど準備がなされておらないで、ただ自由化をする、いつやるのだということが発表されておる。それ以外のたくさんの品目もみな同じだと思うのです。ラードにしても関税の改定をしなければならぬ、大豆にしても関税の改定は必要だ、その他関税の改定なども問題になる点がたくさんあると思うのですが、それにしたってその案ができていないじゃないですか。だから、そういうふうな関税の改定なんかについてアメリカと交渉していますか。
○佐藤国務大臣 大豆一つをとってもと言われますが、大豆が実は一番大きい問題であります。また原綿、原毛等になりますればこれまた大きいのですが、これは時期が相当おくれております。今一番問題になるのは大豆と銑鉄だろうと私考えますが、その他のものにつきましては、もうすでに一月に実施いたしたものもありますし、また四月あるいは五、六月の交に実施しようとしておるものもあります。それぞれ準備はとれておるわけであります。ただいま関税についてのお話がございましたが、ガットに加入しております国といたしまして、この関税問題はやはり慎重にその結論を出さなければならない、こういうように私ども考えております。そういう意味においての諸準備を進めておる。また業界自身におきましてもやはり自由化の受け入れ態勢ができなければならないし、また為替につきましても貿易だけの自由化というわけにも参りませんし、為替の面においても諸準備を遂げていく、各面総合的な対策を立てないとうまくいかないというように思っております。
○北山委員 それほど自由化という問題は非常に重大な、日本産業全体を変えてしまうほどの大きな問題なわけです。ですから、こういう問題を軽々に発表だけして、そして対策をおもむろに立てればすぐに対策が出るというものじゃなくて、相当各般に影響のある大きな問題であるから、今まで一年なり二年なり一体何をしておったのか、こう言いたくなるくらいです。方針の発表の方は脱兎のごとく対策は処女のことしというのですか、とにかくそういう印象を免れないわけであります。 通産大臣にお尋ねしますが、この春、新春早々に、通産大臣は、外国資本が一定額の日本の株式を自由に取得をして、あるいは配当も自由に送金ができるようにしたい、これを閣議で了解を得たというような談話を発表して、非常な波紋を巻き起こしているわけです。こういうことが事実かどうか、閣議で了解を得たなどというようなことはほんとうかどうか、またそういう考えでおるかどうか、これをお尋ねいたします。
○池田国務大臣 貿易・為替の自由化につきましては、私は多年考えておったのでございます。従いまして、今御指摘の大豆の点につきましては、なかなか厄介な問題でございます。これは関税の問題、あるいはまた俗にいわれております瞬間タッチの問題、これはやはり関税かどうか、関税でないということになりましても、実質上は関税引き上げに相当するのでございまして、やはりいろいろガットの関係で交渉する必要がありますので、十月と切らずにおおむね準備が整ってからやろうといたしておるのであります。その他の問題につきましては、私は、順調に進んでいっていると思います。今大蔵大臣から言われました銑鉄の問題、これは、御承知の通り原料炭の外国からの輸入を押えております関係上、銑鉄に影響するというのでいろいろ議論がございますが、銑鉄は大体十月ごろからできるのではないか。その他の今までやった問題につきましては、大して支障はございません。それから一番大きい問題の原綿、原毛につきましては、業者あるいは関係者等慎重に審議をしていただきまして、来年の四月からなら適当だ、あるいは来年の一月からという説もございましたが、四月から適当だというので大体全員一致の意見のようでございます。しこうして、これがためには三十五年度におきまして十分の措置をとるようにいたしております。またこの国会におきましても繊維工業設備臨時措置法等の改正案を出して、その準備を整える予定でおるのであります。ただ問題は機械の問題でございます。これが中小企業に最も影響いたします。技術導入、このことにつきましても、関係各省で十分協議をいたしまして、国内産業にひどい悪影響のない、しかもそれが日本の経済強化に必要なものにつきましては、順次やっていきたいと考えておるのであります。貿易の自由化のみならず、日本が世界に立ちまして、そして資本不足の日本といたしまして、できるだけ適正な外資を入れて、日本の経済発展に寄与さすということは必要でございます。従いまして株式に対しましての外人の取得、これにつきましては外資法、為替管理法で、ある程度の制限を加えておるのであります。あるいは公益事業のごときは、資本金の五%、その他の産業では八%、こういう制限がついておりまするが、今の国際情勢から見まして、貿易・為替の自由化という立場からするならば、私はある程度株式取得の制限を緩和していくのが適当ではないかという意見は、閣議で申し述べたことがございますが、これは決定したとかなんとかいう問題ではございません。これはあくまで第一次所管は大蔵大臣でありますので、大蔵大臣に一応話をしたことはございます。
○北山委員 大蔵大臣の意見は多少違うように私は受け取ったのですが、問題は、自由化というものはわれわれの予測し得ないようないろいろな激しい変化を日本経済に与えるもので、私はこれは反対であります。日本のような中進国——先進国の面と後進国の面と両方持っておるような日本経済の場合には、先進国のようなまねはできないのだ、日本独自の立場をとって進むべきであって、先進自由主義国の中ではやっておる自由化というものを、そのまま日本の中に受け入れては、日本経済はたまらないという立場からして、私は賛成できないのでありますが、この自由化に関連をいたしまして、政府の物価政策というものを一応お聞きしたいと思うのであります。 岸内閣ができましてから、あらゆる物価、料金というものが、どんどん遠慮会釈なく公共料金等が値上げになっております。一昨年の総選挙が済むとすぐに、たしか二級酒が五円上がった、これが皮切りでありまして、その後国鉄から私鉄、バス、電力、ガス、新聞、ラジオ、通運料、あるいは住宅の料金、地下鉄、家賃、地代というように、どんどん公共的な料金が中心になって値上げになっておる。政府がそれを抑制して押えておるというよりも、むしろ反対をいかにごまかして値上げをしようかというような印象すら感ずるわけであります。そこでこの物価、公共料金等をこのようにどんどん値上げをするということと、一体自由化対策はどういう関係にあるか、政府は一定の物価、公共料金に対する対策を持っておるのか、こういう疑問を抱かざるを得ないのでありますが、この点について岸総理はどういう考えで今まで運用してきたか、お考えをお聞きしたいのであります。
○岸国務大臣 大体物価の問題につきましては、御承知の通り物価が急変動することはいかなる意味においても望ましくないのであります。安定した状況にあることが好ましいとわれわれは考えております。これは基本の考えであります。ただ公共事業等いろいろおあげになりましたものについて、最近においてある程度の値上げをしたことは、これは事実でございます。これらの事業の経営は、やはり経営を合理化してできるだけコストを安くし、そのサービスを安く提供できるような合理的な経営をしていくように、指導していくことが基本であることは言うを待ちません。しかしながらこれらの料金につきまして、実際上そういうふうな経営を合理化しましても、経営上非常な安定した基礎が保てないというようなことであるならば、これはかえっていろいろな悪影響を持つものでありますから、それは考えていかなければならぬ。その場合においてどの程度の値上げを認めるかということは、企業の合理性を考えると同時に、一般物価に及ぼすところの影響等も勘案いたしまして、一般の物価に悪影響を与えない程度の、ある程度の値上げをして、そうして事業経営を合理的な基礎に置いて安定せしめて、十分にその公共性を発揮せしめる。しかも物価についてはさっき言った安定性をこわさないという程度の値上げを認めてきたわけであります。物価の考えとしてはあくまでも安定性を保持するというのが、物価政策の基本として考えなければならぬ、かように考えております。
○北山委員 それならば具体的にお伺いしますが、今度はまた電気料金が上がるといわれておる。その電気料金を一体上げるか上げないのか、値上げを認めていくのか、あるいはまた政府はあらゆる措置を講じて、この際電気料金の値上げは好ましくないから、値上げを阻止するように、金利なりいろいろな点で対策を講ずるのか、この点を通産大臣からお聞きをしたい。 それから同時にもう一つの大きな問題は、やはり物価でありますが、都市近郊の宅地が暴騰しておるということであります。一般物価の倍あるいは三倍ということで、非常に土地の投機、土地の思惑というものが株の思惑のように、不動産投資が行なわれており、重大な問題になっておるわけであります。最近のある新聞によりますと、駐留軍の将校連中が不動産会社を作って、千葉県あたりで土地の買い占めをしておるというようなことが載っておりました。安保条約にそういうことを頼んだ覚えはないわけでありますけれども、外国の駐留軍までが、土地を買えばもうかるということでこういう土地の投機をやられたのでは、たまったものではないと思うのです。大企業も、このごろはもうかっておる企業がどんどん土地の投資をしておる。こういうことがみな重なり重なって、都市の宅地を暴騰させ、それが結局は産業の負担になり、また国民の家計の負担になるわけであります。金利と地代が高いところの経済は健全なものではないと思うのでありますが、この地代の値上がりに対してどのような具体的な防止対策をとるのであるか。ところが政府の方では最近固定資産の評価額を上げて、従来の評価を改めて時価評価にして値上げをしよう、逆に宅地あるいは地代、家賃というものを値上げをしよう、こういうふうな逆の方向にいっておるようでありますが、一体宅地の値上がりに対する対策をどのように考えているか。これは企画庁長官でありますか、さきの電気料金は通産大臣からお伺いしたいのであります。
○池田国務大臣 電気料金につきまして全般的に上げる考えはございません。ただ、今までのような電気料金の算定では不合理性があるから、電気料金算定基準というものを設けたらいいのじゃないかという業界の話もありまして、電気料金算定の基準を今検討しておるのでございます。全般的にただいま電気料金を上げるという考えはございません。九電力会社の内容は区々でございまして、非常に経営の困難なと申しまするか、今の料金ではなかなかむずかしいと思われる一、二の会社はないことはございませんが、通産省といたしまして電気料金を全般的に上げるという考え方は持っておりません。
○菅野国務大臣 お説の通り都会地では土地が限定されておって、そして人口はだんだんふえるし、また経済活動が盛んになりますので、最近地価が非常な暴騰をしておることは事実でございます。それに対して今日まで政府は、ほとんど何も手を尽くしてないと申し上げてよいと思いますが、しかし最近のこの地価の暴騰に対しては、何らかの手を打たなければならぬじゃないかということで、今経済企画庁の方ではその対策について考究中であります。
○北山委員 政策でありますから、政策に責任ある政府なんですから、そういう声が出ないうちに対策を考えて実行してもらいたい。ところがまだこれから研究をするということでありますから、まことに心細いのでありますが、それならば一つ具体的な提案をいたします。都市における休閑宅地、よけいの宅地を持って、そうして貸しもしなければ売りもしない、値上がりを待っておるというような宅地がやはり若干はあろうかと思うのです。そういう休閑宅地に対する固定資産税の制限税率を大幅に引き上げるとか、そういう措置を考えられないかどうか。あるいはまた不動産譲渡所得の場合に、その所得に対するいろいろな特典があるわけです。十五万円の特別控除をやり、あとの二分の一に対して所得税をかけておるというように、不動産譲渡所得に対してはむしろ減税措置が講ぜられておるわけでありますが、そういうものを検討し、直して、土地の値上がりによる利益というものを捕捉するというようなことをして、いろいろな面から土地の価格高騰を押える、あるいはまた政府が機関を作って——地方団体に機関を作らして宅地を買収をして、これを必要な人に転売をする。払い下げるというような、いろいろな施策がすぐ考えられるわけなんですが、一体そういう施策をやる気があるのかないのか。具体的な提案としてこのごとくらいはだれでも考えることでありますから、そういうことが一体できないのかどうか。地方税法を改正すれば固定資産税の分はできるわけであります。そういうことを一体やる気があるのかないのか、こういうことを自治庁長官あるいは大蔵大臣にお伺いしたい。
○佐藤国務大臣 この固定資産の評価ということは、なかかな重大な問題でございます。簡単に結論の出ることではございません。ただいま休閑土地ということで御指摘になりましたが、最近は、ただいまも伺うのですが、都市付近の耕地等もそういうような意味の話がぼつぼつ民間の一部に出ているわけであります。やはり休閑土地というと、遊んでいる、草がはえているというだけでそういうふうにお考えになるかもわかりませんが、やはり耕地でも同じような感じを持たれる。土地の値上がり自身につきましては、先ほど菅野企画庁長官から申しておりますように、やはり十分検討を要する問題のようですし、また課税ということになりますと、これまた別な意味において非常に影響するところが大きいのであります。在来の譲渡された場合の所得課税という方法が当分続けられるもの、かように思いますが、いずれにいたしましても、最近の値上がりは一部だけではなく、相当問題になりつつある、かように私ども考えておりますので、十分検討して参りたいと思います。
○石原国務大臣 お答えいたします。ただいま大蔵大臣から大体お答えになった通りでありまするが、御承知のように、固定資産の評価につきましては、今固定資産税の評価委員会等においていろいろ検討をされておるのでございます。御指摘になりましたような問題につきましては、将来税制改正等の際には十分参考として拝聴しておきたいと思います。
○北山委員 どうも何を聞いてもこれから検討する問題ばかりで、むしろわれわれの方からいろいろとお知恵を貸してあげたいと思います。ところがこの前の閣議で、政府は、どうも予算に関係するような議員立法を出されるのは困るというようなことを閣議で了解されたようでありますが、これはわれわれから申せばまことに適当じゃない。国会のことは国会がきめるわけであります。まあ政府が議会の活動についてとやかく言うのもどうかと思うわけでありますし、また予算に関係する法案を出すか出さないか、それをどうするかという問題は、それぞれの会派で、政党の内部で調整したらいいのである。与党の内部から予算関係の議員立法が出るのは困るというのならば、与党と政府との間で調整したらいいのであって、それを政府がとやかく言うのはおかしいと私は思う。むしろ議員立法は現在の日本の議会制度においてこそどんどん活発に行なうべきである。社会党はそういう意味で今までもたくさんの議員立法を出しております。そうしてそれが社会党提案の形で通過を見なくても、たとえば原爆被災者の援護法のごとき、社会党提案によって提案したものが、今度の国会では政府がそれを取り入れて提案をする、あるいは国民年金にしても、最低賃金法にしてもいろいろな面においてわれわれの社会党の、野党の議員提案というものは決して無意味ではなかった。政府が関係各庁の意見を調整して提案をしてくるというのは、先ほどの大豆の話ではありませんけれども、いろいろな問題の調整が手間取って、せっかくのいいアイデアもそれが政策となって現われてくるのがおそいのであります。議員立法はまことにその点はスピーディでありますから、こういう点は現在の日本の政治をどんどん前向きに進めるという意味において、私は議員立法がむしろ好ましいのではないか。もちろん党内においてそれぞれ自分の利害関係なり何なりに結びついたものは、これは困ると思うのでありますが、しかしそういうような点での議員立法は、大いにこれは好ましいものと考えるべきではないか、こういうふうに考えるわけであります。これは意見を聞く必要もないと思います。 次に、やはり物価の問題と関係ありますけれども、最近デノミネーションといううわさがいまだに跡を断たないわけであります。この話を持ち出したのは、昨年の参議院の選挙の前に、岸総理自身が今やデノミネーションを実施する段階ではないかというような談話をした。そういう放言をしたためにその後日銀総裁、大蔵大臣がこれを否定をしましたけれども、しかし、いまだにデノミネーションはやるのではないかというようなことで、これが金を持っているよりも物を持て、株を持てというようなことで、換物人気をあおって、それがやはり今の宅地なりあるいは株の値上げということに結果がなっておるのではないか。私は、一国の政治の責任者としてこのような問題を軽々に話をするということは、まことにこれは軽率きわまるものだと考えますが、この点について岸総理はどのようにお考えになっておるか。問題は、否定をしたから消えたのじゃなくて、いまだにデノミネーションがあるらしいということを言っておるのであります。この点について岸総理はどのような責任を感じておられるかということを承りたいのであります。
○岸国務大臣 ちょっと先ほどの、閣議で触れた問題でありますから、誤解があるといけませんから、明瞭に申し上げておきたいと思います。閣議で問題になりました予算に関係しての議員立法という問題は、もちろん議員立法全体を云々したものではございませんで、自民党内において、自民党が政府と連絡せずにそういうなにを出すようなことをしないように、自民党に対してわれわれが要望するというだけでありますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。 デノミネーションの問題につきましては、その後しばしば政府から責任を持って言明しております通り、これをやる考えは持たないということを明瞭に申し上げておきます。
○北山委員 まあ総理があのようなことを言うのは、どういう根拠で言われたか、私は単なる軽率ではない、こういうふうに考えるわけであります。おそらくイギリスあたりであれば重大な問題化する、政治の責任者がそのようなことを放言するということは、ただ取り消したのでは済まされない、こういうふうに思うわけでありますが、この点は今後とも慎重にしてもらいたいと思います。 それから、ただいままでいろいろな問題をお尋ねしたわけでありますけれども、今度の安保条約は、第三条においては防衛費の増強というものを義務づけられておる。それから第二条においては経済協力というような問題を出しておるわけでありますが、いわゆる自由世界の中で自由主義の立場に立って、むしろ自由陣営を防衛するのだというような新安保条約の新しい性格が私ははっきりしているのじゃないかと思うのであります。総理はいろいろな機会の発言において、自由主義陣営にあってその団結を守る、こういう決意をはっきりと示しておるわけでありますが、私は、自由化問題にしてもその一環として現われてきたものと了解をされるわけであります。そこで安保条約の調印の際に、総理がアメリカに行って、そうして例の経済協力というものをアメリカに具体的な形で求めた、たとえば日米経済委員会というものを提唱した。ところがこれが具体化をしなかったわけであります。その後、アメリカ当局に頼んで、西ヨーロッパとアメリカ、カナダが結成しました大西洋経済会議の一員の中に入るような支持を求めたわけであります。ところがこの問題についても結果はどうなったか。最近のワシントンの電報によりますと、この三月にワシントンで開かれる北大西洋経済会議の、いわゆる後進国、低開発国の専門委員会には日本が参加できないのではないか、こういうふうな報道をされておるわけでありますが、藤山外務大臣はこのことについてどのような情報を持っており、またどのように考えておられますか。
○藤山国務大臣 経済問題につきましては、アメリカと日本とが緊密な連絡をとり、また話し合いをして参りますことは非常に必要なことだと存じております。従いまして、今後両国の経済問題につきましても十分に話し合いをして参らなければならぬと存じておりますが、これは通常外交ルートによって行なっていくのが適当であると考えております。今お話のありましたような後進国開発計画その他に対する三月の準備会議と申しますか、この点につきましては、御承知のように先般一月にヨーロッパにおきまして経済問題に関して会議が開かれまして、その場合の二つの問題と申しますものの一つが、後進国開発計画というものにあったことは御承知の通りでございます。従いまして、われわれとしては、低開発国と申しますと、主として東南アジア、中近東、アフリカ等に関連をすることになって参りますので、こうした低開発国の援助というような問題につきましては日本も深い関心を持っておりますので、われわれとしても今日まででも、それらに対して財政経済の許す限りにおいて努力をして参ってきております。また技術方面の問題については十分援助の力もあり得るわけでありますから、そうした世界的な目を持って、低開発国の開発というような問題になりますれば、当然日本が参加すべきであり、また参加することがこれらに対して貢献をするところだと私は思っております。むろん、しかし今回の三月の会議は、今申し上げましたように、ヨーロッパにおきます問題と同時に出てきた問題でありますので、そうした関係におきまして、三月の会議がどの程度に進んでいくか、またどういうふうに準備会的に動いているかという問題について、われわれとしては関心を持っておりますけれども、すぐに入るがいいかどうか、その動き方いかんによって考えていくべき問題だと考えております。
○北山委員 そういう一般的な問題ではなくして、今度の安保条約の締結に際して、政府は、新しい日本とアメリカとの関係ができたのだ、しかも今度の安保条約は日米の経済協力であるというようなことで、いわゆる自由陣営の中の団結を強化するという面を非常に強調されておる。今の藤山外務大臣の御答弁であれば、これは何も従来から変わりのないようなあたりまえのことである。問題は自由陣営、西ヨーロッパやあるいはアメリカ等のブロックの中で日本の経済を持っていこう、あるいは政治、軍事面を持っていこう、こういうところにねらいがあるのじゃないかと私は思う。従って、日米経済委員会はどうなったのか、あるいはどうなるのか、見込みがあるのかないのか、あるいは北大西洋の経済会議の中に日本が入らないということは、私は、日本にとってあるいは日本政府にとって非常に重大な問題ではないかと思うのであります。日本が西欧先進国のお仲間入りをして、自分も先進国のつらつきをしていこうとしても、向こうはそのように扱ってくれないわけであります。そういう今度の北大西洋の経済会議にしても、やはりこれも日本を参加させない、西ヨーロッパの国が反対をしているというようなことは、日本が自分ではどう思っても欧米のブロックの中にしっくりと入りきれないという立場がある。これはわれわれとしてはよく考えるべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、最近のインド——インドが長いこと中立政策をとってきておる。そのインドにアメリカの大統領が訪問をし、今度はソ連の首相が訪問をして、そうして両陣営から首脳を迎えて、それぞれ経済的なサポートを受けておる。こういうような事態と照らし合わせまして、日本がこれから自由世界の一員であるというので、軍事的にも政治的にも経済的にもその一員として、資本主義の陣営の中にしっくりと溶け込もうとしても溶け込めないような現実について、どのような考えを持ち、どうしていくべきであるか、こういう点について私は藤山大臣のお考えを聞きたいのであります。
○藤山国務大臣 第一に、日米間の問題につきましては、現在まだそうした協議会等を政府レベルで持つようなことはすぐには考えておりません。ヨーロッパのいわゆる大西洋諸国の経済関係の問題につきましては、これはただいま御指摘のありましたように、ガットを通じましてもヨーロッパ各国が、日本経済というものと同じ自由主義の基盤に立っておりますけれども、またその自由主義の基盤に立った競争力というような点から見まして、必ずしも日本の立場を正当に理解いたしておらぬことは御指摘の通りわれわれも認めざるを得ないのであります。従って、そういう面につきましてはガットの三十五条の援用撤回の問題を初め、われわれとしてもできるだけヨーロッパ各国が、今日発展段階に来ております日本経済の実情を十分了解して、そうして同じ自由主義政策をとっております国の一員として、しっくりした関係に立つようにわれわれも努力をして参らなければならぬのでありまして、そういう意味での若干の偏見がないとは私も言わないわけでございます。御指摘の通りだと思います。従って、そういうものを打開して参りますためには、やはり日本において諸般の産業政策の上にも考えをめぐらして参らなければならぬことは当然だと思うのでありまして、そういうことによりまして、同じ自由主義を信じておる国同士、しかも経済の発展段階が今日の日本のようになった、また社会生活全般も逐次向上しているという実情に対しての十分な理解を、ガットその他を通してわれわれもヨーロッパに知らしめまして、そうして今言ったようなことのないように進めて参らなければならぬと存じております。
○小川委員長 北山君、あなたの持ち時間はあとごくわずかですから、簡潔に願います。
○北山委員 それでは私は最後に総理にお尋ねをしたいのでありますが、一九六〇年代という新しい年代に入ってきております。この新しい年代は従来の、戦後の十四年とは根本的に、質的に違った世界の情勢の変化というものが現われるのではないか、こういうふうに想像されるわけであります。その中で第一の問題は、社会主義国と資本主義国との経済競争、米ソの経済競争という問題であります。これはアメリカにおいてもいろいろ論議をされておりますが、あと十年間にして、ソ連はアメリカに経済力においても追いつく、追い越す、こういうふうに豪語しておる。また経済専門家のいろいろな統計資料から見ましても、今の経済発展の成長率から見るならば、ある期間たちますというと、確実に社会主義国が、ソ連が、アメリカを追い越すであろう、こういうことにいわれておるわけであります。とにかくこの一九六〇年代の十年間というものは、社会主義国対資本主義国の経済競争という面が非常にはっきりと出てくるであろう、特にその局面は、インド、東南アジアあるいはアフリカ等の後進国の開発競争において、これがはっきりと出てくるであろうといわれております。と同時に、資本主義の陣営におきましても、今までのようにアメリカが指導者の立場に立って、西欧なり日本なりの資本主義の復興と援助のために、アメリカが金を出してくれる、こういう情勢から一変をして、アメリカがむしろ西ヨーロッパの国々や日本と同じレベルに立って、対等の立場で資本主義国同士の経済競争をやろうというのが、今度の自由化の問題でもあるわけであります。すなわち二重の経済競争がこれから十年間行なわれる、こういう中で、結局において私は社会主義の勝利といいますか、そういうような結果にならざるを得ないのではないか、そういう競争は、しかし戦争ではないのでありますから、やはり力を背景とするような武力戦争ではなくて、平和な競争が展開をするということ、そしてそのことによって、資本主義国も結局においてはその国の制度を漸次平和的に改革をしていくことができる、こういう新しい世界情勢になってきておると思うわけでありますが、私はそういう政治的な経済的な背景からして、アメリカ自身が冷戦をやめて、平和な交流をソ連との間に持つという情勢が展開されておると思うわけであります。ことしはアイク大統領もソ連を訪問するということになっておるわけであります。従って、私は自由主義陣営の中にある現在の日本としても、やはり米ソのそのような方向と並行して、平和共存の方向を進んでいく。アイク大統領がソ連に行くならば、岸総理も北京に行く、あるいはフルシチョフ首相がアメリカに行くならば、周恩来首相を日本に招待する、こういうような方向こそが、私は日本の正しい方向ではないだろうか、こう思うわけでありますが、総理はどのようにお考えであるか、その所信をお伺いしたいのであります。
○岸国務大臣 一九六〇年代に対しては世界はいろいろな変化を受けるだろうということは、いろいろな人においていろいろな方向から論ぜられております。北山委員の御指摘になったような、自由主義陣営と共産主義陣営との間におけるところのいわゆる武力競争というものにかわって、平和共存による経済競争がいよいよ激しくなってくるだろうという予想は、これは私どももそういうふうに考えておりまして、また自由化ということが、同時に自由主義国内においてもいろいろな競争関係を生ずることも、これも御指摘のような状態であろうと思います。その場合において、日本の経済、日本の産業の発展ということを頭において考えるときにおいては、やはり内においては、日本の産業経済が持っておるところの弱い点を、いわゆる体質改善によってこの産業経済の基盤を固め、そして日本がそういう競争場裏におきましても日本経済と日本産業の繁栄を来たすような内政上の諸政策をとらなければならぬということは言うを待ちませんし、また対外的に考えましても、日本の貿易を拡大していき、経済活動をこれによって盛んにしていく、そしてその基礎であるところの各国との親善友好の関係というものを推し進めていかなければならぬということは、これは当然のことであろうと思います。従来も日本自身として貿易の拡大、友好親善の問題につきましては、決して自由主義の国々とだけ貿易をするとか、その国々とだけ友好親善をやっていくという考えではないのでありまして、お互いに自由主義の立場をとる国と、共産主義や社会主義の経済政策、政治の基本理念を異にしておりましても、私どもはお互いがお互いの立場を理解し、尊重し、そうして相侵さずしてお互いの交流なり友好親善を深めていくということが、この世界の平和共存の上において、また一九六〇年代におけるところの平和共存の上において私は必要である、かように考えておるわけでありまして、その意味において共産主義の国々に対しましても、われわれは従来承認していない国を承認をし、そして正式の外交関係を開いてそれぞれ在外公館を置いて、大公使を交換するというふうな政策をとってきておることも御承知の通りであります。そういう意味において、私どもは今後とも広く、今申したようにお互いの立場を理解し、尊重し、相侵さないという、この基本理念に立って、あらゆる国々と十分な交渉を持っていくということが望ましいと思います。お互いが理解し信頼し、そうして相侵さないということに何する上から申しますというと、民族的に広く国民の間におけるところの交流を盛んにしてその理解を深めることも必要でありますし、またその国の政治の指導的立場にあるところの人々がお互いの訪問を交換し合う、そうして理解を進めるということも私は望ましいことであると思います。こういう意味において、御指摘になりましたように、私どもは決して自由主義の国々とだけ交際するという意味ではなしに、社会主義の国々との間においても人間的な交流等を盛んにして、そうしてお互いの理解を進めていくというようなことが望ましいことであると、かように考えております。
○北山委員 これで終わりますが、ただいまの総理のお話は新しい安保条約の批准を求めている考え方、いわゆる武力の均衡の上に立った平和という考え方とはずいぶんニュアンスが違うようであります。もしもきょうお話のような考え方で外交、政治を推進されるとするならば、おそらく新しい、安保条約の改定などはしなかったであろうと私は想像するわけであります。 最後に一言申し上げておきたいことは、総理も、おそらく資本主義というものをこれからも持ち続けていくために働きたい、そういう信念であろうと思う。また、自民党の方々も、今の資本主義の制度というものを持続しようというのがその中心の考え方であろうと思うわけであります。ただ、今の世界情勢のいろいろな変動の中で、先ほど申し上げた中で、資本主義体制そのものをかりに持続したいと考えましても、それはやはり平和共存の方式によらなければならない。冷戦態勢で、社会主義と資本主義とは違うのだからというので、武力による対抗をやっておったのでは、資本主義自体が行き詰まりになってしまう、こういうような情勢になってきておる。その情勢をキャッチして、中国とも早く国交を回復し、貿易を開きたい、こう思っておる人たちが自民党の中の一部の人たちであろうかと私は思うのであります。そういうことを考えますると、今度の安保条約のごときは、やはりもとのダレス構想、——ダレスさんの亡霊にとりつかれたような、ダレスの冷戦コースをたどるものでありまして、新しい資本主義者の進むべき道でもないと私はそう確信をするわけであります。もしもいまだにこの情勢の中で冷戦の態勢を進めていくならば、おそらく資本主義国は戦争かあるいは恐慌か、あるいは暴力革命か、そういうような激しい変動を経験せざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えますので、私は、最後に、この世界の新しい情勢というものを見つめて、政府の責任ある指導者たちは誤りのない日本の外交の方向をきめていかれる、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わるものであります。
○小川委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時四十二分休憩 ————◇————— 午後二時六分開議
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。木原津與志君。
○木原委員 大体、第三次補正予算につきましては、わが党もこれを要求いたしたことでございますし、終局においてわれわれも補正予算には賛成をするものでございます。従いまして質問は前委員の北山氏が全般的に触れたことでございますから、私は問題を今次にかかっております安保条約の問題と、これが憲法上どういう取り扱いになるかということを中心としてお尋ねいたしたいと思うのであります。 そこで、まず大蔵大臣に一言だけ聞いておきたいのでございますが、昭和三十三年度の税収の見積もりは予算額より相当な減収であったと思うのでございます。ところが今度の第三次補正予算におきましては、三十四年度の税収の自然増収がその主たる財源になるものとわれわれは理解する。そうすると、三十三年度で税収が政府の見積もり税収よりも少なかったということになれば、はたして三十四年度にあなた方が見込まれているような財源としての税の自然増収ができるかどうか、この点についてあなたの自然増収についての見通しをお聞かせ願いたい。
○佐藤国務大臣 御指摘のように三十三年の税収入は、決算の結果は予算が実績より多かった、いわゆる赤字決算でございまして、しかしてこれはきわめて少額でございましたが、三十二年から三十三年にかけての経済の活動状況が御承知のような状況であった。しかしその後、三十三年の下期から三十四年にかけまして、経済の成長はめざましいものがありますし、非常に活発な動き、向上を示しております。その結果利益率等におきましても相当多額を見積もり得るという確信を得ましたので、今回第三次補正の財源として計上いたしたような次第であります。
○木原委員 そこで総理にお伺いいたしますが、まず最初に、私は過般の最高裁判所の判決で、これは御承知の通り、現行の安保条約についての憲法違反の問題で最高裁判所が昨年判決を下した。その判決の中に、安保条約が憲法に違反するか、あるいは違反しないかというような問題は、これは高度に政治的なものである。従って最高裁判所は憲法に違反するかどうかということは審査権がないのだ、審査をしないのだ、もっぱらこの安保条約のような高度に政治性を持ったものについて、それが憲法に違反するかどうかということは内閣と国会がきめることだ、こういうような判決をいたしております。私どもは最高裁判所は憲法裁判所と思っておる。法令あるいは条約が憲法に違反するかどうかということを最終的に決定するのが最高裁判所の任務だと思っておるのでございますが、実に意外な判決があって驚いておるわけであります。そうすると、結局条約や法律が憲法に違反するかどうかということは、あなた方内閣と、われわれ国会と、この二つがきめるということになるのでありますが、あなたはこの憲法について、そういうような考え方を持っておられるかどうか、あなたの所信を最初にお伺いしたい。
○岸国務大臣 最高裁の判決、それに含まれておるところの法律論は、これは私は日本の三権分立の建前の基礎から申しまして、われわれも尊重していくべきものである、かように思っております。
○木原委員 そういたしますと、最高裁判所が安保条約のような高度に政治性を持ったものについては憲法に違反するかどうかということは、内閣と国会できめるということになりますれば、法律及び条約というものが憲法に合致するかあるいは違反するかということについては、慎重にこれは論議しなければならない責任がお互いにあろうかと思うのでございます。従って政権を担当しておられる岸総理は、憲法のこの条章の順守については十分覚悟を持って、あなたの政権の維持も、憲法のもとにおける政治でございますから、憲法に違反しない、してはならないという確信を持って政治をやられる私は責任があろうかと思いますが、この点についての総理の御覚悟を初めにお聞きしたい。
○岸国務大臣 もちろん憲法の条章を厳に順守して政治を行なっていかなければならぬ、かように考えております。
○木原委員 そこで今回提案されておる新安保条約についてお伺いいたしますが、あなたも御承知のように、砂川事件に関連して東京地方裁判所が、現行の安保条約が憲法に違反するという判決を下しました。ところがこれを最高裁判所では憲法違反ではないという判決をやっておる。最高裁判所の意見と地方裁判所の憲法違反に対する意見とが全く正反対に食い違ってしまったが、いわゆる伊達判決では、なぜ憲法に違反しているかということについて、その基本をこの点に置いておる。日本国憲法の前文に「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」ということが厳然としてある。この「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」という日本国民の決意に対して、現行の安保条約においては、戦争の惨禍に日本が巻き込まれるおそれがあるんだ。従って現行の安保条約は憲法に違反するということを言うておる。この点はわれわれも政治的にこれを機会あるごとに強く主張して参ったのでございますが、その点から参りますと、今度の改正安保条約によれば、政府の行為によって戦争の惨禍が起こること、このわれわれの心配が如実にはっきり現われておる。条文をあげますれば、新安保条約の第五条及び第六条、特に第六条の規定におきましては、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、アメリカ合衆国の軍隊は、陸軍、空軍及び海軍が戦闘作戦行動を行なうことができるという。そうすると極東の安全の維持に寄与するためということで、あなたが前回も答弁されたように、米韓、米比、米華、こういった条約に基づいて日本の基地から出動するということになれば、必ず日本にはその反撃が加わることは当然なのです。反撃が加われば、第五条によって日本は自動的にこの条約によって、アメリカと共同して戦闘行為を当然とるのだ。現行の条約にはそういうはっきりしたものはない。しかし今度の安保条約には、戦闘行為に従事する日本が戦争の渦中に入る。しかも戦争の渦中に入るのは、何ら日本の安全と合致しない第三者の行為によって戦争に入るということがはっきり五条、六条によって出てきたわけです。こうなれば、私は現行憲法の日本国民の平和への決意、憲法の前文の一番の骨にこれが該当して、明らかに憲法違反であると断ぜざるを得ないと思うのでございますが、この点についての総理の御所信をお伺いしたい。
○岸国務大臣 法律の関係、条約の関係から申しますというと、日本に基地を持っておる米軍が、極東の安全と平和の維持にそれが侵害されたという場合に、出動し得ることができることは、現行の安保条約と今度の安保条約とで少しも変わっておらないのであります。ただ変わった点は、そういう場合にアメリカが一方的に何ら日本の意思にかかわらず、従来は行動できたのでありますけれども、今度の新安保条約においては、事前協議の対象となって日本の意思を聞かなければならぬということが違っておるだけでありまして、最高裁の判決は現行の条約、憲法の各章にあたって検討した結果の有権的の解釈でありますから、私はその点において変わりはない、かように考えております。
○木原委員 最高裁の判決は、今の戦争の惨禍に巻き込まれるという点についてはほおかぶりをして、何ら判決で述べていないのですよ。この点は、判決そのものについて、私は議論するわけではありませんが、戦争の惨禍に巻き込まれる危険があるのだということに対して、最高裁はほおかぶりしてそれには何ら答えていないのですよ。答えないで判決している。だから私が総理にお聞きするのですが、現行の安保条約では、第一条に、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために、日本の基地を使用することができる、ただこれだけの文句なんですよ。これだけの文句でも、日本が戦争の渦中に入るという危険があるのに、かてて加えて、新しい今度の条約においては、第五条、第六条において出動、共同作戦、米軍のいわゆる域外出動、こういうものに対して事前協議をするのだということになり、さらにその域外行動によって反撃を予想される場合に、それに対して共同作戦をとるのだということになれば、これは日本国政府の行為によって戦争の惨禍を引き起こすことになり、憲法の前文にまっこうから違反するということになるのであります。どういうわけで憲法違反にならぬかということをあなたにお尋ねするのです。
○岸国務大臣 根本の考え方は、私はこの点を木原委員もよく御理解をいただきたいと思うのです。それは現行の安保条約にいたしましても、今度の新安保条約にいたしましても、問題は今の国際情勢から判断をして、日本にそういう侵略があった場合に、これを排撃する実力を持っておること自体が、戦争を現実に抑止する力になる。これはしばしば防衛庁長官も、日本の自衛隊というものの意義並びにその目的を論ずる場合に申し上げておることでありますが、私は今日の現実の国際情勢から判断いたしますと、そういう実力を持つことが戦争を誘発し、戦争に巻き込まれる危険にさらされるのだという考え方ではなくして、そういうことを持っていることが戦争を抑止する力になるのだ、こういう立場に立っておるのでありまして、根本の考えは、その点を十分御理解いただきたいと思います。 それから現行の条約におきましても、今第一条をお読みになりましたが、それに、「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し」云々、それから内乱の事項がありますが、そういうふうに、日本に駐留しておる軍隊が極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために出動できるということは、現行の安保条約にも、一条にちゃんと明記されております。ただ違うのは、現行の安保条約においては、米軍がそういう行動をする場合に、日本の意思を聞くことなしに勝手にできたわけでございますが、今後はそれが事前協議の対象となって、日本の方は自主的に、これに対して許諾するかあるいは拒否するかということをきめ得るようなことになっていることが違うのであります。
○木原委員 武力を持っていることが、アメリカの駐留軍を国内に置いておるということが、戦争の抑止になるのだというあなたのお話なんです。その点も、一部私どもはわからぬことはない。わからぬことはないが、そのアメリカ軍が極東の平和と安全に寄与するために、陸軍、海軍、空軍が極東の、日本の地域外に出て戦闘行為をやるということが、六条によってはっきり予定されておる。もしこういう場合が起こったときに、日本基地から——たとえばかりに金門、馬祖の戦闘が開始されたとする。それに米軍が第六条によって、「極東における国際の平和と安全の維持に寄与」するためということでここに出動したということになれば、これは勢い、日本の基地に反撃を受けるわけなんです。そうすれば、好むと好まざるとにかかわらず、われわれは日本国土をあげて戦争の中に入り込む。しかもそういう場合は、日本の自衛隊も個別的自衛権の発動によって、アメリカ軍と共同をして戦闘をやるのだということが、この五条にうたわれておる。こうなれば、これは好むと好まざるとにかかわらず、われわれは戦争の中に入り込まざるを得ない。しかも、そういう条約を結んで駐留軍を国内に置くことを承認する政府の行為は、これは、戦争の惨禍に再び巻き込まれないように決意した日本国民の十五年前のこの憲法の宣言と違うじゃないか、この憲法を読んでおられながら、どういう気持で、明らかに戦争行為に入るということを予定したこういうような条約を結ばれるかということを、私は申し上げたい。
○岸国務大臣 私の申し上げることは、現在の安保条約も、もちろん日本政府とアメリカ政府が合意の上でできた条約でございます。そうしてその条約においても、日本に米軍を駐留せしめる、いわゆる基地の貸与をいたしております。その基地におるところの米軍の行動というものは、日本自身が他から侵略されたという場合に、出動してこれを排撃することはもちろん、極東の平和と安全が乱されるような侵略行為が行なわれた場合において、国連憲章等に基づいて米軍が出動することもでき得ることに、現在の安保条約もなっております。しかし、その場合において、日本の政府の意思というものは、これを確かめるとかあるいは相談する、協議するということは、現在の条約においては全然なかったのであります。今度の新しい条約においては、そういう行動をなすこと自体は、全然現行の安保条約と同じでありまして、それが違うことは、日本の事前協議の主題になりますから、日本政府は、自主的な立場からこれに対して——従来は何も言うことはできなかったのでありますが、日本の立場からこれに対して、ある場合には拒否できるというような根拠を置いたということが違っているわけでありますから、現在の安保条約が、今おあげになりました憲法の条章に違反しているものではないという解釈に立っておるこの最高裁の判決の趣旨は、今度の条約におきましても少しも変わっておらない、こういうのが私どもの解釈でございます。
○木原委員 また最高裁の判決を例に引かれましたが、最高裁は、この戦争の惨禍に巻き込まれるということについては、何にも判決をしておらないのですよ。これは素通りしておるのですよ。何にも言っておらない。それでは私は、戦争の惨禍に巻き込まれるという具体的な例をあなたにお尋ねしますが、たとえば極東の平和と安全ということに対して、これの範囲内に南朝鮮あるいは金門、馬祖が入っておるということを、あなたは前回の委員会でおっしゃいました。これが極東の平和及び安全の維持に寄与するというこの条約目的の中に入っておるということになれば、今中共と台湾との間に、金門、馬祖を中にして争うておる。やがてまたその間に紛争が起こるでありましょう。起こらないとはだれも保証できない。あるいは南北朝鮮の間に戦闘が開始されるというおそれも、危険もあるわけです。こういう場合に、六条によって米軍が出動する。出動をするということになれば、必然的に日本の基地に反撃が来ることは、これはだれでも予想されることなんです。その予想されるということになれば、ここから日本の国土が戦争に巻き込まれるじゃないか、こういうようなことが明々白々となれば、これは政府の行為によって戦争の惨禍を引き起こすということになるのであります。だから、そういうはっきり戦争を予定した条約は、私は憲法の前文によって、これは日本国憲法にまっこうから違反しておる、違憲の条約だと断ぜざるを得ない。具体的に一つ総理から御答弁をお願いします。
○岸国務大臣 日本にいる米軍が出動する場合は、言うまでもなく、日本の国土に対し、あるいはいわゆる極東の地域に対して侵略があった場合に、これに対処して国連憲章の規定に従って行動するという前提に立っておるわけでございます。もちろん、日本の領土内における基地から米軍が出動したという場合に、直ちにそれでは日本が戦乱のちまたに引き込まれるかどうかという問題に関しましては、具体的な問題については、現に、御承知のように、朝鮮事変という事変がございまして、朝鮮の動乱に際して日本の基地から米軍は出動をしております。しかしながら、その場合に直ちに日本が戦争の中に引き込まれておったかというと、そういう事態ではなかったのであります。これは過去における実例であります。しかし永久にそういうものだとばかりは論ぜられないでしょう。木原委員のお話のような事態が起こり得ることも考えておかなければならぬ。従って日本の領域外に米軍が出動するという場合においては、従来は日本の意思を無視して、日本の意思には関せず、米軍が勝手にそういう行動をして、その結果として、日本が知らない間に巻き込まれるというような事態が起こるということも理論的にはあり得たと思いますが、今後は日本の意思を明らかにするために事前協議の主題といたしておりますから、日本を不必要に戦乱に巻き込むというような事態が起こらないように、われわれとしてはこの事前協議において十分慎重に対処していくべきものである、かように考えております。
○木原委員 それならば、あなたは事前協議でそれができるということをおっしゃいましたから、事前協議の問題に質問を移したいと思いますが、事前協議によって日本はノーと言えるのだ、ノーと言ったらアメリカは出動をしないのだ、あるいは核武装もしないのだ、装備あるいは出動について日本がノーと言ったらしないのだということをあなたは自信を持っておっしゃっておるが、それは、確実に、いかなる場合においても、アメリカが出動をしたり、核武装をすることに応じないという保証は条約のどこにあるのでございますか、それを最初に指摘していただきたいと思います。
○岸国務大臣 条約の付属の交換公文におきまして、事前協議の主題とするという意味はそういう意味でございます。
○木原委員 この交換公文というのは、聞くところによれば、アメリカでは国会の批准を求めるものではないということであります。そうすると、交換公文というのは、議会の承認を得るものでもないから、単なる政府の政策宣言というようなものであろうと思うのですが、そういう政策宣言のようなものに、あなたのおっしゃるような事前協議でノーと言う、そういう強い権利あるいは義務のようなものがあるのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。
○岸国務大臣 国家間の約束としての意義は、交換公文であろうが、あるいは条約であろうが、同じでございます。ただそれの批准を求めるか、あるいは国会の承認を得るかどうかということは、アメリカの国内法できまるわけでございまして、それがどうなっておりましても、国家間の約束として両国がこれに対して権利義務を持つことは当然でございます。
○木原委員 この事前協議のノーということにつきまして、あなたは、過ぐる六日の当委員会におきまして、民社党の今澄委員の、拒否権を意味するのかという質問に対する答弁でこう言っておられる。国際法上の拒否権とは、多数のものが協議する場合と、第三者が入る場合しか使われない。二当事者間の合意についてノーと言えることを拒否権というならば、その意味では拒否権はあるのだ。こういう答弁をなさっておりますが、この通りいま一度確認されますか。
○岸国務大臣 その通り、答えました通りに考えております。
○木原委員 これが拒否権があるということになりますれば、私はこの拒否権は法律上も条約上も効力のあるものであると思いますが、そうですか。
○岸国務大臣 先ほど申し上げましたように、この拒否できるということの根拠は、交換公文における事前協議の主題とするということの解釈でありますから、そういうふうに条約上両国の間の権利、義務をきめておる、この上においてそういう権利を持っておる、こう解釈をいたしております。
○木原委員 それならば総理にお伺いしますが、日本が事前協議で同意しない、ノーということになれば、アメリカの駐留部隊は域外出動もできない、あるいは核武装もできない、その他の軍の増強、装備、配備について一切それを尊重して日本の言う通りになるということになれば、日本の政府はアメリカの駐留軍に対してその意味における管理権を持っておるということになりますが、いかがです。
○岸国務大臣 そういうことには私はならぬと思います。
○木原委員 アメリカの駐留軍が外に出ていこうというのを出てはならぬ、そこまで行ってはならぬということで制限を加え、あるいは核武装をするというのに対して核武装をしてはいかぬ、そうすれば核武装をすることができない、それが法律的に効果があるということになれば、これはりっぱに日本が駐留米軍に対する管理権を一部持っておる、全部とは申しません、一部でも持っておるということにならなければならぬではありませんか。
○岸国務大臣 ある軍隊に対する管理権とかあるいは指揮権というような言葉で呼ばれておる内容は、そういうものではないと思います。今のこの条約上、日米両国の間においてわれわれがどういうように事前協議をし、その際に日本がどういう意思表示をするかということ、アメリカの政府がその日本の意思表示に対してそれを受け入れるということが問題であって、それから先の、どういうふうに米軍を米国において管理していくかという問題は、これは米国内の問題でありまして、われわれがそういうふうなイエスとかノーとか言い得る権利を持っておるということと、米軍に対してわれわれが管理をしておるということとは私は全然違う観念である、かように思います。
○木原委員 アメリカ軍に対して全部の管理権を持っておるということにはならないでしょう、常時管理するのではないですから。しかし、少なくともアメリカ軍が兵力を増強する、あるいは核武装をするということに対してそれはしちゃならぬのだと言ってこれをとめる権利がある、あるいは域外出動する、戦闘作戦行動をとるということに対して、われわれが同意しなければアメリカがその兵隊を動かすこともできないというようなこの事実は、少なくとも管理権の全部ではないが、われわれに管理権の一部があると言わなければ、あなたのおっしゃるようにノーと言うのは何もならぬことになるではないですか。結局事前協議ということは、アメリカに言われたことをイエスと言うことだけだということにならざるを得ないではありませんか。
○岸国務大臣 このイエスと言い、ノーと言う関係は、アメリカ政府と日本政府との関係でございまして、軍隊の管理権の問題は、ノーと言った場合におきましても、日本政府が直接に何らアメリカの軍隊に対して命令をするわけではありませんし、われわれが直接にアメリカの軍隊の行動を制限するわけではございません。それはアメリカ政府がアメリカの軍隊に対してやるのでございます。
○木原委員 それは、総理のお言葉はちょっと解しかねる。アメリカが自発的に制限をする、日本が制限をするのではないとおっしゃいますが、日本がノーと言うからアメリカがそれをやれないのでしょう。そういう事実自体は日本に管理権の一部があると言わなければならぬではありませんか。これはもう法律の通念ですよ。これを否定されるならば、あなたのおっしゃる事前協議でノーと言えるというのはうそですよ。インチキだ。
○岸国務大臣 私はアメリカ政府が自発的にそういう制限をするとは申しておりません。あくまでも日本と事前協議をして、日本がノーと言った場合にそれに反した行動はとらないというこの条約上の解釈から当然やらないのでございます。しかし、それは日本とアメリカとの国の間のこの条約上の権利、義務の関係でございまして、軍隊の管理そのものについては日本政府は何ら触れておらないのでございます。従ってそういうことをノーと言えて、ノーと言った場合にアメリカ政府がその日本の意思を尊重して、その通りにノーと言ったことはやらないということは、アメリカ政府がこの軍隊に対して持っておる管理権や指揮権をどういうふうに発動するかという問題でありまして、日本政府とアメリカの軍隊との間の管理権や指揮権とは何ら関係がないことでございます。
○木原委員 その日本の主権によってノーと言う場合にアメリカがそれをのまざるを得ない。意思に反して装備あるいは出動というこの重大な軍隊の——これはもう骨なんです。装備をどうするかあるいは出動をどうするか、配備をどうするかということは、これは一番重大な、軍の管理の一番の骨なんです。この骨についてアメリカが自分勝手なことができない、日本の力によってそれができないということになる場合は、そこに日本政府がアメリカの駐留軍に対して管理権を行使しておるという状態が出てこなければ、これは話にも何にもならぬじゃありませんか。もしそれができないのだったら、あなたのおっしゃる事前協議にノーと言えるというのは、これはまっかなうそですよ。インチキですよ。
○岸国務大臣 しばしばお答え申し上げている通り、これは私きわめて明瞭な事態だと思います。アメリカ政府がアメリカの軍隊に対して管理権を持っておる。そのアメリカの側から見ましてアメリカの管理権が何でもできるにかかわらず、日本がノーと言った場合にはできないという意味において制限を受けるという事実は、これは認めざるを得ないだろうと思います。しかしアメリカの持っておる管理権が制限されたということが、直ちに日本政府がアメリカ軍に対して管理権を持つということとは全然意味の違うことでありますから、その点は先ほど来私が申し上げているごとで御了承いただきたいと思います。
○木原委員 あなたの言われるその部分についてアメリカ軍の行動を——アメリカの主権の発動ができないでしょう。思う通りできない。そのできないようにするのは、日本の政府の意思が加わっているからできないようになるのでしょう。そうすれば日本がノーと言う部分について日本の管理権の行使がやれないというわけはないじゃありませんか。もしこれがやれないというのだったら、それはもう事前協議になりませんよ。
○岸国務大臣 しばしばお答え申し上げているように、軍隊に対する管理権というのは、日本政府がかりにアメリカ軍隊に対して管理権を持っておるというならば、直接にこれに対してある行動を命じたり、ある行動を禁止したりすることが、これが私は管理権だと思う。そういうことはアメリカ政府が、アメリカの軍隊に対しては日本に駐留しているものに対しましても持っておるわけでありまして、日本が直接にそういったことをやるわけではございません。従ってそういう場合においてアメリカの管理権が制限されたからというて、それでもって日本がその制限された部分では管理権を持っておるというようなことは、私はこれは一般の法律論でも成り立たないと思います。たとえばいろいろな国際条約の上においてある程度主権の行使というものが——主権は絶対的に動かし得るにかかわらず、主権の行使がある場合において、制限されたからといって、それでは相手方がその部分について主権を持つかというたら、そういうものでは私はないと思います。管理権という性格から申しまして、アメリカの軍隊がわれわれがノーと言った場合において行動が制限を受けるというからといって、日本がその範囲内において管理権を持っておる、こういう解釈はすべきものではないと思います。
○林(修)政府委員 ちょっと今の点補足させていただきますが、最高裁判決等で、あるいは最高裁判決の砂川事件における検察側の上告理由等で指揮権、管理権という言葉を使っておりますが、この意味は、私ども理解する範囲においては、つまり自分の国の軍隊と同様に、その軍隊に対して直接指揮命令をし、あるいは人事を管理し、あるいは給与をどうするとか、そういうふうな自国の軍隊と同様な形においてその軍隊を指揮し運営し管理し監督する、そういうことを意味しておると思います。そういうことがいわゆる管理権、指揮権でございまして、条約の結果としてアメリカ政府が自国の軍隊を管理するについて何らかの制限を受ける、それと日本政府がそれに対して管理権を持つということは全然別のことであります。日本政府は米国軍隊に対して何も直接の指揮権も持ちませんし、あるいは給与や人事を直接管理し、監督する権限は持たないわけであります。そういう意味における管理権、指揮権は何らないわけであります。
○木原委員 あなたは政府の弁護人だからそういうようなことをおっしゃるのですが、私は日本が指揮権を持っていると言っているわけではないのですよ。指揮権を持っているということは一言も一言っておらぬ。問題は、管理権の一部を持っておるということを言っている。大体NATOの条約にいたしましてもこの安全保障条約にいたしましても、外国の軍隊がその国の中に駐在して、その駐在されておる国が駐在しておる軍隊に対して何らの権限もないということになれば、これは完全なる主権の侵害ですよ。かりに管理権も指揮権も持たぬ外国軍隊がここに入って基地を持って勝手なことをするということになれば、それだけでこの国の主権は制限を受けているわけなんです。その部分について主権を放棄している。この主権の放棄を、自国の管理権を持つことによってどれだけ回復するかということが、ヨーロッパのNATOにおける外交の一番重要な点であったことは、私が指摘するまでもなく総理は御承知のことと思う。アメリカの駐留部隊に対して、管理権の一部でも持つことによって、主権の制限をどれだけ少なくするかということに、イギリスやフランスの外交があったわけであります。そうして彼らはとうとうそれをとった。とったのにこたえて日本でも、条文の上でははっきり管理権を持つという条文は作り得なかったけれども、しかしこれもあなたの努力によって、交換公文において事前協議ということを取り付け、その事前協議がさらにノーという一つの拒否権を作り上げたということは、外交上の問題としてはあなたの成功なんですよ。その成功の上に立って、それならば管理権をわれわれは持つようになったのか、持つようになったらばいいことじゃないか、NATOにおけるイギリスやフランス並みになったわけだ、だからその点を、直接管理権がない、日本がノーと言った場合に、アメリカがその意思によってただそれを尊重してやらぬというだけで、それは管理権がないのだということにあなたがおっしゃるならば、そんなものだったら、事前協議はノーはありませんよ。ノーの法律上の効力というものは何にもないということになるじゃありませんか。
○岸国務大臣 いわゆる事前協議の場合に、日本が拒否できるかできないか、これはしばしば論議されたことでありますが、明確にお答えしているように、拒否できる。そうしてその場合においてアメリカが、拒否したことに反した行動はできないのだ、それは交換公文の事前協議の主題とするということの意義であるということを、しばしば申し上げております。しかしそうだからといって、今御説明になっておりました、米国軍隊に対して、その部分において日本が管理権の一部を持ったのだというふうに、管理権というものはそう解釈すべきものではなくして、日本政府は、それだからといって直接にアメリカの軍隊に対して管理をするわけではない。しかし、それが管理をするわけではないから、拒否ということは意味をなさぬではないかという論理は成り立たないのでありまして、拒否したことに対しては、アメリカ政府はこれに反した行動はしない、そうして行動しないようにアメリカは管理権を行使するということの結果になるわけでございますから、ちっともその間に矛盾もなければ、そうして拒否するということが非常な意味のないことだというふうな議論は成り立たないと思います。
○木原委員 それならば、あなたも御承知のように日本は憲法九条によって陸海空軍その他戦力はこれを保持しないという厳粛な規定を持っております。戦力不保持。そうすると日本が安保条約によってアメリカの陸海空軍を置いている。その置いている空軍が自由に域外に出動する、あるいはこれが核武装をするというような場合においては、これをノーと言って拒否することができる、アメリカはそれを甘んじて受けて日本の意のままになるのだという。そういうような軍隊——あなたは管理ではないとおっしゃいますが、管理権に似たような権力をわれわれが持っているその部隊が日本におるということになれば、これは第九条のその他の戦力はこれを持たないという憲法の規定とどういう関係になりますか。この憲法の規定は、そういった外国軍隊が駐留すれば、それも日本の自衛隊と一緒になって戦力になるとわれわれは考えるが、一部のそういったノーと言える外国軍隊がおっても、それは戦力の中に含まれませんかどうか、その点についてのあなたのお考えをお聞きしたい。
○岸国務大臣 憲法九条の、要するに二項の戦力という意味につきましては、われわれはこの日本が持っておる自衛権の裏づけとしての必要最小限度の実力は、二項において禁止する戦力ではない、こう解釈しております。そうしてアメリカの軍隊そのものが戦力を持っていることは常識的にも事実上もそう解釈しなければならないと思います。しかし憲法九条の二項で禁止しているところの戦力は、日本自身の持つ実力の範囲を規定しているものでありまして、日本に駐在しているところのアメリカ軍はあくまでもアメリカ軍でありまして、日本の軍隊や自衛隊でないことは言うを待たないのであります。従ってそれは憲法にいっているところの戦力を保持しないということの違反にならない、かように考えます。
○木原委員 そうすると、この外国軍隊の駐留、いわゆるアメリカの駐留軍は、大きな部隊になり得る可能性はあるわけなんですね。全土基地という関係からなり得るのですが、そういう大きな部隊をここに置いて、その部隊が出動したり、あるいは装備を変更したりすることについて、日本がノーと言えばできない。管理のその点まで日本が権力を持っているというような軍隊でも、これは憲法九条の戦力にはならないのですか、お答え願います。
○岸国務大臣 アメリカ軍がどれだけ大きな軍隊・兵力になるかどうかという問題は、憲法の九条の戦力とは関係ないのであります。そうした場合に、それでは日本がそういうものを黙ってみておるかどうかということについては、先ほど来申し上げておるところの事前協議の主題になりますから、ある場合においては、日本がノーと言ってその軍隊の無限に増大することを押えることもできましょう。しかしそれが直ちに先ほど来言っておるように、私どもは米軍に対する管理権の全部または一部を持っておるという解釈にはならない、私はこう考えます。
○木原委員 それでは次に転じますが、その前にせっかく管理権の問題が出ましたから、管理権というものは、駐留軍に対してどういうような行動を日本がとり得るというときに、どういう権利を行使し得るときに、アメリカの駐留軍に対して日本が管理権を持ったということが言い得る状態になるか、その管理権の定義を、政府の見解をお聞きして次に移りたいと思います。
○岸国務大臣 われわれが日本の自衛隊に対して持っておるような権力を、アメリカ軍に対して持つということになれば、日本は全面的に管理権を持ったということになると思います。 それからそういう全面的でなくても、一部持つとかいう問題につきましても、常に日本政府が直接にもしもアメリカ軍に対して何らかの事項を命令し、何らかの事項を日本でもって直接に制限するとか、あるいはあることをやらせるとか、あるいは給与その他の問題に関与して、日本政府自体がこれに対してある権力を行使するということになれば、これは管理権の全部ではなくても一部を行使したということになるだろうと思います。それ以外は日本の政府がアメリカ軍に対して管理権を持つということは絶対に起こらないと、こう思います。
○木原委員 今の総理の定義を聞いていると、日本がアメリカの部隊に対して指揮権、管理権全部を持ったときに、初めて管理権を持つのだというふうに答弁なさっている。私は指揮権のことを言っているのじゃない。自衛隊は日本の戦力であることは、これは間違いない。何となれば、指揮権も持っておるし、管理権も持っておる。指揮権も管理権もあなたとそれから防衛庁長官が持っておるのだから、これはもう問題ない。ただアメリカ軍に対してどういう状態の管理ができるときに、あなたは管理権が日本にあると言うのか、その点政府の御見解を参考までに聞いておきたいのです。
○林(修)政府委員 今管理権に限っての御質問でございますが、いわゆる俗に指揮権、管理権というものについて、指揮権と区別する意味で管理権という言葉を使います場合に、私どもの考えておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、たとえばその軍隊の人事とか、組織、編成あるいは給与、そういうものについて日本政府が全部の責任を負って、自分の意のままにそれを編成し、あるいは給与を支出し、あるいは人事をやる、そういう点、いわゆる自国の軍隊と同様なものに扱う、こういう場合に私は管理権を持つということだと思います。
○木原委員 一国の軍隊と同様にということになれば、それは完全な管理権じゃないか。そんな完全な管理権がなければこれを管理権と言わない——私が言うているのは、一部の管理権でも持てば戦力になるのじゃないかということを考えるので、一体全部の管理権を持たねばいかぬのか、一部の管理権ではいけないのかという点を聞いている。
○林(修)政府委員 この点は従来政府の考え方もそうでございますし、最高裁の砂川事件の判決でも明らかにそう言っております。憲法第九条第二項でいう戦力は、日本自体が保持主体になることをいっております。日本自体が保持主体になるものがあそこでいう禁止された戦力であるとすれば、つまりこれはいわゆる日本自身が持つ軍隊の場合には、当然そこに入ってくる対象になるわけでございますが、かりに外国の部隊を云々する場合には、結局、それが日本が自分で持ったと同じ状態にならなければ、ここでいう九条二項の問題になってこない。つまりそれは全部の管理権、指揮権を持つ、こういうことだと私は思います。
○木原委員 全部の指揮権と管理権を持たなければ、主体としての軍にならないのだということをおっしゃいますが、それならば自衛隊はわが国の軍隊だ、指揮権も管理権も持っておる軍隊だとあなたはおっしゃった。それなら自衛隊の指揮権も管理権も日本の政府が全部持っていますか。この自衛隊は、アメリカからいろいろな武器やその他の援助を受けて装備しておる。この装備を援助でやっておるが、その監督に軍事顧問団が来ておるでしょう。そうしてこの軍事顧問団が、アメリカが供与した武器その他の装備をアメリカの利益のためにはたして有効に使っておるかどうかということを監視して、そうして監視した結果、使っていないということになれば、武器の援助はいつでも打ち切るということになっておる。だからアメリカの演習計画あるいはアメリカのいろいろな意向に基づいて日本の自衛隊は動いておるじゃありませんか。こういう意味において、見方によれば、日本の自衛隊は指揮権も管理権もあなたはあると言われるが、そういう意味においてアメリカに一部管理権を持たれておるということになるのですよ。その点どう考えられますか。
○林(修)政府委員 お言葉でございますが、私どもはそうは考えません。自衛隊に関しては、これはいわゆる九条二項で保持を禁止されている戦力でないことはお断わりするまでもございませんけれども、そういうことは別といたしまして、自衛隊について日本政府が管理権あるいは指揮権を持っておりますことは自衛隊法上明らかでございます。それでその自衛隊に対してアメリカからいろいろの武器とか装備の援助を受けているということは、そういう援助を受けているということでございます。援助を受けたことによって向こうとの間にいろいろ貸借の約束をしておるということはございますが、それは直接にアメリカ軍なりアメリカの顧問団が自衛隊に対して管理権を持つという意味じゃございません。管理権は日本政府なり日本の行政機関が完全に持っているとわれわれは考えております。
○木原委員 管理権という言葉をあなたは間違っていられるのじゃないかと思う。管理権というのは、何も管理権があって、その権利に基づいてやるのじゃないでしょう。まず事実があるんですよ。支配して行使される事実がある。たとえば今言うように、装備の問題だとか配備の問題、そういう点についていろいろと他国からの制約を受けておる、その制約を受けておる状態を制約者の側から管理権という言葉を法律上使っておるだけじゃありませんか。何も管理権というものが初めにあって、その管理権の行使としてやるわけじゃないでしょう。支配の事実、その事実を目して管理権と法律で用語を使うだけじゃありませんか。そうすると事実が先であって、言葉の管理権とかなんとかいう、指揮権とかいうようなものはあとなんですよ。そうすると日本の場合においても、そのアメリカの軍に対してノーと言えば、アメリカがどうにもできないということになれば、そこに管理権の全部でないかもしれぬが、一部があるというこの法律状態をなぜ是認できないのですか。
○林(修)政府委員 どうも管理権という言葉の使い方が、木原委員と私どもと違っておるようでございます。私どもは、先ほど申し上げましたような意味で管理権という言葉を使っております。従いまして、先ほど申し上げましたような意味の管理権は、自衛隊についてはもちろん日本政府が完全に私は持っておるものと思います。もちろんその自衛隊の使っております装備とか、あるいは武器等は、あるいはアメリカ政府から貸与を受けておるものもございます。無償援助を受けたものもございます。その結果として、あるいは報告をしなければならないものもあり、あるいはもちろん善良に管理をして、貸借契約が終わればそれを返すについていろいろ約束をしておるものもございます。しかし、そういうものがあるからといって、現に自衛隊が持っておるものについて管理権を米軍が持っておる、あるいはアメリカ顧問団が持っておるということにはならないと思います。そういうものは私どもは管理権とは申さない考えでございます。これが私は、管理権あるいは指揮権という言葉の普通の意味の解釈だと思います。
○木原委員 そういう答弁をなさるならいつまでやってもきりがなくて、時間がありませんから、次に質問を変えますが、この間から安保条約の駐留目的の極東の範囲について非常にもたもたしておる。新聞の伝えるところによれば、あなた方首脳部でいろいろ打ち合わせられて、極東の範囲について確定した解釈ができたということを私は昨日の新聞で見ましたが、この極東の範囲について最終的なあなた方の、もう今後訂正せぬ——今まで二度も三度も訂正してこられましたが、もうこれからは訂正せぬのだという、その最後の確定的な極東の範囲というのをお聞かせ下さい。
○岸国務大臣 今まで申し上げておるように、フィリピン以北、日本及び日本の周辺をさして極東ということは、終始一貫同じでございます。
○木原委員 安保条約では四条と六条に極東の平和という言葉があるのですが、この四条にいう極東もフィリピンの以北、日本の周辺、それから六条にいう極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するための米軍の出動、この場合の極東、これは範囲に変わりはございませんか。
○岸国務大臣 極東の範囲に変わりはございません。
○木原委員 そうすると、総理のお答えと、先日聞きました外務大臣のお答えと、そこに食い違っております。外務大臣、この前あなたは、四条にいう極東は、これは常時協議するのであって、この場合の極東と、それから米軍が出動するときの極東の範囲とは違うのだということをはっきりおっしゃった。今総理は、四条の極東も六条の極東も同じだ。それからきのうのテレビを私聞いておりましたが、そこにおられる官房長官と与党の副幹事長の藤枝さん、それからわが党の横路、それから今澄、この四人がきのうテレビで十一時から対談をやっておった。このときの藤枝さんも官房長官も、あなたまた知らぬと言うかもしれないが、そこのところは政府の今までの答弁がいささか混迷をしておるんだ、事実はこれは違うのだということをおっしゃった。三人三様に言うことが違うから、これはどうしてもここで一ぺんはっきりした御答弁をいただいて、確認をしないと、私は寝ざめが悪いのです。だから、あなた方二人は、総理の何と違う答弁を、そのままその通りとおっしゃるのか。そうでなければ食い違っておる。閣内が統一していない。閣内が統一していないばかりでなく、きのうの藤枝副幹事長の話を聞いてみても、これは政府と与党との見解も食い違っておるということで、その点について、きのうはテレビの司会者からもひやかされておりましたから、一つはっきりした御答弁を得たい。
○藤山国務大臣 極東の平和と安全を維持する、日本の平和と安全を維持するということに対して、日米両国は共通の関心を持っておるわけであります。従いまして、われわれとしては、日本の安全を守る上におきましても、あるいはそのうらはらになります極東の平和と安全——影響になってくる極東の平和と安全というものを考えます上におきましても、むろん一般的な世界のいろいろな紛乱も極東に影響して参ります。従って四条におきましては、各地において極東の平和と安全に影響するような問題については、われわれは協議していくのは当然なことだと思うのであります。でありますから、そういう意味において、極東の平和と安全ということに関心を持っている立場において考えておるわけでございます。また、極東の平和と安全を維持して参りますために、またそれに寄与するためにわれわれは基地を提供いたしておるわけであります。でありますから、日本の平和と安全を害するときには、むろん基地を提供しているわけでありますから、それによって考えて参ること当然でございます。同時に、極東の平和と安全ということがやはり日本の平和と安全にうらはらでございます。従って、極東の平和と安全が維持されることが非常に必要であるということは申し上げるまでもない。でありますから、先般来申し上げているように、フィリピン以北ということを申し上げ、また日本周辺と申し上げ、あるいはそれを含む海域と申し上げ、おおむねその地域をわれわれは極東の範囲として見ておるのでありまして、それに影響をしますような事態に対してはわれわれは考えていかなければならぬ、こういうことでございます。
○木原委員 あなたの今の答弁は、総理の極東の範囲とは違いますよ。簡単にお聞きする。四条でいう極東と、六条でいう極東とは違うのか、違わぬのか、その点を。前置きはいいですから、おおむねとか、ぼやっとしたような御答弁でなしに、はっきり言っていただきたい。違うんですか。
○藤山国務大臣 われわれは前から申し上げております通り、フィリピン以北、日本の周辺及びその海域——大体はっきりした線を引けないから、おおむねその範囲内ということを申し上げておるわけであります。ただ四条の場合には、各方面に極東の平和と安全を維持することに対して影響のあるような問題がございます。従って、当然これは協議いたさなければならないと思います。また、六条の場合においては、極東の平和と安全を維持していくわけでありますから、おおむねその範囲内で行動するということを申し上げておるのであります。
○木原委員 それならば、今あなたのおっしゃるのは、総理の言うことと違うじゃありませんか。これは違いますよ。それじゃ、ちょっと官房長官に御答弁願いたい。
○椎名政府委員 総理が申し上げておる通りであります。
○木原委員 あなたはこの間もここに来てからそういうことを言ってごまかしたじゃありませんか。そうして、ここの委員会から外に出れば勝手なことを言っておる。きのうなんか、テレビで——あれは全国に放送されるやつですよ。テレビの全国放送の中で、四条の極東と六条の極東とは違うんだ。そうして政府が四条の極東と、この行動範囲と目的とをごっちゃにしておるところに混迷があるんだ。私は聞いておるから言葉まではっきり覚えておる。混迷があるんだ。これは違うんだとあなたははっきり言っておる。それを今ごろになって、総理と同じことだ。あなたは委員会に来れば総理のあとにくっついてばかりいる。外に出たら勝手なことばかり言っておる。勝手なことを外で言っちゃいかぬ。あなたは内閣の責任者じゃありませんか。そういうようなことじゃ、一体どっちがほんとうかわからぬようなことになるじゃないですか。 それから外務大臣にお尋ねしますが、あなたは四条と六条は総理と同じとまた今おっしゃったが、違っているじゃありませんか。今度は同じになったんですか。もう一ぺんそれじゃ確認します。同じか、違うか、それだけ。
○藤山国務大臣 私の今申し上げた通りを総理も言っておられると思っております。同じでございます。
○木原委員 おおむねじゃないんですね。おおむねでなくて、今度は極東の範囲が総理のおっしゃられるように、フィリピン以北、日本の周辺、こういうことになったわけで、ここで初めてあなたの言う通りに閣内が統一されたものと私は思います。これからもほかの委員会で、外相、あなたこの統一見解を破らぬようにして下さい。あなたは大体おしゃべりが多過ぎるのだ。というのは、この前の参議院では、極東でも、沿海州あるいは中国も入る。そしてさらに、それならば軍事行動はどうするのかと言ったら、それは場合によっては中国の奥地、沿海州の奥地まで行くこともあり得るということを言っておられる。そうして今度は自民党の幹事長に怒られて、翌日またそれを訂正される。あなたの訂正はもうしょっちゅうそればかり、朝と晩と、その日とあくる日は違うのだから信用できないのですが、どうか一つその点はきょうの答弁で確認していただきたい。次に、それならば極東の、出動する米軍の行動範囲について、これも何だかもやもやしてはっきりしませんから、この点もきょうは米軍の出動範囲についてお尋ねいたしますが、条約をまっこうから読んでいきますと、アメリカ軍が「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」云々、こうなっておりまして、これは条約の目的、出動する目的の地域を制限した——地域を極東ときめただけで、そうすると、米軍がそれによって事前協議して、あなたからイエスと言われて、かりに出たとする。その出た場合の米軍の行動範囲について、一体どこまでアメリカ軍が行けるのか。その点について、これは国民の大きな不安がある。ここが先ほど私が言いました戦争の参加云々ということになるわけなんです。ここのところをはっきり、一体この六条によって出動する米軍の行動範囲は、今あなたのおっしゃった極東の範囲だけか、あるいはこれから外にも飛び出し得るのか、実際上の問題としてどこまで行き得るか。この点についての総理の御答弁をお願いいたします。
○岸国務大臣 他からある地域に侵略があった場合に、それを排除するのにその軍隊がどこまで行動できるかということは、私は、国連憲章とその国の憲法によってきまると思うのであります。日本は、日本の憲法から申しまして、日本の自衛隊は日本の自衛権という限られた範囲内の性質上海外に派兵できない。海外に行って行動はできないという解釈でございますが、米軍はそういう何らの制約を受けておりません。従って、すべてどこへでも活動できるというのが米軍の本質であります。それを事前協議の対象として、事前協議を受けた場合において、われわれはこれの無制限な、不必要な行動に対してイエスと言うつもりはございません。その結果として、米軍の出動範囲というものも、おおむねこの極東の範囲に限られるというふうに私どもは解釈しております。
○木原委員 出動する米軍の極東の範囲の、そのおおむねというのが気にかかるのですが、そのおおむねというのは、あなたは日本の政府の意思として、どこどこまではイエスと言うが、どこどこまでは出ないということについての、はっきりした限界を聞かしていただきたい。あるいはおおむねということで出ていった、その事前協議によって必要があるから外にも出るのだ。出るのを私ども何も言うわけじゃないのですよ。ただ条約上出てもいいことになるのかならぬのか、その点の限界を私どもは明らかにしておきたいのです。(「目的が日本の安全だ」と呼ぶ者あり)目的が日本の安全ということはわかっている。その場合に出て、その出る行動は極東の外にも出る場合があるのか、ないのか。絶対に出ないのかどうか、出さないのかどうか。その点をはっきりしていただかぬと因るのです。
○岸国務大臣 先ほど申し上げたように、米軍の行動としては、米軍自体はどこまでも出動できる。侵略をなくするためにはどういう行動も、米軍自身としては憲法上の制約を受けておりません。しかし、日本に駐留しておる米軍については、要するにこの極東に出ていくという場合におきましても、極東における侵略が日本の安全と平和に非常な危殆な状態、危険を感ずるという場合に、それを排撃しよう、その場合に日本の自衛隊は、さっき言ったように日本から出られないわけですから、そこで米軍が出ていってこれを排撃する。しかしそれが、米軍は無制限な行動ができ得るのだから、無制限にそれを日本は認めていくかといえば、これはどういう範囲で認めるかというのは、たとい極東の範囲内におきましても、ある起こってきた事態の場合によりましては、その極東の中の一部にしか出動の範囲を認めないという場合もあろうと思います。だからすべて侵略の事態と、それを排除するに必要やむを得ない行動をどこまで認めていくかというのは、その場合においての事態によって判断をしていかなければならぬと思います。しかしわれわれの考えでは、この日本の安全と平和に不可分な関係にあるように思う極東という範囲を、そういう意味において日米両国が深い関心を持っておるということを申しておりますから、その意味からいって、われわれが出動を認める範囲は無制限には認めない。従って行動範囲もおおむねさっき申しておる極東の範囲に限る。こういうことでありまして、それがぴっしゃり一分一厘違わないようにこれと合うかといえば、それはそのときの事態を考えなければならぬ。ある場合は小さくすることもあり、ある場合は多少それが広がったからといって、それを直ちに認めぬというようなことは言えないのであります。だから私どもがおおむねということを言っておるのは、それでもっておおむね極東の範囲に限る、これが私の解釈であります。
○木原委員 何も私は一分一厘のそんなけちけちした話をしているわけじゃない。ただ問題は、事態の状況によってあるいは極東の中でとどまる場合もあるし、あるいは外に行く場合もあるのじゃないか。こういうことがあり得るのじゃないかと思うからあなたにお尋ねした。そうすると、事態の状況によって、あなたの言われる極東の外に出るという場合もあり得るわけなんですね。その点、もう一回確認してみたい。
○岸国務大臣 先ほどから申し上げているように、私どもが極東という範囲を大体こういう地域だということを申しております。この行動範囲も、それを越えないように、おおむねこれと一致するようにわれわれはやっていく。こういうことで御了承願います。
○木原委員 米韓、米比、米華、こういった条約に基づいて米軍が出動することもあるのだということを前回の委員会で総理がおっしゃいましたが、この場合、この米華条約あるいは米韓、米比、こういった条約に基づくアメリカの日本基地の使用、これが直接に、客観的に見て何ら日本の安全とは関係のない、たとえば現在中国と台湾と金門、馬祖でやっておりますが、こういう場合には、それは大きく事を広げていけば、東洋の安危、あるいはそれがひいて日本の安全ということにもなるかもしれませんが、現実具体の問題として、そこに何ら客観的に日本の安全には響きそうにない、いわゆる内政問題として響くおそれのないというような場合にでも、米華条約によって在日米軍が出動することもあるのですか。日本の安全と全然無関係に出動するということもあるかどうか、その点をお尋ねします。
○岸国務大臣 どういう理由でを問わず、日本に駐留しておる軍隊が日本の領域外に戦闘作戦行動をやるという場合には、事前協議になります。従って今お話しのように、たとい米韓であるとか、米比であるとか、あるいは米華条約によってアメリカが何か出動するという場合でありましても、これは事前協議の対象となりまして、日本に基地を有している以上は、作戦行動には一切日本に事前協議しなければなりません。そして日本に関係のない場合におきましては、われわれはその場合にははっきりノーと言ってそれを拒否いたします。
○木原委員 そこで、これはこまかい問題になるのでございますが、これは外務大臣でもけっこうですが、この四条の「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和」と、こうなっております。ところが六条の文言は「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全」となっている。四条の方は「又は極東」となっているが、この六条のは日本の安全「並びに」となって「又は」となっていないのです。これは何かここに二つのつながりの中で違うところがあるんですか。あなたはよく日本国の安全と極東の平和とはうらはらの関係になっておると、そのうらはらの関係をここで「並びに」ということにして、前の四条の「又は」と区別しているんですか。その点……。
○林(修)政府委員 今の御質問は、この条約の文章の書き方についての御質問であろうと思いますので、私から便宜お答えします。第四条で「又は」と書きました気持は、要するに、日本の安全に関する問題についても協議するし、あるいは極東における国際の平和と安全の維持の問題についても協議する、そこに申しております日本の安全というのは、比較的狭い、全く日本だけの安全の問題が取り入れられている。これは要するに両者が同時に必ず起こるとは限りませんので、「又は」という言葉で続けたものと思います。第六条の方は駐留米軍の駐留目的でございまして、これは日本国の安全に寄与すると同時に、もう一つ目的として極東における国際の平和と安全の維持にも寄与すると、両方の目的を同時に持っておりますから、これは「並びに」と、つまりそういう選択的な接続詞でなくして、並列的な接続詞を使った、こういうことだと思います。
○木原委員 よくわかりました。第四条の「日本国の安全又は極東」というのは、日本国の安全に関係する場合も協議するし、あるいは極東における国際の平和、安全の場合も協議する。第六条については、日本国の安全に関係すると同時に、それが極東の安全に寄与すると、こういう場合に出るんだと、そういうことですか。
○林(修)政府委員 ちょっと私の申したことの御理解が、私の申し上げたこととちょっと違っているように思いますので、なお補足いたします。第六条の方で申しました趣旨は、要するに駐留米軍は、申しますと二つの駐留目的を持っているわけであります。日本国の安全に寄与するということと、それからもう一つ極東における国際の平和と安全の維持に寄与する、この二つの目的を持っております。どちらかを選択的に、一方を持っている場合は一方を持たないとかいうような意味でないので、両者を持っているので、アンドというような意味で続けて、どっちもあるという意味で、「並びに」あるいは「及び」という言葉を使っておるわけであります。四条の方は、そういう協議の問題は、ある場合には日本国の安全について起こり、ある場合にはもう少し広く、極東における国際の平和と安全の維持という問題について起こる。そういう意味で、その気持を現わす意味で、これは「又は」という接続詞を使った、こういう趣旨でございます。
○木原委員 あなたの言うのは、そんなことをいえば、日本国の安全の場合と極東の場合と両方の要件でどっちもできる。片っ方の場合は、日本国の安全であると同時に、それが極東における国際の平和と安全に寄与する、こういう場合とおっしゃれば、そういうことになれば、極東の安全だけでは出られないでしょう、米軍は……。それが極東の安全が同時に日本国の安全に寄与するという場合でなければ出ないということになるのじゃないですか。
○林(修)政府委員 そういうふうには決して私は申し上げたつもりはございません。「及び」とか「並びに」とか「または」とか「もしくは」という言葉は、普通の法令用語の使い方でございまして、つまり「または」と「もしくは」というのは、いわゆる選択的な接続詞として使い、「及び」と「並びに」というのは、いわゆる並列的な接続詞に使うわけでございます。AもBもという場合には、「及び」または「並びに」を使います。AかまたはBかという場合には「または」という言葉を使います。第六条の場合には、つまり駐留米軍は二つの目的を持っている。それが同時に起こらなければいけないということは決して申しておりません。それはある場合には日本国の安全に寄与することが主たる目的でございますが、同時に、極東における国際の平和と安全の維持という目的も持っております。この二つの目的を二つ併合して持っておるので、「及び」あるいは「並びに」という言葉を使ったのであります。同時に起こらなければ駐留米軍は使えない、こういうようなことは私は申し上げておりません。
○木原委員 それならば、何も四条の「又は」と、それから六条に「並びに」と使い分ける必要はない。ここに使い分けてあるから、「又は」と「並びに」と分けてあるから、条約の条文を読む人が勘ぐるんですよ。これだったら、今僕の言うように、この日本国の安全と極東における国際の平和というのが、外務大臣もおっしゃいましたが、うらはらの関係にあるのだということになるならば、むしろこの極東における国際の平和というのを抜いてしまえばはっきりすると思うのですが、その点どうですか、外務大臣。うらはらだと、これは同じことを言うておることになるから、「又は」じゃないです。
○藤山国務大臣 今、林法制局長官の言われた通りにわれわれはやっておるわけでありまして、別に変わっておるとは思っておりません。
○木原委員 私は、条約をあなた方がやられる場合に、この四条の「又は」と六条の「並びに」というのをどうして使い分けられたのか、そこに何か意味があるのじゃないか。この点を私どもはあなた方が条約をアメリカと両者合意されたのだから、その間の過程において、何か違う意味を意味しているのかどうか。その点を「あるいは」「または」の意味だとおっしゃれば、私は何も質問することはない。たまたまここに二つ使い分けてあるから、その使い分けた理由が何か格別あるのじゃないかということをお聞きするのです。外務大臣からお聞きします。
○林(修)政府委員 ただいまのお尋ねは、(「外務大臣に聞いておるのだ」と呼び、その他発言する者あり)法令用語、あるいは条約用語の使い方の問題でございますから、私の方からお答えする方が適当かと思います。これは国内の法令におきましても、たとえば小学校の校長にもあるいは中学校の校長にも給与をやる、管理職手当をやるという場合には、決して「小学校または中学校の校長」とは申しません。「小学校及び中学校の校長」、そういうふうに使うわけでございます。従いまして、「及び」という言葉、「並びに」という言葉を使うのは——用法が二つあるという意味に使う場合には、「または」という言葉は使いません。そういう意味に御理解願いたいと思います。これを要するに、一方は、両方のことが必ずしも同時に起こるとは限らない。ある場合には極東における平和と安全について協議し、ある場合においては日本国の安全について協議する、つまり、協議というのはいろいろの場合に分けて起こるわけでございます。ところが、駐留目的というのは、実は駐留米軍というものが常に備えておる属性でございます。常に備えておる属性が、ある場合には日本国の安全だけを持ち、ある場合には極東における国際の平和と安全だけを持つというのではないので、駐留米軍というのは、常に二つの属性を持っている。二つの属性を持っている場合には、「及び」という言葉で続けるのが普通の続け方でございます。第四条の方の「または」、こういう場合には、「または」を使うのが法令用語上の慣例語句でございまして、これは普通の国内法令などをごらんになってもすぐおわかりのことと思います。
○木原委員 あなたは引っ込んでなさい。あなたはこの条約の交渉をした人じゃないでしょう。私は交渉をした人に、その使い分けた理由が、何かこの交渉の過程であったのかということを聞くので、あなたに条文のことをとやかく聞くのじゃないのです。この間使い分けてあるから、一体何かそこに交渉の過程であったのか、どういう理由だということを外務大臣に聞いているので、あなたに法律上の解釈を聞いているのじゃないのです。
○藤山国務大臣 日本の平和と安全に影響が起こるような問題については、むろん協議をしていくわけであります。また同時に、日本に影響のあるような極東の平和と安全というものも協議をしていくわけであります。それは、極東の平和と日本の安全というものが、同時に協議される場合もありましょうし、別個に、日本だけの安全で協議される場合もあろうと思います。そういう趣旨を法制関係の人に話しまして、今お話しのように、第六条におきましては、アメリカ軍に基地を貸すという一つの目的、その目的は日本の安全を維持する、また極東の安全を維持するということであります。そういう趣旨から字句の選択を頼んだわけでありまして、その結果は、法制局長官の言われた通りにわれわれは使ったわけでございます。
○木原委員 次に、出動についていま一点お伺いしますが、日本が出動について事前協議でノーと言えるということはわかりましたが、ただもう一点ただしておかなければならぬのは、これは外務大臣でもよろしゅうございますが、国連の安保理事会あるいは国連の総会で、何か極東の問題について在日米軍を出動させるというようなことが議決される場合、こういった場合に、日本はこの理事会に出ておって、それはいかぬと思ってこれに反対をした、ところが多数決で出動にきまった、こういうような場合は、またあらためて日本と米軍の間で、出動することについて事前協議をするものかどうか、あるいは、もう国連で決定した以上、日本は反対しても、国連の理事会の決定通りに米軍はどんどん出ていくものかどうか、その点をお聞かせ願いたい。
○藤山国務大臣 在日米軍が、日本の施政下にある地域から出て参りますときには、それが国連軍であろうと、事前協議の対象になることは明らかでございます。国連においてそういう決議をした場合に、日本がどういう態度をとるかということは、そのときの問題によってきまっていくことだと思います。ただ、今仮定でお申しになりましたように、日本が反対する、しかし国連の総会の決議はきまる——。われわれは国連というものを、やはり国際社会における平和維持の大きな力と申しますか、国連の大多数の決定というものは、国際民主主義の立場からいって、なるべく服していくのが当然だろうと思います。しかし、それらについて具体的な事例が起こった場合に、日本自身がどういう立場をとり、またそういうことをするかは、そのときの具体的ないろいろな問題を考えなければ、今日それをどう決定するかということは申し上げかねます。
○木原委員 私の聞くのは、国連の決定があった場合に、事前協議によって日本が出動を拒否することができるかどうか、交換公文における事前協議は、国連のその決議も含むかどうかということをお尋ねするのですから、その場合、協議によって日本はノーと言えるか言えぬかをはっきり、ただそれだけでいいですから……。
○藤山国務大臣 今申し上げましたように、在日米軍が出て参りますときには、国連軍として出ます場合でも、事前協議の対象になるわけであります。従いまして、そのときにイエスもノーも言えるわけであります。
○木原委員 もう一ぺんくどいようですが、念を押しておきます。国連で多数決で決定しても、事前協議の対象になし得る、そして、その場合、日本もあらためてノーということが言えるというふうにお聞きしてよろしゅうございますね。
○藤山国務大臣 その通りでございます。
○木原委員 時間が近づきましたから、次にソビエトとの日ソ平和条約。御承知のような次第で、大体戦争の終結宣言は鳩山内閣のときにいたしておりますが、まだ平和条約を締結しておらない。一体岸内閣は、このソビエトとの平和条約を締結する意思があるかどうか。締結するとすれば、いつごろ、どういう目途でやるのか。特に安保条約が新しくできる場合に、これを基本にして、日本はソビエトとの困難な領土問題の解決にも移らなければならぬが、はたして岸総理は、この困難な日ソの平和条約に対して、どういう御決意でおられるかお聞きしたい。
○岸国務大臣 日ソの間の戦争を終結し、両国の平和関係を樹立するときにおきまして、平和条約を締結しようという目途のもとに、日ソの間において、長い、またきわめて困難な交渉をしたのでございます。ところが、領土問題に関しての日ソ両国の考え方は全然違っておりまして、その間において両方の意見を調整するということはとうていできない。そこで問題は、領土問題を解決しない以上は、平和条約という形にすることはできませんので、共同宣言によって両国の戦争状態をなくし、そして外交関係を開いたことは、御承知の通りであります。 そこで、問題の、領土問題に関する両国の主張というものは、領土のうち、歯舞、色丹につきましては、御承知のように共同宣言において、平和条約ができて、全面的に領土の問題が解決したときにおいては日本に引き渡しをする、現実に引き渡すということを明瞭に日ソ共同宣言にしております。しかしながら、当時われわれが日本の固有領土として主張いたしました国後、択捉の問題については、ついに意見が一致しないのであります。そこで、その問題は他日の問題として、ああいう共同宣言をいたしたわけであります。私はこの国後、択捉に対しての日本側の領土主張というのは、当時、あるいはロンドンにおいて、モスクワにおいて、しばしばソ連側にこのことをはっきり伝えておるのでありますけれども、なかなかソ連側の方ではそれを承認しない。そこで、これはただ単に、時の内閣がこの国後、択捉に対して、自民党内閣が固有領土を主張しているのじゃなしに、日本の国民が、これはほとんど全部といってもいいほどの大多数のものはこのことを主張しておる。決して保守主義であるとか、あるいは進歩主義であるとかいうことでこの領土問題に対する日本の国民のなにが違っておるわけじゃないのだという事情をソ連側において十分に認識して、そうして日本と真に平和な関係、友好関係を開くためには、日本の国民のほとんどあげての主張であるこの事柄を解決することが必要であるというふうに、日本側を理解してもらうことが必要である。そのためには、とにかく貿易の関係において、あるいは文化の面であるとか、あるいはその他の人事交流等によりまして、両国ができるだけこの領土問題に関する日本側の主張というものに対して、ソ連側に正しい理解を求めて、そうしてこの問題を解決する必要がある。従って、なかなか一挙にこれを解決するということはむずかしいから、そういう段階的に積み重ねていって、これを解決しようというのが私どもの基本の考え方であります。 その後、北方における、いわゆる安全操業の問題——千島沿岸、近海等における問題で、ソ連に向かってこれが解決、安全操業についての日本側の主張を申し伝え、最初は、ソ連側においてもその問題については相当交渉に入り、また何らかの方法によってこの安全操業の問題を解決しようというふうな意向も動いているように見えたのでありますが、その後、やはりこの問題は領土問題に関係がある、領土問題を解決しない限りにおいてはいかぬ、国後、択捉についてソ連側の主張を認めて、そうしてするならば、安全操業の問題は解決する用意があるというふうな意向が明らかにされましたけれども、われわれとしては、あくまでも国後、択捉についての日本側の国有領土という主張は、今日も変えておりません。従って、この点は、安保条約が改定されようがされまいが、日ソの間においては、多年の解決の道がほとんど認められないような困難な問題として懸案になっておるわけであります。私は、特に安保条約ができたから、その問題が困難になるとか、安保条約の改定をしなければその問題が解決されるというふうな性質の問題ではないと思います。従いまして、従来日本が考えております、日本の国民のこぞっての要望であるところの固有領土に対するわれわれの主張をソ連側が認めることが、日ソのほんとうの友好親善を進める上において、最も望ましいことであるということに対して、今までの積み重ね方式をやると同時に、国際的にも、機会を見て、われわれの主張が正しい、従って、われわれの主張がいれられるような雰囲気を作っていくような努力をしまして、これを解決しなければならぬと思います。今日すぐ、いつそれができるというふうなことは、なかなか申し上げることのできない困難な問題であります。それは、私どもが数年にわたって日ソの平和を回復しようとした交渉の過程においても見られるし、その後においてのソ連側の首脳部のいろいろな意見や、あるいは今申しました安全操業の問題に関連しての主張や、あるいはソ連側の新聞その他に現われておるところの点から見ますと、日本側の意見については依然として食い違っております。従って、私は、この問題に関しては、それじゃソ連側がそういうふうな非常な強い主張を持っておるから、日本が譲って、国後、択捉の領土権を放棄してもよろしいという結論には私は賛成しないのであります。従って、このわれわれの主張を通すためには、なかなか時間を限っていつまでにできるというふうな見通しは今日のところはありません。私どもとしては先ほど来申すような方針によって進んでいくほかはない、かように思っております。
○木原委員 時間が足りませんから、率直にお答え願いたいのですが、岸内閣は、成立以来、まだこの問題について日ソの交渉をされたということを知らないのです。知らないから、いつやるんだ、やる意思があるのか、やる意思があればいつやるのかということを聞いておるので、それを簡単に、やる意思があるかないか、いつやるかという点をはっきりしてもらいたい。
○岸国務大臣 この問題に関しては、今申し上げているような経緯をとっておりますから、私は今日いつやるかということをまだ申し上げる時期ではないと思っております。
○木原委員 今まではどうですか、おやりになったことがありますか。
○岸国務大臣 今までは、今私が申し上げたように、問題になったのは、この安全操業に関連して、これが領土問題を解決するということ、ソ連側がすなわち国後、択捉の領土権を認めるならば、安全操業の問題を解決すると言った際に、われわれとしてはかねての主張通り、この点については、日本の固有領土としてこれに対する主張は変えられない、しかしながら、それをソ連が認めてくれるならば、もちろん、われわれは、いつでも平和条約を結ぶのでありますけれども、そういう状態にはなっておりません。従って、今これを交渉するということは、全然食い違った主張をただ両方がし合うというだけにすぎないと私は思います。従って、いつの時期ということは申し上げる段階ではないと思います。
○木原委員 時間がありませんが、総理の答弁の中では、今まで一回もやっておらないという御答弁と思います。 大体領土問題の解決については、サンフランシスコ条約において、日本は千島の領有権を放棄するということになっておりますね。日本が千島の領有権を放棄したというのは、どういう意味ですか。なお、固有の領土として歯舞、色丹は日本の領土だということで、国後、択捉まで領有権を主張して、ソビエトからとるんだというその根拠は、サンフランシスコ条約の法規とどういう関係があるのですか。
○岸国務大臣 歯舞、色丹は、北海道の一部としてわれわれは考えをしております。千島の問題については、放棄した千島が南千島まで含むかどうかという問題に関しましては、われわれは、南千島は、日本の歯舞、色丹と同様に、固有の領土であって、最初以来他国に属した事実はないのであります。従って、これを含まないという一貫した主張のもとに、われわれは、国後、択捉についての領土権は、これを主張して参っておるのであります。
○木原委員 この領土の放棄について、南千島と北千島というような区別をして放棄してないのです。全部一括したような千島列島を放棄するということになっているのですから、これを交渉の際に、領有の点を主張するということは、私は非常に困難だと思う。それならば、逆に、ソビエトの方がこの千島の領有権を主張し得るかというと、これはソビエトが主張するにも、国際法上困難があろうと私は思う。そうなってくれば、平和条約を結び、千島の領有権を解決するということになれば、法律問題だけで権利があるとかないとかいうようなことでは、これはもういつまでたっても解決はできないと思う。これはあなたにほんとうの識見があるならば、すみやかに交渉を開いて、領土問題を法律問題から政治問題に移して、そうして解決をはからなければ、これは永久にいつまでたっても——岸内閣がこれから十年、二十年続くか続かないか知りませんが、かりに続いたとしても、あなたの言う領土問題だけに執着しておったのでは、これは千島問題、平和条約も一歩も前進しないと思う。これを政治的に話を移していく。今日のような安保条約を日本が持っておったのでは、これは政治的な話し合いができない。その点をどう考えられますか。
○岸国務大臣 この領土問題についての日ソの間の交渉は、先ほど申し上げましたように、相当長い期間いろいろ交渉の相手もかえて、われわれは日本の主張というものをソ連側に理解せしむるように非常な努力をしたのでありますけれども、ついにこれが解決をしなかった。それは、決して法律論だけで解決しようとしたわけではございません。当時の鳩山首相が、病躯を押してモスクワに参りましたのも、もちろんあらゆる点から、政治的な面から、あるいは法律的な面からこのことを論議して決定をしようという目途のもとに訪ソされたのでありますけれども、そのときも解決ができなかった。将来の問題としてこれを解決するためには、日ソの間の関係だけではなしに、さらに国際的な問題とも関連して解決していく必要があるというような点につきましては、今後の情勢の変化に応じてわれわれとしては十分考慮していかなければならぬ問題である、かように考えております。
○木原委員 重ねて、中国との平和条約の問題、あるいはソビエトとの平和条約の問題も、国際法上の法律論だけでは私は解決できないと思うのです。要するに、この安保条約の存在によって、日本が進んでこの条約を締結することによってアメリカに軍事基地を置かせる。しこうして極東の平和という名において、ソビエトにしても中国にしても、そこから米軍との摩擦が起こるんだ、起こる可能性を十分に察知しておる。その不安が高じて中国もあなたに対して敵視しておるということを言うし、あるいはまた過般ソビエトからグロムイコ覚書を突きつけて、そうして色丹も歯舞も返さぬというような事態を招来するということは、何としてもこの安保条約をあなたが積極的に結んで、その中でアメリカへの従属を深めていく、日本がここを基地としてソビエトと中国を仮想敵国として、われわれに敵対しようという考え方でおるんだという根深い感情が、政治的にこの中国との問題あるいはソビエトとの問題の糸をほぐす大きな障害になっておる。それで、どうしても私どもといたしましては、その障害のガンになっておるこの条約の存在している間は、中国とソビエトとの友好ということは考えられぬ。そういう意味において、私どもは政治的にものを考えるときには、どうしてもこの条約を廃棄するよりほかに方法がないじゃないか。廃棄してなお中国、ソ連とも対等な国際関係を持って、そして極東に平和をもたらせるような政治路線を持っていくか、あるいはあくまでもアメリカに基地を提供することによって永久にソ連、中国を敵としていくことが日本の国民のためあるいは国家のために得になるか、そういうことについて深い認識と洞察を持ってあなたに今後の政治をやっていただきたいと思うのです。今後のお気持をお聞きして、私の質問は時間になりましたから終わります。
○岸国務大臣 私は本会議やその他の席上におきましてもしばしば申しておるのでありますが、この安保条約の本質というものは、具体的なある一国を仮想敵国としてやっておる条約ではございません。あくまでもこの条約は他から侵略を受けない限り何ら発動することのできない規定でありまして、他から不当な侵略を受けた場合に、これを排除するのに日本の力だけでは足りない。われわれと友好関係にある米国との協力によってそれを排除して、そして日本の安全と平和を守ろう、こういう体制を作っておるわけです。また国際情勢の一般的ななにから見ますと、こういう体制を作っておくことが戦争の防止になるし、そうした侵略の起こらない、それを未然に防ぐ上において非常な効果がある、これによって日本の平和と安全が保たれるものだという考え方を私どもはいたしておるわけであります。もちろんわれわれは自由主義の立場を堅持しておりますし、その意味において自由主義の国々との提携、協力を進めていく考えでありますけれども、しかしながら全然考えを違えておる共産主義の国々をも絶対に敵視するものではございませんで、これらの国々との間にも友好関係を開いていくということはわれわれが考えておることであって、現に世界各国におけるいわゆる共産圏といわれておる国々のうちにおきましても、われわれの内閣になりましてからこれとの間に国交を正常化して、外交関係を開いた国々が少なくないのでございます。ソ連との間におきましても、貿易協定や、その他の関係におきましては、先ほど言ったように、両国の理解と親善と両国の利益になることを進めていくためにこれを推し進めております。中国との関係におきましては、これもしばしば議論いたしておりますように、私は決して中国に対する敵視政策をとった考えもございませんし、またそんな考えは毛頭持っておりません。ただ、日本と中国との間のこの問題の調整につきましては、一面国際的な環境というものを整理せずして、日本がただ日本だけの立場から何かこれが解決できるような道があるように考えることは私は間違っておると思う。もちろん、日本に対してのいろいろな誤解であるとか、あるいは日本に対しての、われわれから見ると不当な宣伝等につきまして、正当な理解を進めていくための努力というものをしなければならぬ。あるいは日本自身にも反省すべきところがあれば反省していくし、お互いが一つ隣国として、また長い歴史的関係からいい、同じアジア民族として協力していき、親善関係を開いていくことがお互いの国の利益である。同時にアジアの復興にも資するゆえんであるということを十分理解する。それには両方の政治体制や両方の立場というものは、それぞれこれを尊重し合っていく、そうして相侵さないという基礎に立つ必要があると思うのであります。そういう意味から申しますと、私はこれらの国々をも決して敵視するものではないし、また安保条約の改定の問題につきましても、これまた現在安保体制というものがあって、それは非常に不合理な点があり、日本国民としては、国民感情からいっても、長い間論議されておるように、満足しないところがある。これをわれわれはできるだけ自主的な立場から改善しようというこの見地から改定をいたしておるのでありますから、この点をやはり共産国においても十分に一つ理解してもらって、そうして、世界のいわゆる雪解けという態勢に対しては、話し合いでもって友好親善の道を開いていくという情勢に進んでいくことが必要である、かように考えております。
○小川委員長 次会は明十六日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時九分散会