予算委員会 第9号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/02/13
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。質疑を続行いたします。楯兼次郎君。
○楯委員 まず藤山外務大臣に、先日来論議をされております安保新条約に関しまして質問をいたしたいと思います。 私は冒頭から静かに質疑応答を聞いておったわけでありますが、どうしても理解できないことがたくさんございます。しかし時間の制約もありまするから、特に三点についてさらに確認をしておきたいと思いますので、お伺いをしたいと思いますが、藤山外務大臣が盛んにアメリカとの極東の範囲につきまして話し合いを行ない、統一をした見解があるというような答弁を繰り返しておいでになりますが、新聞紙等の報ずるところによりますと、十分な話し合いが行なわれた、統一した見解があるというふうには、どうしても私ども受け取れないのであります。 そこでお伺いいたしたいと思いますが、昨日のワシントン各新聞社の特派員から報道をされましたのによりましても、日本の国会で論議をされておりまする極東の範囲と大きく違った見解が、公式文書として発表になっております。日本の国会においてはいわゆるフィリピン以北、日本の周辺である、こういう定義でありまするが、アメリカの方ではもっと大きく極東の範囲を解釈いたしており、かつ公式文書として発表いたしておるのでありまするが、事前に極東の範囲についてほんとうに話し合いが行なわれたかどうかお伺いをいたしたいと思います。
○藤山国務大臣 この条約の交渉の過程におきまして、私は極東の問題についても意見の交換をいたしたわけであります。従いまして、今日われわれがここで申し上げておることについてアメリカ側が異議がないこと申すまでもございません。
○楯委員 きのうのわが党の辻原委員にもあなたは答弁をいたしておるのでありますが、それでは昨日米国務省として極東の範囲を——これは読んでおられると思うのでありますが、この国会で論議されているのと大きく変わった見解が発表になっておるのでありますが、これはうそでありますか。
○藤山国務大臣 アメリカとして地理的に極東は云々といったようなことを言っている場合がございますし、またアメリカの極東局の範囲というような組織、それに含まれている国々の名前をあげていることもございます。しかしそれ以外に特に公式文書があるということを私は存じておりません。
○楯委員 私はちょっとかぜをひいておりまして耳がよく聞こえないのでありますが、はっきりと極東の範囲について言うております。これは私は読み上げる必要はないと思うのでありますが、藤山さん、あなたが言われる極東の範囲とははなはだしく違う、これをアメリカの一部の人たちが言っておる、こういうふうにわれわれは解釈して差しつかえないのかどうか、もう一回一つ御答弁願います。
○藤山国務大臣 さように解釈していただいてけっこうだと思います。
○楯委員 それではおかしいじゃないですか。まあわれわれとしてはこの新聞紙等を信用するよりほかに方法がないわけですが、公式文書として発表しているわけです。これをどう思いますか。
○藤山国務大臣 公式文書として発表したものはないと存じております。
○楯委員 それでは公式文書としてアメリカの方で正式に極東の範囲についての見解が発表になっておるということはございませんか。
○藤山国務大臣 ございません。
○楯委員 これは各紙が報道いたしておりますが、私の今持っておるものは毎日新聞の夕刊であります。これは読売も朝日もみなこういうことを言っております。はっきりと地理担当官がまとめた結論を公式文書として発表した。以下極東の範囲はかくのことし、こういうふうに発表になっております。これはうそですか。
○藤山国務大臣 地理的に見て、地理担当官が極東というものをそういうふうに言ったということであろうと思っております。
○楯委員 そういたしますと、冒頭に公式文書として発表をしたこれは、地理担当官がまとめた一つの見解であって、日本とアメリカとの統一した極東の範囲の公式発表ではない、こういうことですか。
○藤山国務大臣 この条約に関します公式発表とは思っておりません。
○楯委員 それではこの条約に関する公式発表というのをもう一回お伺いしたいと思います。
○藤山国務大臣 この条約に関する公式発表というものは、アメリカはいたしておらぬと思っております。
○楯委員 では日本の国とアメリカとが統一した公式の極東範囲の定義をもう一回お伺いしたいと思います。
○藤山国務大臣 先般総理がこの席で申し上げた通りが、われわれが交渉過程においてアメリカ側にも異議がなかったことでございますから、それがわれわれの見解であるということを総理も申し上げておるわけございます。
○楯委員 しかし先日来、今外務大臣がお答えになりましたことをわれわれ聞いておってもわからないのです。外務大臣自体の極東の範囲の答弁が二転、三転をいたしております。それでは私は具体的にお聞きいたしますが、きのうのこの委員会でわが党の辻原委員の質問に答えまして、南ベトナム地域は極東に含まれない、こういうあなたは答弁をされておるでしょう。ところがそのあとになりまして、極東の平和と安全への脅威に関する協議、第四条の対象にする、こういうふうに外務次官は訂正をして、岸総理大臣と話し合っておるじゃありませんか。だからあなた方の極東の範囲に関する見解をわれわれが国会において聞いておりましても、毎日変わりまして、何だかわからないのです。だからわれわれとしては、先ほど来申し上げておりますように、アメリカの方の発表をいたしました公式文書、「極東は、中国、日本、朝鮮、沿海州及び散在する沿岸諸島に対して最も適当な言葉と考えられる。」こういうように幾通りにも解釈がありますけれども、最小に限って考えましても、はっきりと定義を下しておるのです。だからこれを信用するよりわれわれの方としては信用する材料がないじゃございませんか。南ベトナムはどうなんです。
○藤山国務大臣 きのう申し上げた通りでございます。ただ協議というものは、極東の平和と安全のために協議をするということは、国際情勢一般に対しても協議をいたしますし、あるいは世界のいろいろな各般の情勢に対しても協議をいたすわけでありますから、当然そういう意味においては、各地に対する協議というものは、情勢判断のためにされるわけでありまして、そういうことは当然なことだと思います。
○楯委員 外務大臣のそういう答弁では、もう極東の範囲と限定をした解釈というものは要らぬのじゃないですか。時と所、場合によって協議の対象にもなり、あるいはならない場合もある、極東の範囲と限定をして安全、平和という字句を使う必要はないじゃありませんか。たしかこの委員会で、南ベトナムは入らない、こういうあなたは答弁をされておるのです。そのあとで協議の対象の地域にすると言うことは、幾らあなたが弁解をされましても、われわれとしては理解することはできないのでありますが、どうですか。
○藤山国務大臣 むろん極東の平和と安全ということに対して、世界のいろいろな情勢というものは協議をしなければならぬことは、これは当然でございます。従って、第四条において一般的な協議をするというような場合には、いろいろ世界に起こっている事態について協議をするのであります。そのこと自体は、私は当然なことだと思うのであります。ですからそういうことを申し上げておるので、ただおおむねこの行動の範囲は、いわれております、われわれの申しております極東の範囲だということであるわけでありまして、いろいろな世界に起こっているものが、極東の平和にも影響してくるということは、これは言えると思います。
○楯委員 いろいろな情勢について協議をされるとおっしゃいます。それではもう一回私はお聞きいたしたいと思いますが、南ベトナムは極東の範囲に入るのか入らないのか、一つはっきり簡単に御答弁願います。
○藤山国務大臣 きのう申し上げましたように、フィリピン以北、日本の周辺及びその海域ということでありまして、極東のそういうようなわれわれが心配をする対象というものは今申し上げた地域でございます。従ってベトナムにつきましても、きのう申し上げたように、海域ということでベトナムの沿岸まで行く。しかし、それに影響をしてくる……(発言する者あり)言葉じりをつかまえて——きのうはっきり申し上げておりますからあれだと思いますが、そういう極東にいろいろな影響を起こす世界の情勢というものはしょっちゅう協議をしなければならないわけでありまして、それは当然のことだと思います。
○楯委員 第四条の協議の対象にはなるが、その他いろいろな理由から沿岸までは云々、こういうことをおっしゃるのでありますが、南ベトナムはそれでは極東の範囲に入らないわけですね。初めから入らなければ入らないとはっきり答弁して下さい。
○藤山国務大臣 きのう申し上げました通り、南ベトナムの陸地というものを考えておりません。沿岸と申すとまた言葉じりをおつかまえになりますけれども、海域の端、いわゆるきのうは領海ということを申し上げたわけでありますが、そういう範囲内における極東に対してわれわれは関心を持っておる。しかし極東のそういう地域に対していろいろな平和と安全を侵すような影響が世界の各地に起これば、そういうことについてはやはり協議をせざるを得ないのは当然のことだと思います。
○楯委員 藤山さん、それではもう一回お聞きしますが、一体南ベトナムは入るのか入らないのか、それだけでけっこうですから、入るとすれば、その領海なら領海から南ベトナム側は入る、あるいは入らない、はっきり一つ答弁して下さい。
○藤山国務大臣 私はきのうからはっきり申しているように、今沿岸と言ったのはあるいはあれだったかもしれませんが、そう言葉じりをつかまえて言われては困るのでありますが、私の申し上げるのは、たびたび申し上げております通り、これは海域であります。海域は沿岸に接続しておることだけは事実であります。そうしてそれはどうだと言うから、先般も申し上げました通り、領海の線に近いところだということを申し上げておる。これはおおむねそういうふうに解釈する、こういうことでございます。しかしその極東の地域に影響を及ぼすような、平和と安全に影響を及ぼすような問題が各地で起こっておりますれば、それは協議しなければならぬことは当然でございます。
○楯委員 実は私きのう午後からこの委員会におらなかったわけです。だから辻原君が南ベトナムについて質問した内容はわからないわけですが、どうも各委員の話を聞いておりますと、だいぶきのうと答弁が違うようであります。従って発言者の私から委員長にお願いしたいと思いますが、きのう私はおらなかったのでありますから、きょうの答弁が違うようでありますので、ぜひ一つ簡単でけっこうですから、辻原君に発言を許していただきたいと思います。
○小川委員長 辻原君、時間の関係上、関連質問は二問だけ委員長は許します。
○辻原委員 昨日私は三回重ねて外務大臣にお伺いをいたしました。ベトナムは統一解釈による極東の中に入るのか入らないのかという質問に対して、あなたは、入らないと明言をされておる。しかもその場合に多少あいまいな点があったから、私が具体的にお尋ねをいたしましたら、いわゆるベトナムの海域に接近をしたその接点までしか入らない。重ねて私が、それならば公海と領海の境かと言うと、大よそそうだと言っておられる。従って、きのうは明らかに、ベトナムについては入らないと言っておる。南も入らない。ところが今楯君に対する答えを聞いておりますると、極東のどの地域にあっても、それが平和と安全を脅威するというふうに考えられる場合には、随時これを協議するのだから、そういうふうに厳密には言えないと、こうまたぼかしておる。しかもそれでは具体的にはどうかというと、ベトナムの沿岸だ、こう言っております。その点について、あなたは言葉じりだと言われておりますけれども、言葉じりじゃありませんよ。中国沿岸が入るか入らないかで、あれだけ問題になったじゃありませんか。沿岸ということになると、これは当然その領域が入ってくるのです。ベトナムについてはその領域は入らないとあなたは言っておる。非常に食い違っておるじゃありませんか。それは一体どうなんですか。
○藤山国務大臣 きのう申し上げた通りでありまして、違ってはおりません。ただ、極東のそういう範囲の中で平和と安全を維持することは、むろんわれわれ必要なんでありまして、特にそれに影響を及ぼすような何かが起こりましたときには協議するのはあたりまえなんでありまして、それが極東の平和と安全を守るゆえんだと思います。
○辻原委員 また違ってきました。私は、今藤山さんが述べられたことは今までの基本的な主張をひっくり返す根本的な問題に触れていると思うのです。それはなぜかというと、政府が統一解釈として、極東の範囲を限定して示したから、われわれはそれについて具体的に聞いておる。ところが、極東の安全と平和に関係する具体的な問題が起きてきたときに、そのつど、その必要から随時協議するという一般的な構想のもとにその範囲を考えておるものとするならば、統一解釈によるいわゆる極東範囲の限定ということはあり得ない。今藤山さんは、ベトナムの場合にもそういうことは安全と平和に関連をするから随時協議をいたしますと言う。随時協議をするということならば、当然それは極東の範囲におけるいわゆる事前協議の対象となる、その範囲の中に含まれていなければならぬということになるのですよ。それは答えは明らかに違いますよ。入らないということと、ある場合においてはその対象になるということとでは根本的に食い違うのです。違っているじゃありませんか。
○藤山国務大臣 私はちっとも違っておらぬと思っているのでありまして、おおむね極東の範囲にわれわれの関心があるわけです。そしてまた、事前協議をしたり何かする場合に、そういう範囲のところを対象にしてわれわれは考えるわけです。しかし極東のそういう範囲の平和と安全を維持していくために、いろいろ問題が世界の各地で起こるということは、やはり影響があるわけですから、従ってそういう情勢について協議をし意見の交換をすることは、私は当然のことだと思うのであります。それでなければ、極東の平和と安全は、私は維持できないと思います。 〔辻原委員「もう一点だけ」と呼ぶ〕
○小川委員長 楯君に発言を許しました。 〔発言する者多し〕
○小川委員長 辻原君、安保に関する特別委員会ができたのですから、まだ疑いの点がでございましたら、その方でごゆっくりやって下さい。楯君に指名いたしましたから。 〔辻原委員「今の答弁に関連して、 もう一問だけ」と呼ぶ〕
○小川委員長 辻原弘市君。
○辻原委員 そこで、許可をいただきましたのでもう一つ確かめたいと思います。藤山さんが今説明されておること、また新聞の伝えるところによりますと、昨夜外務省は首相に対してこの解釈に対しての説明を行なっておるようであります。その内容も伝えられておりますから、時間の関係で私は省略をいたしますが、ここで今言われている随時協議するというのは、ベトナムに対してはいわゆる一般協議の対象となる、しかし事前協議の対象にはならぬ、すなわち、極東範囲の統一解釈、事前協議の対象となる極東範囲の対象の中には含まれないが、一般的な協議すなわち第四条にいう随時協議のその範囲の中にはベトナムは入る、こういう解釈でありますか、その点をもう一ぺんはっきりさせておきたいと思います。
○藤山国務大臣 今申し上げましたように、随時世界の情勢なりあるいは極東の情勢なり協議して参ります。従ってベトナムに関しても、あるいは周辺に対してのいろいろな問題が起こりましたときに当然協議をしていくのは、その極東の範囲内における事態を平和と安全に導くために私どもは必要だと考えておりますので、そういう意味において協議をいたすわけであります。われわれとして、極東に事が起こりましたときにどういうふうにそれを処置するかということについて、またアメリカの飛行機や何かが飛んでいくというようなときに対する事前協議の対象としては、われわれは今申し上げたような範囲内において極東を考えておるわけでございます。
○楯委員 それではこの点についてもう一回お伺いいたしますが、ベトナムについてはいわゆる事前協議の対象にはならないということですか。
○藤山国務大臣 事前協議というものは、御承知のように日本から日本の基地を使って戦闘作戦行動に出ていく場合でございます。従って、それがどこまで出ていくかというような問題については、われわれとして自主的な立場である程度極東の平和と安全を維持することができるように考えていかなければなりません。従ってその場合にイエスと言うかノーと言うかということがあるわけなんでございます。そういう意味において事前協議というものはあるわけでございます。
○楯委員 そういたしますと、事前協議の対象になるのかならないのか、それだけでけっこうです、はっきりお答え願いたいと思います。
○藤山国務大臣 アメリカ側としてこういう戦闘作戦行動をしたいのだというような範囲内には、私どもはアメリカとしてもそう主張しないと思っております。しかし主張されてもわれわれとして極東の範囲をおおむね逸脱しない範囲内でもって考えていかなければなりません。
○楯委員 一体事前協議の対象になるかならないか、それだけでけっこうです。もう余分なことは、私も時間が制約されておりますからお聞きしたいと思いませんから、事前協議の対象になるかならないか、それだけはっきり言って下さい。
○藤山国務大臣 ですから、今申し上げましたように、一般協議は各地でできますから、どこの地区でもむろん協議の対象になることは当然でございます。事前協議については、今申し上げましたように、極東の範囲内において何か起こったとき、おおむねその範囲内においてわれわれは判断をしていくということなんでございます。
○楯委員 ベトナムについては事前協議の対象になるのかならないのか。なるかならぬか、それだけでけっこうです。端的に言って下さい。
○藤山国務大臣 ベトナムは事前協議の——ある地区が特に事前協議の対象になるとかならぬとか……。今私どもが申しておるのは、極東というものの平和と安全というものはどの範囲内に維持されなければならないか、それにはベトナムが入っておらぬということを、昨日申し上げた通りなんでありまして、そういう意味においてわれわれはベトナムが入っておらないということを申し上げておるわけであります。
○楯委員 それでは事前協議の対象にはならない、こういうふうに了解しておいてよろしゅうございますね。
○藤山国務大臣 でありますから、今申し上げたように、事前協議の場合に、われわれとしてはおおむね極東の地域を対象にして考えていくということであるわけでありまして、事前協議の対象になるとかならぬとかいう問題と、今申し上げている極東とは関係がないのでございますから、そういう意味において御了承願いたいと思います。
○楯委員 委員長もお聞きの通りです。ベトナムが事前協議の対象に入るか入らないか、入る、入らない、それだけでけっこうです。与党の諸君はいろいろ言われますが、私は何にもほかのことを聞いているのじゃないのです。入るのか入らぬのか、入らぬなら入らない、入るなら入る、それだけでけっこうです。
○藤山国務大臣 つまり、事前協議と申しますものは、日本の基地から戦闘作戦行動に行くときに事前協議になるわけです。そういうことでございますね。それで一般協議というのは、一般の情勢や何かをやるわけです。それでわれわれは、今申し上げたような極東の平和と安全という場合に行動する範囲というのは、おおむね極東の範囲だ。従って、そういうことを事前協議の場合でもわれわれは当然主張して参らなければならぬわけであります。また、それによってイエスとかノーとかいう場合が考えられるわけなんであります。従って、一般的にいってどの地域が事前協議の対象になるとかならぬとかいうのではございませんけれども、しかし現在ベトナムまで含めていないということは、きのうも申し上げた通りでございます。
○楯委員 外務大臣、入るか入らないのかを私は聞いておるわけです。在日米軍がベトナムに出動をする場合に、事前協議の対象になるのかならないのか、なるならはっきり言って下さい。
○藤山国務大臣 アメリカ側がベトナムに作戦をしたいと言ってきたときには、そういう点は今申し上げたように、直接極東に関係ないからわれわれはノーというだろうと思います。むろん極東の範囲内でも、事前協議をされた場合に、はたしてそこへ行っていい、イエスというわけではございません。それは当然のことだと思います。
○楯委員 もうこれ以上時間を食いますから、それでは事前協議の対象にならないと、こういうふうに解釈して差しつかえないわけですね。それでいいわけですね。
○藤山国務大臣 観念が違うわけでありますが、しかしおそらくアメリカはベトナムまで作戦行動をしようとは言ってこないと思っております。けれども、もし言ってきた場合には、われわれは今のような範囲内で話し合いをしておりますから、そういうことはむろんノーということになるわけであります。
○楯委員 それでは、はっきりいたしませんけれども、われわれの推量するところでは、事前協議の対象にならない、こういうことに私は解釈をして話を進めたいと思いますが、それで差しつかえございませんね。
○藤山国務大臣 私が今言った通りでありまして、アメリカ側はおそらく戦闘作戦行動をやるときに、ベトナムまでやりたいというようなことは言ってこないと思います。しかし、かりに、おおむねでありますから、もし言ってきた場合には、われわれとしては極東の範囲内でもって問題を考えておりますし、またそれについて今日まで異論がございませんから、ノーということは当然でございます。
○楯委員 委員長もお聞きのように、外務大臣何を言っておるのかわからぬのです。だから入るか入らないのか、入らなければ入らないとおっしゃればいいんじゃないですか。こんなことで私たちも時間を食うつまらないことをやりたくないのです。だから、入らないなら入らない、入るなら入る、こういうようにきっぱりと一つたった一言でけっこうですから、はっきり言って下さい。
○藤山国務大臣 極東の範囲はきのう申し上げている通り、ベトナムの陸上は入らないということを申し上げておるわけであります。
○楯委員 それではこれも端的にお伺いしますが、海南島は入るのか入らないのか。
○藤山国務大臣 一々の島をわれわれはことごとくそういう意味であれしているわけではございません。しかし海域の中にあります地域が不安になりますことは、極東の平和と安定を欠くということをわれわれは考えております。
○楯委員 どうもはっきりしませんが、私の方も関係があるので、私は進めたいと思いますが、またアメリカの特派員から伝えられるところによりますると、極東の範囲がはっきりしておらない、従ってアメリカはこの問題について両国の解釈を統一するため話し合う用意がある、こういうことを報じておるのでありますが、外務大臣は事前に話し合ったということを何回も繰り返しておられるようでありますが、どうも私どもとしてはそのようにはとれません。アメリカの方では、極東の範囲について両国の解釈を統一する用意がある、話し合う用意がある、こういうことを言っているのでありますが、これについてどういう心境ですか、あなたは。
○藤山国務大臣 私としては交渉の過程において意見の交換をいたしております。従って今日直ちにアメリカ側が話し合いをすると言いましても、その必要はないと思っておりますけれども、ぜひとも話し合えと言うならば、あえて話し合いをしないとは申しませんけれども、私としては明らかだと思っております。
○楯委員 それでは次にお伺いをしたいと思いますが、金門、馬祖は極東の範囲に含む、きのう藤山外務大臣はこういう答弁をしておられるようでありますが、これも私はおかしいと思う。といいますのは、中国の沿岸は極東の範囲に含まない、こういう答弁を一昨日までわれわれは何回も聞いておるわけです。ところがきのうの答弁では、金門、馬祖も包含をする、こういうふうに答弁をなさっておられるようでありますが、だいぶん矛盾しているのじゃないですか。
○藤山国務大臣 一昨日でありましたか、一昨々日でありましたか、総理もそういう答弁をしておられるのでありまして、われわれとしてはその通り考えておる次第でございます。
○楯委員 そういたしますと中国沿岸は含まない、極東の範囲の中に入らない、こういう答弁だが、金門、馬祖に限って入る、こういう解釈ですか。
○藤山国務大臣 その点についてはきのうもすでに御答弁を十分申し上げておるわけでありましておわかりいただいていると思いますが、私どもとしてはやはり紛乱の起こるような、極東の平和と安全に影響のあるような地点だと認めざるを得ないと思います。
○楯委員 それでは次のお伺いをしたいと思いますが、連日藤山外務大臣は、極東の平和と安全は日本の平和と安全とうらはらである、こういうことを盛んにおっしゃるわけですが、そのうらはらというのは同心一体、そういう意味ですか。
○藤山国務大臣 申すまでもなく今日の国際情勢から申しましてもあるいは地理的な状況から申しましても、世界はだんだん狭くなってきております。従って月にもロケットが行く時代でございまして、世界の各地に起こりました問題が、かなり遠方でありましても影響することは、国際政治の上において明らかな事実でございます。日本がおりますこの周辺におきまして、いろいろな問題の起こりますことは、やはり日本の平和と安全にうらはらという、俗語でございましょうけれども、影響があることは私は当然なことだ、こう思っております。
○楯委員 今藤山外務大臣は影響がある、極東と日本は影響があるという表現をなさいましたが、そういう意味じゃないのではないですか。うらはらというのは、同心一体といいますか、ほとんど一つのものである。日本の安全と平和と極東の安全と平和は一つのものである、こういう意味のことではないでしょうか。
○藤山国務大臣 私は楯さんほど日本の言葉について自信がございませんから、うらはらというものの解釈についてお話がありますと、迷わざるを得ませんけれども、要するに日本の平和と安全を守っていくということは、日本自体が侵略を受けたばかりでなく、日本の周辺にいろいろ紛乱が起こりますれば、やはりそれが影響してきて、そして日本の平和と安全にも影響があるということは、これは私は事実だと思います。従ってそういうことをうらはらという表現が悪いのでありましたら、他の表現の言葉を用いてもよろしゅうございます。私はそういう点について影響がないとは考えておりません。
○楯委員 私は藤山外相のうらはらであるという、何回も繰り返される答弁を聞きまして、それではこの極東の安全、平和について事前協議の場合に、日本がノーと言う場合はないではないか。だから常識的拒否権というような新語ができまして、先日来論議をされておりますが、一応事前協議ということはうたってありますけれども、ノーと言う場合はないではないか、こういうふうに解釈されるのでありますが、どうですか。
○藤山国務大臣 事前協議の場合に、むろんノーと言う場合もたくさんあると思います。
○楯委員 極東の安全と平和が阻害をされるというので、米軍が出動をする、事前の話し合いが行なわれた。その場合に、日本の安全と平和がうらはらであるということならば、ノーということは言い得ないではないですか。
○藤山国務大臣 今日の国際関係におきまして、どなたもおわかりいただけますように、問題はいろいろ錯雑しております。従ってそれが極東の平和と安全が脅かされたときに、日本の平和と安全が脅かされるということは、これは楯さんにしても御了解いただけると思います。ただ、それが直接的にすぐ影響がくるのか、あるいは間接的になるのか、そうした極東の平和と安全が侵されているときに、直接日本に影響を具体的に持ってくるのか持ってこないのか、そういうような問題の判断は当然あるわけでありまして、そういう場合にノーと言い、イエスと言う場合が両様あることは当然でございます。
○楯委員 日本と極東の結びつきというのが、今の御答弁ではだいぶ薄くなってきたように思うのでありますが、きのうまでの外務大臣の御答弁を聞いておりますと、全く極東の安全と平和は、日本の安全と平和と一体である、こういうような答弁であり、われわれもそのように受け取っておるわけです。しかりとするならば、米軍出動に対する事前協議でノーと言う必要はない、こういうふうにとれるわけです。それから昨日も、米軍が移動をする場合には、これは事前協議の対象にはならないというお話でありましたが、当然今の米軍の作戦行動としては、まず沖縄に移動をして、そこで戦闘行為にかかるのが、われわれが考えましても常識だろうと思う。そうすると拒否権があるないということは別として、一応事前協議ということは看板としてはうたってありますけれども、これはあってなきがごときものである。こういうふうにわれわれはとれるのでありますが、この点についてもう一回御答弁をいただきたい。
○藤山国務大臣 昨日も申し上げました通り、在日米軍が配置がえをされますれば、在日米軍ではございません。従ってそれに対してわれわれは何らの行動の制限をするわけにいかないことは、これは当然でございます。在日米軍が行動しますときに、現在の条約では自由でございますけれども、今度は事前協議によりましてその目的を縛るわけでございます。
○楯委員 時間の関係がありますし、私もぜひ聞いておかなくてはならぬことがありますので、外交問題はこのくらいにして次に移りたいと思いますが、私は造船利子の補給について関係大臣にお伺いをしたいと思います。 大蔵省は造船利子補給について予算編成時最後まで相当強く反対をされておったようでありましたが、ついに本年度予算には約十億円復活をいたしております。これは造船利子補給ということになりますると、佐藤大蔵大臣をめぐって指揮権発動等がありまして、忌まわしい過去を持っておるわけでありますが、最後まで大蔵省が反対をした根拠と、反対をしながら、なぜ十億円計上をせざるを得なかったか、その経緯を簡単に御説明願いたいと思います。
○楢橋国務大臣 利子補給の問題で大蔵省と意見が食い違ったようなお話でありますが、利子補給の問題は、運輸省といたしましては、日本の海運の国際競争力を強化するということ、これは運輸省に諮問機関としてあります海運造船合理化審議会の答申等もありまして、また海外におきましても、アメリカあるいはフランス、ドイツ、英国その他の国が、非常に大きな国際競争のために自国海運の保護政策をとっております。日本の海運は御存じのように戦時補償も打ち切って払っておらぬというような状態で、膨大な借金を背負って国際競争場裏に出ているという関係もありまして、各界の要請等もありまして、利子補給の問題を強く主張いたしたのであります。従って大蔵省におきましても、財政その他の問題あるいは海運界の推移の問題等も私どもいろいろ議論をしましたけれども、究極において意見の不一致ではなくして、国際競争力を強化するという点において大蔵省側と意見の一致を見て、十億円の利子補給をやった次第であります。
○楯委員 私が不思議に思いますのは、今まで不況であったときには、利子補給いうものは復活しなった。ところが最近業績が上向いておるのに、復活をしてきたという点が、非常に不思議な気がするのです。これはあなたの方で十分おわかりになっていることでありますが、昨年の九月期決算が、償却前九十七億円の利益がありました。一昨年同期の二十四億円、あるいは、三月期の五十七億円に比べますと、非常にこれは増強をいたしております。それから不定期運賃指数でも、昭和二十七年を一〇〇といたしますると、昨年の十月が八〇・四%、一昨年同期の七〇・四%に比較して、一〇%も上向いておる。だから非常に苦しいときにはほうっておいて、海運界が好況に向かってきた本年度から利子補給を復活する、こういう点がどうしても割り切れないわけです。この間の経緯はどうですか。
○楢橋国務大臣 第一に、今お話のありました好況の上向きになったときに、どうして利子補給をやったかと言われまするけれども、現在海運界はまだまだ非常に深刻な不況時代でありまして、実は今御指摘のありました昨年の不定期船運賃の指数を申し上げますと、八月は六九・六、九月は七一・一〇、十二月八二・五というふうになっておりますけれども、最初利子補給の制度を実施いたしました二十八年度初頭は、やはり七九・三ないし八五・六と比較をいたしますると、決して格段の好転をしておるというわけには実は参らないのでありまして、現在二千数百億の借金を持ちまして、利子だけでも二百億近くのものを払っておる海運界といたしましては、どうしてもこの機会にやはりこれを補強して国際競争に勝たしむる必要がある、こういうことでやったのでありまして、しかもニューヨーク航路等におきましては、間もなくフィリピンの高速船、米国のマリーナ型等が進出してきまして、相当激甚な国際競争になる段階になっておりますので、どうしてもこの機会に日本の海運の国際競争力を強めるということは、各界の要請等もありまして必要だと認めておるような次第であります。
○楯委員 そういう答弁しかできないだろうと思いますが、この業者の自粛と反省の点について一つお伺いしたいと思いますけれども、造船関係、海運関係というものはもうやっていけない、どたんばに来れば、何とか政府が措置をしてくれるだろう、だから私はこういうことは言いたくはないのでありますが、業者がこういう考えを持っておるその底には、何かあるような気がして仕方がないのです。一例を時間の節約上簡単に申し上げます。たとえば船会社のゼロ決算というのがこの前話題になったわけでありますが、運輸大臣は御存じでありますか。ほんとうは償却をしなければならない分まで次期に繰り越して、帳簿上は利益ゼロである、こういうような決算の仕方をしておるのでありますが、監督者としての運輸大臣は御存じでありますか。
○楢橋国務大臣 海運界の問題は、今御指摘のありましたように、やはり保護政策をとると同時に、海運企業の合理化を徹底的にやらしめなければならないというわけで、運輸大臣といたしまして、昭和三十三年の九月に、海運界の経費節減並びに合理化、企業間の協調等を強く促進させることにしまして、利子補給の対象となっておる会社に対しましては、一般管理費において一〇%、運航費及び船費については五%の節減の指示をいたしたのであります。その後業界におきましてもよくその趣旨を体しまして、現在のところで申しますと、当初計画の五%を、運航費は八・九%、船費につきましては一三・四%、一般管理費につきましては一〇%を上回る一一・九%、こういう実績をあげておりまして、一方に強く経費の節減等を行なわしめておるのであります。そういうことで、約八十億等の利益等も上げておりますけれども、利息の支払いその他を勘案しまして、減価償却等をやらしめますと、やはり四十億近くのなお赤字を出しておるというような状態でありまして、今御指摘になりました点等につきましても、十分な警告をいたしておるような次第であります。
○楯委員 それでは、簡単でけっこうでありますが、現在海運界に対する融資額の返納状況はどうか。延滞はどのくらいあるのですか。
○楢橋国務大臣 政府委員に答弁させます。
○朝田政府委員 お答え申し上げます。昭和三十四年九月期におきまする返済額は六十九億でありまして、現在までの借り入れ残高に関連いたしますところの累計返済額は、七百二十九億であります。
○楯委員 それから、この海運関係に関連をして、政府委員でもけっこうでありますが、開銀、輸銀の貸し倒れ準備金はどういうふうに扱われておるか、簡単でけっこうでありますから、お答え願いたい。
○石野政府委員 お答えいたします。開銀、輸銀ともに、貸し倒れ準備金は累計で百分の三であります。
○楯委員 金額を一つお答え願いたい。
○佐藤国務大臣 昨年の暮れまでに開銀から融資いたしましたのは、三十四年十二月末で千六百億、民間融資は千三百億、民間の千三百億のうち、計画造船にかかりますものが五百八十億であります。
○楯委員 それから、自治庁の方お見えになりますね。船主協会並びに造船工業会から政党献金があったと思いますが、最近一、二年でけっこうでありますから、わかっておったらお答え願いたいと思います。
○松村政府委員 お答えいたします。昭和三十二年におきまして、まず日本船主協会からの寄付を申し上げます。
○楯委員 総括でけっこうです。
○松村政府委員 経済再建懇談会に千五百万円、昭和三十三年経済再建懇談会に二千二百五十万円、自由民主党に一千万円、昭和三十四年は上半期しか報告は出ておりませんが、一月から六月末まで、経済再建懇談会に対しまして千八百万円、自由民主党に対しまして一千万円、日本造船工業会からの寄付は、昭和三十二年経済再建懇談会に対しまして千三百万円、三十三年経済再建懇談会に対しまして二千七百五十万円、昨年は、上半期、経済再建懇談会に対しまして二千万円、政治資金規制法によって報告が出ておる分であります。
○楯委員 私は政治献金をここで論議をする時間もございませんのでやりたいとは思いませんが、この国民の税金によって利子補給までする団体が、今報告によりますと、昭和三十三年度には約六千万円の政治献金をしておるわけです。これは十億円の利子補給全額に比べて六%でありますか、六%にも及ぶ献金を行なっておる。こういう利子補給を受けるような団体が、このような献金を行なうということはその裏には何があるか、こういうことを私どもは非常に疑惑を持ってながめなくてはならない。こういう点について、監督者としての運輸大臣は今日以後どう考えるか、簡単でけっこうでありますからお伺いしておきたいと思います。
○楢橋国務大臣 さいぜん申し上げましたように、やはり海運の国際競争力の強化という建前からやっておりますので、そういう点につきましても、十分に自粛させたいと思うのであります。
○楯委員 われわれは、日本は海に恵まれておりまするから、国際収支の改善に大きな役割を果す海運業がきわめて重要である点については、これは否定はいたしません。しかし、それはあくまでも日本の海運業の立て直しであって、海運会社の救済であってはならぬと思います。私ども、この業者が、相当改善はされてきておるのでありまするけれども、まだまだいざということになったら、政府にすがれば何とかなる、そういう気分が底に流れておるということを見のがすわけにはいかないと思います。特に冒頭申し上げましたように、世界の経済界が活況に向かっておるのに、利子補給が復活をする、あるいは老朽船の解体をする量より新造船の方が多いというようなことでは、健全な海運業の発展ということはあり得ないのじゃないか。こういう点について、運輸大臣としては戦後乱立をした海運会社を整理統合をして、経営の合理化を行なう、そういう方向に強力にまずやらなくてはならぬと私どもは考えておるのでありますが、この点についてどうお考えになりますか
○楢橋国務大臣 今御指摘のありましたように、日本の海運の持ちます国際的な収支における国民への役割というものは非常に重要でありますので、できるだけ経営の合理化をはかり、従って、今御指摘のありましたような国民の負担にかからないように、自主的にやらせるという方向へ実は極力指導をいたしておるのでありまして、私が運輸大臣になりましてから、ニューヨーク航路も、やはり過当競争をしないように、九つの会社を三つのグループにして、あらゆる経営の合理化等をさせておりまして、そういう線に沿うて強く指示をいたしておりますが、会社それ自体がそれぞれの歴史とやはり性格とを持っておりますから、できるだけそういうことも尊重しながら、経営の合理化で能率的にやりたいということを強く指導したいと思っておるのであります。
○楯委員 それでは、次に三国間の輸送、七億円の助成についてお伺いしたいと思いますが、これは昨年の通常国会でも、三国間輸送、七億円の助成に対して、法律に基づいて支給をしなければいけないではないか、財政法違反ではないか、こういうような論議がここで井手委員とかわされているわけです。ところが、金額がほとんど倍近くなって、なお法的根拠なくしてこの金を支出をするという点については、われわれは非常に不可解な感じを持っておるわけですが、どうするんですか。
○佐藤国務大臣 お答えいたしますが、別に、法律補助でなければならない、かようには実は考えておりません。いわゆる予算補助で適当だ、かように考えておりますので、私どもは立法を必要としない。もちろん予算が計上いたしてございますので、十分御審議をいただくということでございます。これは別に差しつかえないではないかと考えます。
○楯委員 大体一年限りであるとか特定の公共団体というようなものなら、大蔵大臣の答弁でもあるいは納得がいくかもしれません。しかし、これはこの前の国会でも井手委員と論議をされたのでありますが、きょう林さんがお見えになりませんが、林法制局長官が書かれました本にも、こういう場合にはやはり法律を作って支給しなければいかぬ、こういうことが、法律の番人である林さんの著書にも出ておるわけです。しかも、この前は、この助成金というものは最初のことであり、まだ継続をしてやるかどうかというような見通しもなかった、またあなたもそのような答弁をされておったのです。ところが、昨年に引き続いてことしも継続をし、しかも額が四億から七億にもなっておる。こういう状態で法的根拠なくして野放しで支出をするという点については、これは一介の大蔵大臣の答弁だけで済ましておかれるような問題ではないと私は思う。従って、私はお聞きしたいのでありますが、一体どのくらいその助成金がふくれ上がったら法律を作るのですか。その線というものはおのずからあるだろうと私は思います。どうですか。
○佐藤国務大臣 この問題だけではございませんが、海運利子補給の問題、先ほど来運輸大臣のお答えいたしております海運界の現状は、私は重ねては申し上げません。国際競争力をふやす必要のあること、これは何人も御異存はないだろうと思います。 ところで、まず第一は、業界自身が自主的な規制をすること、この意味において経営の合理化を昨年、一昨年非常に強力に推進した、この点は運輸省から説明した通りであります。さらにまた、運輸省自身の監督方針も非常にはっきりして参りました。今後の海運助成方策として一体どういうことを考えるか。その一つは、ただいま御指摘になりました三国間航路補助の問題もございます。大体海運関係では、新しい航路を開設いたしました場合は、この航路が一定の収益を上げる時期まで補助をするというのが過去の例でもございますが、戦後の実情から見て、私どもは、新しい航路開設、それは三国間の航路ではない、各国の実情等を見ましても、所有船舶の約一五・六%から二割程度のものを三国間の航路に充てることが一番望ましいのではないか、こういう意味で三国間航路の補助というものを昨年始めたわけであります。本年まだその経過を実は見ておるという実情であります。もう一つは、移民船の補助をいたしておりますが、これも今までのところなかなか成績がよくない。これもいわゆる予算補助でございますが、今回はやや工夫をいたしまして、移民船の補助についても十分実効が上がるようにする。もう一つは、主機換装と申しますか、先ほどスクラップ・ビルドの話が出ておりましたが、全部を解体する必要はないが、ただ持っておるエンジンを取りかえる、こういう意味において特別融資のワクを設定する、この三点を当初考える、他面において、業界自身の経営の合理化、これを強く、実は要望して参っております。ところで、経営の合理化の方も大体限度に参りました。海運界の市況等から見ると、やや上向きの状況である、しかしまだもちろん係船状態から見ると、不定期あるいはタンカー等の係船は非常に多いし、また新造船との比率から見ましても、なかなか係船を解くような状態にはなっておらない。経営の合理化がその限度に来たという点からまず利子補給ということを一面考えざるを得ないということで、今五つと申しますか、一面業界自身の合理化の推進また監督指導、そのうちには、先ほど経営の一元化というか統合等むだをしないようにということを努力しておられるはずであります。また不当競争をやらないようにするということをやっております。それから他面三国間の航路を助成していく、あるいはまた主機換装をやる、移民船をやる、こういう点を実はやっておるわけでございます。
○楯委員 今、大蔵大臣の説明によって内容がよくわかったのでありますが、しかし、野放しで幾ら金額がふくらんでも、ただ予算の審議だけで通すということはいけないじゃないかと思う。だから、おのずからどのぐらいの金額になったならば一体法律を作るのか。営利を目的とする個人の自由企業に対するものはおのずから規制をしなければいかぬ、こういうことを林法制局長官が堂々と本に書いておるのです。それをあえてやろうとしない。しかも昨年一年だけのことならまだどうかと思うのでありますが、おそらくこれは三十六年度も続いて行なわれるだろうと私どもは見ておるわけです。しかも金額がどんどんとふくらんでくる。一体どれだけになったら法律で規制するのか。おのずから常識的なその限度というものはないんですか。——簡単にやって下さい、時間がありませんから。
○佐藤国務大臣 限度ということは別にないと思いますが、十分その点は検討してみることにいたします。
○楯委員 ではもう時間の関係で次に移りたいと思いますが、政府が本年出されました経済白書と世界経済白書を比べてみますと、経済白書では工業生産が、戦前の三倍になった、貿易の伸びがこれだけだというので、非常に日本の経済成長を謳歌されているのです。ところが世界経済白書を見ますと、また悲観論が多いわけです。といいますのは、大体一九五八年のたとえば輸出額を見てみますと、二十八億七千万ドルです。ところが、貿易額が多くはなったといいますが、戦前と比較してみますと同率です。少しも大きくなっておらない。物価指数を直してみますと同率になっておるわけです。しかもその二四%に及ぶ輸出市場となっておりますアメリカで売れておる品物を見ますと、これは先日のこの委員会でも小松君が指摘いたしておりましたように、日本は繊維品、雑貨、最近はトランジスター、トランジスター・ラジオがどんどん行っておりますけれども、きわめて低賃金による低価格品が多いわけです。こまかい点は申し上げませんけれども、イギリス、ドイツ等から輸出をされております品物を見ますと、自動車その他機械類が多い、こういう状態です。それからアジア諸国に出ております、世界経済白書の統計を見てみましても、やはり低価格品が多い。従って、本年あたりで、いわゆる奇跡的に成長をしてきた戦後の日本経済は、もう従来の方式ではやっていけぬ。ここらあたりでもう頭打ちだ、こういうふうに私どもは考えておるわけです。従って今日以後の課題は、たとえば産業あるいは地域の所得格差、経済の二重構造なんというのは、いつも本委員会で論議をされておるわけでありますが、何とか根本的な対策をとらなければ、先進資本主義国とまともに太刀打ちしていくことはできぬ、こういうふうに私ども大ざっぱに考えておるわけです。そこで私どもがいろいろ将来に対します日本経済の険路で取り上げていきたいと思いますのは、私は本日きょうここで問題にしたいと思いますのは、地域の所得格差です。地域の所得格差を一体どういうふうに解消をしていったらいいか、こういう点についても簡単でけっこうでありますが、一つ御所見を承りたいと思います。
○佐藤国務大臣 前半の御議論に私少し議論がありますので、まずそれから答えさせていただきます。一九五八年をとって経済の動向を御判断なさいますが、一九六〇年、従って、その近い一九五九年をやはり基準にとってお考えをいただきたい。五九年から六〇年にかけての経済の成長率は、確かに驚異に値すると申していいような、また世界的な好況に向かっておる、この事実はございます。もちろんこれも手放しでいいというわけのものじゃないので、警戒は必要でございますが、社会党の諸君の御質問を聞きますと、いかにも六〇年はだんだん不振の状況にいくのではないか、非常に強い警戒気分を出しておられる。この点は私どもも手放しではございませんが、やはり希望を持たし、明るく経済を成長さす、こういう方向で物事を見ていただきたいという感じが一ついたしておるのであります。 対米貿易につきましても、繊維品並びに雑貨と一口に言われますが、いわゆる雑貨と申しましても高級雑貨であります。高級品というところに私どもは特に力を入れておる。それはもちろん御指摘のように、さらに機械輸出ということになれば、これは大へんけっこうなことであります。しかし、ごく少量ではあるが、すでに国産の自動車もアメリカに行っておるというような実情でございますから、さらに業界の努力によりまして、私どもは一そう機械輸出あるいは高級品の輸出等も努力する、こういうことでありたいものだ、かように考えております。こういう意味から、私は、経済についていろいろの見方はあるが、楽観はいたしておりません。またもちろん景気に波がありますから、毎月々々わずかずつでも進んでいくというような状況をたどればよろしいのでございますが、あるいはそのうちには一、二月は落ちるようなことがあっても、年間を通じてみれば向上する、こういうものだと思います。そういう意味で絶えず経済の情勢に十分の注意を払って、そうして経済を拡大成長の方向へ持っていく。そのことが同時に国民生活の所得をふやすことであります。また大いにそういう意味で生活自身を上げていくということに実はなると思います。 その前半はそれは別といたしまして、さらに後半の問題で、国内においての地域的格差があるじゃないか、業種別の格差があるじゃないか、こういう点が今後の日本経済の大きな課題でございます。地域的の格差の問題といたしまして、十分に地方自治体等の財源をあんばいすることもなかなか困難でございますし、また地方に適当な事業を興さすということも、そのロケーション等の関係からなかなか思うようにいかないものがあると思います。そういう場合におきましては行政全般の面として行政水準がやはり均衡を保っていくような方法を考えていかなければならない、かように実は私ども考えております。こういう意味から一面、地方、国を通じての税制の均衡をはかるような、再分配をはかるような努力が今続けられております。いわゆる税制審議会等においてこの点においていろいろ工夫されておる。また国の事業等の遂行におきましても、やはり地方産業を開発するに有利なようにいろいろ工夫しておるというのが現状でございます。
○楯委員 まあこんな大きな問題を短時間に論議をいたしておりましてもどうかと思いますので、次に進みたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、所得の地域格差、特に自民党の作っておる所得倍増でも、農業生産はなかなか二、三%しかならない、こういうことで一番隘路があるようであります。それらを勘案をして、私どもは所得の地域格差というものを真剣に考えなくちゃならぬ、こう思います。現在のままの諸施策を進めていったならば、これは都市に人口がもう過集中してしまって、しまいには飲料水もない、こういうような状態にもなっていきますし、どうしてもおくれた地域があるのでありまするから、これらに経済性を付与して、工業なり文化を振興しなければならぬ、こういうように思うわけです。そこで私の言わんとする目標に入りたいと思いますが、そういうことを前提にして、毎回論議をされまするいわゆる国土開発縦貫自動車道法というものを提案したわけなんです。ところが、衆議院のほとんど全員の賛成を得ながら、仕事が少しも進まない。中には現在ある国道か何かのような錯覚を起こして、まあ自分の選挙区へその道を引けという、こういうことでは、簡単に申し上げまして、日本の地域の所得格差を解消していくという本旨にも私は反すると思うのです。従って、今度はこれは建設大臣の番になると思いますが、一体なぜ予定路線の法案を出さないのか、お聞きしたいと思います。本年度三十五年度の建設省の予算を見ますると、高速自動車国道網調査費として予算が計上されております。この予算は当然高速自動車国道網の幹線となる縦貫自動車道の調査費でなくてはならぬと思うのでありますが、これに間違いございませんか。
○村上国務大臣 お答えいたします。中央高速自動車道につきましては、すでに尼ヶ崎—小牧間が目下施行中でありますが、この方面につきましては、御承知のように、用地取得に相当手間取りましたので、われわれの思うほど進捗は見ておりませんが、しかし用地の取得も大体八、九分通り確保できましたから、これからは大いに進捗を見ることと思っておる次第であります。それから、東京—小牧間につきましては、このほど調査が完了いたしましたので、その調査によって、いわゆるこの路線の決定を立法化すということは法の命ずるままでありまして、これは私は今誠意を持ってこれが立法化のために努力いたしております。しかし、御承知のように、交通関係閣僚協議会等の議を経て、そしてこれは一応審議会の議を経て立法措置をするということになっておりますから、目下一応その手続を踏むための手続中であります。従って、決してこれについて、われわれが等閑に付しておるということは、絶対にないのであります。
○楯委員 それでは、建設大臣にもう一回お伺いしたいと思いますが、あの予定路線の法案はこの前の国会では、岸総理大臣も来たるべき通常国会に提案をする、前の遠藤建設大臣も、必ず通常国会に提案をする、そういうことをおっしゃっておりましたが、いつ出て参りますか、まだ上程されておらぬようでありますが、どうですか。
○村上国務大臣 要するに、関係方面との一応手続を終わった上で、そして中央道の審議会にかけて、審議会の審議を願った上で国会へ提案をするということになってておりますので、いささか時間はありますけれども、私どもは誠意を持ってこの国会に提出するということははっきり申し上げられると思います。
○楯委員 それでは、次にお伺いしたいと思いますが、昨年の暮れでありますが、建設省は東京—小牧間の中央道の調査結果を発表いたしております。この内容あるいは発表の仕方が、どうも中央道はべらぼうな金がかかる、従ってとても建設は困難だという故意な宣伝といいますか、発表の仕方のようにわれわれにはとれるわけです。私もしろうとでありますが、この内容書を先日も読んでみました。調べてみたのですが、幾多のそういう作為的な内容がうかがわれます。私は二、三ここで申し上げたいと思いますが、私どもの知っておる民間団体が調査をしたところによりますと、たとえば最小曲線半径三百メートル、最急勾配四%として作ってあります。これは民間のやつです。ところが建設省の調査では、最小曲線半径二百六十メートル、——四十メートル狭いのです。それから最急勾配が五%、——%多い。そういう路線の選定の仕方をしながら総延長では同じです。総延長では、同じであるのだが、一番金のかかるトンネルと橋梁が非常に長くとってある。従って三千二百億円というようなべらぼうな、金の内容が故意にふくらんでおる。こういう点を指摘することができると思います。それから漏れ聞くところによりますと、最初まあ四千億円くらいかかるということで発表しようということであったのだが、これではあまり大き過ぎるというわけで、三千二百億円に修正をして発表した、こういう話も聞いております。それから東京を起点とするその起点を新宿付近まで延ばして、そうして五キロも高架の部分を作っております。これがべらぼうに金を食う。そういうような計上の仕方をしておる。それから気象条件の調査ではこれは重要な点でありますから聞いておっていただきたいと思いますが、霧の発生、降雨、凍結等の悪条件は、富士山麓、飯田付近、恵那付近に限られて、しかも短期間です。最もはなはだしい富士山麓の霧は、東海道にもし自動車道ができた場合に御殿場を通るわけでありますが、御殿場付近より濃くはないのです。ところが、短期間で大したことのないのを非常に自動車道としての使命を果たさないような表わし方がしてある。それから雪は、名神間の今やっております関ヶ原付近と比較しますれば問題なく少ない。ところが雪が問題だというようなことが指摘してある。それから、その他いろいろなそういう気象条件について、私は故意に強調してあるような気がするのです。一番問題は転換交通量の推定です。建設省では、大体六千五百台ぐらいのものだ、従ってペイしない、採算が合わない、こういうことを言っておる。ところが運輸省においては、まあ一万台はある、それから開発交通量を入れれば三千台ぐらいはそれにプラスされる、有料道路として採算は当然合う。こういう資料を作成しておられるのです。だから、そういうことはないかもしれませんけれども、故意に三千二百億円というような建設費がかかる——今私しろうとがざっと見ても、二、三そういう故意に作為したところがあるように見えるわけです。しかも、一番のかなめである推定交通量においては運輸省と建設省では四、五千台の相違がある。こういう点についてどうお考えになりますか。
○村上国務大臣 お答えいたします。まず、建設省の予定路線についての調査が、この線に対して反対な意向を持って故意にこの予算を計上しておるんじゃないかという点につきましては、絶対にそういうことはございません。建設省はこれをやりたいとかやりたくないとかいうようなことは考えていないので、むしろ建設省の道路局といたしましても、また、われわれといたしましても、こういうような国土開発に最も重要な路線については、こういうものができて、そしてあらゆる産業の開発あるいは資源の開発等に役立つことは非常にわれわれはこれに積極的であります。従って、そういうしろうとが、かりに一万分の一あるいは参謀本部の五万分の一程度の地図で、そういうもので図上で計算したものと——建設省の今回の三千二百億というものも決して完全無欠なものとは私は申しません。しかしながら、大体完全に近いものだということは、これも実地に測量に当たったものではないので、今回いわゆる法律の命ずるところによって航空写真によって一応の空中写真をとりまして、それを五千分の一の図面に引き直して設計を立てておりますので、今日民間あるいは政府を通じてどこにもこれ以上の精密なものはないはずでございます。従って、ただいまお話しのように、橋梁が非常に多過ぎるとか、あるいは橋梁の長さを長くとり過ぎているということを申されますが、橋梁の長さを短くすれば結局トンネルの長さが長くなる。それはだんだんとくぼ地に入るのですから。——そういうようなことにもなりまして、勾配についてもあるいはカーブにおきましても、これはいわゆる八十キロとか百キロとかいうような速度に必要な、道路の制限勾配なりあるいは制限カーブというものがありますから、それに合わせて、——これは建設省だけでなくて特に学識経験者、橋梁の大家あるいはトンネルの大家、その他気象あるいは地質、あらゆる方面の諸先生方にも、予算を計上するときに参加を願って、実際に間違いのないものを出しておりますから、その辺の御心配は一つ絶対になさらないようにお願いいたしたい。 それからまたただいま昭和四十二年の交通量について、建設省は六千五百台ということは寡少に過ぎるのじゃないかということでありますが、これは私どもの方としては道路局において十分調査したことと、もう一つは早稲田大学の生産研究所に委託いたしまして、ここでも結論として出た数字が六千五百台であります。何分十年先のことでありますから、これにも多少の動きはあると思いますが、私どもいたしましては、もうそのころになれば東海道の弾丸列車等もできますので、まあこの程度が妥当ではないか、運輸省で八千台とか八千五台とかいうような見方をしておられるそうですが、これにつきましてもいろいろと今から十年先の見方には多少の差異があるだろうと思います。この点についてはわれわれ今後とも十分検討して、適正な値を出して参りたいと思っておりますので、どうぞその点について十分御理解願いと思います。
○楢橋国務大臣 東京—神戸間の高速自動車道が建設された場合の交通量についての問題でありますが、今楯委員が一万云々ということを言われておったのですが、運輸省ではそういうとこはまだ公式に発表したことはないのです。きょう今初めて発表するのですが、運輸省におきましては、東京—神戸間の高速自動車道が開設された場合、これを使用する自動車の輸送量及び車両数の見通しにつきまして、三十二年度から調査を行なってきておりましたが、このほど一応調査の結果がまとまりましたので、御報告を申し上げたいと思うのであります。この調査の結果、中央自動車道による東京—神戸間の高速自動車道を使用する自動車の輸送量及び車両数につきましては、昭和四十二年度を例にとりますと、輸送量は貨物が四十四億一千八百万トンキロ、旅客は二十七億一千五百万人キロであり、一日当たり全線平均随行車両数は、トラック一台当たり平均塔載量三・五トンとすれば八千九百十七台、四トンとすれば八千四十七台であります。なお高速自動車道の開設により誘発されます輸送量及び沿道地域の開発等によって生じます輸送量の見通し、並びに東海道新幹線が建設された場合の影響等につきましては、目下調査中であります。以上御報告しておきます。
○楯委員 それでは私の時間が大体終わるようでありますから、もう一問だけ簡単にお聞きしておきたいと思います。東海道広軌新線と名神間の世銀借款の件でありますが、まず一体建設省の四千万ドルの借款の結果はどうなったのか。これは世銀側では、日本の土工費が割高であるから、国際入札によって単価を引き下げるべきであるというような名目をつけて、いわゆるひもつきで交渉をしておるようでありますが、その結果がどうなったのか。それから東海道の新幹線についてはまだ結果を聞いておりませんが、これもどうもひもつきになる。佐藤大蔵大臣は今ある国鉄の会計と別勘定にしてやればいいじゃないか、こういうようなことを言っておられるようでありますが、国鉄の方ではそういうことでは困るということで交渉しておられるようでありますが、一体どういう結果になったのか。それからついでに東海道のことでもう一つつけ加えて、総裁せっかくおいでになりましたのでお聞きしたいと思いますが、この前羽島駅の政治駅のことが問題になりました。簡単にいってあの広軌複線というのは、東京、横浜、名古屋、大阪、この長距離を直通をすれば問題ないわけでありますが、鈴鹿峠が通れないので、直線で行くところを旧東海道寄りに変わっております。しかも九つの——静岡、浜松、あるいは沼津辺ですか、とにかく九つの中間の駅ができた。こういうとこを聞いておるわけでありますが、それならば最初の目標とはだいぶ変わってきたし、それから旧東海道寄りに名古屋から米原を通過するということになれば、岐阜の駅へとめれば、これはもう常識であるから、何もああいう問題は起きなかったと思う。それをたまたまたんぼのどまん中の羽島駅あたりに駅を作ろうというのでありますから、政治駅ということで問題になった、こう思います。従って羽島駅がどうなっておるか。以上世銀借款に対するひもつきはないのか、あるいは新幹線の停車駅はどうなったのか、これだけお聞きして質問を終わりたいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。国際入札につきましては、世銀側の要望といたしまして、トンネル、橋梁その他の構造物については日本の業者が非常に安い。しかし土工だけはどうも日本の業者は少し高いように思う、それでアメリカの業者も参加させてほしいというような、強い要望がありました。それが条件というわけではありませんが、私どもとしてはアメリカの地勢、立地条件と日本の条件とは非常に違うので、決してそういうことはない、こう思いますが、世銀当局としては、どうしても日本の国際入札に一広参加させてもらいたいというような強い要望がありましたので、試験的に一、二カ所土工だけを国際入札をしてみたらどうだろうということになっておる次第であります。それから名神国道の道路の借款つきにましては、去る五日に日本道路公団総裁の岸君が参りまして、目下折衝いたしておりますが、最近参りました情報によりますと、大体償還期間及び利息等もきまったようでありますから、近く四千万ドルの借款が、尼崎栗東間の工事費の引き当てとして決定するものと私ども考えております。
○楢橋国務大臣 東海道新幹線の世銀借款の問題でありますが、これは御存じのように国内であれだけの資金を調達するということはなかなか困難でありますから、世銀から借款をするということで、運輸省、国鉄当局と努力しておりまして、大蔵大臣からもローゼン極東部長というのが来ましたときに、その点でよく話をされて、ついせんだって兼松理事があちらに参りまして、技師も参り、詳細なことを打ち合せしておるのでありまして、間もなく向こうから調査団が来るということを聞いておるのであります。またひもつきに——たとえば鉄道について会計監督を置くとかなんとか、そういうひもつきは一切ない。またそういうことはやるべきでないという考え方を持っております。ただ特別の会計という問題は、これは世銀といたしましても、やはり国鉄全体が相当な赤字もありますから、それに資本を投下するについての保証の問題といいますか、勘定を別口にしてもらいたいというようなことは、おそらく今後の借款の交渉において出てくる問題だろうと思うのです。これは自主的に、また国際信用的に解決すべき問題と思うのであります。 次に問題の羽島駅でありますが、これはおっしゃいました岐阜市を通ったらいいじゃないかといいますけれども、今国鉄の予定線を見ますると、岐阜市を回りますと大体百億かかって十五分間直線コースがおくれる。本来大野伴睦氏が代表で、岐阜市を通してもらいたいというような、楯さんのような意見がありましたが、そういうことをやりますと、百億かかって十五分おくれるのだから、従って今の直線の国鉄できめた線を通そう、こういうことになったのであって、羽島駅にとめたならどうだとおっしゃいますが、岐阜県を通過するについて、特急にあらざる、線路を曲げざる範囲内において、やはり岐阜県民にサービスするということは、国鉄本来の精神の発露であります。そういう点で、これは岐阜市に回したら、政治的に運輸大臣も国鉄総裁も屈したということになりますが、そういうことになっていませんので、一つ御了承願います。
○楯委員 それではいま一つだけで終わりますが、自衛隊の機構改革によって、鉄道部隊を自衛隊の中に作る、こういうような話を聞いております。この前も運輸委員会でこれを論議したわけでありますが、どうも昔のように外地へ出て行くわけではありませんから、国内における鉄道部隊の建設ということになりますると、やはり目的は最終的には労働組合運動の弾圧という方面に向かってくるのではないか。たとえば鉄道の公安官もそうです。最初は列車内の秩序維持という名目でやっておりましたが、今日においては労働運動対策専門です。そういうふうにとれるわけでありますので、そういうことがないのか、一体何の目的で、自衛隊に鉄道部隊を作るのか、この点。それから国鉄、運輸省関係にお聞きしたいのは、一体自衛隊の方では一朝事あるときに国鉄職員にかわって輸送を確保する、こうおっしゃるだろうと思います。この人手を借りなければ、国内の輸送の確保ができないのかどうか。この二点だけお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○赤城国務大臣 ただいまお尋ねがありましたが、自衛隊において建設隊を編成する予定を持っておりますが、これは国鉄の労組を弾圧するとか、そういうようなものに介入するとかいう意思は、全然持っておりません。部隊として編成する人員は約百二十名ぐらいであります。今四十名ばかりを訓練に出しております。今お話のように戦前は鉄道連隊というものがありまして、満州その他においても相当活躍したけれども、内地においてそういう機能を持とうということは考えておりません。目的といたしましては、災害等におきまして、局部的な鉄道等の災害があったときに協力するとか、自衛隊の任務として治安の維持、公共の秩序を維持する、こういうことがあります。部分的にそういう場合に協力する、こういうことで、百二十名程度の小部隊を第一建設群に置くつもりであります。御心配のような、あるいはお疑いのようなことは絶対にございません。
○楢橋国務大臣 国鉄といたしまして、今自衛隊の鉄道訓練の委託を受けておりますけれども、これは国鉄の業務の円滑な遂行を妨げない範囲内においては受託して、私鉄あるいはいろいろなところからもなにがあれば教育してやるということであります。今わずかな人数でありまして、今楯さんのおっしゃいましたように、自衛隊を使って国鉄がストライキをやった場合に、これを動員しようという考えは毛頭持っておりません。 ————◇—————
○小川委員長 先般委員長に御一任願っておりました公述人の選定につきましては、次の通り決定いたしましたので、この際御報告申し上げます。 十七日の公述人は、全国中小企業団体中央会副会長山屋八万雄君、民主社会主義研究会議事務局長和田耕作君、産業経済新聞論説委員西谷弥兵衛君、埼玉大学教授秦玄竜君、翌十八日の公述人は、全国銀行協会連合会会長、日本勧業銀行頭取堀武芳君、武蔵大学教授佐藤進君、経済評論家大島堅造君、評論家林克也君、以上であります。 この際午後一時まで休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ————◇————— 午後一時三十九分開議
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。堂森芳夫君。
○堂森委員 外務大臣にまずお尋ねをいたしたいと思いますが、先刻の楯君の質問に対しまして、外務大臣の御答弁がきわめて不明瞭でありましたので、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。 と申しますのは、新安保条約に対する国民の不安というものは、いかに政府がこれを強弁しましても、隠然たる不安の気持がある、ほうはいとしてある、こういうことは否定できないと思うのであります。従って政府は、われわれ議員の質問に対して明確なる答弁をされる義務があるわけであります。しかるに先刻楯君の質問に対しまして、楯君の海南島が極東の範囲に入るかどうか、こういう質問に対してきわめて不明瞭な、不明快な答弁をしておられますが、もう一度はっきりと御答弁を願いたい、こう存ずるわけであります。
○藤山国務大臣 私ども極東という観念の中に御説明申し上げておりますことは、一つの海域ということを申し上げておるわけであります。その中に非常なたくさんの島嶼がありますから、その島嶼を一々拾い上げて、これは入るとか入らないとかいうことは、とうてい定義するわけにはいかぬと思います。しかしながら、極東の平和と安全に関心を持つとわれわれが考えますところは、やはりわれわれの関係しているような地方であることでありますが、かりに海南島の内部に何か海南島自身の騒乱が起こりましても、そのこと自体は必ずしも極東の平和と安全に直接関係があるとは——地域的な一つの政権の争いというようなことであろうと思うのであります。そういう意味からいいますれば、これは入らないと申し上げても差しつかえない。しかし一々の島どれどれを入るか入らないかと指摘されましても、それはわれわれとしても困難であることは御承知いただけると思います。
○堂森委員 しからば変えて御質問申し上げますが、従来の極東という範囲の定義では、中華人民共和国や沿海州は入らない、こういう御答弁でありますから、しからば海南島はどこの施政下にある島でございますか。それによって私ははっきりしてくると思うのであります。
○藤山国務大臣 現在中華人民共和国の支配下にあると思います。
○堂森委員 しからば海南島は入らぬと、こういう御答弁でございますか。もう一度重ねてお尋ねをしておきます。
○藤山国務大臣 海域というのは、一定の海の地域をいっておるわけでありますから、先ほど来申し上げましたように、一々の島をこれはどうということは、われわれはとうてい言うことはできません。しかし海南島に関しましては、今申し上げたような点から見て、直接の、すぐ対象にはなっておりません。
○堂森委員 しからば問題を移して参りたいと思います。安保条約の第四条はいわゆる協議条項、こういわれておるわけであります。 〔委員長退席、上林山委員長代理 着席〕この安保条約の第四条を読んでみますると、「日本国の安全又は極東」云々、日本の国の安全に対する脅威が生じたときには協議をする、こうなっておりまするが、この日本の安全に対する脅威というのは、単に武力的な脅威だけをさして言っておられるのかどうか、この点を一つお尋ねをしておきたいと思います。
○藤山国務大臣 この第四条におきまする日本に対する脅威といいますことは、むろん武力的な脅威があるということは当然だと思います。しかしながら、武力の段階に至りますまでに、そういう過程における脅威というものも考えられるわけでありまして、そういう意味において極東の平和につながりますような状況については、一般的に協議をいたしていくことになるわけでございます。
○堂森委員 私の質問は、日本の国の安全に対する脅威、こういうものは、武力はもちろん脅威であります。そのほかに、どうどういうようなことがございますか、外務大臣に一つ御答弁願いたい、こういうわけであります。
○藤山国務大臣 むろん日本国に脅威があるというような事態を考えてみますと、いろいろなケースがあり得ると思います。軍事上の情勢の変化でありますとか、あるいは紛乱が近くに起こっておりますとか、そういうようなすぐに脅威が起こりますか、あるいは将来脅威の源となるような事態が起こりますか、そういうようないろいろな状況があると思います。従いまして、脅威という意味につきましても非常に厳格な線は引きにくい、引くわけに参らぬと思いますけれども、当然日本としては、何かおそれがあるということを感じますれば、そういう問題については遅滞なく協議をしていくということでございます。
○堂森委員 もう少しくこの点はお尋ねしておきたいのであります。たとえば、これはたとえばでありますが、日本の国に何か内乱が起きるとかあるいは第三国の何か間接的侵略、こういうようなことを想定しているのじゃございませんか、いかがでございますか。
○藤山国務大臣 脅威という言葉の意味から見まして、純然たる内乱と申しますか、国内的な騒擾と申しますか、そういうものはむろんわきからの脅威というような意味におきまして想定されませんけれども、しかし、何かそれがやはり外部からの示唆その他によるということであれば、これは外部からの脅威であろうかと思います。なお詳しいことにつきましては、条約局長その他から御説明申し上げます。
○高橋(通)政府委員 第四条の日本の安全云々という問題でございますが、これは純粋の日本の国内問題としての関連あるところの安全ということではございませんので、対外的その他に関連のある安全ということを考えておる次第でございます。
○堂森委員 その政府委員並びに大臣の答弁でありますが、たとえば現行の安全保障条約には内乱条項というものがございますことは御承知の通りであります。そして私の知っておるところでは、何でも政府与党の方でございますか、内乱条項を省くとあぶないから、一つぼやかすためにこういう字句を使おう、こういうような意見があって、内乱をも含めて協議の事項、こういうことにしていこうというようなふうであったと、こういうふうに聞いているのですが、絶対に第三国からによる何か国内における混乱、こういうもの以外は協議の対象にならぬ、こういうふうに政府ははっきり答弁できるのでございますか。
○藤山国務大臣 むろんその通りでございます。
○堂森委員 そこで、協議のことでありまするが、事前協議をいたしまして、たとえば南朝鮮なら南朝鮮に何かの軍事的な変化があって、そして日本におるアメリカの空軍なら空軍が出動する、こういうことで協議が始まった。そして日本の政府がこれに対してノーと答えたときに、もし日本の意思と反してアメリカの空軍なら空軍が出動していった。こういうふうな場合には、これは国際法の違反になるのでございますか。法律的な違反と、こういうふうになるのでございますか、いかがでございますか。
○藤山国務大臣 今御想定のようなことはあり得ないと思っております。しかし、この条約からいいまして、ありますれば、条約に違反するのではないかとわれわれは確信を持っております。
○堂森委員 それは外務大臣は、ないとどうして保証できますか。たとえば、レバノンにおいてとったアメリカの軍事行動はどうですか。あるいはラオスだってそういうことが言えると思います。あるいは南朝鮮でも、ある意味ではそういうことが言えます。レバノンにおいてアメリカの軍がとった行動、これは外務大臣だって御承知だと思います。世界中の世論が猛烈な批判をしたじゃありませんか。アメリカの軍隊はそういうことはあり得る。神様じゃないのです。戦争というものは、もっともっと苛烈なものであり、またもっと冷酷なものです。そういうことが絶対ないということをあなたは保証できますか。いかがですか。
○藤山国務大臣 今度の条約は、国連憲章の五十一条の規定に準拠しておるわけであります。従いまして、防衛上の問題として出動いたしましても、その手続については、直ちに国連の安保理事会に報告をいたしまして、そしてその処置を待つわけでございます。レバノンの場合は、むろん一国の主権者が要請すれば、友好国がそれに応じて軍隊を出せることになっております。しかし、御承知のようないろいろな批判がありましたから、アメリカは撤退をしたようなわけでありまして、そういう意味において、むろんそれは神様でない以上は、全部正しいとまで言えないことは、これはあたりまえかもしれません。しかしわれわれは、アメリカと友好親善の信頼の上に立ってやっておりますから、そういうことはないと考えております。
○堂森委員 そういうふうな場合に、あなたはないと、こうおつしゃいますけれども、われわれはあり得ることも考えねばならぬ、こういうふうに思うわけでありますが、国際法上の違反である、こういうふうになった場合に、日本の政府はどういう態度をとるのですか、お尋ねしておきたいと思います。
○藤山国務大臣 日本としてノーと言いました場合に、むろんそれは今申し上げたように、条約にかなっておりません。でありますから、アメリカが条約違反をやったということになるわけでございます。
○堂森委員 そんなことは何も答弁にならないと思います。違反をやった、こういうふうな断定を政府は下すわけでありますから、そういう場合にはどういう態度をおとりになるのでありますか、こういう質問であります。
○藤山国務大臣 むろん、これはアメリカが単独で出ました場合でも、防衛であると言って出ました場合でも、国連に報告をしなければなりません。これは当然のことでありまして、国連が処置をとることになろうと思います。
○堂森委員 国連に報告するだけでございますか。もうそれ以上のことはやらぬのでございますか。
○藤山国務大臣 むろん日本は、日本のとりました立場を国連に、何と申しますか、説明をするというか——国連の決議等においては、それが参酌されて、おのずから適当な判断ができていく、こう思っております。
○堂森委員 全く他力本願といいますか、それじゃわれわれは納得できません。アメリカと日本がそういう条約を結んで、ノーと言える、こういうふうにあなた方が御解釈になっておるにかかわらず、条約違反というものをやった場合に、ただ国連に報告して、そしてその判断を待つ、これだけでは日本政府の責任は済まされぬと私は思います。いかがですか、もう一度重ねてお尋ねいたします。
○藤山国務大臣 私ども安保条約を締結する前提として、当然お互いが信頼関係にはございます。従って、お互いに条約違反をやるようなことはないという立場に立ってこういう条約を締結して参らなければならぬのでありまして、条約違反をやるという前提でこういうものを締結していくわけには参らぬと思います。従って、条約違反はないと思います。しかし、何かあやまちがありましたときには、それはお互いに国連によっても判断することができましょうし、日本としても、そういう点をアメリカに十分指摘して、そして反省を求めることもできるわけでありまして、そういう意味においてわれわれは考えておるわけでございます。
○堂森委員 そういうふうな条約違反をした、もっと進んで仮定しますならば、日本におるアメリカの空軍が出動して参ったという原因で、何か報復的な第三国からの攻撃がある。こういう場合に、そんなことで済まされますか、いかがでございます。
○藤山国務大臣 われわれは、今申し上げたように信頼関係に立って、違反が、今からあるというようなことを前提にしては条約は結べないわけでありまして、条約を結ぶ信頼関係の上に立っておりますれば、お互いに条約を順守して、そして違反をしないということでいかなければならぬわけであります。でありますから、御想定のようなことが起こり得るとはわれわれは思っておりません。
○堂森委員 それは、私は一国の外務大臣としてきわめて遺憾だと思うのであります。たとえば、戦前のことを申し上げましょう。日独伊三国軍事同盟が結ばれたときに、ドイツが全く突如としてソ連を攻撃していったという事実がありましたが、日独伊三国軍事同盟が結ばれた当事のドイツの外務大臣のリッベントロップが、モスクワにおいてソ連の政府に向かって、これは決して侵略のための準備の同盟ではないのだ、こういう通告をし、懇談もした。あるいは日本の場合も、そういうことがいろいろと言われておったことは御承知の通りであります。条約というものが、そのように相手を信頼して結べば、それでうまくいくのだ、こういうような安易なことで、日本の国の運命といいますか、そういうものの責任を持つところの外務大臣、政府としては、私はきわめて遺憾だと思うのでありますが、重ねて御答弁をお願い申し上げます。
○藤山国務大臣 私どもは、やはりこの種防衛上の条約を結びます場合に、お互いに信頼の上に立って結ぶわけでございますし、ことに今回は、国連憲章にも準拠してやって参るわけであります。その信頼の上に立ってやらなければ、こういう条約は結べないわけであります。従って、われわれとしてはそういうことはあり得ないと考えております。
○堂森委員 政府の答弁によりますと、あくまで最初から信頼のもとに結ぶ条約であるから、そういう条約違反をやることは絶対ない、こういう立場を堅持しておるのであります。これ以上議論を進めて参りましても、これは収拾のつかないことでありますから、次の問題に移って参りたい、こう存ずるわけであります。 外務大臣にお尋ねいたしますが、新安保条約というものは、軍事的な面のみならず、経済的にも両国の協力を進めていくのだ、こういう重要な意味がうたってありますが、そういう重要な意味を持っておるのでございますか、いかがでございます。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、両国が信頼関係の上に立つと申しますことは、政治の上におきましても、あるいは社会上の点につきましても、あるいは経済上の点につきましても、相互にお互いに助け合う。お互いに信頼のその上における友好親善の関係を深めていくということにあることはむろんだと思います。従いまして、日米間における経済の関係というものは、ますます両国が提携、親善の関係を深めていくのが、やはりこの信頼を固める上においても必要であるということは申すまでもないことであります。従いまして、今回の経済条項と申しますか、この条項自身も、条約の基本に流れておる両国の友好な立場をさらに一そう経済上にも増進しようということを明白に示しておる重要な事項だと考えております。
○堂森委員 しからば軍事的といいますか、そういういろいろ行動については、今後いろいろな具体的な工作が講ぜられていくことと思うのでありますが、経済的な協力、こういう面について、どんな具体的な行動が両国の間でとられていくのでありますか、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
○藤山国務大臣 御承知のように、私がくどくどしく申し上げるまでもなく、現在においても日米の経済関係というものは非常に深いつながりを持っておると思います。相互に輸出入の関係におきましても、アメリカにおきましても、日本に対する輸出というものはかなりウエートが重くございます。また、日本がアメリカに対する輸出ということも、日本貿易全体において非、常に大きなウエートを持っておると思います。そういう関係におきまして、相互の貿易関係というものが一そう拡大し、一そうスムーズにいきますことは望ましいことでありまして、またスムーズにいかなければならぬと思います。むろん経済の問題でありますから、それぞれの国のいろいろなそのときの事情によりまして、障害が起こり得るような場合もございます。それはお互いに協議しながらできるだけ除去していくという立場をとっていかなけばれならぬと思います。また世界の経済の動きに対しましても、たとえば自由の貿易というような面につきましても、やはりヨーロッパの共同体その他と、域外に対する問題等については、われわれは域外諸国として緊密な連絡もとっていかなければならぬ面もございましょうし、また低開発国の開発ということが世界の平和に非常な大きな影響があるといえば、やはりそういう面についても十分お互いに話し合いをし、緊密な連絡をとっていく。従って、政府間同士でこうした問題を話し合いますと同時に、民間においてもできるだけ相互に協力して、お互いにそれらの障害がありますものは、同じ目的のために取り除いていくという努力をしていく必要があろうかと思います。
○堂森委員 新安保条約の調印に際しまして、安全保障協議委員会というものを構成する。これは、あなたとアメリカのハーター国務長官との間でございますか、交換書簡がお互いに交換されておりまして、安全保障協議委員会というものが成立するということに同意いたしておると思うのであります。この構成はあなたと防衛庁長官、アメリカ側は大使と太平洋方面司令官でございますか、こうしたトップ・レベルによる安全保障協議委員会というものが構成される。また先日民社党の今澄委員が質問をいたしました際に、その下に専門委員会を作るであろう、こう御答弁になったと思うのであります。これはもちろん日本の防衛庁当局の首脳部と、向こうのそうした専門家の首脳部とが集まって、いろいろな軍事的な協議、こういうものをいたしていくと思うのであります。これはもちろんあなた方が考えておる安保条約というものを進めていく上においてやるところの随時協議である、こういう条項が入ると思うのであります。こういうようなことは、国民としては、やっぱり安保条約というものは軍事面だけを一生懸命にやっていって、そして、やはり軍事同盟なんだ、こういう心配を持っておると私は思っておるのであります。また当時調印の際に、日本から全権団が多数参られまして、この多数行かれたことにわれわれは多くの意見を持っておりますけれどもこれは申しません。多数の方々が行かれまして、この中に財界の大物である足立氏というような方も加わっておられるわけであります。彼は帰ってこられまして、羽田で談話を発表いたしておりまして、われわれ安保条約の全権として行って、あとまで残って経済協力の問題についていろいろ協議をしたけれども、何にも具体的なものはなかった。まあ言葉は違いますが、そういう意味の談話を発表しておるのであります。また政府は、この新安保条約の調印に向かっていろいろ交渉しておる際に、日米間に経済委員会というものをお互いに作ろうではないか、そういう提議をされたことがございますか、どうでございますか。 〔上林山委員代理退席、委員長着 席〕
○藤山国務大臣 この交渉の過程におきまして、経済委員会を作るということを具体的に話したことはございません。ただ、先ほど来申し上げておりますような両国の経済の緊密化、そうして相互に障害を取り除いて運営をりっぱにしていく、そういう面につきましては、われわれも今後とも十分な力を入れて参らなければなりません。従って政府間レベルにおきましては、通常外交ルートにおきましても十分そういう意見の交換はできます。できますけれども、何か一年に一回でも二回でも寄り集まるようなこともできれば、さらにいいのではないかというような考え方は持っておりますけれども、具体的にそういうものをこういう形でやるんだということまで話し合ったことはまだございません。また、日米間の経済をなめらかにして参ります上においては、民間同士の話し合いというものが相当有効であることは、両国ともに感ずるところでございます。従いまして、今回行かれました足立全権におかれましても、日本の財界を代表されまして、そういう希望を持ちまして、調印後に向こうの財界の方々と話をされたわけであります。御承知のように日本では、大体経済団体というものが、日本商工会議所なりあるいは経済団体連合会なり、そうした団体によって総括的にできておりますけれども、アメリカの団体というものは、全米商工会議所は、どちらかというと商業に偏重している。またニューヨークにありますような経済方面の団体は、製造業者の団体は製造業者の団体というような形で集まっておるのでありまして、日本の商工会議所もしくは経団連と同じような形のものがないわけであります。しかし足立会頭の帰ってからのお話によると、いずれの団体も何か日本の業者とそういうような意思疏通をしよう、お互いに話し合いをする機関を持ちたいという希望は持っておられます。ただ向こう側が打って一丸になるような形まで、向こう側の各種団体間の関係でできておらぬようであります。従いまして、まだすぐにそういうものができるとは足立会頭の報告によってもわれわれ考えませんけれども、しかし両者がやはり日米貿易その他経済提携のスムーズな運行のためには、何かそういう話し合いの機関を持ちたいということであると存じております。
○堂森委員 そこで私が聞いておるところでは、政府は、この新安保条約の調印と同時に、何か日米経済委員会というものを作ろう、こういう提議をされて断わられた、こういうふうなことを聞いておるのでありますが、そういう事実があるのでありますか。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、交渉の過程で特にそういう提議をいたしたことはございません。従って断わられたという事実もございません。しかし、われわれとしては何らかの形でそういう話し合い機関を、将来民間においても持つ、あるいは政府レベルでも外交ルートを通じてひんぱんにやる、何か適当なときに集まってやり得るような会合ができれば望ましいことだとは思っております。
○堂森委員 それから第二条に経済協力をお互いにしていって、そうして相互の間に食い違い、経済政策の食い違いができたときにはそれを調整していくのだ、こういうことがうたってあるわけであります。実際問題として、現在日米間における貿易において多くの食い違いがあることはもう御承知の通りであります。関税の問題一つ取り上げても大きな問題があると思います。そこでそういう文句をうたっておりますけれども、日本とアメリカというものの力関係といいますか、経済力の規模も本質的に大きな差がある。両国の間にそういう食い違いを調整するようなことが可能でございますか。ただうたい文句だ、こういうことでございますか、いかがでございます。
○藤山国務大臣 日米間のいろいろな経済上に起こっております問題、たとえば関税の問題でありますとか、あるいは輸入制限の問題でありますとか、そうした問題が起こっておりましても、それが相当に誤解の上に形づくられておるというところもございます。従ってそういうものも解いていく必要もございますし、あるいはまた一方から申しますと、日本の業者が非常に激しい競争をいたしまして、そして値をくずして、正常に売りますならばそうでないものが、かえってアメリカの業者を混乱させて、輸入も制限させる、アメリカにも迷惑をかけるというようなこともございます。そうした問題については、十分相互で話し合いをしながらやっていく。これは輸出貿易等の点につきましては、日本人の業者が悪いばかりでなくて、向こうからオーダーをする人が、これこれのものを作ってくれというようなことで日本の中小企業者に頼みますと、日本の中小企業者は知らないでもって同じような商標登録違反のようなものを作る場合もございます。でありますから、相互にそういうものはやはりお互いに話し合いをし、お互いに自制をしてやって参らなければならぬと思うのでありまして、そういうことがいわゆる両方の間隙が起こり、何か激しい関税の引き上げとか、あるいは法律上の争いとかに発展していくわけでありますから、そういう点について十分話し合いをしていきますことは、私は必要なことだと、こう思っております。
○堂森委員 外務大臣の答弁を聞いておりますると、新安保条約にそうした経済的な関係の調整とか、いろいろなことがうたわれておるけれども、これはただ飾り文句でついておるだけで、さしたると言いますか、軍事面にのみ——もちろん安保条約というのは、われわれ軍事同盟と、こう解釈しておりますから、そうあるのでありましょうが、経済的な連携云々ということは、ただつけたりであって、飾り文句にこういうことを書いておるということでございますか。もう一度お尋ねしておきたいと思います。
○藤山国務大臣 飾り文句というよりは、われわれはもっと強いつもりでお互いに宣言をしているつもりでございます。しかし、経済の問題というものはなかなか解決困難な問題もございます。従いまして、それに対しては両方でこの趣旨に応じて、できるだけの努力をして参らなければならぬことは、これは当然なことであります。
○堂森委員 予算委員会が始まりまして以来、この安保条約の、特にこの自衛権という問題についていろいろと論議があったと思うのであります。そこで日本の基地におるアメリカの空軍、こういうものが攻撃を受けたときには、それはアメリカ空軍に対する攻撃であり、同時に日本に対する攻撃である。それで日本は軍事行動、自衛隊の行動を起こすのだ。これは個別的自衛権である、こういうふうに解釈されておるのでありますが、これは集団的自衛権ではございませんですか。いかがでございましょう。外務大臣にお尋ねします。
○藤山国務大臣 日本の領土、領空、領海を侵さないで攻撃するわけに参りません。従って日本の個別的自衛権が発動し得るのでございます。
○堂森委員 アメリカの軍と日本の自衛隊とが協力をして、そうした攻撃に対して軍事行動を起こしていく、それは個別的自衛権でございますか。私は集団的自衛権と解釈すべきだと思いますが、いかがでございますか。
○藤山国務大臣 日本の自衛隊が行動いたしますときは、今申し上げましたように日本が攻撃されたことになりますから、従って個別的自衛権の発動をいたすわけでございます。
○林(修)政府委員 この集団的自衛権という言葉は、いろいろの人がいろいろの意味に用いておりますけれども、ただいま例におあげになったような場合は、日本の個別的自衛権の発動として十分説明できることだ、またその範囲のことと私ども考えております。日本が個別的自衛権を発動することについてアメリカと共同して措置をとるということは、あるいは集団的な防衛かもわかりませんけれども、別に集団的自衛権という問題ではございません。
○堂森委員 林法制局長官の答弁でありますが、それはこじつけだと私は思うのです。第三国の軍事行動に対して、一緒に共同して対抗していくというのが、どうして個別的自衛権といえますか
○林(修)政府委員 先ほど申し上げましたように、集団的自衛権という言葉は、いろいろ広い意味にも狭い意味にも使われておりまするが、一番端的に申せば、集団的自衛権というのは、他国を自国と同様に守るということだと普通に考えられる、これが中心的な観念と考えられております。これに対し、自分の国を自分が守るということは、これは個別的自衛権でございます。それで自分の国を自分が守るにつきまして、自分だけでは守る力が不足であるから他の国の協力を得て守るということは、決してこれは集団的自衛権の発動ではございません。まさに個別的自衛権の発動でございます。
○堂森委員 どうも法制局長官の答弁が、私はある意味では三百的だと思うのです。私は、従来政府が外務委員会、予算委員会あるいは内閣委員会等で答弁したことを全部調べて見ておるのですが、よその国の軍隊と日本の自衛隊とが共同して、日本であろうとどこであろうと、軍事行動を一緒に起こすということが、どうして個別的自衛権だけで解釈できますか。
○林(修)政府委員 これは国連憲章第五十一条で申しております個別的または集団的自衛権ということが、いわゆる国際連合憲章上合法的な措置と認められておりますが、あそこで言います集団的自衛権の中心的な観念は、要するに、たとえば自国と密接な関係にある他国が武力攻撃を受けた場合に、その国を自国と同様に守るということが、いわゆる集団的自衛権の問題でございます。自国を自国が守るということは、まさに個別的自衛権なのであります。自国を自国が守ることを集団的に守る、つまり他国と共同して守るということは、個別的自衛権であることは、学者の説も、どこからごらんになりましても明らかなことでございます。
○堂森委員 個別的自衛権というものは日本にもある。しかし軍事行動を起こすことはどうか、こういう議論はあると思うのですが、固有の権利までは私も認めるわけであります。しかし今日の自衛隊が、われわれは憲法違反であるという解釈をいたしておりますから、もちろん立場は違うわけであります。しかし、日本の国の基地におるアメリカ空軍を第三国が攻撃してきたということは、日本を攻撃したのではないのだ、こういうことだって言えると私は思うのであります。そうすれば、なおさら集団的自衛権ではないか、こういうことになりませんか。
○林(修)政府委員 その点は先ほど外務大臣からお答えになりました通りに、日本の提供をいたしました施設区域にある米軍に対して攻撃して参りますことは、同時に日本の領域を侵さずしてそういうことはできない。まさに日本に対する攻撃でございます。従いまして、日本は個別的自衛権を発動し得る状態だ、かように考えるわけでございます。 それから先ほどのお答えでもう一つ念のために申し上げますが、いわゆる国連憲章等で、個別的または集団的自衛権と申しております。個別的という意味は、決して単独という意味ではありません。自国を守るということが個別的で、集団的という言葉は決して多数という意味ではありません。要するに自国と密接な関係にある他国を守るという意味で使われておるものでございます。
○堂森委員 この問題につきましては、われわれの同僚議員がいずれ徹底的に質問することになっておりますから、私はこのくらいで終わりたいと思います。 問題を変えまして、通産大臣と経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。 日本の戦後の産業を見ておりますと、戦後はエネルギーの非常な不足があった状態でございます。御承知のように石炭の傾斜生産いろいろな政策が取り上げられました。そうして昭和二十六年ごろからは、ますます産業構造の革新と申しますか、そういうものが進んで参りまして、エネルギーというものの大きな転換がやってきた。さらに昭和三十年ごろからは日本の国の経済規模の猛烈な拡大と申しますか、そういうものが進んで参りまして、ますますエネルギーというものの産業のいろいろな内部的な変化も来ておる。またそれぞれエネルギー源としての石油、石炭、こういうふうなものの間にもそれぞれの競合、矛盾というものが大きく出てきておることは御承知の通りであります。しかし、戦後政府がとってきたエネルギー対策というものを詳しく見ておりますと、一貫したところの総合政策が全くなかった、こう言っても私は間違いではないというふうに思うのであります。たとえばあるときには炭主油従の政策をとってみたり、今度はまた重油をどんどん使えというような、ボイラーを奨励するような政策をとってみたり、今度はまた石炭の不況がくるとボイラーの規制法を作って本年の十月まで有効である、さらに今日石炭不況というものがきたので、今度はボイラーの規制法をまた延ばそう、こういうふうなことを通産大臣は言っておられるようであります。また原子力による電力を作っていくということについても、経済企画庁あたりの計画表を見ておりましても、何でもA、Bという案があるそうでありますが、昭和五十年になると七百万キロワットあるいは四百万キロワットの原子力発電を予定する、こういうようなことがたしか昭和三十一年ごろからいわれております。今日では、昭和五十年になったってとうてい七百万キロワットあるいは四百万キロワットというような原子力の発電はできない、こういうふうに一般にいわれておって、再検討しなければいかぬというふうなことがいわれております。またコールダホールの改良型を輸入することにきまって、第二番目にもまたそういうものを輸入しようといっておったのが、今度はそれをやめた、こういうことがいわれております。いろいろこまかく例をあげてみますと際限がありませんが、戦後一貫したエネルギー政策というものは全然なかったと申しても私は過言でない、朝令暮改であると思う。そうしてますますそうしたエネルギー産業である石炭、石油あるいは電気、こういうようなものの間におけるお互いの競合、矛盾、そうしてそれぞれの産業もまたその内部に大きな矛盾を持って、ますます困難な方向に日本の国のエネルギー産業が走っておる、こういうことを言っても過言ではないと思いますが、通産大臣並びに経済企画庁長官はどのような総合的な対策をお立てになっておるのか、今後どのようにやっていこうとされておるのか、一つお尋ねをいたしたい、こう思うのであります。
○菅野国務大臣 戦後のエネルギー対策としましては、今日まで石炭中心できたと思います。御承知の通り、その後重油の使用量というものが現に盛んになって参ったのでありまして、それからまたやがて石炭、石油というものが将来あるいは尽きるのではないかというようなことから、原子力のエネルギー問題がいろいろと論議されてきたのであります。御承知の通り、原子力の電気会社もできるというような状態になったのであります。そこで、一体今まで無計画であったかと申しますと、決してそうではないのでありまして、現在やっております経済の五カ年計画を見ましても、想定した水準からは若干は下回っておりますけれども、大体同じような計画通りのエネルギーの使用になっておるのであります。ただ多少下回りましたのは、これは技術革新に伴いまして、エネルギーの消費の比較的低い機械産業などが最近著しく発展してきたというようなこと、あるいはエネルギー消費の原単位の向上ということが原因しまして、予想よりもエネルギーの消費が多少減っておりますけれども、大体計画通りで予想した通りであったということが言えると思います。そこで将来のことを考えてみますると、御承知の通り電力、石油あるいは石炭というような問題があるし、また原子力というような問題があるのでありますが、結局そういうような問題に関連しまして、今後エネルギーについての総合対策をやはり根本的に考えなければならないということになっております。 そこでエネルギーの根本対策としましては、まず第一には所要量を安定的に確保するということ、第二には経済性の見地から、できるだけ低廉なエネルギーを使うということ、第三には、将来エネルギーの外国からの輸入依存率が急激に増加しますからして、従ってできれば外貨負担を軽減するという意味において、国産エネルギーをできるだけ使いたいということも考えなければならぬし、それからまたこのエネルギー産業の構造変化に伴いまして雇用問題がありますので、この点も考慮しなければならぬし、それから最後にはこの貿易自由化に備えまして、エネルギー産業の合理性ということを考える。こういう五つの点からエネルギー問題を考えてみたい、こう考えておるのでありまして、目下経済企画庁の経済審議会でエネルギー部会を昨年の四月から設けまして、いろいろ今審議検討中であります。まだ結論は出ておりません。また昨年から始めました国民所得倍増の長期経済計画の一環としてエネルギーの問題を調査研究いたしまして、そうしてこのエネルギー問題の根本策を大体案出しまして長期経済計画を立てていきたい、こう考えておる次第であります。
○池田国務大臣 大体企画庁長官がお答えになった通りでございます。エネルギー対策と申しましても、戦後におきましては、エネルギー対策は主として石炭と電気の方に向けられております。石油の方はつけたりと申しますか、補助的の考えで、対策としては電気と石炭でございます。電気は大体計画通りに順調にいったと私は思います。しかし石炭におきましては、流体エネルギーの問題、技術革新によりまする固形石炭よりも流体エネルギーということと、価格の問題から計画通りにいかなかったり行き過ぎたりという点はございますが、大体全体としては順調にいっていると思います。最も困難な石炭の問題につきましては、今回御審議を願っておりますように石炭対策を立てまして、昭和三十八年度には三十三年度の価格よりも千二百円引き下げて、そうして競争力をつけていこということでいっておるのであります。
○堂森委員 池田通産大臣は、大体順調にいっておる、こういうことでありますが、電気産業を見ましても、内部にはきわめて多くの問題があるわけであります。また石炭対策というものを見ますと、これはある意味では、私は、従来の石炭対策は失敗の連続であった、こう言っても過言ではないと思います。ただ三十年に石炭鉱業合理化法ですかが通過しまして、整備事業団というものができまして、なるほど中小炭鉱の整理なんかにはある程度の功績を示しておるということは私は否定するものでありません。 そこでもう一度さらに今度はこまかく一つ分けまして、石炭対策について通産大臣にお尋ねをいたしたい、こう思います。 さっきも御答弁の中に、昭和三十五年度は非常にたくさんの予算をつぎ込んで、そうして昭和三十八年度までには炭価を千二百円くらい引き下げができるように近代化、合理化をはかっていく、そうして予算を見ましても、たくさんの予算がつぎ込まれておるそうして流通面においても、また技術面においても、いろいろなことをやっていくのだ、こう言われておるわけであります。そこで石炭産業というものは、単に縦坑の開発をやっていく、縦坑の開発といいますか、それを大炭鉱に対してはやっていく、あるいは中小の炭鉱には機械化をしていく、政府の案はそうであります。それからまた業界が作りますところの研究所に対して五千七百万円ですか何かの補助をしていこう、あるいは流通機構に対しては単一なもの、大きなものを作っていこうとか、いろいろな計画を持っておることは私もよく承知いたしておりますが、ほんとうに通産大臣は三十八年度までに——石油燃料が今後ぐんぐん国際的な値下がりをしていく、こういうことも予想されるときに、千二百円というような業界にはかなり無理な炭価の引き下げというものをやりながら、政府が考えておるように年産五千万トンないし五千五百万トンくらいのところで生産のレベルを保ちながら、そうして千二百円くらい炭価を下げて重油との競合にも耐えていくような健全な炭鉱にしていくということは、実際において、従来の例から見ましてわれわれ非常に心配なわけでありますが、そういうことがほんとうにりっぱに実現していく、こういう確信を持っておられますかもう一度お尋ねしたい、こう思います。
○池田国務大臣 業者間におきましては、当初八百円程度の引き下げを計画いたしておったのであります。私はもっと研究していただこうというので、御承知の石炭鉱業審議会、これにかけまして、学識経験者あるいは経営者、労働者、消費者、流通面の方々等に慎重審議をお願いいたしまして、大体政府の助成策があるならば千二百円は下げ得るという答申がございました。私も内容を検討いたしまして下げ得ると確信いたしております。また下げなければならぬ、それに向かって努力しようといたしておるのであります。
○堂森委員 石炭の産業が、今日一般に世界的にいわれておるごとく、言葉はあるいは当たらないかもしれない、あるいは業界に対してきわめて失礼かもしれませんが、ある意味では一つの斜陽産業である、こういうふうにいわれておると思うのであります。これはもう日本だけではないわけであります。そこで石炭の産業が割合日本のような混乱といいますか、そうした一大危機を招いておるというようなことではなしに、たとえばイギリスやフランスやドイツにおいては比較的日本のような姿ではない。こういう原因が一体どこにあるとお思いになりますか、御答弁を願いたい、こう思います。
○池田国務大臣 アメリカは別といたしましても、イギリス、ドイツ、ベルギー等につきましてはかなり困っておるのでございます。日本との違いはある程度あるかもわかりませんが、最近非常に発達しましたフランスは、ドイツほどではございませんが、これもやはり困っておることは困っております。その国々の状況でございますが、やはりわが国の炭鉱は、それらの国に比べまして炭鉱自体の劣悪性もございましょう、そうしてまた消費地と産炭地のかけ離れておるということもやはり問題があると思います。また機械化ができておりませんために、石炭価格に対して労賃の割合が非常に高いという点もございましょう、いろいろな点が重なっておることと私は思います。
○堂森委員 今回政府が予算を提案しておりますその中に、石炭対策費として、さっきも申しましたように技術振興費と称して五千七百万円ほど組んでおられる。これは、業界が自主的に作る石炭の総合研究所でございますか、そういうものに補助をしていこう、こういうわけでございますが、石炭の根本的対策としては、ただ技術、こういう面のみ研究しておっても、今後の石炭産業の対策にはならぬと私は思うのです。すなわち石炭対策というものは、やはり化学的な、石炭化学というものの研究が同時にこれはきわめて重要であると思うのであります。たとえば地下ガス化の問題であるとか、いろいろな問題があると思います。こういうような意味で、研究所というものの内容はどんなものにしてどんなふうな——ただ採炭の技術、たとえば水力による採炭、輸送、こういうような面だけに限っていかれるのか、あるいは石炭化学というような方面にも広く研究をやらしていこう、こういうふうな方針で臨んでおられるのか、この点一つ、重要な点でありますからお尋ねをしておきたい、こう思います。
○池田国務大臣 石炭業界におきましては、最近の状況にかんがみまして、石炭についての化学的研究を進めていきたいということがほとんど自発的に業界から起こって参りました。われわれもこれに対してできるだけの援助をしようといたしておるのであります。今から二カ月くらい前に、石炭研究会というのができました。これは通産省と業界と共同主催であります。それは四部門に分けまして、生産と流通とそれから消費部面、そして新しい需要部面の研究、こう四部会に分けて検討を始めておるのであります。単に採炭だけではこれは十分ではございませんから、石炭のこれから伸びていく新しい分野の研究もやっていこうということにいたしておるわけであります。
○堂森委員 さらに石炭の対策として、たとえば山元発電、これは諸外国でもやられておるところであります。わが国におきましてもそうしたことが電源開発でも計画されておりますし、おそらく着手しておるのではないかと思います。山元における発電事業も一つの大きな問題であろうと思います。またガス化いたしまして、これを都市に送る、あるいはまた化学工業との結びつきにおいて、あるいは電力会社との結びつきにおいて、石炭界をそこに起死回生さしていく。あるいはまた石炭立地条件と申しますか、立地条件というものが産業の発達のための大きな条件になってくると思うのでありまして、いろいろ総合的なそうした対策がとられなければ私はできないだろうと思うのでありますが、具体的にどのような構想、またどのようにやっていかれるのか御答弁を願いたいと思います。
○池田国務大臣 石炭の流体化という問題は以前からございました。お話のように低品位炭を使ってやる。常磐炭の分はすでにあれいたしまして、七万キロ、これはまた倍加されるように相なっております。九州におきましても電源開発会社並びに九州電力会社、おのおの低品位炭を使うように発電設備をいたしております。また民間の計画では産炭地に、山元に発電所を置こうという計画もあるやに聞いております。そしてまた山元に発電所を置きますと、送電線の関係も起こってきます。高圧のボルトならば相当経済的によそに持っていける。送電線の検討もいたしておるような事情でございまして、石炭の流体化ということは今後当然考えられなければならぬ大きい問題と思います。
○堂森委員 石炭産業のみではありませんが、特に石炭産業にとって重要な問題は雇用の問題であると思うのであります。今回政府が提案しております予算案を見ておりますと、離職者対策にも政府としては重点を置いておる、こういう説明をいたしておられるわけでございます。そこでこれは労働大臣にお尋ねしておきますが、本年度において転離職者がどのくらい出ていくのか、こういうことについてまずお尋ねをしたいと思います。
○松野国務大臣 今回の予算面でとりましたのは、三十五年度の離職者対策だけではございません。三十四年度からのしり押しのものも含めて計算をいたしました。三十五年度はどの程度かということは、今後の労使間の問題もございますし、そう確定的に幾らだということは言えません。ただ、昨年、一昨年の失業状況の統計を見ますと、二万七千くらいという数字が妥当ではなかろうかというので——これは今後の問題でありますが、対策として基本的に三十五年度といわれれば、二万七千くらいの対策は必要ではなかろうかということが一番安全の数ではないか、こう私は考えております。
○堂森委員 それから少しく詳しくお聞きしたいと思いますが、炭鉱離職者援護会というものに補助金を出しておるわけでありますが、先般来の新聞を見ておりますと、炭鉱地帯においては離職者が充満しておる。あるいはまた関連した何かの職業について生活をしていく人たちが非常に困窮をしておる。しかるに、昨年の十一月でございますか、炭鉱離職者の臨時措置法というものが出て、この援護会というものが発足する、今日から仕事を始めるか、あすから始めるかといってきわめて大きい希望を持って待望しておるのに、一向この援護会というものが発足しない。こういうようなことを新聞に書いておりまして、現地においてはきわめて大きな問題になっておる。こういうふうに聞いておりますが、援護会はいつ発足しましたか、まだですか。
○松野国務大臣 援護会の発足が約一カ月おくれましたことは、やはり法案が成立いたしましたのが、十二月の中ごろ過ぎておりまして、援護会の正式な発足と申しますのは、一月の中ごろに正式に発足をいたしました。各地区において支所がだいぶふえましたので、支所の開設をただいまやっております。福岡の支所の開設を四、五日前にいたしたのであります。しかしその間便々としていたわけではございません。私ども職安を通じて離職者カードの整備をしたり、あるいは直ちに援護会が発足するのに万全の準備をしておりましたので、援護会の発足はおくれましたけれども、発足と同時に業務の開始をいたしまして、おそらく一週間以内にはすべての業務の開始をいたすつもりであります。なお、いろいろ御不安もございますが、もちろん法律施行後もさかのぼってすべての適用をいたしますので、非常に不安を与えたことは私どもも非常に申しわけないと思っておりますけれども、業務が開始いたしますれば、さかのぼってすべての業務をやるというので、諸般の準備を整えておりますので、一週間以内には援護会の一番大きな北九州の開店はできる、こう考えております。
○堂森委員 労働大臣の答弁でありますが、これはあなたがおっしゃるようにさかのぼるからいいのだ、こういう簡単なものではありません。たとえば、Aという人が、一月の上旬に東京なら東京でいい就職口があった。しかし、行きたいけれども金はない。援護会が発足しておれば直ちにそこで旅費がもらえるという制度になっておりますから行けるわけですが、金がないということで、みすみす適当な勤め口も見送らねばならない、こういう事態も起きておるといわれておるのであります。一週間後には発足するから、さかのぼって適用するという簡単なものではないのでありまして、政府の怠慢を私は強く糾弾したい、こう思うのであります。おくれたのでありますから今から言っても始まらぬわけでありますが、一日も早く業務が円満に運行されるように指示を願いたい、こう思います。 そこで、政府は二万七千人くらいの離職者が出るのじゃないか、こういう予想をしておられます。労働省あたりでは三万くらいの人が離職していくであろう、そうしていろいろな項目に分けて職業訓練をやるとか、あっせんをやるとか、いろいろなことをやるという予定を立てておられることは承知しております。しかしながら、この中で最も重要な点は、二万七千人くらいの中で、政府が見込んでおる炭鉱離職者緊急就労対策事業費というものに十六億五千六百万ぐらい予定しております。そうしますと、炭鉱離職者目当ての緊急事業というのは、これはおそらく私はその地元心々においてやる土木事業であろう、こう思うのであります。従来、炭鉱で一応安定した職業についておった労働者諸君で今度は日雇い労務者に転落していく諸君が、三万人のうち、あなた方労働省の案によれば七千人くらいと予定しておる。七千人くらいはニコヨンになっていくのだということを予定しておりますが、これは私はきわめて重大な社会問題であると思うのであります。しかも、なるほど高額な政府の補助の事業であります。五分の四補助をする、また五分の一は地元負担で緊急事業をやっていく、こういう予定のようでありますが、炭鉱の不況な今日、炭鉱によって生きておるような町、村が、どうしてそういう五分の一という、あなた方から見ればきわめて少ない自己負担である、こう申しましても、そうした地帯においては仕事をやっていくような余裕はなかなかむずかしかろう、こういうことも私は想像されるのであります。幸いできたといたしましても、これは緊急事業でありますから、従って、日雇いに転落していくという、これはそういう人たちにとってはきわめて大きな問題でありますが、あなたはこれに対してどういうふうにお考えでございますか。
○松野国務大臣 昨年補正予算で五千五百人を予定をいたしました。五千五百人というのは、なるべく日雇いに転落しないように能率のいい方をぜひこのまま労働力を維持して参りたいというので、昨年の離職者対策で新しい柱を立てましたのが単価八百五十円の緊急就労でございます。これは今までかつてないことだ。というのは、石炭の労働力というものをやはり高く評価したからであります。今回これを七千五百人に見積もりました。もちろん日雇いに落ちる方をなるべく少なくしたいというので、七千五百人あれば大体ほとんどの方は救えるのではなかろうか。ただ地形的にやはり一般失対の行なわれる場所と緊急就労の行なわれる場所はおのずから違って参ります。ある場合には、やはり自分の町村以外のある程度の遠隔地に緊急就労が行なわれるかもしれません。そういうふうなことも勘案して、どうしても家庭の事情で自分は近い方がいいのだという方もございますから、一般失対にももちろん除外をしないという意味であって、主として炭鉱の主たる労働力の方は緊急就労に吸収できるというので、七千五百人を見込んだわけであります。
○堂森委員 政府の離職者対策として、私も申し上げましたように、大臣が答弁されましたように、七千五百人というものを緊急事業に向けていこう。一般失対の方にも四千数百人は向けていこう。一万以上の人が全部日雇い労務者になっていく。これはくどいようでありますが、そうした労働者にとってはきわめて重要な問題であると思うのです。そこで政府は、そういうふうな日雇い労務者に落としていく、こういうことではなしに、もっと安定した仕事に向いていくようなあっせんに当然もっと強力な手を——いろいろ予算を組んでおるようでありますが、こういうなまぬるい対策ではとうてい日雇い労務者に転落していくということを防ぐことができぬと思うのであります。もっと根本的な対策がきわめて必要であろうと私は思うのですが、重ねてもう一度お伺いいたします。
○松野国務大臣 堂森委員も御承知のごとく、なるべくそういう方向に持っていくために来年度はいわゆる広域職業紹介で四千人、一般紹介で三千人、職業訓練で六千人、約一万三千人という数は、御趣旨のように高い労働者と安定した職業につける対策を立てております。その一番残余の分として暫定的に一般失対というのは四千人の予定をしておりますけれども、この予定もなるべくならば上の対策で事足れる方に実は先に優先するので、一番最終的にはどうするのだというならば、最終的には暫定的に一般失対にもワクをとってございますというので、これを無理に押し込むのだという意味は毛頭ございません。なるべく広域職業紹介というものの改善をはかって安定職業につけて参りたい。それではついたかと申しますと、昨年の十一月—一月末までに約二千人の方が、主としてこれは東京及び関西地区の建設業、機械工業あるいは精密機械に実は予定として就職されました。実は三月三十一日までに三千五百人の予定をいたしておりますけれども、大体この二月、三月を見ますると、予定数に達するだろうというので、今日の実績から申しますと、案外経済の好況の波に乗りまして、一般失対に落ちなくても、希望者の方は大体私は一、二、三の対策で吸収できるのではなかろうか。やはり就職は家庭の事情がございますから、強制はできませんし、そういう意味で私は大体一、二、三の対策で安定職業につけるという方策で今日は順調に数だけはいっております。しかし一般失対にはなるべくお落ちにならないようにすることは当然のことだと私は考えております。
○堂森委員 私は労働大臣が、一般に好況であって、就職、転業先も多くなる、雇用面が拡大してきておる、だから比較的安心ではないか、こういうような手ぬるい答弁に対してはきわめて不満でありまして、もっと積極的な対策が必要であるということをあなたに警告を申し上げておきたい、こう思うのであります。 そこで私はもう時間がございませんので、さらにエネルギーの問題に関連して質問していきたいと思うのであります。石油の問題であります。通産大臣は今月の二日にアラビア石油会社に対して、何か資金を融通しようというようなことが、アラビア石油から要請もあったので、これに対して融資のあっせんをしようということについて閣議で了解ができたというような発表をしておられると思うのでありますが、その通りでございましょうか。
○池田国務大臣 アラビア石油会社のアラビアにおける石油事業につきまして、以前から資金の要求はございました。ただいま輸出入銀行法の解釈から申しますと、疑問な点がございますので、ただいまのところ民間資金の方でいっておるわけでございます。いよいよ油が出るということがはっきりすれば、今後においては輸出入銀行等から融資を考えなければならぬかと思います。今きまったわけではございません。
○堂森委員 そうしますと、重ねて質問申し上げますが、私の聞いておるところでは、アラビア会社としては事業の進捗上百四十億の金がどうしても三十五年度中には、要る。そうしまして、そのうちの七十億は輸出入銀行から融資をさせるように、政府から何かそうした交渉といいますか、圧力といいますか、そういう工作しが講じられておる。そうしてすでに方針が決定しておる。それから他の七十億の方は、市中の協調融資から三十億をとり、四十億くらいは自己資金というようなことで、どうにか輸出入銀行から七十億、自己資金及び一般の資金から七十億、合計百四十億の資金を集め得るように、すでに会社では手はずができた。輸出入銀行からの融資については、通産大臣が二日の閣議で報告になっておる。そうしてあなたがそういうふうな方針でやっておられる、こういうふうに私は了解しておるのですがいかがでございますか、もう一ぺん伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 先般の閣議におきましては、大体一日千キロリットルの原油が出るという報告をいたしました。会社の見通しといたしましては、三十九年でしたか、九百八十万キロリットル年に出るようになる、こういうことを話しました。所要の金は六百数十億円で、初年度百四十億円、次年度、三年度、四年度、八、九十億円、最後の年が百数十億、合わせて、六百六十億だったかと思います。こういう会社の資金計画を紹介しただけでございます、会社の資金計画を話しただけでございます。政府は今年度どうしよう、こうしようということまできめておりません。
○堂森委員 そこでお尋ねしたいのですが、しからば次は仮定の問題でありますが、石油が千キロリットルですか、毎日出る。これは一つの大きな油田といってもようございましょう。予想通り成功していくといたしましても、アラビア石油会社は一般の民間の会社であります。そういう会社に政府から金を貸してやれ、こういうことを——輸出入銀行というのは、われわれ国民の金を融資する、資金運用部資金というのが向こうに回って貸付の資金の一部にもなるのでありますから、これはきわめて重要なことであります。うまくいくとしても、政府がそういうことをしていくことが妥当だとお考えでございますか、どうでありますか。
○池田国務大臣 会社の計画を見ておるだけで、われわれはこれを審議して、政府がいかなる処置をとるかということにつきましては、通商産業省としての考え方をきめ、そして大蔵省その他関係省と打ち合わせして、最後は閣議できめることに相なると思います。
○堂森委員 どうも答弁があれでありますが、新聞にはそう出ておりましたけれども、池田通産大臣は閣議で、アラビア石油の井戸掘りが非常に有望である、毎日千キロリットル出るような目標がつくようなりっぱなものであったという報告をされただけであって、融資についてああこうしようというような御意見なりあるいは話というものはなかったのでございますか、その点もう一ぺん確かめておきます。
○池田国務大臣 会社の計画を報告しただけで、融資するしないは議題に上っておりません。
○堂森委員 私はそこで問題を進めていきたいと思うのでありますが、政府は一般の民間会社に対して金を——巨額な金でもわずかでもお金はお金でありますが、資金を出してやれ、こういうことをおやりになることは、一般論として妥当だとお思いになりますか、あるいは妥当でない、こういうふうにお考えでございますか。
○池田国務大臣 今まで輸出入銀行から金を出します場合におきまして——今回も問題になるとすれば、輸出入銀行の融資でございます。輸出入銀行が大蔵大臣と相談することはございましょうが、政府からこうやると言って先に出るべきではないと思います。やはりコマーシャル・ベースに乗りまして、申請があったときに大蔵大臣並びに閣議できめるのではないかと思います。
○堂森委員 深くは追及いたしませんが、しかしアラビア石油という会社とクエートあるいはサウジアラビア両国との交渉の契約を見ておりますと、向こうにとっては有利であるが、アラビア石油会社にとってはかなり過酷なものであるということが言えると思うのです。しかも利潤の五割五分は向こうが取って、四割五分がこっちへくる。そしてそれは外貨で支払わなければいかぬというような協定もあるようであります。またこの会社はいろいろな問題が起きてきても、外交上の問題として取り上げることはしないという申し合せになっておるのであります。すなわち、たとえばいろいろ約束をしましても、人間同士でありますから、そこにどんないざこざができるかしれません。そういう場合にも、断じて両国の、あるいは相手国と日本との外交的な問題としては取り上げない、こういうことになっておるのであります。また外貨の節約になるというような問題を簡単には考えられないようないろいろな条件、契約の仕方その他いろいろな点、こまかい点に私は疑いの点がありますけれども、池田通産大臣がただ報告しただけだとおっしゃる分には、私はこれ以上お聞きすることができませんから、一つきわめてむずかしい問題であるということだけを私は申し上げたいと思うわけであります。
○小川委員長 堂森君、あと五分です。
○堂森委員 そこで私は次に、少しくエネルギー産業としての電気事業についてお尋ねをしたいと思います。 電気が戦後非常に需要が増してきておる。これは世界じゅうどこを見ても、経済力の発展によってエネルギーの需要量がふえる、それは当然でありまして、国民生活と密接な関係があり、また産業全体の構造との間にも密接な関係がある、これは当然であります。しかも日本の国における電気の需要量というものは年々ふえております。そうして年々二百万キロワットくらい発電力を増加していかないと間に合わない、こういうふうにいわれております。戦後、いわゆるポツダム政令によって再編制が行なわれまして、その後九電力会社に分割されましてやってきましたが、いろいろな地域的なアンバランスというものが出てくる、あるいはまた電力会社自体にもいろいろな問題があるわけです。たとえばこの数年間猛烈な勢いで発電量の増加、電力の開発をはかっておるわけでありますが、しかしながらその資金面を見ておりますと、きわめて窮屈になってきておる。従来は国の資金というものを貸し付けるというようなこともやってきましたし、税制の措置もいろいろと行なわれて参りました。これも問題があるわけですが、いろいろ庇護をやってきたわけであります。一国の産業というものは、経済が発展していけばエネルギーというものはますますふえるが、同時に経済の合理性からいえば、一文でもより安いものを要求するのが経済の合理性だと思います。ところが日本の国の電力の開発というものは、資金的にも非常に困ってきておる。また料金はそう上げることはできない。今日でも電力会社の経営状態は、いろいろな国家の庇護を受けておるといっても、いわば従来得た利潤といいますか、資産といいますか、そういうものを食いつぶしてどうにかやってきておる、こういう状態であろうと思うのでありまして、今日こそ電力産業に対して何か大きな転換をした施策が必要ではないか、こういうふうに思うのでありますが、通産大臣はどのような構想を持っておるか、お尋ねをしたい、こう思います。
○池田国務大臣 電力の問題は、需要の急激な増加、これに対処する問題、それから会社自体の内容の問題、この二つに分かれます。昭和三十四年度は前年度に比べて一七、八%、予想外に伸びております。これもしかし打ちかって参り、今後需要に対しての供給は確保できると思っております。何と申しましても二千数百億円をこれに出しておるし、また今後も出せると私は考えておるのであります。それから会社の内部で食いつぶしておるという結論は少し早いのじゃないか。九電力会社の内容につきましては、非常に楽なところとかなり苦しいところのあることは認めますが、食いつぶしておるというところまでは行っていないと私は思います。ことに最近、昨年も一昨年も相当の豊水でございまして、私は今根本的にどうこういう措置をとる必要はないと思う。ただ将来のことを考えまして、電気料金の算定につきましては、調査会を開きまして答申がきておりますので、これについて検討を加えております。
○堂森委員 厚生大臣と大蔵大臣にお伺いいたします。今回の予算を見ておりますと、社会保障の前進ということを絶えずうたっておりながら、きわめて貧弱な予算である。総所得と比較しますと、社会保障関係費はたしか一・数%くらいにしか当たらぬのじゃないか。恩給を加えましても一・七%くらいにしか当たらぬ。こういうようなことでは私はきわめて遺憾なことである、こういうふうに思うわけであります。そこで岸内閣は成立以来、社会保障の画進、あるいは前年の通常国会の劈頭には社会福祉国家の建設をやるのだ、こういうような施政演説もされたのでありますが、しかしどうでございますか。この間うちから新聞に出ておりますところによりますと、何か政府はILOの百二号の批准をしようとしておる、しかしそれは検討中である、こういうような記事を見たのでありますが、私の考えではまだ日本の国の社会保障では最低基準に達しない、こういうふうに思うのであります。そうすると大蔵大臣が幾ら社会保障に金をつぎ込んでおるのだ、こうおっしゃっても、あるいは厚生大臣がせんだっての本会議でも何もかも十分に十分にとこう言って答弁をしておられますが、日本の国はまだILOの百二号の批准がしたいと思ってもできないのではないか、こういうような事情のもとにおいて一体政府は、それで社会保障というものを前進していると確信持って言えますか。大蔵大臣いかがでございますか。
○佐藤国務大臣 ことし金額が前年に比べまして三百三十七億ふえたということは、これはもう数字でございますから、何らごまかしはございません。はっきりふえております。これは前進を意味しておる、かように私どもは考えております。もちろん現状をもって十分だとは考えません。三十六年度以降にもいろいろ計画されておるものがございますが、十分財政状態を勘案いたしまして、社会保障をさらに前進させることに努力するつもりであります。
○渡邊国務大臣 ILOの一九五二年におきますところのこの条約の批准でございますが、日本政府といたしましてはこの条約の批准についてはやぶさかではないのでございます。御承知の通り九項目にわたりましての三項目の協定の批准というのがいわゆる原則になっておりますが、二項目はすでに該当いたしておるのでございまして、われわれはできるだけこれが批准にすみやかなるところの措置を講じたいと、ただいませっかく調整中でございます。先般も本会議で申しましたように、厚生省の予算は防衛庁の予算よりもはるかに上回っております。これが債務負担行為を来年度から防衛庁の予算を計算いたしましても、さらに明年度におきましては、今年度の社会保障費は千八百十七億でありますが、さらにこれを上回るものと考えております。
○堂森委員 ILOの百二号の批准についてもう一点だけ伺っておきたいと思います。厚生大臣はILOの百二号の批准ができるようにせっかく今準備中である、こういう御答弁でございます。おそらく私の考えでは廃疾給付の点について調整されるのではないか、こう思うわけでありますが、一体いつまでにまたどういう条件で批准がやられるようになるのか、そうしていつごろまでにそういうことをおやりになるのか、もう最後でありますので、御質問をしておきたい、こう思います。
○渡邊国務大臣 御承知のように九項目は、医療と疾病給付と失業給付と、老齢給付と業務災害、家族給付、出産給付、廃疾給付、遺族給付、こういうふうになっております。そのうち今調整がついておりますのはいわゆる疾病給付と失業給付でございまして、疾病給付の方は傷病手当でございます。失業給付につきましては、失業保険でございます。これでありまして、今これが他のもう一項目、たとえて言いまするならば、四項目のうちの一つということが条件になっておりまして、失業給付と老齢給付と、それから家族給付と廃疾給付と、いわゆるこれらの問題につきましては、今内容の調整中でありまして、おそらく、わが国の社会保障制度というものは、この国際水準に比較いたしまして非常な進歩を遂げておりまするけれども、各項目に至りましては、なお調整をする必要があるのでございまして、この期間はいつごろまでかと言われますると、まだその点は明確に責任を持ってお答えすることはできませんが、すみやかに批准をいたしたい、かように思います。
○堂森委員 もう終わりでありますので、厚生大臣に私は要望をしておくわけであります。さきの答弁で、日本の国の社会保障は他の国に比べてきわめてよく進んでおるのだ、こういうことをおっしゃいますが、それは私はおかしいと思うのであります。しかしいかに政府が社会保障が完備してきた——なるほど形はそうでしょう。いろいろな法律ができました。しかし国民年金を見たって、あるいは健康保険制度を見たって、それが世界的に通ずる社会保障制度、こうおっしゃっても私は受け取れません。私は厚生大臣よりもっと知っているつもりであります。そこで幾らいばっても、最低基準の国際条約も批准できぬようなことでは、一人前だと言ってもそれは通りませんですよ。その点は一つよく要望しまして、そんないつまでかわからぬというように逃げずに、もっと早く一人前の面子を立てるようにやっていただきたい、こう思います。これで終ります。(拍手)
○小川委員長 次会は明後十五日午前十時より開会し、補正予算の質疑に入ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十八分散会