予算委員会 第7号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/02/11
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。理事佐々木良作君より理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○小川委員長 それでは昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。廣瀬勝邦君。
○廣瀬(勝)委員 今次国会は安保国会といわれるくらいに、開会劈頭以来本会議において、あるいはまた本委員会におきましても、安保条約の調印後の政府の説明をめぐりまして、今や論議は白熱化しております。国民は今この委員会の審議の過程を非常なる関心を払って見ておるのでございます。国会はこのような国民の神聖なる負託にこたえて、これらの疑点を明白にしていかなければいけない義務があると思うのでございます。賢明なる総理は、もうすでにこういうようなことは御存じであろうと思います。であればこそ、先般もわが党の水谷議員団長の総理施政方針演説に対しての質問に対して、この点については安保の審議は十分に尽くしていくこういうふうにおっしゃられました。 そこできょうは予算総括質問の最終でございます。今日までの本委員会の審議過程より政府の答弁をずっと見てみまして、まことにそれは支離滅裂、事前協議と拒否権の関係、あるいはまた極東の範囲について等々、この安保条約の真の核心ともいうべきこの重大なる点についてまことに不明確であります。まずこれらの点につきましてもう一度触れつつ新たなる問題について若干お尋ねいたしたいと思います。 まず事前協議についてでございますが、新条約は純粋に防衛的な性格であり、日本が攻撃されない限り決して発動しないというふうに政府当局は強調されております。極東の平和と安全というこの言葉がある。以上、日本が攻撃されない限りは発動しないということがはたして言い得るのかどうか。その場合一体どうなるのだ、これが今日国民が一番心配しておる点でございます。従いまして政府としてもう一度事前協議についての確たる保証はほんとうにあるのか。総理にお伺いいたします。
○岸国務大臣 しばしばお答え申し上げました通り、事前協議の主題とするという交換公文、それは条約と同じ効力を持っておるのでありますが、その解釈として事前協議にかかった事項において日本が自主的立場から拒否することはできるのでありまして、拒否した場合においてアメリカ側がこれに反した行動をとらないというのが、この交換公文の事前協議ということの意義であります。そのことは交渉の過程においても両国の間において了解されておったことでありますが、さらに私が米国に参りました際に、大統領もこのことに触れまして、事前協議の事項については、アメリカ政府は日本政府の意思に反して行動する意図はないということを明瞭に確認したわけでございます。これで初めて明らかになったということではなしに、条約及びその一体をなしておる交換公文の事前協議ということの意義として、両国の間には完全に意見の一致しておるところであります。
○廣瀬(勝)委員 ただいま総理はそういうふうにおっしゃいますが、この点につきましては拒否権とも関係ございまして、先般去る六日にわが党の今澄議員の質問に答えられて、常識的な意味における拒否権ならある、こういうことをおっしゃられた。これではわれわれはわからないのです。さらにまた日米共同声明によってアメリカ政府は日本政府の意思に反して行動する意図のないことを保障した。この点も今総理が言われました。それが交換公文との関係において十分に保証がある、こういうふうにお答えでございます。すると、今世上行なわれております日本の権利としてではなく、アメリカの意思として発生するものにすぎない、こういう主張に対してこれはどういうふうに反駁されますか。
○岸国務大臣 従来拒否権があるかないかということが論議されておりますが、私もしばしばお答え申し上げましたように、拒否権という言葉は従来の用語から見ますと、二つの当事者が話をする場合に、一方が拒否権を持つというふうには使っておらないのであります。第三者がこれを何するかとかあるいは多数の意見に対して少数の人が拒否するというような場合に拒否権という言葉が使われておりますから、法律語として拒否権があるかないかという議論に対しましては、そういう国際法上の言葉を使うことは正当でない。しかしながら日本が自主的な立場から拒否することができることは言うを待たないのであります。そうしてアメリカ側がその条約の解釈として法律的に拒否した場合において日本の意思に反した行動はとらないということがこの条約の解釈であります。それをただアイゼンハワー大統領と私との会見の際にさらに明瞭にしたというだけでございまして、そういう意味から申しますと、私が常識的に申して拒否権ということを今澄委員にお答え申し上げましたのは、正確なる国際法の用語としての拒否権という言葉はこういう場合には用いないのだ。ただ拒否することができるか、拒否した場合に相手方はそれに反した行動ができないかという意味から、それを拒否権という言葉でいうならば、拒否権といって一向差しつかえないでしょうということを申し上げたことでありまして、法律の、条約の解釈として日本がそういう拒否でき、また相手方は拒否した場合においてこれに反した行動がとれないということが条約の解釈でございます。
○廣瀬(勝)委員 それでは平たく砕いて申しますが、日本はノーと言えるのですね。
○岸国務大臣 もちろん言えます。
○廣瀬(勝)委員 結局ここがこの条約のいわばキー・ポイントなんです。 それではノーと言える。そのノーと言ったことに対して、アメリカが同意をしますか。
○岸国務大臣 ノーと言った場合には、アメリカはそのノーと言った日本の事柄に反して行動できないということでございます。
○廣瀬(勝)委員 反対できないというのと、同意するかということは違います。もう一度。
○岸国務大臣 ノーと言った場合に、アメリカが同意するかどうかということは別でございます。しかしながら問題は、ノーと言った場合において、アメリカがそれに反した行動がとれるかとれないかという問題であろうと思います。
○廣瀬(勝)委員 どうもそういうことが岸総理のいつもの答弁なんです。だからこそ私は冒頭にお断わりしておるのです。国民は真剣になって今この委員会の過程を見ております。さらばこそ総理も誠心誠意を尽くして、われわれの質問に答えるのはあたりまえじゃないですか。もう一度言って下さい。日本のノーに対してアメリカが同意できるのかどうか。簡単でけっこうです、できるならできる、できないならできない。
○岸国務大臣 ノーと言ったことに反した行動はできないのであります。
○廣瀬(勝)委員 できるかできないか、同意するかしないか、これだけでいいのです。
○岸国務大臣 同意するかしないかは別の問題であります。ノーと言ったら必ずアメリカが同意しなければならぬということじゃありません。意見が一致しないのであります。一致しない場合には行動がとれないということであります。
○廣瀬(勝)委員 それでは勝手な行動ができるということにもとれます。どうですか。
○岸国務大臣 勝手な行動がとれないということを私は今明確に申し上げておるのであります。そういうことはありません。
○廣瀬(勝)委員 ノーと言えばそれに対して同意する、これでないとだめです。もう一度言って下さい。
○岸国務大臣 同意するか同意しないかということは別です。問題は、協議した事項で両方の意思が合致した場合が協議がととのったことでありまして、日本はイエスと言うこともできるし、ノ—と言うこともできる。アメリカが必ず、私の方がノーと言ったらそのノーに同意するかということは、私はそれをしいることは何ら根拠はないと思います。ただ問題は、ノーと言った場合に、ノーと言ったことに反した行動がとれるかといったら、それはできない、これが条約の解釈であります。
○廣瀬(勝)委員 それでは観点を変えましょう。 〔発言する者あり〕
○小川委員長 御静粛に願います。
○廣瀬(勝)委員 駐留米軍が日本から外に出ていく、そのときに日本がこれをノーと言う、そのときにアメリカは動けないのですかどうですか。
○岸国務大臣 その通りであります。
○廣瀬(勝)委員 その通りですか。日本がノーと言った場合には駐留米軍は動けないのですか。これははっきりして下さい。
○岸国務大臣 先ほどからしばしば申し上げておるように、日本がノーと言った場合においては、米軍は日本の基地を使って作戦行動はできないのであります。
○廣瀬(勝)委員 それでは結局アメリカは同意しないこともある、こういうことでしかないと思います。どうもそういうふうな答弁はわれわれにはわかりにくいのです。おそらく国民も全部こんなことはわからぬと思います。 さらにお聞きしますが、こういう点につきまして非常に不明確であるために、国民に疑惑を招いておるのであります。なぜもう少し簡単に日本がノーと言ったら、これにやはりアメリカが同意するのだ、あるいは同意しないのだ、こういうようなことはできないのですか。もう一度それについてお聞きします。
○岸国務大臣 協議が成立するということは、両方の意思が一致することであることは、これはきわめて明瞭であります。そうして一方がノーと言うた場合においては、これを向こうが同意すればこれは協議が成立したことになります。ところが協議の成立しない、一方はノーと言い、一方はイエスと言うておるという形において意見が一致しない場合があります。これは協議がととのわない。その場合に、一方が言うたことを、相手方が必ず承認して合意しなければならぬということになれば、これは協議という意義からいってそういうことはできないわけでございます。ただ問題は、ここで国民も疑問とし、それからすべての人が疑問としておる問題は、そのノーと言った場合に、アメリカがこれに対して、ノーということを無視して反対の行動ができるか。たとえば基地を使って他に出ていくというのに対して、日本が拒否した、しかし拒否したにかかわらずアメリカは出ていけるかといった場合において、出ていけない。それは事前協議の主題とするということの解釈上、当然そう解釈すべきものであるということは、両国の交渉の過程においても、両国の間において意見が一致したことであり、それをさらに再確認したものが、私とアイゼンハワー大統領との共同声明でございます。
○廣瀬(勝)委員 それではさらに観点を変えましょう。 人類が手に入れた第三の火といわれるこの原子力、これが発達します。兵器は究極兵器といわれるくらいにICBM、IRBM、こういうふうなものが用いられるようになってきた。戦争の様相が違ってきます。日本に置かれた基地に対して攻撃が開始される、そういうときに、この攻撃を予知するのには十五分あれば予知できます。そうすれば、その間に出撃体制をとる。これは日本から出ていく。このときにノーと言って、それで事前協議が成立しない、この場合にアメリカはどういう行動をとりますか。
○岸国務大臣 今のお話は、日本に対する攻撃というものに対して、日本が自衛権の何として出ることについては、これは事前協議の対象ではございませんで、日本そのものに対する侵略に対して、これを防衛するために米軍も行動をとりましょうし、また自衛隊自身も行動をとる。これは日本に対するそういう具体的の侵略があれば当然のことであります。
○廣瀬(勝)委員 そういうふうな攻撃が予想される場合、このときにはやはりそれが飛ばされてくるところに向かって出ていかなければいかぬと思います。それが今言ったようなことで事前協議なしでいきますか。
○岸国務大臣 御質問の問題の、いわゆる日本に対しての直接の武力攻撃がある場合につきましては、そういうような情勢である場合には、もちろん第四条において常時協議をいたしておりますが、さらにそういう攻撃があった場合においてとる行動につきましては、事前協議の対象とは——これは日本そのものに対してやられた場合において、どういう防衛の手段をとるかということは、これは事前協議の主題にならないのでありまして、交換公文にもその点を除いておることは、そういう趣旨でございます。
○廣瀬(勝)委員 どうも結局これもあまりわからない。 そこで同じこの米韓、米比、米華、この条約におきましては、こういうふうな協議と同意ということが明記されておる。なぜ日本のときだけこれが使われてなかったか、その間の状況を説明願いたい。
○藤山国務大臣 事前協議の問題につきましては、私どもといたしまして当然今総理が言われたような解釈をとっておりますので、そういう表現をとりまして差しつかえない問題として扱って参ってきております。
○廣瀬(勝)委員 それでは問題を変えます。政府は一体防衛地域というのを本来どのようなものだと考えておられますか、これについてお答えいただきます。
○藤山国務大臣 御承知の通り、今回の条約の条約地域というものは、日本の施政下にある地域、こういうふうに限定されておるわけでございます。
○廣瀬(勝)委員 それでは防衛地域と新条約にいいますところの行動地域、これとはどういうふうに違うのですか。
○藤山国務大臣 防衛地域という言葉は特にないと思うわけでございますが、条約においては条約地域という字句を使っておるわけでございます。従って日本の自衛隊が行動するのは、当然憲法の制約がございまして、日本の施政下にある条約地域の中で行動をする、こういうことでございます。
○廣瀬(勝)委員 新条約にいう作戦行動地域としての極東、それから在日米軍の出動範囲としての極東、これは範囲が同じものなんですか。
○藤山国務大臣 アメリカ軍は個別的な自衛権と同時に集団的自衛権を持っておりまして、アメリカ軍は個別的自衛権を発動することはできるわけでございますが、しかし日本の基地を使いまして他に戦闘作戦行動に出ますときには、ただいま申し上げました事前協議にかかるわけでございます。
○廣瀬(勝)委員 私の聞いたのはそうではない。作戦行動地域としての極東と、それから米軍の出動範囲をさす極東、これとは同じものかと言うのです。
○藤山国務大臣 作戦地域と申すものと米軍の行動範囲というものとが一緒か一緒でないか——作戦行動という言葉がどういう意味ですか私にわからないのでありますが、アメリカ軍が作戦をする地域という意味でございますか。その点もう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。
○廣瀬(勝)委員 条約に書いてございます行動地域、それとアメリカ軍の出動範囲、これが違うのか同じか。
○藤山国務大臣 今回の条約におきましてわれわれとして考えておりますのは、今申し上げましたように、アメリカは個別的自衛権と同時に集団的な自衛権を持っております。従ってアメリカが日本の基地を使いましてその持っております防衛の方法をとりますことは、それはアメリカがとる行動でございまして、それがどの地域までと限定してはおりません。しかしながらわれわれは事前協議におきまして、基地をそういう意味において使われることに対して日本が拒否し得るような戦闘作戦行動については、範囲をわれわれとして考えておるわけでございます。
○廣瀬(勝)委員 極東という言葉を避けられますが、その極東の範囲を私は聞いておる。ですから行動地域としての極東と米軍が出動できる範囲としての極東、これは同じかということなんです。簡単なことです。
○藤山国務大臣 極東につきましては昨日総理が言われた通りでありまして、アメリカはその範囲内に出ることができます。
○廣瀬(勝)委員 今日までいろいろ言われますところの政府の説明ではわからない。初期においては、あるいは中国大陸の奥地まで行けるのだ、こういうようなことを言ってみたり、沿海州、千島、これはみな入る、こういうことを言っておる。そうして統一見解なるものが発表され、現在の政府の見解になっております。こういうような点が条約を締結された政府としても非常に不明確なんじゃないですか。不明確なら不明確だ、こうはっきりおっしゃったらどうですか。
○藤山国務大臣 アメリカ軍が極東の範囲内で行動ができるかという御質問に対しては、今申し上げたようにできるとお答え申しておるわけであります。そういう意味におきまして解釈をしていただいてけっこうだと思いますが、それでは極東という地域が不明確ではないか。昨日総理が答弁されましたことで尽きておると思うのであります。むろんこういうことでありますから、一つの線を引きまして、それから一マイルも右に寄れない、左に寄れない、というものでないことは、当然なことだと思うのであります。
○廣瀬(勝)委員 統一見解によりましたら、南は大体これはわれわれも納得できるのです。ところが北につきましてはこれはさっぱり納得できない。あるいはまた西についてもその通りなんです。こういうふうな点についてやはりこの統一見解は同じですか。
○藤山国務大臣 昨日総理が答弁された通りでありまして、それに違っておりません。
○廣瀬(勝)委員 そうしますと、それは要するにいわゆる極東であっても、他国の領土あるいは管理下にあるところ、こういうふうなものは行動範囲には含まない、こういうことに尽きると思うのです。それではそれを具体的に北からずっとはっきりここでおっしゃっていただきたい。
○藤山国務大臣 昨日総理が言われました通りでありまして、フィリピンの以北、日本の周辺及びそれを取り巻く海域でございます。
○廣瀬(勝)委員 どうも千島あるいはまた朝鮮、こういうふうなところにつきましてもきのうの説明ではわからない。だからそういうふうなところをはっきりしてもらいたい。これが質問なんです。ですから少なくとも千島あるいは朝鮮、こういうところについてこれをはっきり言って下さい。三十八度線は含むとか、あるいは千島はここで切れるのだ、こういうことをはっきりもう一度言ってもらいたい。
○藤山国務大臣 きのう総理が答弁されました通り、歯舞、色丹、国後、択捉等は日本の固有の領土であります。当然日本の関心を持っておる地区であること申すまでもございません。きのう総理が北千島は含まないと言われておるのでありまして、その通りでございます。また朝鮮につきましては主として韓国を対象とし、三十八度線についてはそれを中心にして考えておるということを言われた通りでございます。
○廣瀬(勝)委員 外務大臣は今日までの答弁において、どこどこに連なる水域だ、あるいは海域だというようなことを言われた。この場合、陸地の接点はどういうふうになるのですか。
○藤山国務大臣 海域が終わりますところは陸に接しておるわけでありまして、従って海域の終りは沿岸につながっているということは申し上げられると思います。
○廣瀬(勝)委員 それでは海岸線ぎりぎりくらいのところまでいいわけでございますね。海岸線ぎりぎりのところくらいまでそれは含む、こういうことですね。
○藤山国務大臣 非常に問題がこまかくなりますが、一応海岸線ぎりぎりと申す言葉がどうでありますか知りませんが、領海に近くまでということでございます。
○廣瀬(勝)委員 領海に気がつかれたようでありますが、海岸線であれば、これは領海侵犯になってしまう。この場合一応北の方を考えます。北であれは海岸からどこまで近づけるか、あるいは西の方を考えて、西の方は海岸からどのくらい近づけるか、それはおわかりですか。
○藤山国務大臣 要するにこの問題はそういう範囲内に何か日本の平和と安全を侵すような事態が起こる。極東における平和と安全を害するような事態が起こる、あるいは侵略が起こるという事態を考えてのいわゆる範囲なんでございまして、従ってそう厳密にぎりぎりどうというところまでは言えないことむろんでございます。これは大局的に、要するに、日本の平和と安全あるいは極東の平和と安全が、こういう範囲内において大体脅かされるということをやったわけでありますから、そういうふうに御承知願いたいと思います。
○廣瀬(勝)委員 そういうことであれば、それははっきりしない。現実に敵を追っかけていく、その場合は、その線ではどうなりますか。やはり敵が逃げる、海岸線のところまで着く、それに対しての攻撃、これは当然あるでしょう。こういうときにはどうなるのですか。
○藤山国務大臣 日本の自衛隊がそういうところに行かないことは、海外に出ないことはむろんでございます。アメリカ軍として自衛的な行動をする、国連憲章に従って行動することでありますから自衛的な行動であります。従ってその自衛的な行動のいわゆる今申し上げるようなぎりぎりの限界というものが一線を画してきめられるものではないと思います。従ってそういうような事態が非常に他に悪影響を与えるというような場合には、われわれはむろん日本からはそういう戦闘作戦行動をすることができないように拒否して参るわけでありまして、そういう意味において御了解をいただきたい、こう思います。
○廣瀬(勝)委員 日本からそういうふうに作戦行動ができないように拒否して参る、こう言われるのですが、これはやはり先ほどの拒否権にかかる。ノーと言ったときに、これはどうなりますか。
○藤山国務大臣 私どもとして、お話のありましたように、こうした区域の中で何か侵略行動が起こる、そういう危険がありますれば、日本の平和と安全にも影響をしやしないか、あるいは極東の平和にも非常な害があって、うらはらである日本の平和にも影響してきやしないかということをわれわれは考えるわけでありまして、従ってそれに対して日本は出て参りませんけれども、かりに必要がありましてアメリカが出て参りました場合に、その自衛の行動が行なわれるわけでありますから、そういうのが、どっかに一線をぎりぎりに引きまして、そうしてその線から一歩も動けないというわけでは、自衛の行動でありますから、ないと思います。ただそうした区域においていろいろな混乱が起こったときに、出ていく方がいいのか、出ていかない方が日本のためにいいのかということについては、日本として深い関心を持っておりますから、従って事前協議でもってそういうことを拒否する場合もあり得るように規定していかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。 〔今澄委員「ちょっと関連質問を」と呼ぶ〕
○小川委員長 廣瀬君の発言を許しました。 〔「おかしいじゃないか」「それは理事会の申し合わせがない」と呼 び、その他発言する者多し〕
○小川委員長 廣瀬君の発言を許しておりますがら……。廣瀬勝邦君。
○廣瀬(勝)委員 それでは、くどいようでございますが、もう一度お聞きしておきたい。米軍の出動範囲である極東、これと条約にいうところの極東、これが同じかどうか。これが聞きたい。これは先輩今澄委員もこの点について聞かれたが、はっきりしていない。これをもう一回はっきり言って下さい。
○藤山国務大臣 アメリカ軍隊自身の行動範囲というものは、それは極東とかというところには関係がございません。しかし駐留米軍の行動範囲というものは、おおむねその目的から言いまして極東の範囲であるということが言えるのでございます。
○廣瀬(勝)委員 それじゃその言われるおおむねというところは、それは一体どうなんですか。
○藤山国務大臣 先ほど申し上げましたように、行動範囲というものが、大体極東の範囲に一致しておりますが、そこに線を引いてそれから一歩も出られないとかなんとかいうのは、作戦の場合に必ずしもその線から一歩も出られないという意味ではございませんから、そういう意味でおおむねという言葉を使ったわけでございます。
○廣瀬(勝)委員 それでは、はっきりきまることはできないが、大体同じくらいのもの——それでは具体的に言いましょう。朝鮮の三十八度線、これを向こうに越えてもおおむねでしょうか。
○藤山国務大臣 つまり先ほど来申し上げておりますように、一つの線を越えて、あるいはその線から一歩も出ないとか出るとかいうことではないわけであります。従っておおむねということを申しておるわけであります。それはそんなに非常に遠方までというわけでもないことはむろんでございます。従っておおむねという言葉を使っております。 〔今澄委員「委員長、関連質問」と 呼ぶ〕
○小川委員長 廣瀬勝邦君。 〔今澄委員「何だ、だめじゃないか、約束じゃないか」と呼ぶ〕
○小川委員長 廣瀬君に発言を許しました。 〔発言する者あり〕
○小川委員長 この際、今澄勇君より関連質疑の申し出がありますが、前例としないこととしてこれを許します。今澄勇君。
○今澄委員 私は関連して総理大臣に聞きたいと思います。 総理大臣は、きのうこの委員会で、極東の平和と安全という条約上の文字にある極東の範囲については、沿海州は含まない、中国は含まない、北千島は含まない、歯舞、色丹、国後、択捉は含むのだというお話がありました。今外務大臣の答弁を私は聞いておると、米軍の行動する際はそう正確な一線は画されないのである、だからこの米軍が極東において行動する範囲というものは、総理大臣が述べたその極東の範囲と同じものなのか。総理の述べた極東の範囲よりは米軍の行動する範囲はさらに広いのかどうか。この点が本条約の最も大事なところであります。私は総理大臣から、米軍の行動する範囲は総理大臣が述べた極東の範囲と同じなら同じである、もしそれが同じであるならば、それ以外の地域には在日基地に駐留する米軍の行動は許されないのであるという明確な答弁をここで一つお願いしたいと思います。
○岸国務大臣 米国も日本も、他から侵略があった場合において、いわゆる行動する範囲というものは、第一にはその国の憲法できまると思います。第二には国連憲章によってきまると思います。すなわち日本の憲法は自衛権の範囲内でございますから、日本の領土外に出て他の国に行くということができないことは、海外派兵ができないという憲法の趣旨から当然であります。ただ米国の憲法はそういう制約がございませんから、国連憲章に従って個別的自衛権あるいは集団的自衛権の発動としての行動は自由でございます。国連憲章が許しておる範囲内のことならできるわけであります。それは米国に駐留しておる軍隊であろうが、日本に駐留しておる軍隊であろうが、どこに駐留しておる米軍も同じそういう権限を持っておると思います。ただこの場合において、日本に駐留しておって日本の基地を用いてそういう行動をする場合においては、事前協議の対象になるわけであります。その他の地域のものはアメリカ軍としては自由行動ができる。従って日本としましては、いろいろな立場から、この米国はそういう広い範囲の行動をし得る権限を持っておりますけれども、事前協議の対象として不必要にこれを拡大することは適当でないと思います。この意味からお答え申し上げているように、いわゆる極東の安全と平和を維持するため云々というこの極東という考え方とおおむね一致しておるだろうということを申している。これは、今言ったように観念が違う観念であります。従って、それがぴったりと両方が合うということを申し上げることは、私は適当でないと思います。しかし今申したような事前協議の対象——米軍は広い行動のできる権限を持っているのであります。従って、これを日本が、いわゆる事前協議の対象として、そして日本が認めていくという場合においては、日本の平和と安全に関係の非常に深い、密接な場合以外にこれをわれわれが認めていくというわけにはいきません。従って、その範囲はおおむね一致するであろう、こういうことを申し上げております。
○今澄委員 私は、これは重大な総理の発言だと思うのです。極東の平和と安全のために米軍が出動する際、わが国の基地を使わせるというこの条約の中で、その極東とはこれこれだといって総理が統一見解で述べたにもかかわらず、その米軍が行動する範囲はおおむね自分が述べた範囲と一緒であって、これはその極東という条約に示した字句の自分の述べた解釈と必ずしも一致でないということになるならば、それでは極東ということに対して政府が述べた統一解釈というものはてんで意味ない。今まであなたが積み重ね積み重ね述べた自分の見解を今度はまたがらりとここでくずしたということと同じであります。私はおおむねなどという言葉はあり得ない、少くとも極東の平和と安全のために出動する極東地域というものは、あなたが統一見解として述べた地域と同じであるのか、それでなければ、それは同じではないんだ、これは別のものなんだ、その理由はこういうものであって、自分は見解をまた変えたんだ、また訂正したんだということをここで明らかにしてもらわなければならぬ、私はこう思います。少なくともこれはこの条約の一番大事なところであって、私は総理のこれに対する明確な、国民を納得させるような答弁を要望します。
○岸国務大臣 私はきわめて明瞭であると思います。先ほどお答え申し上げましたように、先日来問題になっておりますのは、米軍が日本に駐留する目的として、六条等に書いてある「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」云々というこの極東の意味を私は申し上げたわけであります。その米軍が、他からいわゆる侵略があった場合にどういう行動範囲でその侵略を停止するかということについては、米国は独立主権国として、米国の憲法もその侵略を排撃するための行動については、日本憲法のような制約は何らないのであります。あくまでも国連憲章の精神に基づいて、そういう侵略がない限り、これに対して作戦行動なんかをするということはこれは侵略行為でありますから、国連憲章に反した行動をしないという前提に立たなければなりません。しかしながら、国連憲章の範囲内に立つならば、そうした不当な侵略があった場合に、その侵略を停止するために行動することは米軍としては制限ないのであります。ところが在日の米軍については——特に在日の米軍も何らの規定がなければ制約はないのであります。それを制約を置いて事前協議の対象とさしたわけであります。すなわち日本に協議して、日本はある場合においてはノーと言い、ある場合においてはイエスと言うという、その範囲はどうかという問題は、私はおおむね極東という私が説明したところである。それをはっきりと先ほど来お話がありましたように、作戦行動というものを一線を引いて言うことは事実上不可能であると思います。従ってわれわれとしては、今言っているようにおおむねという——観念が違う観念でありますから、範囲がぴしゃっと一致するかどうかというのが今澄君の御質問でありまして、今申し上げましたような理由から申して、われわれとしては事前協議の対象として米軍の行動に対してわれわれの拒否をするという気持から申しまして、今言っているようにおおむね一致するということが最も正しい解釈であると思います。
○廣瀬(勝)委員 おおむねと、こういうことで、これはわからない。藤山外務大臣、どうですか、これでわかりますか。
○藤山国務大臣 今総理の言われたことは、はっきりわかります。
○廣瀬(勝)委員 それでは在日米軍がある一つの点まで行くとします。そうすると、在日米軍でない米軍、これはさらにそれより進んで行く。こういうときにそこでぴしゃっと切れるものなんですか、これはどうですか、総理。
○岸国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本に駐留しておる米軍の作戦行動につきましては、事前協議でありますから、事前協議でその範囲をきめる。
○廣瀬(勝)委員 聞いているのはそうじゃない。在日米軍が事前協議でぴしゃっときめられる。そのほかの米軍はそれより先へ行く。こういうことがそこでぴしゃっときめられるのかということなんです。
○岸国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、米軍としての行動は、これは自由でございます。従って日本に駐留してない米軍がどういう行動をとるかということは、米国と国連憲章との関係においてこれが論議さるべきものである。安保条約に関する限り日本に駐留しておる米軍の行動については、事前の協議の対象としてわれわれはその行動の範囲についてわれわれの意見を言って、そしてそれを不当な範囲になる場合においてはこれを拒否する。従ってその結果として、おおむね先日来申し上げている範囲になるだろう、こういうことを申しておるのであります。
○廣瀬(勝)委員 私の聞いたのはそうじゃない。在日米軍は事前協議によって一定の線で切られる、在日米軍じゃない米軍はさらにそれから行ける、ここで線がはっきりつくのかというのです。これはどうですか。
○岸国務大臣 日本に在留してない米軍がどこまで行くか、これは米軍の勝手であります。今申し上げたように、日本に駐留している米軍の活動範囲というものは事前協議できまる、こういうことです。従って日本に駐留している米軍の活動範囲と、それからその他の地域におるところの米軍の活動範囲というものは違うということになると思います。
○廣瀬(勝)委員 それは事前協議によって、たとえば在日米軍が国後、択捉まで行く、それから先はほかの米軍が行く、こういうことはぴしゃっと規定できるのですか。一例ですが、どうですか。
○岸国務大臣 私の方の条約の関係においては、日本に駐留している米軍の行動だけをわれわれは対象としているのであって、それ以外の米軍の行動については、われわれは何ら干渉するものではありません。関与するものでもありません。
○廣瀬(勝)委員 答弁が違うのです。在日米軍がたとえば択捉に行く、そこまできめてある。それから先へほかの米軍が行く。それはぴしゃっとそこで区別がつきますかということなんです。
○岸国務大臣 われわれが申しているのは、日本に駐留しておる米軍の活動範囲というものをかりに択捉、国後ということできめた以上は、それ以上には出て行きません。その他の米軍がどういう行動をとるかということはわれわれの関与するところではありません。
○廣瀬(勝)委員 そうしますと、結局近代戦争は大きな戦争になる。おそらく連合作戦、こういうふうになってくる。こういうふうな場合に、そういうふうなことがはっきりできますか。そうできると予測されますか、どうですか。
○岸国務大臣 それは、明確に事前協議の対象となったことについては、日本の意思に反した行動をアメリカはとらないということが、条約上もはっきりしておるわけでありますから、ちっとも差しつかえないと思います。
○廣瀬(勝)委員 それでは在台米軍、在沖縄の米軍あるいは在韓国米軍、こういうふうなものの米軍の行動、駐日米軍の行動は、日本の事前協議によってここではっきりと違ってくる。要するに在日米軍はある一定のきめた線から出ない、こういうことがここではっきり明言できますか。
○岸国務大臣 そのことは事前協議ではっきりいたします。
○廣瀬(勝)委員 そうしますと統合司令部がこれを指揮するのですが、そういうときに総理のこういうふうな要求というものは完全に実現できるという自信はおありですか、これははっきりおっしゃって下さい。
○岸国務大臣 この条約をわれわれが結びます際において、日米両国の間におきましては、そういう在日米軍の行動を制約するということについて、意見が一致しているわけでありますから、そのことはできると解釈すべきものであると思います。
○廣瀬(勝)委員 それでは結局政府の言っております統一見解の線、これ以上に在日米軍は出ない、これははっきり言えるわけですね。
○岸国務大臣 先ほど来しばしば申し上げているように、米軍の行動範囲はおおむねこのいわゆる極東——先だって来申し上げている極東の範囲と一致するであろうということを申し上げておるのであります。
○廣瀬(勝)委員 またそこでおおむね、そういうふうに言われます。私の質問の趣旨をはっきりとっていただきたい。統一見解に示された線がある。それ以上に、たとえば在韓米軍あるいは在台米軍、沖縄の米軍、こういうふうなものが出ていく。そのときに、在日米軍だけはこの統一見解による線でぴしゃっととめられる、こういうことがはっきり言えますか。
○岸国務大臣 申し上げておかなければならぬことは、先ほど来しばしば繰り返して申し上げているように、先だって来から申し上げている極東の範囲というものを、そういう場合のアメリカ軍の作戦行動のなにとが全然一分一厘違わないように重なるものかといえば、そうではない。おおむねこの距離内は一致するということを申し上げております。 それからもう一つは、今の統合の作戦何かができて、そういう米軍で区別できなくなりはせぬかという御質問がもう一つあると思いますが、これははっきりしているのです。日本の駐留軍の本質というものは、日本のこの条約によって規定されておる性格がはっきりいたしております。その装備等につきましても、明確にわれわれが事前協議の対象としておるわけでありますから、そういうような意味において、これははっきりいたすと思います。
○廣瀬(勝)委員 それでは在日米軍は統一見解による線よりは外へは絶対出ないのだ、こういうことは確認させていただいていいと思うのです、どうですか。
○岸国務大臣 私の申し上げることを冷静にお聞きを願いたいと思います。その範囲が今言っているように、きっぱり一緒であって、あの範囲を一歩も出ることはできないものであると私は申しておるのではございません。おおむねこの範囲は一致するだろう、一致するということを言っておる。従ってそれは先ほどから申し上げているように、観念は全然違うものであり、これからくることでありまして、従って全然これが一致するというような正確なものではないと思います。
○廣瀬(勝)委員 それでは統一見解の線から出ることがあるということなんですか。
○岸国務大臣 今申し上げている通り、おおむね一致するであろうということを言っておるのですから、これが一分一厘違わないというようなことを申し上げておるのではないのであります。
○廣瀬(勝)委員 それではこの統一見解の、この極東の規定というものも絶対的なものではない——では一体、極東はまた違えるのですか。
○岸国務大臣 極東の統一解釈が別にこれで変わるわけではございません。極東ということが、これまで問題になっておるのは、条約の六条等にあります日本の基地を提供する目的がどこにあるかという意味における極東の意義であります。先ほど来御質問になっておるのは、米軍が他から不当な侵略があった場合に、それを排撃するのにどの範囲まで行動するかという問題でありまして、これは国連憲章やアメリカの憲法からいうと、これは自由で無制限でございます。ただ日本に駐留しておる米軍に対しては事前協議の対象となり、従って日本はその行動範囲というものを、おおむね申し上げたところの極東の範囲に限るようにわれわれはしていくということから申し上げておるわけでありまして、これが全然一致して、一歩も動きのないものだ、こういうふうな性格のものではないのであります。
○廣瀬(勝)委員 私は在日米軍の出動、これについて聞いておるのです。ですから、おおむねというようなことでは、これはわからない。はっきりそれはきめておいてもらわないと、さっき藤山外相が言ったように、海岸線だってわからないじゃないですか。こういうふうなときになったらどうしますか。ですから、在日米軍の行動にだけ限っておっしゃっていただきたい。やはりこの統一見解の線を踏み越して向うへ行くことがあるのかないのか、これだけです。
○岸国務大臣 しばしば申し上げているように、おおむね一致するように、われわれは事前協議の事項を協議があった場合において、そういうふうに持っていく考えであるということを申し上げているのでありまして、全然一歩もそれを外へ出られないというものでもなければ、その範囲と今申し上げたことがぴったり一分一厘の狂いのないように動かないという性格のものではないということを申し上げているわけであります。
○廣瀬(勝)委員 結局またこれは水かけ論になってしまった。だから、従ってここではこの統一見解の線、在日米軍は踏み越えて出ていくことがあるというふうに解釈するか、あるいは絶対にそれは出られないのかという点が、これは不明確なんです。これに対して総理は何かもう少し補足されることがありますか。われわれとしては、やはり線を踏み越えて向こうへ行くのだ、従ってこの統一見解の極東というものは守られないのだ、こう思いますが、どうですか。
○岸国務大臣 問題はこの条約そのものから申しまして、われわれはそういうような不当な侵略行為があるということを前提とするよりは、むしろそういうものを防止するという考え方にこの条約は出ておるのであるのであります。しかしながら不幸にしてそういうふうなことがあったとした場合においては、あくまでも国連憲章によって行動するのでありますから、他から不当な侵略が加わり、それが日本の存立をも危うくするというような事態において、どういう防衛の手段をとるかということに対しましては、日本の自衛隊は、日本から一歩も出られないことは、これは明確であります。これでは実際上不十分であって、ここに米国軍が駐留して、そうして日本を守っておるわけであります。従ってそういう不当な侵略があった場合において、その不当な侵略を排除するという作戦行動というものは、実はアメリカは国連憲章により、またアメリカの憲法によって無制限に行動できるのでありますけれども、日本は、日本に駐留している米軍に対しては、いわゆる事前協議の対象として、そういう広い無制限な行動範囲は認めていかない。そういう場合においてわれわれが申した極東の範囲を基準に置いて考えていかなければならぬけれども、作戦行動の性格から言いまして、それを一歩も出てはならないというふうにきめることは、これは不可能である。この意味において私どもはおおむねと言っておるのでございます。
○廣瀬(勝)委員 では、それはまた他の機会に譲ることにしましょう。結局それはわれわれとしてはわからない。それで条約は結局お互いに相手国のあることなんです。そうしますと、この政府の言われる統一見解は、外電あたりの報ずるところによりますと、アメリカで波紋を呼んでいるようです。これがアメリカ側の同意を得られますか、それだけの自信が政府にありますか。
○岸国務大臣 極東の範囲について私どもが統一見解を述べましたことについては、日米の間に私は意見の相違はないと承知いたしております。
○廣瀬(勝)委員 それでは統一見解によるところのその地域というものは、これは完全にアメリカに了解させるだけの自信はある、こういうことなんですね。
○岸国務大臣 さようでございます。
○廣瀬(勝)委員 それではまだあとにいろいろございますので問題を他に転じまして、新安保条約の付属文書の一つである南方諸島に関する合意議事録、これはほかの三つの交換公文と同じように、なぜこれに限って国会にかけなかったのか、その間の状況を御説明いただきたい。
○藤山国務大臣 この合意議事録は、その内容として、御承知のように沖縄におります住民は日本国民であるわけであります。日本も潜在主権を持っております。従って、何か沖縄に攻撃がありましたようなときには、これらの人たちの福祉ということは日本人すべてが念願していることだと思います。当然日本としてなすべきことをなすということを日本としては主張しておるわけでありますし、またアメリカ側でも、その住民の保護ということは当然なすべきことでありまして、当然なすべきことをお互いに確認し合った合意議事録でございますから、国会には付属文書として提出はいたしておるわけであります。
○廣瀬(勝)委員 いや、提出していないのですよ。提出していないのですが、なぜ提出しないのかということなんです。
○藤山国務大臣 つまり、行政府として当然なすべきことをお互いに確認し合った文書でございますから、特に議会の御承認を得る手続をしなくても差しつかえないものでございます。
○廣瀬(勝)委員 私たちは、この南方諸島に関する合意議事録は当然国会にかけるべき性質のものだと思うのです。といいますのは、この合意議事録によれば、沖縄などは南方諸島が攻撃を受けた場合には米国がその防衛に当たり、日本政府としても島民の福祉のためにできるだけのことをする、こういうふうに言っている。一体何をできるだけのことをするのですか、これをお示しいただきたい。
○藤山国務大臣 島民の福祉のために行政上できる限りのことを日本としてもいたしますことが島民のために、また日本人としての感情の上からも必要でございます。新しく何か権利義務を約定するものではございません。従って、国会の御承認の手続をとる必要はないと存じております。
○廣瀬(勝)委員 行政上の措置、これじゃわかりません。具体的に何をするんだ、たとえば沖縄の人たちが攻撃を受けたならば、あそこは戦場になる。そういう場合には内地に引き揚げるということもやるのか、あるいはまた医療品の支給もやるのか、そういう点についてはどうですか。
○藤山国務大臣 当然そういう場合の沖縄に住まっておられる方々の福祉のことを考えるわけでございますから、病人の収容でありますとか、内地に連れてきて療養させるとか、あるいはけがをした人の問題もありましょう。そういう点のいわゆる個人的な生命に関する問題もございますし、あるいは食糧等の関係も逼迫するというようなことであれば、何らかの形で援助してやることも必要だと思うのでありまして、あるいは幼少年児童を内地に連れてくることも必要ではないかと思うのであります。そういう点については、そのときの状況に応じまして、できるだけ沖縄住民の方々の福祉をわれわれは考えていきたい、こういう趣意でございます。
○廣瀬(勝)委員 そういうふうな場合、当然これは海を隔てておりますからおそらく船を使う。これは日本の船も使いますし、あるいはまた船団というものが必要になるのではないかと思います。防衛庁長官、そういう場合にこれは護衛をやるんですか。
○赤城国務大臣 御承知のように、沖縄島民の福祉のためにとることのできる措置を合衆国と検討する、こういうことになっております。でありますので、今のような場合が生じたときには、アメリカの方でそういうことをするかどうかという問題が一つありましょう。あるいはまた引き揚げ等の場合に、赤十字船等がこれに当たるということもあろうかと思います。こういう場合にはもちろん自衛隊としては参加しませんが、場合によっては海上自衛隊が護衛をするという場合もあり得るかと思います。これは具体的にそういう場合に検討いたしたい、こう考えております。
○廣瀬(勝)委員 その護衛をする場合、これは当然敵の攻撃を予想しなければならない。攻撃を受けたら海上自衛隊としてはどうするのか。
○赤城国務大臣 海上自衛隊が海上護衛をするのは自衛隊法七十六条による自衛出動とは違うと思います。海上護衛をする場合には自衛隊法八十二条の海上における警備行動、こういうことで護衛をすることになろうかと思います。でありますから、攻撃を受けるということになれば、正当防衛の観念からこれに対処するということに相なろうかと思います。
○廣瀬(勝)委員 正当防衛であるにしろ何にしろ、これは結局交戦です。交戦する、これは防衛庁長官認められますね。
○赤城国務大臣 御承知のように安保条約の第五条で、武力攻撃を受けた場合には共通の危機に対処する、こういうふうになっております。しかし、この場合は日本の領域内でもございません。それから護衛の態様が自衛隊の出動ということではないのであります。海上における警備行動、こういうことでありますから、攻撃を受けた場合に正当防衛的な範囲においてこれを反撃するということは、決して戦争行為、武力行使ということにならないと思います。
○廣瀬(勝)委員 船はこちらから行って沖積みをして、領海外でそういうふうなものを受け取って内地に帰ってくる、こういうことじゃないんです。当然沖縄のどっかの港へ入る。そうすると、そこでもしそういう攻撃があった場合に、やはりそこで交戦する、こういうこともあり得るのですか。どうですか。
○赤城国務大臣 港へ入るかどうかということも、これはいろいろあろうと思います。またそういうところにどういう状態が起きておるかという問題もあろうかと思います。しかし攻撃を受けた場合に、これは反撃といいますか、戦争をするということでなくて、これに対して、これは逃げることもありましょう。逃避することもありましょうけれども、これに対して正当防衛を行使するということは当然だと思います。——待避、逃げるという言葉はちょっとまずい言葉でしたが、そういう衝突を避けるようなこともあろうと思いますが、緊急の場合に正当防衛でする、これはあり得ると思います。
○廣瀬(勝)委員 そうすると、これは大へんなことになる。沖縄の港に入っておって、そこで結局正当防衛にしろ、何にしろ、とにかく一応戦火を交える。そうなった場合、相互防衛の適用範囲は日本の領土内だけだということは言えますか。総理、どうです。
○岸国務大臣 もちろん海上自衛隊——船というものは領海内とか日本の港のなにというだけではなしに、公海の上におきましても一種の領土的な性格を持っておるのでありまして、それに対して不当な、何か攻撃が加えられるということになれば、当然これは今防衛長官が申し上げているように、平素であっても、もしも公海になにしておる、それに対して突然不当な、何か攻撃があったというような場合において、これを排除するということは、われわれのいわゆる交戦ということではなしに、正当防衛の観念から言うべきものであろう、かように思っております。
○廣瀬(勝)委員 船が領土の延長である、こういうふうな解釈をされます。しかし、そこには民間の船もある場合、そういうふうなものを守っておる。そこでとにもかくにも交戦をする。これはきのうも総理が参議院の佐多氏の質問についてこういうことを言っておる。相互防衛の適用範囲は日本の領土内に限っておる、また他国まで出かけて防衛することは日本の憲法では許されない、こう言っておるが、どうですか。
○岸国務大臣 今の説例の場合は、いわゆる他国に何か侵略があって、日本の自衛隊が出動して他国を防衛するというふうな意味では全然ないと思います。沖縄の住民が、これは日本人である。日本は沖縄に施政権は持たないけれども、潜在主権を持っておる。こういう関係にある地域がもしも戦乱に襲われたというような場合に、われわれが同胞として、また日本政府として、日本国民として、これに対して救済、援助の手を伸べて、人道的な立場から当然やるべき行動をやっておることに対して、もしも不当な何かの攻撃があり、それに対して不当な武力が行使された場合に、私は、それを排除することに努力することは、いわゆる正当防衛の観念でやるべきものであって、これをいわゆる交戦という形で論ずべき問題ではないと思います。
○廣瀬(勝)委員 私の言いたいのは、そうではない。結局そういうふうなことも予測されるのに、それを単なる南方諸島に関する合意議事録、これで片づけたその真の腹というものは、結局これはまた与党内部にもありましたが、沖縄、小笠原、こういうものについて、これを新安保条約の適用範囲に入れるかどうかということは、非常に論議になっておった。そこで政府がこういうふうな世論に屈して、沖縄、南方地域、こういうものを防衛地域からはずしたかわりに、その代償としてこういうふうな合意議事録を取りかわした。こう思えるのですが、これはどうですか。
○岸国務大臣 そういうことではございません。今度この新しい日米安保条約の条約地域をいかに定めるかということにつきましては、それは議論があったことは事実であります。アメリカはむしろこの条約地域を非常に広げたい希望もあったのでありますが、これに対して、日本の施政権の及ぶ領土内に限るという日本の主張によって意見が一致したのでございます。しこうして沖縄については、先ほど来申し上げておるように、われわれは、これは施政権を持たないから日本のいわゆる今度の条約地域には入らないけれども、しかしこれが全然他の国とは別な意味を持っておる。施政権こそ持たないけれども、そこに住んでいる者は日本人であり、またわれわれは、そこに対して潜在主権を持っておるという、これはアメリカも認めておるところでありますが、そういう意味において、これに対して特別な合意議事録を作って、日本政府として当然やれることについてはやるということを日本側が述べ、アメリカ側も、同じようにアメリカとしてやるべきことはやるということの意見を交換したわけでございまして、先ほど来申し上げておるように、これによって新しい権利義務を設定するというような性格のものはございません。しかし、この問題については国民も関心を持っておりますから、もちろん合意議事録は付属文書として国会に提案をいたしますけれども、いわゆるその御承認を求める対象にはならぬ、かように考えております。
○廣瀬(勝)委員 防衛庁長官、結局護衛と軍事力の差というものは、今この論議で言われましたように、いわばたての裏表みたいな、紙一重の差だ。そういうときに、日本の海上自衛隊が相当長距離までこの護衛の任に当たる、こういうふうな場合は想定されておるのですか。
○赤城国務大臣 相当距離まで護衛をするということは想定いたしておりません。今沖縄の場合が出ましたから、そういう場合もあり得る、こういうことを申し上げたので、長距離に対して想定はいたしておりません。
○廣瀬(勝)委員 それでは相当長距離でなくても、日本領土から近い、いわゆる千島海域こういうようなところあたりまで出るということは想定されていますか。
○赤城国務大臣 直接日本の安全を害するかどうかというふうな判定からきめるべきものでありまして、地域的にどこまで、どこまでということはきめておりません。
○廣瀬(勝)委員 去る六日の本委員会におきまして、わが党の今澄君も、防衛庁のターターの費用についていろいろ質疑しました。結局政府は財政法違反ではない、そういうふうに言われた。しかしそれは一応認めるとしましょう。しかし、この政治的責任というものは決して小さくはないのです。といいますのは、国民の知らない間にこういうふうな最新の武器が入れられる、これはいわば防衛隊の重大なる質的変化なのです。こういうふうな観点から若干大蔵大臣に質問いたしたいのですが、大蔵大臣は三十四年度のターター購入については、三十一年度に発注した甲型警備艦の主砲換装費並びに二十八年度艦のレーダーの換装費として、器材費からこれを使用した、こういうふうに説明されております。このような移用につきましては、財政法あるいは予算決算及び会計令、ここらあたりによって、各省は目の金額を明細出して、あらかじめ大臣の承認を得ることになっております。これらにつきまして、大蔵大臣はもうすでにこの明細書はお受け取りでございますか。
○佐藤国務大臣 防衛庁の関係は、本日印刷ができ上がって、大蔵省が受け取る予定でございます。大体今明日のうちに各省のものが出て参る予定であります。まだ受け取ってはおりません。きょうじゅうに来るだろうと思います。
○廣瀬(勝)委員 じゃあ、防衛庁の明細書でいわゆる器材費の範囲、これは一体どういうふうになっていますか、これは防衛庁でもどっちでもけっこうです。
○赤城国務大臣 三十四年度の予算ができましてから明細書を出しています。その明細書の器材費の中の目が二つありますが、その目の二つの中にこの主砲の改装とレーダーの改装の費用が載っております。
○廣瀬(勝)委員 長官そうじゃないのです。防衛庁の明細書で器材費の中に含まれておるそういうふうなものの、一体何が器材費には具体的に含まれるのだ、こういうことをお聞きしたい。
○赤城国務大臣 内容を申しますと、器材費の中で、先般御答弁申し上げましたように、三十一年度警備艦に対しては、主砲の換装であります。それから二十八年度にできた、これは「ゆきかぜ」「はるかぜ」という警備艦でありますが、これに対してはレーダーの換装費であります。その内容は索敵レーダーとか指揮装置、発射機、用具類、こういうものであります。
○廣瀬(勝)委員 防衛庁の特殊性として、主砲とかいわゆる火器類と通信機、こういうふうなものあたりが一つのところに入っておるというのは、大体おかしい。財政法の三十二条並びに三十三条のこの法の精神は、結局予算の目的外使用を禁止しておるのですが、こういうふうなことは非常に厳格に注意されなければいけない。まして今回のような場合、これは国民に一応の疑惑を与えるわけです。つきましては、防衛庁はいろいろミサイル計画を持っておられるようですが、このミサイル計画をちょっとお述べいただきたい。
○赤城国務大臣 防衛庁といたしまして、しばしば申し上げておりますように、装備の近代化とかあるいは効率化という方針で装備等も進めていっておるわけであります。でありますので、陸海空三自衛隊につきまして、ミサイルにかえるべきものがありましたならば、ミサイルにかえていった方が装備の近代化、効率化になる、こういうように考えております。そこで空の方でありますが、空の方につきましては、御承知のように戦闘機にミサイルのサイドワインダーをつける。こういう計画で、すでにサイドワインダーにつきましては国会の承認も得まして、これを購入しておるわけであります。それから海の方につきましては、今申し上げましたように、地対空の船から飛行機に対する対策としてのミサイルといたしまして、ターター及びターターを装置する装備をしたい、こういうふうに考えております。陸の方につきましては、ナイキ・アジャックスというようなものを装備したい。しかしこれはまだ準備中でありまして、訓練等を必要とする段階であります。しかし、このミサイルというものにつきまして、非常にこのミサイルが直ちに核装備につながる、核装備をできるんじゃないか、こういう向もありますけれども、今自衛隊で装備しているミサイルは、全部核装備ができないもの、また核装備はしない、こういう方針のもとに開発あるいは装備をすることに進めております。
○廣瀬(勝)委員 それではこの地対空のSAM、こういうふうなものを三十七年度より配備する、あるいはボマーク、これは長距離の八十キロですが、そういうふうなものを四個中隊四十年、それが三十五年度に繰り上がって出す。しかもそれが横浜市、千歳、板付、こういうふうなところに置かれる。こういう計画が具体的にほぼきめられておるのですか。
○赤城国務大臣 今お話しのようなことは具体的にきまっておりません。具体的にきまっておりますのは、先ほど申し上げましたように、陸の地対空のミサイルといたしましては、ナイキ・アジャックス、核装備が全然できないナイキ・アジャックスを備えよう、こういうことで訓練をいたそうかという段階であります。
○廣瀬(勝)委員 結局主砲やレーダーの換装用に予定された器材費が、この前は偶然にも、これはどういうあれか知らぬが、ターターの購入費とぴったりとほとんど一致しておる。こういうところに疑惑が起こるわけです。これはある程度政府はターターのこういう購入費というものを、事前にこの予算に計上しておったのですか、計上というより予算の中に要するに予定しておったのですか、防衛長官どうですか。
○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、三十一年度にできた艦艇とか、二十八年度にできた艦艇の装備の近代化をはかるということで主砲を、たとえばスロー・ファイアのものを改めてラピッド・ファイアにしたい、あるいはまたレーダーも優秀なレーダー装置ができたので、それをもって改装したい、こういうふうに考えて進んできたのでありますが、昨年の暮れころに、アメリカといたしましてもターターというミサイルができて、もし日本が必要とあるならば半額はアメリカの方で持つ、こういうことであるがどうだという打ち合わせというか、折衝が続けられたわけであります。でありますので、そういうことでありますならば、この警備艦を作る予算を要求するとともに、その方へ装備した方が適当だ、こういうふうに考えまして折衝を続けてきたわけであります。でありますので、ことしの三月ころになりますならば、そういう方に振り向けたい、こういうふうに考えておるわけであります。予算がぴったり合っておるといいますけれども、たまたま合ったので、二十一億と二十二億くらいの額で、少しは違っています。大体は合っておるわけであります。
○廣瀬(勝)委員 防衛庁長官、もう一度お手数ですが……。サイドワインダーは結局三十三年、三十四年、三十五年度の計画になっておりますが、これはどういうふうにして出されましたか。
○赤城国務大臣 経過を申しますと、三十三年度予算におきましてF86Fジェット戦闘機の性能の増大をはかるために、サイドワインダー購入予算五千万円を計上したわけであります。これは実験航空隊におきまして、サイドワインダーを実験するための経費であります。サイドワインダ十八発と取りつけキット六個等の購入費であります。これは三十四年の三月に契約しまして、同年の十一月に入荷したわけであります。現在F86F六機の改装を実施中であります。実験航空隊におきまして、この実験はまだ済んでおりませんが、F86Fのサイドワインダーの装着は技術的に問題がないので、実験航空隊の実験の終了を待たず実働航空団におけるパイロットの使用訓練を行なうことといたしております。昭和三十四年度予算におきましては、実弾六十発、訓練弾三十発、取りつけキット二十五、F86F二十五機の改装費等三億二千八百万円を計上しております。契約は三十四年度内に締結する見込みであります。昭和三十五年度の予算におきましては、入荷の遅延等を考慮いたしまして、昭和三十六年に入ってくる分の購入費として一億八千三百万円計上しております。
○小川委員長 廣瀬君、申し合わせの時間が経過しておりますから、結論をお急ぎ下さい。
○廣瀬(勝)委員 防衛庁長官にお伺いしますが、このサイドワインダーの分について、MSAの方からの援助はないわけですか。
○赤城国務大臣 これは向こうから買うのでありまして、金の援助、こういうものはありません。
○廣瀬(勝)委員 結局冒頭に申しましたように、このような非常に近代武器、これは従来のものと質的に非常に違うのです。こういうものが単なるいわゆる目の中で処理されておるということは、われわれ国民としましてはこれは非常に重大なる関心事であります。従いまして、これは財政法あたりに目的外使用禁止、予算の移用及び流用の規定を設けたのは、結局予算の編成というのは、国会の審議を通じてその承認を得て、そしてガラス張りの中で運用されなければいけないという精神から発していると思う。従いまして、われわれとしまして、今後いわゆるこの目、ここらぐらいまでは国会の方において十分それに目を通していく、こういうふうに法改正をしなければいけない。そうしてこそ初めてこの国会において予算の本格的ないろいろな検討というものができょうかと思うのです。こういう点につきまして大蔵大臣、どうですか。
○佐藤国務大臣 ただいま問題になっておりますのは、目のうちさらに細分いたしました節、この節までごらんになるというのはいかがかと実は思います。今そこまでの改正は必要ないのじゃないかと私は考えておりますが、先ほど来防衛庁長官が申しますように、目のうちさらにそれを細分いたしました節、これが三十四年度予算に計上されたもの、さらにまた三十五年度に計上したもの、これを合わせて、前の主砲、いわゆるスロー・ファイヤーを今度はラピット・ファイヤーにかえようというだけでございます。金を使う面から見ましても、非常に効果的なものに使うのでありまして、国民から、同じ金額を使う面から見て、まず望まれることであろうと思います。また金額自身は、偶然にも一致した言われますが、今回の方が一億ばかり減であります。結局債務負担行為の方でそれだけの予算の節約ができるということであります。私ども歳出の面からは望ましいことのように考えております。
○廣瀬(勝)委員 時間がないようでございますから、私は一応これで質問を打ち切ります。 最後に、総理にお願いいたしたいことは、冒頭私が申しましたように、この国会は安保国会として国民は非常な関心のもとにこの審議を見守っております。ところが政府の答弁は終始一貫して、きょうの事例でもわかる通り、非常に不明確、こういうふうなことでは——現在国をあげて世論がまっ二つに割れておる。おそらく常識ある国民の大半は、今の政府のやり方について批判的でございます。そういうふうな人たちに対して政府の説明によって真に納得さしていく、これだけの誠心誠意を吐露しなければいけないと思う。今後また特別委員会が設けられて、この問題はプロパーでかかると思います。そういうふうなところでも今までのような態度を一擲されて、ほんとうに腹を割って誠心誠意この実際をわかってもらう、こういうふうな態度で総理は臨んでいただきたいと思うのです。総理のこれに対しての決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○岸国務大臣 しばしば申し上げておる通り、この安保条約の問題に関しましては、国会の審議を通じまして十分国民に納得してもらって、その支持を得て運用を行なっていきたい、かように考えております。われわれ政府当局といたしましても、全力をあげて質疑に対して応答に当たることはもちろんのことであります。国会の審議を通じて国民に十分その真意を明らかにしたいと考えます。 …………………………………
○小川委員長 先般の永井勝次郎君の質疑に対し、通産大臣より発言を求められております。この際これを許します。池田通商産業大臣。
○池田国務大臣 先般永井委員より通産省として大豆十一万トンを内国貨物となる無為替輸入を許可したのではないかという質問がございました。私はそのときに、存じません。事務当局より、そういう事実はないとお答えいたしたいのであります。その後調査してみますると、最近横浜にアメリカから大豆が参りまして、これはもちろん輸入の承認を得ておりませんし、外貨の割当もございません。しかし輸送された大豆一万二千トンが保税工場あるいは上屋に揚げられる。その上屋、保税工場が一ぱいでございましたので、他の保税倉庫に移しかえた事実はございます。これは一万二千トンでございます。そうしてこれに対しましてはいまだ輸入の承認をいたしておりません。外貨の割当をいたしておりません。従って内国貨物にはなっていないのであります。
○永井委員 先般私のお尋ねいたしましたのは、無為替輸入に対して許可を与えたかどうかということを聞いたのではなくて、無為替輸入で二月末見込みで十一万二千トン内外のアメリカ大豆が入ってくるが、これはどうなっておるかということを聞いたのであります。大臣はこれに対して、知らないということであった。事務当局がかわって、私は知らないという答弁であったので、私は知らないという答弁ではいけない。これは政府の代表の答弁として聞くがどうかと言ったら、重ねて、知らないということでありました。これはただいま池田通産大臣が無為替輸入に許可を与えたかどうかというようなことは速記録にあるから調べていただきたいのでありますが、そんなことを聞いているのではありません。はっきりと十一万二千トン内外の無為替で外貨の割当を受けない大豆が二月末の見込みで入って参ります。これをどうするかということを聞いたのです。この問題については事務当局は農林省と折衝しているのです。答弁の本人は折衝の中心の人物です。知らないなどということは、私は言わせない。だから明確にその点を承りたいと思います。
○池田国務大臣 大豆の輸入につきましては、御承知の通り三十四年度下期の外貨予算で一般用といたしまして三十六万七千トンを組んでおります。しこうして今までに二十一万五千トンの外貨割当をし、輸入を許可いたしておるのであります。残りの十五万二千トンというのがこの二月、三月で入る予定でございます。従いまして業者におきましては外貨予算が一応きまっておりまするから、外貨の割当がなくてもやはり国内の大豆が逼迫している関係上、また外貨予算が組んでありまする関係上、輸入の実態と申しますか、輸入するのが例でございます。しこうしてこちらに来た場合、また輸送中の場合、あるいはまた外国にある場合におきましても、政府は申請によりまして外貨割当をし、輸入を許可するのであります。だから今途中にあります分につきましては、通産省は関知しない場合があります。申請がありました後に為替を割り当て、輸入許可をするのであります。従いまして、年度内に一般用といたしましてなお十五万二千トンの輸入が行なわれますので、ある程度の大豆は来たことは来たでございましょう。しかしこれはまだ外貨の割当をいたしておりません。きのうの午後七万六千トンの割当を農林省と相談してやったそうであります。
○永井委員 私の聞いているのは、そういうことを聞いているのではなくして、無為替で十一万二千トンという大豆が入ってくるのだ。そうしてそれが入れば国産大豆を圧迫して——全販連がこれを手持ちして売れないで困っている、値下がりがどんどんしている今、アメリカ大豆に入ってこられれば、さらにこれを圧迫することになるから、時期としてもまずいということで、農林省と通産省で折衝しておるのであります。これだけ大豆が入ってくるということは、業界でも大騒ぎしているのでありますから、はっきりわかっているはずです。二月の二日に三千二百トン、五日に二千二百三十五トン、八日に千二百五十トン、こういうふうにずっと二月の末まで入る予定がちゃんと出ておるのであります。でありますから、これを通産省が知らないなどと——大臣が知らないということは、これはあり得ることであります。しかし担当当局がこれを知らないなどということは、これはふらちであります。私は昨日電話を受けました。いろいろな人を介して通商局の次長が私に会いたいということでした。あした質問があるということだが、その前に会って話しておいた方がよろしかろうと思ってお会いしたいと言うから、私は会う必要はないと、こういうことで断わったのでありますが、これはもうはっきりとわかっておる問題です。私がこれを問題にするのは、一次長の言動を問題にするのではなくて、これは新安保条約を基礎といたしまして、岸総理は手持ちの大豆のAA制、そういう手みやげを持って参りました。世間では、これはアメリカに対する岸首相のへつらいだと言っておるのでありますが、これを持っていった。その反射作用としてもうこういうものが現われておる。そうしてこれが国内の農民を圧迫しておる、農産物を圧迫しておる。これに対して万般の配慮をしておるということでありますが、このような現実に圧迫しておる問題に対して、それではどのような万般の手配をいたしましたか、伺いたいのであります。そうして十一万何千トンというものが入って参ります。きのう農林委員会でこれが問題になりまして、いろいろ話し合いをした結果、半分を入れようということで、先ほど言ったような外貨の割当がなされたのでありますが、実はこの委員会に問題にならなければ、その前日の私が質問をした当日に外貨の割当を発券する予定であったということです。それほど事務的に進んでおる問題をなぜここで知らないといってうそを言っておるのか。私は、いろいろ操作の問題ではなくて、これほどわかっておる問題をなぜ知らないなどといってうそを言ったかということを、これを問題にしておる。
○池田国務大臣 事務当局の答弁は、いずれ速記録を調べまして、はっきりさせたいと思いまするが、私の想像するのには、無為替で十一万トン大豆の輸入が行なわれたということを聞いておるかどうかという質問であったと思います。それでなければこれは別問題です。ただこの大豆の輸入の事情について申し上げまするが、先ほど申し上げましたように、一般用として三十四年度の下期に三十六万七千トンを予算に組んでおるのでありまして、従いまして通常ならば、もうあとの十五万二千トンというのは、三月まででございますから、一月中に輸入許可をする段取りが普通でございます。しかるところ農林省との話し合いがだんだんありまして、今日昨日まで延びておったわけであります。しこうしてこれは過当に輸入するのでも何でもございません。外貨予算で下期にはこの程度の輸入が必要であると認めてやっておるのであります。そういう事情であるのであります。
○永井委員 大臣が知らないと言ったのでありますし、大臣の知らないことはあり得ることであります。しかしこれだけ発券をしようというような段階まで話し合いが進んでおるときに、その責任ある、よく知っておる者が知らないと言う。なぜ知らないと言ったか。私は責任者がいたらここで答弁をしてもらいたいと思います。
○倉八説明員 おとといのこの委員会で私が知らないと申し上げ、それからあとで、その無為替の輸入の許可をしたことはないということを私ははっきり申し上げました。それは無為替輸入をしたことは私の方ではございません。(「知らないと言ったのはどうした」と呼ぶ者あり)知りませんです。そうして私はそのときは知らない、こう言いまして、すぐ調べたら、絶対許可はしてなかったことを認めましたから、またあらためて無為替輸入は絶対していないと申し上げた次第であります。
○永井委員 今次長は無為替輸入の許可をした覚えはない、こう答弁したと言った。そんなことは言っておりませんよ。私は知らないと言ったので、私は知らないではいけない、政府の代表の答弁として重ねて聞くが、どうだ、知りません、こう言った。無為替許可を与えたことは知りません、そういう言葉をここで使っておりません。何を言っておるのだ。事実を知らないと言っておることを言っておる。その事実を知らないことはない。これは知っている。事実は知らないかどうかを、ここで重ねて答弁して下さい。
○倉八説明員 私は最初に申し上げたときは、ほんとうに知りませんでしたから、知りませんと申し上げました。それからすぐ問いただしまして、無為替許可ということはしたかということを問い合せましたところが、絶対したことはありませんから、してないと申し上げたわけであります。
○永井委員 次長はきのう私のところへ電話をして——プライベートの問題だからこういうふうに公にするのはなんでありますが、電話をよこして、自分は農林委員会に行っていた、そうしたところが、質問があったからというので急に呼ばれた、呼ばれたので、質問の内容がよくわからないままここへ出て、私は知りませんと答弁したんです、こういうことを言ったじゃないですか。そしてあなたは、——速記録でも何でもいいですが、無為替輸入とかなんとか、そういうことを答弁しているのじゃない、知りませんと言って、その次に、個人ではなくて、答弁した。その答弁に対して知りませんと重ねた。こういう無為替輸入の問題についてはバナナがある、サンキストがある、あるいは朝鮮ノリがある。こういう問題がいつでも問題になった。さらに競馬馬もある。足がついてこんなものが入ってきた。こういう無為替輸入のいろんな不正や汚職の問題がたくさんある。このような大豆の問題、しかも自由化の問題があって相当農村が心配しているときに、これだけの量をどかんと入れる。これが岸総理の手みやげに対する反射作用として、もうどんどん無為替で入ってきた。そして折衝過程においては、アメリカの経済界に対して申しわけないじゃないか、信用を失するから早く外貨の割当を受けるようにと、これはあなたがその折衝の衝に当たっていたじゃないですか。なぜ知らないと言うのか。
○池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、速記録を調べまするが、事務当局の言うのでは、無為替輸入を許可したことはございません、こう答えたと私は記憶いたしております。しこうして、大豆の輸入につきましては、先ほど来申し上げましたごとく予算を組みまして、その予算の執行につきましては農林省と相談してやるのであります。これが一ぺんに入るというふうなことをなくするために徐々にやっておるのであります。従って、下期予算で残っておりまする十五万二千トンというものにつきましては、一月に輸入する予定だったそうでございます。それがだんだんおくれたのです。大豆というものは無為替で輸入することはございません。無為替輸入という観念からしてない。FAでございますから、予算を組んで、外貨の割当がなければ輸入はできない。そこで、予算がある場合において、業者がある程度商談をしてこっちへ持ってくることはありまするが、内国貨物にはなれない、これを一つよくお考え願いたい。
○永井委員 通産大臣、私も、外貨割当の申請書を出して、さらに輸入許可の申請を出して許可証を受けて、LCを組んで輸入するくらいの手続は知っております。これは一つの、今の条件の中でいろいろ問題があるところへ、さらに岸総理の今回の言動というものが十一万二千トンの大豆の輸入を刺激して、その反射作用として出てきている。それが農民を圧迫する結果になっているのだ。それを私は問題にしなければならないし、そういろいろな陰にどのような事情があるかもしれないが、これだけはっきりしている問題を知りませんと二回にわたって答弁したということは、私は許せないと思うのです。いずれこの次の機会にこの問題は明らかにしたいと思いますが、ここで私は岸総理に警告をして、質問を終わりたいと思うのであります。 日本の産業界の体質改善は、まず官僚の体質改善からいかなければならないと私は思います。局長になる、くじ運のいい者が一人次官になる。そのほかの者は官費を使って選挙運動をやって、選挙に出ることをはかる。あるいはそれぞれの地位を利用して、やめたあと会社の重役になることをはかる。あるいは各官庁で外郭団体をたくさん作って、その外郭団体の人事を入れかえる、交代させる、こういうようないろいろなことをやっておりますことは、私は許せないと思うのです。上級官僚は国民の方を向いて行政をやっておるのじゃないのです。国民の奉仕者としてやっておるのじゃないのです。みな自分一個の利益のためにやっている。あるいは与党との政治的なつながりによってやっておるとわれわれは断ぜざるを得ないのであります。でありますから、産業界の体質改善のためには、まず官僚界の体質改善が先である、私はこういうことを強く警告いたしまして私の質問を終わります。
○岸国務大臣 公務員制度の問題並びに公正に公務員としての職責を行なうように常に改善をしていかなければならぬということは、当然に政府として考えなければならぬことであります。ただ永井君のしばしば引用されておることでありますが、自由化については私がアメリカに行く手みやげに云々というようなことをお話しになったのでありますが、これは全然事実に反していることであります。自由化の問題は、別に一年余において政府においても検討をして、そうしてどういうものから順次やっていくかということは、それぞれ十分各方面の事情を調査してきめておるわけであります。大豆につきましても、今までの研究によりますと、ことしの十月ごろを目途として、対ドル地域のものも自由化そうという研究がそれぞれの関係省の間にできておるわけであります。私がアメリカに行ったからそれに手みやげに持っていったというような性格のものでは全然ございません。それからまた大豆の輸入について、先ほど通産大臣も申し上げております通り、下期に割り当てるべく予定したところの為替の範囲内におきまして、時期的に適当に輸入してきているということは従来の例でありまして、今回の問題が特に私の訪米と何か関係があるようなお言葉は、これは全然違っておるということを私は明瞭に申し上げておきます。
○小川委員長 この際暫時休憩いたします。 午後零時四十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕