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34回国会衆議院1960/02/10

予算委員会 第6号

発言数
155
登壇者
7
会派数
2
開催日
1960/02/10

会議録

小川半次自由民主党

○小川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 質問にあたりまして、まず第一に岸総理に確かめておきたいことがございます。これまで総理の御答弁を承っておりますと、非常にそつのない、一見して矛盾のないような御答弁をいただいておりますが、長い期間にわたって総理の御答弁を検討してみますると、とんでもない矛盾が発見されるのであります。たとえば戦闘機の問題でも、国防会議のグラマン内定、さらに一転してロッキードの決定、これなどにもやはり争えない矛盾がございますし、自衛隊と憲法解釈の問題でもなしくずしにあなたの御答弁は非常に違ったところへ参っております。  こういう以前のことはあえて申しませんが、たとえば、つい二日前の八日の当委員会における横路委員の質問に対する御答弁を見ましても、実はその前の衆参両院の本会議における御答弁に比べまして、全く相反した点が出ておるのであります。  具体的に例を引いて私お聞きいたしますが、二月三日、衆議院の本会議で、わが党の成田知巳君の質疑に対して、新しい安保条約に関する極東の範囲の問題で総理はこのようにお答えになっております。「この点に関しましては、すでに藤山外務大臣が政府の統一した見解を国会において述べております通り、極東というのは地域的な観念であって、われわれは、この条約において極東と考えておるのは、フィリピン以北、日本を取り巻く周辺を意味しておるということを申しております。」さらにそのあとで、「従いまして、この点におきまして、今回私が訪米した際に特別の話はなかったのでありますけれども、すでに日本の国会において責任を持って答弁をいたしておることをもって今後といえども進んで参る、かような考えであります。」しかるに、この日本の周辺の中に沿海州並びに中国の沿岸が含まれるのかというのに対して、この前には含んでおるという御答弁であり、この本会議における御答弁の五日あとの八日では、これは含まないということで、全然相反したことを言っておられるのでありまするが、このいずれが統一見解であるか、明確な御答弁をお願いしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 今お読みになりましたように、私も本会議でお答えをいたしておりますように、極東という地域的な名称、観念については、フィリピン以北、日本周辺をいうということは、ずっと政府はそういうことを申してきておるわけであります。具体的にしからば中国大陸が入るか沿海州が入るかというようなことにつきましては、私従来そういう質問を受けたことはございませんので明確に申したことはございません。しかし、横路委員の御質問が非常に具体的であって、その点を明らかにしろということでございましたので、せんだってそういう解釈を申し上げたわけであります。従来外務大臣の答弁のうちにおきまして、地理的の観念として極東というのにはシナ沿岸等を含むように答弁をしておる点もございますので、その点については藤山外務大臣の主張は、常に申し上げていることは、今申しましたようにフィリピン以北、日本の周辺ということがその本体でありまして、具体的な問題について、特に指摘されました地域について、入るか入らぬかということに関して明確に政府を代表して答弁を申し上げましたのは、先日の横路委員に対して私の答弁したところできわめて明瞭である、かように考えます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、総理の今のような御答弁が、いつでも当面は通りますけれども、後になって問題を起こす原因であると思うのであります。政府部内の統一した見解というもので言うならば、やはり外務大臣の言ったことに対しても総理として当然責任を持たなければならないし、この統一した見解の中にはむろん外務大臣のお説は入っておると思うのでありまするが、三十四年の十一月十日、すなわち第三十三臨時国会におきまして、わが党の戸叶里子議員の本会議の質問に答えまして、藤山外務大臣は何と答弁しておりますか。「日本の周辺を中心にしまして、フィリピン以北——大体、そういう通常観念に従って、フィリピン以北であります。フィリピン以北、沿海州に至る、というところであります。」こう答えておりますが、これはどういう意味なんです。沿海州が入っております。この統一見解はどうです。本会議の答弁です。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 その点は外務大臣の答弁でありますから、外務大臣からお答えした方が正確だと思いますが、しかし私どもが申しておるように、フィリピン以北、日本の周辺である、それには海域を含んでおるということでありますから、その端が沿海州まで至るという意味において、外務大臣は申したと思います。われわれはあくまでも極東の問題につきましては、フィリピン以北、日本の周辺という考えであります。沿海州は入っておらないということを、私は明確に申し上げておきます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 さらに戸叶議員のあとで竹谷議員が質問したのに対しまして、すぐそのあとで藤山外務大臣は、「極東の地域でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、フィリピン以北、中国の一部あるいは沿海州、そういう、いわゆる日本を中心にいたしましたこの地方を、われわれとしては極東ということにいたしておる次第であります。」と、はっきり本会議の答弁で言っている。これは明らかに政府の統一した見解とは言われませんが、岸総理はあえて閣内の不統一をここに暴露するつもりでありますか。外務大臣は外務大臣、私は私と勝手気ままたるべしという答弁は許せません。この点は明確な御答弁を願いたいのであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 先日この席におきまして、政府の統一した見解として、従来申し述べておりますことを、さらに具体的に明確にした答弁を申し上げております。これが政府の統一した見解だというように御了承していただきます。

小川半次自由民主党

○小川委員長 成田知巳君より関連質疑の申し出があります。この際これを許します。成田知巳君。

成田知巳日本社会党

○成田委員 ただいまの総理の御答弁を承っておりますと、今回統一解釈を明確にしたということで、総理の今までの見解が間違っておった、食言であったということに対する何ら反省と申しますか、誠意が見えないのです。今淡谷委員が質問されました私の質問の問題なんですが、私は特に総理に質問申し上げたのは、例のグロムイコ覚書に関しまして、いろいろ問題が起きた。そこで極東の範囲のうちから、今まで藤山外務大臣が答弁されておりました沿海州あるいは中国領土の一部を含む、ここが問題なんだから、この点は削除すべきじゃないか、こういう質問に対して、総理は「従来の統一見解の通りでございます」こう言っておるわけですね。従って総理自身、藤山外務大臣の答弁だといって逃げておられますが、総理自身極東の中には沿海州、中国本土の一部が入るということを肯定しておった。私は削除しろと言った。その必要はないとあなたは言っておられる。そうしますと、これは藤山外務大臣の食言でなしに、総理自身の食言だと言われても仕方がないと思う。はっきり具体的にしたなんといって逃げないで、今までの私の解釈が間違っておりましたと、はっきり食言をこの際なぜ訂正されないか、その点をまずお聞きしたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 藤山外務大臣はこの予算委員会におきましても、その他のところにおきましても、常に極東の範囲としてフィリピン以北、日本の周辺ということで一貫してきておるのであります。私はその点をさらに——今淡谷君が読み上げられましたように、本会議におきまして、その解釈をそこに明瞭に申し上げております。その際に、その後この予算委員会において周辺の地域と海域というのには、はたして沿海州や中国の一部が入るかどうか、これに対して具体的に明確に答弁しろということでありましたので、私としてはそれを含まないものでありますということを明確に申し上げたわけでありまして、フィリピン以北、日本の周辺、それにはもちろん海域を含むわけでありますが、そういう解釈をずっと一貫してとってきていることについては、その本会議における私の答弁をお読み下さっても明瞭になっておると思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 総理は質問と全然違った答弁をされておるのです。今淡谷さんが質問されたことは、あなたが衆議院本会議で答弁されたことは間違いじゃないか、食言なら取り消すべきである。こういう質問に対して、あなたの言われるのは今までの統一解釈の通りなんだ、単に具体的にしたのにすぎないのだ、中国本土の一部あるいは沿海州を除くということは、具体的にしたのにすぎないのだ、こう言われるのですが、そうではなくして、衆議院本会議で私が質問したときには、中国本土の一部は除くべきである、沿海州は除くべきである。こういう質問に対して、あなたは藤山外務大臣の今までとってきた統一見解が正しいのだ、こう言って、除く必要はないということを裏から肯定されておるのです。ところが横路委員の追及にあって、沿海州あるいは中国本土の一部を除くということになれば、あなた自身の解釈というものは変わったということになる。その点を、はっきり変わったなら変わった、今までの私の答弁は食言でございました、それを肯定されるなら肯定していただきたいということです。変わっておりませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私の答弁はこの速記録にあります通り、先ほど淡谷委員がお読み上げになりました通りでありまして、「極東というのは地域的な観念であって、われわれは、この条約において極東と考えておるのは、フィリピン以北、日本を取り巻く周辺を意味しておるということを申しております。」こう言っておりまして、これはずっと外務大臣も一貫して申しておることであり、私も申し上げました。

成田知巳日本社会党

○成田委員 これは質問と答弁の関連というものを考えなければいけない。私が質問いたしましたのは、こう質問いたしておる。「少なくとも極東の範囲から中国、ソ連領土を除くべきであると思いますが、今回の日米交渉において、極東の範囲につき、いかなる話し合いがなされたか、」云々。すなわちこの両地域は除くべきである。こういう質問をしておるのです。これに対してあなたは藤山外務大臣の統一見解通り考えているのだ、こう言われておる。藤山外務大臣の言われたことは、すなわち、この両地域は入るという今までの答弁である。ところが横路委員の質問に対して、あなたは両地域を除くということになったのだから、本会議の答弁とは全く食い違いじゃないですか。あなた自身の解釈は間違いなんです。私は除くべきじゃないかと言った。あなたは除く必要はないということを藤山外務大臣の答弁に事寄せて回答しておられるのです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 成田委員の御質問でありますが、この私の答弁を率直にお読み下さるならば、そういうふうに私がお答えしておるのではなくて、この極東というものの意義をどういうふうに政府は解釈しておるかという問題と、それからこの点について日米の間で新たに協議したかどうかということにお答えをいたしておるのでありまして、決してこれを含めるということを私が——このどこを御指摘になりましても、私はお答えをしておる点はございません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 あなたの答弁は、藤山外務大臣の従来やった統一見解だ。その統一見解の中には、すでに藤山外務大臣は沿海州と中国本土の一部を含むという答弁をしておるのです。それが統一見解なんです。さらに私の質問も、この二つを除くべきじゃないか。それに対して、あなたは含むというところの藤山外務大臣の答弁でいいのだと言っておる。そうしますと、藤山外務大臣の答弁が間違っておったというよりは、あなた自身ですね。二つの地域は入るのだ、こういう解釈で本会議で答弁をしたとしかとれないじゃないですか。私は除くべきだと言った。あなたは従来通りだと言っておる。(「総理は触れていない」と呼ぶ者あり)いや、総理は触れていないことはない。私の質問は、二つの領土を除くべきであるという質問だ。それに対して総理の答弁は……(発言する者あり)ちょっと待って下さい。それに対する大臣の答弁として、藤山外務大臣の二つの地域を含むという従来の答弁に基づいて、あなたは答弁しているのですから、当然そうなんです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 成田委員の御質問でありますが、これをお読み下されば、どこにも私がそれを含むということを肯定した根拠はございません。それから藤山外相の答えた点におきまして、私は誤解を生ずるといけないから、さらに繰り返してその意味はこういう意味だということをここに繰り返して申し上げておる。すなわちフィリピン以北、日本の周辺の地域を言うんだということを明瞭にいたしておりまして、今、成田委員が御質問になりましたように、私がこの中国大陸や沿海州を含むということを肯定したなには全然ございません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 それじゃその当時の藤山外務大臣の答弁というのは、従来の答弁からいいまして両地域を含んでいるのですね。それはお認めになりますね、藤山外務大臣が今まで答弁したことは……。その藤山外務大臣の答弁が統一見解であるということをあなたは肯定されて答弁されたのです。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)いや、その通りじゃないですか。藤山外務大臣の答弁というのは沿海州、中国本土の一部を含むという答弁なんです。それが統一見解なんでしょう。それに対するあなたの肯定的な答弁をされている。しかも私は省くべきであるという質問をしておる。それに対して、入れておるところの藤山外務大臣の答弁を統一見解としてあなたはおとりになっているのです。そうすると、あなた自身含んでおる、そう解釈したとしかとれないじゃないですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 従来私が申し上げております通り、フィリピン以北、日本の周辺及びそれを含む海域ということを申し上げておるのでありまして、いろいろ質問がありましたときに、それでは北ではどの辺まで海域がいくんだということでありますから、沿海州までいくんだということで、沿海州が含まれているとは申し上げておらないのであります。(発言する者多し)至るということを申し上げた。あるいは言葉が足りなかったかもしれませんが、そういうことでございます。それからなお海域でありますから、中国の沿岸に及んでおります、接岸地帯に及んでおりますから、そういうような点については中国の一部が含まれている場合があるということであって、中国大陸が含まれているということを申し上げたことはございません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 今の答弁ですが、今まで沿海州は含まれていないという答弁をしておる、こう藤山外務大臣は言われる。これは戸叶委員の質問なり、それから竹谷委員の質問なり、参議院の答弁で、沿海州及び中国本土の一部を含むということをはっきり答弁しておるわけであります。これは全くの事実に相違した答弁ですよ。たとえば、「第二に、極東の地域でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、フィリピン以北、中国の一部あるいは沿海州、そういう、いわゆる日本を中心にいたしましたこの地方を、われわれとしては極東ということにいたしておる次第であります。」とはっきりここに出ているじゃないですか。それから先ほど申しました参議院における答弁でも、藤山外務大臣は、「フィリピン以北、大体フィリピンから北、中国の沿岸、沿海州、日本の周辺を含めて、そういうように解釈をいたしております」とはっきり言っておる。その上に取り消してまたそれを取り消すというのでは、国民が信用できないと思うのですよ。極東の範囲というのは、今国民の重大な関心事なんですよ。それに対して、最初は含むと言っておる。そしてこの前の予算委員会の横路議員の質問に対しては、含みません、これが統一解釈だと言っておる。きょうまた含みますと言うのじゃ、国民は一体何を信用していいのですか。こんなことではこの審議はできませんよ。外務大臣、これはどうしたのですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 政府の統一見解につきましては、横路委員にお答えを申し上げました通り、極東の地域というものはフィリピン以北、日本の周辺である。具体的に沿海州及びシナ大陸を含むかという問題に関しましては、これを含まない、これが政府の統一した見解でございます。

成田知巳日本社会党

○成田委員 そうなれば、総理も藤山外務大臣の答弁をお聞きになったと思います。沿海州は入ると言っておる。これはどうなんですか、統一見解どうなんですか。今はっきり言ったじゃないですか。今はっきり言った、はっきり言いました。じゃ速記録を見て下さい。今外務大臣はっきり言ったでしょう。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま私の御答弁申し上げましたのは、戸叶里子氏に御答弁申し上げたのと同じで、水域は沿海州に至るということを申し上げているわけでありまして、沿海州が入るということを申し上げておるわけではございません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 沿海州に至るということと、沿海州を含むということとどう違いますか。特にあなたは至ると言ったと言われますが、参議院の答弁でもそうじゃないのです。沿海州、日本の周辺を含めて、そういうように極東というものを解釈いたしております。決して至るとは言っていない。沿海州を含めてと言っておる。あなたは今、至ると含めては違うと言う。常識的に考えて私たちは同じだと思いますが、至るとあなたは言っていない。含めてと言っておる。それから竹谷さんの質問に対する答弁におきましても、「先ほど御説明申し上げましたように、フィリピン以北、中国の一部あるいは沿海州、そういう、いわゆる日本を中心にいたしました地方を、われわれとしては極東ということにいたしておる次第であります。」決して至るなんかとは言っておりません。はっきりそれは含むと言っておるじゃないですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 言葉が足りなかった点があるかと思いますが、私は戸叶里子氏に対しては至るという字を使っておるのでありまして、戸叶里子氏の質問に対しては至ると言っておるのであります。われわれはフィリピン以北及び日本周辺及びその含む水域ということを主として初めから申し上げておるわけであります。従いましてそういう戸叶里子氏にいたしました答弁の通り、至ると解釈していただくのが当然でありまして、従ってそれを沿海州と言ったなら、あるいは言葉が足りなかったかもしれません。

成田知巳日本社会党

○成田委員 私が申し上げましたのは、戸叶里子君、竹谷源太郎君、これらの諸君に対する答弁として沿海州その他を含む、こういう御答弁になっておるのだ、こういうことを申し上げたのです。単に戸叶里子氏だけのこれは問題じゃないのです。問題は藤山外務大臣がどういうふうに解釈されておるか。現にここではっきり含むと言っておるわけでございますから、単に至るという言葉で逃げないで、もし間違えたならば間違えたとはっきり訂正しなさい。はっきり訂正しなさい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 答弁においてあるいは言葉が足りなかったところがあるかと思います。しかしながら今申し上げましたような趣旨で答弁をいたしておるのでありまして、至ると戸叶氏にははっきり申し上げております。

成田知巳日本社会党

○成田委員 それでは国民は納得できませんよ。戸叶さんの答弁だけが問題じゃない。参議院における答弁あるいは竹谷さんに対する答弁、戸叶氏の答弁を含めまして、今までの政府の答弁というものに対して、国民は非常に疑惑を持っておる。速記録にはっきり含むと言っておるのだから、統一見解で含まないということになったとすれば、きょうまたそれを否定するような、藤山外務大臣、答弁されるべきでないと思う。はっきり間違いなら間違いと訂正していただきたい。はっきり書いてあるのです。含むと言っておるのだから。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 従いまして私は総理の言われました統一見解に服しておるわけでございます。

小川半次自由民主党

○小川委員長 成田君、成田君、外務大臣から、過般の答弁に際しては、外務大臣として言葉が足りなかったように思うから、本日の答弁でもって御了解を願いたいというはっきりした答弁がございますものですから、以上をもって一つ御了解願いたいと思います。

成田知巳日本社会党

○成田委員 それでは外務大臣に最後にお伺いしたいのですが、統一見解に服するということは、従来の自分の答弁が、考え方が間違いであった、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。外務大臣御答弁願いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 総理が言われました統一見解の通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうも、今の成田委員の関連質問に対する総理並びに藤山外相の御答弁にも、統一見解というものはないように思うのでありまするが、これはあとでまた触れることもあるだろうと思います。  きょうの参議院におけるわが党の佐多委員の質問に答えまして、総理が言われた言葉の中には、私はやはり非常にあいまいな解釈のつかないことを発見したのであります。やはり極東の地域の範囲に関する問題で、千島の問題でございますが、「千島の問題につきましては、これは地理的に申しまして、日本の周辺ということ、並びにこの歯舞、色丹、国後、択捉等につきましては、日本の固有的な領土なので、従来主張しておる日本そのものであるという観点に立っておりますから」ということがある。そうしますと、歯舞、色丹、国後、択捉等という言葉をつけて、現在領土の問題は別としましても、現にソ連が領有しておりますこれらの地域、これがやはり極東の範囲内に入る、同時に、千島の中で歯舞、色丹、国後、択捉等という言葉を使われますと、北千島は一体どうなるのですか。これも将来非常に条約上にあいまいな点が現われますと困りますので、総理のもっと明確な御答弁を得ておきたいと思うのであります。北千島は入りますか、入りませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 一体この極東という観念でありますが、これは一つの地理的な名称を言っておりまして、従来いろいろな方面で使われている言葉は、必ずしも東経何度から北緯何度までというふうな明確な地域を示しているものではないことは、淡谷委員も御承知の通りであります。ただ条約において用いておりますのは、言うまでもなく、極東におけるところの国際的な平和と安全を守る云々と、これに寄与するとかいうふうに、極東の平和と安全というものに対して、日米両国が関心を持っておる地域でございますので、フィリピン以北日本を含む周辺、こういうことを申し上げたのであります。千島の問題につきましては、歯舞、色丹、国後、択捉というような地域は、きわめて北海道と近接しておる地域であることは、言うを待たないのであります。そして領土問題についても、この点について日ソの間の見解を異にしており、日本国民は、これらの地域につきましては、本来の固有の領土であるということを、ずっと一貫して主張して参ってきておるような関係から申しまして、大体そういう地域が入るということを考えることが私は適当であろうという意味においてお答えを申し上げておるわけであります。しかし、個個の島がどうだとかというようなことではなくて、極東における国際的何かの問題が起こってくるというようなことでありますので、われわれはそういう意味でこの固有の地域ぐらいは含めておくことが適当であろうという考えに立っております。従って、北千島等のこの地域につきましては、相当離れておりますので、そういうようなところまではわれわれは含ましては考えておりません。ただ、しからば何度からか、海域のどこからか線を引いてみろというような性格のものではこれはないと思います。御了承を願います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 北千島は含まれていないとおっしゃるのですか、いるとおっしゃるのですか、どっちなんですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 北千島は私は入っておらないと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この間の予算委員会におきまして、横路さんの質問に対して、これは北千島は入っていると御答弁になった。それじゃまた変わってきている。これではとうていあなたの答弁というものは一定していない、しょっちゅう動揺している。こんなに動揺した御答弁では満足できません。横路氏に対する答弁もやはり違っておる。この点はどうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私は、千島につきましては、日本の周辺及び日本の固有の領土としてわれわれが主張しているものを含めて、日本の周辺の海域をいうという意味で考えておりますから、北千島等はこれに含んでおらないという考えでございます。     〔横路委員「関連質問、私の答弁と   違うじゃないですか」と呼び、そ   の他発言する者、離席する者多し〕

小川半次自由民主党

○小川委員長 横路節雄君より関連質疑の申し出があります。この際理事会の申し合わせにより二問だけこれを許します。横路節雄君。

横路節雄日本社会党

○横路委員 岸総理にお尋ねをしますが、去る八日の日に私は本委員会で総理にこうお尋ねをしているのです。私は今速記を持ってきているんですよ。「日本周辺の中には歯舞、色丹は入りますね。南千島の国後、択捉はどうですが。千島列島全体はどうなるのですか。」ここは速記ですからあなたがうなずいたことは書いてありませんよ。しかし総理はうなずかれて、そうしてこれに対する御答弁はどうですかというのであなたはお立ちになってこう言っているんです。「日本の周辺の海域を含むことは」……。総理聞いて下さい。ちょっと長官待って下さいよ。「日本の周辺の海域を含むことは当然であると思います。従って今御指摘になりました島嶼などは、日本に近接した海域として入ることだと思います。」そこで私は、あなたがこういうように御答弁されたから、千島全島についてあなたはお認めになっているのに、沿海州についてお認めにならないのはおかしいではないですか、こう聞いたのです。私は三つに分けて聞いた。歯舞、色丹はどうですか。あなたはうなずいた。国後、択捉はどうですか。あなたはうなずいた。そこで私は千島列島はどうですかと聞いたらあなたはうなずいて、私に促されてあなたはお立ちになって、先ほど言ったように、「日本の周辺の海域を含むことは当然であると思います。従って今御指摘になりました島嶼などは、日本に近接した海域として入ることだと思います。」このことはただいま総理が御答弁になった北千島は入らないということとは全く答弁が違うのです。ですから総理がここで去る八日私に対する答弁のうちで千島列島と言われたが、その中に私から歯舞、色丹、国後、択捉、そうして千島列島と言ったのですから、あなたの答弁は、千島列島ということは当然南千島、北千島を含んでいるわけです。もしもあなたがここで今淡谷委員にお答えになったように言うならば、去る八日自分が答弁した分については訂正をしますと、こういうようにはっきり訂正について今ここで私に御答弁があれば、まずこの問題はそれは別ですよ。その点をはっきりしていただきたいのです。そうでなければこの極東の範囲については外電その他が非常に、アメリカの国防省においても大問題になっていると言っているではありませんか。そのときそのとき都合のいい御答弁では、これからこの条約を審議していく際の一番中心になっている極東の地域について明確でないということは、国際的にも問題ですし、国民にも非常な疑惑の念を抱かせるし、将来戦争に巻き込まれるかもしれないという、こういう危険を持っている条約なのでありますから、この点について、北千島は入っておりません、先般の私の答弁についてそういう点があればそれははっきりと訂正しますならしますと、ここで答弁があれば別です。総理御答弁を願います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 しばしばお答え申し上げているように、日本の周辺の海域を含むわけでありまして、個々の島嶼がどうだということになりますと、従来の私の答弁も明瞭を欠いた点があるかと思います。しかし歯舞、色丹及び国後、択促のいわゆる日本が固有領土として従来主張しておるところのものは、これは含まれることは当然だと思います。その他の北千島につきましては、この前の私の答弁が直接にそれに触れて答弁を申し上げておらないようでありますけれども、あなたの御質問はそれを明示されておるのでありまして、従って私の答弁が不明瞭でありましたことを私はこの際明瞭にいたします。それは、北千島は含まないということでございます。

横路節雄日本社会党

○横路委員 この問題についてはあとでさらに淡谷委員から指摘されると思いますが、ただ総理に私は申し上げておきますが、千島列島の中に、サンフランシスコ条約で問題になったのは、千島列島の中には南千島が入っているのかどうかということが、あのとき千島列島についての権利、権原を放棄したときに問題になった。千島列島といえば北千島を含んでいることは当然なんです。そういう地理的な、きちっとした、だれが考えてもきちっとしている、そういう定義についてあいまいのまま過ごされているというところに、私はこの条約の非常な問題点があると思いますが、これはあとで淡谷委員からさらに御指摘があろうと思います。しかし千島列島という場合には北千島を含んでいる。南千島が入っているかどうかということは、先般のサンフランシスコ条約以降において、今これから私のお尋ねする国後、択促、南千島は千島列島に入っていないという解釈にお立ちになってあなたたちは論議しているではありませんか。千島列島というのは北千島が入っていることなんです。そういう点についてあいまいな形でここで御答弁なさっていることが、非常な問題を起こしているということを申し上げておきますが、次に今淡谷委員から指摘しました内容は、先ほど午前中に参議院でわが党の佐多忠隆参議院議員からの極東地域に対する御質問の中で、総理から御答弁になったのを私も傍聴席におり、今速記が出てきて淡谷委員から読んだのです。私はそこで総理にお尋ねをしたいのは、「歯舞、色丹、国後、択捉等は日本の固有領土である、従って日本そのものであります」と、こう答弁しておるのです。私にはこれ一問しかありませんから、ここで総理にちょっと申し上げて一括して御答弁を願いたいことは、一体、歯舞、色丹、国後、択捉は日本の固有の領土である。日本そのものである。なるほど歯舞、色丹については日ソの共同宣言の中で、日ソの平和条約が締結された後については日本にこれを引き渡すと書いてあります。しかし国後、択捉について、これは固有の領土である、これはソ連の領土ではない。次の問題で私がお尋ねしたいのは、この歯舞、色丹が固有の領土であるということは、ソ連には領有権がないのだという立場に立っていらっしゃると思う。そうすればソ連には領有権はないのだ、日本固有の領土であるという総理の御主張は、これはソ連に対する対日覚書の回答についてもさらに書いてある。この国後、択捉が日本固有の領土である、ソ連は領有権がないのだというまず国際法上の立場からいって、これによってソ連には領有権はないのだ、従って日本固有の領土で、領有権があるのだという解釈を明らかにしていただきたいということが第一点。  第二の点は、歯舞、色丹並びに国後、択捉は日本固有の領土である、そうすれば、今ソ連が占領、領有していることは、この条約が発効された後においては日本の固有の領土、ソ連の領有権がないと総理がお考えになっているならば、明らかにこの条約が発効した後はソ連が武力侵略だということになる。当然なるではありませんか。そうすれば、この条約が発効した後にソ連が武力侵略だということになれば、それならば当然総理は第五条に基づいて武力攻撃が発生した場合という立場に立って、日本は自衛のために自衛権を行使し、それに対処するためのいわゆる武力を行使するのかどうか、これは総理、非常に大事な問題ですから、そこで私は聞いておる。これはほんとうは時間があれば、私はもっと聞きたいのだけれども、委員長から制約されましたから、私の言わんとするところをまとめてお話をしたのですが、自余の点については淡谷委員から質問があろうと思います。二つの点についてぜひ一つ御答弁を願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 国後、択捉に対する日本が固有の領土であるという主張は実は、この条約によって初めて出る問題ではございませんで、従来の日ソ間の交渉において日本が終始これを貫いてきておる主張でございます。しかして私はこの条約ができたから侵略になる、できたからどうなるという問題ではなしに、歯舞、色丹については日ソ共同宣言によって日ソの間に取りきめがございます。それから国後、択捉等につきましては、平和条約のときにこれを解決するという意味において懸案になっておることは、日ソ共同宣言で御承知の通りであります。従ってこの条約が締結されたからといって、われわれの従来からの主張が少しも変更されるものでないことは言うを待たないし、また条約ができたから直ちにわれわれが武力をもってこれの解決をするというような性質のものではなくして、日ソの間の平和条約の交渉によって平和的に解決さるべき問題として日ソ間の懸案になっておる問題である、かように御了承願いたいと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 総理がさっきから御答弁になっておることを聞きますと、どうもその当時は一応理屈が通ったようですけれども、あとになって具体的にはっきりこのことをきめようとしますと文句が出て参ります。外務大臣と総理大臣との間の答弁に食い違いのあるのはやむを得ないとしましても、つい二日前にあった総理の答弁が二日後にはくつがえされるという条件では、とうていわれわれは責任のある審議はできないと思う。従ってあなたが北千島が入っていないということを、これは言葉が足らないとか、不明確であったとかということでなくて、明らかに誤りであったということのお取り消しを願いたい。そして新らしい意味で北千島は入っておりませんということを明言をしていただかないと安心してこの質疑は続けられませんので、その点をぜひとも総理にお聞きいたします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 先ほど横路委員にお答えを申し上げました通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この前藤山外務大臣との間の統一見解というものもフィリピン以北日本周辺、こういうばく然としたことで言い、今度また横路さんの質問に対する御答弁もやはりばく然とこれを包含しようとしております。私はなおこの極東の地域につきましてもっと具体的にお聞きしたいと思いますが、一体総理の言う日本周辺というのは具体的にどの辺をさすのか。     〔発言する者多し〕

小川半次自由民主党

○小川委員長 淡谷君、地図の掲示は御遠慮願います。     〔「説明をするんだ」「認識をはっき   りさせるんだから」と呼び、その   他発言する者多し〕

小川半次自由民主党

○小川委員長 委員長ははっきりと宣告いたしました。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大体国後、択捉が入るといたしますと、樺太も当然入るわけなんですが、樺太は一体どうなりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 樺太は私は含めて考えておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 北朝鮮はどうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 極東という地域が一つの常識的な、先ほどから申し上げているなにであって、はっきり北緯何度から何度までというふうなことは言えないと思います。われわれは、主たるなには、大韓民国の地域を考えておりますが、しかしこれが明確に三十八度線で少しも動かないものであるかどうかという点に関しましては、明確にここで申し上げることはできない、こう私は思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 はっきり言っていただきたいのですが、三十八度線以北は含まないとおっしゃるのですか。それだけを端的にお答え願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 本条約のいわゆる極東における国際的安全と平和を云々という意味から申しまして、私は、三十八度線を越えては一つも含まないとか、それは北朝鮮を全部含むんだとかいうふうに解釈することは適当でないと思います。主たるなには大韓民国の地域を考えておる、これで御了承願いたい。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 条約には含むか含まないかはっきりしないというような形はないと思う。やはり極東の範囲と言った以上は、範囲の中に北朝鮮は含むか含まないか、明確に御答弁を願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 本条約におけるいわゆる条約地域は日本の施政下にある領土でありまして、これは非常に明確にきめてあります。極東という言葉が使ってあるのは、条約でごらんになってわかるように、極東における国際的平和と安全を維持するために云々というふうな、極東における安全と平和ということでありますから、従って、そういうふうに明確に線を引くべき性質のものではない。大体の領域、地域というものは、先ほど来申し上げているように、フィリピン以北日本の周辺というようなことで明瞭であり、それが大陸を含むかというと含まないということを明瞭にしております。北千島は含むかといえば含まないというようなことで。私は……。     〔発言する者多く、聴取不能〕

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 中国は含まない、沿海州は含まない、そうはっきり言い切れるならば、北朝鮮もやはり含むか含まないか、イエスかノーかはっきりできるはずである。それができないであいまいにして、極東の範囲というものはきまりません。一体含みますか含みませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 今申し上げているように、北朝鮮というものが全体として入るとは私ども考えておりません。ただ、今の三十八度線を境界として一切動かないのかという点については、一応明瞭に言うことはできないだろう、こういうふうに申し上げているのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 三十八度線を何度くらいのところまで含むのですか。幾らまでは入るのか、何度まで入るのか。——そんなあいまいな条約はない。(「それは愚問だよ」と呼び、その他発言する者多し)愚問じゃない。大事な点だ。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 今申し上げているように、この極東という地域が問題になっていると思いますが、条約において……。お静かにお聞きを願います。     〔発言する者多し〕

小川半次自由民主党

○小川委員長 お静かに願います。——御静粛に願います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 この条約において極東という字句が用いられておるときには、常に極東における国際的平和と安全という言葉が用いられており、今回の条約の趣旨も、日本の平和と安全、それと不可分のような関係にある極東の安全と平和ということが問題になるわけでございます。従ってそのときにおけるところの国際的な平和を乱すような事態がどういうように起こってくるかということが、実は問題になるわけでありまして、それはあくまでもフィリピン以北、日本の周辺ということで、一般の条約地域のような明確なる線が引かれないことは、条約の性質上当然であると思うのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それでは北朝鮮は含むとも含まないとも確答を得られませんが、金門、馬祖はどうですか、金門、馬祖を一つ。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 これは周辺の地域が海域を含んでいる意味におきまして、入っておると解釈すべきものだと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この金門、馬祖が入っているということはお取り消しにならぬでしょうな、確認しておきます。ちょいちょい取り消しますから。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 今お答えを申し上げました通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 中国が入らず、沿海州が入らずに金門、馬祖が入るという根拠はどこにあるんですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 これはいわゆる日本周辺というものが、海域を含んでおると私どもは考えております。従ってあの地域まではいわゆる海域として入るものだと解釈するのが適当だろう、こう思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 そこでさっきから極東の範囲で岸総理は、しきりに常識々々といっておりまするが、この極東の常識は、アメリカと日本とが常識的に一致した範囲でございますか、あるいは一致しておりませんか。その点をお聞きしたい。法律的にも一致しておるかどうか、条約に調印する場合も一致しているかどうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 この条約の交渉過程におきまして、この条約上に用いられております極東の範囲内につきましては、違っておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 アメリカと日本の極東の範囲の解釈は一致しているというんですが、あなたは言葉が足らない人ですから、もう一ぺんはっきり、足らなくないように言ってもらいたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 この条約におきましてわれわれが話をしておりますときに、アメリカと日本との極東という見解は相違がないと存じております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 外務大臣、もう一ぺん詳しくお聞きしておきたいんですが、あとでまた総理大臣と食い違うと大へんですから、今からはっきりしておきたいんですが、あなたの一致したというのは、極東の範囲はフィリピンの北——沿海州、中国を除いた日本周辺、北千島は除いた択捉、国後、歯舞、色丹、さらに金門、馬祖を加えた地域、この点で一致しているんですか。北朝鮮の問題も一つあるのですが、具体的にどうですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今申し述べましたように、前の条約においても極東という字を使っております。われわれが今回の条約にあたりましても、極東という問題については話し合いをして参りました。その過程におきまして、われわれとしては考えも一致しておると存じております。従って今度の極東の解釈については、両国に相違はございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 その点はどういうふうに具体的に一致したのですか。もう条約には調印してあるのですが、あいまいなままでは承認できません。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今申し上げた通りに一致しております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 あなたは三十四年の十一月十八日に、参議院の予算委員会で、亀田得治君の質問に答えまして、「この間、フィリピン以北、大陸の沿岸及び日本の周辺における沿岸ということを大体申し上げたつもりでおりますのですが、そういう意味において、むろん最終的には完全な打ち合わせをしまして明確にいたして参りたいと思っております。」と言っておられますが、それならばその後明白になったのですか。明確にしたか、しないか、この点お聞きしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 明確に話をいたしておりまして、総理が言われました確定解釈がその通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 きょう岸総理と食い違いの点がございまして、この点も御訂正なさいましたが、これもアメリカとはもう打ち合わせば済みましたか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 話し合いの過程におきまして、今申し上げたような地域で差しつかえはない、そういう意味におきまして話し合いが決定をいたしております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 あなたはそうおっしゃいますが、もう条約の調印が終わったあとで、しかも今日変わっている点がある。これは一体どうして打ち合わせしたのですか。どういうふうに打ち合わせしたか立証できますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今申し上げたところが両国の一致した確定的な話し合いの結果でございます。従ってどこでとか、そういうことは外交交渉で申し上げかねます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私外務大臣のそういう答弁では満足できない。今言ったことと言っておりますが、今言ったことはたくさんあります。そのうちのどの部分を、いつどこでどういう形式をとって、どういう形式で表現したか、はっきり御説明を願います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 交渉の過程におきまして、そういう話し合いができておることは、今申し上げた通りでありまして、それが岸総理の答弁になっておるわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 その話し合いというのは、いつどこでなされたのか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 そういうことは申し上げかねます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうも外務大臣、あなたのお答えははっきりしないのですが、打ち合わせができてちゃんと取りきめができたというのですが、これは調印前にやったのですか。調印あとにその打ち合わせばやったのですか。どっちですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 岸総理が確定的に申し上げたことが、話し合いのついた結果でありまして、われわれとしては、それをいつやったかというようなことを申し上げる必要はないと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 岸総理が確定的に答弁をしましたのは二月の八日であります。そのときはすでに向こうで調印が済んだあとなことは御承知の通り。そうすると八日にこの統一解釈ができたとしましたならば、調印のあとにこの統一の解釈ができて、ここで変更しているのです。これはいつやりました、この統一解釈に対する打ち合わせばいつやっています、どこでだれとやっています。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今まで申し上げた通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 今までは、この点については何も申されていないのです。何も申されていないのに、あとで言葉が足らぬと言っても、これはしようがない。十分に御説明願いたい。調印後において統一解釈ができて、今の極東の範囲がきまったのですから、その打ち合わせはいつやったか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 いつやったか、いつやらないかというようなことは、今申し上げることではございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 申し上げられないというのは、答弁ができないということなんですか、答弁の必要がないというんですか、どっちですか。     〔発言する者多し〕

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 外交上の話し合いでございますから、何月何日どこでどういうふうにやったということは申し上げかねます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 あなたが打ち合わせが済んだと言うのは、国会に統一解釈を出した前後ですか。前ですか、あとですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 重ねて申し上げますけれども、外交折衝でございますから、いつ、どこで、どういうふうにということは申し上げかねます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 いつ、どこでやったかということじゃなくて、私の聞いているのは、統一解釈ができた八日の前後かということなんです。これは言えるでしょう。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 前後か前後でないかは申し上げかねます。     〔発言する者あり〕

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この新安保条約については、審議は十分尽くすことの申し合わせができているのです。審議を十分尽くす上においては、やっぱり大臣、政府委員は、われわれの質問に対しても徹底的に答える義務がある。答えることができないというのは、大臣みずから審議権の放棄ですよ。答えられないのですか、答えないのですか、どっちなんですか。     〔「答弁しろ、答弁しろ」と呼び、   その他発言する者、離席する者多   し〕

小川半次自由民主党

○小川委員長 淡谷君、従来から、外交上外務大臣が答弁できない問題が多々あるのでございます。現在の問題も、外務大臣は、この問題は先ほど来申し上げた通りであるということを答えておるのでございまするから、他の本質論にお進め願いたいと思います。     〔「委員長、それは越権だ」と呼び、   その他発言する者多し〕

小川半次自由民主党

○小川委員長 それでは訂正いたします。質疑の続行をお願いします。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは外務大臣がお答えができないというならば、官房長官に一つお聞きしますが、あなたは九日の夜に記者会見をしまして、極東の範囲など当面の問題についていろいろお話をしている。そうして政府の統一見解をさらに検討しなきゃならぬと言っておりますが、外務大臣はもうすでにアメリカとの間に打ち合わせが済み、一致を見たと言っている。官房長官は、一体一致を見てないという観点のもとにこういうことを言っているのですか、お答え願いたい。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長官

○椎名政府委員 私の記者会見の問題について一、二の記事が出ておりますが、これは真相を伝えたものではございません。     〔発言する者多く、離席する者あ   り〕

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 今のは、私の質問の答弁になっておりません。

小川半次自由民主党

○小川委員長 御静粛に願います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、新聞の記事を官房長官がどうおとりになったかを聞いたんじゃない。こういうことが出ているが、もし新聞記事が違っておるというならば、ほんとうはどうだったのですか、何を言ったのですか。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長官

○椎名政府委員 ただいま申し上げた通りであります。     〔発言する者あり〕

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 官房長官、今の通りでありますと言っても、あなたの答弁は、ただ新聞はほんとうでないという話だけだ。それならば、一体この統一見解というものはこのままでいいのかよくないのか、あなたのはっきりした御見解を聞きたい。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長官

○椎名政府委員 統一見解に関する私の新聞記事につきましては、先ほど申し上げた通り真相を伝えたものではないのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それじゃ一つ一つ聞きますが、「政府は、八日の衆院予算委で、極東の範囲についての統一見解として、沿海州、中国大陸は極東地域に含まないと言明したが、その後アメリカ政府筋を刺激している向きもあるので、新しい角度から現在外務省で公式見解を再検討中である。」これは一体どうなんだ。今までこういう事実はありますか。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長官

○椎名政府委員 アメリカの方面を刺激したというようなことにつきましては、これは全然根拠がないことを申し上げておきます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 外務大臣にお聞きしますが、この統一見解がアメリカの当局を刺激していないということを外務大臣もやっぱり確言できますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 問題は、意見の相違があるかないかということでございますが、意見の相違はございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 アメリカの見解は極東の範囲は非常に広いということを新聞は伝えております。私は岸総理と違いまして、日本の新聞を信用いたしますからこの例を引きますが、アメリカ側の極東の範囲というのは、「中国、東北アジア(日本、朝鮮、琉球)、東南アジア(ビルマ、カンボジア、ラオス、マラヤ、タイ、ベトナム)、南西太平洋(オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、フィリピン)となっている。」これをアメリカの国務省の極東担当次官補パーソンズの言葉として引いてある。アメリカがこれだけ広い範囲を極東と考えている場合に、日本だけがフィリピンと日本周辺の海域、こんなふうに考えて、はたしてこの常識なり通念なりが一致し、条約上何ら誤りなくこれが合意し得るかどうか、外務大臣のはっきりした見解を聞きたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 本条約に関する限り、私や総理が申し上げました通りの画定が、両国の相違ない意見でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それでは、今後アメリカからどのような申し入れがあっても、今回行なわれました統一解釈は絶対に変えないという自信はありますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今申し上げた通りでありますから、変わることはないと存じております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 総理大臣はどうです。閣内の一致した見解として、今後この極東の範囲については、米国側でも絶対にこれは同意するという自信がございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 先刻来、外務大臣が御答弁申し上げている通り、この問題について日米間の意見の相違はございません。その統一見解を将来変える意思も持っておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 けさ参議院の本会議の答弁で、岸総理は、アメリカとの間に合意はできていないということを答弁されている。今聞きますと、外務大臣は合意かできたと言っている。あなたはできないと言っている。どっちがほんとうです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私はきょう参議院のなににおきまして、特にこの問題について、私がアメリカにおいて話をしたとか、そういう事実はないということを申し上げました。また意見が両方の間において食い違いはない、相違はないということも明瞭に申し上げております。その通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうも私は、総理の答弁というものは、言葉の上のごまかしが多いと思う。合意はないが、意思の相違はない。意思の相違がなかったら合意ができるはずです。意思の相違がないのに、合意がないというのは、どういうわけですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私はあるいは記憶が間違っておるか知りませんが、参議院において、合意はないが、意思の相違がないというようなことを申した記憶はございませんで、私は問題は、意見のこの点について食い違いや相違はないということを明瞭に申し上げたわけであります。(発言する者あり)私の記憶では、私はこの問題についてアメリカと特に協議したことはない、しかし意見は、食い違いはございません、相違はありませんということを申し上げたのが、私の真意でございますから……。     〔発言する者多し〕

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 岸総理はこう言っております。「この間におきましては、日米の間に特に合意をしたということはございませんが、条約の交渉の過程において、日米の間に意見の相違はないと私は承知しております。」、合意したことはないと言っている。どっちがほんとですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私の答弁は、先ほど来の答弁がちょっと不明瞭でございましたから、明瞭に申し上げます。速記のなにには、合意という言葉は確かにあります。私はその記憶がなかったのでありますけれども、それは、頭で考えますと、私の考えでは、要するに、合意した文書か何かの問題があるかという問題は、それはありません。しかしそのなには、交渉の経過において両方の間に意見の相違はありません。これは事実でございます。そういう意味であったのでありまして、私の記憶が不明瞭であったことをおわび申し上げます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 これは言葉の上のごまかしだけじゃおさまりがつかぬ問題です。一体意見の相違がないものをなぜ合意しないのです。意見の相違がなかったら、合意したらいいじゃないですか。あなた個人に考えた場合ですよ。これは一体どうです、協議をしていないというのは。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 外交交渉のこの結果におきましては、それをあるいは文書にする場合もありますし、そうでない場合もありますし、いろいろな場合がございますることは、御承知の通りであります。特にこの問題について合意した文書を作る必要はない。現行法にもあることでありますから、両方の見解が非常に食い違っておるならば、それを将来のため、明瞭にするために何らかの方法をとることも必要であろうと思いますが、幸いにこの点については、両国の見解を異にしておらないということが、交渉の過程において明らかになっておりますので、文書等でこれを合意書を作る必要はないと思ったわけであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 さらに、けさの参議院の答弁の中に、「わが国の自主的な解釈をとる。」と言っている。条約に自主的な解釈というのはないんじゃないですかね。やはり双務的な条約です。この解釈については、わが国の自主的な解釈というのはどういう意味ですか。外務大臣、どうですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 総理が協議したことはないというのは、おそらくワシントンであるいはその他で、総理自身か協議をされたことはないということでありましょう。むろん、この交渉の過程におきまして、こういう問題については話し合いをいたしたのでありますから、協議は済んでいることはあたりまえでございます。しかしわれわれとして、むろん、日本の主張すべき、自主的な立場において、極東の範囲というものはこの条約においてこうあるべきだという主張もいたしたのでありまして、従って、その最後において、お互いに意見が違わなかった、相違しなかったということで、一致したわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、自主的な態度をもって協議したと言ってないのです。自主的な解釈ですよ。自主的な解釈になってくれば——アメリカはどうあろうが、こっちの解釈に従ったのだ、こう言っておりますが、それであなたはちゃんとアメリカの承認を得たと言うから、自主的な解釈はどうなんです。そうなれば相互の解釈がこう一致したと言っていいわけです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 総理が答弁された通りの解釈でありまして、それが意見の相違がないことになったわけでありますから、それで結論がついておるわけであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 総理と外務大臣との間にすでに解釈の相違が起こり、総理自身の間でもしばしばこれを訂正し、けさの言葉と今の言葉と思い違いがあったというほど当てにならないのが人間の記憶なんです。もしもこの問題についてアメリカと解釈の一致を見たならば、これを明文化して、いつでも立証ができるような準備はございますか。条約の上に表わす、あるいは交換公文を取り交わすとか、そんな手はずはととのっておりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今回の条約は、両国が信頼の上に立って仕事をしておるのでありまして、今申し上げたような意見の一致を見ておりまするから、特に必ずしも議事録その他に書く必要はないと現在私は思っております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 よその国の条約にはその点が明記されているんです。どうしてこの新安保条約だけは、そういう点を明記する必要はないのですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 条約地域につきましては明記されております。他の条約においても条約地域については明記されておることむろんでございます。私どもは、こういうような極東の平和と安全というような解釈につきましては、必ずしも議事録その他に明記する必要はないと思っております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 よその国は明記してあるのに、今度の新安保条約にだけは明記する必要はない。きょうの質疑応答の間にも現われました傾向は、非常にばく然とした表現をもって、一つ一つの問題を指摘いたしますと、ろくな答弁が一つもできやしない。要するに、この条約は国民をごまかしておいて、あとは事実を積み上げて、その場限り、臨機応変に何でもやるという条約のようにとれますが、その点に対するあなたの見解をはっきりお聞きしたい。外務大臣にも、総理大臣にもお聞きしたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 しばしば申し上げておりますように、この条約のいわゆる条約地域というものは、日本の施政下にある領土としてきわめて明瞭に規定されております。何らの疑いございません。極東の文字は、極東ということが単独に使われているわけではございませんで、先ほど来申し上げているように、極東における国際的平和と安全が脅威を受けるとか、あるいはそれに寄与するためというふうな用語を用いてありまして、これはいわゆる条約地域とは違うのであります。しかしてこの日本の安全及び平和というものに密接な関係のある極東の平和と安全、国際的平和と安全に云々という表現がしてあり、これは日米がともに関心を持つ問題であるから、そういう条約上に盛られているわけであります。本来この極東という地域のこの名称としましては、御承知のように従来地域的観念としていろいろに用いられていることもあるのでありますが、これに対して私は明確にフィリピン以北、日本の周辺、こう規定しておりまして、具体的に疑問になるような点に関しましては、先般来具体的に明瞭にならしめておる範囲であり、しかもそれは日米両国の間に意見の相違がない地域でございますから、さよう御了承願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今、総理が答弁されたことで尽きておりますが、われわれ条約の運営にあたりまして、むろん両国の友好親善関係の上に立って緊密に連絡をして参るわけでありますから、そういう立場からいいましても、今、総理の言われた通りでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 今の御答弁を聞きましても、やはり日本の周辺ということは入っている。そうしますと、この日本周辺について具体的な取りきめをします場合に、統一した解釈に基づいて中国、沿海州は含まない、あるいは北千島は含まない、こういう点を明らかにする御意思はございますか。あるいは金門、馬祖を含む、こういう点なども明記する御意思はございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私は、明記するという必要はないと思います。今問題になりました地域について、こうした責任のある場所においてわれわれが明確に申し上げておることで十分である、かように思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 北千島はアメリカの了解を得ておりますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 しばしば申し上げております通り、私が申しておることはアメリカとの間に意見の相違はございません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 具体的に持ち出して了解を得たことはございますか。それともあなたはただ相違はないだろうと思うくらいですか。その点を一つ明瞭にしていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 意見の相違がないということを私は繰り返して申し上げておきます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 官房長官、まだ御答弁を得ていない。     〔「時間々々」と呼ぶ者あり〕

小川半次自由民主党

○小川委員長 淡谷君、あなたの持ち時間が過ぎておりまするから、簡潔にお願いします。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 官房長官にお尋ねしますが、さっきの私の質問に対してあなたのまだ御答弁を得ておりません。新聞記事は新聞記事として、なぜ再検討をしなければならぬのか、この真相はどうです。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長官

○椎名政府委員 私は、再検討という言葉も使った覚えはない。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 何という言葉を使ったんですか。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長官

○椎名政府委員 多少記憶がぼやけておりますが……(「九日ですよ。そのあと飲んだわけでもないでしょう」と呼び、その他発言する者多し)非常に大事な問題で、たしかそれは、どういう方面からつつかれても、絶対にくずれないような研究をしているはずだというようなことを話した覚えはあります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 記憶がはっきりしていないというのですが、どういう方からつつかれてもくずれないとは、何が一体くずれないのです。もっと具体的な御答弁を願います。

椎名悦三郎自由民主党内閣官房長官

○椎名政府委員 今申し上げた以上のことは私は申さなかったと記憶しております。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 新聞を信用しない岸総理にはこれは仕方がないかもしれませんけれども、すでにもう外国新聞などにも、アメリカの官側の見解は、アメリカが考えておったよりも極東の範囲については岸首相の考え方はきびし過ぎるという意見発表がある。インド・パキスタンを除いて全領域を含むといったような見解もあるということが、これは新聞に載っております。これは信用するしないは別です。また日本の新聞なども、私たち信用いたしますが、官房長官が、この政府の統一見解を再検討する必要があるというので、いろいろ外務当局も検討中だと言っておる。一方あなたは六日の答弁がまたきょう変わり、午前の答弁がまた今変わるというように、しょっちゅう変わる人です。アメリカとの間に合意があったという、合意がないけれども意見の一致があったと申しまするけれども、何らその証拠も見ない、明文化もされないで、このままでアメリカとの間の意見の一致を信じろ、これはこのままで新条約の締結ができるのだと言われましても、国民は納得できるはずはない。同時にまた、事前協議と申しましても、この事前協議においてノーと言い得るのだとあなたが何べん繰り返しましても、明文化されない限りはこれはやはり信用はできない。もっと率直に、もっと謙虚に、この国会における討議の実態をお考えになりまして、アメリカともう一ぺん協議をして、具体的に一致点を公表する必要があると私は思いますが、総理は一体どう考えますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 極東の範囲につきましては、私がこの席から統一見解として申し述べたことは、アメリカとの間の意見の相違がないのでありますから、さらにあらためて協議する必要はないと存じます。事前協議の問題につきまして私が申し上げていることは、事前協議という意義の解釈として日米間において合致しておる意見は、日本が拒否できる、拒否した場合においては、アメリカはその拒否に反した行動はとらないということが、この条約及び交換公文の解釈上意見の一致しておるところでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 あなたの御答弁をいろいろ聞いていましたが、私どもはとうていこの御答弁では満足するわけには参りません。これは、やはりあなたはこの際にもっと冷静に、一つ新条約というもののよって来たる結果をお考えになる必要があると思う。兵は国の大事です。これは死生の地です。その大事な軍事協定の意味を持ったものを、今国民の疑惑のままでこれを結んだところで、よって来たる結果の責任は、やはりあなただけでなくて国民全体の肩にかかってくる。私ごく最近手に入れた新聞がある。これは皮肉の意味ではありませんが、あなたが古びたパナマ帽をかぶって、ふろしき包みを持って巣鴨に行かれる写真が載っておる。これは決して私は皮肉の意味ではありません。国民の中には、この道を行ったならば、おそらくもう一ぺんこういう事態になるのではないかという真剣な心配があります。あなたがいかにごまかそうと思いましても、われわれはごまかされません。この際疑点をはっきりしまして、あなたに、あなたの閣僚にも、国の大事を背負った気持で、この新安保条約に対してはもう一ぺん考え直すことを私痛切に要求いたしまして、質問を終わります。(拍手)

小川半次自由民主党

○小川委員長 次会は明十一日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十三分散会

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