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34回国会衆議院1960/02/09

予算委員会 第5号

発言数
70
登壇者
9
会派数
2
開催日
1960/02/09

会議録

小川半次自由民主党

○小川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  質疑を続行いたします。永井勝次郎君。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私は主として貿易及び為替の自由化に伴う諸問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、それに先だちまして、前日来の新安保条約に対する質疑応答の中から、一応これだけは聞いておきたいと思う二、三の点についてますお尋ねをいたしたいと思うのであります。  赤城長官にお尋ねをいたしますが、三十五年四半期から北海道の真駒内第七混成団を対原子兵器部隊としてペントミック編成に改編し、この予算、百五十億ほどかかるわけでありましょうが、そのうち本年度予算には十五億内外を計上して、北辺重視のかまえを強めて参っておるように思うのでありますが、この点はいかがでありますか伺います。

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○赤城国務大臣 今お話になりましたが、ペントミック隊というのは、御承知のように核に対するアメリカで編成した部隊であります。日本でこのようなことは全然考えておりません。第七混成団につきましては、装備の近代化、効率化をはかる、こういう意図を持ちまして、その方向を進めておるわけであります。でありますので、三十五年度に考えておりますことは、自動無反動砲とか、装甲車とか、自動迫撃砲、こういうものを装備しまして近代化をはかる、こういうことでありまして、核に対する防衛、こういうようなことは全然考えておりません。新聞等にちょっとペントミック隊に似たようなものだ、こういうようなことが出ていましたが、そういうものではございません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 やらない、やらないと言っている間に、実は新聞にその露頭が現われたり、うわさに出たり、それが何年かたつと現実化してくる。こういうようなことで政府の答弁しておることは当てにならないと思うのでありますが、一応そのことはその通り御答弁があったということで承っておきます。  その次は海上部隊に関する関係でありますが、自衛隊は、伝統の太平洋重点主義から北辺重点の対潜水艦作戦に切りかえて、海空一体の共同作戦を強化することになったのではないか。それでヘリコプター搭載の空母や、二千トンクラスの警備艦等を整備して、現在大湊にある海上部隊の地方総監部をやがては小樽に前進させる、そうして千島、宗谷、津軽海峡等の備えを固める。こういうような北進政策を考えておるのではないか、こういう計画があるのではないかと思うのでありますが、この点はいかがでありますか。

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○赤城国務大臣 今お述べになりました北辺に海上自衛隊を集中して北辺警備に当たる、こういう方向で小樽港にやがて進駐していくのではないか、こういうことでありますが、今別にそういうことは考えておりません。ただ海上自衛隊といたしまして考えておりますことは、潜水艦に対する哨戒、それから護衛、それから内海の護衛、こういう点であります。もちろん御指摘の中の海峡、港湾の防備ということも一つの重大な問題でありますので、現在海峡、港湾防備の艦艇として約一万三千トンの船を持っております。それから潜水艦に対しましては護衛のために潜水艦を哨戒する、こういう必要がありますので、P2V大型対潜哨戒機その他所要の航空機をもって周辺海域における警備に当たっておる、こういうことであります。でありますので、この点もお述べになったようなことでなく、全般的に海峡の警戒等に当たる一環としてそういう装備をし哨戒等をしておる、こういうことであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 昨日の横路委員との質疑応答の中にもありましたように、極東の地域という単なる抽象的なときには、これははっきりこれこれと言って、具体的にここはどうだというと、この点はぼやかすというように、一般的な問題として、陸上たとえば真駒内の機械化部隊を強化する、あるいは対潜水艦の対策の施設を強化する、こういうことには一般論としてそれはやっておる、しかし小樽に前進基地を作るのじゃないか、あるいは真駒内をこうするのじゃないかということになると、そうではなくて一般的な一つの態勢だ、こういうように逃げておりますことは、やがてそういう一つの一般的なものの地盤の中で部分的にしぼり出してくる。何といいましても、北の備えを相当強化する姿勢をとっておるということは大体うなずけるところでありまして、こういうような一つの情勢の中で、新安保条約が極東の安全を保持するものなんだ、あるいはソ連、中共等を刺激する何らの対策は持ってないのだというようなことで、ソ連に対しては高い姿勢の中で覚書を出したり、あるいは国内には、新安保条約に反対する者はアカであるというような、こういうばかげたような断定を下したり、こういうようなことをやっておることは、外国のいろいろな新聞、雑誌の評論においても、今度のこの条約は正しい意味における軍事同盟なんだ、そうしてソ連、中共に対するところの備えなんだ、こういうことをみんな外国の新聞は——全部ではありませんが、多くの新聞も論評しておる。こういうような一つの環境の中で、国内においてはこういう一つの具体的な動きがある。これは外国を刺激することは当然だと思うのでありますが、この点について総理の御意見を伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 安保条約の改定の問題につきましては、しばしば国会において私はその本旨を述べておるのでありまして、今日の国際情勢の現実に即して日本の安全と繁栄をはかるために安保体制というものは必要であります。これを合理的に改正するということは国民の多年の念願でありますから、それに基づいてわれわれは改正しようとしておるものでありまして、決してある特定の国を敵視するものではないことは言うを待たないのであります。また、先ほど来の御質問でいろいろと防衛庁長官からもお答え申し上げましたように、わが国は従来国力と国情に応じて自衛力を強化していくという方針を貫いてきております。本年度の予算におきましても、われわれはこれが民生に圧迫を加えないような点に十分考慮を用いて今日まできておるわけであります。将来もそういくつもりであります。しこうしてその防衛の自衛力をどういうふうに配置し、どういうふうに訓練し、どういうふうに装備していくかということは、やはり国際的な情勢を見ながら日本の安全をはかっていくというために最も効率的なやり方をやっていく、こういうことでございまして、決して一部に考えられておるような、これによってソ連や中共を刺激するとか、また実際日本が持っておりまする自衛力の内容から申し上げましても、これらの国々の持っておる防衛力等と比較してみますると、決してこれを刺激するような性格のものではないし、われわれはかつてこれらの国々が防衛力を増加するとか、その配備をどうしたということでもってわれわれを刺激するというような言葉を用いたこともございません。従って、われわれ自身は決して今一部の方面から言われておるように、これらの国々を刺激するものではなくて、われわれ自身があくまでも他から侵略を受けない、そしてまたその力をできるだけ自分の力でやっていく。しかしながら、それが一般の民生に影響を及ぼさないような程度でやっていく以上は、日本一国だけで日本の安全が守れないという点から、安保体制が設けられておるのでありまして、私どもは、そういう信念に基づいてこの合理的改正はあくまでもこれを実現したい、かように考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 岸総理の考えは、自分の考えだけが正しくて、相手がいろいろすることは誤解に基づくものだ、新聞記者が悪い、全学連が悪い、片っ端から反対する者は悪い悪いで、自分だけは正しいというようなファッショ的なものの考え方に立っていろいろ処理されているということは、もう少し謙虚な気持でそれらの批判というものに耳を傾ける態度がなければならないと思うのでありますが、それはそれといたしまして、次に赤城長官にお尋ねをいたします。  先般のこの委員会における質疑を通しまして、日米防衛専門委員会の設置が考えられておるようでありますが、その内容等について承りたいと思うのであります。これはおそらく軍事専門委員会の下部機構となるのではないか、日米防衛専門委員会ということになるのではないか。メンバーは、日本側は統幕議長、陸海空の三幕僚長、アメリカ側はフェルト太平洋方面司令官、バーンズ在日米軍司令官、ロジャース在日米軍顧問団長等がそれらのメンバーになるのではないか、これらの内容について承りたいと思います。

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○赤城国務大臣 今度の安保条約におきまして安全保障協議委員会、こういう委員会が日米間にできるわけでありますが、その下部機構といいますか、その機構の下へ防衛委員会とか、あるいは軍事専門委員会を置くかどうかということは、こういうことは今のところ何ら決定しておりません。後日そういう必要があるかどうかということを協議することになっておりまして、今のところ、お述べになったようなことは全然決定もしていませんし、また議題にもなっておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 赤城防衛庁長官は、先般の今澄君の質問に対して、日米防衛専門委員会というようなものの設置が必要になろうということを言っていたのでありますが、(「外務大臣だよ」と呼ぶ者あり)それでは外務大臣からその実情を承りたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御答弁申し上げます。今度の日米安全保障協議委員会というものは、条約関係の全般の運営に対して協議をして参りますためにできますことは申し上げた通りでございます。その案も出してございます。将来、軍事関係のいろいろな情報の交換その他が必要な場合もありましょうから、そういうものができるかもしれないということは私は申し上げましたけれども、今まだ、できるということを申し上げたわけではないのでありまして、そういうようなことが必要であろうかということを申しただけであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 やはり、これはまだ議題に載っておらないでも、当然そういう行きがかりになってくるだろうと思うのであります。その場合における情報収集であるとか、あるいは極東の軍事情勢であるとか、共産圏諸国の軍事情勢など、こういうものに対する情報機関がわが国に備わっておるのでありますか。そういう情報収集の一つの網というものがあるのでありますか。あるいはないとするならば、この会議は全くアメリカの一方的な情報に基づく、その情報の提供を拝聴するというだけの会議になるのでありますか。その辺を一つ。あるとするならば、そういうことが予定されるならば、その基礎になる情報収集の実情について外務大臣から承りたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 防衛庁方面で情報をどういうふうに収集しておるかということは、私は存じておりません。ただ、今申し上げましたのは、こういう運営をしていく場合にいろいろそういうような意見の交換が行なわれることになるだろうということを申し上げたのでありまして、それが日米安全保障協議委員会の席上で行なわれますか、あるいは専門的な問題は、そういうものができるかできないかということは今後の問題だろう、これは防衛庁の御判断に待つところでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 外務大臣は、とにかくそういうような委員会が必要になるだろう、設けられることになるだろうというのでありますが、その場合私は問題にするのは、わが方に情報収集の機構がなくて、そうしてアメリカの一方的な情報のもとにこういう委員会が設けられて、情勢はこうなっているんだ、まあこの機会に日本を基地にして直ちに飛び出さなければ極東の安全は保持できないのだぞと、こういうような一つの情報に基づくいろいろなものが議題になりましても、これに対してノーと言える基礎がないじゃありませんか。たとえば総理大臣は先般ノーと言えるんだ、常識的なノーということがあるんだと言いましても、具体的にノーと言える条件がないということになりますと、これは大へんなことだと思うのでありますが、この点について総理の御意見を承りたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 もちろん、一国が他から侵略をされず平和な生活が送れるという意味におきまして、われわれは自衛隊の組織を持っております。いろいろな点から国際の情勢を判断するに必要な資料は、もちろんとっていかなければならぬことは言うを待たないのでありまして、われわれがさらに政治をしていく上におきましても、外交をしていく上におきましても、やはり国際の情勢を分析し判断するに必要な情報というものはとっておりまして、それによって日本の独自な立場からいろいろな判断をしていくわけでございます。私は、特に永井委員の御指摘のあるような、どういう組織を持っておるか、どういう機構でとっておるかということは申し上げませんけれども、われわれが大事な防衛、日本が他から侵略をされない、安全を保っていくためにおきましては、それに必要な国際情勢の判断をする基礎になるような情報はもちろんわれわれとして持っており、また独自の判断をしていくことは当然でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 どういうふうな情報収集の機構を持っておられるのか、あるいはどういう一つのシステムでこれをやっているから、アメリカの情報に対抗できるような、それと匹敵できるような情報をわが方で持っておるのであるから、事前協議の場合でも、かれこれ比較をして、これはノーである、これはイエスである。こういうような判断の資料を確実に握ることができるのだという、この確信がわれわれに与えられなければ、アメリカの一方的情報のもとに押しつけられてしまう危険が非常にあるわけでありまして、事前協議でノーと言う一つの条件があるにいたしましても、その判断資料がなければ、私は、わが方にはそういうことはできないと思うのであります。それならばお伺いしますが、たとえば在外公館にあります、大きなところに出ておる防衛官のようなものは、あれは情報収集の触手として海外に出ておるのかどうか、これを承ります。また海外においてわれわれが承ってきたところによれば、現在各公館におけるいろいろな活動というものは、労働省からも、警察からも、あるいは防衛庁からも、いろんな専門外からたくさんの人が来ていて、顔ぶれはそろっていても、専門の外交官というものはあまりいないのだ。予算も非常に低くて、アメリカあたりでは貧民窟の隣のアパートに住まなければならないというようなみじめな状態で、対外的な交際も何もできやしない、日本から来るお客さんのサービスに終始しているのだ。そうして情報というのは、新聞なんかを見たり、あるいはアメリカ、イギリスへ情報を聞きに行ったり、そういうことの取りまとめ以外に自主的に活動できる条件というものは今日はないのだ、こういうふうにそういう活動が非常に狭められておるんだ、こういうふうにわれわれは聞いてきておるのであります。外務大臣から伺いたいのでありますが、防衛官が出たり警察官が出ておるのは、これは情報をとるために出ておるのかどうか、そういう機構があるのかどうか、私は承りたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 在外公館には各省からそれぞれ人が出ておられまして、たとえば通産省は三十三人出ておる。今のように警察関係から四人、防衛庁方面から八人というふうに各館に出ておられます。これらの者の活動につきましては、むろん外交活動一般の補助的な仕事もしていただいておりますけれども、それぞれ出ておられます目的によって、それぞれの省の活動に便益なような仕事をしておられると思います。予算の点につきましては、むろん多きを望むこと当然でございまして、これらの在外公館が十分な活動をして参らなければならぬのでありますから、その予算というものは多ければ多いほどいいというふうにも考えられます。しかし、他の財政一般の事情等から見まして、逐次増額をしていただいて、充実をして、その活動の万全を期するようにして参りたいと、こう思っております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 この問題はまだ現実の日程に上っていないわけで、非常に危険な要因を含んでおるということで、われわれは注意をしておくことにとどめまして、次に伺いたいことは防衛費の関係でありますが、赤城長官に伺います。ロッキードを装備いたしました場合、ロッキードだけが空を走り回っていたのでは、これは意味がないのでありまして、やはり地上における指揮装置が必要であろうと思う。このBADGEの装備に対して三百億以上の予算がかかるのではないかと思うのでありますが、これはどうでありますか。

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○赤城国務大臣 地上の組織として、今お話しのようにBADGE等によって航空機の指揮をしていく、これは非常に望ましいことであります。しかし、今お話しのような費用の点、あるいはまたこれを日本に導入するについてのいろいろの話し合い、交渉等もあります。でありますので、今直ちにBADGE組織を持ち込むということには相なっておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 アメリカで装備しておりますSAGE等にしますと、これは大へんなものでありますが、小型のBADGEでも三百億以上は予算がかかるということで、これはいずれは整備しなければならないものでありましょうし、源田さんなんかは、ロッキードだけが飛んでいることは、ちょうどふんどしかつぎが横綱を締めたようなもので、やはり地上装備施設をしなければほんとうの機能は発揮できないのだ、こう言っておるのでありますから、これはやがて露頭から頭を出してくる予算だ、こう思うのであります。  それからロッキード一機を操縦しておりますために、一年に一機についてどのくらいの予算がかかるか、大よそのところを承りたい。

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○赤城国務大臣 数字の問題でありますので、事務当局に答えさせます。(「だめだ、だめだ」と呼び、その他発言する者あり)これは燃料費とか訓練費とかすべてを含めまして、一機当たり約四千万でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 まあ見せもののように格納庫の中にしまっておいて、燃料費を節約すればそれで済むかもしれませんが、これはほんとうに軍事的な分野で相当やるとするならば、少なくも専門家の間では一年に一億はかかるだろう、こう言われておるのであります。四千万というのはささやかな予算の数字だと思う。そうしますと、ロッキードを設備するには、長官の言うように考えましても、一機四千万なり五千万の維持費はかかる。さらにBADGEを整備いたしますと、この維持費から運営費が相当額かかります。アメリカのSAGEなどは電力料金だけでも一時間に何万ドルかかる。でありますから、ロッキード一つ整備するということは、それに付随して一切のものが近代化していかなければならぬ。それに合わせたいろいろな整備をしていかなければならない。これは非常に膨大な予算がかかると思うのであります。赤城長官は、防衛関係の予算は一番最低だ、そうして諸外国に比べたならば日本のなには総所得に対してこうだというような数字をあげておるのでありますが、長官は、第二次計画を推進するにあたりましても、日本の防衛費が世界で最低である、現在よりもふえないのであると、こういうようにほんとうにお考えになって言っておるのかどうか、承りたい。

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○赤城国務大臣 防衛費につきましては、かねがね総理からも御答弁申し上げておりますように、第一次防衛計画等におきまして基本方針をきめております。その基本方針は、御承知のように国力、国情に即応して漸増する、こういう方針できまっておるわけであります。でありますので、財政的な勘案あるいはまた民生安定の費用との関係、そういうものを勘案いたしまして、今の方針に従ってきめていく、こういうことであります。でありますので、その率がどれくらいが適当だかということはなかなか判定しがたいのでありますけれども、財政状況、経済状況等と見合いの上において国力、国情に応じてということで進んでいきたい、こう考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 しろうと計算でいたしましても、ロッキードで六百九十億、BADGEで、設備費だけで三百億、ペントミック編成に機械化、こういう関係だけでも百五十億、特車も、これはどうしても国産にしていかなければならぬ。現在供与された武器というのはほとんど部品がなくて、アメリカでもこれは新造しておらないので、三菱の新中特車を、これは三百数十両建設計画を立てておられる。空母や警備艦や潜水艦やあるいはヘリコプターや、こういう関係も進めておられる。弾薬など、現在までは供与物資でまかなっていったのでありましょうが、これらの弾薬は現在まっすぐにたまが飛ばないような状態で、これはどうしても国産に向けていかなければならぬ。そういたしますと、この関係だけでも、少なくも訓練用の弾薬だけでも七千数百トンは国産をしなければいけない。一トン百万円にいたしましても、これだけでも七十五億は必要だ、膨大な支出をこれからしなければならない、あるいはまかなっていかなければならない。防衛関係の予算というものは非常に大きな数字で潜在しておるわけです。防衛長官はこれに対してどういうふうにお考えでありますか、承りたい。     〔委員長退席、西村(直)委員長代   理着席〕

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○赤城国務大臣 防衛関係につきましては、かねがね申し上げておりますように、装備の近代化及び装備に対しまして、効率化をはかっていきたい、こう考えております。今お話のように私どもとしても、その線に沿うてやるべきものが相当あります。ありますけれども、すでにできておるものもあります。でありますから漸進的に、先ほどから申し上げましたように、費用といたしましては、国力、国情に応じた適当な財政的な裏づけをもって進めていく、無理なことはしたくない、こう考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私は自由化の方の問題に触れていかなければなりませんから、この問題はあまり多く時間をとることはできないのであります。ただ総理及び佐藤大蔵大臣に所見を伺いたいと思いますことは、西独では今日外貨五十五億ドル以上を手持ちいたしております。また非常に困難な——困難というよりは、豊かな財政の中からではありますが、財政の余裕金として十億ドルというものを軍事費の中から削り出しておるのであります。どういうふうにして削り出したかといえば、NATO関係の軍事費として軍事費予算を計上いたします。減税には向けません。これを国民からしぼり上げて、NATOの軍事費として計上します。計上しておいて、これを使わないのです。使わないで、国民には、軍事費はこんなに重い国民の負担であるぞということを、現実の上で教育します。そうして現実にはこの予算を使わないで残して、ここで十億ドル以上の余裕金を作った。これがアデナウァー、エアハルトの手腕です。岸、佐藤両兄弟は、予算がかからない、かからないと言いながら、逆にこれはどんどん大きな予算の支出をわれわれに押しつけておる。かからないんだ、かからないんだとうそを言いながら、ごまかしながらやっておる。アデナウアー、エアハルトは、現実に予算を計上して、軍事費というのはこんなに重いんだぞということを、実際の上で国民にこれを負担をさせながら、その金は使わないで余裕金としておる、これだけの違いが、やはり政治的な見識の差で出てくるのであります。これに対して、総理の所見を伺いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 私どもは、予算を編成するにあたりましては、言うまでもなく、一方において健全財政を堅持して、日本の経済発展に資するという考えで作っております。日本の財政法その他の規定もございまして、よそのやり方と違っておる。よその通りのやり方のやれないことはたくさんあると思います。私どもは、やはり、今申しました健全財政の基礎に、日本の経済の発展と国民生活の向上を考えていく、それにふさわしい予算を年々作っていく、これが私どもの信条でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 次に法務大臣にお伺いいたしますが、いろいろな武器の国産がレールに上って参りました。またロッキードが新三菱、川崎重工で着工することになりました。この関係において、新三菱及び川崎重工では、職員、工員の服務規律が相当きびしくなったということであります。これは軍機保護の立場でそういう服務規律になったのだと思うのでありますが、この点については労働大臣から伺いたいと思います。  法務大臣はこういった一つの背景の中で、陸上自衛隊では本年の二月一日から立ち入り禁止をやりまして、現地の新聞記者諸君と衝突して、新聞記者諸君から強い抗議の申し入れがあったということでありますが、もうそういうふうに動いて参ります。いろいろな武器を向こうから持ち込んで生産するにあたりましては、当然日本に対して機密保護を要求してくるのではないかと思います。こういうような大勢の中で、当然われわれが予告しておりました通り、秘密保護法が日程に上ってくるのではないかと思うのでありますが、この点についてはいかがでありますか。

井野碩哉自由民主党法務大臣

○井野国務大臣 防衛秘密保護の関係につきましては、現在MSA協定によりまして、アメリカから供与されました装備品についてはございますが、それ以外についての軍事機密保護はないわけであります。また今これを改正する必要もないと考えております。一般的に広くそういうものを広める意思も、現在では持っておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 重ねてお伺いしますが、そうすると、秘密保護法は作る考えはない、こういうふうに御答弁があったと理解してよろしいのでありますか。  それからもう一つ、現在あるMSAの関係のものを拡大解釈して、国産の武器の関係にもこれを適用するというような、そういうねらいはないのかどうか、もしそういうような拡大解釈をするとするならば、これは非常な誤りであると思うが、この二つの点について重ねてお伺いいたします。

井野碩哉自由民主党法務大臣

○井野国務大臣 刑事法規の解釈につきましては、拡張解釈はいたさない方針であります。従って、国産品についてのそういう秘密保護法の拡張解釈はいたしません。また一般的な秘密保護法を制定する考えは、今のところでは持っておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それでは貿易、為替の自由化の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、総理は、自由化は世界の大勢である、こう言われております。具体的にどのような諸要因をさしておられるのか、これを承りたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 世界経済の発展を考える意味におきまして、お互いの経済交流をより自由にし、経済交流についてのいろいろな制約をできるだけ少なくしていこうということは非常に望ましいことであり、すでにガットの会議におきましても、関税障壁について、そういう趣旨において各国が協力をしており、また最近御承知のヨーロッパ共同体ができまして、その間における関税障壁をなくしていくとか、あるいはそれに先だって通貨の交換性を回復するとかいうふうな、現実に現われておることも、要するに、今申しましたように、各国の間における経済交流を盛んにすることが全体の経済の繁栄であり、またそれがお互いの生活を向上せしめるゆえんである、こういう考えから出ておる。特に貿易に依存する度の多い日本としては、そういう情勢につきましては、従来からも非常な関心を持っておったわけでありますが、最近のそういう国際的の情勢はわれわれの希望と一致するわけでありますから、そういう方向に向かって努力するというのが私の考え方であります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 時間があまりありませんので、なるべく簡潔な御答弁をわずらわしたいと思うのでありますが、自由化は、アメリカなりヨーロッパなり、それぞれ自国に有利であると判断される主体的な条件があって、自由化が推進されておるのであるとわれわれは理解するのであります。わが国にはどのような利益があるのか、またそれがどのような主体的条件が成熟しておるのか、この点についてお伺いします。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 今お答えを申し上げましたように、日本としては、貿易に日本の経済の依存しておる度が非常に多いのでありまして、すなわち、一方からは原料をできるだけ自由に輸入する、そうしてわれわれの製品をできるだけ広く世界のマーケットに売っていく、こういう考えから見ますと、自由化の方向ということは望ましいと思います。ただ従来問題になりますのは、日本の産業が自由化する前の状況は、一つの保護が加えられておるわけでありますから、その自由化の波にたえ得るだけの日本の経済の基盤ができておるかどうかということが一つの問題になると思います。私は最近の日本の経済の発展にかんがみまして、その基盤も基礎的なものはできておる、しかし個々の産業に及ぼすいろいろな影響というものをしさいに考えていくことは当然でありますし、またそれが悪い影響を及ぼさないように考慮するということも当然でございます。しかし根本は、貿易で立っておる国が自由化の方向に向かって、また経済の基盤ができておる日本の状態からいけば、進んでいくことは日本のためである、かように思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 最初自由化については、通産省あたりは四年半くらいの予定期間の間にこれを順次まとめていくような、相当スロー・ダウンした考えがあったように思われるのでありますが、これが急に三年間、しかも総理が渡米に先だちまして、一月十二日、足元に火がついたような騒ぎの中で、大豆以下いろいろな品目を持って出かけることになったわけであります。これを世間ではアメリカに対する岸首相の、手みやげだ、アメリカに対するへつらいだ、こういうふうに見ておる者があるのでありまして、ここには主体的な一つの条件というようなものよりは、外からの一つの圧力というか、そういう力にへつらうような形でそういうことが促進されたのではないか、こういうふうにいわれておるのでありますが、この点についてはいかがでありますか、真相を承りたいのと、それからあちらに参りまして、いろいろ大豆以下の手みやげを持っていったのでありますから、わが国の対米輸出におけるいろいろな制限、いろいろな今の制約、そういうものに対して具体的にどのような交渉をされてこられたか、それらの点について承りたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 自由化の問題は決して昨年暮れに唐突に起こった問題ではございませんで、すでに一年余にわたってその方向でいろいろな研究が進められており、また大豆の問題につきましても、御承知のようにすでに対ドル地域以外の関係におきましてはこれが自由化されておって、対ドル地域に対しての問題がいろいろと従来から考究されてきておったわけであります。私が参る際にアメリカに手みやげに云々というようなお話がございましたが、そういうような意味でこれを取り扱っておるのでは全然ないのであります。また今回私がアメリカを訪問いたしましたのは、御承知のように非常に短い期間でございまして、主として安保条約の調印と、それから大きな国際情勢の問題に関してアイゼンハワー大統領と意見を交換するというのが主たる目的でございまして、個々の問題についての交渉というようなことはいたして参っておりません。ただ今度の安保条約のうちにも日米経済協力の条項がありますし、この点については、アイゼンハワー大統領やハーター国務長官と話すときにおいて、日米の間のいろいろな、輸入等の制限であるとか、関税の引き上げであるとかいうような事柄は、両国の友好親善関係を進めていく上からいっても、また日本の経済の発展の上からいっても望ましくないから、そういうことについてはできるだけアメリカ側にも注意してもらいたいということは、私は注意を促してきましたけれども、具体的に何についてどうするというようなことは話し合いをいたしたわけではございません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 総理に伺いますが、日中、日ソの貿易を総理はどのように評価されておるのか、それからココムをどういうふうに考えておられるのか、それから各地域におけるブロック化の態勢に直面して、日本はアジアにおいて孤立しておるのでありますが、この孤立している現況に対してどのようなお考えを持っておられるのか、承りたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 対ソ、対中共の貿易の問題に関しましては、ソ連との間には御承知のように貿易協定がございますし、さらに従来ありますのを改定をいたしまして、より貿易量をふやすような計画のもとに交渉が円満に進行いたしております。日中関係は御承知のような状況でございまして、もちろん日本としては、その国の政治体制が違っておるからといって、貿易の面においてはこれで差別をする考えは毛頭ないし、また日本の経済を発展せしめる上から申しますと、そういうことを考えるべきではない。が、今日のこの戦後におきましての日本の貿易構成をごらんいただけばわかるように、日本の貿易額の非常な大きな部分は言うまでもなく対自由主義国との間の貿易でございます。そうかといって対共産圏のなにを決してわれわれは無視すべきではなし、大いにこれを増進するように今後も努めていかなければならぬと思います。いろいろな地方的なブロック化の情勢ができて、日本が孤立しておるというお話でございますが、私は必ずしもそう思っておらないのでありまして、ヨーロッパ共同体やいろいろなそうした共同体的な考え方も一方に進んでおりますが、しかし同時にそれらの国々が今日のところにおきましては域外に対して非常な強い制限をするような傾向には進んでおりません。またそれをそういうふうに進ませてはならないのでありまして、これについてはわれわれとしても日本が差別されるというような特別な制限を受けるということのないように努力を進めていっております。また日本の貿易の状況を見ましても、ことにアジア地域、東南アジア等に対する貿易も非常にふえており、経済協力も進んでいっておりますので、決して私は日本経済が孤立しておるというふうには考えておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私が総理に伺ったのは、国際経済から日本が孤立しているということを聞いたのではなくて、アジアの地域において日本が孤立している、ヨーロッパ共同市場なり、自由経済圏なり、あるいは南米におけるいろんな共同市場なり、アメリカ圏、共産圏、これらブロック化の傾向の中で、日本が非常な底の浅い経済の中でアジアで孤立しているということは、よほどこれは考えていかなければならない問題であると思うが、その孤立している現状というものをどういうふうに診断され、どういうふうに今後これを展開されようとするのか、ブロック市場というものに対して、何ら価値はないものだ、孤立して当然立ち向かえるものだ、こういうふうにお考えならばお考えであるということを承りたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 日本の貿易を進めていく、またそういうふうな地域的なブロック的傾向があるということは、それらの地域においていろいろな経済交流の支障を取り除いて、それらの地方における経済の繁栄を考えておるわけであります。それだけあるいは国際競争力もふえてくることは事実であります。従ってこれに対して日本が負けないように日本の貿易を振興していくためには、一面において、私は一番根本的なものは日本の産業の近代化であり、体質改善、産業基盤の強化であり、日本経済、日本産業そのものを強化して国際競争力にたえ得るようにすることであると思います。と同時に、これをやっていく上におきましてはどうしても日本の資源が貧弱でありますから、経済を繁栄せしめ、また産業を発達せしめるためには、われわれが必要な原材料というものを外国からできるだけ有利に輸入してくるという道を考えなければならない。幸いにわれわれが東南アジア経済の発達のために協力しているということは、これらの地域の繁栄のためにわれわれが協力することでありますが、同時に原材料を得る上においてもこれは必要なことであり、また同時に将来の市場としても、そういう経済協力というものをわれわれが進めていくことが望ましいと思います。ほかはみんなブロック化しておって、日本はアジアの一国としてアジアにおいて孤立しているじゃないかというお話しでありますが、東南アジアその他のアジア地域に対して、日本が経済協力の面において協力していく、そうして経済関係を密接にすることは、今申しましたような関係においても私は望ましい結果をもたらしていくのであって、決して孤立政策をとっているわけでもなければ、孤立していると見ることは適当でない、こういうふうに考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 岸総理は、主観的には孤立政策をとっておるのではないが、失政の結果として孤立してしまったんだというこの現実は、否定することはできないだろうと思う。この問題についてはなおあとでお尋ねいたしたいと思いますが、池田通産大臣にお尋ねいたします。  今回の自由化を通して、日本は産業の体質改善をやるんだ、こういうふうに言っておられるのであります。そういたしますと、体質改善をやるのだという治療施策が今後行なわれるとするならば、現在の日本経済に対する正確な診断というものがなければなるまいと思う。池田通産大臣が名医かやぶ医者か、一つ日本の現在の産業の診断をしていただきたい、そしてどの部分をどういうふうに改善していくのかという、一つの具体的な方向を示していただきたい、こう思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 戦後におきますわが国経済の弱点というものは、統制経済であったのでございます。私は十一年前、日本の経済を正常化するために、国内の統制経済というものを改めまして、普通の正常な経済に変えていったのであります。おかげさまで、国民の努力によりまして世界の驚異になるほどの日本は産業の復興になりました。しかし国内経済は正常化しましたが、国際経済におきましてはまだ不正常でございます。これはまだ統制でございます。従って私は、国内経済の正常化と調子を合わせて、この不自由化のいわゆる為替・貿易をできるだけ早く正常化したいということが年来の主張であったのでございます。私は前に通産大臣をいたしましたときも、その方向に向かって進みつつあったのでございまするが、成功いたしませんでした。たまたま今回なりましたので、通産大臣としてはこの為替・貿易の正常化に進んでいくということは、就任早々から言った言葉であるのでございまして、卒然として出たことではないのであります。  私は今日本の経済をずっと見ますると、以前よりよほどよくなって参りました。しかし脆弱な部面もなきにしもあらずでございます。従って私は、国際信用を高める上からいっても、またわが国の経済にそう悪影響を及ぼさないものについてまずやっていこう。そして国際経済的に見ますると、原材料の方面におきましては、御承知の対ドル差別待遇の十品目でございます。この十品目につきましては、ほかの地域は自由にいたしております。私はこれを一、二年のうちに自由化しても、対策を講ずるならば難なくいくと考えたのでございます。十品目のうちにおきましても、たとえば銅合金くずとかあるいはラワン、アバカ繊維等につきましては、これは影響は大したことはございません。石こうにつきましては、御承知の通り品質のいい石こうは、これはわが国との競争はございませんが、品質の四五%以下のものにつきましては相当の影響がございますので、石こうは自由化するというものの、国内の石こう業者四十数社の状況を見ますると、日本と競争するものにつきましてはいましばらくこの自由化を待とう。個々の産業につきましてはずっとやっておるのであります。四月から行ないまする鉄くずあるいは牛脂、ラード——ラードにつきましても粗製ラードはよろしゅうございますが、精製ラードの方につきましては、やはり関税その他の善後措置を講じてやるべきだ、こういうふうにしていっておるのでございます。また残りの牛皮あるいは銑鉄、大豆等につきましても善後措置を十分やっていって、そうして移り変わりをうまくしていこうとしておるのでございます。こうやってみますると、残る問題は一番重要な繊維関係でございます。繊維関係につきましても、各業者の意見を十分聞きまして、そうして彼らの適正な答申によりましてそれを勘案して、来年の四月から行なう。しかしこれにつきましてはいろいろ輸出入取引法あるいは繊維工業設備臨時措置法等に改正を加えまして移り変わりをうまくやっていこう、こう考えておるのでございます。従って、そういうふうなものを来年の四月を期してやるということになりますると、原材料につきましての統制は、ほかの機会に申し上げましたごとく、石炭、石油、砂糖がおもなるものになるのであります。もちろん銅くず等いろいろなものもございますが、大体におきまして相当自由化すると思います。またこの原材料以外につきましての完成品あるいは消費財等につきましても、今申し上げましたような考え方で各業種につきまして個々の対策を講じ、そうして影響の少ない見通しをつけつつ徐徐にやっていこう、こういうことでございます。これを三年間にやるとか四年間にやるという、そう区切りはつけておりません。ただ一番おしまいまでかかるのはボイラー規制法が今年の十月まででございますが、それを三年を限って延ばすということにいたしておりますから、このボイラー規制法の関係で石油の方は三十八年の十月までは行なわれることになっておる。従って石油につきましてはいろいろな複雑な外国資本の関係もございますし、これなんか相当延びるのではないかと思いますが、大勢といたしましては二、三年のうちに大体やっていけるんじゃないかと思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 従来の管理貿易、これが非常に日本の経済に災いしておることは言を待たないのであります。三十億ドルというような、一兆数千億に及ぶこの予算を官僚が行政的に支配して、そうしてこれに業界と政界が巣をくって、汚職、疑獄の巣くつのようになったのがこの為替管理であり、貿易管理の実態であったとわれわれは理解するのであります。その面から言いますならば、これを自由化しなければなりません。自由化するにいたしましてもなお為替の面では管理が残る、あるいは国内におけるいろいろな貿易の面においても数量制限がなお残る。この数量制限を、だれがどんな形で、どの立場からこれが適正と認め、この数量を決定するのか。やはりこの数量に対する選別、そういうものの制限というものが官僚の手に残るのではないか。そうして従来変則的に構成されたこの経済秩序というものを維持するために、さらに第二のあやまちを犯すようになっていくのではないか。すなわちカルテルが強化されていく。管理貿易や為替管理がとれてくれば、それにかわってカルテルを強化して、そうして上の方では強大化をはかっていく。下の方ではカルテルと系列化をはかっていく。そうして中小企業と農民と労働者の犠牲において独占資本の強化をはかっていく。こういうことが型通り進んでいくのではないかと思うのでありますが、これらの点に対し、カルテル強化のこういう傾向を通産大臣はどのようにお考えになるか、それから、なお残る一つの数量その他に対する官僚の管理というものについてどのようにお考えになるか、承りたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 為替・貿易を自由化すれば数量についての制限はございません。たとえば今お話し申し上げました原綿、原毛につきましても、自由化すれば幾らでも入ってくるわけでございます。しかる場合におきまして、原材料が幾らでも入ったときに、こちらの設備について野放しにしておきますると、非常に好況、不況が参って参りますので、先ほど申し上げましたような繊維工業設備臨時措置法をうまく運用いたしまして、好況、不況が非常にシビヤーにくることのないような善後措置を講じなければならぬと思います。また原綿、原毛、ことに原綿等につきましては、わが国の重要な輸出産業でございますので、私は輸出入取引法を改正いたしまして、輸出が公正にしかも確実にできるような措置を講じることは考えておりまするが、お話のような独占禁止法を改正いたしまして、国内の中小企業あるいは農業者全般に悪影響があり、そうして物価が非常に上がってくるとかなんとかいうふうな措置は講ずることのないようにいたしたいと思います。従って独占禁止法についての改正は今のところ考えておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 独占禁止法に手を触れないというのは、これは賢明なやり方だと思います。これはもう前国会においてあれだけの反撃を食ったし、独禁法といえばみんなが警戒するから、これに触れないのは保守党の内閣の賢明さだと思うのでありますが、独禁法に手を触れないかわりに輸出入禁止法でどういうことをやっているのです。繊維の設備制限のあの法律を改正して何をやろうとしているのですか。独禁法ではアウトサイダーまで押えることができない。やはり個々のケースの法律を作って、そこで独禁法のワクをはずして、その面で運営の面にまで手を触れて、アウトサイダーを制限する。繊維なんかは通産大臣御承知のようにひどいものです。もしこの協定に違反したならば登録制を取り消すというのです。商売を取り上げてしまうというのですよ。強い罰則を加えるというのですよ。こういう一つの法律を作ったり、輸出入取引で独禁法よりももっとひどいカルテルを強化するような、こういうやり方をして、これでいいとお考えなのですか。これは独禁法に触れないかわりに、個々のケースでこういうあくどいことをやっているのじゃありませんか。承ります。     〔西村(直)委員長代理退席、委員   長着席〕

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 繊維についてのお話でございまするが、今申し上げましたごとく原料が自由に入ってくるということになりますると、わが国重要産業であるいわゆる繊維、ことに紡績の方につきましては、紡機、織機がむちゃくちゃにふえて参ります。そうしてこれが国際的につながるものでございますから、むちゃくちゃにふえてきた場合には、永井さん御承知の通りに、また織機の整理ということを始めなければならぬ。三十四年度で終わりましたが、二十億円近い織機の買い上げといわゆるさいの川原のようなことをやっていくということは、国民経済上としてよくございません。従いまして原料を自由にいたしまして、今までのように原料の割当ということはなくなって、原料代は下がってくる。そしてそのいいところをねらいながら、繊維工業の健全な姿を保っていくことは、これは産業政策としてやむを得ぬことだと私は考えるのであります。  なお輸出入取引法につきましても、わが国の貿易を適正にかつ着実に伸ばしていく方法は、これは国全体として考えなければなりません。従いまして繊維工業設備臨時措置法並びに輸出入取引法の改正につきましては、十分検討の上、皆様方に御審議を願いたいと考えておるのでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私はいろいろもっとたくさん尋ねたいことがあるのですが、答弁の方も少し——通産大臣はそんなに冗漫な答弁ではないのでありますが、もう少しスピード・アップしていただきたいと思います。  私は、先ほど大豆の輸入等について大いに配慮してやった、それならば伺いますが、現在国内には四十五万トン国産大豆が手持ちになっております。これがさばき切れないで苦慮しておる。そこヘアメリカから二月末着荷予定で十一万トンの大豆が無為替で輸入されておる。それでこれを通産省と農林省との間に、農林省はこれを今発券してもらっては困る、通産省では無為替で輸入して保税倉庫へこうやって置いて困るからというので発券しよう、こういうことでやり合っている。これは事実ではないですか。こういうふうに国内の四十五万トンの国産大豆がこんな苦しい状態にあるときに、わざわざ十万トンというような、これはアメリカから岸さんの手みやげであったのかもしれませんけれども、十一万トンの大豆を無為替で輸入して、国産大豆を圧迫するというようなことは、これは本年の十月からでなければ自由化はまだ大豆は予定に上っておらないのに、もうすでにこういう事態が起こっておるのでありますが、大豆に対してはどのような計らいをするお考えか、承りたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 大豆につきましては、十月と切ったわけではございません。おおむね十月といたしておるのであります。沿革を申しますると、今から三年前にこれの自由化ということを一応閣議了解を得ておるのであります。そのときには関税を取っておりません。一割関税を取って自由化しようと言ったところ、外貨の事情が悪くなって、関税は取りましたが自由化はできなかった。しかしその後におきましてのお話の四十五万トンの生産で大体二十万トンないし二十五万トン出回っておりますが、その価格は支持価格よりも相当高うございます。そうして国内に入りまするアメリカ大豆につきましては、関税を取りましてもその差額は相当あるのでございます。従って農家の生産を萎靡衰退さしてもいけませんし、だといって一般国民の食糧生活になるものをそう引き上げもできませんので、ただいま検討を加えておるわけでございます。  なお無為替の問題につきましては私はまだ聞き及んでおりません。従いまして後日調査いたしましてお答え申し上げたいと思います。     〔「事務当局からでもいい」と呼ぶ者あり〕

倉八正通商産業事務官(通商局次長)

○倉八説明員 お答えいたします。大豆の十一万トンの無為替輸入は、私は聞いたことがございません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 これはあなたが聞いたことがないというのですか。今そういう現実がないということですか。こういう説明員から私は聞いたことがないというのでは、私は了解できません。現実にあるのだから。だから、そうではなくて、政府としてそういうようなことはやっていないというのか。政府代表の答弁でなければそういうものは受け付けません。

倉八正通商産業事務官(通商局次長)

○倉八説明員 私はその担当をやっておりますが、私の知っている限り十一万トンの無為替輸入ということはありません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それならばその問題については後日事実を明らかにして問題にいたしたいと思います。  次に、時間がありませんから角度を変えまして私はお伺いするのですが、自由化に入るにあたりまして、私は管理貿易のもとにおける深い反省が保守党の内閣になければならないと思うのであります。それは為替の関係では、外貨の割当をしただけで二割も三割もただもうかるというような実情である。貿易の関係ではどうかといえば、たとえば鉄の関係でいえば、鉄鉱石を入れる。くず鉄を入れる。しかし銑鉄は一切入れない。ですから大メーカーはこれらの原料を入れて、銑鉄は国際価格よりもうんと高い独占価格で国内にこれを押しつけている。綿花は輸入する。しかし綿糸は輸入させない。綿糸は十大紡、新紡、——新々紡は別といたしましても、十大紡やなんかは独占価格でどんどんもうけている。綿花は国際価格で入るのです。綿糸は国際価格よりずっと高くなっている。それを国内では、輸入させないものですから、独占価格でもうけ放題もうけておる。あるいは銅にいたしましても、鉛にいたしましても、亜鉛にしてもそうです。砂糖のごときは、これは関係の大臣方もたくさんおられるわけでありますが、砂糖は大へんにもうかるものだから現在どうかといえば、設備割当等があるものですから、百万トンなら百万トンの輸入をして溶糖するためのキャパシティに対して倍の設備を持っておる。ですから現在は設備は倍あって五〇%より操業していない。こういうような形においても、これだけの遊休設備を持っても、なおかつもうかっているというのが砂糖の実態です。これは私は今までやってきた管理貿易、為替管理の深い反省の上に立たなければならない実態だと思うのであります。まだ国内消費の分野はそれでよろしいのでありますが、たとえば綿糸なり銑鉄なり、こういう国際価格よりうんと高い価格で原料として買い入れて、これを加工して売る中小企業のメーカーというものは、ほんとうにかわいそうなものです。織布業者というものはかわいそうなものです。原料は国際価格よりもうんと高くて、製品は国際市場で争わなければなりませんから、ここで飢餓輸出のように、原料高の製品安の中にどのくらい中小企業の人々があえいでいるか。この苦しい実態というものは、黄金の年だとか、あるいは繁栄の年代だとか、そんなことをここで大きな口を切っておられるような実態ではないと思うのです。身をすり減らしてこれらの中小企業の人たちはやっておる。でありますから、これが自由化に当たるについては、このような形で膨大にふくれた現在の経済秩序というものを維持するために、この二重構造というものを現在の状態のままで維持するために、カルテルを強化して、さらに中小企業や農民や労働者からの搾取体制を強化するような方途をやるということは、断じてわれわれは許せないと思うのです。池田通産大臣のように、ほんとうに全部が自由化するならば、ある程度資本主義経済の中における一つの行き方としてわれわれは承認しましょう。われわれはそれを正しいと思う者ではありませんけれども、資本主義経済の中における一つの弱肉強食の行き方としては、それはそれなりで筋は通っておる。だが自由の名に隠れてさらにカルテルを組んで、それに行政指導をして、それにある程度の管理への権限を残して、自分たちの権限を守ろうというような行き方が相当にある。これはやはり私は問題だと思うのです。こういうことを一つわれわれは考えなければいけないのと、そういう結果としてどうであるかといえば、中小企業関係の商品というものは非常に安い。でありますから、今度の自由化にあたりましても、もう五十品目というものは第一に大豆のようなものが自由化の方に出されておる。大企業の関係は温存しておる。御承知のようにヨーロッパの共同市場等においても農産物はあと回しなのです。ドイツあたりでは、農業基本法によって、グリーン・レポート、グリーン・プラン、それに基づいて予算というものがちゃんと組まれて、助長政策によって農民所得と一般所得と平均させるためにいろいろやっている。そういう一つの長期展望のもとに計画的にやっておる関係のものと、そういうものでなしに、ただ大豆はいいだろう、牛皮はいいだろう、こういうようなことで一つ一つ出していく。そうしてその出していく実態はただいま申し上げたような状態です。これでいいのかどうか、簡単でいいですが、所見を承りたい。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 今お話のような点がございますので、自由化しようとしておるのであります。従いまして、自由化した場合において国民経済上非常に悪いという場面が起こります場合には、最小限度にこれを規制しようといたしておるのであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 原材料の輸入の面においてこういうような不合理がある。しかもこれから日本経済を国際市場の中で鍛えて競争力を強化する、こういうふうに岸総理は安易に答えていられるのですが、それならば競争は何で競争するのかということを私は岸総理に伺いたい。金利は国際市場よりも倍以上高いのです。原材料の七割は外国から輸入しなければならないのです。しかも先ほど来申し上げましたようなこういう不均衡な状態であり、そうして国際市場で競争力のあるものは何かといえば労働力だけです。これはアメリカの十分の一くらい、ヨーロッパ各国の四分の一か三分の一くらい、こういうようなひどい労働条件であります。そうすると、産業界の関係はカルテルを結んで、現在の秩序を乱さないように、やはり先ほど来申し上げたその利益をできるだけ温存するというような形でやろうとする。そのしわ寄せは当然労働者に来るじゃないですか。岸総理は体質の改善というのでありますが、二重構造をどういうふうにして是正するのか、これを破っていくのか、具体的に聞きたいと思うそれから労働者の賃金にしわ寄せになっている今日のなにを、どういうふうにして底上げして、せめては一人前の人間が月収によって生活を支えていけるくらいの最底の底入れをどんな形でやろうとするか。最底賃金の実施をどんな形でどんな熱意を持ってやろうとするか。現在カン詰工場などでは、弁当を持って行って一日百円か百二十円の賃金よりもらえないというようなあわれな女工があるということを頭に置いて、岸総理に答弁を願いたい。どういうふうにするのか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 御指摘のように、日本の中小企業の従来の様子は、これが近代的企業として、技術の面におきましても、設備の面においても、あるいは経営の面においても、十分国際的に太刀打ちできるような状況にまだなっておらないという面が少なくないのであります。国内において大企業がカルテルを結んで中小企業を抑圧するというようなことは、法制上これを取り締まることは当然でありますが、中小企業自体の体質をどうしてよくしていくかということについては、何といっても、設備の近代化であるとか、あるいは経営の合理化であるとか、あるいはまたこれに従事しておる労務者の生活の基礎を安定し、良質の労務をこれに用いるようにしていかなければならぬというような意味で、最低賃金法の制定があったことは御承知の通りであります。われわれは要するにこれらの各種の政策によって、中小企業が持っておる弱点を是正すべきことに特に力を入れて、日本の産業のいわゆる二重構造と言われるものの著しい弊害のないようにしていかなければならぬと思います。しかし同時に、日本全体の産業を見ますと、まだまだ大企業といえども国際競争の上において十分国際競争力を持つまで——技術の面においても、設備の面においても、日進月歩の今日の世の中において国際的な状況になり得るというのには、改善をしていかなければならぬという点が多々あると思います。昨日も議論がありましたが、金融の問題について、金利の問題につきましても御指摘のように非常に高い、これを国際金利の水準まで引き下げていくような金融正常化という問題も取り上げていく必要がある。とにかく自由化ということが日本経済に及ぼす影響は相当深刻でございますから、これらの点をあらゆる面から検討して、先ほど通産大臣が申しておるように決して無理を起こさないように順を追うてやっていくことが必要である、かように考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 自由化していけば国際市場においてコストの競争になってくる。合理化して相当コストを下げて戦わなければいけないというのに、日本の国内における投資ブームと言われている関係はどうか、鉄鋼関係だけで一兆数千億の資金需要です。肥料関係は六、七千億の需要があるでしょう。その他のいろいろな関係をなにしますと、大へんな資金需要である。これらは何かといえば、合理化投資じゃないのです。拡張投資が六五%、合理化投資が三五%です。外国とは逆なんです。これから合理化して国際市場の中で自由競争に耐えていく体質改善をやろうというときに、まだ量産をやっている。量産がコストを下げることだと思って、そんな夢を見てやっている。これを転換しなければならないだろうし、あるいは物価の関係を見たって、昨年から言えば私鉄が上がるしラジオが上がるし新聞が上がるしガス料金が上がる。あるいは近くは電気料金が上がる、通運料金が上がる、貨物運賃が上がる。あるいは消費の面ではパーマ代から床屋さんからクリーニングからふろ代から地代から借家料から、こういうふうにずっと軒並みに物価が上がっていく。その中でも基幹産業としての主要な電力料金とかそういうものがどんどん上がっていく。こういうふりに上がっていって、金利も——私はあとで大蔵大臣からお聞きしたいと思うのですが、ことしの三月あたりはまた公定歩合を上げるのじゃないかと思うのです。そういうふうに金利を上げなければならぬでしょう、これだけの資金需要があるのですから。そういたしますと、国際的な情勢の中ではこれはコストを下げて戦わなければならぬ、国内では逆な方向をどんどんとっていく。そしてそのしわ寄せを労働賃金にだけ向けようとして労働界に対して分裂政策をやる。こういうような人非人のようなやり方をいたしますことは、これはもう大へんなことです——岸総理は笑っておられますが、お笑いになるならば私は言います。ルーズヴェルトは何と言いましたか。非人道的なことをやらなければ成り立っていけないような中小企業ならばつぶれた方がよろしい、こういうことを言っておるのですよ。一人の女の子が弁当を持ってきて一日百二十五円前後、こういう賃金で使っていかなければ成り立たないような中小企業を、さらにそれを足場にして吸い上げて搾取してもうけているのが大企業じゃないですか。この大企業に巣くっているのが保守党その他の勢力じゃないですか。私はこういうところはほんとうに笑いごとじゃなくて、人非人なんて言われたらほんとうに良心のうずきを感ずるような総理じゃなくちゃいけない。  ここに「経済統計月報」というなにがあります。数字はうそを言わないのですから一つ聞いていただきたい。賃金俸給において三十一年度に比して三十三年度は一九%上がっております。農林水産業において六%所得が上がっております。中小企業関係におきましては、これは三十一年度に比べて三十三年度は減っております。ふえておりません。そうして個人賃貸料の関係は、これは土地なり借家、こういった関係でしょうが、これは二〇%ふえております。個人の利子所得は四〇%ふえております。それから法人所得における個人配当は三六%、これは伸びておる。こういう状態です。賃金が一九%伸びておるわけでありますが、これは別の欄における頭数がふえているのです。人がふえているのです。人がふえているから、実質的には賃金は上がっておらない。こういう一つの数字を見ても、いかに日本の独占資本というものが、あるいは金融におけるところの利潤というものが、どのようなあくどいもうけ方をしているか、そして中小企業や農民や労働者を踏んづけて、その中でぬくぬくと膏血をしぼって甘い夢を見ているかということは、これらの内容において私は明らかだろうと思うこういうような事柄を是正しなければならない。もし自分たちの悪因縁でみずからの手でこれらのひもを断ち切ることができないというならば、もっと自由市場の中に出して、ほんとうに池田通産大臣の言うように為替も全部自由にするし、あるいは貿易も全部自由にして、そうしてその寒い風の中で鍛えようというなら、これはまたこれなりに私はわかるのですが、それをだにしないで、そうして現在の状態をそのまま保存するためのあらゆる手段を講ずるというような事柄は、私はどうかと思うのです。労働賃金に対する岸総理の所見を伺いたいと思う。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 貿易・為替の自由化の方針は、一面において国際競争場裏において日本経済が太刀打ちできるような一つの形になると思います。同時にそれが、その荒波、荒風に耐えないような部面があるということも御指摘の通りであります。そういう経済的に弱い部面に対しては、政府としてこれが対策を講じて、それが成り立っていくような……。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 どういう対策を講ずるか、具体的に示して下さい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 それは言うまでもなく、今中小企業については先ほど申しましたように、企業の近代化やあるいは体質改善に関する予算等も組んでいる。また金融についても、中小企業の金融が非常に苦しい立場にあることについては、利子をなるべく引き下げることと、この金融の資金の利用をふやすことで、今度の予算においても、財政投融資やあるいは予算の面においても考慮が払われております。また労働者につきまして、ことに中小企業の労働者、先ほどおあげになりましたようなものについては、最低賃金法の制定があり、さらに家庭工業に向かっての調査も進めておりますし、これらに対する適切な処置を講じていくというようなことを今後考えていかなければならぬ、こう思っております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 農林大臣がおりませんから総理にお尋ねをいたしますが、農業に対しましてはことしは相当予算をふやした、二百五、六十億ですか、予算をふやした。そして昨年は全体予算に対する農業予算は七・五%だったが、本年は八・四%にふやしたのだ、こういうふうに宣伝しておられる。この関係は総理よりは大蔵大臣の方がいいと思うのですが、八・四%にふやした、こう宣伝される。しかしこの中を見ますと、七十二億は災害復旧です。百二億は——昨年は十億でありましたが、ことしはそれに比べて百二億の増というのは食管会計の繰り入れです。こういうものを差し引きまして、ほんとうに農政活動に使えるというものを比較いたしますと、前年度よりも増額されておるものはわずかに八十二億、パーセントにいたしますと七・二%でありまして、昨年の七・五%に比べますとやはり岸内閣における農政は年々後退している、こう断ぜざるを得ないわけであります。ドイツあたりは農業基本法によって、そうして一人々々の農家の実態というものをカードで集めて、そうして正確な資料に基づいて、グリーン・レポートに基づいてプランを立て、そのプランに基づいて予算が計上されるというような科学的な基礎でどんどん進んでおる。日本はどうかといえば、調査会というようなもので基本法をどっかへごまかして、その中から共同化の促進であるとか、そのモデルを作るとか、流通機構の市場の整備だとか、鼻の薬ほどのものを新規事業だといって大げさに振り回して、そうしていかにも農政がこれで進んでおるようなことを進めておる。そうして農村はどうかといえば、農村の実態は、嫁の来てがないといって青年が嘆いている。開拓農民は着るふとんがなくて、わらの中に豚のようにすっ込んでおる。このような悲劇の現実に目をおおって、そうして中央で、スチームに暖められたこの部屋でぬくぬくと大きなほらを吹いておられるというようなことは、少し政治家としての良心が足りないのではないか。もっとほんとうに農村の実態というものを見たらどうか。あるいは農村においては、電燈一つつけるのに十四、五万も自己負担をしなければつけられないというような不合理な政治が行なわれているんですよ。どうですか。これでもまだ今年の予算は農村に大いに振りまいた予算であると断言できますか。承ります。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 ただいま災害や食管会計の予算は差し引けということですが、これを差し引いて三十四年度に比して一体幾ら伸びているか。これは八・三%になっております。三十四年度は三十三年度に対して食管と災害を差し引いて対比いたしますと、五・八%の伸びであります。補正に対しては四%の伸びであります。従いまして今年八・三%伸びておるということは、非常に力が入っておるという数字が出ております。大体災害や食管会計への補給を差し引くということ自身についても、私は必ずしも賛成いたしません。過去の例から見ましても、この災害復旧によって土地が原状に回復するばかりではございません。それによりまして同時に耕地が大へん整理されて参ります。また、食管会計を埋めるということは、いろいろの見方があると思いますが、同時に生産価格を維持するという点に非常な力が入っておるものであるという見方もできるわけであります。それこそは価格維持の方策の一つでもある、かように思いますので、全体を合わせてやはり見ていただくのがいいと思いますが、それらを除きましても、ただいま申し上げますように、三十四年度と三十五年度では数段の拡大を見ている。大いに力を入れている証拠であります。

小川半次自由民主党

○小川委員長 永井君、申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔に願います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 農村問題についての何は時間がありませんからあとにいたします。  池田通産大臣にお尋ねいたしますが、鉄鋼はどういうふうにおやりになるお考えであるか。現在一兆何千億という拡張ブームでありまして、自主調整というようなことをやらしておるようでありますが、大体自主調整といい、何といい、やはりある程度行政指導というような力が加わらないと、これは円滑にいかないと思うのですが、池田通産大臣のお考えになっていることと自由ということとは少し違うと思うのですがその点はどうか。  それから——一緒にまとめて伺います。繊維の関係ですが、綿糸は十大紡だけの独占ではないと思うのであります。やはり下の方のものは、経済線である三万錘くらいはやはり綿紡をやりたいという希望を持つことはあたりまえのことだと思う長い間輸入の関係でこれが押えられてきたのでありますから、自由になった機会に失地をれ復したいという考えを持つことは、私は当然だと思うのでありますが、それらの関係における経済線の三万錘をどういうふうにこれは持っていかれるのか、あるいは現状でこれを押えるのか。その関係。  あるいは、水銀、その他非鉄金属関係の取り扱いを、国内における貧鉱の維持のためにどういうふうにお考えになっておるのか。  あるいは問題であります硫安肥料等も、これは六十何億といういわゆる輸出赤字と称するものを輸出会社に積み上げておいて、そうしてこれはメーカーの方に影響はないのだ——あるいはこれを農民に転嫁するような方法で解決しようとするのか、あるいは合理化の方向においてどういうようなお考えを持っておられるのか、こういった関係を一つ具体的に伺いたいと思います。

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○池田国務大臣 誤解があってはなりませんので一言申し上げておきますが、先ほどの統計は私は見ておりませんが、中小企業が過去二、三年間非常に悪くなったとは考えておりません。今の表を、私は推察いたしますと、課税対象の表じゃないかと思います。課税対象の表になりますと、法人成りその他がございますので、その分は中小企業の実態を現わした数字ではないと私は考えます。しかし、実際を見ないのではっきりしたことを申し上げられませんが、中小企業も相当よくなってきていると私は考えております。また、今度の予算では今までにないほどの予算を組みましたので、今後中小企業対策は相当進んでいけると思います。  またお話のございました鉄に対しての一兆何千億、この数字は、三十四年から四十年までに鉄鋼八社が自分の考えで出した積算の数字でございまして、とてもこんなことは実行はできないと思います。しかし、いずれにいたしましても、鉄が昨年度インゴットにいたしまして、前年に比べまして四割ふえました。そうして世界の第五位です。ここ二、三年のうちにイギリスを越えるというふうな状態でございます。日本の物価の安定も、鉄の増産ということが非常に安定に役立っているのでございまして、私は、今後鉄鋼業は相当伸ばしていくべきだと思います。しかし、五、六年の間に一兆数千億円の投資ということは、これはもう問題になりませんので、私は、各業者の間で話し合って適正なことをきめたらいいのじゃないか、こういう態度で今業者間で話し合いをさしているのでございます。業者間でうまくまとまることを期待いたしておりますが、まとまらなければ通産省へ持ち込むかもわかりません。そのときには、会社の実態と今後の見通しを十分考えまして、業者からの求めがあればわれわれの意見を言ってもいいと私は思っております。  それから繊維の関係でございますが、いろいろむずかしい問題がございます。利害錯綜しております。そうして紡績の方にいたしましても、十大紡以外に百二十ばかり新紡、新々紡がございまして、錯綜いたしておりますが、これは、自由化につきましても各業種の代表者を集めていろいろ相談さしておりますので、私は、具体的の問題につきましてはもう少し検討してみたいと思います。もちろん今国会に、繊維工業設備臨時措置法改正のときには結論を出したいと思います。  次に、非鉄金属でございますが、これは、国内にはなかなか貧鉱が多いのでございます。私は、国内資源の開発という意味から申しまして、中小鉱山の探鉱費、また探査費、これを、従来は五千万円でございましたのを、ことし倍額にいたしまして、一億円の予算を要求いたしまして、中小企業の鉱山につきましての助成を十分やっていきたいと思います。お話の通り、水銀とか、亜鉛とか、銅とか、いろいろのものがございますので、全面的な自由化ということはなかなかむずかしいのでございます。先ほど申し上げました石こうの場合と同じような関係で、実情を見ながらやっていきたいと思います。  硫安につきましてもお話がございましたが、相当合理化しております。今から十年前は六十五ドルであった。それが最近は五十二、三ドルである。輸出価格が四十二、三ドルというところで競争いたしております。お話の通り七十億円の輸出損失金が輸出会社にあることも存じております。しかし何と申しましても、十年前に百六、七十万トンの硫安が五百万トンであります。ことしは一割制限しまして四百二十万トンにいたしておりますが、でもかつよほど合理化していかなければいかぬ、製鉄業の発達と同時に廃ガスの利用その他によりまして、四十五ドルくらいで全部がいけるような合理化を進めていきたい、今は他産業との相互関係によりまして合理化をはかるようにして、そうして行く行くは安いものを作って、そうしてできれば輸出の赤字も将来は埋めていきたいと思います。硫安業界におきましては、合理化とこの対策につきまして、業者自体で研究をいたしておりますので、われわれもその研究の結果、また研究のつどにもわれわれの意見を申し述べて、硫安工業の適正化をはかっていきたいと考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 為替の自由化の問題について大蔵大臣にお伺いしたいと思ったのですが、時間がございませんから、これはいずれかの機会に譲ります。そこで最後に私は岸総理に伺いたいと思うのであります。国際市場の寒風の中で日本の経済を鍛えて、そうして国際競争力を強化する、それはそれでけっこうでありますが、先ほど来申し上げました通りに、日本の産業の体質改善をするには二重構造を解消しなければなりません。低賃金を解消しなければなりません。それらの点について先ほど質問したのでますが、はっきりとしたお答えがございませんので、最後にこれに対してどういうふうなお考えを持っているか、具体的に承りたいことと、やはり自由化に対処する岸内閣の性格というものは、低賃金で競争していこう、もう一つは小手先の政策価格で、あるいは補助を出すとか、あるいは租税特別措置法によって税金でめんどうを見てやるとか、あるいは金融でめんどうを見てやるとか、こういったいろいろな政策価格で一時を糊塗して、基本的な点に手を染めないで、しのいでいこうというようなお考えのようにどうも見受けてなりません。こういうようなやり方は、決して私は海外各国がこれを受け入れるものではないと思います。もし日本がかれこれ言って、これを押し切ろうとするならば、やがては、残念なことではありますけれども、外国から日本の産業界や何かに対する監査の問題が出てきて、やはり国際間に、ガットその他においてずいぶん痛めつけられる場面が出てくるのではないかということを心配するのであります。そういうようなことを考えますときに、これは小手先でいろいろやるからそういうことが問題になるのでありまして、やはり国内産業を鍛え上げるための基本的な政策、長期の政策というものがちゃんとあって、こういうプログラムで、こういう目標で、こういう一つの政策でやっておるのだということを示すことができますならば、外国のそれぞれの国には納得させることができる、説得することができると思うのであります。それを国内における低賃金、国内における政策価格、これでは私は海外は許容しないと思うのであります。従って外国からいわれて、そしてその力に押されてかれこれ動くよりは、主体的な一つの条件を確立して、主体的な動きの中で問題を解決していくことが最善である。それについてますわれわれが今日なさなければならないことは、低賃金をいかに解消するかということ、それから大企業のカルテルによる被害を受けておる中小企業あるいは農村、こういった関係をどう処置するか、どう救ってやるかということ、この三つの点が私は大切だと思うのでありまして、最後に岸総理からこれらの問題について所信を伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 産業経済の発展の上におきまして、低賃金によってその国の産業に競争力をつけるというような考え方が間違っておることは永井委員の御指摘の通りで、私も決してそんなことは考えておりません。また弱い産業部面に対してどういう処置をとるかという問題につきまして、たとえば中小企業であるとか、農業であるとかというふうな産業の問題、また企業別に見ましても、企業の種類によりましても、いろいろないわゆる弱い面について国際競争力をつける上にどう考えるかということは、これはその産業に応じて具体的に考えていかなければならない問題であると思います。そして私どもがいわゆる国民所得倍増計画というものを今審議立案いたしておりますが、これはただ単に国民全体の総所得を倍加するということではなくして、国民経済を構成しておる各部門が、なるべく平均した程度において所得が倍増されるというような、内容的、質的な面を特に考えなければならぬと思います。そうしますと、今までの例から見ましても、農業関係におけるところの所得の増加が鉱工業に比して従来の伸び方が低い、また中小企業と大企業との間におきましても格差がある、あるいは地域的にも格差がある、これをどういうふうにやっていくかという問題になりましては、あるいはこれは産業経済全体の政策に関係しておりまして、言うまでもなく一面からいえば、基礎的なものとして道路、交通、通信というような面に対する施設をしていくことが、地域的な格差を少なくしていく上においても必要でありましょうし、あるいは工場立地の関係において、これを一カ所に集中せずして全国的にこれを考えていくというようなことも、地域的な所得を平均することになりましょう。また弱いといわれる農業及び中小企業に対しましては、いろいろな点から特別の施策をしなければならぬことは言うを待ちません。また国民的にいいましても、働くところの人々、勤労者の所得というものが、あるいは金利やその他のなにでもって生活しておる者に比して、十分な所得の増加が行なわれないというようなことでは、これはいかぬことでありますから、これらについては十分に所得倍増計画において各個に具体的にきめて、これを予算化し、あるいは法制化し、あるいは制度化していくように努力をいたしていきたい、かように思っております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 最低賃金の底上げの問題は。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 最低賃金の問題につきましては、最低賃金法が施行されましてからまだ日もございません。その状況等につきましては私も関心を持って見ておりますが、ある程度の実効は上げつつございます。しかし今直ちにこれを、今の制度を改正して、あるいは全国一律の最低賃金法を設けろというような議論もございますけれども、まだそういうところにいくのには早いと私は考えております。

小川半次自由民主党

○小川委員長 この際暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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