予算委員会 第3号
- 発言数
- 224 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/02/06
会議録
○小川委員長 これより会議を開きます。 昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。今澄勇君。
○今澄委員 私は重複を避けて、まず予算からお伺いをいたします。続いて新安全保障条約、それに関連する防衛の問題、さらにロッキードの問題等をお伺いをいたしたいと思っております。 まず第一に予算ですが、大蔵大臣はきのうの委員会においても、来年度もまた自然増収に多くを期待して減税についてもやり得るのだというようなお話がありましたが、私どもの見るところでは、公共事業費、防衛費それからガリオア・イロアの問題もあるし、国民年金、軍人恩給と大きな支出の柱が次年度、次々年度の予算を拘束をして、こういう窮屈な予算では、とても来年度においても、来々年度においても減税の見通しはないのではないか。財源もほとんど使い果たしておる。しかもわれわれの見るところでは、設備投資に相当な銀行の融資も行なわれ、輸入もこれからあなた方の見方とは違って増大をしていくから、あなたが考えておるように必ずしも本年下期の景気が上向くとは限らぬと私は思っておるのです。あなたの方の傘下にある国民金融公庫の下村理事も、これはあなたの方の大蔵省の管轄の方だが、下期から景気が下向くという警戒論を述べておるのです。だから私は自然増収を期待する半面、警戒論が出ておるし、予算はそういうふうな大きな拘束ということになれば、一体どういうところを節減して、減税を次年度、次々年度においてはおやりになるおつもりか、まず大蔵大臣から一つお聞きをしたいと思っております。
○佐藤国務大臣 三十五年度の予算はただいま御指摘のように、三十五年度に生ずる通常歳入をもってまかなう、また財政投融資も三十五年度の財源で財政投融資計画を立てる、こういうことで、三十五年度自身はあまり繰り越しあるいは剰余金等を使わない、そういう予算でございます。そのことは半面から見ますと非常に財源が枯渇するのではないかということですが、一面これは同時に、年度の歳入また財源で財政投融資並びに予算を作ったということでありますので、この意味では比較的中立的な予算だということが言い得る、健全的なものだということが言い得る、かように実は思います。 ところで問題は、三十六年度は一体どうなるのか。その三十六年度はただいま御指摘になりますように、歳出の面で社会保障費がふえたり、あるいはまた防衛費もふえるだろうというような点がございます。しかし国土計画自身は災害復旧費と合わせて実は考えていくべきものでありますし、災害復旧費自身は、三十五年度がいわゆる三・五・二の五に該当する年でありますだけに、金額が多い。しかしながら三十六年度になればその方はやや減少していくだろう。もちろん大きな災害が起これば別でございますが、そういうことが一応考えられる。ところで防衛費の増につきましては、昨日来申し上げておりますように、通常のいわゆる国力相応の方法で財源を確保していくという基本方針をとっておりますので、いわゆる防衛費自身を幾らだけどうしてもふやさなければならない、こういうわけのものではない。十分財政状態と勘案していくし、また必要な経費とにらみ合わせて均衡をとっていくということであります。ことに債務負担行為等を予算化することについては、昨日も詳しく説明いたしましたように、十分財政状態を勘案して考えていく。ところで今ガリオア、イロアの問題のお話が出ておりましたが、ガリオア、イロアの問題はこれから交渉をいたすものでありますし、また過去の西独等の支払い状況等を見ましても、その話がつきましたその翌年から直ちにこの支払いにかかるというものでもないようであります。もちろん必要な利息その他を計上しなければならない、こういうことでございます。 そういたしますと問題は、三十五年度の経済状態は一体どうなるのか。この経済状態の伸びを持続することができますならば、三十六年度の税収入の増加というものは、一応考えられるのじゃないか。ただいまのところもちろん三十六年度の予算の構想を明らかにするような段階になってはおりません。おりませんが、ただいま申し上げるような考え方を実は基本的に持つわけであります。そこでこの三十五年度の経済の成長あるいは貿易の伸展状況、これにつきましてはいろいろの議論が出ております。ただいま御議論のありました下村君の話なども一つございますし、また経済界の一部におきましては、下期について十分警戒をしないと、政府が考えるようになかなかうまくいかないのではないかということを心配している向きもあるわけであります。もちろん政府自身も手放しで楽観しておるわけではございませんし、今後の経済の動向につきましては絶えず注意をいたしまして、そうして適切な方途を講じていくということになるわけであります。 ところで概観してみますと、昨年からことしにかけての国内の経済状態の伸びは、比較的落ちついてきた。特に私どもが一番問題にいたしますものは、株価が非常に高いとかあるいは金融状況が非常に通貨が膨張するとか、また物価の変動が非常に大きいとか、あるいは貿易において輸入と輸出のバランスが従前と非常に変わってくるかとか、こういうような点を絶えず注意いたすわけでございますが、最近株価自身は非常に落ちついて参りまして、むしろ逆に中小証券会社などは困るのではないか。そういう意味で何か処置をとらなければならぬじゃないかというほど、実は落ちついてきておる。また金融そのものも歳末には一兆円を相当こすのじゃないか。通貨もそういう意味では一兆五百億を超過するのじゃないかというようなある程度の予想もいたしましたが、一兆三百億以内にとどまる程度でありまして、これも一日か二日の程度、その後の還流の状況は非常に順調に参っております。また物価自身も、昨日も申したように、繊維や鉄鋼等、物価の中心になります重要物資がむしろ弱含みである、こういうことを考え、また国際経済情勢そのものはアメリカ自身が数次にわたっていっておりますように、ことしは黄金の年だといっておる。あるいは西欧の方もそういうことを考えられる。そういたしますと私どもが適切な処置をとれば、これは十分私どもの予想通りに経済を推移させていくことができるのじゃないか。問題は一に今後の経済情勢なり金融情勢等に適時適切な方策がとり得るかどうかということにかかるのじゃないか。そういう意味で政府は十分注意して参るつもりでございます。
○今澄委員 大へん長々とお話がありましたが、端的に申せば、もうすでにテレビも供給過剰である、繊維関係部門も供給過剰である。しかも設備投資は活発で、輸入は相当ふえそうです。本会議であなたの方の統計の話が出ましたが、一月の輸入承認の統計だとか、銀行の貸出額なんというものは、大体この二月の国会に対して、その統計のとり方がなかなか政治的ですから、そういう数字だけで国会における答弁が、本年の下期の景気について楽観的であるのだという根拠をそろえただけで、今日の景気の動向に対する国民の不安は消えないのじゃないか。私は予算編成の経緯にからんで、この予算が景気の動向の判断においても、あるいは大きな長期計画の柱を立てた点についても、今後に非常に大きな問題があると思います。大蔵大臣はこの設備投資の最近における非常な増加、一部の産業における供給過剰、これらの点についてどういう考え方を持っておりますか。
○佐藤国務大臣 この設備投資は、すでに御承知のように操業度が非常に高くなっておりますから、そういう意味から各部門において設備投資の意欲は非常に強い。けさも新聞に出ておりますように、もしも要求通りを実現するとすれば、非常に大きな金額になるだろうと思います。そこで私どもは、絶えず申しておりますように、業界自身の自主的調整を強く要望しておると同時に、金融の面からこれを十分抑制していく考え方で、適正な規模にこれを保つというつもりでございます。
○今澄委員 もう一つ聞きたいのは、今度の債務負担行為、継続費等で、非常に後年度予算を縛っておりますね。これは私は、財政法第十四条、十五条の精神に反するものであって、少なくとも財政法においては、一会計年度における一切の収入と支出を予算の主体としておるのであるから、こういう予算の組み方というものは、財政法第十四条、十五条の悪用であると言わなければならぬと思うが、大蔵大臣は見解はどうです。
○佐藤国務大臣 悪用だとは考えませんし、また乱用だとも実は考えません。ただいま御指摘のように、予算制度そのものから申せば、単年度支出というものが原則でございます。しかしながらものによりましては、継続なりあるいは債務負担行為ということで二年以上にわたる計画、これをやはりやり得るようにちゃんと財政法も認めておるところでございます。そういう意味で、私どもは今回の継続事業並びに債務負担行為を計上しておるわけでございます。
○今澄委員 私は、財政法の特例を利用してロッキード等膨大な経費を債務負担行為に入れていくというやり方は、一種の歳出面における公債政策じゃないか。これは歳入面における公債政策とうらはらをなす歳出面における公債政策であって、これは少なくとも財政法の精神に反しておる、かように思います。もしあなたが言われるように、そういう後年度にずっと拘束するような予算を国庫債務負担行為でやられるならば、それらの国庫債務負担行為を載せると同時に、そういう計画案がこの国会に示されなくちゃならぬと思うのですね。たとえば防衛庁の継続経費をこれだけ載せるとすれば、防衛の基本的計画は、五カ年計画はこういうものだ、そういう基本的な計画をここに出して、そうしてそれらの長期計画の柱を国会の承認を得て予算に計上していくということでなければ、これは国会の審議権を軽視するということになると思うが、大蔵大臣どうです。
○佐藤国務大臣 別に議論するつもりではございませんが、今澄さんのただいまの御議論はむしろ逆ではないか。最初お話しになりますように、単年度予算を作ることが本来の原則だ。債務負担行為は、その単年度の計画でまかなえないから、債務負担行為なり継続工事というものを認めておる。その債務負担行為が長期に年度化されてきちんとくぎづけになるならば、本来の原則にそれこそ反するのじゃないか。私どもは債務負担行為を計上いたしますが、たとえばロッキードなら二百機の生産計画と三百機の生産計画では、これまた単価その他にも影響してきますし、また事業を遂行する方から見ましても、こんなものを年度計画でやられては困るでしょう。だからやはり長期計画は望ましいことだ。これを予算化する場合に、初めてそのときの財政状態なり他の支出とにらみ合わせて均衡をとっていく、こういうことが望ましいのじゃないか、むしろ逆じゃないか、かように私は思います。
○今澄委員 それはまことに三百代言的なお話で、すでに防衛庁はロッキードならロッキードは二百機であるときめておるのです。それを国会のわれわれに相談もしないできめて、そうして予算面を見ると七百億も日本の負担になろうというような、こういう状態で、ここに長期計画を明らかにしないで多くの継続費をつけるというようなことは、全くこれは国会における審議権を軽視するものである。私は、単年度予算でそういう継続費がないので、それでその年の計画を示すというなら話はわかりますよ。それをやれ治山治水十年計画とか、国民に耳当たりのいいことはしきりに言うが、具体的な計画は何も示さないで、そうしてここに多くの予算支出を計上して国庫債務負担行為を行なうということは、これは私は財政法の精神に反すると思います。私は、こういうふうな継続費を債務負担行為を行なったりするとすれば、予算の進行状況を調査するために監察制度というものを各省に設けて、そういう長期的な計画と予算の状況がぴったりと間違いなく行なわれておるかどうかという査察をする制度を作る必要がある、かように大蔵大臣とは逆な考え方ですが、大蔵大臣はどう思いますか。
○佐藤国務大臣 ただいま申し上げますように、債務負担行為をきめておりますが、三十六年度においてそのうちから幾らを今度は予算化するか、そういうことをそのときの財政状態と勘案して考えていく。しかしこれは国庫債務負担行為自身をごらんになってもおわかりになると思いますが、二百機の生産といたしましても、これを三十六年度以降四カ年で完成するのであります。従いまして、これを年度割にするということは、これは困難なことであります。またそれまでの支出の面において非常な支障があるかどうか、こういうことを考えますと、三十六年度予算編成の場合にあたりまして、初めて前渡金が一体幾ら出るかということをきめることになるわけであります。そのときにただいま言われますような監察が必要になってくるという点ではないか、かように私は考えております。
○今澄委員 まあ時間がありませんが、要するにこういう予算を組んで国会へ出さなければならなかったのは、予算編成の途上において与党の圧力あるいはほかの圧力団体の圧力、それらのものでいよいよ予算がふくれ切って、総理並びに大蔵大臣の統制力が及ばなかったということが、こういう予算ができた原因ではないかと私は思っているのです。抽象的な質問はいたしませんが、具体的に昨年の十二月、名前は申しませんが、あなたの腹心の与党の副幹事長某氏が、大蔵省の中で各省の次官を呼び各省の局長を呼び、そうして予算の切り盛りをやっておった。あの現実は、それは政党政治だから、政党の意向が反映するというなら話はわかるけれども、現に大蔵省に乗り込んで与党の副幹事長がそういう予算のあちらを減らしこちらをふやしたりするということは、これは予算編成途上における大きな問題点だと私は思うのです。それはあなたが副幹事長を呼んでそういうことをやらしたのですか。
○佐藤国務大臣 本会議の席上におきましても、総理から予算編成の経過についての私どもの方針をよく説明をいたしました。今日は申すまでもなく政党政治の時代でありますから、政府の編成権そのものについてだれも疑いを持つ者はございません。しかし政党政治といたしまして、政府与党の間に十分緊密な連係をとるということは、これは当然でございます。そういう意味から、いろいろ誤解を受けておるという点はあるようでございますが、私どもはでき上がった予算自身をごらんになれば、非常にふくれたというような感じを持っておられるかわかりませんが、昨日も河野議員にお答えいたしましたように、国民所得に対する割合から見ましても、またどの点から見ましても、三十五年度予算は三十四年度よりもその規模が小さい。この一事を十分御了承いただきますならば、経過的にどういうことがあろうと、私どもいわゆる中立予算、堅実予算、健全予算を堅持した、この方針を貫いた、このことははっきり申し上げ得るのでございます。
○今澄委員 経過的にはどうあろうとも予算はこうだという大蔵大臣のものの言い方は、これは不遜きわまるものの言い方だと思う。国民はこの予算のできる経過について、重大な関心を持っているのですよ。私は、政調会長が与党の意見をまとめて、それを大蔵大臣に申し上げて、大蔵大臣は、その基本大綱によって具体的に予算を、自分の責任において作るというのがあたりまえじゃないですか。それを、与党の副幹事長が乗り込んでいって、各省の担当官を、大蔵大臣でもないのに呼びつけて、あれを切り、これをふやすという、こういったやり方は、一体はたしてどうか。だれがそれを呼んだのか。勝手に来てやったのか、あなたが呼んだのかということを聞いているんですよ。
○佐藤国務大臣 それは十分党の方でもよく相談の結果、そういうことになったようでございます。従いまして、私はその点では、私自身の責任だと、かようには私は考えておりません。しこうして、ただいま申し上げますように、ただいまは政党政治の場合に、政策さえいれればいいじゃないか、こういうお話をしばしば聞きますが、ところが、政策ばかりじゃなく、やはり金額的にも地方的にいかなる具体性を持たすかという意味において、党側においても強い要望のあること、これは当然でございます。そういう意味におきましては、十分その説を取り入れるということが望ましいことだ、かように私はむしろ考えております。
○今澄委員 私は少なくとも、あなたが呼んだんじゃないと今そう言ったが、あなたが呼んだのじゃなければ、党の方から副幹事長が勝手に大蔵省に乗り込んで、そうしてあちらこちらとこれをふやしこれを減らし予算の裁定をやるということは、あなた自身が予算の編成権をすでに放棄したものじゃないですか。私はそういう状態だからこそ、今年度の予算は財源をみな使い果たして、そうして非常に窮屈な、弾力性のない、非常に多くの問題点を残した予算になった、こう私は思うのです。まあこの点はこの程度にしておきましょう。 もう一つ、大蔵大臣でなしに、これは総理大臣にお伺いしなければならぬが、昨年の暮れ、佐藤大蔵大臣は、大蔵省の記者会見で、調整用として総理大臣に十億円の裁量をゆだねたということを言っている。私は予算の編成過程で、総理大臣が自分で調整すべく、その予算の中から何億か預かるという、こういったことは、およそ一国の予算編成の総責任を負う総理としては、これはまたまことにとんでもない話だと思っておりますが、総理大臣からその間のいきさつを聞いておきたいと思います。
○岸国務大臣 何かの誤解であろうと思いますが、私は総理大臣として、予算の編成の全体について全責任を持ってやっておるわけでありまして、もちろん具体的の問題につきましては、大蔵大臣がいろいろな折衝をしますけれども、全体として私は責任を負うておるつもりでおります。
○今澄委員 まあ、これは大蔵大臣が少し口がすべったといって、総理から佐藤さんはおしかりを受けているはずであります。私はここでは詳しく申し上げませんが、少なくともこういうずさんな、責任を回避して、予算全体の取りまとめについて奔走しないで自分がある程度のものを握って、青年、婦人の予算に使うとかいったような総理大臣の考え方では、一国の予算というものは、これはまとまらぬのです。私はこれらの経緯について、非常に与党の圧力に屈し、そうして総理大臣、大蔵大臣の責任が非常に回避されておるこの予算編成の経過は、まことに遺憾だと思います。まあしかしこれはこの程度にいたしておきましょう。 もう一つ私が申し上げたいのは、石油関税が当初七%の予算でほば予算も組み上がっておったのに、その組み上がって決定したあとから、これが六%に減額になっておる。そう金額は変わらぬようになっておりますが、一体これはどういうことで一%落ちたのですか、大蔵大臣、ちょっと……。
○佐藤国務大臣 いろいろ関係省間の意見を調整いたしまして、数量等——あるいは見越し輸入の数量であるとか、あるいは今後の数量の伸びであるとか、それなどをいろいろ勘案いたしまして、そうして適当な調整をはかった結果、変わったわけでございます。
○今澄委員 それも端的に言おうならば、いわゆる石油業者の圧力に屈したのではないか。まだほかにも多くありますが、時間がありませんので一つだけ私は代表的に申し上げたのだが、せっかく七%ということできめて、予算を五十七億組んだにもかかわらず、それはどうも少し多いじゃないか、それは少し何とか減らせないか。もう予算を全部組んだあとから、総数量をふやして、単価をおろして、それで予算のつじつまを合わしておるこの今度の予算というものは、外部団体の圧力に現にこのことで屈しておるではないか。与党の副幹事長に乗り込まれて、与党の圧力に屈しておるではないか。私は、一体こういう予算の編成の仕方が——今日の日本の憲法が保障した、内閣は予算を編成する責任と権利があるのです。そういう立場に立って見るときに、非常に今度の予算の編成の過程は遺憾であります。私は、十分一つ内閣は、今後気をつけられるよう警告を発して、新日米安全保障条約の問題に一つ取りかかりたい、かように思っております。 今度の日米安全保障条約で、私はまず予算に関係することからお聞きいたしますが、これは外務大臣にお聞きいたしたい。 今度の予算書を見ると、防衛分担金が載っておりません。この防衛分担金は——アメリカの会計年度は七月から六月までで、日本の会計年度は四月から三月まで、そうすると、これが批准をされて、防衛分担金が削除になるとすれば、その批准が——まああなた方は、批准は間違いないと思っておられるか知らぬが、これもわからないのです。さすれば、防衛分担金というものは、四、五、六の三カ月というものがここで問題になってくるのだが、これは全額削除してあるけれども、これはアメリカ側と打ち合わせの上、了解済みでこの予算面から落ちておるものかどうか、外務大臣に一つお聞きをいたしておきたいと思います。
○藤山国務大臣 防衛分担金の本年度の計上に関しましては、アメリカ側とも協議をいたしました。アメリカ側におきましても、今回の条約が通過しますれば、当然条約上、防衛分担金を負担しなくていいことになるわけでございます。従って、むろんわれわれとしては、議会の御審議を得なければわかりませんけれども、しかし同時に、予算におきましては、計上しなくてもよろしいという形において了解が達したわけでありまして、最終的にはそういう話し合いの上で予算書に計上しないことにいたしたわけでございます。
○今澄委員 次に、私はこの条約に入りますが、条約に入るまでに、総理大臣にお聞きしたいことは、日本の地理的条件というのは、日本はソ連、中共のそばにずっと帯のように広がっておるから、アメリカ側からすれば、日本が軍事基地になることは、ソ連、中共に近いのですから、非常に有利な戦略的立場だが、ソ連、中共からアメリカを攻撃する立場に立って見ると、中共の沿岸から大陸間弾道兵器を撃とうと、日本から撃とうと、大して変わらぬので、そう戦略的に日本の価値はないと、われわれはこう思わなくちゃならないのですね。だから、アメリカの方は、日本に常時駐留して、極東戦略のために日本を十分使いたいでしょう。これはもう戦略的に言えることなんです。だが、日本が考えることは、集団的な安全保障、これは原則としては、有事駐留の考え方、たとえば国連の集団安全保障、これも有事に国連警察軍が行ってやるという、いわゆる事があるときに駐留するというのが、集団安全保障のこれは基本的な姿でなくちゃならぬのです。私は、今度日米安全保障条約が改定されるにあたって、政府はとにかく常時駐留のその建前で交渉しておるが、なぜこの有事駐留の主張を日本はしなかったのか、有事駐留について総理大臣は一体どう考えておるのか、ここでちょっと総理から、この常時駐留か、有事駐留かという集団安全保障についての考え方を聞いておきたい。どうして有事駐留にしませんか。
○岸国務大臣 安全保障条約の真の目的は、侵略なりそういう不当の事態を生ぜしめない予防的な意味が、われわれのねらっておる真意であります。従って侵略の事実を未然に防ぐというためには、私は有事駐留というような形は望ましくない、かように思っております。
○今澄委員 それは、私はこういう集団安全保障の基礎的な立場から言うと、総理が言うような常時駐留は、われわれは非常に諸外国の攻撃の危険を受ける、たとえばこういう条約を結ぶからには、侵略のおそれがあると政府は判断しておるのでしょう。そうすると、侵略のおそれがある場合に常時アメリカ軍がいれば、いよいよ世界的な動乱が起きるというときは、まず日本における基地をたたこうということにこれは当然なるのであって、将来の世界戦争の第一戦場は欧州です。第二戦場は中近東——これは防衛庁が幕僚会議できめておる世界情勢の見通しなんですよ。極東は第三戦場として、そう大して戦争の起こる可能性が少ないところです。そういうところに有事駐留があればけっこうなんで、常時軍隊がいるということが緊張を増し、非常な戦争の危険を諸外国の利害によって受けるおそれがあるという基本的な点で総理大臣と考え方が違います。もし有事駐留でなしに、常時駐留とするなら、私はその常時駐留の際は、拒否権というものがまずはっきりしておらなくちゃならぬ。その拒否権があるかどうかということは、今度は常時駐留の条約というものの考え方の根底になると思うのです。それで、きのうあなたの答弁を聞いておりましたが、政治的には共同声明で十分であるというお話があったが、これは国際法上、日本とアメリカとの条約は、事前協議のととのわないという場合において、法律的に日本に拒否権があるということを岸総理はここで断言ができますか。
○岸国務大臣 この条約及び交換公文において、一定の事項を事前協議ということの主題にするということを明瞭にならしめております。それの解釈においての問題でありますが、この協議をしていく際に日本がノーと言う——協議にはイエスと言う場合とノーと言う場合があります。ノーと言う。そうした場合に、アメリカが日本がノーと言ったことに反して行動し得ることができるかということは、それはできないという話し合いのもとにこの交渉が行なわれてきたということは、しばしば外務大臣が申し上げている通りであります。すなわちこの条約及び交換公文の解釈として、それは当然のことでありますが、これを私とアイゼンハワー大統領との会談の際に、大統領が再確認したということが共同声明の意義であります。
○今澄委員 あなたの話は政治的にはこうだということをしきりと言われるけれども、ケース・バイ・ケースで、そのときに工合の悪かったものについて自分の方でノーと言えば、それはアメリカがその通りにやらないんだというのだが、国際法上、法律的にこの条約には日本側の拒否権があるのかどうか、イエスかノーか簡単に一つお願いいたします。
○岸国務大臣 私は、ただ拒否権という言葉自体が特別の法律の意義を持っておりますから、そのことを使うことを避けておるのでありますが、要はこの条約の解釈として、条約の意味として、そうしてノーと言い得る、ノーと言うた場合にはこれに対してアメリカがそれに反した行動をしないということはこれは条約及び交換公文の解釈上の当然のことでございます。
○今澄委員 それは解釈上とか、ノーと言い得るでなしに、いわゆるアメリカ側では協議という言葉は通告と同意の中間的な存在だと言っているのです。通告と同意のまん中が協議だと言っておるのですから、それはあなたが言うような、そういうことにならぬのですよ。だからこの際国会を通じてこの解釈を明らかにするために、日本側は本条約を通じて事前協議にあたっては拒否権があるのかないのか、私は一言でいいのですが、総理大臣はここでイエスとかノーとかいうことを、あなたは国民の前に言う義務があると思います。どちらですか。簡単に一言言うて下さい。
○岸国務大臣 条約上日本は日本の立場からノーと言い得る、言うことができる、こういうことであります。
○今澄委員 ノーと言うことはできるが、法律上拒否権があるかどうかというんです。拒否権はありますか、ないのですか。
○岸国務大臣 拒否権という言葉自体をどういう意味に御解釈になっておるか、従来二国間の話の間において拒否権を一方が持つというような国際法上の観念はないようであります。私は必要なことは、日本がノーと言い得る、ノーと言った場合にアメリカがこれに反した行動ができるかできないかということがこの問題だと思います。その場合において、日本がノーと言い、ノーと言った場合においては、アメリカはこれに反した行動はしないということが明確になっております。
○今澄委員 もし日本がノーと言った場合に、アメリカがずっとアイゼンハワー大統領が元気であればいいけれども、もしそれが行なわれなかったときは、政府はしからば一体何を根拠に対抗しますか。それはやはり拒否権というものをこの条約の中で持つということ、日本が拒否する権利、この拒否権というものは、たとい二者の会談だって拒否権はありますよ、多くの会談だから拒否権があるので、二者の会談で拒否権がないというのは、あなたの言いのがれですよ。一体拒否する権利があるかどうかということについてはっきりされる必要があると思う。
○岸国務大臣 きわめて明瞭だと思います。ノーと言い得るということが拒否するということです。そうした場合において、アメリカがこれに反した行動をしないということは、アイゼンハワーが言うただけではありません。アイゼンハワーはただその法律解釈を再確認しただけであって、そういう意味におきましてアイゼンハワー大統領がその地位にあるかいなかによってこれは変わるものではございません。
○今澄委員 あなたは日本の国会では拒否権というようなことはないとかなんとか言っているが、ワシントンの記者会見では拒否権という言葉をあなた自身が使っておるのです。拒否権があるかないかという法律論は成立しないとあなたは言っている。あなたはアメリカでは拒否権というような言葉を自分で使っておいて、日本の国会では拒否権というものはないのだということはおかしいではありませんか。だから拒否権があるかないか、法律論は成立しないということは、法律的には拒否権の問題はこれは少なくともあるとかないとか、ないならないということはここで明らかにしていただきたい。これがこの条約の肝心かなめの中心です。わが党としても国民の一人として聞かなければなりません。
○岸国務大臣 問題はしばしば私が答えましたように、拒否権というこの法律語には、特別の従来国際法上も慣用の言葉、意義があるようであります。私は、必要なことは、国民が知らんとしておることは、この協議の場合に、日本がノーと言ってこれを拒否できるかどうか。その拒否した場合にアメリカが日本の意思に反して行動し得ることができるかできないかという問題であって、それは事前協議ということの法律解釈として日本はノーと言い得る、またノーと言った場合においては、アメリカはこれに反した行動はとらないということが、この交換公文の事前協議とした意義でありまして、それを、議論がありますことでありますから、それをさらにアイゼンハワー大統領と私の間において再確認をしたということであります。
○今澄委員 もしそういうことなら、どうしてあなたは条約に入れませんか。条約に入れなかった理由は何ですか。
○岸国務大臣 条約にはちゃんと交換公文——条約と同じ交換公文において事前協議としたということがそういう意味なのでありますから、それで明らかであります。
○今澄委員 もしあなたの言われることがあれなら、それは本文に少なくとも事前協議の問題を入れなくちゃならぬ。それを本文に入れないで交換公文にして——この交換公文はアメリカの国会にかからぬのですよ。アメリカの国会にかからないのじゃないですか。アイゼンハワー大統領とあなたとの申し合わせであって、国会の承認案件じゃないのですよ。だから私は聞いておるのであって、少なくともあなたはアメリカで拒否権があるかないかというような法律論は成立しないと言っているのでしょう。あなたは法律論は成立しないと言っておって、日本では、ここのところであなたは一番大事な問題を国民をごまかし、国会を切り抜けていくという考え方では、私はこの重大な条約の審議というものは大へんなことになると思うのです。あるならある、ないならない、これをはっきりして、こういう理由によってなければこれはないのだということを国民が知ることが必要なので、この拒否権というものがあるのかないのか。しかもこれはアメリカの国会の承認案件でないのです。あなた、もう一度ちょっと答弁を願いたい。
○岸国務大臣 交換公文をアメリカの国会の承認を求めるかどうかということは、アメリカ憲法が定めていることでありまして、アメリカ憲法において定められた手続がとられるだけであります。それによって交換公文の持っておる国際条約としての意味が違うものではないと私どもは解釈しております。これは単純にアメリカ内部の憲法の解釈の問題であります。それから今澄君は拒否権々々々ということをお話しになりますが、それはいわゆる常識的な言葉としてお話しになる場合においては、私がさっき申しているように、拒否できるかできないかというような意味において、拒否した場合に、アメリカが反した行動ができるのかできないのかというような意味の事柄を拒否権という言葉で表現されておるようでありますが、国際法上従来の慣例から見て拒否権という言葉自体が持っておる特殊の意義がありますから、私はその言葉を使わないだけであります。国民が知りたいこと、心配している事柄は、一体協議に際して日本がノーと言えるのかどうか、協議されればそのまま従わなければならないのかどうかということであって、その場合にノーとはっきり言い得る。そうしてノーと言った場合に、アメリカはそのノーにかかわらず行動ができるのじゃないかということに不安を持っておる、それはできないというのが交換公文の事前協議の法律解釈でございまして、そのことをただ私とアイゼンハワー大統領の会談におきましてさらに確認したということにすぎないのであります。
○今澄委員 要するに拒否権はないのですな。あなたはここで拒否権があるとどんなに私が追及しても言えないというそのことは、法律的な国際法上の拒否権というものは日本にないのだ、私はこう解釈するが、よろしゅうございますか。
○岸国務大臣 私が申し上げているように、協議の場合にノーと言い得る。ノーと言った場合に、相手方がこれを行動しないということを、あなたの言っているように拒否権という言葉で表現するとするならば、拒否権があると申し上げてよろしいのです。私は、しかしながら、拒否権という言葉が国際法上別の意義を持っておるがゆえに特に使わないだけでありまして、あなたの言われるような常識的にいわれるなら、あると申し上げて差しつかえないと思います。
○今澄委員 あなたは拒否権は今あると言った。私はここで最後に聞くが、あなたは臨時国会では拒否権々々々とここで言っておったのですよ。ところが今度条約を調印してきて政府で打ち合わせをして、いやその拒否権については疑義があるというのですね。あなたが臨時国会で言っておった拒否権というのと、今言った常識的拒否権というのはどこが違うか、ちょっと教えていただきたい。
○岸国務大臣 私は、これは政府が一貫して申し上げていることだと思います。拒否権という言葉を特に使わないのは、拒否権ということが今申すように法律語として国際法上一つの意義を持っているということを頭に置いて考えておる。しかし常識的に申して、今お話のような拒否ができるかどうか、拒否した場合にアメリカがこれに反した行動はできないのかどうか、日本の拒否に縛られるかどうかというような意味において、それは日本が拒否もできるし、拒否した場合においてはアメリカがこれに反した行動はできないという意味のことを拒否権という言葉で常識的に言うならば、私はそれはあるということを明瞭に申します。これは終始一貫われわれが政府として御答弁申し上げていることで、少しも矛盾はございません。
○今澄委員 とにかく臨時国会においてあなたが言われたその拒否権と、今言われた拒否権とには、いろいろ制限のついた拒否権だな。だが、制限はついているが拒否権はあるとこの委員会で一応あなた言い切ったのですから、これについては非常に明らかになったと思う。ただその拒否権は、あなたは前にいろいろ注釈をつけたが、もし国際法上、法律解釈上拒否権というものがあった場合は、今あなたの言ったそのいろいろ解釈をつけた拒否権というものは、それと同じものであると解釈してよろしゅうございますか。
○岸国務大臣 大へん失礼ですが、私ちょっと質問の意味を理解できませんから、もう一度どうぞ。
○今澄委員 今私が聞いたのは、拒否権があると言った。拒否権についてはあなたはいろいろ定義をつけた。定義をつけたが、もし国際法上、法律解釈上拒否権というものが厳然としてあるとすれば、今あなたの言ったその注釈をつけた拒否権と、国際法上の拒否権との間はどこが違うか、これは同じものだと思うが、どうです。
○岸国務大臣 国際法上拒否権を使うということは、多数の決議に対して一部のものがこれを否認するというようなことや、あるいは何かきまったことを第三者がこれを拒否するような場合に、拒否権、ヴィトーという言葉が用いられることが一般の法律観念のようでございます。二人の当事者の間において協議し、合意をする場合において、一方がこれに反対するとか、合意に達せないというような、ノーと言ったような場合を拒否権と言っているようなことは、私は従来の観念としては用いておらないように思います。従って私は拒否権という言葉を従来用いておらないのでありますが、しかし二人の間において、当事者の間において一方がノーと言い、そうしたときに相手方がこのノーということに縛られるかどうかという意味を、拒否権という言葉でもって先ほどから今澄委員は御質問になっておるようでありますから、そういう意味においては拒否権があるということを申し上げておるのであります。
○今澄委員 やや明らかになりました。これは一応、二者の協議においては拒否権はあり得る、こういうことになりましたから、今度あとは拒否権についての法律的な解釈、一体拒否権というものは外交上のいわゆる拒否権というものと、国際法上における拒否権というものとは私は違うと思うが、時間がありませんので、もっと具体的な問題に一つ移ります。 ついては、この交換公文によって事前協議の対象となるものをきのう三つ、四つ総理はお答えになりました。きょうは私は、次は内容について具体的に聞いてみたいと思うのです。米軍の日本国内の配置における重要な変更、米軍の装備における重要な変更、二つありますね。そうすると、これは外務大臣に聞きましょう。まず、米軍が日本に増強される場合、これは私は考えてみると当然協議の対象になると思うが、在日米軍が減少する場合もこれは事前協議の対象となるかどうか、外務大臣から一つ。
○藤山国務大臣 配置の場合におきましては、大部隊が入って参ります場合は事前協議の対象になります。撤退の場合にはなりません。
○今澄委員 私はおそらくこの事前協議の中には在日米軍が減るということ、在日米軍が日本からどこかよそへ配置がえになって減るということ、そういうときは事前協議の対象にならぬのだろう、かように思っておった。しかしこれは大きな一つの問題点ではないですか。私は日本における在日米軍の増加の場合も減少の場合も、これは配置における重要な変更ですから、当然減少の場合も配置における重要な変更であって相談がなくちゃならぬ。なぜ減少の場合は相談がないのですか。
○藤山国務大臣 アメリカ軍の移動に関しまして、日本に大部隊が入りますときには、日本はそれらのものに対して相当の施設その他のことを考えて参らなければならぬときもございます。従って事前の協議を経なければならぬと思います。しかし撤退の場合はその必要がないのでありまして、従って事前協議の対象にはならないのでございます。
○今澄委員 このことは国民にとって重大な影響があります。これはやはり、戦争にはならぬが非常に緊迫したときに、日本の部隊が韓国に移り、日本の在日アメリカ軍隊が沖縄に移り、多く変動する場合において、これが事前協議の対象にならぬのでは、これは大へん大きな抜け穴で、まるっきり話にならぬと思うのだが、ちょっと具体的事実を一つ一つ聞いていきましょう。もう一つ聞きたいのは、日本国内における米軍の配置がえ、その米軍の配置がえもどんな配置がえもみな事前協議の対象になるのか、小さな配置がえは対象にならぬのか、その大きなのと小さなのとの配置がえの区別は一体どこでつけるのか、これは外務大臣にちょっと聞いておきたいと思います。
○藤山国務大臣 在日しております米軍の日本の国内における配置というものについては、協議の対象になりません。
○今澄委員 そうすると、在日米軍が、国内では、北海道から九州へというような大移動をしても、国内における在日米軍は、事前協議の対象にならず、自由に動けるわけですか。
○藤山国務大臣 むろん、御承知のように、今度の条約におきましては、あらゆる場面において協議をいたします。同時に、今度の条約でも、実施に当たります委員会ができます。それと同時に、防衛当局とアメリカ軍との間にも委員会ができますから、常時それらのものについての連絡と交換はいたしております。また、その移動によりまして何か影響をこうむる問題につきましては、むろん平生の協議をいたしていくわけであります。しかしながら、ここに書いております事前の協議の対象にはなりません。
○今澄委員 そうすると、この国内の配置における重要な変更というのは、在日米軍がふえるときだけ相談があるということが明らかになりました。 もう一つお聞きしたいのは装備における重要な変更というのですが、これは核兵器が問題ですが、今核兵器は、一トン爆弾の積める飛行機なら、みなこれは積めるのですが、核兵器の持ち込みは、これは事前協議の対象になり、政府はそこで拒否をする、こういう考え方ですか。
○藤山国務大臣 核兵器については、むろん事前協議の対象になります。
○今澄委員 まあそこで拒否をするのだということも、ついでに言うてもらいたかったのだが、しからば、核兵器を運搬する運搬兵器、これについて一つ一つ、これは大事なことですから聞いておきたいと思うのですが、ICBM、IRBM——長距離弾道兵器、中距離弾道兵器等が、将来日本に置かれる——これはたとい核弾頭をつけていなくても、運搬兵器ですから、この場合は事前協議の対象になりますか。
○藤山国務大臣 核弾頭につきましては、あらゆる場合に事前協議の対象になること、当然でございます。それからミサイルにつきましては、核弾頭を持たないミサイルにつきましては、長距離、中距離のものは対象になると思います。それから、ミサイル基地の建設につきましては、これは、なります。
○今澄委員 長距離、中距離がなるということを見ると、これは短距離のはならぬのですな。そうすると、私はここで、短距離のいわゆる核弾頭兵器といわれるナイキ・ハーキュリーズ、それからボマーク、それから八インチ以上の原子砲、それから核弾頭のオネスト・ジョン、原子力潜水艦——これは第七艦隊の原子力潜水艦はポラリスを積んでおります。これはいずれ第七艦隊へ配属されれば、横須賀に入港しましょう。入るわけですね。それでは、こういうものは、すべて事前協議の対象になりませんか。これは大事なところですから一つ……。
○藤山国務大臣 今申し上げましたように、核弾頭につきましては、全部対象になります。それから、輸送兵器と申しますか、そういうものにつきましては、核弾頭のないものにつきましても、持っておらぬものにつきましても、大中距離のミサイルにつきましては、事前協議の対象になります。
○今澄委員 どうもはっきりしなかったが、短距離の、今言ったナイキ・ハーキュリーズも、これは核弾頭もつけ得るし通常弾頭もつけ得るのであって、これは近距離のあれです。こういうものが、核弾頭がついておらなければ、中距離までは事前協議の対象になるが、短距離のものは事前協議の対象にならぬということは、今度の条約の私は大きな問題点だと思いますね。核弾頭というのは、広島に落とした爆弾を巡洋艦が積んできたように、向うの船か何かで持ってきても、飛行機で積んできても、戦争のときには飛行機でくれば一瞬のうちにつけ得るものですから、そういう兵器が持ち込まれるときに事前協議の対象にならぬということがはっきりしました。 論争はあとに譲ってもう一つ聞きます。戦闘作戦行動というのがありますね。この戦闘作戦行動は、上へ戦闘という字がついたのですが、いかなる場合が戦闘作戦行動で、いかなる場合が移動補給であるか、この判定もなかなかむずかしいが、そうすると移動補給は、これははなから戦闘作戦行動には入らぬのですね。これはケース・バイ・ケースでそのときどきに相談をして、あるときは入り、あるときは入らぬというのか、一貫した何か規定がありますか。
○藤山国務大臣 日本の基地から戦闘に出ます場合は、当然これは事前協議の対象になります。補給につきましては対象になりません。しかしその間に中間な関係があると思います。それらのものについては、その戦闘作戦に直結しているものについての問題については、当然事前協議の対象になると思います。
○今澄委員 まあ一朝事があると思って、岸内閣としてはこういう相互防衛条約を結んだわけでしょう。さすれば日本を基地として、補給作戦で、たとえば朝鮮に動乱が起きて出動すれば、敵の攻撃を受けることは、これは当然なんです。そういうときに事前協議の対象にならぬということも、これは大へんな大きな問題だと思います。これは私は限られた時間の中で論争をしようとは思いませんが、この日米安保条約というものの詳細な掘り下げをしてみるというと、多くの疑問な点があるということがわかりました。 私はもう一つ、これは今まで言われておらぬことを聞きたいのだが、安保条約第六条の実施に関する交換公文では、事前協議に関する事項を示しておるが、その中にカッコして第五条に関する作戦行動を除くと、こう書いてある。これは総理大臣にお聞きしたいのですが、その第五条に関する作戦行動を除くというのは、これはどういうわけで除いたわけですか。
○岸国務大臣 第五条の場合は、日本の領土が直接に侵略されたという場合でありまして、その場合の行動は日本は自衛権の発動としてやり、またこの安保条約の趣旨からいって、米軍が直ちにそれの侵略を排除することに行動することは条約上の主たる義務になっておりますから、これは事前協議の対象ではない、こういう意味であります。
○今澄委員 そうすると簡単に言えば、これは日本防衛に関する日米共同作戦、私が一番問題にしておるのはここなんです。すなわちそのアメリカの基地が日本にあるから、諸外国がその基地を攻撃するわけだ。ところがその攻撃がそのまま、日本固有の自衛権の発動によって日本は戦争するのですから、日本が必ずしも攻撃されたときとは限っておらぬのです。これは日本が攻撃されたときと同じことなんですから、そうすると日本防衛に関する日米共同作戦という一番重大な問題がこの事前協議の中にないということは、これは大きな問題ですよ。万一日本に駐留する米軍が攻撃されたときに、これが日本に加えられた攻撃として日本が実力行使を発動するのだが、その実力発動をするときに、一体これはだれが日本に加えられた攻撃であると判定をするのですか。その判定者はだれですか。これは事前協議も何もしておかないで、どうなんです、だれが判定しますか、そのとき。
○岸国務大臣 米軍の基地は日本の中にあるわけです。従って日本のこの基地が攻撃されるということは日本自身が攻撃されることであって、だれも判断する必要はないのですよ。日本自身の領土が侵略され、攻撃されておるこの事実に対して日本が自衛権を発動し、アメリカがこれに対してやはり共同してそれを排除するということは当然だと思います。それから一般的に四条におきまして、日本の安全が脅かされておるかどうかというようなことについて常時協議することは当然であります。
○今澄委員 一番大事なのは日本の防衛をどうするかということです。アメリカの方の要望の方は向こうのことなんです。肝心かなめの日本の基地が攻撃された場合に、それは大規模の場合もあれば、取るに足らない小規模の場合で、これならば何も立ち上がらぬでもいいという場合もある。外交上の抗議や何かで片づく場合もある。それはいろいろな場合がある。そういう場合に、これは実力行動で日本が立ち上がらなければならぬのだ、これは外交上の問題で抗議を申し込み、話し合いで片づけるのだという判断はだれがするのですか。
○岸国務大臣 その大きさいかんにかかわらず、現実に実力をもって侵略が行なわれれば、実力をもってこれを排除する、その場合に小さいものであれば小さい実力でいいでしょう。しかし、実力をもってわれわれが侵略された場合に、実力をもってこれを排除するということは、日本の自衛権の本質からくるものであります。
○今澄委員 そうすると、もう一度聞きたいが、しからば、わが日本のアメリカ軍基地が攻撃を受けたときに、日本が実力行動をするかどうかというその判定者は交換公文にいう日米安保協議会なのか、それともそのほかの、また別の機関があるのか、一体だれがこれを認定するのですか。
○岸国務大臣 協議機関として設けられておるものは、いろいろな運営上の事項を協議する機関でありますが、今の、現実に侵略があった場合にそれを排除するということは、日本が自主的な立場から、自衛権を持っておりますから、日本みずからがきめる問題だと私は思います。
○今澄委員 そうすると、在日アメリカ軍基地が攻撃された場合は、アメリカ関係の軍司令官やその他の権限ではなしに、その認定というものは日本の総理大臣の権限にかかっておるのですか。この点は明らかでないが……。
○岸国務大臣 日本が侵略された事実というものを現実に認めるのはそのときの政府である、そしてそれが防衛出動するというような場合において、国会の承認とか、いろいろな国内法上の問題は起こってきましょうけれども、その事実そのものは、日本がきめるとするならば、そのときの政府がこれを認定する、こういうものだと思います。
○今澄委員 竹島だって今韓国に占領されています。国家の主権は侵されています。けれども、日本は外交折衝しておって——赤城防衛庁長官は辻政信君の質問に答えておるけれども、あんなものは大うそで、何ら出動しておりません。現にわが国の主権が侵されておるが、出動していないのです。これは好個の例じゃないですか。しかりとするならば、日本におけるアメリカの基地に暗夜スパイが入ったとか、あるいは小さな攻撃であったとかいうような場合に、これは事前協議の対象になっていないから、私ははっきり聞いておきたいのだが、それはすべて日本の総理大臣の認定でやれるわけですね。
○岸国務大臣 日本政府が責任をもって決すべき問題だと私は思います。
○今澄委員 わかりました。そうすると、日本防衛というものは、アメリカ軍と日本の自衛隊とが共同作戦をやって日本の防衛に当たる、こういうことになるでしょう。そういう場合においては、その共同作戦は単一の指揮によるのか、それともアメリカはアメリカだけが指揮し、日本は日本だけが指揮するのか、その間の情勢は、こういう重大な条約を結ぶにあたっては当然協議されておると思うが、総理から返事を聞いておきたいと思います。
○岸国務大臣 建前としては、日本の自衛隊の指揮は日本でやりますし、アメリカ軍のなにはアメリカでやります。この間の連絡については適当な方法を講ずべきだと思います。
○今澄委員 ところがあなたはそう言うけれども、レーダー・サイトをアメリカから今度全部日本に返還されるときのう赤城防衛庁長官は言いました。このレーダー・サイトによって得た航空情報で日米両方の空軍が動くのです。アメリカが別に日本にレーダー・サイトを持っておるわけではない。だから、最も戦争で必要な空軍というものは、あなたの言うたようなそういう二つの動きができない。単一指揮によらざれば実際の戦闘は不可能なんです。現実にレーダーサイトから出る、どこへ行け、どこへ行けというのがみな一本なんですから、しかりとすればその単一の指揮の際はアメリカ側がとるのか日本側がとるのか、この点についてもこれだけの条約を結ぶにあたって相談があったと思いますが、どうですか。
○岸国務大臣 建前は先ほど私がお答え申し上げた通りであります。レーダー・サイトの問題は、一つの正確な情報をつかむということでありまして、これに対して同じソースからそれをとるということだけでありまして、指揮そのものには関係はありません。
○今澄委員 それは赤城さんが聞いたならばふき出しそうな答弁だが、レーダー・サイトというものはここで全部の作戦行動、その他空軍のことはきまるのです。そんな情報や何かというものではないのです。こういうときに指揮系統が一本になったときは、一体どちらがその指揮をするのかということは大へんな問題なんです。だから、こういう重大な問題についても、一つもこの国会で答弁ができないということはまことに残念ですが、私はこの際赤城長官に聞きますが、レーダー・サイトが返還された後における日米共同作戦は、日本側防衛庁が単一指揮をとるとここで言明ができるなら一つしていただきたい。
○赤城国務大臣 総理が答弁した通りでございます。
○今澄委員 私はあとでこの条約に関して日本の防衛の現実を内閣に一つ質問をしたいのだが、私はこういうことを国民の目をおおうて条約を結んではならぬと思うのです。少なくとも以上申し上げたそういういろいろの問題を私が検討してみると、安保条約に基づき、政府は日本の防衛のための日米作戦計画について、当然日本とアメリカの責任ある軍事当局者による委員会を作らなければそういうことはできません。しかりとするならば、この条約が相談される途上において軍事専門委員会というものが出てこなければならぬ。それが交換公文を見てもどこを見ても全然出ておりません。少なくともこの交渉をするにあたって、そういう軍事的な責任者が組織される軍事委員会というものは当然できなければ、どちらが指揮をとるのか、その共同作戦はどうなるのか全然わからないが、これは隠してあるが、総理大臣、一体その間の事情はどういうことになっておりますか。
○藤山国務大臣 御承知のように、今回の条約全般につきましては協議事項もございます。従って日米委員会におきまして全般の問題について協議して参ります。しかしながら、軍事上の問題についてはやはり連絡協議をして参りますことは当然でありまして、それらの委員会というものは、将来できることになろうと思います。
○今澄委員 藤山さんはできることになろうと思いますと言いました。軍事専門委員会というものは、この条約が批准せられれば大体できることに、あなた方は話し合いをしておるのでしょう。フェルト太平洋方面総司令官並びに在日米軍司令官その他向こうの軍事責任者、日本の林統幕議長を初めとする軍事責任者が軍事専門委員会を作らずして、どうしてこの共同作戦ができましょう。だから外務大臣は、それはそういうものを作ることに話し合いできまっておるということを、ここであなたは正直に国民の前で答弁をされる必要があります。
○藤山国務大臣 私は、できることは当然だと思っておりますけれども、今形の上でどういうものができるかということの話し合いをいたしたことはございません。これは今後の防衛庁当局とアメリカ軍との間の話し合いになるわけでございます。
○今澄委員 そこで私は、とにかくあなたが今作ることになろうと思いますと言われましたが、私の情報では作ることに決定しております。だからあなたはそれをよう否定しないのでしょう。少なくともこれをこの国会に報告をしない最大の理由は、この条約が軍事条約であるということを国会で審議され、これが軍事条約であるということを国民に批判せられることをおそれて政府は隠しておるのじゃないですか。そういうふうな政府のこの条約審議に対する態度そのものが私は非常に問題だと思います。その問題について岸さんに聞くことは遠慮しておきましょう、これは大事な問題ですから。だがしかし、少なくとも政府はこういう条約を国会に出すのに、そういう軍事条約をやるということに了解を持っておりながら、これを報告せぬということは、私は大問題だと思うのです。少なくともそういうことがないならば、それはないのだ、作らないのだ、こういう答弁ができるはずでしょうが、今藤山さんはそれは作るんだと言った。もうその一言で、ここに軍事特別委員会ができるということがはっきりしております。 もう一つ、これは経済的な問題もやるようなことを言っておるが、先般足立全権が経済界の代表として、いかにも軍事条約でなしに、経済的な問題も含めているというようなゼスチュアを見せて行きましたが、経済的協力も何か委員会か何か取りきめがありますか、経済的な専門委員会というものがありますか、藤山さんこれもちょっと一つ……。
○藤山国務大臣 現在経済委員会というようなものの取りきめはございません。
○今澄委員 そこで、経済的な専門委員会はない。軍事的な専門委員会の方は作る。私は本条約が純然たる軍事条約であるということを、これはもう国民も了解をするだろうが、明らかにしておきたいと思います。少なくとも経済的な専門委員会、軍事的な専門委員会、それが両方あって、そうして集団的な地域的な取りきめというものが行なわれるのです。ところが日本の場合はもう幾らあなた方が言われようとも、これは純軍事的な軍事条約の様相を帯びておる。 最後に岸さんに聞きますが、この安保条約のそういう軍事的な性格、それから軍事専門委員会の、今私の申し上げましたような構想、これは重大な問題です。総理はこの安保条約を国会の審議に出すにあたって、そういったすべての問題を国民の前に明らかにして、そうして国民をいいくるめ、国会をいいのがれるのではなしに、日本の運命をかけるこういう条約というものについては一体国民の意思はどうなんだ、そしてこれはこういうところとこういうところに不利かあるが、この不利は日本は甘んずるのである、こういう率直な説明をして、日本国民にこれらの重大な問題を教え伝えるべきだと思いますね。だから私は、もう全然まる裸で、日本の防衛などについては、てんから無用論を唱えるという立場ではなしに、ほんこうに実際今の国際情勢の上で日本の防衛についての必要なところはどこどこなので、世界的な戦争についてはアメリカ軍なりその他の軍隊がこういうことをしてくれるのだ。日本の国内に上陸してこれこれの問題については日本の部隊がこうやるのだ。しかもそれについてはこういう軍事委員会ができてこうだから安心しろというような、正直な、そうして国民の納得する説明を私はこういう条約の審議にあたっては総理大臣としてはなさるべきものと思います。これに対して岸さんの一つ見解を聞いておきたいと思います。
○岸国務大臣 私が従来しばしば申し上げているように、この条約の審議には、国会を通じて、疑問とされ、また論議のある点は十分に審議を尽くして、そうして国会を通じて国民にこの条約の真の意義を理解してもらって、その協力のもとに批准を得たいということを申しておるのは、全く今今澄委員のおっしゃる通りでありまして、われわれはあらゆる機会にあらゆる場面においてこの条約の本質を明らかにいたすように努めたい、かように思います。
○今澄委員 そこで赤城防衛庁長官に私は、この日米安全保障条約とうらはらをなす日本の陸海空三軍の自衛隊についてお伺いをしておきたいのであります。 私がまず冒頭赤城さんに申し上げたいことは、国防会議できまった日本防衛の基本方針なんというようなものは、繰り返し繰り返し読んでみたが何のことか全然わかりません。こんなことはどこの国でも、国の経済力に見合うてその国の軍備を作るなんということはどこでも同じことであって、こんなものは作文で何にもならぬ。ただ私があなたに聞きたいのは、一体日本の自衛隊というのは世界大戦のような大動乱においても日本を守ろうという構想の上に立っておるのか。そういう大きなものはこれは全然日本は関係しないのであって、日本の国内における治安の問題あるいは日本の間接侵略の問題、そういう問題だけに日本の自衛隊というのは限ろうとしておるのか。一体日本の自衛隊の防衛の基本的な考え方、たとえば、海軍は海上自衛隊という名前を使っておるが、大蔵省は、日本の近海防衛だけで予算は十分だと言うし、防衛庁はサイパンまでやはり護衛しなければ四百万トンの日本物資輸入について工合が悪いと言って、大蔵省と防衛庁で年中論争しているじゃありませんか。しからば、一体日本の海上自衛隊というのはいわゆる近海護衛だけを任務として作ろうとしておるのであって、小笠原までやればいいのか。それから先はアメリカ軍がやってくれるのか。あるいは日本の空軍は一体どこを守るのか。陸上自衛隊も一体どういう任務があるかということについて、国民はいまだ一度も防衛庁長官から聞かされたことがないのであります。私は、日本陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の三自衛隊は、アメリカの駐留軍隊と見合っていかなる任務といかなる目的を持っておるかということを、防衛庁長官からここで一つ具体的に聞いておきたいのであります。
○赤城国務大臣 お答えいたします。世界の軍備といいますか国防、これはかつては相手方を侵略し、相手方を占領する、こういう構想のもとに行なわれておったと思います。しかし御承知のように、核兵器とか誘導兵器の発達によりまして、この軍備というものの性格が世界の大戦を抑制するといいますか、世界大戦を起こさない抑制力としての軍備に変わった、こういうふうに私は観念しております。そういう点におきまして、世界的に大国が戦争の抑制力を持って今戦争を抑止して、平和でいこうということになっておりますが、日本の自衛隊も小さい力ではありますが、力なりに戦争を抑制するといいますか、戦争を抑止する力を備えて日本の安全と平和を守っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。 そこで世界大戦、全面戦争というものが起こる可能性というものはまずない、こう見て差しつかえないと思います。しかし局地的な紛争、局地的な戦争、これは起きないという保証はありません。いろいろ局地的には対立している基本の問題が解決しておりませんから、こういう問題の解決がない限り、局地戦争あるいは局地の紛争というものが起こらないという保証はないわけであります。そこで日本の自衛隊としての戦争抑制力といたしましても、世界大戦に対してその抑制力をになうという力は持っておりません。もしそういうことがありますならば、大国の報復力等によって世界大戦を阻止するということにたよらなければならないわけであります。ただ局地的な紛争、局地的な戦争に対しましては、日本の自衛力の最大の力を発揮しまして、その局地戦が起こらないように、局地紛争が起こらないように、起きた場合、それを直ちに消しとめるといいますか、これを解消するような方向に持っていかなければならない。これが日本の自衛隊の役割だと思います。そういう意味におきまして、今の陸海空等についてどういう役割を果たさせるか、こういうことであります。 陸海空三自衛隊におきまして、日本の地理的状況、これはソ連とか中共に接しておるという状況ばかりでなく、日本の島国的な領土の狭い地理的状況からいいまして、一番大事なことは、空からの直接あるいは間接の侵略に対して、これをはね返す力を備えておることが必要であります。こういう意味におきまして、日本で大陸間弾道弾とか中距離弾道弾とかあるいは近距離弾道弾とか、こういうものを備える必要はないと思います。しかしながら局地的な紛争あるいは直接侵略に近いような間接侵略等に対して対抗するには、空を守っていくことが大事である。ことに領空侵犯というものが相当あるのであります。領空侵犯に備えてあるいは空を守る、こういう意味におきまして優秀なる有人戦闘機を作る、こういうことでロッキードを採用しております。 その次に大事なのは、やはり海の輸送関係あるいは潜水艦等に対処してそういう備えをしていくということが、一つの戦争抑制力に相なろうかと思います。そういう意味におきまして、海の方におきましては潜水艦に対抗するたけの装備、あるいは機雷等が始終流れてきております。また海峡を封鎖するということのないように、機雷に対する対策を講ずる、こういうのが海の方の主たる目的であります。 陸の方におきましては、大体陸の方を占領されるというようなことはあまり考えませんけれども、しかしそういうやすやすと占領できるような空虚を与えるということは、日本のために避くべきことだと思いますので、日本の陸上自衛隊といたしましても装備の近代化等をはかり、また効率化をはかっていく。こういうことが私どもの考えの基本的なものであります。 そこでよけいなことかと思いますが、日本にアメリカの基地を与えておるということは、戦争に巻き込まれるおそれがあるのじゃないか、こういう御議論があります。私どもは戦争抑制力としての私どもの考え方からいたしますならば、基地を置くことがむしろそういう局地戦とかあるいは全面戦争になることを押える力になっておるので、そのことが戦争に巻き込まれないことだ、こういうふうに確信しておるのであります。
○今澄委員 大体大東亜戦争のときも、日本でアメリカ軍が上陸するところとすれば、九十九里浜、駿河湾、有明海ということで、当時の日本の軍隊がここらの上陸阻止作戦を立てたことはあなたの知っている通り。今日本がソ連と接するところは北海道、北海道では一昨昨年の大演習で釣ざお事件などあって、私はここであなたに聞いたことがあるが、五万五千の陸上自衛隊が北海道におって、しかもそのときの演習は落下傘を降下させて、いわゆるソ連から落下傘部隊がおりたという想定を流して、それに対して大へんな演習が行なわれたことは、赤城さんもよく御承知の通りなんです。今陸上自衛隊十七万幾らのうち五万五千が北海道で、しかもその北海道の七混の装備を見ると、今まであるものはそのままだが、これからふやすのに中特車が四台できている。三十五トン、これが大体戦車としてその中核ですね。それから戦車ミサイルのATM、これは川崎航空でできることになっているが、こういうものがあって、北海道で非常な演習をおやりになりました。アメリカからよこしたM4という三十三トンの戦車、これはだいぶ古くなって部品もない。五割くらいは老朽化しているようですが、少なくとも新しく日本が戦車を作るときに、橋が大体十二万日本の全国にある中で、私の調べたところでは、その中でしっかりした橋は一割くらい、あとは全部十トン以上のものは通れない橋なんです。一割しかないとすれば、全国をそんな戦車が移動することはないのですよ。そうするとそれはもう東京に使うといっても使えない、九州に使うといっても使えない。大陸作戦あるいは北海道の平野、富士のすそ野ぐらいしか使えない戦車を日本が新しく作ろうということは、日本の陸上自衛隊の目ざす戦略というものは一体何なのか。また局地戦で向こうが落下傘部隊でおりるとか、海上から上陸するとかいうのに対して機動力あるペントミック的な軍隊を作ろうというのなら、十五トンぐらいの戦車でなければならないのに、新しく日本が作る戦車も三十三トンの大陸用の大中戦車でなければならないという理由はどこにあるのですか。陸上自衛隊があなたの言われるように世界戦争の抑止力にはならない。日本が直接局地戦でやられたときにこれに対応するというのなら、そんな日本の橋も通れないような全然移動もできないような戦車をどういうわけで作るのか、私はそれを伺っておきたい。
○赤城国務大臣 ただいま御引例のようなことはあります。しかし戦車にいたしましても、私どもは軌道の非常にいいものを技術研究所でも研究しておりますし、またアメリカからの供与にたよっているものもあります。そこで道や橋が通れないものは無用じゃないかということでありますが、こういうものにつきましては迂回の方法もありますし、いろいろな方法をもって十二分に動かす方法をとっている次第であります。また陸の関係からいたしますならば、相当研究の上そういう戦車が日本の陸地に対して必要であり、有効である、こういう立場において採用しているわけであります。
○今澄委員 私が軍事専門家に調べてもらったところでは、日本が新しく作ったその三十五トンの戦車というのは、ソ連の戦車が前面の装甲板が十二センチ、百ミリの大砲を積んでいる。これに対抗するためにはどうしても九十ミリの大砲を積まなければならぬ、そのためには積載量三十五トンの戦車でなければならぬということで、日本の橋のうち九割は通れないようなこういう戦車を作っておいて、しかも日本の陸上自衛隊が、いわゆる局地戦において日本に上陸したものを迎撃するのだというあなたの答弁は、いかにも矛盾撞着に満ちてはおりませんか。私はこういうところにこの条約の法律論でなしに、日本が海外派兵しないとか、やれ何とか言われますけれども、一体しからばその戦車はどこで使うのだ。しかもアメリカが貸与したというのならこれはわかる。古手ですからこれは何でもいいが、新しく日本が作るものがどうして二十五トンの戦車でなければならぬかということについては、赤城さんもう一ぺん国民が納得できる答弁を願いたいと思います。
○赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、戦争になったらということよりも戦争を抑制する、こういう立場に立っております。そういう立場から日本の装備をいたすにつきましては、日本の陸上自衛隊として最も適当なものでなくちゃならぬ。技術的な点におきましていろいろ御意見がありましたが、こういう点につきましては技術研究所におきましてもあるいはまた陸上自衛隊においてもそれぞれ研究をさせております。非常に参考になると思いますが、今採用していることが間違っている、こういうふうには考えておりません。
○今澄委員 私はその他いろいろ武器があるが、時間がないから申しません。 次は海上自衛隊ですが、海上自衛隊は大体第七艦隊、横須賀駐屯のアメリカ海上部隊の補助勢力として日本の海上自衛隊はできた。そのときの日本の海上自衛隊の任務はいわゆる護送です。これは内海護送。大蔵省は小笠原までといっておるが、防衛庁はサイパンまで護送するといっておる。ところが今度の条約を見ると、沖縄の、これは防衛範囲には入れないが、いざ戦争というときは日本から物を送り、向こうから避難させるというのですから、これもやっぱり護衛をするということに日本の海上自衛隊が当たるのかどうか。海上自衛隊が任務とするところは、そういう日本の国民のいざというときに四千万トンの食糧が要るから、それを海上自衛隊は護衛で守ろうというのでしょう。もっと国民にあなたは、海上自衛隊は何をするのだということをはっきり言うた方がいいと思うのだ。海上自衛隊は近海護送だけなのか、サイパンまで護送するのか。もう一つは、潜水艦を今度海上自衛隊が作るが、潜水艦というのは今までは向うの商船を襲撃する攻撃兵器だった。そういう攻撃兵器を自衛をすべき日本の海上自衛隊がこれから持つというのは一体どういうわけなのか、この点について一つはっきりした答弁を防衛庁長官から聞きたい。
○赤城国務大臣 海上自衛隊の任務といたしまして、護送を担当するということはお話の通りであります。護送の担当もいたします。それから潜水艦——昨年一隻作ってことし予算に二隻計上したのであります。これは商船をやるということではなくて非常に日本の近海に潜水艦が跳梁しておりますから、そういうものに対しまして、対潜水艦としての潜水艇でございます。
○今澄委員 私は海上自衛隊においても大きな疑点があるのは、その潜水艦なんです。大体ソ連のウラジオストックに中距離弾道兵器を積んだ潜水艦が二百数十隻あることはもう世界の常識なんですよ。それがいざ対戦というときは、日本海から出て太平洋を渡ってアメリカの西岸から海底を行く空母として、いわゆる海底の弾道兵器としてこれがアメリカを攻撃することがソ連の戦略であることは、私が言うまでもなくあなた御承知の通りなんです。だから今まで日本国民の生活安定のために海上護送の任務にあったわが日本海上自衛隊が、今度は宗谷海峡、津軽海峡、対島海峡を押えて、ソ連潜水艦が太平洋へ出られないような任務を日本の海上自衛隊が日米共同作戦で負わされるとするならば、これはやはり私は日本の海上自衛隊が自国の防衛だけでなしに、大きく世界の大戦の一翼をになうことになるのであって、あなたがさっき言うたあれと違うのではないか。しかもその海上護送は一体近海護送——あなた言わぬが、防衛庁の海上護送は日本の近海護送、小笠原までなのか、それとも防衛庁はサイパンまでやる方針なのか、これを明らかにしなさい。それからもう一つは、そういうソ連の潜水艦に対する最新のいわゆる一万メートルもレーダーのつながる新しい潜水艦による対潜潜水艦というものを、日本の防衛庁は作ったのではないか。そういうソ連のウラジオストックに対する日本の海上自衛隊の考え方、海上護送についての考え方は明らかでない。もう一ぺんちょっと御答弁を願いたい。
○赤城国務大臣 護送の距離でありますが、何も近海というばかりに限ったわけではございません。そういう事態に即応して、もう少し先まで出ていくこともある。それから潜水艦によりまして海峡をどうするか、また海峡を封鎖されることは、日本の安全に大きな影響があります。でありますから、今度の共同作戦ということでなくても、日本自体の問題として、海峡を封鎖されるということ、あるいは港湾を封鎖される、こういう点に対しましては対処する方法をとらざるを得ないのであります。これは決して共同作戦という意味でなしに、日本自体の立場からいいましても、そういう措置を講ずるということは当然だと思います。
○今澄委員 とにかくもう少し私は国民に、今憲法の隠れみのになってできている陸海空三軍、自衛隊の実状を国民にもっと明らかにしたいと思うのですが、時間がありません。そこで重要な点を一つだけ赤城さんに聞いておくが、あなたの方は今度二千六百トンの警備艦を本年度の予算を見るというと載せている。だがそれに載せる肝心のターターというミサイルは、この間新聞にも出ておったが、四十何億とか。船の方が二十七、八億で、載せている誘導弾が四十億というのですから大へんなアンバランスではあるが、私はあなたの方で計上したターターは本年契約、昭和三十四年度契約にターターの方はなっておると思うのだが、どうです。
○赤城国務大臣 ターターの方は三十四年度の予算に載っております。これは振りかえ——金の振りかえもありまするし、また器材の振りかえ、こういうことによって三十四年度の予算の末までにはそれをやっていくということにいたしたい、こう考えております。
○今澄委員 私はターターというような誘導弾を載せるというのは、ほんとうは海上自衛隊がどういう作戦任務についているから載せるのかということを国会に報告をして、それで四十何億もするようなミサイルを積んでいいかどうかということをやっぱり国会が審議しなければならぬのですよ。ただそういうような時間がないから申し上げませんが、三十四年度の予算のどこを調べても、三十四年度防衛関係の予算の中で誘導兵器に充てるべき予算の費目は見当たりません。あなたはどこの費目をこれに流用したのか、ちょっと御答弁を願いたい。
○赤城国務大臣 三十四年度の経費の中で——三十一年度甲型警備艦の主砲の換装であります。四門ばかりあるのであります。歳出で五億三千六百万、国庫債務負担行為で十億七千二百万、この計が十六億になります。それから二十八年度の甲型警備艦のレーダーの換装、これが四基あるわけであります。これは器材費であります。この器材と、前に申し上げました警備艦の主砲の換装の経費、この両方で振りかえ、組みかえといいますか、これを使ってターターを装備した、こういうことになっております。
○今澄委員 あなたは今三十四年度の予算ではじいたと言ったじゃないか。三十四年度の予算、通信器材購入費の中、七億円をタ一ター契約の予算として、あなたの方ははなから予定しておったのじゃないか。あなた答弁が支離滅裂じゃないか。どうなんです。三十四年度の通信器材購入費の中に七億円がターターの購入費としてあなたの方では考えておったのじゃないですか。
○赤城国務大臣 今申し上げましたように、三十一年度の主砲の経費及び三十四年度の経費、これを流用する、こういうことになっております。
○今澄委員 今二十八年が抜けて、三十四年度になっておる。違うが、まあいいです。三十四年度の通信器材購入費の中にあなたの方は七億円も計上しておきながら、警備艦の方は昭和三十五年度の予算で今度の予算書に出して、ミサイルの方は第一次防衛計画の中に入ってもおらぬのに予算書の中に通信器材費としてこれをあれしている。そこで、私は昭和三十四年度の予算総則を見た。この通信器材費が防衛庁の予算の流用の項目に上がっておるかと思って見たが、二十四条防衛庁施設の整備というところで四行ほど書いてあるが、全然ない。そうするとこの予算総則にもうたわないで、財政法第三十二条に規定しておる財政法を違反して、三十四年度の通信器材費の中からターターへ振り向けたということは、一体国会の審議をないがしろにするものじゃないですか。これは私はとくと調べたのです。
○赤城国務大臣 これは先ほど流用というふうに申し上げましたが、間違いでございます。器材費でありますので、その器材費を別のものにかえる、こういうことであります。 〔「答弁がはっきりしない」と呼ぶ者あり〕
○小川委員長 赤城防衛庁長官、ただいまの答弁はっきりしておらぬようですから、もう一度明確にお答え願います。
○赤城国務大臣 ただいまの答弁はっきりしておりませんが、政府委員から詳しく御答弁を申し上げます。 〔「大蔵大臣からやってくれ」と呼ぶ者あり〕
○佐藤国務大臣 お答えいたします。ただいま防衛庁長官からお話しいたしましたように、この三十四年度予算に計上された既建造艦の装備改善費歳出予算約七億、国庫債務負担行為約十五億円を充てて実行することにしておるわけであります。ところで、この三十四年度予算からターター購入費に充てられるものの内訳はどうなっておるかと申しますと、三十一年度の甲型警備艦の主砲換装、いわゆる器材費であります。今回も器材費として、これを主砲の換装をターターに切りかえたわけであります。この三十一年度の甲型警備艦の主砲換装は、歳出予算として二億一千万円、国庫債務負担行為として四億一千九百万円、計六億二千九百万円、これが一つ、もう一つは、二十八年度甲型警備艦のレーダー換装、これはやはり器材費であります。この器材費は歳出予算の七億四千六百万円、国庫債務負担行為十四億九千百万円、このうちから歳出予算として七億四千六百万円と、国庫債務負担行為といたしまして十四億九千百万円、計二十二億三千七百万円、こういうものを使ったわけであります。だから、器材費として計上されたものを今回タ一夕ーにかえたわけであります。
○今澄委員 それはターターを去年の暮もうすでに買うなんと言っておって、四十四億もするようなミサイルを国会に赤城長官が一言でも諮りましたか。あなたは去年の質問に対して、全然そういうようなことはおくびにも出さないでおいて、アメリカの都合から早く来て、そうして予算にはないしょで計上しておる。しかも予算総則二十四条を見てごらんなさい。そういう通信器材費の流用をやるなんというようなことは全然載っておらぬ。これに載っておれば、財政法りによって違反とは言えないが、予算総則には載っておらないとすれば、これは全然財政法違反です。断じて了承できません。
○赤城国務大臣 ターターを据え付けるということは、二十八年度に作っておった古いものを換装するということでありますので、特に財政法違反というふうには考えておりません。
○今澄委員 全然だめだ。もう一度はっきり……。
○佐藤国務大臣 主計局長から詳細に事務的な点を御説明させます。
○石原政府委員 ただいまのターター購入の関係でございまするが、先ほど大蔵大臣からお答えを申し上げましたように、器材費の二つの項目から出ておるわけであります。三十四年度予算の実行をもちまして処置をしたわけであります。 第一は、三十一年度の甲型警備艦の主砲換装——これは申し上げておきますが、三十一年度と申しまするが、三十一年度に発注をいたしました警備艦でございまするから、三十一年度の国庫債務負担行為というわけではございません。そのうちの歳出予算の五億三千六百万円、それが一つ、それから国庫債務負担行為が十億七千二百万円、合計いたしまして十六億八百万円が一つの項目、それからもう一つの項目は、二十八年度に発注をいたしました甲型警備艦、このレーダーを換装いたしますために、三十四年度の歳出予算にございました二億一千万円、通信器材費とおっしゃいましたが、この項目でございます。国庫債務負担行為四億一千九百万円、合計六億二千九百万円、両者を合計いたしますと、歳出予算におきまして七億四千六百万円、国庫債務負担行為におきまして十四億九千百万円、合計いたしますと二十二億三千七百万円でございます。 今申し上げましたように、三十四年度の器材費をもちまして七億四千六百万円、国庫債務負担行為の両者を合わせまして、この系統は三十五年度の器材費におきまして歳出となっております。従いまして、両年度いずれも器材費でございますから、これは主砲の換装、あるいはレーダーの換装であるというようなことと同じ意味におきまして、器材費の中におきまして、今申し上げましたような流用と申しますか、使用の仕方をいたしておる次第であります。
○今澄委員 それは簡単なことだが、その作った警備艦に主砲をおろしてターターを載せたというわけじゃないでしょう。警備艦——ことしの予算で二千六百トンの積載ミサイル警備艦というのは、ことしの予算の防衛庁の内訳に予算八十九億三千万円、三十五年度は十五億七千三百万円、残りの三十八年度まで継続して計上するという中に甲型警備艦一隻二千六百トンが入っておる。その甲型警備艦、船もできておらぬのに積むミサイルじゃないですか。今あなたが言ったような警備艦に載せるミサイルじゃないですか。その現実から見ましても、まるっきりこじつけもこじつけ、これは三百代言ですよ。こんなでたらめな、三十四年度の通信器材費で七億を計上して、そうして積む船はこれから作って、今まで作った船の主砲のあれをこれに回す、そんな答弁がありますか。断じて了承できません。そういうことは話になりません。
○石原政府委員 ただいま申し上げましたように、三十四年度予算並びに三十五年度予算をもちまして調達をいたしまして、三十五年度に作ります船に載せるわけであります。これは発注をいたしますときのリード・タイムと申しますか、準備の期間がございますので、そういうような措置をいたしておるわけでございます。
○今澄委員 それは事務当局の諸君がここで、幾ら出てきてつじつまを合わして言おうとも、私がさっきから言っているように、このターターはわれわれにも言わないで、いきなりアメリカの都合で早う入って、軍艦の方はおそく入って、しかも二十四年度の通信器材購入費七億を現に流用しておるじゃないですか。この流用は、船も違うのですから、私は昭和三十四年度の予算総則の二十四条を見たけれども、防衛庁費の中に載っていないのだから、これは明らかなる財政法違反であって、私は断じてそういう答弁では了承できません。これはどうしてくれます。
○石原政府委員 先ほども申し上げましたように器材費の中で使うわけでございますから、言葉の正式の意味におきまする流用ということではございません。器材費をもちまして器材費に充てるわけであります。なお二十八年度の警備艦と申しまするのは、先ほど申し上げましたように警備艦が何ばいもございまして、どの警備艦ということの意味におきまして二十八年度に発注をいたしました警備艦、でき上がっておりますところの警備艦、それに対しまする今申しましたレーダー換装をいたしますその器材費を振りかえて使うということでありますから、本来申しますような——それは事柄の優先順位を考えまして、今レーダーの換装をするかわりにターターを載せよう、こういうことに相なるわけでありますから、器材費のうちをもちまして器材費に充てるのだ、こういうように御了承いただきたいと思います。
○今澄委員 お聞きの通り、政府もなかなか苦しいようだからこの程度にしておきますが、私はこういうでたらめな状態を繰り返しておったのでは、日本の国会の審議というものはもう無視されておると言わなくちゃならぬと思うのです。こういうむちゃくちゃなものの考え方が、今日非常に多数党横暴、独善の証拠であって、自民党の国防部会で了承さえすれば防衛庁は何でもできるのだなどというものの考え方はいかぬと思います。そこで私は航空関係にちょっと移らしてもらいたいのですが、今の問題は留保の問題として、あとでまた別に取り上げることにして、きょうはこの程度にしておきましょう。 それではもう一つ赤城さんに聞いておきたいことは、警察予備隊が発生以来十年になっております。米国からの援助物資は相当のものだと思います。これは、きょうは時間がないが、いずれ年度別の資料で私はもらいたいと思います。 その米国からの物資の援助はだんだん減りまして、陸海空ともに装備が非常に旧式になっておるのじゃないか。そういう旧式な装備の例はさっき申しました戦車が一つ、それから老朽艦十八隻、フリゲート、これが二万五千トン、それからもらった潜水艦の「おやしお」、それから警備艦の古いのを合わして五万トンが、海上自衛隊でも艦齢がきている。この五万トンを更新するということになりますと、警備艦はトン当たり百五十万円、五万トンで七百五十億、潜水艦トン当たり三百万円、これは大へんな金なんです。私はそういった兵器の更新計画に加えて、さっき私が言ったような対策を防衛庁がとるとすれば、その経費はまことに膨大に上らざるを得ないと思うのです。だからこういう古い兵器の更新計画をどうするか。それから一体予算の何%、国民所得の一体何%が国民の生活の安定を脅かさざる——あなたが国防会議で言っているところの基本的な防衛庁の線なのかという具体的な数字を、北海道ばかりで言わなくて、ここでも一つ赤城さんから明らかにしておいていただきたいと思います。
○赤城国務大臣 今お話しのように海の方の老朽艦も五万トンばかりあります。こういうものは新しいものにかえなければならぬという計画を持っておるわけであります。そういうすべての計画につきましては、御承知のように第一次防衛計画できめましたが、これは三十五年度が末期、海と陸は三十七年度までまたがっておるものもありますが、そういうことで第二次防衛計画を近く策定いたします。こういうことで昨年来検討を続けておるわけでございます。そこで防衛費の総予算に対する率、あるいは国民所得に対する率がどの程度をもって適当とするか、これは非常にはっきりきめるわけには参らぬかと思います。ことしは国民所得に対して予算が一・四八%でありますが、総予算に対しては九・八%、申し上げた通りであります。私ども第二次計画で考えておりますことは、国民所得、国民総生産の伸びに対しましてどの程度までが適当かということを考えておるわけでありますが、これは先ほど申し上げましたように非常にむずかしい問題であります。しかし昨日も申し上げましたように、自衛隊も十年にことしはなります。毎年国民所得に対してどのくらいふえてきたかということでありますが、多いときは相当多かったのであります。そこで第二次計画で一応考えましたのは、昭和四十年度の国民所得に比例いたしまして二千九百億程度、これは国民所得に対して二・三%くらいになろうと思います。しかしこれもいろいろ検討を今いたしておりますが、あるいは少し多過ぎるのではないかという感じもいたします。そこで全般的に今の老朽艦とか、その他装備の近代化とか、さらに考えなくちゃならないのは効率化だと思います。効率化等を勘案いたしまして、国民所得に対してどの程度が適当であるかということは、これからなお慎重に検討してみたいと考えております。
○今澄委員 とにかく防衛庁費二千九百億という具体的な数字が予算委員会で初めて出ました。これは私は大蔵大臣が先ほど来述べておるその見通しの数字、大蔵省の計画などから見たら、まるでちぐはぐな答弁ですが、その具体的な話は時間がないので譲ります。ただ防衛庁長官に聞きたいのは、ロッキード、これからロッキードの質問に入るのだが、ロッキードを二百機あなたの方では買うことにしておるが、このロッキードの二百機というのは、岸さんは、昭和三十二年六月十五日、アイゼンハワーアメリカ大統領と会見したときに、次期戦闘機は三百機、九個中隊、二十五機編成という大体話であったと私どもは思っておる。それが二百機に減ったんだが、このロッキードを将来三百機に防衛庁はふやすことは絶対にないですか。どうも百機作るという話も聞いたが、ちょっと御答弁願いたい。
○赤城国務大臣 最初は三百機ということを予定しておったのであります。しかし有人機にかわるミサイルの分野というものが非常にふえてきておるわけであります。そういうことも考慮し、また財政的な面も考慮して二百機ということにいたしました。二百機の中には練習機を二十機含んでおるのであります。将来三百機にするという予定は持っておりません。
○今澄委員 それでは私はロッキードの問題について話しましょう。あなたの方の担当のところでは、あともう百機ロッキードを作る計画を現に立案いたしておる。私は、国会を通じてあなたが作らぬと言ったのだからそれで答弁に了承します。ともかくも、およそ、さっきのターターではないが、国会を切り抜けるだけの答弁はよしてもらった方がよいと思う。私はロッキードについて公開質問状を内閣に出しました。この質問について御回答がありました。回答は一月七日、次官会議で決定して、一月八日の閣議で正式に決定をいたしております。この次官会議に出た原稿、次官会議にかかったものを見るというと、八千フィートの滑走路を有するのは千歳、松島、小牧、浜松となっておって、その下にカッコが入っていない。ところが閣議できまったやつを見るとカッコができて、オーバーランというのがある。事務当局と次官会議で作ったものをここに私は持っておりまするが、この次官会議できまった原案と閣議できまったのと違っておる。どういうわけで次官会議と閣議で私に対する回答が違ったのか、赤城長官から一つお答えを願いたい。
○赤城国務大臣 浜松の滑走路は、正確に言うと八千フィートより少しくずれるのであります。しかしこれはオーバーランを活用することができますので、そういう点をまた突かれるといけないと思ったのでありますから、(笑声)はっきりオーバーランをこういうふうに加えたのであります。
○今澄委員 まことにどうも驚き入った答弁ですが、そんならばわかります。少なくとも滑走路が八千フィートもないのに八千フィートなんて書いて、しかもオーバーランというのは滑走路じゃありませんよ。これは全くのつけたりの補助道路で、それを入れて八千フィートなんて言うのは……。しかし正直に答弁がありましたからこれはいいです。 そこで問題なのは、昭和三十二年十一月三十日、アメリカの朝海大使から飛行機の滑っ走路について、日本政府の照会に対して電報が入っておる。その電報を見ると——ノース・アメリカンを大体総理は推しており、ロッキードはまだそう本命になっておらぬときの電報なんです。しかし、滑走路について朝海大使からこういう電報——これは赤城さんもよく知っておるでしょう。まずノース・アメリカンF100が離陸のためには云々というのがあって、イ、ロ、ハに三つに分かれておる。それからF104、これはBの項に、作戦部隊のためには一万フィート滑走路が要るという、滑走路について朝海大使から言うてきているのです。だから一万フィート——西独はF104は一万二千フィート滑走路が要るのです。日本においては、朝海大使は一万フィートと言ってきておる。しかるに飛行場は八千フィートしかないのだが、こういう滑走路の長い飛行機を、次官会議では無理をして書き、朝海大使の電報にも反し、一体どうしてこの滑走路の足らぬところは継ぎ足すのですか。日本の国内において——何かアメリカの飛行場の名前を三つ、四つあげておったが、日本の自衛隊の飛行場をアメリカの自由に使えというのですか。しかりとするならば、日本の飛行場で、とりあえずF104が飛べる飛行場は二つしかない。一体そういう飛行機がどういうわけで必要なのか、一つ防衛庁長官からお聞かせ願いたい。
○赤城国務大臣 戦闘機種の選定については、いろいろ基準その他性能等につきましても調査をいたしたわけであります。朝海大使の電報はありましたが、現地に行きました源田調査団初め四人のパイロット、こういうパイロットが、初めはこちらにおきましても八千フィートでは無理ではないかという考えを持っておったのでありますが、現地に行きまして実地に飛行いたし、操縦いたしました結果は、八千フィートで十分間に合う、こういう判定をいたしたわけであります。でありますので、日本の飛行場におきましても八千フィートの飛行場は、今浜松は正確にはありませんが、大体八千フィートに近いので、これを使用するに差しつかえない、こういうことであります。でありますので、八千フィートあれば滑走路は差しつかえない、こういうことで今度の機種の採用についてもその点が一つの基準になったわけであります。
○今澄委員 一国の大使がアメリカの空軍と打ち合わせて、滑走路についての意見を述べて打ってきて、それで今度防衛庁から行って、いや短くても飛べるのだ……。西独は一万二千フィートですよ。私はこの一つを取り上げてみても、いかにロッキードというものをきめるのにむちゃな圧力がどこからかかったか、とにかく話にならぬ。グラマンでも、ロッキードでも、ノース・アメリカンでも何でも、ものを作る、たとえば三菱航空なら三菱航空の側からはいいかもしれない。だがしかしそういう一国の大使が公式に一万フィート要ると言ったものを、しかも八千フィートの飛行場は四つで、その中の浜松はオーバーランを入れて八千フィートなんでしょう。こんなすれすれな、滑走路の足らぬ飛行機を採用するに至ったということがまず疑問の第一。 疑問の第二は価格です。あなたがきのうここで、価格は平均してこれこれだと言ったが、それには補用品の比率を何%と見ているか。あなたの割り出したその比率は……。いわゆる部品ですが、補用品を何%と見ているか、ちょっと御報告を願いたい。
○赤城国務大臣 補用品の価格は二〇%と見ております。
○今澄委員 一四・七%と大体われわれは見ておったが、二〇%は間違いありませんか。
○赤城国務大臣 間違いありません。
○今澄委員 まあ一四・七%から見ればだいぶ上がっている。アメリカの空軍の正規の規定では、ロッキード戦闘機は二九・七%の補用品が必要である、こういうことになっております。二九・七%なければロッキードは消耗が激しくて、これはなかなか一人前に使えない。もし二九・七%にすると値段はさらに上がるわけだ。おそらくまたこれはロッキードの部品であるといって、さっきのような費目の流用をして、そして国会にまた話が出てくると私は思うが、ともかくもきのうあなたが言うた値段では上がらないということ……。これは補用品のパーセンテージが少ない。 それからロッキード航空機会社副社長モーン・スミスという人が、昨年十二月八日書米国上院専門委員会で発表いたしました資料によりますと、F104CをF104Gに改造するために要する設計費、土木費、試験飛行費は三千五百万ドル、邦貨に換算して百二十六億円で、これに対しては米国政府は全然負担をしておりません。金額はこれは全部西独が負担をしている。こういうふうにF104CをF104Jに今度はかえるのですから、その開発費は一体どうなるのか。モーン・スミス氏は三千五百万ドルと言っているが、日本の場合はこの開発費はあなたの言った値段の中に入っているのか、それともこの開発費は別個に払うことになるのか、長官からちょっとお答えを願いたい。
○赤城国務大臣 開発費は値段の中に入っております。
○今澄委員 それからもう一つは、このロッキードはガソリンの入れる口が一つしかない。そこでガソリンは圧縮空気で入れないと入らない。そういう圧縮空気でガソリンを入れる専門のガソリン入れがこれには要る。それから、シミュレーターという訓練用の模型で、これはやらなくちゃ練習ができない。シミュレーターというものが必ず要る。これらの費用が大体約五千万ドル、百八十億見積もられておるが、防衛庁はこの費用は別個に見積もっておるか。こういうものは使わぬつもりですか。これはどうしております。
○赤城国務大臣 予算の国庫債務負担行為等のほかに十七億というものがあります。このロッキード自体の費用以外に、関連器材費が十七億であります。その中に今御指摘のようなものが入っております。
○今澄委員 そこでやはりほかにも計上してあることがわかった。私は、ロッキードの飛行機の概算七百億以外に、ほかにどうしてもまだ二百億は要ると思っているのですよ。おそらくは来年度、来々年度の予算に防衛庁は出してくるのじゃないか。今言ったものだけでもそうだが、なおそのほかに新型ナサールであるとか、TACAN、UHF等の電子機器類は、今度のあなた方の値段の中には包含していますか。
○赤城国務大臣 入っております。
○今澄委員 そうすると、射撃のために自動的に照準を合わせるデータ・リンク、これがなければ104Cは側面射撃はできないのです。それからデッド・レコニングの航法装置、これは非常に高価だが、これがなければ全天候性にはならぬのです。これは入っていますか。
○赤城国務大臣 入っております。
○今澄委員 それでその予算については、あなたの方は入っておるというが、私は入っておらぬと思う。もう一ぺんちょっと答弁をやり直さぬとあとでえらいことになりますよ。
○赤城国務大臣 データ・リンクは入っておりません。
○今澄委員 とにかくたよりない防衛庁長官です。とにかく私はいわゆるこのロッキードが国民が知らないようなこういう専門的な——飛行機はたまを撃つのが生命なんだが、その自動照準の一番大事なデータ・リンクが入っていないで、それでまたこれからそのたまを撃つ自動照準の費用を国会に要求するということになると、防衛庁の今国会に出した一機幾らという値段が、いかにその実際の値段よりは低いものであるかということを、私は国民の前に明らかにしたいのです。 それからF104Jの完成期、これは私は非常におくれると思う。だから、あなたの方は二十機現物で買ったのでしょう。防衛庁が要求しておるF104Jは、大体において西ドイツやカナダの発注したF104Cと同じようなものではあるけれども、F104Jは、F104Cに比べると、これは私の調べたところによると、大へんな大改造のようであります。機体強度の増加だけでも三十六カ所の新しい鍛造材料を付加して、けたや骨を強化、それから尾翼の面積を増加し、減速フラップもつけなければならぬ。従って、これが完成後も、空力学的な第一段の強度試験、飛行試験から始めていかなければならぬと思う。そういう試作機ができるのは、私の見るところでは、本年の終わりごろ、その結果、はたしてこれがいいかどうかということもまだわからない。その結果が判明するのは、試験飛行開始後六カ月、すなわち明年の四月以降でなければ、その試験飛行の結果がわからぬ。さらに新型のFCSナサールというのが完成するのは、最近の情報によると明年の末になる。それから機体に取りつけて作動テストを終るまでにはさらに数カ月を要する。私はこう考えてくると、結論として、防衛庁の要求するF104Jの原型が完成するのは、二年後ということになるのです。何もあわてて——二年後に原型ができてからこのロッキードにするかどうかということを検討しても悪くはないのです。あなたの方で、練習機を二十機、品物を買って組み立てたのでは、二年も後に実際の品物ができるので間に合わぬから、そこで練習機だけは新しく取り入れたことになるのでしょう。私はこんな製造がうんとおくれるF104Jをどうして——手軽くできる飛行機がほかにもあるのに、さっきの滑走路といい、値段については、国民をごまかして、高いものはみな、必要だけれども除いた値段をつけて、しかも完成は、ごらんなさい、二年の後でなければできないのだが、この完成時期について赤城長官がそうじゃないのだ、いつできるのだという約束ができるなら、ここで一つ明言して下さい。
○赤城国務大臣 練習機二十機は買うことになっていますので、向こうのできたものを解体して、こっちで組み立てるだけであります。百八十機の戦闘機につきましては、三十五年度から生産を開始しまして、三十七年の一月にはでき、四十年の一月には百八十機できる、こういう予定になっています。今お話のいろいろな要素等を考えまして、その上でこれができるという計画で進めておるわけであります。
○今澄委員 もう一つ赤城さんに聞いていただかなければならぬのは、今の見通しは私の方が当たるかどうかは、現実がいずれわかるでしょう。もう一つは米空軍ノートン航空基地の航空安全調査局の報告であります。この報告を見ると、一九五四年四月十九日から、一九五九年十一月十二日までの間に、二百九十機中三十三機が重要な事故を起こしておる。この三十三機のうち、二十四機が離陸または着陸のときに故障を起こしておる。このF104事故報告によれば、生産概数二百九十機のうち、つぶれたもの、落っこちてだめになっちゃったものは二十七、重要な損害が十三、軽損害が二十九、六十九という報告が米空軍ノートン航空基地の公式の報告であります。事故死亡十人に達しております。日本は飛行士一人養成するのに四千万かかるというのですから、人間の命もこの訓練費と比べれば大へんなものだが、少なくとも消耗率がこのロッキードというものは高い。またアメリカ空軍の実際統計によると、十万飛行時間に対するF104の事故統計、これは十万時間の飛行機の中で全壊が九十六機、重要事故が百四十四機、事故死が三十七名、脱出、命が助かったものが五十九名、これはアメリカ空軍の統計であります。しかもこのノートン基地の統計だとか、アメリカ空軍の統計を見ると、日本の短い滑走路で、私が先ほど申したような重要な部品もつけないでやれば、いかに事故が大きくなるかということは、私がここに持っております向こうの詳細なデータの下の方に、日本はアメリカ空軍よりも悪天候や短い滑走路でもっと事故率が高くなるだろう、こういっているのです。だから、こういうことからいくと、二百機で一体何ぼ編成するのか、二百機を何個中隊に編成して、その消耗率をもし年間一二%程度に見れば、できる端からだんだんなくなって、一体現実に役に立つ飛行機はどうなるかということを考えてみると、これは非常な問題といわざるを得ぬのです。だから防衛庁の担当官はあと百機作らなければ、とてもじゃないが、補給がつかぬので、どうしてもこれはあと百機作ることになるだろうという見通しを私は持っておるのです。あなたは作らぬと言ったが、今のままではこの事故率でいくと、できる端から片方ではなくなっていくのですから、これは一体どういうことになるか。あなたはロッキードを二百機、二十機をのけて百八十機、それで何機編成の何個中隊を作ろうと思うのですか。
○赤城国務大臣 ただいま事故率の御指摘がありましたが、私の方の調査とは非常に違っています。事故率につきましては、米軍も正確なものはなかなか発表いたしません。しかし私どもが入手いたしましたものによりますと、十万時間で六十五件、そして今の御指摘の事故率等につきましても、F104Cにならぬ前の事故率が非常に含まれていると思います。F104Cになってから五件であります。死んだ人はありません。 それからスクォドロンは幾つかということであります。七つ作る予定であります。
○小川委員長 今澄君、あなたの持ち時間よりもすでに二十分経過しておりますから、簡潔にお願いします。
○今澄委員 今の七個中隊は何機編成ですか。
○赤城国務大臣 正確にいえば二十三を必要とするわけであります。
○今澄委員 そうすると、二十三機編成七個中隊を作るわけですか。二十機編成七個中隊を作るのじゃないですか。
○赤城国務大臣 検討中でございますけれども、大体二十から二十三くらいであります。
○今澄委員 とにかく私はその事故率を見て、少なくとも二十機でなければならぬと思っておるが、このロッキードというものが、いかに無理をして何と表面をでっち上げて作ろうかということを岸総理はお聞きになって、おそらく驚かれたろうと私は思うのです。少なくとも一部の人の意見や、あるいはその黒幕的存在やその他の人々の意見できめるには、これはあまりに大きな問題であるということを私は申し上げておきたい。 私はきょうここでこのほかいろいろ申し上げたいことがあったが、やめます。ただ私は一つだけ最後にお聞きしておきたいことは、私の手元に英字新聞がありますが、その英字新聞を見ると、スキップ・トロエルストラップという人がここに記事を書いておる。これは日本の重要な記事を書いておる。私はさるルートで入手しましたが、それを見ると、これは防衛庁長官に聞きますが、日本陶器は、これは名古屋、アメリカのグラッディング・マックビーン会社、これはアメリカ政府のためにICBM核弾頭僕発に当たっておる会社、これと技術協力の締結をしておるという見出しで、今のICBMの弾頭は金属の弾頭であると空気の摩擦によって熱が出て溶けるので、これが瀬戸物でなければならぬということは世界の常識であります。日本はアメリカからロッキードのこんなつまらぬものを買う反面、わが国の瀬戸物会社はアメリカのこういう会社と提携をして、日本陶器がICBMの弾頭を作っておるという記事を私は持っておる。日本陶器には防衛庁、元海軍技師の中佐であった人もいる。防衛庁とも常時連絡をしておるが、赤城長官はこの事実について知っておられるかどうか。しかも、もし日本のそういった産業でそういういわゆる長距離弾道弾、水爆弾頭というものを作る場合においては、一体どういう対処をされるつもりであるか。まず防衛庁長官から私はお伺いをしておきたいと思います。
○赤城国務大臣 今のお話は全然聞いておりません。
○今澄委員 これは私はここに切り抜いて持ってきておるから、いずれまた念を押して一つ聞くときもあろうかと思いますが、少なくともこういうことはあり得ることであると私は思っております。私はアメリカと日本との共同作戦、さっき申した日米安全保障条約の多くの問題の点、しかもアメリカはアイゼンハワーの教書でも皆さんが御存じのように、その教書の中に、自由世界が侵略を阻止できるかどうかは、多くの国の総合戦力とその決意いかんにかかっておる。軍事援助計画に基づき援助を受けておる諸国の総兵力約五百万の陸軍部隊、二千二百隻の艦艇、戦闘機二万五千機以上、その半数はジェット機の航空機である。これはもうアメリカの世界戦略的な立場における日本へ対する態度の一環であるに違いない。私はただ単に無防備で防衛の問題を観念論で葬ろうという立場におるものではありません。しかしながら、私は日本がそういう核弾頭の製造部門を担当させられるとか、あるいは日本に常時駐留して、近距離にある共産陣営の攻撃を招くとかいう問題については慎重に一つ政府としては考えてもらわなければならない。自衛隊は一体日本の局地戦に対応するためにはどうなければならないか。日米共同作戦の際における総指揮官は、もしこれがアメリカの軍事専門家と日本の軍事専門家でできる軍事専門委員会ができて、その軍事専門委員会の長がアメリカ人で、これが日米共同作戦の指揮をとるということになれば、自衛隊法に定められた自衛隊の責任者である日本国総理大臣は自衛隊法違反ということになる。私はそういう予想の問題であげ足をとろうとは思いませんが、少なくともこの日米安全保障条約の審議をめぐって、国会とその外に流れておる、今私がいろいろ述べたようなこれらの事実は重大な関連があるのでありまして、こういう今日の条約審議とあわせてもう少し国民に岸さんは物事の真相を報告する必要がある。私どもは段階的解消を主張いたしております。常時駐留よりは有事駐留がいいにきまっておる。有事駐留ができなければ、拒否権を明らかにして一年前の予告でこれが解消できるようにするとか、少なくとも日本国民の疑惑と日本国民の不安が解消できる方へ一歩でもこの条約が改善されておるということならば、私どもはこの条約の審議にあたって政府の労を多とするけれども、まるきりすべての問題にわたってこの条約は反対の方向に向いておるわけであります。 こういう意味で、岸総理大臣はこの条約の締結にあたっていろいろ考えられたでありましょうが、先ほどの軍事専門委員会の問題といい、共同作戦の司令官にだれがなるのか、そういう点、日本でこういった核弾頭製造部門を引き受けたり、あるいはさっきの予算の面に現われたように、アメリカの都合でいきなりターターなんというものが財政法を無視して作られようとしておる今日の事態をあなたはどうお考えになっておるか、強引に物事を国民に隠して押し切っていくという態勢ではどうにもならぬのではないか、しょせんこれらの諸問題を前にして岸さんは国会を解散してこれらのすべての問題を国民に問う必要がある、私はこう思います。最後に岸さんの所信をお伺いいたしまして、私は質問を終わりたいと思います。
○岸国務大臣 安保条約の問題に関しましては、国会における批准の問題に関連いたしまして、政府も十分に国会を通じて審議を尽くしまして、そうして国民に理解と納得を深めて、その支持によってこの批准を得るように努力していくことは当然であります。われわれもそういう心がまえで十分な努力をするつもりであります。なお、この問題に関して、解散の要求といいますか、解散をすべきだという御議論が国会におきましてもしばしば論ぜられたのでありますが、私は、その都度明確に申し上げておるように、この事態におきまして解散をする考えは持っておらないということを重ねて申し上げます。
○小川委員長 この際一時四十分まで休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後二時二分開議
○小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。上林山榮吉君。
○上林山委員 私は自由民主党を代表して、三十五年度予算の幾つかの問題について、岸総理大臣及び関係各大臣に質問したいと思います。 まず総理にお伺いしたいことは、安保条約改定調印後、岸・アイク共同声明の中に日米新時代が来たとあるが、その新時代を裏づけるものとして、具体的には一体何をさしておるのかという点でございます。もちろんこの新時代を経済面から裏づけるものとして、東南アジアにおける経済協力を日米協力して行なうということははっきりとしておるのでありますが、ほかに何かあるかということでございます。まずこれを劈頭に伺っておきたいのであります。
○岸国務大臣 今回私どもが調印をいたしました日米間の相互協力及び安全保障に関する条約、これを通じて従来現行法が持っておりました日米の間の不平等な点、日本の自主性の認められておらない点について、今回の改正を行なったわけでありますが、真にわれわれが日米対等な立場において日本の平和と安全を守り、ひいて極東の平和と安全に寄与して世界の平和に貢献する、この立場か全然日米平等の立場であって、対等の立場だということをはっきりと条約にも盛っております。またさらに条約のうちに、今御指摘になりました経済協力に関する点の規定を設けております。いわゆる戦後長い間の占領時代からのいろいろなつながりを持った事態が、なお完全に払拭されておらなかった点もあるのでありますが、今回の安保条約並びにこれに関連しての行政協定等を通じて、真にそういう戦後的な色彩を払拭して、日米対等の意味において、理解と信頼の上に協力する。これもただ防衛の点のみならず、政治経済の各方面にわたってやるということが、その日米新時代の持っておる真意義である、かように考えております。
○上林山委員 日米新時代を裏づけるものとして、戦後の色彩を払拭して、対等の自主的な立場でこれからの外交、経済、防衛その他をやっていこうとするのである、その具体的な裏づけとして、経済面には、先ほど申し上げた通り、いわゆる東南アジアの開発はこれがはっきりとしておるわけでありますが、その開発は言うまでもなく低開発地域の開発でございますが、これをどんな形でどの程度のことをやるというスケジュールを持っておるのであるか。これは見ようによってはまだ青写真程度のものもあるかと思います。思いますが、しかしながら、せんじ詰めてある程度そうしたような見通しというものを持たなければ、わずかではございますが、五十億円という予算を組むことはできないわけであります。この辺の、ただいま具体化できておるスケジュール、それを基礎にして、ここ数年間のうちにどの辺までをめどとしておるのであるかという点を、これは企画庁長官から御説明を求めたいと思います。
○菅野国務大臣 海外経済協力の問題につきましては、御承知の通り、昭和三十三年度の予算で基金が計上されておったのでありますが、その後その基金がそのままになっておったのであります。昨年来主として東南アジア諸国から、この日本の経済援助についての要望が非常に高まって参りましたので、この基金を今度は運用することにいたしたいということで、これまた今法律案を作っております。また皆さん方の御承認を得たいと思っておりますが、特別基金といたしまして、さしあたりこの五十億円を三十五年度に使用したいと思っております。しからばこれを具体的にどういう方面に使うかという問題につきましては、あるいは海外経済協力の審議会などを設けまして、そこで具体的にいろいろどういう方面に使うかということを御決定願って、その方針によってこの海外経済協力基金の資金を運用したい、こう考えておる次第であります。
○上林山委員 私は政府の東南アジア開発に対する、いわゆる日米経済協力に対する根本的な態度に対しては、もちろん賛意を表しておるものでありますが、ただいまも申し上げました通り、わずか輸銀から五十億円の基金を出してこれをやるんだ、こういうことは、今日の国際的な情勢から考えて、やらぬよりかいいけれども、はたしてそれぐらいのことでいいのかどうか、御承知の通り、フルシチョフはアメリカにおいてもあるいはソ連においてもどういうことを言っておるかといえば、これはもちろん軍事力は百何十万かの兵力を削減したけれども、ちょうどアメリカと同じくらいの兵員の数であるけれども、火力その他の戦闘力は、これは今までよりも数倍になったのであるから、ソ連の国民は安心せよ、こういう演説を一方にしながら、一方においては、これからはいわゆる経済的に共産圏は旺盛なる行動力を発揮する時期が来たのだ、こう言っておることは、これは欧州に対してもいろいろ考えているわけでありますが、欧州よりも東南アジアに対してソビエトが経済攻勢を展開してくることは、火を見るよりも明らかなところであると私は考えるのであります。 そこで、これは総理並びに外務大臣から伺いたいのでありますが、ヨーロッパの共同市場、これは今まではだれしもそれこそ経済防衛のために共同市場を作った、こういうふうに理解しておったのでありますが、最近の相当の筋の情報によりますと、これはもう単なる経済協力の段階ではなくて、政治色が非常に濃厚になってきた、しかもその楽屋裏をのぞけば、これはやがて単なる経済協力だけではだめで、いわゆるヨーロッパ連邦を作る前提である、こういうようにいわれておる。一説によりましては、イタリアは議員が何名、あるいは西ドイツは何名、あるいはフランスは何名、こういうふうに、小さなブロックではとても政治経済上の防衛ができない、ことに共産圏と相接しておる関係上、そういう問題について真剣に検討が続けられておるようでありますが、これに対して外務省あるいは岸総理に確かなる筋の情報があるのかないのか、ただそういうことも軽く言われているらしいという程度のものであるのか、この辺のお答えによって、東南アジア開発に対する政府の態度というものは、金がないからこの程度で一応済まそうじゃないかという域をもう少し思い切って脱していかなければならぬ結論になるのじゃないか、私はこういうように考えますので、この辺の事情を承っておきたいのであります。
○藤山国務大臣 ただいまお話のありましたように、ヨーロッパ経済共同市場というものは逐次固まって参っております。問題の発端は、戦後ヨーロッパの政治的な背景の上に立ちましてシューマン・プランができまして、欧州鉄鋼共同体というものが成り立った。その成績は見るべきものがあったと思います。そういうようなことから見ましても、一面では経済的、一面では政治的な背景を持って共同体の考え方が逐次進展してきております。経済的には六万国域内の貿易制限を撤廃し、あるいは関税を撤廃すると同時に、域外に対しまして、ある程度の共通の関税を持とうというような一つの国としての動きというような形に現在進んで参っております。 なお、内面的に見ますと、民間の種々の企業がかなり合同的なあるいは協力的な立場でもって、大きな統合をいたすような傾向になっております。飛行機会社のごときはその大きな例だと思うのであります。でありますから、ヨーロッパ共同体が漸次固まって参りますと、これが政治的にいわゆるヨーロッパ連合体となる日も予想されるようなことが、もう考えられるわけであります。そうした経済的な力が共同体自身にできて参りますことは、共同体以外の、域外地域に対して一つの大きな問題でございます。従って、共同体に入っておりませんイギリスが、いわゆる自由市場の問題を取り上げまして、そして今日進めておるのもそこにあると思います。そういうことでございますから、従ってヨーロッパ共同体が進んで参りますと、域外に対して、経済的な協力関係なりあるいは投資関係であるとか、そうした問題が力強くヨーロッパ経済の安定とともに出て参ることは申すまでもないことであります。お話のような共産圏の経済的な今後の進出、それからヨーロッパ共同体における進出というものは、われわれ注目して参らなければならぬと思っております。そういう意味から言いまして、われわれにいたしましても、アジア方面に対する、低開発国に対する経済援助というものは、外交の面から申しましても、あるいは経済の面から申しましても、できるだけ強力に進めて参つらなければならぬのであります。これらの点につきましては、日本の財政の事情等を勘案しながら、逐次拡大していくのが適当だと考えております。
○上林山委員 ヨーロッパの共同市場の分析において、単なる経済的な問題から政治的となり、やがて共同体になり、さらには私が今指摘したようにヨーロッパ連邦になるかもしれないというその情報は、確かに私は権威のある情報だと信頼を申し上げておるのであります。 そこで問題は、そういう状態であるならば、ことに岸総理が先ほどお答えになったように、日米は新時代に入った、しかも戦後の色彩は払拭して、そうして共同して対等な立場から東南アジアの問題も取り上げていこう、こういうふうに考えている以上は、大国アメリカにおいても徹底した考えが場合によっては出てくるのではなかろうか、これを第一の前提とし、さらに今申し上げた国際的な環境を直視して、東南アジアというものがどうなるか、その低地域の開発がどうなるかという問題をきめなければならぬ。その見地からきめなければ、それこそ単なる間に合わせのプランとしか国民は受け取らぬし、これを受ける東南アジア開発地域の諸国民も、私は善意を持って受け取らぬのじゃないか、こういうような考えを持つのであります。 そこで一つの提案でございますが、一説によりますと、ガリオア、イロアの資金を活用したらどうだろう、こういうようなことでアメリカ折衝をしておるかのごとき話も聞くのでありますが、そういう事情にあるのかどうか。御承知の通り、このガリオア、イロアの問題は、国民の方からは、議会等で説明があまり今まで詳しくされなかった関係上、これは贈与をされたものだ、こういうように理解をしておる者もあるし、一面これは借りたものだから返さなければならないそうだ、こういうように理解をしておる国民もあるわけです。私どもは、そうしたような議論とか、あるいは憲法上の論議とか、そういうような問題は一応さておいて、この現実に立ちまして、アメリカが日本の立場を理解されて、共同して真に東南アジアの開発をやろうとするならば、これをかりに西独方式をとるといたしましても、ガリオア、イロア資金は推定約二十億ドルでございますから、その三分の一が債務として確定をするわけで、ちょうど邦貨にして二千億円以上になるわけでございますが、これを私は大乗的見地から、アメリカも喜んで東南アジア開発の資金に、なしくずしでもいいから提供されるように、岸総理並びに外務大臣や大蔵大臣や企画庁長官等もそれぞれの立場におかれて一つ積極的に努力をせられたいと思うが、これに対するまず岸総理の御見解、並びに各担当大臣の折衝経過があれば、参考に承っておきたいと思います。
○岸国務大臣 ガリオア、イロアの問題につきましては、従来日米の間におきましてある種の交渉も行なわれたことがございますが、われわれはさらに十分な資料を整えて、そうして交渉をいたしたいというふうに考えておりまして、その段階にあるのであります。そうして、その金額がきまり、支払い方法等がきまった場合において、今御提案になったような、この資金が東南アジア等の開発に用いられるということは私はきわめて望ましいことである、かように考えております。
○藤山国務大臣 前の方のアメリカの経済協力、特に東南アジア方面に対する考え方は、御承知の通り、アメリカは戦後軍事援助というものを考えておったようでありますが、最近では経済援助という問題をおもに取り上げて参ってきております。従いまして、経済援助の問題につきまして、日米が協力することは好ましいことでありますので、われわれ外交をあずかっております者も、できるだけその線に沿って参りたいと考えております。 なお、ガリオア、イロアの問題は、まだ正式外交折衝にはなっておりませんが、御希望のような点は十分われわれ勘案しながら今後処して参りたい、こう思っております。
○上林山委員 ただいまの問題は、私はこれは思いつきや考えつきではなくて、日本が今後東南アジアにほんとうの信用を得るか得ないかというまことに大事な問題だと思いますので、単なる議会答弁に終わらないで、真剣なる御善処を要望しておきたいと考えます。 次に申し上げたいことは、自由化の影響でどういうふうに具体的に現われるかという問題について、私は項目をあげて質疑を試みてみたいと思います。もちろんわが党といたしましては、所得倍増計画を立てて、国民に少しでも豊かなる生活をしてもらおうとする努力、いわゆる福祉国家への理想を持っていることは言うまでもありませんから、今まで温室育ちであった日本の産業あるいはその他のものも、おくればせながらではあるが自由化の道をたどっていかなければならないということになった、これはけっこうなことであり、相当困難が伴うけれども、喜んで受けて立たなければならぬ、むしろ積極的に推進をしていかなければならぬ課題だと考えます。しかしながら、これに対しては通産大臣等からも答弁があったようでございます。たとえば段階的にあるいは業種別にそれぞれの手当をしつつこれを移していくのだ、こういう答弁があったようでございますが、そこでまず最初に伺いたいことは、大体自由化計画が終わるのは、最終的には一体何年ごろをめどにしておるか、その最終的なめどは大体貿易為替の何%を目標にしておるのかという点であります。この目標がはっきりしているのか、していないのか、なしくずしにそれぞれの情勢を勘案してただやっていくというのか、いわゆる実行計画があればまずこれを承っておきたいと思います。
○菅野国務大臣 貿易為替の自由化の問題につきましては、先般来申し上げております通り、去る一月十二日に貿易為替自由化の促進閣僚会議を開きまして、大体根本の方針を確定いたしたのであります。具体的な対策につきましては、大体五月中に各省で策定してもらうということになっておりますので、今各省においてそれぞれ具体的な対策については作業をされておることと思うのであります。 そこで、大体この貿易為替の自由化はいつ完了するかというお尋ねでありましたが、大体迅速に、円滑にやりたいという考え方で、そう影響のない財貨につきましては、できるだけ早く自由化を実現したい、こう思っておりますが、非常に影響のあるもの、たとえば砂糖とか石油とかいうような問題につきましては、これは国内の経済事情等も関連いたしておりますので、そういう点を勘案いたしまして、できるだけ早くしたい。大体率直に申し上げれば、できれば三年以内に全部完了したいという希望を持っておるわけでありますが、しかし実際やってみて、それは三年以内に完了するかどうかわかりませんが、できるだけ早く一つ自由化の完了の実現を見たい、こう考えておる次第であります。
○上林山委員 これはおくればせながらやらなければならないいろいろな事情もあったので、政府においてもまだ十分話し合いや研究や計画が立っていないようでございます。各省別に今その検討を続けておるところだ、こういうことでありますが、これはやむを得ない点があったということは私も了としておりますが、しかし今度の予算を見て、所得倍増計画の基礎となるようなものはそれぞれ計上されておりますけれども、しかしながら、いわゆる所得倍増計画に直結するような項目というものが見当たらない、そこにもってきて、自由化という問題かまた予算編成後に起こってしまった、こういうことであるので、これは政府においてもいろいろ作業にお困りの点があることは私はよくわかっておりますが、しかしながら、所得倍増計画は、聞くところによると、ことしの五月をめどにしてやるということがはっきりしておるのだが、それよりももっと先に急がなければならぬ、それこそ表現の仕方によっては、自由化の問題はからだに火のついた現実の問題です。この現実の問題が、一体それならばいつごろに、その三年かかって何十パーセントやるというり項目別、段階別の計画が——私の言うのはいわゆる実行計画です。その実行計画はいつできるか、これによってことしの予算、特に来年の予算というものに対して無関心たり得ない基礎的な問題があるので私は聞いているわけですが、今の企画庁長官の答弁では少しまだはっきりしない点があるようであります。しかし私はあまり追及はしませんが、この所得倍増計画はいつごろ完了するか、それから、それよりも先だって計画されなければなりませんいわゆる自由化計画はいつごろ完了するか、まずこの二つだけを承って次に進みたいと思います。
○菅野国務大臣 国民所得倍増の長期経済計画は、大体十年を目標にいたしまして計画を立てておるのでありますが、そこで十年というと、昭和三十五年度を初年度といたしまして昭和四十四年度を最終年度といたしておりまして、その十年後の日本の経済がどうあるべきかという姿は一応描いておるのでありますが、しかし、そこでそれを具体的に、しからば農業はどうするか、あるいは鉱工業生産はどうするかということにつきましては、目下経済審議会において策定中でありまして、これが早ければ五月、六月にできる、こういうように大体考えております。が、しかしこの国民所得を倍増するにつきましては、やはり基本的な産業政策はとらなければならぬということで、三十五年度の予算にはそれが盛り込んであるのであります。たとえば最近の日本の経済の躍進の根本的な原因は生産技術の向上ということでありますから、そういうことはもう初年度からかからなければならぬということで、来年度には科学技術の発展のために相当な費目が計上されてあります。それからまた、産業基盤の強化、すなわち道路とか鉄道とか、あるいは港湾というようなものは、やはり今から手をつけておかなければなりませんので、そういうような産業基盤につきましても相当な経費が計上されておるのであります。あるいは輸出の奨励というようなことにつきましても通産省に相当な経費が計上されております。それからまたたびたび皆さん方からお話のあります所得の格差をなくするというようなことも、やはり初年度から考えなければなりませんので、そういうようなことにつきましても、あるいは中小企業の問題、あるいは農業所得をよくするというような費目も三十五年度の予算には計上しておりまして、そういう基本的な、基盤的な経費は一応計上してあるわけであります。それがやがて二、三年たちまして完了しますれば、それがやはり経済活動を促進するということになって、国民所得の倍増を大よそ十年以内に実現したい、こう考えておる次第であります。 それから貿易自由化の問題でありますが、為替を自由化にするということは昨年の三月の閣議決定で大体方針がきまりまして、それから昨年の四月から自由化のできる品目についてはもうどんどん自由化をやったのであります。昨年の終わりごろから問題になりましたのは、いわゆる対ドルの十品目でありまして、これもそのうち四品目はこの一月から自由化にしまして、残りの六品目につきましては一月十二日の閣僚会議で大体これをどうするかということをきめまして、たとえば大豆や銑鉄は十月ごろに自由化にするということになりますと、大豆につきましてはそれをどうするかということがまだ具体的にきまっておりません。それが具体的にきまりますれば、あるいはこれはこの国会にそれの対策をかけなければならぬような法律問題があるかもしれません。そういう場合は、この通常国会にまた提案されることになるのじゃないか、こう思っておりますが、大体目標は十月ということで、それぞれ必要な法案なりあるいは処置につきましてはでき次第国会にお諮りして、そうして、それによって自由化を実現するというような方針を大体きめておる次第であります。
○上林山委員 経済企画庁長官は私の質問をはき違えておられるようです。私も所得倍増の直接の費目はどうかと思うけれども、たとえば経済の安定、あるいは今御発言になった経済基盤の強化、あるいは名前は変わりましたけれども、食糧増産などの基盤の強化、あるいは中小企業の問題、こうしたような問題は、それぞれ予算が増額されていることは承知しているので、この点に対してはわれわれは敬意を表しておるのでありますが、しかし、今申し上げたのはこれは基盤であって、今所得倍増計画は審議会にかけて審議中である。それを持ってきて、それがそのまま所得倍増計画の権威あるものがこの予算に組まれておるということは、論争はしませんが、少し私の意見をはき違えておられるようでございます。 なお自由化の問題は、私が聞かんとする点は、所得倍増計画というのは最初からあった、政府も相当研究されておった、ところが自由化の問題も前から研究はしておったが、はっきりと打ち出されたのは一月十二日だ、予算編成直後といってもよろしい、そういう時期であるが、これはからだに火のついた現実の問題だ、これをいつごろまでに実行計画を立てていくか、あるいはこの三十五年度の予算にはどういうふうに関係するか、あるいは三十六年度の予算にはどういうふうに関係してくるものであるか、こういうことを知らなければならぬ、いわゆる所得倍増計画よりも先に自由化の実行計画が出されなければならぬのだ、こういう意味を私は言っておるのですよ。まああとでお答えになればいいと思いますが……。 そこで具体的に私がお聞きしたいことは、これは大蔵大臣にまずお伺いいたしますが、貿易自由化によって外人の投資家が日本に非常に投資意欲を持ってきたということは証券界で相当経験者が語っておりますが、現在まで外人の持っていた株式の総額は日本で幾らぐらいになっておるものか、この点をまずお尋ねいたしたいのであります。
○佐藤国務大臣 ただいまちょっとわかりませんですから、後ほど……。
○上林山委員 その点はあとでけっこうでございますが、そこで私がお聞きしたいことは、現在外資法は、厳重な制限を加えて、大蔵大臣の認可を必要とする株式の取得については、総発行株数に対して、一般事業では八%、制限事業では五%のワクを設けておりますが、これらの制限を、大蔵大臣はこの自由化に伴ってこれを解く考えがあるかどうか、こういう意味の前提として、今現在日本で外国人が持っておる株の総高は幾らかということを聞いておるわけです。
○佐藤国務大臣 ただいまお読みになったような制限がございます。しこうして為替の自由化をはかって参りますと、今後はそういうものについての緩和方式をとる。ただいま制限をつけておりますのは、特にその重点は送金保証の点でございますが、将来送金保証なしに自由に動く、そういう形になる場合に、国際収支のバランスがどうなるかという点が一つと、もう一つは、外資が入って参りまして、経営に対してどういうような関係を持つか、この二つの点を十分考えていかなければならないのです。そういう意味で、ただいまお尋ねの点についてはせっかく検討中という実情でございます。しこうして特別な業種についてジョイント・ヴェンチャーをいたします場合に、話し合いがつけば別に問題はないと思いますが、今の程度のパーセンテージではなかなか外国からの資金が入ってくることは困難だと思います。将来に外資が入ってくる場合においては、もう少しその率を引き上げることを考えていいだろうと思いますが、ただ株主総会招集の権能ができたり、その他経営に参画したり、いろいろの問題がございますから、どのくらいのパーセンテージまで許すかということは、十分よく考えてみないと結論が出ないことでございます。
○上林山委員 外資法の改正なり、ないしは緩和の問題についてどういうふうに考えておるかという点は、ただいまの話を聞きますと、いわゆる経営権に支障があるかないか、その他を勘案して一応の結論を出そうとしておるのだ、こういうお含みのようでございますが、いわゆる弾力のある運営にとどまるのか、一歩進んで外資法を改正して、この新事態に応じようとする考えを持っておるのかどうか、これをまず伺いたい。
○佐藤国務大臣 ただいまは外資法と為替管理と二つの方法がございますので、為替管理の方法で弾力的な運用をすることが適当な状態ではないか、実はかように考えております。
○上林山委員 為替管理は原則として自由にして、特定の場合のみ制限をする、こういう行き方になるのかどうか、この点も伺っておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、この送金保証が一番ポイントになるわけであります。今日のような国際収支の関係であれば、おそらくこの送金の点について特に制限を加える必要はないと思いますが、そういう実情を承知の上で外国の資本が入ってくることは望むべきことだと思います。ところで、この外資を日本の国に導入いたします場合に、まず最初に取り上げられるものは、経営取引のものをまず取り上げる。いわゆる資本導入はその次の段階になる。これは外国の例等をごらんになりましてもその通りであります。また、ただいまのわが国の段階におきましては、この経営取引の面において外資の自由化の範囲を拡大していく、こういう段階でございます。
○上林山委員 さらにこれに関連して、政府が三十四年度下期の貿易外の外貨予算を五億二百九十三ドルの約五三%、これだけを自由化すると発表されたわけです。佐藤大蔵大臣は非居住者の円の整理が円交換性回復の前提だと国会でときどき答弁になっておったようでございますが、この自由化円の勘定は一体いつごろやられるつもりかという点でございます。これは一つほんとうの現在のところ、あるいは近い将来のところをはっきりと御答弁願いたいと思います。
○佐藤国務大臣 非居住者の円の問題につきましては、ただいませっかく検討中でございます。できるだけ早い機会にこれを緩和する、その考え方でございます。
○上林山委員 できるだけ早くというのは、三十四年度会計年度の終りごろになるか、三十五年度会計年度の初めごろになるかどうか、その辺はどうでございますか。
○佐藤国務大臣 時期をただいま明確に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○上林山委員 差し控えるという御答弁でありますから、これ以上聞きません。 それでは方面を変えまして、この問題はある程度もう質疑があったようでございますが、農業に及ぼす自由化の影響、これは農林大臣はある程度保護政策をあわせてとっていくのだから安心しろ、農民は一つ安心してよろしい、こういう答弁であるから、おそらく全国の農民は安心しているだろうと思います。思いますが、私はそこで農林大臣に伺いたいことは、まず第一に砂糖の輸入の問題。これは通産大臣に関係があるわけでありますが、この砂糖の自由化がもしできた場合に、今農林省でせっかく甘味資源の育成強化をはかっているようでありますが、たとえばビートあるいはカンショ糖あるいは澱粉糖、結晶澱粉でございますが、結晶ブドウ糖でございますが、こうしたような甘味資源の奨励をやっておられる。これもあまり成績は今のところいい方ではないようでございますが、いずれにしても奨励をしておられる。これに対して砂糖が自由化されるというと非常な影響がありはしないか。あるいは外国の大豆が来るが、この大豆については相当の考えを持って善処するつもりだと、こう言っておりますが、かりに関税を一割かけたとしても、内地大豆と輸入大豆とでは一俵六十キロで約千円ばかし違います。この千円違うのを一体具体的には、たとえば瞬間タッチのような方法で何か是正をされるのでしょうが、こういうものに対してほんとうの保護政策を十分にとっていくという考えを持っておるかどうか。さらには、これは大豆よりももっと影響の多いのは菜種でございます。菜種は全国的に大豆よりも影響を受けると私どもは考えておるのでありますが、この菜種に対する保護政策は一体どういうふうにとっていくのか。この具体的例についての御答弁だけを私は伺いたい。
○福田国務大臣 お答えいたします。砂糖につきましては、御承知の通り、その九割を外国から輸入しておるわけです。そこで国産の砂糖というか、甘味資源というものを培養しなければならぬ、そういう政策を進めております。これは成績があまりによくないというお話のようでございますが、そうでないのです。なかなか私どもは期待をいたしておりまして、近い将来には、半分くらいは国内で自給をいたしたい、かように考えておるわけであります。さようなこともありますので、砂糖の輸入を自由化するかということについては慎重に考えていきたい。当面これを自由化するという考えは持っておりません。 それから大豆と菜種につきましては、これはもちろん自由化の影響を十分考えなければならぬ。大豆はただいますでに自由化されておりまして、そして、ただ、ドル地域だけにつきましてこれが自由化されておらない。そのドル地域の非自由化を今度自由化しよう、こういうふうに考えておりますので、大体その時期は十月ごろだ、こういう考えでおります。しかし、お話の通りの値幅がありますので、生産農家をどういうふうに保護するかということを考えなければならぬ。その方法といたしましては、ただいま農家が売っておる程度の価格をもちまして政府が国産大豆は全部買い入れる、こういうことを考えておる次第でございます。また菜種につきましても同様の事情が起こりますればさようにいたす、かようなことでございますので、農林物資全体といたしまして、他にもありまするが、いささかも不安のないように準備をいたしたる上この自由化をいたす、かように御了承願います。
○上林山委員 私はただいまの農林大臣の言明を信用いたします。どうぞ全国農民の不安がないように、農民だけはこれはやむを得ない状態にあるので、自由化に伴う保護政策は私は徹底すべきものだと考えますので、その点を一つお含みおき願いたいと思います。 そこで同じ自由化の問題で、海運に及ぼす影響、これは一つ運輸大臣、あなたの抱負あるいは具体的な対策、ある程度発表になっておるようでありますが、これを国民にわかるように一つ説明願いたい。
○楢橋国務大臣 貿易為替の自由化の問題は、さいぜん申されましたように、日本の経済の国際的一つの力の上にどうしてもとらなければならない動向でありますが、今御指摘になりました海運につきましては、好ましいことではありますけれども、現在の日本海運の現状といたしましては、国際競争力はなお不十分でありますので、今直ちに運賃、用船料を自由化すると、邦船利用、日本の船を利用することが相当に阻害されるおそれがありまして、積み取り比率等の減少も来たし、外貨収入等にも悪化を来たすおそれがあるのであります。従いまして、自由化にあたりましては、一方において混乱が生じないように、用船料やあるいは主要物資の輸入運賃等につきましては、当分現在の制度を継続しつつ、順を追うて段階的にその方向へ持っていきたいと思うのであります。他方におきましては、わが国の海運企業の競争力を強化し、体質を改善するという面に力を入れ、その合理化も徹底的に推進したい、こういうように思うのであります。ことに海運企業の基盤の強化のためには、今回利子補給制度が実施されまして、海運による外貨収支の改善も行なわれることになり、また三国間輸送助成制度も強化するようになりまして、本年度の予算等に所要の予算を計上いたしておるような次第であります。また企業の合理化等につきましても、一段と海運業者に対して徹底するように努力をいたしておる次第であります。 なお、自由化に伴いまして過当競争が生じないように、定期船に関する海運同盟の秩序維持、また不定期船に関するカルテルの強化等にも極力努めたいと思っておる次第であります。
○上林山委員 時間の関係がありますので、次に進みたいと思います。自由化の対策としてはいろいろとあるわけでありますが、特に大筋はこれは堂々とやっていかなければならないが、保護的にあるいは段階的に、どうしても保護政策をとっていかなければならぬという二重層みたいな状態を呈するわけで、特に大蔵大臣の所管での関税の税目を、こまめにきめこまやかに配慮していくというようなことを初め、それぞれ体質改善等をやっていかなければならないことはわかり切った話でありますが、その中で私はコストの引き下げということが非常に重要になってくる、こういうように考えます。この点に関連して私が申し上げたいことは、政府は基本的な物価対策を現在持っておられるのかどうか、この問題でございます。 御承知の通りに、最近私鉄の運賃を上げる、あるいは通運の料金を上げる、またガス、電気の料金が引き上げられる。聞くところによると、近いうちにまた地下鉄の料金を値上げしようじゃないかという議論が出ておるようであります。これは上げなければならぬものは上げなければならぬが、上げ方がどうもばらばらである、バランスがとれておらない。私は、自由化に伴ってコストをいろいろ下げていかなければならぬときに、こういうものを無秩序にとまでは言いませんが、そういうような状態にこま切れで物価政策をとっておるということは、自由化の問題を前にして、私どもは一応一つ基本的な態度をきめなければならぬのじゃないか、こういうように考えるのであります。一口にいえば、政府にはたして基本的な物価政策があるのか。時間があれば、私はこの問題で一時間ぐらい一つ論議してみたかったのでありますが、時間がないので結論をまず申し上げます。大蔵大臣、特に運輸大臣、あなたの所管が非常に多いようでありますので、あなたからも一つこの問題に対しての御答弁を私は希望しておきたいと思います。
○菅野国務大臣 物価に対して根本策ありゃいなやというお尋ねだったと思いますが、御承知の通り、国民所得倍増の計画を立てております。これには物価を大体上げないという方針で国民所得倍増の長期計画を立てておるのであります。もちろん、多少は上がることは考えられますけれども、一方で国民所得を倍増しながら片一方で物価が上がるようなことでは、実質的な国民所得倍増にはなりませんので、そういう意味で物価はできるだけ上げない方針をとっております。幸い最近の消費物価を見ますると、大体一%くらいな上昇率でありまして、来年度も一・一%の上昇率ということで三十五年度の経済の見通しを立てておるのであります。大体物価はほとんど横ばいという状態で一つ今後物価政策を進めていきたい、こう考えておる次第であります。
○佐藤国務大臣 先ほど来の自由化の問題にも関連することでございますが、とにかく国際的に見まして、良質にして安いものが使える、消費価格が非常に低いところにとまる、こういうことにしないと、自由化自身にいたしましても、保護政策とどういうように調和をとるかという問題はありますが、生産コスト自身を下げる工夫をされないと、ただいまお話しになりましたような自由化の十分な効果も上がらないし、国際的競争にも実は負けることになるわけであります。ただいまの段階におきましては、従前特別な保護の為替貿易の政策をとって参っております。また国内産業においても育成の態度をとって政策を貫いてきている。これを今後新たな自由化の方向で踏み切っていくという場合に、先ほど来お話もありますように、やはり段階的な措置をとっていく。まず、その初期におきましては、一面に生産費を安くすることをあらゆる工夫をしていく、こういう意味では、生産増強の場合に大いに科学的な方法も取り入れていくとかしてコストを安くしていく。また同時に、保護と自由化との調節をはかる意味において、やはり関税政策についても、従前にも増してきめこまかな関税政策をとらなければならない。こういう意味で、この関税政策については、私どもも全面的に個々の物資につきまして関税の適正化をはかっておる次第であります。ところで、日本の国自身でとりました場合に、国際的に一体どういう関係になるか。一面わが国が高い関税率を設けますならば、必ずガットその他においてこれの報復的な関税措置をとられる、輸出の面においてまた非常な苦労の面も出てくる、こういうことがありますので、経営の合理化なりコスト・ダウンについての積極的な施策をすると同時に、やはり国際的関係のものとしての関税政策の適正化をはかっていく。そしてただいま言われますようにコストの上がらないように、そういうような方法をとって参るつもりであります。
○楢橋国務大臣 御指摘のありました各種の運賃のばらばらの値上げの問題でありますが、これはあとで通運料金並びに地下鉄の問題について御説明申し上げて御了承を得たいと思うのですが、交通機関は御存じのように各種の運賃料金の決定方法がまちまちでありまして、その関係上、いろいろ運賃等を上げるのについてばらばらなような形にはなっておるのですが、私が運輸省に参りましてから、運輸省関係の運賃的なものだけでも実は十一種くらい、倉庫料等も入れましてあるので、どうしても運賃全体の体系をやはり立てなければ、経済基盤強化の上にも大きな影響力を与えるということを感じまして、昨年運輸交通の特別の懇談会みたいなものを作りまして、その方で全体の運賃についての調整等の基本的な問題に取り組みつつあるのであります。 そこで今御指摘のありました通運料金の値上げの問題でありますけれども、この通運料金は、ちょうど昭和二十七年の四月から七年間全然据え置きになっておりまして、そういう関係がありまして、通運業者からも、賃金あるいはガソリン税その他の値上げ等があって、非常に経営上困難であるというような問題が出されまして、約五百四業者からの申請がありましたので、昭和三十四年の八月十八日に運輸審議会に諮問をいたしまして、九月二十九日、十月十八日の二回にわたりまして公聴会を開催いたしまして、荷主その他の関係者等の意見も聴取をいたしまして、審議を重ねまして、二月二日運輸審議会の答申がありまして認可した次第であります。この料金は、昭和十一年を基準といたしまして約百五十四倍で、他の公共事業の料金等に比較いたしますと非常に低位に抑制されておるのであります。たとえばガスは二百四十七倍、はがきは三百三十三倍、その他新聞等は三百四十九倍等になっておるような状態でありますので、そこでこの問題の要求に対しまして、最初に申し上げたような答申を得たのでありますけれども、この改訂につきましても、荷主等の意見等を十分尊重いたしまして、不合理の点等はできるだけ抑制、是正いたさせまして、申請者が一一・五八%、すなわち全収入の一一・五八%に対しまして、五・〇三%だけを今回認可いたして、二月十日より実施することにいたしました。米、麦、たばこ等は、これは官庁の特別会計との関係もありますので、これらは四月一日、肥料は、硫安等の六品目につきましては八月一日から実施することにいたした次第であります。 なお、地下鉄の問題も、これは及ぼす影響等も非常に多いので、現在運輸審議会等にかけまして、諸般の情勢等を勘案いたしまして、今慎重に検討を進めておるような次第であります。
○上林山委員 物価問題は政府全体の問題でございますので、各大臣が連絡をとられて、基本的な態度をもっと明らかにしていただきたいと要望しておきます。 ただいま運輸大臣の運賃値上げの経過についての話を聞いたのですが、たとえば物価指数がほかと比べて低いから上げたのだ、据置期間が長かったからこれをば改訂したのだと、こういうような基準で物価政策をやられた日にはたまったものじゃないと私は考えるのであります。日本通運について調べてみますと、この前までは一割五分の配当をしておった。現在は一割四分の配当。世間が相当騒いだものだから一分だけ下げて経理をしております。経理の内容は普通である、こういうふうに私どもは見ております。しかもこの会社はよくストライキをやる会社だ。ストライキによる損失というものを運賃値上げや料金値上げの内容にしてもらっては、これはたまったものじゃない、こういうように私は考える。一一%何がしかの申請があったものを六・何パーセントかにしたのだから妥当だろうと言われますが、総計で二十二億円という莫大な金になってくるので、どうぞ一つそういう点を勘案されまして、物価政策には慎重なる注意を私は喚起しておきたいと思うのです。企画庁長官は、物価は横ばいであるから、さらに横ばいを続けたい、そうしなければ所得倍増計画もくずれるのだ、こう言われるのはもっともだと思いますが、それを一つ基本的態度として、今後むしろものによっては下げていかなければならぬ、ものによってはまた現状維持もよかろう、一部上げるのもよかろうが、基本的な態度というものをばらばらにやらないで、一つバランスをとった物価政策を立てていただきたい、こういうふうに私は希望しておきたいのであります。 次に、私は農林関係について尋ねてみたいのであります。福田農林大臣は、全国農業団体の代表者が大ぜい集まった公開の席上で、今まで自分は大蔵省にいて、それこそ首切り浅右衛門の役目を勤めたんだが、今度は農林予算をうんととって農民に報いたいんだ、こういうふうにみえを切られた。確かに公約通り農林予算は総額において千三百十八億円、あるいは前年比において二四%ふえて約二百五十六億円、この中には、もちろん食管会計赤字も含んでおる。含んでおりますが、そういうようなことで、まあまあ胸をたたいただけの予算をとったということは、これは了といたします。だが、せっかく予算の規模がふくれたのに、その割合に、農林省内にちょこちょこ行ってみますと、どうも活気がない。どうも新予算に対する積極的な構想、あるいは意欲というものが足らないのではないか、こういうような気がしてならないのであります。 私は、今度の農林予算をながめて見て、これは日本農村の悩みをそのまま反映した予算という意味でこれは了とします。了としますけれども、どうも農林省内において活気がないのは、日本の農政が曲がりかどに来ておって、一体これをどこに持っていっていいか、農林省の幹部諸君が依然として暗中模索の状態にある結果がそういうふうになったんじゃないか。これは親愛なる福田農相に対してまことに恐縮だが、どうも農林予算の太い柱というものが見られない。日本の農村を福田農政が十年後にどこに持っていくかという考えがあるのか、いわゆるあなたの、日本農政をどこに持っていくかという青写真をこの際全国農民に知らせていただきたい。おもなる問題だけ、基本的な問題だけを御答弁いただけばけっこうであります。
○福田国務大臣 どうも御激励を受けましてありがとうございます。お話しのように、日本の農政なり農村が曲がりかどに来たと言われておるわけであります。言う人によりましていろいろ意味もあろうかと思いますが、考えてみますると、日本農村というものが非常に零細な農家で成り立っておる。従いましてそういう零細な単位の農家には、科学技術の世の中であるといわれるその科学技術の威力というものが吸収されにくい状態にある。従いまして農家の生産性を上げる上におきまして非常に支障がある。こういう点が主たる難点をなしておるのではあるまいかというふうに考えておる次第でございます。しかし、この曲がりかどに来ておる農政を、この道を行きますれば、これは明るい彼岸に到達し得るのだというところの政策を進めなければならぬ。そういうふうに考えて、私どもも、また政府全体といたしましても、ただいま農林漁業基本問題調査会というものを作りまして、三十四年、三十五年、両年度を費やしまして基本的方策の打ち出しを考えておる次第でございます。しかし、そういうむずかしい審議会の結論を待つまでもなく、私は、大筋はどうしてもここで予見をしておかなければならぬ、かように考えます。 今政府におきまして所得倍増の計画というものを進めておりますが、この計画におきまして、もっとも困難なる問題の一つは、農村の所得をいかにして倍増するか、こういう点にあるというふうに私も考えております。所得倍増計画につきましては、ただいまもお話が出た通り、五月、六月ごろにならなければその全貌は明らかにされませんが、かりにしばしば論議されておりますように、十年間でこれを倍増するということに相なりますと、その年平均の総所得の増加率というものは七・二%ということになります。しかし人口が同時にふえるのでございますから、その場合におきますところの一人当たりの所得の増加というのは、それよりはるかに低い五・三%くらいになるわけであります。農業問題がどういうふうにこれとかみ合わせられていくかということを考えてみますと、農村の農業生産所得総額は、この増加率はそう大したことはない。鉱工業に対して非常に劣ります。しかしながら、問題はそこにあるのじゃなくて、農家一戸当たりの所得がどうなるかという点にあるのでございます。従いまして、かりに私は今、十カ年倍増ということで、その際における一人当たりの国民の所得は五・三と申し上げましたが、農村の一戸当たりの所得が五・三%になり得るか得ないかというところに問題があるのではあるまいかというふうに考える次第でございます。さような角度から考えてみますると、最近は農業生産が非常に工合がよろしい。五年続きの豊作というような状態でありますので、よろしいのでございますが、このよろしいという時期の昭和三十一年から三十四年までの四カ年をとってみると、農業総生産の所得は四・三%になっております。その間、鉱工業の方に農村の人口が相当移動いたしております。その比率が平均いたしまして一・八%となっております。従いまして、その人口が移動した分だけ、すなわち農業総生産を分ける分母が減っておるわけであります。その減った要素を考えて、一戸当たりの農家の所得がいかばかり増加したかということを考えますると、ただいま申し上げました五・三%を上回りまして、六・一%の増加を示しておる。今後のことを展望いたしますると、私はこういう五年続きの豊作というような速度でどんどん農家の所得が増加していくことは、なかなかそううまくもいくまいかとも考えるのでございまするが、それにいたしましても、三%内外の農業総生産の増加というものは期待できる。と同時に、農業人口の鉱工業への移動という傾向は、私は、過去四カ年の平均の一・八%という程度は大体において日本経済の所得倍増計画に即して実現可能ではあるまいかというふうに考えるのでありまして、問題は、いかにして農業総生産の所得をさようなテンポで確保し、また日本経済の規模の中へ農業人口をどういうふうに吸収し得るかという点にあるのでございます。私どもといたしましては、さような見地から、今年度の予算におきましても、一戸当たりの農家の所得を向上させるため、生産性を向上するということに最重点を置いておるのでございまして、ただいまお話しの二百六十億円前年度に比べまするところの増加せる予算、これはほとんど全部そういう方面に指向してあるのでございます。農林予算の骨格を占めるという食糧増産費につきましても、今年度から食糧増産費という名前をやめて、農業基盤の整備費である、こういうふうにいたしたのも実はさような意欲を示しておるわけでございます。 また同時に人口問題につきましても、ひとり農林省の問題ばかりじゃないのです。これは労働省において担任すべき幾多の部面があるのでございまして、労働省にお願いいたしまして、職業補導所を全国に十四カ所、それも農村に近接した地帯にこれを作りまして、農村の二、三男の他産業への進出を容易にするというようなことも考えなければならぬというふうに考えておる次第でございます。また職業安定所の機能というものが農村に重点を置く考え方、さようなことで職業安定所に協力員制度というのを作りまして、村長や、あるいは農業協同組合の組合長さんなんかにお願いいたしまして、そして身近に農村の二、三男の就職のあっせんをするというような予算も仕組んでおるような次第でございます。両々相待ちまして、私は他の産業と並べて十年後には農村の所得倍増を達成し得ると、かように考えております。
○上林山委員 福田農林大臣が、十年後には日本の農民の所得も他の所得者と変わらぬように必ず倍増にするという、この終着点はまことに意欲が旺盛でありまして、これを信頼して善処を願わなくてはならぬのでありますが、ただいまの説明の中に、農民所得が非常に少なくて、今これを多くしていく段階にあるのだ、いわゆる農家の所得の増大をはかるのだ。言いかえれば、従来の増産主義から所得増大主義に農林政策を打ち立てていきたい。この方針は大きな柱であって、ただいまあなたが、生産性を高めるために、従来の食糧対策の費目を総合的な見地で名前を変えて農業基盤整備費とし、その予算も三百九十億円で、去年より五十三億ふえたのだ。これはおっしゃらぬけれども、それを含んでのお話だろうと思うが、そういうような意味でこの問題に取り組んでおられることは、私は力強い限りであると思っております。 その次に、あなたの予算を見て、これが柱かなあと思われるのは、私は流通対策であろう、こういうように考えておりますがどうか。この中には生鮮食料品市場対策、あるいは家畜、畜産物の流通改善、中小都市や産地市場に冷蔵庫あるいは冷凍施設を作って、枝肉の取引の改善をしよう、こういうのが現われておるようでありますので、私はこれについて若干一、二の点だけをお尋ねしておきたいのであります。 私は、日本の農業をどこへ持っていくかというのは、さきのいわゆる増産主義から増収主義へというのが一つであると思っておりますが、その次には、やはりこれは畜産を太く線を出していかなければならない。まだ農林省の考え方は、努力はしておるが消極的だ、こういうように考える。その中に枝肉取引の問題を流通対策の一つとして取り上げられたことは、私はこれは非常にいい考えであると思いますが、いわゆる国内の肉が少し上がったからといって、直ちに枝肉を輸入してくる。ことにこれから自由化に対して対処していかなければならぬのでありますが、せっかく地方団体あるいは産業団体が畜産に力を入れてやっていっておる、あるいは養豚に対して非常に力を入れておる。ところが、ちょっと値段が上がったというわけで、消費者の小言を聞いて、直ちにこれを極端に下げるために、いわゆる枝肉をどんどん輸入した。こういうことになると、せっかく畜産奨励をやって農業の基本対策にせねばならぬと思っておる人たちの意欲が衰えるのです。農民というものは、まことに単純な考えを持っており、これの仕事がいいとなると、さっと来るし、悪いとなると、さっと引いてしまう。こういう考え方を持っておるのでありますから、あまり刺激をしないように、いわゆる適正な価格を維持するというやり方は、私はこれはいいと思う。いいけれども、あまりに価格を急に下げるような対策は、流通対策でやらぬように、私は、それを除去するために、この枝肉の取引に対する改善をしよう、こうしておられるのだと受け取っておりますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 お話しの通りでございます。例を豚肉にとりますと、昨年、景気の影響を受けまして、その需要が非常に大きくなってきておる。そこで値段も、年初二百円くらいのものが、年末には三百円を突破するというような状況になってきておる。これは日本の景気がいいのですから、それだけそういうものを消費する力はあると思うから、消費者面からそう私は心配しない。ところが心配になるのは、それだけ値が一挙に上がりますると、農家が、私も私もといって豚作りを始める。今まで豚に興味を持たなかった方方までが豚を作るということになる。それが十カ月くらい、一年くらいで売られるわけでございますが、売るころになると、生産過剰になって、たたき売りをしなければならぬ。そういう立場に農家を追い込んでは困る。こういうようなことで、昨年の末、少々豚を輸入いたして、値段の調節をはかったわけでございまするが、今回の枝肉に対する対策も、そういうふうに安定して、日本の経済に応じて徐々に伸びていく形が一番いい。また、需給に応じて生産が伸びていく方がいい、こういう考え方を助成しよう、かような考え方に立っております。
○上林山委員 あなたが予算編成前に盛んに言われておった農村の二、三男対策の問題、ただいまのお話では、所得倍増によって鉱工業生産の方に相当の量がはけるだろう、またそうしなければならぬ、これは一つの見方ですが、それだけではとてもこれは問題にならぬ。私どもは、日本の移民というものに対して相当関心を持っておる一人でありますが、どうも政府が最初計画した通りいっていない。外務省が所管をしてやっておるようでありますが、外務省だけにまかせないで、これは農村の二男、三男対策として農林省がもう少し力を入れなければいかぬ、私はこういうように考える。そういう方面の力が足らない。予定の人員を向こうに送れない。これはいろんな事情もありますけれども、やはり農林大臣、しっかり外務省と連絡をとってやっていかなければならぬ仕事だと思う。 さらに私は二男、三男の対策をどう具体的にやるのだろうと思って見ておりましたが、農林省の所管にはあまりないようです。幸い、これは農林大臣の発案でやったのか、あるいは労働大臣の発案でやったのかは聞く必要はないが、農村の二男、三男を中心に、全国に新たに十四カ所の職業訓練所を作って、そうして農村の二男、三男の対策に備えた。私は、もっとこれを拡充して、そうして多少の技術なり知識なりを身につけさして、これをあなたのさっき言われた所得倍増計画の鉱工業方面にどしどし送っていく。こういうように二、三男対策を一つずつふやしていくことはけっこうだが、これはやはりもう一皮むいて、この問題を一つ各省が連絡されて、もっとしっかりした案を立てられなければ——これはもう十年も前から言われてきた問題でありますので、三十六年、二十七年というころには、もう一つ思い切った線を出していただきたいと私は思います。これは要望であります。 そこで、先ほど日本の農業をどこへ持っていくかということで、福田農林大臣のお話も聞いて、私はある程度これに共鳴したのですが、それにつけ加えて、形式的な言葉で表現すれば、中産階級の農民を——これは機械的な表現ですけれども、一年間に何パーセントずつふやしていく、これが私は日本の農業をどこに持っていくかという——これは形式的な表現だけれども、ここにピントを合わしてやっていくことが一番大事である。いわゆる増産主義から増収主義へ移っていこうというのも、そこにねらいがあろうと考えますので、これをどうするか。 それから第二は、日本農業の適正人口、これは、今あなたのおっしゃるような施策をとっても、農業の適正人口にならぬ。世界の各国の比較をごらんになればわかる通り、これだけたくさんの人間で、日本人を十分に食わすことができないというのは、これは天然的ないろいろな制約もありますけれども、これはやはりよいことではない。さらにはまた、耕作反別の規模はこの程度でよいのか、一町歩以上にどうしてもしていかなければならぬ。それにはさきの農業基盤の問題で、干拓とか、開墾とか、あるいは土地改良とか、こういうことをやって反別をここにふやしていくという方法もその一つでありますけれども、その半面、工場がどしどしとできまして、よい畑やたんぼがみんな蚕食されていく。こういうことになると、これもまたよほど徹底した考えを持たぬと、適正な耕作反別というものを維持することができない。さらには、そういうことをすることによって、零細農家というものをどういうふうに職業転換その他をはかっていくかというような問題、こういう問題を一つ考えられて、新しい日本の農業を十年後にはここまで持っていく、所得倍増計画にピントを合わしてここまで持っていくというファイト、私はあなたには敬意を表しておりますけれども、ファイトを持って一つ省内を——どうも意気沈滞しているようだから、予算がふえたのに、一体どうして使おうかというような顔をしているように見えてしょうがない。だから、その辺を一つ考えていただきたいと思います。 次に、私は建設大臣に一つお尋ねをいたします。画期的な治山治水対策を確立したことは、これは決して建設大臣お一人の働きではありませんが、現政府のとった将来の大きな政策として、これは与党、野党を問わず私は敬意を表してよい問題であると考えますので、敬意を表しますが、これに関連して申し上げたいことは、これは厚生大臣にも関連がありますからついでにお答えを願いますが、御承知の通りに、私はオリンピックがあるからないからということを前提にして言いたくはございません。言いたくはありませんが、当然これはオリンピックがあろうとなかろうと、やらなければならぬ問題でありますけれども、ちょうどオリンピックもあることでありますので、特に注意を喚起申し上げておきたい。それは道路五カ年計画でございますが、道路五カ年計画はちょうどラスト・スパートをかけなければならぬ時期にきておる。だから三十六年度には、あるいは三十五年度の予算も活用いたしまして、道路五カ年計画のラスト・スパートを一つしっかりやってもらいたい。これに対してどういう考えを持っておられるか。同時に厚生大臣、あなたは本会議で野党の質問に答えて、十分だ十分だといってうれしい悲鳴をあげておられたようですが、確かに社会保障の予算は、いわゆる債務負担行為を合わせればどうか知りませんが、防衛庁費を上回った予算を組んでおられる。これはけっこうであります。日本を福祉国家に持っていくわれわれとしては当然の予算の編成でありますが、ここで一言申し上げなければならぬことは、環境衛生の問題、環境衛生の問題は、これはオリンピックがあろうとなかろうと、やらなければならぬ問題だけれども、せっかくオリンピックもあることだから、今までよりも大都市、中都市に対して環境衛生の施策の推進を一そうはかっていただかなければ、私は国際的な環境にある日本としてはどうかと考えます。これは具体的には私は言いませんが、どうかこの二つの問題についてまずお答えを願っておきたいと思います。
○村上国務大臣 道路整備の五カ年計画につきましては、各年度の予算額が、おおむね五カ年間のガソリン税収入を充てておりますが、比較的順調に増収を続けておりますので、三十五年度の予算につきましても、この方針によって事業の実施をはかることにはいささかも不安はないと思います。ただ今日までの一般道路は五三%ばかり進捗いたしておりますが、大体有料道路の面がまだ三二・三%しか進んでおりませんことは、御承知のように名神道路等の用地取得が非常に困難でありましたので、このようなパーセンテージを示しておりますけれども、これも大体八〇%ぐらい以上の用地取得ができるということになりましたので、これは必ずあと二カ年で十分五カ年計画を実施するように取り返しができると思っております。
○渡邊国務大臣 御指摘の環境衛生でございますが、日本といたしましては、福祉国家建設を目標に、私どもはいわゆる低所得階層、あるいはまた医療保障等と並行いたしまして、住みよい社会の建設はいわゆる環境衛生諸施設の充実でなければならない、かように存じておる次第でございまして、本年度の予算におきましても二十二億を計上いたしまして、去年よりも五億増となっております。国立公園におきましては一億五千万円でございまして、わずかに二千万円の増となっておりまするけれども、これもまた三十六年度におきましてはりっぱなものに私どもは今から念願をいたしておる次第でございまするから、よろしく御協力のほどをお願いいたします。
○上林山委員 ただいま村上建設大臣から、道路の五カ年計画のラスト・スパートの工事は間違いないという非常に自信のある御答弁をいただいたので、私は安心しておりますが、そこで私は村上建設大臣に対して次にお尋ねしたいことは住宅政策に対してであります。 住宅政策は、一体これから何年ぐらいやったら日本の住宅不足を補うお考えかという点が一点。そこで私は、それも今まで通りやらなければならないが、今までのような住宅政策をとらなければならないが、もう住宅政策の考え方も、少し思い切って転換をすべきことも並行して考えていかなければならぬのじゃないかという点であります。これはどういうことかといいますと、まず第一に考えられることは、これは厚生大臣にも間接的に関係がありますが、日本の不良住宅地区を、これは外国ではスラム街と言っておりますが、私は各国のスラム街をよく見て帰って参りましたが、このスラム街の解消ということについては、これは先進国はみな積極的に力を入れております。私はもうぼつぼつ——入る家がないから家を作る、これもやむを得ないことです、ある程度まだ続けていかなければならぬ。ならぬけれども、今申し上げた通り、不良住宅地帯の解消、これをまず第一にあげなければならぬ。建設省はこれに気づいておられます。予算を、少しずつではあるが、ふやしておる。これを徹底しなければならぬ。 その次に申し上げたいことは、自分の土地であるからというので、わずかばかりの間口を、隣合わせて二間あるいは三間持っておる。それで、みんなそこで自分の所有権だというのでそれぞれ小さな家を作られた日には、これは耐火、耐震の上から考えても、あるいは経済的な能率から考えても、これはいけないと私は考える。こういうものは建設省が、あるいは全国の都道府県を一つ奨励して、専門の建築指導行政というものにもっと力を入れて、そして数軒のものが一緒になって、いわゆる三階なり四階なりの、大中都市においては中層建築をやらせていく。そしてこれを一つ活用していくというような行き方、これは私は新しい考え方ですけれども、どうしてもやらなければならぬ。非常に支障がありますが、これはどうしてもやってもらわなければならぬ問題だと思います。 次に住宅の問題で申し上げたいことは、耐火、耐震のいわゆる防火地帯です。防火地帯の考え方をもっと拡充し、強化していく考えはないか。これは私ども有志議員が建設省に進言して、何年か前にこれを予算化したのでありますが、これは地方都市においても非常に効果を上げております。火災のときなどは非常なる効果を上げておるが、ああいうみみっちい予算でなくて、もう少しこういう方面に——これはほかの家を作らない人の防御にもなるわけであるのでありますから、耐火あるいは準耐火地帯の帯を広くする、あるいは長くするということが一つ。しかも鉄筋と木造の差について、建設省の考えは、その差額について補助を出すようになっているんだけれども、残念ながら、府県によっては補助金を出しておらぬので、せっかく法律はあるんだけれども、これが実施をされていない、こういうことですね。こういうことについてどういう考えを持っておるか。 もう一つ最後に住宅政策でありますけれども、今までのこういう私が申し上げたようなものを、もう少しクローズ・アップして大きく取り上げていく考えはないか。従来の方針をやはり主軸にするのかどうか。
○村上国務大臣 お答えいたします。不良住宅地区の解消につきましては、従来、不良住宅は公営住宅の一部として施行いたしておったのでありますが、三十五年度から特に不良住宅地区の改良費をつけることに相なりまして、そうして清掃費として千九百万円、また不良住宅の改築費として二千戸分七億八千万円という補助を行なうことにいたしております。なお、防火建築地帯の造成につきましては、昭和三十五年度におきましては、造成費の補助をやはり一億円計上いたしておりますが、しかし住宅金融公庫の中高層建築の方で七億ばかり三階以上の鉄筋コンクリートについては融資を行なうことになっておりますので、これと合わせていささか上林山委員の御期待に沿い得ることと思う次第であります。 なお市街地の宅地利用の合理化につきましては、住宅金融公庫による中高層耐火建築物に対する融資及び日本住宅公庫の店舗等の併存住宅の建設融資等によって十分その目的を達成できることと思います。
○上林山委員 最後に建設大臣にもう一言お尋ねいたしたいことは、これも何年か前にわれわれ有志議員が建設省に提案をしまして建設省が採用した一環でございますが、それはどういう点かといいますと、今聞いた通り、国の費用なり、あるいは財政投融資なり、そうしたような予算や財政投融資にたよらないで、これでもやらなければならぬが、いわゆる民間資金を動員するという考え方、これが住宅公団等にも一部現われておりますが、私はアメリカがやっておるように、火災保険会社が一挙両得にもなるのでありますから、鉄筋の燃えない住宅を作る、そしてこれを政府と協力して需要者に提供していく、こういうような制度を一つ思い切ってやってもらいたいということを提案したのでありますが、その代案として今行なわれておるのは、火災保険会社から住宅を作る資金に融資をしておるようでございます。今どれだけ融資をしておるか。火災保険会社は、非常に純益を上げておる。もしその融資が少ないならば、もう少し思い切ってその融資をしてもらう、あるいはまた私がさらに一歩進んだ提案を申し上げるように政府資金だけでやらないで、民間資金を動員する一番いい方法は、せっかくそこに火災保険会社も理解を一歩進めたときでございますから、もっと政府と協力した形で、住宅経営を会社みずからがやる、政府はこれに指導協力をする、こういうような行き方で住宅不足の解消をはかるのも一つの行き方じゃないか、私はこういう考えを持っておるのでありますが、建設大臣、これは単なる事務当局の答弁でなしに、できさせようとする熱意で一つ研究してみて下さらんかどうか、一つお答えを願っておきたいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。住宅公団の建設資金は、大体三百五十億円ということになっておりますが、そのうち民間資金としては二百億程度であります。ところが、住宅公団の住宅建設には、家賃の関係等もありまして、できるだけ低いコストで建設する必要がありますが、その資金につきましては、あまりコストの高い資金によって建設するということは避けなければならないので、なるたけ国の低利資金とあわせて運用することが必要だろうと思いますが、民間資金につきましては、十分その活用をはかって参りたいと思っておる次第であります。
○上林山委員 民間資金もいろいろあることを承知しておりますが、私の言うのは、保険会社も助かれば同時に建設省も都合がいいんじゃないか。同時に、たくさん住宅ができて、需要者もまた利益を受けるのじゃないか、こういう意味で、火災保険会社は——アメリカのことをもう少しお調べになってごらんなさい。これは思い切った住宅政策を会社の付属事業として政府が奨励してやっておるのですね。だから、そういう意味で政府は指導をする、あるいは協力をするというような態勢で、一方にそうした自主的な運営をやらせる考えはないかという提案でございますから、これは研究課題として一つ研究を願っておきたいと思います。 次にお尋ねいたしたいことは、文教関係についてでございます。私は、松永文相のときに、この委員会を通じて質疑を試みたことがございますが、それは世界各国の実情からいたしまして、大学の理科系、文科系の比率を、せめて理科を六、文科系を四にせよ、こういう提案をしたのでございました。それは言うまでもなく、日本は人口が非常に多くて資源もない、だから技術をもって立つ以外に——これは貿易の振興にもつながり、あるいは国民生活の安定にもつながる問題だが、やっぱりこういう国柄としては、こういう考えをもっていかなければいかぬじゃないか。ソビエトは、科学技術あるいは技術の奨励を非常にいたしておる。向こうの学校の教育状態は、理科系が七、文科系が三、こうなっております。中共を私は見て参りましたが、向こうでは、日本の短期大学程度のそれよりももう少し幅の狭い教育を専門的にやる簡単な技術大学が、非常に急ピッチで作られております。ここの比率も、もう言わぬでも、技術系統が非常に多い。あるいはドイツあるいはアメリカ——アメリカは七対三にはなっておりませんけれども、五対五よりも理科系が約六になろうと今いたしておるところであります。そういうような状態であるから、松永文相時代に、その方針でやろうといって、文部省は、理科の補助なりあるいは教官の研究費なり、いろいろ今までよりも善処しておられるようであるが、こういう方面に対する比率に決して私はとらわれぬけれども、一番表現が簡単だから五対五、こう言っておるのでありますが、それくらいの考えを持って今もおられるのか、あるいはおられるとするならば、もうあと何年たったならばそういうふうになるか、これを一つまずお聞きしておきたいと思います。
○松田国務大臣 国立、公立、私立を合わせて考えますると、文科系統二に対し、理科系統は一ということになっておりますが、国立大学関係で見ますると、それがまさに逆になって、理科系統が二、文科系が一、なおあなたのおっしゃるように七対三の程度に移行しつつある状況であります。つまり理科系統の方が七で、文科系統の方は三というような傾向に移行しつつある状態でございます。
○上林山委員 ただいま文部大臣は、私の質問に答弁されて、今日本の理科系と文科系は、理科が七、文科が三という比率になりつつあるというようなお話のようですが、それと反対に、また文科が七、理科系が三というふうにも受け取れたのですが、はっきりしなかったのですが、どうですか。
○松田国務大臣 どうもはっきりさせられなくてまことに申しわけないと思います。私の申し上げたのは、国公立並びに私学を合わせて考えるときには、文科系は二で、理科系は一ということになっておりますが、国立大学の点だけで見るというと、その逆に、理科系統が二で、文科系統は一、こういう比率でありますが、あなたのおっしゃるように、理科系統が、国立大学では七に対して、文科系は三になりつつあるということを申し上げたのであります。
○上林山委員 ただいまの答弁は、私もわかったようなわからぬようなことになりますが、いずれにいたしましても、私の言わんとするところは、二対一の数字の言い方でもいいし、あるいは七対三とかいう数字の言い方でもけっこうですが、要は日本の理科系の技術教育を、文部省は目標をどのところに置いておるか。諸外国の例に比べれば、まだまだ文科系統が多過ぎる。資源を持たないわが国が立ち上がるには、これは頭を使う以外に方法はないのですから、技術を使う以外に方法はないのですから、私はこれが所得倍増計画の基礎的な問題だとすら思っておるんだ。またそういう意味でこの問題について今お尋ねをしておるのですが、それはさておいて、文部大臣、育英資金の問題について私はどういう運営をやっておるかということをお尋ねしたい。この前の全学連のあの陣頭指揮をやった清水、葉山両君、これを調べてみましたところが、学校は休学か退学かになっておるのに、育英資金を文部省所管の育英会から借りておる。こういうことは国民の税金を——育英資金を作った目的は、国民の税金を有効に使って、りっぱな人材を作って、日本のために、日本の国民のために一つ役に立ってもらおう、こういうような意味でできておるわけなんです。それを、今私は一例を引いたのですが、こういう者に貸し付けておる。これでいいのか、あるいは改めるのか、どうなんです。これは育英会の運営について文部省の監督指導が足りないのじゃないか。これは松田文部大臣には言いにくいけれども、あなたが育英会の会長を直接やっておればこんなへまはやらぬと思うけれども、いずれにしてもこういうようなやり方はどうなんですか。その目的、もっとはっきりと、一つ遠慮なく……。
○松田国務大臣 まず前段の御質問に対して、ちょっとさきの私の答弁を補充いたしておきます。私も今日の時勢の要請はどこにあるかということを承知いたしております。お話のように、やはり科学技術をうんと振興させるということが、要するにわが国の国民生活に直結するものであり、産業全般のかてである。だからこれをうんと力を入れてやらなければならぬ。これは時代の要請である、はっきり承知いたしまして、それに応ずるために力を入れってやっておるわけでありまするが、明年度の三十五年度の予算に対しても、それぞれまあ大幅とは言えませんけれども、相当額の予算をみなつけて、まず一応飛躍的にこの方面の研究なり、進歩が見られていくんではないか、かように考えるわけであります。しかしお話によるというと、科学技術、理科系の学問だけ進めていけばいいというふうにも受け取れたのでありまするが、それのみならず、やはり人文系の学問も大いに進めなければならぬ、そういう私は考えを持っておるわけでありまして、科学技術の発達によって大いに裨益するところが今日の社会には多いのである。また新しい分野を開拓して、人類に今までにないような福祉をもたらすというようなことも考えられる。しかしそうした科学技術の発達によって得たところの成果というもの、これを使うものは人間である。従って、りっぱな人間によってこの成果を人類福祉のために使うのでなければ、とんでもないことになるというおそれもなきにしもあらずでありまするから、やはり十分な人間的な教養を身につけた人間を作るという、人文科学方面の学問にも力を入れたい、かような考えを持っておるわけであります。 なお、育英資金の問題であります。これはなかなかいい仕事だと思っております。これは相当期間やっておりまするが、今おっしゃるように、全学連その他、育英資金などを貸与するについて、とんでもない方面へその金がいくんじゃ、国民の税金をもってするのにけしからぬではないかというお話でございます。なるほどそれはそうでありまするけれども、やはり育英資金の本来の趣旨を考えると、悪い者にはやらないのだというよりは、向学心があって、しかも家庭の事情その他によって、上層の学校に行くことができないようなところへ金を足して、貸与して、そしてその学問をやらせる、こういう趣旨から出ておると考えるのでありまして、何とかしてこの金は最も必要なところへ持っていきたいものである。これを広い幅に薄く持っていくのがいいのか、最も必要とするところへできるだけ大きく持っていくのかということについても、これはなかなかむずかしい問題でありまするし、最も適格者に、また一番必要なところへうまくつぼにはめるということは、なかなかむずかしい仕事であります。がしかし、大体において非常にうまくいっておると思います。全学連のお話が出ましたから少し数字を一つ……。育英資金は私は非常にいい仕事であると思いますので、一つ皆さんにも理解していただきたい。これまでに貸与を受けたところの全学連の幹部三十名というのがありますが、そのうちで奨学金を受けたのが十二名、しかし従来不適格として停止された者が五名、国会乱入事件で停止された者が一名あります。羽田事件で停止された者が二名あります。現在奨学生として残っておる者が四名在学生の中にありますが、しかしこれはああした活動に参加したかしないか、まだはっきりしないのでありますが、そうしたのが四名あるということでありますので、まあ、はっきりした者はむろん停止するようなことに相なっておる次第であります。
○上林山委員 文部大臣の哲学的な御答弁で、僕も少し迷うのでありますが、私の質問の要旨をはき違えておられるようで、私は決して、科学技術の教育だけ、理科系統の教育だけやればいいというのじゃないんで、比率から見て簡単な形式的な表現だけれども、もっと理科系の比率をふやしたらどうだ、そうしないと日本は立っていかぬのです、こう言っておるのです。文科系の学問の大事なことは私も十分に承知をいたしておりますから、その点は誤解のないように願っておきたいと思います。 終わりに私は地方財政の問題について質疑いたしておきたいと思います。 まず第一に、今回の予算編成で最後まで難航したのは、地方財政の問題であったと思います。しかもいろいろと問題がございましたが、中で政府の英断と思われるのは、例の交付公債制度を思い切って廃止をしたということです。これは私は地方団体にとっても非常な貢献である、こういうように理解をしておりますが、あれはただいまのところでは、特別会計の二百億円だけをいわゆる廃止をした、こういうことになっております。またその肩がわりの処置も私は適当であると考えますが、残っておるのは、一般会計の四十五億円の問題がまだ残っておりますが、これは三十六年度で多分廃止をするというお考えではなかろうかと思いますけれども、この際伺っておきたいと思います。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。御指摘のように、交付公債制度というのは、地方財政に非常な不健全な要素を加えるものと思いまして、私どももこの廃止を強く要望しておったのであります。幸い三十五年度の予算編成にあたりまして、今お話しのごとく、特別会計の分約二百億が廃止されることになったのであります。これはちょうど特別会計分に計上されておりまするものが資金手当も一応できておりまして、百六十億はそのまま地方債の方の融資のワクに回す、あと四十億ばかりは現金納付をせしめる、こういうことでとりあえず特別会計に計上されておったものの交付公債分が廃止になったわけであります。一般会計分につきましては、新たに資金手当等も要しまするので、三十五年度の問題としては間に合わなかったのでありますが、この点、大蔵大臣ともいろいろ折衝しなければならない点でございまするけれども、私の希望といたしましては、三十六年度からは一般会計分も廃止してもらいたい、かように思っておるわけでございます。
○上林山委員 確かに地方財政は一面大蔵省が見ているように好転している点も見られるわけです。たとえば地方税では大体見込みが八百十七億円くらいふえるのじゃないか、あるいは地方交付税では三百七十九億円くらいふえるだろう、あるいはこれは補助を含むのであるが、国庫支出金で約七百億円、合計千八百九十六億円の増収となって、県単独の仕事などがやりやすくなるのじゃないか、こういうような考え方もあるわけです。また地方起債も実質二百四十億円の大幅の増額でございますから、やはり地方財政規模の一兆五千五百億円の仕事をまかなうことが十分じゃないか、こういうように言われておるわけです。 しかしここで問題となるのは、この前最後まで予算編成のときにいろいろ問題があったように、国税の移動によって、国税のいじり方によって地方税にしわ寄せがあり、この行き方は、これはいろいろとむずかしい問題も残っておりますけれども、いつまでもこのままでいいだろうか。やはり私は住民税に限らずあるいは事業税に限らず、国税に影響されるものをどうするか、あるいはそれ以外のものをどういうふうに考えて税制の改正をやっていくかということは、これはやはり真剣に税制調査会の検討も願わなければならぬだろうけれども、もう少し一つみんな力を入れて研究してみたらどうだろう、まあこういうように考えるわけであります。 時間の関係があるから全部申し上げますが、さらに問題になるのは、地方富裕団体と貧弱団体との財源の不均衡をどういう方法でこれを一つ改めていくかという問題。これも困難な問題が横たわっておりますけれども、これをただこのままにほうっておいてはいけないと私は考える。だから地方交付税あるいは地方譲与税、あるいは地方債の配分などの方法を一つ根本的に検討して、何らかの調整方法というものを考えていかなければ、予算の編成のたびごとに、あるいは国税をいじるたびごとに問題が起こってくる。だからこの辺は大蔵省と自治庁その他お考えいただかなければならぬ問題だと思いますが、こういう問題について一つどういう考えを持っておるか。非常にむずかしい問題だけれども、地方財政にとってはこれはきわめて大事な問題なんですね。一つお答えを願いたいと思います。
○石原国務大臣 お答え申し上げます。あとの方の問題からお答えしたいと思うのでありますが、地方財政の一番困難な問題は、富裕団体と貧弱団体との間に非常な懸隔があるという問題だろうと思います。今その例を列挙されましたが、交付税の配分方法であるとかあるいは地方債のつけ方であるとか、そういうことで今後とも考慮していかにゃならぬと思いますが、私はさらに一つ考えておりますることは、公共事業その他の事業が非常に増加してきておるわけでございまして、これに伴う相当の地方費の負担があるのであります。それで後進地域、未開発地域であればあるほど、こういう公共事業はむしろ伸ばしていかにゃならぬのでありまするが、財政の不如意のためになかなかそれに追いついていけないという問題、ますます団体間の不均衡を来たすという問題がございまするので、ただいま非常に検討されておりまするのは、そういう未開発地域、後進地域に対する公共事業、建設事業に対する国庫の負担割合をふやすようにする方法が考えられないであろうか、こういう問題を今取り上げておるわけであります。さらに皆様方とともに御検討いただきまして、何らかの成案を得たいと思っておるのでございます。この問題は今後とも検討を続けていきたいと思います。 税制の問題については、具体的に問題が起こりましたのは、所得税の減税に伴う住民税のはね返りがこの三十五年度から現われるということで、その問題で大蔵省と非常に折衝しておったわけでありますが、趣旨といたしまして交付税の〇・三に相当する三十億というものを認めてもらうということになったのであります。今後の問題といたしましては、税制調査会で国、地方を通ずる税財源の配分ということをただいま検討願っておるわけでありますが、それと相関連して今御指摘のように、国税に対するいろいろな施策の変更によって地方税にそれが大きな影響を来たさないような方法も考えていかにゃならぬと思いまするが、しかしこれはやはり徴税技術の問題であるとかあるいは課税の便宜の方法であるとか、いろいろ困難な問題が伏在しておりまするので、今後とも税制調査会に適当な結論を出してもらうように、われわれも研究を続けて参りますが、善処を続けていきたい、かように思っております。
○上林山委員 地方財政の調整は非常にむずかしい問題でありますけれども、先ほど申し上げたように、きわめて大事な問題でありますので、長官の答弁の通り一つ善処を願いたいと思います。 最後に伺いたいことは、予算の財源の見通しあるいは税制の調整、こういう問題について少しばかりお尋ねしておきたいと思いますが、まず財源の問題で問題になりますのは、国庫債務負担行為でありますが、三十五年度の防衛庁における債務負担行為の額は総計九百七十五億円で、これに各省の分を合わせますと、一体国庫債務負担行為は総額幾らになるのか、まずこの国全体の国庫債務負担行為の総額を知りたいのであります。
○石原政府委員 数字のことでございますから私からお答え申し上げます。千六十六億三千三百万円であります。
○上林山委員 ただいまのお答えでよくわかりましたが、このうちに三十六年度に予算化する見込みのもの、大体見当のついておるものは総計幾らぐらいになりましょうか。
○石原政府委員 百二十億三百万円です。
○上林山委員 大体防衛庁費だけで二百億から、場合によると二百五十億ぐらいになるのじゃないかという見方もあるのですが、ただいまのお答えで三十六年の分は間違いございませんか。 〔「ロッキードだけでも二百億あるじゃないか」と呼ぶ者あり〕
○石原政府委員 あるいはお尋ねは過去の国庫債務負担行為に伴いますお話かと思いますが、私がお答え申し上げましたのは、三十五年度に新規にとりました国庫債務負担行為、それに基づきます三十六年度の支出ということであります。(「額は幾らだ」と呼ぶ者あり)その数字は今ちょっと手元にございません。
○上林山委員 ただいまの数字がないそうでございますから、後刻調べた上でお知らせ願いたいと思います。 こういうような国庫債務負担行為をどうしても三十六年度にも相当予算化しなければならぬという問題、それからことしは幸いにして税の自然増があったから、これでまかなうことができたわけでありますが、昨日来からの御答弁を聞いておりまして、御承知の通り、三十五年度の状態も好景気がまだ相当続く、もちろん警戒はしなければならぬが、そういうふうになる。だから、税の自然増というようなものもあるだろう、こういうことで、来年度の財源についていろいろと検討が続けられたわけですが、私も願わくはそういう方向に進んでいただきたいと考えておりますけれども、国民年金の費用とか、あるいは治山治水費とか、道路五カ年計画の問題とか、その他いろいろとありますので、財源の見合いについては、相当大蔵省も政府も御苦心だろう、こういうふうに思うわけであります。だから、財源の問題は、時間があればもう少し詳しく聞いて、われわれも政党人として、与党の議員として考えなければならぬ点があれば考えますが、同時に、政府においても、ことしの予算も人件費を三%、あるいは施設費を五%でしたか、そういうふうに節約されていろいろやっておられるが、まあ財源があるとかないとか、あるいは財源を隠しておったとかどうだとか、つまらない議論をお互いにやめて、そうして健全な予算編成の方針というものにお互いが歩み寄って、政党内閣政治でありますから、われわれは野党のようには考えないけれども、そこにはやはり一つの常識というものを持っていかなければならぬだろうと思います。 そこで伺いたいことは、三十六年度の減税というものは、これは私は、税制調査会の問題もありますけれども、全面的にはできないだろう、またできないものはそう無理してやらぬでもいい、それよりも国民の要望しておるいろいろな仕事というものに対して、政府があたたかい手を差し伸べるということを考えていかなければならぬ、もちろん健全なる日本の十年間を考えるとか、そういう長期計画に対する考え方は、これはお互いに真剣に考えていかなければならぬと思います。 そこで、私は全面的な減税がどうこうという問題は一応譲りまして、部分的な問題を提案いたしたいのでありますが、電気ガス税ですね、通産大臣あるいは大蔵大臣、この電気とガス税ですが、これは三十六年度に場合によっては減税できる見通しかどうか。御無理をなさらぬでいいが、見通しはどうか、この問題。それからもう一つは、これはとる方です。減税の方じゃない。私は減税ばかりやる必要はないと考える。問題によっては税金をとってよろしい。一例をあげますと——数項目あるのですが、時間の関係で一例だけあげますが、その一例は百貨店の売上高に売上税をかけたらどうか。これは中小企業の対策から考えてみても、あるいはまた去年の百貨店の売り上げを比較をとってみますと約一五%、ちょっと切れますが一五%くらいの売上高がふえております。しかも株の値段を見てごらんなさい、配当を見てごらんなさい、相当の有利な配当をしておる。こういう状態から考えて、私はこの百貨店の売り上げに百分の五か六くらいの売上税をかけてもいいのではないか、こういうふうに考えるのですが、これはほんの一例です。だから、電気ガス税のようなものは、苦しくても場合によってはやらなければならぬ、場合によってはその見返りとして一つこういうもので埋め合わせをしていくという、やはり建設的な財源というものを一つ考えたらどうだろう、こういう考えを持っておるのでありますが、大蔵大臣あるいは通産大臣のお答えを願っておきたい。
○池田国務大臣 税の問題は通産省の所管でございませんので、意見を申し上げることはいかがかと思いますが、二度御注文がございましたので申し上げますが、電気ガス税は私個人といたしましては非常によくない税と思います。悪税と思います。しかし、これは地方自治庁長官もそうお考えになっておると思いますが、やはり財源の問題でずっときておると思います。これの生殺与奪は大蔵大臣が握っております。 次に百貨店税につきましては、ずっと以前に私も考えたことがございます。局長時代に考えたことがございますが、当時は百貨店の定義がなかなかむずかしいのでございます。ただいまは百貨店というものの定義ができております。上林山さんのような意見も私は耳にしております。これもやはり大蔵大臣の考え一つによってきまることであり、一つの案とも思われます。
○佐藤国務大臣 ただいまは一大臣に生殺与奪の権はございません。御承知の通りでございます。ところで、ただいまいろいろお話がありました三十六年度減税が可能かどうか、あるいは場合によったら減税はできないということを言ってもいいじゃないか、また必要ならば税をとってもいいじゃないか、こういうことでございますが、私大蔵大臣といたしましては、減税は何とかして工夫したいという考え方を実は持っております。三十六年度の予算編成の問題は、ただいま全貌についてそうはっきり具体的なことを申し上げかねます。ただいま御審議をいただいておるのは、まだ三十五年のものでございます。ところで、ただいま私どもが期待をかけておりますのは、この三十五年度の経済の成長状況もぜひとも今日の状況を続けていきたい、そういう意味で三十五年度の予算を作り、経済基盤を強化し、いわゆる好況を持続していく、実はこういう予算を作っておりますし、また今後起こるであろう経済の変動に対しましては、適時適切な方途を講じて、ぜひともこの安定成長を期していくという決意でございます。ところで、三十六年の支出の面におきましては、御指摘になりますように、相当当然増のものが予想される。そうしてます減ると考えられますものは、災害対策費が、ことし三十五年に幸いにして大きな災害が起こらなければ、いわゆる三・五・二の三・五まで済ますことになりますので、今度は二になりますから、それが幾分か減るだろう、こういうことだけは考えられる。そういたしますと、相当の自然増収があった場合に、国民の要望である減税も実施する。こういうことになりますと、やはり経費の節減というものには相当積極的に御協力願わなければならぬのじゃないだろうか、実はかように考えております。ことしなどもいろいろの支出の面におきまして節約などを要望して参りましたが、三十六年度の予算編成の際はさらにそういう点も御協力願いたい、かように実は考えております。 具体的の税の問題につきましては、電気ガス税の問題になりましては、これは自治庁の方の関係もございますし、十分調整をはかる筋であろうかと思います。また増税をいたしますことについては、十分検討を遂げないと、これについての私の考え方を披露することは、まだその時期ではない。減税につきましては比較的考えやすい問題でございますから、さように御了承いただきたいと思います。
○上林山委員 減税の問題は慎重にやらなければならないが簡単だ、増税の方はなかなかむずかしい、お説の通り。だけれども、どうしても来年度の財源の問題からそれぞれ一つ慎重に考えていただかなければならぬだろうと存じます。 私は法務大臣、労働大臣、郵政大臣等にもう少し質疑を試みたいと思いましたが、もう時間が参りましたので残念ながらこれで質疑を終わりたいと思います。
○小川委員長 石原主計局長から数字訂正の申し出があります。これを許します。石原主計局長。
○石原政府委員 先ほど申し上げました三十五年度の国庫債務負担行為に基づきまする三十六年度の支出は百二十億という数字を申し上げましたが、これは間違いでございまするから、はっきり調べました上で正確な数字をあらためてお答え申し上げたいと思います。
○佐藤国務大臣 せんだって外資法で来ておる外資は幾らかというお尋ねがございましたが、大体今までのところ九千二百万ドル、これは外資法による資本投下でございます。
○小川委員長 明後八日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十四分散会