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34回国会衆議院1960/02/03

本会議 第5号

発言数
26
登壇者
13
会派数
2
開催日
1960/02/03

会議録

清瀬一郎自由民主党議長

○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  公職選挙法改正に関する調査をなすため委員二十五人よりなる特別委員会、科学技術振興の対策を樹立するため委員二十五人よりなる特別委員会、国土の総合開発について諸施策を樹立するため委員二十五人よりなる特別委員会を設置するの件(議長発議)

清瀬一郎自由民主党議長

○議長(清瀬一郎君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。  公職選挙法改正に関する調査をなすため委員二十五名よりなる特別委員会、科学技術振興の対策を樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会、国土の総合開発について諸施策を樹立するため委員二十五名よりなる特別委員会を設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

清瀬一郎自由民主党議長

○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。  ただいま議決せられました三特別委員会の委員は追って指名いたします。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑             (前会の続)

清瀬一郎自由民主党議長

○議長(清瀬一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。船田中君。     〔船田中君登壇〕

船田中自由民主党

○船田中君 私は、自由民主党を代表し、政府の施政演説に対し、当面する重要なる問題につき質問いたさんとするものでございます。その第一は、日米新安保条約と外交並びに防衛問題について、第二、財政経済問題について、第三、民生に関する問題について、第四、民主政治の擁護及び国政の基本的問題についてであります。  質問の第一は、新しい日米安全保障条約と外交並びに防衛の問題についてであります。  日米安保条約の改定につきましては、すでに前国会においてあらゆる角度より論議が尽くされ、また、先般、新条約付属交換公文及び日米共同声明等によって、国民の疑問に思う点につき明確な表示がなされており、また、昨日の本議場における質問に対する岸総理大臣及び藤山外務大臣の答弁によって、ほとんど余すところなく問題点が解明されたと存じますので、私は、あらためてその内容の細部にわたることは避けたいと存じます。しかしながら、安保条約の背景をなす世界情勢の認識と、これに対処すべきわが国の外交施策についての見解において、遺憾ながら、野党の諸君とわれわれとの間には大きな違いがありますので、それらの点を明らかにしつつ質問を進めて参りたいと存ずるのであります。(拍手)  そもそも、新安保条約は、現行条約に対し、従来国会においてしばしば論議されておった不平等かつ対米従属的であるという点を改め、日米が全く平等の立場において、相互の信頼と協力のもとに、国連憲章に従い、日本の安全を保障し、極東の国際平和と安全に寄与し、もって世界平和の確立に資せんとするものであります。(拍手)  現下の国際情勢を見て参りますると、東西人事の交流、軍縮会談等、いわゆる対立緩和の方向に努力が傾けられておることは事実でありますが、希望と現実とは必ずしもいまだ一致しておりません。わが国の当面する国際環境と冷厳なる現実の事態に即応いたしまして、日米新条約の締結は絶対に必要であり、かつ、最も時宜に適した施策であると存じます。(拍手)ことに、新安保条約が、平和を念願し、国際紛争を武力に訴えないということを原則とすること、日米は、ただに安保問題のみならず、政治・経済の面においても相互に協力することといたしたこと、事前協議については、アメリカは日本の意思に反して行動しないことを明らかにしたこと等によって、新安保条約は、どこまでも防衛的のものであり、一部の反対論者が言うがごとき、いわゆる軍事同盟とは全く性格を異にし、この条約の締結によって日本が戦争に巻き込まれるとか、また、これによって、アメリカに対し、わが国の軍事力強化を約束したものであるというがごとき批判は、全然当たらないものであります。(拍手)  従って、新安保条約の締結によって他国を刺激するとか、さらに、特定の国を敵視するというがごときは絶対にないのでありまして、その点は一九五〇年二月、中ソ間に締結された友好同盟条約、その中には日本を仮想敵国とした軍事条項を含んでおるのでありますが、それとは全く異なるものであります。(拍手)しかるに、ソ連及び中共は、安保改定の問題が起こるや、終始、わが国及び国民に対し、安保改定阻止、安保解消を呼びかけ、不当な内政干渉的態度と、どうかつを続けてきたのであります。ことに、われわれ国民が最も心外に思うことは、最近、ソ連が、国際信義を裏切って、すでに日ソ共同宣言で約束されておる歯舞、色丹の引き渡しさえも拒否する態度に出たことであります。(拍手)このことは、ソ連が国際信義というものをいかに軽視する国であるかということをみずから証明するものとして、われわれは、はなはだ遺憾に存ずるものであります。(拍手)私は、ソ連、中共がこれまでしばしば繰り返し示してきたような、威圧と、どうかつや、内政干渉的態度が、決して、わが国の独立と安全とを保障し、世界の平和を求める態度ではなく、あらゆる機会を利用して、わが国の国論の分裂と日米離間をはかり、ひいては、わが国を共産圏側に引きずり込まんとする根強い意図に出たものと考えざるを得ません。(拍手)  われわれは、もとより、ソ連とも正常な国交関係の発展を希望するものであり、その努力を怠ってはなりませんが、ソ連がわが国を威圧し、わが国の内政に干渉するがごとき態度を改めざる限り、唯々として先方の主張に屈従するわけには参らないと存ずるのであります。(拍手)私は、このようなソ連の態度に対し、政府は強く反省を求めるべきであると思うのでありまするが、総理の御所見をお伺いいたしたいのであります。(拍手)  しかし、一面、ソ連、中共の不当な干渉とどうかつを誘発する最大の原因は、わが国内における左翼勢力の反米容共的言動であり、日米安保条約の改定問題を最大限に彼らの政治目的に利用し、その阻止には手段を選ばないという左翼諸政党、総評等の態度が、ソ連、中共のどうかつ的干渉の導因となっていることを否定するわけには参りません。(拍手)私は、この機会に、反対党の諸君に対しても反省を求めたいと思うのであります。(拍手)  次に取り上げる問題は、新しい日米安保条約の大きな特質が、単に防衛上の協力だけでなく、経済、政治等のあらゆる面における日米の協力を約束した点にあるのであります。ことに、経済面における協力は、貿易自由化の世界的大勢のもとにおいて、きわめて大きな意義を持つものと考えられますので、日米経済協力機構を設け、お互いに貿易上の摩擦を排除し、貿易、経済交流を拡大し、また、後進諸国の経済開発、民生の向上につきいかに協力を推進すべきかという問題について具体的に施策すべきではないかと考えるのでありますが、政府の構想はいかがであるか。ことに、本年は日米修好百年に当たる記念すべき年でありますので、いたずらに一時のお祭り騒ぎに終わることなく、効果的な日米協力の施策を推進すべきではないかと存じます。それらについての政府の構想を承りたいと存じます。  さらにお伺いしたいことは、今後のわが国の外交施策の基本的構想についてであります。日米安保条約の改定は、わが国の世界平和に貢献すべき責任をいよいよ重からしめるものであること言うまでもありません。日米の強い協力と相互信頼の上に立って一そう積極的に平和外交を推進することが政府及びわが党の大きな責任であることは、岸総理の申された通りであります。その前途に横たわる最大の課題は、中共問題をどう処理するか、日ソ平和条約をどうするか、その他、対共産圏外交をどう推進するかということであると思うのであります。もとより、このような重大問題は、誤りのない見通しのもとに慎重に処理しなければならないことは言うまでもありませんが、政府としては、どのような方針で進む考えであるか、外交施策の基本的構想を承りたいと存ずるのであります。  この機会に、あわせて防衛問題についても若干お尋ねをいたしたいと思います。  今回の新安保条約が、わが国の防衛費の急増をもたらすものでないことは言うまでもありませんが、一部の反対論者は、これを軍事同盟と歪曲して、これが防衛費の激増を招くものと逆宣伝に努めており、国民の一部には、このようなデマに惑わされておる者もあろうかと思われます。もちろん、一国がその独立を確保するためには、国力に相応する防衛力を整備することは当然の責務でありまして、政府は、さきに昭和三十五年度をもって終わる防衛整備計画を立て、すでに実行いたしておるのでありますが、さらに、新安保条約のもとにおける長期計画を策定し、一定の方針のもとに、国力と国情に相応する最小限度の自衛力を整備するものであって、いたずらに防衛力の増強を目途とするものでないということを国民に明示することが、逆宣伝を粉砕し、国家の安全保障についての正しい認識を国民に与えることとなると思うのであります。(拍手)政府は、これに対しいかなる見解を有するかを承りたいと存ずるのであります。  質問の第二は、財政経済についてであります。  現下のわが国の経済が非常な好調をたどっておることは、政府の施政演説にもありました通りでありまして、まことに御同慶にたえません。しかしながら、わが国の経済の前途が手放しに楽観できないことも、もちろんであります。特に、急速に進みつつある貿易自由化の世界の大勢は、わが国の経済にとって画期的な影響をもたらすものであり、ことに、農業や中小企業にとっては、はなはだ重大な問題であることは言うまでもありません。戦時中から戦後にかけて、長い間貿易・為替管理の防波堤の中で保護されてきたわが国産業が、国際、自由競争の荒波の中に立たされることになるのでありまするから、それにはよほどしっかりした用意と覚悟が必要であると思うのであります。  わが国をめぐる経済環境を見まするに、地理的、政治的事情から見て、おそらくヨーロッパ式ブロック経済の構想によることは困難であると存じます。しかも、貿易依存度の高いわが国としては、アメリカを初め自由国家群との経済協力を強化し、貿易自由化の実際的な段取りなり計画を立て、それに対応して国内産業の体質の改善、国際競争力の強化を着実に進めていくことが、きわめて肝要と信ずるのであります。国民の最も欲するところは、できるだけはっきりした見通しと段取りを政府が明示することであります。すでに貿易、為替の自由化問題が現実の課題となっておりまする以上、明確な具体策を決定し、これを明示することが何よりも必要と存じます。政府の御見解を承りたいと思います。  次に、税制問題につきお尋ねをいたします。  三十五年度予算は二千百数十億円の税収の増加が見込まれており、この増収をすべて歳出財源に充当いたしましたために、わが党の公約した政策が忠実に盛り込まれ、非常に充実した予算となりましたことは、国家のため、まことに慶賀すべきことと存じます。(拍手)しかし、ただ一点、私どもも多少残念に思うことは、このような税収増加が見込まれながら、なお一般減税を見送らざるを得なかったことであります。三十五年度は未曽有の災害の関係でまことにやむを得なかったとしても、三十六年度は、減税を含む中央・地方を通ずる税制体系の合理化をぜひはかりたいと念願しておるのであります。一部の論者の中には、三十五年度予算の歳出規模が著しく膨張したこと、また、治山治水計画等で後年度の歳出を拘束する要素が多くなったので、財政の弾力性が少なくなったこと等の理由、あるいは、三十六年度の景気の見通し等からして、財政上の困難に直面するであろうとの説をなす者もありますが、私は、経済政策の適切な運営によってわが国の経済の安定した成長発展を確保することが十分可能であり、この基盤に立って減税を含む税制改革は必ず実現できるものと信ずるものであります。この点につき、政府の所信を承りたいのであります。(拍手)  第三の質問は、民生に関する問題であります。  わが国の経済の好調によって、国民生活は全国的に見て著しく向上しつつあり、雇用もまた拡大しつつあることは、まことに喜びにたえません。しかし、このような明るい面の裏には、日の当たらない階層の生活不安がなお残されており、また、経済の好況が、大企業と中小企業との間、農林漁業とその他の産業との間、あるいは大都会と地方農村との間の所得上の格差を次第に大きくする傾向を否定するわけには参りません。三十五年度予算においては、このような不均衡、不調和を是正するための配慮が相当に払われておることは、政府の施政演説にも述べられておる通りであります。私は、ほんとうの福祉国家を建設するためには、さらに長期的な計画を立てて、それを着実に実行していくことが必要と信ずるものであり、国民所得倍増計画の一面のねらいもそこに置くべきだと思うのであります。政府は目下その具体的な実行計画を策案中とのことでありますが、これらの問題についての考え方なり、大体の見通しはどうであるかということについて承りたいと存ずるのであります。  質問の第四は、民主政治の擁護及び国政の基本的問題についてであります。  民主政治の擁護は、法と秩序の維持が前提とならなければならぬことは言うを待ちません。しかるに、昨年十一月の国会集団乱入事件、また、本年一月十六日の全学連による羽田空港占拠事件等の集団的破壊活動は、明らかに暴力革命的な様相を備えておるのでありまして、もしも、このような傾向がなお続発するようなことがあれば、わが国における民主政治の前途はなはだ寒心にたえません。かかる破壊活動に対しては、われわれは断じて寛容であってはならないのであります。(拍手)かつての五・一五事件や二・二六事件における一部の寛容な態度が、ついに青年将校の思い上がりと軍部独裁を招いた事実を顧みるとき、私は、いやしくも暴力革命を意図するような計画的な破壊活動に対しては最も峻厳な態度をもって臨むべきであると確信するものであります。(拍手)国会乱入事件はついに衆議院議長の辞職という結果にまで発展しましたが、国会乱入の指導者たちの責任があいまいになるようなことがあっては、それこそ、破壊者たちの思うつぼにはまる結果となり、民主政治の破滅を招来することとなるのであります。(拍手)私は、自由と人権を守り、民主政治を擁護するためには、激化する傾向の見られる組織的破壊活動に対し一そう厳正な防除の措置が必要であると思うものであります。ことに、私が見のがし得ないことは、国立大学の学生団体や、教育者の団体である日教組の指導者たちが、国会不法乱入の先頭に立ったことであります。(拍手)私は、このような暴力革命の実践者が神聖な教壇に立ち、あるいは国民の税金によって国立大学の教育を受けることが許さるべきではないと信ずるのであります。(拍手)  なお、この機会にあわせてただしたいことは、国立大学のあり方についてであります。大学の自治はもちろん尊重すべきでありましょうが、大学といえども、決して治外法権を有するものではないのであります。(拍手)大学自治の特権に隠れて、大学の構内が暴力破壊活動の参謀本部となったり、犯罪容疑者の逃避の場所となるようなことは、断じて許されないと思うのであります。また、国家公務員である国立大学の教師が公然と反政府活動の実践に携わり、あるいはその指導に当たるようなことも、許さるべきではないと考えるのであります。私は、今日の学生運動の常軌を逸した脱線も、大半の責任は大学教師にあると指摘せざるを得ません。(拍手)今や、民主政治の擁護ということはきわめて緊要なる課題であると信ずるのでありますが、総理の御所信を承りたいのであります。  以上、私は、政府の施政演説に対し、重要なる問題点について質問の要旨を述べたのでありますが、第一次岸内閣成立以来、当面緊要な政策は着々実現を見、国民経済も民生も向上の一途をたどり、国際的地位も著しく高まっておることは、何人もこれを否定することのできない事実であります。しかし、国政の基本的な課題、いわば総論に属する問題については、なお多くの重要課題の残されておることも忘れてはなりません。中でも、最も緊要と思われるものは、一つは、国民文化の基礎ともいうべき教育制度の問題であり、次は、政治刷新の中心ともいうべき選挙制度の問題であり、第三は、行政の制度、組織に関する問題であると思うのであります。それら国政の基本問題についても、この際首相より構想を承ることができればまことに幸いでありますが、ここに、最後に一言を加えたいと存じます。  世界の歴史を顧みまするに、第一次大戦に敗れたドイツ、オーストリア、イタリア等、戦後数年ないし十数年にして、政治的に社会的に大きな変革に遭遇し、あるいは右に走り、あるいは左に傾き、いずれも民主政治のらち外に出てしまったのであります。その結果は、第二次大戦のあの不幸を招いておることは、御承知の通りであります。それらの前例を見るにつけ、今こそ、わが国においても、外に平和の達成と、内に民主政治の確立のために、改むべきは改め、なすべきはあえてこれを行ない、もってわが建国の理想実現に邁進すべきであると存ずるものであります。岸首相の勇断を切に望むものであります。  以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇〕

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  第一の、ソ連の覚書に対する政府の考えでありますが、すでに昨日も申し上げましたように、このソ連の覚書の内容を見ますると、故意に日米新安保条約の内容を歪曲して、そうして、日本を傷つけるような言辞が用いられております。その上に、これに対しまして、われわれが条約上当然権利として持っておる歯舞、色丹の引き渡しの問題を、一方的に新しい条件を付して変更するという態度をとっておるのでありまして、これは、国際信義の上から許すべからざることであるのみならず、安保体制や、あるいは一国の独立国の外交方針というものに対して、内政干渉的な行動に出ておるということは、これはきわめて遺憾でありまして、その点について強くソ連の反省を促すつもりであります。(拍手)  第二点の、日米経済協力機構についての御質問であります。今回の新しい条約の、いわゆる経済協力条項を有効に今後活用するためには、日米の間において適当な協力についての機構を考えていく必要があると思います。私とアイゼンハワー大統領との会談におきましても、今後継続的にこの問題について日米間が協力し協議するような仕組みを考えるように私から提案をし、それに対して大統領が同意を表したことが、共同声明にも明らかにされております。日米両国の政府のレベルにおいて考えるべきものを考えなければならぬが、同時に、日米の民間のレベルにおいて常時連絡をし、協議を進め、協力を進めていくということが望ましいと思います。これによって、日米間の経済問題、貿易の拡大や、あるいは外資導入のような問題も円滑にやるのみならず、低開発国に対する経済協力の問題につきましても、日米が一そう緊密な関係をとっていくことが望ましいと考えております。これにつきましては、民間レベルにおける機構等につきましては、足立全権がいろいろな資料を持って帰っておりますし、なお検討して適当なものを考えて参りたい、かように思っております。  第三は、対共産圏に対する外交の方針はどうだという御質問であります。日本があくまでも自由主義の立場を堅持し、自由主義国の一員として、われわれは、日米協力の線において日本の繁栄と平和をもたらし、これを通じて世界の平和と繁栄に寄与しようという基本的態度をはっきりといたしておるのであります。しかしながら、われわれは、どこの国に対しましても友好関係を進めていく、共産国に対しても、決してわれわれはこれを敵視するものではないし、また、いろいろな緊張緩和その他の問題について話し合いをしていくことにやぶさかでないということは、私の施政方針にも申し上げておるのであります。私は、今日の世界の大勢は、米ソ両国の首脳部の話し合いによって、いわゆる雪解けの方向に進んでおると申しますけれども、決してソ連がその共産主義的な考えを変えておるということはないのであります。また、アメリカが自由主義の立場を変えるということはないのであります。おのおのがしっかりした立場を堅持しながら、お互いがお互いの立場を理解し、そうして話し合いを進めていくというのが世界の緊張緩和の道であって、一方の体制を他に押しつけるというようなことは、絶対に私はあるべからざるものであると思うのであります。従って、われわれが自由主義の立場を堅持して、こういう態度をはっきりしておることが、私は、むしろ、共産国に対してわれわれがいろいろな主張をし、また、話し合いをするところの基本的態度として、こういうことが必要である、こういう考えであります。(拍手)  次に、新安保条約と防衛力の増強の問題についての御質問であります。一部の人々が新安保条約に対する非難として、これができれば日本の防衛上の負担が非常に激増するような議論が行なわれておりますが、そういうことは絶対にないのであります。われわれは、日本の自衛力の増強については、日本が自主的にきめております。国力と国情に応じて漸増するという原則を今日までも堅持してきておるし、将来も堅持するものであります。すでに、これに基づいて第一次の防衛力増強の計画ができておりましたが、三十五年度をもってこれが終わりますので、続いて第二次の長期計画を立案しなければならないし、現在、立案中であります。この案におきましても、もちろん、今申しましたように、われわれは、国力と国情に応じてわれわれの自衛力を漸増するという基本方針を何ら変更するものでないということを明瞭に示すつもりであります。(拍手)  次に、最近、大学の学生の一部に見られるような、集団的破壊行動に対する御意見でございましたが、私も船田君と全然同感でありまして、私は、日本の将来をになうところの青少年、特にその指導的立場に立つべき大学の学生諸君が、学生として正しい学生運動の範囲にとどまって、そして教養を積み、将来りっぱな人物として活動される基礎を作るように望んでやまないものであります。それが、かくのごとき破壊的行動に出るような、一部の過激な人々に使嗾されておるということに対しましては、きわめて遺憾に考えておりますし、大学の十分な反省と、それから、学生諸君のこれに対する自重を望んでやまないものであります。その点に関して、大学自治という問題も——もちろん大学の自治は尊重すべきものでありますが、それにはおのずから限界があるのでありまして、大学の自治ということは、決して大学の治外法権を意味するものではない。最近の事態を見まするというと、この自治の範囲を越えていろいろな行動が行なわれておることに対しましては、十分これは反省を求めていくつもりであります。  次に、教育制度の問題、選挙制度の問題及び行政機構のあり方についての御質問であります。  言うまでもなく、教育制度の問題は非常に大事な問題でございまして、教育内容の問題と制度の問題、ともに私は重大な問題であると思います。それには、十分、日本の国情や歴史というもの、伝統というものを尊重すると同時に、世界の進運に対して、これからの世代の人々が十分働き得るような素養をこの学校教育において持たれるように、また、社会に出ても、社会人としてりっぱな行動のできるような制度を考えることが、学校の制度と社会教育制度と相待って必要であり、また、教科内容も、これにふさわしいものにすることが私は大事である、かように考えております。  また、選挙制度の問題につきましても、言うまでもなく、選挙が民主政治を実行していく上において公明に行なわれることが何よりも必要であります。公明選挙を確保し、真に国民の代表者としてりっぱな人が選ばれるような選挙の制度並びに運営につきましては、常にわれわれはあらゆる面から検討いたしておりまして、政府におきましても公職選挙法の調査委員会を作り、その答申もありまして、その一部は本国会に提案して御審議を願うことになっております。今後といえども、続いて、そういう方向に研究を進めて参りたいと思います。  最後に、行政機構の問題は、言うまでもなく、行政機構が、簡素で、十分能率を上げて、そうして国民に便宜で、しかも、国民のために強力に行政事務が行なわれるというふうに持っていかなければならぬのでありますが、戦後における日本の行政機構はずいぶん複雑になっておりまして、この点におきましては、あらゆる点から検討を続けながら、能率的で、簡素で、国民の要望にかなうようなものにしていくように、今後とも検討を続けて参りたいと思います。(拍手)     〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 総理がすでに御質問の三点について答弁をしておられますので、ごく簡単に申し上げたいと存じます。  ソ連の覚書に対するわれわれの意見を申し述べる回答は、数日中にこれを出したいと思っております。今日、ソ連が平和を望み、あるいは共存ということを言っておりますけれども、今日、世界のそうした目的を達成するためには、単に軍縮ばかりではだめなんでありまして、内政不干渉、また国際信義を守るということがなければ、ほんとうの平和と共存の道は得られないのであります。(拍手)その立場に立ちまして、ソ連にわれわれの意見を覚書として提出するつもりでおります。  なお、外交の基本構想につきましては、われわれは、すでに国民の非常な力によりまして復興をいたしました。その力によって、過去二年間、安全保障理事会の理事国としての職責を十分に果たして参り、また、各国からその信頼をかち得ることになりました今日、われわれといたしましては、できるだけ漸進的に、また、平和的に、建設的に、十分国際の諸般の問題について協力、貢献していきたいつもりで、今後活動いたしたいと存じております。(拍手)     〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、為替・貿易の自由化と減税並びに所得倍増の三点についてお答えをいたします。  当面いたしておりますわが国経済の現状並びに今後の見通し等につきましては、完全に政府の見るところと同じ見解でございます。この立場におきまして最も重要な問題は、国際的潮流である為替・貿易の自由化をいかに推進していくかということ、そうして、しかも、わが国国内の経済に悪影響を与えないで着実に安定・成長さしていくことができるかという問題に尽きるのであります。この点に関しましては、貿易、為替の自由化の計画を樹立いたしまして、その計画の線に沿って実施していく。言いかえますならば、この計画の実施に差しつかえないような環境を作る、基礎を作るということであります。また、一たんその方向に踏み切った以上、国際収支その他の関係から、これを変更するというようなことがあってはならないのであります。この意味におきまして、長い間為替管理下にありましたわが国の貿易、これは温室的な経済でもございますので、今後急激な国際競争に当面するわが国の経済といたしましては、十分の用意がなければならないこと申すまでもないことであります。ことに、中小企業や弱小企業に対しまして悪影響を与えては相ならないのであります。そこで、政府におきましては、一月早々に貿易・為替促進閣僚懇談会を持ちまして、この具体化をはかることといたしたのであります。  第一に、当面実施に移しますものは、対ドル地域に対する十品目の制限を撤廃いたしまして、これをAA制に移行することであります。すでにその一部は実施いたしましたが、なお六品目残っておるわけであります。これの具体的実施につきましては、それぞれ四月あるいは十月というように時期を予定いたしまして準備を進めておるのであります。最も重要な点は大豆並びに銑鉄でございますが、準備でき次第、本年の十月を目途にいたしまして、これの実施の準備を進めていく考えでございます。その他の品目は、おおむね四月にはこれを実施に移したい、かように考えて、ただいま準備を進めておる次第であります。  同時に、また、為替の面におきましては、外資の導入等についての自由化の方策も樹立いたすわけでございますが、これまた、準備なしに資本の導入を自由にいたしますことは、いわゆるホット、マネーがわが国金融市場に導入されまして経済を撹乱するおそれもありますので、これらにつきましては十分慎重にいたさなければならないのであります。まず、経営取引においての自由化を促進し、資本導入はその次の段階において処理したい、かように考えております。きわめて軽微な事項等につきましては、本日もその一部を発表いたしまして、今月八日からこれを実施に移すように進めておる次第であります。  いずれにいたしましても、為替・貿易の自由化は今日の国際的潮流であります。また、これにおくれをとっては相ならないのであります。従いまして、十分の用意を政府といたしましてもいたしますが、民間業界におきましても、十分この為替・貿易の自由化に対応する素地を作っていただく、この意味におきましては経済自身の体質を改善していただいて、そして、国際競争にひけをとらないようにすることでございます。その意味におきまして、政府の施策に対しての御協力を心から願う次第であります。  次は減税の問題でありますが、昭和三十五年度予算編成にあたりまして二千百億の自然増収を見込みながら減税を計画することができなかったことは、財政演説にも申しましたように、まことに私どもも残念に思っております。しかしながら、三十五年度の予算は剰余金その他八百億以上に上る歳入減がございますし、他面、災害対策や、あるいは国土保全、あるいは社会保障等の年次計画等がございますので、相当支出は増加いたしております。同時に、また、健全財政を堅持する、こういう意味で、予算の規模をできるだけ健全な範囲にとどめることといたしまして、その結果、本年は減税を実施することができなかったのであります。しかし、ただいま申し上げますように、社会保障がさらに前進をしたり、あるいは国土保全や災害復旧についての予算が計上されておりますので、これらの点で、減税の実施は、しばらく国民も御了承賜わりまして、本年は御了解いただきたいと思うのであります。しかし、今日の国民負担の点を考えますと、私どもは、減税はぜひとも後年度においてはこれを実施いたしたいと考えております。特に、ただいま調査を進めております税制調査会等の調査も順次結論を得つつありますので、この結論ともにらみ合わせた上で、三十六年度予算編成にあたりましては、この減税案を取り上げて参る考え方でございます。今日の歳入状況、また支出の状況等からいたしまして、三十六年度の減税はなかなか困難であろうというような一部の見方もございますけれども、災害復旧等の工事の遂行等を考えますと、一部その減を見込むことができますし、同時にまた、今日の経済情勢等を考えて参りますと、自然増収をも見込み得るのでございますので、国民が強く要望しておりますこの減税は、一面、経費の節約等をいたしましても何とかして実施いたしたいものだ、かように考えておる次第でございます。  次に、今日の経済の成長は非常に高率を示しておりますが、御指摘にもありましたように、この経済成長の裏面において、あるいは事業間の格差があったり、あるいはまた、地域的におきましても格差を生じておる、この点は見のがすことができないのであります。経済の安定・成長を願いますことは、申すまでもなく、国民生活の安定向上を願うがゆえでございます。この意味におきまして、政府は、所得倍増計画を樹立し、今後の均衡ある経済の発展を計画いたしておるわけでございますが、この倍増計画を樹立いたすに際しましては、特に御指摘になりましたような、大企業と中小企業間だとか、あるいは農業と生産工業部門であるとか、それらの各事業種別の格差について、また、地方的な格差等につきましても十分思いをいたしまして、これらの均衡ある経済発展を期していくということをいたすつもりでございます。三十五年度予算編成にあたりましても、この所得倍増計画の基盤をなす事業部門につきましては、十分予算を計上いたしまして、将来の倍増計画の実施に遺憾なきを期しておる次第でございます。(拍手)     —————————————

清瀬一郎自由民主党議長

○議長(清瀬一郎君) 成田知巳君。     〔成田知巳君登壇〕

成田知巳日本社会党

○成田知巳君 日本社会党を代表いたしまして、施政方針演説について、特に財政経済に問題を集約して質疑をいたしたいと存じますが、その前に、昨日の鈴木委員長、水谷議員の質問に関連いたしまして、内政、外交の問題について二、三お尋ねしてみたいと思います。なお、当初は、本日行なわれます船田議員の質問にも注目いたしまして、この質問に関連して御質問申し上げたいと思っておりましたが、ただいま拝聴いたしますと、あまりにも八百長質問でありまして、このような問題にかかわることは時間の浪費だと考えますので、失礼ではございますが、省略さしていただきます。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕  総理の施政方針演説を拝聴いたしまして、まことに遺憾に感じましたことは、民主政治のあり方を強調され、また、国会正常化の名のもとに、行政府が立法府に介入するがごとき言辞を弄された総理、その総理が、予算編成にあたりまして、国民の前にさらけ出された政府・与党のあの醜態ぶりについて、何らの反省を示されていないということであります。(拍手)水谷議員の質問に対しても、予算編成と政党政治の関係を、例によって例のごとく、形式的に説明されただけであります。国民が知りたいことは、何らの政策意識もなく、党内派閥が予算編成に口を差しはさみ、予算財源をむしり取る姿、政党政治の逸脱というよりは、政党政治に名をかる徒党政治の姿を、総理は一体いかにお考えになっておるかということであります。(拍手)ただいま船田議員は国会デモ事件を取り上げられましたが、この事件のよってくるところが、この徒党政治からくるところの、国民、特に青年の既成政治に対する不信の念から出ておることを忘れてはなりません。(拍手)特に、総理が、予算編成の際に、この間、全く拱手傍観、なすところを知らず、ますます予算編成を混乱せしめた責任は、まことに重大でございます。国民は、今や、総理の政治的識見、党内掌握力に多大の疑問を抱いております。今回の予算案は斜陽内閣予算案であるという批判さえ生じております。賢明なる総理がこの世論を知らないはずはないと考えます。総理は、今回の予算編成の過程につき、いかなる反省を加えられたか、あらためて国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)  昨日の質問に関連して、新安保条約について、総理は相変わらす自衛的性質のものだと強弁されておりますが、古今東西を通じて、軍事同盟を他国侵略のためとうたった例はございません。(拍手)この問題で国民が特に知りたいことは、極東の平和と安全のためにアメリカ軍の出動を許す規定が、ソ連、中国を仮想敵国とし、極東の緊張を激化し、ひいては日本を戦争に巻き込む危険をはらんでおるのではないかという点でございます。なぜならば、極東の範囲には、中国、ソ連領土が含まれていることを政府自身正式に認めておるからであります。(拍手)軍事条約締結にあたり、第三国の領土を明示して、これを軍事行動の目標にするという露骨な態度を明らかにした政府を、私は、いまだかつて知っておりません。(拍手)もし、ありというならば、お示し願いたいと思います。これで、ソ連、中国を仮想敵国にしたものでない、ソ連、中国を刺激するはずはないと言う人があれば、その人の国際感覚を疑いたいのであります。(拍手)  総理は、グロムイコ覚書に言及し、独立国が自衛のためのいかなる条約を結ぶかは当然の権利であり、ソ連の態度は内政干渉だと言われておりますが、その前に、第三国の領土を作戦行動の範囲に入れるような条約を締結することこそ、内政干渉を通り越し、第三国に対する敵視政策の現われといわれてもいたし方がないと思います。(拍手)もし、総理にして、あくまで自衛的性質のものであると言われるならば、少なくとも極東の範囲から中国ソ連領土を除くべきであると思いますが、今回の日米交渉において、極東の範囲につき、いかなる話し合いがなされたか、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。さらに、NATOその他の条約例のように、後日の疑義、紛争を避けるため、地域名等は、条約中で明確な解釈をつけるか、付属文書で明らかにすることが必要だと考えますが、極東の範囲をいかに考え、いかなる形でこれを明確にせんとしているか、承りたいと存じます。  さらに、国民が不安に感じていることは、事前協議の規定が拒否権が含むとの取りつけをついになし得なかった点でありますが、この点はしばらくおきまして、今回の条約調印により明らかにされた重大な問題は、日本国から行なわれる米軍の出動については、戦闘作戦行動の場合しかこの事前協議の対象とならないということであります。(拍手)従来政府が説明してきた作戦行動よりは、はなはだしく狭義のものとなり、補給行動や部隊移動は含まないと解釈されております。一昨年の台湾海峡事件のときに、アメリカ軍が日本基地から沖縄に移動し、さらに台湾海峡に出動したことは、明らかな事実であります。このような場合、事前協議の対象となるかどうか。戦闘作戦と補給、移動の区別をどのようにして明確化するのか、政府の見解を明らかにしてついただきたいと存じます。(拍手)政府は、在日米軍は国連憲章の定めるところにより出動するから心配は要らぬと言っておられますが、中東動乱の際レバノンに、一昨年金門、馬祖事件に米軍が出動したことは、はたして国連憲章の精神に合致するものであるかどうか、いな、むしろ、レバノンの出兵が国際世論の反撃を受け、撤退せざるを得なかった事実に徴しましても、これらの行動は、他国の内政に干渉してはならないという国連憲章の精神に反するものと考えるが、総理の見解を承りたいと思います。(拍手)  鈴木委員長に対する答弁にも明らかにされたごとく、総理は、世界情勢の認識について、相変わらず、武装平和の立場をとっておられます。かって、アイク・フルシチョフ共同声明に対し、東西対立緩和の具体的成果はなかったと言い、昨日は、国際緊張の緩和の希望と現実を混同することは警戒しなければならないと答弁されておりますが、これは、平和へと大きく動きつつある世界情勢の現実をことさらに無視して、冷戦の存在、いな、その熱戦化にみずからの存在理由を求めんとするものの言葉であります。(拍手)いわゆる死の商人ならざる死の政治家の言葉といわれてもいたし方ないと思います。(拍手)現実の諸条件を総合的に考察しながら、将来のあるべき姿、望ましい方向に現実を作り変えていくところに真の政治家の任務があります。総理は、かつて、情勢の認識を誤り、いな、時の権力者にま服し、誤った方向に日本を導いた責任者であります。ここで再び総理が情勢の判断を誤り、このあやまちを繰り返すならば、総理は、日本歴史の上に最悪の政治家としての汚名を永久に残すであろうことを肝に銘じて国政に当たっていただきたいと思います。(拍手)このように念ずることは私一人でないことを申し上げ、あえて総理に直言するものであります。  次に、財政経済問題について質疑を行ないたいと存じます。  昨日、経済見通しについて、大蔵大臣は、ただ、心配は要らないと、声は大きいが内容はまことに空疎な答弁をされました。また、経企長官は、事務官僚の作ったメモの数字を読み上げるだけで、御自身も十分その意味がわからないらしい。自分自身がわからないことを、はたして国民がわかるでありましょうか。  今回の予算案は、予算編成方針にもあるごとく、昨年の十月二十三日閣議了解の「今後の経済見通しと経済運営の基本的態度」に従って作られたはずであります。この経済見通しは、政策的に経済の行き過ぎを押える必要があるとしたものでありまして、成長よりも安定を主張する立場であったはずであります。現に、蔵相は、最近のエコノミスト誌上の公開質問に答え、景気過熱の懸念が出てきておると言われております。しかるに、去る二十六日決定された「三十五年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」によれば、三カ月前の見通しと比較して著しく楽観的になり、前回指摘された景気過熱の要因は一顧だに与えられておりません。のみならず、政府部内には、経済同友会等の主張と同じように、生産過剰による下期デフレの傾向を認めんとする人々もあるやに承っております。もし、この見通しが正しいとすれば、予算編成の前提に著しい変更があったのであるから、予算案に相当の手直しを加えるのが当然であります。この必要なしというならば、今回の経済計画は、自由民主党の干渉のため、当初の方針に反して著しく積極性を加えてきた予算案に対する弁護的立場で作られた、全く政治的な経済見通しといわれてもいたし方がないと思うのであります。(拍手)大蔵大臣は、今後の世界経済、国内経済の動向をどのように把握されておるか、特に、下期生産過剰、デフレとの見通しについて、どのような見解をお持ちになっておるか、声は小さくてもよろしゅうございますから、詳細に御説明願いたいと存じます。(拍手)  なお、池田通産大臣は安定より成長に重きを置く積極的立場をとるとも伝えられております。池田通産大臣の財政経済政策を、国民はあらゆる意味において注目いたしております。大臣の経済見通しに関する率直なる見解を承れれば幸いでございます。  経済の見通しと景気の変動をわれわれが重視するのは、資本主義経済のもとで景気循環の波の犠牲になるものは、いつも、社会的に弱い層である労働者、農民、中小企業者であるからであります。政府は数量景気を謳歌しておられるようでありますが、数量景気は、それ自身の中に景気過熱への要因を醸成しつつあります。景気の火は燃えないうちに消せという言葉の通り、先進資本主義国では、インフレはインフレなるがゆえにこわいのではなく、インフレのあとに続くデフレこそこわいとして、早目に対策をとっております。ましてや、右にインフレのがけ、左にデフレの谷を控えて、山の細い尾根伝いを行くような日本経済にとっては、一そうしかりであります。しかるに、予算案に示された政府の財政経済政策は、まことに支離滅裂、多くの矛盾をはらみ、無軌道そのものであります。(拍手)  まず第一に指摘したいことは、景気過熱を避けるということを予算編成の大方針としていたはずの政府が、ガス、電気、地下鉄、通運料金、地代、家賃、さらには国鉄定期料金、郵便料金等の公共料金を次々に引き上げようといたしております。このことは、一般物価の上昇と景気過熱を政府みずからの手で促進するものであります。(拍手)一体、政府は、景気対策をどのようにお考えになっておるのか、統一した見解を明らかにしていただきたい。  公共料金の値上げに関連して特に承りたいことは、消費者米価の引き上げであります。予算米価としては、消費者米価は据え置きとなっておりますが、十一月以降新米穀年度においても、消費者米価の引き上げは行なわないのかどうか。国民生活に重大な関係を有する問題であります。農林大臣の確固たる見解を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)  次に申し上げたいことは、たとい予算案が形式的に収支均衡をとっていても、予算の内容そのものに非生産的出費を多く含んでおりますならば、これがインフレ要因として働くということであります。今回の予算案は、この点でまことに大きな問題を包蔵しています。すなわち、最も非生産的な防衛庁予算は、総額千四百八十五億円であり、昨年に比し百二十五億円の大幅増、戦後最大の予算であります。(拍手)さらに、六百九十八億円の国庫債務負担行為によって、ロッキード機購入の計画を立てております。このことは、新安保条約の締結によって政府が軍備の大拡張に踏み切ったことを意味するものであります。(拍手)  この際特に指摘したいことがございます。すなわち、債務負担行為も予算の一部である以上、一般会計予算との相関関係で決定されるのが当然であり、これと切り離して考えるわけには参りません。しかるに、一般会計予算案は実質的に先月十三日に決定されたにもかかわらず、七百億円に達するロッキード関係の債務負担行為は、米国との折衝に時間を要し、二週間もおくれてようやく決定を見ております。すなわち、ロッキード購入費は、一般会計とは無関係に決定されておるのであります。さきに、国防会議で購入価格を決定せずして、機種と数量だけは取りきめたというやり方といい、また、今回の予算措置といい、次期戦闘機は、わが国の政治において、まさに治外法権的取り扱いを受けております。(拍手)しかも、F86Fの生産計画の際は、三会計年度に分割して国庫債務負担行為に組み入れたはすであります。しかるに、今回、一度に二百機を五カ年間の債務負担行為で計上いたしておりますが、これは航空機製造会社に五カ年間の約束手形を振り出したのと同様であります。(拍手)これで一体国民の理解と納得が得られると政府はお考えですか。この機会に、防衛庁長官は、防衛第二次五カ年計画及びロッキード機生産計画の内容を、年次別に、具体的に、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。(拍手)  次に、今回の予算案では、国民の期待を裏切り、減税が全く見送られております。二千百五十三億に上る租税の自然増収を計上しながら、減税はびた一文も行なわれておりません。そのため、国民の租税負担率は三十四年度の一九・九%が二〇・六%となり、昭和二十四年度以降続けられて参りました軽減傾向は、逆に増税へと逆行する結果となっております。佐藤大蔵大臣は、ただいまも、昭和三十六年度から減税するかのごとき発言をされておりましたが、これは全くその場限りの無責任な言いのがれであるということは、国民もよく承知しております。(拍手)  なぜならば、第一に、政府は、三十五年度予算案に計上していた費目中、百三十九億円を三十四年度第三次補正に回すという苦肉の策をとっております。このため、三十六年度への剰余金繰り越しはほとんど見込むことは不可能となり、治山治水費、軍人恩給費、国民年金費等の当然増と相待って、三十六年度予算編成難の大きな原因となるでありましょう。  第二に、一千億円に近いロッキード購入費を中心とする防衛庁の債務負担行為の予算化を中心に、最終年度二千九百億といわれる防衛第二次計画が実施されるならば、ますます財源難に拍車をかけることは必定であります。  第三として、問題のイロア、ガリオア資金返済問題がございます。政府はアメリカとの間にその返済交渉を続けておられるようでありますが、国民はこれを贈与として受け取ったはずであります。また、国会で債務として承認を与えたことは一度もございません。一体、イロア、ガリオア資金を債務としてその返済交渉を進めるのは何の根拠に基づくのか、明らかにしていただきたいと思います。(拍手)国民は、イロア、ガリオアの物資は相当な代金を支払い、受け取ったのであります。これを債務として、一般会計から、すなわち、税金で支払うことは、国民に二重支払いをしいるものであります。債務として支払うというならば、対日援助見返資金特別勘定及びその承継であるところの産投会計から特別の投融資を受けた大企業に支払いの義務を負わすことが当然であります。(拍手)政府は債務として幾ら支払わんとしているのか、また、その支払い方法をどのようにぜんとしておるのか、大蔵大臣の見解を承りたいと思います。  このように考えて参りますと、減税どころか、増税、あるいは、今回の予算案編成当時でさえくすぶっておりました公債発行に踏み切らざるを得ないとの観測さえ行なわれておるのでにありますが、大蔵大臣は、はたして減税の自信をお持ちなのかどうか、あるとせば、その根拠を具体的にお示しを願いたいと思います。(拍手)  次にお尋ねしたいことは、本年度日本経済最大の問題といわれておる貿易・為替自由化の問題であります。政府は、昨年末以来、がぜん、急テンポで自由化政策を進め、その理由として、貿易・為替の自由化が世界の大勢であると言っております。しかしながら、政府が突如として自由化政策に踏み切ったのは、昨年の国際通貨基金及びガット総会において、現在国際収支の逆調に悩むアメリカから強い要請があったためであります。(拍手)政府は、自由化に対する確固たる信念もなく、総合的な対策もなく、自由化への国際的圧力の前に属したとしか、国民は受け取っておりません。自由化は、単なる言葉とか観念の問題ではございません。現実政策の問題であります。米国も、また、欧州共同市場に見るがごとく、西欧諸国も、自由化のための準備と態勢を整えて自由化を行なうことが自国の利益に合致するから自由化政策をとっておるのであります。政府は、一体、何年以内に、いかなる順序で貿易の完全自由化を行なわんとするのか。現に、四百四十品目に上る自由化措置を決定しておりますが、自由化プログラムの中で最も重要な問題、すなわち、主食、砂糖、石炭、石油、大型機械等は、いつまでに自由化を行なわんとするのか。伝えられるところによりますと、三年以内に自由化を完了する計画だとのことでありますが、石炭が合理化によって重油に対抗できるのは、石炭鉱業審議会の答申によっても昭和三十八年末であり、四年を要することになっております。いわんや、おくれた日本農業、中小企業が何らの対策もなく、自由化の風にさらされて、はたして耐え得ると政府はお考えでしょうか。  政府は、口で自由化を主張しながら、農業、中小企業の生産基盤の強化、近代化のための施策は、今回の予算案を見ても、まことにお粗末しごくであります。さきに政府は所得倍増計画の構想を発表したが、その際特に問題になったのは農業の生産性の問題であります。鉱工業生産の成長率年九・三%に比して、農業のそれは二・五%にすぎず、十年たってようやく二五%しか成長しないことが明らかにされております。しかも、今度の予算案で、農業について所得倍増計画の具体的施策は何ら見当たらないのであります。中小企業の問題についても同様であります。日本の全事業所三百九十五万のうち、三百人未満の事業所は九九・九%を占め、従業者の数は八五・四%を占めております。この中小企業に対する予算がわずかに二十五億円で、総予算の〇・一五%であります。これで、中小企業が、自由化のあらしの中で外国産業と太刀打ちできると、政府はまじめにお考えになっておるのでありましょうか。(拍手)  なお、この際、特に確かめておきたいことは、自由化対策としてすでに財界を中心に取り上げられている独禁法、輸出入取引法の改正に対する政府の方針であります。もし、この法律改正が強行されるならば、中小企業は直接自由化の波に洗われるのみならず、国内では、カルテル行為の強化により、大命業の圧力のもと、整理、倒産を余儀なくされることは必定であります。政府のとらんとする貿易の自由化は、中小企業倒産の自由化と言っても誤りではないと思います。(拍手)政府は、自由化にあたり、日本の農業、中小企業を一体どこへ持っていこうとしておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。  自由化の他の一つの問題は、為替の自由化であります。政府は、為替の自由化については、項目を抽象的に並べ立てただけで具体的に、何年以内にいかなる順序で行なうか、明らかにしておりません。ただいま、大蔵大臣は、経営取引の自由化についてはやると言われましたが、ユーザンス及び為替集中制の緩和、ドル相場の変動のワクの拡大等、いつ、いかなる範囲で行なうか示していただくとともに、特に、為替自由化の一つの大きな目標である円為替の導入、また、その前提として円に交換性を与えることが必要でありますが、その円に交換性を与える時期等について、いかなる具体的方針をお持ちか、お示し願いたいと思います。(拍手)  貿易・為替の自由化にあたっては、いかほどの外貨保有を必要とするかの問題があります。現在、貿易は黒字基調を続け、保有外貨は十三億ドルをこえておりますが、この程度の外貨保有で自由化などということは、なけなしの金千円で馬券を買うにひとしいと極論する人さえあります。(拍手)イタリアは、外貨準備三十億ドルをこえて、初めてガットから輸入制限撤廃の勧告を受けましたが、日本の十三億ドルは、イタリア方式で計算すれば二十億ドルにしかすぎません。現に、山際日銀総裁は、最小限度三十億ドルの外貨準備を必要とすると述べておるが、政府は、貿易・為替自由化のために、いかほどの外貨準備を必要とするとお考えになっておるか、お答え願いたいと思います。(拍手)  次にお尋ねしたいことは、外資導入の問題であります。貿易・為替の自由化につき積極説をとる人も、外資導入については、民族資本擁護のため慎重な考慮が必要だとの立場をとっております。海外、ことに米国資本の日本進出のねらいは、ビジネス・インターナショナルの円卓会議でも明らかになったように、クリーピング・インフレーションと労賃高に悩むアメリカ資本が日本の低賃金を利用せんとするところにあります。(拍手)今回の新安保条約は日米両国の経済的提携を強調しておりますが、その真のねらいもここにあるといわれております。(拍手)政府は、外資の導入に備えて、外資法の改正を計画しておると伝えられておりますが、外国人の株式取得についての制限を、現在の制限業種五%、一般業種八%のこの制限範囲を、どの範囲にまで拡大されんとしておるか。巨大な外国資本の日本進出を許すことは日本経済を外国支配のもとに置くことになると思うが、これに対して政府はいかなる配慮を加えられておるか、明らかにしていただきたい。(拍手)  最後に、自由化に関連いたしまして、わが国の貿易構造の問題についてお尋ねいたします。政府は、戦後の対米貿易が大きく伸びていることを高く評価しておられます。確かに、現在のわが国輸出入総額の三分の一はアメリカとの間に行なわれ、わが国貿易の最大の柱となっております。だが、この一本の柱は、かえって日本経済の安定要素とはならず、逆に不安定要素となっておることを注意しなければなりません。(拍手)現に、このたびの貿易自由化についても、日本製品の輸入制限を持ち出し、この柱をゆすぶりながら、自由化、資本導入を迫っております。このことは、対米貿易の柱だけに依存する貿易構造がいかに脆弱なものであるかを示すものであります。(拍手)これを克服するためにも、対米貿易と同じ比重で、いな、それ以上に、東南アジア貿易、中ソ貿易を発展させることが絶対に必要であります。(拍手)  政府は、この際、平和共存という世界の流れに即応し、誤った政治経済分離論を一擲して、日中関係の打開と中国貿易の促進をはかるべきであります。もっとも、中ソ敵視の鬼となってしまった岸総理にこれを望むことは無理かもわかりませんが、対中ソ、対東南アジア、対米貿易、この三本の太い柱の上に日本経済を乗せることが日本経済の安定、発展の道であるとするならば、これと真剣に取り組むことこそ、岸総理に残された、せめてもの引退の花道であると思うのであります。総理の所見を承りまして、質疑を終わるものでございます。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇〕

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 予算編成の問題についてお尋ねでありましたが、これは昨日私がお答えを申し上げました通りでありまして、もちろん、政府が予算を編成して国会に提案すべきことは当然であります。と同時に、政党内閣として、政党が国民に公約した政策や、その他政党として実現をしたいと考えておる政策をこの予算に盛り上げていくということも、これは当然やらなければならぬことだと思います。ただ、この間において、政党と政府との間の調整につきまして、いろいろな議論があることは当然でありますが、今回の予算編成にあたりまして、多少われわれが予定したよりも時期が延びたために、いろいろこの間におけるところの問題に遺憾な点が私はあったように思います。従って、将来におきましては、政党と政府との間の折衝をより円満に円滑にすることにつきましては、今後十分意を用いて参りたい、かように考えております。  それから、新しい安保条約に関して二、三の点の御質問がありました。  その一つは、極東の範囲に関する問題であります。この点に関しましては、すでに藤山外務大臣が政府の統一した見解を国会において述べております通り、極東というのは地域的な観念であって、われわれは、この条約において極東と考えておるのは、フィリピン以北、日本を取り巻く周辺を意味しておるということを申しております。現行の安保条約におきましても、やはり、極東という観念は入っておりまして、今度の新しい条約においてこの観念が変わるわけではございません。従いまして、この点におきまして、今回私が訪米した際に特別の話はなかったのでありますけれども、すでに日本の国会において責任を持って答弁をいたしておることをもって今後といえども進んで参る、かような考えであります。  次に、事前協議の問題に対しまして、「作戦行動」という字句が、今度の「戦闘作戦行動」ということと範囲が違うではないかということであります。しかし、これは、昨年の十一月に、すでに安保条約の中間報告を御審議願った際に、われわれは、作戦行動というものは純粋の補給の行動を含まないのだということを申しております。今日のこの場合におきましても、純粋の補給の行動は入らないのでありまして、その点において、作戦行動と戦闘作戦行動と申したことによって範囲が変わっておるとは私ども解釈いたしておりません。従来中間報告で申し上げましたと同じ範囲に考えておるのであります。  なお、国際情勢の判断の問題につきましては、昨日、鈴木委員長の御質問に対して私がお答えを申し上げましたように、これはよく実際をわれわれが冷静に判断していくことが必要であって、その冷静な判断に基づいて正しく現実を把握して、そうして、われわれの希望する方向に向かって、また、われわれが理想とし、念願しておる方向に向かって努力するというのが、国際情勢に対するわれわれの基本的態度でございます。従って、昨日来申し上げたように、現実が、雪解けということが非常に進んでおるというふうに考えることは、これは現実として間違っておる。しかし、われわれは、雪解けの方向に向かってあらゆる協力をし、努力をしていくようにすべきことは、これは当然であるということを申し上げたのであります。  その他の点につきましては、関係閣僚よりお答えを申し上げます。(拍手)     〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  予算編成の際、経済並びに今後の経済見通しをいかに見ておるかという第一問でございます。昨年の夏から秋にかけまして、相当経済については過熱を来たすのではないかということが一部心配されました。ところで、十二月の初めに公定歩合を引き上げました。その後の経過を見ますと、この一厘引き上げましたことが相当効果をおさめたようであります。年末金融等におきましても、予想されたよりも金額は少なかった。一兆三百億足らずにおさまった。さらにまた、その還流状況を見ますと、非常に迅速に、円滑に参っております。これが最近のわが国経済における特質であります。ことに、物価等におきましても、繊維や鉄などが弱含みである。こういう点で、最近は物価も大体落ちついておる。これが一つの国内における経済の実情であります。一部懸念されたような、いわゆる過熱ということは、いましばらくその心配はないもの、かように考えておるのであります。もう一つはアメリカ自身の経済は、ことしは黄金の年といわれておる、あるいはまた、欧州の経済も非常に活発に伸びておる、こういうような点から、私どもは、今日の経済状態がいわゆる着実な経済活動を続けて参りますならば、必ず所期の効果を上げ得る、目的を達し得る、かように実は考えておるのでありまして、別に悲観もいたしませんが、また、別に楽観もいたしません。十分情勢の変化に注意いたしまして、適時適切な処置をとって参りますならば、今日の経済好況を続けていくことができる、かように確信いたしておるのであります。(拍手)社会党の皆さんとは、この意味におきまして、私どもは見方が違っております。  次は、減税の問題でございましたが、減税につきましては、先ほど詳しく船田議員にお答えいたしましたのでそれで御了承いただきたいと思います。ただ、違っております点でお尋ねがありましたのは、ガリオア、イロアその他支出が相当ふえるのではないか、そういう点から見て減税は実施が困難ではないかというお話でございましたが、ガリオア、イロアの問題につきましては今までの経過といたしましては、二十九年に一度アメリカ側の要請によりまして交渉を持ったことがございます。その後、最近になりまして、昨年来、このガリオア、イロアの問題を解決してくれという再三にわたっての話がありました。あるいは私なり、あるいは外務大臣を通じて話があったわけであります。前国会におきましても、このガリオア、イロアに対する処置をいかにするか、政府はこれを債務だと申したことはございませんが、債務と心得るということを、吉田内閣以来、実は申しておるのであります。従いまして、この範囲、金額等をいかに決定すべきか、その他の事務的な問題が残っておりますが、これが処理にあたりましては、十分国民感情等を考慮いたしまして処理していくべきものではないか、かように考えておるのであります。まだ、ただいますぐこの問題を解決しなければならないという段階にはなっておりません。  次に、防衛庁関係の費目につきましていろいろお尋ねがございましたが、ロッキードの問題等は、これは債務負担行為として、三十六年以降四カ年の間にこれを予算化することになるわけであります。ところで、この防衛力の増加の基本的方針といたしましては、財政力、国力に応じてこれを漸増するという方針をとっております。この二百機という一応の計画目標は、当初にこれを約束することが必要でございますが、これを予算化する場合は、それぞれの年次に適当に処理して参るつもりでございます。まだ年次計画はきまっておりません。おそらく、後年度におきまして金額が多くなるのではないか、かように考えております。  それから、貿易の自由化の名による米国資本の導入、これはどうなるのだという、いわゆる為替・貿易の自由化についてのお尋ねでございます。この為替・貿易の自由化につきましては、これまた先ほど一応御説明いたしておりますので省略させていただきますが……(「わからないのだよ」と呼ぶ者あり)為替の面について申し上げます。貿易の面は通産大臣がお答えするかと思いますが、為替の面について申しますと、非居住者自由円勘定の創設あるいは為替集中制の緩和、海外渡航費あるいは海外送金の緩和等の措置を講ずるという基本方針をきめておりますが、このうちで、交互計算制度の適用対象の拡大、海外渡航、海外送金等の緩和は、本日その大綱を発表いたしまして、この八日からこれを実施するつもりでございます。緩和をするつもりでございます。円に交換性を付与するところの、いわゆる非居住者自由円勘定の創設、また、商社に外貨預金勘定の保有を認める為替集中制の緩和につきましては、これは今直ちにとうわけには参りません。ただいま、せっかく準備中でございますから、準備整い次第、できるだけ早くこれを実施に移すつもりでございます。  外資導入につきましては、かねてから、日本経済の健全な発展や国際収支の改善に貢献する優良なものについては、これを優先的に導入するという方針をとっております。もちろん、この基準も、経営取引の自由化のテンポや国際収支の好転に応じまして漸次緩和していく考えでございますが、資本導入に伴いますいろいろ御指摘になりましたような点につきましては、十分私どもも考えていかなければならないのでありまして、国内金融市場や為替市場に及ぼす影響などを十分考えまして、しかる上で、摩擦などのできるだけないような、そういう時期においてこれを実施するわけであります。従いまして、この事業等についてのパーセンテージその他につきましてはなお研究中でございますから、具体的にただいま申し上げる段階ではございません。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  経済の見通しにつきましては、佐藤大蔵大臣と同様でございます。いろいろ過熱論とかデフレ論とかございまするが、過熱論あるいはデフレ論はおおむね影をひそめつつありまして、わが内閣の見通しの通りに、またそれを上回るのが今までの例でございます。  次に、貿易自由化の構想は、昨年秋のガット総会等々から出てきたのではないかというお話でございまするが、私は、従来から、国内経済を自由化し、日本の経済が力がついたならば、なるべく早く国際的に自由化したいという念願を持っておったのであります。それが日本の経済の発展、国民生活の向上に役立つことであるのであります。従いまして、今から二年余り前、第一次岸内閣の大蔵大臣として、この貿易自由化の問題を強く主張しておったのであります。たまたま通産大臣になりましてから、初志を貫徹すべく、ガット前からいろいろ準備にかかっておるのであります。決して外国の影響を受けてやったのではございません。  次に、自由化の順序でございまするが、ただいまきまっておりますることは、先ほど来申しておりますごとく、対ドル地域の、差別待遇をしております原料の十品目、これはおそくとも今年の十月までにやります。そういたしますと、全体の自由化が四割余りになるのであります。そうして、その次には、昭和三十六年の四月から、問題の原綿、原毛の自由化に移ります。そうして参りますると、大体原料におきましては七割近くが自由化されるのであります。しかし、これ以外におきましても、お話の通り、砂糖、石油、石炭、この三つの大きいアイテムがございまするが、これはいろいろな点を考えまして、いつからやるかということは、いましばらく国内経済の事情を見なければ決定できません。三年とかあるいは四年とかいうことを今から言うのは早過ぎると思います。また、原料以外の製品につきまして、お話の通り、大きい機械につきましては問題がない。大きい機械よりも小さい機械に問題があるのであります。しかうして、私は、日本の中小企業、大企業はもちろん、日本の機械製造の状況を見まして、個々に随時許していく考えでおるのであります。従いまして、大体の見通しといたしましては、三十六年の上半期くらいには、全体の貿易額の七割五分ぐらいが自由化せられることに相なると思います。これが対策につきましては、今、いろいろ施策を講じて、円滑にいくように努力をしておるのであります。  なお、自由化に基づいて独禁法の改正をしないか。私は、独禁法を改正することは考えておりません。ただ、貿易の正常化と国内産業の秩序を維持するために、輸出入取引法あるいは繊維工業設備臨時措置法等、必要欠くべからざる最小限度の改正はいたしたいと考えておるのであります。  次に、貿易構造につきましてのお話がございましたが、御承知の通り、わが国の輸出入は二割をこえる増加でございます。世界のり一流国で一〇%をこえる国はございませんが、日本は、幸いに、二〇%以上の輸出入の増加でございます。(拍手)しこうして、社会党が多年にわたっておっしゃっておられましたアメリカとの貿易も、今では日本の方が輸出超過に相なりました。(拍手)われわれ待望の対米輸出超過に相なったのであります。このふえ方は昨年に比べて五割二分でございます。また、御心配の東南アジアに対しまする輸出も、昨年に比べまして大体二割六分増でございまするが、ここ一、二カ月は、三割五分の、大へんな増加ぶりでございます。(拍手)また、ソ連に対しまする貿易も非常にふえて参りました。今後また、貿易協定ができましたら、あなた方がお驚きになるほどふえることを私は期待いたしておるのであります。(拍手)     〔国務大臣福田赳夫君登壇〕

福田赳夫自由民主党農林大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 第一点は、消費者米価をどうするかという点でございますが、消費者米価をどうするかということにつきましては、率直に申しまして、今度の予算編成におきましてもいろいろ議論があったわけです。あるいは財政上の理由から、引き上げをしたらどうかというような議論もありました。また、逆に、配給上の理由から、生産地におきましては引き下げを行なったらどうかというような議論もあったわけであります。結論といたしまして、予算におきましてはこれを据え置きとするということにいたしたのでございます。しかし、現実の米価をどう決定するかということは、私はなるべく変更しない方がいいという考えを持っております。しかし、他にいろいろの事情もあります。また、米価審議会にこれを諮らなければならぬという事情もあります。さようなことで、最終的には、米価審議会の意見をとくと承りまして決定いたしたい、かように考えております。  また、自由化の問題につきまして、農産物資につきまして特に注意を払わなければならぬということは、お話しの通りでございます。外国から輸入される農産物につきまして、特にわが国の農産物と競合する重要な物資は米麦、酪農製品、砂糖、大豆等でございまするが、米麦につきましては、自由化をいたす考えはありません。また、酪農製品につきましても、同様、自由化をいたす考えはありません。砂糖につきましては、これが与える影響等も考慮いたしまして、十分慎重に検討していきたい。また、大豆につきましては、すでにAA制になっております。ただ、ドル地域にだけ例外的に制限をされておりますが、これは秋ごろを目途といたしまして自由化いたしたい考えであります。ただし、そのために生産農家に大きな影響を与えちゃいかぬ、これはもちろんでございまして、ただいま、私の考えといたしましては、国産の大豆は、現在農家が売っている価格をもって政府が全部これを買い取る、かようなことにいたしまして、農家に安心していただきたい、かように考えております。(拍手)また、第三の御質問は、長期計画を考えるにあたって、農家みたいなところを置き去りにしてはいかぬじゃないかというようなお話でございまするが、私どもは、長期計画をそもそも考えるということは——十年間に所得倍増といいますれば、これはほっておいても大体そのくらいにいきます。考えなければならぬのはその成長の過程において、農家や中小企業というようなものがおくれをとることがあってはならぬというところに問題の本質がある、かように考えておる次第でございまして、本年度の予算におきましても、かようなことを考えて農林予算の大幅な増額をいたし、生産性を向上し、そして他の産業と肩を並べていけるような農家にいたしたい、かようなことを考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕

赤城宗徳自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(赤城宗徳君) 防衛費につきましては、この席から総理がしばしば申し上げておりますように、国防会議において決定しました方針に従って進めております。すなわち、国力、国情に応じて必要最小限度に漸増するという方針であります。従いまして、安保条約の改正によりまして急増するということはありません。  それから、今御指摘のように、三十五年度の予算が戦後防衛庁予算としては最大だということでありますが、これは私から見れば逆だと思います。戦後最小であります。三十年度に国民総所得に対して二%であります。その次に一・八%、一・七%、ずっと下がってきまして、三十五年度、ことしの予算は、一・四%であります。(拍手)総予算に対しても、三十年度は一三・一%でありましたが、本年度の防衛庁関係の予算は九・八%であります。戦後最も少ない予算だと私どもは感じております。(拍手)  それから、第二は、ロッキードの購入費用として、国庫債務負担に六百九十八億を計上いたしております。これにつきましては、先ほど大蔵大臣が御答弁申し上げましたように、四年間に予算の歳出化をはかっていくという方針であります。ロッキードの生産は、三十五年の四月に着手して、四十年の一月に終わる予定を持っております。この予算化に対しましても、国力、国情に応じて予算化、歳出化することにしますから、ほかに民生を阻害するというようなことはないと、かたく信じております。  なお、第三に、第二次計画の構想を述べろ、こういうことでありますが、御承知のように、第一次計画は三十五年度をもって終わります。われわれ案を立てておりましたのは、三十五年度から四十年度までの六カ年計画でありましたが、三十五年が予算化されましたので、三十六年から五年間にわたっての第二次計画を目下策定中であります。方針といたしましては、装備等の近代化及び効率化をはかって、少ない費用で防衛の目的を達する、こういう方針で進めておりますが、まだ国防会議にかけておりませんので、詳細申し上げる段階ではございません。(拍手)     〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 円為替導入に必要な外貨準備高は幾らかというお尋ねでございましたが、むずかしいから落としたわけではございませんで、取り落としまして大へん申しわけございません。  外貨準備高は、御承知のように十三億二千三百万ドル、昨年末にそういう金額を持っておりますが、ただいま言われます円為替導入に必要な外貨準備高というものは、別にきちんとあるわけではございません。たくさん持っておれば、それは安心に違いございません。しかして、たくさん持っておりましても、貿易状況等がわが方にとりまして不利でありますならば、それは意味をなさないことであります。あらゆる状態を勘案してみますと、ただいまの程度の外貨保有高でも、なお私どもは強気に考え得るのじゃないか。言いかえますならば、為替・貿易の自由化の方向へ踏み出して差しつかえないのじゃないかという考え方を実は持っております。しかし、ただいま直ちに円為替導入に踏み切るということではございませんが、いわゆる貿易・為替の自由化という方向に踏み出すべき段階にもうすでにきておる、かように考えておる次第であります。(拍手)     —————————————

中村高一日本社会党副議長

○副議長(中村高一君) 岡良一君。     〔岡良一君登壇〕

岡良一日本社会党

○岡良一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府の施政方針演説等について、引き続き若干の質問を申し上げたいと思います。  私は、現在、御存じのように、全く前代未聞のテンポをもって発展をしておる科学技術、われわれの思想、世界の政治や経済をも自分のぺースに巻き込んで独自な発展を遂げようとりいたしておりまするこの科学の力というものを、平和と繁栄と国民の福祉に役立てなければならない、こういう立場からいたしまして、政府の内外の施策について率直に御批判を申し上げ、また、責任ある御答弁を求めるものでございます。特に、私は、科学の成果という客観的な事実に即して御質問を申し上げまするので、具体的な御答弁を、あらかじめお願いをいたしておきます。(拍手)  まず第一に、総理に、昨日来の御答弁を含めて申し上げたいことは、現在発展をして参った科学の力は、今やわが国憲法第九条が全く正当であるということを客観的に実証して参ったということでございます。(拍手)国際紛争は武力では解決をしない、従って戦力も持たないし、交戦権も認めないというこの第九条の規定は、もはや、日本の国民のはるかなる理想ではなくなりました。すべての国々が、きょう、ただいまからでも実行いたすべき、具体的な行動の綱領になったということでございます。(拍手)岸総理は、昨日の御答弁において、希望と現実を混同してはならないということを繰り返し申されました。しかし、科学の力は、人間の希望や人間の判断する現実というような、われわれの主観を越えた、厳然たる客観的な事実でございます。(拍手)  十五年前、昭和二十一年の三月に、われわれの尊敬する大先輩であるところの幣原老首相は、枢密院でこの第九条を説明された一節に、こう申しておられる。「今のところ、世界はなお武力政策にこだわっておるが、他日、原子爆弾以上の新たな兵器の威力により、短時間のうちに交戦国が悲惨な被害を受けることになれば、そのときこそ、各国は目をさまして、戦争放棄を真剣に考えるようになるであろう」おそらく、この老首相の御心境は、原爆の犠牲とともに戦いに敗れた当時の日本国民全体の平和に対する切なる願いであったでございましょう。(拍手)ところが、この老首相の予言、原子爆弾以上の新たな兵器が、この十五年の間にでき上がってしまったのでございます。一万三千五百キロを、二キロ余り、八千キロを三キロ余りの誤差という、まことに驚くべき正確さで大洋や大陸を飛び越えながら、おのれの好むところに十七トンの水爆を撃ち込むことができるという、おそるべき大陸間弾道弾が完成をされました。アメリカも、ソビエトも、地球上を死の灰をもって人類の墓場とすることができると豪語するまでの保有量を持つに至ったのでございます。  この驚くべき核兵器の出現とともに、昨年の九月、御存じのように、ワシントンで、アイゼンハワー大統領とフルシチョフ首相は、すべての重要な国際問題を、武力に訴えることなく、交渉を通ずる平和的手段によって解決をするということに意見の一致を見たことは、共同声明にも明らかでございます。これに勇気づけられた国連加盟八十二カ国も、全会一致をもって、御存じの軍縮決議案を採択いたしております。「将来の世代を破滅的な戦争の危険から救うことを希望し」云々と、軍縮決議案は明確に軍備の縮小、撤廃への道をうたっておるのでございます。究極兵器の出現によって、ともに生存をするか、ともに滅びるかという決定に迫られて、ついに、大国の首脳者たちは、平和共存に到達をいたしました。彼らを平和に踏み切らしめたものは、実にこの偉大なる科学の力であったということを、われわれは直視しなければなりません。(拍手)このような科学の進歩によって、これまで国会で戦われておった第九条をめぐってのいろいろな論争というものは、ついにとどめをさされたといっても差しつかえないと存ずるのでございます。(拍手)戦力問答、自衛論争、こういう主観的な解釈論争というものは、冷静な科学の力がもはや終止符を打ってしまったのでございます。してみれば、わが国のとるべき平和の大道は、ただ一つしか残っておりません。憲法の平和条項を守って、列国に先がけて全面軍縮に邁進をするということが、発展をした科学が客観的な事実をもってわが国にさし示すところの平和の大道であると思うのでございます。(拍手)新しい安保条約によって、今後長年にわたってかえって軍備の増強を甘受しなければならないというようなやり方は、この科学の命ずる平和の大道にまっこうから相反するものであると申し上げたいのでございます。かつて戦争に協力した人たちの手によってこの条約が結ばれ、憲法が無視されるということは、われわれは、あとに続く子孫に対しましても、まことに忍びないところでございます。私は、ここに、あらためて、現代科学の進歩が客観的に世界の実践綱領たらしめたこの憲法第九条に対する総理の御信念を伺いたいと存じます。(拍手)  次には、発展をする科学の力によって、岸総理のいわゆる力と力の均衡による平和というような哲学は、全く過去のものとなってしまったのでございます。(拍手)昨日の御答弁において、総理は、たとえば、国連が軍縮を達成するまでは防衛は必要である、こういうようなことも申されております。しかし、われわれの常識から見れば、大陸の国が万一にも日本をうかがうとすれば、その理由は、日本列島の軍事的な位置、乏しい資源を持つ日本の戦略的な価値よりも、むしろ、日本が大国に軍事基地を与える、大陸の国に対して軍事的な脅威を与えるということが、彼らの侵略に口実を与えるものであると思います。(拍手)また、その際、総理は、ベルリンを引き合いに出しまして安保条約の必要性を説かれ、局地戦争の可能性を示唆されたようでございますが、この御発言は、アジアの平和に責任を持とうという総理大臣のお言葉としてはきわめて重大でございまするので、具体的な点をお示し願いたいと思います。  なるほど、アメリカの国防省あたりに、局地戦争ということを申しておられる方もある。H・A・キッシンジャー報告といえば、国防総省の顧問でもあり、アメリカの公式の見解とさえもいわれておりまするが、この人は、アメリカの世界戦略は、全面的な原子戦争を抑制するために、奇襲に備えて、大量の報復力を備えねばならぬ、これを背後の大きな力として、地域的な紛争はできるだけ限局された地域戦争に終わらしめる、しかし、このような限定戦争においても、五百キロトンの核兵器はこれを投入しなければならない、と申しております。五百キロトンというのは、広島に落とされた原爆の二十五倍でございます。このような核兵器が、もはや戦術兵器として日に何十発も量産されておるという事情でございます。  しかも、日本を取り巻く原子戦態勢というものは、御存じのように、おそらく、大陸の沿岸にはIRBMの基地があって、日本の全土をその射程の範囲におさめておるかもしれません。あるいは中距離弾道弾を積んだ原子力潜水艦も、やがては、何隻か、日本をめぐる海に出没する可能性も伝えられております。台湾や韓国や日本の港を根拠地とすると伝えられておるアメリカの艦隊も、原子装備を持ち、すでにジェット爆撃機の不沈の航空母艦となっている沖縄には、最近八カ所のミサイル実験基地が設けられておることも、御存じの通りでございます。でありますから、日本は文字通り原子戦態勢のまっただ中におるのであって、万一にも局地戦争が起こり、日本が安保条約などでこれに直接間接に巻き込まれるというようなことになりまするならば、どういう状態になるかということを、われわれは考えたいと思います。  昨年の五月、アメリカの国会は公聴会を開きまして、国防省の専門家であるシェルトン博士が出席をして、次のような証言をいたしております。もし十メガトン——十メガトンといえば五百キロトン、局地戦争に使用される原爆の二十発分でございますが、これが投下されたときに、二マイル以内、かりにこの国会議事堂に落ちたとすれば、千代田区、中央区、港区にかけて、たくさんの住民が一瞬のうちに蒸発をすると言っております。遺骨どころではございません。半径四十キロ、すなわち、木更津から、北は八王子まで、東京都を含めて一千万人というものは、四十八時間以内に強烈な放射能で死んでしまわなければならないという証言をやっておる。五百二十平方キロと申しますから、全関東平野は、風向きによっては、放射能のために、住むことも働くこともできなくなるということを、国会の公聴会において、権威者が証言をいたしておるのでございます。(拍手)万一にも局地的な戦争が発生をすれば、日本は、こういう犠牲をも、決して笑いごとではなく、勘定に入れなければならない。遠く離れた大国にとっては、なるほど、岸総理のいわゆる局地戦争であっても、日本にとっては、直ちに全面戦争でございます。(拍手)おそるべき原子戦争であるということを、われわれは覚悟しておかなければならないのでございます。しかも、当然、大国にとってみれば、局地戦争は全面戦争の抑制手段でありますから、その力のすべてを行使するなどという期待は持てません。小国が大国の力に頼んで自国を防衛するということが、いかにはかなく、また無慈悲なものであるかということをも、われわれは前もって思い知っておかなければならないのでございます。(拍手)  核ミサイルの発達した今日の時代において、日米安保条約は、平和と安全どころか、日本をまことに危険などん底に追い込む政策になりかねないということを、私は率直に申し上げたいのでございます。(拍手)総理大臣の言われる力の均衡が、あくまでも日本の平和の眼目である、この論理をそのままに発展をすれば、日本は当然核装備を持たなければならないということになる。しかしながら、不完全な核装備を持って、この地球上から日本がなくなってしまうかもしれないというような危険をかけるよりも、進んで日本は核非武装宣言をする、極東における核装備の撤去を求める、こうして、科学兵器の発達は、この二者択一の道を今日本に求めておるのでございます。核ミサイルの出現は、厳然として後者の道を示しておるのでございます。科学の発展をした現実の事実は、もはや、力と力の均衡による平和論とか、戸締まり論とか、真空論とかいうような平和哲学を、過去のものにいたしてしまったのでございます。(拍手)この点、私は、岸総理の反省を求めると同時に、重ねて、その御所見を承りたいと存じます。(拍手)  第三に、私は、科学技術の発展は、真理の名において、今日の政治体制やイデオロギーの対立を克服いたさんとしておるということを申し上げたいのでございます。  御存じのように、ここ数年来、国際政治においては、経済や政治の問題と相並んで、この科学技術の問題が非常に重要視されて参りました。あるいは国連の科学委員会にしても、国際原子力機関にいたしましても、ユネスコの最近の活動に見ましても、科学の分野における国際協力というものが年とともに盛んになって参っておるのでございます。もともと、科学の発展は、これは全人類の財産でございまするから、これを豊かにするためには、イデオロギーや政治体制を越えた人類全体の務めでなければなりません。ところが、わが国における科学技術の外交は、今のところ、この世界の動きに逆行しようといたしておるのでございます。原子力といえばイギリス、アメリカ、あるいはカナダ、科学アタッシェを出すといえばワシントン、ロンドン、パリ・ボン、いわゆる政府の自由主義陣営の先進国にばかり依存をし、むしろ、これに従属をしようとする傾向さえある。これでは、日本の科学技術外交も安保条約の道をたどるものといわなければなりません。(拍手)  先般、藤山大臣は、安保問題研究会の公開質問に答えられて、東西間にはイデオロギー上の妥協はあり得ないというのが共産主義の立場である、共産社会と自由世界との対立において中立というものはない、こう申しておられる。きょうも、岸総理はこのようなことを言っておられまするが、しかし、人間の思想がどう対立をしておりましょうと、科学の真理、自然の法則というものは、二つあるものではございません。(拍手)でありまするから、科学の発展とともに、あの究極兵器ができたときに、米ソの両指導者は、平和共存という共通の政治方針に踏み切ったのでございます。中曽根君に至っては、藤山外務大臣よりももっと性急であり、素朴でございます。君は、昨年九月、宇宙開発に関して、公然と、こうおっしゃっておられる。アメリカとの双務協定を急ぐべきである、これを批判する学者は左翼である、こういうきめつけ方をしておられます。日ソの科学技術の交流を真剣に要望しておる学術会議のまじめな科学者たちをアカ呼ばわりをするに至っては、科学技術の安保体制どころか、まことに救いがたいマッカーシズムと申さねばなりません。(拍手)私は、将来に大を期待する中曽根君のために、まことに惜しまざるを得ないのでございます。中曽根君は、そんなことを言っておったら、いつになったらできるかわからないと、科学の国際協力をきわめて迂遠なことのようにきめつけておられますが、その中曽根君の熱心な宇宙開発、大気圏外の平和利用について、仲のいいアメリカのロッジ代表が、去年の十二月の国連総会で、次のような演説をいたしております。「大気圏外の探査に関する国際協力は、各国が相互理解と平和を実現する手段を提供するものである。地球圏外の探査という大問題での協力は、国家間の境界や対立の重要性をみずから薄らがせてしまうほどの新しい分野を作り出すものである」、アメリカの代表がこのように発言をしておるのでございます。このロッジの発言は、科学こそ両陣営の対立を融和する現実の力であると申しておるのであります。  ところが、最近の報道によると、またしても、政府は、宇宙の開発について、原子力の場合と同じように、一方的に英米とのみ協力関係を結び、また、これと時を同じゅうし、符節を合するように、日本の防衛産業を代表する諸君が、ミサイルの調査のために米英に派遣されるに至っております。こういうようなやり方では、東西の緊張を緩和するどころか、あなた方の科学外交というものは、むしろ、東西の対立に油を注ぐものと申さねばなりません。(拍手)私は、このような客観的な科学の発展を小ざかしい人間の主観的な思想によって押えるような価値転倒の外交は断じて捨てていただかなければならないと思うのでございます。(拍手)イデオロギーや政治体制のいかんにかかわらず、西に東に人を送り、人を求め、技術や設備や原料を求め、世界の政治的対立を越えて科学の発達をはかること、進んでこのような対立を真理の名において克服すること、これが日本の科学外交の態度でなければなりません。いな、すべての外交の根本の方針であると信ずるのでございまするが、外務大臣並びに中曽根国務大臣の御所信を承りたいと存じます。(拍手)  最後に、私は、国内における科学技術の振興、すなわち、技術革新の影響を検討いたしまして、通産大臣、労働大臣、農林大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。  技術革新によって、わが国の産業は、その頂上には、鉄鋼だとか電力、化学繊維、石油化学など、名実ともに独占的な大経営が君臨をし出しておる。山の中腹には、系列化された中小企業が、営々として親産業のごきげんを伺っておる。広大なすそ野には、技術におくれ、設備に劣り、資本に弱い無数の弱小経営が、あるいは開業し、ときには転業し、まことに難破船のごとくにただよっておるのでございます。(拍手)このようにいたしまして、科学技術の振興、技術革新は、政府の施策によって、日本産業の体質改善どころか、ますますその二重構造を激化しておるというのが、今日の実情でございます。(拍手)さらに、貿易・為替の自由化が進められたらどうなるか。断層はますます大きくなり、中小企業はむしろ地すべりによって押し流されるのではないかという懸念さえも持っております。先ほど、成田知巳君の質問に対して、この点、通産大臣の納得のいく御答弁がなかったので、あらためてお伺いをいたしたいと存じます。  さらにまた、農林大臣にお伺いをいたしたいことは、この技術革新の波に洗われまして、農林漁業と鉱工業との技術の格差がだんだんと拡大の一途をたどっておるのでございます。農林漁業の生産性とその所得水準をいかにして引き上げるか、これがまさに党派を越えた国家的な課題であると申しても差しつかえはございません。(拍手)農民の中からも、農業の法人化、経営の協同化等によって近代的な農業を作り出そうとする意欲は日に増し高まっておるのでございます。そこで、わが党は、このような農民の自発的な意欲を尊重し、農業生産組合法、農業基本法、農業経営近代化促進法などの立法化を要求しておるのでございまするが、政府のこの政策に対する御所信を伺っておきたいのでございます。(拍手)また、重ねて、農民は、貿易自由化の動きに対しても、国内農産物の価格支持政策が確立されることを熱望しております。この点について、政府はいかなる御所信でございますか、お伺いいたします。  最後に、労働大臣にお伺いをいたしたいと思います。  先ほど、私は、日本産業に技術革新が深刻な二重構造を反映しておると申しました。これが最も鋭く反映をしておるのは日本の雇用状態でございます。山の頂の大企業では、合理化の進行とともに、大経営から労働者はいよいよ締め出されておる。締め出された労働者は、中腹からすそ野にわたる中小企業に押しかける。あるいは臨時工となり、日雇いとなって、この数が年々増加してきておるのでございます。こうして、日本の労働市場の底辺には、われわれの推定によれば、六百五十万をこえる膨大な潜在失業者がひしめいておるのでございます。同じ労働者でありながら、大経営に働く者と中小経営に働く者では、賃金においても、その生産性においても、半ばにも劣るというような、まことに大きな断層ができておるのでございます。技術革新は、申し上げるまでもなく、生産力の拡大でございます。技術革新を取り入れるならば、ますます国民に働く機会を与え、完全雇用の道を進めていくという、これが技術革新の時代における労働政策の中心でなければなりません。(拍手)社会主義諸国はもとより、英米においても、それぞれこの実績を上げておるのでございます。ところが、わが国においては、今も申しましたように、事情は全くさか立ちをしておるのでございます。今社会問題となっておる中小企業のストにいたしましても、技術革新に立ちおくれ、また、安い賃金に追われておる労働者が、共倒れを覚悟して、絶望的なストが頻発をする、これに警察官がこん棒を持って襲いかかる、このような事実こそ、日本の技術革新が、全く本末転倒、さか立ちをしておることを物語っておるのでございます。(拍手)もとより、この根本的な解決は、経済構造全体の再編成に待たなければならないとしても、なお当面、膨大な不完全就労者と、最低賃金のあり方なり、労働基準法の完全実施なり、あるいは労働時間の短縮等、労働省の前にも具体的な問題は山積いたしておるのでございます。昨年五月、雇用審議会はきわめて適切な答申を提出しておるにもかかわらず、この国会においては、何ら誠意ある施策を見ることができないのは、まことに遺憾でございます。労働大臣のこの答申に対する御決意を伺いたいと存ずるのでございます。  なお、この機会に、ILO条約の批准は当然この国会に提出のことと存じまするが、その日時等についての明確な御方針も、あわせて労働大臣に承っておきたいと存ずるのでございます。(拍手)  最後に、中曽根科学技術庁長官に簡単にお伺いをいたします。  こうして、外国に対しまして貿易・為替の自由化ということになれば、当然、国産技術の確立が最も大切な仕事になって参りました。わが国の国土、資源と結合した新技術の創造と自主的な技術体系の確立は、もはや一日もゆるがせにすることはできないのでございます。なるほど、この六月には科学技術会議の答申も提出される予定ではございまするが、先ほどの完全雇用の答申同様に、政府に誠意と責任がなければ、一片の空文に終わるのでございます。この際、中曽根長官の御決意を承って、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣岸信介君登壇〕

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。  最近の世界の科学技術が非常な発達をしており、また、その結果、いろいろこれが軍事科学に用いられて、おそるべき破壊力を伴うような兵器ができておる。従って、将来に向かって科学技術の進歩発達というものは、もっぱら人類の福祉と、その文化の向上にこれが用いられなければならないという基本的な考え方につきましては、私は岡君と全然同感でございます。ただ、今日、世界はそういう科学の技術が発達をしてきておるけれども、それが特に著しく応用されておることは軍事科学の面であるということも、これも岡君が指摘された通りであります。しこうして、その兵器がことごとく軍縮によって廃止されるということが私どもの強い念願であって、同時に、それが、国連の内外を通じて、日本のこの念願を実現するようにわれわれは努力して参っております。しかし、軍縮会議の実情は、御承知の通り、いまだその最後の結論に達するのにはなおほど遠い感がございます。特に、われわれが非常な関心を示した核兵器の実験中止の問題についても、なおその結論を得ない状況でございます。こういう事態であり、また、われわれは、世界の平和と安全を維持するために、国連において有効な機構が設けられることを念願いたしておりますが、これまた、現実はまだその域に達しておりません。そうして、世界の状況を見ますると、共産主義の国々は、いろいろな条約機構やその他の関係において、強固な団結のもとに立っておる。また、自由主義の国々も、お互いの協力を強める体制をとっておるのが現実の姿でございます。しこうして、この東西の両勢力は、いかなる意味においても、先ほど来御指摘になっておるような、おそるべき兵器を使って人類の滅亡を来たしてはならない、従って、話し合いによって問題を解決しなければならぬという大勢に漸次向いておることは、われわれも、その情勢を促進するように今後とも努力していかなければならぬと思っております。しかし、こういう情勢のもとにおいて、直ちに一切の軍備を撤廃していくということは、私は、責任ある政治家として国民の安全を保護する意味からいうと、そういうことは絶対にとれないと思うのであります。(拍手)私は、世界が軍備を全面的に撤廃することは、われわれの究極の目標であるけれども、それにはそれの道程があり、また、階段を踏んで進んでいかなければならないことは、言うを待たないのであります。そういう意味において、われわれが、日本の安全とそうして繁栄を期するために、日米の間において安全保障条約を結んでいくことは、現実の問題としては最も妥当な方法であると私は信じております。(拍手)  憲法九条に対する私の信念をお尋ねでございましたが、言うまでもなく、国際的の紛争を平和的手段によってのみ解決するという考え方は、今度の新しい安保条約の前文にも明示してあります。また、国際連合の憲章にも明確に現われております。日本は忠実な国際連合の一員としても、その考え方においては、私は一貫して考えております。従って、憲法九条の精神については、従来も尊重しておりますし、将来もこれを尊重していくことは当然であります。しかしながら、憲法九条だけかあるから、日本が安全であるというように考えることは、私は現実に反しておると思います。  なお、この科学技術の問題について、国際的な協力が必要であるというお話につきましては、日本といたしましても、たとえば、御承知の国際原子力機構には参加いたしておりますし、また、国連を通じて、あらゆるそういう国際的な機構に参加するように努力をいたしております。(拍手)     〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 科学技術外交が、何か、イデオロギーに関係して偏しておるのではないかというのでありますけれども、そういうことはございません。ただ、科学技術外交がまだ非常に貧弱であるということは、遺憾ながら認めざるを得ないのでありまして、できるだけこれを振興し、進めて、各国と科学技術の交流をはかるように進めて参りたいと存じております。(拍手)     〔国務大臣池田勇人君登壇〕

池田勇人自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(池田勇人君) 科学技術の必要なことは、岡さんのお考えの通りでございます。通商産業省といたしましても、技術の振興につきまして十分意を用いております。ことに、中小企業の育成につきまして、今後やはり技術革新を織り込んでいかなければならぬと思います。従いまして、今回の予算におきましても、金融面におきましてあるいは組織力の強化、あるいは設備の近代化の補助金等、相当増額いたしておるのでございます。また、零細企業につきましては、私は商工会等を利用いたしまして、これが指導に当てたい、こういうのでいっております。  また、お話しの貿易の自由化によって、中小企業の受ける影響は相当でございます。従いまして、私は、中小企業関係の影響を最も少なくするように、時期、方法等につきまして考慮をめぐらしていきたいと思います。(拍手)     〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕

中曽根康弘自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛問題を除きまして、科学技術振興に関する岡さんの御意見には同感の点が非常に多いと考えます。防衛問題につきましては、遺憾ながら、考えを異にいたしております。特に、国産技術を保護奨励しなければならない、貿易の自由化に即応して対策をとる必要があるという御議論は、非常に傾聴すべき御議論だと思いまして、科学技術庁といたしましても、この面に関する対策を目下いろいろ検討中であります。大勢といたしましては、貿易の自由化という大勢に即応して参らなければならぬと思いますけれども、今まで資金面で単にこれを考えておったのを、国産技術の保護という技術面からも取り上げなければならないというのが、われわれの考え方であります。  第二に、国際協力を促進せよという御議論も全く同感でありますが、しかし、考えてみますと、日本くらい国際協力に熱心であった国は実はないと思っておるのであります。たとえば、国際原子力機関につきましても、ウラニウム三トンを最初に買いましたのは、実は、日本が、社会党の御議論を取り入れてやったのであります。あるいは、放射能の特別委員会におきまして、都築博士等が非常な御活躍をなすっておりますし、南極の国際管理等につきましても、非常に積極的な発言をして参りました。あるいはまた、宇宙開発につきましても、松平康東君が特別委員長になりまして、世界各国をまとめるために非常に努力なすったことも、世界周知の事実であります。今後とも、われわれは、国連を中心にいたしまして、国際協力の線を推進して参りたいと思います。宇宙の開発利用につきましては、平和利用と人類の福祉を目標にしてわれわれはやりたいと念じております。ただ、われわれの要望に応ずる国と提携するということは当然のことでありまして、現に、アメリカ、ソ連、ともに科学アカデミー協定を実はやっております。アメリカ、ソ連ですらも、すでに科学協定をやって協力しておるのですから、われわれが、アメリカであろうが、ソ連であろうが、われわれの要望に応ずる国と協力するということは当然でありまして、別にソ連やアメリカに気がねする必要はないと思っております。(拍手)     〔国務大臣福田赳夫君登壇〕

福田赳夫自由民主党農林大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 農業と非農業との間の格差を解消するための努力を尽くすべし、こういうお話でございますが、これは、先ほど申し上げました通り、政府におきましても非常に重要視しておる問題であり、かつ、わが農林省におきましても、総力をあげてこの問題に取り組んでおるということを申し上げたいのであります。現在、農林漁業が、その生産性において他の産業に非常におくれておるゆえんのものは、わが国の農業が零細でありまして、これは今の機械技術、科学技術の進運というものの余恵を取り入れにくい状態にあるということが一つの大きな事情をなしておる、かように考えておる次第であります。さようなことから考えまして、農林省といたしましては、生産性の向上、すなわち、土地改良政策でありますとか、あるいは後進産業の開発の問題でございますとか、いろいろやりますが、しかし、同時に、こういう施策とあわせまして、農業経営の集団化、共同化という政策を進めなければならぬというふうに考えておる次第でありまして、ただいまお尋ねがありましたが、農業法人の問題、この問題も、さような考え方の一連の問題といたしまして、ただいま検討中であります。準備ができ次第、法律案として御審議をわずらわしたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)     〔国務大臣松野頼三君登壇〕

松野頼三自由民主党労働大臣

○国務大臣(松野頼三君) 雇用問題につきましては、昨年の五月の雇用審議会の答申を心から尊重いたし、今後その線に沿って雇用問題の解決をはかることが最善だと考えます。いかにいたしましても、毎年平均百万の雇用増、労働力の増を補うには、一年、二年の政策では解決いたしません。雇用審議会でも、十年、十五年の長期的計画を立てろというのが、御答申の趣旨でございます。従って、本年は、さしあたり、その中で、家内労働の問題が御指摘がございますから、これに手をつけたい。職業訓練につきましても改善をはかって参ります。中小企業の製造業に対する雇用促進も、今年は順調にいたすつもりであります。なお、答申の中で、新しく身体障害者という恵まれない方の雇用促進のために、この国会中に身体障害者の雇用促進の法制をいたすように、ただいま検討いたしておりますので、十分雇用審議会の答申の趣旨を現実に移し得ると私は確信をいたしております。  ILOの問題につきましては、昨年の二月、閣議決定をいたしましたので、その条件の整備を待って直ちに批准の手続をいたす所存でございます。御承知のごとく、この八十七号は、及ぼす影響、範囲が広大でございます。従って、関係法規もなかなか広範囲であることも、御承知の通りでございます。もちろん、御指摘の四条三項及び五条三項を含めて、関係法規の整備をいたし、すみやかに批准の手続をとる覚悟でございます。(拍手)

中村高一日本社会党副議長

○副議長(中村高一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————

中村高一日本社会党副議長

○副議長(中村高一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後七時二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  岸  信介君         法 務 大 臣 井野 碩哉君         外 務 大 臣 藤山愛一郎君         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君         文 部 大 臣 松田竹千代君         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君         農 林 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣  池田 勇人君         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         郵 政 大 臣 植竹 春彦君         労 働 大 臣 松野 頼三君         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 赤城 宗徳君         国 務 大 臣 石原幹市郎君         国 務 大 臣 菅野和太郎君         国 務 大 臣 中曽根康弘君         国 務 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         内閣官房長官  椎名悦三郎君         法制局長官   林  修三君         総理府総務長官 福田 篤泰君         大蔵省主計局長 石原 周夫君

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