文教委員会 第16号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/05/18
会議録
○大平委員長 これより会議を開きます。 学校教育法の一部を改正する法律案並びに公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律案を一括議題とし、審査を進めます。 なお二法案に関連し、学校教育に関する件についても調査を進めたいと思います。 質疑の通告があります。これを許します。小牧次生君。
○小牧委員 ただいま議題となりました学校教育法の一部改正の中で、高等学校の通信教育について若干お伺いしてみたいと思います。私は通信教育ということについて実情をよくわかっていないのでありますが、大臣の出された提案理由の中に、高等学校の通信教育はいろいろ発達をして、利用する生徒数も相当ふえてきた、そういうことから独立の通信制の課程も設けたい、こういうふうになっておりますが、その辺の事情を、一つ簡単に理由を御説明願いたいと思います。
○内藤(譽)政府委員 学校教育法が制定された当時から、通信教育というものを学校教育の中に取り入れたわけでございます。以来日本には初めての試みでございましたので、大学におきましても相当数の大学が通信制の過程を置いておるわけでございます。高等学校におきましては各府県に指定校を設けまして、公立の学校でそれぞれ伝統のある学校を県下で二校程度平均に選びまして、文部省からも添削費等の助成を約一千万円程度いたしておるのでございますが、通信の教育による高等学校の教育をしておるわけでございまして、当初は高等学校の教育の課程の中で一部は行なっておった、たとえば国語とかあるいは数学とか、できるものから始めたのでございますが、昨今は全教科にわたって通信教育ができるようにいたしたのでございます。現在のところ六万人ほどの者がこのところで通信教育を受けておるわけでございます。通信教育だけで卒業ができるようになりましてから、すでに通信教育で卒業した者が一千人をこえておるような状況でございます。 通信制の場合に一番問題になりますのは、昔の講義録というようなものもございましたが、今では教科書のほかに学習書というものがございまして、この学習書が大へんむずかしい作り方なんです。いろいろ問題がございますので、学習書につきましては文部省でいろいろ便宜をはかって、これにつきましては特別の助成をいたしておるのでございまして、今日のところ国である程度学習書の編纂もいたしておるのでございます。その通信制の課程の者は教科書と学習書をたよりにして授業を受けるわけでございますが、どうしてもその場合に理解の困難な点もございますので、そういう場合にはもちろん質問等も先生に送るようにいたしておるのでございます。それについての回答を得て学習しておるわけで、学習の方はある程度うまくいくのでございますけれども、人間陶冶の面から考えましても、通信だけでは十分でない、また実験、実習を伴うものにつきましては、ある程度の実験、実習をいたさなければならぬ、こういうことで、一年間に二十日程度のスクーリング、面接授業を行なっておるのでございます。こういう点で、現在は府県単位で通信教育が行なわれているわけであります。大きな学校では三千人以上の通信生を収容しておるような状況でございます。そこで昨今ラジオやテレビが非常に普及して参りましたので、添削指導のほかにラジオやテレビを通信教育の中に取り入れる、こういうことにいたしておりまして、ラジオにつきましては、NHKでラジオによる教育を施しております。これを聴取した者はスクーリングは二十日のうちの三分の一を免除する、こういうことにいたしておるのでございます。それからテレビにつきましては、スクーリングの二十日のうち半分は、テレビで授業を聴視した者にはスクーリングを免除する、こういうふうにして通信教育で高等学校を卒業するのに大へんしやすくいたしたわけでございます。現在のところ授業料は大体一年に五千円くらいで、四年間で二万円程度あればまかなえるというような状況でございますので、非常に安く上がるし、それから時間も制約を受けておりませんから、勤労青少年が勉学をするのには大へん望ましい制度であろうと思う。このたび通信教育というのをさらに課程まで広げて、通信制の課程まで入りますと、これは将来通信高等学校の設置が予想されるのでございまして、そういう意味で中学校の卒業生の五割七分程度が現在のところ全日制、定時制、通信教育を受けておりますが、将来通信制の高等学校ができまして、これによって全国的に普及いたしますれば、もっともっと就学が可能ではなかろうか。今日のところ定時制教育につきましては、地方財政の現状から考えまして、多少行き詰まっているような面もあるわけでございますが、こういう点に着眼いたしまして、技能者養成施設で高等学校と同等以上のものは、高等学校の指定をいたしまして、それによって就学の機会を与える、この方が約五、六万くらい現存就学しております。ですからこれと通信制の整備と相待って、できるだけ高等学校教育は国民教育としてすべての方が履修できるような方向に進めて参りたい、かように考えておるのであります。
○小牧委員 現在の通信教員は、私は詳しいことはよくわからないのですが、高等学校の全日制または定時制の中で行なわれておるけれども、それは一定の今言われたような科目についてのみ行なわれておって、今回新たに考えておられる独立の通信制の高等学校、これとの関連と申しますか、それは一体どういうふうになるのか。たとえば独立をした場合には、これは必要な科目は全部通信教育でやれるようになるのか。こういう点について御説明を願うと同時に、現在の通信教育について先進諸国の状態は一体どうなっておるのか。これを一つ概略御説明願いたいと思います。
○内藤(譽)政府委員 通信制の教育が発足してからすでに十数年たっておるわけでございますが、この間におきまして通信教育の内容あるいは方向につきまして改善を加えた結果、先ほど申しましたように、全教科について通信教育で行なうようにしたのでございます。普通課程につきましては全教科、職業課程についてはまだ全部には参っておりませんが、できるだけ早い機会に全教科が通信教育で単位がとれるようにいたしたいと考えておるわけでございます。今回通信制の課程を認めましたのは、今日までの実績にかんがみまして、通信教育だけで高等学校が卒業できる、こういうふうに現在の実態がなっておりますから、その実態をそのまま認めまして、新しく通信の高等学校ができるような道を開いたわけであります。特に現在のところは、府県単位に制限はされておりますけれども、通信教育というのは、郵便料金は日本全国どこへ行っても同じでございますから、そこで当然通信制は広地域を予想しておるわけであります。ただ今までそれができかねましたのは、スクーリングの点においていろいろ検討すべき問題があった。今後ともスクーリングにつきましては、協力を求めまして、十分スクーリングができるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。 それから諸外国の例でございますが、アメリカにおきましては、全日制の課程の三分の一が通信教育を行なっておる、それからフランスやオランダでは国立で通信教育をやっております。ニュージーランド、オーストラリアは国立でやっておりますが、主としてこれは義務教育の段階で、特にニュージーランドやオーストラリアあたりでは、非常に地域が広いので、学校がなくてラジオやテレビでその教育をしておる、こういうような状況でございます。通信教育を現在受けておる者は、ドイツでは十九万人、ソ連では百万人が通信教育で教育を受けておる、こういう状況でございます。
○小牧委員 今回のこの考えの中に、今もお話に出ましたラジオ、テレビを利用する、こういう新しい教育手段を考えておるという構想であるようでありますが、その場合に現在は都道府県を単位として通信制の教育が実施されておるが、こうなると相当広範囲にわたることになるので、全国または数府県を実施単位として、広域の通信制の課程を設けたい。これはラジオ、テレビを利用する限りにおいては無理からぬことだと思うのであります。現在NHKの教育放送、それからテレビにおいてはもちろんNHKの第二放送があります。そのほかに先年許可をとった日本教育テレビ、これもあるわけでありますが、この法案が通過いたしました場合に、このテレビの関係においては一体どこがこれを管理していこうとするのか、この辺のところを一つ御説明を願いたいと思います。
○内藤(譽)政府委員 現在のところラジオとテレビで通信教育に重点を置いておりますのはNHKでございます。NHKのうちテレビにつきましては現在NHKが人文地理、化学、人語、機械製図、電気一般、特別教育活動、この六科目について放送を実施しておるわけでございます。このほかに日本教育テレビで通信教育としてこれからやりたいと思っておりますのは、これは文部省の企画によるものでございまして、物理と機械一般、この二科目を年間二十回くらいずつ放送いたしたい。別に今のところ主として教育放送をいたしておりますのは、NHKの第二と日本教育テレビ、この二つでございますので、その双方とよく連絡、提携をいたしまして、むだ、重複のないように、そして能率の上がるような方向で研究を進めて参りたいと考えております。
○小牧委員 どうも詳しく知らないので、つまらない質問かもしれないのですが、一般の通信教育の場合は、あらかじめ生徒の意思というものがはっきりして通信教育を行なっておるということになるのでありますが、ラジオ、テレビの場合には一体そういう今言われるような科目を聞いて、そうしてそれ相当の知識を得たかどうかということの把握ということは、なかなかむずかしいのではないかと思うのでありますが、そういう点についてはどういう考えを持っておられますか。
○内藤(譽)政府委員 ラジオやテレビはあくまでもこれは補助手段でございまして、やはりどこかの学校に籍を置いて、そこの通信教育を受けているわけなんです。この場合は、先ほど申しましたようにあくまで教科書なり、学習書を中心に添削指導でいくわけです。ただヒントが与えられると非常に勉学がしやすいわけです。ラジオを聞いたり、あるいはテレビで実際を見ますと理解がしやすい、そういう意味で、理解を助けるという意味から申しますれば、これはあくまでも補助手段でございまして、ラジオ、テレビそのものが単位になるわけではございませんで、一般の通信教育をしやすくする、理解をしやすくするという意味の補助手段だ、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
○小牧委員 ラジオ、テレビは通信教育の補助的な役割として現在でもあるわけでありますが、これを今直ちにどういう規制を加えようという意味ではありません。まだ私はそこまでは考えていないのでありますが、ただいまのところでは、そういう放送をやる機関の独自の編成あるいは企画、こういうことで当分行なわれようとしておるのか、あるいは現在文部省と何らか関係があるのか、だから私は直ちにこうすべきである、ああすべきであるという規制を文部省が示すべきであると申しておるわけではありませんが、一体その実情はどうなっておるのか、お示し願いたいと思います。
○内藤(譽)政府委員 学校放送につきましては、現在NHK及び日本教育テレビで実施いたしておりますが、この場合には学習指導要領に準拠しなければならぬということで、学習指導要領というワクがはまっておるわけであります。この中で文部省側からも委員会の中に出まして十分連絡をいたしておりますし、また関係の教科の調査官が出演をいたしておる、こういうような状況で、NHKの場合におきましても、あるいは日本教育テレビの場合におきましても、小、中学校あるいは高等学校の教育課程を守って実施をされておるのでございまして、今のところ教育放送に関する限りは、別段支障があるというふうな段階ではございません。
○小牧委員 現在の高等学校の通信制の教育の結果と申しますか、それは一体どの得度のものか。それによって教育を受けた生徒の学力水準と申しますか、普通の直接学校の先生方から教育を受けておる者と多少違うかもわかりませんが、通信教育による教育の成果、学力の水準、そういったものはどの程度のものかお示しを願いたい。
○内藤(譽)政府委員 日本の場合には、通信教育が始まってまだ日が浅いのでござごいまして、先ほど申しましたように、初めは教科の一部分にしか実施しなかった。その後二十八、九年のころからようやく全科に移ったわけでございまして、まだ今日まで十分の成果というほどのものはございませんけれども、今日高等学校で通信教育のみ卒業しておる者が千五百人、学力といたしましては大体全日制とほとんど変わりはないと言われておるのでございます。この卒業生の大学への進学等につきましては、まだ十分調査しておりませんが、学力テスト等を見ますと、そう半力の面では劣っておるとは考えておりません。
○小牧委員 私は先ほど来いろいろ申し上げた通り、こっちの方のことはあまりよく知らないのですが、これは一定の期間通信教育によって履修したということになれば、やはり普通の全日制の学校あるいは定時制の学校の生徒と同じように試験を最終的にはやって、一般の生徒と同じレべルにおいてその生徒の成績をきめるのか、どういうふうになっておるのですか。
○内藤(譽)政府委員 通信制の場合におきましても、全日制、定時制と同じ水準で認定をいたしておるわけでございますから、その点においては変わりはございません。
○小牧委員 今、概略お聞きしておるわけでありますが、ついでにこの通信教育については同じように、本案は第五十四条の二において「大学は、通信による教育を行なうことができる。」こういうふうに示されておりますから、大学においても大体同じような構想で通信教育を行なおう、こういうお考えのようであります。これは詳しい内容がよくわかりませんが、簡単に御説明願いたい。
○内藤(譽)政府委員 大学におきましてもすでに今日まで通信教育を設けておるのは相当数ございまして、高等学校で私立でありますのが東海大学と近畿大学の付属高等学校が実施しております。大学につきましては日本大学の通信教育部、日本女子大学の通信教育部、法政大学の通信教育部、中央大学の通信教育部、玉川学園、慶応義塾、立教大学、近畿大学、これらが大学でございまして、短期大学では近畿大学、浪速外語学院、武蔵野美術学校、協同組合短期大学、これらが短期大学の通信教育を行なっておるものでございます。大体正規の学生は四万三千が受けておる、こういう状況でございます。
○小牧委員 そういうことと大学における通信教育はどういう科目でどういうものをやろうとしておられるのか。これは従来と全然変わりはないわけですか。
○春山説明員 大学の通信教育を実施している大学は、ただいま申し上げた通り四年制大学が八大学、短期大学が四大学、十二大学で実施しておりまして、今までに四年制大学で一万四千人くらいの卒業生が出ております。この通信教育で実施している学科内容は、法学関係、経済関係それから文学関係、家政それから仏教学部、そういう学部でございまして、短期大学につきましては経済、保育、デザインそれから農業協同組合というような学科がその内容をなしております。
○小牧委員 今四年制の大学では、日大その他八つの学校で法、経、文または家政というようなものについて通信教育が行なわれておるというわけでありますが、この法案の示すところはどういうことなんですか。これを国立の学校にも及ぼしてくるとかあるいはもっとさらに、そういう専門の大学を作ることができるということなのか、これは行なうことができると、こう書いてありまして、こうするとは書いてありませんから、今のようにお聞きをしておるわけですが、どういうお考えですか。
○内藤(譽)政府委員 ただいま大学の通信教育部につきましては、大学課長からお答え申しましたように、すでに大学の教育の課程として正式に取り入れられておるわけでございます。高等学校につきましては、今日まで通信教育の課程というところまでは参っていないのでございまして、高等学校の通信教育部がやっておりまして、ほぼ課程と同じような実績を持っておるのでございます。ですからこの実績の上に立って、正式に通信教育の課程を承認し、将来通信の高等学校が単独でもできるような道を開いたのでございます。その点が、通信教育という従来の法規でございますと、通信教育だけの学校というものは設置が認められないのでございます。つまり全日制の課程に付設した場合はよろしいのでございますけれども、通信の高等学校は今の法規ではできない建前になっておりますから、今回は通信教育だけの高等学校ができてもよろしい、そういうふうに考えておるわけでございます。
○小牧委員 それは大体わかったのでございますが、大学の方は一体どうなのかということを聞いておる。
○内藤(譽)政府委員 大学につきましては、現在のところ、やはり大学のいろいろな学科、学部の構成等もございますから、既設の大学の中に通信教育部を置いた方が適当であるというふうに考えておりまして、通信教育だけの大学までは今のところ考えていないのでございます。
○小牧委員 また外国の問題をお聞きするわけでありますが、大学の通信教育について先進諸国はどういう実情にあるのか。 それからもう一つは、これはまた別な問題でありますが、この通信制の課程と技能教育施設の連係ということがこの法案のもう一つの柱になっているようであります。これについてはいずれまた適当な機会に、他の委員会のときにいろいろまた質問をし、またただしてみたいと思うのでありますが、最近非常に理科教育とか科学技術の教育の問題が論議されておる。確かに一面こういう必要もあろうかと、私は高等学校の場合には思うのであります。大学の場合には、一体こういうことは文部省としてはどう考えておるか。大学の学生を教育する上における通信制の教育、通信教育と、それからこの科学技術の実際の教育、これについては一体どういう考えを持っておられますか。
○内藤(譽)政府委員 特に大学の通信教育については、アメリカでは相当数の大学で全国的に行なっておる。全部が全部通信教育を行なっておるわけではございません。ソ連では、大学では主として技術教育を中心に通信教育を行なっておる。その数は七十万から八十万くらいといわれておるのでございます。お話のように、科学技術教育を通信教育でうまく行なえるかどうかという点は、私どもも当初から心配したわけでございますが、最近特にテレビを通じまして、相当実験実習の実態を見せることができますし、こういう方は大体会社工場等に勤務しておる方が多いのでございまして、現場において実習もある程度していらっしゃるわけですから、これに知識の面で理解を与えるという点から考えますと、通信教育で行ない、さらに不十分の点はテレビ等で補うことも可能であろう、かように考えておるわけでございます。
○臼井委員 関連。今小牧委員から、大学における通信教育の質問が出たのですが、今お話にもありましたように、アメリカでは、高等学校よりもむしろ大学の方が通信教育が発達しておる、こういうようなことを聞いております。そこでわが国のあれは、今あげられたように私立大学の東京六校ほどですか、何かそれくらいの学校がおもに大学の通信教育をやっておる。そこで大学の通信教育をどういうふうにやっておるか私よく知りませんが、高等学校などの例で見れば、やはりスクーリングということが実際上は必要なんで、そうすると地方の東京から離れた遠くの方では、スクーリングといっても、東京へ来るのがなかなか大へんです。あるいは大学で夏期等において出張してブロックごとにでもやっておられるかどうか私は知りませんが、そういう面から見ると、やはりこの通信教育が、日本でも将来大学においても相当進んでいくべきじゃないか。そう考えると地方の大学でこれがやはり実施されることが望ましいのじゃないか、こうも実は考えるのです。それとともに、そうなると費用の点や何かで、公立ではなかなかそれが実施されないですけれども、国立でそういうようなことも考えていいのじゃないかと思うのですが、これはどこの局でお扱いか知りませんけれども、それらの点について何か当局で御意見があれば、この際伺っておきたいと思います。
○春山説明員 大学の通信教育は、今お話がありましたように昼間の課程を通信教育に対して通常課程と申しておりますが、通常課程と教育内容、程度を同じくするような教育でなければならぬという建前でやっております。大学は修業年限は四年でございますが、通信教育の場合も四年以上で、最低四年でございますが、大体は教材を学生に送ってレポートをとる、それに回答を与え、添削して返すという方法ですが、今お話のありましたように四年間のうち一年間に相当するものだけはスクーリングによらなければならないというふうになっております。従って大学卒業の単位は百二十四単位となっておりますので、そのうち三十一単位はスクーリングによって修得するようにということに基準ができております。そのスクーリングによらなければならないものというのは、実は教材によっては修得の困難な科目が中にあるわけでございます。そういう科目について特にスクーリングの必要を認めておるわけであります。スクーリングについては、一年間に相当するというわけでございますから、四年間に八単位ずっとっていくという方式をとるわけです。八単位をとるためには大体四十日くらいの学習が必要なわけでございます。その期間は夏休みの時期あるいは冬休みの時期というものを利用するわけですが、正式に昼間勤務している勤労青年でございますから、なかなか休暇がとれないので、その点非常に困るじゃないかというようなお話がよく出ております。文部省でも、なるべく通信教育の学生のスクーリングには雇用者の方がその事情をよく理解して、出席できるように取り計らってくれということを申したこともございます。 それから、今申し上げておるのは、この課程を終わると昼間の課程と同じように学士の称号を得られる課程でございますが、それ以外に例の学芸学部で、国立大学でございますが、これは教員免許状の科目単位をとらせるための教育関係の通信教育をやっております。これは四十六大学で実施しているわけでございます。そのほか国立大学では秋田大学の鉱山学部、これは社会教育的意味もございますけれども、鉱山に関する通信教育をやっております。これはもちろん教材だけでございますから、実験、実習のようなものは含まれておりません。将来科学技術関係の学部についても通信教育ができやしないかということがよく関係者の間で論議されることもありますが、大学の科目は非常に範囲が広いわけで、すべての科学技術の専攻科目が通信教育で実施できるかどうかというのはいささかやはり問題がありますので、関係者の間で研究はいたしております。たとえば大学基準協会とか、あるいは大学設置審議会の中にも通信教育に関する部門がありまして、それぞれ研究中でございますが、まだ結論が出ておりません。しかし今のような時代でございますから、そういう面についても、かりに大学卒業の資格を与えないにしても、そういう科目について何らか教養を与えるような方法はないかというふうな点、つまり別科といいますか、科目選択といいますか、そういう方法を考えてはどうかというようなことなどが論議されております。大体こんな状況でございます。
○臼井委員 今のお話で、大学の通信教育のやり方も一応わかるのですが、私の伺いたいのは、実際大学の通信教育を受けておる者の日本中の分布がどういうようになっておるか、ここに一つ問題があるのです。結局、東京を中心にして関東地区の者だけが通信教育を受けておるなら、スクーリングのときも便利ですが、たとえば、極端にいえば、北海道とか九州方面の勤労青年が東京の大学の通信教育を受けておると、一体スクーリングをどういうようにしてやるか。そこで大学で夏休みに出張して地方でやっておられるのじゃないかと思うのですけれども、そうしてもなかなかそこに制限がある。そこで、政府でも通信教育を重要視するならば、すべてのブロックに一校くらい国立で通信教育をやるということも必要じゃないか。これは何もブロックごとに独自にやるというのではなくて、全国通じた同じ教材なり何なりでもいいけれども、それでスクーリングをやるときには、国立でやれば連絡して、ブロックごとに一ヵ所へ集まってスクーリングをやれる、実際の指導もやれる、こういうことが必要じゃないかというふうに考える。ただしかし、私立学校でそういうことをやっておるのを、何も国立がそんなところへ出しゃばっていく必要もないという議論もあるかもしれませんが、私立で、地方でもすべてブロックごとにそういうスクーリングもやれるし、十分な指導もできておるならば問題ないのですけれども、私が心配するのは、どうも中央における者は便利であるけれども、地方の若い青年で通信教育でも大学教育を受けたいというような人について不便じゃないか。それに対して何とか改良なり便宜を与えるような方法が必要じゃないかという点です。
○春山説明員 通信教育の学生が全国的にどういう状態になっておるかという正確な数字は今持っておりませんが、格大学とも全国各府県に学生がおるようでございます。特に沖縄あたりの学生、あるいは台湾とかあるいは朝鮮あたりからも参っておるようであります。 スクーリングをやる意味は、先ほど申しましたように、学習の困難な科目について履修するために入り用だというのと、もう一つは、その大学の雰囲気にスクーリングの期間に親しませる。たとえば、慶応大学でやっておるならば、慶応大学の校舎、図書館あるいはその雰囲気になじませるということが一つの目標になっておるようであります。それから、いずれにいたしましても、学長なり各教授がある機会に必ず学生に接するという機会を作るわけです。大学の学長とか教授のけいがいに接し、その人に接するということを非常に大事に考えて、今お話もありましたが、集中してその大学で実施するという方法をただいまのところはとっております。ただ臼井先生が御指摘のように地方にブロック的に何か共同でスクーリングをやる場所をこしらえたらどうか、あるいは共同の教科書を作ったらどうかというような論議をわれわれもいたすわけなんですけれども、現在は私立大学だけで通信教育をやっておりますので、お互い大学の間にもなかなか話し合いのつかない面もありまして、スクーリングを地方に共同のものをこしらえること自体に問題がございますけれども、各大学が共同にやるという点についてはさらに問題があるようでございます。しかしこの問題は確かに全国的に学生が散らばっておるわけですから、何らかいい方法はないかということは、先ほど申し上げましたが、研究をいたしております。
○臼井委員 さっき申し上げたように、私立でやり得るところは私立におまかせする方がむしろ望ましいかもしれませんが、今言ったように、地方で大学通信教育を受けたいという人のためには、やはり場合によって国でやるぞ、こういうことで調査を進めれば、私は私立の大学の方も刺激して、進んで地方の青年の勉学のためにも、国でやってもらわなくても私の方でやりますということにもなろうかと思うのです。その辺を今後御調査をいただき、勧奨するように指導をお願いしたい。 もう一つは、日本では高等学校の通信教育が非常に伸びたというのは、やはり文部省が非常な力を入れたということで効果が上がり、指導がよろしきを得たという点は私認めるのですが、なお定時制や通信教育に今度手当を七%出した、これはいい教師を確保しようというようなことから私は進んだと思うのです。こういうような点は大学の面にも一段と御研究をいただきたい。もう一つの面は、通信教育でまで高等学校の課程を勉強したい、大学の課程を勉強したいというのは、私はまことに心がけのいいというか、俗な言葉でいえば感心な青年だと思うのです。従いまして、これらについて政府でもできるだけ便宜を与える——今私が大学の通信教育について申し上げたのはその一つですが、育英制度ですね、通信教育でどれだけ費用がかかるかわかりませんが、スクーリングに来るとなるとやはり費用もかかるということなので、それらにも多少見ていたようにも考えますが、進んでさらに育英制度的な——学校に行く人に育英制度があるのだから、やはり家庭においても同じ勉学をするという者については、優秀な生徒だけには育英制度的なものも必要だと思うのですが、これらについて御意見を承りたい。
○春山説明員 大学の通信教育の学生がスクーリングのために、その母校に集まってきた場合、日本育英会でそのスクーリングの間における学費は貸与しております。今数字や何かちょっと材料がございませんが、そういう制度はございますので、なおスクーリングを受ける学生の数に応じてその数を増加したいという希望を持っておるわけであります。
○大平委員長 私からそれに関連して一つ教えてもらいたいのですが、通信教育をやるということは、向学心から出たものもありましょうし、また世間にこれは高等学校を出たとか大学課程を履修したとかいう一つの資格、そういうステータスを認めてもらうということになるのだろうと思うのですが、昔専検とか高検とかいう制度がありましたね。あれはいわば通信教育というようなプロセスを経ないで、権威のある試験制度を設けておいて、それに合格すれば専門学校等とか大学への入学資格を得るとか、世間もその資格を認める。そういう制度があったのですが、戦後の教育制度の中ではそういう検定制度はないのですか、やろうと思ったらやれるのですか、それはどうなっておるのでしょう。
○内藤(譽)政府委員 今日のところでは大学入学資格検定試験というのを行なっておるわけです。ですから高等学校を卒業しない者には大学入試の検定試験を全国的に実施しております。大体三千人ぐらいが受けておりますが、これはもちろん科目ごとにやっておりますので、全科目をとれば大学の入学資格を与えるということになっております。一五%くらいが合格いたしております。
○大平委員長 それはわかりました。しかし大学の入学資格をとるということよりもっと大きく、大学を卒業した者と同等に認めるとか、高等学校を卒業した者と同等に見て、しかもそれは非常に権威のある試験だから、それに合格すれば世間一般もそういう資格があるものと認めるという広い意味の検定制度というのはないのですか、そしてまたやる意思はないですか。
○内藤(譽)政府委員 高等学校につきましては、ただいま申しましたように高等学校卒業の資格を与える大学の入学資格の検定試験がございますから、それに合格しますれば高等学校卒業と同程度になるわけであります。ただ大学については現在のところそこまではまだ及んでいないのでございます。と申しますのは、大学の場合でも夜間の制度もございますし、あるいは通信教育というような制度も普及して参っておりますので、大学卒業の資格検定というような制度まで今日のところはいっていないのでございます。
○大平委員長 しかし金がかからぬで大勢勉強させられるのですから、文部省は何もそれはちゅうちょする必要はないのじゃないですか。どんどんそういう制度を設けてやって、これも若干の経費がかかりますけれども、通信教育のような手段に牽連を持たない方々、地域的に、あるいはいろいろ職場の事情からいって絶対できないような人は、独学でやって、しかもそういう資格を与えますよという関門を開いておけば、金が要らずにみんな勉強させられるというので、何もこれはやって悪いことではないのじゃないかという感じがしますが、どうなんでしょうか。
○春山説明員 大学卒業の資格検定試験というのはなかなかむずかしいのじゃないかという気がいたします。専攻部が非常に多いのです。ただある一つの目的のために、というのは、たとえば高等学校の教員の検定のために大学卒業程度の試験をやるとかということは、旧制時代において旧制の高等学校の教員検定試験というのがありましたから、それに類似したような考え方が起こらないわけはないので、話題に乗る程度のことはありますけれども、まだ具体的な研究にまでは至っておりません。旧制時代においても大学の卒業検定試験というものはなかったのです。しかし高等学校の今の教官検定試験というのは、あるいは実業学校程度の卒業検定試験というふうなものはありました。それでやりましても、部分的なものしかできないかと思うのですが、研究する価値は科目によってはあろうかと思います。
○大平委員長 では一つ研究して下さい。
○小牧委員 ついでにもう少しお伺いしますが、先ほどの局長の説明の中で、高等学校の通信制教育をやっていて、県下で大体二校くらい指定してある、これに対して大体一千万円くらいの補助を出しておる、こういうことですね。そこでお聞きしたいのは、独立の通信制の課程を設けたい、こういう方針のようですが、そうなると大体そういう数をどういうふうに考えておられるか、独立の通信制の課程をどの程度置こうとしておるのか、それから一千万円の補助は一体何を対象としておるのか、それをお伺いしたい。
○内藤(譽)政府委員 一千万円ほどの助成は、現在公立の高等学校が約七十校ほどが通信教育を行なっておりますので、この場合に特に添削指導のための助成費でございます。それから文部省といたしましては、そのほかに学習書の編さんが大へんめんどうでございますので、この面につきましても国で編さんするようにいたしておるわけであります。それから今後独立の通信高等学校ができた場合の配置とかそういう問題をお尋ねになったようでありますが、これは今後の仮定の問題でございますから、実は今のところ明確には把握できませんが、将来やるとしますれば、特にNHKのようなところ、あるいは日本教育テレビのようなところも一応考慮の対象にはなろうかと思います。しかしこれもいろいろな関係で、すぐできるかどうかわかりませんが、そのほかに公立の高等学校では現在三千人以上収容しているところが北海道とかあるいは埼玉県等にございますので、非常に規模が大きくなりますとある意味では分校しなければならぬ、そこで独立の通信高等学校というものができてくる可能性はあるわけでございます。
○小牧委員 その場合に、この提案理由の説明によれば、文部大臣の承認を得て都道府県の教育委員会が認可をする、こういう建前になっておるようでありますが、それはそういう助成とかいろいろな点もあるであろうし、文部省のいろいろな指導ということからして、あるいはそういうことも考えられるかと思うのでありますが、私は何も承認を得る必要はないのじゃないだろうか、それぞれその地方の勤労青年のために都道府県の教育委員会がそういう必要があると見て、その設立を認可しようという場合に、わざわざ文部大臣の承認を経なければならぬというのは一体どういうお考えですか。
○内藤(譽)政府委員 大へんごもっともな御質問だと私も思うのですが、実は都道府県の教育委員会にいたしましても、私立学校の場合は知事でございますが、認可する権限の及ぶ範囲はその都道府県内だと思う。ですから、全国的な規模において、あるいはブロック的な規模において通信教育生が集まった場合に、その府県以外の生徒の利益を保護することは困難でございます。たとえば東京都の範囲の生徒でございますればこれは都道府県の教育委員会の所管でございますから、その区域についてはもちろんいろいろ監督できるわけでございますけれども、全国的に生徒を保護するという立場から見ますと、その人たちがいかなる環境においてスクーリングをするのか、協力校がどの程度整備されておるのか、このようなことを十分検討しなければならぬかと思うのです。こういう場合に他府県の子供たちの教育を保護する、こういう観点から文部省が事前に承認をする、これはあくまでもその府県内の子供を対象にしておるような現行の体制のもとにおいては不必要だと思いますが、将来ブロック的な、あるいは全国的な広域の通信高等学校を予想いたしておりますので、その場合に限っては文部大臣の承認を得る、こういう意味でございます。
○小牧委員 多少話がわからぬでもないのですが、全国的な高等学校云々ということは、それは将来そういうこともあろうかと思うのでありますが、地方においては、私は、その県内以外の生徒を対象とすることはそう大してないのではないか、大都会の近県では、あるいは優秀校がありますれば、そういうところの通信教育も受けたいということで、その必要はあろうかと思うのでありますが、その場合でも、それぞれ各都道府県に教育委員会があり、正式な機関があるから、そういう機関の責任者が話し合って、今あなたがおっしやるような必要があるとするならば、話し合いをしてきていけるのであって、何も一々文部省がそういうことを調べて承認しなければならないというほどのものはないじゃないかと思うが、どうですか。
○内藤(譽)政府委員 御指摘のように、その府県が中心になり、隣接の府県から生徒が通信教育を受けるというような場合まで文部大臣の承認を要するとは私ども実は考えていないのでありましてこの広域の場合は、一番問題になりますのは、電波を利用しているものです。今日東海大学では、通信制の高等学校を行なっておるのですが、電波を使って、関東地方一円に通信教育を行なっておるわけです。あるいは将来NHKにいたしましても、日本教育テレビにいたしましても、テレビやラジオを通じながら通信高等学校のような制度を新しく設けた場合には、これはやはり事前に十分調査をして、都府県の教育施設とも関連もありますので、そういう点を十分吟味して、そうして承認を与える、こういう趣旨でございましてその府県内の高等学校あるいは若干の生徒が隣接県から入ってくる、そういうようなところまでを対象にしておるわけではございません。
○小牧委員 この問題は、いずれまた適当な時期にお伺いをするといたしまして、この法案の質問は、これで私はやめさせていただきたいと思います。 次に監理局長にお伺いしたいのであります。けさ私は新聞を見たのでありますが、例の名城大学の問題の記事が出ておりまして、私ども、たびたび名城大学から陳情書をもらって、一体どうなるかと思っていろいろ心配をいたしておったわけであります。ところが今申し上げた通り、けさああいうふうに、いわゆる三人委員会の方々が、この名城大学の混乱を収拾するには、これはもう解散を命ずる以外にはないのではないかというような結論に到達した、こういうふうに記事が出ております。はたしてその通りであるかどうか。私は三人の方にまだお伺いをいたしておりませんから正確には存じません。そこで従来この委員会にいろいろ名城大学の問題が出されまして、前には名城大学の学長ですか、それから理事長その他私立大学の審議会の関係の方々もここに参考人として来ていただいて、それぞれの立場からする御意見を聞いて、私どもも質問をいたしました。何とか名城大学の経営を正常化して、その大学に学んでおる学生の学校教育を円満に行なってもらうようにしてもらわなければならないということを強く要望をし、また当時の監理局長であった小林現大学学術局長にもいろいろ御意見を伺ったのでございますが、遺憾ながら、現在の私立学校法等によれば、文部省といたしましてもこの解決にどういう方法をもって臨んだらいいかということの点についてはなかなか苦慮しておられたようでございます。ところが、今回、今申し上げたように、三人委員会の方々が、理事その他役員の辞任、新しい方々の就任によって名城大学が運営さるべきであるという要請をしたにもかかわらず、何らこれを聞かないで、このまま放置しようといたしておる。このままでは、とうてい学校経営の正常化と学校教育の維持ということは困難であるから、もういかんともしがたいから、最後の手段として名城大学は解散を命ずべきである、こういうふうな結論になったと新聞に出ておりますがはなはだむずかしいことではございますけれども、今にわかに文部省としてもはっきりした態度を打ち出すということは困難であるかもしれませんが、これについて監理局長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○福田(繁)政府委員 おっしゃいますように、名城大学の問題につきましてはかねて当委員会でもお取り上げになった問題でもございます。文部省といたしましても、事柄が私立大学に関する問題でございますので、できるだけ大学自体の自主的な解決に待つのがよろしいというような考え方で、名城大学の関係者と今日までいろいろ接触をして参ったのでございますが、その間に、まず私立大学審議会の古田、河野、友岡という三人の委員の方に自主的な解決を促進するという意味で、一つ調停委員としてやっていただきたいということを一月二十日に文部省から依頼をいたしましてやったのであります。それで、調停委員は現地にもいろいろ調査に出かけますし、またあらゆる関係者とも接触をいたしまして今日まで調停に努力して参ったのでございますが、その間に、新聞等で出ておりますように、やはりこの三人の調停委員の基本的な態度というものは文部省と大体同じじゃないかと思いますが、要するに大学当局が自主的に解決をはかってもらいたいというので、第一回の勧告をいたしたのであります。従って、当時の考え方としては大学の関係者が自主的に再建案を立ててもらう、またそれに必要な役員構成もりっぱな人たちを役員にして、将来の名城大学の再建に資するような役員、評議員の構成をしながら再建案を立ててもらう。そうしないと学生等は非常に迷惑するのじゃないかという態度で勧告をされたと思います。ところが、それに対して現地の名城大学の関係者は、いろいろ紆余曲折はございましたが、一口に申しますと、そういう勧告には応じないというような、かえって応じないで他のいろいろな方法を講ずるというような状態で、その間にも訴訟が幾つか起こされましたが、とにかくその状態はますますひどくなるばかりだ、こういうような状態で、三人の方々もいろいろ研究しました結果、このままでは、現在の役員、評議員等が関係しておっては、地元の関係者も協力をしないし、また学校の再建も不可能である、そういうような結論からいたしまして、とにかく現在の関係者は一切手を引いて、第三者による新しい理事、評議員の構成をいたしまして、そして、地元の協力も得て再建をはかってもらいたい、こういうような勧告を第二回の勧告として出したのであります。ところで、それに対してもやはり、現在の関係者の中にはいろいろな派がありまして、揣摩憶測をすると同時に、その勧告に対しても誠意のある回答はなかったのであります。そこで、最後に五月六日でございますか、このままでは学校の自滅を招くばかりではないか。従って今までいろいろとやってきたけれども、勧告に対して誠意のある回答もなされない、その間に事態は進んでいくので、このままの状態では学校の正常な運営とは言いがたい、私立学校の自立性、公共性も全く失われていくのではなかろうか。こういうような見地から、三人の委員は最後的に、要するに新しい第三者にあげて一任するようにというような勧告を出されたのであります。その期限は五月十四日であります。こういうようなことにいたしたのであります。ところが、それに対しても誠意のある回答はなかった。あるいは理事の一部、評議員の相当数等はこの際やはり公正な調停委員にあげて一任しようというような考えを持っておられる方もございます。従って、その辞表を提出するというような者もかなりあったのでありますが、しかし、肝心な役員の中心的になっている者の一部には依然として非常に強硬に反対している向きがありまして、調停委員の趣旨とは違ったような結果になったのでございます。従って、調停委員としては、自分たちはここまで努力して参ったのであるけれども、何ら法律上の権限があるわけでもなし、いろいろな話し合いできたのでありますけれども、これ以上はもう手の施しようがない。従って、一応今までの経過を文部大臣に報告をいたしまして、そして文部大臣の措置をお願いするのもやむを得ないであろう、こういうように、一昨日の十六日に集まって結論に到達したのでありまして、その結果がごらんになりました新聞に出ている問題だと思います。しかし、調停委員の考えも、いきなり解散してよろしいというようなところの考えではなくて、やはり何らかの自主的な解決がはかられればけっこうであるけれども、われわれの手では現段階においてはいたし方がない、こういうのが考え方の基本であろうと思います。私どもといたしましては、いろいろ三人の調停委員の方々に非常な御苦労を願ったのでありますけれども、ここで、一応そういう状態にくればやむを得ないのでありまして、文部省としてこれからどう措置するかは、学校の方との情勢をいろいろ見きわめた上で研究をいたしたいと思います。ここで結論を申し上げる段階ではないと思いますが、ただし、私が申し上げておきたいと思いますのは、現地では理事のそういった紛争が相変わらず続いておりまして、依然として学校の正常な運営はできないという状態であります。理事会も開けない、その間に大学自体の学生の教育にもいろいろ支障があるというような状態を続けておりますので、この状態はやはりすみやかに解消しなければならないと考えております。しかし、特に新しい話として、まだ現地の方ではいろいろ動きがあるようでありまして、三人の勧告委員が一応手を引いたような格好になっておりますけれども、現地としては、地元の私学の代表者もあげて、この際第三者に一任すべきであるし、調停委員に一任すべきではないか、こういうような考え方をもって臨んでおりますので、そういった現地のいろいろな考え方等を見まして、そして、今後文部省としての対策をきめていきたいと考えております。
○小牧委員 これ以上局長にお聞きするのは、あるいは無理かと思うし、そこに政務次官もおられるわけでありますが、結局は大臣にお考えを聞かなければならないかと思うのであります。本日は大臣が来ておられませんので、そこまでは突っ込んではお聞きできないかと思うのでありますが、現在名城大学の学校教育、授業は一体どうなっておるのか。それからずっと前に、先ほど申し上げた関係者諸君にここに来ていただいていろいろお話を聞いたときには、理事者の方で金を抑えて教授の給料も払えない、従って教授の方々がみんなで銀行から金を借りて給料を支払っておるというような弁明がここでなされたように、私は記憶いたしておるのでありますが、あれ以来相当な期間を経過しておる今日、一体そういう面はどのようになっておるのか、これが第二点です。それから第三点は、私立学校法の第五十九条によりますと、国が助成をする場合には「その助成の目的を有効に達し得るかどうかを、審査しなければならない。」と明確に規定をされておる。そこでこの名城大学にも何らかの助成がなされておるのかどうか。もしなされておるとするならば、国の方ではこの規定に基づいてその助成の目的を有効に達しておるかどうかということを審査されておるのか。この三つの点についてお伺いしておきたいと思います。
○福田(繁)政府委員 まず最初の御質問でございますが、現在学生の授業は支障なく、と申してもいろいろあると思いますけれども、大体全部の教授、講師等は熱心に授業を継続しているようでございます。われわれの方に参ります学長初め教授グループは、学生の教育については支障のないように処してきたと言っておりますし、また学生に会いましても、その点についてはあまり現在心配しておらないようであります。ところで今御質問になりました授業料その他の学生納付金の問題でございますが、理事会が事実上の理事会と法律上の理事会と二つできておりまして、しかも最近になりましてはその法律上の理事会が二つに分かれて、いわば三つに分かれておるというようなことになっております。従ってこの理事会でそういう資金の管理あるいは物品の管理というようなことをやる能力は、現在ないといっても差しつかえない状態でございます。現在学生の授業料その他学生納付金は、教授団と教職員組合と学生自治会の三者からなります三者協議会というのがございまして、その協議会の管理下においてすべて学長が統括いたしまして、学長の名において領収証を発行したり、あるいはその三者協議会の名前でもって労働金庫に預金をするということで、この点は非常に変則的な管理が行なわれておりますが、そういう状態でございます。従ってこの教授その他の職員の俸給等は、一時は遅払いがございましたが、現在は学生納付金等によってとにかく支払われておるというような状況でございます。それから助成の問題でございますが、これは五十九条によっておっしゃるような規定がございます。最近はこの大学に対して助成金を出したことはございませんが、文部省といたしましては、私立大学に対する研究設備の助成補助金として、三十一、三十二、三十三年度まで継続して出しております。それから高等学校の産業教育設備費の補助金を二十七年度と二十八年度、両年度に出しております。それ以後は出しておりませんが、これはおっしゃるように当然この補助金を出す場合には、もちろん補助の目的に従ってこれがりっぱに使われなければなりませんので、そういった補助金の使途についていろいろ審査をし、また補助の目的が達せられるように全般的にこの法律の趣旨に従って審査することは当然でありまして、それはもちろん文部省としてもやっております。しかしながらその後におきまして、紛争はますます深刻化してきたというのが現状でございます。
○小牧委員 もうこれで質問はやめますけれども、これは非常に長い間混乱の状態で、われわれも文教委員の一人として大きな関心を持っておるわけでありますが、ことしの新学期の生徒の募集、これはどういうことになっておるのか、ちょっとお伺いしておきたい。
○福田(繁)政府委員 新入生の取り扱いにつきましては、三人の調停委員も非常に心配したところでございまして、設備その他火災にもあっております。それからいろいろ台風等で被害を受けて、まだ復旧も十分できてないという状態でありますので、新しく二十五年度に入る学生については十分そういった状況を勘案してとるように、こういうような勧告を三人の調停委員から出されております。その趣旨は、要するに本年の学生はとるにしても最小限度にとってもらいたいというような趣旨であったと思います。ところが時期がちょっとおくれておりまして、ちょうど勧告を出されましたのが三月二十九日であったと思いますが、三月二十九日には、すでに第一次の募集を終わっておりまして、試験も実際に施行したあとでございましたので、そういった関係から大学当局としては、二次、三次の募集をなるべく勧告に沿った線でやりたい、こういうようなことを申しております。多少自粛したと思いますが、今年度は向こうの報告によりますと千六百三十六人が入学を許可された、こういうようなことに相なっております。
○小牧委員 この生徒は、それだけ入るということでけっこうだと思うのですが、とにかくこの大学に入ればりっぱな教育を受けられて、将来また適当なところに就職もできるという期待を持って、それだけの生徒も人ってくるであろうし、またその期待に沿うような学校教育と学校の経営をやってもらわなければならないというのが建前であると思うのです。しかるに今お話を聞きますと、理事会もいろいろ二つ、三つあるいは四つくらいに分かれてある、非常に変則的な、どちらかというと、これは極言でありますが無政府状態にある。一体だれがほんとうの責任者でそういう生徒を募集して学校を今経営をしておるのか、一体どこにその責任者があるのかということ。それから先ほどのお話の通り、文部省としても、一体これをどうするのかということをあなたとしては今ここでにわかに明確な答弁はできない、これは大臣にお伺いをしなければならないと思いますが、それも無理からぬことであろうと思うのです。特に学校の解散ということは最後の手段であって、けさの新聞の記事によりますと、これは前例がないように書いてある。そういう最後の伝家の宝刀を抜くということは容易ならざる問題であろうと思いまして、法による解散というところまでにはよほどの決意が必要であろうと思うのであります。これは私の意見といえば意見になるかもわかりませんけれども、前に委員会を開いて関係者を呼んでから非常に長い期間たっており、もう何とか目鼻がつくのじゃないかと私どももいろいろな陳情を受けて期待をしておったのでありますが、今文部省の方で御依頼をされた三人委員会の方々もさじを投げた形である。前の委員会に来られて話をされた中で——これは田中という方でしたか、あの理事長のいろいろな話を聞きましても多少普通と違うのではないか、はなはだ失礼な言い方でございますけれども、非常に訴訟がお好きなようで、六年も七年も訴訟をやっておられる、そうして御自分が非常に苦労して、苦心して作り上げた学校であり大学であるので、全く大学を自分の所有物だと考えておられるようで、はなはだ私ども学校教育という公共的なものをやっていただく方としては心もとない感じを持った一人であります。従って、学校内部においても理事の方々に幾つも派があって分かれている、このままの状態を続けたならば、おそらく私は正常化することはなかなか困難ではないかという印象を今強く持っておるのであります。だから、結論はお聞きいたしませんが、現段階において文部省としてはこの点についてどういうお気持ですか。これは何とかうまくおさまる見込みがあると思っておられるのかどうなのか。これはほっておけば、生徒が迷惑をするし、学校教育は正常化されないし、いろんな面において私は非常に悪い影響があると思うのでありまして、文部省も委員会もこれを何とか解決しなければならぬ責任がある。もはやそういう最終の段階にきておるのではないかと考えるわけですが、いかがですか。
○福田(繁)政府委員 おっしゃる通りでございまして、私どもとしても非常に苦慮いたしておりますが、要するに、名城大学の現在の関係者全都の方々が学校を再建しようという意欲が一人残らずあるかないかにかかってくると思います。従って、三人の調停委員の今日までの努力は全面的に成功したとは申し上げられませんけれども、少なくとも一月以来いろいろ努力されました結果は相当私は現われてきておると思います。その証拠に地元でもあるいは関係者の中でも多数の方が同調と申しますか、あげて一人の人たちにかぎを預けてまでこれを一つ解決してもらおうという気運が盛り上がっておることは事実であります。そういう意味で、その点までいきましたことは非常に私は成功であったのじゃないかと思います。しかし、ここで一応手を切ったと由しましても、また今後調停委員もいろいろ働いて下さると期待はしておりますが、文部省としても、やはり現在の私立学校法の建前から申しますと、オール・オア・ナッシングと申しますか、最後に解散か、あるいは学校を閉鎖するか、中間の段階というものは法律上の権限として文部大臣にないわけであります。従って、新聞に書いてありますように、片がつかなければ解散か閉鎖かというように法律上の問題としては残るわけでございますけれども、文部省としては、現段階であらかじめ法律上の問題としてでなく、事実の問題としてできるだけの手を尽くす余地があればできるだけの手を尽くしながらもう少し静観をしていきたい、こう考えております。
○小牧委員 もうこういう機会がありませんから、最後に聞いておきますが、第六十二条のまん中ごろに、「他の方法により監督の目的を達することができない場合に限り」、「解放を命ずることができる。」こうなっております。これははなはだ微妙なところなんですが、今の状態でいろいろやっておられますけれども、努力をしておられるが、他の方法その他によって監督の自的を達することができると思っておられるのかおられないのか、これを一つ聞いておきたいと思います。
○福田(繁)政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、現在では目的を達することが非常に困難な状態にあるということを申し上げておるのであります。しかしながら私どもは困難でありましても、まだ文部省として手を打つべき問題があるのではないかというように考えておりますので、そういう問題にできるだけ努力していきたいと思います。
○臼井委員 ちょっと関連して。——ただいま小牧委員から名城大学問題についていろいろ質問がありましたが、かりに最後の手で解散をさせて、そのあとの措置でございますね。これは在学生もいることだし、再建をはかるでしょうが、その再建をはかるにも、この前参考人として来てもらった理事長あたりも、こんな大学のやり方ならもうつぶしてしまった方がいいというようなことで、われわれもむしろ憤慨したのですが、そうしてみると、解散しちゃっても、再建のときにそういう連中がまた中へ入ってくるようなことになったんじゃまた同じようなことを繰り返すのですが、それに対して、今の私立学校法なども文部省の指導上法律としてはやりにくい不備な点があると思う。そこで、直ちに再建をさせるような方法の指導ができるものでありますかどうか、その点もちょっと伺いたいと思います。
○福田(繁)政府委員 法人を解散いたしますと、これは一般の民法の法人と原則は同じでございますが、清算法人になるわけでございます。従って、清算の目的の範囲内でしか事業はできないわけであります。従って、清算法人に対する監督は事実上法律上は裁判所の監督権のもとに入るわけであります。従って、おっしゃるような点が、学生は残る、学校は一応存続していくというような格好になりますと、それについての再建というものは、裁判所の監督下にある点もございますし、非常にやりにくいじゃないかと思います。従って、解散してうまくいくかどうかということは、これはちょっと予断を許さない問題だと考えます。
○臼井委員 そうすると、この定款でございますかに、たとえば財産の処分とかなんとかいうことも規定されておると思うのですが、資産としては、ひとり名城大学ばかりでなく、私立大学等で相当大きな土地建物等を国から払い下げられておるものがあるわけであります。名城大学あたりもやはりそうだと思う。こういうものをおそらく何か定款等で規定して、それで認可になったんでしょうから、それが個人の私有に帰するというようなことはおそらくないと思うのですが、そういう点についてはどうなんでしょうか。つぶしちゃったらいいなんていうようなことを言っているところを見ると、何かそこにむしろつぶしちゃった方が自分たちに都合のいいようなことでもあるようにも感ぜられるのですが、その点いかがですか。
○福田(繁)政府委員 一般的に申しますと、私立学校法の建前で、寄付行為で残余財産の処分をきめることになります。従って、もし、きめなかった場合には、私立学校に使われた財産は国庫に帰属するという条文があるわけでございます。そこでこの名城大学の場合におきましては、解散した場合における残余財産の帰属すべきものは、解散のときに、他の学校法人、その他の教育事業を行なう者のうちから理事会において選定する。だから他の学校法人か、その他の教育事業を行なう者に帰属するということになろうかと思います。従ってこの寄付行為の文言通りに考えますと、名城大学は他にも学校法人を持っておりますので、そういう関係の学校法人もございますので、そういうところに帰属させるような決定をするのか、あるいは全く他の教育事業に寄付されるのか、その点はわかりませんけれども、全く個人に帰属するというようなことは許されないと思います。現在名城大学としては国有財産をたくさん借用しております。従って、そういうものは、そういう場合には、やはりそのまま国有財産として残るということになると思います。
○大平委員長 次回の委員会開催の日時は公報をもってお知らせいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十二分散会