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34回国会衆議院1960/03/04

文教委員会 第4号

発言数
76
登壇者
7
会派数
2
開催日
1960/03/04

会議録

大平正芳自由民主党

○大平委員長 これより会議を開きます。  盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がございますので、これを許します。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 盲学校、ろう学校等におきます就学率についても、この間伺ったのでありますが、盲学校の方の生徒におきましては、わが国の身体の障害のあります人の家庭を調べてみますと、大体盲人の方のお宅というのは貧しいうちが多いのであります。それから、ろうの方は必ずしもそうでない、ことに血族結婚等が非常に多いように思うのであります。従いまして、今回のこの法律改正によりまして、できるだけ修学旅行等に参りますことに対しまして、国や地方公共団体で補助をして参るということができて参りますことは、非常にけっこうだと思うのでありますが、現在盲学校、ろう学校等におきまして修学旅行に行くというようなことはどの程度にしているのか、また学校で企画いたしますそういうものに対して、どの程度にその貧しいお宅の盲児等が実際において行っておるのか、その事情をお聞きいたします。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 盲学校で小学部が七十四校のうち三十七校でございます。中学部の方は七十四校のうち五十九校、ですから小学校で申しますと五〇%程度、中学校が七四%であります。ろう学校の方は、これよりもやや成績がいいのでございまして、小中ともに九十校のうち、小学校は五十六校、中学校は六十九校、小学校が六十二%、中学校が七七%でございます。以上が盲、ろう学校にわける状況であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今のパーセンテージは、学校の数に対する修学旅行をやっておる数でしょう。実際において育児は、従来の事情を見ますと、非常に貧しいお宅の人が多いのですが、学校で修学旅行に行く場合に、そういう育児がどのくらい実際に行っておるのか、みんな行っておるのか、それとも修学旅行に金がないために行けないという子供が相当にあるのか、その点を伺っておきます。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 統計がはっきりいたしませんけれども、大部分が学校参加の場合には行っておるようでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そうすると、年に何回くらい修学旅行に行っておるのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 小学校一回、中学校は三年に一回くらいです。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 一般の身体の完全な子供たちの行っております学校と比べまして、非常に制限がおのずからあるだろうと思いますが、実際どんなふりに修学旅行をやっておるのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 小学校の場合は、御承知のように大体日帰りということになっております。しかし盲学校の実情を見ますと、小学校が一日ないし二日というのが大部分でございます。それから中学校の場合には、原則は二泊三日になっております。大体二泊三日が一番多いようでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そうすると一回にかかる旅行の費用は、現実には父兄はどのくらい出しておるのですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 これはその旅行にもよりますけれども大体のところが小学校の場合は三百円未満でございます。その次に多いのが五百円から千円というところでございます。中学校の場合は、千円から千五百円、あるいは千五百円から二千円というのが多いようでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そうすると今度の改正で一人に幾らくらい出すことになりますか。ちょっと私、予算書をうっかりしてみなかったので、恐縮ですけれども……。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 小中平均の込みにいたしまして、八百八十七円でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 込みにしてということですが、修学旅行の費用について、うっかりしておりましたけれども、二分の一でございますか、基準単価はあるんでございましょう。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 調査した平均単価をとりまして、それの二分の一、その額を見たわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 お宅の教育水準のあれを見ますと、終わりの方の特殊教育のところに、就学率が身体障害者については四%という数字が出ていますけれども、これはこの間の数字とちょっと違うような気がしますけれども、この特殊教育の身体障害者の四%、これは正しい数字でしょうか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 肢体不自由児の養護学校に類するものと思いますが、これは義務制になっておりませんので、就学率が低いのであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 盲ろうではないのですね。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 はい。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 わかりました。盲学校の職業教育ですね。職業教育の関係で高等学校のものが全国に幾らくらいあるのですか。高等学校の職業教育があるでしょう。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 四千九百八十五人が高等部でございますが、盲ろうの場合には大部分が職業課程を受けておるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 盲ろうの諸君で、高等学校に入る年齢の全体の数に対して、この学校に入っております数は、どのくらいの割合になりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 中学部から参ります者は、原則として高等部に入っております。と申しますのは、盲ろう学校の場合には、中学校だけですと普通教育が主でございますので、出てから生活に困ると思いますので、大部分が高等部に進学しております。そういう意味では、ある意味で高等部は準義務制のような扱いをしておりまして、就学奨励費も義務制に準じて、教科書その他の経費を支給しているわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今回の法律改正でまた高等学校の寄宿の費用が補助されることになったわけでありますが、寄宿をします生徒の数と通う数とはどういう比率になっておりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 大体半々ぐらいになっておりまして、寄宿生は二千二百三十四人、この中には若干幼稚部の者が入っておりますけれども、通学生が二千百十一人でございまして、大体半々程度でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今のは盲ろうを分けてどうなりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 盲の場合でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ろうの場合はどうなんですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 ろうの場合は、寄宿生は非常に少のうございまして、六百七十六人に対して通学しておる者が二千四百四十七人ですから、七割三分が通学しておるわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今日こういう盲ろうの身体障害を持っておりまする児童生徒に対しましては、何と申しましても学校が居住地の近くにあるということが非常に大事なことだと思う。それで東京にありますと、おのずから入学も非常に困難だという形になると思うのです。今日この通学距離というものはどれくらいまで盲ろうあ者の場合は事実行なわれているのか、またそれが遠いために行けないという諸君がまだ相当たくさん残っておるのか、こういう点はどんなふうなんですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 大点一県に一校ないし二校——二校ぐらいが普通でございます。ですから、通学距離の制限はいたしておりませんけれども、通学困難な場合には寄宿舎を用意いたしまして、そこには特別に寮母を置いておりますので、それに必要な経費はできるだけ、義務教育の場合には教科書、通学費、寄宿舎費、給食費、大体の経費を見ております。教科書は一〇〇%見ておりますけれども、寄宿舎の食費その他雑費等は六割程度は見ておりますが、必ずしも通学だけで押えなくてもよろしいのじゃないかと思っております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私どもの県の様子を見ましても、一つの県に二つもしくは三つという形になると思いますが、どうもそれではずいぶん困難ではないかと思うのです。ことにあまり豊かでないお宅が多いように思われますので、その程度ではずいぶん困難ではないか、やはりもっと数をたくさん作ってあげて、そして近くから通える、親もまた子供のことを見に行くことができるというようにしてやらないと、就学率が上がらないのではないかと思われるのでありますけれども、今後そういう方の設備の充実につきましては、当局としてはどういうふうに考えておられるか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 ろうの場合には通学が非常に楽でございますので、就学率も比較的に高いのでございまして、七五%ちょっとこしておるような状況ですが、盲の場合には通学が非常に大へんでございまして、特に小学校のような場合には大部分が寄宿しておるような状況であります。通学する場合には、つき添いの経費も実は国で見ておりますけれども、なかなか十分でございません。通学するために父兄が必ずついていかなきゃならぬ、こういう点もございますので、通学だけがいいかどうか私どもも実は疑問に思っておりまして、できれば寄宿舎を整備してそこに入れていただいて、困る経費については円なり公共団体でできるだけ補償していく方がいいのではなかろうかとも考えておるのでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 昨夕の新聞であったと思いますが、耳の悪い子供が踏み切りで犠牲になっておる。このごろは、あるいは目あきの方がよけい不自由かもしれませんが、このごろのあの激しい交通の中で、全くわれわれでも道路を横切るとかいうときには非常に困難をする。まして身体の障害のあります諸君につきましては、ずいぶんこれはむずかしい。身体障害児のために、昨年から通学バスというようなものも考えられておりますけれども、これまた何分にも数が非常に少ないのでありまして、私は競輪場の客を乗せていくバスを見るたびに、とにかくあれだけのことを用意するならば、この交通の激しい犠牲者の多いときに、なぜ地方の公共団体等が子供たちのスクール・バスを作ってあげないかということをしばしば思うのです。競輪というのはもうかるから、その中でふんだんに使えばいいんだというような考え方自体が、私は非常に困ったものだと思うのでありますけれども、競輪をどうしてもやるということであれば——審議会がそんなふうにきめたように、けさの新聞にも拝見しますけれども、やむを得ないことでありますけれども、少なくともあれだけ地方の公共団体がバスでもってばくちの客を集めるということをするならば、このような交通の激しい、道路が自動車数に追いつかないという時代でありますので、もっともっとスクール・バスをふやすべきが当然だと思う。またああいうことをしていくだけの力があるなら、そういうことをやらしていいんじゃないかと思うのでありますが、今日そういうことについての、身体障害者の人権をほんとうに大事にしていくという心がまえが非常に足らないと思うのです。身体障害者の方であっても、われわれとしては人権は尊重して大事にしていく、どうもそういう点が、まだまだわれわれ自身でもともすれば足りない。ことに今の就学率でございまして、前会から伺っておりますように、この諸君の就学率というものがまだまだ非常に低いという点を考えますと、そういう点もやはり身体障害の子供たち、児童生徒というものの通学の便を十分はかるか、でなかったら寄宿舎の設備を十分するか、いずれかにしなければ、この交通困難のときに通学はなかなかむずかしい。中には親としては、危ないからやれないという人々も相当あるんじゃないか。うちが豊かならばつき添っていくということもできるけれども、しかしなかなかうちの仕事を犠牲にしていくわけにはいかない。不幸に生まれたんだから仕方がないというようなあきらめもあって、就学できない人もあるんじゃないか。あらゆる意味でこの子供たちの人権を尊重し、教育の機会均等ということを実現するために、特別なそういう配慮をする必要があるのではないかというように思うのです。今後この人たちの通学のバスというようなことの計画がどんなようになっておるか、承っておきたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 スクール・バスの点はまことに同感でございまして、実は私どもも肢体不自由の子供については、バスを昨年四台、ことし三台ほど見ておるわけでございますが、お話しのように盲学校あるいはろう学校の生徒にもそういうことが特に必要ではなかろうかと思っております。現在のところは通学費の助成をいたしておりますが、小学校の場合にはつき添いの経費まで見ておるわけなんです。これは今後の問題でございますけれども、一番問題はスクール・バスを買うことが一つと、それからバスを買った場合の経常費がかかるわけでございまして、その経常費をどういうふうに出すかという問題になろうかと思います。一つの考え方としては、私どもつき添いの経費は今出しているのですから、あるいはそういうことをあわせ考えまして、スクール・バスの点については十分誠意をもって検討してみたいと思っております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そういう点を私はぜひ文部省としても十分考えてもらいたい。そしてこの前申し上げましたように、この不幸なハンディキャップを持っております諸君が、どうか少しでも減らされていけるようにしてもらいたい。  今高等学校の職業教育の問題をちょっと伺ったのでありますけれども、高等学校の職業の教育は今何と何をしているか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 盲の場合には、はり、きゅう、あんまが一番多いのでございます。その次に音楽等もございます。それからろうの場合には、木工工作あるいは被服、それから理容、床屋でございます。そういうのが中心でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そこで、これは文部省だけに関係する問題じゃありませんけれども、ことに今の高等学校の職業教育ということで私はぜひ伺いたいのでありますけれども、方針として今までのあんま、はり、きゅうというようなことを教える行き方でいいのかどうか、これは非常に重大な問題だと思うのです。というのは、この間も御承知のように最高裁の判決で、何か電気の療法をあんま、はり、きゅう、マッサージ師の資格を持たない者がやったけれども、それが有害でなければやっても法律違反ではない、こういう判決があったわけです。従来も盲人の諸君は、徳川時代から特別に保護されて参りました。あんま、はり、きゅうというようなことを行なって独立生計を立てておる日本の盲人諸君というのは、これは世界じゅうに比べまして非常にいい率になっているんですね。非常にたくさんの諸君が、あんま、はり、きゅうでもって生計を立てておる。ところが戦後非常に事情が変わって参りまして、この諸君が順次目あきのあんまに職業を奪われておる。ことに温泉地帯へ参りますと、女あんまという目あきの美しい諸君がおって、そうして盲人諸君がどんどん駆逐されていく。確かにそういうと盲人諸君には気の毒でありますが、きれいな人がからだをもんでくれる方が、白い目をした人が不自由なからだでもんでくれるよりも、あるいは気持がいいかもしれない。ことに温泉でも行けば、そういうことになるかもしれない。そういうことで、熱海、伊東等で調べましても、これは相当に侵蝕しておる。こういうところから、職業の不安というものが出てくるわけです。そこで盲人の教育をいたしますのに、従来の田の考え方である、盲人としての身体障害を持った人に、あんま、はり、きゅうというような特別の教育をしていくのがいいのか、それともまた、そうでなくて、盲人の諸君にも晴眼者と全く同じ教育をしていく、同じ職業を持たしていくということを根本方針として職業教育をするか、これは私は非常に重大な問題だと思うのです。しかも今日相当差し迫ってきておるのではないか。今高等学校で教育を受ける諸君は、その諸君が外へ出て参りますときに、たとえば半盲の諸君はいいけれども、全盲の諸君になりますと、はたして今盲学校でやっておりますような職業だけでもって将来やれるのか、生計が立てられるのか、これは非常に重大な問題です。でありますから、職業教育の根本方針をこの際明確にしておく必要があると思うのであります。  私はアメリカで、この種の職業教育を調べて参りましたが、ライト・ハウス等の工場に参りましたところにおきましては、晴眼者としての一般の人と全く同じ職業を与えておる。そういう教育のやり方をしておるのであります。そして盲人で扱えますゲイジ類、あるいははかり、あるいは時評、その他あらゆるものができておって、訓練された諸君は、たとえばミシンを踏むにいたしましても、特別のミシンではなくて、全く普通の晴眼者の使うミシンで裁縫しております。それでアメリカの盲人諸君の職業教育は、晴眼者と同じにして、そして同一労働、同一賃金でいくのだという根本の方針を立てているわけです。私は、日本の実情もそういうように変わっていくことが必要ではないかと思うのであります。これらにつきまして、文部省としてはどうお考えになっているか伺いたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 まことにお説の通りでございまして、私どももはり、きゅう、あんまだけに盲ろうの職業教育を進めようとは考えておりませんので、できるだけ盲に適する職業、ろうに適する職業を選びまして、その職業の範囲を拡充して参りたい。ただ晴眼者と同一方針にするかどうかにつきましては、もう少し私どもは検討を要するのではなかろうかと思います。たとえば盲の場合でも、音に対する感覚は非常に鋭敏でございますので、音の関係の職業につきましては、最近音の世界が拡充して参りましたので、もっともっとそういう方に活用できるのではなかろうか、ろうの場合は、口をきかない職業ですと、一般の人より非常に能率が上がる場合があります。ですから一般的に考えて、できるだけ盲の特性を生かし、ろうの特性を生かしたような職業の幅を広げていきたい。そういう点で、できるだけ私どもも盲ろうの人たちの職業教育につきましては、一般の人たちよりもさらに熱心に進めて参りたいと考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ろうの場合には、職業教育は割合いいと思うのです。私の知っている範囲でも、たとえば白洋舎の社長の五十嵐さん、これは非常にりっぱな人で、ことに熱心なクリスチャンでありますが、この人がろうあ者のために、クリーニング師といたしましての職業教育をやって、非常に成功しておる。これは私非常にいい考案であったと思うのです。その他ろうの場合には、少し親切に教えれば、ほとんどすべての職業に就職できる。問題は盲です。ことに全盲の諸君のために、やはり特別に考えなければならぬ。今までのような、あんま、はり、きゅう、音楽というようなことではだめだと私は思う。だから、この際文部省の方針を根本的に立て直す必要がある。そういたしますと、今の寄宿ということがいよいよ大事だと思います。その寄宿と同時に、その中に盲人の専門の職業教育あるいは工場まで経営していく必要があると思います。これはこの前も申し上げたかもしれませんが、ニューヨークであったと思いますけれども、そこのライト・ハウスの工場を突然私は訪れたのであります。受付からして全盲の婦人でございました。その人がわれわれの来意を聞いて、すぐ自分でエレベーターを運転して、そして三階の工場の事務室に一応案内してくれましたが、非常に美しい、ほがらかな人でした。それから工場の中へ入ってみますと、一割くらいの晴眼者が中へ入っておりますが、それはきわめて危険なことだけ時限者でやっております。しかし全体の盲人諸君は、これまた歌を歌いながら、音楽のレコードをかげながら、非常にほがらかに仕事をしている。そしてそこでは、軍隊の必要なシーツあるいはまくらカバー等々の縫製品を、注文に応じて作っている。それから陸軍や海軍で使う掃除道具、デッキ・ブラシあるいは日本で使っていると同じほうきであるとか、そういうものを特に注文に応じて作っている。そして、やはり相当いい賃金をとっている。賃金を聞いてびっくりしましたが、非常な賃金をとっております。それでいろいろな職業をそこでやっておりますが、全く晴眼者と同じような速力でやっている。ですから私は、特別にそういう教育をし、訓練をすればできるということを、目で見てきたわけです。そういう点で、私は盲学校等において、まずそのモデル・ケースとして工場を作ってもらいたい。これは厚生省の関係もありましょうけれども、まず盲学校あたりでそれを作っていただき、順次それが全体に広がっていくようにしてもらいたい。また、そこで教えられたやり方が、そのまま自分たちが世の中に出て役立つようにして、晴眼者が世話をして、何人かの人が一緒になってそういう事業を経営していくようにすれば、これは道が開けるのじゃないか。だからこの際至急盲人諸君の高等学校の職業教育の方針を、今のような盲人なるがゆえにという日本の考え方による、あんま、はり、きゅう、音楽というようなものではなくて、全職業に向かってそれが展開できるような、そういう教育方針に転換する必要があるのじゃないかと思うのであります。これは大臣の意見も聞きたいところでありますけれども、きょうは欠席でありますから、担当の局長であられますあなたに特に注文しておきたい。一つ至急やってもらいたい。  私ヨーロッパの方を見たことはありませんので、よくわかりませんが、アメリカではできるだけその方面を見ております。シカゴであったかサンフランシスコであったか、そこでやっておるトウのかご製品あるいは一般の手芸品などの、これはなかなかりっぱなものをやっておる。しかも非常にスピードが早いのです。日本のかご屋さんがざるを作ったりかごを作ったりしているのを見ても、それと全然変わらない速力であります。盛んに作っておる。これは厚生省の関係になると思いますけれども、その盲人の諸君の使いまする時計だとかあるいはその使いまするものは全部無税なんです。スイスから時計がきているといって私に見せましたけれども、初め協会長が時計をやっておるものですから、不思議に思って聞いたら、スイスから来ている特別な時計で、日本へ帰ってみますと精工舎でも作っておるそうですが、さわってわかるのです。そういうものも全部無税であります。そういう点を考えてもらいたい。  それからもう一つ考えなければならぬのは、やはり教育のために、最近は盲人図書館がだいぶあちこちでできて参りまして、けっこうなことでありますが、トーキング・ブックというレコードにいろいろな文学その他必要なものを吹き込みまして、それを盲人諸君に対しましては国が金を出して、盲人の協会にそれを作ります工場をやらせまして、そして非常な補助金、補助金というよりはむしろ全額を出してりっぱな設備をしてレコードを作り、吹き込み一切やっておる。これは全国どこに送りますにも全部無料、郵税なし、送料なしであります。そういうように政府がやっておる。やはりこれくらいまでの特別な保護をしていかなければ、晴眼者と太刀打ちできるようにはなれない。もちろん職業教育だけでなくて  一般教養でもそうでありますが、それをしっかりやらなければ、社会に太刀打ちできない。これをいわゆるじゃま者にしないで、ほんとうに新憲法の精神に立ちまして、また人道に立ちまして、この諸君を教育する必要がある。どうもそういう点で、今までわれわれの国は、貧乏であったといえば貧乏であったのでありますけれども、やはりそういう人間に対する愛情、ヒューマニズムという立場が足りないのではないか。そういう点を文部省としましては、私は最近の教科書等もあまり拝見しませんけれども、全国民に対する教育を一方ではしていく、一方ではそういう教育を、まず盲学校の高等部あたりで職業教育の実際を実現していく、来年あたりは一つモデル学校を作るくらいにやってもらいたいと思う。そして今申しましたようなトーキング・ブックその他を、やはり国でもって金を出してやって、一般の教養というものも一般の人と同じようにつけていくというような、あらゆる点で彼らのハンディ・キャップを補ってやるということをするように、一つ特別に配慮してもらいたい。それで今申しましたようなことをして参りまして、もし盲学校の高等学校へ行けばそれが全部できる。世の中の一般の人と同じように生活ができる。少し障害年金でも与えれば、あとはりっぱに生活ができるというような見通しがついて参りますと、就学に対する熱意というものが観たちの間にずっとわき起こってくる。だからそう大きな金ではないでありましょうから、まず来年あたりモデル学校を作って今の職業教育の根本方針をこの際変えてもらいたいと思うのです。これらのことを深く希望いたしまして私の質問を終わります。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 ちょっと関連して……。盲ろう学校の修学旅行費の支給率はどういう工合に算定しておるのですか。在籍人員に対する支給者の比率はどういうふうになっておりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 生活保護法に該当するものはもちろん当然金額見るのでございますが、こちらの今積算しておりますものでやりますと、生活保護法の基準の一・五倍までのものにつきましては全額見るという考え方でございます。それから生活保護法の基準の一・五倍以上二・五倍までのものは半分、ですから半分が自己負担です。二・五倍以上の生計費のあるものは、これは普通の生活を営んでおるものと認めまして、教科香だけを支給するということになっておるのでございます。ですからこれで計算しますと、大体盲学校、ろう学校に行っておるものの六割程度は恩恵を受けておるわけであります。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 大へんけっこうなことであると思うのです。こういう人々の心理というものは非常に敏感でありまして、旅行に行けないというようなことになると相当神経が働くと思うのです。それにつきまして、この間も修学旅行の教師のつき添い費の問題が出ましたが、青ろう学校の生徒を輸送する場合なんかは、ことに十分な配慮をしていかなければならぬと思うのです。ことに今申されたように父兄の方が相当生活水準が低目に押えられておるとするならば、金は出ない、父兄から出させるということはとてもできないということになりますので、その点などは十分配慮願いたいと思うのです。      ————◇—————

大平正芳自由民主党

○大平委員長 次に学校教育及び文化財保護等に関して調査を進めます。金丸徳重君。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 私は実は文教委員として初めてこちらの方にいいつかったのであります。従いまして文教政策、文教方針などについては全くの門外漢でありまして、それだけにお尋ねいたしたいようなことがたくさん出て参ります。まるで幼稚園のことから大学のことまでというか、質問の程度から言いますれば、それくらいごじゃごじゃと頭の中に浮かんで参ります。きょうは実は大臣においでをいただいて、私がこれから文教委員としていろいろ勉教させていただくことにつきまして、その心がまえとも申すべき基礎知識を大臣から受けて、しかる後というような考えでおったのでありますが、大臣が参議院の予算委員会の関係でおいでになれないそうでありますから、関係の局長から基礎知識のそのまた基礎知識をお与え下されば、という意味でお伺いをしておきたいと思います。  わからぬことといいますれば、今問題になりました盲学校、ろう学校その他養護学校への就学奨励というようなものにつきましても、もう浮かんでくるのでありますが、こうした人々に対して非常なあたたかい配慮をされる段階になりましたことは、私は非常に慶祝にも思うのでありますが、こうした学校の児童、生徒に対するあたたかい心配りと一緒に、この児童生徒の相手をしておるところの教師諸君に対しても、もとよりそれだけの配慮がなされておると思う。私は地方におりまして特にあの白いつえをついた子供たちの相手になって通学などにおいて非常にあたたかい世話をしておる教師諸君の姿をよく見受けます。先生の一手にぶら下がって喜々として駅から出ていく、あるいはまた駅に向かって帰る、あるいはまた家路を急ぐというような姿を見ますると、こうした親も及ばぬような先生方のとうとい姿に対して、私ども社会人としても非常な感謝の念を持つのでありますが、国といたしましても特別な配慮が相当なされておられると思いますが、どの程度のことがされておりまするか承っておきたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 お説の通り大へん盲学校、ろう学校その他心身に故障のある者たちの教育は大へん困難でございますし、また一般の人々が必ずしも喜ばないことでございます。しかもこの中に献身的にこの職務に精励していらっしゃる先生方に対しては、私ども心から敬意を表しておるのでございます。そのために、わずかではございますけれども特別の優遇をいたしております。金額にして大体八%程度優遇しておるのであります。八%と申しますと大体二号俸でございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 この八%というのは、いろいろの角度からごらんになって八%ぐらいの報酬をもって足れりとされておるのでありますか。それともまた何か他の関係も考慮せられての関係からしてでありましょうか。私どもの見るところをもっていたしますると、あの先生方の苦労というものは、盲学校の中における苦労はもとよりであります。普通の先生の苦労も大へんでありましょうが、この先生方の苦労は、精神的にいっても、また肉体的にいっても、おそらく二倍も三倍もの苦労をされておるように思う。そればかりでなしに、学校以外の面におきましても、とうてい他のはかりをもってははかり得られないような努力をしておるように見受けられるのであります。そうしたことからいって、はたしてこの八%というものがこれでいいというふうなお考えによったのでありましょうか。それとも何か別な事情でこういうことになっておるのでございましょうか、お聞かせをいただきたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 お説の通りでございまして、私どもももっと優遇しなければならぬと考えておりますが、現在のところ小中学校の先生の俸給表と高等学校の俸給表は違うわけであります。高等学校の先生の俸給表の方がいいわけであります。盲学校、ろう学校につきましては、高等学校の先生の俸給表を適用してその上に八%を見ておるわけであります。ただ、この場合もっと優遇したいのでありますが、他との均衡もございますので、まあしんぼうしていただいておるわけでございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 しんぼうせよと言われますと、この先生方はおそらく私は涙をのんでしんぼうするだろうと思います。それほどに誠意を込めて、この不幸な子供たちのために尽くしておられることを私はよく承知いたしております。ただしかし、それは涙をのんでがまんをしておられるだけに、私は、国の方といたしましては、またわれわれ社会人といたしましては、それだけにもう少しできるものならばという気持を持ちたいのであります、持っていただきたいのでありまするが、これは今後におきまする文部当局の御努力に待つ以外にありませんよ。  よろしくお願いをいたすことといたしまして、私のきょうお伺いいたしたい点は、一つは僻地教育のことであります。教育の機会均等と申しますか、教育の質の平均化といいますか、国民を全体的に同じレベルにおいて作り上げようという教育基本法の精神というものは、あくまでもとうとく守られていかなければなりません。私どもが承っておるところによりますればへき地教育振興法というのが数年前にこしらえられました。教育の均等化をはかるための措置は講ぜられておるように承知いたしておるのでありますが、この法律が施行せられ、そうして、そうした方向に強く進んでおられた結果が、もう数年になっておるのでありますが、その結果がどういうふうに現われて参っておるか。どうもこれは私は全くのしろうとでありますから、しろうと的見方をする以外にないのでありますが、そうした僻地教育振興の努力にもかかわらず、実際にはますます差が激しくなるのではないかというような心配を持つのであります。しかし、それはただ単なるしろうとの見解であって、実際に数字に現われた、テスト面に現われたところのものはこういうことになっておるのだというようなことがお示し願えると、安心もいたしまするし、今、この方向でもってこのまま進めていただけばという気もいたすのでありますが、その点どういうふうな足取りで、どんな数字的傾向をもってこれが進められておりますか、一つお答えをいただきたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 お話の通り僻地における教育の実態は、私ども決して楽観しておるわけではございませんし、またあらゆる手を打っておるわけでございます。この例といたしまして、僻地における学校に集合室を作って、できるだけ村人あるいは子供たちが幸福な環境にできるように、毎年一億以上の金でやっております。教育の面につきましては僻地手当を支給しておるわけでございます。これも先般の法律改正で一級地、二級地、三級地、四級地とありますが、最高は二割五分に、最低は八%になっておるわけでございます。手当の面ではできるだけの優遇をしておるわけであります。そのほかに僻地には小さい学校が多いのであります。単級学校というのがあるのであります。単級学校と申しますのは、一年から六年まで込めて教えておる。これは少人数でございます。こういう場合には僻地手当を併給して千二百円、それから複式学級というのがございますが、これは一年、二年を一緒にするとか、三年、四年一緒にするとか、こういう場合には九百円を支給することにいたしておるわけであります。そのほかに教員につきましては、なかなかいい先生が行きたがりませんもので、教員住宅を国が補助いたしておるわけでございます。教育の内容面につきましては、これはやはり今申しましたような一年から六年まで、あるいは数個学年を一緒に教えておりますので、なかなか学習効果が上がらないということでございますので、これも教育内容をいろいろ検討いたしまして、数個学年で国語が教えられるように、あるいは数学が教えられるような特別の指導方法を研究いたしまして、こういう面からも教育内容の向上をはかっておるわけでございます。  それから何と申しましても僻地では設備が悪いので、設備費につきましては教材費の補助が全体で約十八億ございますが、これにつきましては僻地の少人数の学校には大幅に増額をいたしておるわけでございます。校舎の面において、設備の面において、教員の面において、いろいろ改善策をいたしておりますけれども、なかなか優秀な教員が僻地には行きたがらないという実情でございますので、この点については私ども非常に苦慮しておるわけでございます。その結果がどうかというお尋ねでございますけれども、これは遺憾ながら都会地の学校に比べますと、学力の低下は目立っておるのでございます。ですからこの学力の低下をいかにして防ぐかということが、私どもの急務でございます。しかし一面において人間的な感情と申しますか、教育と申しますか、そういう面においては、都会に見られないほどすぐれた面も現われているように見受けられるのであります。  それから交通が不自由なところもございますので、昨今はスクール・バスを用意するとか、あるいはスクール・ボートを国の方でめんどうを見る、こういうような点で、僻地における通学のためにスクール・バス、スクール・ボートの補助費も出ておるような状態でありますが、いずれにいたしましても、僻地の教育の内容の充実につきましては、私ども幾多努力をしなければならぬ点があると思いますので、今後とも積極的に進めて参りたいと考えておるわけでございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 大へん努力をされておられる様子はよくわかるのでありますが、それにもかかわらず、僻地における教育は、低下という言葉をお使いになったのでありますが、私はその向上が思うように出てこないのだ、こういうふうに了解をいたすのであります。結局は較差が激しくなっておるのだと見る、これは私どもの勘でありますが、それがやはり実証されたと承るのであります。一体これはどうしたら直るおつもりでありましょうか。このままでいきますと、ますます較差が激しくなる、何とかこれを狭めようと思った僻地振興対策、教育振興対策というものも、その効果を上げ得ずして、差が激しくなるとしますれば、何か方法をとっていただきませんと、ますます激しくなっていって、そこに大きな社会問題の原因も起こってくるように思われる。これに対してはどういうように根本的にお考えになっておられるのか伺いたいと思います。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 一つは小規模学校の特殊性によると思うのです。これはどうしても小規模学校ですと、教員  の配置も十分でございませんし、また教授力も低いということで、できるだけ私どもは統合していただきたいと思う。やはり一定の規模の学校になりますと、教育の面においても、教員の配置の面においても、あるいは学校経費  の面においても、少なくて効率が上がるわけであります。ですから方法としては第一に学校統合をしていただいて、できるだけ適正な規模の学校にしていただく、このために、必要なスクール・バスなりスクール・ボートについては、国の方でできるだけめんどうを見ていきたい、これが第一の点でございます。  第二の点は、これはむずかしいことでございますけれども、私は思い切って教員の配置をやらなければならぬと思います。それで一つの方法として、たとえば学芸大学の方から優秀な生徒を就任に当たってはまず第一に僻地に行っていただく、しかる後にそれぞれ適当なところに配属する、こういうふうなことも一つの方法ではないか、文部省としては僻地のための特別な教員養成もしておるわけでありますが、なかなか僻地に行かない。そこで全国十数カ所に僻地のための教員養成について助成しているわけでありますが、これも効果が上がりませんので、今申しましたような教員のいい先生に行っていただくような思い切った措置を講じなければ、僻地の教育の振興はなかなか困難ではなかろうか、一番問題点は、私は先生の問題だと思うのです。この問題についての対策を十分今後検討して参りたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 そうすると、これもしつこいようでありますが、端的にお伺いいたしますと、今の僻地教育振興の方向が間違っておるのじゃなくて、力の入れようが足りないということでありましょうか、それとも方向が幾つかあって、先ほどお並べになったそうしたものをとっておるのにもかかわらず、差が開いてきたとするならば、力の入れ方が足りなかったのか、それとも方向に何か間違った点があったのか、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 この点は力が足りなかったという点も事実あるかもしれませんけれども、それでは方向が間違っておるかというと、そうでもないと思います。この際私は僻地における学校統合、これは非常にむずかしいけれども強力に進めなければならぬと思います。そのための隘路については積極的に打開していかなければならぬと思います。そこで一番困るのは、今申しましたように通学なんです。ところが山間僻地の場合にスクール・バスも通わないようなところもあります。ですから北海道のような広地域の場合には、ある程度は可能ではなかろうか、できるだけ学校統合を推進していくということが今後の大きな課題だと思います。今日まで学校統合については、町村合併の場合にはやったけれども、僻地における学校統合というものはわが国では比較的進んでいない。アメリカあたりでは強力に進められている。そういう意味でスクール・バスやスクール・ボートの補助費も去年から実は計上をいたしましたが、この面を積極的に進めていきたいと思っております。  それからいま一つは、先ほど来申しました教員の問題であります。教員の問題につきましては、今待遇の面から考えておりますけれども、待遇の面だけでは、これはとてもいい先生は行かないので、制度的に強力に強制配置でもしない限り無理ではなかろうか、この辺のところが今後の問題点のところだと思いますが、今後十分検討させていただきたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 第一の点は私も実は同感でありまして、もしかすると方向が間違ったとは申しませんが、大きな足りない点があったと考えますのはその点なのでありまして、僻地教育振興について補助金を出して学校の施設をよくする。これは私も大切だと思います。しかしそれだけであっては、僻地教育振興の形はできても、実質的の教育の均等化まで持っていくのにはよほどの時間がかかるとしまするならば、次の問題は何であるか、それはおっしゃるように、やはり小さな学校は統合しなければいかぬ、といって交通上の不便、通信上の不便のことを考えますと、なかなかそうはいけないということで、それらの問題をも強く推進しながら、小さな学校を大きなところへ統合する。分校を本校のところに持ってくるということにしなければ、どうもこの較差の減少ということはできないのではないかとしろうとながら考えております。そこで今のスクール・バスなり、スクール・ボートということになるわけでありますが、今御承知のように新農村建設その他によりまして、あるいは急傾斜地帯に対する農村の振興策などによりまして、山間地における道路もかなり整備されつつあり、ここ一両年の実績というものはずいぶん目ざましいものがあります。それから通信関係におきましても、御承知のように無電話部落の解消という政策が急速にとられておりまするので、この点については交通、通信上の基本の問題が解決されつつあるのであります。これに大きなスクール・バスということでなくても、要するに子供たちを運び得る条件が整ってきますれば、今局長がお考えになっているような方向に強く進み得るのではないかと思うのであります。今振興法でとられているところの学校の整備ということもさることながら、スクール・バスなりスクール・ボートの整備の方に相当力を入れるということになりますれば、この根本問題の一応解決の糸口が見つかるのではないかとも思うのであります。  そこでお伺いいたすのでありますが、バスなり、ボートなりの要求というものがどれくらい現われておりましょうか。私の心配いたしますのは、そういう要求をしてもだめじゃないかというようなことのために遠慮している向きもあろうかと思いますが、そうした潜在的なものは文部省の方で御想像願って、そういうものも加えてどういう要望がこの方面に現われておるか、おわかりになる程度でよろしいのですが、お尋ねしたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 昨年千万円ほどの補助費を出したわけでありまして、いわゆる僻地指定地域があるわけです。僻地指定地域だけを見ますと非常に殺到しておるということはないのです。僻地以外のところが統合したからスクール・バスを作れという申請はございますけれども、僻地そのもののところでは今の予算でまあどうやら間に合っているという程度でございます。     〔委員長退席、簡牛委員長代理着席〕

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 その一千万円の予算で間に合うという程度であるところに、何か私は方向のあやまちがあるような気がするのであります。私の国の方で見ておるところでありますが、分校と一緒にしましてりっぱな学校を作った。ところが通うのはむろん大へんでありますから、小さなジープを持ってきまして、それで子供を何回かに運んでおるということによって、学校統合品の問題は解決した。そして、少なくとも二つの分校で分かれて教育しておった単級学校というものが統合することによって、非常に学校の先生も張り合いが出てきた、子供たちも張り合いが出てきたということによって、子供たちの教育効果も上がってきたように思うのであります。こういう例は至るところに出てくることだと私は思います。もちろんサルが通うような道のままであってはもうどうにもならぬことでありますけれども、林道の開設その他によりまして、山間の道も、少なくともジープ、小型自動車が通れるぐらいにはどんどん直りつつあるのです。あるところまで子供たちが来れば、そこからは学校——分校の統合したものといいますか、あるいはもっと進めば本校まで通うことが可能である。また退校時はそこまで送ってやるということによりまして、ずいぶん僻地の学校の様相は変わってくるのじゃないのか。そこで、今の一千万で足りるのだというような考えでなしに、ここで一億でも十億でも思い切って投ずるから、この辺でどうだというような方向をお打ち出しになることが、私はこの際大へん大事なことのように思うのでありますが、いかがですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 今具体的にその地域の問題についてお話がございましたけれども、その地域が僻地指定地域になっているかどうかということが私は問題だと思うのです。現在の建前ですと、僻地指定をされた地域の場合にスクール・バスを出す、こういう建前になっていますから一千万という話が出ましたが、もちろん私ども一千万で満足しているわけではございませんけれども、今のお話の点を伺っていますと、もう少し僻地に準ずるようなところ、いわゆる学校統合をしたというような場合までもというお活のように承るのですが、もちろんそういうことも必要だと思う。まず第一に私どもとしては僻地指定地域のところを解決したい。しかしお話のように、また新しい角度からそれに準ずるような地域にもスクール・バスを用意したらどうだ、こういう御趣旨でございますので、私どもも御趣旨には全く同感でございまして、できるだけ僻地指定の地域は別としても、それに準ずるようなところまで広げて、そしてこの予算を増額して御希望に沿いたいと考えておるわけでございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 私のお伺いしかつお願いしたいと思いますことは、都会と山間僻地との学力差がだんだん激しくなるのではないかということを心配したからであります。それを否定するお答えがなかったものですから、それではということになったのであって、この差は今の僻地指定地であるとか何とかという——僻地指定地であることはよけいその差がひどくなるということであろうと思いますけれども、そうでないところにも学力差がずいぶん現われてきていると思います。むしろ僻地指定地のようなところにおきましては、先ほど局長が言われましたように、そこにはむしろ人間的なプラスの面もあるのじゃないかというようなこともいわれるかもしれません。そういう面において若干自己慰安をなさっておられれば、それも私はわからぬことはありませんけれども、それもないのだ、それもないところへ学力差が出てくるということであると、これは非常に大へんだと思うものですから、ただ単に僻地指定ということばかりではなしに、何とかこの学力差をなくすという基本のねらいに向かってどうしたらいいかということで考えをめぐらしていただきたい、こういうことであります。これはお答えいただかなくとも、おそらくそう考えておられると思いますから、問題はそれをどう進めていただくか、実際の力を注いでいただけるかということになるのであります。今度の予算を見せてもらいますと、この方面につきましてはあまり納得し得ないものでありました。この点、方向は間違っていないとこう申すならば、力の入れ力が足りないのだという意味におきまして、力を入れていただかなければならぬ大きな問題だと思います。  次の問題に移りますが、せんだっての委員会での質疑の中で、昔はよく白線浪人と申しましたが、高等学校卒業後大学に向かって入学を待っておる人たちが、形式的には七十万人、実質的には三十九万人とか四十万人あるとかいうようなことであったのであります。そこで、私がお伺いをいたしたいのは、そうした傾向が最近数年間数においてますますよけいになっている、質の程度において深刻さを増してくるように思われる。この傾向というものは今の状態のままいきますとますますひどくなってきて、おそらく収拾しがたいような状況になろうかと思うのであります。今これの一つの救済策かどうかはわかりませんけれども、また別のねらいもあるらしく思われるのでありますが、大臣は、文科は私立でする、理工科は国公立の方でというようなことを言っておられます。その真意はどこにあるかわかりませんけれども、とにかくその真意の善悪、良否は別といたしまして、そういう考え方もあられると思いますが、事務当局といたしましては、この年々数において増加し、質において深刻化するところの問題に対して、どういうふうな基本のお考えをもって対処なさろうとしておるか伺いたい。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 高等学校は卒業したけれども、大学への入学ができないということで浪人をする。それに対する対策でございますが、お話にございましたように、実は年々高等学校の数もふえて参りますし、従って高等学校の卒業者の数も相当ふえて参っております。これに伴って当然大学の方での学生の収容力が比例してふえて参ればいいわけでありますけれども、実情は必ずしもそうなっておりませんので、いわゆる一年浪人、二年浪人というような問題が起きてくるわけでございます。先般も文部大臣からお答えしましたように、これにつきましては、その実際の状況を見ますと、やはり、いわゆる大都市の有名な大学へ集中して志願者が殺到するということが非常な大きな原因であると思っております。もちろん、これにも十分理由のあることでございますけれども、しかし、やはりそうしたことは必ずしもいいことではないわけでございますので、私ども文部省といたしましては、この際大都市の有名校に集中する弊を幾分でも緩和したいということで、少なくとも、国立大学につきましては、従来から地方の新制大学の施設、設備等の充実について努力をして参っております。最近だんだんに整備されてきましたのと、それからそういった点についての社会の認識も改められてきた関係かと思いますが、最近地方へ志願するという傾向がふえましたと同時に、国立につきましては、いわゆる有名大学の志願率というものがそう増していない、むしろ本年度では減ってきておるという状況でございます。もちろん大学の学生の収容力もできれば今後増していかなければならぬと思います。  最近数年間の実情を申しますと、いわゆる理科系については、科学技術者養成計画の線に沿いまして増してきております。なお文科系につきましては、これは国立ではやっておりませんけれども、私立大学の方において相当程度増してきておるわけでございます。それから大学の志願にあたりましては、高等学校の側でできるだけその志願する生徒の学力なり資格等につきまして十分観察をしていただきまして、しかるべき大学を受験するように指導をしてもらいたいということを考えております。これにつきましても、従来私ども名府県の教委員会を通じてお願いをしておるところでありますが、要するに、学生の学力その他から推して無理な受験をしないように、適切な進学指導をしてもらいたいということを考えておるわけでございます。  先ほどちょっと申し上げましたが、有名校に集中する原因を端的に申し上げますれば、やはり有名校を卒業することによって就職上有利であるということがあるわけでありますが、この就職問題につきましても、文部省といたしましては、従来から産業界の団体等ともいろいろ連絡をいたしまして、必ずしも従来からの大学のレッテルというものにとらわれないでできるだけ採用してもらうようにということをお話ししておりますし、またいろいろ地方に出かけて参りまして、就職問題の懇談会等におきましても、その点について、いわゆる事業者側の認識を深めるように努力をいたしておるわけでございます。  いろいろ申しましたが、従来の方策必ずしも十分でございませんので、本年度の実情を見ましても、やはり国立につきましては入学定員の五倍ぐらいの志願者があるわけでございます。従って、ある程度の浪人というものが出てくるわけでございますので、今後こういうものにつきましては——これを一番完全に解消をするのには、やはり収容力を増すということが一つの方法であろうと思います。国立につきましても収容力を増すことを検討いたしたいと思いますし、私学の方面につきましては、やはり施設設備その他の点につきまして、国から援助をいたしまして収容力を増していくように努力をして参りたいと思っております。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 それは収容力を増すことが一番簡単な解決の方法だと思いますが、収容力を増して、大学卒業生をふやして、今度は社会の収容力の方が足りないというようなことになりますると、これも私はその意味においてまた問題になろうかとも思える。現在有名校を希望する、そして集中する、それは就職が前提になるからで、就職が前提になるということは、社会の受け入れということを心配するからなのでありましょうが、そういうことになりますと、どこまでいってこの問題が片づくかわからぬような気がいたします。  そこで、それじゃそれでもよろしい。もっと言いますれば、社会の受け入れができるようないい世の中になってくれるだろうと期待しながら、希望するだけの収容施設を作れば問題は簡単に片づくということに算術的にはなるかもしれませんが、さしむきはこうした問題としては収容力を増すといっても容易なことじゃありません。いわんや社会の受け入れ態勢がどうなるか。神武景気が岩戸景気になったらそうなるんだといっても、これはなかなか容易のことじゃなかろうと思いますので、そうしたことも考えの中に置いていただいて、現に起きておるこの問題及び今後なお続くかもしれないところのこの問題について、具体的に何か手をお考えになっておられるのかどうか、それともこれはどうもそうした気持を直していかなければならぬのだというようなことに逃げ込んでしまって、見ておられるつもりなのかどうか。いかがですか。

小林行雄文部事務官(大学学術局長)

○小林(行)政府委員 社会の受け入れ態勢の問題でございますが、確かにこれは産業界の景気その他に大きく影響されるわけであります。ただ、私ども等教育を受けたいという希望を持っている者を条件の許す範囲においてできるだけ考えていくことが必要であろうと思っておりますので、そういった施策は講ずべきだと思いますが、しかしだからといって、それじゃ大学を出たけれども、大企業あるいはサラリーの非常に高いところへ行かせなければならぬということでは、これは片づかぬと思います。やはり大学は出ても中小企業の方へもできるだけ入っていってもらう、あるいは地方の小企業の方へも行ってもらうということでなければ、この問題は大勢としては工合が悪いんじゃないか。大学を出た以上はすべて大企業でなければならぬというように考えられますと、ただいま先生のお話がございましたようなことになるわけでございますので、この辺はやはり考えていかなければならぬと思います。さしあたっての問題といたしまして、御承知のように、最近科学技術系統の重要な産業界の好景気によりまして比較的順調でございます。この二三年は、実際の状況を申しますと、その方面の卒業生をお互いに奪い合うというような状況になっておりますので、そういった理工科方面の学生の増加ということを考えていきたい。実は就職状況から申しますと、本年は昨年に比べてかなり伸びております。しかし、その伸び方にもやはりいろいろ変化がございまして、理工系と人文系とにかなりの開きがございます。そういった面を考えまして、理工系の技術者の養成という方面に力を入れて参りたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 文部省の方で理工系に力を入れられるということのために、その方面の法案も出し、予算も相当要求され、取っておることになっておりますが、それはそれといたしまして、全体といたしまして、学制全体、学校教育制度全体に何かちぐはぐなものがあるじゃないかというふうな気を私はしろうとながらいたすのであります。中学まではとにかくとして——あるいは中学からかもしれませんけれども、その辺からある種の特殊教育といいますか、職業教育といいますか、そうした成人教育的方向を今まで以上にとる必要がもう出てきたんじゃないかというような気がするのでありますか、日本の高等学校では六割も七割も普通課程でやっておる、そうしてそれが大学の面にいきますれば、文科系統に殺到するというようなことになる、そうしてそれを解消するために私立の方に全部引き取ってもらおうかなどというような意見が出てきたりするもとが、何かその辺にありそうな気がするのでありますが、これは文部当局といたしまして、普通教育、高等学校合わせて全体として何か基本的に考えられる時期になってきておるのではないかと思うのでありますが、どうでしょうか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 今高等学校のお話が出ましたので、実はその点についてお答えをしたいと思うのであります。  中学を出てから半数以下の者が高等学校に進学するわけでありまして、定時制や通信教育を含めても五六%でございます。大体大きく見て半数が就職するという状況であり、半数が高等学校へ進学する。この事実は私ども率直に認めなければならぬと思います。そこでこのたびの教育内容の改訂にあたりましては、中学の三年の段階で進学する者については数学や外国語を強化していく、就職する者に対しましては農工商のような基礎的な職業教育を強化していく、こういうふうに改めたわけでございます。これは三十七年から中学校は実施されるわけでありまして、ただいま高等学校の教育課程を検討している最中でございます。この場合におきましても、職業教育を重視しなければならぬというので、内容面においても中堅産業人として必要な基礎的職業能力をつけるようにもっと強化して参りたいと同時に、今お話のように普通科に非常に行きたがるものでございますので、工業課程の増設をいたしておるわけです。特に産業教育振興法におきまして、約二万人程度の増員を一昨年から始めておるわけです。特に工業課程の電気、機械、化学工業等につきましては増設をいたしておりますが、普通課程から職業課程への転換を奨励しているわけであります。現在のところ職業課程が四割、普通課程が六割という状況でございます。私どもは少なくともこれを逆にしたいと考えております。この場合実験実習室は国の方で補助もいたしますし、産業教育の設備についても国が補助するという道が開かれておるにもかかわらず、なかかな普通課程から職業課程への転換は困難でございます。そこで先ほど申しましたように、工業課程の増設を今いたしておるわけですが、実態は普通課程のうち四分の一が大学に進学するという状況でございまして、四分の三はいやでも応でも就職しなければならぬ。この事実は私どもが認めなければならぬところであります。そこで職業課程に転換が困難ならば、これはやはり普通課程自体を改訂しなければならぬ問題であると思うのであります。進学する者については進学の課程をしっかり勉強してもらわなければならぬ。そうでないと大学の基礎教育というものが十分でございませんので、普通課程の中で進学するコースと、就職するコースに分けて、普通課程を出て職業戦線に立てるような実務的な教育をも考慮しなければならぬ。同事に進学する者については、大学の基礎教育としての素地がつちかえるような、たとえば外国語とか、あるいは数学、あるいは理工系へ行く場合は理科、こういうような点については多少そこに差等をつけるようにして、そして本人の能力なり適性に応じて社会に出てから役に立つようにという方向で、今高等学校の教育課程の検討を続けておるところでございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 よく方針はわかりました。私もぜひそう進んでいただきたいと思うのでありますが、実際の問題としましては、はたしてどうでありましょうか。地方ではそういう文部省の意向を承知しておりながら、また確かに自分たちもそういう方向に進みたいと思いながら、しかしながら元は金がかかるものでございますから、学校を作ろうとすると、まあまあ安上がりの普通高校ということになりがちではないかと思うのです。これはおそらく学校増設あるいは学級増加の実際の傾向に現われておるのではないか。なるほど実業教育課程、産業教育課程の方もふえてはおりましょうけれども、普通教育課程の方もふえてきておる。ふえてはならぬものもふえてきておる。あるいはその方がふえてきたということになるのじゃないかと心配いたすのであります。ということは、地方の財政が困難なものでありますから、中学校から高等学校へ進む希望者が多く、全員入学といわれる際でありますので、とにかく何か作ろうとすると安上がりの方を作る。私はこれについては、文部省がそういうふうなお考えを持っておられればおられるだけに、相当な補助金なり助成政策をもってかからぬといかぬと思うのでありますが、これについてはどういうような足取りとでも申しましょうか、進度とでも申しましょうか、数字の面で現われておりますか、承りたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 実は一昨年、昨年、今年と三年間にわたりまして、職業教育の学校、特に工業課程の増設を計画して参ったわけでございます。この場合に実験実習室は普通課程では要りませんで校舎だけがあればいいのですが、産業教育課程には実験実習室が必須でございますので、この場合に国が三分の一を負担し、三分の二は起債でまかなうのでありますが、この場合に自治庁にもよくお話いたしまして、こういう場合の起債については特別の考慮をを願っておるほどでございます。それから設備につきましては、課程によっていろいろございますが、工業課程でございますと大体二、三千万くらいかかるのであります。そのうち三分の一は国が負担するということになっておりますので、三分の二は地方負担であります。この場合にも大きな機械設備につきましては起債の対象にしていただくように一応なっております。その数字でございますが、実は産業教育振興全体で十億ございますけれども、そのうち数億円程度はこの方にさいておるわけでございまして、これも非常に少のうございますので、今後大幅に増額して地方に高等学校を増設するようにする。最近は工業学校の増設が大へん活発に行なわれまして、農村地帯におきましても工業学校の増設が行われておりますことを、大へん喜ばしい傾向だと思っております。私どもは教育長会議や委員長会議におきましては、普通課程はできるだけ抑制してほしいということをしばしば強く要望し、この方面の起債については、私どもも正直言って、自治庁に御考慮願わぬでもいいくらいに言うておるわけです。昔は文部省で中学校設置の許可認可権を持っておったのですが、しかし今日のところは府県の方におまかせしておりますので、行政面の方からの許可、認可を通じての抑制はできませんけれども、財政面その他行政指導の面においてはできるだけ御期待に沿うように努力をいたしております。これも力が十分でございませんので、今後一そう努力を重ねたいと思っております。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 問題は、何十万人に及ぶところの浪人、どんどんふえていくところの浪人といいますか、大学進学者をかかえての焦眉の急のことだと思います。これについては、学校教育制度全体について私は大臣のお考えも承りたいと思いますが、大臣御出席のおりにあらためてお伺いすることといたします。ただ事務当局といたしましては、ぜひ一つこの方面に今のようなお考え方でもっともっと力を入れていただきたい。大臣のお考えがどうあるにいたしましても、これから学校教育制度の根本がどうなるにいたしましても、今力を入れ足らないということだけは、お認めになっているように事実だと思いますので、お願いをいたしたいと思います。  時間も過ぎてしまいましたが、もう一つの問題を伺いたい。これもきわめて幼稚園的なお伺いであります。私は新しい教育が戦争前の明治憲法のもとの教育とは全く質的に変わってきたという意味におきまして、この質の変わった教育を受け持っておるところの教員諸君の待遇、給与という面について、これはきわめて素朴なお伺いでありますけれども、はたして適当であるかどうか伺いたいのであります。といいまするのは、明治教育とは言いませんけれども、戦前の教育においては、教師諸君は与えられたる教科書を、与えられたる方向に向かって、与えられたる時間で、まじめにこれを蓄音機的に吹き込めば、まず一応いい先生といわれたものだった。あなたはそうであってはならないということを言いたいのでしょうけれども、実はそういうことでも事足りたのです。一つの教育勅語があって、国定教科書があって、国定教科書があって、そうして指示されたところの教科方針、教科内容があって、それを忠実に守っていけば事足りたかもしれません。ところが戦後における民主教育は、教員諸君自身がみずから検討し、みずから納得した上において、そうして一人々々の子供に人間的なつながりにおいて教育をしろということで、それこそ私は教育のほんとうのねらいでなければならないだろうと思うのでありますが、そういうふうな考え方に立って比較してみますると、戦前の教師諸君の精神的、肉体的苦労と、戦後における自主的な教育態度、教育方針というものを忠実に実行して実績を上げようとする教師諸君の肉体的、精神的苦労というものとは、比較にならぬほど差があるように思うのであります。そこでそういうことを考えてみますと、戦前の教師諸君の苦労に対する報酬と戦後の教師諸君に対する報酬というものは、これまた相当の差がなければならないと思うのでありますが、戦前の国民の所得といいますか、他の職種における給与と教師諸君との比較、戦後におけるものとの比較をなさったことがあるのでありましょうか、そしてそれらについてそれ相当なる給与の改善がなされておると考えられておるかどうか、これを一つ内藤局長から承りたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 教育の目標というのは私どもは戦前も戦後も変らぬのじゃないか、やはり子供たちの個性をほんとうによく伸ばすことが教育の目的だと思うのです。ただ戦前と戦後では教育方法が目まぐるしいほど変わってきた、これは事実でございます。背ですと教科書と黒板があれば教えられたけれども、このごろはいろいろ映画やスライド、その他図書、読物等も非常に発達したし、最近はラジオやテレビまで出てきた、こういうような点で教育方法において非常に革命的な変革が行なわれたことは事実だと思うのであります。そうなればこそいろいろと精神的にも、肉体的にも、先生方が勉強されることは当然でございますし、この御労苦に対しては私ども心から感謝しておるわけでございます。結局私どもは学校がいいとか悪いとか、教育がうまくいっているかどうかということは、建物とか設備ではなくて、教員の素質いかんだと思うのであります。先生方にも研修をしていただいてしっかりした素質をつちかっていただかなければ教育の効果は期待できないと思うのであります。こういう点で、しからば教員の待遇が適正かどうかということになると思いますが、戦前は一般公務員に比べて確かに低かったのでございます。これは一般公務員の平均給に比べまして、教員の諸君の給与は相当格差があった。しかし終戦後は、必ずしも十分でなかったけれども、日本教職員組合の大へんな御努力もあったと思うのですが、著しく改善されてきたことは事実でございます。ただ現在のところ、それでは一般公務員に比べて非常によくなったかというと、まだそこまでは至っておりません。まず大体初任給から始めまして、一般的には同じ大学を出て官庁に勤めた者と先生になった者については大体一号の差がついておるというのが今の給与体系の建前になっております。平均給で申しまして、小中学校が二万二、三千円というのが平均給でございます。日本の先生方が他の公務員に比べて若干よろしい、こういう程度でございまして、まだほんとうに教職員の御労苦に報いるには私ども少ないと思うのです。ただ一般的に申しまして、それでは諸外国はどうかと申しますと、諸外国も教員諸君の待遇というものはあまりよくないというのが実情でございます。しかし私どもは教育が大事であればこそ教員の待遇改善については今後一そう力を入れなければならぬ問題だ、こういうふうに考えております。ただ一般の公務員との均衡論がいつも出て参りますので、人事院にも十分私どもは積極的に努力をいたしまして、教員の勤務の特殊性に基づいて給与の適正をはからなければならぬ、こう思いますと、まだまだ不十分な点が多うございますので、この点については今後積極的に改善に努力いたしたいと思っておる次第でございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 公務員との比較はなさっておられるようでありますが、他の職種とは検討なさっておられるか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 他の職種になりますとこれはピンからキリまでございまして、最近の大企業等の初任給あたりはすばらしくいいところもあります。しかしそうでない面もございまして、一がいに民間給与との比較は困難でございますけれども、現実において公務員全体が民間給与に比べて必ずしも満足すべき状態にあるとは私どもは考えておりません。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 いずれにしても必ずしも満足する状態ではないのだ、ただしかし、他との均衡もこれありといいますか、国の財政もこれありといいますか、あるいは特に公務員との均衡もあってというふうな御意見のようであります。私は実社会におけるなにといたしまして、そういうことも考えなければなるまいと思います。しかしながら私のお伺いしたい点は、戦前と戦後とは全く違うのだということなんです。違わないのだといえばこれは水かけ論になりますけれども、私は現実に現場におって見ておりますと、私どもが習ったときの先生の苦労と違う非常な苦心をされておるのです。与えられたものを忠実に守っていけばいいということでないという意味において、それからまた先生様の言うことはそのままごもっともだという時代と違って、ずいぶん世の中全体が批判的な——まあ言ってみますれば学問も知識の程度も進んでおる。ラジオ、テレビによって相当知識の一般的な度合いが進んできたという意味においては、先生もうっかりできないような状態に置かれておる。そしてまたまさにうっかりしておられませんから、講習会あるいは研究会を開くというような公的な勉強方法、努力の態度ばかりでなしに、あるときは新聞雑誌その他の資料を克明、丹念に研究しながらやっている。これはかつてもそうだったと言われればそうでありますけれども、私はその基本の態度というものがうんと変わってきていると思うのであります。それだけに、しかもそれは日々、月々怠ってはならないという意味におきましては、今の学校の先生方の心労というものは容易ならぬものがあろうかと思うのであります。他の公務員との比較において、なるほど同一学歴、同一年令ということであるならば、一号ぐらいは差はあります。私は一号でいいなどとはとても思いませんし、これは最初お尋ねいたしました盲ろうあ学校の先生方の苦労が容易ならぬものであるのと同じように、学校の先生同志の中でもそういう意見があるのと同じように、公務員の中でも、あるいは一般の社会人としての立場からいたしましても、ずいぶん変わっておるし、その程度は、何号俸というようなことによってはかり得ないものがあるのではないか。あなたも、そういうふうなことを期待しながら、先生というものはかくあるべし、従って先生の給与はかくあるべしという一つの理想は持っておられると思う。ただ今のところそういうことができないことになっておるだけであると思いますが、いかがでありましょうか。それはもっと強く努力なさる腹がおありかどうか承っておきたい。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 私も教員の待遇が満足すべき状態であるとは毛頭考えておりません。特に教員という職にある方は、一クラス五十人なら五十人の全体の、ある意味では精神的な生命を預かっていかなければならぬ。その感化力というものはすばらしく大きいと思うのです。ですから一般公務員がデスク・ワークでやっている仕事とは、私は本質的に違うと思います。そういう点を考えてみますと、一体今の初任給でいいのかという疑問を私も持っておるわけです。こういう点から考えて、教員の待遇につきましては、先ほど来申しましたように、私も決して満足すべきものじゃないと思う。ただ遺憾ながら、いつも他との均衡の問題、あるいは財政の問題ということに制約を受けておりますので、こういうような現状になっておるわけであります。私どもとしては、積極的に先生の待遇の改善について今後努力いたしたい熱意を持っておりますことを一つ御了承いただきたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 その熱意をお持ちになっておられますれば、なおさら私は一言お願いしておきたいのでありますが、先生方がそういう立場に置かれておって、しかも給与も他との均衡上なかなか思うようにならないという状態の中で、そういう面における物質上の非常な苦労がある一面におきましては、戦後教育方針というものが平和憲法に由来するところの方針から、またぐらぐらしてきたような事態も見受けられるという中において、非常に自分たちの教育態度、教育責任を重視し、その中に身を没入せんとすればするだけ、社会のいろいろな弾圧——言葉はおかしいのでありますが、よけいな弾圧、あるいは間違った批判というものに対しては、非常に神経質になっておると思います。自分たちの重大な責任を考えれば、そうならざるを得ないと思うのであります。そして受けるところの待遇その他を考えれば、さらにまたぐらぐらする教育の場といいますか、そこへいろいろな雑音が入ってくるので、きわめて神経質になっておるように思うのであります。ですからその神経質の詰まるところが、ある意味においてはそれが反発心となってくると思います。これは当然の行き方だと思います。非常に何かについて神経質になって、ちょっとしたことでも強く抵抗を感ずる。これも無理のないところだというあたたかい気持を持って教員諸君の行動、気持というものを考えていただかなければならないと思いますが、あなたは非常にあたたかい気持を持って待遇などについて考えておられるということでありますから、この点を一つ強くお願いするのであります。  その他のことにつきましては、大臣がお見えになりましたときそこであらためてお伺いをいたすことにいたします。

西村力弥日本社会党

○西村(力)委員 先ほど、戦前の教育も戦後の教育も、教育のことについては変わりはないというお話がありましたが、その表現はちょっとおかしいのじゃないか。そういう考え方で教育行政をやられたのではたまったものじゃないと思います。それは不十分な言い方じゃないかと思っておるのです。教育ということを抽出してそういう工合に考える場合には、教育の目的には変わりはないということになるでしょうが、現実に、日本の国の戦前の教育と戦後の教育というものが目的が変わらないということは、これは、言葉が足りないと思いますが、どうですか。

内藤譽三郎文部事務官(初等中等教育局長)

○内藤(譽)政府委員 御説の通りでございます。教育の理想を私は申し上げたのであります。

簡牛凡夫自由民主党

○簡牛委員長代理 本日はこの程度とし、次会は来たる九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会いたします。  これにて散会いたします。     午後零時四十六分散会

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