農林水産委員会甘味資源に関する小委員会 第3号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1960/04/15
会議録
○丹羽小委員長 これより農林水産委員会甘味資源に関する調査小委員会を開会いたします。 甘味資源に関する件について、まず政府に説明を求めます。増田振興局長。
○増田(盛)政府委員 前回の本小委員会におきます御要求によりまして、資料を御提出申し上げておるのでありますが、その際特に暖地テンサイに関する資料の提出並びに説明を求められておりますので、私からまずその点につきまして御説明申し上げたいと思います。 いろいろ印刷物もお手元に参っておるのでありますが、そのうちで、「暖地におけるてん菜の導入について」というてん菜糖業研究会の名前で印刷しておりますものをお手元に配付申し上げたのでありますが、このてん菜糖業研究会は、実は、一昨年から昨年度にかけまして、私どもの方で関係各局と相談いたしまして、現下の緊急の必要性のあります暖地テンサイ並びにテンサイ糖業の方向づけをやるために、その現状、問題点並びに今後の方策というものに関して研究することにいたしまして、広く民間の有識者を集めまして研究会を持ったのでありますが、第一回の会議が三十四年一月三十七日に開催されまして、自後回を重ねること九回、一応今川中間的な報告といたしまして、中間報告書という形をとりまして、この印刷物に見られるようなものになったわけでございます。 そこで、手元の印刷物の中にあるのでありますが、てん菜糖業研究会のメンバーは、そこに示されておりますように、暖地テンサイに関しまして学識経験を有しておる人、並びに、それに関連して、広く将来いろいろな意味で関係を持つと思われるような人を大体網羅しておるわけでありまして、現在得られる最高のスタッフじゃないかと思うわけであります。 そこで、いろいろな観点から説き起こしておりますので、順を追いまして、要約して申し上げてみたいと思います。大体三つの点から暖地テンサイに関して検討しておるのでありますが、第一点は、農業経営という立場でございます。すなわち、農家の農業経営の立場から、暖地ビートがいかなる意味を持ち、しかもそれが経営の内容として組み入れられた場合にどれだけの発展性があるかということの立場から検討いたしておるわけです。第二点は、純粋に栽培技術という点から検討しておるわけであります。第三点は企業化、本テンサイの作物上の特殊性に一かんがみまして、企業化の問題が大きいわけでございます。この三つの観点からいろいろ論及しまして、最後に、国として、あるいは県として、これに対する指導育成措置に言及いたしておるわけであります。そこで、まず一ページをお開き願いたいと思うわけであります。 第一点は、テンサイの導入と農業経営という立場から議論を進めておりますが、その前に、非常に特徴的でありますのは、特に北海道型のビート栽培と比較しまして、著しい特徴をなしているものの一つといたしまして、いわゆる水稲早期栽培の普及に関連しまして、水田にビートを作るという構想を打ち出している点であります。もちろん畑作地帯に関しましても暖地ビートの推進を行なうことを考えておるのでありますが、しかし、これ以外に、水稲早期栽培という観点から、その面に大きく焦点を合わせたわけであります。御存じの通り、西南暖地地方を中心といたしまして、関東以西の地に水稲早期栽培が普及して数年になるわけであります。この数十万町歩の早期栽培の地帯は、現在大体湿田地帯が中心となって進んでおるわけでありますが、将来は乾田地帯に関してもこれが進むわけであります。そういう場合に、せっかく早期栽培をやって早く収穫したのでありますが、その跡にどういう作物を作付するかという点が現在問題になっているわけでありまして、早期栽培跡地のあと作の問題として、試験研究その他いろいろ検討されておるわけでございますが、その場合に、ビートを積極的に取り上げておるのであります。それからまた、畑作地帯におきましても、やはりテンサイを導入していこうということであります。 次に、二の、テンサイ導入の可能地帯という点でございますが、この場合御注意願いたいのは気象条件でございます。すなわち、特にビートの成育期間中におきまして、大根の根部、根が大きくなる肥大開始期から、大体平均気温が摂氏十度を割る時期、つまり肥大成長が終わる時期でございますが、大体それまでの期間の積算温度が千六百度を下らない地帯というものが一つの目安になるわけでありまして、そういう地帯を選んでいくわけであります。それから、二ページに移りまして、先ほど申し上げました通り、そういう水田地帯におきましても、湿田地帯とか重粘土地帯というものは、ビート栽培の対象より除外しなければなりませんし、それから、普通畑につきましては、ボラ、コラ等の不良土壌、強酸性土壌等と、傾斜度おおむね十五度以上の急傾斜畑というものは除外しなければなりません。 それから、三の、他作物との収益性の比較でございます。これもぜひやってみなければならぬわけでありまして、この場合に、水稲早期栽培跡地へ導入する場合と、畑作として導入する場合とに分けて研究しておるわけでございますが、まず水稲早期栽培跡地へ導入する場合についてでございます。この場合には、たとえばそこに例をあげてあるのでありますが、南九州、すなわち鹿児島及び宮崎等に栽培する場合と、瀬戸内に栽培する場合とは、やはり条件が違ってくるわけであります。南九州が、本来の作付体系の場合と、それからビートを新しく導入した場合と、大体ビートの現行価格から推してどの程度までの反収をあげなければならぬかということがそこに書かれております。すなわち、南九州の場合は二千キロから二千五百キロ程度であれば導入の通しがつくわけでございます。しかし、瀬戸内のような場合には、競合作物というものの収益が非常に高いわけでありますから、こういう場合には三千キロ以上が確実に収穫できるという見通しができないと導入できないわけであります。畑作として導入する場合に関しましても、同様に南九州並びに瀬戸内地帯を分けて考えなければならぬわけでありまして、しかも、畑作として導入する場合におきましては、輪作関係あるいは作付体系、作付様式の関係と関連をつけて考えないとできないわけであります。そこに、いろいろな慣行的な栽培方法と、新しくビートを導入した場合におきます予想される作付方式との比較をいたしまして、大めどでありますけれども、大体水田の場合と類似の見通しをつけておるわけであります。 それから、四ページに移りまして、四番目の有畜営農との関係でございますが、これはもうだれでも知っておることでございまして、この場合に、テンサイの大根の部分の販売価格だけじゃなしに、特に茎葉部、ビート・トップ及びビート・パルプ、こういうものの飼料価値としての評価を強調しておるわけであります。その場合に、当然乳牛との結合ということが考えられるわけでありますが、やはり、暖地帯におきます農家経営の特徴から言いますと、乳牛の導入というだけの観点では狭いわけでありまして、これに対してその他の役肉牛と豚、鶏等との関連も当然考えなければならぬわけでありますが、この場合に、ビートの茎葉部並びにビート・パルプが飼料としてきわめて好適しておるということを強調いたしておるわけであります。ただ、しかし、この場合に、テンサイの茎葉部の飼料としての価値は想当常識になっておるわけでありますが、その貯蔵方法並びに家畜に対する一日の適正な給与量、こういうものの基準が現在明らかじゃないのでありまして、相当数ロスが見受けられますし、あるいは、一定量以上を継続して与えますと、テンサイ特有の有害成分のために下痢症状を起こすということなども起こってくるわけでありまして、どうしても適正給与量の基準というものを設定しなければならぬという点を指摘してございます。それから、また、テンサイの病虫害防除のため散布する農薬の問題でございますが、茎葉部を飼料として活用する場合におきまして、やはりこの茎葉に付着しております農薬の種類と数量というものが問題になってくるわけでありまして、これに対しても一定の基準を定める必要があるわけであります。 次に、五の、輪作体系の確立でございますが、これは、水田の場合におきましては、大体水稲、それからビート、水稲、ビート、こういうふうに繰り返していくわけでありますが、こういう隔年と言いますか、一種の連作とも見られるような裁培の方式をとりますと、ビートの収量が急激に低下してくるのじゃないかというおそれがあるのでありまして、どうしても、一体何年間隔で裁培するのがいいかという点をはっきりすべきである。これは水田の問題であります。次に、畑作におきましては、これは輪作体系全体としてやはり考えなきゃならぬわけでありまして、夏大豆とかタバコとか早掘りカンショ、こういうものを作った跡地へテンサイを導入することはいいのでありますけれども、そのあとに収穫時期の関係上麦とか菜種の収穫ができないわけでありますから、これは、何年かの長期間の輪作体系としてものを考えていくという畑作技術、畑作営農の方式全体の問題として、この輪作体系を確立しなければならぬ。北海道におきましてはいろいろな型がございまして、そのくずれた面も相当多いのでございますが、しかし、一般的に見ますと、地域的に、営農類型別に、輪作体系あるいは一定の作付方式がやや確立されておるわけでありますが、内地の場合におきましては、固有の作付方式というものが元来問題もありますし、そこに新しくビートというものが入って参りますと、これはビートだけ見たんじゃ解決ができない、やはり畑作営農方式全体として検討しなければならない、こういう問題が起こってくるわけでございます。 それから、六ページの、テンサイの栽培技術の問題に移ります。 大体暖地におきます栽培型は二つあるわけでございまして、すなわち、夏まき栽培というものと初夏まき栽培というものがあるわけであります。夏まいて秋冬を越して早春に収穫するといういわゆる夏まき型、もう一つの型の初夏まき型、もう少し早くやる、こういう型とあるわけであります。初夏まきの方は、早くまくわけでありますから、標高が中程度の地帯の型でございまして、初夏にまいて冬の初めに収穫する、こういう型でございます。大体この二つの型があるわけであります。この二つの型以外に、秋まき型というものが、一部の地帯、特殊な温暖地帯にあるいは成立するのじゃないかという点もあるわけでありますが、これは現在のところはっきりしないわけであります。 次に、それぞれの型がありまして、これに適合する品種の問題であります。この品種の問題は、現在国内並びに海外における既存品種の中からいろいろなものを取り寄せまして、耐病性とかあるいは糖分含量の観点から研究を続けておるわけでありますが、そこに書いております通り、たとえば晩生におきましては、導入二号、これはGWの系統であります。現在北海道におきまして最もポピュラーな品種でございまして、まず導入二号、次にKWのサーコポリー、これはドイツであります。US四〇一(アメリカ)、それからトリラーべH六一二(オランダ)、晩生種としては以上のようなものを主としてやっていくわけであります。それから、中生種としては、ドイツのKW・ポリベター、それからオーストリアのS・B・G・ポリー、それから、早生種といたしましては、英国のバトレスE、それからスエーデンのヒレショックR、ハンガリアのベタポリーB3、こういうものをやっておるわけでありますが、このうち御注意願いたいと思いますのは、ベタポリーB3、S・B・G・ポリー、KW・ポリベター、この三つは三倍体の品種であります。相当品種並びに採種技術の非常に進んだ三倍体品種ということになっておるわけでございます。従って、こういうものがわが国の事情にも好適するということがたとい判明いたしたにいたしましても、この採種という点は別に考えないといかぬわけであります。当分の間はこれを外国から取り寄せるという以外には、適当な方法がないわけでございます。そうして、いろいろな品種で今までやってきたのでありますが、結論といたしましては、日本の栽培環境というものがやはりこういう外国のものといろいろな点で違っておるわけであります。どこが違うかというと、暖地の栽培型を考えますと、生育の初期に高温多湿である、そうして生育の後期に低温少雨、こういう気象条件にあるわけでありまして、従って、こういう栽培環境に適した、栽培環境下における品種というものを外国に求めるということはきわめて困難な問題でありまして、どうしてもこういう日本特有の環境条件に適合した生態的特性を有する独自の品種の育成が必要になってくるわけであります。これが今後の試験研究等の大目標に当然なってくるわけであります。 次に、三に採種の問題がございます。この採種の問題に関して注意があるわけでありますが、まず第一に、テンサイは他家授精作物であるから、採種には厳重な管理が必要であるということであります。それから、採種をやる場合に、北海道等の寒地で採種をやる場合と、暖地で採種をやる場合とにおきましては、寒地では抽苔、開花するまでには二年生作物であります。ところが、暖地の場合には一年生作物で済むわけでありまして、新しい品種を作り、そうして原種を作り、採種をやる場合におきまして、そういう点で、暖地は寒地の品種の育成に比しますと非常に短い期間で試験目的が果たせるわけでございまして、その点はきわめて能率がよいわけであります。そうして、暖地で採種をやる場合の将来のサゼスチョンといたしまして、瀬戸内海に点在する島々をあげているわけであります。 それから、次に、四の播種期に移りますと、播種期に関しまして、大体瀬戸内から南の方におきましては、夏まき地帯でございまして、七月下旬から八月上旬が播種期の適期である。それから、先ほど言いました初夏まき型の地帯におきましては、六月下旬から七月上旬が適期であるということでありまして、日本列島を南から北に上っていくに従って、早くまかなければいかぬということになるわけであります。この制約がありまして、今後、いろいろな、ビート自体の問題、生長の各段階における問題、それから他作物との組み合わせの問題が起こってくるわけであります。八ページをお開き願いますが、そこで、もう一度テンサイの生育に適する全生育期間でございますが、テンサイの生育に適する全生育期間に関します積算温度を考えますと、大体二千七百度から二千八百度程度でございます。この場合に北海道の場合と比較してございます。積算温度といたしましては、北海道程度の温度は得られるわけでございますが、しかし、問題は、この積算温度というものがテンサイの各生育期間にどのように配分されているかということがきわめて大事なわけでございまして、その点に関しまして北海道の場合と著しく違うわけでございます。北海道の場合におきましては、稚苗期あるいは伸長期、それから登熟期、こういうふうに分けてみますと、二、四、四の割合で配分されておるのが、暖地では三・五、四、二・五というふうに配分されておりまして、このバランスが違っております。そういう点でいろいろな栽培技術上の問題が起こってくるわけでございます。そして、たとえばこういう問題がやはり病害の問題に関係いたしますし、それから、根部の肥大、大根が一体いつ大きくなるか、根の方がいつ大きくなるか、そうして葉っぱの方がいつ大きくなるか、こういう問題に関連してくるわけでありまして、たとえば病害の場合等におきましては、やはり立ち枯れ病とか褐斑病の発生と大きな関係があり、そうしてネコブセンチュウの被害とも大きな関連を持ってくるというふうに、技術的にどうしても関連を持ってくるわけであります。 それから、次に、五の収穫期の問題でございますが、大体、北海道の場合におきましては、寒いときに、比較的低温の時代にまきつけして、暑いときに成長して、そうして温度が低くなるに従って根部収量が上がるという経過でございまして、それが、暖地ビートの場合には、暑いとき、——時期がずれてくるわけでありますが、暑くなってからまいてくるわけであります。あるものは冬収穫し、あるものは冬を越すという関係であります。これが、根部の肥大と温度という面を比べまして、やはりいろいろな問題が出てくるわけであります。たとえば、根部の肥大はだんだん不活発になり、南九州、鹿児島あるいは高松等の試験研究によりますと、十二月下旬あるいは上旬、根部の肥大が徐々であり、きわめて低下して、大根はあまり太らない、しかし、わずかながら大根は太っていきますけれども、糖分の蓄積の方が活発になっておる、こういう試験研究が出てくるわけでありまして、大根の大小というほかに、糖分の蓄積ということが相当問題になってくるわけであります。従って、そういう点から、夏まき地帯では、大体こういう地帯では二月下旬から三月上旬が収穫の適期である。初夏まき地帯では、糖分の蓄積が最高に達するのは十二月中旬から一月上旬が最高でございまして、そういう場合が収穫適期になるのではないかというふうに考えられるわけであります。こういうふうにして、その播種、収穫等の面におきまして、なかなか問題が多いわけであります。それから、ブリックスの点でございますが、このブリックスは、いわゆる合糖量のブリックスの点を見てみますと、夏まきが二二ないし二四でありまして、北海道より高いのでありますが、初夏まきは大体二〇ないし二一程度であります。しかし、純糖率はブリックスの割にはそれほど高くないということもはっきりしておるわけであります。この問題は、可溶性含窒素物、有害性窒素の問題に関係してくるように思われるのでありますが、学問的にはまだその十分な追及を遂げておる段階にはないわけであります。 それから、もう一つ、六に参りまして、移植栽培という項がございますが、これは北海道の寒冷地の栽培にはないのでございます。移植栽培というものは、一ぺん播種をして苗を育ててから、本田、本畑の方に移植するわけでございますが、これはどうして起こるかといいますと、水田の場合の早期栽培、それから陸稲の場合におきましても最近では早期栽培が盛んになってきておるわけであります。そういうものを一作とって、そのあとにすぐビートを植え付けるわけでありますが、この場合に、いきなりそのあとに播種をする、直播するということが困難な場合があるわけであります。御存じの通り、稲の収穫期とテンサイの播種期がきわめて接近しておって、農作業上いろいろな点で無理が出てくるわけであります。それから病害の発生その他に関してもやはり問題があるわけであります。それから台風の観点から言ってもやはり問題がある。こういう場合に、解決する方法としては移植栽培の方法があるわけであります。これにもいろいろな方法が現在試みられておるわけであります。そして、移植栽培も、適切に実施すれば、直播栽培に劣らない収量が得られるということが、大体試験の結果判明しておるわけでございますが、これが経済的に比較検討してどういう地位にあるかという点は、あながちはっきりしておらぬわけであります。 次に、土壌肥料の問題でございます。 これはきわめて専門的にわたるわけでありますが、テンサイは一般に土地を肥やすと言われておるわけであります。この点に関して学問的に申し上げますと、悪い土壌をよくするということがテンサイ自体の持つ能力にはないわけでありまして、むしろ逆に、テンサイはいい土地でなければ十分に育たないというわけであります。これは深根性の作物でございますから、土壌は耕土が深く、かつ肥沃であるということが大切である。きまり切ったことでありますが、そういう土地を相当選んでいかなければならぬ。そのためには土地をよくしていくということが大事でございまして、そのために、上層改良、あるいは堆厩肥の増投という方法によって、地方を培養していくということをしていくわけであります。それから、今までいろいろやった結果、水田跡地の栽培等が一つのねらいでございますが、この場合、隣接した地帯に湛水田がございますと、その水が隣のビートを作付しているたんぼまで浸透して参りまして、どうも成績がよくないということがはっきりしておるわけであります。すなわち、過湿を避けなければいけない。湿害というか、テンサイは湿気を非常にきらうという点で、今後テンサイを水田跡地に栽培する場合には、全体として新しい作付の工夫が要るのじゃないかと思うわけであります。 なお、土壌、肥料に関連しまして、いろいろ現在までの試験研究の結果、テンサイの栄養生理的な特性を掲げ、これに対して試験研究の方法を明らかにしておりますが、この際特に試験研究等として将来強調いたしたいと思いますのは、現在はチリ硝石をわざわざ輸人をしまして、これは北海道でもどこでも同じでありますが、チリ硝石が一番肥効があると見られているわけでありますが、最近の進んで参りました土壌肥料学の方法を応用しまして、チリ硝石にかわるべき肥料の造出ということが喫緊の問題かと思うわけであります。十二ページに移りまして、引き続きまして、地帯別施肥基準の設定。北海道ではやや確立されておるわけでございますが、暖地におきましては、この施肥法の確立ということはあげて今後の問題でございます。特に夏まきあるいは初夏まきというように、夏にまくという特徴がございまして、こういう場合におきます施肥の方法という点は、いろいろまた北海道と違った点があるわけでありまして、どうしても今後地帯別、土壌別に施肥基準の設定をすみやかにやらなければならぬ。 次に、大事な問題は、八の病害の問題でございます。 これは、北海道と比較してみまして、当初から非常に心配されておりました点は、暖地におきますテンサイの病害というものは、北海道等の寒冷地帯よりも激発が予想されるということであります。しかも、高温多湿の時期に播種をやり、それから施肥を開始するわけでございますから、このような暖地ビートの栽培環境条件におきましては、病害の発生頻度が非常に高いわけであります。そういう点で、今までの試験研究の重点というものも、病害の問題に相当大きくさかれているわけでありますが、なかなか、この点も、ある程度のことはわかったけれども、今後やる点が非常に多いわけであります。すなわち、現在注目されております病気といたしましては、まず立ち枯れ病という病気、それから褐斑病——これは北海道あるいは東北にも多いのでありますが、褐斑病、それから根腐れ病、それからウイルス病、これがあるわけであります。立ち枯れ病の観点といたしましても、大体、病原の点に対しまして、三つの菌が作用しているらしいということを推定しておるのでございますが、病原菌の確認ということがまだ行なわれておらない。従って、これが事実といたしますれば、種子消毒その他に関して相当工夫をしなければならぬわけであります。種子消毒、土壌消毒などと、いろいろその方法に関して書いておるわけであります。次に、根腐れ病、葉腐れ病、これの病原菌というものもいろいろ考えられるわけでございますが、ただ、防除方法としては、現在有効な方法というものはまだわかっていないわけであります。それから、十四ページに移りまして、褐斑病、これは、北海道あるいは東北で行なわれているように、ボルドー等による消毒ということが現在きわめて有効であります。それからウイルス病もあるということであります。 それから、九は害虫の問題であります。これもやはり暖地は暖地なりにいろいろ虫が多いのでありまして、これに対する被害防除ということもきわめて大事でございます。しかも、現在のようにテスト的に作っている段階はまだいいのでありますが、これが大面積にわたって広範な栽培を実施いたしますと、こういう病害虫というものは一ぺんに激発するわけで、それに対する対策というものも十分に考えていかなければならぬわけであります。さらに、害虫の問題としては、ネコブセンチュウの被害というものがやはり非常に大きな問題でありまして、これも御承知の通りでありますが、このネコブセンチュウというものは、サツマイモとか、豆類とか、蔬菜類に好んで寄生するわけでございまして、こういうあと作にビートを作る場合におきましては、いろいろと考えなければならぬ点が多いのではないかと思うのであります。 それから、大きい点で第三の企業化に関する問題、これからがいろいろ国の施策といたしまして大きな問題が出てくるわけでございます。きわめて大事な問題でございますが、本中間報告書におきましては、まだ、現在までの資料あるいはその段階というものが、十分この問題に取り組むまでに至っていないわけでありまして、この中間報告書の結論もまだぼやっとしている点が非常に多いのであります。 まず第一に、テンサイ導入と製糖工場の関係でございますが、この場合に適正規模の製糖工場を完全に稼働せしめるに足るだけの原料生産が可能と考えられる地帯を選べ、こういうことでありますが、はたしてしからば適正規模の製糖工場というものは何ぞやということになりますと、これは暖地ビートの製糖方式にも関連して参りますし、まだはっきりしないわけでありますが、とにかく相当大きな工場の規模だということはわかるわけであります。大体日産処理量がどの程度の製糖工場かということは、ここでは結論を出していないわけであります。いろいろ議論をしたのでありますけれども、なかなか結論に至らなかった様子でございます。しかし、少なくとも考え方としては、相当大きな製糖工場の設置が必要であろう。従って、原料生産が途中で支障を来たすということは避けなければいかぬので、やはり、不確定でありますけれども、相当大きな原料生産というものを前提にして、そういう地帯を選んでこの栽培可能面積を検討していくということであります。 次に、しからばテンサイの導入方法をどうやるかという場合には、まず農家の試作の段階を経ろということであります。そうして、農家が栽培技術の修得を十分に行なって、しかもその農家の経営の安定ということをはかって、そうして次の段階には広く普及の段階に移していくようにすべきであるということであります。そして、その次に工場の建設が出てくる。この考え方はまことに常識的な考え方だと思うのでありますが、やはり、この通りやっていくという場合におきましても、お互いの試作の段階、普及の段階、工場設置の段階、それぞれ内面的な関係がございますので、なかなかむずかしいわけでございます。 そこで、大体そういう順序で工場を建設するということはいいといたしましても、その間に試作されたテンサイの処理方法というものをどうするかという問題が大問題であります。これは農家の農業経営の立場から言いますと大問題でありまして、しかも、これが解決されなくては、普及はもちろんのこと、試作すらできないわけでありまして、この場合に、製糖原料として処理する方法と、アルコール原料として利用する方法の二つの方法がある。従って、これらの方法のうちいずれが最も経済的であるかを検討する必要がある。これはいろいろ検討したのでありますけれども、なかなかむずかしいのであります。製糖原料として処理するといっても、その間小さなテスト・プラントを作って処理するのでありますが、それと、既設のアルコール原料工場、たとえばしょうちゅう用のアルコール工場、これはしょうちゅう会社がやっているものが多いのですが、こういうものに原料として供給したらどうか。この二つの方法を検討しておりますけれども、なかなか採算的にどちらがいいという結論はまだ今のところ出ておらない。しかし、二つの方法だけは考えられるということであります。 次に、この工場の規模でありますが、工場の規模も、北海道の場合と違って、栽培関係でまだ不確定要素が多いわけであります。栽培品種の問題もまだはっきりしない。栽培条件、たとえば水田の裏作に直播でやるか、移植でやるか、あるいは一般畑作でやるか、そういうものの組み合わせの問題とか、それから、収穫時期に幅を持たせることがある程度可能と考えられるので、こういうような工場の操業期間とか、収穫も反当収量というものが一体どこまで行くかということもまだはっきりしない。従って、こういうもろもろの不確定要素が多いのでありますが、漸次、こういう工場の操業期間が一体何日とれるのか、たとえば北海道でやっているように百日とか百二十日あるいはそれ以上のものがとれるのかどうか、それから、反当収量も、北海道でいわれている標準の四千斤ないし四千五百斤というもの以上に、五千斤あるいは六千斤になるのか、こういうものが大体はっきりして、そういうものを勘案しながら工場の組織を検討するという点を強調しておるわけであります。 それから、十八ページに参りますが、テンサイの通常の生産を開始する場合におきましても、これも大体二つの方法が考えられる。一つはビートの製糖工場を新設して製糖する場合、これは普通の場合だと思いますが、そのほかに、イタリア等で実施しておるといわれる乾燥コセット工場を設置して、そうして乾燥ビートを製造して、既設の精製糖工場あるいはテンサイ糖工場で製糖する、こういうふうな二つの形態が考えられるわけでありますが、これも、現在のところ、乾燥ビートというものも全然やってみたことはないのでありまして、外国でやった事例等を詳細に研究しないと、なかなか何とも言えないわけでありまして、こういう検討を進めるべきであるということであります。 さらに、二に書いてあります原料集荷区域及び原料取引であります。これは、今までいろいろ申し上げましたが、一工場当たり数千町歩の栽培面積が必要と考えられるので、一つの県内だけで確保するのはなかなか困難であると思われる。従って、農林省において工場の設置並びに工場ごとの集荷区域を適切に調整する等の措置を講ずる必要がある。工場設置にあたりましてそういう調整措置ができないかという点で、その必要を認めておるわけであります。 それから、さらに、取引の方法でありますが、暖地における農家の経営規模は北海道よりきわめて零細でありますので、従って、一つの工場に原料テンサイを供給する農家の数はきわめて膨大な数になる。零細な荷日、しかも膨大な数、こういう場合に、原料テンサイの集荷及び取引方法については、生産者団体というものと会社との間で合理的な取引形態の確立をはかる必要がある。 それから、採種組織に関しても、これは非常に問題があるわけでありまして、将来は日本てん菜振興会が原々種及び原種の生産配付を行なうことになるだろうと思いますが、その場合におきましても、種の配付という点は非常に大事でありまして、一定の厳密な採種をした機関から各農家に配付するわけでありますが、この場合に、一般栽培用種子の栽培農家への配付は、各製糖会社が担任をし、ただ実情に即して生産者団体を通ずる等の方法によって、組織的、合理的に実施するのがいいのではないかと考えられるということであります。 最後に、指導育成措置でございますが、まず試験研究の拡充強化。ただいままでいろいろ申し上げた通り、まだ技術的にも不明確な点が多いわけであります。これは、作物として、ビートだけではないので、ビートを取り巻くいろいろな広範な問題があるわけであります。こういうものが数多く未解決のまま残されておるのでありまして、試験研究をさらに拡充強化をして参る。この場合にも、日本てん菜振興会の行ないますいろいろな事業に関しましては、もちろんその方向に沿うて伸ばしていくのは当然でございますが、暖地関係の国立農業試験場というものがあります。地域農業試験場、それから各県の農業試験場、これはそれぞれ現在テンサイに関する試験研究を実施しておりますので、これの協力体制を確立しようということであります。 それから、試作に関しましては、暖地におけるテンサイ栽培の現状というものは、試験研究の拡充強化と並行して、農家を選んで試作を実施せしめる段階にあるというふうに一般的に規定しておるわけであります。いわゆる試験研究とあわせまして、試作の段階である、従って、試作の面に関しても、国並びに各府県が力を入れろということであります。 それから、生産の指導奨励の場合にあたりましても、その行く道筋といたしましては、今言いましたように、試験研究、試作、普及という経路を計画的に進めていけ、そして、畑作振興全体の立場から、あるいは技術指導、あるいは地力保全、土地改良、施肥改善、病虫害の防除等の施策を総合的に実施しろ、ビートだけ考えるのではなしに、広く畑作対策として総合的な計画を進めていけということであります。 最後に、保護育成措置としまして結論を結んでおるわけでありますが、これを読み上げますと、「保護育成措置、暖地におけるてん菜の生産振興及びてん菜糖工業の育成を図り、もって農業経営の改善発展と国内における砂糖の自給度の向上を図るにあたり、西欧諸国の例にかんがみても、てん菜生産及びてん菜糖工業保護育成のためには、生産者価格の確保、政府買入、適正関税の設定その他の保護育成措置を講ずべきである。」ということで結んでおるわけであります。 以上中間報告書の概要に関しまして御説明申し上げたのでありますが、それに関して、御参考までに、「府県てん菜関係資料」というものを差し上げてありますので、これの一番終わりの紙を見ていただきます。「府県てん菜糖業企業化希望会社名」、四月十日現在でございますが、北海道を除きまして、いわゆる寒地ビートも含めまして、内地に関するビートの栽培並びに企業化に関して、ここにあります通り、数多くの企業会社が、それぞれ県の方といろいろな形でコネクションをつけまして、現在試作をやっており、一部に関しましては、すでに普及段階として取り上げまして栽培をやっておるのであります。すなわち、大分に関しましては、一番上の新光甜菜糖、これが内地におきまして最も出足の早い県でございますが、県と覚書を交換しまして、現在テスト・プラントの操業開始、三十五年度におきましては六百トン工場を操業したいということで準備を進めております。その次に出足の早いのは岡山でございまして、これも、横浜精糖と覚書を交換しまして、ことしはこの原料テンサイは会社が全部買い上げまして大分の方の新光製糖の方に原料を送っているわけでありますが、来年は六百トン工場を操業することになっております。以下にずっと書いておりますのは、まだそれほど大規模にやっているところはないのでありますが、それぞれ現在試作ないし試験を実施しております。この中には調査中と書いてあるのもございます。それから、まだはっきり県当局と話し合いのつかないものも若干含まれておるわけであります。 以上で一応私の説明を終わります。
○丹羽小委員長 村田食糧庁業務第二部長。
○村田説明員 別刷りの資料につきまして簡単に御説明を申し上げたいと存じます。 第一ページは「臨時てん菜糖製造業者納付金法要旨」、これは説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。 それから、次の第二ページでございますが、「特定物資輸入臨時措置法要旨」、これも御朗読をいただけば御理解がいただけるのではないかと存じますので、説明を省略させていただきます。 三ページの「日本てん菜振興会について」、これも御承知の通りでございますので、説明は省略させていただきたいと存じます。 次の四ページの「昭和三十四年産てん菜の購入計画と生産実績の対比」でございまするが、まず日甜の計画は二万二千九十三ヘクタール、それに対しまして実績が二万二千百六ヘクタールになっております。芝浦が六千四百八十二ヘクタール、実績が同じく六千四百八十二ヘクタールということになっております。以下同様にごらんおきを願えばよろしいわけでございます。先般の小委員会におきまして概略の御説明を申し上げましたけれども、日甜、芝浦ともに、作付面積、ヘクタール当たりの収量並びに総生産量は若干の増量を見ております。これは資料についてごらんの通りであります。 その次の五ページは、同じく支庁別の計画と実績の対比でございます。これもごらんおきを願うこととして、説明は省略さしていただきます。 次の六ページは、「昭和三十四、三十五年度の土地改良事業予算について」でございますが、これは一応この数字をごらんおきいただきまして、なおいろいろ質問等がございましたならば、振興局なりあるいは農地局からお答えするようにいたしたいと存じます。 次の七ページは、「昭和三十四年産てん菜、てん菜糖、いも及びいもでん粉価格」でございます。テンサイとテンサイ糖の価格につきましては1の方の欄に出ておる通りでございます。テンサイ糖の価格は、芝浦は五千三百円、北連が五千三百八十円、台糖が五千九百十五円となっておりますが、これの内訳は次のページに出ておりますので、それをごらんおき願いたいと存じます。 なお、このページでミス・プリントがございますので、御訂正を願いたいと存じます。下から三行目の「馬れいしょ米粉」となっておりまするが、これは「馬れいしょ未粉」でございます。精粉に対する未粉でございます。まだ精製粉に到達しない粗製の粉でございます。「馬れいしょ末粉」でございますので、訂正をお願いいたします。 次の八ページは「三十四年産てん菜糖の政府買入価格算出基礎」でございます。先ほど申し上げましたように、芝浦五千三百円、北連五千三百八十円、台糖五千九百十五円となっております。その内訳はごらんの通りであります。 次の九ページは「甘しょでん粉に関する資料」でございまして、三十四年産カンショ澱粉の需給の概況を掲げておるのでございますが、三十一イモ年度以降、年々のカンショ澱粉の生産の状況が、ごらんのように最近非常に生産量がふえて参っております。それから、同じく2の欄にございまするように、政府手持ち澱粉も数量が非常にふえて参っております。三十五年の三月末現在で、カンショ澱粉の手持ちが四千九百九十二万二千貫、バレイショ澱粉が千三百六万一千貫、合わせて約六千三百万貫の政府手持ちに相なっております。この中には、ここにも書いてございまするように、本年の三月に五百万貫のバレイショ澱粉の早期買い上げを実施いたしたのでありまするが、その数量もこの中には含まれております。 それから、次の十ページは「甘しょでん粉価格推移」でございまするが、ごらんのように、三十四年産の澱粉につきまして、昨年の十月からことしの四月十一日まで載っておりまするが、政府の買い入れまする基準価格に比較いたしまして相当まだ下値を示しておる状況でございます。 次の十一ページは「昭和三十四年度における結晶ぶどう糖育成のための粗糖抱合せ割当の概要」でございます。結晶ブドウ糖工業育成とブドウ糖の消費拡大をはかりますために、砂糖の製造業者及び実需者団体がJAS規格のブドウ糖を使用した場合に、その使用の実績に基づきまして次の期にそれと同量の粗糖を割当配分するというやり方で実施して参っておるのでございます。三十四年の九月一日から実施をしておるのでございまするが、その実績数量は、三十四年度上期の実績が粗糖で千六百トンに相なっております。その次に「三十五年下期見込」と書いてございますが、これはミス・プリントでございまして、三十四年度の下期の見込みでございます。大体六千トン程度の見込みに相なっております。 次の十二ページは「昭和三十四会計年度国別粗糖輸入実績」でございます。注にございまするように、これは三十四年の四月から三十五年の二月末までの十一カ月間の通関実績に相なっております。従って、あと大体三月分が十万トン程度のものが見込まれているので、年間は大体百十万トンというふうに考えております。 次の十三ページは「暖地ビート工場、分蜜糖工場、結晶ぶどう糖工場一覧」でございまして、これはごらんおき願う程度で、あえて御説明をつけ加えることもないかと存じます。 同じく次の十四ページは「結晶ぶどう糖工場」、現在ありまする十一社の名簿でございます。 簡単でございますが、以上でこの資料の御説明を終わります。
○丹羽小委員長 これにて政府よりの説明聴取は終わりました。 —————————————
○丹羽小委員長 ただいまの政府の説明に対し質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
○芳賀小委員 政府から配付されました資料についてちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、第一の点は、前回の小委員会でもお尋ねしましたが、昭和三十四年度の政府のテンサイ糖の買入価格の告示について、今年の場合には一ピクル当たり五千三百円というふうな基準価格のものが出て、これに対しては芝浦分として注釈がついておりますが、この基準価格という点については、政府の当初の方針は、ピクル五千三百十四円を基準糖価というものにして、そして、これ以上の生産費のかかったコスト高分については政府の買い上げ対象にする、以下の分については対象にしないことにして、場合によっては基準価格に相当するコストの製品については買い上げ対象にするという方針がきめられておったのですが、五十三円というこの価格というものは基準であるかどうかという点をこの前政府は保留されておった。その点だけお尋ねいたします。
○亀長説明員 先般の委員会で、本年の告示と去年の告示と告示の仕方が違うじゃないかという御質問がございました。ただいまの御質問もそういう御趣旨かと思うのでございますけれども、これは、告示の方法としましては、数個の会社から買い上げるわけでございますけれども、最低の価格を書きまして、その後の会社については、その上にこれだけ加算をするという書き方を従来いたしております。その点におきまして、従来の三十四年の三月十二日に出しました告示も、本年の三月二十三日に出しました告示も、全く同様でございます。従いまして、どういう価格を一番先に書いて、あとのものはその差額を、このものについてはこれより高く買い上げるというふうに、私どもは単に告示を書く技術上の問題だと考えております。従いまして、昨年とことしの書き方が変わったというふうには考えておりません。本年の場合に、五十三円十四銭であったのになぜ五十三円になったかという御質問でございますけれども、告示の書き方といたしましては、去年の日甜の四十五円五十一銭が最低である、本年は芝浦の五十三円が最低だから、ほかの会社についてはそれより上回る額を足して買う、こういう表現をいたしたにすぎないというふうに考えます。
○芳賀小委員 そうじゃない。五十三円十四銭以下の分については、これは全然買い上げしないという方針でしょう。自由にする方針なんですから。そういう場合には、五十三円十四銭以下の分については、買い上げするという意味の告示の対象にするのかしないのかという点も、これは問題なんです。
○亀長説明員 芝浦につきましては、昨年の四月に買い上げの告示をいたしております。これは、現在の振興法の規定上、毎年四月に本年産のものはどこどこ買うということをきめて、大根の価格と一緒に告示をする建前になっております。芝浦の場合に五十三円十四銭より低いのになぜ買ったかということでございまするけれども、これは、昨年決定いたしました振興要綱では、著しく生産費が低い場合を除くというふうに書いてございます。芝浦の場合に著しく低いというふうに私どもは認定はできなかったと考えております。また、昨年の四月でございますが、芝浦については買い入れをするという告示を出してあるわけでございます。そういう事情から、芝浦については五十三円で買った、こういう事情でございます。ただ、標準糖価の五十三円十四残を変更したという考え方は持っておりません。これはあくまで五十三円十四銭でございまして、ただ、著しく生産費の低い場合は除くというさきの振興要綱の決定の条項等から見まして、やはり、著しく低いものであるかどうかということは、買い上げの告示がすでに四月に出ておっても、われわれとしては一応検討してみなければならぬというふうなことで、検討いたした結果、五十三円という数字が出て参りました。これは五十三円十四銭に比べて著しく低いとはわれわれは考えておりません。しかしながら、そういう数字が出てきたものを、本年は芝浦一社だけだという事情もございますし、五十三円十四銭に上げなければならぬということもいかがかと思いますので、本年は芝浦につきましては五十三円で買った、こういう事情でございます。
○芳賀小委員 これは当時納付金制度の法案等が審議されたときに議論の中心になったのです。政府は時価に比べて高い分については全部買う、安い分については買わぬという考え方がおかしいじゃないかという点です。当時の議論は、とにかく全量買い上げという精神から進めた場合においては、当然コスト計算をして、そして、その結果現われた数字について、これはコストの安い製品も高い製品も、やはりてん菜法の精神というものを基礎にして全面買い上げの措置を継続すべきではないかというのがわれわれの主張だったのです。ところが、政府としては、企業から見て、製品を市場に出して競争できないようなコスト高の分については、これは保護政策の見地から買い上げをしなければならないが、コストの基準より安い分については、むしろ自由にやった方が会社の利益も上がるし、そして、企業の自由の原則の上に立っても、企業努力の上から言ってもいい、そういう政府の見解です。それがこういう形になったが、一応基準価格の五十三円十四銭を示しているのですから、その以下の分についても買うということであれば、これはやはり全量買い上げの思想の上に立って扱うべきであると思うのです。
○亀長説明員 この前の振興措置の決定いたしましたときの考え方と、現在の考え方と、私どもは変えたつもりは毛頭ございません。従いまして、今後、二年間たった工場ができるだけ自由化してもらうという趣旨には毛頭変わりはございません。御承知のように、振興要綱のときはそういう建前でございますけれども、当面の措置といたしましては、著しく生産費の低いものは買わないけれども、そうでない場合は一年間を限って買い上げる、こういう附帯条項が入っておることは先生御承知の通りでございまして、私どもはその決定に従って処置をしたつもりでございます。また、今後育成期間の終わった工場はできるだけ自由化していくという趣旨も変えておらないつもりでございます。
○芳賀小委員 これはここで議論してもむだですが、安いのを買わぬという考え方はおかしいのです。高いのだけ買えば当然食管の負担が増大するし、安いのを食管で買えば、国としてそれを払い下げれば利益がふえるわけですから、安いのは買わぬとがんばる態度というものはどうもおかしい。だから、少し安いのは買う、うんと安いのは買わぬというのも基本的に変じゃないか。それでは、十四円安いのは、これはわずかしか安くないから買うけれども、五十円とか百円安くなれば、著しく安いから買わぬということになるのですか。
○亀長説明員 著しくというのはどの程度かということでございますけれども、数字的な限界を見出すことはきわめてむずかしいかと思います。ただ、一般的には、やはり糖価水準七十三円が固定的に維持されるということであればよいわけですけれども、それがやはり若干の変動があるであろう、従って、買う場合にも、関税と消費税の振りかえ措置がどのように安定をしていくかというふうな問題と関連して考えていく、こういうことで著しいというものを認定していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○芳賀小委員 今の状態では斤当たり五十三円では売渡しの申し入れがないと思うのです。五十三円で政府に買ってもらわない方が会社は有利なんだから、これは買い入れの申し入ればないということはわれわれとしてもわかるが、今後、たとえば暖地ビードの問題等もだんだん出てくるが、製品の処理等についての政府の政策的な態度というものは、やはり相当慎重に考えなければいかぬと思うのです。 次に、もう一つお伺いいたしたい点は、資料の七のテンサイ糖の政府買入価格の算定基礎の中にあるロスと歩どまりは、これは推定で計算したのですか。実際に買い入れた総原料と、それからその製品の総数量の中から出てきた歩どまりとロスという考えで、それは糖価算定にあたって推定して、たとえば昭和三十年度のどの工場に対しては大体歩どまりは何パーセントと最初から当てはめておくというような推定の算式方法でやっているのか、実際の実績歩どまりがこうなっているのか、その点はどうです。
○亀長説明員 この政府買入価格の算出方針といたしましては、標準的な考え方と、それから個別的な考え方と、両方加味してございます。 原料費、製造費、管理費というようなものは、大体従来日甜が最も長い操業期間を持っておりますので、従来日甜のいろいろとかかった経費というようなものを基礎にしまして、管理費であるとか、あるいは原料費、——大根は法律できまった価格で計算するのでございますけれども、大体個々に日甜がどのくらいかかったかということを基礎にいたしまして、その後の物価変動というようなものを織り込んで、各社別の差異というものは考慮いたしておりません。 それから、減価償却と資本利子でございますけれども、資本利子については、これは自己資本の場合と借入金の場合とがございます。これは、それぞれの会社の決算書をもとにして、それぞれ使ったものについて、実際に借りている金利を見る、こういう計算をいたしております。減価償却についても、これは個別的に考えております。従いまして、会社が実際に建設に投下した費用を基礎にして、それに対して定額の償却率を見ておるわけであります。減価償却と資本利子につきましては、それぞれの会社の実際に使用した経費をもとにして積算いたしております。 それから、ロスと歩どまりにつきましては、原則として標準的なものをとるという考え方でございます。従いまして、歩どまりについては、実際に会社が操業の結果出てくるものとはかなり違った結果になっております。もし私どもが実際にそれをとるとすると、操業が終了するまで価格決定を待たなければならないということがございます。御承知のように、テンサイ糖の価格は、今の振興法で言えば、十月くらいにきめなければならぬということになっておるわけでございます。ところが、ここで言うのは工合が悪いのですが、大蔵省との話がいろいろとかかります。それと、毎年予算編成期にあたるというふうな事情で、翌年の当初にきまる、しかし操業は完全に終わっていないという事情でございます。それと、もう一つは、この歩どまりについては、会社の能率差、企業差というものがかなりあります。従って、それをことごとく反映するということになると、一方で企業努力というものはどういうふうに考えていくのだという問題がございます。従って、私どものやり方としては、操業の完了以前に価格がきめられるという現在の振興法の趣旨に沿って、大体本年度は全道平均の歩どまりがどのくらいになるべきかということを調査いたしております。それは、大体前年の各社の操業率、それからその年の十月の大根の含糖率を調査いたしまして、そういうものから、標準的な歩どまり、簡単に言えば北海道で平均的な歩どまりはどうなるかというものを見まして、そこで、初年度工場につきましては標準的なものから一%の格差、——それは、おそらく初年度であるから技術的にも普通の平均を要求するのは無理であるというようなこと、もちろん奨励的な意味も振興法の趣旨に従ってあると思いますが、一%の格差を見る、二年度工場につきましては、その半分の〇・五%の格差を見るというふうに、初年度と二年度の工場については、技術的にもなお不熟練であろうという考え方で、標準的なものよりは若干そういう点で奨励的なしんしゃくをするという考えでいたしております。従いまして、私どもの標準的な考え方と実際の操業の結果というのは、往々にして食い違うことがございます。しかし、それは、計算方式の相違と申しますか、やり方との違いでございまして、実際に合わすということになりますと、これは会社の能力差、技術差ということに対してよい結果をもたらすかどうかも疑問だと考えておりますし、また、私どもとしまして、会社の申告したものをそのままとるということも、いろいろ問題がございます。むしろ全道平均の標準的なものを考える、それに対して操業当初の工場については若干の奨励的しんしゃくを加えていくという方式を実施をいたしておるわけでございます。 昨年もこういう方法で実施をいたしました。一昨年もこういう方法でございました。従来と変わっている点はございません。
○芳賀小委員 今までやっているからそれでいいというのはおかしいです。ことに、今度から標準糖価というものをきめて、この標準というのは、ロスが三・五%、歩どまりが一三%ということで、五十三円十四銭ということになっている。これは基準だからいい。しかし、今課長が言ったのは、糖価を早期にきめなければならぬ、なかなか実績ではつかみにくいということだが、今までも一応暫定糖価というものを出して、そしてこの暫定価格によって処理していって、最終的に今度は決定価格というものが出てくるわけです。だから、暫定的価格をきめる場合のやり方というのはいろいろあると思うのです。たとえば、前年度の実績歩どまりというものを算定して、そして本年度の結果を待って最終的なものをきめるということもできると思うが、こういうやり方では実際のものはつかめないと思うのです。まあ税関係や何かで、どの工場の砂糖の生産が何万トンであったというのは正確につかめるでしょう。それがつかめなければ税金も何もとれないと思うのですが、それがほんとうに正確なものを把握しているかどうかという点と、それから、各工場別の原料の買付数量というものは大体わかると思うのですが、この二つは正確にわかるかどうか、その点はどうです。
○永井小委員 関連して……。 今の答弁ですと、原料費、製造費、管理費は、基準単価というか、基本単価というか、そういうものを用いておる。それから、その減価償却以下は格工場別、こういうふうになっておる。そしますと、算定基礎が各社個別に算定を出しておる。そして、各社の一日の製造能力も現実にいろいろ能力が違っておるのですが、その能力が違っておるのに、みんな同じ一つの基準で算定している。それから、歩どまりなどについて各社が違っておるのに、一定の、奨励の意味というか、そういうものも含めてこういうふうにした、こういうのですが、算定基礎というのは、相当科学的な基礎に立って一つの数字が出てこなければならない。その数字の出た上で、省令をどういうふうにするか、あるいは各社別の扱いをどうするかということは別個の問題であって、算定基礎を出すというからには、そういうものははっきりっしたものが出てこなければならぬと思うのです。たとえば第一年次一%見る、あるいは第二年次〇・五%見るというような、こういう査定というものはどういう科学的な基礎によるのか。原料費、製造費、管理費を一定の基準で見るということに対する一つの科学的な基礎、それから下の方でいろいろ工場を個別に審査する、そしてそれも当局の査定あるいは認定で主観的にいろいろのことが査定を加えられる、それが合理的であるという科学的な基礎を一つ示していただきたい。
○亀長説明員 芳賀元生の御質問にまずお答えいたしますけれども、もちろん産糖量というものは消費税の関係ではっきりわかります。ただ、私どもが産糖量で——これは考え方に違いがあるかもしれませんけれども、一々の個別の会社の事情に即応した経費をすべて政府が価格決定で負担をするという考え方は一つございます。それは芳賀先生あるいは永井先生も指摘された点かと思いますけれども、会社がかかった経費を、すべてその会社の特異性を一切考慮に入れて、いわば会社がつけ出してきたというものについて全部見るという考え方はあるかと思います。それに対して、各社のそのような自由な申請を認めないで、これはある程度標準でもって規定をして、ある必要な部分についてだけそういう特殊事情を見るという考え方も十分成り立つのではないかと思います。実際にかかった費用をやれという御趣旨は、産糖量についてはなるほど消費税の対象になっておりますから税務署が確実に措置ができますけれども、減価償却費等につきましてもあるいはこれは会社との契約書を見れば十分チェックができるかもしれませんけれども、一般管理費であるとかあるいは製糖補助管理費、たとえばそういうものについて見ますと、人件費であるとかあるいはいろんな会社を維持するための経費であるとかという、われわれとしては非常に深入りしがたい要素があります。そういうものを税務署と同じように食糧庁がついておってやるということは非常に困難なことでございます。また、かりについておったといたしましても、会社特有の個々の事情を企業能率とかに関係なく織り込むということになりますと、われわれとしてはとても耐えきれないという事情があるわけでございます。 従いまして、先ほど永井先生から基礎はどうかと言われたわけでございますけれども、原料費、製造費、管理費等に関しましては、やはり過去に日甜が数年間経営してきたという数字を基礎にいたしております。これは、やはり、日甜が長い歴史を持っておって、また、経費の点についても、数年にわたって見れば、これはある程度テンサイの買い方としてかかる経費ではなかろうかと考えて、われわれはそれを基礎にいたしまして、その後の物価変動あるいは運賃の変動とかというものを織り込んで計算をいたしておるわけであります。こういうものにつきまして、個々の会社の事情を一々見るということになりますと、これは、境目として、かりに決算書についてやってみましても、見るべきものと見ないものとの境目というものが、なかなか、会社別にやるということは実際の事務作業としてむずかしいという事情を御了解をお願いしたいと思うのです。 それから、減価償却、資本利子の点につきましては、これは、それだけの工場の規模のかかったものは見るという建前は、現在の振興法で生産の上にかかる加工費を見るという建前からしましても、また、こういうものを一律に見るということになりますと、立地差あるいは工場の規模いうものを非常に無視したことになりますので、この点はやはり振興の趣旨から言っても個別に見ざるを得ないのではなかろうか。また、それは実際に容易にチェックのできる数字であります。 なお、歩どまりの点でございますけれども、これも実際に製糖の結果は確かに判明をいたします。それは買付数量と産糖量とがわかれば、そこから現実にチェックをすることはできると思います。しかしながら、これは工場能率と非常に関係のあることでございまして、たとえば、技術者が非常に優秀であったとか、あるいは機械の運転が上手であったとか、あるいは操業の配分とか農家との連絡が非常によくて、原料の集荷と工場の操業とが非常に調節がとれて、大根を腐らすこともなかったというような、会社のそれぞれの努力というものも多分にこのロスとか歩どまりの点に現われてくる問題だと思います。たまたま悪いからといって高く買い、いいからといって今度は安く買うというふうなことで、そういうものに関係なく役所が見るということも、実費はすべて見るという考え方もあると思いますけれども、ある程度企業に能率化を求めるという趣旨から言いますと、やはり、全道の標準というものをきめて、そして、新規工場に一律に強制するということは、やはり技術の度合いというものを勘案して、育成期間は特別の考慮をしてしかるべきであろうという趣旨で、決定をいたしておるわけでございます。一%と〇・五%にどれだけの根拠があるか、こう言われますけれども、これはやはり具体的に初年度に一%の工場差があって、二年目から〇・五%の工場差があるというふうには、これは必ずしも断定はできません。会社の名前を申して恐縮ですけれども、たとえば芝浦は初年度に非常に能率が悪くて、二年度には非常に能率を上げました。北連につきましては、初年度に非常に能率を上げて、二年度も非常に能率がよかった。台糖につきましては、本年度が初年度でございますけれども、非常に能率が悪い。こういう事情はございます。しかしながら、過去の初年度、二年度のことをいろいろ勘案をいたしまして、二年度は〇・五、初年度は一というふうなことで、常識的にはそういうことに決定をして、標準的にこれを適用するという方針はそう間違ったものではない。むしろそういうことで会社にある程度の企業努力をしていただくということが妥当であろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○芳賀小委員 いろいろ意見はそちらにもあると思うのですが、ただ、実際問題として、歩どまりの問題にしても、実績の歩どまりと今政府が一応想定して用いておる歩どまりとの間に相当大きな差が出るということになりますと、その歩どまり差の分の砂糖というものは、これは全部コストも何もかかっていないということ、純然たる利益だけの砂糖ということになるのですね。これはやはり、会社や工場にとっては、この歩どまりの差というものは、経営の面から見ると非常に利益に及ぼす影響というのは大きいと思うのです。だから、これはやはり政府としては一応正確なものはつかんでおく必要があるのですね。そうでないと、これは国民に疑惑を与える場合もある。実際は一四%以上の歩どまりであるにもかかわらず、政府の方では一三%しか見てない。そこでとにかく一%違うじゃないか、その差は一体どうなっておるかということになるのです。だから、この中で全部もし計算上は実績そのままを当てはめることが算定方式上できがたい点があるとしても、しかし、結果的には、国民に対して、どの会社のどの工場はことしの事業の実績というものはどういうものである、企業努力の結果がどういうような歩どまりとか成績が出ましたくらいのことは、制度で保護してやっている産業ですから、それはやはり国民に知らせるということは政府の責任じゃないのか。特に、歩どまりと関係のあるのは、減価償却と資本利子についてはありのままのものを採用しておる。とにかく、一日千二百トンの規模の工場であっても、これは二十億かかった工場もあるし、二十五億以上かかった工場もある。しかし、実際の能率というものは同じだということになると、いわゆる工場の施設に多額の資本を投下した方が経費はコスト高にはなるが、そういうことが妥当であるかどうかということも、これは歩どまりと同じに考える必要があると思うのです。今までの長い政府の経験によっても、工場建設の資本投下等に対しても、やはり適正規模を一応政府が把握して、たとえば、五万トンの砂糖を生産する工場については、大よそ二十億とか、そういうめどで工場を建てなければならぬ、そうして、その糖価算定にあたってはこれを採用するのだということがあらかじめ明らかになっておらなければならぬ。今のように、二十五億でも三十億かけても工場の建設に対してはそのままそれを認めて、それの減価償却とか資本利子は糖価の中に認めますというやり方はいけないのではないか。そうして、歩どまりの方だけは、会社間の企業努力にも影響があるからして、これは推定でやる、そうして、一%も差のあるような、でたらめと言っては変ですが、そういう歩どまりを採用するということになると、これはどうも変だということになる。こういう点に対する反省の余地は十分あると思います。きょうは事務当局の皆さん方だけだから、良心的な発言はできると思うので、私はその点をお聞きしたい。
○永井小委員 関連して……。 今芳賀君から話があったようでありますが、これはまたいずれあらためて私は伺いますが、この算定基礎というのは、先ほど来の説明のように非常に作為的なものです。そして主観的なものです。これは、もっと客観的な尺度を当てて、これが妥当かどうかということを見なければいけないですから、また別にお聞きします。ただ、課長の先ほど来の答弁は、単に製糖の分野だけから見てこうだと言っている。これはもし工場の歩どまりの問題について企業努力を云々するなら、これはほかの原料と違いまして、とにかく生産農民がそういう良質のビートを生産しなかったら、工場でどんなに製糖したって、手品を使って歩どまりを多くするわけにいかない。そういう歩どまりが多いというのは、振興局長がここにおりますが、農民の立場からもう少し発言がなければならぬ。また、そういう歩どまりで非常にコストが下がるというなら、こんな高いものをぶっかけられては困るという消費者の立場と、生産者の立場から、これは角度を変えていろいろな論議がなされなければならない。ただそれを製糖の分野だけでこれはこうだというような主観的な一方的な判断では、これの妥当性は確立されない。だから、これの問題については、これは非常に作為的なものだ、そうして、一方的な、また、生産者も消費者も考えてない、一つの中間的な製造の分野だけの、どうしたら製造業者が有利になるかというような立場だけからそろばんをはじいているもの、こういうふうに理解して妥当だと思うのです。またこの問題については私別に質問いたしますが、重ねて、一体、どういう事務的な内容において、どういう手続あるいはどういう一つの審議を経てこういうような算定方式が確立されたのか、この内容を伺っておきたい。
○亀長説明員 最初芳賀先生の御質問の点でございますけれども、減価償却、資本利子、歩どまりについては、実際かかったものを見ております。そうして、そういうものについてはむしろ一律に見るべきではないか、標準的なものを見るべきではないかという御質問でございますけれども、これは実は私どもも研究しておる。要するに、実際にかかっておるものを見て、たとえば歩どまりについては高くなればその分だけ安くし、低くなれば高く上げるという実際主義でやるか、あるいは、標準の、今芳賀先生の言われましたような減価償却、資本利子についてもある標準のものを見るべきではないかということでございまして、われわれのやり方にも、確かに標準的なものと、それから個別的なものが混在をしております。芳賀先生が言われました中にも両者が混在しておる格好に私どもは受け取るのでございますが、そこのところをどう調節するかが非常にむずかしい問題でございます。ただ、減価償却の考え方としまして、確かに十三億くらいで作った工場もある。二十四億くらいで作った工場もある。それがそのまま反映しておるということはございますけれども、実際にかかったものを見るという建前で、すなわち、振興法で工場の加工経費を見るということになれば、実際に金を出していないものに対して見るということがわれわれとしては非常にとりにくいということから、実際にかかったものについて採用するという結果になっておるのでございます。もちろん、これに対しましては、政府がかりに規模を制限する権限を持っておれば、それは大きいものはこれだけに制限するということで強制する方法があれば、あるいは一律のものということも考えられるかもしれませんけれども、もしその権限がなくて、かりにこれだけの額しか見ないということになっておっても、たトえばテンサイ糖工場は十八億しか原価では見ないのだ、こう言いましても、実際にそれを十三億で作ったり二十四億で作ったり自由であるならば、やはり、私どもが計算した計算方式と、業者が実際にかかったコストとの間に差が出てくる。すなわち、そこに、利益の出る会社があったり、損失の出る会社があったり、という結果になるわけです。 それから、歩どまりの点でございますけれども、確かに、本年でも、会社の名前を申すと工合が悪いのですけれども、一四ポイント以上の能率をあげておる、歩どまりをあげておるものがある。一方には一二以下の、あるいはそれに近い低い能率の会社があるということも、私どもは承知いたしております。ただ、その点につきましては、繰り返すようでありますけれども、先ほど永井先生から作為的であると言われましたけれども、私どもは、確かに実際の結果を見ないで標準的なものを想定してやるという意味において作為的ではございますけれども、決して恣意的ではないと考えております。会社の特別の事情に対して恣意的でなくて一律にわれわれが適用し得るということで、役所が標準的に考えたという意味においては作為的でございますけれども、決して恣意的には適用しない。ある意味において一律であるためにわれわれ事務当局としてはやりやすいという結果に、考え方になっております。 それから、減価償却の点でありますけれども、会社は一般に定率償却をいたしておりますが、私どもは定額償却しか見ておりません。従いまして、初年度におきましては会社の減価償却は非常に高くなります。定率でありますから、後年に至るほど低下をいたすわけでございます。しかし、私どもは、減価償却で見ておりますのは定額しか見ておりません。従いまして、歩どまりにつきまして私どもが初年度一%、二年度〇・五%という奨励的あるいは初年度工場の実力も低いことを想定して加味したといたしましても、そのために初年度上場、二年度工場に異常利益が発生する結果にはならないというふうに考えております。 これは非常にむずかしい問題でして、私どももなるべくはこういうことをやりたくない。でき得ればテンサイ糖も自由化して価格がきめられるならばという念願を持っているわけでございますけれども、当面これは政府で初年度なりある期間は買うということでありまして、こういう価格のきめ方は非常にむずかしい問題でございますが、私どもは、会社の個別的な事情を加味するということについては、相当考えなければならぬのではないか、でき得べくんば標準的な合理的な方法を決定をして、それを機械的と申しては語弊がありましょうけれども、あまり会社の利益とか損失に左右されないで、ある程度の標準が適用されるという方式の方が望ましいのではないか、かように考えて、大蔵省ともこれは従来も私あるいはその前任者等もいろいろ議論をいたしまして、こういう方向でやっておるわけでございます。
○永井小委員 事務的にどういう……。
○丹羽小委員長 芳賀君に申し上げますが、約束の時間がだいぶ経過しましたから、簡単にお願いしたいと思います。
○芳賀小委員 議論が長くなりますから、きょうは一応問題を提起しただけでやめておきますが、常識的に考えた場合、設備の投下資本の額が多ければ、十分な理想的な設備というのはできる。そういう理想に近い設備が行なわれれば、結局、製造の過程においては、歩どまりのいい、良質な製品が出るということになる。むだに設備投下がされれば別ですが、十分緻密な計画に沿った、完全な施設が行なわれれば、製糖の歩どまりもよくなる。ですから、総合的に見れば、そういうことで結局は全体のコストを下げるということは期待に沿うと思うのですよ。ところが、このやり方というのは、設備に対しては十分その通り見てやる、ところが、歩どまりについてはやはり手かげんしてやるということになると、今度は、資本投下をよくした工場は、設備の面の償却は十分に見てもらう、歩どまりについては実際の歩どまりよりも低く見てもらうということになれば、両面から、糖価の算定の上から見ると高い糖価というものがそこから出てくるということが常識で考えられると思うのです。それで、減価償却、資本利子、歩どまりというものは、相関関係が確かにあると思うのです。小さい問題についてはあとで論じますが、たとえばこの減価償却と資本利子の面だけでも、芝浦は、減価償却が千斤当たり三百七十二円五十八銭、資本利子が九百三十五円十九銭、これを合わせると千三百八円ということになる。北連の場合は、減価償却が三百二十八円六十一銭、資本利子が八百二十八円八十六銭、合わせて千百五十六円、台糖の場合は、減価償却が四百四十六円二十七銭で、資本利子が千九十円十一銭、これを合わせると千五百三十六円ということになる。従って、この面だけの最高最低をとると、ちょうど台糖と北連との間において四百円の差があるわけです。これを一斤当たりにすると四円違うのです。一斤四円ここだけでコストが違うということになるわけです。こういう点は、やはり今後政府としても十分算定方式の問題についても検討する必要があると思う。これらの工場は全部来年からは買い上げ対象にならぬから、個々の企業努力でやりなさいと言えばいいが、将来起きる問題は、ずっとコストが低下した場合の、たとえば利潤の相対の部分を追及する方法というのはまだ考えられていないわけです。それは、今後原料価格の面を引き上げて、生産費の中の原料費というものを会社の利益の中で負担させるという方法も出てくると思うのです。ことしの原料価格の決定についてはこの次の機会に政府の方針をお尋ねしたいと思うのですが、算定方式の問題についてもいろいろ問題があるのです。だから、この点はあとでゆっくり議論をしたいと思います。 この際委員長に申し上げますが、実際の歩どまりを適当の方法で資料として示してもらいたい。公に発表できないといっても、できる方法というのはいろいろあると思いますが、三十四年度における各工場の実際の歩どまりというものはどういう結果になっておるかということを、可能な方法でお示し願いたい。 それから、この資料には日甜の今年の糖価の算定というのは何にも出ておらぬ。これは納付金の工場だから買い上げしないということはもちろんであるが、しかし、納付金を納める場合には、もちろんその年度の生産と生産費がどうなっておるかという関連のもとで納付金は納めるということになりますが、この日甜の分についてもその機会に内容を示してもらいたい。それを資料として委員長から要求願います。
○丹羽小委員長 承知いたしました。
○永井小委員 基準をどういうふうにきめてあるのか……。
○亀長説明員 芳賀先生の第一点で、北連は資本利子と減価償却で千百円くらいで、台糖の場合には千四百円ということになっておりますが、これは本質的には借り入れの金利の態様も違いますし、それから設備自体がかなり大きく違う、こういうことでございます。ただ、私どもの考え方といたしましては、現在政府が別にテンサイ糖工場の規模を制規をしておるわけではございません。従いまして、各企業者が計画をいたします際には、最小の経費をもって長大の能率をあげるという企業者の意欲の前提のもとに工場を建設されたのであろうという推定をいたりしておるわけでございます。従いまして、実際かかったものをとるかどうかという点に御議論があるかと思いますけれども、実際にかかったものに対して見るというコスト主義なり、経費を支払ったものについて見るという考え方からいきますと、こういう結果になるわけでございます。一方、利益と損失という見方をいたしますと、それはまた別の観点がありまして、ただいま北連と台糖の比較がありましたが、台糖は初年度であり、北連は二年度であるという差異もございましょうけれども、現に、ことしの価格で、私が責任を持ってお答えするわけにはいきませんけれども、台糖は非常な損失を来たしたという主張をいたしておるわけでございます。そこのかね合いは非常にむずかしいわけでございます。標準的なものをとるのか、具体的な損益について役所は考えていくのかという考え方が、結局分かれ目になると私ども考えるわけでございます。 それから、日甜の点でございますけれども、日甜については本年は買い上げをいたしませんので、このような計算はいたしておりません。ただ、もちろん現在の納付金との関係がございますので、私どもも必要な調査はいたしております。しかし、現在のところ、納付金を変えるとかあるいは計算の基礎を変更する理由は認めておりません。 要求の資料は追って提出をいたします。 それから、永井先生の、決定の方法でございますけれども、こういう計算方法は、別に審議会にかけるとかそういうふうな決定の方法はいたしておりません。これは、具体的には、毎年々々のいわば予算をきめるような格好で、本年のテンサイ糖の価格をどうするかというようなことで、事務的には農林省と大蔵省の事務当局が話をして、妥当な方式を見つけるべくお互い努力してきた結果がこういう算式になっておるということでございます。一々の根拠につきましては、これまた非常に長くなりますけれども、ルートとしては大体そういうことで、最終決定をいたしますときには、それぞれの会社にも話をして、政府の案というものを示して、告示をいたす、こういう方法をとっておるわけでございます。 それから、永井先生の……。
○芳賀小委員 一々反論がましいことを言っているが、とにかく、政府が買い上げする砂糖の中で、減価償却と資本利子の多い少ないによって国の負担とか出血が違うでしょう。自由意思で企業をやっている場合には、減価償却が高かろうが安かろうが、こんなことはわれわれはかまわないのであって、とにかく、食管会計で買い上げをしなければならぬという理由は、新設工場の二年間、三年間というものは、そのままの価格では、これは市場へ出しても競争して処理することができない。従って、競争できるまでの間は政府が買い上げて、その出血分というものを国が負担して、そして企業の育成をはかるというのが今までのてん菜振興法の方針なのです。ですから、そういう場合、大体合理的な規模の工場が建設されて、そして減価償却と資本利子というものは大体規模別に均一のとれたようなことで行なわれておれば、同じような工場について、一斤三円とか四円、その工場に対して国が特別の損失をしょわなければならぬというようなことは不当だと思うのです。そういう点について、あなた方は何らの努力をしていないでしょう。自分の給料から出すのではないからというかもしれないが、しかし、国民の税金から負担して、そうしてこれらの工場の育成をはかっているということを考えた場合においては、一々反論してこれが百パーセント妥当だというような考え方はけしからぬと思う。われわれはそういう考えでこの問題を取り上げているのですから。
○亀長説明員 私どもも、この算定方式は非常にむずかしいもので、決してこれが百パーセント妥当だというふうには考えておりません。ただ、事務的には非常に困難なことがございまして、われわれのやっている趣旨をいろいろ申し上げたのですが、それが反論がましくなって申しわけないのでございますけれども、今後の考え方をどうするか、さらに標準糖価の問題もありますし、われわれとしては、決して現在の算定方式に満足をしているわけではありません。いろいろ御指摘がございましたが、今後のテンサイ糖の価格をどうするかというような問題は、私どもも、これは政府部内でもう少し大蔵省とも話を進めて研究してやらなければならぬ問題であるという点については、十分自覚をいたしておる次第であります。
○丹羽小委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十三分散会