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34回国会衆議院1960/06/14

農林水産委員会 第32号

発言数
3
登壇者
2
会派数
1
開催日
1960/06/14

会議録

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 これより会議を開きます。  農林漁業災害に関する件について調査を進めます。  北関東等における降ひょう等による農作物被害の実情調査のため、去る十日本委員会より委員を派遣いたしました。この際派遣委員より報告を聴取いたしたいと存じます。  第一班は私と丹羽理事が参りましたので、私が報告いたします。  去る六月六日北関東等の地方を襲った降ひょうの被害について栃木県下の現地を調査いたしました第一班の報告を申し上げたいと思います。  調査のため派遣されました委員のほかに、現地において神田大作委員及び小平久雄議員がこれに加わったのであります。  調査日程は、委員会で派遣をきめました翌十日直ちに出発し、同日県庁において県議会、県当局及び農業団体等の関係者から被害の状況及び対策並びに陳情等を聴取した後、横川知事等の案内で宇都宮市の南東ないし東北に位する芳賀郡益子町、市貝村、芳賀町、塩谷郡高根沢町及び宇都宮市の北にあたる河内郡上河内村の各地方を、十一日には宇都宮市と日光市の中間にある今市市及び県北の大田原市の現地をつぶさに視察するとともに、被害農民から直接その声を聞いたのであります。さらに、現地調査のできなかった被害甚大な地域である鹿沼市、芳賀郡茂木町、那須郡黒羽町等々については、関係者の出席をわずらわし、その説明及び陳情を受けて、調査日程を終わった次第であります。  六月六日栃木県下を襲った降ひょうによる被害は、九日の本委員会において栃木県副知事等からの陳情を受けておりますのですでに御承知の通りでありますが、その概況についてかいつまんで申し上げたいと思います。  六月六日の気象状況は、朝から蒸し暑く、盛夏と同様の気候となり、正午ごろから県北の山岳方面に雷雲が発生、午後二時半ごろからこの雷雲によって県北、中部及び東南部一帯に豪雨とともに小は大豆大より大は鶏卵大に及ぶひょうを降らし、降ひょう時間も地区によって十分間から一時間にわたったというのであります。すなわち、降ひょうの大きさと時間は、宇都宮市三十分間、桜桃大、上河内村十分間、ピンポン球大、鹿沼市二十分間、ピンポン球大、今市市三十分間、鶏卵大、芳賀郡茂木町、芳賀町、益子町及び市貝村十五分ないし二十分間、鶏卵大、矢板市、塩原町十分ないし三十分間、大豆大、塩谷郡氏家町、高根沢町三十分ないし四十分間、ピンポン球大、大田原市、那須郡黒羽町三十分ないし一時間、ピンポン球大、そのほか南那須郡の二カ村で大豆大であったというのであります。  このため、六月七日現在における被害の面積及び金額は、植付直前の苗しろ、植付間もない水稲で千六百六十五ヘクタール、七百六十一万円、収穫直前の大麦、小麦、裸麦、ビール麦等二千七百七十五ヘクタール、三億六千七百六十五万円、本葉八、九枚まで生育中の葉タバコ八百四十一ヘクタール・一億九千八百十九万円、結実初期のナシ、モモ等九十六ヘクタール、二千七百三十七万円、蔬菜三百八十ヘクタール、三千六百三十三万円、その他陸稲、菜種、豆類、バレイショ、麻、カンピョウ等、合計四千四十三百ヘクタール、五億五千三百三十九万円でありまして、このうち、収穫皆無は、小麦千五百八十四ヘクタールを筆頭に、大麦六百二十六ヘクタール、ビール麦四百五十二ヘクタール、タバコ三百九十三ヘクタール、蔬菜百四十三ヘクタールとなっており、被害農家は九千戸に達するというのであります。  われわれが現地に参りましたときにはその後の被害額の新たな数中はなかったのでありますが、麦類、タバコ、果樹等の被害はさほど変わらないにしても、水稲については、被害甚大なものは他から残り苗の融通による植えかえ、立ち直り可能のものは消毒等による処置で一応事なきを期するようでありますが、その被害の影響はかなり後に持ち越すこととなり、被害額も五億六千万円を相当上回るものとしているのであります。  今回の降ひょう被害の特徴は、連年凍霜害かひょう害を受けている地域が受けていること、降ひょうがかつて見なかったほど大くき鶏卵大というもので、しかも降ひょう時間が長かったこと、田植えの時期にあたり麦の収納の大部分が済んでいないこと、急激に襲われたため防除の方法がなかったこと等により、特に麦、タバコ等の畑作に依存しているこれら被害地が決定的な打撃を受け、農民はまさにぼう然自失しているというありさまであります。われわれが現地に参り、五日も経過しているのに、いまだに親指大のひょうが残っておりましたし、道路、都等にはひょうの穴が歴然と残っていたのであります。農民の話によりますと、四十年来かつてなかったほどのものといい、小鳥、魚等も打ち砕かれて死んだというのでありますから、いかに当時の降ひょうが激しかったかが容易に想像できるのであります。以上のようなひょう害に対しまして、県当局、関係市町村及び農業団体はいち早くその対策に乗り出し、災害対策本部を設置してこれが救済及び営農指導等について真剣に取り組んでいるのであります。すなわち、県当局においては、直ちに応急対策を講ずるとともに、近日中に県議会を招集して補正予算を審議しようとしております。補正予算の骨子は、昨年のひょう害対策とほぼ同様のもので、被害農業者に対する経営資金の融通措置のため、天災融資法の適用に至るまでの間のつなぎ融資を一億二十万円程度用意すること、病虫害防除用薬剤、草勢回復用肥料、種子購入、稲苗輸送等に要する経費の二分の一の補助並びに技術指導等に必要な経費等の計上を行なおうとするものであります。また、市町村の対策は、被害状況の調査を行ない、水稲、麦類、タバコ、果樹等の被害の回復並びにあと作の指導等について全力をあげて取り組んでいるのであります。このように県当局、市町村及び農業団体等が被害対策を講ずる上に国の援助がなされなければ十分の措置はできないわけでありまして、従って、これらの関係者がわれわれに強く実現方を要望した事項は次の通りであります。第一に、被害農民に対する天災融資法に基づく営農資金の融資措置並びに既借入者に対する償還期間の延長を行なうこと。これは、緊急の金融対策として県単独事業で低利融資措置を講ずるが、政府においても天災融資法を早期に適用し、被害激甚の地域については三分五厘の低利の適用をされたいというのであります。また、過去においてすでに経営資金の貸付を受け再び被害を受けた農家の償還金は償還不能に陥ることが考えられるので、天災融資法第二条第六項によって、これらの農家に対しては償還期限の延長をされたいというのであります。なお、この問題は、今回の被害地市町村の農家の三十一年度より三十四年度に至る本年六月現在の融資残高が千五百二十六万円に及び、そのうち九百四十四万円が本年度償還額になっていることにかんがみ、その償還不能の事態に対処した要望であります。第二に、三十五年度産麦の農業共済金の事期支払いを行なうこと。第三に、被害農作物の回復促進等のため、病害虫防除用薬剤費及び草勢回復用肥料購入費等の助成を行なうこと。これは、ひょう害を受けた水陸稲、果樹、蔬菜、工芸作物等の回復促進のための肥料及び薬剤等の資材費、収穫皆無となった葉タバコ、麦類その他の作物の代作として直ちに栽培する陸稲、ソバその他の作物の種苗、肥料等の資材費、被害を受けた水稲の植えかえに必要とする苗の輸送費等に対し補助助成をされたいというのであります。第四に、自作農維持創設資金の増額を行なうこと。ひょう害により農家負債が累増し、このためこの資金の需要が急増するので、三十五年度の一般資金ワクの増配分を設けるとともに、上層農家にも適用できるよう貸付基準のワクを緩和されたいというのであります。第五に、被害開拓者に対し開拓者資金融通法に基づく災害ワクによる融資措置を講ずること。これは、被害開拓者に対し、天災融資法に基づく融資金が受信力のない点等によって必ずしも円滑に融通されていない現状にかんがみ、先般来本委員会において審議した開拓営農振興法の改正法案の成立をはかり、もしくは行政の運用によって、開拓者に対し災害資金を貸し付けられたいというのであります。第六に、葉タバコの災害補償金の増額と早期交付を行なうこと。ひょう害を受けた地域は大部分葉タバコ生産の中心地であり、しかもこれらの農家の現金収入の多くは葉タバコ収納代金に依存しているのであります。たばこ専売法第二十四条では被害三割以上の損害金額に対しその二分の一以内の補償をすることとしており、その運用は施行規則第七条によって平年収納すなわち過去三年平均の八〇%の二分の一を補償することとしているのであります。従って、実質的には平年の四〇%の補償ということになりますが、これを法律にいう五〇%の補償まで引き上げるよう優遇措置を講じ、かつ早期に交付せられたいというのであります。第七に、被害農家に対し所得税の減免措置を講ずること。第八に、地方交付税交付金の増額を行なうこと。これは、今回のひょう害により、県及び市町村の税収入に影響を与え、かつ天災融資法による農家借入金に対する県及び市町村の利子補給費の増加並びに被害の応急対策の指導、助成等の財源需要の増加等が見込まれるので、交付金については特段の配慮を願いたいというのであります。以上が今回の栃木県下におけるひょう害の状況及びその対策並びに要望事項であります。われわれは、現地調査に参り、その被害の実情が想像以上に甚大なるものがあると認め、要望せられました事項についてはいずれもこれが実現を期することが適当と認められますので、本委員会においてはこれが取り扱いの善処方を要請して、私の報告を終わる次第であります。次に、第二班、本名武君に報告をお願いいたします。

本名武自由民主党

○本名委員 第二班の調査報告を申し上げます。第二班の派遣地は福島、茨域の二具で、派遣委員は私と八木委員でありまして、六月十日、十一日の両日、福島、茨城の順序で両県の被害状況を調査いたして参りました。まず福島県の被害状況を申し上げます。福島県におきましては、六月六日、須賀川市周辺では午後零時ごろから約二十分ないし三十分間、そして茨城県に近い東白川郡付近では午後四時四十分ごろから三十分ないし三十分にわたり、雷鳴を伴って十円硬貨大の降ひょうがあり、収穫直前の麦類及び菜種、生育中の果実類、桑、蔬菜類及び移植後間もない葉タバコ、水稲等に多大の被害をもたらしたのであります。県からの報告によりますと、被害面積約五千七百ヘクタール、被害総額約三億一千万円程度と推定されておりまして、そのうち最も被害の大きいのは果実類で、約八千五百万円、次いで水稲の七千七百万円、麦類の六千七百万円、タバコ、ホップ、コンニャク等工芸作物の約四千四百万円、菜種千五百万円、バレイショ一千万円、蔬菜類二百万円、桑五十四万円等となっております。被害地は、須賀川市、岩瀬村、鏡石村、大東村、古殿町、平田村、石川町、玉川村、棚倉町、矢祭村、塙町、鮫川村及び小野町の十三市町村にわたっております。私たちは、県下で被害が最も激甚でありました須賀川市付近を初めとして、石川郡大東村、東白川郡塙町、棚倉町、鮫川村、矢祭村等の被害現地において、果樹、蔬菜、葉タバコ、水稲等の農作物の被害状況を調査いたしたのでありますが、ナシ、桃、リンゴ、ブドウ等の被害が特に目立ち、これら果樹は、果実の損傷によって本年の収入が激減したばかりでなく、その枝葉が激しく痛めつけられたため来年以降の収穫にも大きく関係するので、果樹栽培農家への影響はきわめて深刻なものがあります。また、収穫期にある麦類は脱粒がはなはだしく晩生種も、外観は青色を呈しておりましても、折損、倒伏がはなはだしく、これまた多大の減収が見込まれております。その他、移植直後の水稲、収穫期の菜種、葉タバコ、蔬菜類等にも甚大なる被害をこうむっておりまして、その状況はお手元に回覧いたしました被害写真をごらんいただきますれば被害の実態を御推察いただけることと思います。以上福島県の被害概況を申し上げましたが、次に茨城県の被害状況を申し上げます。茨城県では、六月六日午後四時ころから六時四十分ころにかけて雷鳴を伴った降ひょうがあり、それがため県北及び県西の一部において農作物に多大の被害が発生したのであります。県の報告によりますと、被害農家数は八千六百余戸、被害面積三千六百二十ヘクタール、農作物の被害金額約二億三千七百万円とされており、福島県と同様に、収穫直前の麦類、生育中のタバコ、蔬菜類、菜種、バレイショ、陸稲、果樹等が多大の被害をこうむっておりますが、特に本県では蔬菜類の被害額が農作物の総被害額の約半分に相当し一億一千七百万円に上っていることが特徴であります。また、本県は葉タバコの主要産地でありますだけに、その被害が蔬菜に次いで五千万円以上に上っております。被害地域は、友部町、笠間市、七会村、岩間町、茨城町、内原村、御前山村、大子町、鉾田町、旭村、古河市及び総和村の十二市町村にわたっておりますが、特に、友部町は、農作物被害約八千三百万円に上り、最も激甚な被害を受けております。また、今回の被災地帯の大半は昨年の六月四日にも降ひょうがあり、総額四億円以上に上る被害を受けており、相次ぐ災害で農家経済の窮乏はことのほか憂慮されるものがあるのであります。私たちは、茨城県では今回の被害の中心地である友部町を中心に被害現地の調査を行なったのでありますが、当地方の降ひょうの粒は実に直径五ないし六センチ以上で、ピースの外箱大ないし人のこぶし程度の大きさのものもあり、中心部においては数名の負傷者を出したほか、トタン板をも打ち抜き、屋根がわらやガラス窓をも破壊したほどでありますから、農作物への影響も多言を要しないところでありまして、これまた回覧の被害写真をごらんいただきたいと思います。ただ、今年の降ひょうは、昨年に比して、風を伴わなかったこと、面積が比較的狭かったこと、降ひょう時間が割合に短かったこと等のため被害金額が前年より少なかったようでありまして、この点一応不幸中の幸いと申せましょうが、被害農家の痛手にはかわりないわけであります。以上両県の被害状況について簡単に申し上げましたが、両県とも、被守発生と同時に県独自の立場において応急対策を検討し、被害農家が一刻も早く再起できるよう全力を傾注しておりましたが、同時に、国に対し次の諸事項を早急に実現されたい旨切に要望いたしておりました。すなわち  一、天災融資法を発動して被害農家に対し営農資金の貸付と既貸付営農資金の償還延期措置。  二、自作農維持創設資金の増額融資と即と貸付者に対する償還延期の措置。  三、被害農作物の樹勢回復並びに再生産資材の購入費に対する助成措置。  四、ひょう害対策特別指導費に対する助成措置。  五、被災農家に対する所得税の減免措置。  六、特別交付税の交付。  また、被災農民も、ぼう然自失のうちからようやく再起の決意を新たにするとともに、われわれの差し伸べる救済の手に多大の期待を寄せているようでありました。もとより、降ひょうは、事前に全く予測することができ得ないばかりか、あらかじめ何らかの予防対策をも講ずることのできないものであり、文字通り不慮不測の天災であるだけに、被災農民はまことに気の毒と申すべき七ありまして、なるほど今回の被害額は国全体としてはそれほど多大のものではありませんが、ひょう害の特性から被害地は局地的に集中されており、かてて加えて、今回の被害において、福島県では果実類が、そしてまた茨城県では蔬菜類がそれぞれ筆頭となっており、いわゆる非共済農作物の被害が大きいことに思いをいたすとき、国といたしましても前述程度の要望については早急にこれを実現してやるべきとの感を深くいたした次第であります。また、わが国の葉タバコの主要生産地帯がたまたま降ひょうの常襲地帯に所在するため、将来においてもまた同様の被害の発生が当然予想されるところでありますので、この際、たばこ専売法を強化して、専売公社が被害タバコ耕作者に対し支払う補償金の補償率の引き上げ及びたばこ耕作組合連合会が行なっている共済事業について、再検討すべきではないかとの念を抱くとともに、さらに、わが国農業の展開方向における果樹農業の重要性に思いをいたすとき、かねてから課題となっている果樹に対する共済制度についてもこの際真剣に考究すべきであると痛感いたしましたことを申し上げて、報告を終わります。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 ただいま派遣委員の報告を聴取いたしました。降ひょう等による農作物被害に関する政府の対策につきましては後刻説明を求むことといたします。暫時休憩いたします。午後、零時一十分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を聞くに至らなかった〕

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