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34回国会衆議院1960/02/18

農林水産委員会 第4号

発言数
85
登壇者
6
会派数
2
開催日
1960/02/18

会議録

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  農林大臣の所信表明に対し質疑の通告があります。この際これを許します。倉成正君。

倉成正自由民主党

○倉成委員 昨日の質疑に引き続いて農林大臣にお尋ね申し上げたいと思いますが、昨日の農林大臣の御答弁で、農業生産を大体年率三%程度上げてゆき、年間二%の就業人口を減らして参りますと、十年間に大ざっぱに三百万人程度の就業人口の減少が見込まれる、従いまして、農林業の生産は大体所得生産が現在の二倍程度になるのじゃないかというようなお話であったようでございます。これはもちろん試算でございますからこまかい点をいろいろ私この際申し上げようとは思いませんけれども、こういった考え方をする場合に、やはりこれは、希望的な観測ではなくして、少なくとも行政の衝に当たる人は、これに対する財政投融資の裏づけをし、また、福山大臣は近来にない名大臣と思いますけれども、いつまでも農林大臣をやられるわけではございませんから、かりに大臣が交代いたしましてもこの施策が遂行されていくという保証がなければ、大臣のお話も、これは私どもまともに受け取るわけには参らないわけであります。こういう点について、どの程度の財政投融資をこれにお考えになっておるか、これに自信があるか、また、大臣が御交代になってもこれを推進していくだけの体制を政府部内において十分お話し合いの上でそういうお考えを言われておるのかどうか、単なる大臣の思いつきであるかどうかという点を一つ明らかにしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 私が昨日申し述べましたことは、これは、所得倍増計画という計画はできておりませんけれども、その構想に沿っておる考え方なのです。所得倍増という問題は、倍増自体は実はそうむずかしい問題ではない。これも非常に努力は要しますけれども、一番むずかしい問題は、倍増の内容において一体国民格階層の均衡のとれた姿というものが実現できるか、こういうことにあるわけであります。すなわち、政府の今後の経済政策全体がさような均衡をとりながらその発展を実現していくということにあるわけであります。この考え方は私一人の考え方ではありません。政府全体がこれから所得倍増計画というものと取り組むわけでございます。その取り組んでいく中心題目は均衡の力調整というところにあるというわけでございますから、これはだれがその衝に当たりましても変わりのない長期的な考え方である、かように御承知願いたいと思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの御答弁には、実は私の申し上げた質問は明らかでないわけであります。これから先どのくらいの農業の成長率を考えて人口をほかに流出さしていくかということは、やはりこれにふさわしい財政投融資——財政投融資だけではこれはできない問題でありますが、少なくとも行政当局の責任者としては、財政投融資の額を大まかでけっこうですから考えていく、過去十年の農業に対する投資、農業基盤の育成の投資、こういったものと勘案して、これから先どういう角度で、またどういうバランスをもってやるかということを明らかにしないと、実際の施策ができてこないと思います。  しかし、この問題は十分御検討中ということでありますからおくといたしまして、今後のそういった施策の保証の問題、少なくとも劣勢産業である農業にほんとうに所得倍増の中で均衡を得せしめるためには、大臣がかわりましても政府がかわりましてもこれを必ず遂行していくという一つの基本的な柱が立てられなければなりません。これが私どもが日ごろから熱望しておりますいわゆる農業基本法の考え方でございます。こういった農業基本法については、昨日、大臣は、農業基本問題調査会の結論を待って考えたいというお話でございましたが、福田農林大臣としては農業共本法についてはどういうお考えでしょうか、やりたいとお考えになりますかどうか、お伺いいたします。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 農業政策の問題として政策のあり方を法律化するという考え方は、各国におきましても、その態様は若干違いまするが、そういう方向をとっている国があるわけです。私自身の考え方とすれば、法律を作ること自体はそうむずかしい問題でもないことでございまして、問題は、農業の今後のあり方に関する基本政策をどういうふうにするか、すなわち、所得倍増というような政策の裏づけとしての施策をどのように持っていくかというところにあるわけでございます。政府の今の立場というものは、もう農業基本法のようなものを乗り越えて、その底に横たわる困難なる基本政策自体に取り組んでおる、こういう段階なんです。でありますから、基本政策をやっていく上において法制的な必要があるということであれば、もちろんこれはそういうことをするにやぶさかではございませんし、さように考えておりまするが、問題は基本政策にある、こういう認識をもってただいま農業基本政策に取り組んでおる、かように御理解願いたいと思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 農業基本法の問題についてはそれではこの程度にいたしたいと思いますが、所得倍増の問題に関連して一点非常に重要な問題が残っておるわけであります。かりに農業所得が十年後に二倍になる、——これは相当困難な条件があるわけでありますが、かりに大臣のお考え通りに二倍になったといたしましても、今日農業所得と他の産業の所得との較差が、昭和三十三年の農林省の資料によりましても一〇〇対二九・五という較差があり、この較差は、かりに農業所得が二倍になりましても依然として残る。そうなりますと、基本問題調査会のそもそもの出発点であります農業と他産業との較差をなくする一つの大きな出発点が全然解決されないということになって参ります。この点についてはどういうお考えと施策をお持ちか、承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 今、農業所得、また農家所得という問題をどういうふうにするかということは非常に困難であり努力を要する問題でございます。さしあたり所得倍増計画というものが一方において進んでおりますから、これとの権衡を考えなければならぬということを申し上げておるわけでございます。しかし、お話の通り、その根元において問題があるわけであります。その根元を一体どういうふうに考えるかという点になりますると、農家と他の非農業産業の従事者と比べる場合に、非農業従事者のいかなる階層と比べるかというような困難な問題もあるわけであります。さようなことを考えながらいろいろ施策を進めていかなければならぬということだと思いますが、もちろん、所得倍増計画完成後においてというか、さらにそういう問題が是正されるような政策が引き続いてとられなければならぬ、かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 農家の所得を他の産業のどの階層と比べるかという問題、これが非常に大事な問題だということは、私も大臣の御意見通りだと思います。しかし、聞くところによりますと、大体小規模の業者の所得と比べてまあバランスを得せしめようという考え方がかなり支配的であり、それ以外にはやりようがないのだという考え方があるやに聞いております。これはもちろん積極的な農政を標傍される農林大臣のお考えではないと思いますが、少なくとも農政の担当者としましては、所得の較差をなくする、それも他の産業で一番下積みにある産業とバランスを得せしめるというようなことで十年後に農業生産が二倍になったときに満足するということでありますならば、少なくとも国民の四割に近い就業人口を占めております農民は満足しないと思います。従って、別当困難がありいろいろな問題が横たわっておりますけれども、ここで相当の勇気と新しい政策をもって農業問題に取り組んでいかなければならないというところに今日の農業の基本的な問題があると思いますから、この点についてはさらに十分な御検討をいただきたいと思います。単なる事務的な積み上げであるとかいうことではなくして、もっと抜本的基本的な考え方の方向を定めていただきたいと希望するものでございます。  引き続いて、私は、今日の農村の問題は、単に価格政策、補助金政策による所得の確保ということではなくして、農業の基本的な構造を改変することによって、長期的な視野に基づいて農業問題を解決しなければならない、こういう立場をとっておられます農林大臣に同感でございますけれども、そのためには、今日までの農業政策の推進に当たって参りました諸制度、具体的に申しますならば農林省の機構そのものも非常に問題があるし、そのほか、農地法、食管法、農業災害補償法、農業協同組合を含めました農業諸団体、あるいは農業金融制度、どれをとりましても、すでに硬百性を示しておりまして、再検討すべき段階に来ておると思うのでございます。これらの問題は非常に多くの問題を含んでおりますから、ここで一々お伺いするわけには参りませんけれども、要点だけ私が質問申し上げたいと思いますので、簡潔に結論だけでけっこうですからお答えいただきたいと思います。  第一点は、食管制度について、米麦の統制を今後少なくともどのくらいお続けになる御意思があるかというのが第一点であります。これは、現地の米屋さんその他非常に不安を持って、もう統制ははずれるんだからほかの物資をたくさん扱おうというような動きのあることも御承知の通りでございます。  それから、第二点は農地法の問題でありますけれども、農地の所有の限度が三町歩という線で押えられておりますけれども、この農地法の今日の制度についてさらに所有限度を引き上げていくかどうかという問題、これと関連して、大臣の御所管でありませんけれども、農地の均分相続の制度が零細農家を作るゆえんのものになっておりますが、これをどういうふうにお考えになるかというのが第、一点であります。  それから、第三点は、今日、百十億以上の多額の国費、農林予算の一割を占めております農業災害補償制度が非常に、評判が悪い。これを任意制度に切りかえていく御意思があるかどうかというのが第三点。  第四点は、現在の農業団体のあり方、ほんとうに農業団体が農民の利益を代表し、ほんとうに今日の転換期にある農業の革命に役立つような体制にあるかどうかということ。  こういうことについて率直なる御意見をまずお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 食糧管理制度につきましては、私は、これの大幅な修正だとかあるいは廃止だとか、さようなことは考えておりません。  それから、農地法の問題につきましては、これはいずれお話のようにその三町歩の限度をどうするかというような問題が出てくる時期があると思います。それは、私が先ほど来申し上げておりますように、農業経営の合理化、機械化、近代化というものが進みますれば、少数の労力をもってより多くの収益をあげるという事態が出てくるわけであります。そこに過剰労働の移動という問題が起こってくるわけでございますから、さようなものとも関連いたしましてこの問題が出てくる可能性はあると思いますが、ただいまのところ三町歩という制限も変更する意思は持っておりません。ただ、三町歩という各個人々々の農地保有を前提といたしまして、これを近代化、合理化という線で使用するという面につきましては考えていく必要がある、さようなことで、農業法人問題というものをただいま私どもは検討いたしております。  それから、災害補償法につきまして任意制を採用する考えがあるかどうかというお話でございますが、これはただいま検討いたしております。私は、任意制という要素をこの改正に織り込むという考え方、これは一つの有力なる考え方である、かような考え方を持っております。しかし、まだ結論を得ている次第ではございません。  それから、農業団体につきましては、農業が曲がりかどに来て、これからどういう道を行こうかという新しい歴史的段階に立ち至っておりますので、農業団体の使命、地位というものがきわめて重大になっておるというふうに思うわけであります。その問題は、私どもも、さような角度から、基本問題調査会等においても御検討を願い、また、われわれとしても考えていかなければならぬし、団体自体におきましても御検討を願わなければならぬ問題である、かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 いろいろ大臣の御答弁がございましたが、これらの制度と関連いたしまして、農業の構造を変えて参りました場合の最終的な目標というものを端的に申すならば、農家の理想像、つまり、どういうふうな農家がどの程度日本の農業の中で農業生産に従事するかということが明らかにされなければ、少なくとも政策というのは具体的になってこないわけであります。従いまして、この構想を実は大臣に明らかにしていただきたいのでありますけれども、これも非常にむずかしい問題でありますから、十分今後御検討をいただくことにいたしまして、基本的な考え方だけ一点明らかにしていただきたいと思いますが、今日の農家は、相当生産能率が悪くて、非常に問題があるにかかわらず、これをカバーしておるのは、いわゆる兼業収入であります。すなわち、農産物の価格維持制度をべースとすれば、農家が自衛的に兼業という形において農家所得を維持していく、これが農業の低位生産の問題を案外切実な問題にしていないというふうに私は理解しておるのでありますが、今後日本農業の推進を進めていく場合に、農業生産の中核をなすべき中農層、すなわち農業生産を中心にしてその所得を維持していくという階層を積極的に伸ばしていくものか、あるいは、現在六割五分の農家が兼業によって所得を維持しておりますが、並立してこの兼業というものを農家の経営の中にも取り入れて、そうして農家所得をとにかく維持して一般の生活水準を維持していくようにしよう、こういう考え方、二通りあると思います。これは一律に刷り切ることはできないかもしれませんが、どちらに重点を置いてお考えになっておるかということをお尋ねを申し上げたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 お話の通り、兼業収入農家を中心にした農政にするか、あるいは農業を中心にした農家を中心にすべきかという点につきましては、これは一がいには言えないと思うのです。特に、これは地域々々によりまして特性がありますので、相当込み入った考え方になるだろう、また、それでそういう込み入った考え方をとっているのじゃあるまいかというふうに考えます。さようなことでございますが、しかし、まあ何をおきましても、農業を中心にする農家のための施策ということが農政としては重点が置かれるべきものである、かように考えておる次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 農業の基本政策につきましては、私は、具体的な次の問題がありますから、この程度にいたしておきたいと思いますけれども、特に大臣にお願いしておきたいのは、政策は、やはり具体的な端的な、だれにもわかるような目標を掲げるということが一番大事だと思います。抽象的な希望的なものを掲げるのでは、私は、農民が本気になってエネルギーを結集してこれについてこない、こう思いますので、その点を特にお願い申し上げたいと思います。  そこで、農業基盤整備ということを非常に強く大臣は申されておるのでありますが、愛知用水公団もいよいよ昭和三十五年度にはこの事業が終了することになりますし、この事業が終了いたしますと、この公団に働いておられる技術者が今後一体どうなるのかということが一つの問題でありますし、また、長崎の大干拓その他多くの事業が今後控えておるわけでありますが、この愛知用水公団の技術陣容を今後どのように活用していく所存であるか、こういう点を一つお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 お話のように、愛知用水公団の事業は来年の春にはおおむね終了するということに相なるわけであります。しかしながら、その完成後におきまして、国で維持管理ということをしなければならない、その機構をどうするかという問題があるのです。愛知公団の建設に従事しました方々は特別の知識を持っておるわけでありますから、その人々の一部がこの管理機構に参加するということは当然考えられることであります。しからば、その残った方々はどうするかというと、これも愛知用水の建設事業に農林省といたしましても各界といたしましても精鋭を出してこれに当たってもらっておるような次席でございまして、これらの技術というものは非常にとうといものであるというふうに考えておるわけであります。このワン・セットと申しましては語弊があるかもしれませんが、一つの技術団というものが散らばってしまうということは国家的に見ていかがであろうかというふうにも考えておりまして、何とかこれを生かして、そうして他の建設に活動できるという体制を作り上げよう、かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 次に、果樹振興についてお尋ねを申し上げたいと思います。今日の農業は主穀農業を中心としておるのでありますが、この主穀農業がだんだん商品的な作物である果樹・畜産に移行して参っておることは御承知の通りでございます。ところが、この農産物のうちの主穀を中心とする七割程度のものが価格維持制度のもとにある。これから伸びて参ろうとする果樹・畜産等についてはほとんど政府の施策がこれに顧みられていない。産業で申しますならば、政府の保護を受けないで成長した産業が紡績業であり、農業の中では果樹産業というというのがほとんど政府の助成なくして今日まで伸びてきた産業の一つであると私は考えておるわけでありますが、だんだん経済の成長と所得の向上に伴って果樹に対する需要が非常に増大する傾向があることも大臣御承知の通りでございます。特に、日本のように自然条件に恵まれ、種類の多い果樹を作ることのできる地域においては、果樹振興こそ日本農業の大きな支柱になると確信いたすものであります。この点につきましては、従来顧みられることのなかった果樹政策に対して、福田農林大臣になりまして、果樹に対する新しい立法、また予算の措置、あるいは農林省の機構改革等、積極的な意欲をお示しになっておる点については満腔の賛意をもってその大臣の今後の施策に期待するものでございます。しかしながら、果樹振興のため一番大事なことの一つは、将来の需要について正しい見通しを持つということであると思うのであります。もしこれを誤るならば、一例をあげて恐縮でありますが、今日の青森のリンゴの例をあげますと、ことしの一月に持ち越しました青森のリンゴは千四百六十万箱、総生産の二千八百二十万箱のうち千四百六十万箱をことしに持ち越して、この販路と輸送の問題に非常に苦しんでおる。生産旋風は、せっかくリンゴをこれだけ生産したけれども、今後どうしたらよいかという問題に片しんでおる状態であります。また、この趨勢は、将来長野県その他のリンゴの生産が伸びて参りますと、ますます激化してくる傾向にございます。これはひとりリンゴだけではなくて、柑橘その他の作物についても言われることでございまして、この需要をどういうふうに将来見通していくか、地域々々の各府県あたりの自主性にまかして年産をやらしたならば、五年後、十年後には非常な混乱を生じてくるというふうに思うのであります。この点についてどのような用意があるか、まず承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 お話のような点は、私ども非常に心配しておるのです。農家は、日本におきましてはきわめて零細なものが多数あるわけでございますから、どういう品物が高く売れるということになりますると、みな一斉にばらばらにそれをやるというような傾向があるのです。今後新しい段階として果樹を育てていかなければならぬ、果樹にそういうことが起こっては大へんであるというふうに考えまして、今回果樹振興法を国会で御審議を願うことにいたしておりまするが、その振興法を出したゆえんの一つもそこにあるのです。すなわち、その振興法によりまして果樹農業振興審議会というようなものを設けまして、そうして需給につきまして民間等の知識も入れまして誤りない判断を立てて、それをまた的確に農家の方へも流して、需給関係についてそうそごのない行き方でやっていきたい、かように考えておる次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 需給の問題につきましては非常に大事な問題でございますから、大臣の御答弁通り今後慎重に御検討をいただきたいと思います。  次に、貿易の自由化に伴いまして、通産省において五百万ドルのワクを設定して自由にいろいろな物資を入れるということで申請を求めましたところ、約七千万ドルの申請があり、そのうちの三七%が果樹関係の品目であったというふうに私ども通産省の資料から承知いたしておるのでございます。こうなって参りますと、せっかくこれから十年の間に二倍以上伸びて参ります果樹の生産ということが、いろいろな面において外国の果樹農業と競争関係に立っていって、せっかく出だした芽がつまれるということになってくるわけでありますので、この点についてどういうふうな施策をお考えになっておるか、承りたいと存じます。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 私、ただいま御指摘の点につきましては実はまだ報告を受けておらないのでございます。しかし、これは私あるいは考え違いがあるかもしれませんが、果樹などはむしろ日本の輸出品といたしまして有力に海外と太刀打ちできる産業ではあるまいかというふうに考えておる次第でございます。相互に貿易が自由になるというようなことになれば、むしろ果樹なんかが日本の農業に裨益するところが逆に多いのではあるまいかというふうに考えておりましたが、なお、間違いがあってはいけませんから、よく検討いたしまして善処いたします。

倉成正自由民主党

○倉成委員 専門家の大臣に申し上げるまでもありませんが、ただいまの申請の中では、サンキストが十八キロCIFで五ドル、オレンジ・ジュースが三ドル六十六セント、パイン・ジュースが三ドル二十八セント。いずれも、今日、そのままの姿で入って参りますならば、日本のこういった産業は非常な打撃を受ける価格であります。従って、今日では私は太刀打ちできないというふうに考えるわけですから、この点については十分慎重に御研究と御検討をいただきたいと思います。  次に、果樹の問題では、いろいろ問題がございますけれども、試験研究機関の問題。まず大臣にお尋ねしたいのは、今後大いに伸びていくと予想されます柑橘の問題でありますが、興津の園芸試験場を農林大臣は御視察になったことがあるかどうか、まず伺いたい。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 どうも……。

倉成正自由民主党

○倉成委員 興津の園芸試験場は、柑橘栽培の農家にとっては日本のメッカである。ここに日本の柑橘のいろいろな技術者が集まりまして、ここの試験場の教育を受けて各地に帰るというのが実情であります。私、この試験場を視察しまして非常に驚いたことでありますけれども、本館は幸いにして大臣の御英断によりましてことし小規模でありますが新しくなろうとしておりますが、しかし、私は、この興津の試験場の本館が明治時代の建物であるとかそういうことを申し上げているのではなくして、果樹の栽培にとっての中心的な問題である病害虫の問題、あるいは化学の試験室、こういうところを見まして、まことに驚いたのでございます。地方の一府県の試験場でも、この興津の試験場の化学実験室、あるいは病害虫の試験室よりもはるかにりっぱであります。こういうことで今後の果樹振興をやっていこうと考えましても、これはなかなかむずかしい。果樹の栽培、その振興ということは、単に法律を作ったり予算をこれにつけるということではなくして、果樹の栽培技術者を養成して、ほんとうに果樹を育て上げていく人を作っていく、またその技術を用いていくということが果樹振興の中心課題になるわけであります。そういった意味において、今私は興津の試験場を一例としてあげましたけれども、その他の試験研究施設を私つぶさに見ておりますけれども、いろいろな問題があるわけでありますから、これらの点について一つ十分御検討をいただきまして、大臣の施策を進めていただきたいことを特に希望申し上げたいと思います。  それから、果樹についてもう一点だけ恐縮でありますが申し上げたいのは、果樹を指導する団体、これは農林委員長の御出身であります長野県で非常に問題が出ておるわけでありますが、果樹の指導団体に対する農林省の方針と申しますか、やはりこれをある程度確立するということが必要である。これはいろいろな意味において非常にむずかしいことと思いますが、この点についても、ここで御答弁を求めませんけれども、一つ御検討をいただきたいと思います。  畜産の問題がありますけれども、時間がありませんから、開拓の問題について次にお尋ねを申し上げたいと存じます。  大臣のお考えについてお尋ね申し上げたい点は後ほど開拓関係の法案が提出された際に評しくお尋ねいたしたいと思いますが、特にこの際福田農林大臣にお尋ねしたい点は、開拓政策の基本的な考え方でございます。この基本的な考え方をいかに考えるかということによって今、後の開拓行政、あるいは開拓関係の法律の改正等についての心がまえがきまってくると思います。終戦直後から今日までの開拓政策の中心は、御承知のように、人口収容力の増大と食糧増産という問題が非常に大きな柱となっておったと記憶いたしておるのであります。しかし、今日は、御承知のように、食糧の需給関係もある程度緩和して参りました。人口の収容度という問題から考えましても比較的開拓のウエートというのが少なくなってきた。この際開拓を推進していくということになりますと、ここにやはり基本的な考え方を確立しなければ、何か開拓は非常に金のかかる厄介なものだというような考え方になってくるわけでありますから、この際一つ開拓政策の基本的な考え方を明らかにしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 開拓の考え方につきましては、終戦直後と今日とでは考え方が相当変わってきておるし、また、変えて考えなければならぬというふうに考えておる次第でございます。今日は、私どもは、開拓行政というものの重点は、一つは、やはり日本の国は非常に狭い、その狭い国土を最高度の能率を発揮するためにはどういうふうにすべきかという角度から、国土の開発というような意味をもちまして考えるべきものであるというふうに考えるわけです。それから、もう一つは、開拓をいたしましたあとの入植者の営農安定という問題でございます。新規に入植をする人が安定することはもちろんでございますが、過去に不安定な形で入植した者までを含めまして安定対策というものをとらなければならぬ、こういうことでございます。この二つのことが考え方といいますれば中心になっていくべきものである、かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 実はただいまの御答弁では開拓政策を今日いろいろ困難な条件の中でどうして推進していくかというお考えは必ずしも明確ではありません。もちろん大臣はいろいろ頭の中でお考えになっておって、その表現において言葉が足らない点があるのではないかと考えるわけでありますけれども、私は、やはり、開拓政策を進めて参りますのは、今大臣もおっしゃったように、国土の総合開発という面から農地を開発し、同時に、これが単なる農業生産を中心とする開発ということだけではなくて、二次、三次の効果をねらって、また、農業の面でも、新しい、部落やあるいはいろいろな慣習にとらわれない地域に土地を開いていくわけでありますから、ここに新しい営農方式を確立しまして、これから日本農業の一つの芽を出していこう、こういう考え方も一つの考えの中心ではないかと考えておるわけであります。  そこで、私は、この開拓政策の基本的な問題と関連をいたしまして、当面している問題で二点だけお尋ねしたいと思いますが、上北、根釧あるいは長崎県の西彼杵地方の大規模の開拓等についてはかなりの予算を投じ今後の新しい営農方式ということが考えられておるわけでありますけれども、既入植者と新しく入植すべき人との生活の較差ということがいろいろ出てくるわけであります。従って、少なくとも政策の目標としては、既入植者の所得の目標と新しく入植される方の所得の目標というものは同一であるべきだと私は考えますけれども、大臣はいかがお考えでございますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 私もさように考えます。しかしながら、これを一挙にイコールというふうには、これはなかなか土地の環境等があってやって参れません。そこで、私どもも、逐次段階的にそういうものを実現しなければならぬと考えまして、三十五年度の予算におきましていわゆる間引き政策というようなことを考える、また、さらに、今まで負債で非常に苦しんでおる、そういう者の負債の条件緩和をはかるとか、あるいは既入植地に特にいわゆる環境整備のための建設事業をやるとか、各種の施策を講じまして、逐次お話のようなところを実現するようにいたしたい、かように考えておるわけであります。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま大臣の御指摘の通り、一ぺんにこれを、今まで悪い条件のところに入った入植者をよくするということは非常に困難なことでありますから、これを逐次改良していくということは、おっしゃる通りと思います。しかし、少なくとも、新しく入る方とこれまで入った方の目標は、その時間の問題は別としましても、同一の目標を立てて  いくべきだということを私考えております。また大臣もそのようなお考えであったと理解するわけであります。  そこで、もう一点、この入植者の所得目標と一般農家の所得の問題でございますが、たとえば、開拓地の災害等の問題を大蔵省あたりといろいろ検討しますときに、何も一般農家にはそれだけの制度はないのだから、開拓にはそう厚くする必要はないじゃないかというような議論がよく行なわれるわけであります。私は、端的に申しますならば、開拓政策の基本的な考え方を先ほど私が申し上げましたような議論でいたしますならば、新しく人値する方の所得目標は、少なくとも一般農家の平均所得目標よりも高くてもいいんじゃないか、それだけの意欲を持って開拓政策は推進していくべきじゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、この点について大臣のお考えを承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 まあ、新しい土地を開発しまして、そこに移住しようというのでございますから、私は、これが一般の水準よりももっと高い水準の所得が得られるというくらいのことを考えてやるべきであるというふうに考えます。しかしながら、そこまでにいく過程におきましてはなかなか困難もある次第でございます。並み大ていではなかろうし、しかもその期間も相当続くというわけでございますが、しかし、先には明るい見通しを持ってその困難に耐えるのだという態勢で開拓は進めなければならぬというふうに考えます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 私は、開拓政策の推進には、ほんとうに意欲を持ってやらなければ今後の困難な条件を克服できないと思いますから、これらの点については、強い意欲を大臣がお示しいただきまして、いろいろな困難があることは十分承知しておりますけれども、その旗じるしのもとでお進めいただくことをお願い申し上げるわけであります。  その他いろいろ問題はございますが、同僚議員の時間をとって恐縮でありますから、畜産について一つだけお尋ねしたいと思いますが、欧米のごとく耕地が非常に多い地域の場合には飼料畑として利用できる面積が非常に多いわけであります。しかし、今後日本の農業の中心になって参ります畜産につきましては、その飼料の面で非常に大きな困難に逢着するわけでございまして、その場合に、牧に地を集約的に利用する方法と、それから、今日の米麦を中心として作っております水田の裏作利用、水田酪農としてこれを利用するという方法と、二通りの考え方があると思いますけれども、この点についてどういうふうなお考えで、将来の畜産、特に飼料の問題を解決していこうとお考えなのか、承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 畜産が非常に今後の日本農業として重要であり、かつ前途ある将来を持っておるということにつきましては、お話の通りでございます。それで、先だつものはお話の通り飼料でございまするが、その飼料を裏作としてやるのか、それを専門な草地として開拓するのかということにつきましては、それぞれ適地、不適地というものがあるのではあるまいかというふうに考えておる次第でございます。そういう点は私もあまり評しくは存じませんが、しかし、一般的な議論といたしますと、今後草地の造成というようなことを、ただいまお話しのような問題までも含めまして大いに進めていかなければならぬ。今までとかく米の増産というものと緊密不可分な関係に観念をされがちでありました。食糧増産対策費というものを今度農業基盤整備費というものに改めましたが、これなんかも、草地ということも非常に大きな問題として今後取り上ぐべきものであるという思想的な関係の一環なんであります。さよう御理解を願いたいと思います。

倉成正自由民主党

○倉成委員 私の竹岡を終わるにあたりまして、大臣に特に御要望申しあげたいことがございます。今日の農業の転換期にあたりまして、農政の最高指導者であります福田農林大臣は、今後勇気をもって、また積極的に施策を推進していただきたいと思うのであります。今日の農政は、単に予算の額が総予算の中で何%であるとか、そういった末節的なことではなくして、現実の農村の中に上からの指導を待たずにいろいろと工夫された事例があるのでございます。一例をあげるならば、農業法人の問題も、決して農林省が指導してできたものではなくして、現実の農民がやむにやまれずにこの農業法人というような問題を打ち出して参ったのでございます。せっかく現実の農民がいろいろやろうとしましても、金融上の制約、制度上の制約で、もうちょっとした、大臣からごらんになればごくわずかなささたることによってそれらの夢が実況できないというのが現実の農村の姿でございます。わが国の農業の基本問題は、単に机の上で考えた、あるいは学者が頭の中で描かんとするものをもってこれを解決することはできないのであります。汗にまみれて自然と取り組んでおる現実の農民の中から生まれてくる。すなわち、現実の中にこそ政策の新しい萌芽があることを銘記していただきたいと思うのであります。  これをもって私の質問を終わります。(拍手)      ————◇—————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、農業法人等に関する調査小委員会、甘味資源に関する調査小委員会、水産に関する調査小委員会及び農業共済に関する調査小委員会の四小委員会を設置することとし、小委員の員数、小委員及び小委員長の選任等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。  なお、小委員の辞任及び補欠選任、並びに、小委員会において参考人の出頭を求める場合、その日時、人選、また、関係方面からの資料の要求等につきましても、委員長に御一任願いたいと存じます。  以上について御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、以上の各小委員会の員数、小委員及び小委員長は公報をもって指名いたします。      ————◇—————

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 質疑を続行いたします。西村関一君。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 ただいま倉成委員から農林漁業基本政策についていろいろ具体的な質問がございました。私の質問も多少倉成委員の質問と重複する点があるかと思いますが、大臣の御答弁に満足しない点がございますから、お許しを願いたいと思うのであります。  まず第一は、貿易・為替の自由化の問題と日本農業の問題でございますが、これは倉成委員も御指摘になりましたように非常に重大な問題でございまして、日本の農民はあげてこの成り行きを注視しているのであります。国際的に農産物の過剰生産下にありまして、その過剰農産物がどっと日本に押し寄せて参りまするときには、日本の農民の汗とあぶらの結晶でありますところの農産物の価格その他に甚大な影響を及ぼすということは、これはもう言うまでもないところでございまして、これに対する十分な施策が講ぜられて、その成績が顕著でありました場合においてのみ、初めてこの自由化ということが考えられるのだと思うのでございます。ところが、今政府において考えておられるところの自由化の場合におきましては、この日本農業の問題が割合に軽視されておる、むしろ困却されておるというようなきらいがするのでございまして、現在の段階において自由化が行なわれまする場合におきましては、日本農業及び農民は、得るところの利点は少なく、むしろ多くの不利を招くということは、これはもう多くの識者の一様に認めておるところでございまして、こういう点につきまして、先ほどからも大臣の御答弁がございましたが、具体的に次の点をお伺いいたしたいと思うのでございます。  先般、昨年の暮れでありましたか、閣議におきまして、自由化の場合における農産物はどのようなものを取り上げるかというようなことが論ぜられたということを聞いておるのであります。その閣議の決定事項におきまして自由化の品目を決定せられたと伺っておるのであります。その中で日本農業に関係のあるところの品目を出して若干の検討を加えられたということを承っておるのでございますが、その内容をお示しいただきたいと思うのでございます。  次に、有沢広己氏ら学界・言論界など有力者六名からなるところの総合政策研究会から最近貿易・為替自由化への提案が各関係方面になされまして、大臣のところへもこれが参っておると思うのでございますが、一つの代表的な意見として、ここに述べられておりまするように、輸入為替の自由化の時期を三段階に分けて、四年後の三十八年度末には小麦や酪農製品などを除いて九五%まで輸入を自由化するということを目標にいたしておるのであります。この一つの代表的意見と考えられまする提案に対しまして大臣はどのようなお考えを持っておられるか、率直な御所見を承りたいと思うのでございます。  次に、第三点は、先般来取り上げられておりますところの大豆の問題でございますが、本日の新聞を見ますると、たしか日経であったと思いますが、製油業者が、輸入大豆に対して課徴金を徴収するということは反対だ、日本大豆は使わないというようなことをきめているようでございます。また、しょうゆを製造する業者におきましても同じような陳情が強く繰り返されておるようでございます。このような段階におきまして、先般自民党の農産物価格対策委員会におきまして食管会計の輸入大豆の課徴金徴収に反対を決議せられたと承っておるのでございますが、これは一体どういうことでございますか。これに対して大臣はこのことが適当な措置であるとお考えになるかどうか。これは、みそ、しょうゆ業界の圧力に属したのではないかというような疑念を、一般農民、特にこの大豆を作っておるところの農民は強く受け取っておると思うのでありまして、まさか農林大臣におかれましてはそういう業界の圧力に屈してこのような決定に同意をせられたというふうには思わないのでございますが、こういう点につきまして多くの疑問が持たれておると思いますので、大臣の御所見を承りたいと思うのでございます。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 お答えいたします。  まず、一般的な問題といたしまして、AA制採用によりまして農産物資が非常に重大な危機にさらされておるというようなお話でありますが、決して私どもはさような考え方をいたしておるのではありません。十分な対策をとり、そうして、それが実効をあげ得るというものに限ってこれを行なうということでございますので、農政の方々がこの問題でそう御心配なさる必要はないということをまず申し上げておきたいのであります。  それから、附議の方でというようなお話でございまするが、これは実は閣議でないのでございます。関係閣僚の自由化促進閣僚会議というものがありまして、そこでこの問題はいろいろと議論をされております。そこで、ことしの一月からAAにしようという問題が前から起こっておるわけでございまするが、その第一は、すでにAAになっておるけれどもドル地域に対する輸出だけは特例的に割当制を採用いたしておるものがあるわけでございまして、それが農林物資または通産物資合わせまして十品目あるわけでございますが、これを、段階を分けまして、一月、四月、十月というふうにして自由化していこうということがこの会議できめられておる次第でございます。  その方針に基づきまして、すでに、ラワン材、それからアバカ繊維、この二つは一月から自由にしております。ラワン材は国産は一つもありませんから、これの輸入を自由にいたしましても何ら実害はありません。むしろ、輸入を自由にすることによりまして、ラワン材の価格が安くなって一般国民にいい影響があるというふうに考えております。ただし、ラワン材の方は逆の事情があるわけでございまして、自由化して大いに輸入しようと思うやさき、輸入先であるフィリピンの方ではその原木がもうなくなってきたというので、むしろその品物が入ってこないおそれを今心配をいたしておるというような状況でございます。それから、アバカ繊維、——マニラ麻くずですね。これを一月から自由化したわけでございまするが、これはその一部が国産のミツマタと製紙原料として競合いたすわけでございます。ミツマタ産業の維持育成ということを考えてこれはきめなければならぬというので慎重に調査をいたしましたところ、ミツマタの価格は最近非常によくなってきておる。それから、その生産額の半分くらいを印刷局において買い上げまして、その価格を実質上保障しているというような次第でございます。さようなことがありますので、これが自由化されて多少よけいに入ってくみような事態がありましても支障はなかろう、なお、しかしながら、今後さようなアバカ繊維と堂々と対抗できるようにというので、農林省の予算におきましても、ミツマタの優秀な種を使っての苗木の育成につきまして補助金を出すというような措置をとりました上、さようなことをやっておるわけであります。これも何らの支障はございません。  それから、四月にやることを考えておりまする牛脂、ラードにつきましては、これもいろいろ事情を調査もいたしておりまするが、精製ラードにつきましては多少疑問があります。でありますので、四月にこれを実行しない。関税を引き上げる必要がある。そこで、関税の引き上げが実行できる段階になりましてからこれを施行しようというようなことにいたしておるわけであります。  それから、この会議におきまして一応きまっております大豆でありますが、大豆につきましては、農林省といたしましては、現在これが一俵三千二百円ぐらいで取引をされてきておりまして、最近五十円か幾らか少し下がっておるような形勢もありまするが、とにかく従来農家が得ておった程度の収入は政府においても保障しなければならぬというふうに考えております。その方法としましては、安い大豆が入ってくると、実際は外国のものは一俵二千四万円ぐらいでありますから、それに一割の関税がかかって二千六百円程度になっていますが、その程度まで国産の大豆も下がらなければならぬようなことになってくるので、それでは大へんでありますので、政府は今まで農家が売り払っておりました約二十万トン程度の大豆につきましてはこれを無制限に買い入れるという措置をとりました上での大豆のAA制完全実施ということを考えておるのです。ただ、今お話しのように、そう申し上げましても、財源が四十億内外のものが要るのです。その財源を一体どこから調達するかということで、政府各部内におきましてまだ意見が一致しておりません。大蔵省の方は、主として瞬間タッチあるいは関税、さような、課徴金、または関税を引き上げて、その財源をもってその価格維持政策に使ったらどうかというようなことを言いますし、また、通産省の方では、いや、今まで大豆には一割関税をとっているのだから、その一割のすでにとっておる財源——三十億ばかりのものでありますが、それを吐き出してやったらどうだというような意見も言うわけです。すなわち、この際課徴金や関税の引き上げは一切行なわないのだという意見、また、自由民主党のただいまお話がありました委員会等におきましては、折衷案といたしまして、今まで一割関税をとっておる、その関税に相当する金額を一般会計から財源として価格政策に吐き出し、その上さらに四%とかなんとかいうごく軽微な瞬間タッチ制による課徴金をとって、そして大豆、菜種の価格維持操作をやったらどうかというようなことなんですが、いずれの案におきましても、これは私ども主張しておるのでありますが、先ほど申し上げましたような実勢で売買されてきた大豆の価格が新制度下におきまして完全に保障されるということがない以上、私どもはこの制度に踏み切る考えは持っておりません。今関係各省の中で相談をいたしておりまするが、相談がまとまりますれば、その予算措置なり財政・法律措置、それを本国会でまた追ってお願いをしなければならぬではないか、かように考えております。  それから、大豆の輸入につきまして、ただいまの関税や課徴金をとっては困るという製油業界からの圧力かあるではないかというようなお話でございますが、製油業者は、大体豆を使って、菜種も使いますが、豆の場合におきましては約八〇%くらい外国大豆を使うわけでございます。それでございますから、外国から入ってくる大豆に新たに関税がかさみましたりあるいは課徴金がとられるということになりますれば、自然油のコストに響くわけでございますから、これはもう喜ばないのにきまっておるのでございます。私は、しかし、それの陳情を受けたこともございませんが、さような陳情等に別に動かされるというようなことも絶対にございません。これは純粋に科学的に検討いたしまして、その結果に従いまして措置をとる、こういうふうに考えておる次第でございます。  なおまた、有沢さんなんかの総合政策研究会で何か結論があるやの山でございますが、私は何らこれにつきまして聞き及んでおりません。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 ただいまの大臣のお話によりますというと、日本農業に影響を及ぼさない十分な措置を講じて、それでなければこの自由化の問題については手放しでこれはやらない、こういう基本的な御答弁でございましたが、その点は了承いたしまして、このことが実施されますためには、生産基盤の拡充を相当いたしますとか、コストの引き下げをいたしますとか、いろいろな点に対して、大臣が考えておられますような、打ち出しておられますような基本的な農林政策が成果をあげてくるということがやはり前提条件だと思う。そういう前提条件なくしては、自由化は、特に農業の場合においては非常な害を受けることの方が多いのでございますから、そういう点に対して、一方においては関税その他において保護するということもございますが、これに影響を及ぼすところの農民に対するいろいろな保護政策をとる、補助政策をとる、いろいろな点をより厚くしていかないと、この自由化は手放しでできないというふうに考えますが、大臣のお考えはどうでございますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 自由化をいたします場合におきまして、その保護政策といたしましては、関税なりそういうような外国から入ってくるその過程において海外品の負担を重くするという方法も考えられます。また、今私どもがやっておりますように、米麦のごとく、国営貿易というか、そういうような形において国産を保護するというようなことも考えられるわけでございます。しかし、お話のように、外国品と競合する国産品について、その生産性を向上いたしまして、そして太刀打ちできる、幾ら入ってきてもびくともせぬというような事態ができ上がりますればこれにこしたことはございません。でありますから、特定の物質につきましてAA制をやるという際には、それらのいろいろな要素を考えまして、万全の用意が整った上で初めてこれをやっていくというふうにいたしたいと思います。お話の通り、生産性の向上という問題がその際にはきわめて重要な問題であり、それに対しましては政府はできる限りの援助をするという方針でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 この自由化の問題と、さっき大豆の場合において大臣が言われました大豆を買い上げるといったようなやり方においては、どうも調和がしにくい、そういう政策を両方調和させるということは非常にむずかしいと考えるのでありますが、そういう点に対しても問題を一つ残していかなければならぬと思うのでございますけれども、ただいま大臣のおっしゃったような、そういう一方において競合するところの農産品目については、具体的に計画的にこれに対するどのような補助政策をとっていくか、また、その基盤を強固にし生産を拡充するという方向に持っていくかという基本的な御計画、これはまだ十分に熟してないかもわかりませんけれども、大体において大臣が考えておられまするところの構想を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 自由化で当面問題になりまするおもな物資は、一つは大豆でございます。大豆につきましてはただいま申し上げた通りでございます。  そから、ラードでございまするが、このラードのうち、精製ラードにつきましては、関税の引き上げを交渉してみたいと、かように考えておりまして、交渉が成り立った上で初めてこれをやっていきたい。  それから、アバカ繊維につきましては先ほど申し上げた通りの措置をとっております。  それから、さらに、国産とそう競合しないものがあるのでございまするが、中華料理の原料というようなものは特別の措置は要るまい、さように考えております。  それから、コーヒーの豆でございますが、これも別に保護措置ということも要らないのではあるまいか。  それから、あとは牛脂という問題がございます。牛脂につきましては魚油なんかと若干競合する血が出て参ります。これにつきましては、ただいま魚油に関係いたします価格維持政策がありますので、その方面との関連におきまして影響がないように考えております。  その他当面若干ありまするが、たとえばココアバターだとか、そういうようなものが考えられますが、大して手当を要するものとは考えておりません。  それから、最後に、これは通産省とも関連のあるものでございますが、牛皮でございます。牛皮につきましては、これも対ドル差別撤廃という問題がある次第でございまして、牛皮の加工者に与える影響を考えますといろいろ問題があるようでございます。通産省としてそれに対して対策を練っておりまするが、それができ上がりました上におきましてその自由化をいたしたい、さように考えておる次第であります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 小麦と酪農製品、それから砂糖については、どうお考えでありますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 小麦につきましては、大きな経済上の見地からは、これは外国が安いのですから、入ってくるのか自然の勢いのようになっております。しかし、これは日本農業できわめて大事な産物であるというふうな見解から現在管理制度までとっておるような次第でございます。米と同様に麦につきましてはこれを自由化するということはいささかも考えておりません。  砂糖につきましては、これは二つ問題があるのです。一つは、今私どもが砂糖の日給化政策というものを進めておる次第でございます。自給化政策を進めておる、すなわち国産砂糖の育成途上におきまして、外国の安い砂糖が無制限に入ってくるということは大へんなことでございますので、その角度からこの問題は考える必要があるのが一つ。それから、もう一つには、自由化にした場合に、世界じゅうの砂糖を見回しまして、キューバの砂糖が日本に入ってくる可能性というものが非常に強くなると思うのです。ところが、キューバに対しては日本は目ぼしいものを輸出しておりません。日本の対外貿易構造というような見地から見まして、さような姿はまことに好ましくないというような事情があるのでございます。さようなことで、砂糖の自由化という問題は軽々に踏み切り得ないのでありまして、今後、ただいま申し上げましたような、第一の国産砂糖、また砂糖類似の産業に対していかなる保護助成がとれるかという問題、それから国際的な貿易構造が日本に不利に響くおそれはないかというような点も十分検討し、対処すべきものであると考えておるのでありまして、ただいまのところは、これを自由化するという考えは、これまた持っておらないのであります。  酪農製品については、すべてこれは国産酪農を育成するという見地から自由化をいたさない方針でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 砂糖の甘味資源の自給というお話がございましたが、これは暖地ビートの栽培、その育成ということもお考えの中にあると思うのでございますが、同時に、食糧の自給、——二〇%は外国から輸入している状態でございますが、こういう点については大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 私は、食糧の輸入くらいばかくさいことはない、こういうふうに考えます。鉄だとか石炭だとかを輸入いたしますれば、それが国に来まして何かかわりの物に必ずなる。食糧だけは食ってあとは消費されてしまう。無になってしまう。さようなことで、私は、食糧の輸入をなるべくなくする日本の経済構造というものを作り上げていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。さようなことで、米の自給なんかは、大へんとれてきたからもうそろそろ増産政策なんかどうだという議論もありますが、それは違うのだ、昭和三十一年のごとき七千二百万石しかとれないという際には一千万石の米の不足になって、おるわけです。これを全部輸入しておるのですから、大へんな外貨を払っておるわけです。五年続きの豊作というけれども、五年間を平均してみると七千八百万石にしかなりません。これもおそらく五百万石やそこらの不足になっているのだと思います。それが輸入というところにしりが来ておるわけであります。そういうふうなことで、今後も、人口が伸びる、あるいは所得が伸びるから、それに応じて米の需要というものも伸びてくる。そういうようなことで、米の増産政策は今後も進めていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから、麦につきましては、さらにこれはその事情が顕著に今出てきておるわけであります。植皮に非常な開きがあるわけでございますから、その値段の面からも外国のものが入ってくる。それから、さらに、品質の面におきまして、どうもメリケン粉でなければパンがうまく焼けないというようなまことに残念な状態があるわけでございます。そういうものを逐次克服いたしまして、小麦は外国のものでなくて国産でやっていけるのだ、パンも国産で大丈夫だというふうな事態ができ上がることを念願しつつ、それに一歩々々進めるように、昭和三十五年度の予算なども各種の施策を講じておるわけであります。さような見解でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 自由化の問題につきましては、なおお尋ねしたいことが多々ございますけれども、大臣の基本的な御方針に対しましては、一応大臣の御答弁を信頼いたしまして、今後この問題に対して十分な御検討をしていただいて、今の御答弁にありましたような趣旨に沿うて万全の処置を講じていただきたいということを要望いたしまして、この問題はこれで終わりたいと思います。  次に、これも倉成委員が質問せられました所得倍増計画と農業の問題でございますが、大臣の御答弁によりますと、十年間に所得を倍増するということであっても、人口の増から言って各個人の所得は年率五・三%増ということになる、その五・三%の所得増ということに追いつくためには、農業人口を、少なくし、農村に工場を設立して、これにその人口を吸収するとか、また、自然に農村から都市へ移動する人口があるというような点から考えてさらに政府の施策が当を得て人口を移動するというようなことから、一つのそういう政策のもとに、同時にまた生産を高めていくということから、個人の所得を十年後にそれだけ伸ばすということはそれほど困難ではない、こういう御答弁であったようでございますが、これに対しまして、そうなれば、一つの問題は、言うまでもないことですけれども倍増にならない。それでは倍増計画という看板をかけられておりましても倍増計画じゃないということが言えると思うのでございます。もう一つは、大臣のおっしゃったようなそういう人口の移動ということがそう簡単にできるかどうか。十年の間に農村の人口を大体どのくらいにしようというふうに考えておられるか。大臣のお考えでは三百万くらいを移すというようなことを言っておられましたが、はたしてその程度でこの問題が解決するかどうか。また、三百万にいたしましても、どのような具体的な長期計画によってこの農村の人口を適正化するか。農業人口に適正化するということが少しも具体的な長期的な計画としてうかがわれていないのでございまして、そういったようなことをまた倉成委員も尋ねておられましたが、どういう理想像を持っておられるのですか。日本の農業が十年後にはどうなるんだ、五年後にはどうなるんだというような具体的な理想像をお示しいただかないと、この所得倍増計画の中において、これが農業や農民の犠牲において所得倍増計画が推し進められるというような結果が来ないとも限らない。そういう心配が多分にございますから、その点もう一度明確にお答えをいただきたいと思うのでございます。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 所得倍増計画というのは、国民総所得——これは多少性格は違いますが、国民総生産を倍にしようという計画なんです。従いまして、個人々々の国民にとってみますると、それを人口で割るわけでありまするから、人口が十年後にふえただけ、それだけ一人当たりはひっ込むということになるわけです。これは、重ねて申し上げて恐縮なんでございまするが、まだ政府の方では固まった構想を出しておりません。おりませんが、かりに十年間に国民総所得を倍にしようというと、毎年々々生産が七・二%ずつふえていかなければならぬし、毎年七・二%ふえますれば、十年後にはそれが一〇〇%ふえるわけであります。ところが、ただいま申し上げましたように、それは総所得のことであって、国民一人々々の所得は二倍にはならないのです。その際一人当たりは、その七・二%に相当する年率はどうなるかといいますると、五・三%にしかならない、こういうことになるのです。そこで、農家の所得がそれでは所得倍増計画で五・三%ずつ毎年々々ふえていくということが確保できるか、こういう問題になってくるのでございますが、これは、私は、大体確保できそうだ、過去四年間、昭和三十一年から三十四年までの統計をとってみますると、総生産において農業方面では四・三%ふえております。それに人口の移動という要素を加えますれば、優に五・三%以上の数字が出てきておるわけなんです。しかし、今後のことを考えてみますると、そう豊作々々と豊作ばかり続かぬと思うのです。さようなことを考えますと、この四・三%という総生産の年率が維持できるということに議論があるのであります。人によりましては、あるいは二%とか、二・五%とか、あるいは三%というような説をなす者がある。しかし、私は、ほうっておけばあるいはそういう程度かもしれませんけれども、ここで政府がほんとうに力を入れて農業総生産をふやしていく、特に外国から輸入しているようなものを国産で置きかえるというようなことに成功いたしますれば、総生産も相当ふえ、これを年間に換算いたしまして三%をこえるというようなことも、これは実現不可能ではない、かように考えるのです。その上さらに鉱工業の方面に人口の収容をするというようなこと、これはいろいろな人がいろいろな検討をしておりますが、大体二%程度の転換があれば、五・三%という国民総平均の一人当たりの所得増加率に相当する所得が農家でも得られるというふうに言われておるわけでございまするが、あくまでもこれはまだ腰だめというかさような段階でございますことを御了承願いたいのであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 この問題も論議をすれば切りがないので、ほかになおお伺いしたいことがたくさんございますから、この問題はまた別の機会に大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでございます。ただいまの御答弁に対しまして、私はまだ十分納得をいたしておりませんので、この点につきましてはまたの機会にいろいろお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  次にお尋ねいたしたいと思うのでございますが、先ほど、倉成委員の御質問に対しまして、愛知用水の公団職員の身分の問題に対してお答えがございました。これは、一応事業が終わっても、この技術団というものは非常に大事なものであるから、これはそのまま他に転出していただく計画を持っておるという御答弁でございましたが、もう差し迫っている問題でございまして、働いている人たちもいろいろな不安な気持で、この先どうなるだろうというような心配もあるかと思いますから、具体的にどういうお考えを持っておいでになりますか、お伺いいたしたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 大体の考え方にいたしましては、先ほど倉成委員にお答え申し上げましたが、具体案は四、五月ごろまでにはきめたい、こういうふうに考えております。それで、一部は、先ほども申し上げた通り、管理機構として存置される。それから、その残りの者につきましては、あるいは定年が来たとかなんとかいう人は格別でございますが、あるいはその他の事情で何か特別のことがあって残りにくいという人は別でございますが、しかしながら、一般の者につきましては、これは一団といたしまして他の愛知用水事業同様の事業にこれを転用いたしたいということを考えております。ところが、転用と申しましても、これは人のことでございますから、これをすぐ北海道に行ってもらいたいというようなわけにもいくまいと思う。そこで、さしあたり問題になりますのは、豊川の用水、あるいは濃尾用水とか、ああいう近場なら名古屋の今の宿舎から通えるというような便宜もあると思います。何かそういういろいろな角度のことを考えて、そうしてあの貴重な技術陣が一団として働けるということをきめていきたいというふうに考えておる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 その豊川用水でありますか、あるいは濃尾用水の事業が終わったあとはどうなりますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 その先のことまで私もまだ考えておらないのでございまするが、しかし、日本といたしますれば、まだ開拓する余地がずいぶんたくさん方々にあると思うのです。そういう方面にロスなしにこの一団の技術能力が働いていくべきことを前提として物事を考えていく必要があろう、かように考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 その時分になれば社会党の天下になるかもわからないと思いますけれども、しかし、私の今質問いたしておりますのは、現に愛知用水公団に働いている方々の身分が、こま切れに次から次に、その先どうなるのだろうどうなるだろうという心配があると思います。あの国家的な大事業のために非常に労苦をささげられた方々にそういう不安な気持を持たしておくということは、われわれとしてもできないと思うのであります。やはり、身分の永続性と申しますか、そういうような点に対して所管大臣として相当なお考えがなければならぬと思うのであります。そのつど適当なところに転用するのだというのでは、やはり永続性がないと思う。その点と、もう一つは、恩給の通算についてはどういうふうなことになりますか。そういう点もやはり実際に影響のあることでございますから、この際はっきりお聞かせを願いたいと思うのでございます。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 公団に現に勤めておられる方々の身分につきましては、特別の例外のある方は別でございまするが、一般的に申しまして、これは安心して今後も国家的な仕事に従事できるようにいたしたいという考えでございます。それから、その際恩給はどうなるかということでございまするが、これは、今はさような恩給の通算が行なわれておるわけでございます。今後におきましてもそういうものを含めまして身分の安定をはかっていきたい、かような考えでございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 次にお伺いいたしたいと思いますのは、大臣の所信表明書の中の三十二ページに、「新農村建設総合対策の推進を図るため、三四億七千六百万円を計上し、特別助成事業及び小団地開発整備事業を継続実施いたしますほか、新たに、同和モデル地区におきまして土地整備、共同利用施設設置等の振興対策を実施することといたしております。」、このように述べられております。また、予算の面から申しましても、初めて同和対策のために農林予算の中に二千二百万円近いものが計上されておる。これは、私といたしましては、このような予算を計上せられたということに対して大臣の御労苦を多といたしたいと思うのでございますが、これの具体的な計画につきましてはまだ伺っておりません。ここにモデル地区として全国八カ所がすでに指定されておるようでございまして、それぞれのモデル地区の事業費の経費も計上されておるようでございますが、こういう地区を選定せられましたのはどういう基準で、また、どういう計画の内容でもってこの予算をお使いになろうとしていらっしゃるのか、その点もお伺いいたしたいと思うのでございます。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 これは、内閣の方で同和地区対策閣僚会議というのがありまして、そこで最終的な結論を出したわけであります。その際その事務局の方でいろいろ案を具して来たわけでございます。私どもといたしましては、それを検討いたしまして、そのうちこういうことを三十五年度にはやろうというふうにいたしまして、二千余万円の予算を計上したわけであります。さようなことでありますが、なお必要がありますれば詳細は振興局長から御説明いたさせます。

増田盛農林事務官(振興局長)

○増田(盛)政府委員 この点は、ただいま大臣がお答え申し上げました通り、本問題の地区の選定にあたりましては、三十四年の十月十七日に設立されました閣僚懇談会におきまして大綱をとりまとめまして、それを内閣審議室におきまして各省とも相談いたしましてきめまして、それによって各省がそれぞれ実施いたしていくわけであります。この地区並びに予算額は、市町村はただいまお話しの通り八市町村でございますが、地区は十二地区に分かれておるのであります。そうして、予算総額はここにあります通り二千百万円程度でございますが、この各地区のそれぞれの予算額に関しましては、いろいろな省が関係しておるわけでありまして、この中でその一部分に農林省の事業が織り込まれておるわけであります。大別いたしますと、土地改良事業を中心にしたものが一つ、それから、共同利用施設が一組であります。そこで、土地改良事業等におきましても、これは、区画整理であるとか、あるいは農道であるとか、こまかく地区別に分かれておるわけであります。なお、共同利用施設等に関しましても各種の施設があるわけでありまして、この各種の施設並びに土地改良等を組みます場合におきましては、地方公共団体がそれぞれ担当市町村からの計画なりその自己負担なりの点を十分にただしまして、それによりまして、結局前に申し上げました通り内閣審議室の方でとりまとめまして、それぞれの各省の金額になったわけであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 二十九国会の七月であったと思いますが、本委員会におきまして、私は、同和問題、部落問題を大臣に質問いたしたのであります。それは、いまさら繰り返すまでもないのでございますけれども、全国国六千部落、三百万人のいわゆる部落民と称せられて理由のない身分的・社会的・経済的差別を受けておる方々のうちの七割までが農村地帯に住まっておるのであります。しかも、その三百万人のうちの七割の人たちのさらに八割までは農業及び農業に関係のある仕事に従事いたしておるのであります。しかも、その農業及び農業に関係のある仕事に従事しておる部落民の九〇%までが入会権を持たない農民なのであります。これがために、政府の方針に従って酪農をやろうと無理に牛を入れるということになっても、草かり場がない。山へ行って自由に草をかる場所がない。また、山に入って自由にたき木を取る場所がない。こういうことのためにさらに一段の生活の困窮を来たしておるという実情を私は申し上げたのであります。これに対して、官有林野あるいは公有林野の従来の慣行を改めて、これらの人たちに入会権を与えるというような措置をとってもらえなしかあるいはまた、自作農創設維持資金を活用して、こういう農耕にあるいは農業経営に事欠くような部落の農民の諸君のためをはかるというような特別な措置をとってもらえないだろうかというようなことを伺ったのであります。そういう点につきまして、当時の三浦農林大臣は、その点は十分に調査をいたしまして、調査に基づいて今お話のあったような点について適当な措置を講じたい、こういう御答弁であったのであります。はからずも本年度の予算におきまして二千百万円というものが部落対策費として農林予算の中に計上せられたということにつきましては、先ほど申し上げましたように、私といたしましては、これは非常に願わしいことであったというふうに喜んでおるのでございますが、しかし、そのことがはたして部落の人たちの要望に合致するようなものとして現われてきたかどうかということにつきましては、なお問題が非常にあると思うのでございます。この点につきまして、ただいま振興局長のお話がございまして、いろいろ御計画があったようでございますが、しかし、これは農林省の独自な御計画でなくて内閣審議室の方で立てられた御計画であったかのごとき印象を受けたのでございますが、もう少し積極的に、このような実態にありまする部落農民のために積極的にこの貴重な予算が使われるというように今後十分御留意を願いたいのでありますが、この部落問題に対しで、特に今私の御指摘申し上げました、三百万人のうちの多数の人が農業及び農業に関係のある仕事に従事して、非常に劣悪な社会的・経済的条件のもとに差別と貧困に苦しんでいるこの問題に対して、大臣のお考えを、また今後の御方策を承りたいと思うのでございます。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 部落対策を本腰にやるためには、一省の仕事というようなことでは片づかないので、厚生省あるいは建設省、文部省、また農林省、各省にその事業がまたがるわけであります。そういうような意味で、内閣に閣僚会議を設けまして、その事務局を審議室にやらしておるというようなことになるわけでございまして、しかし、お話の通り、部落の大部分が農家であり農村であるということがありますので、御趣旨の点まことにごもっともでございますので、そのような考えで、この予算の実行に当たり、なお今後も対処していきたい、かように考えますので、御了承願います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 大臣の御所管ではないのでございますが、ただいまお話のありましたように、ただ一省だけの問題でなくて関係各省との緊密な連絡のもとにやらなければならぬ仕事です。これは何ら理由のない差別に呻吟しておるところの人たちでありますから、しかも三百年来の時の権力者たちの政治の犠牲のために理由のない差別条件を作られた人たちなのでございますから、国の責任においてこの差別を撤廃する、国の責任においてこの部落問題を解決するということが必要だと思うのでありまして、そういう点につきまして、先般、昭和三十年の国会でございましたか、社会労働委員会におきまして、岸総理もわが党の八木一男議員の質問に答えて、部落問題審議会設置法を作るということを言われたのであります。これは、ただ単に閣僚懇談会だけで連絡提携をするということだけでなくて、内閣直属の機関を設けて、今大臣のお話にありましたような大所高所からの施策を必要とする問題だと思うのでございます。そういう点に対しまして、私は、大臣がこの岸総理の言明を実視させるために御努力になるように、特に農村に多数の部落の人たちがおります状態から考えましても、この部落問題審議会設置法案がすみやかに国会を通過いたしまして、国の責任においてこの部落の人たちの問題が解決されるような日を来たらせるために御努力をいただきたいということをお願いいたしまして、この問題に対する質疑を終わりたいと思います。  次にお伺いいたしたいのでございますが、大臣の重要施策の一つといたしまして、従来の四つの柱に加えまして、農山漁村の子弟の対策、二、三男の問題を大きく取り上げておられますることは、まことにけっこうなことだと思うのであります。これにもいろいろ意見がございまして、二、三男の問題はすでに今日の日本の農村においてはそれほど深刻な問題ではなくなっておるのだというような意見もございますけれども、しかし、私の見るところ、やはり大臣と同意見でございまして、この問題は非常に大きな問題であると考えるのでございますが、いろいろここに政策としてあげられておりまする事柄について一々御所見を承る時間がないと思いますが、ただ一点私がお伺いいたしたいと思いますのは、この二、三男の問題の一つといたしまして、御承知の通り派米短期農業労務者の制度が行なわれておる。すでに二千名ばかりの農村青年がアメリカに参りまして、二年もしくは三年間の労務に服しておるのでございます。第一期生はすでに昨年末帰って参りましたが、この制度につきまして、まだ制度が実施されましてから日が浅いために、十分これが練れてないという点もございますけれども、問題点が若干あると思うのでございます。この制度は、農林省が責任を持って募集をし、外務省が向こうにおけるところの青年たちの世話をする、派米協議会がこれが選任並びに派遣、また向こうにおけるところの一切の世話、そういったものを国の委託を受けてやっておる、こういう形のものでございますが、これに対しまして、私は、昨年アメリカに参りまして二カ月カ州におりまする間、つとめてこれらの人たちのキャンプを訪れまして、その実態を見たのであります。また、親しくこれらの青年諸君の現地の声を聞いたのであります。また、派米協議会や向こうの受け入れ側のアソシエーションの、農場主の会の代表者の人たちにも会いまして、いろいろ聞いたのでありますが、結論から申しますと、この制度はますます活用していかなければならない、これを活用して参りまするためには、従来の欠陥を克服して、さらにこの機能を十分に発揮するようなものにしていかなければならないと思うのでございますが、この点につきまして大臣のお考えを承りたいと思います。  なお、これに関連いたしまして、農業実習生制度というのがございます。これは、労務を提供するのじゃなくて、アメリカの産業を勉強してくるという制度でございますが、この実習生制度と派米短期農業労務者制度との間におきまして十分な連絡がない。また、性格が違いますから、おのずから観点も違って参るのは当然でございますけれども、現地におきましては、やはり目と鼻の先に実習生と短農者がおるというような実態でございますから、これらの点についても十分な検討をいたしまして、その目的が達せられるような万全の措置を講ずることが必要だと思うのでございます。  同時に、海外移住政策につきましても、二、三男対策とともにこれは非常に大事な問題の一つではないかと思うのでございますが、日本の海外移住政策というものが諸外国に比べて非常に低いということは争われないと思うのでありまして、こういう点につきましては、大臣の御所管とはいささか違って参るかもわかりませんけれども、どうも外務省と農林省との間に、ときどき、役所のなわ張り争いといいますか、十分な連絡がとれないために、実際に移住政策が実をあげないというような点もあるように思うのでございます。  これらの一連の関係の問題につきまして御所見を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 私は二、三男対策というふうに言っておりますが、それは、私が申しておりますのは、今後の農村をどういうふうに所得を伸ばしていくかという上におきまして、やはり、農家が生産性を上げるようにするためには、あり余っている人口を外に出て働いてもらうような形にしなければならぬという、その一つの象徴的な意味におきまして二、三男対策ということを申し上げておるわけなんです。従いまして、お話のように、移民につきましても、あるいは干拓だとか開拓でありますとか、そういう新しい農業のワク内における働き場を国の内外に求めるということ、これはもとより大事なことでございまして、移民政策なんかにつきましても、今までは非常に一人当たりの扱いが薄っぺらなんです。向こうへ行ってからまた失敗して帰るというような方が多いわけなんです。私は、むしろ考え方としては数よりは質だと思います。それで、向こうへ行って、ほんとうに移民として尊敬を受けるような発展をするという人が、少なくてもいいから、一人残らずそういうふうになってもらいたいという考えを持つわけでございます。今度新しく支度金というものも出していこうというようなことにいたしましたのは、さような趣旨の現われなんでございます。  それから、派米農業労務者でございまするが、これは石黒忠篤さんが非常に熱心でそのお世話をいたして下さっておるのです。石黒さんのようなりっぱな方が指導して下さっておるのですから、私は、この指導におまかせしておけば万々間違いはなかろう、こういうような考えで、石黒さんに、お願しますしますと言っておるわけでございますが、その効果というような点を伺ってみますと、なかなかおもしろい点があるわけでございまして、私もこれを大いに発展をさしていきたい考えを持っておるわけでございます。必要な限りの政府の助成もしていかなければならぬというふうに考えております。  なお、どうも欠陥もあるというようなお話でございまするが、これは、承りますれば、なお検討いたしまして、是正するように努力するつもりであります。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 派米短期農業労務者の問題につきましては、時間がございませんから、いろいろ私の調べましたところ、また問題といたしまするところは、別の機会にお伺いをし、あるいはまた御検討いただくというふうにいたしたいと思うのでございまして、私は、建設的にこの問題を取り上げていきたい、問題があってもその問題を克服してこれをさらに発展せしめていきたいという意味から若干問題を持っておりますが、別の機会にこれは譲りたいと思うのでございます。  それから、近時日本農業と海外農業との関係というものが非常に緊密の度合いを増して参りまして、特に、東南アジアにおける日本農業の指導性というものが高まって参ったと思うのでございます。そういう交流が今後ますますその必要を増して参ると思うのでございますが、今年の予算を見ますと、昨年に比べて十分な予算の計上がなされていないように私は見受けるのでございます。国際協力に必要な経費、海外農林水産技術協力費というようなものが昨年度よりは減っておるように思うのでございますが、これは、ますますその必要が増して参る段階におきまして、今年はいたし方ないといたしましても、ぜひともこの問題も一つ取り上げていただきたい。ただ自由主義諸国に対する交流だけじゃなくて、社会主義諸国、たとえば中国でありますとか、あるいはソ同盟でありますとかいうような、そういう方向にも、農業の問題とか科学の問題というものにおきましては国境もなければイデオロギーの違いもないのでありまして、十分な交流をなさっていくことが相互の進展のために非常に大事だと思うのでございます。こういう点に対する官房関係の予算が少し足りないように思うのでございますが、その点はいかがでございますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 海外経済協力については、農林省という役所はこれにはよほど関心を持たなければならぬというふうに私も考えておるわけでございまして、就任以来大いにさような方向の考え方を実行するようにお願いをしておるわけであります。ただ、予算が少ないじゃないかというお話でございますが、農林省の予算の方には、それは人の関係以外は出てこないのです。すべてこれは外務省の予算に入っておりまして、それを使うときにおきまして農林省が関与する、こういうふうになるわけでございますが、外務省に三十五年度で計上されておる予算が四億六千二百万円あります。そのうち半分近くのものは農林省関係のものでございますので、予算としては相当なものがあるわけであります。お話のように、東南アジア問題は、農業が相当大きなウエートを占めますので、省全体としてこの問題に関心を示し、精進いたしたいと考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 先はど倉成委員の御質問の中にもございましたが、農業法人化の問題は農民の切なる要求として起こってきた問題でございます。これに対して、ただ一部の上層農民の利益、利潤追求を満足させるというだけでなしに、この下から盛り上がって参りましたところの動きに対して生産共同化の方向に持っていかなければならないと思うのでございますが、こういう点につきまして、特に零細農の生産共同化ということが今後の農政の一つの大事な基本問題になると思うのでございますが、この農業法人化の動きに対しまして、生産共同化への指導と申しますか、あるいはこれについての適当な法制化と申しますか、そういったような点につきまして、大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 農村の所得を向上するという見地から見ますと、どうしても農村には機械力を導入する、また、その前提といたしましては、その経営様式の集団化であり、共同化であり、さような受け入れ体制というものの整備が必要になってくるわけでございます。そういうような見地に立ちまして、今度の新しい予算なんかも、共同化、集団化をいろいろな形において推進するという面を押し出しておるような次第でございます。同じような考え方で、今農村から盛り上がらんとしている農業法人問題というのも考えるべきものである、かように考えておるわけであります。これは、単なる税金の負担を軽減するというような、税的角度の問題として私は考えたくないのです。農村の間に自主的に、能率を上げる、そのために営農方式を改善するという意欲が盛り上がってきておるのだというふうに理解し、その理解の上に立ちまして、こういうような現象に即応し得るような法制を立てていく段階に来ておるのだというふうに考えておるわけでございます。  今、そういうような考え方から、農業法人の法制問題を検討しておりまするが、検討の最終段階に来ておるわけであります。一定の条件を備える法人に対しまして農地を賃貸しできるということを骨子とする法律案につきまして、今検討しておるわけです。意見がまとまり次第国会へ法律案として提出して御審議をわずらわすという段階に相なろうかと考えております。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 次に、先ほどお話が出ました農災制度の抜本的改正でございますが、これは何らかの改正を考えておるという御答弁でございましたが、累年の災害を経まして、この制度が十分な機能を発揮しなかった。また、災害の起こらない地方におきましても、この制度に対するさまざまな農民の不平不満が各地で勃発しておる。掛金の不払いでありますとか、あるいは事業停止でありますとか、あるいは解散決議でありますとか、いろいろな働きが全国に起こっておる。これは大臣も御承知だと思うのです。こういう点に対して、十分に検討している、何らかの改正を考えておるというお答えでございましたが、それでは、ここまで差し迫ってきて農民がにっちもさっちもならぬというような状態に追い込まれてきているときに、ただ、今検討中である、何らかの措置を考えておるというだけでは、私は政府当局としては怠慢だと思うのです。これはすみやかに抜本的な改正を行なうという熱意をやはり示していただかないと、もう農民の方から農林省へ突き上げてくる問題だと思うのでございます。一つ大臣は本腰を入れてこの農災制度の抜本的改正に努力していただきたいと思うのでございますが、もう一度御所信を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 御説の通り、この問題は早急に解決を要するというふうな考えで、農林省におきましても鋭意検討を続けております。もう農林省の内部の検討の段階を終わりまして、今、学界というか、民間の有識者をも加えた協議会におきまして、考え方の最後の締めくくりをやっております。おそらく今月ぐらいにはそれがまとまると思います。そのまとまった考え方に基づきまして、国会の皆さん方にも御参加願った懇談会なり研究会を一つ持ちまして、そして早急に最終的な結論をまとめる、こういうふうにいたしたいと思っております。いずれにいたしましても、熱意を持ってやっておりますから、さように御了承願いたいと思います。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 もう二点だけお伺いして終わりたいと思うのでございます。  次は水産漁業問題でございますが、漁業問題全般に対して私は質問を用意いたして参りましたけれども、きょうは時間がございませんので、その点は後日に譲りたいと思います。ただ一点、大臣の所信表明の中に、今日日本農業に占めておりまする一つの大事な部面でございます内水面漁業の振興について一言半句も触れておられない。これは私ははなはだ遺憾だと思うのでございます。御承知の通り、内水面漁業に従事するところの農民の数は百数十力人を数えておるという現状でございますし、その漁獲高から申しましても、海面無動力漁家のあげております漁撈向の四〇%に及んでおるというような状態でございまして、これは決して軽視することのできない一部門であると思うのでございます。こういう点につきまして、内水面漁業を振興することに対して大臣はどれだけの熱意をお持ちになっていらっしゃるか、その一点だけを伺って、全般的な漁業問題につきましては後日いろいろ伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 内水面の問題につきまして、所信の説明の中で申し上げておりませんのは、まことに遺憾に存じますが、やることは相当やっておるのです。たとえば、アユにつきましても国庫補助金を出しますとか、あるいはニジマスにつきましても同様なことをやりますとか、ヒメマス、草魚、サケ、マス等につきましても補助をいたして、これを助成しておるわけでございます。なお、ことしは県を通じまして特別の助成を予算上やっておるわけでございまして、決してゆるがせにいたしておるわけではございません。私も内水面組の方の選挙地盤でございます。今後とも大いに努力をいたすことを申し上げます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 アユについてはことしも補助するつもりですか。打ち切るという話を聞いておりますが……。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 本年も引き続き補助いたします。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 最後にお伺いいたしたいと思いますのは、生産基盤の拡充の問題に関連をいたしまして全国各地に潅漑排水事業が行なわれておるのでございますが、そのダム設置に関連をいたしまして各地にさまざまな問題が起こっておりますことは大臣もご承知のところだと思うのでございます。特に滋賀県の愛知川ダムにつきましては、十年来問題が錯綜いたしまして、いまだに解決を見ることができないという遺憾な状態にあるのでございます。この点につきましては、先年、第二十九国会でございますか、この委員会におきまして私から質問をしたのでございますが、このような紛争がまだ解決していない状態の中におきまして、つまり、水没をいたしますところの農民たちが十分な納得をしていないというよりはむしろ絶対反対をいたしております者がまだ多数残っておるという現状におきましてどんどん工事は進められておる。この点については、この委員会におきまして前の大臣は、関係農民が十分納得するまでは工事をやらない、どこまでも忍耐強く説得をして、皆さんが納得をしてくれるまでは工事をやらないという言明をなさったのであります。また、その他の場合におきましても何回となく前の大臣はそういうことを言っておられるのであります。これにつきまして、私といたしましては、一刻も早くこの紛争を解決して工事が進められるように協力しなければならぬという考えのもとに若干の努力をいたしたのでございますが、私の意図いたしますところとは相反しまして、一方的に工事が進められる。その間、輸送道路の建設に対しまして立ち入り禁止の訴訟が行なわれ、前から問題になっているところの訴訟もまだ解決がつかないというようないろいろな問題が未解決のままに残されておるのでございます。こういう点につきまして、伊東農地局長もずいぶん御苦労をなさっていらっしゃる。これは私もよく承知しておるのでございまして、私といたしましても、農林水産常任委員の立場から、これが解決に努力を尽くしたいという考えを持っているのでございます。現状におきましてはこういう状態であります。これに対しまして大臣はまだ十分御存じないかもわかりませんけれども、そういういきさつのもとにある愛知川ダムについては、無理やりに水没反対農民の意思を押えつけて強行するというような挙に出られますならば、どのような不測の事態が起こらぬとも限らないということを心配いたしております。そういう点につきまして、あらためてどういうようなお考えのもとにこの工事を処理しようとなさっていらっしゃるのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 愛知川の問題につきましては、私も事情をとくと報告を受けております。昨年の秋ごろでございましたか、滋賀県知事、それから議員、また自民党、社会党の国会議員ほとんどあげて参りまして、一刻も猶予が相ならぬというような次第でございます。たまたま、かねて西村先生がこの問題には非常に御関心をお持ちでございまして、しかも反対論を唱えておるというようなことで、あなたを実はお探しいたしたところが、どこか洋行されておるというような事情だったように記憶をいたしております。そこで、慎重が上にも慎重をというので、農地局でも局長が現地へ出向くとかいろいろいたしましてやったのですが、やはり、地元の態勢がそこまでいった以上、もうこれは農林省としても西村さんの言う通りになっておるわけにはいかぬじゃないか、西村さんも非常に公正なアドバイスをして下さるのだけれども、どうも事情許さぬという段階に参りまして、起工式を挙行するという段階まで来たわけなんです。しかし、私といたしましても、いたずらに事をかまえるというような考え方は毛頭持っておりません。まあ、起工式はいたし、事業は進行することにはいたしましたが、和戦両様のかまえといいますか、一面また皆さんの御納得を得るための努力を大いに続けて、どこまでも円満にこれを処理していく、こういうような考えをもってこの問題に対処しておる次第でございます。

西村関一日本社会党

○西村(関)委員 私は決してあのダムを作るのに反対じゃないのです。ただ、問題は、一部の水没に反対しておる農民たちの意向を無視して、——しかもそれには長い十年のいきさつがあるのです。今一朝にして起こった問題ではないのです。ずいぶん非民主的な措置が今日までとられてきたのです。そのしこりの解けないままに、国策という名のもとにこれらの農民諸君の意思がじゅうりんせられるというような形で強行されるということに対しては、どうしても納得がいかない。むしろ、ダム工事を円滑に進めて参るためにはこういう今までのわだかまりを解かなければいけないという立場から多少の協力をして参ったので、決して反対の立場に立っているのじゃないのです。私がたまたま外遊中でございましたので、起工式が行なわれたということについては私もはなはだ遺憾に思っております。しかし、今さらそういうことを言ってもこれはいたしかたがないことではありますが、社会党の議員賛成というようなお言葉がございましたが、今その方は社会党におらない人でございまして、民社党の方に行っておられる方でありますので、その点も一つ大臣の御認識を変えていただきたいと思うのでございます。私どもは社会党とか自民党とかいう立場でなく、地元に起こっております紛争を解決するためにどうしたらいいかということを心配しておるのであります。その点、今政党の名前をあげられましたけれども、われわれとしては全くそういうことは意図していないところでございまして、地元の者としては非常に心配しておるということでございますから、その点もよくお考えを願いたいと思うのでございます。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 次に、高石幸三郎君。

高石幸三郎自由民主党

○高石委員 私は、農林大臣に対して昭和三十五年の農林関係の予算並びに本予算の基本となります農林水産業の重点的な方針につきまして少々御質問申し上げたいと思うのでございます。できるだけ簡潔にお伺いしたいと思います。  先ほど来のお説にもありましたし、また、前二人の質問に対する御答弁にもあったのでありますが、農林水産行政の今後の長期にわたる基本的施策については当然農林漁業基本問題調査会の答申を待ってやるということであります。まだ農林漁業基本問題調査会の報告も受けないのでありますが、実は農林省にはこのほかに幾つもの審議会なりあるいは協議会があるようでございます。こういった場合、それぞれの必要によった審議会なり協議会が必ずある程度長期にわたって方策を立てるに違いない。こういう場合において、基本問題調査会の結論とは必ずしも同一だというわけにはいかないと思うのであります。現在の基本問題調査会とそういった幾つもの審議会とか協議会との関係はどういうふうにお考えになっておりますか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 基本問題調査会の方は、その字の通り、基本問題をやる、基本的に方向を打ち出す。そして、具体的な問題をどういうふうな形で処理していくかということを各個の審議会等で御審議になる。また、その御審議に即して農林省の各部局がこれを具体化する。こういうことになるのです。ですから、抽象と具体というか、あるいは一般と個別というか、そういう関係に相なります。

高石幸三郎自由民主党

○高石委員 そういうふうに判然と区別はできぬと思うのであります。たとえば、蚕糸業の振興問題がございまして、大臣は本国会には恒久対策を立てて出すとお約束になっているのでありますが、そういう問題についても、基本問題調査会の方が蚕糸問題に取り組んだときに、片方は基本的、片方は具体的であるということで日本全体の農政が考えられるかどうか、この点を若干心配しておるのですが、どうですか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 一般的に申し上げますと、基本問題調査会の方は、蚕糸業についてどういうふうな振興方策を具体的にとるべきかという点には深くは触れないと思うのです。それは蚕糸業振興審議会の方が主になってやる。ただ、蚕糸業といえども、これは一般の農業でございます。農業の基本的方向については基本問題調査会が意見を出します。それに即しつつ具体的な構想を審議会の方がやる、かような関係に相なります。

高石幸三郎自由民主党

○高石委員 その辺の運営はよろしくお願いするといたしまして、次に、この大臣説明におきましても、また、しばしば大臣はいわゆる曲がりかどに来た農政ということを申されるのでありますが、この曲がりかどに来るという言葉は最近いろいろな意味に使われております。概念としてはわかるのでありますが、大臣みずから曲がりかどに来た農政と言われるのは、具体的には一体何をさすのか、これを教えていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 これは言う人によっていろいろ意味は違うようでございます。私の言っておる言葉、これもいろいろの意味はありますが、最も大きな意味は、世の中の経済というものが非常なすばらしい勢いで進化しておる、その進化というものは、要するに科学・技術というものを真っ正面から受け入れてやっておるのだ、農村はそういう意味から言いますと非常に環境上受け入れにくい状態にある、その結果が鉱工業と農村の生産性というものにはね返ってきておる、生産性向上ということを主にして事を考えるべき段階に来たということを申し上げておる次第であります。

高石幸三郎自由民主党

○高石委員 そういったある程度理念のことは概念的にはわかるのでありますが、具体的に、現在までおやりになってきた農政のどういう点が曲りかどに着いたのかということをはっきりしてもらいたい。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 一般の産業におきまして非常な勢いで所得が伸びておる、しかるに、ほうっておけば農業は依然として非常に低い所得上昇しか実現できないという状態にある、こういうことでございます。

高石幸三郎自由民主党

○高石委員 そうすると、常識的には、行き詰まった農政、あるいはまたここで改めなければならぬ農政、転換しなくちゃならぬ農政ということになる。そうすると、こういう新しい萌芽によってわれわれは新転換を求めるのだというふうに大臣の説明を聞かないと、どうも具体性がないのでありますが、その点はどうなのですか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 ここで相当思い切った注射を要すると思うのです。しかしながら、この注射をしますれば前途は非常に明るい。私は、決して日本農業の別途を悲観してもおりませんし、行き詰まったとも考えておりません。しかし、大事な段階に来ておる、ここで大きな政策の考え直しの上に立ってもろもろの施策を講ずる必要がある段階に来ておると観念しております。

高石幸三郎自由民主党

○高石委員 そういうことになりますと、この説明におきましても予算編成の過程におきましても、かつまた、先ほど来同僚の御質問に対しましても、大臣のお考えとしては、確かにそういった転換期に来ておる、確かにここで政策を入れかえなければならぬという意気込みであることはわかりますけれども、その意気込みに対しまして、考え方は結局現状維持である。現状を維持して、なるべくあちらにも差しつかえないように、こちらにもよろしいように、そうしてなお足りないところを新しい施策でやっていくのだ、こういう感じがきわめて大きいのでありますけれども、具体的に申し上げなければわからぬのでありますが、たとえば、食管制度のごときは、ある意味において非常に考うべき段階に来ておると思うのです。  その食管制度は、大臣の御説明によりますと、農家経済と消費者家計の安定をはかるためにその制度の根幹は引き続き堅持するということでありますし、先ほど来の倉成委員の質問に対しましても、大幅に改正するとか修正するとか考えない、こういうお話であります。しかし、米の問題を一つとらえても、これは相当な問題じゃないか。私どもは、こういうふうにある程度行き詰まりを来たしていて何とかしなければならぬという大きな問題こそ、現在はそうであるが将来はこうなるぞという指針を与えることによって、農民もその気になるし、消費者もその気になるし、それに関連している者もその気持になるのじゃないか。それが、相変わらず、大幅の修正はしないの、あるいは改正をやらないの、現状は堅持するのだ、——それは気持はわかりますが、どうもその点が、われわれとしては、ほんとうに曲がりかどに来た農政ということに対する新しい施策をやっていくという気持にもなり切っていないのじゃないかという気がするのであります。  たとえば米の問題を一つとらえてみましょう。昭和三十年来の連年の農作によって米の需給の状態は非常に緩和して、三十四年のごときは八千二百万石もとれている。そして外米をほとんど輸入していない。過剰といかないまでも不足はしていないというのであります。それなら今後の需給の状況はどうかということを考えてみましても、まず消費の面ですが、三十二年ごろを頂点といたしまして、その後国民一人当たりの米の消費量が都市でも農村でも減少しているのです。これをよく調べていただいたのでありますが、その傾向はおそらく続くであろうと見られるのであります。ということは、これは世界的の傾向で、どこの国でも、国民所得が上昇し生活水準が上がると、食生活が自然と向上する。そうなるといわゆる穀物の消費量が次第に減少してくる。つまり、国民所得の上がるということは逆に穀物の消費量が減るという反比例の現象になってくることが大体通説のようであります。国民経済が伸び、先ほど来言った通り、所得倍増計画によって今後の所得水準がどんどん上がってくる。そうすると、果樹であるとか酪農であるとか畜産関係がどうしてもそれにかわるような施策をやらなければならぬ。これは私自身が認め、国民が納得している。こういうことになりますと、一人当たりの穀物の消費量というものは自然に減少してくるのではないか。もちろんその間に日本の消費人口というものは幾らかふえていきましょう。全体として米の需要は些少は増加するとは思いますが、現在以上特によけい増加するということは、そういったことで考えられない。持ち合いであるか。あるいは減少するか、ということの方がウエートが大きいのではないかと考える。それと逆に、生産の面はどうかというと、これも戦後特に昭和三十年ごろを境にして急激に伸びてきております。五年豊作といいますが、すでに八千万石は平作じゃないかと言われておることは御承知の通りであります。せんだって配付されました農林漁業基本問題調査会の資料によりましても、十年後の昭和四十四年の米の生産量は八千八百七十二万石、二十年後の昭和五十四年には九千六百八十万石、こう推定されています。はたしてそうなるかどうかわかりませんが、ただ、過去の実績、昭和三十二年に立てられた長期経済計画では、三十七年度には七千六百万石を目標として打ち立てられたのが、確かにそれを達成している事実があるのですね。こうなりますと、あるいは実際上の実収高は予定よりも上回るかもしれぬ、こういうようにも考えるのであります。でありますからして、あるいは場合によっては現在は余っているかもしれぬと言われております。さらにまた、外米の輸入でありますが、三十五年予算案では、ビルマの輸入を三万トン計画を四万五千トンにしておりまするし、また、タイ、ベトナム等についても同様の事態が発生するかもしれないと言われております。政府は通商政策の必要から不必要な外米も買わなければならぬ、こういうことになっておりまして、しかも、生産者米価は引き上げなければならぬだろう、統制の解除にはならぬのかもしれぬという非常な不安な要因がここに出てきておるわけです。こういう意味において、米自体においてもかなり需給関係において考えるべき要素がたくさんある、こう考えるのであります。  さらに、時間の関係で一緒に申し上げてしまいますが、麦についても同じことが言えるじゃないか。麦の管理は現行方式を踏襲するということになっておりますが、この一月の米の受配率を見ますると、五〇%を割った県が青森、福島、宮城、秋田、茨城、栃木、群馬、宮崎、鹿児島九県に及んでいるわけです。私は東京と荒川を一つ隔てた川口に住んでいるのですが、それでも六九%程度に切れておるのであります。昨年十一月から米の配給量を六キロに増しましたけれども、十一月以降受配率が落ちまして、特に一月は配給米の政府売却数量は前年同月を下回っておるというようにも調査の結果が出でおるのであります。さらに、先日の二月十六日ですか、読売新聞の記事を見ますると、東京のもとの米屋さんの有志が大臣と食糧長官を訪ねまして、どうか配給米の余剰米を自由販売にしてくれ、それでもできない場合にはやみ米販売を黙認してほしいと陳情したということが新聞に出ております。かように、現在の配給制度はもうあってもないような実情になっておるわけです。ですから、米の統制というものは、配給の面からも水が漏れているというような状況なんです。こういう事態を考えてみますと、単に堅持する堅持すると言っても、どうもわれわれとしては不安ではないか。これは、こういうことを言うことは非常に勇気も要するし、いろいろな影響もあると思うのですが、しかし、今すぐにどうというのではないけれども、事実こういう現状を見たときに、これがすなわち曲がりかどに来た農政の一つの具体的な現われじゃないかと思う。こういう点について、どうしても、大臣として、この食管制度を維持する、堅持しなければいかぬという絶対的の必要と、いわゆる曲がりかど農政に来たと認められる認識自体とどういうふうな関係があるか、私どもはどういうように解釈してよいかよくわからぬわけですからお聞きするわけです。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 私が曲がりかどに来た農政と言う意味は、そういう個々の問題について言っているわけじゃないのです。農家の全体をとらえてみて、その経済状態が、さらに具体的に言えば所得が日本経済の所得向上態勢の中できわめてこれは重大な段階に来ている、そういうことを申し上げておるわけなんです。米につきましては、そういう問題とは別にいろいろ複雑な問題が出てきていることは今お話しの通りでございます。私も米の食管制度をどうやって維持していくかということについては非常に苦慮をいたしておるわけです。というのは、私は、生産者保護というような見地から見ましても、また、同時に、国民生活安定という見地から見ましても、どうもこの制度自体にそう大した欠陥はないように思うのです。あれば伺いたい。そういう制度、しかもこれは戦争というああいう大きな犠牲を経て打ち立てられた制度であって、これをくつがえしてまた何かの際にこれを始めようといいましても、とうていこんなことはできるものではない。何か私どもは食管制度をくずすのはダイヤモンドでもぶちこわすのだという感じさえするのです。さようなことで、これのむしろ悪いところがあればそれを直しつつ堅持していくというのが日本の政治経済、また社会を安定せしめるゆえんであるという感じを持ってこの問題に取り組んでおるわけでありますが、しかし、お話のように、いろいろこれを私の考えを理想通りやっていくということにつきましては困難な情勢が出つつあるわけであります。米の需給の問題につきましては、今どうも一人当たりの消費量が減ったというようなお話でございますが、決してさようなことじゃないのです。所得がだんだんふえてきますにつれまして、一人当たりの米の消費、すなわち米に対する依存度というものは、そうたくさんではありませんけれども、ふえております。また、人口の伸びということを考えてみますと、米に対する消費は非常に増加してくる情勢もあるわけであります。私は、米の需給があり余るような状態に当分なるということは想像できません。さようなことを考え、また、何かいろいろ国際的な事情なんかで外国の米を買えないのだというような事態なんかになる、これは政治家として考えておかないわけにはいかぬと思います。そういうことも考えなければならぬ。さようなことを考えますと、これをどうもそう勇断というようなわけでどうこうするというわけにはなかなか参らないわけですが、私の気持といたしましては、いろいろ消費者、生産者等から出てくるこの制度に対する批判なんかも十分考慮し、また、国全体の中における制度の地位というものも考えて、なるべくこれをよくして存続していきたいのだというふうに考えておるような次第であります。

高石幸三郎自由民主党

○高石委員 われわれもここで統制を撤廃しろの全部自由にしろのと言うわけではありませんが、しかし、事態が、たとえば配給なしでどこへ行っても米が食べほうだい食べられる、こういうような状況にある現実を直視して、そうしてまた、生産農家に対するところの問題についてはあるいは別の施策が考えられてもいいのじゃないか、これは現実の事態を直視してわれわれは考えていく、そうして間違いないことをやるのが一つの政治のいき方だ、こういうふうに考え、一応所信を承ったのでありまして、どうしても大臣がこの制度が現在の国内・国際すべてを勘案してよろしいのだというならけっこうでありますが、しかし、刻々と事態は変化をしておるということだけは間違いないと思うのであります。  特に麦の問題でございますが、実はわれわれも常に聞かれるのです。今非常に麦が余っている、倉庫は一ぱいだ、そして、現実に麦を食べなくなったということが言われております。小麦は別として、大麦はそうなっております。一体麦はどうしてくれるのだ、昨年も、麦の買い入れ時期になって倉庫が一ぱいで買えない、買うという約束をしてあるがなかなか検査員が来てくれない、何度か陳情して、それで倉庫をあけてもらった事実があるのであります。こういう現実の姿があるのでありまするし、かつまた、麦の価格についても、毎年下げるのじゃないか下げるのじゃないかというようなことも言われているようです。しかも、大臣の方針によりますと、さらに麦についてはいろいろの施策をお立てになって、そして増産体制を立てようとしている。しかし、これは、前に農民として苦しみがなければよかったのですが、ずっと前は、わが国においては小麦は不適当だ、だからどうしても大麦を作れ作れと言っていたのでありますが、最近では小麦を作る方がいいというふうなことを言ってきておる。このため、なかなか困っている。それで、畑作振興につれて麦を何とか振興しなければいけないというのですが、こういう苦労を中央はよく存じません。地方では、農業会議にしろあるいは農業委員会にしろ、どうして麦作を他の作物に転換するかということに非常に苦労をしておる。こういう状況において、一体麦は今後の需要面をどういうふうに開拓していくのであるかというようなこともさらに示されていない。こうなりますと、どうも農民としては——それは大臣や局長の皆さんはせいぜい一年か二年でどんどんかわってしまうからいいかもしれないけれども、末端でその仕事をやっている者は非常な苦しい目にあうわけです。  そういうようなことで、麦それ自体に対しても、現在の食管制度においてそのままいくということが必要であるとか、あるいは、転換態勢ができるまではやむを得ぬとしても、将来はこうなるのだということを言うことも、私はやはり親切なことではないかと思う。つらいけれども、つらいことをあえて指針を与えるということがほんとうの親切なのでありまして、昔から、かわいい子には旅をさせと言う通り、ほんとうに農民を愛し、ほんとうに農民の行くべき道を示す場合においては、問題が起こっての対症療法や注射ではだめなんです。体質をほんとうに改善していくという目途のもとに、われわれは、やはり、現在の食管制度における麦の取り扱いということなどもある程度考えるべき時期に来ておるのではないかと思うのですが、こういう点はいかがですか。

福田赳夫自由民主党農林大臣

○福田国務大臣 お話はまことにさような通りだと思うのです。しかしながら、麦は、小麦・大麦を通じまして、私は、そういうむずかしい事態に対処する道は生産能率をよくするという方向にあると思うのです。それで、三十五年の予算におきましても各地にそういう試験地というかモデル地区を作ることになっておりまして、品種の改良でありますとか、力を省いて多くの収穫をあげる、そうして輸入小麦にもほんとうに太刀打ちできるというところまでこの麦作の能率が上がり得るものかどうかという試験をする段階に来ておる、かように考えておるわけなんであります。  それで、大麦におきましては、お話のように、需要がだいぶ減ってきておるわけでありまして、あるいはこれは飼料用というような考え方の施策が必要ではあるまいかというような段階かとも思うのであります。小麦におきましては、これはほとんど大部分が外国の小麦に依存をしておる。パンの材料は外国のものでなければならぬというようなことのようでございまするが、これを克服するという努力をこの辺でほんとうに真剣にしてみなければならない段階だというふうに思うのです。  現状の認識については高石さんと大体同じ認識なんですが、そのやる手段並びに方向ということになりますると、ちょっとあるいは違うかもしれませんが、そういうふうに考えておる次第であります。

吉川久衛自由民主党

○吉川委員長 ただいま農林大臣が参議院の予算委員会における補正予算採決のため出席を求められております。大臣が戻られるまで暫時休憩いたします。     午後四時十六分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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