日米安全保障条約等特別委員会 第29号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/05/06
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約等の締結に伴う関係法令の整理に関する法律案、右各件を一括して議題といたし、質疑を続行いたします。石橋政嗣君。
○石橋(政)委員 政府・与党は、今回新しい安保条約を締結することによりまして、非常に日本にとって都合のいいものができるのだという宣伝を盛んにやっておられるわけでございます。この新しい条約によって自主性が確保される、それから双務性、最近は、対等性とか、平等性というような言葉を使っておられるようでございますが、そういうものも確保される、こういう強調を盛んにやっておられるようでございます。私どもがこの条約案をいろいろ検討してみますと、どうもこれが、はたして事実を伝えておるだろうかという疑問を持つわけです。国会の審議を通じまして、一般国民も、非常に大きな疑惑をその点について持ち始めていると私は思います。私どもの考えでは、新しい条約は、現行条約に比べまして、少しもよくなっているとは思えない。政府の方で、よくなっている、よくなっていると主張されておる面は、ほとんど現状と実質的には変わらないのではないか。逆に、黙って伏せてあるところに、今よりも悪くなる点がたくさんあるような気がしてならないわけであります。そういう点を、今まで先輩、同僚の各委員が次々にここで暴露して参りましたが、私もまた、これにならって、この事実を明らかにして参りたいと思うわけです。 そこで、最初に確認しておきたいのでございますが、政府は、ほんとうに新しい条約が締結され、これが効力を発生してくると、日本の自主性は回復される、日米対等、平等の立場に立つことができると、今なお確信しておられるかどうかということなんです。おそらく交渉を始めます当座は、そういう意気込みを、私は持っておられたと信じたい。しかし、実際に交渉を進めていく中から、どちらかというと、アメリカのぺースに巻き込まれて、結果的には、事志と違ったといった面が相当出てきているのではないか、こういう疑惑を持っておりますので、最初に一つ確認をしておきたいと思うわけであります。
○藤山国務大臣 ただいま石橋委員が御質問でありましたが、われわれは、かねて総理の言われております通り、現行の日米安保条約が、制定当時のいきさつから申しまして、あるいはそのときの日本の事情から申しまして、決して日米両国の話し合いで、対等の立場でこれを運営していくということになっておりません。従って、われわれとしては、そういう趣旨のもとにこれを改定するということでありまして、今日でもなおその趣旨が達成された、そういうふうに考えておる次第でございます。
○石橋(政)委員 今回の改定によって自主性が確保できた、対等性、双務性が確保できたということを、依然として主張されておる。今外務大臣も御確認になったわけでございますが、このことは、裏を返していけば、これまた、今御指摘があったように、現行条約が非常に自主性において著しく欠ける点がある、片務的である、こういう前提の上に立ってでなければ出てこない言葉だと思うわけでございますが、これは間違いないわけですね。ここに「自民党の安保改定方針」というのがございますが、この中でも、なぜ現行条約を改正するか、その理由として、「現行条約を合理的に改定し、わが国の自主性と対等性を確立するためである。」こう述べており、その理由として、いろいろ書いてありますが、結局、今の条約は不平等かつ従属的なものであるといわれておる、また、条約上アメリカが日本に駐留する権利があるが、防衛する義務が規定されていない、こういうところが片務的であると批判されている、だからこれを改定するのだというふうに認めておられるわけですけれども、念のために、今度の条約によって自主性、対等性が確保されるということは、その点において、現行条約に著しく欠けるところがあるということを意味しておる、この点はお認めになるわけでございますね。
○藤山国務大臣 今までたびたびわれわれが申しておりますように、現行の条約というものは、制定当時の事情から申しまして、条約の運営の上から見ましても、必ずしも対等で話し合いをしながらいこうというようなことではなしに、現行の安保条約というものは、著しくその点について欠けておるという認識の上にわれわれは立っておる次第でございます。
○石橋(政)委員 藤山外務大臣は、最近一貫して言っておられることを今御確認になったわけです。現行安保条約は著しく自主性、双務性に欠けておる、こうおっしゃっておるわけなんですが、ここに、政府の説明とか、答弁とかいうものについてのからくりが私はあると思うのです。これはどういうことかといいますと、一つのこの条約が、あるときにはすばらしいものだという宣伝をされておる時期がある、これはいつかというと、言うまでもなく、現行条約が国会に提出されたときです。吉田内閣の当時です。今から次次に私は御指摘してみせますが、そのとき吉田内閣は何と言ったかというと、これほどりっぱな条約はないという説明を、国会を通じて国民にしておるのです。あなたは今、自主性、双務性というものが著しく欠けておるとおっしゃるけれども、吉田内閣のときには、全くそれと反対のことを言っておられた。同じ条約が、あるときにはすばらしいものであったり、あるときはすばらしく自主性に欠けるものであったり、そういうことがするでありましょうか。ここに私は問題があると思う。ここで政府が、当時どういう説明を国会においてしたかということをお知らせしたいと思いますが、昭和二十六年十月二十九日、参議院の特別委員会における西村条約局長の説明でございますが、こういうことを言っております。「この条約の必要性については、日米両国政府が同等の必要性を感じて締結されたものであります。従いまして、この条約全般を貫く精神は相互平等の安全保障条約でございます。」同じく昭和二十六年十月三十日、「この日米安全保障条約は、アメリカにとって片務的であって、日本にとって一方的な利益を与えるものではなかろうか、こういう意見が開陳されたほどでございます。つまり片務的という言葉は当らないと考えるのであります。」片務的というならアメリカの方に片務的なんだ、こういう説明すら当時はなされておるのです。私はここに問題があると思いますが、おかしいとお思いになりませんか。全く同じ条約が、当時はこういう説明をしておって、今になったら、何も少しも変わらないのに、著しく自主性が欠けたり、片務的であったりするのは、おかしいとお思いになりませんか、いかがです。
○藤山国務大臣 当時の事情から申しまして、私ども先ほど申しておりますように、日本は占領下にございました。また、平和条約を締結して——占領下から平和条約を締結したことによって占領行政が終わったのでございますけれども、そのときの事情として、できる限りの対等性なり、あるいは自主性なりを確保したということは、それは当時の事情から申して、言えるかと思います。しかし、私どもたびたび申し上げておりますように、この十年間、日本が経済的にも、あるいは社会的な地位も向上し、国連にも加盟することができまして、そうして国際社会の中に出て参りますと、振り返ってみれば、この条約というものは、必ずしも制定当時のような説明ばかりではできないということは、これはわれわれみんな痛感するところでございまして、社会党方面からも、いろいろな御意見もそういうところに十分あったとわれわれは了承しておるのでございまして、私どもとしては、そういう見地に立ちまして、これを改定すべきは当然のことだと思っております。
○石橋(政)委員 私は、最初に、こういう経過があるということだけ知らしておきたいと思うのです。なぜそういうことを言うかというと、条約とか、法律というものを審議する場合に、あまり政府の説明や答弁というものを信用してはならないということなんです。問題は、条約も法律も、でき土がってしまったらこれは一人歩きしてしまう。だから、忠実に、この法文に書いてあります文字そのものの解釈というものにポイントを置いて、焦点を合わして論議をしていかなければ、政府がこう言うから大丈夫だとか、こういうことにウエートを置いてやっていったんでは、こういうふうに全然違うものが説明の中で出てくる。こういう事態もあり得る、主観が入るから。こういうことじゃいけないということを最初に申し上げておきたいので、私は二つの、最も極端な現行条約が締結された当時の政府説明と、それから現在改定しようとするときの政府説明と、ここに対照してお示ししたわけでございます。 そこで質問を進めたいと思いますが、藤山外務大臣は、本条約案の提出にあたりまして、おもな改正点として五つあげておられるようです。その第一番目にあげておりますのが、日米間の安全保障体制と国際連合との関係を明確にしたこと、これであります。新しい条約によって、日米間の安全保障体制と国際連合との関係を明確にした、これが改正の第一点だ、こういう御説明をなさっております。ところが、これも静かに振り返ってみますと、昭和三十二年九月十四日、日米安全保障条約と国際連合憲章との関係に関する交換公文というのが取りかわされておるわけです。これと内容的には大して変わりがないという感じを私どもは受けます。たとえば、新しい条約第一条の前段、試みにちょっと読んでみますと、「締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。」こう規定いたしておりますが、これはこの三十二年九月十四日の交換公文の項そのものであります。これは朗読するまでもない、全く同じ文章であります。次に、新条約第五条後段、この規定は、この交換公文の項とほとんど同文であります。それから、新条約第七条、これは交換公文の項とほとんど全く同じものであります。それから、新条約第十条前段、これは現行条約第四条と、これまた、ほとんど同じ内容のものであります。こういうふうに見て参りますと、何も、今度の新しい条約が締結されることによって、初めてこの国際連合との関係が明確になったのではなくして、すでに現行条約のもとにおいても、三十二年の九月の交換公文の取りかわしによって、国際連合憲章との関係は明確になっておるという、こういう御説明が過去においてなされてきておるわけでありますから、そう、さして取り立ててよくなったと言えるしろものではない。現行条約とほとんど同じじゃないか、こういう印象を私どもとしては受けておるわけでございますが、いかがでございますか。
○藤山国務大臣 御承知の通り、現行条約にはそういう点について欠けるところがございまして、従いまして、交換公文によりまして、少なくともその国連憲章に準拠する立場、あるいはその意味をはっきりさしておきたいと思うのが、むろんわれわれの念願であります。従って、条約改正にあたりましても、その精神をもって一貫してきたわけでありまして、従って、条約においてこれをはっきさせたということは、これは当然のことでありますが、しかし、それは今日まででも、われわれがそういうことを望んできたからこそ、交換公文にあったわけでありまして、やはりこれは日本として明記し、あるいは交換公文等においても明示していくということが、一番必要のあった問題だとわれわれは考えております。
○石橋(政)委員 私は、明記することが、悪いとかなんとか言っているわけじゃないのです。改正したのだ、よくなったんだと盛んにおっしゃっておられる問題も、冒頭申し上げたように、一つ一つ突き詰めていけば、現状とほとんど変わらないのだ、別に今あらためて改正になった事項ではないのだ、ということを申し上げておるわけです。あと一つ一つそれを立証して参るわけですが、その第一番目について今申し上げているわけです。もし、今までのやつは交換公文という形であった、今度は条約本文に入ったのだ、だから、その間に重みの相違がある、価値の大小があるのだ、こういうことだとすると、ちょっと問題だと思うのでございますが、そういう考えが外務大臣の頭にあるわけですか。
○藤山国務大臣 価値の大小があるという意味で申し上げておるわけでございませんので、現行安保条約に対して、こうした精神を取り入れていくということが必要である、そしてまた、国連憲章の精神に従って両国が行動するということが大事なので、従って、それを、現在の安保条約がある限りにおいても交換公文で取りつけておくことが必要であり、また、改正する場合には、当然そういうものを入れて条約を作るということでございます。
○石橋(政)委員 そういうことであれば、実質的に効果は変わらないのです。今の条約においても交換公文で明記されておる、新しい条約ではそれが本文の中に入ってきた、効果は変わらない。ということは、別に取り立てて、今度の条約によって、改正、改善として取り上げなくちゃならないようなものではないということをお認めになったものと考えます。大体この程度の規定を織り込んで、そして国連憲章をあまり振り回すのは、どうかと思うわけなんです。この間も、政府側としてもお認めになりましたが、国連憲章の五十一条なんというのは、これは国連の精神からいえば、完全に例外規定であるわけでございまして、そう大していばれるものではないと私どもは思っておるわけですが、そのことは今直接触れようとは思いません。 ちょっとここに国連が出て参りましたので、関連して、この間論議された問題で、私どうもふに落ちない面がありますので、ここでついでにただしておきたいと思いますが、それは、今度の条約などは、特に、いやというほど国際連合とか、国際連合憲章の精神とかいうのが出てくるわけです。国連とは一心同体であるかのごとく、盛んに取り上げておるわけですが、それほど国連を思い、国連に忠実ならんとする政府が、国連軍として行動する場合も、事前協議でチェックできるのだとかなんとか強いことをおっしゃるのが、どうも私にはふに落ちない。そこで私は、その点について話を進めてみたいと思うのですが、米軍が国連軍として出動する場合も、事前協議の対象としてイエスと言うばかりでなしに、ノーと言うこともあり得るのだという、この過去の答弁は御確認なさいますね。
○藤山国務大臣 われわれは、国連の精神を尊重し、国連の決議に協力していくことは、当然のことだと思います。しかし、その決議にどういうふうな形で協力していくかということは、それぞれの国が、おのずからそのときの国の事情により、あるいは社会的、経済的、軍事的事情によってきめて参るわけでありまして、こういう方法でなければならぬというものではございません。ただ、国連の決議あるいは精神というものに対して、協力いたしていくことは当然でございます。
○石橋(政)委員 それでは、さしあたって、朝鮮動乱が再発したという仮定のもとにいろいろお尋ねしてみたいと思います。というのは、一つこの吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文を中心に質疑をしてみよう、こういうことです。 朝鮮動乱が再発したということを仮定した場合に、米軍が国連軍に編入されて行動することが、事実としてあり得るわけでございますが、その場合に、事前協議の対象に依然としてなるのだという法律上の根拠は、この吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文の第三号、これが根拠になるというお考えでございますか。
○藤山国務大臣 その通りでございます。
○石橋(政)委員 そうしますと、ここではちょっと私、疑問が出てくるわけでございますが、この第三号、「合衆国軍隊による施設及び区域の使用並びに同軍隊の日本国における地位は、相互協力及び安全保障条約に従って行なわれる取極により規律される。」こう書いてあります。この取りきめの中に、いわゆる第六条に基づく交換公文が入るんだ、こういうことでなければ、どうもつじつまが合わないような感じがするわけですが、一体この取りきめというものには、何々が入るのですか。
○藤山国務大臣 その通りでございまして、内容については条約局長から御説明申し上げます。
○高橋(通)政府委員 その通りでございまして、現在におきましては、安保条約に従って行なわれる取りきめ、すなわち、条約第六条の実施に関する交換公文、それから地位協定、この二つでございます。
○石橋(政)委員 新協定も入るというお話なんですが、そうしますと、なぜ六条に書いてある通りをここで規定しないのですか。六条には、「前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。」こう規定しております。いわゆる新協定で、あなた方の方で地位協定と言い、われわれは駐留協定と言ったり、新行政協定と言っております。これと、合意される他の取りきめと、二つ並列されて書いてある。吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文の方では、単に取りきめとだけしてぼかしてあるのですが、あなたのおっしゃる通りなら、このまま両方含まれるのだということを、明確にしておいた方がいいじゃないかと思うのですが、この点、いかがですか。
○高橋(通)政府委員 表現の問題でございますが、これによって全部包括されるということになりますから、別に第六条に合わせる必要はない。すなわち、安保条約に従って行なわれる取りきめによって規律されるのでありますから。ところが、現在どういう取りきめがあるかというと、現在あるのは、第六条の実施に関する交換公文及び地位協定でありますから、それが現在これによって規律される。しかし、将来におきましても、一切の地位は、この安保条約に従って行なわれる取りきめによって規律されるというように、包括的に網をかぶせたわけでありますから、これで十分だと思います。
○石橋(政)委員 そうしますと、先ほど吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文では、新しい地位協定と、第六条の実施に関する交換公文の二つ、こうおっしゃいましたが、まずこれを確認していただきたい。それから、本文第六条の方の、合意される他の取りきめの中には、将来は別として、現在どういうものが含まれますか。
○高橋(通)政府委員 第一点は、御指摘の通り、条約第六条の実施に関する交換公文と地位協定、これが吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文の第三号の、「従って行なわれる取極」に含まれる。現在はこの二つでございまして、これは確認いたします。 それから、第六条のもとにどういうものがあるかと申しますと、「施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位」、これでございますから、これもやはり、ここにございます地位協定と、条約第六条の実施に関する交換公文、この二つが、現在のところ、別個の合意される他の取りきめによって規律される、他の取りきめでございます。
○石橋(政)委員 そうしますと、その他の二つの交換公文、それから参考として出しております往復書簡とか、合意議事録、それから新協定に伴う交換公文とか合意議事録、こういうものは一切現在でも入らない、こういうお考えでございますか。
○高橋(通)政府委員 入らないとか入るとかいう問題は、これはちょっと言葉の問題じゃないかと思いますが、最も大きな、実体的な問題は地位協定であります。地位協定は、これは日本国における米国軍隊の地位に関する全般的な規定でございますから、これはもう当然ここに入る。それから最も重要なものとして、第六条も入ります。しかし、そのほかが入るか入らないかということは、これが使用に関係し、地位に関係すれば——どの程度関係するかわりませんが、関係する限度においては、当然これは規律されるということになるわけであります。
○石橋(政)委員 それはおかしいじゃないですか。私は、将来結ぶであろうものを聞いているのじゃない。現在あるものを聞いている。合衆国軍隊の地位に関係あるか、あるいは施設及び区域の使用に関係があるか、あなたが判断することじゃないですか。あなたの方で判断してみて、そして関係があるというならば合意される他の取極に入る、こうおっしゃればいいのであるし、関係がないというならば入らぬとおっしゃればいいので、架空なものについてお伺いしているわけじゃないのですから、明確に一つ答弁していただきたい。
○高橋(通)政府委員 それは、この地位協定のみならず、地位協定の下部協定といいますか、地位協定のもとに締結された協定、議事録、そういうものももちろん含むわけでございます。合意議事録とか、そういうものも一切含んで規律されるということになるわけでございます。
○石橋(政)委員 含んでおるという確認をしていいのですね。法制局長官もいいですか。そうしますと、私ここで疑問が出てくるわけです。現行条約の第三条、御承知の通り、もう皆さんには読む必要ないのですが、一緒に聞いてもらうために、私ちょっと読みます。「アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。」現行条約の場合には、合意される他の取りきめなんというものはない。規律される条件は、言葉は違ってきておりますよ。現行条約では「配備」、こちらは「施設及び区域の使用」と「合衆国軍隊の地位」と違っています。実体的には変わらぬとおっしゃっているわけです。ところが、現行条約では、規律する条件というのは行政協定で決定する。今度の条約では、要するに、駐留協定だけではなく、他の取りきめ、これによっても規律される。同じことなのですか。これは「他の取極により規律される。」こういうことはなくなっていい、こういう解釈になるわけですか。
○高橋(通)政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが、これは新条約第六条の第二項でございますが、「安全保障条約第三条に基く行政協定」、これは現在の行政協定でございます。これに「代わる別個の協定及び合意される他の取極」、それにかわるものとして別個の協定やいろいろ協定がございますし、他の取りきめで合意されたものもあるかと思いますし、将来また合意するかと思いますが、そういうものによって規律されるものである、こういうことでございます。
○石橋(政)委員 もう一回、それでは言います。新しい条約の第六条でいう「合意される他の取極」、将来のものはとにかくとして、現在あるものはほとんど含まれると、先ほど条約局長は御確認になりました。六条に関する交換公文以外の交換公文等も、あるいは新協定に伴う交換公文等も、全部この取りきめに入ると、こうお答えがあったわけです。それは間違いないわけですね。ところが、そうなりますと、現行条約の第三条では、規律する条件は行政協定だけであるというふうに書いてある。他の取りきめと、いうものはない。そうしますと、岡崎・ラスク交換公文等も現実にあるわけです。こういうものは一体どうなるのかという疑問を、私は持つわけです。この点をお尋ねしているわけです。
○林(修)政府委員 その点は、現行条約の第三条、これは日本文でもそうでございますが、英文をごらんになりますと、「アドミニストラティヴ・アグリーメンツ」、これは複数になっておるはずでございます。しかも、これは小文字になっておるはずでございます。そういう意味は、いわゆる行政協定というのは、現在ございます第三条に基づく行政協定という一つの協定でございます。あれのみをさしておるわけではございません。従いまして、岡崎・ラスク交換公文のごときもその一つでございます。そういう意味で、現在においても複数のものがあり得るわけでございまして、あそこでいう行政協定というのは、現在ございます、固有名詞を持っておる行政協定よりは多少幅が広い、かようにお考えになってけっこうだと思います。それから、今度の第六条に基づくアグリーメント、これは条約局長がお話しいたしましたように、さしあたりは今度の地位協定と第六条の交換公文、ほかの合意議事録とか、交換公文ももちろんございますが、これはいわゆる地位協定の下部協定的なもので、地位協定に包含される性質のものだ、かように私たち考えております。
○石橋(政)委員 林法制局長官はそんなことをおっしゃいますが、私、前に外務大臣、高橋条約局長と論議したことがあるのですよ。そのときに、「行政協定で決定する。」とある。私は、この行政協定というのが、日米安全保障条約第三条に基づく行政協定でないことはわかると言っておる。しかし、行政協定という形式でやらなくてはならぬ、間違いだろうと言ったところが、間違いないと言っておるのですよ。あなたは、岡崎・ラスク交換公文も入るなんておっしゃるけれども、それは前の答弁と違いますよ。いかがです、統一して下さい。
○林(修)政府委員 これは違わないのでございまして、岡崎・ラスク交換公文もまさに一つの行政取りきめでございまして、そういう意味ではいわゆる第三条に基づくもの、かように考えております。
○石橋(政)委員 そういうことをおっしゃったって、それじゃ、前の高橋条約局長の答弁と違うじゃないですか。行政協定というものの中に交換公文も入るのですか。そんなことはないでしょう。
○高橋(通)政府委員 思い出しました。前の行政協定、現在の安保条約の行政協定というのは、固有名詞的な特定の行政協定ではない。そのような行政的な協定ということは、双方のそういう約束で規律する条件を決定することができるんだというのが、第三条の趣旨である、すなわち、第三条は、そういうふうな規律する条件を、どういう条件で規律するかという、行政権同士の約束にゆだねたというのが、第三条の趣旨であります。従って、それが、たとえば、ただいま申し上げました交換公文とか、そういうものも全部含まれて、それを指摘している、こういうことになっております。
○石橋(政)委員 あのときの答弁と違いますよ。私、ここに速記録を持ってきておりますから、探してもいいのですが、最初高橋条約局長も、今林さんがおっしゃったようなことを言ったのです。ところが、私が、それはおかしいじゃないですか、行政協定と書いてあるんだから、今ある行政協定を私は言っておるのじゃない、少なくとも規律するためには、行政協定という形式をとらなくちゃいかぬのじゃないかと言ったところが、あなたは、そうです、間違えましたと言って、訂正したのですよ。今の答えは違いますよ。違うなら違うと、前のやつを取り消して下さい。
○高橋(通)政府委員 行政協定という形式をとらなければならぬということは、同じでございます。行政協定という形式で意味しておるのは、その政府間の協定という意味の形式でいくんだ、こういうことを私は考えて、申し上げたつもりでございます。
○石橋(政)委員 あとで探して御指摘しますが、あなたは前言を翻しておるのです。(「指摘しなさいよ」と呼び、その他発言する者あり)それじゃ待ってくれますか、やりますよ。——昭和三十三年三月二十七日、内閣委員会、いろいろやりとりがありまして、あなたが、わかりましたというところから読んでみます。「御指摘の点、私非常に不十分であったかと思っております。わかりました。ただ行政協定というものは、ここに書いたこの行政協定だけであるということでは、ないと思います。と申しますのは、行政協定というものが一つの固有名詞的と申しますか、普通名詞的に考えられている、従ってそういう行政協定、いろいろそういう協定でやっていくのがいいのだ、そこでここに一つのこういう形式の行政協定ができ上った、従ってこの行政協定でなくてはいけないというのではないのです。」こう言っている。行政協定という形式をとることは、あなたもお認めになっていますよ。今あるこの行政協定内ということを、私もそれはわかると言っておったのが、あなたにわからなかったのだ。だから……。 〔「どこが違っている、違ってない じゃないか」と呼び、その他発言 する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 現行条約の第三条でいうこの行政協定というものの中には、いわゆる行政協定という形式をとる必要はない、交換公文も何もみな入るのだというならば、新しい協定でも「合意される他の取極」なんというのはつけ加えなくても、実質的には変わらぬ。このままでもいい。現行条約のような形式をとっても、実質的には変わらぬということですかと聞いているのです。それならばわかりますね。 〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 これは特に念を入れてつけ加えたのであって、あなた方が今答弁したことならば、今の条約の三条そのままでもいい、こういうことですかと聞いている。 〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 お答えがないから、もう一度。与党の議員でわからない人がおるようだから、もう一ぺん言います。 〔「なまいきなことを言うな」と呼 び、その他発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 現行条約の第三条によれば、配備を規律する条件は行政協定で決定する、こう書いている。そこで私は、その行政協定というのは、この第三条に基づく行政協定、すなわち、現行行政協定だけではないことはわかる。しかし、少なくとも、配備を規律するためには行政協定という形式をとらなくちゃいけないのじゃないですかということを始終一貫言ってきたわけです。それに対して、そうではないのです、という答弁が今出てきた。この点は、どうも林さんの今の答弁と前の高橋さんの答弁とちょっと違うような感じがします。これは、最初に高橋さんが言われたのです。ところが違うのだ。私は、今の協定だけじゃないことはわかっているのだと言ったら、それでわかりました、こう言っているのですよ。そのことは、私今追及しようとは思わない。だれかがおっしゃるように大した問題じゃない。だから追及しようとは思いません。しかし、私が聞きたいのは……。 〔発言する者多し〕
○小澤委員長 静粛に願います。
○石橋(政)委員 それでは、単に行政協定で決定するとしておいても、交換公文が全部入るというならば、新しいこの条約においても「合意される他の取極」なんというものは要らなかったのじゃないですか、こういうことを聞いているわけです。念のため入れただけで、実質的には現行条約第三条と変わらぬということになると思いますが、どうですかと聞いている。
○高橋(通)政府委員 この第六条第二項でございますが、これこれの地位は、一九五二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安保条約第三条に基づく行政協定、これはあの行政協定でございますね。固有名詞的な行政協定でございますから、今までの、いわゆる一般普通名詞的な政府間の取りきめと私が考えましたところの行政協定ではございません。あの行政協定でございますから、それにかわる新しい協定が一つ必要でございます。しかし、私は、それだけではないと思う。それだけより、もっとほかに必要性があると考えますので、「及び合意される他の取極により規律される。」こういうふうにつけ加えて書いたのです。
○石橋(政)委員 それじゃ、この中にはほかの行政協定も入る、そういうことですね。そうしてまた、固有名詞的な行政協定だけじゃなしに、ほかの行政協定という言葉を使ってもいいということですね。今の第三条に基づく行政協定というものが非常に広いものならば、そういう意味での行政協定という言葉を使ってもいい、こういうことになりますね。
○高橋(通)政府委員 ただいまの別個の協定、及びほかの行政協定という言葉を使ってもいいという御指摘でございますが、ほかの行政協定という場合に、それが政府間の——私どもが了解いたしております国会の承認を得ない取りきめ、他の政府間の協定という意味合い、それも含まれております。これは排除するわけではございませんが、それでなければならないという意味でもないし、また、それ以外の合意された取りきめというのもあるわけでございます。
○石橋(政)委員 それじゃ、いいです。朝鮮動乱が再発したという場合を想定して、私お伺いしているわけですが、そうしますと、アメリカ軍以外の軍隊、具体的に申し上げますと、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に署名しておる英連邦軍隊等、こういうものが、動乱が再発した場合には、再びこの協定に基づいて日本の施設及び区域を使用することは可能なのですか、これが効力を持っている限りにおいては。
○高橋(通)政府委員 動乱再発という意味が——現在、まだこの協定は有効でございますし、朝鮮の統一政府はまだ存在しておりますから、現在においても、この状況において国連軍の地位に関する協定が有効であり、それに従って権利義務を持つということになっております。
○石橋(政)委員 権利義務を持つということは、施設及び区域を使用することもあり得るということですね。
○高橋(通)政府委員 あり得るのみならず、現に使用しているわけでございます。
○石橋(政)委員 米軍以外のですよ。そうしますと、米軍以外の国連軍が使用しておるし、もっと拡大されて使用されることもあるかもしれぬ。そういう場合に、それらの軍隊は、一体どの条項に基づいて事前協議を日本とするわけですか。
○高橋(通)政府委員 それらの軍隊につきましては、事前協議という問題は起こりません。
○石橋(政)委員 私がお伺いしたいのはそこなんです。結局、朝鮮動乱が再発したという場合を想定して考えてみると、非常に矛盾が出てくるわけです。米軍の方は吉田・アチソン交換交文等に関する交換公文の第三号に基づいて日本と事前協議をやる。ところが、その他の国連軍は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定だけに拘束を受けるわけですから、これの第五条第二号によって使用することができる。しかも、その場合に事前協議を要しない。同じ国連軍の中で、米軍だけが事前協議の対象となり、その他の国連軍は事前協議の対象にならぬというのでは、不公平という問題がアメリカ側から提起されてくる。これに対して反論する余地はない。そこで、実質的には、国連軍として行動する場合に、事前協議をやっても、ほかの軍との均衡上ノーと言うことはできない、こういうことになりはしないかということをお尋ねしているわけです。藤山外務大臣、どうぞ。
○藤山国務大臣 そんなことはアメリカが不平等だというふうには考えておらぬので、アメリカは喜んで、在日米軍が国連軍として使用される場合にも事前協議の対象になるということを確認いたしておるのでございます。その他の場合につきましては、国連軍協定を結んでいる他の国々に対しましては、いわゆる国連軍協定によって規定されておるのでございます。
○石橋(政)委員 あなたは、アメリカは不公平だと言わぬだろうとおっしゃいますけれども、公平に、第三者的に考えてみて、同じ国連軍に編入されている軍隊で、米軍だけが事前協議の対象にされて、英連邦軍その他この署名している国——たくさんあります。カナダ、ニュージーランド、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、南ア連邦、オーストラリア連邦、フィリピン、フランス、イタリア、こういう国々が国連軍として動く場合には事前協議の対象にならぬ、当然これは不公平だという問題が出ますよ。出ないということは何を物語るかというと、ほかの国並みに扱ってもらえる、事前協議という形式を踏んだって、日本がノーと言うことはあり得ないという確信がなければ、不公平だということになるじゃないですか。アメリカとしては確信があるわけですか。こういう場合には必ずオール・イエスだ、こういう確信がなければ、不公平だとアメリカは言いますよ、いかがですか。
○藤山国務大臣 御承知のように、国連軍協定をお読みいただくとわかると思いますけれども、アメリカと同じような立場において協定をいたしておるわけではございません。従いまして、ここにおりますアメリカ軍としては、国連軍に編入されましても、今回の条約に規定されるということをアメリカも承知いたしておるのでございまして、今お話しのような国連軍協定としては、同様の内容を必ずしも持っておるわけではございません。
○石橋(政)委員 今までいろいろ論議されておる中で、私は、冒頭にも申し上げたように、どうしてもふに落ちなかったのですよ。国連々々と言っておる。しかも、今度の新しい条約の第七条は、明確に、何度もここで言われているように、「この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。」と書いておる。これは国連憲章の百三条を受けておるのだということが外務省から出されておるプリントの中でも確認されておる。国連優先の大原則というものがある。それを確認しておる。それなのに、国連軍が出動する場合には事前協議でチェックするのだ、イエスと言うこともあるかもしれぬが、ノーと言うこともある、何を基準にしてノーと言うのだ、イエスと言うのだと言えば、藤山外務大臣は、国連の決議というものでいろいろ検討するのだ、えらいことをおっしゃっておるのが、私にはふに落ちない。すなおじゃないと思うのです。それほど国連に協力する意欲を持っておられるならば、国連軍の行動がすべて正なりという確信があるならば、何も事前協議でチェックする必要はないじゃないかという疑問を持った。そこで、朝鮮動乱が再発した場合を想定してやってみたら、明らかに矛盾が出てきた。国連軍に編入された在日米軍は事前協議の対象になるが、米軍以外の国連軍は事前協議の対象にならぬ、明らかにこれは不公平です。幾ら外務大臣が不公平じゃない、アメリカさんは不公平とは言いませんと言ったって、これは通りません。通るというならば、絶対にノーと言われぬという確信がアメリカになければ、そういう気持にならぬと思う。
○藤山国務大臣 あとで国連軍協定につきまして条約局長から御説明いたさせますが、われわれは、国連の精神を尊重し、国連の総会の決議あるいは安保理事会の決議等を支持して参りますこと、これは当然のことでございまして、われわれそれを今後とも十分考えていかなければならぬわけでございます。ただ、国連の決議が実行されます場合に、それをどういう方法で支持していくかということは、それぞれのメンバー・ステートがそのときの事情によって決定するわけでございまして、国連軍が編成されても、メンバー・ステートが全部必ず軍隊を出さなければならぬというのではございません。やはりその国の事情によって、軍隊をもって参加させるものもあるし、あるいは赤十字——救護的な格好でこれを支持していく場合もございます。それは、おのおのメンバー・ステートのそのときの事情によって変えておるわけでございます。軍隊を出さなければ、必ず国連支持にならないのだというわけではございません。でありますから、われわれとしては、国連の決議を尊重して、そして、それに対してできるだけの援助を与えることは当然でございます。そうして、在日米軍といたしましては、現に、お話しのように、安保条約によりまして、一つの目的をもって日本に駐留をいたしております。それが国連軍に転用された場合に、日本におりますアメリカの軍隊の目的が阻害されない程度において、これに対して考えていくのが当然である。その意味からいいまして、事前協議あるいは地位協定の適用を受けた上での判断をいたしますことは、これまた、国連支持にちっとも影響を与えるものではございません。 なお、こまかい協定のことにつきましては、条約局長から御説明いたさせます。
○高橋(通)政府委員 ちょっと補足させていただきたいのでございますが、ただいま御指摘の点は、あるいは、吉田・アチソン交換公文の初めの交換公文、これについて誤解があるのではないかと考えているわけでございます。この吉田・アチソン交換公文におきましては、朝鮮事変に関連しまして、「当該一又は二以上の加盟国がこのような国際連合の行動に従事する軍隊」、これは朝鮮の軍隊でございますが、「軍隊を日本国内及びその附近において支持することを日本国が許し且つ容易にする」、すなわち、これらの軍隊を日本に置いておくことを日本が許して、そうして、これを容易にするわけでございます。すなわち、この支持ということはサポートということでございまして、ここでは、このことはロジスティックのことをいっておるわけでございます。従いまして、それを受けまして、日本においてどういうふうに基地、施設・区域を提供するか、その権利がどういうものであるかというので、国際連合の地位に関する協定ができたわけでございます。従いまして、御指摘のように、作戦行動の出動とその場合の協議というようなことも、初めから考えていないし、そのようなことを許すということを目途としてこの協定ができ上がっているわけではない。従って、そのようなことはできないというのがこの建前でごごいます。それをするためには、新たなる国連軍側との了解のもとにしか行なわれない、こういうことが吉田・アチソン交換公文及びそのもとにおける軍隊の地位に関する協定の一貫した内容でございます。従いまして、御指摘のような点は、疑問は初めから起こらないというふうに考えておるわけでございます。その点は、たとえば、国連軍協定の第五条の合意議事録にも、「日本国政府が日本国において国際連合の軍隊の使用に供する施設は、朝鮮における国際連合の軍隊に対して十分な兵たん上の援助を与えるため必要な最小限度に限るものとする。」ということもいっておりますし、日本がここで国連軍に対して許し、かつ容易にするところのものは、すべてロジスティック、兵站上のものであるということが双方の了解であるわけでございます。
○小澤委員長 この際、堤ツルヨ君より関連質問の申し出があります。これを許します。堤ツルヨ君。
○堤(ツ)委員 私は、一つ外務大臣、条約局長に、今の石橋委員の質問に関連をいたしましてお伺いをいたします。 それじゃ、こういうことになると思いますが、これを一つ確認をしていただきたいと思います。国連の決定によってアメリカ軍以外の国連軍は行動を始める。しかし、アメリカ軍に限っては日本の新安保条約によって事前協議の対象になって網にひっかかるから、従って、同一行動がとれないという場合が起こって参ります。いわゆる石橋委員がおっしゃったオール・イエスではない、ノーと言う場合があり得るのだ、そして、その国連軍がみんなで行動をともにいたしますときに、政府の答弁によれば、アメリカ軍だけが一緒に動けなくなるところの一つの関所があるわけなんです。従って、そういうことになりますると、国連に忠実だというところの、日本の政府のおっしゃっておる精神というものは、そこで生きてこなくなってくるわけなんです。そういうことになると思う。それは、国連軍の行動に対しては、在日アメリカ軍だけをこの事前協議の対象にかけるということは非常におかしいのであって、何らかアメリカ軍の行動に制約を加えて、野放しにしないのだという口実のもとに、政府が変な理屈をこしらえてここへ巻き込まれていらっしゃるように私は思う。そういう場合について、藤山さん、どうですか。他の国連軍は一斉にスタートする、それから在日アメリカ国連軍だけはこれにひっかかって、行動がともにできない、そうすると国連の決議に忠実でない日本の立場、それから国連決議優先の原則からいえば、これは非常に問題が起こってくるわけですが、これはどうですか。
○藤山国務大臣 先ほば来たびたび御説明申し上げておりますように、われわれは、国連の決議、総会の決議あるいは安保理事会の決議、そういうものを尊重いたしますことは当然でございます。従って、これにできるだけの支持を与える、これは国連のメンバーとして当然考えなければならないことであります。しかし、その支持の方法というのは、それぞれの国によっていろいろあるわけでございまして、必ずしもすぐに、国連軍ができたからといって、軍隊を出さないという国もございます。そのかわり、軍隊を出さないけれども、赤十字活動で貢献する、あるいは、何と申しますか、兵站的な供給をやって支持するというように、いろいろな国があるわけであります。そういう国は、それじゃ国連の決議を尊重しないかといえば、やはり尊重して、そういう自分の一番適当と思う方法によりましてできるだけサポートをする、こういうことであります。そのこと自体は、決して国連の精神に反しているわけではございません。日本におります駐留米軍というものが国連軍に編入されましても、日本に安保条約によってあります目的を持っておりますから、それが編入されましたときには、やはり安保条約の上から見てこれを判断するのが当然でございます。でありますから、その意味において何ら国連の精神に違反しているということはございません。そうして、先ほど条約局長が御説明申し上げましたように、現在においては、アメリカ以外の他の国連軍に対するサポートというものも、現在の国連軍との協定によりまして、一つの兵站的なものに限って支持を与えるということになっておるわけでございまして、そういう点から見まして、われわれとしては、決して、国連の精神を尊重しないとか、あるいは国連の決議に何か反対的なことをやるというのではございません。
○堤(ツ)委員 これは政府はなかなか上手に答弁を逃げられるんです。ということは、これは沖繩の場合でもそうですけれども、国連軍の中におけるアメリカのウエートが非常に重い場合と軽い場合と、いろいろございます。その軽い場合のときに、逃げている。私たちが問題にしなければならぬのは、ウエートの重い場合に、この新安保条約の事前協議にひっかかってアメリカが動けなくなったときには、非常な支障を来たすことになる。たとえば、赤十字活動をするとか、物資を送るとかいう意味での、軽い、国連軍の中におけるところの在日米軍の行動というものであるならば、藤山さんがお答えになるようにあるいは言えるかもしれませんけれども、いろいろな場合があるだけに、ウエートの重い場合を考えたときには、国連の決議に大へんな支障を来たす場合が、アメリカ軍の行動によって起こる場合もあるということも考えておかなければならぬと思う。あなたは軽い方へ軽い方へと逃げておる、そうして上手に私たちから質問をそらそう、こうなさるところに、私は非常に誠意が見られない、こう思うんです。国連に忠実だ、国連に忠実だと言いながら、たとえば極東の範囲だって、国連の極東の範囲と、日本政府の極東の範囲、安保の極東の範囲と違うんです。これだって、国連の決議に忠実であらねばならぬ、優先であらねばならぬと言いながら、在日米軍の国連軍の行動は、他の国連軍の国々の行動と違って、事前協議の対象にひっかけてくるのだと言えば、事前協議の対象にひっかかって、そしてあるいはノーと言う場合が完全にあり得た場合に、大へんな支障を来たすということは、常識上考えられる。しかもアメリカというところの大国、非常に優秀な兵器を持ったところの、力を持ったところのアメリカ軍というものは、国連軍の中において非常に大きなウエートを占めておる。しかも、はたの国々というのは、ほとんど付属的な立場であるということは、今までの過去が物語っておるわけなんです。ですから、そんなに軽い場合のアメリカ軍の場合ばかりをおあげになって逃げようとなさっても、新安保条約の中における事前協議の対象として、国連軍の在日アメリカ軍だけを事前協議の対象にするのだとおっしゃる政府のこの態度は、どうも国民にはふに落ちない面がある、こう考える。非常にウエートの重い場合はどうなる。
○藤山国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国連における決議によりまして平和維持のためにとられました処置については、われわれはできるだけ協力していくことは、これは当然でございます。また、そのために、あるいは警察軍なり、あるいは国連軍と申しますか、そうしたものができましたときに、国連のメンバーとしてそれにできるだけの協力をしていくことは、これは当然のことであります。しかし、そのとき、かりに国連軍ができたときに、国連に軍隊を供出しないから、国連の決議に違反しておるのだとか、あるいは重要でないのだということは言えないのでありまして、他の国におきましても、たとえば朝鮮事変のときにおきましても、軍隊を出しておらぬで、他の方法で国連の決議を支持しております国は幾らもあるのでありまして、そういう国が、必ずしも国連の決議に違反し、あるいは国連の精神を没却しておるというわけではございません。お話のように、国連軍として行動をいたします場合には、当然、これは世界の民主主義的な協議によって国連軍というものができるわけでありますから、われわれはそれに対してできるだけのサポートを与えますことは、これは当然のことでありまして、われわれとしても、そういうことにつきましては、そのときの事情等によって、むろん、できるだけの協力を惜しまないものでございます。
○堤(ツ)委員 常識上、自由に活動し得るところの国連軍に、安保条約の中の事前協議の対象として、在日アメリカ国連軍だけをこの協議の対象の中に入れておくということは、どうしてもおかしいのでございます。私は関連でございますから、お返しいたします。また私のときがございますから……。
○石橋(政)委員 それでは結論をつけたいと思うのですが、私が言いたいことは、さっきから申し上げておるように、国連というものを非常に尊重しておる、必要以上と思われるほど国連を一ぱい持ち出しておるにもかかわらず、実際に国連が措置をとろうとするとき、一つの代表的な例として、国連軍が出動をしようとするときに、事前協議というようなものでこれをチェックできるのだという考え方は、どうもあなた方が宣伝しておる面と矛盾があるという感じがするということを言っておるわけです。現にこの事前協議でチェックする、すなわち、かりにノーと言うことがあるということになりますと、これは国連に協力しないだけじゃなしに、国連が制裁しようとしておる国を結果的には利することにもなる、こういうことがあることも御確認になっての御発言であるかどうか、これだけ確認していただいて、次に移りたいと思います。どうぞ外務大臣。
○藤山国務大臣 これはたびたび申し上げておりままように、援助の方法の問題でありまして、ただいま、国連のとりましたことの精神に対してノーと言っておるわけではございません。
○石橋(政)委員 それは援助の方法がいろいろあることくらいわかっておりますよ。しかし、日本の区域及び施設を使うことがこの際最も有効的である、こう考えるからこそ、使わしてくれと言うのでしょう。そのときにノーと言うことは、結果的には、国連が制裁しようとする相手の国を利することになることじゃないですか。それくらいな理屈がわからないはずはないと私は思う。しかし、幾ら申し上げても切りがありませんから、質問の第二に移ります。本筋に戻したいと思うのですが……。
○小澤委員長 この際、西村力弥君より関連質疑の申し出があります。これを許します。西村力弥君。
○西村(力)委員 今までの問題につきましては、去年の十二月十二日に、参議院の外務委員会で、吉田法晴君からいろいろ指摘されてありましたわけですが、その後、新聞記事を見ますと、自民党の船田政調会長は、この国連軍の日本国における地位に関する協定、署名している国はたくさんあるけれども、米軍に対して事前協議でチェックするということが方針としてきまる限り、その他の署名国については新しく署名をしなければならない、全然更新しなければならない、こういう談話を発表しておるわけなんでございまするが、その談話というのは、これは自民党の統一解釈に付随しての談話でありますので、私たちは、そういう考え方で交渉を進められた、こう思うのであります。ところが、今の質疑応答を聞いておりますと、米軍だけが事前協議の対象となって行動の自由性を拘束される、他の軍は従前の署名がそのまま生きて完全に自由である、こういうことになっておるのでございまして、当時の船田政調会長の談話とは大きく違う、こういう工合に私は思うわけなんでございまするが、その間の経緯についてはどうなっておりますか、お尋ねをしたいと思います。
○藤山国務大臣 高橋条約局長から、国連軍協定をもう一度説明いたさせます。そうすると、おわかりいただけるだろうと思います。
○高橋(通)政府委員 先ほどの日本におきます国連軍の行動に関してでございますが、国連軍の行動は、吉田・アチソン交換公文とこれに基づきます国連軍協定で規律されるわけでございます。そして、われわれが吉田・アチソン交換公文において約束しましたのは、「一又は二以上の加盟国がこのような国際連合の行動に従事する軍隊を」——すなわち国連軍を「日本国内及びその附近において支持することを日本国が許し且つ容易にする」すなわち、それらの国連軍が日本にあることを容易にするということを約束しまして、それに基づきましてどのような権利義務を与えるかということにおきまして、国連軍の地位に関するいわゆる行政協定ができたわけでございます。それによって国連軍の地位が規律されているわけでございます。しかし、吉田・アチソン交換公文及びそれに基づいて約束しました国連軍協定におきましては、あくまでも日本における国連軍のロジスティックな面を約束したわけでございます。従いまして、国連軍が日本から直接、この六条に関する交換公文にありますように、戦闘作戦行動に出るというようなことは、全然予定してない、また、あり得ない、従って、われわれは規律の対象外にしているわけでございます。そういうことはできないということになっている。われわれが約束したのはロジスティックだけである。これがこの国連軍協定及び吉田・アチソン交換公文を通じて、われわれが負うているところの義務である、こういうふうに考えておるわけでございます。それからさらに、ただいま御指摘のように、国連軍がどうするかという点でございますが、国連軍でありましても、アメリカ軍に関することだけをここで取り上げまして、いろいろ合意しているわけでございまして、国連軍自体はまた別個の問題として考えているわけでございます。
○西村(力)委員 石橋委員の質問に譲りますが、船田政調会長が、自民党の党議決定と同日の談話として、そういうことを発表しているということ、それがこの条約交渉の一つの態度として国民の前に示された、こう思っているわけなんですが、そういうことは全然考慮して交渉にあたったということではないんだ、船田政調会長の談話というものは責任を持たない、こういうことであるかどうか。それは藤山外務大臣、どうですか。
○高橋(通)政府委員 ちょっと言い落しましたので、私から補充させていただきます。もちろん、国連軍協定も、新安保条約及び新協定ができましたら、それに従いまして、国連軍の地位に関する協定も訂正していかなければならない個所があるかと考えます。たとえば十八条の問題でございますが、こういう点もいずれこれは改正しなければならないということは確かでございます。
○西村(力)委員 藤山さんに聞くのですが、船田政調会長の談話というものは御存じかどうか。これは自民党の統一解釈と同時に出た、他のものについてはあの署名は無効にして新しくこうやっていかなければならない、こういう趣旨の談話なんですよ。そういうことは御存じかどうか。また、交渉の際において、そういうことが考えられて、前提となって、そしてとどのつまり、ここにきたのかどうかということをお尋ねしたい。
○藤山国務大臣 私、今御指摘のような、船田政調会長のそのときの新聞に出しました声明というものを、実は詳しく存じておりませんので、あるいは違うかもしれませんけれども、党として安保条約改定に対する一つの方針をきめられて、われわれとしてはその方針に従ってむろんこの条約締結に当たっているわけでございます。しかしながら、条文の書き方なり訂正なり、そういう面について、党の決定しました精神に反しておらない限りにおいては、必ずしも条文的にはいろいろな点があろうかと思います。しかし、そうした精神については変わっておらぬと思っております。
○西村(力)委員 それではこれでやめます。これはやはり方針として、アメリカ軍だけを、国連軍として行動する場合もチェックするから、他のものとの不公平が発生するので、新しく他の署名国は別に取り消してやらなければならぬ、こういう趣旨のことを言ったのだと思って、お尋ねしたのだが、それについての具体的なことをお知りがないようでございますから、いずれあらためまして、必要があればやることにいたしまして、これでやめたいと思います。
○石橋(政)委員 質問を次に移そうと思ったのですが、今高橋条約局長の説明を聞いて、また疑問が出ましたので、ちょっとお伺いしますが、吉田・アチソン交換公文に基づいて国連軍が行動する場合、これは補給的なものしかない。すなわち、そういうことでいきますと、国連軍に編入された米軍においても、出動ということはないということですか。
○高橋(通)政府委員 米軍はそうではございません。国連軍は補給だけしかないというわけでございますが、ここにおけるところの国連軍としての米軍も、米軍でございますから、米軍はそういうことはないと思います。
○石橋(政)委員 どうもおかしいじゃないですか。この吉田・アチソン交換公文が規律されているのは国連軍、その中には、米軍とそのほかの軍隊と全部あるわけでしょう。そうすると、米軍が国連軍として出る場合には、この吉田・アチソン交換公文に基づいて出るわけじゃないですか。そうしなければ、今度の吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文なんというものは、意味がなくなりませんか、この第三号などは特に。いかがです。
○高橋(通)政府委員 ですから、吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文の第三号でございますが、第三号は、日本における国連軍としてのアメリカ軍の地位は、一般的にここに書いておりますが、「相互協力及び安全保障条約に従って行なわれる取極により規律される。」すなわち、これは国連軍に関する地位協定ではなくて、いわゆる現在の行政協定でございますが、それによって規律されるのだ。現在の行政協定が改正になりますと、地位協定によって第一に規律されるということででございます。 それからもう一つの点でございますが、それは第六条に関する交換公文でございますが、そもそも国連軍としてアメリカ軍が行動するというような場合は、ほかの国連軍と同じでございますから、当然これはロジスティックでありますから、あれの適用は初めからないと考えてもいいかと考えますけれども、念のために——いろいろ誤解を生じます。たとえば国連軍として行動するのでなくて、これは在来の米軍としての行動という部面でありますから、そういう面に誤解を生ずるおそれがありますので、念のために、その点をやはりこの取りきめによって規律されるということで適用になるというふうに考えれば、十分であろうと思います。
○石橋(政)委員 あなたは十分かもしれませんけれども、十分でないですよ。米軍が国連軍に編入されて、国連軍として出動をすることはないというならば、こんな交換公文は要らぬ。特に第三号は要らぬじゃありませんか。私が先ほど、第三号でこの取りきめというのは何ですかと言ったら、あなたは六条に関する交換公文だとおっしゃっている。六条に関する交換公文は何かといえば、私が言うまでもなく、事前協議なんですよ。事前協議が必要であるか必要でないかという前提に立たなければ、第三号は要らないじゃないですか。国連軍として出動をすることはないというならば、第三号は要らないじゃないですか。常に出動をする場合には米軍として行くのだというならば、本文と六条に関する文換公文で足りるじゃありませんか。ごまかしちゃいけませんよ。局長、どうですか。
○高橋(通)政府委員 ただいまの点でございますが、国連軍としての行動、これは単に朝鮮の場合にはロジスティックであるということが、一般に吉田・アチソン交換公文ではっきりされております。しかし、日本におけるアメリカ軍、これは極東の平和、安全のために行動する場合、これはございます。その場合に、朝鮮に関する問題でなくとも、国連軍として行く場合もあります。それはその通りでございます。そこで、国連軍であっても、日本にある限りはアメリカ軍でありますので、そういう場合に国連軍との二つの地位がありますけれども、やはりアメリカ軍としての第六条の規制を受けるのだ、こういうことははっきりしているわけであります。
○石橋(政)委員 私は、最初から、いろいろ広げて一般論でやるとわからなくなるから、朝鮮動乱が再発された場合と想定してやりましょうと、何度も言っています。あなたのその答弁でいけば、米軍が国連軍として出動することはなくなるじゃありませんか。なくなるのに、何で事前協議の必要があるのですか。事前協議が必要だということ、これを第三号でうたっている以上は、戦闘作戦行動を国連軍としてやることがあるという前提にならなければならぬじゃないか。そんなごまかしを言ってはいけませんよ。
○高橋(通)政府委員 ただいまちょっと混乱いたしたかと思いますが、現在の安保条約の第一条でございますか、「極東における国際の平和と安全の維持に……寄与するために使用することができる。」そういう意味合いで、極東の平和と安全の維持に寄与するために使われることがあるわけでございます。それは現在の朝鮮事変でありましても、これによって行動するということももちろん考えられるわけでございます。
○石橋(政)委員 だから、今私の尋ねていることに関する限りにおいては、外務大臣の答弁が正しいのですよ。あなたはうそを言っているのです。外務大臣は、米軍が国連軍として出動する場合は、事前協議の対象になります、その他の国連軍が朝鮮に出動する場合には、事前協議の対象になりませんと、はっきり認めている。あなたはそれを、補給だ何だといってごまかそうとしている。条約局長としてそういうことじゃいけませんよ。正式にお取り消しなさい。
○林(修)政府委員 今の点、ちょっと私の説明をお聞き願います。こういうことじゃないかと思いますが、いわゆる吉田・アチソン交換公文、これは当然に安保条約を前提としておるわけでございまして、安保条約と併行して作ってあるわけでございます。安保条約に基づいて、現在の米軍は当然にいわゆる日本の防衛のみならず、あるいは極東における平和、安全の維持に出動し得る条件を持っておるわけでございます。吉田・アチソン交換公文は、いわゆる国連軍について、朝鮮の国連軍活動について、いわゆるロジスティックのサポートのことを書いてあるわけでございますが、これは要するに、米軍についてはすでに安保条約があるわけでございますから、米軍についてはわざわざ国連軍協定をする必要もなかったわけで、それ以外のことをこの吉田・アチソン交換公文で根拠を与えた。従って、国連軍協定も、それに基づきましてロジスティック・サポートのことを書いてあるわけでありまして、安保条約に基づく米軍は当然にいろいろの能力を持っておりますから、これについてわざわざ国連軍協定のようなことを新しく結ぶ必要はない。現在でも安保条約の適用を受けております。そういう意味におきまして、米軍につきましては、国連軍として活動すること、これは現在安保条約に基づいておる、かようなことになると思います。その点ちょっと、外務大臣の先ほどおっしゃったことと、条約局長のおっしゃったことは、少し言葉が足りなかったのではないかと思います。そういう趣旨だと思います。
○石橋(政)委員 条約局長ちょっと釈明しなさいよ。
○高橋(通)政府委員 今林長官が言ったように、ちょっと不十分であったと考えます。
○石橋(政)委員 それじゃ質問の次の点に移りたいと思います。 それは、同じく外務大臣は、提案理由の説明の第二に、米国が日本防衛義務を明確にしたことをあげておられるわけです。この点でも私どもは釈然といたしません。と申しますのは、はたしてこの規定をもってして、防衛義務を確実にアメリカが負ったと考えることができるのかどうか。現行安保条約の第一条の規定と、これに合わせて行政協定二十四条というものがうらはらにあるわけですが、この規定と、新しい条約の五条の規定との間に、違いがあるとはどうしても思えない。特に先ほども引用いたしましたが、現行安保条約が国会に提案されました際における吉田内閣の説明を、もし真実なりとするならば、どうしても信用することができません。この点においても、現行条約も新条約も何ら変わらないんじゃないか、こういう感じを持つわけです。そこで、まず最初に、吉田内閣の説明からここで回顧してみたいと思います。昭和二十六年十月十九日、衆議院におきます特別委員会において、吉田総理がこのように説明しております。「いろいろ御議論もありますが、私はそう考えません。もし日本の平和が脅かされたとか、あるいは日本の治安が第三国の進出あるいは威嚇等によって脅かされた場合には、日本としては当然米国軍を要求する権利がある。これに応ずべき義務がアメリカにはある。これは相互的な権利義務があるからこそ、ここに条約ができておると考えるべきであると思います。」これが吉田総理の説明です。さらに、法律的な解釈を主たる任務とする政府委員の説明もある。昭和二十六年十月三十日、今度は参議院の特別委員会におきます西村条約局長の答弁、「この条約によって、アメリカは日本に兵を置きまして、外部から来る武力攻撃に対して日本を守ってやるという重大な義務を負う、」こうも条約局長も述べております。今度の条約で新たにもしアメリカが日本防衛の義務を負ったのだというならば、吉田内閣はこの点においても重大なうそをついたことになる。これは大へんな問題だと思う。少しも条約そのものは変わっていないわけですから……。この点総理にお尋ねした方がいいかと思いますが、どういうものでしょうか。こういう態度が容認されるでしょうか。あなたは吉田さんがおっしゃったことだからとはおっしゃるまいと思います。そんなことをおっしゃるなら、今度は何代かあとの総理大臣に、それは岸さんが言ったのだからうそだったんだろうなんて言われたときに、あなたとしても釈然とされないと思う。条約を通すためならばどんなうそでもいい、国民に国会を通じてうそついてでもいいから、通しておいて、中味は実際はそうじゃなかったのだということになると大へんだと思いますので、この点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
○岸国務大臣 これは現行条約の制定の際にいろいろ議論され、その後におきましても議論されておることでございます。現行法のもとにおいても、アメリカがそれでは全然義務を負わず、日本防衛をしない、また、そういう危険があった場合においても、そういうことができるかというならば、この条約の精神からいっては、やはり実質的にアメリカとしては、日本が脅かされた場合においては、これを守るということを規定しているのだという意味のことを、従来制定の際以来説明をしてきております。しかしながら、それが条約上、規定上に明定されておらなかったという点だけは、これは事実でありまして、従って、今石橋君の御指摘のあるように、また、従来の議論も、政府はそう言っているけれども、明文上何らそういうことが明定されておらないじゃないか、そこに危険があるのじゃないか、政府が一方的に、実質的にアメリカが義務を負い、実際の必要の場合においては必ず日本を防衛するのだと、こういうふうに政府は一貫して説明しておるけれども、それが条約上に明らかに根拠を持った明定の規定がないじゃないかということが、従来論ぜられておったことでございます。従って、そこに一種のいわば国民的の不安があったと思います。政府がこの条約を結んだときに、アメリカがただ一方的に、思うままに、防衛するかしないかはアメリカの勝手だというような無責任な意味で、現行条約を締結したものじゃない。必ずアメリカは守るのだという前提のもとに現行条約ができたということを、当時の吉田首相が説明をしており、また、従来もそういうふうに政府は一貫しておる。ただ、それが条約上、文句の上において明定されているか、どこにそういう明定があるかと言われると、とにかくそのことは不明確であったことは事実であります。従って、現在までその点が非常に不安の種とされておったのでありますが、今度の条約の第五条においては明定した、こういうことであります。
○石橋(政)委員 今の総理のお言葉の中から二つの問題が出てくると思うのです。 一つは、冒頭に申し上げましたように、幾ら実質はこうだと説明をしても、やはり主体は、条約そのものにどう書いてあるか、こういう角度で論議をしなくてはいかぬということを物語るものだと思う。実際は条約に書いておろうとおるまいと、必ずアメリカは守ってくれるのですと幾ら説明しても、条約に書いてなければ弱い、こういうことになる。そうなると、今後論議する中でも、条約に書いてあるこの言葉を忠実に法律的に解釈すればどうなるかという論議をしなければ、文章や文字では不十分だ、そういうニュアンスは出ていないかもしれぬけれども、実際には日米の政府間でこういう話し合いができているのだから、いいじゃないかというようなことでは通用しないという問題が一つ。この点はよく覚えておいていただきたい。先ほど言ったように、問題は、できてしまったら、条約や法律はひとり歩きするのだから、どんな説明をつけておっても、これはたよりにならぬ、こういうことです。 それからもう一つは、条約上確かに現行条約では、「使用することができる。」という程度になっている。だから、必ず守るという義務規定とは条約上受け取れない。実際はアメリカは守ってくれるけれども……。今度の第五条でいけば、「共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と書いてある。この場合ならば、もう間違いなしに条約上アメリカは義務を負ったのだ、こういう解釈が出てくるとはどうしても思えない。この点において、なぜ「使用することができる。」と書いたから、条約上義務がなくて、明定されてないのであって、宣言することができると書いたら、義務をアメリカに課したことになるのか、明定されたことになるのか、一つ克明に説明をしていただきたい。
○高橋(通)政府委員 この点は、現在の安保条約では、「使用することができる。」というふうに書いてございます。これは文字通り使用することができるわけでございまして、この点はただいま総理の申し上げました通り、明確に必ず使用するんだ、必ず使用して、そしてこれを排撃するんだということを、はっきりここでは書いてない。これはその通りであります。「使用することができる。」と書いてあるだけであります。ところが、今度の新しい第五条では、双方の締約国が、この共通の危険に対処するように行動することを双方で宣言しているわけでございます。これは私は、義務があるかどうかということは、その義務を負担しなければならないと書いて初めて——そういうふうに書かなければ義務が出ないというふうには、必ずしも考えることはできない。すなわち、宣言するということ、この双方の国がお互いに同時に行動することを宣言し合っておりますので、この点はっきり義務性と申しますか、必ずやらなければならない、必ずやるんだという決意が、はっきりここには出ておると思います。
○石橋(政)委員 ところが、あなたの大先輩の西村条約局長は、そういう答弁をしておりません。現行条約の第一条の「使用することができる。」ということをもって義務がないというならば、新しい条約の第五条のように「共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と規定したって、義務を負ったとにはなりませんと言っている。うそだと言うなら、ここであなたの大先輩の、同じ条約局長の説明をそのまま読んでみましょうか。ちょっと長くなりますけれども、これは昭和二十六年の十月二十日の衆議院の特別委員会ですが、「合衆国が最近締結いたしました本格的な安全保障条約におきましても、決して小川委員が想像になっておるように、義務的規定において兵力行使の約束を与えてはおらないということに御注目を願いたいのであります。」これはおそらく小川半次委員の質問に対する答弁であると思います。結局兵力行使の義務規定というものは、本格的な安全保障条約等、たとえばNATO等をさしていると思いますが、こういうものにおいても、与えておらぬ。必ず兵力行使を約束するというようなことは、書いてないことに注目してもらいたい。「一番完全だといわれている北大西洋条約においてすらも、第五条をごらんになるとわかりますが、締約国の一国に対して武力攻撃が発生した場合には、その他の締約国は武力行使を含むその他のあらゆる措置をとって援助する、こうありまして、必ず武力措置をとって防ぐとございません。」こういうふうに書いてあります。それからいよいよ新しい条約の第五条が出てくるわけであります。それは少しあとになります。これはANZUS、米比条約等を引用しておられる。それは省略いたします。「従って今年の八月ないし九月に、日米安全保障条約に先行して締結されました豪州、ニュージーランドとアメリカとの安全保障条約、フィリピンとアメリカとの安全保障条約におきましても、決して武力の行使ということは規定いたしていないのであります。各締約国が憲法上の手続に従って適当な措置をとるということを宣言する、とあるにすぎません。決して約すともありませんし、兵隊を使って防ぐともありません。本格的の安全保障条約においてすらしかりであります。」こういうふうに書いてあります。だから、総理が先ほどおっしゃったことも、当時の説明とはちょっと違うわけであります。「使用することができる。」と今の条約はなっておる。だから、条約上は必ずアメリカが守ってくれるかどうかわからぬ、しかし、実際は必ず守ってくれるんだ、こういう意味で吉田さんはおっしゃったのでしょう、こうおっしゃる。ところが、そうじゃないのです。当時の説明を見ますと、使用することができると書こうと、自国の憲法上の規定——日本の場合は規定が入るわけですが、規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言すると書こうと、条約上明らかに防衛の義務を課した、課せられたという関係にはならぬという説明が、当時なされておるのでございますが、そういう解釈をする方がおかしい、高橋条約局長は、先輩の西村さんの解釈はおかしいとお考えになるならば、それでいいです。それで私はあとの質問を続けますが、いかがですか。
○高橋(通)政府委員 同じことを申し上げて恐縮でございますが、現在の安保条約では「使用することができる。」とございます。すなわち、ここに「メイ・ビー・ユーティライズド」と書いてございます。使用することができるという、非常にゆるやかな規定ではないか、このように考えております。ただ、第五条におきましては、ただいま申し上げましたように、「共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」アメリカが結びましたこの種条約におきましては、すべてこのような表現方法をとっておりますし、これにおきましても、必ず行動するということをここで宣言して、大きな強い決意を表現しておる。従いまして、これはしなければならないとか、する義務があるというよりも、もっと強い決意の表明を両国がやっておるのだと考えております。また、どの条約におきましても、それで必ず自動的にどれだけの兵力をもって相手を撃破しますというふうなことを具体的に書いた条約は、ちょっと見当たらない。やはり武力攻撃に対しまして、一切の最善を尽くして、やられた方を援助するのだという表現になっていると考えます。従いまして、武力行政云々ということは当然含まれている。含まれていますが、必ず自動的にこれこれの具体的な兵力をもってやるというようなことは、条約の性質上そういうことを書くのは適当ではないと考えております。また、第五条の前段が、そのような武力行使を中心としたものであるということは当然でございます。すなわち、武力攻撃でありますから……。のみならず、後段におきまして、措置は、五十一条の規定に従って安保理事会に報告して、安保理事会の措置を待つわけでございます。この安保理事会に報告して、その安保理事会によって是非を判断され、しかも、それによって安保理事会の措置に従わなければならない。そのように安保理事会に報告し、是非の判断を受けなければならないというような措置、これは国連憲章が禁止しておりますところの武力行使の禁止を解くもの、すなわち、武力を中心とした行動でなければならないものと考えております。
○石橋(政)委員 これは私が専門家に何も言う必要はないのですけれども、一番完全な規定といわれているのは、先ほど私ちょっと答弁を読みました中に出ておりましたように、NATOですね。ところが、このNATOの規定が、アメリカの上院で非常に問題になった。どういう点で問題になったかというと、用兵権、講和、宣戦の権利、こういうものが一体大統領にあるのか、国会にあるのかというふうなところから、問題になっているわけです。NATOのようにはっきり書いたのじゃ、国会の権限を無視することになるじゃないかという議論が出て、その後、ANZUSとか米比条約では少しやわらげられて、初めて出てきたのが、今度の第五条で規定されているこういう形式に始まったと私は思うのです。それは間違いないですね。もう一度読んでみますと、NATOの第五条に該当する項目はどういうふうに書いているかといえば、兵力の使用を含めて、その必要と認める行動を個別的に及び他の締約国と共同して直ちにとることによって、右の攻撃を受けた一以上の締約国を援助することに同意する、非常に強い。西村条約局長の話だと、これも義務を負ったことにならぬというのですが、ここまで書いてあれば、私はせいぜいのところじゃないかという感じを持っておるのです。ところが、これがアメリカの批准国会で問題になった。それで、それ以後は、こういう強い規定をアメリカとしてはとらないことにした。そうしてANZUS、米比以来、現在の形式がとられた。そういう経過をたどっておるだけに、厳密に義務をしょい込んでしまうようなものではなくしようという意図が、働いておったことは間違いないのです。ほんとうに義務をしょい込んでいいのだというなら、NATO方式でいけたのです。ところが、NATOだけにしておこう、あとはこういう強い規定はやめようということになっておる。その経過をたどってみてもわかるわけです。だから、条約上必ずしも防衛義務を負ったことになるかどうか、疑問がある。ここでちょっと整理してみますと、今度の条約の改正点の第二に、藤山外務大臣は、アメリカが日本防衛の義務を負ったことをあげておられる。しかし、実質的には現行条約と少しも変わりはない。これは総理もお認めになった。吉田総理が言った通り、実質的には——条約上は使用することができるのだから、弱い。だから、守ってくれるか守ってくれぬか、条約上はわからぬ。しかし、実際にはアメリカは見殺しにするようなことはないという意味を吉田総理も言っておるし、それを岸総理も御確認になった。実質的にはほとんど変わりはない。それでは条約上はどうかというと、これも必ずしも防衛の義務を負ったと断言できるかどうか、疑問がある。この点、では確認しておきましょう。総理は、アメリカが必ず今度は条約上、条約を忠実に読んで——先ほどから私が申し上げておるように、条約の文字を忠実に読んで、アメリカは日本防衛の義務を負うという確信をお持ちでございますか。
○岸国務大臣 私は、今度の五条におきまして、こういう事態、すなわち、日本が武力攻撃を受けた場合においては、アメリカもこれに対して、アメリカの憲法上の手続に従ってこれを排除する行動をとるということを、条約上明確にここで宣言しておるわけでありますから、従来の現行法とは趣を異にするのみならず、その点に関する従来国民の一部において不安とされたことが、これによって除去される、かように考えます。
○石橋(政)委員 そういたしますと、本来条約とか法律とかいうものを忠実に解釈することを任務とする政府委員、当時の条約局長は、ちょっとでたらめな説明を国会においてしておったということになります。その点を私は確認して、それでは総理が今おっしゃったのですから、新しい条約によってアメリカが日本防衛の義務を負ったのだという前提の上に立って、質問をしてみたいと思います。 そうしますと、こういう規定の仕方は、今度の新しい日本とアメリカとの間の相互協力及び安全保障条約に限っておりません。ざっと見てみましても米華相互防衛条約も大体同様の規定をしております。それから米韓条約もそうです。全く同じなのは、米比相互防衛条約、それからSEATOもほとんど同じであります。ANZUSもしかり。そうしますと、今私申し上げましたような米韓、米華、米比、SEATO、ANZUS、こういった条約においても、締約国相互間はそれぞれ相互に防衛の義務を負っておるものと考えて差しつかえございませんか。
○高橋(通)政府委員 もちろん、いわゆる条約区域において違う点がございますけれども、大きな意味において、原則的に同じように義務を負ったものだと考えております。
○石橋(政)委員 そうしますと、忠実にこの条約をずっと読んでいきますと、私は大へんな問題が出てくるという気がするのですよ。そう言えば、もう専門家の皆さん方は感づいておられるのじゃないかと思うのですが、日本が武力攻撃を受けた、あるいは日本の国内にある米軍の基地——こちらにウエートを置いていいのですが、米軍の基地が武力攻撃を受けた。日米一体になって立ち上がる。アメリカの方は防衛の義務を持っておるし、日本も立ち上がることを宣言しております。そうしますと、日本が武力攻撃を受けたときに、日米だけが防衛に立ち上がるのではなくして、他の条約との関連で、たとえばANZUSとか米比条約とかいうものが発動して、こういう国々までが立ち上がることになりませんか。なぜかといいますと、米比相互防衛条約の第五条を読んでいただきたい。第五条にはどういうふうに書いてあるかというと、「第四条の適用上、いずれか一方の当事国に対する武力攻撃は、いずれか一方の当事国の本国領域又は太平洋地域にある同国の管轄下にある属領諸島」これからが大切なところですが、「又は太平洋地域における同国の軍隊、公船若しくは航空機に対する武力攻撃を含むものとみなされる。」こういう規定が書かれております。ANZUSの方にも、大体同様の規定が書かれております。そうしますと、日本にありますアメリカ軍は、ANZUSあるいは米比相互防衛条約第五条の、太平洋地域におけるアメリカの軍隊、公船もしくは航空機に該当する。だから、日本の国内にある米軍基地に対して攻撃が行なわれた場合に、米軍が個別的自衛権を発動するのはもちろん、日本もまた、あなた方の言葉をかりて言えば、個別的自衛権を発動する。われわれは、集団的自衛権だと言っているんですが、とにかく発動する、行使する。それだけにとどまらぬで、米比相互防衛条約に基づいて、集団的自衛権をフィリピンが行使する。防衛の義務があるということになると、オーストラリアもニュージーランドも行使するということになって参りますよ。そうしますと、侵略に対して常に防衛は均衡を保たなくちゃならぬという大原則にもこれはそむいてくる。それだけじゃなしに、非常に大きく波及して参りまして、全面戦争にも発展していくようなおそれも出てくるということになると思いますが、いかがですか。
○高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の通り、米比及びANZUSはそのような規定になっております。ただ、それは日本が攻撃を受けたとき、すなわち、それと同時に米国に対する攻撃が行なわれた場合、これらの条約が発動するわけでございまして、その逆、すなわち、向こうの場合には全然これは問題はない、こういうことでございます。
○石橋(政)委員 私はさっきから、一つ条約そのものを忠実に読もうじゃありませんか。説明というふうなことで、説明に重点を置いてやっておると、何年かたつうちにだんだんだんだん変わってしまうから、条約そのものを忠実に解釈しようじゃありませんかと、何度も念を押しているのです。そうしますと、条約を忠実に読んだら、私が言っていることが出てこないというんですか、いかがですか。
○高橋(通)政府委員 そのような規定になっているということを申し上げているわけです。ANZUS及び米比協定、これはそのような規定になっております。すなわち、日本における米軍に対する攻撃は、米比及びANZUSの条約においてはその発動の原因になっております。しかし、その逆は、そうはなっていないということを申し上げておるわけであります。
○石橋(政)委員 私は逆のことまでまだ聞いてません。日本にあります米軍の基地が攻撃を受けた場合には、アメリカは個別的自衛権を行使する。日本もまた、あなた方の言うところの個別的自衛権を発動する。今度はほかの条約で見ると、米比相互防衛条約によって、フィリピンも集団的自衛権を行使する。ANZUS条約によって、オーストラリア、ニュージーランドまでが集団的自衛権を行使する。条約をそのまま、なまのまま読めば、まさにその通りですとおっしゃる。まさにその通りの状態が絶対に出てこないという保障は、一体どこから出てくるのですか。それは総理か藤山外務大臣からお答え願いたい。
○藤山国務大臣 御承知の通り、日米安保条約というものは、総理がかねて言われますように、戦争抑制力としての任務が非常に重要だと思います。従いまして、われわれはこれを必ずしも発動されるというふうに考えないことが必要だと思いますけれども、しかし、武力攻撃が起こった場合には、われわれとしては、安保条約の発動によって日本の平和と安全を守るということが当然だと思います。日本が攻撃されましたようなときに、アメリカが今お話しのような個別的な自衛権をとらざるを得ないというような状況が起こりました場合に、アメリカを援助する国があるということは、決して差しつかえないことだと思っております。
○石橋(政)委員 差しつかえないということは、そういうこともあり得るということですね。日本に対して、特に日本にあります米軍基地に対する攻撃——米軍の基地なんというものがなければ、こんな問題は起きないんですよ。米軍基地に対する攻撃が加えられたら、これはニュージーランドも、オーストラリアも、フィリピンまでが集団的自衛権を行使して、そうして戦争に加わってくるということになると、これは必ず全面戦争に発展するということになりますですよ。これは防衛の原則からいって、はずれますよ。私に言わせれば、過剰防衛ですよ。あなたは日米安全保障条約でそれを何とかしようとしておりますけれども、日本は関係ない条約なんです。ANZUSとか、あるいは米比条約とかいうものは、日本は何も関係ない。アメリカとフィリピン、アメリカとニュージーランド、オーストラリアとの関係ですから、日本がお断わりするとかなんとかいう、そういうものじゃないですよ。向こうの方の関係で集団自衛権を行使されてきたら、全面戦争に発展していくじゃありませんか。それをどういうふうに押えますかと言っているのです。総理、それじゃお答え願いたい。
○岸国務大臣 この点は、現在の安保条約も、今度の安保条約も、安保条約の関係じゃございませんで、よその条約の関係でございますから、同一の結果でございます。現在のものと少しも変わっておらないということを前提に御理解願いたいと思います。私は、今お話しの通り、他の条約の解釈上そういうことになると思います。ということは、それが過剰防衛になるかどうかという、いわゆる国連の関係においてどういうふうにこれが処置されるかということは別でございますが、この条約自体が、私しばしば申し上げているように、戦争抑制力、あるいは侵略の危険を未然に防止するということをねらっておるのがその主眼でございます。そういう意味から申しますと、そういうことになるということが——私どもは、これは安保条約の直接の規定ではございませんで、ほかのものからそうなりましても、むしろ、戦争の抑制力としてより大きな効果があるということになるだけでありまして、別に差しつかえないと思います。
○石橋(政)委員 私は非常に大切な問題だと思います。日本に米軍の基地があるということが、いろいろな面で日本の国民の権利を侵しておる、日常いろいろなごたごたを起こしておる、そういう問題、これを除去しなくちゃならぬ。除去するためには、米軍の基地を置かないこと、これ以外にないと考えておる。ところが、今度は、単にそれだけじゃなしに、国民の権利が日常生活の中で侵害されるというような、そういう問題じゃなしに、もっと大きく、米軍の基地を置いておることが、このようにいざという場合に全面戦争に日本を巻き込んでいく、そういう条件にもなるということをお認めになった、私はこれは非常に重大なことだと思います。しかし、昼休みにしてくれということでございますから、質問は午後に譲りまして、これで終わりたいと思います。
○小澤委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時四十五分開議
○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。石橋政嗣君。
○石橋(政)委員 午前中に、藤山外務大臣が提案理由の説明の際におあげになりました第一の国連憲章との関係の問題、それから、第二の防衛義務の問題について御質問いたしましたので、午後は、第三番目におあげになっております事前協議制の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。 提案理由の説明によりますと、重要な改正点の第三として、この事前協議制の採用をあげているわけです。すなわち、「条約の実施全般を日米両国間の協議の基礎の上に置き、特に、」重要な事項、すなわち米軍の「配置及びその装備における重要な変更、並びに、」戦闘作戦行動のための施設・区域の使用については「別に交換公文をもって事前の協議にかからしめることとした」と、こう申しておるのでありますが、私どもは、この説明にもちょっと納得がいかないわけなんです。なぜかと申しますと、これまた、今度の新しい安保条約の締結によって初めて出てきた制度とは思えないわけです。過去において、吉田内閣あるいは岸内閣が国会において再三説明をし、答弁いたしましたものを今振り返って読んでみますと、今の条約のもとにおいても十分に事務協議制は採用されておることになっておるわけです。だから、新しい条約によって初めてこういうものが出てきたということになりますと、これまた、過去の答弁がちょっとうそだということにならざるを得ない。それを一つ立証しながら、お尋ねしてみたいと思うわけです。 最初に、先ほどもいろいろと引用いたしましたと同様、現行安保条約の提案理由の説明の際の吉田内閣の答弁を、ちょっとここで御紹介申し上げておきます。昭和二十六年の十月二十四日、衆議院の特別委員会において、この事前協議について笹森委員が尋ねております。「日本に駐屯しておりまする米軍が日本以外のところ、たとえばこの条約の中に、極東の安全保障のため、あるいはまた国際の平和のためにもこの軍を使用せしめるということが規定されてあります。すなわち直接日本が攻撃されておる場合の防衛ではなくて、その他のこの条約の規定による極東の安定のために出動するという場合を意味しておるのであります。その場合でも、日本の政府の完全なる同意を必要とすると私どもは考える。それは日本防衛のための軍隊であるがゆえに、それは必要だと思うがどうかという質問です。」笹森委員の質問の要点は、結局、米軍は日本防衛のために日本に駐留しているのだから、その本来の目的以外の極東条項によって出動する場合には、当然日本政府の同意が必要だと思うがどうでございましょうかと、こういう質問をしているのです。これに対しまして吉田総理は、「当然両国の話合いできまることと思います。」こう答えております。まだほかにもございます。昭和二十六年十月二十五日、翌日でございますが、同じく本院の特別委員会において、三木武夫君が同様の質問をしておる。「今の御答弁は、少くとも安全保障条約の国外に対する発動は、日本の完全なる同意のもとに行なわれる、こういう御答弁と解釈いたしてよろしいですか。」これに対して吉田総理は、「同意というか、協議の結果、結論に到達するということと考えております。」このように述べておられます。ほかにも、まだ西村条約局長あたりの答弁もたくさんございますが、そうたくさん引用する必要はないと思います。ここでも、現行安保条約のもとにおいても、いわゆる領域外出動の場合には当然日本国政府と協議しなければならぬ、その協議の結果、意見の一致を見て、初めて出動がなされるのであるという説明が、当初、現行安保条約が国会に出されたときにはなされておる。これも先ほどから申し上げておる問題と似て参りまして、おそらく、総理の答弁としても、条約上そうなっておらないんで、実際はそうやるでしょう、こうお答えになるだろうと思う。ところが、これがもう少し進んで参りまして、昭和三十二年、岸総理がアメリカに参りました。そうして、いろいろとこの安保条約を中心に話し合いをされました。当時共同コミュニケを発表いたしております、そうして、この共同コミュニケに基づきまして、いわゆる日米安保委員会というものが発足いたしました。その際の共同声明あるいは安保委員会設置に関する日米共同発表等によりまして、この事前協議制が採用されたと、当時説明されておるわけです。吉田内閣が言っておることよりも、もっと強くアメリカを拘束するという説明が当時なされております。私、ここで読むまでもないと思いますが、この共同コミュニケ、それを受けてできました安保委員会設置に関する日米共同発表ではどういうふうに書いてあるかといいますと、米国によるその軍隊の日本における配備及び使用について実行可能なときはいつでも協議することを含めて安全保障条約に関して生ずる問題を検討すること、これが最大の問題点として当時盛んに論議されたことは記憶に新たなところであります。私も、総理あるいは当時の石井副総理、あるいは藤山外務大臣と何度もこの問題について論議をいたしております。ところが、そのときのお言葉は、全部この安保委員会における協議で拘束できるという答弁だった。完全に拘束できる、こういう答弁だったのでございますが、そうしますと、吉田内閣の当初の説明、それに相待って岸内閣の三十二年以降における説明というものをあわせ考えて参りますと、条約上どうあろうと、実質的には、現行安保条約のもとにおいても、完全に今度やろうとしている程度の事前協議制は採用されるもの、こう解釈して差しつかえございませんか。
○藤山国務大臣 ただいまお話しのありました点でございますけれども、むろん、この条約を両国で作りまして、そうして実施をして参ります場合に、いかなる条約の場合であろうと、両者ができるだけ緊密な協議をし、連絡をとって参ることは当然だと思います。これは親善関係を持っております両国が、一つの目的のために条約を作りますれば、当然そういう状態のもとにいかなる条約も運営されていくのでありまして、そういう点につきまして吉田総理としても説明されておると思います。日米安保委員会ができましたのは、申すまでもなく、この条約が実施されてから、種々な点についていろいろやはり改善を要する点もあり、そうした意味におきましてだんだん積み重ねられてきたわけでありまして、その積み重ねられた結果というものを、今日条約にまとめて集積しておるわけでありまして、そうした過程における積み上げ工作の一つの場合だけとって、それだけがどうだということは、必ずしも当たらない。やはり、そういうものができたからこそ、おのずからこういう条約としてまとめてくることができたのでありまして、その意味におきまして各過程においていろいろの論議があり、また、いろいろの処置がとられてきたことは、私は当然のことだと考えております。
○石橋(政)委員 私、問題としていることは、冒頭にも申し上げたように改正されたのだ、改正されたのだと盛んにおっしゃるけれども、その改正されたと称する点は、現行安保条約のもとでも全部採用されているようなことばかりじゃないか、ということを言っている。ところが、この間、三月十五日、本委員会において松本委員が質問されまして、私も関連質問でやったときに、外務大臣がお答えになっていることは、私は問題だと思いますので、ちょっとただしておきたいと思う それはどういうことかといいますと、御記憶に残っていると思いますが、最初の話の切り出しは、金門、馬祖の事件が起きましたときに在日米軍が移動した、そのときに相談を受けたか、協議をしたか、こういう問題から始まりました、私、国連として立ちまして、そのときに、この安保委員会において配備、使用——この配備の中には、当時、総理の説明で、装備が入るということでございました。配備、使用については必ず協議するということになっておったじゃないか、なぜ協議なさらないのですかと私が聞いたら、藤山外務大臣は、こういう答弁をしている。「今の条約におきましては、特にそういう問題について協議をしなければならぬというような規定はないのであります。ただ、現行の諸取りきめにおいて、いつでも日本におけるアメリカの軍隊の配備及び使用については、実行可能なときは協議するということが書いてあるだけでございます私が念を押したら、また同じようなことを言っております。日本から出ていきます場合その他、必要があれば協議するのだ、実行可能な限りだ、こういうことを再三本委員会においておっしゃったのでございますが、これは安保委員会ができました当時の答弁とは重大な食い違いがあります。私は、どちらかを御訂正にならなければ、これは重大な食言だと思います。安保委員会ができましたときに、国会におきまして総理なり外務大臣が答弁されているのは、実行可能なときだけやるのではない、必ずやるのだ、しかも、意見が一致しなければ絶対にアメリカはやらないのだということを言い続けておった。それを今になって、いや、これは実行可能なときだ、必ずやるなんということにはなっておらぬ、そういう、そのつど答弁はおよしになっていただきたいと思いますから、どちらかを一つ御訂正願いたいと思う
○藤山国務大臣 私が当時どういう答弁をいたしましたか、速記録等今持っておりませんし、従って、私はその点について申し上げかねますが、しかし、私自身の趣旨を申せば、申すまでもなく、この条約の運営にあたっては、先ほど来申しておりますように、いかなる条約の運営でも、ことに、これは同一の目的を持っていて、違った目的を持っているのではございません。片方はなるべく拒絶したい、片一方は角度の違った立場に立っているというのではなく、一つの目的を持っている条約でありますから、できるだけ友好的に話し合いをしていくというのが、こういう条約では当然のことだと思います。しかし、安保委員会のあれにもありますように、実行が可能なときもあり、不可能なときもあること、これはむろんのことでございます。従いまして、協議をいたしましてやる場合もありましょうし、あるいは現在の条約からいいますれば、必ずしも協議をしないでいく場合もございましょう。そういう意味におきまして、われわれは一貫して答弁をいたしておるつもりでございまして、特に、何か非常に違ったような趣旨の答弁をいたしておるとは私考えておらぬのでございます。
○石橋(政)委員 それでは、外務大臣は、現行安保条約のもとにおいて、いわゆる協議をする場合は、この安保委員会で協議をする、その安保委員会の協議というのは、あくまでも実行可能な限りであって、必ずしも配備及び使用について全面的に協議しなくてもいいのだ、そういう拘束力はないのだという方を現在では支持するという御答弁でございますか。
○藤山国務大臣 あのとき安保委員会ができまして——今まで安保委員会というものはなかったわけでございます。総理とアイクとの共同声明から、この運営をできるだけ円滑にしていこう、そして、運営についてなるべく協議をしていくということのためにああいう委員会ができたことは、他に目的もございますが、両国民の願望に沿ってこれらを改正するように考えていこうというための目的もございます。そういう意味でできた委員会でございますから、従って、新しくそういう委員会ができまして運営していく場合に、できるだけ協議を深めていくということは、これは当然だと思います。しかしながら、現行安保条約から見まして、必ずしも全部が全部、あるいは実行の不可能な——不可能と申してはおかしいわけでございますけれども、必ずしも全部が全部協議をするということではなかったと思うのであります。そういう意味で答弁いたしておるのでありまして、あるいはその答弁の中に、若干用語の必ずしも適当でなかったところもあろうかと思います。あるかどうか存じません、私読んでおりませんから。しかし、そういう意味で、趣旨においては変わりはない、こう私は信じております。
○石橋(政)委員 当時、昭和三十二年に岸総理がアメリカに行かれまして、帰ってこられたときの一番おみやげというようなものは、これだったのですよ。この安保委員会を設置することによって、配備及び使用について事前協議制が採用されたのだ。当時の宣伝は、もう安保条約そのものが本質的に改定されたのと匹敵するような、そういう宣伝がなされておったのです。それを今になって、そうじゃなかったのだ、これはもうそのまま実行可能な限りなんだ、こういう答弁をされると、私は、過去において重大な欺瞞を国民に対してしておるということにもなると思いますよ。 問題を、ここで一つにしぼりましょう。たとえば、核兵器の持ち込みの問題、国民は非常にこれについて不安を持っておりました。岸内閣は、政策として核兵器を持ち込ませないということを再三言明しているけれども、アメリカは条約上そういう拘束を受ける何らの義務はないじゃないか、一体、どうして持ち込ませないと言っておられるのか、根拠を示してもらいたいというのが、当時のわれわれの声であり、国民の声であったと思う。それに対して総理は、アメリカから帰って参りまして、安保委員会で協議することになりました、装備の問題——核兵器の持ち込みなんというのは、装備の問題です、米軍の装備の問題です。——これは当然に日本における配備の中に含まれておりますから、必ず実行されます、協議されるのです、その場で日本がノーと言えば持ち込むことはできないのです、そういう答弁をずっとされております。ところが、今の藤山外務大臣のように、実行可能な限りなんだ、安保委員会なんというのは、そんな、必ずしも協議するということにはなっておらぬ、こういうことになりますと、これは前にうそを言ったことになりますよ。私は、その点を指摘したいのです。現行安保条約のもとにおいて、しからば、何を根拠に核兵器の持ち込みを拒否できるとお考えになっているのですか。
○藤山国務大臣 それでありますから、先ほど来御答弁いたしておりますように、総理が岸・アイク共同声明によって安保委員会を作ったということは、これは一つの進歩なんです。そうして、その中で、たとえば核兵器の問題が協議に付されれば、これは当然総理として、従来の言明通り、これに対して拒否する、そうして運営上の改善を加えていく、これは当然です。でありますから、今回の条約も、先ほど申し上げましたように、やはりいろいろな実績を積み上げながら、最終的には、条約の形にまとめて、改善できたのであります。日本の、あるいは日本国民の、あるいは自由民主党のこの条約改正に対する願望というのは、重光外務大臣が提議された以来の問題、あるいはそれ以前の問題ともいえるかもしれない。そういうふうにして、だんだん一つ一つの実績を作りながら、そして、その集大成したものが今日の条約になっているというこの事実は、申すまでもないことであります。でありますから、そういう意味において、私申し上げておるわけでございます。
○石橋(政)委員 それでは、昭和三十二年当時にどういう説明を国会を通じて国民になさっておったか、はっきりここでお示ししたいと思います。たくさんあります。私がやった分だけでも、昭和三十二年七月三十一日、三十二年十一月十六日、三十三年三月十三日、三十三年三月二十七日とございますが、直接藤山さんと私がやった分を、ここで思い出してみましょう。これは三十三年三月二十七日の内閣委員会です。そのときに、私は、今あなたがおっしゃっているような懸念を持ち出して、何度も念を押しているのです。どういうふうに念を押したかといいますと、私の質問からちょっと読んでみます。「はっきり言って下さい。前言ったから二度言わなくていいということはないでしょう。アメリカは持ち込もうと思えばいつでも持ってこられる権利を持っておりますね。」これは核兵器のことです。藤山外務大臣は、「条約上の権利は持っております。」私、「アメリカは条約上核兵器を日本に持ち込もうと思えばいつでも持ってこられる権利を持っている、こういう重大な発言を外務大臣はなされました。条約上権利を持っておるものを制約しようと思えば、これまた条約、協定によらなければならぬ、そういうことも御認識願えますね。」藤山外務大臣、「安保委員会ができまして、両国の願望に沿って安保条約を運営するわけであります。そういう意味において、両国の友好関係から見て、安保委員会においてすべての話し合いをしなければ、そういうものを行使しないというふうにわれわれは考えております。」それでしばらくおいて、「私が、その安保委員会というものについて、先ほど申し上げたように、まず第一に、たとえば核兵器持ち込みというような問題を諮ろうとした場合に、実行可能な限りという制約がありますから、議題に供されないというおそれもある。本来アメリカ側が権利として持っておるということを、外務大臣は今認めた。だから日本が核兵器持ち込みについて話し合いをしようと言っても、向うが拒否することもある。これは間違いないですね。実行可能な限りですから……。それから一つずついきましょう。」実行可能な限りとあるのだから、協議にしない、都合によってやめようという場合だってあるでしょうと私が念を押しておる。そうしたら外務大臣は、「安保条約に伴いますそういういろいろな問題については、私は現在の日本とアメリカとの関係において、あらゆる問題を必ず持ち込んで、この安保委員会で話し合いをするということに確信を持っております。」私、「実行可能な限りとある限りですよ、これこそ。されない場合もあり得るかということです。」もう一回念を押しました。藤山外務大臣、私は、「ただいま申し上げましたように、すべての問題が安保委員会で話し合いをされる、こう考えております。」実行可能な限りということを私が心配して何度聞いても、全部この安保委員会にかかって必ず相談される、必ず相談されるのだから、日本がノーと言いさえすればこないのだ、アメリカは条約上の権利を持っておろうと、この安保委員会でチェックできるのだというのが、藤山外務大臣、あなたの終始一貫した御答弁でございました。これは何もあなただけじゃございません。これは、もう総理もそういお考えだったのです。それが今になったら、実行可能な限りというのがまた生きてきた。今の安保委員会における協議というのは、実行可能な限り、だからつまらぬのだ。今度の新しい条約第六条に基づく交換公文で、初めてほんとうの事前協議ができるようになったのだ。もう少し国会における答弁というものに責任を持っていただきたい。これは私の質問に答えるということだけじゃ済まないのです。全国民は耳をそばだてて聞いておる。しかも、核兵器の持ち込みということについては、総理も知っておられるように、あなたも知っておられるように、精神過敏なまでに、日本の国民は関心を持っておる。そういうときに、こういう御都合主義な言葉で一時的にごまかそうなんという態度は、私は許されないと思うのです。この点、いかがでございましょう。総理から御答弁願ってもいいと思うのですが……。
○藤山国務大臣 今安保委員会の運営につきまして、安保委員会を置きます上において、実行可能なというようなことが岸・アイク共同声明にあったことは、むろん事実でございます。ですから、それは申し上げておるわけでございます。しかし、同時に、総理とアイクと話をしてこられて、そうして私がそこでも申しておりますように、日米間の親善関係においては、あらゆる問題が協議されて、そうして運営されるんだということを申したことも、決して別にうそではないわけであります。そういうものを積み上げてきて、今回はそれを条文にしたということでございます。
○石橋(政)委員 それじゃ、私は結論を出しましょう。昭和三十五年三月十五日、本委員会において松本委員が質問をし、私が関連質問をしたときに、現安保委員会における協議なんというのは、実行可能な限りだから、必ず協議されるとは限らぬのだというこの御答弁は、私が言った通りが事実なら、訂正されますね。
○藤山国務大臣 今申し上げました通り、安保委員会を作るというのは岸・アイク共同声明に根拠を置いているわけでございます。岸・アイク共同声明には、明らかにそういうことで書いてございます。しかしながら、同時に、総理が話をしてこられて、日米関係の今日の段階において、そういう運営にあたっては、できる限りと申すか、あるいはあらゆる問題について話し合いをして、そうして運営をしていくということをわれわれは信じもいたしておりますし、また、そうあるべきだと思っております。ですから、その点を申し上げたのでありまして、特別に何か違った意味のことを申し上げているわけではございません。
○石橋(政)委員 それじゃ、総理大臣に確認をしておきたいと思いますが、現在の安保条約のもとにおいても、日本の国における配備及び使用、これは安保委員会で協議されることになっている。共同声明あるいは共同発表等には実行可能な限りというようなことが書いてあるけれども、これはほんの飾り言葉であって、実際には、すべての問題が必ずこれで協議されるという前言を御確認になりますか。
○藤山国務大臣 今申し上げた通りでございまして、もちろん、岸・アイク共同声明では実行の可能な限りと書いてございます。従って、実行不可能なというような場合がどういう場合があるかということを、一々われわれとしては指摘するわけにいかぬことむろんでございますけれども、しかし、同時に、日米両国がこの現行安保条約を運営していく。その場合、日本の国民感情等もございます。そうして、長年にわたってアメリカに対してそういうことをわれわれは主張してきているのであります。それが岸・アイク共同声明の上で端的に現われてきまして、そうして、その精神の上において出てきたのでありますから、あらゆる問題が協議されるということを申しても一向におかしくもございませんし、当然のことだと思います。また、そう行なわれると思います。そういう実績を積み上げてきて、今度は条約にそれを明記していくということになったわけでございます。
○岸国務大臣 この問題は、ずいぶんだびたび議論があったことでございます。あるいは用語の上から、あるいはいろいろな角度からたびたび質問がありましたから、同一の用語で、必ず判で押したようにお答えをしていない、少しニュアンスの違っている場合もあるかとも思います。私は、アメリカをたずねましてアイゼンハワー大統領と会談をして、この声明、共同コミュニケを出すに至った経緯を思い出してみますると、従来、われわれが幾多の問題、特に核兵器の問題について、私がしばしば国会を通じて言明をいたしておりますけれども、このことについては、条約上、その明文の根拠がないじゃないかということがいわれてきております。何か書いたものか何かではっきりしたところの根拠を持たないと、非常に危険を感じておるということが従来論ぜられております。それを明確にするためには、やはり条約を改定しなければならぬのでありますけれども、改定を直ちにやるということは、なお、その間に両国の間の話し合いを必要とするので、アイゼンハワー大統領との会談において、このわれわれの念願であり、希望であるということを特に強く申し入れをして、そうして、あの声明ができたのであります。これは言うまでもなく、原則として、日米間においてそういう問題については、あそこに書いてある使用及び配備についてはできるだけ協議するという、この原則において一致したわけであります。ところが、それに実行可能な場合は云々ということの、実行可能ということが入ったわけでありますから、実行可能ということが全然書かれておらないのと、これが入ったということにおいての相違があることは、これは文書でありますから認めざるを得ないと思います。入っておっても、それは同じことだというふうには私ども考えておりません。しかしながら、当時の私とアイゼンハワー大統領とのこの話し合い及びこの声明ができたいきさつというものは、安保条約について、この運営を、両国の利益及び両国民の感情に適するように、これを一つ運営していこうという意味において安保委員会を作り、そうして、ここにおいて今の使用及び配備についてを含めて、安保条約からの一切の問題を協議するということになったのであります。そうしてその場合に、実行可能なときは云々という条件が入っておったのでありまして、これは原則を少しもくつがえすものではない、実際上、そういう非常な緊急な場合であって、協議ができないというような場合を前提として、そういう例外を設けたわけでありまして、この共同声明ができた精神は、あくまでも、こういう問題については相談するという原則の一致の見解の上に立って設けられたものである、こういう説明を私どもはいたしてきたつもりでありますし、また、実際は、そういう意義を持っておるものであります。あるいは、いろんなときにいろんな方向から質問をされておりますので、その用語等について必ずしも同一ではなかったことがあるかもしれませんが、趣旨は、そういう意味でございます。
○石橋(政)委員 この問題は、結果的に、核兵器が持ち込まれておらないからいいじゃないかというようなことで済む問題ではないと私は思う。当時、私は、実行可能な限りというと言葉に非常にこだわったわけだ。総理も記憶しておられると思いますけれども、今度実行可能な限りというのが入ったのでは——今の二十四条で使用の場合にはもう可能な限りもへったくれもない、必ず協議することになっているじゃないか、それをあなた方は得々として、実行可能な限り協議するということをおみやげのように言っているけれども、後退を意味するじゃないか、私、そういう質問をすらしたのを覚えておられると思う。それに対して、絶対心配は要らぬのだ、先ほど外務大臣の答弁を私が朗読しましたように、今度、私の方で心配して、実行可能な限りだから、協議せぬ場合もあるのじゃないか、あるのじゃないかと言っても、大丈夫だ、大丈夫だ、全部協議するんだ、こういう答弁をやっておられるのですよ。これは総理においてもしかり、総理も同様の答弁をずっとされております。一つの例として、ここで三十二年の十一月十六日の衆議院内閣委員会における私と総理の質疑応答を思い出していただいても、岸総理は、もう絶対に両国の安保委員会において話し合いをすべき事項であると断定し切っておられます。実行可能な限りじゃありません。必ずすると、当時は言い切っております。それが、今になってぐらっとよろめいてきている。こういうところに、私は、どうも政府の説明というものに一貫性がない、無責任だということを指摘せざるを得ないわけなんです。うそだというなら、今ここでおっしゃって下さい。実行可能な限りだから協議せぬこともある、こう言うならば、核兵器の持ち込みだって相談されぬこともあるということですよ、そういうことなんですか。それとも、必ず協議される、そうして日米両国政府の意見が一致した場合にしか持ち込まれないということなのか、実行可能な限りというのは、そのものが生きておるのか、これは単なる形容詞なのか、簡単なようで簡単じゃないわけですから、一つ御説明願いたいと思います。
○岸国務大臣 私は、核兵器の持ち込みについて協議することが、実行可能な云々ということは、事実問題としても、具体的には起こってこないと思います。しかし、この共同声明に、先ほどもお答え申し上げましたように、実行可能なときということが書いてありますから、書いてないのとは違いがあるじゃないかということは、私は違いがあるといわざるを得ないと思います。しかし、単純な、こういうものは要らぬなどという誤解を生ずるようなものをつけるわけはございませんで、アイゼンハワー大統領と私とがこの声明を出す場合に、両方の一致したところが、原則として、できるだけのことはやるのだ、しかし、やろうとしても、とてもできないような場合が万一起ってくるかもしらぬから、それで「実行可能なときは」ということを入れたわけであります。核兵器の場合におきましては、これは、そういうことは私は絶対にないと思います。また、すべてのなにが実行可能であって、必ず相談を受ける、協議する、私どもは、こういうつもりでこの共同声明を作ったわけでございます。しかし、今言う通り、この共同声明においてそういうことがあって、今ここで御議論があるように、とにかく、「実行可能なときは」とある以上は、実行不可能の場合が全然ない——これは単なる修飾語としても意味を持っておる修飾語でありますから、ないのと同じだと言われれば、ないのと同じじゃないということを私は申し上げております。このことは、私が参議院の委員会において森委員にお答えした場合にも、そのことを申しております。しかし、私どもは、原則として、できるだけ両国の間においてこういうものについて話し合う、協議するという精神であったことは、これも間違いないので、また、共同声明自身もそう読むべきものだと思います。しかし、今申し上げた通り、全然この字句をないものと同じに解釈すべきものでないことは、これまた理の当然であると思います。
○石橋(政)委員 配備及び使用の問題は、共同声明にも、それから安保委員会設置に関する共同発表にも明確に出てきているのです。ところが、核兵器の持ち込みという装備の問題は、明確にこの文書の中にも出ていないのですよ。それで総理に、一体核兵器の持ち込みといったようなものはどうして協議の対象になるとおっしゃるのですかと言ったら、配備の中に装備は含まれるのですと言う、その程度のものなんです。書いてある配備の方の相談は、実行可能な限りで、この中に含まれるであろうという装備の核兵器の持ち込みの方は必ず協議されるというのは、一体どういうことですか。ちょっと論理が合わないのじゃないですか。
○岸国務大臣 私が申し上げたことは、核兵器でもって装備されておる軍隊が入ってくる。軍隊の配備というものには、その装備を無視して、度外視して考えるわけにいかないから、その配備という中には装備も入っておるのであります。その装備のうちには、もちろん核兵器というものが入っておりますという考えを従来も申し述べたと思います。そうして、事実上そういう核兵器をもって装備されておる軍隊の配備というようなことについては、私は、それを事前に日本に協議することが実行不能だというふうなことはあり得ない、こういうふうに考えて、先ほど来お答え申し上げておるわけでございます。
○石橋(政)委員 明確に言葉の上で出ておる。配備の方においては、実行可能な限りだから、協議されないこともあり得るかもしれぬ。ところが、この配備の中に含まれるであろう装備の方については、この実行可能な限りというのは絶対に生きてこないのだ、そういう御答弁は、これは総理に似合わないお言葉ですよ。論理に合わないです。一貫しないです。一体何を根拠に、装備の方は絶対に必ず百パーセント協議の対象となる、しかも、意見の一致を見なければ持ち込まれないとおっしゃるのですか。
○岸国務大臣 アイゼンハワー大統領と私との共同声明は、これは共同声明でありますから、私は、これをもって条約上の義務であるということを申し上げておるわけではありません。共同声明の趣旨は、こういう趣旨でこれをしたのだということを申し上げているわけであります。そういうふうな御議論もございましょうが、少なくとも、幾ら明確であっても、これをもって直ちに条約上の義務なりというわけにはいかぬと思います。今回、そういう点を改正して、明らかにそういう事項を取り上げて、そうして交換公文に、はっきり事前協議の対象とするということを条約上の義務として明らかにしたわけでございます。
○石橋(政)委員 直接お答えにならないわけです。この核装備の持ち込みというような問題が配備の中に含まれるという確認すら、当時からないのですよ。それは、総理が勝手にそう言っているだけですよ。核兵器の持ち込みというのは装備だ、配備される軍隊の装備だから当然に含まれるであろうというのは、総理のひとり合点で、何もアイゼンハワー大統領と総理との話し合いの中でその点が確認されている問題じゃないのです。確認されているなら、今おっしゃるような議論も成り立つかもしれませんけれども、別に、この配備の中に核装備の問題を入れましょう、こういう話し合いもなされておらない、その程度のものです。その程度のものだけに限って、逆に絶対に相談されるといったって、率直に申して、これはちょっと論理が私は一貫しないというふうな感じを持つのですが、いかがですか。
○岸国務大臣 これは当時しばしば質疑応答されましたように、配備の中に装備が入るかどうかということについては、議論があったことは事実であります。私は、装備が入るということを明瞭に申し上げておりますが、それは解釈上疑義があるじゃないか、何かそれを明瞭に、これだけのなにではないじゃないかという御議論があったことも事実です。しかし、私は、明瞭に私の解釈を申し上げたのであります。しかし、今回は、そういうことについて議論のないように、交換公文におきまして、配置と装備の重要なる変更と事前協議ということを、きわめて明瞭に——重要な問題でございますし、また、先ほどおあげになりましたように国民の関心の強い問題でありますから、そういうふうに明瞭ならしめたのでございます。
○石橋(政)委員 いつまでやってもしょうがないから、結論を出します。この装備の問題が配備の中に入るということは、別に大統領と話したわけではございませんということを、当時総理がおっしゃっておるのであります。三十二年十一月十六日、衆議院内閣委員会で、私の質問に対してちゃんとお認めになっている。ところが、そういうふうに入るか入らないか、別に両国がきちっと話し合ったものでもない、核兵器の持ち込み、すなわち、装備というようなものだけは必ず協議の対象になって、明文にはっきりしている、配備の方は実行可能な限りで、協議されないこともあるなどというのは、どうしても私どもとしては納得いきません。しかし、それはさておいて、実質的に、今の質疑を通じて明らかになりましたように、今の安保委員会においても、特に核兵器の持ち込みなどは絶対にできない、そういう両国の話し合いがついている、これは自信を持っていい、それが条約上の権利義務の形で出ていないだけだ、それを今度新しい条約に入れたと、こうおっしゃいますが、実際にはこれも入ってない。これは交換公文という形で、ただ協議の対象にするというだけで、これには争いがあるわけですけれども、しかし、それにしても、それがほんとうに政府のおっしゃるように必ず協議の対象となる、また、実質的な拒否権が日本にあるとしましても、私は、今の安保条約における協議の問題よりも、逆に対象は後退しているのじゃないか、そういう印象を受ける面がたくさんある。たとえば、その一つは、重要な変更に限定したこと、配備及び装備について重要な変更のみを事前協議の対象にしている。現在は、実行可能な限りというものがあろうとあるまいと、別に重要なものという限定はありません。そうすると、重要なものと実行可能な限りで、ちょうど相殺される程度のものじゃないか、こういう印象すら受ける。この「重要な」というものをつけたということで、私は逆に事前協議は後退しているいう印象を受けている。それから第二番目は、先日関連質問で、私、明確にいたしましたが、この基地使用権、日本の国内における施設及び区域の使用権というものが、逆に拡大している。今までは在日米軍という観念があったけれども、今後はなくなる。合衆国軍隊であれば、これはどんなものであろうと、日本の施設及び区域を使用できというふうに条約上はなっている。こういう面でもいわゆる後退を生じている。これが第二点。第三は、配備について、「その附近」というのを今度削除しているということですね。今までは、その付近まで、イン・アンド・アバウト・ジャパン、このすべてが対象になって、配備を規律する条件は行政協定によって決定する。行政協定によらざれば、その付近にも配備することを認めないという、日本側は強い権利を持っておったが、今度の条約では放棄している。こういう点でも後退をしている。それじゃ、あらためてお伺いしましょう。それじゃ藤山外務大臣、その付近に対する配備、これは事前協議の対象になりますか。あるいは事前協議でなく、日本が権利としてアメリカに認めるという、そういう対象になりますか。米軍が日本のその付近に、現行安保条約でいうその付近に配備される場合に、日本が許す、向こうが許してもらう、そういう関係にありますか、新しい条約に……。
○藤山国務大臣 「その付近」という言葉をとりましたのは、われわれ当然だと思うのでありまして、別段それは後退しているわけでもございません。従って、今回の条約におきまして、日本の施設・区域、そういうものを提供してその目的に使っているということによって、事前協議の対象になる、こういうことでございます。
○石橋(政)委員 現行安保条約第一条によって、「その附近」という言葉が出てきているわけです。「平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。」日本の国内だけじゃなしに、その付近に米軍を配備することも、日本が本来持っている権利をアメリカに認める。そういう関係が、現在の安保条約では規定されているわけでしょう。これを受けて、第三条で、「日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。」とあるわけでしょう。その付近に配備する権利というものは、本来日本のものなんです。それを日本がアメリカに譲った格好になる。ところが、新しい条約ではそれが除かれている。ということは、新しい条約のもとにおいて、米軍が日本の、現行条約にいう「その附近」に配置されることは、これは自由勝手ということにならないですか。日本が別に、許すとか許さぬとかいう問題でなくなってきているんじゃないですか、いかがですか。
○高橋(通)政府委員 この問題は、日本の領域、領海、領空領土内に配置することは、これは日本との話し合いに基づくことは当然でございますが、その付近、すなわち、公海上に配備するとかどうかということは、国際法上の権利としては、これは公海は自由でございますから、当然それは米国、外国もできるわけでございます。ただ、一国の領海の近くに軍隊を集中させるというようなことは、これは国際関係上、国際非友誼的な行為と考えられたり、いろいろ問題を起こすことがありますので、それで、そういう付近ということも、これに念のために書いた規定でございますから、この付近ということは、実際上は、日米の現在の関係におきまして、付近まで入れるというような実際上の必要性は全然ございません。その意味におきまして、付近が入ろうが付近がなろうが、このことは、ただ条約上の問題としては問題ない、価値がないところの問題であると考えております。
○石橋(政)委員 そんなことはありませんよ。現在の安保委員会におきます協議の対象には、その付近も入るといっておるのですよ。藤山外務大臣、明確に私に答弁しているのですよ。現在の安保委員会における協議の対象には、その付近も入りますと、藤山外務大臣が答えているのです。昭和三十三年三月二十七日の内閣委員会において。今度の新しい安保条約においては、その付近なんか入らないじゃないですか、事前協議の対象に。第六条の実施に関する交換公文を見ても、「日本国への配置における重要な変更」です。日本国への配置しか事前協議の対象に入っておりません。今までは、安保委員会の協議の対象に、その付近も入っておった。この分については権利放棄じゃないですか。これを後退でないというならば、もっと明確な根拠を示して下さい。
○藤山国務大臣 今、条約局長の御説明申し上げた通りでありまして、別段われわれは、「附近」ということを入れなくても後退したというふうには考えておりません。
○石橋(政)委員 後退したとは考えておりませんとおっしゃるけれども、あなたは、先ほど指摘しましたように、三十三年三月二十七日の内閣委員会において、その付近も安保委員会における協議の対象になりますと、明確に言い切っております。これが今度の事前協議の対象からは除かれておることは、意味がどうあろうと、後退じゃありませんか。今まで日本の権利として持っておったものを、放棄したことになるんじゃありませんか。そうじゃないですか。
○藤山国務大臣 御承知の通り、今回の安保条約では、第四条においていろいろな点で協議をいたします。従いまして、その協議事項に従っていろいろ協議をする場合もございますから、それは何も必ずしも兵力の配置とか——そういう問題もございましょうと思います。でありますから、その協議というのは、何も日本国内だけに限ってない、条約運営上の問題で考えられます。でありますから、そういう意味においては、日本の付近にどういう情勢があるんだという協議は、それはいたすと思います。しかし、何も日本が持っておりません権利、そういうようなものに対して、特別に「附近」というのを入れるとか入れないとかいうことによって、決して後退しているとは思っておらぬのでございます。
○石橋(政)委員 この点も、これ以上申し上げません。とにかく現行安保条約のもとにおいては、安保委員会というものにおいて事前協議制が採用されておる。その中で、今の配置についてながめてみた場合に、従来は、条約上も、日本の国の付近に配備する権利は日本のもの、それをアメリカに付与する、こういう強い形がとられておった。事前協議の面においても、安保委員会において、日本の付近に対する米軍の配置まで事前協議の対象になっておった。ところが、今度は新しい条約によって、その付近に対する配置については、日本の権利をアメリカに譲ったというような観念は全然なくなった。従って、事前協議の対象からも除かれてしまった、こういう結論だけはお認めになっておるようですから、その意味においては、われわれは明確にこれは後退だ、従来権利であったものをみずから放棄してしまっておるのですから、これは後退だ、こういう印象をどうしても受ける。そうじゃないなら何か……。
○岸国務大臣 さっきから御質問を聞いており、また、政府側の答弁を聞いておるのでございますが、一体日本の領土、領空、領海に対して、外国に——これはわれわれが全体の権利を持っておりますから、これを使用させるかいなかということは、われわれの権利であり、またこれを米軍に使用さす、その中に配置を認めるということは、われわれが、特殊のそういう権利に基づいてアメリカにそういう権利を設定させる、いわゆる提供するという観念に入ると思います。しかし、公海においては、これは日本がそれをアメリカに提供するという——領土、領空、領海のごとき、日本は本来権限を持っておるわけじゃありませんで、公海自由の原則から見まして、アメリカがそれをどういうふうに使うかという一つのなにを持っておる。また、われわれもこれを自由に使うところの権利を持っておる。これが衝突する場合において、どういうふうにその間を調整するかという問題は、条約等について質疑応答がありましたような法律制度を立てて、その調整をとっておるわけであります。従って、事実問題として、実際は、法律論といたしましても、いわゆる領土、領空、領海外に配置する、公海の上に配置するということ自体も、ちょっと観念上おかしな観念だと思いますが、そういうことが実際はあり得るかどうかは考えられないのであります。またこれをのけましたからというて、何かそのために、重大な権利を日本が失ったというふうに御質問になっておりますが、われわれが権限に基づいて提供するという、公海というものは性質のものじゃないのであります。従って、そういうものを、実際上この現行安保条約が動いてきて、今日までそういう事態もございませんし、また、そういう必要も認めないから、そういう不必要なところを削ったということは、ちっともこれによって何か後退したとか、あるいは従来持っておった権利を、何かこれでもって喪失したという性質のものでは全然ないのであります。
○石橋(政)委員 何か領海外については一切権限がない、国際法にゆだねておるのだというお言葉でございますが、領海外といったって、日本に非常に重大な影響を及ぼすところはたくさんありますよ。私の県で言えば、長崎の港をしばらく出て、五島列島に行くその間は、この付近だって公海ですよ。公海ですけれども、そこに第七鑑隊が何しようと勝手、そういう理屈が国際法上どこにありますか。あなたのような理屈で言うなら、現行安保条約は要らぬことを書いておるのだ、くだらぬことをその付近として書いておるのだ、こういうことになりますよ。必要のないものを現行条約は書いておったのだ、必要のないものをとっただけだ、そういうことはおやめになった方がいいと思います。
○小澤委員長 この際、滝井義高君より関連質疑の申し出があります。これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 事前協議の問題が出ましたが、私は一昨日、在日米軍の問題に関連しながらこの問題を論議したかったわけでありますが、時間の関係もありましたので、論議をしませんでした。今石橋君の事前協議に関連をして、お尋ねをしたいと思います。その前に、「日本国内及びその附近」の中に沖縄が入るか入らぬかということです。日本の区域の中には沖縄が入るという答弁を初めはしましたが、その後は、一つの島々を言うのは適当でないといってやめてしまった。今度は、「その附近」という中に、沖縄が入るか入らぬかをまず先にちょっとお聞きしておきたい。
○林(修)政府委員 現在の安保条約の第三条の解釈でございましょうか。——イン・アンド・アバウトの意味でありますか、これは沖縄はやはり入らないものだと思います。沖縄については、平和条約の第三条によって、米国が権限を現在は持っておりますから、現在の状況においては入らない、もちろん日本の施政権が返ってくれば、入ることはあたりまえであります。
○滝井委員 「その附近」には、沖縄が入らないということだけ一応確認しておけばけっこうです。 次は、事前協議に関連をして在日米軍の問題がいろいろ出ましたが、われわれが在日米軍という問題を考えるときには、六条が一番中心的な条文でございます。従って、日本の地域やあるいは施設というものを合衆国の軍隊が使用する。これがいわば常識的に在日米軍、こういう形になってくるわけです。その場合に、使用するということについては二つあるわけです。一つは、一時的に使用する。たとえば、第七艦隊みたいに一時的に使用する、こういう概念が一つあります。もう一つは、いわゆる配置される、こういう概念です。すなわち、それは赤城流に言えば指揮下に入る、こういうことは岸さんもお認めになったわけです。そこで、その二つの概念が大体この条文の中では出てきておるわけです。一時的なものと配置指揮下にある、こういうことで使用する。こういう二つの概念がある。これを事前協議をずっと当てはめていきますと、まず第一に、重要な配置の変更というときには、一時的に使用するものは、これは事前協議の対象になりません。今までの答弁でならない。それから今度は、配置の重要な変更というものは、日本の指揮下に入るというときには、いわゆる配置されるというときには、これは入るわけです。事前協議の対象に入ります。これはその通りですね。さらに今度は、装備の変更です。装備の変更は、これは一時的なものであろうと——いわゆる原子兵器ですから、一時的なものであろうと配置されたものであろうと、全部事前協議の対象になりますね。それから日本を基地として使う戦闘作戦行動は、一時的なものであろうと配置されたものであろうと、全部なります。これはその通りですね。
○高橋(通)政府委員 その通りでございます。
○滝井委員 そうしますと、そのときに事前協議でわれわれが疑問になって解明してもらわらなければならぬ点は、いわゆる在日米軍の指揮下にあって、そしてそれが司令部だけがあって、部隊が日本にはちょっぴりしかないという場合にはどうなるかというと、これは、たとえば飛鳥田君が指摘しました第五空軍ですね、その司令部がある、あるいは部隊もおそらくちょっぴりあるかもしれません。そういうものは、大郷や沖縄にあっても事前協議の対象になりませんというのがあなた方の答弁だった。これはその通り確認しておいて差しつかえありませんか。
○高橋(通)政府委員 御指摘の通りでございます。
○滝井委員 そうしますと、一体、一時的に日本の基地を使用するものと配置されたものとの区別を、政府はどういう工合にやるかということです。
○高橋(通)政府委員 この点は、日本国への配置でございますから、配置された軍隊と、それから配置されずに基地及び施設を使用する、これは区別できると考えます。
○滝井委員 区別ができるというが、何によって区別しますかというのです。どういう具体的なことで区別しますか。たとえば、それは随時協議の四条でやるのですか、事前協議でやるのですか、何で区別しますか。一時的なものか、それとも配置されたものかという区別は、一体どこで、どういう機関で、どういう基準をもって、これは一時的なもの、これは配置されたものという決定をしますかということです。
○加藤(陽)政府委員 この一つの基準は、編成上、在日米軍の中に入るかどうかということであろうと思います。第七艦隊のごときは、一時的に寄港することはございますけれども、これは編成上、在日米軍の中に入っておらない。編成上、在日米軍の中に入りますと、これはやはりそのため必要とする施設・区域が要るわけでございます。相当長期間にわたって要るわけでございますから、そういう点から一つの基準は発見できると思います。
○滝井委員 そうしますと、その編成上だけの問題であるという、編成によって見分けて役立つ場合というのは、たった一つの場合しかないわけですね。いわゆる配置の変更をするときの事前協議以外はないわけです。それ以外の場合は、全部事前協議の対象になっておるわけでしょう。そうしますと、事前協議でなくとも、装備が変更されたとか、日本から出ていくというならば、随時の協議でできるじゃないですか。何も事前協議がなくてもできる、事前協議というのでは間に合わなくなるのではないですか。むしろ四条の随時協議、あるいは極東の平和と安全で協議をするということの方が役立って、事前協議なんというものは役立たないんじゃないですか。何も事前協議ということを持ってきた意味がない。そうですね。
○林(修)政府委員 今の御質問の趣旨、ちょっと私、了解しかねたのでございますが、もちろん、随時協議あるいはいろいろの協議でいろいろのことを相談するのは当然でございますが、そのために事前協議が役に立たないとおっしゃるのでございますが、交換公文の事前協議は、要するに、事前において両国間に合意が成立しなければ、これこれのことはやらないという趣旨でございます。従いまして、そこに書いたことはやはりそれだけの意味があるんで、単に四条の随時協議でできるから、そこから除いてもいいということにはならない、かように私は考えます。
○滝井委員 いいですか、配置の変更というもので協議をしないときは、事前協議にかからないというのは、一時的にくるやつだけが事前協議の対象にならないんですね。あとは全部事前協議の対象になってしまう、一時的なものであろうと配置されたものであろうと、これは全部同じことです。核兵器を持ってくる場合、すなわち、装備の重要な変更、戦闘作戦行動、全部事前協議の対象になる。ということがはっきりしておるならば、四条の協議でずっとおやりになったらいい。事前協議なんて、むずかしいことを言わなくてもいいでしょう。理論的にはそうなる。それの方が筋が通っている。
○林(修)政府委員 いや、四条の協議で、いろいろ、どういう装備が新しく入ってくるか、あるいはどういう戦闘作戦行動をとるかということを通報を受けたり、あるいはそういう知識を得るということは、もちろんできるわけでございます。しかし、第六条の交換公文はやはりそれだけじゃ足りないので、日本の利益を考えて、そこに特掲してありますことは、要するに事前に両国間の協議が成立しなければやらない、そういう意味をそこにつけてあるわけでございますから、それはやはりそれだけの意味がある。四条の随時協議とはやはり意味が違う、かようにわれわれは考えておるわけであります。
○滝井委員 もう一つ、四月二十九日のワシントン発UPIによりますと、日本と装備の変更について事前協議をするのは、原子兵器のほかに、進歩した兵器の導入に及ぶということが書いてある。日本の政府は核兵器だけだ、こういうことになっておる。アメリカは、そのほかの兵器の導入にも及ぶということになっておるのですが、これは一体、核兵器のほかにどういうものがあるのですか。アメリカは、核兵器のほかにまだあるとおっしゃっておる。日本の政府は一つしか説明しない。核兵器以外に、これは一体何です。
○加藤(陽)政府委員 兵器の進歩は、最近非常に著しいものがあるのでございまして、核兵器そのものが、現在において非常な進歩を遂げておりますることは、前回も申し上げました。一方において非常に大型化する、また、一方において小さくなるというふうなこともございます。核兵器以外にも、いろんな兵器が私は研究されておると思います。それは、この前のソ連のフルシチョフ首相の最高会議における説明でも、あっというような兵器を今ソ連側は持っておるのだというふうなことを言うております。具体的な内容については言うておりません。それにやはり相応するようなものを、アメリカでも考えているだろうと思うわけでございます。具体的に、今ここで何だということを申し上げる段階には達しておりません。
○滝井委員 そうしますと、政府は、事前協議の対象に、今までは核兵器だけだとおっしゃっておったけれども、核兵器のほかになお新しいものが出てきたら、そういう進歩した兵器も入る、こう政府もお認めになるのですね。岸総理、それでいいのですか。
○藤山国務大臣 私、かねて申し上げておりますように、核兵器は入るわけでございます。核兵器はむろん入ります。それから、中長距離ミサイルは核装備をしなくとも入る、そういうことを申し上げておるわけであります。それから、ミサイルの基地の構築ということを申しておるわけでございます。
○滝井委員 核兵器とは何ぞや。核兵器とは、今おっしゃったような核弾頭、それから中長距離のミサイル、それから基地建設ですね、これが入るということはお聞きしたわけであります。さらに進歩した兵器というものを、特に二十九日にアメリカ当局が語っておるわけですから、何かこれはなくちゃならぬわけです。核兵器以上のものと言っておるのですが、それは何ですか。政府は、そのほかにそういうものがあれば、そういうものは事前協議の対象になるならなる、そういうことでけっこうなんですよ。
○藤山国務大臣 UPI電報の内容がどういうことを意味しているのかよくわかりませんが、今まで私が申しておりますことは、必ず事前協議の対象になります。今後何か核兵器に匹敵するような非常な威力のあるものができてくる、それが戦力的なものであるということが、核兵器以外にもあり得るということであれば、そういうことは、あらためてわれわれとしても関心を持つわけでございますから、当然そういうものについては、今後アメリカと事前協議の対象にしていくか、いかないかということをきめる、UPIの電報は内容がはっきりいたしておりませんから、これ以上申し上げかねると思います。
○滝井委員 そうしますと、アメリカは、核兵器の地下爆発実験を日本の基地でやることができますか。
○藤山国務大臣 核兵器と申しますか、核武器を持ち込むわけでございますから、そういうことはできないと思います。
○滝井委員 実験ですから……。最近は地下爆発の実験というのは、国連の軍縮でも今問題になっておりますが、実はわずかの地震程度の地下実験をやるわけですね。そうしてこれは探知がなかなかできない。爆発の実験の方が進歩をして、探知する技術の方が現在おくれているわけです。これは、最近のアメリカの談話その他をごらんになっても、はっきりそういっておる。ところが、最近は、日本のアメリカ軍基地は全部地下に埋没してしまっているのですよ。そうすると、日本には核兵器を持ち込ませませんが核兵器を持ち込むときにはイエス、ノーを言うということは、これは持ち込む場合も、あるいはあるかもしれぬということを考えているわけです。だからイエス、ノーを言うわけです。もう絶対持ち込まぬというならば、イエス、ノーを言う必要はない。初めから禁止をしたらいいわけです。ところが、ここに装備の重要な変更とお書きになっているところに問題があるわけです。ところが核兵器を日本に持ってきた場合には、まず第一に、核弾頭が必要だし、ミサイルが必要です。ところが、ミサイルを飛ばせるためには、そのミサイルを飛ばせる地下の施設というものが、同時に必要になってきます。この地下の施設というものは、一日や二日でできるものではございません。へまをすると、半年、一年、大規模なものはかかるのです。そしていわゆるミサイル、上に出る、あの何と申しますか、魚雷みたような形のものに、今棺おけのような頭をかぶせてわからないようにしているわけです。なぜならば、ミサイルに小銃一発撃ち込んでも、このミサイルというものが非常に性能が巧妙になっておる、微細になっておるために、打ち上げられなくなることは御存じの通りです。そうしますと、核兵器を飛ばせる基地の建設というものは、その場になってからよろしいかといってもすぐ間に合わないわけですね、半年、一年以上かかるのですから。いざ鎌倉というときには、作っておかなければ間に合わないのです。これはあなた方は、事前協議の対象になる、こうおっしゃったのだが、そうしますと、これは論理的に少しおかしくなるわけです。沖繩の地下壕をごらんになっても、これは非常に時間と、労力と、金とを要しているわけです。従って、最近稚内で非常に地下の建設が行なわれておるということがいわれております。案外日本にも、すでに日本の政府が知らないうちに、地下にミサイルの発射の基地ができておるのではないかという疑いが出てくるわけです。この点については、岸総理は、なるほど核兵器の持ち込みはお断わりだと言うが、最近における兵器の進歩というものは、そういう発射の装置というものが深く地下にもぐって、そうして非常な建設費と長時間の建設の時間を要する、こういう問題があるわけです。こういう点については、事前協議というものは役立たないのです。そういう点においては、やはり随時協議をして、そういうものはだめですとか、いいとか、こういうことをはっきりしておかないと、もう作っちゃって使うようになってから、いや、使うことはだめでございます、こう言ったって間に合わないのです。こういう点は一体どうお考えになっておりますか。
○岸国務大臣 よく御質問の趣旨が私に了解しかねておるところがありますが、先ほど来、また先日来お答えしておるように、装備の重要なる変更ということには、広い意味において核兵器及びミサイル基地の建設というようなものを含む、そうして、そういうものについては、日本は、従来申し上げておった通り、これを拒否するということを申し上げております。今の御質問の、地下にそういうミサイル基地を建設するという場合におきましては、建設に取りかかる前に事前協議をしなければならないので、それを核兵器の基地として使用する場合に事前協議をしろというのではなしに、建設を、われわれは事前協議の対象とするということをお答え申し上げております。従って、そういうものの建設に着手する前に事前協議して、日本の同意を得なければそういう建設に着手はできない。従って、そういうものが、日本の知らないうちに、相当長い期間で作り上げられているというようなことは絶対にあり得ない、こう思います。
○滝井委員 先日の堤委員の質問に対して、第七艦隊が日本の領海を、核兵器を積んで通過するのは、事前協議の対象にならないという答弁をしておるはずなんです。そういう答弁をしておるでしょう。高橋さんがしておる。そうしますと、さいぜん私が念を押した、一時的に日本の区域、いわゆる施設を使用するという場合は、当然これは事前協議の対象にならなければならぬ。ところが、通過する場合は対象にならないと言っている。これは矛盾してくるわけです。
○高橋(通)政府委員 これは国際法上の一般原則として、無害通行というのがございます。インノセント・パッセージ、これは、そういう場合にはこの問題の対象ではないわけでございます。この前申し上げた通りでございます。それは現在の国際法上、領海を単に通過するだけ、これはほかの外国の一般艦船でも同じでございます。
○滝井委員 岸総理、それでいいですか。核兵艦を積んだアメリカの第七艦隊が、日本の領海をずっと通っていくことはいい。そうすると、私は一昨日も言ったのです。最近におけるグァム島からの戦略空軍の航空機というものは、絶えず原子兵器を積んで、日本の上空をいつも警戒している。あるいはポラリスを積んだ潜水艦というものは、いつも日本の領海を巡航している。こういうことがあるから、これは大へんですよ。戦争に巻き込まれる。今のように、領海を自由に通過していいならば、北の方からずっと南の九州のところまで、絶えず日本の領海の中に遊泳しておれば、これは対象にならぬことになってしまうならぬことになってしまう。それは今の答弁でいいのですか、岸総理は。
○岸国務大臣 これは国際法上の無害通行というものは、私の知っている面におきまして、領空の問題にはないようでございますし、それから今お話しのようなことは、それは当たらないように思いますが、なお、国際法上の解釈等は、条約局長より法律的に御説明申し上げさせます。
○高橋(通)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、領海をほんとうに通過するだけならば、これは一般的な問題と同じことになるわけでございます。ただ、領海を遊よくしたり、停泊したりしているということは、これは無害通行ではございません。
○滝井委員 領海を通るということは、遊よくしておることでしょう。それが領海を通過するということは、じゃ一体何メートル通過したらいかぬのであって、何百メートル通過したらいいのだということは、ないわけなんです。そんな無害通過なんという、しろうとだましみたいなことじゃいかぬですよ。
○高橋(通)政府委員 ですから、確かに領海を単にすっと通過する、通常の通過をするだけは、これは問題なくほかの軍艦だってお互いやっていることでございますから、これは一般国際法上許可されているということでございますが、そこで何か停泊したり、ぐずぐずしたりすれば、その瞬間に無害航行でなくなるわけでございます。従いまして、やはり無害航行か航行でないかという場合は、確かにそういうふうに、こういうのは無害航行である、そういうのは無害航行でないという観念上の相違はあるわけでございますが、無害航行という概念がある限り、それはほんとうに国に害を与えない、インノセント・パッセージをするというのは、それは先ほど私が申し上げた通りであります。おそらく御指摘の点は、そういう意味でなくて、遊よくしたり、絶えず出たり入ったりしているというような問題があれば、これは無害航行でございませんで、そういう意味合いならば、それは問題は別でございます。
○滝井委員 それならば、領海を通るときには日本政府の了解を得て通りますか。
○高橋(通)政府委員 ですから、そういう御指摘のような場合は事前協議の対象になるわけです。それは無害航行じゃないという場合でありますれば、事前協議の対象になるわけであります。
○滝井委員 事前協議の対象になるということでなくして、今から日本の領海をちょっと通過いたします、無害通過いたしますということを、アメリカの政府は日本の政府に通知をしますか、ということなんです。そのときは、日本政府は通っちゃいかぬとかなんとかいうことになれば事前協議になりますけれども、ただ通過をいたしますよという通知だけはきますかと言うんです。
○高橋(通)政府委員 そういう場合は、別に通知も何も参りません。
○滝井委員 そうしますと、通知のないその第七艦隊に敵の攻撃が加わったときには、これは日本に対する攻撃とみなして、日本はいかなければならぬのですね、どうです。
○高橋(通)政府委員 その軍艦に対する武力攻撃でございます。それが組織的、計画的な武力の行使であるということになりますれば、同時に日本に対する攻撃でございます。
○滝井委員 そうしますと、核兵器を持ち込んで第七艦隊が通過をした。そして日本にも知らせなかった。そして日本政府は、今度はアメリカと共同の行動をとらなければならぬという事態に追い込まれる。こういう抜け穴がある。 もう一つ、今度は事前協議の問題と五条との関係です。それと非常によく似てくるのですが、この五条で、日本の施政下にある領域が武力攻撃を受けます、そうしますと、日本に一時的に来ておるアメリカの軍隊であろうと、配置された軍隊であろうと、これらのものは一切事前協議の対象とならずに、アメリカは日本の基地からどこにでも飛び立っていくことができますね。
○高橋(通)政府委員 ただいま第五条の場合でございます。これは事前協議の対象にならずに、直ちにアメリカはこれを排除する行動をとるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、今のような場合が出てくるのです。日本には全然通知をしなかった、一時的に日本にやってきた第七艦隊、一時的にかどうか、日本に司令部を置いている第五空軍、こういうようなものが——たとえば、もっと具体的に申し上げますと、第七艦隊が台湾の緊張で出ていった、そうして今度はたまたま日本に帰ってきた、帰ってきて日本の領海に入ったとたんに、アメリカのその第七艦隊が攻撃を受けたということになりますと、これは日本には一応関係がないのです。いわゆるその事件には、日本のかかわりのないところです。まあ極東の平和とか安全といえばかかわりはありますが、そういう直接日本国自体にかかわりないところで何か事件が起こって、そうして、その事件に関係をしたものが、日本の領海に帰ってきたときにやられたというときには、在日米軍というものは、自由自在に日本の基地を使って、どこにでも出ていけるのが五条なんです。ところが、五条というのが一番日本にとっては大事で、一番これは多い場合でなくちゃならぬ。ところが、そういう場合は何ら事前協議の対象にならず、アメリカの行動は自由自在であるということです。アメリカは、日本の基地を使って自由に出ていくことができるわけです。
○林(修)政府委員 今の御趣旨は、やはり米艦隊が、日本の領海にいるということが前提でございます。日本の領海を攻撃するわけでございます。決してよその公海にいる米軍を攻撃したわけではございません。同時に、日本の領海を侵しているわけでございます。日本の領海を侵しているその攻撃は、いわゆる武力攻撃という程度であれば、まさに日本に対する攻撃でございます。そういう日本の領海にいる米軍を、日本の領海を、主権を侵して攻撃してもいいという国際法上の問題はございません。従いまして、それはまさに日本に対する攻撃でございます。
○滝井委員 それはわかっている、そういう説明をして質問をしているわけです。その場合、その事件については、日本というものは直接何らかかわりがない、日本の安危にはかかわりはないかもしれない。ところが、その場合に、ただ領海を侵したという抽象論では割り切れないのです。その場合、その武力攻撃の内容がどういうものであったのか、武力攻撃の認定の仕方についても、あるいはそういうものについて共同のものをとる、そしてアメリカは自由に外に出ていく。私はむしろ、そういう場合に事前協議というものが発動されなければならぬと思うのです。むしろ六条関係というものは、極東の平和と安全、日本の安全に寄与するという、きわめて抽象的なことなのです。直接日本に関係ある場合よりか、むしろアメリカの極東政策全体に関係あることの方が、六条は多いのです。むしろ五条が、日本の運命自体に関係がある。こういうときに、アメリカが何がなんでも武力攻撃があったといって出ていって、日本は憲法上の規定でじっとしておらなければならぬ、こういうことに問題があるわけです。そこで、私は、そういう点について、むしろ五条に事前協議というものがなくてはならぬということです。ところが、五条のアメリカの行動は野放し、ここに私は問題があると思うのです。むしろ六条よりか、ここに事前協議のワクを岸さんははめなければならなかったと思うのです。そういう主張なんです。
○岸国務大臣 五条の場合は、言うまでもなく、日本の領土、領空、領海に対して、他の国から組織的、計画的な武力攻撃が加えられた場合でございまして、その場合において、日本が自衛権を発動すべき事態でございますから、日本がやり、また、アメリカが、五条の規定に基づいて日本防衛のために自衛権を発動する、こういう規定でございます。今例をおあげになりました、第七艦隊が日本の領海内で——その前にどういうことをしておったかは別として、日本の領海内におる米軍が武力攻撃を受けるということは、言うまでもなく、日本の領海に対して武力攻撃を加えている場合でございますから、これは五条の発動によって、日本も自衛権を発動しますし、アメリカも集団的自衛権ないし個別的自衛権を発動するということは当然でございまして、私は、そういう今御質問になっておる事柄自体が、きわめて御趣旨を了解するのに苦しむのでありますが、日本に対する武力攻撃というものがあるわけでありますから、その場合には、事前協議でイエス、ノーを言う対象にすべきものではなくして、当然五条によって、日米ともに、その武力攻撃を排除するために自衛権を発動すべきものである、こう思います。
○滝井委員 その前にアメリカがどういう行動をしておろうと、というところが問題なんです。アメリカがその前にみずから侵略の意図を持ってやっておって、そして日本に帰ってきてやられたときには、これは日本は大へんなことになるわけです。だから、武力攻撃を受けたその認定を、一体どういう工合にやるかということです。イエス、ノーの基準をどこに置くかということが問題なんですよ。その前の議論を放置しておって、あとだけを武力攻撃を受けたからと、こういう工合に問題が発展していくことに問題がある。すべて原因があれば結果があるのですから、だから、その原因というものを突きとめなければいかぬと思うのです。そういう点について、今の御答弁ではわれわれちょっと納得がいかないところがある。関連でありますから、これでやめます。
○小澤委員長 この際、飛鳥田一雄君から関連質疑の申し出があります。これを許します。飛鳥田一雄君。
○飛鳥田委員 今、石橋君と滝井君の質問を聞いておりますと、非常に解せない御答弁が出てきたと思いますが、まず第一に、現行安保条約における「日本国内及びその附近」という言葉と、今度の新安保条約における「日本区域」という言葉とは、表現は違っても、実質的にはそう変化はない、石橋君の言うように決して後退を意味するものではない、こういうふうに私は一つ伺いました。さらに、そうした実質的には同じである「日本国内及びその附近」あるいは新安保条約の「日本区域」という言葉の中には、沖縄は含まない、こういうふうにお答えになったと思いますが、そう伺っておいてよろしいでしょうか。
○林(修)政府委員 今飛鳥田委員の御質問でございますが、その前提のお答えを政府側は何らしておらぬと私は思いますが、どういうことでございますか。
○飛鳥田委員 「日本国内及びその附近」という言葉よりも、「日本区域」という言葉の方が、狭くなっておるじゃないか、従って、それは、前の安保条約よりも今度の安保条約の方が後退を意味するものじゃないか、こう伺ったところ、それは実質的には同じである、こういうふうなお答えであったと思います。そうして続けて滝井君の質問に対して、「日本国内及びその附近」という言葉の中には沖繩は含まない、こういうふうにお答えになったと思うのですが、いかがでしょうか。
○林(修)政府委員 二つの点は、確かにその通りにお答えいたしました。
○飛鳥田委員 それでは一つ伺いますが、行政協定に基づく合同委員会に代表として出て行かれる方は、日本国政府の代表でしょうか、それともよその代表でしょうか。
○高橋(通)政府委員 日本国政府の代表であります。
○飛鳥田委員 日本国政府の代表である以上、閣議あるいは総理大臣のおきめになった方針からはずれたり、それに反したりする行動をなさるはずはないと思うのですが、この点はいかがですか。
○高橋(通)政府委員 その通りであります。
○飛鳥田委員 そうおっしゃらざるを得ないでしょう。非常に私たちと意見が合うので愉快です。ところが、その政府の意思を体し、政府の意思に反せざる行動をなすべき代表が、合同委員会で、沖繩を行政協定の適用範囲内に含ましめる、こういう主張を盛んになさっていらっしゃるのはどういうわけでしょう。沖繩は行政協定の適用範囲内である、こういう主張を盛んになさっていらっしゃる。これは一体どういうことでしょう。総理の言われることと真反対じゃありませんか。
○森政府委員 私、合同委員会に日本政府代表として出ておりますけれども、日本国及びその付近の中に沖繩を含むという決定ないし発言を、合同委員会でやった記憶はございません。
○飛鳥田委員 なければ教えて差し上げましょう。一九五六年の六月一日に、総額八百万ドルのナイキ基地八カ所の建設工事の入札があったはずです。これに対して日本の建設会社もみんな参加をいたしました。そうして日本建設とか、全国建設とか、島藤建設とかいう会社も入札に入りました。ところが、工事をやっておりますと、いろいろの問題が出て参りまして、こういう契約上の問題について、政府に対して、何とか援助をしてくれ、こういう申し出をこれらの方々がしてきたはずです。政府はこの問題を解決いたしますために、合同委員会及びその下部機構である契約調停委員会で、これを扱おうという態度をお出しになったはずです。そうしてその契約調停委員会、すなわち、合同委員会の一部の中で、アメリカ側が、日本国及びその付近に沖縄は入らぬじゃないかと言ったのに対して、日本政府は、行政協定ではその適用地域を日本及びその周辺と規定されておるが、日本国といえばその領海が含まれるのは当然であって、特に周辺なる語を加えたのは、日本の領土外であっても、日本に近接し、かつ、日本と密接なる関係のあるものは、適用地域に含ましめ得ると考えると反論した。日本の政府が言っておるんですよ。沖繩は入ると言っておる。当然入るのだ、従って、行政協定の規定する日米合同委員会で、沖繩の問題は討議し得るのだという主張を、日本政府がしておるのです。これは思い起こしてみますと、石橋君が総理に沖繩の主権について伺ったときに、いわゆる主権へこみ論というのが出てきた、ちょうどそのころであります。考えてみてごらんなさい。あなた方は、国会で、日本周辺、これには沖繩は入らぬと、口では盛んに言いながら、現実に日米合同委員会の中で、沖繩は当然行政協定の適用地域内に入る、こういう主張を盛んにしていらっしゃる。しかも、この論争はかなりの長期間にわたったと、政府の資料が報道しているのですよ。これがあなた方の今までやってきた国会答弁の実態です。うわべは、われわれが聞くと、入りませんと非常に明快にお答えになり、そして、いろいろ詰まられると、われわれがしろうとだとお思いになって、無害通行なんという言葉を出されて、何とか処理していこうとされる。しかし、その言った口の下では、あた方の政府代表が、政府の意思を体して、沖繩は行政協定の適用地域内にある、こう言っているじゃないですか。上でやっていることと、下でやっていることとがこんなにもうらはらであるということについて、私たちはむしろあきれざるを得ないというだけであります。しかし、私たちがあきれているだけで問題が片づいていくのならば、それでよろしい。しかし、片づかないものがあることをあなた方は御存じのはずです。おそらくアメリカ政府は、あなた方の国会答弁を見ながら、しかも現実に合同委員会及び契約調停委員会の中で政府代表がそういう主張をなさるので、あ然としただろうと思います。国際信用というのはこういうところにもあります。国会答弁と、現実に日米合同委員会の中でやっていらっしゃるあなた方の行動が、こんなにもうらはらだというのは、一体どういうわけです。これは責任者である外務大臣にお答えを願いましょう
○藤山国務大臣 五六年というと、四年前でございまして、何か国会でへこみ討論があったというときよりはずっと前のように思います。詳しいことにつきましては、アメリカ局長から答弁をいたさせます。
○森政府委員 ただいま申し上げましたように、日米合同委員会の中には、十一の分科委員会があるわけでございます。ただいま御指摘の契約調停委員会と申しますのは、合同委員会の傍系の機関としてございまして、アメリカの軍側との契約について紛争が生じた場合に、この間の紛争の円満なる解決をはかるために調停の労をとっておる機関でございます。私も、一九五六年にはこの調停委員がどういう意見を出しましてアメリカ側と交渉いたしましたか、ただいま記憶はいたしておりませんけれども、そういう建前から、何とか日本の建設業者と米軍との間の紛争を円満に解決するよう尽力するために、一つの意見としてそういうことを申したことと存じております。なお、このときの事情を私ただいまよく記憶いたしておりませんので、調査の上、後刻御答弁いたしたいと思います。
○飛鳥田委員 契約調停委員会が、合同委員会の中で傍系であるかないかなどということは、無関係でしょう。傍系といえども政府代表です。政府機関のはずです。傍系であれば一切無責任であるなどとおっしゃるのならば、これは別ですが、傍系であろうと直系であろうと、そんなことは関係ない。そういうことは詭弁ですよ。しかも、契約の紛争を何とか解決をする、こういうふうにおっしゃったのですが、これは行政協定適用の地域内に起こった契約でなければならぬことは、火を見るよりも明らかじゃないでしょうか。そうであるとすれば、沖繩における契約の紛争をこの委員会で解決しようとする限り、これは沖繩に行政協定が適用ありという前提に立たない限り、不可能じゃないですか。そして、そのことをあなた方は堂々とその中で主張なすっているのですよ。もしそのときにアメリカがオーケーと言ったら、どうします。よろしいと言ったら、どうします。当然行政協定は沖繩に適用ありということになり、同時に、日本及びその周辺、あるいは付近というものの中には、沖繩を含むということになるのであります。問題は——なるほど、契約の紛争解決という目前の利益はあります。しかし、そのことが日本全体に対してどんなに大きな影響を及ぼすかということは、ばかじゃない限り、その代表の方は御認識になっていらしたはずです。総理大臣、すなわち政府の首脳部の意見と真反対なことを堂々と主張している。こういうことを考えてみると、やはり実体はこちらにあるんじゃないか、こういうふうに私たちは思わざるを得ないわけです。国会で口でどんなにきれいに答弁をなさろうと、実質的にこういうことをこそこそとやっていかれる、しかも、あげくのはてに、合同委員会の議事録は秘密でござんすときたのでは、国民はたまりませんよ。どういう討論があったか、国民には知らせない、こういうことでは、国民はたまりませんよ。一体どうなさるのか。総理大臣、どうでしょうか。今外務大臣は、私の在任中ではなかった、従って責任は負いませんというような御趣旨の答弁がありましたが、それでいいんでしょうか。もし、あなたのおっしゃっているようなことや政府の原則と相反する行動が、公然と、しかも国内ではなく、他国との折衝の中に持ち出されているとすれば、日本の外交はここに破れていく、破れ目が出ていく、こう言わなければならないでしょう。そういうことについて総理はどうお考えになるでしょう。そうして、もし、お調べになって、そういう事実があるとすれば、それに対してどう責任を追及なさるのか、あなた自身がどうこれを始末なさるのか。これは一つの議事録にも残っていることですから、アメリカはいつでも援用できますよ。お前のところの政府の代表はこう言ったのじゃないか、従って、日本区域とか、あるいは日本の施政下にあるとかいう言葉に沖繩を含むのだ、だから、相互防衛、こういうところも当然お前たちは出てきてやる必要があるのだ、こういうようなところの足場になる可能性があるのじゃないでしょうか。政府の御答弁を願います。
○岸国務大臣 政府の見解は、先ほど来ここでお答え申し上げた通りであります。また、沖繩のこの安保条約に関する問題については、御審議を願っております合意議事録に明らかでございますように、これに対して日本が出ていって防衛するということではございません。ただ、今の合同委員会における紛争処理について、委員会においていろいろ議論されたことを今おあげになりましたが、私、事情を明瞭にいたしておりません。これは先ほど政府委員の森君の、さらに詳細調べた上において、これについて報告するということで御了承願いたいと思います。もちろん、形式的に、今おあげになりましたように、合同委員会の委員は政府が任命しており、政府を代表しておるものでございますから、政府の方針に反した行動をすべきものではございません。ただ、問題自身が、その当時問題になっておった——私もよくわかりませんけれども、契約上のある紛争をどうして調整するかという問題でございますから、当時これに携わったところの委員が、はたして代表としての意見として言ったか、あるいは委員が、そういうような場合に調整するための一つの方法として述べたか、それらの点について十分事情を調べた上においてその処置をあるいは考えなければなりませんが、ただ、政府の見解としての問題は、ここで先ほど来お答え申し上げている通りであります。これが政府の見解である、かように御了承願いたいと存じます。
○飛鳥田委員 契約の紛争の問題を解決するために、現実には大へんな結果になる主張をなさる、こういうのを便宜主義というのです。こういう便宜主義をおとりになる。しかし、少なくとも、そういう便宜主義をおとりになろうとする場合には、必ず一ぺん政府に相談してからなさるべきものだろう、こう私は思いますが、そこで、この問題はあとに残して、お願いしておきますが、その当時の双方の代表者が署名した議事録を出していただきましょう。そうすれば事態は明白になると思いますから、この御提出方をお願いいたします。
○藤山国務大臣 議事録は出せません。よく調べた上で、要旨を御答弁申し上げます。 〔「議事録全部でなくともいいか ら、その部分だけでも出してもら いたい」と呼ぶ者あり〕
○小澤委員長 なお、この問題につきましては、よく政府と相談いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたします。
○石橋(政)委員 本会議の本鈴が鳴っておりますから、締めくくりだけつけたいと思います。 朝から私は、藤山外務大臣が本条約案の提案理由の説明の際に、特に改正された点としてあげられました項目、本文関係五つのうち、三つまでについてきょう質疑をいたしたわけであります。そういうものを中心に質疑をいたしたわけでございます。その結果、大体御理解願えたと思うのですけれども、今まで政府が国会において答弁したことを、これを真実なりという立場をとるならば、別に少しも改正といわれるようなものではない、こういうことが明らかになったと思うのです。新しい条約によって初めて、外務大臣が言っているような点でよくなったということであるならば、これは逆に、今まで国会を通じて国民に説明されてきた政府のいろいろな答弁が、非常にでたらめであることを示すことになるということが理解できたのじゃないかと思う。 あとの問題については、また引き続いてやることにいたしまして、きょうはこの程度で終わりたいと思います。
○小澤委員長 次会は、明七日午前十時より開会することにいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十三分散会