地方行政委員会 第29号
- 発言数
- 122 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1960/05/11
会議録
○飯塚委員長代理 これより会議を開きます。 浜地委員長には本日病気のため出席できませんので、その指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。道路交通法案を議題とし、質疑を継机いたします。安井吉典君。
○安井委員 道路交通法案につきましは、今日までずっと総括質問が続き、たとえば特に問題になる酒気帯び運転の問題、泥よけ、スピード制限、道路環境の浄化の問題、踏み切りの問題、あるいはまた道路の改良の問題等、いろいろな面から問題点がとらえられてきたと思いますし、さらにまた小委員会におきまして逐条について現在審議が続いているわけでございますので、私はなるべく重複しないような範囲で現在まであまり触れられていない罰則の問題だとか、あるいは運転免許の問題であるとか、そういったような点について御質問をいたしたいと思うわけであります。 まず初めに、この法律は全国一律に適用になるわけでございますが、積雪地帯における道路問題、それに関連しての交通規制等の問題についてお尋ねせしたいと思います。私は北海道の出身ですから、雪の中に半年以上閉じ込められております東北や北陸や北海道や、そういったような事情について身をもって体験をいたしておるわけですが、十一月ごろからもう雪になって参りますし、それがずっと三月ごろまで道路そのものも雪の下になっております。その雪の上での交通というふうな事情になるわけであります。雪がとけてから今度は凍上が始まります。道路がものすごくうんで車輪が埋まってしまうというふうな、そういう道路事情に入ります。ですから一年間の大体半分というものが非常にアブノーマルな道路状態のもとで交通が行なわれる、そういうことであります。そういうふうな事情の中から、たとえばスリップの事故だとか、雪がずっと両側に積もってしまって、それをブルドーザーや特殊な雪はねの機械がたくさんできておりますが、そういうようなもので除雪をする。ですから道路の両側にそれが積もりまして、箱みたいになっている。その箱の中の交通だといってもいいような事情です。その雪の高いところから子供がスキーですべりおりてきて、自動車の下になってしまう。そういったような事故もずいぶんあるわりです。そういったような特殊な事情も、この法案の中でもやはり考慮されていなければいけないし、さらにまた、よりよい交通の確保のためには何としても道路問題でありますが、道路問題としてもこの問題の解決が積極的にはかられなければならないと思います。 そこできょうは建設省からもおいででございますが、まず何をおいても交通が円滑に進むためには、除雪の問題が非常に大切だと思います。今日の段階におきまして積雪地帯の除雪の問題について、冬季交通を確保するという問題について、政府はどういうふうな御措置をされ、今後それをどうお進めになるお考えか、その点から一つお聞きをしたいと思います。
○前田説明員 積雪地域における道路交通問題は、お話しのように重要な問題でございまして、実は昭和三十一年に積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法という法律が通過しましたことは御承知の通りでございます。この法律によりまして、道路五カ年計画と並行いたしまして、昭和三十四年の二月に、積雪寒冷特別地域道路交通五カ年計画というものができまして、その計画に従いまして特別に積雪寒冷地における道路交通確保に対して施策を講じております。その施策の内容は、除雪、防雪、凍雪害の防止、大体こういうふうな項目につきまして、国道、地方道に分けまして、それぞれ一定の基準におきまして事業を実施することにいたしまして、三十五年度におきましては、この計画に従いまして予算を計上し、これらの地域における交通の確保に努力をいたしておるわけであります。
○安井委員 積雪寒冷地帯におきましては、とにかく戦前においては、冬はむしろ自動車は通らないものだというふうな考え方であったと思います。ところが戦後米軍が入ってきて、ぐんぐん除雪をして車が走り出すというようなところから、急に目が開けたような形で、今日まで建設省の方でも今のようなお話の御努力を続けておられるということをお聞きするわけでありますが、ただ今の段階で、広い雪国の道路全部が今のような御措置で雪がはねられて、どこへでも車が入るというふうな状態になっていないわけです。つまり除雪される範囲というものはまだごく限られていて、たとえば北海道なら北海道全土の道路の中のほんのわずかな部分しか除雪されていないわけです。それ以外のところには車が走れないというような事情があることが一つと。それからもう一つは、都市の中の除雪でも、先ほど私は箱のようなというふうに申し上げましたが、一たん雪が、たとえば三十センチくらい降ったときに除雪する。その次にまた降るものですから、またはねる。そういうものが道の両側にずっと積もりまして、最初の除雪のときからその次の除雪、またその次の除雪、その除雪のたびに結局道幅が狭くなってくるわけです。町の中の歩道、つまり町並みと、それから箱になった道路との問にはものすごい高さの雪が積もっている。火災なんかが起きた場合、そういうものが非常に重大な事故の原因にも現になっているようでありまして、そういうふうな除雪の仕方そのものにも問題があるように思います。そこで今言ったように、除雪の質の問題と、いわば最の問題と、こういうふうに言えるかと思いますが、そのためには、量をふやすという目的では、要するに除雪に対する国の予算というものが、もっともっとふえなければ交通の確保ができないということです。さらにまた町の中の雪を十分に排除するというためには、もっと除雪の機械の問題でありますとか、あるいはまたはねた雪の運搬の問題とか、そういうふうな問題の解決がなければならないと思います。今後において、あるいは現在において、そういうふうな問題についてどういうふうな考慮がなされておりましょうか。その点どうかお聞かせ願いたいと思います。
○前田説明員 ただいま先生のお話し通り、現在の計画におきましても、積雪寒冷地域における道路全部が、この計画によりまして直ちに道路交通が確保できるという状態ではございません。予算の関係その他におきまして、 一定の地域に限り、しかも一定の道路及びその道路の区間ということに限っておりますので、場所によりましては、まだこの計画によりましても積雪の障害を完全に脱却し得ないところもございます。しかしながら、この計画につきましては、一般の道路計画と並行いたしまして作っております関係上、できれば来年度ぐらいからさらに計画を変更いたしまして、さらに大規模な道路計画の一環として、こういう地域における道路問題につきましても十分な予算措置を講じて参りたいと考えております。それから除雪の執行方法でございますが、ただいま先生から御指摘がございましたように、できれば今後なるべく機械化によりまして、機械を十分整備いたしまして効率的な除雪その他必要な事業をしたいと考えております。
○安井委員 それが言葉だけに終らないで、一つ積極的な御研究をいただきたいと思うわけです。 これと並んで大平なことは、除雪によって何ヵ月かの雪のある期間交通が確保されましても、雪がすっかりなくなってから、今度はさっき申し上げました凍上現象が始まるわけです。これは完全舗装の終りました道路につきましては問題はないにいたしましても、御承知のように大部分が砂利道であるわけです。その砂利道もすっかり古くなって、初めはマカダム式のきっちりした積み方であったと思いますけれども、それがすっかり下が泥になってしまって、表面の雪をはぐことによって、今までは雪でおおわれている段階では、その雪に保護されて路面の凍上が防がれていたと思いますが、それが除雪されることによってじかに冷たい温度が地下にしみ込む。地下におけるいわゆる霜柱現象が起きて、それがすっかり雪がなくなって道路の表面がからからにかわいてから下部の氷が解け初めて、それがおもちを焼いたときのあんこが飛び出るように。ぶっと飛び出してくる。そこを重車両が通るものですから、それこそ文字通りの泥んこ道になってしまう。そういうような状態が年ごとに続いているわけです。これはもう冬に承が通れないよりも、むしろ秤先になって道路がすっかりかわいてからそういうような状態になって交通が全く途絶するという場面が非常に多いわけです。冬じゅうバスが通っていて、雪が解けてからバスがニカ月ぐらいの間ストップする。そういうような状態が現在まで続いているわけであります。これも除雪との関連において非常に重要なわけで、さっきの積寒道路の関係でその土を砂利に置きかえるといったような改良事業が今進んでいるように聞くわけでありますが、この問題はそういうふうな予算の問題によって工事を進めるというのと、もう一つは、やはりもう少し何か科学的な、これらの凍上現象を防いだりするというふうな改善の余地もないかということを私どもしろうとながら考えるわけでありますが、その点についてはどうでしょう。
○前田説明員 だんたんと道路整備につきまして、ただいま御指摘のように積寒地域における問題、特に従来よりも東北地方あるいは北海道地域における道路整備というものは進んで参りましたので、しかも、そういう地域において相当量車両が通る関係もありますので、最近、われわれの方におきましても特別にこの積寒地域における道路の構造につきましては、研究所あるいはその他におきまして研究をしながら工事を進めております。今後はそういう研究に基づきまして、ただいま先生の御指摘になりましたような点も十分考慮しながら、特に重点の置かれる東北地方あるいは北海道地方における道路整備につきましては、技術的にも注意をしながら工事を進めていきたいと考えております。
○安井委員 いずれにしても、同じ日本の国のうちなんですから、一年の半分だけが普通の自動車の交通時期で、あとの半分はもう、寝て暮らさないにいたしましても、非常に苦労した交通状態、その中において運転をする人も苦労をしているし、車もずいぶんいたむわけです。そういうような事情が一日でも早く改善できるような御努力を積極的に一つお願いしたいわけであります。 そこで、これらの状況における交通規制の問題でありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、車輪がすべるというふうな問題、これはチェーンを巻いてすべりをとめるとか、あるいはまた最近はスノー・タイヤの問題も出てきておるようでありますが、そういったような事故防止についての特殊な配慮というものが必要ではないかと思いますが、そのすべるという問題について、車両の問題を扱う立場から特殊な研究や何かをなされておりましょうか。これは自動車局長だろうと思いますが……。
○國友政府委員 私どもの方としましては、事故防止は非常に関心を持って研究をいたしておるのでございますが、車両の保安基準等におきましては、一般的な自動車の規格についてだけ規定しておりまして、このような雪の降っている時期あるいは雪の解けた時期におきます車両の施設等については、実はまだ十分な研究をしておりませんが、しかし、これらの点につきましても今後は研究をしていかなければならぬと思っております。従来は一般的な規格の点だけについて規定しておるわけであります。
○安井委員 同じ雪といいましても、東京なんかの雪と違いまして地面がすっかり踏み固められているわけです。スピードを出して、たとえば急に左に回転をしようとしたりなんかいたしますと、ひゅうっと百八十度から三百六十度も回転してしまう。あるいはブレーキを踏みましても相当長い区間すべっていくわけです。そういうような問題が特殊な事故の原因になっていると思います。ですから、車両の面からもやはり何かの御検討が——何かの検討といったって、今の問題ではなしにずっと前の問題なんですから、もう出ていなければならないことではないかと思いますので、これは一つ十分にそういったような面でお進めをいただきたいと思うわけであります。これはやはり道路交通規制という面からもいろいろな問題がこれから出てくると思います。たとえば雪国におけるスピードの問題というようなものもありましょう。それからもう一つは、さっき言いましたように、道路は、この法案によりましても歩道と車道とに分かれて、道路標識やあるいは道路標示といったようなものがすべてあるわけでありますけれども、これは、今言いましたような積雪の中におきましては、道路法による歩道と車道の区別は当然あるだろうと思いますが、しかし、これは雪の中になってしまっているのですから、そういうものはあっても実質的な意味を持っておりません。だから、それによりまして駐車の問題でありますとか、停車の問題だとか、あるいはまたその他各種の規制が、道路というものが下にあることはあるのだけれども、実現はその上を走っているという姿の中から、変わった考え方が出てこなければいけないはずです。さらにまた道路標識あるいは道路標示も、みんな積み重ねられた雪の中にあるわけです。そういう場合が非常に多いと思います。こういうような中から、この法の適用の面においても特殊な考慮がなされなければいけないと思いますが、その点について、どういうふうな配慮がありましょうか。
○木村(行)政府委員 この法律は全国的な法律なものですから、一律的な条文がだいぶございますが、中にはたとえば禁止行為なりあるいは署長の許可を受けてやらなければならぬ行為について、それぞれ各都道府県の交通の状況なり、道路の状況なり、気候風土の状況によって、それぞれの公安委員会で規則を作りまして、禁止行為なり許可行為を作ることが道としては開けているわけでありますので、北海道においても、それぞれ北海道の公安委員会で十分その点は——北海道は確かに特殊事情がございますので、いろいろな規定を考えなければいかぬと思います。また標識の問題やスピードの問題あるいは駐車の問題その他、これはやはり積雪地帯と南の方の地帯とは事情がだいぶ違いますので、これもいろいろこれから研究しなければならぬ面もたくさんあろうかと思います。そういう意味において、運用については第一線とも十分密接に連絡をとりながら、この施行については万全を期して参りたいと思います。
○安井委員 あと問題がたくさんありますので、この問題についてはこれくらいにいたしたいと思いますが、いずれにしても罰則が非常に強くなったということが運転をする人の頭の中にこびりついています。そういうものと関連して、今の交通規制がこのまま行なわれるというにおいては大へんなことになるといったような心配もあるようです。ですから、これは一つそれぞれの地方の公安委員会と十分御相談されて、それぞれの地域のいろんな特殊性を——これは北海道だけじゃない、ほかにもあると思います。そういうものを一つ十分に織り込むような御検討をつお願いをしておきたいと思います。 次に軽車両の問題でありますが、この道路交通法では、道路交通の基本法といううたい出しで、私どもは今までの論議の中でも、自動車にウエートを置いた考え方だけをしておりますけれども、しかし自動車や荷車やリヤカーや、そういったような軽車両もこの交通規制の中に入っているということは、やはり十分考えて論議をしなければならないと思うわけでありますが、この交通法規では、そういったような自転車やいわゆる軽車両についての規制も、ほとんど自動車並みだということが、これを一読して思えるわけであります。しかし、自転車だとか荷車の運転者には免許試験があるわけではないわけです。ところが、一方において交通規制、それに伴う罰則も、これは自動車と全く同じ規定の中に押し込められております。そうかといって、内容がわからなければ、どういうふうなむちゃなことをしてもいいというわけではもちろんありませんが、しかし十分に理解をしていないのに、それらに一律な取り締まりの手が加えられるということも問題だろうと思います。だから、そういったような軽車両を運転する人に、どういうふうにして法規になれてもらうか、その問題が非常に大切だと思います。その点どうでしょう。
○木村(行)政府委員 ただいまお話しの通り、軽車両につきましても、この法の規制を受けることになるわけでありまして、特に北海道方面においては馬そりとか、そういう問題が非常に大きな問題だと思います。この軽車両につきましては運転免許を受けないので、法規を知らない場合が相当多かろうと思います。しかしそれが、やはりいろいろ通行区分その他通行方法について、交通の非常に妨害になったりあるいは危険になる場合がありますので、これらにつきましては、現行法においてもいろいろPRをいたしておりますけれども、今度はいろいろな向き向きの、ガイト・ブックをわかりやすく作りまして、たとえば安全協会などにつきましても、できるだけ大きな形でPRしてもらうためにいろいろ考案しておりますので、その点については大いにやっていただきたいと思います。
○安井委員 現在の自動車の運転免許試験でも、技術の方は通ったけれども学科で落ちたというふうな話をよく開くわけです。それくらい現在の自動車を運転するに足る法規を知るということはむずかしいということになるわけでありますが、それを知らなければ自転車にも乗れないし、リヤカーも引っぱれない、こういうことであります。そうかといって、一々自転車に乗る人に試験をするわけにいかないと思います。現実には、いなか道なんか行きましても、荷車は道路の右側を堂々として歩いております。うしろから行った、自動車は、一体これをどうやってよけようかと、法規を知っているばかりに、右側には車がいるものですからよけようがなくて戸惑いをします。駐車違反も平気であります。あるいは燈火をつけろといっても、つけていない車の方がむしろ多いかと思います。ですから、それらの車自体が十分に法規を知悉するということは、交通全体を円滑にする上にも大切だし、またそれらの車自体の安全のためにも非常に重要なことだと思います。特に自転車なんかは、自動車がものすごく普及したといいましても、相変わらず日本の車両の主体は自転車だと思います。特に地方へ行きますとそういうことです。この間の参考人のお話の中でも、自転車の歩く車幅は、大体トラックの幅と同じに意識をして運転をしなければ困るというふうな、自転車の運転をしている人の実感からのお話もございました。ですからそういうような意味で、交通安全協会というお話もございましたけれども、政府自体が一つ積極的にそういったような面についての御配慮が必要であろうと思います。 そこで軽車両の問題だけではなしに、一般的な歩行者をも含めたいわゆる安全教育という面につきましては、現在の段階でもまだまだだといったような気がするわけです。最近の報道によりましても、子供の交通事故というものは決して減っていない。そういうふうなことも聞くわけでありますが、交通安全教育を学校教育の中に織り込むといったような問題、さらにまた歩行者教育の徹底、こういったような点について、この法の改正を機会にどういうふうな方向でお進みになろうというお考えか、その点を一つ伺います。
○木村(行)政府委員 ただいまの点は非常に重要な点でありまして、これは内閣に設置されておりますところの交通事故防止対策本部の席上においても、具体的な案を提出いたしまして、その場合に文部省も出ておりましたが、学校方面のカリキュラムに十分に今後交通の問題を、それぞれの段階に応じて、相当の程度にだんだん直まっていくような形における安全教育をしてもらいたいということを、文書をもって資料を出しております。また今後この法案が通過いたしました際には、さらに広報活動というものが非常に重要な問題になりますので、これにつきましては、具体的に、私たちの手元におきましても広報計画というものを立てております。この法案が通過しました直後、大体一ヵ月間を第一期といたし、さらに第二期といたしましては、七月から八月にかけて約一ヵ月半か二ヵ月くらいの問を第二期と考えまして、さらに第三期は、秋に全国交通安全運動の旬間が毎年行なわれておりますので、その時期を中心にして、相当それに盛り上がりを期しまして、第三期の広報活動をいたして、あらゆるマス・コミ、あるいは関係団体、あるいは学校その他を活用いたしまして、すべて大がかりに一つPRをして参りたいということで、具体的な計画を立てておりますので、この点につきましては十分に万全を期して参りたいと考えます。
○安井委員 この法案の審議も、衆議院段階でもだんだん終わりに近づいてきているわけでありますが、大体施行はいつごろというふうにお考えでございますか。
○木村(行)政府委員 この法案にもありますように、通過後六ヵ月以内で施行いたしたいと思いますが、おおよそのめどは十一月中旬ごろかと思います。
○安井委員 先ほど交通安全協会のお話がございましたが、この拡充強化によって道路交通についての啓蒙普及をしようという問題は、さきの衆議院の決議の中にも出ていたと思うわけでありますが、現在の全国的な活動の状況、さらに今後その組織の刷新や活動の拡充強化といったような面について、どのような御配慮があるか、その点一つお聞かせ下さい。
○木村(行)政府委員 現在日本交通安全協会という名称のもとに安全協会がございますことは御案内の通りでありますが、これは各県におおむね県単位の安全協会がございます。その県単位の安全協会を主としてメンバ一にして、それの連合体みたいな形になっております日本安全協会は、発足当時は、一応財団法人として発足すべく、寄付行為も作り、定款も作っておりますが、遺憾なことに、今日までまだ財団法人になっておりません。従いまして、いわば一種の任意団体でありますが、この団体は、おおよそ毎年三百万ないし四百万くらいの予算をもって活動しております。主として秋と春の二回総会を開きまして、その総会でいろいろな計画を立てまして、第一線でその計画に応じて実行しておるのですけれども、おもな事業は、大体安全教育といいますか、パンフレットを出しましたり、あるいは関係機関との連絡を密にしまして、安全運動の協力をしていただいておるわけであります。しかし実際、率直に申し上げまして、必ずしも活動が十分でないということは、この前の衆議院の決議の際においても論議されたように私たちは考えるのであります。従いまして、私たちの方におきましては、直接これを監督とかあるいはそれの役になっているわけではありませんけれども、非常に関係の深い団体でありますので、側面的に何らかの形において、安全協会というものをもっと充実した、あるいは強力な活動のできるような、財的あるいは組織的の面において、十分に協力すべきではないかということを考えておりまして、日本安全協会の責任者ともいろいろ相談をいたしております。そういう意味におきまして、できるだけ組織の上において、あるいは具体的な面において、さらに相当の飛躍をしていくような方向に協力いたすべく、いろいろ検討、相談をいたしておる段階であります。
○安井委員 交通安全協会の全国規模のもの、あるいは地方規模のもの、それぞれ違うと思いますが、国やあるいは地方公共団体が財政援助をするという問題ですが、現状はどうなっておりましょうか。
○木村(行)政府委員 日本交通安全協会に対しましては、国の補助はございません。また各府県の安全協会に対する国の補助も、もちろんございません。ただ各都道府県単位の費用で、安全協会に補助金を出している県も相当ございます。もちろん出ていないところもありますけれども、出している県も相当ございます。
○安井委員 地方なんかへ行きますと、大部分が車を持っている人、あるいは運転者、あるいは地方公共団体の財政援助とでも申しますか、そういったようなものでまかなっておるようでありますが、仕事の内容も、たとえば信号機を買って寄付するとか、あるいはまた道路標識が十分国や地方公共団体が手が回らないので、安全協会が金を出して準備をする、そういったような動きがありますが、その信号機の問題や道路標識の問題は、それぞれ国や地方公共団体の当然の仕事であって、交通安全協会にそれを持たせるということは、何かちょっと筋が違っているように思うのですが、どうでしょう。
○木村(行)政府委員 信号機なりあるいは道路標識なりにつきましては、当然国が補助金を出しまして、それに対応する額を都道府県費で出し、設置するというのが本筋の形でありまして、それにつきましては、私たちにおきましても毎年相当の予算を要求しまして、大蔵省と折衝しておるわけでありますけれども、実際は必要額の何分の一かに至らぬくらいの、非常に不如意な状況で予算が認められております。従いまして、現実においては第一線で、道路標識なり信号機について、設置すべき個所でなかなか設置されないという点もあります。そういう点につきましては、ほんとうにやむを得ざる手段で、安全協会なりに財的にそれを援助してもらって設置するというようなことは、本筋ではありませんけれども、やむを得ない措置としてそういうふうになっております。しかし、できるだけそういう点は解消いたしまして、国及び都道府県の責任で設置すべきではないかと私どもは思っております。
○安井委員 交通法規にいたしましても、国全体の道路における危険防止や、交通の安全と円滑をはかるというふうなうたい出しで、国の施策として強く打ち出されているわけです。ですから、このような考え方を国民全部に知ってもらって、それに協力してもらうということ、これは国の当然の仕事だと思います。また今言いましたように、信号機の問題や道路標識の問題にいたしましても、やはり地方団体あるいはときには国の場合もあると思いますが、これも国の当然の仕事です。ただこの交通安全の問題に民間の関心を深めてもらう、そういうようなことからこの普及教育の問題に民間の参加を求めてそれを進めていく、それがこの交通安全協会というもののほんとうのあり方だと思います。ところが、今言いましたように信号機を作ったり、道路標識のお手伝いをする、それだけで終わるというふうなことであっては、これは本来の意味が全然ないわけです。ですから、その交通安全協会が本来の実質的な安全教育活動というものをどしどし進めていくというふうな方向に御指導を願わなければいけないと思います。その際において、今申し上げましたように安全指導ということも国の本来の任務だとすれば、この交通安全協会にも国や地方公共団体が積極的に財政援助をしていく、当然国なら国がやるべき仕事をかわってやってくれているのですから、それを財政援助という形で安全協会に渡して、安全協会の協力を得ながら進めていく。こういうことは非常に望ましいことではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○亀山委員 関連。ただいま同僚安井委員の御質問、われわれもまことにごもっともと思います。それで今のお話の日本交通安全協会が財団にもまだようならぬというのはまことに遺憾千万です。これは警察庁におかれて十分育成強化していただきたい。同時に、今安井委員のおっしゃいましたように国からの財政援助が当然あるべきだと思います。現に消防協会に対しても国費をもって補助をしておる現状です。それば名目はいろいろあります。そういう点について警察庁当局は、三十六年度の予算にはぜひ強力にこれを要求していただきたいと思うのですが、今の安井委員の御質問に関連して、その所信を一つお伺いしたい。
○柏村政府委員 安井委員並びに亀山委員からのお話、まことにごもっともであると存じます。国なり地方団体なりの財政において十分にまかない切れないのを民間の団体においてむしろそちらからの援助を求めるというような現在の行き方というものは筋違いであると思います。安井委員のお話しのように、交通安全協会は非常にりっぱな目標をもって仕事をいたしており、またそういう方に推進すべきものであるというわけでございますので、われわれといたしましても、当然国で持つべき道路標識であるとか信号機であるとか、そういうようなものは国、地方団体の負担として、出し、なおさらに国あるいは国民全体をあげて交通安全運動というものを推進していくべきこの情勢下におきまして、交通安全協会というものをさらに組織的にも財政的にも強化するために国、地方団体がむしろそういう方向に援助をしていくということについて、私どもも今後できるだけの努力をいたして参りたい、かように思っております。
○安井委員 そこで名案があるわけですが、交通取り締まりによってできた罰金をこっちに回したら、どうですか。大体現在でも罰金は一年間に、この交通取り締まりの関係でどれくらい上がっているわけですか。それから今度まただいぶ値上げをするようですが、だいぶ増収になるのじゃないですか。その点どうでしょう。
○木村(行)政府委員 現在罰金の年収は大まかにいって二十億くらいあります。今度罰金が上がりますので、その比率通りにいきませんけれども相当上がるのじゃないかと思う。三倍とか四倍とかいうふうに上がると思います。
○安井委員 大体十倍に値上がりしておるようですから、平均十倍ですから、これは三百億くらいになるのかもしれませんが、その罰金をそっくりそのまま交通安全協会にというふうなことにはならないにしても、そうしてまた交通安全協会が一生懸命にやれば国の罰金収入が減ってくるかもしれません。しかしそれは減った方がいいのですし、それをそのまま回せということは申しませんけれども、岡が本来やるべき仕事をやっているのですから、そういう意味で積極的な財政確保の問題を、これは長官も今おっしゃいましたけれども、一つ積極的にお進めをいた、たきたいと思うわけです。
○阪上委員 今の交通安全協会の問題なのですが、これは実態をよく見ると、今補助金説等が出ておりますけれども、実際これができ上がっていった原因を調べてみると、安全協会自体が交通安全の運動を展開するとかいうことは二の次であって、本来のねらいは、やはり寄付金を取って、交通警察が金がないためにどうにもならぬので、こういう名称のもとにこれを作ったというのが、私は歴史的なこれができたときの理由じゃないかと思う。そこで今われわれの同僚議員から、逆にこれに対して補助金をぶつけていこうという一つの話も出ているのですが、今の段階における交通安全協会というのは、別に法的に規定されたものでも何でもありません。従って地方自治法からいうならば、こういうものに補助金をぶつけていくということは、寄付金、分担金、質担金等の禁止の法律の建前からいえば違反になるだろう。ただし、一定の財政規模のワク内において許されておる範囲内の額においては差しつかえないということになろうかと思うのです。そこでこういうものをもっと育てていくということになるならば、そうして今言れたお説のように、国にかわって交通安全をやっていく協会であるということであるならば、警察のこれに対する指導なり運用について、相当がらっと方向を変えた考え方を持たなくてはいけない。それが今までのような寄付金集めの一つの道具にすぎないという考え方であるならば、私はやはり補助金の関係等つけるべきじゃないという考え方を持つのです。しかしながら非常に交通警察が手狭で困っておる、こういった民間の協力というものが必要であり、しかも協力のあり方が、警察行政でやるべきものをかわってやるのだという考え方じゃないところのものに持っていく必要があると思うのですが、この点長官どうお考えになりますか。
○柏村政府委員 ただいま阪上さんのお話しのように、交通安全協会のおい立ちといいますか、歴史的な経過は、目的としては確かに崇高なものを持ちつつ、現実にはそうでない筋違いな行き方をとっていた面が相当あったのじゃないかと私も思います。これは先ほど申し上げましたように、まさに是正すべきものであろうということをわれわれも考えておりますので、特に今回の道路交通法の全面的な改正ということを機会といたしまして、交通安全協会も、本来そのうたわれているような目的に沿って活発に機能を発揮できるように、われわれとしてはできるだけの努力をして参りたいと思います。国なり地方団体の肩がわりをさせる、特に財政的に府がわりをさせるというようなこそくな考え方というものはこの際払拭して参りたい。そのためにはわれわれも大いに努力しなければいけませんが、国の財政あるいは地方財政の問題とも関連いたしますので、また皆様方の御協力も御支援もお願いいたしたいというふうに考えております。
○阪上委員 さらにこれと関連いたしまして、先ほど安井委員からお話がありました例の信号機等の設置に要する経費の負担が、こういった交通安全協会からも出ておるし、あるいは交通安全協会でなくても、その地域の部落会なりあるいは町内会等からも出ておる。そこで、そのこと自体についてとかく私は申し上げるのじゃないのですが、一般にながめて見ますと、どうも公安委員会、警察では、当然信号機をつけてもらわなければならぬようなところにつけていない。そうしてこれをつけてくれという陳情が山ほどあるわけなのです。ところが、なかなか公安委員会はこれに応じない。理由の一つとしては経費の問題がある。いま一つは、いろんな距離等の関係で、あまりにもひんぱんに自動車をとめるというようなことによって、かえって交通の円滑を阻害するのじゃないかというような配慮もあることはあるのですが、一般的にながめてみると、どちらかというと、やはり経費の面でどうもっけることができないというような場合が多い。そこで仕方がないので、それでは一つわれわれとしてはぜひともこれは金を出してでも設置してもらわなければいかぬといって、金を出して設置してくれということで、寄付金まで集めて設置の申請をしその実現を要請するのですが、そこまでいってもなおかつなかなか設置されない。聞いてみると、ただ単にそういう装置のための一時的な費用ばかりでなく、もっと深いところのものがあって、そのことのために——ある場合においては、直ちに警察官一名をつけるということにはならぬかもしれないが、やはり機械のことですから、これに対しては常日ごろ十二分に検査もし、完璧を期さなければならぬということでもございましょうし、それからまた電燈料金の問題等も出てきて、維持経費が非常にかかる。こういうことから、なかなかそこまでいってもなおかつ設置に応じないというのが、今ほんとうにある現実の姿じゃないかと思う。さらに私はこの点について意見も入れてみたいと思うのです。この今回の法案等を見ましても、この点については何ら十二分に措置がされていないように思う。設置することができるということになっておるのですが、これを設置しなければならぬという強い義務的な条項は一つもない。この交通信号機については、他の条文によって一定の交通量その他については公安委員会が調査するようになっておりますけれども、これは、何らかの一定の基準のものについて義務的にあくまでも設置しなければならぬというような方向へ強く持っていくことがほんとうに新しい交通法の行き方じゃないかと思う。これほどのポピュラーな問題を放置しておいて、何らこれを義務づけないというところに問題点があると思う。なお、道路の幅その他についても、ただ公安委員会が調査するというようなことで、調査しておったって何の役にも立たない。これに対して、何か道路管理者に対して勧告なり何なりする措置も全然講じられていない。それと同じように、この信号機についても、設置義務というようなものについては何ら確立されていないということなのでありますが、こういうことも措置しなければやはりだめじゃないかと思う。これを義務づけるような法規に変える考え方はありませんか。
○柏村政府委員 信号機の設置につきましては、もちろん合理的な交通の問題の検討から、当然ここにはつけるべきである、またこういうところにつけることはかえってまずいというようなものもございましょう。そういう点を科学的に検討して、やはり作るべきところには当然——これはできるということになっておりますけれども、警察としてやはり設置すべきものというふうにわれわれは考えるわけでございます。それにつきまして、何と申しましても財政的な問題が基本になるわけでございますので、科学的に検討して当然つけるべきところについていないというようなことがないように、財政的に国、地方団体のこういうことについての関心を高めていく。警察としても、そういうことにできるだけ努力して参るということにいたしたいと考えるわけでございます。法規で設置義務ということまでいたさなくても、設置することができるということは、当然に設置すべきところには設置しなければならないという、何と申しますか、そういう権限を与えられている限りにおいて、当然にそういう方向にいくべきものであろうというふうに考えるわけで、ございまして、今まで十分にそういう点についての警察なりあるいは地方団体なりの関心が深まらなかった、あるいは国の補助金についても十分な措置がとれなかったということについては非常に遺憾でございますが、今回の改正を機会に、そういう点についても飛躍的に増強して参るように努めて参りたいと考えております。
○阪上委員 そういう御答弁ではちょっと満足ができないのです。私も長い問大阪の衛星都市の市長をやっておったの査ですが、私のようなきわめて端的にものを言う男が公安委員会にねじ込んでも、なかなかつけ得ないのですよ。費用が足らぬなら出そうじゃないか、こういうことまで言っても簡単につかない。大阪の場合でも、伊丹京都間の国道なんかにおいても随所に切実な希望があるのです。そして毎年々々、住民は三年も四年もかかって陳情これ努めておるのです。そのしりは必ず自治体に持ってきている。この交通信号機をつけるつけないによって市長の当選得票の度合いが変わるくらい影響力を持っておる。市町村長も一生懸命になっておる。これはほんとうの話なんです。ところがなかなかつかない。そこで今言われたような、長官の考えられているようなことではとてもこれはつきませんよ。まして設置することができるくらいなことでは、これははっきり言えば、ほうっておいたって作ったっていいのですよ。いろいろ御意見もあるでしょうし、予算もあるでしょうけれども、予算の負担区分等については、別に考えられるのではないですか。現在の警察が府県警察であるからといって、府県にのみやらせなければならぬということにもなりやしないと思うのです。でありますので、やはりこれを義務づけていく方向を強くお考えになっておかなければならないのじゃないかと思う。一歩譲ったとしても、どうせこれはわれわれは修正をしてもらいたいと思っておりますので、いじりますよ。ですから、ただ単に簡単に設置することがでぎるではなくして、設置することに努めなければならぬというようなことくらいまで、表現の方法としてはその辺まで持っていってもいいのではないかという考え方もある。どうですか、さらにもう一ぺん伺っておきたい。
○柏村政府委員 阪上さんの御趣旨はよくわかるわけでございますが、単にこれは法律の文面を設置するように努めなければならないとする、あるいは設置しなければならないとかりにしてみても、その判断を公安委員会なり警察なりというものがするという建前になりますと、これはちょっと逆なことを申すようで申しわけございませんが、結局そういうことになって財政的な裏づけというようなことがかりにできないと、設置しなければならない判断にきていないのだというような言いのがれも——私はそういうことは好みませんが、行なわれ得るわけでございまして、やはり十分に科学的に検討して、設置すべきところには設置し得るように、財政的にも、また考え方としても、そういう方に指導をして参るということが必要ではなかろうかと思います。 それから私の言葉が実にまずいものですから自信がないようにお受け取りかもしれませんが、いやしくも私ここでお答えをいたしました以上は、来年度予算につきまして、大蔵省との折衝その他について十分の努力をして参りたい、こう考えておりますので、おまかせ願いたいと思います。
○阪上委員 そういうこともほんとうにあり得るでしょう。しかし私は、先はどただ野放図に設置しなければならない、設置するように努めなければいかぬと言っているのじゃなしに、一定の基準を設けよということを申し上げしいるのです。政令でやはり基準を設けるべきだと思う。それは財源があり余っているわけじゃないのに、時間的にはむだになる面も出てくるかもしればい。そんなことをいえば、夜の夜中ここらだって私はやはりむだになっていると思う。ですから長官、この程度ではいかぬじゃないかと私は思う。この信号だけは多少むだになってもいいからつけてやるべきだというくらいに思っているわけです。それは何も三段式のああいったものでなくたって私はいいと思う。ただ予算面でえらく心配されておりますけれども、これは与党の人にも力を入れていただいて、そんなくらいの予算を削減することによって事人命に関する問題を放置しておくということはならぬと思うのです。私は体験から申し上げておるのです。 それからやはり法にそういうふうに予算の伴う格好になってくると思うのですけれども、負担区分の問題で考えられるのですが、法でそういうふうに規制しておくことによって、初めて各自治体とも力を入れて設置に努力するりじゃないか、こう思うのです。この点は自治体運営をやってごらんになつたらおわかりになると思う。法律でぱしっときめると、予算に組まざるを得ないのです。そういうことからこんなものは数多く実現されてくると私は思う。これは、ぜひとも義務規定に変えてもらうように努力してもらいたい、こう思うのです。
○門司委員 ちょっと一つだけ関連して。今のやりとりを聞いておりますと、非常な不安が一つある。それは法律自身の性格ですが、今までの道路交通取締法というのを「取締」という字句を除いて、そうして大体基本法のような形で出されておるのだが、そこで問題になってくるのは、法の性格上これは交通の事故予防法であるのか、取締法であるのかということを、まだ私ども法全体を見て迷っているのですよ。どうも長官の答弁を聞いておると、やはり取締法のようなにおいがするのです。これはほんとうに交通事故の予防法だという考え方が強く出てくれは、今阪上委員から話されたようなことは、ある程度規定づけられると思う。この法案の中に、やはりそういう予防法とあるならばもう少しはっきりしておいたらどうかと思うところが幾つかある。取締法ならは別ですよ。何も事故の起こったときに出ていって取り締まればいいのだから、大してむずかしいことはないと思うけれども、予防法であるという原則が立てられるのなら、もう少しそういう直し得るならはやはり直さなければならぬところが幾つかありはしないか、こう考えるわけです。だから、そこはどっちにウエートを置いておいでになるのですか。説明では、今までの取締法から飛躍したような、あるいは基本法のようなことになっているが、取り締まりの基本法でありてはならぬと私は思うのです。やはり予防法の基本法でなければならぬと思うのですが、これはどっちなんですか。それだけ聞いておけばいいのですがね。
○柏村政府委員 これは前々から申し上げておりますように、必要によってもちろん取り締まりということはございまするけれども、この法律の精神というものは交通の安全、円滑を期するということが主眼でございます。そしてそれに対して必要な限度において取り締まりをするということがついて出てくる問題と考えておるわけでございます。 それから、ただいまの阪上さんのお話に私、お答え申し上げたわけでございますが、公の機関について何々することができる、こう書いたのは、任意に自分の懇意で、やりたいときはやってもよろしいというような精神のものではなくして、やはりそういう必要がある場合には当然なすべきものであるという義務、つけというものがそこに精神上あるというふうに解釈すべきものと私は思うのでありまして、できると書いてあるからやりたいときにやるのだ、やりたくないときはやらないでいいんだというふうに法を理解すべきものではなくて、いやしくも公の機関がそういう権限を与えられていれば、その権限を行使すべき必要がある場合においては、行使しなければならないというような精神として解釈すべきであるし、警察としても、またそういうように努力すべきであるというように考えているわけであります。
○阪上委員 これは今言われたような精神的に義務づけたものであるという解釈ですが、わからぬことはないのです。しかしながら、もしそれじゃ民間でもって、ここはどうしても交通信号機をつけなければならぬのに警察の方ではつけてくれぬ、だから一つおれたちの方でつけようかということになったときに、これは禁止されるのでしょう。この法文から解釈してそういうことは許されないのですね。そうすると、これは私は先ほどからいろいろ実情を申し上げているのだが、やれないのですよ、実際問題として。だからこの精神的な規定というような解釈は、わからぬことはないけれども、それじゃとても住民が望んでいる方向へは持っていけませんよ。今門司さんもおっしゃったように、単なる取締法でないということは、われわれも期待して、そういうように解釈しつつこの法案の審議をやっているのです。これはあなたの方でやらぬというのだったら仕方がないけれども、やらぬというのだったら、この法案は私は反対しなければならぬかもしれない。こういうことになってくる。またこれは小委員会等でさらに検討をすることにいたしましょう。
○安井委員 今、門司委員からも阪上委員からも、取締法か予防法かという問題が出ましたので、その点にちょっと触れたいと思いますが、この道交法の問題を中心にいたしましていろいろな人と会ってお話をしてみますと、特に運転者の人たちから出てくる問題は、この条文のそれぞれについての問題点よりも、警察官の取り締まりの態度といったような点に非常に大きく不満がうっせきしているというようなことを、私ども知るわけであります。最近警察は学生ともあまり仲がよくないようでありますが、運転者と警察官というのも、これまたどうも昔から、かたき同士というわけではありませんけれども、あんまりよいようには見受けられません。こういうことを言います、予防が中心じゃなしに摘発主義といいますか、隠れていて交通事故を捕えようとする、それがどうも腹が立ってかなわない、こういうようなことです。たとえば、ごみ箱の陰に隠れていたり、下水の中から顔をのぞけていて、スピード違反だとかその他の事故を摘発して、まあそれが交通取り締まりだ、そういったようなあり方があるのがどうも気に食わないのだ、そういうようなことであります。特に今回の場合において、警察官の権限の強化が全面的に行なわれているようであります。そしてまた一方において罰則の強化、こういうような面が強く出ておりますだけに、交通取り締まりのあり方というものについて非常に慎重な態度が要請されるのではないか、そういうふうに思います。今、一般的に警察の取り締まりについてのいろんな見方が行なわれているということを申し上げたわけでありますが、それについてどういうふうにお考えなのか、さらにまた、この新法を機会にどういうような方向にお進めになろうということなのか、一つその点お聞かせいただきます。
○柏村政府委員 一部の人からは、確かにそういうふうな警察のやり方についての批判も私はあると思います。われわれとしては、警察というものが、ただいまお話しのように、まず交通の安全、円滑を期するということに主眼を置いて、やむを得ざる場合の、取り締まりということを的確にやっていくという態度で、しかもその取り締まる態度というものも、できるだけ民主的に懇切に行なうべきものであるというふうに考えておるわけでございます。ただ非常に悪質なものにつきまして、やはり捜査の技術上、一般的には使わないような方法というものもときにとらざるを得ない場合もあると思うのでございます。何か学生と警察、あるいは運転手と警察が仲が悪いというようなお話でございますが、学生一般と警察が仲が悪いということはないので、矯激なる学生、不法なる学生の活動というものについて的確な取り締まりをするということは警察の責務でございます。それと同様に、運転者というものについても、やはり違反というようなものについては厳正に的確に取り締まっていくということが必要でありましょうが、その根底にはあくまでも愛情を持ち、交通の安全、円滑ということを十分に期していくという、そこに目標を置いて取り締まりも励行していくべきものであるというふうに考えるわけでございます。
○安井委員 今御答弁がございましたが、この法律に関連して、警察官の権限が道路交通規制の面で強くなったことで、何か警職法が別な形で現われて、これが悪用されることによって、憲法に保障された表現の自由、たとえばデモ行進が規制されるとか、そういったような問題が起きるのではないかというふうな批判も出ているわけであります。私どもは、人間の命を大切にするという趣旨でもちろんこれは貫かれているということは十分理解できるわけであります。しかし、ただあの警職法の場合と同じように、現場の警察官の一人々々のものの考え方や行動で問題が処理されるという場合が非常に多いわけです。それだけに、私は物陰に隠れていて飛び出して摘発するからそれがいいとか悪いとかいうことではなしに、やはり法の直接の運用のまっ正面に立つところの警察官の見識の向上だとか、あるいはまた教養を高めていく問題だとか、そういうような問題が非常に大切なことだと思うわけです。オイコラ警察だとか、あるいはまた横柄な態度だとか、そういうようなものでなしに、ほんとうに今長官の言われた愛情を持って民衆に接するといいますか、そういうようなほんとうの態度で交通事故をなくし、安全をはかっていくというような態勢でなければならないと思います。そういうような点について、これはあとの問題があるものですから先を急ぎますが、今までのどなたもの質問の中に、たいていこの取り締まりの問題が入るわけでありますけれども、私も、この問題だけは特に十分に御配慮をいただくことを特にお願いしておくわけです。 今回の改正で罰則がだいぶ強化されているのも、結局被害を予防しようという意図から出てくると思うのでありますが、被害が起きた場合に対する措置の問題も、この機会に考えていかなければならない問題ではないかと思います。自動車損害賠償の制度が今日まで効果を上げてきていると思うのでありますが、現在の段階におきまして、たとえば死亡保険の場合、三十万といった額が少し低過ぎやしないかというようなこと、あるいはまた聞くところによりますと、加入状況がまだ十分でないというような話もあるわけでございますが、現在の状況、将来への問題点、特に給付額の引き上げの問題について運輸省側のお話を聞きたいと思います。
○國友政府委員 自動車損害賠償保障法の関係で責任保険制度をとっておりますが、この保険によりまして被害者が救済されて、相当な実績を上げていると私どもは確信いたしております。 現在の加入状況を申し上げますと、総自動車で七八・五%、これは三十四年三月末現在でありますが、この加入率の悪いのは軽自動車及び小型二輪自動車が特に悪いのでありまして、軽自動車等におきましては、最初に使用いたしますときに届け出をいたし、この場合に保険に加入いたしますが、その後は大体使用車は届け出を励行いたしませんのでチェックする機会がなくて、軽自動車の加入率が六五・三%という非常に悪い。そのために七八・五%というふうになっておりますので、これらの点につきましては、運輸省といたしましては加入率を向上させるために現在いろいろな手を打つつもりでおりますし、来年度におきましては、加入率向上のために法案の改正等も考えたいと思っておる次第でございます。しかし、この加入率と保険の支払いとの関係は、加入率が悪いから保険の支払いが悪くなるという状況ではございませんので、加入しておらない自動車がもし死傷事故を起こしました場合には、政府でかわりましてその保険金額に該当するものを支払いまして、さらに保険に加入しておりません加害意から、取り立てるという方法をとっておるのであります。加入状況につきましては今申し上げましたような状況でありますが、昨年八月に保険料の値上げをいたしました。これは全体的な計算から申しまして、死傷が最初の予想よりは多かったので、保険料の値上げをいたしたのですが、その際にも、死亡三十万円の支払いは少ないではないかということが、大蔵省の付属機関であります責任保険審議会で問題として取り上げられたのでありますが、昨年保険料の値上げをいたします場合に、五十万円まで引き上げるものを一緒に実施いたしますと、保険料の値上げが非常に高くなることを考慮いたしまして、私の方といたしましては、五十万円に引き上げることをその際は延ばしてもらいたいということを審議会では意見を述べ、そのような結果になったのでありますが、今後やはり被害者の保護を厚くしていかなければならないと考えておりますし、被害者から申しますと、実は保険金三十万円を支払われた上に、たとえば五十万円という被害がありますならば、差額の二十万円は加害者に直接請求することができるのであります。しかし保険金で支払われた方が早く簡単に支払われる点も考慮すべきでありますので、今後死亡の場合、保険金額を最高五十万円に引き上げるという点につきましては、私ども今検討しておりますし、保険審議会では当然取り上げられると思います。保険料の値上げ等も伴うかと思いますが、これは実現の方向に向かっていくのではないかと私どもは考えている次第でございます。
○安井委員 今のお話の中で、引き上げの問題も日程に上りつつあるということでございますが、何をいったって人間のとうとい命が三十万円では、幾ら何でも安過ぎると思うのです。五十万円だって話の外だと言いたいくらいであります。ですから、傷害その他についても、十分にそれにバランスをとったようなことで全体的な引き上げというふうな御措置を一つ早急にお進めいただかなければならないと思います。 それから特に泥よけの問題で、私、この間の小委員会の論議の中からもそう思うのですが、罰金をつけたって何をしたって、現実の問題として、泥でよごれるなんという問題はなかなかなくならないと思うわけでありますが、これは日本の悲しい現実だと思います。ですから、そういうような問題もこの損害賠償保険の形で処理できる方法はないか、そういうことをお考えになったことはないか。つまり、女の人なんかが晴れ着で出ていくところにぴしゃりと泥をかけられる。そういった際にも、この面からの救済の方法はないものか。これは私も思いつきですから、合理的なものであるかどうか、まだまだわかりませんけれども、そういうような物的補償の問題についてお考えになったことはありませんか。
○國友政府委員 保険の関係で申しますと、人身事故と物的損害の場合がございますわけで、世界の立法例から申しますと、物的損害に対しましても保険をかけておるところがございますが、私どもが今実行しております自動車損害賠償保障法によります保険は、強制保険でありまして、全体の人に加入させるのを建前にいたしておりますが、日本の今のわれわれの段階におきましては、やはり人身事故を主体にして保険をやっていくので、物的事故に関しましては、まだ強制保険の段階までいき得ない。むしろ現在の日本の状況においては、保険金額を引き上げるという方向が先ではないかと考えておるのでございます。ただ物的損害に関しましても、任意保険でかけます場合には当然そういう保険種別がありますので、当然入っておる会社もあるわけでありまして、ことに私どもの方としては、個人タクシーを今回、昨年の十二月に認めました場合には、人身事故に関します保険にかかると同時に、物的損害に関します保険にも加入せよということを指導いたしておるのでございまして、一般事業者におきましては、賠償能力も相当あると思うのですが、個人タクシー等においては、賠償能力の点においても、一回事故を起こすと、物的損害であっても相当負担になるということも考慮いたしまして、任意保険には加入せよということで、これは必ず加入するように指導いたしております。ただ晴れ着に泥をかけられたからそれを賠償せよというような場合には、これはその間にいろいろと問題があると思いますので、これはその加害の自動車の責任問題を検討しなければならないので、ここでできるか、できないかを申し上げることはちょっとできないと思いますが、体系としては、現在そのような任意保険も加入させるようにしていく。加入しておる場合には被害者はその方で保護されますが、会社等であります場合には、直接損害賠償請求を会社に対してすることができるということを申し上げる次第で、あります。
○田中(榮)委員 簡単に関連質問で、ただいまの自動車損害賠償保障法につきましてお尋ねしたいと思います。かつて私は当委員会におきまして、交通事故防止とその後の善後措置をうまくするために、自動車損害賠償保障法の適用につきまして質問したわけでございますが、現在この自動車損害賠償保険の経営内容を聞いてみますと、数十億の赤字を持っておるということでありますけれども、今、事業が始まった当初でありますから、赤字もやむを得ないところでありますが、この原因をつきますと、結局まだ十分に宣伝をされてないために未加入者が非常に多い。特に大型のバスあるいは乗用バス、それから貨物自動車運送営業あるいはハイヤー、タクシーの営業車といったようなところは加入率が非常によろしいのでありますが、一番加入率の悪いのは自家用車と聞いておるのであります。この趣旨を十分に宣伝いたしまして、全部に一つ加入をさせるというような方法につきまして、これは運輸省の所管であろうと思うのでありますが、先般大蔵省の課長に聞きましたところが、そんなことは私の方の所管ではないから、それは私の知ったことではない。それは運輸省のやることだというようなお話でお答えになったのでありますが、運輸省側といたしましては、この加入のの宣伝といいますか、加入を勧めるというようなことについて、何か特別に啓蒙措置を講じておられることはないか、ちょっと伺いたいと思います。
○國友政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、加入率の向上ということは、ぜひ私どもとしてやっていかなければならないことでありまして、この点大蔵省とも折衝して、予算等も、たとえば今、先生のおっしゃいましたような宣伝とか趣旨の徹底というようなことに関しまして、そういう方面の経費も今度つけてもらいましたが、それによりましていろいろなPRもいたしておるのでございます。そのほかにも、保険に加入しておるかおらないかというようなことを街頭で取り調べる方法も講じておりまして、この点は、警察当局とも一方において連絡をとって、取り締まりのときに一緒に出ていただいて取り締まりをするというようなことで励行させることもいたしております。そのほか、ことしの一番大きな課題として、私どもとしては、この保険関係の加入率向上をはかっていきたいと思っておるのでございますが、ただ、実は保険収支というものは、加入しておりますものだけで計算しておりまして、この加入率が悪いために赤字が出たというのとは、ちょっとこの点は違いますが、しかし私どもは加入率を一〇〇%にしなければならないという目標で現在努力を続けております。ことしの最も大きな課題としてこれをやっていきたいと思っておる次第でございます。
○田中(榮)委員 そこで私も前回お尋ねしたのでありますが、結局、この加入率をよくするということは、陸運事務所でわずかな職員でこれを監督するといたしましても、これはなかなかできないのでありまして、どうしても終局的には最後のしわ寄せは警察の方にいくわけであります。たとえば路上において無免許の一斉取り締まりをする際であるとか、あるいは車体の一斉取り締まりをする際であるとか、あるいは重大犯罪の発生したときにおける一斉取り締まりを行なう際に、運輸省側とよく協力をしていただいて、その際に、ちょっと警察が保険に加入しておるかどうかという証書を提出させるかさせないかだけでも非常に大きな効果があるのではないかと思いますが、その点については、前回の委員会におきましては、できるだけいたしましょうという長官の御答弁であったのでございますが、いかがでしょうか、そういう点について積極的に一つ協力をしていただけるものでしょうか、どうでしょうか。
○柏村政府委員 警察の当然の仕事として行なう筋のものではないかとも思います。けれども、御趣旨は非常に私尊重すべきものだと思いますので、できるだけ事実上運輸省とも連絡をとって、保険の加入が十分に行き渡るように警察としても努力をして参りたいと思います。
○安井委員 次に罰則の問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。自動車の膨大な増加と事故の激増、そういったようなものが背景になりまして今度の道交法案ができたわけでありますが、特に多数の死傷を出しているというところから、最もとうとい人聞の命を守るという点から考えますと、交通違反に対する罰則は幾ら重くても重過ぎることはないと思います。しかし半面に、運転者に対する罰則さえ強化すれは事故は全くなくなるという考え方もきわめて甘いと思います。交通事故の原因は、運転者の違法な行為によって発するというだけではなく、何よりも日本の道路の問題あるいはまた交通行政のまずさ、その他原因はむしろ多分にほかの面にあると思います。諸外国との比較がよくなされますけれども、道路率というようなものでも、ニューヨークは三五%、パリが二五%、ロンドンが二三%に対して、東京の道路率は一〇%くらい。人口ばかりがべらぼうにふえて、自動車もべらぼうにふえて、しかし道路はこんなような姿であるというところに、東京における交通事故の問題も多くの原因をそこに見出すことができると思うわけです。この週刊雑誌を読んで見ますと、この中にあるのですが、日本の道路の悪口をこう書いてあります。日本の国道は酷道だ、県道というのは険道、市道というのは死道、町道は懲道、村道は損道と書いてあります。特に胃腸返し道路というようなことがあって、これは胃と腸がひっくり返るという意味だそうです。これは特に言い方がひどいわけでありますが、しかし、これがまんざらうそでもないといったような面も多分にあると思います。ですから、そういうようなほかの原因の方がほうり出されたままで、道路交通の規制だけで問題を解決しようということでは、とうてい根本的な解決にならないというのは当然だと思います。政府は、今回の罰則の強化について、ほかの法律の罰則との比較、物価とスライトすればこうなるのだとか、外国の立法例だとか、そういうような点からの御説明があったわけでありますが、罰則を頭からかぶる方の運転者の立場からは、道路政策のまずさ、その他政治のまずさのしわ寄せを運転者だけが受けている罰則強化だ。そういったような受け取り方をしておるのも、これは全部が当たっているわけじゃありませんけれども、無理はないと思う面もあると思います。しかし、たとえば酔ぱらい運転だとか、無免許運転、あるいは罰金さえ払えばいいのだろうというような式のたちの悪い運転者の違反行為も目に余るものがあるわけですし、また道路の悪口を盛んに言いましても、きょう、あすのうちに日本じゅうの道路の幅が一ぺんに広くなって、全部の舗装ができるというわけでもないわけでありますし、また違反運転者が横行することによって、正常な運転をしております運転者自身の生命にも非常な影響があるという点も考慮に入れれば、罰則の問題もある程度は仕方ないのではないか、そういうようなことも言えるだろうと思います。しかし、刑法のたとえば窃盗罪といったような罰則が強化されるといった場合に、どろぼうをしなければその罰則の強化は何ら意に介する必要はない。それと同じような筆法でこの場合の罰則を云々するわけにはいかないと思います。それと全く質が違うということをわれわれは知らなければならないと思います。 ところで、その運転者という中におきましても、いろいろな種類があると思います。私流の分け方でいたしますと、三つに分けて、第一番目は職業的な運転者で、交通事業に従事する労働者としての運転者、つまり黄色いナンバー・プレートを持った車の運転者、それからもう一つは同じく職業的な運転者でありましても、自家用車を持っている個人や会社やあるいは官公庁、商店等の自動車の運転者、白ナンバーの車を運転する労働者であるところの運転者、第三番目は、いわゆる非職業的な運転者でオーナー・ドライバーといわれるもの、この三つの種類だと思います。この分類でいいますと、この罰則の問題等に特に反発の激しいのは、交通労働者である運転者の場合に多いと思います。ですから政府は、この改正案の最も大きな特徴はこの罰則にあるわけでありますが、これらの人人の疑問に親切に答えてやる義務があると思うのです。この罰則の強化は雇用労働者である運転者への影響が特に大きく、たとえば罰金が十倍になって、三千円以下というのが三万円以下というふうにふえているわけでありますが、タクシーなんかに乗りまして運転手と話して、罰則がずいぶん強くなったがどう思うのだと言ったら、五万円とか三万円支払えといったってとても払い切れません。だからむしろ懲役にしてもらった方がありがたい、そういうようなことさえ言う人たちもおります。これは一口に言える問題ではないと思いますが、雇用労働者である運転者の場合と、オーナー・ドライバーとしての運転者の場合とで罰則の適用についてどういう差をつけるか、こういうふうな質問に対して、これはどうもお答えがしにくいだろうと思うのですが、それぞれのケースによってこれは違うと思うのですが、この法律全体における罰則の適用について、私は三種類の運転者の区分をしたわけでありますが、何かそれぞれについてのニュアンスがあると思うのです。これは一般論ではお答えが非常にしにくいと思いますが、そういったようなことについてどうお考えになるか、一つお聞かせいただきます。
○内海説明員 御質問にそのままのお答えになるかどうかわかりかねるのでございますが、もし的をはずれておりましたら、あらためまして御答弁申し上げますが、現在私どもの方で交通事故のいろいろな分析を行なっております。一般的に行なっております分析はやや平板になっておりまするので、ともすれば表に出ました事故原因の分析は、運転者の責めに基づくというふうに出ておるのでありますけれども、詳細にこれを検討いたしますと、必ずしも運転者の責めに帰すべからざる事故も少なくないわけでございます。それらにつきまして私どもの手元に報告のありますいわゆる重大事故というものについての分析を私どもの手元で加えておりますが、それらの内容について若干御説明申し上げますと、そういうふうな分析の対象にいたしました事件が、昨年度におきまして三百八十七件あるわけでございます。その中で、その事故の原因が必ずしも直接的に運転者の所為に基づくものとみるにはやや酷に過ぎると考えられるものを探してみますと、まず第一点は居眠りというふうな、雇用関係にその原因を求め得ると認められるものが、三百八十七件中、十四件あげることができます。その例を申し上げますと、徹夜運転のために起こった事故というものが五件、それから非常に休憩時間が少なくて、一昼夜以上連続勤務をさせられたもの三件、夜おそくまで運転を命ぜられたものが二件、その他四件、こういうふうなものがございまして、それらの内容をつぶさに見て、その一、二の例を申し上げますと、たとえば砂利トラックが夜十一時過ぎに無免許の助手に運転をさせておるうちに、助手も疲労して居眠りをした。あるいは夜勤をした運転手が、わずかに一時間くらいしか休憩がとれておらず、連続運転をしたというふうな例が出ております。それから次に道路の欠陥というふうなものを原因として起こっております事故が、三百八十七件中五十三件ございます。そのうちで路端が軟弱であるとかあるいはその他の理由で路端がくずれておったというふうなものが二十七件、あるいは先ほどのいわゆる険路でございますが、でこぼこ等の道路によるものが十一件、あるいは山くずれ、橋その他がこわれておるというふうなことで七件、道路工事場が非常に不整備なために、そこに乗り上げたもの三件、大きな穴ぼこがあって転落したというふうなものが二件、路面が軟弱であったためのものが三件、こういうふうなものが道路原因でございます。それからさらに、本来当然使用者によって車両が整備されておらなければならないはずにかかわらず、そういうふうな整備が行なわれておらずに、運行を強行せしめられたというふうなことで起こっておる事故が二十一件ございます。それからこれは両方の責任でございますが、踏み切りの横断の場合に、踏み切り警手が油断あるいは怠慢のためにやったものが二件、踏み切り場内の工事が行なわれ、あるいは踏み切りが非常に狭過ぎたために立ち往生したということのために起こったようなものが三件、こういうふうなものが三百八十七件の事故の中で考えられるのでありまして、またこれを警視庁の統計についてみましても、警視庁の分析しております一万四千余件の事故中、道路欠陥に基づくというものが約二千件、踏み切りの警報機の故障であるとか、あるいは街路灯がないとか、あるいはバスの停留所の位置が不良であったとか、あるいは信号灯に欠陥があったとか、いろいろ理由はございますが、そういういわば交通保安施設の欠陥に基づくと認められるものが約一千件ございます。こういうふうな事件を一応私どもの手元ではっきり数字としてあげ得るものをあげたわけでございますが、こういうふうな事件につきましては、たとえばそれを運転者を主体とした事件にいたしましても、これを事件捜査いたします場合にも、あるいは事件として送致いたします場合にも、これらを十分に反映して事件を送致いたします。同時に裁判におきましても、そういう点が十分に加味されておりまするので、これらのそれぞれの今申しましたものの裁判結果については、私まだ承知してこれを申し上げる資料を持っておりませんが、これらにつきましては運転者に対する責任追及というものは、十分それらを酌量した上で措置されておるもの、かように考えておるわけであります。われわれとしましても、事件捜査の場合におきしても、極力その事故あるいは違反について、運転者だけを唯一の責任者として追及するという態度を捨てて、何がその違反を起こさせ、何がその事故を起こさせたかについての緻密なデータを調べ上げた上で、事件として処理するようにというきびしい指導をいたしておりますので、一がいにすべてここの罰則に規定されてあるから、それがそのまま適用されていくというふうなことのないような考え方及び態度をもって臨んでおる次第であります。
○安井委員 今の御答弁の中で、雇用者測に多分に責任のある問題によっての運転者の事故、あるいはまた道路が欠陥を持っておりましたことによって生ずる事故、その他いろいろな問題が、その運転者の事故という形に現われてきたというふうな御説明もお聞をするわけでございますが、たとえば労務管理が不十分なことから過労を生じている、その過労運転の禁止というふうな規定もあるわけでありますが、だれも好んで過労運転をやろうという人はないはずです。あるいはまた車両の整備が不良であるにもかかわらず、それを好んで運転をしようという者もないはずです。そういったような場合に、使用者の責任追及、いわゆる両罰規定というような問題も、今度の法改正の場合に考慮されているのは、これは一つの進歩だと思いますが、しかしながら、そういうような場合においても、相変わらず運転者の責任追及をもあわせて行なっているわけです。その点、運転者の立場からすればどうしても理解できない。こういう言い方がなされているわけでありますが、今のお尋ねをさらに具体的な問題として一つ御説明いただきたいと思います。
○中川政府委員 お説のように、なるべく交通の安全と円滑をはかるということの妨げとなる根本をついていく、刑罰ばかりで解決する問題ではありませんが、刑罰としてもそういう考え方をすべきではないかという点については同感に考えているわけでございます。お話のありましたように、両罰規定とか、雇用主の義務とかいうようなことについて今回の改正で考えたのでありますが、その考えはいいんだけれども、たとえば六十六条で過労運転して運転者自身についても刑事罰をかけるのはどうかと思う、こういう御趣旨のように拝承いたしたのであります。お気持の点は私どもも十分同様に考えるのでありますが、たとえばこういう過労運転をすることが弊害があるということは御了解いただけると思います。その過労運転を防止するために刑罰で担保する面を考えて参りますと、その元凶といいますか、その大もとをなした事業経営とか、そういったことにつきましてもそういう担保をしなければならぬということはいいんですけれども、実際にそういう行為をやることを許しておくということになりますと、これはまたいかぬかと思いますので、両方を刑事責任に担保して参る。ただし、その罪刑の適用の仕方は、これは現行刑事訴訟法で起訴便宜主義の建前もありますし、また裁判でも情状その他によって判断されますので、その情状その他によって判断されるという刑罰法令全体をお考え願って、運用の面においてお気持のようなことは十分生かされると思いますけれども、実際に実行するという面を全部刑事罰からはずしていくというのも現行法にある関係もございますので、いかがかと考えまして、実行行為者も一応刑事罰の対象にする、こういう格好にいたした次第であります。
○安井委員 今の六十六条の過労運転の場合も、あるいは整備不良東の運転の場合も、そうでありますが、実際の例といたしまして、非常に疲れて帰ってきている。ところが、どうしても急ぐんだし、ほかの運転者もいないんだからお前行けというようなことで、無理やりやられてしまう。その際において、その運転者は二つの選択の問題にくると思うのです。つまりそこの事業主の命令にそむくことによって——その命令は違法かもしれませんけれども、彼の甘の問題にこれはつながってくる問題だと思います。それからもう一方の道を行くということになれば、この道路交通法の過労運転の禁止の規定が立ちふさがってくる。ハムレットのようにその間で悩まなければいけないわけです。ですから、そういうふうな弱い雇用労働者としての立場に対する考慮が、どうもこの法文の規定だけには見えないわけです。これはもう裁判所の判断に最後にはまかされる問題だと思いますけれども、それがこの法律の文面そのものに見えないというところに、今のような運転者側の疑念というものが強く出てくるのではないかと思うわけです。ですから、今私が一つあげましたその具体的な例について、一つ重ねて御説明いただきたい。
○中川政府委員 よくわかるのでありますが、たとえば他の例で申しますと、自分の親が悪い親であって、子供がどうしてもどろぼうせいと言われたので、どろぼうをしないと家に置いてもらえないから、どろぼうした場合において、その子供の罪という場合と同じ格好になると思います。そういう場合は、だからといって、子供は親から習われたらどろぼうしてもよいということになると困りますので、両方刑事罰に付す。ただし、その子供の場合は非常に情状酌量すべき点がありますので、これは刑事法令全般の見地からいいまして1条文がないとおっしゃいましたけれども、しいて申しますと、刑事訴訟法の二百四十八条に「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。こういうことができるということは、思いつきでなくて、そういうことがあったらそういう処置をしなければならぬという意味に解釈しなければならぬと思います。そういう角度からすべての刑罰は情状その他によって考えていく。そうしてこういう場合に大へんに当該運転者の方の意思能力を奪った状態、極端に申せばピストルを突きつけて動け、こういった場合におきましては、これは無罪になるわけでありますが、意思能力ある限りにおきましては、やはり刑事罰として設けるということが妥当でなかろうかと思っておるのであります。
○安井委員 運転者は、もうこの法律でさえ試験を通るのにやっとなんですから、刑事訴訟法までおそらく読んでいないでしょうから、それだけに非常に心配になるだろうと思うのです。だから、そういう面を一つ十分に説明をしてあげる必要がこれはあるのではないかと思うわけです。 さらに運転者側からの罰則の問題について特に不満の大きい問題は、事故が起きた場合には、罰金刑その他の刑事罰が一方にあるし、他面においては免許証の取り上げといったような行政罰もある。いわゆる二重罰の姿じゃないか。さらにまた、重大な過失によって刑事罰を受けた場合には、賃金不払いなんというような問題も労働基準法でさえ認めているのだし、そこまでいかなくても、社内罰といいますか、そういうようなものも考えられるじゃないか。そうなりますと、いわゆる二重罰から三重罰というふうな形になるではないか。それではあまりにも過酷だ、そういうような言い方もなされているのはお聞きと思いますけれども、こういう点についてもう少し解明していただきたいと思います
○木村(行)政府委員 その問題につきましては、刑事罰は、御案内の通り刑事政策の目的からいいまして、その司法処分として課せられる罰であります。また行政処分は、それぞれの行政目的に向かって処分されるわけであります。従いまして、たとえば刑事罰を課したことと対応してそれに見合って行政処分をするという直接の関連はございませんが、それぞれ並行してやらなければならぬわけでありまして、そういう意味合いにおいて、当然目的が違いますので、両方それぞれの目的に従って実施されるわけであります。しかし確かに、刑事罰も受け、行政処分も受ける。ことに運転免許の停止を受けて、その期間生活の道が絶たれるというような点からいいますと、酷な面も全然考えられないというわけではありませんので、従いまして、この法案におきまして百三条の第三項で、運転免許の効力の停止を受けました者が、その人の自発的な意思によって申し出がありました際には、一定の講習を受けさせまして、その講習を無事終了しまして、いわゆる運転免許の停止を受けた原因であるその不適正な点、あるいは順法精神の点、あるいは技能の点などについて原因が除去されて、無事に講習を終わりました際には、その者に対しまして停止期間を短縮する。場合によっては講習期間を終わった残りの分については全部停止処分を短縮してなくしてしまうということはあり得るわけでありまして、その面につきましては、先ほど安井先生からお話がありました事情を勘案して法案に入れたような状況でございます。
○安井委員 この講習は、期間はどれくらいで、経費はどういうことになっておりますか。
○内海説明員 期間につきましては、その講習をすべき内容によりまして考えなければならないと思いますが、私どもの今案として、また現在事実上いろんな講習を実行しておる関係からいいますと、非常な短期間のもの、大体二日以内ぐらいな範囲で考えていくべきではなかろうか、こういうふうに考えております。それから費用につきましては、これもいろいろ問題はあろうと思いますが、現在の段階におきましては、都道府県公安委員会が主催する講習でありますから、その主催者の負担になろうかと思います。ただ特別に実費を要する場合におきましては、その分についての講習費用としての実費の弁償は相手側に対して負担させるということを考えております。
○安井委員 行政罰については、今のような救済規定は一応あることはあるわけでありますが、その司法的な処分といい、行政的な処分といい、それはもうそれぞれの筋道を立てた形で行われるには違いないと思います。しかし、現実にそれは同一人の上において現われてくるわけです。と同時に、自分の勤め先においての処分ということによって、その間賃金がもらえないというふうな事態が起きてくるわけです。こういうことになりますと、オーナー・ドライバーの場合でありますと、少なくも一番最後のいわゆる社内罰とでもいうようなものはないでしょうし、あるいはまた免許証が取り上げられたということによって経済的なある種の影響は受けるでありましょうけれども、それほどまでに、雇用労働者である運転者の程度までには、このいわゆる二重罰とでもいうものの苦しさは身に感じないというふうなことではないかと思います。ですから雇用労働者である運転者の場合に、特別にこの問題の罰則が強く現われてきているという点において、それらの人たちからの不満の声が上がってくるのではないかと思います。事故を起こした、違法な行為を起こしたということは、それはもういかなる立場においても、いかなる立場の人にあっても、当然に問題にさるべきでありますけれども、雇用労働者である運転者の場合に極端に強く現われてくるというところに、何か割り切れなさを感ずるわけであります。ことにこういうような、たとえば三重罰なら三重罰というふうな姿の中に入りましたことを考えた場合には、これによって賃金がもらえないし、罰金は払わなければいけないし、そういうようなことでの経済難が生活難に入っていく。そして免許証が返って参りました何日かのあとにおいては、それで積み重なったその経済問題の解決のために、たとえばこの人がタクシーの運転でありましたならば、もうめちゃくちゃに走り回って、今までの補いをつなければならない。それが神風タクシーというふうな姿になって新たな事故を誘発する、こういうようなおそれもないわけではないと思います。だから先ほど来私申し上げておりますように、雇用労働者の場合においてはそういう立場にあるから、何らかの穏やかな方法を講じようというのも、これはおかしいように思うわけでありますが、この法の運用の面からは、これは十分に考慮が払われなければならないと思います。そのことは、その運転者を保護するということだけではなしに、新しい交通事故を起こさせないという立場からも非常に大切なことではないかと思います。時間が過ぎて参りますので、もう深入りはいたしませんけれども、そういう点について十分に一つお考えを願わなければならないと思います。 そこでこういうふうな事故を起こした場合の罰金はとても払えないので、月賦払いで払えないかとか、あるいはまた過酷な会社側のノルマの結果として生じた事故による罰金の場合には、そういうものを一つ会社負担にするようにすべきでないかとか、そういったような話を聞くわけでございますが、この点についてはどうお考えになりますか。
○中川政府委員 罰金刑について月賦とか日賦とかいうことを考える問題は、この法律の罰則に限らず、罰金刑の執行として今法務省でも研究してもらっているのですが、まだ成案を得ませんけれども、この準備会において草案というものが一応未定稿で出されております。そういう趣旨のものが今織り込まれて研究されておりますので御了承いただきたいと思います。 それで今お話しの事業用関係の運転者の諸君については、いろいろ全体の仕組みの関係上お気の毒な点があるということにつきましては、御説はよくわかるのであります。そこで、そういった事業ということに伴って運転者が交通違反もすれば、事業全体が交通の安全という方面から逆の方向にいってもらっては困りますので、こういう点は事業監督——これは運輸省の方で事業監督をやっていらっしゃいますが、運輸省の事業監督と道路交通法の各種の規定とが円滑に施行されるために、そういう事業が健全といいますか、道路の安全確保という角度からうまく運営されるというふうに、行政活動を各省協力のうちに仕組んでいく、これが根本だと思うのであります。過般神風タクシーの問題等が起こりましたときに、警察庁として関係の方面と打ち合わせたのも、この趣旨で打ち合わせたのでありますが、この法施行後におきましても、同様のことを考えなければなりませんので、事業の内容が交通の安全と円滑を確保するこの法律に即応して運営されるように、運輸省とも協力いたしまして、そういう事業関係者が安んじてこの交通安全を守り、この法律を順法できるような態勢に仕組んでいくことが根本かと考えますので、そういう行政活動は大いに各省協力してやらねばならぬ問題である、こういうふうに考えておる次第であります。
○安井委員 あとにおっしゃったような問題はほんとうに同感でございまして、事業主そのものが、交通事故という問題について、自分の運転者の行動は、そのもとになる経営の問題がきわめて影響があるということを常に理解して経営に当たってもらわなければいけないと思いますし、そういうところにもまたそういうふうな事業主自体、底の浅い日本経済の中小企業者の立場での苦しさもあるし、せんじ詰めたらずっとまた政治が悪いのだというような話にいってしまわないとも限らないわけでありますが、この問題はほんとうに直接監督の立場にある各省が十分に御注意を願わなければいけない、特に運輸省の責任は重大だと思います。そういうような意味で特段の御配慮を願わなければならないと思うわけでありますが、今ちょっと新刑法というふうなお話が刑事局長の言葉の中にございましたが、過失損壊罪ですか、その見定が新しくこの法案の中に出てきているわけでありますが、私ども新刑法案は見ておりませんけれども、新刑法案の中での取り扱いはどうなつていましょうか。というのは、つまりこの法律だけのものではなしに、むしろ刑法の規定にこういったような考え方が入れらるべきではないかというような意味をも含めて一つ伺いたいのであります。
○中川政府委員 この改正案におきましては、御指摘のように、過失による建造物損壊罪の規定が現行刑法においてありませんので、現在の交通の違反の状況等にかんがみまして、この特別法で新しい罰を規定いたしたのでございますが、刑法全体といたしまして今法務省で研究をしておるのですけれども、まだ草案の草案という段階でございまして、今刑法総則のことにつきまして罰金の分納という便を申し上げたのでございますけれども、ことに各省の方につきましてはさらにまた検討を進めておる最中でありますので、まだきちっとした成案はありませんが、一応の成案といたしましては、過失による建造物損壊という罪を改正刑法案では考えたらどうか、こういう考え方のために一応規定を置いておるような次第であります。繰り返して申し上げますが、これはまだ法務省の案ではないのだということを法務省もしばしば言明しておりまして、法務省の案を作るにつきましては、法務省の刑事局内に在京の学者、先生方にお集まりを願って、小野博士を議長といたしまして一応検討したもので、それを各方面の御意見を十分に聞いて、関係各省はもちろんのこと、さらに国民大多数の意見を勘案して法務省の案を作りたい。さらに法制解議会というものがありまして、私もその委員の一人でありますけれども、その法制審議会の議に付して最終的に案を確定したい。こういう意味でありますので、法務省もしばしば申しておりますが、その案の中に、お話しの過失によるところの建造物損壊罪は規定いたしておる次第でございます。
○安井委員 案の中にあるわけですね。
○中川政府委員 その通りでございます。
○安井委員 いずれにいたしましても、これはまた新しい罰の規定ですし、罰はふえるばかりで、道路交通取締法から、名前は道路交通法となって、取締の二字が減ったわけですけれども、罰則の方はべらぼうにふえた。そういうふうな印象がきわめて強く、それをどう処理するかということについて問題はあろうと思いますが、ただ私、この罰則の問題について、たとえば五万円以下あるいは三万円以下というふうな規定がある点について、この当該条文に当たるものは、五万円以下とあるのだけれども、実際は何もかも五万円になり、何もかも三万円になるのである。まあそういったような誤解とでもいいますか、そういうふうな考え方も実はあるのではないかというふうな気がいたします。ですからそういうような意味で、一体この程度のものなら三万円以下のうちの幾らくらいになるのだ、五万円以下の罰金の中のどの程度になるのだ、まあ一種の罰金の相場表とでもいいますか、そういうようなものが示されれば、もっとその問題の理解がしやすいのではないかと思います。特に第百十九条の第一項の場合は三月以下の懲役または三万円以下の罰金、第二項の場合におきましては、それらの中の一部についての過失による犯罪は五万円以下、そういうふうにむしろ三万円以下が五万円以下に過失の場合は上がっておる。この表からの見方からだけではそういうふうなとられ方もするわけです。ですからこれは禁錮ですか、懲役ですか、懲役の問題、これも過失の問題の処理の場合には含めた考え方で五万円にしたのだというふうな小委員会での御説明もあったわけでありますけれども、こういうような点について、一般になかなか理解が行き届かないように思うわけであります。相場表という言い方はおかしいし、これは裁判所がきめることであるわけでありますけれども、もっとそういうふうな点について、何かこう、一般にわかってもらうような方法を講ずるお気持はありませんか。
○中川政府委員 御質問が二つあるようですから、まず前から申し上げますが、ここにあります法定刑はマキシマム、最高限をきめておることは確かでございます。それで裁判の実際は、その最高限の罰を課する場合がないとは申しませんけれども、そういうことは比較的少なくて、先ほど私が申しましたように、犯行の動機とか情状とかその被害の程度とかいうことを勘案して、はなはだしきに至りましては起訴猶予されるとか、起訴されましても執行猶予がつく場合がある。こういう事例が数々あることは御存じの通りでございます。それで現在裁判の相場ということについて、御質問の御趣旨はよくわかるのでございますが、お話にもございましてように、裁判所のおやりになることに僕らが介入することはどうかと思うことを御了解いただきながら申すのですけれども、まあ情状その他によっては執行猶予その他の場合もある。それから非常に悪質な場合におきましては、その最高限の罰が課せられることがある。こういうことで、ずっとどういう相場かということになると判例法みたいになるのですけれども、そういう程度で御了承いただくより手はないのじゃないかと思いますので、御了承いただきたいと思うのですが、第二点の百十九条の一項の罪と二項の罪について、前者は三万円で後者は五万円になっております趣旨は、お話のございましたように、前者につきましては故意犯でございまして、これは体刑がついておるわけです。故意でこういうことをやった場合には体刑になる場合もある。過失の場合におきましては、百十九条の場合には体刑になる場合が全然ない。ただし、過失犯であっても、注意義務の怠り方が大へんな怠り方であって、被害が重大な場合におきまして、それが故意犯たりせば体刑になったであろうという事項につきまして、三万円をこえるというような場合があり得るという想定でこういう法定刑に相なっておりますので、御了承願いたいと思います。
○安井委員 それはケース・バイ・ケースで、これはもちろん裁判の事項でありますが、大体スピード違反で従来二千円というのは今度は大体二万円になる。それくらいの——これは裁判官がここにおられるわけでないので、お尋ねするのはおかしいかもしれませんけれども、立法者の御意図としてはそういうようなことですか。
○中川政府委員 私どもこの立案に際しまして、法務省その他の関係の向きとも十分打ち合わせをしたのでございますが、現在罰金が安いからこれを十倍にしたらいいというような簡単な考えで立案したのでないのでありまして、最近の刑罰法令をずっと見て参りますと、ただいま申しました今度の改正草案でもそうでありますけれども、改正草案にありましては、科料は現行法では千円が最高限でございますけれども、これでは五千円と、こういうようなことになっておる次第もありますが、大体最近できました各種特別法を見ましても、五万円以下の罪というのが大部分であります。よく私申すのでございますけれども、メートル法以外の計量方法、尺とか、貫とか、そういう計量方法を取引または証明のために用いれば五万円以下の罰金になる。こういうのが一つの適例でございますが、大部分の法令は五万円以下の罰金が通常の形になっておりますので、そういう程度等を考えまして、この改正案では一万円以下、三万円以下、五万円以下、こういうことを中心に規定したような次第でございまして、他の法令との調和をはかるという点が主たるねらいでございますので、御了承おき願いたいと思います。
○安井委員 といいますと、今まで二千円であったものが機械的に二万円になるということではなしに、新しい規定の、つまりマキシマムの範囲内で新しい観点から判断が下される、そういうふうに理解していいわけですね。
○中川政府委員 この法律が全面改正でございますので、この法律全体の精神を見て、裁判行は、新しい観点から裁判をされるものだと期待いたしております。
○安井委員 罰則の問題は、時間もだいぶ過ぎて参りましたし、小委員会でもいろいろ論議があると思いますので、そちらへまかせて、最後に運転免許制度の問題について二、三お尋ねして終わりたいと思いますが、今度の制度改正によって、運転免許試験がむずかしくなるというふうに巷間言われているわけでありますが、むずかしくなるのですか、やさしくなるのですか、その点どうでしょう。
○木村(行)政府委員 今度の道交法案の通過を契機にして、将来実施する場合に、特に運転免許試験そのものをむずかしくするという意図はございません。ただ運転免許試験の基準やその他必要な事項については、政令で定めますので、その場合に、できるだけ適正な合理的なものにしまして、試験のやり方についても、もっと本質的にいろいろな根本問題を考えていきたいと思っておりますので、特にむずかしくするという意図はございません。
○安井委員 現在やっております試験制度について、特にこういう点を改めなければいけないというふうにお考えになっております点がありますか。
○内海説明員 現在各県で運転免許試験を行なっておりますが、特に今後私どもとして重視していきたい点としましては、心身における適正検査につきましては、さらに合理的なものにいたしたいと考えております。それから法令の試験につきましては、必ずしも、これは世上いろいろ言われておるほどにクイズ的なものとのみ私は感じておりませんけれども、かりに穴だけを設けて、その穴に落ち込んだならば試験に受からないというふうな形のクイズ的な試験の出し方というものは基本的に改め、正確に交通法令の知識が検定できるというふうな形での試験に合理化していきたい。それから技能につきましては、現在もそれぞれの試験官によって適正に行なわれておると私どもは信じておりますが、さらにその試験官の質を統一いたしまして、それによって斉一な技能試験ができるようにいたしたい、こういうふうな点を考えております。
○安井委員 法規がずいぶん変わるわけでありますけれども、今度新しく再試験をするとか、講習をやるとか、それはどういうふうなお考えですか。
○内海説明員 現に運転免許を持っている方に対して、新しい法令が出たというゆえんをもって、あらためて再試験をするとか、再審査をするということは全く考えておりませんが、いろいろな機会、あるいはいろいろな方法をもって、新しい法令が正確に浸透していくという措置は極力講じたいと考えております。
○安井委員 適正検査の問題にも関係があると思いますが、身体障害者の場合、この資格は、九十六条に基づいて八十八条第一項第三号に、「政令で定める身体の障害のある者」というふうに規定がありますが、これはどの程度にお考えになりますか。
○内海説明員 これの政令の基準につきましては、現在も研究所を中心にいたしまして、私どもはもとより、医学者、心理学者その他専門家等にも十分意見を聞いた上で設定いたしたいと思いますが、この政令で定める身体障害者の欠格条件というものは、一応この法案に響いておりますように、いわば完全な身体障害ということになりますが、これに準ずる程度のものを考えていきたい。従いまして、具体的な点を言いますと、片足がないとか、あるいは片手が全くないということ自体は、非常に大きな身体障害でありますけれども、同時にそれが他の義手、義足を補い、またそれと対応する自動車に特別な装置をつけて、その自動車を運転するという形であれば、これは身体障害があるにかかわらず、なお運転適正の而においては認め得るという者になろうかと考えますし、そういう点で、何がほんとうの意味の運転免許を出すことのできない身体障害者であるかということについては、慎重に検討を加えて政令を定めたいと考えます。
○安井委員 さっき引用した週刊雑誌に、こういう記事があります。脊髄破裂による両下肢機能喪失ということで、生まれつき両足のきかない女子が、ふとしたきっかけで自動車の運転を習い覚えた。これは埼玉県の鈴木信子さんという二十才の美しいお嬢さんだそうです。この人は千葉医大の方とそれから自動車会社の方の協力で、特殊な自動車をこしらえたわけです。普通だとアクセルやクラッチ、ブレーキは両足を使って操作するわけですが、この特殊な自動車ですと、一つのレバーで片手であやつるだけで十分に操作ができるという仕組みになっているそうです。しかも、この特別装置は取りはずしが自由で、はずすと普通の自動車になるのだそうです。今一生懸命練習をして、一日も早く免許を取って町を走りたいと言っておりますが、この人は足が全然きかないわけです。こういうお嬢さんのドライブの夢もかなえてやる可能性はありますか。
○内海説明員 具体的にその人が、どういう装置を付した車を、実際にどの程度に運転できるかという、多くの、実験を必要としょうと思いますが、私どもとしましては、現行法のもとにおいては、かなりきびしく身体障害のある者は比較的単純に欠格、あるいは試験を落とすというような考え方に立っておりますが、その点は極力状況に応じて運転し得る道を開くということは考えるようにいたしたいと思っております。反面、何と申しましてもこういう日本のような交通事情のもとにおいて、他に危害を与え、他に大きな交通の妨害を生ずるおそれのあるような運転をする行為でございますから、その人に同情するあまりに、安易に免許を出していくということも、真に行政の目的を実現することではないと考えますので、少なくともそういう場合において、所定の条件のもとで運転する限り、それは通常の状態において運転する者と何ら異ならないという認定をいたさない限りは、免許を交付すべきではないと思いますし、また従ってそういう認定ができる者であれば、身体障害のゆえをもって免許を拒否すべきものではない、こういうふうに思っております。
○安井委員 道路交通法全体を貫くものは、やはり人間を大事にしたいというヒューマニズムだと思うのです。しかし、この足が全然悪くて表に一歩も出られないお嬢さんを、自分の力で大地を思う存分走り回ることができるようにしてやるのも、これも一つのヒューマニズムだと思います。ですから大きなヒューマニズムと、もう一つの個人的なヒューマニズム、それをからみ合わしたところに問題の解決点が出てくるのだろうと思うのです。特別な装置を自動車そのものに施すことによって、その自動車に限って免許をしてやるとか、そういうような措置が、これは運輸省にも関係があろうと思いますけれども、考えられていいことではないかと思うのです。その点一つ十分に御検討を願いたいと思います。最後に、今回の規定の中で、自動車教習所について政令で基準を定めるというふうな規定がございまして、全国的な統一をとりたいというような御意忠もあるようにうかがうわけでありますが、その点どういうふうなお考え方でおられましょうか。
○木村(行)政府委員 今度の法案では、政令で一定の基準を作りまして、七の基準に適合するものに限って自動車教習所としての指定をするということになるわけであります。従いまして、この政令の制定につきましては目下いろいろな角度から研究いたしておりまして、たとえば施設の大きさをどれくらいにしたらよかろうというような問題、あるいは指導員、教習員の資格の問題、あるいは人数の問題、自動車の台数の問題、あるいは教科内容の問題、諸般の状況を全部検討いたしまして、できるだけ教習所としての実力を持ったものを指定して参りたい。こういうことでありますので、各都道府県の現行の教習所のいろいろな実態を今検討いたしております。その実態に応じまして、改善の方向に持っていきたいと思っております。
○安井委員 私、よくわからないのですけれども、各公安委員会ごとにだいぶ基準に差があるようですね。それを全体的に改善という意味は、一番基準のりっぱにそろっている方にそろえよう、そういう御意図ですか。
○木村(行)政府委員 各都道府県の公安委員会で指定しております全国多数の自動車教習所がございますが、それぞれブロック的な、地方によっても非常に違うわけです。大阪方面では坪数三千坪以上、東京都内では千坪以上、いろいろ施設の大きさについても差があるわけであります。それぞれの都道府県の実情もあろうかと思いますけれども、全国的に一応の共通の基準も作らなければならぬと思いますので、ただいま直ちに、たとえば一番大きな最も高い程度に全部ならすという結論を出すというふうにも言いかねますし、出さぬとも言いかねるわけであります。十分にそこらの関係を勘案しまして適正な基準を作りたいと思っております。
○安井委員 改善という表現からいえば、やはりできる限り基準の高いものにそろえていく、そういうふうな御方針でなければ改善という言葉が当ては佳らないと思うわけであります。ですから基準の低い方にそろえるというここになりますと、むしろ全場体的に程度を落としてもいい、そういうふうにとりれますので、その点はやはり高い方にそろえていく、こういうお考えでいくのが当然でないかと私は思うのです。しかしその際においても、既得権に持っておるもの——既得権という言葉が当てはまるかどうかわかりませんけれども、そういうような問題はこれは尊重していかなければならないと思います。ただ、あくまで原則は引き上げる、そういうお気持でお進めを願わなければならぬのではないかと思うのです。重ねて伺います。
○木村(行)政府委員 先ほど改善と申し上げたのは結局そういう意味でありまして、できるだけ基準の高い方向に合わせて作りたいと思いますが、しかし、その場合にただ坪数だけが問題ではありませんで、いろいろ検討されるべき問題があります。その場合に坪数などは一つの例かと思いますが、その他に幾多の条件がありますので、それらの条件を総合判断しまして、できるだけ基準の高い方向に合わせて参る、こういう考えであります。
○安井委員 今おっしゃるように、これは単に坪数だけの問題ではもちろんはいので、今日の交通事故の激増といったような面においては、教育的な要素が教習所の中にもっとやはり強くばってこなければいかぬのではないかこ思うのです。というのは、この間も新聞にこんな事件が出ておりました。ひき逃げです。何か駐車しておった三輪トラックの上に息も絶え絶えな交通事故の人が乗っていた。それで気がついて、一体どうしたんだろうといっていろいろ情勢を判断してみると、結局前にひいたトラックが、そのひかれた被害者をすぐ隣のどこかの三輪車の上に乗っけて、自分はもう逃げてしまっている。そういう悪質な事故については、罰則は幾ら強くても強過ぎることはないと思うわけでありますが、こういったような点も、運転ができさえすればいいんだ、車がとにかくぶつからないで走りさえすればいいんだ、そういうような考え方で運転を習われた。だから何をしてもいいというわけではないにしても、やはり教習所の中にはもっと教育的な要素が強くなければならぬと思うわけです。そういうような点を加えまして教習所の質的向上という点に十分御配慮を願いたいということ。 もう一つは、運転免許試験の免除規定、九十九条に、指定自動車教習所の発行する卒業証明書を有する者に対して免許試験の一部を免除するというふうな規定もございますが、これも政令で内容が規定されることになっているわけであります。その内容についてどういうふうなお考えがあるか、それも一つお聞かせ願いたい。
○内海説明員 そこの運転免許試験につきましては、この前の条文の九十七条で、次の各号について行なうということで、適性それから技能、法令知識、構造及び取り扱い、こういうふうなものを試験の対象にいたしておるわけでありますが、教習所を卒業した者につきましては、これらのうちの一部を免除するということを考えておるわけでありますが、何を免除することがいいかという点につきましては、なお十分検討いたしたいと思いますが、現在多くの県において指定しております自動車教習所の卒業者に対する試験の一部免除は、おおむね技能試験、ここで言います「自動車等の運転について必要な技能」それから「自動車等の構造及び取扱方法」こういうふうなものを免除いたします。適性と法令の試験は公安委員会がそれを行なっているという例が最も多い例でございますので、現在各都道府県で行なっております一部試験の実情、それによってどういうふうな功罪があるかということをあわせて検討いたしまして、一部免除の方策を決定いたしたいと思います。
○安井委員 その内容についてまだ御検討中だそうでありますが、その教習所の質的な向上を一方においてはかるという意図を含めまして、適当に質のいいものから順々にランクをつけて、その程度に応じて免除の幅を考慮していく、こういうようなお考えでおられるわけですか。
○内海説明員 そういうふうなことも考えの内容には取り入れることはできるかとも思いますけれども、ただ教習所の指定に際しまして、たとえば格づけをして、かりに一級教習所においてはこの程度、二級教習所においてはこの程度、というふうな考え方をとることが適当であるかどうかという問題については、なお検討する余地があろうと思っておりますので、検討します上ではそういう問題も考えたいと思いますが、結論につきましては、それらを検討した結果、いわゆるこの教習所の卒業生というものが、ほんとうにりっぱな運転者としてできるような体制を基本の考え方として問題を考えたいと思います。
○亀山委員 関連して。一つお願いをしたいのですが、九十八条ですね、つまり自動車教習所の指定に関する第一項の「政令で定める基準に適合するもの」云々とあるこの政令については、制定される前に、あらかじめ当委員会において御報告を願いたいと思うのですが、警察庁長官のこれに対する御答弁を願います。
○柏村政府委員 この九十八条の政令は、影響するところも非常に大きいので、われわれとしても慎重に検討いたしたいと思いますが、先生方の御協力もまたいただきたいという点で、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
○飯塚委員長代理 太田委員。
○太田委員 最初に建設省にお尋ねをいたした方がいいと思うのです。現在日本の国の一級国道、二級国道で自動車が通れないという道がかなりあるのです。三十三年度末におきましては、一級国道におきましても八キロの不通個所があったというのですし、都道府県道におきましては一万三千キロ以上も通れない道があるのです。その通れない道と、もう一つ問題になりますのは、橋の重量制限でございますが、一トン未満でなければいけない、三トン未満でなければいけない、あるいは四トン未満でなければいけない。こういうのがあるのですが、それは一体どれくらい現在制限されておるか、総体的な数字をお説明いただきたい。
○前田説明員 現在道路の整備がまだ十分でございませんので、ただいま言われましたように、特に地方道におきましては相当個所自動車の通行に適当でない場所がございます。ただいまその具体的な数字につきましては資料を持ち合わせておりません。それから橋につきましても、橋は数がたくさんございまして、木橋からその他古い橋にいたしましても相当数ございますので、そのうちどれが何トン通行に適するかということにつきましても、各道路監理事務所におきましては知っているかと思いますけれども、私、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、相当数に上りますし、これは全体的な調査も詳細にわたってはできていないと思いますので、せっかくお尋ねでございますけれども、資料につきましては調査のできたときにいたしたいと思います。
○太田委員 道が通れなくて、そうしておいて、自動車の方に取り締まりを強化するということは本末転倒でありまして、たとえば警察庁がこの法案を立案されるのでも、日本の道路がどうなっておるかという掌握がない場合には、先ほどの罰則の加重とか、あるいはそれは当然であるという問題も結論が出ないのじゃないかと思います。これはどこの道に行きましても必ず橋梁に制限があります。橋梁の重量制限なんというのはけしからぬ話でありまして、当然これは無制限にどの車でも通るという建前でなければならないと思うのですよ。それが無数にある。しかもなお三十三年度末に県道において一万三千キロ以上も通れない道がある。町村道などはどれくらいあるかわからない。道というものを管轄なさる建設省としては、それの完全な掌握があってほしいと思ったのですが、ないとすれば、あらためてこれはお調べの上わかりましたら報告していただきたいと思います。 そこで一つ建設省にお尋ねいたしますが、今週に道路車両制限令を出したいというので運輸省と相談していらっしゃいます。道が狭いから大型の車は入ってはいけない、定期バスは入ってはいけないということになるだろうと思う。そうなると、今の道路の実情が把握されていないのに、道路車両制限令なんというのは本末転倒だと思うのですが、そういう動きがあるのですか。
○前田説明員 道路の実情は今申しましたように、ことに地方道におきましては、まだ完全に自動車通行に適しない場所がございますけれども、反面、道路がありましても、大きな自動車あるいは特別な重量の自動車その他が通ることによって、道路自体に対する影響が悪いし、あるいは通行する自動車その他が場合によっては一緒に通行する人に対しまして危害を起こす場合もございますので、道路と自動車の関係について一定の制限を置くべきであるという御要望、御意見は相当強うございます。このことにつきましては実は道路法にも、そういう道路との関係において通行する自動車の構造についての制限を設ける根拠の法規がございますので、それに基づきまして一つの案を作りまして、目下運輸省と相談をいたしておるのでございます。
○太田委員 あまりりっぱな御意見だとわれわれには思えない。今の話で、橋がどれだけ通れないかわからないけれども、とにかく自動車は制限して、なるべく自動車は通れぬように制限しておけば、道はどんなに悪くてもかまわぬだろうというように聞えるのです。現在人間の命にしても大事かもしれませんが、バスにしても、トラックにしても、必ずだれか乗っているのですよ。この道は大丈夫だろうと思って行きましても、山の向こうを回ったところはがけがくずれていて、ほとんどすれすれでなければ通れないようなところは幾らでもある。それは県道にも第二国道にもある。こういうことを考えますと、道の整備ということを重点に考えなければ、この交通法というものは全くの空文に帰さなけれ、はならない運命にあると思うのです。そこで警察庁にお尋ねいたしますが、七十一条の七号というのは、橋のキャパシティが少ないから通れないときには、そこは通ってならないという、そういうことを意味しているのですか。
○木村(行)政府委員 橋が非常に悪くて通行に危険な場合には、一応道路管理者がその面で通行制限なり通行禁止をするわけであります。七十一条の第七号では、直接それを規制しているわけじゃありませんで、むしろ第七条の第一項で、公安委員会が判定しまして、道路における危険度とか、あるいは安全をはかる、円滑をはかるという特別の必要があるときには、区間を定めて、歩行者や車両の通行の禁止や制限をすることができる、この規定で規制することはあり得るわけでございます。
○太田委員 今お話があったのですが、橋の重量制限は道路管理者がやる。それが今おっしゃった第七条第一項で公安委員会がこれからそういうことをやる、そういうことになるのですか。
○木村(行)政府委員 道路管理者がやりまして、さらに公安委員会で——別に特別に公安委員会で道路標識を立てまして禁止、制限をしなくてもいい場合は相当あるかと思います。しかし状況によっては、やはり公安委員会独自にその橋について道路標識を立てまして、通行禁止にすることもあり得るわけであります。
○太田委員 公安委員会が掲示しなかったら、四トンの橋を七トンの車が通っても差しつかえありませんね。罰則はありませんね。念のために聞いておきます。
○前田説明員 道路法にも規定がございまして、道路管理者は、橋につきましても、構造計算または試験によりまして、安全と認められる限度をこえる重量の車両につきましては、危険でございますので、その通行を禁止することができるという規定がございます。この規定によりまして、個々の橋につきまして危険なものにについては通行の制限をしておるわけでございます。
○太田委員 だから、道路管理者は制限とか禁止をすることができますから、四トンなら四トンと制限をする、そこまではいいのです。ところが、あなたの方の橋だとか道というのは、めちゃくちゃにそういうところばかりなんです。これは走れないですよ。どこにも、前方に四トンの制限の橋何カ所あり、それ以上の車はここからどちらまで回わられたしなんで書いてない。その橋のところまで行かなければわからない。ところが行ってから、さあ帰れといったって、大きな車だと帰れないじゃないですか。帰ろうとしたら谷底に落ちなければならぬ。自動車が谷底に落ちるか落ちぬか、通れるか通れないか、一か八かでやることになる。それが実情でしょう。あなたはそういう実情を把握されておらないものだから、東京都内だけ歩いておるから大して苦になりませんが、何も両国の橋のような橋ばかりじゃないのです。だからそういう橋を渡っても、その場合にはこの道路交通法では無罪ですねとお尋ねしておるのです。警察庁の方からお答え願いたい。
○木村(行)政府委員 実際の第一線の実情を申し上げますと、橋梁その他につきまして、あるいは通路についてもそうですが、特に橋梁につきましては、詳細に警察独自でもその実態を調査しまして、非常に危険性のある場合には、何トン以上の重量を積載して運んでおるというものについては危険であるというような実態を、具体的に結論が出たものにつきましては、具体的な相当数の個所につきまして、それぞれの各府県の公安委員会が、第一次的にはやはり道路管理者側である県あるいは市町村当局に、それに見合う道路管理者としての通行禁止制限を出してもらいたい、こういうことを実情としてはいたしております。しかし中には公安委員会において独自に出しておるところもあると思うのでございます。従いまして、道路管理者が出しているその禁止制限のトン数、その標準に違反して通行した場合、それは道路法の規制を受けて制裁を受けるのでありますが、こっちの道路標識が出ていない場合、規制をしていない場合には、もちろんこちらの規制や処罰は受けないわけであります。
○太田委員 公安委員会が禁止の制限をしない限りは、道路法上の問題に限定されておるということはよくわかりましたから、それでいいと思いますけれども、建設省の道路局次長、せっかくいらっしゃったわけですから、この車両制限令の構想につきましては、よほど慎重に考えていただかないと、あなたの方はそう考える、運輸省もこう考えなさるかしれませんけれども、これは警察庁との関係もあって、三者それぞれ完全な一致を見るまでは、軽々にこれをやっていただくことは、かえって交通というものを麻痺させる結果になるから、その点は道を直すことが第一だということを深く、あなたの方も常におっしゃっておることでありますから実行をしていただいて、一つ十分慎重に考えていただきたいと思うのです。 次いで運輸省にお尋ねをいたしますが、運輸省は現在交通事故のいろいろなことを研究なさっていらっしゃるかどうか知りませんが、今度の普通免許と、それから三輪免許というのが残りましたね。この対象になる自動車が今まで起こしたところの事故の総数というものは、全体の約七割をこえておる。大体七割というものはオート三輪と普通車だ、こういうことなんですそうすると、普通免許というものと三輪免許と二本立になっておりますけれども、三輪車があるから三輪免許を作るのだと思うのです。ところがその三輪車というのは、実に多く事故を起こす誘因をなすものでありますが、現在三輪車というものに対しては、あなたの方の道路運送車両法の施行規則の別表を見ましても、これは長さとか高さとか幅だとかエンジンの大きさというものは、一般の自動車の基準の幅ならば無制限だということになっておるように思うのですが、どうなんですか。野放しになっているのですか。
○國友政府委員 三輪の自動車でありまして、もちろん小型自動車の範疇に入るものと軽自動・車の範疇に入るものとございますが、軽自動車の範疇に入りますものは、ただいま先生のおっしゃいました道路運送車両法施行規則の別表第一号で、たとえば長さ三メートル以下、幅一・三メートル以下、高さニメートル以下というような規格のものを軽自動車の範疇に入れておりますが、それ以外のもので三輪のものは小型自動車の範疇に入るわけでございます。この小型自動車に関しましては安全度を見なければなりませんので、軸重とか安定性とか走行装置とか接地圧とか、そういうようなものを規格に合うように見ました上で判定をする。その車の走行を許していいかどうかということを見るわけでございまして、現在の建前から申しますと、先生のおっしゃいますように、一番大きな自動車としての最大限の基準だけが適用になっておるようでございますが、しかし現在の三輪車で申しますと、ただいま申しましたようないろいろな要件を考慮しまして、その要件を充足するような状況の車を考えますと、大体三輸で、長さは約六メートル、幅が約二メートル、高さが約二メートルというものが三輪自動車で現在あるわけでございます。これ以上のものは今後もできないので、はないかというふうに考えております。 それからトン数の点でありますが、実は積載トン数等につきまして、トラックの場合に道路運送車両法施行規則の方ではトン数制限はありませんが、道路運送法の方で貨物自動車運送事業として認められますものは二トン以下でありますので、現在三輪車の積載量というものは二トン以下のものだけでございます。そういう状況でございまして、法規上は無制限のようになっておりますが、事実上ただいま申し上げましたようなのが現存車の最大のものでありまして、それ以上のものは技術上できないのではないかと考えております。
○太田委員 今の答弁の警察庁の取り締まり当局は間違いないとお考えになりますが。——お困りのようですから、もう少し御研究の上あらためて機会を得てお答え下さい。私は、もっと大きいのがあるということを現実に知っているんだから……。二トン以下だったら大して大きなものではないですよ。大体施行規則の運輸省令七十四号別表に不備があると思うのです。だからオート三輪の大きなものをどんどん作って、丸ハンドルにして、自動車のような形にして、三輪免許をとればそれでよろしいということにするから、事故を多く起こすのです。とにかく今までの例から見ましても、オート三輪ほどおそろしいものはないのです。これはくつばきでなくてげたばきで運転しますし、地下たびでやったり、からだは少々よごれたってかまわないような格好をしているし、単体は少々傷がついてもかまわないような車体だし、これとトラックが一番いけない。これは事故の統計が現わしている。このオート三輪というのは、もう少し免許の制度から考え直す必要があると思うのです。柏村長官どうでしょう、この三輪免許というのは、普通自動車免許と同じよりもさらに技術的にむずかしいと言ってはあれですが、技術的にそう事故を起こさないという前提に立った免許内容知すべきだと思うのです。そうしませんと、はたの方がかなわぬと思うのですが、いかがですか。
○内海説明員 かわりまして答弁いたします。お説まことにごもっともでごございまして、実はいろいろな人の意見では、三輪免許はなくして四輪免許でもいいのではないか、あるいはその他の方法でやってもいいのではないかというような説もあるのでございますが、事実三輪自動車の事故も多うございますし、そういう点を考えまして、今後も三輪免許につきましては、三輪自動車の性能に対応したそれにふさわしい試験を行ないたい、これは十分考えていきたいと思っております。
○太田委員 やはりそういうお考えが実態に近いと私も思います。ただ問題は、運輸省がまるでトラックとひとしいくらいの、長さにおいても、積載量においても、そういうオート三輪を免許して製造を認めているところに一番問題があるのです。オート三輪というのは、自動車、四つ輸になる前の過渡的な存在ですから、どこかいなかの道とか、山の方に主として運転使用されるものですから、なるべく小型のものであり、道の大きさにそぐうようなものでなければならないと思うのですが、これを野放しにされておる。しかも自動車教習所においてオート三輪を一生懸命勉強さしておるところはありませんね。この問、尾久へ連れていってもらったら、あそこは模範的なところですが、オート三輪は一台もありませんよ。だから、オート三輪というものを野放しておくから、オート三輪の製造というものがどんどん超大型化するというところに一番問題があると思いますから、この製造を規制されるように、道路運送車両法の取り締承りのもとである運輸省は、よほどこの新時代の、要望に沿うように、大型のものは四輪にしなさいというようにしなければうそだと思うのです。國友局長、そういう方針でいくべきだと思いますが、指導方針としてどうです。問題があるとお肯えになりますか、それが大体正しいとお考えになりますか。大きさというのは、先ほどおっしゃった二トンなら二トン、あまり大きなものは認めないようにしていく、これが正しいと思うのですが、どうです。
○國友政府委員 三輪等の場合、これは先ほど申しましたような技術的な基準から申しまして、道路運送車両法に基づきます車両の保安基準で規定しておりますけれども、これら保安度を十分に見ていきますことがわれわれとしては必要であろうと思いますし、三輪の場合にやはりトン数の制限は、先ほど申し上げましたのは道路運送法上小型貨物自動車運送事業として把握するには二トン以下でありますので、道路運送車両法上はそういう制限はありませんけれども、しかしあまり三輪トラックが大きくなって参りますと、やはり軸重の関係とか、接地圧の関係とか、そのほかで安定度が悪くなって参ると思いますので、やはり小型自動車の中でもある程度、そんなに大きくなるということは許せないのではないか。これはことに物理的にも許せないのですが、自動車としてもそう大型化することは、私どもとしても望んでおらないところでございます。
○太田委員 警察庁としていかがですか。オート三輪の大きさについて、何か御所見、ございませんか。
○木村(行)政府委員 ただいま國友局長からお答えがありましたことと同様の意見でありまして、あまり大型化しますと安定度というものが非常に失なわれてきますし、道路を通行する場合に非常に危険であります。そういう点もありますし、道幅の関係もあります。そういう意味で、道路の交通の円滑化という点でも問題があります。同じ意見でございます。
○太田委員 従って今後運輸省としては、メーカーに対する指導方針は、法の整備と相待って極力小型から大型に至る四輪自動車の製造に中心を置くように指導なさるものと考えてよろしゅうございますか。
○國友政府委員 三輪自動車につきましても、これはやはり必要性及び経済性に応じて作っておると思いますので、安定度の高いものでなければいけませんが、三輪を極力作るなということは申せないと思います。しかし安定度の高い四輪を作り、三輪車についても安定度の高いものを作るように指導いたしたいと思っております。
○太田委員 警察庁、三菱五〇〇はこれはどこに入りますか。
○木村(行)政府委員 まことに浅学にして非才なものですから、三菱五〇〇なんというものの具体的な大きさ、あるいは内容を知りませんが、一応四輪であるようですから、おそらく普通自動車免許に入ると思いますが、もっと専門家の方に……。
○内海説明員 私もよく知らなかったのでございますが、三菱五〇〇というのは小型自動車という形になりますので、道交法上は普通自動車に区分けいたしておりますので、従いまして免許も普通自動車免許ということになります。
○太田委員 三菱、五〇〇が普通免許になるということを考えますと、もう軽自動車と普通自動車とは同じになってくるのです。そうしてみるなら、オート三輪も前輪が一つという特殊なもので、気筒や構造は違いましても、走る道も一緒なら守るべき法令も一つなんですから、これも特別に簡単に免許証を出すというような対象じゃないというように思うのです。免許証を出すやり方というのは、交通事故を防ぐと同時に、場合によっては自動車産業の発展ということも考えなければなりませんし、取り締まりによって萎縮させることはいけない。発展の方向もあわせて考えていかなければいけませんから、よほど慎重な配慮が要りますけれども。三六〇ならば軽自動車免許だ、五〇〇になれば普通自動車だ——トヨペットもダットサンも外車も全部普通自動車になるでしょう。そうなりますと、あなたの方の今度考えられたところの改正案というものは、少しばかり時代に合っていない点があるのではなかろうかと思う。走るスピードは一緒ですよ。スバル三六〇にしたって八十キロや九十キロは出るのです。三菱五〇〇もトヨペットもダットサンもそのくらい。スピードには大きな差がないのに、ただエンジンの容量が少し違うから、三六〇上がった下がったということで軽免許と普通免許とかわるのもいかがかと思う。事故というのは、いかなる場合でも走っておるうちに起こるのだから、軽自動車におきましても、事故を起こさないような教育が必要になる。オート三輪だってそうだと思うのです。そういうふうに考えますと、先ほどいろいろ話もあったのですが、教習所の内容というのはよほどよく考えていただきませんと、形式的にどうでこうでというわけにいかぬと思う。特に今の試験なんというのは、少しクイズめいた試験が多かったものですから、大へん問題が起こるのですが、今後は優良な教習所というのは、そういう点からいきましてもどんどん育成して、試験などは、技術も学科も全部免除してやればよろしい、私はそう思う。そこまでいかなければ、とても皆さん方の今の一ぺんの公安委員会の試験だけで——これだけのものを分けているが、こんな分け方は実情と少し違っている。軽免許だ、三輪免許だ、普通免許だ、大型免許だといったところで、これはまことに魂が入らない気がするのです。ぜひ一つその点につきましては、オート三輪の免許をどうするかということが一番中心になるわけですが、オート三輪免許についても内容をよく考えていただき、運輸省は、これを作ることについて施行規則の方でも野放図になっているというようなことのないように考えていただきたいと思うのです。 時間がおそくなりましたので、きょうはこれで終わりますが、最後に長官に、今皆さん方どなたも三菱五〇〇のことをよく御存じないという点から考えて、もうちょっと実情に合うような試験制度をやるんだという御方針だけは、御同感だろうと思うのですが、いかがですか、お答えをいただきたいと思います。
○柏村政府委員 確かに御説の通り、実情に即して、実情に合うように運営をいたして参らなければならぬと思います。御説に全く同感でございます。
○飯塚委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十五分散会