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34回国会衆議院1960/03/10

大蔵委員会 第10号

発言数
41
登壇者
8
会派数
2
開催日
1960/03/10

会議録

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 これより会議を開きます。  本日は、為替の自由化に伴う諸問題について、東京銀行常務取締役神野正雄君が参考人として出席しておられます。参考人には、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがうとございます。為替の自由化の問題につきましては、当委員会におきましても従来からその調査を行なってきたのでありますが、本問題の重要性にかんがみまして、このたび参考人の御出席をわずらわした次第であります。つきましては、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  これより本問題について調査に入ります。順序としまして、まず参考人より御意見を述べていただき、続いて質疑を行なうことといたしたいと存じます。  それでは、参考人より御意見を述べていただきます。神野参考人。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 御紹介にあずかりました神野であります。  為替の問題となりますと、実は非常に技術的の点と、それと逆の非常にばくたる大きな点とがうまく結合しませんので、はなはだ御説明しにくいのでございます。その上はなはだ言葉がまずいのでございますが、一応問題点を羅列さしていただきまして、後ほど個々について御質問いただければ幸いと存じます。  為替の自由化と貿易の自由化はうらはらになっておりまして、またこれが並行して進まないと工合が悪い。貿易の自由化だけ進んでも、為替が自由化しなければ決済面で不自由でありますから、何にもならない。従来、御承知の通り去年の九月にドルの自由化というのをやりまして、ドル相場の先物は全然自由になり、現物も、従来のような固定的の相場ではなくて、比較的相場を楽にさせるような仕組みに変わりました。それ以来為替の自由化はストップしておりまして、貿易の自由化の出てくるのを待っていたような状態でございます。ただ貿易の自由化が急速に進まれるというような情勢になって、為替の方もそれにマッチしていろいろな手を打たなければならないというので、為替もしばらく休んでいたのを急にスピード・アップしたという感じでありますが、ここでちょっとお断わりしておきたいことは、為替の自由化と申しましても、これは昔のような為替になるわけではないわけです。全然自由化ということではない。まだ非常な不自由為替でありまして、これは世界的の傾向で、今後どういう経済状態に変わりましても、昔のような為替の自由化というものは決してこない、こういうふうに思っております。それでありますから、この前もどこかで申し上げましたように、動物園にたとえれば、ちょうど自然動物園みたいなもので、今までの動物園は、象をおりの中に入れて、さらにその足を鎖でゆわえる、それが今までの為替であったのでありますけれども、今度の為替は、その象の足についている鎖は取って、おりの中は自由に歩ける。ただし、おりの外へ為替が飛び出すと危険でありますから、外へ飛び出さないように、さくを設けたり、みぞを設けたり、自然動物園的な為替だ、こういうふうに御承知になっていただけばいいんじゃないかと思います。  それでありますから、為替相場も昔のように野放図に動くのではありませんで、大体基準相場三百六十円の上下、今は〇・五%だけ動けるようになっておりますけれども、これがせいぜい〇・七五、ですから上下で一・五%だけ動く。これが今の西欧並みの動き方。ところが、西欧も、さらにその幅を大きくしまして、そうしてこれを一%ずつにしたい。ですから、上下合わせて二%の動きがある。これくらい動くのがまあせいぜいだ。これは国際通貨基金の規定でありまして、国際通貨基金に入っている以上は、それ以上に出るということが許されない。ですから、相場からいっても上下が押えられている。  それから、為替資金も、昔のように自由に——よくホット・マネーがそこら中に歩き回って危険だというようなお話も聞いておりますけれども、そういう心配は昔ほどあまりないんじゃないか、そのかわり、昔にはなかったいろいろさまざまな複雑な制度ができておりますので、たとえば為替が自由化しても、昔の為替の知識のある者がないから非常に困るんじゃないか、というような懸念をされる方もあるのですけれども、はなはだなまいきなようでありますけれども、逆で、昔の為替のような自由為替の観念を持っておる方は、かえって今後の為替はやりにくいのじゃないか。むしろ今の新しい為替の規制をこまごまと知っていて、それがいかに緩和されるかということのエキスパートの方が、これからの為替にはかえって都合かいいというような感じもいたします。ただし、為替の理論というものは昔も今も変わりませんから、その点は、昔のエキスパートというものは非常に尊重せらるべきものだ、こういうふうに考えております。  その為替の自由化で、先ほどのように急に進みまして、その後現在までにやりました自由化というものは、ユーザンス品目の拡大と商社の特高集中制度の導入——これは四月一日始まりますけれども、これが二つの大きな項目であります。今後の実行が予定されているものが自由円勘定ですが、非居住者のいわゆる円為替導入、円為替導入の方法として自由円勘定を設ける、こういうこと。それから、先ほどちょっと触れました為替相場の幅の拡大。幅の拡大をいたしますと、やはり二%は小さいと申しますけれども、その中で、為替があまり動くととは好ましくないので、為替をあるところへ追い込まなくちゃならぬ。従って、為替平衡資金というものを作って、その平衡資金で、為替が安過ぎれば買いに出る、高過ぎれば為替を売り出して下げる、こういうことをしなければならぬことも起こると思います。  それから、自由円勘定の開設等に関連いたしまして、国内の為替市場というものをもっと育成しないと、為替の働く場がないわけであります。それと関連いたしまして、円の為替の市場が海外も立つということが起こりますから、内外における円為替市場の育成ということが問題になってきます。  こういう一連のいろいろな新しい措置が行なわれる予定になっておると聞いておりますけれども、為替の自由化というものは、まず今まで申し上げたのが根本でありまして、それに関連する金融の措置であるとか、ほかの関連措置を固めていくことによって、まずまずこれで終わるのじゃないかというふうに思いまして、従って、為替自由化というものは、多少今までの手かせ足かせを取ったということで、昔のような為替の自由化はまだとうてい行なわれないというふうな感じがいたします。しかしながら、それでも、今までの為替の不自由に比べれば、非常な自由化になるわけでありまして、ここで、従来の不自由為替になれていた日本というものは、やはり貿易と同じようにいろいろな問題が起こるので、その問題を上手に片づけなければならぬ。今までの為替というものは、これは楽なものと言ってははなはだあれでありますけれども、ちょうど汽車でいえば、ちゃんとレールに乗って走っていればよかった。停車場で次々にとまったりして、一定のレールに乗って走っておればよかったのでありますけれども、これからの為替というものは、ちょうど自動車を運転しているようなもので、道の上を走るということは同じでありますけれども、操縦を間違うと道からはずれる、あるいは向こうから来たものに衝突するということも起こります。従って、これからの為替というものは従来の為替とは違って、非常に自由化される反面、非常に危険が伴うということも起こるのじゃないかと思います。  そこで、与えられました課題でございますが、為替の自由化に伴ういろいろな問題点、これを一つ並べてみたいと思います。  まず第一には、はなはだ抽象的でありますけれども、円の価値の維持ということがどうしても根本命題である。円の価値が下がるということになりますと、為替の自由化というものをまたもとへ戻さなければならぬということになりかねません。従って、円の価値の維持、これはただ為替だけががんばっても仕方がないので、金融政策、財政政策あるいは物価政策、そういうものの統合政策の支援によって、円の価値を維持するということがどうしても必要になってくるのじゃないかと思います。今円はなかなか高いのでありまして、大げさに申しますれば、世界でも最も信頼できる通貨の一つといわれておるわけであります。今基準レートでは二百六十円でございますけれども、これは実勢賃金比価からすれば二百六十円くらい、購買力の比価からすれば三百二十円くらい、いずれにいたしましても、大体三百六十円よりも、今のほんとうの円の実勢は、円の方が高いというような状態になっております。為替の自由化というものをよく間違えまして、三百六十円のレートが変わるようなことを考えているのが町にはだいぶあるのでありますけれども、為替の三百六十円というものは全然変わらない。ただ三百六十円の実勢は今非常に強い。この強い実勢を、今後為替が自由化になりましても、さっきお話ししましたような方向でキープしていかなければならぬ、こういうふうに考えます。  それから、これに伴って国際収支の逆調の場合も起こり得る。その場合にはどういうふうにしてこれを食いとめるかという問題が、円の価値維持と関連して非常に問題になってくる。これには国際収支の赤字を出さない。このためには輸出奨励ということも確かに必要でありまして、また、輸出奨励にも、ただ自分のところだけの政策でなく、国際的の話し合いも必要であります。  これも余談でございますけれども、貿易の自由化をやっておる西欧諸国は、貿易の自由化をやれ九五%やっておるとか、そういうふうにいわれておりますけれども、しさいに内容を見ますと、西欧諸国は業界が非常にしっかりしておりますから、業界同士の話し合いというものが非常に強くなっておる。政府の介入がありません。政府の介入がないというのが、貿易の自由化の自由化率ということで現われておりますから、それが九五%、九〇%ということでありますけれども、実際は業界が自主調整をしておりますから、たとえば日本のカメラを西欧が輸入するというときには、カメラ業界が結束して、日本のカメラを扱ったものはドイツのカメラを取扱わせないとか、自分だけの規制で輸入をチェックしておるということが起こるので、日本もただ自由化率という表面の数字に惑わされておると、自主調整がまだできておりませんから、非常に誤算が起こる。従って、日本の業界もほんとうの意味において自主調整をしないと、向こうは、自由化々々々といって、しかし実はチェックしておる、こっちは、自由化々々々といいながら、チェックがまだできていないというようなことが起こるのではないかと思うのであります。これは余談でありますけれども、輸出奨励が必要であるという点で、これは日本も相当研究的にものを考えなければならぬかと思います。  それから、国際収支が逆調になったときに、どうやってそれをチェックするか。これは、逆調になったときに信用状を規制するというのは、ほんとうをいうと実はおそいのでありまして、むしろ根本的の前の設備段階で押えなければいかぬのだと思いますけれども、それにしても、従来よりも、為替相場の自動調節作用、それが強くなっておりますから、輸入か少し多過ぎる場合には輸入に不利なレートを出し、輸出を奨励する場合には輸出に有利なレートを出すということが、従来よりも為替の幅が広くなっておりますから、為替銀行としてはそれがよりできやすくなるはずであります。そういう為替の自動調節作用によって、国際収支の赤字をチェックするということも可能になってくるのではないかと思います。  それから、第三の問題といたしまして、御承知の通り、今いろいろやっております為替の自由化は、主として非居住者の経営勘定の問題でありまして、資本勘定にはまだ触れてない。御承知の通り、いわゆる国際収支の経営勘定と資本勘定、さらに居住者と非居住者と勘定が分かれておりまして、まず為替の自由化となると、非居住者——簡単に申しますと、外国人の持っている勘定のうちの経営勘定、つまり貿易と貿易外勘定を自由化して、逐次今度は資本勘定に移る、あるいは居住者勘定に移るということになるのが、西欧諸国でも順序になっております。西欧諸国ではほとんどそれを終わっておる国もあります。また終わっていない国もあるのであります。たとえばアメリカであるとかカナダ、スイス、こういう国は、経営勘定、資本勘定、居住者、非居住者ともに全部自由化しております。多少の制限もございますけれども、ドイツもそうでありますし、イタリアも最近そういうふうになりました。しかしながら、また非居住者の経営勘定の自由化は、ほとんど全部の国々、西欧諸国、アメリカ諸国は終わっておりますけれども、一番おくれているのは資本勘定の自由化であります。ことに居住者の資本勘定の自由化というものはきわめておくれている、こういう状態なのでありまして、まだ日本の自由化は非居住者経営勘定の自由化に手をつけ始めたというところでありますから、資本勘定の自由化まではまだ相当の時間があるのであります。ことに外資法の改正という問題もありまして、この改正がおくれると思いますので、そういう面で資本勘定の自由化というものはまだ当面あまり盛大に自由化にはならない。外資法が改正されなくても、これは外資法、為替管理法の解釈によって相当自由になり得る余地はあると思う。でありますから、たとえば今問題になっておりますところの外資の導入でありますとか、あるいは外資導入にもいろいろございまして、技術導入もあるし、パテントの問題もある。それから外国資本が日本の企業に参加する問題もある。日本の株を買う問題もある。それから逆に、日本の、よく新聞なんかに出ております、日本の株式をニューヨークあたりの市場に上場する、取引の対象になるという問題もありますけれども、これはどうも日本だけが非常にひとりよがりで先ばしった考えで、まだまだアメリカでは日本の株券をアメリカで上場するというのにほとんど考えもしないという、極端に言いますとそういう状態ではないかと思います。問題は、アメリカあたりの資本が日本へ入ってきて、そしてそれによって日本の企業が経営権を奪われはせぬか、あるいはアメリカのドルを持ってきて日本の株を買って、そして非常に日本の金融がディスターブされはしないか、こういう問題がございますけれども、この資本勘定の自由化は、まだまだ大した急速の自由化は行なわれない上に、たとい相当緩和されたとしても、今日本としましては外国資本がどうしても必要でございますから、資本の不足を外資によって補うという利益を考えれば、その弊害というものをあまり大きく考えて、かえって外資の入るのをチェックするということでない方がいいじゃないかというふうに考えます。  それから、第四の問題といたしまして、この前ちょっと申し上げましたように、ユーザンス品目が拡大いたしました。これは要するに輸入の支払いを向こうサイドで支払いを延ばしてもらうわけでありますから、従って、ユーザンス品目の拡大ということは、これは世界的慣行なんです。従って、日本としましては、外貨を利用する道がそれだけふえる、かつ日本の金利よりも外国の金利の方が低いのでありますから、安い金利で外貨を利用して、しかも支払いを延ばしてもらうという点で効果があるのであります。これは、各国ともやっている制度で、世界的慣行なのでありますから、もしも短期的にあるいは国際収支が工合が悪くなった、そういうような場合に、あわててまたそういう制度をもとへ戻すと、非常に国際信義を害して、商取引に支障を来たしますので、そういうことのないように、ユーザンスは一つの例でありますけれども、為替の自由化というものは、ことにもとへ逆戻りをすると非常に国際的の信義を損じて、かえって将来は、今後できなくなるという危険もありますので、その点を十分固めて、また逆戻りをしないようにする必要があるんじゃないかというふうに思います。  それから、第五の問題として、内外金利差の問題があります。先ほどユーザンスでちょっと触れましたけれども、日本の金利が非常に高い。外国の金利は安い。もっとも、これは、そう頭の中で常識のようになっておりますけれども、たとえば日銀の公定割引歩合が今七分三厘であります。イギリスの英蘭銀行の公定割引歩合が五分であります。その間二分三厘の開きがあって、非常に開きがあるようでありますけれども、実際の市中の金利差というものは、せいぜい一分程度、あるいは一分半というようなことになっておりますので、実際の金利はそれほど違ってはいない。これは別に銀行が金利を下げることをいやがってそういう材料に使うわけではないので、実際から見ますと、世間でいわれたほどひどい金利差があるとは考えられませんけれども、いずれにしても為替・貿易の自由化によって日本の金利を少しでも下げて、そうして日本のコストを安くして、世界競争に打って出るということでありますから——もちろん日本はまだ資本が不足しておりますし、企業はほとんど借入金によってまかなっている状態でありますから、何といっても金利が高いということは、これは争えません。従って、英米並みに下げるということは不可能でありますけれども、少しでも今の金利差を縮めることによって、国際場裏に有利に活動できるということが必要なので、内外金利差の接近ということは、為替貿易、ことに為替の自由化によって、これはてきめんにいろんな問題から起こってくるだろうと思います。従って、この問題が将来どういうふうに運ぶかということが一つの問題かと思います。  それから、第六の問題は、少し具体的になりますけれども、外国銀行の活動が今後非常に活発になるだろうという問題で、これは外国銀行の活動が活発になるということはむしろいいことであって、別に日本としてこれをチェックする必要はないのでありますけれども、ただそれを日本の金融政策あるいは為替政策に適応して協調的にやってもらうということが必要なのではないか。もちろん外国銀行かそういう変なあばれ方をするということば考えませんけれども、いい面のみならず、そういうもしも外国銀行が協調の線からはずれて活動するということがあると、かえって為替界をディスターブするというようなことも考えられますので、問題としてはウェートは小さいと思いますけれども、一応問題の一つとしてあげたわけでございます。  それから、これに関連して第七の問題としては、日本の為替銀行の秩序と、それからそれぞれの機能を生かすということが、どうしても今後必要になってくるだろうと思います。為替の自由化をやり貿易の自由化をやっても、それを担当すべきところの貿易商社あるいは為替銀行が弱体であれば、これは効果が薄いのでありまして、従って、貿易自由化、為替自由化の裏には、これをやる貿易商社の強化であるとか、為替銀行の強化というものがぜひ必要になってくると思います。従って、商社の持ち高集中なども、これは商社の力をつけるという意味の一つの施策なのでありまして、それと同じように、従来為替銀行もたくさんありますけれども、外国の為替銀行に比べては、まだまだ非常に弱体なのでありまして、為替銀行の中にも為替専門の銀行もあるし、興銀もあるし、日銀もあるし、非常に数は多いのでありますが、これをそれぞれの分野に応じて上手に強化していく、そして、この間に為替界でも非常に競争がひどいのでありますけれども、その競争に秩序を与えるということが、今後為替銀行の機能を発揮する上に非常に大切ではないかと思いますので、これを一つの問題としてあげた次第でございます。  それから、第八には、外貨の効率的な使用、これは為替銀行の強化と関連いたしまして、円資金と外貨資金の今までは壁ができていたような感じでありますけれども、今後は円資金と外貨資金との交流が従来よりもずっと容易になりますので、従って、必ずしも貿易金融を従来のように円金融だけにたよる必要はない。外貨金融によってこれを効率的にやるということが、今後は従来よりも一そう楽になります。従って、さっきちょっとお話ししましたように、金利の上からいっても、外貨資金を使うということの方が有利になるわけでありますから、外貨と円貨を使うセレクションということによって、貿易金融の効率化をはかり得る、こういうわけであります。従って、その反面としては、日本の持っている外貨を有効に使うように、これが今後非常に大切な問題になってくるかと思います。抽象的な言い方でありまけれども、為替の自由化によって円資金をある程度セーブして外貨資金を使える、そうして外貨資金をさらに大事にし、かつ効果的に使うということがいよいよ大切なってくる、こういうふうに考えます。それに関連いたしまして、いわゆる従来の貿易金融の制度というものも相当変わらざるを得なくなってくる。従来は外貨を使わないで、しかも国際慣行に従って商売をしなければならぬというような場合においては、日銀の貿易の優遇措置、割当額でありますとか輸入貿手でありますとか、そういうことがあったのでありますけれども、これが外貨金融によってまかなわれるということになると、この優遇措置も、従来のままでなくして、相当の変更を加えるということが必然的に起こってくるのじゃないか、こういうふうに考えられますので、今後のいわゆる為替の自由化に関連しての貿易金融のあり方というものが非常に問題になってくる、こういうふうに考えられます。  いろいろ問題を羅列して参りまして、一つの項目ごとの御説明が、時間がございませんので、はなはだ意を尽くさないで、おわかりにくい点もあるかと思いますけれども、ちょっと考えてみましても、為替の自由化によってそういうようないろいろな問題が派生して参りますので、これを一つあらゆる角度から十分に検討しなければならぬというふうに思っております。ことに商社の持ち高集中が今行なわれて、これに対して——ちょっとこれは例でありますけれども、いろいろな問題が為替金融に関連して派生するわけであります。従って、一つの制度というものが方々に関連して参ります。たとえば商社が持ち高集中をやる。これは商社が輸出する金を外貨預金のような形で銀行へ置いておくわけであります。そうして商社が輸入して外貨で金を払わなければならないというときに、そこに置いている金でそのまま商社が払ってしまう、こういう制度で、これによっていわゆる輸出入のマリ、つまり結婚でありますね。輸出と輸入をぱっとそこで結婚させる。これで銀行へかけ込んで手数料をとられたり、相場上の、輸出の相場と輸入の相場とのいろいろな違い、そういう問題でいろいろなコストがかかることをセーブする。商社としては非常にいいのでありますけれども、問題はこの持ち高集中がはたしてどの程度実行できるか。たとえば輸出はしょっちゅうしますから、外貨はしょっちゅう外貨勘定としてたまるわけです。ところが、輸入は輸出とマッチしてしょっちゅうあるわけではないので、あるときにごそっとくる、そのときにはたして完全にマリできるかという問題も起こりますし、それから、商社としては、ばらばらに散らばっている外貨を、どうやって一つところにまとめるかという問題も起こります。それから、そこに輸出のかわりに金だけではなくほかの外貨を入れる、つまりマリしたいためにほかの外貨が混入することはないか、あるいは全然違う性質の金が入ってくることをどうやってチェックするかというような、いろいろな問題が起こりますと、単に商社の力をつけるために商社にマリの能力を与えるというだけでなく、これに関連する為替銀行の問題にもなってきますし、それからホット・マネーをどうやってチェックするかというような問題にもなってくるわけなんでありまして、従って、為替の自由化による一つの措置というものは、この一つだけで済まないので、非常に関連するところが大きい、こういうふうに見て参っている次第でございます。  はなはだ急ぎまして、粗雑な説明でおわかりにくい点もあるかと存じますが、一応陳述はこのくらいにさしていただきまして、あと御質問でもございましたら、お答えすることにいたしたいと思います。     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 続いて質疑に入ります。  御質疑はございませんか。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 参考人にお伺いいたします。  為替自由化に伴う問題として、八点ほどの問題につきましての御開陳がございました。第一点の円価値維持のことでございますが、根本的な問題といたしまして、円の価値維持を行なうために、たとえばドイツ等におきましては、財政が金融をあまり押さえ遇ぎてはいけないということで、むしろ財政と金融を別に分けていくという思想があります。一方におきましては、ケインズあたりの言うているように、財政と金融は一体たるべし、こういう議論があります。そこで、日本の円価値維持につきまして、日本銀行法の改正等をめぐって、私は、今申し上げましたケインズ的な立場が推進さるべきか、あるいは西独のウィルヘルム・フォッケのような、財政と金融とはおのおの職分、使命が違うのだという分離論的な立場が推進さるべきか、この点につきましての御所見をまずお伺いしたいと思います。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 非常に大問題であります。私は、日本の現状では財政と金融がそう分離し得ないのではないか、また、ドイツの例もございますけれども、円の価値維持という点では、これは私見でございますけれども、金融、財政はやはり緊密に一体化しないといかぬようにも日本の場合は感ぜられます。まあ円の価値維持はそれだけの問題ではございませんで、制度としては、日本銀行法改正というのは私はよくわかりませんけれども、いわゆる円の価値で一つの問題は、円資金の統制と外貨資金の統制、これが一元化すべきものであるか、しないでいいのかということもありますけれども、これは、非常に詰めて申しますと、外貨資金、円資金一体として統制しないといかぬという考えよりも、外貨資金というものはやはり換言すれば円資金なんでありますから、非常に簡単に言えば、円資金をちゃんと見ていれば、外貨資金もおのずから統制できるのではないかという意見もあるわけであります。それは抽象論でありますから、いずれともわかりませんですけれども、あまりはっきりと金融と財政の分離というものを割り切って行なえるという現状かどうかという点は、ちょっと疑問のように私は思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 あまり大上段の質問の仕方で申しわけなかったのですが、具体的事例について言いますれば、金融操作として公定歩合を逐次変えますね。そういう場合に、中央銀行、日本における日本銀行の総裁があまり政府の顔色ばかりうかがってやっていくことがいいか、私どもが伺っておりますのには、英蘭銀行の総裁は、今度公定歩合を何厘引き上げたということをただ結果としてあとから報告する程度で、初めからそれほど政府の制約を受けないというふうに聞いておりますが、その辺のところはどうですか。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 ちょっと専門が違いますので、はなはだあれでございますけれども、現実の面で、日本ほど公定歩合を引き下げたらいいか引き上げたらいいかということを、一々当事者である日本銀行のみでなく、世間で非常に騒いで、そして話題になる国はあまりないわけであります。イギリス人などもぱっとやるわけであります、それが漏れたとか漏れないということが問題になるような国でありますから、従って、一見英蘭銀行は非常に独自の立場で、自己の金融政策を行なう上で、突如として公定歩合を上げるということが表面上は考えられるのですけれども、実際上はどうなんですか、やはり相当政府と相談して、政府の金融政策を考えながらやっているのではないか。ランドール委員会ですか、あれの傾向なども確かにそうなんです。あれの傾向からしますれば、従来あれに似た内部の話し合いはあるのではないか。その点で、日本銀行の場合でも、これは日本銀行のやることなんで、日本銀行として独自の立場でやればいいのですけれども、その事前に政府とのあれは相当やるのじゃないか、ただ、それが外へ漏れるかどうかという問題は別じゃないかと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 次にお伺いしたいのは、先ほどのお話の中に、ドルと日本円との比較につきまして、現在の三百六十円が妥当ではなく、むしろ二百二十円がレートして妥当ではないかというふうなお考えが述べられました。ところが、重化学工業のうちの自動車などを例に取り上げてみますと、この場合には円の購買力の方が弱いように思えます。あなたのおっしゃったのは、全体的に平均してそのことをおっしゃっているのか。円の実勢はもっと強いものであるという根拠が、少なくとも自動車の例について見ますれば逆のように私は思いますが、この辺はいかがでしょう。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 おっしゃいますように、個々の商品の比価をとりますと、いろいろなケースがございまして、ある点では五百円の場合もあるし、ある点では二百円、アメリカあたり旅行される方は、一ドル百円か一ドル二百円くらいの感じだということをよくおっしゃいます。たとえば床屋に行きましてもいかにも高い。ドルと円とを比較しますときには、概してサービス部門の入っているものが多いほど、二百円だとか百五十円だとかいう感じを受けるわけであります。朝飯を食べましても一ドル近くかかる。そうすると、日本の朝飯と比べて、普通のあの程度の朝飯ならば、日本のホテルは高うございますから相当かかりますけれども、一般からしては一ドルなどはとてもかからぬ。二百円くらいのような感じを受ける。そういう点で、個々の商品と比べて、概してサービス部門が非常にウエートの大きいものは、円の価値が非常に高いような感じを受ける。それから、マス・プロダクションで生産されるもの、今御指示になりました自動車であるとか安全かみそりの刃、そういうマス・プロに乗っているものは、むしろ円の価値は三百六十円よりももっと安い三百八十円か四百円とかというようなことになるので、先ほど申し上げましたのは、大きな平均をしまして、購買力比価であるとか、生計費比価とか、実質賃金比価ということから見ますと、平均点を見ると、やはり円は三百六十円よりもはるかに実勢は高い。やみのレートは、たとえば今香港では三百八十何円だろうと思います。三百六十円よりも高いのでありますけれども、これはノートの交換のレートでありまして、これはそのときの需要供給でありますから、一般的の問題としてはどうか。アメリカのニューヨークあたりにいきまして、円を持っていく——というのはあれでございますけれども、円をかえてくれるレートが大体四百円くらい、しかしながら、これもドルが足りなくてあわてて円をかえるのですから、円安のレートが出るのはあたりまえなんです。外国銀行が円で送金を海外に依頼されたときのいわゆる送金レートというのがあるわけですが、これは、大体今の三百六十円の、基準とするところのいわゆる送金のレートよりもちょっと悪いという程度かと思います。そういう個々の問題のレートは概して三百六十円よりも四百円に近いというのが実態でありますけれども、全体の総合した平均点から見れば、大体三百六十円とか、そういうもっと三百円に近い数字が出てくるわけです。ですから、もしも今の日本で三百六十円そのままのレートで為替・貿易の自由化をするということになりますと、日本としては、これはまた全体の問題でありますけれども、輸出には非常に有利になる、輸入には不利のレートということになりますから、日本経済は、デフレ的傾向ではなくして、むしろ国際収支面では非常にいい傾向になる。三百六十円のままでスタートするということは、国際収支上はいい原因になるかと思います。

山本勝市自由民主党

○山本(勝)委員 ちょっと関連して。  今おっしゃった点ですが、日本の円が強いか弱いか、強いから、もしこのレートで自由化したら結果はどうなるというお話がありましたが、その点に、こういう点は考える必要はありませんか。先ほどおっしゃるように、サービスを買う場合と、それからマス・プロの品物を買う場合ということでおっしゃいましたが、結局、私がふだん考えているのは、国際的な商品、つまり貿易に乗る商品と、そうでない、貿易に乗らない商品とがある。たとえば旅行者が来て帝国ホテルで散髪する場合、散髪屋の一つのサービスというものは、これはやはり外貨をかせぐのですから、結局貿易と同じような働きはしますけれども、国際的な商品として持っていくわけにはいかない、こういう関係になると思います。それで、同じようなサービスでも、たとえば映画となりますと、映画でサービスというものは、スクリーンの上に載せて、そして荷作りをして国際商品として送ることができる。ラジオとかテレビというものも、そういう一つのサービスは、やはりああいう形で国際的にいくわけです。これは貿易品というわけにはいきませんけれども、はっきりしているのは、スクリーンの上に載せて一つの劇を向こうへ送る。劇そのものではありませんけれども、多少美術的価値は減るかもしれませんけれども、送ることができる。だから、床屋のサービスというようなものと、芝居のサービスというようなものとは、国際貿易の関係からいえば、非常に意味が違うのではないか。ですから、貨幣価値をその国内だけで日本へ来た旅行者がそこで使い得る場合の評価と、それから貿易品として輸出輸入にそれが動き得る場合とでは違うのではないかということを、ふだん考えておるものですから、そこで強い、弱いというときに、直ちにレートが貿易に影響する、品物の国際的な動きに影響するものと、動きには影響しないものではなかった価値というものとは、区別する必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、これについてのお考えを承りたいと思います。  ちょっと説明が十分でないと思いますが、私は立ったついでにその根拠で伺いたい点を申しますと、結局、三百六十円という為替レートを自由化した場合に、為替相場が立って日々動いていく面があって、それにもかかわらず、やはり一種のレートはきめるのだろうと思いますが、その点はよく考えなければならぬ。そこで、為替レートと国内物価、アメリカにおける物価、日本における国内物価、つまり国内商品及び国内のサービスではなかった通貨価値、アメリカのドルがアメリカにおける物とサービスというものとの関係の購買力という意味の貨幣価値と、それからドルと円との間の為替相場、対外的な一つの価値、同じ通貨価値でも対内的なものと対外的な関係で、結局は、最後に為替レートを決するものは、そこにおける対内的な通貨価値ではないか。これのお考えを承りたいのです。そこで、物価水準というものを維持すること、高くしないということが貿易に大きな影響を持ってくる。ところが、その物価水準をインフレもデフレもやらないで安定させた場合には、この為替レートは三百六十円なら三百六十円ときめる。一応きめた為替レートは、これは始終変えていかなければならぬのじゃないか、ここが伺いたいのです。国内物価水準、言いかえてみると、日本の円の対内価値を安定したときは、日本の方は安定したが、向こうも安定してくれれば、これは動かす必要はありません。外国もそれぞれの国の対内価値が安定している、こっちも安定しているということになれば、これはレートを動かす必要はありませんけれども、こちらは安定しておる、向こうが安定しないというときには、為替レートは始終動いていくものだし、動かなければならぬのじゃないか、こういう点が先ほどの問題にも関連するのですけれども、途中で恐縮ですが、ちょっと伺いたい。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 先ほど自動車のレートのお話が出ましたので、個々のかみそりとか朝飯とかいうことを申し上げたけれども、そういう個々の商品比価は実は為替相場とは関係ない。また、その個々の商品比価を言って、そうして為替が高いとか安いとかいうのは、これは誤りだ。前に日本は終戦後しばらくの間いわゆる個別相場であったわけです。そうして三百六十円の基準相場かできましたときに一本相場になったわけで、この一本相場ですべての商品を律するわけです。従って、その一本相場三百六十円で合わなければ輸出の能力がなくなる、合えば大いに輸出が増進する、こういうことになる。これは申し上げるまでもないのでございますけれども、今のお話のように、たとえばこっちの経済は物価水準も安定しておる、向こうは動揺しておる、そういうときに、為替相場は日本では安定していてはいけない、三百六十円ではいけないので、しょっちゅう変わらなければならぬのではないかというようなお話でございますけれども、それは一国のいわゆる為替相場——今国際通貨基金に入っておりますと、いわゆる一定のパー・バリューの金ドル価値と円というものは結びついている。この基準レートというものは、経済が動きましても変えないわけです。これがよほど日本の経済が転落する、そういうことが起こりますと、これはいわゆる国際通貨基金による基礎的な為替の不均衡になりますから、これは為替を切り下げるとか、基準相場を切り下げるとか、あるいはその逆なら切り上げるということが起こりますけれども、その基準相場というものはちょっとやそっとでは変えない。そのかわり、為替には、先ほどお話ししましたように、上下の幅がありまして、その幅の間で買い取り、支払いの為替の相場が動くわけです。その幅の中で、たとえばポンドでありましても、輸出期と輸入期とでは、非常に高いときと安いときとがある。そういうふうに、一国経済の多少の動向はその幅の中に現われるわけです。その基準相場というものは一向変わらずに、幅の中で両国経済の調節をしていく。これが一種の為替の自動調節作用になる。ですから、その調節も、気がなくなって、たとえば日本の円が落ちついたものとして、そういう状態がずっと長く続けば、基準相場そのものが悪いのだから、基準相場を変えなければならぬということになりますけれども、今のお話のように、その日その日、あるいはそのときそのときの両国の経済の状態が、そういう為替の売買相場の中に吸収され、それで一応は進んでいく、こういうことになるのじゃないかと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 先ほどのお話にありました外銀の問題でありますが、予想し得る非協調的な活動とはどういうことですか。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 非協調を予想しておるわけではないのでありますけれども、今後為替の自由化になりますと、強力な為替銀行、ことに外銀が従来よりもポジションはよくなっていく。これは、先ほどお話しいたしましたように、日本としては非常に助かるわけであります。日本であまりはでに活動されても、また困る面もあるのじゃないか、そういう意味で申し上げたので、外国為替銀行が非協調的であるということは全然考えておりませんし、またそうではないと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 もう一点だけお伺いします。  為替制限を解除していく順序がございますね。争えない点は非居住者の経営勘定の解除、これはまっ先にくると思います。それから居住者の資本の勘定、これが一番しまいであろうと思う。そこで、あとまん中にはさまりました二つがあるわけです。つまり、非居住者の資本勘定の解除と、それから居住者の経営勘定の解除、この二つは大体においてどっちか先になるのですか。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 これは国によっても非常に違うのでありまして、ちょっと見ましても、たとえばベルギーは、居住者の経営勘定は自由化していないけれども、非居住者の資本勘定は自由化しておる。これはベルギーのみならず、オランダ、フランス、それからオーストリア、こういう国がそうなのであります。現実はそういうことになっておりますけれども、たとえばIMFなんかの一つの見方からしますれば、むしろまず経営勘定の自由化をやって、次に資本勘定に移る。これが順序だろうと思います。日本の場合は一体どっちが先だろうか、先にすべきかということになってくると、日本は非常に自由化がおくれておりましたので、まず非居住者の経営勘定の自由化ということ、これを固めて、非居住者の経営勘定、貿易外も固めて、それから今度は、いわゆる居住者の資本勘定の方に移っていくのじゃないかという感じはいたします。従って、居住者の問題は向こうがあとになる。現実どうなるかまだ先のことでよくわかりませんが、そういう感じだけはいたします。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 その点がお聞きしたかったわけです。IMFでは、経営取引に関する為替制限は行なってはならない、これが主要テーマというか、一番本則になっておるわけですね。資本取引につきましてむしろ必要な管理は実施することができる、というようにうたっておるわけです。そういう点からいきますと、経営取引が為替の制限を解除する上において先行すべきである。資本取引の方はIMF自身が規制していないのだから、日本の国民経済的な——これは別にアウタルキー的な意味で申し上げているのではありませんけれども、国民経済的な立場から、資本取引の方につきましては野放しにこっちから自由化していかなければならぬという筋ではないので、IMF的尺度と観点から見ますれば、非居住者の資本勘定の自由化の方があとになってもよいという感じがするのです。ところがそうでなしに、どっちかといいますと、居住者の経営勘定の自由化よりも、非居住者の資本勘定の自由化の方が日本においてはどうも強調され過ぎているような気がしますので、その点につきましてのお考えを聞きたかったのです。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 全くおっしゃる通りに、私も経営勘定の自由化が先だと思うのであります。ただ、現実騒がれている面を見ますと、むしろ資本勘定が非常に問題になっておりまして、これを全然放任しておくわけにもいかぬから、資本勘定の自由化というほどになるかどうかわかりませんけれども、次に資本勘定の自由化が手のつけられるべき問題ではないか、そういう感じがしますので、考え方としましては、今おっしゃいましたように、やはり資本勘定の万をあと回しにするのが順序だと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 私はもうよろしゅうございます。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 横山委員。

横山利秋日本社会党

○横山委員 時間がございませんから、一つだけ限定してお伺いをしたいのです。  先ほど、金利について、海外に比べて日本は、実際はそう違いないけれども、確かに国内金利が高い、これが自由化によって影響を受けるから、金利を下げていかなければなるまいというところまで伺ったのですが、その具体的な方法、テンポについて実はお伺いしたいのです。それと申しますのは、この委員会で先般も大蔵大臣に——今金利は国外へ出れば出るほど安くなり、ちまたへ入れば入るほど高くなる。たとえば、中小企業の皆さんが市中でお金を借りますと、歩積み料だって二割以上だということになっている。中小企業に対する国民金融公庫なんかが九分三厘であり、大企業は六分五厘である。さらに、港を一つ隔てれば、船を作るについて、国内船なら六分で、外国船だと四分。さらに海外へずっと行けばもっと安くなる。こういうような状況は驚くべきことではなかろうか。それを、今度海外から低金利のものがくると、あなたの言うように確かに今日の高金利を是正していかなければならぬが、その方法並びにそのスケジュールはどういうものが適当であろうかというのが、私の質問の一つであります。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 これも非常に大問題でありまして、なかなか私としては意見か急に申し上げられないのですけれども、大体今お話しのように、中小企業の金利が高いということは、これはもうもちろん常識みたいになっております。これは、一つは国内の中小企業関係の金融機構をもう少し整備することによって、やはり多少は調整できるかというふうに思いますけれども、何としても国際金利と国内金利の差がどういうところから現われてくるかというと、現実の面としては、まず貿易制度で、たとえばユーザンス品目の改正とか、それによって貿手の方が少なくなるとか、自由円勘定が開いて、その自由円勘定の金利を一体どうするか、そういう面、それから、外貨を利用する度合いが多くなれば、従って外貨の金利が商品価値にはね返る度合いが多くなって参る。それによって輸出、輸入、それからそれに伴う輸出の金利のウェートが下がる、こういうわけで、内外金利差というものが自然々々に縮まってくる。これが傾向で、こういう段階でこういうふうに縮めるということではなくして、こういう貿易の自由化、為替の自由化によって、おのずから採算面で日本において安い金利が出てくる、そういうことでそれが日本のほかの金利を引きずって下げるという、こういう段階、手順になるんだというふうに思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 参考人のおっしゃることはやや客観的な御答弁でございます。あなたが金融機関にいらっしゃって、そうして低金利の金が外国からやってくるという場合に、それに対抗して低金利に国内の金利もしなければならぬとしたら、確かに自然にそうなるとばかりもいきますまいと私は思うのです。そういう点について、金融機関としてはいかにあるべきか、また金融機関として政治に要望なさるべき点はどういうところにあるかということが、私の疑問であったわけです。  それから、ほかっておけば自然に何とかなるということ以外に、ほかっておけば逆に私の言うこの矛盾は拡大しやしないかという気がするわけです。それは本委員会で今問題になっておりまして、ソビエトが二分か二分五厘の低金利でインドネシアなどに貸そうとしておる。中国もそうだと思う。その金利に対抗して第二世銀もいかなければならぬ。それから国際開発協会も日本独自としてやる。そうしたら、今までの低金利の金をアジア諸国に供給することが問題になって出てくるわけです。そうだとすれば、ほかっておいたら、さや寄せしてくるのと、もう一つ別に、われわれの力でもっと金利が国内と国外と拡大する面も出てくるのじゃなかろうかという感じがするわけであります。ですから、その辺の腹蔵のない御意見を一つ伺いたいと思います。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 ほかっておいて金利が両方自然になる。——それは貿易為替関係から当然そういうふうになると思います。今お話しのような面は、また別の面として、一つは日本の金融機関の経営の問題にも率直に言いましてなるんじゃないか。こういうふうに為替が自由化し貿易が自由化しますと、従来のような一つの一定のマージンを堅持して、そしてそれを先取りと言ってはあれですが、それを先にきめて、そうして一般の金融をするという金融機関の態度ではなくして、もう少し金融機関の公共性によって、そうして金の出し方、金融機関自体の利益、マージンというよりも、そっちの方にウエートを置くことにすれば、あるいは銀行の金利ももっと下がるのではないか。もっとも今の日本の金利体系というものは非常に乱れておりますので、金利体系をもう少し是正する。たとえばコールの金利、輸銀の金利、それに伴う貸し出しの金利、それから長期金利、短期金利、これが非常に不合理に——これは金融経済の変則のなごりでありますけれども、これが不合理になっておりまして、それから一方は、大企業は安い金利を享受しておるけれども、かえって軽減せらるべき小企業が高い金利コストの負担をしている。そういうものも従来の金融変則のなごりとしてありますから、この際、内外金利差の問題は、そのうらはらとしては、当然日本の国内の金利水準、同時に金利体系是正ということを促進されるものだとは思いますが、具体的にどこをどうやるということは、まだちょっと私も考えが浮かびませんけれども、考え方としてはそういうふうになるのじゃないか、はなはだ抽象的なことでございますが、そういうふうに存じます。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 石村英雄君。

石村英雄日本社会党

○石村委員 ごく簡単に一、二点お尋ねします。  先ほど平岡君や山本さんからも触れられたことですが、日本のレートが、実勢ではあるいは二百六十円、あるいは三百二十円というのが、三百六十円にきめられておるということは、結局日本の商品を大まかに見てそれだけ外国に対して安売りしておるということになるのじゃないですか。場合によれば百円あるいは四十円の、いわば一種の輸出奨励金が為替レートの関係でつけられておるのではないか、こう考えるのですが、そうなると、そのような輸出奨励が為替レートによって行なわれていながらも、なおその上輸出奨励の何らかの方法を今後とらなければならぬとすれば、どんなことが考えられるか。一括的に二百六十円でいいものを三百六十円で売っていることは、もうそれだけで輸出奨励は十分じゃないか。個々の商品についてのあるいは問題はあるかもしれませんが、相対的に見れば大へんな輸出奨励が行なわれている、こういうことになるのじゃないか、こう考えるのです。それでもなおかつ輸出奨励を日本の国際収支の上でやっていかなければならぬというのならば、これはどんなことが考えられるか、どんなことをしなければならないかということになるのですが、これを、お尋ねしたい。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 輸出奨励をしなければならないと申し上げましたことは、輸出奨励のいろいろな助成策を、具体的に補助金みたいなことをやるということを申し上げたのではないのです。そういうことはまた禁じられて、外国でもうるさいことです。今お話しのように三百六十円でやれば、それで非常に奨励になっておるじゃないか、もうそのほかには要らぬということをおっしゃいますけれども、三百六十円のレートは輸出にはなるほど今の実勢では有利な相場と思いますが、それが輸出奨励というほどの激しい相場とは考えません。それからまた、輸出は、どうしても日本としては、ことに十年間に輸出を倍にしなければならぬというような要請がある以上、輸出を相当しなければならぬので、輸出奨励という点では、輸出を伸ばすいろいろな手、たとえば今は貿易のパターンが変わっております。たとえばただものを売るだけでは済まなくなっております。これは延べ払いであるとか、それから長期のプラントを輸出しておいて、それにいろいろな部品、製品を売るとか、いろいろな貿易の形の変化にマッチした輸出奨励がはたしてできるかどうか。ドイツのようなのはその点が非常に進んでいるのじゃないか。そういう輸出の今後のやり方について、もう少し助成する必要がある。それから、御承知のように、売ろうと思っても、向こうが買わなければ売れませんから、他国の輸入制限のいろいろの手ですね。相当勝手な言い分も向こうはあるので、こういう点を、もう少し経済外交の強化とかそういうものによって、あるいは向こうとよく話し合っていく。日本の貿易は今後話し合いによってもっとふやし得る余地が確かにあると思うのです。  それからもう一つは、日本の貿易というものは、あるものを売ろうと思えば、みな一つところを集中的に、時間的にわっといく、そこでストップを食うということもあります。ニューヨークだけに商社が集まって、同じような商品を分け合っているということもありますので、たとえばアメリカという大きな国に、これは各州が一つの国であるくらいなつもりで、もっと念入りにこまかく輸出商品を探すということになれば、もっと輸出も伸びるのじゃないか。それの手を、たとえばジェトロであるとかいろいろありますけれども、もっと現実に強化する。ドイツの商務官などは各地に駐在しておりまして、こういう点を非常にみっちり現実的に勉強して、そして本国と連絡しておる。ドイツの商務官は、ワシントンへ来て輸出入銀行その他の商品の受注、入札というものをウォッチして、それをいち早く本国に電報して、すぐドイツ人が商売に乗るようになっておる。そういうこまかい手が日本ではまだ非常に不足しております。こういういろいろな現実のこまかい手を打って輸出を奨励するということは、ぜひ必要なのじゃないか。ただレートが輸出に有利であるからというので、ほっておくだけでは足りないのじゃないか、こう思います。

石村英雄日本社会党

○石村委員 お話の意味はよくわかりましたが、ところで、自由化するということになると、日本が自由化をする場合の前提条件は、やはり国際収支が安定していることが一つの条件であると思います。ところが、従来の日本の国際収支の状況というものは、非常に不安定です。また、今のレートの関係から申しましても、輸出には有利だが、同時に輸入には不利だということになるわけですが、日本のように輸入依存度の高い国で、こういう状況でそのまま進むと、必要があればどんどん割高に買わなければならぬということになる。そうなると、結局、この前のように、輸入価格の関係で非常に国際収支は悪くなるということが、これは国内経済の発展の度合いにもよると思いますが、場合によれば急激に起こる危険性かないとも言えない。この意味では、非常に日本の国際収支というものは、為替レートの現状から考えても、不安定だということがいわれるのではないかと思います。これはどうでしょうか。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 確かにおっしゃるような面は出てくるかと思いますけれども、全体としてはそう御心配もないのではないか。ということは、国際収支は、今後貿易が自由化いたしますと、短期的には振幅は相当大きく動くのではないか。しかし、長期的には——大体貿易為替の自由化の眼目は、安いものを入れて、商社の問屋的機能はずっとふえる。ですから、今まではいろいろな割当であるとか外貨予算の関係で、外国から高いものを買わされていたのが、今後自由化にいたしまして、完全な自由化が相当進めば、その間の過渡期の問題はありますけれども、世界どこからでも好きなときに安いのが買える。従って輸入物価はもっと安くなる。従って、国内物価も、輸出も、それがぐるっと回っていって安くなる。それによって一般の物価も下がっていく。これか自由化の一つの大きなねらいなのでありますが、そのねらいがその通りいく限りは、国際収支の時期的の多少の振幅の過大ということは起こると思いますけれども、全体的の面で、たとえば財政インフレが起こるとか、そういうほかの総合企画さえ間違わなければ、そう国際収支の点はあまり大きな御心配をなさるほどのこともないのではないかというふうに、割合私は楽観しています。

石村英雄日本社会党

○石村委員 災害は忘れたころにくる。三十二年の危機は忘れたころにまたくるのではないか。それは確かに貿易か自由化されれば、今までのような窮屈な輸入ではありませんから、買付をするにも安いところから買えるという便利もあると思いますが、その問題は将来の問題で、八卦見のようなことですから、何とも申し上げられません。  そこで、もう一つお尋ねしたいことは、ホット・マネーの動きが非常に心配されることになると思います。ホット・マネーと言っては変ですが、そういうものの入る場所ですね。そういう短期的な資金の流入というものは、どういう方面におもに入り、どういう方面にまっ先に影響が現われると考えられるか、その点を伺いたい。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 ホット・マネーと申しますけれども、戦前はホット・マネーが非常に大量に群れをなして、為替相場のちょっとした差でさや取りをやるために、世界中をかけめぐって歩いて、だんだん大きくなっていく。ちょうどスズメか何かの群れのようにいくということもあったのでございますが、今は、先刻申し上げましたように、各国とも為替が自由化しているといってもたかが知れていて、そういうホット・マネーが大きく動く余地というものはあまりないのじゃないか。世界的にホット・マネーなるものの量か比べものにならないくらいに少ない。それから、現実にその少ないホット・マネーがどういう形でやってくるかということになりますと、やはり為替の面では、為替相場のさや取りから起こるということがありますけれども、これも銀行のポジションその他のものをちゃんとウオッチしていれば、銀行がホット・マネーを操作して、あるいは投機的の為替資金の操作をするということは、ほとんど今では考えられない。従って、そういうおそれのある金としましては、まあ私の感じでは、やはり資本勘定をあまり自由化すると、株であるとかそういう点に相当入ってくるおそれがなきにしもあらず。ことにホット・マネーとかそういうことを言いますと、とかくアメリカばかり頭に浮かぶのでありますが、それはあまり心配はないのじゃないか。アメリカは、今盛んに、共同市場であるとか、そういうところへ投資しておりますけれども、これはもちろん、アメリカの企業の自己防衛的の採算の面からいって、正当な企業拡充の経営の問題からきているもので、決して投機的のホット・マネーを共同市場に出しているというわけではない。ところが、アメリカは、今度共同市場の次にはやはり日本というものを相当目標にしているように感じますけれども、それもいわゆる投機的の、さや取り的のホット・マネーというのではなくして、日本の企業と提携しようという面からきているのだと思いますが、それは大して心配は要らないのじゃないか。むしろホット・マネーで多少心配なのは第三国人の動きです。従来もあれだけ厳重な為替管理があるにかかわらずやられていたわけですから、たとえば香港とか、そういう面で相当株式の投資などが行なわれると、これはちょっと問題じゃないかという感じがいたします。今のところはまだはっきりわかりませんけれども、そういうところに多少のホット・マネー的のものが入り込んで、多少のディスターブを起こすのじゃないかという気がします。これもどの程度やりますか、現実になってみないとわかりませんけれども、そういうおそれはあると思います。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 今石村さんもちょっとお触れになったのですが、神野さんは国際収支は心配がないとおっしゃっていられる。実は最近の傾向を見ると、貿易はちょっと伸びてきましたけれども、貿易外支払いは、三十三年は五億三千百万ドル、三十四年は七億一千万ドルというふうに非常にふえておる。特需の方を見ると、三十三年は四億八千二百万ドル、三十四年は四億七千百万ドルと、これは下がってきておる。要するに、貿易外の要素というものは、どうも最近の傾向は、必ずしも外貨がふえる方向にいかなくて、減る方向にいきつつあるという客観的な情勢が一つある。特に特需は、やはり世界的な軍縮というような格好の問題の中では、好むと好まざるとにかかわらず、減る方向にいくのじゃないか。貿易外支払いの方は逆に今度はふえる傾向にある。いろいろなロイアリティの問題などもふえて参りましょうから、ふえる方向にいく。そうすると、こういう状態を埋め合わすためには、輸出がこれをカバーするだけふえていかなければ、どうしても国際収支は維持できない。私は実はこの前大蔵大臣や経済企画庁長官に質問したのですが、経済企画庁は本年度一億五千万ドルの黒字を見込んでおりますけれども、私は、とんとんでいい方じゃないか、まごまごすると赤字じゃないかということを申し上げたのであります。最近のアメリカの状態を見ますと、アメリカも今度は非常に真剣に輸出の問題に取り組んできて、商務省あたりも根本的な対策を立てる考え方に転換をしてきた。そして輸出増進ということが問題になっております。世界経済のこれまでのような動き方、日本経済のこれまでのような動き方の中で、今貿易・為替の自由化という議論がされているのであって、もしこの基調がずっと変わってくるということになるならば、必ずしも今のような論議のペースで問題を論議していくわけにはいかないような時点がくるのではないか。これも実は大へん先のことで、なんですが、不安を持っているわけです。それで、こちらの方で為替自由化を逆戻りさせるようなことがあると国際信用を失うから、非常に慎重にしなければならぬ問題がある、こういうことなのでありますが、そういう経過の中で、実は当初予期したいろいろな見通しが相当に変化をしてきた。ニューヨークの株式を見ても、ちょっと予想をされざる状態に今動きつつあるというようなことを感じておりますが、やはり世界的な問題として欧州共同市場は非常に調子がいい。しかしアメリカはどうもうまくない。そこで、日本のようにアメリカ経済との結びつきが強いところでは、どうしても強い影響を受けるということになると、今考えられておるピッチをはたしてこのままでやっていけるかどうか。逆戻りさせないということになると、もっとスロー・ダウンさせなければならぬということが起きてくるのではないかと思いますが、そこの関連についてちょっとお伺いしたいと思います。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 今お話がありましたように、世界経済が、先のことはよくわかりませんが、現在のところ大体貿易も五、六%ずつ拡大を続けていくだろう、世界各国とも自由化をやっていきまして、自由化というものは貿易拡大の方向に持っていくだろう、そういういろんな観点から、ここ当分は世界経済は拡大になるだろう。世界経済か拡大になれば、日本のシェアもそう変わらない限り、日本の貿易も拡大するだろう。この程度の予測のほかはないかと思うのであります。世界がまた大きな不況になって、世界の貿易も現実千億を割るというような状態になってくると、これは輸出も相当考えなければならぬかと思います。これは今後も経済一般的の問題でございまして、はなはだ抽象的になるのでありますけれども、だいぶ景気の下降を食いとめるいろいろな安全装置ができてきましたし、従って昔のいわゆるガラがくるような世界経済のくずれ方もまずないのではないか。そういう材料を拾ってくると、あまり悲観材料ばかり考えても始まらないというような気もいたします。  それから貿易外の支払いがだんだんふえるということはおっしゃる通りでございます。それから特需も減る。特需というものは臨時的なもので、特需を計算に入れての国際収支の黒字というものは非常に変則的なものであります。特需は、ずっと前には多く、倍近くあったのでありますが、これも次第に減ってゼロになるときがくるだろう。そこに行くまでにおっしゃいましたように輸出を大いに増進する。その輸出の増進のためには、相当の、たとえば今例をお示しになりましたように、アメリカも強力に輸出をやっておる、ドイツもやっておる、そういうものに負けないように、一般に輸出マインドというものをもう少し高揚してやらなければならない。とかく輸出は、日本の場合は、たとえば鉄鋼のごときは、国内で好景気だと、輸出してもつまらないというので、輸出が伸びない。そういう国内情勢によって輸出が左右されるということもあまり好ましくない。好ましくないけれども、利益の問題でありますから、ただ精神論だけではいかないと思います。何かそういう点で、これもたとえでありますけれども、一つの企業に対する輸出の責任制をやって、これに対して税制を改革するとか、そういうことも必要なのではないか。要するに、輸出の増強には、ただ輸出だけ埋めてもしようがないから、それのまわりの政策、税制とかその他のものをやはり輸出に適応するように改める。これがやはり為替自由化、貿易自由化に関連する統合政策の必要性ということになるのではないか、こういうふうに考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 さっきお話しになった中で、国際収支が悪くなってきた、そうすると、信用状規制ではおそいからということで、しかし、そうは言っても自動調節作用がチェックするのではないかということがありましたが、それはごくわずかな変化ならば、こういうことでコントロールできるのではないかと思うのでありますが、率直に申して、やはり日本の国際収支の黒字は完全に特需に依存しておりますから、今おっしゃるように向こうも特需を考えるでありましょうけれども、しかし、その幅と貿易の幅とは、必ずしもそんなにうまくいくわけじゃないということになりますと、昨年の輸出が予想以上に伸びておりますから、私はあの輸出を普通のべースだという見方をする評価は、少し問題があるのではないかと感じております。そうすると、対米輸出というものは、実はもう少し低いところで考えた上で、問題を議論していかなければならぬのじゃないかと思います。実は、全体の問題はあの上に立って、すぐその上に積み重ねるというきわめて安易な考え方に立っておると思いますが、そういうことである程度幅が大きくなって、なおかつ今おっしゃったようなことで円の価値が維持できるのかどうかということを、ちょっと伺いたい。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 輸出の伸びは、日本は世界各国の輸出の伸びより抜群の伸びを示しておるわけであります。これがどれくらい続くかということになるのでございますけれども、私の方でも方々に問い合わせましたりあるいは研究しておりますと、世界経済拡大をキープしておる高原景気が続くということが前提でありまして、その前提がはなはだたよりないといえばそれまででありますけれども、前年度ほどじゃなくても相当行くんじゃないか。われわれの予想では三十五億程度はやはり確実に行くんじゃないかと思いますので、当面輸出がそう伸びなくなるということもあまりないのじゃないか。それから、それがうまくいかなかった場合に、いわゆる国際収支の赤字をどうやって防ぐかということ、これは非常に大問題なのでございますけれども、これは、もともとは国内の設備の過剰であるとか、そういう設備段階で早目に、いわゆる国内産業金融政策の面からまずしぼらなければならぬ。この前の場合はあわてふためいて最後の段階で締めた。これははなはだきたない例でありますけれども、信用状段階で輸入を締めようというのは、下痢を肛門のところで抑えようというようなもので、これはやろうと思っても大した効果はないわけです。むしろ前から締めなければならない。それから為替の自動調節作用によって輸入をチェックする。これはおっしゃいますように程度問題であります。それからもう一つは、それをだれがやるか。昔は、私が申し上げるのはちょっとあれですけれども、正金銀行というようなものがあって、政府がこれに意を含めて、そうして輸入をチェックするために、輸入の相場を操作するということによって輸入をディスカレッジすることができたわけです。今ははたしてそれができるか。今後やはり、為替銀行というものに、そういう一朝有事の際にそういうものをチェックし得る一つの筋金を入れる必要がある。そういうことは確かに必要なんじゃないかと思います。それによって為替の自動調節作用で輸入をチェックする、これも一つの手ではあると思います。ですから、根本問題は、国内問題として、それから現実に現われた面は、単に信用状規制とかそういうものだけでなくて、為替相場の面でもチェックしていく、そうして輸入を圧縮して、輸出の伸びないのをチェックするというようなところになるのじゃないかと思います。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 神近市子君。

神近市子日本社会党

○神近委員 今の堀委員のお尋ねとひょっとしたら重複するかもしれませんが、さっき自由化が行なわれれば外国銀行の活躍が非常に盛んになるだろうというお話があって、それから、ちょっと金利の差がありますから、当然のことだと考えられますけれども、石村委員がお尋ねになりましたが、おもにアメリカの資本と思いますけれども、今日本の産業にほとんど入っていないところはないのでございます。前にちょっと調べたところによりますと、三菱電機のごときはフィフティ・フィフティぐらいの割合で出ております。それからケミカル産業が非常に多く入っております。日本の産業で、電気や鉄道のような公益のものを除きますと、ほとんど鉱山業が入っていないだけでございます。そういうふうな状態のところに、大体技術導入によって生じた株だと思いますけれども、またホット・マネーが入ってくるということになりますと、私は日本の将来にとって非常に問題を残すのではないかと思っております。ホンジュラスだとかキューバだとかいうようなところの状態が起こることがおそろしいということ、あなたはさっきアメリカはそういう投機的な考え方では日本には投資しないだろうというふうにおっしゃったのですけれども、これは資本の正規の性格とは違うと思うのです。それで、お尋ねいたしたいことは、さっき、自由化といっても、自然動物園の中の自由であって、必ずしも野放しになるのではないとおっしゃったこと、それから外国銀行の活躍を許すということの間につながりがあるのでしょうか。たとえば、今正金銀行の話が出たようですけれども、資本の投入を制限する何らかの方策が考えられなくちゃならないのではないかと思うのですけれど、それは今の自由化の問題の中に含まれておりますかどうか、それをちょっとお伺いしたい。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 外国資本が日本にきまして、極端にいえば、日本が植民地化されるのではないかというような考えが確かにあると思います。政治と資本は別だと言えばそれまででございますけれども、資本というものは一面非常に臆病なもので、決してもうからぬところ、危険のあるところにはそう大してこない。今非常に外国資本が入っているようにおっしゃいましたけれども、極端に申すと、これはまだ、見方でございますけれども、微々たるものではないか。技術導入とか、技術提携とか、そういういろいろなことはございますけれども、まだ全体の比率から見れば外国資本の入っている率は非常に少ないのではないか。そこへもってきて、外国資本というものは非常に臆病なもので、日本のような経済、これはよくなっておりますけれども、まだほかに外国資本が投資すべき対象があるわけで、政府の命令か保証でもあって意識的に日本に入ってくるというのなら別でありますけれども、コマーシャルベースという面から考えれば、その御心配になるほど日本に外国資本が入ってくるとはちょっと考えられない。  それから、外国銀行の活躍ということでございますけれども、われわれもやはり銀行で、銀行というものは金繰りをちゃんと按分しておりまして、たとえば外国銀行が巨大な資本を盛大に日本に持ってくるということはちょっと考えられない。大きな為替銀行というもののほんの一部の資金、シェアを日本に持ってきてやっているので、そのシェアが少し自由化によって大きくなることはあるだろう、また大きくなることによって日本の為替界に相当サポートしてもらえば、かえって外国銀行が力が出るということは、日本の為替貿易界にもいいことだ、こういうふうに私は考えまして、外国資本が入るということは、そうあまり目にかどを立ててなるべく入らぬようにしたいというよりも、むしろいい性質の外資は日本の資本の不足を補う意味で歓迎してもいいのじゃないかというふうに考えております。ただ、御承知の通り、入ってくるものの中にはいいものも悪いものもある。これをどういうふうに選別するか。ここにやはり改正すべき外資法のコツもあると思うのです。野放図に何でもかんでもよろしいというわけにはいかない。要するに自然動物園でありまして、外資の面で一定のさくを作っておかなければならない、ですから、たとえば株の持ち分についても一応の制限はつけて、野放図に株は持てないという、今よりははるかに自由であるけれども、何かの制約は必要なんじゃないかと思います。当面非常に巨大な外資が入ってくるということで御心配になるような面は、私はそんなに御心配になるほどでもないのじゃないかと考えております。

神近市子日本社会党

○神近委員 さっきから伺っておりますと、大へんその点では楽観的でいらっしゃるように思うのですけれど、今のシェアの問題、それは質によって規制されるのか、質の選択をすることがございますのか、金高が制限されるというところに重点が置かれているのか、どちらでございますか。

神野正雄東京銀行常務取締役

○神野参考人 質とか金高とか、そういうこともございますけれども、むしろそれよりも要するにケース・バイ・ケースで相当考えなければなりません。たとえば、あるこういう産業には外国資本はあまり入ってもらいたくないが、こういうものはウエルカムだ、一応そういう選別がなされるのじゃないか。それから、投資する相手の信用とか行状、そういうものを一応ウォッチする必要がある。ですから、これを画一的に、幾らまではいかぬとか、それから何%まではいいとか、こういうことも一応の目安としてつけなければならぬかと思いますが、現実面においては、やはり各該当する企業の経営判断ということに、相当今後そういう面で慎重を期さなければならぬ。ただ何でもかんでも外資を競争して入れて、そうして自分のところが大きくなりさえすればいい、こういうようなものの考え方、これは経営者として改めなければならぬ。相当インチキの投資もあると思います。そのインチキを見抜くだけの経営能力はやはり持っていく、これが必要なのであります。あとは、どういう産業には外資が入ってもらいたくないということは、一応のけじめはつけておいてもいいと思います。

植木庚子郎自由民主党

○植木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人には、御多用中のところ、長時間にわたり御出席下さいまして、貴重な御意見を開陳していただき、当委員会としまして調査のため多大の便宜を得ましたことを、委員長から厚くお礼申し上げます。  次会は来たる十五日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会

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